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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】エアロゾル送達デバイス/システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/53 20200101AFI20241126BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20241126BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20241126BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20241126BHJP
   A24F 40/49 20200101ALI20241126BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20241126BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/50
A24F40/10
A24F40/40
A24F40/49
A24F40/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532573
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 EP2022086299
(87)【国際公開番号】W WO2023111242
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】21215017.1
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】501024897
【氏名又は名称】インペリアル、タバコ、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IMPERIAL TOBACCO LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マレー, サマンサ
(72)【発明者】
【氏名】サドロー, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】コーワン, ディーン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB14
4B162AC17
4B162AC34
4B162AC50
4B162AD02
4B162AD03
4B162AD06
4B162AD08
4B162AD12
4B162AD15
4B162AD23
(57)【要約】
本開示は、エアロゾル送達システム、たとえば喫煙代替システムに関する。詳細には、本開示は、エアロゾル生成システムであって、蒸発器と、システムからの使用者による吸入を検出するように構成された空気流センサと、コントローラとを備え、コントローラが、使用者による吸入の持続時間が事前定義された持続時間閾値を超過したときのみ、蒸発器を起動するように構成されている、エアロゾル生成システムに関する。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成システムであって、蒸発器と、前記システムからの使用者による吸入を検出するように構成された空気流センサと、コントローラとを備え、前記コントローラが、前記使用者による吸入の持続時間が事前定義された持続時間閾値を超過したときのみ、前記蒸発器を起動するように構成されている、エアロゾル生成システム。
【請求項2】
前記使用者による吸入の前記持続時間を測定するように構成されたクロックまたはタイマをさらに備える、請求項1に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項3】
前記使用者による吸入が満たしまたは超過しなければならない前記事前定義された持続時間閾値が2秒以上である、請求項1または2に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項4】
使用者による検出されたさらなる吸入パラメータが、事前定義されたさらなる吸入パラメータ閾値を超過するときのみ、前記蒸発器を起動するようにさらに構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項5】
使用者によるさらなる吸入パラメータが、前記使用者による吸入の圧力、前記使用者による吸入の圧力差/降下、および前記使用者による吸入の質量流量体積のうちの1つまたは複数から選択される、請求項4に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項6】
前記使用者による吸入が、使用者による最初の吸入であり、前記コントローラが、使用者による最初の吸入の前記持続時間が前記事前定義された持続時間閾値を超過したときのみ、前記蒸発器を起動するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項7】
エアロゾル前駆体を収容するための構成要素を受け取るためのデバイスを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項8】
エアロゾル前駆体を収容するための前記構成要素をさらに備える、請求項7に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項9】
エアロゾル生成システムの起動を制御する方法であって、空気流センサを使用して前記エアロゾル生成システムからの使用者による吸入を感知することと、前記使用者による吸入の持続時間を判定することと、前記使用者による吸入の前記持続時間を事前定義された持続時間閾値と比較することと、前記使用者による吸入の前記持続時間が前記事前定義された持続時間閾値を超過した場合、蒸発器を起動することとを含む方法。
【請求項10】
前記使用者による吸入が、使用者による最初の吸入である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記蒸発器が起動される前に、使用者による1つまたは複数のさらなる吸入パラメータを判定することと、前記判定された使用者によるさらなる吸入パラメータを事前定義された使用者によるさらなる吸入パラメータ閾値と比較することと、前記使用者によるさらなる吸入パラメータが前記事前定義された使用者によるさらなる吸入パラメータ閾値を超過した場合のみ、前記蒸発器を起動することとをさらに含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
使用者によるさらなる吸入パラメータが、前記使用者による吸入の圧力、前記使用者による吸入の圧力差/降下、および前記使用者による吸入の質量流量体積のうちの1つまたは複数から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
プロセッサによってまたは移動デバイスにインストールされたアプリケーションによって実行されたとき、前記プロセッサまたはアプリケーションに、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法を実行させるように構成された命令を収容するコンピュータ可読媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、喫煙代替システムなどのエアロゾル生成/送達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
概して、タバコの喫煙は、潜在的に有害な物質に喫煙者を曝露すると見なされる。概して、タバコを燃やすことおよび/または燃焼させることによって引き起こされる熱、ならびにタバコの煙自体に含まれる燃やされたタバコの成分を介して、相当量の潜在的に有害な物質が生成されると考えられる。
【0003】
タバコなどの有機材料の燃焼は、タールおよび他の潜在的に有害な副生成物を作り出すことが知られている。タバコの喫煙を回避するために、様々な喫煙代替システムが提案されてきた。
【0004】
そのような喫煙代替システムは、喫煙をやめてニコチンへの依存を克服したいと考える人向けのニコチン補充療法の一部を形成することができる。
【0005】
喫煙代替システムは、電子式ニコチン送達システムと呼ばれることもあり、「蒸気」とも呼ばれるエアロゾルを作り出し、それを口から肺に吸い込み(吸入)、次いで吐き出すことによって、使用者が喫煙動作を模倣することを可能にする電子システムを備えることができる。吸入されたエアロゾルは、典型的には、ニコチンおよび/または香料を含み、従来の喫煙に付随する臭気および健康リスクは伴わず、またはほとんど伴わない。
【0006】
概して、喫煙代替システムは、喫煙習慣のための代替品を提供しながら、従来の喫煙およびタバコ生成物によって体験したものと類似の体験および満足を使用者に提供することが意図される。
【0007】
喫煙代替システムの人気および使用は、ここ数年で急速に成長してきた。本来、タバコの喫煙をやめたいと考えている習慣的な喫煙者を支援するための補助として販売されてきたが、消費者はますます、望ましいライフスタイルアクセサリとして喫煙代替システムを見るようになっている。一部の喫煙代替システムは、従来のシガレットに似たように設計されており、円筒形の形状で、一端にマウスピースを有する。他の喫煙代替システムは、概してシガレットに似ていない(たとえば、喫煙代替デバイスは、略箱形の形状を有することがある)。
【0008】
複数の異なるカテゴリの喫煙代替システムが存在し、各々異なる喫煙代替手法を利用する。喫煙代替手法は、代替システムが使用者のために動作する方法に対応する。
【0009】
喫煙代替システムのための1つの手法は、いわゆる「ベイピング」手法であり、典型的には「eリキッド」と呼ばれる(本明細書でもそのように呼ぶ)蒸発可能な液体が、加熱器によって加熱されてエアロゾル蒸気を作り出し、それが使用者によって吸入される。eリキッドは、典型的には、ベース液ならびにニコチンおよび/または香料を含む。したがって、結果として得られる蒸気は、典型的には、ニコチンおよび/または香料を含有する。ベース液は、プロピレングリコールおよび/または植物性グリセリンを含むことができる。
【0010】
典型的なベイピング喫煙代替システムは、マウスピース、電源(典型的には、電池)、eリキッドを収容するためのタンクまたは液体リザーバ、ならびに加熱器を含む。使用の際、電源から加熱器へ電気エネルギーが供給され、加熱器がeリキッドを加熱して、エアロゾル(または「蒸気」)を作り出し、それが使用者によってマウスピースから吸入される。
【0011】
ベイピング喫煙代替システムは、様々な様式で構成することができる。たとえば、「閉システム」ベイピング喫煙代替システムは、典型的には、加熱器および密閉タンクを有し、タンクにはeリキッドが事前に充填されており、最終使用者によって再充填されることは意図されていない。一部の閉システムベイピング喫煙代替システムは、電源を含むデバイスを含み、デバイスは、タンクおよび加熱器を含む構成要素に物理的かつ電気的に結合されるように構成される。このようにして、構成要素のタンクが空になると、デバイスを新しい構成要素に接続することによって、そのデバイスを再利用することができる。さらに一部の閉システムベイピング喫煙代替システムは、完全に使い捨てであり、1回だけの使用が意図される。
【0012】
また「開システム」ベイピング喫煙代替システムも存在し、典型的には、使用者によって再充填されるように構成されたタンクを有し、したがってこのシステムは複数回使用することができる。
【0013】
例示的なベイピング喫煙代替システムは、myblu(商標)のeシガレットである。myblu(商標)のeシガレットは、デバイスおよび消耗構成要素を含む閉システムである。デバイスおよび消耗構成要素は、消耗構成要素をデバイス内へ押し込むことによって、ともに物理的かつ電気的に結合される。デバイスは、再充電可能な電池を含む。消耗構成要素は、マウスピース、eリキッドを収容する密閉タンク、ならびに蒸発器を含み、このシステムの場合、蒸発器は、芯のうちeリキッドに部分的に浸漬された部分の周りに巻かれた加熱フィラメントである。システムは、デバイスに搭載されたマイクロプロセッサが、使用者がマウスピースから吸入したことを検出すると起動される。システムが起動されると、電源から蒸発器へ電気エネルギーが供給され、蒸発器がタンクからのeリキッドを加熱して、蒸気を作り出し、それが使用者によってマウスピースから吸入される。
【0014】
別の例示的なベイピング喫煙代替システムは、blu PRO(商標)のeシガレットである。blu PRO(商標)のeシガレットは、デバイス、(再充填可能な)タンク、およびマウスピースを含む開システムである。デバイスおよびタンクは、一方を他方にねじ込むことによって、ともに物理的かつ電気的に結合される。マウスピースおよび再充填可能なタンクは、一方を他方にねじ込むことによって、ともに物理的に結合され、マウスピースを再充填可能なタンクから取り外すことで、タンクにeリキッドを再充填することが可能になる。システムは、デバイス上のボタンによって起動される。システムが起動されると、電源から蒸発器へ電気エネルギーが供給され、蒸発器がタンクからのeリキッドを加熱して、蒸気を作り出し、それが使用者によってマウスピースから吸入される。
【0015】
「ベイピング」手法に対する代替手段は、いわゆる加熱式タバコ(「HT)手法であり、タバコ(eリキッドではない)が加熱されまたは温められて蒸気を解放する。HTは「非燃焼加熱式」(「HNB」)とも呼ばれる。タバコは、葉タバコまたは再構成タバコとすることができる。HT手法において、その意図は、タバコが非燃焼式に加熱され、すなわちタバコが燃焼を受けないことである。
【0016】
タバコ材料を燃やすのではなく加熱することは、喫煙中に最初に作り出されるより有害な化合物の量をより少なくまたはより小さくすると考えられる。その結果、HT手法は、タバコを燃やすこと、燃焼、および熱分解によって生じる可能性のある臭気および/または健康リスクを低減させることができる。
【0017】
典型的なHT喫煙代替システムは、デバイスおよび消耗構成要素を含むことができる。消耗構成要素は、タバコ材料を含むことができる。デバイスおよび消耗構成要素は、ともに物理的に結合されるように構成することができる。使用の際、デバイスの加熱要素によってタバコ材料に熱を与えることができ、タバコ材料を通る空気流が、タバコ材料内の成分を蒸気として解放する。蒸気はまた、タバコ材料内のキャリア(このキャリアは、たとえばプロピレングリコールおよび/または植物性グリセリンを含むことができる)、加えてタバコから解放された揮発性化合物から形成することができる。解放された蒸気は、タバコを通って運ばれる空気流に同伴することができる。
【0018】
蒸気が蒸発した場所から構成要素の出口(たとえば、マウスピース)へ消耗構成要素を通過する(空気流に同伴される)につれて、蒸気は冷めて凝縮し、使用者が吸入するためのエアロゾルを形成する。エアロゾルは、ニコチンおよび/または風味化合物を含有することができる。
【0019】
喫煙代替システムなどのエアロゾル送達システムは、そのようなシステムによって生成される蒸気内に含有されうるニコチンおよび他の物質の潜在的に有害な作用のため、子供などの未成年者による使用には適していない。しかし、喫煙代替デバイス(または類似品)が子供などの無許可の使用者の手の届くところに不注意で放置されたり、そのような無許可の使用者が使用しようとしたりするリスクがある。したがって、エアロゾル送達システムの適当な許可された使用のみを確実にするために、安全機構が必要とされる。
【0020】
したがって、知られているシステムの問題の少なくともいくつかに対処する改善されたエアロゾル送達システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0021】
第1の態様によれば、エアロゾル生成システムであって、蒸発器と、システムからの使用者による吸入を検出するように構成された空気流センサと、コントローラとを備え、コントローラが、使用者による吸入の持続時間が事前定義された持続時間閾値を超過したときのみ、蒸発器を起動するように構成されている、エアロゾル生成システムが提供される。
【0022】
コントローラが、使用者による吸入の持続時間が事前定義された持続時間閾値を超過したときのみ、蒸発器を起動するように構成されているため、安全機構が提供され、子供などの無許可の使用者が、蒸発器を起動するために好適に長い持続時間の吸入を提供する(および/またはその必要があることに気付く)ことが物理的に可能になる可能性が低くなる。蒸発器が起動されない場合、システムは、エアロゾル/蒸気を作り出すことができず、したがってそのようなエアロゾル/蒸気が無許可の使用者によって吸入される可能性はない。したがって、子供などの不適当な使用者によるシステムの偶発的なもしくは無許可の使用が回避され、または少なくともそのようなことが起こる確率が大幅に低減される。これにより、許可された使用者に安心感が提供され、システムが子供などの不適当な使用者に害を及ぼすリスクも防止される。このような安全および安心は能率的に提供され、コントローラは、吸入の持続時間を判定し、1つまたは複数の持続時間閾値と比較するように、1つまたは複数の一般に提供されているセンサ、検出器、または測定構成要素とともに機能することができる。比較は、コントローラによって迅速に行うことができ、したがって許可されたまたは適当な使用者によるエアロゾル生成手段の起動、および所望の蒸気の生成を、使用者の観点から、使用者が吸入すると実質的に瞬時に行うことができる。したがって、安全機構は、許可された使用者に不便さまたは遅れを引き起こすことなく提供される。
【0023】
任意選択の特徴について、次に記載する。これらは、単独で、または任意の態様との任意の組合せで、適用可能である。
【0024】
エアロゾル生成システムは、使用者による吸入の持続時間を測定するように構成されたクロックまたはタイマをさらに含むことができる。クロックまたはタイマは、空気流センサおよび/もしくはコントローラ内に備えることができ、または空気流センサおよび/もしくはコントローラと通信することができる。
【0025】
空気流センサは、機械電気センサ、MEMS起動センサ、圧力差センサ、質量流量センサ、温度センサ、流体速度センサ、流量センサ、もしくはこれらの任意の組合せとすることができ、またはそのようなセンサを備えることができる。空気流センサは、ダイナミックマイクロフォン、コンデンサマイクロフォン、容量マイクロフォン、もしくは圧電マイクロフォン、またはこれらの任意の組合せなどのマイクロフォンを備えることができる。空気流センサは、可動バッフルなどの1つまたは複数の可動要素を備えることができ、その動きを測定して、使用者による吸入に対する空気流特性を判定することができる。
【0026】
使用者による吸入が満たしまたは超過しなければならない事前定義された持続時間閾値は、任意の適当な長さ(時間の単位)とすることができる。たとえば、これは、3秒または4秒以上、たとえば5秒または6秒以上とすることができる。
【0027】
上記のコントローラ、および/またはエアロゾル生成システムに付属する別のコントローラは、使用者による吸入に応答して蒸発器の起動を可能にする前に、1つまたは複数の追加の比較を行うように構成することができる。
【0028】
たとえば、そのようなコントローラは、使用者による吸入の持続時間が事前定義された持続時間閾値を超過し、かつ使用者による吸入の検出された圧力が事前定義された圧力閾値を超過したときのみ、蒸発器を起動するように構成することができる。
【0029】
その事前定義された圧力/体積閾値は、成人による吸入、たとえば典型的な最大成人吸気圧(PIMAX)に関連付けられた好適な値とすることができ、そのような値は、子供によって実現可能になる可能性が低い。PIMAX値は、-100~-70cmHOとすることができる。
【0030】
上記のコントローラ、および/またはエアロゾル生成システムに付属する別のコントローラは、使用者による吸入の持続時間が事前定義された持続時間閾値を超過し、かつ使用者による吸入の検出された圧力差/降下が事前定義された圧力差/降下閾値を超過したときのみ、蒸発器を起動するように構成することができる。その事前定義された圧力差/降下閾値は、成人による吸入に関連付けられた好適な値とすることができ、そのような値は、子供によって実現可能になる可能性が低い。たとえば、圧力差/降下閾値は、3psi、より好ましくは5psi、より好ましくは7psiとすることができる。
【0031】
上記のコントローラ、および/またはエアロゾル生成システムに付属する別のコントローラは、使用者による吸入の持続時間が事前定義された持続時間閾値を超過し、かつ使用者による吸入の検出された「吸入容量」(または質量流量体積)が事前定義された質量流量体積閾値を超過したときのみ、蒸発器を起動するように構成することができる。その事前定義された質量流量体積閾値は、成人による吸入に関連付けられた好適な値とすることができ、そのような値は、子供によって実現可能になる可能性が低い。たとえば、質量流量体積閾値は、毎秒10ミリリットル(ml/秒)以上、たとえば20ml/秒以上、または30ml/秒以上とすることができる。
【0032】
1つまたは複数のさらなる比較を使用することで(吸入持続時間と閾値との比較に加えて)、エアロゾル生成のためにシステムを起動する前に無許可の使用者が克服しなければならない(克服することが物理的に可能になる可能性が低い)2つ以上の障壁を提供することによって、安全機構の信頼性を高めることができる。さらに、これらの比較のうちのどちらかにシステム障害が生じた場合の冗長性が提供される。
【0033】
使用者による吸入は、使用者による最初の吸入とすることができ、コントローラは、使用者による最初の吸入の持続時間が事前定義された持続時間閾値を超過したときのみ、蒸発器を起動するように構成することができる。
【0034】
システムは、蒸発器が好適な最初の吸入によって起動された後、少なくとも所定の期間にわたって、蒸発器の継続した動作を可能にするように構成することができる。それに応じて、いくつかの実施形態では、システムは、最初の吸入後、少なくとも所定の期間にわたって、または使用者による吸入後、少なくともたとえば所定の数の吸入に対して、使用者が行うすべての吸入によって事前定義された持続時間閾値を満たしまたは超過することを必要とするように構成されていない。
【0035】
「使用者による最初の吸入」は、特定の喫煙セッション中に使用者がエアロゾル生成システムに対して適用する最初の吸入とすることができる。追加/別法として、「使用者による最初の吸入」は、吸入持続時間が事前定義された持続時間閾値を満たすまたは超過する必要があった前回の吸入から、所定の不活動期間後および/または特定の数の吸入後に行われる吸入を含むことができる。
【0036】
システムは、エアロゾル前駆体を収容するための構成要素と協働するデバイスを備えることができる。
【0037】
デバイスは電源を備えており、電源は、電池とすることができる。電源は、キャパシタとすることができる。電源は、再充電可能な電源とすることができる。デバイスは、デバイス内の電源を再充電するための外部電源に接続するための充電接続を備えることができる。
【0038】
デバイスは、電源および/または他の電気構成要素を収納するためのデバイス本体を備えることができる。デバイス本体は、細長い本体とすることができ、すなわち深さ/幅より大きい長さを有することができる。デバイス本体は、深さより大きい幅を有することができる。
【0039】
デバイス本体は、5~30cm、たとえば5~10cm、たとえば7~9cmの長さを有することができる。デバイス本体の最大深さは、5~15mm、たとえば9~12mmとすることができる。
【0040】
デバイス本体は、横寸法に湾曲した前面を有することができる。デバイス本体は、横寸法に湾曲した後面を有することができる。前面および後面の湾曲は、互いに反対方向とすることができる。前面および後面はどちらも、横寸法に凸状とすることができる。前面および後面は、等しい曲率半径を有することができる。
【0041】
デバイス本体は、実質的に楕円形の横断面形状を有することができる。
【0042】
デバイス本体は、線形の長手方向軸を有することができる。
【0043】
デバイス本体の前面および/または後面は、少なくとも1つの視覚ユーザフィードバック要素、たとえば1つまたは複数のライト、たとえば1つまたは複数のLEDを含むことができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、デバイス本体は、デバイス本体内の視覚ユーザフィードバック要素(たとえば、1つまたは複数のライト/LED)によって提供される光が通ることを可能にするように構成された照明領域を含むことができる。
【0045】
デバイスは、デバイスの動きを検出するための動き検出ユニット(たとえば、加速度計)を備えることができる。
【0046】
デバイスは、触覚フィードバック生成ユニット(たとえば、電気モータおよび電気モータのシャフトに偏心して取り付けられた重り)を備えることができる。
【0047】
デバイスは、コントローラを含むことができる。
【0048】
コントローラは、デバイスの動作を識別し、識別されたデバイスの動作に基づいて、デバイス本体内に収容された1つまたは複数のライトを制御する(たとえば、照明領域を照明する)ように構成することができる。
【0049】
コントローラは、動き検出ユニットによるデバイスの動きの検出に応答して触覚フィードバックを生成するように、触覚フィードバック生成ユニットを制御するように構成することができる。
【0050】
メモリを設けることができ、メモリは、コントローラに動作可能に接続することができる。メモリは、不揮発性メモリを含むことができる。メモリは、実装されたとき、コントローラに、方法の特定のタスクまたはステップを実行させる命令を含むことができる。
【0051】
デバイスは、無線インターフェースを備えることができ、無線インターフェースは、たとえばBluetooth(登録商標)を介して、別のデバイス、たとえば移動デバイスと無線で通信するように構成することができる。この目的で、無線インターフェースは、Bluetooth(登録商標)アンテナを含むことができる。他の無線通信インターフェース、たとえばWiFi(登録商標)も可能である。無線インターフェースはまた、遠隔サーバと無線で通信するように構成することができる。
【0052】
デバイスは、空気流センサを備えることができる。空気流センサは、使用者による吸入の発生(および持続時間)を示す信号をコントローラへ提供することが可能になるように、コントローラに動作可能に接続することができる。
【0053】
デバイスは、電源を蒸発器に接続するための電気接続(たとえば、1つまたは複数のコンタクトピン)を備えることができる。
【0054】
デバイスは、デバイス本体内にシャーシを備えることができ、デバイスの電気構成要素のうちの1つまたは複数(たとえば、電源、充電接続、視覚フィードバック要素、動き検出ユニット、触覚フィードバック生成ユニット、コントローラ、メモリ、無線インターフェース、空気流センサ、および/または電気接続のうちの1つまたは複数)を、シャーシに取り付けるまたは貼り付けることができる。
【0055】
システムは、エアロゾル前駆体を収容するための構成要素をさらに備えることができる。
【0056】
構成要素は、エアロゾル送達(たとえば、喫煙代替)消耗品とすることができ、すなわちいくつかの実施形態では、構成要素は、エアロゾル送達(たとえば、喫煙代替)デバイスに係合してエアロゾル送達(たとえば、喫煙代替)システムを形成するための消耗構成要素とすることができる。
【0057】
デバイスは、消耗構成要素を受け取るように構成することができる。デバイスおよび消耗構成要素は、ともに物理的に結合するように構成することができる。たとえば、消耗構成要素は、デバイスの凹部内(たとえば、デバイスハウジングによって画定される凹部内)に少なくとも部分的に受け取ることができる。デバイスと消耗構成要素との間にスナップ係合を提供することができる。別法として、デバイスおよび消耗構成要素は、一方を他方にねじ留めすることによって、またはバヨネットフィッティングによって、ともに物理的に結合することができる。
【0058】
したがって、消耗構成要素は、デバイスに係合するための1つまたは複数の係合部分を備えることができる。
【0059】
デバイスおよび消耗構成要素は、磁気引力によってともに結合することができる。たとえば、デバイスは、少なくとも1つの磁石を備えることができ、構成要素は、磁石または鉄板を備えることができる。
【0060】
消耗構成要素は、蒸発器を備えることができる。蒸発器は、加熱要素を備えることができる。別法として、蒸発器は、超音波もしくは流量拡大ユニット、または誘導加熱システムを備えることができる。
【0061】
消耗構成要素は、デバイスの対応する電気インターフェースに接続するための電気インターフェースを備えることができる。これらの電気インターフェースのうちの一方または両方が、1つまたは複数の電気コンタクトを含むことができる。したがって、デバイスが消耗構成要素に係合されたとき、電気インターフェースは、電源から消耗構成要素の蒸発器(たとえば、加熱要素)へ電力を伝達するように構成することができる。電気インターフェースはまた、知られているタイプのリストから消耗構成要素を識別するために使用することができる。電気インターフェースは、追加または別法として、消耗構成要素がデバイスに接続されたことを識別するために使用することができる。
【0062】
デバイスは、別法または追加として、RFIDリーダ、バーコード、またはQRコードリーダを介して、消耗構成要素に関する情報を検出することを可能にすることができる。このインターフェースは、消耗品の特性(たとえば、タイプ)を識別することを可能にすることができる。この点で、消耗構成要素は、RFIDチップ、バーコード、もしくはQRコード、またはメモリのうちのいずれか1つまたは複数を含むことができ、その中に識別子が含まれており、インターフェースを介して問い合わせることができる。
【0063】
他の実施形態では、構成要素は、エアロゾル送達(たとえば、喫煙代替)デバイスと一体形成して、エアロゾル送達(たとえば、喫煙代替)システムを形成することができる。
【0064】
そのような実施形態では、デバイスと一体化された再充填タンクによって、エアロゾル形成剤(たとえば、eリキッド)を補充することができる(消耗品の交換はしない)。タンクへのアクセス(eリキッドを再充填するため)は、たとえば閉鎖部(たとえば、キャップ)によって封止可能なタンクへの開口を介して提供することができる。
【0065】
喫煙代替システムは、空気流路を備えることができ、空気流路は、空気入口から出口へ延びる。空気入口は、デバイス本体内に設けることができる。出口は、構成要素のマウスピース部分に位置することができる。この点で、使用者は、出口で吸入する(すなわち、マウスピース部分を使用する)ことによって、流体(たとえば、空気)を空気流路内へ空気流路に沿って吸い込むことができる。空気流センサは、空気流路に沿って1つまたは複数の箇所で空気を検出するように構成することができる。
【0066】
空気流路は、空気入口と出口との間で蒸発器を通る。蒸発器は、構成要素内に設けることができる。
【0067】
空気流路は、空気入口から蒸発器の方へ延びる第1の部分を備えることができる。空気流路の第2の部分が、出口へ延びる導管まで、蒸発器(たとえば、蒸発器の上または周り)を通る。導管は、構成要素の軸方向中心に沿って延びることができる。
【0068】
空気流路に関する「下流」への言及は、出口/マウスピース部分に向かう方向を指すことが意図される。したがって、空気流路の第2の部分は、空気流路の第1の部分の下流に位置する。逆に、「上流」への言及は、空気入口に向かう方向を指すことが意図される。したがって、空気流路の第1の部分(および空気入口)は、空気流路の第2の部分(および出口/マウスピース部分)の上流に位置する。
【0069】
「上(upper)」、「下(lower)」、「上(above)」、または「下(below)」への言及は、直立/垂直の向きにあるとき、すなわち構成要素の細長い(長手方向/長さ)軸が垂直方向に位置合わせされ、マウスピースが垂直方向で最も上に位置するときの構成要素を指すことが意図される。
【0070】
構成要素は、エアロゾル前駆体(たとえば、液体エアロゾル前駆体)を収納するためのタンクを備えることができる。エアロゾル前駆体は、eリキッドを含むことができ、eリキッドはたとえばベース液およびたとえばニコチンを含む。ベース液は、プロピレングリコールおよび/または植物性グリセリンを含むことができる。
【0071】
導管は、タンクを通って延びることができ、導管壁がタンクの内側領域を画定する。この点で、タンクは導管を取り囲むことができ、たとえばタンクは環状とすることができる。
【0072】
上記で論じたように、空気流路は、空気入口と出口との間で蒸発器を通る(たとえば、蒸発器の上または周りを通る)。蒸発器は、空気流路の一部を形成することができる蒸発器チャンバ内に位置することができる。
【0073】
蒸発器は、芯を備えることができる。芯は、タンクの基部を形成することができ、したがってエアロゾル前駆体が芯に接触することができる。芯は、その上面(タンクに面する)に1つまたは複数のチャネルを備えることができ、チャネルはタンクと流体連通する。
【0074】
芯は、その上面を画定する長さおよび幅を有することができ、深さが構成要素の長手方向軸と位置合わせされる。したがって、芯の上面および反対側の下面は、構成要素の長手方向軸に直交して空気流路の第1および第3の部分に対して長手方向をなすそれぞれの平面内に位置することができる。
【0075】
芯は、多孔質材料、たとえばセラミック材料を含むことができる。芯の一部分、たとえば下面の少なくとも一部分、および/または上面と下面との間(深さ方向)に延びる少なくとも1つの側壁の少なくとも一部分を、空気流路の第2の部分内で空気流に露出させることができる。
【0076】
加熱要素は、芯、たとえば芯の下面に位置するヒータトラックの形態とすることができる。
【0077】
他の実施形態では、芯は、たとえば綿またはセラミックから形成された円筒形の多孔芯とすることができる。芯は、構成要素の幅寸法の方向(構成要素の長手方向軸に直交する)に延びるように向けることができる。したがって、芯は、空気流路内の空気流の方向に直交する方向に延びることができる。芯の両端は、タンク内へ突出することができ、中心部分(両端間)は、空気流に露出されるように空気流路を横切って延びることができる。したがって、芯に沿ってタンクから芯の露出部分へ流体を吸い込むことができる(たとえば、毛管作用による)。加熱要素は、芯の周りに巻かれたフィラメントの形態とすることができる(たとえば、フィラメントは、芯の周りに螺旋状に延びることができる)。フィラメントは、芯の露出部分の周りに巻くことができる。
【0078】
加熱要素は、電源に電気的に接続される(または接続可能である)。したがって、動作の際、電源は、加熱要素に電気を供給(すなわち、電圧を印加)して、加熱要素を加熱することができる。これにより、芯の中に貯蔵された(すなわち、タンクから吸い込まれた)液体を加熱して、蒸気を形成し、空気流路に沿って空気流中に同伴することができる。次に、この蒸気が冷めると、たとえば導管内にエアロゾルを形成することができる。
【0079】
第2の態様では、第1の態様によるエアロゾル送達(たとえば、喫煙代替)システムを使用する方法であって、電源を有するエアロゾル送達(たとえば、喫煙代替)デバイス(上述)に消耗構成要素を係合して、電源を消耗構成要素(すなわち、消耗構成要素の蒸発器)に電気的に接続することを含む方法が提供される。
【0080】
第3の態様では、コントローラおよび空気流センサも備えるエアロゾル生成システム内の蒸発器の起動を制御する方法が提供される。この方法は、エアロゾル生成システムからの使用者による吸入を感知することと、使用者による吸入の持続時間を判定することと、使用者による吸入の持続時間を事前定義された持続時間閾値と比較することと、使用者による吸入の持続時間が事前定義された持続時間閾値を超過した場合、蒸発器を起動することとを含む。
【0081】
上記で論じたように、使用者による吸入は、使用者による最初の吸入とすることができる。
【0082】
この方法は、蒸発器が起動される前に、使用者による吸入の圧力を判定することと、使用者による吸入の判定された圧力を事前定義された圧力閾値と比較することとをさらに含むことができる。この方法は、使用者による吸入の持続時間が事前定義された持続時間閾値を超過し、かつ使用者による吸入の判定された圧力が事前定義された圧力閾値を超過した場合のみ、蒸発器を起動することをさらに含むことができる。
【0083】
この方法は、蒸発器が起動される前に、使用者による吸入の圧力差を判定することと、使用者による吸入の判定された圧力差を事前定義された圧力差閾値と比較することとをさらにまたは代わりに含むことができる。この方法は、使用者による吸入の持続時間が事前定義された持続時間閾値を超過し、かつ使用者による吸入の判定された圧力差が事前定義された圧力差閾値を超過した場合のみ、蒸発器を起動することをさらに含むことができる。
【0084】
この方法は、蒸発器が起動される前に、使用者による吸入の質量流量体積(または「吸入容量」)を判定することと、使用者による吸入の判定された質量流量体積を事前定義された質量流量体積閾値と比較することとをさらにまたは代わりに含むことができる。この方法は、使用者による吸入の持続時間が事前定義された持続時間閾値を超過し、かつ使用者による吸入の判定された質量流量体積が事前定義された質量流量体積閾値を超過した場合のみ、蒸発器を起動することをさらに含むことができる。
【0085】
第4の態様によれば、プロセッサによってまたは移動デバイスにインストールされたアプリケーションによって実行されたとき、プロセッサまたはアプリケーションに、第3の態様の方法を実行させるように構成された命令を収容するコンピュータ可読媒体が提供される。
【0086】
本発明は、そのような組合せが明らかに容認できない場合、またははっきりと避けられる場合を除いて、記載する態様および好ましい特徴の組合せを含む。
【図面の簡単な説明】
【0087】
さらなる態様およびその特徴を理解することができるように、次に実施形態について、添付の図を参照してさらに詳細に論じる。
【0088】
図1図1Aは、喫煙代替システムの正面概略図である。図1Bは、システムのデバイスの正面概略図である。図1Cは、システムの構成要素の正面概略図である。
図2図2Aは、デバイスの電気構成要素の概略図である。図2Bは、構成要素の部分の概略図である。
図3図3は、構成要素のさらなる概略図である。
図4図4Aは、吸気中の人間の肺および横隔膜を示す図である。図4Bは、呼気中の人間の肺および横隔膜を示す図である。
図5図5は、エアロゾル生成を制御する改善された方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
次に態様および実施形態について、添付の図を参照して論じる。さらなる態様および実施形態は、当業者には明らかである。
【0090】
図1Aは、喫煙代替システム100の第1の実施形態を示す。この例では、喫煙代替システム100は、デバイス102および構成要素104を含む。別法として、構成要素104を「ポッド」、「カートリッジ」、または「カトマイザ」と呼ぶこともできる。他の例(すなわち、開システム)では、デバイスを構成要素と一体化することができることを理解されたい。そのようなシステムでは、デバイスに再充填するために、エアロゾル送達システムのタンクにアクセス可能とすることができる。
【0091】
この例では、喫煙代替システム100は、閉システムベイピングシステムであり、構成要素104は密閉タンク106を含み、1回だけの使用が意図される。構成要素104は、デバイス102に取り外し可能に係合可能である(すなわち、取り外しおよび交換のため)。図1Aは、喫煙代替システム100を示し、デバイス102は構成要素104に物理的に結合されており、図1Bは、構成要素104のない喫煙代替システム100のデバイス102を示し、図1Cは、デバイス102のない喫煙代替システム100の構成要素104を示す。
【0092】
デバイス102および構成要素104は、構成要素104をデバイス102の上端108の空洞内へ押し込むことによって、ともに物理的に結合されるように構成され、したがってデバイス102と構成要素104との間に締まり嵌めが生じる。他の例では、デバイス102および構成要素は、一方を他方にねじ留めすることによって、またはバヨネットフィッティングによって、結合することができる。
【0093】
構成要素104は、構成要素104の上端109に位置するマウスピース部分と、マウスピース部分と流体連通する1つまたは複数の空気入口(図示せず)とを含み、したがって、使用者がマウスピース部分から吸入すると、構成要素104内へ構成要素104を通って空気を吸い込むことができる。eリキッドを収容するタンク106は、構成要素104の下端111に位置する。
【0094】
デバイス102の下端110はまた、小さい半透明カバーの後ろに位置するライト116(たとえば、LED)を含む。ライト116は、喫煙代替システム100が起動されたとき、かつ/または充電するときに、照明するように構成することができる。図示しないが、構成要素104は、電気インターフェース、RFIDチップ、またはバーコードを介して、構成要素104の識別をデバイス102に示すことができる。
【0095】
デバイス102の下端110はまた、デバイス102内の電池を充電するために使用可能な充電接続115を含む。充電接続115はまた、デバイスとの間でデータを伝達するために、たとえばデバイスのファームウェアを更新するために使用することができる。
【0096】
図2Aおよび図2Bは、デバイス102および構成要素104の概略図である。図2Aから明らかなように、デバイス102は、電源118、コントローラ120、メモリ122、無線インターフェース124、電気インターフェース126、および任意選択で、1つまたは複数の追加の構成要素128を含む。
【0097】
電源118は、好ましくは電池、より好ましくは再充電可能な電池である。コントローラ120は、たとえばマイクロプロセッサを含むことができる。メモリ122は、好ましくは不揮発性メモリを含む。メモリは、実装されたとき、コントローラ120に、方法の特定のタスクまたはステップを実行させる命令を含むことができる。
【0098】
無線インターフェース124は、好ましくは、たとえばBluetooth(登録商標)を介して、別のデバイス、たとえば移動デバイスと無線で通信するように構成される。この目的で、無線インターフェース124は、Bluetooth(登録商標)アンテナを含むことができる。他の無線通信インターフェース、たとえばWiFi(登録商標)も可能である。無線インターフェース124はまた、遠隔サーバと無線で通信するように構成することができる。
【0099】
デバイス102の電気インターフェース126は、1つまたは複数の電気コンタクトを含むことができる。電気インターフェース126は、デバイス102の上端108内のアパーチャの基部に位置することができる。デバイス102が構成要素104に物理的に結合されると、電気インターフェース126は、電源118から構成要素104へ電力を伝達するように構成される(すなわち、喫煙代替システム100の起動時)。
【0100】
電気インターフェース126はまた、知られている構成要素のリストから構成要素104を識別するために使用することができる。たとえば、構成要素104は、特定の風味とすることができ、かつ/または特定の濃度のニコチンを有することができる(電気インターフェース126によって識別することができる)。これは、構成要素104がデバイス102に接続されているとき、デバイス102のコントローラ120に示すことができる。追加または別法として、デバイス102内に別個の通信インターフェースを設け、構成要素104内に対応する通信インターフェースを設けることもでき、したがって接続されているとき、構成要素104は、構成要素104の識別をデバイス102に示すことができる。
【0101】
デバイス102の追加の構成要素128は、上記で論じたライト116を備えることができる。
【0102】
デバイス102の追加の構成要素128はまた、充電ステーションから電力を受け取るように構成された充電接続115を備える(すなわち、電源118が再充電可能な電池であるとき)。これは、デバイス102の下端110に位置することができる。
【0103】
デバイス102の追加の構成要素128は、電源118が再充電可能な電池である場合、再充電可能な電池の充電を制御するための電池充電制御回路を含むことができる。しかし、電池充電制御回路は同様に、充電ステーション(存在する場合)内に位置することもできる。
【0104】
デバイス102の追加の構成要素128は、たとえば使用者が構成要素104のマウスピース部分136から吸入することによって引き起こされる喫煙代替システム100内の空気流を検出するための空気流(すなわち、パフ)センサなどのセンサを含むことができる。喫煙代替システム100は、空気流センサによって空気流が検出されると起動されるように構成することができる。このセンサは、別法として、構成要素104内に含むこともできる。空気流センサは、たとえば、使用者がマウスピースを吸い込む量、または使用者が特定の期間内にマウスピースを吸い込む回数を判定するために使用することができる。
【0105】
デバイス102の追加の構成要素128は、使用者入力、たとえばボタンを含むことができる。喫煙代替システム100は、使用者が使用者入力と対話する(たとえば、ボタンを押下する)と起動されるように構成することができる。これにより、喫煙代替システム100を起動するための機構としての空気流センサに対する代替手段が提供される。
【0106】
図2Bに示すように、構成要素104は、タンク106、電気インターフェース130、蒸発器132、1つまたは複数の空気入口134、マウスピース部分136、および1つまたは複数の追加の構成要素138を含む。
【0107】
構成要素104の電気インターフェース130は、1つまたは複数の電気コンタクトを含むことができる。デバイス102の電気インターフェース126および構成要素104の電気インターフェース130は、構成要素104の下端111がデバイス102の上端108(図1Aに示す)に挿入されると互いに接触し、それによってデバイス102を構成要素104に電気的に結合するように構成される。このようにして、デバイス102内の電源118から構成要素104内の蒸発器132へ、電気エネルギー(たとえば、電流の形態)を供給することが可能になる。
【0108】
蒸発器132は、電源118から供給される電気エネルギーを使用して、タンク106内に収容されたeリキッドを加熱して蒸発させるように構成される。以下でさらに説明するように、蒸発器132は、加熱フィラメントおよび芯を含む。芯は、タンク106からeリキッドを吸い込み、加熱フィラメントは、eリキッドを加熱してeリキッドを蒸発させる。
【0109】
1つまたは複数の空気入口134は、好ましくは、使用者がマウスピース部分136から吸入したとき、喫煙代替システム100内へ空気を吸い込むことを可能にするように構成される。構成要素104がデバイス102に物理的に結合されたとき、空気入口134は、デバイス102と構成要素104の下端111との間の間隙に沿って空気入口134へ流れる空気を受け取る。
【0110】
動作の際、使用者は、たとえばデバイス102の一部を形成する使用者入力との対話によって、または上述したようにマウスピース部分136から吸入することによって、喫煙代替システム100を起動する。起動されると、コントローラ120は、電源118から蒸発器132へ(電気インターフェース126、130を介して)電気エネルギーを供給することができ、それにより蒸発器132は、タンク106から吸い込まれたeリキッドを加熱して蒸気を生じさせることができ、この蒸気が、使用者によってマウスピース部分136から吸入される。
【0111】
構成要素104の1つまたは複数の追加の構成要素138のうちの1つの一例は、構成要素104の識別子を得るためのインターフェースである。上記で論じたように、このインターフェースは、たとえば、RFIDリーダ、バーコード、QRコードリーダ、または構成要素を識別することが可能な電子インターフェースとすることができる。したがって、構成要素104は、RFIDチップ、バーコード、もしくはQRコード、またはメモリのうちのいずれか1つまたは複数を含むことができ、その中に識別子が含まれており、デバイス102内の電子インターフェースを介して問い合わせることができる。
【0112】
図1A図2Bに示す喫煙代替システム100は、喫煙代替システムの単なる1つの例示的な実装であることを理解されたい。たとえば、システムは、他の点では、完全に使い捨ての(1回だけ使用する)システム、またはタンクが再充填可能である(交換ではない)開システムの形態とすることもできる。
【0113】
図3は、上述した構成要素104の一例の概略図である。構成要素104は、eリキッドを貯蔵するためのタンク106と、マウスピース部分136と、構成要素104の長手方向軸に沿って延びる導管140とを備える。示されている実施形態では、導管140は、実質的に円形の横断面を有する(すなわち、長手方向軸を横断する)管の形態である。タンク106は導管140を取り囲み、したがって導管140は、タンク106を通って中心に延びる。
【0114】
構成要素ハウジング142は、構成要素104の外側筐体を画定する。構成要素ハウジング142は、構成要素104の下端111に位置する下部シェル158から、構成要素104の上端109に位置するマウスピース部分136へ延びる。構成要素ハウジングは、構成要素104がデバイス102に挿入されたとき(すなわち、デバイス102の上縁への接触による)、停止特徴として作用する唇状部分または肩状部分を画定することができる。
【0115】
タンク106、導管140、およびマウスピース部分136は、互いに一体形成されて単体の構成要素を形成し、たとえば射出成形プロセスによって形成することができる。そのような構成要素は、熱可塑性材料から形成することができる。
【0116】
マウスピース部分136は、導管140の出口を画定するマウスピースアパーチャ148を備える。蒸発器132は、構成要素104の入口134の下流に位置し、導管140よってマウスピースアパーチャ148(すなわち、出口)に流体接続される。
【0117】
いくつかの実施形態では、蒸発器132は、多孔質セラミック芯と、セラミック芯の底面(入口34に面する)に印刷されたヒータトラック(図示せず)とを備える。
【0118】
蒸発器132は、タンク106の基部を形成し、したがってエアロゾル前駆体が芯に接触し、液体エアロゾル前駆体が芯の中へ軸方向に動くことができる。
【0119】
他の実施形態では、蒸発器132は、加熱フィラメントが巻かれた多孔質の円筒芯を備え、芯は、蒸発器を取り囲むタンクの環状部分内へ延び、したがって液体エアロゾル前駆体が芯の中へ径方向に動くことができる。
【0120】
エアロゾル前駆体は、ヒータトラックまたは加熱フィラメントによって加熱され(たとえば吸入の検出によって起動されたとき)、それにより芯を越えて流れる空気中にエアロゾル前駆体を蒸発させて同伴する。この蒸発した液体が冷めると、導管140内にエアロゾルを形成することができ、次いで使用者がこのエアロゾルを吸入することができる。
【0121】
構成要素ハウジング142の下部シェル158は、ヒータトラックに電気的に接続された2つの電気コンタクト136a、136bを備える消耗構成要素102の電気インターフェース119を収容する開口を有する。このようにして、消耗構成要素104がデバイス102に係合されたとき、デバイスの電源118からヒータトラック/加熱フィラメントへ電力を供給することができる。
【0122】
本明細書に開示する改善されたエアロゾル生成システムは、より安全でより適当な使用のために構成される。特に、改善されたエアロゾル生成システムは、無許可の使用者による、たとえば子供などの未成年の使用者によるエアロゾル生成システムの使用を防止し、または少なくともその確率を低減させるように構成される。改善されたエアロゾル生成システムは、所定の使用者によるデバイスとの対話が発生したときのみ、そのエアロゾル生成機能を起動するように構成されることによって、より安全でより適当な使用を提供する。特に、改善されたエアロゾル生成システムは、デバイスでの使用者による吸入が1つもしくは複数の所定の条件を満たしたときのみ、または1つもしくは複数の所定の閾値の範囲内に入るときのみ、エアロゾル生成機能を起動するように構成される。そのような吸入の発生を判定するために、改善されたエアロゾル生成システム内に含まれたまたはそれに付随するプロセッサまたはコントローラによって、1つまたは複数の標識を使用することができる。
【0123】
本発明者らは、エアロゾル送達デバイスでの典型的な成人による吸入と、エアロゾル送達デバイスでの典型的な非成人(または子供)による吸入との間には特有の物理的な違いがあることを認識している。これらの違いは、成人と、6歳未満の子供などのより幼い子供との間で特に明らかになりうるが、本開示は、成人とその年齢層の子供とを区別することだけに限定されるものではない。
【0124】
本明細書では、人がエアロゾル送達デバイスなどのデバイスで吸入するとき、単にそのようなデバイスのマウスピース(またはそのようなデバイスに接続された構成要素のマウスピース)を口に挿入し、通常の呼吸をするだけでは、所望の蒸気の生成または蒸気の吸入に十分な空気を吸い込むのに概して十分ではないことが認識されている。代わりに、エアロゾル送達デバイスでの吸入動作中には、ある程度の故意の力または労力が使用されなければならない。さらに、成人がエアロゾル送達デバイスで吸入するとき、蒸気の生成を起動し、さらに蒸気自体を吸入することを可能にするためには、比較的長い吸入(すなわち、典型的な無意識の吸入と比べて、比較的大きい持続時間の吸入)が通例である。典型的には、エアロゾル送達デバイスの成人使用者は、エアロゾル送達デバイスで吸入するときに「腹式呼吸」を使用し、これは横隔膜が収縮することを必要とする呼吸モードである。このタイプの呼吸は、「深呼吸」としても知られている。
【0125】
本明細書では、子供は、監視されていない子供の手の届くところに意図せず放置されたエアロゾル送達デバイスで吸入しようとした場合など、特に非典型的なまたは不慣れな状況において、典型的には腹式呼吸を使用しないことがさらに認識されている。さらに、本発明者らは、監視されていない子供などの無許可のまたは未成年の使用者がエアロゾル送達デバイスで吸入しようとした場合、さらには腹式呼吸または深呼吸を試みた場合でも、典型的には、成人と同じ圧力または力で深呼吸を行うことも、成人と同じ長さの時間にわたって吸入することもできないことを認識している。したがって、本明細書では、成人と子供との間の吸入特性のそれらの違いを使用して、喫煙代替デバイスなどのエアロゾル送達デバイスの「アンロック」または「起動」を制御することができ、それによって特に子供によるエアロゾル送達デバイスの無許可の使用を防止するための「チャイルドロック」または安全機構として作用することができることが認識されている。これは、エアロゾル送達デバイスがタバコまたは子供に有害な他の物質を収容する喫煙代替デバイスを構成するときに特に重要である。
【0126】
腹式呼吸または深呼吸は、本明細書の図4Aおよび図4Bに関連してさらに理解することができる。人体構造において、横隔膜302は、人の胸腔内で肺300の下に位置する自然にドーム状または「U字形」の筋肉であることが、当業者には認識されよう。図4Aに示すように、「深呼吸」または「腹式呼吸」の吸気相中に、横隔膜302は収縮し、平坦になって物理的に降下し、したがって胸腔内に肺300が膨張するための空間を生じさせる。これにより、肺気量の容量が増大し、追加の空気が肺に入ることが可能になる。またこのタイプの呼吸では、典型的には、典型的な無意識の呼吸運動中に発生するより大きい圧力または力で空気を吸い込み、または吸入する。無意識の呼吸運動は、より浅くなる傾向があり、たとえあったとしても横隔膜をそれほど平坦にしない傾向がある。また腹式呼吸により、より浅い呼吸によって実現される速度より速い速度で空気を吸入することができ、典型的には、無意識のより浅い呼吸中に発生する吸入と比べて、吸入の持続時間が増大する。
【0127】
腹式呼吸は体力および労力を必要とし、一般規則として、より小柄でより身体的に弱い個人に比べて、より大柄でより身体的に強い個人の方が、腹式呼吸中に発生する吸入の圧力、力、速度、および持続時間などの要因の増大(より浅い無意識の呼吸と比べて)がより顕著に(すなわち、より大きく)なることが理解されよう。さらに、それらの要因は、典型的には、使用者が吸入に適用する故意の労力の量に従って増大する。
【0128】
図4Bは、「深呼吸」または「腹式呼吸」の呼気相中の肺300および横隔膜302を示す。この図に見ることができるように、呼気中、横隔膜302は弛緩し、そのドーム状に戻り、それにより肺気量の容積が減少し、空気は受動的に肺から出る。エアロゾル送達デバイスの使用中、これは典型的には使用者が前に吸入した蒸気を吐き出すはずの段階である。
【0129】
本明細書に開示する改善されたエアロゾル生成システムは、デバイスでの成人による吸入が発生した(または現在発生している)ことを1つまたは複数の標識が示唆するときのみ、その蒸発器を起動するように構成される。実施形態によれば、改善されたエアロゾルデバイスは、少なくとも所定の持続時間の吸入が発生したときのみ、その蒸発器を起動するように構成される。上記で詳述したように、1つの連続する呼吸における吸入の長さ(時間単位)は、典型的には、成人と子供との間で異なるはずである。したがって、実施形態では、改善されたエアロゾルデバイスは、蒸発器を起動するために、特定の長さの時間(すなわち、持続時間)にわたって吸入が発生することを必要とするように構成される。これにより、デバイスは、子供などの不適当な使用者による偶発的なまたは無許可の使用から保護することが可能になる。
【0130】
改善されたエアロゾル生成システムの一実施形態は、図2Aおよび図2Bに関連して理解することができる。この実施形態では、改善されたエアロゾル生成システムは、再利用可能な喫煙代替デバイス102を備える。ポッド、カトマイザ、またはカートリッジを備える使い捨ての/交換可能な構成要素104は、エアロゾル前駆体によって充填されたまたは充填可能なタンクを備え、タンクは、喫煙代替動作のためにデバイス102に接続可能である。使い捨ての構成要素104は、1回だけ使用するための構成要素とすることができるが、より可能性が高いのは、そのタンク106が空になるまで複数回の使用に好適となりうることであり、タンク106が空になった時点で、構成要素104を破棄することができ、代わりに再利用可能なデバイス102に関連する喫煙代替動作のために、交換用構成要素104を使用することができる。しかし、本明細書に記載する改善されたエアロゾル生成システム、ならびに後述する吸入感知および比較方法は、このタイプのエアロゾル生成システムに限定されるものではなく、したがってこの実施形態は、本開示に対して制限ではなく例示であると見なされるべきである。
【0131】
この実施形態では、喫煙代替システムは、空気流センサを備える。空気流センサは、単一の実体とすることができ、または複数の部分を備えることができる。この実施形態では、空気流センサは、喫煙代替デバイス102の「追加の構成要素」128内に含まれる。しかし、いくつかの配置において、空気流センサは構成要素104内に含むことができ、または空気流センサは、デバイス102内に位置する少なくとも1つの部分と、構成要素104内に位置する少なくとも1つの部分とを備えることができ、これらの部分が互いとともに機能することが想定される。
【0132】
概して、空気流センサは、喫煙代替システムからの空気の使用者による吸入に関連する1つまたは複数の特性を感知し、使用者による吸入が1つまたは複数の所定の条件または閾値を満たしたときのみ、蒸発器の起動を制御するように、コントローラ120とともに機能するように構成される。蒸発器がまだ活動状態にないときに使用者による吸入がなされ、その吸入が指定の限度または閾値を満たさない場合、デバイス102は、その吸入を好適な起動として認識しないように構成され、したがってデバイス102は休止/不活動状態のままであり、エアロゾル蒸気を生成しない。
【0133】
空気流センサは、たとえばデバイス102に接続されたときの構成要素104のマウスピース部分136を介して使用者が吸入したとき、喫煙代替システムを通る空気流を検出するように配置された空気流センサを備える。空気流センサは、任意の好適なタイプとすることができ、任意の好適な構成要素部分を備えることができる。たとえば、空気流センサは、機械電気センサ、MEMS起動センサ、圧力差センサ、質量流量センサ、温度センサ、流体速度センサ、もしくは流量センサ、またはこれらの任意の組合せとすることができ、あるいはそのようなセンサを備えることができる。空気流センサは、ダイナミックマイクロフォン、コンデンサマイクロフォン、容量マイクロフォン、もしくは圧電マイクロフォン、またはこれらの任意の組合せなどのマイクロフォンを備えることができる。空気流センサ(またはデバイス102の別の部分)は、可動バッフルなどの1つまたは複数の可動要素を備えることができ、その動きを測定して、吸入事象に対する空気流特性を判定することができる。
【0134】
この実施形態では、空気流センサは、クロックもしくはタイマを備え、またはクロックもしくはタイマに接続/通信し、したがって吸入の持続時間(すなわち、開始から終了までの時間単位の長さ)を測定することができる。たとえば、クロックは、コントローラ内に含むことができる。空気流センサは、空気流を検出し、好適な信号を生成して、その空気流を引き起こした吸入の持続時間をコントローラが判定することを可能にするように構成することができる。
【0135】
デバイス102は、吸入の持続時間を所定の時間限度または時間閾値と比較し、吸入の持続時間がその所定の時間限度または時間閾値と少なくとも同じ長さ(時間単位)になった場合のみ、蒸発器132を起動する(たとえば、芯の中のエアロゾル前駆体の加熱のために蒸発器132を動作させるための電力の供給を開始する)ことを可能にするように構成される。たとえば、コントローラ120は、そのような比較を実行し、蒸発器132の起動および動作を制御するための1つまたは複数の制御信号の発行を制御するように構成することができる。制御信号は、加熱およびエアロゾル生成のための蒸発器132への電力の供給を可能にし、または防止するために、蒸発器132へ直接送信することができ、あるいはたとえば電気インターフェース126、130または他のノードもしくは接続点などの別の要素へ送信することができる。したがって、デバイス102は、吸入の持続時間が所定の時間限度または時間閾値を満たさないまたは超過しない場合、蒸発器132の起動を可能にしないように構成される。
【0136】
所定の時間限度または時間閾値は、メモリ122内に記憶することができ、かつ/またはデバイス102の外部のメモリもしくは他のソースからコントローラへ通信することができる。
【0137】
使用者による吸入が喫煙代替デバイス102によって比較される所定の時間限度または時間閾値は、使用者がデバイス102を購入する前に事前に決定することができる。たとえば、デバイス102の製造者またはプログラム作成者が、そのような比較のための所定の時間限度または時間閾値をデバイス102のメモリ122内に記憶することができる。所定の時間限度は、3秒、より好ましくは4秒、より好ましくは5秒とすることができる。
【0138】
蒸発器132が好適な吸入を介して起動された後、デバイス102は、少なくとも所定の期間にわたって蒸発器132の動作を継続するように構成される。デバイス102は、その所定の期間後、かつ/またはたとえば少なくとも所定の期間にわたって使用者の活動が検出されなかった(たとえば、吸入が検出されなかった)場合、蒸発器132を停止するように構成することができる。
【0139】
デバイス102は、特定の選択された時間または特定の選択された状況で、現在の吸入の持続時間と所定の時間限度または時間閾値との比較を実行するように構成することができる。
【0140】
デバイス102は、蒸発器132が現在不活動/休止状態にあるとき、現在の吸入の持続時間と所定の時間限度または時間閾値との比較を実行するように構成される。たとえば、デバイス102は、喫煙代替システムが少なくとも所定の長さの時間にわたって不活動(すなわち、使用されない)状態になってから最初の吸入に対して、比較を実行するように構成することができる。したがって、そのような実施形態は、不活動期間後に蒸発器132の起動を開始するために、使用者が喫煙代替動作の始めに故意に長い吸入を適用することを必要とすることができるが、その後、使用者は、より短い吸入を使用して喫煙代替動作を継続することができ、少なくとも所定の持続時間の次の期間(または次の不活動期間)後にのみ、別の故意に長い吸入を必要とすることができる。
【0141】
本明細書に開示する改善されたエアロゾル生成システムは、使用者および/または製造者が、最初の吸入に対して比較的大きい時間限度を設定することができ、たとえば成人(または使用者によって設定された場合、その特定の成人)に対して、3秒、より好ましくは4秒、より好ましくは5秒などの典型的な所望の吸入持続時間を超過する時間限度を設定することができ、それによって子供などの無許可の使用者がエアロゾル生成を開始するために必要とされる身体的な労力を加えることができる(またはそれを知る)可能性が低くなることから有利である。しかし、許可された成人使用者による蒸発器132の最初の起動後、その使用者は、喫煙代替システムを動作するために、そのような長い吸入を適用し続ける必要はないはずである。したがって、許可された使用者は、デバイス102が提供するように構成された安全機能を損なうことなく、自身の吸入の好みに合った喫煙代替動作を任意の所与の時間に楽しむことができ、それはより短い吸入を含むことができる。これはまた、一般的な喫煙代替動作パターンにも適合しており、使用者は、自身の喫煙代替動作の始めに長い吸入を適用し、デバイスの未使用期間後は蒸気の効果を楽しみたいと考えることがあるが、その後は、より短い吸入または「パフ」を加えることを好むことがある。
【0142】
いくつかの実施形態では、喫煙代替システムは、蒸発器132の起動を開始する前に、2つ以上の比較を実行するように構成することができる。不活動期間後に蒸発器132を起動するたびに、または特定の時間もしくは特定の条件でのみ、追加の比較(詳細は以下に記載)を必要とすることもできる。
【0143】
一実施形態によれば、デバイス102は、上記で詳述した吸入持続時間比較を実施し、さらに所定の圧力限度または閾値と比べて、検出された吸入圧力に関する比較も実施するように構成される。そのような実施形態では、デバイス102がエアロゾル生成のために蒸発器132の起動を可能にするには、両方の比較の結果が正でなければならず、すなわち現在の吸入が、所定の長さの時間を満たすまたは超過する持続時間でなければならず、かつその圧力が、所定の圧力限度を満たしまたは超過しなければならない。吸入の圧力は、任意の好適な構成要素によって検出することができる。圧力限度は、製造者もしくはプログラム作成者によって事前に設定することができ、またはいくつかの実施形態では、使用者が、たとえば初期設定プロセス中に、自身の圧力限度を設定もしくは選択することを可能にすることができる。蒸発器132の起動が可能になるように2つの比較の結果が正になるための要件は、子供などの無許可の使用者が成人の吸入の両方の態様を模倣し、それによってデバイスを起動することが可能になる可能性が低くなるため、本明細書に開示する改善されたエアロゾル生成システムによって提供される安全機構の信頼性を増大させる。2つの比較を必要とすることで、デバイスエラーが生じた場合のフェイルセーフも提供される。すなわち、それぞれの閾値に対する一方のパラメータ(たとえば、持続時間)の感知、測定、または比較が不正確である場合、対応する他方のパラメータが正の比較をもたらすための残りの要件により、無許可の使用者がデバイス102を不適当に起動する試みに成功する可能性が低くなる。
【0144】
一実施形態によれば、デバイス102は、上記で詳述した吸入持続時間比較を実施し、さらに所定の圧力差/降下限度または閾値と比べて、吸入事象中(またはその結果として)の検出された圧力差または圧力降下に関する比較も実施するように構成される。そのような実施形態では、デバイス102がエアロゾル生成のために蒸発器132の起動を可能にするには、両方の比較の結果が正でなければならず、すなわち現在の吸入が、所定の長さの時間を満たすまたは超過する持続時間でなければならず、かつその圧力差/降下が、所定の圧力差/降下限度を満たしまたは超過しなければならない。吸入の圧力差/降下は、任意の好適な構成要素によって検出することができる。圧力差/降下限度は、製造者もしくはプログラム作成者によって事前に設定することができ、またはいくつかの実施形態では、使用者が、たとえば初期設定プロセス中に、自身の圧力差/降下限度を設定することを可能にすることができる。圧力差/降下限度は、任意の好適な大きさとすることができる。たとえば、圧力差/降下閾値は、3psi、より好ましくは5psi、より好ましくは7psiとすることができる。しかし、本開示は、これらの値に限定されるものではない。
【0145】
一実施形態によれば、デバイス102は、上記で詳述した吸入持続時間比較を実施し、さらに所定の吸入容量限度または閾値と比べて、検出された「吸入容量」(代わりに、吸入の「質量流量体積」と呼ぶこともできる)に関する比較も実施するように構成される。そのような実施形態では、デバイス102がエアロゾル生成のために蒸発器132の起動を可能にするには、両方の比較の結果が正でなければならず、すなわち現在の吸入が、所定の長さの時間を満たすまたは超過する持続時間でなければならず、かつ吸入容量が、所定の吸入容量限度を満たしまたは超過しなければならない。吸入容量は、任意の好適な構成要素によって検出することができる。吸入容量限度は、製造者もしくはプログラム作成者によって事前に設定することができ、またはいくつかの実施形態では、使用者が、たとえば初期設定プロセス中に、自身の吸入容量限度を設定することを可能にすることができる。吸入容量限度は、任意の好適な大きさとすることができる。たとえば、吸入容量限度は、毎秒10ミリリットル(ml/秒)、より好ましくは20ml/秒、より好ましくは30ml/秒とすることができる。しかし、本開示は、これらの値に限定されるものではない。
【0146】
喫煙代替システムは、吸入持続時間をそれぞれの持続時間限度と比較することに加えて、(i)検出された圧力、(ii)検出された圧力差/降下、または(iii)吸入容量/質量流量体積のうちのいずれか2つ以上を、それぞれの限度または閾値と比較し、エアロゾル生成のための蒸発器132の起動が許可されるには、それらの比較のうちのすべてから(またはたとえば、少なくとも2つから)正の結果を必要とするように構成することができる。喫煙代替システムは、許可された成人使用者が、吸入持続時間比較に加えて、もしあれば追加の比較のうちのどれを行うべきかを選択し、かつ/またはそれらの比較に対する限度もしくは閾値を設定することを可能にするように構成することができる。
【0147】
改善されたエアロゾル生成システムについて、デバイスとエアロゾル前駆体を収容する使い捨ての構成要素とを備える喫煙代替システムの閉ループの実施形態に関連して上記で説明したが、本明細書に記載する改善は、そのような実施形態に限定されるものではなく、蒸発器、空気流センサ、およびコントローラを備える任意の好適なエアロゾル生成システムに用いることができ、コントローラは、使用者による吸入の持続時間が事前定義された持続時間閾値を超過したときのみ、少なくとも特定の状況および/または少なくとも特定の時間でのみ、蒸発器を起動するように構成される。
【0148】
図5は、本明細書に開示する改善されたエアロゾル生成システムが提供するように構成されている改善された方法の概要を示す。方法400は、上記で詳述したように、コントローラ、空気流センサ、および蒸発器を備えるエアロゾル生成システムによって(またはその代わりに)実施されるように構成される。
【0149】
方法400は、第1のステップ410として、エアロゾル生成システムからの使用者による最初の吸入を感知することを含む。たとえば、使用者による最初の吸入は、空気流センサによって感知することができる。
【0150】
第2のステップ420で、方法400は、使用者による最初の吸入の持続時間を判定することを含む。これは、空気流センサもしくはコントローラ、または任意の他の好適なクロック、タイマ、もしくはプロセッサを使用して実施することができる。
【0151】
第3のステップ430で、方法400は、使用者による最初の吸入の持続時間を事前定義された持続時間閾値と比較することを含む。たとえば、これは、コントローラによって実施することができる。事前定義された持続時間閾値は、コントローラに付随または通信する任意の好適なメモリ内に記憶することができる。
【0152】
任意選択のステップである第4のステップ440で、方法400は、使用者による最初の吸入に関連付けられた1つまたは複数の他のパラメータをそれぞれの事前定義された閾値と比較することを含む。たとえば、そのパラメータは、上記で詳述したように、圧力、圧力差(または圧力「降下」)または質量流量体積(または「吸入容量」)とすることができる。
【0153】
同じく任意選択であり、任意選択の第4のステップ440が実施された場合のみ適用される第5のステップ450で、方法400は、第4のステップ440で考慮されたパラメータがそれぞれの事前定義された閾値を超過した場合のみ(すなわち、任意選択の比較ステップ440が正の結果をもたらした場合のみ)、第6のステップへ進むことが可能になる。
【0154】
第6のステップ460で、方法400は、使用者による最初の吸入の持続時間が事前定義された持続時間閾値を超過した場合のみ、蒸発器を起動することを含む。
【0155】
方法400は、前述の図に関連して上記で詳述したように、エアロゾル生成システムでの使用者による1つまたは複数の後の吸入に対して繰り返すことができる。
【0156】
本明細書に開示する改善されたエアロゾル生成システムおよび改善された方法は、改善された安全性を可能にし、喫煙代替デバイスなどのエアロゾル生成デバイスが無許可のまたは不適当な使用者によって、特に幼い子供などの子供によって使用される確率を低減させる。これは、空気流センサおよびコントローラなどのエアロゾル生成および送達システムで一般に見られる構成要素を使用することで、能率的に実現される。したがって、強化された安全性が提供されるが、システムの全体的なコスト、嵩、および複雑さは従来のシステムと同等になる。少なくとも、いくつかの実施形態では、エアロゾル生成システムは、蒸発器の起動が可能になる前に、複数の比較を行い、複数の正の結果が提供されることを必要とすることができる。したがって、すべて使用者による吸入に関連付けられた複数の層の安全性を提供することができる。そのような比較が必要とされるパラメータを感知または検出するために使用される構成要素は、典型的には、エアロゾル生成システムで決まって提供される、または提供することができる、構成要素であり、したがってシステムに全体的なコストまたは嵩または複雑さを加えない。しかし、一般に利用可能な構成要素の使用にもかかわらず、本明細書に開示する改善されたエアロゾル生成システムは、1つまたは複数の吸入事象中に、許可された(成人)使用者と、無許可(未成年、たとえば子供)の使用者との間で予期することができる特性の固有の物理的な違いに関して、本明細書に記載する発明の認識を具現化することによって、改善された安全性を提供する。
【0157】
コントローラは、吸入の特性が吸入持続時間閾値を含む所定の限度または閾値を満たす場合、吸入事象中に(またはそれに関連して)検出、感知、または測定されたパラメータを迅速に処理するように構成することができ、したがって許可された使用者は、蒸発器の起動前の吸入時にいかなる遅延も知覚しないはずである。したがって、使用者にとって好適な方法で、喫煙代替システムなどのエアロゾル生成システムの安全な動作を提供することができる。
【0158】
例示的な実施形態について上記で説明したが、本開示を所与として、多くの同等の修正形態および変形形態が当業者には明らかであろう。したがって、上述した例示的な実施形態は、限定ではなく例示であると見なされる。
【0159】
以下の特許請求の範囲を含む本明細書全体にわたって、文脈上別途必要としない限り、「有する(have)」、「備える、含む(comprise)」、および「含む(include)」という単語、ならびに「有する(having)」、「備える、含む(comprises)」、「備える、含む(comprising)」、および「含む(including)」などの変化形は、他の整数もしくはステップまたは整数群もしくはステップ群の除外ではなく、記載の整数もしくはステップまたは整数群もしくはステップ群の包含を示唆することが理解されよう。
【0160】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、文脈上別途明らかに指示しない限り、単数形の「a」、「an」、および「the」は複数形の指示対象も含むことに留意されたい。本明細書では、範囲は、「約」の付く一方の特定の値から、および/または「約」の付く他方の特定の値までとして表すことができる。そのような範囲が表されているとき、別の実施形態は、一方の特定の値から、および/または他方の特定の値までを含む。同様に、前に付く「約」の使用によって、値が近似として表されているとき、特定の値は別の実施形態を形成することが理解されよう。数値に関連する「約」という用語は任意選択であり、たとえば±10%を意味する。
【0161】
本明細書では、「好ましい(preferred)」および「好ましくは(preferably)」という単語は、いくつかの状況下で特定の利益を提供することができる本発明の実施形態を指すために使用される。しかし、同じまたは異なる状況下では、他の実施形態も好ましい可能性があることを理解されたい。したがって、1つまたは複数の好ましい実施形態への言及は、他の実施形態が有用でないことを意味または示唆するものではなく、本開示の範囲から、または特許請求の範囲の範囲から、他の実施形態を除外することを意図したものではない。

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】