(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ロボットユニット、装置内移動する金属製品を制御するための方法、および金属リールの製造方法
(51)【国際特許分類】
B25J 13/00 20060101AFI20241126BHJP
B21C 51/00 20060101ALI20241126BHJP
B21C 47/02 20060101ALI20241126BHJP
B25J 19/04 20060101ALI20241126BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
B21C51/00 F
B21C51/00 P
B21C47/02 D
B25J19/04
B25J13/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532714
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-07-25
(86)【国際出願番号】 IT2022050312
(87)【国際公開番号】W WO2023100211
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】102021000030503
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512288949
【氏名又は名称】ダニエリ アンド チ.オフィチーネ メカーニク エッセピア
【氏名又は名称原語表記】DANIELI&C.OFFICINE MECCANICHE SPA
(71)【出願人】
【識別番号】514165990
【氏名又は名称】ダニエリ オートメーション ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】サンドリ マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】ピチェーニ エンリコ
(72)【発明者】
【氏名】ブソリーニ ロリス
(72)【発明者】
【氏名】トマ クラウディオ
【テーマコード(参考)】
3C707
4E026
【Fターム(参考)】
3C707AS12
3C707BS10
3C707KT01
3C707KT05
3C707LT08
3C707LW11
3C707LW15
4E026AA01
(57)【要約】
自動的に移動中の金属製品(P)を制御するためのロボットユニット(10)および関連するコンピュータ化の方法は、前記金属製品(P)の一部を操作または切断するために構成される。また、本発明は、金属リール(200)を製造するための装置(100)および方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動中の金属製品(P)、好ましくはロッドもしくは熱間圧延線を制御するためのロボットユニット(10)であって、
少なくとも1つのロボット化多関節アーム(11)と、
取得および制御ユニットであって、
ビデオモニタリングシステム(18)と、
前記金属製品(P)の一部を操作または切断するために、前記金属製品(P)のフレーム(19)のシーケンスを取得して処理し、かつ、アクチュエーション信号(S)を前記ロボット化多関節アーム(11)に送信するように構成される処理システム(21)と、
を含む取得および制御ユニットと、を備え、
前記処理システム(21)は、少なくとも、
a)前記金属製品(P)の端部(P1)を認識し、
b)前記端部(P1)がマクロ的な欠陥を有するか否かを識別するように構成される人工知能を実装し、
前記処理システム(21)は、識別された前記欠陥に基づいて前記ロボット化多関節アーム(11)の移動を選択的に管理するように構成されることを特徴とする、ロボットユニット(10)。
【請求項2】
前記ロボット化多関節アーム(11)は、少なくとも6つの自由度で移動されることができることを特徴とする、請求項1に記載のロボットユニット(10)。
【請求項3】
前記ビデオモニタリングシステム(18)は、前記ロボット化多関節アーム(11)の操作ヘッド(12)に位置する少なくとも1つのビデオカメラ(18a)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のロボットユニット(10)。
【請求項4】
前記ビデオモニタリングシステム(18)は、固定サポートに位置する少なくとも1つのビデオカメラ(18a)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のロボットユニット(10)。
【請求項5】
インターセプション部材(23)をさらに備え、
前記インターセプション部材は、前記金属製品(P)の移動面(Z)の下方に位置し、前記金属製品に干渉しない休止位置と、前記ロボット化多関節アーム(11)で操作/切断されることが意図される前記金属製品(P)の一部を一時的に停止するために、前記移動面(Z)に入射するインターセプション位置との間で鉛直方向に移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載のロボットユニット(10)。
【請求項6】
移動中の金属製品(P)、好ましくはロッドもしくは熱間圧延線を制御するためのコンピュータ化された方法であって、
取得および制御ユニットのビデオモニタリングシステム(18)の手段により、処理システム(21)によって処理される前記金属製品(P)のフレーム(19)のシーケンスを取得し、
アクチュエーション信号(S)をロボット化多関節アーム(11)に送信し、前記アクチュエーション信号(S)に基づいて前記ロボット化多関節アーム(11)を駆動し、
前記方法は、少なくとも、
a)前記金属製品(P)の端部(P1)を認識し、
b)前記端部(P1)がマクロ的な欠陥を有するか否かを識別するように、前記処理システム(21)に実装される人工知能を提供することを特徴とする、方法。
【請求項7】
検出された欠陥のタイプに基づいて、前記ロボット化多関節アームは、自身の把持ツール(13)の手段によって前記テール部(P1)をオンザフライで再配置するために移動され、あるいは自身の切断ツール(14)の手段によって前記テール部(P1)をオンザフライで切断するために移動されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記人工知能は、前記フレーム(19)のシーケンスの各フレーム(19a,19b,19c)に関する第1点(A)および第2点(B)を識別する認識アルゴリズム(30)を有し、前記第1点(A)および前記第2点(B)は、それらの間の部分を制御帯として定義し、前記制御帯の幅および位置に基づいて、前記フレームが前記金属製品(P)の中央フレーム(19a)もしくはテールフレーム(19b)、または空フレーム(19c)のいずれかであることを識別することを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記人工知能は、畳み込みニューラルネットワーク(25)を有し、
前記畳み込みニューラルネットワーク(25)は、
前記フレーム(19)のシーケンスの1つのフレーム(19a,19b,19c)をその都度受信する入力レベルまたはレイヤー(26)と、
前記金属製品(P1)のマクロ的な幾何学特性および視覚的特性を識別する機能を有する1つ以上の畳み込みレベルまたはレイヤー(27)と、
前記1つ以上の畳み込みレベルまたはレイヤー(27)の少なくとも1つから受信した情報に基づいて、前記フレーム(19a,19b,19c)を分類するように構成される少なくとも1つの全結合レベル(28)と、
両方のクラスが欠陥の不在および欠陥の存在のそれぞれの信頼指数(PD1,PD2)によって特徴付けられる、第1クラスおよび第2クラスを含むバイナリクラスベクトルによって定義される出力レベルまたはレイヤー(29)と、
を含むことを特徴とする、請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2クラスに関連する前記信頼指数(PD2)が事前決められた所定の閾値(PD)を超えた場合、前記畳み込みネットワーク(25)は、前記分析されたフレーム(19a,19b,19c)が欠陥を有する金属製品(P)に関連することを確立し、前記欠陥の修正のために、前記ロボット化多関節アーム(11)に送信する特定のアクチュエーション信号(S)を生成することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの全結合レベル(28)は、前記1つ以上の畳み込みレベルまたはレイヤー(27)の少なくとも1つより受信した前記情報に基づいて、前記フレーム(19a,19b,19c)のそれぞれを、形状欠陥を有するテールフレーム(19b)およびコブル欠陥を有するテールフレーム(19b)を含む所属のクラスに分類するように構成されることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
金属リール(200)の生産のための装置(100)であって、
レーイングヘッド(111)を有し、金属製品(P)を線状に受け取ってコイルに成形するように構成される巻取りユニット(110)と、
コイル状に成形された前記金属製品(P)を受け取り、リール(200)を形成することができる自動リール形成ユニット(113)と、
コイル状に成形された前記金属製品(P)を、前記巻き取りユニット(110)が配置される位置に対応する始端(112a)から前記自動リール形成ユニット(113)が配置される位置に対応する終端(112b)まで移動するように構成されるローラウェイ(112)と、
を備え、
前記ローラウェイ(112)における前記始端(112a)および前記終端(112b)の間に含まれる位置に配置され、請求項1から4のいずれか一項に記載の前記ロボット化多関節アーム(10)をさらに備えることを特徴とする、装置(100)。
【請求項13】
金属リール(200)を生産する方法であって、
巻取りユニット(110)が線状の金属製品(P)を受け取り、レーイングヘッド(111)がそれをコイルに成形し、
自動リール形成ユニット(113)がコイル状に成形された前記金属製品(P)を受け取り、リール(200)を形成し、
ローラウェイ(112)がコイル状に成形された前記金属製品(P)を、前記巻き取りユニット(110)が配置される位置に対応する始端(112a)から前記自動リール形成ユニット(113)が配置される位置に対応する終端(112b)まで移動し、
前記金属製品(P)を操作、再度位置づけ、または切断するために、請求項1から4のいずれか一項に記載の前記ロボット化多関節アーム(10)が、前記ローラウェイ(112)における前記始端(112a)および前記終端(112b)の間に含まれる位置に、側方に移動されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットユニット、特に熱間圧延法から始まるが、これに限定されない金属リール製造の工業プロセスにおいて、移動中の金属製品、特にロッドおよびワイヤのような移動中の金属製品を制御するための関連方法に関する。このロボットユニットは、問題やコブルを引き起こす可能性のある製品の部分を特定、制御、操作し、場合によっては除去するように構成され、あるいは簡単なサンプリングのために使用される。
【0002】
本発明は、上述のロボットユニットを含む装置、および金属リールの製造のための関連方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
熱間圧延された金属製品、例えば滑らかなまたはリブ付きのロッドまたはワイヤが、巻き取りユニットに連続的または半連続的に(例えば「ビレットからビレットへ」の供給で)供給される金属リールを製造するための装置が知られている。巻き取りユニットにおいて、敷設ヘッドまたはコイル形成ヘッドが連続した一連のコイルを形成し、それらのコイルを、それらのコイルが冷却される連続搬送コンベヤ(通常はローラウェイ)上に長さ方向に千鳥状に配置する。
【0004】
このようにして配置された製品は、リール形成ユニット内での走行を終了し、中心にセンタリングロッドを搭載したトロリーがあり、かせ/スプールを形成するためにコイルが上下に積み重ねられているトロリーがあるウェルに落とされる。
【0005】
製品の最初および/または最後の部分が正しく形成されない可能性があることが知られている。したがって、製品がローラウェイ上を進む間、少なくとも最後のコイルの状態、あるいはより一般的には製品の最後の部分の状態をチェックし、自動リール形成ユニットが連続搬送コンベアに沿ってローラウェイ上でブロックされるリスクがなく動作することを確認する必要がある。
【0006】
ローラウェイに沿ったコイルの詰まりまたは成形ユニット内でのコイルの詰まりは、最も一般的な問題の1つであり、かせの変形、プラントの停止、構造への損傷、メンテナンス介入の増加などを引き起こし、オペレーターがいる場合、事故の危険性も高くなる可能性があるため、回避する必要がある。
【0007】
従来の圧延プラントでは、前進する製品の最後の部分は、製品が約500℃の温度で通過するローラウェイの終端ゾーンを監視する1人または複数のオペレーターによって手動で制御される。移動する製品のテール部分を手動で切断する場合、オペレーターに対するローラウェイの高い相対速度、関連する温度、およびローラウェイから除去される製品部分の重量によって、困難が生じる可能性があり、特にサンプリングおよび品質管理を考慮する場合、製品の直径やその他の要因によって困難が生じる可能性がある。
【0008】
加工中の製品の最終部分を認識し、切断し、除去するためにこれらの作業を実行するための自動化システムも提案されている。しかし、これらのシステムでは、製品の最終部分を以前の均質な部分から確実に区別することはできず、また、この最終部分に、巻き取り中に後続の問題を引き起こすような欠陥や、位置/形状があるかどうかを正確に区別することはできない。そのため、最終部分を取り除いてしまうことが多く、かつ、実際に必要な部分よりも取り除いた部分が多くなることが多く、プラントの生産性の低下や加工廃棄物の増加を招いていた。あるいは、最終部分が認識されずに除去されず、その結果、コブルが生成されたり、規格外のリールが製造されたりする。
【0009】
国際公開第2017/082908号は、熱間圧延製品を製造する一般的な圧延機に関し、特にそのような製品の先端および尾端のトリミングおよび除去、そしてトリミング後の新しい端部の正しい位置決めに関する。国際公開第2017/082908号では、そのような製品の端部、ヘッドまたはテールにおける欠陥の存在を特定する対策を提供していない。したがって、国際公開第2017/082908号は、上述のように、製品の除去される部分が実際に必要な量よりも大きい場合が多いことを考慮し、プロセスを最適化することができるシステムを提供していない。
【0010】
のちにリールに巻き取られる金属ワイヤの先端および尾端を切断するための方法および装置の別の例が、米国特許第4995251号明細書および米国特許第3756289号明細書に記載されている。米国特許第4995251号明細書および米国特許第3756289号明細書のいずれにおいても、欠陥の検出について言及していないので、国際公開第2017/082908号と同じ欠点がある。
【0011】
韓国公開特許2019-0032908号公報およびBLUG A.氏などによる文献、「工業用表面検査のための現在のCNNカメラの可能性について(On potential of current CNN cameras for industrial surface inspection)」は、人工知能を使用した金属製品の製造におけるマクロ的な形状欠陥やコブル欠陥ではなく、マイクロ的な表面欠陥の検出に関係する。
【0012】
特開平07-98217号公報には、三次元物体の生産ラインに設置することができる、三次元物体の欠陥を識別するための装置に関する。
【0013】
したがって、これらの文書のいずれも、加工中の金属製品のヘッド部またはテール部を選択的に除去する機能において、金属リールの製造のための装置および方法の動作を最適化できるものではない。
【0014】
したがって、従来技術の欠点の少なくとも1つを克服できる、移動中の金属製品を制御するためのロボットユニットおよび方法、ならびに金属リールを製造するための装置および方法を完成させる必要がある。
【0015】
本発明の1つの目的は、加工中の製品、特にそれの最後部分の少なくとも1つについて品質管理を実行できるロボットユニットを提供し、これにより、欠陥に関する誤った特定、したがって材料の過剰な除去による無駄を削減することである。
【0016】
本発明の別の目的は、好ましくは自己学習ロジックに従ってロボットユニットを管理するためのコンピュータ化された方法を提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、従来技術で知られている装置と比較して生産性が高く、プラント停止回数が少ない金属リールの製造装置を構築することである。
【0018】
本発明の別の目的は、特に効率的であり、加工中の製品の自動化されたオンザフライ制御を可能にする金属リールの製造方法を提供することである。
【0019】
出願人は、既存の技術の欠点を克服し、これらおよび他の目的および利点を得るために、本発明を発明し、テストし、具現化した。
【発明の概要】
【0020】
本発明は、独立請求項に記載され、特徴付けられる。従属請求項は、本発明の他の特徴または主要な発明のアイデアの変形を説明する。
【0021】
上述の目的に対応し、移動中の金属製品、好ましくはロッドもしくは熱間圧延線を制御するためのロボットユニットは、少なくとも1つのロボット化多関節アームと、ビデオモニタリングシステム、および前記金属製品の一部を操作または切断するために、前記金属製品のフレームのシーケンスを取得して処理し、かつ、アクチュエーション信号を前記ロボット化多関節アームに送信するように構成される処理システムを含む取得および制御ユニットと、を備える。
【0022】
上述の本発明の一態様によれば、前記処理システムは、少なくとも、a)前記金属製品の端部(terminal portion)を認識し、b)前記端部がマクロ的な欠陥、例えば形状欠陥またはコブル欠陥、を有するか否かを識別するように構成される人工知能を実装する。
【0023】
この処理システムは、さらに識別された前記欠陥に基づいて、前記金属製品の送り方向に沿った実質的な線形移動において、前記ロボット化多関節アームの移動を選択的に管理することができる(操作、再度位置付け、またはその後再度位置付けの可能性がある切断)。
【0024】
これにより、自動化の方式で、テール部における欠陥が存在する場合のみ、加工中の金属製品を目標の方式で操作することができ、かつ、このケースにおいて、欠陥のタイプに基づいて特定の操作を行うことができる。これにより、ロボットユニット、それが取り付けられた装置、および対応する方法が最適化されることにより、加工中における加工廃棄品の削減および最終製品の品質の向上を実現できる。
【0025】
本発明の別の態様によれば、前記ロボット化多関節アームは、好ましくは少なくとも6つの自由度で、より好ましくは、7つの自由度で移動されることができる。これにより、金属製品、特に端部(これに限定されない)をその位置、形状、構造とは無関係に操作することができる。
【0026】
本発明の別の態様によれば、前記ビデオモニタリングシステムは、固定サポート上に、前記ロボット化多関節アーム上に、または前記アームの操作ヘッド上に位置する少なくとも1つのビデオカメラを有する。これにより、オンザフライで製品を撮像し、すなわち、追跡しながら撮像することができるため、画像のクオリティおよび精度を向上させることができる。
【0027】
本発明の別の態様によれば、ロボットユニットは、インターセプション部材をさらに備え、前記インターセプション部材は、前記金属製品の移動面の下方に位置し、前記金属製品に干渉しない休止位置と、前記ロボット化多関節アームで操作/切断されることが意図される前記金属製品の一部を一時的に停止するために、前記移動面に入射するインターセプション位置との間で鉛直方向に移動可能である。この部材は、製品の一部を把持、操作、可能性がある切断、および抽出することを容易にするために、金属製品コイルをストレッチすることを容認する。
【0028】
また、本発明は、移動中の金属製品、好ましくはロッドもしくは熱間圧延線を制御するためのコンピュータ化された方法に関する。この方法は、取得および制御ユニットのビデオモニタリングシステムの手段により、処理システムによって処理される前記金属製品のフレームのシーケンスを取得し、アクチュエーション信号をロボット化多関節アームに送信し、前記アクチュエーション信号に基づいて前記ロボット化多関節アームを駆動する。
【0029】
本発明の一態様によれば、前記方法は、少なくとも、a)前記金属製品の端部を認識し、b)前記端部がマクロ的な欠陥、例えば形状欠陥またはコブル欠陥を有するか否かを識別するように、前記処理システムに実装される人工知能を提供する。
【0030】
本発明の他の態様によれば、検出された欠陥のタイプに基づいて、前記ロボット化多関節アームは、自身の把持ツールの手段によって前記テール部をオンザフライで再配置するために移動され、あるいは自身の切断ツールの手段によって前記テール部をオンザフライで切断するために移動される。
【0031】
本発明の他の態様によれば、前記人工知能は、前記フレームのシーケンスの各フレームに関する第1点および第2点を識別する認識アルゴリズムを有し、前記第1点および前記第2点は、それらの間の部分を制御帯として定義し、前記制御帯の幅および位置に基づいて、前記フレームが前記金属製品の中央フレームもしくはテールフレーム、または空フレームのいずれかであることを識別する。したがって、前記製品の全長に亘ったマクロ的な識別が得られる。
【0032】
本発明の他の態様によれば、前記人工知能は、畳み込みニューラルネットワークを有し、前記畳み込みニューラルネットワークは、前記フレームのシーケンスの1つのフレームをその都度受信する入力レベルまたはレイヤーと、前記金属製品のマクロ的な幾何学特性および視覚的特性を識別する機能を有する1つ以上の畳み込みレベルまたはレイヤーと、前記1つ以上の畳み込みレベルまたはレイヤーの少なくとも1つから受信した情報に基づいて、前記フレームを分類するように構成される少なくとも1つの全結合レベルと、両方のクラスが欠陥の不在および欠陥の存在のそれぞれの信頼指数によって特徴付けられる、第1クラスおよび第2クラスを含むバイナリクラスベクトルによって定義される出力レベルまたはレイヤーと、を含む。
【0033】
本発明の他の態様によれば、前記第2クラスに関連する前記信頼指数が事前決められた所定の閾値を超えた場合、前記畳み込みネットワークは、前記分析されたフレームが欠陥を有する金属製品に関連することを確立し、前記欠陥の修正のために、前記ロボット化多関節アームに送信する特定のアクチュエーション信号を生成する。
【0034】
本発明の他の態様によれば、前記少なくとも1つの全結合レベルは、前記1つ以上の畳み込みレベルまたはレイヤーの少なくとも1つより受信した前記情報に基づいて、前記フレームのそれぞれを、形状欠陥を有するテールフレームおよびコブル欠陥を有するテールフレームを含む所属のクラスに分類する。
また、本発明は、金属リールの生産のための装置に関する。前記装置は、レーイングヘッドを有し、金属製品を線状に受け取ってコイルに成形するように構成される巻取りユニットと、コイル状に成形された前記金属製品を受け取り、リールを形成することができる自動リール形成ユニットと、コイル状に成形された前記金属製品を、前記巻き取りユニットが配置される位置に対応する始端(initial end)から前記自動リール形成ユニットが配置される位置に対応する終端(terminal end)まで移動するように構成されるローラウェイと、を備える。
【0035】
本発明の一態様によれば、前記装置は、さらに、前記ローラウェイにおける前記始端および前記終端の間に含まれる位置に配置されるロボット化多関節アームを備える。
【0036】
本発明の一態様は、金属リールを生産する方法に関する。前記方法によれば、巻取りユニットが金属製品を線状に受け取り、レーイングヘッドがそれをコイルに成形し、自動リール形成ユニットがコイル状に成形された前記金属製品を受け取り、リールを形成し、ローラウェイがコイル状に成形された前記金属製品を、前記巻き取りユニットが配置される位置に対応する始端から前記自動リール形成ユニットが配置される位置に対応する終端まで移動する。
【0037】
本発明の一態様によれば、前記方法において、前記金属製品を操作、再度位置づけ、または切断するために、ロボット化多関節アームが、前記ローラウェイにおける前記始端および前記終端の間に含まれる位置に、側方に移動する。
本発明のこれらおよびその他の態様、特性、および利点は、限定される例ではなく、下記の例示的な実施形態を添付の図面に併せて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明に係る、移動中の金属製品を制御するためのロボットユニットの斜視図である。
【
図2】移動中の金属製品をインターセプトできるインターセプション部材が視認できる拡大細部図である。
【
図3】金属製品およびそのテール部に存在する可能性がある欠陥を識別する人工知能の動作を示す概略図である。
【
図4】本発明に係る金属リールを製造するための装置の上面図である。
【
図5】本発明に係る金属リールを製造するための装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書において使用される表現および用語、ならびに同様に説明される添付図面の各図は、本発明をより良く図示し説明するという唯一の機能を有し、本発明の権利範囲が特許請求の範囲によって規定されるため、それらの機能は非限定的な例を提供することであることを明確にしなければならない。
【0040】
理解を容易にするために、図面において同一の共通要素を識別するために可能な限り同じ参照番号が使用されている。一実施形態の要素および特徴は、さらに説明することなく、他の実施形態に好適に組み合わせることができ、または他の実施形態に組み込むことができることが理解されたい。
【0041】
図1を参照すると、この図は、本発明に係る金属製品Pを制御するためのロボットユニット10を示し、それは、実質的に直線の送り方向Xに移動する、滑らかなロッドもしくはリブ付きロッド、または金属ワイヤであってもよい。
【0042】
金属製品Pは、例えばコイル形成ヘッドなどの既知のタイプの機械を用いて、送り方向Xにおいて、オフセット構成で配置された一連のコイルに基づいて配置される。
【0043】
金属製品Pは、実質的に水平である移動面Z上で移動されるが、場合によっては、例えば送り方向Xにおいて、上方または下方に傾斜することもあり得る。
【0044】
金属製品Pは、その移動面Z上における移動の後、リールまたはかせ(skeins)200に梱包されることができる。
【0045】
ユニット10は、金属製品Pを操作するように構成されるグリップツール13および金属製品Pを切断する切断ツール14のそれぞれが備えられ、すなわち、金属製品Pの特定の部分を分離するための操作ヘッド12を有する少なくとも1つのロボット多関節アーム11を備える。
【0046】
この特定の部分は、終端部またはテール部P1(
図3参照)、あるいは、例えば、金属製品Pのテール部P1と始端部またはヘッド部P2との間に含まれる位置に配置されたサンプル部であり得る。ヘッド部P2とテール部P1との間には、均一で横方向に整列したコイル状の実質的に平面状の構造を有する中央部P3(
図3参照)がある。
【0047】
ロボット多関節アーム11は、好ましくは6つの自由度に従って移動されることができ、追加の7つの自由度に従って移動されることができる。この目的のために、ロボットユニット10は、アーム11が加工される製品Pに追従できるように、例えば、送り方向Xに平行で、アーム11がその上にスライドするように取り付けられたスライダまたはレール15を備えることができる。
【0048】
ロボットユニット10は、金属製品Pの移動面Zの下に位置し、金属製品Pと干渉しない休止位置と、ロボット多関節アーム11という手段によって操作/切断されることが意図されている金属製品Pのコイルを保持するために、移動面Zに入射するインターセプション位置との間で、鉛直に移動可能なインターセプション部材23(
図2参照)を備えることもできる。
【0049】
ロボットユニット10は、金属製品Pの除去される部分が堆積されるアーム24aを備えた堆積ユニット24を備えることもできる。
【0050】
ロボットユニット10は、ビデオシーケンスおよび/またはデジタル画像またはフレームのシーケンス、特に加工中の金属製品Pのフレーム19のシーケンスを取得するためのビデオモニタリングシステム18を備える取得および制御ユニットを有する(
図3参照)。
【0051】
フレーム19のシーケンスは、連続的であってもよく、規則的または不規則的な間隔で取得されてもよい。
【0052】
ビデオモニタリングシステム18は、好ましくはロボット多関節アーム11上に配置された少なくとも1つのビデオカメラ18aを備えることができる(
図1および
図2参照)。
【0053】
ビデオカメラ18aは、操作ヘッド12上に位置され、送り方向Xに対して実質的に直交する方向に向いてもよい。
【0054】
このケースの場合、フレーム19のシーケンスは、ロボット多関節アーム11固有の可動性、および提供された場合、レール15に沿ったアーム11の並進運動の両方を通じて、「追跡あり」で取得され得る。
【0055】
あるいは、ビデオカメラ18aは、ロボット多関節アーム11をガイドするように、移動面Zに沿って、あるいは移動面Z上において、加工中の金属製品Pに対する固定位置に配置されることが可能である。
【0056】
取得および制御ユニットは、ビデオモニタリングシステム18に接続される処理システム21も含む(
図3参照)。
【0057】
処理システム21は、フレーム19のシーケンスを処理し、アーム11にアクチュエーション信号Sを送信し、テール部P1またはサンプル部を操作し、再度位置付けし、および/または切断する。
【0058】
処理システム21は、少なくとも(a)終端部P1を認識し、(b)終端部P1が欠陥を有するか否かを識別するように構成される人工知能を実装する。
【0059】
問題となる欠陥は、マクロタイプのものであり、すなわち、ミクロ的な表面欠陥とは関係なく、形状欠陥、幾何学的欠陥、またはコブル欠陥である可能性があり、ここで、金属製品Pの一部は、移動面Zから「退出する(exits)」構成を有する可能性がある。
【0060】
従って、人工知能は、金属製品Pについて、送り方向Xにおけるその長さに沿った特定の部分をその終端部P1にある欠陥の存在に合わせて識別することができる。
【0061】
したがって、この人工知能は、最初に対象部分、例えば終端部P1を含むフレーム19のシーケンスを非常に迅速に識別し、続いて可能なマクロ的な欠陥の存在を認識できるため、特に最適化される。
【0062】
従来技術の解決策と比較して、これらの操作は、欠陥の検出に続いてアーム11のアクチュエーション(操作、再位置決め、または可能性のある後続の再位置決めを伴う切断)が中断または減速することなく有利に行われるため、ほぼ瞬時に行われる必要がある。
【0063】
さらに、本発明の人工知能によって実行されるマクロ的な分析は、金属製品Pの全長に沿った「全体的な」比較を前提とするため、顕微鏡的な表面検査に同化することはできない。
【0064】
可能な実装によれば、上記のような人工知能は、c)欠陥のタイプ、例えば形状欠陥またはコブル欠陥を分類するように構成することもできる。
【0065】
形状欠陥の特定のケースにおいて、処理システム21は、均質部P3に対する終端部P1の位置および幾何学的特徴を識別し、例えば均質部P3に対する位置の起こり得る変動を認識するように構成される。
【0066】
処理システム21は、CPU21aと、プログラム可能なCPU21aに接続することができ、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク(HARD DISK)、不揮発性メモリ(NOR FLASHおよびNAND FLASH)、大容量メモリ、またはその他の形式のデジタルストレージまたは電子データベースなどのような、市販されている記憶モジュール21bとを備えることができる。
【0067】
記憶モジュール21bは、例えば、ニューラルネットワーク、SVM(サポートベクターマシン)、ニューロファジーネットワーク、遺伝的アルゴリズムなどのような、1つ以上の人工知能に基づいた認識アルゴリズムを記憶することができる。
【0068】
CPU21aは、いかなる種類のマイクロプロセッサまたはプロセッサであってもよく、上記のような認識アルゴリズムを実行することができる。
【0069】
可能な実施形態では、画像認識ニューラルネットワークが到達した進化と洗練のレベルを活用するために、画像分類用に設計された最先端の深層畳み込みネットワーク(CNNまたはDCNN)に基づくアルゴリズムを記憶モジュール21bに記憶することができる。これらのアーキテクチャは通常、1つ以上の畳み込みレイヤーで構成され、かつ、完全に接続されたレイヤーのモジュールで終了することができる。畳み込みレイヤーのカスケード適用(cascaded application)により、取得した画像の局所的な特徴をさまざまなスケールレベルで抽出できる。次に、畳み込みニューラルネットワークは開始画像を処理して、その代替表現を提供する。最後に、この出力は処理され、画像分類やオブジェクト認識などの複数のタスクで使用できる。
【0070】
このタイプのアーキテクチャの例は、例えばEfficientNet、MobileNet、ResNet、またはVGG16である。
【0071】
ここで説明される実施形態では、人工知能は、ピクセルのマトリックスとして表され、畳み込みニューラルネットワーク25が分析しなければならないフレーム19のシーケンスのフレーム19a,19b,19cをその都度受信する入力レベルまたはレイヤー26を備える畳み込みニューラルネットワーク25を備える記憶モジュール21b上に実装される。
【0072】
畳み込みニューラルネットワーク25は、フレーム19a,19b,19cに描かれた例えば曲線、線、エッジなどの視覚的特徴を識別する機能を有する1つまたは複数の畳み込みレベル27も備える。
【0073】
次に、フレーム19a,19b,19cは、畳み込みネットワークのレイヤーによって順次処理される。数値または重みを含むスカラー行列として識別できる、n番目の畳み込みレベル27の各フィルタは、所定のステップに従って、前のレベルの出力を構成するすべてのセクタに適用され、当業者にとって活性化マップとしても知られているフィルタリングされた画像が得られる。
【0074】
n番目の畳み込みレベル27とn番目+1の畳み込みレベル27との間には、畳み込みレベル27中に実質的に線形演算を計算しているシステムに非線形性を導入する機能を有する非線形レベルまたはレイヤーが存在し得る。いくつかの非線形レベルの後に、いわゆる「プール」レベルまたはレイヤーが存在する場合がある。いわゆる「バッチ正規化」レイヤーなど、追加の正則化レイヤーが存在する場合がある。
【0075】
畳み込みネットワークの複数の機能コンポーネントを構成する可能性は、多種多様なアーキテクチャの可能性を許容している。類似のタスクで優れた予測機能を実証している文献で研究されているアーキテクチャ (たとえば、EfficientNet タイプのアーキテクチャ) を使用するのが一般的でプラクティスである。
【0076】
畳み込みニューラルネットワーク25は、畳み込みレイヤー27の下流に少なくとも1つの完全に結合されたレベルまたはレイヤー28を備え、最後の前レイヤーから受信した情報に基づいてフィルタリングされた画像を分類するように構成されている。全結合レイヤー28は、フィルタリングされた画像内で識別された金属製品Pに欠陥があるかどうかを認識するように訓練された一連のノードを備える。
【0077】
全結合レベル28の下流には、第1クラス(「欠陥製品」)と第2クラス(「良品」)とを含むバイナリクラスベクトルによって定義される出力レベル29があり、各クラスは信頼性指数PD1およびPD2によってそれぞれ特徴付けられる。
【0078】
第2クラスに関する信頼指数PD2が所定の閾値PDを超える場合、畳み込みニューラルネットワーク25は、分析したばかりのフレーム19a,19b,19cが欠陥のある金属製品Pを含んでいることを確立し、特定のアクチュエーション信号Sを生成し、欠陥を修正するためにロボット多関節アーム11に送信する。
【0079】
畳み込みニューラルネットワーク25は、金属製品Pを特徴付けるコイルの異なる構成を示すサンプル画像を含む「トレーニングセット」を使用して、それ自体が既知の方法で最初にトレーニングされる。このように、畳み込みネットワーク25の重みは、適切に訓練されることになる。畳み込みネットワーク25が、文献で知られているアーキテクチャ(例えば、ResNet、EfficientNet)を部分的にでも複製する場合、異なるデータセットで訓練されたネットワークの構成から開始してネットワークの重みを訓練することが可能であり、通常は、「転移学習」として知られる技術により、より大きなデータセットで訓練される。
【0080】
一実施形態によれば、フレーム19a,19b,19cを畳み込みニューラルネットワーク25の入力レベル26に送信する前に、金属製品Pのテール部、すなわち端部が可視である、一連のフレームのうちの1つ以上のフレーム19bを識別する機能を有する認識アルゴリズム30を事前に適用することができる。
【0081】
特に、認識アルゴリズム30は、一連のフレーム19の各フレーム19a,19b,19c上で、それらの間にコントロールストリップを定義する第1点Aおよび第2点Bを認識でき、ここで、コントロールストリップの幅および位置によれば、当該フレームが金属製品Pの中央フレーム19aもしくはテールフレーム19bであるか、または空フレーム19cであるかを識別することができる。
【0082】
中央フレーム19aは、中央部P3が可視であるフレームである。テールフレーム19bは、終端部P1が可視であるフレームである。空フレーム19cは、金属製品Pが既に完成しているため不可視なフレームである。
【0083】
基準系(x,y)を各フレームに関連付けることができ、ここで、横座標xは金属製品Pの送り方向Xに平行であり、縦座標yは送り方向Xに直交している。点Aおよび点Bは、
図3では点線で示されており、横座標xに投影され、それらの間にコントロールストリップが定義される。
【0084】
畳み込みニューラルネットワーク25によって解析できるのはテールフレーム19bのみである。あるいは、畳み込みニューラルネットワーク25は、入力時に任意のフレーム19a,19b,19cを受け入れるように構成され、認識はその内部で直接行われる。
【0085】
考えられる一実施形態によれば、畳み込みニューラルネットワーク25は、最後の前レベルから受信した情報に基づいて、フィルタリングされた画像を、形状欠陥を有するテールフレーム19bおよびコブル欠陥を有するテールフレーム19bを含むそれぞれの所属クラスに分類するように構成された追加の全結合レベルを備えることができる。
【0086】
いくつかの実施形態によれば、畳み込みニューラルネットワーク25のトレーニングステップ中、および場合によってはその後の両方で、オペレーターが以下のことを記録する検証プロセスが提供される:a)フレーム19a,19b,19cのタイプ、b)テールフレーム19bに対して、欠陥の有無、およびc)欠陥を有するテールフレーム19bに対して、欠陥のタイプ。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、処理システム21は、アーム11に関連付けられ、畳み込みニューラルネットワーク25によって処理された情報を受け取り、必要に応じてロボット多関節アーム11の動きを管理するように構成された自動化モジュール21cを備えることができる。
【0088】
畳み込みニューラルネットワーク25が加工中の金属製品Pの欠陥を識別したイベントでは、ロボット多関節アーム11の動きは、テール部P1を中央部P3と位置合わせするように、形状欠陥の場合にグリップツール13の手段により、またはコブル欠陥の場合に切断ツール14の手段による再位置付けを行う。
【0089】
取得および制御ユニットは、金属製品Pのサンプリングを実行するためにロボット多関節アーム11の動きを命令するために自動または手動で管理することもできる。この場合、認識アルゴリズム30は、サンプル部がそれに沿って採取される中央部P3に対応する中央フレーム19aを識別するために使用されることができる。
【0090】
図4から
図5を参照すると、いくつかの実施形態では、例えば熱間圧延金属製品Pから金属リール200を製造するための装置100が示される。
【0091】
装置100は、レーイングヘッド111を有し、線状の金属製品Pを受け取り、それをコイルに成形するように構成された巻取りユニット110と、コイルに成形された金属製品Pを受け取り、それらをリール200にグループ化することができる自動リール成形ユニット113とを備える。
【0092】
装置100は、コイル状に成形された金属製品Pがその上に載置されるローラウェイ112または冷却ベルトを備える。ローラウェイ112は、巻取ユニット110が配置される箇所に対応する始端112と、自動リール形成ユニット113が配置される箇所に対応する終端112bとを有する。
【0093】
ローラウェイ112は、金属製品Pの移動面Zを画定し、金属製品Pの温度を巻取りユニット110からの出口における約1000℃からローラウェイ112の終端における約500℃までに持ってくるように、冷却システムを統合することができる。
【0094】
装置100は、ローラウェイ112の始端112aと終端112bとの間に含まれる位置に配置されるロボットユニット10を備える。
【0095】
ロボットユニット10は、ロボット多関節アーム11が金属製品Pの加工と協働できるように、ローラウェイ112の側方に配置されている。
【0096】
ロボットユニット10のレール15は、ローラウェイ112と平行に配置することができる。
【0097】
インターセプション部材23は、ロボット多関節アーム11が操作または切断しなければならない1つ以上のコイルをインターセプトするために、ローラウェイ112のローラ間に挿入されるように構成することができる。
【0098】
いくつかの実施形態は、金属リール200を製造する方法にも関し、この方法によれば、巻取りユニット110が線状の金属製品Pを受け取り、レーイングヘッド111がそれをコイルに成形し、自動リール形成ユニット113がコイル状に成形された金属製品Pを受け取り、金属リール200を形成し、ローラウェイ112は、コイル状に成形された金属製品Pを始端112aから終端まで移動させる。
【0099】
ロボットユニット10は、始端112aと終端112bとの間に含まれる位置で動作して、前述したように金属製品Pを操作し、再位置付けを行い、または切断する。
【0100】
本発明の分野および範囲から逸脱することなく、移動中の金属製品を制御するためのロボットユニットおよび方法、ならびにこれまでに説明した金属リールを製造するための装置および方法に対して、部品の修正および/または追加を行うことができることは明らかである。
【0101】
また、本発明をいくつかの特定の例を参照して説明してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲に記載されている特徴を有しており、したがってすべてが特許請求の範囲によって定義される保護分野に含まれる、移動中の金属製品を制御するためのロボットユニットおよび方法の他の多くの同等の形態、および金属リールを製造するための装置および方法の他の多くの同等の形態を確実に実現できることも明らかである。
【0102】
以下の特許請求の範囲において、括弧内の参照の唯一の目的は、その読みやすさを目的とするものであり、同じ特許請求の範囲によって定義される保護分野に関する制限要素として考慮されてはならない。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動中の金属製品(P)、好ましくはロッドもしくは熱間圧延線を制御するためのロボットユニット(10)であって、
少なくとも1つのロボット化多関節アーム(11)と、
取得および制御ユニットであって、
ビデオモニタリングシステム(18)と、
前記金属製品(P)の一部を操作または切断するために、前記金属製品(P)のフレームのシーケンス(19)を取得して処理し、かつ、アクチュエーション信号(S)を前記ロボット化多関節アーム(11)に送信するように構成される処理システム(21)と、
を含む取得および制御ユニットと、を備え、
前記処理システム(21)は、少なくとも、
a)前記金属製品(P)の端部(P1)を認識し、
b)前記端部(P1)がマクロ的な欠陥を有するか否かを識別するように構成される人工知能を実装し、
前記処理システム(21)は、識別された前記欠陥に基づいて前記ロボット化多関節アーム(11)の移動を選択的に管理するように構成されることを特徴とする、ロボットユニット(10)。
【請求項2】
前記ロボット化多関節アーム(11)は、少なくとも6つの自由度で移動されることができることを特徴とする、請求項1に記載のロボットユニット(10)。
【請求項3】
前記ビデオモニタリングシステム(18)は、前記ロボット化多関節アーム(11)の操作ヘッド(12)に位置する少なくとも1つのビデオカメラ(18a)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のロボットユニット(10)。
【請求項4】
前記ビデオモニタリングシステム(18)は、固定サポートに位置する少なくとも1つのビデオカメラ(18a)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のロボットユニット(10)。
【請求項5】
インターセプション部材(23)をさらに備え、
前記インターセプション部材は、前記金属製品(P)の移動面(Z)の下方に位置し、前記金属製品に干渉しない休止位置と、前記ロボット化多関節アーム(11)で操作/切断されることが意図される前記金属製品(P)の一部を一時的に停止するために、前記移動面(Z)に入射するインターセプション位置との間で垂直方向に移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載のロボットユニット(10)。
【請求項6】
移動中の金属製品(P)、好ましくはロッドもしくは熱間圧延線を制御するためのコンピュータ化された方法であって、
取得および制御ユニットのビデオモニタリングシステム(18)の手段により、処理システム(21)によって処理される前記金属製品(P)のフレームのシーケンス(19)を取得し、
アクチュエーション信号(S)をロボット化多関節アーム(11)に送信し、前記アクチュエーション信号(S)に基づいて前記ロボット化多関節アーム(11)を駆動し、
前記方法は、少なくとも、
a)前記金属製品(P)の端部(P1)を認識し、
b)前記端部(P1)がマクロ的な欠陥を有するか否かを識別するように、前記処理システム(21)に実装される人工知能を提供することを特徴とする、方法。
【請求項7】
検出された欠陥のタイプに基づいて、前記ロボット化多関節アームは、自身の把持ツール(13)の手段によって前記テール部(P1)をオンザフライで再配置するために移動され、あるいは自身の切断ツール(14)の手段によって前記テール部(P1)をオンザフライで切断するために移動されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記人工知能は、前記フレームのシーケンス(19)の各フレーム(19a,19b,19c)に関する第1点(A)および第2点(B)を識別する認識アルゴリズム(30)を有し、前記第1点(A)および前記第2点(B)は、それらの間の部分を制御帯として定義し、前記制御帯の幅および位置に基づいて、前記フレームが前記金属製品(P)の中央フレーム(19a)もしくはテールフレーム(19b)、または空フレーム(19c)のいずれかであることを識別することを特徴とする、請求項
6に記載の方法。
【請求項9】
前記人工知能は、前記フレームのシーケンス(19)の各フレーム(19a,19b,19c)に関する第1点(A)および第2点(B)を識別する認識アルゴリズム(30)を有し、前記第1点(A)および前記第2点(B)は、それらの間の部分を制御帯として定義し、前記制御帯の幅および位置に基づいて、前記フレームが前記金属製品(P)の中央フレーム(19a)もしくはテールフレーム(19b)、または空フレーム(19c)のいずれかであることを識別することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記人工知能は、畳み込みニューラルネットワーク(25)を有し、
前記畳み込みニューラルネットワーク(25)は、
前記フレームのシーケンス(19)の1つのフレーム(19a,19b,19c)をその都度受信する入力レベルまたはレイヤー(26)と、
前記金属製品(P1)のマクロ的な幾何学特性および視覚的特性を識別する機能を有する1つ以上の畳み込みレベルまたはレイヤー(27)と、
前記1つ以上の畳み込みレベルまたはレイヤー(27)の少なくとも1つから受信した情報に基づいて、前記フレーム(19a,19b,19c)を分類するように構成される少なくとも1つの全結合レベル(28)と、
両方のクラスが欠陥の不在および欠陥の存在のそれぞれの信頼指数(PD1,PD2)によって特徴付けられる、第1クラスおよび第2クラスを含むバイナリクラスベクトルによって定義される出力レベルまたはレイヤー(29)と、
を含むことを特徴とする、請求項6から請求
項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2クラスに関連する前記信頼指数(PD2)が事前決められた所定の閾値(PD)を超えた場合、前記畳み込みネットワーク(25)は、前記分析されたフレーム(19a,19b,19c)が欠陥を有する金属製品(P)に関連することを確立し、前記欠陥の修正のために、前記ロボット化多関節アーム(11)に送信する特定のアクチュエーション信号(S)を生成することを特徴とする、請求
項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの全結合レベル(28)は、前記1つ以上の畳み込みレベルまたはレイヤー(27)の少なくとも1つより受信した前記情報に基づいて、前記フレーム(19a,19b,19c)のそれぞれを、形状欠陥を有するテールフレーム(19b)およびコブル欠陥を有するテールフレーム(19b)を含む所属のクラスに分類するように構成されることを特徴とする、請求
項10に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの全結合レベル(28)は、前記1つ以上の畳み込みレベルまたはレイヤー(27)の少なくとも1つより受信した前記情報に基づいて、前記フレーム(19a,19b,19c)のそれぞれを、形状欠陥を有するテールフレーム(19b)およびコブル欠陥を有するテールフレーム(19b)を含む所属のクラスに分類するように構成されることを特徴とする、請求項11記載の方法。
【請求項14】
金属リール(200)の生産のための装置(100)であって、
レーイングヘッド(111)を有し、金属製品(P)を線状に受け取ってコイルに成形するように構成される巻取りユニット(110)と、
コイル状に成形された前記金属製品(P)を受け取り、リール(200)を形成することができる自動リール形成ユニット(113)と、
コイル状に成形された前記金属製品(P)を、前記巻き取りユニット(110)が配置される位置に対応する始端(112a)から前記自動リール形成ユニット(113)が配置される位置に対応する終端(112b)まで移動するように構成されるローラウェイ(112)と、
を備え、
前記ローラウェイ(112)における前記始端(112a)および前記終端(112b)の間に含まれる位置に配置され、請求項1から4のいずれか一項に記載の前記ロボッ
トユニット(10)をさらに備えることを特徴とする、装置(100)。
【請求項15】
金属リール(200)を生産する方法であって、
巻取りユニット(110)が線状の金属製品(P)を受け取り、レーイングヘッド(111)がそれをコイルに成形し、
自動リール形成ユニット(113)がコイル状に成形された前記金属製品(P)を受け取り、リール(200)を形成し、
ローラウェイ(112)がコイル状に成形された前記金属製品(P)を、前記巻き取りユニット(110)が配置される位置に対応する始端(112a)から前記自動リール形成ユニット(113)が配置される位置に対応する終端(112b)まで移動し、
前記金属製品(P)を操作、再度位置づけ、または切断するために、請求項1から4のいずれか一項に記載の前記ロボッ
トユニット(10)が、前記ローラウェイ(112)における前記始端(112a)および前記終端(112b)の間に含まれる位置に、側方に移動されることを特徴とする、方法。
【国際調査報告】