(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ガソリン微粒子フィルタを生成するための方法
(51)【国際特許分類】
B01J 23/63 20060101AFI20241126BHJP
B01J 35/57 20240101ALI20241126BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20241126BHJP
F01N 3/035 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B01J23/63 A
B01J35/57 E ZAB
B01J35/57 H
B01D53/94 241
F01N3/035 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532923
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 CN2022073749
(87)【国際公開番号】W WO2023141757
(87)【国際公開日】2023-08-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520176441
【氏名又は名称】ジョンソン マッセイ (シャンハイ) ケミカルズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ドン、ウェンジエ
(72)【発明者】
【氏名】ジ、ホンギュ
(72)【発明者】
【氏名】キアオ、ドンシェン
(72)【発明者】
【氏名】シャン、ツォウ
(72)【発明者】
【氏名】シィオン、グゥアンギョン
【テーマコード(参考)】
3G190
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
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4G169FB23
(57)【要約】
ガソリン微粒子フィルタの製造方法が開示される。本方法は、ウォッシュコートスラリーを形成すること、ウォールフローフィルタ基材をウォッシュコートスラリーでコーティングして、ウォッシュコートされた基材を形成することと、ウォッシュコートされた基材を焼成して、ガソリン微粒子フィルタを形成することと、を含む。ウォッシュコートスラリーは、Pt及びRhからなる白金族金属成分と、酸素吸蔵能材料と、カルボン酸イオンと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガソリン微粒子フィルタ(GPF)の製造方法であって、
(i)ウォッシュコートスラリーを形成することと、
(ii)ウォールフローフィルタ基材を前記ウォッシュコートスラリーでコーティングして、ウォッシュコートされた基材を形成することと、
(iii)前記ウォッシュコートされた基材を焼成して、GPFを形成することと、を含み、
前記ウォッシュコートスラリーが、
(a)Pt及びRhからなる白金族金属(PGM)成分と、
(b)酸素吸蔵能(OSC)材料と、
(c)カルボン酸イオンと、を含む、製造方法。
【請求項2】
前記カルボン酸イオンが、クエン酸イオン、リンゴ酸イオン、マロン酸イオン、コハク酸イオン、酒石酸イオン、グルタル酸イオン、タルトロン酸イオン、シュウ酸イオン、乳酸イオン、グリコール酸イオン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カルボン酸イオンが、クエン酸イオン、マロン酸イオン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記カルボン酸イオンが、クエン酸イオンである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ウォッシュコートスラリーが、カルボン酸イオン対Ptを1:1~100:1のモル比で含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ウォッシュコートスラリーが、カルボン酸イオン対Ptを5:1~50:1のモル比で含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ウォッシュコートスラリーが、カルボン酸イオン対Ptを10:1~25:1のモル比で含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ウォッシュコートスラリーが、Baを実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ウォッシュコートスラリーが、アルミナを含む無機酸化物担体を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ウォッシュコートスラリーが、前記ウォールフローフィルタ基材の入口チャネル及び出口チャネル上にコーティングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ウォッシュコートを含むウォッシュコートされたウォールフローフィルタ基材を含む予備焼成GPF前駆体であって、前記ウォッシュコートが、
(a)Pt及びRhからなる白金族金属(PGM)成分と、
(b)酸素吸蔵能(OSC)材料と、
(c)カルボン酸イオンと、を含む、予備焼成GPF前駆体。
【請求項12】
前記カルボン酸イオンが、クエン酸イオン、リンゴ酸イオン、マロン酸イオン、コハク酸イオン、酒石酸イオン、グルタル酸イオン、タルトロン酸イオン、シュウ酸イオン、乳酸イオン、グリコール酸イオン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の予備焼成GPF前駆体。
【請求項13】
前記カルボン酸イオンが、クエン酸イオン、マロン酸イオン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の予備焼成GPF前駆体。
【請求項14】
前記カルボン酸イオンが、クエン酸イオンである、請求項11に記載の予備焼成GPF前駆体。
【請求項15】
前記ウォッシュコートが、カルボン酸イオン対Ptを1:1~100:1のモル比で含む、請求項11に記載の予備焼成GPF前駆体。
【請求項16】
前記ウォッシュコートが、カルボン酸イオン対Ptを5:1~50:1のモル比で含む、請求項11に記載の予備焼成GPF前駆体。
【請求項17】
前記ウォッシュコートが、Baを実質的に含まない、請求項11に記載の予備焼成GPF前駆体。
【請求項18】
前記ウォッシュコートが、アルミナを含む無機酸化物担体を更に含む、請求項11に記載の予備焼成GPF前駆体。
【請求項19】
ガソリン燃焼及び排気ガス処理システムの製造方法であって、
(a)排気マニホールドを有するガソリンエンジンを提供することと、
(b)請求項1に記載の方法に従ってGPFを製造することと、
(c)前記GPFを含む排気ガス処理システムを形成し、排気ガス処理システムを前記ガソリンエンジンの前記排気マニホールドに接続することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用自動車排気処理システム、特にガソリン火花点火エンジンなどの正の点火内燃エンジン用の排気処理システムに使用するのに好適な触媒ウォールフローフィルタを提供する方法に関する。特に、本発明は、改善された触媒活性及び低減された背圧を有する触媒ウォールフローフィルタを生成するための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
ガソリン微粒子フィルタ(gasoline particulate filter、GPF)は、ガソリン直接噴射(gasoline direct injection、GDI)エンジンからの微粒子排出を制御するために開発された排出後処理技術である。
【0003】
GDI車両の台数は、CO2及び/又は燃料経済性の要求に駆られて増加している。2016年には、欧州における新しいガソリン車の推定60%がGDIであった。GDI車両の割合も北米で急速に増加しており、市場におけるその最初の重要な使用後9年以内に、GDIの浸透は、米国における新しい軽車両販売の48.5%に上昇している。成長しつつあるGDI車両団からの排出は、公衆衛生上の懸念であり、人口の多い市街地における周囲粒子汚染の潜在的な主要源である。
【0004】
ほとんどの初期のGPF用途は、三元触媒(three-way catalyst、TWC)の下流に位置付けられたコーティングされていないGPFを含んでいた。技術が成熟するにつれて、GPFも三元触媒でコーティングされてきた。この触媒コーティングGPF構成は、四元触媒と称されることもある。しかしながら、フィルタ本体上のTWCコーティングの組み合わせは、過度の背圧などの追加の問題を導入し、最小限のCO、NOx、及びHC変換特性に対する要件が存在する。加えて、性能とコストとの可能な最良のバランスを提供する必要があるため、コストを考慮する必要がある。
【0005】
三元触媒は、3つの同時反応を触媒することを意図している:(i)一酸化炭素の二酸化炭素への酸化、(ii)未燃炭化水素の二酸化炭素及び水への酸化;並びに(iii)窒素酸化物の窒素及び酸素への還元。これらの3つの反応は、TWCが化学量論的点で又はその付近で作動するエンジンから排気ガスを受け取ると、最も効率的に生じる。当該技術分野において周知のように、火花点火式(例えば、火花点火)内燃機関においてガソリン燃料が燃焼したときに排出される一酸化炭素(CO)、未燃炭化水素(HC)、及び窒素酸化物(NOx)の量は、主に燃焼筒内の空燃比に影響を受ける。化学量論的にバランスのとれた組成を有する排気ガスは、酸化性ガス(NOx及びO2)及び還元性ガス(HC及びCO)の濃度が実質的に一致しているものである。この化学量論的にバランスのとれた排気ガス組成を生じる空燃比は、典型的には14.7:1として与えられる。
【0006】
典型的なTWC中の活性成分は、高表面積酸化物上に担持されたロジウムと組み合わせた白金及びパラジウム、又は更にはパラジウムのみ(ロジウムなし)のうちの一方又は両方、並びに酸素吸蔵能(oxygen storage capacity、OSC)材料を含む。
【0007】
理論的には、化学量論的にバランスのとれた排気ガス組成において、O2、NOx、CO、及びHCを、CO2、H2O、及びN2(及び残留O2)に完全に変換することが可能であるべきであり、これが、TWCの役割である。したがって、理想的には、燃焼混合物の空燃比が化学量論的にバランスのとれた排気ガス組成を生成するような方法でエンジンを動作させる必要がある。
【0008】
排気ガスの酸化性ガスと還元性ガスとの間の組成バランスを定義する方法は、排気ガスのラムダ(λ)値であり、以下の式に従って定義することができる:
ラムダ(λ)=(実際のエンジン空燃比)/(理論空燃比)
ラムダ値が1の場合、化学量論的にバランスのとれた(又は化学量論的)排気ガス組成を表し、ラムダ値が>1の場合、過剰のO2及びNOxを表し、組成は「リーン」として説明され、ラムダ値が<1の場合、過剰のHC及びCOを表し、組成は「リッチ」として説明される。空燃比が生成する排気ガス組成に応じて、エンジンが「化学量論的」、「リーン」又は「リッチ」として動作する空燃比を指すこともまた、当該技術分野において一般的である。
【0009】
TWCを使用したNOxのN2への還元は、排気ガス組成がリーン又は化学量論的であるときは、効率が低下することを理解されたい。同様に、TWCは、排気ガス組成がリッチであるときは、CO及びHCを酸化する能力が低くなる。したがって、課題は、TWCに流入する排気ガスの組成を、可能な限り化学量論的組成に近いまま維持することである。当然のことながら、エンジンが定常状態にあるとき、空燃比が化学量論的であることを保証することは相対的に容易である。しかしながら、エンジンが車両を推進するために使用される場合、必要とされる燃料量は、運転者がエンジンにかける負荷要求に応じて一時的に変化する。これにより、三元変換のために化学量論的な排気ガスが生成されるように空燃比を制御することが特に困難になる。実際には、排気ガス酸素(exhaust gas oxygen、EGO)(又はラムダ)センサから排気ガス組成に関する情報を受信するエンジン制御ユニット、いわゆる、閉ループフィードバックシステムによって、空燃比を制御する。このようなシステムの特徴は、空燃比の調節に関連するタイムラグがあるため、わずかにリッチな化学量論的(又は制御セット)点とわずかにリーンとの間で、空燃比が振動する(又は摂動する)ことである。この摂動は、空燃比の振れ幅及び応答周波数(Hz)によって特徴付けられる。
【0010】
排気ガス組成が設定点よりわずかにリッチな場合、未反応CO及びHCを消費するため、すなわち反応をより化学量論的にするために少量の酸素が必要とされる。逆に、排気ガスがわずかにリーンになると、過剰な酸素を消費する必要がある。これは、摂動中に酸素を放出又は吸収するOSC材料の開発によって達成された。最新のTWCにおける最も一般的に使用されるOSC材料は、酸化セリウム(CeO2)又はセリウムを含有する混合酸化物、例えば、Ce/Zr混合酸化物である。
【0011】
本発明の目的は、GPFを生成する改善された方法を提供し、先行技術に関連する問題に取り組み、かつ/又は少なくとも商業的に実行可能な代替法を提供することである。
【発明の概要】
【0012】
本開示の一態様は、ガソリン微粒子フィルタ(GPF)の製造方法であって、(i)ウォッシュコートスラリーを形成することと、(ii)ウォールフローフィルタ基材をウォッシュコートスラリーでコーティングして、ウォッシュコートされた基材を形成することと、(iii)ウォッシュコートされた基材を焼成して、GPFを形成することと、を含み、ウォッシュコートスラリーが、(a)Pt及びRhからなる白金族金属(platinum group metal、PGM)成分と、(b)酸素吸蔵能(OSC)材料と、(c)カルボン酸イオンと、を含む、方法を対象とする。
【0013】
本開示の別の態様は、ウォッシュコートを含むウォッシュコートされたウォールフローフィルタ基材を含む予備焼成GPF前駆体であって、ウォッシュコートが、(a)Pt及びRhからなる白金族金属(PGM)成分と、(b)酸素吸蔵能(OSC)材料と、(c)カルボン酸イオンと、を含む、予備焼成GPF前駆体を対象とする。
【0014】
本開示の別の態様は、ガソリン燃焼及び排気ガス処理システムの製造方法であって、(a)排気マニホールドを有するガソリンエンジンを提供することと、(b)本明細書に記載される方法に従ってGPFを製造することと、(c)GPFを含む排気ガス処理システムを形成し、排気ガス処理システムをガソリンエンジンの排気マニホールドに接続することと、を含む、方法を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、本開示を更に説明する。以下の節では、本開示の異なる態様/実施形態がより詳細に定義される。そのように定義された各態様/実施形態は、別途明確に示されていない限り、任意の他の態様/実施形態又は態様/実施形態と組み合わされ得る。特に、好ましい又は有利であると示された任意の特徴は、好ましい又は有利であるとして示された任意の他の特徴又は複数の特徴と組み合わされ得る。
【0016】
本開示の一態様は、ガソリン微粒子フィルタ(GPF)の製造方法であって、(i)ウォッシュコートスラリーを形成することと、(ii)ウォールフローフィルタ基材をウォッシュコートスラリーでコーティングして、ウォッシュコートされた基材を形成することと、(iii)ウォッシュコートされた基材を焼成して、GPFを形成することと、を含み、ウォッシュコートスラリーが、(a)Pt及びRhからなる白金族金属(PGM)成分と、(b)酸素吸蔵能(OSC)材料と、(c)カルボン酸イオンと、を含む、方法を対象とする。
【0017】
本方法は、ウォッシュコートスラリーを形成する工程を含む。ウォッシュコートスラリーは、Pt及びRhからなる白金族金属(PGM)成分を含む。Pt及びRhの好適な前駆体としては、これらの金属を含有する塩、例えば硝酸白金及び硝酸ロジウムが挙げられる。
【0018】
ウォッシュコートスラリー中のPGM(すなわち、Pt及びRhの合計)の量は、ウォッシュコートスラリーの総重量に対して、0.005~10重量%、好ましくは0.001~5重量%、より好ましくは0.05~3.0重量%であり得る。
【0019】
Pt対Rhの重量比は、1:10~10:1、好ましくは1:2~2:1であり得る。
【0020】
ウォッシュコートスラリーは、いかなる他のPGMも含まない。特に、ウォッシュコートスラリーは、Pdを全く含有しない。
【0021】
ウォッシュコートスラリーは、酸素吸蔵能(OSC)材料を含む。「酸素吸蔵能」とは、リーン条件で酸素を吸蔵し、リッチ条件で酸素を放出するために、触媒において酸素吸蔵能材料として使用される材料の能力を指す。
【0022】
OSC材料は、セリア、又はセリアを含む混合酸化物であり得る。好ましくは、OSC材料は、セリウム、ジルコニウムの混合酸化物;セリウム、ジルコニウム、及びアルミニウムの混合酸化物;セリウム、ジルコニウム、及びネオジムの混合酸化物;又はセリウム、ジルコニウム、及びプラセオジムの混合酸化物を含む。本明細書で使用される「混合酸化物」という用語は、一般に、当該技術分野において従来的に既知であるように、単相における酸化物の混合物を指す。
【0023】
ウォッシュコートスラリー中のOSC材料の量は、ウォッシュコートスラリーの総重量に対して、5~50重量%、好ましくは10~30重量%であり得る。
【0024】
ウォッシュコートスラリーは、カルボキシレートイオンを含む。好ましくは、カルボン酸イオンは、クエン酸イオン、リンゴ酸イオン、マロン酸イオン、コハク酸イオン、酒石酸イオン、グルタル酸イオン、タルトロン酸イオン、シュウ酸イオン、乳酸イオン、及びグリコール酸イオン、並びにこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくはクエン酸イオン、リンゴ酸イオン、マロン酸イオン、コハク酸イオン、酒石酸イオン、グルタル酸イオン、タルトロン酸イオン、及びシュウ酸イオン、並びにこれらの混合物、更により好ましくはクエン酸イオン及び/又はマロン酸イオンからなる群から選択される。クエン酸イオンが、最も好ましい。
【0025】
好ましくは、ウォッシュコートスラリー中のカルボキシレートイオン対Ptイオンのモル比は、1:1~100:1、より好ましくは5:1~50:1、最も好ましくは10:1~25:1である。
【0026】
好ましくは、ウォッシュコートスラリーは、Baを実質的に含まない。本発明者らは、Pd及びRhを含有するGPFとは異なり、Baイオンの包含が、Pt及びRhを含有するGPFの性能に悪影響を及ぼすことを見出した。すなわち、驚くべきことに、Baを除去することは、GPFのTWC効果を改善する。
【0027】
ウォッシュコートスラリーは、無機酸化物担体を更に含むことができる。無機酸化物担体は、第2族、第3族、第4族、第5族、第13族、及び第14族の元素の酸化物であり得る。無機酸化物担体は、好ましくは、ガソリンエンジンの排気に伴う温度などの高温で、化学的及び物理的安定性を呈する、耐火性酸化物である。無機酸化物担体は、アルミナ、シリカ、チタニア、及びこれらの混合酸化物又は複合酸化物からなる群から選択することができる。より好ましくは、無機酸化物担体は、アルミナである。
【0028】
無機酸化物担体は、ドーパントでドープすることができる。ドーパントは、La、Sr、Si、Ba、Y、Pr、Nd、Ce、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。好ましくは、ドーパントは、La、Ba、又はCeである。最も好ましくは、ドーパントは、Laである。無機酸化物担体中のドーパント含有量は、1~30重量%、好ましくは2~25重量%、より好ましくは3~20重量%であり得る。
【0029】
ウォッシュコートスラリー中のOSC材料及び無機酸化物担体は、10:1~1:10、好ましくは5:1~1:5、より好ましくは3:1~1:3の重量比を有することができる。
【0030】
ウォッシュコートスラリーは、典型的には、溶媒として水を含有する。他の溶媒、又は水とアルコールなどの他の溶媒との混合物が使用され得る。
【0031】
ウォッシュコートスラリーは、典型的には15~40重量%、より好ましくは20~35重量%の固形物量を有する。
【0032】
本方法は、ウォールフローフィルタ基材をウォッシュコートスラリーでコーティングして、ウォッシュコートされた基材を形成することを更に含む。
【0033】
ウォールフローフィルタ基材は、当該技術分野において周知である。ウォールフローフィルタ基材は、間に長手方向を画定する第1の面及び第2の面と、長手方向に延在する第1及び第2の複数のチャネルと、を有する。第1の複数のチャネルは、第1の面で開放しており、第2の面で閉鎖しており、第1の複数のチャネルのチャネルは、チャネル壁面によって部分的に画定される。第2の複数のチャネルは、第2の面で開放しており、第1の面で閉鎖しており、第2の複数のチャネルのチャネルは、チャネル壁面によって部分的に画定される。第1の複数のチャネルのチャネル壁面と第2の複数のチャネルのチャネル壁面との間のチャネル壁は、多孔質である。
【0034】
ウォールフローフィルタ基材は、セラミック、例えば、炭化ケイ素、コーディエライト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、チタン酸アルミニウム、アルミナ、ムライト、ポルサイト、又はこれらの任意の2つ以上のセグメントを含む複合材料であり得る。コーディエライト、マグネシウムアルミノシリケート、及び炭化ケイ素が、特に好ましい。
【0035】
本発明における使用に好適なウォールフローフィルタ基材は、典型的には、8~45μm、例えば8~25μm、10~20μm、又は10~15μmの平均細孔サイズを有する。細孔サイズは、当業者に周知であり、適切な測定技術は、当業者に既知である。ウォールフローフィルタ基材は、40~75%、例えば45~70%又は50~65%の空隙率を有し得る。平均細孔サイズは、従来の方法に従って水銀ポロシメトリー及びX線断層撮影を使用して判定され得る。
【0036】
コーティングは、ウォールフローフィルタ基材を噴霧及び/又は浸漬することによって行われ得る。好ましくは、コーティングは、ウォールフローフィルタ基材の入口チャネル及び出口チャネルのうちの少なくとも1つに塗布される。より好ましくは、コーティングは、入口チャネル及び出口チャネルの両方に塗布される。1つの好適なコーティング手順は、国際公開第1999047260号に記載されている。
【0037】
本方法は、ウォッシュコートされた基材を焼成して、GPFを形成することを更に含む。焼成の前に、より低い温度(100~200℃など)における乾燥工程が行われ得る。焼成は、当該技術分野において日常的であり、通常の条件下で行われ得る。
【0038】
焼成後、GPF中のPt担持量は、一般に1g/ft3~50g/ft3、より好ましくは2g/ft3~20g/ft3である。GPF中のRh担持量は、一般に1g/ft3~50g/ft3、より好ましくは2g/ft3~20g/ft3である。焼成後のGPFのウォッシュコート担持量は、典型的には0.2g/in3~5g/in3、より好ましくは0.5g/in3~3g/in3である。
【0039】
Pt及びPdの両方は、排ガス中の成分を浄化する触媒活性を有することが既知である。更に、事実、近年、PdはPtよりもはるかに高価になってきている。実際、本出願の起案時には、Pdの価格は一般にPtの価格の2~3倍である。したがって、触媒装置に使用されるPdの量を低減させようとする動きが存在する。
【0040】
Ptの使用は、一般に効果が低いと考えられている。実際、Ptは、より少ない活性部位を有するため、Pdと交換された場合、より低い活性を有する。Pt原子量は、Pd原子量のほぼ2倍であり、したがって、所与の重量のPGMにおいて、Ptのモル量は、Pdのモル量のわずか約半分である。また、Ptは、高温でPdと比較して揮発性圧力が高いため、弱い熱安定性を有することが既知である。これは、遭遇する温度が一般により高いので、ディーゼルエンジン排気システムで使用される構成要素と比較してGPFにとって特に重要である。これはまた、堆積した微粒子物質を燃焼除去するために使用される断続的な高温再生工程が存在するので、フロースルー基材と比較して、フィルタにおいて重要である。
【0041】
本発明者らは、特定の追加の工程が行われれば、これらの欠点を克服することができ、Pd及びRhを含有するGPFよりも更に良好な性能を有し得るPt及びRhを含有するGPFを生成することができることを見出した。特に、本発明者らは、例えば、ウォッシュコートスラリー中にカルボン酸又は好適なアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩として添加される、カルボキシレートイオンの包含が、改善された触媒性能及び低減された背圧を有するGPFを提供することを見出した。理論に束縛されることを望むものではないが、促進されたPt性能は、カルボキシレートがコーティングされたフィルタにおいてより多くの空隙率を生成する結果であり得ると考えられる。OSC性能の改善もまた増大することに留意されたい。
【0042】
本開示の別の態様は、ウォッシュコートを含むウォッシュコートされたウォールフローフィルタ基材を含む予備焼成GPF前駆体であって、ウォッシュコートが、(a)Pt及びRhからなる白金族金属(PGM)成分と、(b)酸素吸蔵能(OSC)材料と、(c)カルボン酸イオンと、を含む、予備焼成GPF前駆体を対象とする。
【0043】
予備焼成前駆体は、焼成なしで本明細書に記載される方法によって得られ得る。したがって、本明細書に記載される方法の全ての態様が適用される。予備焼成前駆体は、当然のことながら、そうでなければ焼成プロセスにおいて燃焼されるであろうカルボキシレートイオンを含有する。好ましくは、予備焼成GPF前駆体のウォッシュコート中のカルボキシレートイオン対Ptイオンのモル比は、1:1~100:1、より好ましくは5:1~50:1、最も好ましくは10:1~25:1である。
【0044】
更なる態様によれば、ガソリン燃焼及び排気ガス処理システムの製造方法であって、(a)排気マニホールドを有するガソリンエンジンを提供することと、(b)本明細書に記載される方法に従ってGPFを製造することと、(c)GPFを含む排気ガス処理システムを製造し、排気ガス処理システムを排気マニホールドに接続することと、を含む、方法が提供される。
【実施例1】
【0045】
コールドフロー背圧試験
比較触媒A
セリウム-ジルコニウム混合酸化物及びLa安定化アルミナ上に担持されたPd及びRhと、Ba促進剤と、水と、を含有する、ウォッシュコートスラリーを調製した。ウォッシュコートスラリーを、コージエライトウォールフローハニカムフィルタ基材(132.1mm×127mm;300セル/平方インチ;12,000分の1インチの壁厚;平均細孔サイズ19μm;空隙率63%)の入口及び出口面の両方から、国際公開第1999047260(A1)号に記載されているコーティング手順を使用して、コーティングした。入口チャネル及び出口チャネル上のコーティング長さは両方とも、基材長さの約55%である。コーティングされた基材を90℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成して、GPFを生成した。このようにして生成されたGPFは、1.6g/in3のウォッシュコート担持量、4g/ft3のPd担持量を有し、Rh担持量は4g/ft3、及び133g/ft3のBa担持量であった。
【0046】
触媒B
触媒Bは、ウォッシュコートスラリーがBa促進剤を含有しないことを除いて、比較触媒Aを調製するための手順と同様の手順に従って調製される。加えて、ウォッシュコートは、Pdの代わりにPtを含有する。更に、ウォッシュコートスラリーは、クエン酸を含有する。コーティングされた基材は、コーティングされた基材が乾燥されるが焼成されない後に、100g/ft3の担持量でクエン酸を含有する。焼成後に生成されたGPFは、1.6g/in3のウォッシュコート担持量、4g/ft3のPt担持量、及び4g/ft3のRh担持量を有する。
【0047】
新鮮な触媒B及び新鮮な比較触媒Aのコールドフロー背圧(back pressure、BP)を表1に示す。データは、触媒Bが、比較触媒Aと比較した場合に、600m3/hの流量で11%低い背圧を与えたことを示す。ベアフィルタ基材と比較したBP寄与は、(コーティングされた部分のBP-ベア基材のBP)/(ベア基材のBP)として計算される。触媒BのBP寄与は、比較触媒AのBP寄与よりも16%低かった。
【0048】
【実施例2】
【0049】
エンジンベンチ試験におけるライトオフ性能及びOSC試験
GPFレンガとしての触媒B及び比較触媒Aを、4モードエージングサイクルで6.1Lエンジン下でベンチエージングし、前部TWCレンガのピーク床温度は約980℃であり、その後、エージング中の後部GPFレンガは約960℃のGPFにおける最大床温度であった。エージング期間は、200時間であり、これは、実際の用途における200,000kmの耐久性試験をシミュレートする。
【0050】
ベンチエージングした触媒B及び比較触媒Aを、ガソリンエンジンに対して別々に試験した。ライトオフ性能は、排ガス流量80kg/hを有する典型条件であった。温度ランプ速度は、30℃/分であった。空燃比(Air and Fuel Ratio、AFR)のラムダは14.45であった。THC、CO、NOx変換率は、供給ガス及び出口ガスの組成を比較することによって計算した。
【0051】
触媒B及び比較触媒Aの、HC、CO、及びNOxのT50ライトオフ性能(T50は、変換率が50%に達したときの温度である)を、表2に示す。データは、触媒Bが、HC、CO、及びNOxの改善されたライトオフ性能を与えたことを示す。触媒BのHC、CO、及びNOxのT50は、比較触媒Aのものと比較して、それぞれ29、39、33℃低い。125kg/hの流量及び550℃の触媒入口温度の試験条件で、15秒の切り替えでラムダ振幅6.8%で、ベンチエージングした部品に対してエンジンベンチ上で酸素吸蔵能(OSC)試験を実施した。触媒Bは、表2に示されるように、比較触媒Aと比較してわずかにより高いOSCを呈する。
【0052】
【実施例3】
【0053】
車両試験
GPF部品としての触媒B及び比較触媒Aのベンチエージングされた試料を、それぞれ、世界軽量車試験手順(Worldwide Light Duty Testing Procedure、WLTP)を用いて1.5リットルエンジンの車両上で試験し、同じエージングされたTWC試料を近接結合位置に配置し、GPF部品を後処理システムの床下位置に配置した。それらのベンチエージングした部品に対する車両排気希釈バッグデータ(vehicle exhaust diluted bag data)の結果を、表3に示す。車両試験結果によれば、比較触媒Aと比較して、触媒Bは、THC、CO、及びNOx排出制御触媒に対して同等の活性を与えた。
【0054】
【実施例4】
【0055】
ベンチラムダ掃引試験
比較触媒C
比較触媒Cは、ウォッシュコートスラリーがPdの代わりにPtを含有すること以外は、比較触媒Aと同様の方法で調製した。焼成後に得られたGPFは、1.6g/in3のウォッシュコート担持量、6g/ft3のPt担持量、4g/ft3のRh担持量、及び133g/ft3のBa担持量を有する。
【0056】
触媒D
ウォッシュコートスラリーが異なる量のPtを含有することを除いて、触媒Bと同様の手順に従って触媒Dを調製した。焼成後に得られたGPFは、1.6g/in3のウォッシュコート担持量、6g/ft3のPt担持量、及び4g/ft3のRh担持量を有する。
【0057】
触媒D及び比較触媒Cを、約960℃の触媒におけるピーク床温度で、4モードのエージングサイクルで、同じ200時間運転の6.1Lのエンジンで、ベンチエージングした。
【0058】
エンジンベンチ上で、燃料/空気比を400℃、流量80kg/hで調節することによって、ラムダ掃引試験を実施した。ベンチエージングした触媒D及び比較触媒CのTHC、CO及びNOx変換率を表4、5、及び6に示す。データは、触媒Dが、1未満のラムダを有するリッチ条件でTHC、CO、及びNOxのより高い変換率を与えたことを示す。
【0059】
【0060】
【0061】
【実施例5】
【0062】
コールドフロー背圧試験
比較触媒E
比較触媒Eは、ウォッシュコートスラリーがPdの代わりにPtを含有し、ウォッシュコートスラリーがBa促進剤を含有しないことを除いて、比較触媒Aを調製するための手順と同様の手順に従って調製した。焼成後に生成されたGPFは、1.6g/in3のウォッシュコート担持量、4g/ft3のPt担持量、及び4g/ft3のRh担持量を有する。
【0063】
触媒F
触媒Fは、ウォッシュコートスラリーがクエン酸を含有したことを除いて、比較触媒Eと同様の手順に従って調製した。生成された予備焼成GPF前駆体は、50g/ft3のクエン酸担持量を有する。焼成後に生成されたGPFは、1.6g/in3のウォッシュコート担持量、4g/ft3のPt担持量、及び4g/ft3のRh担持量を有する。
【0064】
触媒G
触媒Gは、ウォッシュコートスラリーがクエン酸を含有したことを除いて、比較触媒Eと同様の手順に従って調製した。生成された予備焼成GPF前駆体は、75g/ft3のクエン酸担持量を有する。焼成後に生成されたGPFは、1.6g/in3のウォッシュコート担持量、4g/ft3のPt担持量、及び4g/ft3のRh担持量を有する。
【0065】
触媒H:
触媒Hは、ウォッシュコートスラリーがクエン酸を含有したことを除いて、比較触媒Eと同様の手順に従って調製した。生成された予備焼成GPF前駆体は、100g/ft3のクエン酸担持量を有する。焼成後に生成されたGPFは、1.6g/in3のウォッシュコート担持量、4g/ft3のPt担持量、及び4g/ft3のRh担持量を有する。
【0066】
焼成された触媒H、触媒G、触媒F、及び比較触媒Eのコールドフロー背圧を表7に示す。データは、触媒Hが、触媒G、触媒F、及び比較触媒Eと比較して、それぞれ200、300、400、及び600m3/hの流量で最も低い背圧結果を与えたことを示す。表7は、ウォッシュコートスラリー中のクエン酸の量が増加するにつれて、BPが減少することを示す。
【0067】
【0068】
本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数の指示対象を含む。
【0069】
「含む/備える(comprising)」という用語の使用は、そのような特徴を含むが他の特徴を除外しないものとして解釈されることが意図され、また、記載されたものに必然的に限定される特徴の選択肢を含むことが意図される。換言すれば、この用語はまた、文脈が明らかに他を示さない限り、「本質的に~からなる」(特定の更なる構成要素が、記載された特徴の本質的な特性に実質的に影響を及ぼさないという条件で存在し得ることを意味することが意図される)及び「~からなる」(構成要素がそれらの割合によるパーセンテージとして表された場合、これらが合計して100%になる一方で、任意の不可避不純物を説明するが、他の特徴が含まれ得ないことを意味することが意図される)限定を含む。
【0070】
前述の詳細な説明は、説明及び例解の目的で提供されており、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書に例解される現時点で好ましい実施形態の多くの変形例は、当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に留まる。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガソリン微粒子フィルタ(GPF)の製造方法であって、
(i)ウォッシュコートスラリーを形成することと、
(ii)ウォールフローフィルタ基材を前記ウォッシュコートスラリーでコーティングして、ウォッシュコートされた基材を形成することと、
(iii)前記ウォッシュコートされた基材を焼成して、GPFを形成することと、を含み、
前記ウォッシュコートスラリーが、
(a)Pt及びRhからなる白金族金属(PGM)成分と、
(b)酸素吸蔵能(OSC)材料と、
(c)カルボン酸イオンと、を含み、
前記OSC材料が、セリア、又はセリアを含む混合酸化物であり、
前記カルボン酸イオンが、クエン酸イオンである、製造方法。
【請求項2】
前記OSC材料が、セリマンド(ceriumand)ジルコニウムの混合酸化物;セリウム、ジルコニウム、及びアルミニウムの混合酸化物;セリウム、ジルコニウム、及びネオジムの混合酸化物;又はセリウム、ジルコニウム、及びプラセオジムの混合酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記OSC材料が、セリウム及びジルコニウムの混合酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ウォッシュコートスラリーが、カルボン酸イオン対Ptを1:1~100:1のモル比で含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ウォッシュコートスラリーが、カルボン酸イオン対Ptを5:1~50:1のモル比で含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ウォッシュコートスラリーが、カルボン酸イオン対Ptを10:1~25:1のモル比で含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ウォッシュコートスラリーが、Baを実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ウォッシュコートスラリーが、アルミナを含む無機酸化物担体を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ウォッシュコートスラリーが、前記ウォールフローフィルタ基材の入口チャネル及び出口チャネル上にコーティングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ウォッシュコートを含むウォッシュコートされたウォールフローフィルタ基材を含む予備焼成GPF前駆体であって、前記ウォッシュコートが、
(a)Pt及びRhからなる白金族金属(PGM)成分と、
(b)酸素吸蔵能(OSC)材料と、
(c)カルボン酸イオンと、を含み、
前記OSC材料が、セリア、又はセリアを含む混合酸化物であり、
前記カルボン酸イオンが、クエン酸イオンである、予備焼成GPF前駆体。
【請求項11】
前記OSC材料が、セリマンド(ceriumand)ジルコニウムの混合酸化物;セリウム、ジルコニウム、及びアルミニウムの混合酸化物;セリウム、ジルコニウム、及びネオジムの混合酸化物;又はセリウム、ジルコニウム、及びプラセオジムの混合酸化物を含む、請求項10に記載の予備焼成GPF前駆体。
【請求項12】
前記OSC材料が、セリウム及びジルコニウムの混合酸化物を含む、請求項10に記載の予備焼成GPF前駆体。
【請求項13】
前記ウォッシュコートが、カルボン酸イオン対Ptを1:1~100:1のモル比で含む、請求項10に記載の予備焼成GPF前駆体。
【請求項14】
前記ウォッシュコートが、カルボン酸イオン対Ptを5:1~50:1のモル比で含む、請求項10に記載の予備焼成GPF前駆体。
【請求項15】
前記ウォッシュコートが、Baを実質的に含まない、請求項10に記載の予備焼成GPF前駆体。
【請求項16】
前記ウォッシュコートが、アルミナを含む無機酸化物担体を更に含む、請求項10に記載の予備焼成GPF前駆体。
【請求項17】
ガソリン燃焼及び排気ガス処理システムの製造方法であって、
(a)排気マニホールドを有するガソリンエンジンを提供することと、
(b)請求項1に記載の方法に従ってGPFを製造することと、
(c)前記GPFを含む排気ガス処理システムを形成し、排気ガス処理システムを前記ガソリンエンジンの前記排気マニホールドに接続することと、を含む、方法。
【国際調査報告】