(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】LINC複合体阻害ポリペプチド
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20241126BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20241126BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20241126BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20241126BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20241126BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20241126BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241126BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20241126BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20241126BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20241126BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241126BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20241126BHJP
A61K 35/14 20150101ALI20241126BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20241126BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20241126BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20241126BHJP
C12N 15/864 20060101ALN20241126BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C07K14/47
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K35/76
A61P3/06
A61P9/00
A61P9/10
A61P9/10 101
A61K48/00
A61K38/17
A61K35/14
A61P17/00
A61P19/08
A61P25/00
A61P21/00
G01N33/53 M
C12N15/864 100Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533079
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 SG2022050871
(87)【国際公開番号】W WO2023101607
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】10202113391P
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】503231882
【氏名又は名称】エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ
(71)【出願人】
【識別番号】524207574
【氏名又は名称】ヌエボカール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188374
【氏名又は名称】一宮 維幸
(72)【発明者】
【氏名】リー,イン・ルーン
(72)【発明者】
【氏名】バルク,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ワーナー,ヘンドリケ
(72)【発明者】
【氏名】タン,ヤン・チョン
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル,デビッド・ダブリュー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BC01
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA01
4C084BA22
4C084BA23
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA36
4C084ZA45
4C084ZA89
4C084ZA94
4C084ZC33
4C084ZC54
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087BC83
4C087CA09
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA36
4C087ZA45
4C087ZA89
4C087ZA94
4C087ZC33
4C087ZC54
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸が開示され、LINC複合体阻害ポリペプチド、かかる核酸およびポリペプチドを含む組成物、ならびにLINC複合体阻害のためおよび疾患/状態の処置予防のためのかかる核酸、ポリペプチドおよび組成物の使用も開示される。特に、ラミノパチーおよび高脂血症を特徴とする疾患の処置のためのそれらの使用が開示される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸であって、LINC複合体阻害ポリペプチドは、(i)SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα3ヘリックスおよびSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む阻害領域、ならびに(ii)小胞体保持モチーフを含み;
LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号43、45または58のいずれか1つのアミノ酸配列を含まない、核酸。
【請求項2】
LINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域が、
(i)配列番号66のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;
(ii)配列番号94のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(iii)配列番号65のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(iv)配列番号63のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(v)配列番号64のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(vi)配列番号67のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
から本質的になる、請求項1に記載の核酸。
【請求項3】
LINC複合体阻害ポリペプチドが、
(i)配列番号72のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;
(ii)配列番号95のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(iii)配列番号71のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(iv)配列番号69のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(v)配列番号70のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(vi)配列番号73のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を含む、またはそれから本質的になる、請求項1または請求項2に記載の核酸。
【請求項4】
LINC複合体阻害ポリペプチドが、シグナルペプチドを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項5】
遺伝子治療として、LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を送達するために好適なベクターである、請求項1から4のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項6】
ベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、請求項5に記載の核酸。
【請求項7】
(i)SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα3ヘリックスおよびSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む阻害領域、ならびに(ii)小胞体保持モチーフを含む、LINC複合体阻害ポリペプチドであって、
配列番号43または45のアミノ酸配列を含まない、LINC複合体阻害ポリペプチド。
【請求項8】
LINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域が、
(i)配列番号66のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;
(ii)配列番号94のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(iii)配列番号65のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(iv)配列番号63のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(v)配列番号64のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(vi)配列番号67のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
から本質的になる、請求項7に記載のLINC複合体阻害ポリペプチド。
【請求項9】
(i)配列番号72のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;
(ii)配列番号95のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(iii)配列番号71のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(iv)配列番号69のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(v)配列番号70のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(vi)配列番号73のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を含む、またはそれから本質的になる、請求項7または請求項8に記載のLINC複合体阻害ポリペプチド。
【請求項10】
シグナルペプチドを含む、請求項7から9のいずれか一項に記載のLINC複合体阻害ポリペプチド。
【請求項11】
LINC複合体阻害ポリペプチドを同定するための方法であって、
候補LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を導入するステップであって、候補LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質のSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む、ステップ;および
続いて、細胞を分析して、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの細胞内局在を決定するステップ
を含み、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの細胞内局在の変化が検出される場合に、候補LINC複合体阻害ポリペプチドがLINC複合体阻害ポリペプチドであると決定される、方法。
【請求項12】
LINC複合体阻害ポリペプチドを同定するための方法であって、
候補LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を導入するステップであって、候補LINC複合体阻害ポリペプチドは、KASHドメイン含有タンパク質のKASHドメインに対応するアミノ酸配列を含む、ステップ;および
続いて、細胞を分析して、KASHドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの細胞内局在を決定するステップ
を含み、KASHドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの細胞内局在の変化が検出される場合に、候補LINC複合体阻害ポリペプチドがLINC複合体阻害ポリペプチドであると決定される、方法。
【請求項13】
SUN/KASHドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの小胞体に局在する割合の増加が検出される場合に、候補LINC複合体阻害ポリペプチドがLINC複合体阻害ポリペプチドであると決定される、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか一項に記載の方法によって同定されるLINC複合体阻害ポリペプチド。
【請求項15】
請求項7から10または請求項14のいずれか一項に記載のLINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸。
【請求項16】
遺伝子治療として、LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を送達するために好適なベクターである、請求項15に記載の核酸を含むベクター。
【請求項17】
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、請求項16に記載のベクター。
【請求項18】
請求項1から6もしくは請求項15のいずれか一項に記載の核酸、請求項7から10もしくは請求項14のいずれか一項に記載のLINC複合体阻害ポリペプチド、または請求項16もしくは請求項17に記載のベクターを含む細胞。
【請求項19】
請求項1から6もしくは請求項15のいずれか一項に記載の核酸、請求項7から10もしくは請求項14のいずれか一項に記載のLINC複合体阻害ポリペプチド、請求項16もしくは請求項17に記載のベクター、または請求項18に記載の細胞を含む医薬組成物。
【請求項20】
医学的処置または予防の方法における使用のための、請求項1から6もしくは請求項15のいずれか一項に記載の核酸、請求項7から10もしくは請求項14のいずれか一項に記載のLINC複合体阻害ポリペプチド、請求項16もしくは請求項17に記載のベクター、請求項18に記載の細胞または請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
ラミノパチーを処置するまたは予防する方法における使用のための、請求項1から6もしくは請求項15のいずれか一項に記載の核酸、請求項7から10もしくは請求項14のいずれか一項に記載のLINC複合体阻害ポリペプチド、請求項16もしくは請求項17に記載のベクター、請求項18に記載の細胞または請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項22】
ラミノパチーを処置するまたは予防するための医薬の製造における、請求項1から6もしくは請求項15のいずれか一項に記載の核酸、請求項7から10もしくは請求項14のいずれか一項に記載のLINC複合体阻害ポリペプチド、請求項16もしくは請求項17に記載のベクター、請求項18に記載の細胞または請求項19に記載の医薬組成物の使用。
【請求項23】
ラミノパチーを処置するまたは予防する方法であって、請求項1から6もしくは請求項15のいずれか一項に記載の核酸、請求項7から10もしくは請求項14のいずれか一項に記載のLINC複合体阻害ポリペプチド、請求項16もしくは請求項17に記載のベクター、請求項18に記載の細胞または請求項19に記載の医薬組成物の治療または予防有効量を対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項24】
ラミノパチーが、筋症、心筋症、拡張型心筋症、筋ジストロフィー、心筋ジストロフィー、骨格筋ジストロフィー、早老症、神経障害、脂肪萎縮症、骨格異常形成、リポジストロフィー、白質ジストロフィーまたは皮膚症のうちの1つまたは複数により特徴付けられる、請求項21に記載の使用のための核酸、LINC複合体阻害ポリペプチド、ベクター、細胞もしくは医薬組成物、請求項22に記載の使用、または請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ラミノパチーが、LMNAへの突然変異と関連している、請求項21から24のいずれか一項に記載の使用のための核酸、LINC複合体阻害ポリペプチド、ベクター、細胞もしくは医薬組成物、使用または方法。
【請求項26】
ラミノパチーが、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群;拡張型心筋症;筋ジストロフィー、先天的、Lmna関連;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー2、常染色体優性;筋ジストロフィー;a型リポジストロフィーを伴う下顎末端異形成症;心筋症、拡張型、1a;シャルコー・マリー・トゥース病;肢帯型筋ジストロフィー;心筋症、拡張型、高ゴナドトロピン性性腺機能低下症を伴う;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー3、常染色体劣性;リポジストロフィー、家族性部分型、2型;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー;シャルコー・マリー・トゥース病、軸索、2b1型;心臓-上肢症候群、スロベニア型;老化;家族性部分型リポジストロフィー;拘束性皮膚障害、致死性;不整脈原性右室心筋症;歯科疾患;心臓病;ウェルナー症候群;肥大型心筋症;左室心筋緻密化障害;房室ブロック;石灰沈着;先端骨溶解症;常染色体優性肢帯型筋ジストロフィー;真性糖尿病、インスリン非依存性;骨粗鬆症;心房細動;心房静止1;黒色皮膚腫;心伝導障害;カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍;小下顎症、難聴、プロゲリア様症状、およびリポジストロフィー症候群;洞不全症候群;ペルゲル・フエット核異常;シャルコー・マリー・トゥース病、軸索、2e型;先天性全身型リポジストロフィー;拘束型心筋症;先天性筋線維タイプ不均等症;リポジストロフィー、先天性全身型、1型;筋原線維ミオパチー;リポジストロフィー、家族性部分型、1型;軸索型ニューロパチー;非定型ウェルナー症候群;卵巣嚢胞腺腫;ファンコニ貧血、相補群a;肥満度指数量的形質遺伝子座11;皮膚疾患;強直性脊椎筋ジストロフィー1;神経筋疾患;ハーラーマン・ストライフ症候群;ベスレムミオパチー1;後天性全身型リポジストロフィー;心筋症、拡張型、1e;リポジストロフィー、先天性全身型、4型;未分化多形肉腫;リポジストロフィー、家族性部分型、3型;筋ジストロフィー、先天性メロシン欠損型、1a;近位脊髄性筋萎縮症;筋ジストロフィー・ジストログリカノパチー、B型、5;筋ジストロフィー、先天性、1b;レイノルズ症候群;ウィダマン・ラウテンストラウフ症候群;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー1、X連鎖型;リポジストロフィー、先天性全身型、2型;単一遺伝子糖尿病;心筋症、拡張型、1d;ミオパチー、近位、および眼筋麻痺;筋組織病;リポジストロフィー、家族性部分型、4型;心筋症、拡張型、1h;第2度房室ブロック;正中神経障害;内因性心筋症;女性生殖器の脱出;完全全身型リポジストロフィー;強直性脊椎筋ジストロフィー;エメリノパチー;尺骨神経障害;肢帯型筋ジストロフィー1b型;Lmna関連拡張型心筋症;骨盤筋消耗;全身型リポジストロフィー関連早老症候群;筋疾患;心筋症、拡張型、1b;常染色体遺伝病;家族性孤発性不整脈原性心室異形成、右優性型;家族性孤発性不整脈原性心室異形成、両室型;家族性孤発性不整脈原性心室異形成、左優性型;Lmna関連心臓皮膚早老症症候群;ならびに常染色体半優性重症型リポジストロフィーラミノパチーから選択される、請求項21から25のいずれか一項に記載の使用のための核酸、LINC複合体阻害ポリペプチド、ベクター、細胞もしくは医薬組成物、使用または方法。
【請求項27】
高脂血症を特徴とする疾患を処置するまたは予防する方法における使用のための、請求項1から6もしくは請求項15のいずれか一項に記載の核酸、請求項7から10もしくは請求項14のいずれか一項に記載のLINC複合体阻害ポリペプチド、請求項16もしくは請求項17に記載のベクター、請求項18に記載の細胞または請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項28】
高脂血症を特徴とする疾患を処置するまたは予防するための医薬の製造における、請求項1から6もしくは請求項15のいずれか一項に記載の核酸、請求項7から10もしくは請求項14のいずれか一項に記載のLINC複合体阻害ポリペプチド、請求項16もしくは請求項17に記載のベクター、請求項18に記載の細胞または請求項19に記載の医薬組成物の使用。
【請求項29】
高脂血症を特徴とする疾患を処置するまたは予防する方法であって、請求項1から6もしくは請求項15のいずれか一項に記載の核酸、請求項7から10もしくは請求項14のいずれか一項に記載のLINC複合体阻害ポリペプチド、請求項16もしくは請求項17に記載のベクター、請求項18に記載の細胞または請求項19に記載の医薬組成物の治療または予防有効量を対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項30】
高脂血症を特徴とする疾患が、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、脳卒中および家族性高脂血症から選択される、請求項27に記載の使用のための核酸、LINC複合体阻害ポリペプチド、ベクター、細胞もしくは医薬組成物、請求項28に記載の使用または請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年12月1日に出願されたSG 10202113391Pの優先権を主張し、その内容および要素は、全ての目的に関して参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、分子および細胞生物学の分野に関し、医学的処置および予防の方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
ラミンA/Cは、核内膜の内側にある核ラミナの成分であり、核に機械的支持をもたらすと考えられている(BurkeおよびStewart、2013年)。ラミンAおよびCをコードするLMNAにおける突然変異は、ラミノパチーとして公知の多数の疾患を生じる。
【0004】
核骨格および細胞骨格のリンカー(LINC)の複合体の破壊は、ラミノパチーの処置のための治療戦略として近年提唱された。LINC複合体は、核内膜のSUNドメインタンパク質および核外膜のKASHドメインタンパク質からなる(LeeおよびBurke、2018年)。パラロガスなSun1およびSun2は、主要なSUNドメインタンパク質であり、哺乳動物の組織において広範に発現される。KASHドメインタンパク質のうちで、Nesprin-1、Nesprin-2およびNesprin-3は、最も広範に発現される。
【0005】
Crispら、2006年は、マウスSun1(DNSun1)タンパク質のドミナントネガティブ形態の過剰発現を介するLINC複合体破壊を記載している。DNSun1は、Sun1の内腔ドメイン全体、N末端シグナル配列およびC末端KDELゴルジ体からERへの回収配列を含む。これは、おそらく、KASHドメイン含有タンパク質への結合について内在性SUNドメイン含有タンパク質(例えば、Sun1およびSun2)と競合することによって、LINC複合体内のSUN-KASH相互作用を破壊することによって機能すると考えられる。野生型Sun1とは異なって、DNSun1は、核ラミナに係留されず、それにより、KASHドメインタンパク質に伝達される細胞骨格からの力は、DNSun1によって核内部にさらに伝達されない。DNSun1のヒト化バージョンは、WO 2019/143300 A1に記載されている。
【0006】
DNSUN1(約1.5kb)のコード配列の比較的大きなサイズは、その送達、例えば遺伝子治療として、に課題を提示する。実例として、自己相補性アデノ随伴ウイルスベクター(scAAV)系では、ウイルス末端逆位配列(ITRs)、プロモーターおよび他の調節配列、ならびにそれ自体のコード配列を含む導入遺伝子全体は、2.3kbを超えられない。
【0007】
SUNドメイン含有タンパク質のC末端SUNドメインは、KASHドメイン含有タンパク質との相互作用のために必要であるが不十分であることが示されており、上流螺旋およびコイル領域によって媒介されるSUNドメインの三量体化は、KASH相互作用のために必要であると考えられている(Sosaら、2012年;Wangら、2012年;Zhouら、2012年;Jahedら、2018年b;Nieら、2016年;Xuら、2018年)。
【0008】
Zhouら、2012年およびSosaら、2012年は、CC1ドメインの開始より前で切断された内腔SUN構築物がKASHドメインタンパク質と会合することができたことを実証した。Zhouら、2012年、Wangら、2012年、Jahedら、2018年bおよびNieら、2016年は、CC1-CC2-SUNを含む構築物がゲルろ過アッセイにおいて三量体を形成できるか、またはプルダウンアッセイにおいてKASHドメインと相互作用できたことを示した。Zhouら、2012年およびJahedら、2018年bは、CC1ドメインの中央で始まり、CC2およびSUNを包含する切断は、プルダウンアッセイにおいてKASHと相互作用せず、ゲルろ過アッセイにおいて単量体を形成したことをさらに示した。Wangら、2012年およびNieら、2016年は、CC2-SUN構築物が、同様にin vitroでKASHと相互作用せず、ゲルろ過アッセイにおいて単量体だけを形成したことを示した。
【0009】
この研究の大部分はSUN2に注目したが、SUN1とSUN2との間、特にそれらの内腔ドメインにおいては高い程度の配列保存があり、Sun1それ自体が調査された場合、Sun1とSun2との間に構造レベルで明確な保存がある(Xuら、2018年;GurusaranおよびDavies、2021年)。
【0010】
重要なことに、内腔ドメインのある特定の切断を含むSUNタンパク質バリアントが三量体を形成でき、KASHドメインタンパク質と相互作用できるかどうかについて矛盾する報告がある(Jahedら、2018年a)。
【0011】
Zhouら、2012年およびWangら、2012年の研究では、G522からH717位からなるSun2切断バリアントは、KASHドメイン含有タンパク質と相互作用することができ(共免疫沈降分析によって決定された)、V520からH717位からなるSun2切断バリアントは、三量体を形成することができ、X線結晶学によってSUN三量体構造を解析するために使用された(SUN三量体の形成は、KASHドメイン含有タンパク質への結合のために必要であると考えられる)。Nieら、2016年は、CC2-SUNからのα1(α2-α3-SUN)またはα1およびα2の両方(α3-SUN)のヘリックスの除去がCC2の自己阻害機能を消失させ、生じたSun2構築物がKASHドメインタンパク質と相互作用できたことを決定した。興味深いことに、α2-α3-SUNはゲルろ過アッセイにおいて三量体を形成したが、α3-SUNは単量体と三量体との混合物であった。
【0012】
対照的に、Sosaら、2012年は、507から717位からなるSUN2切断型バリアント(α2-α3-SUNに対応する)は、KASHドメインに結合することができた一方で、さらなる切断は、KASHドメインへの弱い(SUN2(514~717)切断型バリアントの場合)またはごくわずかな(α3-SUNに対応するSUN2(521~717)切断型バリアントの場合)結合を生じた。
【0013】
文献は、SUNタンパク質内腔ドメインの切断がKASH結合にどのように影響を与えるかを検討したが、in vitroでの三量体形成およびKASHドメイン結合が、細胞レベルでのLINC複合体を破壊する能力の予測であるかどうかは不明である。
【0014】
したがって、SUN内腔領域の切断がLINC複合体破壊のための作用因子として使用され得るかはまだ不明である。
【発明の概要】
【0015】
第一の態様では、本開示は、LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸であって、LINC複合体阻害ポリペプチドは、(i)SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα3ヘリックスおよびSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む阻害領域、ならびに(ii)小胞体保持モチーフを含み;LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号43、45または58のいずれか1つのアミノ酸配列を含まない、核酸を提供する。
【0016】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域は、配列番号44または46のアミノ酸配列から本質的にならない。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域は、配列番号49、50、51、52、53、54、55、56、57、59、60、61または62のいずれか1つのアミノ酸配列から本質的にならない。
【0017】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域は、
(i)配列番号66のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;
(ii)配列番号94のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(iii)配列番号65のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(iv)配列番号63のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(v)配列番号64のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(vi)配列番号67のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
から本質的になる。
【0018】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、
(i)配列番号72のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;
(ii)配列番号95のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(iii)配列番号71のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(iv)配列番号69のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(v)配列番号70のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(vi)配列番号73のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を含む、またはそれから本質的になる。
【0019】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、シグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、核酸は、遺伝子治療として、LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を送達するために好適なベクターである。一部の実施形態では、ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。
【0020】
本開示は、(i)SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα3ヘリックスおよびSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む阻害領域、ならびに(ii)小胞体保持モチーフを含む、LINC複合体阻害ポリペプチドであって、
配列番号43または45のアミノ酸配列を含まない、LINC複合体阻害ポリペプチドも提供する。
【0021】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域は、配列番号44または46のアミノ酸配列から本質的にならない。一部の実施形態では、請求項9または請求項10に記載のLINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域であって、LINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域は、配列番号49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61または62のいずれか1つのアミノ酸配列から本質的にならない。
【0022】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域は、
(i)配列番号66のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;
(ii)配列番号94のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(iii)配列番号65のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(iv)配列番号63のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(v)配列番号64のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(vi)配列番号67のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
から本質的になる。
【0023】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、
(i)配列番号72のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;
(ii)配列番号95のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(iii)配列番号71のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(iv)配列番号69のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(v)配列番号70のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列;または
(vi)配列番号73のアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を含む、またはそれから本質的になる。
【0024】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、シグナルペプチドを含む。
【0025】
本開示は、LINC複合体阻害ポリペプチドを同定するための方法であって、
候補LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を導入するステップであって、候補LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質のSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む、ステップ;および
続いて、細胞を分析して、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの細胞内局在を決定するステップ
を含み、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの細胞内局在の変化が検出される場合に、候補LINC複合体阻害ポリペプチドがLINC複合体阻害ポリペプチドであると決定される、方法も提供する。
【0026】
本開示は、LINC複合体阻害ポリペプチドを同定するための方法であって、
候補LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を導入するステップであって、候補LINC複合体阻害ポリペプチドは、KASHドメイン含有タンパク質のKASHドメインに対応するアミノ酸配列を含む、ステップ;および
続いて、細胞を分析して、KASHドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの細胞内局在を決定するステップ
を含み、KASHドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの細胞内局在の変化が検出される場合に、候補LINC複合体阻害ポリペプチドがLINC複合体阻害ポリペプチドであると決定される、方法も提供する。
【0027】
一部の実施形態では、SUN/KASHドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの小胞体に局在する割合の増加が検出される場合に、候補LINC複合体阻害ポリペプチドはLINC複合体阻害ポリペプチドであると決定される。
【0028】
本開示は、本開示に従った方法によって同定されたLINC複合体阻害ポリペプチドも提供する。
【0029】
本開示は、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸も提供する。
【0030】
本開示は、本開示に従った核酸を含むベクターであって、遺伝子治療として、LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を送達するために好適なベクターであるベクターも提供する。
【0031】
一部の実施形態では、ベクターはアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。
【0032】
本開示は、本開示に従った核酸、LINC複合体阻害ポリペプチドまたはベクターを含む細胞も提供する。
【0033】
本開示は、本開示に従った核酸、LINC複合体阻害ポリペプチド、ベクターまたは細胞を含む医薬組成物も提供する。
【0034】
本開示は、医学的処置または予防の方法における使用のための、本開示に従った核酸、LINC複合体阻害ポリペプチド、ベクター、細胞または医薬組成物も提供する。
【0035】
本開示は、ラミノパチーを処置するまたは予防する方法における使用のための、本開示に従った核酸、LINC複合体阻害ポリペプチド、ベクター、細胞または医薬組成物も提供する。
【0036】
本開示は、ラミノパチーを処置するまたは予防するための医薬の製造における、本開示に従った核酸、LINC複合体阻害ポリペプチド、ベクター、細胞または医薬組成物の使用も提供する。
【0037】
本開示は、ラミノパチーを処置するまたは予防する方法であって、本開示に従った核酸、LINC複合体阻害ポリペプチド、ベクター、細胞または医薬組成物の治療または予防有効量を対象に投与するステップを含む、方法も提供する。
【0038】
本開示の種々の態様に従った一部の実施形態では、ラミノパチーは、筋症、心筋症、拡張型心筋症、筋ジストロフィー、心筋ジストロフィー、骨格筋ジストロフィー、早老症、神経障害、脂肪萎縮症、骨格異常形成、リポジストロフィー、白質ジストロフィーまたは皮膚症のうちの1つまたは複数により特徴付けられる。一部の実施形態では、ラミノパチーはLMNAへの突然変異と関連している。一部の実施形態では、ラミノパチーは、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群;拡張型心筋症;筋ジストロフィー、先天的、Lmna関連;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー2、常染色体優性;筋ジストロフィー;a型リポジストロフィーを伴う下顎末端異形成症;心筋症、拡張型、1a;シャルコー・マリー・トゥース病;肢帯型筋ジストロフィー;心筋症、拡張型、高ゴナドトロピン性性腺機能低下症を伴う;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー3、常染色体劣性;リポジストロフィー、家族性部分型、2型;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー;シャルコー・マリー・トゥース病、軸索、2b1型;心臓-上肢症候群、スロベニア型;老化;家族性部分型リポジストロフィー;拘束性皮膚障害、致死性;不整脈原性右室心筋症;歯科疾患;心臓病;ウェルナー症候群;肥大型心筋症;左室心筋緻密化障害;房室ブロック;石灰沈着;先端骨溶解症;常染色体優性肢帯型筋ジストロフィー;真性糖尿病、インスリン非依存性;骨粗鬆症;心房細動;心房静止1;黒色皮膚腫;心伝導障害;カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍;小下顎症、難聴、プロゲリア様症状、およびリポジストロフィー症候群;洞不全症候群;ペルゲル・フエット核異常;シャルコー・マリー・トゥース病、軸索、2e型;先天性全身型リポジストロフィー;拘束型心筋症;先天性筋線維タイプ不均等症;リポジストロフィー、先天性全身型、1型;筋原線維ミオパチー;リポジストロフィー、家族性部分型、1型;軸索型ニューロパチー;非定型ウェルナー症候群;卵巣嚢胞腺腫;ファンコニ貧血、相補群a;肥満度指数量的形質遺伝子座11;皮膚疾患;強直性脊椎筋ジストロフィー1;神経筋疾患;ハーラーマン・ストライフ症候群;ベスレムミオパチー1;後天性全身型リポジストロフィー;心筋症、拡張型、1e;リポジストロフィー、先天性全身型、4型;未分化多形肉腫;リポジストロフィー、家族性部分型、3型;筋ジストロフィー、先天性メロシン欠損型、1a;近位脊髄性筋萎縮症;筋ジストロフィー・ジストログリカノパチー、B型、5;筋ジストロフィー、先天性、1b;レイノルズ症候群(Reynolds Syndrome);ウィダマン・ラウテンストラウフ症候群;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー1、X連鎖型;リポジストロフィー、先天性全身型、2型;単一遺伝子糖尿病;心筋症、拡張型、1d;ミオパチー、近位、および眼筋麻痺;筋組織病;リポジストロフィー、家族性部分型、4型;心筋症、拡張型、1h;第2度房室ブロック;正中神経障害;内因性心筋症;女性生殖器の脱出;完全全身型リポジストロフィー;強直性脊椎筋ジストロフィー;エメリノパチー;尺骨神経障害;肢帯型筋ジストロフィー1b型;Lmna関連拡張型心筋症;骨盤筋消耗;全身型リポジストロフィー関連早老症候群;筋疾患;心筋症、拡張型、1b;常染色体遺伝病;家族性孤発性不整脈原性心室異形成、右優性型;家族性孤発性不整脈原性心室異形成、両室型;家族性孤発性不整脈原性心室異形成、左優性型;Lmna関連心臓皮膚早老症症候群;ならびに常染色体半優性重症型リポジストロフィーラミノパチーから選択される。
【0039】
本開示は、高脂血症を特徴とする疾患を処置するまたは予防する方法における使用のための、本開示に従った核酸、LINC複合体阻害ポリペプチド、ベクター、細胞または医薬組成物も提供する。
【0040】
本開示は、高脂血症を特徴とする疾患を処置するまたは予防するための医薬の製造における、本開示に従った核酸、LINC複合体阻害ポリペプチド、ベクター、細胞または医薬組成物の使用も提供する。
【0041】
本開示は、高脂血症を特徴とする疾患を処置するまたは予防する方法であって、本開示に従った核酸、LINC複合体阻害ポリペプチド、ベクター、細胞または医薬組成物の治療または予防有効量を対象に投与するステップを含む、方法も提供する。
【0042】
本開示の種々の態様に従った一部の実施形態では、高脂血症を特徴とする疾患は、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、脳卒中および家族性高脂血症から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】マウスSun1、マウスSun2、ヒトSUN1およびヒトSUN2のアミノ酸配列のアラインメントを示す図。
【
図2】ヒトSUN1タンパク質および実施例1で特徴付けられた種々の構築物(すなわち、構築物(A)から(H))の模式図。
【
図3】小胞体に局在するNesprin-2の増加によって決定される、さまざまな推定ドミナントネガティブSUN1構築物が、LINC複合体破壊を達成する能力の分析結果を示す模式図および顕微鏡像。
【
図4】ヒトSUN1タンパク質および実施例5で特徴付けられた種々の構築物(すなわち、構築物A、D、D2、EおよびG)の模式図。
【
図5-1】拡張型心筋症のマウスモデルにおける、さまざまな推定ドミナントネガティブSUN1構築物の治療有効性の分析の結果を示すグラフ。
【
図5-2】拡張型心筋症のマウスモデルにおける、さまざまな推定ドミナントネガティブSUN1構築物の治療有効性の分析の結果を示すグラフ。
【
図5-3】拡張型心筋症のマウスモデルにおける、さまざまな推定ドミナントネガティブSUN1構築物の治療有効性の分析の結果を示すグラフ。
【
図6-1】拡張型心筋症のマウスモデルにおけるさまざまな推定ドミナントネガティブSUN1構築物の治療有効性の分析の結果を示すグラフ。
【
図6-2】拡張型心筋症のマウスモデルにおけるさまざまな推定ドミナントネガティブSUN1構築物の治療有効性の分析の結果を示すグラフ。
【
図6-3】拡張型心筋症のマウスモデルにおけるさまざまな推定ドミナントネガティブSUN1構築物の治療有効性の分析の結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0044】
説明
本開示は、SUNドメイン含有タンパク質の内腔ドメインの種々の切断型バリアントがKASHドメイン含有タンパク質と会合することができず-それによりLINC複合体阻害剤として機能しないと予測される-という先行技術における報告にもかかわらず、広範なそのような切断型バリアントがLINC複合体阻害剤として実際に機能するとの発明者らの予想外の発見に基づいている。
【0045】
LINC複合体破壊が、内在性KASHドメイン含有タンパク質の正常な細胞内局在の破壊(具体的には、KASHドメイン含有タンパク質は、LINC複合体破壊後に核エンベロープより小胞体に局在する)の観察を通じて決定される細胞ベースのアッセイを使用して、本発明者らは、SUNドメイン含有タンパク質の内腔ドメインのさまざまな異なる切断に対応し、それらのさまざまな構造モチーフ(すなわち、コイルドコイル領域、それらのαヘリックス)を含むポリペプチドが、LINC複合体破壊に影響を与えることができることを実証する。本発明者らは、AAVを経て遺伝子治療として送達された種々の異なるドミナントネガティブLINC複合体阻害ポリペプチドが、Lmnaの心筋細胞-特異的欠失によって確立されたDCMのマウスモデルにおいてin vivoで拡張型心筋症(DCM)の病態を低減することをさらに確認する。
【0046】
本開示は、既存のおよび将来の遺伝子治療技術と関連する適用のために好適である多数のLINC複合体阻害ポリペプチドを利用可能にする。特に、WO 2019/143300 A1に記載されるドミナントネガティブSUNドメイン含有タンパク質構築物よりもサイズが小さいLINC複合体阻害ポリペプチドは、約2.3kbのパッケージング限界を有するscAAVベクター等の中程度のパッケージング限界を有するベクター系において使用されることにさらに好適である。
【0047】
LINC複合体構造および機能
核骨格-細胞骨格リンカー(LINC)複合体は、SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むポリペプチド複合体である。LINC複合体構造は、例えば、Sosaら、Curr Opin Struct Biol.(2013)23(2):285~91およびHieda、Cells(2017)6(1):3に概説されており、両方が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0048】
LINC複合体は、核エンベロープの核内膜(INM)と核外膜(ONM)とを接続する。SUNドメイン含有タンパク質は、INMに広がり、INMの核質側の核ラミンおよびクロマチン結合タンパク質と、ならびにINMの核周囲側のKASHドメイン含有タンパク質と会合する。KASHドメイン含有タンパク質は、ONMに広がり、ONMの細胞質側の細胞骨格構造成分、例えば、アクチンフィラメント、微小管モーターおよび中間径フィラメントと、ならびにONMの核周囲側のSUNドメイン含有タンパク質と会合する。SUNドメインタンパク質は、ONMにおいてKASHドメインタンパク質の経管的繋がりとして機能する。
【0049】
本明細書では、「SUNドメイン含有タンパク質」は、SUNドメインを含む任意のポリペプチドを指す。SUN(Sad1およびUNC-84)ドメインタンパク質は、核膜槽に局在する保存されたカルボキシ末端SUNドメインを含む重要なINM成分である。SUNドメインは、約175個の残基を含み、螺旋ストーク領域の末端に提示される。SUNタンパク質の核質ドメインは、核骨格の構造成分と相互作用する。
【0050】
SUNドメインは、配列番号5、14、27、28、29もしくは30に示すアミノ酸配列、または配列番号5、14、27、28、29もしくは30に示すアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つのアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなることができる。
【0051】
一部の実施形態では、SUNドメイン含有タンパク質は、SUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4およびSUCOから選択される。一部の実施形態では、SUNドメイン含有タンパク質は、SUN1またはSUN2である。
【0052】
一部の実施形態では、SUNドメイン含有タンパク質は、LINC複合体を形成することができる。一部の実施形態では、SUNドメイン含有タンパク質は、KASHドメインおよび/またはKASHドメイン含有タンパク質と相互作用することができる。
【0053】
ヒトSUN1は、UniProtKB O94901によって同定されるポリペプチドであり、そのアミノ酸配列は、配列番号1に示される。ヒトSUN2は、UniProtKB Q9UH99によって同定されるポリペプチドであり、そのアミノ酸配列は、配列番号13に示される。ヒトSUN3は、UniProtKB Q8TAQ9によって同定されるポリペプチドであり、そのアミノ酸配列は、配列番号23に示される。ヒトSUN5は、UniProtKB A9Z1W8によって同定されるポリペプチドであり、そのアミノ酸配列は、配列番号24に示される。ヒトSPAG4は、UniProtKB Q9NPE6によって同定されるポリペプチドであり、そのアミノ酸配列は、配列番号25に示される。ヒトSUCOは、UniProtKB Q9UBS9によって同定されるポリペプチドであり、そのアミノ酸配列は、配列番号26に示される。
【0054】
本明細書では、「SUN1」、「SUN2」、「SUN3」、「SUN5」「SPAG4」および「SUCO」は、それぞれ任意の種に由来するSUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4およびSUCOを指し、それらのアイソフォーム、断片、バリアントまたはホモログを含む。
【0055】
本明細書で使用される場合、タンパク質の「断片」、「バリアント」または「ホモログ」は、参照タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも60%、好ましくは70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つのアミノ酸配列同一性を有するとして任意選択で特徴付けられ得る(例えば、参照タンパク質の参照アイソフォーム)。一部の実施形態では、断片/バリアント/アイソフォーム/ホモログは、参照タンパク質によって実施される機能を実施する能力によって特徴付けられ得る。
【0056】
「断片」は、参照タンパク質の一部を一般に指す。「バリアント」は、参照タンパク質のアミノ酸配列と比較して1つまたは複数のアミノ酸置換、挿入、欠失または他の改変を含むが、参照タンパク質のアミノ酸配列と相当程度の配列同一性(例えば、少なくとも60%)を保持するアミノ酸配列を有するタンパク質を一般に指す。「アイソフォーム」は、参照タンパク質の種と同じ種によって発現される参照タンパク質のバリアントを一般に指す。「ホモログ」は、参照タンパク質の種と比較して異なる種によって産生される参照タンパク質のバリアントを一般に指す。ホモログは、オルソログを含む。
【0057】
「断片」は、任意の長さ(アミノ酸の数による)であってよいが、任意選択で、参照タンパク質(すなわち、断片が由来するタンパク質)の長さの少なくとも20%であってよく、参照タンパク質の長さの50%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%のうちの1つの最大長を有し得る。
【0058】
アイソフォーム、断片、バリアントまたはホモログは、任意選択で、機能的特性/活性についての好適なアッセイによる分析によって決定されるような、例えば参照タンパク質の機能的特性/活性を有する、機能的アイソフォーム、断片、バリアントまたはホモログであり得る。
【0059】
本明細書では、「SUN1」に言及することは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、およびその断片、バリアントまたはホモログを指す。一部の実施形態では、SUN1は、配列番号1に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つのアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。
【0060】
本明細書では、「SUN2」に言及することは、配列番号13に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、およびその断片、バリアントまたはホモログを指す。一部の実施形態では、SUN2は、配列番号13と少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%のうちの1つのアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。
【0061】
本明細書では、「SUN3」に言及することは、配列番号23に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、およびその断片、バリアントまたはホモログを指す。一部の実施形態では、SUN3は、配列番号23と少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%のうちの1つのアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。
【0062】
本明細書では、「SUN5」に言及することは、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、およびその断片、バリアントまたはホモログを指す。一部の実施形態では、SUN5は、配列番号24と少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%のうちの1つのアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。
【0063】
本明細書では、「SPAG4」に言及することは、配列番号25に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、およびその断片、バリアントまたはホモログを指す。一部の実施形態では、SPAG4は、配列番号25と少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%のうちの1つのアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。
【0064】
本明細書では、「SUCO」に言及することは、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、およびその断片、バリアントまたはホモログを指す。一部の実施形態では、SUCOは、配列番号26と少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%のうちの1つのアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。
【0065】
本明細書では、「KASHドメイン含有タンパク質」は、KASHドメインを含む任意のポリペプチドを指す。KASH(Klarsicht、ANC-1、Syne homology)ドメインタンパク質は、核エンベロープにターゲティングされるカルボキシ末端係留膜タンパク質である。50~60個のアミノ酸KASHドメインは、C末端に見出される。KASHドメインは、疎水性であり、ONMに広がる単一膜貫通ヘリックスおよび核膜槽に伸長する約30個のアミノ酸領域を含む。
【0066】
KASHドメインは、配列番号37、38、39、40、41もしくは42に示されるアミノ酸配列、または配列番号37、38、39、40、41もしくは42に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%のうちの1つのアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る、またはそれからなり得る。
【0067】
一部の実施形態では、KASHドメイン含有タンパク質は、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4(それぞれSYNE1、SYNE2、SYNE3およびSYNE4としても公知)、KASH5およびLRMPから選択される。一部の実施形態では、KASHドメイン含有タンパク質は、Nesprin-1、Nesprin-2またはNesprin-3である。
【0068】
一部の実施形態では、KASHドメイン含有タンパク質は、LINC複合体を形成することができる。一部の実施形態では、KASHドメイン含有タンパク質は、SUNドメインおよび/またはSUNドメイン含有タンパク質と相互作用することができる。
【0069】
ヒトNesprin-1は、UniProtKB Q8NF91によって同定されるポリペプチドであり、そのアミノ酸配列が配列番号31に示される。ヒトNesprin-2は、UniProtKB Q8WXH0によって同定されるポリペプチドであり、そのアミノ酸配列が配列番号32に示される。ヒトNesprin-3は、UniProtKB Q6ZMZ3によって同定されるポリペプチドであり、そのアミノ酸配列が配列番号33に示される。ヒトNesprin-4は、UniProtKB Q8N205によって同定されるポリペプチドであり、そのアミノ酸配列が配列番号34に示される。ヒトKASH5は、UniProtKB Q8N6L0によって同定されるポリペプチドであり、そのアミノ酸配列が配列番号35に示される。ヒトLRMPは、UniProtKB Q12912によって同定されるポリペプチドであり、そのアミノ酸配列が配列番号36に示される。
【0070】
本明細書では、「Nesprin-1」、「Nesprin-2」、「Nesprin-3」、「Nesprin-4」、「KASH5」および「LRMP」は、それぞれ任意の種に由来するNesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPを指し、そのアイソフォーム、断片、バリアントまたはホモログを含む。
【0071】
本明細書では、「Nesprin-1」に言及することは、配列番号31に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、およびその断片、バリアントまたはホモログを指す。一部の実施形態では、Nesprin-1は、配列番号31と少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%のうちの1つのアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。
【0072】
本明細書では、「Nesprin-2」に言及することは、配列番号32に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、およびその断片、バリアントまたはホモログを指す。一部の実施形態では、Nesprin-2は、配列番号32と少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%のうちの1つのアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。
【0073】
本明細書では、「Nesprin-3」に言及することは、配列番号33に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、およびその断片、バリアントまたはホモログを指す。一部の実施形態では、Nesprin-3は、配列番号33と少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%のうちの1つのアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。
【0074】
本明細書では、「Nesprin-4」に言及することは、配列番号34に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、およびその断片、バリアントまたはホモログを指す。一部の実施形態では、Nesprin-4は、配列番号34と少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%のうちの1つのアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。
【0075】
本明細書では、「KASH5」に言及することは、配列番号35に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、およびその断片、バリアントまたはホモログを指す。一部の実施形態では、KASH5は、配列番号35と少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%のうちの1つのアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。
【0076】
本明細書では、「LRMP」に言及することは、配列番号36に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、およびその断片、バリアントまたはホモログを指す。一部の実施形態では、LMRPは、配列番号36と少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%のうちの1つのアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。
【0077】
本明細書で使用される場合、「LINC複合体」は、SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むポリペプチド複合体を指す。
【0078】
LINC複合体は、SUNドメイン含有タンパク質とKASHドメイン含有タンパク質との間のタンパク質-タンパク質相互作用によって形成される。LINC複合体は、SUNドメインとKASHドメインとの間の非共有結合性および/または共有結合性相互作用を含み得る。非共有結合性相互作用としては、例えば水素結合、イオン性相互作用、ファンデルワールス力および疎水性結合が挙げられる。共有結合性相互作用としては、例えばジスルフィド結合が挙げられる。
【0079】
SUNドメインタンパク質は、コイルドコイル三重螺旋を形成するためのそれらのストーク領域間の相互作用を介してオリゴマー形成し三量体を形成すると考えられている(Zhouら、J.Biol.Chem.(2012)287:5317~5326)。SUNドメインタンパク質ストーク領域の欠失は、LINC複合体形成を破壊することが示されている。SUNドメインは、βサンドイッチ構造を想定し、三量体のSUNドメインは、KASH蓋として公知の突出しているβシートを部分的に通じて相互に広範に相互作用しており;1つのSUNドメインのKASH蓋は、隣接SUNドメインのβサンドイッチと一部重複している(Sosaら、Cell(2012)149:1035~1047)。
【0080】
KASHドメインタンパク質もオリゴマー形成でき、膜貫通ヘリックス間のタンパク質-タンパク質相互作用を含み得る。単一のKASHドメインは、1つのSUNドメインのKASH蓋と隣接SUNドメインのβサンドイッチの上部領域との間に形成された溝に沿って2つの隣接SUNドメインと相互作用する。このように、SUNおよびKASHドメインは、相互作用して3:3六量体ヘテロ複合体を形成すると考えられている。KASHドメインのC末端の直前の2~3個のプロリン残基は、SUNドメインの表面内のディープポケットに収容されると考えられている。KASHのこの領域は、SUN-KASH相互作用のために重要であり;アミノ酸1個だけによるC末端の伸長は、LINC複合体形成を破壊する。SUNおよびKASHドメインの保存されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、SUN-KASH複合体をさらに安定化する。ジスルフィド結合は、LINC複合体を通じた力の伝達のために重要である可能性がある(Jahedら、Biophys.J.(2015)109:501~509)。
【0081】
本明細書の上記で説明した通り、LINC複合体は、3個のSUNドメイン含有タンパク質のSUNドメインと3個のKASHドメイン含有タンパク質のKASHドメインとの相互作用を通じて形成されると考えられる。SUNドメインタンパク質とKASHドメインタンパク質との間の相互作用は、無差別であると考えられ;SUN1およびSUN2は、Nesprin-1、Nesprin-2およびNesprin-3と相互作用することが示されている。
【0082】
本開示によるLINC複合体は、任意のSUNドメイン含有タンパク質および任意のKASHドメイン含有タンパク質を含み得る。LINC複合体のSUNドメイン含有タンパク質は、同一でも同一でなくてもよい。LINC複合体のKASHドメイン含有タンパク質は、同一でも同一でなくてもよい。
【0083】
LINC複合体機能は、例えば、Hieda、Cells(2017)6(1):3(本明細書の上記に参照により組み込まれる)および、その全体が参照により本明細書に組み込まれるStroud、Biophys Rev.(2018)10(4):1033~1051に概説されている。
【0084】
LINC複合体は、核に構造的支持を提供すること、核を形作り、位置を決めること、セントロソームと核との間の接続および核膜の間隔を維持すること、DNA修復、細胞遊走、ならびに減数分裂中に核内に染色体を移動することを含む多様な機能を実施する。
【0085】
LINC複合体は、機械的刺激および細胞外基質における変化を、細胞骨格構成、遺伝子発現、核構成および構造の調節によって細胞がその環境に適合するようにするシグナルに翻訳する機械感覚性の役割を有する。
【0086】
インテグリンは、外部の微小環境から細胞内細胞骨格への力の伝達を媒介し、核-細胞骨格分子接続は、核における染色体構成に力を伝達する。核ラミナは、核構造の変形を引き起こし、遺伝子制御における変化を開始する。
【0087】
核エンベロープは、そのようなプロセスにおける重要な構造である。INMの核質側では、核ラミナ(A型およびB型ラミンからなる)は、核の機械的ストレスへの抵抗性に寄与し、核エンベロープの構造的完全性に不可欠である格子構造を形成する。核ラミンは、核完全性の維持、細胞周期の制御、機械的シグナル伝達、細胞シグナル伝達ならびにDNA修復を含む細胞機能および生存に極めて重要であるプロセスに関与する。
【0088】
核エンベロープタンパク質の正常な発現および/または機能からの逸脱、ならびに核エンベロープと直接もしくは間接的に関連する因子の正常な発現および/または機能からの逸脱は、筋ジストロフィー、心筋症、リポジストロフィー、プロジェリア、がんおよび神経疾患を含む種々の疾患と関連付けられる。
【0089】
LINC複合体阻害ポリペプチド
本開示は、LINC複合体阻害ポリペプチドに関する。本明細書では、「LINC複合体阻害ポリペプチド」は、LINC複合体形成および/または機能を阻害するポリペプチドを指す。
【0090】
本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、
LINC複合体の構成要素タンパク質(例えば、KASHドメイン含有タンパク質、例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPの1つまたは複数)に結合し得る;
LINC複合体の構成要素タンパク質の間の相互作用(例えば、SUNドメイン含有タンパク質とKASHドメイン含有タンパク質との間の相互作用)を阻害し得る;
LINC複合体の形成を阻害し得る(すなわち、LINC複合体;例えば、SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むLINC複合体の組立てを阻害し得る);
LINC複合体を破壊し得る(例えば、LINC複合体の解体を生じるか、または促進する、例えば、LINC複合体;例えば、SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むLINC複合体の構成要素タンパク質の1つまたは複数の置換を経て);
LINC複合体(例えば、SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むLINC複合体)の構成要素タンパク質の正常な細胞内局在を破壊し得る;
LINC複合体(例えば、SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むLINC複合体)の構成要素タンパク質の小胞体への局在を増やし得る;
LINC複合体(例えば、SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むLINC複合体)のレベルを低減し得る;
LINC複合体(例えば、SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むLINC複合体)の機能/活性を阻害し得る;
ラミノパチーを有する対象の生存を増やし得る;
ラミノパチーを有する対象の生存期間を増やし得る;
ラミノパチーを有する対象の心機能を増やし得る、またはその減退を阻害し得る;
ラミノパチーを有する対象の心筋収縮力を増やし得る、またはその低減を阻害し得る;
ラミノパチーを有する対象の駆出率および/もしくは短縮率を増やし得る、またはその低減を阻害し得る;
ラミノパチーを有する対象において左心室内径を低減し得る、またはその増加を阻害し得る;および/あるいは
ラミノパチーを有する対象において左心室後壁厚を増やし得る、またはその低減を阻害し得る。
【0091】
本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドが、前段に列挙されている特性のうちの1つよりも多くを示す場合があることは認識される。所与のポリペプチドは、適切なアッセイを使用して前段に列挙されている特性について評価しされ得る。アッセイは、例えば、in vitroアッセイ、必要に応じて、細胞ベースのアッセイまたは無細胞アッセイでもよい。アッセイは、例えば、in vivoアッセイ、すなわち非ヒト動物において実施されてもよい。
【0092】
アッセイが細胞ベースのアッセイである場合、アッセイは、ポリペプチドが列挙された特性の1つまたは複数を示すかどうかを判定するために、推定LINC複合体阻害ポリペプチドを発現するように細胞を(例えば、トランスフェクション/形質導入を経て)操作することを含み得る。アッセイは、検出可能な構成体(entity)で標識された分子種をそれらの検出を促進するために使用し得る。細胞が、好ましくはLINC複合体の構成要素タンパク質を発現する細胞であることは認識される。
【0093】
LINC複合体の構成要素タンパク質は、SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含む。簡潔さのために本明細書では、「LINC複合体の構成要素タンパク質」は、単に「LINC複合体タンパク質」と称される場合がある。
【0094】
好ましい実施形態では、LINC複合体は、SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含む。一部の実施形態では、SUNドメイン含有タンパク質は、SUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4およびSUCOから選択され得る(より好ましくは、SUN1およびSUN2から選択される)。一部の実施形態では、KASHドメイン含有タンパク質は、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される(より好ましくは、Nesprin-1、Nesprin-2およびNesprin-3から選択される)。
【0095】
本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、LINC複合体タンパク質に好ましくは結合する。結合は、LINC複合体阻害ポリペプチドとLINC複合体タンパク質との間の非共有結合性、タンパク質間相互作用により特徴付けられ得る。相互作用は、静電気的相互作用(例えば、イオン結合、水素結合)および/またはファンデルワールス力を含み得る。
【0096】
本開示は、SUNドメイン含有タンパク質(例えば、本明細書に記載されるSUNドメイン含有タンパク質)に対する相互作用パートナーであるLINC複合体タンパク質に結合するLINC複合体阻害ポリペプチドに特に関する。一部の実施形態では、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーは、KASHドメイン含有タンパク質(例えば、本明細書に記載されるKASHドメイン含有タンパク質、例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される)である。一部の実施形態では、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーは、SUNドメイン含有タンパク質(例えば、SUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4およびSUCOから選択されるSUNドメイン含有タンパク質)であり;SUNドメイン含有タンパク質は、多量体(例えば、三量体)を形成するように会合することが公知である。
【0097】
本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナー(例えば、KASHドメイン含有タンパク質、例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される)に特異的結合を示し得る。本明細書で使用される場合、「特異的結合」とは、選択的であり、非標的分子への非特異的結合と区別することができる結合のことである。SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーに特異的に結合するLINC複合体阻害ポリペプチドは、関連タンパク質に他の非標的分子への結合の親和性/持続期間よりも大きな親和性で、および/またはそれより長い持続期間、関連する因子に好ましくは結合する。
【0098】
所与の標的分子に特異的に結合する所与のポリペプチドの能力は、ELISA、表面プラズモン共鳴(SPR;例えば、Heartyら、Methods Mol Biol(2012)907:411~442頁を参照されたい)、生体層干渉法(例えば、Ladら、(2015)J Biomol Screen 20(4):498~507頁を参照されたい)、フローサイトメトリーによって、または放射標識された抗原結合アッセイ(RIA)酵素結合免疫吸着アッセイによって等の、当技術分野において公知の方法に従った分析によって決定され得る。
【0099】
一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナー(例えば、KASHドメイン含有タンパク質、例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される)にマイクロモル範囲、すなわちKD=9.9×10-4から1×10-6Mの親和性で結合する。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナー(例えば、KASHドメイン含有タンパク質、例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される)にマイクロモル未満の親和性、すなわち、KD<1×10-6Mで結合する。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナー(例えば、KASHドメイン含有タンパク質、例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される)にナノモル範囲の親和性、すなわち、KD=9.9×10-7から1×10-9Mで結合する。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナー(例えば、KASHドメイン含有タンパク質、例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される)にナノモル未満の親和性、すなわちKD<1×10-9Mで結合する。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナー(例えば、KASHドメイン含有タンパク質、例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される)にピコモル範囲の親和性、すなわちKD=9.9×10-10から1×10-12Mで結合する。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナー(例えば、KASHドメイン含有タンパク質、例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される)にピコモル未満の親和性、すなわちKD<1×10-12Mで結合する。
【0100】
本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナー(例えば、KASHドメイン含有タンパク質、例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される)に、SUNドメイン含有タンパク質(例えば、SUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4およびSUCOから選択されるSUNドメイン含有タンパク質)の様式で結合し得る。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質によって結合される領域と同じ、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの領域、または重複する領域に結合し得る。
【0101】
ポリペプチドが結合する所与の標的分子の領域は、抗体抗原複合体のX線共結晶解析、ペプチドスキャニング、突然変異誘発マッピング、質量分析による水素重水素交換分析、ファージディスプレイ、競合ELISAおよびタンパク質分解に基づく「保護」法を含む当技術分野において周知の種々の方法を使用して当業者によって決定され得る。そのような方法は、例えば、Gershoniら、BioDrugs、2007年、21(3):145~156頁に記載されている、前記文献はこれにより参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【0102】
一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質(例えば、SUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4およびSUCOから選択されるSUNドメイン含有タンパク質)とSUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナー(例えば、KASHドメイン含有タンパク質、例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される)との間の相互作用を阻害する。本明細書におけるSUNドメイン含有タンパク質とSUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーとの間の相互作用の阻害は、SUNドメイン含有タンパク質とSUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーとの間の結合の阻害(それにより、そのようなタンパク質を含む複合体の形成を阻害する)、ならびにSUNドメイン含有タンパク質およびSUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーを含む複合体の破壊(例えば、そのような複合体の構成要素タンパク質の置換、および結果としてのそのような複合体の解体を経て)を包含する。
【0103】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質(例えば、SUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4およびSUCOから選択されるSUNドメイン含有タンパク質)のSUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナー(例えば、KASHドメイン含有タンパク質、例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される)への結合を阻害する。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーへのSUNドメイン含有タンパク質の結合の競合的阻害剤である。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーへの結合からSUNドメイン含有タンパク質を遮断する。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質が結合するSUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの領域を占め、それにより、SUNドメイン含有タンパク質とそれに対する相互作用パートナーとの間の相互作用を阻害する。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質およびSUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーを含む複合体からSUNドメイン含有タンパク質を置き換える。
【0104】
2つの因子間の相互作用を阻害する所与のポリペプチドの能力は、例えば、相互作用パートナーの一方または両方とポリペプチドとの存在下で、またはインキュベーション後のそのような相互作用の相関の分析によって決定され得る。
【0105】
分析は、SUNドメイン含有タンパク質/SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナー/SUNドメイン含有タンパク質およびSUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーを含む複合体を検出することを含み得る。そのような技術は、当業者に周知であり、例えば、抗体/リポーターベースの方法(ウエスタンブロット、ELISA、免疫組織/細胞化学、等)を含む。
【0106】
所与の相互作用(例えば、SUNドメイン含有タンパク質とそれに対する相互作用パートナー、例えば、KASHドメイン含有タンパク質、との間)を阻害するポリペプチドは、ポリペプチドの非存在下(または、相互作用パートナー間の相互作用を阻害しないことが公知である適切な対照ポリペプチドの存在下)で観察されたレベルと比較して、ポリペプチドの存在下で、または相互作用パートナーの一方もしくは両方とポリペプチドとのインキュベーション後で、相互作用パートナー間の相互作用の相関物のレベルにおける低減/減少の観察によって同定される。好適な分析は、in vitroで、例えば、組換え相互作用パートナーを使用して、または相互作用パートナーを発現する細胞を使用して実施され得る。相互作用パートナーを発現する細胞は、内因的であり得るか、または細胞に導入された核酸由来であり得る。そのようなアッセイの目的のために、相互作用パートナーの一方または両方、および/またはポリペプチドは、相互作用のレベルを検出する、および/または測定する目的のために標識され得るか、または検出可能な構成体と共に使用され得る。
【0107】
2つの相互作用パートナー間の相互作用の相関物は、例えば、相互作用パートナー間の会合によって形成される複合体、相互作用パートナー間の会合によって形成される複合体の機能的特性、または相互作用パートナー間の会合によって形成される複合体によって媒介される下流活性の相関物であり得る。
【0108】
SUNドメイン含有タンパク質(例えば、SUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4およびSUCOから選択されるSUNドメイン含有タンパク質)とSUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナー(例えば、KASHドメイン含有タンパク質、例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される)との間の相互作用を阻害するポリペプチド-例えば、SUNドメイン含有タンパク質およびSUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーを含有する複合体の形成を阻害するポリペプチド、ならびに/またはSUNドメイン含有タンパク質およびSUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーを含有する複合体を破壊するポリペプチド-は、ポリペプチドの非存在下(または、相互作用パートナー間の相互作用を阻害しないことが公知である適切な対照ポリペプチドの存在下)で観察されたレベルと比較して、ポリペプチドの存在下で、または相互作用パートナーの一方もしくは両方とポリペプチドとのインキュベーション後で、(i)SUNドメイン含有タンパク質およびSUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーを含む複合体のレベルの減少、(ii)SUNドメイン含有タンパク質およびSUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーを含む複合体の機能的特性のレベルの減少、(iii)SUNドメイン含有タンパク質およびSUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーを含む複合体によって媒介される下流活性の相関物のレベルの減少、(iv)遊離の(すなわち、複合体化していない)SUNドメイン含有タンパク質のレベルの増加、および/または(v)遊離の(すなわち、複合体化していない)SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーのレベルの増加のうちの1つまたは複数の観察によって同定され得る。
【0109】
本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、LINC複合体タンパク質(例えば、SUNドメイン含有タンパク質またはSUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナー)の正常な細胞内局在を破壊し得る。
【0110】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、核エンベロープに局在するLINC複合体タンパク質のレベル/割合を低下させる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、核エンベロープに局在するLINC複合体タンパク質に対する相互作用パートナーレベル/割合を低下させる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、核外膜と会合するKASHドメイン含有タンパク質のレベル/割合を低下させる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、核内膜と会合するSUNドメイン含有タンパク質のレベル/割合を低下させる。
【0111】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、核エンベロープに局在しないLINC複合体タンパク質のレベル/割合を増加させる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、核外膜と会合しないKASHドメイン含有タンパク質(例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される)のレベル/割合を増加させる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、核内膜と会合しないSUNドメイン含有タンパク質(例えば、SUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4およびSUCOから選択される)のレベル/割合を増加させる。
【0112】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、小胞体に局在するLINC複合体タンパク質のレベル/割合を増加させる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、小胞体に局在するKASHドメイン含有タンパク質(例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される)のレベル/割合を増加させる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、核内膜と会合しないSUNドメイン含有タンパク質(例えば、SUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4およびSUCOから選択される)のレベル/割合を増加させる。
【0113】
細胞内でのLINC複合体の構成要素タンパク質の細胞内局在は、当業者に公知の技術を使用して分析され得る。そのような技術として、例えば、免疫組織染色およびレポーターに基づく方法による分析が挙げられる。例えば、Boniら、J.Cell Biology(2015)209(5):705-720およびSmoyerら、J.Cell Biology(2016)215(4):575~590は、ER、INMおよびONMにおけるタンパク質のイメージングを可能にするレポーターシステムを記載している。そのような方法は、核エンベロープ、核内膜および核外膜におけるLINC複合体の構成要素タンパク質のレベル/割合を分析するために使用され得る。
【0114】
LINC複合体タンパク質の正常な細胞内局在を破壊するLINC複合体阻害ポリペプチドは、所与の細胞内位置で関連するタンパク質(複数可)の存在を検出するまたは割合を決定するステップを含むアッセイを使用して、例えば、抗体/リポーターベースの方法(ウエスタンブロット、ELISA、免疫組織/細胞化学、等)を使用して、同定し得る。細胞内局在は、例えば、異なる細胞画分から調製される抽出物の免疫細胞化学、またはウエスタンブロットにより分析し得る、および小器官マーカーおよび/または既知の細胞内局在の標識されたタンパク質を用い得る。
【0115】
アッセイは、細胞において(例えば、細胞に(例えば、トランスフェクション/形質導入によって)導入された、ポリペプチドをコードする核酸から)推定LINC複合体阻害ポリペプチドを発現すること、および続いて、そのような細胞における関連LINC複合体タンパク質(複数可)の細胞内局在を適切な対照状態の細胞(例えば、非トランスフェクト細胞、空ベクターを用いてトランスフェクト/形質導入された細胞、または関連LINC複合体タンパク質(複数可)の細胞内局在に影響を与えないことが公知であるポリペプチドをコードする核酸を用いてトランスフェクト/形質導入された細胞)において観察された細胞内局在と比較することを含み得る。
【0116】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、本明細書の実施例1において本質的に記載された通りLINC複合体阻害ポリペプチドとして挙動するそれらの能力について評価され得る。
【0117】
推定LINC複合体阻害ポリペプチドを発現するための核酸は(例えば、トランスフェクションによって)細胞に導入されてよく、続いて細胞は、LINC複合体タンパク質(例えば、SUNドメイン含有タンパク質(例えば、SUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4およびSUCOから選択される)ならびに/またはSUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナー(例えば、KASHドメイン含有タンパク質、例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される))の1つまたは複数の細胞内局在を判定するために評価され得る。ポリペプチドは、適切な対照状態の細胞(例えば、非トランスフェクト細胞、空ベクターを用いてトランスフェクト/形質導入された細胞、または関連LINC複合体タンパク質(複数可)の細胞内局在に影響を与えないことが公知であるポリペプチドをコードする核酸を用いてトランスフェクト/形質導入された細胞)において観察されたレベル/割合と比較して、その発現が、かかるアッセイにおいて、核エンベロープに局在するLINC複合体タンパク質のレベル/割合を低下させるか、または核エンベロープに局在しないLINC複合体タンパク質のレベル/割合を増加させると決定された場合(例えば、その発現が、核外膜と会合するKASHドメイン含有タンパク質のレベル/割合を低下させるか、または核外膜と会合しないKASHドメイン含有タンパク質のレベル/割合を増加させるか、または小胞体に局在するKASHドメイン含有タンパク質のレベル/割合を増加させると決定された場合)に、LINC複合体阻害ポリペプチドとして同定され得る。
【0118】
一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドの細胞での発現は、所与のアッセイにおいてLINC複合体阻害ポリペプチドの非存在下で、または適切な対照状態で観察されたレベルの1倍未満/100%未満、例えば、≦0.99倍/≦99%、≦0.95倍/≦95%、≦0.9倍/≦90%、≦0.85倍/≦85%、≦0.8倍/≦80%、≦0.75倍/≦75%、≦0.7倍/≦70%、≦0.65倍/≦65%、≦0.6倍/≦60%、≦0.55倍/≦55%、≦0.5倍/≦50%、≦0.45倍/≦45%、≦0.4倍/≦40%、≦0.35倍/≦35%、≦0.3倍/≦30%、≦0.25倍/≦25%、≦0.2倍/≦20%、≦0.15倍/≦15%、≦0.1倍/≦10%倍、≦0.05倍/≦5%または≦0.01倍/≦1%のうちの1つに、(i)LINC複合体の構成要素タンパク質の間(例えば、SUNドメイン含有タンパク質とKASHドメイン含有タンパク質との間)の相互作用のレベルを低下させる、(ii)LINC複合体(例えば、SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むLINC複合体)のレベルを低下させる、(iii)LINC複合体(例えば、SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むLINC複合体)の機能/活性の相関物のレベルを低下させる、(iv)核エンベロープに局在するLINC複合体タンパク質(例えば、SUNドメイン含有タンパク質もしくはKASHドメイン含有タンパク質)のレベル/割合を低下させる、ならびに/または(v)核エンベロープ/核外膜に局在するKASHドメイン含有タンパク質(例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される)のレベル/割合を低下させる。
【0119】
前段に従った低減の好ましいレベルは、0.5倍以下/≦50%、例えば、≦0.4倍/≦40%、≦0.3倍/≦30%、≦0.2倍/≦20%、≦0.15倍/≦15%、または≦0.1倍/≦10%のうちの1つへの低減である。
【0120】
一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドの細胞での発現は、所与のアッセイにおいてLINC複合体阻害ポリペプチドの非存在下で、または適切な対照状態で観察されたレベルの1倍を超えて、例えば、≧1.01倍、≧1.02倍、≧1.03倍、≧1.04倍、≧1.05倍、≧1.1倍、≧1.2倍、≧1.3倍、≧1.4倍、≧1.5倍、≧1.6倍、≧1.7倍、≧1.8倍、≧1.9倍、≧2倍、≧3倍、≧4倍、≧5倍、≧6倍、≧7倍、≧8倍、≧9倍、≧10倍、≧50倍または≧100倍のうちの1つに、(i)核エンベロープに局在しないLINC複合体タンパク質(例えば、SUNドメイン含有タンパク質もしくはKASHドメイン含有タンパク質)のレベル/割合を増加させる、および/または(ii)小胞体に局在するLINC複合体タンパク質(例えば、SUNドメイン含有タンパク質もしくはKASHドメイン含有タンパク質)のレベル/割合を増加させる。
【0121】
ポリペプチドは、適切なin vivoモデルにおいてある特定の機能的特性について評価され得る。例えば、ポリペプチドは、本明細書に記載される疾患/状態の非ヒト動物モデルにおいてin vivoでの治療/予防効果について評価され得る。そのようなアッセイでは、ポリペプチドは、例えば、LINC複合体阻害が治療/予防利益を付与する細胞/組織に対する適切なトロピズムを有するウイルスベクターを使用して、タンパク質をコードする核酸の形態で送達され得る。実例として、本開示の実験的実施例では、推定LINC複合体阻害ポリペプチドは、Lmnaの誘導性心筋細胞特異的欠失によって確立された拡張型心筋症のマウスモデルにおいて評価される-実施例5を参照されたい。推定LINC複合体阻害ポリペプチドは、心筋細胞特異的プロモーターの制御下でポリペプチドを発現するAAV9ベクターの形態で、遺伝子治療として送達される。
【0122】
対象の生存期間および生存は、そのようなモデルにおいて経時的に生存をモニタリングすることによって評価され得る。心機能および心筋収縮力は、これらの相関物を測定するステップによって評価することができ、駆出率、短縮率、左心室後壁厚および/または左心室内径は、心エコー/超音波によって測定され得る。
【0123】
対象が、特定の時点で、例えば、関連モデルにおいてポリペプチドの投与の効果が観察されるために十分な期間後に、前段に列挙されている1つまたは複数の特性について好ましくは評価されることは理解される。例えば、対象は、推定LINC複合体阻害ポリペプチドをコードするウイルスベクターの投与後7日間以後に評価され得る。
【0124】
一部の実施形態では、ラミノパチーを有する対象への本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドの投与(例えば、LMNAへの突然変異に関連する心筋症;例えば、LINC複合体阻害ポリペプチドをコードするウイルスベクターを介して)は、そのような処置の非存在下で、または適切な対照ポリペプチド(例えば、LINC複合体を阻害しないことが公知のポリペプチド、例えば、同じウイルスベクターを使用して送達される)の投与後に観察されるレベルの、1倍を超えて、例えば、≧1.01倍、≧1.02倍、≧1.03倍、≧1.04倍、≧1.05倍、≧1.1倍、≧1.2倍、≧1.3倍、≧1.4倍、≧1.5倍、≧1.6倍、≧1.7倍、≧1.8倍、≧1.9倍、≧2倍、≧3倍、≧4倍、≧5倍、≧6倍、≧7倍、≧8倍、≧9倍、≧10倍、≧50倍または≧100倍のうちの1つに、対象の生存もしくは生存期間を増やす、ならびに/または対象における心機能、心筋収縮力、駆出率、短縮率および/もしくは左心室後壁厚を増加させる。
【0125】
一部の実施形態では、ラミノパチーを有する対象への本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドの投与(例えば、LMNAへの突然変異に関連する心筋症;例えば、LINC複合体阻害ポリペプチドをコードするウイルスベクターを介して)は、そのような処置の非存在下で、または適切な対照ポリペプチド(例えば、LINC複合体を阻害しないことが公知のポリペプチド、例えば、同じウイルスベクターを使用して送達される)の投与後に観察されるレベルの、1倍未満/100%未満、例えば、≦0.99倍/≦99%、≦0.95倍/≦95%、≦0.9倍/≦90%、≦0.85倍/≦85%、≦0.8倍/≦80%、≦0.75倍/≦75%、≦0.7倍/≦70%、≦0.65倍/≦65%、≦0.6倍/≦60%、≦0.55倍/≦55%、≦0.5倍/≦50%、≦0.45倍/≦45%、≦0.4倍/≦40%、≦0.35倍/≦35%、≦0.3倍/≦30%、≦0.25倍/≦25%、≦0.2倍/≦20%、≦0.15倍/≦15%、≦0.1倍/≦10%倍、≦0.05倍/≦5%または≦0.01倍/≦1%のうちの1つに、対象において左心室内径を低下させる。
【0126】
一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号99のアミノ酸配列からなるLINC複合体阻害ポリペプチドと比較して、1つまたは複数の新規の、または改善された機能的特性を有し得る。
【0127】
一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドの細胞での発現は、配列番号99のアミノ酸配列からなるポリペプチドの細胞での(例えば、同じ種類の細胞による)発現において観察されるレベルの1倍未満/100%未満、例えば、≦0.99倍/≦99%、≦0.95倍/≦95%、≦0.9倍/≦90%、≦0.85倍/≦85%、≦0.8倍/≦80%、≦0.75倍/≦75%、≦0.7倍/≦70%、≦0.65倍/≦65%、≦0.6倍/≦60%、≦0.55倍/≦55%、≦0.5倍/≦50%、≦0.45倍/≦45%、≦0.4倍/≦40%、≦0.35倍/≦35%、≦0.3倍/≦30%、≦0.25倍/≦25%、≦0.2倍/≦20%、≦0.15倍/≦15%、≦0.1倍/≦10%倍、≦0.05倍/≦5%または≦0.01倍/≦1%のうちの1つに、(i)LINC複合体の構成要素タンパク質の間(例えば、SUNドメイン含有タンパク質とKASHドメイン含有タンパク質との間)の相互作用のレベルを低下させる、(ii)LINC複合体(例えば、SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むLINC複合体)のレベルを低下させる、(iii)LINC複合体(例えば、SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むLINC複合体)の機能/活性の相関物のレベルを低下させる、(iv)核エンベロープに局在するLINC複合体タンパク質(例えば、SUNドメイン含有タンパク質もしくはKASHドメイン含有タンパク質)のレベル/割合を低下させる、ならびに/または(v)核エンベロープ/核外膜に局在するKASHドメイン含有タンパク質(例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される)のレベル/割合を低下させる。
【0128】
一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドの細胞での発現は、配列番号99のアミノ酸配列からなるポリペプチドの細胞での(例えば、同じ種類の細胞による)発現において観察されるレベルの1倍を超えて、例えば、≧1.01倍、≧1.02倍、≧1.03倍、≧1.04倍、≧1.05倍、≧1.1倍、≧1.2倍、≧1.3倍、≧1.4倍、≧1.5倍、≧1.6倍、≧1.7倍、≧1.8倍、≧1.9倍、≧2倍、≧3倍、≧4倍、≧5倍、≧6倍、≧7倍、≧8倍、≧9倍、≧10倍、≧50倍または≧100倍のうちの1つに、(i)核エンベロープに局在しないLINC複合体タンパク質(例えば、SUNドメイン含有タンパク質もしくはKASHドメイン含有タンパク質)のレベル/割合を増加させる、および/または(ii)小胞体に局在するLINC複合体タンパク質(例えば、SUNドメイン含有タンパク質もしくはKASHドメイン含有タンパク質)のレベル/割合を、増加させる。
【0129】
一部の実施形態では、ラミノパチーを有する対象への本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドの投与(例えば、LMNAへの突然変異に関連する心筋症;例えば、LINC複合体阻害ポリペプチドをコードするウイルスベクターを介して)は、配列番号99のアミノ酸配列からなるポリペプチドの投与(例えば、同じウイルスベクターを使用する送達)後に観察されるレベルの1倍を超えて、例えば、≧1.01倍、≧1.02倍、≧1.03倍、≧1.04倍、≧1.05倍、≧1.1倍、≧1.2倍、≧1.3倍、≧1.4倍、≧1.5倍、≧1.6倍、≧1.7倍、≧1.8倍、≧1.9倍、≧2倍、≧3倍、≧4倍、≧5倍、≧6倍、≧7倍、≧8倍、≧9倍、≧10倍、≧50倍または≧100倍のうちの1つに、対象の生存もしくは生存期間を増やす、ならびに/または対象における心機能、心筋収縮力、駆出率、短縮率および/もしくは左心室後壁厚を増加させる。
【0130】
一部の実施形態では、ラミノパチーを有する対象への本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドの投与(例えば、LMNAへの突然変異に関連する心筋症;例えば、LINC複合体阻害ポリペプチドをコードするウイルスベクターを介して)は、配列番号99のアミノ酸配列からなるポリペプチドの投与(例えば、同じウイルスベクターを使用する送達)後に観察されるレベルの、1倍未満/100%未満、例えば、≦0.99倍/≦99%、≦0.95倍/≦95%、≦0.9倍/≦90%、≦0.85倍/≦85%、≦0.8倍/≦80%、≦0.75倍/≦75%、≦0.7倍/≦70%、≦0.65倍/≦65%、≦0.6倍/≦60%、≦0.55倍/≦55%、≦0.5倍/≦50%、≦0.45倍/≦45%、≦0.4倍/≦40%、≦0.35倍/≦35%、≦0.3倍/≦30%、≦0.25倍/≦25%、≦0.2倍/≦20%、≦0.15倍/≦15%、≦0.1倍/≦10%倍、≦0.05倍/≦5%または≦0.01倍/≦1%のうちの1つに、対象において左心室内径を低下させる。
【0131】
本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、例えば、SUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4およびSUCOから選択されるSUNドメイン含有タンパク質に基づいてよい。一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、例えば、SUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4およびSUCOから選択されるSUNドメイン含有タンパク質に基づく阻害領域を含む。
【0132】
本明細書において使用される場合、参照タンパク質「に基づいて」いるペプチド/ポリペプチド/アミノ酸配列は、参照タンパク質のアミノ酸の全てまたは一部に高配列同一性(例えば、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。
【0133】
LINC複合体阻害ポリペプチドの「阻害領域」は、それを通じてLINC複合体阻害が達成されるポリペプチドの領域を指す。本開示に従った阻害領域は、SUNドメイン含有タンパク質のアミノ酸配列の一部に高い程度の配列同一性を典型的には有する。本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域は、LINC複合体阻害ポリペプチドがSUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナー(例えば、KASHドメイン含有タンパク質、例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPの1つまたは複数)に結合する際に用いる領域であり得る。本開示の態様および実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域は、SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα3ヘリックスおよびSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む。
【0134】
本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、例えば、SUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4およびSUCOから選択されるSUNドメイン含有タンパク質の全てまたは一部のアミノ酸配列に、高い程度の配列同一性(例えば、少なくとも80%、85% 86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むまたはから本質的になることができる。本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、例えば、SUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4およびSUCOから選択されるSUNドメイン含有タンパク質の全てまたは一部のアミノ酸配列に、高い程度の配列同一性(例えば、少なくとも80%、85% 86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる阻害領域を含むことができる。
【0135】
そのようなLINC複合体阻害ポリペプチドは、好ましくは(i)KASHドメイン含有タンパク質(例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPの1つまたは複数)に結合するための基となるSUNドメイン含有タンパク質の能力を保持している、しかし(ii)それらの基となる、SUNドメイン含有タンパク質の1つもしくは複数の他の特性を欠失している、またはそのレベルの低下を示す。好ましい実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、核ラミンおよび/もしくはクロマチン結合タンパク質に結合する能力を欠失している、もしくは能力の低下を示す、ならびに/またはそれらの基となるSUNドメイン含有タンパク質と比較して、核内膜に会合する(例えば、局在する)能力を欠失している、もしくは能力の低下を示す。
【0136】
例えば、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチド/その阻害領域は、KASHドメイン含有タンパク質(例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPの1つまたは複数)に結合するために必要なアミノ酸配列(複数可)を含む場合があり、それらの基となるSUNドメイン含有タンパク質の1つまたは複数の他の特性のために必要なアミノ酸配列(複数可)(例えば、核ラミンおよび/もしくはクロマチン結合タンパク質への結合のために必要なアミノ酸配列(複数可)、ならびに/または核内膜との会合のために必要なアミノ酸配列(複数可))を欠失している場合がある。
【0137】
一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドが、SUNドメイン含有タンパク質のKASHドメイン含有タンパク質結合断片から本質的になることは理解される。同様に、一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域が、SUNドメイン含有タンパク質のKASHドメイン含有タンパク質結合断片からなることは理解される。
【0138】
そのようなLINC複合体阻害ポリペプチドは、それらの基となるSUNドメイン含有タンパク質の「デコイ」、「ドミナントネガティブ」または「模倣」バージョンと呼ばれる場合がある。すなわち、本開示の態様および実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ドミナントネガティブSUNドメイン含有ポリペプチドであり得る。
【0139】
本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質(例えば、SUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4およびSUCOから選択される)とKASHドメイン含有タンパク質(例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される)との間の相互作用の競合的阻害を好ましくは示す。デコイ/ドミナントネガティブ/模倣LINC複合体阻害ポリペプチドは、KASHドメイン含有タンパク質(例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5およびLRMPから選択される)に好ましくは結合し、相互作用のために必要な部位を占め、それにより、これらの種が内在性SUNドメイン含有タンパク質に結合できなくする。
【0140】
そのようなLINC複合体阻害ポリペプチドは、LINC複合体の形成を阻害し得る、ならびに/または内在性相互作用パートナーの組立ての阻害を経ておよび/もしくは内在性相互作用パートナーの置換を経て既存のLINC複合体を破壊し得る。デコイ/ドミナントネガティブ/模倣LINC複合体阻害ポリペプチドは、非機能性LINC複合体、または野生型内在性SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質によって形成されるLINC複合体と比較して機能のレベルが低下したLINC複合体を形成する。
【0141】
本明細書上記の通り、SUNドメイン含有タンパク質のドミナントネガティブバージョンは、以前記載された。例えば、Crispら、J Cell Biol.(2006)172(1):41~53頁はマウスSun1タンパク質のドミナントネガティブバージョンを記載し、WO2019/143300A1はそのヒト化バージョンを記載した。
【0142】
本開示に従った態様および実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα3ヘリックスおよびSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む。SUNドメイン含有タンパク質の1つまたは複数の領域に対応する、本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチドのアミノ酸配列(複数可)が、LINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域に含まれ得ることは理解される。
【0143】
本明細書において使用される場合、参照ポリペプチドまたはアミノ酸配列の特定の領域に「対応する」アミノ酸配列は、ポリペプチド/アミノ酸配列のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有する。参照ポリペプチドまたはアミノ酸配列の特定の領域に「対応する」アミノ酸配列は、例えば、ClustalOmega(Soding,J.2005年、Bioinformatics 21、951~960頁)等の配列アラインメントソフトウェアを使用する、参照配列への対象配列の配列アラインメントによって同定され得る。実例として、ヒトSUN2の522から717位のアミノ酸配列は、ヒトSUN1の616から812位のアミノ酸配列に対応する。
【0144】
一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトアミノ酸配列から本質的になる。一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域は、ヒトアミノ酸配列から本質的になる。本明細書において使用される場合、「ヒトアミノ酸配列」は、ヒトのゲノムの核酸によってコードされるアミノ酸配列を指す。すなわち、一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドまたはLINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域は、ヒト対象のゲノムによってコードされるアミノ酸配列に100%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列から本質的になる。一部の実施形態では、ヒト対象のゲノムによってコードされるアミノ酸配列が、ヒトSUNドメイン含有タンパク質(例えば、SUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4およびSUCOから選択される;例えば、SUN1またはSUN2)のアミノ酸配列であることは理解される。LINC複合体阻害ポリペプチドのそのような実施形態は、例えば、本開示に従った治療/予防介入の状況で、ヒト対象への投与が意図される場合に特に企図される。
【0145】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα3ヘリックスに対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN1のCC2領域のα3ヘリックスに対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN2のCC2領域のα3ヘリックスに対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号12のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号22のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0146】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質のSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN1のSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN2のSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号8のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号18のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0147】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα3ヘリックスおよびSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN1のCC2領域のα3ヘリックスおよびSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN2のCC2領域のα3ヘリックスおよびSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む阻害領域を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号44のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号46のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0148】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα2ヘリックスに対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN1のCC2領域のα2ヘリックスに対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN2のCC2領域のα2ヘリックスに対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号11のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号21のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0149】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα1ヘリックスに対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN1のCC2領域のα1ヘリックスに対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN2のCC2領域のα1ヘリックスに対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号10のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0150】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質のCC1領域に対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN1のCC1領域に対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN2のCC1領域に対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号19のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0151】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質のCC1領域およびCC2領域に対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN1のCC1領域およびCC2領域に対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN2のCC1領域およびCC2領域に対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号88のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号91のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0152】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域に対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN1のCC2領域に対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN2のCC2領域に対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号89のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号92のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0153】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα2およびα3ヘリックスに対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN1のCC2領域のα2およびα3ヘリックスに対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN2のCC2領域のα2およびα3ヘリックスに対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号90のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号93のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0154】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質のSMARTコイル-コイルド2領域の一部、CC1領域およびCC2領域に対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN1の483から632位(配列番号1に従った番号付け)に対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ヒトSUN2の388から538位(配列番号13に従った番号付け)に対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号97のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号98のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0155】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、先行技術において開示されたSUNドメイン含有タンパク質のドミナントネガティブバージョンのアミノ酸配列から本質的にならない。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、先行技術において開示されたSUNドメイン含有タンパク質の切断型バリアントのアミノ酸配列から本質的にならない。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、先行技術において開示されたSUNドメイン含有タンパク質のドミナントネガティブバージョンのアミノ酸配列からなる阻害領域を含まない。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、先行技術において開示されたSUNドメイン含有タンパク質の切断型バリアントのアミノ酸配列からなる阻害領域を含まない。
【0156】
本明細書において使用される場合、参照アミノ酸配列「から本質的になる」ポリペプチドまたはアミノ酸配列は、(i)参照アミノ酸配列からなるか、または(ii)参照アミノ酸配列を含むかのいずれかであり、参照アミノ酸配列は、ポリペプチド/アミノ酸配列の少なくとも80%(例えば、≧85% ≧86%、≧87%、≧88%、≧89%、≧90%、≧91%、≧92%、≧93%、≧94%、≧95%、≧96%、≧97%、≧98%、≧99%のうちの1つ)を構成する。参照アミノ酸配列「から本質的になる」ポリペプチドまたはアミノ酸配列が、参照アミノ酸配列ならびに、追加のアミノ酸(複数可)を追加のアミノ酸(複数可)がポリペプチド/アミノ酸配列の≦20%を構成する条件で、参照アミノ酸配列のN末端およびC末端の一方または両方に含み得ることは理解される。
【0157】
実例として、配列番号74のアミノ酸配列からなるポリペプチドは、配列番号44のアミノ酸配列から本質的になる。配列番号74は、配列番号44(すなわち、配列番号74の1から197位)のアミノ酸配列を含み、配列番号44のアミノ酸配列は、ポリペプチドの約98%(すなわち、197/201残基)を構成する。配列番号74は、配列番号44のアミノ酸配列のC末端にKDEL保持モチーフ(配列番号77)を含む。
【0158】
一部の実施形態では、参照アミノ酸配列から本質的になるアミノ酸配列は、参照アミノ酸配列からなる。すなわち、一部の実施形態では、参照アミノ酸配列から本質的になるアミノ酸配列は、参照アミノ酸配列と同一である。一部の実施形態では、参照アミノ酸配列から本質的になるアミノ酸配列は、参照アミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を含み、参照配列の一末端または両末端に1つまたは複数の追加のアミノ酸(複数可)(例えば1~5、1~10または1~20アミノ酸)をさらに含む。
【0159】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号43または45のアミノ酸配列から本質的にならない。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号43または45のいずれか1つのアミノ酸配列からなる阻害領域を含まない。
【0160】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号44または46のアミノ酸配列から本質的にならない。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号44または46のいずれか1つのアミノ酸配列からなる阻害領域を含まない。
【0161】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号43、44、45または46のアミノ酸配列から本質的にならない。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号43、44、45または46のいずれか1つのアミノ酸配列からなる阻害領域を含まない。
【0162】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号43、44、45、46、47または48のいずれか1つのアミノ酸配列から本質的にならない。
【0163】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号43、44、45、46、47、48、74または75のいずれか1つのアミノ酸配列から本質的にならない。
【0164】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号43、44、45、46、47、48、58、49、50、51、52、53、54、55、56、57、74または75のいずれか1つのアミノ酸配列から本質的にならない。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号43、44、45、46、47、48、58、49、50、51、52、53、54、55、56、57、74または75のいずれか1つのアミノ酸配列からなる阻害領域を含まない。
【0165】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、74または75のいずれか1つのアミノ酸配列から本質的にならない。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、74または75のいずれか1つのアミノ酸配列からなる阻害領域を含まない。
【0166】
本開示は、配列番号43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、94または95のいずれか1つの個別の、または1つもしくは複数の他の特定の配列と併せたアミノ酸配列から本質的になるLINC複合体阻害ポリペプチドを放棄することを具体的に企図する。本開示は、配列番号43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、94または95のいずれか1つの個別の、または1つもしくは複数の他の特定の配列と併せてのいずれかのアミノ酸配列からなる阻害領域を含むLINC複合体阻害ポリペプチドを放棄することも具体的に企図する。
【0167】
しかし、本開示のある特定の態様および実施形態に関連して、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、94または95のいずれか1つのアミノ酸配列を含むまたはから本質的になることができる。同様に、本開示のある特定の態様および実施形態に関連して、LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、94または95のいずれか1つのアミノ酸配列からなる阻害領域を含むことができる。
【0168】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号63のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号64のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号65のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号66のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号67のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号68のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号69のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号70のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号71のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号72のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号73のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号74のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号94のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号95のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。
【0169】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号101のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号102のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号103のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。
【0170】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号104のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号105のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号106のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号107のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号108のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号109のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。
【0171】
一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号1の360~812位;配列番号1の361~812位;配列番号1の362~812位;配列番号1の363~812位;配列番号1の364~812位;配列番号1の365~812位;配列番号1の366~812位;配列番号1の367~812位;配列番号1の368~812位;配列番号1の369~812位;配列番号1の370~812位;配列番号1の371~812位;配列番号1の372~812位;配列番号1の373~812位;配列番号1の374~812位;配列番号1の375~812位;配列番号1の376~812位;配列番号1の377~812位;配列番号1の378~812位;配列番号1の379~812位;配列番号1の380~812位;配列番号1の381~812位;配列番号1の382~812位;配列番号1の383~812位;配列番号1の384~812位;配列番号1の385~812位;配列番号1の386~812位;配列番号1の387~812位;配列番号1の388~812位;配列番号1の389~812位;配列番号1の390~812位;配列番号1の391~812位;配列番号1の392~812位;配列番号1の393~812位;配列番号1の394~812位;配列番号1の395~812位;配列番号1の396~812位;配列番号1の397~812位;配列番号1の398~812位;配列番号1の399~812位;配列番号1の400~812位;配列番号1の401~812位;配列番号1の402~812位;配列番号1の403~812位;配列番号1の404~812位;配列番号1の405~812位;配列番号1の406~812位;配列番号1の407~812位;配列番号1の408~812位;配列番号1の409~812位;配列番号1の410~812位;配列番号1の411~812位;配列番号1の412~812位;配列番号1の413~812位;配列番号1の414~812位;配列番号1の415~812位;配列番号1の416~812位;配列番号1の417~812位;配列番号1の418~812位;配列番号1の419~812位;配列番号1の420~812位;配列番号1の421~812位;配列番号1の422~812位;配列番号1の423~812位;配列番号1の424~812位;配列番号1の425~812位;配列番号1の426~812位;配列番号1の427~812位;配列番号1の428~812位;配列番号1の429~812位;配列番号1の430~812位;配列番号1の431~812位;配列番号1の432~812位;配列番号1の433~812位;配列番号1の434~812位;配列番号1の435~812位;配列番号1の436~812位;配列番号1の437~812位;配列番号1の438~812位;配列番号1の439~812位;配列番号1の440~812位;配列番号1の441~812位;配列番号1の442~812位;配列番号1の443~812位;配列番号1の444~812位;配列番号1の445~812位;配列番号1の446~812位;配列番号1の447~812位;配列番号1の448~812位;配列番号1の449~812位;配列番号1の450~812位;配列番号1の451~812位;配列番号1の452~812位;配列番号1の453~812位;配列番号1の454~812位;配列番号1の455~812位;配列番号1の456~812位;配列番号1の457~812位;配列番号1の458~812位;配列番号1の459~812位;配列番号1の460~812位;配列番号1の461~812位;配列番号1の462~812位;配列番号1の463~812位;配列番号1の464~812位;配列番号1の465~812位;配列番号1の466~812位;配列番号1の467~812位;配列番号1の468~812位;配列番号1の469~812位;配列番号1の470~812位;配列番号1の471~812位;配列番号1の472~812位;配列番号1の473~812位;配列番号1の474~812位;配列番号1の475~812位;配列番号1の476~812位;配列番号1の477~812位;配列番号1の478~812位;配列番号1の479~812位;配列番号1の480~812位;配列番号1の481~812位;配列番号1の482~812位;配列番号1の483~812位;配列番号1の484~812位;配列番号1の485~812位;配列番号1の486~812位;配列番号1の487~812位;配列番号1の488~812位;配列番号1の489~812位;配列番号1の490~812位;配列番号1の491~812位;配列番号1の492~812位;配列番号1の493~812位;配列番号1の494~812位;配列番号1の495~812位;配列番号1の496~812位;配列番号1の497~812位;配列番号1の498~812位;配列番号1の499~812位;配列番号1の500~812位;配列番号1の501~812位;配列番号1の502~812位;配列番号1の503~812位;配列番号1の504~812位;配列番号1の505~812位;配列番号1の506~812位;配列番号1の507~812位;配列番号1の508~812位;配列番号1の509~812位;配列番号1の510~812位;配列番号1の511~812位;配列番号1の512~812位;配列番号1の513~812位;配列番号1の514~812位;配列番号1の515~812位;配列番号1の516~812位;配列番号1の517~812位;配列番号1の518~812位;配列番号1の519~812位;配列番号1の520~812位;配列番号1の521~812位;配列番号1の522~812位;配列番号1の523~812位;配列番号1の524~812位;配列番号1の525~812位;配列番号1の526~812位;配列番号1の527~812位;配列番号1の528~812位;配列番号1の529~812位;配列番号1の530~812位;配列番号1の531~812位;配列番号1の532~812位;配列番号1の533~812位;配列番号1の534~812位;配列番号1の535~812位;配列番号1の536~812位;配列番号1の537~812位;配列番号1の538~812位;配列番号1の539~812位;配列番号1の540~812位;配列番号1の541~812位;配列番号1の542~812位;配列番号1の543~812位;配列番号1の544~812位;配列番号1の545~812位;配列番号1の546~812位;配列番号1の547~812位;配列番号1の548~812位;配列番号1の549~812位;配列番号1の550~812位;配列番号1の551~812位;配列番号1の552~812位;配列番号1の553~812位;配列番号1の554~812位;配列番号1の555~812位;配列番号1の556~812位;配列番号1の557~812位;配列番号1の558~812位;配列番号1の559~812位;配列番号1の560~812位;配列番号1の561~812位;配列番号1の562~812位;配列番号1の563~812位;配列番号1の564~812位;配列番号1の565~812位;配列番号1の566~812位;配列番号1の567~812位;配列番号1の568~812位;配列番号1の569~812位;配列番号1の570~812位;配列番号1の571~812位;配列番号1の572~812位;配列番号1の573~812位;配列番号1の574~812位;配列番号1の575~812位;配列番号1の576~812位;配列番号1の577~812位;配列番号1の578~812位;配列番号1の579~812位;配列番号1の580~812位;配列番号1の581~812位;配列番号1の582~812位;配列番号1の583~812位;配列番号1の584~812位;配列番号1の585~812位;配列番号1の586~812位;配列番号1の587~812位;配列番号1の588~812位;配列番号1の589~812位;配列番号1の590~812位;配列番号1の591~812位;配列番号1の592~812位;配列番号1の593~812位;配列番号1の594~812位;配列番号1の595~812位;配列番号1の596~812位;配列番号1の597~812位;配列番号1の598~812位;配列番号1の599~812位;配列番号1の600~812位;配列番号1の601~812位;配列番号1の602~812位;配列番号1の603~812位;配列番号1の604~812位;配列番号1の605~812位;配列番号1の606~812位;配列番号1の607~812位;配列番号1の608~812位;配列番号1の609~812位;配列番号1の610~812位;配列番号1の611~812位;配列番号1の612~812位;配列番号1の613~812位;配列番号1の614~812位;配列番号1の615~812位;および配列番号1の616~812位のうちの1つに対応するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。
【0172】
一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号13の258~717位;配列番号13の259~717位;配列番号13の260~717位;配列番号13の261~717位;配列番号13の262~717位;配列番号13の263~717位;配列番号13の264~717位;配列番号13の265~717位;配列番号13の266~717位;配列番号13の267~717位;配列番号13の268~717位;配列番号13の269~717位;配列番号13の270~717位;配列番号13の271~717位;配列番号13の272~717位;配列番号13の273~717位;配列番号13の274~717位;配列番号13の275~717位;配列番号13の276~717位;配列番号13の277~717位;配列番号13の278~717位;配列番号13の279~717位;配列番号13の280~717位;配列番号13の281~717位;配列番号13の282~717位;配列番号13の283~717位;配列番号13の284~717位;配列番号13の285~717位;配列番号13の286~717位;配列番号13の287~717位;配列番号13の288~717位;配列番号13の289~717位;配列番号13の290~717位;配列番号13の291~717位;配列番号13の292~717位;配列番号13の293~717位;配列番号13の294~717位;配列番号13の295~717位;配列番号13の296~717位;配列番号13の297~717位;配列番号13の298~717位;配列番号13の299~717位;配列番号13の300~717位;配列番号13の301~717位;配列番号13の302~717位;配列番号13の303~717位;配列番号13の304~717位;配列番号13の305~717位;配列番号13の306~717位;配列番号13の307~717位;配列番号13の308~717位;配列番号13の309~717位;配列番号13の310~717位;配列番号13の311~717位;配列番号13の312~717位;配列番号13の313~717位;配列番号13の314~717位;配列番号13の315~717位;配列番号13の316~717位;配列番号13の317~717位;配列番号13の318~717位;配列番号13の319~717位;配列番号13の320~717位;配列番号13の321~717位;配列番号13の322~717位;配列番号13の323~717位;配列番号13の324~717位;配列番号13の325~717位;配列番号13の326~717位;配列番号13の327~717位;配列番号13の328~717位;配列番号13の329~717位;配列番号13の330~717位;配列番号13の331~717位;配列番号13の332~717位;配列番号13の333~717位;配列番号13の334~717位;配列番号13の335~717位;配列番号13の336~717位;配列番号13の337~717位;配列番号13の338~717位;配列番号13の339~717位;配列番号13の340~717位;配列番号13の341~717位;配列番号13の342~717位;配列番号13の343~717位;配列番号13の344~717位;配列番号13の345~717位;配列番号13の346~717位;配列番号13の347~717位;配列番号13の348~717位;配列番号13の349~717位;配列番号13の350~717位;配列番号13の351~717位;配列番号13の352~717位;配列番号13の353~717位;配列番号13の354~717位;配列番号13の355~717位;配列番号13の356~717位;配列番号13の357~717位;配列番号13の358~717位;配列番号13の359~717位;配列番号13の360~717位;配列番号13の361~717位;配列番号13の362~717位;配列番号13の363~717位;配列番号13の364~717位;配列番号13の365~717位;配列番号13の366~717位;配列番号13の367~717位;配列番号13の368~717位;配列番号13の369~717位;配列番号13の370~717位;配列番号13の371~717位;配列番号13の372~717位;配列番号13の373~717位;配列番号13の374~717位;配列番号13の375~717位;配列番号13の376~717位;配列番号13の377~717位;配列番号13の378~717位;配列番号13の379~717位;配列番号13の380~717位;配列番号13の381~717位;配列番号13の382~717位;配列番号13の383~717位;配列番号13の384~717位;配列番号13の385~717位;配列番号13の386~717位;配列番号13の387~717位;配列番号13の388~717位;配列番号13の389~717位;配列番号13の390~717位;配列番号13の391~717位;配列番号13の392~717位;配列番号13の393~717位;配列番号13の394~717位;配列番号13の395~717位;配列番号13の396~717位;配列番号13の397~717位;配列番号13の398~717位;配列番号13の399~717位;配列番号13の400~717位;配列番号13の401~717位;配列番号13の402~717位;配列番号13の403~717位;配列番号13の404~717位;配列番号13の405~717位;配列番号13の406~717位;配列番号13の407~717位;配列番号13の408~717位;配列番号13の409~717位;配列番号13の410~717位;配列番号13の411~717位;配列番号13の412~717位;配列番号13の413~717位;配列番号13の414~717位;配列番号13の415~717位;配列番号13の416~717位;配列番号13の417~717位;配列番号13の418~717位;配列番号13の419~717位;配列番号13の420~717位;配列番号13の421~717位;配列番号13の422~717位;配列番号13の423~717位;配列番号13の424~717位;配列番号13の425~717位;配列番号13の426~717位;配列番号13の427~717位;配列番号13の428~717位;配列番号13の429~717位;配列番号13の430~717位;配列番号13の431~717位;配列番号13の432~717位;配列番号13の433~717位;配列番号13の434~717位;配列番号13の435~717位;配列番号13の436~717位;配列番号13の437~717位;配列番号13の438~717位;配列番号13の439~717位;配列番号13の440~717位;配列番号13の441~717位;配列番号13の442~717位;配列番号13の443~717位;配列番号13の444~717位;配列番号13の445~717位;配列番号13の446~717位;配列番号13の447~717位;配列番号13の448~717位;配列番号13の449~717位;配列番号13の450~717位;配列番号13の451~717位;配列番号13の452~717位;配列番号13の453~717位;配列番号13の454~717位;配列番号13の455~717位;配列番号13の456~717位;配列番号13の457~717位;配列番号13の458~717位;配列番号13の459~717位;配列番号13の460~717位;配列番号13の461~717位;配列番号13の462~717位;配列番号13の463~717位;配列番号13の464~717位;配列番号13の465~717位;配列番号13の466~717位;配列番号13の467~717位;配列番号13の468~717位;配列番号13の469~717位;配列番号13の470~717位;配列番号13の471~717位;配列番号13の472~717位;配列番号13の473~717位;配列番号13の474~717位;配列番号13の475~717位;配列番号13の476~717位;配列番号13の477~717位;配列番号13の478~717位;配列番号13の479~717位;配列番号13の480~717位;配列番号13の481~717位;配列番号13の482~717位;配列番号13の483~717位;配列番号13の484~717位;配列番号13の485~717位;配列番号13の486~717位;配列番号13の487~717位;配列番号13の488~717位;配列番号13の489~717位;配列番号13の490~717位;配列番号13の491~717位;配列番号13の492~717位;配列番号13の493~717位;配列番号13の494~717位;配列番号13の495~717位;配列番号13の496~717位;配列番号13の497~717位;配列番号13の498~717位;配列番号13の499~717位;配列番号13の500~717位;配列番号13の501~717位;配列番号13の502~717位;配列番号13の503~717位;配列番号13の504~717位;配列番号13の505~717位;配列番号13の506~717位;配列番号13の507~717位;配列番号13の508~717位;配列番号13の509~717位;配列番号13の510~717位;配列番号13の511~717位;配列番号13の512~717位;配列番号13の513~717位;配列番号13の514~717位;配列番号13の515~717位;配列番号13の516~717位;配列番号13の517~717位;配列番号13の518~717位;配列番号13の519~717位;配列番号13の520~717位;配列番号13の521~717位;および配列番号13の522~717位のうちの1つに対応するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる。
【0173】
一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号1の360~812位;配列番号1の361~812位;配列番号1の362~812位;配列番号1の363~812位;配列番号1の364~812位;配列番号1の365~812位;配列番号1の366~812位;配列番号1の367~812位;配列番号1の368~812位;配列番号1の369~812位;配列番号1の370~812位;配列番号1の371~812位;配列番号1の372~812位;配列番号1の373~812位;配列番号1の374~812位;配列番号1の375~812位;配列番号1の376~812位;配列番号1の377~812位;配列番号1の378~812位;配列番号1の379~812位;配列番号1の380~812位;配列番号1の381~812位;配列番号1の382~812位;配列番号1の383~812位;配列番号1の384~812位;配列番号1の385~812位;配列番号1の386~812位;配列番号1の387~812位;配列番号1の388~812位;配列番号1の389~812位;配列番号1の390~812位;配列番号1の391~812位;配列番号1の392~812位;配列番号1の393~812位;配列番号1の394~812位;配列番号1の395~812位;配列番号1の396~812位;配列番号1の397~812位;配列番号1の398~812位;配列番号1の399~812位;配列番号1の400~812位;配列番号1の401~812位;配列番号1の402~812位;配列番号1の403~812位;配列番号1の404~812位;配列番号1の405~812位;配列番号1の406~812位;配列番号1の407~812位;配列番号1の408~812位;配列番号1の409~812位;配列番号1の410~812位;配列番号1の411~812位;配列番号1の412~812位;配列番号1の413~812位;配列番号1の414~812位;配列番号1の415~812位;配列番号1の416~812位;配列番号1の417~812位;配列番号1の418~812位;配列番号1の419~812位;配列番号1の420~812位;配列番号1の421~812位;配列番号1の422~812位;配列番号1の423~812位;配列番号1の424~812位;配列番号1の425~812位;配列番号1の426~812位;配列番号1の427~812位;配列番号1の428~812位;配列番号1の429~812位;配列番号1の430~812位;配列番号1の431~812位;配列番号1の432~812位;配列番号1の433~812位;配列番号1の434~812位;配列番号1の435~812位;配列番号1の436~812位;配列番号1の437~812位;配列番号1の438~812位;配列番号1の439~812位;配列番号1の440~812位;配列番号1の441~812位;配列番号1の442~812位;配列番号1の443~812位;配列番号1の444~812位;配列番号1の445~812位;配列番号1の446~812位;配列番号1の447~812位;配列番号1の448~812位;配列番号1の449~812位;配列番号1の450~812位;配列番号1の451~812位;配列番号1の452~812位;配列番号1の453~812位;配列番号1の454~812位;配列番号1の455~812位;配列番号1の456~812位;配列番号1の457~812位;配列番号1の458~812位;配列番号1の459~812位;配列番号1の460~812位;配列番号1の461~812位;配列番号1の462~812位;配列番号1の463~812位;配列番号1の464~812位;配列番号1の465~812位;配列番号1の466~812位;配列番号1の467~812位;配列番号1の468~812位;配列番号1の469~812位;配列番号1の470~812位;配列番号1の471~812位;配列番号1の472~812位;配列番号1の473~812位;配列番号1の474~812位;配列番号1の475~812位;配列番号1の476~812位;配列番号1の477~812位;配列番号1の478~812位;配列番号1の479~812位;配列番号1の480~812位;配列番号1の481~812位;配列番号1の482~812位;配列番号1の483~812位;配列番号1の484~812位;配列番号1の485~812位;配列番号1の486~812位;配列番号1の487~812位;配列番号1の488~812位;配列番号1の489~812位;配列番号1の490~812位;配列番号1の491~812位;配列番号1の492~812位;配列番号1の493~812位;配列番号1の494~812位;配列番号1の495~812位;配列番号1の496~812位;配列番号1の497~812位;配列番号1の498~812位;配列番号1の499~812位;配列番号1の500~812位;配列番号1の501~812位;配列番号1の502~812位;配列番号1の503~812位;配列番号1の504~812位;配列番号1の505~812位;配列番号1の506~812位;配列番号1の507~812位;配列番号1の508~812位;配列番号1の509~812位;配列番号1の510~812位;配列番号1の511~812位;配列番号1の512~812位;配列番号1の513~812位;配列番号1の514~812位;配列番号1の515~812位;配列番号1の516~812位;配列番号1の517~812位;配列番号1の518~812位;配列番号1の519~812位;配列番号1の520~812位;配列番号1の521~812位;配列番号1の522~812位;配列番号1の523~812位;配列番号1の524~812位;配列番号1の525~812位;配列番号1の526~812位;配列番号1の527~812位;配列番号1の528~812位;配列番号1の529~812位;配列番号1の530~812位;配列番号1の531~812位;配列番号1の532~812位;配列番号1の533~812位;配列番号1の534~812位;配列番号1の535~812位;配列番号1の536~812位;配列番号1の537~812位;配列番号1の538~812位;配列番号1の539~812位;配列番号1の540~812位;配列番号1の541~812位;配列番号1の542~812位;配列番号1の543~812位;配列番号1の544~812位;配列番号1の545~812位;配列番号1の546~812位;配列番号1の547~812位;配列番号1の548~812位;配列番号1の549~812位;配列番号1の550~812位;配列番号1の551~812位;配列番号1の552~812位;配列番号1の553~812位;配列番号1の554~812位;配列番号1の555~812位;配列番号1の556~812位;配列番号1の557~812位;配列番号1の558~812位;配列番号1の559~812位;配列番号1の560~812位;配列番号1の561~812位;配列番号1の562~812位;配列番号1の563~812位;配列番号1の564~812位;配列番号1の565~812位;配列番号1の566~812位;配列番号1の567~812位;配列番号1の568~812位;配列番号1の569~812位;配列番号1の570~812位;配列番号1の571~812位;配列番号1の572~812位;配列番号1の573~812位;配列番号1の574~812位;配列番号1の575~812位;配列番号1の576~812位;配列番号1の577~812位;配列番号1の578~812位;配列番号1の579~812位;配列番号1の580~812位;配列番号1の581~812位;配列番号1の582~812位;配列番号1の583~812位;配列番号1の584~812位;配列番号1の585~812位;配列番号1の586~812位;配列番号1の587~812位;配列番号1の588~812位;配列番号1の589~812位;配列番号1の590~812位;配列番号1の591~812位;配列番号1の592~812位;配列番号1の593~812位;配列番号1の594~812位;配列番号1の595~812位;配列番号1の596~812位;配列番号1の597~812位;配列番号1の598~812位;配列番号1の599~812位;配列番号1の600~812位;配列番号1の601~812位;配列番号1の602~812位;配列番号1の603~812位;配列番号1の604~812位;配列番号1の605~812位;配列番号1の606~812位;配列番号1の607~812位;配列番号1の608~812位;配列番号1の609~812位;配列番号1の610~812位;配列番号1の611~812位;配列番号1の612~812位;配列番号1の613~812位;配列番号1の614~812位;配列番号1の615~812位;および配列番号1の616~812位のうちの1つに対応するアミノ酸配列を含まない、またはから本質的にならない。
【0174】
一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチド、またはその阻害領域は、配列番号13の258~717位;配列番号13の259~717位;配列番号13の260~717位;配列番号13の261~717位;配列番号13の262~717位;配列番号13の263~717位;配列番号13の264~717位;配列番号13の265~717位;配列番号13の266~717位;配列番号13の267~717位;配列番号13の268~717位;配列番号13の269~717位;配列番号13の270~717位;配列番号13の271~717位;配列番号13の272~717位;配列番号13の273~717位;配列番号13の274~717位;配列番号13の275~717位;配列番号13の276~717位;配列番号13の277~717位;配列番号13の278~717位;配列番号13の279~717位;配列番号13の280~717位;配列番号13の281~717位;配列番号13の282~717位;配列番号13の283~717位;配列番号13の284~717位;配列番号13の285~717位;配列番号13の286~717位;配列番号13の287~717位;配列番号13の288~717位;配列番号13の289~717位;配列番号13の290~717位;配列番号13の291~717位;配列番号13の292~717位;配列番号13の293~717位;配列番号13の294~717位;配列番号13の295~717位;配列番号13の296~717位;配列番号13の297~717位;配列番号13の298~717位;配列番号13の299~717位;配列番号13の300~717位;配列番号13の301~717位;配列番号13の302~717位;配列番号13の303~717位;配列番号13の304~717位;配列番号13の305~717位;配列番号13の306~717位;配列番号13の307~717位;配列番号13の308~717位;配列番号13の309~717位;配列番号13の310~717位;配列番号13の311~717位;配列番号13の312~717位;配列番号13の313~717位;配列番号13の314~717位;配列番号13の315~717位;配列番号13の316~717位;配列番号13の317~717位;配列番号13の318~717位;配列番号13の319~717位;配列番号13の320~717位;配列番号13の321~717位;配列番号13の322~717位;配列番号13の323~717位;配列番号13の324~717位;配列番号13の325~717位;配列番号13の326~717位;配列番号13の327~717位;配列番号13の328~717位;配列番号13の329~717位;配列番号13の330~717位;配列番号13の331~717位;配列番号13の332~717位;配列番号13の333~717位;配列番号13の334~717位;配列番号13の335~717位;配列番号13の336~717位;配列番号13の337~717位;配列番号13の338~717位;配列番号13の339~717位;配列番号13の340~717位;配列番号13の341~717位;配列番号13の342~717位;配列番号13の343~717位;配列番号13の344~717位;配列番号13の345~717位;配列番号13の346~717位;配列番号13の347~717位;配列番号13の348~717位;配列番号13の349~717位;配列番号13の350~717位;配列番号13の351~717位;配列番号13の352~717位;配列番号13の353~717位;配列番号13の354~717位;配列番号13の355~717位;配列番号13の356~717位;配列番号13の357~717位;配列番号13の358~717位;配列番号13の359~717位;配列番号13の360~717位;配列番号13の361~717位;配列番号13の362~717位;配列番号13の363~717位;配列番号13の364~717位;配列番号13の365~717位;配列番号13の366~717位;配列番号13の367~717位;配列番号13の368~717位;配列番号13の369~717位;配列番号13の370~717位;配列番号13の371~717位;配列番号13の372~717位;配列番号13の373~717位;配列番号13の374~717位;配列番号13の375~717位;配列番号13の376~717位;配列番号13の377~717位;配列番号13の378~717位;配列番号13の379~717位;配列番号13の380~717位;配列番号13の381~717位;配列番号13の382~717位;配列番号13の383~717位;配列番号13の384~717位;配列番号13の385~717位;配列番号13の386~717位;配列番号13の387~717位;配列番号13の388~717位;配列番号13の389~717位;配列番号13の390~717位;配列番号13の391~717位;配列番号13の392~717位;配列番号13の393~717位;配列番号13の394~717位;配列番号13の395~717位;配列番号13の396~717位;配列番号13の397~717位;配列番号13の398~717位;配列番号13の399~717位;配列番号13の400~717位;配列番号13の401~717位;配列番号13の402~717位;配列番号13の403~717位;配列番号13の404~717位;配列番号13の405~717位;配列番号13の406~717位;配列番号13の407~717位;配列番号13の408~717位;配列番号13の409~717位;配列番号13の410~717位;配列番号13の411~717位;配列番号13の412~717位;配列番号13の413~717位;配列番号13の414~717位;配列番号13の415~717位;配列番号13の416~717位;配列番号13の417~717位;配列番号13の418~717位;配列番号13の419~717位;配列番号13の420~717位;配列番号13の421~717位;配列番号13の422~717位;配列番号13の423~717位;配列番号13の424~717位;配列番号13の425~717位;配列番号13の426~717位;配列番号13の427~717位;配列番号13の428~717位;配列番号13の429~717位;配列番号13の430~717位;配列番号13の431~717位;配列番号13の432~717位;配列番号13の433~717位;配列番号13の434~717位;配列番号13の435~717位;配列番号13の436~717位;配列番号13の437~717位;配列番号13の438~717位;配列番号13の439~717位;配列番号13の440~717位;配列番号13の441~717位;配列番号13の442~717位;配列番号13の443~717位;配列番号13の444~717位;配列番号13の445~717位;配列番号13の446~717位;配列番号13の447~717位;配列番号13の448~717位;配列番号13の449~717位;配列番号13の450~717位;配列番号13の451~717位;配列番号13の452~717位;配列番号13の453~717位;配列番号13の454~717位;配列番号13の455~717位;配列番号13の456~717位;配列番号13の457~717位;配列番号13の458~717位;配列番号13の459~717位;配列番号13の460~717位;配列番号13の461~717位;配列番号13の462~717位;配列番号13の463~717位;配列番号13の464~717位;配列番号13の465~717位;配列番号13の466~717位;配列番号13の467~717位;配列番号13の468~717位;配列番号13の469~717位;配列番号13の470~717位;配列番号13の471~717位;配列番号13の472~717位;配列番号13の473~717位;配列番号13の474~717位;配列番号13の475~717位;配列番号13の476~717位;配列番号13の477~717位;配列番号13の478~717位;配列番号13の479~717位;配列番号13の480~717位;配列番号13の481~717位;配列番号13の482~717位;配列番号13の483~717位;配列番号13の484~717位;配列番号13の485~717位;配列番号13の486~717位;配列番号13の487~717位;配列番号13の488~717位;配列番号13の489~717位;配列番号13の490~717位;配列番号13の491~717位;配列番号13の492~717位;配列番号13の493~717位;配列番号13の494~717位;配列番号13の495~717位;配列番号13の496~717位;配列番号13の497~717位;配列番号13の498~717位;配列番号13の499~717位;配列番号13の500~717位;配列番号13の501~717位;配列番号13の502~717位;配列番号13の503~717位;配列番号13の504~717位;配列番号13の505~717位;配列番号13の506~717位;配列番号13の507~717位;配列番号13の508~717位;配列番号13の509~717位;配列番号13の510~717位;配列番号13の511~717位;配列番号13の512~717位;配列番号13の513~717位;配列番号13の514~717位;配列番号13の515~717位;配列番号13の516~717位;配列番号13の517~717位;配列番号13の518~717位;配列番号13の519~717位;配列番号13の520~717位;配列番号13の521~717位;および配列番号13の522~717位のうちの1つに対応するアミノ酸配列を含まない、またはから本質的にならない。
【0175】
本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、1つまたは複数の追加のアミノ酸またはアミノ酸の配列を含み得る。すなわち、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ポリペプチドの阻害領域(すなわち、SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα3ヘリックスおよびSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む領域)に加えて1つまたは複数のアミノ酸またはアミノ酸の配列を含み得る。
【0176】
例えば、LINC複合体阻害ポリペプチドは、発現、フォールディング、輸送、プロセシング、精製または検出を促進するためのアミノ酸配列(複数可)を含み得る。
【0177】
本開示に従った種々の態様および実施形態により、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ポリペプチドを発現する細胞からのポリペプチドの分泌を妨げる配列を含み得る。一部の実施形態では、ポリペプチドは、小胞体(ER)保持モチーフを含む。そのような配列は、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域のC末端に与えられ得る。一部の実施形態では、ポリペプチドを発現する細胞からのポリペプチドの分泌を妨げるための配列(例えば、ER保持モチーフ)は、ポリペプチドのアミノ酸配列のC末端に与えられる。一部の実施形態では、ポリペプチドを発現する細胞からのポリペプチドの分泌を妨げるための配列(例えば、ER保持モチーフ)には、ポリペプチドのC末端でいかなる他のアミノ酸も続かない。
【0178】
小胞体保持配列は当技術分野では公知である。一部の実施形態では、ER保持モチーフはKDEL配列である。一部の実施形態では、ER保持モチーフは、KDELモチーフまたは、C末端にモチーフを含むタンパク質を小胞体に保持するために有効なそのバリアントである。KDELバリアントは、プロサイト(prosite)モチーフ:[K/R/H/Q/S/A]-[D/E/N/Q]-E-L(Huloら、2006年、Nucleic acids research 34:D227-D230に報告されている)、または拡張されたプロサイトモチーフ定義を提唱したRaykhelら、2007年(J.Cell Biol.179(6):1193~1204頁)により報告されたバリアントに従うアミノ酸配列を含むまたはからなることができる。Raykhelらは、4位(すなわち、K位)はKRHQSAの代替物としてF、W Y、DENQをはるかに超えて伸びる3位(すなわち、D位)残基の範囲、1位(L位)におけるFまたはM、および2位(すなわち、E位)におけるDを含むバリアントを有する内質保持を実証した。
【0179】
例えば、KDELモチーフのバリアントは、Raykhelらによって提唱された、例えば、CDEL、KCELまたはHVELのうちの1つであってよい。したがって、本明細書で開示される一部の態様では、小胞体(ER)保持モチーフはKDELまたはER保持活性を示すそのバリアントである。
【0180】
一部の実施形態では、ER保持モチーフは、配列番号77のアミノ酸配列、または配列番号77のアミノ酸配列に1つまたは複数(例えば、1個または2個)の置換を含むバリアントを含む、またはそれからなる。
【0181】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、シグナルペプチドを含み得る。シグナルペプチドは、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域のN末端に与えられる。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、ポリペプチドのアミノ酸配列のN末端に与えられる。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、ポリペプチドのN末端でいかなる他のアミノ酸によっても先行されない。シグナルペプチドは通常、5~30の疎水性アミノ酸の配列からなり、このアミノ酸は単一アルファヘリックスを形成する。分泌されたタンパク質および細胞表面で発現されるタンパク質は、多くの場合、シグナルペプチドを含む。シグナルペプチドはペプチド/ポリペプチドのN-末端に存在してもよく、新たに合成されたペプチド/ポリペプチドに存在してもよい。シグナルペプチドは多くの場合、切断により取り除かれ、したがって、成熟ペプチド/ポリペプチドには含まれない。
【0182】
シグナルペプチドは、多数のタンパク質について公知であり、GenBank、UniProt、Swiss-Prot、TrEMBL、Protein Information Resource、Protein Data Bank、EnsemblおよびInterPro等のデータベースにおいて記録されている、ならびに/または、例えば、SignalP(Petersenら、2011年 Nature Methods 8:785~786頁)もしくはSignal-BLAST(FrankおよびSippl、2008年 Bioinformatics 24:2172~2176頁)等のアミノ酸配列分析ツールを使用して同定/予測され得る。一部の実施形態では、N末端シグナル配列は、分泌タンパク質またはI型膜貫通タンパク質由来である。一部の実施形態では、分泌タンパク質またはI型膜貫通タンパク質は、ヒト血清アルブミン、プロインスリン、トランスフェリン受容体、EGF受容体、プレプロオピオメラノコルチン、カルボキシペプチダーゼ、補体タンパク質、フィブリノーゲン、サイトカイン、ケモカイン、フィブリノーゲン、膵消化酵素(例えば、プロテアーゼ、アミラーゼもしくはリパーゼ)、または小胞体内腔タンパク質(例えば、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼもしくはGRP94)から選択される。一部の実施形態では、N末端シグナルペプチドは、ヒト血清アルブミン由来である。
【0183】
一部の実施形態では、シグナルペプチドは、シグナルペプチダーゼ切断部位を含む。シグナルペプチダーゼ切断部位は、成熟ポリペプチドからのシグナルペプチドの除去をもたらす。一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、分泌タンパク質またはI型膜貫通タンパク質、例えば、先述の分泌タンパク質またはI型膜貫通タンパク質に由来するシグナルペプチダーゼ切断部位を含む。
【0184】
一部の実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号76のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号100のアミノ酸配列に少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。
【0185】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、検出可能な部分、例えば、蛍光標識、リン光標識、発光標識、免疫検出可能な標識(例えば、エピトープタグ)、放射標識、化学的、核酸のまたは酵素的標識を含み得る。LINC複合体阻害ポリペプチドは、検出可能な部分を用いて共有結合で、または非共有結合で標識され得る。
【0186】
一部の実施形態では、検出可能な部分は(任意のシグナルペプチドを除去するシグナルペプチダーゼによるポリペプチドのプロセシングの前または後のいずれかで)ポリペプチドのN末端に提供される。一部の実施形態では、検出可能な部分は、ポリペプチドのC末端、例えば、ポリペプチドを発現する細胞からのポリペプチドの分泌を妨げるための配列の下流(後ろ)(例えば、ER保持モチーフの下流)に提供される。
【0187】
一部の実施形態では、検出可能な部分は、エピトープタグであるか、またはこれを含む。一部の実施形態では、エピトープタグは、ヘマグルチニンA(HA)、ALFA、ヒスチジン(His;例えば、6XHis)、c-Myc、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、FLAG、E、ビオチン、プロテインA、プロテインG、ストレプトアビジン、T7、チオレドキシン、V5または水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質(VSV-G)タグから選択される。一部の実施形態では、検出可能な部分は、検出可能な活性、例えば、所与の基質での酵素活性を有する部分であるか、またはこれを含む。そのような部分の例は、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)およびルシフェラーゼ部分を含む。
【0188】
一部の実施形態では、検出可能な部分は、HAタグであるか、またはこれを含む。一部の実施形態では、検出可能な部分は、ALFAタグであるか、またはこれを含む。
【0189】
一部の実施形態では、検出可能な部分は、配列番号78のアミノ酸配列、または配列番号78のアミノ酸配列に1つまたは複数(例えば、1、2、3または4個)の置換を含むバリアントを含む、またはそれからなる。一部の実施形態では、検出可能な部分は、配列番号79のアミノ酸配列、または配列番号79のアミノ酸配列に1つまたは複数(例えば、1、2、3または4個)の置換を含むバリアントを含む、またはそれからなる。
【0190】
一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、以下の構造:
N末端-[シグナルペプチド]-[検出可能な構成体]-[SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα3ヘリックスおよびSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む阻害領域]-[ポリペプチドを発現する細胞からのポリペプチドの分泌を妨げる配列]-C末端
N末端-[検出可能な構成体]-[シグナルペプチド]-[SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα3ヘリックスおよびSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む阻害領域]-[ポリペプチドを発現する細胞からのポリペプチドの分泌を妨げる配列]-C末端
N末端-[検出可能な構成体]-[SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα3ヘリックスおよびSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む阻害領域]-[ポリペプチドを発現する細胞からのポリペプチドの分泌を妨げる配列]-C末端
N末端-[SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα3ヘリックスおよびSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む阻害領域]-[ポリペプチドを発現する細胞からのポリペプチドの分泌を妨げる配列]-C末端
のうちの1つを備える。
【0191】
一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、アミノ酸配列の間に1つまたは複数のリンカー配列を含む。一部の実施形態では、リンカー配列は、1~2、1~3、1~4、1~5または1~10アミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、リンカー配列は、SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα3ヘリックスおよびSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む阻害領域;シグナルペプチド;ポリペプチドを発現する細胞からのポリペプチドの分泌を妨げる配列;ならびに/またはLINC複合体阻害ポリペプチドの検出可能な構成体、のうちの1つまたは複数の一末端または両末端に提供され得る。
【0192】
リンカー配列は、当業者に公知であり、例えば、Chenら、Adv Drug Deliv Rev(2013)65(10):1357~1369頁に記載されている、前記文献はこれにより参照により本明細書にその全体が組み込まれる。一部の実施形態では、リンカー配列は、可動性リンカー配列であってよい。可動性リンカー配列は、リンカー配列によって連結されるアミノ酸配列の相対的移動を可能にする。可動性リンカーは、当業者に公知であり、いくつかは、Chenら、Adv Drug Deliv Rev(2013)65(10):1357~1369頁に同定されている。可動性リンカー配列は、高い割合のグリシンおよび/またはセリン残基をしばしば含む。一部の実施形態では、リンカー配列は、少なくとも1つのグリシン残基および/または少なくとも1つのセリン残基を含む。一部の実施形態では、リンカー配列は、グリシンおよびセリン残基からなる。
【0193】
好ましい実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、遺伝子治療として、すなわち、ポリペプチドをコードする核酸の形態においてLINC複合体阻害ポリペプチドの送達を可能にするサイズ(すなわち、LINC複合体阻害ポリペプチドを作り上げるアミノ酸の数に関して)である。
【0194】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、ポリヌクレオチドを送達するためのベクターのパッケージング限界内のサイズ(すなわち、ポリヌクレオチドを作り上げるヌクレオチドの数に関して)を有するようなサイズを有する。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、本明細書に記載されるベクターのパッケージング限界内のサイズを有するようなサイズを有する。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、例えば、本明細書に記載されるAAVベクターのパッケージング限界内のサイズを有するようなサイズを有する。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、scAAVベクターのパッケージング限界内のサイズを有するようなサイズを有する。
【0195】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、510個未満のアミノ酸を含むアミノ酸配列からなる。一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、457個未満のアミノ酸を含むアミノ酸配列からなる。
【0196】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドは、600アミノ酸未満、例えば、≦550、≦500、≦450、≦400、≦350、≦340、≦330、≦320、≦310、≦300、≦290、≦280、≦270、≦260、≦250、≦240、≦230、≦220または≦210アミノ酸のうちの1つを含むアミノ酸配列からなる。
【0197】
本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、当業者に公知のポリペプチドの産生のための方法に従って調製され得る。
【0198】
ポリペプチドは、化学合成、例えば、液相または固相合成によって調製され得る。例えば、ペプチド/ポリペプチドは、例えば、Chandruduら、Molecules(2013)、18:4373~4388頁に記載される方法を使用して合成され得る、前記文献はこれにより参照により本明細書にその全体が組み込まれる。代替的に、抗原結合分子およびポリペプチドは、組換え発現によって産生され得る。ポリペプチドの組換え産生のために好適な分子生物学技術は、GreenおよびSambrook、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第4版)、Cold Spring Harbor Press、2012年において、ならびにNat Methods.(2008);5(2):135~146頁において記載されているもの等、当技術分野において周知である、前記文献は両方ともこれにより参照により本明細書にその全体が組み込まれる。抗原結合分子の組換え産生のための方法も、Frenzelら、Front Immunol.(2013);4:217ならびにKunertおよびReinhart、Appl Microbiol Biotechnol.(2016)100:3451~3461頁に記載されている、前記文献は両方ともこれにより参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【0199】
LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸およびベクター
本開示は、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を提供する。一部の実施形態では、核酸は、DNAおよび/またはRNAを含む、またはそれからなる。一部の実施形態では、核酸は、ポリヌクレオチドであるか、またはこれを含む。核酸は、本開示に従ったポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む、またはそれからなることができる。
【0200】
本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、ポリペプチドをコードするRNAの翻訳によって細胞内で産生され得る。本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドは、ポリペプチドをコードする核酸からの転写に続いて転写されたRNAの翻訳によって細胞内で産生され得る。
【0201】
好ましい実施形態では、核酸は、遺伝子治療として、すなわち、好適なベクターにおけるその送達を可能にするサイズを有する。
【0202】
一部の実施形態では、本開示の核酸は、ポリヌクレオチドを送達するためのベクターのパッケージング限界内のサイズを有するヌクレオチド配列からなる。一部の実施形態では、核酸は、本明細書に記載されるベクターのパッケージング限界内のサイズを有するヌクレオチド配列からなる。一部の実施形態では、核酸は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、例えば、本明細書に記載されるAAVベクターのパッケージング限界内のサイズを有するヌクレオチド配列からなる。一部の実施形態では、核酸は、scAAVベクターのパッケージング限界内のサイズを有するヌクレオチド配列からなる。
【0203】
本開示に従った核酸は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む場合があり、1つまたは複数のポリペプチドをコードしないヌクレオチド配列(複数可)を追加で含む場合がある。ポリペプチドをコードしないヌクレオチド配列(複数可)は、例えば、5’キャップ、5’ UTR、3’ UTRおよび/またはポリAテール配列であり得る。
【0204】
一部の実施形態では、核酸のヌクレオチド配列は、6,000ヌクレオチド未満、例えば、≦5,000、≦4,500、≦4,000、≦3,500、≦3,000、≦2,500、≦2,400または≦2,300ヌクレオチドのうちの1つからなる。
【0205】
一部の実施形態では、本開示の核酸のタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、1,530ヌクレオチド未満からなる。一部の実施形態では、本開示の核酸のタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、1,371ヌクレオチド未満からなる。
【0206】
一部の実施形態では、核酸のタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、1,800ヌクレオチド未満、例えば、≦1,650、≦1,500、≦1,350、≦1,200、≦1,050、≦1,020、≦990、≦960、≦930、≦900、≦870、≦840、≦810、≦780、≦750、≦720、≦690、≦660または≦630ヌクレオチドのうちの1つからなる。
【0207】
一部の実施形態では、核酸は、ベクターであるか、またはこれに含まれる。したがって、本開示は、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を含むベクターも提供する。
【0208】
本開示に従った核酸およびベクターは、精製された、または単離された形態で、すなわち、他の核酸または天然に存在する生物学的材料由来で提供され得る。
【0209】
本明細書で使用される「ベクター」は、外来性核酸を細胞中に移行させる媒体として使用される核酸を指す。ベクターは、細胞中における核酸の発現用のベクターでもよい(すなわち、ベクターは発現ベクターであってよい)。そのようなベクターは、発現される配列をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーター配列を含み得る。ベクターは、終結コドンおよび発現エンハンサーも含み得る。当技術分野で公知であるいかなる好適なベクター、プロモーター、エンハンサーおよび終結コドンでも、本開示に従ったベクターからペプチドまたはポリペプチドを発現するために使用され得る。
【0210】
用語「作動可能に連結される」は、選択された核酸配列および調節核酸配列(例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー)が、ヌクレオチド配列の発現を調節配列の影響または制御下に置く(それによって発現カセットを形成する)ように共有結合されている状況を含み得る。したがって、調節配列が核酸配列の転写を引き起こすことができる場合は、調節配列は選択された核酸配列に作動可能に連結されている。次に、得られた転写物(複数可)は、ポリペプチド、例えば、LINC複合体阻害ポリペプチドに翻訳され得る。
【0211】
好適なベクターは、プラスミド、バイナリーベクター、DNAベクター、mRNAベクター、ウイルスベクター(例えば、ガンマレトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス(MLV)由来ベクター)、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ワクチニアウイルスベクターおよびヘルペスウイルスベクター)、トランスポゾンベースのベクターならびに人工染色体(例えば、酵母人工染色体)を含み、例えば、Mausら、Annu Rev Immunol(2014)32:189~225頁またはMorganおよびBoyerinas、Biomedicines 2016年 4、9に記載される通りであり、前記文献は両方ともこれにより参照により本明細書にその全体が組み込まれる。好ましい実施形態では、ベクターは、アデノ随伴ウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである。
【0212】
一部の実施形態では、ベクターは、核酸を送達するのが望まれる細胞型/組織/器官に対するトロピズムに基づいて選択される。一部の実施形態では、ベクターは、LINC複合体阻害ポリペプチドを発現することが望まれる細胞型/組織/器官に対するトロピズムに基づいて選択される。例えば、本開示に従って処置される/予防される疾患に冒されている細胞型/組織/器官(例えば、疾患の症状が現れる細胞/組織/器官)に核酸を送達する/LINC複合体阻害ポリペプチドを発現することは望まれ得る。
【0213】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を筋肉細胞/組織(例えば、心臓および/または骨格筋細胞/組織)に送達するのが望ましく、そのような実施形態では、そのような細胞/組織に対するトロピズムを有するベクターを用いるのがよい。一部の実施形態では、ベクターは心臓作用性であり得る。一部の実施形態では、ベクターはミオトロピックであり得る。
【0214】
好ましい実施形態では、ベクターは、アデノ随伴ウイルスベクターである。遺伝子治療を誘導するアデノ随伴ウイルスベクターおよびそれらの使用は、例えば、Wangら、Nat.Rev.Drug Discov.(2019)18:358~378頁ならびにLiおよびSamulski、Nat.Rev.Genet.(2020)12:255~272頁に概説されており、その両方とも参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、ベクターは、Wangら、Nat.Rev.Drug Discov.(2019)18:358~378頁に記載されているアデノ随伴ウイルスベクターであってよい。一部の実施形態では、ベクターは、LiおよびSamulski、Nat.Rev.Genet.(2020)12:255~272頁に記載されているアデノ随伴ウイルスベクターであってよい。
【0215】
一部の実施形態では、ベクターは、自己相補性アデノ随伴ウイルス(scAAV)ベクターである。自己相補性アデノ随伴ウイルスベクターは、例えば、McCarty,Mol Ther.(2008)16(10):1648~56頁に記載されている、前記文献はこれにより参照により本明細書にその全体が組み込まれる。従来のAAVは、1本鎖DNAゲノムを有し、相補鎖を合成するために形質導入された細胞のDNA複製機構に依存し、導入遺伝子発現が遅れる。対照的に、scAAVは、感染の際に自発的にアニールする相補性配列を含有し、形質導入された宿主細胞におけるDNA合成のための必要要件を省く。古典的なものと比較して、1本鎖AAVベクター、scAAVベクターは、導入遺伝子発現の開始の加速、および導入遺伝子発現のレベルの増加をもたらすことが示された。
【0216】
一部の実施形態では、ベクターは、以下の血清型:AAV1、AAV2、AAV2i8、AAV5、AAV6、AAV8、AAV9、AAV9.45、AAV10またはAAVrh74のうちの1つのアデノ随伴ウイルスベクターであってよい。一部の実施形態では、ベクターはAAV9ベクターである。
【0217】
一部の実施形態では、ベクターは、心臓作用性アデノ随伴ウイルスベクターであってよい。一部の実施形態では、ベクターは、以下の血清型:AAV1、AAV8、AAV9、AAV9.45のうちの1つのアデノ随伴ウイルスベクターであってよい。
【0218】
一部の実施形態では、ベクターは、骨格筋トロピックアデノ随伴ウイルスベクターであってよい。一部の実施形態では、ベクターは、以下の血清型:AAV1、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV9.45のうちの1つのアデノ随伴ウイルスベクターであってよい。
【0219】
一部の実施形態では、ベクターは、目的の細胞型への結合および/または形質導入を増やす(すなわち、非改変ベクターによる結合/形質導入のレベルと比べて)改変を含む。一部の実施形態では、改変はカプシドタンパク質に対してである。
【0220】
一部の実施形態では、ベクターは、細胞ターゲティングペプチドを含むカプシドタンパク質を含む。一部の実施形態では、細胞ターゲティングペプチドは、Buning and Srivastava、Molecular Therapy:Methods&Clinical Development(2019)12:248~265頁に記載される細胞ターゲティングペプチド、例えば、その表1、2、3または4に示される細胞ターゲティングペプチドであり、前記文献はこれにより参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【0221】
一部の実施形態では、ベクターは、1つまたは複数のチロシン残基、例えば、1つまたは複数の表面露出チロシン残基への置換を含むカプシドタンパク質を含む。一部の実施形態では、カプシドタンパク質の1つまたは複数のチロシン残基はフェニルアラニンに置換される。一部の実施形態では、ベクターは、Iidaら、Biomed Res Int.(2013)2013年:974819頁に記載される通りに1つまたは複数のチロシン残基が別のアミノ酸を用いて置換されているカプシドタンパク質を含み、前記文献はこれにより参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【0222】
一部の実施形態では、ベクターは、Buning and Srivastava、上記、に記載されるアデノ随伴ウイルスベクターでもよい。一部の実施形態では、ベクターは、Iidaら、上記、に記載されるアデノ随伴ウイルスベクターでもよい。
【0223】
一部の実施形態では、核酸/ベクターは、核酸の発現を制御するための1つまたは複数の配列を含む。したがって、一部の実施形態では、核酸/ベクターは、核酸の誘導性発現のための制御エレメントを含む。
【0224】
核酸の発現を制御するための配列は、特定の型の細胞または組織による核酸の発現を提供し得る。例えば、発現は、細胞型-または組織特異的プロモーターの制御下にあってよい。
【0225】
本発明に従った核酸の細胞型-または組織特異的発現のためのプロモーターは、処置される/予防される疾患に従って選択することができる。例えば、プロモーターは、疾患に冒された細胞型/組織/器官(例えば、疾患の症状が現れる細胞型/組織/器官)における発現を駆動し得る。
【0226】
一部の実施形態では、プロモーターは、筋肉細胞/組織(例えば、心臓および/または骨格筋細胞/組織)における発現を提供し得る。一部の実施形態では、プロモーターは、心臓または心筋細胞特異的プロモーター(例えば、cTNT、α-MHCまたはMLC2vプロモーター)でもよい。一部の実施形態では、プロモーターは、骨格筋/横紋筋細胞特異的プロモーター(例えば、MCK、MHCK7またはデスミンプロモーター)でもよい。一部の実施形態では、プロモーターはcTNTである。
【0227】
一部の実施形態では、プロモーターは、血管内皮細胞特異的プロモーター(例えば、Tie2プロモーター)でもよい。一部の実施形態では、プロモーターは、血管平滑筋細胞特異的プロモーター(例えば、SM22aプロモーター)でもよい。一部の実施形態では、プロモーターは、単球/マクロファージ特異的プロモーター(例えば、LysMプロモーター)でもよい。
【0228】
核酸の発現を制御するための配列は、例えば、所与の薬剤/シグナルへの応答で核酸の発現を提供し得る。例えば、発現は誘導性プロモーターの制御下であり得る。薬剤は、本開示に従って改変された細胞を投与されている対象への薬剤の投与によりin vivoで、またはex vivoもしくはin vitroにおける培養細胞への薬剤の投与によりex vivo/in vitroで核酸の誘導性発現を提供し得る。
【0229】
一部の実施形態では、本開示に従った核酸またはベクターは、核酸/ベクターを含む細胞による、LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸の発現を制御するために条件的発現系を用い得る。「条件的発現」は、本明細書では「誘導性発現」とも呼ばれる場合があり、ある特定の条件、例えば、特定の薬剤の存在を条件とする発現のことである。条件的発現系は当技術分野では周知であり、Rydingら、Journal of Endocrinology(2001)171、1~14頁で概説されており、前記文献はこれにより参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【0230】
LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする/含む/発現する細胞
本開示は、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドを含むまたは発現する細胞も提供する。本開示に従った核酸またはベクターを含む、または発現する細胞も同様に提供される。
【0231】
細胞は、真核細胞、例えば、哺乳動物細胞であり得る。哺乳動物は、霊長類(アカゲザル、カニクイザル(cynomolgous)、非ヒト霊長類もしくはヒト)または非ヒト哺乳動物(例えば、ウサギ、モルモット、ラット、マウスもしくは他のげっ歯類(げっ歯類目の任意の動物を含む)、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ(ウシ、例えば、乳牛もしくはウシ(Bos)目の任意の動物を含む)、ウマ(ウマ(Equidae)目の任意の動物を含む)、ロバおよび非ヒト霊長類)であり得る。好ましい実施形態では、細胞は、ヒト細胞であり得る。
【0232】
本開示は、本開示に従った核酸もしくはベクターを含む細胞または本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチドを含む/発現する細胞を産生するための方法であって、本開示に従った核酸またはベクターを細胞に導入するステップを含む方法も提供する。一部の実施形態では、本開示に従った核酸/ベクターを細胞に導入するステップは、形質転換、トランスフェクション、電気穿孔法または形質導入(例えば、アデノ随伴ウイルス形質導入)を含む。一部の実施形態では、核酸/ベクターは、例えば、本開示に従ったベクター(例えば、ウイルスベクター、例えば、アデノ随伴ウイルスベクター)の対象への投与後に、in vivoで細胞に導入される。一部の実施形態では、核酸/ベクターは、ex vivoまたはin vitroで培養物中の細胞に導入される。
【0233】
一部の実施形態では、方法は、細胞による核酸またはベクターの発現のために好適な条件下で細胞を培養するステップを追加で含む。
【0234】
本開示は、本開示に従った方法によって得られた、または得ることができる細胞も提供する。
【0235】
組成物
本開示は、本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクターおよび細胞を含む組成物も提供する。特に、本開示は、本開示のLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクターおよび細胞を含む医薬組成物および医薬を提供する。
【0236】
そのような組成物は、臨床使用のために好適な製剤中に関連物品(すなわち、LINC複合体阻害ポリペプチド/核酸/ベクター/細胞)を含み得る。本開示は、本開示に従った核酸およびベクターを含む医薬組成物/医薬に特に関連する。
【0237】
本開示の組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体(例えば、リポソーム、ミセル、ミクロスフェア、ナノ粒子)、希釈剤/賦形剤(例えば、デンプン、セルロース、セルロース誘導体、ポリオール、ブドウ糖、マルトデキストリン、ステアリン酸マグネシウム)、アジュバント、充填剤、緩衝剤、保存剤(例えば、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、レチニルパルミテート、セレニウム、システイン、メチオニン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン)、抗酸化剤(例えば、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、レチニルパルミテート、セレニウム)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、ステアリン酸、植物性ステアリン、結合剤(例えば、ショ糖、乳糖、デンプン、セルロース、ゼラチン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、キシリトール、ソルビトール、マンニトール)、安定化剤、可溶化剤、界面活性剤(例えば、湿潤剤)、マスキング剤、着色剤(例えば、酸化チタン)を含み得る。
【0238】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される」とは、堅実な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは困難な事態なしで、穏当な利益/リスク比に見合って、問題の対象(例えば、ヒト対象)の組織に接触して使用するのに適している化合物、成分、材料、組成物、剤形、等に関する。本開示に従った組成物のそれぞれの担体、希釈剤、賦形剤、アジュバント、充填剤、緩衝剤、保存剤、抗酸化剤、潤滑剤、結合剤、安定化剤、可溶化剤、界面活性剤、マスキング剤、着色剤、香味剤、または甘味剤は、製剤のその他の成分と適合するという意味でも「許容可能で」なければならない。好適な担体、希釈剤、賦形剤、アジュバント、充填剤、緩衝剤、保存剤、抗酸化剤、潤滑剤、結合剤、安定化剤、可溶化剤、界面活性剤、マスキング剤、着色剤、香味剤、または甘味剤は、標準製薬テキスト、例えば、Remington’s ‘The Science and Practice of Pharmacy’(Ed.A.Adejare)、第23版(2020)、Academic Pressに見出せる。
【0239】
本開示に従った医薬組成物/医薬は、対象への投与、例えば、治療剤および処置/予防される疾患の性質に対して適切な投与の経路を通じた投与のために製剤化され得る。一部の実施形態では、医薬組成物/医薬は、非経口、全身性、局所、腔内、血管内、静脈内、動脈内、筋肉内、くも膜下腔内、眼内、結膜内(intraconjunctival)、腫瘍内、皮下、皮内、経口または経皮的投与のために製剤化され得る。一部の実施形態では、医薬組成物/医薬は、注射もしくは注入による投与、または経口摂取による投与のために製剤化され得る。
【0240】
医薬および医薬組成物は、血管への、または目的の組織/器官(例えば、状態に冒されている疾患/状態に冒されている組織/器官(例えば、疾患/状態の症状が現れる組織/器官)への投与のために製剤化され得る。
【0241】
医薬組成物/医薬は、無菌または等張媒体中にLINC複合体阻害ポリペプチド/核酸/ベクター/細胞を含んでいてよい。医薬組成物/医薬は、ゲル形態を含む液体で提供されてよい。液体製剤は、血管への、またはヒトもしくは動物の身体の選択された領域への注射または注入(例えば、カニューレを通じて)による投与のために製剤化され得る。医薬組成物/医薬は、固体形態、例えば、凍結乾燥形態で提供されてよい。
【0242】
本開示は、本開示に従った医薬組成物/医薬を産生するための方法も提供する。そのような方法は、本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド/核酸/ベクター/細胞と薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、アジュバント、充填剤、緩衝剤、保存剤、抗酸化剤、潤滑剤、結合剤、安定化剤、可溶化剤、界面活性剤、マスキング剤、着色剤、香味剤、または甘味剤とを混合するステップを含み得る。そのような方法は、LINC複合体阻害ポリペプチド/核酸/ベクター/細胞を1つまたは複数の補助成分を構成する担体と会合させるステップを一般に含む。一般には、組成物は、活性化合物を担体(例えば、液体担体、微細化した固体担体、等)と均等に密接に会合させ、次に必要であれば製品を成形することにより調製される。
【0243】
本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞および組成物は、目的の細胞/組織(例えば、心臓および/または骨格筋細胞/組織)への送達および/または、それによる取り込みを促進するように修飾および/または製剤化され得る。
【0244】
そのような種の標的化送達のための戦略は、例えば、Liら、Int.J.Mol.Sci.(2015)16:19518~19536頁およびFuら、Bioconjug Chem.(2014)25(9):1602~1608頁に概説されている、前記文献はこれにより参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【0245】
一部の実施形態では、本開示の物品は、ナノ粒子またはリポソーム中に被包され得る。一部の実施形態では、本開示の物品は、細胞透過性ペプチド(例えば、タンパク質形質導入ドメイン、トロイペプチド(trojan peptide)、アルギニンリッチペプチド、ベクトセル(vectocell)ペプチド)、カチオンポリマー、カチオン性脂質またはウイルスキャリアー(viral carrier)と(共有結合的にまたは非共有結合的に)会合し得る。
【0246】
ナノ粒子は、有機物、例えば、ミセル、リポソーム、タンパク質、固体脂質粒子、固体ポリマー粒子、デンドリマーおよびポリマー治療剤であり得る。ナノ粒子は、無機物、例えば、付加された有機分子を任意選択で有する、ナノチューブまたは金属粒子等であってよい。一部の実施形態では、ナノ粒子は、Chenら、Mol Ther Methods Clin Dev.(2016)3:16023頁に記載されるナノ粒子であり、前記文献はこれにより参照により本明細書にその全体が組み込まれる。一部の実施形態では、ナノ粒子は、PLGA、ポリペプチド、ポリ(β-アミノエステル)、DOPE、β-シクロデキストリン含有ポリカチオン、線状PEI、PAMAMデンドリマー、分岐PEI、キトサンまたはポリリン酸エステルナノ粒子である。
【0247】
一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸およびベクターは、目的の細胞型または組織(例えば、心臓および/または骨格筋細胞/組織)への送達、および/またはそれによる取り込みを促進する1つまたは複数の部分を組み込むための改変を含む。一部の実施形態では、本開示に従ったLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸およびベクターは、目的の細胞型または組織への送達、および/またはそれによる取り込みを促進する1つまたは複数の部分に連結(例えば、化学的にコンジュゲート)される。
【0248】
目的の細胞型または組織への送達、および/またはそれによる取り込みを促進する部分は、例えば、Benizriら、Bioconjug Chem.(2019)30(2):366~383頁に記載される、前記文献はこれにより参照により本明細書にその全体が組み込まれる。そのような部分は、例えば、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、α-トコフェロール、細胞透過性ペプチド、核酸アプタマー、抗体およびその抗原結合断片/誘導体、コレステロール、スクアレン、ポリエチレングリコール(PEG)、脂肪酸(例えば、パルミチン酸)およびヌクレオ脂質部分を含む。
【0249】
本開示の物品は、LINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞または組成物を所定の速度で放出するために徐放送達システムで製剤化され得る。徐放送達システムは、一定の薬物/治療用/予防濃度を指定の期間維持できる。一部の実施形態では、本開示の物品は、リポソーム、ゲル、インプラント、デバイスまたは薬物ポリマーコンジュゲート、例えば、ハイドロゲルに製剤化される。
【0250】
LINC複合体阻害ポリペプチドを同定するための方法
本開示は、LINC複合体阻害ポリペプチドを同定するための方法も提供する。
【0251】
該方法は、候補LINC複合体阻害ポリペプチドが、関連相互作用パートナーの正常な細胞内局在を変更/破壊するかどうかを判定するために、SUNドメイン含有タンパク質のSUNドメインに対応する、またはKASHドメイン含有タンパク質のKASHドメインに対応するアミノ酸配列を含む候補LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を導入するステップ、およびSUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの細胞内局在を分析するステップ(候補LINC複合体阻害ポリペプチドが、SUNドメイン含有タンパク質のSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む場合)、またはKASHドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの細胞内局在を分析するステップ(候補LINC複合体阻害ポリペプチドがKASHドメイン含有タンパク質のKASHドメインに対応するアミノ酸配列を含む場合)を一般に含む。
【0252】
さらに詳細には、本開示は、LINC複合体阻害ポリペプチドを同定するための方法であって、
候補LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を導入するステップであって、候補LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質(例えば、SUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4またはSUCO)のSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む、ステップ;および
続いて、細胞を分析して、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナー(例えば、KASHドメイン含有タンパク質、例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5またはLRMP)の細胞内局在を決定するステップ
を含み、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの細胞内局在の変化が検出される場合に、候補LINC複合体阻害ポリペプチドがLINC複合体阻害ポリペプチドであると決定される、方法を提供する。
【0253】
LINC複合体阻害ポリペプチドを同定するための方法であって、
候補LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を導入するステップであって、候補LINC複合体阻害ポリペプチドは、KASHドメイン含有タンパク質(例えば、Nesprin-1、Nesprin-2、Nesprin-3、Nesprin-4、KASH5またはLRMP)のKASHドメインに対応するアミノ酸配列を含む、ステップ;および
続いて、細胞を分析して、KASHドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナー(例えば、SUNドメイン含有タンパク質、例えばSUN1、SUN2、SUN3、SUN5、SPAG4またはSUCO)の細胞内局在を決定するステップ
を含み、KASHドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの細胞内局在の変化が検出される場合に、候補LINC複合体阻害ポリペプチドがLINC複合体阻害ポリペプチドであると決定される、方法も同様に提供される。
【0254】
先の2段落において参照される関連相互作用パートナーの細胞内局在の変化が、候補LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸が導入されていない対照細胞における、または関連相互作用パートナーの細胞内局在に影響を与えないことが公知の対照ポリペプチドをコードする核酸が導入された対照細胞における相互作用パートナーの細胞内局在と比較した変化を指すことは理解される。
【0255】
そのような方法は、in vitroでの培養物中の細胞を使用して好ましくは実施される。
【0256】
一部の実施形態では、細胞に核酸を導入することは、形質転換、トランスフェクション、電気穿孔法または形質導入(例えば、アデノ随伴ウイルス形質導入)を含み得る。
【0257】
一部の実施形態では、候補LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸は、ベクター中に、例えば、本明細書に記載される実施形態に従ったベクター中に提供され得る。
【0258】
候補LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸は、核酸が導入された細胞において、候補LINC複合体阻害ポリペプチドの発現をもたらす調節エレメントを好ましくは含む。細胞への核酸の導入に続いて、細胞は、細胞中の核酸からの候補LINC複合体阻害ポリペプチドの発現のために好適な状態に好ましくは維持される。
【0259】
細胞への核酸の導入に続いて、関連相互作用パートナーの細胞内局在の変化のために十分な期間は、関連相互作用パートナーの細胞内局在を評価するために細胞が分析される前に好ましくは経過されることも理解される。
【0260】
所与のポリペプチド(例えば、SUNドメイン含有タンパク質またはKASHドメイン含有タンパク質に対する所与の相互作用パートナー)の細胞内局在は、当業者に周知である方法によって分析され得る。そのような方法は、抗体/リポーターベースの方法(ウエスタンブロット、ELISA、免疫組織/細胞化学、等)を含む。例えば、細胞内局在は、異なる細胞画分から調製される抽出物の免疫細胞化学、またはウエスタンブロットにより分析し得る。そのような分析は、小器官マーカーおよび/または既知の細胞内局在の標識されたタンパク質を用い得る。
【0261】
そのような方法は、SUNドメイン含有タンパク質またはKASHドメイン含有タンパク質に対する、蛍光標識にコンジュゲートされた相互作用パートナーを用いることができ、および蛍光顕微鏡によるそのような種の細胞内局在の分析を含むことができる。そのような方法は、SUNドメイン含有タンパク質またはKASHドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの抗体に基づく検出を用い得る、および免疫蛍光顕微鏡によるそのような種の細胞内局在の分析を含み得る。
【0262】
一部の実施形態では、核エンベロープに局在する関連相互作用パートナーの割合の減少が検出される場合に(候補LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸が導入されていない対照細胞における、または関連相互作用パートナーの細胞内局在に影響を与えないことが公知の対照ポリペプチドをコードする核酸が導入された対照細胞における核エンベロープに局在する割合と比較して)、候補LINC複合体阻害ポリペプチドは、LINC複合体阻害ポリペプチドであると決定される。
【0263】
一部の実施形態では、核エンベロープに局在しない関連相互作用パートナーの割合の増加、または小胞体に局在する関連相互作用パートナーの割合の増加が検出された場合に(候補LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸が導入されていない対照細胞における、または関連相互作用パートナーの細胞内局在に影響を与えないことが公知の対照ポリペプチドをコードする核酸が導入された対照細胞における核エンベロープに局在する割合と比較して)、候補LINC複合体阻害ポリペプチドは、LINC複合体阻害ポリペプチドであると決定される。
【0264】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドを同定するための方法は、本明細書実施例1に本質的に記載される通り、候補LINC複合体阻害ポリペプチドの分析を含み得る。
【0265】
一部の実施形態では、LINC複合体阻害ポリペプチドを同定するための方法は、
SUNドメイン含有タンパク質のSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む候補LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を細胞に導入するステップ;および
続いて、細胞を分析して、Nesprin-2の細胞内局在を決定するステップ
を含み、小胞体に局在するNesprin-2の割合の増加が検出される場合に、候補LINC複合体阻害ポリペプチドはLINC複合体阻害ポリペプチドであると決定される。
【0266】
本開示は、本開示の方法によって同定されたLINC複合体阻害ポリペプチドも提供する。
【0267】
治療および予防応用
本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞および組成物は、治療および予防方法において有用である。
【0268】
本開示は、医学的処置および予防の方法における使用のための、本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞および組成物を提供する。疾患/状態を処置するまたは予防するための医薬の製造における、本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞および組成物の使用も同様に提供される。疾患/状態を処置するまたは予防する方法であって、本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞および組成物の治療または予防有効量を対象に投与するステップを含む、方法も同様に提供される。
【0269】
用語「障害」、「疾患」および「状態」は、互換的に使用されてよく、徴候または症状の同定可能な群により特徴付けられ得る身体の一部、器官または系の病理学的課題を指す。
【0270】
本開示に従った治療または予防介入は、疾患/状態の発症または進行を低下させる、疾患/状態の症状を軽減するまたは疾患/状態の病態を低減するために有効であり得る。介入は、疾患/状態の進行を予防するため、例えば、疾患/状態の悪化を予防するため、または発症の速度を遅くするために有効であり得る。一部の実施形態では、介入は、疾患/状態の改善、例えば、疾患/状態の症状の低減、または疾患/状態の重症度/活動度のいくつかの他の相関物の低減をもたらし得る。一部の実施形態では、介入は、後の段階(例えば、さらに重度の段階、または慢性段階)への疾患/状態の発症を予防できる。
【0271】
用語、例えば、障害を「発症する」、「発症すること」および「発症」は、本明細書において使用される場合、疾患の発病および疾患状態/その相関物の進行、増悪または悪化の両方を指す。
【0272】
本開示の態様は、LINC複合体機能障害が病理学的に関係している疾患の処置/予防に関する。そのような疾患は、例えば、核膜病(例えば、ラミノパチー)を含む。本開示の薬剤および方法の治療上および予防上の有用性は、LINC複合体阻害から治療/予防利益を導き出すと考えられる任意の疾患の処置および/または予防にまで広がる。
【0273】
本開示の態様は、所与の遺伝子または複数の遺伝子への突然変異に関連する疾患の処置に関する。本明細書では、所与の遺伝子(単数/複数)への突然変異「に関連する」疾患は、そのような突然変異により引き起こされるもしくは悪化する疾患、またはそのような突然変異が疾患の発症もしくは進行のリスク因子である疾患である。一部の実施形態では、突然変異は、遺伝子の非突然変異(野生型)参照対立遺伝子の2コピー(すなわち、ホモ接合の)を含む細胞と比べて、遺伝子の突然変異対立遺伝子の1つまたは複数のコピーを含む細胞において以下の:野生型対立遺伝子の遺伝子産物(例えば、RNAおよび/またはタンパク質(またはその特定のアイソフォーム)の減少したレベル;非野生型対立遺伝子の遺伝子産物の増加したレベル;野生型対立遺伝子の遺伝子産物の増加したレベルのうちの1つまたは複数を生じる。
【0274】
本開示の態様は、核膜病の処置/予防に関する。核膜病は、核膜タンパク質(すなわち、ONM、核周囲腔またはINMに含有される、または直接的に/間接的に関連しているタンパク質)をコードする遺伝子への突然変異に関連する疾患/病態である。核膜病は、例えば、Chiら、Journal of Biomedical Science(2009)16:96頁に概説されており、前記文献はこれにより参照により本明細書にその全体が組み込まれる。核膜病は、LMNA、LMNB1、LMNB2、EMD、LAP2、LBR、ZMPSTE24、SYNE-1およびNUP62における突然変異に関連している疾患/病態を含む。
【0275】
したがって、一部の実施形態では、本開示により処置される/予防される疾患/状態は、LMNA、LMNB1、LMNB2、EMD、LAP2、LBR、ZMPSTE24、SYNE-1およびNUP62の1つまたは複数への突然変異によって特徴付けられる。
【0276】
特に、本開示の態様は、ラミノパチーの処置/予防に関する。
【0277】
ラミノパチーは、例えば、Burke and Stewart、Nat Rev Mol Cell Biol.(2013)14(1):13~24頁、およびHah and Kim、Cells(2019)8(3):231頁に概説されており、前記文献は両方ともこれにより参照により本明細書にその全体が組み込まれる。ラミノパチーは、一般的には核レベルにおける荷重負荷の組織特異的欠損に関連しており、これにより物理力に対する細胞の耐久力が減少することがある。本明細書の実験例では、発明者らは、LINC複合体阻害が一定範囲のラミノパチーの症状を軽減することを実証している。
【0278】
本明細書で使用される場合、「ラミノパチー」とは、ラミンをコードする遺伝子への突然変異に関連した疾患/病態である。
【0279】
ラミンをコードする遺伝子はLMNA(ラミンAおよびCをコードする)、ならびにラミンB1およびB2をコードするLMNB1、LMNB2を含む。したがって、本開示の態様は、LMNA、LMNB1および/またはLMNB2への突然変異に関連する疾患の処置/予防に関する。
【0280】
一部の実施形態では、突然変異は、ラミンをコードする遺伝子(例えば、LMNA、LMNB1またはLMNB2)の野生型対立遺伝子によりコードされるラミンアイソフォームのレベルを減少させることが知られているまたは予想される。一部の実施形態では、突然変異はミスセンス突然変異である。一部の実施形態では、突然変異は、ラミンをコードする遺伝子の野生型対立遺伝子によりコードされるラミンの切断型バージョンを生成することが知られているまたは予想される。一部の実施形態では、突然変異は、ミスフォールドしているおよび/または分解されているラミンを生成することが知られているまたは予想される。
【0281】
一部の実施形態では、突然変異は、ラミンをコードする遺伝子(例えば、LMNA、LMNB1またはLMNB2)の野生型対立遺伝子によりコードされるラミンアイソフォームのレベルを増やすことが知られているまたは予想される。
【0282】
一部の実施形態では、突然変異は、疾患関連ラミンバリアント(例えば、プロジェリン)のレベルを増やすことが知られているまたは予想される。一部の実施形態では、突然変異は、ラミンをコードする遺伝子の疾患関連対立遺伝子によりコードされるラミンのレベルを増やすことが知られているまたは予想される。
【0283】
一部の実施形態では、ラミノパチーは骨格筋ラミノパチーである。一部の実施形態では、ラミノパチーはミオパチーである。一部の実施形態では、ラミノパチーはLMNA突然変異関連ミオパチーである。
【0284】
一部の実施形態では、本開示に従って処置される/予防される疾患は、ミオパチー、心筋症、拡張型心筋症、筋ジストロフィー、心筋ジストロフィー、骨格筋ジストロフィー、早老症、ニューロパチー、脂肪萎縮症、骨格異形成症、リポジストロフィー、白質ジストロフィーまたは皮膚症のうちの1つまたは複数を特徴とする。
【0285】
一部の実施形態では、本開示に従って処置される/予防される疾患は、筋ジストロフィー、心筋ジストロフィーまたは骨格筋ジストロフィーのうちの1つまたは複数を特徴とする。
【0286】
一部の実施形態では、ラミノパチーは、LMNA、LMNB1および/またはLMNB2への突然変異に関連している。一部の実施形態では、ラミノパチーは、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー2、常染色体優性;リポジストロフィー、部分型、後天性;てんかん、進行性筋クローヌス性、9;シャルコー・マリー・トゥース病、軸索、2e型;筋ジストロフィー;リポジストロフィー、家族性部分型、2型;心筋症、拡張型、1h;ペルゲル・フエット核異常;レイノルズ症候群;筋疾患;白質ジストロフィー;拡張型心筋症;筋ジストロフィー、先天的、Lmna関連;a型リポジストロフィーを伴う下顎末端異形成症;心筋症、拡張型、1a;拘束性皮膚障害、致死性;家族性部分型リポジストロフィー;てんかん;糖尿病を伴う脂肪萎縮症、白斑黒皮症丘疹、脂肪肝、および肥大型心筋症;白質ジストロフィー、脱髄性、成人発症型、常染色体優性;後天性全身型リポジストロフィー;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー3、常染色体劣性;シャルコー・マリー・トゥース病;シャルコー・マリー・トゥース病、軸索、2b1型;心筋症、拡張型、1b;心房静止1;肢帯型筋ジストロフィー;心筋症、拡張型、高ゴナドトロピン性性腺機能低下症を伴う;心臓-上肢症候群、スロベニア型;単一遺伝子糖尿病;不整脈原性右室心筋症;心筋症、拡張型、1e;老化;小下顎症、難聴、プロゲリア様症状、およびリポジストロフィー症候群;副腎筋ジストロフィー;非定型ウェルナー症候群;子宮内膜症;脊髄小脳失調症31;進行性筋萎縮症;神経因性大腸;自律神経疾患を伴う常染色体優性白質ジストロフィー;ウェルナー症候群;ミオパチー;Lmna関連拡張型心筋症;筋ジストロフィー、先天性、1b;肥大型心筋症;左室心筋緻密化障害;真性糖尿病、インスリン非依存性;不整脈原性右室異形成、家族性、9;心臓病;心房細動;心伝導障害;ミオクローヌス;進行性ミオクローヌスてんかん;ミオクローヌスてんかん;末梢神経系疾患;歯科疾患;房室ブロック;筋原線維ミオパチー;常染色体優性肢帯型筋ジストロフィー;Lmna関連心臓皮膚早老症症候群;筋委縮性側索硬化症1;神経管欠損;子宮頸がん;神経管欠損、葉酸感受性;脳変性;黒色皮膚腫;3-ヒドロキシアシル-Coaデヒドロゲナーゼ欠損症;先天性筋線維タイプ不均等症;先端骨溶解症;ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群;洞不全症候群;石灰沈着;未分化多形肉腫;心室頻拍、カテコールアミン誘発性多形性、1、心房性機能障害および/または拡張性心筋症を伴うまたはこれなしで;リポジストロフィー、家族性部分型、1型;軸索型ニューロパチー;発作性心室細動;ブルガダ症候群5;強直性脊椎筋ジストロフィー;肢帯型筋ジストロフィー1b型;インスリン耐性黒色表皮肥厚症、a型;全身型リポジストロフィー関連早老症候群;骨粗鬆症;強直性脊椎筋ジストロフィー1;ニューロパチー;カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍;白内障;ベスレムミオパチー1;先天性全身型リポジストロフィー;拘束型心筋症;筋ジストロフィー、先天性メロシン欠損型、1a;近位脊髄性筋萎縮症;筋ジストロフィー・ジストログリカノパチー、B型、5;リポジストロフィー、先天性全身型、1型;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー1、X連鎖型;心筋症、拡張型、1d;ミオパチー、近位、および眼筋麻痺;筋組織病;卵巣嚢胞腺腫;エメリノパチー;ファンコニ貧血、相補群a;肥満度指数量的形質遺伝子座11;骨髄異形成症候群;皮膚疾患;神経性無食欲症;脊髄性筋萎縮症;封入体筋炎;無虹彩症1;筋炎;毛髪肝腸症候群1;神経筋疾患;栄養欠乏症;胸郭出口症候群;筋障害;筋委縮症;ハーラーマン・ストライフ症候群;Rere関連障害(Rere-Related Disorders);ミラー・ディカー脳回欠損症候群(Miller-Dieker Lissencephaly Syndrome);リポジストロフィー、先天性全身型、4型;リポジストロフィー、家族性部分型、3型;ウィダマン・ラウテンストラウフ症候群;リポジストロフィー、先天性全身型、2型;運動失調ニューロパチースペクトル(Ataxia Neuropathy Spectrum);脱毛、神経性欠損、および内分泌疾患症候群;リポジストロフィー、家族性部分型、4型;第2度房室ブロック;急性壊死性脳炎;正中神経障害;内因性心筋症;家族性孤発性不整脈原性心室異形成、右優性型;女性生殖器の脱出;家族性孤発性不整脈原性心室異形成、両室型;家族性孤発性不整脈原性心室異形成、左優性型;完全全身型リポジストロフィー;血液型-アホネン;常染色体半優性重症型リポジストロフィーラミノパチー;尺骨神経障害;骨盤筋消耗;アルツハイマー病;脳卒中、虚血性;毛細血管拡張性運動失調症;脊椎関節症1;ヒト免疫不全ウイルス1型;神経芽細胞腫;血管疾患;神経系疾患;呼吸不全;ターナー症候群;手根管症候群;バレット食道;睡眠時無呼吸;脳血管疾患;プロテアソーム関連自己炎症性症候群1;ジュベール症候群1;ウイルス感染症;痴呆;パーソナリティ障害;ニューロパチー、遺伝性感覚性および自律性、III型;ロウ眼脳腎症候群(Lowe Oculocerebrorenal Syndrome);真性糖尿病;脂肪性肝疾患;リー症候群;筋ジストロフィーデュシェンヌ型;水頭症;皮膚筋炎;ヒルシュスプルング病1;Qt延長症候群;アンジェルマン症候群;中枢神経系疾患;グリコシル化の先天性障害、in型;無涙症、アカラシア、および精神遅滞症候群;多嚢胞性卵巣症候群;低血糖症;筋肥大;カーンズ・セイヤー症候群;錐体杆体ジストロフィー2;アイカルディ・グティエール症候群;アンダーセン心臓律動的周期性麻痺(Andersen Cardiodysrhythmic Periodic Paralysis);筋ジストロフィー、ベッカー型;レッグ・カルベ・ペルテス病;アンドロゲン不応症;エーラース・ダンロス症候群;アクセンフェルト・リーガー症候群;筋ジストロフィー・ジストログリカノパチー、C型、5;糸球体腎炎;発作性疾患;チクングニア熱;ウェスト症候群;ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー1;巣状分節性糸球体硬化症;ウォーカー・ワールブルク症候群;腎異形成/形成不全1(Renal Hypodysplasia/aplasia1);膝窩部贅皮症候群;小頭症;小児期型皮膚筋炎;遠位関節拘縮症;心筋炎;動脈蛇行症候群;脊柱側弯症;膜性腎症;3型糖尿病の微小血管性合併症;表皮水疱症;ショート症候群;過剰驚愕症;非アルコール性脂肪性肝疾患;筋ジストロフィー・ジストログリカノパチー、a型、4;先天性水頭症;運動失調、複合小脳および末梢性、難聴および糖尿病を伴う;心不整脈;筋ジストロフィー・ジストログリカノパチー、a型、1;下垂症;喉頭炎;無眼瞼巨口症症候群(Ablepharon-Macrostomia Syndrome);大動脈弁上狭窄;ミオパチー、先天性;代謝性脳症クライシス、再発、横紋筋融解症、心不整脈および神経変性を伴う;脳回欠損1;腎嚢胞を伴うまたは伴わない多発性肝嚢胞症1;特発性炎症性筋疾患;単純性表皮水疱症;巣状分節性糸球体硬化症1;性器発育不全;脳回転状脈絡網膜萎縮;脊髄空洞症;尋常性魚鱗癬;関節拘縮症、末梢、1a型;急性インシュリン応答;短指症;小脳形成不全症;頭蓋骨骨幹端異形成症、常染色体優性;アルポート症候群1、X連鎖型;脳回欠損;筋ジストロフィー・ジストログリカノパチー、B型、6;下痢5、タフティング腸疾患(Tufting Enteropathy)を伴う、先天性;接合部型表皮水疱症;アイカルディ・グティエール症候群1;三好型筋ジストロフィー;網膜炎;マーデン・ウォーカー症候群;視神経網膜症;免疫不全を伴うまたは伴わないポリグルコサン小体ミオパチー1;表皮水疱症、接合部、ヘルリッツ型;巨舌症;パーキンソン病15、常染色体劣性早期発症型;ミオパチー、筋原線維、3;7型糖尿病の微小血管性合併症;筋・眼・脳病;メルカーソン・ローゼンタール症候群;ミオパチー、X連鎖型、過剰自己貪食を伴う;脈絡膜炎;筋ジストロフィー、肢帯型、常染色体劣性8;黒色表皮腫を伴うクルーゾン症候群;筋ジストロフィー、肢帯型、常染色体劣性6;多小脳回;ジストロフィン異常症;6型糖尿病の微小血管性合併症;4型糖尿病の微小血管性合併症;筋緊張低下;橋小脳形成不全;先天性線維肉腫;子宮内胎児発育遅延、骨幹端異形成、先天性副腎低形成、および性器奇形;筋ジストロフィー、肢帯型、常染色体劣性7;ミオパチー、先天性、線維型不均衡を伴う;遺伝性エナメル質形成不全症、Ig型;不応性貧血;外眼筋の線維症、先天性、1;運動失調および多発ニューロパチー、成人発症性;アルラカド症候群;老人性白内障;筋ジストロフィー・ジストログリカノパチー、C型、1;神経細胞移動障害;エイメ・グリプ症候群(Ayme-Gripp Syndrome);原発性無ガンマグロブリン血症;常染色体劣性肢帯型筋ジストロフィー2a型;脳炎;筋ジストロフィー、先天的、巨大円錐状型;常染色体劣性肢帯型筋ジストロフィー;Alkuraya-Kucinskas症候群;筋ジストロフィー・ジストログリカノパチー、C型、4;先天性筋ジストロフィー1a型;ベール症候群;ダンディー・ウォーカーコンプレックス;筋ジストロフィー・ジストログリカノパチー、C型、2;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー、X連鎖型;筋ジストロフィー、肢帯型、常染色体劣性3;常染色体劣性肢帯型筋ジストロフィー2d型;眼球異常を伴うまたは伴わない脳小血管病1;家族性孤発性拡張型心筋症;表皮反復性びらんジストロフィー(Epithelial Recurrent Erosion Dystrophy);筋ジストロフィー・ジストログリカノパチー;マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス感染症;常染色体劣性肢帯型筋ジストロフィー2l型;視覚てんかん;バルサルバ洞動脈瘤;常染色体劣性肢帯型筋ジストロフィー2b型;クレアチンホスホキナーゼ、上昇血清;痙性対麻痺、運動失調、および精神遅滞;多核ニューロン、無羊水症、腎異形成、小脳形成不全、および水無脳症;耳管開放症;常染色体遺伝病;Ck症候群;ニューロン炎;過剰驚愕症1;還元体筋障害;多小脳回、両側側頭後頭(Bilateral Temporooccipital);孤立性ハイパーケミア(Isolated Hyperckemia);シャルコー・マリー・トゥース病、軸索、2b2型;ヒアリン塊およびネマリン小体を伴う心臓神経筋疾患;知的障害を伴わない先天性筋ジストロフィー;血液型、Iシステム(I System);サリーヒミオパチー(Salih Myopathy);内転母指症候群(Adducted Thumbs Syndrome);硬膜副鼻腔奇形(Dural Sinus Malformation);血液型、ドンブロックシステム;血液型、コルトンシステム;関節弛緩型エーラス・ダンロス症候群(Arthrochalasia Ehlers-Danlos Syndrome);Lama2関連筋ジストロフィー;筋ジストロフィー、先天性、小児白内障および性腺機能低下症を伴う;子宮内感染症;筋ジストロフィー、先天性、メロシン陽性;小脳障害を伴う先天性筋ジストロフィー;福山型筋ジストロフィー;ナチュラルキラー細胞の慢性リンパ増殖性障害;知的障害を伴う先天性筋ジストロフィー;エナメル形質不全症低形成型、Ig;アンドロゲン不応症候群、軽症型;筋ジストロフィー、先天性、関節拘縮症を生じる;脳および眼異常を伴う先天性筋アルファジストログリカノパチー;VI型コラーゲン関連ミオパチー;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー、優性型;ジストログリカノパチーによる先天性筋ジストロフィー;巣状ミトコンドリア欠乏を伴う近位筋ミオパチー;小児脊椎側弯症から選択される。
【0287】
一部の実施形態では、ラミノパチーは、LMNAへの突然変異に関連するラミノパチーである。一部の実施形態では、ラミノパチーは、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群;拡張型心筋症;筋ジストロフィー、先天的、Lmna関連;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー2、常染色体優性;筋ジストロフィー;a型リポジストロフィーを伴う下顎末端異形成症;心筋症、拡張型、1a;シャルコー・マリー・トゥース病;肢帯型筋ジストロフィー;心筋症、拡張型、高ゴナドトロピン性性腺機能低下症を伴う;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー3、常染色体劣性;リポジストロフィー、家族性部分型、2型;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー;シャルコー・マリー・トゥース病、軸索、2b1型;心臓-上肢症候群、スロベニア型;老化;家族性部分型リポジストロフィー;拘束性皮膚障害、致死性;不整脈原性右室心筋症;歯科疾患;心臓病;ウェルナー症候群;肥大型心筋症;左室心筋緻密化障害;房室ブロック;石灰沈着;先端骨溶解症;常染色体優性肢帯型筋ジストロフィー;真性糖尿病、インスリン非依存性;骨粗鬆症;心房細動;心房静止1;黒色皮膚腫;心伝導障害;カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍;小下顎症、難聴、プロゲリア様症状、およびリポジストロフィー症候群;洞不全症候群;ペルゲル・フエット核異常;シャルコー・マリー・トゥース病、軸索、2e型;先天性全身型リポジストロフィー;拘束型心筋症;先天性筋線維タイプ不均等症;リポジストロフィー、先天性全身型、1型;筋原線維ミオパチー;リポジストロフィー、家族性部分型、1型;軸索型ニューロパチー;非定型ウェルナー症候群;卵巣嚢胞腺腫;ファンコニ貧血、相補群a;肥満度指数量的形質遺伝子座11;皮膚疾患;強直性脊椎筋ジストロフィー1;神経筋疾患;ハーラーマン・ストライフ症候群;ベスレムミオパチー1;後天性全身型リポジストロフィー;心筋症、拡張型、1e;リポジストロフィー、先天性全身型、4型;未分化多形肉腫;リポジストロフィー、家族性部分型、3型;筋ジストロフィー、先天性メロシン欠損型、1a;近位脊髄性筋萎縮症;筋ジストロフィー・ジストログリカノパチー、B型、5;筋ジストロフィー、先天性、1b;レイノルズ症候群;ウィダマン・ラウテンストラウフ症候群;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー1、X連鎖型;リポジストロフィー、先天性全身型、2型;単一遺伝子糖尿病;心筋症、拡張型、1d;ミオパチー、近位、および眼筋麻痺;筋組織病;リポジストロフィー、家族性部分型、4型;心筋症、拡張型、1h;第2度房室ブロック;正中神経障害;内因性心筋症;女性生殖器の脱出;完全全身型リポジストロフィー;強直性脊椎筋ジストロフィー;エメリノパチー;尺骨神経障害;肢帯型筋ジストロフィー1b型;Lmna関連拡張型心筋症;骨盤筋消耗;全身型リポジストロフィー関連早老症候群;筋疾患;心筋症、拡張型、1b;常染色体遺伝病;家族性孤発性不整脈原性心室異形成、右優性型;家族性孤発性不整脈原性心室異形成、両室型;家族性孤発性不整脈原性心室異形成、左優性型;Lmna関連心臓皮膚早老症症候群;常染色体半優性重症型リポジストロフィーラミノパチーから選択される。
【0288】
一部の実施形態では、本開示に従って処置される/予防される疾患は、表1(次ページに記載する)に示されるcDNAまたはタンパク質バリアントに関連する疾患から選択される。
【0289】
一部の実施形態では、本開示に従って処置される/予防される疾患は、表1に示される疾患から選択される。
【0290】
一部の実施形態では、本開示に従って処置される/予防される疾患は、表1に通常フォントで示される疾患から選択される。
【0291】
一部の実施形態では、本開示に従って処置される/予防される疾患は、表1にボールドフォントで示される疾患から選択される。
【0292】
【0293】
【0294】
【0295】
【0296】
【0297】
【0298】
【0299】
【0300】
【0301】
【0302】
【0303】
【0304】
【0305】
【0306】
【0307】
【0308】
【0309】
【0310】
【0311】
【0312】
【0313】
【0314】
【0315】
【0316】
【0317】
【0318】
【0319】
【0320】
【0321】
【0322】
【0323】
【0324】
【0325】
【0326】
【0327】
【0328】
【0329】
【0330】
【0331】
【0332】
【0333】
【0334】
【0335】
【0336】
本開示のさらなる態様は、脂質異常症を特徴とする疾患、例えば高脂血症を特徴とする疾患の処置/予防に関する。LINC複合体阻害は、脂質異常症、特に、高コレステロール血症等の高脂血症のための適切な治療/予防介入であると近年示された、例えば、実施例18の例えばWO 2021/010898 A1を参照されたい。
【0337】
本開示のさらなる態様は、LDL受容体欠損に関連する疾患(すなわち、LDL受容体タンパク質および/または機能の減少したレベル)の処置/予防に関する。
【0338】
一部の実施形態では、本開示により処置/予防される疾患/状態は、脂質異常症および/または高コレステロール血症である。一部の実施形態では、疾患/状態は、脂質異常症および/または高コレステロール血症を特徴とする疾患/状態である。一部の実施形態では、疾患/状態は、脂質異常症および/または高コレステロール血症に関連する疾患/状態である(例えば、脂質異常症および/または高コレステロール血症が、疾患/状態の発病、発症または進行についてのリスク因子である疾患/状態)。
【0339】
脂質異常症は、高すぎるまたは低すぎる血液中脂質レベルを有するとして定義される。本開示は、血液中の脂質またはリポタンパク質のレベルが上昇している場合の高脂血症の処置に特に関連する。高脂血症は、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症および複合型高脂血症(高トリグリセリド血症と高コレステロール血症の組合せ)を含む。高脂血症は、例えば、アテローム性動脈硬化症、高血圧および心血管疾患に関連している。
【0340】
高脂血症とは、血液中の脂質またはリポタンパク質の上昇したレベルのことである。高脂血症は、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症および複合型高脂血症(高トリグリセリド血症と高コレステロール血症の組合せ)を含む。高脂血症は、例えば、アテローム性動脈硬化症、高血圧および心血管疾患に関連している。
【0341】
高コレステロール血症は、血液中のコレステロールの高いレベルを指す。多くの場合、高コレステロール血症は、遺伝的リスク因子との組合せでの高脂肪食および不活発な生活様式の結果として生じる。高コレステロール血症は、遺伝的突然変異(例えば、家族性高コレステロール血症の場合)、2型糖尿病、甲状腺機能低下症、腎疾患の結果として、またはある種の薬物、例えば、副腎皮質ステロイドでの処置の副作用としても生じる場合がある。
【0342】
高コレステロール血症は、例えば、Bhatnagarら、BMJ(2008)337:a993に記載されている。UK NHSは、高コレステロール血症を、≧5mmol/Lの血中総コレステロールレベルまたは≧3mmol/Lの血中低密度リポタンパク質(LDL)レベルと定義している。US NIHは、高コレステロール血症を、≧240mg/dLの血中総コレステロールレベルと定義している。高トリグリセリド血症は、例えば、Berglundら、J.Clin.Endocrinol.Metab.(2012)97(9):2969~89頁に記載されており、≧150mg/dL(≧1.7mmol/L)の血中トリグリセリドレベルにより定義される。高コレステロール血症は、心血管疾患、特に、アテローム性動脈硬化症の結果として生じる心血管疾患についての十分に認識されたリスク因子である-例えば、Nelson Prim Care.(2013)Mar;40(1):195~211頁を参照されたい。高コレステロール血症は、脂肪症および非アルコール性肝疾患を生じるとも報告された-例えば、Arguelloら、Biochim Biophys Acta(2015)1852(9):1765~78頁を参照されたい。
【0343】
一部の実施形態では、高脂血症を特徴とする疾患は、家族性高脂血症または後天性(二次性)高脂血症でもよい。
【0344】
一部の実施形態では、家族性高脂血症は、バーガー・グリッツ症候群、家族性アポタンパク質CII欠乏症、Ic型高リポタンパク血症、家族性高コレステロール血症、家族性複合型高脂血症、家族性異常βリポタンパク血症、家族性高トリグリセリド血症およびV型高リポタンパク血症から選択される。一部の実施形態では、家族性高脂血症は家族性高コレステロール血症である。
【0345】
LDL受容体欠損症は、例えば、LDLRへの突然変異の結果として生じ得る。したがって、本開示の態様は、LDLRへの突然変異に関連する疾患の処置/予防に関する。一部の実施形態では、突然変異は、野生型LDLR対立遺伝子によりコードされる1つもしくは複数のLDL受容体アイソフォームのレベルを減少させるおよび/または1つもしくは複数の疾患関連LDL受容体バリアントのレベルを増加させることが知られているまたは予想される。一部の実施形態では、LDLRへの突然変異に関連する疾患は家族性高コレステロール血症である。
【0346】
一部の実施形態では、本開示に従って処置される/予防される疾患は、高脂血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、狭窄症または高血圧のうちの1つまたは複数を特徴とする。一部の実施形態では、本開示に従って処置される/予防される疾患はアテローム性動脈硬化症を特徴とする。
【0347】
一部の実施形態では、処置される/予防される疾患は、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、脳卒中および家族性高脂血症から選択される。
【0348】
本開示の種々の態様に従って、本開示に従った疾患/状態を処置するおよび/または予防する方法は、
疾患を有する対象の生存を増やすステップ;
疾患を有する対象の生存期間を増やすステップ;
心機能を増やすもしくは減退を阻害するステップ;
心機能の減退の開始を遅らせるステップ;
心筋収縮力を増やすもしくは減少を阻害するステップ;
駆出率および/または短縮率を増やすまたは低下を阻害するステップ;
左心室内径を減少させるもしくは増加を阻害するステップ;
左心室後壁厚を増加させるもしくは減少を阻害するステップ;および/または
アテローム性動脈硬化症を減少させるもしくは発症を阻害するステップ
のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0349】
本開示の種々の態様によれば、SUNドメイン含有タンパク質とKASHドメイン含有タンパク質との間の相互作用を阻害すること;SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むLINC複合体の形成を阻害すること;SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むLINC複合体を破壊すること;SUNドメイン含有タンパク質またはKASHドメイン含有タンパク質の正常な細胞内局在を破壊すること;LINC複合体の構成要素タンパク質(例えば、KASHドメイン含有タンパク質)の小胞体への局在を増やすこと;SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むLINC複合体のレベルを減少させること;ならびに/またはSUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むLINC複合体の機能/活性を阻害すること、のうちの1つまたは複数のための、またはそれを(例えば、本明細書に記載される疾患/状態の処置/予防の文脈では)含む方法が提供される。そのような方法における使用のための本開示に従った薬剤、そのような方法における使用のための医薬組成物または医薬の製造における本開示に従った薬剤の使用も同様に提供される。方法が、本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞または組成物を対象に投与することを典型的には含むことは理解される。
【0350】
同様に、本開示に従った治療または予防介入に続いて(例えば、介入前のレベルと比較して)、SUNドメイン含有タンパク質とKASHドメイン含有タンパク質との間の相互作用の阻害;SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むLINC複合体の形成の阻害;SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むLINC複合体の破壊;SUNドメイン含有タンパク質またはKASHドメイン含有タンパク質の正常な細胞内局在の破壊;LINC複合体の構成要素タンパク質(例えば、KASHドメイン含有タンパク質)の小胞体への局在の増加;SUNドメイン含有タンパク質およびKASHドメイン含有タンパク質を含むLINC複合体のレベルの低減;ならびに/またはSUNドメイン含有タンパク質およびASHドメイン含有タンパク質を含むLINC複合体の機能/活性の阻害のうちの1つまたは複数が対象において観察される。
【0351】
一部の実施形態では、本開示に従った治療/予防介入は、前段に記載の1つまたは複数の効果と「関連して」記載され得る。当業者は、当分野で日常的に実行される技法を使用してそのような特性を容易に評価することができる。
【0352】
本開示のLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞および組成物の投与は、好ましくは、「治療有効」量または「予防有効」量においてであり、これは対象への治療または予防効果を示すのに十分である。投与される実際量、ならびに投与の速度および時間経過は、疾患/状態の性質および重症度、ならびに投与される具体的な物品に依存することになる。処置の処方、例えば、投与量の決定等は、一般医および他の医師の責任範囲内であり、典型的には、処置される疾患/障害、個々の対象の状態、送達部位、投与方法および開業医には公知の他の要因を考慮に入れる。上述の技法およびプロトコールの例は、Remington’s ‘The Science and Practice of Pharmacy’(Ed.A.Adejare)、第23版(2020)、Academic Pressに見出せる。
【0353】
好ましい実施形態では、投与は、本開示に従った核酸/ベクターの、または核酸/ベクターを含む組成物の投与である。好ましい実施形態では、投与は、本開示に従った核酸/ベクターを含む/発現する、および/またはLINC複合体阻害ポリペプチドを含む/発現する1つまたは複数の細胞の改変をもたらす。
【0354】
本開示の物品の投与は、例えば、非経口、全身性、局所、腔内、血管内、静脈内、動脈内、筋肉内、くも膜下腔内、眼内、結膜内、腫瘍内、皮下、皮内、経口または経皮的であり得る。投与は、注射、注入または経口摂取によってであり得る。
【0355】
一部の態様および実施形態では、本開示の物品は、目的の組織/器官(例えば、状態に冒されている疾患/状態に冒されている組織/器官(例えば、疾患/状態の症状が現れる組織/器官)に投与され得る。一部の態様および実施形態では、本開示の物品は、注射もしくは注入によって(例えば、カニューレを通じて)血中に投与(すなわち、静脈内/動脈内投与)され得る、または皮下にもしくは経口で投与され得る。
【0356】
本開示に従った一部の態様および実施形態では、本開示の物品標的化送達があり得る、すなわち、対象における関連薬剤の濃度は、身体の他の部分と比較して所与の組織(複数可)/器官(複数可)において増加している。一部の実施形態では、方法は、血管内(例えば、静脈内もしくは動脈内)、筋肉内または皮下投与を含み、関連物品は、標的化薬剤送達系(例えば、先述の通り)に製剤化される。
【0357】
投与の特定の様式および/または部位は、LINC複合体阻害が必要である場所、例えば、心臓および/または骨格筋細胞/組織に従って選択され得る。
【0358】
一部の実施形態では、本開示に従った治療または予防介入は、関連疾患/状態の処置/予防のための別の薬剤を投与することをさらに含み得る。
【0359】
本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞および組成物の投与は、単独または他の処置との組合せで、処置される状態に応じて同時にまたは逐次的に、のいずれであってもよい。同時投与は、例えば、両方の薬剤を含有する医薬組成物(組合せ調製)としての、または互いの直後におよび任意選択で同じ投与の経路を通じて(例えば、同じ組織、動脈、静脈または他の血管へ)での、別の治療剤と合わせた投与を指す。逐次投与は、1つの薬剤の投与の所与の時間間隔後に続く別の薬剤の別の投与を指す。一部の実施形態ではこの通りであるが、2つの薬剤が同じ経路によって投与される必要はない。時間間隔は、任意の時間間隔であってよい。
【0360】
本開示のLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞および組成物の複数用量は、提供され得る。用量のうちの1つもしくは複数、またはそれぞれは、別の治療剤の同時または逐次投与を伴ってもよい。
【0361】
複数用量は、所定の時間間隔で離してもよく、この間隔は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、もしくは31日または1、2、3、4、5、もしくは6か月のうちの1つであることを選択してもよい。例として、用量は、7、14、21または28日(プラスまたはマイナス3、2、または1日)ごとに1回与えてもよい。
【0362】
一部の実施形態では、本開示に従った方法は、対象が本明細書に記載される疾患を有するかどうかを決定するステップを含み得る。一部の実施形態では、方法は、本明細書に記載される疾患を診断するステップを含む。対象が本明細書に記載される疾患を有するかどうかを判定するステップは、疾患の1つまたは複数の症状/相関物について対象を分析するステップを含んでもよい。
【0363】
一部の実施形態では、例えば、対象におけるまたは対象の細胞/組織/器官における疾患を示す他の症状の存在に基づいて、対象は疾患を有するまたは罹っていると疑われ得る。一部の実施形態では、例えば、疾患に対する遺伝的素因または他のリスク因子のせいで、対象は疾患を発症するリスクがあると見なされ得る。
【0364】
一部の実施形態では、方法は、対象が本明細書に記載される遺伝子への突然変異を有するかどうかを判定するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、本明細書に記載される遺伝子への突然変異を検出するステップを含む。
【0365】
本明細書に記載される遺伝子への突然変異の判定は、診断もしくは疑わしい診断を確かめてもよく、または対象が疾患を発症するリスクがあることを確かめてもよい。決定は、本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞または組成物を用いた処置/予防のために疾患、または疾患の素因を診断できる。
【0366】
遺伝的要因は、PCRベースのおよび配列決定アッセイを含む、当業者に公知の方法によりアッセイしてもよい。例えば、対象から得られた試料中で、遺伝的要因の存在を判定することにより、診断を確かめてもよく、および/または対象は本明細書に記載される疾患を発症するリスクがあると分類されてもよく、および/または対象は、本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞または組成物を用いた処置に適していると見極められてもよい。
【0367】
アッセイは、対象から得られた試料上in vitroで、または対象から得られた試料の処理に続いて実施してもよい。対象から得られた試料は、いかなる種類でもよい。生体試料は、任意の組織または体液、例えば、血液試料、血液由来試料、血清試料、リンパ試料、精液試料、唾液試料、骨液試料から採取し得る。血液由来試料は、患者血液の選択された画分、例えば、選択された細胞含有画分または血漿もしくは血清画分でもよい。試料は、対象から単離された組織試料もしくは生検;または細胞を含み得る。
【0368】
一部の実施形態では、方法は、対象が、LMNA、LMNB1、LMNB2、EMD、LAP2、LBR、ZMPSTE24、SYNE-1およびNUP62のうちの1つまたは複数の対立遺伝子への突然変異を含むかどうかを判定するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、LMNA、LMNB1およびLMNB2のうちの1つまたは複数の対立遺伝子への突然変異を含むかどうかを判定するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、LMNAの対立遺伝子への突然変異を含むかどうかを判定するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、LDLRの対立遺伝子への突然変異を含むかどうかを判定するステップを含む。
【0369】
そのような実施形態では、突然変異が検出されれば、対象を、本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞または組成物を投与される対象であると見極め得る。したがって、一部の実施形態では、方法は、本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞または組成物の投与のために、LMNA、LMNB1、LMNB2、EMD、LAP2、LBR、ZMPSTE24、SYNE-1およびNUP62のうちの1つまたは複数への突然変異を含むと判定された対象を選択するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞または組成物の投与のために、LMNA、LMNB1およびLMNB2のうちの1つまたは複数への突然変異を含むと判定された対象を選択するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞または組成物の投与のために、LMNAへの突然変異を含むと判定された対象を選択するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞または組成物の投与のために、LDLRへの突然変異を含むと判定された対象を選択するステップを含む。
【0370】
一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つのLMNA突然変異の存在または非存在について疾患を有すると疑われる対象から得られた試料を試験するステップを含み、少なくとも1つのLMNA突然変異の存在は、対象が、本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞または組成物を投与されるべきであることを示している。
【0371】
対象
本開示の種々の態様に従った対象は、任意の動物またはヒトであり得る。治療および予防適用は、ヒトまたは動物(獣医学使用)においてであり得る。本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞または組成物を用いて処置される対象は、それを必要とする対象であり得る。対象は、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。対象は、非ヒト哺乳動物であり得るが、より好ましくはヒトである。対象は、オスまたはメスであり得る。対象は、患者であり得る。
【0372】
対象は、本明細書に記載される疾患または状態を有すると診断された場合があり、そのような疾患/状態を有すると疑われている場合があり、そのような疾患/状態を発症する/罹患するリスクがある場合がある。本開示に従った実施形態では、対象は、そのような疾患/状態のある特定のマーカーについての特徴に基づく方法に従った処置のために選択され得る。
【0373】
一部の実施形態では、対象は、先述のいずれかの実施形態に従った突然変異を含む。一部の実施形態では、対象は、本明細書に記載される疾患/状態(例えば、ラミノパチー)を生じる突然変異を含む。
【0374】
キット
本開示の一部の態様では、部品のキットが提供される。一部の実施形態では、キットは、所定の量の本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞または組成物を含む少なくとも1つの容器を含み得る。
【0375】
一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞または組成物を産生するための材料を含み得る。
【0376】
キットは、LINC複合体阻害ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞または組成物を特定の疾患/状態を処置するために患者に投与するための説明書と共に提供し得る。
【0377】
一部の実施形態では、キットは、所定の量の別の治療剤を含む少なくとも1つの容器をさらに含み得る。そのような実施形態では、特定の疾患または状態に対する併用処置を提供するように2つの医薬または医薬組成物が同時にまたは別々に投与され得るように、キットは第2の医薬または医薬組成物も含み得る。
【0378】
本開示に従ったキットは、使用のための説明書を、例えば、取り扱い説明書または小冊子の形態で含む場合がある。説明書は、本明細書に記載される方法の任意の1つまたは複数を実施するためのプロトコールを含み得る。
【0379】
配列同一性
2つもしくはそれよりも多いアミノ酸または核酸配列間のパーセント同一性を決定する目的でのペアワイズおよび多重配列アラインメントは、当業者に既知の各種方法で、例えば、ClustalOmega(Soding、J.2005、Bioinformatics 21、951~960)、T-coffee(Notredameら 2000、J.Mol.Biol.(2000)302、205~217)、Kalign(LassmannおよびSonnhammer 2005、BMC Bioinformatics、6(298))およびMAFFT(KatohおよびStandley 2013、Molecular Biology and Evolution、30(4)772~780)ソフトウェア等の公的に利用可能なコンピューターソフトウェアを使用して達成することができる。そのようなソフトウェアを使用する場合、例えば、ギャップペナルティおよび伸長ペナルティのデフォルトパラメータが好ましくは使用される。
【0380】
【0381】
【0382】
【0383】
【0384】
【0385】
【0386】
【0387】
【0388】
【0389】
【0390】
【0391】
【0392】
【0393】
【0394】
番号付き段落
以下の番号付き段落(段落(para))は、本発明に関連して検討される特性および特性の組合せのさらなる記載を提供する:
1.LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸であって、LINC複合体阻害ポリペプチドは、(i)SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα3ヘリックスおよびSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む阻害領域、ならびに(ii)小胞体保持モチーフを含み;
LINC複合体阻害ポリペプチドは、配列番号43、45または58のいずれか1つのアミノ酸配列を含まない、核酸。
【0395】
2.LINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域が、配列番号44または46のアミノ酸配列から本質的にならない、段落1の核酸。
【0396】
3.LINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域が、配列番号49、50、51、52、53、54、55、56、57、59、60、61または62のいずれか1つのアミノ酸配列から本質的にならない、段落1または段落2の核酸。
【0397】
4.LINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域が、配列番号63、64、65、66、67、68または94のいずれか1つのアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列から本質的になる、段落1から3のいずれか1つの核酸。
【0398】
5.LINC複合体阻害ポリペプチドが、配列番号69、70、71、72、73、74または95のいずれか1つのアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる、段落1から4のいずれか1つの核酸。
【0399】
6.LINC複合体阻害ポリペプチドが、シグナルペプチドを含む、段落1から5のいずれか1つの核酸。
【0400】
7.核酸が、遺伝子治療として、LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を送達するために好適なベクターである、段落1から6のいずれか1つの核酸。
【0401】
8.ベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、段落7の核酸。
【0402】
9.(i)SUNドメイン含有タンパク質のCC2領域のα3ヘリックスおよびSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む阻害領域、ならびに(ii)小胞体保持モチーフを含む、LINC複合体阻害ポリペプチドであって、
配列番号43または45のアミノ酸配列を含まない、LINC複合体阻害ポリペプチド。
【0403】
10.LINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域が、配列番号44または46のアミノ酸配列から本質的にならない、段落9のLINC複合体阻害ポリペプチド。
【0404】
11.LINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域が、配列番号49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61または62のいずれか1つのアミノ酸配列から本質的にならない、段落9または段落10のLINC複合体阻害ポリペプチド。
【0405】
12.LINC複合体阻害ポリペプチドの阻害領域が、配列番号63、64、65、66、67、68または94のいずれか1つのアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列から本質的になる、段落9から11のいずれか1つのLINC複合体阻害ポリペプチド。
【0406】
13.LINC複合体阻害ポリペプチドが、配列番号69、70、71、72、73、74または95のいずれか1つのアミノ酸配列に少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる、段落9から12のいずれか1つのLINC複合体阻害ポリペプチド。
【0407】
14.LINC複合体阻害ポリペプチドが、シグナルペプチドを含む、段落9から13のいずれか1つのLINC複合体阻害ポリペプチド。
【0408】
15.LINC複合体阻害ポリペプチドを同定するための方法であって、
候補LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を導入するステップであって、候補LINC複合体阻害ポリペプチドは、SUNドメイン含有タンパク質のSUNドメインに対応するアミノ酸配列を含む、ステップ;および
続いて、細胞を分析して、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの細胞内局在を決定するステップ
を含み、SUNドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの細胞内局在の変化が検出される場合に、候補LINC複合体阻害ポリペプチドがLINC複合体阻害ポリペプチドであると決定される、方法。
【0409】
16.LINC複合体阻害ポリペプチドを同定するための方法であって、
候補LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を導入するステップであって、候補LINC複合体阻害ポリペプチドは、KASHドメイン含有タンパク質のKASHドメインに対応するアミノ酸配列を含む、ステップ;および
続いて、細胞を分析して、KASHドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの細胞内局在を決定するステップ
を含み、KASHドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの細胞内局在の変化が検出される場合に、候補LINC複合体阻害ポリペプチドがLINC複合体阻害ポリペプチドであると決定される、方法。
【0410】
17.SUN/KASHドメイン含有タンパク質に対する相互作用パートナーの小胞体に局在する割合の増加が検出される場合に、候補LINC複合体阻害ポリペプチドがLINC複合体阻害ポリペプチドであると決定される、段落15または段落16の方法。
【0411】
18.段落15から17のいずれか1つの方法によって同定されるLINC複合体阻害ポリペプチド。
【0412】
19.段落9から14または段落18のいずれか1つのLINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸。
【0413】
20.遺伝子治療として、LINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を送達するために好適なベクターである、段落19の核酸を含むベクター。
【0414】
21.アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、段落20のベクター。
【0415】
22.段落1から8もしくは段落19のいずれか1つの核酸、段落9から14もしくは段落18のいずれか1つのLINC複合体阻害ポリペプチド、または段落20もしくは段落21のベクターを含む細胞。
【0416】
23.段落1から8もしくは段落19のいずれか1つの核酸、段落9から14もしくは段落18のいずれか1つのLINC複合体阻害ポリペプチド、段落20もしくは段落21のベクター、または段落22の細胞を含む医薬組成物。
【0417】
24.医学的処置および予防の方法における使用のための、段落1から8もしくは段落19のいずれか1つの核酸、段落9から14もしくは段落18のいずれか1つのLINC複合体阻害ポリペプチド、段落20もしくは段落21のベクター、段落22の細胞または段落23の医薬組成物。
【0418】
25.ラミノパチーを処置するまたは予防する方法における使用のための、段落1から8もしくは段落19のいずれか1つの核酸、段落9から14もしくは段落18のいずれか1つのLINC複合体阻害ポリペプチド、段落20もしくは段落21のベクター、段落22の細胞または段落23の医薬組成物。
【0419】
26.ラミノパチーを処置するまたは予防する医薬の製造における、段落1から8もしくは段落19のいずれか1つの核酸、段落9から14もしくは段落18のいずれか1つのLINC複合体阻害ポリペプチド、段落20もしくは段落21のベクター、段落22の細胞または段落23の医薬組成物の使用。
【0420】
27.ラミノパチーを処置するまたは予防する方法であって、段落1から8もしくは段落19のいずれか1つの核酸、段落9から14もしくは段落18のいずれか1つのLINC複合体阻害ポリペプチド、段落20もしくは段落21のベクター、段落22の細胞または段落23の医薬組成物の治療または予防有効量を対象に投与することを含む、方法。
【0421】
28.ラミノパチーが、筋症、心筋症、拡張型心筋症、筋ジストロフィー、心筋ジストロフィー、骨格筋ジストロフィー、早老症、神経障害、脂肪萎縮症、骨格異常形成、リポジストロフィー、白質ジストロフィーまたは皮膚症のうちの1つまたは複数により特徴付けられる、段落25の使用のための核酸、LINC複合体阻害ポリペプチド、ベクター、細胞もしくは医薬組成物、段落26の使用、または段落27の方法。
【0422】
29.ラミノパチーが、LMNAへの突然変異と関連している、段落25から28のいずれか1つに記載の使用のための核酸、LINC複合体阻害ポリペプチド、ベクター、細胞もしくは医薬組成物、使用または方法。
【0423】
30.ラミノパチーが、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群;拡張型心筋症;筋ジストロフィー、先天的、Lmna関連;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー2、常染色体優性;筋ジストロフィー;a型リポジストロフィーを伴う下顎末端異形成症;心筋症、拡張型、1a;シャルコー・マリー・トゥース病;肢帯型筋ジストロフィー;心筋症、拡張型、高ゴナドトロピン性性腺機能低下症を伴う;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー3、常染色体劣性;リポジストロフィー、家族性部分型、2型;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー;シャルコー・マリー・トゥース病、軸索、2b1型;心臓-上肢症候群、スロベニア型;老化;家族性部分型リポジストロフィー;拘束性皮膚障害、致死性;不整脈原性右室心筋症;歯科疾患;心臓病;ウェルナー症候群;肥大型心筋症;左室心筋緻密化障害;房室ブロック;石灰沈着;先端骨溶解症;常染色体優性肢帯型筋ジストロフィー;真性糖尿病、インスリン非依存性;骨粗鬆症;心房細動;心房静止1;黒色皮膚腫;心伝導障害;カテコールアミン誘発性多形性心室性頻拍;小下顎症、難聴、プロゲリア様症状、およびリポジストロフィー症候群;洞不全症候群;ペルゲル・フエット核異常;シャルコー・マリー・トゥース病、軸索、2e型;先天性全身型リポジストロフィー;拘束型心筋症;先天性筋線維タイプ不均等症;リポジストロフィー、先天性全身型、1型;筋原線維ミオパチー;リポジストロフィー、家族性部分型、1型;軸索型ニューロパチー;非定型ウェルナー症候群;卵巣嚢胞腺腫;ファンコニ貧血、相補群a;肥満度指数量的形質遺伝子座11;皮膚疾患;強直性脊椎筋ジストロフィー1;神経筋疾患;ハーラーマン・ストライフ症候群;ベスレムミオパチー1;後天性全身型リポジストロフィー;心筋症、拡張型、1e;リポジストロフィー、先天性全身型、4型;未分化多形肉腫;リポジストロフィー、家族性部分型、3型;筋ジストロフィー、先天性メロシン欠損型、1a;近位脊髄性筋萎縮症;筋ジストロフィー・ジストログリカノパチー、B型、5;筋ジストロフィー、先天性、1b;レイノルズ症候群;ウィダマン・ラウテンストラウフ症候群;エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー1、X連鎖型;リポジストロフィー、先天性全身型、2型;単一遺伝子糖尿病;心筋症、拡張型、1d;ミオパチー、近位、および眼筋麻痺;筋組織病;リポジストロフィー、家族性部分型、4型;心筋症、拡張型、1h;第2度房室ブロック;正中神経障害;内因性心筋症;女性生殖器の脱出;完全全身型リポジストロフィー;強直性脊椎筋ジストロフィー;エメリノパチー;尺骨神経障害;肢帯型筋ジストロフィー1b型;Lmna関連拡張型心筋症;骨盤筋消耗;全身型リポジストロフィー関連早老症候群;筋疾患;心筋症、拡張型、1b;常染色体遺伝病;家族性孤発性不整脈原性心室異形成、右優性型;家族性孤発性不整脈原性心室異形成、両室型;家族性孤発性不整脈原性心室異形成、左優性型;Lmna関連心臓皮膚早老症症候群;ならびに常染色体半優性重症型リポジストロフィーラミノパチーから選択される、段落25から29のいずれか1つに記載の使用のための核酸、LINC複合体阻害ポリペプチド、ベクター、細胞もしくは医薬組成物、使用または方法。
【0424】
31.高脂血症を特徴とする疾患を処置するまたは予防する方法における使用のための、段落1から8もしくは段落19のいずれか1つの核酸、段落9から14もしくは段落18のいずれか1つのLINC複合体阻害ポリペプチド、段落20もしくは段落21のベクター、段落22の細胞または段落23の医薬組成物。
【0425】
32.高脂血症を特徴とする疾患を処置するまたは予防するための医薬の製造における、段落1から8もしくは段落19のいずれか1つの核酸、段落9から14もしくは段落18のいずれか1つのLINC複合体阻害ポリペプチド、段落20もしくは段落21のベクター、段落22の細胞または段落23の医薬組成物の使用。
【0426】
33.高脂血症を特徴とする疾患を処置するまたは予防する方法であって、段落1から8もしくは段落19のいずれか1つの核酸、段落9から14もしくは段落18のいずれか1つのLINC複合体阻害ポリペプチド、段落20もしくは段落21のベクター、段落22の細胞または段落23の医薬組成物の治療または予防有効量を対象に投与することを含む、方法。
【0427】
34.高脂血症を特徴とする疾患が、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、脳卒中および家族性高脂血症から選択される、段落31に記載の使用のための核酸、LINC複合体阻害ポリペプチド、ベクター、細胞もしくは医薬組成物、段落32に記載の使用、または段落33に記載の方法。
【0428】
本発明は、記載される態様および好ましい特色の組合せを包含するが、但し、かかる組合せが、明らかに容認されないか、または明白に回避される場合を除く。
【0429】
本明細書中で使用される項目の表題は、構成上の目的のためのみのものであり、記載される主題を限定するものと解釈されない。
【0430】
これより、本開示の態様および実施形態は、添付の図面を参照して例示の方法によって、例示される。さらなる態様および実施形態は、当業者に明らかである。この文章で言及される文書は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0431】
併記の特許請求の範囲を包含する、本明細書全体にわたって、文脈が他の状況を求めない限り、「含む」という語句、ならびに「含む(単数形)」、「含んでいる」等の変形は、記述した整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群の包含を含蓄するが、任意の他の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群の排除を含蓄しないと理解されよう。
【0432】
本明細書および併記の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他の状況を指示しない限り、複数形の指示対象を包含することに留意しなくてはならない。範囲は、「約」ある特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして、本明細書中で表され得る。かかる範囲が表される場合、別の実施形態は、ある特定の値から、および/または他の特定の値までを包含する。同様に、値が、先行詞「約」を用いて、近似値として表される場合、特定の値は、別の実施形態を形成することが理解されよう。
【0433】
核酸配列が、本明細書中で開示される場合、その逆向きの補体もまた、明らかに意図される。
【0434】
in vitroで、またはin vivoで、本明細書中に記載される方法は実施され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法はin vitroで実施され得る。「in vitro」という用語は、培養物中の細胞を用いた実験を包含すると意図されるのに対して、「in vivo」という用語は、無傷の多細胞生物を用いた実験を包含すると意図される。
【0435】
図面の簡単な説明
本発明の原理を例示する実施形態および実験は、添付の図を参照してここに考察される。
【0436】
図1。マウスSun1、マウスSun2、ヒトSUN1およびヒトSUN2のアミノ酸配列のアラインメント。内腔ドメインの始まりの6アミノ酸上流から開始するアミノ酸配列は、ClustalOmegaソフトウェアを使用してアラインされた。目的の残基およびドメインは示される。
【0437】
図2。ヒトSUN1タンパク質および実施例1で特徴付けられた種々の構築物(すなわち、構築物(A)から(H))の模式図。構築物に含まれるヒトSUN1の内腔ドメインのドメインが示されている。
【0438】
図3。小胞体に局在するNesprin-2の増加によって決定される、さまざまな推定ドミナントネガティブSUN1構築物が、LINC複合体破壊を達成する能力の分析結果を示す模式図および顕微鏡像。顕微鏡像中の矢印は、関連構築物を高レベルで発現する細胞を示す。構築物がNesprin-2局在を生じると決定されたかどうかが示されている。
【0439】
図4。ヒトSUN1タンパク質および実施例5で特徴付けられた種々の構築物(すなわち、構築物A、D、D2、EおよびG)の模式図。構築物に含まれるヒトSUN1の内腔ドメインのドメインが示されている。SUN1由来配列+KDELの長さが示されている。
【0440】
図5Aから5D。拡張型心筋症のマウスモデルにおける、さまざまな推定ドミナントネガティブSUN1構築物の治療有効性の分析の結果を示すグラフ。簡潔には、心臓特異的Creを包含するLmna
FF:mcmマウスにLmnaの欠失を誘導するためのタモキシフェン(TMX)を注射した。TMXを用いた処置の17日後、cTNTプロモーターの制御下にDNhSUN1_201aa(「201aa」;
図4の構築物G)、DNhSUN1_255aa(「255aa」;
図4の構築物E)、DNhSUN1_334aa(「334aa」;
図4の構築物D2)またはDNhSUN1_457aa(「457aa」;
図4の構築物A)をコードするAAV9の単回用量(1
*10
14vg/kg)をマウスに投与した。対照条件として、TMXを投与した野生型マウス(WT)またはLmna
FF:mcmマウス(DCM)に17日目から、cTNTプロモーターの制御下にGFPをコードするAAV9の単回用量(1
*10
14vg/kg)を投与した。生存をモニターし、心機能を心エコーによって評価し、拡張期(d)および収縮期(s)における左心室内径(LVID)および左心室後壁(LVPW)厚を超音波によって評価した。(5A)さまざまな処置群のマウスについての経時的な生存百分率を示す。各群について、N=6
***ログランク(Long-rank)(マンテル-コックス)P=0.0005、DCM対照に対するペアワイズ比較。(5B)さまざまな処置群のマウスについて経時的な短縮率(FS)および駆出率(EF)を示す。
**マン-ホイットニー P<0.0087、DCM対照に対するペアワイズ比較。データは、平均±SDとして示す。(5Cおよび5D)それぞれ、拡張期(d)および収縮期(s)における経時的な左心室内径(LVID;5C)および左心室後壁(LVPW)厚(5D)を示す。データは、平均±SDとして示す。
【0441】
図6Aから6D。拡張型心筋症のマウスモデルにおけるさまざまな推定ドミナントネガティブSUN1構築物の治療有効性の分析の結果を示すグラフ。簡潔には、心臓特異的Creを包含するLmna
FF:mcmマウスにLmnaの欠失を誘導するためにタモキシフェン(TMX)を注射した。TMXを用いた処置の17日後、cTNTプロモーターの制御下にDNhSUN1_322aa(「322aa」;
図4の構築物D)またはDNhSUN1_457aa(「457aa」;
図4の構築物A)をコードするAAV9の単回用量(1
*10
14vg/kg)をマウスに投与した。対照条件として、TMXを投与した野生型マウス(WT)またはLmna
FF:mcmマウス(DCM)に17日目から、cTNTプロモーターの制御下にGFPをコードするAAV9の単回用量(1
*10
14vg/kg)を投与した。生存をモニターし、心機能を心エコーによって評価し、拡張期(d)および収縮期(s)における左心室内径(LVID)および左心室後壁(LVPW)厚を超音波によって評価した。(6A)さまざまな処置群におけるマウスについての経時的な生存百分率を示す。322aa群 N=6、457aa群 N=6、DCM群 N=5、WT群 N=7。ログランク(マンテル-コックス)P<0.0007、DCM対照に対するペアワイズ比較。データは、平均±SDとして示す。(6B)さまざまな処置群のマウスの経時的な短縮率(FS)および駆出率(EF)を示す。
**マン-ホイットニー P<0.0095、DCM対照に対するペアワイズ比較。データは、平均±SDとして示す。(6Cおよび6D)それぞれ、拡張期(d)および収縮期(s)における経時的な左心室内径(LVID;6C)および左心室後壁(LVPW)厚(6D)を示す。データは、平均±SDとして示す。
【実施例】
【0442】
実施例1:さまざまなドミナントネガティブSUN1構築物によるLINC複合体阻害のin vitro分析
1.1 材料および方法
1.1.1 バイオインフォマティクス
SUNドメイン含有タンパク質およびそれらのオルソログのアミノ酸配列をNCBIおよびUniprotから得た。配列アラインメントをClustalOmega(https://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalo)を使用して実施した。ドメイン分析をSMART(http://smart.embl-heidelberg.de/)を使用して実施した。
【0443】
1.1.2 分子生物学
全長DNSUN1コード配列およびその切断型バリアントをコードするDNA配列を合成し、pTwist EF1アルファプラスミドにクローニングした。DNSUN1構築物をコードする核酸は、N末端のヒト血清アルブミンシグナル配列に続くHAタグおよびALFAタグ、次いで、種々の異なる切断型内腔SUN1ドメイン配列のうちの1つに続くC末端のKDEL配列から構成された。本開示の実施例において特徴付けられるドミナントネガティブヒトSUN1(DNhSUN1)構築物のアミノ酸配列は、配列番号80から87および96に示され、それらの配列特性は、
図1、2および4に模式的に示される。
【0444】
【0445】
1.1.3 細胞培養およびトランスフェクション
HeLa細胞を37℃、5%CO2で、4.5g/L D-グルコース、4mM L-グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、10%ウシ胎仔血清および100U/mlペニシリン;100mg/mlストレプトマイシンを含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で培養した。免疫蛍光研究のために、細胞をカバーガラスまたは8ウエルスライド(ibidi、カタログ番号80826)上に播種した。8ウエルスライドの各ウエルに、推定ドミナントネガティブSUN1構築物をコードするプラスミドDNA 200ngを、Opti-MEM培地(Invitrogen)中にプラスミドDNA 100ngあたり0.3mlリポフェクタミン3000(Invitrogen)および0.2ml P3000試薬(Invitrogen)を含有する予め形成させたトランスフェクション複合体の添加によって15分間トランスフェクトした。
【0446】
1.1.4 免疫蛍光顕微鏡
トランスフェクション翌日、HeLa細胞を-20℃の冷メタノール中で10分間固定し、透過処理し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に3%ウシ血清アルブミンおよび0.5%Trixon X-100を含むブロッキング緩衝液中で30分間ブロッキングした。
【0447】
関連DNSUN1構築物を検出するために、細胞を抗Nesprin-2マウスモノクローナル抗体、抗ALFA抗体(Abberior Star580にコンジュゲートしたFluoTag(登録商標)-X2抗ALFA、NanoTag Biotechnologies N1502-Ab580-L)を使用して、および核エンベロープについてマウスモノクローナル抗ラミンB2抗体を使用して染色した。細胞をブロッキング緩衝液中の一次抗体と1~2時間、室温でインキュベートした。一次抗体インキュベーションに続いて、細胞を、PBS中0.5%Triton X-100を用いて3回洗浄し、次に、DNAを染色するためにフルオロフォア-コンジュゲートマウス抗体アイソタイプ特異的二次抗体(Thermo Fisher Scientific A-21121、Alexa Fluor 488およびA-21242にコンジュゲートしたヤギ抗マウスIgG1、Alexa Fluor 647にコンジュゲートしたヤギ抗マウスIgG2b)およびHoechstを用いて30分間~1時間、室温でインキュベーションした。細胞をProlong Diamondまたは1%DABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)中にマウントする前に、10%PBS/90%グリセリン中で再び洗浄した。広視野落射蛍光顕微鏡イメージングを20x0.45 NA LUCPlan FL Nまたは40x0.6 NA Ph2 LUCPlan FL N対物レンズを備えたモーター駆動ステージを有するOlympus IX-83で実施した。デジタル画像をCellSensソフトウェアを使用して捕捉し、Fijiソフトウェアを使用して処理した。
【0448】
1.2 結果
タンパク質が、LINC複合体阻害を達成するようにドミナントネガティブSUN1タンパク質として機能するために、SUN1のどの領域が必要であるかを判定するために、本発明者らは、C末端KDEL配列を含むSUN1のさまざまな切断型バリアントの能力を評価した。具体的には、本発明者らは、SMARTドメイン分析によって同定された2つのコイルドコイル領域、例えば、Xuら、2018年に記載されたCC1およびCC2ドメインの寄与、ならびにCC2ドメインの3つのアルファヘリックスの関与を調査した。
【0449】
ヒトSUN1、ヒトSUN1、マウスSun1およびマウスSun2の内腔領域のアラインメントを、
図1に示す。
【0450】
本実施例において調査したさまざまな切断型バリアントを
図2に模式的に示す。
【0451】
ドミナントネガティブLINC複合体阻害剤として機能するさまざまな切断型SUN1構築物の能力を、細胞においてそれらを一過的に発現させ、続いてKASHドメイン含有タンパク質Nesprin-2の細胞内局在を評価することによって評価した。低レベルの発現では、DNSUN1は、核膜槽において核エンベロープに局在する。高レベルで発現される場合、DNSUN1は、核膜槽と同じ膜コンパートメントである小胞体内腔全体に局在する。Crispら、2006年を参照されたい。
【0452】
高レベルのドミナントネガティブSUNドメイン含有LINC複合体阻害タンパク質を発現する細胞では、KASHドメイン含有タンパク質の正常な核エンベロープ局在は、破壊されており、大過剰のドミナントネガティブタンパク質として小胞体に局在したKASHドメイン含有タンパク質は、KASHドメイン含有タンパク質との相互作用について内在性SUNドメイン含有タンパク質より勝る。このことは、KASHドメイン含有タンパク質に特異的な抗体を使用する免疫蛍光顕微鏡を使用して容易に可視化できる。
【0453】
本研究では、さまざまな切断型SUN1構築物をコードするプラスミドを一過性のトランスフェクションによってHeLa細胞において発現させ、続いて細胞をDNSUN1およびNesprin-2(HeLa細胞において高度に発現されるKASHドメイン含有タンパク質)に対する免疫蛍光染色によって分析した。
【0454】
結果を
図3に示す。予測された通り、全長DNSUN1(すなわち、配列番号80のアミノ酸配列を有するタンパク質;DNhSUN1_457aa)-HeLa細胞においてLINC複合体を破壊すること、およびラミノパチーのマウスモデルにおいてLMNA関連突然変異の病態を抑制することが実証された-は、核エンベロープからNesprin-2を置き換えることが見出された。同様に予測された通り、SUNドメインだけを含有し(すなわち、配列番号87のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする;DNhSUN1_181aa)、多量体化を促進するそのアルファヘリックスの全ての先行するコイルドコイルドメインを欠いているDNSUN1構築物は、Nesprin-2を置き換えられなかった。
【0455】
予想外に、試験した他の全てのDNhSUN1構築物(DNhSUN1_413aa、DNhSUN1_362aa、DNhSUN1_322aa、DNhSUN1_255aa、DNhSUN1_216aaおよびDNhSUN1_201aa)は、ある特定の構築物は、KASHドメイン含有タンパク質と相互作用することができないであろうことが以前の研究から予測されたにもかかわらず、Nesprin-2を核エンベロープからERに置き換えることができた。
【0456】
Nieら、2016年およびJahedら、2018年bは、完全なCC2ドメインおよびSUNドメインを含むSun2の切断型バリアントが、Nesprin-2のKASHドメインとの相互作用のために必要な三量体複合体形成についてCC2ドメインによって阻害されることを開示した。同様に、Sosaら、2012年は、CC2ドメインのα3ヘリックスおよびSUNドメインを含むSun2の切断型バリアントがKASH結合欠損であることを報告した。
【0457】
しかし、本研究では、SUN1に基づくパラロガスな構築物が、Nesprin-2の正常な局在を破壊し、それによりLINC複合体阻害剤として挙動することを見出した。
【0458】
1.3 考察
本実施例では、本発明者らは、種々の長さの一連のSUN1内腔ドメイン配列(配列番号43、44、63~67および94に示す)が、LINC複合体破壊に影響を与えることができることを実証した。驚くべきことに、SUNタンパク質の内腔ドメインについての以前の構造的および生化学研究は、本DNSUN1構築物中のSUN1の内腔ドメインを切断する効果を予測しなかった。
【0459】
特徴付けたドミナントネガティブSUN1タンパク質は、KASHドメイン含有タンパク質への結合について内在性SUNドメイン含有タンパク質の競合的阻害剤として挙動する多量体(例えば、三量体)の形成を通じてLINC複合体破壊を達成できる。低レベルのドミナントネガティブSUN1タンパク質だけが核エンベロープに局在するという事実は、ドミナントネガティブSUN1タンパク質も、内在性SUNドメイン含有タンパク質を含むヘテロオリゴマーを形成し、それにより、インタクトなLINC複合体によって媒介される細胞骨格と核ラミナとの間の連結を弱めることによってLINC複合体破壊を達成し得ることを示唆する。
【0460】
ドミナントネガティブSUN1構築物が、ホモ三量体形成することができないとしても、内在性SUNタンパク質を含むヘテロオリゴマーを形成することは可能である。このことは、単量体であることが報告されており、in vitroでKASHに結合できない切断型内腔SUNタンパク質が、本実施例において実証された通りLINC複合体を破壊する能力をいまだ有し得る理由を説明できる。代替的に、結合およびゲルろ過実験を実行したin vitroの状況は、細胞性環境とは単純に生化学的に異なり、それにより、細胞中でどのようにして切断型内腔SUNタンパク質が機能するかを予測しない。
【0461】
実施例2:さまざまなドミナントネガティブSUN構築物のLINC複合体阻害のさらなるin vitro分析
さらなる実験では、本発明者らは、ヒトSUN1およびヒトSUN2内腔ドメインの全ての可能な切断型変異体をLINC複合体阻害剤として機能するそれらの能力について特徴付ける。
【0462】
簡潔には、構築物を実施例1.1.2に記載の通り調製する(すなわち、N末端シグナルペプチド、HA/ALFAタグおよびSUNドメイン含有タンパク質由来領域およびC末端KDELモチーフを含む)、ただし、SUN1(361~812)からSUN1(636~812)のSUN1内腔ドメインの全ての可能な切断型変異体を調製する(すなわち、SUN1(361~812)、SUN1(363~812)、SUN1(363~812)、SUN1(364~812)以下参照)。
【0463】
同様に、SUN2(258~717)からSUN2(522~717)由来のSUN2内腔ドメインの全ての可能な切断型変異体を調製する(すなわち、SUN2(259~717)、SUN2(260~717)、SUN2(261~717)、SUN2(262~717)以下参照)。
【0464】
実施例1.1に記載の通り、さまざまな構築物をHeLa細胞でのNesprin-2の正常な細胞内局在を破壊するそれらの能力について評価する。
【0465】
CC2領域のα3ヘリックスおよびSUNドメインを少なくとも含むと評価された全ての構築物(すなわち、ヒトSUN1の少なくとも616~812位を含む構築物、およびヒトSUN2の少なくとも522~717位を含む構築物)は、Nesprin-2を核エンベロープから小胞体に置き換え、したがって、LINC複合体阻害剤として挙動すると決定される。
【0466】
実施例3:Lmnaへの突然変異に関連するラミノパチーの処置のための実施例1および2において特徴付けたLINC複合体阻害ポリペプチドの有用性のin vivoでの確認
Lmna突然変異関連心筋症、筋ジストロフィーおよび早老症のマウスモデルであるマウスに、実施例1および2に記載のLINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸をコードするAAVもしくはレンチウイルスベクターまたはそのような核酸を含むナノ粒子を投与する。
【0467】
Lmna突然変異関連筋ジストロフィーのマウスモデルは、条件的Lmnaノックアウトマウスを含む。LmnaFlx/FlxマウスおよびMLC-Creマウスの生成は、Wangら、Differentiation.(2015)89(1-2):11~21頁およびMourkiotiら、Genesis.(2008)46(8):424~30頁にそれぞれ記載されている。LmnaFlx/+;MLC-Creマウスを得るために、LmnaFlx/FlxマウスをMLC-Creマウスと交雑させ、次にLmnaFlx/Flx;MLC-Creを生成するために、LmnaFlx/+マウスと交雑させ、筋肉細胞においてLmnaの条件的ノックアウトをもたらした。
【0468】
Lmna突然変異関連心筋症および筋ジストロフィーのマウスモデルは、例えば、Arimuraら、Hum Mol Genet.(2005)14(1):155~69頁に記載されるLmna-H222Pマウス、例えば、Mounkesら、Hum Mol Genet.(2005)14(15):2167~80頁に記載されるLmna-N195Kマウス、および例えば、Chaiら、Nat Commun(2021)12(1):4722に記載される拡張型心筋症の条件的Lmna欠失関連マウスモデル(下記実施例5.1を参照されたい)を含む。
【0469】
Lmna突然変異関連早老症のマウスモデルは、Osoriら、Sci Transl Med.(2011)3(106):106ra107に記載されるLmna-G609Gマウスを含む。
【0470】
実施例1または2に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を投与した、Lmna突然変異関連心筋症を有するマウスは、未処置マウス、またはビヒクルのみ(例えば、空ベクター)を用いて処置したマウスと比較して、心機能が改善した(例えば、心筋収縮力の増加、駆出率の増加および/または短縮率の増加)。
【0471】
実施例1または2に記載されるLINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を投与した、Lmna突然変異関連筋ジストロフィーまたはLmna突然変異関連早老症を有するマウスは、未処置マウス、またはビヒクルのみ(例えば、空ベクター)を用いて処置したマウスと比較して、生存期間が延びていた。
【0472】
実施例4:高脂血症の処置のための実施例1および2において特徴付けたLINC複合体阻害ポリペプチドの有用性のin vivoでの確認
アテローム性動脈硬化症および家族性高コレステロール血症のマウスモデルであるマウスに、実施例1および2に記載のLINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸をコードするAAVもしくはレンチウイルスベクターまたはそのような核酸を含むナノ粒子を投与する。
【0473】
アテローム性動脈硬化症および家族性高コレステロール血症のマウスモデルをLdlrノックアウトマウス(C57BL/6JInv、Jackson Laboratory)に西洋型食餌(WTD;D12079B、Research Diets、NJ)を15週間給餌することによって確立する。
【0474】
アテローム性動脈硬化症および家族性高コレステロール血症を有し、実施例1または2に記載のLINC複合体阻害ポリペプチドをコードする核酸を投与したLdlr-/-マウスは、未処置マウス、またはビヒクルのみ(例えば、空ベクター)を用いて処置したマウスと比較して、小さく、あまり進行しておらず、あまり複合化していないアテローム硬化性病変を有する。
【0475】
実施例5:種々の異なるLINC複合体阻害ポリペプチドの治療有効性のin vivoでの評価
本発明者らは、マウスモデルでのin vivoでLNMA突然変異関連拡張型心筋症の有害性の効果を救済するさまざまなDNhSUN1 LINC複合体阻害ポリペプチドの能力を次に調査した。
【0476】
5.1 材料および方法
LINC複合体阻害ポリペプチドをコードするAAVの調製
DNhSUN1構築物に対するコード配列を合成遺伝子からPCR増幅し、制限消化し、cTnT心臓プロモーター、キメライントロン、WPRE(マーモット肝炎ウイルス転写後調節エレメント)およびウシ増殖ホルモンポリAテールを含有するAAVトランスファープラスミドにライゲーションした。実験対象としての使用のためのAAVベクター化GFPの調製のために、GFPのコード配列を代わりに含むAAVトランスファープラスミドも調製した。本実施例の実験において使用したLINC複合体阻害ポリペプチドは、最小限のヒト血清アルブミンシグナルペプチド(配列番号100)を使用し、HAおよびALFAタグを欠いている実施例1におけるものとは異なる:
【0477】
【0478】
アデノ随伴ウイルスをアデノウイルスヘルパープラスミド、AAV2 RepおよびAAV9 capをコードするrep/capプラスミドならびに導入遺伝子特異的プラスミドを用いたHEK293T細胞の一過的なトリプルトランスフェクションによって産生した。トランスフェクションの4日後、細胞ペレットおよび上清を収集した。上清をろ過によって清澄化して、重力流によってPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV9 Affinity Resin(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)に適用した。細胞を溶解緩衝液(リン酸緩衝食塩水、200mM NaCl、0.001% Pluronic F-68)中に再懸濁させて、4~5回の凍結/融解によって溶解させて、超音波処理して、ベンゾナーゼで処置して、DNAを剪断および消化した。細胞デブリを、遠心分離によってペレット化して、細胞溶解液を収集して、0.45μmのシリンジフィルターに通してろ過した。次いで、ろ過した溶解液を、重力流によってAAV9親和性樹脂に適用した。洗浄緩衝液(リン酸緩衝食塩水、500mM NaCl)中での洗浄後、AAV9ビリオンを、100mMグリシン、pH2.5を使用して溶出させて、1/10の体積の1Mトリス、pH8を含有するマイクロチューブへ収集した。0.01%Pluronic F-68を含有するPBSへの2回の緩衝液交換およびAmicon(登録商標)Ultra 100kDA濃縮器(Merck KGaA、Darmstadt、ドイツ)を介した濃縮後に、AAVビリオンを含有する溶液を、0.22μm4mmMillexシリンジフィルターユニット(Merck KGaA、Darmstadt、ドイツ)に通してろ過して、4℃または-80℃で保存した。ウイルス力価を、プラスミドDNA標準物を用いたアルカリゲル電気泳動(KohlbrennerおよびWeber、Methods Mol.Biol.(2017)1521:91~107頁)、ChemiDocイメージングシステム(Bio-Rad Laboratories、Hercules、CA、USA)でのゲル画像化、およびImage Labソフトウェア(Bio-Rad Laboratories)を用いた画像定量化を使用して決定した。
【0479】
Lmna欠失拡張型心筋症(DCM)マウスモデル
マウス系統を、全ての倫理規制に従い、温度を21±1℃、湿度を55~70%に設定し、食物および水を自由に提供し、換気している動物用バリア施設(animal barrier facility)において12時間明/暗サイクルで維持した。
【0480】
拡張型心筋症のLmna欠失関連マウスモデルを生成するために、条件的「ノックアウト」のマウスまたは、Wangら、Differentiation.(2015)89(1-2):11~21頁に記載の「loxP配列が導入された」LmnaFlx/Flxマウス系統を、Jackson Laboratoryから購入した心筋細胞特異的アルファミオシン重鎖プロモーターの制御下にタモキシフェン誘導性Creリコンビナーゼを包含するマウス(αMHC-MerCreMer、mcmと略記)(JAX stock number 005657;Chaiら、Nat Commun(2021)12(1):4722頁も参照されたい)と交雑させた。これらのLmnaFF:mcmマウスにおいて拡張型心筋症を誘導するために、40mg/kgタモキシフェンを生後14日目(P14)に腹腔内注射し、心筋細胞特異的なLmnaの欠失を生じさせた。タモキシフェン(Merck)溶液(16g/L)はコーン油(Sigma)中に調製した。
【0481】
アデノ随伴ウイルスのin vivo送達
タモキシフェン処置17日後、マウスにさまざまなAAV9を1×1014vg/kgの用量で後眼窩注射した。動物は、無作為に選択した。TMXおよびAAV9注射は、酸素と混合した1.5%イソフルランを使用した麻酔下で実施した。AAV9希釈物は、0.001%Pluronic F-68を含有するPBSを用いて投与前に新たに調製した。
【0482】
心エコー
心機能をProspect-T1(Sharp-S)を使用して超音波記録によって評価した。マウスを超音波検査の1日前に剪毛した。動物を酸素と混合した1.5%イソフルランを用いて麻酔した。BモードおよびMモードの読み取り値を450bpmから350bpmの心拍数で得た。短縮率(FS)および駆出率(EF)を装置のソフトウェア分析ツールを使用して傍胸骨長軸から算出した。左心室内径(LVID)および左心室後壁(LVPW)の心臓測定値を拡張期(d)および収縮期(s)状態についての傍胸骨短軸から得た。
【0483】
5.2 結果および考察
第1の実験では、心臓特異的Creリコンビナーゼを包含するP14 Lmna
FF:mcmマウスに、タモキシフェン(TMX)をLmn遺伝子の欠失を誘導するために注射した。TMXを用いた処置の17日後、マウスに、cTNTプロモーターの制御下にDNhSUN1_201aa(
図4の構築物G)、DNhSUN1_255aa(
図4の構築物E)、DNhSUN1_334aa(
図4の構築物D2)またはDNhSUN1_457aa(
図4の構築物A)をコードするAAV9の単回用量(1×10
14vg/kg)を投与した。対照条件として、野生型マウス(WT)または17日目からTMXを投与されたLmna
FF:mcmマウス(DCM)に、cTNTプロモーターの制御下にGFPをコードするAAV9の単回用量(1×10
14vg/kg)を投与した。生存をモニターし、心機能を心エコーによって評価し、拡張期(d)および収縮期(s)における左心室内径(LVID)および左心室後壁(LVPW)厚を超音波によって評価した。
【0484】
【0485】
図5Aは、全てのDNhSUN1バリアントを用いた処置がDCM対照動物(39日間)と比較して生存期間中央値の延長を生じたことを示す。最も短い構築物DNhSUN1_201aa(構築物G)は、66.5日間で最短の生存期間延長を生じた。DNhSUN1_334aa(構築物D2)を用いて処置したマウスは、中央値214.5日間生存し、162.5日間生存した全長、DNhSUN1_457aa(構築物A)を上回った。DNhSUN1_255aa(構築物E)を用いて処置した動物は、最長の生存期間延長を示し;動物2匹だけが死に、275日後にマウス4匹はまだ生存していた。
【0486】
図5Bは、DNhSUN1_201aa、DNhSUN1_255aa、DNhSUN1_334aaまたはDNhSUN1_457aaをコードするAAVを用いた処置が、Lmna DCMマウスにおいて心機能を改善したことを示す。心エコー分析は、全てのAAV9-cTnT-DNhSUN1切断型バリアントを用いて処置したLmna
FF:mcmにおいてAAV9-cTNT-GFP処置マウス(DCM)と比較して、AAV9の投与の17日後(すなわち、TMXの投与の31日目)に短縮率(FS)および駆出率(EF)の顕著な改善を明らかにした。
【0487】
図5Cおよび5Dは、Lmna DCMマウスにおいてLVIDが増加し、LVPWが減少し;このことが収縮期においてさらに明らかであることを示す。左心室の拡張および心臓壁の菲薄化は、DNhSUN1_201aa(構築物G)を用いて処置したマウスでは他のDNhSUN1バリアント(DNhSUN1_255aa/構築物E、DNhSUN1_334aa/構築物D2、DNhSUN1_457aa/構築物A)においてよりも早期に生じ、これは、DNhSUN1_201aaを送達するAAVを用いて処置したマウスにおける心機能の減退およびDCMの早期の発病と相関する。
【0488】
これにより、DNhSUN1_201aa、DNhSUN1_255aa、DNhSUN1_334aaまたはDNhSUN1_457aaをコードするAAVは、Lmna欠失関連DCMを処置することが見出された。DNhSUN1_201aaは、DNhSUN1_457aaよりも少ない程度に生存期間を延長することが見出され、一方、DNhSUN1_334aaおよびDNhSUN1_255aaは、DNhSUN1_457aaよりも多い程度に生存期間を延長した。
【0489】
第2の実験では、DNhSUN1_322aaの有効性をDNhSUN1_457aaと比較した。簡潔には、心臓特異的Creリコンビナーゼを包含するP14 Lmna
FF:mcmマウスにタモキシフェン(TMX)をLmn遺伝子の欠失を誘導するために注射した。TMXを用いた処置の17日後、マウスに、cTNTプロモーターの制御下にDNhSUN1_322aa(
図4の構築物D)またはDNhSUN1_457aa(
図4の構築物A)をコードするAAV9Aの単回用量(1×10
14vg/kg)を投与した。対照条件として、野生型マウス(WT)または17日目からTMXを投与されたLmna
FF:mcmマウス(DCM)に、cTNTプロモーターの制御下にGFPをコードするAAV9の単回用量(1×10
14vg/kg)を投与した。生存をモニターし、心機能を心エコーによって評価し、拡張期(d)および収縮期(s)における左心室内径(LVID)および左心室後壁(LVPW)厚を超音波によって評価した。
【0490】
【0491】
図6Aは、DNhSUN1_322aaまたはDNhSUN1_457aaをコードするAAVを用いた処置が、39日間の平均生存を有するDCM対照動物と比較して生存期間中央値を延長したことを示す。DNhSUN1_322aaまたはDNhSUN1_457aaをコードするAAVを投与された群の全てのマウスは、170日目にまだ生存していた。
【0492】
図6Bは、DNhSUN1_322aaまたはDNhSUN1_457aaをコードするAAVを用いた処置がLmna DCマウスにおいて心機能を改善したことを示す。心エコー分析は、322aaまたはDNhSUN1_457aaバリアントを送達するAAV9を用いて処置したLmna
FF:mcmにおいて、AAV9-cTNT-GFP処置マウス(DCM)と比較して、AAVの投与の17日後(すなわち、TMXの投与後31日目)に短縮率(FS)および駆出率(EF)の顕著な改善を明らかにした。
【0493】
図6Cおよび6Dは、Lmna DCMマウスにおいてLVIDが増加し、LVPWが減少することを示し;このことは、収縮期においてさらに明らかである。DCM対照動物より長く生存するAAV9-cTnT-DNhSUN1処置動物について、LVIDは増加した一方で、LVPWは安定し、減少しない。
【0494】
これにより、DNhSUN1_322aaまたはDNhSUN1_457aaをコードするAAVがLmna欠失関連DCMを処置することが見出された。
【0495】
参考文献
【0496】
【0497】
【国際調査報告】