(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】MRAMデバイス用の磁気トンネル接合ピラーの形成
(51)【国際特許分類】
H10B 61/00 20230101AFI20241126BHJP
H10N 50/10 20230101ALI20241126BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H10B61/00
H10N50/10 Z
H01L21/302 105A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534118
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2022082079
(87)【国際公開番号】W WO2023104453
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ヘン
(72)【発明者】
【氏名】ハシェミ、ポウヤ
(72)【発明者】
【氏名】シエ、ルイロン
(72)【発明者】
【氏名】フロウギアー、ジュリアン
【テーマコード(参考)】
4M119
5F004
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA20
4M119BB01
4M119CC05
4M119DD07
4M119FF05
4M119JJ15
4M119KK17
5F004CA06
5F004DB08
5F004DB12
5F004EA03
5F004EA05
5F092AA20
5F092AB07
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5F092BC04
5F092CA02
5F092CA03
5F092CA09
5F092FA03
(57)【要約】
MRAMデバイスを製造する方法は、基板上にMTJスタックを形成することと、MTJスタック上にハードマスク層を形成することと、ハードマスク上にエッチング・パターン・パッドを形成することと、エッチング・パターン・パッドの側面上に、ハードマスクを露出させる第1の開口部を形成するためのスペーサを形成することと、第1のビアによって分離される複数の第1のMTJピラーが形成されるように、第1の開口部を使用する第1のエッチングによってMTJスタックをパターニングすることと、第1のビアを第1の誘電体で充填することと、第1の誘電体とエッチング・パターン・パッドとの間に複数の第2の開口部が形成されるように、エッチング・パターン・パッドからスペーサを除去することと、第2のビアによって分離される複数の第2のMTJピラーが形成されるように、第2の開口部を使用する第2のエッチングによって複数の第1のMTJピラーをパターニングすることと、複数の第2のMTJピラーを封入するために第2のビアを第2の誘電体で充填することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気トンネル接合(MTJ)ピラーを有するMRAMデバイスを製造する方法であって、
基板上にMTJスタックを画定する複数の層を形成することと、
前記MTJスタック上に金属ハードマスク層を形成することと、
前記金属ハードマスク層上に複数のエッチング・パターン・パッドを形成することと、
前記複数のエッチング・パターン・パッドの側面上に、前記金属ハードマスク層を露出させる複数の第1の開口部を形成するためのスペーサを形成することと、
第1のビアによって分離される複数の第1のMTJピラーが形成されるように、前記第1の開口部を使用する第1のエッチングによって前記MTJスタックをパターニングすることと、
前記第1のビアを第1の誘電体で充填することと、
前記第1の誘電体と前記複数のエッチング・パターン・パッドとの間に複数の第2の開口部が形成されるように、前記複数のエッチング・パターン・パッドから前記スペーサを除去することと、
第2のビアによって分離される複数の第2のMTJピラーが形成されるように、前記第2の開口部を使用する第2のエッチングによって前記複数の第1のMTJピラーをパターニングすることと、
前記複数の第2のMTJピラーを封入するために前記第2のビアを第2の誘電体で充填することと、を含む、方法。
【請求項2】
第2の開口部は前記第1の開口部よりも小さい幅を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のエッチングは第1のバイアス電圧を第1の時間の間使用するIBEによるものであり、前記第2のエッチングは第2のバイアス電圧を第2の時間の間使用するIBEによるものであり、前記第2のバイアス電圧は前記第1のバイアス電圧よりも高く、前記第2の時間は前記第1の時間よりも長い、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のエッチングの間に前記第2の誘電体が、MTJの第2のピラーの対の間に2つの第2のビアが形成されるように侵食される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のエッチングの間に前記第2の誘電体が、前記第2のビアの幅が底部よりも頂部の方が広くなるように侵食される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第1の方向における前記第1の誘電体の断面プロファイルは、前記第1の方向における前記第2の誘電体の断面プロファイルとは異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の誘電体および前記第2の誘電体は異なる材料で構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の第2のMTJピラーを前記第2の誘電体で封入した後で、CMP平坦化を行い、前記第2のMTJピラー上に金属コンタクト層を堆積させる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記MTJスタックを画定する前記複数の層は、トンネル・バリア層の一方側にある磁気自由層と、前記トンネル・バリア層の反対側にある固定された磁気極性を有する参照層と、を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記MTJスタックを画定する前記複数の層を形成する前に、前記基板上にシード層を形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
磁気トンネル接合(MTJ)ピラーを有するMRAMデバイスであって、
基板上の複数のMTJピラーと、
MTJピラーの各対の間に2つのビアが画定されているMTJピラーの対の間の、第1の誘電体と、
前記ビアの対を充填し前記複数のMTJピラーを封入する第2の誘電体と、を備える、MRAMデバイス。
【請求項12】
前記第1の誘電体は第1のバイアス電圧を第1の時間の間使用する第1のエッチングによって形成され、前記第2の誘電体は第2のバイアス電圧を第2の時間の間使用する第2のエッチングによって形成され、前記第2のバイアス電圧は前記第1のバイアス電圧よりも高く、前記第2の時間は前記第1の時間よりも長い、請求項11に記載のMRAMデバイス。
【請求項13】
前記第2のエッチングの間に前記第2の誘電体が、前記MTJピラーの対の間に前記2つのビアが形成されるように侵食される、請求項12に記載のMRAMデバイス。
【請求項14】
MTJピラーの各対の間の前記2つのビアの幅は底部よりも頂部の方が広い、請求項11に記載のMRAMデバイス。
【請求項15】
第1の方向における前記第1の誘電体の断面プロファイルは、前記第1の方向における前記第2の誘電体の断面プロファイルとは異なる、請求項11に記載のMRAMデバイス。
【請求項16】
前記第1の誘電体および前記第2の誘電体は異なる材料で構成されている、請求項11に記載のMRAMデバイス。
【請求項17】
前記複数のMTJピラー上に金属コンタクト層を更に備える、請求項11に記載のMRAMデバイス。
【請求項18】
前記複数のMTJピラーは、トンネル・バリア層の一方側にある磁気自由層と、前記トンネル・バリア層の反対側にある固定された磁気極性を有する参照層と、を備える、請求項11に記載のMRAMデバイス。
【請求項19】
前記MTJピラーは前記基板と前記複数のMTJピラーとの間にシード層を更に備える、請求項18に記載のMRAMデバイス。
【請求項20】
前記MTJピラーは前記磁気自由層上に金属ハードマスク層を更に備える、請求項19に記載のMRAMデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気トンネル接合(「MTJ」)スタックを含む磁気抵抗ランダム・アクセス・(「MRAM」)メモリ・デバイス・セル、およびMRAMデバイスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のMRAMのMTJピラー形成には、短絡の原因となるMTJ側壁上の金属残渣を除去するために、攻撃的なIBEエッチングが必要である。強すぎるIBEはNBLOKをえぐり取り、Cuの底部コンタクトに接触して、Cuの露出、マイグレーション、および酸化をもたらす可能性がある。ピラー形成時にIBEの開口部が大きいと、ローディング効果に起因するNBLOK喪失が引き起こされる。そのため、先行の解決法では、過大なNBLOK喪失を回避するために、低強度のIBEが必要とされる。しかしながら、IBEバジェットを低減したうえでポストエッチング酸化を行い、金属残渣が酸化されると、MTJ側壁に大きなダメージがもたらされる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態は、基板上にMTJスタックを画定する複数の層を形成することと、MTJスタック上に金属ハードマスク層を形成することと、金属ハードマスク層上に複数のエッチング・パターン・パッドを形成することと、複数のエッチング・パターン・パッドの側面上に、ハードマスク層を露出させる複数の第1の開口部を形成するためのスペーサを形成することと、第1のビアによって分離される複数の第1のMTJピラーが形成されるように、第1の開口部を使用する第1のエッチングによってMTJスタックをパターニングすることと、第1のビアを第1の誘電体で充填することと、第1の誘電体と複数のエッチング・パターン・パッドとの間に複数の第2の開口部が形成されるように、複数のエッチング・パターン・パッドからスペーサを除去することと、第2のビアによって分離される複数の第2のMTJピラーが形成されるように、第2の開口部を使用する第2のエッチングによって複数の第1のMTJピラーをパターニングすることと、複数の第2のMTJピラーを封入するために第2のビアを第2の誘電体で充填することと、を含む、磁気トンネル接合(MTJ)ピラーを有するMRAMデバイスを製造する方法に関する。
【0004】
本発明の実施形態は、基板上の複数のMTJピラーと、MTJピラーの各対の間に2つのビアが画定されているMTJピラーの対の間の、第1の誘電体と、ビアの対を充填し複数のMTJピラーを封入する第2の誘電体と、を備える、磁気トンネル接合(MTJ)ピラーを有するMRAMデバイスに関する。
【0005】
以下、添付の図面を参照して、様々な実施形態の更なる特徴ならびに構造および動作を詳細に説明する。図面では、類似の参照番号は同一のまたは機能的に類似した要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】複数の実施形態に係る、MRAMデバイスの磁気トンネル接合(MTJ)スタックの下に形成されるバック・エンド・オブ・ラインの基層の断面図である。
【
図2】複数の実施形態に係る、追加の製造工程後の
図1のMRAMデバイスの断面図である。
【
図3】複数の実施形態に係る、追加の製造工程後の
図2のMRAMデバイスの断面図である。
【
図4】複数の実施形態に係る、追加の製造工程後の
図3のMRAMデバイスの断面図である。
【
図5】複数の実施形態に係る、追加の製造工程後の
図4のMRAMデバイスの断面図である。
【
図6】複数の実施形態に係る、追加の製造工程後の
図5のMRAMデバイスの断面図である。
【
図7】複数の実施形態に係る、追加の製造工程後の
図6のMRAMデバイスの断面図である。
【
図8】複数の実施形態に係る、追加の製造工程後の
図7のMRAMデバイスの断面図である。
【
図9】複数の実施形態に係る、追加の製造工程後の
図8のMRAMデバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示では、磁気トンネル接合(「MTJ」)スタックを含むMRAMデバイス、およびMRAMデバイスを製造する方法について記載する。特に、本開示では、フィールド領域のMTJスタック材料を除去するための1つのエッチング・プロセスと、小さなエッチング開口部を伴う第2のエッチング・プロセスとの、2ステップのエッチング・プロセスについて記載する。本開示では、MTJスタック・ピラーと隣接する、同じ方向において異なる断面プロファイルを有する2つの異なる下地誘電体層を有するMTJスタック・ピラーで構成されるMRAMデバイスについて記載する。
【0008】
本明細書では本発明の様々な実施形態が関連する図面を参照して記載される。本発明の範囲から逸脱することなく代替の実施形態を考案することができる。以下の説明および図面において、要素間の様々な接続および位置関係(例えば、上、下、隣、等)が説明されることが留意される。これらの接続または位置関係あるいはその両方は、そうではないと明記されていない限りは直接的または間接的であり得、本開示はこの点に関して限定的となることを意図していない。したがって、エンティティの結合は直接的結合または間接的結合のいずれを指す場合もあり、エンティティ同士の位置関係は直接的な位置関係または間接的な位置関係であり得る。間接的位置関係の例として、本明細書で層「B」を覆って層「A」を形成することに言及する場合は、層「A」および層「B」の関連する特性および機能性が中間層によって実質的に変化しない範囲で、層「A」と層「B」の間に1つまたは複数の中間層(例えば層「C」)がある状況を含む。
【0009】
以下の定義および略語は、特許請求の範囲および明細書を解釈するために使用されるものである。本明細書で使用する場合、用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(have)」、「有する(having)」、「含有する(contains)」、もしくは「含有する(containing)」、またはそれらの何らかの他の変形は、非排他的な包含を含むことが意図されている。例えば、列挙された要素を含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は必ずしもそれらの要素だけに限定されず、明示的に列挙されていないかまたはそのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の、他の要素を含み得る。
【0010】
以降の説明を目的として、用語「上側(upper)」、「下側(lower)」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、およびこれらの派生語は、記載される構造および方法と、図面の図における向きで関係しているものとする。用語「上にある(overlying)」、「上に(atop)」、「上に(on top)」、「~の上に位置する(positioned on)」、または「~の上に位置する(positioned atop)」は、第1の要素、例えば第1の構造が、第2の要素、例えば第2の構造の上に存在することを意味し、この場合第1の要素と第2の要素の間に、接合面構造などの介在する要素が存在し得る。用語「直接的接触」は、第1の要素、例えば第1の構造と、第2の要素、例えば第2の構造とが、それら2つの要素の接合面にどのような中間の導通層、絶縁層、または半導体層も用いずに接続されていることを意味する。例えば「第2の要素に対して選択的な第1の要素」などの、「~に対して選択的な」という用語は、第1の要素をエッチングすることができ、第2の要素がエッチ・ストップとして機能し得ることを意味することに留意されたい。
【0011】
簡潔にするために、半導体デバイスおよび集積回路(IC)の製造に関連する従来の技術は、本明細書において詳細に説明する場合もあれば、しない場合もある。また更に、本明細書に記載する様々なタスクおよびプロセス・ステップは、本明細書に詳細に記載されていない追加のステップまたは機能性を有するより包括的な手順またはプロセスに組み込むことができる。特に、半導体デバイスおよび半導体ベースのICの製造の様々な工程はよく知られており、したがって簡潔にするために、多くの従来の工程には本明細書では簡潔にしか言及しないかまたはそれらを完全に省略し、よく知られているプロセスの詳細は提供しない。
【0012】
一般に、ICにパッケージングされるマイクロ・チップを形成するために用いられる様々なプロセスは、4つの一般的カテゴリ、すなわち、膜の堆積、除去/エッチング、半導体ドーピング、およびパターニング/リソグラフィに分類される。
【0013】
堆積とは、ウエハ上に材料を堆積させる、コーティングする、またはその他の方法で転移させる何らかのプロセスである。利用可能な技術としてはとりわけ、物理気相堆積法(PVD)、化学気相堆積法(CVD)、電気化学堆積法(ECD)、分子線エピタキシ(MBE)、およびここ最近では原子層堆積法(ALD)が挙げられる。別の堆積技術として、プラズマ促進化学気相堆積法(「PECVD」)が挙げられるが、これは、プラズマ中のエネルギーを利用して、通常であれば従来のCVDに関連するより高い温度を必要とするであろう反応を、ウエハ表面に誘発するプロセスである。PECVD堆積中にイオン照射(Energetic ion bombardment)を行うことで、膜の電気的および機械的特性を向上させることもできる。
【0014】
除去/エッチングはウエハから材料を除去する何らかのプロセスである。例としては、エッチング・プロセス(ウェットまたはドライ)、化学機械的平坦化(「CMP」)、などが挙げられる。除去プロセスの一例は、イオン・ビーム・エッチング(「IBE」)である。一般に、IBE(またはミリング)とは、遠隔のブロード・ビーム・イオン/プラズマ源を利用して、物理的な不活性ガス手段または化学的な反応性ガス手段あるいはその両方によって基材を除去する、ドライ・プラズマ・エッチング法を指す。他のドライ・プラズマ・エッチング技術と同様に、IBEには、エッチング速度、異方性、選択性、均一性、アスペクト比、基板損傷の最小化などの利点がある。ドライ除去プロセスの別の例は、反応性イオン・エッチング(「RIE」)である。一般に、RIEは、ウエハ上に堆積させた材料を除去するために、化学反応性プラズマを使用する。RIEの場合、プラズマは電磁場によって低圧(真空)下で生成される。RIEプラズマからの高エネルギー・イオンがウエハ表面に攻撃的に作用し、これと反応して材料が除去される。
【0015】
半導体ドーピングとは、例えばトランジスタのソースおよびドレインに、一般的には拡散によってまたはイオン注入によってあるいはその両方によってドーピングすることで、電気的特性を改変することである。これらのドーピング・プロセスに続いて、炉アニーリングまたは高速熱アニーリング(「RTA」)が行われる。アニーリングは注入されたドーパントを活性化する役割を果たす。トランジスタおよびその構成要素を接続および絶縁するために、導体(例えば、ポリ・シリコン、アルミニウム、銅、等)および絶縁体(例えば、様々な形態の二酸化ケイ素、窒化ケイ素、等)の膜が使用される。半導体基板の様々な領域に選択的にドーピングすることで、電圧の印加によって基板の導電性を変化させることが可能になる。これら様々な構成要素の構造を作成することによって、何百万個ものトランジスタを構築し、互いに配線することで、現代のマイクロ電子デバイスの複雑な回路構成を形成することができる。
【0016】
半導体リソグラフィとは、半導体基板上に3次元のレリーフ画像またはパターンを形成し、その後にパターンを基板に転写することである。半導体リソグラフィでは、フォトレジストと呼ばれる感光性ポリマーによってパターンが形成される。トランジスタを構成する複雑な構造、および回路の何百万個ものトランジスタを接続する多数の配線を構築するために、リソグラフィ工程およびエッチング・パターン転写工程が複数回繰り返される。ウエハ上にプリントされている各パターンが事前に形成されたパターンと位置合わせされ、導体、絶縁体、および選択的にドーピングされた領域が時間をかけて構築されて、最終的なデバイスが形成される。
【0017】
ここで本発明の態様とより特定的に関連する技術の概要に目を向けると、埋め込みDRAM(「eDRAM」)とは、特定用途向け集積回路(「ASIC」)またはマイクロプロセッサの同じダイまたはマルチ・チップ・モジュール(「MCM」)上に組み込まれた、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(「DRAM」)である。eDRAMはシリコン・オン・インシュレータ(「SOI」)技術で実装されているが、この技術は、半導体製造における、従来のシリコン基板に代わる、層状のシリコン-絶縁体-シリコン基板の使用を指す。eDRAM技術は様々な度合で成功を収めており、サーバ・メモリの選択肢としてのSOI技術に対する需要は近年減少している。
【0018】
磁気トンネル接合(MTJ)を用いる磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)デバイスは、既存のeDRAM技術に取って代わる選択肢の1つである。MRAMは不揮発性メモリであり、この利点がこのメモリ技術の開発を加速させる原動力となっている。
【0019】
ここで同様の数字が同じまたは同様の要素を表す図面を参照し、最初に
図1を参照すると、本発明の実施形態が適用され得る例示的な構造体10が示されている。構造体10は、複数の層で構成されたバック・エンド・オブ・ライン(「BEOL」)基板12を含む。一般に、BEOL基板12はIC製造の2番目の部分であり、ここで個々のデバイス(トランジスタ、コンデンサ、抵抗、等)がウエハ上の配線と相互接続される。
図1に示すように、BEOL基板12は、BEOL金属層14と、BEOL誘電体層16とを含む。BEOL金属層14は例えば、Cu、TaN、Ta、Ti、TiN、またはこれらの組合せを含み得る。BEOL誘電体層16は例えば、SiO
x、SiN
x、SiBCN、low-kのNBLOK、または任意の他の好適な誘電体材料で構成され得る。
【0020】
BEOL金属層14上にはマイクロ・スタッド層18が形成される。最初に、マイクロ・スタッド層18は、誘電体層16をリソグラフィによってパターニングすることで形成され得る。次いで、後続のマイクロ・スタッド層18による充填のための空間を除去するために、ビア誘電体層16に例えばRIEによってビアを形成する。特定の実施形態では、マイクロ・スタッド層18は、W、Cu、TaN、Ta、Ti、TiN、TiOCN、TaOCN、またはこれらの材料の組合せなどの材料を含み得る。マイクロ・スタッド層18は、CVD、PVD、ALD、またはこれらの組合せによって形成され得る。マイクロ・スタッド層18が形成された後で、この構造体は例えば、更なる処理のために表面を平坦化するためのCMPにかけられる。
図1に示すBEOL層を含む構造体は、MTJスタックが表面に形成されることになる開始構造体である。
【0021】
ビア誘電体16およびマイクロ・スタッド層18上にMTJスタック20が形成される。いくつかの実施形態では、MTJスタック層20は、ビア誘電体層16上に形成されたシード層22を含む。シード層22は、MTJスタック20の自由層の成長面として適した結晶格子および結晶粒組織を有する。シード層22は例えば、Ru、Ta、NiCr、またはこれらの材料の組合せで構成される金属シード層とすることができる。
【0022】
一般に、MTJスタック20は、磁気自由層24と、トンネル・バリア層26と、固定された磁気極性を有する参照層28と、を含み得る。一般に、磁気自由層24は、反転可能な磁気モーメントまたは磁化を有する。特定の実施形態では、トンネル・バリア層26は、2つの導電性材料間の薄い絶縁層などの、バリアである。電子は量子トンネリングのプロセスによってトンネル・バリア26を通過する。特定の実施形態ではトンネル・バリア層26はMgOで構成される。特定の実施形態では、MTJスタック20の各層は、オングストローム未満の厚さから数オングストロームまたはナノメートルの厚さまでを有し得る。MTJスタック20の典型的な材料の例としては、トンネル・バリア層26のMgO、自由層24のCoFeB、および参照層28の異なる材料で構成された複数の層を挙げることができる。MTJスタック20を形成するMRAM材料は上記したこれらの材料または層に限定されないことが諒解されるべきである。すなわち、MRAM材料スタックは、MRAMデバイスに使用される任意の知られている材料のスタックで構成され得る。また更に、MTJスタック20のいずれかが追加の層を含んでもよく、特定の層を省略してもよく、層の各々が任意の数の下位層を含んでもよいことが諒解されるべきである。
【0023】
MTJスタック20上にハードマスク・スタック30が堆積される。いくつかの実施形態では、ハードマスク・スタック30は、TaまたはRuの層とTaNの層とで構成される。ハードマスク・スタック30はその後、リソグラフィおよびRIEによってパターニングされる。
図2に示すように、特定の実施形態において、エッチング・パターン層は、有機平坦化層(「OPL」)材料、SiN
x、SiO
xなどの酸化物、SiARC、フォトレジスト、またはこれらの組合せで構成される、エッチング・パターン・パッド32を形成するようにパターニングされる。最初にエッチング・パターン・パッド32の材料がハードマスク30上に堆積され、次いでRIEまたはIBEによってエッチングされて、
図2に示すパッド32のパターンが形成される。
【0024】
次に
図3を参照すると、エッチング・パターン・レイター32の側壁上にスペーサ34が形成されて、第1の開口部35が形成されている。スペーサ34は、例えばSiN、SiBCN、またはSiCNで形成することができ、一般にエッチング・パターン・パッド32に対してエッチング選択性を有するように選択される。
【0025】
次に
図4を参照すると、MTJスタック20は、パターン用スペーサ34を有するエッチング・パターン・パッド32を利用しながら、第1のIBEでパターニングされ、第1のMTJピラー21が形成される。
図4に示すように、エッチングは誘電体層16の内部(または頂部付近)で停止される。いくつかの実施形態では、MTJスタック20は、複数の角度でのIBEまたはRIEまたはこれらの組合せによってパターニングされる。こうして、エッチング手順の後で、複数の第1のMTJピラー21がビア36によって分離されて形成される。このIBEは最終的なMTJピラー形成のためのものではないことを考慮し、開口部35では、非攻撃的なまたは低強度のIBEを使用してもよい。いくつかの実施形態では、IBEは、低バイアス電圧を短時間使用してもよい。
【0026】
次に
図5を参照すると、ビア36を充填するように第1の誘電体層38が堆積される。この第1の誘電体層38は、任意の適切なILD酸化物、low―kの流動可能な酸化物で構成され得る。いくつかの実施形態では、第1の誘電体層38は、第1のMTJピラー21の表面から容易に除去できるように、MTJピラーに対する付着係数が非常に低い。いくつかの実施形態では、誘電体材料は低品質のSiN、SiBCN、SiON、SiO
x、SiCON、またはこれらの組合せで構成される場合があり、その場合誘電体材料は、IBEエッチングによる損傷を受けやすい可能性がある。第1の誘電体層38は、スペーサ34の側壁とスペーサ34およびエッチング・パターン・パッド32の上面とを覆うのに十分な高さまで堆積される。ビア36の誘電体充填に続いてCMPを行い、スペーサ34とともにエッチング・パターン・パッド32の上面を露出させる。
【0027】
次に
図6を参照すると、スペーサ34は、エッチング・パターン・パッド32の両側にエッチング開口部40を残して除去される。エッチング開口部40は第1の開口部35よりも小さい。スペーサは、選択的RIEまたは適切なウェットもしくはドライ・エッチング・プロセスを用いて除去される。いくつかの実施形態では、スペーサを除去すると、ほぼ垂直なエッチ傾斜またはほぼ垂直な接触角度を有するようにエッチング開口部40が画定される。用語「ほぼ垂直なエッチ傾斜」または「ほぼ垂直な接触角度」の使用は、開口部の側壁がエッチング・パターン32の頂部の平面に対して少なくとも80度、好ましくは約90度で形成されることで定まる角度を意味する。
【0028】
図7に示すように、パターン用スペーサ34を有さないエッチング・パターン・パッド32を利用しながら、第1のMTJピラー21をエッチングするための第2のIBEが実行されて、第2のMTJピラー41が形成される。
図7に示すように、エッチングは誘電体層16の内部(または頂部付近)で停止されて、MTJピラー41と第1の誘電体38との間にビア42が形成される。エッチング開口部40が小さいほど誘電体16へのゲージングが少なくなるため、IBEバジェットをはるかに高くすることができる。第2のIBEはしたがって、第1のIBEエッチングよりもより直線的なエッチング角度で、より高いバイアス電圧をより長い時間の間用いて、より攻撃的に行うことができる。追加のリソグラフィ・プロセスは必要ない。予め充填された犠牲誘電体38は、第2のIBEエッチング中に、MTJの第2のピラー41の対の間に2つの第2のビア42が形成されるように侵食されることになる。誘電体38はまた、下にあるNBLOK層16のための保護層としても機能する。こうして、開口部40が小さいことに起因して、この第2のIBEステップの間のNBLOK喪失は、はるかに大きな開口部で行われる従来のMTJスタック・パターニングと比較して、最小限となる。第1の誘電体38の侵食に起因して開口部40の頂部44は広がることになるが、このことは、続く角度の付いたIBE洗浄エッチングにとって有益となる。
【0029】
MTJの第2のピラー41およびエッチング・パターン・パッド32の露出面を覆うようにビア42を充填する誘電体封入層46が形成され、続いてCMP平坦化プロセスが行われる。
図8に示すように、CMPによって、第2のMTJピラー41および誘電体封入層46の上面が露出する。例えば、誘電体封入層46は、PVD、ALD、PECVD、AlO
x、TiO
x、BN、SiN、およびSiBCNのうちの、少なくとも1つを含む。
【0030】
次に
図9を参照すると、CMP平坦化プロセスに続いて、封入層46および第2のMTJピラー41の露出面上に、従来のリソグラフィによって、金属コンタクト層48が形成される。いくつかの実施形態では、金属コンタクト層48の形成に続いて、金属コンタクト層48の上面を覆うように、第2のILD層またはNBLOK層50が形成される。特定の実施形態では、金属コンタクト層48は、Ta、TaN、Cu、またはそれらの任意の適切な組合せで構成されている。いくつかの実施形態では、
図9に示すように、第2のMTJピラー41の金属ハードマスク層30の複数の面上に金属コンタクト層を形成するために、封入層46の一部が、選択的RIEまたは他の適切なウェットまたはドライ・エッチングを用いて除去される。
【0031】
図9に示す最終的なMRAMデバイス52は、第2のMTJスタック・ピラー41と、第2のMTJスタック・ピラー41に隣接する異なる断面プロファイルを有する2つの異なる下地誘電体層38および46とで構成されている。MRAMデバイス52は、
図4に示すエッチング開口部36を使用してフィールド領域のMTJスタック材料を除去する1つのエッチング・プロセスと、
図6に示すより小さいエッチング開口部40を使用する第2のエッチング・プロセスとの、2ステップのエッチング・プロセスを使用して形成される。MTJピラーに隣接する2つの異なる誘電体充填材38および46は、下地NBLOK16をより良好に保持する。誘電体層38は、第2のMTJピラー41同士の間の侵食された中間犠牲誘電体である。
【0032】
様々な実施形態の説明が例示の目的で提示されており、それらは網羅的であること、または開示される実施形態に限定されることは意図していない。当業者には記載される実施形態の範囲から逸脱することなく多くの変更および変形が明らかであろう。本明細書で用いられる専門用語は、実施形態の原理、実際の用途、もしくは市場で見られる技術に対する技術的な改善を最もよく説明するように、または他の当業者が本明細書において開示される実施形態を理解できるように、選択された。
【国際調査報告】