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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ポリヌクレオチドの低温等温増幅
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6876 20180101AFI20241126BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALI20241126BHJP
【FI】
C12Q1/6876 Z ZNA
C12Q1/6844 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534185
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-08-07
(86)【国際出願番号】 US2022081085
(87)【国際公開番号】W WO2023107998
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/287,437
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591177277
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスチテュート オブ テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】MASSACHUSETTS INSTITUTE OF TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アンジェネント-マリ,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ,ジェームズ,ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QQ41
4B063QR01
4B063QR08
4B063QR42
4B063QR62
4B063QS34
(57)【要約】
いくつかの態様では、本開示は、標的ポリヌクレオチドの等温低温増幅のため、並びにその検出のための方法及び組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)プライマー結合配列を含む標的ポリヌクレオチドであって、前記プライマー結合配列がニッカーゼ認識配列を含む、標的ポリヌクレオチド;及び
(b)前記プライマー結合配列に相補的なハイブリダイゼーション配列を含むプライマーであって、(i)前記プライマーが、3’ブロッキング分子をさらに含み、及び/又は(ii)前記ハイブリダイゼーション配列が、前記プライマー結合配列に相補的な8~12個の連続したヌクレオチドからなる、プライマー、を含む組成物。
【請求項2】
前記標的ポリヌクレオチドが一本鎖である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ニッカーゼ認識配列が、ニッカーゼ認識配列の部分又は完全配列である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記プライマー結合配列が、前記標的ポリヌクレオチドの5’末端領域にある、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記標的ポリヌクレオチドが、前記プライマー結合配列の逆相補配列である追加の配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記追加の配列が、前記標的ポリヌクレオチドの3’末端領域にある、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記3’ブロッキング分子が、3’ヘキサンジオール、3’ddC、3’Inverted dT、3’炭素鎖スペーサー、3’アミノ、及び3’リン酸化から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記プライマーが、前記ニッカーゼ認識配列の5’側に安定化配列をさらに含み、任意選択で、前記安定化配列が、6~30ヌクレオチド又は18ヌクレオチドからなる、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記標的ポリヌクレオチドが、100アトモーラー(attomolar)未満の濃度で前記組成物中に存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
同種ニッカーゼ、一本鎖結合タンパク質、鎖置換ポリメラーゼ、又はそれらの任意の組み合わせをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記同種ニッカーゼが、Nb.BbvCI、Nt.BspQI、Nt.CviPII、Nt.BstNBI、Nb.BsrDI、Nb.BtsI、Nt.AlwI、Nt.BbvCI、Nb.BsmI、Nb.BssSI、及びNt.BsmAIから選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記一本鎖結合タンパク質が、T4遺伝子32タンパク質(T4gp32)、Tth RecA、及びET SSBから選択される、請求項10又は11に記載の組成物。
【請求項13】
前記鎖置換ポリメラーゼが、Bsu DNAポリメラーゼI(Bsu)、phi29、Bst DNAポリメラーゼ、Klenow Large Fragment、Klenow Exo-、Bsu Large Fragment、Isopol、及びIsopol SD+から選択される、請求項10~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
(i)Cas13a又はCas13bタンパク質、(ii)検出可能な分子とクエンチャー分子に挟まれた配列を含む検出器ポリヌクレオチド、(iii)crRNA、及び(iv)RNAポリメラーゼをさらに含み、前記標的ポリヌクレオチドが、同種RNAポリメラーゼ結合配列をさらに含み、任意選択で、前記crRNAが、前記標的ポリヌクレオチドから転写されたRNAに結合する配列を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の組成物を緩衝液中でインキュベートして、前記標的ポリヌクレオチドの複数のコピーを作製することを含む方法。
【請求項16】
前記インキュベートすることが、摂氏約4度~摂氏約30度又は摂氏約16度~摂氏約25度である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記インキュベートすることが等温条件下である、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記標的ポリヌクレオチドの前記複数のコピーを検出することをさらに含み、任意選択で、前記検出することが、特異的高感度酵素レポーターロック解除(SHERLOCK)を使用する、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項13に記載の組成物を緩衝液中でインキュベートして、前記標的ポリヌクレオチドの複数のコピーを作製することを含む方法。
【請求項20】
前記インキュベートすることが、摂氏約4度~摂氏約30度又は摂氏約16度~摂氏約25度である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記インキュベートすることが等温条件下である、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記標的ポリヌクレオチドの前記複数のコピーを、(i)Cas13a又はCas13bタンパク質、(ii)検出可能な分子とクエンチャー分子に挟まれた配列を含む検出器ポリヌクレオチド、(iii)crRNA、及び(iv)RNAポリメラーゼと共にインキュベートすることをさらに含み、前記標的ポリヌクレオチドが、同種RNAポリメラーゼ結合配列をさらに含み、前記crRNAが、前記標的ポリヌクレオチドから転写されたRNAに結合する配列を含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記標的ポリヌクレオチドの前記複数のコピーを検出することをさらに含み、任意選択で、前記検出することが、特異的高感度酵素レポーターロック解除(SHERLOCK)を使用する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項13に記載の組成物を緩衝液中でインキュベートして、前記標的ポリヌクレオチドの複数のコピーを作製することを含む方法。
【請求項25】
前記インキュベートすることが、摂氏約4度~摂氏約30度又は摂氏約16度~摂氏約25度である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記インキュベートすることが等温条件下である、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記標的ポリヌクレオチドの前記複数のコピーを、Cas12aタンパク質、crRNA、及び検出可能な分子とクエンチャー分子に挟まれた検出器配列を含む検出器ポリヌクレオチドと共にインキュベートすることをさらに含み、前記crRNAが、前記標的ポリヌクレオチド又は前記標的ポリヌクレオチドの逆相補配列に結合する配列を含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記標的ポリヌクレオチドの前記複数のコピーを検出することをさらに含み、任意選択で、前記検出することが、特異的高感度酵素レポーターロック解除(SHERLOCK)を使用する、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年12月8日に出願された米国仮特許出願第63/287,437号の米国特許法第119条(e)に基づき利益を主張する。
【0002】
電子配列表の参照
電子配列表の内容(H049870749WO00-SEQ-HJD.xml;サイズ:7,196バイト;及び作成日:2022年12月2日)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
背景
SARS-CoV-2のパンデミックが継続中であるため、消費者に直接販売できる在宅ポイントオブケア(POC)核酸検査製品(NAT)の必要性がますます明らかになってきている。NAT関連技術の進歩を利用した一握りのこのような製品が市販されるようになっているが、利用可能な基盤技術に対する重要な改善が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本明細書において、いくつかの態様では、低温(例えば、12~25℃)でロバストである標的ポリヌクレオチドの等温増幅のための組成物及び方法が提供される。標的ポリヌクレオチドの低温等温増幅は、SARS-CoV-2感染によって引き起こされるCOVID-19などの疾患に関連する標的ポリヌクレオチドを検出するための低コストの家庭用検査を実施するための重要なステップである。低温標的ポリヌクレオチド増幅は、少なくともある程度は、低温におけるプライマー二量体形成を阻害するように特別に設計されたプライマーを用いて達成される。
【0005】
本明細書で提供されるプライマーは、いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド上のプライマー結合配列に相補的である短い(例えば、10~30ヌクレオチド)ハイブリダイゼーション配列を含む。ハイブリダイゼーション配列は、いくつかの実施形態では、ニッカーゼ認識配列(例えば、ニッカ―ゼ認識配列の部分又は完全配列)をさらに含む。いくつかの実施形態では、プライマーは、ニッカーゼ認識配列の5’側にある安定化配列も含む。いくつかの実施形態では、プライマーは、重合を終結させ、それによりプライマー二量体の増幅をブロッキングする3’ブロッキング分子をさらに含む。いくつかの実施形態では、3’ブロッキング分子は、以下に説明するように、プライマーの3’伸長を可能にするために、ニッカーゼ及び鎖置換ポリメラーゼを用いてプライマーから後に除去される。
【0006】
増幅及び検出される標的ポリヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの5’末端の近傍(例えば、50ヌクレオチド以内)に位置するプライマー結合配列、及び/又は3’末端の近傍(例えば、50ヌクレオチド以内)に位置するプライマー結合配列を含む(例えば、含むように修飾される)。いくつかの実施形態では、増幅及び検出される標的ポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドの3’末端に位置するプライマー結合配列を含む(例えば、含むように修飾される)。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドプライマー結合配列は、ニッカーゼ認識配列を含み、ニッカーゼ認識配列は、ニッカーゼ認識配列の部分配列又はニッカーゼ認識配列の完全配列であり得る。
【0007】
本明細書で提供される方法の一例は、図1A図1Jに描かれている。理論に拘束されることなく、プライマーは、まず標的ポリヌクレオチドのプライマー結合配列に結合する。例えば、プライマーは、ニッカーゼ認識配列を含む標的ポリヌクレオチド上のプライマー結合配列に結合し得る(図1A)。いくつかの実施形態では、プライマーは、標的ポリヌクレオチドの5’末端から50ヌクレオチド以内のプライマー結合配列に結合し、鎖置換ポリメラーゼは、3’から5’方向に伸長することによって、プライマーの逆相補配列を標的ポリヌクレオチドに付加する(図1B)。ニッカーゼは、いくつかの実施形態では、次いで、新たに形成された二本鎖標的ポリヌクレオチドに結合し、プライマーにニックを入れ、これにより、鎖置換ポリメラーゼが3’ブロッキング分子を除去し、プライマーを伸長させることが可能になる(図1C図1D)。標的ポリヌクレオチドの残りの部分の伸長は、プライマー安定化配列及びニッカーゼ認識配列を含む二本鎖標的ポリヌクレオチドを形成する(図1E)。標的ポリヌクレオチドの増幅は、ニッキングと伸長のサイクルを繰り返すことで続けることができる。一本鎖DNA結合タンパク質は、いくつかの実施形態では、伸長中に置換された鎖を安定化させるために添加される(図1F)。いくつかの実施形態では、反復的なニッキング及び伸長は、標的ポリヌクレオチドの逆相補配列の反復作製をもたらす(図1G)。いくつかの実施形態では、プライマーはまた、標的ポリヌクレオチドの逆相補配列に結合する(図1H)。いくつかの実施形態では、第2のプライマーは、標的ポリヌクレオチドの逆相補配列に結合する。これは、標的ポリヌクレオチドの逆相補配列のコピーのニッキング及び伸長をもたらし、標的ポリヌクレオチドのコピーを作製する(図1I図1J)。これにより、標的ポリヌクレオチドが指数関数的に増幅される。いくつかの実施形態では、増幅によって作製される標的ポリヌクレオチド(又は標的ポリヌクレオチドの逆相補配列)のコピーは、例えば、本明細書に記載の検出方法を用いて検出される。従来の技術とは異なり、この増幅及び検出スキームは、低温での等温条件下でロバストである。
【0008】
本開示のいくつかの態様は:(a)プライマー結合配列を含む標的ポリヌクレオチドであって、プライマー結合配列が、ニッカーゼ認識配列を含む、標的ポリヌクレオチド;(b)プライマー結合配列に相補的なハイブリダイゼーション配列を含むプライマーであって、(i)プライマーが、3’ブロッキング分子をさらに含み、及び/又は(ii)ハイブリダイゼーション配列が、プライマー結合配列に相補的な8~12個の連続したヌクレオチドからなる、プライマーを含む組成物を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドは一本鎖である。
【0010】
いくつかの実施形態では、ニッカーゼ認識配列は、ニッカ―ゼ認識配列の部分又は完全配列である。
【0011】
いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、標的ポリヌクレオチドの5’末端領域にある。
【0012】
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、プライマー結合配列の逆相補配列である追加の配列を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、追加の配列は、標的ポリヌクレオチドの3’末端領域にある。
【0014】
いくつかの実施形態では、3’ブロッキング分子は、3’ヘキサンジオール、3’ddC、3’Inverted dT、3’炭素鎖スペーサー、3’アミノ、3’リン酸化から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、プライマーは、ニッカーゼ認識配列の5’側に安定化配列をさらに含み、任意選択で、安定化配列は、6~30個のヌクレオチド又は18個のヌクレオチドからなる。
【0016】
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、100アトモーラー(attomolar)未満の濃度で組成物中に存在する。
【0017】
いくつかの実施形態では、組成物は、同種ニッカーゼ、一本鎖結合タンパク質、鎖置換ポリメラーゼ、又はそれらの任意の組み合わせをさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、同種ニッカーゼは、Nb.BbvCI、Nt.BspQI、Nt.CviPII、Nt.BstNBI、Nb.BsrDI、Nb.BtsI、Nt.AlwI、Nt.BbvCI、Nb.BsmI、Nb.BssSI、及びNt.BsmAIから選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、一本鎖結合タンパク質は、T4遺伝子32タンパク質(T4gp32)、Tth RecA、及びET SSBから選択される。
【0020】
いくつかの実施形態では、鎖置換ポリメラーゼは、Bsu DNAポリメラーゼI(Bsu)、phi29、Bst DNAポリメラーゼ、Klenow Large Fragment、Klenow Exo-、Bsu Large Fragment、Isopol、及びIsopol SD+から選択される。
【0021】
いくつかの実施形態では、組成物は、(i)Cas13a又はCas13bタンパク質、(ii)検出可能な分子とクエンチャー分子に挟まれた配列を含む検出器ポリヌクレオチド、(iii)crRNA、及び(iv)RNAポリメラーゼをさらに含み、標的ポリヌクレオチドは、同種RNAポリメラーゼ結合配列をさらに含み、crRNAは、標的ポリヌクレオチドから転写されたRNAに結合する配列を含む。
【0022】
本開示の他の態様は、緩衝液中で本明細書で提供される組成物をインキュベートして標的ポリヌクレオチドの複数のコピーを作製することを含む方法を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態では、インキュベートすることは、約4℃~約50℃、約4℃~約45℃、約4℃~約40℃、約4℃~約35℃、約4℃~約30℃、又は約16℃~約25℃である。
【0024】
いくつかの実施形態では、インキュベーションは、等温条件下である。
【0025】
いくつかの実施形態では、方法は、標的ポリヌクレオチドの複数のコピーを検出することをさらに含み、任意選択で、検出することは、特異的高感度酵素レポーターロック解除(SHERLOCK)を使用する。
【0026】
本開示のさらに他の態様は、緩衝液中で本明細書で提供される組成物をインキュベートして標的ポリヌクレオチドの複数のコピーを作製すること、次いで、標的ポリヌクレオチドの複数のコピーをCas12aタンパク質、crRNA、及び検出可能な分子とクエンチャー分子に挟まれた検出器配列を含む検出器ポリヌクレオチドと共にインキュベートすることを含む方法を提供し、crRNAは、標的ポリヌクレオチド又は標的ポリヌクレオチドの逆相補配列に結合する配列を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、方法は、標的ポリヌクレオチドの複数のコピーを検出することをさらに含み、任意選択で、検出することは、特異的高感度酵素レポーターロック解除(SHERLOCK)を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図面の簡単な説明
図1A図1A図1Jは、標的オリゴヌクレオチドの増幅の概略図を示す。図1Aは、3’ブロッキング分子を含むプライマーの概略を示す。
図1B図1Bは、プライマーを鋳型及びBSUとして用いた標的オリゴヌクレオチドの伸長を示す。
図1C図1Cは、ニッカーゼによってニックが入れられたプライマーを示す。
図1D図1Dは、標的ポリヌクレオチドを鋳型として用いてプライマーを下方に伸長させ、3’ブロッキング基を含むプライマーのニッキング部分を置換するBsuを示す。
図1E図1Eは、図1Dからの二本鎖標的ポリヌクレオチド産物のニッキングを示す。
図1F図1Fは、BSUを用いた二本鎖標的ポリヌクレオチド産物の増幅、及び一本鎖結合タンパク質(SSBP)による置換された鎖の安定化を示す。
図1G図1Gは、二本鎖標的ポリヌクレオチド産物からの反復増幅の結果を示す。
図1H図1Hは、標的ポリヌクレオチドの一本鎖逆相補配列に結合する3’ブロッキング分子を含むプライマーを示す。
図1I図1Iは、図1Hで作製された標的ポリヌクレオチドの逆相補配列の伸長によって作製された二本鎖DNAのニッキングを示す。
図1J図1Jは、標的ポリヌクレオチドの逆相補配列の反復的なニッキング及び伸長を示す。
図2図2は、CRISPR-Cas9誘発ニッキングエンドヌクレアーゼ媒介鎖置換増幅(CRISDA)プラットフォームが低温ではロバストではないことを示す。CRISDAは、既存のプライマー設計を使用した最新の周囲温度鎖置換増幅(SDA)である。CRISDAの文献(Zhou, Wenhua, et al. Nature Communications, vol. 9, no. 1, 2018)に記載されているものと同じ増幅反応を、プライマー長、プライマー濃度、及び一本鎖結合タンパク質(T4gp32)濃度を示されているように変化させて行った。第2段階Cas12a検出反応からのシグナルの倍数変化は、異なる濃度のインプットssDNAトリガー(0アトモーラー(attomolar)(aM)、20aM、2fM、200fM)で示されている。
図3図3は、プライマー長を短くすると、プライマー二量体の生成が減少することを示す。室温での鎖置換増幅(SDA)プライマー二量体形成の経時変化。示された時点で(80℃での熱殺滅によって)停止したSDA反応のアガロースゲル(4%)を、長さの異なる3対のプライマー(20ヌクレオチド(nt)、17nt、及び14nt)について示されている。赤色の矢印と赤色の文字は、最初の開始プライマーよりも小さいニッカーゼ伸長産物の形成時期を示している。
図4A図4A図4Bは、9ntの短いハイブリダイゼーション配列を有する新しいプライマーの設計を示す。図4Aの左:プライマーは、ニッカーゼ認識配列(BbvCI)が完全に重ならないよう二量体化するように設計されている。右:ニッカーゼ認識配列がハイブリダイゼーション配列から除外されるように二量体化するプライマーは、ニッカーゼ認識配列と指数関数的に自己増幅する二量体種を形成する。
図4B図4B:鎖置換増幅のための以前の設計は、ハイブリダイゼーション配列(黒色)並びにニッカーゼ認識配列(緑色)及び安定化配列(ピンク色)を有する2つのプライマーを採用している。これらのプライマーは、指数関数的に増幅する二量体種の形成を可能にするのに十分な長さである。しかしながら、本明細書に記載の改良された短い単一プライマーの設計は、不活性な非増幅二量体種のみを形成する。これは、プライマー結合配列(青色)を標的ポリヌクレオチドの3’末端及び5’末端に結合させることによって可能になる。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの3’末端及び5’末端におけるプライマー結合配列は同一の配列である。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの3’末端及び5’末端におけるプライマー結合配列は異なる配列である。このときに、ニッカーゼ認識配列(緑色)も追加することができる。プライマー結合配列及びニッカーゼ認識配列は、バンププライマー(bump primer)、リガーゼスプリントなどの使用を含む様々な手段によって標的ポリヌクレオチドに付加することができる。標的特異的領域の除去及び2つのプライマーの統合により、通常は不可能である方法で短いプライマーを使用することが可能になる。
図5図5は、短いプライマーの設計が指数関数的なプライマー二量体の増幅をもたらさないことを示唆している。新しいプライマーの設計を使用する室温でのプライマー二量体形成の経時変化。示された時点で(80℃での熱殺滅による)停止した反応のアガロースゲル(4%)は、単一の短縮された9ntフォワードプライマーについて示されている。赤色の文字は、プライマー二量体の形成時期を示し、これは、特にニッカーゼ生成ではない(このような生成物は、劇的に大きくなるのではなく、開始プライマーよりも小さくなる)。
図6A図6A図6Bは、Cas12a及び短いプライマーを用いた一本鎖DNA(ssDNA)標的ポリヌクレオチドの周囲温度検出を示す。図6Aは、Cas12aを用いた標的ポリヌクレオチドの増幅及び検出のためのツーポット反応の概略図を示す。ssDNA標的ポリヌクレオチドを、短いプライマーを用いて室温で2時間増幅した。増幅後、アンプリコン上のPAM含有配列を標的とするcrRNA:Cas12a複合体を反応液に添加し、フルオロフォアクエンチャーレポーター(検出器ポリヌクレオチドなど)を30分間切断した。
図6B図6Bは、様々な量の開始ssDNA標的ポリヌクレオチドについての検出の定量化を示す。個々の値と6回の反復の平均が示されている(n=6)。
図7A図7A図7Cは、Cas13aを用いたssDNA標的ポリヌクレオチドの周囲温度検出及び短いプライマーによる増幅を示す。図7Aは、Cas13aを用いたssDNA標的ポリヌクレオチドのワンポット増幅及び検出を示す。ssDNA標的ポリヌクレオチドを、プライマーを用いて室温で増幅し、T7 RNAポリメラーゼ(RNAP)をシステムに添加した。増幅中、反応中に存在するcrRNA:Cas13a複合体は、標的ポリヌクレオチドの転写されたRNAコピーを検出し、それに応答してフルオロフォアクエンチャーレポーター(即ち、検出器ポリヌクレオチド)を切断した。実際の反応開始時間はt=0の45分前であった。
図7B図7Bは、様々な量の開始標的ポリヌクレオチドについての標的ポリヌクレオチドのコピーの経時的な検出を示す。
図7C図7Cは、20℃~12℃のアッセイの温度感受性を示す。4回の反復の個々の経過変化が示されている(n=4)。
図8図8は、Cas13a及び3’ブロッキング分子を有するプライマーを用いた一本鎖標的ポリヌクレオチドの周囲温度検出を示す。一本鎖標的ポリヌクレオチドを、非ブロック3’OH又は3’ヘキサンジオールブロッキング分子のいずれかを有する短いプライマーを用いて、バックグラウンド一本鎖DNA(ssDNA)オリゴ(25nM)の存在下又は非存在下、室温で増幅した。増幅中、反応中に存在するcrRNA:Cas13a複合体は、標的ポリヌクレオチドの転写されたRNAコピーを検出し、それに応答して検出器ポリヌクレオチドを切断した。実際の反応開始時間は、プレートリーダーに反応をセットする80分前であった。単一反復の個々の経時変化が示されている(n=1)。
図9図9は、異なる鎖置換ポリメラーゼを使用して標的ポリヌクレオチドのフェムトモル(fM)量を検出できることを示す。標的ポリヌクレオチドの増幅コピーは、酵素フルオロフォアクエンチャーアッセイを用いて検出した。反応は、短い3’ブロックされたプライマー(10ntのハイブリダイゼーション配列、18ntの安定化配列)を用いて周囲温度で行い、T7転写ステップに続いてワンポット反応でCas13蛍光を検出した。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な説明
いくつかの態様では、本開示は、標的ポリヌクレオチドの等温低温増幅のための組成物及び方法に関する。いくつかの実施形態では、増幅の後に、標的ポリヌクレオチドのコピーの検出が続く。
【0030】
組成物
本明細書において、いくつかの態様では、例えば、等温条件における周囲温度で標的ポリヌクレオチドを増幅するために使用できる組成物が提供される。組成物は、いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチド及び標的ポリヌクレオチドに特異的に結合するように設計されたプライマー(例えば、目的の配列に隣接する)を含む。組成物は、いくつかの実施形態では、ニッカーゼ、一本鎖結合タンパク質、及び/又は鎖置換ポリメラーゼも含み、そのそれぞれを以下に説明する。
【0031】
いくつかの実施形態では、増幅された標的ポリヌクレオチドの検出のための分子もまた、組成物に含まれるか、又は組成物に添加される。例えば、組成物は、検出可能な分子とクエンチャー分子に挟まれた検出器ポリヌクレオチドをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、検出器ポリヌクレオチドは、エンドヌクレアーゼ認識配列を含む。検出器ポリヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、Cas12エンドヌクレアーゼと共に、或いはCas13エンドヌクレアーゼ及びRNAポリメラーゼと共に組成物に含められる。検出器ポリヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Kellner et al. Nature protocols 14.10 (2019): 2986-3012に記載されているように、Cas12エンドヌクレアーゼ又はCas13エンドヌクレアーゼの二次活性によって切断される。
【0032】
標的ポリヌクレオチド
本開示の方法を使用して、標的ポリヌクレオチドを増幅する。標的ポリヌクレオチドは、DNA又はRNA、又はDNAとRNAのハイブリッドであり得る。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、RNA、例えば、mRNA、非コードRNA、又はリボソームRNAである。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドは一本鎖である。他の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは二本鎖である。さらに他の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、部分的に二本鎖である(即ち、一本鎖領域と二本鎖領域を含む)。
【0033】
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドは病原体に由来する。病原体は、一般に、疾患を引き起こし得る細菌、ウイルス、又はその他の微生物であることが知られている。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、ウイルスポリヌクレオチドである。例えば、標的ポリヌクレオチドは、非限定的な例の1つがSARS-CoV-2であるベータコロナウイルスなどのウイルスに由来し得る。他の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、細菌ポリヌクレオチドである。さらに他の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、真菌ポリヌクレオチドである。さらに他の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、原生生物又は寄生虫ポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドの検出が特定の病原体の存在を示すような病原体に特有である。
【0034】
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、対象由来の(例えば、対象から得られた)試料中に存在する。「対象」には、限定されるものではないが、ヒト及びその他の非ヒト動物が含まれ、非ヒト動物には、例えば:イヌ、ネコ、家畜化されたブタ、フェレット、及びハムスターなどのコンパニオンアニマル;カニクイザルやアカゲザルなどの霊長類;及びウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、トリ(例えば、鶏、アヒル、ガチョウ、及び/又は七面鳥)などの農業動物が含まれる。いくつかの実施形態では、対象はヒト対象である。
【0035】
試料は、いくつかの実施形態では、血液、尿、唾液、及び粘液から選択される。いくつかの実施形態では、試料は血液試料である。他の実施形態では、試料は尿試料である。さらに他の実施形態では、試料は唾液試料である。さらに他の実施形態では、試料は粘液試料である。
【0036】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物及び方法は、標的ポリヌクレオチドのロバストな増幅をもたらす。標的ポリヌクレオチドのロバストな増幅は、標的ポリヌクレオチドを検出可能なレベルまで一貫して増幅する組成物及び方法を指す。一貫した増幅は、例えば、実施例2に例示するように、標的ポリヌクレオチドの増幅及び検出において再現できる成功によって証明されている。当業者は、ロバスト性は、組成物又は方法における標的ポリヌクレオチドの開始濃度に依存することを理解されよう。例えば、本明細書に記載の組成物及び方法は、一般に、アトモーラー(attomolar)量の標的ポリヌクレオチド、例えば、少なくとも2aM、少なくとも3aM、少なくとも4aM、少なくとも5aM、少なくとも10aM、少なくとも20aM、少なくとも50aM、又は少なくとも100aMの標的ポリヌクレオチドをロバストに増幅及び検出することが期待される。
【0037】
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、少なくとも2アトモーラー(attomolar)(aM)の濃度で試料中に存在する。例えば、標的ポリヌクレオチドは、少なくとも2aM、少なくとも3aM、少なくとも4aM、少なくとも5aM、少なくとも10aM、少なくとも20aM、少なくとも50aM、又は少なくとも100aMの濃度で試料中に存在し得る。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、2~5aM、2~10aM、2~20aM、2~40aM、2~100aM、5~10aM、5~20aM、5~40aM、5~100aM、10~20aM、10~50aM、20~50aM、10~100aM、50~100aM、1~1000aM、5~1000aM、又は50~1000aMの濃度で試料中に存在する。いくつかの実施形態では、試料は、標的ポリヌクレオチドに加えて他の分子、例えば、他の非標的ポリヌクレオチドを含む。
【0038】
プライマー結合配列
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、1つ以上のプライマー結合配列を含む。例えば、標的ポリヌクレオチドは、第1のプライマー結合配列及び第2のプライマー結合配列の逆相補配列を含み得、第1のプライマー結合配列及び第2のプライマー結合配列の逆相補配列は、目的の配列に隣接している。目的の配列は、特異的に増幅される標的ポリヌクレオチド内の配列を指す。この配列は、検出中にCRISPR Cas複合体によって結合される配列を含み得る。第1のプライマー結合配列及び第2のプライマー結合配列の逆相補配列は、一方のプライマー結合配列(又はその逆相補配列)が目的の配列の上流(5’側)にあり、他方のプライマー結合配列(又はその逆相補配列)が目的の配列の下流(3’側)にあるときに、目的の配列に「隣接」すると見なされる。この構成により、目的の介在配列のポリメラーゼベースの増幅が可能になる。「プライマー結合配列」を記述する実施形態は、「第1のプライマー結合配列」、「第2のプライマー結合配列の逆相補配列」、及び企図され得る任意の追加のプライマー結合配列を包含することを理解されたい。
【0039】
いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、8~12個の連続したヌクレオチドを含む。連続するヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドの一次配列において連続するヌクレオチドであり、連続するヌクレオチド間に追加の介在ヌクレオチド又は他の分子は存在しない。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、8~9、8~10、8~11、8~12、9~10、9~11、9~12、10~11、10~12、又は11~12個の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、9~11個の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30個以上の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、8~13、8~14、8~15、8~16、8~17、8~18、8~19、8~20、8~21、8~22、8~23、8~24、8~25、8~26、8~27、8~28、8~29、又は8~30個の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、8個の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、9個の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、10個の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、11個の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、12個の連続したヌクレオチドを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、標的ポリヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドに結合される。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、標的ポリヌクレオチドの5’末端領域内に位置する。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの5’末端領域は、5’末端に最も近い7、8、9、10、11、12、又は13個のヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの5’末端領域は、標的ポリヌクレオチドの5’末端に最も近い10、15、20、25、30、35、40、45、又は50個のヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、標的ポリヌクレオチドの5’末端領域から10ヌクレオチド以内に位置する。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、標的ポリヌクレオチドの5’末端領域から25ヌクレオチド以内に位置する。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、標的ポリヌクレオチドの5’末端領域から50ヌクレオチド以内に位置する。
【0041】
いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、標的ポリヌクレオチドの3’末端ヌクレオチドに結合されている。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、標的ポリヌクレオチドの3’末端内に位置する。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの3’末端は、3’末端に最も近い7、8、9、10、11、12、又は13個のヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの3’末端は、3’末端に最も近い10、15、20、25、30、35、40、45、又は50個のヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの3’末端は、標的ポリヌクレオチドの3’末端に最も近い10、15、20、25、30、35、40、45、又は50個のヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、標的ポリヌクレオチドの3’末端から10ヌクレオチド以内に位置する。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、標的ポリヌクレオチドの3’末端から25ヌクレオチド以内に位置する。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、標的ポリヌクレオチドの3’末端から50ヌクレオチド以内に位置する。
【0042】
いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、ニッカーゼ認識配列を含む。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、(以下に説明するように)ニッカ―ゼ認識配列の完全又は部分配列を含む。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、ニッカーゼ認識配列の逆相補配列を含む。いくつかの実施形態では、ニッカーゼ認識配列は、5’-CCTCAGC-3’(Nb.BbvCI)、5’-GCTCTTC-3’(Nt.BspQI)、5’-CCT-3’、5’-CCG-3’、又は5’-CCA-3’(Nt.CviPII)、5’-GAGTCNNNNN-3’(Nt.BstNBI)、5’-GCAATGNN-3’(Nb.BsrDI)、5’-GCAGTGNN-3’(Nb.BtsI)、5’-GGATCNNNNN-3’(Nt.AlwI)、5’-GAATGCN-3’(Nb.BsmI)、5’-CACGAG-3’(Nb.BssSI)、及び5’-GTCTCNN-3’(Nt.BsmAI)から選択される。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、Nb.BbvCIによってニックを入れることができる’5-CCTCAGC-3’を含む。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、部分Nb.BbvCIニッカーゼ認識配列(太字)を含む
【化1】
(配列番号1)の配列を含む。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、目的の配列の5、10、25、又は50塩基対以内、又は標的ポリヌクレオチドの5’末端にある。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、目的の配列の5、10、25、又は50塩基対以内、又は標的ポリヌクレオチドの3’末端にある。
【0043】
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、プライマー結合配列及び追加の配列を含む。いくつかの実施形態では、追加の配列は、プライマー結合配列の逆相補配列である。いくつかの実施形態では、追加の配列は、逆転写されるとき、プライマー結合配列と同じ配列である。したがって、いくつかの実施形態では、追加の配列は、標的ポリヌクレオチドの逆相補配列上のプライマー結合配列である。いくつかの実施形態では、追加の配列は、上述したニッカ―ゼ認識配列の完全又は部分配列の逆相補配列を含む。いくつかの実施形態では、追加の配列は、5’-TGAGGAGGAG-3’ (配列番号2)の配列を含む。いくつかの実施形態では、追加の配列は、標的ポリヌクレオチドの3’末端領域内に位置する。いくつかの実施形態では、追加の配列は、標的ポリヌクレオチドの5’末端領域内に位置する。いくつかの実施形態では、追加の配列は、プライマー結合配列の逆相補配列ではない配列を含む。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列及び追加の配列の逆相補配列は直交配列である。「直交」という用語は、相補配列を含む核酸分子と比較して、互いに相当程度にハイブリダイズするのに相補性が不十分である2つ以上の核酸分子を表す。
【0044】
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、5’-TGAGGAGGAGNNN...NNNCTCCTCCTCA-3’(配列番号6~7)の配列を含み、NNN...NNNは目的の配列である。目的の配列は、いくつかの実施形態では、互いに逆相補配列であるプライマー結合配列(5’-TGAGGAGGAG-3’(配列番号2)及び5’-CTCCTCCTCA-3’(配列番号1))に隣接する。当業者は、目的の配列の長さが変化し得ることを理解されよう。いくつかの実施形態では、目的の配列は、長さが15~50、15~100、15~150、15~200、15~300、20~50、20~100、20~150、20~200、20~300、50~100、50~150、50~200、50~300、100~150、100~200、又は100~300ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、目的の配列は、長さが少なくとも15ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、目的の配列は、長さが少なくとも18ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、目的の配列は、長さが少なくとも20ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、目的の配列は、Cas12又はCas13、又はそれらの変異体を用いて検出できる十分な長さである。
【0045】
プライマー結合配列の標的ポリヌクレオチドへの結合
いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、標的ポリヌクレオチドに結合される。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、公知の方法、例えば、制限酵素消化/ライゲーション又は平滑末端ライゲーションを用いて標的ポリヌクレオチドに結合される。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Gibson et al. ”Nature methods 6.5 (2009): 343-345に記載の等温ライゲーション方法を用いて標的ポリヌクレオチドに結合される。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、Kershaw et al. Recombinant and In Vitro RNA Synthesis. Humana Press, Totowa, NJ, 2013. 257-269に記載されるようにスプリントライゲーションを用いて標的ポリヌクレオチドに結合される。いくつかの実施形態では、第1のプライマー結合配列は、標的ポリヌクレオチドの5’末端に結合され、第2のプライマー結合配列の逆相補配列を含む追加の配列が、標的ポリヌクレオチドの3’末端に結合される。いくつかの実施形態では、第1のプライマー結合配列は、標的ポリヌクレオチドの3’末端に結合され、第2のプライマー結合配列の逆相補配列を含む追加の配列が、標的ポリヌクレオチドの5’末端に結合される。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドへのプライマー結合配列の結合は、等温及び低温条件で行われる。当業者は、追加の配列が、プライマー結合配列を標的ポリヌクレオチドに結合させるために使用される方法と同じ方法、又は実質的に類似の方法を用いて標的ポリヌクレオチドに結合され得ることを理解されよう。
【0046】
RNAポリメラーゼ結合配列
いくつかの実施形態では、目的の増幅配列の検出は、T7 RNAポリメラーゼなどのRNAポリメラーゼの使用を含む。このような実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、RNAポリメラーゼ結合配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、RNAポリメラーゼ結合配列を含むように修飾される。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼ結合配列は、RNAポリメラーゼ結合配列を含む安定化配列を含む増幅中のプライマーを用いて標的ポリヌクレオチドに付加される。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼ結合配列は、プライマー結合配列又は追加の配列の一部として標的ポリヌクレオチドに付加される。
【0047】
いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼ結合配列は、組成物に含まれるRNAポリメラーゼと同種である。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼ結合配列は、細菌RNAポリメラーゼ結合配列である。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼ結合配列は、真核生物RNAポリメラーゼ結合配列である。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼ結合配列は、バクテリオファージRNAポリメラーゼ結合配列である。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼ結合配列は、RNAポリメラーゼI、RNAポリメラーゼII、RNAポリメラーゼIII、RNAポリメラーゼIV、RNAポリメラーゼV、NrビリオンRNAポリメラーゼ、又はT7 RNAポリメラーゼ結合配列である。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼ結合配列は、T7 RNAポリメラーゼ結合配列である。
【0048】
プライマー
本明細書で提供される方法は、1つ又は複数のプライマーを使用して標的ポリヌクレオチドを増幅する。例えば、組成物は、プライマーを含み得る。「プライマー」を説明する実施形態は、「第1のプライマー」、「第2のプライマー」、及び企図され得る任意の追加のプライマーを包含することを理解されたい。
【0049】
ハイブリダイゼーション配列
プライマーは、標的ポリヌクレオチドにおけるプライマー結合配列に相補的なハイブリダイゼーション配列を含む。したがって、一本鎖標的ポリヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列が結合するプライマー結合配列を含む(又は含むように修飾される)。プライマーの一本鎖標的ポリヌクレオチドへの結合及びその後のポリメラーゼベースの伸長に続いて、標的ポリヌクレオチドの逆相補配列が作製される。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの逆相補配列は、標的ポリヌクレオチドと同じプライマー結合配列を含む。これに続いて、同じプライマーが、一本鎖標的ポリヌクレオチド及び一本鎖標的ポリヌクレオチドの逆相補配列に結合し得る。一本鎖標的ポリヌクレオチド及び逆相補配列の伸長は、標的ポリヌクレオチドの指数関数的な増幅をもたらす。
【0050】
いくつかの実施形態では、組成物は、プライマーを含む。いくつかの実施形態では、プライマーは、ハイブリダイゼーション配列を含む。ハイブリダイゼーション配列は、標的ポリヌクレオチドのプライマー結合配列に相補的な配列を指す。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、標的ポリヌクレオチドのプライマー結合配列に少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)相補的である。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、標的ポリヌクレオチドのプライマー結合配列に100%相補的である。いくつかの実施形態では、プライマーは、標的ポリヌクレオチドの追加の配列(例えば、プライマー結合配列)の逆相補配列に相補的であるハイブリダイゼーション配列を含む。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、ニッカーゼ認識配列である配列を含む。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、5’-CCTCAGC-3’(Nb.BbvCI);5’-GCTCTTC-3’(Nt.BspQI);5’-CCT-3’、5’-CCG-3’、又は5’-CCA-3’(Nt.CviPII);5’-GAGTCNNNNN-3’(Nt.BstNBI);5’-GCAATGNN-3’(Nb.BsrDI);5’-GCAGTGNN-3’(Nb.BtsI);5’-GGATCNNNNN-3’(Nt.AlwI);5’-GAATGCN-3’(Nb.BsmI);5’-CACGAG-3’(Nb.BssSI);及び5’-GTCTCNN-3’(Nt.BsmAI)から選択される配列、又はこれらのニッカーゼ認識配列の1つの逆相補配列である配列を含む。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、Nb.BbvCI(5’-CCTCAGC-3’)配列の逆相補配列である配列を含む。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、ニッカーゼ認識配列の完全又は部分配列(又はその逆相補配列)を含む。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、ニッカーゼ認識配列の完全又は部分配列(又はその逆相補配列)及び2、3、4、5、6、7、又は8個の追加のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、ニッカーゼ認識配列の完全又は部分配列(又はその逆相補配列)及び2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、4~5、4~6、4~7、4~8、4~9、5~6、5~7、5~8、5~9、6~7、6~8、6~9、7~8、7~9、又は8~9個の追加のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、ニッカーゼ認識配列の完全又は部分配列(又はその逆相補配列)及び4~6個の追加のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、8~9、8~10、8~11、8~12、9~10、9~11、9~12、10~11、10~12、又は11~12個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、9~11個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、8~13、8~14、8~15、8~16、8~17、8~18、8~19、8~20、8~21、8~22、8~23、8~24、8~25、8~26、8~27、8~28、8~29、又は8~30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、9、10、又は11個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、9~10、9~11、又は10~11個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、10個のヌクレオチドを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、ニッカーゼ認識配列の完全配列を含む。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、ニッカーゼ認識配列の完全配列を含む。いくつかの実施形態では、プライマーハイブリダイゼーション配列は、ニッカーゼ認識配列の部分配列を含み、プライマー結合配列は、ニッカーゼ認識配列の完全配列を含む。いくつかの実施形態では、プライマーは、第1のニッカーゼ認識配列の部分配列を含み、プライマー結合配列は、第2の部分認識配列を含み、第1のニッカーゼ認識配列の部分配列及び第2のニッカーゼ認識配列の部分配列は、伸長中に形成されるニッカーゼ認識配列の完全配列を一緒になって形成する。
【0052】
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドのプライマー結合配列及び追加の配列は、他方に対して逆相補配列ではない。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドのプライマー結合配列及び追加の配列は、互いに直交している。いくつかの実施形態では、組成物は、標的ポリヌクレオチドの追加の配列の逆相補配列に相補的であり、標的ポリヌクレオチドのプライマー結合配列に相補的ではないハイブリダイゼーション配列を有する第2のプライマーを含む。
【0053】
安定化配列
いくつかの実施形態では、プライマーは、その5’末端から伸長した安定化配列をさらに含む。安定化配列は、プライマー結合に続く標的ポリヌクレオチド(又はその逆相補配列)の伸長のための鋳型を提供する(図1B)。加えて、いくつかの実施形態では、安定化配列は、プライマーがDNAポリメラーゼ(DNAP)によって伸長され得るように、ニッカーゼ切断後も、伸長した標的ポリヌクレオチドとの二本鎖を維持する(図1C及び図1Dを参照)。いくつかの実施形態では、安定化配列は、6~30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、安定化配列は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、安定化配列は、16~22個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、安定化配列は、18個のヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、安定化配列は、RNAポリメラーゼ結合配列(例えば、T7ポリメラーゼ結合配列)をさらに含む。いくつかの実施形態では、安定化配列は、5’-GAAGGTCGAAGATCGC-3’(配列番号3)の配列を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、プライマーは、
【化2】
(太字はハイブリダイゼーション配列)(配列番号4)の配列を含む。
【0055】
ブロッキング分子
いくつかの実施形態では、プライマー、第1及び/又は第2のプライマーは、プライマーの3’末端の最後のヌクレオチド上にブロッキング分子を含む。いくつかの実施形態では、ブロッキング分子は、プライマーの3’末端ヌクレオチドの3’OH基を化学的に修飾することによってプライマーの3’方向への伸長をブロックする(例えば、伸長の進行を止める)。いくつかの実施形態では、3’OH化学修飾は、鎖置換ポリメラーゼがプライマーの3’末端ヌクレオチドに追加のヌクレオチドを付加するのをブロックする。いくつかの実施形態では、3’ブロッキング分子はまた、プライマー二量体の指数関数的な増幅を阻害し得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、3’ブロッキング分子は、プライマーの3’末端に結合すると、プライマーの3’方向への伸長をブロックする。いくつかの実施形態では、ブロッキング分子は、プライマーの3’末端ヌクレオチドの3’OH基に結合する。いくつかの実施形態では、ブロッキング分子は、以下からなる群から選択される:
(1)3’ddNTP(伸長に必要な3’OH基を有しないジデオキシヌクレオチド三リン酸(例えば、ddTTP、ddATP、ddGTP、又はddCTP))、
(2)3’Inverted dT(伸長を阻害する3’-3’結合を有する)、
(3)3’炭素鎖スペーサー(伸長に必要な3’OH基に結合した炭素鎖。スペーサーは、4C、5C、6C、7C、8C、9C、10C、11C、又は12C以上であり得る)、
(4)3’ヘキサンジオール(伸長に必要な3’OH基に結合するC6グリコール鎖)、
(5)3’アミノ(C1上にメトキシ基を有する4C、5C、6C、7C、8C、9C、10C、11C、又は12C以上の炭素鎖スペーサー、及びスペーサー(4C、5C、6C、7C、8C、9C、10C、11C、又は12C以上)の最後の炭素に結合したNH2基である。アミノスペーサーは、伸長に必要な3’OH基に結合する)、及び
(6)3’リン酸化(伸長に必要な3’OHに結合したリン酸基であるため、先行するヌクレオチドの5’リン酸基が、プライマー上の3’末端ヌクレオチドの3’OHに結合できない)。
【0057】
いくつかの実施形態では、ブロッキング分子は3’ヘキサンジオールである。
【0058】
ニッカーゼ
本明細書で提供される方法は、ニッカーゼを使用して、(1)プライマーの伸長中に3’ブロッキング基の除去を可能にするためにプライマーを含む二本鎖DNAにニックを入れ、且つ(2)伸長中の鎖置換を可能にするために二本鎖ポリヌクレオチドにニックを入れる。ニック、ニッキング、及びニックが入れられたはすべて、二本鎖DNA分子(例えば、標的ポリヌクレオチド)の一本鎖をニッカーゼによって切断することを指す。本明細書で用いるニッカーゼは、特定のニッカーゼ認識配列にニックを入れることができる。同種ニッカーゼという用語は、対応するニッカーゼ認識配列と対をなすニッカーゼを説明するために使用される。例えば、Nb.BbvCIは、5’-CCTCAGC-3’と同種である。
【0059】
いくつかの実施形態では、組成物は、ニッカーゼをさらに含む。ニッカーゼは、二本鎖ポリヌクレオチドに結合し、一方の鎖だけをニッキング(即ち、切断)することができる酵素である。ニッカーゼは、当該技術分野において周知であり、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Zhang et al. Protein expression and purification 69.2 (2010): 226-234; Higgins et al. Nucleic acids research 29.12 (2001): 2492-2501; Morgan et al. (2000): 1123-1125; Xu et al. Proceedings of the National Academy of Sciences 98.23 (2001): 12990-12995; Heiter et al. Journal of molecular biology 348.3 (2005): 631-640; Zhu et al. Journal of molecular biology 337.3 (2004): 573-583; 及び Samuelson et al. Nucleic acids research 32.12 (2004): 3661-3671に記載されている。いくつかの実施形態では、ニッカーゼは、標的ポリヌクレオチド及び/又はプライマー上のニッカーゼ認識配列と同種である。いくつかの実施形態では、ニッカーゼは、二本鎖標的ポリヌクレオチド産物にニックを入れ、これが、ポリメラーゼによる鎖の低温(例えば、4~30℃又は12~30℃)の等温置換(isothermal displacement)に寄与する。いくつかの実施形態では、ニッカーゼは、Nt.BspQI、Nt.CviPII、Nt.BstNBI、Nb.BsrDI、Nb.BtsI、Nt.AlwI、Nb.BbvCI、Nt.BbvCI、Nb.BsmI、Nb.BssSI、及びNt.BsmAIからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ニッカーゼは、Nb.BbvCIである。ニッカーゼは、認識配列:5’-CCTCAGC-3’(Nb.BbvCI)、5’-GCTCTTC-3’(Nt.BspQI)、5’-CCT-3’、5’-CCG-3’、又は5’-CCA-3’(Nt.CviPII)、5’-GAGTCNNNNN-3’(Nt.BstNBI)、5’-GCAATGNN-3’(Nb.BsrDI)、5’-GCAGTGNN-3’(Nb.BtsI)、5’-GGATCNNNNN-3’(Nt.AlwI)、5’-GAATGCN-3’(Nb.BsmI)、5’-CACGAG-3’(Nb.BssSI)、及び5’-GTCTCNN-3’(Nt.BsmAI)と関連し得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、ニッカーゼ認識配列は、ニッカーゼ認識配列の完全配列である。ニッカーゼ認識配列の完全配列は、ニッカーゼによって認識されてニックが入れられる配列である。ニッカーゼ認識配列の完全配列は、同種ニッカーゼに依存する。例えば、Nb.BbvCIがニッカーゼである場合、5’-CCTCAGC-3’は、ニッカーゼ認識配列の完全配列となる。Nt.CviPIIがニッカーゼである場合、5’-CCT-3’、5’-CCG-3’、又は5’-CCA-3’が認識配列となる。いくつかの実施形態では、ニッカーゼ認識配列は、ニッカーゼ認識配列の部分配列である。部分認識配列は、完全認識配列の一部を有する配列である。ニッカーゼ認識配列の部分配列は、ニッカーゼに依存する。例えば、Nb.BbvCIがニッカーゼである場合、5’-CCT-3’はニッカーゼ認識配列の部分配列となる。しかしながら、Nt.CviPIIがニッカーゼである場合、5’-CCT-3’は部分認識配列ではない。ニッカーゼ部分認識配列は、ニッカーゼ認識配列の完全配列からの連続したヌクレオチドを含み、部分認識配列は、完全認識配列における最初又は最後のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ニッカーゼ認識配列の部分配列は、ニッカーゼ認識配列の完全配列に含まれる1、2、3、4、5、6、7、8、又は9個の連続したヌクレオチドを含まない。いくつかの実施形態では、ニッカーゼ認識配列の部分配列は、完全認識配列に含まれる少なくとも1つ(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、又は少なくとも9つ)のヌクレオチドを含まない。いくつかの実施形態では、ニッカーゼ認識配列の部分配列は、ニッカーゼ認識配列の完全配列に含まれるヌクレオチドの1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、4~5、4~6、4~7、4~8、4~9、5~6、5~7、5~8、5~9、6~7、6~8、6~9、7~8、7~9、又は8~9個のヌクレオチドを含まない。
【0061】
いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション配列は、ニッカーゼ認識配列の完全配列を含む。いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、ニッカーゼ認識配列の完全配列を含む。いくつかの実施形態では、プライマーハイブリダイゼーション配列は、ニッカーゼ認識配列の部分配列を含み、プライマー結合配列は、ニッカーゼ認識配列の完全配列を含む。いくつかの実施形態では、プライマーは、第1のニッカーゼ認識配列の部分配列を含み、プライマー結合配列は、第2の部分認識配列を含み、第1のニッカーゼ認識配列の部分配列及び第2のニッカーゼ認識配列の部分配列は、伸長中に形成されるニッカーゼ認識配列の完全配列を一緒に形成する。例えば、いくつかの実施形態では、プライマー結合配列は、
【化3】
(配列番号1)の配列を含み、この配列は、部分Nb.BbvCIニッカーゼ認識配列(太字)を含み、これらの実施形態では、プライマーは、
【化4】
(配列番号1)の逆相補配列であるハイブリダイゼーション領域を含んでもよく、プライマーは、ニッカーゼ認識配列の残りの部分の逆相補配列(太字)(
【化5】
(配列番号5))をさらに含む。したがって、標的ポリヌクレオチドの伸長は、いくつかの実施形態では、ニッカーゼ認識配列の完全配列をもたらす。
【0062】
鎖置換ポリメラーゼ
本明細書で提供される方法は、鎖置換ポリメラーゼを使用して標的ポリヌクレオチドを増幅する。したがって、いくつかの実施形態では、組成物は、鎖置換ポリメラーゼをさらに含む。鎖置換ポリメラーゼは、伸長中に下流のDNAを置換することができる。いくつかの実施形態では、鎖置換ポリメラーゼは、低温(例えば、4~25℃)で伸長活性を有する。いくつかの実施形態では、鎖置換ポリメラーゼは、13~25℃、13~24℃、13~23℃、13~22℃、13~21℃、13~20℃、13~19℃、13~18℃、13~17℃、13~16℃、又は13~15℃で伸長活性を有する。いくつかの実施形態では、鎖置換酵素は、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、又は30℃で伸長活性を有する。いくつかの実施形態では、鎖置換ポリメラーゼは、室温で伸長活性を有する。いくつかの実施形態では、鎖置換ポリメラーゼは、Bsu DNAポリメラーゼI(Bsu)、phi29、Bst DNAポリメラーゼ、Klenow Large Fragment、Klenow Exo-、Bsu Large Fragment、Isopol、及びIsopol SD+、又はそれらの変異体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、鎖置換ポリメラーゼは、Bsu又はその変異体である。いくつかの実施形態では、鎖置換ポリメラーゼは、Klenow又はその変異体である。
【0063】
一本鎖結合タンパク質
本明細書で提供される方法は、一本鎖結合タンパク質を使用して、伸長中に置換された鎖を安定化させる。一本鎖結合タンパク質及びその適用は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Kur et al. Acta Biochimica Polonica 52.3 (2005): 569-574にさらに記載されている。いくつかの実施形態では、組成物は、一本鎖結合タンパク質(SSBP)をさらに含む。いくつかの実施形態では、SSBPは、鎖置換ポリメラーゼによって置換されたDNA鎖に結合する。いくつかの実施形態では、SSBPは、共に参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Kur et al. Acta Biochimica Polonica 52.3 (2005): 569-574及びAlberts et al. Nature 227, 1313-1318 (1970)に記載されているように、T4遺伝子32タンパク質(T4gp32)、EcoSSB、TaqSSB、及びTthSSBからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、SSBPは、T4gp32である。
【0064】
緩衝液
本明細書で提供される方法及び組成物は、標的ポリヌクレオチドの増幅及び/又は検出に適した反応条件を提供する緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、DNA増幅のための緩衝液中に存在することを当業者が理解するであろう成分を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、標的ポリヌクレオチドの等温低温増幅が起こり得る緩衝液をさらに含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、デオキシヌクレオチド(dNTP)を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、トリス又は酢酸塩を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、カリウムイオン(K)を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、酢酸カリウム又は塩化カリウムを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、マグネシウムイオン(Mg2+)を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、塩化マグネシウムを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、ポリメラーゼ連鎖反応エンハンサー(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、ホルムアミド、ウシ血清アルブミン、硫酸アンモニウム、ポリエチレングリコール、ゼラチン、トゥイーン20、トリトンX-100、又はN,N,N-トリメチルグリシン(ベタイン))を含む。いくつかの実施形態では、T7 RNAポリメラーゼは、緩衝液中で活性である。いくつかの実施形態では、Cas13ポリメラーゼは、緩衝液中で活性である。いくつかの実施形態では、Cas12は、緩衝液中で活性である。いくつかの実施形態では、SHERLOCKは、緩衝液中で活性である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、CutSmart緩衝液を含む。
【0065】
増幅されたポリヌクレオチドの検出
いくつかの態様では、本開示は、標的ポリヌクレオチドを増幅し、次いでその複数のコピーを検出することによって標的ポリヌクレオチドの複数のコピーを作製する方法を提供する。
【0066】
後述するように、検出は、ワンポット反応又はツーポット反応で行うことができる。ワンポット反応において、いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの増幅及び検出のための試薬は、インキュベーション全体を通して存在する。ワンポット反応において、いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドのコピーは、RNAに転写され、次いでRNA結合タンパク質(例えば、Cas13)によって検出される。Cas13は、検出中にRNAを切断し、Cas13の二次活性も、検出器ポリヌクレオチドを切断する。Casタンパク質の二次活性は、crRNA:Cas複合体がcrRNAによって特定された標的(例えば、標的ポリヌクレオチド)を切断しているときに起こる核酸(例えば、検出器ポリヌクレオチド)の非特異的切断である。二次活性は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Varble et al. ”Trends in Genetics 35.6 (2019): 446-456に詳細に論じられている。ツーポット反応において、いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド増幅用の試薬を、まず組成物に添加し、続いてインキュベーションを行う。インキュベーション(及び恐らく標的ポリヌクレオチドの増幅)後、検出用の試薬を組成物に添加する。いくつかの実施形態では、検出用の試薬は、DNA結合タンパク質(例えば、Cas12)を含む。Cas12は、検出中に標的ポリヌクレオチドのコピーを切断する。したがって、Cas12は、増幅プロセスを中断しないように、インキュベーション及び増幅後に添加することができる。
【0067】
ワンポット反応
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの増幅と標的ポリヌクレオチドのコピーの検出の両方が、同じ反応(例えば、ワンポット反応)で行われる。標的ポリヌクレオチドのコピーは、いくつかの実施形態では、RNAに転写され、次いでRNA結合分子(例えば、Cas13)によって検出される。いくつかの実施形態では、RNA結合分子は、標的ポリヌクレオチドのコピーから転写されたRNA、又は標的ポリヌクレオチドの逆相補配列から転写されたRNAを特異的に認識する。このような実施形態では、組成物は、RNAポリメラーゼ(上述した)をさらに含み、標的ポリヌクレオチドは、上述したようにRNAポリメラーゼ結合配列を含むように修飾される。いくつかの実施形態では、RNA結合分子は、標的ポリヌクレオチドのコピーから転写されたRNAを特異的に認識するタンパク質である。いくつかの実施形態では、RNA結合分子はヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼは、RNAに結合すると、検出可能な分子(以下に説明)を活性化するヌクレアーゼ二次活性を有する。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼは、RNAに結合するCRISPR Casヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼはCas13である。いくつかの実施形態では、Cas13は、Cas13a、Cas13b、Cas13c、又はCas13dからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Cas13は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Kellner et al. Nature protocols 14.10 (2019): 2986-3012に記載されるようなLwaCas13a、LbaC13a、CcaCas13b、PsmCas13b、又はAsCas12aである。いくつかの実施形態では、Cas13は、LbuCas13aである。いくつかの実施形態では、組成物は、標的ポリヌクレオチドの複数のコピーから転写されたRNAに相補的であるcrRNAをさらに含む。いくつかの実施形態では、crRNAは、CRISPR Cas(例えば、Cas13a)と複合体を形成し、分解のためにCRISPR CasをRNAに誘導する。
【0068】
いくつかの実施形態では、組成物は、検出器ポリヌクレオチドを含む。検出器ポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドのコピー及び/又は標的ポリヌクレオチドの逆相補配列を検出するために使用される。いくつかの実施形態では、検出器分子は、一方の末端(5’又は3’)にクエンチャー分子を含み、他方の末端に検出可能な分子(例えば、アイオワブラック-RQ、ブラックホールクエンチャー-1、ブラックホールクエンチャー-2、及びアイオワブラック-ZEN FQ)、フルオロフォア(例えば、FAM、6-FAM、Tye563、Cy3、ATTO550、TAMRA583、ATTO565、ROX、ATTO Rho101、TEX615、Texas Red-X、TYE665、又はCy5)を含む検出器ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、検出器ポリヌクレオチドは、Cas13による標的ポリヌクレオチドの複数のコピーの結合及び切断を検出する。検出器ポリヌクレオチドは、Kellner et al. Nature protocols 14.10 (2019): 2986-3012に記載されているように、CRISPR CasガイドRNA複合体(即ち、crRNA:Cas12)が標的ポリヌクレオチドのコピーに結合して切断するときに、この複合体の二次活性によって切断される。いくつかの実施形態では、クエンチャー分子は、アイオワブラック-RQ、ブラックホールクエンチャー-1、ブラックホールクエンチャー-2、及びアイオワブラック-ZEN FQからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、Tye563、Cy3、ATTO550、TAMRA583、ATTO565、ROX、ATTO Rho101、TEX615、Texas Red-X、TYE665、及びCy5からなる群から選択され、クエンチャー分子は、アイオワブラック及びブラックホールクエンチャー-2からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、FAM.6-FAM、ATTO488、TETi539、JOE、HEX、及びATTO532からなる群から選択され、クエンチャー分子は、ブラックホールクエンチャー-1及びアイオワブラック-ZEN FQからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、検出器ポリヌクレオチドは、6-FAMフルオロフォア及びブラックホールクエンチャー-1を含む。いくつかの実施形態では、検出器ポリヌクレオチドは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個以上のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、検出器ポリヌクレオチドは、5~10、5~15、5~20、10~15、10~20、又は15~20個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、検出器ポリヌクレオチドは、polyU(ポリウラシル)配列(例えば、5~20個の連続したウラシルヌクレオチド)を含む。いくつかの実施形態では、検出器ポリヌクレオチドは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個以上の連続したウラシルヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、検出器ポリヌクレオチドは、5~10、5~15、5~20、10~15、10~20、又は15~20個の連続したウラシルヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、検出器ポリヌクレオチドは、Cas13二次活性によって切断され得る。
【0069】
上述したように、ワンポット検出の実施形態では、標的ポリヌクレオチドは、RNAポリメラーゼ結合配列を含むか、又はこれを含むように修飾することができ、このRNAポリメラーゼ結合配列を使用して、RNA結合タンパク質(例えば、Cas13)による検出のために標的ポリヌクレオチドの増幅コピーをRNAに転写する。転写を行うために、いくつかの実施形態では、ワンポット反応は、RNAポリメラーゼをさらに含む。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼは、同種RNAポリメラーゼである。同種RNAポリメラーゼは、標的ポリヌクレオチド上のRNAポリメラーゼ結合配列に結合する。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼは、細菌RNAポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼは、真核生物RNAポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼは、バクテリオファージRNAポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼは、RNAポリメラーゼI、RNAポリメラーゼII、RNAポリメラーゼIII、RNAポリメラーゼIV、RNAポリメラーゼV、Nr virion RNAポリメラーゼ、又はT7 RNAポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼは、T7 RNAポリメラーゼである。
【0070】
ツーポット反応
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの増幅及び標的ポリヌクレオチドのコピーの検出は、別個の反応又は連続的な反応で行われる。このような反応では、標的ポリヌクレオチドのコピーは、DNA結合分子を用いて直接検出することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、標的ポリヌクレオチドのコピー又は標的ポリヌクレオチドの逆相補配列を特異的に認識するDNA結合分子を含む。いくつかの実施形態では、DNA結合分子はヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼは、DNAに結合すると、検出器分子を切断するヌクレアーゼ二次活性を有する(後述)。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼは、DNAに結合するCRISPR Casヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼはCas12である。いくつかの実施形態では、Cas12は、Cas12a又はCas12bからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Cas12は、LbaCas12a又はAsCas12aである。いくつかの実施形態では、組成物は、標的ポリヌクレオチド又はそのアンプリコンに相補的なガイドRNAをさらに含む。ガイドRNAは、CRISPR Cas(例えば、Cas12a)と複合体を形成し、CRISPR Casを標的ポリヌクレオチド又はそのアンプリコンに誘導して分解する。いくつかの実施形態では、ツーポット反応における検出は、検出試薬がインキュベーション後に組成物に添加されることを除いて、上述したようにCas13を用いて達成することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、組成物は、5’又は3’末端のクエンチャー及び他方の末端のフルオロフォアを含む検出器ポリヌクレオチドを含む。検出器ポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチド又はそのアンプリコンの結合及び切断時に、CRISPR CasガイドRNA複合体によって切断される。いくつかの実施形態では、検出器ポリヌクレオチドのクエンチャーは、アイオワブラック-RQ、ブラックホールクエンチャー-1、ブラックホールクエンチャー-2、及びアイオワブラック-ZEN FQからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、Tye563、Cy3、ATTO550、TAMRA583、ATTO565、ROX、ATTO Rho101、TEX615、Texas Red-X、TYE665、及びCy5からなる群から選択され、クエンチャーは、アイオワブラック及びブラックホールクエンチャー-2からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、FAM、6-FAM、ATTO488、TETi539、JOE、HEX、及びATTO532からなる群から選択され、クエンチャーは、ブラックホールクエンチャー-1及びアイオワブラック-ZEN FQからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、検出器ポリヌクレオチドは、6-FAMフルオロフォア及びブラックホールクエンチャー-1を含む。いくつかの実施形態では、検出器ポリヌクレオチドは、CRISPR Casヌクレアーゼが組成物に添加されるのと同時に組成物に添加される。いくつかの実施形態では、検出器ポリヌクレオチドは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個以上のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、検出器ポリヌクレオチドは、5~10、5~15、5~20、10~15、10~20、又は15~20個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、検出器ポリヌクレオチドは、Cas12二次活性によって切断され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、検出は、以下に説明するようにSHERLOCKを用いて達成される。
【0073】
Sherlock検出
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの複数のコピーは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Kellner et al. Nature protocols 14.10 (2019): 2986-3012に記載されるように特異的高感度酵素レポーターロック解除(SHERLOCK)システムを用いて検出される。SHERLOCKシステムは、増幅された標的ポリヌクレオチドDNAの存在がCas12a又はCas12b酵素のヌクレアーゼ二次活性を誘導するように、標的ポリヌクレオチドの複数のコピー内の配列を標的とするCas12a又はCas12b酵素のRNAガイドを含み得る。SHERLOCKシステムはまた、増幅された標的ポリヌクレオチドを鋳型として用いるRNAポリメラーゼによって転写されたRNAの存在が、Cas13a又はCas13b酵素のヌクレアーゼ二次活性を誘導するように、標的ポリヌクレオチドの複数のコピー内の配列を標的とするCas13a又はCas13b酵素のRNAガイドを含み得る。いずれのシステムでも、Cas12a、Cas12b、Cas13a、又はCas13bのヌクレアーゼ活性の検出は、検出可能な分子とクエンチャー分子に挟まれた配列を含む標的ポリヌクレオチドの切断によって達成することができる。いくつかの実施形態では、Cas13ベースのSHERLOCKアッセイをワンポット反応に使用することができる。いくつかの実施形態では、Cas12又はCas13ベースのSHERLOCKアッセイをツーポット反応に使用することができる。
【0074】
方法
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の組成物を用いて標的ポリヌクレオチドの複数のコピーを作製する方法を提供する。本明細書で使用される複数のコピーは、標的ポリヌクレオチドの少なくとも1つのコピー(例えば、少なくとも2つ、少なくとも10、少なくとも100、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、少なくとも10、又は少なくとも10個のコピー)を指す。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの複数のコピーは、DNA又はRNA結合タンパク質(例えば、SHERLOCK)を用いて検出するのに十分である。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの複数のコピーを作製する方法は、指数関数的な増幅である。
【0075】
いくつかの実施形態では、この方法は、本明細書に記載の組成物を緩衝液中でインキュベートして、標的ポリヌクレオチドの複数のコピーを作製することを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、標的ポリヌクレオチドの複数のコピーを作製するために標的ポリヌクレオチドの増幅を支持するのに十分である。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの増幅は、少なくとも以下の成分が緩衝液に混合されたときに開始され得る:標的ポリヌクレオチド、プライマー、SSBP、ニッカーゼ、及び鎖置換ポリメラーゼ。
【0076】
いくつかの実施形態では、インキュベーションは、等温条件(即ち、等温インキュベーション)である。等温条件は、インキュベーションの間、全く又はほとんど変化しない温度で行われる。いくつかの実施形態では、室温インキュベーションは等温条件である。いくつかの実施形態では、等温条件は、温度が摂氏約2度、3度、4度、5度、又は6度変化し得る。いくつかの実施形態では、等温インキュベーション中の温度の変動は、標的ポリヌクレオチドの増幅又は検出に必要ではない。いくつかの実施形態では、インキュベーションは、約1℃~約99℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは4℃~50℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは4℃~37℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは4℃~30℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは4℃~25℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは4℃~20℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは4℃~15℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは4℃~10℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは12℃~30℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは16℃~30℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは12℃~25℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは13℃~25℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは14℃~25℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは15℃~25℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは16℃~25℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは16℃~22℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30℃である。
【0077】
いくつかの実施形態では、インキュベーションは、少なくとも10分(例えば、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、又は少なくとも12時間)である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは、10~30分、10~50分、10~60分、30~60分、30~90分、30~120分、30~180分、30~240分である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは、1~2時間、1~3時間、1~4時間、1~6時間、2~3時間、2~4時間、2~5時間、2~6時間、3~4時間、3~5時間、3~6時間、4~5時間、又は4~6時間である。いくつかの実施形態では、インキュベーションは約2時間である。
【0078】
いくつかの実施形態では、この方法は、標的ポリヌクレオチドの複数のコピーを検出することをさらに含む。いくつかの実施形態では、検出試薬は、Cas12又はCas13タンパク質、標的ポリヌクレオチドに相補的であるcrRNA、及び検出器ポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、検出器ポリヌクレオチドは、Cas12又はCas13タンパク質が標的ポリヌクレオチドの複数のコピー又は標的ポリヌクレオチドの複数のコピーをコードするRNAを切断するときに切断される。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの複数のコピーを検出するための試薬は、インキュベーションが開始されるときに組成物中に存在する(例えば、上述のワンポット反応)。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの複数のコピーを検出するための試薬は、試料が添加されるときに組成物中に存在する(例えば、上述のワンポット反応)。
【0079】
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの複数のコピーを検出するための試薬は、指定時間のインキュベーション(例えば、上述したようなツーポット反応)の後に添加される。検出剤を添加するための指定時間は、上述のインキュベーション時間のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、検出試薬は、増幅後少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも40分、少なくとも50分、少なくとも60分、少なくとも90分、又は少なくとも120分添加される。いくつかの実施形態では、検出剤は、約2時間のインキュベーション後に添加される。
【0080】
いくつかの実施形態では、検出は、SHERLOCKを用いて行われる。
【0081】
いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの複数のコピーの検出は、組成物の色の変化を識別することによって視覚的に決定される。いくつかの実施形態では、標的ポリヌクレオチドの複数コピーの検出は、蛍光光度計を用いて決定される。
【実施例
【0082】
実施例1:CRISDAプラットフォームは低温増幅ではロバストではない
Zhouらの主張に反して、CRISDAプラットフォームは、25℃で220aMのdsDNA標的をロバストに増幅も検出もしない(Zhou et al. Nature Comm. vol. 9, no. 1, 2018, Supplementary Figure 4)。この単一の実験を再現する試みでは、ssDNA標的の有効検出限界は、プライマー濃度及び一本鎖結合タンパク質濃度の両方の最適化にもかかわらず、主張されているよりも約3桁悪いことが判明した(図2)。
【0083】
実施例2:低温使用のための鎖置換増幅
従来の鎖置換増幅(SDA)反応は、相反するニッカーゼ認識配列を含むdsDNA産物から始まる3段階のプロセスに依存していた。第1に、ニッカーゼが標的配列で切断し、遊離3’OH末端が利用可能になる。第2に、鎖置換DNAポリメラーゼが、遊離3’OHから伸長し、dsDNA二本鎖の上の鎖をニックが入れられた配列以降を置換する。第3に、プライマーが、ニッカーゼ認識配列に逆相補的な方向に結合し、DNAポリメラーゼが、プライマーを伸長させ、初期dsDNAのコピーを生成する。このようにして、dsDNAが、後に再び二本鎖を形成し得るssDNAコピーを生成するニッキングと伸長の事象で指数関数的に増幅される。しかしながら、このSDA反応は、低温(例えば、約25℃未満)ではロバストに行われない。
【0084】
低温でのSDA反応の故障モードは、すぐには明らかになったわけではない。当初は、関与する2つの酵素(ニッカーゼと鎖置換ポリメラーゼ、それぞれNb.BbvCI及びKlenow LF)の反応速度が遅くなりすぎて効率的な増幅が得られないのではないかと疑われていた。しかしながら、高温と比較して室温で行われたニッキングと鎖置換の割合を評価したところ、これだけでは観察された感度の劇的な低下を説明できなかった。代わりに、反応速度の幾分の低下が、十分なレベルの標的ポリヌクレオチドのコピーが作製され得る前にプライマー二量体生成物が形成される程度まで悪化させた(図3)。理論的には、反応中の一本鎖結合タンパク質(SSB、T4gp32)は、核酸の融解温度を人為的に上昇させることによってこれを防ぐことを意図しているが、より高いSSBタンパク質の濃度でも検出限界が改善されていないように観察された(図3)。
【0085】
より高い温度(通常は37~55℃、Zhou et al. Nature Comm. 2018 and Biolabs, New England. “Isothermal Amplification & Strand Displacement.”)のプライマー二量体の形成はそれほど重要ではなく、反応の低温性能の重要なボトルネックである可能性が高いと思われた。初期設計の反復では、プライマーの長さを短くすると、二量体のさらなる指数関数的な増幅を誘発する可能性がある正しく対になったニッカーゼ認識配列を含むプライマー二量体プール種が排除されるという仮説が立てられた。フォワード及びリバースSDAプライマーの対の標準設計は、それらの長さが14ntを超える必要があり、典型的には20~40ntの範囲である(図4)(Zhou et al. Nature Comm. 2018, Biolabs, New England. “Isothermal Amplification & Strand Displacement.” 及び Shi et al. Analytical Chemistry, vol. 86, no. 1, 2013, pp. 336-339)。わずか9ntのハイブリダイゼーション配列を有する新規の短い単一プライマー設計(フォワード結合配列と逆結合配列の両方が同一である)を用いると、実験は、指数関数的ではなく直線的なプライマー二量体形成を示した(図5)。
【0086】
この最適化されたプライマーを使用すると、Cas12aをアンプリコン検出器として用いた2時間の反応時間内にssDNA標的の最大1桁のコピーが検出可能であった(図6A及び図6B)。周囲温度で達成されたこの低アトモーラー(attomolar)LOD(約20aM)は、著者が最初に報告したRISDAプラットフォームも、特に本明細書で言及したCRISDAプラットフォームも上回った。アンプリコン検出器としてLbaCas12aをLwaCas13aに交換することにより、さらなる改良が行われた。T7 RNAP及びrNTPを反応に含めること、及び増幅プライマーの5’末端のT7プロモーター配列により、ssDNAトリガーのリアルタイム検出のためにSDA増幅ステップとCas13検出ステップをワンポットにまとめることが可能になった(図7A)。得られたアッセイは、1cp/μL(約2aM)の濃度で常に検出することができた(図7B及び図7C)。
【0087】
新規の短いプライマーによって感度が劇的に向上したにもかかわらず、システムを最適化するさらなる機会があった。重要なことに、プライマー二量体は、よりゆっくりではあるが、不活性な非ニッキング種の形で形成され続けた。これは、ssDNA標的の検出を妨げなかったが、特に他の「バックグラウンド」ssDNAオリゴを添加する場合に、システムのロバスト性を低下させた(図8)。この抑制性の相互作用の原因は完全には理解されなかったが、一般的には、たとえ形成されたプライマー二量体が指数関数的に増幅されていなくても、短いプライマーが非特異的に伸長する継続能力が、「ファウリング/バックグラウンド」遊離3’末端の存在によって悪化する標的外プロセスにつながるという仮説が立てられた。ここでも同様に、これは、低温で等温増幅を行うことの難しさを浮き彫りにしている。
【0088】
この障害を取り除くために、短いプライマーのさらに新規の反復が設計された。この設計では、3’ヘキサンジオールブロッキング分子を短いプライマーに添加した。このブロッキング基は、プライマーがポリメラーゼによって単独で伸長するのを防止するため、指数関数的にも非指数関数的にも標的外産物が形成され得ない。3’ブロッキング末端は、ニッカーゼによるニッキングを防げない。ニックが入れられると、3’末端は、DNAポリメラーゼによって伸長できるプライマー内で内部的に解放され、プライマーのブロックを効果的に解除する。したがって、最初のニッキングに続いて、その後のニッキング及び鎖置換が可能な通常の二本鎖アンプリコンが、プライマーが最初にブロックされているにもかかわらず生成される。図8に示されているように、これにより、「ファウリング/バックグラウンド」オリゴの存在下でも低コピー数のssDNA標的を増幅できるシステムが得られ、ロバスト性が飛躍的に向上する。
【0089】
周囲温度を下げるために等温増幅技術を適応させるという課題は、20年以上前の最初の設計反復以来、ほとんど取り組まれて来なかった。酵素の触媒活性が、37~55℃の温度範囲と比較して周囲温度で低いと、増幅に悪影響を与え得るが、そのような温度で増幅を持続させるためのより大きなボトルネックは、プライマー二量体の生成であることが示されている。これを新規のプライマー設計によって改善することにより、検出限界が1桁のコピー数に近い低温でも増幅を持続させることができることが示された。
【0090】
実施例3:様々な鎖置換ポリメラーゼを用いた標的ポリヌクレオチドの増幅
様々なポリメラーゼを使用して、検出可能なレベルまでフェムトモル(fM)量の標的ポリヌクレオチドを増幅することができる。試験したDNAポリメラーゼ(DNAP)は、Klenow Exo-DNAP、Bsu DNAP、IsoPol DNAP、及びIsoPol SD+ DNAPであった。標的ポリヌクレオチドの開始濃度は、0fM、2fM、20fM、及び200fMであった。検出は、Cas13aフルオロフォアクエンチャー(FQ)レポーターを使いて行った。その結果、各ポリメラーゼが、検出するのに十分なfM濃度の標的ポリヌクレオチドを増幅できることが示された。Klenow Exo-DNAP、Bsu DNAP、及びIsoPol DNAPの増幅は、約90~120分のインキュベーション後に2fMの開始標的ポリヌクレオチドを検出するのに十分であった。図9を参照されたい。
【0091】
本明細書に開示されるすべての参考文献、特許、及び特許出願は、それぞれ言及される主題に関して参照により組み込まれ、場合によっては、文書全体が包含され得る。
【0092】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a(1つの)」及び「an(1つの)」は、特に明記しない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0093】
また、特段の記載がない限り、複数のステップ又は行為を含む本明細書で請求されるいかなる方法においても、方法のステップ又は行為の順序は、方法のステップ又は行為が列挙された順序に必ずしも限定されるものではないことを理解されるべきである。
【0094】
特許請求の範囲において、及び上記の明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(carrying)」、「有する(having)」、5「含む(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」、及び「から構成される(composed of)」などは、オープンエンド、即ち、含むがそれに限定されないことを意味することを理解されたい。「からなる」と「本質的にからなる」という移行句のみが、United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures, Section 2111.03で定められているように、それぞれクローズ又はセミクローズの移行句である。
【0095】
数値の前にある「約」及び「実質的に」という用語は、列挙される数値の±10%を意味する。
【0096】
値の範囲が示されている場合、範囲の上限と下限を含むそれらの間のそれぞれの値は、具体的に企図され、本明細書に記載される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9
【配列表】
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【国際調査報告】