(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】気相過酸化水素除染サイクルの設計及び実施方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/20 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
A61L2/20 106
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534534
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 US2022052507
(87)【国際公開番号】W WO2023114123
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クルチョーイー,エバン
(72)【発明者】
【氏名】パダラ,サイ・チャクラダール
(72)【発明者】
【氏名】マルジッリョ,ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA23
4C058BB07
4C058CC02
4C058DD13
4C058JJ07
4C058JJ16
4C058JJ26
4C058JJ29
(57)【要約】
VPHP除染サイクルを使用してチャンバ室内を除染する方法は、チャンバ室内を密閉すること、ある適用量のガスをある滞留時間にわたってチャンバ室内に循環させること、及びチャンバ室内に残るガスが許容可能な残量以下になるまでチャンバ室内を曝気することを含む。チャンバ室内向けのVPHP除染サイクルのパラメータを選択する方法は、異なる量のガス及び異なる量の時間を試験する複数の実験を実施すること、チャンバ室内の完全飽和を選択された時間にわたって維持するガスの最小量となるようなガスの適用量を選択すること、及び滞留時間が、選択された時間以下、及び適用量のガスを循環させた後の生存胞子の残量が許容可能となる時間の最小量の両方であるような滞留時間を選択することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相過酸化水素除染サイクルを使用してチャンバ室内を除染する方法であって、
生存胞子集団が前記チャンバ室内にある間に前記チャンバ室内を外部環境から密閉すること;
ある適用量の過酸化水素含有ガスをある滞留時間にわたって前記チャンバ室内に循環させることであって、
前記ガスの前記適用量が、第1の許容差範囲内で、前記チャンバ室内を循環させたときに前記チャンバ室内の完全飽和を前記滞留時間にわたって維持する前記ガスの最小量であり、及び
前記滞留時間が、第2の許容差範囲内で、前記生存胞子集団を許容可能な残量にまで減少させるため前記生存胞子集団を前記適用量の前記ガスに曝露する時間の最小量であること;及び
前記ガスの前記適用量を前記チャンバ室内に前記滞留時間にわたって循環させた後に、前記チャンバ室内に残る前記ガスが許容可能な残量以下になるまで前記チャンバ室内を曝気すること
を含む方法において、
前記第1の許容差範囲及び前記第2の許容差範囲が、各々20%以下である、方法。
【請求項2】
前記第1の許容差範囲及び前記第2の許容差範囲が、各々10%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の許容差範囲及び前記第2の許容差範囲が、各々5%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の許容差範囲が前記第2の許容差範囲と異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ガスが、25%~75%濃度の過酸化水素である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ガスが、45%~55%濃度の過酸化水素である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記チャンバ室内が、アイソレーターのチャンバの室内を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記気相除染サイクルがフルシステム除染サイクルであり、及び前記チャンバ室内が、除染準備アイソレーターチャンバ及び充填アイソレーターチャンバの室内を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記気相除染サイクルが充填アイソレーター除染サイクルであり、及び前記チャンバ室内が、充填アイソレーターチャンバの室内を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ガスが45%~55%濃度の過酸化水素であり、及び前記ガスの前記適用量が、前記45%~55%濃度の過酸化水素を6~10ミリリットル含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記滞留時間が、300~500秒である、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記充填アイソレーターチャンバを除染する、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記気相除染サイクルが除染準備アイソレーター除染サイクルであり、及び前記チャンバ室内が、除染準備アイソレーターチャンバの室内を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記ガスが45%~55%濃度の過酸化水素であり、及び前記ガスの前記適用量が、4~8ミリリットルの前記45%~55%濃度の過酸化水素である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記滞留時間が、250~350秒である、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記除染準備アイソレーターを除染する、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記チャンバ室内の容積が、3~10立方メートルである、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記チャンバ室内の容積が、10~20立方メートルである、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記生存胞子集団の前記許容可能な残量が、1百万分率の前記生存胞子集団である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記生存胞子集団の前記許容可能な残量が、2百万分率の前記生存胞子集団である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記生存胞子集団の前記許容可能な残量が、10百万分率の前記生存胞子集団である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記滞留時間が、前記生存胞子集団の指定されたD値の5~7倍である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記滞留時間が、前記生存胞子集団の前記指定されたD値の6倍である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記生存胞子集団の前記指定されたD値が、0.5~2.5分である、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記生存胞子集団が、細菌集団である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記生存胞子集団が、好熱性細菌集団である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記生存胞子集団が、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)細菌集団である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記生存胞子集団が、前記チャンバ室内の複数の位置に位置する複数のバイオロジカルインジケータに接種される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記複数のバイオロジカルインジケータの各々が、100万~500万コロニー形成単位を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ガスの前記許容可能な残量が、前記チャンバ室内の空気中1百万分率の前記ガスである、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記ガスの前記許容可能な残量が、前記チャンバ室内の空気中2百万分率の前記ガスである、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記ガスの前記許容可能な残量が、前記チャンバ室内の空気中10百万分率の前記ガスである、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記チャンバ室内に残る周囲空気が許容可能な残量になるまで前記チャンバ室内から前記周囲空気を取り除くこと
を更に含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
気相過酸化水素除染サイクルを使用したチャンバ室内の除染サイクルの適用量及び滞留時間を選択する方法であって、
複数の量の過酸化水素含有ガス及び複数の量の時間を試験する複数の実験を実施することであって、前記複数の実験を実施することが、前記複数の実験中の各実験について、
前記複数の量のガスのうちある量のガスを前記複数の量の時間のうちある量の時間にわたって前記チャンバ室内に循環させること、
前記チャンバ室内における前記量のガスの濃度を前記量の時間にわたってモニタすること、及び
前記量のガスを前記チャンバ室内に前記量の時間にわたって循環させた後、前記チャンバ室内にある生存胞子の残量を決定すること
を含むこと;
前記複数の量のガスの中から、前記複数の実験を行う間前記チャンバ室内を循環させたときに前記チャンバ室内の完全飽和を選択された時間にわたって維持したガスの最小量となるような前記ガスの前記適用量を選択すること;及び
前記滞留時間が、(i)前記選択された時間以下である、及び(ii)前記複数の実験を行う間前記ガスの前記適用量を前記チャンバ室内に前記滞留時間にわたって循環させたとき、前記決定された生存胞子の残量が許容可能な残量を超えなかった前記複数の量の時間のうち最小量であるような前記滞留時間を選択すること
を含む方法。
【請求項35】
前記ガスが、25%~75%濃度の過酸化水素である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ガスが、45%~55%濃度の過酸化水素である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記チャンバ室内が、アイソレーターチャンバの室内を含む、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記気相除染サイクルがフルシステム除染サイクルであり、及び前記チャンバ室内が、除染準備アイソレーターチャンバ及び充填アイソレーターチャンバの室内を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記気相除染サイクルが充填アイソレーター除染サイクルであり、及び前記チャンバ室内が、充填アイソレーターチャンバの室内を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記ガスが、45%~55%濃度の過酸化水素であり、及び前記ガスの前記適用量が、前記45%~55%濃度の過酸化水素を6~10ミリリットル含む、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項41】
前記滞留時間が、300~500秒である、請求項38~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記方法が、前記充填アイソレーターチャンバを除染する、請求項34~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記気相除染サイクルが除染準備アイソレーター除染サイクルであり、及び前記チャンバ室内が、除染準備アイソレーターチャンバの室内を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記ガスが45%~55%濃度の過酸化水素であり、及び前記ガスの前記適用量が、4~8ミリリットルの前記45%~55%濃度の過酸化水素である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記滞留時間が、250~350秒である、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項46】
前記準備アイソレーターチャンバを除染する、請求項43~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記チャンバ室内の容積が3~10立方メートルである、請求項34~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記チャンバ室内の容積が10~20立方メートルである、請求項34~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記生存胞子集団の前記許容可能な残量が、1百万分率の前記生存胞子集団である、請求項34~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記生存胞子集団の前記許容可能な残量が、2百万分率の前記生存胞子集団である、請求項34~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記生存胞子集団の前記許容可能な残量が、10百万分率の前記生存胞子集団である、請求項34~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記滞留時間が、前記生存胞子集団の指定されたD値の5~7倍である、請求項34~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記滞留時間が、前記生存胞子集団の前記指定されたD値の6倍である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記生存胞子集団の前記指定されたD値が0.5~2.5分である、請求項52又は53に記載の方法。
【請求項55】
前記生存胞子集団が、細菌集団である、請求項34~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記生存胞子集団が、好熱性細菌集団である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記生存胞子集団が、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)細菌集団である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記生存胞子集団が、前記チャンバ室内の複数の位置に位置する複数のバイオロジカルインジケータに接種される、請求項34~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記複数のバイオロジカルインジケータの各々が、100万~500万コロニー形成単位を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記気相過酸化水素除染サイクルを前記選択された適用量及び前記選択された滞留時間で使用して前記チャンバ室内を除染することを更に含む、請求項34~59のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して、気相過酸化水素除染サイクルに関し、より具体的には、気相過酸化水素除染サイクルの設計(例えば、パラメータ選択)及び/又は実施に関する。
【背景技術】
【0002】
気相過酸化水素(VPHP)除染は、生命科学、化学科学、製薬、医学、電気工学、製造、組立て、及び他の適用を含めた諸産業において、過酸化水素含有ガスを閉ループの空気流で循環させることにより用いられ得る除染方法である。VPHP除染の適用としては、例えば、部屋、エアロック、クリーンルーム、アイソレーター、層流作業台、生物学的安全キャビネット、アクセス制限バリアシステム、インキュベーター、及び除染チャンバなど、チャンバ室内の除染が挙げられる。VPHP除染サイクルの実施に使用される設備は、多くの場合に独立型の設備である。VPHPは、例えば、幅広い種類の材料に浸透するその能力、除染下のチャンバ室内を乾燥状態に維持し、後に残留物を残さないその能力、その毒性の低さ、その運転費用の安さ、設備が最小限しか割り込まないため相互汚染が低減されるその能力、及び様々な幾何学的形状のチャンバ室内とのその適合性から、よく利用されている。
【0003】
VPHP除染の一つの具体的な適用は、薬物製品の製造(例えば、バイアル又は他の容器に薬物製品を充填する「充填」段階)に使用されるアイソレーターのチャンバの除染である。FDAは、その「産業向けガイダンス 無菌処理法により生産される滅菌薬物製品-現行の医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準(Guidance for Industry Sterile Drug Products Produced by Aseptic Processing-Current Good Manufacturing Practice)」の中で、アイソレーターについてはコロニー形成単位(CFU)カウントを最低でも6対数減少させる(又は1ppmにまで減少させる)ことを推奨している。VPHP除染サイクルが所望のCFUの減少を実現するかどうかを評価する一つの方法は、バイオロジカルインジケータ(BI)を使用することによるものである。BIは、特定のD値を有するように製造され得る。D値は、CFUを1対数(又は90%)減少させるのに必要な時間であり、以下の式となる:
【数1】
式中、CFUは、現在残っているCFUカウントであり、CFUiは、初期CFUカウントであり、Dは、製造者が指定したD値であり、及びtは、曝露時間である。D値は、特定の除染条件及びアイソレーター設計に固有の値であり、従って他の除染条件及びアイソレーターにそのまま移行させることはできない。BI製造者は、概してBIロット毎にD値を与えるが、そのBIロットは、最終使用者のアイソレーターと異なるアイソレーターを使用して試験された可能性がある。異なるアイソレーターを使用して決定されたとしても、製造者のD値はなおも、そのBIロットの相対的に見た殺菌の難易度について何らかの指標を提供することができる。
【0004】
FDAが推奨するレベルのCFUの減少を実現するにおいてVPHP除染サイクルの有効性に影響を及ぼす要因としては、VPHP曝露時間(滞留時間)、VPHP使用量、VPHP循環、BIのD値、初期CFUカウント、アイソレーター内でのBIの位置、アイソレーター設計、並びにアイソレーター内の湿度及び温度が挙げられる。概して、制御することのできるVPHP除染サイクルのパラメータとしては、VPHP曝露時間(滞留時間)、VPHP使用量、VPHP循環、並びにチャンバ内側の湿度及び温度が挙げられる。ある場合には、アイソレーター構成もまた、ある程度制御し得る。
【0005】
VPHP除染においては、CFUの減少だけを考察すればよいわけではない。VPHP除染サイクルの効率が、別の考察すべき重要なことである。VPHP除染の「効率」とは、例えば、時間の効率(即ち、VPHP除染サイクルがどれくらいかかるか)、材料の効率(例えば、ガスの消費量)、及び/又は人間の労働力の効率(例えば、VPHP除染サイクルの実施に必要な人時数)を指す。
【0006】
時間に関する効率は、アイソレーターの処理能力に影響を及ぼし、VPHP除染サイクルの時間効率が低ければ、アイソレーターの作業中止時間が長くなり、ひいてはアイソレーターの充填速度が減少することになる。多くの適用で、費用、輸送物流、物理的な空間等を含めた種々の理由から、高い充填処理能力を備える大型アイソレーターは実現可能でないことは、注目に値する。従って、大型アイソレーターと比べて処理能力が低い小型アイソレーターが使用されることが多い。こうした小型アイソレーターについては、時間のかかる非効率的な除染サイクルによって処理能力がそれ以上落ちないようにすることが、更に一層重要になり得る。従って、VPHP除染サイクルのパラメータを慎重に決定することが、決定的に重要であり得る。
【0007】
従来のVPHP除染では、VPHP除染サイクルのパラメータは、所望のCFUの減少を実現するために必要であるよりも長い滞留時間及び多い使用量を用いるなど、「オーバーキル」手法を用いて決定し得る。しかしながら、この「オーバーキル」手法は、ある種の不利を伴う。例えば、ガスの適用量が少な過ぎると、所望のCFUの減少が実現しない可能性がある一方で、ガスの適用量が多過ぎると、効率(例えば、時間、材料、及び場合によっては人間の労働力に関して)が下がり、チャンバ室内の表面上に凝縮が生じる可能性がある。更には、滞留時間が短か過ぎると、所望のCFUの減少が実現しない可能性がある一方で、滞留時間が長過ぎると、効率(例えば、時間及び場合によっては人間の労働力に関して)が下がる可能性がある。「オーバーキル」手法はまた、当て推量(例えば、試行錯誤)も必要となり、従って一貫性がなく、作業者に拠るところがあり、誤りが起こり易く、且つ非効率的(例えば、時間、材料、及び場合によっては人間の労働力に関して)である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、気相過酸化水素除染サイクルを使用してチャンバ室内を除染する方法であって、(a)生存胞子集団がチャンバ室内にある間にチャンバ室内を外部環境から密閉すること;(b)ある適用量の過酸化水素含有ガスをある滞留時間にわたってチャンバ室内に循環させることであって、ガスの適用量が、第1の許容差範囲内で、チャンバ室内を循環させたときにチャンバ室内の完全飽和を滞留時間にわたって維持するガスの最小量であり、及び滞留時間が、第2の許容差範囲内で、生存胞子集団を許容可能な残量にまで減少させるため生存胞子集団を適用量のガスに曝露する時間の最小量であること;及び(c)適用量のガスをチャンバ室内に滞留時間にわたって循環させた後に、チャンバ室内に残るガスが許容可能な残量以下になるまでチャンバ室内を曝気すること含む方法を提供し、ここで第1の許容差範囲及び第2の許容差範囲は各々20%以下である。
【0009】
本開示の別の態様は、気相過酸化水素除染サイクルを使用したチャンバ室内の除染サイクルの適用量及び滞留時間を選択する方法であって、(a)複数の量の過酸化水素含有ガス及び複数の量の時間を試験する複数の実験を実施することであって、複数の実験を実施することが、複数の実験中の各実験について、複数の量のガスのうちある量のガスを複数の量の時間のうちある量の時間にわたってチャンバ室内に循環させること、チャンバ室内における当該量のガスの濃度を当該量の時間にわたってモニタすること、及び当該量のガスをチャンバ室内に当該量の時間にわたって循環させた後、チャンバ室内にある生存胞子の残量を決定することを含むこと;(b)複数の量のガスの中から、複数の実験を行う間チャンバ室内を循環させたときにチャンバ室内の完全飽和を選択された時間にわたって維持したガスの最小量となるようなガスの適用量を選択すること;及び(c)滞留時間が、(i)選択された時間以下である、及び(ii)複数の実験を行う間にガスの適用量をチャンバ室内に滞留時間にわたって循環させたとき、決定された生存胞子の残量が許容可能な残量を超えなかった複数の量の時間のうち最小量であるような滞留時間を選択することを含む方法を提供する。
【0010】
当業者は、本明細書に記載される図が説明を目的として含まれ、本開示を限定するものではないことを理解するであろう。図面は必ずしも一定の縮尺でなく、むしろ本開示の原理を説明することに伴い強調が付与されている。一部の例では、記載される実施態様の理解を促すため、記載される実施態様の様々な態様が誇張して、又は拡大して示されることもあると理解されるべきである。図面中、同様の参照符号は、様々な図面全体を通して、概して機能的に類似した及び/又は構造的に類似した構成要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】アイソレーターの例示的チャンバ室内を図示する。
【
図2】様々な適用量の過酸化水素含有ガスについて時間の経過に伴うVPHP濃度の例示的な仮想実験結果を図示するグラフである。
【
図3】様々な異なる適用量のガスに様々な異なる滞留時間にわたって曝露した後の複数のバイオロジカルインジケータについての例示的な仮想実験増殖結果を図示する表である。
【
図4】気相過酸化水素除染サイクルを使用したチャンバ室内の例示的除染方法を図示するフロー図である。
【
図5】気相過酸化水素除染サイクルを使用したチャンバ室内向け除染サイクル用のパラメータの例示的選択方法を図示するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、VPHP除染サイクルを設計及び/又は実施するための改良された1つ又は複数の方法を提供することにより、従来手法に伴う問題(例えば、背景技術の節に記載されるとおり)を軽減することを目的とする。これらの1つ又は複数の方法は、従来のVPHP除染の非効率性を伴うことなく、且つ湿度増加及び凝縮を引き起こしたり、及びアイソレーターの例では、場合によっては製品の品質を害したりすることなく、所望のCFUの減少を実現するのに各々十分な大きさの滞留時間及び適用量を決定することを含み得る。
【0013】
更には、一部の実施形態において、本開示の1つ又は複数の方法は部分的に又は全面的にオートメーション化されてもよく、それによって人間の労働力に関して効率が向上するのみならず、作業者の技術力に頼ることに起因する一貫性のなさもまた取り除かれる。
【0014】
以上で紹介した、及び以下で更に詳細に考察する様々な概念は、数多くの方法のいずれで実施されてもよく、記載される概念は、いかなる特定の実施方法にも限定されない。実施態様の例を、以下に説明を目的として提供する。
【0015】
図1は、本明細書に記載されるVPHP除染技法により除染し得るアイソレーター100の例示的チャンバ室内の上面図を図示する。
図1に示すアイソレーターは、Vanrx(登録商標)SA 25充填機など、独立型の設備であってよく、しかし他の例ではアイソレーター100は、他の設備に組み込まれたものであってもよい。アイソレーター100は、バイアル、シリンジ、カートリッジ、チューブ、ビーカー、カップ、又は任意の他の好適な保持構造体を含めた容器に液体、固体、気体、又は血漿(例えば、薬物製品)を充填するために使用され得る。アイソレーター100は、グローブレスアイソレーターであってもよく、及び/又はアイソレーター100は、蠕動充填を用いるものであってもよい。
【0016】
この例では、アイソレーター100は2つのチャンバ:除染準備アイソレーター(decontamination staging isolator:DSI)チャンバ102と、充填アイソレーターチャンバ104とを含む。DSIチャンバ102は、容器の準備エリアであってもよく、充填アイソレーターチャンバ104は、容器を充填するエリアであってもよい。DSIチャンバ102には、カルーセルなど、容器の把持、準備、移動、又は保管のための設備が含まれ得る。充填アイソレーターチャンバ104には、充填ノズルなど、容器を充填するための設備が含まれ得る。示される例では、充填アイソレーターチャンバ104の室内容積は、DSIチャンバ102の室内容積よりも大きい。
【0017】
DSIチャンバ102及び充填アイソレーターチャンバ104は、それぞれ室外ドア106及び108を有する。室外ドア106及び108の各々は、個別に開けて、DSIチャンバ102及び充填アイソレーターチャンバ104の各々にアクセスすることができる。DSIチャンバ102と充填アイソレーターチャンバ104との間には室内ドア110があり、これを開けると、DSIチャンバ102と充填アイソレーターチャンバ104との間での容器の移送が可能となり得る。
【0018】
一例において、室外ドア106又は108のうちの一方が開いていて、室内ドア110が閉じている場合、ひいては室外ドアが開いている方のチャンバ(DSIチャンバ102又は充填アイソレーターチャンバ104のいずれか)は汚染されていると見なされ得る。別の例において、室外ドア106又は108の一方を開けたときに室内ドア110が開いている場合、ひいてはDSIチャンバ102及び充填アイソレーターチャンバ104は両方とも汚染されていると見なされ得る。別の例において、室外ドア106及び108の両方が閉じていて、チャンバの一方(DSIチャンバ102又は充填アイソレーターチャンバ104のいずれか)が汚染されていると見なされ、且つ室内ドア110が開いている場合には、DSIチャンバ102及び充填アイソレーターチャンバ104の両方がひいては汚染されていると見なされ得る。別の例において、室外ドア106及び108が両方とも開いている場合、室内ドア110の状態にかかわらず、DSIチャンバ102及び充填アイソレーターチャンバ104は両方とも汚染されていると見なされ得る。
【0019】
アイソレーター100の全部、又はその一部の除染は、任意の回数の除染サイクルにより達成し得る。3つの例示的な除染サイクルタイプ、(i)フルサイクル除染、(ii)充填アイソレーター除染サイクル、及び(iii)除染サイクルアイソレーター除染サイクルを本明細書に記載する。
【0020】
フルサイクル除染は、室内ドア110を開け、室外ドア106及び108の両方を閉めて、DSIチャンバ102及び充填アイソレーターチャンバ104の両方に過酸化水素を含むガスを循環させることにより実施し得る。フルサイクル除染前には、DSIチャンバ102及び充填アイソレーターチャンバ104の両方が汚染されていると見なされたことを前提として、フルサイクル除染の実施後、充填アイソレーターチャンバ104は除染されたと見なされ、DSIチャンバ102は汚染されていると見なされ得る。フルサイクル除染の実施後は、室内ドア110のシールもまた除染されたと見なされ得る。
【0021】
充填アイソレーター除染サイクルは、室内ドア110を閉じ、充填アイソレーターチャンバ104の室外ドア108を閉じて、充填アイソレーターチャンバ104に過酸化水素を含むガスを循環させることにより実施し得る。充填アイソレーター除染サイクルの実施後、充填アイソレーターチャンバ104は除染されたと見なされ得る。
【0022】
除染準備アイソレーター除染サイクルは、室内ドア110を閉じ、DSIチャンバ102の室外ドア106を閉じて、DSIチャンバ102に過酸化水素を含むガスを循環させることにより実施し得る。除染準備アイソレーター除染サイクルの実施後、DSIチャンバ102は除染されたと見なされ得る。
【0023】
一般に、上記に挙げた3つの除染サイクルのうちの1つの実施には、ある適用量の過酸化水素を含むガスを目的の1つ又は複数のアイソレーターチャンバに循環させること、滞留時間が経過するのを待つこと、次に、残留ガス濃度レベルが何らかの閾値量(例えば、1ppm)より低くなるまで、曝気してガスを取り除くことが含まれる。アイソレーター100は、除染されるチャンバを複数有し得る。本明細書で使用されるとき、用語「チャンバ室内」は、VPHP除染サイクルを目的として過酸化水素含有ガスが循環する(1つ以上の)チャンバの全てを意味する。例えば、フルサイクル除染では、ガスは充填アイソレーターチャンバ104及びDSIチャンバ102の両方に循環する;従って、この例では、これらの2つのチャンバの室内の集合体が、「チャンバ室内」と称されることになり得る。別の例において、充填アイソレーター除染サイクルでは、ガスは充填アイソレーターチャンバ104にのみ循環する;従って、この例では、充填アイソレーターチャンバ104の室内のみが、「チャンバ室内」と称されることになり得る。
【0024】
図2は、様々な適用量の過酸化水素含有ガスについて時間の経過に伴うVPHP濃度の例示的な仮想実験結果を図示するグラフ200を図示する。概して、
図2に含まれる例示的な実験結果は、例示的なVPHP除染サイクルの適用量の決定において使用し得る。
【0025】
図2に含まれる例示的な仮想実験データは、過酸化水素を含むガスの量を変化させる複数の実験に対応し得る。
図2は、5つの量のガス(具体的には、10mL、8mL、6mL、4mL、及び2mL)を試験することを含む実験の仮想結果を図示する。ガスには様々な異なる濃度の過酸化水素が含まれ得ることが注記される。例えば、ガスは、10%過酸化水素、20%過酸化水素、30%過酸化水素、40%過酸化水素、50%過酸化水素、60%過酸化水素、70%過酸化水素、80%過酸化水素、又は任意の他の好適な過酸化水素濃度であり得る。
【0026】
図2では、5つの量のガスについてVPHPの百万分率(ppm)を時間の関数としてプロットする。
図2には、3つの主な時間間隔が図示されている。時系列順では、それらは、(i)ガスがチャンバ室内へと導入される導入フェーズ、(ii)ガスがチャンバ室内全体を通じて循環する循環フェーズ、及び(iii)チャンバ室内からガスが取り除かれる曝気フェーズである。
【0027】
初めに導入フェーズを見ると、記録された時間長さの始まりの方で(この例では、最初のおよそ200秒)、5つの曲線各々が、0ppmから、チャンバ室内にガスが導入されていることに対応してより高いppmまで急上昇する。導入フェーズは、ガスの全量がチャンバ室内へと導入されたところで完了と見なされ得る。
【0028】
次に循環フェーズを見ると(この例では、およそ200秒で始まり、およそ1100秒で終わる)、ガスがチャンバ室内全体を通じて循環する。2mL量、4mL量、及び6mL量のガスは、各々、循環時間間隔の間にVPHP ppmが低下する。しかしながら、8mL量及び10mL量のガスは、各々が循環時間間隔にわたってプラトー又は「テーブルトップ」挙動を示す。このテーブルトップ挙動は、チャンバ室内の完全飽和を循環時間間隔にわたって維持するのに8mL量及び10mL量のガスが各々十分であることを示唆している。チャンバ室内の完全飽和とは、チャンバ室内の内側に存在し得る最も高いVPHP ppmに対応する。完全飽和点を上回ってガスを更に導入しても、チャンバ室内の内側のVPHP ppmが増加することはなく、むしろチャンバ室内の表面上に望ましくないガスの凝縮が生じ得る。
【0029】
最後に、曝気フェーズを見ると(この例では、およそ1100秒で始まる)、5つの曲線は、チャンバ室内からガスが取り除かれたことを反映して、各々が急降下する。曝気フェーズは、VPHP ppmが閾値(例えば、1ppm)を下回るまで下がったところで完了と見なされ得る。これらの5つの量のガスの各々について、ガスの量が多いほど、VPHP ppmが所望の閾値を下回るまで下がるのにより長い時間がかかることは注目に値する。
【0030】
上述のとおり、
図2に示す例示的な仮想結果に基づけば、8mL量のガス及び10mL量のガスの両方が、循環時間間隔にわたってチャンバ室内の完全飽和を維持するのに十分である。しかしながら、10mL量のガスは、8mL量のガスと比べてチャンバ室内の表面上に凝縮(又はより多くの凝縮)を引き起こす可能性が高い。加えて、
図2に見られるとおり、8mL量のガスは10mL量のガスと比べてより速やかに曝気され、チャンバ室内から取り除かれる。少なくともこれらの理由から、この例では、これらの5つの実験で試験したもののうち、8mLが好ましいガスの量である。よって、この例では、8mLを適用量として選択し得る。
【0031】
適用量として8mLという結果は、この例に独自のものであってよく、例えば、除染下のチャンバ室内に依存し得る。例えば、チャンバ室内が、
図1に示すアイソレーター100である場合、適用量は、記載される3つの異なる除染サイクルの間で変わることになり得る。この例を更に進めると、フルサイクル除染は、除染準備アイソレーター除染サイクルと比べてより大きいチャンバ室内容積を有し得る。よって、フルサイクル除染に必要な適用量は、除染準備アイソレーター除染サイクルに必要な適用量と比べて多くなり得る。また、フルサイクル除染と充填アイソレーター除染サイクルとの間のチャンバ容積内部の差が、異なる適用量を必要とするほど十分にない場合もあり得る。よって、フルサイクル除染に必要な適用量は、充填アイソレーター除染サイクルに必要な適用量と同じであり得る。
【0032】
図3は、チャンバ室内で異なる量のガスに異なる量の時間にわたって曝露した後のバイオロジカルインジケータに関する実験的仮想増殖結果の表300を図示する。概して、
図3に含まれる例示的実験結果は、VPHP除染サイクルの滞留時間の決定において使用し得る。
【0033】
図3では、複数の実験に関する例示的仮想データが図示される。
図3に図示される仮想データは、
図2に図示される仮想データと同じ又は異なる実験に対応し得る。
図3に図示される仮想データが
図2に図示される仮想データと同じ実験に対応するかどうかにかかわらず、
図3に図示される仮想データは、
図2に図示される仮想データと同じアイソレーターに対応しても、又は異なるアイソレーターに対応してもよく、そのいずれか一方又は両方が、
図1のアイソレーター100であり得る。
【0034】
一般に、これらの実験の各々について、それぞれの量のガスは、BI(これらの実験では、7種のBI)が入ったチャンバ室内をそれぞれの量の時間にわたって循環する。次に、チャンバ室内からガスを取り除いた後、所望のCFUの減少が実現したかどうかを決定するためBIが試験される。
【0035】
所望のCFUの減少が実現したかどうかを決定する一つの例示的方法は、ある特定の量のガスをある特定の量の時間にわたって循環させた後にチャンバ室内からBIを取り出し、BIを増殖促進培地で7日間インキュベートすることによる。100万CFU超のBIが接種されたことを前提として、及び所望のCFUの減少が6対数の減少であることを前提として、7日後に増殖がないことが、ガスを当該量の時間にわたって循環させたことにより6対数のCFUの減少が実現したことを指し示している(「陰性」結果)。逆に、7日間のインキュベーション期間内に細胞増殖があれば、少なくとも1つの生菌生物が当該量の時間にわたるガスの循環を生き延びたことを指し示している(「陽性」結果)。
【0036】
この例では、
図3の7種のBIは、チャンバ室内の1つ以上の位置にあり得る(例えば、少なくとも一部がチャンバ室内の除染が比較的困難な位置にある)。BIには、例えば、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)の生存胞子、又は別の好適な種類の好熱性細菌を接種し得る。BIのD値は、BIの製造者によって提供されてもよく、例えば、0.25分、0.5分、1分、1.5分、2分、2.5分、又は任意の他の好適なD値であり得る。
【0037】
図3の仮想データが
図2の仮想データと同じアイソレーターに対応することを前提として、適用量は8mLであることが前提とされてもよく、その場合、
図3における仮想データは、主に滞留時間の決定を助けるのに役立つ。
【0038】
8mLの適用量について、表300は、ガスを100秒間にわたって循環させると、1つのBI(BI#4)を除く全てのBIについて増殖なしが実現される結果になることを示している。100秒では、全てのBIの増殖なしは実現しないため、滞留時間として100秒は選択されない。他方で、300秒及び500秒は両方とも全7種のBIの増殖なしを実現する。従って、300秒が、全7種のBIの増殖なしを実現するための(試験した量の時間の中で)最小量の時間である。よって、この例では、滞留時間として300秒を選択し得る。
【0039】
図3の仮想データが示すところによれば、全滞留時間にわたる完全飽和が達成された後には、適用量を更に増加させてもCFUの減少の改善には至らないことも注目に値する。これは時間に対する増殖-非増殖挙動が8mL量のガスと10mL量のガスとで同じであること(8mLが、
図2の仮想結果と一致して、当該量の時間にわたって完全飽和を実現することを前提とする)として観察される。
【0040】
表300は、適用量と滞留時間との各組み合わせにつき1つの試行/実験を示すのみであるが、複数の試行/実験が行われてもよいことが理解される。例えば、各試行/実験をトリプリケートで実施すると、結果の精度の妥当性を確認する助けとなる。別の例において、複数の試行/実験は、各々、異なるD値のBI及び/又は異なる位置にあるBIを使用して実施してもよい。
【0041】
滞留時間として300秒という結果は、この例に独自のものであってよく、除染下のチャンバ室内のサイズ及び幾何学的形状、ガスの濃度、チャンバ室内の温度及び湿度等、幾つもの要因に依存し得ることが理解される。例えば、チャンバ室内が、
図1に示すアイソレーター100である場合、滞留時間は、記載される3つの異なる除染サイクルの間で変わることになり得る。この例を更に進めると、フルサイクル除染は、除染準備アイソレーター除染サイクルと比べてより大きいチャンバ室内容積を有し得る。よって、フルサイクル除染に必要な滞留時間は、除染準備アイソレーター除染サイクルに必要な滞留時間と比べて長くなり得る。また、フルサイクル除染と充填アイソレーター除染サイクルとの間のチャンバ容積内部の差が、様々な異なる滞留時間を必要とするほど十分にない場合もあり得る。よって、フルサイクル除染に必要な滞留時間は、充填アイソレーター除染サイクルに必要な滞留時間と同じであり得る。
【0042】
図4は、気相過酸化水素除染サイクルを使用してチャンバ室内を除染する例示的方法400を図示するフロー図である。
【0043】
図示される方法400においては、初めに生存胞子集団がチャンバ室内にある間にチャンバ室内が外部環境から密閉される(ブロック402)。チャンバ室内の1つ以上の位置に位置し得る1つ以上のBIに生存胞子集団が含まれ得る。生存胞子集団は、好熱性細菌(例えば、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus))など、細菌の集団であってもよい。一部の実施形態において、生存胞子集団は100万~500万コロニー形成単位を含む。「外部環境」とは、チャンバ室内の外側にあればどこであってもよい。例えば、チャンバ室内が
図1の充填アイソレーターチャンバ104である場合、外部環境には、DSIチャンバ102、アイソレーターが位置している実験室環境等が含まれ得る。チャンバ室内が外部環境に対して「気密」である(例えば、空気、過酸化水素を含むガス、又は任意の他のガスがチャンバ室内と外部環境との間に流れることを許容しない)場合、そのチャンバ室内は密閉されていると見なされ得る。チャンバ室内の容積は、50立方メートル、25立方メートル、10立方メートル、5立方メートル、1立方メートル、又は他の何らかの好適な室内容積であってもよい。ブロック402にあるとおりの外部環境からのチャンバ室内の密閉は、ハードウェアに命令を与える1つ以上のプロセッサの少なくとも1つによるか、又は人によって実施されてもよい。例えば、人が命令を入力すると(例えば、1つ以上のプロセッサにより生成されるグラフィカルユーザインターフェース上のバーチャルボタンを押すと)、VPHP除染処理が始まってもよく、それに応答して1つ以上のプロセッサにより1つ以上のアクチュエータが作動してチャンバ室内を密閉し得る。
【0044】
次に、図示される方法400では、ある適用量の過酸化水素含有ガスをある滞留時間にわたってチャンバ室内に循環させ、ここでガスの適用量は、第1の許容差範囲内で、チャンバ室内を循環させたときにチャンバ室内の完全飽和を滞留時間にわたって維持するガスの最小量であり、及び滞留時間は、第2の許容差範囲内で、生存胞子集団を許容可能な残量にまで減少させるため生存胞子集団を適用量のガスに曝露する時間の最小量である(ブロック404)。一部の実施形態において、チャンバ室内にガスを循環させる前に、チャンバ室内に真空が作り出される。第1の許容差範囲及び第2の許容差範囲は、各々、例えば、30%、20%、15%、10%、5%、3%、1%、0.5%以下、又は他の何らかの好適な許容差であり得る。許容差のパーセンテージは、決定された値(即ち、決定された適用量及び決定された滞留時間)を基準とするか、又は理論上の最適値(即ち、最適使用量及び最適滞留時間)を基準とするか、いずれかで測定し得る。チャンバ室内は、アイソレーター(例えば、
図1のアイソレーター100)の除染準備アイソレーターチャンバ(例えば、
図1の除染準備アイソレーター102)及び/又は充填アイソレーターチャンバ(例えば、
図1の充填アイソレーターチャンバ104)であり得る。ガスは、10%過酸化水素、20%過酸化水素、30%過酸化水素、40%過酸化水素、50%過酸化水素、60%過酸化水素、70%過酸化水素、80%過酸化水素、又は任意の他の好適な過酸化水素濃度であり得る。適用量は、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、15mL、20mL、25mL、又は任意の他の好適なガス適用量であり得る。滞留時間は、10秒、30秒、60秒、100秒、200秒、300秒、400秒、500秒、750秒、1000秒、又は任意の他の好適な滞留時間であり得る。滞留時間は、250~350秒、300~500秒、又は任意の他の好適な範囲であり得る。より具体的な例では、ガスは45%~55%濃度の過酸化水素であってよく、ガスの適用量は6~10mLのガスを含有し得る。別の例において、ガスは45%~55%濃度の過酸化水素であってよく、ガスの適用量は4~8mLを含有し得る。別の例において、ガスは25%~75%濃度の過酸化水素であり得る。滞留時間は、その生存胞子集団について製造者が指定したD値の1~2倍、2~3倍、3~4倍、5~6倍、6~7倍、7~8倍、8~9倍、又は9~10倍であるか、又は指定されたD値と比べて他の何らかの好適な倍数量であり得る。生存胞子集団の許容可能な残量は、100ppm、10ppm、2ppm、1ppm、又は他の何らかの好適な量であり得る。ブロック404にあるとおり適用量のガスをチャンバ室内に滞留時間にわたって循環させることは、コマンド又は制御信号でハードウェアを制御する1つ以上のプロセッサの少なくとも1つによるか、又は人によって実施されてもよい。例えば、人が適用量及び滞留時間を入力してもよく(例えば、1つ以上のプロセッサにより生成されるグラフィカルユーザインターフェース上に数字を入力することによる)、1つ以上のプロセッサに動かされたポンプ、ファン、又は他の装置が適用量のガスをチャンバ室内に滞留時間にわたって放出し、及び/又は循環させてもよい。
【0045】
最後に、図示される方法400では、チャンバ室内に残るガスが許容可能な残量以下になるまでチャンバが曝気される(ブロック406)。ガスの許容可能な残量は、100ppm、10ppm、2ppm、1ppm、又は他の何らかの許容可能な量のガスであり得る。ガスの許容可能な残量は、空気を基準とし得る。例えば、ガスの許容可能な残量が1ppmである場合、それは、チャンバ室内にある100万部の空気につき1部のガスがあることを意味し得る。ブロック406にあるとおりのチャンバの曝気は、ハードウェアに命令を与える1つ以上のプロセッサの少なくとも1つによるか、又は人によって実施されてもよい。例えば、人がガスの許容可能な残量を入力してもよく(例えば、1つ以上のプロセッサにより生成されるグラフィカルユーザインターフェース上に数字を入力することによる)、チャンバ室内に残るガスが許容可能な残量以下になるまで1つ以上のプロセッサに動かされたポンプ又は他の装置がチャンバを曝気してもよい。
【0046】
方法400が完了したところで、チャンバ室内は除染されたと見なされ得る。
図1のアイソレーター100の例について、方法400がフルシステム除染に従い実施された場合、充填アイソレーターチャンバ104及び室内ドア110のシールは除染されたと見なされ得る。方法400が充填アイソレーター除染サイクルに従い実施された場合、
図1の充填アイソレーターチャンバ104が除染されたと見なされ得る。方法400が除染サイクルアイソレーター除染サイクルに従い実施された場合、
図1のDSIチャンバ102が除染されたと見なされ得る。
【0047】
方法400は、一部の実施形態では、全面的に人間の作業者により実施されてもよい。或いは、方法400は、全面的にオートメーションにより、例えば、1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体(例えば、揮発性メモリ又は不揮発性メモリ、読出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、電子的消去可能プログラム読出し専用メモリ、及び/又は1つ以上の他の種類のメモリ)に格納されている命令を実行する1つ以上のプロセッサ(例えば、CPU及び/又はGPU)により実施されてもよい。なおも他の実施形態において、方法400は、一部が人間の作業者により実施され、一部が命令を実行する1つ以上のプロセッサにより実施される。
【0048】
図5は、気相過酸化水素除染サイクルを使用したチャンバ室内の除染サイクル用のパラメータを選択する例示的方法500を図示するフロー図である。具体的には、パラメータには、VPHP除染サイクル用の適用量及び滞留時間が少なくとも含まれる。
【0049】
図示される方法500では、複数の量の過酸化水素含有ガス及び複数の量の時間を試験する複数の実験を実施する(ブロック502)。例えば、試験される異なる量のガスが5つあり、試験される異なる量の時間が5つあり、結果として、各実験が1回実施されることを前提として合計25の実験となり得る。或いは、各実験がトリプリケートで実施される場合、合計75の実験が実施されることになり得る。
【0050】
複数の実験中の各実験について、ある量のガス(即ち、複数の量のガスのうちの1つ)を複数の量の時間のうちの1つにわたってチャンバ室内に循環させる(ブロック502a)。複数の実験中の各実験について、チャンバ室内における当該量のガスの濃度を当該量の時間にわたってモニタする(ブロック502b)。チャンバ室内における当該量のガスの濃度は、好適な測定装置(例えば、屈折計)を使用して連続的に又は離散的にモニタし得る。複数の実験中の各実験について、当該量のガスをチャンバ室内に当該量の時間にわたって循環させた後、チャンバ室内にある生存胞子の残量を決定する(ブロック502c)。チャンバ室内にある生存胞子の残量を決定することは、幾つもの方法で達成し得る。チャンバ室内にある生存胞子の残量を決定する一つの例示的方法には、生存胞子集団を含有するBIを取り出すこと、そのBIを増殖促進培地で7日間にわたってインキュベートすることが含まれる。BIに100万CFU超を含む生存胞子集団が接種されていたことを前提として、7日後に増殖がないことが、残っている生存胞子集団が1ppm未満であることを指し示している。7日間のインキュベーション期間内で細胞増殖があれば、1ppmより多い生存胞子集団が残っていることを指し示している。
【0051】
次に、図示される方法500では、複数の量のガスの中から、複数の実験を行う間チャンバ室内を循環させたときにチャンバ室内の完全飽和を選択された時間にわたって維持したガスの最小量となるようなガスの適用量を選択する(ブロック504)。完全飽和は、
図2に示されるとおり、プラトー又は「テーブルトップ」の外観により同定されてもよい。一実施形態において、選択された時間は、滞留時間以上の量の時間でなければならない。この実施形態において、選択された時間の決定時には滞留時間はまだ分かっていないこともあり、選択された時間は、滞留時間がそうなるであろうと予想されるもの以上となるように十分な長さで選択される必要があり得る。例えば、選択された時間は、生存胞子集団のD値に基づき選択されてもよい。
【0052】
最後に、図示される方法500では、滞留時間が、(i)選択された時間以下である、及び(ii)複数の実験を行う間ガスの適用量をチャンバ室内に滞留時間にわたって循環させたとき、決定された生存胞子の残量が許容可能な残量を超えなかった複数の量の時間のうち最小量であるような滞留時間を選択する(ブロック506)。一実施形態において、滞留時間は、選択された時間以下でなければならない。滞留時間が選択された時間より長い場合、チャンバ室内の完全飽和が滞留時間にわたって維持されるであろうと確信することは不可能となり得る。このように、複数の実験の少なくとも一部分をより長い選択された時間を用いて(場合によっては反復法的に)繰り返す必要があり得る。ガスは、10%過酸化水素、20%過酸化水素、30%過酸化水素、40%過酸化水素、50%過酸化水素、60%過酸化水素、70%過酸化水素、80%過酸化水素、又は任意の他の好適な過酸化水素濃度であり得る。適用量は、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、15mL、20mL、25mL、又は任意の他の好適なガス適用量であり得る。滞留時間は、10秒、30秒、60秒、100秒、200秒、300秒、400秒、500秒、750秒、1000秒、又は任意の他の好適な滞留時間であり得る。滞留時間は、250~350秒、300~500秒、又は任意の他の好適な範囲であり得る。より具体的な例では、ガスは45%~55%濃度の過酸化水素であってよく、ガスの適用量は6~10mLのガスを含有し得る。別の例において、ガスは45%~55%濃度の過酸化水素であってよく、ガスの適用量は4~8mLを含有し得る。別の例において、ガスは25%~75%濃度の過酸化水素であり得る。滞留時間は、その生存胞子集団について製造者が指定したD値の1~2倍、2~3倍、3~4倍、5~6倍、6~7倍、7~8倍、8~9倍、又は9~10倍であるか、又は指定されたD値と比べて他の何らかの好適な倍数量であり得る。生存胞子集団の許容可能な残量は、100ppm、10ppm、2ppm、1ppm、又は他の何らかの好適な量であり得る。
【0053】
一部の実施形態において、方法500はまた、ブロック506の後に、選択された適用量及び滞留時間を使用してVPHP除染を(例えば、
図4に図示される方法400のとおりに)実施することも含む。
【0054】
方法500は、一部の実施形態では、全面的に人間の作業者により実施されてもよい。或いは、方法500は、全面的にオートメーションにより、例えば、1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体(例えば、揮発性メモリ又は不揮発性メモリ、読出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、電子的消去可能プログラム読出し専用メモリ、及び/又は1つ以上の他の種類のメモリ)に格納されている命令を実行する1つ以上のプロセッサ(例えば、CPU及び/又はGPU)により実施されてもよい。なおも他の実施形態において、方法500は、一部が人間の作業者により実施され、一部が命令を実行する1つ以上のプロセッサにより実施される。例えば、人が命令を入力すると(例えば、1つ以上のプロセッサにより生成されるグラフィカルユーザインターフェース上のバーチャルボタンを押すと)、実験が始まってもよく、それに応答して、1つ以上のプロセッサにより1つ以上のアクチュエータ、ポンプ、ファン、又は他の装置が作動して実験を実施し得る。
【0055】
本明細書に記載される一部の図は、1つ以上の機能的構成要素を有する例示的なブロック図を説明する。かかるブロック図は説明を目的としたものであり、記載され及び図示される装置が、説明されるものと比べて追加の、少ない、又は代替的な構成要素を有し得ることは理解されるであろう。加えて、様々な実施形態において、構成要素(並びにそれぞれの構成要素によって提供される機能)は、任意の好適な構成要素と結び付けられてもよく、又は他の場合にはその一部として総合されてもよい。
【0056】
本開示の一部の実施形態は、様々なコンピュータ実装演算を実施するための命令/コンピュータ可読記憶媒体を有する非一時的コンピュータ可読記憶媒体に関する。用語「命令/コンピュータ可読記憶媒体」は、本明細書では、本明細書に記載される演算、方法論、及び技法を実施するための一連の命令又はコンピュータコードを格納し又は符号化する能力のある任意の媒体を含んで使用される。媒体及びコンピュータコードは、本開示の実施形態を目的として特別に設計され、構築されたものであってもよく、又はそれらは、コンピュータソフトウェア技術分野の当業者に周知の利用可能な種類のものであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、限定はされないが、ハードディスク、フロッピーディスク及び磁気テープ等の磁気媒体、CD-ROM及びホログラフィデバイス等の光媒体、光ディスク等の光磁気媒体並びにASIC、プログラマブルロジックデバイス(「PLD」)、並びにROM及びRAMデバイスなど、プログラムコードを格納し及び実行するように特別に構成されたハードウェアデバイスが挙げられる。
【0057】
コンピュータコードの例としては、コンパイラによって生成されるものなど、機械コード、及びコンピュータによりインタープリタ又はコンパイラを用いて実行される高度なコードを含むファイルが挙げられる。例えば、本開示のある実施形態は、Java、C++又は他のオブジェクト指向プログラミング言語及び開発ツールを用いて実装されてもよい。コンピュータコードの更なる例としては、暗号化コード及び圧縮コードが挙げられる。その上、本開示の一実施形態は、コンピュータプログラム製品としてダウンロードされてもよく、これは、リモートコンピュータ(例えば、サーバーコンピュータ)から送信チャネルを介して要求元コンピュータ(例えば、クライアントコンピュータ又は別のサーバーコンピュータ)に転送されるものであり得る。本開示の別の実施形態は、機械実行可能なソフトウェア命令の代わりに、又はそれと組み合わせて、ハードワイヤード回路に実装されてもよい。
【0058】
本明細書で使用されるとき、単数形の用語「ある(a)」、「ある(an)」、及び「その(the)」は、文脈上特に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含み得る。
【0059】
本明細書で使用されるとき、用語「近似的に」、「実質的に」、「実質的な」、「およそ」及び「約」は、僅かな変動があることを記載し、考慮に入れるために使用される。事象又は状況と併せて使用されるとき、これらの用語は、その事象又は状況がまさしく起こる場合並びにその事象又は状況がごく近似しているところまで起こる場合を指し得る。例えば、ある数値と併せて使用されるとき、これらの用語は、その数値から±10%以内、例えば、±5%以内、±4%以内、±3%以内、±2%以内、±1%以内、±0.5%以内、±0.1%以内、又は±0.05%以内である変動の範囲を指し得る。例えば、2つの数値は、それらの値の差がそれらの値の平均値から±10%以内である、例えば、±5%以内、±4%以内、±3%以内、±2%以内、±1%以内、±0.5%以内、±0.1%以内、又は±0.05%以内である場合に、「実質的に」同じであると見なすことができる。
【0060】
加えて、量、比、及び他の数値が、本明細書では時に範囲の形式で提示される。かかる範囲の形式は、便宜上、簡潔にするために使用されると理解されるべきであり、明示的に指定される数値を範囲の限界値として含むが、その範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分的範囲もまた、あたかも各数値及び部分的範囲が明示的に指定されたものとして含むという柔軟性が理解されなければならない。
【0061】
本開示はその具体的な実施形態を参照して記載及び説明されているが、それらの記載及び説明によって本開示が限定されることはない。当業者によれば、添付の特許請求の範囲により定義されるとおりの本開示の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更を加え得ること、及び均等物に置き換え得ることが理解されなければならない。説明図は、必ずしも一定の縮尺で描かれているとは限らない。製造工程、許容誤差及び/又は他の理由により、本開示における芸術的描写と実際の装置との間には差異があり得る。具体的に説明されない本開示の他の実施形態があり得る。本明細書(特許請求の範囲を除く)及び図面は、限定的なものでなく、むしろ説明的なものと見なされるべきである。詳細な状況、材料、物質の組成、技法、又は方法を本開示の目的、趣旨及び範囲に適合させるため、改良を加え得る。かかる改良例は全て、本明細書に添付される特許請求の範囲内にあることが意図される。本明細書に開示される技法は、特定の順序で実施される特定の操作を参照して記載されているが、それらの操作を組み合わせ、細分し、又は並べ替えることにより、本開示の教示から逸脱することなく均等な技法を形成し得ることは理解されるであろう。よって、本明細書に具体的に指示されない限り、操作の順序及びまとめ方は本開示の限定ではない。
【国際調査報告】