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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】調湿性黒色綿状繊維の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D02G 1/02 20060101AFI20241126BHJP
   D02J 1/00 20060101ALI20241126BHJP
   D02J 1/22 20060101ALI20241126BHJP
   D02G 3/04 20060101ALI20241126BHJP
   D02G 1/04 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
D02G1/02 A
D02J1/00 M
D02J1/22 P
D02G3/04
D02G1/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535229
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 CN2022129160
(87)【国際公開番号】W WO2023116211
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111596505.5
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518015734
【氏名又は名称】江蘇恒力化繊股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【弁理士】
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】範 紅衛
(72)【発明者】
【氏名】沈 建根
(72)【発明者】
【氏名】王 麗麗
(72)【発明者】
【氏名】劉 成柱
(72)【発明者】
【氏名】湯 方明
(72)【発明者】
【氏名】袁 正平
(72)【発明者】
【氏名】楊 超明
(72)【発明者】
【氏名】孫 暁華
(72)【発明者】
【氏名】寇 婉▲テイ▼
【テーマコード(参考)】
4L036
【Fターム(参考)】
4L036AA01
4L036MA05
4L036MA33
4L036PA03
4L036PA18
4L036PA42
4L036RA13
4L036UA21
(57)【要約】
黒色綿状繊維の製造方法を提供することを課題とする。黒色綿状繊維の製造方法、カーボンブラックを含むポリエステル繊維POYとポリエステル繊維FDYが、DTY加工技術により順次に第1ヤーンガイド、ガイドローラ、テンサー、第1フィードローラ、予備交絡器、第2フィードローラ、第1加熱箱、冷却板、仮捻り器、第3フィードローラ、中間交絡器、熱固定チャンバー、熱固定フィードローラ、オイリング及び巻取りを経って黒色綿状繊維になることである。その中に、第1ヤーンガイドはガイドホイールであり、走行するスタランドは第1ガイドホイールの溝底に接触して第1ガイドホイールの回転を駆動し、テンサーは磁力テンサーであり、スタランドはテンサーを経て140°~160°の角の姿がし、テンサー張力は7~10CNと設定し、第1フィードローラと第2フィードローラとの線速度比は1.03~1.04とする。本発明によって、第1ヤーンガイドの摩耗が低減でき、スタランドの交絡数が向上できかつスタランドの絡み合いが緩みにくい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DTY延伸加工プロセスを用いた黒色綿状繊維の製造方法であって、
ポリエステル繊維POY及びポリエステル繊維FDYを、第1ヤーンガイド、ガイドローラ、テンサー、第1フィードローラ、予備交絡器、第2フィードローラ、第1変形用加熱箱、冷却板、仮捻り器、第3フィードローラ、中間交絡器、熱固定用加熱箱、熱固定フィードローラに順に経由させて、オイリングし、黒色綿状繊維を巻き取って取得し、
ポリエステル繊維POYとポリエステル繊維FDYにはいずれもカーボンブラックが含まれ、
前記第1ヤーンガイドは、ガイドホイールであり、
スタランドが走行中に前記第1ヤーンガイドの溝底に接触して前記第1ガイドホイールの回転を駆動し、
前記テンサーは、磁力テンサーであり、
スタランドが走行中に前記テンサーが有するガイドホイールの溝底に接触し、
前記テンサーの張力は7~10cNに設定され、
前記第1フィードローラと前記第2フィードローラとの線速度比は、1.03~1.04である
ことを特徴とする黒色綿状繊維の製造方法。
【請求項2】
前記第1ヤーンガイドのガイドホイールのリム幅は、20~25mmであり、
ガイドホイールの外輪の外径は、9.4~10.7mmであり、
溝底の内径は、6~7.4mmである
ことを特徴とする請求項1に記載の黒色綿状繊維の製造方法。
【請求項3】
前記第1ヤーンガイドは、素材がセラミックスであり、その溝底の表面硬さが1500~2000HVであり、溝底とスタランドとの摩擦係数が0.2~0.22である
ことを特徴とする請求項1に記載の黒色綿状繊維の製造方法。
【請求項4】
予備交絡時にスタランドの張力は、2.5~5.0cNである
ことを特徴とする請求項1に記載の黒色綿状繊維の製造方法。
【請求項5】
ポリエステル繊維POYとポリエステル繊維FDYにおけるカーボンブラックの含有量はいずれも1.2~1.5wt%である
ことを特徴とする請求項1に記載の黒色綿状繊維の製造方法。
【請求項6】
カーボンブラックの平均粒径は0.3~0.4μmである
ことを特徴とする請求項5に記載の黒色綿状繊維の製造方法。
【請求項7】
ポリエステル繊維POYとポリエステル繊維FDYの規格は、いずれも120detx/96fであり、
黒色綿状繊維の線密度は、232dtexである
ことを特徴とする請求項1に記載の黒色綿状繊維の製造方法。
【請求項8】
予備交絡ノズル気圧は、2.5~2.9barであり、
予備交絡ノズル穴径は、1.5~1.7mmであり、
第1変形用加熱箱の温度は、175~190℃であり、
熱固定用加熱箱の温度は、150~160℃であり、
前記第3フィードローラと前記第2フィードローラとの線速度比は、1.1~1.14であり、
熱固定過給率は、4.0~5.0%であり、
巻取速度は、500~600m/minであり、
巻取過給率は、2.0~2.3%である
ことを特徴とする請求項1に記載の黒色綿状繊維の製造方法。
【請求項9】
前記黒色綿状繊維は、破断強度が2.1~2.3cN/dtexであり、交絡度が90~100個/mであり、破断強度のCV値が≦6.00%であり、
60日間にかけて持続的に製造した前記黒色綿状繊維の破断強度、交絡度及び破断強度のCV値の変化率はいずれも10%以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の黒色綿状繊維の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綿状繊維技術分野に属し、特に、調湿性黒色綿状繊維の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
綿状繊維は、一般的にテレフタル酸とエチレングリコールとの重合物のポリエチレンテレフタレートで作った繊維を指し、最も使用量・生産量の多い合成繊維である。今市販の綿状繊維は、主に半延伸糸(Partially Oriented Yarn,POY)や全延伸糸(Fully Drawn Yarn,FDY)や延伸加工糸(Draw Textured Yarn,DTY)などに分かれている。
【0003】
POYは高速紡糸(紡糸速度:3000~3600m/min)による未延伸糸を指し、普通紡糸による延伸糸より配向度と結晶度が低いけれど、普通紡糸による未延伸糸より配向度が高い。高速巻取機の製品化と共に、1970年以降に高速紡糸技術は急激に発展してPOYの工業化生産を実現する。POYはある程度の配向を有し直接的に延伸・変形工程を経てDTYとして、糸加工の簡略化ができる。
【0004】
FDYは、POYの高速紡糸に延伸工程を加えて紡糸・延伸・巻取を一体化する技術によって充分な配向を与える繊維であり、POYと比べて配向度がほぼ同じであるけど、結晶度が高い。POYやFDYは一定の配向度を持つのに、完成品の繊維と比べて他の性質の安定性まだ不十分だから、直接的に生地にするのはできなくて後加工が必要であり、その中に、90%以上の後加工は延伸・変形工程によりDTYとすることである。ポリエステルDTYは、繊維の熱可塑性を利用して変形と熱固定を経ってバネのようなクリンプ形態を与えて、嵩高性や伸縮性を付与する糸である。DTY原料とする生地は嵩高性・保温性に優れた、通常に服飾、テントやかばんなどに適用する。
【0005】
なお、今のポリエステルフィラメントの原着に汎用するのはカーボンブラックを含むマスターバッチであるが、カーボンブラックのような無機添加物のため糸の表面粗さが高くなる。それで、黒色綿状繊維の変形加工において、ヤーンガイドは摩耗しやすくて使用寿命が低減する一方、糸とヤーンガイドの高摩擦力は糸の性能に悪影響を及ぼす。例えば、ヤーンガイドは摩耗のため表面に溝が生じて粗さが向上して糸に大きな抵抗張力を与え、糸張力は大きすぎるとインターレースノズルによる絡み合いが緩みやすい、糸の初期交絡は遂行できない。したがって、ヤーンガイドの摩耗や糸の高張力の問題を克服して糸の初期交絡の安定性を向上するのに、黒色ポリエステルDTYの製造技術の最適化は必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は従来技術における問題を克服するために、一種の調湿性黒色綿状繊維の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における調湿性黒色綿状繊維の製造方法は、要言すると、以下のとおりである。
ポリエステル繊維POYとポリエステル繊維FDYは、DTY加工技術により順次に第1ヤーンガイド、ガイドローラ、テンサー、第1フィードローラ、予備交絡器、第2フィードローラ、第1加熱箱、冷却板、仮捻り器、第3フィードローラ、中間交絡器、熱固定チャンバー、熱固定フィードローラ、オイリング及び巻取りを経って調湿性黒色綿状繊維になり、その中に、
ポリエステル繊維POYとポリエステル繊維FDYにはいずれもカーボンブラックが含まれ、
第1ヤーンガイドはガイドホイールであり、
走行するスタランドは第1ガイドホイールの溝底に接触して第1ガイドホイールの回転を駆動し、
テンサーは磁力テンサー(磁場によりトルクを変換して減衰力が生じ、機械摩擦のない張力制御装置であり、寸法が小さくて取り付けやすい)であり、張力は7~10CNと設定し(第1ヤーンガイドはバーガイドの代わりにガイドホイールとする時に、スタランド張力が著しく低減できるけれど、スタランド張力の制御がしにくくて不安定になってスタランドの急激な振動が生じるため、こんなにするとスタランド振動が抑圧できる)、
第1フィードローラと第2フィードローラとの線速度比は1.03~1.04とする(よって、一定の過給を与えて初期交絡の遂行を利する)。
【0008】
好ましくは、前記調湿性黒色綿状繊維の製造方法において、
述べた第1ヤーンガイド(図2を参照する)のリム幅は20~25mmとし、ハウジング外径は9.4~10.7mmとし、転がり軸受け穴径は6~7.4mmとし、
述べた第1ヤーンガイドのハウジングの素材はセラミックスとし、その表面硬さは1500~2000HV(ビッカース硬さ)であり、ハウジングとスタランドとの摩擦係数は0.2~0.22であり(文献「高性能繊維の摩擦係数の測定と分析」に記載する方法によること)、
初期交絡に当たるスタランドの張力は2.5~5.0CNとし(DTY加工が1年間かけて持続的に行われる後スタランド張力はまだこの範囲内限る)、
ポリエステル繊維POY及びポリエステル繊維FDYの中のカーボンブラック含有量はいずれも1.2~1.5wt%とし、
カーボンブラックの平均粒径は0.3~0.5μmであり、
ポリエステル繊維POY及びポリエステル繊維FDYの規格はいずれも120detx/96fであり、得られた調湿性黒色綿状繊維の線密度は232dtexであり、
変形加工における主要な工程パラメータは、予備交絡器ノズル気圧2.5~2.9bar、予備交絡器ノズル穴径1.5~1.7mm、第1加熱箱温度175~190℃、熱固定チャンバー温度150~160℃、第3フィードローラと第2フィードローラとの線速度比(延伸倍率)1.1~1.14、熱固定過給率4.0~5.0%、巻取速度500~600m/min、巻取過給率2.0~2.3%とし、
調湿性黒色綿状繊維とは、破断強度が2.1~2.3cN/dtex(測定標準:GB/T 14344)、交絡数が90~100個/m(測定標準:FZ/T 50001-2005)、破断強度CV値が≦6.00%であり、
60日間かけて持続的に生産した調湿性黒色綿状繊維の破断強度、交絡数及び破断強度CV値の変化率はいずれも10%以下であり、すなわち、第1日に生産した調湿性黒色綿状繊維と比べて、2月間かけて生産し続ける後、得られた繊維の破断強度と交絡数との下落幅はいずれも10%以下であり、破断強度CV値の上昇幅は10%を超えない。
【0009】
本発明の原理以下のとおりである。
【0010】
カーボンブラックマスターバッチでポリエステルフィラメントを着色すると、スタランドの表面粗さが向上してしまう。従来の変形加工技術に汎用したヤーンガイドは従動軸なくて回転できないため、スタランドとヤーンガイドとの間に摺動摩擦が発生する。ポリエステルDTY加工の始めからたった3~5日間を経って、第1ヤーンガイドもう摩耗してその表面に溝が生じる。スタランドはそれらの溝を経る時により大きな摩擦抵抗のため張力が向上し、20~25cNに達することもある。そのうえに、第1フィードローラの挟み込みは、2つのロールの互いに押し合うことに基づいて、挟み力不足の時にスタランドのスリップの可能性があるため、第1ヤーンガイドにある20~25cNの張力は初期交絡するスタランドの張力を6~8cNに高める(十分な挟み力によればスタランド張力は過給率のみに影響を受けるけれど、挟み力が不足であると、第1フィードローラの前のスタランド張力は次のスタランド張力に影響を与える。換言すれば、第1フィードローラの前のスタランド張力は大きすぎると次のスタランド張力が向上する)。大きすぎるスタランド張力の下で、予備交絡器はスタランドの絡み合いを固くにすることにほとんどできなくて交絡が緩みやすい。したがって、異なる物性を持つPOY/FDY二成分混繊糸は交絡数が少なかったら集束性が低下し、後ろの制織工程を経る時に糸切れができやすくて毛玉が生じるので、生地の品質が著しく悪くなる。
【0011】
本発明においては、ガイドホイールを変形加工の第1ヤーンガイドとすることによって、糸とヤーンガイドとの間の摺動摩擦が転がり摩擦に変換するため、ヤーンガイドの摩耗が低減できることだけでなく、第1ヤーンガイドを経るスタランドの張力も著しく減る。
【0012】
第1ヤーンガイドはガイドホイールに置換するとスタランド張力が著しく低減できるけれど、スタランド張力を一定の範囲内に安定的に制御することが困難になる一方、スタランドの急激な振動が生じて生産の遂行ができないこともある。したがって、本発明は磁力テンサー及びガイドローラによりスタランドに一定の張力を加える。具体的に、磁力テンサー及びガイドローラを第1ヤーンガイドと第1フィードローラとの間に位置させ、かつステリシステンサーを第1フィードローラの隣に置く。スタランドは磁力テンサーを経る時に走行方向が変わって、一定の角度の姿にしてテンサーに圧力を与える。逆に、テンサーは磁力減衰によりスタランドに抵抗力をしてその角度を安定させ、よって、スタランドの張力が生じる。なお、ガイドローラはスタランド振動を抑圧して、テンサーによるスタランド張力制御に協力できる。
【0013】
本発明は、磁力テンサーの張力を7~10cNの範囲内に設定して、スタランドの振動を著しく抑圧しスタランドの運動を安定的に制御する。張力が大きすぎても小さすぎても初期交絡の安定化には不利である。
【0014】
本発明は、第1フィードローラと第2フィードローラとの線速度比(過給率)を1.03~1.04とするように、初期交絡を経るスタランドの張力を2.5~5.0cNにさせて(第1フィードローラの挟み力が不足であると、第1フィードローラの前のスタランド張力は次のスタランド張力に影響を及ぼす。けれども、バーガイドの代わりガイドホイールを採用しかつ磁力テンサーによりスタランド張力を制御することによって、第1フィードローラの前のスタランド張力は著しく低減するため、過給率によりスタランド張力を制御する困難が克服でき、初期交絡を経るスタランドの張力を2.5~5.0cNにさせることが実現できる)、スタランドの安定的なインターレース加工とも固い絡み合いとも遂行できる。
【発明の効果】
【0015】
利点として、本発明における調湿性黒色綿状繊維の製造方法は、1.スタランドの交絡数が高くて絡み合いが緩みにくいことにでき、得られた調湿性黒色綿状繊維が糸切れできにくくて、表面が平たい織物の制織に適用し、2.DTY加工を経るスタランドに適切で、安定的な張力を提供することができ、3.得られた調湿性黒色綿状繊維が性能に優れ、4.第1ヤーンガイドの摩耗を低減して部品ロスが避けられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の加工工程の流れを示す模式図である。
図2】本発明のガイドホイールの断面構造を示す模式図である。1-ポリエステル繊維POYとポリエステル繊維FDY、2-第1ヤーンガイド、3-ガイドローラ、4-テンサー、5-第1フィードローラ、6-予備交絡器、7-第2フィードローラ、8-第1加熱箱、9-冷却板、10-仮捻り器、11-第3フィードローラ、12-中間交絡器、13-熱固定チャンバー、14-熱固定フィードローラ、15-オイリング
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、本発明の内容を読んだこの分野の技術者のいろいろな本発明を改正することを許されても、それは本発明の等価形として、本発明の請求の範囲内にも限定されている。
【0018】
実施例1における第1日に得られた調湿性黒色綿状繊維の破断強度、交絡数及び破断強度CV値は、1日中に生産された繊維の性能指標の平均値を指し、60日間かけて持続的に生産を行う後得られた調湿性黒色綿状繊維の破断強度、交絡数及び破断強度CV値は、第60日の11日中に生産された繊維の性能指標の平均値を指す。
【0019】
DTY加工技術によって調湿性黒色綿状繊維を製造する流れは、図1を参照すると、平均粒径の0.3~0.4μmのカーボンブラックを含む1-ポリエステル繊維POY及びポリエステル繊維FDYが、順次に2-第1ヤーンガイド、3-ガイドローラ、4-テンサー、5-第1フィードローラ、6-予備交絡器、7-第2フィードローラ、8-第1加熱箱、9-冷却板、10-仮捻り器、11-第3フィードローラ、12-中間交絡器、13-熱固定チャンバー、14-熱固定フィードローラ、15-オイリング及び巻取りを経って調湿性黒色綿状繊維になることである。
【0020】
実施例1
調湿性黒色綿状繊維の製造方法は、前記DTY加工工程により行うことであり、その中に、ポリエステル繊維POY及びポリエステル繊維FDYの規格はいずれも120detx/96fであり、カーボンブラック含有量はいずれも1.2wt%とし、第1ヤーンガイドはガイドホイールであり、走行するスタランドは第1ガイドホイールの溝底に接触して第1ガイドホイールの回転を駆動し、ガイドホイールのハウジングの素材はセラミックスとし、その表面硬さは1500HVであり、ハウジングとスタランドとの摩擦係数は0.2であり、図2に示すことによって、ガイドホイールのリム幅は20mmとし、ハウジング外径は9.4mmとし、転がり軸受け穴径は6mmとし、テンサーは磁力テンサーであり、テンサー張力10CNと設定する。
さらに、工程パラメータは、予備交絡器ノズル気圧2.5bar、予備交絡器ノズル穴径1.5mm、第1加熱箱温度175℃、熱固定チャンバー温度160℃、第1フィードローラと第2フィードローラとの線速度比1.03、第3フィードローラと第2フィードローラとの線速度比1.1、熱固定過給率4%、巻取速度500m/min、巻取過給率2%とする。
以上の技術により生産を連続で行い、その中に初期交絡に当たるスタランドの張力は3.7cNであり、第1日に得られた調湿性黒色綿状繊維の破断強度は2.3cN/dtex、交絡数は90個/m、破断強度CV値は5.15%である。
60日間かけて持続的に生産を行う後得られた調湿性黒色綿状繊維の破断強度は2.2cN/dtex、交絡数は85個/m、破断強度CV値は5.65%である。
【0021】
図1乃至図2を参照すると、本発明の実施形態としては、
比較例1
調湿性黒色綿状繊維の製造方法は、実施例1とほとんど同じであり、異なる点は、第1ヤーンガイド及びテンサーはいずれも回転できないバーガイドに置換し、かつガイドローラを経ないことである。第1日に得られた調湿性黒色綿状繊維の破断強度は2.1cN/dtex、交絡数は93個/m、破断強度CV値は6.2%であり、10日間かけて持続的に生産を行う後得られた調湿性黒色綿状繊維の破断強度は1.8cN/dtex、交絡数は74個/m、破断強度CV値は7.6%であり、60日間を経っては生産が続けられない。実施例1を比較例1と比べると、調湿性黒色綿状繊維の破断強度、交絡数及び破断強度CV値はいずれも著しく変わることがわかる。原因としては、第1ヤーンガイドの摩耗が繊維品質に大きな影響を与えたことである。
【0022】
実施例2
調湿性黒色綿状繊維の製造方法は、前記DTY加工工程により行うことであり、その中に、ポリエステル繊維POY及びポリエステル繊維FDYの規格はいずれも120detx/96fであり、カーボンブラック含有量はいずれも1.3wt%とし、第1ヤーンガイドはガイドホイールであり、走行するスタランドは第1ガイドホイールの溝底に接触して第1ガイドホイールの回転を駆動し、ガイドホイールのハウジングの素材はセラミックスとし、その表面硬さは1800HVであり、ハウジングとスタランドとの摩擦係数は0.2であり、図2に示すことによって、ガイドホイールのリム幅は20mmとし、ハウジング外径は9.4mmとし、転がり軸受け穴径は6.2mmとし、テンサーは磁力テンサーであり、テンサー張力9.2CNと設定する。
さらに、工程パラメータは、予備交絡器ノズル気圧2.6bar、予備交絡器ノズル穴径1.5mm、第1加熱箱温度178℃、熱固定チャンバー温度152℃、第1フィードローラと第2フィードローラとの線速度比1.03、第3フィードローラと第2フィードローラとの線速度比1.12、熱固定過給率4.2%、巻取速度520m/min、巻取過給率2.2%とする。
以上の技術により生産を連続で行い、その中に初期交絡に当たるスタランドの張力は2.5cNであり、第1日に得られた調湿性黒色綿状繊維の破断強度は2.2cN/dtex、交絡数は97個/m、破断強度CV値は5.05%である。
60日間かけて持続的に生産を行う後得られた調湿性黒色綿状繊維の破断強度は2.1cN/dtex、交絡数は89個/m、破断強度CV値は5.46%である。
【0023】
実施例3
調湿性黒色綿状繊維の製造方法は、前記DTY加工工程により行うことであり、その中に、ポリエステル繊維POY及びポリエステル繊維FDYの規格はいずれも120detx/96fであり、カーボンブラック含有量はいずれも1.4wt%とし、第1ヤーンガイドはガイドホイールであり、走行するスタランドは第1ガイドホイールの溝底に接触して第1ガイドホイールの回転を駆動し、ガイドホイールのハウジングの素材はセラミックスとし、その表面硬さは1880HVであり、ハウジングとスタランドとの摩擦係数は0.22であり、図2に示すことによって、ガイドホイールのリム幅は23mmとし、ハウジング外径は10.2mmとし、転がり軸受け穴径は7mmとし、テンサーは磁力テンサーであり、テンサー張力8.7CNと設定する。
さらに、工程パラメータは、予備交絡器ノズル気圧2.8bar、予備交絡器ノズル穴径1.6mm、第1加熱箱温度184℃、熱固定チャンバー温度155℃、第1フィードローラと第2フィードローラとの線速度比1.04、第3フィードローラと第2フィードローラとの線速度比1.13、熱固定過給率4.5%、巻取速度565m/min、巻取過給率2.7%とする。
以上の技術により生産を連続で行い、その中に初期交絡に当たるスタランドの張力は4.5cNであり、第1日に得られた調湿性黒色綿状繊維の破断強度は2.3cN/dtex、交絡数は100個/m、破断強度CV値は5.32%である。
60日間かけて持続的に生産を行う後得られた調湿性黒色綿状繊維の破断強度は2.2cN/dtex、交絡数は92個/m、破断強度CV値は5.86%である。
【0024】
実施例4
調湿性黒色綿状繊維の製造方法は、前記DTY加工工程により行うことであり、その中に、ポリエステル繊維POY及びポリエステル繊維FDYの規格はいずれも120detx/96fであり、カーボンブラック含有量はいずれも1.5wt%とし、第1ヤーンガイドはガイドホイールであり、走行するスタランドは第1ガイドホイールの溝底に接触して第1ガイドホイールの回転を駆動し、ガイドホイールのハウジングの素材はセラミックスとし、その表面硬さは2000HVであり、ハウジングとスタランドとの摩擦係数は0.22であり、図2に示すことによって、ガイドホイールのリム幅は25mmとし、ハウジング外径は10.7mmとし、転がり軸受け穴径は7.4mmとし、テンサーは磁力テンサーであり、テンサー張力7CNと設定する。
さらに、工程パラメータは、予備交絡器ノズル気圧2.9bar、予備交絡器ノズル穴径1.7mm、第1加熱箱温度190℃、熱固定チャンバー温度160℃、第1フィードローラと第2フィードローラとの線速度比1.04、第3フィードローラと第2フィードローラとの線速度比1.14、熱固定過給率4.2%、巻取速度600m/min、巻取過給率3%とする。
以上の技術により生産を連続で行い、その中に初期交絡に当たるスタランドの張力は5.0cNであり、第1日に得られた調湿性黒色綿状繊維の破断強度は2.2cN/dtex、交絡数は93個/m、破断強度CV値は5.25%である。
60日間かけて持続的に生産を行う後得られた調湿性黒色綿状繊維の破断強度は2.1cN/dtex、交絡数は87個/m、破断強度CV値は5.86%である。
図1
図2
【国際調査報告】