(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】芳香環誘導体の結晶及びその調製方法と使用
(51)【国際特許分類】
C07D 209/18 20060101AFI20241126BHJP
A61K 31/405 20060101ALI20241126BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20241126BHJP
A61P 5/50 20060101ALI20241126BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20241126BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20241126BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20241126BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20241126BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20241126BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20241126BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20241126BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20241126BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20241126BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20241126BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
C07D209/18 CSP
A61K31/405
A61P1/16
A61P5/50
A61P7/04
A61P9/10
A61P13/12
A61P17/00
A61P17/06
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P31/12
A61P1/00
A61P31/00
A61P1/04
A61P25/00
A61P37/06
A61P19/02
A61P37/08
A61P3/10
A61P17/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535944
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 CN2022139461
(87)【国際公開番号】W WO2023109931
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】202111555458.X
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521155852
【氏名又は名称】シャンハイ ジェミンケア ファーマシューティカル カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イェー、ロンピン
(72)【発明者】
【氏名】カン、チャンピン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ホンミン
(72)【発明者】
【氏名】ペン、チアンビアオ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC14
4C086GA13
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA68
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB32
4C086ZB33
4C086ZC35
(57)【要約】
芳香環誘導体の結晶及びその調製方法と使用を開示し、具体的には、式(I)で表される化合物の塩型、結晶、医薬組成物及びその使用を開示する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物のカルシウム塩。
【化1】
【請求項2】
【化2】
である、請求項1に記載のカルシウム塩。
【請求項3】
粉末X線回折パターンが下記の2θ角:8.98±0.2°、10.12±0.2°、13.56±0.2°、14.66±0.2°、15.22±0.2°、18.48±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(II)で表される化合物のG型結晶。
【請求項4】
前記G型結晶の粉末X線回折パターンが下記の2θ角:8.98±0.2°、10.12±0.2°、13.56±0.2°、14.66±0.2°、15.22±0.2°、16.34±0.2°、16.92±0.2°、18.48±0.2°、22.67±0.2°、23.06±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項3に記載のG型結晶。
【請求項5】
前記G型結晶の粉末X線回折パターンは、基本的に
図7に示された粉末X線回折パターンを有することを特徴とする、請求項3又は4に記載のG型結晶。
【請求項6】
水及び溶媒をさらに含み、
ただし、
前記溶媒は、エタノール及びイソプロピルアルコールから選択され、
前記溶媒の含有量は0.1%~6.0%であり、
前記水の含有量は0.1%~4.0%であることを特徴とする、請求項3又は4に記載のG型結晶。
【請求項7】
式(I)で表される化合物をナトリウムエトキシド溶液に溶解させ、次に塩化カルシウムの存在下で撹拌し、ろ過し、減圧乾燥させてG型結晶を得ることを含むことを特徴とする、G型結晶を調製する方法。
【請求項8】
請求項1若しくは2に記載のカルシウム塩、又は請求項3~6のいずれか一項に記載のG型結晶を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項9】
S1P1受容体関連疾患に使用される医薬の調製における、請求項1若しくは2に記載のカルシウム塩、又は請求項3~6のいずれか一項に記載のG型結晶、又は請求項8に記載の医薬組成物の使用。
【請求項10】
前記S1P1受容体関連疾患は、潰瘍性大腸炎、クローン病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、関節リウマチ、原発性胆汁性胆管炎、アトピー性皮膚炎、脳内出血、移植片対宿主病、乾癬、I型糖尿病、ざ瘡、微生物感染又は微生物疾患、及びウイルス感染とウイルス疾患から選択される、請求項9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は下記の優先権を主張する:
CN202111555458.X、出願日は2021年12月17日である。
【0002】
本発明は、式(I)で表される化合物の結晶、塩型、医薬組成物、及びS1P1アゴニストとしてのその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
スフィンゴシン-1-リン酸(Sphingosine-1-phosphate、S1P)は、リゾリン脂質(lysophospholipid、LP)に属する両親媒性の生物学的シグナル伝達分子である。S1Pは、5つのGタンパク質共役受容体サブタイプであるスフィンゴシン-1-リン酸受容体(S1PR1-5)に作用することで複雑な下流シグナルを活性化し、それによって重要な生理学的及び生化学的機能を調節することができる。S1Pは様々なS1P受容体に結合して様々な生理学的機能を調節し、体の健康維持と疾患の発症過程において重要な役割を果たしている。
【0004】
S1P1受容体アゴニストはリンパ球の輸送(lymphocyte trafficking)を妨害し、リンパ球をリンパ節や他の二次リンパ組織に隔離する(sequestering)。これにより末梢循環リンパ球が減少し、リンパ球隔離の臨床的価値は、周囲組織における炎症反応及び/又は自己免疫反応の範囲からリンパ球を排除することである。このリンパ球の隔離(例えば、リンパ節において)は、T細胞上のS1P1受容体のアゴニスト駆動による機能的拮抗作用(従って、リンパ節からT細胞の流出を動員するS1Pの能力を低下させる)と、リンパ節内皮上のS1P1受容体の持続的なアゴニズム作用(従って、リンパ球遊走に対するバリア機能を向上させる)が同時に作用した結果であると考えられている。従って、S1P1受容体アゴニストはリンパ球の輸送を妨げることによって体の自己免疫能力を低下させるため、様々な自己免疫疾患を治療するための免疫阻害剤として使用することができる。
【0005】
そのうち、S1P1アゴニストであるフィンゴリモド(Fingolimod、FTY720)は、再発性多発性硬化症(Multiple Scleorosis、MS)の治療薬としてFDAによって承認され、免疫疾患の治療に新たな治療分野を切り開いた。FTY720は臨床的有効性を持っているが、非選択的S1P受容体アゴニストであり、FTY720が生体内でS1P3に結合すると、徐脈などの一連の重要な副作用を引き起こすことが多いため、免疫疾患の治療分野での使用範囲は大幅に制限される。従って、有効性がより高く、副作用がより少なく、使用範囲がより広い免疫疾患の治療薬となる第二世代の高選択的S1P1アゴニストの発見は、医薬品研究のホットスポットの一つとなっている。
【0006】
出願番号PCT/CN2019/123485(出願日は2019年12月6日)の出願は、下記の構造を有するS1P1アゴニストを提供する。
【化1】
【発明の概要】
【0007】
本発明は、式(I)で表される化合物のカルシウム塩を提供する。
【化2】
【0008】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のカルシウム塩は、
【化3】
である。
【0009】
本発明は、粉末X線回折パターンが下記の2θ角:8.98±0.2°、10.12±0.2°、13.56±0.2°、14.66±0.2°、15.22±0.2°、18.48±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、式(II)で表される化合物のカルシウム塩のG型結晶をさらに提供する。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のG型結晶の粉末X線回折パターンは、下記の2θ角:8.98±0.2°、10.12±0.2°、13.56±0.2°、14.66±0.2°、15.22±0.2°、16.34±0.2°、16.92±0.2°、18.48±0.2°、22.67±0.2°、23.06±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のG型結晶の粉末X線回折パターンは、基本的に
図7に示された粉末X線回折パターンを有する。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のG型結晶の粉末X線回折パターンの分析データは表7に示された通りである。
【0013】
【0014】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のG型結晶は、水及び溶媒をさらに含むことを特徴とし、
【0015】
ただし、
前記溶媒は、エタノール及びイソプロピルアルコールから選択され、
前記溶媒の含有量は0.1%~6.0%であり、
前記水の含有量は0.1~4.0%である。
本発明のいくつかの実施形態において、上記の溶媒の含有量は1.0%~5.5%であり、上記の水の含有量は3.0%~4.5%である。
本発明のいくつかの実施形態において、上記の溶媒はエタノールであり、前記エタノールの含有量は1.0%~5.5%であり、上記の水の含有量は3.0%~4.5%である。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の溶媒の含有量は1.64%~4.77%であり、上記の水の含有量は3.09%~4.37%である。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の溶媒はエタノールであり、前記エタノールの含有量は1.64%~4.77%であり、上記の水の含有量は3.09%~4.37%である。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の溶媒はエタノールであり、ここで、エタノールの含有量は4.77%であり、水の含有量は3.09%である。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の溶媒はエタノールであり、ここで、エタノールの含有量は3.05%であり、水の含有量は3.89%である。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の溶媒はエタノールであり、ここで、エタノールの含有量は1.97%であり、水の含有量は4.37%である。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の溶媒はエタノールであり、ここで、エタノールの含有量は1.64%であり、水の含有量は3.75%である。
【0022】
本明細書で使用される特徴的な回折ピークは、観察された回折パターンから選択されたピークである。複数の結晶固体を区別する場合、ピークの大きさに比べて、その結晶固体には見えるが、他の結晶固体には見えないピークが、当該結晶固体を識別するための好ましい特徴的なピークとなる。このような特徴的なピークであれば、一つ又は二つのピークであっても、当該結晶固体を特徴付けることができる。
【0023】
特に、G型結晶は、特徴的な回折ピークの存在によって、本明細書に開示される他の結晶形態(例えば、無水物)と区別することができる。また、測定されたチャートを比較し、その特徴的なピークが一致していれば、粉末X線回折パターンは実質的に一致していると言える。G型結晶は、溶媒と水含有量の変化により溶媒の水和状態が変化する可能性がある。溶媒水和含有量が異なるこのようなG型結晶は、
図1、
図18~21に示されるような共通の特徴的なピークを有する。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態において、共通の特徴的なピークは回折角(2θ):8.98±0.2°、10.12±0.2°、13.56±0.2°、14.66±0.2°、15.22±0.2°、18.48±0.2°から選択される少なくとも三つのピークである。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態において、共通の特徴的なピークは回折角(2θ):8.98±0.2°、10.12±0.2°、13.56±0.2°、14.66±0.2°、15.22±0.2°、16.34±0.2°、16.92±0.2°、18.48±0.2°、22.67±0.2°、23.06±0.2°から選択される少なくとも三つのピークである。
【0026】
なお、本発明における含有量(%)は質量比を表し、単位はg/gである。
【0027】
本発明のさらなる態様において、本発明は、G型結晶を調製する方法をさらに提供する。本発明の実施例によれば、前記方法は、式(I)で表される化合物をナトリウムエトキシド溶液に溶解させ、次に塩化カルシウムの存在下で撹拌し、ろ過し、減圧乾燥させてG型結晶を得ることを含む。この方法は、従来技術におけるカルシウム塩の結晶を形成する一般的な方法とは異なり、本発明の方法は、水酸化カルシウムではなく塩化カルシウムが存在する条件を採用すると同時に、G型結晶を得る前に乾燥させる必要がある。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の方法は、式(I)で表される化合物、無水エタノールを35~45℃まで昇温させ、5~30分間撹拌し、ナトリウムエトキシド溶液を加え、2~3時間撹拌し、塩化カルシウム溶液を滴加し、1~3時間撹拌して反応させ、20~30℃まで冷却させ、4~6時間撹拌し、ろ過し、ケーキを精製水ですすぎ、エタノールですすぎ、ケーキを25~35℃で減圧乾燥させてG型結晶を得ることを含む。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のナトリウムエトキシド溶液中のナトリウムエトキシドと無水エタノールとの質量比は、(0.01~0.05):(0.40~0.80)である。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のナトリウムエトキシド溶液中のナトリウムエトキシドと無水エタノールとの質量比は、0.035:0.631である。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の塩化カルシウム溶液中の塩化カルシウムと純水との質量比は、(0.01~0.08):(0.20~1.00)である。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の塩化カルシウム溶液中の塩化カルシウムと純水との質量比は、0.040:0.847である。
【0033】
本発明は、
【化4】
粉末X線回折パターンが下記の2θ角:5.25±0.2°、6.28±0.2°、10.5±0.2°、12.69±0.2°、15.45±0.2°、16.02±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、式(I)で表される化合物のA型結晶をさらに提供する。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のA型結晶の粉末X線回折パターンは、下記の2θ角:5.25±0.2°、6.28±0.2°、10.5±0.2°、12.69±0.2°、15.45±0.2°、16.02±0.2°、16.60±0.2°、20.66±0.2°、21.39±0.2°、22.28±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のA型結晶の粉末X線回折パターンは、基本的に
図1に示された粉末X線回折パターンを有する。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のA型結晶の粉末X線回折パターンの分析データは下記の表1に示された通りである。
【0037】
【0038】
本発明は、粉末X線回折パターンが下記の2θ角:6.96±0.2°、11.71±0.2°、15.55±0.2°、17.35±0.2°、20.62±0.2°、21.16±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、式(I)で表される化合物のB型結晶をさらに提供する。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のB型結晶の粉末X線回折パターンは、下記の2θ角:6.96±0.2°、10.80±0.2°、11.71±0.2°、13.39±0.2°、15.55±0.2°、17.35±0.2°、18.45±0.2°、20.62±0.2°、21.16±0.2°、21.81±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のB型結晶の粉末X線回折パターンは、基本的に
図2に示された粉末X線回折パターンを有する。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のB型結晶の粉末X線回折パターンの分析データは表2に示された通りである。
【0042】
【0043】
本発明は、粉末X線回折パターンが下記の2θ角:12.69±0.2°、14.38±0.2°、16.23±0.2°、17.40±0.2°、18.61±0.2°、19.74±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、式(I)で表される化合物のC型結晶をさらに提供する。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のC型結晶の粉末X線回折パターンは、下記の2θ角:12.69±0.2°、14.38±0.2°、16.23±0.2°、17.40±0.2°、18.61±0.2°、19.74±0.2°、20.46±0.2°、20.94±0.2°、21.75±0.2°、25.44±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のC型結晶の粉末X線回折パターンは、基本的に
図3に示された粉末X線回折パターンを有する。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のC型結晶の粉末X線回折パターンの分析データは表3に示された通りである。
【0047】
【0048】
本発明は、粉末X線回折パターンが下記の2θ角:9.33±0.2°、13.94±0.2°、18.82±0.2°、22.76±0.2°、24.24±0.2°、27.90±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、式(I)で表される化合物のD型結晶をさらに提供する。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のD型結晶の粉末X線回折パターンは、基本的に
図4に示された粉末X線回折パターンを有する。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のD型結晶の粉末X線回折パターンの分析データは表4に示された通りである。
【0051】
【0052】
本発明は、粉末X線回折パターンが下記の2θ角:6.84±0.2°、10.65±0.2°、11.53±0.2°、15.41±0.2°、17.29±0.2°、20.65±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、式(I)で表される化合物のE型結晶をさらに提供する。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のE型結晶の粉末X線回折パターンは、下記の2θ角:6.84±0.2°、10.65±0.2°、11.53±0.2°、13.78±0.2°、15.41±0.2°、17.29±0.2°、20.22±0.2°、20.65±0.2°、23.90±0.2°、25.26±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のE型結晶の粉末X線回折パターンは、基本的に
図5に示された粉末X線回折パターンを有する。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のE型結晶の粉末X線回折パターンの分析データは表5に示された通りである。
【0056】
【0057】
本発明は、式(I)で表される化合物のジエチルアミン塩をさらに提供する。
【0058】
本発明は、粉末X線回折パターンが下記の2θ角:10.36±0.2°、10.96±0.2°、12.01±0.2°、13.05±0.2°、16.66±0.2°、18.99±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、式(I)で表される化合物のジエチルアミン塩のF型結晶をさらに提供する。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のF型結晶の粉末X線回折パターンは、下記の2θ角:10.36±0.2°、10.96±0.2°、12.01±0.2°、13.05±0.2°、16.66±0.2°、18.99±0.2°、20.42±0.2°、20.98±0.2°、22.11±0.2°、23.93±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のF型結晶の粉末X線回折パターンは、基本的に
図6に示された粉末X線回折パターンを有する。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のF型結晶の粉末X線回折パターンの分析データは表6に示された通りである。
【0062】
【0063】
本発明は、粉末X線回折パターンが下記の2θ角:7.32±0.2°、9.57±0.2°、11.83±0.2°、12.76±0.2°、13.48±0.2°、14.83±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、式(I)で表される化合物のカルシウム塩のH型結晶をさらに提供する。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のH型結晶の粉末X線回折パターンは、下記の2θ角:7.32±0.2°、9.57±0.2°、11.83±0.2°、12.76±0.2°、13.48±0.2°、14.83±0.2°、16.64±0.2°、17.69±0.2°、18.91±0.2°、21.33±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のH型結晶の粉末X線回折パターンは、基本的に
図8に示された粉末X線回折パターンを有する。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のH型結晶の粉末X線回折パターンの分析データは表8に示された通りである。
【0067】
【0068】
本発明は、粉末X線回折パターンが下記の2θ角:7.27±0.2°、8.93±0.2°、11.23±0.2°、12.34±0.2°、13.66±0.2°、16.06±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、式(I)で表される化合物のカルシウム塩のI型結晶をさらに提供する。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のI型結晶の粉末X線回折パターンは、下記の2θ角:7.27±0.2°、8.93±0.2°、11.23±0.2°、12.34±0.2°、13.66±0.2°、16.06±0.2°、17.97±0.2°、20.82±0.2°、23.42±0.2°、24.38±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のI型結晶の粉末X線回折パターンは、基本的に
図9に示された粉末X線回折パターンを有する。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のI型結晶の粉末X線回折パターンの分析データは表9に示された通りである。
【0072】
【0073】
本発明は、粉末X線回折パターンが下記の2θ角:8.73±0.2°、9.49±0.2°、11.99±0.2°、12.89±0.2°、15.16±0.2°、19.58±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、式(I)で表される化合物のカルシウム塩のJ型結晶をさらに提供する。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のJ型結晶の粉末X線回折パターンは、下記の2θ角:4.52±0.2°、8.73±0.2°、9.49±0.2°、11.99±0.2°、12.89±0.2°、15.16±0.2°、19.58±0.2°、21.96±0.2°、24.84±0.2°、26.66±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のJ型結晶の粉末X線回折パターンは、基本的に
図10に示された粉末X線回折パターンを有する。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のJ型結晶の粉末X線回折パターンの分析データは表10に示された通りである。
【0077】
【0078】
本発明は、粉末X線回折パターンが下記の2θ角:8.57±0.2°、9.32±0.2°、11.06±0.2°、12.65±0.2°、14.08±0.2°、14.71±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、式(I)で表される化合物のカルシウム塩のK型結晶をさらに提供する。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のK型結晶の粉末X線回折パターンは、下記の2θ角:7.66±0.2°、8.57±0.2°、9.32±0.2°、11.06±0.2°、12.65±0.2°、14.08±0.2°、14.71±0.2°、15.08±0.2°、15.79±0.2°、19.29±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のK型結晶の粉末X線回折パターンは、基本的に
図11に示された粉末X線回折パターンを有する。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のK型結晶の粉末X線回折パターンの分析データは下記の表11に示された通りである。
【0082】
【0083】
本発明は、粉末X線回折パターンが下記の2θ角:8.69±0.2°、9.78±0.2°、13.46±0.2°、14.72±0.2°、15.40±0.2°、15.98±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、式(I)で表される化合物のカルシウム塩のL型結晶をさらに提供する。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のL型結晶の粉末X線回折パターンは、基本的に
図12に示された粉末X線回折パターンを有する。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のL型結晶の粉末X線回折パターンの分析データは表12に示された通りである。
【0086】
【0087】
本発明は、粉末X線回折パターンが下記の2θ角:8.09±0.2°、10.87±0.2°、13.62±0.2°、14.55±0.2°、15.77±0.2°、16.39±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、式(I)で表される化合物のカルシウム塩のM型結晶をさらに提供する。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のM型結晶の粉末X線回折パターンは、基本的に
図13に示された粉末X線回折パターンを有する。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のM型結晶の粉末X線回折パターンの分析データは表13に示された通りである。
【0090】
【0091】
本発明は、粉末X線回折パターンが下記の2θ角:7.79±0.2°、12.44±0.2°、14.94±0.2°、16.11±0.2°、17.50±0.2°、20.98±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、式(I)で表される化合物のカルシウム塩のN型結晶をさらに提供する。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のN型結晶の粉末X線回折パターンは、基本的に
図14に示された粉末X線回折パターンを有する。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のN型結晶の粉末X線回折パターンの分析データは表14に示された通りである。
【0094】
【0095】
本発明は、粉末X線回折パターンが下記の2θ角:7.40±0.2°、8.52±0.2°、12.01±0.2°、12.24±0.2°、14.67±0.2°、16.86±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、式(I)で表される化合物のカルシウム塩のO型結晶をさらに提供する。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のO型結晶の粉末X線回折パターンは、下記の2θ角:7.40±0.2°、8.52±0.2°、12.01±0.2°、12.24±0.2°、14.67±0.2°、15.35±0.2°、16.86±0.2°、18.05±0.2°、19.77±0.2°、22.02±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のO型結晶の粉末X線回折パターンは、基本的に
図15に示された粉末X線回折パターンを有する。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のO型結晶の粉末X線回折パターンの分析データは表15に示された通りである。
【0099】
【0100】
本発明は、粉末X線回折パターンが下記の2θ角:11.49±0.2°、13.38±0.2°、14.04±0.2°、16.28±0.2°、16.78±0.2°、20.22±0.2°、20.86±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)で表される化合物のカルシウム塩のP型結晶をさらに提供する。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のP型結晶の粉末X線回折パターンは、下記の2θ角:11.49±0.2°、13.38±0.2°、14.04±0.2°、16.28±0.2°、16.78±0.2°、18.81±0.2°、20.22±0.2°、20.86±0.2°、23.16±0.2°、24.66±0.2°、25.87±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のP型結晶の粉末X線回折パターンは、基本的に
図16に示された粉末X線回折パターンを有する。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のP型結晶の粉末X線回折パターンの分析データは表16に示された通りである。
【0104】
【0105】
本発明は、式(I)で表される化合物のストロンチウム塩をさらに提供する。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の式(I)で表される化合物のストロンチウム塩のQ型結晶は、その粉末X線回折パターンが下記の2θ角:5.01±0.2°、8.96±0.2°、10.08±0.2°、13.54±0.2°、14.84±0.2°、24.67±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のQ型結晶の粉末X線回折パターンは、下記の2θ角:5.01±0.2°、8.96±0.2°、10.08±0.2°、13.54±0.2°、14.84±0.2°、18.43±0.2°、21.10±0.2°、22.10±0.2°、23.80±0.2°、24.67±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のQ型結晶の粉末X線回折パターンは、基本的に
図17に示された粉末X線回折パターンを有する。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のQ型結晶の粉末X線回折パターンの分析データは表17に示された通りである。
【0110】
【0111】
本発明は、前記A型結晶、B型結晶、C型結晶、D型結晶、E型結晶、ジエチルアミン塩、F型結晶、カルシウム塩、G型結晶、H型結晶、I型結晶、J型結晶、K型結晶、L型結晶、M型結晶、N型結晶、O型結晶、P型結晶、ストロンチウム塩又はQ型結晶を含む医薬組成物をさらに提供する。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態において、上記の医薬組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、補助剤、ビヒクル又はそれらの組み合わせをさらに含む。
【0113】
本発明は、S1P1受容体関連疾患に使用される医薬の調製における、前記A型結晶、B型結晶、C型結晶、D型結晶、E型結晶、ジエチルアミン塩、F型結晶、カルシウム塩、G型結晶、H型結晶、I型結晶、J型結晶、K型結晶、L型結晶、M型結晶、N型結晶、O型結晶、P型結晶、ストロンチウム塩、Q型結晶又は医薬組成物の使用をさらに提供する。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のS1P1受容体関連疾患は、潰瘍性大腸炎、クローン病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、関節リウマチ、原発性胆汁性胆管炎、アトピー性皮膚炎、脳内出血、移植片対宿主病、乾癬、I型糖尿病、ざ瘡、微生物感染又は微生物疾患及びウイルス感染とウイルス疾患から選択される。
【0115】
定義と説明
【0116】
特に明記しない限り、本発明で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の通常の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本発明で参照されるすべての特許及び公開出版物は、その全体が参照により本発明に組み込まれる。本発明の実施又は試験には、本明細書に記載のものと類似又は同一の任意の方法及び物質を使用することができるが、好ましい方法、装置、及び物質を本明細書に記載する。
【0117】
「結晶」又は「結晶形」とは、単一成分又は多成分の結晶、及び/又は化合物の結晶多形、溶媒和物、水和物、包接化合物、共晶、塩、塩の溶媒和物、塩の水和物を含むがこれらに限定されない、高度に規則的な化学構造を有する固体を指す。物質の結晶形は、当技術分野で知られている多くの方法によって得ることができる。このような方法には、溶融結晶化、溶融冷却、溶媒結晶化、限定された空間での結晶化(例えば、ナノ細孔又は毛細管における)、表面又はテンプレート上での結晶化(例えば、ポリマー上における)、共結晶化反分子などの添加剤の存在下における結晶化、脱溶媒、脱水、急速蒸発、急速冷却、徐冷、蒸気拡散、昇華、反応性結晶化、反溶媒添加、粉砕、及び溶媒滴粉砕などが含まれるが、これらに限定されない。
【0118】
「非晶質」又は「非晶質形態」とは、物質の粒子(分子、原子、イオン)が周期性なく3次元空間に配列したときに形成される物質を指し、拡散したピークのない粉末X線回折パターンを特徴とする。非晶質は固体物質の特別な物理的形態であり、その局所的に秩序化された構造的特徴は、非晶質が結晶物質と密接不可分の関係にあることを示唆している。物質の非晶質形態は、当技術分野で知られている多くの方法によって得ることができる。このような方法には、急冷法、抗溶媒凝集法、ボールミル法、噴霧乾燥法、凍結乾燥法、湿式造粒法、及び固体分散技術などが含まれるが、これらに限定されない。
【0119】
「溶媒」とは、他の物質(通常は固体)を完全に又は部分的に溶解させることができる物質(通常は液体)を指す。本発明の実施に使用される溶媒には、水、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、ブタノール、tert-ブタノール、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、ギ酸、ヘプタン、ヘキサン、イソプロピルアルコール、メタノール、メチルエチルケトン、1-メチル-2-ピロリドン、メシチレン、ニトロメタン、ポリエチレングリコール、プロパノール、2-プロパノン、ピリジン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、それらの混合物などが含まれるが、これらに限定されない。
【0120】
「反溶媒」とは、溶媒からの生成物(又は生成物前駆体)の沈殿を促進する流体を指す。反溶媒には、冷たいガス、又は化学反応によって沈殿を促進する流体、又は溶媒中での生成物の溶解度を低下させる流体が含まれてもよく、それは溶媒と同じ液体であるが温度が異なるものであっても、溶媒とは異なる液体であってもよい。
【0121】
「溶媒和物」とは、結晶の表面上、結晶格子内、又は表面上と結晶格子内に溶媒があることを指し、ここで、前記溶媒は、水、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、ブタノール、tert-ブタノール、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、ギ酸、ヘプタン、ヘキサン、イソプロピルアルコール、メタノール、メチルエチルケトン、メチルピロリドン、メシチレン、ニトロメタン、ポリエチレングリコール、プロパノール、2-プロパノン、ピリジン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン及びそれらの混合物などであってもよい。溶媒和物の具体例は水和物であり、表面上、又は結晶格子内、又は表面上と結晶格子内の溶媒は水である。物質の表面上、又は結晶格子内、又は表面上と結晶格子内において、水和物は水以外の溶媒を有していてもいなくてもよい。
【0122】
結晶又は非晶質は、粉末X線回折(XRPD)、赤外吸収分光法(IR)、融点法、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、核磁気共鳴、ラマン分光法、X線単結晶回折、溶液熱量測定、走査型電子顕微鏡(SEM)、定量分析、溶解度及び溶解速度などの様々な技術的方法によって識別することができる。
【0123】
粉末X線回折(XRPD)は、結晶の変化、結晶化度、結晶構造状態などの情報を検出でき、結晶を識別するための一般的な方法である。XRPDパターンのピーク位置は主に結晶の構造に依存し、実験の詳細には比較的鈍感であるが、相対的なピークの高さは試料の調製と機器の形状に関連する多くの要因に依存する。従って、いくつかの実施例において、本発明の結晶は、本発明の図面に提供されるXRPDパターンに実質的に示される特定のピーク位置を有するXRPDパターンによって特徴付けられる。同時に、XRPDパターンの2θの測定には実験誤差がある可能性があり、XRPDパターンの2θの測定は、異なる機器や異なる試料間でわずかに異なる可能性があるため、前記2θの値を絶対的なものと見なすことはできない。本発明の試験に使用される機器の状態により、回折ピークには±0.2°の誤差許容範囲がある。
【0124】
示差走査熱量測定(DSC)は、プログラム制御下で連続的に加熱又は冷却することにより、試料と不活性参照物質(通常はα-Al2O3)の間のエネルギー差を温度の関数として測定する技術である。DSC曲線の融解ピークの高さは、試料の調製と機器の形状に関連する多くの要因に依存するが、ピークの位置は実験の詳細には比較的鈍感である。従って、いくつかの実施例において、本発明に記載の結晶は、本発明の図面に提供されるDSCパターンに実質的に示される特徴的なピーク位置を有するDSCパターンによって特徴付けられる。同時に、DSCパターンには実験誤差がある可能性があり、DSCパターンのピーク位置とピーク値は、異なる機器や異なる試料間でわずかに異なる可能性があるため、前記DSC吸熱ピークのピーク位置やピーク値を絶対なものと見なすことはできない。本発明の試験に使用される機器の状態により、融解ピークには±3℃の誤差許容範囲がある。
【0125】
同じ化学組成を持つ固体は、異なる熱力学条件下では異なる結晶構造を持つ異性体又は変異体を形成することがよくあり、この現象は多形性と呼ばれる。温度と圧力の条件が変化すると、変異体は互いに変化する可能性があり、この現象は結晶転移と呼ばれる。結晶の変化により、結晶の機械的、電気的、磁気的等の特性は大きく変化する。結晶転移の温度が測定可能な範囲内にある場合、この転移プロセスは示差走査熱量測定(DSC)パターンで観察することができ、DSCパターンには、この転移プロセスを反映する発熱ピークがあり、転移前後の異なる結晶の特徴的な吸熱ピークである吸熱ピークが同時に2つ以上存在するのが特徴である。本発明の化合物の結晶又は非晶質は、適切な条件下で結晶転移を起こる可能性がある。
【0126】
熱重量分析(TGA)は、プログラム制御下で物質の質量変化を温度の関数として測定する技術であり、結晶中の溶媒の減少や試料の昇華・分解過程を調べるのに適し、結晶中の結晶化水や結晶化溶媒の存在を推測することができる。TGA曲線によって表される質量変化は、試料の調製や機器などの多くの要因に依存し、TGAによって検出される質量変化は、機器や試料によってわずかに異なる。いくつかの実施例において、本明細書に記載のカルシウム塩のA型結晶は、約150℃の温度で重量減少が約5.1%である。本発明の試験に使用される機器の状態により、質量変化には±0.3%の誤差許容範囲がある。
【0127】
本発明の文脈において、粉末X線回折パターンにおける2θ値はすべて度(°)で表示される。
【0128】
「基本的に図に示される」という用語は、X線粉末回折パターン又はDSCパターン又はTGAの結果におけるピークの少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも99%が、そのパターンに示されていることを指す。
【0129】
パターン又はグラフに現れるデータについて言及する場合、「ピーク」とは、背景雑音に起因するものではない、当業者が認識できる特徴を指す。
【0130】
本発明の文脈において、「約」又は「およそ」という語が使用される場合、或いはそれらが使用されるか否かにかかわらず、所定の値又は範囲の10%以内、適切には5%以内、特に1%以内を意味する。或いは、当業者にとって、「約」又は「およそ」という用語は、平均値の許容可能な標準誤差内を意味する。Nの値を持つ数値が開示される場合は常に、N+/-1%、N+/-2%、N+/-3%、N+/-5%、N+/-7%、N+/-8%、又はN+/-10%以内の数値が明示的に開示され、ここで、「+/-」はプラス又はマイナスを指す。
【0131】
「含む」という用語は自由な表現であり、すなわち、本発明で特定される内容を含むが、他の態様を排除するものではない。
【0132】
本発明の塩形態又は結晶又は医薬組成物は、S1P1受容体関連疾患に使用される医薬の調製に使用することができる。ここで、S1P1受容体関連疾患は、潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis)、クローン病(Crohn’s disease)、多発性硬化症(Multiple sclerosis)、全身性エリテマトーデス(Systemic lupus erythematosus)、ループス腎炎(Lupus nephritis)、関節リウマチ(Rheumatoid arthritis)、原発性胆汁性胆管炎(Primary Biliary Cholangitis)、アトピー性皮膚炎(Atopic Dermatitis)、脳内出血(Intracerebral hemorrhage)、移植片対宿主病(Graft versus Host Disease)、乾癬(Psoriasis)、I型糖尿病(Type I diabetes)、ざ瘡(Acne)、微生物感染又は微生物疾患、及びウイルス感染又はウイルス疾患から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【
図1】A型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図2】B型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図3】C型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図4】D型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図5】E型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図6】F型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図7】G型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図8】H型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図9】I型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図10】J型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図11】K型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図12】L型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図13】M型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図14】N型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図15】O型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図16】P型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図17】Q型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図18】G型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図19】G型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図20】G型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【
図21】G型結晶の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0134】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これらは本発明を何ら不利に限定するものではない。本発明は本明細書において詳細に説明されており、その特定の実施形態も開示されており、当業者にとって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の特定の実施形態に対して様々な変更及び改良を実行することができることは明らかである。
【0135】
本発明で使用される粉末X線回折分析方法は、室温で、Bruker D2 PHASER回折計(300W低出力X線エミッター)を使用して粉末X線回折試験を実行する。試験中、試料粉末を配置するためにシリコンウェハーを使用し、X線Cu(Kα)管を使用し、Kα2/Kα1の強度比は0.50(1.54439Å/1.5406Å)である。機器を30kV及び10mA、ステップサイズ0.02°(2θ)、ステップあたりのスキャン時間0.15秒、合計1837ステップに設定する。
【0136】
本発明で使用される示差走査熱量測定(DSC)分析方法は、TA Discovery DSCを使用して示差走査熱量測定データを収集する。具体的な方法は、数ミリグラムの試料を秤量してTzeroアルミニウムトレイに入れ、対応するTzeroアルミニウムトレイの蓋で密封する。窒素ガス雰囲気下で、密封した試料を室温から300℃まで10℃/minの昇温速度で加熱させる。
【0137】
本発明で使用される熱重量分析(TGA)分析方法は、TA Discovery TGAを使用して熱重量分析データを収集する。具体的な方法は、窒素ガス雰囲気下で、数ミリグラムの試料を室温から350℃まで10℃/minの昇温速度で加熱させる。
【0138】
本発明で使用される偏光顕微鏡(PLM)分析方法は、Olympus BX53M偏光顕微鏡を使用して室温で試料の形態を分析する。
【0139】
本発明で使用される高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析方法は、Agilent 1260を使用して試料の純度及び安定性を試験し、使用される条件は下記の表18に示された通りである。
【0140】
【0141】
本発明で使用される吸湿性分析方法は、SMS ADVENTURE DVSを使用し、25℃の窒素ガス雰囲気下で試料の吸湿性を評価する。試験には約30mgの試料を使用し、試験方法は下記の通りである:
【0142】
方法1(無水結晶の場合):
0%RH~95%RH、各段階10%RH上昇(90~95%RHは5%RH上昇)、
95%RH~0%RH、各段階10%RH降下(95~90%RHは5%RH降下)。
【0143】
方法2(水共溶媒和物の場合):
周囲湿度~95%RH、各段階10%RH上昇(90~95%RHは5%RH上昇)、
95%RH~0%RH、各段階10%RH降下(95~90%RHは5%RH降下)、
0%RH~95%RH、各段階10%RH上昇(90~95%RHは5%RH上昇)。
【0144】
本発明における水分含有量を測定するための分析方法は、スイスのMetrohm870/803のカールフィッシャー水分滴定装置(Karl Fischer、KF)を使用して試料の水分含有量データを収集する。測定は容量法を使用して実行され、滴定剤はHYDRANAL Composite-2(Sigma-Aldrich、P/N:34806)であり、溶媒は無水メタノールであり、撹拌時間は30sである。具体的な操作は、~50mgの試料を秤量し(0.001gの精度)、上記のKF水分滴定装置で試料の水分含有量を測定し、並行して2回測定し、平均値を取る。
【0145】
本発明の液体核磁気(1H NMR):試料分析はBruker 400M核磁気を使用し、溶媒としてDMSO-d6を使用する。
【0146】
本発明の固体核磁気(ssNMR):Bruker社の500MHzワイドボア固体核磁気共鳴分析装置(400 MHz WB Solid-State Nuclear Magnetic Resonance Spectrometer)、4mm二重共鳴マジック角コイル回転プローブを使用してデータを収集する。交差偏波/マジック角回転(CP/MAS)法を使用し、回転側波帯の影響を回避するために、同時に側波帯抑制技術(TOSS)を埋め込み、試料の13Cフィンガープリントパターンを収集する。交差偏極整合条件はアダマンタンを使用して最適化され、化学シフトはアダマンタン高磁場信号(29.5ppm)を使用して補正される。マジック角速度8kHz、1H90度パルス3.45us、デカップリング方式TPPM。具体的な試験条件は下記の通りである:
【0147】
2#試験:パルス遅延8s、接触時間2ms、累積1500回。
3#試験:パルス遅延2s、接触時間2ms、累積1500回。
4#試験:パルス遅延2s、接触時間0.2ms、累積3100回。
【0148】
本発明で使用される溶媒の略語又は英語の日本語の意味は、下記の表19に示された通りである:
【0149】
【0150】
以下、当業者が本発明をよりよく理解できるようにするために、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0151】
実施例1:A型結晶の調製
室温で、式(I)で表される化合物をアニソール/n-ヘプタン(4:3、v/v)中で撹拌して固体を析出させ、ろ過し、45℃で36時間真空乾燥させて、A型結晶を得た。
【0152】
実施例2:B型結晶の調製
式(I)で表される化合物(2.0g)をIPAC(10mL)に溶解させ、60℃まで加熱させ、ヘプタン(40mL)を滴加し、40℃まで冷却させ、大量の固体が析出し始め、ヘプタン(10mL)を追加し、2時間撹拌し、ろ過し、45℃で36時間真空乾燥させて、B型結晶を得た。
【0153】
実施例3:D型結晶の調製
室温で、式(I)で表される化合物をMeOH/H2O(9:2、v/v)中で撹拌して固体を析出させ、ろ過し、45℃で36時間真空乾燥させて、D型結晶を得た。
【0154】
実施例4:C型結晶の調製
D型結晶を137℃まで加熱させて、C型結晶を得た。
【0155】
実施例5:E型結晶の調製
室温で、式(I)で表される化合物をCPME/ヘプタン(2:3、v/v)中で撹拌して固体を析出させ、ろ過し、45℃で36時間真空乾燥させて、E型結晶を得た。
【0156】
実施例6:F型結晶の調製(塩形成ステップを含む)
式(I)で表される化合物(0.4g)を室温でEtOH(3.0mL)に溶解させ、撹拌して溶解させ、ジエチルアミンのエタノール溶液(ジエチルアミン:69.4mg、エタノール:0.8mL)をゆっくりと加え、室温で19時間撹拌して固体を析出させ、ろ過し、30℃で3時間真空乾燥させて、F型結晶を得た。
【0157】
【0158】
方法1:式(I)で表される化合物(0.2651kg、0.595mol)、無水エタノール(0.9488kg)を反応釜に加え、35~45℃まで昇温させ、5~30分間撹拌した。ナトリウムエトキシド溶液(ナトリウムエトキシド:0.035Kg、0.514mol、無水エタノール:0.6310kg)を加え、2~3時間撹拌し、塩化カルシウム溶液(塩化カルシウム:0.040Kg、0.357mol、精製水:0.847Kg)を滴加し、1~3時間撹拌して反応させ、20~30℃まで冷却させ、4~6時間撹拌し、ろ過し、ケーキを精製水ですすぎ、エタノールですすいだ。ケーキを25~35℃で減圧乾燥させて、0.2185kgのG型結晶の式(II)で表される化合物を得、収率は79.1%であった。
【0159】
方法2:式(I)で表される化合物10.72gを一口フラスコに秤量し、EtOH(105mL)を加え、~0.5時間磁気撹拌し、C2H5Ona(1.64g)を加え、室温で1.5時間撹拌し、無水CaCl2(1.5g)をEtOH/H2O(2:1、v/v、45mL)に溶解させ、1%種結晶(G型結晶)塩化カルシウム溶液を加え、塩化カルシウム溶液を滴加し、16時間撹拌し、懸濁液を取り、試料のXRPDを測定し、D型結晶であることを示し、ろ過し、ケーキをH2O及びEtOHで各2回洗浄し、湿潤試料のXRPDを測定し、J型結晶であることを示し、50℃で4時間減圧乾燥させ、XRPDを測定し、G型結晶であることを示した。
【0160】
方法3:式(I)で表される化合物(21mg)にCa(OH)2(2mg)を加え、0.2mLのEtOH/H2O(9:1、v/v)を加え、室温で3日間磁気撹拌し、ろ過し、50℃で2時間真空乾燥させて、G型結晶を得た。
【0161】
方法4:式(I)で表される化合物(21mg)にCa(OH)2(2mg)を加え、0.2mLのIPA/H2O(9:1、v/v)を加え、室温で4日間磁気撹拌し、ろ過し、50℃で2時間真空乾燥させて、G型結晶を得た。
【0162】
方法3でろ過された生成物について、異なる乾燥時間、温度、又は真空度を使用して、水と溶媒の含有量を測定し、そのXRPDを検出し、結果は下記の表20に示された通りである。
【0163】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【0164】
異なる溶媒におけるのG型結晶の安定性の検証:
【0165】
方法1:G型結晶(50mg)に0.5mLの対応する溶媒(対応する溶媒は、EtOH、H2O、EtOH/H2O=970/30、927/73、855/145、704/296、v/vであってもよい)を加え、室温で4日間磁気撹拌し、ろ過し、50℃で2時間真空乾燥させて、G型結晶を得た。
【0166】
方法2:G型結晶(15mg)を4mLのガラス瓶に加え、3mLの揮発性溶媒(MeOH又はEtOHであってもよい)を含む20mLのガラス瓶に入れた。20mLのガラス瓶にしっかりと蓋をし、室温で約1週間放置した後、ろ過し、50℃で2時間真空乾燥させて、G型結晶を得た。
【0167】
実施例8:H型結晶の調製
G型結晶(50mg)にMeOH(0.5mL)を加え、室温で4日間磁気撹拌し、ろ過して、H型結晶を得た。
【0168】
実施例9:I型結晶の調製
G型結晶(50mg)をHPLCバイアルに加え、MeOH(0.5mL)を加え、50℃で7日間磁気撹拌し、懸濁液を得、ろ過して、I型結晶を得た。
【0169】
実施例10:J型結晶の調製
方法1:G型結晶(50mg)に0.5mLの溶媒(溶媒は2-ブタノール又はトルエンであってもよい)を加え、室温で4日間磁気撹拌し、ろ過して、J型結晶を得た。
方法2:G型結晶(50mg)をHPLCバイアルに加え、IPA(0.5mL)を加え、50℃で7日間磁気撹拌し、懸濁液を得、ろ過して、J型結晶を得た。
方法3:G型結晶(50mg)をHPLCバイアルに加え、EtOAc/n-ヘプタン=1/2、v/v(0.5mL)を加え、50℃で7日間磁気撹拌し、懸濁液を得、ろ過して、J型結晶を得た。
方法4:~21mgの実施例1の式(I)で表される化合物(純度93面積%)及び~2mgのCa(OH)2をHPLCバイアルに秤量し、0.2mLのEtOH/H2O(9:1、v/v)を加え、室温で磁気撹拌し、3日間撹拌した後、遠心分離し、湿潤試料をXRPDにより検出し、J型結晶であった。
【0170】
実施例11:K型結晶の調製
G型結晶(50mg)をHPLCバイアルに加え、2-MeTHF/n-ヘプタン=1/2、v/v(0.5mL)を加え、50℃で7日間磁気撹拌し、懸濁液を得、ろ過して、K型結晶を得た。
【0171】
実施例12:L型結晶の調製
窒素ガス保護下で、K型結晶を80℃まで加熱させ、室温まで冷却させて、L型結晶を得た。
【0172】
実施例13:M型結晶の調製
G型結晶(15mg)を20mLのガラス瓶に加え、DMFを加え、室温で撹拌して溶解させた。固体が現れるまでガラス瓶にH2Oを徐々に加え、ろ過して、M型結晶を得た。
【0173】
実施例14:N型結晶の調製
G型結晶(15mg)を4mLのガラス瓶に加え、DMFを加えて透明に溶解させた。透明に溶解できない場合は、懸濁液を膜ろ過(ナイロン膜、膜孔径0.22μm)し、溶液をそれぞれ4mLのH2Oを入れた20mLのガラス瓶に入れた。20mLのガラス瓶にしっかりと蓋をし、固体が析出するまで室温に放置し、ろ過して、N型結晶を得た。
【0174】
実施例15:O型結晶の調製
G型結晶試料をアセトンに溶解させ、約10分間放置した後、固体が析出し、ろ過して、O型結晶を得た。
【0175】
実施例16:P型結晶の調製
G型結晶(15mg)を20mLのガラス瓶に加え、アセトンを加え、室温で撹拌して溶解させた。固体が現れるまでガラス瓶にMTBEを徐々に加え、ろ過して、P型結晶を得た。
【0176】
実施例17:Q型結晶の調製
式(I)で表される化合物(110mg)を20mLの一口フラスコに加え、EtOH(1mL)を加え、透明になるまで磁気撹拌し、ナトリウムエトキシド(16mg)を加え、40℃で1時間磁気撹拌して反応させ、塩化ストロンチウム水溶液(300mg/mL)0.1mLを滴加し、28℃で12時間撹拌して反応させ、ろ過し、乾燥させて、Q型結晶を得た。
【0177】
実施例18
本発明者らは、上記に開示されたA~Q型結晶のうち、一部は調製再現性が悪く、一部は精製できないことを見出し、調製再現性が良く、精製が容易なA型結晶、B型結晶、G型結晶、Q型結晶の4つを選択し、同じ条件下で、それぞれ高温、高湿、光照条件下で試験を実行し、その安定性を調べ、試験プロトコールと結果は下記の表25に示され、形状の変化は表26に示された通りである。
【0178】
【0179】
上記の表25及び26から、G型結晶は他の結晶に比較して、高温、高湿、光照条件下でより高い安定性を有することが分かった。
【0180】
実施例19
25℃及び40℃の保存条件下で調べた、同じ質量及び包装のA型結晶、B型結晶、G型結晶、Q型結晶の純度は表27に示された通りである。
【0181】
【0182】
上記の表27から、G型結晶は25℃及び40℃で90日間保存した場合、より高い安定性を有することが分かった。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物のカルシウム塩。
【化1】
【請求項2】
【化2】
である、請求項1に記載のカルシウム塩。
【請求項3】
粉末X線回折パターンが下記の2θ角:8.98±0.2°、10.12±0.2°、13.56±0.2°、14.66±0.2°、15.22±0.2°、18.48±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(II)で表される化合物のG型結晶。
【化3】
【請求項4】
前記G型結晶の粉末X線回折パターンが下記の2θ角:8.98±0.2°、10.12±0.2°、13.56±0.2°、14.66±0.2°、15.22±0.2°、16.34±0.2°、16.92±0.2°、18.48±0.2°、22.67±0.2°、23.06±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、請求項3に記載のG型結晶。
【請求項5】
水及び溶媒をさらに含み、
ただし、
前記溶媒は、エタノール及びイソプロピルアルコールから選択され、
前記溶媒の含有量は0.1%~6.0%であり、
前記水の含有量は0.1%~4.0%であることを特徴とする、請求項
3に記載のG型結晶。
【請求項6】
式(I)で表される化合物をナトリウムエトキシド溶液に溶解させ、次に塩化カルシウムの存在下で撹拌し、ろ過し、減圧乾燥させてG型結晶を得ることを含むことを特徴とする、
請求項3~5のいずれか一項に記載のG型結晶を調製する方法。
【化4】
【請求項7】
請求項3~
5のいずれか一項に記載のG型結晶を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項8】
S1P1受容体関連疾患に使用される医薬の調製における
、請求項3~
5のいずれか一項に記載のG型結
晶の使用。
【請求項9】
前記S1P1受容体関連疾患は、潰瘍性大腸炎、クローン病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、関節リウマチ、原発性胆汁性胆管炎、アトピー性皮膚炎、脳内出血、移植片対宿主病、乾癬、I型糖尿病、ざ瘡、微生物感染又は微生物疾患、及びウイルス感染とウイルス疾患から選択される、請求項
8に記載の使用。
【請求項10】
請求項1又は2に記載のカルシウム塩を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項11】
S1P1受容体関連疾患に使用される医薬の調製における、請求項1又は2に記載のカルシウム塩の使用。
【請求項12】
前記S1P1受容体関連疾患は、潰瘍性大腸炎、クローン病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、関節リウマチ、原発性胆汁性胆管炎、アトピー性皮膚炎、脳内出血、移植片対宿主病、乾癬、I型糖尿病、ざ瘡、微生物感染又は微生物疾患、及びウイルス感染とウイルス疾患から選択される、請求項11に記載の使用。
【国際調査報告】