IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アムジェン インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】アプレミラストの経口懸濁液
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4035 20060101AFI20241126BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241126BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20241126BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61K31/4035
A61K9/10
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/26
A61P17/06
A61P29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536996
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 US2021065047
(87)【国際公開番号】W WO2023121670
(87)【国際公開日】2023-06-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500203709
【氏名又は名称】アムジェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100141265
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 有紀
(72)【発明者】
【氏名】ゴン,ユチュアン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076BB01
4C076CC05
4C076CC20
4C076DD38
4C076DD38T
4C076DD43Z
4C076DD45R
4C076DD67T
4C076EE31F
4C076EE32F
4C076EE58F
4C076FF12
4C076FF16
4C076FF39
4C076FF43
4C076FF52
4C076FF61
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA10
4C086BC11
4C086GA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA23
4C086MA52
4C086NA09
4C086NA10
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZC20
4C086ZC41
4C086ZC51
(57)【要約】
本明細書では、a)アプレミラスト、b)懸濁化剤、c)甘味料、d)ビヒクル、共溶媒、緩衝剤、防腐剤又はそれらの組み合わせの1つ以上を含む、経口投与のための懸濁液が提供される。本明細書では、a)アプレミラスト、b)微結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウム、c)キサンタンガム、d)スクロース、e)ソルビトール、f)グリセリン、g)プロピレングリコール、h)クエン酸一水和物、i)メチルパラベン、j)プロピルパラベン、及びk)水を含む、経口投与のための懸濁液も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口投与のための懸濁液であって、
a.アプレミラストと、
b.懸濁化剤と、
c.甘味料と、
d.ビヒクル、共溶媒、緩衝剤、防腐剤又はそれらの組み合わせの1つ以上と、
e.水と
を含む懸濁液。
【請求項2】
前記アプレミラストは、3~10mg/mLの総濃度で前記懸濁液中に存在する、請求項1に記載の懸濁液。
【請求項3】
前記アプレミラストは、5mg/mLの総濃度で前記懸濁液中に存在する、請求項2に記載の懸濁液。
【請求項4】
前記懸濁化剤は、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、キサンチンガム、カラギーナン;グアーガム、ローカストビーンガム、カルボマー、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の懸濁液。
【請求項5】
前記懸濁化剤は、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとのブレンド(微結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウムブレンド)及びキサンタンガムを含む、請求項4に記載の懸濁液。
【請求項6】
前記微結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウムブレンド及びキサンタンガムは、3.4:1~4:1以下の濃度比で存在する、請求項5に記載の懸濁液。
【請求項7】
前記比は、3.7:1である、請求項6に記載の懸濁液。
【請求項8】
前記懸濁化剤は、8.5mg/mLの総濃度で前記懸濁液中に存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の懸濁液。
【請求項9】
前記甘味料は、スクロース、ソルビトール、アスパルテーム、フルクトース、ラクトース又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の懸濁液。
【請求項10】
前記甘味料は、スクロース及びソルビトールを含む、請求項9に記載の懸濁液。
【請求項11】
前記甘味料は、500mg/mL以下の総濃度で前記懸濁液中に存在する、請求項9又は10に記載の懸濁液。
【請求項12】
前記甘味料は、380mg/mLの総濃度で前記懸濁液中に存在する、請求項11に記載の懸濁液。
【請求項13】
前記甘味料は、150~225mg/mLの濃度のスクロースと、150~225mg/mLの濃度のソルビトールとを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の懸濁液。
【請求項14】
前記甘味料は、スクロースとソルビトールとを1対1の濃度比で含む、請求項13に記載の懸濁液。
【請求項15】
ビヒクルを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の懸濁液。
【請求項16】
前記ビヒクルは、グリセリンを含む、請求項15に記載の懸濁液。
【請求項17】
前記ビヒクルは、100mg/mL~200mg/mLの総濃度で前記懸濁液中に存在する、請求項15又は16に記載の懸濁液。
【請求項18】
前記ビヒクルは、133mg/mLの総濃度で存在する、請求項17に記載の懸濁液。
【請求項19】
共溶媒を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の懸濁液。
【請求項20】
共溶媒は、プロピレングリコールを含む、請求項19に記載の懸濁液。
【請求項21】
前記共溶媒は、10mg/mL~20mg/mLの総濃度で前記懸濁液中に存在する、請求項19又は20に記載の懸濁液。
【請求項22】
前記共溶媒は、14mg/mLの総濃度で存在する、請求項21に記載の懸濁液。
【請求項23】
緩衝剤を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の懸濁液。
【請求項24】
前記緩衝剤は、クエン酸若しくはその水和物、クエン酸塩、酒石酸、酒石酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、リン酸、リン酸塩、酢酸、酢酸塩又はそれらの組み合わせを含む、請求項23に記載の懸濁液。
【請求項25】
前記緩衝剤は、クエン酸一水和物を含む、請求項24に記載の懸濁液。
【請求項26】
前記緩衝剤は、1mg/mL~5mg/mLの総濃度で前記懸濁液中に存在する、請求項23~25のいずれか一項に記載の懸濁液。
【請求項27】
前記緩衝剤は、1.8mg/mLの総濃度で存在する、請求項26に記載の懸濁液。
【請求項28】
防腐剤を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の懸濁液。
【請求項29】
前記防腐剤は、メチルパラベン、プロピルパラベン又はそれらの組み合わせを含む、請求項28に記載の懸濁液。
【請求項30】
前記防腐剤は、メチルパラベン及びプロピルパラベンを含む、請求項29に記載の懸濁液。
【請求項31】
前記メチルパラベン及びプロピルパラベンは、9:1の濃度比で存在する、請求項30に記載の懸濁液。
【請求項32】
前記防腐剤は、1mg/mL~2.5mg/mLの総濃度で前記懸濁液中に存在する、請求項28~31のいずれか一項に記載の懸濁液。
【請求項33】
前記防腐剤は、1.7mg/mLの総濃度で存在する、請求項32に記載の懸濁液。
【請求項34】
メチルパラベンは、0.9mg/mL以上の濃度で存在し、及びプロピルパラベンは、0.1mg/mL以上の濃度で存在する、請求項30~32のいずれか一項に記載の懸濁液。
【請求項35】
a)アプレミラスト、b)微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとのブレンド、c)キサンタンガム、d)スクロース、e)ソルビトール、f)グリセリン、g)プロピレングリコール、h)クエン酸一水和物、i)メチルパラベン、j)プロピルパラベン、及びk)水を含む、経口投与のための懸濁液。
【請求項36】
a)5mg/mLのアプレミラスト、b)6.7mg/mLの、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの前記ブレンド、c)1.8mg/mLのキサンタンガム、d)190mg/mLのスクロース、e)190mg/mLのソルビトール、f)133mg/mLのグリセリン、g)14mg/mLのプロピレングリコール、h)1.8mg/mLのクエン酸一水和物、i)1.5mg/mLのメチルパラベン、j)0.17mg/mLのプロピルパラベン、及びk)水を含む、請求項35に記載の懸濁液。
【請求項37】
a)5mg/mLのアプレミラスト、b)6.7mg/mLの、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの前記ブレンド、c)1.8mg/mLのキサンタンガム、d)190mg/mLのスクロース、e)190mg/mLのソルビトール、f)133mg/mLのグリセリン、g)14mg/mLのプロピレングリコール、h)1.8mg/mLのクエン酸一水和物、i)0.9mg/mLのメチルパラベン、j)0.10mg/mLのプロピルパラベン、及びk)水を含む、請求項35に記載の懸濁液。
【請求項38】
a)5mg/mLのアプレミラスト、b)6.7mg/mLの、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの前記ブレンド、c)1.8mg/mLのキサンタンガム、d)190mg/mLのスクロース、e)190mg/mLのソルビトール、f)133mg/mLのグリセリン、g)14mg/mLのプロピレングリコール、h)1.8mg/mLのクエン酸一水和物、i)1.1mg/mLのメチルパラベン、j)0.12mg/mLのプロピルパラベン、及びk)水を含む、請求項35に記載の懸濁液。
【請求項39】
a)5mg/mLのアプレミラスト、b)6.7mg/mLの、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの前記ブレンド、c)1.8mg/mLのキサンタンガム、d)190mg/mLのスクロース、e)190mg/mLのソルビトール、f)133mg/mLのグリセリン、g)14mg/mLのプロピレングリコール、h)1.8mg/mLのクエン酸一水和物、i)1.2mg/mLのメチルパラベン、j)0.14mg/mLのプロピルパラベン、及びk)水を含む、請求項35に記載の懸濁液。
【請求項40】
絶食条件下での患者への投与時、同等のアプレミラスト含量の即放性経口アプレミラスト錠剤のAUCの90%~110%のAUCを有する、請求項1~39のいずれか一項に記載の懸濁液。
【請求項41】
PDE4を阻害することによって改善される疾患又は障害に罹患している患者を治療する方法であって、請求項1~40のいずれか一項に記載の懸濁液を前記患者に投与することを含む方法。
【請求項42】
前記疾患又は障害は、乾癬、乾癬性関節炎又はベーチェット病である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記患者は、小児患者である、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
請求項1~40のいずれか一項に記載の懸濁液と、ボトルと、ストッパーとを含むパッケージ化懸濁液。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
アプレミラストは、ホスホジエステラーゼサブタイプIV(「PDE4」)阻害剤であり、炎症に関連する様々な疾患の治療のために世界的に承認されている。例えば、米国では、アプレミラストは、光線療法又は全身療法の候補である中等度~重度の尋常性乾癬を有する成人患者の治療、活動性乾癬性関節炎を有する成人患者の治療及びベーチェット病に関連する口腔潰瘍を有する成人患者の治療のために承認されている。アプレミラストは、最初のものであり、依然として、これらの炎症性疾患の治療のために承認された、経口投与される唯一のPDE4阻害剤である。活動性PsA及び乾癬を有する成人患者に推奨される投与量は、初期治療に関連する胃腸(GI)症状を軽減することを意図した5日間の滴定後、経口で1日2回(BID)30mgである。アプレミラストは、上昇した炎症性サイトカインレベルを伴う追加の炎症性自己免疫障害の治療のために依然として臨床開発中である。
【0002】
アプレミラストは、尋常性乾癬、乾癬性関節炎(例えば、若年性PsA)及びベーチェット病について小児集団で現在調査中である。しかしながら、患者のコンプライアンスを確実にするために、飲み込んで投与しやすく、小児患者などの特定の患者集団での使用に好適であるアプレミラスト製剤の必要性が存在する。したがって、アプレミラスト懸濁製剤は、アプレミラスト錠剤を飲み込むことができない小児対象に投与するために必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記を考慮して、臨床的に望ましい薬物曝露を提供するアプレミラストの代替経口剤形が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、a)アプレミラスト、b)懸濁化剤、c)甘味料、d)ビヒクル、共溶媒、緩衝剤、防腐剤又はそれらの組み合わせの1つ以上、及びe)水を含む、経口投与のための懸濁液を提供する。
【0005】
本開示は、a)アプレミラスト、b)微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとのブレンド、c)キサンタンガム、d)スクロース、e)ソルビトール、f)グリセリン、g)プロピレングリコール、h)クエン酸一水和物、i)メチルパラベン、j)プロピルパラベン、及びk)水を含む、経口投与のための懸濁液も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】経口懸濁液と従来の錠剤との間の平均アプレミラスト血漿濃度時間プロファイルを示す(線形目盛)。
図2】経口懸濁液と従来の錠剤との間の平均アプレミラスト血漿濃度時間プロファイルを示す(片対数目盛)。
図3】平均アプレミラスト血漿濃度時間プロファイル(食事の影響)経口懸濁液を示す(線形目盛)。
図4】平均アプレミラスト血漿濃度時間プロファイル(食事の影響)経口懸濁液を示す(片対数目盛)。
図5A】25℃及び60%相対湿度で36ヶ月にわたる開示された懸濁液の安定性試験からのアッセイの結果を示す。
図5B】25℃及び60%相対湿度で36ヶ月にわたる開示された懸濁液の安定性試験からの全分解生成物の結果を示す。
図5C】25℃及び60%相対湿度で36ヶ月にわたる開示された懸濁液の安定性試験からのメチルパラベン含有量の結果を示す。
図5D】25℃及び60%相対湿度で36ヶ月にわたる開示された懸濁液の安定性試験からのプロピルパラベン含有量の結果を示す。
図5E】25℃及び60%相対湿度で36ヶ月にわたる開示された懸濁液の安定性試験からの粘度の結果を示す。
図5F】25℃及び60%相対湿度で36ヶ月にわたる開示された懸濁液の安定性試験からの密度の結果を示す。
図5G】25℃及び60%相対湿度で36ヶ月にわたる開示された懸濁液の安定性試験からのpHの結果を示す。
図5H】40℃及び75%相対湿度で6ヶ月にわたる開示された懸濁液の安定性試験からのアッセイの結果を示す。
図5I】40℃及び75%相対湿度で6ヶ月にわたる開示された懸濁液の安定性試験からの分解生成物に由来するアッセイ結果を示す。
図5J】40℃及び75%相対湿度で6ヶ月にわたる開示された懸濁液の安定性試験からのメチルパラベン含有量の結果を示す。
図5K】40℃及び75%相対湿度で6ヶ月にわたる開示された懸濁液の安定性試験からのプロピルパラベン含有量の結果を示す。
図5L】40℃及び75%相対湿度で6ヶ月にわたる開示された懸濁液の安定性試験からの粘度の結果を示す。
図5M】40℃及び75%相対湿度で6ヶ月にわたる開示された懸濁液の安定性試験からの密度の結果を示す。
図5N】40℃及び75%相対湿度で6ヶ月にわたる開示された懸濁液の安定性試験からの密度の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書では、a)アプレミラスト、b)懸濁化剤、c)甘味料、d)ビヒクル、共溶媒、緩衝剤、防腐剤又はそれらの混合物の1つ以上、及びe)水を含む、経口投与のための懸濁液が提供される。
【0008】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるように、a)アプレミラスト、b)微結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウム、c)キサンタンガム、d)スクロース、e)ソルビトール、f)グリセリン、g)プロピレングリコール、h)クエン酸一水和物、i)メチルパラベン、j)プロピルパラベン、及びk)水を含む、経口投与のための懸濁液を提供する。いくつかの実施形態では、懸濁液は、本明細書に記載されるように、a)5mg/mLのアプレミラスト、b)6.7mg/mLの微結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウム、c)1.8mg/mLのキサンタンガム、d)190mg/mLのスクロース、e)190mg/mLのソルビトール、f)133mg/mLのグリセリン、g)14mg/mLのプロピレングリコール、h)1.8mg/mLのクエン酸一水和物、i)1.5mg/mLのメチルパラベン、j)0.17mg/mLのプロピルパラベン、及びk)水を含む。
【0009】
開示された懸濁液は、同等のアプレミラスト含量(strength)の即放性経口アプレミラスト錠剤と同等の曲線下面積(AUC)(例えば、生物学的同等性)を有する。いくつかの実施形態では、懸濁液は、絶食条件下での患者への投与時、同等のアプレミラスト含量の即放性経口アプレミラスト錠剤のAUCの80~125%又は90%~110%の曲線下面積(AUC)を有する。
【0010】
アプレミラスト
開示される懸濁液は、好適な量(例えば、濃度)のアプレミラストを含む。望ましくは、懸濁液は、同等のアプレミラスト含量の即放性経口アプレミラスト錠剤と同等の曲線下面積(AUC)(例えば、生物学的同等性)を提供するために好適であるアプレミラストの量を含有する。懸濁液があまりにも少量のアプレミラストを含む場合、懸濁液は臨床的に適切な量のアプレミラストを送達せず、投与した場合に有効ではない。逆に、懸濁液があまりに大量のアプレミラストを含む場合、懸濁液は、アプレミラストの使用において非効率的であり、コストがかかり過ぎ、且つ/又は意図した患者集団(例えば、小児患者)に最適ではなく、且つ/又は有害事象を誘発する可能性がある。いくつかの実施形態では、アプレミラストは、3~10mg/mL(例えば、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5又は10.0mg/mLのアプレミラスト及びこれらの値のいずれか2つによって定義される任意の範囲)の総濃度で懸濁液中に存在する。いくつかの実施形態では、アプレミラストは、5mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する。
【0011】
懸濁化剤
開示される懸濁液は、懸濁化剤を含む。懸濁化剤は、任意の好適な懸濁化剤であり得る。いくつかの企図される懸濁化剤としては、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン(PVP)及びAvicel(登録商標)RC-591又はAvicel(登録商標)CL-611などの微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとのブレンドなどの市販の懸濁化剤が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、懸濁化剤は、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、キサンチンガム、カラギーナン;グアーガム、ローカストビーンガム、カルボマー、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、懸濁化剤は、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムブレンド及びキサンタンガムのブレンドを含む。いくつかの実施形態では、懸濁化剤は、キサンタンガムを含む。
【0012】
開示される懸濁液は、好適な量の懸濁化剤を含む。懸濁液があまりに少量の懸濁化剤を含む場合、懸濁液は、安定性を欠如し得る。懸濁液があまりに大量の懸濁化剤を含む場合、懸濁液は、所望の物理的特性を有することができない(例えば、あまりに粘稠性である)。いくつかの実施形態では、懸濁化剤は、5mg/mL~10mg/mL(例えば、5、6、7、8、9又は10mg/mL及びこれらの値のいずれか2つによって定義される任意の範囲)の総濃度で存在し得る。いくつかの実施形態では、懸濁化剤は、8.5mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する。
【0013】
いくつかの実施形態では、懸濁液は、2つ以上の懸濁化剤を含む。2つ以上の懸濁化剤が存在する実施形態では、懸濁化剤の各々は、同じ量又は異なる量で存在し得る。例えば、懸濁化剤が微結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウムブレンド及びキサンタンガムを含むいくつかの実施形態では、微結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウムブレンドとキサンチンガムとは、4対1未満(例えば、4:1、3.9:1、3.8:1、3.7:1、3.6:1、3.5:1、3.4:1、3.3:1、3.2:1、3.1:1又は3:1及びこれらの値のいずれか2つによって定義される任意の範囲)の濃度比で存在する。例として、いくつかの実施形態では、微結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウムブレンド及びキサンタンガムと、3:4:1~4:1(例えば、3:5:1~3.9:1又は3:6:1~3.8:1)の濃度比で存在する。いくつかの実施形態では、微結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウムブレンド及びキサンタンガムは、3.7:1の濃度比で存在する。いくつかの実施形態では、微結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウムブレンドは、6.7mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在し、キサンタンガムは、1.8mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する。
【0014】
甘味料
開示される懸濁液は、甘味料を含む。甘味料は、任意の好適な甘味料であり得る。甘味料及び任意の他の成分の選択は、所望の患者集団と適合性があることが理解される。例えば、懸濁液が小児集団を意図している場合、好適な成分(例えば、甘味料)が使用され、甘味料は、小児集団と適合性があるものである。望ましくは、甘味料は、嗜好性を改善する。企図される甘味料の非限定的な例としては、スクロース、デキストロース、マルトース、デキストリン、トレハロース、フルクトース、レブロース、ガラクトース、ソルビトール、マンニトール、キシロース、加水分解水添デンプン、マルチトール、イソマルト、エリスリトール及びラクチトールが挙げられる。いくつかの実施形態では、甘味料は、スクロース、ソルビトール、アスパルテーム、フルクトース、ラクトース又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、甘味料は、スクロース及びソルビトールを含む。
【0015】
開示される懸濁液は、好適な量の甘味料を含む。懸濁液があまりに少量の甘味料を含む場合、懸濁液は、苦い味であり、且つ/又はあまりに低い粘度を有する可能性がある。代わりに又は加えて、懸濁液があまりに大量の甘味料を含む場合、甘過ぎる及び/又はあまりに高い粘度を有するため、懸濁液は、口当たりがよくない可能性がある。いくつかの実施形態では、甘味料は、500mg/mL以下(例えば、500、490、480、470、460、450、440、430、420、410、400、390、380、370、360、350、340、330、320、310、300、290、280、270、260、250、240、230、220、210又は200mg/mLの甘味料及びこれらの値のいずれか2つによって定義される任意の範囲)の総濃度で懸濁液中に存在する。いくつかの実施形態では、甘味料は、380mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する。
【0016】
いくつかの実施形態では、懸濁液は、2つ以上の甘味料を含む。これらの実施形態では、甘味料の各々は、好適な量で存在する。例えば、甘味料がスクロース及びソルビトールを含むいくつかの実施形態では、甘味料は、150~225mg/mLの濃度でスクロースを含み、150~225mg/mLの濃度でソルビトールを含む。スクロース又はソルビトールについての非限定的な濃度としては、例えば、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220又は225mg/mL及びこれらの値のいずれか2つによって定義される任意の範囲が挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、懸濁液は、190mg/mLのスクロースと190mg/mLのソルビトール(液体)とを含み、すなわちスクロース対ソルビトールの1:1の濃度比で含む。
【0017】
ビヒクル
いくつかの実施形態では、開示される懸濁液は、ビヒクルを含む。望ましくは、ビヒクルは懸濁液を安定化させ、粒子の沈降を最小限に抑えるのを助ける。いくつかの実施形態では、ビヒクルは、懸濁化剤の水和時間を減少させるために使用される。いくつかの実施形態では、ビヒクルは、活性成分を分散させるために使用され得る。いくつかの実施形態では、ビヒクルは、グリセリンを含む。
【0018】
開示される懸濁液は、存在する場合、好適な量のビヒクルを含む。懸濁液があまりに少量のビヒクルを含む場合、懸濁液は、安定ではない可能性がある。代わりに又は加えて、懸濁液があまりに大量のビヒクルを含む場合、懸濁液は、好適ではない特性を有し得る(例えば、あまりに粘稠性である)。いくつかの実施形態では、ビヒクルは、100mg/mL~200mg/mL(例えば、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は200mg/mLのビヒクル及びこれらの値のいずれか2つによって定義される任意の範囲)の総濃度で懸濁液中に存在する。いくつかの実施形態では、ビヒクルは、133mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する。
【0019】
共溶媒
いくつかの実施形態では、開示される懸濁液は、共溶媒を含む。望ましくは、共溶媒は、懸濁液中の防腐剤(例えば、メチル及びプロピルパラベン)の溶解性を改善し、且つ安定性を改善するのに役立つ。いくつかの実施形態では、共溶媒は、プロピレングリコールを含む。
【0020】
開示される懸濁液は、存在する場合、好適な量の共溶媒を含む。懸濁液があまりに少量の共溶媒又はあまりに大量の共溶媒を含む場合、懸濁液は、所望の物理的特性及び短縮された貯蔵寿命を欠如する可能性がある。いくつかの実施形態では、共溶媒は、10mg/mL~20mg/mL(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20mg/mLの共溶媒及びこれらの値のいずれか2つによって定義される任意の範囲)の総濃度で懸濁液中に存在する。いくつかの実施形態では、共溶媒は、14mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する。
【0021】
いくつかの実施形態では、共溶媒は、溶出時間を減少させるために、40℃~50℃に加熱される。
【0022】
緩衝剤
いくつかの実施形態では、開示される懸濁液は、緩衝剤を含む。企図される緩衝剤の非限定的な例としては、酢酸、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、ホウ酸、クエン酸(例えば、無水クエン酸又はクエン酸一水和物)、乳酸、リン酸、クエン酸塩(例えば、クエン酸カリウム又はクエン酸ナトリウム)、メタリン酸カリウム、第二リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム及びコハク酸が挙げられる。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、クエン酸(例えば、クエン酸一水和物)若しくはその塩(例えば、クエン酸カリウム又はクエン酸ナトリウム)又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、クエン酸若しくはその水和物、クエン酸塩、酒石酸、酒石酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、リン酸、リン酸塩、酢酸、酢酸塩又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、クエン酸一水和物を含む。
【0023】
開示される懸濁液は、存在する場合、好適な量の緩衝剤を含む。懸濁液があまりに少量の緩衝剤を含む場合、懸濁液は、望ましいpHを有さない可能性がある。代わりに又は加えて、懸濁液があまりに大量の緩衝剤を含む場合、懸濁液は、安定性を欠如する可能性がある。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、1mg/mL~5mg/mL(例えば、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9又は5.0mg/mLの緩衝剤及びこれらの値のいずれか2つによって定義される任意の範囲)の総濃度で懸濁液中に存在する。例えば、いくつかの実施形態では、緩衝剤は、1.6mg/mL~2mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、1.8mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する。
【0024】
防腐剤
いくつかの実施形態では、開示される懸濁液は、防腐剤を含む。企図される防腐剤としては、抗菌剤、抗酸化剤及び安定性を維持し、且つ微生物の増殖を防止する薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な防腐剤としては、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ベンジルアルコール、キシリトール、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、クエン酸、エリソルビン酸、フマル酸、リンゴ酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、パラベン(例えば、メチル-、エチル-、ブチル-)、安息香酸、ソルビン酸カリウム及びバニリンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、防腐剤は、メチルパラベン、プロピルパラベン又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、防腐剤は、メチルパラベン及びプロピルパラベンを含む。
【0025】
開示される懸濁液は、存在する場合、好適な量の防腐剤を含む。懸濁液があまりに少量の防腐剤を含む場合、懸濁液は、微生物安定性を有さない可能性がある。代わりに又は加えて、懸濁液があまりに大量の防腐剤を含む場合、懸濁液は、味が苦くなる可能性がある。いくつかの実施形態では、防腐剤は、0.5mg/mL~2.5mg/mL(例えば、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4又は2.5mg/mLの防腐剤及びこれらの値のいずれか2つによって定義される任意の範囲)の総濃度で懸濁液中に存在する。いくつかの実施形態では、防腐剤は、1mg/mL~2.5mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する。いくつかの実施形態では、防腐剤は、1.7mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する。いくつかの実施形態では、防腐剤は、1.5mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する。いくつかの実施形態では、防腐剤は、1.2mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する。いくつかの実施形態では、防腐剤は、1.1mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する。いくつかの実施形態では、防腐剤は、0.9mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する。
【0026】
いくつかの実施形態では、懸濁液は、2つ以上の防腐剤を含む。これらの実施形態では、防腐剤の各々は、好適な量で存在する。例えば、いくつかの実施形態では、懸濁液は、メチルパラベン及びプロピルパラベンを含む。防腐剤がメチルパラベン及びプロピルパラベンを含むいくつかの実施形態では、メチルパラベン対プロピルパラベンの濃度比は、9対1である。メチルパラベン及びプロピルパラベンを含むいくつかの実施形態では、メチルパラベンは0.9mg/mL以上の濃度で存在し、プロピルパラベンは0.1mg/mL以上の濃度で存在する。メチルパラベン及びプロピルパラベンを含むいくつかの実施形態では、メチルパラベンは0.9mg/mLの濃度で存在し、プロピルパラベンは0.1mg/mLの濃度で存在する。メチルパラベン及びプロピルパラベンを含むいくつかの実施形態では、メチルパラベンは1.5mg/mLの濃度で存在し、プロピルパラベンは0.17mg/mLの濃度で存在する。メチルパラベン及びプロピルパラベンを含むいくつかの実施形態では、メチルパラベンは1.1mg/mLの濃度で存在し、プロピルパラベンは0.12mg/mLの濃度で存在する。メチルパラベン及びプロピルパラベンを含むいくつかの実施形態では、メチルパラベンは1.2mg/mLの濃度で存在し、プロピルパラベンは0.14mg/mLの濃度で存在する。
【0027】

開示される懸濁液は、水を含む。懸濁液は、本明細書に記載されるような構成成分の所望の濃度を得るために、懸濁中の所望の総容量中に好適な量の水を含む。いくつかの実施形態では、懸濁液は、1mLの総容量を有する懸濁液を提供するのに十分な水を含む。いくつかの実施形態では、懸濁液は、6mLの総容量を有する懸濁液を提供するのに十分な水を含む。
【0028】
治療方法
いくつかの実施形態では、本開示は、患者に開示される懸濁液を投与することを含む、PDE4を阻害することによって改善される疾患又は障害に罹患している患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、患者は、成人患者である。いくつかの実施形態では、患者は、小児患者である。
【0029】
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、乾癬、乾癬性関節炎又はベーチェット病である。
【0030】
本開示は、患者に本明細書に開示される懸濁液を投与することを含む、PDE4を阻害することによって改善される疾患又は障害に罹患している患者を治療する方法を提供する。
【0031】
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、喘息、関節炎、乾癬、炎症、慢性又は急性閉塞性肺疾患、慢性又は急性炎症性肺疾患、皮膚エリテマトーデス、掌蹠膿疱症、炎症性腸疾患、クローン病、ベーチェット病又は潰瘍性大腸炎である。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、関節炎である。いくつかの実施形態では、関節炎は、乾癬性関節炎である。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、乾癬である。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、潰瘍性大腸炎である。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、ベーチェット病である。
【0032】
いくつかの実施形態では、開示される懸濁液は、初期滴定後に1日2回のアプレミラスト製剤(例えば、錠剤製剤)と共に投与される。いくつかの実施形態では、本方法は、開示される懸濁液のみを投与することを含む。開示される懸濁液のみが投与される実施形態では、任意の初期滴定が、開示される懸濁液を使用して、好適な投与量含量で行われる。
【0033】
いくつかの実施形態では、開示される方法は、以下の初期滴定スケジュールを含む:(i)投与1日目の午前中に10mgのアプレミラストを有する懸濁液;(ii)投与2日目の午前中に10mg及び午後に10mg;(iii)投与3日目の午前中に10mg及び午後に20mg;(iv)投与4日目の午前中に20mg及び午後に20mg;(v)投与5日目の午前中に20mg及び午後に30mg;並びに(vi)投与6日目及びその後毎日、30mgのアプレミラストを1日2回。
【0034】
いくつかの実施形態では、開示される方法は、以下の初期滴定スケジュールを含む:(i)投与1日目の午前中に10mg;(ii)投与2日目の午前中に10mg及び午後に10mg;(iii)投与3日目の午前中に10mg及び午後に20mg;(iv)投与4日目の午前中20mg及び午後に20mg;(v)投与5日目の午前中に20mg及び午後に30mg;並びに(vi)投与6~14日目に午前中に30mg及び午後に30mg;並びに投与15日目及びその後毎日、30mgのアプレミラストを有する開示される懸濁液を1日2回。
【0035】
いくつかの実施形態では、開示される方法は、以下の初期滴定スケジュールを含む(例えば、1日2回の錠剤製剤を使用して):(i)投与1日目の午前中に10mg;(ii)投与2日目の午前中に10mg及び午後に10mg;(iii)投与3日目の午前中に10mg及び午後20mg;(iv)投与4日目の午前中20mg及び午後20mg;(v)投与5日目の午前中20mg及び午後30mg;並びに(vi)6日目及びそれ以降、30mgのアプレミラストを有する本明細書に開示される懸濁液を1日2回。
【0036】
いくつかの実施形態では、開示される方法は、以下の初期滴定スケジュールを含む:(i)投与1日目の午前中に10mg;(ii)投与2日目の午前中に10mg及び午後に10mg;(iii)投与3日目の午前中に10mg及び午後20mg;並びに(iv)4日目及びそれ以降、20mgのアプレミラストを有する本明細書に開示される懸濁液を1日2回。
【0037】
いくつかの実施形態では、開示される方法は、以下の初期滴定スケジュールを含む:(i)投与1日目の午前中に10mg;(ii)投与2日目の午前中に10mg及び午後に10mg;(iii)投与3日目の午前中に10mg及び午後20mg;(iv)4日目~14日目において午前中に20mg、午後に20mg;並びに(v)15日目及びそれ以降、20mgのアプレミラストを有する本明細書に開示される懸濁液を1日2回。
【0038】
いくつかの実施形態では、開示される方法は、以下の初期滴定スケジュールを含む:(i)投与1日目の午前中に5mgのアプレミラストを有する懸濁液;(ii)投与2日目の午前中に5mg及び午後に5mg;(iii)投与3日目の午前中に5mg及び午後に10mg;(iv)投与4日目の午前中に10mg及び午後に10mg;(v)投与5日目の午前中に10mg及び午後に20mg;(vi)投与6日目及びその後毎日、20mgを1日2回。
【0039】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に開示される懸濁液、ボトル及びストッパーを含むパッケージ化懸濁液を提供する。
【0040】
実施形態
1.経口投与のための懸濁液であって、
a.アプレミラストと、
b.懸濁化剤と、
c.甘味料と、
d.ビヒクル、共溶媒、緩衝剤、防腐剤又はそれらの組み合わせの1つ以上と、
e.水と
を含む懸濁液。
2.アプレミラストは、3~10mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する、実施形態1に記載の懸濁液。
3.アプレミラストは、5mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する、実施形態2に記載の懸濁液。
4.懸濁化剤は、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、キサンチンガム、カラギーナン;グアーガム、ローカストビーンガム、カルボマー、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)又はそれらの組み合わせを含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の懸濁液。
5.懸濁化剤は、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとのブレンド(微結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウムブレンド)及びキサンタンガムを含む、実施形態4に記載の懸濁液。
6.微結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウムブレンド及びキサンタンガムは、3.4:1~4:1以下の濃度比で存在する、実施形態5に記載の懸濁液。
7.比は、3.7:1である、実施形態6に記載の懸濁液。
8.懸濁液は、8.5mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する、実施形態1~7のいずれか1つに記載の懸濁液。
9.甘味料は、スクロース、ソルビトール、アスパルテーム、フルクトース、ラクトース又はそれらの組み合わせを含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の懸濁液。
10.甘味料は、スクロース及びソルビトールを含む、実施形態9に記載の懸濁液。
11.甘味料は、500mg/mL以下の総濃度で懸濁液中に存在する、実施形態9又は10に記載の懸濁液。
12.甘味料は、380mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する、実施形態11に記載の懸濁液。
13.甘味料は、150~225mg/mLの濃度のスクロースと、150~225mg/mLの濃度のソルビトールとを含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の懸濁液。
14.甘味料は、スクロース及びソルビトールを1対1の濃度比で含む、実施形態13に記載の懸濁液。
15.懸濁液は、ビヒクルを含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の懸濁液。
16.ビヒクルは、グリセリンを含む、実施形態15に記載の懸濁液。
17.ビヒクルは、100mg/mL~200mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する、実施形態15又は16に記載の懸濁液。
18.ビヒクルは、133mg/mLの総濃度で存在する、実施形態17に記載の懸濁液。
19.懸濁液は、共溶媒を含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の懸濁液。
20.共溶媒は、プロピレングリコールを含む、実施形態19に記載の懸濁液。
21.共溶媒は、10mg/mL~20mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する、実施形態19又は20に記載の懸濁液。
22.共溶媒は、14mg/mLの総濃度で存在する、実施形態21に記載の懸濁液。
23.懸濁液は、緩衝剤を含む、実施形態1~22のいずれか1つに記載の懸濁液。
24.緩衝剤は、クエン酸若しくはその水和物、クエン酸塩、酒石酸、酒石酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、リン酸、リン酸塩、酢酸、酢酸塩又はそれらの組み合わせを含む、実施形態23に記載の懸濁液。
25.緩衝剤は、クエン酸一水和物を含む、実施形態24に記載の懸濁液。
26.緩衝剤は、1mg/mL~5mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する、実施形態23~25のいずれか1つに記載の懸濁液。
27.緩衝剤は、1.8mg/mLの総濃度で存在する、実施形態26に記載の懸濁液。
28.懸濁液は、防腐剤を含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載の懸濁液。
29.防腐剤は、メチルパラベン、プロピルパラベン又はそれらの組み合わせを含む、実施形態28に記載の懸濁液。
30.防腐剤は、メチルパラベン及びプロピルパラベンを含む、実施形態29に記載の懸濁液。
31.メチルパラベン及びプロピルパラベンは、9対1の濃度比で存在する、実施形態30に記載の懸濁液。
32.防腐剤は、1mg/mL~2.5mg/mLの総濃度で懸濁液中に存在する、実施形態28~31のいずれか1つに記載の懸濁液。
33.防腐剤は、1.7mg/mLの総濃度で存在する、実施形態32に記載の懸濁液。
34.メチルパラベンは、0.9mg/mL以上の濃度で存在し、及びプロピルパラベンは、0.1mg/mL以上の濃度で存在する、実施形態30~32のいずれか1つに記載の懸濁液。
35.a)アプレミラスト、b)微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとのブレンド、c)キサンタンガム、d)スクロース、e)ソルビトール、f)グリセリン、g)プロピレングリコール、h)クエン酸一水和物、i)メチルパラベン、j)プロピルパラベン、及びk)水を含む、経口投与のための懸濁液。
36.a)5mg/mLのアプレミラスト、b)6.7mg/mLの、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとのブレンド、c)1.8mg/mLのキサンタンガム、d)190mg/mLのスクロース、e)190mg/mLのソルビトール、f)133mg/mLのグリセリン、g)14mg/mLのプロピレングリコール、h)1.8mg/mLのクエン酸一水和物、i)1.5mg/mLのメチルパラベン、j)0.17mg/mLのプロピルパラベン、及びk)水を含む、実施形態35に記載の懸濁液。
37.a)5mg/mLのアプレミラスト、b)6.7mg/mLの、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとのブレンド、c)1.8mg/mLのキサンタンガム、d)190mg/mLのスクロース、e)190mg/mLのソルビトール、f)133mg/mLのグリセリン、g)14mg/mLのプロピレングリコール、h)1.8mg/mLのクエン酸一水和物、i)0.9mg/mLのメチルパラベン、j)0.10mg/mLのプロピルパラベン、及びk)水を含む、実施形態35に記載の懸濁液。
38.a)5mg/mLのアプレミラスト、b)6.7mg/mLの、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとのブレンド、c)1.8mg/mLのキサンタンガム、d)190mg/mLのスクロース、e)190mg/mLのソルビトール、f)133mg/mLのグリセリン、g)14mg/mLのプロピレングリコール、h)1.8mg/mLのクエン酸一水和物、i)1.1mg/mLのメチルパラベン、j)0.12mg/mLのプロピルパラベン、及びk)水を含む、実施形態35に記載の懸濁液。
39.a)5mg/mLのアプレミラスト、b)6.7mg/mLの、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとのブレンド、c)1.8mg/mLのキサンタンガム、d)190mg/mLのスクロース、e)190mg/mLのソルビトール、f)133mg/mLのグリセリン、g)14mg/mLのプロピレングリコール、h)1.8mg/mLのクエン酸一水和物、i)1.2mg/mLのメチルパラベン、j)0.14mg/mLのプロピルパラベン、及びk)水を含む、実施形態35に記載の懸濁液。
40.絶食条件下での患者への投与時、同等のアプレミラスト含量の即放性経口アプレミラスト錠剤のAUCの90%~110%のAUCを有する、実施形態1~39のいずれか1つに記載の懸濁液。
41.PDE4を阻害することによって改善される疾患又は障害に罹患している患者を治療する方法であって、実施形態1~40のいずれか1つに記載の懸濁液を患者に投与することを含む方法。
42.疾患又は障害は、乾癬、乾癬性関節炎又はベーチェット病である、実施形態41に記載の方法。
43.患者は、小児患者である、実施形態41又は42に記載の方法。
44.実施形態1~40のいずれか1つに記載の懸濁液と、ボトルと、ストッパーとを含むパッケージ化懸濁液。
【実施例
【0041】
以下の実施例は、開示された治療方法を更に例示するが、当然のことながら、決してその範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0042】
実施例では、以下の略語を使用する:AUC0-∞は、投与0時間から無限時間まで計算された血漿中濃度曲線下面積を指し;AUC0-tは、投与0時間から最終取得時まで計算された濃度時間曲線下面積を指し;CL/Fは、血管外投与後に計算された薬物の見かけの全身クリアランスを指し;Cmaxは、観察された最高濃度を指し;Ctroughは、投与間隔の終了時に観察された血漿濃度を指し;CIは、信頼区間を指し;CV%は、変動係数を指し;t1/2は、終末相における消失半減期を指し;tlagは、投与の時間と吸収ラグ時間の開始との間の遅延を指し;Tmaxは、Cmaxに到達する時間を指し;Vz/Fは、終末相中の見かけの分布容積を指し;Fは、錠剤製剤と比較した経口懸濁液製剤の相対的バイオアベイラビリティを指す。
【0043】
rel1は、参照製剤と比較した各試験製剤の相対的バイオアベイラビリティを指し;Frel2は、用量で補正した参照製剤IR錠と比較した、各用量で補正した試験製剤の相対的バイオアベイラビリティを指す。
【0044】
実施例1
この実施例は、本開示の実施形態によるアプレミラストの経口懸濁液を調製するための配合プロセスを例示する。
【0045】
スクロース(極微細)及びソルビトール液を精製水に添加し、十分に混合して、甘味料溶液を生成した。微結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウム及びキサンタンガムを混合しながら甘味料溶液に添加し、均質な懸濁液を得た。別の容器において、メチルパラベン及びプロピルパラベンをプロピレングリコール中で溶解した。場合によっては、メチルパラベンとプロピルパラベンとの混合物を加熱して(例えば、最大60℃)、溶解を容易にすることができる。溶解後、溶液を室温まで冷却した。次いで、パラベン溶液を、クエン酸一水和物と共に、前に調製した均質な懸濁液に混合しながら添加した。次いで、得られた懸濁液を適切なサイズのメッシュ(例えば、20メッシュ)に通過させた。別の容器において、アプレミラストAPIをスクリーニングし、グリセリン中に分散させた。次いで、グリセリン懸濁液を、他の構成成分を含む篩にかけた懸濁液と混合した。純水を添加し(適量)、所望の容量を有するバルク懸濁液を提供し、バルク懸濁液を混合した。
【0046】
充填機のサージタンクに対して、充填プロセス前及び充填プロセス中に混合しながらバルク懸濁液を充填した。ガラスボトルを所望の目的の重量(±5%)まで充填した。必要な工程管理(例えば、充填量のチェック)を行った。充填されたガラスボトルにキャップを取り付けた。
【0047】
実施例2
この実施例は、開示された経口懸濁液の、最大36ヶ月の加速安定性試験条件(例えば、60%RHで5℃、25℃及び75%RHで40℃の条件)を含む様々な条件及び時間下での安定性を例示する。
【0048】
以下を含有する懸濁液を調製した:5mgのアプレミラスト;190mgのスクロース;190mgのソルビトール;133mgのグリセリン;6.7mgのMCC;1.8mgのキサンタンガム;1.8mgのクエン酸;1.5mgのメチルパラベン、0.172mgのプロピルパラベン;14mgのプロピレングリコール;及び純水(1mLにするまで適量)。懸濁液を、琥珀色ガラスボトル中にパッケージ化した。
【0049】
懸濁液を以下の特性:外観;再懸濁性;アッセイ;メチルパラベン;プロピルパラベン;分解生成物;pH;微生物限度;容器外観;密度;及び粘度についての標準的な方法を使用して評価した。
【0050】
5℃の条件で保存された場合、1ヶ月間の全時間点において、懸濁液は、安定性についての判定基準を一貫して満たしていた。
【0051】
25℃/60%RHの条件で保存された場合、36ヶ月間の全時間点において、懸濁液は、安定性についての判定基準を一貫して満たしていた。沈降の兆候は、6ヶ月から始まって36ヶ月まで存在したが、懸濁液の再懸濁性は、保存条件に関係なく、研究機関を通じて仕様の10秒以内にあった。更に、40℃/75%RHの条件で保存された場合、6ヶ月までの全時点において、懸濁液は、安定性についての判定基準を一貫して満たしていた。
【0052】
これらの結果を図5A~5Gに要約する。図5A~5Gにおいて、データは、開示される懸濁液が25℃以下で保存される場合、36ヶ月の貯蔵寿命を有することを実証している。
【0053】
実施例3
この実施例は、健康な被験者におけるアプレミラスト30mg錠と比べた、6mL(30mg)のアプレミラスト経口懸濁液の単回経口投与のバイオアベイラビリティを実証する。この実施例は、開示された懸濁液の薬物動態に対する食事の影響も実証する。経口懸濁液は、a)5mg/mLのアプレミラスト、b)6.7mg/mLの、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとのブレンド、c)1.8mg/mLのキサンタンガム、d)190mg/mLのスクロース、e)190mg/mLのソルビトール、f)133mg/mLのグリセリン、g)14mg/mLのプロピレングリコール、h)1.8mg/mLのクエン酸一水和物、i)1.5mg/mLのメチルパラベン、j)0.17mg/mLのプロピルパラベン、及びk)水を含んでいた。アプレミラスト30mg錠は、30mgのアプレミラスト、78.75mgの微結晶セルロース(希釈剤)、180.0mgのラクトース一水和物(希釈剤)、9.0mgのクロスカルメロースナトリウム(崩壊剤)、2.25mgのステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)、12.0mgのOpadry(登録商標)II(フィルムコーティング剤)を含んでいた。
【0054】
これは、健康な被験者におけるオープンラベル、ランダム化、3期、6シーケンスクロスオーバー試験であった。試験は、スクリーニング期間、ベースライン(-1日目)、3つの治療期間及びフォローアップの電話から構成された。各治療期間は、4日間の期間(1日目から4日目まで)であり、投与間に5日間のウォッシュアウト期間を伴った。
【0055】
スクリーニング期間(-21日目~-2日目)後、適格被験者は、ベースライン評価のために治療期間1の-1日目に試験センターに入院した。治療期間1の1日目に、被験者は、以下の6つの治療投与順の1つにランダムに割り当てた。
【0056】
【表1】
【0057】
各治療期間の1日目に、被験者は、以下の治療投与順の1つに従ってアプレミラストの単回30mg経口投与を受けた:治療A:絶食条件下でのアプレミラスト30mg錠の単回経口投与;治療B:絶食条件下でのアプレミラスト30mg経口懸濁液製剤(6mL)の単回経口投与;及び治療C:摂食条件下でのアプレミラスト30mg経口懸濁液製剤(6mL)の単回経口投与。被験者は、治療A及びBの投与前に、少なくとも10時間にわたって一晩絶食した。投与後少なくとも4時間は、飲食持の摂取は禁止された。
【0058】
治療Cについて、少なくとも10時間の一晩の絶食後、全ての被験者は、高脂肪食を摂取した。標準的な高脂肪の朝食は、目玉焼き2個、ベーコン2枚、バタートースト又はパンのスライス2枚、ハッシュドブラウンポテト4オンス及び全乳8オンスと同一であるか又はそれに相当した。食事が出されてから20~25分以内に、食事は全て消費され、食事の開始後30分(±5分)に投与が行われた。投与後少なくとも4時間は、飲食持の摂取は禁止された。
【0059】
全ての治療は、約240mLの非炭酸化常温水と共に投与された。全ての治療について、薬物投与の1時間前と1時間後(IPで与えられた水を除く)を除いて、必要に応じて水は許可された。昼食、夕食及び軽食は、それぞれ投与後約4、9及び13時間に提供された。
【0060】
各被験者には、治療B及びCの投与後並びに240mLの非炭酸化常温水の投与前に試験薬の後味を評価するよう求められた。
【0061】
被験者は、治療期間1の-1日目から治療期間3の4日目まで試験センターに収容され、したがって投与間の5日間のウォッシュアウトを含んだ。全ての被験者は、要求された試験処置の全ての完了後、治療期間3の4日目に試験センターを退院した。各被験者へのフォローアップの電話は、試験センター退院後約4日(±2日)目に行われた。
【0062】
アプレミラスト濃度の測定のための血液試料を各治療期間における以下の時点で採集した:投与前(0時間)及び投与後0.5、1、1.5、2、3、5、8、12、24、36、48、60及び72時間。
【0063】
以下のPKパラメーターをノンコンパートメント解析によってアプレミラストについて導出した。実際のサンプリング時間を、PKパラメーター:AUC0-∞、AUC0-t、Cmax、Tmax、t1/2、CL/F、V/F、Fの計算に用いた。
【0064】
データ分析及びデータ表示で使用したソフトウェアは、PhoenixTM WinNonlin(登録商標)バージョン6.4(Pharsight Corp.,St.Louis,Missouri)及びSASバージョン9.3(SAS Institute Inc.,Cary,North Carolina)を含んでいた。
【0065】
アプレミラスト経口懸濁液と錠剤製剤との間のバイオアベイラビリティ及びアプレミラスト経口懸濁液製剤に対する食事の影響を評価するために、治療、シーケンス及び期間を固定効果として且つシーケンス内にネストされた被験者をランダム効果として用いた分散分析モデルを自然対数変換AUC及びCmaxで実施した。幾何学的平均及び幾何学的平均のパーセント比(治療B/治療A及び治療C/治療B)が比の95%信頼区間(CI)を伴って表示される。
【0066】
maxについて、非パラメトリック解析を用いて治療間(治療B対治療A及び治療C対治療B)の中央値差を算出した。中央値、中央値差及び中央値差の90%CIをホッジス・レーマン推定量から得た。p値をウィルコクソンの符号順位検定から導出した。
【0067】
治療Aにおける全ての被験者(絶食状態でアプレミラスト経口30mg錠)は、投与後最長60時間にわたって測定可能なアプレミラスト血漿濃度を有し(図1及び2)、治療Bにおける全ての被験者(絶食状態でアプレミラスト30mg経口懸濁液)は、投与前から投与後72時間までの全サンプリング期間にわたってアプレミラストの血漿濃度を有し、治療Cにおける全ての被験者(摂食状態でアプレミラスト30mg経口懸濁液)は、投与前から投与後60時間までの全サンプリング期間にわたってアプレミラスト血漿濃度を有した(図3及び4)。
【0068】
全ての薬物動態推定値は、実際に記録された採血時間を用いて計算した。血漿薬物動態パラメーターを表2に要約する。
【0069】
摂食条件下において、30mg経口懸濁液製剤は、絶食条件と同等のAUC及び絶食条件に匹敵するCmaxを達成した。そのTmaxは、投与後中央値が2時間から5時間まで遅延したが、この遅延は臨床的に意味があるとは考えられていない。
【0070】
【表2】
【0071】
経口30mg(6mL)懸濁液製剤は、絶食条件下での単回経口投与後、アプレミラスト30mg錠(参照)と比較して同等のAUC及びCmaxを達成したが、約13%~約15%低かった。
【0072】
アプレミラスト30mg錠(参照)製剤に対する6mL(30mg)アプレミラスト経口懸濁液製剤(試験)の単回経口投与のバイオアベイラビリティ及びアプレミラスト経口懸濁液製剤に対する食事の影響の両方についてのAUC0-t、AUC0-∞、Cmax及びTmaxの統計的分析の結果を表3に提示する。Tmaxの中央値差の分析を表4に提示する。
【0073】
絶食条件下において、アプレミラスト6mL(30mg)経口懸濁液とアプレミラスト30mg錠との間でバイオアベイラビリティ(AUC0-∞)が同等であり、なぜなら、表3に示されるAUC0-∞幾何平均の比の95%信頼区間が80%~125%の限度内にあり、すなわち慣習的な生物学的同等性基準内にあったためである。Cmaxの評価は、およそ15%低かった。
【0074】
アプレミラスト経口懸濁液製剤に対する食事の影響について、絶食時と摂食時との間のAUC0-∞の95%信頼区間である、表3に示される幾何平均の比も80%~125%の限度内にあった。したがって、それは、同等のバイオアベイラビリティを達成した。摂食条件下において、Cmaxは、絶食条件と比べて低かった。
【0075】
max値の中央値を表3に示す。絶食条件下において、アプレミラスト30mg経口懸濁液(試験)の治療は、0.25時間の差を伴って、アプレミラスト30mg錠(参照)と同等の中央値を有した。摂食状態でのアプレミラスト経口懸濁液のTmaxの中央値は、絶食状態でのアプレミラスト経口懸濁液と比較する場合、2.25時間の中央値差を伴って有意に遅延した。中央値差の比較のTmax90%CIに対する食事の影響は、統計的に有意であった(p<0.0001)。
【0076】
【表3】
【0077】
【表4】
【0078】
薬物動態及び薬力学。絶食条件下において、全体のバイオアベイラビリティ(AUC0-∞)は、単回経口投与後、健康な被験者で6mL(30mgアプレミラスト)経口懸濁液製剤と30mg錠との間で同等であったが、Cmaxは、およそ15%低かった。摂食条件下において、6mL(30mgアプレミラスト)経口懸濁液製剤の単回投与は、絶食条件と同等のバイオアベイラビリティ(AUC0-∞)を有したが、絶食条件に対して低いCmaxを有した。Tmaxの中央値は、投与後2時間から5時間まで、絶食条件に対して摂食条件下で有意に遅延した。全体として、これらの結果は、6mL(30mgアプレミラスト)経口懸濁液の単回投与が、絶食条件下での30mg錠に対して同等のバイオアベイラビリティ(AUC0-∞)を有したことを示している。食事は、懸濁液製剤の経口投与後のアプレミラストのPK曝露に対して臨床的に意味のある影響を有しない。
【0079】
絶食条件又は摂食条件下において、血漿濃度対時間プロファイルは、アプレミラスト30mg錠と6mL(30mg)懸濁液製剤との間で同様であった。アプレミラストは、投与後約2時間のTmaxの中央値を伴い、迅速に吸収された。血漿アプレミラストについての終末相における消失半減期(t1/2)は、約8時間であり、絶食条件又は摂食条件下において試験薬と参照薬との間で同様であった。全体的なバイオアベイラビリティ(AUC0-∞)は、絶食条件を使用した単回経口投与後、健康な被験者で6mL(30mgアプレミラスト)経口懸濁液製剤と30mg錠との間で同等であったが、Cmaxは、約15%低かった。
【0080】
絶食条件下において、6mL(30mgアプレミラスト)経口懸濁液製剤の単回投与は、絶食条件と同等のバイオアベイラビリティ(AUC0-∞)を達成したが、絶食条件と比較してCmaxが低かった。Tmaxの中央値は、絶食条件と比べて摂食条件下で有意に遅延した(2.5時間だけ)。これらの結果は、6mL(30mgアプレミラスト)経口懸濁液製剤の単回投与が、絶食条件と同等のバイオアベイラビリティ(AUC0-∞)を達成するが、絶食条件に対してCmaxが低いことを実証している。
【0081】
全体として、経口懸濁液製剤(30mgアプレミラスト)は、アプレミラスト30mg錠に匹敵する薬物動態曝露を有した。したがって、これらの結果は、経口懸濁液製剤が、錠剤を飲み込むことができず、低用量を必要とする小児被験者などの臨床試験において、同じ公称用量で錠剤製剤と交換可能な代替製剤として投与できることを示唆している。
【0082】
アプレミラストは、絶食条件及び摂食条件下におけるアプレミラスト経口懸濁液製剤並びに絶食条件下におけるアプレミラスト錠剤製剤の投与後に安全且つ忍容性良好であった。TEAEの発生率は、経口懸濁液(絶食状態及び食事摂取状態で投与)並びに錠剤製剤の後に同様であった。最も発生率の高い薬物関連TEAEは、下痢であり、続いて便秘、吐き気及び頭痛であった。下痢、吐き気及び頭痛は、アプレミラストを用いた以前の臨床薬理学研究で最も頻繁に報告されたTEAEでもある。
【0083】
薬物動態。絶食条件下において、全体のバイオアベイラビリティ(AUC0-∞)は、単回経口投与後、健康な被験者で6mL(30mgアプレミラスト)経口懸濁液製剤と30mg錠との間で同等であったが、Cmaxは、およそ15%低かった。摂食条件下において、6mL(30mgアプレミラスト)経口懸濁液製剤の単回投与は、絶食条件と同等のバイオアベイラビリティ(AUC0-∞)を有したが、絶食条件に対して低いCmaxを有した。Tmaxの中央値は、投与後2時間から5時間まで絶食条件に対して摂食条件下で有意に遅延した。全体として、これらの結果は、6mL(30mgアプレミラスト)経口懸濁液の単回投与が、絶食条件下での30mg錠に対して、同等のバイオアベイラビリティ(AUC0-∞)を有したことを示している。食事は、懸濁液製剤の経口投与後のアプレミラストのPK曝露に対して臨床的に意味のある影響を有しない。
【0084】
安全性。30mgアプレミラストの単回経口投与は、絶食条件及び摂食条件下での経口懸濁液又は絶食条件下での錠剤として投与される場合、健康な被験者で安全であり、且つ忍容性良好であった。
【0085】
実施例4
この実施例は、開示された懸濁液の実施形態を実証する。懸濁液4A、4B及び4Cを、本明細書に開示されるプロセスを使用して調製し、表5に示されるように、パラベン防腐剤の異なる濃度(60~80%レベル)を含有する懸濁液のバッチ(26L)を提供した。
【0086】
【表5】
【0087】
前述の例は、本明細書に記載の開示されたプロセスの実施形態の単なる例示であり、開示された方法を限定することを意図するものではない。当業者に明白である変形形態及び変更形態は、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲内及び趣旨内であることが意図される。
【0088】
本明細書で引用される、刊行物、特許出願及び特許を含む全ての参考文献は、それぞれの参考文献が、あたかも個々に及び具体的に参照により本明細書に組み込まれることが示され、且つ本明細書でその全体が記載されているかのように同程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0089】
本開示の実施形態の説明に関する(とりわけ下記の特許請求の範囲に関する)「1つの(a)」及び「1つの(an)」並びに「その」及び「少なくとも1つ」という用語及び類似の指示対象の使用は、本明細書中で別段の指示がない限り又は文脈と明確に矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含するものと解釈されるべきである。1つ又は複数の品目の一覧がその後に続く「少なくとも1つ」という用語(例えば、「A及びBの少なくとも1つ」)は、本明細書で別段の指定がない限り又は文脈上明らかに矛盾しない限り、一覧に記載された品目から選択される1つの品目(A又はB)又は一覧に記載された品目の2つ以上の任意の組み合わせ(A及びB)を意味すると解釈すべきである。「含む」、「有する」、「包含する」及び「含有する」という用語は、特記しない限り、オープンエンドの用語(すなわち「含むが、限定されない」を意味する)と解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書に別段の指示がない限り、その範囲内に入る別個の各値に個別に言及する簡略法としての役割を果たすことを意図しているに過ぎず、別個の各値は、あたかも個別に本明細書に列挙されたかのように本明細書に組み込まれる。本明細書で説明されている方法の全ては、別途本明細書で指示されない限り又は文脈と明確に矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書で提供されるあらゆる例又は例示的な言語(例えば、「等」)の使用は、本開示の実施形態をより明らかにすることが意図されているに過ぎず、別途特許請求されない限り、本開示の範囲に限定を課すものではない。本明細書におけるいかなる言語も、任意の特許請求されていない要素を、本開示を実施するのに必要不可欠なものとして示すものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図5K
図5L
図5M
図5N
【国際調査報告】