(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】放射性廃棄物ガラス繊維の処理方法
(51)【国際特許分類】
G21F 9/36 20060101AFI20241126BHJP
G21F 9/28 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G21F9/36 511L
G21F9/36 511P
G21F9/28 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537086
(86)(22)【出願日】2023-01-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 KR2023000032
(87)【国際公開番号】W WO2023132584
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】10-2022-0000760
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518442000
【氏名又は名称】コリア ハイドロ アンド ニュークリアー パワー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ヨン ファン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム,チョン ウ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン,ジ ソ
(57)【要約】
放射性廃棄物ガラス繊維の処理方法を提供する。放射性廃棄物ガラス繊維の処理方法は、放射性廃棄物ガラス繊維を準備する段階;前記放射性廃棄物ガラス繊維がキャニスタに積載される段階;前記キャニスタが熱処理ユニットを介して設定条件で熱処理される段階;および前記熱処理により前記放射性廃棄物ガラス繊維は体積が減少した状態で移送される段階を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性廃棄物ガラス繊維の処理方法であって、
放射性廃棄物ガラス繊維を準備する段階;
前記放射性廃棄物ガラス繊維がキャニスタに積載される段階;
前記キャニスタが熱処理ユニットを介して設定条件で熱処理される段階;および
前記熱処理により前記放射性廃棄物ガラス繊維は体積が減少した状態で移送される段階を含む、放射性廃棄物ガラス繊維の処理方法。
【請求項2】
前記キャニスタは、
下部の第1下部キャニスタと、前記第1下部キャニスタに装着および分離が可能な第1上部キャニスタを含み、
前記装着および前記分離に基づいて前記放射性廃棄物ガラス繊維が繰り返し投入されて前記熱処理の繰り返し実行が可能である、請求項1に記載の放射性廃棄物ガラス繊維の処理方法。
【請求項3】
体積が減少した前記ガラス繊維は前記第1下部キャニスタ上に収容された状態で外部移送のための移送ユニットに収容され、
前記第1下部キャニスタは、
前記第1下部キャニスタとは別の第2下部キャニスタ、前記第1下部キャニスタとは別の第3下部キャニスタとともに互いに隣り合って前記移送ユニットの内部に配置される、請求項2に記載の放射性廃棄物ガラス繊維の処理方法。
【請求項4】
前記第1下部キャニスタ、前記第2下部キャニスタおよび前記第3下部キャニスタは互いに横方向または縦方向に積層されて備えられ、
前記第1下部キャニスタないし前記第3下部キャニスタは、
上部または下部に突出構造部が形成され、上部または下部に前記突出構造部に対応する嵌合部が形成されて互いに装着固定される、請求項3に記載の放射性廃棄物ガラス繊維の処理方法。
【請求項5】
前記放射性廃棄物ガラス繊維は、
レーザ水位測定モジュールを介して前記キャニスタ上で前記熱処理による体積減少の程度が把握され、
前記体積減少の程度が予め設定された基準を満たす場合、前記第1下部キャニスタが前記第1上部キャニスタと分離されるようにする、請求項2に記載の放射性廃棄物ガラス繊維の処理方法。
【請求項6】
前記放射性廃棄物ガラス繊維は、
サーモカップルを介して前記キャニスタに対する温度状態が把握され、
前記体積減少の程度とともに前記温度状態が予め設定された基準を満たす場合、前記第1下部キャニスタが前記第1上部キャニスタと分離されるようにする、請求項5に記載の放射性廃棄物ガラス繊維の処理方法。
【請求項7】
前記第1下部キャニスタと前記第1上部キャニスタは装着および分離が可能なように備えられ、前記放射性廃棄物ガラス繊維の投入および排出が可能である、請求項2に記載の放射性廃棄物ガラス繊維の処理方法。
【請求項8】
前記キャニスタと前記熱処理ユニットは空気調和機が設置される空間部に位置し、
前記放射性廃棄物の前記熱処理は前記空間部で行われ、前記熱処理による生成物は前記空気調和機を介して排出される、請求項1に記載の放射性廃棄物ガラス繊維の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射性廃棄物ガラス繊維の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所では主要配管、高温機器など断熱および作業者保護のためのガラス繊維基盤の断熱材を使用する。特に蒸気発生器の周辺配管と機器の断熱および遮断のために多量のガラス繊維断熱材が使用される。このようなガラス繊維は、現在、ガラス繊維をドラム(例:200Lなど)に装入し、人力で圧縮して処分準備をする。このような過程でガラス繊維は小さい粒に砕けて分散性に要件に該当し、処分に適さなくなり、これにより追加的な加工が必要な問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、ガラス繊維断熱材が質量に比べて体積が大きく、汚染度はわずかであるため、殆ど極低レベルまたは自己処分対象廃棄物に分類され得る点を考慮してその処分の容易性を高めることができるようにすることにある。
【0004】
特に、ガラス繊維断熱材に対する熱処理工程および後続処理工程により放射性廃棄物の処分または規制解除などに大きく寄与できるようにすることにある。
【0005】
また、このようなガラス繊維断熱材の体積減容コストを節減することができ、終局的に放射性廃棄物処分コストの削減を可能にすることにある。
【0006】
本発明の課題は以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するための本発明の一態様(aspect)による放射性廃棄物ガラス繊維の処理方法は、放射性廃棄物ガラス繊維を準備する段階;前記放射性廃棄物ガラス繊維がキャニスタに積載される段階;前記キャニスタが熱処理ユニットを介して設定条件で熱処理される段階;および前記熱処理により体積が減少した前記放射性廃棄物ガラス繊維が減少した状態で移送される段階を含む。
【0008】
また、前記キャニスタは下部の第1下部キャニスタと、前記第1下部キャニスタに装着および分離が可能な第1上部キャニスタを含み、前記装着および前記分離に基づいて前記放射性廃棄物ガラス繊維が繰り返し投入されて前記熱処理の繰り返し実行が可能である。
【0009】
また、体積が減少した前記ガラス繊維は前記第1下部キャニスタ上に収容された状態で外部移送のための移送ユニットに収容され、前記第1下部キャニスタは、前記第1下部キャニスタとは別の第2下部キャニスタ、前記第1下部キャニスタとは別の第3下部キャニスタとともに互いに隣り合って前記移送ユニットの内部に配置される。
【0010】
また、前記第1下部キャニスタ、前記第2下部キャニスタおよび前記第3下部キャニスタは互いに横方向または縦方向に積層されて備えられ、前記第1下部キャニスタないし前記第3下部キャニスタは、上部または下部に突出構造部が形成され、上部または下部に前記突出構造部に対応する嵌合部が形成されて互いに装着固定される。
【0011】
また、前記放射性廃棄物ガラス繊維は、レーザ水位測定モジュールを介して前記キャニスタ上で前記熱処理による体積減少の程度が把握され、前記体積減少の程度が予め設定された基準を満たす場合、前記第1下部キャニスタが前記第1上部キャニスタと分離されるようにする。
【0012】
また、前記放射性廃棄物ガラス繊維はサーモカップルを介して前記キャニスタに対する温度状態が把握され、前記体積減少の程度とともに前記温度状態が予め設定された基準を満たす場合、前記第1下部キャニスタが前記第1上部キャニスタと分離されるようにする。
【0013】
また、前記第1下部キャニスタと前記第1上部キャニスタは装着および分離が可能なように備えられ、前記放射性廃棄物ガラス繊維の投入および排出が可能である。
【0014】
また、前記キャニスタと前記熱処理ユニットは空気調和機が設置される空間部に位置し、前記放射性廃棄物の前記熱処理は前記空間部で行われ、前記熱処理による生成物は前記空気調和機を介して排出される。
【発明の効果】
【0015】
前記のような本発明の放射性廃棄物ガラス繊維の処理方法によれば、次のような効果が一つあるいはそれ以上ある。
【0016】
本発明はガラス繊維断熱材が質量に比べて体積が大大きく、汚染度はわずかであるため、殆ど極低レベルまたは自己処分対象廃棄物に分類され得る点を考慮してその処分の容易性を高めることができる。
【0017】
特に、ガラス繊維断熱材に対する熱処理工程および後続処理工程により放射性廃棄物の処分または規制解除などに大きく寄与することができる。
【0018】
また、このようなガラス繊維断熱材の体積減容コストを節減することができ、終局的に放射性廃棄物処分コストの削減が可能である。
【0019】
本発明の課題は以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態による放射性廃棄物ガラス繊維の処理方法を順次に示すフローチャートである。
【
図5】
図1によるガラス繊維の加工による状態を示す図である。
【
図6】
図1によるガラス繊維の加工による状態を示す図である。
【
図7】
図1によるガラス繊維の加工による状態を示す図である。
【
図8】
図1によるガラス繊維の加工による状態を示す図である。
【
図9】
図1によるガラス繊維の加工による状態を示す図である。
【
図10】
図1によるガラス繊維の加工による状態を示す図である。
【
図11】
図1によるガラス繊維の加工による状態を示す図である。
【
図12】
図1によるガラス繊維の加工による状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付する図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。本発明の利点および特徴、並びにこれらを達成する方法は添付する図面と共に詳細に後述する実施形態を参照すると明確になる。しかし、本発明は以下に開示する実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現することができ、本実施形態は単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を指すものとする。
【0022】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による放射性廃棄物ガラス繊維Oの処理方法は、まず放射性廃棄物ガラス繊維Oを準備する。次に前記放射性廃棄物ガラス繊維Oがキャニスタ110に積載される。
【0023】
ここで前記キャニスタ110が熱処理ユニットを介して設定条件で熱処理が行われる。前記熱処理により前記放射性廃棄物ガラス繊維Oは体積が減少した状態で移送される。
【0024】
図2ないし
図4を参照すると、前記キャニスタ110は第1下部キャニスタ112、第1上部キャニスタ111を含む。前記キャニスタ110の前記第1上部キャニスタ111は前記第1下部キャニスタ112に装着および分離が可能である。
【0025】
前記第1下部キャニスタ112と前記第1上部キャニスタ111は、前記装着および前記分離に基づいて前記放射性廃棄物ガラス繊維Oが繰り返し投入され、前記熱処理が繰り返し実行される。
【0026】
このように体積が減少した前記ガラス繊維Oは、前記第1下部キャニスタ112上に収容された状態で外部移送のための移送ユニット60に収容される。前記第1下部キャニスタ112は、前記第1下部キャニスタ112とは別の第2下部キャニスタ212とともに互いに隣り合って前記移送ユニット60の内部に配置される。
【0027】
さらに前記第1下部キャニスタ112は前記第1下部キャニスタ112とは別の第2下部キャニスタ212と、前記第1下部キャニスタ112とは別の第3下部キャニスタ312とともに互いに隣り合って前記移送ユニット60の内部に配置されることが可能である。
【0028】
すなわち、第1下部キャニスタ112ないし第3下部キャニスタ312がともに配置されることを開示したが、これは例示的なものであり、その数は備えられる限度内でさらに多く備えることも可能である。
【0029】
前記第1下部キャニスタ112、前記第2下部キャニスタ212および前記第3下部キャニスタ312は、互いに横方向または縦方向に積層されて備えられる。前記第1下部キャニスタ112ないし前記第3下部キャニスタ312は、上部または下部に突出構造部1121,2121,3121が形成される。
【0030】
ここで前記第1下部キャニスタ112ないし前記第3下部キャニスタ312は、上部または下部に前記突出構造部1121,2121,3121に対応する嵌合部1122,2122,3122が形成されており、互いに装着固定が可能である。
【0031】
前記放射性廃棄物ガラス繊維Oはレーザ水位測定モジュール(図示せず)を介して前記キャニスタ110上で前記熱処理による体積減少の程度が把握される。前記体積減少の程度が予め設定された基準を満たす場合、前記第1下部キャニスタ112が前記第1上部キャニスタ111と分離されるようにする。
【0032】
さらに前記放射性廃棄物ガラス繊維Oは、サーモカップル(図示せず)を介して前記キャニスタ110に対する温度状態が把握される。前記放射性廃棄物ガラス繊維Oは、前記体積減少の程度とともに前記温度状態が予め設定された基準を満たす場合、前記第1下部キャニスタ112が前記第1上部キャニスタ111と分離されるようにする。
【0033】
基本的に前述した前記第1下部キャニスタ112と前記第1上部キャニスタ111は、装着および分離が可能なように備えられ、前記放射性廃棄物ガラス繊維Oの投入および排出ができるようにする。
【0034】
前記キャニスタ110と前記熱処理ユニットは、空気調和機が設置される空間部に位置する。前記キャニスタ110と前記熱処理ユニットの前記放射性廃棄物の前記熱処理は前記空間部で行われる。さらに前記熱処理により生成される生成物は前記空気調和機を介して排出される。
【0035】
前記ガラス繊維Oは下記表1の条件で熱処理を行った。
【0036】
【0037】
実施形態1によれば、加工前のガラス繊維Oと加工後のガラス繊維Oは、加工前の
図5から加工後の
図6の状態に変化したことを確認することができる。実施形態2によれば、加工前のガラス繊維Oと加工後のガラス繊維Oは、加工前の
図7から加工後の
図8の状態に変化したことを確認することができる。実施形態3によれば、加工前のガラス繊維Oと加工後のガラス繊維Oは、加工前の
図9から加工後の
図10の状態に変化したことを確認することができる。実施形態4によれば、加工前のガラス繊維Oと加工後のガラス繊維Oは、加工前の
図11から加工後の
図12の状態に変化したことを確認することができる。
【0038】
前記ガラス繊維Oは質量に対して体積が大きい特徴を有するにもかかわらず、前述した加工により体積を減少させ、処分の容易性を高め、放射性廃棄物処理と関連する規制の解除を図ることができる。さらに体積減容コストが大きくなり、放射性廃棄物処分コストを節減することができる。
【0039】
以上と添付する図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。したがって、上記一実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
【国際調査報告】