(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】フルアナログ位相シフタおよびこれを含むアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01P 1/18 20060101AFI20241126BHJP
H01Q 3/32 20060101ALI20241126BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H01P1/18
H01Q3/32
H01Q21/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537324
(86)(22)【出願日】2022-12-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 KR2022021685
(87)【国際公開番号】W WO2023128683
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0193283
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0000544
(32)【優先日】2022-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0188117
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥク ヨン キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン チャン ムーン
(72)【発明者】
【氏名】ソン マン カン
(72)【発明者】
【氏名】スン ホヮン ソ
(72)【発明者】
【氏名】チ バク リュ
(72)【発明者】
【氏名】キョ スン ジ
(72)【発明者】
【氏名】オ ソー チェ
(72)【発明者】
【氏名】ドン へー シン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ジュン パク
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ウォン セオ
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA04
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB03
5J021AB06
5J021CA03
5J021DB03
5J021GA02
5J021HA05
5J021HA10
5J021JA05
5J021JA07
5J021JA08
(57)【要約】
【課題】Digital段での位相変換なしに、RF段での位相遷移だけで線形的な位相分布を有するMirror Symmetry構造を容易に実現する。
【解決手段】フルアナログ位相シフタは、第1通電パターン端子および第2通電パターン端子を含む可変スイッチパネルと、複数のアレイアンテナ素子が配置され、前記第1通電パターン端子と前記第2通電パターン端子との接点となる伝送線路がパターン印刷されたアンテナ素子基板と、を含む。前記第1通電パターン端子および前記第2通電パターン端子と前記伝送線路との接点による位相遷移によって、前記複数のアレイアンテナ素子に対する位相は、基準同一位相面上で線形分布をなす。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通電パターン端子および第2通電パターン端子を含む可変スイッチパネルと、
複数のアレイアンテナ素子が配置され、前記第1通電パターン端子と前記第2通電パターン端子との接点となる伝送線路がパターン印刷されたアンテナ素子基板と、を含み、
前記第1通電パターン端子および前記第2通電パターン端子と前記伝送線路との接点による位相遷移によって、前記複数のアレイアンテナ素子に対する位相は、基準同一位相面上で線形分布をなす、フルアナログ位相シフタ。
【請求項2】
前記アンテナ素子基板の一側伝送線路および他側伝送線路の長さは、所定の比率を有する、請求項1に記載のフルアナログ位相シフタ。
【請求項3】
2個の入力端からそれぞれ2個の出力端に分岐前の内側可変回路および分岐後の外側可変回路に接点となって、前記各入力端に関連する2個の各出力端の長さ比が前記所定の比率を有する、請求項2に記載のフルアナログ位相シフタ。
【請求項4】
前記所定の比率は1:3である、請求項2または請求項3に記載のフルアナログ位相シフタ。
【請求項5】
前記内側可変回路および外側可変回路は、前記伝送線路の一部の切れている第1断電地点および第2断電地点を有するようにパターン印刷され、
前記可変スイッチパネルの第1通電パターン端子が前記内側可変回路に相当する前記第1断電地点を通電させ、
前記可変スイッチパネルの第2通電パターン端子が前記外側可変回路に相当する前記第2断電地点を通電させる、請求項3に記載のフルアナログ位相シフタ。
【請求項6】
前記2個の入力端のうち第1入力端から分岐した第1出力端および第3出力端は前記アンテナ素子基板の左側、および前記2個の入力端のうち第2入力端から分岐した第2出力端および第4出力端は前記アンテナ素子基板の右側に垂直方向(Vertical、V-方向)に離隔して配列され、
前記アンテナ素子基板が垂直方向に2個配列されたことを前提とする時、前記可変スイッチパネルも2個が同時に稼働されるように備えられ、
前記2個の可変スイッチパネルの同時稼働による前記各出力端での垂直位相差は、前記基準同一位相面に対して一直線の勾配分布を有することを特徴とする、請求項5に記載のフルアナログ位相シフタ。
【請求項7】
前記2個の可変スイッチパネルは、前記第1断電地点および前記第2断電地点を含む前記内側可変回路および外側可変回路の前面において前後水平軸を基準として回動するロテータタイプで備えられた、請求項6に記載のフルアナログ位相シフタ。
【請求項8】
前記ロテータタイプの前記2個の可変スイッチパネルは、前記2個のアンテナ素子基板にパターン印刷された前記第1断電地点および前記第2断電地点が同一であることを前提とする時、相互反対方向に回動するように備えられた、請求項7に記載のフルアナログ位相シフタ。
【請求項9】
前記2個の可変スイッチパネルは、前記第1断電地点および前記第2断電地点の前面から垂直方向にスライドされるスライダタイプで備えられた、請求項6に記載のフルアナログ位相シフタ。
【請求項10】
前記スライダタイプで備えられた前記2個の可変スイッチパネルは、
前記2個のアンテナ素子基板にパターン印刷された前記第1断電地点および前記第2断電地点を含む伝送線路ともが相互対称であることを前提とする時、同時に同じ方向にスライドされるように備えられた、請求項9に記載のフルアナログ位相シフタ。
【請求項11】
前記2個のアンテナ素子基板のうち垂直方向上側のアンテナ素子基板に備えられた第1出力端および第2出力端の間を第1ビーム出力部、第3出力端および第4出力端の間を第2ビーム出力部と定義し、
前記2個のアンテナ素子基板のうち垂直方向下側のアンテナ素子基板に備えられた第1出力端および第2出力端の間を第3ビーム出力部、第3出力端および第4出力端の間を第4ビーム出力部と定義する時、
前記2個の可変スイッチパネルの同時稼働によって、前記第2ビーム出力部および第3ビーム出力部は、前記伝送線路の長さを前記基準同一位相面に対して±△Φだけシフトし、前記第1ビーム出力部および前記第4ビーム出力部は、前記伝送線路の長さを前記基準同一位相面に対して±△3Φだけシフトする長さに変更させる、請求項6に記載のフルアナログ位相シフタ。
【請求項12】
メインボードの前面に所定の前後厚さ部を形成しながら前記メインボードと電気的に接続されるように積層配列され、前面に接地(GND)機能を行うリフレクタパネルが前記前面の面積より大きいように上下左右方向に一体に延長形成された単位RFフィルタボディと、
前記リフレクタパネルの前面に積層配置されかつ、前面に4個のアレイアンテナ素子が上下方向に離隔して配置されたアンテナ素子基板を含む放射素子モジュールと、
前記4個のアレイアンテナ素子と前記アンテナ素子基板との間に形成された離隔空間で回動する動作で伝送線路の長さを変更させる複数の可変スイッチパネルが備えられたフルアナログ位相シフタ(以下、「位相シフタ」と略称する)とを含む、アンテナ装置。
【請求項13】
前記離隔空間は、前記4個のアレイアンテナ素子の背面と前記アンテナ素子基板の前面との間と定義される、請求項12に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記位相シフタは、
前記アンテナ素子基板の後方側であって、前記単位RFフィルタボディの前記前後厚さ部に配置された位相遷移駆動モータと、
前記位相遷移駆動モータの駆動力を受けて上下方向に移動する水平マウンティングバーと、
一端は前記水平マウンティングバーに連結され、他端はそれぞれ上側または下側に垂直に延びて前記複数の可変スイッチパネルに連結された複数の垂直マウンティングバーと、をさらに含む、請求項12に記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記垂直マウンティングバーの一端および他端のいずれか1つには、
前記水平マウンティングバーの前面に形成されたヒンジ結合突起にヒンジ結合されるヒンジ結合ホールが形成された、請求項14に記載のアンテナ装置。
【請求項16】
前記垂直マウンティングバーの一端および他端の他の1つには、
前記単位RFフィルタボディの前面よりも広く形成されたリフレクタパネルおよび前記アンテナ素子基板を貫通して前記可変スイッチパネルにヒンジ結合されたヒンジピンが形成された、請求項14に記載のアンテナ装置。
【請求項17】
前記リフレクタパネルおよび前記アンテナ素子基板には、前記垂直マウンティングバーの前記ヒンジピンの円弧移動を案内する弧状のガイドスロットが前後方向に貫通して形成された、請求項16に記載のアンテナ装置。
【請求項18】
前記位相遷移駆動モータの回転軸には、外周面に雄ねじ山が形成され、前記回転軸方向に所定の長さ延びたスクリュー棒が備えられ、
前記位相シフタは、
前記スクリュー棒が上下方向に貫通する棒貫通部が形成され、前記棒貫通部には前記雄ねじ山と締結される雌ねじ山が形成され、前記スクリュー棒の回転方向に応じて上下方向にムービングされる上下ムービングブロックと、
前記上下ムービングブロックの上下移動をガイドするブロックガイド部と、をさらに含む、請求項14に記載のアンテナ装置。
【請求項19】
前記水平マウンティングバーは、前記上下ムービングブロックの前方にフック結合された、請求項18に記載のアンテナ装置。
【請求項20】
前記位相シフタは、
前記ブロックガイド部が固定されるように前記メインボードが設けられたアンテナハウジング部の内部に左右水平に配置された水平ブラケット部、をさらに含み、
前記水平マウンティングバーの両端部には、前記水平ブラケット部の両端に備えられた左側支持パネルおよび右側支持パネルの内側に回転支持されるベアリングホイールがそれぞれ備えられた、請求項19に記載のアンテナ装置。
【請求項21】
前記単位RFフィルタボディをアンテナハウジング部の内部空間に固定させるための少なくとも1つの固定ブリッジバー、をさらに含み、
前記水平ブラケット部は、前記固定ブリッジバーのいずれか1つを代替するように前記アンテナハウジング部の内部空間に固定される、請求項20に記載のアンテナ装置。
【請求項22】
前記単位RFフィルタボディをアンテナハウジング部の内部空間に固定させるための少なくとも1つの固定ブリッジバー、を含み、
前記水平ブラケット部は、前記固定ブリッジバーのいずれか1つを介在して前記アンテナハウジング部の内部空間に固定される、請求項20に記載のアンテナ装置。
【請求項23】
前記固定ブリッジバーは、前記アンテナハウジング部の内部空間の上端部位、下端部位および中間部位にそれぞれ左右に水平に延長形成され、
前記水平ブラケット部は、前記中間部位に形成された固定ブリッジバーを代替する、請求項21に記載のアンテナ装置。
【請求項24】
前記固定ブリッジバーは、前記アンテナハウジング部の内部空間の上端部位、下端部位および中間部位にそれぞれ左右に水平に延長形成され、
前記水平ブラケット部は、前記中間部位に形成された固定ブリッジバーを介在して固定される、請求項22に記載のアンテナ装置。
【請求項25】
前記アンテナハウジング部の内部空間に上下垂直方向(V-方向)に前記単位RFフィルタボディの2個が配列されると仮定する時、
前記中間部位に構築された固定ブリッジバーを代替する前記水平ブラケット部は、前記2個の単位RFフィルタボディの上下方向の間の空間に備えられた、請求項23に記載のアンテナ装置。
【請求項26】
前記固定ブリッジバーまたは前記固定ブリッジバーを代替する前記水平ブラケット部には、前記単位RFフィルタボディとのスクリュー組立のための複数のスクリュー締結孔が形成された、請求項21または請求項22に記載のアンテナ装置。
【請求項27】
前記垂直マウンティングバーは、前記単位RFフィルタボディの個数に対応して備えられた、請求項14に記載のアンテナ装置。
【請求項28】
請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のフルアナログ位相シフタを含む、アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルアナログ位相シフタおよびこれを含むアンテナ装置(FULL ANALOG PHASE SHIFTER AND ANTENNA APPARATUS INCLUDING THE SAME)に関し、より詳しくは、RF段にフルアナログ位相シフタを備え、既存のRFモジュールの配置設計の変更がないことはもちろん、別の設置空間の設計を必要とせず、選択的に全体伝送線路の長さを変換させて所望の位相遷移値を確保できるフルアナログ位相シフタおよびこれを含むアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
韓国内外の移動通信システムでは、地域別および時間帯別に加入者の使用密度が変化するため、このような状況で最適なサービスを提供するために、基地局アンテナの垂直ビーム角度を調整して基地局のカバレッジを調整するネットワーク管理をしている。
【0003】
このために、従来の無線通信システムでは、機構的ビームチルト方式を使用した。このような機構的ビームチルト方式は、アンテナに装着された機構的ビームチルト装置を用いてアンテナの角度を調整することにより、アンテナ放射ビームの方向を直接的に調整する方式である。
【0004】
機構的ビームチルト方式の長所は、アンテナの生産単価を低下させることができるということである。しかし、基地局運営のために、基地局アンテナタワーに技術者が直接上がってビームチルト機構物を固定しているいくつかのボルトを解いてアンテナ角度を変えた後、再度ボルトを締めるような複雑な過程を経なければならないので、落傷のような危険があり、多くの時間がかかることから、修理の迅速性が低下する。
【0005】
最近は、機構的ビームチルト方式の短所を補うために、遠隔から機構的ビームチルト装置をチルティングまたはステアリング調整可能な遠隔調整方式の機構的ビームチルト装置を開発している。
【0006】
しかし、遠隔調整方式の機構的ビームチルト装置も、アンテナ全体を機構的にチルティングまたはステアリング調整する動作でアンテナ放射ビームの方向を調整するものであって、根本的に電気的ビームチルト方式とは異なるアンテナ放射ビーム調整方式である。電気的ビームチルトアンテナは、内部にビームの位相を調整するための位相変換部(Phase Shifter)を備える。
【0007】
図1は、位相変換部を用いた物理的な位相変換原理を説明するための概略図であり、
図2は、RF段で行われる位相変換の様子の原理を説明するための回路図および位相差図である。
【0008】
図1によれば、給電信号が通過する伝送線路の物理的な長さを変更すると、物理的な長さ変化量(△L)だけ位相が変化する。このような原理を利用してRF段で位相差を実現する場合、
図2に示されるように、Digital段での位相変換(Off-setサポート作業)が伴う。
【0009】
具体的には、
図2に示されるように、RF段から分岐した2個の出力端のうち1つに対して△Φだけ位相差を与えると、所望の位相面に対する均一な位相差の実現、すなわち線形位相分布を有するために、2個の入力端のうち1つに対しては全体的に-2△ΦだけOff-setサポート作業を経なければならない問題点がある。
【0010】
これとともに、RF段で位相差を実現するためには、必然的にRFフィルタとアレイアンテナ素子との間に物理的なスイッチング構造(位相シフタ)を構築する空間が必要になることにより、アンテナの前後厚さが増加する問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、Digital段での位相変換なしに、RF段での位相遷移だけでMirror Symmetry(鏡対称)構造の線形位相分布を実現できるフルアナログ位相シフタおよびこれを含むアンテナ装置を提供することを目的とする。
【0012】
これとともに、本発明は、フルアナログ位相シフタを設けるための空間の付与を最小化することにより、前後厚さ部が上昇するのを防止して、製品スリム化の実現を最適化できるフルアナログ位相シフタおよびこれを含むアンテナ装置を提供することを他の目的とする。
【0013】
本発明の課題は以上に言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施例によるフルアナログ位相シフタ(Full analog phase shifter)は、第1通電パターン端子および第2通電パターン端子を含む可変スイッチパネルと、複数のアレイアンテナ素子が配置され、前記第1通電パターン端子と前記第2通電パターン端子との接点となる伝送線路がパターン印刷されたアンテナ素子基板とを含み、前記第1通電パターン端子および前記第2通電パターン端子と前記伝送線路との接点による位相遷移によって、前記複数のアレイアンテナ素子に対する位相は、基準同一位相面上で線形分布をなす。
【0015】
また、前記アンテナ素子基板の一側伝送線路および他側伝送線路の長さは、所定の比率を有することができる。
【0016】
また、前記アンテナ素子基板は、2個の入力端からそれぞれ2個の出力端に分岐前の内側可変回路および分岐後の外側可変回路に接点となって、前記各入力端に関連する2個の各出力端の長さ比が前記所定の比率を有することができる。
【0017】
ここで、前記所定の比率は1:3であってもよい。
【0018】
また、前記内側可変回路および外側可変回路は、前記伝送線路の一部の切れている第1断電地点および第2断電地点を有するようにパターン印刷され、前記可変スイッチパネルの第1通電パターン端子が前記内側可変回路に相当する前記第1断電地点を通電させ、前記可変スイッチパネルの第2通電パターン端子が前記外側可変回路に相当する前記第2断電地点を通電させることができる。
【0019】
また、前記2個の入力端のうち第1入力端から分岐した第1出力端および第3出力端は前記アンテナ素子基板の左側、および前記2個の入力端のうち第2入力端から分岐した第2出力端および第4出力端は前記アンテナ素子基板の右側に垂直方向(Vertical、V-方向)に離隔して配列され、前記アンテナ素子基板が垂直方向に2個配列されたことを前提とする時、前記可変スイッチパネルも2個が同時に稼働されるように備えられ、前記2個の可変スイッチパネルの同時稼働による前記各出力端での垂直位相差は、前記基準同一位相面に対して一直線の勾配分布を有することができる。
【0020】
また、前記2個の可変スイッチパネルは、前記第1断電地点および前記第2断電地点を含む前記内側可変回路および外側可変回路の前面において前後水平軸を基準として回動するロテータタイプで備えられてもよい。
【0021】
また、前記ロテータタイプの前記2個の可変スイッチパネルは、前記2個のアンテナ素子基板にパターン印刷された前記第1断電地点および前記第2断電地点が同一であることを前提とする時、相互反対方向に回動するように備えられる。
【0022】
また、前記2個の可変スイッチパネルは、前記第1断電地点および前記第2断電地点の前面から垂直方向にスライドされるスライダタイプで備えられてもよい。
【0023】
また、前記スライダタイプで備えられた前記2個の可変スイッチパネルは、前記2個のアンテナ素子基板にパターン印刷された前記第1断電地点および前記第2断電地点を含む伝送線路ともが相互対称になることを前提とする時、同時に同じ方向にスライドされるように備えられる。
【0024】
また、前記2個のアンテナ素子基板のうち垂直方向上側のアンテナ素子基板に備えられた第1出力端および第2出力端の間を第1ビーム出力部、第3出力端および第4出力端の間を第2ビーム出力部と定義し、前記2個のアンテナ素子基板のうち垂直方向下側のアンテナ素子基板に備えられた第1出力端および第2出力端の間を第3ビーム出力部、第3出力端および第4出力端の間を第4ビーム出力部と定義する時、前記2個の可変スイッチパネルの同時稼働によって、前記第2ビーム出力部および第3ビーム出力部は、前記伝送線路の長さを前記基準同一位相面に対して±△Φだけシフトし、前記第1ビーム出力部および前記第4ビーム出力部は、前記伝送線路の長さを前記基準同一位相面に対して±△3Φだけシフトする長さに変更させることができる。
【0025】
本発明の一実施例によるアンテナ装置は、メインボードの前面に所定の前後厚さ部を形成しながら前記メインボードと電気的に接続されるように積層配列され、前面に接地(GND)機能を行うリフレクタパネルが前記前面の面積より大きいように上下左右方向に一体に延長形成された単位RFフィルタボディと、前記リフレクタパネルの前面に積層配置されかつ、前面に4個のアレイアンテナ素子が上下方向に離隔して配置されたアンテナ素子基板を含む放射素子モジュールと、前記4個のアレイアンテナ素子と前記アンテナ素子基板との間に形成された離隔空間で回動する動作で伝送線路の長さを変更させる複数の可変スイッチパネルが備えられたフルアナログ位相シフタ(以下、「位相シフタ」と略称する)とを含む。
【0026】
ここで、前記離隔空間は、前記4個のアレイアンテナ素子の背面と前記アンテナ素子基板の前面との間と定義される。
【0027】
また、前記位相シフタは、前記アンテナ素子基板の後方側であって、前記単位RFフィルタボディの前記前後厚さ部に配置された位相遷移駆動モータと、前記位相遷移駆動モータの駆動力を受けて上下方向に移動する水平マウンティングバーと、一端は前記水平マウンティングバーに連結され、他端はそれぞれ上側または下側に垂直に延びて前記複数の可変スイッチパネルに連結された複数の垂直マウンティングバーとをさらに含むことができる。
【0028】
また、前記垂直マウンティングバーの一端および他端のいずれか1つには、前記水平マウンティングバーの前面に形成されたヒンジ結合突起にヒンジ結合される。
【0029】
また、前記垂直マウンティングバーの一端および他端の他の1つには、前記単位RFフィルタボディの前面よりも広く形成されたリフレクタパネルおよび前記アンテナ素子基板を貫通して前記可変スイッチパネルにヒンジ結合されたヒンジピンが形成される。
【0030】
また、前記リフレクタパネルおよび前記アンテナ素子基板には、前記垂直マウンティングバーの前記ヒンジピンの円弧移動を案内する弧状のガイドスロットが前後方向に貫通して形成される。
【0031】
また、前記位相遷移駆動モータの回転軸には、外周面に雄ねじ山が形成され、前記回転軸方向に所定の長さ延びたスクリュー棒が備えられ、前記位相シフタは、前記スクリュー棒が上下方向に貫通する棒貫通部が形成され、前記棒貫通部には前記雄ねじ山と締結される雌ねじ山が形成され、前記スクリュー棒の回転方向に応じて上下方向にムービングされる上下ムービングブロックと、前記上下ムービングブロックの上下移動をガイドするブロックガイド部とをさらに含むことができる。
【0032】
また、前記水平マウンティングバーは、前記上下ムービングブロックの前方にフック結合される。
【0033】
また、前記位相シフタは、前記ブロックガイド部が固定されるように前記メインボードが設けられたアンテナハウジング部の内部に左右水平に配置された水平ブラケット部をさらに含み、前記水平マウンティングバーの両端部には、前記水平ブラケット部の両端に備えられた左側支持パネルおよび右側支持パネルの内側に回転支持されるベアリングホイールがそれぞれ備えられる。
【0034】
また、前記単位RFフィルタボディをアンテナハウジング部の内部空間に固定させるための少なくとも1つの固定ブリッジバーをさらに含み、前記水平ブラケット部は、前記固定ブリッジバーのいずれか1つを代替するように前記アンテナハウジング部の内部空間に固定される。
【0035】
また、前記単位RFフィルタボディをアンテナハウジング部の内部空間に固定させるための少なくとも1つの固定ブリッジバーを含み、前記水平ブラケット部は、前記固定ブリッジバーのいずれか1つを介在して前記アンテナハウジング部の内部空間に固定される。
【0036】
また、前記固定ブリッジバーは、前記アンテナハウジング部の内部空間の上端部位、下端部位および中間部位にそれぞれ左右に水平に延長形成され、前記水平ブラケット部は、前記中間部位に形成された固定ブリッジバーを代替することができる。
【0037】
また、前記固定ブリッジバーは、前記アンテナハウジング部の内部空間の上端部位、下端部位および中間部位にそれぞれ左右に水平に延長形成され、前記水平ブラケット部は、前記中間部位に形成された固定ブリッジバーを介在して固定される。
【0038】
また、前記アンテナハウジング部の内部空間に上下垂直方向(V-方向)に前記単位RFフィルタボディの2個が配列されると仮定する時、前記中間部位に構築された固定ブリッジバーを代替する前記水平ブラケット部は、前記2個の単位RFフィルタボディの上下方向の間の空間に備えられる。
【0039】
また、前記固定ブリッジバーまたは前記固定ブリッジバーを代替する前記水平ブラケット部には、前記単位RFフィルタボディとのスクリュー組立のための複数のスクリュー締結孔が形成される。
【0040】
また、前記垂直マウンティングバーは、前記単位RFフィルタボディの個数に対応して備えられる。
【0041】
これとともに、本発明の一実施例によるアンテナ装置は、上述したフルアナログ位相シフタを含む。
【発明の効果】
【0042】
本発明の実施例によるアンテナ装置によれば、位相変換部の設置のために単位RFフィルタボディと放射素子用印刷回路基板との間の空間を離隔させる必要がないので、製品の前後厚さが増加するのを防止するとともに、1つの位相遷移駆動モータの駆動力によって複数のRFモジュール全部に対する位相変換が可能なため、部品数を節減できる効果を有する。
【0043】
また、本発明の実施例によるアンテナ装置によれば、Digital段でのサポート作業を必要とせず、Mirror Symmetry構造の位相差の実現が可能という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図2】RF段で行われる位相変換の様子の原理を説明するための回路図および位相差図である。
【
図3】本発明の実施例によるアンテナ装置を示す斜視図である。
【
図4A】
図3のアンテナ装置の前方部の分解斜視図である。
【
図4B】
図3のアンテナ装置の後方部の分解斜視図である。
【
図5】本発明の実施例の構成のうち位相シフタの作動の様子を示す正面図および背面図である。
【
図6】
図5の「D」部分を拡大した拡大分解斜視図である。
【
図7】
図3の構成のうちレドームパネルが分離された状態を示す分解斜視図である。
【
図8A】
図3の構成のうち位相シフタを外部に露出させた前方部の分解斜視図である。
【
図8B】
図3の構成のうち位相シフタを外部に露出させた後方部の分解斜視図である。
【
図9A】
図3の構成のうち位相シフタを示す図であって、レドームパネルおよびアンテナハウジング部を除去した状態の前方部の分解斜視図である。
【
図9B】
図3の構成のうち位相シフタを示す図であって、レドームパネルおよびアンテナハウジング部を除去した状態の後方部の分解斜視図である。
【
図10】アンテナハウジング部に対する位相シフタの設置の様子を示す分解斜視図である。
【
図11】
図10の構成のうちアンテナハウジング部の中間部位に固定される位相シフタの一部を分解した分解斜視図である。
【
図12】
図10の構成のうちアンテナハウジング部の上端部位に固定される固定ブリッジバーに対する単位RFモジュールの固定の様子を示す分解斜視図である。
【
図13】
図3の構成のうち位相シフタを示す断面図およびその部分拡大図である。
【
図14】
図3の構成のうち位相シフタを示す切開斜視図およびその部分拡大図である。
【
図15A】
図3の構成のうちアンテナ素子基板を中心に位相シフタの配置関係を示す前方部の分解斜視図である。
【
図15B】
図3の構成のうちアンテナ素子基板を中心に位相シフタの配置関係を示す後方部の分解斜視図である。
【
図16】
図3の構成のうちアンテナ素子基板に対する可変スイッチパネルのスイッチング作動の様子を説明するための前方部および後方部の分解斜視図である。
【
図17】Mirror Symmetry構造の位相差実現のための第1実施例の伝送線路パターンの様子の接点の変化を示すアンテナ素子基板の正面図およびその部分拡大図である。
【
図18】Mirror Symmetry構造の位相差実現のための第2実施例の伝送線路パターンの様子を示すアンテナ素子基板の正面図である。
【
図19】本発明の一実施例によるアンテナ装置の位相シフタを用いたRF段で行われる位相変換の様子の原理を説明するための回路図および位相差図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の一実施例によるアンテナ装置を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0046】
各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
【0047】
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または手順などが限定されない。また、他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願において明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0048】
図3は、本発明の実施例によるアンテナ装置を示す斜視図であり、
図4Aおよび
図4Bは、
図3のアンテナ装置の前方部および後方部の分解斜視図である。
【0049】
本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、Massive MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術が反映されたアンテナ装置であってもよい。
【0050】
ここで、MIMO技術は、複数のアレイアンテナ素子を用いてデータ伝送容量を画期的に増加させる技術であって、送信機では、それぞれの送信アンテナを介して互いに異なるデータを伝送し、受信機では、適切な信号処理により送信データを区分する空間多重化(Spatial multiplexing)手法である。したがって、送受信アンテナの個数を同時に増加させることにより、チャネル容量が増加してより多くのデータを伝送可能にする。例えば、アンテナ数を10個に増加させると、単一アンテナシステムに比べて同じ周波数帯域を用いて約10倍のチャネル容量を確保する。
【0051】
特に、アンテナ装置は、
図5に示されるように、送信機および受信機の機能を行うTRxモジュール(図示せず)を上下垂直方向(V-方向)および左右水平方向(H-方向)にV(Vertical)-H(Horizontal)配列させ、各TRxモジュールに対して電気的に連結された複数のアレイアンテナ素子235が配列される。
【0052】
ここで、移動通信のMassive MIMOアンテナ装置において、複数のアレイアンテナ素子235は、多重経路によるフェーディング(fading)の影響を減少させ、偏波ダイバーシティ(diversity)機能を行うために、複数の二重偏波アンテナモジュールアレイに設計されることが一般的である。
【0053】
より詳しくは、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、
図3~
図4Bに示されるように、アンテナ装置100の左右側方および後方外観を形成するアンテナハウジング部110と、アンテナ装置100の前方外観を形成し、アンテナハウジング部110の開口した前面を遮蔽するように備えられて、アンテナハウジング部110の内部空間110Sに備えられた内部部品(後述するメインボード120およびアンテナ用RFモジュール200を含む)を外部から保護するレドームパネル300とを含むことができる。
【0054】
また、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、
図3~
図4Bに示されるように、アンテナハウジング部110の内部空間110Sに密着設置されたメインボード120と、メインボード120の上側に配置されたPSUボード部130と、メインボード120の下側に配置されたサージ基板部140とを含み、メインボード120の前面に積層配置されるアンテナ用RFモジュール(Radio Frequency Module)200(以下、「RFモジュール」と略称する)をさらに含むことができる。
【0055】
アンテナハウジング部110は、図示しないが、アンテナ装置100の設置のために設けられた支柱ポールに対する結合を媒介する役割を果たすことができる。
【0056】
アンテナハウジング部110は、全体的に熱伝導による放熱が有利となるように熱伝導性に優れた金属材質で備えられ、後述するRFモジュール200の前端が収容可能な程度の前後方向の厚さを有する直方体函体形状に形成される。しかし、アンテナハウジング部110がRFモジュール200の前端の突出長さよりも長く形成される必要はなく、レドームパネル300の縁を後方部に折曲延長してRFモジュール200を含む内部部品を収容するのに適した大きさに形成される。
【0057】
一方、アンテナハウジング部110の内側面は、メインボード120の後面に実装されたデジタル素子(FPGA素子など)および/またはPSUボード部130の後面に実装されたPSU素子など、そしてサージ基板部140の後面に実装されたサージ部品素子による外形突出形状に型合わせされる形状に形成される。これは、メインボード120、PSUボード部130およびサージ基板部140の背面との熱接触面積を最大に増大させて放熱性能を極大化するためである。
【0058】
これとともに、メインボード120の前面には、後述するモジュール単位で製造されたアンテナ用RFモジュール200の構成のうち、増幅素子部220のLNA基板部(図示せず)に形成された雄ソケット部225がソケットピン結合方式で結合されるための雌ソケット部125が設けられるとともに、アンテナ用RFモジュール200の構成のうち、左側フィルタ部および右側フィルタ部の第1コネクティングピン端子227が端子ピン結合方式で結合されるためのピン結合部127が設けられる。
【0059】
アンテナハウジング部110の左右両側には、図面に示さないが、現場で作業者が本発明の一実施例によるアンテナ装置100を運送したり、支柱ポール(図示せず)に対して手動装着が容易となるように把持できる取っ手部190がさらに設けられる。
【0060】
これとともに、アンテナハウジング部110の下端部外側には、図示しない基地局装置とのケーブル連結および内部部品の調整のための各種外側装着部材400が貫通組立てられる。外側装着部材400は、少なくとも1つ以上の光ケーブル連結端子(ソケット)形態で備えられ、それぞれの連結端子には同軸ケーブル(図示せず)の連結端子が相互連結される。
【0061】
一方、
図3~
図4Bを参照すれば、アンテナハウジング部110の背面には、複数の後方放熱フィン111が所定のパターン形状を有するように一体に形成される。ここで、アンテナハウジング部110の内部空間110Sに設けられたメインボード120、PSUボード130およびサージ基板部140の各発熱素子から生成された熱は、複数の後方放熱フィン111を通して直接放熱できる。
【0062】
複数の後方放熱フィン111は、
図3~
図6に示されるように、左右幅の中間部分を基準として左側端および右側端へいくほど上向き傾斜して配置されて、アンテナハウジング部110の後方に放熱される熱がそれぞれ左側および右側方向に分散した上昇気流を形成してより迅速に熱が分散するように設計できる。しかし、複数の後方放熱フィン111の形状が必ずしもこれに限定されない。例えば、図面に示さないが、アンテナハウジング部110の背面側に外気の流動を円滑にするために送風ファンモジュール(図示せず)がさらに備えられた場合には、送風ファンモジュールによって放熱された熱がより迅速に排出されるように、複数の後方放熱フィン111は、中間に配置された送風ファンモジュールからそれぞれ左側端および右側端へ平行に形成されるものが採用可能である。
【0063】
一方、レドームパネル300は、アンテナハウジング部110の前端部に結合されかつ、レドームパネル300の縁に沿って備えられた複数のフック結合部310がアンテナハウジング部110の前端係止リブ115側にフック結合される。
【0064】
RFモジュール200は、
図4Aおよび
図4Bを参照すれば、メインボード120の前面に配列された単位RFフィルタボディ211を含むRFフィルタ210と、単位RFフィルタボディ211の前面に配置される放射素子モジュール230と、単位RFフィルタボディ211の前後厚さ部のうち上面および下面のいずれか1つに備えられ、少なくとも1つのアナログ増幅素子(図示せず)が実装されたLNA基板部(図示せず)を含む増幅素子部220とを含むことができる。
【0065】
一般的に、アナログ増幅素子は動作熱が激しいので、より効率的な放熱のためにメインボード120の前面または後面にデジタル素子(FPGAなど)のような発熱素子と共に実装されるが、アナログ増幅素子のうちやや発熱の少ないLNA素子のみをメインボード120から分離して、RFモジュール200の増幅素子部220の構成の1つであるLNA基板部に分散実装することにより、メインボード120に対するその他のアナログ増幅素子(例えば、Tx、Rx素子など)およびデジタル素子をより離隔するように配置可能という点で、アンテナハウジング部110の後方放熱時の放熱集中を解消できるという利点を奏することができる。
【0066】
ここで、単位RFフィルタボディ211の前面には、単位RFフィルタボディ211の前面の面積よりも広く延びるように形成され、放射素子モジュール230を接地(GND)するリフレクタパネル219がさらに備えられる。
【0067】
リフレクタパネル219は、放射素子モジュール230の構成のうちアレイアンテナ素子235から放射される信号を反射することにより、信号の指向性と利得を向上させる機能を行うことができる。
【0068】
これとともに、リフレクタパネル219は、上述した信号の反射機能からさらに進んで接地(GND)機能を行うことができる。
【0069】
より詳しくは、リフレクタパネル219は、各RFモジュール200の単位RFフィルタボディ211の前面に一体に形成されることにより、隣接するRFモジュール200のリフレクタパネル219とは直接的に接触しないものの、非常に近く配置されて、単位RFフィルタボディ211の前方部分と単位RFフィルタボディ211が収容占有された体積部分とを区分しながら、上述したような接地機能を行うことができる。
【0070】
これとともに、単位RFフィルタボディ211の左右には、図面に示さないが、それぞれ左右外側に開口した複数のキャビティが形成され、それぞれのキャビティに共振器が内蔵されて異なる周波数フィルタリングを行う左側フィルタ部および右側フィルタ部が備えられる。左側フィルタ部と右側フィルタ部は、それぞれ2.4Gの周波数帯域および5Gの周波数帯域用フィルタに設計されて、1つのRFモジュール200によるデュアルバンドアンテナを実現することができる。
【0071】
一方、放射素子モジュール230は、二重偏波の少なくとも一偏波を発生させるように備えられる。
【0072】
より詳しくは、放射素子モジュール230は、
図7~
図8Bに示されるように、リフレクタパネル219の前面に配置されたアンテナ素子基板231と、アンテナ素子基板231の前面に付着し、左側フィルタ部および右側フィルタ部と電気的に連結され、「X」字で交差配列された給電フィードベース233と、給電フィードベース233の前端部に備えられたアレイアンテナ素子235とを含むことができる。
【0073】
アレイアンテナ素子235は、略正方形状に形成され、給電フィードベース233は、アレイアンテナ素子235の各角部分を対角線に支持するように位置し、各フィード端部がアレイアンテナ素子235の各辺の中心部分に位置するように延びてフィード連結されることにより、それぞれの給電フィードベース233が各偏波を起こして二重偏波を実現することができる。
【0074】
ここで、アレイアンテナ素子235は、単位RFフィルタボディ211の1つあたり4個が上下方向(V-方向)に離隔して配置される。4個のアレイアンテナ素子235は、後述する位相シフタ500によってそれぞれ異なる2個の位相変化値を出力することができる。これについては、後でより詳細に説明する。
【0075】
アンテナ素子基板231は、単位RFフィルタボディ211の左右に形成された左側フィルタ部および右側フィルタ部からの各送信信号およびアレイアンテナ素子235からの受信信号の伝達を媒介するように電気的に連結可能である。
【0076】
一方、本発明の一実施例によるアンテナ装置100において、放射素子モジュール230は、パッチタイプおよびダイポールタイプのいずれか1つに限定して説明しているが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0077】
また、上述したアンテナ素子基板231の実現方法においても、図示しない伝送線路がパターン印刷されたPCBタイプで適用可能であるが、エアストリップタイプのフィード方式の適用を排除するものではないことに留意しなければならない。ただし、本発明の一実施例では、後述する位相シフト500との動作性を連携して説明するために、PCBタイプで適用されたものをその実施例として説明する。
【0078】
図5は、本発明の実施例の構成のうち位相シフタの作動の様子を示す正面図および背面図であり、
図6は、
図5の「D」部分を拡大した拡大分解斜視図であり、
図7は、
図3の構成のうちレドームパネルが分離された状態を示す分解斜視図であり、
図8Aおよび
図8Bは、
図3の構成のうち位相シフタを外部に露出させた前方部および後方部の分解斜視図であり、
図9Aおよび
図9Bは、
図3の構成のうち位相シフタを示す図であって、レドームパネルおよびアンテナハウジング部を除去した状態の前方部および後方部の分解斜視図である。
【0079】
本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、
図5~
図9(特に、
図6参照)に示されるように、放射素子モジュール230のアンテナ素子基板231の前面と4個のアレイアンテナ素子235の背面との間と定義される離隔空間(図面符号不表記)で回動する動作で伝送線路の長さを変更させる複数の可変スイッチパネル540が備えられたフルアナログ位相シフタ(Full analong phase shifter、以下、「位相シフタ」と略称する)500をさらに含むことができる。
【0080】
位相シフタ500は、
図5~
図9に示されるように、アンテナ素子基板231の後方側であって、単位RFフィルタボディ211の前後厚さ部に相当する空間に配置された位相遷移駆動モータ510と、位相遷移駆動モータ510の駆動力を受けて上下方向に移動する水平マウンティングバー520と、一端は水平マウンティングバー520に連結され、他端はそれぞれ上側または下側に垂直に延びて複数の可変スイッチパネル540に連結された複数の垂直マウンティングバー530とをさらに含むことができる。位相シフタ500の具体的な駆動の様子は、後でより詳細に説明する。
【0081】
図10は、アンテナハウジング部に対する位相シフタの設置の様子を示す分解斜視図であり、
図11は、
図10の構成のうちアンテナハウジング部の中間部位に固定される位相シフタの一部を分解した分解斜視図であり、
図12は、
図10の構成のうちアンテナハウジング部の上端部位に固定される固定ブリッジバーに対する単位RFモジュールの固定の様子を示す分解斜視図であり、
図13および
図14は、
図3の構成のうち位相シフタを示す断面図および切開斜視図とその部分拡大図であり、
図15Aおよび
図15Bは、
図3の構成のうちアンテナ素子基板を中心に位相シフタの配置関係を示す前方部および後方部の分解斜視図であり、
図16は、
図3の構成のうちアンテナ素子基板に対する可変スイッチパネルのスイッチング作動の様子を説明するための前方部および後方部の分解斜視図であり、
図17は、Mirror Symmetry構造の位相差実現のための第1実施例の伝送線路パターンの様子の接点の変化を示すアンテナ素子基板の正面図およびその部分拡大図であり、
図18は、Mirror Symmetry構造の位相差実現のための第2実施例の伝送線路パターンの様子を示すアンテナ素子基板の正面図である。
【0082】
アンテナ素子基板231の前面には、
図16に示されるように、アンテナ素子基板231の前後を貫通して形成された2個の入力端(以下、「第1入力端234aおよび第2入力端234b」と称する)と、2個の入力端(第1入力端234aおよび第2入力端234b)それぞれから2個に分岐した2個の出力端(以下、第1入力端234aから分岐した出力端は「第1出力端236a」および「第3出力端236c」と称し、第2入力端234bから分岐した出力端は「第2出力端236b」および「第4出力端236d」と称する)とを形成することができる。
【0083】
2個の入力端234a、234bおよび4個の出力端236a~236dそれぞれは、送信装置(例:基地局)(図示せず)のプロセッサおよびRF(radio frequency)回路によって生成された信号を受信することができる。特に、2個の入力端234a、234bは、後述する物理的な伝送線路の変更のために位相シフタ500に入力信号を伝達することができる。
【0084】
図16を参照すれば、第1入力端234aから分岐した第1出力端236aおよび第3出力端236cは、アンテナ素子基板231の前面左側端部に垂直方向(Vertical、V-方向)に離隔して配列され、第2入力端234bから分岐した第2出力端236bおよび第4出力端236dは、アンテナ素子基板231の前面右側端部に垂直方向に離隔して配列される。
【0085】
各出力端236a~236dは、それぞれ上下方向に同一の伝送長さを有するように分岐して、先端に素子フィードポイント(図面符号不表記)がそれぞれ形成された一対の素子フィードライン(図面符号不表記)が備えられ、一対の素子フィードラインの同一の高さに備えられた一対の素子フィードポイントには、同一の二重偏波ビームが出力されるようにそれぞれ上下にアレイアンテナ素子235の一対が備えられて、給電される。
【0086】
ここで、アンテナ素子基板231が垂直方向に2個配列されて、それぞれTRxモジュールから各入力端(上側のアンテナ素子基板231および下側のアンテナ素子基板231の第1入力端234aおよび第2入力端234b)に給電フィード信号を入力し、各入力端234a、234bを介して伝送された給電フィード信号は、可変スイッチパネル540の後述する内側可変回路547aおよび外側可変回路547bに対する接点により通電した各伝送線路を介して各出力端(第1出力端~第4出力端236a~236d)に出力される。
【0087】
より詳しくは、アンテナ素子基板231の前面には、4個のアレイアンテナ素子235との間に信号を伝達するための一側伝送線路232aおよび他側伝送線路232bがパターン印刷されかつ、少なくとも入力端と出力端との間に上述した2個の可変回路(内側可変回路547aおよび外側可変回路547b)による物理的な伝送線路の長さ変化のための第1断電地点247aおよび第2断電地点247bを有するようにパターン印刷される。
【0088】
ここで、一側伝送線路232aは、第1入力端234aから第1出力端236aが連結される形態の伝送線路および第1入力端234aから第3出力端236cが連結される形態の伝送線路と定義され、他側伝送線路232bは、第2入力端234bから第2出力端236bが連結される形態の伝送線路および第2入力端234bから第4出力端236dが連結される形態の伝送線路と定義される。
【0089】
上述したように、第1入力端234aから分岐した第1出力端236aおよび第3出力端236cのうち第1出力端236aは、アンテナ素子基板231の左側端部のうち垂直方向上側に配置され、第1出力端236aおよび第3出力端236cのうち第3出力端236cは、アンテナ素子基板231の左側端部のうち垂直方向下側に配置される。
【0090】
また、第2入力端234 bから分岐した第2出力端236bおよび第4出力端236dのうち第2出力端236bは、アンテナ素子基板231の右側端部のうち垂直方向上側に配置され、第2出力端236bおよび第4出力端236dのうち第4出力端236dは、アンテナ素子基板231の右側端部のうち垂直方向下側に配置される。
【0091】
そのため、1つのアンテナ素子基板231に形成された第1出力端236aと第2出力端236bは、第1入力端234aおよび第2入力端234bの上側として同一の高さに位置し、第3出力端236cと第4出力端236dは、第1入力端234aおよび第2入力端234bの下側として同一の高さに位置することができる。
【0092】
ここで、第1断電地点247aは、それぞれ一側伝送線路232aまたは他側伝送線路232bのうち、第1入力端234aまたは第2入力端234bからそれぞれ第1出力端236aおよび第3出力端236cに分岐する前および第2出力端236bおよび第4出力端236dに分岐する前に第1入力端234aおよび第2入力端234bに近接した位置で断電した部分と定義され、第2断電地点247bは、第1入力端234aまたは第2入力端234bからそれぞれ第1出力端236aおよび第3出力端236cに分岐した後、第3出力端236cおよび第4出力端236dに延びる伝送線路の一部が断電した部分と定義される。
【0093】
これを
図16を参照してより詳細に説明すれば、アンテナ素子基板231の前面には、第1入力端234aおよび第2入力端234bから第1半径を有する弧形状にパターン印刷された内部可変回路248aが形成され、内部可変回路248aの外側に第2半径を有する弧形状にパターン印刷された外部可変回路248bが形成され、内部可変回路248aと外部可変回路248bは、それぞれ内側弧および外側弧で備えられ、一次的に相互離隔した前記第1断電地点247aおよび第2断電地点247bをなすことができる。
【0094】
第1入力端234a側に形成された外部可変回路248bの開始端部では、第1出力端236aおよび第3出力端236cに分岐して延び、第2入力端234b側に形成された外部可変回路248bの開始端部では、第2出力端236bおよび第4出力端236dに分岐して延びることができる。
【0095】
ここで、外部可変回路248bは、それぞれ第1出力端236aおよび第3出力端236cに分岐した後、第3出力端236c側に延びる伝送線路の一部の切れている部分または第2出力端236bおよび第4出力端236dに分岐した後、第4出力端236d側に延びる伝送線路の一部の切れている部分と定義される。
【0096】
そのため、TRxモジュールから入力された給電フィード信号は、第1入力端234aから第1出力端236aおよび第2入力端234bから第2出力端236bをそれぞれ連結する伝送線路のうち、内部可変回路248aに相当する第1断電地点247aのみを前記可変スイッチパネル540の第1通電パターン端子547aを介した接点で通電可能であり、TRxモジュールから入力端給電フィード信号は、第1入力端234aから第3出力端236cおよび第2入力端234bから第4出力端236dをそれぞれ連結する伝送線路のうち、内部可変回路248aに相当する第1断電地点247aだけでなく、外部可変回路248bに相当する第2断電地点247bが前記可変スイッチパネル540の第1通電パターン端子547aおよび第2通電パターン端子547bを介した同時接点で通電可能である。
【0097】
参照として、
図16に示されるように、第1入力端234aから分岐して第1出力端236aに延びる伝送線路と、第3出力端236cに延びる伝送線路は、アンテナ素子基板231の前面に交差するようにパターン印刷されるが、電気的には相互連結されないようにパターン印刷される。したがって、第1入力端234aからそれぞれ第1出力端236aおよび第3出力端236cに分岐した各伝送線路は、相互電気的な影響を及ぼさない。
【0098】
一方、可変スイッチパネル540の背面部には、上述した第1断電地点247aおよび第2断電地点247b(すなわち、2箇所の可変回路)を通電させながら位相差を実現する第1通電パターン端子547aおよび第2通電パターン端子547bがパターン印刷される。ここで、可変スイッチパネル540は、プラスチック樹脂材質からなり、第1通電パターン端子547aおよび第2通電パターン端子547bが導体で構成されてインサート射出工法で製造されることも可能であり、本発明の実施例のように、可変スイッチパネル540がFR4材質であるPCB形態からなり、第1通電パターン端子547aおよび第2通電パターン端子547bが通常のPCBに対する回路印刷工法により形成されてもよい。
【0099】
可変スイッチパネル540に形成された第1通電パターン端子547aおよび第2通電パターン端子547bも、アンテナ素子基板231に形成された内部可変回路248aおよび外部可変回路248bと同一の半径を有するように形成されかつ、略逆「コ」字の弧形状に形成されて相互連結される。
【0100】
第1通電パターン端子547aは、第1断電地点247aを相互連結し、第2通電パターン端子547bは、第2断電地点247bを相互連結する役割を果たす。
【0101】
このような可変スイッチパネル540は、第1断電地点247aと第2断電地点247bとを連結すると同時に、所定の角度範囲で回動しながらアンテナ素子基板231にパターン印刷された伝送線路の長さを変更させるロテータタイプで備えられる。
【0102】
この時、位相シフタ500は、第1通電パターン端子547aと第2通電パターン端子547bによって第1断電地点247aおよび第2断電地点247bが通電する時、1つの入力端を基準として分岐する各出力端までの長さ比率(例えば、第1入力端234a-第1出力端236a:第1入力端234a-第3出力端236c、第2入力端234b-第2出力端236b:第2入力端234b-第4出力端236d)が所定の比率をなすように変更させることができる。ここで、前記所定の比率は、アンテナアレイ素子235を構成する放射素子のビーム位相値が線形性をなすように構成されなければならず、例えば、所定の比率は1:3であることが好ましい。すなわち、可変スイッチパネル540は、回動中心点を基準として所定の角度回動しながら一側伝送線路232aおよび他側伝送線路232bの全体長さを変化させながら位相差を実現することができる。
【0103】
一方、本発明の一実施例によるフルアナログ位相シフタ500において、アンテナ素子基板231に形成されたパターン形状は、上述したような弧形状に限定されるものではない。
【0104】
すなわち、
図18を参照すれば、フルアナログ位相シフタ500において、可変スイッチパネル540は、アンテナ素子基板231の前面から上下方向にスライドムービングされるスライダタイプで備えられて、スライド移動距離による位相差を実現することも可能である。
【0105】
この場合、アンテナ素子基板231の前面に印刷形成された前記パターン形状は、下部可変回路248a’および上部可変回路248b’を備えた凹凸形状に形成されることも可能である。ここで、下部可変回路248a’は、第1入力端234aから第1出力端236aおよび第3出力端236cに分岐する前および第2入力端234bから第2出力端236bおよび第4出力端236dに分岐する前に形成されることが好ましく、上部可変回路248b’は、それぞれの入力端234a、234bから分岐した後の第3出力端236cおよび第4出力端236dを連結する伝送線路部位に形成されることが好ましい。
【0106】
このように、2個の可変スイッチパネル540が、
図16に示されるように、垂直方向にスライドされるスライダタイプで備えられた場合には、2個のアンテナ素子基板231にパターン印刷された第1断電地点247aおよび第2断電地点247bを含む伝送線路ともが相互対称であることを前提とする時、同時に同じ方向にスライドされるように備えられることが好ましい。
【0107】
一方、
図13および
図14を参照すれば、位相遷移駆動モータ510は、単位RFフィルタボディ211の前後厚さ部に相当する空間として隣接する単位RFフィルタボディ211の間の空間に上下方向の回転軸を構築するように配置される。
【0108】
位相遷移駆動モータ510の回転軸には、外周面に雄ねじ山が形成され、回転軸方向に所定の長さ延びたスクリュー棒515が備えられる。
【0109】
ここで、位相シフタ500は、スクリュー棒515が上下方向に貫通する棒貫通部519aが形成されかつ、棒貫通部519aにはスクリュー棒515の雄ねじ山と締結される雌ねじ山(図示せず)が形成され、スクリュー棒515の回転方向に応じて上下方向にムービングされる上下ムービングブロック519と、上下ムービングブロック519の上下移動をガイドするブロックガイド部517とをさらに含むことができる。
【0110】
一方、位相シフタ500は、ブロックガイド部517が固定されるように、メインボード120などが設けられたアンテナハウジング部110の内部に左右水平に配置された水平ブラケット部560をさらに含むことができる。
【0111】
水平ブラケット部560は、
図10に示されるように、アンテナハウジング部110の内部空間110Sの中間部分に左右水平方向に長く固定されて、位相シフタ500の安定的な駆動動作が可能に支持する役割を果たす。
【0112】
より詳しくは、アンテナハウジング部110の内部空間110Sには、複数の単位RFフィルタボディ211それぞれをアンテナハウジング部110の内部空間110Sに強固に固定させるための3個の固定ブリッジバー117が備えられる。
【0113】
3個の固定ブリッジバー117は、アンテナハウジング部110の内部空間110Sの上端部位、下端部位および中間部位にそれぞれ内部空間110Sの内側面から前方に所定の距離離隔するようにブリッジ形態で固定される。
【0114】
水平ブラケット部560は、3個の固定ブリッジバー117の中間部位に構築された少なくとも1つの固定ブリッジバー117の前面に固定設置されるか、中間部位に構築された固定ブリッジバー117を代替する概念で設けられる。本発明の一実施例では、
図10~
図12に示されるように、水平ブラケット部560が上述したアンテナハウジング部110の内部空間110Sの中間部位に備えられた固定ブリッジバー117を代替するもので実現されたのである。そのため、前記中間部位に備えられた固定ブリッジバー117と水平ブラケット部560は、同一の構成を指すと解釈することが好ましい。
【0115】
すなわち、
図10~
図12に示されるように、少なくとも1つの固定ブリッジバー117は、アンテナハウジング部110の内部空間110Sの上端部位、下端部位および中間部位にそれぞれ左右に水平に延長形成され、水平ブラケット部560は、少なくとも1つの固定ブリッジバー117のいずれか1つを代替するようにアンテナハウジング部110の内部空間110Sに固定されかつ、中間部位に形成された固定ブリッジバー117を代替するように固定される。
【0116】
しかし、必ずしも水平ブラケット部560がアンテナハウジング部110の内部空間110Sの中間部位に備えられた固定ブリッジバー117を代替すべきではなく、上述したように、中間部位に備えられた固定ブリッジバー117を介在して固定されてもよい。
【0117】
ここで、アンテナハウジング部110の内部空間110Sの中間部位に備えられて、水平ブラケット部560の固定を媒介する固定ブリッジバー117または固定ブリッジバー117自体を代替する水平ブラケット部560は、単位RFフィルタボディ211の2個が上下垂直方向(V-方向)に配列されると仮定する時、2個の単位RFフィルタボディ211の上下方向の間の空間に備えられる。これは、前記間の空間で水平マウンティングバー520が左右水平を維持しながら単位RFフィルタボディ211と干渉されず、上下方向にムービングされるようにするためである。
【0118】
一方、
図11および
図12に示されるように、固定ブリッジバー117または固定ブリッジバー117を代替する水平ブラケット部560には、単位RFフィルタボディ211との固定スクリュー215によるスクリュー組立のための複数のスクリュー締結孔118が形成される。
【0119】
ここで、単位RFフィルタボディ211の上端部および/または下端部には、
図12に示されるように、固定スクリュー215が貫通するスクリュー締結溝214が形成されたスクリューマウンティング部213が備えられ、固定スクリュー215をそれぞれスクリューマウンティング部213のスクリュー締結溝214および水平ブラケット部560または固定ブリッジバー117のスクリュー締結孔118を介して単位RFフィルタボディ211を強固に固定させることができる。
【0120】
一方、水平ブラケット部560には、
図15Aおよび
図15Bに示されるように、軸貫通ホール513hが上下方向に貫通して形成されたモータ設置ブラケット513を介在して位相遷移駆動モータ510が設けられる。すなわち、位相遷移駆動モータ510は、アンテナハウジング部110の内部空間110S上に固定タイプで備えられた水平ブラケット部560にモータ設置ブラケット513を介在して強固に固定されることにより、スクリュー棒515がアンテナハウジング部110の内部空間110Sでその場回転が可能になる。
【0121】
一方、図面に示さないが、位相遷移駆動モータ510は、隣接する複数の単位RFフィルタボディ211の外側部に備えられた別の構造物(例えば、位相遷移駆動モータ510が挿入設置可能な支持ホール形態の構造物を含む)に固定設置される。
【0122】
位相遷移駆動モータ510の回転軸に連結されたスクリュー棒515は、モータ設置ブラケット513の軸貫通ホール513hおよびブロックガイド部517に上下方向に貫通して形成されたガイドホール517hに挿入された後、上下ムービングブロック519の棒貫通部519aの雌ねじ山に締結される。
【0123】
水平マウンティングバー520は、上下ムービングブロック519の前端部に形成されたフック部519bによって上下ムービングブロック519の前方にフック結合され、上下ムービングブロック519がブロックガイド部517の内部で上下方向にムービングされる時、水平マウンティングバー520の両端が一側に偏らず、全体的に上下ムービングされる。
【0124】
一方、水平ブラケット部560の両端部には、それぞれアンテナハウジング部110の左側内側壁および右側内側壁に固定される左側支持パネル565aおよび右側支持パネル565bが備えられる。
【0125】
これとともに、水平マウンティングバー520の両端部には、水平ブラケット部560の左側支持パネル565aおよび右側支持パネル565bに回転支持されるベアリングホイール525a、525bがそれぞれ備えられる。
【0126】
左側ベアリングホイール525aと右側ベアリングホイール525bは、それぞれ水平マウンティングバー520の両端部の背面に結合される左側ベアリングハウジング527aおよび右側ベアリングハウジング527bに回転可能に設けられ、水平ブラケット部560の左側支持パネル565aと右側支持パネル565bに回転支持されることにより、水平マウンティングバー520の上下ムービングを円滑に補助する役割を果たす。
【0127】
一方、垂直マウンティングバー530は、単位RFフィルタボディ211の個数に対応して備えられる。例えば、
図11を参照すれば、単位RFフィルタボディ211がメインボード120の前面上側および前面下側にそれぞれ左右に4個ずつ8個配列されて、計16T16R(16 for transmitting and 16 for receiving)の送受信経路を備えた場合、垂直マウンティングバー530は、前記8個の単位RFフィルタボディ211それぞれの個数に対応する個数で備えられる。
【0128】
水平マウンティングバー520の前面には、垂直マウンティングバー530の一端および他端のいずれか1つ(本発明の実施例では、「一端」と定義する)とヒンジ結合されるための複数のヒンジ結合突起521が前方に突出して形成される。垂直マウンティングバー530の一端には、水平マウンティングバー520のヒンジ結合突起521それぞれにヒンジ結合されるヒンジ結合ホール531が形成される。
【0129】
一方、可変スイッチパネル540は、略円形のパネル形態に形成されるものであって、円周の一部が一側に突出した形状に形成される。円周の一部が突出したロテータタイプの可変スイッチパネル540の突出部位には、垂直マウンティングバー530の一端および他端の他の1つ(本発明の実施例では、「他端」と定義する)に前方に折曲されるように一体に形成されたヒンジピン533が貫通してヒンジ結合されるヒンジ挿入ホール545が形成される。
【0130】
垂直マウンティングバー530のヒンジピン533は、アンテナ素子基板231および単位RFフィルタボディ211の前面に形成されたリフレクタパネル219を貫通して可変スイッチパネル540のヒンジ挿入ホール545にヒンジ結合される。
【0131】
一方、リフレクタパネル219およびアンテナ素子基板231には、垂直マウンティングバー530のヒンジピン533の円弧移動を案内する弧状のガイドスリット231cが形成される。
【0132】
ここで、アンテナ素子基板231には、上述した2個の可変回路(内部可変回路248aおよび外部可変回路248b)の前面において可変スイッチパネル540が回動中心点に固定されて回動可能に可変スイッチパネル540の中心部が連結される回動ホール231aが形成される。
【0133】
可変スイッチパネル540の中心部には固定ホール543または固定ホール543を含むスクリューボス544が備えられ、図示しない固定スクリューがアンテナ素子基板231に形成された回動ホール231aを貫通して、単位RFフィルタボディ211のリフレクタパネル219の前面に形成されたスクリュー締結ホール(図示せず)に締結される動作で可変スイッチパネル540を回動可能に固定することができる。
【0134】
しかし、必ずしも可変スイッチパネル540の固定構造が上述した実施例によって限定されるものではなく、図示しないが、可変スイッチパネル540の中心部は、ヒンジ形態で備えられ、アンテナ素子基板231に形成された回動ホール231aを貫通して、単位RFフィルタボディ211のリフレクタパネル219の前面に可変スイッチパネル540の中心部が連結できるように備えられたヒンジ連結部219aに連結される。
【0135】
一方、アンテナ素子基板231には、可変スイッチパネル540を前方からカバーリングするロテータカバー550が結合される4個のカバー結合ホール231bが形成される。4個のカバー結合ホール231bには、ロテータカバー550の各角部分の背面から後方に突出して形成された4個の結合リブ(図面符号不表記)がそれぞれ挿入されて結合されて、可変スイッチパネル540をカバーリングしながらも可変スイッチパネル540の突出部位が2個の結合リブの間に突出することにより、ガイドスリット231cの範囲内で回動可能にする役割を果たすことができる。
【0136】
これとともに、位相シフタ500は、可変スイッチパネル540とロテータカバー550との間には、
図6に示されるように、可変スイッチパネル540をアンテナ素子基板231側に弾性支持する弾性部材570をさらに含むことができる。
【0137】
弾性部材570は、可変スイッチパネル540の背面部に形成された第1通電パターン端子547aおよび第2通電パターン端子547bをアンテナ素子基板231の第1断電地点247aおよび第2断電地点247bに十分に密着するように弾性力を付加することにより、接点を持続的に維持させる役割を果たすことができる。
【0138】
このような弾性部材570は、可変スイッチパネル540に対して均一な弾性力を付加すればいかなる構成でも採用可能であるが、本発明の一実施例では、弾性部材570が板スプリングで備えられたことに限定する。
【0139】
上記のように構成される本発明の一実施例によるアンテナ装置100において、位相シフタ500は、特に、可変スイッチパネル540がアンテナ素子基板231の前面とアレイアンテナ素子235の背面との間の離隔空間で回動するように備えられ、比較的空間を多く占める位相遷移駆動モータ510、水平マウンティングバー520および垂直マウンティングバー530とこれらを結合させるための各種構成(水平ブラケット部560など)を複数の単位RFフィルタボディ211の間の既存の空間に効率的に設けることにより、空間活用性を向上させるという利点を提供する。
【0140】
一方、アンテナ素子基板231にパターン印刷された可変回路(下部可変回路248a’および上部可変回路248b’)は、
図18に示されるように、凹凸形状に形成されることも可能である。
【0141】
すなわち、第1入力端234aおよび第2入力端234bから直線形状に伝送ラインが下側に延びかつ、第1出力端236aおよび第3出力端236cに分岐する前および第2出力端236bおよび第4出力端236dに分岐する前の一部の地点で第1断電地点247aを有するとともに、分岐した後、第1入力端234aおよび第2入力端234bの上側に直線形状に伝送ラインが延びかつ、分岐した後の第3出力端236cおよび第4出力端236dの一部の地点で第2断電地点247bを有するようにアンテナ素子基板231にパターン印刷される。
【0142】
ここで、可変スイッチパネル540に対応する構成(図示せず)の前面には、第1通電パターン端子547aおよび第2通電パターン端子547bが前記第1断電地点247aおよび第2断電地点247bに接点となって、上述したように、1:3の長さ比率を有するように形成される。この場合、可変スイッチパネル540の代替構成は、アンテナ素子基板231の前面から上下方向にスライドムービングされるように備えられることにより、ムービング距離による位相差を実現することができる。
【0143】
図19は、本発明の一実施例によるアンテナ装置の位相シフタを用いたRF段で行われる位相変換の様子の原理を説明するための回路図および位相差図である。
【0144】
「背景技術」の項目においてすでにRF段で伝送線路の長さを変化させる場合にも、Mirror Symmetry(鏡対称)構造の実現のためには、4個のアレイアンテナ素子235の少なくとも2個のアレイアンテナ素子235に給電される信号の位相は、Digital段でのサポート(Support)作業を必要とすることを説明した。
【0145】
しかし、上述したように構成される本発明の一実施例によるフルアナログ位相シフタ500によれば、
図17に示されるように、1つのTRxモジュール(メインボード120または増幅素子部220にそれぞれ実装された送受信素子を意味する)から入力された給電信号は、各入力端から2個の出力端に分岐する前の第1断電地点247aおよび分岐した後の第2断電地点247bで 可変スイッチパネル540の第1通電パターン端子547aおよび第2通電パターン端子547bによって一側伝送線路232aおよび他側伝送線路232bの長さが所定の比率に可変するように回動するように備えられることにより、Digital段でのサポート作業を必要としないという長所を有する。
【0146】
すなわち、
図16および
図19に示されるように、第1入力端234aから第1出力端236aおよび第3出力端236cに分岐する前の第1断電地点247aおよび第2入力端234bから第2出力端236bおよび第4出力端236dに分岐する前の第1断電地点247aは、可変スイッチパネル540の第1通電パターン端子547aによって一側伝送線路232aおよび他側伝送線路232bの物理的な長さを変化させて位相を△Φおよび-△Φだけ可変して所望の位相遷移値を実現し、第1入力端234aから第3出力端236cに分岐した後の第2断電地点247bおよび第3入力端から第4出力端236dに分岐した後の第2断電地点247bは、可変スイッチパネル540の第2通電パターン端子547bによって他側伝送線路232bの物理的な長さを変化させて位相を2△Φおよび-2△Φだけ可変して所望の位相遷移値を実現することができる。
【0147】
この場合、同一位相面を基準として4個のアレイアンテナ素子235に対する位相遷移値は、線形位相分布をなすことが可能で、最も効率的なビームフォーミング性能を有するMirror Symmetry構造を実現することができる。
【0148】
より詳しくは、2個のアンテナ素子基板231を上下垂直方向に並んで配置する時、垂直方向上側のアンテナ素子基板231に備えられた第1出力端236aおよび第2出力端236bの間を第1ビーム出力部、第3出力端236cおよび第4出力端236dの間を第2ビーム出力部と定義し、同じく、垂直方向下側のアンテナ素子基板231に備えられた第1出力端236aおよび第2出力端236bの間を第3ビーム出力部、第3出力端236cおよび第4出力端236dの間を第4ビーム出力部と定義することができる。
【0149】
この時、2個の可変スイッチパネル540の同時稼働によって、第2ビーム出力部および第3ビーム出力部は、伝送線路の長さを基準同一位相面に対してそれぞれ±△Φだけシフトし、第1ビーム出力部および第4ビーム出力部は、伝送線路の長さを基準同一位相面に対してそれぞれ±△3Φだけシフトする長さに変更させることができる。
【0150】
このために、例えば、2個の可変スイッチパネル540がロテータタイプで備えられた場合には、2個のアンテナ素子基板231にパターン印刷した第1断電地点247aおよび第2断電地点247bが同一であることを前提とする時、相互反対方向に回動するように備えられることが好ましい。
【0151】
このように、本発明の一実施例によるフルアナログ位相シフタ500およびこれを含むアンテナ装置100によれば、Digital段での位相差を補正するためのOff-set補正(すなわち、サポート作業)の必要なしに、TRxモジュールから信号が入力されると、第1断電地点247aおよび第2断電地点247bを可変スイッチパネル540の第1通電パターン端子547aおよび第2通電パターン端子547bの各接点による伝送線路の物理的な長さ変化により一直線形態の線形位相分布をなすことが可能で、最も効率的なビームフォーミング性能が可能なMirror Symmetry構造を実現できるという利点を有する。
【0152】
以上、本発明の一実施例によるアンテナ装置を、添付した図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した実施例によって限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による多様な変形および均等な範囲での実施が可能であることは言うまでもない。そのため、本発明の真の権利範囲は後述する特許請求の範囲によって定められる。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明は、RF段にフルアナログ位相シフタを備え、既存のRFモジュールの配置設計の変更がないことはもちろん、別の設置空間の設計を必要とせず、選択的に全体伝送線路の長さを変換させて所望の位相遷移値を確保できるフルアナログ位相シフタおよびこれを含むアンテナ装置を提供する。
【符号の説明】
【0154】
100:アンテナ装置、110:アンテナハウジング部
120:メインボード、130:PSUボード部
140:サージ基板部、200:RFモジュール
210:RFフィルタ、211:単位RFフィルタボディ
220:増幅素子部、230:放射素子モジュール
231:アンテナ素子基板、231a:回動ホール
231b:カバー結合ホール、 231c:ガイドスリット
232a:一側伝送線路、232b:他側伝送線路
233:給電フィードベース、234a:第1入力端
234b:第2入力端、235:アレイアンテナ素子
236a:第1出力端、236b:第2出力端
236c:第3出力端、236d:第4出力端
247a:第1断電地点、247b:第2断電地点
300:レドームパネル、400:外側装着部材
500:位相シフタ、510:位相遷移駆動モータ
520:水平マウンティングバー、530:垂直マウンティングバー
540:可変スイッチパネル、547a:第1通電パターン端子
547b:第2通電パターン端子、550:ロテータカバー
560:水平ブラケット部、570:弾性部材
【国際調査報告】