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特表2024-544724(R)-1-(1-アクリロイルピペリジン-3-イル)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン及びその塩の結晶形態
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  • 特表-(R)-1-(1-アクリロイルピペリジン-3-イル)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン及びその塩の結晶形態 図1
  • 特表-(R)-1-(1-アクリロイルピペリジン-3-イル)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン及びその塩の結晶形態 図2
  • 特表-(R)-1-(1-アクリロイルピペリジン-3-イル)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン及びその塩の結晶形態 図3A
  • 特表-(R)-1-(1-アクリロイルピペリジン-3-イル)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン及びその塩の結晶形態 図3B
  • 特表-(R)-1-(1-アクリロイルピペリジン-3-イル)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン及びその塩の結晶形態 図4
  • 特表-(R)-1-(1-アクリロイルピペリジン-3-イル)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン及びその塩の結晶形態 図5
  • 特表-(R)-1-(1-アクリロイルピペリジン-3-イル)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン及びその塩の結晶形態 図6A
  • 特表-(R)-1-(1-アクリロイルピペリジン-3-イル)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン及びその塩の結晶形態 図6B
  • 特表-(R)-1-(1-アクリロイルピペリジン-3-イル)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン及びその塩の結晶形態 図7
  • 特表-(R)-1-(1-アクリロイルピペリジン-3-イル)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン及びその塩の結晶形態 図8
  • 特表-(R)-1-(1-アクリロイルピペリジン-3-イル)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン及びその塩の結晶形態 図9A
  • 特表-(R)-1-(1-アクリロイルピペリジン-3-イル)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン及びその塩の結晶形態 図9B
  • 特表-(R)-1-(1-アクリロイルピペリジン-3-イル)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン及びその塩の結晶形態 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】(R)-1-(1-アクリロイルピペリジン-3-イル)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン及びその塩の結晶形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20241126BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALN20241126BHJP
【FI】
C07D471/04 108Z
C07D471/04 CSP
A61K31/4545
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537354
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 US2022053479
(87)【国際公開番号】W WO2023122072
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/292,124
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/432,169
(32)【優先日】2022-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513288724
【氏名又は名称】プリンシピア バイオファーマ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ティム・オーウェンズ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・イー・オクセンバイン
(72)【発明者】
【氏名】クリスタ・ディアズ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA03
4C086CB05
4C086GA15
4C086NA03
4C086NA11
4C086NA20
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
本開示は、(R)-1-(1-アクリロイルピペリジン-3-イル)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン遊離塩基及びそのHCl塩の結晶形態に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)・HClの化合物の実質的に結晶性の形態。
【請求項2】
式(1)・HClの前記化合物が、形態1である、請求項1に記載の実質的に結晶性の化合物。
【請求項3】
式(1)・HCl形態1の前記化合物が、図5と実質的に同じXRPDパターンによって特徴付けられる、請求項2に記載の実質的に結晶性の化合物。
【請求項4】
式(1)・HCl形態1の前記化合物が、約6.309°2θ、9.480°2θ、10.933°2θ、12.261°2θ、12.647°2θ、14.482°2θ、14.918°2θ、16.253°2θ及び16.425°2θにおけるピークから選択される1つ以上のピークを含むXRPDパターンによって特徴付けられる、請求項2に記載の実質的に結晶性の化合物。
【請求項5】
式(1)・HClの前記化合物が、形態2である、請求項1に記載の実質的に結晶性の化合物。
【請求項6】
式(1)・HCl形態2の前記化合物が、図8と実質的に同じXRPDパターンによって特徴付けられる、請求項5に記載の実質的に結晶性の化合物。
【請求項7】
式(1)・HCl形態2の前記化合物が、約8.00°2θ、10.11°2θ、11.98°2θ、13.33°2θ、14.40°2θ、14.92°2θ、15.66°2θ、16.05°2θ、16.72°2θ、及び17.28°2θにおけるピークから選択される1つ以上のピークを含むXRPDパターンによって特徴付けられる、請求項5に記載の実質的に結晶性の化合物。
【請求項8】
前記実質的に結晶性の化合物が、少なくとも85%結晶性である、請求項1~7のいずれか一項に記載の実質的に結晶性の化合物。
【請求項9】
前記実質的に結晶性の化合物が、少なくとも90%結晶性である、請求項1~8のいずれか一項に記載の実質的に結晶性の化合物。
【請求項10】
前記実質的に結晶性の化合物が、少なくとも95%結晶性である、請求項1~9のいずれか一項に記載の実質的に結晶性の化合物。
【請求項11】
前記実質的に結晶性の化合物が、少なくとも97%結晶性である、請求項1~10のいずれか一項に記載の実質的に結晶性の化合物。
【請求項12】
前記実質的に結晶性の化合物が、少なくとも99%結晶性である、請求項1~11のいずれか一項に記載の実質的に結晶性の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の構造を有する(R)-1-(1-アクリロイルピペリジン-3-イル)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン遊離塩基(本明細書において、化合物(1)とも呼ばれる):
【化1】

並びにその誘導体及び形態の結晶形態が、本明細書に開示される。化合物(1)並びにその塩及び固体形態は、強力なブルトン型チロシンキナーゼ(「BTK」)阻害剤であり、したがって、過剰なBTKシグナル伝達に起因する疾患又は障害の治療に有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
治療剤としての化合物の適合性を評価する際の1つの要因は、化合物が、最小の廃棄物及び不純物で、大規模製造及び単離に適した方法で合成され得るかどうかである。この要因は、商業生産に必要なより多い量を作製するためのベンチスケールプロセスの適合性を検討する場合、考慮されることが多い。例えば、化合物(1)及びそれを調製する方法が、米国特許第9,688,676号明細書の実施例3に開示され、以下のとおりである。
【0003】
100mLの丸底フラスコ中に、(R)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1-(ピペリジン-3-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン(150mg、0.37mmol、1.00当量)、DCM-CHOH(6mL)、TEA(113mg、1.12mmol、3.00当量)を入れた。この後、5分間で、0℃で撹拌しながらプロパ-2-エノイルクロリド(40.1mg、0.44mmol、1.20当量)を滴下して加えた。得られた溶液を0℃で2時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン/メタノール(30:1)を用いたシリカゲルカラム上に適用した。粗生成物(100mg)を、以下の条件(カラム、XBridge Prep C18 OBD Column、5μm、19150mm;移動相、0.05%のTFA及びACNを含む水(8分間で25.0%のACNから45.0%まで))を用いた分取HPLCによって精製した。上述されるように、この合成により、100mgの粗化合物(1)が得られ、これは、カラムクロマトグラフィーによって精製されなければならず、54.5mgの精製された化合物(1)が生成された。
【0004】
実現されるべき別の望ましい態様は、治療剤としての化合物が、身体によって容易に吸収され、貯蔵安定性もある形態で投与され得ることである。治療剤を調製するのに使用される薬理活性物質は、可能な限り純粋であるべきであり、長期貯蔵におけるその安定性が、様々な環境条件下で保証されるべきである。これらの特性は、医薬組成物における意図されない分解産物の出現を防止するのに有用であり、この分解産物は、潜在的に毒性であり、組成物の効力を単に低下させ得る。
【0005】
医薬品化合物の大規模製造についての第一の関心事は、活性物質が、一貫した処理パラメータ及び医薬品品質を確実にするために安定した結晶モルフォロジーを有するべきであるということである。不安定な結晶形態が使用される場合、結晶モルフォロジーは、製造及び/又は貯蔵中に変化し得、品質管理の問題及び配合物のばらつきをもたらす。このような変化は、製造プロセスの再現性に影響を与え、それによって、医薬組成物の製剤に課される高品質及び厳しい要件を満たさない最終的な製剤をもたらし得る。これに関して、その物理的及び化学安定性を改善し得る医薬組成物の固体状態への変化が、同じ薬物のより不安定な形態を上回る大きな利点を与えることが一般に留意されるべきである。
【0006】
化合物が、溶液又はスラリーから結晶化するとき、それは、様々な空間格子配列で結晶化し得、これは、「多形性(polymorphism)」と呼ばれる特性である。結晶形態のそれぞれは、「多形」である。所与の物質の多形は、同じ化学組成を有するが、それらは、溶解度、解離、真密度、溶解、融点、結晶形、圧密挙動、流動性、及び/又は固体安定性などの1つ以上の物理的特性に関して互いに異なり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によれば、本開示は、式(1)の実質的に結晶性の化合物に関する。
【0008】
一実施形態において、式(1)の実質的に結晶性の化合物は、遊離塩基である。
【0009】
別の実施形態において、式(1)の実質的に結晶性の化合物は、式(1)・HClの化合物である。
【0010】
さらなる目的及び利点が、以下に続く説明において部分的に記載され、この説明から部分的に理解され、又は実施によって認識され得る。目的及び利点は、添付の特許請求の範囲に具体的に挙げられる要素及び組合せによって、実現され、達成されるであろう。
【0011】
上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明がいずれも、例示的及び説明的なものであるに過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0012】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、一(いくつかの)実施形態を例示し、本明細書と一緒に、本明細書に記載される原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】CuKα線を用いて得られた化合物(1)結晶性遊離塩基形態1のXRPDパターンを示す。
図2】CuKα線を用いて得られた化合物(1)結晶性遊離塩基形態2のXRPDパターンを示す。
図3A】化合物(1)結晶性遊離塩基形態1の分子構造のORTEP図を示す。
図3B】短軸の下の化合物(1)結晶性遊離塩基形態1の分子構造のORTEP図:水素結合ネットワーク(点線)に焦点を合わせた分子充填の図を示す。
図4】化合物(1)結晶性遊離塩基形態1の単結晶構造からの模擬粉末回折パターンを示す。
図5】CuKα線を用いて得られた化合物(1)・HCl結晶形態1のXRPDパターンを示す。
図6A】化合物(1)・HCl結晶形態1の分子構造のORTEP図を示す。
図6B】b軸の下の化合物(1)・HCl結晶形態1の分子構造のORTEP図:分子充填の図を示す。
図7】化合物(1)・HCl結晶形態1の単結晶構造からの模擬粉末回折パターンを示す。
図8】CuKα線を用いて得られた化合物(1)・HCl結晶形態2のXRPDパターンを示す。
図9A】化合物(1)・HCl結晶形態2の分子構造のORTEP図を示す。
図9B】化合物(1)・HCl結晶形態2の分子構造のORTEP図:分子充填の図を示す。
図10】化合物(1)・HCl結晶形態2の単結晶構造からの模擬粉末回折パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、特定の実施形態が詳細に言及され、その例が、添付の図面に示される。本開示は、例示される実施形態を提供するが、それらは、本発明をそれらの実施形態に限定することが意図されていないことが理解されるであろう。それどころか、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定される、本開示の範囲内に含まれ得る全ての代替例、変更、及び均等物を包含することが意図される。
【0015】
本明細書において使用されるいずれも節の見出しも、組織化のためのものであるに過ぎず、所望の主題を限定するものと決して解釈されるべきではない。参照により援用されるいずれかの文献が、本明細書において定義されるいずれかの用語と矛盾する場合、本明細書が優先される。本発明の教示内容は、様々な実施形態に関連して記載されるが、本発明の教示内容が、このような実施形態に限定されることは意図されていない。それどころか、本発明の教示内容は、当業者によって理解されるような、様々な代替例、変更、及び均等物を包含する。
【0016】
I.定義
特に記載しない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される以下の用語が、本開示のために定義され、以下の意味を有する。
【0017】
本明細書において使用される際、「BTK阻害剤」、「BTK阻害剤化合物」、「式(1)の化合物」、「化合物(1)」、及び「化合物(the compound)」は、以下の構造を有する(R)-1-(1-アクリロイルピペリジン-3-イル)-4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2(3H)-オン:
【化2】

(これは、「トレブルチニブ」としても知られている)、及び以下の構造を有する4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1-[(3R)-1-(プロパ-2-エノイル)ピペリジン-3-イル]-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-オン:
【化3】

及び/又はその薬学的に許容される塩を指す。
【0018】
本開示は、式(1)の実質的に結晶性の化合物に関する。
【0019】
いくつかの実施形態において、式(1)の実質的に結晶性の化合物は、少なくとも50%結晶性であり、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%結晶性である。
【0020】
本明細書において使用される際、「結晶性」又は「結晶性固体形態」という用語は、いずれの非晶質固体形態も実質的に含まない固体形態を指す。
【0021】
いくつかの実施形態において、「実質的に含まない」は、約10%w/w未満、約9%w/w未満、約8%w/w未満、約7%w/w未満、約6%w/w未満、約5%w/w未満、約4%w/w未満、約3%w/w未満、約2.5%w/w未満、約2%w/w未満、約1.5%w/w未満、約1%w/w未満、約0.75%w/w未満、約0.50%w/w未満、約0.25%w/w未満、約0.10%w/w未満、又は約0.05%w/w未満の、化合物の他の結晶形態及び非晶質化合物を意味する。いくつかの実施形態において、「実質的に含まない」は、検出不可能な量の、化合物の他の結晶形態及び非晶質化合物を意味する。
【0022】
本明細書において使用される際、「実質的に純粋」又は「実質的に結晶性」という用語は、結晶形態が、全ての形態の化合物の総重量と比較して、重量基準で少なくとも90パーセント、例えば少なくとも95パーセント、例えば少なくとも97パーセント、さらには少なくとも99パーセントの、示される結晶形態を含有することを意味する。
【0023】
或いは、「実質的に純粋」又は「実質的に結晶性」は、結晶形態が、全ての形態の化合物の総重量と比較して、重量基準で10パーセント未満、例えば5パーセント未満、例えば3パーセント未満、さらには1パーセント未満の、他の多形、溶媒和又は非晶質形態を含む不純物を含有することを意味することが理解されるであろう。
【0024】
いくつかの実施形態において、式(1)の実質的に結晶性の化合物は、形態1である。少なくとも1つの実施形態において、式(1)形態1の実質的に結晶性の化合物は、図1と実質的に同じXRPDパターンによって特徴付けられる。少なくとも1つの実施形態において、式(1)形態1の実質的に結晶性の化合物は、約7.66°2θ、7.86°2θ、10.03°2θ、10.51°2θ、10.97°2θ、11.99°2θ、13.19°2θ、13.59°2θ及び13.96°2θにおけるピークから選択される1つ以上のピークを含むXRPDパターンによって特徴付けられる。
【0025】
いくつかの実施形態において、結晶形態1として特徴付けられる結晶性固体形態は、少なくとも50%の結晶形態であり、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%結晶性である。
【0026】
いくつかの実施形態において、式(1)の実質的に結晶性の化合物は、形態2である。少なくとも1つの実施形態において、式(1)形態2の実質的に結晶性の化合物は、図2と実質的に同じXRPDパターンによって特徴付けられる。少なくとも1つの実施形態において、式(1)形態2の実質的に結晶性の化合物は、約4.15°2θ、10.22°2θ、10.41°2θ、11.03°2θ、14.41°2θ、14.85°2θ、15.63°2θ、16.55°2θ及び17.73°2θにおけるピークから選択される1つ以上のピークを含むXRPDパターンによって特徴付けられる。
【0027】
いくつかの実施形態において、結晶形態2として特徴付けられる結晶性固体形態は、少なくとも50%の結晶形態であり、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%結晶性である。
【0028】
本開示はまた、式(1)・HClの化合物の実質的に結晶性の形態に関する。
【0029】
いくつかの実施形態において、式(1)・HClの実質的に結晶性の化合物は、形態1である。少なくとも1つの実施形態において、式(1)・HCl形態1の実質的に結晶性の化合物は、図5と実質的に同じXRPDパターンによって特徴付けられる。少なくとも1つの実施形態において、式(1)・HCl形態1の実質的に結晶性の化合物は、約6.309°2θ、9.480°2θ、10.933°2θ、12.261°2θ、12.647°2θ、14.482°2θ、14.918°2θ、16.253°2θ及び16.425°2θにおけるピークから選択される1つ以上のピークを含むXRPDパターンによって特徴付けられる。
【0030】
いくつかの実施形態において、結晶式(1)・HCl形態1として特徴付けられる結晶性固体形態は、少なくとも50%の結晶形態であり、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%結晶性である。
【0031】
いくつかの実施形態において、式(1)・HClの実質的に結晶性の化合物は、形態2である。少なくとも1つの実施形態において、式(1)・HCl形態2の実質的に結晶性の化合物は、図8と実質的に同じXRPDパターンによって特徴付けられる。少なくとも1つの実施形態において、式(1)・HCl形態2の実質的に結晶性の化合物は、約8.00°2θ、10.11°2θ、11.98°2θ、13.33°2θ、14.40°2θ、14.92°2θ、15.66°2θ、16.05°2θ、16.72°2θ、及び17.28°2θにおけるピークから選択される1つ以上のピークを含むXRPDパターンによって特徴付けられる。
【0032】
いくつかの実施形態において、結晶式(1)・HCl形態2として特徴付けられる結晶性固体形態は、少なくとも50%の結晶形態であり、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%結晶性である。
【0033】
いくつかの実施形態において、式(1)の実質的に結晶性の化合物は、少なくとも85%結晶性である。いくつかの実施形態において、式(1)の実質的に結晶性の化合物は、少なくとも90%結晶性である。いくつかの実施形態において、式(1)の実質的に結晶性の化合物は、少なくとも95%結晶性である。いくつかの実施形態において、式(1)の実質的に結晶性の化合物は、少なくとも97%結晶性である。いくつかの実施形態において、式(1)の実質的に結晶性の化合物は、少なくとも99%結晶性である。
【0034】
以下の略語は、本出願に関連し得る。
【0035】
【表1】
【実施例
【0036】
II.実施例
実施例1.化合物(1)の特性決定
上記の米国特許第9,688,676号明細書に開示される方法に従って作製された化合物(1)は、結晶化を試みられて、XRPD分析によって決定した際に2つの形態が得られた。
【0037】
1.1 化合物(1)結晶形態1
酢酸エチル(AcOEt)を、化合物(1)に加え、50℃に加熱した。加熱デバイスをオフにし、試料を周囲温度に冷却させた。バイアルの底の固体を擦り取り、2日間にわたって室温で、AcOEtでスラリー化した。さらなるAcOEtを加え、スラリーを、3日間にわたって室温で静置させた。さらなるAcOEtを加え、次に、溶液を真空ろ過した。
【0038】
化合物1・形態1を、これらのパラメータに従ってBruker D2-Phaser回折計において行われるXRPD分析にかけた:
・線源CuKa1、l=1.5406Å。
・ジェネレーター:30kV~10mA。
・検出器:Lynxeye SSD160(1Dモード)
・粉末試料ホルダー
・回転試料ホルダー:30rpm
・角度範囲:2θブラッグにおいて2°~40°。
・ステップサイズ:0.03°
・ステップ時間:ステップごとに0.5秒
・PSD開口:4.8°
・検出器スリット:8mm
・X線ジェネレータースリット:0.6mm
・試料調製:穏やかに粉砕する
・空間群:P21
・単位格子パラメータが以下に示される:
a(Å)=8.9182b(Å)=11.7707c(Å)=11.9324α(°)=97.197β(°)=107.211γ(°)=96.440
【0039】
図1は、CuKα線(波長:λ(Cu)=1.54178Å)を用いて得られた化合物(1)形態1のXRPDパターンを示す。
【0040】
図1において同定されたピークは、表1に記載されるものを含む。
【0041】
【表2】
【0042】
実施例1.2 化合物(1)結晶形態2
酢酸イソプロピル(iPrOAc)を、化合物1に加えて、スラリーを形成し、それを、3日間にわたって室温で静置させ、次に、4日間にわたって低温のスラリーとして静置させた。さらなるiPrOAcを加えた後、室温のスラリーを1日加えた。さらなるiPrOAcを加え、次に、溶液を真空ろ過した。
【0043】
化合物1・形態2を、これらのパラメータに従ってBruker D2-Phaser回折計において行われるXRPD分析にかけた:
・線源CuKa1、l=1.5406Å。
・ジェネレーター:30kV~10mA。
・検出器:Lynxeye SSD160(1Dモード)
・粉末試料ホルダー
・回転試料ホルダー:30rpm
・角度範囲:2θブラッグにおいて2°~40°。
・ステップサイズ:0.03°
・ステップ時間:ステップごとに0.5秒
・PSD開口:4.8°
・検出器スリット:8mm
・X線ジェネレータースリット:0.6mm
・試料調製:穏やかに粉砕する
・空間群:P21
・単位格子パラメータが以下に示される:
a(Å)=8.6381b(Å)=42.2015c(Å)=6.1873α(°)=90.000β(°)=90.433γ(°)=90.000
【0044】
図2は、CuKα線(波長:l(Cu)=1.54178Å)を用いて得られた化合物(1)・形態2のXRPDパターンを示す。図2において同定されたピークは、表2に記載されるものを含む。
【0045】
【表3】
【0046】
実施例2.化合物(1)形態1についての単結晶データ
実施例1.1に記載されるように作製されたバッチからの単結晶を、双眼顕微鏡下での観察によって選択し、Bruker APEX2 Instrument回折計(Bruker AXS(2011).APEX2 suite V2011.2-0 Madison,Wisconsin,U.S.A.)のゴニオメーターヘッドに取り付けた。強度を、マイクロフォーカスImuS CuKα線波長(λ=1.54178Å)を使用して、低温(T=112K)で収集した。回折ノードの体系的調査は、結晶が、基本ブラベ格子により、三斜晶系に属することを示す。単位格子パラメータが以下に示される:
a(Å)=8.81b(Å)=11.58c(Å)=11.77α(°)=97.75β(°)=107.23γ(°)=94.97
【0047】
化合物(1)形態1分子中の原子の数及び単位格子体積を考慮して、この単位格子が、1.342の算出密度に相当する、式C2625を有する2つの分子を含有するはずであることが結論付けられた。収集された反射の数は、27267であり、そのうち7140が個別であった。
【0048】
強度の統計的分布に基づいて、非中心対称性構造が、推定される。
【0049】
構造を、SHELXのXT双対空間モジュールを用いた直接方法によって解き;Sheldrick,G.M.“A short history of SHELX”,Acta Crystallogr.Sect.A(2008)A64,112-122に記載されるように、SHELXTLを用いた完全最小二乗によってFについて精密化した。全ての非水素原子を、異方性変位パラメータを用いて精密化し;ライディングモデルを、水素原子に使用した。最終的な一致値は、1.242の適合度で、7140の反射及び625のパラメータについて、R1=0.0267(観察された反射)及びwR2=0.0722(全てのデータ)である。
【0050】
化合物(1)は、空間群P1内で結晶化し、結晶の非対称単位は、化合物(1)形態1の2つの分子から作製され、したがって、2つの式が、単位格子中に存在する。図3A及び図3Bを参照されたい。有機溶媒又は水のようなさらなる分子は見られなかった。分子構造の調査により、全ての結合角及び長さが、標準的な範囲値内にあることが確認された。結晶中に無秩序が存在しないようであった。
【0051】
結晶データ、X線実験パラメータ及び構造精密化が、表3に示される。
【0052】
【表4】
【0053】
模擬回折パターン(図4)が、実験的に決定された結晶構造から生成された。実験的粉末回折パターンが、結晶構造の性質を実証するために、この理論的パターンと比較され得る。わずかな差(ある場合)が、非対称的結晶モルフォロジー、粒径、又は粉末における優先的配向によって説明され得る。
【0054】
実施例3.化合物(1)・HClの合成及び特性決定
概説。化合物(1)・HClを、以下のスキームに示されるように調製した。これらの反応のバッチサイズは、典型的に、14~60kgであり、最大で約100kgの規模で行われ得る。
【化4】
【0055】
詳細な合成
2.1 化合物(1)・HClの調製。
精製水(7.5体積)及びKCO(少なくとも3.0当量)を、20℃でDCM(12体積)中の化合物(3)オキサレート(水和物;1当量の化合物(3)に対応する)に加え、反応混合物を少なくとも2時間撹拌した。次に、反応混合物を、沈殿させ、分離させた。有機層を収集し、水(7.5体積)で1~2回洗浄して、DCM溶液中の化合物(3)を得た。溶液を、12体積になるまで濃縮し、20℃でDIPEA(4当量)と混合した。次に、DCM(2.3体積)中の3-クロロプロパン酸の溶液(1.05当量)及びT3P(50%のDCM溶液、1当量)を、20℃で加えた。化合物2がインサイチュで形成された。次に、DBU(4当量)を、少なくとも30分間にわたって30℃で反応混合物に加え、得られた混合物を、少なくとも2時間にわたって30℃に保持した。有機層を、20℃で、HCl(1N、10体積)で3~5回洗浄した。次に、有機層を、2.73体積になるまで濃縮し、温度を35℃に調整した。化合物1・HCl種晶(0.1kg/kg)を、35℃で有機層に加え、温度を少なくとも1時間にわたって維持した。次に、酢酸エチル(2体積)を加え、35℃の温度を、少なくとも1時間にわたって維持した。次に、反応混合物を10℃に冷却し、ACN(1.07体積)を加えた。混合物を0℃に冷却した。フィルタードライヤーに、得られた懸濁液を充填し、0℃で、DCM(0.72体積)/AcOEt(0.63体積)/ACN(0.45体積)を用いて再度スラリー化した。固体をろ過し、AcOEt(1.8体積)で2回、及びACN(1.8体積)で2回洗浄した。得られた化合物1・HClを、50℃の最高温度で乾燥させた。以下の元素分析が、Galbraith Laboratoriesによって行われた: PerkinElmer2400 Series II CHNS/O Analyzerを用いた炭素、水素、及び窒素の決定並びに電位差滴定による全ハロゲン又は全ハロゲン化物の決定。
【0056】
【表5】
【0057】
3.2 化合物(1)・HCl形態1についての結晶データ
酢酸エチル(AcOEt)を、化合物(1)・HClに加え、50℃に加熱した。加熱デバイスをオフにし、試料を周囲温度に冷却させた。バイアルの底の固体を擦り取り、2日間にわたって室温で、AcOEtでスラリー化した。さらなるAcOEtを加え、スラリーを、3日間にわたって室温で静置させた。さらなるAcOEtを加え、次に、溶液を真空ろ過した。
【0058】
化合物1・HClを、それらのパラメータに従ってBruker D2-Phaser回折計において行われるXRPD分析にかけた:
・線源CuKa1、l=1.5406Å。
・ジェネレーター:30kV~10mA。
・検出器:Lynxeye SSD160(1Dモード)
・粉末試料ホルダー
・回転試料ホルダー:30rpm
・角度範囲:2θブラッグにおいて2°~40°。
・ステップサイズ:0.03°
・ステップ時間:ステップごとに0.5秒
・PSD開口:4.8°
・検出器スリット:8mm
・X線ジェネレータースリット:0.6mm
・試料調製:穏やかに粉砕する
・空間群:P21
・単位格子パラメータが以下に示される:
a(Å)=14.1097b(Å)=12.2212c(Å)=14.5523α(°)=90.00β(°)=97.653γ(°)=90.00
【0059】
図5は、CuKα線(波長:λ(Cu)=1.54178Å)を用いて得られた化合物(1)・HCl形態1のXRPDパターンを示す。
【0060】
図4において同定されたピークは、表4に記載されるものを含む。
【0061】
【表6】
【0062】
3.3 化合物(1)・HCl形態1の単結晶データ及び構造精密化
化合物1・HCl形態1の単結晶(ACN及びDCMの混合物中で成長された)を、双眼顕微鏡下での観察によって選択し、マイクロフォーカスX線源が装備されたBruker APEX DUO Instrument(Bruker AXS(2015).APEX3 suite V2014.2-0 Madison,Wisconsin,U.S.A)のゴニオメーターヘッドに取り付けた。強度を、グラファイトで単色化されたCuKα線波長(λ=1.54178Å)を使用して、低温(T=100K)で回折計を用いて収集した。回折ノードの体系的調査は、結晶が、基本ブラベ格子により、単斜晶系に属することを示す。単位格子パラメータが以下に示される:
a(Å)=13.62b(Å)=12.06c(Å)=14.74α(°)=90.00β(°)=97.06γ(°)=90.00
【0063】
化合物(1)・HCl形態1分子中の原子の数及び単位格子体積を考慮して、この単位格子が、1.359の算出密度に相当する、式C2626ClNを有する4つの分子を含有するはずであることが結論付けられた。収集された反射の数は、35059であり、そのうち8540が個別であった。
【0064】
空間群の決定が、単斜晶系の軸に沿った独自の系統的な消滅の存在により、明白に達成された。
【0065】
構造を、SHELXのXT双対空間モジュールを用いた直接方法によって解き;Sheldrick,G.M.“A short history of SHELX”,Acta Crystallogr.Sect.A(2008)A64,112-122に記載されるように、SHELXTLを用いた完全最小二乗によってFについて精密化した。全ての非水素原子を、異方性変位パラメータを用いて精密化し;ライディングモデルを、水素原子に使用した。最終的な一致値は、0.917の適合度で、8540の反射及び631のパラメータについて、R1=0.0352(観察された反射)及びwR2=0.1131(全てのデータ)である。
【0066】
化合物は、空間群P21内で結晶化し、結晶の非対称単位は、それらのそれぞれの対イオンに関連する化合物1の2つの分子から作製され、したがって、4つの式が、単位格子中に存在する。図6A及び図6Bを参照されたい。したがって、非対称セルは、2[C2626、Cl]を含有する。有機溶媒又は水のようなさらなる分子は見られない。分子構造の調査により、全ての結合角及び長さが、標準的な範囲値内にあることが確認される。結晶中に原子の無秩序は存在しない。塩橋が、アミノ-イミダゾピリジン窒素原子とともに塩素原子によって確立される。他の非共有結合性相互作用も、構造中に存在する。
【0067】
結晶データ、X線実験パラメータ及び構造精密化が、表5に示される。
【0068】
【表7】
【0069】
模擬回折パターン(図7)が、実験的に決定された結晶構造から生成された。実験的粉末回折パターンが、結晶構造の性質を実証するために、この理論的パターンと比較され得る。わずかな差(ある場合)が、非対称的結晶モルフォロジー、粒径、又は粉末における優先的配向によって説明され得る。
【0070】
3.4 化合物(1)・HCl形態2についての結晶データ
5/0.1vol/volの比率の酢酸エチル(AcOEt)及びアセトニトリル(ACN)を、化合物1・HCl形態2に加えて、スラリーを形成し、それを、3日間にわたって室温で静置させ、次に、4日間にわたって低温のスラリーとして静置させた。さらなるAcOEt/ACN混合物を加えた後、室温のスラリーを1日加えた。さらなるAcOEt/ACN混合物を加え、次に、溶液を真空ろ過した。
【0071】
化合物(1)・HCl形態2を、それらのパラメータに従って、Bruker D2-Phaser回折計において行われるXRPD分析にかけた:
・線源CuKa1、l=1.5406Å。
・ジェネレーター:30kV~10mA。
・検出器:Lynxeye SSD160(1Dモード)
・粉末試料ホルダー
・回転試料ホルダー:30rpm
・角度範囲:2θブラッグにおいて2°~40°。
・ステップサイズ:0.03°
・ステップ時間:ステップごとに0.5秒
・PSD開口:4.8°
・検出器スリット:8mm
・X線ジェネレータースリット:0.6mm
・試料調製:穏やかに粉砕する
・空間群:P1
・単位格子パラメータが以下に示される:
a(Å)=9.3589b(Å)=12.3992c(Å)=12.6660α(°)=64.095β(°)=70.641γ(°)=74.644;
【0072】
図8は、CuKα線(波長:λ(Cu)=1.54178Å)を用いて得られた化合物(1)・HCl形態2のXRPDパターンを示す。
【0073】
図8において同定されたピークは、表6に記載されるものを含む。
【0074】
【表8】
【0075】
3.5 化合物(1)・HCl形態2についての単結晶データ及び構造精密化
化合物(1)・HCl形態2の単結晶(酢酸エチル(AcOEt)/アセトニトリル(ACN)の混合物中で成長された結晶からの)を、双眼顕微鏡下での観察によって選択し、マイクロフォーカスX線源が装備されたBruker APEX DUO Instrument(Bruker AXS(2015).APEX3 suite V2014.2-0 Madison,Wisconsin,U.S.A)のゴニオメーターヘッドに取り付けた。強度を、グラファイトで単色化されたCuKα線波長(λ=1.54178Å)を使用して、低温(T=112K)で回折計を用いて収集した。回折ノードの体系的調査は、結晶が、基本ブラベ格子により、三斜晶系に属することを示す。単位格子パラメータが以下に示される:
a(Å)=9.39b(Å)=12.31c(Å)=12.40α(°)=63.98β(°)=73.90γ(°)=69.66
【0076】
化合物1・HCl形態2分子中の原子の数及び単位格子体積を考慮して、この単位格子が、1.368の算出密度に相当する、式C2626ClNを有する2つの分子を含有するはずであることが結論付けられた。収集された反射の数は、16793であり、そのうち6829が個別であった。
【0077】
強度の統計的分布に基づいて、非中心対称性構造が、推定された。
【0078】
構造を、SHELXのXT双対空間モジュールを用いた直接方法によって解き;Sheldrick,G.M.“A short history of SHELX”,Acta Crystallogr.Sect.A(2008)A64,112-122に記載されるように、SHELXTLを用いた完全最小二乗によってFについて精密化した。分子構造は、十分に分かっており、全ての非水素原子を、異方性変位パラメータを用いて精密化し;ライディングモデルを、水素原子に使用した。最終的な一致値は、1.013の適合度で、6829の反射及び631のパラメータについて、R1=0.0273(観察された反射)及びwR2=0.0776(全てのデータ)である。
【0079】
化合物は、空間群P1(N°1)内で結晶化し、結晶の非対称単位は、それらのそれぞれの塩素対イオンに関連する化合物(1)の2つの分子から作製され、したがって、2つの式が、単位格子中に存在する(図9A及び9Bを参照されたい)。したがって、非対称セルは、[C2626、Cl]を含有する。有機溶媒又は水のようなさらなる分子は見られない。分子構造の調査により、全ての結合角及び長さが、標準的な範囲値内にあることが確認される。結晶中に原子の無秩序は存在しない。塩橋が、アミノ-イミダゾピリジン窒素原子とともに塩素原子によって確立される。他の非共有結合性相互作用も、構造中に存在する。
【0080】
結晶データ、X線実験パラメータ及び構造精密化が、表7に示される。
【0081】
【表9】
【0082】
【表10】
【0083】
模擬回折パターン(図10)が、化合物1・HCl形態2の実験的に決定された結晶構造から生成された。実験的粉末回折パターンが、結晶構造の性質を実証するために、この理論的パターンと比較され得る。わずかな差(ある場合)が、非対称的結晶モルフォロジー、粒径、又は粉末における優先的配向によって説明され得る。
【0084】
均等物
上記の明細書は、当業者が実施形態を実施するのを可能にするのに十分であると考えられる。上記の説明及び実施例は、特定の実施形態を詳述し、本発明者らによって想定される最良の形態を説明するものである。しかしながら、上記の明細書がいかに詳細にテキストに記載されていようと、実施形態は、多くの方法で実施されてもよく、添付の特許請求の範囲及びその任意の均等物に従って解釈されるべきであることが理解されるであろう。
【0085】
本明細書において使用される際、約という用語は、明示されているか否かにかかわらず、例えば、整数、割合、及びパーセンテージを含む数値を指す。約という用語は、一般に、当業者が記載される値と同等であると見なし得る(例えば、同じ機能又は結果を有する)数値の範囲(例えば、記載される範囲の+/-5~10%)を指す。少なくとも及び約などの用語が、数値又は範囲のリストの前にある場合、この用語は、リストに示される値又は範囲の全てを修飾する。ある場合には、約という用語は、最も近い有効数字に四捨五入された数値を含み得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
【国際調査報告】