(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】豆腐製造用凝固剤及びそれを用いて製造された豆腐
(51)【国際特許分類】
A23L 11/45 20210101AFI20241126BHJP
【FI】
A23L11/45 106A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537811
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 KR2022020846
(87)【国際公開番号】W WO2023121227
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0182887
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513178894
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ソヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ホンウク
(72)【発明者】
【氏名】カン、キ ムン
【テーマコード(参考)】
4B020
【Fターム(参考)】
4B020LB02
4B020LC02
4B020LG06
4B020LK02
4B020LK04
4B020LR02
(57)【要約】
本出願は、豆腐製造用凝固剤、前記凝固剤を用いて製造した豆腐及び前記凝固剤を用いた豆腐の製造方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マカダミアナッツオイル20~50重量%、エゴマ油1~10重量%及び速効性凝固剤15~79重量%を含む豆腐製造用凝固剤。
【請求項2】
前記豆腐製造用凝固剤は、食用油脂0.001~20重量%をさらに含んでもよい、請求項1に記載の凝固剤。
【請求項3】
前記速効性凝固剤は、塩化マグネシウム、塩化マグネシウムを含有するニガリ、海水、濃縮海水、調製海水塩化マグネシウム、塩化カルシウム、乳酸からなる群から選択される、請求項1に記載の凝固剤。
【請求項4】
前記豆腐製造用凝固剤は、粘度が12,000cP~26,000cPである、請求項1に記載の凝固剤。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の凝固剤を用いて製造した豆腐。
【請求項6】
前記凝固剤を用いて製造した豆腐は、マカダミアナッツオイル及びエゴマ油を含まない凝固剤を用いて製造した豆腐に比べて、豆腐の香ばしい味が増加したものである、請求項5に記載の豆腐。
【請求項7】
大豆を選別する段階;
前記選別された大豆を浸漬して膨潤させる段階;
前記膨潤された大豆を磨砕し、加熱した後、濾過して豆乳を製造する段階;
前記製造された豆乳に請求項1~4のいずれか一項に記載の凝固剤を添加しながら撹拌して凝固させる段階を含む、豆腐の製造方法。
【請求項8】
前記選別された大豆は、百粒重(大豆100粒の重量)が10g~35gである、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記選別された大豆は、粒度が4.5mm~9.0mmである、請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
前記選別された大豆は、粗タンパク含量が15%~45%である、請求項7に記載の製造方法。
【請求項11】
前記凝固段階の凝固剤は、0.1~5.0重量%で添加される、請求項7に記載の製造方法。
【請求項12】
前記浸漬時間は、12~22時間である、請求項7に記載の製造方法。
【請求項13】
前記加熱温度は、95℃~105℃である、請求項7に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、豆腐製造用凝固剤、前記凝固剤を用いて製造した豆腐及び前記凝固剤を用いた豆腐の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
豆腐は、古くから高蛋白食品として使用されてきた。伝統的に使用されてきた豆腐の製造方法としては、豆を水に浸漬してふやかした後、石臼で挽いて沸かした後、沸かした状態で濾過して得られた約60℃~90℃程度の豆乳に凝固剤として塩化マグネシウム(ニガリ)を添加して撹拌して凝固させて製造してきた。
【0003】
塩化マグネシウムは、海水から塩を採取した後の副産物であるニガリの主成分であり、硫酸カルシウムやグルコノデルタラクトン(G.D.L)とは異なり、豆乳と混合するとすぐに反応する速効性凝固剤である。一般に、速効性凝固剤は、油揚げのように保水性の少ない豆腐を製造するときは作業も速く、凝固作業も容易な長所があるが、保水性の大きい豆腐を製造するときは熟練した技術が必要であるという短所がある。例えば、板豆腐を製造する場合、速効性凝固剤は、豆乳と凝固剤を撹拌する際に短時間内に撹拌を終えなければ、先に凝固した部分を再び破砕しなければならないため、豆腐面がなめらかでなくなり、水抜けがひどく起きて硬い豆腐になる問題があり、軟豆腐では、豆乳の濃度が高いため、十分に撹拌しなければならないが、速い反応性のため、塩化マグネシウムのみを凝固剤として使用する場合、均一に凝固させることが非常に困難である。また、塩化マグネシウムのような速効性凝固剤は、基本的に豆乳の品質が、その後の凝固作業の難易度、収率、豆腐の品質などに大きく影響を及ぼす。
【0004】
これに対し、前記のような速効性凝固剤を利用するものの、豆乳タンパク質と凝固剤の反応速度を遅効化し、風味、弾力、食感、収率などに優れた良質の豆腐を製造するための多様な研究が進められ、初期には塩化マグネシウムのような速効性凝固剤と硫酸カルシウムなどの遅効性凝固剤を併用して速効性凝固剤の反応速度を遅効化するか、又はクエン酸などの有機酸及びその塩類などを用いて化学的に遅効化させる方法が使用されたが、前記のような方法は、硫酸カルシウムなどの遅効性凝固剤に由来する苦い味などの異味・異臭が感知され、おいしい豆腐を製造し難いという問題がある。
【0005】
また、他の方法としては、豆乳を冷却して凝固剤による凝固が起き難い環境を造成した後、速効性凝固剤を添加して混合した後、熱湯、蒸気または電気的に温度上昇を制御しながら徐々に豆乳が加熱されるようにして凝固させる方法が使用された。
【0006】
しかし、前記のような方法は、速効性凝固剤を使用して保水性が良好であるとともに風味を有する豆腐を製造するために、過剰な生産設備、時間、エネルギーなどが必要であり、これを制御するために相当な熟練と技術を必要とする問題があった。
【0007】
これを改善するための方案として、乳化剤として塩化マグネシウムのような速効性凝固剤を乳化させたり、塩化マグネシウムを微細粉末化してトウモロコシ油などの食用油脂に分散させて使用する方法などが提供されている。
【0008】
しかし、前記のような乳化型凝固剤を用いた方法は、速効性凝固剤よりこれを乳化するために使用した付随的な成分である油脂及び乳化剤がより多く含まれ、多量の油脂及び乳化剤が使用されて資源の浪費になるだけでなく、豆乳への添加時に乳化層の破壊のために別途の装置を必ず必要とする問題があった。また、油脂の含量が多ければ、油の臭いが発生し、保管中に乳化の劣化が発生して油の分離が起き、乳化剤を使用していない乳化型凝固剤の場合、常温で分離しやすくなる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】大韓民国登録特許公報第0229010号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、香ばしい味が強化された高品質の豆腐製造用凝固剤、前記凝固剤を用いて製造した豆腐及び前記凝固剤を用いた豆腐の製造方法を開発し、本出願を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願の一つの目的は、マカダミアナッツオイル20~50重量%、エゴマ油1~10重量%及び速効性凝固剤15~79重量%を含む豆腐製造用凝固剤を提供することにある。
【0012】
本出願の他の一つの目的は、前記豆腐製造用凝固剤を用いて製造した豆腐を提供することにある。
【0013】
本出願の他の一つの目的は、大豆を選別する段階、前記選別された大豆を浸漬して膨潤させる段階、前記膨潤された大豆を磨砕し、加熱した後、濾過して豆乳を製造する段階、前記製造された豆乳に前記豆腐製造用凝固剤を添加しながら撹拌して凝固させる段階を含む豆腐の製造方法を提供することにある。
【発明の効果】
【0014】
本出願による凝固剤を利用すると、香ばしい味が強化された高品質の豆腐を製造できるところ、別途の設備が必要でないため、経済的であり、手続きが簡単で時間の消耗が少なく、高品質の豆腐の大量生産に有用に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】豆腐製造用凝固剤の貯蔵温度別の乳化安定性を示すグラフである。
【
図2】豆腐製造用凝固剤の乳化状態を示すイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
これを具体的に説明すると、次の通りである。一方、本出願で開示されたそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれの異なる説明及び実施形態にも適用することができる。即ち、本出願で開示された多様な要素の全ての組み合わせが、本出願の範囲に属する。また、以下に記載される具体的な記述により本出願のカテゴリが制限されるとは見られない。また、本明細書の全体にわたって多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体として本明細書に参照として組み込まれ、本出願が属する技術分野の水準及び本出願の内容がより明確に説明される。
【0017】
本出願の一態様は、マカダミアナッツオイル20~50重量%、エゴマ油1~10重量%及び速効性凝固剤15~79重量%を含む豆腐製造用凝固剤を提供する。
【0018】
本出願の豆腐製造用凝固剤は、豆腐の製造時に豆乳の凝固のために使用される乳化型凝固剤であり、速効性凝固剤をマカダミアナッツオイル及びエゴマ油中に分散、被覆して豆腐製造時に前記速効性凝固剤が徐々に溶出されるようにしたものであり、高品質の豆腐を生産するのに有用に活用され得る。
【0019】
また、本出願の豆腐製造用凝固剤は、マカダミアナッツオイル及びエゴマ油を含むことにより、豆特有の生臭さが除去され、豆腐製造用凝固剤特有の苦い味、異味、異臭を防止し、豆腐本来の香ばしい味を強化することができる。
【0020】
具体的には、本出願の豆腐製造用凝固剤は、マカダミアナッツオイルを20~50重量%、具体的には、30~50重量%、さらに具体的には、35~45重量%で含むものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0021】
前記マカダミアナッツオイルが20重量%未満で含まれる場合、豆特有の生臭さを除去できず、豆腐の香ばしい味を上昇させる効果が充分でない。前記マカダミアナッツオイルが50重量%超過で含まれる場合、凝固剤の乳化安定性が低下し、豆腐の大量生産に適合しない問題がある。
【0022】
具体的には、本出願の豆腐製造用凝固剤は、エゴマ油を1~10重量%、具体的には、2.5~7.5重量%、さらに具体的には、4~6重量%で含むものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0023】
前記エゴマ油が1重量%未満で含まれる場合、豆特有の生臭さを除去できず、豆腐の香ばしい味を上昇させる効果が充分でない。前記エゴマ油が10重量%超過で含まれる場合、エゴマ油特有の香りと油っこい味が強化されて豆腐の嗜好度が減少し、凝固剤の乳化安定性が低下して豆腐の大量生産に適合しない問題がある。
【0024】
具体的には、本出願の豆腐製造用凝固剤は、速効性凝固剤を15~79重量%、具体的には、25~70重量%、さらに具体的には、50~60重量%で含むものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0025】
前記速効性凝固剤を15%未満で含む場合、凝固反応が遅すぎて産業的に効率性が非常に低下し、79%超過で含む場合、乳化が起こらず、乳化型凝固剤の製造が不可能な問題がある。
【0026】
本出願の豆腐製造用凝固剤は、マカダミアナッツオイル、エゴマ油及び速効性凝固剤を前記含量で含むことにより、豆特有の生臭さが除去され、豆腐製造用凝固剤特有の苦い味、異味、異臭を防止し、豆腐本来の香ばしい味を強化することができる。
【0027】
本出願の一具現例として前記凝固剤は、食用油脂0.001~20重量%をさらに含むものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0028】
本出願において用語、「食用油脂」とは、脂肪を含有した植物(破砕分を含む)または動物から得た原油を原料にして食用が可能に製造及び加工した油を意味する。食用油脂の具体的な例示として、エゴマ油、マカダミアナッツオイル、米糠油(玄米油、米ぬか油など)は、トウモロコシ油、大豆油、アブラナ(キャノーラ種など)油、ひまわり油、ゴマ油、パーム油、パーム核油、オリーブ油、ブドウ種油、ヘーゼルナッツ油、ヤシ油、綿実油、落花生油、アーモンド油、アボカド油、亜麻仁油、パンプキンシードオイル、クルミ油、エノ油、カシューナッツオイル、ボリジ油などの植物油脂や魚油、動物油脂、ラー油などの風味油/調味油などが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0029】
本出願の目的上、食用油脂は、新規凝固剤の価格競争力を高めるために選択的に混合する油脂として一般に使用される公知の食用油脂を使用することができ、具体的には、米糠油(玄米油、米ぬか油など)などを利用することができるが、これに制限されない。
【0030】
本出願の豆腐製造用凝固剤は、食用油脂を0~20重量%、より具体的には、0~10重量%で含むものであってもよいが、これに制限されるものではない。具体的には、本出願の豆腐製造用凝固剤は、食用油脂を含まないか、又は食用油脂0.001~20重量%、より具体的には、0.001~10重量%をさらに含むものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0031】
前記食用油脂の場合、価格競争力を高めるために選択的に含まれてもよいが、前記食用油脂が20重量%超過、具体的には、10重量%超過で含まれる場合、豆腐の味に影響を及ぼすため、豆腐の嗜好度及び選好度が減少する問題がある。
【0032】
本出願の一具現例として前記速効性凝固剤は、塩化マグネシウム、塩化マグネシウムを含有するニガリ、海水、濃縮海水、調製海水塩化マグネシウム、塩化カルシウム、乳酸からなる群から選択されたものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0033】
具体的には、本出願の前記速効性凝固剤は、塩化マグネシウムであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0034】
また、本出願の豆腐製造用凝固剤は、粘度が12,000cP~26,000cPであってもよい。例えば、常温(15℃~25℃)で回転型粘度計で測定時に粘度が12,000cP~26,000cPであってもよい。前記測定は0℃~20℃で、例えば、5℃~20℃で保管後に行われることであってもよい。前記粘度範囲を有することにより、本出願の豆腐製造用凝固剤は、乳化安定性に優れ、製造後7日までも使用することができる。
【0035】
本出願の他の一態様は、マカダミアナッツオイル20~50重量%、エゴマ油1~10重量%及び速効性凝固剤15~79重量%を混合する段階を含む豆腐製造用凝固剤の製造方法を提供する。
【0036】
前記マカダミアナッツオイル、エゴマ油、速効性凝固剤、豆腐、及び凝固剤は、前述した通りである。
【0037】
具体的には、前記混合する段階は55℃~85℃、具体的には、60℃~80℃、より具体的には、65℃~75℃、さらに具体的には、約70℃の温度で行ってもよいが、これに制限されるものではない。
【0038】
前記混合する段階を前記温度の範囲で行う場合、凝固剤の乳化安定性に優れる。
【0039】
本出願の一具現例として前記製造方法は、食用油脂0.001~20重量%を添加して混合する段階をさらに含むものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0040】
本出願のもう一つの態様は、前記凝固剤を用いて製造した豆腐を提供する。
【0041】
前記豆腐及び凝固剤は、前述した通りである。
【0042】
本出願の一具現例として前記凝固剤を用いて製造した豆腐は、マカダミアナッツオイル及びエゴマ油を含まない凝固剤を用いて製造した豆腐に比べて、豆腐の香ばしい味が増加されたものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0043】
本出願のもう一つの態様は、大豆を選別する段階、前記選別された大豆を浸漬して膨潤させる段階、前記膨潤された大豆を磨砕し、加熱した後、濾過して豆乳を製造する段階、前記製造された豆乳に前記豆腐製造用凝固剤を添加しながら撹拌して凝固させる段階を含む豆腐の製造方法を提供する。
【0044】
前記豆腐及び凝固剤は、前述した通りである。
【0045】
豆腐製造時に使用される凝固剤だけでなく、原料となる大豆の特性により製造される豆腐の収率及び香ばしい味、物性などの全般的な味の品質が変わるため、高品質の豆腐を高効率で製造するために大豆を選別する段階が重要である。
【0046】
具体的には、本出願の選別された大豆は、百粒重(大豆100粒の重量)が10g~35g、具体的には、15g~30g、さらに具体的には、18g~26gであってもよいが、これに制限されるものではない。前記「百粒重」とは、大豆100粒の重量(g)を測定したことを意味する。
【0047】
具体的には、本出願の選別された大豆は、粒度が4.5mm~9.0mm、具体的には、5.0mm~8.5mm、さらに具体的には、5.6mm~8.0mmであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0048】
前記粒度は、公知の方法で測定することができ、例えば、大豆100粒を5.6mm、8.0mm規格のメッシュ(mesh)網を通過させて測定することができる。
【0049】
具体的には、本出願の選別された大豆は、粗タンパク含量が15%~45%、具体的には、20%~40%、さらに具体的には、21%~37%であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0050】
前記粗タンパク含量は、豆腐の収率及び物性に主要な影響を及ぼし、タンパク質の含量が高い大豆で製造した豆腐は、タンパク質/脂肪の比率が高い。
【0051】
具体的には、前記選別された大豆は、百粒重(大豆100粒の重量)が18g~26gであり、粒度が5.6mm~8.0mmであり、粗タンパク含量が21%~37%であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0052】
前記範囲の百粒重、粒度及び/又は粗タンパク含量を有する大豆を豆腐の製造に使用する場合、水抜けが少なく、カード性状が均一で、なめらかな豆腐面を有する高品質の豆腐を高効率で製造することができる。
【0053】
本出願の一具現例として前記凝固段階の凝固剤は0.1~5.0重量%、具体的には、0.3~3.0重量%、さらに具体的には、0.5~2.5重量%で添加されるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0054】
前記凝固剤を0.1重量%未満で含む場合、豆腐が凝固されない問題があり、前記凝固剤を5.0重量%超過で含む場合、過凝固が発生し、豆腐成型時に水抜けが激しく、嗜好度が低い硬い豆腐が製造されることがあり、豆腐の製造コストが高くなるため、収益性が低下する。
【0055】
本出願の一具現例として前記浸漬時間は12~22時間、具体的には、18~20時間であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0056】
前記浸漬時間が前記時間の範囲を超える場合、浸漬時間が足りないと粉砕がうまくできず、タンパク質が溶出される水準が低くなって豆腐成型がうまくできず、浸漬時間が長すぎると大豆が発芽を開始して豆腐の製造に適しない問題がある。
【0057】
本出願の一具現例として前記加熱温度は95℃~105℃、具体的には、約100℃であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0058】
前記加熱温度が前記温度の範囲で行われる場合、好ましい性状の豆腐を製造することができる。これを外れる場合、温度が低すぎるとタンパク質の熱変性が十分に起こらず、好ましい性状の豆腐が製造されず、温度が高すぎるとタンパク質が不溶化して好ましい性状の豆腐が製造されない問題がある。
【0059】
本発明において、豆腐に追加の味を付与するために、塩、ソース、香辛料、ハーブなどの植物などのその他の副原料を添加することができる。
【実施例】
【0060】
以下、本出願を実験例を通じてより詳細に説明する。しかし、下記実施例は、本出願を例示するための好ましい実施様態に過ぎず、したがって、本出願の権利範囲をこれに限定されるものとは意図されない。一方、本明細書に記載されていない技術的な事項は、本出願の技術分野または類似技術分野において熟練した通常の技術者であれば、十分に理解し、容易に行うことができる。
【0061】
実施例1.豆腐製造用凝固剤の製造
実施例1-1~実施例1-8及び比較例1-1の豆腐製造用凝固剤は、下記表1の配合比率により製造した。
【0062】
【0063】
[実施例1-1]
速効性凝固剤である調製海水塩化マグネシウム溶液53g、マカダミアナッツオイル42g、エゴマ油5gを混合容器に入れて混合容器の温度を70℃に維持しながら撹拌及び混合して豆腐製造用凝固剤を製造した。
【0064】
[実施例1-2]
速効性凝固剤である調製海水塩化マグネシウム溶液55g、マカダミアナッツオイル40g、エゴマ油5gを混合容器に入れて混合容器の温度を70℃に維持しながら撹拌及び混合して豆腐製造用凝固剤を製造した。
【0065】
[実施例1-3]
速効性凝固剤である調製海水塩化マグネシウム溶液55g、マカダミアナッツオイル5g、エゴマ油5g、米糠油35gを混合容器に入れて混合容器の温度を70℃に維持しながら撹拌及び混合して豆腐製造用凝固剤を製造した。
【0066】
[実施例1-4]
速効性凝固剤である調製海水塩化マグネシウム溶液55g、マカダミアナッツオイル10g、エゴマ油5g、米糠油30gを混合容器に入れて混合容器の温度を70℃に維持しながら撹拌及び混合して豆腐製造用凝固剤を製造した。
【0067】
[実施例1-5]
速効性凝固剤である調製海水塩化マグネシウム溶液55g、マカダミアナッツオイル21.25g、エゴマ油2.5g、米糠油21.25gを混合容器に入れて混合容器の温度を70℃に維持しながら撹拌及び混合して豆腐製造用凝固剤を製造した。
【0068】
[実施例1-6]
速効性凝固剤である調製海水塩化マグネシウム溶液55g、マカダミアナッツオイル31.25g、エゴマ油2.5g、米糠油11.25gを混合容器に入れて混合容器の温度を70℃に維持しながら撹拌及び混合して豆腐製造用凝固剤を製造した。
【0069】
[実施例1-7]
速効性凝固剤である調製海水塩化マグネシウム溶液55g、マカダミアナッツオイル20g、エゴマ油5g、米糠油20gを混合容器に入れて混合容器の温度を70℃に維持しながら撹拌及び混合して豆腐製造用凝固剤を製造した。
【0070】
[実施例1-8]
速効性凝固剤である調製海水塩化マグネシウム溶液55g、マカダミアナッツオイル30g、エゴマ油5g、米糠油10gを混合容器に入れて混合容器の温度を70℃に維持しながら撹拌及び混合して豆腐製造用凝固剤を製造した。
【0071】
[比較例1-1]
速効性凝固剤である調製海水塩化マグネシウム溶液50g、米糠油50gを混合容器に入れて混合容器の温度を70℃に維持しながら撹拌及び混合して豆腐製造用凝固剤を製造した。
【0072】
実施例2.豆腐製造用凝固剤の乳化安定性の確認
前記実施例1-2で製造した豆腐製造用凝固剤の乳化安定性を確認することにした。具体的には、豆腐製造用凝固剤をそれぞれ冷蔵(10℃以下)及び室温(20℃以下)で14日以上放置した後、乳化安定性を確認した。
【0073】
乳化安定性を確認するために、DV-E Viscometer(回転型粘度計、Brookfield社)を用いて常温(15℃~25℃)で63spindle、2.0rpmの条件で1Lの試料をサンプリングして測定した。
【0074】
その結果、
図1に示されるように、ターゲット粘度26,000cPから12,000cPまでの粘度を示す場合、優れた乳化安定性が約7日間維持されることを確認することができた。したがって、本出願の豆腐製造用凝固剤の場合、製造後7日まで使用できることを確認した。
【0075】
実施例3.豆腐製造用凝固剤を用いた豆腐の製造
前記実施例1で製造した豆腐製造用凝固剤を用いて豆腐を製造した。
【0076】
実施例3-1.大豆の選別
豆腐の製造に適した大豆を選別するために、下記測定方法で百粒重、粒度及びタンパク質含量を測定した。
【0077】
- 百粒重は、大豆100粒の重量を測定した。
- 粒度は、大豆100粒を5.6mm、8.0mm規格のmesh網を通過させて測定した。
粒度(%)=総重量(g)/等外重量(g)*100%
- 粗タンパク含量は、試料300gを対象に成分分析器(Infratec 1241,FOSS Tecator,Hogenas,Sweden)を用いて3回繰り返して測定した。
【0078】
その結果、百粒重の場合、18g~26gである大豆、粒度の場合、5.6mm以上及び8.0mm以下の粒度100粒重量比90%以上である大豆、粗タンパク含量の場合、21%~37%を満たす大豆を用いた時、豆腐面がなめらかで水抜けが少なくやわらかい豆腐を製造することができ、均一に凝固した豆腐を製造できることを確認した。
【0079】
実施例3-2.豆腐製造用凝固剤を用いた豆腐の製造
前記実施例3-1で選別した大豆及び前記実施例1で製造した豆腐製造用凝固剤を用いて豆腐を製造した。
【0080】
具体的には、前記実施例3-1で選別した大豆を洗浄した後、室温で精製水に浸漬させて12時間以上膨潤させた。浸漬された豆は、水を少しずつ加えながら粉砕機に入れて細かく砕いた後、100℃に加熱して豆の生臭を除去してタンパク質を溶出させた。加熱が終わった後、木綿布で豆乳液を濾過して豆水とおからに分離した。70℃~75℃の豆水をホモミクサー(Homogenizing mixer,Primix coporation,Japan)で撹拌し、前記実施例1で製造した実施例1-1~1-8、比較例1-1の豆腐製造用凝固剤をそれぞれ添加した。凝固剤の添加30~40分後、凝固した純豆腐をフレームに注いで圧着、成型して豆腐を製造した。
【0081】
実施例4.豆腐の官能評価
前記実施例3で製造した豆腐の官能評価を行った。
【0082】
具体的には、訓練を受けた専門パネル30人に食べさせた後、香ばしい味の強度及び選好度を評価した。一つの試料の評価を終えるたびに水で口の中を洗浄し、1分が経過した後、次の試料を評価し、1点から嗜好度または強度が高いほど9点に近い点数を与えることにした。
【0083】
【0084】
その結果、前記表2で示されるように、米糠油の含量が少なく、エゴマ油及びマカダミアナッツオイルの含量が多いほど豆腐の香ばしい味の嗜好度及び選好度が高いことを確認することができた。したがって、前記配合比の凝固剤組成物が豆腐の香ばしい味の強化に相対的に優れた官能嗜好性があることを確認した。
【0085】
併せて、前記実施例3で製造した実施例1-2の凝固剤で製造した豆腐と市販製品の豆腐(凝固剤:調製海水塩化マグネシウム、紅花油、マカダミアナッツオイル)の官能品質の比較評価を行った。
【0086】
具体的には、訓練を受けた専門パネル30人に食べさせた後、香ばしい味の強度及び選好度を評価した。一つの試料の評価を終えるたびに水で口の中を洗浄し、1分が経過した後、次の試料を評価し、1点から嗜好度または強度が高いほど5点に近い点数を与えることにした。
【0087】
【0088】
その結果、前記表3で示されるように、前記実施例3で製造した実施例1-2の凝固剤で製造した豆腐の全般味の嗜好度、物性の嗜好度、製品選好度が高く示され、香ばしさの強度は市販豆腐より低いが、嗜好度はさらに優れることが示された。したがって、前記配合比の凝固剤組成物が豆腐の香ばしい味の強化に相対的に優れた官能嗜好性があることを確認した。
【0089】
以上の説明から、本出願が属する技術分野の当業者であれば、本出願がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されうることが理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本出願の範囲は前記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更または変形された形態が本出願の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【国際調査報告】