(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】展開可能なダイナミックステント及び調節可能な切断ジェットデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20241126BHJP
A61B 17/3203 20060101ALI20241126BHJP
A61B 17/22 20060101ALI20241126BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20241126BHJP
A61M 25/14 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61B17/3207
A61B17/3203
A61B17/22
A61M25/00 540
A61M25/14 512
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537845
(86)(22)【出願日】2022-12-24
(85)【翻訳文提出日】2024-08-20
(86)【国際出願番号】 US2022054013
(87)【国際公開番号】W WO2023122352
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501447661
【氏名又は名称】ハイドロシジョン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【氏名又は名称】小松原 寿美
(72)【発明者】
【氏名】コヴァルスキー、ポール
(72)【発明者】
【氏名】トランシュモンターニュ、アラン
(72)【発明者】
【氏名】クーリ、デュアン
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー、ティム
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160EE21
4C160FF10
4C160MM36
4C160NN02
4C267AA04
4C267AA28
4C267AA32
4C267AA44
4C267AA45
4C267AA54
4C267BB02
4C267BB09
4C267BB41
4C267BB52
4C267BB63
4C267CC09
4C267DD01
(57)【要約】
遠位ハブと、近位ハブと、遠位ハブと近位ハブとの間に配置される中間ハブとを備える、ハンドルを備える医療デバイスが開示されている。医療デバイスは、遠位ハブと結合された外側シースと、展開された状態及び展開されていない状態に構成可能なバスケットと、近位ハブと結合されたジェットチューブシャフトであって、外側シースと同軸である、ジェットチューブシャフトと、を備え得る。ジェットチューブシャフトは、流体を放出するように構成された開口部を備えるジェットチューブと、ジェットチューブを受け入れるサイズのジェットチューブ管腔と、排出管腔とを備え得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスであって、
ハンドルであって、
遠位ハブと、
近位ハブと、
前記遠位ハブと前記近位ハブとの間に配置される中間ハブと、を備える、ハンドルと、
前記遠位ハブと結合された外側シースと、
展開された状態及び展開されていない状態に構成可能なバスケットと、
前記近位ハブと結合されたジェットチューブシャフトであって、前記外側シースと同軸である、ジェットチューブシャフトと、を備え、
前記ジェットチューブシャフトは、
流体を放出するように構成された開口部を備えるジェットチューブと、
前記ジェットチューブを受け入れるサイズのジェットチューブ管腔と、
排出管腔と、を備える、医療デバイス。
【請求項2】
前記遠位ハブは、前記遠位ハブの動きを前記外側シースの動きに変換するように構成される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記近位ハブは、前記近位ハブの動きを前記ジェットチューブシャフトの動きに変換するように構成される、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記ジェットチューブシャフトは、ガイドワイヤを受け入れるサイズのガイドワイヤ管腔を更に備える、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記ジェットチューブ管腔はジェットチューブ管腔断面積を有し、前記排出管腔は排出管腔断面積を有し、前記ガイドワイヤ管腔はガイドワイヤ管腔断面積を有し、
前記排出管腔断面積は前記ガイドワイヤ管腔断面積よりも大きく、前記ガイドワイヤ管腔断面積は前記ジェットチューブ管腔断面積よりも大きい、請求項4に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記ハンドルは、前記ジェットチューブに動作可能に結合されたスライダを更に備え、前記スライダは、前記スライダの動きを前記ジェットチューブの動きに変換するように構成される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記ジェットチューブは、前記ジェットチューブシャフトに直交する屈曲部を備え、前記開口部は、前記屈曲部上に配置され、前記開口部は、前記排出管腔に向かって流体を放出するように構成される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記屈曲部は、前記バスケットの前縁部の近位に配置される、請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記バスケットは、ニチノールから構成される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記ハンドルは、1つ以上のプルワイヤに結合されたラチェットを更に備え、前記1つ以上のプルワイヤは、前記外側シースの遠位端に結合され、前記ラチェットの作動は、前記1つ以上のプルワイヤを介して前記外側シースの前記遠位端の偏向を引き起こす、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記外側シースは、前記外側シースの側壁に配置された1つ以上のプルワイヤチャネルを更に備え、前記1つ以上のプルワイヤチャネルは、前記1つ以上のプルワイヤのそれぞれを受け入れるサイズである、請求項10に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記バスケットはメッシュ構造である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記展開されていない状態において、前記バスケットは、前記外側シースに適合するように構成され、前記展開された状態において、前記バスケットは、半径方向に拡張するように構成される、請求項12に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記バスケットは、前縁部を更に備え、前記展開された状態において、前記前縁部は凹状であり、前記展開された状態において、前記バスケットは円錐状である、請求項13に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記バスケットは、1つ以上のマーカを更に備え、前記マーカは、蛍光透視法及びX線撮影法において放射線不透過性であるように構成される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項16】
前記ジェットチューブは、前記ジェットチューブの遠位端に配置されたベベルを備える、請求項1に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイスに関する。より具体的には、本開示は、展開及び作動中に血管壁開存性を保護及び維持するように設計されたステント及びダイナミックステントに関する。
【背景技術】
【0002】
血栓形成、特に腸骨大腿静脈、大腿静脈及び膝窩静脈における血栓形成は、血栓が疾患の亜急性期及び慢性期に達すると(例えば、静脈血栓塞栓症[VTE]と診断された患者において)、重大な臨床上の課題となり得る。慢性血餅形成は、特に、2週齢を超えて成熟した未分解の血餅又は血栓として定義される。疾患進行のこの段階では、血栓の組成物は特に高密度であり得、フィブリンとコラーゲンの組み合わせからなる。血栓の最も重篤な慢性形態において、それは、静脈、動脈、又は他の血管の壁内及び壁に沿って埋め込まれた線維性瘢痕組織になり得る。
【0003】
血管開存性を維持するために従来のステントが使用され得るが、血栓除去術では、ダイナミックステントが血栓の受容器として使用され得る。したがって、従来のステントは、血栓除去においてほとんど有用性を有しない場合がある。しかしながら、切断デバイスに関連するリスクから患者を保護するためにダイナミックステントを使用することが望ましい場合がある。したがって、保護的な性質を有する(例えば、ユーザが治療経路を辿って患者からステントを効率的に除去することを可能にする)修正されたステントを提供することが望ましい。
【0004】
多くの市販されている血栓除去デバイスは、急性の血餅を除去するように構成されていることがある。しかしながら、そのような血栓除去デバイスは、特に状態が慢性段階に達すると、血栓形成を適切に除去することができない場合がある。
【0005】
血管内カテーテルを通して展開されるウォータージェット(例えば、高出力ウォータージェット)は、慢性血餅形成物を切断し、かつ排出するのに十分に攻撃的な可能性を保持し得る。しかしながら、そのような方法は、血管壁の繊細で弾力性のある性質を維持するように調整されなければならない。更に、現在の血栓除去デバイスは、慢性的な粘稠性、特に血管壁に付着した血餅を除去するときに機能しなくなる可能性がある。更に、カテーテル単独では不適切な場合がある。カテーテルは吸引機構を利用するため、慢性血栓が存在すると、圧倒されて詰まる可能性があるからである。
【0006】
多くの場合、血栓除去デバイスは、保護を提供するために攻撃性を「低減」するように開発され得る。その結果、このようなデバイスでは、医師は一般に、患者に複数の処置を行わなければならない。現在、ほとんどの血栓除去デバイスの設計は、溶解剤、抗凝固剤、及び/又は複数のセッションで補完することなしに全てのタイプの血栓を除去することが、できないようになっている。長期留置セッションと組み合わせた溶解剤の使用は、血管損傷に関連している。更に、溶解剤と長期留置セッションとの組み合わせは、許容できない失血及び溶血を含むがこれらに限定されない、他の合併症を引き起こす可能性がある。結果として、多くの従来の血栓除去処置は、損傷を与える可能性のある侵襲的処置の頻度を増加させるだけでなく、1発症(episode)あたりの患者ケアのコストを相対的に高くする一因となり得る。
【0007】
1つの特定の例では、脊椎において、脊椎硬膜を維持するために、多くの処置が非常に複雑になる。多くのデバイスは、脊椎硬膜を保護しながら最大の有効性を提供するには攻撃的すぎる。
【0008】
血管を保護しながら、効果的なジェットを施すことができるダイナミックステントを提供することが望ましい。更に、流体ジェット機構が、慢性的な粘稠性の血栓の切断及び除去を可能にするのに十分に高い圧力で血管内に展開され得るとともに、足場又は他の保護機構として作用することができる展開可能で拡張可能なステントの使用を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0009】
この「発明の概要」は、以下の「発明を実施するための形態」において更に説明される概念の抜粋を簡略化した形態で紹介するために提供される。この「発明の概要」は、主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、本明細書に含まれる特許請求の範囲を限定することも意図していない。
【0010】
本開示の発明は、ダイナミックステントデバイス、又は一般に医療デバイスであり得る。医療デバイスは、遠位ハブと、近位ハブと、遠位ハブと近位ハブとの間に配置される中間ハブとを備える、ハンドルを備え得る。医療デバイスは、遠位ハブと結合された外側シースと、展開された状態及び展開されていない状態に構成可能なバスケットと、近位ハブと結合されたジェットチューブシャフトであって、外側シースと同軸である、ジェットチューブシャフトと、を更に備え得る。ジェットチューブシャフトは、流体を放出するように構成された開口部を備えるジェットチューブと、ジェットチューブを受け入れるサイズのジェットチューブ管腔と、排出管腔とを含み得る。
【0011】
一実施形態では、遠位ハブは、遠位ハブの動きを外側シースの動きに変換するように構成される。更なる実施形態では、近位ハブは、近位ハブの動きをジェットチューブシャフトの動きに変換するように構成される。
【0012】
ジェットチューブシャフトは、ガイドワイヤを受け入れるサイズのガイドワイヤ管腔を更に備え得る。一実施形態では、ジェットチューブ管腔はジェットチューブ管腔断面積を有し、排出管腔は排出管腔断面積を有し、ガイドワイヤ管腔はガイドワイヤ管腔断面積を有し、排出管腔断面積はガイドワイヤ管腔断面積よりも大きく、ガイドワイヤ管腔断面積はジェットチューブ管腔断面積よりも大きい。
【0013】
一実施形態では、ハンドルは、ジェットチューブに動作可能に結合されたスライダであって、スライダの動きをジェットチューブの動きに変換するように構成される、スライダを更に備える。更なる実施形態では、ジェットチューブは、ジェットチューブシャフトに直交する屈曲部を備え、開口部は、屈曲部上に配置され、開口部は、排出管腔に向かって流体を放出するように構成される。更に別の実施形態では、屈曲部は、バスケットの前縁部の近位に配置される。バスケットは、ニチノールから構成され得る。
【0014】
一実施形態では、ハンドルは、1つ以上のプルワイヤに結合されたラチェットを更に備え、1つ以上のプルワイヤは、外側シースの遠位端に結合され、ラチェットの作動は、1つ以上のプルワイヤを介して外側シースの遠位端の偏向を誘発する。外側シースは、外側シースの側壁に配置された1つ以上のプルワイヤチャネルであって、1つ以上のプルワイヤのそれぞれを受け入れるサイズである、1つ以上のプルワイヤチャネルを更に備え得る。
【0015】
一実施形態では、バスケットはメッシュ構造である。更なる実施形態では、展開されていない状態において、バスケットは、外側シースに適合するように構成され、展開された状態において、バスケットは、半径方向に拡張するように構成される。バスケットは、前縁部を更に備え得、展開された状態において、前縁部は凹状であり、展開された状態において、バスケットは円錐状である。更に、バスケットは、1つ以上のマーカであって、蛍光透視法及びX線撮影法において放射線不透過性であるように構成される、1つ以上のマーカを含み得る。一実施形態では、ジェットチューブは、ジェットチューブの遠位端に配置されたベベルを備える。
【0016】
一実施形態では、本開示の発明は、近位ステント端部、遠位ステント端部、遠位ステント外周、及び近位ステント外周を有するダイナミックステントを備える医療デバイスであり、ダイナミックステントはメッシュから構成され、メッシュは材料から構成される。デバイスは、受動状態及び能動状態を更に含み得、受動状態において、遠位ステント外周は、近位ステント外周と同等であり、能動状態において、遠位ステント外周は、近位ステント外周より大きい。更に、デバイスは、ダイナミックステント内に少なくとも部分的に配置され、血栓を分離するように構成されたジェットと、近位ステント端部に取り付けられ、ジェットを少なくとも部分的に包囲する、円筒形中空部材とを含み得る。材料はニチノールであり得る。
【0017】
図面は、開示された発明の実施形態に対する限定として決して解釈されるべきではない。本明細書に開示される実施形態の目的、態様、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、及び同様の参照番号が類似又は同一の要素を識別する添付の図面からより完全に明らかになるであろう。図面に関連して本明細書に導入される参照番号は、他の特徴についての文脈を提供するために、本明細書における追加の説明なしに1つ以上の後続の図において繰り返されてもよく、全ての要素が全ての図にラベル付けされているわけではない。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、その代わりに、実施形態、原理、及び概念を示すことに重点が置かれている。図面は、本明細書に含まれる特許請求の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2A】展開前後の外側ジャケット/シースを有するダイナミックステントの実施形態を示す。
【
図2B】展開前後の外側ジャケット/シースを有するダイナミックステントの実施形態を示す。
【
図3A】血栓と接触しているダイナミックステント及びジェットの一実施形態を示す。
【
図3B】血栓と接触しているダイナミックステント及びジェットの一実施形態を示す。
【
図3C】血栓と接触しているダイナミックステント及びジェットの一実施形態を示す。
【
図4A】閉位置にあるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図4B】閉位置にあるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図4C】急性/亜急性位置にあるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図4D】急性/亜急性位置にあるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図4E】伸長位置にあるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図4F】伸長位置にあるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図5A】プルワイヤを備えるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図5B】プルワイヤを備えるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図6A】更なる伸長位置にあるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図6B】更なる伸長位置にあるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図7】閉位置にあるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図8A】外側シースを後退させてバスケットを露出させ得る、急性/亜急性位置にあるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図8B】外側シースを後退させてバスケットを露出させ得る、急性/亜急性位置にあるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図9A】近位ハブが前方に押され得る、伸長位置にあるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図9B】伸長位置への切り替え前の、急性/亜急性位置にあるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図9C】近位ハブが前方に押され得る、伸長位置にあるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図10A】偏向位置にあるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図10B】偏向位置にあるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図10C】偏向位置にあるダイナミックステントデバイスの一実施形態を示す。
【
図11】ダイナミックステントデバイスの遠位端の一実施形態を示す。
【
図13A】ジェットチューブの一実施形態の断面図を示す。
【
図13B】ジェットチューブの一実施形態の断面図を示す。
【
図14】ジェットチューブの一実施形態の近位端を示す。
【
図15A】ジェットチューブの一実施形態の遠位端を示す。
【
図15B】ジェットチューブの一実施形態の遠位端を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示では、単数形の語は、特に明記しない限り、複数形の意味を含むものと解釈されるべきである。更に、「含む(including)」という用語は限定的ではない。更に、「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」と同等である。範囲は好ましい範囲として記載されている場合があるが、特に明記しない限り、好ましい範囲外で動作する実施形態が存在し得る。
【0020】
以下の詳細な説明では、同一の機能要素が同様の番号で指定されている添付の図面を参照する。前述の添付の図面は、本開示の原理と一致する特定の態様及び実装形態を、限定としてではなく例示として示す。これらの実装形態は、当業者が本開示を実施することを可能にするために十分に詳細に説明されており、他の実装形態が利用され得ること、並びに本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、様々な要素の構造的変更及び/又は置換が行われ得ることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0021】
本明細書における説明は、広範な概要として意図されておらず、したがって、概念は、明確さ及び簡潔さのために簡略化され得ることに留意されたい。
本出願において言及される全ての文書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本出願に記載される任意のプロセスは、任意の順序で実行されてもよく、プロセスにおけるステップのいずれかを省略してもよい。プロセスはまた、他のプロセス又は他のプロセスのステップと組み合わせられてもよい。
【0022】
本開示の発明は、静脈、動脈、脊髄、又は他の好適な用途で使用するためのダイナミックステントであってもよい。ダイナミックステントは、組織に対して攻撃的であるジェットと併せて利用されてもよい。したがって、ダイナミックステントは、傷つきやすい構造を有する狭い空間での有用な保護手段を提供することができる。一実施形態では、ダイナミックステントは、脊髄神経を保護する際に利用されてもよい。
【0023】
一実施形態では、ダイナミックステントは、神経、動脈、又は他の健康な軟組織などの傷つきやすい構造とともに使用するために構成されてもよい。血管が平坦でない側面を有する場合、ステント及びジェットは、例えば、一方の平面が切除されなければならないが、他方が無傷のままでなければならない二平面領域において、「方向性のある」保護を提供するように構成されてもよい。非限定的な例として、そのような例は、神経が空間を横断する場合、又は脂肪体が筋肉を傷つけることなく筋肉から分離されなければならない場合に存在し得る。
【0024】
本開示の発明は、ダイナミックステントであり得る。一実施形態では、ダイナミックステント設計は、外側シース(例えば、ナイロン又は他の好適な材料から構成される)が、展開及び回収目的のためにステントを閉じることを可能にし得る。本開示の目的のために、「ダイナミック」という用語は、ステントが患者の体内に残され得ないという事実を説明するために利用されることがある。代わりに、「ダイナミック」は、ステントが処置の過程にわたって患者に留置され、そこから引き抜かれるという事実を説明するために利用されてもよい。しかしながら、代替実施形態では、本開示で説明されるようなステントは、任意の好適な持続時間の処置において利用され得る。本開示の目的のために、「ジェット」、「流体ジェット」、及び「ウォータージェット」という用語は、吸引、切断、圧力、及び/又は他の手段を介して組織を除去するように構成された構成要素を指すことがある。更に、一実施形態では、ジェット及びステントは、ステント及びジェットが単一の構造体であるように一体化されてもよい。更なる実施形態では、ジェット及びステント(又は「バスケット」)は、同時利用を可能にしながら、いずれかの構成要素が他方の構成要素に対して移動可能であるように、動作可能に接続され得る。
【0025】
一実施形態では、ジェットは、様々な出力設定で動作しながら、患者の血管に対する保護の必要性を引き出し得る。そのような実施形態では、ダイナミックステントは、ジェットへの直接的な血栓の露出と、その結果として生じるベンチュリ効果を可能にする際に、有益な構成要素であり得る。結果として生じるベンチュリ効果は、低圧ゾーンを生成し得る。そのような効果は、ジェットの主要な機能の1つである切断を可能にし得る。一実施形態では、加圧流体ジェットは、流体(すなわち、生理食塩水)の流れにさらされると、慢性血栓でさえ切除する。ジェットは、不要な組織を引き込んで切断するが、副作用として、保護されていないジェットが静脈を引っ張ることもある。したがって、一実施形態では、ダイナミックステントは、ジェット領域の周囲でより広い直径を維持することによって、これが起こるのを防止するように構成される。
【0026】
図1Aを参照すると、装置は、ダイナミックステントを含んでもよい。ステントはメッシュから構成されてもよい。様々な実施形態では、メッシュは、いったん開放形態になると、脚の深部静脈並びに動脈の血管壁直径に適合するように、可変な長さ及び幅であってもよい。長さ及び幅は、血管の内径によって決定されることがあり、これは、ダイナミックステントの機能として、ジェット動作中に一時的な足場を生成するためであり得る。メッシュは、例えば
図1Aの右側に示されるような大きいメッシュ104のように、より広い織り方を有し、したがって、より開放的か又は透明であってもよい。一実施形態では、メッシュは、近位端及び遠位端を有してもよく、遠位端は、血栓と最初に接触するように構成される。様々な実施形態では、ステントは任意の好適な長さであり得る。ステントは、より長くてもよく、例えば、
図1Aに示すような15mmの大きいステント104であってもよい。ステントは、より短くてもよく、例えば、
図1Aに示すような10mmの小さいステント102であってもよい。しかしながら、様々な実施形態では、ステントは、任意の好適な長さであり得る。ステントは、前進時に血管壁に沿って適合及び追従することを可能にするために、凹状の角度の付いた遠位縁部を組み込むことができる。更に、このような凹状の角度の付いた遠位縁部は、ステントの血管壁への望ましくない引っ掛かりを防止することができる。
【0027】
一実施形態では、カテーテルは、深部静脈の内径に適合するように拡張することができる、一体型の拡張可能なニチノールケージを有する12Fカテーテルであってもよい。したがって、外側ナイロンシースは、ステント展開を可能にし得る。
図1Bを参照すると、ケージは、前方への進出とともに「弓状に開き」、血餅形成物を包囲することができる。そのような実施形態では、デザインの遠位前縁部は、血管壁外傷を最小限に抑えるためにわずかに凹形である。更に、ステントの前縁部は、上記前縁部の鋭さを減少させるために、コーティングされ、やすりをかけられ、又は他の方法で滑らかにされ得る。一実施形態では、本開示の発明は、流体ジェットがそれ自体の管腔内に取り付けられるように、流体ジェットを組み込むことができる。流体ジェットは、操作者によって所定の限度内で近位にピストン前進させられることができるという性質を有してもよい。
【0028】
ダイナミックステント及び付随する流体ジェットは、静脈適合性及び/又は動脈適合性であるように構成されてもよい。したがって、ダイナミックステント及び付随する流体ジェットは、静脈及び/又は動脈に損傷を与えない可能性がある。一実施形態では、亜急性血栓が最初に採取され、続いて慢性血栓(例えば、より高い粘稠性を有する)が採取される。伸縮(telescoping)流体ジェット及び/又は伸縮ステント、順行性手技中に血栓を包囲するステントの能力、及び流体ジェットの同時進行は、慢性血栓除去に役立つ。
【0029】
一実施形態では、メッシュステントは、遠位端から近位端に向かってテーパ状になっている。メッシュステントの遠位端は、遠位外周の円形開口部を含んでもよい。遠位外周における開口部は、滑らかで内側にテーパ状になった縁部を有してもよい。一実施形態では、コーティングは、メッシュステントに(例えば、遠位外周に)塗布されてもよく、コーティングは、摩擦を低減するように構成される。メッシュステントは、弓状の外周までわずかに広がり、最終的に、メッシュステントの近位端における近位外周までテーパ状になり得る。しかしながら、別の実施形態では、メッシュステントの外周は、遠位端から近位端に均一に減少してもよい。弓形の外周は、ステントが均一なテーパ状になっていない実施形態では、ステントの最も広い部分を画定し得る。更に、前述の外周は、可変で変動し得る。例えば、前述の外周は、ステントが展開される又は引き抜かれるにつれて変動し得る。しかしながら、代替実施形態では、ステントは比較的剛性であってもよく、前述の外周は無視できる程度にしか変動しなくてもよい。
【0030】
メッシュステントの近位端は、カテーテルに取り付けられてもよい。カテーテルは、遠位端及び近位端を有してもよい。メッシュステントの近位端は、カテーテルの遠位端に接触してもよい。カテーテルはまた、流体ジェット、管腔、又は血管に物質を除去若しくは導入するように構成される他の部材を収容してもよい。カテーテル及び/又は外側ジャケット/シースは透明であってもよい。
【0031】
一実施形態では、カテーテル及びメッシュステントは、接着剤を介して固定される。しかしながら、代替実施形態では、カテーテル及びメッシュステントは、任意の好適な手段を介して固定されてもよい。一実施形態では、カテーテルは、2管腔カテーテル(例えば、ジェット用のサイズの第1の管腔と、排出用に構成される第2の管腔)である。一実施形態では、ステントは、カテーテルの遠位外壁を介して固定されてもよい。代替実施形態では、ステントはカテーテルの内壁に取り付けられてもよい。
【0032】
一実施形態では、ダイナミックステントの外側遠位縁部は、非外傷性である(例えば、いったん展開されると、血管内の安全な通過及びナビゲーションを可能にする)。外側ジャケット/シースは、操作者がステントをシースから出してステントを開き、円錐形状を形成することを可能にし得る。外側ジャケット/シースは、ナイロン又は任意の他の好適な材料から構成されてもよい。外側ジャケットは、少なくともダイナミックステントを取り外し可能に封入するように構成された長い円筒形中空部材であってもよい。しかしながら、外側ジャケットは、任意の好適な形状、長さ、又は厚さであってもよい。外側ジャケットは、ユーザが外側ジャケットを操作して外側ジャケットをステントの遠位端から取り外すことができるように構成されてもよい。別の実施形態では、ダイナミックステントは、外側ジャケットなしで動作する。
【0033】
図2Aは、外側ジャケット/シースによって部分的に囲まれているときのダイナミックステントの実施形態を示す。そのような実施形態では、ダイナミックステントは、外側ジャケット/シースの内部断面内周に付着し得る。
図2Bは、外側ジャケット/シースが後退しているダイナミックステントの一実施形態を示す。そのような実施形態では、ステントの遠位縁部は、血管の内部断面内周に付着し得る。非限定的な例として、ダイナミックステントは、略円錐形状を形成してもよい。しかしながら、代替的な実施形態では、ダイナミックステントは、外側ジャケット/シースの狭窄の有無にかかわらず、任意の形状であるように設計されてもよい。
【0034】
本開示の目的のために、
図2Aは受動状態を表し得、
図2Bは能動状態を表し得る。能動状態は、外側ジャケット/シースの部分的又は完全な後退によって作動されてもよい。同様に、ダイナミックステントは、外側ジャケット/シースを部分的又は完全に再適用することによって、能動状態から受動状態に戻ることができる。
【0035】
ダイナミックステントは、ニチノール又は任意の他の好適な材料(例えば、ステンレス鋼)から構成されてもよい。ニチノールの使用により、ダイナミックステントが展開されると、その意図された形態及び機能を維持することが可能になり得る。一実施形態では、好適な材料は、陰圧下で展開し、移動させ、血管を開いた状態に維持することができるように、強度、可撓性、及び非外傷性の特性の組み合わせを示すことができる。円錐形状及び側壁メッシュ設計により、ダイナミックステントが静脈血管壁構造(又は任意の他の好適な血管)に適合することが可能になり得る。そのような円錐形状は、流体ジェットの後方及び/又は近位から血液が吸引されることを防止することに役立ち得る。しかしながら、様々な代替実施形態では、上記ダイナミックステント形状は、メッシュの前方、周囲、及び/又は後方の血栓が除去されるように構成されてもよい。一実施形態では、ダイナミックステントは、ステントが血管の寸法に適合し、その展開前の形状に戻ることを可能にする十分な可塑性を有する。
【0036】
ステントの展開性(deployabilty)は、より単純なナビゲーション及び選択的保護を可能にし得る。非限定的な例として、血管の一部が既にステント留置されている場合、ダイナミックステントを後退させて、開放されたジェットが血餅物質を貫通し、それを効率的に切除することを可能にし得る。
【0037】
血餅の近位に順行様式で適切に配置されると、流体ジェットは、ダイナミックステント内で安全に中心に置かれ得る。様々な実施形態では、流体ジェットは、血栓の除去を適切に可能にする任意の様式で配置されてもよい。例えば、血管の直線部分に沿って、流体ジェットは、ステントに対して相対的に中心に置かれ得る。更に、非限定的な例として、血管の湾曲部分に沿って、流体ジェットは、ステントの側部のいずれかに沿って配置され得る。一実施形態では、流体ジェットの位置は固定される。別の実施形態では、流体ジェットの位置は、ユーザによって操作されてもよい(例えば、ユーザは、患者の外側から流体ジェットを挿入し、引き抜き、回転させ、及び/又は別の方法で移動させてもよい)。流体ジェットがカテーテル内に固定される実施形態では、流体ジェットは、血管内周に対して血管内の中心に置かれてもよい。しかしながら、別の実施形態では、流体ジェットは、流体ジェットがステント内で中心に置かれるように固定されてもよいが、長手方向に伸縮可能(telescoped)であってもよい(例えば、カテーテルと平行に、又はカテーテルの長手方向軸に沿って)。そのような伸縮式の実施形態では、流体ジェットは、事前定義された限界(例えば、近位、中間点、遠位縁部、及び遠位外側の伸長)を有してもよい。
【0038】
流体ジェットは、そうでなければ流体ジェットシステムによって及ぼされる吸引力によって流体ジェットに侵入する可能性があり得る血管壁の完全性を損なうことなく、103メガパスカル(15000psi)ほどの高い圧力で作動し得る。ダイナミックステントなしのこのような使用は、血管の傷害及び損傷の可能性を増大させる可能性がある。ダイナミックステントによって提供される保護により、流体ジェットシステムは、慢性的な血餅粘稠性を除去するのに十分に高い速度及び圧力で動作することが可能になり得る。しかしながら、流体ジェットによって加えられる圧力は、血栓を除去することができる任意の圧力であってもよい。
【0039】
図3Aは、ステントが血栓と最初に接触したダイナミックステントの一実施形態を示す。
図3Bは、血栓の大部分がメッシュ内に吸引されたダイナミックステントの一実施形態を示す。
図3Cは、血栓が血管及びメッシュから首尾よく取り除かれたダイナミックステントの一実施形態を示す。
【0040】
一実施形態では、切断先端部の背後からの組織の進入を防止することが望ましい場合がある。そのような実施形態では、密な織り方又は完全な遮蔽(例えば、追加のシース)が望ましい場合がある。非限定的な例として、メッシュの代わりにシースを利用してもよい。
【0041】
ダイナミックステントの非外傷性の遠位縁部は、(例えば、ダイナミックステントが高密度物質に遭遇するときに)流体ジェットの伸長及び/又は伸縮を可能にするように、ばね張力をかけられてもよい。ばね張力は、ステントの材料及び構造の両方に依存し得る。一実施形態では、流体ジェットは、流体ジェット専用の管腔内に配置され、それにより、流体ジェットは、ステントの遠位端に対して中心に置かれ、所定の限度内で伸長することができる。したがって、操作者は、流体ジェットを近位に制御することが可能であり得る。一実施形態では、システムが慢性血餅形成物と一致する抵抗に遭遇した場合、ステントの外縁部は、逆行様式で後方に跳ね返り、流体ジェットを慢性血餅形成物に対してより完全に露出させる。逆に、一実施形態では、ステントの前縁部がほとんど又は全く抵抗に遭遇しない場合、流体ジェットデバイスはステント構造体の中心に維持される。そのような実施形態では、この特徴により、急性、亜急性、及び慢性的な粘稠性の血栓物質を受動的に除去することができる。別の実施形態では、ユーザは、ダイナミックステントに対する流体ジェットの位置を手動で選択してもよい。例えば、ユーザは、ステント及び/又は血栓に対して流体ジェットを手動で挿入する又は引き抜いてもよい。
【0042】
一実施形態では、流体ジェット及び/又はダイナミックステントは、ガイドワイヤの補助を受けて血管に導入され得る。ガイドワイヤは、流体ジェット及び/又はダイナミックステントがシールを通過しなければならない場合に使用されてもよい。一実施形態では、ガイドワイヤは、排出管腔を通して展開されてもよい。しかしながら、別の実施形態では、ガイドワイヤは、専用のガイドワイヤ管腔を通して展開されてもよい。ダイナミックステントが、ガイドワイヤの補助の有無にかかわらず血管に導入され得る実施形態が存在する。
【0043】
一実施形態では、ダイナミックステントは、任意の好適な医療機器とともに使用されてもよい。非限定的な例として、ダイナミックステントは、医療グレードのポンプ、流体ジェット、管腔、バキューム(vacuum)、カテーテルなどとともに使用するように構成されてもよい。
【0044】
本開示の目的のために、「ダイナミックステント」、「ステント」、及び「バスケット」は、互換的に使用され得る。更に、「流体ジェット」及び「ジェット」は、互換的に使用され得る。更に、ダイナミックステントデバイス100は、バスケット及びジェットを備えるデバイス、又はバスケット及びジェットのいずれかの態様を指すこともある。
【0045】
図4A~
図4Bは、閉位置404にあるダイナミックステントデバイス100の一実施形態を示す。ダイナミックステントデバイス100は、ハンドル400を含み得る。一実施形態では、ハンドル400は、操作者によって把持されるサイズであってもよく、及び/又は本明細書に記載される機能を有効化又は補完するように適合される、様々な入力及び出力を含んでもよい。ハンドル400は、様々な動作を引き起こすように操作され得る。例えば、ハンドル400は、バスケット416をシースに収める及びシースから出すように操作されてもよく、並びに/又はジェットチューブシャフト422を伸長させるように操作されてもよい。ハンドル400は、複数のハブを備えてもよい。非限定的な例として、ハンドル400は、近位ハブ414、中間ハブ412、及び遠位ハブ410を含み得る。一実施形態では、他のハブに対するハブのそれぞれの動きは、前述の動作のうちの1つを引き起こし得る。
図4A~
図4Bに示すように、ダイナミックステントデバイス100を閉位置404に配置するために、遠位ハブ410は中間ハブ412から動作可能に分離されてもよく、中間ハブ412は近位ハブ414から動作可能に分離されてもよい。閉位置404において、バスケット416は、外側シース402内に収められ得る。
【0046】
図4C~4Dは、急性/亜急性位置406にあるダイナミックステントデバイス100の一実施形態を示す。急性/亜急性位置406において、バスケット416は展開された構成であり得る。例えば、外側シース402は、バスケット416及び/又はジェットチューブ420が外側シース402に対して遠位に突出するように後退されてもよい。そのような実施形態では、バスケット416及びジェットチューブ420の遠位端は、同一平面上にあってもよい。一実施形態では、遠位ハブ410が中間ハブ412と動作可能にインターフェース接続され、中間ハブ412が近位ハブ414から動作可能に分離されるときに、ダイナミックステントデバイス100は、急性/亜急性位置406に切り替えられ得る。急性/亜急性位置406において、ダイナミックステントデバイス100は、例えば、ベンチュリ効果が管腔の境界内で完全に利用され得るときと比較して、血餅を除去する、より積極的な手段であり得る。したがって、
図4Cに示されるように、ジェットチューブ420及びバスケット416を遠位に突出させることによって、ダイナミックステントデバイス100は、周囲の血管への害を軽減しながら、破片をより積極的に除去し得る。
【0047】
図4E~
図4Fは、伸長位置408にあるダイナミックステントデバイス100の一実施形態を示す。伸長位置408において、ジェットチューブ420は、バスケットシャフト418及び/又は外側シース402に対して遠位に伸長され得る。一実施形態では、ダイナミックステントデバイス100は、遠位ハブ410が中間ハブ412に動作可能に結合され、中間ハブ412が近位ハブ414に動作可能に結合されるときに、伸長位置408に切り替えられてもよい。伸長位置408は、例えば、ジェットチューブ420の屈曲部434がそのような慢性血餅により積極的に進入することを可能にする、慢性血餅形成の除去のために構成され得る。しかしながら、伸長位置408において、ジェットチューブ420は、展開されたバスケット416の容積部内に留まり得る。一実施形態では、伸長位置408において、ジェットチューブ420及び/又はジェットチューブシャフト422は、バスケットシャフト418の最遠位部分を越えて遠位に突出してもよい。例えば、急性/亜急性406位置において、ジェットチューブシャフト422は、バスケットシャフト418(バスケット416自体を含まない)と同一平面上にあってもよい。更に、そのような非限定的な例では、伸長位置408において、ジェットチューブシャフト422は、バスケットシャフト418(バスケット416自体を含まない)を越えて遠位に伸長してもよい。
【0048】
図5A~
図5Bは、プルワイヤ502を備えるダイナミックステントデバイス100の一実施形態を示す。一実施形態では、1つ以上のプルワイヤ502が外側シース402内に配置されてもよい。そのような実施形態では、1つ以上のプルワイヤ502は、外側シース402の壁に配置されたプルワイヤチャネル504内に収容されてもよい。非限定的な例として、ダイナミックステントデバイス100は、2つのプルワイヤ502を備え、各プルワイヤ502は、外側シース402壁の両側に配置される。したがって、プルワイヤ502のうちの1つ以上に張力を誘導することにより、外側シース402の対応する部分を対応する方向に屈曲させることができる。プルワイヤ502によって引き起こされるような偏向能力は、ダイナミックステントデバイス100が、血餅の全周を捕捉及び/若しくは除去することを可能にし、並びに/又は血管壁の回転掃引を可能にし得る。更に、1つ以上のプルワイヤ502は、ハンドル400の制御部の作動が遠位端の偏向を引き起こし得るように、ハンドル400の制御部と結合されてもよい。例えば、ハンドル400は、1つ以上のプルワイヤ502のうちの少なくとも1つを作動させるように構成されたラチェットプルハンドル430を含んでもよい。
【0049】
図6A~
図6Bは、更なる伸長位置(enhanced extended position)602にあるダイナミックステントデバイス100の一実施形態を示す。更なる伸長位置602は、慢性血餅形成物に対する攻撃性を高めるように構成されてもよい。そのような実施形態では、屈曲部434は、排出管腔428に対して遠位に伸長され得る。例えば、屈曲部434は、更に3mmまで伸長されてもよい。しかしながら、屈曲部434は、更なる伸長位置602において任意の好適な距離まで伸長され得る。一実施形態では、放射線不透過性マーカ436は、バスケット416の遠位縁部(「前縁部」とも呼ばれる)に配置されてもよい。しかしながら、放射線不透過性マーカ436は、ダイナミックステントデバイス100の任意の好適な部分に配置され得る。したがって、放射線不透過性マーカ436は、蛍光透視法、X線撮影法、又は他の関連撮像技術を介して、ダイナミックステントデバイス100の可視性を高めることができる。
【0050】
代替実施形態では、ジェットチューブ420は、血管壁に垂直な方向に流体を放出するように構成されてもよい。例えば、開口部432は、血管壁に面して配置され得る。そのような代替実施形態では、流体及び切断された血栓が捕捉及び除去されるように、平坦表面、管腔、又は部分的管腔が、開口部432の反対側に配置されてもよい。
【0051】
別の代替実施形態では、排出管腔428は、ジェットチューブ420の遠位に配置されてもよい。そのような実施形態では、排出管腔428が血餅又は他の望ましくない物質との最初の接触を開始するように、ジェットチューブ420は、流体を遠位に又は部分的に遠位に放出し得る。
【0052】
更に別の代替実施形態では、ジェットチューブ420は、加圧流体源の代わりに吸引源と置き換えられてもよい。
図7は、閉位置404にあるダイナミックステントデバイス100の一実施形態を示す。したがって、遠位ハブ410、中間ハブ412、及び近位ハブ414は、それぞれ動作可能に分離されてもよい。
【0053】
ハンドル400は、スライダ438を含んでもよい。スライダ438は、スライダ438の作動がジェットチューブ420を遠位に押すように、ジェットチューブ420に動作可能に接続され得る。例えば、スライダ438は、ダイナミックステントデバイス100を更なる伸長位置602に切り替えるために利用されてもよい。更なる伸長位置602は、特に急性の血栓を除去するように構成されてもよい。実際には、ジェットチューブ420を遠位に突出させることによって、ジェットチューブ420は、血栓をより積極的に除去することができる。一実施形態では、スライダ438は、スライダ438の動きの程度に応じてジェットチューブ420を遠位に押すように適合され得る。例えば、スライダ438の半分の作動は、ジェットチューブ420をその可能な移動距離の半分だけ遠位に押すことができる。しかしながら、スライダ438はまた、2値的な作動で構成されてもよい。例えば、スライダ438は、2つの状態、すなわち、スライダ438が前方に押されてジェットチューブ420を更なる伸長位置602に切り替える作動状態と、スライダ438が動かされない非作動状態とを含み得る。したがって、スライダ438は、スライダ438の動きの程度に応じてジェットチューブ420の動きを引き起こすように構成されてもよく、又は、スライダ438は、伸長位置408及び更なる伸長位置602などの2つの絶対位置の間で選択するように構成されてもよい。スライダ438を示すために「スライダ」が
図7に提供されているが、スライダ438は、スイッチ、レバー、ボタンなどを含むがこれらに限定されない任意の好適な作動手段であってもよい。
【0054】
一実施形態では、ハンドル400は、ハンドル400の近位端の近くに配置されたガイドワイヤアクセス440を含み得る。ガイドワイヤアクセス440は、ガイドワイヤ管腔426へのアクセスを可能にする入口を含み得る。
【0055】
図8A~
図8Bは、急性/亜急性位置406にあるダイナミックステントデバイス100の一実施形態を示しており、外側シース402を後退させてバスケット416を露出させ得る。したがって、遠位ハブ410は、中間ハブ412と動作可能に結合され、外側シース402を後退させてバスケット416を展開させ得る。一実施形態では、ハブ410~414のそれぞれは、摺動可能に移動可能であってもよい。例えば、遠位ハブ410は、遠位ハブ410が中間ハブ412内に摺動するように、及び/又は別の方法でそれとインターフェース接続するように、近位に後退させることができる。
【0056】
図9A及び
図9Cは、伸長位置408にあるダイナミックステントデバイス100の一実施形態を示しており、近位ハブ414は前方に押され得る。示されるように、伸長位置408において、遠位ハブ410、中間ハブ412、及び近位ハブ414のそれぞれは、インターフェース接続されてもよい。したがって、近位ハブ414は、遠位に押され、ジェットチューブ420をバスケット416内に更に遠位へ移動させることができる。そのような実施形態では、近位ハブ414は、遠位に押され、近位ハブ414を中間ハブ412の中に摺動させ、及び/又は別の方法でそれとインターフェース接続させることができる。一実施形態では、中間ハブ412は、固定位置を維持してもよく、近位ハブ414及び遠位ハブ410は、それぞれ、遠位に押され、近位に後退させられて、ダイナミックステントデバイス100の遠位端における前述の動作を引き起こしてもよい。別の実施形態では、スライダ機構又はトラックは、近位ハブ414、中間ハブ412、及び/又は遠位ハブ410全体にわたって配置されてもよく、その結果、各ハブは、上記スライダ機構又はトラックの軸に沿って押されるか又は後退させられてもよい。しかしながら、近位ハブ414、中間ハブ412、及び/又は遠位ハブ410のうちのいずれか1つは、近位ハブ414、中間ハブ412、及び/又は遠位ハブ410のうちのいずれか1つに対して移動し得る。非限定的な例として、スライダ機構又はトラックが近位ハブ414と中間ハブ412との間に配置され、近位ハブ414を遠位に押すことを可能にしてもよい。同様に、非限定的な例として、スライダ機構又はトラックが遠位ハブ410と中間ハブ412との間に配置され、遠位ハブ410を近位に後退させることを可能にしてもよい。別の非限定的な例として、中間ハブ412は、2つのポケットを含んでもよく、各ポケットは、近位ハブ414及び遠位ハブ410のそれぞれに配置された突出部を受け入れるサイズである。したがって、そのような非限定的な例では、突出部は、それぞれのハブ410/414を中間ハブ412とインターフェース接続するために、ポケットに可逆的に入ることができる。あるいは、遠位ハブ410及び/若しくは近位ハブ414は、ポケットを含んでもよく、並びに/又は中間ハブ412は、突出部を含んでもよい。
【0057】
図10A~
図10Cは、偏向位置にあるダイナミックステントデバイス100の一実施形態を示す。非限定的な例として、偏向位置において、外側シース402の遠位端は、約15度の角度で偏向され得る。一実施形態では、1つ以上のプルワイヤ502は、約0.127mm(約0.005インチ)の直径を有するステンレス鋼プルワイヤであり得る。しかしながら、プルワイヤは、任意の好適な寸法であってもよく、及び/又は任意の好適な材料から構成されてもよい。ラチェットプルハンドル430の作動が1つ以上のプルワイヤ502のうちの少なくとも1つの張力を高め、ダイナミックステントデバイス100を偏向位置に切り替えるように、1つ以上のプルワイヤ502は、ラチェットプルハンドル430に取り付けられてもよい。一実施形態では、ラチェットプルハンドル430は複数の隆起部を含んでもよく、複数の隆起部はラチェットプルハンドル430と相互作用して、1つ以上のプルワイヤ502上に選択された圧力を維持する。一実施形態では、ラチェットプルハンドル430は、複数の隆起部のいずれか1つの上の位置にロックされてもよい。そのような実施形態では、各隆起部は、プルワイヤ502における特定の大きさの張力及び/又はダイナミックステントデバイス100の遠位端における特定の程度の偏向を反映し得る。しかしながら、別の実施形態では、ラチェットプルハンドル430は、
図8Bに示すような非作動位置と、
図10Bに示すような作動位置との2つの位置に構成可能であってもよい。
【0058】
図11は、ダイナミックステントデバイス100の遠位端の一実施形態を示す。一実施形態では、ジェットチューブシャフト422は、熱可塑性エラストマー(すなわち、72D Pebax(登録商標))から構成される。しかしながら、様々な実施形態では、ジェットチューブシャフト422は、金属、プラスチック、ゴム、ポリマー、エラストマーなどを含むがこれらに限定されない、任意の好適な材料から構成されてもよい。一実施形態では、ジェットチューブシャフト422は、約2.79mm(約0.110インチ)の外径を含み、約0.127mm(約0.005インチ)の壁厚を含み得る。しかしながら、代替実施形態では、ジェットチューブシャフト422は、任意の好適な外径及び/又は壁厚を含んでもよい。ジェットチューブシャフト422は、複数の管腔を含み得る。非限定的な例として、ジェットチューブシャフト422は、3つの管腔を含み得る。そのような非限定的な例では、第1の管腔(本明細書では「ジェットチューブ管腔」424とも呼ばれる)は、ジェットチューブ420を収容するように構成されてもよく、第2の管腔(本明細書では「ガイドワイヤ管腔」426とも呼ばれる)は、ガイドワイヤを収容するように構成されてもよく、第3の管腔(本明細書では「排出管腔」428とも呼ばれる)は、排出のために構成されてもよい。ジェットチューブ管腔424は、0.686mm(0.027インチ)の直径を含んでもよく、高出力ジェットチューブ420を維持するように構成されてもよい。ガイドワイヤ管腔426は、1.07mm(0.042インチ)の直径を含んでもよく、0.965mm(0.038インチ)の直径を有するガイドワイヤとともに使用するためのサイズであってもよい。排出管腔428は、例えば、ダイナミックステントデバイス100の遠位端からダイナミックステントデバイス100の近位端へ高圧スラリーを移動させるように構成されてもよい。
図11を参照すると、ジェット管腔424、ガイドワイヤ管腔426、及び/又は排出管腔428は、ジェットチューブ420に隙間(clearance)が提供されるようなサイズであってもよい。非限定的な例として、ガイドワイヤ管腔426は、排出管腔428よりも小さい断面積であってもよい。更に、ガイドワイヤ管腔426は、ジェット管腔424に直接隣接して配置されてもよく、ジェットチューブ420(及び結果として生じる噴霧)がガイドワイヤ又はガイドワイヤ管腔426に干渉しないように、ジェットチューブシャフト422の側壁に接触してもよい。したがって、排出管腔428は、ジェットチューブ420からの流体の流れの妨害を少なくするための適切な窓を提供するために、概ね半円形の断面積を含み得る。
【0059】
図11に示すように、バスケット416を使用して、血管又は周囲の組織が高圧ジェットの経路に入らないように保護することができる。一実施形態では、ステントバスケットシャフト418は、多層であり、支持のために金属編組構造を利用している。ステントバスケットシャフト418は、熱可塑性エラストマー(すなわち、72D Pebax(登録商標))から構成され得る。更に、ステントバスケットシャフト418は、約2.92mm(約0.115インチ)の内径及び約3.30mm(約0.130インチ)の外径を含み得る。しかしながら、ステントバスケットシャフト418は、任意の好適な寸法であってもよい。
【0060】
外側シース402は、デバイスが体内に血管を通して挿入されるときに、ステントバスケット416を閉じ込めた状態に維持することを目的としてもよい。更に、外側シース402は、全ての収容されたシャフト/管腔を偏向させることによって、大血管における閉塞部へのアクセスを向上させるために外側シース402の遠位端を操作する方法を、更に容易にすることができる。一実施形態では、外側シース402は、マルチルーメンポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)ライナ及び/又はナイロン12ポリマーから構成される。しかしながら、外側シース402は、任意の好適な材料から構成されてもよい。外側シース402は操縦可能であってもよく、約3.99mm(約0.157インチ)の外径を含んでもよい。更に、そのような非限定的な例では、外側シース402は、約3.43mm(約0.135インチ)の内径を含んでもよい。しかしながら、外側シース402は、所望の血管の進入及びナビゲーションを可能にする任意の好適な寸法であってもよい。
【0061】
図12は、ジェットチューブ420及び関連する構成要素の一実施形態を示す。ジェットチューブアセンブリは、フィルタ媒体1204、LCフィルタ1202、ジェットチューブ420、及び/又はスペーサチューブ1206を備え得る。ジェットチューブ420の遠位端は屈曲した部分を含んでもよく、上記屈曲した部分は、外側シース402の軸に垂直に配置される。一実施形態では、ジェットチューブ420の近位端は、LCフィルタ1202に結合され得る。更に、フィルタ媒体1204は、ジェットチューブ420の近位端に配置され得る。一実施形態では、LCフィルタ1202は、ジェットチューブ420を受け入れるサイズのチャネルを含み得る。そのような実施形態では、ジェットチューブ420がLCフィルタ1202チャネル内に配置されるとき、スペーサチューブ1206がジェットチューブ420の周囲に配置されてもよい。一実施形態では、LCフィルタ1202及びフィルタ媒体1204は、流体がハンドル400内に供給され、後にジェットチューブ420を通して放出される際に、流体から望ましくない微粒子を除去するように構成され得る。フィルタ媒体1204のこの密度は、流体のタイプ及び/又は除去される微粒子の特性に基づいて修正され得る。一実施形態では、流体源は、十分に清潔であってもよく、及び/又は望ましくない微粒子を含まなくてもよい。そのような実施形態では、ダイナミックステントデバイス100は、LCフィルタ1202及び/又はフィルタ媒体1204なしで機能し得る。
【0062】
図13A~
図13Bは、ジェットチューブ420の一実施形態の断面図を示し、ジェットチューブ420は、ジェットチューブ420の近位端からジェットチューブ420の遠位端まで均一な内径を有する通路を含み得る。ジェットチューブ420の遠位端は、屈曲部434を形成するために約90度の角度に屈曲したジェットチューブ420の一部分を含み得る。屈曲部434は開口部432を含むことができ、開口部432はジェットチューブ420の近位端に向かって面している。したがって、ジェットチューブ420を通って近位端から遠位端に移動する流体は、放出された流体が近位に放出されるように、開口部432を通って更に放出され得る。一実施形態では、開口部432は、約0.127mm(約0.005インチ)の直径を含む。しかしながら、開口部432は、放出された流体が血栓又は他の破片をかき乱し得るように、任意の好適なサイズの直径を含んでもよい。
【0063】
図14は、ジェットチューブ420の一実施形態の近位端を示す。ジェットチューブ420は、LCフィルタ1202に結合されてもよい。LCフィルタ1202は、第1の部分1208及び第2の部分1210を備えることができ、第1の部分1208は、ジェットチューブ420、スペーサチューブ1206、及び/又はフィルタ媒体1204を受け入れるサイズの均一なチャネルを備え、第2の部分1210は、流体源を受け入れるサイズの不均一なチャネルを備える。例えば、流体源は、加圧流体をジェットチューブ420に送達するように構成されたホース又は他の関連デバイスであってもよい。一実施形態では、LCフィルタは、第1の部分1208を第2の部分1210から区分する窪み1212を含む。一実施形態では、ジェットチューブ420を圧着継手に溶接する前に、管腔伸長部がジェットチューブ420上に設置され得る。したがって、ジェットチューブ420、スペーサチューブ1206、及び/又はLCフィルタ1202は、前述の構成要素のいずれかを結合するようにレーザ溶接されてもよい。
【0064】
図15A~15Bは、ジェットチューブ420の一実施形態の遠位端を示す。一実施形態では、ジェットチューブ420の屈曲部434は、ジェットチューブ420の大部分の長手方向軸に対して90度の偏向を含み得る。屈曲部434の最遠位縁部は、ベベルを含んでもよい。ベベルは、ジェットチューブ420の最遠位端における鋭い縁部を取り除くサイズであってもよい。したがって、ベベルは、屈曲部434が血管壁に支障を来す可能性を低減することができる。一実施形態では、開口部432は、屈曲部434を貫通する穴を穿孔することによって形成され得る。1つのそのような実施形態では、ドリルは、両側(すなわち、屈曲部434の遠位側及び近位側)を貫通してもよく、屈曲部の遠位側に形成された穴は、レーザ溶接されて閉じられてもよい。
【0065】
一実施形態では、遠位ハブ410と中間ハブ412との間に遠位ロック機構が配置され得る。したがって、遠位ロック機構は、中間ハブ412に対する遠位ハブ410の位置をロックするように構成され得る。非限定的な例として、ユーザは、遠位ハブ410を完全に後退させて、ダイナミックステントデバイス100を急性/亜急性位置406に切り替えることができ、遠位ロック機構を作動させて、遠位ハブ410の上記位置、及び間接的に、外側シース402に対するバスケット416の位置を維持することができる。更なる実施形態では、遠位ロック機構は、遠位ハブ410の任意の好適な位置をロックするように適合され得る。そのような実施形態では、閉位置404と急性/亜急性位置406との間の位置にダイナミックステントデバイス100をロックするために、遠位ロック機構が利用されてもよい。
【0066】
一実施形態では、近位ロック機構が、中間ハブ412と近位ハブ414との間に配置され得る。したがって、近位ロック機構は、中間ハブ412に対する近位ハブ414の位置をロックするように構成され得る。非限定的な例として、ユーザは、近位ハブ414を完全に押して、ダイナミックステントデバイス100を伸長位置408に切り替えることができ、近位ロック機構を作動させて、近位ハブ414の上記位置、及び間接的に、外側シース402に対するジェットチューブシャフト422の位置を維持することができる。更なる実施形態では、近位ロック機構は、近位ハブ414の任意の好適な位置をロックするように適合され得る。そのような実施形態では、急性/亜急性位置406と伸長位置408との間の位置にダイナミックステントデバイス100をロックするために、近位ロック機構が利用されてもよい。遠位ロック機構及び/又は近位ロック機構は、任意の好適なスイッチ、ボタン、レバー、又は対応するハブの動きを防止するように構成される他の機構であり得る。例えば、ロック機構は、ハブと、間接的に、バスケット416/外側シース402/ジェットチューブシャフト422の位置とがロックされるように、それぞれのハブの間に超えられない(unsurpassable)摩擦を生じさせるように適合され得る。遠位ロック機構及び/又は近位ロック機構は、任意の好適なハブ上及び/又は任意の好適なハブ間に配置されてもよい。
【0067】
本開示は、バスケット416の展開された状態及び展開されていない状態、ダイナミックステントデバイス100の閉位置404、急性/亜急性位置406、伸長位置408、及び/又は更なる伸長位置602、並びに偏向構成及び直線構成を企図しているが、デバイス100及びその構成要素は、本明細書に記載されるようなデバイス100の操作によって、前述の構成又はそれらの間の構成のうちのいずれかに配置されてもよい。したがって、デバイス100は、前述の構成のうちのいずれかの要素を同時に呈することが可能であってもよく、そのように操作されてもよい。非限定的な例として、デバイス100は、遠位ハブ410を完全に後退させて、上記デバイス100を急性/亜急性位置に切り替えることができ、デバイス100は、遠位ハブ410を部分的に後退させて、バスケット416を部分的にシースから出すことができる。
【0068】
1つ以上の実施形態の文脈において本明細書に記載される様々な要素は、別個に、又は任意の好適な部分的組み合わせで提供されてもよい。更に、本明細書に記載されるプロセスは、記載される特定の実施形態に限定されない。例えば、本明細書に記載されるプロセスは、本明細書に記載される特定の処理順序に限定されず、むしろ、プロセスブロックは、本明細書に記載される結果を達成するために、必要に応じて、並べ替えられ、組み合わされ、除去され、又は並列若しくは直列に実行され得る。
【0069】
当業者であれば、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載され図示された部品の詳細、材料、及び配置に様々な変更を加えることができることが更に理解されよう。
【0070】
本出願において引用又は参照される全ての参考文献、特許及び特許出願並びに刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。最後に、本開示の他の実装形態は、本明細書の考察及び本明細書に開示される本開示の実施から当業者には明らかであろう。本明細書及び実施例は例示としてのみ考察され、本開示の真の範囲及び趣旨は以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
100 ダイナミックステント
102 小さなメッシュ
104 大きなメッシュ
400 ハンドル
402 外側シース
404 閉位置
406 急性/亜急性位置
408 伸長位置
410 遠位ハブ
412 中間ハブ
414 近位ハブ
416 バスケット
418 バスケットシャフト
420 ジェットチューブ
422 ジェットチューブシャフト
424 ジェット管腔
426 ガイドワイヤ管腔
428 排出管腔
430 ラチェットプルハンドル
432 開口部
434 屈曲部
436 マーカ
438 スライダ
440 ガイドワイヤアクセス
502 プルワイヤ
504 プルワイヤチャネル
602 更なる伸長位置
1202 LCフィルタ
1204 フィルタ媒体
1206 スペーサチューブ
1208 第1の部分
1210 第2の部分
1212 窪み
【国際調査報告】