(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】アイスクリーム製造用組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23G 9/34 20060101AFI20241126BHJP
A23L 29/30 20160101ALI20241126BHJP
A23L 29/206 20160101ALI20241126BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20241126BHJP
A23L 27/30 20160101ALI20241126BHJP
A23G 9/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A23G9/34
A23L29/30
A23L29/206
A23L27/00 E
A23L27/00 101A
A23L27/00 101B
A23L27/00 101Z
A23L27/30 A
A23L27/30 B
A23L27/30 C
A23L27/30 Z
A23G9/00 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538414
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 KR2022020843
(87)【国際公開番号】W WO2023128445
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0191607
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514199250
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】イ、ミンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソニ
(72)【発明者】
【氏名】コン、ムン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ジウ
(72)【発明者】
【氏名】キム、チョル ジン
【テーマコード(参考)】
4B014
4B047
【Fターム(参考)】
4B014GB18
4B014GE06
4B014GG07
4B014GG11
4B014GG16
4B014GG18
4B014GK03
4B014GK07
4B014GL04
4B014GL10
4B014GL11
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4B047LB08
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4B047LG33
4B047LG37
4B047LP07
4B047LP09
(57)【要約】
本出願は、アイスクリーム製造用組成物、その製造方法及び前記組成物を含むアイスクリームに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂糖、糖アルコール、高甘味料及び水溶性食物繊維を含むアイスクリーム製造用組成物であって、
前記砂糖及び糖アルコールは、前記高甘味料及び水溶性食物繊維でコーティングされた形態で含まれるものである、組成物。
【請求項2】
前記砂糖は、組成物全体の100重量部を基準として40~60重量部で含まれるものであり、
前記糖アルコールは、組成物全体の100重量部を基準として25~40重量部で含まれるものであり、
前記高甘味料は、組成物全体の100重量部を基準として0.01~0.2重量部で含まれるものであり、
前記水溶性食物繊維は、組成物全体の100重量部を基準として1~5重量部で含まれるものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記水溶性食物繊維は、イヌリン、難消化性マルトデキストリン、分岐マルトデキストリン及びポリデキストロースからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記水溶性食物繊維は、イヌリン及び難消化性マルトデキストリンであり、
前記イヌリン及び難消化性マルトデキストリンは13:1~15:1の混合比で含まれる、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記糖アルコールは、エリスリトール、タガトース、キシロース、アラビノース、リボース、キシリトール、ラクチトール、マルチトール及びソルビトールからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記高甘味料は、酵素処理ステビア、ステビオール配糖体、スクラロース、アスパルテーム、羅漢果抽出物、甘草抽出物及びソーマチンからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物は、パウダー形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物を含むアイスクリーム。
【請求項9】
前記アイスクリームは、前記砂糖及び糖アルコールが前記高甘味料及び水溶性食物繊維でコーティングされた形態で含まれないものに比べて硬度が改善されたものである、請求項8に記載のアイスクリーム。
【請求項10】
前記アイスクリームは、前記砂糖及び糖アルコールが前記高甘味料及び水溶性食物繊維でコーティングされた形態で含まれないものに比べて嗜好度が改善されたものである、請求項8に記載のアイスクリーム。
【請求項11】
砂糖及び糖アルコールを混合して混合物を製造する段階;
高甘味料及び水溶性食物繊維を水に溶解して溶解液を製造する段階;
前記溶解液を前記混合物に噴霧してコーティングする段階;及び
前記コーティングされた混合物を熱風乾燥させる段階;を含むアイスクリーム製造用組成物の製造方法。
【請求項12】
前記乾燥混合物にイヌリンを混合する段階をさらに含むものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記砂糖は、組成物全体の100重量部を基準として40~60重量部で含まれるものであり、
前記糖アルコールは、組成物全体の100重量部を基準として25~40重量部で含まれるものであり、
前記高甘味料は、組成物全体の100重量部を基準として0.01~0.2重量部で含まれるものであり、
前記水溶性食物繊維は、組成物全体の100重量部を基準として1~5重量部で含まれるものである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記乾燥段階は、80℃~95℃の温度範囲で、5分~20分間行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法で製造された、アイスクリーム製造用組成物。
【請求項16】
請求項15に記載の組成物を含むアイスクリーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、アイスクリーム製造用組成物、その製造方法及び前記組成物を含むアイスクリームに関する。
【背景技術】
【0002】
アイスクリームは、牛乳またはその他の乳製品に甘味素材及び香味成分などを混合して冷凍させた食品であり、全世界的に広く愛されているデザートの一つである。
アイスクリームを製造するためには、牛乳や砂糖などのように脂肪を多量含有したり高カロリーの食材料を主材料として使用しなければならず、そのため、少量のアイスクリームを摂取しても相当なカロリーと脂肪を摂取するようになる。さらに、口当たりを引き付ける柔らかい味と甘味により、特に、幼い年齢層の消費者に過剰摂取を誘導するようになり、小児肥満、小児糖尿などを誘発する原因となる恐れがあり、さらに、高脂血症、肥満、糖尿などを含む成人病も誘発する可能性があり、問題となる。
【0003】
これに関連し、糖類が低減された食品を開発するために、糖アルコール、高甘味料のような多くの甘味剤が砂糖を代替するために適用されてきたが、砂糖とは異なる甘味プロファイルと食感、砂糖と異なる甘味持続性、残りの後味、苦み渋味を示して嗜好度が落ちる問題及び合成添加物が多量に含まれる問題がある。
【0004】
また、砂糖のような糖類を入れずに糖アルコールと高甘味料で甘味を出す場合、アイスクリームの製造のための粉末の混合時に微量原料である高甘味料が均一に分散し難いため、均一な甘味質の具現が困難であり、アイスクリームの硬度が低くなって製造時に容易に溶ける現象により生産性が落ち、アイスクリーム本来の質感を維持し難い問題がある。
【0005】
したがって、アイスクリーム本来の物性及び甘味を維持しながらも糖類の含量が低く、低カロリーのアイスクリームの開発が要求されているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2011-0018989号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-0926638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、糖類を低減させ、硬度及び甘味質が改善されたアイスクリーム製造用組成物、その製造方法及び前記組成物を含むアイスクリームを開発し、本出願を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願の一つの目的は、砂糖、糖アルコール、高甘味料及び水溶性食物繊維を含むアイスクリーム製造用組成物であって、前記砂糖及び糖アルコールは、前記高甘味料及び水溶性食物繊維でコーティングされた形態で含まれるものである、アイスクリーム製造用組成物を提供することにある。
【0009】
本出願のもう一つの目的は、前記組成物を含むアイスクリームを提供することにある。
【0010】
本出願の他の一つの目的は、前記アイスクリーム製造用組成物の製造方法を提供することにある。
【0011】
本出願の他の一つの目的は、前記方法で製造したアイスクリーム製造用組成物を提供することにある。
【0012】
本出願の他の一つの目的は、前記組成物を含むアイスクリームを提供することにある。
【発明の効果】
【0013】
本出願のアイスクリーム製造用組成物は、砂糖を糖アルコール及び高甘味料で一定比率代替することにより糖類を低減させ、硬度及び甘味質が改善されたアイスクリームを製造して生産性及び消費者の嗜好度を高める優れた効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
これを具体的に説明すると、次の通りである。一方、本出願で開示されたそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれの他の説明及び実施形態にも適用することができる。即ち、本出願で開示された多様な要素の全ての組み合わせが、本出願の範囲に属する。また、以下に記載される具体的な記述により本出願のカテゴリが制限されるとは見られない。また、本明細書の全体にわたって多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体として本明細書に参照として組み込まれ、本出願が属する技術分野の水準及び本出願の内容がより明確に説明される。
【0015】
本出願の一態様は、砂糖、糖アルコール、高甘味料及び水溶性食物繊維を含むアイスクリーム製造用組成物であって、前記砂糖及び糖アルコールは、前記高甘味料及び水溶性食物繊維でコーティングされた形態で含まれるものである、アイスクリーム製造用組成物を提供する。
【0016】
一般に、アイスクリーム製造用組成物は、牛乳と混合し、フリーザーを通じて即座に製造して提供されるが、砂糖のような糖類を入れずに糖アルコールと高甘味料で甘味を出す場合、既存の砂糖の含量より少ない固形粉の含量で砂糖のような糖類が入ったアイスクリームよりアイスクリームの硬度が低くなり、製造時に容易に溶ける現象が発生し、アイスクリーム本来の物性を維持し難い問題がある。
【0017】
本出願のアイスクリーム製造用組成物は、砂糖を糖アルコール及び高甘味料で一定比率代替し、前記砂糖及び糖アルコールが前記高甘味料及び水溶性食物繊維でコーティングされた形態で含まれることにより、既存の製品に比べて糖類を低減し、低カロリーでありながらも、硬度が改善され、均一な甘味質及びアイスクリーム本来の物性を維持するアイスクリームを製造し、生産性及び消費者の嗜好度を高める優れた効果がある。
【0018】
具体的には、前記コーティングされた形態は、コアシェル(core-shell)構造を意味することであってもよいが、これに制限されるものではない。さらに具体的には、砂糖、糖アルコールまたはそれらの組み合わせは、シェル層でコーティングされたコアシェル(core-shell)構造で含まれ、前記シェル層は、前記高甘味料及び水溶性食物繊維を含むことを意味するが、これに制限されるものではない。
【0019】
具体的には、前記水溶性食物繊維は、組成物全体の100重量部を基準として1~5重量部、具体的には2~4重量部、さらに具体的には2.5~3.5重量部で含まれるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0020】
前記水溶性食物繊維が前記範囲で含まれることにより、アイスクリームの硬度及び組織感を改善し、アイスクリーム本来の物性を維持するアイスクリームを製造することができる。前記水溶性食物繊維が1.5重量部未満で含まれる場合、物性維持効果が微々たるものであり、5重量部超過で含まれる場合、アイスクリーム製造機器内にくっついたり、アイスクリームの食感がべたつくようになって嗜好度が減少する。
【0021】
具体的には、前記水溶性食物繊維は、イヌリン、難消化性マルトデキストリン、分岐マルトデキストリン及びポリデキストロースからなる群から選択される1種以上、さらに具体的には、イヌリン及び難消化性マルトデキストリンであってもよいが、これに制限されるのではなく、一般的な水溶性食物繊維(難消化性糖類)は、いずれも含まれ得る。
【0022】
例えば、前記水溶性食物繊維が2種以上の場合、具体的には、イヌリン及び難消化性マルトデキストリンである場合、前記難消化性マルトデキストリンはシェル層に含まれ、前記イヌリンは組成物に含まれるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0023】
前記難消化性マルトデキストリン(Resistant Maltodextrin)は、食物繊維(多糖類)の一つであり、人体内で消化されにくい食物繊維として、一般のマルトデキストリンより炭水化物の重合度が高い高分子炭水化物構造を有していることが特徴である。液状ではない場合には、食物繊維を80%以上含有しており、商業的に販売されるものを購入して使用したり直接製造して使用することができる。
【0024】
前記難消化性マルトデキストリンを含むことにより、コアシェルの形態で噴霧コーティング時にシェル層に含まれ、コアシェルの決着力を高めることができる。
また、前記イヌリンを含むことにより、糖アルコール及び高甘味料で砂糖を代替した製品で示されるテクスチャの低下を補完し、アイスクリームの物性を維持することができる。
【0025】
具体的には、前記水溶性食物繊維がイヌリン及び難消化性デキストリンである場合、前記イヌリン及び難消化性デキストリンは、13:1~15:1の混合比で含まれるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0026】
具体的には、前記砂糖は、組成物全体の100重量部を基準として40~60重量部、具体的には45~55重量部、さらに具体的には50~55重量部で含まれるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0027】
本発明で使用される砂糖は、特に制限されず、当該技術分野または類似分野において通常に使用される砂糖を使用することができ、好ましくは、精白糖を使用することができる。
【0028】
本出願のアイスクリーム製造用組成物は、砂糖を糖アルコール及び高甘味料で一定比率代替することにより、既存の製品に比べて糖類を約30%以上低減することができる。
【0029】
具体的には、前記糖アルコールは、組成物全体の100重量部を基準として25~40重量部、具体的には25~35重量部、さらに具体的には28~32重量部で含まれるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0030】
前記糖アルコールが前記範囲で含まれることにより、既存の製品に比べて甘味を維持しながらも効果的に砂糖を代替することができるため、糖類の低減が可能である。前記糖アルコールが25重量部未満で含まれる場合、甘味を維持しにくく、40重量部超過で含まれる場合、砂糖とは異なる甘味プロファイル(例えば、後味の甘味切れなど)及び物性を示して嗜好度が低下する問題があり、アイスクリーム保管時に過度に早く溶けるなど、物性低下の問題がある。
【0031】
また、前記糖アルコールは、エリスリトール、タガトース、キシロース、アラビノース、リボース、キシリトール、ラクチトール、マルチトール及びソルビトールからなる群から選択される1種以上であるもの、具体的には、エリスリトールであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0032】
前記エリスリトールは、白砂糖と最も類似の甘味プロファイルを示すことが知られている糖アルコールであり、甘味は、砂糖の約70%の水準で0~0.83721kJ(0.2kcal)/gの非常に微々たるカロリーを有しており、体外に排出される特性があり、インスリンに影響を及ぼさない。これにより、糖尿食または低炭水化物の食事療法をする時にも使用する。他の糖アルコール系列の甘味料の場合、一日10g以上摂取時に消化不良及び浸透性下痢が生じることがあり、食事量を調節しなければならないが、エリスリトールは、食べるとすぐに小腸に吸収され、胃腸に長く留まらず、他の糖アルコール甘味料より下痢が少なく生じる。これにより、前記エリスリトールを含む場合、低熱量製品の製造に有用に活用することができる。
【0033】
具体的には、前記高甘味料は、組成物全体の100重量部を基準として0.01~0.2重量部、具体的には0.02~0.15重量部、さらに具体的には0.05~0.15重量部で含まれるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0034】
前記高甘味料が前記範囲で含まれることにより、同量の砂糖の使用時と類似の甘味度を有することができ、組成物の異味、異臭のマスキングが可能であり、コアシェルの形態で噴霧コーティング時に溶解分散性が向上する。前記高甘味料添加量が少な過ぎると、砂糖より甘味度が落ちるため、高甘味料を混合して甘味度を高める効果が得られず、反対に、これら甘味材は、苦みと後味を改善した製品であるが、完ぺきに砂糖と同一の甘味を提供できないため、使用量が多ければ、高甘味料特有の苦みが出るため、適切でないという問題がある。
【0035】
また、前記高甘味料は、酵素処理ステビア、ステビオール配糖体、スクラロース、アスパルテーム、羅漢果抽出物、甘草抽出物及びソーマチンからなる群から選択される1種以上であるもの、具体的には、酵素処理ステビア及び/又はステビオール配糖体であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0036】
前記酵素処理ステビア(Glucosyl-Stevia)は、ステビオール配糖体(Stevioside)に糖転移酵素を用いてグルコースを付加したものであり、ステビオール配糖体固有の苦みと後味を除去した味質改善品である。
【0037】
ステビオール配糖体は、天然添加物に分類される高甘味料の一つであり、ステビア(キク科植物、Stevia rebaudiana Bertoni)の葉から抽出、精製して製造される天然甘味料として熱及びpHに安定した甘味物質で甘味度は砂糖の約200倍である。ただし、ステビオール配糖体は、砂糖に比べて甘味度が優れるが、後味が長く残り、甘味の他に苦み、不快感などがある短所がある。前記ステビオール配糖体は、ステビオール配糖体(stevioside)、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、ルブソシド、ズルコシドA、ステビオシドまたはこれらの混合物であってもよいが、これらに限定されるものではなく、当業者が甘味を付与するために使用できる高甘味料であれば、いずれも使用可能である。
【0038】
前記高甘味料の場合、独自の苦みがあることが知られている。これにより、前記糖アルコール、具体的には、エリスリトールを配合して高甘味料自体の苦みを減らし、嗜好度を高めることができる。これにより、カロリーを顕著に低めながらも従来砂糖を用いたアイスクリーム製品に比べて甘味質、硬度及び物性を維持するアイスクリームを提供することができる。
【0039】
本出願のアイスクリーム製造用組成物は、さらにヨーグルト粉末、脱脂粉乳、クエン酸、着香料または安定剤を含むことができる。
【0040】
具体的には、前記ヨーグルト粉末及び脱脂粉乳は、乳原料として添加されるものであり、その含量及び種類は特に制限されず、当該技術分野または類似分野において通常に使用される乳原料を用いることができる。
【0041】
具体的には、前記安定剤は、グアーガム、キサンタンガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、カラギナンガム、カルボキシメチルセルロースガム、ジェランガム、ペクチンなどを含んでもよいが、これに制限されるものではない。前記安定剤は、増粘剤として用いられ、製品の粘度を調節する成分であり、製品の安定性、質感及び使用性に重要な影響を及ぼし、アイスクリームのテクスチャを実現することができる。
【0042】
前記クエン酸及び着香料は、アイスクリームの風味または香味を増進するために使用することができ、その含量及び種類は特に制限されず、当該技術分野または類似分野において通常に使用されるクエン酸及び着香料を使用することができる。
【0043】
例えば、前記着香料は、ヨーグルトフレーバーの着香料を使用できるが、これに制限されるものではない。
【0044】
また、本出願のアイスクリーム製造用組成物は、さらに酸度調節剤、カゼインナトリウム、精製塩などを含むものであってもよい。また、本出願のアイスクリーム製造用組成物は、それ以外にもアイスクリーム製造用組成物を製造するのに一般に使用される公知の材料をさらに含んでもよい。
【0045】
本出願のアイスクリーム製造用組成物は、パウダー、液状、固形粉など、アイスクリームを製造するのに適した組成物であれば、形態に制限がなく、具体的には、パウダー(粉末)の形態であってもよい。
【0046】
例えば、本出願のアイスクリーム製造用組成物は、アイスクリーム粉末ミックスとして牛乳と混合し、フリーザーを通じて即座にアイスクリームを製造するのに用いられる。
【0047】
本出願の他の一態様は、前記組成物を含むアイスクリームを提供する。
【0048】
前記組成物については、前記で説明した通りである。
【0049】
具体的には、前記アイスクリームは、アイスクリーム製造用組成物に水または牛乳をさらに含むものであってもよい。
【0050】
具体的には、前記アイスクリームは、前記砂糖及び糖アルコールが前記高甘味料及び水溶性食物繊維でコーティングされた形態で含まれないものに比べて硬度が改善されたものであってもよい。
【0051】
具体的には、前記アイスクリームは、前記砂糖及び糖アルコールが前記高甘味料及び水溶性食物繊維でコーティングされた形態で含まれないものに比べて嗜好度が改善されたものであってもよい。
【0052】
本出願のもう一つの態様は、前記アイスクリーム製造用組成物の製造方法を提供する。
【0053】
前記アイスクリーム製造用組成物については、前記で説明した通りである。
【0054】
具体的には、砂糖及び糖アルコールを混合して混合物を製造する段階;高甘味料及び水溶性食物繊維を水に溶解して溶解液を製造する段階;前記溶解液を前記混合物に噴霧してコーティングする段階;及び前記コーティングされた混合物を熱風乾燥させる段階;を含むアイスクリーム製造用組成物の製造方法を提供する。
【0055】
具体的には、前記乾燥混合物にイヌリンを混合する段階をさらに含むものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0056】
具体的には、前記砂糖は、組成物全体の100重量部を基準として40~60重量部で含まれるものであり、前記糖アルコールは、組成物全体の100重量部を基準として25~40重量部で含まれるものであり、前記高甘味料は、組成物全体の100重量部を基準として0.01~0.2重量部で含まれるものであり、前記水溶性食物繊維は、組成物全体の100重量部を基準として1~5重量部で含まれるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0057】
具体的には、前記水溶性食物繊維の含量は、溶解液に含まれた食物繊維及び組成物に別途に混合された食物繊維をすべて含む1種以上の水溶性食物繊維の総含量を意味することであってもよい。
【0058】
具体的には、前記溶解液に含まれた食物繊維及び組成物に別途に混合された食物繊維は、イヌリン、難消化性マルトデキストリン、分岐マルトデキストリン及びポリデキストロースからなる群から選択される1種以上、さらに具体的には、イヌリン及び難消化性マルトデキストリンであってもよいが、これに制限されるものではなく、一般的な水溶性食物繊維(難消化性糖類)は、いずれも含まれ得る。
【0059】
例えば、前記難消化性マルトデキストリンは溶解液に含まれ、前記イヌリンは乾燥混合物にさらに混合されて組成物に含まれるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0060】
この場合、前記難消化性マルトデキストリンは、組成物全体の100重量部を基準として0.1~0.3重量部で含まれるものであり、前記イヌリンは、組成物全体の100重量部を基準として2~3.5重量部で含まれるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0061】
以下、具体的には、本出願のアイスクリーム製造用組成物の製造方法を詳細に説明する。
【0062】
まず、砂糖及び糖アルコールを混合して混合物を製造する。
【0063】
一方、高甘味料及び難消化性マルトデキストリンを水に溶解して溶解液を製造する。
【0064】
前記混合物を製造する段階及び溶解液を製造する段階は、同時または順次行われ、いかなる段階を先に行っても関係ない。
【0065】
次いで、前記溶解液を前記混合物に噴霧してコーティングする。
【0066】
具体的には、微量の高甘味料及び難消化性マルトデキストリンを水に溶解した後、噴霧コーティングすることにより、微量の高甘味料が均一に分散するため、製品全体の甘味を均一にして製品の品質を維持することができる。
【0067】
また、前記難消化性マルトデキストリンを含むことにより、混合物に含まれた結晶と溶解液の決着力を高めることができる。
【0068】
例えば、前記噴霧コーティング段階により、中心部は、前記砂糖、糖アルコールまたはそれらの組み合わせが存在し、前記中心部がシェル層でコーティングされたコアシェル(core-shell)構造を製造するものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0069】
次いで、前記コーティングされた混合物を熱風乾燥させる。
【0070】
具体的には、前記乾燥段階は80℃~95℃、例えば、80℃~90℃、具体的には85℃の温度範囲で、5分~20分、例えば、5分~15分、具体的には、10分間行われるものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0071】
本出願のアイスクリーム製造用組成物がパウダー形態である場合、水分の含量が高くなると、微生物生育を活性化させて品質低下が引き起こされる。したがって、前記乾燥段階を通じて製品の微生物生育を抑制できる水分条件を形成し、次の工程段階で他の原料と適した条件で混合することができる。前記温度範囲より高い温度で乾燥する時、砂糖が溶けてコアシェルを形成できず、前記温度範囲より低い温度で乾燥する時、微生物生育に適した水分条件となって品質の低下を惹起することがある。
【0072】
次いで、選択的に、前記乾燥混合物にイヌリン及び副原料をさらに混合して組成物を製造する。
【0073】
前記副原料は、ヨーグルト粉末、脱脂粉乳、クエン酸、着香料または安定剤であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0074】
また、前記副原料は、酸度調節剤、カゼインナトリウム、精製塩などをさらに含むものであってもよく、それ以外にもアイスクリーム製造用組成物を製造するのに一般に使用される公知の材料をさらに含んでもよい。
【0075】
本出願のもう一つの態様は、前記方法で製造したアイスクリーム製造用組成物を提供する。
【0076】
前記方法及びアイスクリーム製造用組成物については、前記で説明した通りである。
【0077】
本出願のもう一つの態様は、前記組成物を含むアイスクリームを提供する。
【0078】
前記方法及びアイスクリーム製造用組成物については、前記で説明した通りである。
【0079】
具体的には、前記アイスクリームは、前記水溶性食物繊維及びコアシェル(core-shell)構造を含まないものに比べて硬度が改善されたものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0080】
具体的には、前記アイスクリームは、前記水溶性食物繊維及びコアシェル(core-shell)構造を含まないものに比べて嗜好度が改善されたものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0081】
具体的には、前記アイスクリームは、噴霧コーティング工程を含まない方法で製造された組成物を含むアイスクリームに比べて硬度及び甘味質が向上されたものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0082】
以下、本出願を実験例を通じてより詳細に説明する。しかし、下記実施例は、本出願を例示するための好ましい実施様態に過ぎず、したがって、本出願の権利範囲をこれに限定されるものとは意図されない。一方、本明細書に記載されていない技術的な事項は、本出願の技術分野または類似技術分野において熟練した通常の技術者であれば、十分に理解し、容易に行うことができる。
【0083】
製造例1.アイスクリーム製造用パウダーの製造
下記表1のような構成(重量単位:g)で、実施例及び比較例1~4のアイスクリーム製造用パウダーをそれぞれ製造した。
【0084】
【0085】
<実施例>
具体的には、実施例の場合、砂糖とエリスリトールを粉末混合器で10分間1次混合した後、熱水に溶解させた酵素処理ステビアと難消化性マルトデキストリンを1分間三回にかけて噴霧して混合しながら均一にコーティングし、85℃以上の熱風を混合器に10分間吹き込んで水分を除去した。それにより、コアには砂糖、糖アルコールまたはそれらの組み合わせが、コーティング液(シェル)には難消化性マルトデキストリン及び酵素処理ステビアが含まれる。次いで、残りの原料であるイヌリン、ヨーグルト粉末とヨーグルトフレーバーなどを全部投入して10分間混合して製造した。
【0086】
<比較例>
一方、比較例の場合、前記の表1のような構成でそれぞれすべての原料を混合器に投入した後、20分間混合して製造した。
【0087】
具体的には、比較例1の場合、砂糖が過量に含まれた既存のアイスクリーム製造用パウダー構成であり、
比較例2の場合、糖類低減のための糖アルコール及び高甘味料が使用され、
比較例3の場合、糖類低減のための糖アルコール及び高甘味料を使用し、イヌリンを単純混合し、
比較例4の場合、糖類低減のための糖アルコール及び高甘味料を使用し、イヌリン及び難消化性マルトデキストリンを単純混合した。
【0088】
製造例2.ソフトクリームの製造
完成されたアイスクリームミックスの物性及び官能を評価するために、前記実施例及び比較例1~4で製造した粉末ミックスを牛乳と1:4の割合で混合して攪拌機で100rpmで5分間混合して十分に溶解した後、配合物をTayler Freezerを用いて-6℃に設定し、オーバーラン(Overrun)程度を100%に調節してアイスクリーム配合物を凍結させてアイスクリーム試料を製造した。試料は、蓋付きプラスチック容器に取って-30℃にセッティングされた急速冷凍庫で30分間入れて硬化過程を経た後、その状態で5日間貯蔵し、冷凍熟成過程を通じて官能評価及び硬度測定のための試料として使用し、下記実験例では、前記実施例及び比較例1~4で製造した粉末ミックスを使用して製造したアイスクリームをそれぞれ実施例及び比較例1~4と命名した。
【0089】
実験例1:硬度の測定
前記比較例及び実施例1~4のアイスクリームの実際の製品流通中の硬度を測定するために、公知の装置及び方法を用いた(韓国登録特許10-1049886号公報)。
具体的には、冷凍熟成過程を経た試料を25℃で700gの重りを用いて上部から押す力を加え、経時により試料の高さを測定して各試料別の流通中の製品の支持力及び硬度(高さ、cm)を測定して下記表2に示した。
【0090】
【0091】
その結果、前記表2で示されるように、アイスクリーム製品の硬度(Hardness)を測定した結果、実施例=比較例1>>比較例3>比較例4>比較例2の順に測定された。
【0092】
即ち、砂糖を糖アルコール及び高甘味料で一定比率代替し、前記砂糖、糖アルコールまたはそれらの組み合わせが前記高甘味料及び水溶性食物繊維を含むシェル層でコーティングされたコアシェル構造を含む本出願のアイスクリーム製造用組成物で製造したアイスクリーム(実施例)は、砂糖が過量に含まれた既存製品(比較例1)の水準に硬度を維持し得ることを確認した。
【0093】
また、水溶性食物繊維を含まない比較例2及び噴霧コーティング工程を含まない比較例3及び比較例4に比べてアイスクリームの硬度が顕著に改善されていることを確認した。
【0094】
これを通じて、アイスクリームを製造するにおいて糖類が低減されたアイスクリームパウダーで硬度が増加し、製造時に容易に溶けないため、アイスクリーム製造の速度が有意に増加することを確認した。これは、工場における大量生産だけでなく、アイスクリームを直接製造及び販売するカフェ及びレストランで効率が増進され、消費者の便宜性が増進されることを示唆する。
【0095】
実験例2:官能評価
前記比較例及び実施例1~4のアイスクリームの官能評価を行った。
【0096】
具体的には、専門研究員30人を対象にして行い、評価項目は、総合嗜好度、甘味特性嗜好度、ヨーグルト風味嗜好度、組織感特性嗜好度で評価した。各項目別の尺度は9点尺度で行った。
【0097】
【0098】
その結果、前記表3で示されるように、砂糖を糖アルコール及び高甘味料で一定比率代替し、前記砂糖、糖アルコールまたはそれらの組み合わせが前記高甘味料及び水溶性食物繊維を含むシェル層でコーティングされたコアシェル構造を含む本出願のアイスクリーム製造用組成物で製造したアイスクリーム(実施例)は、砂糖が過量に含まれた既存製品(比較例1)と類似の水準の嗜好度を維持することを確認した。
【0099】
また、水溶性食物繊維組成及び噴霧コーティング工程を含まない比較例2及び難消化性マルトデキストリン組成及び噴霧コーティング工程を含まない比較例3に比べて嗜好度が顕著に改善されたことを確認し、特に、実施例と組成が同一であるが、噴霧コーティング工程を含まない比較例4に比べて嗜好度が顕著に改善されたことを確認した。
【0100】
これを通じて、本出願のアイスクリーム製造用組成物は、砂糖を糖アルコール及び高甘味料で一定比率代替し、前記砂糖、糖アルコールまたはそれらの組み合わせが前記高甘味料及び水溶性食物繊維を含むシェル層でコーティングされたコアシェル構造を含むことにより、既存の製品に比べて糖類を低減して脂肪含有量が低く、低カロリーでありながらも、硬度が改善され、均一な甘味質及びアイスクリーム本来の物性を維持するアイスクリームを製造して生産性及び消費者の嗜好度を高める優れた効果があることを確認した。
【0101】
以上の説明から、本出願が属する技術分野の当業者であれば、本出願がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されうることが理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本出願の範囲は前記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更または変形された形態が本出願の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【国際調査報告】