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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】煙道ガス煙突の吸引制御
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20241126BHJP
   F23J 15/02 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B01D53/62
F23J15/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024551881
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 NO2022050270
(87)【国際公開番号】W WO2023096497
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】20211394
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524193738
【氏名又は名称】エイカー カーボン キャプチャー ノルウェー エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ヴァングスネス,ペッター
【テーマコード(参考)】
3K070
4D002
【Fターム(参考)】
3K070DA01
3K070DA21
4D002AA08
4D002AA09
4D002AC10
4D002GA02
4D002GA03
4D002GA05
4D002GB01
4D002GB02
4D002GB03
4D002GB04
(57)【要約】
煙道ガス処理システム(2)を有する工業プラント(1)であって、工業プロセス(3、4)からの煙道ガスを受け入れるように配置され、大気に開放されている排出口(5’)を有する煙道ガス煙突(5、5a~b)と、煙道ガス煙突(5、5a~b)および煙道ガス処理ユニット(8)に接続された吸引ライン(6)と、吸引ライン(6)内に動作可能に配置されたファン(7)と、センサ(12、12’)と、センサ(12、12’)からの測定信号(13、13’)に基づいて吸引ライン(6)を通る流れを調整するように配置されたコントローラ(11、11a~b)とを備える工業プラント(1)。また、煙道ガス処理システム(2)を有する工業プラント(1)の動作を制御する方法も提供されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙道ガス処理システム(2)を有する工業プラント(1)であって、前記プラント(1)は、
工業プロセス(3、4)からの煙道ガスを受け入れるように配置された煙道ガス煙突(5、5a~b)であって、前記煙突は、大気に開放されている排出口(5’)を有する、煙道ガス煙突(5、5a~b)と、
前記煙道ガス煙突(5、5a~b)と煙道ガス処理ユニット(8)との間に接続された吸引ライン(6)と、
前記吸引ライン(6)内に動作可能に配置され、前記煙道ガス煙突(5、5a~b)から前記煙道ガス処理ユニット(8)へ煙道ガスを引き込むように動作可能なファン(7)と、
センサ(12、12’)と、
前記センサ(12、12’)からの測定信号(13、13’)に基づいて前記吸引ライン(6)を通る流れを調整するように配置されたコントローラ(11、11a~b)と、
を備える、工業プラント(1)。
【請求項2】
前記センサ(12、12’)は、前記煙道ガス煙突(5、5a~5b)の排出口(5’)を通るガス流量またはガス流量の変化を表す測定信号(13、13’)または計算信号を供給するように構成される、請求項1に記載の工業プラント(1)。
【請求項3】
前記センサ(12、12’)からの測定信号(13、13’)は、
前記煙道ガス煙突(5、5a~b)内または前記吸引ライン(6)内のガス温度またはガス温度の変化、
前記煙道ガス煙突(5、5a~b)内または前記吸引ライン(6)内の酸素含量または酸素含量の変化、および/または
前記排出口(5’)を通るガス流量またはガス流量の変化
を示す、請求項1または2に記載の工業プラント(1)。
【請求項4】
前記コントローラ(11)は、前記信号(13、13’)に基づいて前記ファン(7)の動作速度を調整するように配置される、いずれかの先行する請求項に記載の工業プラント(1)。
【請求項5】
前記コントローラ(11)は、前記信号(13、13’)に基づいて前記吸引ライン(6)内の流量制限部(21a~b)を調整するように配置される、いずれかの先行する請求項に記載の工業プラント(1)。
【請求項6】
前記流量制限部(21a~b)は、前記ファン(7)の上流側に配置される、いずれかの先行する請求項に記載の工業プラント(1)。
【請求項7】
前記ファン(7)は、前記ファン(7)の上流側で前記吸引ライン(6)内の圧力を制御するように構成された制御装置(22)を備える、いずれかの先行する請求項に記載の工業プラント(1)。
【請求項8】
前記制御装置(22)は、前記ファン(7)の上流側で前記吸引ライン(6)内の圧力を実質的に一定のレベルに維持するように構成される、いずれかの先行する請求項に記載の工業プラント(1)。
【請求項9】
前記ファン(7)は、前記流量制限部(21a、21)の両端間の圧力差を制御するように構成された制御装置(22)を備える、請求項5または6に記載の工業プラント(1)。
【請求項10】
前記制御装置(22)は、前記流量制限部(21a、21b)の両端間の圧力差を実質的に一定のレベルに維持するように構成される、請求項9に記載の工業プラント(1)。
【請求項11】
複数の工業プロセス(3、4)を備え、前記吸引ライン(6)は、各々の工業プロセス(3、4)に関連付けられ、前記工業プロセス(3、4)からの煙道ガス流を前記プラント(1)内の他の工業プロセス(3、4)とは独立して調整するように配置された流量制限部(21a~b)を備える、いずれかの先行する請求項に記載の工業プラント(1)。
【請求項12】
前記コントローラ(11)は、前記排出口(5’)を通るゼロガス流量を維持するように、または前記排出口(5’)を通って前記煙突(5)から出るガス流量を維持するように構成される、いずれかの先行する請求項に記載の工業プラント(1)。
【請求項13】
前記煙道ガス処理ユニット(8)は、CO2除去プラントである、いずれかの先行する請求項に記載の工業プラント(1)。
【請求項14】
煙道ガス処理システム(2)を有する工業プラント(1)の動作を制御する方法であって、前記方法は、
煙道ガスを生成するために工業プロセス(3、4)を動作させるステップと、
煙道ガス煙突(5、5a~b)からの煙道ガスを、吸引ライン(6)を介して煙道ガス処理ユニット(8)へ流すステップであって、前記煙道ガス煙突(5、5a~b)は、大気に開放されている排出口(5’)を有するステップと、
測定信号(13、13’)に応答して前記吸引ライン(6)を通る煙道ガスの流量を制御するようにコントローラ(11、11a~b)を動作させるステップと、
を備える、方法。
【請求項15】
前記測定信号(13、13’)は、センサ(12、12’)から供給され、
前記煙道ガス煙突(5、5a~b)内または前記吸引ライン(6)内のガス温度またはガス温度の変化、
前記煙道ガス煙突(5、5a~b)内または前記吸引ライン(6)内の酸素含量または酸素含量の変化、および/または
前記排出口(5’)を通るガス流量
を示す、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記吸引ライン(6)を通る煙道ガスの流量の制御は、前記吸引ライン(6)内に配置されたファン(7)によって、および/または前記吸引ライン(6)内の流量制限部(21a~b)によって実行される、請求項14~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記排出口(5’)を通るゼロガス流量を維持するように、または前記排出口(5’)を通って前記煙突(5)から出るガス流量を維持するように前記コントローラ(11)を動作させることを備える、請求項14~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記コントローラ(11)は、前記吸引ライン(6)内の流量制限部(21a、21b)の動作を制御するように構成され、前記方法は、前記流量制限部(21a、21b)の動作を制御して前記排出口(5’)を通るゼロガス流量を維持する、または前記排出口(5’)を通って前記煙突(5)から出るガス流量を維持するように前記コントローラ(11)を動作させることを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記吸引ライン(6)を通る煙道ガスの流量の制御は、前記吸引ライン(6)に配置されたファン(7)と、前記吸引ライン(6)内の流量制限部(21a、21b)とによって実行され、前記ファン(7)の動作速度は、前記流量制限部(21a、21b)の下流側で前記吸引ライン(6)内の圧力、または前記流量制限部(21a、21b)の両端間の圧力差を制御するように制御される、請求項14~18のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工業プラントから煙道ガス処理プラントへの煙道ガスの取り扱いを制御するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
煙道ガスを生成する電力プラントまたは他の種類のプラントなどの工業プラントでは、環境へ排出する前に煙道ガスを処理する必要がある場合が多い。これは、例えば、煙道ガス流から一部を洗浄または除去することが必要とされる、または望ましい場合であり得る。この点に関する1つの関連する例は、CO2排出を低減するために、煙道ガスからCO2を捕捉するものである。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、煙道ガス処理システムを有する工業プラントが提供される。当該プラントは、工業プロセスからの煙道ガスを受け入れるように配置され、大気に開放されている排出口を有する煙道ガス煙突と、煙道ガス煙突および煙道ガス処理ユニットに接続された吸引ラインと、吸引ライン内に動作可能に配置されたファンと、センサと、センサからの測定信号に基づいて吸引ラインを通る流れを調整するように配置されたコントローラとを備える。
【0004】
一実施形態では、煙道ガス処理システムを有する工業プラントの動作を制御する方法が提供されており、当該方法は、煙道ガスを生成するために工業プロセスを動作させるステップと、大気に開放されている排出口を有する煙道ガス煙突に流体接続された吸引ラインを介して、煙道ガスを煙道ガス処理ユニットに流すステップと、測定信号に応答して、吸引ラインを通る煙道ガスの流量を制御するためにコントローラを動作させるステップとを備える。
【0005】
以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲は、さらなる実施形態を概説する。
【0006】
本開示の上記の目的、ならびに追加の目的、特徴、および利点は、本開示の例示的な実施形態の以下の例解的かつ非限定的な詳細な説明への参照によって、添付図面と併せて引用されるときに、より完全に理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】煙道ガス処理システムを有する工業プラントの概略的例証を示す。
図2】煙道ガス処理システムを有する工業プラントの概略的例証を示す。
図3】煙道ガス処理システムを有する工業プラントの概略的例証を示す。
図4】煙道ガス処理システムを有する工業プラントの概略的例証を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1および2は、煙道ガス処理システム2を有する工業プラント1を概略的に例解している。煙道ガス処理システム2は、ここではガスタービン3、3a~bとして例解されている、工業プロセスから煙道ガスを受け入れるように構成される。ガスタービン3、3a~bは、廃熱回収熱交換器4、4a~bを通り、その後、煙道ガス煙突5、5a~bへと任意に導かれる煙道ガス(排気)を生成する。図1および2から分かるように、図1には、2つの工業プロセスが2つのガスタービン3a~bの形態で例解されており、図2には、1つのガスタービン3のみが例解されている。あるいは、プラント1は、2つ以上の工業プロセスを有してもよく、または、煙道ガスを生成する異なる種類の電力プラントなどの異なる種類の2つ以上の工業プロセスを有してもよい。
【0009】
図1では、2つのガスタービン3a、3bはそれぞれ、専用の煙道ガス煙突5a、5bを有するが、代替的には、ガスタービン3a、3bなどの2つ以上の工業プロセスが、共通の煙道ガス煙突5、5a~bに接続されてもよい。
【0010】
煙道ガススタック5、5a~bは、工業プロセス(単数または複数)から、この場合、廃熱回収熱交換器4、4a~bを介してガスタービン(単数または複数)3、3a~bから、煙道ガスを受け入れるように配置されており、煙突5、5a~bは、大気に開放されている排出口5’(図2参照)を有する。
【0011】
吸引ライン6は、煙道ガス煙突5、5a~bおよび煙道ガス処理ユニット8に接続されており、吸引ライン6は、煙道ガスを煙突5、5a~bから処理ユニット8へ移送することができる。吸引ライン6は、ダクトの形態であり得るが、代替的には、任意の好適な流路またはパイプで形成されてもよい。ファン7は、処理ユニット8への煙道ガスの流れを発生させるために、吸引ライン6内に動作可能に配置される。ファン7は、吸引ライン6を通る流量および/または吸引ライン6内の圧力(単数または複数)を制御するように、レギュレータ11を介して制御可能である。このようにして、吸引ライン6を通って煙突5、5a~bから出る煙道ガス流量を発生させ、および/または制御することができる。例えば、工業プロセスからの実質的に全ての煙道ガスが処理のために煙道ガス処理ユニット8に導かれるように、この流量を制御することが望ましい場合が多い。すなわち、煙突出口5’における流れが実質的にゼロであり、煙突が「平衡状態」であるということである。(以下、これは「煙突平衡制御」と呼ばれる。)あるいは、最大限に利用するために、および/または煙道ガス処理ユニット8のための安定した動作条件を提供するために、その処理能力に適合する処理ユニット8への供給を維持することが目的であり得る。
【0012】
煙道ガス処理ユニット8は、例えば、CO2除去プラントであり得る。
【0013】
いくつかの用途では、圧力の蓄積および工業プロセスの外乱を防止するために、煙道ガス煙突5、5a~bを永続的に大気に開放したままにする必要があり得る。煙道ガス煙突5、5a~b、ひいては吸引ライン6も、煙突5、5a~bを介して(具体的には排出口5’を介して)大気に開放接続されるので、煙突5、5a~bおよび吸引ライン6内の圧力レベルは、大気圧に近くあることになり、一般に、大気圧より数ミリバール低く、吸引ライン6内への流れおよび吸引ライン6を通る流れを可能にする。(1気圧=約1.01325バール)。
【0014】
しかしながら、煙突出口5’における圧力は、煙突5、5a~bおよびプラント1の周囲の風速の急速な変動によって変動し得るので、煙突5、5a~b内の圧力は、ある用途では、動的に変動し得る。これは、風速がより高い可能性がある沖合プラント、および/またはプラント1の周囲の風の状態においてより頻繁に突風および変動を受ける領域で特によく見られ得る。例えば圧力レベルまたは流量を制御するために、システム内の制御パラメータとして煙突5、5a~bおよび/または吸引ライン6内の圧力レベルを使用する場合、そのような外乱のために制御性能が低減させられることがある。
【0015】
図2に例解されている実施形態を参照すると、コントローラ11は、温度センサ12からの信号13であって、吸引ライン6内の温度または温度変化を示す信号13に基づいて、吸引ライン6を通る流れを調整するように配置される。図2において、コントローラ11は、吸引ライン6内の温度または温度変化を示す信号13に基づいてファン7の動作速度を調整するように配置される。このようにして、煙突5、5a~bが出口5’を介して周囲温度を有するより冷たい空気を吸い込み始めた場合に、結果として生じ得る冷却効果および/または急激な温度変化を迅速に識別することができ、適切な制御動作を行うことができる。煙道ガスは通常200℃より高くあることになり、したがって、吸引ライン6に流入する煙道ガスに入り込む少量の大気のみが、温度センサ12を介して検出可能な大幅な温度低下を創出することになる。このようにして、吸引ライン6を通る吸引速度は、周囲空気が排出口5’を介して煙道ガス処理ユニット8内に引き込まれないように調整され得る。したがって、この制御設定は、処理ユニット8に供給される煙道ガスの流量が、工業プロセス(ここではガスタービン3)から来る煙道ガスの供給速度の変動に従って調整されることを可能にし、そのことにより、処理ユニット8に周囲空気で希釈された煙道ガスが意図せずに供給されるリスクを低減する。このような温度変化が検出されるときに、出口5’を介して空気を吸い込ませないことによって温度が再び正常化されるまで、煙突5、5a~bから吸引ライン6へ、さらに処理ユニット8への流量を低減することができる。
【0016】
温度センサ12は、図2では、吸引ライン6の入口部分の近くに配置されるものとして例解されている。あるいは、温度センサ12は、煙突5、5a~b内に、例えば、吸引ライン6の接続部に近い煙突5、5a~b内の位置に、または、周囲空気が煙突5、5a~b内に引き込まれた場合に温度変化を受ける煙突5、5a~b内の別の位置に配置され得る。
【0017】
図3は、図1および図2に例解されているものと同等のいくつかの構成部材を有する別の実施形態を例解しており、これらの構成部材には同じ参照番号が付与される。図3において、コントローラ11a~bは、吸引ライン6内の可変流量制限部21a~bに動作可能に接続される。流量制限部21a~bは、例えば、吸引ライン6に配置され、吸引ライン6内の流れ抵抗および/または有効流れ断面積を変化させるように動作可能な制御ダンパであり得る。バタフライダンパは、この目的に適した一般的な流量制限部の一種である。
【0018】
コントローラ11aは、その後、温度センサ12aによって測定された煙道ガス温度の低減に応答して、流量制限部21aを調整することによって流量を低減するように構成され得る。同様に、コントローラ11bは、流量制限部21bを介して煙道ガス流量を調整するように構成され得る。
【0019】
ファン7によって吸引ライン6内で適切な圧力が維持されて、例えば、煙道ガスが処理ユニット(単数または複数)8へと流れるようになる。そのためには、流量制限部12a/12bの下流側の流体圧力が流量制限部21a/21bの上流側の圧力よりも低くなるように、流量制限部12a/12bの両端の圧力差が負になる必要がある。
【0020】
これは、流量制限器12a/12bが吸引ライン6に沿った流れを制限するように操作される程度に関わらず、ガスタービン3a~3bが動作中であるときに、ファン7が常にそのような圧力差を創出することになるような速度で動作するようにファン7を設定することによって達成され得る。しかしながら、その結果、時間の大半にわたって必要な負の圧力差を生じさせるために実際に必要とされるよりもはるかに速い速度でファン7が動作することになり、ひいては、プロセスによって消費されるエネルギーが、必要とされるよりもはるかに多くなる可能性が高い。
【0021】
そのようなものとして、この実施形態では、ファン7は、吸引ライン6内の所望の圧力を維持するために、この目的のために、22で示すようなファン自体の制御装置を有する。制御装置22は、例えば、圧力センサ22aからの読み取り値に基づいてファン7の速度を調整する標準的なフィードバック制御ループであり得る。制御装置22は、圧力センサ22aにおける圧力を設定レベルに維持するように構成され、この設定レベルは、ガスタービン3a、3bが動作しているときの煙道ガス煙突3a、3b内の圧力の予想される範囲の評価に基づいて、流量制限部21a/21bの下流側の圧力が煙道ガス煙突3a、3b内の圧力よりも常に低くなるように予め決定される。下流側圧力測定値に基づいてファン7の速度を制御することによって、ファン7の速度は、流量制限部21a/21bが吸引ライン6へのガスの流れを大幅に制限しているときには低減させられ、流量制限の程度が減少させられるときには増加させられることになる。
【0022】
有利には、制御装置22に制御信号を供給する圧力センサ22aは、吸引ライン6の一部であるマニホールド6’に配置される。次いで、ファン7が吸引ライン6内の所望の圧力を維持するように制御されている間に、流量制限部21a~bを調整することによって、煙道ガス流量制御が実施される。
【0023】
この場合も、特に煙道ガス煙突3a、3b内の圧力が予想される圧力範囲の上限にあるときには、時間の大半にわたって必要な負の圧力差を生じさせるために実際に必要とされるよりも速い速度でファン7が動作することになり、ひいては、プロセスによって消費されるエネルギーが、必要とされるよりもはるかに高くなり得る。煙道ガス煙突5a、5b内の圧力が予想範囲の上限にあるときには、流量制限部21a、21bの両端間の必要な圧力差は、煙道ガス煙突5a、5b内の圧力が予想範囲の下限にあるときよりも高い吸引ライン圧力で発生し得る。これに対処するために、流量制限部21a、12bのそれぞれの上流側の圧力を測定するために、追加の圧力センサが設けられ得る。これらの追加の圧力センサは、煙道ガス煙突5a、5b内に、温度センサ12a、12bを有する吸引ライン6の入口部分に、または流量制限部21a、21bに直接隣接して設けられ得る。この場合、制御装置22のための制御信号は、圧力センサ22aおよび追加の上流側圧力センサによって供給され、制御装置22は、これらの圧力センサからの読み取り値から決定されるような流量制限部21a、21bの両端間の圧力差に基づいてファン7の速度を調整し、圧力差を所定の設定レベルに維持するように構成される。
【0024】
この実施形態のように、吸引ライン6は、2つの異なる煙道ガス煙突5a、5bから煙道ガスを引き込み、2つの流量制限部21a、21bの両端間の圧力差は、煙道ガス煙突5a、5bのそれぞれの圧力に応じて異なり得ることが理解されることになる。したがって、ファン制御装置22は、両方の流量制限部21a、21bの両端間の負の圧力差が存在するように、ファン7の速度を制御するように構成されることになる。例えば、両方の流量制限部21a、21bが吸引ライン6に沿った流れを同様の程度に制限している場合に、これは、ファン7の速度が、流量制限部21a、21bのいずれかが最も低い圧力で煙道ガス煙突5a、5bに接続されている場合、その両端間の圧力差に基づいて設定されることを意味することになる。
【0025】
図3は、2つの煙道ガス源(ここではガスタービン3a~b)を例解しているが、理解されることになるように、プラント1は、煙道ガス源を構成する単一の工業プロセス、または煙道ガス源を構成する2つ以上の工業プロセスを備え得る。
【0026】
図4は、図3に示すものと同様のプラント1を例解しているが、2つの煙道ガス処理ユニット8を備えている。各々の煙道ガス処理ユニット8は、それ自体のファン7を有し得る。図4の実施形態は、図3に示す実施形態の代替の実装形態を構成し、その他の点では、上述したのと同じように機能する。任意に、さらに別の煙道ガス処理ユニット8が使用されてもよい。有利には、2つ以上の工業プロセスおよび/または2つ以上の煙道ガス処理ユニット8を有するときに、各々の工業プロセスおよび各々の煙道ガス処理ユニット8は、マニホールド6’がシステム内の全ての煙道ガスを受け入れて分配するように、マニホールド6’に流体接続され得る。
【0027】
代替の実施形態では、上述の温度センサ12、12a~bは、異なる種類のセンサであり得る。特に、本明細書に記載する実施形態のいずれかにおいて、センサ12、12a、12bは、センサ12、12a~bを通過するガス流の酸素含量を測定するように動作可能な酸素センサ(単数または複数)であり得る。測定された酸素含量増加は、排出口5’を通る大気の流入の指標として解釈され得る。上述したのと同様の制御動作が、そのようなセンサ信号に基づいて開始され得る。あるいは、本明細書に記載する実施形態のいずれかにおいて、センサ12、12a~bは、温度センサおよび酸素センサの組み合わせであってもよく、そうすることで、制御動作は、温度信号および酸素レベル信号の両方に基づいてコントローラ11によって行われる。いくつかの実施形態では、このようにすることで、精度を高める、またはそうでなければ制御性能を向上させることができる。
【0028】
代替的に、または追加的に、プラント1は、煙突5内に配置された(1つ以上の流量計(単数または複数)などの)流量センサ12’を備え得る。流量センサ12’(図2参照)は、排出口5’を通る(すなわち、排出口5’に入るおよび/または排出口5’から出る)ガス流量を示す信号13’を生成する。信号13’は、コントローラ11に供給され、上述したのと同様に制御動作を生成するために使用され得る。本明細書に記載する実施形態のいずれにおいても、プラント1は、センサ12、12a~bからの信号と共に、または単独で(すなわちセンサ12、12a~bを用いずに)、流量センサ12’および流量センサ信号13’を使用することができる。
【0029】
本明細書に記載する実施形態のいずれにおいても、センサは、排出口5’を通るガス流量またはガス流量の変化を表す測定信号13、13’または計算信号を供給するように配置され得る。信号は、直接測定信号、(例えば、異なる動作パラメータに対する)測定信号の組み合わせ、または例えばモデルもしくはルックアップテーブルに基づいて計算された計算信号であり得る。
【0030】
本明細書に記載する実施形態のいずれにおいても、コントローラ11は、排出口5’を通る流量がゼロの状態、ゼロに近い状態、または排出口5’を通る煙突5からのガスの明確な流出を有する状態にとどまるように、吸引ライン6を通る流れを調整するように構成され得る。このようにして、排出口5’を通る処理ユニット8内への大気の流入を回避することができるか、または少なくともそのリスクを低減することができる。あるいは、場合によっては、いくらかの大気が処理ユニット8に到達することは許容され得るが、未処理の煙道ガスが大気へと出ることを回避することがより重要である。そのような場合、コントローラ11は、排出口5’を通る流量がゼロもしくはゼロに近い状態、または排出口5’を通る煙突5からのガスのある程度の流入を有する状態にとどまるように、吸引ライン6を通る流れを調整するように構成され得る。
【0031】
プラント1で使用されるセンサ(単数または複数)は、温度、酸素、および/または流量を測定するための任意の好適な種類のセンサであり得る。一実施形態では、温度センサは、煙突5または吸引ライン6内のある位置におけるガスの温度分布を測定する画像またはヒートマップを生成するように動作可能なIRカメラであり得る。画像またはヒートマップは、例えば、煙突の外表面上に生成され、そのことにより、煙突の内側のガス温度の変化を反映し得る。制御信号13、13’は、例えば、画像もしくはマップに現れる最低温度に基づいて、または画像もしくはマップにおける規定の点(もしくは全体)にわたる計算平均温度に基づいて、例えばパラメータを生成することによって、画像に基づいて計算され得る。
【0032】
本明細書に記載の実施形態によれば、煙突からの流入煙道ガスの処理が改善され、周囲空気を引き込むリスクがより低い開放型煙道ガス吸引システムが提供され、そのことにより、例えば、煙突出口における外気圧の変動を創出する煙突周囲の突風および高い風速に対処することができるロバスト制御を提供する。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】