(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】シメチコンを含有するカスタマイズ可能な剤形
(51)【国際特許分類】
A61K 9/44 20060101AFI20241126BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241126BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20241126BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241126BHJP
A61K 47/30 20060101ALI20241126BHJP
A61P 1/12 20060101ALI20241126BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/451 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/80 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61K9/44
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/10
A61K47/30
A61P1/12
A61P43/00 121
A61P1/14
A61K31/451
A61K31/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024555270
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 IB2022060527
(87)【国際公開番号】W WO2023089432
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524288931
【氏名又は名称】ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ホプソン・ペイトン
(72)【発明者】
【氏名】ハワード・マシュー・エイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA47
4C076BB01
4C076CC16
4C076DD25
4C076DD30
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD67
4C076EE01
4C076EE30
4C076EE31
4C076EE32
4C076FF01
4C076GG01
4C086AA10
4C086BC21
4C086FA05
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086NA03
4C086NA09
4C086NA20
4C086ZA73
4C086ZC75
(57)【要約】
錠剤コアなどの基材であって、その外面上に1つ以上の別個の分離したキャビティを有する基材を含む、改良されたカスタマイズ可能な剤形であって、シメチコンがキャビティのうちの少なくとも1つの中に堆積されている、剤形。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのキャビティを含む基材を含む剤形であって、前記少なくとも1つのキャビティが、シメチコンと、前記シメチコンを固定化するための少なくとも1つの材料と、を含む、剤形。
【請求項2】
前記基材が錠剤コアである、請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
前記剤形が2つのキャビティを含む、請求項1又は2に記載の剤形。
【請求項4】
前記剤形が少なくとも2つのキャビティを含み、少なくとも1つのキャビティが対向する表面上にある、請求項1に記載の剤形。
【請求項5】
前記剤形が、前記対向する表面のそれぞれの上に4つのキャビティを含む、請求項1に記載の剤形。
【請求項6】
少なくとも2つのキャビティが、前記基材の前記表面の少なくとも1mmの部分によって分離されている、請求項1に記載の剤形。
【請求項7】
前記基材が細長い、請求項1に記載の剤形。
【請求項8】
前記剤形がロペラミドを含む、請求項1に記載の剤形。
【請求項9】
前記剤形が、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の剤形。
【請求項10】
前記少なくとも2つのキャビティが、前記細長い基材と同じ軸に沿って細長い、請求項1に記載の剤形。
【請求項11】
前記少なくとも2つのキャビティのサイズが等しい、請求項1に記載の剤形。
【請求項12】
前記基材がコーティングされている、請求項1に記載の剤形。
【請求項13】
前記シメチコンを固定化する前記材料が、ポリマー、モノマー、ポリオール、又はゲル化材料である、請求項1に記載の剤形。
【請求項14】
剤形を製造する方法であって、
(a)2つの対向する表面及び少なくとも1つのキャビティを有する基材を調製することと、
(b)前記基材の一方の側面の少なくとも1つのキャビティ内に、シメチコンを含む流動性材料を堆積させることと、
(c)第2の材料を添加して、前記シメチコンを固定化することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記第2の材料が、前記シメチコンの表面上に堆積される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の材料が光硬化性である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の材料が、イオンゲル化が可能である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の材料が120℃未満で溶融する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
追加の乾燥工程を含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記基材がロペラミドを含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ロペラミドが第2のキャビティ内に堆積される、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記基材が、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、又はそれらの組み合わせを含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
剤形を製造する方法であって、
(a)2つの対向する表面及び少なくとも1つのキャビティを有する基材を調製することと、
(b)前記基材の一方の側面の少なくとも1つのキャビティ内に、シメチコンと第2の材料との混合物を含む流動性材料を堆積させることと、
(c)イオンゲル化、光硬化、溶液蒸発、乾燥、又は冷却によって前記シメチコンと第2の材料との混合物を固定化することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ以上の活性成分、着色剤、香味剤及び/又は感覚剤が剤形の外面上のキャビティ内に堆積される、低融点及び/又は高粘度を有する成分を含有するカスタマイズ可能な剤形、並びにそのようなカスタマイズ可能な剤形を製造するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
医薬産業プロセスでは、錠剤の様々な部分を利用して、高用量活性成分を低用量活性成分と組み合わせることができる剤形を提供する必要がある。以前のプロセスは、後でブレンドされる独立した造粒工程などの別個の単位プロセスで粉末を調製することを伴うため、面倒で費用がかかることが多かった。以前のプロセスはまた、追加の圧縮部分、多層錠剤、又は外側コーティングなどの錠剤の一部分への活性成分の添加に限定されていた。これは、組み合わせることができる活性成分の量又は種類を制限する可能性がある。
【0003】
また、医薬産業では、活性及び不活性の両方の成分をより容易に組み合わせて単一の剤形にする必要がある。粉末ブレンドは、複数の活性成分又は活性成分と不活性成分が剤形内で接触している不相溶性成分を含有することが多い。これは、特に加速安定性条件下で、活性成分の望ましくない分解をもたらす可能性がある。
【0004】
また、製薬産業においては、シメチコンなどの低融点及び高粘度を有する成分を用いてより容易に作業する必要がある。歴史的には、固体シメチコン剤形の調製において、錠剤化のために固体最終ブレンド中に実質的な量の液体シメチコンを組み込むことを試みる場合、困難に遭遇してきた。困難さは、錠剤が更なる加工(例えば、フィルムコーティング、ゼラチン浸漬、印刷、包装など)の厳しさに耐えるように、加工のための十分な流動性及び圧縮(特に、直接圧縮錠剤化)のための十分な凝集性を達成することであった。同様に、粘性液体シメチコンを固体製剤全体に均一に分布させ、投与時に迅速に分散させることを確実にする際に困難に遭遇した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、改善された剤形と、そのような剤形上に、低融点及び/又は高粘度の成分を含有する活性成分及び/又は不活性成分を堆積させるプロセスとを提供する。特に、本発明は、錠剤コアなどの基材であって、その外面の対向する側面に1つ以上の別個の分離したキャビティを有する基材を含むカスタマイズ可能な剤形を提供する。本発明は、一方の側面に1つ以上の別個の分離したキャビティを有し、対向する側面に位置合わせ特徴部を有する、錠剤コアなどの基材を含むカスタマイズ可能な剤形を提供する。本発明はまた、位置合わせ特徴部に加えて識別特徴部を含むことができる。本発明はまた、このようなカスタマイズ可能な剤形を製造するプロセスを提供し、着色剤、香味剤、及び/又は感覚剤などの1つ以上の活性成分及び不活性成分は、キャビティのうちの少なくとも1つの中に堆積される。本発明は、ブレンド又は造粒された活性成分と同様の利点を提供する一方で、活性成分を互いに、及び活性成分を不活性成分から異ならせ、分離する能力を提供する。
【0006】
本発明は、錠剤にわたる複数の領域内の1つ以上のキャビティへの活性成分又は不活性成分の堆積を可能にする。本発明は、錠剤の表面上の少なくとも1つのキャビティ内へのシメチコンの堆積、及びシメチコン部分の固定化を可能にする。本発明による成分を堆積させるプロセスの使用は、活性成分、着色剤、香味剤、感覚剤、及び食感の添加を可能にすること、不相溶性の活性成分と不活性成分とを分離すること、剤形のカスタマイズを可能にすること、コア中のシメチコン又はシメチコン含有顆粒を含まない基材コアを圧縮すること、他の活性成分又はコア成分からシメチコンを分離すること、速度の知覚を提供すること、味覚マスキングを可能にすること、及び製品選択を支援するための視覚認識を提供することを含が、これらに限定されない利点を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で使用されるとき、「剤形」という用語は、特定の所定量(用量)の特定の成分、例えば以下に定義される活性成分を含有するように設計された任意の固体組成物に適用される。好適な剤形は、経口投与、口腔投与、直腸投与、局所若しくは粘膜送達、若しくは皮下移植のためのもの、若しくは他の移植薬物送達系、又はミネラル、ビタミン、及び他の栄養補助食品、口腔ケア剤、香味剤などを送達するための組成物を含む、医薬薬物送達系であってもよい。剤形は、医薬活性成分をヒトの胃腸管に送達するための経口投与される系であってもよい。剤形はまた、薬学的に不活性な成分を含有する経口投与される「プラセボ」系であってもよく、剤形は、特定の薬学的に活性な剤形と同じ外観を有するように設計されており、例えば、特定の医薬活性成分の安全性及び有効性を試験するための臨床研究における対照目的のために使用されてもよい。
【0008】
シメチコンの背景及びプロセスの利点
シメチコンは、腸の不快感、腸内圧、膨満感、及び鼓腸を治療するために使用されている。典型的には、単独で、又はロペラミドなどの制酸剤又は下痢止め薬と組み合わせてのいずれかで、液体又は固体形態で投与される。
【0009】
シメチコンは、液体調製物として、又は固体形態、例えばカプセル、咀嚼錠剤、嚥下錠剤若しくは口腔内崩壊錠剤として経口投与することができる。液体に対する錠剤の1つの利点は、携帯性の容易さである。
【0010】
経口投与される場合、シメチコンは、鼓腸、機能性胃膨満、及び術後ガス痛の対症療法における補助剤として使用される。シメチコンの臨床的使用は、その消泡特性に基づく。シリコーン消泡剤は、水性液体の表面上に広がり、低表面張力の膜を形成し、したがって泡の崩壊を引き起こす。したがって、市販薬における自己投薬のために、シメチコンは、上部GI鼓脹、圧迫感、満腹感、又は詰まった感覚を含む、一般にガスと呼ばれる症状を軽減するための鼓腸抑制剤として使用される。それはしばしば、制酸剤、鎮痙剤又は消化酵素などの他の胃腸薬と組み合わされ、様々なシメチコン製剤が以前に開示されている。
【0011】
Kitsusho Yakuhin Kogyo KKの特開昭39[1961]-46451号公報には、シメチコンをケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、及びケイ酸マグネシウムと混合及び造粒することによってシメチコン錠剤を調製する方法が開示されている。特に、上記日本特許によって開示された製剤は、多くとも25%のシメチコン及び75%以上のケイ酸塩、結合剤及び分散剤を必要とする。結合剤はデンプン及びラクトースであると開示された。分散剤はカルボキシメチルセルロースであると開示された。更に、上記日本特許は、シメチコンの量が25%を超えると、シメチコンの一部が運び去られる可能性があり、したがって錠剤の加工性が望ましくないことを開示している。
【0012】
Horii Yakuhin Kogyo KKの日本国特許第5097681号は、シメチコンがアルミン酸メタケイ酸マグネシウム及びデキストリンに吸着されている調製物を開示している。次いで賦形剤を添加し、調製物を錠剤化した。錠剤化の後、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートコーティングを加え、続いて追加のシメチコン及びゼラチンを適用した。最終錠剤中のシメチコンの量は約15%であった。
【0013】
米国特許第4,906,478号は、粒状ケイ酸カルシウムとシメチコンとの粉末化された組み合わせを含むシメチコン調製物を開示している。米国特許第5,073,384号は、水溶性凝集マルトデキストリン及びシメチコンの組み合わせを含むシメチコン調製物を開示している。米国特許第5,458,886号は、シメチコンと組み合わせて特定の粒径及び表面積を有する二酸化チタンを含む流動性粒状組成物を開示している。
【0014】
米国特許第6,103,260号は、シメチコンと、粒状無水第三リン酸カルシウム又は二塩基性カルシウムのいずれか一方又は両方との混合物の使用を記載しており、ここで、1000ミクロン以下の粒径の均一な粒状組成物中の混合物は、経口投与のための固体剤形への圧縮に適している。最終組成物中のシメチコンの量は10%~50%であると開示されているが、最終錠剤重量は1000mgを超えていた。
【0015】
したがって、必要とされているのは、固体剤形を形成するためのシメチコンを含有する圧縮可能な組成物であって、より多量のシメチコンをその中に組み込むことができるか、又は同じ量のシメチコンを含有するより小さな固体剤形を達成することができる組成物である。
【0016】
ジメチコン及びシメチコンを含むがこれらに限定されない好適なポリジメチルシロキサンの例は、米国特許第4,906,478号、米国特許第5,275,822号、及び米国特許第6,103,260号に開示されているものであり、それぞれの内容は参照により本明細書に明示的に組み込まれる。本明細書で使用される場合、シメチコンという用語は、シメチコン及びジメチコンを含む、より広いクラスのポリジメチルシロキサンを指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、シメチコンは、米国薬局方(USPXXII)の定義に従い、これは、トリメチルシロキシ末端ブロック単位で安定化されたポリジメチルシロキサンの繰り返し単位を含有する完全メチル化直鎖シロキサンポリマーと二酸化ケイ素との混合物である。また、本明細書中で使用される場合、ジメチコンは、シメチコンの代わりに使用され得る。シメチコンは、約90.5~99%のポリジメチルシロキサン及び約4~7%の二酸化ケイ素を含有する。シメチコン中に存在するポリジメチルシロキサンは、14000~21000の分子量を有する実質的に不活性なポリマーである。この混合物は、水に不溶である、灰色の半透明の粘性流体である。
【0018】
歴史的には、上記したように、固体シメチコン剤形の調製において、錠剤化のために固体最終ブレンド中に実質的な量の液体シメチコンを組み込むことを試みる場合に困難に遭遇してきた。困難さは、錠剤が更なる加工(例えば、フィルムコーティング、ゼラチン浸漬、印刷、包装など)の厳しさに耐えるように、加工のための十分な流動性及び圧縮(特に、直接圧縮錠剤化)のための十分な凝集性を達成することであった。同様に、粘性液体シメチコンを固体製剤全体に均一に分布させ、投与時に迅速に分散させることを確実にする際に困難に遭遇した。
【0019】
典型的には、シメチコンを固体製剤に組み込むためには、最初に好適な多孔性担体又は基材上に吸着される必要がある。この問題に関連するいくつかの発明が存在し、基材物質は、多糖類から、リン酸カルシウム又はメタロシリケートなどの無機物質まで多様である。多糖類アプローチの限界は、限られた負荷容量、つまり多孔質基材上に吸着されたシメチコンの安定濃度が20~25%の範囲であることであり、これは、125mgの用量のシメチコンに対して、500~625mgのシメチコン/被吸着質用量であることを意味する。無機基材の欠点は、不溶性及びざらざらした口当たりである。シメチコンは疎水性であるため、共製剤化された特定の活性成分の溶解に影響を及ぼすことができる。シメチコン吸着組成物を使用せずに、シメチコンを固体剤形に添加することができる組成物を有することが望ましい。
【0020】
シメチコンなどの粘性流体を錠剤化プロセスに含めることは、包装/顧客開封中の錠剤破損に関連する感受性、その後のプロセスのための破砕性の増加、及び水更新をもたらし得る。加えて、錠剤化プロセスは、特定の分解物が形成されるように、APIに対する熱負荷の増加を引き起こし得る。シメチコンのD4、D5、及びD6シリコーン分解物への熱分解に関連する特定の懸念がある。分解機構は、熱(すなわち、高温への曝露)、酸触媒、又は塩基触媒のいずれかであり得る。
【0021】
材料選択の1つの重要な態様は、材料中への拡散を制限しながら油溶性材料の表面湿潤のバランスに関連する。これは、材料化学組成(例えば、分子間及び分子内相互作用など)及び粘度の関数である。
【0022】
シメチコンは、液体調製物として、又は固体形態、例えばカプセル、咀嚼錠剤又は嚥下錠剤として経口投与することができる。液体に対する錠剤の1つの利点は、携帯性の容易さである。咀嚼可能な錠剤に対する嚥下錠剤の利点は、摂取の容易さ及び味の欠如を含む。コーティングされた錠剤は、嚥下錠剤に好ましい。
【0023】
シメチコンなどの種類の物質を含めるために現在の錠剤化又はゲル充填技術に従うことは可能であるが、以下の制限が存在する。
・大幅な再製剤化又は機器切り替えを伴わないAPIコンテンツの制限されたカスタマイズ
・潜在的に増加した熱分解生成物
・低減された賦形剤選択
・複数活性投与量についての低減された貯蔵寿命/安定性
・錠剤の堅牢性(例えば、破砕性、破損性など)。
【0024】
上に列挙した項目は、非効率性、柔軟性の制限、及び固体剤形中に低融点材料を含めるためのコストの増加があることを示唆している。したがって、詳細な制限に対処する代替方法が考慮されるべきである。
【0025】
以下に列挙する戦略を使用して、シメチコンなどの低融点で粘性の材料を固体剤形内/上に固定化することができる。
a)油溶性医薬品有効成分(API)の相変化コーティング材料による封入
低融点及び/又は粘性のAPIを所定のキャビティ内に堆積させた後、相変化材料が、APIを封入するために、投入された材料の上に配置され得る。封入材料の固化プロセスは、以下のメカニズムから構成され得る。
・溶融/再結晶
・溶液蒸発
・イオン誘起ゲル化
b)相変化コーティング材料による水溶性APIの封入
c)共有結合的に架橋された材料による封入
・相変化コーティング材料による封入と同じメカニズムに従い、材料は光硬化性製剤である。
・この方法は、調節放出型コーティングとして機能し得る
・光硬化性材料としては、以下のものが挙げられる。
○メタクリル化ポリジメチルシロキサン-co-ポリカプロラクトン(mPDMS-co-PCL)
○メタクリル化ポリジメチルシロキサン-co-ポリエチレングリコール(mPDMS-co-PEG)
○メタクリル化ポリジメチルシロキサン-co-ポリ乳酸
○メタクリル化ポリジメチルシロキサン-co-ポリグリコール酸
○メタクリル化ポリジメチルシロキサン-co-ポリジオキサノン
○(上記コポリマーの組み合わせ)
○メタクリル化ポリカプロラクトン
○メタクリル化ポリエチレングリコール
○メタクリル化ポリ乳酸
○メタクリル化ポリグリコール酸
○メタクリル化ポリジオキサノン
○(上記コポリマーの組み合わせ)
○ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート
○ゼラチンメタクリロイル
○グリシジルメタクリレート化ヒアルロン酸
○ノルボルネン官能化ヒアルロン酸
○ノルボルネン官能化ポリ(エチレングリコール)
○ノルボルネン官能化脂肪族ポリエステル(例えば、PLGA、PDO、PCLなど)
d)予め製造された膨潤性ネットワークによる固定化
・ネットワークとAPI間の溶解度パラメータのマッチング。
【0026】
追加の活性剤を剤形に添加してもよい。追加の活性剤は、ビサコジル、ファモチジン、プルカロプリド、ジフェノキシレート、ロペラミド、ラクターゼ、メサラミン、ビスマス、並びにそれらの薬学的に許容される塩、エステル、異性体、及び混合物から選択することができる。追加の活性剤はまた、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、重炭酸ナトリウム、ジヒドロキシアルミニウム炭酸ナトリウム及びそれらの混合物から選択されてもよい。
【0027】
キャビティ内への堆積のために本発明で使用される粘性低融点APIとしては、シメチコン、アルファ-トコフェロール又はトコフェロールとしても知られるビタミンE、及びレチノール又はベータ-カロテンとしても知られるビタミンAが挙げられる。
【0028】
錠剤、コア、及びキャビティの定義
本明細書で使用されるとき、用語「錠剤」とは、薬学分野で周知のように、錠剤プレス機上での粉末の圧縮によって調製される固体形態を指す。錠剤は、円形、又は扁平な卵形若しくは円筒形などの細長い形状を含む、様々な形状で作製することができる。
【0029】
コア(又は基材)は、任意の固体形態であってもよい。コアは、任意の好適な方法によって調製されてもよく、例えば、コアは、圧縮剤形であってもよく、又は型成形されてもよい。本明細書で使用されるとき、「基材」とは、別の物質が存在する又は作用する表面又は下にある支持体を指し、「コア」とは、別の材料の一部分と少なくとも部分的に接触している又は別の材料によって取り囲まれている材料を指す。本発明の目的のために、これらの用語は、交換可能に使用されてもよく、すなわち、用語「コア」はまた、「基材」を指すために使用されてもよい。好ましくは、コアは、固体を含み、例えば、コアは、圧縮若しくは型成形された錠剤、硬若しくは軟カプセル、坐剤、又はロゼンジ、ヌガー、キャラメル、フォンダン、若しくは脂肪ベースの組成物などの菓子形態であってもよい。
【0030】
コアは、1つ以上の主面を有してもよい。コアは、様々な異なる形状であってもよい。例えば、コアは、円錐台の形状であってもよい。他の例では、コアは、立方体、角錐、角柱などの多面体として成形されていてもよく、又は円錐、円柱などの、いくつかの非平坦面を有する空間図形の形状を有してもよい。使用することができる例示的なコア形状としては、以下のような(参照により本明細書に組み込まれる)「The Elizabeth Companies Tablet Design Training Manual」(Elizabeth Carbide Die Co.,Inc.,p.7(McKeesport,Pa.))に記載されている圧縮ツーリング形状から形成された錠剤形状が挙げられる(錠剤形状は、圧縮ツーリングの形状に逆に対応する)。
浅い凹面。
標準凹面。
深い凹面。
特別に深い凹面。
変形ボール凹面。
標準凹面バイセクト。
標準凹面ダブルバイセクト。
標準凹面ヨーロッパバイセクト。
標準凹面部分バイセクト。
二重半径。
斜面及び凹面。
平坦な平面。
平坦面傾斜縁部(Flat-Faced-Beveled Edge、F.F.B.E.)。
F.F.B.E.バイセクト。
F.F.B.E.ダブルバイセクト。
楕円。
卵形。
カプセル。
長方形。
五角形。
八角形。
ダイヤモンド。
矢じり。
ブレット。
バレル。
半月。
シールド。
ハート。
アーモンド。
平行四辺形。
台形。
8字型/バーベル。
ボウタイ。
不等三角形。
【0031】
コアは、任意の所望の色のコアを提供するために、白色を含むそれらの自然色であってもよく、又は所望に応じて従来通りに着色されていてもよい、のいずれかの好適な活性成分及び賦形剤のブレンドからプレスされてもよい。好ましくは、コアはロペラミドHCl、例えば0.5~2.0mgのロペラミドを含有する。
【0032】
本明細書で使用されるとき、キャビティという用語は、堆積部分を受け入れるように設計された基材又はコアの表面又は面の凹部を指す。堆積部分は、活性成分を含んでもよく、又は含まなくてもよい。
【0033】
本発明のコアは、錠剤の対向する表面を含む、錠剤の複数の面上に1つ以上のキャビティを含んでもよい。
【0034】
コアは、錠剤の一方又は両方の表面上に任意の数及びサイズのキャビティを有することができる。コアは、錠剤の1つの表面上に6個のキャビティ及び錠剤の第2の表面上に6個のキャビティ、錠剤の1つの表面上に5個のキャビティ及び錠剤の第2の表面上に5個のキャビティ、錠剤の1つの表面上に4個のキャビティ及び錠剤の第2の表面上に4個のキャビティ、錠剤の1つの表面上に3個のキャビティ及び錠剤の第2の表面上に3個のキャビティ、錠剤の1つの表面上に2個のキャビティ及び錠剤の第2の表面上に2個のキャビティ、錠剤の1つの表面上に1個のキャビティ及び錠剤の第2の表面上に1個のキャビティを含む、錠剤の1つの表面上に約1~約6個のキャビティ及び錠剤の第2の表面上に約1~約6個のキャビティを含む、錠剤上に最大12個のキャビティを有してもよい。コアは、錠剤の1つの表面上にのみキャビティを有してもよい。
【0035】
コア上のキャビティは、それらが錠剤の同じ向き又は形状であるように配置することができる。コアが細長い錠剤形状である場合、キャビティもまた、細長くてもよい。
【0036】
コア上のキャビティは、コアの表面の一部分によって物理的に分離されていてもよく、各キャビティ間の表面の一部分は、少なくとも1mm、又は少なくとも2mmである。
【0037】
「堆積」及び「堆積部分」という用語は、流動性材料の貯蔵所からの流動性材料及びその一部分の剤形のキャビティ内への配置及び/又は吐出を指す。
【0038】
堆積部分はシメチコンを含んでもよい。堆積部分におけるシメチコンの用量は、約20mg~約200mg、又は約20mg~約125mgのシメチコンの用量で存在してもよい。総シメチコン用量は複数のキャビティに分けられてもよく、例えば、合計125mgのシメチコンが剤形中に存在する場合、2つのキャビティは各キャビティ中に62.5mgを含有してもよく、又は3つのキャビティは各キャビティ中に41.7mgを含有してもよく、又は4つのキャビティは各キャビティ中に31.25mgを含有してもよい。
【0039】
シメチコンは油又はエマルジョンとして存在するので、封入、光硬化、冷却、イオンゲル化、乾燥又はゲル化工程を通してその場で固化され得る組成物中に堆積される。シメチコンは、溶融糖、溶融ポリマー又は溶融ポリオールを用いて、溶融溶液又は懸濁液中に存在してもよい。適切なポリオールとしては、マルチトール、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール又はキシリトールが挙げられる。シメチコン対ポリオールの比は、約10:90~約50:50であってもよい。
【0040】
シメチコンはまた、ゲル化溶液中に存在してもよく、これは堆積の際にゲル化され、別の工程で乾燥される。ゲル化は、イオン性物質の冷却、添加、それらの組み合わせによって達成され得る。水溶液が使用される場合、シメチコンは、ゲル化剤が溶液中に溶解されている懸濁液又はエマルジョンとして存在する。シメチコンはまた、シメチコン堆積の固化を助ける他の物質と共に溶媒ベースの溶液中に入れてもよい。これらの材料は、ポリマー又は界面活性剤を含んでもよい。
【0041】
シメチコンは、溶融物、水溶液若しくは懸濁液、又は溶媒溶液としてキャビティ内に第1の部分として堆積されてもよく、物質の別の部分が、シメチコンを含有する第1の部分の上に、封入を介してシメチコンを固定化するために、又はシメチコン堆積を密封するために添加されてもよい。第2の部分は、シメチコンを実質的に含んでいなくてよい。本明細書で用いる「実質的に含まない」とは、0.1重量%未満として定義される。第2の部分は、剤形内でのシメチコンの移動(例えば、固定化)を防止するポリマー、糖若しくは糖アルコール又は脂質であってもよい。第2の部分はまた、感覚剤、香料又は甘味料を含有してもよい。この封入工程に適した材料としては、セルロース誘導体若しくはポリメタクリレートなどのポリマー又は糖アルコールが挙げられる。
【0042】
上記の方法では、固定化されたシメチコンは微粒子を含まなくてもよいが、30ミクロンを超える粒子は、シメチコンを含む堆積した固定化された部分中に存在しない。微粒子は、顕微鏡又は光散乱などの方法を使用して検出することができる。
【0043】
第1のキャビティがシメチコンを含む場合、第2のキャビティはロペラミドを含み得る。
【0044】
位置合わせ特徴部及び識別特徴部
本明細書で使用されるとき、「位置合わせ特徴部」という用語は、製造プロセス中に錠剤を正しい方向に向けるように設計された基材若しくはコアの表面若しくは面の凹部若しくは突起部を指す。
【0045】
位置合わせ特徴部は、製造プロセス全体にわたる錠剤の一貫した配置又は向きを可能にする任意の形状であってもよい。位置合わせ特徴部は、三角形、長方形、細長い菱形、台形、又は星形であってもよい。位置合わせ特徴部は、錠剤表面の中央に配置することができる。位置合わせ特徴部は、錠剤表面の中央からずれて配置することができる。位置合わせ特徴部は、錠剤表面の縁部又は縁部付近に配置することができる。
【0046】
位置合わせ特徴部は、対応する形状を受け入れる又はそれに収容されるように設計された錠剤表面の凹部又は中空部分であってもよい。位置合わせ特徴部は、対応する凹部又はくぼみに挿入されるように設計された錠剤表面の突起部又は隆起部分であってもよい。
【0047】
位置合わせ特徴部は、キャビティ内への成分の堆積中に、より良好な精度、正確さ、及び速度を可能にすることができる。
【0048】
本明細書で使用されるとき、識別特徴部という用語は、剤形に関する情報を消費者に提供する任意のマーキング、文字、若しくは数字、又はそれらの組み合わせを指す。そのような情報は、活性成分、活性成分の量、製造業者、及び/又はブランド名を含んでもよい。
【0049】
コア成分
コアは、崩壊剤及び/又は超崩壊剤を含有してもよい。圧縮によってコア又はその一部分を作製するための好適な崩壊剤としては、例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロース、デンプン、微結晶性セルロースなどが挙げられる。超崩壊剤は、約0.05パーセント~約10パーセントのコアの重量の百分率として存在してもよい。
【0050】
本発明の剤形は、好ましくは1つ以上の活性成分を含有する。好適な活性成分としては、例えば、医薬品、ミネラル、ビタミン及び他の栄養補助食品、口腔ケア剤、香味剤、並びにそれらの混合物が広く挙げられる。好適な医薬品としては、鎮痛剤、抗炎症剤、抗関節炎薬、麻酔薬、抗ヒスタミン剤、嫌煙剤、鎮咳薬、抗生物質、抗感染剤、抗ウイルス剤、抗凝血薬、抗うつ薬、抗糖尿病剤、制吐薬、抗膨満薬、抗真菌薬、抗けいれん薬、食欲抑制薬、気管支拡張薬、心臓血管作用薬、中枢神経系薬剤、中枢神経系刺激剤、鬱血除去薬、経口避妊薬、利尿剤、去痰薬、胃腸薬、抗片頭痛調製物、乗物酔い薬、粘液溶解薬、筋弛緩剤、抗がん剤、骨粗鬆症調製物、ポリジメチルシロキサン、呼吸器剤、睡眠補助薬、尿路剤、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0051】
好適な香味剤としては、メントール、ハッカ、ミントフレーバー、フルーツフレーバー、チョコレート、バニラ、バブルガムフレーバー、コーヒーフレーバー、リキュールフレーバー、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0052】
好適な胃腸薬の例としては、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、重炭酸ナトリウム、ジヒドロキシアルミニウム炭酸ナトリウムなどの制酸剤;ビサコジル、カスカラサグラダ、ダントロン、センナ、フェノールフタレイン、アロエ、ひまし油、リシノール酸、及びデヒドロコール酸、並びにそれらの混合物などの刺激性緩下薬;ファモチジン、ラニチジン、シメチジン、ニザチジンなどのH2受容体拮抗薬;オメプラゾール又はランソプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤;例えばスクラフレート及びミソプロストールなどの胃腸管細胞保護剤;プルカロプリドなどの胃腸運動促進剤、クラリスロマイシン、アモキシシリン、テトラサイクリン、及びメトロニダゾールなどの、ピロリ菌に対する抗生物質;ジフェノキシレート、ロペラミド、及びラセカドトリルなどの下痢止め剤;グリコールピロレート;オンダンセトロンなどの制吐薬、メサラミンなどの鎮痛剤が挙げられる。
【0053】
少なくとも1つの活性成分は、ビサコジル、ファモチジン、ラニチジン、シメチジン、プルカロプリド、ジフェノキシレート、ロペラミド、ラクターゼ、メサラミン、ビスマス、抗酸、並びにそれらの薬学的に許容される塩、エステル、異性体、及び混合物から選択することができる。
【0054】
活性成分(単数又は複数)は、治療的有効量で剤形中に存在し、その量は、経口投与の際に所望の治療反応を生じさせる量であり、当業者は容易に決定することができる。かかる量を決定する際、当技術分野にて既知のように、投与される特定の活性成分、活性成分のバイオアベイラビリティ特性、投与計画、患者の年齢及び体重、並びに他の要素を考慮する必要がある。典型的には、剤形は、少なくとも約1重量パーセント、好ましくは、少なくとも約5重量パーセント、例えば、約20重量パーセントの1つ以上の活性成分を含む。コアは、合計で(コアの重量に基づいて)少なくとも約25重量パーセントの1つ以上の活性成分を含むことができる。
【0055】
活性成分(単数又は複数)は、任意の形態で剤形中に存在してもよい。例えば、1つ以上の活性成分は、剤形中に分子レベルで分散、例えば融解若しくは溶解していてよく、又は粒子の形態であってもよく、この粒子は次いで被覆されていてもよく、又は被覆されていなくてもよい。活性成分が粒子の形態である場合、粒子(被覆されていても又はされていなくても)は、典型的には、約1~約2000マイクロメートルの平均粒径を有する。そのような粒子は、約1~300マイクロメートルの平均粒径を有する結晶であってもよい。粒子はまた、約50~2000マイクロメートル、好ましくは約50~1000マイクロメートル、最も好ましくは約100~800マイクロメートルの平均粒径を有する顆粒又はペレットであってもよい。
【0056】
少なくとも1つの活性成分の溶解特性は、「即時放出プロファイル」に従うことができる。本明細書で使用されるとき、即時放出プロファイルは、剤形による実質的な遅延又は遅滞なく活性成分が溶解するものである。これは、当技術分野で公知の調節放出、例えば、遅延放出又は制御放出剤形の溶解と対比することができる。本発明の剤形から即時放出される活性成分の溶解速度は、活性成分の純粋な結晶性粉末からの活性成分の溶解速度の約20%以内であってもよく、例えば、剤形からの活性成分の50%、75%、80%、又は90%溶解の時間は、活性成分の純粋な結晶性粉末からの活性成分の50%、75%、80%、又は90%溶解の対応する時間よりも20%以下長い。剤形から即時放出される活性成分の溶解はまた、活性成分を含有する即時放出錠剤、ゲルキャップ、又はカプセルについてのUSP仕様を満たすことができる。例えば、アセトアミノフェン錠剤については、USP 24は、pH5.8のリン酸緩衝液中で、USP装置2(パドル)を50rpmで使用して、剤形中に含有されるアセトアミノフェンの少なくとも80%が投与後30分以内にそこから放出されることを明記しており、アセトアミノフェン及びリン酸コデインカプセルについては、USP 24は、USP装置2(パドル)を50rpmで使用して、900mLの0.1Nの塩酸中で、剤形中に含有されるアセトアミノフェンの少なくとも75%が30分以内に溶融されることを明記しており、イブプロフェン錠剤については、USP 24は、pH7.2のリン酸緩衝液中で、USP装置2(パドル)を50rpmで使用して、剤形中に含有されるイブプロフェンの少なくとも80%が60分以内にそこから放出されることを明記している。USP 24,2000 Version,19~20 and 856(1999)を参照されたい。即時放出される活性成分は、アセトアミノフェンであってもよく、USP装置II(パドル)を50rpmで使用して37℃の水で試験されたとき、剤形中に含有されるアセトアミノフェンの少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%が、30分以内にそこから放出される。
【0057】
剤形中に含有される少なくとも1つの活性成分の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%がそこから放出される放出時間は、その特定の活性成分について米国新薬申請に列挙されている即時放出のための溶解方法によって指定された時間の約50%以下、例えば約40%以下であってもよい。
【0058】
即時放出される活性成分がアセトアミノフェンである場合、USP装置II(パドル)を50rpmで使用して37℃の水で試験されたとき、剤形中に含有されるアセトアミノフェンの少なくとも80%が、約6分以内、例えば、約5分以内、又は約3分以内にそこから放出される。
【0059】
錠剤及び堆積部分は、USP 34-NF29、セクション701に概説されているUSP崩壊試験を使用して観察することができる。錠剤及びコーティング位置は、錠剤を撹拌せずに37℃の水中に入れることによっても観察することができる。
【0060】
撹拌なしでの錠剤の崩壊は、約30秒未満、例えば約15秒未満、例えば約10秒未満、例えば約5秒未満で観察することができる。
【0061】
本発明の錠剤は、消泡試験を用いて観察することができ、シメチコン部分は消泡に寄与して腸内ガスの最小化を助ける。好適な消泡試験は、参照により本明細書に組み込まれる米国薬局方(USP29NF24)においてシメチコン錠剤について記載されているものを含む。この手順を使用すると、本発明の錠剤は15秒の消泡時間を超えない。
【0062】
コアは、任意の数の薬学的に許容される被覆であってもよいコーティングで覆われていてもよい。コーティングの使用は、当該技術分野において周知であり、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,234,099号に開示されている。錠剤をフィルムコーティングするのに適した任意の組成物を、本発明によるコーティングとして使用することができる。好適なコーティングの例は、米国特許第4,683,256号、同第4,543,370号、同第4,643,894号、同第4,828,841号、同第4,725,441号、同第4,802,924号、同第5,630,871号、及び同第6,274,162号に開示されており、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。コーティングとして使用するのに好適な組成物としては、Berwind Pharmaceutical Services,Inc.(415 Moyer Blvd.,West Point,PA 19486)の一部門であるColorconによって、商品名「OPADRY(登録商標)」で製造されているもの(フィルム形成ポリマー並びに任意選択で可塑剤、着色剤、及び他の有用な賦形剤を含む乾燥濃縮物)が挙げられる。更なる好適なコーティングとしては、以下の成分のうちの1つ以上が挙げられる:ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロースなどのセルロースエーテル;キサンタンガム、デンプン、及びマルトデキストリンなどのポリ炭水化物;例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、ヒマシ油などの植物油、ポリソルベート-80、ラウリル硫酸ナトリウム、及びスルホコハク酸ジオクチルナトリウムなどの界面活性剤を含む可塑剤;ポリ炭水化物、顔料、乳白剤。
【0063】
好ましいコーティングとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される水溶性ポリマーが挙げられる。これらの水溶性コーティングポリマーはまた、シメチコンが堆積され、ポリマーで密封又は封入される本発明の封入方法にも好適である。
【0064】
コーティングの平均厚さは、好ましくは、約1~約150マイクロメートル、又は約50~約90マイクロメートル、又は約10~約90マイクロメートル、又は約20~約80マイクロメートル、又は約30~約70マイクロメートルの範囲である。
【0065】
コーティングは、約10パーセント~約50パーセント、例えば、約15パーセント~約20パーセントのHPMCを含むことができる。乾燥コーティングは、典型的には、コアの乾燥重量に基づいて、約0パーセント超~約5パーセント、又は約1パーセント~約4パーセント、又は約2パーセント~約3パーセント、又は約1~約2パーセントの量で存在する。コーティング組成物は、任意選択的に、顔料、染料、及びそれらの混合物などの着色剤で染色又は着色される。
【0066】
コーティングの層は、堆積部分の適用の前に、コアの外面全体に適用することができる。コーティングは、コアを見ることができるように、澄んだ透明なコーティングとして適用することができる。選択は、製造業者の好み及び製品の経済性によって決定される。市販の顔料は、コアに対して視覚的に区別可能な色を有する不透明フィルムを提供するのに十分な量でコーティング組成物に含まれてもよい。コーティングは、堆積部分が錠剤に加えられた後に加えられてもよい。
【0067】
堆積部分
本発明の錠剤は、一方又は両方の主面上に約1~約4個のキャビティを含むことができる。キャビティは、堆積部分を含むことができる。キャビティは、最大約50mg(又は0.05mLの溶液)、又は最大約10mg(又は0.01mLの溶液)の堆積物を受け入れるように設計されていてもよい。
【0068】
本発明において、活性成分は、錠剤のキャビティ(単数又は複数)に(堆積部分として)堆積することができるように、最初に流動性形態又は流動性材料に組み込まれる。流動性形態は、溶液、エマルジョン、ゲル、懸濁液、溶融溶液、溶融懸濁液、又は半固体であってもよい。流動性形態は、その後、冷却、乾燥、又は両方の混合によって固化されて、最終的な堆積部分になる。
【0069】
本発明の堆積部分は、少なくとも1種のポリマーを含んでもよい。加えて、堆積部分は、界面活性剤を含むことができる。好適な界面活性剤としては、ソルビタンエステル、ポリソルベート、又はポロキサマーなどの非イオン性界面活性剤を挙げることができる。
【0070】
本発明の堆積部分を含む錠剤は、観察可能な区別の手段を提供する。「観察可能」(及び「観察可能に」、「観察する」などのその形態)という用語は、その一般的な意味を有すること、すなわち、人間の5つの感覚、例えば、視覚、音、触覚、味覚、及び嗅覚のうちのいずれか1つ以上を使用して知覚可能(又は必要に応じて「知覚可能に」、「知覚する」など)であることを意図している。本明細書に記載される堆積部分を含む錠剤は、五感のうちの1つ以上との相互作用を用いることができ、特に、視覚、聴覚、及び触覚の相互作用、又はそれらの組み合わせを用いてもよい。好ましくは、堆積部分を含む錠剤は、視覚との相互作用を用いる。
【0071】
本発明の堆積部分は、少なくとも1つの活性成分を含んでもよい。堆積部分は、2つ以上の活性成分を含んでもよい。堆積部分は、錠剤の表面上の別の堆積部分中の甘味料、香味剤、着色剤、又は感覚剤とは別々かつ別個の、甘味料、香味剤、着色剤、又は感覚剤などの不活性成分を含んでもよい。堆積部分は、医薬活性成分を実質的に含まず、着色剤及び/若しくは甘味料、香味剤、感覚剤、又はそれらの混合物などの不活性成分を含有してもよい。
【0072】
本発明の堆積部分は、様々な方法で一貫性及び精度について測定することができる。堆積部分は、「広がり」の関数として測定されてもよく、堆積部分は、キャビティ内の面積のある百分率に広がり、次いで、堆積部分によって覆われた面積として測定される。堆積部分が少なくとも1つのキャビティ内に広がる面積の百分率は、少なくとも50パーセント、又は少なくとも約60パーセント、又は少なくとも約70パーセントであってもよい。
【0073】
場合によっては、キャビティの広がりは、キャビティの面積の100パーセントを超えるという望ましくない影響を有する。これは、コーティングされていない錠剤で起こることがある。場合によっては、コアの少なくとも0.1重量パーセントのフィルムコーティングを含む錠剤で、キャビティの広がりは、70パーセント~100パーセントである。
【0074】
堆積部分の別の尺度は、拡散の尺度、又は堆積部分が錠剤の本体内に拡散するレベル若しくは長さである。これは、錠剤コアの色とは異なる着色剤を堆積部分溶液、懸濁液、又は混合物に添加することによって測定することができる。これは、FTIR又はラマン分光法などの他の分光法によっても測定することができる。堆積部分の拡散は、30mm2未満、又は20mm2未満、又は10mm2未満であってもよい。場合によっては、拡散は、コーティングされていない錠剤に対してコーティングされた錠剤を使用する場合により大きく、拡散は、コアの少なくとも0.1重量%のフィルムコーティングを含む錠剤に対してコーティングされていない錠剤上に吐出する場合に5%を超えて大きい。
【0075】
堆積の別の尺度は、堆積部分によって占められる錠剤の断面表面積の量である。錠剤の面積の百分率は、表面の少なくとも5パーセント、又は少なくとも10パーセント、又は少なくとも20パーセントであってもよい。
【0076】
堆積部分の別の尺度は、錠剤膨潤の尺度である。錠剤膨潤は、堆積部分の添加によって増加する厚さの百分率によって測定される。本発明において、膨潤のレベルは、10パーセント未満、又は5パーセント未満である。
【0077】
堆積部分(単数又は複数)を生成するために、各キャビティ内で複数の堆積工程が実行されてもよい。堆積部分は、1~10回の堆積工程、又は1~5回の堆積工程、又は1~3回の堆積工程によって生成されてもよい。
【0078】
本発明の堆積部分を含む錠剤は、所与の製品の適切な選択又は除外に関連する基準を消費者に提供する機構を提供することができる。例えば、堆積部分を含む錠剤が消費者に提示され、消費者は、単に判断基準を視覚的に観察し、その基準に基づいて製品を選択又は除外する。本明細書に記載されるキューとして機能する任意のタイプの設計が、本発明に包含される。
【0079】
「基準」は、製品が製品の使用を検討する消費者にとって適切であるか否か、したがって、消費者によって購入及び使用することができるか否かを決定するための意思決定プロセスに関連する。異なる使用基準が異なる製品に適用されるため、基準は、販売されている製品に依存して変化する。基準の例としては、薬物、症状の場所、治療される症状、使用時刻、眠気/非眠気、形態、風味、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
本明細書で使用されるとき、基準は、決定が基づくことができる単一の特性(すなわち1つの基準)及び複数の特性(すなわち複数の基準)の両方を含む。したがって、基準は、意思決定プロセスに関連する単一又は複数の特性を含むことができる。
【0081】
選択可能な応答の各々は、消費者による製品の適切な購入及び使用に肯定的に関連付けられる(すなわち、肯定的な選択可能な応答)、又は適切な使用に否定的に関連付けられる(すなわち、否定的な選択可能な応答)のいずれかであり、したがって、製品の除外に関連付けられる。
【0082】
「選択標識」という用語は、製品の適切な購入及び使用に肯定的に関連付けられる、すなわち肯定的な選択標識、又は製品の適切な購入及び使用に否定的に関連付けられる、すなわち否定的な選択標識のいずれかである、任意の観察可能な記号を意味することが意図されている。選択標識は、カラーコード、英数字グラフィックス、絵入りグラフィックスなどを含むグラフィック記号などの観察可能な記号と、音符、ベル、可聴言語などの音と、それらの組み合わせとを含む。選択標識は、剤形の設計に適合するように選択される。
【0083】
簡潔にするために、本明細書で使用されるとき、「標識」という用語は、単一の色又はグラフィックなどの単一の記号(すなわち、1つの標識)と、交互の色のストライプ又は前景の絵入り及び/若しくは英数字のグラフィックを有する特定の色の背景などの記号の組み合わせ(すなわち、複数の標識)との両方を含む。したがって、単一の選択標識は、全体として一緒に観察されたときに、単一の肯定的又は否定的な選択標識として働く、1つの記号又は記号の組み合わせから構成することができる。
【0084】
本発明の剤形は、多層錠剤、例えば、三層錠剤又は二層錠剤であってもよい。二層錠剤は、調節又は持続放出層及び即時放出層を含むことができる。
【0085】
堆積部分は、堆積部分の適用時に融解して固化する材料から構成されてもよい。堆積部分は、室温で、又は25℃未満の温度で冷却すると、冷却して硬化することができる。好適な低融点疎水性材料としては、ポリマー、熱可塑性炭水化物、脂肪、脂肪酸エステル、リン脂質、及びワックスが挙げられる。好適な脂肪の例としては、例えば、カカオ脂、水素化パーム核油、水素化綿実油、水素化ヒマワリ油、及び水素化大豆油などの水素化植物油、並びに遊離脂肪酸及びそれらの塩が挙げられる。好適な脂肪酸エステルの例としては、スクロース脂肪酸エステル、モノ、ジ、及びトリグリセリド、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、トリラウリル酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、GLYCOWAX-932、ラウロイルマクロゴール-32グリセリド、並びにステアロイルマクロゴール-32グリセリドが挙げられる。好適なリン脂質の例としては、ホスホチジルコリン、ホスホチジルセリン、ホスホチジルエノシトール、及びホスホチジン酸が挙げられる。好適なワックスの例としては、カルナウバワックス、鯨蝋、蜜蝋、キャンデリラワックス、シェラックワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びパラフィンワックス、チョコレートなどの脂肪含有混合物などが挙げられる。
【0086】
好適な溶融性ポリマーとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテート、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プルロニック、ポロキサマー、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、及びポリカプロラクトン、並びにこれらのコポリマーが挙げられる。
【0087】
いくつかの活性成分は、水に部分的にのみ可溶であってもよく、溶融又は溶媒ベースの堆積システムにおける堆積により適している。好適な活性成分としては、ドキシラミン及びクロルフェニラミンマレイン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
堆積部分は、200℃未満、好ましくは150℃未満又は120℃未満で溶融し流動する、例えば「溶融可能」である炭水化物を含有してもよい。好適な溶融性炭水化物としては、ポリフルクトース、ポリデキストロース、イヌリン、水素デンプン加水分解物などの多糖類、イソマルト又は糖アルコール、例えばキシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール及びそれらの混合物が挙げられる。
【0089】
堆積部分は、溶媒ベースの溶液として適用されてもよく、その後、溶媒は、剤形への適用後に乾燥される。溶媒は、エタノール、メタノール、ヘキサン、シクロヘキサン、イソプロピルアルコール、ジクロロメタン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、又はアセトンを含んでもよい。溶液は、アルコールを水と組み合わせたヒドロアルコール系を含んでもよい。溶液はまた、ポリマー、炭水化物、可塑剤、ワックス、活性成分、及びそれらの混合物を含むことができる。
【0090】
堆積部分は、ゲル化材料、又は堆積時にゲルに固化する材料を含んでもよい。堆積部分は、架橋ヒドロゲル材料を含むことができる。剤形は、適切な光硬化性製剤の堆積後に可視光及び/又は紫外線に曝露される。溶液は、光開始剤、溶媒、阻害剤、光硬化性オリゴマー又はモノマー、光吸収剤、及びそれらの混合物を含むことができる。次いで、堆積後に剤形を乾燥させて、水、溶媒、又は両方の組み合わせを除去する。好適なゲル化材料としては、ゼラチン、ペクチン、ジェランガム、カラギーナン、及びキサンタンガムを挙げることができる。剤形に使用する好適な水溶性フィルム形成ポリマーとしては、ポロキサマー、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース、プルラン、変性デンプン、及びヒドロキシエチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
イオンゲル化工程の場合には、上記のゲル化材料が好適である。イオンゲル化法の場合、ゲル化材料は、塩などのイオン性材料を使用して固化又は架橋され得る。好適な塩としては、摂取可能なナトリウム、カルシウム、マグネシウム又はカリウム塩が挙げられる。
【0092】
堆積部分は、他の堆積部分又はコアとは異なる速度で崩壊することができる。堆積部分が即時放出である場合、その部分は、60秒未満、又は30秒未満、又は10秒未満で崩壊することができる。崩壊試験は、米国薬局方のGeneral Chapter 701、より具体的にはUSP 43-NF 38版に記載されている装置及び方法を使用して実行することができる。
【0093】
プロセス
中間剤形を製造する1つの好ましいプロセスは、錠剤コアを所望の形状の薬剤に圧縮する(compress)又は圧縮する(compact)ことによって開始する。本明細書で使用されるとき、「圧縮する(compact)、圧縮する(compacting)、又は圧縮された(compacted)」及び「圧縮する(compress)、圧縮する(compressing)、又は圧縮された(compressed)」は、当該分野で周知の従来の薬学的錠剤化技術を介して粉末を錠剤に圧縮する一般的に使用されるプロセスを説明するために交換可能に使用することができる。1つの典型的なそのようなプロセスは、「プレス機」又は「圧縮機」と呼ばれることが多い回転式錠剤機を使用して、成形ダイ内の上部パンチと下部パンチとの間で粉末を錠剤に圧縮する。このプロセスは、上部パンチ及び下部パンチとの接触によって形成された対向する2つの面を有し、かつダイ壁との接触によって形成されたベリーバンドを有する、コアを製造する。典型的には、そのような圧縮錠剤は、主面間のベリーバンド領域の高さと少なくとも同じ長さの主面の少なくとも1つの寸法を有する。あるいは、錠剤コアの「長手方向圧縮」を可能にするプロセスが先行技術において開示されている。長手方向に圧縮された錠剤が使用される場合、約1.5~約3.5、例えば約1.9の(主面間の高さと主面の幅又は直径との)アスペクト比が取り扱いを容易にすることが見出されている。
【0094】
コアを製造する他のプロセスは、ローピング及び切断又は型成形など、ガム及びロゼンジに典型的に使用されるものなどの製菓プロセスを含んでもよい。
【0095】
錠剤は、典型的には、目標重量及び「硬度」まで圧縮される。「硬度」は、Schleuniger硬度試験機などの従来の医薬用硬度試験装置によって測定される直径方向破断強度を説明するために、当該技術分野において使用される用語である。異なるサイズの錠剤にわたって値を比較するために、破断強度は、破断面積(錠剤直径×厚さとして概算することができる)に対して正規化される。kp/cm2で表されるこの正規化された値は、当該技術分野において「錠剤引張強度」と呼ばれる場合がある。錠剤硬度試験の全般的な考察は、参照により本明細書に組み込まれる、Leiberman et al.,Pharmaceutical Dosage Forms-Tablets,Volume 2,2nd ed.(Marcel Dekker Inc.,1990,pp.213-217,327-329)に記載されている。
【0096】
したがって、本発明に従って製造された薬剤は、固体剤形のための所望の形状、嚥下性、及び外観を提供する。更に、本発明の剤形は、剤形の嚥下性を損なうことなく、溶解及び崩壊の改善された開始を提供する。本発明による剤形の使用により、活性成分、着色剤、香味剤、感覚剤、及び食感を加え、改善された嚥下性、速度の知覚、味覚マスキング、及び製品選択を支援するための視覚認識を付与する能力を可能にする。
【0097】
本発明のプロセスは、錠剤の底部及び上部などの錠剤の2つの側面又は面上にキャビティ及び/又は堆積部分を含む錠剤を製造することができる。錠剤は、錠剤の上部及び底部に、同量又は異なる量のキャビティ及び/又は堆積部分を有してもよい。このプロセスにおいて、錠剤は、堆積部分が所定の位置に留まる、又は各面上での堆積の間に移動しないように取り扱うことができる。これは、1つの面上への第1の堆積と、冷却、固化、又は乾燥工程の追加と、次いで第2の面上への第2の堆積とによって達成されてもよい。これはまた、部分を第2の面上に堆積させることができるように、錠剤を向けることによって、又は錠剤の拘束された若しくは位置的に制御された回転により、達成されてもよい。いくつかの実施例では、(1)錠剤の1つの面上の第1の堆積、(2)第1の堆積部分(単数又は複数)の冷却、固化、及び/又は乾燥、(3)錠剤の位置的に制御された回転、(4)第2の面上の第2の堆積、並びに(5)第2の堆積部分(単数又は複数)の冷却、固化、及び/又は乾燥、の組み合わせが利用される。この堆積プロセスを繰り返して、堆積層を構築し、活性成分の量を増加させる、又は異なる層内の異なる活性成分を組み合わせることができる。
【0098】
本発明のプロセスはまた、錠剤の上部などの錠剤の一方の側面又は面上にキャビティを含み、錠剤の底部などの錠剤の対向する側面に位置合わせ特徴部及び/又は識別特徴部を含む、錠剤を製造することができる。
【0099】
堆積部分は、様々な方法によって加えられてもよい。これらの方法としては、溶液堆積、懸濁液堆積、溶融堆積、インクジェット印刷、2D印刷、又は3D印刷が挙げられる。堆積の場合、流動性材料は、専用ポンプ及びノズル又は印刷ヘッドを使用して計量される。堆積溶液は、単一又は複数のチャネルポンプのいずれかに供給するリザーバ内に維持されてもよい。堆積溶液は、ポンプ内の容積置換又は重量置換のいずれかによってノズルを通して計量される。堆積ポンプ変位距離、速度、及びノズルサイズの組み合わせは、キャビティ内に堆積される堆積溶液の体積を規定する。可変堆積体積は、ポンプ変位距離及び速度の変化により、現場で達成することができる。ポンプ変位は、プロセス内の液滴サイズ及び表面張力に関連付けられた潜在的影響を軽減するための、単一堆積内の順方向及び逆方向位置決めの組み合わせである。このようにして、液滴体積及び関連付けられた堆積体積は、堆積溶液表面張力の制約外で制御することができる。
【0100】
流動性材料が剤形のいくつかの側面上に堆積される場合、剤形又は錠剤は、位置決めして、正しい方向に向けなければならない。位置決め及び検査の方法は、視覚監視システム及び制御を含む。正しい方向に向ける方法は、搬送ベルト上で、又は堆積ゾーンを通したロボット移送の使用により輸送される、捕捉キャリアトレイ、パックを含むが、これらに限定されない。
【0101】
剤形は、異なるキャビティ内への堆積、又は別々のキャビティ内への様々な組成物の堆積に対応するために、堆積工程の間に移動する又は正しい方向に向けられることができる。キャビティは、例えば、錠剤の面に沿って長手方向に配置された少なくとも2つのキャビティなど、剤形の表面に沿って一列に配置されてもよい。
【0102】
流動性部分が溶液又は懸濁液として堆積される場合、水又は溶媒は、乾燥工程の使用による除去を必要とすることがある。好適な乾燥工程としては、赤外線加熱、対流乾燥、高周波加熱、又はマイクロ波加熱を挙げることができる。
【0103】
添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本発明の実施例に対する様々な修正を当業者によって行うことができることが、当業者には明らかになるであろう。
【実施例】
【0104】
錠剤コア:製剤化及び堆積
パートA:ラクトース及び微結晶性セルロースをブレンドすることによって調製したプラセボコア錠剤
・Opadry(登録商標)White 03U180000フィルムコーティングを用いたプラセボ(ラクトース及び微結晶性セルロースブレンド)による試験。
・コアは、約0.2425インチ×0.0980インチ×0.0600インチの半楕円キャビティで調製する。
【0105】
パートA1:活性成分を含有するコア錠剤
・塩酸ロペラミド(2mg)と、0.5~1%のステアリン酸マグネシウムと、パートAに記載されたラクトース及び微結晶性セルロースとの均一なブレンドを作製する。あるいは、炭酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウム(最大99%)と追加の典型的な他の賦形剤との均一なブレンドを作製する。
・パートAに記載の寸法を有するコアに圧縮する。
【0106】
堆積パラメータ
パートB:堆積工程
パートA又はA1からのコアを、実施例1~7の溶液を用いて堆積させる。堆積は、DS3020コントローラを備えたIVEK40ピッチリニアアクチュエータ及び3Aポンプを用いて完了する。ノズルは、20GA鈍針である。コア錠剤は、Microfab Technologies,Inc.製のJetlab4プリンタの並進ヘッドに連結されたカスタムスクリプトを使用して、角度のついたプラットフォーム上に保管され、一方の側面のみに吐出される。IVEKポンプに使用されるパラメータは、表1に見ることができる。
【0107】
【0108】
実施例1:溶融堆積による糖アルコール中へのシメチコン封入
以下のプロセスに従って、錠剤上にシメチコンを封入することができる。
1. 10mLのシメチコンを錠剤キャビティに投入する。
2. 表1に列挙した温度で糖アルコールをIvekポンプ(102118-2110)に充填する。
3. Ivekノズル先端をシメチコン表面から1~2mmの間に配置する。
4. 1ストローク当たりのIvek堆積を5Mlに設定する。
5. 糖アルコールを1000rpmの速度で5.67回の順方向ストローク、続いて4.67回の逆方向ストロークで堆積させる。
6. 糖アルコールを>5秒間結晶化/固化させる。
【0109】
実施例2:溶融噴霧堆積による糖アルコール中へのシメチコン封入
以下のプロセスに従って、キャビティ内にシメチコンを封入することができる。
1. 10mLのシメチコンを錠剤キャビティに投入する。
2. 表1に列挙した温度で糖アルコールをIvek Sonicairノズル(142658-28)に充填する。
3. Ivekノズル先端をシメチコン表面から1~3mmの間に配置する。
4. ノズル又はキャビティを移動させながら、シメチコン表面上に0.2mLの糖アルコールを堆積させる。
5. 糖アルコールを>1秒間結晶化/固化させる。
6. プロセスを14回繰り返して、合計3mLの糖アルコールを堆積させる。
【0110】
実施例3:溶融噴射堆積による糖アルコール中へのシメチコン封入
以下のプロセスに従って、キャビティ内にシメチコンを封入することができる。
1. 10mLのシメチコンを錠剤キャビティに投入する。
2. 表2に列挙した温度で糖アルコールをVermes MDS3280マイクロ吐出システムに充填する。
3. ノズル先端をシメチコン表面から1~3mmの間に配置する。
4. ノズル又はキャビティを移動させながら、シメチコン表面上に1mLの糖アルコールを堆積させる。
5. 糖アルコールを>5秒間結晶化/固化させる。
6. プロセスを2回繰り返して、合計3mLの糖アルコールを堆積させる。
【0111】
【0112】
実施例4:噴霧堆積によるセルロース誘導体中へのシメチコン封入
以下のプロセスに従って、キャビティ内にシメチコンを封入することができる。
1. 10mLのシメチコンを錠剤キャビティに投入する。
2. アセトン中のコハク酸ヒプロメロース(HPMC-AS LGグレード、Ashland Corporationから市販されている)の23重量パーセント溶液を調製する。
3. HPMC-AS溶液をIvek Sonicairノズル(142658-28)に充填する。
4. Ivekノズル先端をシメチコン表面から1~3mmの間に配置する。
5. ノズル又はキャビティを移動させながら、シメチコン表面上に0.2mLのHPMC-AS溶液を堆積させる。
6. >1秒間アセトンを蒸発させる。
7. プロセスを5回繰り返して、合計1mLのHPMC-ASを堆積させる。
【0113】
実施例5:ネットワーク膨潤を介したシメチコン固定化
以下のプロセスに従って、キャビティ内にシメチコンを固定化することができる。
1. 表3に列挙した製剤2mLを錠剤キャビティ内に堆積させる。
2. 窒素の存在下でキャビティを<420nm未満の光に30秒間曝露する。
3. 10mLのシメチコンを錠剤キャビティ内に投入する。
4. シメチコンが表3に列挙した製剤から形成されたネットワークを膨潤させるために>600秒間放置する。
【0114】
【表3】
m-PDMS-co-PCL:メタクリル化ポリジメチルシロキサン-co-ポリカプロラクトン
m-PDSM-co-PEG:メタクリル化-ポリジメチルシロキサン-co-ポリエチレングリコール
DCM:ジクロロメタン
DDFD:4,4-ジメチルジヒドロフラン-2,3-ジオン
【0115】
実施例6:噴霧堆積によるセルロース誘導体中へのグリセロール封入
以下のプロセスに従って、グリセロールをキャビティ内に封入することができる。
1. 10mLのシメチコンを錠剤キャビティ内に投入する。
2. 水中のHPMCグレードの15重量パーセント溶液を調製する。
3. HPMC溶液をIvek Sonicairノズル(142658-28)に充填する。
4. Ivekノズル先端をシメチコン表面から1~3mmの間に配置する。
5. ノズル又はキャビティを移動させながら、シメチコン表面上に0.2mLのHPMC溶液を堆積させる。
6. プロセスを5回繰り返して、合計1mLのHPMCを堆積させる。
【0116】
実施例7:イオン性架橋堆積によるカラギーナンシェルへのシメチコン封入
以下のプロセスに従って、錠剤上にシメチコンを封入することができる。
1. 25.2gのグリセリン、3.86gのカラギーナン、及び1.65gのローカストビーンガムを組み合わせることによってカラギーナン溶液を調製する。
2. 2.1gのソルビン酸カリウムを85℃に加熱した252gの脱イオン水に溶解することによって、第2のソルビン酸カリウム溶液を調製する。
3. カラギーナン溶液及びソルビン酸カリウム溶液を、Vermes Microdispensingシステム(MDV3283-FH)の別々のリザーバに充填する。
4. 10mLのシメチコンを錠剤キャビティに投入する。
5. 両方のVermesノズルチップをシメチコン表面から1~2mmの間に配置する。
6. 1mLの総体積に合わせて両方の系を投入する。
7. カラギーナン混合物を>10秒間固化させる。
【0117】
〔実施の態様〕
(1) 少なくとも1つのキャビティを含む基材を含む剤形であって、前記少なくとも1つのキャビティが、シメチコンと、前記シメチコンを固定化するための少なくとも1つの材料と、を含む、剤形。
(2) 前記基材が錠剤コアである、実施態様1に記載の剤形。
(3) 前記剤形が2つのキャビティを含む、実施態様1又は2に記載の剤形。
(4) 前記剤形が少なくとも2つのキャビティを含み、少なくとも1つのキャビティが対向する表面上にある、実施態様1に記載の剤形。
(5) 前記剤形が、前記対向する表面のそれぞれの上に4つのキャビティを含む、実施態様1に記載の剤形。
【0118】
(6) 少なくとも2つのキャビティが、前記基材の前記表面の少なくとも1mmの部分によって分離されている、実施態様1に記載の剤形。
(7) 前記基材が細長い、実施態様1に記載の剤形。
(8) 前記剤形がロペラミドを含む、実施態様1に記載の剤形。
(9) 前記剤形が、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、又はそれらの組み合わせを含む、実施態様1に記載の剤形。
(10) 前記少なくとも2つのキャビティが、前記細長い基材と同じ軸に沿って細長い、実施態様1に記載の剤形。
【0119】
(11) 前記少なくとも2つのキャビティのサイズが等しい、実施態様1に記載の剤形。
(12) 前記基材がコーティングされている、実施態様1に記載の剤形。
(13) 前記シメチコンを固定化する前記材料が、ポリマー、モノマー、ポリオール、又はゲル化材料である、実施態様1に記載の剤形。
(14) 剤形を製造する方法であって、
(a)2つの対向する表面及び少なくとも1つのキャビティを有する基材を調製することと、
(b)前記基材の一方の側面の少なくとも1つのキャビティ内に、シメチコンを含む流動性材料を堆積させることと、
(c)第2の材料を添加して、前記シメチコンを固定化することと、を含む、方法。
(15) 前記第2の材料が、前記シメチコンの表面上に堆積される、実施態様14に記載の方法。
【0120】
(16) 前記第2の材料が光硬化性である、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記第2の材料が、イオンゲル化が可能である、実施態様14に記載の方法。
(18) 前記第2の材料が120℃未満で溶融する、実施態様14に記載の方法。
(19) 追加の乾燥工程を含む、実施態様14~18のいずれかに記載の方法。
(20) 前記基材がロペラミドを含む、実施態様14~18のいずれかに記載の方法。
【0121】
(21) ロペラミドが第2のキャビティ内に堆積される、実施態様14~18のいずれかに記載の方法。
(22) 前記基材が、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、又はそれらの組み合わせを含む、実施態様14~18のいずれかに記載の方法。
(23) 剤形を製造する方法であって、
(a)2つの対向する表面及び少なくとも1つのキャビティを有する基材を調製することと、
(b)前記基材の一方の側面の少なくとも1つのキャビティ内に、シメチコンと第2の材料との混合物を含む流動性材料を堆積させることと、
(c)イオンゲル化、光硬化、溶液蒸発、乾燥、又は冷却によって前記シメチコンと第2の材料との混合物を固定化することと、を含む、方法。
【国際調査報告】