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特表2024-544747熱暴走時に駆動用バッテリを冷却するシステム
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  • 特表-熱暴走時に駆動用バッテリを冷却するシステム 図1
  • 特表-熱暴走時に駆動用バッテリを冷却するシステム 図2
  • 特表-熱暴走時に駆動用バッテリを冷却するシステム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-04
(54)【発明の名称】熱暴走時に駆動用バッテリを冷却するシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6568 20140101AFI20241127BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20241127BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20241127BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20241127BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20241127BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20241127BHJP
   B60K 11/02 20060101ALI20241127BHJP
   B60L 58/26 20190101ALI20241127BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241127BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20241127BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241127BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241127BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M50/249
H01M50/296
H01M10/46 101
H01M50/204 401F
B60K1/04 Z
B60K11/02
B60L58/26
B60L50/60
B60L53/16
H01M10/613
H01M10/625
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525184
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2022079556
(87)【国際公開番号】W WO2023078712
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】2111615
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524017168
【氏名又は名称】アンペア エス.ア.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コンデマイン, エリック
(72)【発明者】
【氏名】デバート, アウレリー
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H030
5H031
5H040
5H125
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3D038AC22
3D235AA01
3D235BB13
3D235BB41
3D235BB45
3D235CC15
3D235EE63
3D235FF43
3D235HH02
3D235HH08
3D235HH42
3D235HH63
5H030AA06
5H030AS08
5H030DD21
5H031AA09
5H031CC05
5H031KK08
5H040AA37
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY08
5H040DD05
5H125AA01
5H125AC12
5H125CD06
5H125FF24
(57)【要約】
自動車両の駆動用バッテリを冷却するこのシステムは、充電ポート(12)と、面に固定された少なくとも1つの電力コネクタを有する駆動用バッテリと、充電ポートを電力コネクタに接続する少なくとも1つの電気ケーブルとを有する。システムは、充電ポート(12)の周りに配置された第1の複数のセル(20)と、電気ケーブルの周りに配置され、第1の複数のセル(20)と流体連通する導管と、上記の面の、電力コネクタの周りに配置され、導管と流体連通する第2の複数のセルとをさらに備える。第1および第2の複数のセルならびに導管が、駆動用バッテリの熱暴走の場合には、冷却流体を受け入れるようになされている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両(10)の駆動用バッテリ(30)を冷却するシステムであって、
充電ポート(12)と、
駆動用バッテリ(30)であって、該バッテリの壁の面(36)に固定された少なくとも1つの電力コネクタ(34)を備える駆動用バッテリ(30)と、
前記充電ポート(12)を前記電力コネクタ(34)に接続する少なくとも1つの電気ケーブル(14)と
を備えるシステムにおいて、
前記充電ポート(12)の周りに配置された第1の複数のセル状空洞(20)と、
前記電気ケーブル(14)の周りに配置され、前記第1の複数のセル状空洞(20)と流体連通するダクト(16)と、
前記面(36)の前記電力コネクタ(34)の周りに配置され、前記ダクト(16)と流体連通する第2の複数のセル状空洞(32)と
をさらに備え、
前記第1および第2の複数のセル状空洞(20、32)ならびに前記ダクト(16)が、前記駆動用バッテリ(30)の熱暴走の場合には、冷却液を受け入れるようになされている
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記第1および第2の複数のセル状空洞(20、32)が、切込みを入れたカバーによって閉鎖されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の複数のセル状空洞(20)の前記カバーが、アルミニウムから製作され、前記第2の複数のセル状空洞(32)の前記カバーが、鋼鉄から製作されることを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の複数のセル状空洞(20)が、前記充電ポート(12)を取り巻くリング(22)に形成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の複数のセル状空洞(20)が、前記リング(22)に均等に分布されていることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1および第2の複数のセル状空洞(20、32)が、円形断面であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の冷却するシステムを備えることを特徴とする、プラグインハイブリッドまたは電気自動車両(10)。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、駆動用バッテリを熱暴走の場合に冷却するシステムに関する。
【0002】
本発明は、プラグインハイブリッドまたは電気自動車両用の駆動用バッテリの分野に属する。
【0003】
現今の諸国の規制は、リチウムイオン技術を用いた駆動用バッテリの熱暴走のような場合に、車両の乗員の安全を確保する方向に集中している。したがって、その目標は、特に、熱暴走に伴う火災、火災の危険性、またはガスの放出を抑えることである。
【0004】
プラグインハイブリッドまたは電気自動車両では、そのような火災、火災の危険性、またはガスの放出を抑えるために、バッテリケーシング内のバッテリ要素の全てを冷却液で「浸す」ことによって、これら要素およびバッテリの周囲の燃焼を抑えることができることが望ましい。
【0005】
車両の後部座席の下の消火ホースのノズルにアクセス可能にするのが既知の手法である。
【0006】
しかしながら、その解決策は、介入処置をすることができるためには、火災が、車両のこの部分をアクセス可能にするのを待つ必要があるという欠点を有する。
【0007】
日本特許第5849692号公報は、開口および車両充電回路に平行するダクトを経由するバッテリへのアクセスを含むバッテリ火災消火装置をさらに開示する。
【0008】
しかしながら、このダクトへのアクセス箇所が充電ポートの直ぐ近くに位置しているので、これが、充電ポートを電源に接続するときの車両のユーザによる混乱および誤操作の危険性を高める。
【0009】
本発明の目的は、従来技術の上記の欠点を克服することである。
【0010】
このために、本発明は、自動車両の駆動用バッテリを冷却するシステムであって、
充電ポートと、
駆動用バッテリであって、該バッテリの1つの壁の面に固定された少なくとも1つの電力コネクタを備える駆動用バッテリと、
充電ポートを電力コネクタに接続する少なくとも1つの電気ケーブルと
を備えるシステムにおいて、
充電ポートの周りに配置された第1の複数のセル状空洞と、
電気ケーブルの周りに配置され、第1の複数のセル状空洞と流体連通するダクトと、
上記の面の、電力コネクタの周りに配置され、ダクトと流体連通する第2の複数のセル状空洞と
をさらに備え、
第1および第2の複数のセル状空洞ならびにダクトが、駆動用バッテリの熱暴走の場合には、冷却液を受け入れるようになされている
ことを特徴とするシステムを提案する。
【0011】
このように、本発明は、消防士が、バッテリを液に浸して火災を抑えるために、より迅速かつより直接にアクセスすることを可能にし、同時に、駆動用バッテリを再充電するために車両を電源に接続するときの、車両のユーザ側の混乱または誤操作の危険性を生じない。
【0012】
特定の一実施形態では、第1および第2の複数のセル状空洞は、切込みを入れたカバーによって閉鎖されている。
【0013】
それは、介入処置が必要でない限り、セル状空洞が閉じたままになり、介入処置時には、冷却液の噴流の圧力を受けて変形することを可能にする。
【0014】
特定の一実施形態では、第1の複数のセル状空洞のセル状空洞は、アルミニウムから製作され、第2の複数のセル状空洞のセル状空洞は、鋼鉄から製作される。
【0015】
これら材料は、バッテリの熱暴走の場合に、充電ポートおよびバッテリそれぞれが受け易い温度値に適応している。
【0016】
特定の一実施形態では、第1の複数のセル状空洞は、充電ポートを取り巻くリングに形成される。
【0017】
介入処置に際し、そのことは、冷却液が、充電ポートの周り全体に流れ、上記のダクトの内壁全体を覆って流れることを可能にする。
【0018】
特定の一実施形態では、第1の複数のセル状空洞は、リングに均等に分布されている。
【0019】
そのことは、冷却液の分布をさらに改善する。
【0020】
特定の一実施形態では、第1および第2の複数のセル状空洞は、円形断面を有する。
【0021】
この形状は、製造が容易であり、また冷却液の良好な分布を可能にする。
【0022】
上記に示した目的と同じ目的のために、本発明は、また、上記に簡単に説明した冷却システムを備えることを特徴とするプラグインハイブリッドまたは電気自動車両を提案する。
【0023】
その車両の利点および詳細な特徴は、冷却システムの利点および詳細な特徴と同一であるので、本明細書では繰り返さない。
【0024】
本発明の他の態様および利点は、添付図面を参照して、完全に非限定的例として示される、特定の実施形態の下記の詳細な説明を読むことによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明による特定の一実施形態での冷却システムが装備された自動車両の一部分の概略図である。
図2】本発明による特定の一実施形態での、冷却システムが装備された充電ポートの概略断面図である。
図3】本発明による特定の一実施形態での、冷却システムが装備された駆動用バッテリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1および3で示されるように、特定の一実施形態では、本発明による、自動車両10の駆動用バッテリ30を冷却するための冷却システムは、車両10の駆動用バッテリを再充電するために電源に接続するようになされた充電ポート12を備える。
【0027】
冷却システムは、駆動用バッテリ30をさらに備える。この駆動用バッテリ30は、駆動用バッテリ30の壁の面36に固定された1つまたは複数の電力コネクタ34を備える。図示の特定の実施形態では、2つの電力コネクタ34が、面36に固定されている。
【0028】
システムは、充電ポート12を電力コネクタ34に接続する1つまたは複数の電気ケーブル14をさらに備える。
【0029】
図2で示されるように、本発明によれば、システムは、充電ポート12の周りに配置された第1の複数のセル状空洞20をさらに備える。非限定的例として、図示の特定の実施形態では、第1の複数のセル状空洞20は、全てが同じ寸法の円形断面の17個のセル状空洞から成る。変形形態では、セル状空洞は、全てが何らかの他の形状を有してもよく、必ずしも全てが同じ寸法または同じ形状を有さない。
【0030】
非限定的例として、第1の複数のセル状空洞20は、充電ポート12を取り巻くリング22内に形成することができる。リング22の直径は、有利には、標準的消火ホースノズルの直径と同一である。セル状空洞20は、必ずしもではないが、リング22の周縁部を廻って均等に分布されるのが有利である。リング22は、熱暴走の場合に生じる火災に耐え、高温に耐えられるプラスチック材料から製作することができる。
【0031】
任意選択で、充電ポート12には、消火ホースノズルを直接充電ポート12に固定するために、1つまたは複数のスタッド24を装備することができる。これは、強烈な熱の場合で、火災を抑えるために車両の近くに残るのが困難かつ余りに危険なときに、消防士が、消火ホースノズルを直接車両に取り付けることを可能にする。図2に示される特定の実施形態では、直径上対向する2つのスタッド24が設けられている。変形形態として、固定スタッド24は、消火ホースノズルを充電ポート12にクリップ式に固定することが可能な他のいかなる装置で置き換えてもよい。
【0032】
図1に示されるように、本発明によれば、システムは、電気ケーブル14の周りに配置されたダクト16(図1に見られる)をさらに備える。ダクト16は、第1の複数のセル状空洞20と流体連通している。非限定的例として、ダクト16は、網組ファイバグラス、さもなければ消火ホースノズルの材料と同様な材料、たとえば、高靭性ポリエステル糸の綾織によるサーキュラテキスタイル(circular textile)から製作することができる。
【0033】
図3に示されるように、本発明によれば、システムは、バッテリの壁の面36の、電力コネクタ34の周りに配置された第2の複数のセル状空洞32をさらに備える。面36は、バッテリパックに溶接された板でもよく、またはバッテリパックの壁の一部でもよい。第2の複数のセル状空洞32は、ダクト16と流体連通している。完全に非限定的例として、図3に示された特定の実施形態では、第2の複数のセル状空洞32は、全てが同じ寸法の円形断面の17個のセル状空洞から成る。
【0034】
第1および第2の複数のセル状空洞20、32ならびにダクト16は、駆動用バッテリ30の熱暴走の場合に、水などの冷却液を受け入れるようになされている。すなわち、ダクト16は、充電ポート12から駆動用バッテリ30の内部へ冷却液を送る。
【0035】
ダクト16は、剛性または可撓性材料から製作することができる。可撓性材料の場合、それにも拘らず、ダクトは、冷却液で満たされているとき高圧に耐えることができる必要がある。選ばれる材料は、また、耐火性であり、駆動用バッテリ30の熱暴走の場合に生じる高温に耐える必要がある。
【0036】
第1および第2の複数のセル状空洞20、32のセル状空洞は、たとえば、冷却液の噴流の圧力を受けて変形するように切込みを入れたカバーによって閉じられている。参考として、消火ホースノズルによって放出される水の圧力は、300バールにもなり得る。
【0037】
非限定的例として、第1の複数のセル状空洞20のカバーは、アルミニウムまたはプラスチックから製作することができ、他方、第2の複数のセル状空洞32のカバーは鋼板から製作することができ、その結果、第2の複数のセル状空洞32のカバーは、第1の複数のセル状空洞20のカバーよりも熱に耐えることができる。
【0038】
カバーの切込みは、冷却液の噴流の圧力を受けてカバーが変形する機械的弱点を持たせるように、各セル状空洞に刻みを入れることから成る。非限定的例として、この刻みは、レーザ切削またはウォータジェット切削、さもなければ切込みプレスを用いて達成することができる。
【0039】
非限定的例として、必ずしもではないが、上記のように、第1および第2の複数のセル状空洞20、32のセル状空洞は、図2および3に示された特定の実施形態におけるように、円形断面を有し得る。
図1
図2
図3
【国際調査報告】