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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-04
(54)【発明の名称】乳がん患者の予後予測
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6809 20180101AFI20241127BHJP
   C12Q 1/6886 20180101ALI20241127BHJP
   G16B 25/10 20190101ALI20241127BHJP
   G16H 50/20 20180101ALI20241127BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20241127BHJP
【FI】
C12Q1/6809 Z
C12Q1/6886 Z
G16B25/10
G16H50/20
C12Q1/686 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527118
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 EP2022079260
(87)【国際公開番号】W WO2023083581
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】21207042.9
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン ラルフ ダイター
(72)【発明者】
【氏名】ストッフェルス モニーク
【テーマコード(参考)】
4B063
5L099
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ08
4B063QQ43
4B063QR08
4B063QR42
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
5L099AA04
(57)【要約】
本発明は、乳がん対象者の予後を予測する方法であって、第1、第2及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルから選択される4種以上の遺伝子の発現レベルを有する遺伝子発現プロファイルを決定すること、又はその結果を受け取ることを有し、第1の遺伝子発現プロファイルが、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数の免疫防御応答遺伝子を有し、第2の遺伝子発現プロファイルが、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される1種又は複数のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を有し、及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルが、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される1種又は複数のPDE4D7相関遺伝子を有し、前記遺伝子発現プロファイルが、対象から得られた生物学的サンプルにおいて決定され、4種以上の遺伝子の発現レベルを有する遺伝子発現プロファイルに基づいて予後の予測を決定することを有し、前記予測が、乳がん関連死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発の好ましいリスク又は好ましくないリスクである、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳がん対象者の予後を予測する方法であって、前記方法は、
AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子の各々についての第1の遺伝子発現プロファイルを決定するか、又はその結果を受け取るステップであって、前記第1の遺伝子発現プロファイルが、前記対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定される、ステップ、及び/又は
CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の各々についての第2の遺伝子発現プロファイルを決定するか、又はその結果を受け取るステップであって、前記第2の遺伝子発現プロファイルが、前記対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定される、ステップ、及び/又は
ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は全てのPDE4D7相関遺伝子の各々についての第3の遺伝子発現プロファイルを決定するか、又はその結果を受け取るステップであって、前記第3の遺伝子発現プロファイルが、前記対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定される、ステップと、
前記第1、第2、及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルに基づいて、予後の予測を決定するステップであって、前記予測が、乳がん関連死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発の好ましいリスク又は好ましくないリスクである、ステップと、
オプションで、医療介護者又は前記対象者に予後の予測を提供するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記乳がん対象者の予後の予測が、術後の乳がん関連死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発の好ましいリスク又は好ましくないリスクであることを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1種又は複数の免疫防御応答遺伝子が、3種以上、好ましくは6種以上、より好ましくは9種以上、最も好ましくは全ての免疫防御遺伝子を有し、及び/又は
前記1種又は複数のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子が、3種以上、好ましくは6種以上、より好ましくは9種以上、最も好ましくは全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を有し、及び/又は
前記1種又は複数のPDE4D7相関遺伝子が、3種以上、好ましくは6種以上、最も好ましくは全てのPDE4D7相関遺伝子を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記予後の予測の決定が、
前記免疫防御応答遺伝子の2種以上、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全てについての第1の遺伝子発現プロファイルを、乳がん対象者の集団から導出された回帰関数と組み合わせること、及び/又は
前記T細胞受容体シグナル伝達遺伝子の2種以上、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てについての第2の遺伝子発現プロファイルを、乳がん対象者の集団から導出された回帰関数と組み合わせること、及び/又は
前記PDE4D7相関遺伝子の2種以上、例えば2、3、4、5、6、7又は全てについての第3の遺伝子発現プロファイルを、乳がん対象者の集団から導出された回帰関数と組み合わせることを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記予後の予測の決定が、前記第1の遺伝子発現プロファイルの組合せ、前記第2の遺伝子発現プロファイルの組合せ、及び第3の遺伝子発現プロファイルの組合せを、乳がん対象者の集団から導出された回帰関数と組み合わせることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記予後の予測の決定が、前記対象者から得られた1種又は複数の臨床パラメータに基づく、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記予後の決定が、
(i)1種又は複数の免疫防御応答遺伝子についての第1の遺伝子発現プロファイル、
(ii)1種又は複数のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子についての第2の遺伝子発現プロファイル、
(iii)1種又は複数のPDE4D7相関遺伝子についての第3の遺伝子発現プロファイル、及び;
(iv)乳がん対象者の集団から導出された回帰関数による、前記第1の遺伝子発現プロファイル、前記第2の遺伝子発現プロファイル、前記第3の遺伝子発現プロファイル、及び前記対象者から得られた1種又は複数の臨床パラメータとの組合せ
の1種又は複数を組み合わせるステップを含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記1種又は複数の臨床パラメータが、少なくとも腫瘍陽性リンパ節の数を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記生物学的サンプルが治療の開始前に対象者から得られ、好ましくは、前記生物学的サンプルが乳房サンプル又は乳がんサンプルである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記治療が、手術、放射線療法、ホルモン療法、細胞毒性化学療法及び/又は免疫療法である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記予測に基づいて治療が推奨され、ここで、
前記予測が好ましくない場合、前記推奨される療法が、好ましくは手術後の、
(i)標準よりも早期に提供される放射線療法、及び
(ii)放射線量を増加させた放射線療法、及び
(iii)細胞毒性化学療法、免疫療法、及び/又はホルモン療法などの補助療法、及び
(iv)手術、及び
(v)手術以外の代替療法
のうちの1種又は複数を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記予測に基づいて療法が推奨され、ここで、
前記予測が好ましい場合、前記推奨される療法が、好ましくは手術後の、
(vi)根治的放射線療法、及び
(vii)救済放射線療法、及び
(viii)除漸増線量レベルでの救済放射線療法、及び
(ix)経過観察
のうちの1種又は複数を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
プログラムがコンピュータによって実行された場合に、コンピュータに、
AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子の各々についての第1の遺伝子発現プロファイルであって、前記第1の遺伝子発現プロファイルが、乳がん対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定される遺伝子発現プロファイル、及び/又は、
CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される1種又は複数、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の各々についての第2の遺伝子発現プロファイルであって、前記第2の遺伝子発現プロファイルが、乳がん対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定される遺伝子発現プロファイル、及び/又は、
ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、7、又は全てのPDE4D7相関遺伝子の各々についての第3の遺伝子発現プロファイルであって、前記第3の遺伝子発現プロファイルが、乳がん対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定される遺伝子発現プロファイル
を示すデータを受け取るステップと、
前記第1の遺伝子発現プロファイル、又は前記第2の遺伝子発現プロファイル、又は前記第3の遺伝子発現プロファイル、又は前記第1、第2及び第3の遺伝子発現プロファイルに基づいて、前記対象者の予後の予測を決定するステップであって、前記予測が、乳がん関連死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発の好ましいリスク又は好ましくないリスクである、ステップと
を有する方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項14】
乳がん対象者の予後を予測する方法における診断キットの使用であって、前記診断キットが、
以下の遺伝子発現プロファイル、
AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子の各々、
CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される、1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の各々、及び/又は、
ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される、1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子の各々
を乳がん対象者から得られた生物学的サンプル及び/又はサンプル中で決定するための、少なくとも1種のポリメラーゼ連鎖反応プライマー、及びオプションで少なくとも1種のプローブを備える、診断キットの使用。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法における請求項14に記載の診断キットの使用。
【請求項16】
乳がん対象者から得られた生物学的サンプルを受け取るステップと、
請求項14に記載の診断キットの使用により、
AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子の各々、
CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される、1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の各々、及び/又は
ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される、1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子の各々の遺伝子発現プロファイルを、
乳がんの対象者から得られた生物学的サンプル及び/又はサンプル中で決定するステップとを含む、方法。
【請求項17】
AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子の各々についての第1の遺伝子発現プロファイル、
CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の各々についての第2の遺伝子発現プロファイル、並びに/又は、
ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子の各々についての第3の遺伝子発現プロファイル
の乳がん対象者の予後を予測する方法の使用であって、前記方法が、
3種以上の遺伝子についての遺伝子発現レベルに基づいて、予後の予測を決定するステップであって、前記予測が、乳がん関連死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発の好ましいリスク又は好ましくないリスクであるステップを含む、乳がん対象者の予後を予測する方法の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳がん対象者の予後を予測する方法、及び乳がん対象者の予後を予測するためのコンピュータプログラムに関する。さらに、本発明は、診断キット、キットの使用、乳がん対象者の予後を予測する方法におけるキットの使用、乳がん対象者の予後を予測する方法における1種又は複数の免疫防御応答遺伝子、1種又は複数のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子及び/又は1種又は複数のPDE4D7相関遺伝子の遺伝子発現プロファイルの使用、並びに対応するコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
導入
がんは、細胞群が制御不能の増殖、浸潤、時には転移を示す疾患のクラスである。がんのこれらの3つの悪性の性質により、がんは、自己限定的でありかつ浸潤も転移もしない良性の腫瘍から区別される。
【0003】
乳がんは、女性における皮膚以外の悪性腫瘍の中で最もよく発症し、2番目に致死率が高く、米国だけでも2021年には毎年300.000人が新たに乳がんと診断され、45.000人が乳がん関連で死亡すると推定されている(ACS(米国がん協会)、「Cancer Facts & Figures 2021」、2021年を参照)。診断時の年齢中央値は62歳で、5年相対生存率は90%である。しかし、この生存率は全ての乳がん患者を代表するものではなく、患者の乳がんのステージ及び種類に強く依存する。一般的に、がんの診断が早いほど、診断後5年超生存する確率は高くなる。乳がんの場合、63%が局所ステージで診断され、5年相対生存率は98,9%である。しかし、限局ステージ(30%)又は遠隔ステージ(6%)で診断された場合、5年相対生存率はそれぞれ85,7%及び28,1%に低下する。過去10年間、女性の乳がん新規症例の年齢調整率は、2008~2017年にかけて毎年平均0.3%ずつ上昇しているが、年齢調整死亡率は2009~2018年にかけて毎年平均1.4%ずつ低下している。乳がんはほとんど女性のみが罹患するが、男性にも発症する場合がある(SEER Cancer Stat Facts)。
【0004】
男性の乳がんはまれであるが、男性が乳がんに罹患する場合もある。2021年には、米国人男性で2.650の新規症例の浸潤性乳がんが診断され、約530の乳がん関連死亡が生じると推定されている(ACS 2021年)。
【0005】
乳がんの危険因子はいくつか知られている。生活習慣に関連する要因としては、アルコールの摂取、過体重又は肥満、運動不足、30歳までに子供を産まないこと、授乳しないこと、ホルモン避妊をしていること、閉経後にホルモン療法を受けていること、及び豊胸手術を受けていることなどがある。乳がんのリスクに寄与する他の因子としては、高齢、特定の遺伝的変化(例えば、BRCA1及びBRCA2、又はそれよりは一般的ではないが、ATM、TP53、CHEK2、PTEN、CDH1、STK11、PALB2遺伝子の変化)の遺伝、家族歴、人種及び民族性、背が高いこと、乳腺組織が緻密であること、特定の良性乳房疾患、月経開始が早いこと(12歳以前)又は55歳以降に閉経すること、胸部放射線を受けたこと、及びDESに暴露されたことなどがある。いくつかの危険因子、例えば夜勤、喫煙、食事及びビタミン、並びに特定の環境化学物質などについては、決定的ではない。制汗剤の使用及び人工妊娠中絶など、乳がんと関連があるかもしれないという情報が広まっているものの、研究によって関連がないことが示されている要因も多く存在する。
【0006】
乳がんは乳管、小葉、及びその間の組織など、乳房の様々な部位から発生する可能性がある。最も一般的な種類の乳がんは浸潤性乳管癌腫(IDC)で、乳がん全体の約70~80%を占める。この乳がんは、例えばin situ乳管癌腫とは対照的に、周囲の乳腺組織への積極的な広がりにより、浸潤性と分類される。浸潤性乳がん腫のもう一つの一般的な種類は、浸潤性小葉癌腫である(ACS(米国がん協会)同書を参照)。その他の乳がんの種類としては、例えば乳腺髄様癌腫、粘液癌腫、及び管状癌腫などがあり、いずれも(非常に)まれなIDCである。
【0007】
米国がん協会によると、5年後の乳がんの全生存率は約90%である。しかし、この生存率は、治療法、乳がんの種類、がんの進行度、及び全体的な健康状態などを含む多くの要因に依存する。
【0008】
乳がんの治療は、疾患の程度だけでなく、一次治療後に疾患が広がるかどうかのリスクにも依存する。乳がんの6つの標準的な治療は、外科的切除(例えば、根治的乳房切除術又は乳腺腫瘤摘出術)、放射線療法(RT)、化学療法、ホルモン療法、標的療法、及び免疫療法である。手術は最もよく用いられる治療であり、ほとんどの乳がんを有する女性はほとんど標準治療の一環として何らかの手術を受けることになる。RTは一般的に、外部照射若しくは放射性シードの乳房への埋込み(ブラキセラピー(内部照射))、又はその両方を組み合わせて行われる。手術の適応がない、若しくは癌腫細胞が転移している患者、又は多くのリンパ節にがんが認められる場合、又は皮膚若しくは筋肉など特定の切除縁にがんが認められる場合には、特にRTを用いることが望ましい(ACS(米国がん協会)同書を参照)。
【0009】
選択された治療(又は治療の組合せ)が患者にとって重大な病的状態を引き起こす可能性が高ければ高いほど、患者(又は患者群)が治療(又は治療の組合せ)から利益を得られるか否かを予測することができるようになる。患者のクオリティオブライフを著しく悪化させる治療(の組合せ)は、その治療が疾患の進行を予防、軽減、又は最小化する可能性が高い場合にのみ考慮されるべきである。
【0010】
乳がんの診断及び治療法の決定のために、がんの存在を確認するための複数の検査が行われる。これらの検査は、健康又は疾患の一般的徴候を確認する身体的な診察から、様々な形態の画像検査(X線、超音波、又はMR)、及び血液中の生化学検査、又は生検手順による病理検査のための組織及び体液の採取までわたる。組織及び体液中の広範囲のバイオマーカー候補が研究されているが、検証は限定的であることが多く、一般的に予後情報を示すものであり、予測的(治療特異的)価値を示すものではない。治療を決定するためのこのような分子検査の例は、エストロゲン(ER)及びプロゲステロン(PR)受容体検査並びにヒト上皮成長因子2型受容体(HER2/neu)検査である。ER-及びPR-受容体検査は、乳房腫瘍細胞上のER及びPRの発現を測定する。ER/PR陽性の腫瘍は、一般的にこれらの受容体の活性を阻害する分子で治療される。HER2/neu検査では、腫瘍細胞におけるHER2/neu遺伝子/タンパク質の発現を測定する。HER2/neu陽性乳がんは、腫瘍細胞上のHER2/neuタンパク質を標的とする薬剤又は抗体で治療されるのが一般的である。
【0011】
腫瘍内の一連の遺伝子の発現プロファイルを用いて、複数の遺伝子に基づく乳がんの分子シグネチャーを決定するために、数多くの研究が行われてきた(Sorlie, Tらによる Proc Natl Acad Sci U S A. 2001 Sep 11;98(19):10869-74を参照)。乳がんにおける予後を意図するための遺伝子発現の潜在的な関連により、Oncotype DX(登録商標)検査(Genomic Health, Redwood, CA, USA)、MammaPrint(登録商標)検査(Netherlands Cancer Institute(商標)and Agendia(商標)、オランダ)、及びProsigna(登録商標)検査(NanoString Technologies, Seattle, WA, USA)を含む少なくとも3つの別個の市販の多重遺伝子検査が開発された。Oncotype DX検査は、21の遺伝子のパネル(16のがん関連遺伝子ER、PR、Bcl2、SCUBE2、HER2、GRB7、Ki-67、STK15、サバイビン、サイクリンB1、MYBL2、ストロメリジン3、カテプシンL2、GSTM1、CD68、及びBAG1、並びに5つのハウスキーピング遺伝子(β-アクチン、GAPDH、RPLPO、GUS、及びTFRC))を測定し、がんの再発率に基づいて乳がん患者を3つのリスク群に層別化するRT逆転写酵素連鎖反応法である(ACS 2019年)。MammaPrint検査は、様々な細胞内経路に関与する70の遺伝子の遺伝子発現プロファイルを測定し、早期遠隔再発の予後に基づいて乳がん患者を低リスク群及び高リスク群に層別化する。MammaPrintは、例えばBluePrint(登録商標)検査と組み合わせることで、乳がん対象者の補助化学療法への応答を予測することもできる(Longbottomらによる Cancer Res February 15 (4 supplement) PS6-30 (2021年))。Prosigna One検査はPAM50(Prediction Analysis of Microarray 50)遺伝子シグネチャーに基づいている。Prosignaアッセイは、早期ホルモン受容体陽性乳がんにおける特定の遺伝子の活性を解析するゲノム検査である。このアッセイは特に、補助ホルモン療法で治療されるホルモン受容体陽性I-III期乳がんの遠隔再発リスクに関する予後を提供する(Wallden, Bらによる BMC Med Genomics 8, 54 (2015年))。このアッセイで使用されるPAM50シグネチャーは、乳がんの内在性生物学的サブタイプを予測する手法のための50遺伝子からなるパネルを備える。遺伝子発現に基づく「内在性」サブタイプであるluminal A、luminal B、HER2-enriched、basal-likeを組み込んだリスクモデルを用いて、研究者らは乳がんの内在性サブタイプを同定し、診断することができた(Parker, JSらによる J Clin Oncol. Mar 10;27(8):1160-7 (2009年))。さらにある研究では、PAM50遺伝子シグネチャーが、予後予測能が高いが、高用量化学療法による予後改善を予測することはできなかったことを報告している(Liu, M.らによる Breast Cancer 2, 15023 (2016年))。さらなる研究は、PAM50内在性サブタイプ分類及び「再発リスク」スコアにより、再発のリスク及び補助療法の必要性を予測できる患者を予後群に分類できることを報告している(Ohnstad, H.O.らによる Breast Cancer Res 19, 120 (2017年))。
【0012】
これらの臨床的に利用可能なツールは、がんの(遠隔)再発又は化学療法への応答のエンドポイントに基づいて、様々なリスク群に患者を層別化する手段を提供するが、乳がんの予後についてより優れた予測ツールが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
治療効果及び疾患の再発には多くの因子が関与するため、治療予後の予測は非常に複雑である。重要な因子がまだ同定されていない可能性が高いと同時に、他の因子の影響を正確に決定することはできない。本発明者らは、患者ごとの乳がんの予後の予測を改善すれば、治療の選択が改善され、生存率が向上する可能性があるという仮説を立てた。本発明者らは、これは、1)乳がん(のサブタイプ)に罹患している対象者を、手術後の予後に基づいてリスク群に層別化することを最適化すること、及び2)手術がほとんど有効でないと予測される患者を、代替的な、二次的な、潜在的により有効な治療形態に誘導することによって、達成できると判断した。さらに本発明者らは、これにより効果のない治療を免れる患者の苦痛が軽減され、効果のない治療に費やされる費用が削減されることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
結論として、本発明者らは、乳がんの予後、すなわち乳がん対象者の予後をより良く予測する必要性が高いという仮説を立て、本明細書において、予後の改善された予測を達成する方法及び手段を提供する。
【0015】
第1の態様において、本発明は、乳がん対象者の予後を予測する方法であって、第1、第2、及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルから選択される4種以上の遺伝子の発現レベルを比較することを有する、遺伝子発現プロファイルの決定結果を決定又は受け取ることを有する、前記第1の発現プロファイルが、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群より選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子を含み、及び/又は第2の遺伝子発現プロファイルが、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を含み、及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルが、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される1種又は複数、例えば1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子を含み、前記遺伝子発現プロファイルが、対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定され、4種以上の遺伝子の発現レベルを含む第1、第2、及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルに基づいて予後を予測を決定することを有し、前記予測が、乳がんに関連する死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発の好ましいリスク又は好ましくないリスクである、方法に関する。
【0016】
第2の態様において、本発明は、プログラムがコンピュータによって実行されるとき、第1、第2及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルから選択される4種以上の遺伝子の発現レベルを含む遺伝子発現プロファイルを示すデータを受け取るステップであって、第1の遺伝子発現プロファイルが、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子を含み:第2の遺伝子発現プロファイルが、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を含み、第3の遺伝子発現プロファイルが、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子を含み、前記遺伝子発現プロファイルが、対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定されるステップ、第1の遺伝子発現プロファイル(複数可)、又は第2の遺伝子発現プロファイル(複数可)、又は第3の遺伝子発現プロファイル(複数可)、又は第1、第2及び第3の遺伝子発現プロファイル(複数可)に基づいて、対象者の予後の予測を決定するステップであって、前記予測が、乳がん関連死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発の好ましいリスク又は好ましくないリスクである、ステップを有する方法をコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0017】
第3の態様において、本発明は、遺伝子発現プロファイルを決定するための、少なくとも1種のポリメラーゼ連鎖反応プライマー、及び適宜少なくとも1種のプローブを備える、診断キットに関し、前記遺伝子発現プロファイルは、第1、第2及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルから選択される4種以上の遺伝子の発現レベルを含み、ここで、第1の遺伝子発現プロファイルは、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子を含み、第2の遺伝子発現プロファイルは、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を含み、及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルが、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2Tからなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子を含む。
【0018】
第4の態様において、本発明は、乳がん対象者の予後を予測する方法における、好ましくは本発明の第1の態様で定義されるような方法における、本発明の第3の態様で定義されるようなキットの使用に関する。
【0019】
第5の態様において、本発明は、乳がん対象者から得られた生物学的サンプルを受け取るステップ、第3の態様によるキットを使用して、生物学的サンプル中の遺伝子発現プロファイルを決定するステップを有し、遺伝子発現プロファイルが、第1、第2及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルから選択される4種以上の遺伝子の発現レベルを含み、第1の遺伝子発現プロファイルが、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子を含み:第2の遺伝子発現プロファイルが、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を含み、及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルが、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子を含む、方法に関する。
【0020】
最終的な態様において、本発明は遺伝子発現プロファイルの使用であって、前記遺伝子発現プロファイルが、第1、第2及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルから選択される4種以上の遺伝子の発現レベルを含み、ここで第1の遺伝子発現プロファイルは、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子を含み、第2の遺伝子発現プロファイルが、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を含み、及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルが、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子を含み、4種以上の遺伝子についての遺伝子発現レベルに基づいて予後の予測を決定するステップを有し、前記予測が、乳がん関連死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発の好ましいリスク又は好ましくないリスクである、使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】全患者が手術を受けた997人の患者コホート(IDR_14モデルの開発に使用したトレーニングセット)におけるIDR_14モデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したIDR_14モデルクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図2】全患者が手術を受けた997人の患者コホート(TCR_17モデルの開発に使用したトレーニングセット)におけるTCR_17モデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したTCR_17モデルクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図3】全患者が手術を受けた997人の患者コホート(PDE4D7_CORRモデルの開発に使用したトレーニングセット)におけるPDE4D7_CORRモデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したPDE4D7_CORRモデルクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図4】全患者が手術を受けた997人の患者コホート(BRCAI_modelの開発に使用したトレーニングセット)におけるBRCAI_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_modelクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図5】全患者が手術を受けた997人の患者コホート(BRCAI_clinical_modelの開発に使用したトレーニングセット)におけるBRCAI_clinical_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図6】全患者が手術を受けた997人の患者コホート(BRCAI_modelの開発に使用したトレーニングセット)におけるBRCAI_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_modelクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図7】全患者が手術を受けた997人の患者コホート(BRCAI_clinical_modelの開発に使用したトレーニングセット)におけるBRCAI_clinical_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図8】全患者が手術を受けた997人の患者コホート(BRCAI_modelの開発に使用したトレーニングセット)におけるBRCAI_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の局所再発であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_modelクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図9】全患者が手術を受けた997人の患者コホート(BRCAI_clinical_modelの開発に使用したトレーニングセット)におけるBRCAI_clinical_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の局所領域再発であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図10】全患者が手術を受けた997人の患者コホート(BRCAI_modelの開発に使用したトレーニングセット)におけるBRCAI_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の遠隔再発であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_modelクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図11】全患者が手術を受けた997人の患者コホート(BRCAI_clinical_modelの開発に使用したトレーニングセット)におけるBRCAI_clinical_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の遠隔再発であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図12】全患者が手術を受けた997人の患者コホート(トレーニングセット)におけるPAM50サブタイプモデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランクは図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したPAM50サブタイプについて、Basal、Her2、LumA、LumB、及びNormalの各群のリスク患者数を示し、すなわち手術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図13】全患者が手術を受けた997人の患者コホート(トレーニングセット)におけるPAM50サブタイプモデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは全死亡(Death)であった。ログランクは図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したPAM50サブタイプについて、Basal、Her2、LumA、LumB、及びNormalの各群のリスク患者数を示し、すなわち手術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図14】全患者が手術を受けた118人のPAM50 Basalサブタイプ患者コホートにおけるBRCAI_clinical_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図15】全患者が手術を受けた87人のPAM50 Her2サブタイプ患者コホートにおけるBRCAI_clinical_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図16】全患者が手術を受けた466人のPAM50 LumAサブタイプ患者コホートにおけるBRCAI_clinical_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図17】全患者が手術を受けた268人のPAM50 LumBサブタイプ患者コホートにおけるBRCAI_clinical_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図18】全患者が手術を受けた58人のPAM50正常サブタイプ患者コホートにおけるBRCAI_clinical_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図19】全患者が手術を受けた953人の患者コホート(BRCAI_modelの検証に使用した検証セット)におけるBRCAI_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_modelクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図20】全患者が手術を受けた953人の患者コホート(BRCAI_clinical_modelの検証に使用した検証セット)におけるBRCAI_clinical_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図21】全患者が手術を受けた953人の患者コホート(BRCAI_modelの検証に使用した検証セット)におけるBRCAI_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_modelクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図22】全患者が手術を受けた953人の患者コホート(BRCAI_clinical_modelの検証に使用した検証セット)におけるBRCAI_clinical_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図23】全患者が手術を受けた950人の患者コホート(BRCAI_modelの検証に使用した検証セット)におけるBRCAI_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の局所領域再発であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_modelクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図24】全患者が手術を受けた950人の患者コホート(BRCAI_clinical_modelの検証に使用した検証セット)におけるBRCAI_clinical_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の局所領域再発であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図25】全患者が手術を受けた953人の患者コホート(BRCAI_modelの検証に使用した検証セット)におけるBRCAI_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の遠隔再発であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_modelクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図26】全患者が手術を受けた953人の患者コホート(BRCAI_clinical_modelの検証に使用した検証セット)におけるBRCAI_clinical_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の遠隔再発であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図27】全患者が手術を受けた975人の患者コホート(検証セット)におけるPAM50サブタイプモデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは乳がん関連死亡(BCa Death)であった。ログランクは図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したPAM50サブタイプについて、Basal、Her2、LumA、LumB、及びNormalの各群のリスク患者数を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図28】全患者が手術を受けた975人の患者コホート(検証セット)におけるPAM50サブタイプモデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは全死亡(Death)であった。ログランクは図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したPAM50サブタイプについて、Basal、Her2、LumA、LumB、及びNormalの各群のリスクを有する患者数を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図29】全患者が手術を受けた210人のPAM50 Basalサブタイプ患者コホートにおけるBRCAI_clinical_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれる。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図30】全患者が手術を受けた153人のPAM50 Her2サブタイプ患者コホートにおけるBRCAI_clinical_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図31】全患者が手術を受けた251人のPAM50 LumAサブタイプ患者コホートにおけるBRCAI_clinical_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図32】全患者が手術を受けた220人のPAM50 LumBサブタイプ患者コホートにおけるBRCAI_clinical_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図33】全患者が手術を受けた141人のPAM50正常サブタイプ患者コホートにおけるBRCAI_clinical_modelのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図34】全患者が手術を受けた673人の患者コホート(BRCAI_MBモデルの検証に使用した検証セット)におけるBRCAI_MBモデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図35】全患者が手術を受けた563人の患者コホート(BRCAI_clinical_MBモデルの検証に使用した検証セット)におけるBRCAI_clinical_MBモデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図36】全患者が手術を受けた563人の患者コホート(トレーニングセット)におけるPAM50サブタイプモデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは全死亡(Death)である。ログランクは図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したPAM50サブタイプについて、Basal、Her2、LumA、LumB、及びNormalの各群のリスク患者数を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図37】全患者が手術を受けた116人のPAM50 Basalサブタイプ患者コホートにおけるBRCAI_clinical_MBモデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図38】全患者が手術を受けた36人のPAM50 Her2サブタイプ患者コホートにおけるBRCAI_clinical_MBモデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図39】全患者が手術を受けた305人のPAM50 LumAサブタイプ患者コホートにおけるBRCAI_clinical_MBモデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図40】全患者が手術を受けた106人のPAM50 LumBサブタイプ患者コホートにおけるBRCAI_clinical_MBモデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAI_clinical_modelクラスのリスク患者数(閾値=0.3、低リスク(≦0.3)、高リスク(>0.3))を示し、すなわち手術後20ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図41】全患者が手術を受けた60人のBRCAI_clinical low risk患者コホートにおけるCT&HT&RTモデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したCT&HT&RTモデルクラスのリスク患者数(二次治療なし、全ての二次治療)を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図42】全患者が手術を受けた125人のBRCAI_clinical high risk患者コホートにおけるCT&HT&RTモデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の乳がん特異的死亡(BCa Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したCT&HT&RTモデルクラスのリスク患者数(二次治療なし、全ての二次治療)を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図43】全患者が手術を受けた60人のBRCAI_clinical low risk患者コホートにおけるCT&HT&RTモデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したCT&HT&RTモデルクラスのリスク患者数(二次治療なし、全ての二次治療)を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図44】全患者が手術を受けた125人のBRCAI_clinical high risk患者コホートにおけるCT&HT&RTモデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したCT&HT&RTモデルクラスのリスク患者数(二次治療なし、全ての二次治療)を示し、すなわち手術後50ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図45】全患者が手術を受けた1044人の患者コホートにおけるBRCAI_6.1モデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAIモデルクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図46】全患者が手術を受けた1044人の患者コホートにおけるBRCAI_6.2モデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAIモデルクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図47】全患者が手術を受けた1044人の患者コホートにおけるBRCAI_6.3モデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAIモデルクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図48】全患者が手術を受けた1044人の患者コホートにおけるBRCAI_6.4モデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAIモデルクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図49】全患者が手術を受けた1044人の患者コホートにおけるBRCAI_6.5モデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAIモデルクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図50】全患者が手術を受けた1044人の患者コホートにおけるBRCAI_6.6モデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAIモデルクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図51】全患者が手術を受けた1044人の患者コホートにおけるBRCAI_6.7モデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAIモデルクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図52】全患者が手術を受けた1044人の患者コホートにおけるBRCAI_6.8モデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAIモデルクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図53】全患者が手術を受けた1044人の患者コホートにおけるBRCAI_6.9モデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAIモデルクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図54】全患者が手術を受けた1044人の患者コホートにおけるBRCAI_6.10モデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAIモデルクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
図55】全患者が手術を受けた1044人の患者コホートにおけるBRCAI_6.11モデルのKaplan-Meier曲線を示す。試験された臨床的エンドポイントは、手術後の全死亡(Death)であった。ログランク、HR、及び信頼区間は図に含まれている。含まれている補足リストは、分析したBRCAIモデルクラスのリスク患者数(閾値=0、低リスク(≦0)、高リスク(>0))を示し、すなわち手術後25ヵ月以上の任意の時間間隔におけるリスク患者が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
本明細書で使用される単数形の用語は、複数を排除するものではない。
【0023】
「生物学的サンプル」又は「対象者から得られたサンプル」という用語は、対象者、例えば乳がん対象者から当業者に公知の適切な方法を介して得られた任意の生物学的材料を指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、記載された例の1種又は複数が、単独で、又は記載された例の少なくとも1種、最大で記載された例の全てと組み合わせて起こり得ることを示す。
【0025】
本明細書において、特定の値についての「少なくとも」という用語は、その特定の値又は以上であることを意味する。例えば、「少なくとも2」は、「2以上」すなわち、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、...などと同じであると理解される。
【0026】
「乳がん」という用語は、乳房の細胞が突然変異を起こし、制御不能に増殖し始めることで発生する乳房組織のがんを指す。
【0027】
「乳がん特異的死亡又は疾患特異的死亡」という用語は、乳がんによる患者の死亡を指す。
【0028】
「臨床的再発」という用語は、例えばin vivoイメージングを用いて測定される腫瘍細胞の存在を示す臨床的徴候の存在を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「有する」又はその変形語は、記載された要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群を含むが、他の要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群を除外するものではないと理解されるであろう。動詞「有する」は、動詞「本質的にからなる」及び「からなる」を含む。
【0030】
本明細書で使用される場合、「免疫防御応答遺伝子」という用語は、「IDR遺伝子」と互換的に使用されるか、又は「免疫防御遺伝子」は、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1から選択される遺伝子の1種又は複数を指す。
【0031】
「転移」という用語は、乳房組織以外の臓器における転移性疾患の存在を意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「PDE4D7相関遺伝子」という用語は、「PDE4D7遺伝子」と互換的に使用され、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2から選択される遺伝子の1種又は複数を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「T細胞受容体シグナル伝達遺伝子」という用語は、「TCRシグナル伝達遺伝子」と互換的に使用されるか、又は「TCR遺伝子」は、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70から選択される遺伝子の1種又は複数を指す。
【0034】
発明の詳細な説明
癌における免疫系
近年、がん抑制における免疫系の重要性、並びにがんの発生、促進及び転移における免疫系の重要性は非常に明白である(Mantovaniら、Nature.454(7203):436~44頁(2008年);Giraldoら、Br J Cancer.120(1):45~53頁(2019年))。免疫細胞及びそれらが分泌する分子は腫瘍微小環境の重要な部分を形成しており、ほとんどの免疫細胞は腫瘍組織に浸潤し得る。免疫系と腫瘍は互いに影響し合い、互いを形作っている。このように、抗腫瘍免疫が腫瘍形成を防ぎ得る一方で、炎症性の腫瘍環境ががんの発生及び増殖を促進する。同時に、免疫系に依存しない様式で発生した腫瘍細胞は、免疫細胞を動員することによって免疫微小環境を形作り、抗がん免疫も抑えながら炎症促進性の効果を有し得る。
【0035】
腫瘍微小環境中の一部の免疫細胞は、一般的な腫瘍促進効果又は一般的な腫瘍抑制効果のいずれかを有するが、別の免疫細胞は柔軟性を呈し、腫瘍促進と腫瘍抑制の両方の可能性を示す。このように、腫瘍の全体的な免疫微小環境は、存在する多様な免疫細胞、それらが産生するサイトカイン、並びにそれらと腫瘍細胞及び腫瘍微小環境中の他の細胞との相互作用が混ざり合ったものである(Giraldo Br J Cancer.120(1):45~53頁(2019年))。
【0036】
治療は腫瘍微小環境の免疫成分によって影響を及ぼされるが、RTそれ自体もこれら成分の構成に広範に影響する。抑制性の細胞タイプは比較的放射線に非感受性であるため、それらの相対的な数は増加する。反作用的に、与えられた放射線障害は細胞生存経路を活性化し、免疫系を刺激し、それが炎症応答及び免疫細胞の動員を誘発する。正味の効果が腫瘍促進性であるか腫瘍抑制性であるかは今のところ不明であるが、がん免疫治療の増強に対するその可能性が検討されている。
【0037】
概要すれば、免疫系の状態及び免疫微小環境の状態は治療有効性に大きな影響を与える。
【0038】
本発明者らは、遺伝子シグネチャー及びこれらのシグネチャーと臨床的パラメータの組合せを同定し、得られたモデルは、死亡率と有意な関係を示したため、これらの治療効果の予測を改善することが期待される。
【0039】
免疫応答防御遺伝子
ゲノムDNAの統合性及び安定性は、放射線照射、ウイルス又は細菌感染だけでなく、酸化及び複製ストレスなど、様々な細胞内外の要因によって誘発されるストレス下に恒常的にある(Gasser S.らによる「Sensing of dangerous DNA」、Mechanisms of Aging and Development, Vol.165, 33-46頁、2017年を参照)。DNAの構造及び安定性を維持するために、細胞は様々な要因によって誘発される一本鎖切断又は二本鎖切断など、全ての種類のDNA損傷を認識できなければならない。このプロセスには、DNA認識経路の一部として、損傷の種類に応じて多数の特異的タンパク質が関与している。
【0040】
最近の知見によると、誤局在DNA(例えば、核とは対照的に細胞の細胞質画分に不自然に現れるDNA)及び損傷DNA(例えば、がんの発生で生じる突然変異)は、免疫系が感染細胞又は他の疾患細胞を識別するために利用される一方で、健康な細胞に存在するゲノムDNA及びミトコンドリアDNAはDNA認識経路によって無視されることが示唆されている。疾患細胞では、細胞質DNAセンサータンパク質が、細胞の細胞質に不自然に存在するDNAの検出に関与していることが実証されている。異なる核酸センサーによるこのようなDNAの検出は、核内因子κ-B(NF-κB)及びI型インターフェロン(IFNタイプI)シグナルに続く自然免疫系成分の活性化につながる同様の反応に変換される。ウイルスDNAの認識はIFN I型応答を誘発することが知られているが、DNA損傷の感知が免疫応答を引き起こすという知見は最近になって蓄積されつつある。
【0041】
エンドソームに局在するTLR9(Toll様受容体9)は、アダプタータンパク質である骨髄分化一次応答タンパク質88(MYD88)を介して下流にシグナルを伝達することにより、DNAの免疫認識に関与することが同定された最初のDNAセンサー分子の1種である。この相互作用により、次いでマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)及びNF-kBが活性化される。TLR9はまた、形質細胞様樹状細胞(pDC)におけるIkBキナーゼα(IKKα)を介したIRF7の活性化を通じて、I型インターフェロンの生成を誘導する。IFI16(IFN-γ誘導性タンパク質16)、cGAS(環状DMP-AMP合成酵素)、DDX41(DEAD-ボックスヘリカーゼ41)、並びにZBP1(Z-DNA結合タンパク質1)を含む他の様々なDNA免疫受容体がSTING(IFN遺伝子の刺激因子)と相互作用し、TBK1(TANK結合キナーゼ1)を介してIKK複合体及びIRF3を活性化する。ZBP1はまた、RIP1及びRIP3(それぞれ受容体相互作用タンパク質1及び3)のリクルートを介してNF-kBを活性化する。ヘリカーゼDHX36(DEAH-ボックスヘリカーゼ36)は複合体でTRIDと相互作用し、NF-kBとIRF-3/7を誘導するが、DHX9ヘリカーゼは形質細胞様樹状細胞においてMYD88依存性のシグナル伝達を刺激する。DNAセンサーLRRFIP1(ロイシンリッチリピートフライトレス相互作用タンパク質)はβカテニンと複合体化してIRF3の転写を活性化し、一方AIM2(absent in melanoma 2)はアダプタータンパク質ASC(アポトーシススペック様タンパク質)をリクルートして、インターロイキン-1β(IL-1β)及びIL-18の分泌につながるカスパーゼ-1活性化インフラムソーム複合体を誘導する(Gasser S.らによる、2017年の同文献の図1を参照、炎症性サイトカインの産生及び自然免疫受容体を活性化するためのリガンドの発現につながるDNA損傷及びDNAセンサー経路の概略が示されている。非相同末端結合経路(橙色)、相同組換え(赤色)、インフラマソーム(濃緑色)、NF- kB及びインターフェロン応答(明緑色)のメンバーが示されている)。
【0042】
がんにおいてDNAセンサー経路を活性化する因子及び機構は、現在のところよくわかっていない。疾患の全てのステージの異なるがん種におけるIFNの発現に関与する腫瘍内DNA種、センサー及び経路を同定することが重要であろう。がんの治療標的に加えて、このような因子は予後予測的価値も持つかもしれない。現在、新規DNAセンサー経路アゴニスト及びアンタゴニストが開発され、前臨床試験で試験されている。このような化合物は、がん、自己免疫、及び潜在的に他の疾患の病態におけるDNAセンサー経路の役割を明らかにする上で有用であろう。
【0043】
T細胞受容体シグナル伝達遺伝子
病原体に対する免疫応答は、様々な段階において誘発され得る:侵入者を入れないための皮膚等の物理的なバリアがある。破られた場合には、最初の素早い非特異的な応答である、自然免疫が働き始める。これで不十分な場合には、適応免疫応答が誘発される。これははるかにより特異的であるが、病原体に初めて遭遇する場合は発現するのに時間がかかる。リンパ球は、自然免疫系由来の活性化された抗原提示細胞と相互作用することによって活性化する。また、同じ病原体と次に遭遇する際により早く応答するための記憶の維持にも関与している。
【0044】
活性化されると、リンパ球は高度に特異的かつ効果的になるため、リンパ球は、中枢性寛容として知られるプロセスである、それらの自己を認識する能力に対する負の選択を受ける。選択部位において全ての自己抗原が発現しているわけではないため、末梢性寛容の機構、例えば、共刺激非存在下でのTCRのライゲーション、抑制性共受容体の発現、及びTregによる抑制等も同様に発達した。活性化と抑制との間のバランスの乱れは、それぞれ、自己免疫障害、或いは免疫不全及びがんにつながる恐れがある。
【0045】
T細胞の活性化は、関与するT細胞のロケーションとタイプに依存して、様々な機能的結果を有し得る。CD8+T細胞が細胞傷害性エフェクター細胞に分化する一方で、CD4+T細胞はTh1(IFNγの分泌及び細胞性免疫の促進)又はTh2(IL4/5/13の分泌並びにB細胞及び液性免疫の促進)に分化し得る。つい最近同定された他のT細胞サブセット、例えば、免疫活性化に対する抑制効果を有するTreg等への分化も可能である(Mosenden R.及びTasken K.による「Cyclic AMP-mediated immune regulation-Overview of mechanisms of action in T-cells」、Cell Signal、Vol.23、No.6、1009~1016頁(2011年)、特に、図4のT細胞の活性化及びPKAによるそのモジュレーション、並びにTasken K.及びRuppelt A.による「Negative regulation of T-cell receptor activation by the cAMP-PKA-Csk signalling pathway in T-cell lipid rafts」、Front Biosci、Vol.11、2929~2939頁(2006年)を参照のこと)。
【0046】
T細胞の活性化は、ナイーブT細胞及び分化T細胞で起こる。分子レベルでは、TCRと同族抗原とのライゲーションに続くイベント、並びに共刺激性及び共抑制性受容体によって誘導されるシグナル伝達とのクロストークによって、T細胞が活性化されるか、又はアネルギーになるかが決定される。TCR自体を誘発するだけでは十分ではなく、これはT細胞アネルギーにつながる。共刺激性分子のB7:CD28ファミリーは、抗原刺激時のT細胞の活性化状態を制御する上で中心的な役割を果たしている(Torheim E.A.,「Immunity Leashed - Mechanisms of Regulation in the Human Immune System」, Thesis for the degree of Philosophiae Doctor (PhD), The Biotechnology Centre of Ola, University of Oslo, Norway, 2009年)。
【0047】
活性化は、T細胞表面のTCRがAPC又は標的細胞上のMHC-ペプチド複合体と相互作用する際に生じる(図2)。免疫学的シナプスが形成され、T細胞膜の脂質ラフトが融合し、Lck及びFynが活性化される。これらの分子はTCRのCD3サブユニットのITAMをリン酸化し、これがLckと近接したZap-70のリクルートを促進する。LckはZap-70をリン酸化して活性化し、Zap-70は次にLAT、SLP76、PLCγ1をリン酸化する。LATは他のシグナル伝達分子のドッキング部位であり、下流のTCRシグナル伝達に必須である。Grb2、Gads、PI3K、及びNCKはLATにリクルートされ、RAS、PKCの活性化、Ca2+、カルシニューリンの動員、及びアクチン細胞骨格の重合を含むシグナル伝達を伝播する(Taskenらによる Front in Bioscience 11:2929-2939(2006年))。これは最終的に、NFkB、NFAT、AP1、及びATFファミリーの転写因子の活性化につながり、免疫活性化のための遺伝子の転写をもたらす(Mosendenらによる Cell Signalling 23:1009-1016 (2011年); Taskenらによる Front in Bioscience 11:2929-2939 (2006年))。
【0048】
PKAとPDE4が調節するシグナル伝達の両方が、TCR誘導性のT細胞活性化と交わって、反対の効果でその調節を微調整する(Abrahamsen H.らによる「TCR- and CD28-mediated recruitment of phosphodiesterase 4 to lipid rafts potentiates TCR signaling」、J Immunol、Vol.173、4847~4848頁(2004年)、特に、TCRの活性化におけるPKAとPDE4の反対の作用を示す図6を参照のこと)。これらのエフェクターを結びつける分子は、細胞外のリガンドの作用の細胞内セカンドメッセンジャーであるサイクリックAMP(cAMP)である。T細胞内で、cAMPは、プロスタグランジン、アデノシン、ヒスタミン、ベータアドレナリン作動薬、神経ペプチドホルモン及びベータエンドルフィンの効果を媒介する。これら細胞外分子のGPCRへの結合は、GPCRのコンフォメーション変化と、刺激性サブユニット(stimulatory subunits)の遊離と、それに続くATPをcAMPに加水分解するアデニル酸シクラーゼ(AC)の活性化とをもたらす(Abrahamsen H.ら、2004、同上、の図6を参照のこと)。唯一ではないものの、PKAは、cAMPシグナル伝達の主要なエフェクターである(Mosenden R.及びTasken K.による2011年の同上、並びにTasken K.及びRuppelt A.による2006年の同上を参照のこと)。機能レベルでは、cAMPのレベルの増加は、T細胞におけるIFNγとIL-2の産生の低下につながる(Abrahamsen H.らによる2004年の同上を参照のこと)。TCR活性化を妨害することに加え、PKAはさらに多くの効果を有する(Torheim E.A.による2009年の同上の図15を参照のこと)。
【0049】
ナイーブT細胞では、高リン酸化型のPAGが、Cskを脂質ラフトに対して標的化する。エズリン-EBP50-PAGの足場複合体を介して、PKAはCskに対して標的化される。PKAによって特異的にリン酸化されることにより、Cskは、LckとFynを負に調節してそれらの活性を弱め、T細胞の活性化をダウンレギュレートし得る(Abrahamsen H.らによる2004年の同上の図6を参照のこと)。TCRの活性化時に、PAGは脱リン酸化され、Cskはラフトから遊離する。Cskの解離はT細胞の活性化を進行させるために必要である。同一の時間経過の中で、Csk-G3BP複合体が形成され、それによってCskは脂質ラフトの外に隔離されるようである(Mosenden R.及びTasken K.による2011年の同上、並びにTasken K.及びRuppelt A.による2006年の同上を参照のこと)。
【0050】
一方で、TCR及びCD28の複合刺激が、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼPDE4の脂質ラフトへの動員を媒介し、それがcAMPの分解を亢進させる(Abrahamsen H.らによる2004年の同上の図6を参照のこと)。それにより、TCRが誘導するcAMPの産生が阻止され、T細胞の免疫反応が増強する。TCRの単独刺激時には、PDE4の動員はcAMPレベルを十分に低下させるには少なすぎ、それゆえT細胞の最大活性化は起こり得ない(Abrahamsen H.らによる2004年の同上を参照のこと)。
【0051】
このように、近位のTCRシグナル伝達を能動的に抑制することによって、cAMP-PKA-Cskを介したシグナル伝達はT細胞活性化のための閾値を設けていると考えられる。PDEの動員は、この抑制を阻止し得る。組織又は細胞タイプに特異的な調節は、AC、PKA及びPDEの複数のアイソフォームの発現によって達成される。上記で言及したように、自己免疫障害、免疫不全及びがんの発症を防ぐために、活性化と抑制との間のバランスが厳しく調節される必要がある。
【0052】
PDE4D7相関遺伝子
ホスホジエステラーゼ(PDE)は、二次メッセンジャーである3’-5’-環状AMPを分解するための唯一の手段を提供する。そのため、これらは重要な調節の役割を担っている。したがって、その発現、活性、及び細胞内位置の異常な変化は、全て特定の疾患状態の根底にある分子病態に関与している可能性がある。実際、前立腺がん患者ではPDE遺伝子の変異が多く、これによってcAMPシグナルが上昇し、前立腺がんの素因となる可能性があることが最近示された。しかしながら、各PDEファミリー内のアイソフォームバリアントの複雑な配列と相まって、異なる細胞種における様々な発現プロファイルが存在するため、疾患進行中のPDE発現の異常な変化と機能性の関連性を理解することは困難になっている。前立腺におけるPDEの補足を説明するために、いくつかの研究が試みられたが、その全てにおいて、他のPDEと並んで、有意なレベルのPDE4発現が同定され、これはPDE4D7バイオマーカーの開発につながった(Alves de Inda M.らによる、「Validation of Cyclic Adenosine Monophosphate Phosphodiesterase-4D7 for its Independent Contribution to Risk Stratification in a Prostate Cancer Patient Cohort with Longitudinal Biological Outcomes」、Eur Urol Focus、Vol.4、No.3、376-384頁、2018年を参照)。PDE4D7バイオマーカーは良好な予測因子であることが証明されているため、PDE47バイオマーカーと高い相関を示すマーカーを同定する能力も、特定のがん対象者の予後予測に役立つ可能性があると想定された。
【0053】
PDE4D7の発現と疾患の病理学的特徴との相関に基づき、生検又は手術のいずれかによって採取された患者の前立腺組織におけるPDE4D7の発現と、個々の患者の予後に関連する臨床的に有用な情報との間の予後関連性を同定することを目的とした。臨床的に関連性のあるエンドポイント、又は転移の発生、がん特異的死亡又は全死亡と有意に相関するサロゲートエンドポイントは、一般的にがんの予後バイオマーカーとして評価されてきた。サロゲートエンドポイントを使用する最も適切な根拠は、確立された臨床的エンドポイントに関するデータが利用できない場合、又はデータコホート内のイベント数が統計データ解析にはあまりにも限られている場合に関するものである。PDE4D7予後バイオマーカーの開発においては、BCR(生化学的再発)無増悪生存期間又は手術後二次治療開始のいずれかが、転移及び前立腺がん死亡のサロゲートエンドポイントとして評価された。これらの特定のエンドポイントを用いて、選択された臨床コホートにおける関連イベント数(例えば、BCRについては30%超)が同定され、これは特に多変量データ解析に関連する。
【0054】
実施された評価では、PSA及びGleasonスコアのような確立された予後臨床変数と比較して、連続的及び/又はカテゴリー的な「PDE4D7スコア」の付加価値及び独立価値を調査するために、Cox回帰及びKaplan-Meier生存解析のような多変量解析の標準的な方法が選択された(Alves de Inda, 2018年)。リスクモデルは、「PDE4D7スコア」を、ロジスティック回帰を使用して、手術後進行の術前又は術後の臨床的予測因子のいずれかと組み合わせて構築した。得られたモデルはその後、治療後の無増悪生存期間を予測するために、複数の独立した患者コホートでKaplan-Meier生存解析及びROC曲線解析で検証された(Alves de Inda, 2018年)。
【0055】
このような戦略を用いて、手術後の設定で、単一の手術センターから連続的に管理された患者コホートにおいて、遡及的に収集された切除前立腺組織からの生検におけるPDE4D7スコアの予後的価値が検証された(Alves de Inda, 2018年)。患者集団は、病理学的及び生物学的予後の両方の縦断的フォローアップが実施された約500人で構成された。これらの臨床的データは全患者について入手可能であり、治療後中央値で120ヵ月のフォローアップ中に収集された。「PDE4D7スコア」は上記のように決定され、多変量解析の設定を調整するために、利用可能な術後共変量(すなわち、病理学的Gleasonスコア、pTステージ、手術断端の状態、精嚢浸潤の状態、及びリンパ節浸潤の状態)を用いて単変量解析及び多変量解析の両方で検証された。この例では、一次介入後の生化学的無増悪生存期間が評価される臨床的エンドポイントとして設定された。これらの臨床的サンプルの単変量解析(Alves de Inda, 2018年)は、PDE4D7発現(「PDE4D7スコア」の観点から)及び術後の生物学的再発との間の逆相関を示し(単位変化あたりHR=0.53; 95% CI 0.41-0.67; p<0.0001)、以前のデータ(Boettcher 2015年; Boettcher, 2016年)を強固に確認した。このような臨床的変数を用いた多変量解析においても、「PDE4D7スコア」は臨床的予後を予測するための独立した有効な手段のままであった(単位変化あたりのHR=0.56; 95% CI 0.43-0.73; p<0.0001)。さらに、多変量解析におけるPDE4D7スコア(HR=0.54 95% CI 0.42-0.69; p<0.0001)及び検証され臨床的に使用されているリスクモデルCAPRA-Sを評価したところ、非常によく似た結果が得られた。CAPRA-Sスコアは、術前のPSA及び手術時に決定された病理学的パラメータに基づいており、BCR、全身進行、及びPCSMを含む疾患再発の予測に役立つ情報を臨床医に提供する目的で開発され、米国及び他の集団で検証されている。
【0056】
興味深いことに、連続的な「PDE4D7スコア」と比較してハザード比(HR)を評価したところ、スコアの値が2から5との間であれば、「PDE4D7スコア」の減少に伴ってリスクが直線的に増加することが明らかになった。しかし、PDE4D7スコアが2未満の場合、術後進行のリスクは急激に増加する(Alves de Inda, 2018年)。これはKaplan-Meier生存曲線でも明らかであり、最も低い「PDE4D7スコア」のカテゴリーに分類された患者は、疾患再発のリスクが最も高い。ロジスティック回帰分析を用いて、CAPRA-Sスコアを連続的な「PDE4D7スコア」と組み合わせた。ROC曲線分析を用いてこのモデルを検証したところ、治療後のBCRへの進行の2年後及び5年後の予測の両方において、CAPRA-S単独と比較してAUCが4~6%有意に改善した。そこで、CAPRA-Sと「PDE4D7スコア」を組み合わせたCox回帰併用モデルをKaplan-Meier生存解析で評価し、CAPRA-Sスコアカテゴリー単独と比較した。その結果、「PDE4D7 & CAPRA-S」スコアの組合せモデルを使用した場合、CAPRA-Sスコア単独の臨床的指標を使用した場合と比較して、リスク予測に付加価値があることが確認された(Alves de Inda, 2018年)。
【0057】
前立腺がんの診断後、定義された一次治療への層別化を行う前に、正確なリスク評価を行う必要がある。これを念頭に置いて、診断用針生検サンプルから得られた腫瘍組織を検査する術前の状況において、「PDE4D7スコア」の予後的利用を変換することが可能かどうかが検証された(van Strijp 2018年)。この研究では、一次治療として手術を受けた、単一の診断臨床センターの患者168人について針生検を実施した。各患者の最小フォローアップ期間は、この介入後60ヵ月であった。多変量解析において「PDE4D7スコア」の調整に用いられた臨床的共変量は、手術時年齢、術前PSA、PSA密度、生検Gleasonスコア、腫瘍陽性生検コアの割合、生検における腫瘍の割合、及び臨床的cT病期であった。この中で、生化学的再発のCox回帰分析における術前のCAPRAスコアと比較した「PDE4D7スコア」及び「PDE4D7 & CAPRA」の複合スコアの有用性が評価された(van Strijp 2018年)。
【0058】
この患者コホートを評価した結果、臨床的変数(HR=0.43; 95% CI 0.29-0.63; p<0.0001)並びに臨床CAPRAスコア(HR=0.53; 95% CI 0.38-0.74; p=0.0001)で調整した場合の多変量解析において、「PDE4D7スコア」がBCRと逆相関することが判明した(van Strijp 2018年)。Kaplan-Meier解析では、前回と同様、術後の設定において、「PDE4D7スコア」のカテゴリーがBCR無増悪生存期間(ログランク p<0.0001)及び無二次治療生存期間(ログランク p=0.01)と有意に関連していることが示された。次に、以前のコホートで開発された組合せロジスティック回帰モデルが採用された(van Strijp 2018)。これは「CAPRA & PDE4D7」組合せスコアで構成され、「CAPRA & PDE4D7」組合せスコアが最も高いカテゴリー内の患者には、生化学的進行又は手術後の二次治療への移行リスクが実質的にないことを実証した。このロジスティック回帰モデルは、手術後の5年BCRを予測するためにROC曲線解析でも評価された。その結果、CAPRAスコア単独よりもAUCが5%増加した(それぞれAUC=0.82 vs. 0.77;p=0.004)。組合せ「CAPRA & PDE4D7」スコアモデルの決定曲線分析では、個々の患者が術後に病勢進行を経験するリスク閾値に基づいて介入(例えば、手術)を行うかどうかを決定するために、全ての決定閾値にわたって、どちらか一方のスコアのみと比較して、この組み合わせたスコアを使用することの優れた正味利益が確認された(van Strijp 2018年)。
【0059】
治療結果及び疾患の再発には多くの要因が関与するため、治療予後の予測は非常に複雑である。重要な要因がまだ同定されていない可能性が高い一方、他の要因の影響を正確に決定することはできない。現在、応答予測及び治療の選択を改善するために、複数の臨床病理学的指標が研究され、臨床の場で適用されており、ある程度の改善が見られている。しかしながら、これらの治療の成功率を高めるためには、治療応答をより正確に予測する必要性が高い。
【0060】
遺伝子の選択
遺伝子シグネチャー、及びこれらのシグネチャーと臨床的パラメータとの組合せが同定され、その結果得られたモデルは死亡率と有意な関係を示し、したがってこれらの治療1の有効性の予測を改善することが期待される。
【0061】
同定された免疫防御応答遺伝子AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1は、それぞれ以下のように同定された: 538人の前立腺がん患者をRPで治療し、前立腺がん組織を臨床的(例えば、病理学的Gleasonグレード群(pGGG)、病理状態(pTステージ))並びに関連する予後パラメータ(例えば、生化学的再発(BCR)、転移性再発、前立腺がん特異的死亡(PCa death)、救済放射線療法(SRT)、救済アンドロゲン除去療法(SADT)、化学療法(CTX))とともに保存した。これらの患者それぞれについて、PDE4D7スコアを算出し、4つのPDE4D7スコアクラスに分類した(Alves de Inda M.らによる,2018年、同上参照)。PDE4D7スコアクラス1はPDE4D7の発現レベルが最も低い患者サンプルを表し、PDE4D7スコアクラス4はPDE4D7の発現レベルが最も高い患者サンプルを表す。次に、538人の前立腺がん対象者のRNASeq発現データ(TPM - Transcripts Per Million)を用いて、PDE4D7スコアクラス1と4との間の遺伝子発現の差異を調べた。特に、約20,000のタンパク質をコードする転写産物について、PDE4D7スコアクラス1の患者の平均発現レベルが、PDE4D7スコアクラス4の患者の平均発現レベルの2倍以上かどうかを決定した。この解析の結果、4つのPDE4D7スコアクラスのそれぞれにおいて、PDE4D7スコアクラス1/PDE4D7スコアクラス4の比が2超であり、最小平均発現量が1TPMである遺伝子が637個得られた。これらの637遺伝子を次いでさらに分子経路解析に供したところ、様々な濃縮アノテーションクラスターが得られた。アノテーションクラスター#2では、ウイルスに対する防御応答、ウイルスゲノム複製の負の制御、並びにI型インターフェロンシグナル伝達の機能を有する30遺伝子の濃縮が見られた(濃縮スコア:10.8)。さらにヒートマップ解析を行ったところ、これらの免疫防御応答遺伝子は、PDE4D7スコアクラス1の患者からのサンプルにおいて、PDE4D7スコアクラス4の患者からのサンプルよりも一般的に高発現していることが確認された。ウイルスに対する防御応答、ウイルスゲノム複製の負の制御、並びにI型インターフェロンシグナル伝達の機能を有する遺伝子のクラスは、同じ分子機能を有する追加遺伝子を同定するために、文献検索によって61遺伝子までさらに濃縮された。前立腺がんで死亡した患者とそうでない患者を分離するコンビナトリアルパワーに基づいて、61遺伝子からさらに選択が行われ、14遺伝子の好ましいセットが得られた。これらの遺伝子の発現が低いサブコホートでは、全患者コホート(#538)及び術後疾患再発後にサルベージRT(SRT)を受けた患者151人のサブコホートと比較して、イベント(転移、前立腺癌特異的死亡)の数が濃縮されていることが判明した。
【0062】
同定されたT細胞受容体シグナル伝達遺伝子CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70は以下のように同定された: 538人の前立腺がん患者をRPで治療し、前立腺がん組織を臨床的(例えば、病理学的Gleasonグレード群(pGGG)、病理状態(pTステージ))並びに関連する予後パラメータ(例えば、生化学的再発(BCR)、転移性再発、前立腺がん特異的死亡(PCa death)、救済放射線治療(SRT)、救済アンドロゲン除去治療(SADT)、化学療法(CTX))とともに保存した。これらの患者それぞれについて、PDE4D7スコアを算出し、4つのPDE4D7スコアクラスに分類した(Alves de Inda M.らによる, 2018年, 同上)。PDE4D7スコアクラス1は、PDE4D7の発現レベルが最も低い患者サンプルに相当する一方で、PDE4D7スコアクラス4は、PDE4D7発現のレベルが最も高い患者サンプルに相当する。次いで、538前立腺がん対象者のRNASeq発現データ(TPM-百万あたりの転写物数(Transcripts Per Million))を、PDE4D7スコアクラス1とクラス4との間の差次的遺伝子発現に対して調査した。具体的には、タンパク質をコードするおよそ20,000の転写物について、PDE4D7スコアクラス1の患者の平均発現レベルが、PDE4D7スコアクラス4の患者の平均発現レベルの2倍を超えるかどうかを決定した。この分析により、4つのPDE4D7スコアクラスのそれぞれにおける最低平均発現が1TPMである状態で、PDE4D7スコアクラス1/PDE4D7スコアクラス4の比が2を超える637遺伝子が得られた。次いで、これらの637遺伝子をさらに分子経路分析に供した結果、様々な濃縮されたアノテーションクラスターが得られた。アノテーションクラスター#6は、原発性免疫不全及びT細胞受容体シグナル伝達の活性化における機能を有する17遺伝子における濃縮(濃縮スコア:5.9)を示した。さらなるヒートマップ分析により、これらのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子は、全般的に、PDE4D7スコアクラス4における患者由来のサンプルよりも、PDE4D7スコアクラス1における患者由来のサンプルにおいて高発現していることを確認した。
【0063】
同定されたPDE4D7相関遺伝子ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2は、以下のように同定された:前立腺がん患者571人について作成された60,000近くの転写物に関するRNAseqデータにおいて、公知のバイオマーカーPDE4D7の発現と相関する広範囲の遺伝子が同定された。571サンプルにわたるこれらの遺伝子の発現とPDE4D7との相関はピアソン相関によって行われ、正の相関の場合は0~1の間の値で、負の相関の場合は-1~0の間の値で表される。相関係数を計算するための入力データとして、PDE4D7スコア(Alves de Inda M.らによる、2018年同上を参照)及び関心遺伝子ごとのRNAseqで決定されたTPM遺伝子発現値(下記参照)を使用した。
【0064】
約60,000の転写物のいずれかの発現とPDE4D7の発現との間に同定された最大の負の相関係数は-0.38であり、約60,000の転写物のいずれかの発現とPDE4D7の発現との間に同定された最大の正の相関係数は+0.56であった。相関関係が-0.31~-0.38、並びに+0.41~+0.56の範囲にある遺伝子が選ばれた。これらの特徴に一致する転写産物が合計77個同定された。これらの77の転写産物から、8つのPDE4D7相関遺伝子ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2を選択し、術後生化学的再発により救済放射線治療(SRT)を受けた患者186人のサブコホートにおいてCox回帰組合せモデルを反復的に検証した。検証された臨床的エンドポイントは、SRT開始後の前立腺がん特異的死亡であった。8遺伝子を選択するための境界条件は、多変量Cox回帰におけるp値が、モデルに保持された全ての遺伝子について<0.1であるという制約によって与えられた。
【0065】
本文書では、これらの遺伝子が乳がん、好ましくは浸潤性乳がんの対象者の予後に関しても価値があることを示した。さらに、免疫防御応答遺伝子、T細胞受容体シグナル伝達遺伝子、及び/又はPDE4D7相関遺伝子から選択される遺伝子のサブセット、例えば4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上の遺伝子でも、統計的に有意な結果が得られることが示された(図45~55及び実施例4に表されるデータを参照)。したがって、本発明は、個々の遺伝子シグネチャー(例えば、免疫防御応答遺伝子、T細胞受容体シグナル伝達遺伝子、又はPDE4D7相関遺伝子)又はそれらの組合せの使用に限定されるものではなく、本明細書に記載の異なる遺伝子群からの4種以上の遺伝子などの遺伝子の選択にも及ぶ。
【0066】
したがって、第1の実施形態において、本発明は、乳がん対象者の予後を予測する方法であって:
- 第1の遺伝子発現プロファイル、第2の遺伝子発現プロファイル及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルから選択される4種以上の遺伝子の発現レベルを備える遺伝子発現プロファイルを決定するか、又は決定結果を受け取るステップであって、
- 第1の遺伝子発現プロファイルが、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子を有し:
- 第2の遺伝子発現プロファイルが、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を有し:
- 第3の遺伝子発現プロファイルが、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子を含み、
前記遺伝子発現プロファイルが、前記対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定されるステップ、
- 4種以上の遺伝子の発現レベルを備える第1、第2、及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルに基づいて、予後の予測を決定するステップであって、
-前記予測が、乳がん関連死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発の好ましいリスク又は好ましくないリスクである、ステップを含む、方法を提供する。
【0067】
適宜、本方法は、予後の予測を医療介護者又は対象者に提供するステップをさらに含む。
【0068】
一実施形態では、本発明は、乳がん対象者の予後を予測するコンピュータ実装方法を提供であって:
- 第1、第2及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルから選択される4種以上の遺伝子の発現レベルを備える遺伝子発現プロファイルの決定結果を受け取るステップであって、
- 第1の遺伝子発現プロファイルが、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子を含み、
- 第2の遺伝子発現プロファイルが、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を含み、
- 第3の遺伝子発現プロファイルが、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子を含み、
前記遺伝子発現プロファイルが、前記対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定されるステップ、
- 前記4種以上の遺伝子の発現レベルを備える第1、第2、及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルに基づいて、予後の予測を決定するステップであって、
- 前記予測が、乳がん関連死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発の好ましいリスク又は好ましくないリスクである、ステップを有する方法を提供する。適宜、本方法は、予後の予測を医療介護者又は対象者に提供するステップをさらに含む。
【0069】
代替的な第1の態様において、本発明は、乳がん対象者の予後を予測する方法であって、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群より選択される、1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子の各々についての第1の遺伝子発現プロファイルを決定するか、又はその結果を受け取るステップであって、前記第1の遺伝子発現プロファイル(複数可)が、対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定されるステップ、及び/又は、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される1種又は複数、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の各々についての第2の遺伝子発現プロファイルを決定するか、又はその結果を受け取るステップであって、前記第2の遺伝子発現プロファイル(複数可)が、対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定されるステップ、及び/又はABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子の各々について、第3の遺伝子発現プロファイルを決定するか、又はその結果を受け取るステップであって、前記第3の遺伝子発現プロファイル(複数可)が、対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定されるステップ、第1、第2、及び/又は第3の遺伝子発現プロファイル(複数可)に基づいて結果の予測を決定するステップであって、前記予測が、乳がん関連死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発の好ましいリスク又は好ましくないリスクであるステップ、及び適宜、医療介護者又は対象者に予後の予測を提供するステップを含む、方法に関する。
【0070】
本発明において、乳がん関連死亡は好ましくは乳がん特異的死である。
【0071】
本発明は、乳がんを有する対象者の予後を予測するための遺伝子シグネチャーの使用を記載する。遺伝子シグネチャーは、4種以上、例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、又は39の遺伝子発現レベルを備える遺伝子発現プロファイルを有し、ここで4種以上の遺伝子発現レベルは、免疫防御応答遺伝子及び/又はT細胞受容体シグナル伝達遺伝子及び/又はPDE4D7相関遺伝子から選択される。したがって、一実施形態において、4種以上の遺伝子は、免疫防御応答遺伝子から選択され得る。一実施形態において、4種以上の遺伝子は、T細胞受容体シグナル伝達遺伝子から選択され得る。一実施形態において、4種以上の遺伝子は、PDE4D7相関遺伝子から選択され得る。一実施形態において、4種以上の遺伝子は、1種又は複数の免疫防御応答遺伝子及び1種又は複数のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を有する。一実施形態において、4種以上の遺伝子は、1種又は複数の免疫防御応答遺伝子及び1種又は複数のPDE4D7相関遺伝子を有する。一実施形態において、4種以上の遺伝子は、1種又は複数のPDE4D7相関遺伝子及び1種又は複数のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を有する。一実施形態において、4種以上の遺伝子は、1種又は複数の免疫防御応答遺伝子と、1種又は複数のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子と、1種又は複数のPDE4D7相関遺伝子とを有する。
【0072】
本発明の方法における一実施形態では、遺伝子発現プロファイルは、2種以上の免疫防御応答遺伝子、2種以上のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子、及び2種以上のPDE4D7相関遺伝子の発現レベルを備える。本発明の方法における一実施形態では、遺伝子発現プロファイルは、4種以上の免疫防御応答遺伝子、4種以上のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子、又は4種以上のPDE4D7相関遺伝子の発現レベルを備える。
【0073】
上述の生物学的プロセスに関して、表1~3に列挙した遺伝子を含む3つの免疫系関連遺伝子シグネチャーが選択された。以前に、これらのシグネチャーの前立腺がん生存予測への関連性が示されていた。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、ZAP70、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2は、それぞれ個別に、遺伝子パネルごとに1種又は複数、遺伝子パネルごとに1種又は複数の組合せで、又は全てを組み合わせた場合に、乳がん対象者における予後を予測することができる。
【0078】
「ABCC5」という用語は、ヒトATP結合カセットサブファミリー Cメンバー5の遺伝子(Ensembl:ENSG00000114770)、例えば、NCBI参照配列NM_001023587.2 又はNCBI参照配列 NM_005688.3に定義の配列、具体的には、上記に示したABCC5転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号1又は配列番号2に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、ABCC5ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001018881.1及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_005679に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号3又は配列番号4に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0079】
「ABCC5」という用語はまた、ABCC5に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号1又は配列番号2に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号3又は配列番号4に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号3又は配列番号4に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号1又は配列番号2に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0080】
「AIM2」という用語は、Absent in Melanoma 2遺伝子(Ensembl:ENSG00000163568)、例えば、NCBI参照配列NM_004833に定義の配列、具体的には、上記に示したAIM2転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号5に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、AIM2ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_004824に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号6に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0081】
「AIM2」という用語はまた、AIM2に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号5に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号6に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号6に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号5に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0082】
「APOBEC3A」という用語は、アポリポタンパク質B mRNA 編集酵素触媒サブユニット3Aの遺伝子(Ensembl:ENSG00000128383)、例えば、NCBI参照配列NM_145699に定義の配列、具体的には、上記に示したAPOBEC3A転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号7に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、APOBEC3AポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP663745に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号8に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0083】
「APOBEC3A」という用語はまた、APOBEC3Aに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号7に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号8に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号8に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号7に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0084】
「CD2」という用語は、分化抗原群2の遺伝子(Ensembl:ENSG00000116824)、例えば、NCBI参照配列NM_001767に定義の配列、具体的には、上記に示したCD2転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号9に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、CD2ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001758に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号10に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0085】
「CD2」という用語はまた、CD2に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号9に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号10に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号10に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号9に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0086】
「CD247」という用語は、分化抗原群247の遺伝子(Ensembl:ENSG00000198821)、例えば、NCBI参照配列NM_000734又はNCBI参照配列NM_198053に定義の配列、具体的には、上記に示したCD247転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号11又は配列番号12に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、CD247ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_000725及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_932170に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号13又は配列番号14に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0087】
「CD247」という用語はまた、CD247に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号11又は配列番号12に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号13又は配列番号14に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号13又は配列番号14に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号11又は配列番号12に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0088】
「CD28」という用語は、分化抗原群28の遺伝子(Ensembl:ENSG00000178562)、例えば、NCBI参照配列NM_006139又はNCBI参照配列NM_001243078に定義の配列、具体的には、上記に示したCD28転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号15又は配列番号16に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、CD28ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_006130及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001230007に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号17又は配列番号18に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0089】
「CD28」という用語はまた、CD28に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号15又は配列番号16に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号17又は配列番号18に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号17又は配列番号18に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号15又は配列番号16に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0090】
「CD3E」という用語は、分化抗原群3Eの遺伝子(Ensembl:ENSG00000198851)、例えば、NCBI参照配列NM_000733に定義の配列、具体的には、上記に示したCD3E転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号19に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、CD3EポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_000724に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号20に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0091】
「CD3E」という用語はまた、CD3Eに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号19に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号20に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号20に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号19に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0092】
「CD3G」という用語は、分化抗原群3Gの遺伝子(Ensembl:ENSG00000160654)、例えば、NCBI参照配列NM_000073に定義の配列、具体的には、上記に示したCD3G転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号21に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、CD3GポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_000064に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号22に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0093】
「CD3G」という用語はまた、CD3Gに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号21に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号22に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号22に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号21に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0094】
「CD4」という用語は、分化抗原群4の遺伝子(Ensembl:ENSG00000010610)、例えば、NCBI参照配列NM_000616に定義の配列、具体的には、上記に示したCD4転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号23に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、CD4ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_000607に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号24に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0095】
「CD4」という用語はまた、CD4に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号23に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号24に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号24に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号23に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0096】
「CIAO1」という用語は、細胞質鉄-硫黄アセンブリコンポーネント1遺伝子(Ensembl:ENSG00000144021)、例えば、NCBI参照配列NM_004804に定義の配列、具体的には、上記に示したCIAO1転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号25に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、CIAO1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_663745に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号26に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0097】
「CIAO1」という用語はまた、CIAO1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号25に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号26に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号26に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号25に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0098】
「CSK」という用語は、C-末端Srcキナーゼ遺伝子(Ensembl:ENSG00000103653)、例えば、NCBI参照配列NM_004383に定義の配列、具体的には、上記に示したCSK転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号27に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、CSKポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_004374に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号28に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0099】
「CSK」という用語はまた、CSKに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号27に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号28に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号28に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号27に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0100】
「CUX2」という用語は、ヒトカット様ホメオボックス2の遺伝子(Ensembl:ENSG00000111249)、例えば、NCBI参照配列NM_015267.3に定義の配列、具体的には、上記に示したCUX2転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号29に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、CUX2ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_056082.2に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号30に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0101】
「CUX2」という用語はまた、CUX2に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号29に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号30に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号30に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号29に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0102】
「DDX58」という用語は、DExD/H-ボックスヘリカーゼ58遺伝子(Ensembl:ENSG00000107201)、例えば、NCBI参照配列NM_014314に定義の配列、具体的には、上記に示したDDX58転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号31に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、DDX58ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_055129に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号32に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0103】
「DDX58」という用語はまた、DDX58に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号31に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号32に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号32に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号31に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0104】
「DHX9」という用語は、DExD/H-ボックスヘリカーゼ9遺伝子(Ensembl:ENSG00000135829)、例えば、NCBI参照配列NM_001357に定義の配列、具体的には、上記に示したDHX9転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号33に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、DHX9ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001348に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号34に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0105】
「DHX9」という用語はまた、DHX9に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号33に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号34に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号34に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号33に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0106】
「EZR」という用語は、Ezrin遺伝子(Ensembl:ENSG00000092820)、例えば、NCBI参照配列NM_003379に定義の配列、具体的には、上記に示したEZR転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号35に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、EZRポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_003370に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号36に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0107】
「EZR」という用語はまた、EZRに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号35に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号36に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号36に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号35に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0108】
「FYN」という用語は、FYNがん原遺伝子の遺伝子(Ensembl:ENSG00000010810)、例えば、NCBI参照配列NM_002037又はNCBI参照配列NM_153047又はNCBI参照配列NM_153048に定義の配列、具体的には、上記に示したFYN転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号37又は配列番号38又は配列番号39に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、FYNポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_002028及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_694592及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列XP_005266949に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号40又は配列番号41又は配列番号42に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0109】
「FYN」という用語はまた、FYNに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号37、配列番号38又は配列番号39に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号40、配列番号41又は配列番号42に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号40、配列番号41又は配列番号42に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号37、配列番号38又は配列番号39に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0110】
「IFI16」という用語は、インターフェロンガンマ誘導性タンパク質16遺伝子(Ensembl:ENSG00000163565)、例えば、NCBI参照配列NM_005531に定義の配列、具体的には、上記に示したIFI16転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号43に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、IFI16ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_005522に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号44に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0111】
「IFI16」という用語はまた、IFI16に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号43に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号44に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号44に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号43に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0112】
「IFIH1」という用語は、Interferon Induced With Helicase C Domain 1の遺伝子(Ensembl:ENSG00000115267)、例えば、NCBI参照配列NM_022168に定義の配列、具体的には、上記に示したIFIH1転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号45に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、IFIH1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_071451に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号46に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0113】
「IFIH1」という用語はまた、IFIH1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号45に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号46に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号46に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号45に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0114】
「IFIT1」という用語は、Interferon Induced Protein With Tetratricopeptide Repeats 1の遺伝子(Ensembl:ENSG00000185745)、例えば、NCBI参照配列NM_001270929又はNCBI参照配列NM_001548.5に定義の配列、具体的には、上記に示したIFIT1転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号47又は配列番号48に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、IFIT1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001257858及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001539に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号49又は配列番号50に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0115】
「IFIT1」という用語はまた、IFIT1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号47又は配列番号48に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号49又は配列番号50に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号49又は配列番号50に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号47又は配列番号48に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0116】
「IFIT3」という用語は、Interferon Induced Protein With Tetratricopeptide Repeats 3 の遺伝子(Ensembl:ENSG00000119917)、例えば、NCBI参照配列NM_001031683に定義の配列、具体的には、上記に示したIFIT3転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号51に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、IFIT3ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001026853に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号52に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0117】
「IFIT3」という用語はまた、IFIT3に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号51に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号52に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号52に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号51に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0118】
「KIAA1549」という用語は、ヒトKIAA1549遺伝子(Ensembl:ENSG00000122778)、例えば、NCBI参照配列NM_020910又はNCBI参照配列NM_001164665に定義の配列、具体的には、上記に示したKIAA1549転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号53又は配列番号54に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、KIAA1549ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_065961及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001158137に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号55又は配列番号56に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0119】
「KIAA1549」という用語はまた、KIAA1549に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号53又は配列番号54に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号55又は配列番号56に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号55又は配列番号56に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号53又は配列番号54に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0120】
「LAT」という用語は、T細胞の活性化のためのリンカー(Linker For Activation Of T-Cells)の遺伝子(Ensembl:ENSG00000213658)、例えば、NCBI参照配列NM_001014987又はNCBI参照配列NM_014387に定義の配列、具体的には、上記に示したLAT転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号57又は配列番号58に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、LATポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001014987及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_055202に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号59又は配列番号60に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0121】
「LAT」という用語はまた、LATに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号57又は配列番号58に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号59又は配列番号60に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号59又は配列番号60に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号57又は配列番号58に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0122】
「LCK」という用語は、LCK Proto-Oncogene遺伝子(Ensembl:ENSG00000182866)、例えば、NCBI参照配列NM_005356に定義の配列、具体的には、上記に示したLCK転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号61に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、LCKポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_005347に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号62に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0123】
「LCK」という用語はまた、LCKに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号61に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号62に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号62に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号61に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0124】
「LRRFIP1」という用語は、LRR結合FLII相互作用タンパク質1の遺伝子(Ensembl:ENSG00000124831)、例えば、NCBI参照配列NM_004735又はNCBI参照配列NM_001137550又はNCBI参照配列NM_001137553又はNCBI参照配列NM_001137552に定義の配列、具体的には、上記に示したLRRFIP1転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号63又は配列番号64又は配列番号65又は配列番号66に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、LRRFIP1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_004726及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001131022及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001131025及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001131024に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号配列番号67又は配列番号68又は配列番号69又は配列番号70に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0125】
「LRRFIP1」という用語はまた、LRRFIP1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号63又は配列番号64又は配列番号65又は配列番号66に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号67又は配列番号68又は配列番号69又は配列番号70に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号67又は配列番号68又は配列番号69又は配列番号70に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号63又は配列番号64又は配列番号65又は配列番号66に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0126】
「MYD88」という用語は、MYD88自然免疫シグナル伝達アダプターの遺伝子(Ensembl:ENSG00000172936)、例えば、NCBI参照配列NM_001172567又はNCBI参照配列NM_001172568又はNCBI参照配列 NM_001172569又はNCBI参照配列NM_001172566又はNCBI参照配列NM_002468に定義の配列、具体的には、上記に示したMYD88転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号71又は配列番号72又は配列番号73又は配列番号74又は配列番号75に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、MYD88ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001166038及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001166039及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001166040及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001166037及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_002459に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号配列番号76又は配列番号77又は配列番号78又は配列番号79又は配列番号80に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0127】
「MYD88」という用語はまた、MYD88に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号71又は配列番号72又は配列番号73又は配列番号74又は配列番号75に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号76又は配列番号77又は配列番号78又は配列番号79又は配列番号80に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号76又は配列番号77又は配列番号78又は配列番号79又は配列番号80に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号71又は配列番号72又は配列番号73又は配列番号74又は配列番号75に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0128】
「OAS1」という用語は、2’-5’-オリゴアデニレート合成酵素1の遺伝子(Ensembl:ENSG00000089127)、例えば、NCBI参照配列NM_001320151又はNCBI参照配列NM_002534又はNCBI参照配列NM_001032409又はNCBI参照配列NM_016816に定義の配列、具体的には、上記に示したOAS1転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号81又は配列番号82又は配列番号83又は配列番号84に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、OAS1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001307080及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_002525及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001027581及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_058132に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号配列番号85又は配列番号86又は配列番号87又は配列番号88に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0129】
「OAS1」という用語はまた、OAS1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号81又は配列番号82又は配列番号83又は配列番号84に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号85又は配列番号86又は配列番号87又は配列番号88に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号85又は配列番号86又は配列番号87又は配列番号88に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号81又は配列番号82又は配列番号83又は配列番号84に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0130】
「PAG1」という用語は、Phosphoprotein Membrane Anchor With Glycosphingolipid Microdomains 1の遺伝子(Ensembl:ENSG00000076641)、例えば、NCBI参照配列NM_018440に定義の配列、具体的には、上記に示したPAG1転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号89に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、PAG1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_060910に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号90に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0131】
「PAG1」という用語はまた、PAG1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号89に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号90に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号90に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号89に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0132】
「PDE4D」という用語は、ヒトホスホジエステラーゼ4Dの遺伝子(Ensembl:ENSG00000113448)、例えば、NCBI参照配列NM_001104631又はNCBI参照配列NM_001349242又はNCBI参照配列NM_001197218又はNCBI参照配列NM_006203又はNCBI参照配列NM_001197221又はNCBI参照配列NM_001197220又はNCBI参照配列NM_001197223又はNCBI参照配列NM_001165899又はNCBI参照配列NM_001165899に定義の配列、具体的には、上記に示したPDE4D転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号91又は配列番号92又は配列番号93又は配列番号94又は配列番号95又は配列番号96又は配列番号97又は配列番号98又は配列番号99に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、PDE4DポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001098101及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001336171及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001184147及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_006194及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001184150及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001184149及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001184152及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001159371及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001184148に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号100又は配列番号101又は配列番号102又は配列番号103又は配列番号104又は配列番号105又は配列番号106又は配列番号107又は配列番号108に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0133】
「PDE4D」という用語はまた、PDE4Dに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号91又は配列番号92又は配列番号93又は配列番号94又は配列番号95又は配列番号96又は配列番号97又は配列番号98又は配列番号99に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号100又は配列番号101又は配列番号102又は配列番号103又は配列番号104又は配列番号105又は配列番号106又は配列番号107又は配列番号108に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号100又は配列番号101又は配列番号102又は配列番号103又は配列番号104又は配列番号105又は配列番号106又は配列番号107又は配列番号108に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号91又は配列番号92又は配列番号93又は配列番号94又は配列番号95又は配列番号96又は配列番号97又は配列番号98又は配列番号99に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0134】
「PRKACA」という用語は、タンパク質キナーゼ cAMP-活性化触媒サブユニットアルファの遺伝子(Ensembl:ENSG00000072062)、例えば、NCBI参照配列NM_002730又はNCBI参照配列NM_207518に定義の配列、具体的には、上記に示したPRKACA転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号109又は配列番号110に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、PRKACAポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_002721及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_997401に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号配列番号111又は配列番号112に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0135】
「PRKACA」という用語はまた、PRKACAに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号109又は配列番号110に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号111又は配列番号112に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号111又は配列番号112に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号109又は配列番号110に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0136】
「PRKACB」という用語は、タンパク質キナーゼ cAMP-活性化触媒サブユニットベータの遺伝子(Ensembl:ENSG00000142875)、例えば、NCBI参照配列NM_002731又はNCBI参照配列NM_182948又はNCBI参照配列NM_001242860又はNCBI参照配列NM_001242859又はNCBI参照配列NM_001242858又はNCBI参照配列NM_001242862又はNCBI参照配列NM_001242861又はNCBI参照配列NM_001300915又はNCBI参照配列NM_207578又はNCBI参照配列NM_001242857又はNCBI参照配列NM_001300917に定義の配列、具体的には、上記に示したPRKACB転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号113又は配列番号114又は配列番号115又は配列番号116又は配列番号117又は配列番号118又は配列番号119又は配列番号120又は配列番号121又は配列番号122又は配列番号123に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、PRKACBポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_002722及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_891993及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001229789及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001229788及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001229787及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001229791及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001229790及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001287844及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_997461及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001229786及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001287846に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号124又は配列番号125又は配列番号126又は配列番号127又は配列番号128又は配列番号129又は配列番号130又は配列番号131又は配列番号132又は配列番号133又は配列番号134に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0137】
「PRKACB」という用語はまた、PRKACBに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号113又は配列番号114又は配列番号115又は配列番号116又は配列番号117又は配列番号118又は配列番号119又は配列番号120又は配列番号121又は配列番号122又は配列番号123に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号124又は配列番号125又は配列番号126又は配列番号127又は配列番号128又は配列番号129又は配列番号130又は配列番号131又は配列番号132又は配列番号133又は配列番号134に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号124又は配列番号125又は配列番号126又は配列番号127又は配列番号128又は配列番号129又は配列番号130又は配列番号131又は配列番号132又は配列番号133又は配列番号134に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号113又は配列番号114又は配列番号115又は配列番号116又は配列番号117又は配列番号118又は配列番号119又は配列番号120又は配列番号121又は配列番号122又は配列番号123に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
【0138】
「PTPRC」という用語は、タンパク質チロシンホスファターゼ受容体タイプCの遺伝子(Ensembl:ENSG00000081237)、例えば、NCBI参照配列NM__002838又はNCBI参照配列NM_080921に定義の配列、具体的には、上記に示したPTPRC転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号135又は配列番号136に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、PTPRCポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_002829及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_563578に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号137又は配列番号138に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0139】
「PTPRC」という用語はまた、PTPRCに対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号135又は配列番号136に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号137又は配列番号138に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号137又は配列番号138に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号135又は配列番号136に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0140】
「RAP1GAP2」という用語は、ヒトRAP1 GTPアーゼ活性化タンパク質2の遺伝子(ENSG00000132359)、例えば、NCBI参照配列NM_015085又はNCBI参照配列NM_001100398又はNCBI参照配列NM_001330058に定義の配列、具体的には、上記に示したRAP1GAP2転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号139又は配列番号140又は配列番号141に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、RAP1GAP2ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_055900及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001093868及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001316987に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号142又は配列番号143又は配列番号144に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0141】
「RAP1GAP2」という用語はまた、RAP1GAP2に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号139又は配列番号140又は配列番号141に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号142又は配列番号143又は配列番号144に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号142又は配列番号143又は配列番号144に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号139又は配列番号140又は配列番号141に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0142】
「SLC39A11」という用語は、ヒト溶質担体ファミリー39メンバー11の遺伝子(Ensembl:ENSG00000133195)、例えば、NCBI参照配列NM_139177又はNCBI参照配列NM_001352692に定義の配列、具体的には、上記に示したSLC39A11転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号145又は配列番号146に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、SLC39A11ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_631916及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001339621に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号147又は配列番号148に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0143】
「SLC39A11」という用語はまた、SLC39A11に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号145又は配列番号146に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号147又は配列番号148に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号147又は配列番号148に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号145又は配列番号146に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0144】
「TDRD1」という用語は、ヒトチューダードメイン含有1の遺伝子(Ensembl:ENSG00000095627)、例えば、NCBI参照配列NM_198795に定義の配列、具体的には、上記に示したTDRD1転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号149に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、TDRD1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_942090に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号150に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0145】
「TDRD1」という用語はまた、TDRD1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号149に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号150に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号150に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号149に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0146】
「TLR8」という用語は、Toll様受容体8の遺伝子(Ensembl:ENSG00000101916)、例えば、NCBI参照配列NM_138636又はNCBI参照配列NM_016610に定義の配列、具体的には、上記に示したTLR8転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号151又は配列番号152に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、TLR8ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_619542及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_057694に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号153又は配列番号154に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0147】
「TLR8」という用語はまた、TLR8に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号151又は配列番号152に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号153又は配列番号154に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号153又は配列番号154に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号151又は配列番号152に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0148】
「VWA2」という用語は、ヒトフォン・ヴィレブランド因子A ドメイン含有2の遺伝子(Ensembl:ENSG00000165816)、例えば、NCBI参照配列NM_001320804に定義の配列、具体的には、上記に示したVWA2転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号155に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、VWA2ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001307733に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号156に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0149】
「VWA2」という用語はまた、VWA2に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号155に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号156に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号156に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号155に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0150】
「ZAP70」という用語は、T細胞受容体関連プロテインキナーゼ70のゼータ鎖の遺伝子(Ensembl:ENSG00000115085)、例えば、NCBI参照配列NM_001079又はNCBI参照配列NM_207519に定義の配列、具体的には、上記に示したZAP70転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号157又は配列番号158に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、ZAP70ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001070及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_997402に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号159又は配列番号160に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0151】
「ZAP70」という用語はまた、ZAP70に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号157又は配列番号158に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号159又は配列番号160に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号159又は配列番号160に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号157又は配列番号158に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0152】
「ZBP1」という用語は、Z-DNA 結合タンパク質1遺伝子(Ensembl:ENSG00000124256)、例えば、NCBI参照配列NM_030776又はNCBI参照配列NM_001160418又はNCBI参照配列NM_001160419に定義の配列、具体的には、上記に示したZBP1転写物のNCBI参照配列の配列に対応した、配列番号161又は配列番号162又は配列番号163に定めるとおりのヌクレオチド配列のことを指し、それはまた、ZBP1ポリペプチドをコードするNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_110403及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001153890及びNCBIタンパク質アクセッション参照配列NP_001153891に定義のタンパク質配列に対応した、例えば配列番号164又は配列番号165又は配列番号166に定めるとおりの対応するアミノ酸配列にも関する。
【0153】
「ZBP1」という用語はまた、ZBP1に対して高い相同性を示すヌクレオチド配列、例えば、配列番号161又は配列番号162又は配列番号163に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、或いは配列番号164又は配列番号165又は配列番号166に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列、或いは配列番号164又は配列番号165又は配列番号166に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列、或いは配列番号161又は配列番号162又は配列番号163に定めるとおりの配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列によってコードされているアミノ酸配列を含む。
【0154】
本明細書で提供されるように、使用される生物学的サンプルは、臨床的に許容される方法で、例えば核酸(特にRNA)又はタンパク質が保存される方法で採取し得る。
【0155】
生物学的サンプル(複数可)には、体組織及び/又は体液、例えば、これらに限定されないが、血液、汗、だ液及び尿が含まれる。さらに、生物学的サンプルは、がん性上皮細胞又はがんであると疑われる組織に由来する上皮細胞等の上皮細胞に由来する細胞抽出液又はそれを含む細胞集団を含有する。生物学的サンプルは、組織、例えば腺組織由来の細胞集団を含んでもよく、例えばサンプルは対象者の乳房由来であってもよい。さらに、必要であれば、得られた体組織及び体液から細胞を精製し、生物学的サンプルとして使用することもできる。いくつかの実現例では、サンプルは、組織サンプル、体液サンプル、血液サンプル、唾液サンプル、循環腫瘍細胞を含むサンプル、細胞外小胞、乳房分泌エクソソームを含むサンプル、又は細胞株若しくはがん細胞株であってもよい。特定の一実現化では、生検又は切除サンプルを取得する、及び/又は使用する。そのようなサンプルには、細胞又は細胞ライセートが含まれる。
【0156】
したがって、一実施形態において、対象者から得られる生物学的サンプルは、生検である。さらなる好ましい実施形態において、本方法は、生検を提供又は取得することを有する。好ましい実施形態において、生検は乳房生検であり、例えば乳房からの組織又は液体である。
【0157】
生物学的サンプルの内容物を濃縮ステップに供することも考えられる。例えば、サンプルを、例えば磁性粒子で官能化された、特定の細胞種、例えば乳房細胞の細胞膜又は細胞小器官に特異的なリガンドと接触させることができる。磁性粒子によって濃縮した材料は、その後、本明細書の上記又は下記に記載の検出及び分析ステップのために使用する。
【0158】
さらに、細胞、例えば腫瘍細胞は、液体又は液体サンプル、例えば血液、尿等のろ過プロセスを介して濃縮することもできる。そのようなろ過プロセスは、本明細書の上記に記載のリガンド特異的な相互作用に基づく濃縮ステップと組み合わせることもできる。
【0159】
本明細書で提供されるような生物学的サンプルは、治療の開始前に対象者から得られることが好ましい。また、前記生物学的サンプルは乳房サンプル又は乳がんサンプルであることが好ましい。
【0160】
したがって、好ましい実施形態において、本発明による方法は、生物学的サンプルが治療の開始前に対象者から得られることを含み、好ましくは、生物学的サンプルは乳房サンプル又は乳がんサンプルである。或いは、本発明による方法は、治療の開始前に対象者から得られた生物学的サンプルを提供することを有し、好ましくは、生物学的サンプルは乳房サンプル又は乳がんサンプルである。
【0161】
本明細書において、乳がん対象者の予後は、好ましい予後であっても、好ましくない予後であってもよいことが企図される。本発明の一態様において、乳がん対象者の予後の予測は、特定の1種又は複数の予後の好ましいリスク又は好ましくないリスクの決定をもたらし得る。予後は、乳がん関連死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発を含み得る。好ましくは、乳がん関連死亡は乳がん特異的死である。本発明の方法によって提供される予測は、特定の予後に対する乳がん対象者のリスクの予測を提供することができる。さらに、本発明の方法は、乳がんを有する対象者が特定の予後のリスクが低いか、又は特定の予後のリスクが高いかを予測することができる。本明細書で使用される予後乳がん関連死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発は、対象者にとって好都合ではない予後を構成する。さらなる予後は、全死亡である。本明細書で使用される全死亡は、本発明の方法によって予測され得るが、乳がんによる対象者の死亡とは直接的に関連付けられない予後である。
【0162】
提供される本発明の方法は、乳がん対象者の予後の予測が、手術後の乳がん関連死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発の好ましいリスク又は好ましくないリスクであることを有することが好ましい。言い換えれば、手術は、特定の予後のリスクを予測する前に乳がん対象者に行われる。
【0163】
本発明の方法によって予測されるような、乳がん関連死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発の1種又は複数の予後に対する高リスク(すなわち、ある閾値以上)を有する乳がん対象者は、好ましくは手術後に、それぞれの予後に対して好ましくないリスクと関連することが企図される。
【0164】
本発明の方法によって予測される、乳がん関連死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発の1種又は複数の予後に対する低リスク(すなわち、ある閾値以下)を有する乳がん対象者は、それぞれの予後に対して、好ましくは手術後に、好ましいリスクと関連することが企図される。好ましいリスクは、対象者に対する好ましくないリスクとは異なるフォローアップ戦略、例えば、異なる推奨(フォローアップ)療法を含み得る。例えば、異なるフォローアップ戦略、例えば異なる推奨(フォローアップ)療法を、乳がん対象者、好ましくは乳房(がん)の手術を受けた対象者について、前記乳がん対象者の生存の可能性を改善するために考慮することができる。
【0165】
治療は、手術、放射線療法、ホルモン療法、細胞毒性化学療法及び/又は免疫療法を備えることが好ましい。がんにおける併用療法、すなわち、2種以上の治療方法及び/又は薬剤を組み合わせた療法、例えば放射線療法と化学療法との組合せは、がんを治療する際の礎石として広く考えられている。
【0166】
したがって、好ましい実施形態において、本発明による方法は、生物学的サンプル、好ましくは対象者の乳房又は対象者の乳がんのサンプルが、手術、放射線療法、ホルモン療法、細胞毒性化学療法及び/又は免疫療法を含む療法の開始前に得られることを有する。
【0167】
予後の好ましくないリスクは、好ましくないリスクに関連する前記乳がん対象者の推奨される療法に影響を与えることが企図される。本発明の方法によって好ましくないリスクが予測される場合には、推奨される療法が以下:
(i)標準よりも早期に提供される放射線療法;及び
(ii)放射線量を増加させた放射線療法;及び
(iii)細胞毒性化学療法、免疫療法、及び/又はホルモン療法などの補助療法;並びに
(iv)手術;及び
(v)手術以外の代替療法
のうちの1種又は複数を有することが企図される。
【0168】
好ましい実施形態において、本発明による方法は、予測、好ましくは予後に関する予測に基づいて療法が推奨されることを有し、ここで、
- 予測が好ましくない場合、推奨される療法は、好ましくは手術後に、以下:
(i)標準よりも早期に提供される放射線療法;及び
(ii)放射線量を増加させた放射線療法;及び
(iii)細胞毒性化学療法、免疫療法、及び/又はホルモン療法などの補助療法;及び
(iv)手術及び
(v)手術以外の代替療法
のうちの1種又は複数を含む。
【0169】
予後の好ましいリスクは、好ましいリスクに関連する前記乳がん対象者の推奨される療法に影響を与えることが企図される。好ましいリスクが本発明の方法によって予測される場合、推奨される療法は以下:
(vi)根治的放射線療法;及び
(vii)救済放射線療法;及び
(viii)除漸増線量レベルでの救済放射線療法;及び
(ix)経過観察
のうちの1種又は複数を有することが企図される。
【0170】
したがって、本発明による方法の別の好ましい実施形態は、予測に基づいて治療が推奨されることを有し、ここで:
- 予測が好ましい場合、推奨される療法は、好ましくは手術後に、以下:
(vi)根治的放射線療法;及び
(vii)救済放射線療法;及び
(viii)除漸増線量レベルでの救済放射線療法;及び
(ix)経過観察
のうちの1種又は複数を有する。
【0171】
本発明の一実施形態において、予後の好ましいリスク又は好ましくないリスクは、限定するものではないが、手術、好ましくは、乳腺腫瘤摘出術、四分割切除術、乳房部分切除術、分割乳房切除術又は乳房完全切除術などの乳房の手術を受けた乳がん対象者について予測される。
【0172】
本発明の別の態様では、特定の患者、好ましくは乳がん特異的死亡又は全死亡から選択される予後を被るリスクが低い又は高い患者に対して二次治療が推奨されることを有する、本発明による方法が提供され、ここで、推奨は乳がん患者の予後の予測に基づくものであり、ここで:
- 予測値が好ましい場合、二次治療は推奨されず;及び/又は
- 予測値が好ましくない場合、二次治療が推奨される。
【0173】
本明細書では、本発明による方法によって、低リスク又は高リスクのプロファイルを有する患者の術後に二次治療の有効性を予測できることが提供される。好ましくは、二次治療は、化学療法、ホルモン療法及び放射線療法のうちの1種又は複数、より好ましくは全てを有する。
【0174】
本明細書で提供される方法は、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される免疫防御応答遺伝子、並びに/又はCD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択されるT細胞受容体シグナル伝達遺伝子、並びに/又はABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択されから選択されるPDE4D7相関遺伝子から選択される少なくとも1種の遺伝子の発現レベル、例えば発現プロファイルに基づく。本方法は、1種又は複数の遺伝子の発現レベルに関連する入力に対して実行されてもよいこと、又は発現レベルを決定することが本方法の一部であってもよいことが理解される。
【0175】
さらに、本方法はプロセッサによって実行されることが想定される。したがって、一実施形態において、本発明は、乳がん対象者の予後を予測するコンピュータ実施方法に関する。
【0176】
乳がん対象者の予後を予測する方法は、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1から選択される免疫防御応答遺伝子の1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全て、並びに/又はCD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される、T細胞受容体シグナル伝達遺伝子の1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全て、並びに/又はABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択されるPDE4D7相関遺伝子の1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全ての遺伝子発現プロファイル(複数可)を決定することを有することが好ましい。
【0177】
さらなる実施形態において、乳がん対象者の予後を予測するための方法は、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1から選択される免疫防御応答遺伝子の2種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は全て、並びに/又は、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される、T細胞受容体シグナル伝達遺伝子の2種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全て、並びに/又はABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択されるPDE4D7相関遺伝子の2種以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全ての遺伝子発現プロファイル(複数可)を決定することを有する。
【0178】
好ましい一実施形態において、本発明による方法は、
- 1種又は複数の免疫防御応答遺伝子が、3種以上、好ましくは、6種以上、より好ましくは、9種以上、最も好ましくは、全ての免疫防御遺伝子を有する、及び/又は
- 1種又は複数のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子が、3種以上、好ましくは、6種以上、より好ましくは、9種以上、最も好ましくは、全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を有する、及び/又は
- 1種又は複数のPDE4D7相関遺伝子が、3種以上、好ましくは、6種以上、最も好ましくは、全てのPDE4D7相関遺伝子を有することを有する。
【0179】
したがって、本発明の方法に従って第1、第2及び/又は第3の遺伝子発現プロファイル(複数可)を決定することは、以下の決定又はその結果を受け取ることを有することが好ましい:
- AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される免疫防御応答遺伝子から選択される3種以上、好ましくは6種以上、より好ましくは、9種以上、最も好ましくは、全ての遺伝子:
- CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択されるT細胞受容体シグナル伝達遺伝子から選択される3種以上、好ましくは6種以上、より好ましくは、9種以上、最も好ましくは、全ての遺伝子及び/又は:
- ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される3種以上、好ましくは6種以上、より好ましくは、9種以上、最も好ましくは、全ての遺伝子。
【0180】
さらなる実施形態において、本発明による方法は、予後の予測を決定することが、1種又は複数の免疫防御応答遺伝子、1種又は複数のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子、及び1種又は複数のPDE4D7相関遺伝子に基づくことを有する。さらなる実施形態において、本発明による方法は、予後の予測を決定することが、2種以上の免疫防御応答遺伝子、2種以上のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子、及び2種以上のPDE4D7相関遺伝子に基づくことを有する。さらなる実施形態において、本発明による方法は、予後の予測を決定することが、3種以上の免疫防御応答遺伝子、3種以上のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子、及び3種以上のPDE4D7相関遺伝子に基づくことを有する。
【0181】
第1の参考例として、本明細書で具体化される(第1の)遺伝子発現プロファイルは、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種の免疫防御応答遺伝子を有し得る。非限定的な一例では、本明細書で具体化される遺伝子発現プロファイルは、遺伝子DDX58、DHX9及びIFI16の発現プロファイルを有する。
【0182】
さらなる参考例として、本明細書で具体化される(第2の)遺伝子発現プロファイルは、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を有し得る。非限定的な一例では、本明細書で具体化される遺伝子発現プロファイルは、遺伝子PRKACA、PRKACB、及びPTPRCの発現プロファイルを有する。
【0183】
さらなる参考例として、本明細書で具体化される(第3の)遺伝子発現プロファイルは、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種のPDE4D7相関遺伝子を含み得る。非限定的な一例では、本明細書において具体化される遺伝子発現プロファイルは、遺伝子KIAA1549、PDE4D及びRAP1GAP2の発現プロファイルを有する。
【0184】
さらなる非限定的な参考例として、本明細書で提供される遺伝子発現プロファイルは、第1、第2及び第3の遺伝子発現プロファイルを有し得、ここで、第1の遺伝子発現プロファイルは、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種の免疫防御応答遺伝子を有し:第2の遺伝子発現プロファイルはCD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を含み、第3の遺伝子発現プロファイルは、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種のPDE4D7相関遺伝子を含む。
【0185】
さらなる非限定的な参考例では、乳がんの予後を予測するための遺伝子発現プロファイルは、TLR8(IDR遺伝子)、CD2(TCR遺伝子)及びPDE4D(PDE4D7相関遺伝子)の遺伝子発現プロファイルから構成され得る。別の例では、遺伝子発現プロファイルは、OAS1及びTLR8(IDR遺伝子)、CD2(TCR遺伝子)及びPDE4D(PDE4D7相関遺伝子)の遺伝子発現プロファイル、又はTLR8(IDR遺伝子)、CD2及びPTPRC(TCR遺伝子)及びPDE4D(PDE4D7相関遺伝子)の遺伝子発現プロファイル、又はTLR8(IDR遺伝子)、CD2(TCR遺伝子)及びCUX2及びPDE4D(PDE4D7相関遺伝子)の遺伝子発現プロファイルから構成され得る。
【0186】
Cox比例ハザード回帰により、生存のようなテストしたイベントに対する複数のリスク因子の影響をオンタイムに分析することが可能になる。それに関して、リスク因子は、リスクスコア若しくは臨床病期のような2値変数若しくは離散変数であるか、又はバイオマーカーの測定値若しくは遺伝子発現の値のような連続変数である。エンドポイント(例えば、死亡又は疾患再発)の確率はハザードと呼ばれる。回帰分析においては、テストしたエンドポイントに、例えばある患者コホートにおける対象者が達したか達しなかったか(例えば、患者が死亡したか死亡しなかったか)についての情報の次に、エンドポイントまでの期間も考慮される。ハザードは、H(t)=H(t)・exp(w・V+w・V+w・V+・・・)としてモデル化され、ここでV、V、V・・・は予測変数であり、H(t)はベースラインのハザードであるがH(t)は任意の時間tにおけるハザードである。ハザード率(HR)(すなわちイベントに達するリスク)は、Ln[H(t)/H(t)]=w・V+w・V+w・V+・・・によって表され、ここで係数又は重みw、w、w・・・はCox回帰分析によって見積もられ、ロジスティック回帰分析と同様に解釈し得る。
【0187】
したがって、好ましい一実施形態において、本発明による方法は、予後の予測の決定が、第1の遺伝子発現プロファイルの組合せ、第2の遺伝子発現プロファイルの組合せ、及び第3の遺伝子発現プロファイルの組合せを、乳がん対象者の集団から導出された回帰関数と組み合わせることを有する。
【0188】
別の好ましい実施形態において、本発明による方法は、予後の予測の決定が以下:
- 免疫防御応答遺伝子の2種以上、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全てについての第1の遺伝子発現プロファイルを、乳がん対象者の集団から導出された回帰関数と組み合わせること、及び/又は
- T細胞受容体シグナル伝達遺伝子の2種以上、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てについての第2の遺伝子発現プロファイルを、乳がん対象者の集団から導出された回帰関数と組み合わせること、及び/又は
- PDE4D7相関遺伝子の2種以上、例えば2、3、4、5、6、7又は全てについての第3の遺伝子発現プロファイルを、乳がん対象者の集団から導出された回帰関数と組み合わせることを有する。
【0189】
特定の実現化では、予後の予測は以下のように決定される:
IDR_14_model: (1)
(w1 - AIM2) + (w2 - APOBEC3A) + (w3 - CIAO1) + [...] + (w14 - ZBP1)
式中、w1~w14は重みであり、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1は遺伝子の発現レベルである。
【0190】
別の特定の実現化では、予後の予測は以下のように決定される:
TCR_17_model: (2)
(w15 - CD2) + (w16 - CD247) + (w17 - CD28) + [...] + (w31 - ZAP70)
式中、w15~w31は重みであり、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70は遺伝子の発現レベルである。
【0191】
別の特定の実現化では、予後の予測は以下のように決定される:
PDE4D7_CORR_model: (3)
(w32 - ABCC5) + (w33 - CUX2) + (w34 - KIAA1549) + [...] + (w39 - VWA2)
式中、w32~w39は重みであり、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2は遺伝子の発現レベルである。
【0192】
別の特定の実現化では、予後の予測は以下のように決定される:
BRCAI_model (4)
(w42 - PDE4D7_CORR) + (w40 - IDR_14) + (w41 - TCR_17)
【0193】
別の実現化では、予後の予測は以下のように決定される:
BRCAI_model (5)
(w1 - AIM2) + (w2 - APOBEC3A) + (w3 - CIAO1) + [...] + (w14 - ZBP1) + (w15 - CD2) + (w16 - CD247) + (w17 - CD28) + [...] + (w31 - ZAP70) + (w32 - ABCC5) + (w33 - CUX2) + (w34 - KIAA1549) + [...] + (w39 - VWA2)、
式中、w1~w39は重みであり、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、ZBP1、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、ZAP70、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2は遺伝子の発現レベルである。
【0194】
また、予後の予測は、予後の予測値に基づいて、少なくとも2つのリスク群のいずれかに分類又はカテゴリー分けされる場合がある。例えば、2つのリスク群、又は3つのリスク群、又は4つのリスク群、又は5種以上の予め定義されたリスク群が存在してもよい。
【0195】
各リスク群は、予後の予測値の(重複しない)それぞれの範囲をカバーする。例えば、リスク群は、0~<0.1、又は0.1~<0.25、又は0.25~<0.5、又は0.5~1.0などの特定の臨床事象の発生確率を示すことができる。
【0196】
好ましい実施形態では、本発明による方法は、予後の予測の決定が、対象者から得られた1種又は複数の臨床的パラメータに基づくことを有する。上述したように、1種又は複数の臨床的パラメータに基づく様々な手段が検討されている。このような臨床的パラメータに基づいて予後の予測を行うことにより、予測をさらに改善することが可能となる。
【0197】
好ましい実施形態において、1種又は複数の臨床的パラメータは、少なくとも腫瘍陽性リンパ節の数を有する。より好ましくは、臨床的パラメータは腫瘍陽性リンパ節数である。
【0198】
一実施形態において、治療応答の予測の決定は、1種又は複数のIDR遺伝子、1種又は複数のTCRシグナル伝達遺伝子、及び/又は1種又は複数のPDE4D7相関遺伝子の遺伝子発現レベルを、乳がん対象者の集団から導出された回帰関数と組み合わせることを有する。
【0199】
1種又は複数のIDR遺伝子、1種又は複数のTCRシグナル伝達遺伝子、及び/又は1種又は複数のPDE4D7相関遺伝子の遺伝子発現プロファイルと、対象者から得られた1種又は複数の臨床パラメータとが、乳がん対象の集団から導出された回帰関数を用いて組み合わされることがさらに好ましい。
【0200】
また、乳がん対象者の予後を予測する方法を提供するために、1種又は複数の臨床的パラメータを、乳がん対象者集団から導出された回帰関数を用いて、第1、第2及び第3の遺伝子発現のうちの1種又は複数と組み合わせることも好ましい。
【0201】
このように、本発明による方法の好ましい実施形態において、予後の決定は、以下のうちの1種又は複数を組み合わせることを有する:
(i)1種又は複数の免疫防御応答遺伝子についての第1の遺伝子発現プロファイル(複数可);
(ii)1種又は複数のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子についての第2の遺伝子発現プロファイル(複数可);
(iii)1種又は複数のPDE4D7相関遺伝子についての第3の遺伝子発現プロファイル(複数可)、及び
(iv)乳がん対象者の集団から導出された回帰関数による、第1の遺伝子発現プロファイル、第2の遺伝子発現プロファイル、第3の遺伝子発現プロファイル、及び対象者から得られた1種又は複数の臨床パラメータの組合せ。
【0202】
別の特定の実現形態では、予後の予測は以下のように決定される:
BRCAI_clinical model (6)
(w43 - BRCAI_model) + (w44 - LN_positive)
式中、w43及びw44は重みであり、BRCAI_modelは1種又は複数のIDR遺伝子、1種又は複数のTCRシグナル遺伝子、及び/又は1種又は複数のPDE4D7相関遺伝子の発現プロファイルに基づく上述の回帰モデルであり、LN_positiveは腫瘍陽性リンパ節の数を表す。多変量Cox回帰を用いて、BRCAIと臨床データ(リンパ節転移陽性数)を組み合わせた臨床モデルを作成した。
【0203】
本明細書で使用され例示されているような適切な臨床パラメータの一例は、術後病理検査後の腫瘍陽性リンパ節転移数を表す「LN_positive」である。LN陽性乳房腫瘍は、腫瘍細胞が近傍のリンパ節に転移した乳房腫瘍である。LN陽性腫瘍は、がんの不顕性転移の前兆であることが企図されている。
【0204】
本発明による方法は、コンピュータ上で実行し得るコンピュータプログラムにおいて実施し得る。コンピュータプログラム製品には、制御プログラムが記録された(保管された)、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えばディスク、ハードドライブ等が含まれる。よく見られる形態の非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ又はその他の磁気記憶媒体、CD-ROM、DVD又はその他の光媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH(登録商標)-EPROM又は他のメモリチップ若しくはカートリッジ、或いはコンピュータがそこから読み取って使用し得るその他の非一過性媒体が含まれる。
【0205】
したがって、好ましい実施形態において、本発明はまた、プログラムがコンピュータによって実行されるとき、コンピュータに以下を有する方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムを提供する:
- 第1の遺伝子発現プロファイル、第2の遺伝子発現プロファイル及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルから選択される4種以上の遺伝子の発現レベルを備える遺伝子発現プロファイルを示すデータを受け取るステップであって、
第1の遺伝子発現プロファイルが、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子を有し、
第2の遺伝子発現プロファイルが、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全ての、T細胞受容体シグナル伝達遺伝子を有し、
第3の遺伝子発現プロファイルが、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子を含み、
前記遺伝子発現プロファイルが、対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定されるステップ、
- 前記第1の遺伝子発現プロファイル(複数可)、又は前記第2の遺伝子発現プロファイル(複数可)、又は前記第3の遺伝子発現プロファイル(複数可)、又は前記第1、第2及び第3の遺伝子発現プロファイル(複数可)に基づいて、前記対象者の予後の予測を決定するステップであって、前記予測が、乳がん関連死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発の好ましいリスク又は好ましくないリスクである、ステップ。
【0206】
代替の実施形態では、プログラムがコンピュータによって実行されると、コンピュータに以下を含む方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムが提供される:
- AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子の各々についての第1の遺伝子発現プロファイルであって、前記第1の遺伝子発現プロファイル(複数可)が、乳がん対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定される遺伝子発現プロファイル、及び/又は、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される1種又は複数、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の各々についての第2の遺伝子発現プロファイルであって、前記第2の遺伝子発現プロファイル(複数可)が、乳がん対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定される、遺伝子発現プロファイル、及び/又は、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子の各々についての第3の遺伝子発現プロファイルであって、PDE4D7相関遺伝子の各々、例えば、1、2、3、4、5、7、又は全てのPDE4D7相関遺伝子についての第3の遺伝子発現プロファイルであって、前記第3の遺伝子発現プロファイル(複数可)が、乳がん対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定される、遺伝子発現プロファイルを示すデータを受け取るステップ、
- 前記第1の遺伝子発現プロファイル(複数可)、又は前記第2の遺伝子発現プロファイル(複数可)、又は前記第3の遺伝子発現プロファイル(複数可)、又は前記第1、第2及び第3の遺伝子発現プロファイル(複数可)に基づいて、前記対象者の予後の予測を決定するステップであって、前記予測が、乳がん関連死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発の好ましいリスク又は好ましくないリスクである、ステップ。
【0207】
或いは、電波及び赤外線データ通信等の間に生成するような音波又は光波等の伝送媒体を使用して、制御プログラムがデータ信号として具現化される伝送可能な搬送波等の一過性の媒体中に、本方法の1つ以上のステップが実装される。
【0208】
典型的な方法が、1つ以上の汎用コンピュータ、専用コンピュータ(複数可)、プログラムされたマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラー及び周辺集積回路エレメント、ASIC又は他の集積回路、デジタル信号プロセッサ、ディスクリートエレメント回路等のハードワイヤード電子又はロジック回路、PLD、PLA、FPGA、グラフィックカード(Graphical card)CPU(GPU)又はPAL等のプログラマブルロジックデバイス上等に実装される。一般的に、本明細書に記載のステップを順次実施可能な有限機械を実施することが可能などんなデバイスも、乳がんの患者における治療選択のための、例示されるリスク層別化方法の1種又は複数のステップを実施するために使用することができる。理解されるように、本方法のステップは全てコンピュータで実施することができるが、いくつかの実施形態では、ステップの1種又は複数を少なくとも部分的に手動で実施することができる。
【0209】
本明細書において、本発明によるコンピュータプログラムは、乳がん対象者の予後を予測するための装置上で実施され得ることが好ましく、前記装置は、免疫防御応答遺伝子及び/又はT細胞受容体シグナル伝達遺伝子及び/又はPDE4D7相関遺伝子の遺伝子発現プロファイル(複数可)を示すデータを受信するように適合された入力を備え、前記装置は、前記1種又は複数の遺伝子発現プロファイル(複数可)に基づいて予後の予測を決定するように適合されたプロセッサをさらに備え、及び
- 適宜、医療介護者又は対象者に、予測を提供するか、又は選択に基づく治療推奨を提供するように適合された提供ユニットを備える。
【0210】
本発明のさらなる態様では、乳がん対象者の予後を予測するための装置であって:
- 遺伝子発現プロファイルを示すデータを受け取るように適合された入力部であって、遺伝子発現プロファイルが、第1、第2及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルから選択される4種以上の遺伝子の発現レベルを含み、
- 第1の遺伝子発現プロファイルが、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子を有し:
- 第2の遺伝子発現プロファイルが、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を有し:及び/又は
- 第3の遺伝子発現プロファイルが、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子を有し、
前記遺伝子発現プロファイルが、前記対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定される入力部;
- 前記4種以上の遺伝子の遺伝子発現プロファイルに基づいて放射線治療反応の予測を決定するように適合されたプロセッサ;及び
- 適宜、予測又は予測に基づく治療推奨を医療介護者又は対象者に提供するように適合された提供ユニットを備える装置を提供する。
【0211】
代替の実施形態では、乳がん対象者の予後を予測するための装置であって:
-遺伝子発現プロファイルを示すデータを受け取るように適合された入力部であり:
- AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子の各々:、
- CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される、1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の各々:及び/又は
- ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群より選択される、1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子の各々:
の遺伝子発現プロファイルを示すデータを受け取るように適合され、
前記遺伝子発現プロファイルが、対象者から得られた生物学的サンプルにおいて決定される入力部、
- 前記3種以上の遺伝子の遺伝子発現プロファイルに基づいて放射線治療反応の予測を決定するように適合されたプロセッサ及び
- 適宜、予測又は予測に基づく治療推奨を医療介護者又は対象者に提供するように適合された提供ユニットを含む、装置が提供される。
【0212】
コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置又は他のデバイス上にコンピュータプログラム命令を搭載して、一連の作業ステップをコンピュータ、他のプログラマブル装置又は他のデバイス上で実行させて、コンピュータ又は他のプログラマブル装置上で走る命令が本明細書に明記される機能/動作を実施するためのプロセスを提供するように、コンピュータ実装プロセスを生成することもできる。
【0213】
したがって、好ましい実施形態において、本発明はまた、乳がん対象から得られた生物学的サンプル及び/又はサンプル中の遺伝子発現プロファイル(複数可)を決定するための、少なくとも1種のポリメラーゼ連鎖反応プライマー、及び適宜少なくとも1種のプローブを含む、診断キットを提供する。
【0214】
遺伝子発現プロファイルを決定するための、少なくとも1種のポリメラーゼ連鎖反応プライマー、及び適宜少なくとも1種のプローブを含む前記診断キットが好ましく、遺伝子発現プロファイルは、第1、第2及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルから選択される4種以上の遺伝子の発現レベルを含み、第1の遺伝子発現プロファイルは、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子を含み:第2の遺伝子発現プロファイルは、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を有し:及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルは、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子を含む。
【0215】
代替の実施形態では、本明細書で提供される診断キットは、以下の遺伝子発現プロファイル(複数可)を決定するための、少なくとも1種のポリメラーゼ連鎖反応プライマー、及び適宜少なくとも1種のプローブを含む:
- AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子の各々:、
- CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される、1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の各々:及び/又は
- ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される、1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子の各々。
【0216】
好ましくは、本明細書に記載のキットは、対象者、好ましくは乳がんに罹患している対象者から得られた生物学的サンプルにおける遺伝子発現プロファイルの4種以上の遺伝子の発現レベルを決定するためのものである。
【0217】
別の好ましい実施形態において本発明は、乳がん対象者の予後を予測する方法における、好ましくは本明細書に広く具体化されるような診断キットの使用を提供する。
【0218】
別の好ましい実施形態において、本発明は、以下のステップを含む、方法を提供する:
- 乳がん対象者から得られた生物学的サンプルを受け取るステップ、
- 請求項13に記載のキットを使用して、生物学的サンプル中の遺伝子発現プロファイルを決定するステップであって、遺伝子発現プロファイルが、第1、第2及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルから選択される4種以上の遺伝子の発現レベルを含み、
- 第1の遺伝子発現プロファイルが、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子を有し:
- 第2の遺伝子発現プロファイルが、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を有し:及び/又は
- 第3の遺伝子発現プロファイルが、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子を有する、ステップ。
【0219】
或いは本発明は、以下の工程を含む方法を提供する:
- 乳がん対象者から得られた生物学的サンプルを受け取るステップ
- 本明細書において広範に具体化される診断キットを使用して、以下の遺伝子発現プロファイル(複数可)を決定するステップであって、
- AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子の各々:
- CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される、1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の各々:及び/又は
- ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される、1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子の各々の遺伝子発現プロファイル(複数可)を、
乳がん対象者から得られた生物学的サンプル及び/又はサンプル中で決定するステップ。
【0220】
さらなる実施形態において、本発明は、乳がん対象者の予後を予測する方法における遺伝子発現プロファイルの使用を提供し、遺伝子発現プロファイルは、第1、第2及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルから選択される4種以上の遺伝子の発現レベルを有し、ここで、第1の遺伝子発現プロファイルは、AIM2、APOBEC3A、CIAO1、DDX58、DHX9、IFI16、IFIH1、IFIT1、IFIT3、LRRFIP1、MYD88、OAS1、TLR8、及びZBP1からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は全ての免疫防御応答遺伝子を有し:第2の遺伝子発現プロファイルは、CD2、CD247、CD28、CD3E、CD3G、CD4、CSK、EZR、FYN、LAT、LCK、PAG1、PDE4D、PRKACA、PRKACB、PTPRC、及びZAP70からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は全てのT細胞受容体シグナル伝達遺伝子を有し:及び/又は第3の遺伝子発現プロファイルは、ABCC5、CUX2、KIAA1549、PDE4D、RAP1GAP2、SLC39A11、TDRD1、及びVWA2からなる群から選択される1種又は複数、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は全てのPDE4D7相関遺伝子を有し、方法は、4種以上の遺伝子についての遺伝子発現レベルに基づいて予後の予測を決定することを含み、前記予測は、乳がん関連死亡、局所領域再発及び/又は遠隔再発の好ましいリスク又は好ましくないリスクである。
【0221】
雑誌論文又は抄録、公開又は対応する特許出願、特許、又はその他の文献を含む、本明細書で引用される全ての文献は、引用文献で提示される全てのデータ、表、図、及び本文を含め、参照により本明細書に完全に組み込まれる。さらに、本明細書で引用した文献内で引用した文献の内容全体も、参照により完全に組み込まれる。
【0222】
公知の方法ステップ、従来の方法ステップ、公知の方法又は従来の方法への言及は、本発明のいかなる態様、説明又は実施形態が関連技術において開示、教示又は示唆されていることを認めるものでは決してない。
【0223】
本明細書の用語又は語法は、本明細書に提示された教示及びガイダンスに照らして、当業者が当業者の知識と組み合わせて解釈すべきものであるように、本明細書の用語又は語法は、説明のためのものであり、限定のためのものではないことを理解されたい。
【0224】
本発明の実施形態の一態様に関して説明した全ての詳細、実施形態及び好みは、本発明の他の態様又は実施形態にも同様に適用可能であり、したがって、全ての態様について、そのような全ての詳細、実施形態及び好みを個別に詳述する必要はないことが理解されるであろう。
【0225】
本発明を一般的に説明したが、実例として提供される、本発明を限定することを意図しない、以下の実施例を参照することにより、同じことがより容易に理解されるであろう。さらなる態様及び実施形態は、当技術分野の当業者には明らかであろう。
【0226】
開示された実現例に対する他の変形例は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求された発明を実施する際に、当業者によって理解され、効果を奏することができる。
【0227】
特許請求の範囲における任意の参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例
【0228】
実施例1:乳がん対象者の予後の予測
3つの遺伝子シグネチャーの分析に2つのデータセットを使用した。本明細書で使用するMETABRICデータセットは、3.240人の患者の情報を含む。これらの患者の腫瘍は異なる組織型を表している。本明細書で使用するTCGAデータセットは、1.086人の患者の情報を含む。これらの患者の腫瘍は異なる組織型を示す。
【0229】
TCGA(The Genome Cancer Atlas)で作成された遺伝子発現データは、臨床データ及び生存データとともにデータベースTCGA Breast Invasive Carcinoma, Firehose legacyからダウンロードされ、2020年3月6日にアクセスされた。METABRIC遺伝子発現データは、European Genome-Phenome Archiveからダウンロードした。臨床データ及び生存データは、補足情報(Curtisら; Nature, 2012年)からダウンロードした。両データセットとも、遺伝子発現値はlog2データとして示された。両データセット(TCGA、METABRIC)とも、各遺伝子のlog2_発現値を計算によりzスコアに変換した:
z-スコア log2_gene=((log2_gene)-(mean_samples))/(stdev_samples) (7)
【0230】
ここでlog2_geneは遺伝子ごとのlog2遺伝子発現値、mean_samplesは全サンプルにわたるlog2_gene値の数学的平均、及びstdev_samplesは全サンプルにわたるlog2_gene値の標準偏差である。
【0231】
このプロセスにより、変換されたlog2_geneは平均値0の周辺に分布し、標準偏差は1となる。目的の遺伝子の多変量解析には、各遺伝子のlog2_gene変換z-スコア値を入力として使用する。表1~3に示すような参照遺伝子が選択された。
【0232】
Cox回帰分析
14の免疫防御応答遺伝子の組合せ、17のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子の組合せ、8つのPDE4D7相関遺伝子の組合せ、及びそれらの組合せが、乳がんの予後的価値を示すかどうかを評価する試験が本明細書に提供される。Cox回帰を用いて、14の免疫防御応答遺伝子、17のT細胞受容体シグナル伝達遺伝子、及び8つのPDE4D7相関遺伝子の発現レベルを、それぞれ全生存期間に対してモデル化した。
【0233】
モデル化には、3.240人の乳がん対象者のMETABRIC(研究ID:EGAS00000000083)コホート、及び1.086人の乳がん対象者のTCGAコホートが選択された。METABRICコホートの対象者は、組織学的乳がんタイプに基づいて分けられた(表4参照)。TCGAコホート(The Cancer Genome Atlas)の対象者は、組織学的乳がんタイプに基づいて分けられた(表5参照)。
【0234】
【表4】
【0235】
【表5】
【0236】
次いで、追加的な特徴に基づき、METABRIC対象者及びTCGA対象者を分析した。組織型(悪性度、リンパ節)、TNM(病理学的T、リンパ節、転移)、NPI(Nottingham Prognostic Index)、分子(ER、PR、Her2、PAM50)、生存期間(疾患特異的及び非原因特異的)のデータが完全に得られるサンプルのみを含めた。
【0237】
このサブセットから、PAM50、生存期間、及び臨床的アノテーション、並びに遺伝子発現に関する完全な利用可能なデータに基づき、合計1.950人のMETABRIC対象者が含まれ、合計1.086人のTCGA対象者が含まれた。
【0238】
1.950人のMETABRIC対象者は、トレーニングコホート(997人)及び試験コホート(953人)の完全なデータを持つ2つのサブコホートに分割された。
【0239】
1.086人のTCGA対象者は、完全なPAM50及び生存データで解析され、その後、臨床アノテーションデータの有無に基づいて2つの群に分けられた。BRCAIモデルの検証(群1)及びBRCAI_clinical modelの検証(群2)のための完全なデータを有する2つのサブコホートが作成された。群1には673人の対象者が含まれ、グループ2(臨床アノテーション群)には563人の対象者が含まれる。METABRICの発見コホートで開発された2つのモデル(BRCAI、及びBRCAI_clinical)を、METABRICデータの解析と同じカットオフを用いて、TCGAコホートでKaplan Meier解析で検証した。
【0240】
Cox回帰関数は以下のように導かれた:
【数1】
【0241】
重みw1~w39の詳細は以下の表6に示す。
【0242】
【表6】
【0243】
PDE4D7_CORR_model、IDR_14_model、TCR_17_modelの遺伝子のlog2発現データは、発見セット及び検証セットのzスコアに変換された。各遺伝子シグネチャーのzスコアは、PDE4D7_CORRモデル、IDR_14モデル、TCR_17モデルを構築するために、疾患特異的死亡を臨床エンドポイントとして用いた多変量Cox回帰分析でトレーニングセットについて結合された。乳がん免疫スコア(BRCAI)は、3つの遺伝子モデルを用いて乳がんの全死亡をモデル化することによって構築された。BRCAIスコアはMETABRIC(MB)発見コホートで構築され、METABRIC検証コホート及びTCGA検証コホートで試験された。多変量Cox回帰で検証された臨床エンドポイントは全死亡であった。多変量Cox回帰分析の入力として、個々のCox回帰モデルから導き出されたIDR、TCR、PDE4D7_CORRシグネチャースコアを用いた。この結果として、最終的なBRCAIリスクスコアを得た。
【0244】
Cox回帰関数は以下のように導かれた:
【数2】
【0245】
BRCAI_Clinical Scoreは、METABRIC(MB)発見コホートで構築され、METABRIC検証コホート及びTCGA検証コホートで試験された。MV Cox回帰で検証された臨床エンドポイントは全死亡であった。MV Cox回帰分析の入力として、個々のCox回帰モデルから導き出されたIDR、TCR、PDE4D7_CORRシグネチャースコア、及び手術後の病理検査で決定された腫瘍陽性リンパ節数(LN_positive)が用いられた。これにより最終的なBRCAI_Clinical Scoreが得られる。
【数3】
【0246】
重み w40~w44の詳細を以下の表7に示す。
【0247】
本明細書では、BRCAI_Clinical_modelをBRCAI&Clinical_modelとも呼ぶ。
【0248】
【表7】
【0249】
Kaplan-Meier生存分析
Kaplan-Meier生存分析における3つの個別のCox回帰モデル(IDR_14_model、TCR_17_model、PDE4D7_CORR_model)及び2つの組合せモデルが検証された。異なる臨床的エンドポイント(乳がん特異的死亡;全死亡;局所再発;遠隔転移)が検証された。METABRIC発見コホートで開発された2つのモデル(BRCAI、及びBRCAI&Clinical)を、TCGAコホートでKaplan Meier解析により検証した。
【0250】
Kaplan-Meier生存曲線分析では、リスクモデル(IDR_14_model、TCR_17_model、PDE4D7_CORR_model、BRCAI_model、BCAI&Clinical_model)のCox関数をカットオフに基づいて2つのサブコホートに分類した。低リスク群と高リスク群に分ける閾値は、それぞれのCox回帰モデルによって予測された臨床的エンドポイント(予後)を経験するリスクに基づいていた。
【0251】
図1~18は、METABRICトレーニングコホートのKaplan-Meier生存曲線解析を示す。
【0252】
図19図33は、METABRIC検証コホートのKaplan-Meier生存曲線解析を示す。
【0253】
図34図40は、TCGA検証コホートのKaplan-Meier生存曲線解析を示す。
【0254】
METABRICトレーニングコホートでは、患者クラスは、作成したリスクモデル(IDR_14_model、TCR_17_model、PDE4D7_CORR_model、BRCAI_model、BCAI&Clinical_model)について対象者が試験された臨床エンドポイントである術後乳がん特異的死亡(図1~5)、術後死亡(図6~7)、局所領域再発(図8~9)、及び遠隔再発(図10~11)を経験するリスクが低いか高いかを表している。
【0255】
METABRIC検証コホートでは、患者クラスは、作成されたリスクモデル(BRCAI_model、BCAI&Clinical_model)について対象者が試験された臨床エンドポイントである乳がん特異的術後死亡(図19図20)、術後死亡(Death)(図21図22)、局所領域再発(図23図24)又は遠隔再発(図25図26)を経験するリスクが低いか高いかを表している。
【0256】
TCGA検証コホートにおける患者クラスは、作成したリスクモデル(BRCAI_model、BCAI&Clinical_model)において、対象者が術後に全死亡(Death)という試験された臨床エンドポイントを経験するリスクが低いか高いかを表している(図34図35)。
【0257】
図1図5図6図11図19図26及び図34図35に示すようなKaplan-Meier解析は、乳がん対象者の予後、例えば、乳がん特異的死亡;全死亡;局所領域再発及び遠隔転移から選択される予後を予測できることを示している。本明細書で提供されるように、ランダムに選択された遺伝子の組合せに基づくリスクモデルを使用することにより、乳がん対象者の予後の改善された予測が提供される。予後の予測により、治療の選択が改善され、生存率が向上する可能性がある。本明細書で開発されたリスクモデルを使用することにより、前記対象者の術後の治療選択肢の有効性の予測を改善することが期待できる。さらに、これにより、効果のない治療を免れる患者の苦痛が軽減され、効果のない治療に費やされる費用が削減される。全体として、本明細書で提示されるような遺伝子の変数及び重みを有するモデルに基づいて、乳がん対象者の予後を、例えば、層別化及び統計的方法論によって異なる患者リスク群における特定の予後のリスクを区別することを通して、方法論的に予測することができる。
【0258】
実施例2:PAM50乳がんサブタイプにおける予後の予測
Cox回帰モデル
本明細書で提供されるのは、BRCAI_Clinical_modelが、様々なPAM50サブタイプの予後を決定するための予後の方法を示すかどうかの試験である。異なる臨床的エンドポイント:PAM50サブタイプにおける乳がん特異的死亡及びPAM50サブタイプにおける全死亡が試験された。
【0259】
【表8】
【0260】
Kaplan-Meier生存分析
最初の実験では、Kaplan-Meier生存曲線分析のために、PAM50サブタイプを乳がん特異的死亡及び全死亡という結果についてプロットした。対象者997人のトレーニングコホート(METABRIC)、対象者975人の検証コホート(METABRIC)、対象者563人の検証コホート(TCGA)を、それぞれのPAM50サブタイプ、すなわちBasal(basal-like)、Her2(Her2-enriched)、LumA(Luminal A)、LumB(Luminal B)、Normal(正常乳がんサブタイプ)に基づいて5つのサブコホートに分類した。
【0261】
乳がん特異的死亡(図12及び図27)又は全死亡(図13(METABRIC)、図28(METABRIC)及び図36(TCGA))という予後に基づく生存が、それぞれのサブタイプを構成する別々の対象者についてプロットされた。
【0262】
さらに、各PAM50サブタイプをサブコホートとして個別に選択した。リスクモデルBRCAI_Clinical_modelのCox関数は、2つのサブコホートに分類された。すなわち、カットオフに基づいて、それぞれの予後の低リスク又は高リスクを示すサブコホートに分類された。図14図18は、PAM50サブタイプの各サブコホートについて、予後:乳がん特異的死亡に基づく訓練コホートのKaplan-Meier生存曲線解析を示す。図29図33は、PAM50サブタイプの各サブコホートについて、予後:乳がん特異的死亡に基づく検証コホートのKaplan-Meier生存曲線解析を示す。図37図40は、PAM50サブタイプの各サブコホートについて、予後:全死亡に基づく検証コホートのKaplan-Meier生存曲線解析を示す。
【0263】
本明細書において、PAM50サブタイプとして同定された乳がんを有する対象者の予後、例えば乳がん特異的死亡及び/又は全死亡は、本明細書において提供されるような遺伝子のランダムに選択された組合せに基づくリスクモデルを、1種又は複数の臨床的パラメータ、例えばLN陽性と組み合わせて使用することによって予測し得ることが実証される。
【0264】
対象者の予後の改善された予測は、特定のPAM50サブタイプとして同定された乳がんを有する治療法の選択及び潜在的な生存を改善する。本明細書で開発されたリスクモデルを使用することにより、前記対象者の術後の治療選択肢の有効性の予測を改善することが期待できる。さらに、これにより、効果のない治療を免れる患者の苦痛が軽減され、効果のない治療に費やされる費用が削減されるであろう。
【0265】
実施例3:二次化学療法、ホルモン療法、放射線療法後の乳がん患者の予後の予測
Cox回帰分析
本明細書では、乳がん患者における手術後の化学療法、ホルモン療法、放射線療法からなる二次治療の予後のリスクを検証し定量化するための傾向一致分析が提供される。METABRICコホートから乳がん対象者186人のサブコホートが選択された。このサブコホートは、低リスク(#60)又は高リスク(#125)を有する層別化に基づいて、2群に分割された。異なる臨床的エンドポイント:乳がん特異的死亡;全死亡が検証された。Cox回帰モデルの変数及び重みを表9に示す。
【0266】
【表9】
【0267】
Kaplan Meier曲線分析
Kaplan Meier生存曲線分析は、対象者を2つの別々のグループに分離した。各Kaplan Meier分析について、二次治療を受けなかった群、及び二次治療を受けた群が示される。結果を図41~44に示す。生存期間はそれぞれの図に示されている。
【0268】
図41及び図42は、乳がん特異的死亡をエンドポイントとするMETABRIC低リスクコホート及び高リスクコホートのKaplan Meier生存曲線解析を示す。
【0269】
図43及び図44は、全死亡をエンドポイントとするMETABRIC低リスクコホート及び高リスクコホートのKaplan Meier生存曲線解析を示す。
【0270】
本明細書において、乳がんを有する低リスク及び/又は高リスク対象者の、全ての二次治療を投与した後又は二次治療を投与しない後の予後が、本発明の方法を使用することによって予測し得ることが実証される。前記二次治療は、対象者への化学療法、ホルモン療法及び放射線療法の投与を有する。
【0271】
対象者の予後の改善された予測は、二次治療の選択を改善し、乳がんを有する対象者の生存を改善する可能性がある。本明細書で開発されたリスクモデルを使用することにより、対象者の術後の二次治療の選択肢の有効性の予測を改善することが期待できる。さらに、このモデルはまた、効果のない二次治療を免れる患者の苦痛を軽減し、効果のない二次治療に費やされる費用を削減するであろう。
【0272】
実施例4.4種以上の遺伝子を用いた遺伝子シグネチャーの検証
本発明者らは、異なる遺伝子発現プロファイル(免疫防御、T細胞シグナル伝達、PDE4D7関連)から遺伝子のサブセットを使用すれば、患者を層別化するのに十分であろうと考えた。この仮説を検証するために、以下に述べるようにランダムな遺伝子のサブセットを選択し、モデル及び上記と同じデータセットで使用した。
【0273】
遺伝子のランダム選択は以下のように行われた:
5つのモデルは6つの遺伝子のランダムな選択で作られた:
BRCAI_6.1及びBRCAI_6.2は、免疫防御、T細胞シグナル伝達、PDE4D7関連遺伝子セットのそれぞれから2つの遺伝子で構成されている;
【0274】
BRCAI_6.3、BRCAI_6.4及びBRCAI_6.5は、免疫防御、T細胞シグナル伝達及びPDE4D7関連遺伝子セットのそれぞれから少なくとも1種の遺伝子で構成されている;
【0275】
BRCAI_6.6、及びBRCAI_6.7は、PDE4D7関連遺伝子セットから選択された4つの遺伝子で構成されている;
【0276】
BRCAI_6.8、及びBRCAI_6.9は、免疫防御遺伝子セットから選択された4つの遺伝子で構成されている;
【0277】
BRCAI_6.10、及びBRCAI_6.11は、T細胞シグナル伝達遺伝子セットから選択された4つの遺伝子で構成されている。
【0278】
【表10】
【0279】
ここで、PDE4D7はPDE4D7相関遺伝子セット、IDRは免疫防御応答遺伝子セット、TCRはT細胞受容体シグナル伝達遺伝子セットを指す。
【0280】
これら11のモデルを用いて得られた結果を図45図55に示す。図中のp値(各比較のp値は0.05以下)で示されるように、全てのモデルで患者群が有意に分離された。これらの結果から、本発明者らは、患者を層別化し、乳がん患者の予後を予測するには、3つの遺伝子プロファイルから選択された最低4つの遺伝子で十分であると結論した。
【0281】
2021PF00566 SEQ LISTと題する添付の配列リストは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
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【配列表】
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【国際調査報告】