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特表2024-544752空中汚染物質を除去するためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-04
(54)【発明の名称】空中汚染物質を除去するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A47C 21/04 20060101AFI20241127BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20241127BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20241127BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20241127BHJP
   F24F 13/06 20060101ALI20241127BHJP
   F24F 8/60 20210101ALI20241127BHJP
   A47C 19/02 20060101ALI20241127BHJP
   A61G 10/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
A47C21/04 A
A61L9/01 Q
A47C21/04 B
A47C21/04 E
F24F7/003
F24F7/06 B
F24F13/06 A
F24F8/60
A47C19/02 A
A61G10/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527179
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-07-02
(86)【国際出願番号】 US2022049256
(87)【国際公開番号】W WO2023081506
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/276,678
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524170898
【氏名又は名称】エアチューリップ インク.
【氏名又は名称原語表記】AIRTULIP INC.
【住所又は居所原語表記】28 Jones Street, New York, NY 10014(US)
(74)【代理人】
【識別番号】100098899
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 信市
(74)【代理人】
【識別番号】100163865
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 健
(72)【発明者】
【氏名】デ ジョン,アージェン
【テーマコード(参考)】
3L058
3L080
4C180
4C341
【Fターム(参考)】
3L058BD02
3L058BE08
3L058BG01
3L058BG03
3L058BG04
3L080BA02
3L080BB05
4C180AA03
4C180HH05
4C180MM06
4C341KL07
(57)【要約】
ベッド上方の規定の空間から空中汚染物質を除去するための装置が提供される。装置は、規定の空間に隣接する空気流出口を備えたベッドのヘッドボードと、規定の空間の外側で前記ベッド又はヘッドボードに内蔵された空気流入口と、を含む。そして、装置は、入口から出口に空気を輸送するための導管と、空気流入口から空気流出口に輸送される空気から空中汚染物質を抽出するための、導管内の又は導管に隣接した空気処理モジュールと、空気流入口と空気流出口との間で空気流を発生させるための、導管内の又は導管に隣接した空気流発生器と、を提供する。そして、空気流出口は、ヘッドボード内のプレナムを有し、プレナムは、多孔表面を有する出口エリアを通じて規定の空間に空気を入れ、出口エリアは、それ以外は実質的に遮られていない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド上方の規定の空間から空中汚染物質を除去するための装置であって、
前記規定の空間に隣接する空気流出口を備えた、ベッドのヘッドボードと、
前記規定の空間の外側で前記ベッド又は前記ヘッドボードに内蔵された空気流入口と、
前記空気流入口から前記空気流出口に空気を輸送するための導管と、
前記空気流入口から前記空気流出口に輸送される空気から空中汚染物質を抽出するための、前記導管内の又は前記導管に隣接した空気処理モジュールと、
前記空気流入口と前記空気流出口との間で空気流を発生させるための、前記導管内の又は前記導管に隣接した空気流発生器と、を備え、
前記空気流出口は、前記ヘッドボード内のプレナムを備え、前記プレナムは、多孔表面を有する出口エリアを通じて前記規定の空間に空気を入れ、前記出口エリアは、それ以外は実質的に遮られていない、装置。
【請求項2】
前記出口エリアは、栓流のためのエリアを定め、前記エリアは、押し出しされたとき、前記規定の空間内に呼吸ゾーンを含め、前記栓流は、前記ヘッドボードの前面に対して直角に延びて前記呼吸ゾーンに入る、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記呼吸ゾーンは、前記ベッドの睡眠面に隣接し、前記出口エリアの下端は、前記睡眠面の端部と位置合わせされる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ヘッドボードは上端を有し、前記出口エリアは上端を有し、前記出口エリアの前記上端は、前記ヘッドボードの前記上端から離間されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記出口エリアは、前記出口エリアの前記上端を前記ヘッドボードに近づける又は前記ヘッドボードから遠ざけることにより調節可能である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記上端の位置は、前記ベッドにいるときのユーザの頭部の高さに基づいて選択される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記規定の空間は、前記ベッドの睡眠面に隣接し、前記出口エリアの下端が調節可能であり、それにより、前記ベッドの前記睡眠面上のマットレス、枕、又はベッドスプレッドの上面と位置合わせすることができる、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記規定の空間は前記ベッドの睡眠面に隣接し、前記出口エリアの上端は湾曲しており、それにより、前記上端の頂点が、ユーザの予想頭部位置に隣接するようになっている、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記ヘッドボードは、垂直方向に対してある角度で延び、それにより、前記栓流が前記ヘッドボードの前記前面に対して直角に延びるとき、前記栓流は水平方向に対してある角度で延びる、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記垂直方向に対する前記角度は、前記栓流と前記ベッドの睡眠面との間の隔離を防止するのに十分に小さい、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記出口エリアの上端は、前記栓流の前記上端の上方に形成され拡大していく剪断層が使用中に閾値量だけユーザの頭部の上方に留まるように配置される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記出口エリアの前記上端は、前記閾値量の間隙をもたらすには不十分な高さにあるが、前記規定の空間は、前記ヘッドボードの前記角度により前記出口エリアを離れた後に上方に向かって延びる、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記プレナムは、前記ヘッドボードの筐体を支持するための剛体支持体を備え、前記剛体支持体は前記出口エリアを縁取り、それにより、前記実質的に遮られていないエリアが支持体で遮られないようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記多孔表面は、前記空気処理モジュールの少なくとも一部分を構成する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記プレナムは、前記出口エリアで前記プレナムを支持する、流れに沿った支持構造を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記プレナムは、前記遮られていないエリアを縁取る、流れに沿っていない追加的な支持体を備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記出口エリアは、2つの別個の出口区画を備え、前記流れに沿っていない追加的な支持体は、前記2つの別個の出口区画を分割する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記2つの別個の出口区画は独立して制御可能である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記流れに沿った支持構造は、流れの方向を少なくとも部分的に定めるのに十分な奥行きを有する、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
前記出口エリアは、栓流のためのエリアを定め、前記エリアは、押し出しされたとき、前記規定の空間に対応し、前記栓流は、前記流れに沿った支持構造によって定められる方向に延びる、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記流れに沿った支持構造によって定められる前記方向が、前記ヘッドボードの前面に対して直角の方向とは異なる、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記プレナムは支持構造を備え、前記多孔表面は前記支持構造に固定され、前記支持構造は、空気流を遮らないように十分に細い又は流れに沿った支持要素を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記多孔表面は、パッド入りの布地表面であり、前記布地表面は、目に見える縫い目で前記支持構造に縫い付けられている、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記支持要素は張力要素であり、前記目に見える縫い目は、視覚的効果のために前記ヘッドボードに沿って対称に位置付けられている、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記支持構造の支持構成要素は、完全に前記出口エリア内に含まれ、前記出口エリアの最上端にも側部端にも延びていない、請求項22に記載の装置。
【請求項26】
前記空気処理モジュールは、前記規定の空間に入れられる前記空気流の少なくとも一部において酸素レベルを増加させるための酸素化モジュールをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項27】
複数の空気処理モジュールが設けられ、前記複数の空気処理モジュールのうち第1の空気処理モジュールは、前記規定の空間に入れられる前記空気流の前記少なくとも一部において酸素レベルを増加させ、前記複数の空気処理モジュールのうち第2の空気処理モジュールは、前記規定の空間に入れられる前記空気流の第2の部分において酸素レベルを増加させない、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記空気流発生器は、前記ベッドの上面の高さより下で前記ヘッドボードの基部に内蔵される、請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記プレナムの前面と前記空気流発生器との間の空間が妨害物によって遮られ、それにより、前記空気流発生器からの空気は、前記妨害物の周りを通った後に前記プレナムに入る、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記妨害物は、前記プレナムから前記空気流発生器への見通し線を遮る、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記妨害物は、空気流を遮るための一連のバッフルを備える、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記空気流発生器と前記妨害物との間に位置付けられた副プレナムをさらに備え、それにより、前記空気流発生器からの空気流は、前記副プレナムに入れられ、次いで前記副プレナムから前記プレナムに進むようになっている、請求項29に記載の装置。
【請求項33】
前記副プレナムは、羽根を有する空気分配モジュールを備え、前記空気分配モジュールは、前記副プレナムから前記プレナムに入れられる空気の分配を決定する、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記妨害物は、前記副プレナムと前記プレナムとの間にある、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記妨害物は可動パネルを備え、前記ヘッドボード内の前記可動パネルの構成は、前記空気流発生器からの空気流がとる進路を定める、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記可動パネルの前記構成は、前記プレナム内の圧力のレベル及び前記ヘッドボードの外部で検知可能な騒音のレベルを決定する、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記可動パネルの動きは受動的であり、前記空気流発生器の設定に応答する、請求項35に記載の装置。
【請求項38】
前記可動パネルの動きは、前記プレナム内の圧力レベルを前記ヘッドボードの外側で検知可能な騒音レベルに対して平衡させるために、コントローラによって能動的に制御される、請求項35に記載の装置。
【請求項39】
少なくとも1つのノイズセンサをさらに備え、前記可動パネルは、前記騒音のレベルを閾値以下に維持するために、前記コントローラによって調節される、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記コントローラは、前記空気流発生器をさらに制御し、前記可動パネルを調節して騒音レベルを低減すると、前記コントローラは、空気流を望まれるレベルに維持するために前記空気流発生器の出力を増大させる、請求項38に記載の装置。
【請求項41】
前記空気流発生器は前記副プレナムを加圧し、それが次いで前記プレナム内の圧力レベルを制御する、請求項32に記載の装置。
【請求項42】
前記空気流発生器は遠心ファンであり、前記遠心ファンの遠心ホイールが前記副プレナム内にある、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記空気流発生器は、低い回転率で回転する特大ブレードを有する遠心ファンを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項44】
前記空気流発生器は、軸方向吸気口を有する遠心ファンを備え、前記空気流入口からの空気流は、前記遠心ファンの軸に対して実質的に直角の方向を有する導管で前記軸方向吸気口に導かれ、前記軸方向吸気口は、前記導管の背壁から第1の距離だけ離間されている、請求項1に記載の装置。
【請求項45】
前記空気流発生器は、前記導管内の空気流を、前記空気流のいくつかの部分が前記導管の前記方向以外の方向から前記軸方向吸気口に接近するように方向転換するためのガイド要素をさらに備える、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記ガイド要素は、前記第1の距離にわたって延びる多孔質の又は穿孔された円筒形シュラウドであり、前記軸方向吸気口に入る空気流は、最初に前記円筒形シュラウドを通るようになっている、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
前記ガイド要素は、空気流を前記軸方向吸気口を中心に実質的に均一に導くための複数の羽根を備える、請求項45に記載の装置。
【請求項48】
前記空気処理モジュールは、前記多孔表面に隣接した濾過装置を備え、前記空気処理モジュールは空気流を遮らない、請求項1に記載の装置。
【請求項49】
ファンアセンブリであって、
遠心出口と、
軸方向吸気口と、
前記軸方向吸気口に対して実質的に直角に延びる吸気導管と、
前記軸方向吸気口の隣で空気流を方向転換するためのガイド要素と、を備え、
前記軸方向吸気口は、前記吸気導管の背壁から第1の距離だけ離間されており、
前記ガイド要素は、空気流を、前記空気流のいくつかの部分が前記吸気導管の方向以外の方向から前記軸方向吸気口に接近するように方向転換する、ファンアセンブリ。
【請求項50】
前記ガイド要素は、前記第1の距離にわたって延びる多孔質の又は穿孔された円筒形シュラウドであり、前記軸方向吸気口に入る空気流は、最初に前記円筒形シュラウドを通るようになっている、請求項49に記載のファンアセンブリ。
【請求項51】
前記ガイド要素は、空気流を前記軸方向吸気口を中心に実質的に均一に導くための複数の羽根を備える、請求項49に記載のファンアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年11月8日に出願された米国仮特許出願第63/276,678号からの優先権を取得し、同出願の内容は全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、空気の換気及び処理システムに関する。
【背景技術】
【0003】
望ましくない空中粒子が存在するシナリオでは、人々がその粒子を吸い込み得るというリスクがある。様々な規制が実施される場合があり、特定のリスクが知られていることもある。
【0004】
現代の換気及び浄化デバイスは、一般に、周辺流及び周囲空気と迅速に混ざり合う空気流を操作する。呼吸される空気がフィルタから来たものであるという確信はあり得ないため、濾過のみで人の周囲の空気の起源を制御することはできない。
【0005】
空中汚染物質から対象者を保護することを可能にする方法が必要とされている。これは、局所化された空気の流れとその処理を制御することによるものであってよい。これは、対象者が就寝しているときなど、対象者が特定の場所に長時間存在する状況において特に重要である。
【0006】
この必要性は、同様に、汚染物質及び低品質の空気への曝露に関連する特定の過敏性やリスクを有する対象者にとって特に重要である。例えば、アレルギー、喘息、花粉に対する過敏性、不良な空気品質、森林火災の煙等に対する過敏性のある人々に、周囲空気から独立したままの浄化された空気が供給されると有益である。そのような手法はまた、空中ウィルス又はバクテリア負荷などの疾患の予防も支援することになる。
【0007】
人々が眠ったり休息したりするときに、呼吸ゾーンの位置付けが抑制される。これは、空気を局所的に制御する方法を可能にし得る。
【0008】
したがって、睡眠中にユーザの周囲の呼吸ゾーンの空気品質を制御することが可能な装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、空気処理システムを有する空間の少なくとも一部を包含する1又は2以上の流れ制御要素を備えたシステムに関し、空気処理システム内では、制御された処理済みの空気のゾーンが対象者の周りに作り出される。いくつかの実施形態及び要素が、異なる詳細レベルで図示される。
【0010】
いくつかの実施形態では、ベッド上方の規定の空間から空中汚染物質を除去するための装置が提供される。装置は、規定の空間に隣接する空気流出口を備えた、ベッドのヘッドボードと、規定の空間の外側でベッド又はヘッドボードに内蔵された空気流入口と、を含む。
【0011】
そして、装置は、空気流入口から空気流出口に空気を輸送するための導管と、空気流入口から空気流出口に輸送される空気から空中汚染物質を抽出するための、導管内の又は導管に隣接した空気処理モジュールと、空気流入口と空気流出口との間で空気流を発生させるための、導管内の又は導管に隣接した空気流発生器と、を提供する。
【0012】
そして、空気流出口は、ヘッドボード内のプレナムを備え、プレナムは、多孔表面を有する出口エリアを通じて規定の空間に空気を入れ、出口エリアは、それ以外は実質的に遮られていない。
【0013】
いくつかのそのような実施形態では、出口エリアは、栓流のためのエリアを定め、このエリアは、押し出しされたとき、規定の空間内に呼吸ゾーンを含め、栓流は、ヘッドボードの前面に対して直角に延びて呼吸ゾーンに入る。
【0014】
いくつかのそのような実施形態では、呼吸ゾーンがベッドの睡眠面に隣接し、出口エリアの下端は、睡眠面の端部と位置合わせされる。
【0015】
いくつかのそのような実施形態では、ヘッドボードは上端を有し、出口エリアは上端を有し、出口エリアの上端は、ヘッドボードの上端から離間されている。
【0016】
いくつかのそのような実施形態では、出口エリアは、出口エリアの上端をヘッドボードに近づける又はヘッドボードから遠ざけることにより調節可能である。いくつかのそのような実施形態では、上端の位置は、ベッドにいるときのユーザの頭部の高さに基づいて選択される。
【0017】
いくつかの実施形態では、規定の空間は、ベッドの睡眠面に隣接する。そして、出口エリアの下端は調節可能であってよく、それにより、ベッドの睡眠面上のマットレス、枕、又はベッドスプレッドの上面と位置合わせすることができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、規定の空間はベッドの睡眠面に隣接し、出口エリアの上端は湾曲しており、それにより、上端の頂点が、ユーザの予想頭部位置に隣接するようになっている。
【0019】
いくつかの実施形態では、ヘッドボードは、垂直方向に対してある角度で延びる。したがって、栓流がヘッドボードの前面に対して直角に延びるとき、栓流は、水平方向に対してある角度で延びる。
【0020】
いくつかのそのような実施形態では、垂直方向に対する角度は、栓流とベッドの睡眠面との間の隔離を防止するのに十分に小さい。
【0021】
いくつかのそのような実施形態では、出口エリアの上端は、栓流の上端の上方に形成され拡大していく剪断層が使用中に閾値量だけユーザの頭部の上方に留まるように配置される。いくつかのそのような実施形態では、出口エリアの上端は、閾値量の間隙をもたらすには不十分な高さにあるが、規定の空間は、ヘッドボードの角度により出口エリアを離れた後に上方に向かって延びる。
【0022】
いくつかの実施形態では、プレナムは、ヘッドボードの筐体を支持するための剛体支持体を備える。そして、剛体支持体は出口エリアを縁取り、それにより、上記実質的に遮られていないエリアが支持体で遮られないようになっている。
【0023】
いくつかの実施形態では、多孔表面は、空気処理モジュールの少なくとも一部分を構成する。
【0024】
いくつかの実施形態では、プレナムは、出口エリアでプレナムを支持する、流れに沿った支持構造を備える。いくつかのそのような実施形態では、プレナムが、遮られていないエリアを縁取る、流れに沿っていない追加的な支持体を備える。
【0025】
いくつかのそのような実施形態では、出口エリアは、2つの別個の出口区画を備える。そして、流れに沿っていない追加的な支持体は、この2つの別個の出口区画を分割する。いくつかのそのような実施形態では、2つの別個の出口区画が独立して制御可能である。
【0026】
いくつかの実施形態では、流れに沿った支持構造が、流れの方向を少なくとも部分的に定めるのに十分な奥行きを有する。いくつかのそのような実施形態では、出口エリアが、栓流のためのエリアを定め、エリアは、押し出しされたとき、規定の空間に対応し、栓流は、流れに沿った支持構造によって定められる方向に延びる。いくつかのそのような実施形態では、流れに沿った支持構造によって定められる方向が、ヘッドボードの前面に対して直角の方向とは異なる。
【0027】
いくつかの実施形態では、プレナムは支持構造を備え、多孔表面は支持構造に固定される。そして、支持構造は、空気流を遮らないように十分に細い又は流れに沿った支持要素を備える。
【0028】
いくつかのそのような実施形態では、多孔表面は、パッド入りの布地表面であり、布地表面は、目に見える縫い目で支持構造に縫い付けられている。いくつかのそのような実施形態では、支持要素は張力要素であり、目に見える縫い目は、視覚的効果のためにヘッドボードに沿って対称に位置付けられている。
【0029】
いくつかの実施形態では、支持構造の支持構成要素は、完全に出口エリア内に含まれ、出口エリアの最上端にも側部端にも延びていない。
【0030】
いくつかの実施形態では、空気処理モジュールは、規定の空間に入れられる空気流の少なくとも一部において酸素レベルを増加させるための酸素化モジュールを含む。
【0031】
いくつかのそのような実施形態では、複数の空気処理モジュールが設けられ、複数の空気処理モジュールのうち第1の空気処理モジュールは、規定の空間に入れられる空気流の少なくとも一部において酸素レベルを増加させ、複数の空気処理モジュールのうち第2の空気処理モジュールは、規定の空間に入れられる空気流の第2の部分において酸素レベルを増加させない。
【0032】
いくつかの実施形態では、空気流発生器は、ベッドの上面の高さより下でヘッドボードの基部に内蔵される。
【0033】
いくつかのそのような実施形態では、プレナムの前面と空気流発生器との間の空間が妨害物によって遮られ、それにより、空気流発生器からの空気は、妨害物の周りを通った後にプレナムに入る。
【0034】
いくつかのそのような実施形態では、妨害物は、プレナムから空気流発生器への見通し線を遮る。
【0035】
いくつかの実施形態では、妨害物は、空気流を遮るための一連のバッフルを備える。
【0036】
いくつかの実施形態では、装置は、空気流発生器と妨害物との間に位置付けられた副プレナムを含み、それにより、空気流発生器からの空気流は、副プレナムに入れられ、次いで副プレナムからプレナムに進むようになっている。
【0037】
いくつかのそのような実施形態では、副プレナムは、羽根を有する空気分配モジュールを備え、空気分配モジュールは、副プレナムからプレナムに入れられる空気の分配を決定する。
【0038】
副プレナム及び妨害物を有するいくつかの実施形態では、妨害物は、副プレナムとプレナムとの間にある。いくつかのそのような実施形態では、妨害物は可動パネルを備え、ヘッドボード内の可動パネルの構成は、空気流発生器からの空気流がとる進路を定める。いくつかのそのような実施形態では、可動パネルの構成は、プレナム内の圧力のレベル及びヘッドボードの外部で検知可能な騒音のレベルを決定する。
【0039】
パネル型の妨害物を有するいくつかの実施形態では、可動パネルの動きは受動的であり、空気流発生器の設定に応答する。
【0040】
他の実施形態では、可動パネルの動きは、プレナム内の圧力レベルをヘッドボードの外側で検知可能な騒音レベルに対して平衡させるために、コントローラによって能動的に制御される。
【0041】
いくつかのそのような実施形態では、装置は、少なくとも1つのノイズセンサを含み、可動パネルは、騒音のレベルを閾値以下に維持するために、コントローラによって調節される。
【0042】
いくつかのそのような実施形態では、コントローラは空気流発生器をさらに制御し、可動パネルを調節して騒音レベルを低減すると、コントローラは、空気流を望まれるレベルに維持するために空気流発生器の出力を増大させる。
【0043】
いくつかの実施形態では、空気流発生器は副プレナムを加圧し、それが次いでプレナム内の圧力レベルを制御する。
【0044】
いくつかのそのような実施形態では、空気流発生器は遠心ファンであり、遠心ファンの遠心ホイールが副プレナム内にある。
【0045】
いくつかの実施形態では、空気流発生器は、低い回転率で回転する特大ブレードを有する遠心ファンである。
【0046】
いくつかの実施形態では、空気流発生器は、軸方向吸気口を有する遠心ファンである。そして、空気流入口からの空気流は、遠心ファンの軸に対して実質的に直角の方向を有する導管で軸方向吸気口に導かれる。軸方向吸気口は、背壁から第1の距離だけ離間されている。いくつかのそのような実施形態では、空気流発生器は、導管内の空気流を、空気流のいくつかの部分が導管の方向以外の方向から軸方向吸気口に接近するように方向転換するためのガイド要素をさらに含む。
【0047】
いくつかのそのような実施形態では、ガイド要素は、第1の距離にわたって延びる多孔質の又は穿孔された円筒形シュラウドであり、軸方向吸気口に入る空気流は、最初に円筒形シュラウドを通るようになっている。
【0048】
いくつかの実施形態では、ガイド要素は、空気流を軸方向吸気口を中心に実質的に均一に導くための複数の羽根を備える。
【0049】
いくつかの実施形態では、空気処理モジュールは、多孔表面に隣接した濾過装置を含み、空気処理モジュールは空気流を遮らない。
【0050】
ファンアセンブリも提供される。そのようなアセンブリは、遠心出口と、軸方向吸気口と、軸方向吸気口に対して実質的に直角に延びる吸気導管と、を含む。アセンブリは、軸方向吸気口の隣で空気流を方向転換するためのガイド要素をさらに含む。軸方向吸気口は、吸気導管の背壁から第1の距離だけ離間されており、ガイド要素は、空気流を、空気流のいくつかの部分が吸気導管の方向以外の方向から軸方向吸気口に接近するように方向転換する。
【0051】
いくつかのそのような実施形態では、ガイド要素は、第1の距離にわたって延びる多孔質の又は穿孔された円筒形シュラウドであり、軸方向吸気口に入る空気流は、最初に円筒形シュラウドを通るようになっている。
【0052】
いくつかの実施形態では、ガイド要素は、空気流を軸方向吸気口を中心に実質的に均一に導くための複数の羽根を備える。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1A】本開示に関係する様々な流れの原理を説明する図である。
図1B】本開示に関係する様々な流れの原理を説明する図である。
図1C】本開示に関係する様々な流れの原理を説明する図である。
図1D】本開示に関係する様々な流れの原理を説明する図である。
【0054】
図2A】ベッドの隣にある本開示による装置の図である。
【0055】
図2B】規定の空間から空中汚染物質を除去するための図2Aの装置の使用を示す図である。
図2C】規定の空間から空中汚染物質を除去するための図2Aの装置の使用を示す図である。
【0056】
図3A】空気から空中汚染物質を濾過するのに使用される典型的な濾過デバイスを示す図である。
【0057】
図3B図3Aの濾過デバイスを利用することの影響を示す図である。
図3C図3Aの濾過デバイスを利用することの影響を示す図である。
図3D図3Aの濾過デバイスを利用することの影響を示す図である。
【0058】
図4A】本開示による規定の空間の例を示す図である。
【0059】
図4B】装置を使用して本開示による規定の空間を定める例を示す図である。
【0060】
図4C】適切に配置された及び不適切に配置された構造要素を含む装置の例を示す図である。
【0061】
図5A】ベッドに対する、本開示による装置の位置付けを示す図である。
図5B】ベッドに対する、本開示による装置の位置付けを示す図である。
【0062】
図5C】ベッドに対してある角度で配置され、位置付けられた、本開示による装置を示す図である。
【0063】
図5D】本開示による装置の別の実施形態を示す図である。
【0064】
図6A】本明細書に記載される装置の文脈で使用されている多孔表面を示す図である。
図6B】本明細書に記載される装置の文脈で使用されている多孔表面を示す図である。
図6C】本明細書に記載される装置の文脈で使用されている多孔表面を示す図である。
【0065】
図6D】本明細書に記載される装置の文脈で使用されている多孔表面の代替実施形態を示す図である。
図6E】本明細書に記載される装置の文脈で使用されている多孔表面の代替実施形態を示す図である。
図6F】本明細書に記載される装置の文脈で使用されている多孔表面の代替実施形態を示す図である。
図6G】本明細書に記載される装置の文脈で使用されている多孔表面の代替実施形態を示す図である。
【0066】
図7A】本開示による、完全内蔵型の装置を示す図である。
図7B】本開示による、完全内蔵型の装置を示す図である。
図7C】本開示による、完全内蔵型の装置を示す図である。
【0067】
図8A図7Aの装置の文脈で使用するためのファンアセンブリを示す図である。
【0068】
図8B図7Aの装置の概略図である。
図8C図7Aの装置の概略図である。
図8D図7Aの装置の概略図である。
図8E図7Aの装置の概略図である。
図8F図7Aの装置の概略図である。
図8G図7Aの装置の概略図である。
【0069】
図9】本開示による完全内蔵型の装置の代替実施形態を示す図である。
【0070】
図10A】追加的な特徴を含んでいる、本開示による装置の実施形態を示す図である。
【0071】
図10B】追加的な特徴を含んでいる、本開示による装置の代替実施形態を示す図である。
【0072】
図10C】2つのゾーン及び追加的な特徴を含んでいる、本開示による装置の代替実施形態を示す図である。
【0073】
図10D】追加的な特徴を含んでいる、本開示による装置の代替実施形態を示す図である。
図10E】追加的な特徴を含んでいる、本開示による装置の代替実施形態を示す図である。
【0074】
図10F】本開示による装置の二重ゾーン実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
本発明の原理による例示的実施形態の説明は、記載される説明全体の一部とみなされるべき添付図面との関連で読まれることが意図される。本明細書に開示される本発明の実施形態の説明では、方向又は向きの参照がある場合、それは単に説明の便宜のためであり、本発明の範囲を制限することは決して意図されない。「下部」、「上部」、「横」、「縦」、「上方」、「下方」、「上」、「下」、「最上部」、「最下部」などの相対的な語並びにその派生形(例えば「横に」、「下方に」、「上方に」等)は、その時に説明されている又は説明中の図面に示される向きを指すものと解釈すべきである。これらの相対的な語は、説明の便宜のために過ぎず、その旨が明示的に指示されなければ、装置が特定の向きで構築又は操作されることを必要としない。「取り付けられる」、「固定される」、「接続される」、「結合される」、「相互接続される」及び同様の語などの語は、別のように明示的に記載されない限り、構造同士が、直接又は介在する構造を通じて間接的に、互いに固定される又は取り付けられる関係、並びに、可動の取り付け又は関係と剛性の取り付け又は関係の両方を言う。さらに、本発明の特徴及び利点は、例示される実施形態を参照して説明される。したがって、本発明は、単独で又は特徴の他の組み合わせで存在し得る特徴のいくつかの可能な非制限的な組み合わせを例示する、そのような例示的実施形態に明らかに制限されるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【0076】
本開示は、現在企図される、本発明を実施する最良の1又は2以上の態様を説明する。この説明は、制限的な意味で理解されることは意図されず、添付図面を参照することにより例示の目的のみで本発明の例を提供して、当業者に本発明の利点及び構成を教示するものである。図面の様々な図において、同様の参照符号は同様の又は類似する部分を表す。
【0077】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的であり、本発明を制限することは意図されない。述べられる単数形は、単数形に加えて複数形も含むことが意図される。「及び/又は」は、すべての列挙される種類のありとあらゆる可能な組み合わせを指し、どれも含まないことも包含する。対象者又は人という語は、医療患者を指すことがあるが、非医療者も指し、また生きている動物も含むことができる。図示された人の向きは一意のものではなく、明示的に述べられない限り、他の姿勢及び体位と交換可能である。
【0078】
次いで本発明を、添付図面を参照することによって説明する。概して、本明細書に記載される実施形態では、本明細書ではユーザとも呼ばれる対象者に対して、制御された空気の目標呼吸ゾーンを作り出すために、制御された空気の隔離されたゾーンが空間(open)内に作り出される。本明細書に記載される実施形態は、概して、ベッドのヘッドボードにそのようなデバイスを一体化する文脈である。
【0079】
本明細書に記載される実施形態に関係する流れの原理は、混合の生じない、層流化された又は低乱流の流れである。以下で説明されるいくつかの実施形態では、様々な種類の空気処理が、ヘッドボード集成体に内蔵され得る。それには、粒子状物質の濾過、ガス濾過、加熱、冷却、湿度制御、酸素制御、その他のガス、粉体、芳香、イオンの注入又は除去が含まれてよい。
【0080】
図1A図1Dは、本開示のシステム及び方法によって使用される主要な流れの原理の要素である、剪断の最小化及び/又は流れの層流化を示す。乱流100が、図1Aに示されるように、発生源120からの汚染物質115の迅速な混合110を引き起こし、そのような汚染物質を分散させるのを助ける。
【0081】
層流130は、図1Bに示されるように、これを行わない。代わりに、層流130は遮蔽されたゾーン140の生成を可能にし、この遮蔽されたゾーンでは、空気流の発生源が、制御可能であり、汚染物質115の発生源120とは別個になる。剪断及び回転を原因とするもの(ただし発散を原因とするものではない)などの、流れ150の中の速度差又は速度勾配が不安定性の発生を引き起こし、この不安定性が分解して乱流となり、実質的に連鎖渦(cascading eddies)のエネルギー源となり得る。しかし、層流130を維持するためには、混合渦/渦流の形成及び持続の原動力となる駆動剪断を可能な限り除去するために、均一なプロファイルが必要となる。
【0082】
同様の手法が、図1Cに示されるような曲面にも機能し得、その結果、表面の湾曲が過度に極端なものでない限り、拡大していく層流135が生じる。
【0083】
既存のデバイスは、通例、比較的小さい面積にわたって高速度のジェット状の流れを使用し、そのようにすると直ちに乱流100が発生する。そのような実施形態では、図1Aに示されるように、混合110が優勢となり、ジェットの幅に対して短い距離で空気流が完全に乱流になる。代わりに、流れ150がはるかに低速で、流れの別個の部分160、170の相対流量が比較的似ており、大きい面積にわたる場合、指定された隔離ゾーンが層流及び/又は低乱流のままとなることができる。
【0084】
そして、流れの各部分160、170は、界面180を有する、対応する流れゾーンを生じさせ、界面ではいくらかの混合が剪断層で発生する。界面180の剪断層は、最終的に拡大して、乱流195を伴う剪断円錐190となり、剪断円錐は混合を発生させ、下流方向に大きさが増大する。
【0085】
図1Dに示す、低速で移動する栓流は、より低い剪断を有し、端部の剪断は中心からより遠く離れており、剪断円錐190の近傍で、混合が少なく、制御された流れ方向をもつ、比較的安定した泡の生成を可能にする。
【0086】
流れと逆流の分離は、端部における混合を増大させる。いくつかの実施形態では、そのような分離及び逆流は、表面に沿った栓流の角度を制御することによって回避される。さらに、剪断又は渦度が相対的に存在しない状態では発散が効果的な遮蔽を支援することができるという認識に基づいて、遮蔽を設計することができる。
【0087】
図2Aは、ベッド240の隣にある本開示による装置200を示し、これは本明細書においてベッドヘッド形態と呼ばれることがある。
【0088】
図2B及び図2Cは、規定の空間から空中汚染物質を除去するための図2Aの装置200の使用を示す。
【0089】
したがって、図2A図2Cは、睡眠中の対象者又はユーザ210、215の頭部周囲の空気流及び空気の清浄性を制御することを目的とする、ベッドフレームヘッドボード200へのシステム一体化の例示的実施形態を示す。したがって、ヘッドボード200は、1又は2人以上のユーザ210の傍を流れる、層流化され濾過された空気流220を出力する。
【0090】
したがって、示されるように、装置は、ベッド240上方の規定の空間230から空中汚染物質を除去するために設けられる。示される実施形態では、装置200は、ヘッドボード基部を含むヘッドボード自体を備え、基部は、規定の空間230に隣接する空気流出口250と、規定の空間230の外側でベッド240又はヘッドボード200に内蔵された空気流入口260とを含む。装置200は、本明細書においてヘッドボード200と称されることもある。
【0091】
下記でさらに詳しく説明されるいくつかの実施形態では、ヘッドボード200は完全内蔵型の装置の一部であることが留意される。そのような実施形態では、ヘッドボードは、例えば、プレナムなどベッド240に隣接する装置の一部分であってよく、基部から独立していてよい。
【0092】
下記でさらに詳しく説明されるように、装置200はまた、空気流入口260から空気流出口250に空気を輸送するための導管と、輸送される空気から空中汚染物質を抽出するための、導管内の又は導管に隣接した空気処理モジュールとを提供する。装置はまた、空気流入口260と空気流出口250との間で空気流を発生させるための、導管内の又は導管に隣接したファンなどの空気流発生器を含む。
【0093】
空気流出口250は、通例、ヘッドボード内のプレナムを備え、プレナムは、多孔表面を有する出口エリア270を通じて、規定の空間230内に空気を入れる。多孔表面自体並びに出口に内蔵された空気処理モジュールのあらゆる部分を除き、出口エリア270は通例、実質的に遮られていない。したがって、多孔表面は、濾過層など、空気処理モジュールの少なくとも一部分を構成してよいが、出口エリアは、それ以外は実質的に遮られていない。しかし、以下で説明されるように、いくつかの実施形態では、出口エリア270は、異なるユーザ210に割り当てられたゾーンなど、複数の別個のゾーンに分割されてよい。
【0094】
したがって、ヘッドボード200の筐体、又はヘッドボード筐体の一部分が、プレナム本体として機能してよく、出口エリア270の多孔表面は、制御された、層流化された又は低乱流の方向付けられた栓流220を作り出す拡散器であってよい。そのため、ヘッドボード200自体の前面280のかなり大きい部分が、出口エリア270の多孔表面を構成し得、それにより、出口エリアにわたって実質的に均一である、剪断及び回転が低減された層流化空気流を導入し得る。
【0095】
したがって、出口エリア270は、栓流のためのエリアを定め、そのエリアは、押し出しされたとき、規定の空間230内に呼吸ゾーン290を含める。示されるものなどのいくつかの実施形態では、栓流は、次いでヘッドボード200の前面280に対して直角に延びて呼吸ゾーン290に入る。
【0096】
図1Dに関係して上記で述べたように、流れの別個の部分160、170の間の速度勾配は、最終的に界面180に至り、界面ではいくらかの混合が剪断層で発生する。したがって、方向付けられた栓流220は周囲空気300とは異なる速度で移動しているので、混合空気の剪断円錐310は、通例、ヘッドボード200が使用される部屋の周囲空気300に隣接する、規定の空間230の上端に形成される。
【0097】
栓流220の最下部でのそのような速度勾配を防止するために、出口エリア270の大きさ及び形状が制御されてよい。いくつかの実施形態では、呼吸ゾーン290は、ベッド240の睡眠面330に隣接して位置し、出口エリアの下端320は、意図的に睡眠面の端部340と位置合わせされている。
【0098】
通例、ヘッドボード200は上端350を有し、出口エリア270は上端360を有し、出口エリアの上端は、ヘッドボードの上端から離間されている。出口エリア270の上端360は、混合空気の剪断円錐310が呼吸ゾーン290の上方に留まるような位置に置かれ、それにより、呼吸ゾーンは、周囲空気300からの汚染物質がない状態を保つ。
【0099】
呼吸ゾーン290は、ベッド240に横たわったときのユーザ210の頭部の高さ、並びにユーザの頭部にとって適当な場所を包含するヘッドボード200からの距離に合わせて設計されてよい。したがって、出口エリア270の上端360の位置は、ユーザの頭部の上方に間隙を提供するように、ベッドにいるときのユーザ210の頭部の高さに基づいて選択されてよい。したがって、ユーザ210の頭部は完全に呼吸ゾーン290の中にあることになり、頭部上方の空間からユーザが吸う空気は、同様に呼吸ゾーン内からのものになる。いくつかの実施形態では、出口エリア270の上端360の位置は、ユーザが普段使用する枕の数など、ユーザ210の嗜好に基づいて選択されてよい。
【0100】
したがって、出口エリア270の上端360の位置は、呼吸ゾーン290の望まれる上部高さ370及びヘッドボード200からの距離380に基づいて選択されてよい。そして、適切な選択は、ユーザ210と呼吸ゾーン290の境界との間の緩衝を確実にし得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、出口エリア270の上端360の位置は、出口エリアの上端をヘッドボード200の上端350に近づける又は遠ざけることにより調節可能であってよい。同様に、いくつかの実施形態では、出口エリアの下端320も調節可能であってよく、ベッド240の睡眠面330上のマットレス、枕、又はベッドスプレッドの上面と位置合わせすることができる。
【0102】
拡散器は、出口エリア270の多孔表面及び/又は空気処理モジュールの構成要素を含んでよく、ヘッドボード200内に設置され、放出された清浄な空気220を対象者210の頭部の上及び周りで実質的に水平に導くように構成され得る。図示しないいくつかの実施形態では、流れの制御及びジェッティングは、対象者の頭部及び身体の周りで流れを低速かつ層流に保つように設計され得る。流速は、通例、0.1~0.5m/秒の間に維持されてよい。コレクタは、ベッドフレーム240又はヘッドボード200の足元又は側部に単一の入口260として、又は、ベッドフレーム若しくはヘッドボードの周り若しくは下方に間隔を空けた複数の入口として位置し得る。
【0103】
本明細書に記載される流れプロファイルは、濾過に応じて、粒子状物質がほぼゼロで、制御された空気品質をもつ清浄空気呼吸ゾーン290を作り出し得る。種々のタイプの空気処理がヘッドボード集成体に追加され得る。これには、粒子状物質の濾過、ガス濾過、加熱、冷却、湿度制御、酸素制御、その他のガス、粉体、芳香、イオンの注入又は除去が含まれる。粒子状物質の濾過など、これら構成要素の一部は、出口エリア270の多孔表面に隣接するヘッドボード200に内蔵されてよく、芳香の注入などの他の構成要素は、空気流路内の他の場所にあってよい。
【0104】
例えば、規定の空間230内に入れられる空気流の少なくとも一部分の中で、拡散器によって放出される空気中の酸素含量を増加又は低下させる処理が行われてよい。酸素含量は、医療上の必要性がある対象者には増加させ、又は、睡眠中に高地訓練を模擬したい、有酸素運動や心血管運動に従事する運動選手には低下させ得る。例えば、ゼオライトは、酸素含量の効果的な操作に使用することができる。酸素は、容器に貯蔵する、及び/又は酸素濃縮器を使用して生成することができる。
【0105】
下で述べるように、いくつかの実施形態では、出口エリア270は複数の区画に分割されてよく、異なる区画は、複数の人用など、異なる呼吸ゾーン290に対応してよい。したがって、いくつかの実施形態では、複数の空気処理モジュールが提供されてよく、各呼吸ゾーン290が固有の特性を与えられてよい。したがって、複数の空気処理モジュールのうち第1の空気処理モジュールは、第1の呼吸ゾーン290に入れられる空気流の第1の部分の酸素レベルを増加させてよく、複数の空気処理モジュールのうち第2の空気処理モジュールは、第2の呼吸ゾーンに入れられる空気流の第2の部分の酸素レベルを増加させなくてよい。
【0106】
図3Aは、空気から空中汚染物質を濾過するのに使用される典型的な濾過デバイス400を示す。図3B図3Dは、図3Aの濾過デバイス400を利用することの影響を示す。図示されるように、示される典型的な濾過デバイス400は、一定の寸法の流れ遮断構造410を有する。例えば、濾過デバイス400はフィルタカセットの形態をとってよく、そのようなものとして、構造要素420を含んでよい。そのような構造要素は、伴流又は逆流430を作り出すことがある。上述した濾過済み空気流220の栓流と、遮断構造410のすぐ隣での動きの欠如との間の剪断が、それにより伴流又は逆流430の中に乱流を引き起こし、汚染物440がその伴流を介して空気流に入り得る。これは、汚染物440が濾過空気流220に入るための経路450を提供し得る。本明細書に記載される実施形態は、境界層を制御することによってそのような汚染物440を回避するように設計される。
【0107】
寸法が小さい一部の構造要素415は、流れを遮らない可能性があり、したがって、流路に干渉せず、また汚染の機会を生み出すこともないことが留意される。
【0108】
図4Aは、本開示による規定の空間230の例を示す。図4Bは、図2Aのヘッドボード200などの装置を使用して、本開示による規定の空間230を定める例を示す。図4Cは、適切に配置された及び不適切に配置された構造要素を含む、ヘッドボード200などの装置の例を示す。
【0109】
上述したように、出口エリア270の大きさ及び形状は制御されてよい。通例、出口エリア270の下端320は、睡眠面330の端部340と位置合わせされる。いくつかの実施形態では、出口エリア270は、ベッド240の周りをわずかに取り巻いてもよい。そして、出口エリア270の上端360は、上記で説明及び図示した剪断円錐310の下方の呼吸ゾーン290内に多少の緩衝空間を提供するような位置に置かれる。
【0110】
示される実施形態では、出口エリア270の形状は変更されてよい。適切な緩衝ゾーンを提供するために必要とされる剪断円錐310とユーザ210との間の最小距離460は、異なる方向では異なってよい。そのような差は、剪断層の安定性の差並びにユーザ210の移動及び体位設定に起因し得る。したがって、出口エリア270の上端360は、湾曲している又はその他形状であってよい。通例、上端360の頂点は、ユーザ210の予想頭部位置に隣接する。
【0111】
図4Bに示し、上記で述べたように、出口エリア270は、異なるユーザ210、215に対応する複数の別個の出口エリアに分割されてよく、各出口エリア270は、多孔表面及び内蔵された空気処理構成要素を除いては実質的に遮られていなくてよい。したがって、伴流又は逆流430を発生させるほど大きいフィルタの構造要素420は、出口エリア270内には置かれず、それにより呼吸ゾーン290への汚染物440の進入を回避する。いくつかの実施形態では、構造要素415は、それが伴流又は逆流430を回避するのに十分に小さく、かつ実質的に流れに沿っていれば、出口エリア270の中に位置してよい。
【0112】
構造要素420は、出口エリア270の多孔表面又はそのような多孔表面に内蔵されるフィルタの構成要素として説明されるが、出口エリアは、完全にヘッドボード200又はプレナムの中に一体化されてもよい。そのため、構造要素420は、プレナムの文脈でプレナム自体を支持し、多孔表面を維持するための要素であってよい。例えば、ヘッドボードが、多孔表面を支持する剛体構造を備えてよく、ユーザ210がそれに寄りかかることができるようにする。
【0113】
そして、そのような構造要素420は、プレナム内に一体化されてよい。そして、いくつかの実施形態では、プレナムは、出口エリア270でプレナムを支持する流れに沿った支持構造を備える。そのような流れに沿った支持構造は、例えば、空気流の方向に押し出しされた厚い構成要素を備える格子であってよい。いくつかの実施形態では、プレナムは、出口エリア270を縁取る、流れに沿っていない追加的な支持体445を備えてよい。したがって、図4Bに示すように出口エリア270の2つの別個の区画が設けられる場合、出口エリアは、2つの別個の出口区画を備えてよく、流れに沿っていない追加的な支持体445は、その2つの別個の出口区画を分割するように設けられてよい。いくつかのそのような実施形態では、2つの別個の出口区画の各々は、独立して制御可能であってよい。
【0114】
説明される実施形態を構築する際、呼吸ゾーン290は、汚染物質がない状態に保たれる空間として定められてよい。そのため、構造要素420は、そのような空間の中まで延びるべきではない。しかし、図4Cに示すものなどのいくつかの実施形態では、呼吸ゾーン290は、ヘッドボード200の一部分を支持するために追加的な構造要素470が必要となるような大きさであってよい。そのような実施形態では、完全に呼吸ゾーン290内に含まれる構造要素470が利用されてよい。しかし、そのようなゾーンは、汚染物質490を呼吸ゾーンに入らせ得る伴流を発生させる可能性があるため、呼吸ゾーン290の外側から呼吸ゾーンの内側まで延びる構造要素480は避けるべきである。
【0115】
したがって、経路全体が呼吸ゾーン290内で始まって終わる構造要素470が許容可能であってよく、呼吸ゾーン290の外側に延びる構造要素480は避けるべきである。さらに、呼吸ゾーン290と干渉する可能性のある構造要素420は、可能な限り、流れに沿わされる(flow aligned)べきである。
【0116】
図5A及び図5Bは、ベッド240に対する、本開示によるヘッドボード200などの装置の位置付けを示す。図5Cは、ベッド240に対してある角度で配置され、位置付けられた、本開示によるヘッドボード200などの装置を示す。図5Dは、本開示によるヘッドボード200などの装置の別の実施形態を示す。
【0117】
上述したように、提示される実施形態は、比較的封止された清浄な流れを確実にするために、方向性及び位置付けについて調節可能であってよい。出口エリア270の下端320をマットレス及び/又は枕及び/又は対象者と位置合わせするための垂直方向の調節を内蔵して、空気流220と、呼吸ゾーン290とベッド240の睡眠面330の間の周囲空気の層との間の剪断に起因する混合渦500の発生を打ち消す。そして、出口エリア270の下端320は、層流220とベッド240又は他の家具若しくは寝具との間に大きな隙間が生じないように位置付けられる。図5Bに示すように、前記構造との重なりが許容されてよい。
【0118】
図5Cに提示する実施形態では、ヘッドボード200は、垂直方向に対して傾斜角510で延びるように配置されている。したがって、栓流520がヘッドボード200の前面530に対して直角に延びるとき、それは水平方向に対してある角度で延びる。傾斜角510、及び出口エリア270の下端320と睡眠面330との間の重なり(ある場合)は、栓流520と睡眠面330との間の隔離を回避するように制限される。そのような隔離があると、それが清浄ゾーンへの汚染物質の混合及び導入を生じさせる。
【0119】
いくつかの実施形態では、位置合わせは、5cmの隙間~10cmの重なりの間であってよい。同様に、いくつかの実施形態では、傾斜は、前方に15度から後方に12度の角度の間であってよい。示される実施形態では、この角度は6~8度の間である。
【0120】
そのような角度の付いたヘッドボード200が、上記で例えば図2A図2Cに示され、本開示を通じて説明される。その実施形態では、出口エリア270の上端360は、周囲空気300と呼吸ゾーン290に対応する栓流との間の拡大していく剪断層又は円錐310が、閾値量だけユーザ210の頭部の上方に留まるような位置に置かれることが留意される。しかし、ヘッドボード200は角度が付いているので、栓流220によって許容される呼吸ゾーン290の頂点は、ヘッドボードを離れた後に上昇し得る。したがって、出口エリア270の上端360は、閾値量の間隙をもたらすには不十分な高さに位置してよいが、呼吸ゾーンが出口エリア270を離れた後に上方に向かって延びていくとき、それは、ヘッドボード200の角度510のために閾値量の間隙を生じる。
【0121】
図5Dは、拡散器として機能する出口エリアの多孔表面530が湾曲している実施形態を示し、これは、視覚的に知覚されるヘッドボード200の厚み540も最小化する。複数の方向における湾曲が用いられ得、また1つの方向における単純な湾曲も用いられ得る。
【0122】
図6A図6Dは、本明細書に記載されるヘッドボード200などの装置の文脈で使用されている多孔表面600を示す。
【0123】
図6Aに示すように、多孔表面600の丸められた形状を用いて、拡散流を確実にしてよい。これは、図6Aに示されるような剛体的に支持された形状であってよく、又は、図6B図6Cに示すものなど、自己調整形状であってもよく、自己調整形状は、多孔要素又は布地を通って流れる空気の背圧によって膨らんでから形状付けられる。したがって、図6Bは、流れが通っていない状態の多孔表面600を形成する膜を示し、図6Cは、駆動流のある同じ膜を示し、それにより、最終層の形状を変化させる。そして、膜の布地は、能動流の下で膨らみ、それにより故意に発散流を作り出す。
【0124】
図6D図6Gは、本明細書に記載されるヘッドボード200などの装置の文脈で使用される多孔表面600の代替実施形態を示す。示されるように、多孔表面600を形成する膜の膨らみを制御するために、張力又は剛体要素610が導入される。図6Dは、ユーザ210から見たヘッドボード200を示し、図6Eは、ヘッドボード200の内部に見える、空気処理モジュール640又は空気処理モジュールの一部を有するヘッドボードを示す。空気処理モジュール640は、出口エリア270の前方に位置してよく、ヘッドボード200の意匠は、ヘッドボードの前面280全体にわたって延びている。
【0125】
剛体要素610を備える、流れに沿った支持構造620が設けられるヘッドボード200のいくつかの実施形態では、出口エリア270の多孔表面600は、流れに沿った支持構造に固定されてよい。例えば、いくつかの実施形態では、多孔表面600は、パッド入り布地などの布地であってよい。そして、布地表面600は、目に見える縫い目630で、流れに沿った支持構造620に縫い付けられてよい。いくつかのそのような実施形態では、図6D及び図6Eに示すように、目に見える縫い目630は、視覚的効果のために、対称に位置付けられてよく、又はその他の形で意匠的に位置付けられてよい。
【0126】
したがって、大きい妨害物を回避すべき場合であっても装飾線630が設けられ得る。上記で述べたように目に見える縫い目630が装飾線を形成する場合、意匠は、前面280全体にわたって延びてよく、出口エリア270に制限されない。そのような実施形態では、出口エリア270は、布地表面の後方の空気処理モジュール構成要素640の範囲に対応してよい、プレナムの開口によって定められてよい。
【0127】
このように、フィルタ640など、空気処理モジュールの構成要素は、布地表面600の後ろに隠されて見えないようにされてよい。
【0128】
図6F及び図6Gは、スタックを通る最終的な流れの断面図を示す。これは、通例、空気処理モジュール640、並びに張力をかけた剛体要素610によって支持される布地表面600を含む。図6Gは、ヘッドボード200の端部への布地表面600の固定を示し、張力をかけた剛体要素610は、布地表面の後ろでヘッドボード構造に固定されて示されている。
【0129】
整流(flow straightening)デバイスが、流れに沿った支持構造に対応してよく、このデバイスは、例えば、奥行きに対する長さの比が2より大きい、典型的には4の、中空の六角形又は方形の管状格子構造であってよい。これは、流れを直線化し、該当する場合には流れを方向転換(redirect)するものである。HEPAフィルタ又はULPAフィルタなどの空気処理手段640、並びにオプションの活性炭濾過及び能動的な加熱要素又は冷却要素が内蔵されてよい。張力要素、又は流れに沿った支持体610は、張力をかけた状態でヘッドボード構造200に取り付けることができ、ボードの端部に沿って又はそれを貫通して位置付けられ得る。空気を通す気泡パッド650が実装されてよく、布地600及び張力要素610はヘッドボード200に固定することができる。布地は、ある程度の抵抗、典型的には0.25m/秒の流量において20~150パスカルの背圧をもって、通気性になるように設計される。支持構造620とは独立した整流デバイスを含む、本明細書に記載される様々な構成要素が、濾過構成要素に加えて空気処理手段640に内蔵されてよい。
【0130】
代替として、いくつかの実施形態では、整流デバイスは、流れに沿った支持構造620に内蔵される。したがって、いくつかの実施形態では、流れに沿った支持体620構造は、十分に広く、また空気流220の方向を少なくとも部分的に定めるのに十分な奥行きを有する。したがって、いくつかの実施形態では、出口エリア270は栓流のエリアを定め、そのエリアは、押し出しされたときに、規定の空間230内に呼吸ゾーン290を定める。栓流は、流れに沿った支持構造620によって定められる方向に延びる。したがって、いくつかの実施形態では、流れに沿った支持構造によって定められる方向は直角方向とは異なる可能性があるため、栓流はヘッドボード200の前面に対して直角ではない。
【0131】
図7A図7Cは、本開示による、完全内蔵型の装置700を示す。図8Aは、図7Aの装置700の文脈で使用するためのファンアセンブリ800を示す。図8B図8Gは、図7Aの装置700の概略図を示す。
【0132】
示される実施形態700では、空気処理モジュールは、ヘッドボード200の基部720に内蔵されたフィルタ710を含んでよい。同様に、ファンなどの空気流発生器730が、通例はベッド240の上面330の高さより下で、ヘッドボード200の基部720に内蔵されてよい。
【0133】
この例示的実施形態の下部コンディショニング又は空気処理システムは、奥行きが小さく、典型的には28cm~35cmの間である。空気735は、流れの近くの低い高さから吸気口740で取り込まれて、ユーザの高さにおける周囲空気と比べて冷たい室内空気を得る。これは天然の冷却効果を可能にする。
【0134】
示される実施形態では、また上述したように、空気流は最終的にヘッドボード200に一体化されたプレナム750を出て、呼吸ゾーン290を含む、規定の空間230の中に入れられる。しかし、図8Fに示すように、多孔表面に隣接する空気処理モジュールの構成要素によって定められ得る、出口エリア270に対応するプレナム750の前面760と、空気流発生器730との間の空間が、妨害物770によって遮られてよい。したがって、空気流発生器からの空気はいずれも、妨害物770の周りを通った後にプレナム750に入る。
【0135】
示されるように、妨害物770は、プレナム750から空気流発生器730への見通し線を遮ってよい。これを利用して、空気流発生器730から妨害物出口エリア270に伝搬する音レベルを制御して、使用中にユーザ210の観点から装置700をより静かに保つことができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、妨害物770は、空気流を遮るための一連のバッフルを備えてよい。他の実施形態では、妨害物770は、空気流の必要性に応じて開閉するフラップであってよい。
【0137】
示される実施形態では、装置700は、空気流発生器730と妨害物770との間に位置付けられた副プレナム780を備える。したがって、空気流発生器730からの空気流は、まず副プレナム780に入れられ、次いで副プレナムからプレナム750に進む。
【0138】
したがって、示されるアセンブリ700は、3つの別個の内部ゾーンを有する。最初に、吸引側吸気部が、空気流発生器730に向かって進行する空気を取り込む吸気口740を含む。次いで、圧力側副プレナム780が、空気流発生器730からの空気流を受け取り、減衰チャンバの働きをして流れを方向付け、インペラ/ファン後の音響を減衰する。
【0139】
次いで、拡散器として使用される多孔表面を含んでいるヘッドボード200のプレナム750が、副プレナム780からの空気流を受け取り、呼吸ゾーン290内に制御された層流化された又は低乱流の方向付けられた栓流を作り出す。
【0140】
拡散器又は多孔表面は、放出された清浄な空気を対象者210の頭部の上及び周りで水平に導くために、ヘッドボード200内に設置され得る。流れの制御及びジェッティングは、上記で詳しく説明したように、対象者の頭部及び身体の周りで流れを低速かつ層流に保つように設計され得る。流速は、0.1~0.5m/秒の間に維持されてよい。コレクタ又は空気吸気口740は、ベッドフレーム若しくはヘッドボードの足元若しくは側部に単一の入口として、又は、ベッドフレーム若しくはヘッドボードの周り若しくは下方に間隔を空けた複数の入口として位置し得る。
【0141】
そのような実施形態では、妨害物770は、副プレナム780とプレナム750の間に位置してよい。妨害物770は、可動パネル又は可動アセンブリを備えてよい。そして、ヘッドボード200内の可動パネル770の構成が、空気流発生器730からの空気流が取る進路を定義してよい。そのため、可動パネルの構成は、プレナム750内の圧力のレベル及びヘッドボード200の外側でユーザ210によって検知可能な騒音のレベルを決定し得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、妨害物770は、受動的であり、空気流発生器730の設定に応答する。そのため、副プレナム780内の圧力が、空気流発生器730からの増大した空気流のために上昇すると、妨害物770は、より多くの空気流をプレナム750に入らせる構成に移ってよい。代替として、いくつかの実施形態では、可動パネルなどの妨害物770の動きは、プレナム750内の圧力レベルをヘッドボード200の外側で検知可能な騒音レベルに対して平衡させるために、コントローラによって能動的に制御される。
【0143】
いくつかのそのような実施形態では、装置700は、ノイズセンサをさらに備えてよい。そのような実施形態では、可動パネルは、騒音のレベルを閾値以下に維持するために、コントローラによって調節されてよい。
【0144】
いくつかの実施形態では、コントローラは、空気流発生器730をさらに制御してよい。可動パネル770を調節して騒音レベルを低減すると、コントローラは、空気流を望まれるレベルに維持するために空気流発生器730の出力を増大させてよい。
【0145】
提供される装置700では、したがって、空気流発生器730は副プレナム780を加圧し、それが次いで妨害物770との組み合わせで、プレナム750内の圧力レベルを制御する。
【0146】
図8Aに示すように、空気流発生器730は、遠心プレナムファンなどの遠心ファン800であってよい。図8Bは、遠心プレナムファン800が使用される内部構造の実施形態の吸引側を示す。いくつかの実施形態では、ファン800は、音響を向上させるために、設計流量に対して過度に大きいインペラと組み合わせて、設計よりも大幅に低い速度(rpm)で作動してよい。
【0147】
装置のパッケージングは、床空間の使用を最小に抑える。音響ライニング又は減衰材810を内部配管内で使用することができ、最大流速(断面流動面積に依存する)が設定されてよい。流れ線735は、空気流の複雑な回旋経路を示し、丸で囲んだ点はリーダ(reader)に向かう流れを示し、丸で囲んだ×はリーダから離れる流れを示す。遠心プレナムファン800であってよいプラグファンは、通常、開放空間から取り込み、ここでは壁830によって遮断されている。流れを最適化し、不均衡な荷重に起因する音響騒音を最小にするために、ガイド要素840が導入される。これは、本質的に、穿孔された、管状の又は羽根付きの多孔要素840であり得る。二重吸気口740は、流れ735を均一にするのを支援する。上流に存在するプレフィルタ710又は他のコンディショニングがあり得る。空気流850に挿入されたバッフル820は、フィルタ710を通る見通し線騒音の伝達を最小化する複雑な経路を作り出す。
【0148】
図8E図8Gに、装置700の側面、正面、及び上面の断面図が提供される。それにより、ファン800からの排出流路735が図示されている。この通路は、構造的寸法を圧力低下及び音響と平衡させるように最適化される。
【0149】
音響減衰材810で裏張りされることが可能な半封鎖空間を有することにより、対象者への音響ノイズを最小にするように、排出チャネルが設計される。最終プレナム750への開口860の設計は、フィルタ及び/又はプレナム750の多孔材料に一体化された整流器(flow straightener)から構成される最終抵抗体スタック870の各箇所が、出るときに実質的に等しい流れ方向及び速度を有するのに十分な余裕及び距離があるようになされる。最終抵抗体スタック870は、プレフィルタ710及びある場合には他の空気処理構成要素と組み合わさって、空気処理モジュール640として機能する。異なる複数のチャンバ/プレナムが作られること、及び音響のために見通し線が可能な限り遮断されることに留意されたい。小型の本体並びに音響遮蔽を有するように二重プレナムシステムが作られる。2つ以上の別個のプレナムチャンバを区別することができ、主プレナム750及び副プレナム780を含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、流れの分配を支援するために抵抗構造が実装されてよい。流れは遮断され、偏向されて、迷路状の流れを作り出す。回旋流路が作り出され、単一の平面内ではなく、複数の方向に移動する。そのような回旋流路は、上述した妨害物770を含んでよい。
【0151】
したがって、上記で述べたように、いくつかの実施形態では、空気流発生器730は遠心ファン800である。そのような実施形態では、ファンの吸気口は、装置700の吸気部740に流体接続されてよい。そして、遠心ファン800の遠心ホイール805が副プレナム780内に位置してよく、ファン800が副プレナム内に空気流を入れるか又は空気を加圧する。
【0152】
示される実施形態では、空気流発生器730は、軸方向吸気口880を備えた遠心ファン800である。そして、空気流が、遠心ファン800の軸900に対して実質的に直角の方向を有する導管890で、空気流入口740から軸方向吸気口880に導かれる。そして、軸方向吸気口880は、導管890の背壁830から第1の距離920だけ離間されている。
【0153】
そして、空気流発生器730には、上記で述べたようにガイド要素840が設けられてよい。ガイド要素840は、導管890内の空気流を、空気流のいくつかの部分が導管の方向以外の方向から軸方向吸気口に接近するように方向転換してよい。
【0154】
図8Aに示すように、ガイド要素840は、第1の距離920にわたって延びる多孔質の又は穿孔された円筒形シュラウドであってよい。したがって、軸方向吸気口880に入る空気流はいずれも、最初に円筒形シュラウドを通る。代替として、いくつかの実施形態では、ガイド要素840は、空気流を軸方向吸気口880を中心に実質的に均一に導くための複数の羽根を備えてよい。
【0155】
ファン800及び対応するアセンブリ自体は、記載される装置700の代替実施形態に、並びにプレナムファン等を必要とするが吸気口の隣に十分な空間がない他の状況において、設けられてよい。そのようなファンアセンブリ800は、遠心ホイール805などの遠心出口と、軸方向吸気口880と、軸方向吸気口に対して実質的に直角に延びる吸気導管890と、軸方向吸気口880の隣で空気流を方向転換するためのガイド要素840とを含む。
【0156】
軸方向吸気口880は、吸気導管890の背壁910から第1の距離920だけ離間されている。そして、ガイド要素840は、空気流を、空気流のいくつかの部分が吸気導管890の方向以外の方向から軸方向吸気口880に接近するように方向転換する。上記で述べたように、ガイド要素840は、第1の距離920にわたって延びる多孔質の又は穿孔された円筒形シュラウドであってよい。代替として、ガイド要素840は、空気流を軸方向吸気口を中心に実質的に均一に導くための複数の羽根であってよい。
【0157】
上記で説明したように、ファンは、標準的なファン設計である場合のrpmよりも大幅に低いrpmで作動させてよい。さらに、設計流量に対して特大のインペラが内蔵されてよく、ファンは、音響を向上させるために空気を移動させつつ、低速で回転することができる。例えば、流量及び圧力低下について同等のファンと比較して50~100%大きい直径をもつファンを用いて、より低いrpmで動作させて目標流量を得ることができる。このrpmは、1000rpm未満又はファン設計速度の30~60%であり得る。例えば、2300rpmで動作する220mmファンの代わりに、900rpmで動作する350mm又は400mm直径のプレナムファンを使用することができる。システムのパッケージングは、水平方向空間の使用を最小にする。
【0158】
図9は、本開示による完全内蔵型の装置950の代替実施形態を示す。示されるように、ファン800からの排気は、ここでも二重プレナム750、780の形態であり、副プレナム780は、ファン流及び音響及び前分配を制御するものであり、主プレナム750は、最終的な流れ分配を提供する。この2つのプレナム領域の間に、妨害物770を使用して狭隘通路960が作り出される。ヒンジ970を内蔵して、圧力低下と音響の間のバランスを能動的に制御することができる。妨害物770として機能するヒンジ付きの蓋を受動的又は能動的に作動させて、背圧と音響を平衡(balance)させることができる。コントローラが、関連パラメータを感知し、これを調節することができる。ヒンジ付きの蓋770は、重力と通路960内の流れに起因する空気圧との間で力を平衡させることによって、受動的に駆動させることもできる。
【0159】
図9の実施形態では、副プレナム780と吸気導管890の位置が入れ替えられており、その結果、吸気口がベッド240に隣接し、副プレナムが装置950の後面に隣接していることが留意される。
【0160】
図10Aは、追加的な特徴を含んでいる、本開示による装置1000の実施形態を示す。示されるように、装置1000は、プレナム1020内に位置するスピーカ又は音声システム1010を内蔵してよい。このスピーカ1010は、音楽や他のコンテンツを再生する、又はホワイトノイズ若しくはピンクノイズ信号若しくはその他の落ち着く音を提供することができる。それは目覚まし時計として機能することができる。プレナム1020の能動的な騒音制御も可能である。プレナムの体積の一部は、例えばベース音の音声調整に使用され得る。
【0161】
図10Bは、追加的な特徴を含んでいる、本開示による装置1030の代替実施形態を示す。図10Bは、投影デバイス又は光源1040を使用することができ、光、映像、写真素材等が拡散器に又は拡散器を通じて投影され得ることを示している。
【0162】
図10Cは、2つのゾーン及び追加的な特徴を含んでいる、本開示による装置1050の代替実施形態を示す。図10Cは、主要な拡散器1070の中に、性質が異なり得る局所的な別のゾーン1060がある実施形態を示している。例えば、ガス又は他の作用物質、異なる空気組成、異なる流れの注入。これは、例えば酸素を節減するのを助けることができる。酸素含量は、医療上の必要性がある対象者には増加させ、又は、睡眠中に高地訓練を模擬したい、有酸素運動や心血管運動に従事する運動選手には低下させ得る。例えば、ゼオライトは、酸素含量の効果的な操作に使用することができる。酸素は、容器に貯蔵する、及び/又は酸素濃縮器を使用して生成することができる。例えば、拡散器によって放出される空気中の酸素含量を上昇させる又は低下させるための処理が行われてよい。
【0163】
図10D及び図10Eは、追加的な特徴を含んでいる、本開示による装置1080の代替実施形態を示す。上述したように、二重プレナムチャンバ設計を使用して能動的な騒音制御が提供されてよい。それぞれ異なる外形をもつ感知要素1090、及びアクチュエータセット1100が提供されてよい。ボリュームは各々、各自のセンサ及びアクチュエータを有し、各々からのデータは、他のボリュームでもクロスオーバー用のコントローラにより使用されることが可能である。
【0164】
図10Fは、本開示による装置の二重ゾーン実施形態1110を示す。各ゾーン1120、1130は、個々に制御されてよい。
【0165】
本発明について、いくつかの記載される実施形態との関連でいくらかの詳細と具体性をもって説明したが、そのような具体性又は実施形態又は特定の実施形態に制限されるべきことは意図されず、添付の特許請求の範囲を参照して、従来技術に照らしてそのような請求項の最も広い可能な解釈を提供するように、したがって本発明の意図される範囲を包含するように解釈されるべきである。さらに、前述では、実現を可能にする説明が入手可能であった本発明者によって予見される実施形態の点から本発明を説明しているが、それにもかかわらず、現時点では予見されない本発明のわずかな変更がその均等物を表してよい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
【国際調査報告】