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特表2024-544763水素ガスを圧縮する方法、水素ガス圧縮器システム、及び水素ガス貯蔵ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-04
(54)【発明の名称】水素ガスを圧縮する方法、水素ガス圧縮器システム、及び水素ガス貯蔵ユニット
(51)【国際特許分類】
   F17C 7/00 20060101AFI20241127BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
F17C7/00 A
F17C13/00 301Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024531528
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2022083739
(87)【国際公開番号】W WO2023094712
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】2117223.4
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
2.SIMULINK
(71)【出願人】
【識別番号】519085408
【氏名又は名称】カタゲン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス,ロイ
(72)【発明者】
【氏名】ウッズ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】エリオット,マシュー
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BA04
3E172BD03
3E172BD05
3E172DA90
3E172EA02
3E172EA23
3E172EA48
3E172EB02
3E172KA03
(57)【要約】
水素ガス圧縮器システム(104、108、112)は、水素ガスを貯蔵する内容積部を画成し、ガス出口を介して、水素ガスを水素ガス貯蔵ユニットから引き出しうる水素ガス貯蔵ユニット(502)を備える。ポンプ等の作動流体送出手段(514)は、水素ガスが水素ガス貯蔵ユニット(502)から引き出されたことに応じて、作動流体を水素ガス貯蔵ユニット(502)に送出する。このことにより、水素ガス貯蔵ユニット(502)内に収容されている水素ガスの圧力を増大させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガスを圧縮する方法であって、前記方法は、
水素ガスを水素ガス貯蔵ユニットから引き出すことと、
前記水素ガス貯蔵ユニット内に収容されている残りの水素ガスの圧力を増大させるため、作動流体を前記水素ガス貯蔵ユニットに送出することと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記水素ガス貯蔵ユニットに所定量の水素ガスを供給することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記作動流体を送出する流体送出手段に前記水素ガス貯蔵ユニットを連結することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記流体送出手段から前記水素ガス貯蔵ユニットを分離することを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記水素ガス圧縮方法は、多段階工程を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記水素ガスを前記水素ガス貯蔵ユニットに送出する前、前記水素ガスを初期の圧力までブーストするステップを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、ブーストした前記水素ガスを前記水素ガス貯蔵ユニットに送出するステップを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、ガス出口を介して前記工程における1つの段階から更なる段階に前記水素ガスを送出するステップを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記ガス出口を介して前記工程における1つの段階から更なる段階に前記水素ガスをポンプにより押し出すステップを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、ピストンとして作用する前記作動流体により前記水素ガスを圧縮することを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
水素ガス圧縮器システムであって、
前記水素ガス圧縮器システムは、
水素ガスを貯蔵する内容積部を画成する水素ガス貯蔵ユニットであって、前記水素ガス貯蔵ユニットは、ガス出口を備え、前記ガス出口を介して、水素ガスを前記水素ガス貯蔵ユニットから引き出し得る、水素ガス貯蔵ユニットと、
前記水素ガス貯蔵ユニット内に収容されている残りの水素ガスの圧力を増大させるため、水素ガスが前記水素ガス貯蔵ユニットから引き出されたことに応じて、作動流体を前記水素ガス貯蔵ユニットに送出するように構成される作動流体送出手段と、を備える、
水素ガス圧縮器システム。
【請求項12】
前記内容積部は、10m3超であることを特徴とする、請求項11に記載の水素ガス圧縮器システム。
【請求項13】
前記内容積部は、20m3超であることを特徴とする、請求項11に記載の水素ガス圧縮器システム。
【請求項14】
前記内容積部は、30m3超であることを特徴とする、請求項11に記載の水素ガス圧縮器システム。
【請求項15】
前記水素ガス圧縮器システムは、多段階圧縮器システムであることを特徴とする、請求項11から14のいずれか一項に記載の水素ガス圧縮器システム。
【請求項16】
初期の段階は、前記水素ガスを初期のブースト圧力に先にブーストするブースト段階であることを特徴とする、請求項15に記載の水素ガス圧縮器システム。
【請求項17】
前記水素ガス圧縮器システムの一部は、水素ガス生成用地に置かれることを特徴とする、請求項11から16のいずれか一項に記載の水素ガス圧縮器システム。
【請求項18】
前記水素ガス圧縮器システムの一部は、主要貯蔵タンク用地に置かれることを特徴とする、請求項11から17のいずれか一項に記載の水素ガス圧縮器システム。
【請求項19】
前記水素ガス圧縮器システムの一部は、燃料送出用地に置かれることを特徴とする、請求項11から18のいずれか一項に記載の水素ガス圧縮器システム。
【請求項20】
前記水素ガス圧縮器システム及び燃料送出システムの一部は、個別の用地に置かれることを特徴とする、請求項11から19のいずれか一項に記載の水素ガス圧縮器システム。
【請求項21】
前記水素ガス圧縮器システム及び前記燃料送出システムは、前記水素ガス生成用地に置かれることを特徴とする、請求項11から19のいずれか一項に記載の水素ガス圧縮器システム。
【請求項22】
請求項11から21のいずれか一項に記載の水素ガス圧縮器システムによって圧縮される圧縮水素ガスを、可動貯蔵タンクを使用して、水素ガス生成用地から水素ガス貯蔵用地又は水素補給用地等の他の場所に送出する、
方法。
【請求項23】
複数の前記可動貯蔵タンクは、前記水素ガス圧縮器システムによって、前記水素ガス生成用地で同時に充填されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、前記圧縮水素ガスを前記可動貯蔵タンクから搬送用圧縮器システムを介して前記主要貯蔵タンクに搬送することを含むことを特徴とする、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項25】
前記方法は、水素燃料送出システムの周囲の水素ガスの流れを制御する弁の使用を含むことを特徴とする、請求項22から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記方法は、前記水素燃料送出システムの周囲の水素ガスの流れを可能にする管路システムの使用を含むことを特徴とする、請求項22から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
請求項11から21のいずれか一項に記載の水素ガス圧縮器システムを有する、
水素ガス送出システム。
【請求項28】
前記水素ガス送出システムは、水素ガス生成手段に接続する手段と、前記水素ガス送出システムの周囲の水素ガスの流れを制御する弁手段及び管路手段とを備えることを特徴とする、請求項27に記載の水素ガス送出システム。
【請求項29】
前記水素ガス圧縮器の前記ガス出口は、少なくとも1つの圧力制御弁を備えることを特徴とする、請求項27に記載の水素ガス送出システム。
【請求項30】
前記水素ガス圧縮器の前記ガス出口は、冷却手段、乾燥手段及び緩衝手段のいずれか1つ又は任意の組合せを更に備えることを特徴とする、請求項27に記載の水素ガス送出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水素ガスを圧縮する方法、水素ガス圧縮器システム、及び水素ガス貯蔵ユニットに関する。水素ガス圧縮器システムは、水素ガスを水素ガス生成用地から車両等の最終消費器に送出する水素ガス送出システム内で利用し得る。
【背景技術】
【0002】
水素ガスは、天然ガスの水蒸気改質、メタンの部分酸化、石炭のガス化、バイオマスのガス化、炭素回収によるメタンの熱分解、及び水の電気分解を含め、様々な方法で生成し得る。水素ガスは、典型的には5バールから15バールの範囲内にある比較的低い圧力で生成される。
【0003】
水素ガスは、最終水素消費器への搬送、貯蔵又は送出より前に、より高い圧力まで圧縮する必要がある。圧縮水素ガスは、水素車両に補給する補給ステーションで配備し得る。
【0004】
水素ガスを圧縮するいくつかの既存の方法は、典型的には、水素ガスを送出するためにガス圧縮器及び中間冷却器を採用する。これらの方法は、比較的非効率であり、製造に費用がかかり、動作時に熱又は過熱の問題を呈する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水素ガスを圧縮する改善された水素ガス圧縮器システムを提供することは、本開示の一目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付の特許請求の範囲で述べられる水素ガスを圧縮する方法、水素ガス圧縮器システム及び水素ガス貯蔵ユニットが提供される。本発明の他の特徴は、従属請求項及び以下の説明から明らかになるであろう。
【0007】
本開示の第1の態様によれば、水素ガスを圧縮する方法が提供される。方法は、水素ガス貯蔵ユニット内に収容されている水素ガスの圧力を増大させるため、作動流体を水素ガス貯蔵ユニットに送出することを含む。方法は、水素ガスからの熱を吸収するため、冷却剤流体を水素ガス貯蔵ユニットに送出することを含む。
【0008】
有利には、水素ガス貯蔵ユニット内に収容されている水素ガスの圧縮は、水等の作動流体を水素ガス貯蔵ユニットに送出することによって達成される。作動流体は、水素ガス貯蔵ユニット内で利用可能な水素ガスのための容積を減少させ、水素ガスを圧縮し、より高い圧力を生じさせる。作動流体は、液体ピストンとして作用し得る。
【0009】
また有利には、冷却剤流体は、水素ガスからの熱を吸収するため、水素ガス貯蔵ユニットに導入される。ガスの圧縮により、圧縮下のガスの温度を増大させる。この温度の増大は、望ましくない。というのは、ガスの温度の上昇は、ガスの密度を減少させ、必要とされる質量のガスを水素ガス貯蔵ユニットから送出するのにより一層高い圧力を必要とすることを意味するためである。より高い温度のガスは、水素ガス圧縮器システム内の構成要素、又は水素ガス圧縮器システムを中に統合し得る水素ガス送出システム内の他の場所の動作及び耐久性にも影響を与え得る。更に、高温は、圧縮に必要な投入エネルギーを増大させ、工程の効率を低減し得る。したがって、冷却剤流体を水素ガス貯蔵及び圧縮ユニットに送出することは、水素ガスの温度の増大を相殺するのに役立ち、ガス送出時により低い圧力を使用することを可能にし、圧縮器システムによって必要とされるエネルギー量を低減する。
【0010】
実際には、水素ガス貯蔵及び圧縮ユニットは、熱交換器を備える。熱交換器は、水素ガス貯蔵ユニット内に統合し得る。熱交換器は、冷却剤流体回路を備え得、冷却剤流体は、水素ガスからの熱を吸収するように冷却剤流体回路を流通する。
【0011】
作動流体及び冷却剤流体は、水素ガス貯蔵ユニットに同時に送出し得る。
【0012】
方法は、水素ガスを水素ガス貯蔵ユニットに送出することを更に含み得る。水素ガスは、水素ガス貯蔵ユニットのガス入口に送出し得る。
【0013】
方法は、水素ガスを水素ガス貯蔵ユニットから引き出すことを更に含み得る。水素ガスは、水素ガス貯蔵ユニットのガス出口から引き出し得る。
【0014】
作動流体は、水素ガスが水素ガス貯蔵ユニットから引き出されたことに応じて、水素ガス貯蔵ユニットに送出され、水素ガス貯蔵ユニット内に収容されている残りの水素ガスの圧力を増大又は維持し得るようにする。
【0015】
従来の水素ガス貯蔵ユニットからの水素ガスの引出しは、水素ガス貯蔵ユニット内に残る水素ガスの圧力を減少させる。逆に、水素ガス貯蔵ユニットから水素ガスを受け入れる受け器ユニット内の水素ガスの圧力は、増大する。このことは、水素ガスを受け器ユニットに一貫して送出することを困難にし得る。
【0016】
有利には、作動流体は、水素ガスが水素ガス貯蔵ユニットから引き出されたことに応じて、水素ガス貯蔵ユニットに送出される。このことは、水素ガス貯蔵ユニット内の水素ガスの圧力を維持するのに役立ち、水素ガス貯蔵ユニットから水素ガスを一貫して効率的に送出することを可能にする。
【0017】
水素ガス貯蔵ユニットは、水素ガスを貯蔵する内容積部を画成し得る。作動流体は、内容積部に送出し得る。したがって、作動流体は、液体ピストンとして作用し得る。
【0018】
水素ガスは、少なくとも50バールの圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、少なくとも100バールの圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、少なくとも150バールの圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、少なくとも200バールの圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、少なくとも250バールの圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、少なくとも250バールの圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、少なくとも300バールの圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、少なくとも350バールの圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、少なくとも400バールの圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、少なくとも500バールの圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、少なくとも600バールの圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、少なくとも700バールの圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、少なくとも800バールの圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、少なくとも900バールの圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、少なくとも1000バールの圧力まで圧縮し得る。
【0019】
水素ガスは、50バールから1500バールの間の圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、50バールから1000バールの間の圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、50バールから900バールの間の圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、50バールから800バールの間の圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、50バールから700バールの間の圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、50バールから600バールの間の圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、50バールから500バールの間の圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、50バールから400バールの間の圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、50バールから350バールの間の圧力まで圧縮し得る。
【0020】
水素ガスは、100バールから1500バールの間の圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、150バールから1500バールの間の圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、200バールから1500バールの間の圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、250バールから1500バールの間の圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、300バールから1500バールの間の圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、350バールから1500バールの間の圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、400バールから1500バールの間の圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、500バールから1500バールの間の圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、600バールから1500バールの間の圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、700バールから1500バールの間の圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、800バールから1500バールの間の圧力まで圧縮し得る。
【0021】
水素ガスは、30バール未満の最初の圧力から少なくとも50バールの圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、20バール未満の最初の圧力から少なくとも50バールの圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、15バール未満の最初の圧力から少なくとも50バールの圧力まで圧縮し得る。水素ガスは、10バール未満の最初の圧力から少なくとも50バールの圧力まで圧縮し得る。
【0022】
作動流体は、水とし得る。作動流体は、イオン流体とし得る。他の作動流体も使用し得る。
【0023】
本開示の第2の態様によれば、水素ガス圧縮器が提供される。水素ガス圧縮器システムは、水素ガスを貯蔵する内容積部を画成する水素ガス貯蔵ユニットを備える。水素ガス圧縮器システムは、作動流体送出手段を備え、作動流体送出手段は、水素ガス貯蔵ユニット内に収容されている水素ガスの圧力を増大させるため、作動流体を水素ガス貯蔵ユニットに送出するように構成される。水素ガス圧縮器システムは、冷却剤流体送出手段を更に備え、冷却剤流体送出手段は、水素ガスからの熱を吸収するため、冷却剤流体を水素ガス貯蔵ユニットに送出するように構成される。
【0024】
水素ガス貯蔵ユニットは、流体入口を備え得、流体入口を介して、作動流体を水素ガス貯蔵ユニットに送出する。流体入口は、水素ガス貯蔵ユニットの基部の方に配置し得る。
【0025】
水素ガス貯蔵ユニットは、流体出口を備え得、流体出口を介して、作動流体を水素ガス貯蔵ユニットから引き出す。流体出口は、水素ガス貯蔵ユニットの基部の方に配置し得る。
【0026】
水素ガス貯蔵ユニットは、ガス出口を備え、ガス出口を介して、水素ガスを水素ガス貯蔵ユニットから引き出し得る。水素ガス貯蔵ユニットは、流体入口を備え得、流体入口を介して、作動流体を水素ガス貯蔵ユニットに送出する。ガス出口は、流体入口の上に位置し得る。水素ガス貯蔵ユニットは、流体出口を備え得、流体出口を介して、作動流体を水素ガス貯蔵ユニットから引き出す。ガス出口は、流体出口の上に位置し得る。
【0027】
水素ガス貯蔵ユニットは、ガス入口を備え得、ガス入口を介して、水素ガスを水素ガス貯蔵ユニットに送出し得る。水素ガス貯蔵ユニットは、流体入口を備え得、流体入口を介して、作動流体を水素ガス貯蔵ユニットに送出する。ガス入口は、流体入口の上に位置し得る。水素ガス貯蔵ユニットは、流体出口を備え得、流体出口を介して、作動流体を水素ガス貯蔵ユニットから引き出す。ガス入口は、流体出口の上に位置し得る。
【0028】
水素ガス貯蔵ユニットは、水素ガスを貯蔵するように構成される複数のボンベを備え得る。複数のボンベは、直立して互いに整列させ得る。複数のボンベは全て、作動流体送出手段及び/又は冷却剤流体送出手段と連通し得る。
【0029】
水素ガス圧縮器システムは、水素ガス貯蔵ユニットへの作動流体及び/又は冷却剤流体の送出を制御する制御器を備え得る。
【0030】
水素ガス貯蔵ユニットは、冷却剤流体回路を備え得、冷却剤流体回路を介して、冷却剤流体は水素ガス貯蔵ユニットを流通し得る。冷却剤流体回路は、冷却剤流体を水素ガス及び作動流体から隔てる。冷却剤流体回路は、水素ガスが中に貯蔵される内容積部を横断し得る。冷却剤流体回路は、管又は管網を備え得る。
【0031】
本開示の第3の態様によれば、水素ガスを貯蔵する内容積部を画成する水素ガス貯蔵ユニットが提供される。水素ガス貯蔵ユニットは、水素ガス貯蔵ユニット内に収容されている水素ガスの圧力を増大させる作動流体を受け入れる作動流体入口を備える。水素ガス貯蔵ユニットは、水素ガスからの熱を吸収する冷却剤流体回路を受け入れる冷却剤流体入口を備える。
【0032】
水素ガス貯蔵ユニットは、水素ガスを内容積部に導入するガス入口を備え得る。ガス入口は、流体入口の上に位置し得る。水素ガス貯蔵ユニットは、流体出口を備え得、流体出口を介して、作動流体を水素ガス貯蔵ユニットから引き出す。ガス入口は、流体出口の上に位置し得る。
【0033】
水素ガス貯蔵ユニットは、水素ガスを内容積部から引き出すガス出口を備え得る。ガス出口は、流体入口の上に位置し得る。水素ガス貯蔵ユニットは、流体出口を備え得、流体出口を介して、作動流体を水素ガス貯蔵ユニットから引き出す。ガス出口は、流体出口の上に位置し得る。
【0034】
流体入口は、水素ガス貯蔵ユニットの基部の方に配置し得る。
【0035】
水素ガス貯蔵ユニットは、流体出口を更に備え得、流体出口を介して、作動流体を水素ガス貯蔵ユニットから引き出す。流体出口は、水素ガス貯蔵ユニットの基部の方に配置し得る。
【0036】
水素ガス貯蔵ユニットは、水素ガスを貯蔵するように構成される複数のボンベを備え得る。複数のボンベは、直立して互いに整列し得る。
【0037】
水素ガス貯蔵ユニットは、冷却剤流体回路を備え得、冷却剤流体回路を介して、冷却剤流体は水素ガス貯蔵ユニットを流通し得る。冷却剤流体回路は、冷却剤流体を水素ガス及び作動流体から隔てる。冷却剤流体回路は、水素ガスが中に貯蔵される内容積部を横断し得る。冷却剤流体回路は、管又は管網を備え得る。
【0038】
本開示の第4の態様によれば、水素ガスを分配する方法が提供される。方法は、水素ガスを水素ガス貯蔵ユニットから引き出すことを含む。方法は、水素ガス貯蔵ユニット内に収容されている残りの水素ガスの圧力を増大させるため、作動流体を水素ガス貯蔵ユニットに送出することを含む。
【0039】
方法は、水素ガス貯蔵ユニットに所定量の水素ガスを供給することを更に含み得る。
【0040】
方法は、作動流体を送出する流体送出手段に水素ガス貯蔵ユニットを連結することを含み得る。
【0041】
方法は、流体送出手段から水素ガス貯蔵ユニットを分離することを含み得る。
【0042】
本開示の第5の態様によれば、水素ガス圧縮器システムが提供される。水素ガス圧縮器システムは、水素ガスを貯蔵する内容積部を画成する水素ガス貯蔵ユニットを備え、水素ガス貯蔵ユニットは、ガス出口を備え、ガス出口を介して、水素ガスを水素ガス貯蔵ユニットから引き出し得る。水素ガス貯蔵ユニットは、作動流体送出手段を備え、作動流体送出手段は、水素ガスが水素ガス貯蔵ユニットから引き出されたことに応じて、水素ガス貯蔵ユニット内に収容されている残りの水素ガスの圧力を増大させるため、作動流体を水素ガス貯蔵ユニットに送出するように構成される。
【0043】
水素ガス貯蔵ユニットは、10m3超の内容積部を有し得る。内容積部は、20m3超とし得る。内容積部は、30m3超とし得る。内容積部は、50m3超とし得る。内容積部は、100m3超とし得る。内容積部は、200m3超とし得る。内容積部は、300m3超とし得る。内容積部は、400m3超とし得る。
【0044】
内容積部は、10m3から500m3の間とし得る。内容積部は、10m3から400m3の間とし得る。内容積部は、10m3から300m3の間とし得る。内容積部は、10m3から200m3の間とし得る。内容積部は、10m3から100m3の間とし得る。内容積部は、10m3から50m3の間とし得る。内容積部は、50m3から500m3の間とし得る。内容積部は、100m3から500m3の間とし得る。内容積部は、200m3から500m3の間とし得る。内容積部は、300m3から500m3の間とし得る。内容積部は、400m3から500m3の間とし得る。
【0045】
本開示の第5の態様によれば、水素ガスを貯蔵する内容積部を画成する水素ガス貯蔵ユニットが提供され、内容積部は、10m3超であり、水素ガス貯蔵ユニットは、水素ガス貯蔵ユニット内に収容されている水素ガスの圧力を増大させる作動流体を受け入れる作動流体入口を更に備える。
【0046】
内容積部は、20m3超とし得る。内容積部は、30m3超とし得る。内容積部は、50m3超とし得る。内容積部は、100m3超とし得る。内容積部は、200m3超とし得る。内容積部は、300m3超とし得る。内容積部は、400m3超とし得る。
【0047】
内容積部は、10m3から500m3の間とし得る。内容積部は、10m3から400m3の間とし得る。内容積部は、10m3から300m3の間とし得る。内容積部は、10m3から200m3の間とし得る。内容積部は、10m3から100m3の間とし得る。内容積部は、10m3から50m3の間とし得る。内容積部は、50m3から500m3の間とし得る。内容積部は、100m3から500m3の間とし得る。内容積部は、200m3から500m3の間とし得る。内容積部は、300m3から500m3の間とし得る。内容積部は、400m3から500m3の間とし得る。
【0048】
次に、本開示の例を添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本開示の態様による例示的水素ガス送出システムの概略図である。
図2】本開示の態様による例示的水素ガス送出システムの概略図である。
図3】本開示の態様による例示的水素ガス送出システムの概略図である。
図4】本開示の態様による例示的水素ガス送出システムの概略図である。
図5】本開示の態様による例示的水素ガス圧縮器システムの概略図である。
図6】本開示の態様による例示的水素ガス圧縮器システムの概略図である。
図7】本開示の態様による例示的水素ガス圧縮器システムの概略図である。
図8】本開示の態様による、水素ガス圧縮器システムを制御する例示的制御システムの概略図である。
図9】本開示の態様による、水素ガスを圧縮する例示的方法の流れ図である。
図10】本開示の態様による、水素ガスを圧縮する例示的方法の流れ図である。
図11】本開示の更なる態様による、生成用地で搬送用にポンプにより押し出す例示的水素ガス圧縮機システム、及び補給用地でポンプにより押し出す例示的水素ガス圧縮機システムのそれぞれの概略図である。
図12】本開示の更なる態様による、生成用地で搬送用にポンプにより押し出す例示的水素ガス圧縮機システム、及び補給用地でポンプにより押し出す例示的水素ガス圧縮機システムのそれぞれの概略図である。
図13】本開示の更なる態様による、生成用地で搬送用にポンプにより押し出す例示的水素ガス圧縮機システム、及び補給用地でポンプにより押し出す例示的水素ガス圧縮機システムのそれぞれの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
添付の図面を参照する以下の説明は、特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定義される本開示に対する様々な実施形態の包括的な理解を支援するために与えられる。以下の説明は、当該理解を支援するように様々な具体的な詳細を含むが、これらは、単なる例としてみなすべきである。したがって、本明細書で説明される様々な実施形態の様々な変更及び修正を本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく行い得ることを当業者は認めるであろう。更に、周知の機能及び構造の説明は、明快さ及び簡潔さのために省略することがある。
【0051】
以下の説明及び特許請求の範囲で使用される用語及び言葉は、書誌学的な意味に限定するものではなく、本開示の明快で簡潔な理解を可能にするために本発明者が使用するものにすぎない。したがって、本開示に対する様々な実施形態の以下の説明は、例示のために与えられるにすぎず、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定義される本開示を限定するために与えられるのではないことは、当業者には明らかであろう。
【0052】
単数形「1つの(「a」、「an」及び「the」)」は、文脈が明らかに別段に規定しない限り、複数の指示対象を含むことを理解されたい。
【0053】
図1は、本開示の態様による水素ガス送出システム100を示す。
【0054】
水素ガス生成システム102は、水素ガスを生成する。生成水素ガスの圧力は、典型的には低い。概して、生成水素ガスの圧力は、30バール未満であり、圧力は、20バール未満の場合があり、圧力は、15バール未満の場合がある。水素ガスの圧力は、5バールから15バールの範囲の場合があるが、圧力は、5バール未満であるか、又は大気圧に近接する場合がある。
【0055】
水素ガスは、天然ガスの水蒸気改質、メタンの部分酸化、石炭のガス化、バイオマスのガス化、炭素回収によるメタンの熱分解、及び水の電気分解を含め、様々な方法で生成し得る。
【0056】
水素ガス生成システム102によって生成された水素ガスは、最終消費器に搬送、送出するため、より高い圧力に到達するように圧縮される。水素ガス圧縮器システム104は、所望のより高い圧力まで水素ガスを圧縮する。水素ガス圧縮器システム104は、水素ガス生成用地に位置する。
【0057】
この例では、水素ガスは、水素ガス圧縮器システム104によって250バールから350バールの間の圧力まで圧縮される。他の圧力及びより一層高い圧力を達成し得る。
【0058】
水素ガス圧縮器システム104は、この例では、多段階圧縮システムである。圧縮システムの第1の段階は、典型的には約50バールである最初の圧力まで水素ガスの圧力をブーストする。圧縮水素ガスは、水素ガスが所望の高圧に到達するように更なる圧縮段階を受ける水素ガス貯蔵ユニットに送出される。多段階圧縮システムは、全ての例で必要というわけではない。
【0059】
圧縮水素ガスは、可動貯蔵タンク106に送出される。可動貯蔵タンク106は、可動貯蔵タンク106が水素ガス生成用地から水素貯蔵用地又は水素補給用地のような他の場所に移動し得るという意味において、可動である。可動貯蔵タンク106は、典型的には、燃料タンカによって搬送され、燃料タンカは、当技術分野で公知のような水素燃料の搬送に使用される任意の形態の車両とし得る。
【0060】
可動貯蔵タンク106は、この例では、30m3から50m3の間の水素ガスを貯蔵する容積を有する。可動貯蔵タンク106の他の容量は、本開示の範囲内である。可動貯蔵タンク106は、250バールから350バールの間の圧力で水素ガスを貯蔵するように構成し得る。可動貯蔵タンク内に貯蔵される水素ガスの圧力は、この圧力範囲に限定されない。他の圧力及びより一層高い圧力を使用し得る。
【0061】
可動貯蔵タンク106は、典型的には、水素ガスを貯蔵する複数の圧力容器(例えば、ボンベ)を備える。いくつかの例では、200から500個の間の圧力容器を設け得る。可動貯蔵タンク106は、可動貯蔵タンク106の容易な搬送及び貯蔵を可能にする輸送コンテナ等の筐体も備え得る。
【0062】
複数の可動貯蔵タンク106は、水素ガス生成用地に位置し、水素ガス圧縮器システム104によって充填し得ることは了解されよう。複数の可動貯蔵タンク106は、同時に充填し得る。
【0063】
この例では、可動貯蔵タンク106は、燃料タンカによって水素補給用地まで搬送される。燃料タンカは、典型的には、30m3から70m3の間の水素ガス貯蔵容量を有し、500kgから1500kgの間の水素ガスを貯蔵し得る。燃料タンカは、通常、コンテナ輸送タンク、多管タンク、高圧タンクである。
【0064】
水素貯蔵用地において、水素ガスは、搬送用圧縮器システム108を使用して、可動貯蔵タンク106から、水素補給用地に置かれる貯蔵タンク110に搬送される。
【0065】
いくつかの例では、搬送用圧縮器システム108は、専用圧縮器システムである。専用圧縮器システムは、水素ガス貯蔵ユニットを備え、水素ガス貯蔵ユニットは、可動貯蔵タンク106から水素ガスを受け入れ、水素ガスを貯蔵タンク110に送出する。
【0066】
好ましい例では、可動貯蔵タンク106は、搬送用圧縮器システム108のための水素ガス貯蔵ユニットとして使用される。実際には、可動貯蔵タンク106は、圧縮容器として使用される。この手法は、必要とする構成要素がより少ないので、貯蔵タンクからガスを送出する複雑さを低減する。
【0067】
水素補給用地に置かれる貯蔵タンク110は、可動貯蔵タンク106より大きな容量を有することができ、主要貯蔵タンク110と呼び得る。主要貯蔵タンク110は、100m3から500m3の間の容積を有し得る。主要貯蔵タンク110は、300バールから500バールの間の圧力で水素ガスを貯蔵するように構成し得る。他の圧力及びより一層高い圧力を使用し得る。
【0068】
主要貯蔵タンク110は、典型的には、水素ガスを貯蔵する複数の圧力容器(例えば、ボンベ)を備える。いくつかの例では、少なくとも200個の圧力容器を設け得る。主要貯蔵タンク110は、複数の輸送コンテナ又は固定構造体等の筐体も備え得る。
【0069】
圧縮水素燃料は、補給用圧縮器システム112を使用して最終消費器(例えば車両)に送出される。
【0070】
いくつかの例では、補給用圧縮器システム112は、専用圧縮器システムである。専用圧縮器システムは、水素ガス貯蔵ユニットを備え、水素ガス貯蔵ユニットは、主要貯蔵タンク110から水素ガスを受け入れ、水素ガスを最終消費器に送出する。
【0071】
好ましい例では、主要貯蔵タンク110は、補給用圧縮器システム112のための水素ガス貯蔵ユニットとして使用される。実際には、主要貯蔵タンク110は、圧縮ボンベとして使用される。この手法は、必要とする構成要素がより少ないので、貯蔵タンクからガスを送出する複雑さを低減する。
【0072】
弁114は、水素燃料送出システム100の周囲の水素ガスの流れを制御するために設けられる。
【0073】
図2は、本開示の態様による水素ガス送出システム200の別の例を示す。
【0074】
図1の例のごとく、水素ガスは、水素ガス生成システム102で生成され、水素ガス圧縮システム104を使用して高圧まで圧縮される。圧縮水素ガスは、可動貯蔵タンク106に貯蔵され、可動貯蔵タンク106は、水素ガス生成用地から水素補給用地に搬送される。
【0075】
水素ガスは、水素補給用地では主要貯蔵タンクには搬送されない。そうではなく、可動貯蔵タンク106は、水素補給用地に貯蔵される。可動貯蔵タンク106は、他の可動貯蔵タンクと共に貯蔵され、積層水素貯蔵構造体を形成する。可動貯蔵タンク106は、この例ではコンテナ輸送ユニットとし得る。この例では、搬送用圧縮器システムは必要とされないことは了解されよう。
【0076】
一例では、5から20個の間の可動貯蔵タンクが一緒に貯蔵され、積層水素貯蔵構造体を形成する。積層水素貯蔵構造体は、100m3から500m3の間の容積を有し得、250バールから250バールの間の圧力で水素ガスを貯蔵し得る。
【0077】
圧縮水素燃料は、図1の例のごとく、補給用圧縮器システム112を使用して最終消費器(例えば車両)に送出される。
【0078】
弁114は、水素燃料送出システム200の周囲の水素ガスの流れを制御するために設けられる。
【0079】
図3は、本開示の態様による別の例示的な水素ガス送出システム300を示す。
【0080】
図1の例のごとく、水素ガスは、水素ガス生成システム102で生成され、水素ガス圧縮器システム104を使用して高圧まで圧縮される。
【0081】
この例では、水素は、同じ場所で生成され、貯蔵され、最終消費器に送出される。圧縮水素ガスは、可動貯蔵タンクに送出されず、代わりに、搬送用圧縮器システム108を使用して現地の主要貯蔵タンク110に直接搬送される。
【0082】
圧縮水素燃料は、図1の例のごとく、補給用圧縮器システム112を使用して最終消費器(例えば車両)に送出される。
【0083】
弁114は、水素燃料送出システム300の周囲の水素ガスの流れを制御するために設けられる。
【0084】
図4は、本開示の態様による別の例示的な水素ガス送出システム400を示す。
【0085】
図1の例のごとく、水素ガスは、水素ガス生成システム102で生成され、水素ガス圧縮システム104を使用して高圧まで圧縮される。
【0086】
この例では、圧縮水素ガスは、水素ガス生成用地から補給用地に搬送する管路システム402に搬送される。管路搬送のための送出圧力は、10バールから100バールの範囲内とし得る。補給用地では、水素ガスは、搬送用圧縮器システム108を使用して管路システムから主要貯蔵タンク110まで搬送される。補給用地では、水素ガスは、搬送用圧縮器システム108によって、300バールから500バールまでの範囲等で、より高い圧力まで更に圧縮される。
【0087】
圧縮水素燃料は、図1の例のごとく、補給用圧縮器システム112を使用して最終消費器(例えば車両)に送出される。
【0088】
弁114は、水素燃料送出システム400の周囲の水素ガスの流れを制御するために設けられる。
【0089】
上記の例示的水素ガス送出システム100~400は全て、様々な段階の送出工程で水素ガス圧縮を使用する。水素ガスは、最初、生成用地で圧縮器システム104を使用して高圧まで圧縮される。搬送用圧縮器システム108は、設けられた場合、水素ガスを主要貯蔵タンク110に送出する(即ち、ポンプにより押し出す)ために使用される。補給用圧縮器システム112は、貯蔵所から最終消費器に水素ガスを送出する(即ち、ポンプにより押し出す)ために使用される。
【0090】
本開示は、水素ガスを圧縮するための改善された方法、システム及び水素ガス貯蔵ユニットの提供に関し、これらは、上記の送出システム100~400の水素ガス圧縮段階のいずれかで、又は水素ガス圧縮が望ましい他の適用例で使用し得る。
【0091】
図5は、本開示の態様による例示的水素ガス圧縮器システム104、108、112を示す。
【0092】
水素ガス圧縮器システム104、108、112は、水素ガスを貯蔵する内容積部504を画成する水素ガス貯蔵ユニット502を備える。水素ガス貯蔵ユニット502は、この例では、水素ガスを貯蔵する複数の(この例では例示のためにすぎない4つの)ボンベ506を備える。ボンベ506は、圧縮器ボンベと呼び得る。ボンベ506は、ボンベの軸に沿って直立して整列する。
【0093】
水素ガス貯蔵ユニット502は、ガス出口508を備え、ガス出口508を介して、圧縮水素ガスを水素ガス貯蔵ユニット502から送出し(即ち、ポンプにより押し出し)得る。弁114は、水素ガスの選択的な送出を可能にするように、水素ガス出口508からの水素ガスの流れを制御するために使用される。複数のボンベ506が水素ガス貯蔵ユニット502内に設けられる場合、水素ガスは、複数のボンベ506のそれぞれから引き出し得ることは了解されよう。単一のガス出口508を複数のボンベ506に動作可能に接続し得るか、又は複数のガス出口を1つ若しくは複数のボンベ506にそれぞれ関連付けて設け得る。
【0094】
水素ガス貯蔵ユニット502は、流体入口510を更に備え、流体入口510を介して、作動流体を水素ガス貯蔵ユニット502に送出し得る。作動流体は、流体入口を介して水素ガス貯蔵ユニット502に送出され、水素ガス貯蔵ユニット502内で水素ガスのために利用可能な容積を減少するようにし、これにより、水素ガスを圧縮させ、水素ガスの圧力を増大させる。複数のボンベ506が水素ガス貯蔵ユニット502内に設けられる場合、作動流体は、複数のボンベ506のそれぞれに送出し得ることは了解されよう。単一の流体入口510を複数のボンベ506に動作可能に接続し得るか、又は複数の流体入口を1つ若しくは複数のボンベ506にそれぞれ関連付けて設け得る。
【0095】
作動流体は、水であっても、イオン流体であってもよい。他の形態の作動流体を使用してもよい。
【0096】
水素ガス貯蔵ユニット502は、流体出口512を更に備え、流体出口512を介して、作動流体を水素ガス貯蔵ユニット502から引き出し得る。複数のボンベ506が水素ガス貯蔵ユニット502内に設けられる場合、作動流体は、複数のボンベ506のそれぞれから引き出し得ることは了解されよう。単一の流体出口512を、複数のボンベ506に動作可能に接続し得るか、又は複数の流体出口を1つ若しくは複数のボンベ506にそれぞれ関連付けて設け得る。
【0097】
作動流体は、各ボンベ506の基部に送出される。作動流体がボンベ508に送出されるにつれて、ボンベ506のそれぞれの中の作動流体518のレベルが上昇し、ボンベ506内で水素ガスのために利用可能な容積を減少させる。作動流体518は、液体ピストンとして作用する。
【0098】
ガス出口508は、水素ガス貯蔵ユニット502の上部の方に配置される。流体入口510は、水素ガス貯蔵ユニット502の基部の方に配置される。流体出口512は、水素ガス貯蔵ユニット502の基部の方に配置され、この例では、水素ガス貯蔵ユニット502の底部システムに配置される。
【0099】
水素ガス圧縮器104、108、112は、流体入口510を介して水素ガス貯蔵ユニット502に作動流体を送出する流体送出手段514を更に備える。作動流体を貯蔵するため、流体槽516も設けられる。流体送出手段514は、この例では、ポンプであり、例えば、遠心ポンプ又は容積式ポンプとし得る。作動流体は、典型的には、高圧で送出される。
【0100】
動作時、流体送出手段514は、流体入口510を介してボンベ506の基部に作動流体を送出するように制御され、ボンベ506内で水素ガスのために利用可能な容積を減少させるようにする。このことにより、水素ガス貯蔵ユニット502内に貯蔵される水素ガスの圧力を増大させる。流体送出手段514は、制御された速度で作動流体を送出するように制御でき、所望の送出圧力及び流量を維持するようにする。
【0101】
全ての例で必要とされるわけではないが、水素ガス圧縮器システム104、108、112は、有利には、熱交換器を更に備える。熱交換器は、この例では、水素ガス貯蔵ユニット502と統合され、冷却剤流体回路を備え、冷却剤流体回路を介して、冷却剤流体は、水素ガス貯蔵ユニット502を流通し、水素ガスからの熱を抽出し得る。
【0102】
冷却剤流体は、水素ガス貯蔵ユニット502の冷却剤流体入口520を介して導入され、冷却剤流体出口522を介して除去される。
【0103】
冷却剤流体は、水であっても、他の形態の液体冷却剤であってもよい。当然、空気冷却又は蒸気冷却も使用し得ることは了解されよう。
【0104】
水素ガス圧縮器104、108、112は、冷却剤流体入口520を介して水素ガス貯蔵ユニット502に冷却剤流体を送出する冷却剤流体送出手段524(この例では、冷却剤ポンプ)を更に備える。冷却剤流体を貯蔵する冷却剤流体槽526も設けられる。
【0105】
動作時、流体送出手段514は、流体入口510を介してボンベ506の基部に作動流体を送出するように制御され、ボンベ506内で水素ガスのために利用可能な容積を減少させるようにする。このことにより、水素ガス貯蔵ユニット502内に貯蔵される水素ガスの圧力を増大させる。水素ガスの圧縮により、水素ガスの温度を上昇させる。これを抑制するため、冷却剤流体送出手段524を制御して、冷却剤流体を冷却剤流体入口520に送出する。冷却剤流体は、水素ガスからの熱を吸収するように冷却剤流体回路を流通する。
【0106】
熱交換器を使用しない場合、10バールの圧力から350バールの圧力に水素ガスを圧縮すると、水素ガスの温度を摂氏400度超まで増大させることがある。この高温は、ガス密度を(この例では約50%)低下させ、水素ガス貯蔵ユニット502からガス出口508を介して所望の質量のガスを送出するためにより一層高い圧力を生成しなければならないことを意味する。この例では、650バールの圧力を必要とすることがあり、これにより、摂氏500度超の温度の水素ガスをもたらし得る。
【0107】
高温の発生は、水素ガス圧縮器システム104、108、112及び水素ガス送出システム100、200、300、400全体(図1から図4)内の構成要素の動作及び耐久性に影響を及ぼし得る。更に、高温は、圧縮のための投入エネルギーの増大も必要とし、方法の効率を低減した。更に、高温は、圧縮に必要とする投入エネルギーを増大させる。350バールでの水素ガスの送出は、5MJ/kgの範囲を必要とする一方で、800バールでの水素ガスの送出は、7MJ/kgの範囲を必要とする。
【0108】
熱交換器の利用は、圧縮中の水素ガスの温度上昇を有益に制御可能にする。冷却剤流体は、水素ガスからの熱を吸収し、温度上昇を相殺し、近等温圧縮を可能にする。
【0109】
水素ガス圧縮器104、108、112は、ガス入口(図示せず)を更に備え得、ガス入口を介して、水素ガスを水素ガス貯蔵ユニット502に導入する。ガス入口に導入する前にガスを最初に圧縮する更なる圧縮器段階を設け得る。
【0110】
図6は、本開示の態様による例示的水素ガス圧縮器システム104を示す。水素ガス圧縮器104は、この例では、水素ガス生成システム102(図1から図4)によって生成される水素ガスを圧縮するために使用される。
【0111】
水素ガス圧縮器システム104は、図5に関して上記で説明した水素ガス圧縮器システムの特徴を備える。同様の参照番号は、同様の構成要素を示すために使用される。
【0112】
水素貯蔵堰502は、ガス入口506を備え、ガス入口506によって、水素ガス生成システム102によって生成された水素ガスを水素ガス貯蔵ユニット502に導入する。
【0113】
水素ガス圧縮器システム104は、初期ブースタ圧縮器530を更に備え、初期ブースタ圧縮器530は、水素ガスを水素ガス貯蔵ユニット502に導入する前、水素ガスの初期の圧縮を実施する。ブースタ圧縮器530は、従来の機械的圧縮器の形態であっても、水素ガス貯蔵ユニット502への圧縮と同様の手法を使用してもよい。即ち、ブースタ圧縮器530は、水素ガス貯蔵ユニットと、水素ガス貯蔵ユニット内の圧力を上昇させる作動流体送出手段と、任意に、冷却剤流体送出手段とを備え得る。
【0114】
弁114は、水素ガス出口508からの水素ガスの流れを制御する。
【0115】
動作時、水素ガスを水素ガス生成システムによって発生させ、5から15バールの範囲内の低圧で水素ガス圧縮器システム104に流す。水素ガスの圧力は、水素ガス貯蔵ユニット502に流す前、最初、ブースタ圧縮器530によって約50バールの圧力までブーストされる。流体送出手段514は、流体入口510を介してボンベ506の基部に作動流体を送出するように制御され、ボンベ506内で水素ガスのために利用可能な容積を減少させるようにする。このことにより、水素ガス貯蔵ユニット502内に貯蔵される水素ガスの圧力を増大させる。水素ガスの圧縮により、水素ガスの温度を上昇させる。これを抑制するため、冷却剤流体送出手段524を制御して、冷却剤流体を冷却剤流体入口520に送出する。冷却剤流体は、水素ガスからの熱を吸収するように冷却剤流体回路を流通する。
【0116】
図7は、本開示の態様による例示的水素ガス圧縮器システム108、112を示す。この例では、水素ガス圧縮器システム108、112を使用して、水素を貯蔵タンクに搬送するか(搬送用圧縮器システム108)、又は水素を消費器に送出する(補給用圧縮器システム112)。
【0117】
水素ガス圧縮器システム108、112は、図5に関して上記で説明した水素ガス圧縮器システムの特徴を備える。同様の参照番号は、同様の構成要素を示すために使用される。
【0118】
この例では、水素ガス貯蔵ユニット502は、熱交換器を備えないが、所望される場合、熱交換器を設け得る。水素ガス貯蔵ユニット502は、冷却剤流体入口、冷却剤流体出口、冷却剤ポンプ、又は冷却剤槽を備えない。概して、熱交換器は、この例では必要とされない。というのは、水素ガスの圧力は、大幅に(例えば、図6の水素ガス圧縮器104のごとく10バールから350バールまで)増大させる必要がないためである。そうではなく、水素ガス圧縮器システム108、112は、概して、水素ガス貯蔵ユニット502からの既に圧縮されているガスの一貫した送出を保証するために使用される。
【0119】
いくつかの例では、水素ガス圧縮器システム108、112は、専用圧縮器システムである。専用圧縮器システム108、112は、水素供給ユニットと水素受け器ユニットとの間に配置される。
【0120】
好ましい例では、水素ガス圧縮器システム108、112は、専用圧縮器システムではなく、代わりに、水素ガス貯蔵ユニット502として水素ガスを貯蔵する既存の水素ガス貯蔵ユニットを利用する。水素ガス貯蔵ユニット502は、図1から図4に関して上記で説明した可動貯蔵タンク106、主要貯蔵タンク110、又は積層貯蔵タンク202とし得る。この手法は、必要とする構成要素がより少ないので、貯蔵タンクからガスを送出する複雑さを低減する。
【0121】
したがって、水素ガス貯蔵ユニット502は、流体送出手段、及び存在する場合、冷却剤送出手段に着脱可能に連結し得る。水素ガス貯蔵ユニット502は、補給場所に搬送し、流体送出手段514、及び存在する場合、冷却剤送出手段に連結でき、水素ガス貯蔵ユニット502内に収容される水素ガスの圧縮を可能にし得る。
【0122】
既存の水素ガス圧縮器システムとは対照的に、水素ガス貯蔵ユニット502は、水素ガスを貯蔵する大きな容積を有し得る。水素ガス貯蔵ユニット502は、水素ガス貯蔵ユニットが可動貯蔵タンク106である等の場合、少なくとも10m3の容積を有し得、又は水素ガス貯蔵ユニットが主要貯蔵タンク110である場合、少なくとも70m3の容積を有し得る。
【0123】
動作時、水素ガス貯蔵ユニット502は、流体送出手段514に連結される。ガスは、ガス出口508から引き出される。引き出されたガスは、主要貯蔵タンク110、積層貯蔵タンク202、又は車両に組み込まれる貯蔵ユニット等、受け器貯蔵ユニットに搬送される。流体送出手段514を制御して、水素ガス貯蔵ユニット502に作動流体を送出させ、水素ガスが水素ガス貯蔵ユニット502から引き出されたことによって生じた圧力降下を補償し、水素ガス貯蔵ユニット502から受け器貯蔵ユニットへの一貫した水素ガスの送出を可能にする。水素ガスを送出した後、作動流体は、流体出口512を介して流れ、流体槽に戻ることが可能である。この流れは、水素ガス貯蔵ユニット内に残留するガス圧力によって駆動し得る。
【0124】
図8は、本開示の態様による水素ガス圧縮器システム104、108、112の作動を制御及び/又は監視するために使用される制御システム800を示す。図8において、実線は、制御信号を示し、破線は、フィードバック及び/又はセンサ信号を示す。
【0125】
制御システム800は、典型的には、1つ又は複数の適切にプログラムされた若しくは構成されたハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェア制御器によって典型的には実装される主システム制御器802を備え、主システム制御器802は、例えば、1つ又は複数の適切にプログラムされた若しくは構成されたマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又は他のプロセッサ、例えば、ASIC、DSP又はFPGA等のICプロセッサを備える(図示せず)。
【0126】
好ましい例では、制御システム800は、弁114、作動流体送出手段514及び冷却剤流体送出手段524等のシステムの他の構成要素に制御情報を伝達する。工程設定は、工程設定インターフェース・ユニット804を介して受信し得る。工程設定は、例えば、温度(複数可)、流量(複数可)及び/又は圧力(複数可)に関する環境条件を指定し得る。
【0127】
図8に示される例では、ガス流制御モジュール806は、ガス流量を制御する制御信号を生成し、温度制御モジュール808は、温度を制御する制御信号を生成し、圧力制御モジュール810は、圧力を制御する制御信号を生成する。制御信号は、制御及び作動ルーム(loom)812に供給され、制御及び作動ルーム812は、制御信号を水素ガス圧縮器システムの所望の構成要素に転送する。
【0128】
制御システム800は、(例えば、水素ガス貯蔵ユニット502に組み込まれる)センサ、(例えば、水素ガス貯蔵ユニット502に組み込まれる)測定デバイス、弁114及び/又は流体送出手段514、524等の他の構成要素からフィードバック情報も受信し得、このフィードバック情報に応じて、制御システム800は、1つ又は複数の関連構成要素に制御情報を発行し得る。フィードバック情報は、この例では、フィードバック及びセンサ・ルーム(loom)814を介して受信される。
【0129】
制御システム800は、提供された測定値又は他の情報の分析を実施し得る。この分析は、自動的にリアルタイムで制御システム800によって実行し得る。代替的に又は追加として、システム測定値及び性能の分析は、オペレータによってリアルタイムで又はオフラインで行い得る。オペレータは、工程設定インターフェース804を介して制御指示を提供することによって、水素ガス圧縮器システムの動作に対する調節を行い得る。
【0130】
安全制御モジュール816を設けてもよく、安全制御モジュール816は、1つ又は複数の警報センサ(図示せず)、例えば、水素ガス圧縮器システム内に含め得るガス・センサ、温度センサ、漏れ検出器又は緊急停止部から警報信号を受信し得る。安全制御モジュール816は、警報センサから受信した警報信号に基づき、警報情報を主制御器802に提供する。安全制御モジュール816は、警報及び遮断モジュール818も制御し、オペレータのために警報を生成し得る、及び/又は水素ガス圧縮器システムの動作を遮断し得る。
【0131】
好ましい例では、制御システム800、より具体的には主制御器802は、例えば、数理的モデル化ソフトウェア又はファームウェア820を支持することによって、システムのモデル化論理を実装するように構成され、工程設定、及び/又は水素ガス圧縮器システムの動作中に1つ若しくは複数のシステム構成要素から受信したフィードバック信号に応じて、制御システム800が水素ガス圧縮器システムの挙動を数理的にモデル化することを可能にする。
【0132】
任意に、制御システム800は、モデル予測制御(MPC)を実施するように構成される。MPCを使用すると、制御システム800は、対応するずれが関連する工程設定点から実際に生じる前に制御モジュール806、808、810、816の制御動作を調節する。この予測能力は、従来のフィードバック動作と組み合わせられると、より円滑で、他の場合で得られる最適制御機能値により近い調節を制御システム800が行うことを可能にする。制御モデルは、例としてMatlab、Simulink又はLabviewで書かれ、主制御器802によって実行し得る。有利には、MPCは、MIMO(多入力、多出力)システムを扱い得る。
【0133】
図9は、本開示の態様による水素ガスを圧縮する例示的方法を示す。方法のステップ902は、水素ガス貯蔵ユニット内に収容されている水素ガスの圧力を増大させるため、作動流体を水素ガス貯蔵ユニットに送出することを含む。方法のステップ904は、水素ガスからの熱を吸収するため、冷却剤流体を水素ガス貯蔵ユニットに送出することを含む。
【0134】
図10は、本開示の態様による水素ガスを圧縮する例示的方法を示す。ステップ906は、水素ガスを水素ガス貯蔵ユニットから引き出すことを含む。ステップ908は、水素ガス貯蔵ユニット内に収容されている残りの水素ガスの圧力を増大させるため、作動流体を水素ガス貯蔵ユニットに送出することを含む。
【0135】
図11は、本開示の態様による、水素生成用地で使用する水素ガス圧縮器システム104の更なる例を示す。水素ガス圧縮器104は、この例でも、水素ガス生成システム102(図1から図4)によって生成される水素ガスを圧縮するために使用される。
【0136】
水素ガス圧縮器システム104は、図5に関して上記で説明した水素ガス圧縮器システムの特徴を備える。同様の参照番号は、同様の構成要素を示すために使用される。
【0137】
水素貯蔵堰502は、ガス入口506を備え、ガス入口506によって、水素ガス生成システム102によって生成された水素ガスを水素ガス貯蔵ユニット502に導入する。
【0138】
水素ガス圧縮器システム104は、初期ブースタ圧縮器530を更に備え、初期ブースタ圧縮器530は、水素ガスを水素ガス貯蔵ユニット502に導入する前、水素ガスの初期の圧縮を実施する。ブースタ圧縮器530は、従来の機械的圧縮器の形態であっても、水素ガス貯蔵ユニット502への圧縮と同様の手法を使用してもよい。即ち、ブースタ圧縮器530は、水素ガス貯蔵ユニットと、水素ガス貯蔵ユニット内の圧力を上昇させる作動流体送出手段と、任意に、冷却剤流体送出手段とを備え得る。
【0139】
図11で示されるこの実施形態では、水素ガス出口508は、出口508における圧縮水素ガスを冷却する冷却器ユニット601と、冷却器ユニット601に続いて、出口508における圧縮水素ガスの圧力を調整する圧力制御弁602とを有する。圧力制御弁602は、圧縮水素ガスからの水蒸気を除去する乾燥ユニット603に通じる。当然、乾燥ユニット603は、様々な種類の乾燥、例えば、凝縮、除湿又はメンブレンに適合し得ることは了解されよう。
【0140】
動作時、水素ガスを水素ガス生成システムによって発生させ、5から15バールの範囲内の低圧で水素ガス圧縮器システム104に流す。水素ガスの圧力は、水素ガス貯蔵ユニット502に流す前、最初、ブースタ圧縮器530によって約50バールの圧力までブーストされる。流体送出手段514は、流体入口510を介してボンベ506の基部に作動流体を送出するように制御され、ボンベ506内で水素ガスのために利用可能な容積を減少させるようにする。このことにより、水素ガス貯蔵ユニット502内に貯蔵される水素ガスの圧力を増大させる。水素ガスの圧縮により、水素ガスの温度を上昇させる。これを抑制するため、冷却剤流体送出手段524を制御して、冷却剤流体を冷却剤流体入口520に送出する。冷却剤流体は、水素ガスからの熱を吸収するように冷却剤流体回路を流通する。出口において、圧縮水素ガスは、冷却器ユニット601によって更に冷却され、圧力は、圧力調整弁602によって調整され、凝縮、除湿又はメンブレン乾燥等の何らかの形態の乾燥は、圧縮ガスを貯蔵タンクに送出する前に乾燥ユニット603によってもたらされる。
【0141】
図12及び図13は、本開示の態様による水素ガス圧縮器システム108、112の更なる例を示す。この例では、水素ガス圧縮器システム108、112を使用して、図12に示されるように水素を貯蔵タンクに搬送するか(搬送用圧縮器システム108)、又は図13に示されるように水素を消費器に送出する(補給用圧縮器システム112)。
【0142】
水素ガス圧縮器システム108、112は、図5に関して上記で説明した水素ガス圧縮器システムの特徴を備える。同様の参照番号は、同様の構成要素を示すために使用される。
【0143】
この例では、水素ガス貯蔵ユニット502は、熱交換器を備えないが、所望される場合、熱交換器を容易に設け得る。水素ガス貯蔵ユニット502は、冷却剤流体入口、冷却剤流体出口、冷却剤ポンプ又は冷却剤槽を備えない。概して、熱交換器は、この例では必要とされない。というのは、水素ガスの圧力は、大幅に(例えば、図6又は図11の水素ガス圧縮器104のごとく10バールから350バールまで)増大させる必要がないためである。そうではなく、水素ガス圧縮器システム108、112は、概して、水素ガス貯蔵ユニット502からの既に圧縮されているガスの一貫した送出を保証するために使用される。
【0144】
いくつかの例では、水素ガス圧縮器システム108、112は、専用圧縮器システムである。専用圧縮器システム108、112は、水素供給ユニットと水素受け器ユニットとの間に配置される。
【0145】
好ましい例では、水素ガス圧縮器システム108、112は、専用圧縮器システムではなく、代わりに、水素ガス貯蔵ユニット502として水素ガスを貯蔵する既存の水素ガス貯蔵ユニットを利用する。水素ガス貯蔵ユニット502は、図1から図4に関して上記で説明した、図12に示される可動貯蔵タンク106、主要貯蔵タンク110、又は積層貯蔵タンク202とし得る。この手法は、必要とする構成要素がより少ないので、貯蔵タンクからガスを送出する複雑さを低減する。
【0146】
したがって、水素ガス貯蔵ユニット502は、流体送出手段、及び存在する場合、冷却剤送出手段に着脱可能に連結し得る。水素ガス貯蔵ユニット502は、図13に示される補給場所に搬送し、流体送出手段514、及び存在する場合、冷却剤送出手段に連結でき、水素ガス貯蔵ユニット502内に収容される水素ガスの圧縮を可能にし得る。
【0147】
既存の水素ガス圧縮器システムとは対照的に、水素ガス貯蔵ユニット502は、水素ガスを貯蔵する大きな容積部を有し得る。水素ガス貯蔵ユニット502は、水素ガス貯蔵ユニットが可動貯蔵タンク106である等の場合、少なくとも10m3の容積を有し得、又は水素ガス貯蔵ユニットが主要貯蔵タンク110である場合、少なくとも70m3の容積を有し得る。
【0148】
動作時、水素ガス貯蔵ユニット502は、流体送出手段514に連結される。ガスは、ガス出口508から引き出される。引き出されたガスは、主要貯蔵タンク110、積層貯蔵タンク202、又は車両に組み込まれる貯蔵ユニット等の受け器貯蔵ユニットに搬送される。流体送出手段514を制御して、水素ガス貯蔵ユニット502に作動流体を送出させ、水素ガスが水素ガス貯蔵ユニット502から引き出されたことによって生じた圧力降下を補償し、水素ガス貯蔵ユニット502から受け器貯蔵ユニットへの一貫した水素ガスの送出を可能にする。水素ガスを送出した後、作動流体は、流体出口512を介して流れ、流体槽に戻ることが可能である。この流れは、水素ガス貯蔵ユニット内に残留するガス圧力によって駆動し得る。
【0149】
図12及び図13の両方において、水素ガス出口508は、出口508における圧縮水素ガスの圧力を調整する圧力調節弁602を有する。圧力制御弁602は、圧縮水素ガスから水蒸気を除去する乾燥ユニット603に通じる。当然、乾燥ユニット603は、様々な種類の乾燥、例えば、凝縮、除湿又はメンブレンに適合し得ることは了解されよう。乾燥ユニット603は、圧縮水素ガスを緩衝タンク604に送出し、緩衝タンク604は、圧縮水素ガスを冷却する冷却器ユニット601に圧縮水素ガスを送出する。
【0150】
任意の特徴の様々な組合せを本明細書で説明しており、説明した特徴は、任意の適切な組合せで組み合わせ得ることは了解されよう。特に、任意の1つの例示的実施形態の特徴は、任意の他の実施形態の特徴と、適宜に、そのような組合せが相互に排他的である場合を除いて、組み合わせ得る。本明細書全体を通して、用語「備える(「comprising」又は「comprises」)」は、指定された構成要素(複数可)を含むが、他の構成要素の存在を排除しないことを意味する。
【0151】
(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含めて)本明細書で開示される特徴の全て、並びに/又は開示される任意の方法のステップ若しくは工程の全ては、任意の組合せで、そのような特徴及び/又はステップの少なくとも一部が相互に排他的である組合せを除いて、組み合わせ得る。
【0152】
(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含めて)本明細書で開示される各特徴は、別段に明記されていない限り、同じ、同等又は同様の目的を果たす代替的な特徴と取り代え得る。したがって、別段に明記されていない限り、開示される各特徴は、一般的な一連の同等又は同様の特徴の一例にすぎない。
【0153】
本発明は、上記の実施形態(複数可)の詳細に制限されない。本発明は、(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含めて)本明細書で開示される複数の特徴のうち、任意の新規な1つの特徴若しくは任意の新規な組合せ、又は開示される任意の方法のステップ若しくは工程のうち、任意の新規な1つのステップ若しくは任意の新規な組合せまで拡張する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-01-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガス送出システムにおいて水素ガスを送出する方法であって、
前記送出システムは、水素ガス生成用地から最終消費器に水素ガスを送出するシステムであり、
前記水素ガス送出システムにおいて水素ガスを送出する方法は、水素ガスを圧縮する方法、を含み、
前記水素ガス圧縮方法は、
水素ガス貯蔵ユニット内に収容されている水素ガスの圧力を増大させるため、作動流体を前記水素ガス貯蔵ユニットの内容積部に送出することであって、前記作動流体は、ピストンとして作用し、前記水素ガスからの熱を吸収するため、前記水素ガス貯蔵ユニットの内容積部を横断する冷却剤流体回路を介して、前記水素ガス貯蔵ユニットの内容積部に冷却剤流体を送出することと、を含み、
前記冷却剤流体は、前記水素ガス貯蔵ユニットに着脱可能に連結される冷却剤流体送出手段によって送出され、
前記水素ガス送出システムにおいて水素ガスを送出する方法は、前記圧縮水素ガスを分配する方法を含み、
前記圧縮水素ガスを分配する方法は、
水素ガスを前記水素ガス貯蔵ユニットから引き出すことと、
前記水素ガス貯蔵ユニット内に収容されている残りの水素ガスの圧力を増大又は維持し、前記水素ガス貯蔵ユニットからの水素ガスを一貫して効率的に送出するため、前記作動流体を前記水素ガス貯蔵ユニットの内容積部に送出することと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記水素ガス貯蔵ユニットは、前記水素ガス送出システムにおいて2段階以上の水素ガス圧縮で使用されるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の水素ガス送出システムにおいて水素ガスを送出する方法。
【請求項3】
前記作動流体及び前記冷却剤流体は、前記水素ガス圧縮方法において前記水素ガス貯蔵ユニットに同時に送出されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水素ガス送出システムにおいて水素ガスを送出する方法。
【請求項4】
前記引き出された水素ガスは、受け器貯蔵ユニットに搬送されることを特徴とする、請求項1に記載の水素ガス送出システムにおいて水素ガスを送出する方法。
【請求項5】
前記受け器貯蔵ユニットは、主要貯蔵タンク、積層貯蔵タンク、又は車両に組み込まれる貯蔵ユニットであることを特徴とする、請求項4に記載の水素ガス送出システムにおいて水素ガスを送出する方法。
【請求項6】
水素ガス生成システムから生成された水素ガスを最終消費器に送出する水素ガス送出システムであって、
前記水素ガス送出システムは、
前記水素ガス生成システムから生成された低圧水素ガスを高圧まで圧縮するように構成され、前記水素ガス生成用地に位置する水素ガス圧縮システムと、
貯蔵所から前記最終消費器に水素ガスを送出するために使用される補給用圧縮器システムと、を備え、
前記水素ガス圧縮システム及び前記補給用圧縮器システムは、水素ガス圧縮器システムを備え、
前記水素ガス圧縮器システムは、
水素ガスを貯蔵する内容積部を画成する水素ガス貯蔵ユニットであって、前記水素ガス貯蔵ユニットは、ガス出口を備え、前記ガス出口を介して、水素ガスを前記水素ガス貯蔵ユニットから引き出し得る、水素ガス貯蔵ユニットと、
前記水素ガス貯蔵ユニット内に収容されている残りの水素ガスの圧力を増大又は維持するため、水素ガスが前記水素ガス貯蔵ユニットから引き出されたことに応じて、作動流体を前記水素ガス貯蔵ユニットの前記内容積部内に送出するように構成される作動流体送出手段と、
前記水素ガス貯蔵ユニット内に統合される熱交換器と、を備え、
前記熱交換器は、前記水素ガスが貯蔵されている前記内容積部を横断する冷却剤流体回路を備える、
水素ガス送出システム。
【請求項7】
前記水素ガス生成システムからの前記水素ガスを圧縮するように構成される前記水素ガス圧縮器システムは、多段階圧縮器システムであることを特徴とする、請求項6に記載の水素ガス送出システム。
【請求項8】
前記圧縮水素ガスは、可動貯蔵タンクに送出されるか、又は管路システムに搬送されることを特徴とする、請求項6又は7に記載の水素ガス送出システム。
【請求項9】
前記可動貯蔵タンクは、複数の圧力容器を備えることを特徴とする、請求項8に記載の水素ガス送出システム。
【請求項10】
前記可動貯蔵タンクは、前記可動貯蔵タンクの容易な搬送及び貯蔵を可能にする輸送コンテナ等の筐体を備えることを特徴とする、請求項8又は9に記載の水素ガス送出システム。
【請求項11】
複数の前記可動貯蔵タンクは、前記水素ガス生成用地に位置し得、前記水素ガス圧縮システムによって充填し得ることを特徴とする、請求項8から10のいずれか一項に記載の水素ガス送出システム。
【請求項12】
前記複数の可動貯蔵タンクは、同時に充填されることを特徴とする、請求項11に記載の水素ガス送出システム。
【請求項13】
前記圧縮水素ガスは、燃料タンカを使用して前記可動貯蔵タンクを搬送することによって、又は管路システムを使用する管路搬送によって、前記水素ガス生成用地から水素ガス補給用地に搬送されることを特徴とする、請求項8から10のいずれか一項に記載の水素ガス送出システム。
【請求項14】
前記可動貯蔵タンクは、積層水素貯蔵構造体を形成するように、前記補給用地で他の可動貯蔵タンクと共に貯蔵されることを特徴とする、請求項13に記載の水素ガス送出システム。
【請求項15】
前記水素ガス送出システムは、水素ガスを貯蔵タンクに搬送する搬送用圧縮器システムを更に備え、前記搬送用圧縮器システムは、前記水素ガス圧縮器システムを備えることを特徴とする、請求項6から13のいずれか一項に記載の水素ガス送出システム。
【請求項16】
請求項9に従属する場合、前記圧縮水素ガスは、前記搬送用圧縮器システムを使用して前記可動貯蔵タンク又は前記管路システムから前記貯蔵タンクに搬送されることを特徴とする、請求項15に記載の水素ガス送出システム。
【請求項17】
前記可動貯蔵タンクは、前記搬送用圧縮器システムのための前記水素ガス貯蔵ユニットとして使用されることを特徴とする、請求項16に記載の水素ガス送出システム。
【請求項18】
請求項6に従属する場合、前記搬送用圧縮器は、圧縮水素ガスを現地の貯蔵タンクに搬送するために使用されることを特徴とする、請求項15に記載の水素ガス送出システム。
【請求項19】
水素は、同じ場所で生成され、貯蔵され、最終消費器に送出されることを特徴とする、請求項18に記載の水素ガス送出システム。
【請求項20】
前記搬送用圧縮器は、前記圧縮水素ガスを高圧まで更に圧縮するように構成されることを特徴とする、請求項15から19のいずれか一項に記載の水素ガス送出システム。
【請求項21】
前記貯蔵タンク又は前記積層水素貯蔵構造体は、前記補給用圧縮器システムのための前記水素ガス貯蔵ユニットとして使用されることを特徴とする、請求項14から20のいずれか一項に記載の水素ガス送出システム。
【請求項22】
前記作動流体送出手段は、前記水素ガス貯蔵ユニットに着脱可能に連結されることを特徴とする、請求項6から21のいずれか一項に記載の水素ガス送出システム。
【請求項23】
前記水素ガス貯蔵ユニットは、前記水素ガス送出システムにおいて2段階以上の水素ガス圧縮で使用されるように構成されることを特徴とする、請求項6から22のいずれか一項に記載の水素ガス送出システム。
【国際調査報告】