IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニーの特許一覧

特表2024-544765フリーラジカル重合性化合物、フリーラジカル重合性化合物を含む組成物、重合した化合物、重合した化合物の製造方法及び重合した化合物を含む物品
<>
  • 特表-フリーラジカル重合性化合物、フリーラジカル重合性化合物を含む組成物、重合した化合物、重合した化合物の製造方法及び重合した化合物を含む物品 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-04
(54)【発明の名称】フリーラジカル重合性化合物、フリーラジカル重合性化合物を含む組成物、重合した化合物、重合した化合物の製造方法及び重合した化合物を含む物品
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/20 20060101AFI20241127BHJP
   C08F 299/06 20060101ALI20241127BHJP
   C08F 299/08 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
C08G77/20
C08F299/06
C08F299/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532405
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 IB2022060875
(87)【国際公開番号】W WO2023099995
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/285,586
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/404,981
(32)【優先日】2022-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】クラン,トーマス ピー.
(72)【発明者】
【氏名】スミス,マシュー アール.ディー.
【テーマコード(参考)】
4J127
4J246
【Fターム(参考)】
4J127AA03
4J127AA04
4J127AA06
4J127AA07
4J127BA01
4J127BA051
4J127BA052
4J127BB051
4J127BB052
4J127BB091
4J127BB092
4J127BB221
4J127BB222
4J127BC021
4J127BC022
4J127BC051
4J127BC052
4J127BC122
4J127BD291
4J127BD422
4J127BD491
4J127CA01
4J127EA13
4J127FA16
4J127FA21
4J246AA03
4J246AB01
4J246BA02X
4J246BB021
4J246BB02X
4J246CA53E
4J246CA53U
4J246CA53X
4J246CA65E
4J246CA65M
4J246CA65X
4J246CA73E
4J246CA73M
4J246CA73X
4J246CA74E
4J246CA74M
4J246CA74X
4J246CA79E
4J246CA79M
4J246CA79X
4J246FA432
4J246HA57
(57)【要約】
ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントと少なくとも1つのアクリル基とを有する、フリーラジカル重合性化合物が開示される。フリーラジカル重合性化合物を含む組成物、重合した化合物、重合した化合物の製造方法及び重合した化合物を含む物品も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】
[式中、
は、m+nの価数を有するC~C60有機基であり;
各PDMSは、独立して、ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントを有する一価基を表し;
各Qは、独立して、共有結合であるか、又は少なくとも2の価数を有する有機連結基であり;
各Xは、独立して、O、S、又はNRであり、各Rは、独立して、H又はC~Cアルキル基であり;
m及びnは、独立して、1以上の整数であり;
各Zは、独立して、
【化2】
(式中、
は、-S-又はN(R)-であり、Rは、H、C~Cアルキル基、又は-RSi(L)(R3-bであり;
は、任意に1個以上のカテナリー酸素原子で置換された、二価のアルキレン基であり;
は、一価の非加水分解性基であり;
は、H又はメチルであり;
各Lは、独立して、一価の加水分解性基であり;
各bは、独立して、1、2、又は3であり;
a及びpは、独立して、0以上の整数であり、1≦(a+p)≦6であり;少なくとも1つのZについてはa=1であり;少なくとも1つのZについてはp=1である)
を表す]
によって表される、フリーラジカル重合性化合物。
【請求項2】
が、ジイソシアネート及びトリイソシアネートから選択されるポリイソシアネートの残基である、請求項1に記載のフリーラジカル重合性化合物。
【請求項3】
が、ジイソシアネートオリゴマー化生成物の残基を含む、請求項1又は2に記載のフリーラジカル重合性化合物。
【請求項4】
2≦(m+n)≦10である、請求項1~3のいずれか一項に記載のフリーラジカル重合性化合物。
【請求項5】
m=1、n=1であり、Z基1つ当たりのa及びpの平均値が各々少なくとも1である、請求項1~4のいずれか一項に記載のフリーラジカル重合性化合物。
【請求項6】
m=1、n=2であり、Z基1つ当たりのa及びpの平均値が各々少なくとも1である、請求項1~4のいずれか一項に記載のフリーラジカル重合性化合物。
【請求項7】
m=1、n=2であり、少なくとも1つのZについてはa=0且つp=1であり、少なくとも1つの他のZについてはa=1且つp=0である、請求項1に記載のフリーラジカル重合性化合物。
【請求項8】
4≦(m+n)≦10、3≦n≦9であり、少なくとも1つのZについてはa=0且つp=1であり、少なくとも1つの他のZについてはa=1且つp=0である、請求項1に記載のフリーラジカル重合性化合物。
【請求項9】
複数の異なる請求項1~8のいずれか一項に記載のフリーラジカル重合性化合物を含む、フリーラジカル重合性組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの追加のフリーラジカル重合性化合物を更に含む、請求項9に記載のフリーラジカル重合性組成物。
【請求項11】
前記重合性組成物が、少なくとも1つのフリーラジカル光開始剤を更に含み、方法が、前記重合性組成物を有効量の化学線に曝露することを更に含む、請求項9又は10に記載のフリーラジカル重合性組成物。
【請求項12】
i)ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントと少なくとも2つの(メタ)アクリル基とを含むウレタン化合物と、
ii)加水分解性基とアミノ基又はメルカプト基から選択される基とを含むオルガノシラン化合物と、
を含む成分の反応生成物であって、
(メタ)アクリル基が未反応のまま残るように、成分i)とii)の当量比が1より大きい、反応生成物。
【請求項13】
成分i)とii)の当量比が2:1~10:1である、請求項12に記載の反応生成物。
【請求項14】
前記反応生成物が未反応の成分i)を含む、請求項12又は13に記載の反応生成物。
【請求項15】
重合した組成物を製造する方法であって:
少なくとも1つの請求項1~8のいずれか一項に記載のフリーラジカル重合性化合物を含む重合性組成物を準備することと、
前記重合性組成物をフリーラジカル重合して、前記重合した組成物をもたらすことと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記重合性組成物が、少なくとも1つの追加のフリーラジカル重合性化合物を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記重合性組成物が、少なくとも1つのフリーラジカル光開始剤を更に含み、前記方法が、前記重合性組成物を有効量の化学線に曝露することを更に含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
物品を製造する方法であって:
a)請求項9~11のいずれか一項に記載のフリーラジカル重合性組成物の層を第1の基材の成形型表面上に配置する工程であって、前記成形型表面がナノ構造を含むパターンを有する、工程と、
b)前記フリーラジカル重合性組成物の層を、第2の基材の金属酸化物表面と接触させる工程と、
c)前記フリーラジカル重合性組成物の少なくとも一部をフリーラジカル重合して、重合した組成物をもたらす工程と、
d)前記重合した組成物を前記成形型表面から分離する工程と、
を含む、方法。
【請求項19】
工程c)における前記フリーラジカル重合が、前記フリーラジカル重合性組成物を化学線に曝露することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の方法に従って製造された、物品。
【請求項21】
式:
【化3】
[式中、
は、m+nの価数を有するC~C60有機基であり;
各PDMSは、独立して、ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントを有する一価基を表し;
各Qは、独立して、共有結合であるか、又は少なくとも2の価数を有する有機連結基であり;
各Xは、独立して、O、S、又はNRであり、各Rは、独立して、H又はC~Cアルキル基であり;
m及びnは、独立して、1以上の整数であり;
各Zは、独立して、
【化4】
(式中、
は、H又はメチルであり;
少なくとも1つのZについては、pは少なくとも2である)
を表す]
によって表される、フリーラジカル重合性化合物。
【請求項22】
請求項2~6のいずれか一項によって更に特徴付けられる、請求項21に記載のフリーラジカル重合性化合物。
【請求項23】
i)少なくとも2つのイソシアネート基を含む化合物と、
ii)ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントとイソシアネート反応性基とを含む化合物と、
iii)イソシアネート反応性基と少なくとも2つの(メタ)アクリレート基とを含む化合物と、
を含む成分の反応生成物。
【請求項24】
重合した組成物を製造する方法であって:
少なくとも1つの請求項21~23のいずれか一項に記載のフリーラジカル重合性化合物を含む重合性組成物を準備することと、
前記重合性組成物をフリーラジカル重合して、前記重合した組成物をもたらすことと、
を含む、方法。
【請求項25】
請求項16又は17により更に特徴付けられる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
物品を製造する方法であって:
a)請求項21~24のいずれか一項に記載のフリーラジカル重合性組成物の層を第1の基材の成形型表面上に配置する工程であって、前記成形型表面がナノ構造を含むパターンを有する、工程と、
b)前記フリーラジカル重合性組成物の層を、第2の基材の金属酸化物表面と接触させる工程と、
c)前記フリーラジカル重合性組成物の少なくとも一部をフリーラジカル重合して、重合した組成物をもたらす工程と、
d)前記重合した組成物を前記成形型表面から分離する工程と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
「メタ表面」は、格子、レンズ、ミラー、ホログラム、波長板、偏光子、及びスペクトルフィルタなどの従来の光学部品を作製するために使用することができる、ナノパターン形成された2次元表面である。これらの材料は、例えば、電子ビームリソグラフィを含む様々な方法によって作製することができる。しかしながら、パターン形成されたナノ構造を作製する連続的なハイスループット方法が依然として必要とされている。
【0002】
1つの連続的ロールツーロール製造方法は、パターン形成されたエッチマスクとしてナノ構造化フィルムを使用する。パターン形成されたエッチマスクは、精密に制御された厚さの紫外線電磁放射線(UV)硬化性アクリル材料を、UV硬化性材料がツーリングフィーチャの上にわずかに(例えば、多くの場合、表面の上に50~200ナノメートル)突出するように、剥離処理されたナノ構造化フィルムの凹部にコーティングすることによって作製することができる。次いで、得られたコーティングされたツーリングフィルムは、シリコーン含有酸化物表面に対してラミネートされ、UV放射線へのUV曝露によって硬化され、剥離処理されたナノ構造化フィルムから酸化物コーティングされたフィルム上に構造を転写するために分離される。この構造化フィルムのその後の処理は、有用なメタ表面をもたらし得る。
【発明の概要】
【0003】
上述のプロセスに関連する1つの課題は、1)コーティング中に剥離処理されたナノ構造化フィルム上にウェットアウトすることができ、2)硬化及び剥離時に酸化物表面に移動することができる、好適なUV硬化性配合物を提供することである。
【0004】
本開示は、剥離処理されたナノ構造化フィルムの良好な濡れ性及び酸化物コーティングされた基材への接着性を提供することができる、UV硬化性ポリシロキサン系材料を提供する。
【0005】
一態様では、本開示は、式:
【化1】
[式中、
は、m+nの価数を有するC~C60有機基であり;
各PDMSは、独立して、ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントを有する一価基を表し;
各Qは、独立して、共有結合であるか、又は少なくとも2の価数を有する有機連結基であり;
各Xは、独立して、O、S、又はNRであり、各Rは、独立して、H又はC~Cアルキル基であり;
m及びnは、独立して、1以上の整数であり;
各Zは、独立して、
【化2】
(式中、
は、-S-又はN(R)-であり、Rは、H、C~Cアルキル基、又は-RSi(L)(R3-bであり;
は、任意に1個以上のカテナリー酸素原子で置換された、二価のアルキレン基であり;
は、一価の非加水分解性基であり;
は、H又はメチルであり;
各Lは、独立して、一価の加水分解性基であり;
各bは、独立して、1、2、又は3であり;
a及びpは、独立して、0以上の整数であり、1≦(a+p)≦6であり;少なくとも1つのZについてはa=1であり;少なくとも1つのZについてはp=1である)
を表す]
によって表される、フリーラジカル重合性化合物を提供する。
【0006】
別の態様では、本開示は、
i)ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントと少なくとも2つの(メタ)アクリル基とを含むウレタン化合物と、
ii)加水分解性基とアミノ基又はメルカプト基から選択される基とを含むオルガノシラン化合物と、
を含む成分のフリーラジカル重合性反応生成物であって、
(メタ)アクリル基が未反応のまま残るように、成分i)とii)の当量比が1より大きい、反応生成物を提供する。
【0007】
別の態様では、本開示は、式:
【化3】
[式中、各Zは、独立して、
【化4】
(式中、
は、H又はメチルであり;
少なくとも1つのZについては、pは少なくとも2である)を表す]によって表される、フリーラジカル重合性化合物を提供する。
【0008】
別の態様では、本開示は、
i)少なくとも2つのイソシアネート基を含む化合物と、
ii)ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントとイソシアネート反応性基とを含む化合物と、
iii)イソシアネート反応性基と少なくとも2つの(メタ)アクリレート基とを含む化合物と、
を含む成分のフリーラジカル重合性反応生成物を提供する。
【0009】
更に別の態様では、本開示は、重合した組成物を製造する方法であって、
少なくとも1つの本開示によるフリーラジカル重合性化合物を含む重合性組成物を準備することと、
重合性組成物をフリーラジカル重合して、重合した組成物をもたらすことと、
を含む、方法を提供する。
【0010】
更に別の態様では、本開示は、物品を製造する方法であって、
a)本開示によるフリーラジカル重合性組成物の層を第1の基材の成形型表面上に配置する工程であって、成形型表面がナノ構造を含むパターンを有する、工程と、
b)フリーラジカル重合性組成物の層を、第2の基材の金属酸化物表面と接触させる工程と、
c)フリーラジカル重合性組成物の少なくとも一部をフリーラジカル重合して、重合した組成物をもたらす工程と、
d)重合した組成物を成形型表面から分離する工程と、
を含む、方法を提供する。
【0011】
更に別の態様では、本開示は、本方法に従って製造された基材の表面上に配置された重合した反応生成物を含む、物品を提供する。
【0012】
本明細書で使用される場合、
「化学線」という用語は、分子によって吸収され、それによって直接又は間接的にフリーラジカルを形成する、200~720nmの波長範囲の電磁放射線を指す。
【0013】
原子に関する用語「カテナリー」は、基又は分子の原子の最長の連続鎖内に位置付けられていることを意味する。
【0014】
化学基に関する略語「C~C」は、f個~g個の炭素原子を含むことを意味する。
【0015】
「有効量の化学線」という用語は、フリーラジカル重合をもたらすのに十分な化学線を指す。
【0016】
「(メタ)アクリル」という接頭語は、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を指す。
【0017】
「ポリイソシアネートの残基」という用語は、その-N=C=O基の除去後に残るポリイソシアネートの多価部分を指す。
【0018】
「ウレタン化合物」という用語は、

【化5】
によって表される少なくとも1つの二価基を含有する任意の有機化合物を指す。
【0019】
本開示の特徴及び利点は、発明を実施するための形態及び添付の特許請求の範囲を考慮することで、更に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の一実施形態による例示的な物品100の概略側面図である。
【0021】
当業者は多くの他の修正形態及び実施形態を考案することができ、それらは本開示の原理の範囲及び趣旨に含まれることを理解されたい。図は、縮尺通りに描かれていないことがある。
【発明を実施するための形態】
【0022】
少なくとも1つのポリシロキサン基と、加水分解性置換基を有する少なくとも1つのシリル基と、少なくとも1つの(メタ)アクリル基と、を含むフリーラジカル重合性化合物が本明細書に記載される。
【0023】
多くの実施形態では、フリーラジカル重合性化合物は、以下の式Iによって表され得る:
【化6】
【0024】
は、m+nの価数を有するC~C60有機基である。いくつかの実施形態では、Rは、1~50個の炭素原子、1~40個の炭素原子、1~30個の炭素原子、1~20個の炭素原子、又は1~10個の炭素原子を有する。それぞれのポリイソシアネートからフリーラジカル重合性化合物を製造する1つの便利な方法により、Rはポリイソシアネートの残基に対応することが多い。多くの実施形態では、Rは、任意にC、H、並びにN、O、及び/又はS原子から構成されるが、Rの構造又は組成に特に追加の制限はない(ただし、これは要件ではない)。例示的なR基は、ジイソシアネート、トリイソシアネート、及びジイソシアネートオリゴマー化生成物をはじめとする、ポリイソシアネートの残基であり得る。
【0025】
例として、Desmodur N100は公称構造式:
【化7】
を有し、したがって、その公称残基は:
である。
【化8】
【0026】
多数の脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートが、本開示による重合性組成物の調製において使用され得る。好適なポリイソシアネートとしては、2つの-NCO基を有するジイソシアネート及び3つ以上の-NCO基を有するポリイソシアネートが挙げられる。ポリイソシアネートは、公知の方法によって製造することができ、及び/又は商業的供給元から入手することができる。例示的な市販のポリイソシアネートとしては、Desmodur3300、DesmodurTPLS2294、DesmodurN 3600、及びDesmodurN100(全てLeverkusen,GermanyのCovestro AG製)として入手可能なもの;2,4-及び2,6-トリレンジイソシアネート;メチレンジイソシアネート;エチレンジイソシアネート;プロピレンジイソシアネート;ブチレンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート;オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;シクロヘキシレンジイソシアネート;o-、m-、及びp-メチレンジフェニルジイソシアネート;ナフタレンジイソシアネート;ポリメチレンビス(フェニルイソシアネート);3,5,3’,5’-ビキシリレン-4,4’-ジイソシアネート(3,5,3’,5’-bixylylene-4,4’-diisocyanate);ビス(2-イソシアナトエチル)エーテル;エチレングリコールのビス(2-イソシアナトエチル)エーテル;o-、m-、及びp-フェニレンジイソシアネート;3,3’-ビトリレン-4,4’-ジイソシアネート;ジフェニルエーテル4,4’-ジイソシアネート;3,5,5’,5’-ビキシリレン-4,4’-ジイソシアネート(3,5,3’,5’-bixylylene-4,4’-diisocyanate);ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;ビフェニレンジイソシアネート;及び3,3’-ジメトキシビフェニレン-4,4’-ジイソシアネート、並びにナフタレンジイソシアネートが挙げられる。
【0027】
オリゴマーは、それらの製造に使用される方法によって、市販のポリイソシアネート中に存在することが多い。例えば、いくつかの代表的なヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)オリゴマーを以下のように示す:
【化9】
及び
【化10】
【0028】
存在する場合、このようなオリゴマーの濃度は、40重量パーセント未満、35重量パーセント未満、30重量パーセント未満、25重量パーセント未満、20重量パーセント未満、15重量パーセント未満、10重量パーセント未満、又は更には5重量パーセント未満であることが多い。オリゴマーを含むことを考慮して、イソシアナト(-NCO)基の数は、特に市販のポリイソシアネートの場合、平均値として報告されることが多い。例えば、ポリイソシアネートがトリイソシアネートとして特徴付けられる場合、ポリイソシアネートバルク組成物材料の大部分はトリイソシアネートであるが、平均-NCO官能価は、3より大きい非整数であることが多い。例えば、Desmodur3300は、>3.2の官能価を有すると記載されている。
【0029】
再び式Iを参照すると、各PDMSは、独立して、ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントを有する一価基を表す。
【0030】
多くの実施形態では、有用なPDMS基は、式:
【化11】
[式中、
各Rは、1~8個の炭素原子を有するヒドロカルビル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ヘキシル、オクチル)を表し;
各wは、5以上の整数(例えば、5~20、5~50、又は5~100)を表す]
によって記載することができる。
【0031】
PDMS基(例えば、セグメント)は、少なくとも500、750、又は1000g/モルの分子量(Mn)を有し得る。PDMS基は、典型的には、10,000又は5,000g/モル以下の分子量(Mn)を有する。いくつかの実施形態では、PDMS基は、5000、4500、又は3000g/モル未満の分子量(Mn)を有する。例えば、5000又は4700g/モルの分子量のPDMSから調製された0.35当量の化合物が、アミノシラン化合物の非存在下で利用された場合、濡れ性及び転写性は不十分である可能性がある。しかしながら、濡れ性及び転写性が不十分な化合物は、接着テープの剥離層などの他の用途に好適であると推測される。
【0032】
再び式Iを参照すると、各Qは、独立して、共有結合であるか、又は少なくとも2(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、若しくは更には少なくとも10)の価数を有する有機連結基である。
【0033】
Qは、直鎖若しくは分枝鎖、及び/又は環含有連結基であり得る。いくつかの実施形態では、Qは、アルキレン、アリーレン、アラルキレン、又はアルカリーレン(alkarylene)であり得る。Qは、任意にO、N、S、及びこれらの組み合わせなどの1つ以上のヘテロ原子(例えば、カテナリーヘテロ原子)を含み得る。Qはまた、任意に、例えば、カルボニル、スルホニル、又はこれらの組み合わせなどの1つ以上のヘテロ原子含有二価官能基を含み得る。多くの実施形態では、Qは、0~20個の炭素原子(2~12個の炭素原子又は2~6個の炭素原子である場合が多い)を有するが、これは要件ではない。例示的なQ基としては、共有結合、メチレン、エタン-1,2-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、プロパン-1,2-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、ペンタン-1,5-ジイル、ヘキサン-1,6-ジイル、シクロヘキサン-1,4-ジイル、オクタン-1,8-ジイル、ドデカン-1,12-ジイル、ヘキサデカン-1,16-ジイル、エイコサン-1,20-ジイル、-CHC(=O)CH-、-CHCHOCHCH-、及び-OCHCHOCHCHOCHCH-が挙げられる。
【0034】
再び式Iを参照すると、各Xは、独立して、O、S、又はNRであり、各Rは、独立して、H又はC~Cアルキル基である。C~Cアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、及びイソブチルが挙げられる。
【0035】
いくつかの実施形態では、PDMSに隣接する各Qは、プロパン-1,3-ジイルであり、そのQが結合しているXはNHである。いくつかの実施形態では、式Iにおいて左から右に進むと、PDMSに隣接する各Qは、-CHCHCHOCHCH-であり、そのQが結合しているXはOである。
【0036】
下付き文字m及びnは、独立して、1以上(すなわち、少なくとも1)の整数である。多くの実施形態では、(m+n)の総数は10以下であり、いくつかの実施形態では、(m+n)は6以下であるが、これは要件ではない。mの例としては、1、2、3、4、5、6、7、8、及び9が挙げられる。これらのうち、m=1、2、3、4、又は5が使用されることが多く、m=1、2、又は3が好ましいことが多い。nの例としては、1、2、3、4、5、6、7、8、及び9が挙げられる。これらのうち、n=1、2、3、4、又は5が使用されることが多く、n=1、2、又は3が好ましいことが多い。
【0037】
いくつかの実施形態では、2≦(m+n)≦10であるが、(m+n)は10より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、2≦(m+n)≦6又は2≦(m+n)≦3である。いくつかの実施形態では、m=1、n=1であり、Z基1つ当たりのa及びpの平均値は各々少なくとも1である。いくつかの実施形態では、m=1、n=2であり、Z基1つ当たりのa及びpの平均値は各々少なくとも1である。いくつかの実施形態では、m=1、n=2であり、少なくとも1つのZについてはa=0且つp=1であり、少なくとも1つの他のZについてはa=1且つp=0である。いくつかの実施形態では、4≦(m+n)≦10、3≦n≦9であり、少なくとも1つのZについてはa=0且つp=1であり、少なくとも1つの他のZについてはa=1且つp=0である。
【0038】
再び式1を参照すると、いくつかの実施形態では、各Zは、独立して:
【化12】
【0039】
を表す。各Rは、独立して、-S-又は-N(R)である。
【0040】
各Rは、独立して、任意に1個以上のカテナリー酸素原子で置換された、二価のアルキレン基である。多くの場合、Rは、1~4個、1~6個、1~8個、1~12個、又は1~20個の炭素原子を有するが、これは要件ではない。Rの例としては、メチレン、エタン-1,2-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、プロパン-1,2-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、ペンタン-1,5-ジイル、ヘキサン-1,6-ジイル、シクロヘキサン-1,4-ジイル、オクタン-1,8-ジイル、ドデカン-1,12-ジイル、ヘキサデカン-1,16-ジイル、エイコサン-1,20-ジイル、-CHC(=O)CH-、-CHCHOCHCH-、及び-OCHCHOCHCHOCHCH-が挙げられる。これらのうち、Rは、-CHCH-、-CHCHCH-、又は-CHCHCHCH-であることが多い。
【0041】
各Rは、独立して、一価の非加水分解性基である。概して、C-Si結合によってケイ素原子に結合した任意の基は、加水分解性基ではない。
【0042】
各Rは、独立して、H又はメチルである。
【0043】
各Rは、独立して、H、C~Cアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、又はブチル)、又は-RSi(L)(R3-bである。
【0044】
各Lは、独立して、一価の加水分解性基である。概して、ヘテロ原子(例えば、O、N、S、Cl、Br)への結合によってケイ素原子に結合した任意の一価基は、加水分解性基である。例示的な加水分解性基としては、C~Cアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、又はブトキシ)及びC~Cアルキルカルボニルオキシ基(例えば、アセトキシ又はCHCHC(=O)O-)が挙げられる。メトキシ及びエトキシが好ましいことが多い。
【0045】
各bは、独立して、1、2、又は3である。多くの場合、bは3である。
【0046】
各a及びpは、独立して、0以上の整数である。(a+p)の総数は、1以上且つ6以下である。少なくとも1つのZ(例えば、Z’)についてはa=1である。また、少なくとも1つのZ(Z’と同じであっても異なっていてもよい)についてはp=1である。
【0047】
再び式1を参照すると、他の実施形態では、各Zは、独立して:
【化13】
[式中、Rは、H又はメチルであり;
少なくとも1つのZについては、pは少なくとも2である]を表す。
【0048】
本実施形態では、化合物は、少なくとも2つのZ基を含んでもよい。いくつかの実施形態では、pは、6、5、4、又は3以下である。
【0049】
本明細書に記載される化合物は、例えば、当該技術分野において公知の方法に対する全体的な合成に従って、置換基(例えば、アルコール、第一級若しくは第二級アミン、及び/又はチオール)のポリイソシアネートへの付加によって調製することができる。場合によっては、例えばジブチルスズジラウレート又は1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などの触媒が付加反応を促進してもよい。概して、反応物は、任意に溶媒と合わせて混合することができる。均質な混合物又は溶液が得られる場合、触媒を任意に添加し、反応混合物を、ある温度で、反応が起こるのに十分な時間加熱する。
【0050】
例えば、上記のようなポリイソシアネートは、反応性末端基(例えば、-OH、-NH(R)、又は-SH)を有するポリシロキサンと組み合わせることができる。このようなポリシロキサンは公知の方法に従って製造することができ、多くは市販されている。例としては、全てGelest Inc.(Morrisville,Pennsylvania)から商品名MCR-C12、MCR-C18、及びMCR-C22で入手可能なモノカルビノール末端ポリジメチルシロキサン、並びに商品名MCR-A11及びMCR-A12で入手可能なモノアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン;Shin-Etsu(Akron,Ohio)製のそれぞれ平均Mn約2800及び約4670g/molのX-22-170BX及びX-22-170DXであるモノヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン;Guangzhou VanEyck New Material Co.,Ltd.(Guangzhou,China)製のモノヒドロキシ末端シリコーン流体VE-208;並びにAB Specialty Silicones(Waukegan,Illinois)から商品名Andisil MOH 100、Andisil MOH 1000、Andisil MOH 10000、及びAndisil MOH 50000で入手可能な単官能性シラノールポリマーが挙げられる。
【0051】
同様に、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート化合物(概して、モノヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート化合物)を残りのイソシアネート基と反応させて、PDMSセグメント及び(メタ)アクリル基官能基を含有するが、加水分解性置換基を有するシリル基を有しない、フリーラジカル重合性中間体化合物を生成することができる。
【0052】
例示的なヒドロキシ官能性マルチ(メタ)アクリレートとしては、グリセロールジ(メタ)アクリレート(全ての異性体)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジメタクリレート、トリメチロールエタンジアクリレート、及びグリシジル(メタ)アクリレートとの(メタ)アクリル酸付加物が挙げられる。
【0053】
n≧3の場合、ヒドロキシ官能性モノ(メタ)アクリレートも同様に利用することができる。例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(全ての異性体)、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート(全ての異性体)、ポリ(ε-カプロラクトン)モノ[2-メタクリルオキシエチル]エステル、グリセロールジメタクリレート、1-(アクリルオキシ)-3-(メタクリルオキシ)-2-プロパノール、2-ヒドロキシ-3-フェニルオキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシアルキルメタクリロイルホスフェート、4-ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールエタンジメタクリレート、1,4-ブタンジオールモノメタクリレート、ネオペンチルグリコールモノメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノメタクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アルキルオキシメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、エチレンオキシド変性フタル酸メタクリレート、及び4-ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレートが挙げられる。
【0054】
いくつかの実施形態では、ヒドロキシ官能性マルチ(メタ)アクリレート及びヒドロキシ官能性モノ(メタ)アクリレートの混合物が利用されてもよい。
【0055】
ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートの中で、いくつかのアクリレート官能性部分が典型的には必要である。
【0056】
中間体化合物上のイソシアナト基への付加は、例えば、好適な触媒(例えば、ジブチルスズジラウレートなどのスズ触媒)を使用して、上記のように加熱しながら行うことができる。
【0057】
したがって、少なくとも1つの(例えば、末端)ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントと少なくとも2つの(メタ)アクリル基と、を含むフリーラジカル重合性化合物は:
i)少なくとも2つのイソシアネート基を含む化合物と、
ii)ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントとイソシアネート反応性基とを含む化合物と、
iii)イソシアネート反応性基と少なくとも2つの(メタ)アクリレート基とを含む化合物と、
を含む成分を反応させることにより調製することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、成分ii)の当量比は、成分i)に対して0.05~0.60の範囲である。
【0059】
いくつかの実施形態では、成分iii)の当量比は、成分i)に対して0.45~1.00の範囲である。
【0060】
得られた化合物は、末端PDMSセグメントと少なくとも2つの(メタ)アクリレート基と、を含み、剥離処理されたナノ構造化フィルムの良好な濡れ性及び酸化物コーティングされた基材への良好な接着性を提供することができる。このような化合物はまた、中間体化合物として利用することができる。
【0061】
オルガノシランを更に含むZ基を提供するために、(メタ)アクリル基に関して多官能性である中間体化合物は、例えば、アミノ、アルキルアミノ、又はメルカプト基を有する、対応するオルガノシランとのマイケル付加によって、続いて反応し得る。
【0062】
好適なオルガノシランとしては、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ブチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン、メチルビス(3-トリメトキシシリルプロピル)-アミン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリブトキシシラン、6-(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、4-アミノブチルトリメトキシシラン、4-アミノブチルトリエトキシシラン、p-(2-アミノエチル)フェニルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-(N-メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルジメチルメトキシシラン、及び3-アミノプロピルジメチルエトキシシランが挙げられる。
【0063】
加水分解性基及びメルカプト基を含むシラン化合物の例としては、例えば、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン;3-メルカプトプロピル-トリメトキシシラン;11-メルカプトウンデシルトリメトキシシラン;s-(オクタノイル)メルカプトプロピルトリエトキシシラン;(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン;及び3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。
【0064】
もちろん、異なる合成方法論を使用することもできる。合成方法論の更なる説明は、以下に含まれる実施例において見出すことができる。
【0065】
同様に、少なくとも1つのポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントと、少なくとも1つの(メタ)アクリル基と、少なくとも1つの加水分解性シリル基と、を含むフリーラジカル重合性化合物は、いくつかの実施形態では、式Iによるものであってもよく、以下を含む成分を反応させることによって調製され得る:
i)ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントと、少なくとも2つ(例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つ)の(メタ)アクリル基とを含むウレタン化合物と、
ii)加水分解性基と、アミノ基又はメルカプト基から選択される基とを含むオルガノシラン化合物であって、(メタ)アクリル基が未反応のまま残るように、成分i)とii)の当量比が1より大きい、オルガノシラン化合物と。
【0066】
いくつかの実施形態では、成分i)とii)の当量比は、2:1~10:1又は2:1~6:1である。
【0067】
合成反応(例えば、成分i)とii)との間)又は他の付加/縮合反応は、溶媒中で行うことができる。
【0068】
例示的な溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、及びN-メチルピロリドン(NMP)などのケトン;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、及びメチルテトラヒドロフルフリルエーテルなどのエーテル;酢酸メチル、酢酸エチル、及び酢酸ブチルなどのエステル;デルタ-バレロラクトン及びガンマ-バレロラクトンなどの環状エステルが挙げられる。
【0069】
しかしながら、本開示の特許請求される化合物は、調製され、それらは、様々な他の化合物(例えば、統計的な量で形成される付加生成物、他の副生成物、又は不純物)を伴うことが多い。例えば、等しい当量のアミンとジイソシアネート(又はジ(メタ)アクリレート)との組み合わせは、例えば、およそ1:2:1の統計的相対比で、未反応のジイソシアネート(又はジ(メタ)アクリレート)、1:1付加物、及び2:1付加物(すなわち、両方のイソシアナト基又は(メタ)アクリル基が反応している)の混合物をもたらし得る。
【0070】
したがって、本開示はまた、本開示による1つ以上の化合物を含む、フリーラジカル重合性組成物を提供する。
【0071】
多くの実施形態では、フリーラジカル重合性組成物は、少なくとも1つの追加のフリーラジカル重合性化合物(すなわち、本開示によるフリーラジカル重合性化合物以外)を更に含む。多くの実施形態では、少なくとも1つの追加のフリーラジカル重合性化合物は、1つ以上のフリーラジカル重合性(メタ)アクリル基含有モノマー及び/又はオリゴマーを含む。例としては、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノアクリレートモノメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、アルコキシル化脂肪族ジアクリレート、アルコキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートなどのジ(メタ)アクリル含有モノマー;グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリアクリレート(例えば、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート)、プロポキシル化トリアクリレート(例えば、プロポキシル化グリセリルトリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート)、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートなどのトリ(メタ)アクリル含有モノマー;並びにジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどのより高官能性の(メタ)アクリル含有モノマーが挙げられる。
【0072】
例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、及びエポキシアクリレートなどのオリゴマー(メタ)アクリルモノマーもまた用いることができる。いくつかの実施形態では、重合性組成物は、10,000kPa未満の引張強度、30~50%の伸び、50000~10,000kPaの範囲の弾性率、及び25~50℃の範囲のガラス転移温度を有する、商品名PHOTOMER6210で入手可能な脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、フリーラジカル重合性組成物は、フリーラジカル重合性組成物の少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、又は更には少なくとも50重量パーセントの量でジ(メタ)アクリル基含有モノマーを含む。
【0074】
典型的な実施形態では、フリーラジカル重合性組成物は、本明細書に記載の少なくとも1つのポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントと、少なくとも1つの(メタ)アクリル基と、任意に少なくとも1つの加水分解性シリル基と、を含む1つ以上のフリーラジカル重合性化合物(例えば、式Iのもの)を、フリーラジカル重合性組成物の不揮発性固形分に基づいて少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は更には少なくとも10重量パーセントの量で含む。このようなフリーラジカル重合性化合物の量は、典型的には、フリーラジカル重合性組成物全体の不揮発性固形分に基づいて50重量パーセント以下である。好ましい濃度は、所望の特性及び利用される特定の化合物に応じて変化し得る。
【0075】
多くの場合、そのような組成物は、フリーラジカル重合のための開始剤(フリーラジカル開始剤としても知られる)を、例えば、有効量で含むことができる。フリーラジカル開始剤は、熱活性化(例えば、過酸化物及び特定のアゾ化合物)及び/又は光活性化(例えば、ノリッシュI型及びII型光開始剤)され得る。このような光開始剤は、化学線(例えば、紫外線及び/又は可視電磁放射線)への曝露によって活性化される。
【0076】
フリーラジカル重合は、例えば、フリーラジカル開始剤の存在及び/又は選択に応じて、加熱又は化学線(例えば、紫外線及び/若しくは可視光、ガンマ線、又は電子ビーム)への曝露によって達成することができる。これらのうち、化学線への曝露は、実施の容易さのために好ましいことが多い。
【0077】
存在する場合、光開始剤の量は、典型的には、有効量である。いくつかの実施形態では、フリーラジカル開始剤の有効量は、全接着剤層の10重量パーセント未満、より典型的には7重量パーセント未満、より典型的には3重量パーセント未満を構成する。重合可能な(メタ)アクリレート基が残存していた場合であっても硬化が完了し得ることが認識されるであろう。
【0078】
例示的な光開始剤としては、ベンゾインなどのα-開裂光開始剤及びその誘導体、例えば、α-メチルベンゾイン;α-フェニルベンゾイン;α-アリルベンゾイン;α-ベンジルベンゾイン;ベンゾインエーテル、例えば、ベンジルジメチルケタール(iGM Resins USA(Charlotte,North Carolina,USA)からOMNIRAD 651として入手可能)、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル;アセトフェノン及びその誘導体、例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン(BASF(Florham Park,New Jersey,USA)からDAROCUR 1173として入手可能)及び1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(iGM ResinsからOMNIRAD 184として入手可能);2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン(iGM Resins USAからOMNIRAD 907として入手可能);2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(iGM Resins USAからOMNIRAD 369として入手可能);チタン錯体、例えば、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス[2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル]チタン(iGM Resins USAからOMNIRAD 784として入手可能);並びにモノアシルホスフィン及びビスアシルホスフィン(iGM ResinsからOMNIRAD 1700として、又はBASFからIRGACURE 1800、IRGACURE 1850、及びDAROCUR 4265として入手可能)が挙げられる。1つの有用な光開始剤である二官能性αヒドロキシケトンは、iGM Resins USAからESACURE ONEとして入手可能である。
【0079】
好ましくは、アシルホスフィン又はアシルホスフィンオキシド光開始剤が利用される場合、その光開始剤は、化学線の1つ以上の波長で高い吸光係数を有する光開始剤(例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン)と組み合わされる。このような組み合わせは、典型的には、多くの場合は高価な光開始剤を低レベルに維持しながら、表面硬化を促進する。
【0080】
他の有用な光開始剤としては、アントラキノン(例えば、アントラキノン、2-エチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、1,4-ジメチルアントラキノン、1-メトキシアントラキノン)並びにベンゾフェノン及びその誘導体(例えば、フェノキシベンゾフェノン、フェニルベンゾフェノン)が挙げられる。
【0081】
本開示によるフリーラジカル重合性組成物は、任意選択の追加成分を含んでもよい。例としては、有機溶媒(例えば、上記のような)、安定剤、着色剤、光増感剤、充填剤、湿潤剤、及びレベリング剤が挙げられる。
【0082】
好適な化学線源の例としては、例えば、レーザー、アークランプ(例えば、中圧水銀アークランプ)、LEDランプ、キセノンフラッシュランプ、マイクロ波駆動ランプ(例えば、H型電球又はD型電球を備える)を含む、化学線が挙げられる。適切な曝露条件の選択は、当業者の能力の範囲内である。
【0083】
概して、フリーラジカル重合性組成物は、一般的な混合手順によって調製することができる。
【0084】
本開示によるフリーラジカル重合性化合物及びこれらを含む組成物は有用である。例えば、フリーラジカル重合性組成物は、基材の表面上に(例えば、連続又は不連続の、任意にパターン形成されたフィルムとして)配置され、次いで(例えば、有効量の化学線への曝露によって)重合され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、硬化した重合性組成物は、例えば、国際公開第2020/095258号(Van Lengerich et al.)に記載されるようなエッチングされたナノスケールパターンを形成する方法においてマスキング層として利用されてもよく、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
ここで図1を参照すると、例示的な物品100は、金属酸化物層140を含む基材110の表面105上に配置されたフリーラジカル重合した組成物の層120を含む。層120は、メタ表面を形成する、パターン形成されたナノ構造130を含む。
【0087】
例示的な基材としては、ガラス、金属、有機ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレートグリコール変性(PETG)、ポリエチレン、ポリイミド、ポリスチレン、又はポリウレタン)、無機金属酸化物、及びこれらの組み合わせのいずれかを含む、シート、プレート、及びフィルムが挙げられる。いくつかの実施形態では、表面は、ナノ構造を含むパターンを有する。いくつかの実施形態では、表面は、金属酸化物(例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、又はセリウムの酸化物)を含む。
【0088】
本開示の目的及び利点は以下の非限定的な実施例によって更に例証されるが、これらの実施例に列挙される具体的な材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を過度に制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例
【0089】
別段の記載がない限り、実施例及び本明細書の他の箇所における全ての部、百分率、比などは、重量基準である。表1(以下)に、実施例で使用した材料及びそれらの供給元を一覧で示す。
【表1】
【0090】
調製例PE-1~PE-6
調製例PE-1~PE-6を、以下の全般的手順及び表2に報告される成分量を使用して合成した。マグネチックスターラーバーを備えた250mLの丸底フラスコに、所与の量のDES N 100及びおよそ25グラム(g)のテトラヒドロフラン(THF)を充填した。次いで、所与の量のPDMS-2000又はPDMS-1000を、乾燥空気雰囲気下で均圧滴下漏斗を介して70分(min)かけて室温で添加し、その時点で漏斗を5gのTHFですすいだ。反応物に、所与の量のBHT及び所与の量のTHF中XK-672の10重量%溶液を添加した。一度に、所与の量のPET3Aをおよそ15gのTHFと共に添加した。1時間(h)20分後、フラスコを55℃の油浴に入れ、冷却器を上端に取り付けた。更に4時間15分後、(THFの量が、DES N100、PDMS-2000、PDMS-1000、及びPET3Aの所与の量を合わせた量の2.33倍になるように)THFを添加することによって、反応物を30重量%固形分に調整し、瓶に入れた。
【表2】
【0091】
PE1~PE-6及びPE11~PE-20のアクリレート等価重量の計算
PE-3のおよそのアクリレート等価重量(材料のグラム数/アクリレート部分のモル数)を計算するための代表的な手順を以下に示す。同様の手順を使用して、PE-1、PE-2、PE-4、PE-5、及びPE-6、並びにPE-11~PE-20のおよそのアクリレート等価重量(EW)を計算した。
【0092】
DES N100は、191g/molのイソシアネート等価重量及びおよそ3のイソシアネート官能価を有する。DES N100は、およそ573g/molの分子量を有する。PET3Aは、480.3g/molのアルコール等価重量及び分子量を有する。
【0093】
PDMS-2000は、およそ2000g/molのアルコール等価重量及び分子量を有する。
【0094】
1当量のPDMS-2000及び2当量のPET3AをDES N100に付加して得られた分子は、以下に示される理想的な構造を有する:
【化14】
【0095】
上記構造中の「PDMS」は、-(Si(CHO)Si(C)(CH[式中、nはおよそ24.7である]を表す。(所与の調製例においてPDMS-1000が使用される場合、nはおよそ11.2である)。上に示した分子のおよその分子量は、573+2000+2・480.3=3533.6g/molである。この構造は6つのアクリレートを有するので、そのアクリレートEWは3533.6/6=588.9g/eqである。
【0096】
3当量のPET3AをDES N100に付加して得られる分子は、以下に示される理想的な構造を有する:
【化15】
【0097】
上に示した分子のおよその分子量は、573+3・480.3=2013.9(g/molで)である。この構造は9つのアクリレートを有するので、そのアクリレートEWは2013.9/9=223.8g/eqである。
【0098】
得られた材料PE-3は、理想的には、上に示した2つの分子の混合物を含む。混合物中の2つの分子の比は、添加されるPDMS-2000(又はPDMS-1000)及びPET3Aのモル当量によって決定される(0.05当量過剰のPET3Aが添加されるが、計算では無視されることに留意されたい)。PE-3については、0.35モル当量のPDMS-2000(DES N100のイソシアネート当量に対して)を添加し、35%の上記第1の構造(アクリレート等価重量588.9)及び65%の上記第2の構造(アクリレート等価重量223.8)である混合物を得た。したがって、PE-3混合物の平均アクリレート等価重量は、0.35*588.93+0.65*223.8=351.6g/eqである。最終PE-3材料はTHF中の30重量%溶液として提供されるため、溶液のアクリレート等価重量は351.6/0.3=1172.0g/eqである。
【0099】
調製例7
DES Nl00/0.35 PDMS-2000/0.30 APTMS/0.4 PET3A
マグネチックスターラーバーを備えた250mLの丸底フラスコに、2.86gのDES N100及び28.57gのTHFを充填し、55℃の油浴に入れた。次いで、10.47gのPDMS-2000を、乾燥空気雰囲気下で均圧滴下漏斗を介して1.5時間かけて添加し、その時点で漏斗を5gのTHFですすいだ。10分後、0.80gのAPTMSを反応物に一度に充填した。2時間後、反応物に、0.009gのBHT、THF中のXK-672の10重量%溶液0.085g、及び2.87gのPET3Aを添加した。反応を55℃で更に6時間実施し、次いで一晩放冷した。反応物を、合計33.52gのTHFを有するように調整した。次いで、それを6.13gのイソプロパノール(IPA)で30重量%固形分に希釈し、瓶に入れ、-30℃の冷凍庫で保存した。
【0100】
調製例8
DES Nl00/0.35 PDMS-1000/0.30 APTMS/0.4 PET3A
マグネチックスターラーバーを備えた250mLの丸底フラスコに、3.50 gのDES N100及び26.00gのTHFを充填し、55℃の油浴に入れた。次いで、6.41gのPDMS-1000を、乾燥空気雰囲気下で均圧滴下漏斗を介して1.5時間かけて添加し、その時点で漏斗を5gのTHFですすいだ。10分後、0.99gのAPTMSを反応物に一度に充填した。2時間後、反応物に、0.007gのBHT、THF中のXK-672の10重量%溶液0.07g、及び3.52gのPET3Aを添加した。反応を55℃で更に6時間実施し、次いで一晩放冷した。次いで、それを7.60gのイソプロパノール(IPA)で30(重量)%固形分に希釈し、瓶に入れ、-30℃の冷凍庫で保存した。
【0101】
調製例9
DES Nl00/0.15 HFPOアミドール/0.9 PET3A/0.33 N-Me-APTMS
スターラーバーを備えた20mLのバイアルに、5gのHFPO UA(0.012アクリレート当量;アクリレート等価重量415.4g/mol)及び0.754gのN-Me-APTMS(0.0039当量)を充填した。反応物を室温で1.25時間撹拌し、次いで-30℃で保存した。得られた物質は69.6重量%固形分であった。
【0102】
調製例PE-10
光重合性樹脂溶液
9.7重量部のPHOTOMER 6210と3.2重量部のSR238、0.06重量部のTPO、43.5重量部のメチルエチルケトン(MEK)及び43.5重量部のPGMEからなる、標準的な重合性樹脂をガラス容器内で調製した。
【0103】
実施例EX-1~18
マグネチックスターラーバーを備えた20mLのガラスバイアルに、所与の量の所与の調製例溶液(表3の「出発材料」欄に示される、上記の30重量パーセント溶液)を添加した。次いで、所与の量のN-Me-APTMSをバイアルに添加した。得られた混合物を室温で少なくとも1時間撹拌し、次いで、使用するまで-30℃で保存した。
【表3】
【0104】
実施例EX-19~EX-30及び比較例CE-1~CE-11
実施例EX-19~EX-30は、比較例CE-1~CE-11と共に、表4の所与の量の成分をガラスバイアル内で合わせ、撹拌して混合することによって調製した。「添加剤同一性」の列は、上記のそれぞれの合成の詳細に従って、溶媒中の活性成分の溶液として提供されるいくつかの実施例材料を指すことに留意されたい。
【表4】
【0105】
上記の溶液を調製した後、1)剥離処理された基材に対するウェットアウト、及び2)ナノ複製プロセス中の金属酸化物コーティングされたPET基材への結合の両方を考慮して、性能を試験するためにナノ複製実験を行った。
【0106】
パターン形成されたテンプレートフィルムの作製
ニッケルマスターに対するUV複製を介して、ツーリングフィルムを作製した。ニッケルマスターは、200nmの直径、400nmのピッチ、及び6.3度の抜き勾配を有する、310nmの深さの孔の65mm×65mmの正方形のパックされた孔アレイを有するナノ構造化ツールであった。樹脂は、PHOTOMER 6210と、SR238と、SR351と、TPOとを60/20/20/0.5の重量比で組み合わせて混合することにより調製した。樹脂は、125μm厚さのポリカーボネートフィルム上にコーティングされ、コーティングされたポリカーボネートフィルムがナノ構造化ニッケル表面にプレスされたときに、ニッケル表面を濡らし、樹脂のローリングビーズを形成するのに十分であった。
【0107】
フィルムを、ナノ構造化ニッケル表面と接触させながら、両方とも142W/cmで動作するDバルブを取り付けた2つのFusion UVランプシステム(Fusion UV Systemsから「F600」で入手)からの放射線に曝露した。ナノ構造化ニッケル表面からフィルムを剥がした後、フィルムのナノ構造化された側を、Fusion UVランプシステムからの放射線に再び曝露した。表面と接触したUV放射線及びその後の融合曝露(fusion exposure)に続いて、樹脂は、ニッケルツールとは逆の世代である、ポストが正方形に詰まった配列で固化された。
【0108】
次いで、国際公開第2020/095258号(Van Lengerich et al.)の60頁19行目~61頁11行目に記載されている剥離処理方法を用いて、パターン形成されたテンプレートフィルムをHMDSOで剥離処理して、ナノ複製に好適な剥離可能な表面を作製した。剥離処理は、アクリレート樹脂がUV複製後にテンプレートフィルムからきれいに分離することを可能にし、酸化物コーティングされた基材への転写を可能にするために必要であった。酸化物コーティングされたPETフィルム(Melinex ST504 Du Pont Teijin Films,Chester,Virginia,United States)は、概して、国際公開第2017/003870号(Rowe et al.).の22頁28行目~29頁11行目に記載されているように、ケイ素含有エッチレジスト(25nmのSiAl)をスパッタコーティングすることによって調製した。
【0109】
ローランド転写プロセス
実施例EX19~EX-30及び比較例CE-1~CE-11のコーティング溶液を、以下に記載するローランド転写として知られるコーティング及び硬化プロセスにおいて使用した。ベンチトップでローランド転写プロセスを実施して、ツーリングフィルム上への溶液のウェットアウト及びPET基材上の酸化物コーティングへのパターンの転写について試験した。最初に、ピペットを使用して、およそ1mLの所与のコーティング溶液をHMSDO処理したテンプレートフィルム上に分注した。次に、ワイヤ巻き4番のロッド(1000分の0.4インチ(ミル)、又は約10マイクロメートル(μm)の湿潤フィルム厚さを送達する)をドローダウンして、テンプレートフィルムの構造化セクション上にコーティングを広げた。次いで、フィルムを周囲条件で120秒(s)間放置して、溶媒を蒸発させた。蒸発プロセス全体を通して、パターン形成された領域の内側及び外側の両方で、フィルムのあらゆる濡れ除去が観察された。
【0110】
120秒の滞留時間の後、溶媒を蒸発させ、フィルムをおよそ1.3ミクロンのコーティング厚さまで乾燥させた。このフィルムを、1インチ(2.5cm)幅のハンドロールラミネータを使用して、酸化物コーティングされたポリエチレンテレフタレート基材上にラミネートした。ラミネート後、フィルム積層体を、コーティングを固化させるのに十分な385nmのUV-LED硬化源におよそ20秒間曝露した。次いで、フィルムを分離し、複製及び転写品質について検査した。これらの試験の結果を、表5に報告する。
【0111】
表5において、剥離処理されたHMDSO表面に対するコーティング溶液の濡れ性は、以下のランキングスケールに従って評価された。
不十分 コーティング溶液は、テンプレートフィルムのパターン形成された領域及び/又はパターン形成されていない領域のいずれかの上で、濡れ除去する、又は小さなビーズに分解した。
良好 コーティング溶液は、テンプレートフィルム上の連続層にウェットアウトしたままであった。
【0112】
表5において、酸化物表面上のナノ構造のパターン転写を評価して、パターン転写品質を以下のランキングスケールに従って決定した:
0 パターンを基材に転写できない
1 過半がパターン転写不良(>50%がパターン転写不良)
2 軽微なパターン転写不良(エッジ周辺のパターンのわずかな不良又は断裂)。
3 完全なパターン転写
【表5】
【0113】
実施例EX-31~EX-34及び比較例CE-12~CE-15
コーティング溶液の作製
実施例EX-31~EX-34のコーティング溶液は、比較例CE-1~CE-9と共に、表6の所与の量の成分をガラスバイアル内で合わせ、それらを撹拌して混合することによって作製した。「添加剤同一性」の列は、上記のそれぞれの合成の詳細に従って、溶媒中の活性成分の溶液として提供されるいくつかの実施例材料を指すことに留意されたい。
【表6】
【0114】
ロールツーロールパターン転写
パターンは、以下のロールツーロールプロセスにおいて、テンプレートフィルムから酸化物コーティングされたPETに転写された。実施例EX-19~EX-30及び比較例CE-1~CE-11で使用した剥離処理されたテンプレートフィルムの一部に、実施例EX-31~EX-34及び比較例CE-12~CE-15のコーティング溶液のうちの異なるものを各々0.0508メートル/秒の速度でスロットダイコーティングした。各々の場合において、溶液を10.2cm幅でコーティングし、Harvardシリンジポンプを使用して1.20mL/分の速度でポンプ供給した。コーティングを周囲条件で乾燥させ、次いで、40ボルトで0.25アンペアにて給電される窒素不活性化385nmUV-LEDシステムを使用し、溶液適用部から10メートル下流にて、部分的に硬化させた。次いで、コーティングされたフィルムを、実施例EX19~EX-30及び比較例CE-1~CE-11で使用した、SiAlコーティングされたフィルムでラミネートした。ニップは、90デュロ硬度のゴムロール及び54℃に設定されたスチールロールからなった。ニップは、0.28MPaでプレスされた2つのエアシリンダに結合された。全てのウェブ張力をおよそ0.0057N/mに設定した。溶液を、D型電球を備えたFusion UV Systemsマイクロ波駆動ランプ(Heraeus,Hanau,Germany)を使用して硬化させ、乾燥したコーティング溶液を、溶液組成に応じて変化する忠実度で剥離処理されたテンプレートフィルムから酸化物コーティングされたフィルムに分離した。結果を表7(以下)に示しており、表5で使用したものと同じ濡れ性及び転写評価スキームを使用している。
【表7】
【0115】
調製例PE-11~PE-16の合成
調製例PE-11~PE-16は、PDMSカルビノールを使用するPE-11、PE12、PE14、PE15、及びPE16について、XK-672にDES N100及びTHFを充填したことを除いて、PE-1~PE-6と同じ全般的手順を使用して合成した。成分量を表8及び表9に報告する。
【表8】
【表9】
【0116】
実施例EX-35~EX-40
以下の実施例を、実施例EX-1~EX-18と同様の方法で調製した。
【0117】
マグネチックスターラーバーを備えた20mLのガラスバイアルに、所与の量の所与の調製例溶液(表10の「出発材料」欄に示される、上記の30重量パーセント溶液)を添加した。次いで、所与の量のカップリング剤をバイアルに添加した。得られた混合物を室温で少なくとも1時間撹拌し、次いで使用するまで-30℃で保存した。
【表10】
【0118】
実施例EX-41~EX-55及び比較例CE-16
実施例EX-41~EX-55は、比較例CE-16と共に、表11の所与の量の成分をガラスバイアル内で合わせ、撹拌して混合することによって調製した。「添加剤同一性」の列は、上記のそれぞれの合成の詳細に従って、溶媒中の活性成分の溶液として提供されるいくつかの実施例材料を指すことに留意されたい。
【表11】
【0119】
比較例CE-16及び実施例EX-41~EX-55のコーティング溶液を、実施例EX19~EX-30及び比較例CE-1~CE-11について上述したローランド転写として知られるコーティング及び硬化プロセスにおいて使用した。結果を表12に示しており、表5で使用したものと同じ濡れ性及び転写評価スキームを使用している。
【表12】
【0120】
実施例EX-56~EX-61
以下の実施例を、実施例EX-1~EX-18と同様の方法で調製した。
【0121】
マグネチックスターラーバーを備えた20mLのガラスバイアルに、所与の量の所与の調製例溶液(表13の「出発材料」欄に示される、上記の30重量パーセント溶液)を添加した。次いで、所与の量のカップリング剤をバイアルに添加した。得られた混合物を室温で少なくとも1時間撹拌し、次いで使用するまで-30℃で保存した。
【表13】
【0122】
実施例EX-62~EX-78及び比較例CE-17
実施例及びEX-66~EX-72は、比較例CE-17と共に、表14の所与の量の成分をガラスバイアル内で合わせ、撹拌して混合することによって調製した。「添加剤同一性」の列は、上記のそれぞれの合成の詳細に従って、溶媒中の活性成分の溶液として提供されるいくつかの実施例材料を指すことに留意されたい。結果を表15に示しており、表5で使用したものと同じ濡れ性及び転写評価スキームを使用している。
【表14】
【表15】
【0123】
参照により組み込まれた本出願において引用された参照文献、特許、及び特許出願はいずれも一貫した方法で組み込まれる。組み込まれた参照文献の一部分と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、本出願における情報が優先するものとする。前述の記載は、当業者が、特許請求の範囲に記載の開示を実践することを可能にするためのものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本開示の範囲は特許請求の範囲及びその全ての均等物によって定義される。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0123
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0123】
参照により組み込まれた本出願において引用された参照文献、特許、及び特許出願はいずれも一貫した方法で組み込まれる。組み込まれた参照文献の一部分と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、本出願における情報が優先するものとする。前述の記載は、当業者が、特許請求の範囲に記載の開示を実践することを可能にするためのものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本開示の範囲は特許請求の範囲及びその全ての均等物によって定義される。
本発明は以下の態様を包含する。
(1)式:
【化16】
[式中、
は、m+nの価数を有するC ~C 60 有機基であり;
各PDMSは、独立して、ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントを有する一価基を表し;
各Qは、独立して、共有結合であるか、又は少なくとも2の価数を有する有機連結基であり;
各Xは、独立して、O、S、又はNR であり、各R は、独立して、H又はC ~C アルキル基であり;
m及びnは、独立して、1以上の整数であり;
各Zは、独立して、
【化17】
(式中、
は、-S-又はN(R )-であり、R は、H、C ~C アルキル基、又は-R Si(L) (R 3-b であり;
は、任意に1個以上のカテナリー酸素原子で置換された、二価のアルキレン基であり;
は、一価の非加水分解性基であり;
は、H又はメチルであり;
各Lは、独立して、一価の加水分解性基であり;
各bは、独立して、1、2、又は3であり;
a及びpは、独立して、0以上の整数であり、1≦(a+p)≦6であり;少なくとも1つのZについてはa=1であり;少なくとも1つのZについてはp=1である)
を表す]
によって表される、フリーラジカル重合性化合物。
(2)R が、ジイソシアネート及びトリイソシアネートから選択されるポリイソシアネートの残基である、項目1に記載のフリーラジカル重合性化合物。
(3)R が、ジイソシアネートオリゴマー化生成物の残基を含む、項目1又は2に記載のフリーラジカル重合性化合物。
(4)2≦(m+n)≦10である、項目1~3のいずれかに記載のフリーラジカル重合性化合物。
(5)m=1、n=1であり、Z基1つ当たりのa及びpの平均値が各々少なくとも1である、項目1~4のいずれかに記載のフリーラジカル重合性化合物。
(6)m=1、n=2であり、Z基1つ当たりのa及びpの平均値が各々少なくとも1である、項目1~4のいずれかに記載のフリーラジカル重合性化合物。
(7)m=1、n=2であり、少なくとも1つのZについてはa=0且つp=1であり、少なくとも1つの他のZについてはa=1且つp=0である、項目1に記載のフリーラジカル重合性化合物。
(8)4≦(m+n)≦10、3≦n≦9であり、少なくとも1つのZについてはa=0且つp=1であり、少なくとも1つの他のZについてはa=1且つp=0である、項目1に記載のフリーラジカル重合性化合物。
(9)複数の異なる項目1~8のいずれかに記載のフリーラジカル重合性化合物を含む、フリーラジカル重合性組成物。
(10)少なくとも1つの追加のフリーラジカル重合性化合物を更に含む、項目9に記載のフリーラジカル重合性組成物。
(11)前記重合性組成物が、少なくとも1つのフリーラジカル光開始剤を更に含み、方法が、前記重合性組成物を有効量の化学線に曝露することを更に含む、項目9又は10に記載のフリーラジカル重合性組成物。
(12)i)ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントと少なくとも2つの(メタ)アクリル基とを含むウレタン化合物と、
ii)加水分解性基とアミノ基又はメルカプト基から選択される基とを含むオルガノシラン化合物と、
を含む成分の反応生成物であって、
(メタ)アクリル基が未反応のまま残るように、成分i)とii)の当量比が1より大きい、反応生成物。
(13)成分i)とii)の当量比が2:1~10:1である、項目12に記載の反応生成物。
(14)前記反応生成物が未反応の成分i)を含む、項目12又は13に記載の反応生成物。
(15)重合した組成物を製造する方法であって:
少なくとも1つの項目1~8のいずれかに記載のフリーラジカル重合性化合物を含む重合性組成物を準備することと、
前記重合性組成物をフリーラジカル重合して、前記重合した組成物をもたらすことと、
を含む、方法。
(16)前記重合性組成物が、少なくとも1つの追加のフリーラジカル重合性化合物を更に含む、項目15に記載の方法。
(17)前記重合性組成物が、少なくとも1つのフリーラジカル光開始剤を更に含み、前記方法が、前記重合性組成物を有効量の化学線に曝露することを更に含む、項目15又は16に記載の方法。
(18)物品を製造する方法であって:
a)項目9~11のいずれかに記載のフリーラジカル重合性組成物の層を第1の基材の成形型表面上に配置する工程であって、前記成形型表面がナノ構造を含むパターンを有する、工程と、
b)前記フリーラジカル重合性組成物の層を、第2の基材の金属酸化物表面と接触させる工程と、
c)前記フリーラジカル重合性組成物の少なくとも一部をフリーラジカル重合して、重合した組成物をもたらす工程と、
d)前記重合した組成物を前記成形型表面から分離する工程と、
を含む、方法。
(19)工程c)における前記フリーラジカル重合が、前記フリーラジカル重合性組成物を化学線に曝露することを含む、項目18に記載の方法。
(20)項目18又は19に記載の方法に従って製造された、物品。
(21)式:
【化18】
[式中、
は、m+nの価数を有するC ~C 60 有機基であり;
各PDMSは、独立して、ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントを有する一価基を表し;
各Qは、独立して、共有結合であるか、又は少なくとも2の価数を有する有機連結基であり;
各Xは、独立して、O、S、又はNR であり、各R は、独立して、H又はC ~C アルキル基であり;
m及びnは、独立して、1以上の整数であり;
各Zは、独立して、
【化19】
(式中、
は、H又はメチルであり;
少なくとも1つのZについては、pは少なくとも2である)
を表す]
によって表される、フリーラジカル重合性化合物。
(22)項目2~6のいずれかによって更に特徴付けられる、項目21に記載のフリーラジカル重合性化合物。
(23)i)少なくとも2つのイソシアネート基を含む化合物と、
ii)ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントとイソシアネート反応性基とを含む化合物と、
iii)イソシアネート反応性基と少なくとも2つの(メタ)アクリレート基とを含む化合物と、
を含む成分の反応生成物。
(24)重合した組成物を製造する方法であって:
少なくとも1つの項目21~23のいずれかに記載のフリーラジカル重合性化合物を含む重合性組成物を準備することと、
前記重合性組成物をフリーラジカル重合して、前記重合した組成物をもたらすことと、
を含む、方法。
(25)項目16又は17により更に特徴付けられる、項目24に記載の方法。
(26)物品を製造する方法であって:
a)項目21~24のいずれかに記載のフリーラジカル重合性組成物の層を第1の基材の成形型表面上に配置する工程であって、前記成形型表面がナノ構造を含むパターンを有する、工程と、
b)前記フリーラジカル重合性組成物の層を、第2の基材の金属酸化物表面と接触させる工程と、
c)前記フリーラジカル重合性組成物の少なくとも一部をフリーラジカル重合して、重合した組成物をもたらす工程と、
d)前記重合した組成物を前記成形型表面から分離する工程と、
を含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】
[式中、
は、m+nの価数を有するC~C60有機基であり;
各PDMSは、独立して、ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントを有する一価基を表し;
各Qは、独立して、共有結合であるか、又は少なくとも2の価数を有する有機連結基であり;
各Xは、独立して、O、S、又はNRであり、各Rは、独立して、H又はC~Cアルキル基であり;
m及びnは、独立して、1以上の整数であり;
各Zは、独立して、
【化2】
(式中、
は、-S-又はN(R)-であり、Rは、H、C~Cアルキル基、又は-RSi(L)(R3-bであり;
は、任意に1個以上のカテナリー酸素原子で置換された、二価のアルキレン基であり;
は、一価の非加水分解性基であり;
は、H又はメチルであり;
各Lは、独立して、一価の加水分解性基であり;
各bは、独立して、1、2、又は3であり;
a及びpは、独立して、0以上の整数であり、1≦(a+p)≦6であり;少なくとも1つのZについてはa=1であり;少なくとも1つのZについてはp=1である)
を表す]
によって表され、且つ
I)m=1、n=1であり、Z基1つ当たりのa及びpの平均値が各々少なくとも1である、
II)m=1、n=2であり、Z基1つ当たりのa及びpの平均値が各々少なくとも1である、
III)m=1、n=2であり、少なくとも1つのZについてはa=0且つp=1であり、少なくとも1つの他のZについてはa=1且つp=0である、並びに
IV)4≦(m+n)≦10、3≦n≦9であり、少なくとも1つのZについてはa=0且つp=1であり、少なくとも1つの他のZについてはa=1且つp=0である、
のうちの一つに該当する、フリーラジカル重合性化合物。
【請求項2】
複数の異なる請求項1記載のフリーラジカル重合性化合物を含む、フリーラジカル重合性組成物。
【請求項3】
少なくとも1つの追加のフリーラジカル重合性化合物を更に含む、請求項に記載のフリーラジカル重合性組成物。
【請求項4】
前記重合性組成物が、少なくとも1つのフリーラジカル光開始剤を更に含、請求項に記載のフリーラジカル重合性組成物。
【請求項5】
i)ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントと少なくとも2つの(メタ)アクリル基とを含むウレタン化合物と、
ii)加水分解性基とアミノ基又はメルカプト基から選択される基とを含むオルガノシラン化合物と、
を含む成分の反応生成物であって、
(メタ)アクリル基が未反応のまま残るように、成分i)とii)の当量比が1より大きい、反応生成物。
【請求項6】
成分i)とii)の当量比が2:1~10:1である、請求項に記載の反応生成物。
【請求項7】
前記反応生成物が未反応の成分i)を含む、請求項に記載の反応生成物。
【請求項8】
重合した組成物を製造する方法であって:
少なくとも1つの請求項1記載のフリーラジカル重合性化合物を含む重合性組成物を準備することと、
前記重合性組成物をフリーラジカル重合して、前記重合した組成物をもたらすことと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記重合性組成物が、少なくとも1つの追加のフリーラジカル重合性化合物を更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記重合性組成物が、少なくとも1つのフリーラジカル光開始剤を更に含み、前記方法が、前記重合性組成物を有効量の化学線に曝露することを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
物品を製造する方法であって:
a)リーラジカル重合性組成物の層を第1の基材の成形型表面上に配置する工程であって、前記成形型表面がナノ構造を含むパターンを有する、工程と、
b)前記フリーラジカル重合性組成物の層を、第2の基材の金属酸化物表面と接触させる工程と、
c)前記フリーラジカル重合性組成物の少なくとも一部をフリーラジカル重合して、重合した組成物をもたらす工程と、
d)前記重合した組成物を前記成形型表面から分離する工程と、
を含み、
前記フリーラジカル重合性組成物は、複数の異なる、式:
【化3】
[式中、
は、m+nの価数を有するC ~C 60 有機基であり;
各PDMSは、独立して、ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントを有する一価基を表し;
各Qは、独立して、共有結合であるか、又は少なくとも2の価数を有する有機連結基であり;
各Xは、独立して、O、S、又はNR であり、各R は、独立して、H又はC ~C アルキル基であり;
m及びnは、独立して、1以上の整数であり;
各Zは、独立して、
【化4】
(式中、
は、-S-又はN(R )-であり、R は、H、C ~C アルキル基、又は-R Si(L) (R 3-b であり;
は、任意に1個以上のカテナリー酸素原子で置換された、二価のアルキレン基であり;
は、一価の非加水分解性基であり;
は、H又はメチルであり;
各Lは、独立して、一価の加水分解性基であり;
各bは、独立して、1、2、又は3であり;
a及びpは、独立して、0以上の整数であり、1≦(a+p)≦6であり;少なくとも1つのZについてはa=1であり;少なくとも1つのZについてはp=1である)
を表す]
で表されるフリーラジカル重合性化合物を含む、方法。
【請求項12】
工程c)における前記フリーラジカル重合が、前記フリーラジカル重合性組成物を化学線に曝露することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法に従って製造された、物品。
【請求項14】
物品を製造する方法であって:
a)フリーラジカル重合性組成物の層を第1の基材の成形型表面上に配置する工程であって、前記成形型表面がナノ構造を含むパターンを有する、工程と、
b)前記フリーラジカル重合性組成物の層を、第2の基材の金属酸化物表面と接触させる工程と、
c)前記フリーラジカル重合性組成物の少なくとも一部をフリーラジカル重合して、重合した組成物をもたらす工程と、
d)前記重合した組成物を前記成形型表面から分離する工程と、
を含み、
前記フリーラジカル重合性組成物は、
i)少なくとも2つのイソシアネート基を含む化合物と、
ii)ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントとイソシアネート反応性基とを含む化合物と、
iii)イソシアネート反応性基と少なくとも2つの(メタ)アクリレート基とを含む化合物と、
を含む成分の反応生成物であるフリーラジカル重合性化合物を含む、方法
【請求項15】
物品を製造する方法であって:
a)リーラジカル重合性組成物の層を第1の基材の成形型表面上に配置する工程であって、前記成形型表面がナノ構造を含むパターンを有する、工程と、
b)前記フリーラジカル重合性組成物の層を、第2の基材の金属酸化物表面と接触させる工程と、
c)前記フリーラジカル重合性組成物の少なくとも一部をフリーラジカル重合して、重合した組成物をもたらす工程と、
d)前記重合した組成物を前記成形型表面から分離する工程と、
を含み、
前記フリーラジカル重合性組成物は、式:
【化5】
[式中、
は、m+nの価数を有するC ~C 60 有機基であり;
各PDMSは、独立して、ポリ(ジアルキルシロキサン)セグメントを有する一価基を表し;
各Qは、独立して、共有結合であるか、又は少なくとも2の価数を有する有機連結基であり;
各Xは、独立して、O、S、又はNR であり、各R は、独立して、H又はC ~C アルキル基であり;
m及びnは、独立して、1以上の整数であり;
各Zは、独立して、
【化6】
(式中、
は、-S-又はN(R )-であり、R は、H、C ~C アルキル基、又は-R Si(L) (R 3-b であり;
は、任意に1個以上のカテナリー酸素原子で置換された、二価のアルキレン基であり;
は、一価の非加水分解性基であり;
は、H又はメチルであり;
各Lは、独立して、一価の加水分解性基であり;
各bは、独立して、1、2、又は3であり;
a及びpは、独立して、0以上の整数であり、1≦(a+p)≦6であり;少なくとも1つのZについてはa=1であり;少なくとも1つのZについてはp=1である)
を表す]
で表されるフリーラジカル重合性化合物を含む、方法。
【国際調査報告】