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▶ ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-04
(54)【発明の名称】パーソナルケア組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20241127BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20241127BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241127BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20241127BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20241127BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/67
A61K8/73
A61K8/37
A61Q19/02
A61Q19/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024532462
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2022081032
(87)【国際公開番号】W WO2023099130
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/134721
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】22151278.3
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【弁理士】
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ビアン,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ピン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC762
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD352
4C083AD621
4C083AD622
4C083AD632
4C083CC03
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE12
4C083EE16
(57)【要約】
レチノイド、組成物の0.01~10重量%の加工デンプン、及びソルビタン脂肪酸エステルを含むパーソナルケア組成物であって、前記ソルビタン脂肪酸エステル対前記レチノイドの重量比が0.4:1~1.4:1であり、前記加工デンプンの合計対前記ソルビタン脂肪酸エステルの重量比が1:1~70:1であるパーソナルケア組成物が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)レチノイド、
(b)組成物の0.01~10重量%の加工デンプン、及び
(c)ソルビタン脂肪酸エステル
を含むパーソナルケア組成物であって、
前記ソルビタン脂肪酸エステル対前記レチノイドの重量比が0.4:1~1.4:1であり、
前記加工デンプンの合計対前記ソルビタン脂肪酸エステルの重量比が1:1~70:1である、パーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記レチノイドがレチノール、レチニルエステル又はそれらの混合物を含み、好ましくは前記レチノイドがパルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル又はそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記レチノイドが、前記組成物の0.005重量%~3重量%の量で、好ましくは0.1重量%~0.5重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ソルビタン脂肪酸エステルがポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであり、前記ソルビタン脂肪酸エステルがPolysorbate 20、Polysorbate 40、Polysorbate 60、Polysorbate 80又はそれらの混合物を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ソルビタン脂肪酸エステルが前記組成物の0.15~0.4重量%の量で存在する、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル対前記レチノイドの重量比が、0.4:1~1.4:1、より好ましくは0.55:1~1.2:1である、請求項4又は5に記載の組成物。
【請求項7】
前記加工デンプンが非イオン性デンプン、アニオン性デンプン又はそれらの混合物であり、好ましくは、前記加工デンプンがヒドロキシプロピルデンプンリン酸塩、デンプンオクテニルコハク酸アルミニウム、デンプンオクテニルコハク酸ナトリウム又はそれらの組み合わせから選択される、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記加工デンプンが前記組成物の0.2~5重量%の量で存在する、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記加工デンプンの合計対前記レチノイドの重量比が1:1~50:1、好ましくは3.5:1~12:1である、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記加工デンプンの合計対前記ソルビタン脂肪酸エステルの重量比が1:1~70:1、好ましくは5:1~12:1である、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、当該組成物の42~88重量%で水を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が水中油型エマルションである、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物を所望の皮膚表面に適用する段階を含む、美白及び/又は抗シワ効果を皮膚に与える方法。
【請求項14】
所望の皮膚表面に美白及び/又は抗シワ効果を提供するための請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルケア組成物に関する。特に、本発明は、改善された色安定性を有するレチノイドを含むパーソナルケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レチノールなどのレチノイドを含むスキンケア組成物がかなり目立つようになってきた。レチノイドは、美白、シワ処置などの広いスペクトルの皮膚効果を提供することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
残念ながら、レチノイドには、特に水の存在下で変色の問題がある。しかしながら、パーソナルケア組成物は、ほぼ常に、美的に許容される外観及び触感特性をもたらすために、かなりの量の水を含む。消費者は、特に色の変化が化学活性の低下の兆候であると考える場合に、使用する化粧品組成物の色の見た目の変化に敏感であることから、変色は懸念材料である。
【0004】
したがって、本発明者らは、色安定性が改善されたレチノイドを含むパーソナルケア組成物を開発する必要があることを認識していた。驚くべきことに、変性デンプンの存在下で、ソルビタン脂肪酸エステルを、ソルビタン脂肪酸エステル対レチノイドの重量比0.4:1~1.4:1で含めることで、レチノイドを含むパーソナルケアの変色問題が大幅に軽減されることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様において、本発明は、レチノイド、組成物の0.01~10重量%の加工デンプン、及びソルビタン脂肪酸エステルを含むパーソナルケア組成物であって、前記ソルビタン脂肪酸エステル対前記レチノイドの重量比が0.4:1~1.4:1であり、前記加工デンプンの合計対前記ソルビタン脂肪酸エステルの重量比が1:1~70:1であるパーソナルケア組成物に関するものである。
【0006】
第2の態様において、本発明は、本発明の組成物を所望の皮膚表面に適用する段階を含む、美白及び/又は抗シワ効果を皮膚に与える方法に関する。
【0007】
第3の態様において、本発明は、所望の皮膚表面に美白及び/又は抗シワ効果を提供するための本発明の組成物の使用に関する。
【0008】
本発明の他の全ての態様は、以下の詳細な説明及び実施例を考慮すると、より容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施例を除いて、又は別断で明瞭に示されている場合を除いて、材料の量又は反応条件、材料の物性、及び/又は使用を示す本説明における全ての数字は、「約」という単語によって修飾されているものと理解されても良い。
【0010】
別断の断りがない限り、すべての量は組成物の重量基準である。留意すべき点として、値の範囲を特定する場合、特定の上限値を特定の下限値に関連付けることができる。
【0011】
疑義を回避するために、「含む(comprising)」の語は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」又は「構成されている(composed of)」とは限らない。言い換えれば、列記された段階又は選択肢は網羅的である必要はない。
【0012】
請求項は複数の従属や重複なしで見られ得るという事実にかかわらず、本明細書中に見られる本発明の開示は、互いに多項従属した請求項中に見出される全ての実施形態をカバーするものと考えるべきである。
【0013】
本発明の特定の態様(例えば、本発明の組成物)に関して、ある特徴が開示される場合、そのような開示はまた、必要な変更を加えて本発明のいずれか他の態様(例えば、本発明の方法)に適用されると見なされるべきである。
【0014】
本発明の組成物はレチノイドを含む。代表的には、レチノイドはレチニルエステル、レチノール、レチナール、レチノイン酸、又はそれらの混合物を含む。より好ましくは、レチノイドはレチノール、レチニルエステル、又はそれらの混合物を含み、さらに好ましくは、レチノイドはレチノール、レチニルエステル、又はそれらの混合物から選択される。
【0015】
「レチノール」という用語は、以下のレチノール異性体:全トランス-レチノール、13-シス-レチノール、11-シス-レチノール、9-シス-レチノール、3,4-ジデヒドロ-レチノール、3,4-ジデヒドロ-13-シス-レチノール、3,4-ジデヒドロ-11-シス-レチノール、3,4-ジデヒドロ-9-シス-レチノールを含む。好ましい異性体は、全トランス-レチノール、13-シス-レチノール、3,4-ジデヒドロ-レチノール、及び9-シス-レチノールから選択される。最も好ましいレチノールは、広く市販されていることから全トランス-レチノールである。
【0016】
レチニルエステルは、レチノールのエステルである。「レチノール」という用語は、上記で定義されている。本発明で使用するのに適したレチニルエステルは、好ましくはレチノールのC~C30エステルであり、より好ましくはレチノールのC~C20エステルであり、最も好ましくはレチノールのC、C及びC16エステルである。レチニルエステルの例には、パルミチン酸レチニル、ギ酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、酪酸レチニル、吉草酸レチニル、イソ吉草酸レチニル、ヘキサン酸レチニル、ヘプタン酸レチニル、オクタン酸レチニル、ノナン酸レチニル、デカン酸レチニル、ウンデカン酸レチニル、ラウリン酸レチニル、トリデカン酸レチニル、ミリスチン酸レチニル、ペンタデカン酸レチニル、ヘプタデカン酸レチニル、ステアリン酸レチニル、イソステアリン酸レチニル、ノナデカン酸レチニル、アラキドン酸レチニル、ベヘン酸レチニル、リノール酸レチニル、オレイン酸レチニル、又はそれらの組み合わせなどがある。本発明で使用するレチニルエステルは、好ましくは、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、リノール酸レチニル、オレイン酸レチニル、プロピオン酸レチニル又はそれらの混合物から選択される。より好ましくは、レチニルエステルは、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル又はそれらの混合物から選択される。最も好ましくは、レチニルエステルは、パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル又はそれらの混合物から選択される。
【0017】
特に好ましいレチノイドは、全トランス-レチノール、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル又はそれらの混合物から選択される。最も好ましいレチノイドは、パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル又はそれらの混合物から選択される。
【0018】
好ましくは、レチノイドは、組成物の0.0001~5重量%の量で、より好ましくは0.005~3重量%の量で、さらにより好ましくは0.05~1重量%の量で、最も好ましくは組成物の0.1~0.5重量%の量で組成物中に使用される。
【0019】
本発明の組成物は、ソルビタン脂肪酸エステルを含む。ソルビタン脂肪酸エステルは、パーソナルケア組成物に使用される乳化剤の一種である。好ましくは、ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンC8-24脂肪酸エステルであり、より好ましくは、ソルビタンC10-20脂肪酸エステルである。好ましくは、ソルビタン脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含み、より好ましくは、ソルビタン脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸でエステル化されたポリエチレングリコール(PEG)化ソルビタン(ソルビトールの誘導体)であり、Polysorbate又はtweenと呼ばれることが多い。
【0020】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、好ましくはポリオキシエチレンソルビタンC8-24脂肪酸エステルであり、より好ましくはポリオキシエチレンソルビタンC10-20脂肪酸エステルである。好ましくは、ソルビタン脂肪酸エステル中のオキシエチレン基の総数は、5~50であり、より好ましくは10~30、さらに好ましくは15~25である。
【0021】
好ましくは、ソルビタン脂肪酸エステルは、Polysorbate 20、Polysorbate 40、Polysorbate 60、Polysorbate 80、又はそれらの混合物を含む。より好ましくは、ソルビタン脂肪酸エステルは、Polysorbate 20、Polysorbate 80、又はそれらの混合物を含み、最も好ましくは、ソルビタン脂肪酸エステルはPolysorbate 20である。
【0022】
好ましくは、ソルビタン脂肪酸エステルは、組成物の0.15~0.4重量%、より好ましくは0.2~0.35重量%の量で存在する。好ましくは、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、組成物の0.15~0.4重量%、好ましくは0.2~0.35重量%の量で存在する。好ましくは、Polysorbate 20は、組成物の0.15~0.4重量%、好ましくは0.2~0.35重量%の量で存在する。
【0023】
好ましくは、ソルビタン脂肪酸エステル対レチノイドの重量比は0.55:1~1.2:1である。好ましくは、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル対レチノイドの重量比は、0.4:1~1.4:1、より好ましくは0.55:1~1.2:1である。好ましくは、Polysorbate 20対レチノイドの重量比は0.4:1~1.4:1、より好ましくは0.55:1~1.2:1である。
【0024】
本発明の組成物は、加工デンプンを含む。加工デンプンとは、生デンプンの天然状態から構造が変化したデンプンを指す。生デンプンは、好ましくは、化学的に加工されていないトウモロコシ、ジャガイモ、米、ワキシートウモロコシ、小麦、サゴ及び/又はタピオカデンプンを含む。加工デンプンは、生デンプンから酵素、酸化、架橋反応、及び/又は置換によって加工されてもよい。好ましくは、加工デンプンは化学的に加工されたデンプンである。好ましくは、加工デンプンは、非イオン性デンプン、アニオン性デンプン、又はそれらの混合物を含む。より好ましくは、加工デンプンは、非イオン性デンプンとアニオン性デンプンの組み合わせである。
【0025】
非イオン性デンプンは、中性電荷を帯びるように変性された加工デンプンを意味する。好ましくは、非イオン性デンプンは、生デンプンのエステル化及び/又はエーテル化によって得ることができる。好ましくは、非イオン性デンプンは、ヒドロキシエチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、アセチル化デンプン、ヒドロキシエチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、リン酸デンプン、硫酸デンプン、又はそれらの組み合わせを含む。より好ましくは、非イオン性デンプンは、ヒドロキシプロピル化デンプン、ヒドロキシエチル化デンプン、リン酸デンプン、硫酸デンプン、又はそれらの組み合わせを含む。最も好ましくは、非イオン性デンプンはヒドロキシプロピルデンプンホスフェートである。アニオン性デンプンは、負の電荷を帯びるように変性された加工デンプンを意味する。好ましくは、アニオン性デンプンは、コハク酸塩及び/又は置換コハク酸塩によって変性されたデンプンを含む。より好ましくは、第2の加工デンプンは、デンプンオクテニルコハク酸アルミニウム、デンプンオクテニルコハク酸ナトリウム、又はそれらの組み合わせを含む。
【0026】
好ましくは、加工デンプンは、ヒドロキシエチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、アセチル化デンプン、ヒドロキシエチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、リン酸デンプン、硫酸デンプン、デンプンオクテニルコハク酸アルミニウム、デンプンオクテニルコハク酸ナトリウム、デンプンオクテニルコハク酸カルシウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム又はそれらの組み合わせを含む。より好ましくは、加工デンプンは、ヒドロキシエチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、アセチル化デンプン、ヒドロキシエチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、リン酸デンプン、硫酸デンプン、デンプンオクテニルコハク酸アルミニウム、デンプンオクテニルコハク酸ナトリウム、デンプンオクテニルコハク酸カルシウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、又はそれらの組み合わせを含む。さらにより好ましくは加工デンプンは、ヒドロキシプロピル化デンプン、ヒドロキシエチル化デンプン、リン酸デンプン、硫酸デンプン、デンプンオクテニルコハク酸アルミニウム、デンプンオクテニルコハク酸ナトリウム、又はそれらの組み合わせを含む。さらにより好ましくは、加工デンプンは、ヒドロキシプロピルデンプンホスフェート、デンプンオクテニルコハク酸アルミニウム、デンプンオクテニルコハク酸ナトリウム、又はそれらの組み合わせの群から選択される。最も好ましくは、加工デンプンはヒドロキシプロピルデンプンホスフェートとデンプンオクテニルコハク酸アルミニウムの組み合わせである。
【0027】
加工デンプンは、組成物の0.01~10重量%、より好ましくは0.2~5重量%、最も好ましくは0.5~3重量%の量で存在する。好ましくは、非イオン性デンプン対アニオン性デンプンの重量比は、1:30~5:1、より好ましくは1:15~2:1、最も好ましくは1:10~1:1である。
【0028】
好ましくは、加工デンプンの合計対レチノイドの重量比は、1:1~50:1、より好ましくは2:1~22:1、最も好ましくは3.5:1~12:1である。組成物の安定性を向上させるために、加工デンプンの合計対ソルビタン脂肪酸エステルの重量比は、1:1~70:1、より好ましくは2:1~30:1、最も好ましくは5:1~12:1である。
【0029】
組成物は、レゾルシノール誘導体を含んでもよい。レゾルシノール誘導体は、好ましくは、レゾルシノールの環構造上及び/又はヒドロキシ基上の少なくとも一つの水素がアルキル基、フェニルアルキル基で置換されていることを指す。好ましくは、レゾルシノール誘導体は、4-置換レゾルシノールである。好ましくは、レゾルシノール誘導体は、4-エチルレゾルシノール、4-ブチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、フェニルエチルレゾルシノール、又はそれらの混合物から選択され、より好ましくは、レゾルシノール誘導体は、4-ヘキシルレゾルシノールを含む。レゾルシノール誘導体の量は、好ましくは、組成物の総量の0.00001~10重量%、より好ましくは0.001~5重量%、最も好ましくは0.1~0.6重量%の範囲である。
【0030】
好ましくは、組成物はビタミンB3化合物(ビタミンB3の誘導体を含む)を含む。ビタミンB3化合物は、ナイアシン、ニコチン酸、ナイアシンアミド、又はそれらの混合物を含む。最も好ましいビタミンB3化合物はナイアシンアミドである。ビタミンB3化合物の量は、組成物の0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%であることができる。
【0031】
好ましくは、組成物は多価アルコールを含む。多価アルコールは、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロール、又はそれらの混合物の群から選択することができる。最も好ましい多価アルコールは、グリセリンとしても知られるグリセロールである。多価アルコールの量は、組成物の0.1~20重量%、好ましくは0.5~15重量%、さらに好ましくは2~10重量%のいずれの範囲であっても良い。
【0032】
水不溶性の皮膚有益剤も、コンディショナーや保湿剤として組成物に配合することができる。例としては、シリコーン油;流動パラフィン、ワセリン、微結晶ロウ、鉱油などの炭化水素;ヒマワリ種子油や綿実油などの植物性トリグリセリドなどがある。
【0033】
一部の組成物は、増粘剤を含み得る。これらは、セルロース誘導体、天然ガム、及びアクリルポリマーから選択することができるが、この増粘剤の種類によって限定されるものではない。セルロース誘導体の中には、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びそれらの組み合わせがある。好適なガムには、キサンタン、ペクチン、カラヤ、寒天、アルギン酸ガム、及びそれらの組み合わせなどがある。アクリル系増粘剤の中では、Lubrizol Corporationから入手可能なCarbopol 1382、Carbopol 982、Ultrez、Aqua SF-1及びAqua SF-2などのカルボマーを含む、アクリル酸及びメタクリル酸のホモポリマー及びコポリマーがある。増粘剤の量は、組成物中の活性ポリマー(溶媒又は水を除く)の0.01~3重量%の範囲であり得る。
【0034】
さらに、本発明の組成物は、0.5~10重量%の金属イオン封鎖剤、例えばエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA)、EHDP又は混合物;エチレングリコールジステアレート、二酸化チタン又はLytron 621(スチレン/アクリレート共重合体)などの乳白剤及びパーライザーをさらに含むことができ、これらはいずれも製品の外観や特性を向上させる上で有用である。
【0035】
組成物は、組成物の10~96重量%、より好ましくは25~92%、さらにより好ましくは42~88%、最も好ましくは55~82重量%の量の水を含むことができる。
【0036】
好ましくは、組成物は、約20s-1の比較的高いせん断速度で20℃で測定した場合に、少なくとも10mPa・s、より好ましくは30~10000mPa・s、さらにより好ましくは50~5000mPa・s、最も好ましくは100~2000mPa・sの粘度を有する。好ましくは、組成物は流体の形態である。
【0037】
好ましくは、当該組成物はエマルションであり、より好ましくは水中油型エマルションである。スキンケア組成物とは、リーブオン製品及びウォッシュオフ製品などの人間の皮膚に局所適用するのに適した組成物を指すが、好ましくはリーブオン組成物である。本明細書において組成物に関して使用される「リーブオン」という用語は、皮膚に適用されるか又は擦り込まれ、その上に放置される組成物を意味する。本明細書において組成物に関して使用される「ウォッシュオフ」という用語は、皮膚に適用されるか又は皮膚に擦り込み、適用後直ちにほぼ洗い流される皮膚洗浄剤を意味する。好ましくは、スキンケア組成物は、好ましくは、スキンケア組成物は流動性の液体、特にメイクアップ製品ではなく保湿剤を意味する。
【0038】
好ましくは、パーソナルケア組成物はスキンケア組成物である。本明細書で使用される「皮膚」という用語は、顔、首、胸、腹部、背中、腕、脇の下、手、及び足の皮膚を含む。好ましくは、「皮膚」は、顔及び脇の下を含む。より好ましくは、皮膚は、唇及びまぶた以外の顔面の皮膚を意味する。
【0039】
以下の実施例は、本発明の理解を容易にするために提供される。実施例は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0040】
実施例1
本実施例は、ソルビタン脂肪酸エステル対レチノイドの重量比がパーソナルケア組成物の色安定性に対する効果を実証するものである。
【0041】
表1
【表1】
【0042】
一連のスキンケア組成物を、以下の標準手順により表1に従って製剤した。
【0043】
サンプルの性能を、次の手順によって評価した。全てのサンプルを同じ透明瓶に同量入れた。中にサンプルを入れたこれらの透明瓶を、55℃の乾燥機に入れて1週間経過させた。次に、中にサンプルが入ったこれらの透明瓶を取り出し、観察し、表2に記録した。
【0044】
表2
【表2】
【0045】
驚くべきことに、ソルビタン脂肪酸エステル対レチノイドの重量比が本発明の範囲内にある場合にのみ、組成物の変色の問題が大幅に軽減されることが認められた。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)レチノイド、
(b)組成物の0.01~10重量%の加工デンプン、及び
(c)ソルビタン脂肪酸エステル
を含むパーソナルケア組成物であって、
(i)前記ソルビタン脂肪酸エステル対前記レチノイドの重量比が0.4:1~1.4:1であり、
(ii)前記加工デンプンの合計対前記ソルビタン脂肪酸エステルの重量比が1:1~70:1であり、
(iii)前記ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンC 8-24 脂肪酸エステルであり、、
(iv)前記加工デンプンが非イオン性デンプン、アニオン性デンプン又はそれらの混合物である、パーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記レチノイドがレチノール、レチニルエステル又はそれらの混合物を含み、好ましくは前記レチノイドがパルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル又はそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記レチノイドが、前記組成物の0.005重量%~3重量%の量で、好ましくは0.1重量%~0.5重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ソルビタン脂肪酸エステルがポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであり、前記ソルビタン脂肪酸エステルがPolysorbate 20、Polysorbate 40、Polysorbate 60、Polysorbate 80又はそれらの混合物を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記ソルビタン脂肪酸エステルが前記組成物の0.15~0.4重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル対前記レチノイドの重量比が、0.4:1~1.4:1、より好ましくは0.55:1~1.2:1である、請求項に記載の組成物。
【請求項7】
記加工デンプンがヒドロキシプロピルデンプンリン酸塩、デンプンオクテニルコハク酸アルミニウム、デンプンオクテニルコハク酸ナトリウム又はそれらの組み合わせから選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項8】
前記加工デンプンが前記組成物の0.2~5重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項9】
前記加工デンプンの合計対前記レチノイドの重量比が1:1~50:1、好ましくは3.5:1~12:1である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項10】
前記加工デンプンの合計対前記ソルビタン脂肪酸エステルの重量比が2:1~30:1、好ましくは5:1~12:1である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、当該組成物の42~88重量%で水を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が水中油型エマルションである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の組成物を所望の皮膚表面に適用する段階を含む、美白及び/又は抗シワ効果を皮膚に与える方法。
【請求項14】
所望の皮膚表面に美白及び/又は抗シワ効果を提供するための請求項1又は2に記載の組成物の使用。
【国際調査報告】