(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-04
(54)【発明の名称】質量分析器
(51)【国際特許分類】
H01J 49/06 20060101AFI20241127BHJP
H01J 49/04 20060101ALI20241127BHJP
H01J 49/10 20060101ALI20241127BHJP
H01J 49/26 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
H01J49/06 700
H01J49/04 500
H01J49/10 500
H01J49/06 200
H01J49/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532559
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 KR2022019402
(87)【国際公開番号】W WO2023101484
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0171067
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522261075
【氏名又は名称】ヨンインエース カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン, ソンウォン
(72)【発明者】
【氏名】イ, フン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン, ユン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ウ, ジュ
(72)【発明者】
【氏名】イ, ヒョン-サン
(72)【発明者】
【氏名】イ, ジングン
(57)【要約】
【課題】分析対象イオンの透過率(transmission efficiency)が高くて分解能(resolution)及び測定正確度が改善された質量分析器を提供する。【解決手段】本発明は試料導入部、前記試料導入部と連結され、前記試料導入部から導入された試料をイオン化させるように構成されるイオン化部、前記イオン化部に隣接する抽出レンズ及び前記抽出レンズから抽出されたイオンビームをガイディングするように構成されるガイディングレンズを含むイオンレンズ部、前記イオン化部及び前記イオンレンズ部の間のインターフェイス部、及び前記イオンビームを検出するように構成される検出部を含み、前記抽出レンズは前記インターフェイス部に隣接する第1抽出レンズ、及び前記第1抽出レンズと前記ガイディングレンズとの間の第2抽出レンズを含み、前記第1及び第2抽出レンズの各々は中空のコーン形状を有し、前記第1抽出レンズはその外側壁から前記インターフェイス部に向かって突出される突出部を含み、前記第2抽出レンズの内部空間は柱形状を有する第1空間、及び前記第1空間から延長されるコーン形状を有する第2空間を含むことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料導入部と、
前記試料導入部と連結され、前記試料導入部から導入された試料をイオン化させるように構成されるイオン化部と、
前記イオン化部に隣接する抽出レンズ及び前記抽出レンズから抽出されたイオンビームをガイディングするように構成されるガイディングレンズを含むイオンレンズ部と、
前記イオン化部及び前記イオンレンズ部の間のインターフェイス部と、
前記イオンビームを検出するように構成される検出部と、を含み、
前記抽出レンズは、前記インターフェイス部に隣接する第1抽出レンズ、及び前記第1抽出レンズと前記ガイディングレンズとの間の第2抽出レンズを含み、
前記第1及び第2抽出レンズの各々は、中空のコーン形状を有し、
前記第1抽出レンズは、その外側壁から前記インターフェイス部に向かって突出される突出部を含み、
前記第2抽出レンズの内部空間は、柱形状を有する第1空間、及び前記第1空間から延長されるコーン形状を有する第2空間を含むことを特徴とする質量分析器。
【請求項2】
前記第1抽出レンズは、0Vの電圧が印加されるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の質量分析器。
【請求項3】
前記インターフェイス部は、スキマーコーンを含み、
前記スキマーコーンは、中空のコーン形状を有する第1部分、及び前記第1部分と連結され、中空の柱形状を有する第2部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の質量分析器。
【請求項4】
前記スキマーコーンの前記第1部分の背面は、前記第1抽出レンズの前面と一致することを特徴とする請求項3に記載の質量分析器。
【請求項5】
前記スキマーコーンの前記第1部分の背面は、前記第1抽出レンズの前面と離隔され、
前記スキマーコーンの前記第1部分の背面と前記第1抽出レンズの前面の離隔距離は、0.5mm以下であることを特徴とする請求項3に記載の質量分析器。
【請求項6】
前記第1抽出レンズは、前記スキマーコーンの前記第1部分と物理的に接触することを特徴とする請求項3に記載の質量分析器。
【請求項7】
前記スキマーコーンの内側壁は、少なくとも1箇所以上の段差を含む階段構造を有することを特徴とする請求項3に記載の質量分析器。
【請求項8】
前記スキマーコーンの内部空間は、前記第1部分内の第1空間、第2空間及び第3空間、及び前記第2部分内の第4空間を含み、
前記第1空間は、コーン形状の空間であり、
前記第2乃至第4空間の各々は、柱形状の空間であり、
前記第1空間の背面での幅は、第2空間の幅と実質的に同一であり、
前記第2空間の幅は、前記第3空間の幅より小さく、
前記第3空間の幅は、前記第4空間の幅より小さいことを特徴とする請求項7に記載の質量分析器。
【請求項9】
前記第1抽出レンズの少なくとも一部は、前記第4空間内に提供されることを特徴とする請求項8に記載の質量分析器。
【請求項10】
前記第1抽出レンズの少なくとも一部は、前記第3空間内に提供されることを特徴とする請求項9に記載の質量分析器。
【請求項11】
前記第2抽出レンズの少なくとも一部は、前記第1抽出レンズと重畳され、
前記第2抽出レンズの前面は、前記第1抽出レンズの前面と前記第1抽出レンズの背面との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の質量分析器。
【請求項12】
前記第2抽出レンズの前面と前記第1抽出レンズの前面との間の離隔距離は、4mm乃至10mmであることを特徴とする請求項11に記載の質量分析器。
【請求項13】
前記第1抽出レンズの背面は、前記インターフェイス部の内部に位置することを特徴とする請求項1に記載の質量分析器。
【請求項14】
前記試料導入部は、
液体状態の試料をエアロゾル(aerosol)状態に変更するように構成されるネブライザーと、
前記ネブライザーと連結され、温度制御を通じて相対的にサイズが小さいエアロゾルのみが前記イオン化部に移動できるようにエアロゾルの流れを制御するように構成されるスプレーチャンバーを含むことを特徴とする請求項1に記載の質量分析器。
【請求項15】
前記イオン化部は、
前記試料導入部の前記スプレーチャンバーと連結され、最も内側に配置される第1チューブと、
端部が前記イオンレンズ部に向かい、最も外側に配置される第3チューブと、
前記第1チューブ及び前記第3チューブの間に配置される第2チューブと、
前記第3チューブの外部を囲む螺旋形状を有する誘導コイルと、を含むことを特徴とする請求項14に記載の質量分析器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は質量分析器に係り、より詳しくは分析対象イオンの透過率が高くて分解能及び測定正確度が改善された環境現場で使用される、イオンレンズを含む質量分析器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造現場で工程状態を確認するために様々なイオン又は元素の濃度、分布等を測定及び分析できる方法が要求されている。また、大気及び水質の汚染が加速化されることによって環境現場で汚染程度等を測定及び分析できる方法が要求されている。このような測定及び分析のために質量分析器(mass spectrometer)が使用されることができる。
質量分析器は質量分析で化学作用剤等を識別又は分析する機器である。このような質量分析器は物質の質量を質量対電荷の比(mass-to-charge ratio)で測定して試料の構成成分を分析することができる。質量分析器内で様々な方法を使用して試料がイオン化されることができる。イオン化された試料は電気場及び/又は磁気場を経て加速化されることができる。即ち,イオン化された試料の一部又は全部は電気場及び/又は磁気場等によって経路が曲がることができる。検出器はイオン化された試料を検出することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が目的とするところは分析対象イオンの透過率(transmission efficiency)が高くて分解能(resolution)及び測定正確度が改善された質量分析器を提供することにある。
本発明が解決しようとする課題は以上で言及された課題に制限されなく、言及されないその他の課題は下の記載から該当技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した技術的課題を解決するために本発明の質量分析器は、試料導入部、前記試料導入部と連結され、前記試料導入部から導入された試料をイオン化させるように構成されるイオン化部、前記イオン化部に隣接する抽出レンズ、及び前記抽出レンズから抽出されたイオンビームをガイディングするように構成されるガイディングレンズを含むイオンレンズ部、前記イオン化部及び前記イオンレンズ部の間のインターフェイス部、及び前記イオンビームを検出するように構成される検出部を含み、前記抽出レンズは前記インターフェイス部に隣接する第1抽出レンズ、及び前記第1抽出レンズと前記ガイディングレンズとの間の第2抽出レンズを含み、前記第1及び第2抽出レンズの各々は中空のコーン形状を有し、前記第1抽出レンズはその外側壁から前記インターフェイス部に向かって突出される突出部を含み、前記第2抽出レンズの内部空間は柱形状を有する第1空間、及び前記第1空間から延長されるコーン形状を有する第2空間を含むことができる。
【0005】
前記第1抽出レンズは0Vの電圧が印加されるように構成されることができる。
前記インターフェイス部はスキマーコーンを含み、前記スキマーコーンは中空のコーン形状を有する第1部分、及び前記第1部分と連結され、中空の柱形状を有する第2部分を含むことができる。
前記スキマーコーンの前記第1部分の背面は前記第1抽出レンズの前面と一致することができる。
前記スキマーコーンの前記第1部分の背面は前記第1抽出レンズの前面と離隔され、前記スキマーコーンの前記第1部分の背面と前記第1抽出レンズの前面の離隔距離は0.5mm以下であり得る。
前記第1抽出レンズは前記スキマーコーンの前記第1部分と物理的に接触することができる。
前記スキマーコーンの内側壁は少なくとも1箇所以上の段差を含む階段構造を有することができる。
前記スキマーコーンの内部空間は前記第1部分内の第1空間、第2空間及び第3空間、及び前記第2部分内の第4空間を含み、前記第1空間はコーン形状の空間であり、前記第2乃至第4空間の各々は柱形状の空間であり、
前記第1空間の背面での幅は第2空間の幅と実質的に同一であり、前記第2空間の幅は前記第3空間の幅より小さく、前記第3空間の幅は前記第4空間の幅より小さいことができる。
【0006】
前記第1抽出レンズの少なくとも一部は前記第4空間内に提供されることができる。
前記第1抽出レンズの少なくとも一部は前記第3空間内に提供されることができる。
前記第2抽出レンズの少なくとも一部は前記第1抽出レンズと重畳され、前記第2抽出レンズの前面は前記第1抽出レンズの前面と前記第1抽出レンズの背面との間に位置することができる。
前記第2抽出レンズの前面と前記第1抽出レンズの前面との間の離隔距離は4mm乃至10mmであり得る。
前記第1抽出レンズの背面は前記インターフェイス部の内部に位置することができる。
【0007】
前記試料導入部は液体状態の試料をエアロゾル(aerosol)状態に変更するように構成されるネブライザー、及び前記ネブライザーと連結され、温度制御を通じて相対的にサイズが小さいエアロゾルのみが前記イオン化部に移動できるようにエアロゾルの流れを制御するように構成されるスプレーチャンバーを含むことができる。
前記イオン化部は前記試料導入部の前記スプレーチャンバーと連結され、最も内側に配置される第1チューブ、端部が前記イオンレンズ部に向かい、最も外側に配置される第3チューブ、前記第1チューブ及び前記第3チューブの間に配置される第2チューブ、及び前記第3チューブの外部を囲む螺旋形状を有する誘導コイルを含むことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明による質量分析器のイオンレンズ部は分析対象イオンの損失を防止及び/又は最小化することができる。したがって、分析対象イオンの透過率が高くなることができ、結果的に本発明による質量分析器の分解能及び測定正確度が改善されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態による質量分析器を説明するための概念図である。
【
図2】本発明の実施形態による質量分析器のイオンレンズ部を説明するための拡大図であって、
図1のA部分に対応される。
【
図3】本発明の実施形態による質量分析器のイオンレンズ部をより詳細に説明するための拡大図であって、
図2のB部分に対応される。
【
図4】比較例にしたがう質量分析器のイオンレンズ部内でのイオンビームの経路及び透過率を説明するためのシミュレーション図である。
【
図5】本発明の実施形態による質量分析器のイオンレンズ部内でのイオンビームの経路及び透過率を説明するためのシミュレーション図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための最善の形状を示す図面は
図2である。
本発明の構成及び効果を十分に理解するために、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
本発明は以下で開示される実施形態に限定されることではなく、様々な形態で具現されることができ、多様な修正及び変更を加えることができる。単なる、本実施形態の説明を通じて本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。添付された図面で構成要素は説明の簡易化のためにそのサイズが実際より拡大して示したことであり、各構成要素の比率は誇張されるか、或いは縮小されることができる。
本明細書で使用された用語は実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限しようとすることではない。また、本明細書で使用される用語は異なりに定義されない限り、該当技術分野で通常の知識を有する者に通常的に公知された意味として解釈されることができる。
本明細書で、単数形は文句で特別に言及しない限り、複数形も含む。明細書で使用される‘含む(comprises)’及び/又は‘含んでいる(comprising)は言及された構成要素、段階、動作、及び/又は素子は1つ以上の他の構成要素、段階、動作、及び/又は素子の存在又は追加を排除しない。
【0011】
本明細書である層が他の層‘上に’にあると言及される場合に、それは他の層の上面に直接形成されるか、或いはそれらの間に第3の層が介在されてもよい。
本明細書で第1、第2等の用語が多様な領域、層等を記述するために使用されたが、これらの領域、層がこのような用語によって限定されてはならない。これらの用語は単なる所定領域又は層を他の領域又は層と区別させるために使用されただけである。したがって、いずれか一実施形態で第1部分として言及された部分が他の実施形態では第2部分として言及されることもあり得る。ここに説明され、例示される実施形態はその相補的な実施形態も含む。明細書の全体に亘って同一の参照番号で表示された部分は同一の構成要素を示す。
【0012】
以下、図面を参照して本発明の質量分析器について詳細に説明する。
図1は本発明の質量分析器を説明するための概念図である。
図1に示す通り、本発明による質量分析器は試料導入部10、イオン化部20、インターフェイス部30、イオンレンズ部40、反応部50、質量分離部60、及び検出部70を含むことができる。本発明による質量分析器は誘導結合プラズマ(inductively coupled plasma;ICP)を利用する質量分析器であると図示及び説明したが、これは単なる例示的なものであり、本発明はこれに制限されなく、本発明による質量分析器は以下では図示及び説明するイオンレンズ部40を含む様々な方式の質量分析器であり得る。
【0013】
試料導入部10はネブライザー11及びスプレーチャンバー12を含むことができる。ネブライザー11は液体状態の試料をエアロゾル(aerosol)状態に変えてスプレーチャンバー12の内部に注入することができる。スプレーチャンバー12はネブライザー11と連結されることができる。スプレーチャンバー12は試料の変動を低減し、後述するイオン化部20に移動する試料のサイズ及び量を一定にすることができる。具体的に、スプレーチャンバー12は温度制御を通じて相対的にサイズが大きいエアロゾルを除去し、相対的にサイズが小さいエアロゾルのみがイオン化部20に移動できるようにエアロゾルの流れを制御することができる。少なくとも1つのガス供給管を通じてネブライザー11及び/又はスプレーチャンバー12にキャリヤーガス(carrier gas)が供給されることができる。キャリヤーガスは試料がプラズマPに導入されるようにすることができる。
イオン化部20は試料導入部10と連結されることができる。イオン化部20は、例えばプラズマトーチ(plasma torch)と指称されることができる。イオン化部20は第1チューブ21、第2チューブ22、第3チューブ23、及び誘導コイル26を含むことができる。
【0014】
第1チューブ21は試料導入部10のスプレーチャンバー12と連結されることができ、イオン化部20の最も内側に配置されることができる。第3チューブ23はイオン化部20の最も外側に配置されることができ、第2チューブ22は第1チューブ21と第3チューブ23との間に配置されることができる。第2チューブ22及び第3チューブ23は各々第1ガス供給管24及び第2ガス供給管25と連結されることができる。第1乃至第3チューブ21、22、23は各々第1方向D1に延長される中空の柱形状を有することができる。第1乃至第3チューブ21、22、23は、第1方向D1と直交する平面で切断した断面視において、中心軸が互いに一致する同心円形状を有することができる。第1乃至第3チューブ21、22、23は、例えば石英(Quartz)、アルミナ(Alumina)、プラチナ(Platinum)、又はサファイア(Sapphire)で成されることができる。
【0015】
第1チューブ21を通じて試料及びキャリヤーガスが移動することができ、第1ガス供給管24及び第2チューブ22を通じて補助ガス(auxiliary gas)が移動することができ、第2ガス供給管25及び第3チューブ23を通じて冷却ガス(coolant gas)が移動することができる。補助ガスはプラズマPとの接触によって第1及び第2チューブ21、22の端部が破損されることを防止又は最小化することができる。冷却ガスはプラズマPとの接触によって第3チューブ23の内壁が破損されることを防止又は最小化することができる。キャリヤーガス、補助ガス、及び冷却ガスは、例えばアルゴン(Ar)を含むことができる。
誘導コイル26は、例えば第3チューブ23の外部を少なくとも2回以上囲む螺旋形状を有することができる。誘導コイル26はイオン化部20の内部に時間的に変化する強い電磁気場を生成することができる。誘導コイル26によって生成された電磁気場は内部のガスを放電させてプラズマPを生成することができる。高温のプラズマPは試料導入部10から導入されたエアロゾル状態の試料をイオン化させることができる。
【0016】
イオン化部20は誘導コイル26と連結される高電力のRF電源及び誘導コイル26と第3チューブ23の外壁との間の遮蔽板をさらに含むことができる。
インターフェイス部30はイオン化部20で生成されたプラズマPからイオン化された試料をイオンビームの形態で抽出することができる。インターフェイス部30は第1方向D1にイオン化部20に隣接することができる。インターフェイス部30はチャンバーCHに連結されることができる。インターフェイス部30はイオン化部20とチャンバーCHとの間に提供されることができる。インターフェイス部30はイオンビームを抽出するサンプラーコーン(sampler cone)及びスキマーコーン(skimmer cone)を含むことができる。サンプラーコーン及びスキマーコーンは、例えば第1方向D1に行くほど、第2方向D2への幅が大きくなる中空のコーン形状を有することができる。
【0017】
チャンバーCHの内部にイオンレンズ部40、反応部50、質量分離部60、及び検出部70が提供されることができる。チャンバーCHの内部は真空状態に維持されることができる。イオンレンズ部40、反応部50、質量分離部60、及び検出部70の中で少なくとも1つ以上は、例えばチャンバーCHの内部のサブチャンバー内に提供されることができ、サブチャンバーはチャンバーCHの内部と異なる真空状態に維持されることができる。イオンレンズ部40、反応部50、質量分離部60、及び検出部70は、例えば第1方向D1に沿って配列されることができるが、本発明はこれに制限されない。
イオンレンズ部40はインターフェイス部30と反応部50との間に提供されることができる。イオンレンズ部40の少なくとも一部はインターフェイス部30と連結及び/又は重畳されることができる。イオンレンズ部40は少なくとも1つ以上のレンズを含むことができ、1つ以上のレンズを通じてフォトン、中性粒子等を遮断し、分析対象になるイオン(以下、分析対象イオン)の経路を制御することができる。以下では
図2及び
図3を参照してイオンレンズ部40の細部構成に対して詳細に説明する。
【0018】
反応部50はイオンレンズ部40と質量分離部60との間に提供されることができる。反応部50は衝突/反応セル(collision/reaction cell)と指称されることができる。少なくとも1つのガス供給管を通じて反応部50に衝突/反応ガスが供給されることができる。衝突/反応ガスは反応部50の内部の様々なイオンと衝突することができ、妨害イオン(例えば、40Ar、40Ar16O、38ArH等)を非妨害種に変換させるか、或いは分析対象イオンを異なる質量を有するイオンに変換させることができる。
質量分離部60は反応部50と検出部70との間に提供されることができる。質量分離部60は、例えば四重極子(quadrupole)方式、二重集束磁気セクタ(double focusing magnetic sector)方式、又は飛行時間(time-of-flight)方式を利用することができ、イオンを質量対電荷比(m/z)に応じて分離することができる。図示されたことと異なりに、イオンレンズ部40と反応部50との間にその他の質量分離部60が追加に提供されることができる。
【0019】
検出部70は質量分離部60の末端と隣接することができ、質量分離部60で分離された、分析対象イオンの質量スペクトルを検出することができる。検出部70は、例えばチャンネル電子増倍器(channel electron multiplier)、ファラデーカップ(Faraday cup)、又は離散ダイノード電子増倍器(discrete dynode electron multiplier)を利用することができる。
図2は本発明の実施形態による質量分析器のイオンレンズ部を説明するための拡大図であって、
図1のA部分に対応される。
図1及び
図2に示す通り、本発明による質量分析器のイオンレンズ部40は第1抽出レンズEL1、第2抽出レンズEL2、第1ガイディングレンズGL1、及び第2ガイディングレンズGL2を含むことができる。第1抽出レンズEL1、第2抽出レンズEL2、第1ガイディングレンズGL1、及び第2ガイディングレンズGL2は第1方向D1を沿って配列されることができる。この時、抽出レンズEL1、EL2の数及びガイディングレンズGL1、GL2の数は単なる例示的なものであり、本発明はこれに制限されない。
【0020】
第1及び第2抽出レンズEL1、EL2はインターフェイス部30に隣接するように配置されることができる。第1抽出レンズEL1はインターフェイス部30と第2抽出レンズEL2との間に提供されることができ、第2抽出レンズEL2は第1抽出レンズEL1と第1ガイディングレンズGL1との間に提供されることができる。第1及び第2抽出レンズEL1、EL2の各々は、例えば第1方向D1に行くほど、第2方向D2への幅が大きくなる中空のコーン形状を有することができる。第1及び第2抽出レンズEL1、EL2の各々の中心軸は第1方向D1に延長される第1軸AX1と一致することができる。第1抽出レンズEL1の中心軸は第2抽出レンズEL2の中心軸と一致することができる。第1及び第2抽出レンズEL1、EL2の各々は第1軸AX1を中心に対称的な形状を有することができる。第1及び第2抽出レンズEL1、EL2の各々は前面及び背面に開口を有することができる。本明細書で、前面はイオン化部20及びインターフェイス部30に向かう方向(即ち、第1方向D1の反対方向)の面を意味し、背面は反応部50に向かう方向(即ち、第1方向D1)の面を意味する。前面及び背面は第1方向D1と直交し、第2方向D2と平行な面であり得る。
【0021】
第1抽出レンズEL1はインターフェイス部30に向かう第1前面開口110、及び第1ガイディングレンズGL1に向かう第1背面開口130を有することができる。第1前面開口110の直径は第1背面開口130の直径より小さいことができる。
第1抽出レンズEL1は外側壁からインターフェイス部30に向かって突出される突出部EL1pを含むことができる。第1抽出レンズEL1の突出部EL1pは外側壁を囲む帯状の形状を有してもよく、複数に提供されて外側壁上の複数の位置に提供されてもよい。
第2抽出レンズEL2は第1抽出レンズEL1の第1前面開口110に向かう第2前面開口210、及び第1ガイディングレンズGL1に向かう第2背面開口230を有することができる。第2前面開口210の直径は第2背面開口230より小さいことができる。第2前面開口210の直径は第1背面開口130の直径より小さいことができる。
第2抽出レンズEL2の少なくとも一部は第1抽出レンズEL1と第2方向D2に重畳されることができる。再び言えば、第2抽出レンズEL2の少なくとも一部は第1抽出レンズEL1の内部に位置することができる。
【0022】
第1及び第2抽出レンズEL1、EL2に第1電圧印加部が各々連結されることができる。実施形態によれば、第1電圧印加部は第1抽出レンズEL1の第1背面開口130及び第2抽出レンズEL2の第2背面開口230に各々隣接することができる。第1電圧印加部の各々に印加された電圧によって第1及び第2抽出レンズEL1、EL2はイオン化部20及びインターフェイス部30を通過したイオンビームを抽出することができる。
第1抽出レンズEL1には後述するスキマーコーンSC(
図3参照)と同一である0Vの電圧が印加されることができる。第1抽出レンズEL1に0Vの電圧が印加されることによって、分析対象イオンは電気場の影響なしで真空度(degree of vacuum)の差によってスキマーコーンSC(
図3参照)から第1抽出レンズEL1の内部空間に移動することができる。環境現場で汚染程度等を測定及び分析する場合、他の環境よりマトリックス成分(即ち、分析対象イオンではなく、分析対象イオンと類似な質量を有するイオン)が多く、このようなマトリックス成分を除去しながらも、分析対象イオンの損失を減らすことが重要であるが(空間電荷効果によりマトリックス成分及び分析対象イオンが第1軸AX1に沿って集中せずに広がることができるため)、第1抽出レンズEL1に0Vの電圧が印加される点及び後述する技術的特徴によって分析対象イオンの損失が防止及び/又は最小化されることができる。したがって、分析対象イオンの透過率が高くなることができ、結果的に本発明による質量分析器の分解能及び測定正確度が改善されることができる。
【0023】
第1及び第2ガイディングレンズGL1、GL2は反応部50に隣接するように配置されることができる。第1ガイディングレンズGL1は第2抽出レンズEL2と第2ガイディングレンズGL2との間に提供されることができ、第2ガイディングレンズGL2は第1ガイディングレンズGL1と反応部50との間に提供されることができる。実施形態によれば、第1ガイディングレンズGL1は第2抽出レンズEL2と第1方向D1に互いに離隔されることができる。第1及び第2ガイディングレンズGL1、GL2の各々は前面及び背面に開口を有することができる。第2ガイディングレンズGL2で、背面開口の直径は前面開口の直径より小さいことができる。
【0024】
第1ガイディングレンズGL1の中心軸は第1軸AX1と一致することができる。より具体的に、第1ガイディングレンズGL1の中心軸は後述する第1ガイディングレンズGL1の第1部分GL1aの中心軸として定義されることができる。第1ガイディングレンズGL1の中心軸は第1及び第2抽出レンズEL1、EL2の各々の中心軸と一致することができる。第2ガイディングレンズGL2の中心軸は第1軸AX1と平行であり、第1軸AX1と第2方向D2に離隔される第2軸AX2と一致することができる。第2ガイディングレンズGL2の中心軸は第1及び第2抽出レンズEL1、EL2及び第1ガイディングレンズGL1の各々の中心軸と異なることができる。但し、これは単なる例示的なものであり、本発明はこれに制限されなく、第2ガイディングレンズGL2の中心軸は第1及び第2抽出レンズEL1、EL2及び第1ガイディングレンズGL1の各々の中心軸と一致してもよい。第2ガイディングレンズGL2の背面開口は第2軸AX2が通るところに位置することができる。
【0025】
第1ガイディングレンズGL1は、例えば第2抽出レンズEL2と第2ガイディングレンズGL2との間に提供される第1部分GL1a、及び第2部分GL1bと一体に連結され、第2ガイディングレンズGL2と第2方向D2に重畳される第2部分GL1bを含むことができる。第2部分GL1bは第1部分GL1aの背面に連結されて互いに一体をなすことができる。第1部分GL1aは第2ガイディングレンズGL2と第1方向D1に互いに離隔されることができる。第2部分GL1bは第2ガイディングレンズGL2と第2方向D2に互いに離隔されることができる。
第1部分GL1aは中空の柱形状(例えば、中空の円柱形状)を有することができる。第2部分GL1bは中空の柱形状をその中心軸を含む平面で切断したような形状を有することができる。第2部分GL1bの下部は第2ガイディングレンズGL2に向かって開くことができ、第2部分GL1bの上部は外部から遮断されることができる。本明細書で、下部は第2方向D2の反対方向に向かう部分を意味し、上部は第2方向D2に向かう部分を意味する。
【0026】
第2ガイディングレンズGL2は、第1ガイディングレンズGL1の第2部分GL1bと類似に、中空の柱形状をその中心軸を含む平面で切断したような形状を有することができる。但し、第1ガイディングレンズGL1の第2部分GL1bと異なり、第2ガイディングレンズGL2の上部は第1ガイディングレンズGL1の第2部分GL1bに向かって開くことができ、第2ガイディングレンズGL2の下部は外部から遮断されることができる。実施形態によれば、第2ガイディングレンズGL2は第1ガイディングレンズGL1の第1部分GL1aと物理的に連結されることができる。
【0027】
第1及び第2ガイディングレンズGL1、GL2に第2電圧印加部が各々連結されることができる。第2電圧印加部の各々に印加された電圧によって第1及び第2ガイディングレンズGL1、GL2は第1及び第2抽出レンズEL1、EL2を通過したイオンビームの経路を制御することができる。第2電圧印加部の各々の電圧はイオンのエネルギー別に最適の経路を決定するために調整されることができる。
具体的に、第1及び第2抽出レンズEL1、EL2を通過したイオンビームの中で、電荷を有するイオンは第2電圧印加部の各々に印加された電圧によって経路が曲がって第2ガイディングレンズGL2の背面開口を通じて反応部50に向かうことができ、直進性を有するフォトン、中性粒子等は第1軸AX1に沿って第1方向D1に進行して第2ガイディングレンズGL2の背面開口を通過せずに遮断されることができる。本発明による質量分析器の第1及び第2ガイディングレンズGL1、GL2はフォトン、中性粒子、準安定イオン(metastable ion)等を遮断し、分析対象イオンの経路を制御することができる。したがって、本発明による質量分析器の測定正確度が改善されることができる。
【0028】
図3は本発明の質量分析器のイオンレンズ部をより詳細に説明するための拡大図であって、
図2のB部分に対応される。
図3に示すとおり、イオンレンズ部40の少なくとも一部はインターフェイス部30と第2方向D2に重畳されることができる。再び言えば、イオンレンズ部40の少なくとも一部はインターフェイス部30の内部に位置することができる。
インターフェイス部30はスキマーコーンSCを含むことができる。スキマーコーンSCは第1方向D1に行くほど、第2方向D2への幅が大きくなる中空のコーン形状を有する第1部分SCa、及び第1部分SCaと連結され、第1方向D1に行くほど、第2方向D2への幅が一定の中空の柱形状を有する第2部分SCbを含むことができる。第2部分SCbは第1抽出レンズEL1の少なくとも一部を囲むことができる。
【0029】
第1部分SCaは、例えばその背面SCabが第1抽出レンズEL1の前面EL1fと実質的に同一なところに位置するように配置されることができる。第1抽出レンズEL1の一部は第1部分SCaと第2方向D2に重畳され、第1抽出レンズEL1の前面EL1fは第1部分SCaの背面SCabと第1方向D1に互いに離隔されることができる。この時、第1抽出レンズEL1は第1部分SCaと物理的に接触することもあり得る。第1抽出レンズEL1は第1部分SCaと第2方向D2に重畳されなく、第1部分SCaの背面SCabは第1抽出レンズEL1の前面EL1fと第1方向D1に互いに離隔されることもあり得る。第1部分SCaの背面SCabと第1抽出レンズEL1の前面EL1fが離隔される場合、その離隔距離は、例えば約0.5mmより小さいことができる。
【0030】
スキマーコーンSCの内部空間は第1部分SCa内の第1空間SCP1、第2空間SCP2、及び第3空間SCP3、及び第2部分SCb内の第4空間SCP4を含むことができる。スキマーコーンSCの第1空間SCP1は、例えば第1方向D1に行くほど、第2方向D2への幅が大きくなるコーン形状の空間であり得る。スキマーコーンSCの第2空間SCP2、第3空間SCP3、及び第4空間SCP4の各々は、例えば第1方向D1に行くほど、第2方向D2への幅が一定の柱形状の空間であり得る。スキマーコーンSCの第1空間SCP1の背面での第2方向D2への幅はスキマーコーンSCの第2空間SCP2の第2方向D2への幅と実質的に同一であることができる。スキマーコーンSCの第2空間SCP2の第2方向D2への幅はスキマーコーンSCの第3空間SCP3の第2方向D2への幅より小さいことができる。
【0031】
スキマーコーンSCの第3空間SCP3の第2方向D2への幅はスキマーコーンSCの第4空間SCP4の第2方向D2への幅より小さいことができる。再び言えば、スキマーコーンSCの内側壁は少なくとも1箇所以上の段差を含む階段構造を有することができる。
第1抽出レンズEL1の少なくとも一部はスキマーコーンSCの第4空間SCP4内に提供されることができる。第1抽出レンズEL1の前面EL1fはスキマーコーンSCの第3空間SCP3の背面(即ち、スキマーコーンSCの第1部分SCaの背面SCab)と実質的に同一なところに位置することができる。第1抽出レンズEL1の少なくとも一部はスキマーコーンSCの第3空間SCP3内に提供されることもあり得る。
【0032】
突出部EL1pを含む第1抽出レンズEL1はスキマーコーンSCの内側壁の階段構造に隣接するように配置されることができる。第1抽出レンズEL1の突出部EL1pはスキマーコーンSCの内側壁の階段構造に嵌合するように配置されることもあり得る。第1抽出レンズEL1がスキマーコーンSCの内側壁に最大に隣接するように配置される点(又は、第1抽出レンズEL1の突出部EL1pがスキマーコーンSCの内側壁の階段構造に嵌合する点)によって、分析対象イオンが第1抽出レンズEL1の外側壁に沿って抜けていくことが防止及び/又は最小化することができる。したがって、分析対象イオンの透過率が高くなることができ、結果的に本発明による質量分析器の分解能及び測定正確度が改善されることができる。
【0033】
第2抽出レンズEL2の前面EL2fは第1抽出レンズEL1の前面EL1fと第1抽出レンズEL1の背面EL1bとの間に位置することができる。第2抽出レンズEL2の前面EL2fと第1抽出レンズEL1の前面EL1fの離隔距離SDは、例えば約4mm乃至約10mmであり得る。第2抽出レンズEL2の前面EL2fは、後述する比較例に比べて、第1抽出レンズEL1の前面EL1fに近く配置されることができ、分析対象イオンが第2抽出レンズEL2の外側壁を沿って抜けていくことが防止及び/又は最小化することができる。したがって、分析対象イオンの透過率が高くなることができ、結果的に本発明による質量分析器の分解能及び測定正確度が改善されることができる。
第1抽出レンズEL1の背面EL1bは第2抽出レンズEL2の前面EL2fと第2抽出レンズEL2の背面EL2bとの間に位置することができる。第1抽出レンズEL1の背面EL1bはインターフェイス部30の内部に位置することができる。第2抽出レンズEL2の背面EL2bは第1抽出レンズEL1の背面EL1bから第1方向D1に離隔されることができる。
【0034】
第2抽出レンズEL2の内部空間は第1抽出レンズEL1内に位置し、柱形状を有する第1空間EL2P1、及び第1空間EL2P1から延長されるコーン形状を有する第2空間EL2P2を含むことができる。第2抽出レンズEL2の第1空間EL2P1は前面EL2fから延長されることができる。第2抽出レンズEL2の第2空間EL2P2は第1空間EL2P1から背面EL2bまで延長されることができる。第2抽出レンズEL2の第1空間EL2P1は第2抽出レンズEL2に入射される分析対象イオンが第1軸AX1に近く集中されることを助けることができ、第2抽出レンズEL2の後段での分析対象イオンの損失が防止及び/又は最小化されることができる。したがって、分析対象イオンの透過率が高くなることができ、結果的に本発明による質量分析器の分解能及び測定正確度が改善されることができる。
【0035】
一方、本発明による質量分析器の第1及び第2抽出レンズEL1、EL2はアルゴンイオンの少なくとも一部を第2抽出レンズEL2の外側壁に沿って放出させることができる。再び言えば、第2抽出レンズEL2の前面EL2fと第1抽出レンズEL1の前面EL1fが離隔される点によって、第2抽出レンズEL2の内部空間に進行するアルゴンイオンの量が減少されることができる。したがって、本発明による質量分析器の分解能及び測定正確度が改善されることができる。
【0036】
図4は比較例にしたがう質量分析器のイオンレンズ部内でのイオンビームの経路及び透過率を説明するためのシミュレーション図である。
図5は本発明の実施形態による質量分析器のイオンレンズ部内でのイオンビームの経路及び透過率を説明するためのシミュレーション図である。
より具体的に、
図4は側面開口150を有する第1抽出レンズEL1を含む質量分析器(即ち、比較例にしたがう質量分析器)でのイオンの経路及び透過率を説明するためのシミュレーション図であり、
図5は本発明による質量分析器でのイオンの経路及び透過率を説明するための図である。この時、空間電荷効果による電流は約160μAであり、マトリックス成分及び分析対象イオンを含むイオンビームIBは約40amu(atomic mass unit)乃至約210amuの質量範囲を有することと設定された。
【0037】
図4及び
図5でイオンレンズEL1、EL2、GL1、GL2を通過するイオンの透過率を測定するために後段に検出器Dを配置したことと図示及び説明されたが、本発明による質量分析器はこれに制限されなく、イオンレンズEL1、EL2、GL1、GL2と検出器Dとの間には反応部50(
図1参照)及び質量分離部60(
図1参照)が提供されることができる。
図4及び
図5に示すとおり、比較例にしたがう質量分析器でイオンビームIBの透過率は約7.2%であり、本発明による質量分析器でイオンビームIBの透過率は約49.8%である。即ち、本発明は比較例に比べてイオンビームIBの透過率が約6倍以上高いことができる。本発明による質量分析器は分析対象イオンの損失を減らすことによって分解能及び測定正確度を改善することができる。
以上、添付された図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更しなくとも、他の具体的な形態に実施されることができることを理解することができる。したがって、以上で記述した実施形態はすべての面で例示的なことであり、限定的ではないことと理解しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本開示は質量分析器に関するものである。より詳しくは、環境現場で使用される、イオンレンズを含む質量分析器に利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 試料導入部
11 ネブライザー
12 スプレーチャンバー
20 イオン化部
21 第1チューブ
22 第2チューブ
23 第3チューブ
24 第1ガス供給管
25 第2ガス供給管
26 誘導コイル
30 インターフェイス部
40 イオンレンズ部
50 反応部
60 質量分離部
70 検出部
110 第1前面開口
130 第1背面開口
150 側面開口
210 第2前面開口
230 第2背面開口
AX1 第1軸
AX2 第2軸
CH チャンバー
D1 第1方向
D2 第2方向
EL1 第1抽出レンズ
EL1b 背面
EL1f、EL2f 前面
EL1p 突出部
EL2 第2抽出レンズ
GL1 第1ガイディングレンズ
GL1a 第1部分
GL1b 第2部分
GL2 第2ガイディングレンズ
P プラズマ
SC スキマーコーン
SCa 第1部分
SCab第1部分SCaの背面
SCb 第2部分
SCP1 第1空間
SCP2 第2空間
SCP3 第3空間
SCP4 第4空間
【国際調査報告】