IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロクソ オンコロジー, インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-544772RET阻害剤であるセルペルカチニブの結晶形態Aの調製方法
<>
  • 特表-RET阻害剤であるセルペルカチニブの結晶形態Aの調製方法 図1
  • 特表-RET阻害剤であるセルペルカチニブの結晶形態Aの調製方法 図2
  • 特表-RET阻害剤であるセルペルカチニブの結晶形態Aの調製方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-04
(54)【発明の名称】RET阻害剤であるセルペルカチニブの結晶形態Aの調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 519/00 20060101AFI20241127BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20241127BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241127BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20241127BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241127BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20241127BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20241127BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20241127BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20241127BHJP
   A61K 31/4995 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
C07D519/00 311
A61P1/00
A61P11/00
A61P15/00
A61P35/00
A61P35/04
A61P13/12
A61P5/00
A61P5/14
A61K31/4995
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533207
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 US2022052499
(87)【国際公開番号】W WO2023114119
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/288,777
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/422,542
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523086611
【氏名又は名称】ロクソ オンコロジー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100131990
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 玲恵
(72)【発明者】
【氏名】バードワジュ,ラジニ ミグラニ
(72)【発明者】
【氏名】メリット,ジェレミー マイルズ
(72)【発明者】
【氏名】セルボ,ジョン ゴードン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA04
4C086CB09
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA03
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZC06
4C086ZC51
(57)【要約】
熱力学的により安定な結晶性セルペルカチニブ形態Bをほとんど含有しないか、全く含有しない、結晶性セルペルカチニブ形態Aを調製する方法が本明細書で提供される。セルペルカチニブは、RET関連疾患及び障害を含む、RETキナーゼ阻害剤で治療することが可能な疾患の治療及び予防に有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルペルカチニブをセルペルカチニブ形態Aに変換するための方法であって、前記方法が、
a.DMSOを含む溶媒にセルペルカチニブを溶解し、それによって、セルペルカチニブDMSO溶液を形成することと、
b.前記セルペルカチニブDMSO溶液に水を添加してスラリーを形成することと、
c.前記スラリーから結晶化したセルペルカチニブ形態Aを単離することと、
を含み、
前記形態Aが、約4.9、9.7、及び15.5° 2θのXRPDピークを有する、方法。
【請求項2】
約1グラムのセルペルカチニブを約10~15mLのDMSOに溶解する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップaが、前記DMSO及びセルペルカチニブを約50~70℃の温度まで加熱することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップbが、第1のバッチの水及び第2のバッチの水を添加することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のバッチの水が添加された後、DMSOと水との比率が体積で約96:4である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のバッチの水が添加される前に、前記DMSO及びセルペルカチニブを約40℃まで冷却することを含む、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のバッチの水が添加された後、DMSO:水の比が約80:20である、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のバッチの水を添加することと、前記DMSO:水を約0℃まで冷却することと、を含み、それによってスラリーを形成する、請求項4~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップbが、約0.1~約1mL/gの水を前記溶液に添加することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップbが、約0.2mL/g以下の水を前記溶液に添加することを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
セルペルカチニブ種結晶を前記DMSO:水に添加することを更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
約1~15重量%のセルペルカチニブ形態A種結晶を前記DMSO:水に添加する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
約1重量%のセルペルカチニブ形態A種結晶を前記DMSO:水に添加する、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のバッチの水を添加する前に、前記セルペルカチニブ種結晶を添加することを含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ステップcが、高減圧濾過を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ステップcが、遠心分離を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ステップcから単離されたセルペルカチニブ形態Aを、MTBE及び/又は水を含む溶媒で洗浄することを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記セルペルカチニブ形態Aを乾燥させることを更に含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
セルペルカチニブをセルペルカチニブ形態Aに変換するための方法であって、前記方法が、
a.ジクロロメタンを含む溶媒にセルペルカチニブを溶解して溶液を形成することと、
b.スラリーを形成するのに有効な条件下で、ヘプタンを前記溶液に添加することと、
c.前記スラリーから前記セルペルカチニブ形態Aを単離することと、を含み、前記形態Aが、約4.9、9.7、及び15.5° 2θのXRPDピークを有する、方法。
【請求項20】
約1グラムのセルペルカチニブを約25~35mLのジクロロメタンに溶解する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ステップaが、前記セルペルカチニブ及び前記ジクロロメタンを含む溶媒を約30~40℃まで加熱することを含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
ステップbが、第1のバッチのヘプタン及び第2のバッチのヘプタンを添加することを含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のバッチのヘプタンが、1gのセルペルカチニブ当たり約8~12mLのヘプタンを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第2のバッチのヘプタンが、1gのセルペルカチニブ当たり約8~12mLのヘプタンを含む、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
ステップbが、約30℃より低く、かつ約20℃より高い温度まで冷却することを含む、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
ステップbが、約25℃の温度まで冷却することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ステップbが、少なくとも約8時間撹拌することを含む、請求項19~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
請求項1~35のいずれか一項に従って作製されたセルペルカチニブ形態Aを含む、医薬組成物。
【請求項29】
少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を更に含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物が、約20重量%未満のセルペルカチニブの他の結晶形態を含有する、請求項28又は29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記組成物が、約10重量%未満のセルペルカチニブの他の結晶形態を含有する、請求項28又は29に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記組成物が、約5重量%未満のセルペルカチニブの他の結晶形態を含有する、請求項28又は29に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記セルペルカチニブ形態Aを含む前記組成物が、実質的に純粋である、請求項28又は29に記載の医薬組成物。
【請求項34】
患者においてがんを治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、請求項1~27のいずれか一項に従って作製された有効量のセルペルカチニブ形態A、又は請求項28~33のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項35】
前記がんが、RET関連がんである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記がんが、固形腫瘍、肺がん、甲状腺乳頭がん、甲状腺髄様がん、分化型甲状腺がん、再発性甲状腺がん、難治性分化型甲状腺がん、多発性内分泌腫瘍症2A型又は2B型(それぞれMEN2A又はMEN2B)、褐色細胞腫、副甲状腺過形成、乳がん、結腸直腸がん、乳頭状腎細胞がん、胃腸粘膜の神経節神経腫症、及び子宮頸がんからなる群から選択される、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
前記がんが、甲状腺髄様がんである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記がんが、肺がんであり、前記肺がんが、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、細気管支肺細胞がん、RET融合肺がん、又は肺腺がんである、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記がんが、固形腫瘍である、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記固形腫瘍が、局所進行性又は転移性の固形腫瘍である、請求項36又は39に記載の方法。
【請求項41】
前記固形腫瘍が、以前の全身治療の際に、若しくはそれに続いて進行しているか、又は満足のいく代替治療の選択肢を有していない、RET遺伝子融合を伴う局所進行性又は転移性の固形腫瘍である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記がんが、FDA承認試験によって検出されるような、トランスフェクション中再配列(RET)遺伝子融合を伴う局所進行性又は転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項43】
前記がんが、全身療法を必要とし、かつ(放射性ヨウ素が適切である場合に)放射性ヨウ素不応性である、FDA承認試験によって検出されるような、RET遺伝子融合を伴う進行性又は転移性の甲状腺がんである、請求項34又は35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
セルペルカチニブ(LOXO-292又はRETEVMO(商標))は、転移性RET融合陽性NSCLC、RET変異甲状腺髄様がん、及びRET融合陽性甲状腺がんを有する患者の治療に使用するために米国で承認されたRET阻害剤である。セルペルカチニブ、又は6-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-4-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリルは、以下の化学構造を有する
【0002】
【化1】
【0003】
セルペルカチニブのいくつかの結晶形態が知られており、開示されている(例えば、米国特許第10,584,124号を参照されたい)が、様々な結晶多形形態は、単離されると、多形不純物として1つ以上のある量の他の結晶形態を含む場合がある。例えば、「形態A」は、米国特許第10,584,124号に開示された結晶形態であり、典型的には、熱力学的により安定な結晶「形態B」を少なくともいくらか含有する。10,584,124号特許に開示された形態A材料は、いくらかの形態B材料を含有していた。国際公開第2021/211380号は、セルペルカチニブ形態Bを選択的に形成するための方法を開示している。本明細書には、形態Bがもし存在するとしてもほとんど含有しないセルペルカチニブ形態Aを選択的に形成する方法が開示されている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書には、セルペルカチニブをその動力学的に安定な結晶形態である「形態A」で作製する方法が開示されている。これらの方法の実施形態では、本開示は、可溶化形態及び/又は溶媒和形態のセルペルカチニブをセルペルカチニブ形態Aに変換する方法に関する。これらの方法の他の実施形態では、本開示は、多形形態の混合物としてのセルペルカチニブをセルペルカチニブ形態Aに変換する方法に関する。更に他の実施形態では、本方法は、セルペルカチニブ形態Bを含む混合物を形態Aに変換することを含む。
【0005】
これらの結晶形態は、錠剤、カプセル、及び懸濁液などの製剤に組み込むことができ、患者に利益をもたらすことができる。1つ以上の他の結晶形態と混合することができ、かつ/又は単一の結晶形態として(すなわち、純粋又は実質的に純粋な結晶形態として)提供することができる、その結晶形態のうちの1つ(例えば、動力学的に安定な形態A)として選択されるセルペルカチニブを提供することができることも有利である。
【0006】
以下でより詳細に記載されるように、式Iの化合物(セルペルカチニブ)は、多形形態(形態A及び形態B)として提供されてもよく、驚くべきことに、その特定のプロセス及び方法は、その動力学的に安定な多形形態Aでセルペルカチニブを提供するのに有効である。以下に記載され、例示的な作業例によって示されるように、セルペルカチニブを特定の多形形態で生成し、調製するためのプロセス及び方法は、1つ以上の多形形態として提供される式Iの化合物を、他の多形(すなわち、形態B)又は非晶質セルペルカチニブを形態Aに生成又は変換するのに有効な結晶化条件下で変換する(すなわち、反応させる、接触させる、及び/又は処理する)ことを含んでいてもよい。他の態様では、セルペルカチニブ形態Aを生成するためのプロセス及び方法は、セルペルカチニブ形態Aを生成するのに有効な条件下で1つ以上の中間体又は前駆体化合物を反応させることを含む合成経路(すなわち、直接合成経路)を含んでいてもよい。
【0007】
これらの態様のいくつかの実施形態では、本開示による方法によって調製される形態Aは、本明細書に記載の方法のうちの1つ以上を使用して、セルペルカチニブ形態Bに変換され得る。
【0008】
形態Bは、(a)1.5418Åのx線波長を使用して測定される場合、21.1°におけるピークと、7.5、10.9、12.0°、17.1°、17.7°、及び19.8°±0.2° 2θにおける1つ以上のピークを含むx線粉末回折(x-ray powder diffraction、XRPD)パターン、又は(b)28.0、48.0、80.4、106.8、130.2、及び134.9ppm(それぞれ±0.2ppm)におけるアダマンタンの高磁場共鳴(δ=29.5ppm)を基準とするピークを含む13C固体状態NMRスペクトルのうちの少なくとも1つによって特徴付けられる。典型的には、これらのシグニチャスペクトルは、結晶形態Bに固有である。
【0009】
同様に、形態Aは、形態Bでは観察することができない4.9、9.7、及び15.5°、±0.2° 2θにおけるXRPDピーク、並びに/又は(b)形態Bでは観察することができない30.9ppmにおける(アダマンタンの高磁場共鳴(δ=29.5ppm)を基準とする)ピークを含むNMRスペクトルに基づいて同定することができる。
【0010】
セルペルカチニブをセルペルカチニブ形態Aに変換する方法が本明細書に開示される。好ましくは、セルペルカチニブは、少なくとも約92重量%の形態Aを含有する。より好ましくは、セルペルカチニブは、少なくとも約94重量%~約98重量%の形態Aを含有する。セルペルカチニブは、非晶質の形態B(熱力学的により安定な多形)、セルペルカチニブ溶媒和物、又はそれら2つ以上の混合物であってもよい。
【0011】
また、セルペルカチニブをセルペルカチニブ形態Aに変換するための方法であって、本方法が、
a.DMSOを含む溶媒にセルペルカチニブを溶解し、それによって、セルペルカチニブDMSO溶液を形成することと、
b.セルペルカチニブDMSO溶液に水を添加してスラリーを形成することと、
c.スラリーから結晶化したセルペルカチニブ形態Aを単離することと、を含み、形態Aが、約4.9、9.7、及び15.5° 2θのXRPDピークを有する、方法が本明細書に開示される。
【0012】
更に、セルペルカチニブをセルペルカチニブ形態Aに変換するための方法であって、本方法が、
a.ジクロロメタンを含む溶媒にセルペルカチニブを溶解して溶液を形成することと、
b.スラリーを形成するのに有効な条件下で、ヘプタンを溶液に添加することと、
c.スラリーからセルペルカチニブ形態Aを単離することと、を含み、形態Aが、約4.9、9.7、及び15.5° 2θのXRPDピークを有する、方法が開示される。
【0013】
驚くべきことに、本明細書に記載の方法を使用して、セルペルカチニブ形態Aを調製するが、誤った洗浄及び乾燥プロトコルを使用すると、最大約20重量%の形態Bを含有する形態Aが得られることが発見された。したがって、形態Bの形成を最小限に抑えるか、又は予防する、セルペルカチニブ形態Aを洗浄し、乾燥するための方法が本明細書に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】最大約26°2シータ(2θ)の形態A及び形態BのXRPDデータのオーバーレイである。
図2】目的の不純物の帰属を伴う、結晶化開発に使用される代表的なHPLCクロマトグラムである。
図3】形態A、形態Bの13C固体状態NMRデータ、及び形態Aを形態Bと比較した約25~60ppmのオーバーレイを含む。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通例理解されている意味を有する。本明細書で使用される場合、以下の用語は、特に指定されない限り、以下の用語に帰する意味を有する。
【0016】
本明細書で使用される場合、「多形」という用語は、結晶格子内の分子の秩序の結果として異なる物理的特性を有する同じ化合物の結晶を指す。単一の化合物(すなわち、式Iの化合物)の異なる多形は、互いに1つ以上の異なる化学的、物理的、機械的、電気的、熱力学的、及び/又は生物学的特性を有する。多形によって示される物理的特性の違いは、貯蔵安定性、圧縮性、密度(組成物及び製品の製造において重要)、溶解速度(バイオアベイラビリティを判定する重要な要素)、溶解性、融点、化学的安定性、物理的安定性、粉末流動性、水分吸着、圧縮、及び粒子形態などの医薬品のパラメータに影響し得る。安定性の違いは、化学反応性の変化(例えば、ある多形から構成される場合が、別の多形から構成される場合よりも迅速に剤形が変色するような、差次的な酸化)、又は機械的変化(例えば、動力学的に望ましい多形が熱力学的により安定な多形へと変換するような保存時の結晶変化)、又はその両方(例えば、ある多形が、他の多形よりも吸湿性が高い)から生じ得る。溶解性/溶解の差異の結果として、いくつかの遷移が、効力及び/又は毒性に影響する。加えて、結晶の物理的特性は、処理において重要な場合があり、例えば、ある多形が、溶媒和物を形成する可能性がより高い場合があり、又は濾過及び洗浄して不純物を含まないようにするのが困難な場合がある(すなわち、粒径及び粒度分布が、ある多形と他の多形との間で異なっている場合がある)。本明細書で使用される場合、「多形」は、化合物の非晶質形態を含まない。いくつかの特定の実施形態では、式Iの化合物の多形(すなわち、セルペルカチニブ形態A及び/又はセルペルカチニブ形態Bのうちの一方又は両方)が、本明細書に記載の特徴を含む。
【0017】
本明細書で使用される場合、「非晶質」は、結晶秩序を欠く化合物の形態を指す。例えば、「非晶質」は、分子又は外側平面の規則的な反復配置を有していない化合物(例えば、化合物の固体形態)を指し、典型的には、その粉末x線回折パターンに鋭い回折ピークが存在しないことによって特徴付けられる。
【0018】
「無水」という用語は、本明細書で使用される場合、結晶格子に会合する化学量論量の水を含有しない式(I)の化合物の結晶形態を指す。典型的には、無水形態A及び無水形態Bは、1重量%以下の水を有する。例えば、0.5重量%以下、0.25重量%以下、又は0.1重量%以下の水を有する。
【0019】
「溶媒和物」という用語は、本明細書で使用される場合、結晶格子が1つ以上の溶媒を含む式(I)の化合物の結晶形態を指す。
【0020】
「水和物」又は「水和多形形態」という用語は、結晶格子が水を含む化合物の多形形態などの式(I)の化合物の結晶形態を指す。特に指定されない限り、本明細書で使用される「水和物」という用語は、「化学量論的水和物」を指す。化学量論的水和物は、結晶格子の一体化した部分として水分子を含有する。対照的に、非化学量論的水和物は水を含むが、水分含有量の変化は結晶構造に大きな変化を引き起こさない。非化学量論的水和物の乾燥中、結晶ネットワークを著しく乱すことなくかなりの割合の水を除去することができ、その後、結晶は再水和して、最初の非化学量論的水和結晶形態をもたらすことができる。化学量論的水和物とは異なり、非化学量論的水和物の脱水及び再水和は相転移を伴わないため、非化学量論的水和物の全ての水和状態は同じ結晶形態を表す。
【0021】
「純度」は、式(I)の化合物の多形を含む組成物に関して使用されるとき、言及される組成物中の、式(I)の化合物の別の多形形態又は非晶質形態に対する1つの特定の多形形態のパーセンテージを指す。例えば、90%の純度を有する多形形態Aを含む組成物は、90重量部の形態Aと、10重量部の式(I)の化合物の他の多形及び/又は非晶質形態と、を含む。
【0022】
本明細書で使用される場合、化合物又は組成物が、顕著な量の他の成分を含まない場合、化合物又は組成物は、1つ以上のそのような他の成分を「実質的に含まない」。例えば、組成物は、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、又は1重量%未満の他の成分を含み得る。そのような成分には、出発物質、残留溶媒、又は本明細書で提供される化合物及び組成物の調製及び/又は単離から生じる可能性がある他の不純物が含まれ得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される多形形態は、他の多形形態を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の特定の多形は、特定の多形が存在する式(I)の化合物の少なくとも約95重量%を構成する場合、他の多形を「実質的に含まない」。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の特定の多形は、特定の多形が存在する式(I)の化合物の少なくとも約97重量%、約98重量%、約99重量%、又は約99.5重量%を構成する場合、他の多形を「実質的に含まない」。特定の実施形態では、式(I)の化合物の特定の多形は、水の量が多形の約2重量%、約1重量%、又は約0.5重量%以下を構成する場合、水を「実質的に含まない」。
【0023】
本明細書で使用される場合、「実質的に純粋」とは、式(I)の化合物の多形形態に関して使用されるとき、化合物の重量に基づいて、化合物の90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、及び99%を超えるもの、並びに約100%に等しいものをも含む、90%を超える純度を有する化合物の多形形態の試料を意味する。残りの材料は、化合物の他の形態、及び/又はその調製から生じる反応不純物及び/又は処理不純物を含む。例えば、式(I)の化合物の多形形態は、当該技術分野で現時点で既知であり、かつ一般に受け入れられている手段によって測定されるとき、式(I)の化合物の多形形態の純度が90%を超え、残りの10%未満の材料が式(I)の化合物の他の形態及び/又は反応不純物及び/又は処理不純物を含む、という点で、実質的に純粋であるとみなされ得る。反応不純物及び/又は処理不純物の存在は、当該技術分野において公知の分析技術、例えば、クロマトグラフィー、核磁気共鳴分光法、質量分析、又は赤外分光法などによって判定され得る。
【0024】
記載をより簡潔にするために、本明細書の定量的表現のうちのいくつかは、約量X~約量Yの範囲として列挙される。範囲が列挙される場合、範囲は、その列挙された上限及び下限に限定されず、むしろ、約量X~約量Yの全範囲、又はその中の任意の範囲を含むことが理解される。
【0025】
「室温」又は「RT(Room temperature)」とは、典型的な実験室の周囲温度を指し、典型的には約20~25℃である。
【0026】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」という用語は、組成物を所望の形態に製剤化するのに必要な任意の物質を指す。例えば、好適な賦形剤には、希釈剤又は充填剤、結合剤又は造粒剤又は接着剤、崩壊剤、潤滑剤、粘着防止剤、流動促進剤、分散剤又は湿潤剤、溶解遅延剤又は促進剤、吸着剤、緩衝剤、キレート剤、保存剤、着色剤、香味料、及び甘味料が含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」という用語には、生物学的に又はそれ以外の方法でも望ましくないものではない、ありとあらゆる溶媒、共溶媒、錯化剤、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野において周知である。任意の従来の媒体又は薬剤が活性成分と不適合である場合を除き、治療用製剤におけるその使用が意図されている。補助的な活性成分もまた、製剤中に組み入れられ得る。加えて、本技術分野で通例使用されているような、様々な賦形剤が含まれ得る。これら及び他のそのような化合物は、文献、例えば、Merck Index,Merck & Company,Rahway,N.Jに記載されている。医薬組成物中に様々な成分を含めるための考慮事項は、例えば、Gilman et al.(Eds.).2010、Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Basis of Therapeutics,12th Ed.,The McGraw-Hill Companiesに記載されている。
【0028】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、特に文脈によって明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0029】
本明細書で使用される場合、範囲及び量は、「約」特定の値又は範囲として表され得る。約には正確な量も含まれる。したがって、「約5グラム」は、「約5グラム」及び「5グラム」も意味する。本明細書で表される範囲は、その範囲内の整数及びその分数を含むことも理解される。例えば、5~20グラムの範囲には、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20グラムなどの整数値、並びに5.25、6.5、8.75、及び11.95グラムを含むが、これらに限定されない範囲内の分数が含まれる。DSC、TGA、又はTGについての値に先行する「約」という用語は、摂氏温度として報告され、+/-5℃の許容変動を有する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、その後に記載された事象又は状況が起きるか又は起きないこと、並びに記載が、当該事象又は状況が起こる場合の例及びそれが起こらない場合の例を含むことを意味する。例えば、「任意選択的に触媒を含む」反応混合物は、反応混合物が触媒を含むか、又は触媒を含まないことを意味する。
【0031】
本明細書で使用される場合、「希釈物」という用語は、酸性溶液に関して使用される場合、約0.1N未満の酸濃度を有する溶液を指す。
【0032】
「水素」及び「H」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0033】
塩は、当業者によく知られている任意の様式で化合物から形成することができる。したがって、「化合物又はその塩を形成する」という記述には、化合物が形成され、その塩が当業者によく知られている様式で化合物からその後に形成される実施形態が含まれる。
【0034】
本明細書において、患者は、RET融合又はRET変異が決定された患者である。したがって、「RET融合又はRET変異を決定する」という用語は、RET融合又はRET変異が存在するかどうかを決定することを意味する。RET融合又はRET変異が存在するかどうかを決定するための方法は、当業者に知られており、例えば、Wang,Yucong et al.,Medicine 2019;98(3):e14120を参照されたい。実施形態では、「患者」という用語はヒトを指す。
【0035】
「薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤」は、哺乳動物、例えばヒトへの生物学的に活性な薬剤の送達のために本技術分野において概して許容されている媒体である。
【0036】
「治療」、「治療する」、「治療すること」などの用語は、障害の進行を遅延させること、停止させること、又は反転させることを含むことを意味する。これらの用語はまた、障害又は状態が実際に排除されない場合でも、かつ障害又は状態の進行自体が遅延、停止、又は反転されない場合でも、障害又は状態のうちの1つ以上の症状を緩和し、寛解し、弱め、排除し、又は軽減することを含む。
【0037】
「有効量」は、治療する臨床医によって患者の生物学的若しくは医学的応答又は患者に対する所望の治療効果を誘発するセルペルカチニブの結晶形態の量を意味する。一例では、セルペルカチニブの結晶形態は、インビトロ又はエクスビボのRET酵素アッセイにおいて天然RETシグナル伝達を阻害する。別の例では、セルペルカチニブの結晶形態は、異なる用量の化合物で治療された動物からのマウス全血中の天然RETシグナル伝達を阻害する。
【0038】
有効量は、当業者のような担当診断医により、既知の技術の使用により、及び同様の状況下で得られた結果を観察することにより、容易に決定され得る。患者のための有効量を決定する際に、担当医によって、限定されないが、患者の種;そのサイズ、年齢、及び全般的健康状態;関連する特定の疾患又は障害;疾患又は障害の程度又は関与又は重症度;個々の患者の応答;投与された特定の化合物;投与様式;投与された調製物の生物学的利用能特性;選択された用量レジメン;併用薬の使用;並びに他の関連する状況を含む、いくつかの要因が考慮される。
【0039】
セルペルカチニブは、形態B若しくは形態A、又はそれらの混合物のいずれかとして、好ましくは、経口経路、静脈内経路、及び経皮経路を含む、化合物を生物学的に利用可能にする任意の経路によって投与される医薬組成物として製剤化される。より好ましくは、そのような組成物は、経口投与用である。そのような医薬組成物及びそれらを調製するためのプロセスは、当該技術分野において周知である。(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(D.B.Troy,Editor,21st Edition,Lippincott,Williams & Wilkins,2006を参照されたい。)
【0040】
本明細書で使用される場合、「顆粒状組成物」は、顆粒状形態の組成物を指し、これは、医薬品製造プロセスにおいて、医薬組成物の前身となる組成物である。
【0041】
本明細書で使用される場合、「製造容器」は、医薬品の製造に用いられるが、医薬品化学実験室においては使用されない容器を指す。製造容器の例としては、ホッパーコレクタ、ベッド、乾燥機のベッド、造粒機のベッド、乾燥機のトレイ、造粒機のバケツ、及び混合用ボウルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
明確さのために別個の実施形態の文脈で記載される本開示のある特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈で記載される開示の様々な特徴はまた、別個に、又は任意の好適な部分的組み合わせとして提供され得る。
【0043】
本明細書に記載の態様に関する実施形態の全ての組み合わせは、かかる組み合わせが可能な態様を包含する程度まで、あたかもありとあらゆる組み合わせが個別に明示的に列挙されたかのように、本開示によって具体的に包含される。加えて、本明細書に記載の態様に含まれる実施形態の全ての部分的組み合わせ、及び本明細書に記載の他の全ての態様に含まれる実施形態の全ての部分的組み合わせも、あたかも全ての実施形態のありとあらゆる部分的組み合わせが、本明細書に明示的に列挙されているかのように、本発明によって具体的に包含される。
【0044】
セルペルカチニブの結晶形を提供する方法
本開示のいくつかの非限定的な方法を以下に記載する。いくつかの態様では、本開示は、形態Aを形態Bに変換する際に有効な方法及びプロセスを提供する。本開示の更に他の態様は、形態Aを調製する、及び/又は他の形態のセルペルカチニブ(例えば、形態B)を形態Aに変換するのに有効な方法及びプロセスを提供する。
【0045】
形態Aは、約4.9、9.7、及び15.5° 2θに固有のXRPDピークを有し、一方、形態Bは、約7.5、10.9、及び12.0° 2θに固有のXRPDピークを有する。他のピークの2θ値及び/又はピーク強度はまた、以下の表1に見られ得るように、2つの形態間で異なる。明確にするために、本明細書に開示される全てのXRPDピークは、別段明示的に特定されない限り、±0.2°2θである。
【0046】
【表1】
【0047】
XRPDデータは、CuKα源(λ=1.54180Å)及びVantec検出器が取り付けられ、35kV及び50mAで動作するBruker D4 Endeavor X線粉末回折計で得られた。試料は、0.008の2θ°のステップサイズ及び0.5秒/ステップの走査速度で、1.0mmの発散スリット、6.6mmの固定散乱防止スリット、及び11.3mm検出スリットを用いて、4~40の2θ°で走査される。乾燥粉末は、石英試料ホルダーに充填され、滑らかな表面は、ガラススライドを使用して得られる。結晶形態回折パターンは、周囲温度及び相対湿度で収集される。結晶ピーク位置は、8.853及び26.774 2θ°のピークを有する内部NIST 675標準に基づいて全体パターンシフト後、MDI-Jadeで決定される。結晶学の分野において、任意の所与の結晶形態に関して、結晶形態及び晶癖などの要因から生じる好ましい配向に起因して、回折ピークの相対強度が変化し得ることは周知である。優先配向の効果が存在する場合、ピーク強度は変化するが、多形の特徴的なピーク位置は不変である。例えば、The United States Pharmacopeia #23,National Formulary #18,pages 1843-1844,1995を参照されたい。更に、所与の任意の結晶形態について、角ピーク位置がわずかに変化し得ることも、結晶学の分野において周知である。例えば、ピーク位置は、試料が分析される温度の変動、試料変位、又は内部標準の存在若しくは不在によってシフトする場合がある。この場合、±0.2 2θ°のピーク位置変動は、示された結晶形態の明確な同定を妨げることなく、これらの潜在的な変動を考慮に入れると推定される。結晶形態の確認を特徴的なピークの任意の固有の組み合わせに基づいて行うことができる。
【0048】
無水の結晶形態AのDSC-TGA分析は、約207℃の融解開始を示し、2つの吸熱を示し、最初の吸熱は、形態Aの融解、その後の形態Bの発熱再結晶化、次いでの形態Bの融解に対応している。無水結晶形態BのDSC-TGA分析は、約213℃の融解開始を伴う単一の吸熱を示した。
【0049】
形態A及びBは無水多形であるが、形態Aは、形態Bよりもわずかに吸湿性であり、本明細書で考察されるように、形態Bよりも熱力学的に安定性が低い。更に、本明細書で考察されるように、いくつかの実施形態は、単離され得る溶媒和物の形態でセルペルカチニブを提供する。いくつかの実施形態では、溶媒和形態のセルペルカチニブから溶媒分子を除去すると、セルペルカチニブ形態Aを提供することができる。
【0050】
形態A及びBは、類似する溶解度を有する。両方とも、メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone、MEK)、アセトン、及び多くのアルコール計溶媒を含む多くの有機溶媒中25℃での溶解度が低いが、一方で、ジクロロメタン(dichloromethane、DCM)、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide、DMSO)及びTHF中で適度な溶解度(3~30mg/ml)を有する。形態Bは、アニソールにほとんど溶解しない。
【0051】
形態A及び形態Bの13C固体状態NMRスペクトルを図3に示す。図3はまた、スペクトルの一部のオーバーレイを含み、形態Aは形態Bでは観察することができない30.9ppmにおけるピークを有し、形態Bは形態Aでは観察することができない約48.0ppmにおけるピークを有することを示す。両方のスペクトルは、アダマンタンの高磁場共鳴(δ=29.5ppm)を基準とした。
【0052】
100.62MHzの炭素周波数及び400.13MHzのプロトン周波数で動作し、Bruker 4mm二重共鳴プローブを備えたBruker Avance III HD400MHzワイドボアNMR分光計を使用して、上に参照した13C交差分極/マジック角回転NMR(固体状態NMR又はssNMR)スペクトルを得た。TOSSサイドバンド抑制を、SPINAL64デカップリング及びRAMP100型H-核CPパルスを用いる交差分極と共に使用した。取得パラメータは次のとおりであった:4.0μsのプロトンパルス、1.5msの接触時間、5kHzのMAS周波数、30.2kHzのスペクトル幅、及び34msの取得時間。3秒のリサイクル遅延が使用され、走査数は2655である。化学シフトは、別個の実験において、アダマンタン(δ=29.5ppm)を基準とする。形態Bについての代表的な13C ssNMR共鳴は、約26.44、27.37、28.00、41.98、43.43、43.91、48.04、53.92、56.31、58.32、69.48、77.90、80.38、102.32、106.77、113.58、115.24、118.23、120.76、125.23、130.23、134.86、136.93、140.59、148.42、149.50、151.20、152.45、158.22、及び163.52ppmにおけるピークを含む。図示されるように、形態Aは、形態Bでは観察することができない約30.9ppmにピークを有する。
【0053】
上のデータは、形態B及びAが、1)いくつかの異なる特性を有し、2)そのような特性に基づいて互いに容易に同定し、区別することができ、3)形態Aは、本明細書に記載の方法によって調製することができ、以下の態様及び実施形態において考察されるように、5)形態Aは、溶媒和物及び/又は形態Bを含む他の形態のセルペルカチニブから調製及び/又は変換することができることを確立する。
【0054】
セルペルカチニブ形態Aと形態Bとの間の類似の溶解性を考慮すると、いくつかの好適な溶媒が、本開示の態様及び実施形態に従って使用され得る。いくつかの実施形態では、溶媒及び/又はプロセス条件は、得られる結晶形態が主に形態A(例えば、純粋な又は実質的に純粋な形態A)であり得るように使用され、調整され得る。
【0055】
上記のように、セルペルカチニブは溶媒和物を形成してもよく、かつ、準安定固体形態を形成してもよく、それらの両方とも、一般に、乾燥時に安定していない。観測された溶媒和物には、アセトン溶媒和物、クロロホルム溶媒和物、1,4-ジオキサン溶媒和物、メチルエチルケトン(MEK)溶媒和物、ジクロロメタン(DCM)溶媒和物、2-ブタノール溶媒和物、1-ブタノール溶媒和物、エタノール溶媒和物、ジメチルスルホキシド(DMSO)-水溶媒和物、DMSO溶媒和物、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol、IPA)溶媒和物、及びテトラヒドロフラン(THF)溶媒和物が含まれる。溶媒和物及び準安定形態は通常、単離及び/又は乾燥中に形態Aに戻るが、フィルム又は非晶質材料が形成されることがある。クロロホルム及び1,4-ジオキサン溶媒和物は、分離/乾燥時に安定していた。したがって、セルペルカチニブ形態Aを調製するための1つの戦略は、非晶質セルペルカチニブ及び/又はセルペルカチニブ形態Bを溶媒和物に変換し、次いで溶媒和物を脱溶媒和して形態Aを得ることである。
【0056】
形態Aを調製するための本明細書に記載される方法の実施形態では、セルペルカチニブは、ある量の形態B及び/又はある量の形態Aを含み得る。
【0057】
一態様では、セルペルカチニブ形態Aが本明細書に記載される。セルペルカチニブのこの結晶形態は、異常なRET活性に関連する障害、例えば、IBS又はがん、特に、過剰なRETシグナルに起因するがん(すなわち、RET関連がん)を治療するために使用され得る。より具体的には、セルペルカチニブのこの結晶形態は、肺がん(例えば、小細胞肺がん若しくは非小細胞肺がん)、甲状腺がん(例えば、甲状腺乳頭がん、甲状腺髄様がん、分化型甲状腺がん、再発甲状腺がん、又は難治性分化型甲状腺がん)、甲状腺腺腫、内分泌腺腫瘍、肺腺がん、細気管支肺細胞がん、多発性内分泌腫瘍2A又は2B型(それぞれ、MEN2A又はMEN2B)、褐色細胞腫、副甲状腺過形成、乳がん(breast cancer)、乳がん(mammary cancer)、乳がん(mammary carcinoma)、乳腺腫瘍、結腸直腸がん(例えば、転移性結腸直腸がん)、乳頭状腎細胞がん、胃腸粘膜の神経節腫症、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、又は子宮頸がんなどのRET関連がんを治療するために使用され得る。
【0058】
形態Aは、それを必要とする患者に有効量の形態Aを投与することを含む、がんを治療するための方法において使用され得る。本明細書に記載の方法を使用して治療され得るがんの種類には、血液がん又は固形腫瘍がんが含まれる。形態Bを使用して治療され得るがんの種類の例としては、肺がん、甲状腺乳頭がん、甲状腺髄様がん、分化型甲状腺がん、再発性甲状腺がん、難治性分化型甲状腺がん、多発性内分泌腫瘍2A型又は2B型(それぞれ、MEN2A又はMEN2B)、褐色細胞腫、副甲状腺過形成、乳がん、結腸直腸がん、乳頭状腎細胞がん、胃腸粘膜の神経節神経腫症、及び子宮頸がんが挙げられる。具体的には、がんの種類は、肺がん又は甲状腺がんであり得る。より具体的には、がんは、非小細胞肺がん又は甲状腺髄様がんであり得る。
【0059】
療法に使用するための形態Aも、本明細書に記載される。
【0060】
形態Aは、IBS又はがんなどのRET関連疾患又は障害の治療のための医薬の製造に使用され得る。そのような医薬を使用して治療することができるがんは、本明細書において上に記載されている。医薬の製造における形態Aの使用はまた、患者からの生物学的試料を使用してインビトロアッセイを実行し、RET遺伝子、RETキナーゼ、又はそれらのいずれかの発現若しくは活性若しくはレベルの調節不全の存在を決定し、RET遺伝子、RETキナーゼ、又はそれらのいずれかの発現若しくは活性若しくはレベルの調節不全が存在する場合に、治療有効量の形態Aを患者に投与するステップを含み得る。これらの用途では、生物学的試料は、腫瘍試料であり得、腫瘍試料は、ゲノム/DNA配列決定などの当業者に既知である方法を使用して分析され得る。加えて、これらの使用において、形態Aの最初の投与の前に患者から試料を得ることができる。形態Aのこれらの使用において、本明細書に記載されるように、療法は、患者がRET遺伝子、RETキナーゼ、又はそれらのいずれかの発現若しくは活性若しくはレベルの調節不全のうちの少なくとも1つを有することによって治療のために選択されることに基づき得る。また、これらの使用において、形態Aは、約1mg/kg~200mg/kgの用量で患者に投与され得る(有効な投薬量の部分範囲は、本明細書において上に記載されている)。
【0061】
セルペルカチニブ形態A-組成物、化合物、及びプロセス
本明細書に記載されるように、セルペルカチニブ形態Aは、ある量の熱力学的に安定な多形であるセルペルカチニブ形態Bを含有し得る。両方の多形形態は、結晶性であり、高融点であり、無水であり、安定であり、かつ典型的な貯蔵条件又は調製条件では容易に相互変換しないが、これらの多形は、形態Aを形態Bから区別することを可能にする異なる特性及び特徴を有する。セルペルカチニブ形態A及び形態Bの好ましい熱力学安定性の差を考慮して、いずれかの形態から他の形態へ(例えば、以下に記載されるように、形態Bから形態Aへ)とどのように変換され、生成されるかを理解する必要がある。
【0062】
形態Aを提供する結晶化方法
一態様では、本開示は、形態の混合物(例えば、セルペルカチニブ形態Bを含む)からセルペルカチニブ形態Aへを含む、非晶質セルペルカチニブ及び/又は他の多形形態のセルペルカチニブを変換する方法を含む、セルペルカチニブ形態Aを調製する方法を提供する。セルペルカチニブ形態Aは、様々な異なる方法を使用して、他のセルペルカチニブ形態から調製又は変換することができるが、本明細書には、他の結晶形態のセルペルカチニブ(例えば、セルペルカチニブ形態Bを含む)をセルペルカチニブ形態Aに調製又は変換する、結晶化に基づく方法が開示される。
【0063】
形態Aを調製するための適切な方法としては、限定されないが、冷却結晶化、蒸発結晶化、蒸気拡散、1つ以上の貧溶媒を使用する結晶化(順貧溶媒又は逆貧溶媒の添加、同時添加又は連続結晶化を含む)、及びスラリー結晶化が挙げられる。適切な方法はまた、形態B材料の形成を最小限に抑えるか、又は予防するのを助けるために洗浄及び乾燥方法を使用することを含む。これらの方法は、本明細書で論じられる。
【0064】
一態様では、形態Bを含むセルペルカチニブの混合物をセルペルカチニブ形態Aに変換する方法が、本明細書に開示される。
【0065】
一態様では、非晶質セルペルカチニブをセルペルカチニブ形態Aに変換する方法が、本明細書に開示される。
【0066】
別の態様では、別の形態又は他の形態の混合物のセルペルカチニブ(例えば、形態Bを含む)をセルペルカチニブ形態Aに変換する方法であって、本方法が、形態Bを含むセルペルカチニブをDMSO及び水と合わせてスラリーを生成することと、スラリーからセルペルカチニブ形態Aを単離することと、を含む方法が本明細書に開示される。
【0067】
更に別の態様では、セルペルカチニブ(例えば、形態B)をセルペルカチニブ形態Aに変換するための方法であって、本方法が、
a.DMSOを含む溶媒にセルペルカチニブを溶解して溶液を形成することと、
b.溶液に水を添加し、それによってセルペルカチニブAを含むスラリーを形成することと、
c.セルペルカチニブ形態Aを単離することと、を含む方法が本明細書に開示される。
【0068】
一実施形態では、約1グラムのセルペルカチニブを約10~15mLのDMSOに溶解する。別の実施形態では、ステップaの溶液を形成することは、セルペルカチニブ、及びDMSOを含む溶媒を、約50℃~約70℃まで加熱することを含む。一実施形態では、溶液を約50℃~約70℃まで加熱した後、溶液を約70℃より低く、かつ約20℃より高い温度まで冷却する。一実施形態では、溶液を約40℃まで冷却する。別の実施形態では、ステップbは、約0.1~約1mL/gの水を溶液に添加することを含み、又はステップbは、約0.2mL/g以下の水を溶液に添加することを含む。いくつかの実施形態では、ステップbは、約1~約15重量%の形態A種結晶又は約1重量%の形態A種結晶を添加することを更に含む。一実施形態では、スラリーを約0℃まで冷却する。一実施形態では、ステップbのスラリーを形成するための水の添加は、2つの別個の体積の水を、80:20以下の全DMSO:水比になるまで添加することを含む。一実施形態では、ステップcは、濾過を含む。ステップcから単離されたセルペルカチニブ形態Aを、MTBE及び/又は水を含む溶媒で洗浄する。
【0069】
更に別の態様では、セルペルカチニブ(例えば、形態B)をセルペルカチニブ形態Aに変換するための方法であって、本方法が、
a.DMSOを含む溶媒にセルペルカチニブを溶解して溶液を形成することと、
b.セルペルカチニブ/DMSO溶液を、水又はDMSO/水の溶液に添加し、それによって、セルペルカチニブ形態Aを含むスラリーを形成することと、
c.セルペルカチニブ形態Aを単離することと、を含む方法が本明細書に開示される。
【0070】
一実施形態では、約1グラムのセルペルカチニブを約10~15mLのDMSOに溶解する。別の実施形態では、ステップaの溶液を形成することは、セルペルカチニブ、及びDMSOを含む溶媒を、約50℃~約70℃まで加熱することを含む。一実施形態では、溶液を約50℃~約70℃まで加熱した後、溶液を約70℃より低く、かつ約20℃より高い温度まで冷却する。一実施形態では、溶液を約40℃まで冷却する。別の実施形態では、ステップbは、ステップaの溶液を、少なくとも1体積の水又はDMSO/水に添加することを含む。いくつかの実施形態では、ステップbは、約1~約15重量%の形態A種結晶又は約1重量%の形態A種結晶を添加することを更に含む。一実施形態では、スラリーを約0℃まで冷却する。一実施形態では、ステップbの終了時に、DMSO:水の比は、約80:20である。一実施形態では、ステップcは、濾過を含む。ステップcから単離されたセルペルカチニブ形態Aを、MTBE及び/又は水を含む溶媒で洗浄する。
【0071】
別の態様では、セルペルカチニブ(例えば、形態B)をセルペルカチニブ形態Aに変換するための方法であって、本方法が、
a.DMSOを含む溶媒にセルペルカチニブを溶解して、溶液(供給物1)を形成することと、
b.水又はDMSO/水溶液(供給物2)を調製することと、
c.セルペルカチニブ/DMSO溶液(供給物1)を、供給物2と同時に、水又はDMSO/水の溶液に添加し、それによって、セルペルカチニブ形態Aを含むスラリーを形成することと、
d.セルペルカチニブ形態Aを単離することと、を含む方法が本明細書に開示される。
【0072】
別の態様では、セルペルカチニブ(例えば、形態Bを含むセルペルカチニブ)を形態Aに変換するための方法であって、本方法が、セルペルカチニブ及びジクロロメタンを合わせて溶液を形成することと、スラリーを形成するための条件下で、溶液にヘプタンを添加することと、任意選択的に、セルペルカチニブ形態Aを形成するのに有効な条件下でスラリーを撹拌することと、セルペルカチニブ形態Aを単離することと、を含む方法が本明細書に開示される。一実施形態では、約1グラムのセルペルカチニブを約25~35mLのジクロロメタンに溶解する。一実施形態では、ステップaの溶液を形成することは、セルペルカチニブ、及びジクロロメタンを含む溶媒を、約30℃~約40℃まで加熱することを含む。更なる実施形態では、ステップbは、第1のバッチのヘプタン及び第2のバッチのヘプタンを添加することを含む。いくつかの実施形態では、へプタンの添加は、1gのセルペルカチニブ当たり約8~12mLの量の第1の体積のヘプタン、及び約8~12mL/gの量の第2の体積のヘプタンを添加することを含む。一実施形態では、ステップbの溶液を、約30℃より低く、かつ約20℃より高い温度まで冷却し、より好ましくは、溶液を、約25℃の温度まで冷却する。ステップbは、少なくとも約8時間撹拌することを含んでいてもよい。
【0073】
様々な異なる溶媒を使用して、形態Aを調製し、及び/又はセルペルカチニブの異なる形態(例えば、形態B)を形態Aに変換することができる。いくつかの形態及び実施形態では、溶媒をセルペルカチニブと合わせ、溶媒和物を生成してもよい。形態Aを調製し、及び/又は他のセルペルカチニブ形態(例えば、形態B)を形態Aに変換するために使用することができる溶媒としては、限定されないが、C~Cアルコール(例えば、メタノール若しくはエタノール)、水、アセトニトリル(acetonitrile、ACN)、メチルtert-ブチルエーテル(methyl tert-butyl ether、MTBE)、ジクロロメタン(DCM)、ヘプタン、酢酸n-ブチル(n-butyl acetate、n-BuOAC)、81%のACN-MeOH(19mLのMeOHと合わせた81mLのACN)、ウェット酢酸エチル、シクロペンチルメチルエーテル(cyclopentyl methyl ether、CPME)、1,2-ジメトキシエタン、酢酸エチル、ギ酸エチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ニトロメタン、酢酸n-プロピル(n-propyl acetate、NPA)、1-ペンタノール、トルエン、1:1 MeOH:水、1:1 EtOH:水、ACN:水、DCM/ヘプタン混合物、DMSO/ヘプタン混合物、又はDMSO/水混合物が挙げられる。メタノール及び/エタノールなどのC~Cアルコールを使用すると、形態Bが形態Aに変換されるが、形態Bの形成をもたらすこともできる。以下に詳細に示されるように、C~Cアルコールを用いて形態Aを洗浄すると、形態Bの形成をもたらすことができる。C~Cアルコールを用いて形態Aを洗浄する場合、冷C~Cを使用することが好ましい。
【0074】
驚くべきことに、また予期せぬことに、形態A材料の洗浄及び乾燥の間に形態B材料が形成され得ることが見出された。形態B材料の形成を妨げないとしても、低減するために、以下の洗浄及び乾燥プロトコルを開発した。溶媒和物を形成した後、ヘプタン又はMTBEなどの溶媒を用いて、溶媒和物を洗浄し、次いで、得られたケーキを約40~約60℃で乾燥させる。一実施形態では、ケーキを高減圧下で乾燥させる。高減圧下で乾燥させると、より低い乾燥温度を使用し得る。例えば、高減圧下で形態Aのケーキを乾燥させる場合、約40~45℃の温度を使用してもよい。ヘプタン及びMTBEを、個別に、又は連続して使用してもよい。過剰な温度及び/又は過剰な乾燥時間は、動力学的生成物である形態Aを熱力学的生成物である形態Bに変換することを可能にし得る。
【0075】
本願発明者らは、形態Aのウェットケーキを45℃、周囲圧力で数日間乾燥させると、形態Aが形態Bにゆっくりと変換されることを発見した。高減圧下での乾燥、及び/又は最終洗浄液としてのMTBEの使用は、乾燥時間を短縮し、予防されないにしても、形態B材料の形成を低減した。好ましい一実施形態では、形態A材料をMTBE又はヘプタンで洗浄し、次いで、約40~約45℃の温度で高減圧下乾燥させる。
【0076】
更に、本願発明者らは、水、MeOH及び最終的にMTBEを使用して形態Aケーキを洗浄し、次いで、得られたケーキを高減圧下で乾燥させ、最大約20重量%の形態B材料が得られることを発見した。理論に束縛されることを望むものではないが、MeOHによる洗浄は、形態B材料の形成を加速すると考えられる。
【0077】
いくつかの実施形態では、形態Aを調製するための方法及びプロセスは、C~Cアルコール、水、DCM、DMSO、MTBE、ACN、及びそれらの2つ以上の混合物を含む非限定的な溶媒を含んでいてもよい。そのような方法の更に他の実施形態では、溶媒は、メタノール、エタノール、水、DMSO、MTBE、ACN、又はそれらの2つ以上の混合物を含む。そのような方法のなお更なる実施形態では、溶媒は、DCM、ヘプタン、DMSO、水、MTBE、又はそれらの2つ以上の混合物を含む。
【0078】
様々な態様では、本方法が、セルペルカチニブ(例えば、ある量の形態Bを含むセルペルカチニブ)と溶媒を合わせることと、任意選択的に、形態Bを含むセルペルカチニブが溶媒中に溶解するまで撹拌又は混合しつつ、得られた混合物を加熱することと、を含む。溶液が形成されたら、何らかの不溶性不純物を除去すべき場合には、混合物を濾過してもよく、例えば、室温よりわずかに高い温度、又は室温に(例えば、使用される溶媒に応じて、約25~40℃)冷却してもよい。冷却中又は冷却後に、追加の溶媒を添加してもよい。
【0079】
これらの態様のいくつかの実施形態では、溶媒は、DMSOを含み、冷却ステップ中又は冷却ステップ後に、水を溶液に添加する。ある量の水が、冷却された溶液に添加されると、セルペルカチニブを含む種結晶を、乾燥形態で、又は最小限の体積の液体中のスラリーとして添加してもよく、一定期間インキュベートする。インキュベーション期間(例えば、約40℃)の後、追加の水をゆっくりと添加する。水の添加後、混合物を約0℃の目標温度まで徐々に冷却する。目標温度に達したら、スラリー又は混合物を一定時間インキュベートして、更なる固体生成物の形成を促進する。インキュベーション期間の後、得られたセルペルカチニブ形態A材料を単離し、任意選択的に、洗浄して、残留水及びDNSM内容物を除去する。洗浄溶媒の例としては、限定されないが、ヘプタン及びMTBEが挙げられる。洗浄後、形態A材料を、約40~約60℃の温度で、最大で大気圧から大気圧を含む大気圧未満の圧力で乾燥してもよい。好ましい一実施形態では、圧力は、大気圧未満である。
【0080】
これらの態様のいくつかの代替的な態様では、溶媒は、セルペルカチニブ形態Aの溶媒和物を形成する溶媒を含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、ジクロロメタンを含み、ヘプタンを溶液に添加し、ヘプタンを添加したら、混合物を冷却する(例えば、約室温/25℃まで)。最初の冷却の後、追加のヘプタンを添加し、得られた混合物を室温/25℃で一定時間(例えば、少なくとも8時間)撹拌する。撹拌後、得られたセルペルカチニブ形態A材料を単離し、任意選択的に、洗浄して残留ジクロロメタンを除去する。
【0081】
溶媒
本開示のこれらの態様及び実施形態によって提供されるプロセスで、様々な異なる溶媒を使用してもよい。溶媒、又は溶媒系は、セルペルカチニブを可溶化し、及び/又はセルペルカチニブの溶媒和形態を形成し、所望の形態Aを得てもよい。適切な溶媒の例としては、限定されないが、DMSO、C~Cアルコール、ACN、MTBE、ジクロロメタン、水、又はそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。C~Cアルコールの非限定的な例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、及びイソプロパノールが挙げられる。いくつかの実施形態では、DMSOは、溶媒である。いくつかの実施形態では、溶媒は、ある量のDMSO及び水を、例えば、約2%又は約4%~約20%の量(体積による)の水を含む。
【0082】
使用する溶媒の量は、使用する溶媒に依存する。典型的には、1gのセルペルカチニブ(例えば、ある量の形態Bを含む)を、約8~20mL、又は約10~15mL、又は11~14mL、又は約12~13mLの使用溶媒(例えば、セルペルカチニブの重量に対して、約8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は約20体積の溶媒)に溶解する。いくつかの実施形態では、1グラムのセルペルカチニブを8~15mL/gのDMSOに溶解してもよく、1グラムのセルペルカチニブを約11~13mL/gのDMSOに溶解してもよく、又は1グラムのセルペルカチニブを約10~15mL/gのDMSOに溶解してもよい。
【0083】
温度
温度は、初期のセルペルカチニブ(例えば、形態Bを含む)が形態Aに変換される速度に影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、セルペルカチニブ及び溶媒を含む混合物を、初期のステップで少なくとも約70℃であり、かつ最大で溶媒の沸点の温度まで加熱する。いくつかの実施形態では、混合物を、約50~110℃、又は約50℃~約70℃の温度まで加熱する。いくつかの実施形態では、混合物を、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、約100℃、又は約110℃まで加熱してもよい。混合物を所望の温度まで加熱し、出発セルペルカチニブ(形態Bを含む)材料を溶解した後、溶液の温度を、約15~40℃まで下げる(例えば、以下で論じる第1の部分の水の添加の前に)。温度を、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、又は約35℃下げてもよい。一実施形態では、溶液を、約70℃より低く、かつ約20℃より高い温度まで冷却し、いくつかの実施形態では、50℃(例えば、約45℃、44℃、43℃、42℃、41℃、40℃、39℃、38℃、又は約37℃)未満まで冷却する。いくつかの実施形態では、冷却は、約5℃/h、10℃/h、15℃/h、20℃/h、25℃/h、又は約30℃/hの速度で、設定された期間にわたって行われる(すなわち、制御された冷却)。
【0084】
いくつかの実施形態では、溶媒は、DMSOを含み、セルペルカチニブ/DMSO混合物を約60℃~約70℃まで加熱する。更なる実施形態では、次いで、DMSOを約35℃~約45℃、又は約40℃まで冷却する。
【0085】
いくつかの代替的な実施形態では、溶媒を、上に示すような高い温度まで加熱しなくてもよく、すなわち、セルペルカチニブを溶媒(例えば、ジクロロメタン)と混合し、周囲温度よりわずかに高い温度(例えば、約35℃、約40~50℃)であるが、セルペルカチニブを可溶化するのに有効である温度で撹拌する。いくつかの実施形態では、温度は、セルペルカチニブの動力学的に安定な形態(形態A)が望ましく、動力学的ターンオーバーの可能性を低減するように選択される。そのような実施形態では、温度は、上で特定された温度範囲の下端(例えば、約40℃)に向かって選択されてもよい。
【0086】
第1の部分の貧溶媒
いくつかの実施形態では、本方法は、水などの貧溶媒の添加を含む。そのような実施形態では、貧溶媒(例えば、使用される最初の溶媒に応じて、ヘプタン又は水)の添加は、別個の体積の貧溶媒の複数の添加(例えば、部分で添加される)を含んでいてもよい。水の添加を含む実施形態では、第1の部分の水が溶液に添加されると、約0.1~1.0mL/g、又は約0.2~0.6mL/g、又は約0.3mL/g、又は約0.4mL/g、又は約0.5mL/g、又は約0.6mL/gの水を形態Aに添加する(セルペルカチニブ(例えば、形態B)のg数に対する水のmL数)。別の言い方をすれば、水の第1の添加は、(すなわち、セルペルカチニブの重量に対して)約0.1~約1.0体積の水を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、第1の部分の水を、約0.3mL/g、約0.4mL/g、約0.5mL/g又は約0.6mL/gの量で添加する。
【0087】
第1の部分の水を、約30秒~約15分、又は約1~10分、又は4~6分、又は約5分の期間にわたって添加する。必要に応じて、より長い時間を利用してもよい。第1の部分の水の添加を、溶液の任意の自己種形成を回避するのに有効な条件下で行い、典型的には、約93:7~約99:1(例えば、99:1、98:2、97:3、96:4、95:5、94:6、又は93:7)の水に対する最終溶媒の比をもたらす。
【0088】
水以外の貧溶媒(例えば、へプタン)を含む他の実施形態では、第1の部分の添加は、典型的には、より大きい体積で、典型的にはセルペルカチニブ溶液を形成するために使用される初期溶媒の全体積の約30~60%の量で含む。
【0089】
種結晶
形態A種結晶を、目標温度が溶液中で平衡化されるときに、混合物に添加されてもよく、典型的には、セルペルカチニブの初期量に対して約0.1~15重量%、又は約1~約10重量%、又は約1~約5重量%、又は約1重量%、2重量%、3重量%、又は約4重量%の量で形態A種結晶を添加する。いくつかの実施形態では、約0.1重量%、0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、又は約1.5重量%の種結晶を添加する。
【0090】
いくつかの実施形態では、種結晶添加時の温度は、セルペルカチニブの動力学的に安定な形態(形態A)が望ましく、動力学的ターンオーバーの可能性を低減するように選択される。そのような実施形態では、温度は、上で特定された温度範囲の下端(例えば、約40℃)に向かって選択されてもよい。
【0091】
種結晶は、A.Cote,E.Sirota,A.Moment,「The Pursuit of a Robust Approach for Growing Crystals Directly to Target Size」American Pharmaceutical Review-The Review of American Pharmaceutical Business & Technology,2010、及びD.J.Lamberto et.al.,「Crystallization Process Development for the Final Step of the Biocatalytic Synthesis of Islatravir:Comprehensive Crystal Engineering for a Low-Dose Drug,」Organic Process Research & Development 2021 25(2),308-317に記載されているような当該技術分野で公知の方法を使用して調製することができる。例えば、種結晶は、例えば光学的又は多形的に純粋な材料を含む、例えば純粋なセルペルカチニブ形態Aを含む精製された材料の供給源から調製、取得、及び/又は単離され得る。いくつかの実施形態では、種結晶は、種結晶の以前の供給源から得られ得るか、又は供給され得る。更にいくつかの他の実施形態では、種結晶は、例えば、均質な種結晶材料を提供するために処理されてもよい(例えば、所望のD50、D90などの結晶サイズへのジェットミリング)。いくつかの実施形態では、種結晶は、約1um~約10um(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は約10um)のD90を含んでいてもよい。
【0092】
種結晶インキュベーション時間
出発セルペルカチニブ(例えば、形態A)を含む混合物の初期の加熱及び冷却、並びにもし存在する場合には種結晶の添加の後、溶液を、約30~300分間、又は約30~180分間、又は約30~120分間、又は約30~60分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、混合物を、約30分以下の間インキュベートする。
【0093】
第2の部分の貧溶媒
いくつかの実施形態では、約30分間以上のインキュベーション期間の後、混合物を、約35℃~約50℃、又は約35℃~約45℃、又は約40℃の目標インキュベーション温度まで加熱する。目標インキュベーション温度が平衡化されたら、第2の部分の水をゆっくり加える。第2の部分中の水の量は、添加される初期セルペルカチニブ材料の量に対して約0.1~3mL/g、又は約1.0~2.5mL/g、又は約1.1mL/g、約1.2mL/g、1.3mL/g、約1.4mL/g、1.5mL/g、約1.6mL/g、1.7mL/g、約1.8mL/g、1.9mL/g、約2.0mL/g、約2.1mL/g、約2.2mL/g、2.3mL/g、約2.4mL/g、2.5mL/g、約2.6mL/g、2.7mL/g、約2.8mL/g、2.9mL/g、又は約3.0mL/gの水である(セルペルカチニブ(例えば、形態B)のg数に対する水のmL数)。別の言い方をすれば、水の第2の添加は、(すなわち、セルペルカチニブの重量に対して)約0.1~約3.0体積の水を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、第1の部分の水を、約2.0mL/g、2.1mL/g、2.2mL/g、2.3mL/g、2.4mL/g、2.5mL/g又は約2.6mL/gの量で添加する。いくつかの実施形態では、第2の部分の水を2.5体積で添加する。第2の部分の水の添加が完了した後に得られた溶液中の得られた水の量は、約80:20(溶媒:水、体積による)である。
【0094】
第2の部分の水を、ある期間にわたって、典型的には、約10分間~約5時間、又は約4時間、約3時間、約2時間、約30~90分間、又は約45~60分間、又は約60分間のゆっくりとした速度で添加する。必要に応じて、より長い時間を使用してもよい。上に示したように、第2の部分の水の添加は、典型的には、約90:10~約75:25(例えば、90:10、85:15、80:20、75:25)の水に対する最終溶媒の比(体積による)をもたらすのに有効である。
【0095】
いくつかの他の実施形態では、本方法は、種結晶の添加を含まず、貧溶媒の添加は、セルペルカチニブ形態A生成物を形成するのに有効である。これらの他の実施形態のいくつかでは、第1の部分の貧溶媒の添加後、混合物を目標温度まで(例えば、周囲温度まで)冷却してもよく、目標温度に達したら、第2の部分の貧溶媒を、セルペルカチニブ形態Aを形成するのに有効な量で(例えば、第1の部分の貧溶媒にほぼ等しい体積で)添加する。そのような実施形態では、第2の部分の貧溶媒の添加後、混合物を、結晶化されたセルペルカチニブ形態Aを提供する期間撹拌しつつ、インキュベートしてもよい。
【0096】
冷却
いくつかの実施形態では、第2の部分の水を添加した後、混合物を、ある期間にわたって約0℃の温度まで冷却し、スラリーを形成する。いくつかの実施形態では、混合物を0℃まで冷却し、その目標温度で少なくとも約60分間(例えば、約60、70、80、90、100、110、又は約120分間)維持する。
【0097】
第2の部分の水を添加した後、混合物を、所望の温度に達するまで、約1~30℃/時間の速度で(例えば、約10~30℃/時間、例えば、又は約20℃/時間の速度で)冷却する。一実施形態では、冷却速度は、約10℃/時間、約11℃/時間、約12℃/時間、約13℃/時間、約14℃/時間、約15℃/時間、約16℃/時間、約17℃/時間、約18℃/時間、約19℃/時間、又は約20℃/時間である。
【0098】
形態Aを単離する
形態A材料は、当該技術分野で知られている任意の方法を使用して単離されてもよい。一実施形態では、分離は、重力濾過を含む。別の実施形態では、分離は、高減圧濾過を含む。更に別の実施形態では、分離は、遠心分離の使用を含む。
【0099】
エタノール、メタノール、ACN、MTBE、水、又はそれらの2つ以上の組み合わせなどの新鮮な溶媒を使用して、形態A材料を洗浄してもよい。先に述べたように、エタノール及び/又はメタノールを使用して形態A材料を洗浄する場合、それらは低温、例えば、約0℃であるべきである。いくつかの実施形態では、DMSO、メタノール、ACN、MTBE、水、又はそれらの2つ以上の組み合わせを使用して、形態A材料を洗浄する。なお更なる実施形態では、DMSO/水(80:20 DMSO:水)を含む溶媒が使用される。いくつかの更なる実施形態では、MTBEを使用して、任意の残留溶媒(例えば、DMSO/水)を洗浄して、最終形態A材料を得てもよい。これらの実施形態では、新鮮な溶媒を、これを使用して形態A材料を洗浄する前に、約0℃~約20℃未満の温度まで冷却してもよい。これらの実施形態では、最終洗浄溶媒は、揮発性溶媒(例えば、MTBE)であってもよく、濾過後のケーキの溶媒保持を低減し、必要な乾燥時間を短縮するのに役立つ。揮発性溶媒の使用はまた、低い温度の使用を可能にし、このことは、形態B材料の形成を予防しないにしても、低減するのに役立つ。過剰な乾燥時間及び/又は温度は、形態Bの形成を引き起こす場合がある。
【0100】
単離されたセルペルカチニブ形態Aは、当該技術分野で知られている方法を使用して乾燥されてもよい。典型的な方法には、加熱、固体上への不活性ガスの通過、及び/又は大気圧未満の圧力の使用が含まれる。一実施形態では、大気圧未満の圧力下での乾燥が好ましい。
【0101】
溶媒がDMSO及び/又はDMSO/水を含む実施形態では、単離されたセルペルカチニブ形態Aを、単離されたセルペルカチニブ形態Aが0.5重量%未満のDMSO(又はDMSO/水)を含有するようになるまで、MTBEで洗浄してもよい。
【0102】
本明細書に記載の態様及び実施形態のいずれかに従って使用されるセルペルカチニブ出発材料は、商業的供給源から購入することができ、既知の合成方法によって調製することができ、及び/又はセルペルカチニブの供給源(すなわち、非晶質セルペルカチニブ、セルペルカチニブAPI、又は別の多形形態のセルペルカチニブ、例えば、形態A、形態Bのうちの1つ、若しくはそれらの混合物)から変換することができる。
【0103】
形態Aに関する態様では、本開示によって提供されるセルペルカチニブは、他の多形及び/又は非晶質形態(例えば、形態B)のセルペルカチニブと比較して、より大きな動力学的安定性を示すことができる。
【0104】
本明細書で提供される態様及び実施形態のいずれかでは、本開示によって提供されるセルペルカチニブは、遊離アミンとして調製されてもよい。本明細書に記載される方法が、特定の結晶形態(例えば、セルペルカチニブ形態A)のセルペルカチニブを調製するために使用され、そのような形態が、本開示による態様及び実施形態によるセルペルカチニブ(すなわち、非晶質セルペルカチニブ又は別の多形形態のセルペルカチニブ)からの直接合成方法又は変換によって得られるかどうかにかかわらず、それは更に、その薬学的に許容される塩、又はその医薬組成物として提供され得る。したがって、特定の形態に応じて、そのような化合物、塩、及び組成物は、その他の多形及び/又は非晶質形態のセルペルカチニブと比較してより高い熱力学安定を示すことができる結晶セルペルカチニブを含んでもよく、あるいはその他の多形及び/又は非晶質形態のセルペルカチニブと比較してより高い動力学的安定を示すことができる。形態A又は形態Bのいずれかのセルペルカチニブは、RET阻害剤としてのその活性を保持しており、例えば、PCT国際公開第2018/071447号及び米国特許出願公開第2018/0134702号に記載されているアッセイを含む、当該技術分野で知られている任意のアッセイによって活性を評価及び査定することができ、それらの各々は、その全体が参照により組み込まれる。一実施形態では、セルペルカチニブ形態Aは、トシル酸塩又はベシル酸塩である。より好ましくは、形態A材料が塩である場合、塩はトシル酸塩である。
【0105】
本明細書には、本明細書に開示される方法のうちのいずれかによって作製されたセルペルカチニブ形態Aを含む医薬組成物もまた開示される。医薬化合物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20重量%未満のセルペルカチニブの他の結晶形態を含有するか、又は約10重量%未満のセルペルカチニブの他の結晶形態を含有するか、又は約5重量%未満のセルペルカチニブの他の結晶形態を含有する。医薬組成物は、約40mg又は約80mgのセルペルカチニブ形態Aを含有する。他の医薬組成物は、約120mg又は約160mgのセルペルカチニブ形態Aを含有する。医薬製剤は、錠剤であってもよい。あるいは、医薬製剤はカプセルであってもよい。
【0106】
更に、本明細書には、患者においてがんを治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、本明細書に開示される方法のうちのいずれかに従って作製された有効量のセルペルカチニブ形態A、又は本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法が開示される。好ましい実施形態では、がんは、RET関連がんである。RET関連がんは、RETの阻害に応答するがんである。
【0107】
一実施形態では、本明細書に記載の形態A及び組成物を使用して治療することができるがんは、固形腫瘍、肺がん、甲状腺乳頭がん、甲状腺髄様がん、分化型甲状腺がん、再発性甲状腺がん、難治性分化型甲状腺がん、多発性内分泌腫瘍症2A型又は2B型(それぞれMEN2A又はMEN2B)、褐色細胞腫、副甲状腺過形成、乳がん、結腸直腸がん、乳頭状腎細胞がん、胃腸粘膜の神経節神経腫症、及び子宮頸がんからなる群から選択される。一実施形態では、がんは、甲状腺髄様がんである。別の実施形態では、がんは、肺がんであり、肺がんは、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、細気管支肺細胞がん、RET融合肺がん、又は肺腺がんである。別の好ましい実施形態では、がんは、固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、局所進行性又は転移性の固形腫瘍である。更なる実施形態では、固形腫瘍は、以前の全身治療の際に、若しくはそれに続いて進行しているか、又は満足のいく代替治療の選択肢を有していない、RET遺伝子融合を伴う局所進行性又は転移性の固形腫瘍である。別の実施形態では、がんは、FDA承認試験によって検出されるような、トランスフェクション中再配列(RET)遺伝子融合を伴う局所進行性又は転移性の非小細胞肺がん(non-small cell lung cancer、NSCLC)である。更に別の実施形態では、がんは、全身療法を必要とし、かつ(放射性ヨウ素が適切である場合に)放射性ヨウ素不応性である、FDA承認試験によって検出されるような、RET遺伝子融合を伴う進行性又は転移性の甲状腺がんである。
【0108】
以下の実施例は、本明細書に記載の方法の範囲内にあり、特許請求の範囲に包含される特定の実施形態を例示及び記載する目的でのみ提供される。
【実施例
【0109】
本明細書に記載の結晶化手順で使用されるセルペルカチニブ(6-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-4-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-5 3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル)は、米国特許第10,112,942号に記載の技術及び方法を使用して作製された。
【0110】
実施例1:形態Aを生成するためのグラムスケールの冷却結晶化プロセス
化学合成反応器(Easymax、Mettler Toledo)を使用して、およそ5gのセルペルカチニブを、(11体積)のDMSOと共に反応器に投入し、セルペルカチニブが溶解し、系が70℃の目標温度に達するまで、70℃で加熱する。加熱された移送ラインを通して、溶液を、結晶化装置に移送する前に、任意選択的に研磨濾過してもよい。反応器及び移送ラインを(1体積)のDMSOですすぎ、結晶化装置に投入し、セルペルカチニブ溶液と合わせる。得られた溶液を、1.5時間かけて40℃まで冷却する。40℃の目標温度に達したら、約0.5体積の水を、自己種形成を回避するために5分間かけて結晶化装置に(表面の上に)ゆっくりと添加して、約96:4のDMSO:水(体積による)の溶媒比を提供する。1重量%のセルペルカチニブ形態A種結晶(D90が約7um)を添加することによって、溶液を種形成させる。種結晶を、乾燥種結晶として、又は最小体積の80:20のDMSO:水(体積による)でスラリーとして添加してもよい。種形成された溶液を約30分間インキュベートする。30分間のインキュベーションの後、2.5体積の室温の水を1時間かけて添加する。水添加の完了時に、組成物は、約80:20のDMSO:水(体積による)の溶媒比を有する。
【0111】
2.5体積の水を添加した直後に、反応器を、2時間の期間にわたって0℃まで冷却する(20℃/時間の速度)。0℃になったら、スラリーの温度を0℃で1時間維持する。固体を、任意選択的に冷温で、ウェットフィルターケーキを維持する速度で、濾過によって単離する。濾過した固体を、8体積のDMSO/水(80/20、体積による)の第1の洗浄溶液で洗浄し、ケーキを濾過して乾燥させる。乾燥ケーキを、更に8体積の第2の水の洗浄溶液で洗浄し、濾過して乾燥させる。乾燥ケーキに、撹拌しながら(例えば、30~60秒間)、更に8体積の水を添加し、固体ケーキ材料を再懸濁させる。水洗浄は、試料中に検出される残留DMSOの量が0.5%以下になるまで続ける。残留DMSOの閾値に達したら、フィルターケーキを8体積のMTBEで洗浄して水を置換する。MTBE(8体積)を使用する任意選択的な追加の置換洗浄を実施して、固体材料中の残留含水量を更に低減してもよい。得られた固体セルペルカチニブ形態Aを高減圧下、乾燥器を通した窒素気体流をわずかに流しつつ、45℃で乾燥させる。得られたセルペルカチニブは、約94~約98重量%の形態Aを含有する。
【0112】
実施例2-形態Aを生成するための高温乾燥温度でのグラムスケールの冷却結晶化プロセス
化学合成反応器(Easymax、Mettler Toledo)を使用して、およそ6gのセルペルカチニブを、(11体積)の脱気したDMSOと共に反応器に投入し、セルペルカチニブが溶解し、系が70℃の目標温度に達するまで、N下、70℃で加熱する。反応器に追加のDMSO(1体積)を投入した。得られた溶液を、1.5時間かけて40℃まで冷却する。40℃の目標温度に達したら、0.5体積の水を、自己種形成を回避するために5分間かけて結晶化装置に(表面の上に)ゆっくりと添加して、約96:4のDMSO:水(体積による)の溶媒比を提供する。1重量%のセルペルカチニブ形態A種結晶を添加することによって、溶液を種形成させる。種形成された溶液を約30分間インキュベートする。30分間のインキュベーションの後、2.5体積の室温の水を1時間かけて添加する。2.5体積の水を添加した直後に、反応器を、2時間の期間にわたって0℃まで冷却する。0℃になったら、スラリーの温度を0℃で1時間維持する。スラリーを、容器から10ミクロンの使い捨てフィルターに移し、完全に脱液する。濾過した固体を、高減圧下で吸引する(例えば、20分間)。次いで、濾過した固体を、8体積のDMSO/水(80/20、体積による)の第1の洗浄溶液で洗浄し、ケーキを濾過して乾燥させる。乾燥ケーキを、更に8体積の第2の水の洗浄溶液で洗浄し、濾過して乾燥させる。乾燥ケーキに、撹拌しながら(例えば、10~30秒間)8体積の水を添加し、固体ケーキ材料を再懸濁させる。固体を濾過により単離する。乾燥ケーキに、撹拌しながら(例えば、30秒間)8体積のMTBEを添加し、固体ケーキ材料を再懸濁させる。固体を濾過により単離する。MTBEを使用する任意選択的な追加の置換洗浄を実施して、固体材料中の残留含水量を更に低減してもよい。得られた固体セルペルカチニブ形態Aを高減圧下、乾燥器を通した窒素気体流をわずかに流しつつ、60℃で乾燥させる。
【0113】
上述の方法論を使用して、一連の7つの実験を行い、全てベースライン条件下で表2にまとめ、任意のベースラインプロセス変動性を特定した。実験のうちの2つは、バッチごとの種形成実験(032及び033)からのものであり、実験は、異なる出発材料品質、種結晶中の形態Bの量/品質、及び全体的な規模を利用した。イタリック体での値は、各実験で使用した出発材料中にあったいくつかの既知の不純物のHPLC積分を表す。各ラインについての不純物積分の第1のセットは、出発材料の不純物プロファイルを表し、第2のセットは、結晶化後の単離された固体の不純物プロファイルである。
【0114】
【表2】

4-[6-(3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)-3-ピリジル]-6-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロポキシ)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキサミド。
4-[6-(3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)-3-ピリジル]-6-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロポキシ)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル。
4-[6-(6-エチル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)-3-ピリジル]-6-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロポキシ)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル。
(a)種は、1.6%の形態Bを含有し、6umのd90を有する単一ロットであった。
(b)種は、3.3%の形態Bを含有し、29umのd90を有する単一ロットであった。
(b1)種は、NDの形態Bを含有するが、67umのd90を有する単一ロットであった。
A.出発材料は、比較的きれいなバッチであった。
B.出発材料は、不純物不合格を試験するための不純物を含むバッチであった。
C.出発材料は、第2の比較的きれいなバッチであった。
最終固体の分析に使用したHPLC法を表3に示し、クロマトグラムの一例を図1に示す。COM-1074は、6-メトキシニコチンアルデヒドである。
【0115】
【表3】
【0116】
十分な質のセルペルカチニブ形態Aの種結晶は、所望の形態の成長及び二次核形成を増強し、例えば、一次核形成に依存する非種形成プロセスからの変動性を低減することができる。種結晶の仕様は、種内の許容可能な形態B含有量の量を制御するために使用することができる。
【0117】
実施例3:形態Aの直接単離のための逆添加プロセス
DMSOを、室温で、過剰の形態Bで飽和させた。このスラリーから、濾過により液体を得た。25mLの飽和DMSO溶液をシリンジに取り、20℃の水(約63/37のDMSO/H2O)15mLを含有するポットに1mL/分で投入した。添加の間中、直ちに結晶化が観察された。添加の完了時に、固体の試料を採取し、XRPD分析により、形態Bが検出されないことが見出された。代替のDMSO及び水の体積(したがって、DMSO/H2O比)は、高い駆動力に起因して、形態Bに対して同様の制御を有すると予想される。90/10~20/80の範囲の比は、同様の性能を与えると予想される。
【0118】
実施例4:形態Aの直接単離のための同時添加プロセス
実験は、対応するDMSO/水溶媒系中の種床を含有するポットに同時に添加される純粋なセルペルカチニブ/DMSO供給流及び水供給流を使用することによって、結晶化混合物中の80/20体積%又は90/10体積%のいずれかのDMSO/水の溶媒組成を維持するように設計された同時添加を示した。80/20プロセスの例示的なプロセスの説明を以下に示す。
【0119】
3体積をシリンジに吸い上げることによって水(貧溶媒)供給物を調製する。
【0120】
1当量基準のAPI(形態A又は形態Bであり得る)を12体積のDMSOに溶解することによってAPI供給物を調製し、これを65℃に加熱して溶液を得る。この溶液を分注用シリンジに採取した。結晶化を防止するために、この供給物は高温に維持されるべきであるが、時間単位の短い時間スケールでは、結晶化することなく室温まで冷却され得る。
【0121】
3.2体積のDMSO、0.8体積の水(撹拌に適した体積である80/20比の4体積を目標とする)を投入することによって結晶化装置ポットを調製し、20℃になるまで平衡化する。1重量%(任意選択的)の形態Aの種を投入し、撹拌を開始する。
【0122】
次に、4時間にわたって両方の供給物を供給することによって同時添加を開始し、体積流量及び体積は、80/20のDMSO/水比を一定に維持するように設計される。
【0123】
同時添加の後、スラリーは、直ちに又は延長された保持の後に単離することができる。
【0124】
上述の方法論を使用して、一連の8つの実験を実施し、表4にまとめ、形態の純度に対する有意な因子を特定する。実験のいくつかは、条件のロバスト性を試験するために、形態A及び形態Bの種の混合物を利用した。
【0125】
【表4】

c:比90/10の形態A及び形態Bを使用した。
d:比90/10の形態A及び形態Bを使用したが、(c)と比較して異なるロットの形態Bを使用した。
e:1.6%の形態Bを含有する形態Aの単一ロット。
f:比95/5の形態A及び形態Bを、(d)と同じロットを使用して使用した。
4-[6-(3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)-3-ピリジル]-6-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロポキシ)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキサミド。
4-[6-(3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)-3-ピリジル]-6-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロポキシ)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル。
4-[6-(6-エチル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)-3-ピリジル]-6-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロポキシ)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボニトリル。
A.出発材料は、比較的きれいなバッチであった。
B.出発材料は、不純物不合格を試験するための不純物を含むバッチであった。
【0126】
結果は、80/20の条件が、より高い過飽和レベルに起因して、90/10の条件よりも良好な形態A制御を提供することを示した。したがって、50/50又は20/80などのより高い割合の水/DMSO比もまた、高い形態A純度を確実にするために使用することができる。示された同時添加条件はまた、スラリーの連続的な供給及び除去を行うことができる連続結晶化プロセスの代表例である。
【0127】
実施例5:溶媒和物の調製及び変換プロセス
セルペルカチニブは、溶媒分子と溶媒和物を形成することができ、その大部分は、乾燥時に安定ではない。この実施例では、形態Aのセルペルカチニブは、ジクロロメタン(DCM)溶媒和物から調製される。
【0128】
反応容器中で、セルペルカチニブ(0.8751g、API)及び水飽和DCM(29.55体積)を混合し、加熱(35℃)して溶解させる。代替として、水飽和を伴わない同じ体積のDCMを溶媒として使用して、同様の結果を達成することができる。セルペルカチニブが溶解したら、へプタン(10体積)を30分かけて添加する。へプタンの添加が完了した後、混合物を25℃の目標温度まで30分かけて冷却する。目標温度に達したら、第2の部分のヘプタン(10体積)を混合物に30分かけて添加する。第2の部分のヘプタンの添加が完了した後、混合物を周囲温度(25℃)で少なくとも8時間撹拌する。得られた固体を単離し、洗浄し(4体積のヘプタンで1回洗浄、4体積のMTBEで第2の洗浄)、45℃で乾燥させる。
【0129】
このプロセスによって生成される得られた固体は、DCM溶媒和物として特徴付けられ、これは、結晶化終了時に形成し、乾燥すると形態Aに変換する。溶媒和物の形成は、種結晶形態への依存又は種結晶形態からの影響を除去するようである。
【0130】
本明細書には、式Iの化合物であって、式Iの化合物が少なくとも約90重量%の形態Aを含有し、式Iの化合物が、セルペルカチニブをDMSOに添加して混合物を形成し、混合物を約50~70℃に加熱してセルペルカチニブを溶解し、それによって溶液を形成し、溶液を約40℃まで冷却し、次いで、第1のバッチ及び第2のバッチの水を添加することによって得られる、式Iの化合物が開示される。第1のバッチの水は、例えば、約0.5体積の水であってもよく、任意選択的に、セルペルカチニブ/DMSO/水混合物に種結晶を播種し、約2.5体積の水である第2のバッチの水を添加し、次いで、混合物を約0℃まで冷却し、セルペルカチニブ形態Aを単離する。第1のバッチの水を添加した後、DMSO:水の比は、約96:4である。第2バッチの水、例えば、2.5体積の水を添加した後、DMSO:水の比は、約80:20である。単離された形態Aを約8体積のDMSO:水(80:20)で洗浄し、濾過して乾燥させ、更に8体積のDMSO:水(80:20)で洗浄し、再び濾過して乾燥させる。次いで、ケーキを約8体積の水に懸濁させ、濾過する。試料中に検出される残留DMSOの量が0.5%以下になるまで、このプロセスを繰り返す。次いで、フィルターケーキを、約8体積のMTBEで少なくとも1回洗浄する。次いで、セルペルカチニブ形態Aを、高減圧下、約45℃の温度で乾燥させる。
【0131】
実施形態
実施形態1.セルペルカチニブをセルペルカチニブ形態Aに変換する方法であって、
a)DMSOを含む溶媒にセルペルカチニブを溶解し、それによって、セルペルカチニブDMSO溶液を形成することと、
b)セルペルカチニブDMSO溶液に水を添加してスラリーを形成することと、
c)スラリーから結晶化したセルペルカチニブ形態Aを単離することと、を含み、形態Aが、約4.9、9.7、及び15.5° 2θのXRPDピークを有する、方法、又は
d)ジクロロメタンを含む溶媒にセルペルカチニブを溶解して溶液を形成することと、
e)スラリーを形成するのに有効な条件下で、ヘプタンを溶液に添加することと、
f)スラリーからセルペルカチニブ形態Aを単離することと、を含み、形態Aが、約4.9、9.7、及び15.5° 2θのXRPDピークを有する、方法。
【0132】
実施形態2.セルペルカチニブをセルペルカチニブ形態Aに変換するための方法であって、本方法が、
a)DMSOを含む溶媒にセルペルカチニブを溶解し、それによって、セルペルカチニブDMSO溶液を形成することと、
b)セルペルカチニブDMSO溶液に水を添加してスラリーを形成することと、
c)スラリーから結晶化したセルペルカチニブ形態Aを単離することと、を含み、形態Aが、約4.9、9.7、及び15.5° 2θのXRPDピークを有する、方法。
【0133】
実施形態3.約1グラムのセルペルカチニブを約10~15mLのDMSOに溶解する、実施形態2に記載の方法。
【0134】
実施形態4.ステップaが、DMSO及びセルペルカチニブを約50~70℃の温度まで加熱することを含む、実施形態2又は3に記載の方法。
【0135】
実施形態5.ステップbが、第1のバッチの水及び第2のバッチの水を添加することを含む、実施形態2~4のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
実施形態6.第1のバッチの水が添加された後、DMSOと水との比率が体積で約96:4である、実施形態5に記載の方法。
【0137】
実施形態7.第1のバッチの水が添加される前に、DMSO及びセルペルカチニブを約40℃まで冷却することを含む、実施形態5~6のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
実施形態8.第2のバッチの水が添加された後、DMSO:水の比率が約80:20である、実施形態5~7のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
実施形態9.第2のバッチの水を添加することと、DMSO:水を約0℃まで冷却することと、を含み、それによってスラリーを形成する、実施形態5~8のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
実施形態10.ステップbが、約0.1~約1mL/gの水を溶液に添加することを含む、実施形態2~9のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
実施形態11.ステップbが、約0.2mL/g以下の水を溶液に添加することを含む、実施形態2~10のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
実施形態12.セルペルカチニブ種結晶をDMSO:水に添加することを更に含む、実施形態2~11のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
実施形態13.約1~15重量%のセルペルカチニブ形態A種結晶をDMSO:水に添加する、実施形態12に記載の方法。
【0144】
実施形態14.約1重量%のセルペルカチニブ形態A種結晶をDMSO:水に添加する、実施形態12又は13に記載の方法。
【0145】
実施形態15.第2のバッチの水を添加する前に、セルペルカチニブ種結晶を添加することを含む、実施形態12~14のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
実施形態16.ステップcが、高減圧濾過を含む、実施形態2~15のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
実施形態17.ステップcが、遠心分離を含む、実施形態2~15のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
実施形態18.ステップcから単離されたセルペルカチニブ形態Aを、MTBE及び/又は水を含む溶媒で洗浄することを含む、実施形態2~17のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
実施形態19.セルペルカチニブ形態Aを乾燥させることを更に含む、実施形態2~18のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
実施形態20.セルペルカチニブをセルペルカチニブ形態Aに変換するための方法であって、本方法が、
a.ジクロロメタンを含む溶媒にセルペルカチニブを溶解して溶液を形成することと、
b.スラリーを形成するのに有効な条件下で、ヘプタンを溶液に添加することと、
c.スラリーからセルペルカチニブ形態Aを単離することと、を含み、形態Aが、約4.9、9.7、及び15.5° 2θのXRPDピークを有する、方法。
【0151】
実施形態21.約1グラムのセルペルカチニブを約25~35mLのジクロロメタンに溶解する、実施形態20に記載の方法。
【0152】
実施形態22.ステップaが、セルペルカチニブ及びジクロロメタンを含む溶媒を約30~40℃まで加熱することを含む、実施形態20~21のいずれか1つに記載の方法。
【0153】
実施形態23.ステップbが、第1のバッチのヘプタン及び第2のバッチのヘプタンを添加することを含む、実施形態20~22のいずれか1つに記載の方法。
【0154】
実施形態24.第1のバッチのヘプタンが、1gのセルペルカチニブ当たり約8~12mLのヘプタンを含む、実施形態23に記載の方法。
【0155】
実施形態25.第2のバッチのヘプタンが、1gのセルペルカチニブ当たり約8~12mLのヘプタンを含む、実施形態23又は24に記載の方法。
【0156】
実施形態26.ステップbが、約30℃より低く、かつ約20℃より高い温度まで冷却することを含む、実施形態20~25のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
実施形態27.ステップbが、約25℃の温度まで冷却することを含む、実施形態26に記載の方法。
【0158】
実施形態28.ステップbが、少なくとも約8時間撹拌することを含む、実施形態20~27のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
実施形態29.実施形態1~28のいずれかに従って作製されたセルペルカチニブ形態Aを含む、医薬組成物。
【0160】
実施形態30.少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を更に含む、実施形態29に記載の組成物。
【0161】
実施形態31.組成物が、約20重量%未満のセルペルカチニブの他の結晶形態を含有する、実施形態29又は30に記載の医薬組成物。
【0162】
実施形態32.組成物が、約10重量%未満のセルペルカチニブの他の結晶形態を含有する、実施形態29又は30に記載の医薬組成物。
【0163】
実施形態33.組成物が、約5重量%未満のセルペルカチニブの他の結晶形態を含有する、実施形態29又は30に記載の医薬組成物。
【0164】
実施形態34.セルペルカチニブ形態Aを含む組成物が、実質的に純粋である、実施形態29又は30に記載の医薬組成物。
【0165】
実施形態35.患者においてがんを治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、実施形態1~28のいずれかに従って作製された有効量のセルペルカチニブ形態A、又は実施形態29~34のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0166】
実施形態36.がんが、RET関連がんである、実施形態35に記載の方法。
【0167】
実施形態37.がんが、固形腫瘍、肺がん、甲状腺乳頭がん、甲状腺髄様がん、分化型甲状腺がん、再発性甲状腺がん、難治性分化型甲状腺がん、多発性内分泌腫瘍症2A型又は2B型(それぞれMEN2A又はMEN2B)、褐色細胞腫、副甲状腺過形成、乳がん、結腸直腸がん、乳頭状腎細胞がん、胃腸粘膜の神経節神経腫症、及び子宮頸がんからなる群から選択される、実施形態35又は36に記載の方法。
【0168】
実施形態38.がんが、甲状腺髄様がんである、実施形態37に記載の方法。
【0169】
実施形態39.がんが、肺がんであり、肺がんが、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、細気管支肺細胞がん、RET融合肺がん、又は肺腺がんである、実施形態37に記載の方法。
【0170】
実施形態40.がんが、固形腫瘍である、実施形態37に記載の方法。
【0171】
実施形態41.固形腫瘍が、局所進行性又は転移性の固形腫瘍である、実施形態37又は40に記載の方法。
【0172】
実施形態42.固形腫瘍が、以前の全身治療の際に、若しくはそれに続いて進行しているか、又は満足のいく代替治療の選択肢を有していない、RET遺伝子融合を伴う局所進行性又は転移性の固形腫瘍である、実施形態41に記載の方法。
【0173】
実施形態43.がんが、FDA承認試験によって検出されるような、トランスフェクション中再配列(RET)遺伝子融合を伴う局所進行性又は転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)である、実施形態35又は36に記載の方法。
【0174】
実施形態44.がんが、全身療法を必要とし、かつ(放射性ヨウ素が適切である場合に)放射性ヨウ素不応性である、FDA承認試験によって検出されるような、RET遺伝子融合を伴う進行性又は転移性の甲状腺がんである、実施形態35又は36に記載の方法。
【0175】
実施形態45.医薬組成物が、約40mgのセルペルカチニブ形態Aを含有する、実施形態35~44のいずれか1つに記載の方法。
【0176】
実施形態46.医薬組成物が、約80mgのセルペルカチニブ形態Aを含有する、実施形態35~44のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
実施形態47.医薬組成物が、約120mgのセルペルカチニブ形態Aを含有する、実施形態35~44のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
実施形態48.医薬組成物が、約160mgのセルペルカチニブ形態Aを含有する、実施形態35~44のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
実施形態49.医薬組成物が、錠剤で提供される、実施形態35~48のいずれか1つに記載の方法。
【0180】
実施形態50.医薬組成物が、カプセルで提供される、実施形態35~48のいずれか1つに記載の方法。
【0181】
実施形態51.医薬組成物であって、療法において使用するための、少なくとも約80重量%のセルペルカチニブ形態A、又はその薬学的に許容される塩を含み、医薬組成物が、実施形態1~50のいずれか1つに従って作製されたセルペルカチニブ形態Aを含む、医薬組成物。
【0182】
実施形態52.少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を更に含む、実施形態51に記載の使用のための、少なくとも約80重量%のセルペルカチニブ形態A、又はその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
【0183】
実施形態53.医薬組成物が、約20重量%未満のセルペルカチニブの他の形態を含有する、実施形態51又は52に記載の使用のための医薬組成物。
【0184】
実施形態54.組成物が、約10重量%未満のセルペルカチニブの他の形態を含有する、実施形態51又は52に記載の使用のための医薬組成物。
【0185】
実施形態55.組成物が、約5重量%未満のセルペルカチニブの他の形態を含有する、実施形態51又は52に記載の使用のための医薬組成物。
【0186】
実施形態56.セルペルカチニブ形態Aを含む組成物が、実質的に純粋である、実施形態51又は52に記載の使用のための医薬組成物。
【0187】
実施形態57.がんの治療に使用するための、少なくとも約80重量%のセルペルカチニブ形態A、又はその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
【0188】
実施形態58.医薬組成物であって、がんの治療に使用するための、少なくとも約80重量%のセルペルカチニブ形態A、又はその薬学的に許容される塩を含み、医薬組成物が、実施形態1~50のいずれか1つに従って作製されたセルペルカチニブ形態Aを含む、医薬組成物。
【0189】
実施形態59.医薬組成物が、約20重量%未満のセルペルカチニブの他の形態を含有する、実施形態57又は58に記載の使用のための医薬組成物。
【0190】
実施形態60.組成物が、約10重量%未満のセルペルカチニブの他の形態を含有する、実施形態57又は58に記載の使用のための医薬組成物。
【0191】
実施形態61.組成物が、約5重量%未満のセルペルカチニブの他の形態を含有する、実施形態57又は58に記載の使用のための医薬組成物。
【0192】
実施形態62.がんが、RET関連がんである、実施形態57~61のいずれか1つの使用のための医薬組成物。
【0193】
実施形態63.がんが、固形腫瘍、肺がん、甲状腺乳頭がん、甲状腺髄様がん、分化型甲状腺がん、再発性甲状腺がん、難治性分化型甲状腺がん、多発性内分泌腫瘍症2A型又は2B型(それぞれMEN2A又はMEN2B)、褐色細胞腫、副甲状腺過形成、乳がん、結腸直腸がん、乳頭状腎細胞がん、胃腸粘膜の神経節神経腫症、及び子宮頸がんからなる群から選択される、実施形態57~61のいずれか1つの使用のための医薬組成物。
【0194】
実施形態64.がんが、甲状腺髄様がんである、実施形態63に記載の使用のための医薬組成物。
【0195】
実施形態65.がんが、肺がんであり、肺がんが、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、細気管支肺細胞がん、RET融合肺がん、又は肺腺がんである、実施形態63に記載の使用のための医薬組成物。
【0196】
実施形態66.がんが、RET融合肺がんである、実施形態62又は63に記載の使用のための医薬組成物。
【0197】
実施形態67.がんが、固形腫瘍である、実施形態63に記載の使用のための医薬組成物。
【0198】
実施形態68.固形腫瘍が、局所進行性又は転移性の固形腫瘍である、実施形態63又は67に記載の使用のための医薬組成物。
【0199】
実施形態69.固形腫瘍が、以前の全身治療の際に、若しくはそれに続いて進行しているか、又は満足のいく代替治療の選択肢を有していない、RET遺伝子融合を伴う局所進行性又は転移性の固形腫瘍である、実施形態63、67、又は68に記載の使用のための医薬組成物。
【0200】
実施形態70.がんが、FDA承認試験によって検出されるような、トランスフェクション中再配列(RET)遺伝子融合を伴う局所進行性又は転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)である、実施形態63に記載の使用のための医薬組成物。
【0201】
実施形態71.がんが、全身療法を必要とし、かつ(放射性ヨウ素が適切である場合に)放射性ヨウ素不応性である、FDA承認試験によって検出されるような、RET遺伝子融合を伴う進行性又は転移性の甲状腺がんである、実施形態63に記載の使用のための医薬組成物。
【0202】
実施形態72.医薬組成物が、約40mgのセルペルカチニブ形態Aを含有する、実施形態51~71のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
【0203】
実施形態73.医薬組成物が、約80mgのセルペルカチニブ形態Aを含有する、実施形態51~71のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
【0204】
実施形態74.医薬組成物が、約120mgのセルペルカチニブ形態Aを含有する、実施形態51~71のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
【0205】
実施形態75.医薬組成物が、約160mgのセルペルカチニブ形態Aを含有する、実施形態51~71のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
【0206】
実施形態76.医薬組成物が、錠剤で提供される、実施形態51~75のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
【0207】
実施形態77.医薬組成物が、カプセルで提供される、実施形態51~75のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルペルカチニブをセルペルカチニブ形態Aに変換するための方法であって、前記方法が、
a.DMSOを含む溶媒にセルペルカチニブを溶解し、それによって、セルペルカチニブDMSO溶液を形成することと、
b.前記セルペルカチニブDMSO溶液に水を添加してスラリーを形成することと、
c.前記スラリーから結晶化したセルペルカチニブ形態Aを単離することと、
を含み、
前記形態Aが、約4.9、9.7、及び15.5° 2θのXRPDピークを有する、方法。
【請求項2】
約1グラムのセルペルカチニブを約10~15mLのDMSOに溶解する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップaが、前記DMSO及びセルペルカチニブを約50~70℃の温度まで加熱することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
ステップbが、第1のバッチの水及び第2のバッチの水を添加することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のバッチの水が添加された後、DMSOと水との比率が体積で約96:4である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のバッチの水が添加される前に、前記DMSO及びセルペルカチニブを約40℃まで冷却することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のバッチの水が添加された後、DMSO:水の比が約80:20である、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のバッチの水を添加することと、前記DMSO:水を約0℃まで冷却することと、を含み、それによってスラリーを形成する、請求項項に記載の方法。
【請求項9】
ステップbが、約0.1~約1mL/gの水を前記溶液に添加することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
ステップbが、約0.2mL/g以下の水を前記溶液に添加することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
セルペルカチニブ種結晶を前記DMSO:水に添加することを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
約1~15重量%のセルペルカチニブ形態A種結晶を前記DMSO:水に添加する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
約1重量%のセルペルカチニブ形態A種結晶を前記DMSO:水に添加する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のバッチの水を添加する前に、前記セルペルカチニブ種結晶を添加することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
ステップcが、高減圧濾過を含む、請求項に記載の方法。
【請求項16】
ステップcが、遠心分離を含む、請求項に記載の方法。
【請求項17】
ステップcから単離されたセルペルカチニブ形態Aを、MTBE及び/又は水を含む溶媒で洗浄することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項18】
前記セルペルカチニブ形態Aを乾燥させることを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項19】
セルペルカチニブをセルペルカチニブ形態Aに変換するための方法であって、前記方法が、
a.ジクロロメタンを含む溶媒にセルペルカチニブを溶解して溶液を形成することと、
b.スラリーを形成するのに有効な条件下で、ヘプタンを前記溶液に添加することと、
c.前記スラリーから前記セルペルカチニブ形態Aを単離することと、を含み、前記形態Aが、約4.9、9.7、及び15.5° 2θのXRPDピークを有する、方法。
【請求項20】
約1グラムのセルペルカチニブを約25~35mLのジクロロメタンに溶解する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ステップaが、前記セルペルカチニブ及び前記ジクロロメタンを含む溶媒を約30~40℃まで加熱することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
ステップbが、第1のバッチのヘプタン及び第2のバッチのヘプタンを添加することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のバッチのヘプタンが、1gのセルペルカチニブ当たり約8~12mLのヘプタンを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第2のバッチのヘプタンが、1gのセルペルカチニブ当たり約8~12mLのヘプタンを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
ステップbが、約30℃より低く、かつ約20℃より高い温度まで冷却することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
ステップbが、約25℃の温度まで冷却することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ステップbが、少なくとも約8時間撹拌することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
請求項に従って作製されたセルペルカチニブ形態Aを含む、医薬組成物。
【請求項29】
少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を更に含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物が、約20重量%未満のセルペルカチニブの他の結晶形態を含有する、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記組成物が、約10重量%未満のセルペルカチニブの他の結晶形態を含有する、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記組成物が、約5重量%未満のセルペルカチニブの他の結晶形態を含有する、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記セルペルカチニブ形態Aを含む前記組成物が、実質的に純粋である、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項34】
患者においてがんを治療する方法に用いるための医薬品であって、前記医薬品が、請求項1に従って作製されたセルペルカチニブ形態A又は請求項28に記載の医薬組成物を含み、前記治療する方法が、そのような治療を必要とする患者に、請求項に従って作製された有効量のセルペルカチニブ形態A、又は請求項28に記載の医薬組成物を投与することを含む、医薬品
【請求項35】
前記がんが、RET関連がんである、請求項34に記載の医薬品
【請求項36】
前記がんが、固形腫瘍、肺がん、甲状腺乳頭がん、甲状腺髄様がん、分化型甲状腺がん、再発性甲状腺がん、難治性分化型甲状腺がん、多発性内分泌腫瘍症2A型又は2B型(それぞれMEN2A又はMEN2B)、褐色細胞腫、副甲状腺過形成、乳がん、結腸直腸がん、乳頭状腎細胞がん、胃腸粘膜の神経節神経腫症、及び子宮頸がんからなる群から選択される、請求項34に記載の医薬品
【請求項37】
前記がんが、甲状腺髄様がんである、請求項36に記載の医薬品
【請求項38】
前記がんが、肺がんであり、前記肺がんが、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、細気管支肺細胞がん、RET融合肺がん、又は肺腺がんである、請求項36に記載の医薬品
【請求項39】
前記がんが、固形腫瘍である、請求項36に記載の医薬品
【請求項40】
前記固形腫瘍が、局所進行性又は転移性の固形腫瘍である、請求項36に記載の医薬品
【請求項41】
前記固形腫瘍が、以前の全身治療の際に、若しくはそれに続いて進行しているか、又は満足のいく代替治療の選択肢を有していない、RET遺伝子融合を伴う局所進行性又は転移性の固形腫瘍である、請求項40に記載の医薬品
【請求項42】
前記がんが、FDA承認試験によって検出されるような、トランスフェクション中再配列(RET)遺伝子融合を伴う局所進行性又は転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項34に記載の医薬品
【請求項43】
前記がんが、全身療法を必要とし、かつ(放射性ヨウ素が適切である場合に)放射性ヨウ素不応性である、FDA承認試験によって検出されるような、RET遺伝子融合を伴う進行性又は転移性の甲状腺がんである、請求項34に記載の医薬品

【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0207
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0207】
実施形態77.医薬組成物が、カプセルで提供される、実施形態51~75のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。

本発明は、以下の態様を含む。
<1>
セルペルカチニブをセルペルカチニブ形態Aに変換するための方法であって、前記方法が、
a.DMSOを含む溶媒にセルペルカチニブを溶解し、それによって、セルペルカチニブDMSO溶液を形成することと、
b.前記セルペルカチニブDMSO溶液に水を添加してスラリーを形成することと、
c.前記スラリーから結晶化したセルペルカチニブ形態Aを単離することと、
を含み、
前記形態Aが、約4.9、9.7、及び15.5° 2θのXRPDピークを有する、方法。
<2>
約1グラムのセルペルカチニブを約10~15mLのDMSOに溶解する、<1>に記載の方法。
<3>
ステップaが、前記DMSO及びセルペルカチニブを約50~70℃の温度まで加熱することを含む、<1>又は<2>に記載の方法。
<4>
ステップbが、第1のバッチの水及び第2のバッチの水を添加することを含む、<1>~<3>のいずれかに記載の方法。
<5>
前記第1のバッチの水が添加された後、DMSOと水との比率が体積で約96:4である、<4>に記載の方法。
<6>
前記第1のバッチの水が添加される前に、前記DMSO及びセルペルカチニブを約40℃まで冷却することを含む、<4>又は<5>に記載の方法。
<7>
前記第2のバッチの水が添加された後、DMSO:水の比が約80:20である、<4>~<6>のいずれかに記載の方法。
<8>
前記第2のバッチの水を添加することと、前記DMSO:水を約0℃まで冷却することと、を含み、それによってスラリーを形成する、<4>~<7>のいずれかに記載の方法。
<9>
ステップbが、約0.1~約1mL/gの水を前記溶液に添加することを含む、<1>~<8>のいずれかに記載の方法。
<10>
ステップbが、約0.2mL/g以下の水を前記溶液に添加することを含む、<1>~<9>のいずれかに記載の方法。
<11>
セルペルカチニブ種結晶を前記DMSO:水に添加することを更に含む、<1>~<10>のいずれかに記載の方法。
<12>
約1~15重量%のセルペルカチニブ形態A種結晶を前記DMSO:水に添加する、<11>に記載の方法。
<13>
約1重量%のセルペルカチニブ形態A種結晶を前記DMSO:水に添加する、<11>又は<12>に記載の方法。
<14>
前記第2のバッチの水を添加する前に、前記セルペルカチニブ種結晶を添加することを含む、<11>~<13>のいずれかに記載の方法。
<15>
ステップcが、高減圧濾過を含む、<1>~<14>のいずれかに記載の方法。
<16>
ステップcが、遠心分離を含む、<1>~<14>のいずれかに記載の方法。
<17>
ステップcから単離されたセルペルカチニブ形態Aを、MTBE及び/又は水を含む溶媒で洗浄することを含む、<1>~<16>のいずれかに記載の方法。
<18>
前記セルペルカチニブ形態Aを乾燥させることを更に含む、<1>~<17>のいずれかに記載の方法。
<19>
セルペルカチニブをセルペルカチニブ形態Aに変換するための方法であって、前記方法が、
a.ジクロロメタンを含む溶媒にセルペルカチニブを溶解して溶液を形成することと、
b.スラリーを形成するのに有効な条件下で、ヘプタンを前記溶液に添加することと、
c.前記スラリーから前記セルペルカチニブ形態Aを単離することと、を含み、前記形態Aが、約4.9、9.7、及び15.5° 2θのXRPDピークを有する、方法。
<20>
約1グラムのセルペルカチニブを約25~35mLのジクロロメタンに溶解する、<19>に記載の方法。
<21>
ステップaが、前記セルペルカチニブ及び前記ジクロロメタンを含む溶媒を約30~40℃まで加熱することを含む、<19>又は<20>に記載の方法。
<22>
ステップbが、第1のバッチのヘプタン及び第2のバッチのヘプタンを添加することを含む、<19>~<21>のいずれかに記載の方法。
<23>
前記第1のバッチのヘプタンが、1gのセルペルカチニブ当たり約8~12mLのヘプタンを含む、<22>に記載の方法。
<24>
前記第2のバッチのヘプタンが、1gのセルペルカチニブ当たり約8~12mLのヘプタンを含む、<22>又は<23>に記載の方法。
<25>
ステップbが、約30℃より低く、かつ約20℃より高い温度まで冷却することを含む、<19>~<24>のいずれかに記載の方法。
<26>
ステップbが、約25℃の温度まで冷却することを含む、<25>に記載の方法。
<27>
ステップbが、少なくとも約8時間撹拌することを含む、<19>~<26>のいずれかに記載の方法。
<28>
<1>~<27>のいずれかに従って作製されたセルペルカチニブ形態Aを含む、医薬組成物。
<29>
少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を更に含む、<28>に記載の組成物。
<30>
前記組成物が、約20重量%未満のセルペルカチニブの他の結晶形態を含有する、<28>又は<29>に記載の医薬組成物。
<31>
前記組成物が、約10重量%未満のセルペルカチニブの他の結晶形態を含有する、<28>又は<29>に記載の医薬組成物。
<32>
前記組成物が、約5重量%未満のセルペルカチニブの他の結晶形態を含有する、<28>又は<29>に記載の医薬組成物。
<33>
前記セルペルカチニブ形態Aを含む前記組成物が、実質的に純粋である、<28>又は<29>に記載の医薬組成物。
<34>
患者においてがんを治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、<1>~<27>のいずれかに従って作製された有効量のセルペルカチニブ形態A、又は<28>~<33>のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
<35>
前記がんが、RET関連がんである、<34>に記載の方法。
<36>
前記がんが、固形腫瘍、肺がん、甲状腺乳頭がん、甲状腺髄様がん、分化型甲状腺がん、再発性甲状腺がん、難治性分化型甲状腺がん、多発性内分泌腫瘍症2A型又は2B型(それぞれMEN2A又はMEN2B)、褐色細胞腫、副甲状腺過形成、乳がん、結腸直腸がん、乳頭状腎細胞がん、胃腸粘膜の神経節神経腫症、及び子宮頸がんからなる群から選択される、<34>又は<35>に記載の方法。
<37>
前記がんが、甲状腺髄様がんである、<36>に記載の方法。
<38>
前記がんが、肺がんであり、前記肺がんが、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、細気管支肺細胞がん、RET融合肺がん、又は肺腺がんである、<36>に記載の方法。
<39>
前記がんが、固形腫瘍である、<36>に記載の方法。
<40>
前記固形腫瘍が、局所進行性又は転移性の固形腫瘍である、<36>又は<39>に記載の方法。
<41>
前記固形腫瘍が、以前の全身治療の際に、若しくはそれに続いて進行しているか、又は満足のいく代替治療の選択肢を有していない、RET遺伝子融合を伴う局所進行性又は転移性の固形腫瘍である、<40>に記載の方法。
<42>
前記がんが、FDA承認試験によって検出されるような、トランスフェクション中再配列(RET)遺伝子融合を伴う局所進行性又は転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)である、<34>又は<35>に記載の方法。
<43>
前記がんが、全身療法を必要とし、かつ(放射性ヨウ素が適切である場合に)放射性ヨウ素不応性である、FDA承認試験によって検出されるような、RET遺伝子融合を伴う進行性又は転移性の甲状腺がんである、<34>又は<35>に記載の方法。
【国際調査報告】