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特表2024-544773強化された安定性を有する電気化学デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-04
(54)【発明の名称】強化された安定性を有する電気化学デバイス
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20230101AFI20241127BHJP
【FI】
C02F1/461 101B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533264
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 US2022052340
(87)【国際公開番号】W WO2023239403
(87)【国際公開日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】63/287,688
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/375,708
(32)【優先日】2022-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521011628
【氏名又は名称】パワーテック ウォーター インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】POWERTECH WATER INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ランドン、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ラソールカーニ、アラン
【テーマコード(参考)】
4D061
【Fターム(参考)】
4D061DA08
4D061DB18
4D061EA05
4D061EB01
4D061EB04
4D061EB13
4D061EB17
4D061EB18
4D061EB20
4D061EB29
4D061EB30
4D061EB31
4D061EB34
4D061EB35
(57)【要約】
炭素質カソードのうちの少なくとも1つと、金属含有アノードのうちの少なくとも1つとを含む電気化学デバイス。炭素質カソードと金属含有アノードとの間の分離距離は、約1~約5000マイクロメートルである。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学デバイスであって、
炭素質カソードのうちの少なくとも1つと、
金属を含む金属含有アノードのうちの少なくとも1つと、を備え、
前記炭素質カソードと前記金属含有アノードとの間の分離距離が、約1~約5000マイクロメートルである、電気化学デバイス。
【請求項2】
複数の金属含有アノードのうちの1つ以上の金属含有アノード上に膜を更に備える、請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項3】
前記膜が、アニオン交換膜である、請求項2に記載の電気化学デバイス。
【請求項4】
前記膜が、フィルム、層、シート、コーティング、又はそれらの組み合わせの形態である、請求項2に記載の電気化学デバイス。
【請求項5】
前記膜が、バイポーラ膜である、請求項2に記載の電気化学デバイス。
【請求項6】
複数の前記炭素質カソードのうちの1つ以上の炭素質カソード上に膜を更に備える、請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項7】
前記膜が、カチオン交換膜である、請求項6に記載の電気化学デバイス。
【請求項8】
前記膜が、バイポーラ膜である、請求項6に記載の電気化学デバイス。
【請求項9】
前記膜が、フィルム、層、シート、コーティング、又はそれらの組み合わせの形態である、請求項6に記載の電気化学デバイス。
【請求項10】
前記電気化学デバイスが、前記炭素質カソードと接触したカソード集電体を更に備える、請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項11】
前記カソード集電体が、グラファイト、チタン、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、ニッケル、又はそれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の電気化学デバイス。
【請求項12】
前記カソード集電体が、フィルム、層、金属シート、箔シート、メッシュシート、又はそれらの組み合わせの形態である、請求項10に記載の電気化学デバイス。
【請求項13】
金属含有アノードが、前記金属上に配置された金属酸化物を更に含む、請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項14】
前記金属酸化物が、1つ以上の金属酸化物を含む、請求項13に記載の電気化学デバイス。
【請求項15】
前記電気化学デバイスが、前記金属含有アノードと接触したアノード集電体を更に備える、請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項16】
前記アノード集電体が、グラファイト、チタン、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、ニッケル、又はそれらの組み合わせを含む、請求項15に記載の電気化学デバイス。
【請求項17】
前記アノード集電体が、フィルム、層、金属シート、箔シート、メッシュシート、又はそれらの組み合わせの形態である、請求項15に記載の電気化学デバイス。
【請求項18】
前記電気化学デバイスが、前記炭素質カソードと前記金属含有アノードとの間に配置されたセパレータを更に備える、請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項19】
前記セパレータが、誘電体材料を含む、請求項18に記載の電気化学デバイス。
【請求項20】
前記誘電体材料が、ポリマー材料、セルロース材料、シリカ含有材料、又はそれらの組み合わせを含む、請求項19に記載の電気化学デバイス。
【請求項21】
前記ポリマー材料が、ポリエチレンを含む、請求項20に記載の電気化学デバイス。
【請求項22】
前記炭素質カソードが、炭素フェルト、炭素織布、炭素フィルム、又は不織布である、請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項23】
前記複数の炭素質カソードの各炭素質カソードが、同じ炭素質カソードである、請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項24】
前記複数の炭素質カソードの各炭素質カソードが、
約0.1~約5平方メートル毎グラム、又は
約700~約2300平方メートル毎グラムの表面積を有する、請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項25】
電気化学デバイスであって、
炭素フェルトを含む複数のカソードと、
酸化チタンと酸化ルテニウムと酸化イリジウムとの合金でコーティングされたチタンメッシュコアを含む複数のアノードと、
前記酸化チタンと酸化ルテニウムと酸化イリジウムとの合金でコーティングされた前記チタンメッシュコアを含む前記アノードのうちの1つ以上の上の膜と、を備え、
前記炭素フェルトを含む前記カソードと、前記酸化ルテニウム及び酸化イリジウムでコーティングされた白金メッシュコアを含む前記アノードとの間の分離距離が、約1~約5000マイクロメートルである、電気化学デバイス。
【請求項26】
前記膜が、アニオン交換膜である、請求項25に記載の電気化学デバイス。
【請求項27】
前記膜が、バイポーラ膜である、請求項25に記載の電気化学デバイス。
【請求項28】
前記炭素フェルトを含む前記複数のカソードの各カソードが、同じ炭素フェルトである、請求項25に記載の電気化学デバイス。
【請求項29】
前記炭素フェルトを含む前記複数のカソードの各カソードが、
約0.1~約5平方メートル毎グラム、又は
約700~約2300平方メートル毎グラムの表面積を有する、請求項25に記載の電気化学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府資金提供
本明細書に開示される本発明につながる研究は、「Composite Carbon Anode for Selective Metals Removal from Aqueous Waste Streams」と題する、米国エネルギー省SBIRフェーズIからの助成番号DE-SC0021567によって、部分的に資金提供された。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月9日に出願された米国仮特許出願第63/287,688号、及び2022年9月15日に出願された米国仮特許出願第63/375,708号の利益を主張し、これらの両方の全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
本開示は、電気化学デバイスに関し、より具体的には、強化された安定性を有する電気化学デバイスに関する。
【0004】
廃水及びプロセス水から重金属及び他の標的種を除去するために、種々の方法が使用される。そのような方法としては、例えば、化学沈殿、イオン交換、吸着、膜ろ過、逆浸透、及び電気化学処理が挙げられる。重金属を除去するための電気化学セルは、入力流から標的種の濃度を除去又は低減し、それによって、標的種の含有量を減少させた出力流を提供する、1つ以上の電極の対である、アノード及びカソードを含む。特に、十分な外部電圧(すなわち、電位)が電極に印加されると、水溶液中の標的種(例えば、金属イオン、ハロゲン化物イオン、標的金属又は標的ハロゲン化物の誘導体、又は粒子状金属)の濃度を低減する非自発的な化学反応が生じる。プロセス条件、例えば印加電圧、pH、標的種のタイプ及び濃度、電極間隔、並びにセル設計に応じて、標的種は、電極への物理的吸着、電極への電気的吸引(すなわち、容量的吸着)、並びに/又は電極上に固定化される新しい標的種(すなわち、ファラデー反応)を直接的若しくは間接的に生成する電子移動反応を含む、様々なプロセスによって、水溶液から選択的に除去される。
【発明の概要】
【0005】
1つ以上の実施形態によれば、電気化学デバイスは、炭素質カソードのうちの少なくとも1つと、金属を含む金属含有アノードのうちの少なくとも1つと、を含み、炭素質カソードと金属含有アノードとの間の分離距離は、約1~約5000マイクロメートルである。
【0006】
他の実施形態によれば、電気化学デバイスは、炭素フェルトを含む複数のカソードと、酸化チタンと酸化ルテニウムと酸化イリジウムとの合金でコーティングされたチタンメッシュコアを含む複数のアノードと、を含む。電気化学デバイスは、酸化チタンと酸化ルテニウムと酸化イリジウムとの合金でコーティングされたチタンメッシュコアを含む1つ以上のアノード上に膜を更に含む。炭素フェルトを含むカソードと、酸化チタン、酸化ルテニウム、及び酸化イリジウムでコーティングされたチタンメッシュコアを含むアノードと、の間の分離距離は、約1~約5000マイクロメートルである。
【0007】
本開示をより完全に理解するために、次に、添付の図面及び詳細な説明に関連して、以下の簡単な説明を参照し、同様の参照番号は、同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】積層型電気化学デバイスの断面側面図である。
図1B】アノード上に膜を有する積層型電気化学デバイスの断面側面図である。
図1C】カソード上に膜を有する積層型電気化学デバイスの断面側面図である。
図1D】アノード上の膜及びカソード上の膜を有する積層型電気化学デバイスの断面側面図である。
図2】別の積層型電気化学デバイスの断面側面図である。
図3】z折り電気化学デバイスの断面側面図である。
図4A】ロール状セル電気化学デバイス用のロール前の電極スタックの分解図である。
図4B図4Aのロール状電極の上面図である。
図4C】ロール状電気化学デバイスの断面側面図である。
図5】別のロール状電気化学デバイスの断面側面図である。
図6】銅(Cu)のプールベ図である。
図7】鉛(Pb)のプールベ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
炭素系(すなわち、炭素質)電極を有する電気化学デバイスは、廃水から標的種(例えば、重金属及び他の標的)の含有量を除去及び低減するための非常に効率的な、かつ環境に優しいプロセスを提供する。水性電気化学系における標的種の可能な安定(平衡)相を図示する標的種のプールベ図(又は電位/pH図)を使用することによって、所望の印加電位(E)を選択して、アノード又はカソード上の標的種を選択的に除去することができる。
【0010】
炭素系電気化学デバイスは、高選択性であり、清浄であり、かつエネルギー効率が良いという利点を提供するが、全ての炭素系材料を使用することの1つの課題は、デバイスが長期間にわたって、又は印加電圧の繰り返しサイクルの後に安定でないことである。概して、電極の活性表面積は、印加電圧のサイクルへの曝露により減少する。例えば、電極表面上にオキシド基が形成され、これにより、細孔被覆(pore roofing)及び細孔崩壊が引き起こされ、抵抗の増加(バルク酸化と称される)をもたらす。あるいは、オキシド基は、抵抗性酸化物層を形成することができる(表面酸化と称される)。両方のシナリオは、抵抗のこの増加を補償するために同じ電流量を維持するために、オームの法則に従って印加電圧が増加することを必要とする。V=IRであり、式中、Vは、電圧(V)であり、Iは、電流(A)であり、Rは、抵抗(Ω)である。したがって、両方の電極が炭素系である全炭素電気化学デバイスの寿命は、概して、連続動作で約1,000時間又は1,000時間未満にすぎない。
【0011】
したがって、本明細書では、炭素系(すなわち、炭素質)カソード、及び非炭素アノード、又は特に金属系(すなわち、金属含有)アノードを含む、非対称電極構成を含む電気化学デバイスが記載される。実施形態では、金属系アノードは、金属酸化物コーティングを有する金属基材を含む。いくつかの実施形態では、電気化学デバイスは、炭素系カソード上及び/又は金属系アノード上に膜を更に含む。膜は、膜が配置される電極に応じたカチオン交換膜若しくはアニオン交換膜、又はバイポーラ膜であり得る。水性入力流中の標的種は、炭素系カソード上に電気めっきされる(すなわち、めっき又は電着される)。両方の電極は、長期間、及び繰り返しサイクルにわたって安定であり、これにより、処理後の出力流における十億分の一桁(ppb)までの金属除去が可能になる。本明細書に記載される非対称電気化学デバイスの寿命は、全炭素系よりも長く、1つ以上の実施形態では、連続動作で1,000時間よりも長い。炭素系アノードを金属系アノードで置き換えることにより、寿命が延び、電気化学デバイスの安定性が増加する。全炭素デバイスは、水流から金属を効果的に除去するために、長期間にわたって10ppmを上回る金属濃度のための十分に高い電流をサポートすることができない。全炭素系では、炭素は、急速に酸化し、空隙は、崩壊し、デバイスは、最終的に障害を起こす。しかしながら、金属系アノードは、高印加電圧であっても、表面を酸化及び劣化させるのではなく、酸素を電極から逃がすことを可能にする。金属系電極表面は、概して腐食に耐性を有するため、ほとんどの動作条件下では、金属系電極表面をかなりの程度に酸化して溶解状態にすることができない。加えて、炭素系カソード及び/又は金属系アノード上の膜(複数可)は、電気化学デバイスの性能及び寿命を更に増加させる。
【0012】
図1Aは、1つ以上の標的種を有する水溶液(例えば、水)の入力流102を処理する電気化学デバイス100を例示している。図1Bは、金属系アノード108上に膜119を有する電気化学デバイス100を例示している。図1Cは、炭素系カソード112上に膜120を有する電気化学デバイス100を例示している。図1Dは、金属系アノード108上の膜119と炭素系カソード112上の膜120とを有する電気化学デバイス100を例示している。
【0013】
入力流102は、ハウジング116の入口を通って入り、入力流102の水溶液中の1つ以上の標的種の含有量を少なくとも部分的に除去又は低減するように処理され、出口を通ってハウジング116から出る処理された出力流104を提供する。出力流104は、入力流102よりも低減された標的種の含有量を含み、次いで、所望により更に処理される。
【0014】
電気化学デバイス100は、ハウジング116に配置された炭素系カソード112及び金属系アノード108の1つ以上の電極スタック118を含む。いくつかの実施形態では、図1B及び図1Dに示されるように、膜119(すなわち、アニオン交換膜)は、金属系アノード108上に配置されている。他の実施形態では、膜120(すなわち、カチオン交換膜)は、炭素系カソード112上に配置されている。
【0015】
1つの電極スタック118が示されているが、電気化学デバイス100は、1つのスタックに限定されず、他の実施形態では、1つ以上のスタック118、すなわち、炭素系カソード112及び金属系アノード108の複数の電極スタック118を含む。電気化学デバイス100は、電極間の電気接点114(又は電気的接続)及び関連付けられた配線(図示せず)を更に含む。電気接点114及び関連付けられた配線は、電源装置(図示せず)に、必要な電気的接続を提供する。炭素系カソード112及び金属系アノード108は、いくつかの実施形態では、中を通る水性流体フローを可能にする多孔質材料である。他の実施形態では、金属系アノード108は、非多孔質である。
【0016】
電気化学デバイス100は、フローバイ及びフロースルー構成の両方を可能にする。フローバイ構成では、入力流102は、電極を通り抜けるのではなく、電極の表面を横断して(矢印122で示される)流れる。フロースルー構成では、入力流102は、(矢印123によって示される)電極を通り抜けて流れる。フローバイ設計は、より低い圧力降下、より高い流量、炭素電極の等しい劣化、各電極対に対して生成される同等pH領域の利点を提供する。フロースルー設計は、より極端なpH領域と、出口pHに対する改善された制御と、を提供する。「スタックされた」電極が、互いに実質的に平行である平坦面と平行な配向で配置されている、図1A図1Dに示されるスタックされた電気化学デバイスでは、入力流102は、電極をフロースルーするか、電極をフローバイするか、又はそれらの組み合わせである。
【0017】
集電体
いくつかの実施形態では、電極スタック118は、炭素系カソード112及び金属系アノード108のうちの一方又は両方に取り付けられるか、又は接触した1つ以上の任意選択の集電体106を含む。集電体106は、例えば、炭素系カソード112の層間、及び金属系アノード108の層間に挟まれている。集電体106は、取り付けられた電極で生成された電流を収集し、かつ電気化学デバイス100内の電気損失を低減する、電気ブリッジ構成要素である。1つ以上の実施形態では、電極スタック118は、圧縮され、集電体106は、電極に接触している。いくつかの実施形態では、電極は、集電体106上に鋳造されているフィルム又はシートである。炭素系カソード112及び金属系アノード108に取り付けられるか、又は接触した集電体106は、同じであるか、又は異なっている。
【0018】
集電体106は、固体材料又は多孔質材料である。集電体106の非限定的な例は、フィルム、層、金属シート、箔シート、又はメッシュシートである。炭素系カソード112用の集電体106のための材料の非限定的な例は、グラファイト、チタン、ステンレス鋼、又はそれらの組み合わせを含む。金属系アノード108用の集電体106の材料の非限定的な例としては、グラファイト、チタン、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、ニッケル、又はそれらの組み合わせが挙げられる。1つ以上の実施形態では、集電体106は、炭素系カソード112に取り付けられているか、又は接触しており、集電体106は、金属系アノード107には取り付けられていないか、又は接触していない。
【0019】
実施形態では、いずれの電極に取り付けられた集電体106も、約0.01~約500ミリメートルの厚さを有する平面状構造である。いくつかの実施形態では、集電体106は、約0.1~約0.4ミリメートルの厚さを有する。他の実施形態では、集電体106は、約0.01、0.05、0.1、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、及び500ミリメートルの厚さ、又はおよそこれらの間の任意の範囲の厚さを有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、各集電体106は、例えば図2に示されるように、貫通する環状孔を有していない連続した平面状構造である。他の実施形態では、各集電体106は、例えば図1A図1Dに示されるように、貫通する環状孔を有する平面状構造である。実施形態では、集電体106は、それぞれ図1A図1D及び図2に示されるように、貫通する環状孔の有無にかかわらず、薄い平面状の円筒形状を有する。ただし、集電体106の形状は、これらの形状に限定されず、上述の厚さを有する任意の形状であり得る。
【0021】
図1A図1Dに示される実施形態では、集電体106は、固体(非多孔質)であり、炭素系カソード112及び金属系アノード108の各々は、多孔質であり、これにより、フローバイ(矢印122)及びフロースルー(矢印123)のフローパス構成の両方が可能になる。図2に示されるような他の実施形態では、集電体106、炭素系カソード112、及び金属系アノード108は、全て多孔質材料であり、電気化学デバイス200の電極スタック118をフロースルー(矢印123)することを可能にする。
【0022】
セパレータ
1つ以上の実施形態では、電極スタック118は、炭素系カソード112と金属系アノード108との間に配置されたセパレータ110を更に含む。セパレータ110は、誘電体材料であり、電極間の物理的接触及び電気的接触を防止する。セパレータ110用の誘電体材料の非限定的な例としては、ポリマー材料、セルロース系材料、シリカ系材料、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、セパレータ110は、ポリエチレンを含む。
【0023】
実施形態では、セパレータ110は、約1~約5000マイクロメートルの厚さを有する平面状構造である。いくつかの実施形態では、セパレータ110は、約50~約250マイクロメートルの厚さを有する。他の実施形態では、セパレータ110は、約1、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、1000、1025、1050、1075、1100、1125、1150、1175、1200、1225、1250、1275、1300、1325、1350、1375、1400、1425、1450、1475、1500、1525、1550、1575、1600、1625、1650、1675、1700、1725、1750、1775、1800、1825、1850、1875、1900、1925、1950、1975、2000、2025、2050、2075、2100、2125、2150、2175、2200、2225、2250、2275、2300、2325、2350、2375、2400、2425、2450、2475、2500、2525、2550、2575、2600、2625、2650、2675、2700、2725、2750、2775、2800、2825、2850、2875、2900、2925、2950、2975、3000、3025、3050、3075、3100、3125、3150、3175、3200、3225、3250、3275、3300、3325、3350、3375、3400、3425、3450、3475、3500、3525、3550、3575、3600、3625、3650、3675、3700、3725、3750、3775、3800、3825、3850、3875、3900、3925、3950、3975、4000、4025、4050、4075、4100、4125、4150、4175、4200、4225、4250、4275、4300、4325、4350、4375、4400、4425、4450、4475、4500、4525、4550、4575、4600、4625、4650、4675、4700、4725、4750、4775、4800、4825、4850、4875、4900、4925、4950、4975、及び5000マイクロメートル、これら未満、又はおよそこれらの間の任意の範囲の厚さを有する。
【0024】
炭素系カソード112を金属系アノード108から分離するセパレータ110の厚さは、電極間の分離距離を規定する。スタックされるか、又は平行に配置された炭素系カソード112と金属系アノード108との間の分離距離は、クリティカルである。電極は、実行可能な分離をサポートするのに十分に近くなければならない。電極が離れすぎている場合、分離は、実行可能でない。除去率は、セパレータ距離に正比例し、距離が大きくなると抵抗が大きくなる。セパレータ距離が1000ミクロンよりも大きくなると、除去率が急峻に低下し続け、動作に必要とされる電圧が増加し、水分解が生じてプロセスの効率が損なわれる可能性が高まる。1ミクロン未満の距離では、反応速度は高い場合があるが、しばしば樹枝状結晶と称される、アノードとカソードとの間を接続する金属堆積物に起因するセルの短絡の可能性が、非常に高くなる。したがって、両方の高い除去率を信頼性が高い動作を伴って達成することができる実用的な動作には、1~5000ミクロンの距離がクリティカルである。したがって、炭素系カソード112と金属系アノード108との間の分離距離は、いくつかの実施形態では、上述されるように、約1~約1000マイクロメートルである。他の実施形態では、炭素系カソード112と金属系アノード108との間の分離距離は、約1、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、1000、1025、1050、1075、1100、1125、1150、1175、1200、1225、1250、1275、1300、1325、1350、1375、1400、1425、1450、1475、1500、1525、1550、1575、1600、1625、1650、1675、1700、1725、1750、1775、1800、1825、1850、1875、1900、1925、1950、1975、2000、2025、2050、2075、2100、2125、2150、2175、2200、2225、2250、2275、2300、2325、2350、2375、2400、2425、2450、2475、2500、2525、2550、2575、2600、2625、2650、2675、2700、2725、2750、2775、2800、2825、2850、2875、2900、2925、2950、2975、3000、3025、3050、3075、3100、3125、3150、3175、3200、3225、3250、3275、3300、3325、3350、3375、3400、3425、3450、3475、3500、3525、3550、3575、3600、3625、3650、3675、3700、3725、3750、3775、3800、3825、3850、3875、3900、3925、3950、3975、4000、4025、4050、4075、4100、4125、4150、4175、4200、4225、4250、4275、4300、4325、4350、4375、4400、4425、4450、4475、4500、4525、4550、4575、4600、4625、4650、4675、4700、4725、4750、4775、4800、4825、4850、4875、4900、4925、4950、4975、及び5000マイクロメートル、又はおよそこれらの間の任意の範囲の厚さを有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、各セパレータ110は、例えば図2に示されるように、貫通する環状孔を有していない連続した平面状構造である。他の実施形態では、各セパレータ110は、例えば図1A図1Dに示されるように、貫通する環状孔を有する平面状構造である。実施形態では、セパレータ110は、それぞれ図1A図1D及び図2に示されるように、貫通する環状孔の有無にかかわらず、薄い平面状の円筒形状を有する。ただし、セパレータ110の形状は、これらの形状に限定されず、上述の厚さを有する任意の形状であり得る。
【0026】
炭素系カソード
炭素系カソード112は、炭素系材料である。炭素系材料の非限定的な例としては、炭素布、炭素フィルム、活性炭材料、不織布(例えば、炭素フェルト、炭素エアロゲルなど)、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0027】
炭素布は、炭素からなるか、又は本質的に炭素からなる、織られた導電性多孔質材料である。織布は、織りによって形成された繊維である。織布は、高い空隙比を有する。空隙率(又は空隙比)は、炭素材料の開放気孔率と、水溶液が炭素材料を通ってどれだけ容易に流れることができるかと、を記述する。空隙率(空隙比とも称される)は、以下の式に従って、既知の寸法及び質量の炭素材料片によって置換された水溶液(又は水)の量の測定値である。
【数1】

式中、V炭素は、炭素の体積であり、置換されたVは、置換された水(又は水溶液)の体積である。V炭素及び置換されたVの単位は同じであり、空隙率(%)をもたらす。いくつかの実施形態では、織布は、約65%~約99.9%の空隙比(空隙率とも称される)を有する。他の実施形態では、織布は、約70%~約99.9%の空隙比を有する。更にまた、実施形態では、織布は、約65%、68%、70%、72%、75%、78%、80%、82%、85%、88%、90%、92%、95%、97%、99%、及び99.9%、又はおよそこれらの間の任意の範囲の空隙比を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、織布は、約700~約2300平方メートル毎グラムの高い表面積を有する。他の実施形態では、織布は、約1200~約2300平方メートル毎グラムの高い表面積を有する。また、他の実施形態では、織布は、約700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700、1750、1800、1850、1900、1950、2000、2050、2100、2150、2200、2250、及び2300平方メートル毎グラム、又はおよそこれらの間の任意の範囲の高い表面積を有する。
【0029】
他の実施形態では、織布は、約0.1~約5平方メートル毎グラムの低い表面積を有する。また、実施形態では、織布は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、及び5.0平方メートル毎グラム、又はおよそこれらの間の任意の範囲の低い表面積を有する。
【0030】
炭素系カソード112用の織布の非限定的な例は、高い空隙比(約65%~約99.9%)及び高い表面積(約700~約2300平方メートル毎グラム)の材料である。炭素系カソード112用の織布の別の非限定的な例は、高い空隙比(約70%~約99.9%)及び高い表面積(約1200~約2300平方メートル毎グラム)の材料である。
【0031】
炭素フェルトは、炭素からなるか、又は本質的に炭素からなる不織布多孔質材料である。いくつかの実施形態では、炭素フェルトは、活性炭フェルトである。他の実施形態では、炭素フェルトは、熱処理又は表面酸化された炭素フェルトである。1つ以上の実施形態では、炭素フェルトは、約95%又は95%超の空隙比を有する。他の実施形態では、炭素フェルトは、約95%、96%、97%、98%、99%、及び99.9%、例えば、約95%~約99%、約95%~約98%、約95%~約97%、及び約95%~約96%、又はおよそこれらの間の任意の範囲の空隙比を有する。1つ以上の実施形態では、炭素フェルトは、約70%~約99.9%の空隙比を有する。他の実施形態では、炭素フェルトは、約70%、72%、75%、77%、80%、82%、85%、87%、90%、92%、95%、97%、99%、及び99.9%、又はおよそこれらの間の任意の範囲の空隙比を有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、炭素フェルトは、5平方メートル毎グラム未満の低い表面積を有する。更にまた、他の実施形態では、炭素フェルトは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、及び5.0平方メートル毎グラム、又はおよそこれらの間の任意の範囲の低い表面積を有する。いくつかの実施形態では、炭素フェルトは、約1200~約2300平方メートル毎グラムの高い表面積を有する。更にまた、他の実施形態では、炭素フェルトは、約1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700、1750、1800、1850、1900、1950、2000、2050、2100、2150、2200、2250、及び2300平方メートル毎グラム、又はおよそこれらの間の任意の範囲の表面積を有する。
【0033】
炭素系カソード112用の炭素フェルトの非限定的な例は、高い空隙比(約95%又は95%超)及び低い表面積(約0.1平方メートル毎グラム~約5平方メートル毎グラム)の材料である。炭素系カソード112用の活性炭フェルトの別の非限定的な例は、高い空隙比(約70%~約99.9%)及び高い表面積(約1200~約2300平方メートル毎グラム)の材料である。
【0034】
炭素フィルムは、炭素粒子及び炭素結合剤からなる、又は本質的に炭素粒子及び炭素結合剤からなる炭素複合材料である。1つ以上の実施形態では、炭素フィルムは、微多孔性であり、かつ結合剤を含む、活性炭フィルムである。活性炭フィルムの結合剤の非限定的な例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アルギン酸ナトリウム、ナトリウム-カルボキシメチルセルロース、イオン交換ポリマー、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0035】
1つ以上の実施形態では、活性炭フィルムは、約30%~約65%の空隙比を有する。他の実施形態では、活性炭フィルム電極は、約30%~約60%の空隙比を有する。更にまた、他の実施形態では、活性炭フィルムは、約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、及び65%、又はおよそこれらの間の任意の範囲の空隙比を有する。
【0036】
いくつかの実施形態では、活性炭フィルムは、約1200~約1400平方メートル毎グラムの表面積を有する。更にまた、他の実施形態では、活性炭フィルムは、約1200、1220、1240、1260、1280、1300、1320、1320、1340、1360、1380、及び1400平方メートル毎グラム、又はおよそこれらの間の任意の範囲の表面積を有する。
【0037】
炭素系カソード112用の活性炭フィルムの非限定的な例は、低い空隙比(約30%~約65%)及び高い表面積(約1200~約1400平方メートル毎グラム)の材料である。
【0038】
実施形態では、炭素系カソード112は、約0.1~約50ミリメートルの厚さを有する平面状構造である。いくつかの実施形態では、炭素系カソード112は、約2~約5ミリメートルの厚さを有する。他の実施形態では、炭素系カソード112は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、4.7、4.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.2、5.4、5.6、5.8、6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8、8.0、8.2、8.4、8.6、8.8、9.0、9.2、9.4、9.6、9.8、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、20.0、20.5、21.0、21.5、22.0、22.5、23.0、23.5、24.0、24.5、25.0、25.5、26.0、26.5、27.0、27.5、28.0、28.5、29.0、29.5、30.0、30.5、31.0、31.5、32.0、32.5、33.0、33.5、34.0、34.5、35.0、35.5、36.0、36.5、37.0、37.5、38.0、38.5、39.0、39.5、40.0、40.5、41.0、41.5、42.0、42.5、43.0、43.5、44.0、44.5、45.0、45.5、46.0、46.5、47.0、47.5、48.0、48.5、49.0、49.5、及び50.0ミリメートル、又はおよそこれら間の任意の範囲の厚さを有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、各炭素系カソード112は、例えば図2に示されるように、貫通する大きい開口部を有していない連続した平面状構造である。他の実施形態では、各炭素系カソード112は、例えば図1A図1Dに示されるように、貫通する環状孔を有する平面状構造である。実施形態では、炭素系カソード112は、それぞれ図1A図1D及び図2に示されるように、貫通する環状孔の有無にかかわらず、薄い平面状の円筒形状を有する。ただし、炭素系カソード112の形状は、これらの形状に限定されず、上述の厚さを有する任意の形状であり得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、炭素系カソード112は、炭素織布、炭素フェルト、又は炭素フィルムなどの、炭素材料の単一の均質な層からなる。
【0041】
実施形態では、電気化学デバイスは、複数のカソードを含み、各カソード全てが、炭素系カソード112である。1つ以上の実施形態では、電気化学デバイスは、他のタイプのカソードを含まない。いくつかの実施形態では、電気化学デバイスは、複数のカソードを含み、カソードの全ては、同じ炭素系カソード112である。
【0042】
実施形態では、電気化学デバイスは、複数のアノードを含み、各アノード全てが、金属系アノード108である。1つ以上の実施形態では、電気化学デバイスは、他のタイプのアノードを含まない。いくつかの実施形態では、電気化学デバイスは、複数のアノードを含み、アノードの全ては、同じ金属系アノード108である。
【0043】
金属系アノード
1つ以上の実施形態では、金属系アノード108は、金属基材を含む。他の実施形態では、金属系アノード108は、金属酸化物コーティングを有する金属基材を含む。金属基材は、任意のコーティング可能な金属又は金属合金である。金属基材は、プレート、ロッド、チューブ、ワイヤ又はニットワイヤ、及び/又は金属若しくは金属合金の拡張メッシュを含むことができる。金属基材用金属の非限定的な例としては、チタン、タンタル、アルミニウム、ジルコニウム、ニオブ、又はそれらの任意の組み合わせ若しくは合金が挙げられる。金属基材用の金属合金の非限定的な例としては、チタンニッケル合金、チタンコバルト合金、チタン鉄合金、チタン銅合金、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、金属基材は、チタンメッシュである。1つ以上の実施形態では、金属系アノードは、約5グラム毎平方メートル(g/m)の貴金属を含むが、この量に限定されない。例えば、金属系アノードは、2g/m未満の、又は8g/mよりも大きい貴金属を含む。いくつかの実施形態では、金属系アノード108は、約1g/m~約10g/mの貴金属、約2g/m~約8g/mの貴金属、約3g/m~約7g/mの貴金属、又は約4g/m~約6g/mの貴金属を含む。貴金属の非限定的な例としては、白金、金、又はそれらの任意の組み合わせ若しくは合金が挙げられる。
【0045】
金属酸化物コーティングを適用する前に、任意選択で、金属基材を洗浄して、清浄な金属表面を得る。金属基材は、例えば、機械的洗浄、脱脂、化学洗浄若しくは電解洗浄、又はそれらの任意の組み合わせによって洗浄される。任意選択で、金属系をエッチングして、表面粗さ又は表面形態を得る。例えば、酸、例えば塩酸、硫酸、過塩素酸、硝酸、シュウ酸、酒石酸、リン酸、若しくはそれらの組み合わせ、又は苛性化合物、例えば水酸化カリウム/過酸化水素を使用して、金属基材の表面を化学的にエッチングする。プラズマ溶射は、粗面加工された金属表面を提供するために使用されるプロセスの別の例である。
【0046】
調製されると、金属基材は、1つ以上の金属酸化物でコーティングされる。金属酸化物の非限定的な例としては、酸化白金、酸化パラジウム、酸化ロジウム、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、酸化チタン、それらの混合物、又は他の金属との混合物が挙げられる。金属酸化物の他の非限定的な例としては、二酸化マンガン、二酸化鉛、酸化コバルト、酸化第二鉄、酸化ニッケルニッケル、ニッケル+ランタニド酸化物、MPtなどのプラチナ化コーティング(Mは、アルカリ金属であり、xは、典型的には、およそ0.5を標的とされる)、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0047】
コーティング用の金属酸化物前駆体は、コーティング組成で化合され、金属基材に液体コーティング組成物を適用する任意のプロセスによって金属基材に適用される。そのような方法としては、ディップスピン及びディップドレイン技法、ブラシ塗布、ローラコーティング、並びに静電スプレーなどのスプレー塗布が挙げられる。金属基材に均一なコーティングを適用すると、コーティングされた金属基材に熱を適用して、前駆体の熱分解をもたらし、金属酸化物コーティングを形成する。加熱を、例えば約425~約535℃の温度で約3~約20分間、実施し、空気中又は酸素中などの酸化環境で実施する。
【0048】
1つ以上の実施形態では、金属基材上の金属酸化物コーティングとしては、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化チタン、又はそれらの組み合わせが挙げられる。塩化ルテニウム(RuCl)、塩化イリジウム(IrCl又はHIrCl)、及びチタンイソプロポキシド(Ti{OCH(CH)は、一般的にチタンテトライソプロポキシド又はTTIPと称され、コーティング組成で前駆体として化合され、前駆体は、金属基材の表面上に堆積されて、金属系アノード108を形成する。
【0049】
1つ以上の実施形態では、金属系アノード108は、約0.1~約3ミリメートルの厚さを有する平面状構造である。いくつかの実施形態では、金属系アノード108は、約0.1~約1.2ミリメートルの厚さを有する。他の実施形態では、炭素系カソードは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、及び3.0ミリメートル、又はおよそこれらの間の任意の範囲内の厚さを有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、各金属系アノード108は、例えば図1A図1Dに示されるように、貫通する環状孔を有する平面状構造である。実施形態では、金属系アノード108は、それぞれ図1A図1D及び図2に示されるように、貫通する環状孔の有無にかかわらず、薄い平面状の円筒形状を有する。ただし、金属系アノード108の形状は、これらの形状に限定されず、上述の厚さを有する任意の形状であり得る。
【0051】

1つ以上の実施形態では、膜119及び120(図1B図1D)は、イオン交換膜である。実施形態では、アニオン交換膜119は、膜が金属系アノード上にあるときに使用され、かつ/又はカチオン交換膜120は、膜が炭素系カソード上にあるときに使用される。カチオン交換膜は、カチオンに対して選択的に透過性である膜である。アニオン交換膜は、アニオンに対して選択的に透過性である膜である。膜は、フィルム、層、シート、コーティング、又はそれらの組み合わせの形態であり、膜は、電極の表面(したがって、金属系アノード及び/又は炭素系カソード)上に配置されているか、又は自立している。膜は、いくつかの実施形態では、電極上にあるか、電極上に直接あるか、又は電極と接触している。他の実施形態では、膜は、電極を取り囲んでいる。他の実施形態では、イオン交換膜は、バイポーラ膜である。
【0052】
電極構成
本明細書に記載される電気化学デバイスの電極スタックを作製するために、炭素系カソード112、金属系アノード108、集電体106、セパレータ110、並びにいくつかの実施形態では膜119及び膜120を含む、セルの上述の層は、炭素系カソード112が、セパレータ106によって、及び本明細書に記載されるクリティカルな分離距離で、金属系アノード108から分離されることを条件に、任意の順序で互いにスタックされている。その結果、セパレータ106は、金属系アノード108と炭素系カソード112との間にある。集電体106は、金属系アノード108及び炭素系カソード112の各々に別個に接触するように積層されている。
【0053】
1つ以上の実施形態では、膜120(図1C及び図1D)(カチオン交換膜)は、集電体106と接触している炭素系カソード112の第2の表面とは反対側の、炭素系カソード112の第1の表面上にある。したがって、膜120は、炭素系カソード112及びセパレータ106に接触している。他の実施形態では、膜119(図1B及び図1D)(アニオン交換膜)は、集電体106と接触している金属系アノード108の第2の表面とは反対側の金属系アノード108の第1の表面上にある。したがって、膜119は、金属系アノード112及びセパレータ106に接触している。
【0054】
金属系アノード108及び炭素系カソード112の各々の別の層を、集電体106が金属系アノード108炭素系カソード112の各々の接触層の間に挟まれるように、集電体106上に積層することができる。1つ以上の実施形態では、集電体106は、炭素系カソード112の層の間に挟まれており、集電体106は、金属系アノード108に取り付けられていないか、又は金属系アノード108と接触していない。
【0055】
炭素系カソード112及び金属系アノード108は、互いに離間配置されており、様々な構成で電気化学デバイスの電極スタック118に配置されている。図1A図1D及び図2に示されるような、スタックされた電極フローバイ及びフロースルーデバイス構成に加えて、電気化学デバイスは、他の構成を有する。図3は、電気化学デバイス300のz折り電極構成の断面側面図である。電極スタック118(炭素系カソード112、金属系アノード108、集電体106、及びセパレータ108を含む)は、z字形パターンに折り畳まれており、これにより、入力流102は、電極スタック118をフロースルーする(矢印123)こと、及び電極スタック118をフローバイする(矢印122)ことが可能になる。
【0056】
図4A図4Cは、軸方向フロー流である電極スタック118のフロースルーのためのロール状電気化学デバイス用のロール状電極スタックを例示している。図4Aは、ロール状セル電気化学デバイス用のロール前の電極スタック118の分解図である。図4Bは、図4Aのロール状電極スタック118の上面図である。図4Cは、図4A及び図4Bに示される電極スタック118を含むロール状電気化学デバイスの断面側面図である。電極スタック118は、セパレータ110によって炭素系カソード112から分離された金属系アノード108を、金属系アノード108及び炭素系カソード112に取り付けられた集電体106とともに含む。電極スタック118(図4A)を、渦巻状に物理的にロールして、多孔質炭素電極を通る流れ経路を通る複数の主にフローバイを伴う、シリンダ(図4B)を作成する。ロール状電気化学デバイスを作製するために、アノード材料、セパレータ材料、及びカソード材料の単一の連続シートをスタックし、次いで、ロールアップして、シリンダを形成する。集電体は、通常、電気損失を低減するために複数の場所で、アノード及びカソードに取り付けられる。入力流102は、ロール状電極スタック118を、軸方向にフロースルーするとともに、フローバイする。
【0057】
図5は、半径方向流のフローのためのロール状電気化学デバイス500の断面側面図である。入力流102は、ロール状電気化学デバイス500を通って半径方向に流れる。電極スタックは、第1の電極502、セパレータ504、及び第2の電極506を含む。いくつかの実施形態では、第1の電極502は、炭素系カソード112であり、第2の電極506は、金属系アノード108である。他の実施形態では、第1の電極502は、金属系アノード108であり、第2の電極506は、炭素系カソード112である。上述される集電体は、第1の電極502及び第2の電極506の一方又は両方に取り付けられ得る。電気的接続(図示せず)を、電極の上部で、又は組み込まれた導電性メッシュで行うことができる。第1の電極502及び第2の電極506の各々のうちの1つが図5に示されているが、1つ以上の実施形態では、電極スタックは、間にセパレータ504を伴う、複数の各第1の電極502及び第2の電極506を含む。
【0058】
任意選択のフィードチャネル又はスペーサ121が、図1Dに示されるように、電気化学デバイスに存在し得る。フィードチャネル又はスペーサ121は、貫通流のためのより大きいフローチャネルを作製することができる。フィードチャネル又はスペーサ121の形態の非限定的な例は、ネット又はメッシュである。フィードチャネル又はスペーサ121用の材料の非限定的な例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0059】
電気めっき
本明細書に記載される電気化学デバイスを使用して、水溶液から標的イオン種を少なくとも部分的に除去又は還元することによって水溶液を精製する。水溶液の入力流は、例えば、産業用排水流又は住宅用水流である。入力流の水溶液は、標的イオン種の塩及び/又はイオンを含む。標的イオン種、例えば金属、の非限定的な例としては、銀(Ag)、銅(Cu)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、ハロゲン化物、例えば塩素(Cl)、ハロゲン化物誘導体、例えばクロラミン、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、クロムは、炭素系カソード112上でCr(III)に還元されるCr(VI)である。
【0060】
入力流中の標的種の開始濃度は、特定の種に応じて変化する。1つ以上の実施形態では、標的種の開始濃度(百万分率/ppm)は、0.1~約10,000百万分率である。他の実施形態では、標的種の開始濃度は、約0.1~約100百万分率である。
【0061】
電極セルスタックを有する電気化学デバイスは、電気コネクタ及び配線を介して電源に接続されており、コントローラが、電極に電位(E+又はE-)を印加する。電極の非対称性は、電極全体にわたる電圧分布を提供し、電圧分布は、電極での標的イオン種の種形成を制御する各電極での異なる電圧に等しい。炭素系カソードに負電位又は負電圧が印加され、金属系アノードに正電位又は正電圧が印加される。その結果、以下で詳細に説明されるように、標的イオン種の除去は、炭素系カソード上にめっきすることによって、主として生じることを強制することができる。印加電圧は、質量、面積、表面積、抵抗などの、電極の材料特性に従って、炭素系カソードと金属系アノードとの間で分割される。例えば、デバイスに1.6Vが印加される場合、炭素系カソードは、標準カロメル電極(SHE)に対して-0.9Vの印加電圧を有し得、金属系アノードは、SHEに対して+0.7Vの印加電圧を有し得る。
【0062】
電気化学デバイスに電圧/電位を印加すると、標的種は、電極への物理的吸着、電極への電気的吸引(容量的吸着)、電極上に固定化される新しい標的種(ファラデー反応)を直接的又は間接的に生成する電子移動反応を含む、様々なプロセスによって、水溶液から除去又は還元される。本明細書に記載される電気化学デバイスで使用される電気めっき(電着又はめっきとも称される)は、還元によって水溶液から標的種を除去して、炭素系カソード112上に固体鉛金属を形成する(すなわち、溶液中のPb2+をPb(固体)として電気めっきする)。印加電圧は、炭素系カソード112上で標的種の電気めっきをもたらすように選択される。
【0063】
標的種のプールベ図を使用して、電圧及びpH条件を選択し、炭素系カソード112上で標的種を電気めっきする。プールベ図は、特定の種に特有であり、pH(x軸)の関数として電位/電圧(y軸)を示す。プールベ図は、水性電気化学系における標的種の可能な安定(平衡)相を例示する。所望の印加電位(E)を選択及び印加して、炭素系カソード112(負電位が印加される電極)上の標的種を電気めっき(又は電着)する。水溶液中の各標的種のプールベ図を使用して、還元された固体として電気めっきすることによって、標的種が水溶液から(ファラデー反応によって)除去又は部分的に除去される動作条件(すなわち、電極電圧及びpH)を決定する。様々な標的種のプールベ図は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Pourbaix,Marcel,Atlas of Electrochemical Equilibria in Aqueous Solutions, Houston,TX,National Association of Corrosion Engineers,1974を含む、様々なソースから入手可能である。
【0064】
銅のプールベ図の例を図6に示す。優性なイオン境界は、線によって表され、したがって、プールベ図は、y軸上に電位(V)、x軸上にpHを有する、軸の異なるセットを有する標準位相図とほぼ同じように読み取られる。バルク水溶液は、Cu2+としての銅イオンを含み、これは、アルカリ性条件下で酸化されたときにCu(OH)(固体)及びCuO(固体)として固定化され、示された動作条件下で、カソード上でCu(固体)として電気めっきされる。特に、水平線によって例示されるように、-0.3Vの電圧を炭素系カソードに印加すると、pH(垂直線によって例示される)は、電位(水平線)との交差がそれらの条件下で存在する金属の種を表すように変調される。例えば、約-0.3V~約-0.4Vの印加電圧で、通常の水素電極(NHE)に対して、pH0~14のときに、銅(Cu(固体))がカソード上にめっきされる。
【0065】
他の標的種を、同様の機構の下であるが、異なる電圧領域の下で除去することができる。例えば、図7の鉛(Pb)のプールベ図は、0~14のNHE及びpH領域に対して、約-0.4Vよりも負の電位で、鉛がカソードで固体(Pb(固体))として電気めっきされることを示す。
【0066】
実施形態では、約0.6~約2.5ボルトのセル電位(ボルト(V))が電気化学デバイスに印加され、セル電位は、カソードとアノードとの間で分割される。他の実施形態では、約0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、及び2.5ボルト、又はおよそこれらの間の任意の範囲内のセル電位。
【0067】
カソードに負電位(E-)が印加され、アノードに正電位(E+)が印加される。アノード及びカソードの各々で電位(V)及びpHを測定し、動作条件(すなわち、印加電位)を調整して、近電極電位(すなわち、アノード電位)と、標的種が電気めっきされ、かつ水溶液から除去される条件に対応するpHと、を得る。電気化学セルは、炭素系カソードの水溶液からの標的イオン種の電気めっきをもたらすための好ましい条件下で維持される。以下の表1は、1つ以上の実施形態で使用される総印加セル電圧範囲を含む動作条件を示す。
【0068】
非対称電極構成及び最適化されたクリティカルな電極分離距離は、マンガン含有量が高い複合溶液からの銅除去中などのいくつかの用途では、電極分離距離が5,000マイクロメートルよりも大きい対称な全ての炭素電極デバイスと比較して、デバイスの性能及び寿命が拡張されるという予期しない利点を提供する。長期間の銅除去は、非対称な炭素及び金属電極デバイスにとって問題となり得るが、予想外に、本明細書に記載されるデバイスは、長期間にわたって高マンガンを有する溶液からの最適な銅除去を提供する。更に、典型的には、電極間の同じ分離距離を有し、かつ100%デューティサイクルで動作している(常にオン)全炭素デバイスは、約2~約4週間のみ持続し得る。対照的に、本明細書に記載されるデバイスは、同じ分離距離で)、100%デューティサイクル(常にオン)で約1~約3年の寿命を有する。
【表1】
【実施例
【0069】
実施例1:金属アノード及び炭素カソードを用いる金属分離
電気化学デバイスは、金属系アノード及び炭素系カソードを含む。アノードは、チタンメッシュ上にコーティングされた酸化チタン、酸化ルテニウム、及び酸化イリジウムの組み合わせから調製された混合金属酸化物アノードである。カソードは、炭素フェルトである。
【0070】
六価クロム(Cr(VI))、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)、及び銅(Cu)種を含む水性入力流を、以下の表2に示される流量(ガロン毎分、gpm)、電圧(V)、及びpHを使用して、電気化学デバイスに流入させた。各標的種の百万分率(ppm)での濃度を、処理前(入力)及び処理後(出力)の流れで測定した。表2に示されるように、デバイス性能は、ppm範囲の高濃度の金属を除去するために必要とされる電流を、ppb範囲のトレースレベルに低く維持することによって、長期間にわたって維持された。系の長期的な安定性を実証するために、1~4時間の期間、及び0.25~6ヶ月の期間を使用した。
【表2】
【0071】
本発明の様々な実施形態が、関連する図面を参照して本明細書に記載される。代替実施形態を、本発明の範囲から逸脱することなく想到することができる。様々な接続及び位置関係(例えば、上方、下方、隣接など)が、以下の説明及び図面の要素間に記載されているが、当業者は、配向が変更されても記載された機能性が維持される場合に、本明細書に記載される位置関係の多くが配向に依存しないことを認識するであろう。これらの接続及び/又は位置関係は、別段の指定がない限り、直接的又は間接的であり得、本発明は、この点で限定することを意図するものではない。したがって、実体の結合は、直接的な結合又は間接的な結合のいずれを指すこともでき、実体間の位置関係は、直接的又は間接的な位置関係であり得る。間接的な位置関係の例として、本説明における層「B」上に層「A」を形成することへの言及は、層「A」及び層「B」の関連する特性及び機能性が中間層(複数可)によって実質的に変更されない限り、1つ以上の中間層(例えば、層「C」)が層「A」と層「B」との間にある状況を含む。
【0072】
特許請求の範囲及び明細書の解釈には、以下の定義及び略語を使用する。本明細書で使用される場合、「含む/備える(comprises)」、「含む/備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有する(contains)」又は「含有する(containing)」、又はそれらの任意の他の変形は、非排他的包含に及ぶことを意図するものである。例えば、要素の列挙を含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるわけではなく、明示的に列挙されていないか、又はそのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、又は装置に固有ではない他の要素を含むことができる。
【0073】
追加的に、「例示的」という用語は、本明細書で使用されると、「一例、一事例、又は一例示としての役割を果たすこと」を意味する。「例示的」として本明細書に記載される任意の実施形態又は設計は、必ずしも、他の実施形態又は設計よりも好ましいもの又は有利なものと解釈されるものではない。「少なくとも1つ」及び「1つ以上」という用語は、1以上の任意の整数、すなわち、1、2、3、4などを含むと理解される。「複数の」という用語は、2以上の任意の整数、すなわち、2、3、4、5などを含むと理解される。「接続」という用語は、間接的な「接続」及び直接的な「接続」を含むことができる。
【0074】
本明細書における「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」などへの言及は、記載される実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含み得るが、あらゆる実施形態が、特定の特徴、構造、又は特性を含んでもよいし、必ずしも含まなくてもよい。更に、そのような句は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性が実施形態に関連して記載されるとき、明示的に記載されるかどうかにかかわらず、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、又は特性に影響を与えることは、当業者の知識の範囲内であることが提示される。
【0075】
以下の説明の目的で、「上側」、「下側」、「右」、「左」、「垂直の」、「水平の」、「最上部」、「最下部」という用語、及びそれらの派生語は、図面で配向されるように、記載される構造及び方法に関するものとする。「上に重なる」、「頂上に」、「上に」、「上に位置付けられた」、「の上に」、又は「頂上に位置付けられた」という用語は、第1の構造などの第1の要素が、第2の構造などの第2の要素上に存在することを意味し、ここで、インターフェース構造などの介在要素が、第1の要素と第2の要素との間に存在し得る。「直接的な接触」という用語は、第1の構造などの第1の要素、及び第2の構造などの第2の要素が、2つの要素の界面で中間伝導層、絶縁層、又は半導体層なしで接続されることを意味する。
【0076】
「約」、「実質的に」、「およそ」、及びそれらの変形は、出願時に利用可能な機器に基づいて、特定の量の測定に関連付けられた誤差の程度を含むことを意図するものである。例えば、「約」は、所与の値の±8%又は5%、又は2%の範囲を含み得る。
【0077】
図中のフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態による製造及び/又は動作方法の可能な実装態様を例示するものである。本方法の様々な機能/動作は、フロー図においてブロックによって表される。いくつかの代替実装態様では、ブロックに記載された機能は、図に記載された順序から外れて発生し得る。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行され得るか、又はブロックは、関与する機能性に応じて、時には逆の順序で実行され得る。
【0078】
以下の特許請求の範囲において、全てのミーンズプラスファンクション又はステッププラスファンクション要素の、対応する構造、材料、動作、及び均等物は、具体的に特許請求された他の特許請求された要素と組み合わせてその機能を行うための、あらゆる構造、材料、又は行為を含むことを意図している。本発明の説明は、例示及び説明の目的で提示されているが、網羅的であること又は開示された形態の発明に限定されることを意図するものではない。多くの修正及び変形が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかになるであろう。本発明の原理及び実際の用途を最良に説明し、想到される特定の使用に適するように様々な修正を加えた様々な実施形態について本発明を他の当業者が理解することを可能にするために、本実施形態を選択し、かつ説明した。
【0079】
本発明の好ましい実施形態が記載されているが、当業者は、現在及び将来の両方で、以下に続く特許請求の範囲内に入る様々な改善及び改良を行ってもよいことが理解されるであろう。この特許請求の範囲は、最初に記述された本発明の適正な保護を維持するように解釈されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
【国際調査報告】