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特表2024-544796研磨済みウェハ上の欠陥を減少させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-04
(54)【発明の名称】研磨済みウェハ上の欠陥を減少させる方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
H01L21/304 651H
H01L21/304 647A
H01L21/304 651G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538485
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 US2022052982
(87)【国際公開番号】W WO2023121944
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/292,511
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514251329
【氏名又は名称】フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フー、ピン
(72)【発明者】
【氏名】トゥオン、ビン
(72)【発明者】
【氏名】バレストロス、カール
(72)【発明者】
【氏名】リャン、ヤンナン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヒョサン
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA96
5F157BD26
5F157BD27
5F157BF22
5F157BF23
5F157BF49
5F157BF55
5F157BF59
5F157BF72
5F157CB14
5F157CB28
5F157DB33
5F157DC90
(57)【要約】
本開示は、研磨組成物を基板の表面に付与すること;前記基板の前記表面にパッドを接触させて、前記基板に対して前記パッドを動かして研磨済み基板を作製すること;前記研磨済み基板をリンス溶媒で処理すること;前記研磨済み基板上の前記リンス溶媒と空気との間の界面に形成されたメニスカスの上に蒸気を流すこと、を含む方法に関する。前記蒸気は、水混和性有機溶媒を含む第1の成分、洗浄剤を含む第2の成分、及び不活性ガスを含む第3の成分を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨組成物を基板の表面に付与すること;
前記基板の前記表面にパッドを接触させて、前記基板に対して前記パッドを動かして研磨済み基板を作製すること;
前記研磨済み基板をリンス溶媒で処理すること;及び
前記研磨済み基板上の前記リンス溶媒と空気との間の界面に形成されたメニスカスの上(over)に蒸気(vapor)を流すこと;
を含み、
前記蒸気は、水混和性有機溶媒を含む第1の成分、洗浄剤(cleaning agent)を含む第2の成分、及び不活性ガスを含む第3の成分を含む、
方法。
【請求項2】
前記第1の成分は、20℃での蒸気圧が約1kPa~約250kPaである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の成分は、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、n-メチルピロリドン、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸イソペンチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の成分が、窒素を含む有機塩基である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記有機塩基が、約150g/mol以下の分子量を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記有機塩基が、圧力1atmにおいて約30℃~約170℃の沸点を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の成分は、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、1-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、モルホリン、ピペリジン、3-メトキシプロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記不活性ガスを凝縮物(concentrate)と混合して前記蒸気を形成することをさらに含み、
前記凝縮物は、前記第1の成分及び前記第2の成分を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の成分は、前記凝縮物の約0.001重量%~約5重量%である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記凝縮物は、前記蒸気の約0.001重量%~約90重量%である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記不活性ガスが、窒素、ヘリウム、アルゴン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記リンス溶媒が水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記蒸気が、1分あたり約0.01~約50標準リットル(standard liter)の流量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記研磨済み基板をリンス溶媒で処理することが、前記リンス溶媒を含むリンス浴中へと前記研磨済み基板を配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記蒸気を流しながら、前記リンス浴から前記研磨済み基板を取り出すことをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記研磨済み基板を前記リンス浴から取り出しながら、前記蒸気が、前記リンス浴と空気との界面に形成されたメニスカス上に流され、そして前記蒸気は、前記研磨済み基板から前記リンス溶媒が除去される方向に流される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記蒸気を流すことは、前記メニスカス上に前記蒸気をスプレーすることにより行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記基板から半導体デバイスを形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は研磨済みウェハ上の欠陥を減少させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願への相互参照
本願は、2021年12月22日に出願された米国仮出願番号63/292,511からの優先権を主張し、該米国仮出願の内容はその全体が参照により本開示に取り込まれる。
半導体デバイスのジェオメトリーが減少し続けるのとともに、超清浄な処理の重要性が増すが、これは、少量の汚染物(contaminants)/残渣であってもデバイス性能に甚大な影響を与えうるからである。他の処理ステップと比べると、化学的機械研磨/平坦化(CMP)は高度に汚染をもたらすプロセスである。なぜなら、基板は研磨剤(無機粒子)及び基板表面に働く化学成分を含む研磨組成物と接触させられるが、それらはどちらも残渣/汚染物を後に残しうるからである。液(fluid)タンク(又は浴)内での、続いてリンス浴(例えば、別個のタンク内、又は洗浄タンク液を交換することによる)での、CMP後(pCMP)及び/又は水性洗浄を、研磨ステップ後の欠陥を除去する試みのために用いてもよい。リンス浴から取り出した後に、乾燥装置を用いなければ、浴液は基板表面から蒸発して、基板の表面上にスジ、斑点を生じ及び/又は浴残渣を残す。そのようなスジ(streaking)、斑点(spotting)及び残渣は、後のデバイス故障を引き起こしうる。したがって、基板が水性浴から取り出される際に基板を乾燥させる改善した方法について、多くの注意が向けられてきた。さらに、リンス浴の前になされる水性洗浄ステップ(例えば、CMP後洗浄、及び/又は水性洗浄タンクを用いる)は、ウェハ上に行われたCMPプロセスから残留した有機又は無機の残渣を十分に洗浄しないおそれがある。
【0003】
マランゴニ乾燥として知られる方法(表面張力勾配乾燥又はIPA蒸気乾燥とも称される)は、表面張力勾配を作製して、基板に浴液が実質的に存在しないようになるよう基板から浴液が流れることを誘導し、それによりスジ、斑点及び残渣痕を回避しうる。
【0004】
基板の均一なマランゴニ乾燥を達成することは困難であり得、場合によっては、研磨後洗浄ステップ後に残っているおそれのある汚染に加えて、浴液由来の粒子が基板に再付着し得、それにより基板を汚染しうる。したがって、基板リンス及び/又は乾燥の間に欠陥を減少させる方法は、半導体産業にとって有用でありうる。
【発明の概要】
【0005】
この概要記載は、詳細な説明においてさらに後述される概念から選抜したものを紹介するために設けられている。この概要記載は、特許請求の範囲に記載の主題の重要又は必須の特徴を特定することを意図したものではなく、また、特許請求の範囲に記載の主題の範囲を限定することの助けとして用いられることを意図したものでもない。
【0006】
1つの態様では、本開示は、(1)研磨組成物を基板の表面に付与すること;(2)前記基板の前記表面にパッドを接触させて、前記基板に対して前記パッドを動かして研磨済み基板を作製すること;(3)前記研磨済み基板をリンス溶媒で処理すること;及び(4)前記研磨済み基板上の前記リンス溶媒と空気との間の界面に形成されたメニスカスの上(over)に蒸気(vapor)を流すこと;を含む方法を主題とする。前記蒸気は、水混和性有機溶媒を含む第1の成分、洗浄剤(cleaning agent)を含む第2の成分、及び不活性ガスを含む第3の成分を含んでいてもよい。
【0007】
特許請求の範囲に記載された主題のその他の態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかなものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
・詳細な説明
本開示に開示された実施形態は、概して、基板を研磨し、そして前記研磨済み基板(例えば、研磨済み半導体基板)を乾燥させる方法に関する。上記のとおり、先進の半導体部品におけるフィーチャサイズの継続的な小型化と共に、その製造に関与する多数の製造ステップの最中における半導体基板上の欠陥の最小化は、より高い重要性を有するものとなっている。この増大した重要性は、CMP後洗浄分野における相次ぐ活動を促進し、そして、研磨機の研磨プラテンから研磨済み基板が取り外された後に一般に行われるブラシボックス洗浄のために新たな洗浄剤調製物が開発され、また、研磨済み基板が依然として研磨プラテン上にある間に、含まれる研磨剤が実質的にゼロの調製物で前記研磨済み基板を「バフ研磨」(buffing)する方法への関心が生じた。しかし、以上のステップを全て行った後でさえ、残渣/汚染物(例えば、有機残渣、パッド残渣、無機/研磨剤残渣)が研磨済み基板上に依然として一般に存在する。
【0009】
これらのしつこい汚染物を減少させそしてそれによって研磨済み基板のデバイス収率を向上させるために、本願発明者は、典型的には研磨済み基板がCMP及びCMP後(pCMP)洗浄の種々のステージによって処理された後に行われる最終ステップである、基板乾燥ステップ(例えば、蒸気乾燥ステップ)において用いられる揮発性蒸気に洗浄剤(cleaning agent)を加えることを含む方法を開発した。いくつかの実施形態では、蒸気乾燥ステップは、研磨済み基板上の前記リンス浴若しくは溶媒と空気との間の界面に形成されたメニスカスにおける蒸気の働きによって、水性リンス溶液が研磨済み基板から乾燥除去される(上記)マランゴニ乾燥を含む。いくつかの実施形態では、洗浄剤に加えて、蒸気は窒素ガスとイソプロピルアルコール(IPA)との混合物を含んでもよい。また、IPA以外の化合物は、蒸気それ自体に由来する残渣/汚染物のおそれがないことにつながる高い蒸気圧を前記化合物が有するのであれば、選択してもよい。
【0010】
意義あることに、本願発明者は、蒸気混合物に洗浄剤としての揮発性アミン化合物を加えることが、マランゴニ乾燥ステップ後に研磨済みウェハ上に観察される欠陥の量を驚くべきことに減少させることができることを見いだした。本発明の1つの特色ある態様は、マランゴニ蒸気乾燥の前に研磨済み基板と接触する溶液(例えば、CMP研磨液、pCMP洗浄液、リンス液、等々)の全て、若しくは実質的に全て、が水性であり、一方、マランゴニ乾燥に用いられる蒸気が有機系蒸気(例えば、窒素ガス及び揮発性有機化合物を含む)であって、これによって、高い基板洗浄能力を有しうるが水性溶液とは非混和性(つまり、不溶性又は難溶性(minimally soluble))である有機化合物の実施が可能となる。さらに、洗浄剤を蒸気混合物に加えることは、基板のマランゴニ乾燥を利用する任意の用途(例えば、リンス浴の代わりに滝型(waterfall)装置を用いる用途)において用いることができる。
【0011】
1つ又はそれ以上の数の実施形態では、本開示の方法は、研磨組成物を基板の表面に付与すること、前記基板の前記表面にパッドを接触させて、前記基板に対して前記パッドを動かして研磨済み基板を作製すること、前記研磨済み基板をリンス溶媒で処理すること、及び前記研磨済み基板上の前記リンス溶媒と空気との間の界面に形成されたメニスカスのところに蒸気(vapor)を流すことを含み、ここで、前記蒸気は、水混和性有機溶媒を含む第1の成分、洗浄剤(cleaning agent)を含む第2の成分、及び不活性ガスを含む第3の成分を含む。1つ又はそれ以上の数の実施形態では、前記方法は、前記第1の成分及び前記第2の成分を含む凝縮物(concentrate)と前記不活性ガスを混合して前記蒸気を形成することをさらに含む。
【0012】
一般に、研磨される前記基板は限定されず、以下の材料のうちのいずれを含んでもよい:ケイ素酸化物(例えば、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、高密度プラズマ酸化物(HDP)、高アスペクト比プロセス酸化物(HARP)、又はホウリンケイ酸ガラス(BPSG))、スピンオンフィルム(例えば、無機粒子ベースのフィルム、又は架橋性(cross-linkable)炭素ポリマーベースのフィルム)、ケイ素窒化物、ケイ素炭化物、高K誘電体(例えば、ハフニウム、アルミニウム、又はジルコニウムの金属酸化物)、シリコン(例えば、ポリシリコン、単結晶シリコン、又はアモルファスシリコン)、カーボン、金属(例えば、タングステン、銅、コバルト、ルテニウム、モリブデン、チタン、タンタル、又はアルミニウム)、金属窒化物(例えば、チタン窒化物又はタンタル窒化物)、及びこれらの混合物又は組み合わせ。研磨プロセスのために用いられる研磨組成物は、研磨対象の基板のタイプに応じて変動しうるが、一般的には、所望の研磨結果に適合した研磨粒子及び化学添加剤(例えば、防錆剤、界面活性剤、水溶性ポリマー、酸化剤、及び酸若しくは塩基などのpH調整剤)の水性分散物を含む。
【0013】
研磨プロセスが完了した後に、研磨済み基板はリンス溶媒で処理してよい。いくつかの実施形態では、研磨済み基板は、少なくとも1種の(例えば2種又は3種の)リンス溶媒を含むリンス浴中へと配置若しくは浸漬されてもよく、それによって、研磨済み基板から汚染物/残渣を除去してもよい。リンス溶媒の一例は水(例えば、脱イオン水)である。いくつかの実施形態では、リンス浴は、リンス溶媒に加えて添加剤(例えば、水溶性洗浄添加剤の混合物)を含んでもよい。1つ又はそれ以上の数の実施形態では、研磨済み基板は、リンス溶媒で処理される前に、CMP後(pCMP)洗浄ステップを受けてもよい。例えば、研磨済み基板は、リンス溶媒で処理される前に、ブラシボックス処理及び/又は水性洗浄浴溶液などのpCMP洗浄を受けてもよい。
【0014】
1つ又はそれ以上の数の実施形態では、研磨済み基板がリンス浴で洗浄された後に、研磨済み基板は、リンス浴から研磨済み基板を引き上げること又は研磨済み基板を過ぎるようにリンス浴を排水することのいずれによって(リンス溶媒を含む)リンス浴から取り出してもよい。1つ又はそれ以上の数の実施形態では、研磨済み基板は、蒸気を研磨済み基板上に(例えば、研磨済み基板上のリンス浴と空気との界面に形成されたメニスカス上に)流しながら(例えば、スプレーしながら)リンス浴から取り出されてもよい。1つ又はそれ以上の数の実施形態では、蒸気は、1つ又はそれ以上の数のスプレーノズルを用いることによって研磨済み基板上にスプレーされてもよい。1つ又はそれ以上の数の実施形態では、蒸気は、研磨済み基板からリンス浴が除去される方向に流されてもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、蒸気はリンス浴の表面に沿って吸収されうると考えられ、ここで、吸収された蒸気の濃度は、リンスバスの本体(bulk)よりもメニスカスの先端において高いと考えられる。前記蒸気は水よりも低い表面張力を有するため、吸収された蒸気の濃度がより高ければ、リンス浴の本体(bulk)よりもメニスカスの先端において表面張力が低いことになり、このことはひいては、リンス浴が乾燥メニスカスからリンス浴の本体(bulk)へと向かって流れるようにさせる。理論に拘束されることを望むものではないが、そのような蒸気乾燥プロセスは、基板上におけるスジ(streaks)、斑点(spotting)、又は浴残渣を顕著に減少させることができると考えられる。さらに、従来の蒸気乾燥プロセスと比べると、本開示に記載された蒸気乾燥プロセスは、洗浄剤をウェハに直接付与し、このことは、ウェハが抜き取られる最中又はリンス浴がウェハから除去される際の、粒子及び/又は残渣の再付着の可能性を減少させる。
【0015】
1つ又はそれ以上の数の実施形態では、本開示に記載の蒸気は、水混和性有機溶媒を含む第1の成分、洗浄剤(cleaning agent)を含む第2の成分、及び不活性ガスを含む第3の成分を含んでよい。
【0016】
1つ又はそれ以上の数の実施形態では、第1の成分(つまり、水混和性有機溶媒)は20℃における蒸気圧が約1kPa以上(例えば、約2kPa以上、約5kPa以上、約10kPa以上、約20kPa以上、約40kPa以上、約50kPa以上、約60kPa以上、約80kPa以上、若しくは約100kPa以上)及び/又は約250kPa以下(例えば、約240kPa以下、約220kPa以下、約200kPa以下、約180kPa以下、約160kPa以下、約150kPa以下、約140kPa以下、約120kPa以下、又は約100kPa以下)である。理論に拘束されることを望むものではないが、上記の範囲内の蒸気圧を有する水混和性有機溶媒は、先に(previously)水性リンス浴と接触した基板を乾燥させるために必要な乾燥効果を達成するのに必要な特性を有していると考えられる。1つ又はそれ以上の数の実施形態では、第1の成分は、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、又はこれらの混合物を含んでいてもよい。1つ又はそれ以上の数の実施形態では、第1の成分は、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、n-メチルピロリドン、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸イソペンチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0017】
1つ又はそれ以上の数の実施形態では、本開示に記載の蒸気中の第2の成分(つまり洗浄剤)は、少なくとも1個の(例えば2個又は3個の)窒素原子を含む少なくとも1種の(例えば2種又は3種の)有機塩基を含んでいてもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、この一般的記載に適合する化合物は、先に(previously)水性リンス溶媒と接触した基板を乾燥させるのに用いられる蒸気内に存在する場合、洗浄剤として働き得ると考えられる。1つ又はそれ以上の数の実施形態では、第2の成分は、アミン(例えば、アルキルアミン又は環状アミン)、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、ピペリジン、グアニジン、モルホリン、又はこれらの混合物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の成分は、1個~6個(例えば、2個、3個、4個、又は5個)の炭素原子を有する有機塩基を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の成分は、任意に少なくとも1個の(例えば2個又は3個の)酸素原子を含んでいてもよい。第2の成分の好適な例としては、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、1-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、モルホリン、ピペリジン、3-メトキシプロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、及びこれらの混合物が挙げられる。1つ又はそれ以上の数の実施形態では、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0018】
1つ又はそれ以上の数の実施形態では、本開示に記載の蒸気中における第2の成分は、圧力1atmにおいて、約30℃以上(例えば、約35℃以上、約40℃以上、約50℃以上、約60℃以上、約70℃以上、約80℃以上、約90℃以上、又は約100℃以上)~約170℃以下(例えば、約165℃以下、約160℃以下、約150℃以下、約140℃以下、約130℃以下、約120℃以下、約110℃以下、約110℃以下)の沸点を有していてもよい。1つ又はそれ以上の数の実施形態では、第2の成分は、約50g/mol以上(例えば、約60g/mol以上、約70g/mol以上、約80g/mol以上、約90g/mol以上、約100g/mol以上)~約150g/mol以下(約140g/mol以下、約130g/mol以下、約120g/mol以下、約110g/mol以下、又は約100g/mol以下)の分子量を有していてもよい。
【0019】
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示に記載の方法において洗浄剤を含む蒸気を用いることは、そのような洗浄剤を含まない蒸気を用いることに比べて、研磨済み基板上の欠陥(例えば、残渣及び/又は汚染物、例えば有機残渣、パッド残渣、及び/又は無機若しくは研磨剤残渣)の量を顕著に減少させることができると考えられる。
【0020】
1つ又はそれ以上の数の実施形態では、本開示に記載の蒸気は、第1の成分と第2の成分とを含む凝縮物と不活性ガスとを混合することによって形成することができる。1つ又はそれ以上の数の実施形態では、第2の成分は、前記凝縮物の約0.001重量%以上(例えば、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.5重量%以上、又は約1重量%以上)~約5重量%以下(例えば、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、又は約0.1重量%以下)であってもよい。1つ又はそれ以上の数の実施形態では、第1の成分は、前記凝縮物の約95重量%以上(例えば、約96重量%以上、約97重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上、約99.5重量%以上、又は約99.9重量%以上)~約99.999重量%以下(例えば、約99.99重量%以下、約99.9重量%以下、約99.5重量%以下、約99重量%以下、約98重量%以下、又は約96重量%以下)であってもよい。
【0021】
1つ又はそれ以上の数の実施形態では、前記凝縮物は、本開示に記載の蒸気の約0.001重量%以上(例えば、約0.01重量%以上、約0.1重量%以上、約1重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、又は約50重量%以上)~約90重量%以下(例えば、約80重量%以下、約70重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、又は約10重量%以下)であってもよい。
【0022】
1つ又はそれ以上の数の実施形態では、本開示に記載の蒸気中における第3の成分は、窒素、ヘリウム、アルゴン、及びこれらの混合物からなる群から選択される不活性ガスを含んでもよい。1つ又はそれ以上の数の実施形態では、不活性ガスは、本開示に記載の蒸気の約10重量%以上(例えば、約20重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、約90重量%以上、又は約95重量%以上)~約99.999重量%以下(例えば、約99.99重量%以下、約99.9重量%以下、約99.5重量%以下、約99重量%以下、約98重量%以下、約95重量%以下、約90重量%以下、約80重量%以下、約70重量%以下、約60重量%以下、又は約50重量%以下)であってもよい。
【0023】
1つ又はそれ以上の数の実施形態では、蒸気の流量は、1分あたり約0.01以上(例えば、約0.05以上、約0.1以上、約0.5以上、約1以上、約5以上、約10以上、約15以上、約20以上、又は約25以上)標準リットル(standard liter)~1分あたり約50以下(例えば、約45以下、約40以下、約35以下、約30以下、約25以上、約20以上、約15以上、約10以上、又は約5以上)標準リットルであってもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、蒸気の流量が1分あたり50標準リットルを超えると、蒸気はメニスカス上に均一なコーティングを形成しないおそれがあり、使用される蒸気の量が大きくなるために乾燥プロセスのためのコストが高くなりすぎるおそれがあると考えられる。一方、理論に拘束されることを望むものではないが、蒸気の流量が1分あたり0.01標準リットル未満であると、蒸気が十分な欠陥減少効果を生じないおそれがあると考えられる。
【0024】
1つ又はそれ以上の数の実施形態では、本開示に記載の蒸気乾燥方法は、蒸気に洗浄剤を含まないようにした同様の方法と比べて欠陥カウントを10%以上減少させることができる。欠陥減少は、研磨済み基板をリンス溶媒及び本開示に記載の蒸気乾燥方法に供する前及び後に、研磨済み基板上の総欠陥カウント(TDC;これは、粒子、ひっかき傷(scratches)、有機残渣、腐食痕(corrosion marks)、ウォーターマーク、及び/又はチャタマーク(chatter marks)を含み得る)を測定することによって評価することができる。
【0025】
1つ又はそれ以上の数の実施形態では、本開示に記載の方法は、本開示に記載の方法によって処理された研磨済み基板から、1つ又はそれ以上の数の追加的ステップを通して、半導体デバイスを製造することをさらに含んでもよい。例えば、フォトリソグラフィー、イオン注入、ドライ/ウェットエッチング、プラズマエッチング、堆積(例えば、PVD、CVD、ALD、ECD)、ウェハマウンティング、ダイカッティング、パッケージング、及びテスティングを、本開示に記載の方法によって処理された基板から半導体デバイスを製造するために用いてもよい。
【0026】
●実施例
【0027】
●実施例1
【0028】
この実施例では、ブランケットポリシリコンウェハを、まず、Reflexion装置で同じ条件(例えば、スラリー、ダウンフォース、パッド、等々)下で研磨した。研磨プロセスの後に、ウェハを、post-CMP Desica(登録商標)クリーナーユニットに含まれる蒸気乾燥モジュールに移し(つまり、ブラシスクラビングは行わなかった)、そこでウェハは脱イオン水リンス浴に浸漬され、その後に、リンス浴の脱イオン水と空気との間の界面においてポリシリコンウェハ上に形成されたメニスカス上に蒸気を流しながら、ウェハをリンス浴から抜き取った。蒸気乾燥に用いられた蒸気の組成は、蒸気乾燥プロセスの際における蒸気に洗浄添加剤を添加することの効果を決定するために、変動させた。具体的には、比較例の蒸気は、イソプロピルアルコールのみを含む凝縮物から形成した。実施例1の蒸気は、イソプロピルアルコールと、分子量が100g/mol未満のアルキルアミン0.2重量%とを含む凝縮物から形成した。実施例2の蒸気は、イソプロピルアルコールと環状アミン含有化合物とを含む凝縮物から形成した。3つの蒸気は全て、窒素(これは不活性ガスキャリアとして働く)と凝縮物を混合することによって、同じ条件下で形成した。試験された3つの組成物各々の洗浄効率(つまり、研磨直後の総欠陥カウント(TDC)と蒸気乾燥直後のTDCとに基づく欠陥の減少%)を以下の表1に示す。
【表1】
【0029】
結果は、洗浄添加剤を従来用いられていたイソプロピルアルコールに添加することで、研磨済みポリシリコンウェハ上の総欠陥カウント(TDC)が顕著に減少したことを示している。
【0030】
少数の例示的な実施形態のみを上で詳細に説明したが、本発明から実体的に逸脱すること無しに、該例示的実施形態において多くの改変が可能であることを当業者は容易に理解することであろう。したがって、そのような改変は全て、以下の特許請求の範囲によって規定される本開示の範囲の範囲内に含まれることが意図されている。
【国際調査報告】