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  • 特表-無菌輸送ケージ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】無菌輸送ケージ
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/03 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A01K1/03 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576075
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 KR2022018160
(87)【国際公開番号】W WO2024106566
(87)【国際公開日】2024-05-23
(31)【優先権主張番号】10-2022-0152170
(32)【優先日】2022-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522478444
【氏名又は名称】ゲンビイオ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソンジュ
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA04
2B101BB05
2B101FA07
2B101GA01
(57)【要約】
本発明は、無菌輸送ケージに関するものであって、内部が空の直方体状に形成されているチャンバ;前記チャンバの上部に設置され、前記チャンバ内に空気を供給する、または前記チャンバ内の空気を排気する給排気部;前記チャンバの下部に設置されたキャスターを含む移動部を含むことを特徴とする。このような本発明は、腐食や汚染に強くて消毒殺菌が可能であり、異種移植用原料ブタなどの無菌動物の輸送中、外気との接触を遮断し、特定病原体の制御環境を維持することができる効果がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が空の直方体状に形成されたチャンバ;
前記チャンバの上部に設けられ、前記チャンバ内に空気を供給する給気ファンと、チャンバ内部の空気を排出させる排気ファンとを備える給排気部;
前記チャンバの下部に設けられたキャスターを備える移動部;および
前記チャンバの前方および後方に結合され、前記チャンバを把持するための取っ手を含み、
前記チャンバは、前記チャンバの前方にヒンジ結合され、前記チャンバを開閉させる前面扉と、前記チャンバの後方にヒンジ結合され、前記チャンバを開閉する背面扉とを備え、前記前面扉および背面扉は、前記チャンバを閉鎖させた状態で前記チャンバ内部を密閉させ、
前記給排気部は、前記給気ファンおよび前記排気ファンの下部に設けられ、空気を濾過するための第1のフィルタと、前記チャンバ内部および外部の圧力を測定するための圧力計とをさらに備えることを特徴とする無菌搬送ケージ。
【請求項2】
前記給排気部は
前記圧力計によって測定された前記チャンバ内および外部の圧力によって前記給気ファンおよび前記排気ファンの風速および風量を制御する制御部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の無菌搬送ケージ。
【請求項3】
前記移動部は
地面に当接して前記チャンバの動きを防止するストッパをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の無菌輸送ケージ。
【請求項4】
前記移動部は
排気部に電源を供給する無停電電源装置をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の無菌搬送ケージ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定病原体の制御飼育施設(Designated Pathogen Free Facility)で飼育する異種移植用原料ブタまたは他の無菌動物を、施設外へ移動する際または無菌飼育区域内で移動する際、外部との遮断、特に外気と直接接触することを遮断することにより、特定病原体の制御環境を維持し、輸送中の汚染を遮断できる無菌輸送ケージに関する。
【背景技術】
【0002】
異種移植用原料ブタなどの無菌動物は、特定病原体の制御飼育施設で飼育しなければならず、厳格な飼育管理と定期検査を通じて特定病原体の制御が行われていることを確認しなければならない。異種移植用原料ブタの機関間の移動が必要な場合は、輸送中の汚染について念頭に置く必要があり、少なくとも異種移植用原料ブタが飼育されている環境と同等レベルの環境を維持しながら移動しなければならない。また、クリーンな飼育区域内で感染に晒された動物が発生した場合、他の飼育区域への交差汚染を防止するために、外気との接触を遮断して移動しなければならない。
しかし、現在のところ原料動物を輸送するための無菌輸送ケージが活用されていない状況である。
同様の従来技術として、無菌動物飼育または手術のためのアイソレータがあるが、こうしたアイソレータは、無菌動物の飼育または手術に必要な各種装置が複雑に備え付けられているので、無菌動物の輸送に適していない短所がある。
また、従来の飼育または手術用アイソレータは、外部の他の設備に接続される構造物が多数備え付けられているので、長距離、長時間にわたる独自の移動ができないという問題がある。
したがって、無菌ブタを輸送するための無菌輸送ケージの開発が求められているのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記のような問題を解決するために、本発明は、異種移植用原料ブタまたは無菌動物の輸送中の病原体の汚染を遮断し、特定病原体の制御飼育施設と同様の環境を維持することができる無菌輸送ケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記の発明の目的を達成するために、本発明は、腐食および汚染に強くて、殺菌消毒が可能な材質を用いており、外気と完全に遮断される内部空間(チャンバ)とヘパフィルター(HEPA filter)およびプレフィルター(pre-filter)と給排気装置を用いて内部空間にクリーンな空気を供給できるように設計し、無停電電源装置を通じて、移動中、十分な電力を供給できるように設計した。
具体的には、本発明は、内部が空の直方体状に形成されたチャンバ;該チャンバの上部に設けられ、前記チャンバ内へ空気を供給する、または、前記チャンバ内の空気を排気する給排気部;および前記チャンバの下部に設けられるキャスターを備える移動部を含むことを特徴とする。
また、前記チャンバは、前記チャンバの前方にヒンジ結合され、前記チャンバを開閉させる前面扉と、前記チャンバの後方にヒンジ結合され、前記チャンバを開閉させる背面扉とを備え、前記前面扉および前記背面扉は、前記チャンバを閉鎖させた状態で、前記チャンバ内部を密閉させることを特徴とする。
また、前記チャンバの前方および後方には、前記チャンバを把持するための取っ手が設けられていることを特徴とする。
また、前記給排気部は、前記チャンバ内部へ空気を供給する給気ファンと、前記チャンバの内部の空気を排出させる排気ファンとを備え、前記給気ファンおよび前記排気ファンの下部には空気を濾過するための第1のフィルタが備えられることを特徴とする。
また、前記給排気部は、前記チャンバの内部および外部の圧力を測定するための圧力計を備えていることを特徴とする。
また、前記給排気部は、前記圧力計によって測定された前記チャンバ内部および外部の圧力によって、前記給気ファンおよび前記排気ファンの風速および風量を制御する制御部を備えることを特徴とする。
また、前記制御部は、前記給気ファン、前記排気ファンの風速、および風量の制御により、前記チャンバ内部の圧力を陽圧または陰圧に設定することにより、前記チャンバ内に収容される動物の状態によって陽圧隔離または陰圧隔離が可能であることを特徴とする。
また、前記移動部は、地面に当接し、前記チャンバが動くのを防止するストッパを備えることを特徴とする。
また、前記移動部は、前記給排気部に電源を供給する無停電電源装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、腐食や汚染に強くて消毒殺菌が可能であり、異種移植用原料ブタなどの無菌動物の輸送中、外気との接触を遮断し、特定病原体の制御環境を維持することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の好ましい実施形態による無菌輸送ケージの正面図である。
図2】本発明の好ましい実施形態による無菌輸送ケージの背面図である。
図3】本発明の好ましい実施形態による無菌輸送ケージの側面図である。
図4】本発明の好ましい実施形態による無菌輸送ケージの平面図である。
図5】本発明の好ましい実施形態による無菌搬送ケージの前面扉および後面扉が解放された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付の図面を参照し、本発明の実施形態を詳細に説明する。まず、各図面の構成要素に参照符号を添加するに際、同一の構成要素については、他の図面に表示しても、できるだけ同一符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の要旨を不明瞭にすると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。さらに、以下で本発明の好ましい実施形態を説明するが、本発明の技術的思想はこれに限定または制限されず、当業者によって実施され得ることは言うまでもない。
図1は、本発明の好ましい実施形態による無菌輸送ケージの正面図であり、図2は、本発明の好ましい実施形態による無菌輸送ケージの背面図であり、図3は、本発明の好ましい実施形態による無菌輸送ケージの背面図である。また、図4は、本発明の好ましい実施例による無菌搬送ケージの平面図であり、図5は、本発明の好ましい実施形態による無菌搬送ケージの前面扉および後面扉が解放された状態を示す図である。
以下、図1図5を参照して、本発明の好ましい実施形態による無菌輸送ケージ10について説明する。
本発明の好ましい実施形態に係る無菌輸送ケージ10は、腐食および汚染に強くて殺菌消毒が可能なステンレス鋼(SUS)材質を用いた外気と完全に遮断されるチャンバ100と、制御部250により調整可能で、且つヘパフィルタおよびプレフィルタが装着された給排気部200と、移動中、電源が供給されなくても作動可能にする無停電電源装置330を備えた移動部300とを含む。
具体的には、チャンバ100は、無菌動物が収容されるように内部が空の直方体状に形成されている。このとき、チャンバ100の形態が必ずしも直方体状に限定されるわけではなく、必要に応じて様々な形態で形成することが可能である。
このチャンバ100のフレームは、耐蝕性および耐久性に優れたステンレス鋼(SUS)、例えば、SUS316、SUS316Lなどといった材料で形成され、チャンバ100の内部は、抗菌性に優れたポリカーボネートで仕上げることができる。
チャンバ100の前方および後方には、それぞれ前面扉110と背面扉120が設けられている。
前面扉110および後面扉120は、それぞれチャンバ100の前方および後方にヒンジ結合され、スイング方式で動作しながらチャンバ100を開閉させる。
このような前面扉110および背面扉120の内側縁とチャンバ100が接する部分には、シリコンガスケットが設けられているため、前面扉110および背面扉120が閉められた状態でチャンバ100の内部は密閉される。したがって、前面扉110および後面扉120が閉じた状態では、給排気部200を介してのみ空気が給気および排気される。
また、前面扉110および背面扉120は、チャンバ100を上方からみたとき、同一方向に開閉するようにチャンバ100にヒンジ結合されている。
例えば、図1に示すように、前面扉110は、チャンバ100の正面右側にヒンジ結合され、図2に示すように後面扉120は、チャンバ100の背面左側にヒンジ結合される。
したがって、図5に示すように、前面扉110および背面扉120は、チャンバ100を前方から見たときに、全部チャンバ100の右側に開放されるように設置される。
このように前面扉110と背面扉120が同じ方向に開放されるようにすることにより、他の施設とのドッキングや無菌動物の搬出入を容易にすることができる。
チャンバ100の前方および後方には、チャンバ100を把持するための取っ手130が前面扉110および背面扉120の両側に設けられる。
給排気部200は、チャンバ100の上部に設けられ、チャンバ100内へ空気を供給する、またはチャンバ100内の空気を排気させる役割を果たす。
これのために給排気部200は、チャンバ100の内部に外部の空気を供給する給気ファン210と、チャンバ100の内部の空気を外部に排出させる排気ファン220とを備える。
このとき、給気ファン210および排気ファン220は、騒音および電力消費量が少ない片吸込形のシロッコファン(sirroco)で備えることにより、輸送する無菌動物に加えられるストレスと、移動中に消費される電力量を最小化することが好ましい。
しかし、給気ファン210および排気ファン220の種類は、これに局限するものではなく、装備全体のサイズなどを考慮し、様々な仕様のファンを適用することが可能である。
給気ファン210および排気ファン220の下部には、空気を濾過するための第1のフィルタ230が備えられ、第1のフィルタ230は、チャンバ100の内側上部に結合されるフィルターブラケット232によって設置される。
また、給気ファン210および排気ファン220の上部には、空気を濾過するための第2のフィルタ240が設けられてもよい。
このとき、第1のフィルタ230は、ヘパフィルタ(HEPA filter)で具現されてもよく、第2のフィルタ240は、プレフィルタ(pre filter)として不織布等で具現されてもよい。
このように設置された第1のおよび第2のフィルタ230、240によって、外部感染源がチャンバ100内に流入されることを遮断することができる。
給排気部200は、給気ファン210および排気ファン220の風速および風量を制御する制御部250と、チャンバ100内部および外部の圧力を測定するための圧力計260をさらに備える。
制御部250は、圧力計260によって測定されたチャンバ100内部および外部の圧力によって給気ファン210および排気ファン220の風速および風量を制御する。
例えば、圧力計260は、2点間の圧力差を測定する差圧計で具現することができる。このような圧力計260を用いてチャンバ100内部と外部との圧力差を測定し、制御部250は、圧力差に対する情報を受信し、チャンバ100内部の圧力が予め設定された圧力に達するように、給気ファン210および排気ファン220の風速および風量を制御する。
また、制御部250は、給気ファン210および排気ファン220の風速および風量の制御を通じてチャンバ100内部の圧力を陽圧または陰圧に設定することにより、チャンバ100内に収容される動物の状態に合わせて陽圧隔離または陰圧隔離を可能にする。
このようにすることで、原料動物の外部移動時にはチャンバ100内部を陽圧に設定し、外部空気の流入を最小化し、清浄飼育室内感染の動物を移動する時には、飼育室間の交差汚染を防止するためにチャンバ100内部を陰圧に設定し、チャンバ100内の空気が外部に流出されることを防止することができる。
一方、原料ブタを輸送するための用途として製作される場合、チャンバ100のサイズは、成体ミニブタ(70~80kg基準)1頭が入る大きさである1300mm(横)×670mm(縦)×850 mm(高さ)で形成することができ、このとき給排気部200を介したチャンバ100内の換気回数は、時間当たり16回以上、チャンバ100内のCO濃度は、0.05以下に維持されるようにすることが好ましい。
また、チャンバ100の内側上部には過酸化水素などの滅菌剤を噴出させるための滅菌剤噴出口140を備え、内側下部には噴出された滅菌剤を排出するための滅菌剤排出口150を備える。
滅菌剤噴出口140および滅菌剤排出口150を備えることにより、過酸化水素等の滅菌剤を用いてチャンバ100内部の無菌作業を容易に行うことができる。
移動部300は、チャンバ100の下部に設けられた複数のキャスタ310を備え、チャンバ100を移動させることができる。
また、移動部300は、下部が地面に当接し、チャンバ100が動くのを防止するストッパ320をさらに備える。このとき、ストッパ320は、スクリュー方式で高さ調節が可能なレベルフットで具現することができる。
また、移動部300には、給排気部200に電源を供給する無停電電源装置330を備えることができる。
無停電電源装置330は、長時間にわたって電源供給が可能な電池で具現することができ、その一例としてリチウムイオン電池(Li-ion Battery)を適用することができる。
このように、無停電電源装置330をチャンバ100の下部に備えることにより、重心を低くしてチャンバ100の安定した移動可能となる。
上述したように、本発明の好ましい実施形態による無菌輸送ケージ10は、腐食および汚染に強くて消毒殺菌が可能であり、且つ、輸送中、チャンバ100の内部が外気と接触することを遮断し、特定病原体の制御環境を維持することができるという点で、非常に有用なものである。
上述の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で種々の修正、変更および置換が可能である。したがって、本発明に開示された実施形態および添付の図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態および添付の図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】