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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ダークラジエータ
(51)【国際特許分類】
   F23C 3/00 20060101AFI20241128BHJP
   F23C 9/08 20060101ALI20241128BHJP
   F23D 14/12 20060101ALI20241128BHJP
   F23N 5/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
F23C3/00 301
F23C9/08
F23D14/12 A
F23N5/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574215
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2022084655
(87)【国際公開番号】W WO2023104824
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】21213748.3
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508210756
【氏名又は名称】シュヴァンク ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Schwank GmbH
【住所又は居所原語表記】Bremerhavener Str. 43, 50735 Koeln, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エトガー クライス
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ゲンツェル
(72)【発明者】
【氏名】トアステン シュトーラー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス レナー
【テーマコード(参考)】
3K005
3K017
3K091
【Fターム(参考)】
3K005QA03
3K005QB03
3K005QC03
3K017BA06
3K017BB04
3K017BF03
3K091AA01
3K091AA07
3K091BB08
3K091BB26
3K091CC06
3K091CC22
3K091EA12
3K091EA23
3K091GA30
(57)【要約】
本発明は、バーナー(1)と、ブロア(3)と、放射チューブ(4)とを備えたダークラジエータに関し、バーナー(1)は、燃焼ガス供給部に接続されており、ブロア(3)は、バーナー(1)に燃焼空気を供給するように構成されており、バーナー(1)は、放射チューブ(4)に火炎(6)を放出するように構成されており、燃焼ガス供給部(2)は、燃焼ガス源としての水素源に接続されており、かつガスノズル(21)を有し、火炎ホルダが設けられることなく、ガスノズル(21)に対して離隔されて、点火装置(11)が配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナー(1)と、ブロア(3)と、放射チューブ(4)とを備えたダークラジエータであって、前記バーナー(1)は、燃焼ガス供給部に接続されており、前記ブロア(3)は、前記バーナー(1)に燃焼空気を供給するように構成されており、前記バーナー(1)は、前記放射チューブ(4)に火炎(6)を放出するように構成されている、ダークラジエータにおいて、前記燃焼ガス供給部(2)は、燃焼ガス源としての水素源に接続されており、かつガスノズル(21)を有し、火炎ホルダが設けられることなく、前記ガスノズル(21)に対して離隔されて、点火装置(11)が配置されている、ことを特徴とする、ダークラジエータ。
【請求項2】
前記放射チューブ(4)には少なくとも、火炎方向において前記ガスノズル(21)の下流で燃焼空気が流れ込むように前記ブロア(3)が配置されている、ことを特徴とする、請求項1記載のダークラジエータ。
【請求項3】
前記ガスノズル(21)の周りに燃焼空気が流れるように前記ブロア(3)が配置されている、ことを特徴とする、請求項2記載のダークラジエータ。
【請求項4】
前記ブロア(3)は、吸引側において、前記放射チューブ(4)に接続されている排気ガス管路に接続されている、ことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のダークラジエータ。
【請求項5】
前記ブロア(3)は、吸引側において、エジェクター(32)に接続されており、前記エジェクター(32)の吸引接続部は、前記排気ガス管路に接続されており、前記ブロア(3)によって吸引した燃焼空気が、作動媒体として使用され、これにより、前記ブロア(3)によって前記バーナー(1)に排気ガス・燃焼空気混合物が供給される、ことを特徴とする、請求項4記載のダークラジエータ。
【請求項6】
前記エジェクター(32)または前記排気ガス管路には調節装置が備え付けられており、前記調節装置を介して、排気ガス流と燃焼空気流との混合比が調整可能である、ことを特徴とする、請求項4または5記載のダークラジエータ。
【請求項7】
前記火炎(6)の少なくとも1つの火炎パラメータを検出するように構成された光センサが配置されている、ことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のダークラジエータ。
【請求項8】
前記光センサは、UVセンサ(5)である、ことを特徴とする、請求項7記載のダークラジエータ。
【請求項9】
前記光センサは、前記火炎(6)の火炎底部(61)に配向されている、ことを特徴とする、請求項7または8記載のダークラジエータ。
【請求項10】
前記UVセンサ(5)は、UV共鳴吸収分光法のために構成されている、ことを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項記載のダークラジエータ。
【請求項11】
前記光センサは、前記燃焼ガス供給部に接続された操作部であって、前記水素供給部(2)を遮断するためのかつ/または設定するための操作部に接続されている、ことを特徴とする、請求項7から10までのいずれか1項記載のダークラジエータ。
【請求項12】
前記操作部は、格納された目標パラメータに基づいて、水素量および/または燃焼空気量を変化させることにより、前記火炎(6)の火炎特性を調節するように構成されている開ループ制御および閉ループ制御モジュールに接続されている、ことを特徴とする、請求項11記載のダークラジエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナーと、ブロアと、放射チューブとを備えたダークラジエータに関し、バーナーは、燃焼ガス供給部に接続されており、ブロアは、バーナーに燃焼空気を供給するように構成されており、バーナーは、放射チューブに火炎を放出するように構成されている。
【0002】
産業および工業分野では、製造現場および保管現場を暖房するため、ダークラジエータが頻繁に使用される。ダークラジエータは、放射エレメントとして、少なくとも1つのバーナーが対応付けられている1つまたは複数の放射チューブを有する。バーナー内で燃焼ガスおよび空気から成る混合物を燃焼させることにより、火炎が生成され、ブロアにより、放射チューブの全長にわたってこの火炎を分散させることができる。放射チューブは通例、その後、直線的またはU字形にバーナーに一続きに連結されており、チューブ経路全体にわたり、火炎によって生成される熱を均一に放射しようとする。放射チューブは、火炎によって均一に加熱されて熱放射を生成し、この熱放射が、加熱対象の領域に放射される。効率を向上させるため、ここでは反射器が頻繁に使用される。燃焼によって発生した排気ガスは、ブロアによって放射チューブから除去され、例えば、排気ガスチューブを介して外気に排出される。
【0003】
燃焼ガスとして天然ガスまたは液体ガス(プロパンガスまたはバイオガス)が使用され、天然ガスまたは液体ガスは、混合室において、あらかじめ設定された比で燃焼空気と混合され、その後、通過流路が備え付けられたバーナープレートを通して燃焼室に導入されて点火される。通例、セラミックプレートとして構成されているバーナープレートは、火炎逆流バリアとして用いられ、同時に火炎を保持する役割を有する。択一的には、火炎逆流バリアおよび火炎ホルダとして、燃料・空気混合気を導く格子またはワイヤメッシュも使用される。このようなダークラジエータは、例えば、欧州特許出願公開第2014980号明細書および欧州特許出願公開第2708814号明細書に記載されている。
【0004】
既知のダークラジエータのバーナーはますます繁雑に形成されるようになっている。このことはまた少なからず、有害物質放出を最小化することを目的として、可能な限りに完全な燃焼を達成するために、燃焼ガスと空気との間の最適な化学量論比を達成するという、絶え間ない努力を背景にしたものでもある。
【0005】
ここを出発点とするのが本発明である。本発明の根底にある課題は、簡単に組み立てられかつコスト的に有利に作製可能なダークラジエータを提供することである。本発明によると、この課題は、特許請求の範囲の請求項1の特徴部分の特徴的構成によって解決される。
【0006】
本発明によると、簡単に組み立てられかつコスト的に有利に作製可能なダークラジエータが提供される。燃焼ガス供給部が、燃焼ガス源としての水素源に接続されており、かつガスノズルを有し、火炎ホルダが設けられることなく、ガスノズルに対して離隔されて、点火装置が配置されていることにより、構成部材の個数が少ない簡単な構造が実現される。意外なことに明らかになったのは、燃焼ガスとして水素を使用することにより、燃焼空気との事前混合が必要でないことである。圧力下でノズルから流れ出た水素流が、その反応性に起因して、ノズルの手前に存在する燃焼空気と接触した後、必要な混合比に達した際に着火することにより、ノズルに対して十分な間隔で、安定した火炎であって、それ自体で維持される火炎が形成され、その際にノズルに火炎が逆流してしまうおそれがない。従来技術において使用されており、従来技術において同時に逆流防止の機能を有する、火炎ホルダは不要である。さらに、有害物質放出が低減される。水素には炭素が含有されていないため、排気ガスには理論的に、炭素を含有する有害物質、例えば、一酸化酸素、二酸化炭素または炭化水素等は含まれていない。
【0007】
本発明の発展形態では、放射チューブには少なくとも、火炎方向においてガスノズルの下流で燃焼空気が流れ込むようにブロアが配置されている。これにより、ノズルの上流の領域への燃焼空気の十分な供給が保証され、この燃焼空気により、その流れによって、ノズルから流れ出る水素との混合がサポートされる。好ましくは、ブロアは、ガスノズルの周囲に燃焼空気が流れるように配置されている。
【0008】
本発明の実施形態では、ブロアは、吸引側において、放射チューブに接続されている排気ガス管路に接続されている。これにより、燃焼排気ガスの一部を燃焼空気に戻すことができ、これによって火炎温度が調整可能であり、これによって窒素酸化物の放出を阻止する。
【0009】
本発明の別の実施形態では、ブロアは、吸引側において、エジェクターに接続されており、エジェクターの吸引接続部は、排気ガス管路に接続されており、ブロアによって吸引した燃焼空気が、作動媒体として使用され、これにより、ブロアによって排気ガス・燃焼空気混合物がバーナーに供給される。これにより、燃焼空気流への所定の排気ガス流の供給が、ブロアによる後続の混合によって行われる。
【0010】
本発明の発展形態では、エジェクターまたは排気ガス管路に調節装置が備え付けられており、この調節装置を介して、排気ガス流と燃焼空気流との混合比が調整可能である。これにより、火炎温度の連続的な調整が可能である。
【0011】
本発明の実施形態では、火炎の少なくとも1つの火炎パラメータを検出するように構成された光センサが配置されている。この光センサは好ましくはUVセンサである。意外なことに判明したのは、水素燃焼の見えない火炎の特性が、光センサによって確実に特定でき、UVセンサにより、火炎温度の他に別のパラメータも検出可能であることである。有利には、光センサは火炎の火炎底部に配向されている。
【0012】
本発明の別の実施形態では、UVセンサは、UV共鳴吸収分光法のために構成されている。これにより、火炎およびこの火炎を包囲する燃焼排気ガスのNOX含有量の検出が可能である。有利には、センサは、閉ループ制御モジュールを介して、排気ガス流と燃焼空気流との混合比を調整するための調節装置に接続されている。これにより、NOX目標値設定を介する、この混合比の開ループ制御を介して、火炎の温度閉ループ制御が可能になる。
【0013】
本発明の発展形態では、光センサは、燃焼ガス供給部に接続された操作部であって、水素供給部を遮断するためのかつ/または設定するための操作部に接続されている。これにより、火炎が消える際に水素が漏れ出てしまうことを阻止する。
【0014】
本発明の実施形態では、操作部は、格納された目標パラメータに基づいて、水素量および/または燃焼空気量を変化させることにより、火炎特性を調節するように構成されている開ループ制御および閉ループ制御モジュールに接続されている。これにより、例えば、UV共鳴吸収分光法のために構成されたUVセンサとして実施された光センサは、開ループ制御および閉ループ制御モジュールを介して、排気ガス流と燃焼空気流との混合比を調整するための調節装置に接続可能であり、これにより、NOX目標値設定を介する、この混合比の開ループ制御を介して、火炎の温度閉ループ制御が可能になる。
【0015】
本発明の別の発展形態および実施形態は、残りの従属請求項に示されている。本発明の実施例を図面に示し、以下で詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ダークラジエータの概略図である。
図2】別の1つの実施形態のダークラジエータの概略図である。
図3】第3実施形態のダークラジエータの概略図である。
【0017】
実施例として選択し、図1に示したダークラジエータには、バーナー1が含まれており、このバーナー1はブロア3に接続されておりかつこのバーナー1には放射チューブ4が連結されている。放射チューブ4は、図1において単に略示されており、放射チューブ4は十分に数メートルの長さにわたって延在していてよく、複数の放射チューブエレメントから形成されていてよい。この実施例では、放射チューブ4は、耐高熱性のステンレス鋼チューブとして構成されている。択一的には、酸化アルミニウム層が熱的に被着された特殊鋼も使用可能である。放射チューブ4は、この実施例では、(図示しない)反射器によって囲まれていており、この反射器は、この実施例において、表面が構造化されたアルミニウム薄板から構成されており、対流損失を低減するための隔壁を両面に有する。
【0018】
バーナー1には、水素供給部2に接続されているガスノズル21が含まれている。バーナー1には、ガスノズル21に対して離隔されて点火電極11が配置されている。点火電極11とは反対側を向いた、バーナー1の側にはブロア3が設置されており、これにより、このブロア3によってガスノズル21の周りに燃焼空気が流される。このためにブロアは、吸引側において燃焼空気供給部31に接続されている。
【0019】
圧力下でガスノズル21からバーナー1に流れ出た水素流は、ガスノズル21の周囲を流れる燃焼空気流と混合され、必要な混合比に達すると、ガスノズル21に対して離隔されて配置された点火電極11によって点火され、これにより、ガスノズル21に対して所定の間隔で火炎6が形成され、この火炎6が、放射チューブ4の長さにわたってこの放射チューブに延在する。燃焼空気との十分な混合比を有しない、水素流の点火できない領域22では、火炎は生じない。
【0020】
図2に示した実施例では、ブロア3はその吸引側においてエジェクター32に接続されており、エジェクター32の作動連結部は燃焼空気供給部31に接続されており、エジェクター32の吸引接続部は排気ガス供給部33に接続されている。排気ガス供給部には、排気ガス管路(図示せず)から供給され、この排気ガス管路は、排気ガス側が放射チューブ4に接続されている。ブロア3によって吸引された燃焼空気は、ここでは作動媒体として使用され、この作動媒体により、排気ガスの吸引が行われる。これにより、圧力側では、ブロア3によってガスノズル21に排気ガス・燃焼空気混合物が供給され、ガスノズル21の周囲を流れる。排気ガス・燃焼空気混合物は、酸素含有量が少なく、これにより、温度の低い火炎が生じる。水素の反応性が高いことに起因して、排気ガス・燃焼空気混合物における酸素含有量が少なくても点火には十分であり、これにより、放射チューブ4を通って延在する火炎6が生成される。
【0021】
図3に示した実施例では、バーナー1のハウジング12に、窓14を有するセンサ収容部13が取り付けられている。センサ収容部13にはUVセンサ5が取り付けられており、このUVセンサ5は、電気線路51を介し、水素供給部2を遮断するための(図示しない)操作部に接続されている。UVセンサ5は、この実施例では、火炎6の火炎底部61の中央に向けられている。UVセンサ5によって火炎6が検出されない場合、操作部により、水素供給が遮断される。操作部またはこれと接続された開ループ制御および閉ループ制御モジュールはまた付加的に、点火電極11と接続されていてよく、また火炎が検出されない場合に、まず点火電極11がアクティブ化され、また火炎がその後、消えた後はじめて、水素供給が中断されるように構成されていてもよい。
【0022】
図2に示した実施例に対応して、ブロア3が、吸引側において、燃焼空気流に排気ガス流を混合するエジェクターに接続されている場合、このエジェクターには、または吸引側においてこのエジェクターに供給する排気ガス供給管路には調節装置が備え付けられていてよく、この調節装置を介して、排気ガス流と燃焼空気流との混合比を調整することができる。UVセンサがUV共鳴吸収分光法のために構成されている場合、UVセンサによって検出されるNOX含有量に基づいて、火炎温度の閉ループ制御が可能である。このためにセンサは好適には、閉ループ制御モジュールに接続されており、この閉ループ制御モジュールの目標量は、あらかじめ設定した目標NOX値であり、実際NOX値は、UVセンサによって供給される。目標値と実際値との間の差分に基づき、調節装置の駆動制御を介して、排気ガス流と燃焼空気流との混合比を調節することができ、これによって火炎6の温度を変化させ、このことそれ自体がNOX実際値を変化させる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】