(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ショックアブソーバーアセンブリ及びそれを備えた車両
(51)【国際特許分類】
F16F 9/32 20060101AFI20241128BHJP
F16F 9/38 20060101ALI20241128BHJP
B60G 13/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
F16F9/32 N
F16F9/32 J
F16F9/38
F16F9/32 B
B60G13/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515301
(86)(22)【出願日】2022-12-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 CN2022143873
(87)【国際公開番号】W WO2023125925
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202123448219.2
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100198650
【氏名又は名称】小出 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼豪▲倫▼
(72)【発明者】
【氏名】黄▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼智▲いえ▼
【テーマコード(参考)】
3D301
3J069
【Fターム(参考)】
3D301DA33
3J069AA50
3J069AA64
3J069CC02
3J069CC10
3J069CC15
3J069CC28
3J069CC33
3J069EE50
(57)【要約】
ショックアブソーバーアセンブリ(2)は、シリンダー(201)、ピストン(202)、及びピストンロッド(203)を含み、シリンダー(201)のベースは、車軸又は車輪にピストン(202)を接続するように構成され、ピストン(202)は、シリンダー(201)内に位置し、シリンダー(201)と共同で上部チャンバ(2011)と下部チャンバ(2012)を画定し、ピストンロッド(203)は、ピストン(202)に設けられ、車体に接続するように構成され、ピストンロッド(203)内にオイル通路(204)が設けられ、オイル通路(204)の上端にオイル通過孔が設けられ、オイル通過孔が外部と連通するように構成され、オイル通路(204)が下部チャンバ(2012)と連通し、下部チャンバ(2012)内のオイルがオイル通路(204)を介して外部と連通し、これによりピストンロッドの位置及び車体の高さを調整し、車両の操作安定性を向上させることができる。本発明は、さらに、車両に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダー、ピストン、及びピストンロッドを含み、
前記シリンダーのベースは、車軸又は車輪に接続するように構成され、
前記ピストンは、前記シリンダー内に位置し、前記シリンダーと共同で上部チャンバと下部チャンバを画定し、
前記ピストンロッドは、前記ピストンに設けられ、車体に接続するように構成され、前記ピストンロッド内にオイル通路が設けられ、前記オイル通路の上端にオイル通過孔が設けられ、前記オイル通過孔が外部と連通するように構成され、前記オイル通路が前記下部チャンバと連通し、前記下部チャンバ内のオイルが前記オイル通路を介して外部と連通する、ショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項2】
前記シリンダーの側壁には、第1接続ポートがさらに形成され、前記第1接続ポートは、前記シリンダーの上端に近接して設けられ、かつ前記上部チャンバと連通する、請求項1に記載のショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項3】
前記シリンダーの側壁には、第2接続ポートがさらに形成され、前記第2接続ポートは、前記シリンダーの底端に近接して設けられ、かつ前記下部チャンバと連通する、請求項1又は2に記載のショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項4】
緩衝体をさらに含み、前記ピストンロッドの上端は、前記シリンダーから延出し、前記緩衝体は、前記ピストンロッドに外嵌され、かつ車体に接続するように構成され、前記ピストンロッドの上端は、前記緩衝体から延出し、かつ車体と間隔を隔てて設けるように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項5】
カバーをさらに含み、前記緩衝体は、前記カバーを介して車体に接続するように構成される、請求項4に記載のショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項6】
前記カバーは、ホイールカバーである、請求項5に記載のショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項7】
継ぎ手をさらに含み、前記継ぎ手は、前記オイル通路の上端と連通し、かつ外部と連通する、請求項4~6のいずれか一項に記載のショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項8】
前記継ぎ手内には、キャビティが形成され、かつ前記継ぎ手には、第3接続ポート及び第4接続ポートが形成され、前記第3接続ポート及び前記第4接続ポートは、いずれも前記キャビティと連通し、前記第3接続ポートの延在方向は、前記第4接続ポートの延在方向と垂直に設定され、前記第3接続ポートは、前記オイル通路の上端と連通し、前記第4接続ポートは、外部と連通するように構成される、請求項7に記載のショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項9】
ばねをさらに含み、前記ばねは、前記緩衝体と前記シリンダーとの間に当接する、請求項4~8のいずれか一項に記載のショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項10】
前記シリンダーには、支持部材が設けられ、前記ばねは、前記緩衝体と前記支持部材との間に当接する、請求項9に記載のショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のショックアブソーバーアセンブリを含む、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年12月30日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202123448219.2である中国特許出願に基づくものであり、かつその優先権を主張するものであり、その全ての内容は、参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、車両の分野に関し、特にショックアブソーバーアセンブリ及びそれを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0003】
サスペンションは、車体と車軸との間の相互作用力を伝達する装置であり、自動車の4つの主な構成部品の1つであり、自動車の走行性能に影響を与える重要な構成である。サスペンションは、路面からフィードバックされた作用力及びトルクを伝達し、車輪の振動を減衰し、衝撃を緩和し、運転者の運転体験を向上させ、車両に理想的な運動特性及び安定的な走行能力を取得させることができる。関連技術のサスペンションの大部分は、ばね、ガイド機構及びショックアブソーバーなどで構成され、ショックアブソーバーの減衰係数及びばねの剛性がいずれも一定であり、快適性と操作安定性を両立することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、関連技術における技術的課題の1つを少なくともある程度解決しようとする。
【0005】
このため、本願は、ピストンロッドの位置及び車体の高さを調整し、車両の操作安定性を向上させることができるショックアブソーバーアセンブリを提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、上記ショックアブソーバーアセンブリを有する車両をさらに提供する。
【0007】
本願の実施例に係るショックアブソーバーアセンブリは、シリンダー、ピストン、及びピストンロッドを含み、前記シリンダーのベースは、車軸又は車輪に接続するように構成され、前記ピストンは、前記シリンダー内に位置し、前記シリンダーと共同で上部チャンバと下部チャンバを画定し、前記ピストンロッドは、前記ピストンに設けられ、車体に接続するように構成され、前記ピストンロッド内にオイル通路が設けられ、前記オイル通路の上端にオイル通過孔が設けられ、前記オイル通過孔が外部と連通するように構成され、前記オイル通路が前記下部チャンバと連通し、前記下部チャンバ内のオイルが前記オイル通路を介して外部と連通する。
【0008】
本願の実施例に係るショックアブソーバーアセンブリは、ピストンロッド内にオイル通路を設けることにより、重量を軽減し、コストを節約することができる。また、オイル通路が下部チャンバと連通するため、オイルが下部チャンバに出入りすることができ、これにより、ピストンロッドの位置及び車体の高さを調整することができ、車両の快適性を損なうことなく、車両の操作安定性を向上させ、車両の快適性と操作安定性との矛盾を効果的に解決することができる。また、オイル流路の接続を安定させて、接続箇所での振動による摩耗などの状況を回避し、接続箇所にオイル漏れ現象が発生することをできるだけ回避することができる。
【0009】
本願のいくつかの実施例では、前記シリンダーの側壁には、第1接続ポートがさらに形成され、前記第1接続ポートは、前記シリンダーの上端に近接して設けられ、かつ前記上部チャンバと連通する。
【0010】
本願のいくつかの実施例では、前記シリンダーの側壁には、第2接続ポートがさらに形成され、前記第2接続ポートは、前記シリンダーの底端に近接して設けられ、かつ前記下部チャンバと連通する。
【0011】
本願のいくつかの実施例では、前記ショックアブソーバーアセンブリは、緩衝体をさらに含み、前記ピストンロッドの上端は、前記シリンダーから延出し、前記緩衝体は、前記ピストンロッドに外嵌され、かつ車体に接続するように構成され、前記ピストンロッドの上端は、前記緩衝体から延出し、かつ車体と間隔を隔てて設けるように構成される。
【0012】
本願のいくつかの実施例では、前記ショックアブソーバーアセンブリは、カバーをさらに含み、前記緩衝体は、前記カバーを介して車体に接続するように構成される。
【0013】
好ましくは、前記カバーは、ホイールカバーである。
【0014】
本願のいくつかの実施例では、前記ショックアブソーバーアセンブリは、継ぎ手をさらに含み、前記継ぎ手は、前記オイル通路の上端と連通し、かつ外部と連通する。
【0015】
好ましくは、前記継ぎ手内には、キャビティが形成され、かつ前記継ぎ手には、第3接続ポート及び第4接続ポートが形成され、前記第3接続ポート及び前記第4接続ポートは、いずれも前記キャビティと連通し、前記第3接続ポートの延在方向は、前記第4接続ポートの延在方向と垂直に設定され、前記第3接続ポートは、前記オイル通路の上端と連通し、前記第4接続ポートは、外部と連通するように構成される。
【0016】
本願のいくつかの実施例では、前記ショックアブソーバーアセンブリは、ばねをさらに含み、前記ばねは、前記緩衝体と前記シリンダーとの間に当接する。
【0017】
本願のいくつかの実施例では、前記シリンダーには、支持部材が設けられ、前記ばねは、前記緩衝体と前記支持部材との間に当接する。
【0018】
本願の実施例に係る車両は、本願の上記いずれかの実施例に係るショックアブソーバーアセンブリを含む。
【0019】
本願の実施例に係る車両では、車体の高さを調整することができ、車両の快適性を損なうことなく、車両の操作安定性を向上させ、車両の快適性と操作安定性との矛盾を効果的に解決することができる。また、中空のピストンロッドを用いると、重量を軽減するだけでなく、中空のピストンロッドによって限定されたオイル通路を利用してオイルの流入又は流出を実現してピストンロッドの位置を調整することもでき、調整方式が簡単であり、信頼性が高く、コストが低く、応答速度が速い。また、オイル流路の接続を安定させて、接続箇所での振動による摩耗などの状況を回避し、接続箇所にオイル漏れ現象が発生することをできるだけ回避することができる。
【0020】
本願の追加的な態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明により明らかになるか又は本願の実施により理解される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本願の実施例に係るショックアブソーバーアセンブリの概略図である。
【
図2】
図1に示すショックアブソーバーアセンブリの断面図である。
【
図3】本願のいくつかの実施例に係るショックアブソーバーアセンブリの概略図である。
【
図4】本願の別の実施例に係るショックアブソーバーアセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は、図面に示され、全体を通して同一又は類似の符号は、同一又は類似の素子、或いは同一又は類似の機能を有する素子を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものに過ぎず、本願を解釈するためのものであり、本願を限定するためのものとして理解すべきではない。
【0023】
以下、
図1~
図4を参照して本願の実施例に係るショックアブソーバーアセンブリ2を説明し、ショックアブソーバーアセンブリ2は、車両に用いられ、車両の車軸と車体とを接続する。
【0024】
本願の実施例に係るショックアブソーバーアセンブリ2は、シリンダー201、ピストン202、及びピストンロッド203を含み、シリンダー201のベースは、車軸又は車輪に接続するように構成される。本願のいくつかの例では、
図1~
図3に示すように、シリンダー201のベースに固定孔2015が設けられ、車軸が固定孔2015を貫通してシリンダー201と車軸とを接続する。
【0025】
ピストン202は、シリンダー201内に位置し、シリンダー201と共同で上部チャンバ2011と下部チャンバ2012を画定し、ピストンロッド203は、ピストン202に設けられ、車体に接続するように構成され、ピストンロッド203内には、オイル通路204が設けられ、オイル通路204の上端には、オイル通過孔が設けられ、オイル通路204は、下部チャンバ2012と連通する。
【0026】
オイル通過孔は、外部と連通するように構成され、下部チャンバ2012内のオイルは、オイル通路204を介して外部と連通する。
【0027】
具体的には、車両は、オイル貯蔵装置を有する油圧サスペンションシステムを含み、オイル貯蔵装置内のオイルがオイル通過孔を通ってオイル通路204内に入るか又は下部チャンバ2012内のオイルがオイル通過孔を通ってオイル貯蔵装置内に入ってもよい。
【0028】
具体的には、ピストンロッド203は、中空構造として形成されてオイル通路204を画定し、オイルは、オイル通路204を通って下部チャンバ2012に入って、ピストン202を上方に移動させるように押し上げ、ピストン202は、移動して、ピストンロッド203を移動させるように押し上げる。
【0029】
ピストンロッド203が外側圧力を受けて下方に移動する場合、下部チャンバ2012内のオイルは、オイル通路204から流出して油圧オイル通路内に入る。
【0030】
理解できるように、車両が走行中に様々な道路状況に遭遇し、関連技術の車両のサスペンションシステムが選定された後、自動車の走行中に調整することができないため、従来のサスペンションにより、自動車が特定の道路と速度条件で性能の最適なマッチングを達成することのみを保証でき、地面からの車体への作用力を受動的に受けることしかできず、道路、車速の違いに応じてサスペンションパラメータを変更することができず、地面からの車体への作用力を能動的に制御することができない。
【0031】
本願の実施例に係るショックアブソーバーアセンブリ2を車両に適用する場合、車体の高さを上昇させる必要があれば、油圧オイル通路のオイルが下部チャンバ2012内に流入してピストンロッド203を上方に移動させて車体を上昇させることができる。車体が外部からの衝撃力を受けた場合、ピストンロッド203は、下方に移動して衝撃力を緩衝することができる。
【0032】
理解できるように、車両は、走行中に、車軸が車体に対して揺れなどの振動を発生させ、本願の実施例に係るショックアブソーバーアセンブリ2を車両に取り付ける場合、シリンダー201を車軸又は車輪に取り付け、ピストンロッド203を車体に接続する。これから分かるように、ピストンロッド203の先端は、車体と相対的に静止し、シリンダー201は、車軸とともにピストンロッド203に対して移動することができる。ピストンロッド203のオイル通路204がオイル流路を介して外部と連通するため、車軸の振動のオイル流路の接続箇所に対する影響を低減し、オイル流路の接続を安定させ、オイル流路とオイルを貯蔵する外部のオイル貯蔵装置との接続箇所の摩耗を低減し、オイル流路とピストンロッド203との接続箇所の摩耗を低減することができる。
【0033】
本願の実施例に係るショックアブソーバーアセンブリ2は、ピストンロッド203内にオイル通路204を設けることにより、重量を軽減し、コストを節約することができる。また、オイル通路204が下部チャンバ2012と連通するため、オイルが下部チャンバ2012に出入りすることができ、これにより、ピストンロッド203の位置及び車体の高さを調整することができ、車両の快適性を損なうことなく、車両の操作安定性を向上させ、車両の快適性と操作安定性との矛盾を効果的に解決することができる。また、オイル流路の接続を安定させて、接続箇所での振動による摩耗などの状況を回避し、接続箇所にオイル漏れ現象が発生することをできるだけ回避することができる。
【0034】
図3及び
図4に示すように、本願のいくつかの実施例では、シリンダー201の側壁には、第1接続ポート2013がさらに形成され、第1接続ポート2013は、シリンダー201の上端に近接して設けられ、かつ上部チャンバ2011と連通する。これにより、第1接続ポート2013が設けられ、第1接続ポート2013が外部と連通することにより、ピストンロッド203が移動する場合、上部チャンバ2011内のオイルは、第1接続ポート2013を通って上部チャンバ2011に流入するか又はそこから流出し、さらに、オイルによりピストンロッド203の位置を調整して車両の車体の高さを調整するという目的を達成することができる。
【0035】
図3及び
図4に示すように、本願のいくつかの実施例では、シリンダー201の側壁には、第2接続ポート2014がさらに形成され、第2接続ポート2014は、シリンダー201の底端に近接して設けられ、かつ下部チャンバ2012と連通する。これにより、第2接続ポート2014が設けられ、第2接続ポート2014が外部と連通することにより、ピストンロッド203が移動する場合、下部チャンバ2012内のオイルは、第2接続ポート2014を通って下部チャンバ2012に流入するか又はそこから流出し、さらに、オイルによりピストンロッド203の位置を調整して車両の車体の高さを調整するという目的を達成することができる。
【0036】
図1~
図4に示すように、本願のいくつかの実施例では、ショックアブソーバーアセンブリ2は、緩衝体206をさらに含み、ピストンロッド203の上端は、シリンダー201から延出し、緩衝体206は、ピストンロッド203に外嵌され、車体に接続するように構成され、ピストンロッド203の上端は、緩衝体206から延出し、かつ車体と間隔を隔てて設けるように構成される。即ち、本願のショックアブソーバーアセンブリ2を車両に取り付ける場合、緩衝体206が車体に取り付けられ、ピストンロッド203の上端が車体と間隔を隔てて設けられることにより、緩衝体206を設けることにより、振動を緩衝する役割を果たすことができ、かつピストンロッド203の上端が緩衝体206から延出するため、車軸の振動によるピストンロッド203の上端への影響をさらに低減することができ、これにより、接続箇所での振動による摩耗などの状況をさらに回避し、接続箇所に液漏れ現象が発生することをできるだけ回避することができる。
【0037】
本願のいくつかの実施例では、
図3及び
図4に示すように、ショックアブソーバーアセンブリ2は、カバー207をさらに含み、緩衝体206は、カバー207を介して車体に接続するように構成される。即ち、カバー207が車体に接続され、緩衝体206がカバー207とシリンダー201との間に設けられることにより、ショックアブソーバーアセンブリ2と車体との間の接続信頼性を向上させることができる。好ましくは、カバー207は、ホイールカバーである。理解できるように、ホイールカバーとは、車両におけるフェンダー及び泥よけを指し、即ち、車両の既存の部品をカバー207として利用し、これによりコストを低減することができる。
【0038】
本願のいくつかの実施例では、
図3に示すように、ショックアブソーバーアセンブリ2は、継ぎ手208をさらに含み、継ぎ手208は、オイル通路204の上端と連通し、かつ外部と連通する。これにより、継ぎ手208を設けることにより、ショックアブソーバーアセンブリ2と外部との接続を容易にする。
【0039】
図3に示すように、好ましくは、継ぎ手208内には、キャビティが形成され、継ぎ手208には、第3接続ポート2081及び第4接続ポート2082が形成され、第3接続ポート2081及び第4接続ポート2082は、いずれもキャビティと連通し、第3接続ポート2081の延在方向は、第4接続ポート2082の延在方向と垂直に設定され、第3接続ポート2081は、オイル通路204の上端と連通し、第4接続ポート2082は、外部と連通するように構成される。これにより、第3接続ポート2081及び第4接続ポート2082を設けることにより、オイル通路204から流出するオイルの流れ方向を変更することで、オイル貯蔵装置を設ける位置及びショックアブソーバーアセンブリ2を設ける位置が制限されない。
【0040】
図1~
図4に示すように、本願のいくつかの実施例では、ショックアブソーバーアセンブリ2は、ばね205をさらに含み、ばね205は、緩衝体206とシリンダー201との間に当接する。これにより、ばね205を設けることにより、ショックアブソーバーアセンブリ2の振動低減効果をさらに向上させる。
【0041】
好ましくは、シリンダー201に支持部材209が設けられ、ばね205は、緩衝体206と支持部材209との間に当接する。これにより、支持部材209を設けてばね205を支持することにより、ばね205の組み立てを容易にする。本願のいくつかの例では、支持部材209は、シリンダー201の外周壁に外嵌されてもよく、支持部材209とシリンダー201とは、支持部材209の確実な固定を保証するために、締まり嵌め又は溶接によって接続されてもよい。
【0042】
第1接続ポート及び第2接続ポートを設けることにより、左右のショックアブソーバーの相互接続、又は前後のショックアブソーバーの相互接続を実現して、アンチロール及びアンチピッチの機能を実現することができる。
【0043】
本願のいくつかの実施例では、左前ショックアブソーバーアセンブリの第1接続ポートが右前ショックアブソーバーアセンブリの第2接続ポートと連通することにより、左前ショックアブソーバーアセンブリの上部チャンバと右前ショックアブソーバーアセンブリの下部チャンバとの連通を実現し、左前ショックアブソーバーアセンブリの第2接続ポートが右前ショックアブソーバーアセンブリの第1接続ポートと連通することにより、左前ショックアブソーバーアセンブリの下部チャンバと右前ショックアブソーバーアセンブリの上部チャンバとの連通を実現する。
【0044】
同様に、左後ショックアブソーバーアセンブリの第1接続ポートが右後ショックアブソーバーアセンブリの第2接続ポートと連通することにより、左後ショックアブソーバーアセンブリの上部チャンバと右後ショックアブソーバーアセンブリの下部チャンバとの連通を実現し、左後ショックアブソーバーアセンブリの第2接続ポートが右後ショックアブソーバーアセンブリの第1接続ポートと連通することにより、左後ショックアブソーバーアセンブリの下部チャンバと右後ショックアブソーバーアセンブリの上部チャンバとの連通を実現する。これにより、左右のショックアブソーバーの連通が実現され、さらにアンチロール機能が実現される。
【0045】
具体的には、車両がロール傾向を有する場合、片側のショックアブソーバーが圧縮状態にあり、例えば左前ショックアブソーバーアセンブリ及び左後ショックアブソーバーアセンブリが圧縮され、この場合、左前ショックアブソーバーアセンブリの下部チャンバ内のオイルが右前ショックアブソーバーアセンブリの上部チャンバ内に流入し、左後ショックアブソーバーアセンブリの下部チャンバ内のオイルが右後ショックアブソーバーアセンブリの上部チャンバ内に流入することにより、右前ショックアブソーバーアセンブリ及び右後ショックアブソーバーアセンブリを下降させて、左右のショックアブソーバーアセンブリを一致させる。
【0046】
本願のいくつかの実施例では、左前ショックアブソーバーアセンブリの第1接続ポートが左後ショックアブソーバーアセンブリの第2接続ポートと連通し、左前ショックアブソーバーアセンブリの第2接続ポートが左後ショックアブソーバーアセンブリの第1接続ポートと連通することにより、左前ショックアブソーバーアセンブリの上部チャンバと左後ショックアブソーバーアセンブリの下部チャンバとの連通を実現し、左前ショックアブソーバーアセンブリの下部チャンバが左後ショックアブソーバーアセンブリの上部チャンバと連通し、右前ショックアブソーバーアセンブリの上部チャンバが右後ショックアブソーバーアセンブリの下部チャンバと連通し、右前ショックアブソーバーアセンブリの下部チャンバが右後ショックアブソーバーアセンブリの上部チャンバと連通する。これにより、前後軸ショックアブソーバーの連通が実現され、さらにアンチピッチ機能が実現される。
【0047】
具体的には、車両がピッチ傾向を有する場合、前側と後側のうちの一方が圧縮され、例えば左前ショックアブソーバーアセンブリのピストンロッドと右前ショックアブソーバーアセンブリのピストンロッドが圧縮され、左前ショックアブソーバーアセンブリの下部チャンバ内のオイルが左後ショックアブソーバーアセンブリの上部チャンバ内に流入し、右前ショックアブソーバーアセンブリの下部チャンバ内のオイルが右後ショックアブソーバーアセンブリの上部チャンバ内に流入することにより、左後ショックアブソーバーアセンブリのピストンロッドと右後ショックアブソーバーアセンブリのピストンロッドを下降させ、前後のショックアブソーバーアセンブリを一致させる。
【0048】
本願の実施例に係る車両は、本願の上記いずれかの実施例に係るショックアブソーバーアセンブリ2を含む。
【0049】
本願の実施例に係る車両は、道路状況などに応じて車体の高さを調整することができ、例えば、比較的険しい山道を通過する場合、引き上げモードに入り、車両の重心を上げ、車両走行の安定性を向上させることができる。車体の走行速度に対する影響を低減する必要がある場合、高さ低下モードに入ることにより、車両の重心を下げることができる。勿論、理解できるように、上記は、例示的な説明に過ぎず、走行中の実際のニーズに応じて車体の高さを調整してもよい。
【0050】
本願の実施例に係る車両では、車体の高さを調整することができ、車両の快適性を損なうことなく、車両の操作安定性を向上させ、車両の快適性と操作安定性との矛盾を効果的に解決することができる。また、中空のピストンロッド203を用いると、重量を軽減するだけでなく、中空のピストンロッド203によって限定されたオイル通路204を利用してオイルの流入又は流出を実現してピストンロッド203の位置を調整することもでき、調整方式が簡単であり、信頼性が高く、コストが低く、応答速度が速い。また、オイル流路の接続を安定させて、接続箇所での振動による摩耗などの状況を回避し、接続箇所にオイル漏れ現象が発生することをできるだけ回避することができる。
【0051】
なお、本願の説明では、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「半径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて操作されなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものとして理解すべきではない。
【0052】
また、用語「第1」、「第2」は、説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を示すか又は示唆し、或いは示された技術的特徴の数を暗示的に示すものであると理解すべきではない。これにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は、1つ以上の該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本願の説明では、「複数」とは、明確かつ具体的な限定がない限り、2つ以上を意味する。
【0053】
本願において、別に明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などは、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続、着脱可能な接続、一体的な接続であってもよく、機械的な接続、電気的な接続であってもよく、直接的な連結、中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの部品内部の連通、又は2つの部品の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0054】
本願では、別に明確な規定及び限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴とが直接的に接触することを含んでもよく、第1特徴と第2特徴とが中間媒体を介して間接的に接触することを含んでもよい。また、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」又は「上面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上及び斜め上にあることを含んでもよく、第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことだけを表してもよい。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」又は「下面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真下及び斜め下にあることを含んでもよく、第1特徴の水平高さが第2特徴より低いことだけを表してもよい。
【0055】
本明細書の説明では、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」又は「いくつかの例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。そして、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ以上の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。また、互いに矛盾しない場合、当業者であれば、本明細書で説明された異なる実施例又は例、及び異なる実施例又は例の特徴を結合するか又は組み合わせることができる。
【0056】
以上、本願の実施例が示され、説明されるが、理解できるように、上記実施例は、例示的なものであり、本願を限定するものとして理解すべきではなく、当業者であれば、本願の範囲で上記実施例に対して変更、修正、交換及び変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0057】
2 ショックアブソーバーアセンブリ
200 ショックアブソーバー
201 シリンダー
2011 上部チャンバ
2012 下部チャンバ
2013 第1接続ポート
2014 第2接続ポート
202 ピストン
203 ピストンロッド
204 オイル通路
205 ばね
206 緩衝体
207 カバー
208 継ぎ手
2081 第3接続ポート
2082 第4接続ポート
209 支持部材
2015 固定孔
【手続補正書】
【提出日】2024-05-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダー、ピストン、及びピストンロッドを含み、
前記シリンダーのベースは、車軸又は車輪に接続するように構成され、
前記ピストンは、前記シリンダー内に位置し、前記シリンダーと共同で上部チャンバと下部チャンバを画定し、
前記ピストンロッドは、前記ピストンに設けられ、車体に接続するように構成され、前記ピストンロッド内にオイル通路が設けられ、前記オイル通路の上端にオイル通過孔が設けられ、前記オイル通過孔が外部と連通するように構成され、前記オイル通路が前記下部チャンバと連通し、前記下部チャン
バが前記オイル通路を介して外部と連通する、ショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項2】
前記シリンダーの側壁には、第1接続ポートがさらに形成され、前記第1接続ポートは、前記シリンダーの上端に近接して設けられ、かつ前記上部チャンバと連通する、請求項1に記載のショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項3】
前記シリンダーの側壁には、第2接続ポートがさらに形成され、前記第2接続ポートは、前記シリンダーの底端に近接して設けられ、かつ前記下部チャンバと連通する、請求項
1に記載のショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項4】
緩衝体をさらに含み、前記ピストンロッドの上端は、前記シリンダーから延出し、前記緩衝体は、前記ピストンロッドに外嵌され、かつ車体に接続するように構成され、前記ピストンロッドの上端は、前記緩衝体から延出し、かつ車体と間隔を隔てて設けるように構成される、請求項
1に記載のショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項5】
カバーをさらに含み、前記緩衝体は、前記カバーを介して車体に接続するように構成される、請求項4に記載のショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項6】
前記カバーは、ホイールカバーである、請求項5に記載のショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項7】
継ぎ手をさらに含み、前記継ぎ手は、前記オイル通路の上端と連通し、かつ外部と連通する、請求項
4に記載のショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項8】
前記継ぎ手内には、キャビティが形成され、かつ前記継ぎ手には、第3接続ポート及び第4接続ポートが形成され、前記第3接続ポート及び前記第4接続ポートは、いずれも前記キャビティと連通し、前記第3接続ポートの延在方向は、前記第4接続ポートの延在方向と垂直に設定され、前記第3接続ポートは、前記オイル通路の上端と連通し、前記第4接続ポートは、外部と連通するように構成される、請求項7に記載のショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項9】
ばねをさらに含み、前記ばねは、前記緩衝体と前記シリンダーとの間に当接する、請求項
4に記載のショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項10】
前記シリンダーには、支持部材が設けられ、前記ばねは、前記緩衝体と前記支持部材との間に当接する、請求項9に記載のショックアブソーバーアセンブリ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のショックアブソーバーアセンブリを含む、車両。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本願の実施例に係るショックアブソーバーアセンブリは、シリンダー、ピストン、及びピストンロッドを含み、前記シリンダーのベースは、車軸又は車輪に接続するように構成され、前記ピストンは、前記シリンダー内に位置し、前記シリンダーと共同で上部チャンバと下部チャンバを画定し、前記ピストンロッドは、前記ピストンに設けられ、車体に接続するように構成され、前記ピストンロッド内にオイル通路が設けられ、前記オイル通路の上端にオイル通過孔が設けられ、前記オイル通過孔が外部と連通するように構成され、前記オイル通路が前記下部チャンバと連通し、前記下部チャンバが前記オイル通路を介して外部と連通する。
【国際調査報告】