(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ケーブルハンドリングシステム
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20241128BHJP
B60K 8/00 20060101ALI20241128BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20241128BHJP
B62D 55/06 20060101ALN20241128BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B60K8/00
E02F9/00 C
B62D55/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516766
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 SE2022050840
(87)【国際公開番号】W WO2023091058
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524097768
【氏名又は名称】エピロック ロック ドリルズ アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】EPIROC ROCK DRILLS AKTIEBOLAG
【住所又は居所原語表記】SE-701 91 Orebro SWEDEN
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ホルムストローム ピーター
(72)【発明者】
【氏名】イヴァンソン シャーロッタ
(72)【発明者】
【氏名】アルブレクソン ヨルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ダール ロバート
【テーマコード(参考)】
3D235
【Fターム(参考)】
3D235AA19
3D235AA24
3D235BB41
3D235BB43
3D235CC12
3D235CC15
3D235CC22
3D235FF43
3D235HH02
(57)【要約】
電動の鉱山車両又は建設車両(2)におけるケーブルハンドリングシステム(1)である。車両(2)はスキッドステア式の無限軌道又は車輪の車体(2a)を含んでおり、車体は電動モータから動作用の動力を得る。車両は車載バッテリおよび/または燃料電池によって、又は電気ケーブル(3)を介して電力が供給される。電気ケーブルは車体のケーブルリール(4)に巻き取られ、かつケーブルリールから繰り出される。本システムは、アーム部材(5)およびケーブルガイド機構(6)を含むケーブルガイドアセンブリを備える。アーム部材の第一端(5a)は車体の後部に回転可能に取り付けられており、車体の縦軸の方向を中心とする円弧を通って車体の後部の周囲を両方向に約90度まで水平移動することができる。ケーブルガイド機構はアーム部材の第二先端部(5b)に配置されており、使用される電気ケーブルを受け止めてケーブルリールに向かって案内する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動の鉱山車両または建設車両(2)におけるケーブルハンドリングシステム(1)であって、
前記車両(2)は、スキッドステア式の無限軌道または車輪(8)の車体(2a)を含んでおり、前記車体(2a)は、搭載された電動モータから動作用の動力を直接的または間接的に得ており、また、車載バッテリおよび/または燃料電池によって、または、垂下した電気ケーブル(3)を介して電力が供給されるように構成されており、
前記電気ケーブル(3)は、前記車両(2)の動作中に前記車体(2a)のケーブルリール(4)に巻き取られ、かつ、ケーブルリール(4)から繰り出されるように構成されており、また、遠隔電源への接続のために設けられており、
当該ケーブルハンドリングシステム(1)は、アーム部材(5)および、ケーブルガイド機構(6)を含むケーブルガイドアセンブリ(5、6)を備えており、
前記アーム部材(5)の第一端(5a)は、前記車体(2a)の後部に回転可能に取り付けられており、また、前記車体(2a)の縦軸方向を中心とする円弧を通って前記車体(2a)の後部の周囲を両方向に約90度まで水平移動することができ、
前記ケーブルガイド機構(6)は、前記アーム部材(5)の第二先端部(5b)に配置されており、また、使用される前記電気ケーブル(3)を受け止めて前記ケーブルリール(4)に向かって案内するように構成されていることを特徴とする、電動の鉱山車両または建設車両におけるケーブルハンドリングシステム(1)。
【請求項2】
前記アーム部材(5)は、前記車両(2)の動作中に前記円弧を通って自由に移動できることを特徴とする、請求項1に記載のケーブルハンドリングシステム(1)。
【請求項3】
前記ケーブルガイドアセンブリは、前記円弧に沿った一つ以上の位置で前記アーム部材(5)を選択的にロックするためのロック機構(7)を更に備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のケーブルハンドリングシステム(1)。
【請求項4】
前記アーム部材(5)を選択的にロックするための前記ロック機構(7)は、ロックピン(7a)と、対応する穴付きロックプレート(7b)と、を備えることを特徴とする、請求項3に記載のケーブルハンドリングシステム(1)。
【請求項5】
前記ロックピン(7a)には、前記アーム部材(5)をロックするために前記ロックピン(7a)が使用されるときに、所定の力が加わると解除されて前記アーム部材(5)が自由に前記円弧を通って移動できるようになる程度の強さのリンク(7a1)が設けられることを特徴とする、請求項4に記載のケーブルハンドリングシステム(1)。
【請求項6】
前記ケーブルガイド機構(6)は、使用される前記電気ケーブル(3)を前記ケーブルリール(4)に向けて案内するための複数のローラー(6a)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のケーブルハンドリングシステム(1)。
【請求項7】
前記複数のローラー(6a)は、前記電気ケーブル(3)の許容曲げ半径を前記円弧に沿った前記アーム部材(5)のすべての位置において確実に維持しつつ、使用される前記電気ケーブル(3)を案内するように構成されていることを特徴とする、請求項6に記載のケーブルハンドリングシステム(1)。
【請求項8】
前記アーム部材(5)の長さは、前記車体(2a)の後部にある取り付け部から前記第二先端部(5b)にある前記ケーブルガイド機構(6)までであり、使用される前記電気ケーブル(3)が、前記車体(2a)、前記車両(2)の無限軌道または車輪(8)、または前記車両(2)のその他の部分から所定の距離に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のケーブルハンドリングシステム(1)。
【請求項9】
前記アーム部材(5)は、前記車両(2)の動作中に前記円弧を通って、かつ、制御可能に移動することができるアクチュエータ構成(9)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のケーブルハンドリングシステム(1)。
【請求項10】
前記アクチュエータ構成(9)は、一つ以上の油圧アクチュエータ(9)、空気圧アクチュエータ(9)、または、電動アクチュエータ(9)を備えることを特徴とする、請求項9に記載のケーブルハンドリングシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動の鉱山車両または建設車両におけるケーブルハンドリングシステムの分野に関し、より具体的には、車体のケーブルリールに巻き取られたり、ケーブルリールから繰り出されたりするように構成される垂下した電気ケーブルを介して電力が供給されるような車両におけるケーブルハンドリングシステムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、鉱山機械および建設機械の全車両は、作業エリアで同時に操縦されることで、共有する作業割当を実行する。共有する作業割当を実行するには、各車両がそれぞれの場所でそれぞれの作業タスクを実行する必要がある。
【0003】
個々の作業タスクを実行するには、掘削作業のための採掘装置など、特定のタスクに適した機械を適用する必要がある。このような採掘装置は、作業タスクを実行するため、かつ、作業場所まで移動するために、一定量のエネルギーを必要とする。
【0004】
作業の実行および移動のためのエネルギーは、通常、内燃機関または電気モータによって供給される。掘削装置が電力で作動できるように、ケーブルを使用して掘削装置に電気エネルギーを供給してもよい。
【0005】
難点は、ケーブルを介して掘削装置に電気エネルギーを供給する場合、掘削装置を常に電力系統およびケーブルに接続しなければならず、また、実用的な理由から長さが制限されて遠くまでの移動も制限されるため、掘削装置を動かすのが困難になることである。さらに、使用されるケーブルは太くて硬いことが多いため、位置を調整しつつ掘削装置で複雑な操作を行うときや、短い距離を繰り返し後進するときに、ケーブルを避けるのが困難になる。掘削装置を動かしながらケーブルの上を走行しないようにするのは一般的に困難である。ケーブルは、ケーブルの上を走行されると大きく損傷したり切断されたりする可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的は、電動の鉱山車両または建設車両におけるケーブルハンドリングシステムを提供することである。本車両は、スキッドステア式の無限軌道または車輪車体を含む。本車体は、搭載された電動モータから動作用の動力を直接的または間接的に得ており、車載バッテリおよび/または燃料電池によって、または、垂下した電気ケーブルを介して電力が供給される。本電気ケーブルは、動作中に車体のケーブルリールに巻き取られ、かつケーブルリールから繰り出されるように構成されており、遠隔電源への接続のために設けられている。第一の発明において、本目的は、アーム部材とケーブルガイド機構とを含むケーブルガイドアセンブリを備えるシステムによって達成される。本システムにおいて、アーム部材の第一端は車体の後部に回転可能に取り付けられており、車体の縦軸の方向を中心とする円弧を通って車体の後部の周囲を両方向に約90度まで水平移動できる。また、ケーブルガイド機構は、アーム部材の第二先端部に配置されており、使用される電気ケーブルを受け止めてケーブルリールに向かって案内するように構成されている。
【0007】
本システムによれば、位置を調整しつつ車両で複雑な操作を行うときや、短い距離を繰り返し後進するときに、確実にケーブル上を走行することなく車両を動かすことが可能になる。これにより、敷地上の困難な地形において車両を操作することが可能になる。また、掘削装置の場合は、キャリアとケーブルを別々に操作することが可能になる。掘削装置は、ケーブルを静止させたまま、キャリアを所定の位置に回転/揺動させることができる。掘削したい場所に掘削装置を向けなければいけないことが多いため、例えば、掘削装置の周囲に絶壁があり、互いに近接するいくつかの場所を掘削する必要がある場合、本システムはケーブルを静止させたままキャリアをその場で回転させることができるという利点がある。また、適切な長さのアームにより、車両の操縦者が、ケーブル上を走行する危険を冒すことなく、例えば、後進や旋回など、掘削装置を比較的自由に操作できるようになる。さらに、掘削装置にケーブルリールを取り付けることにより、敷地にその機能が不要になり、「電源コンセント」が利用可能であるだけでよくなる。また、車両に取り付けられたケーブルリールを制御して自動化することも容易になる。例えば、車両を後進させるとケーブルリールが自動的にケーブルを巻き取る。
【0008】
一実施形態では、車両の動作中、アーム部材は円弧を通って自由に移動可能である。
【0009】
一実施形態では、ケーブルガイドアセンブリは、円弧に沿った一つ以上の位置でアーム部材を選択的にロックするための構成をさらに備える。
【0010】
一実施形態では、アーム部材を選択的にロックするための構成は、ロックピンと、対応する穴付きロックプレートと、を備える。
【0011】
一実施形態では、ロックピンには、アーム部材をロックするためにロックピンが使用されるときに、所定の力が加わると解除されてアーム部材が自由に円弧を通って移動できるようになる程度の強さのリンクが設けられている。
【0012】
一実施形態では、ケーブルガイド機構は、使用される電気ケーブルをケーブルリールに向かって案内するための複数のローラーを備える。
【0013】
一実施形態では、複数のローラーは、電気ケーブルの許容曲げ半径を円弧に沿ったアーム部材のすべての位置において確実に維持しつつ、使用される電気ケーブルを案内するように構成されている。
【0014】
一実施形態では、アーム部材の長さは、車体の後部の中央にある取り付け部から第二先端部におけるケーブルガイド機構までであり、使用される電気ケーブルが、車体、車両の軌道または車輪、または車両のその他の部分から所定の距離に配置されている。
【0015】
一実施形態では、アーム部材は、車両の動作中に円弧を通って、かつ制御可能に移動することができるアクチュエータに接続される。
【0016】
一実施形態では、アクチュエータの構成は、一つ以上の油圧アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、または電動アクチュエータを有する。
添付の図面を参照しながら、以下に本発明の例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、ケーブルガイドアセンブリを有する電動の採掘装置を示す概略図である。
【
図3】
図3は、ケーブルガイドアセンブリのアーム部材が電気ケーブルを車両の右方に案内しているときの、
図1の採掘装置の概略上面図を示す。
【
図4】
図4は、ケーブルガイドアセンブリのアーム部材が電気ケーブルを車両の左方に案内しているときの、
図1の採掘装置の概略上面図を示す。
【
図5】
図5は、一つ以上の位置でアーム部材を選択的にロックするためのロック機構を示す概略図である。
【
図6】
図6は、アーム部材の位置決めを補助するアクチュエータ構成を示す概略図である。
【
図7】
図7は、キャリアを取り付けている状態における、
図1の採掘装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、採掘装置を例として、電動の鉱山車両または建設車両2(以下、電動鉱山車両/建設車両2)におけるケーブルハンドリングシステム1を詳細に説明する。掘削装置は、鉱物の位置と品質を特定することを目的とした探査掘削や、採掘および/または建設の生産サイクルで使用される生産掘削など、いくつかの目的で使用される。
【0019】
図面における同様の符号は、複数の図面にわたって、同一または対応する要素を示す。これらの図面は説明のみを目的としており、いかなる形であっても本開示の範囲を制限するものではない。
【0020】
図1を参照すると、電動鉱山車両/建設車両2は、スキッドステア式の無限軌道または車輪8付きの車体2aを含んでいる。
図1では無限軌道8が示されている。両側の車輪が同時にかつ機械的にロックされ、また、左側の車輪を右側の車輪とは独立して駆動することができる車輪または無限軌道付きの車両は、スキッドステア式車両と呼ばれている。このような車両は、ディファレンシャルステアリングによって旋回する。ディファレンシャルステアリングでは、左右の複数対の車輪または無限軌道が異なる速度で操作され、車輪または無限軌道が地面の上を滑ったり引きずられたりすることで機械が旋回する。スキッドステアリングにより、車両2は基本的にはその場で回転可能である。
【0021】
図7は、キャリアが取り付けられている状態における、
図1の完全な採掘装置を示す概略図である。本開示の関連する特徴をより明確にするため、
図1ではキャリアは省略されている。
【0022】
車両2は、車体2aに搭載される電動モータ(図示せず)から、動作用の動力を直接的または間接的に得ている。この場合、“直接的”とは、電動モータが機械式トランスミッ
ションを介して車輪または無限軌道を直接操作することを意味する。また、“間接的”と
は、電動モータ、油圧ポンプを操作して作動液を加圧し、続いてそれが一つ以上の油圧モータを介して無限軌道又は車輪を操作するために使用されることを意味する。
【0023】
電動モータは、車載バッテリおよび/または燃料電池(図示せず)によって、または垂下した電気ケーブル3を介して電力が供給される。垂下した電気ケーブル3は、車両2の動作中に車体2aのケーブルリール4に巻き取られたり、ケーブルリール4から繰り出されたりするように構成されている。ケーブルリール4は、ある程度は自動化されていることが好ましい。それにより、車両2が後進すると、電気ケーブル3の張力が減少してケーブルリール4が自動的に電気ケーブル3を巻き取る。また、車両2が前進すると、電気ケーブル3の張力が増加してケーブルリール4から電気ケーブル3が繰り出される。車両の操縦者が、適切なマン・マシン・インターフェース(MMI)を使用して、手動でケーブルを巻き取ったり繰り出したりすることが可能であってもよい。
【0024】
例えば、
図2に示すように、垂下した電気ケーブル3を繰り出すとき、電気ケーブル3を「引きずり出す」ことが可能であることが好ましい。つまり、前進するときのケーブルリール4のトルクを低くすることで、電気ケーブルが地面上で動き回ってしまうほどの張力をかけずに、電気ケーブル3が自ら出てくるようにするべきである。
【0025】
ケーブルリール4は、電気ケーブル3を不規則に巻き取るのに十分な大きさであるか、または、巻き取るときに電気ケーブル3をケーブルリール4において秩序だって配置するための構成(図示せず)を備えるべきである。
【0026】
電気ケーブル3は、遠隔電源(図示せず)への接続のために設けられている。上述のように、ケーブルリール4を車体2aに取り付けることの利点として、適切な電源コンセントの範囲内であるならば、電動鉱山車両/建設車両2を長時間にわたって完全に電動で操縦してもよいことが挙げられる。したがって、バッテリおよび/または燃料電池に十分なエネルギーがない状態で車両2を長時間使用する場合、車両2を電力系統に接続することができる。
【0027】
上述の目的に適している電気ケーブル3は、通常、非常に太く、重く、そして硬い。電気ケーブル3は、1000Vの公称電圧用に設計されるか、または、例えば400~5000V以上の範囲内の、交流(AC)給電または直流(DC)給電として供給されるその他の電圧用に設計されてもよい。ここでは電気ケーブル3は一本の電気ケーブルとして説明されているが、二本以上の電気ケーブルを使用することも可能である。
【0028】
本開示における「鉱山車両または建設車両(鉱山車両/建設車両)」という表現は、生産、探査、および建設用の掘削装置を含んでもよい。
【0029】
図1に示すように、ケーブルハンドリングシステム1は、アーム部材5およびケーブルガイド機構6を含むケーブルガイドアセンブリ5、6を備える。
【0030】
アーム部材5の第一端5aは車体2aの後部に回転可能に取り付けられており、車体2aの縦軸の方向を中心とする円弧を通って車体2aの後部の周囲を両方向に約90度まで水平移動できる。アーム部材5は、車体2aの後部において高い位置に設けられることが好ましい。
【0031】
ケーブルガイド機構6は、アーム部材5の第二先端部5bに配置されており、使用される電気ケーブル3を受け止めてケーブルリール4に向かって案内するように構成されている。
【0032】
アーム部材5は、車両2の動作中に円弧を通って自由に移動できるように適切に配置される。
【0033】
しかしながら、
図5に示すように、ケーブルガイドアセンブリは、円弧に沿った一つ以上の位置でアーム部材5を選択的にロックするためのロック機構7を備えていてもよい。ほとんどの使用例では、円弧に沿った少なくとも三つの位置でアーム部材5をロックするためのロック機構7があれば十分であるはずである。そのうちのひとつの位置は、操縦者のキャビンが車両の左側にある場合においてバックミラーを使用する操縦者または後方確認カメラに対する良好な視認性を確保するために、
図4に示すように電気ケーブル3が車両の左側の外側に配置されている位置であることが好ましい。
【0034】
また、そのうちのひとつの位置は、特に操縦者のキャビンが車両の右側に配置されている場合において、
図3に示すように電気ケーブル3が車両の右側の外側に配置されている位置であってもよい。
【0035】
そのうちのまた別の位置は、関連する輸送車両の寸法の制限を維持するため、または、単に車両をバッテリおよび/または燃料電池の電力で操縦する場合においてアーム部材5を安全に保ちかつ危険から遠ざけるために設けられている、アーム部材5が適切に配置されている輸送モード位置であってよい。
【0036】
図5にさらに示すように、アーム部材5を選択的にロックするためのロック機構7は、ロックピン7aと、対応する穴付きロックプレート7bと、を備えていてもよい。ロックピン7aには、アーム部材5をロックするためにロックピン7aが使用されるときに、所定の力が加わると解除されてアーム部材5が自由に円弧を通って移動できるようになる程度の強さのリンク7a1が設けられていてもよい。これにより、アーム部材5が周囲の物体に引っかかった場合に、アーム部材5が損傷したり破損したりすることを防止するようにしてもよい。
図5における例示的なロック機構7は、ロックピン7aと対応する穴付きロックプレート7bとを備えている。しかしながら、例えば、アーム部材5に反対側から接続することでアーム部材5の位置を維持し、アーム部材5の位置をロックすることができる鎖などのその他のロック機構を採用してもよい。
【0037】
ケーブルガイド機構6は、使用される電気ケーブル3をケーブルリール4に向けて案内するためのローラー6aを複数、または一つだけ備えていてもよい。
【0038】
複数のローラー6aは、電気ケーブル3の許容曲げ半径を円弧に沿ったアーム部材5のすべての位置において確実に維持しつつ、使用される電気ケーブル3を案内するように構成されている。電気ケーブル3を案内するローラーの摩擦力は、可能な限り低く抑えるべきである。これらの目的を達成するためには、ケーブルガイド機構6のローラー6aの直径を非常に大きくすることで、摩擦を最小限に抑えてケーブルの急激な曲がりを避け、電気ケーブル3がケーブルリール4において均等に巻き取られるようにするべきである。
【0039】
アーム部材5の長さは、車体2aの後部、つまり第一端5aにある取り付け部から第二先端部5bにあるケーブルガイド機構6までであり、使用される電気ケーブル3が、車体2a、車両2の無限軌道/車輪8、または車両2のその他の部分から所定の距離に配置されるようにするべきである。アーム部材5の長さをこのようにすることで、例えば、電気ケーブル3の上を走る危険を冒すことなく車両2を後退させたり旋回させたりするなど、操縦者が比較的自由に車両2を操縦することができる。
【0040】
図6に示すように、アーム部材5は、車両2の動作中に円弧を通って、かつ制御可能に移動することができるアクチュエータ構成9に接続されていてもよい。したがって、車両の操縦者は、適切なマン・マシン・インターフェース(MMI)を使用して、手動でアーム部材5を円弧に沿って配置することが可能になる。アクチュエータ構成9は、一つ以上の油圧アクチュエータ9、空気圧アクチュエータ9、または電動アクチュエータ9を備えていてもよい。
【0041】
以上のように、図面も参照しつつ本発明を詳述および詳細に説明したが、これらは説明的もしくは例示的なものであり、本発明は実施形態に限定されないと考えられる。例えば、別の実施形態では、ホースリール(図示せず)を車両2に配置してケーブルリール4と同じガイドアーム部材5を使用してもよいが、ケーブルガイド機構6に独自のガイドローラーのセットが設けられている。したがって、ホースおよびかかるホースリールは、車両2に液体または気体を供給するために使用されてもよい。例えば、採掘装置の場合、掘削作業のためにこの採掘装置に液体または気体を供給するために使用される。同様に、ケーブルリール4を配置せずにホースリールのみを車両2に配置した状態で、本明細書に開示されるアーム部材5およびガイド機構6を使用することも可能である。
【国際調査報告】