(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】エアロゾル発生デバイスのための誘導加熱アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20241128BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20241128BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520054
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2022087196
(87)【国際公開番号】W WO2023118272
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ガルシア, エドアルド ホセ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC10
4B162AC12
4B162AC22
4B162AC50
(57)【要約】
エアロゾル発生デバイス(100)のための誘導加熱アセンブリ(10)。誘導加熱アセンブリ(10)は、誘導コイル(12)と、エアロゾル発生基材を受け入れるように構成された加熱区画(14)と、誘導コイル(12)の周囲に配置された構造体(16)とを備える。構造体(16)は、第1の電磁シールド層(18)と、第1の電磁シールド層(18)の外側に配置された第2の電磁シールド層(20)と、第1の電磁シールド層(18)と第2の電磁シールド層(20)との間に配置された第1の断熱層(22)とを含む。第1の断熱層(22)は、第1の電磁シールド層(18)の外面(28)と接触する内面(26)と、第2の電磁シールド層(20)の内面(32)と接触する外面(30)とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生デバイス(100)のための誘導加熱アセンブリ(10)であって、前記誘導加熱アセンブリ(10)は、
エアロゾル発生基材を受け入れるように構成された管状加熱区画(14)と、
前記管状加熱区画を囲むヘリカル誘導コイル(12)と、
前記ヘリカル誘導コイル(12)の周囲に配置された構造体(16)と、を備え、
前記構造体(16)は、
第1の電磁シールド層(18)と、
前記第1の電磁シールド層(18)の外側に配置された第2の電磁シールド層(20)と、
前記第1の電磁シールド層(18)と前記第2の電磁シールド層(20)との間に配置された第1の断熱層(22)と、
を含み、
前記第1の断熱層(22)は、前記第1の電磁シールド層(18)の外面(28)と接触する内面(26)と、前記第2の電磁シールド層(20)の内面(32)と接触する外面(30)とを有する、誘導加熱アセンブリ(10)。
【請求項2】
前記加熱アセンブリは、前記管状加熱区画の周縁の周囲に配置された誘導加熱可能サセプタを更に備える、請求項1に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項3】
前記構造体(16)は、前記第1の電磁シールド層(18)の内側に配置された第2の断熱層(24)を備える、請求項1又は2に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項4】
前記第1の断熱層(22)は、断熱材料の1つ以上のシートを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項5】
前記第1の断熱層(22)は空気ポケットを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項6】
前記第1の断熱層(22)は、セラミックファイバ、1つ以上の金属酸化物、又はエアロゲルを含み、前記セラミックファイバは、任意選択で、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及び/又はZrO
2を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項7】
前記第1の電磁シールド層(18)と前記第2の電磁シールド層(20)とは、それらの導電率及びそれらの透磁率の一方又は両方が異なる、請求項1から6のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項8】
前記第1の電磁シールド層(18)又は前記第2の電磁シールド層(20)の一方がフェリ磁性非導電性材料を含み、前記第1の電磁シールド層(18)又は前記第2の電磁シールド層(20)の他方が導電性材料を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項9】
前記第1の電磁シールド層(18)がフェリ磁性非導電性材料を含み、前記第2の電磁シールド層(20)が導電性材料を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項10】
前記フェリ磁性非導電性材料は、フェライト、ニッケル亜鉛フェライト、又はミューメタルを含み、前記導電性材料は、アルミニウム、グラファイト、又は銅を含む、請求項8又は9に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項11】
前記第2の電磁シールド層(20)はメッシュを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項12】
前記第1の電磁シールド層(18)と前記第2の電磁シールド層(20)とが、実質的に一様に0.5mmから1.5mmの距離だけ間隔を空けて配置される、請求項1から11のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項13】
前記構造体(16)は、前記管状加熱区画(14)を実質的に囲む、請求項1から12のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項14】
前記構造体(16)は、1つ以上の更なる電磁シールド層(18、20)及び/又は1つ以上の更なる断熱層(22、24)を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の誘導加熱アセンブリ(10)を備えるエアロゾル発生デバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、エアロゾル発生デバイスのための誘導加熱アセンブリに関し、より詳細には、ユーザが吸入するためのエアロゾルを発生させるためにエアロゾル発生基材を加熱するための、エアロゾル発生デバイスのための誘導加熱アセンブリに関する。本開示の実施形態はまた、エアロゾル発生デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エアロゾル発生基材を燃やすのではなく、加熱して、吸入用のエアロゾルを発生させるデバイスが消費者に人気になってきている。
【0003】
このようなデバイスは、基材に熱を提供するためのいくつかの異なる手法のうちの1つを使用し得る。そのような手法の1つは、インダクタを含む誘導加熱システムを採用するエアロゾル発生デバイスを提供することである。
【0004】
ユーザがデバイスを作動させると、電気エネルギーがインダクタに供給され、これにより交番電磁場が発生する。サセプタが電磁場と結合して熱を発生し、その熱が、例えば伝導によって基材に伝達され、基材が加熱されるとデバイスのユーザが吸入するためのエアロゾルが発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
誘導加熱システムを使用することの欠点は、電磁場の漏れが発生し得ることである。更に、発生した熱によってデバイスのハウジングが高温になり得る。したがって、これらの欠点に対処する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、エアロゾル発生デバイスのための誘導加熱アセンブリであって、誘導加熱アセンブリは、
・エアロゾル発生基材を受け入れるように構成された管状加熱区画と、
・管状加熱区画を囲むヘリカル誘導コイルと、
・ヘリカル誘導コイルの周囲に配置された構造体と、を有し、
前記構造体は、
-第1の電磁シールド層と、
-第1の電磁シールド層の外側に配置された第2の電磁シールド層と、
-第1の電磁シールド層と第2の電磁シールド層との間に配置された第1の断熱層と、
を含み、
第1の断熱層は、第1の電磁シールド層の外面と接触する内面と、第2の電磁シールド層の内面と接触する外面とを有する、誘導加熱アセンブリが提供される。
【0007】
構造体は、誘導コイルの発生する電磁場の漏れを低減する、すなわち遮蔽効果を提供する。更に、構造体は、ユーザが不快感なくデバイスを扱うことができるように、エアロゾル発生デバイスのハウジングが高温にならないことを確保するように断熱を改善する。断熱は、熱的に接触する物体間の熱伝達(温度の異なる物体間の熱エネルギーの伝達)の抑制である。
【0008】
加熱アセンブリは、管状加熱区画の周縁の周囲に配置された誘導加熱可能サセプタ、すなわち管状誘導加熱可能サセプタを更に備え得る。このようにして、誘導加熱可能サセプタは、使用中にエアロゾル発生基材を囲むように形状を定められ得る。管状誘導加熱可能サセプタは、加熱区画の外部にあってもよいし、加熱区画の壁として設けられてもよい。管状誘導加熱可能サセプタは、加熱区画の内部にあってもよい。例えば、管状誘導加熱可能サセプタは、管状加熱区画内に受け入れられるように意図されたエアロゾル発生物品に設けられて、管状誘導加熱可能サセプタがエアロゾル発生物品内に備えられたエアロゾル発生基材を囲むようにされてもよい。
【0009】
構造体は、第1の電磁シールド層の内側に配置された第2の断熱層を備え得る。このような配置により、誘導コイルによって最適な交番電磁場が発生されることが確保され、断熱が更に改善される。
【0010】
場合により、第2の断熱層は、第1の電磁シールド層の内面に接触する外面を有する。
【0011】
第1の断熱層は、断熱材料の1つ以上のシートを含み得る。第1の断熱層は空気ポケットを含み得る。空気ポケットは断熱を更に改善する。第1の断熱層は、セラミックファイバ、1つ以上の金属酸化物、又はFinesulight(商標)などのエアロゲルを含み得る。セラミックファイバは、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及び/又はZrO2を含み得る。
【0012】
第2の断熱層は、断熱材料の1つ以上のシートを含み得る。第2の断熱層は空気ポケットを含み得る。空気ポケットは断熱を更に改善する。第2の断熱層は、セラミックファイバ、1つ以上の金属酸化物、又はFinesulight(商標)などのエアロゲルを含み得る。セラミックファイバは、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及び/又はZrO2を含み得る。第2の断熱層は、第1の断熱層とは異なる材料を含み得る。
【0013】
第1の電磁シールド層と第2の電磁シールド層とは、それらの導電率及びそれらの透磁率のいずれか又は両方が異なり得る。
【0014】
場合により、第1の電磁シールド層又は第2の電磁シールド層の一方がフェリ磁性非導電性材料を含み、第1の電磁シールド層又は第2の電磁シールド層の他方が導電性材料を含む。場合により、第1の電磁シールド層がフェリ磁性非導電性材料を含み、第2の電磁シールド層が導電性材料を含む。場合により、フェリ磁性非導電性材料が、フェライト、ニッケル亜鉛フェライト、又はミューメタルを含み、導電性材料が、アルミニウム、グラファイト、又は銅を含む。
【0015】
第2の電磁シールド層はメッシュを含み得る。
【0016】
第1の電磁シールド層と第2の電磁シールド層とは、実質的に一様に0.5mmから1.5mmの距離だけ間隔を空けて配置され得る。この程度の間隔により、それぞれの第1の電磁シールド層及び第2の電磁シールド層の遮蔽効果が改善される。
【0017】
構造体は、第1の断熱層の外側に配置された第3の断熱層を備え得る。第3の断熱層は、第1の断熱層(及び/又は、存在する場合は第2の断熱層)とは異なる材料を含み得る。このような配置は、第1の断熱層を通って逃げる熱を拡散させることによって、断熱を改善し得る。
【0018】
第3の断熱層はグラファイトを含み得る。第3の断熱層は、第2の電磁シールド層の代わりに、又は第2の電磁シールド層の内側に設けられ得る。よって、第3の断熱層は、第1の断熱層の外面に接触する内面を備え得る。第3の断熱層は、第2の断熱層に加えて、又は第2の断熱層の代わりに設けられ得る。
【0019】
構造体は、1つ以上の更なる電磁シールド層及び/又は1つ以上の更なる断熱層を備え得る。このように、構造体は様々な用途のために構成され得る。場合により、構造体は、任意の隣接する2つの電磁シールド層の間に断熱層が配置されるように構成される。場合により、構造体は、いかなる電磁シールド層も互いに接触しないように構成される。
【0020】
構造体は、加熱区画を実質的に囲み得る。このようにして、遮蔽効果及び断熱が最大化される。
【0021】
構造体は、管状加熱区画の外周の周囲に延び、加熱区画の長さの大部分、好ましくは全体にわたって延び得る。このようにして、遮蔽効果及び断熱が最大化される。
【0022】
本開示の第2の態様によれば、上記の段落のいずれかによる誘導加熱アセンブリを備えるエアロゾル発生デバイスが提供される。
【0023】
本開示の第3の態様によれば、エアロゾル発生デバイスのための誘導加熱アセンブリであって、誘導加熱アセンブリは、
・エアロゾル発生基材を受け入れるように構成された管状加熱区画と、
・管状加熱区画を囲むヘリカル誘導コイルと、
・ヘリカル誘導コイルの周囲に配置された構造体と、を有し、
前記構造体は、
-第1の電磁シールド層と、
-第1の電磁シールド層の外側に配置された第1の断熱層と、
-第1の断熱層の外側に配置された第3の断熱層と、を含み、
第1の断熱層は、第1の電磁シールド層の外面と接触する内面と、第3の断熱層の内面と接触する外面とを有する、誘導加熱アセンブリが提供される。
【0024】
本開示の第3の態様は、本開示の第1の態様に関連して上で論じた任意選択の特徴のいずれかを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】誘導加熱アセンブリを備えるエアロゾル発生デバイスの概略断面図である。
【
図2】
図1のエアロゾル発生デバイスを、エアロゾル発生基材が誘導加熱アセンブリの加熱区画に受け入れられた状態で示す概略部分断面図である。
【
図3a】
図2のエアロゾル発生デバイスの丸で囲んだ部分の概略断面詳細図である。
【
図3b】
図2のエアロゾル発生デバイスの丸で囲んだ部分の概略断面詳細図である。ただし、純粋に説明のために、層は間隔を空けて示されている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで、単なる例として、また添付の図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
【0027】
まず、
図1及び
図2を参照すると、本開示によるエアロゾル発生デバイス100の一例が概略的に示されている。エアロゾル発生デバイス100を、「加熱式タバコデバイス」、「加熱非燃焼式タバコデバイス」、「タバコ製品気化用デバイス」などと等しく呼ぶことができ、これらの効果を実現するのに適切なデバイスとして解釈される。本明細書に開示される特徴は、任意のエアロゾル発生基材を気化させるように設計されたデバイスに等しく適用可能である。
【0028】
エアロゾル発生デバイス100は、手持ち式の携帯型デバイスであり、このことは、ユーザが補助なく片手でデバイスを保持及び支持することができることを意味する。エアロゾル発生デバイス100は、第1の(又は近位)端部34と第2の(又は遠位)端部36とを有し、デバイスハウジング38を備える。
【0029】
図示の例では、エアロゾル発生デバイス100はコントローラ40を備える。エアロゾル発生デバイス100は、コントローラ40を介してエアロゾル発生デバイス100の動作を制御するためのユーザインターフェースを備えてもよい。
【0030】
コントローラ40は、エアロゾル発生デバイス100を作動させるためのボタンの押下などのユーザ入力に応じて、又はエアロゾル発生デバイス100を通る検出された気流に応じて、エアロゾル発生デバイス100の使用の開始を検出するように構成される。当業者には理解されるように、エアロゾル発生デバイス100を通る気流は、ユーザによる吸入又は「パフ」を示す。エアロゾル発生デバイス100は、エアロゾル発生デバイス100を通る気流を検出するために、例えば、気流センサ(図示せず)などのパフ検出器を備えてもよい。
【0031】
コントローラ40は、電子回路を備える。エアロゾル発生デバイス100は、バッテリなどの電源42を備える。電源42及び電子回路は、高周波で動作するように構成されてもよい。電源42及び電子回路は、約80kHz~500kHz、場合により約150kHz~250kHz、場合により約200kHzの周波数で動作するように構成されてもよい。電源42及び電子回路は、必要に応じて、例えばMHz帯などのより高い周波数で動作するように構成することもできる。
【0032】
エアロゾル発生デバイス100は、誘導加熱アセンブリ10を備える。誘導加熱アセンブリ10は、加熱区画14を備える。加熱区画14は、エアロゾル発生基材44を受け入れるように構成される。いくつかの例では、加熱区画14は略円筒形の断面を有する。加熱区画14は空洞を画定する。
【0033】
加熱区画14は、第1の端部46と第2の端部48とを有する。加熱区画14は、エアロゾル発生基材44を受け入れるための開口部50を第1の端部46に備える。図示の例では、加熱区画14は、略円筒形の側壁52、すなわち、略円形の断面を有する側壁52を備える。
【0034】
エアロゾル発生基材44は、任意の種類の固体又は半固体の材料であり得る。エアロゾル発生固体の例示的な種類としては、粉末、顆粒、ペレット、シュレッド、ストランド、粒子、ゲル、ストリップ、ルーズリーフ、カットリーフ、カットフィラー、多孔質材料、発泡材料、又はシートが挙げられる。エアロゾル発生基材44は、植物由来の材料を含み得、特にタバコを含み得る。エアロゾル発生基材44は、有利には、再構成タバコを含み得る。
【0035】
エアロゾル発生基材44は、エアロゾル形成剤を含み得る。エアロゾル形成剤の例としては、グリセリン又はプロピレングリコールなどの多価アルコール及びこれらの混合物が挙げられる。典型的には、エアロゾル発生基材は、乾燥重量ベースで約5%~約50%のエアロゾル形成剤含量を含み得る。いくつかの例では、エアロゾル発生基材44は、乾燥重量ベースで約10%~約20%、場合により乾燥重量ベースで約15%のエアロゾル形成剤含有量を含み得る。
【0036】
エアロゾル発生基材44は、加熱されると、揮発性化合物を放出し得る。揮発性化合物は、ニコチン又はタバコ香味料などの香味化合物を含み得る。
【0037】
図示の例では、エアロゾル発生基材44は、エアロゾル発生物品54に含まれる。エアロゾル発生物品54の形状は加熱区画14の形状に対応する。エアロゾル発生物品54は、略円筒形又は棒状であり得る。エアロゾル発生物品は、実質的にスティックの形状に形成されてもよく、好適な形態で配置されるエアロゾル発生基材44を有する管状領域を有する紙巻きたばこに概ね類似してもよい。エアロゾル発生物品54は使い捨て且つ交換可能な物品であり、例えば、エアロゾル発生基材44としてタバコを収容してもよい。エアロゾル発生物品54は、第1の端部56(又は口側端部)と第2の端部58とを有し、第1の端部56にフィルタ60を備える。フィルタ60は、マウスピースとして機能し、通気性プラグ、例えば酢酸セルロース繊維を含む通気性プラグを備え得る。
【0038】
エアロゾル発生基材44及びフィルタ60は、紙製ラッパーで囲まれてもよく、したがって、エアロゾル発生物品54として具現化されてもよい。一部の設計には、1つ以上の蒸気収集領域、冷却領域、及び他の構造体も含まれ得る。
【0039】
エアロゾル発生デバイス100を使用するために、ユーザは、開口部50を通して加熱区画14にエアロゾル発生物品54を挿入し、その結果、エアロゾル発生物品54の第2の端部58が加熱区画14の第2の端部48に配置され、またエアロゾル発生物品54の第1の端部56にあるフィルタ60が加熱区画14の第1の端部46から突出して、ユーザが唇で咥えることができるようになる。
【0040】
誘導加熱アセンブリ10は、誘導コイル12を更に備える。誘導コイル12は、誘導加熱可能サセプタ62を誘導加熱するための交番電磁場を発生させるように通電されるように構成される。誘導加熱可能サセプタ62は、図示のように加熱区画14の周縁の周囲に配置されてもよいし、代わりに、第2の端部48から加熱区画14内に突出して(例えば、加熱ブレード又はピンとして)エアロゾル発生基材44)を貫通するように配置されてもよいし、エアロゾル発生物品54の製造中にエアロゾル発生基材44に設けられてもよい。誘導加熱可能サセプタ62は、管状であり、且つエアロゾル発生基材44を囲み得る。
【0041】
使用中、誘導加熱可能サセプタ62からの熱は、例えば伝導、放射、及び対流により、加熱区画14に配置されたエアロゾル発生物品54のエアロゾル発生基材44に伝達されて、(エアロゾル発生基材44を燃焼させることなしに)エアロゾル発生基材44を加熱することにより蒸気を発生させ、蒸気が冷却され凝縮して、エアロゾル発生デバイス100のユーザがフィルタ60などを介して吸入するためのエアロゾルを形成する。エアロゾル発生基材44の蒸発は、例えば空気入口(図示せず)を通して、周囲環境から空気を追加することにより促進される。
【0042】
一般論として、蒸気は、その臨界温度よりも低い温度では気相である物質であり、これは、温度を低下させることなく圧力を上昇させることにより、蒸気を液体に凝縮させることができることを意味する。一方、エアロゾルは、空気中又は別のガス中に微細な固体粒子又は液滴が浮遊しているものである。しかしながら、本明細書では、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、特にユーザが吸入するために発生される吸入可能な媒体の形態に関して互換的に使用され得ることに留意されたい。
【0043】
誘導コイル12は、電源42及びコントローラ40によって通電され得る。誘導コイル12は、リッツ線又はリッツケーブルを備えてもよい。しかしながら、他の材料も使用できることを理解されたい。図示の例では、誘導コイル12は、加熱区画14の周囲に延びる。
【0044】
図示の例では、誘導コイル12は、加熱区画14の周囲に延びる。したがって、誘導コイル12は環状である。図示の例では、誘導コイル12は、形状が概ねらせん状である。いくつかの例では、ヘリカル誘導コイル12の円形の断面により、エアロゾル発生基材44、又は例えばエアロゾル発生基材44を含むエアロゾル発生物品54、及び任意選択で1つ以上の誘導加熱可能サセプタ62の、加熱区画14内への挿入が促進され、エアロゾル発生基材44の均一な加熱が確保され得る。
【0045】
図示の例では、誘導加熱可能サセプタ62は導電性材料を含む。誘導加熱可能サセプタ62は、グラファイト、モリブデン、炭化ケイ素、ニオブ、アルミニウム、鉄、ニッケル、ニッケル含有化合物、チタン、軟鋼、ステンレス鋼、低炭素鋼、及びこれらの合金、例えばニッケルクロム又はニッケル銅、並びに金属材料の複合材料のうちの1つ以上を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの例では、誘導加熱可能サセプタ62は、軟鋼、ステンレス鋼、及び低炭素ステンレス鋼からなる群から選択された金属を含む。
【0046】
使用中、サセプタ62の近傍に電磁場を印加すると、渦電流及び磁気ヒステリシス損失により電磁気から熱へのエネルギー変換がもたらされることに起因して、サセプタ62は熱を発生させ得る。
【0047】
誘導コイル12は、使用時に、約20mT~約2.0T(最高密度点)の磁束密度を有する変動電磁界を伴って動作するように構成され得る。
【0048】
誘導加熱アセンブリ10は、誘導コイル12の周囲に配置された構造体16を更に備える。したがって、構造体16は誘導コイル12の外側に配置される。図示の例では、構造体16は誘導コイル12を実質的に囲む。
【0049】
図示の例では、構造体16は、加熱区画14を実質的に囲む。加熱区画14は管状である。よって、加熱区画14の周縁の周囲に配置されたサセプタ62もまた管状である。図示の例では、構造体16は、管状加熱区画14の外周の周囲に延び、加熱区画14の長さの大部分、好ましくは全体にわたって延びる。このようにして、遮蔽効果及び断熱が最大化される。
【0050】
図示の例では、構造体16は略円筒形であり、例えば、誘導コイル12の周りに周方向に延びるように誘導コイル12の半径方向外側に配置される略円筒形スリーブの形態で略円筒形である。したがって、図示の例では、構造体16は誘導コイル12の周囲に周方向に配置される。
【0051】
図3a及び
図3bは、構造体16の詳細図を示している。図示の例では、構造体16は、いくつかの層からなる構成を含む。
図3bでは、層は、純粋に説明のために間隔を空けて示されている。
図3a及び
図3bを参照すると、構造体16は、第1の電磁シールド層18と第2の電磁シールド層20とを備える。第2の電磁シールド層20は、第1の電磁シールド層18の外側に配置される。第1の電磁シールド層18と第2の電磁シールド層20とは、それらの導電率及びそれらの透磁率のいずれか又は両方が異なり得る。
【0052】
第1の電磁シールド層18は、典型的には、フェライト、ニッケル亜鉛フェライト、又はミューメタルなどのフェリ磁性の非導電性材料から形成される。
【0053】
第1の電磁シールド層18は、積層構造体を含んでもよく、したがってそれ自体が複数の層を含んでもよい。層は、同じ材料を含んでもよいし、例えば所望の遮蔽特性をもたらすように選択された、複数の異なる材料を含んでもよい。第1の電磁シールド層18は、例えば、1つ以上のフェライト層と1つ以上の接着材層とを含み得る。
【0054】
第1の電磁シールド層18は、0.1mm~10mmの厚さを有し得る。いくつかの例では、厚さは0.1mm~6mmであり得、より好ましくは、厚さは0.7mm~2.0mmであり得る。
【0055】
第2の電磁シールド層20は、典型的には、導電性材料、例えばアルミニウム又は銅などの金属を含み、メッシュの形態であってもよい。
【0056】
第2の電磁シールド層20は、積層構造体を含んでもよく、したがってそれ自体が複数の層を含んでもよい。層は、同じ材料を含んでもよいし、例えば所望の遮蔽特性をもたらすように選択された、複数の異なる材料を含んでもよい。
【0057】
第2の電磁シールド層20は、0.1mm~0.5mmの厚さを有し得る。いくつかの例では、厚さは0.1mm~0.2mmであり得る。
【0058】
第2の電磁シールド層20の抵抗値は、第2の電磁シールド層20における加熱損失及び導電損失を最小化するように選択される。第2の電磁シールド層20の抵抗値は、例えば30mΩ未満であり得る。いくつかの例では、抵抗値は、15mΩ未満であり得、10mΩ未満であり得る。
【0059】
構造体16は、第1の電磁シールド層18と第2の電磁シールド層20との間に配置された第1の断熱層22を更に備える。第1の断熱層22は、第1の電磁シールド層18の外面28に接触する内面26を有する。第1の断熱層22は、第2の電磁シールド層20の内面32に接触する外面30を有する。第1の断熱層22は、第1の電磁シールド層18と第2の電磁シールド層20との間に包まれ得る。
【0060】
図示の例では、第1の電磁シールド層18と第2の電磁シールド層20とは、実質的に一様に間隔を空けて配置される。第1の電磁シールド層18と第2の電磁シールド層20とは、第1の断熱層22によって実質的に一様に間隔を空けて配置される。第1の電磁シールド層18と第2の電磁シールド層20とを隔てる距離は、0.5mmから1.5mmであり得る。この程度の間隔により、それぞれの第1の電磁シールド層18及び第2の電磁シールド層20の遮蔽効果が改善される。この距離は第1の断熱層22の厚さに対応する。したがって、第1の断熱層22は、0.5mmから1.5mmの一様な厚さを有する。
【0061】
図示の例では、構造体16は、第2の断熱層24を更に備える。第2の断熱層24は、第1の電磁シールド層18の内側に配置される。構造体16は、第2の断熱層24が誘導コイル12に隣接するように構成される。このような構成により、誘導コイル12によって最適な交番電磁場が発生されることが確保される。
【0062】
図示の例では、第2の断熱層24は、第1の電磁シールド層18の内面66に接触する外面64を有する。したがって、第2の断熱層24は、第1の電磁シールド層18に接触する。第1の電磁シールド層18はまた、第1の断熱層22に接触する。第1の断熱層22はまた、第2の電磁シールド層20に接触する。
【0063】
第1の断熱層22及び/又は第2の断熱層24は、例えば、積層構造体又は複合構造体を含み得、よってそれぞれ複数の層及び/又は粒子/要素の混合物を含み得る。粒子/要素の層又は混合物は、同じ材料を含んでもよいし、複数の異なる材料を含んでもよい。
【0064】
第1の断熱層22及び第2の断熱層24は、断熱材料の1つ以上のシートを含み得る。第1の断熱層22及び第2の断熱層24は、セラミックファイバであるSuperwool(商標)を含み得る。セラミックファイバは、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及び/又はZrO2を含み得る。他の例では、第1の断熱層22及び/又は第2の断熱層24は、代替的に又は追加的に、1つ以上の金属酸化物、又はエアロゲルを含み得る。第1の断熱層22及び第2の断熱層24は、エアロゲルの一種であるFinesulight(商標)を含み得る。
【0065】
第1の断熱層22及び/又は第2の断熱層24は空気ポケットを含み得る。空気ポケットは、第1の断熱層22及び/又は第2の断熱層24の材料に含まれる内部構造体である。例えば、Superwool(商標)の場合、この内部構造体はセラミックファイバ間に画定される。空気ポケットは、断熱に寄与し、ひいては断熱を改善する空気を保持する。
【0066】
いくつかの例では、第3の断熱層が、第2の電磁シールド層の内側に、又は第2の電磁シールド層の代わりに設けられ得る。第3の断熱材は、熱拡散に効果的なグラファイトなどの材料を含み得る。第3の断熱層に言及する場合、第2の断熱層の存在を必ずしも意味しない。すなわち、いくつかの例は、第1の電磁シールド層と、第1の断熱層と、第3の断熱層とを備える層状の構造体を提供し得る。第1の電磁シールド層は第1の断熱層によって包まれてもよく、第1の断熱層は第3の断熱層によって包まれてもよい。このような3層構造体の一例は、フェライト(シールド用)、Finesulight(商標)(断熱用)、及びグラファイト(ホットスポット抑制用)を含み得る。
【0067】
いくつかの例では、構造体16は、1つ以上の更なる電磁シールド層18、20及び/又は1つ以上の更なる断熱層22、24を備え得る。このように、構造体16は様々な用途のために構成され得る。このような例では、構造体16は、任意の隣接する2つの電磁シールド層の間に断熱層が配置されるように構成される。構造体16は、いかなる電磁シールド層も互いに接触しないように構成される。
【0068】
構造体16は、複数の層を含み、したがって積層構造体である。
【0069】
上で開示した構成を有する構造体16が、誘導コイル12の発生する電磁場の漏れを低減する。更に、このような構造体16は、ユーザが不快感なくエアロゾル発生デバイス100を扱うことができるように、エアロゾル発生デバイス100のハウジング38(すなわち、ケーシング)が高温にならないことを確保するように断熱を改善する。断熱は、熱的に接触する物体間の熱伝達(温度の異なる物体間の熱エネルギーの伝達)の抑制である。
【0070】
これまでの段落で例示的実施形態について説明してきたが、当然のことながら、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、それらの実施形態に対する様々な修正形態がなされ得る。したがって、特許請求の広さ及び範囲は、上述の例示的実施形態に限定されるべきではない。
【0071】
本明細書において別途記載のない限り又は文脈に明らかに矛盾しない限り、上述の特徴の、そのあらゆる可能な変形形態でのいかなる組み合わせも本開示によって包含される。
【0072】
文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、本明細書及び請求項の全体を通して、「含む」、「含んでいる」などの語は、排他的又は網羅的な意味ではなく、包含的な意味、すなわち「含むが、限定されない」という意味に解釈されるべきである。
【国際調査報告】