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特表2024-544840推進装置のための推力ユニットを制御するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】推進装置のための推力ユニットを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   B64D 31/12 20060101AFI20241128BHJP
   B64D 27/20 20060101ALI20241128BHJP
   B64C 29/00 20060101ALI20241128BHJP
   B64C 15/02 20060101ALI20241128BHJP
   F02K 1/15 20060101ALI20241128BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20241128BHJP
   F02D 29/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B64D31/12
B64D27/20
B64C29/00 B
B64C15/02
F02K1/15
F02D45/00 362
F02D29/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523470
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 FR2022051458
(87)【国際公開番号】W WO2023067252
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】2111126
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518356305
【氏名又は名称】ジップエール
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランキー ザパタ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン オラニエ
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン ウール
【テーマコード(参考)】
3G093
3G384
【Fターム(参考)】
3G093BA14
3G093BA27
3G093CA09
3G093DA01
3G093DB01
3G093DB21
3G093EA03
3G384AA21
3G384BA03
3G384CA16
3G384DA04
3G384DA10
3G384EA01
3G384FA56Z
(57)【要約】
本発明は推力ベクトルを補正するための方法(100)に関する。推力ベクトルは前記推力ベクトルの電気的補正手段と関連付けられた推力ユニットによって生成される。このような推力ユニットは、動力命令(PC)に応じて内燃機関(12a-e)の回転シャフトによって回される機械的ロータを備える。そのような方法(100)は、この動力命令(PC)を生成して、回転速度設定値(RSI)と内燃機関(12a-e)のシャフトの測定回転速度(RSM)との間の偏差(RSE)を低減させ、従って前記内燃機関(12a-e)のシャフトの速度を補正するステップ(110)を備える。その方法は、さらに、前記内燃機関(12a-e)のシャフトの前記速度補正と無関係に、前記偏差(RSE)に基づいて生成される推力ベクトル電気的補正手段(19a-e)の作動命令(AC)を生成するステップ(120)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
推力システム(TSa、TSb、TSc、TSd、TSe、TSf、TSg、TSh)の推力ユニット(12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h)によって出される推力ベクトルを補正するための方法(100)であって、前記推力システムは、前記方法(100)を実行するように設けられた処理手段(30、30a)を備え、前記推力ユニット(12a)は、動力命令(PC)に応じて内燃機関(12a-e)の回転シャフトによって回される機械的ロータ(12a-r)を備え、前記方法(100)は、反復的に(SP)、
推力命令(TC)を前記推力ユニット(12a)の前記内燃機関(12a-e)の前記シャフトの回転速度設定値(RSI)に変換するステップ(101)と、
前記回転速度設定値(RSI)と、前記内燃機関(12a-e)及び前記処理手段(30、30a)と協働する測定センサ(12a-s)による前記シャフトの測定回転速度(RSM)との間の偏差(RSE)を生成するステップ(102)と、
前記回転速度設定値(RSI)と前記内燃機関(12a-e)の前記シャフトの前記測定回転速度(RSM)との間の前記偏差(RSE)に基づいて前記動力命令(PC)を生成して、前記偏差(RSE)を低減させ、従って前記内燃機関(12a-e)の前記シャフトの回転速度を制御するステップ(110)と、備え、
前記推力システムは、さらに、前記推力ユニットによって出される前記推力ベクトルの電気的補正手段(19a、19b、19c、19d、19e、19f、19g、19h)を備え、
前記方法は、前記内燃機関(12a-e)の前記シャフトの回転の前記速度制御と無関係に、前記回転速度設定値(RSI)と前記内燃機関(12a-e)の前記シャフトの前記測定回転速度(RSM)との間の前記偏差(RSE)に基づいて、前記推力ベクトルの前記電気的補正手段(19a-e、19a-3)の作動命令(AC)を生成する反復の(SP)ステップ(120)を備えることを特徴とする、方法(100)。
【請求項2】
前記動力命令(PC)を生成するステップ(110)は、前記回転速度設定値(RSI)と前記シャフトの前記測定回転速度(RSM)との間の前記偏差(RSE)の乗算、積分、及び/又は微分によって前記動力命令(PC)を生成することからなる、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
生成された(110)前記動力命令(PC)を、そのような動力命令(PC、PC’)が最小動力命令閾値(PCMin)以上となるように補正する(PC’)ステップ(111)を備える、請求項1又は2に記載の方法(100)。
【請求項4】
生成された(110)前記動力命令(PC)を、そのような動力命令(PC、PC’)が最大動力命令閾値(PCMax)を超えないように補正する(PC’)ステップ(112)を備える、請求項1から3の何れかに記載の方法(100)。
【請求項5】
前記推力ユニットの推力の下限又は上限設定値(LTLI、HTLI)を考慮に入れ、最小又は最大命令閾値(PCMin、PCMax)を初期化するステップ(113)を備える、請求項3又は4に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記推力ベクトルの前記電気的補正手段(19a-e、19a-3)を作動させるステップ(120)は、前記回転速度設定値(RSI)と前記内燃機関(12a-e)の前記シャフトの前記測定回転速度(RSM)との間の前記偏差(RSE)の乗算、積分、及び/又は微分によって、前記推力ベクトルの前記電気的補正手段(19a-e、19a-3)の前記作動命令(AC)を生成することからなる、請求項1から5の何れかに記載の方法(100)。
【請求項7】
コンピュータの処理手段によって解釈され得る1つ以上のプログラム命令を含み、前記プログラム命令はそれの不揮発性メモリに置かれ得、前記処理手段による前記命令の実行によって、請求項1から6の何れかに記載の方法(100)が実行されることを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のコンピュータプログラムの前記命令を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
推力ユニット(12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h)と、前記推力ユニットによって出される前記推力ベクトルの電気的補正手段(19a、19b、19c、19d、19e、19f、19g.19h)と、請求項1から6の何れかに記載の推力ベクトルを補正するための方法(100)を実行するように設けられた処理手段(30、30a)とを備える、推力システム(TSa、TSb、TSc、TSd、TSe、TSf、TSg、TSh)。
【請求項10】
前記推力ユニット(12a)は、
回転速度(RS12)が、前記処理手段(30、30a)によって生成される前記動力命令(PC、PC’)に依存する回転シャフト内燃機関(12a-e)と、
前記内燃機関(12a-e)によって回される機械的ロータ(12a-r)と、を備え、
前記推力ベクトルの前記電気的補正手段(19a)は、
回転速度(RS19)が、前記処理手段(30、30a)によって生成される前記補正手段(19a-e)の前記作動命令(AC)に依存する回転シャフト電動機(19a-e)と、
前記電動機(19a-e)によって回され、前記推力ユニット(12a)によって出される前記推力ベクトル(AL12a)と実質的に平行な追加の推力ベクトル(AL19a)を出す機械的ロータ(19a-r)と、を備える、請求項9に記載の推力システム(TSa)。
【請求項11】
前記推力ユニット(12a)の前記内燃機関(12a-e)に連結されたモータジェネレータ(12a-g)を備えて、前記処理手段(30、30a)によって生成される作動命令(FC)に従って、前記内燃機関(12a-e)によって生成される機械力の全部又は一部を、前記モータジェネレータ(12a-g)によって出される電力(EP)に変換する、請求項10に記載の推力システム(TSa)。
【請求項12】
前記推力ユニット(12a)は、流体排出口(12a-o)を有するターボジェット(12a)を備え、
前記推力ベクトルの前記電気的補正手段(19a)は、
回転可能に取り付けられ、互いに並べられて、前記流体排出口(12a-o)の下流で、前記推力ユニット(12a)の前記推力ベクトル(AL12a)の全部又は一部(AL12a’、AL12a’’)を、前記ターボジェット(12a)の前記流体排出口(12a-o)での前記推力ベクトル(AL12a)の方向と実質的に垂直な1つ以上の方向に逸らす1対のデフレクタガイド(19a-1、19a-5)と、
前記作動命令(AC)を解釈し、それぞれ前記デフレクタガイド(19a-1、19a-5)の回転(r)をもたらすように設けられた電動アクチュエータ(19a-6)と、備える、請求項9に記載の推力システム(TSa)。
【請求項13】
請求項9から12の何れかに記載の少なくとも1つの推力システム(TSa、TSb、TSc、TSd、TSe、TSf、TSg、TSh)と、前記少なくとも1つの推力システム(TSa、TSb、TSc、TSd、TSe、TSf、TSg、TSh)の前記処理手段(30、30a)によって解釈され得る推力命令(TC)を生成するように設けられた航行制御器手段(30)とを備える、推進装置(10)。
【請求項14】
積み荷(1)を受けるように設けられた台(11、P11)と、前記少なくとも1つの推力システム(TSa、TSb、TSc、TSd、TSe、TSf、TSg、TSh)の前記推力ユニット(12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h)の支持手段(14)とを備え、前記支持手段(14)は、前記推力ユニット(12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h)の前記推力ベクトル(AL12a、AL12b、AL12c、AL12d)を、前記台(11、P11)と実質的に垂直な方向に向けるように設けられる、請求項13に記載の航空推進装置(10)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの推力システム(TSa、TSb、TSc、TSd、TSe、TSf、TSg、TSh)が、請求項5に記載の推力の制御の方法を実行するように設けられる場合、前記航行制御器手段(30)は、前記少なくとも1つの推力システム(TSa、TSb、TSc、TSd、TSe、TSf、TSg、TSh)の前記推力ユニット(12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h)の推力の下限又は上限設定値(LTLI、HTLI)を生成するように設けられる、請求項13又は14に記載の推進装置(10)。
【請求項16】
前記推進装置(10)の環境から積み荷(1)を保護するように設けられた前記台(11)に結合したフェアリング(11c)を備える、請求項13から15の何れかに記載の推進装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1人以上の搭乗者、人間若しくは動物、及び/又は1つ以上の固体若しくは液体の商品によって構成されているかどうかにかかわらず、運送が推進装置によって提供されることになっている積み荷の持ち上げ及び移動を提供するように適合し又は設けられた推進装置、好適だが非限定的に垂直推進航空機の分野に関する。本発明は、特に、そのような推進装置の推力ユニットの改善に関し、それは、前記推力ユニットの高い応答性、その結果、前記装置の姿勢の非常に高い安定性及びその軌道の高い精度を与えるように設計される。本発明は、実施が非常に簡単であり、主要な又は二次的な適用として、空中、陸上、又は水中の領域かどうかにかかわらず、最大数の推進装置に利用可能であるように意図されている。本文書の残りの部分において、本発明は、好適だが非限定的に、実質的に垂直な離着陸能力を提供するように設けられた航空機又は重航空機に適用されるように、説明されるだろう。非限定的な例として、そのような推進装置は、ドローン、クアッドコプター、若しくはオクトコプター、又は実施例が文書WO2017/174942A1に説明されている飛行装置からなり得る。しかし、本発明は、これらの適用例のみに限定されるとみなされるべきではなく、代わりに任意の型の積み荷推進装置に対して使用され得る。
【背景技術】
【0002】
そのような推進装置は、一般に、以下で「内燃機関」とも呼ばれる熱機関を備える推力ユニットを備える。内燃機関は、機械的ロータと連結されて、推力ベクトル、即ち推力を所与の方向に出す2ストローク又は4ストローク機関型の回転シャフト機関からなり得る。変形例において、そのような内燃機関はターボジェットからなり得る。図1は、文書WO2017/174942A1から取られた推進装置の第1の例を示す。「飛行オートバイ」と表現され得る推進装置10は、例えば合成された推力ベクトルAL12a及びAL12bをそれぞれ出す2つの推力ユニット12a及び12bをそれぞれ備える2つのシステムTSa及びTSbを備える。図1の例によれば、それぞれの推力ユニットは、ターボジェットの形をした複数の内燃スラスタを備え付けられる。それぞれのターボジェット、例えばターボジェット12a1は、機械的ロータと連結された回転シャフト内燃機関の組み合わせと表現され得る。そのようなターボジェットは、酸化剤、この場合、流体吸入口を通して吸入された周囲の空気と共同して、燃料、例えばケロシン又は同等物に含まれるポテンシャルエネルギーを運動エネルギーに変換する。この運動エネルギーは弾性媒体内で気体排出の噴射と反対の方向に反力を発生させる。この結果、スラスタの流体吸入口とその噴射ノズル又は排出口12a-oとの間で一定量の空気が加速され、前記噴射ノズル内での膨張によって推力が発生する。従って、ターボジェット12a1はそれ自体の推力ベクトルAL12a1を生成する。推力ユニット12aの合成された推力ベクトルAL12aは、それを構成するターボジェットによってそれぞれ生成された推力ベクトルの結合からなる。推力ユニット12a及び12bは、台11と互いに並べられた支持手段14によって保持されて、特に前記推力ユニット12a及び12bの推力ベクトルAL12a、AL12bが台11と実質的に垂直に向けられる。台11は、簡単のために、図1において破線で表された仮想の平面P11と同等のものに単純化され得、前記平面P11は、前記航空推進装置10が水平な支持体上に置かれた場合に実質的に水平な平面である。従って、前記推力ベクトルAL12a及びAL12bの影響下で、前記台11によって保持された積み荷1は垂直方向に持ち上げられ得る。この場合、図1において、前記積み荷は主に人間の搭乗者1からなる。
【0003】
図1の例によれば、支持手段14は、2つの推力ユニットの前記ターボジェットが、有利に、実質的に、台11の縦軸AL10に沿って、即ち、平面P11内に含まれる、推進装置10の尾部から機首に向けられた軸に沿って並べられるように設けられる。従って、推力ユニット12a及び12bの前記ターボジェットの推力ベクトルAL12a及びAL12bは、前記台11に垂直な、即ち台11を象徴する仮想の平面P11に垂直な(簡単のために図1には示されていない)全く同一の平面に接する。留意すべきは、この例によれば、装置10の本体の重心CG10が推力システムTSa及びTSbの前記ターボジェットの流体排出口の上に置かれることである。そのような配置によって、前記搭乗者1は、その体を傾けるだけで、方向(又は「ヨー軌道」)を変えることができる。この例によれば、推進装置10の推力システムTSa及びTSbは、それぞれ、前記推進装置10の本体の端部(機首及び尾部)に設けられた、電気二次スラスタ、この場合、図1において、電気タービンの形をした姿勢補正手段19a及び19bを備える。前記姿勢補正手段19a及び19bは、それぞれ、推力ユニット12a及び12bのターボジェットによって共同して出される推力ベクトルAL12a及びAL12bに平行な追加の推力ベクトルAL19a及びAL19bを出す。電気タービン19a及び19bは台11の姿勢を変更するために使用される。実際、文書WO2017/174942A1によれば、これらの電気タービン19a及び19bの出力は、搭乗者1からの制御命令を用いて、電子処理手段の形をした航行又は飛行制御器30によって調整されて、機首二次スラスタ19aの推力の正の作用下で輸送手段の機首を「上に向ける」ように、又は逆に尾部二次スラスタ19bの推力の正の作用下でその機首を「下げる」ように姿勢の変化をもたらす。そのような姿勢の変化は、推力ユニット12a及び12bによって出された推力と組み合わされて、推進装置10の水平方向の変位を前方又は後方にもたらす。前記電気二次スラスタ19a及び19bは、さらに、前記航行制御器30によって自動的に作動され、例えば前記航行制御器30と統合された慣性ユニットから生じる測定データに応じて、推進装置10の姿勢を実質的に一定に安定させ又は維持し得る。姿勢補正二次スラスタ19a又は19bのどちらか一方が作動された場合、その推力ベクトルAL19a、AL19bが推力ユニット12a及び12bによって生成された推力ベクトルAL12a及びAL12bに加えられる。そのような推進装置は、ターボジェットの代わりに、US2,417,896に説明されているように機械的ロータを駆動する例えば2ストローク又は4ストローク機関型の熱機関によって動かされ得る。
【0004】
図2は第2の例の航空推進装置を示す。航空推進装置は、それによって保持された積み荷を持ち上げることを可能にする。技術的な教示が文書EP3495262A1から取られている。これは、スラスタを支持する手段14を備えるクアッドコプターを含み、前記支持手段14は、実質的に平らな台11の上に「X」を描く4つのアームの形をとる。それぞれのアームは、ターボジェットの形をした前述の例と同様の熱スラスタで構成される推力ユニット12a、12b、12c、12dをそれぞれ備える推力システムTSa、TSb、TSc、TSdを支持する。台11によって保持された図2に示されていない積み荷を持ち上げるために、ターボジェットをそれぞれ備える4つの推力ユニット12a、12b、12c、12dは、それぞれ、台11と実質的に垂直な推力ベクトルAL12a、AL12b、AL12c、AL12dを出す。推力ユニット12aから12dのターボジェットの噴射ノズル又は流体排出口に損傷を与えることなく着陸するために、推力システムTSa、TSb、TSc、及びTSdの支持手段14のアームは、それらのそれぞれの末端の部分のところで、有利に伸縮式の突出手段又は脚部17と協働する。電子処理手段の形をした航行又は飛行制御器30は、推力システムTSa、TSb、TSc、TSdに推力命令を出す。推力システムのスラスタの流体排出口は、支持手段14の構成及び配置に従って、装置10の重心CG10の上方又は下方、実質的にその高さに置かれる。台11の姿勢を変更し安定させるために、それぞれの推力システムTSaからTSdは、推力ユニット12aから12dによってそれぞれ出される推力ベクトルAL12a、AL12b、AL12c、AL12dの補正手段19a、19b、19c、19dを備える。手段19aから19dも電子航行制御器30によって制御される。
【0005】
図3は、図2による推力システムTSaの推力ユニット12aに関連した推力ベクトル19aのそのような補正手段の構成を示す。推力ベクトルの前記補正手段19aは一対のデフレクタガイド19a-1及び19a-5を備える。それらはより具体的にそれぞれのピボットリンク19a-2及び19a-6によって可動に取り付けらる。前記デフレクタガイド19a-1及び19a-5は、推力ユニット12aのターボジェット12a-eの流体排出口12a-oに近い領域のところで推力ベクトルAL12aの全部又は一部を逸らすように設けられる。従って、デフレクタガイド19a-1及び19a-5で構成されたデフレクタアセンブリによって、前記推力ベクトルAL12aの「挟み込み」を描くことができる。デフレクタガイド19a-1及び19a-5は、有利に、それぞれ、一対のカムアクチュエータ又はサーボモータによって作動される。そのうちのアクチュエータ19a-3のみを図3において見ることができる。従って、アクチュエータ19a-3は制御ロッド19a-4によってデフレクタガイド19a-1と協働する。アクチュエータ19a-3のカムの作動によって、ターボジェット12aの流体排出領域の上方に置かれたシャフト19a-2の周りのデフレクタガイド19a-1の回転運動rが起こる。それによって、デフレクタガイド19a-1の開閉中、推力ユニット12aのターボジェット12a-eによって出される推力ベクトルAL12aが発生させる吸引又は排出に打ち勝ち耐えるために、アクチュエータ19a-3が必要とするトルクが制限される。デフレクタガイド19a-1及び19a-5にそれぞれ関連したアクチュエータ19a-3のようなカムアクチュエータがこれらのデフレクタガイド19a-1及び19a-5による推力ベクトルAL12aの挟み込みをもたらす場合、前記推力ベクトルAL12aは、前記デフレクタガイドの下流で、特定のデフレクタガイド19a-1又は19a-5がターボジェット12a-eの流体排出口12a-oで排出される流れに入るか入らないかに応じて、2つ又は3つの構成要素AL12a、AL12a’、AL12a’’に細分される。デフレクタガイド19a-1及び19a-5が実質的に推力ベクトルAL12aの軌道の外側に置かれた「開いた」配置において、前記推力ベクトルAL12aの力は最大となる。逆に、2つのデフレクタガイド19a-1、19a-5の一方(又は両方)が前記推力ベクトルを「挟み込む」場合、前記推力ベクトルAL12aの合成された推力は、前記デフレクタガイド19a-1及び19a-5の下流で、それがターボジェットの噴射ノズル12a-oからの排出口流の前記デフレクタガイド19a-1及び19a-5の「完全な挟み込み」中に消されるまで、低減される。前記デフレクタガイド19a-1及び19a-5の設計次第で、2つのガイド19a-1及び19a-5の「閉じた」配置の場合、逆推力、即ち流体排出口12a-oでの推力ベクトルAL12aの方向と逆の方向の推力ベクトルが生じ得る。これらのデフレクタガイド19a-1及び19a-5は、図3において、互いに対向する2つのスクープ又は実質的に曲線をなす半円形の表面に類似する。例えば10から30パーセント程度のそのような逆推力は前記ガイドの形状のおかげで可能になり得る。実際、これらのガイドは、それぞれ、前記ガイドの出口(末端の部分)で、ターボジェット12a-eの流体排出口12a-oでの元の推力ベクトルAL12aの方向と実質的に逆の方向に向けられた二次推力ベクトルAL12a’及びAL12a’’をもたらす流体の流れをガイドするように設けられ得る。
【0006】
図1から3に関して非限定的な例として説明された航空推進装置の推力システムの異なる実施形態は、全く同一の一般的な原理を共有する。それは、(手段19aのような)姿勢を補正するための二次スラスタと関連した主スラスタ(ユニット12aのような推力ユニット)を制御する電子航行制御器30を提供することからなる。従って、そのような電子航行制御器30は、主に主スラスタの主動力を利用してから、前記電子航行制御器30によって前記主スラスタのそれぞれに対して生成される動力命令と無関係に、慣性ユニットによって出される測定値に基づいて、航空推進装置の姿勢を補正するための二次スラスタの補助動力を利用し得る。最後に、二次姿勢補正スラスタによる姿勢補正が不十分であると判明した場合、前記推進装置電子航行制御器30は、再び主スラスタの動力に作用することで、推力ベクトルの大きさを増大又は低減させる。
【0007】
一般に、主スラスタは、内燃機関であり、一方で推進装置10を空中に上げるのに必要な動力を出し、他方で滞空時間に関して十分な動作可能な範囲を提供する。二次スラスタに関して、これは、その応答性のために、選択され、特定の寸法に合わせられた、一般に電気的に制御されたモータである。この応答性は、独力で推進装置10の姿勢を安定させるための慣性によって不利な立場に置かれた比較可能な内燃機関のものより優れている。他方、電気二次スラスタの動作可能な範囲及び動力は一般に熱スラスタのものにより低い。それ故、エネルギーに関して満足のいく動作可能な範囲を維持しながら推力システムの応答性を改善するために、熱式(内燃式)と電気式の両方の型のスラスタを使用することが適切である。
【0008】
内燃スラスタに対する継続的な動力命令、そして電気スラスタに対するものを生成することに基づくそのような設計の結果は、航空推進装置の低い応答性及び強壮性、姿勢の制限された安定性、明らかに改善され得る制御精度、異なるスラスタの低減された動作可能な範囲であり、他のスラスタの不十分又は不足を補正することを要求されるスラスタもある。さらに、異なる主スラスタ12a、12b、12c、12d及び二次スラスタ19a、19b、19c、19dの動力命令を生成するために、そのような航空推進装置10の電子航行制御器30によって実行される処理は、前記航空推進装置10の満足のいく飛行を提案するように設計及び実行するのに複雑であると判明している。
【発明の概要】
【0009】
本発明によって、既知又は上述の解決策から生じる欠点の全部又は一部に対処することができる。
【0010】
本発明によって与えられる数多くの利点の中で、本発明によって、
-動作可能な範囲、動力、及び応答性を兼ね備えた推力システムを提案し、
-電子航行制御器によって実行される処理を簡単にし、電子航行制御器は、今や、1以上の推力システムに、この推力システムのそれぞれの技術又は設計にかかわらず、推力命令を送るだけでよく、
-それぞれの推力システムの段階で推力ベクトルを補正するための処理を分散させ、中央電子航行制御器から生じる推力命令を、(内燃)熱スラスタへの動力命令、及び/又は前記スラスタによって出される推力の電気的補正手段を作動させるための動力命令に変換し、それぞれの推力システムの応答性を最大にして、それにより出される推力を増加又は低減させ、
-本発明による技術的教示を、空中、海、又は陸上にかかわらず、任意の推進装置に移す、ことが可能になることに言及し得る。
【0011】
この目的で、本発明は、推力システムの推力ユニットによって出される推力ベクトルを補正するための方法を提供し、推力システムは、さらに、前記方法を実行するように設けられた処理手段を備える。そのような推力ユニットは、動力命令に応じて内燃機関の回転シャフトによって回される機械的ロータを備える。
【0012】
そのような方法は、反復的に、
-推力命令を推力ユニットの内燃機関のシャフトの回転速度設定値に変換するステップと、
-前記回転速度設定値と、前記内燃機関及び前記処理手段と協働する測定センサによる前記シャフトの測定回転速度との間の偏差を生成するステップと、
-前記回転速度設定値と前記内燃機関のシャフトの測定回転速度との間の前記偏差に基づいて動力命令を生成して、前記偏差を低減させ、従って内燃機関の速度を制御するステップと、を備える。
【0013】
エネルギー、動力、及び応答性に関して動作可能な範囲を兼ね備えた推力システムを提案するために、
-推力システムは、さらに、前記推力ユニットによって出される推力ベクトルの電気的補正手段を備え、
-前記方法は、内燃機関のシャフトの回転の前記速度制御と無関係に、回転速度設定値と内燃機関のシャフトの測定回転速度との間の前記偏差に基づいて、推力ベクトルの前記電気的補正手段の作動命令を生成する反復ステップを備える。
【0014】
好適な実施形態によれば、動力命令を生成するステップは、前記回転速度設定値と前記シャフトの測定回転速度との間の前記偏差の乗算、積分、及び/又は微分によって前記動力命令を生成することからなり得る。
【0015】
推力設定値と無関係に推力ユニットによって出される最小限の動力を保つために、そのような方法は、生成された動力命令を、そのような動力命令が最小動力命令閾値以上となるように補正するステップを備え得る。
【0016】
対応して、推力設定値と無関係に推力ユニットによって出される動力を制限するために、本発明による方法は、生成された動力命令を、そのような動力命令が最大動力命令閾値を超えないように補正するステップを備え得る。
【0017】
これらの最後の2つの変形例の1つによれば、そのような最小及び/又は最大命令閾値を動的に変更することを可能にするために、本発明による方法は、推力ユニットの推力の下限又は上限設定値を考慮に入れ、最小又は最大命令閾値を初期化するステップを備え得る。
【0018】
有利な実施形態によれば、推力ベクトル補正手段を作動させるステップは、前記回転速度設定値と内燃機関のシャフトの測定回転速度との間の前記偏差の乗算、積分、及び/又は微分によって、前記推力ベクトル補正手段の作動命令を生成することからなり得る。
【0019】
第2の主題によれば、本発明はコンピュータプログラムに関し、そのコンピュータプログラムは、コンピュータの処理手段によって解釈され得る1つ以上のプログラム命令を含み、前記プログラム命令はそれの不揮発性メモリに置かれ得、前記処理手段による前記命令の実行によって、本発明による推力ベクトル補正方法が実行されることを特徴とする。
【0020】
第3の主題によれば、本発明は、そのようなコンピュータプログラムの命令を含むコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0021】
第4の主題によれば、本発明は、推力ユニットと、前記推力ユニットによって出される推力ベクトルの電気的補正手段と、本発明による推力ベクトル補正方法を実行するように設けられた処理手段とを備える推力システムに関する。
【0022】
そのような推力システムの第1の実施形態によれば、推力ユニットは、
-回転速度が、処理手段によって生成される動力命令に依存する回転シャフト内燃機関と、
-前記内燃機関によって回される機械的ロータと、を備え得る。
【0023】
この場合、推力ベクトルの電気的補正手段は、
-回転速度が、処理手段によって生成される前記補正手段の作動命令に依存する回転シャフト電動機と、
-前記電動機によって回され、推力ユニットによって出される推力ベクトルと実質的に平行な追加の推力ベクトルを出す機械的ロータと、を備え得る。
【0024】
そのような推力システムのこの第1の実施形態によれば、推力システムは、さらに、推力ユニットの内燃機関と互いに連結されたモータジェネレータを備えて、処理手段によって生成される前記モータジェネレータの作動命令に従って、前記内燃機関によって出される機械力の全部又は一部を、前記モータジェネレータによって出される電力に変換し得る。
【0025】
本発明は、推力システムの第2の実施形態を提供し、それによれば、
-推力ユニットは、流体排出口を有するターボジェットを備え得、
-推力ベクトルの電気的補正手段は、
○回転可能に取り付けられ、互いに並べられて、流体排出口の下流で、推力ユニットの推力ベクトルの全部又は一部を、ターボジェットの流体排出口での前記推力ベクトルの方向と実質的に垂直な1つ以上の方向に逸らす1対のデフレクタガイドと、
○作動命令を解釈し、それぞれデフレクタガイドの回転をもたらすように設けられた電動アクチュエータと、を備え得る。
【0026】
第5の主題によれば、本発明は、本発明による少なくとも1つの推力システムを備える推進装置に関し、前記推進装置は、前記少なくとも1つの推力システムの処理手段によって解釈され得る推力命令を生成するように設けられた航行制御器手段を備える。
【0027】
航空推進装置に垂直離着陸能力を与えるために、航空推進装置は、積み荷を受けるように設けられた台と、前記少なくとも1つの推力システムの推力ユニットの支持手段とを備え得、前記支持手段は、前記推力ユニットの推力ベクトルを、台と実質的に垂直な方向に向けるように設けられる。
【0028】
有利に、本発明による推力システムの前記少なくとも1つの推力ユニットによって出される最小限の動力を保ち又は動力を制限するために、航行制御器手段は、前記少なくとも1つの推力システムの推力ユニットの推力の下限又は上限設定値を生成するように設けられ得る。
【0029】
保持された積み荷の完全性を保護又は維持するために、本発明による推進装置は、前記推進装置の環境から前記積み荷を保護するように設けられた台に結合したフェアリングを備え得る。
【0030】
他の特徴及び利点は、以下の説明を読み、添付の図面を考察すると、より明確に理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】既に説明された図1は、実質的に垂直な離着陸能力を提供するように設けられた第1の既知の推進装置を示す。
図2】既に説明された図2は、実質的に垂直な離着陸能力を提供するように設けられた第2の既知の推進装置を示す。
図3】既に説明された図3は、図2に示されたそのような第2の既知の推進装置の推力システムの構成を示す。
図4図4は、本発明による航空推進装置の推力システムの非限定的な実施例を示す。
図5図5は、主に人間の搭乗者を運ぶように設けられたオクトコプターの有利な形をした本発明による推進装置の一例を示す。
図6図6は、本発明による推力ベクトル補正方法の機能的描写の第1の例を示す。
図7図7は、本発明による推力ベクトル補正方法の機能的描写の第2の例を示す。
図8図8は、本発明による推力ベクトル補正方法の機能的描写の第3の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、まず、図4に非限定的な例として示されるような特に革新的な推力システムTSaの実施例を通して説明されるだろう。それにもかかわらず、そのような推力システムTSaによって実行される、図6に示された方法100のような推力ベクトル補正方法は、図1、2、及び3に示された推力システムのような他の推進装置推力システムの推力ベクトルを補正するために、その適合後、使用及び移転され得る。そのような移転は、図7及び8を参照して、以下で検討されるだろう。
【0033】
図4に示された推力システムTSaによって、一例が図5に示された航空推進装置10を装備することが可能になる。航空推進装置10は、簡単のために、概略的に、推進装置10が地面又は水平な支持体上に置かれた場合、実質的に水平となる平面P11によって表され又はそれに単純化され得る台11を備える。図5によれば、前記台11は、そのような航空推進装置10によって保持された積み荷、この場合、前記図5に示されていない人間の搭乗者を環境から守るための卵形のフェアリング11cを備える。台11(又は同等の平面P11)及び/又はそのフェアリング11cの任意の他の構成が、問題の運送利用に合うように、又は移動させることが望まれているペイロードの型に応じて、代わりに使用され得る。航空推進装置10は、対をなして互いに対向する星形の8つのアームを示す支持手段14を備える。前記アーム14は、台11を象徴する平面P11と実質的に平行でこの上にある全く同一の平面に接する。それぞれのアーム14は、図4を参照して考察されるように、前記推力ユニットによって出される推力ベクトルを補正するための手段19a、19b、19c、19d、19e、19f、19g、19hに関連付けられた推力ユニット12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12hを主に備える推力システムTSa、TSb、TSc、TSd、TSe、TSf、TSg、TShを保持する。従って、推進装置10は、8つの推力ユニット12aから12hをそれぞれ備える8つの推力システムTSaからTShによって動かされる。8つの推力ユニット12aから12hは、それぞれ、前記推力ユニットによって生成される推力ベクトルを補正するための8つの手段19aから19hに関連付けられる。簡単のため、図5は、それぞれ推力ユニット12a、12b、12c、及び12dによって生成される推力ベクトルAL12a、AL12b、AL12c、AL12dのみを示している。前記アーム14は、さらに、それらによってそれぞれ支持された前記推力ユニット12から12h及び推力ベクトルを補正するための手段19aから19hの動作に必要な追加の構成要素を埋め込み得る。追加の構成要素として、非限定的な例として、推力ユニットの内燃機関によって生成される不用な気体のための排出アセンブリ、推力ベクトル補正手段及び/又は前記推力システムの電子処理手段に必要な電気エネルギーを出すバッテリー又はスーパーキャパシタ、内燃機関の化石燃料供給パイプ、電気配線等に言及し得る。図5に示されるように、推力システムは、それぞれの推力ユニットが平面P11と実質的に垂直な推力ベクトルを出し得るように支持アーム14によって保持される。このようにして、推進装置10は、有利に、垂直離着陸を提供するように構成される。
【0034】
図4は、推力ユニット12aと、前記推力ユニット12aによって生成される推力ベクトルAL12aを補正するための手段19aとを備える推力システムTSaの第1の好適な例を示す。
【0035】
この第1の実施形態によれば、推力ユニット12aは、回転シャフト内燃機関12a-e、この場合、図4において2ストローク機関を備え、そのシャフトの回転速度又はエンジン速度は動力命令に依存する。
【0036】
2ストローク機関は、1つ以上のピストンを備え、ほんの2回の直線運動で完全な燃焼サイクルを行う。ピストンは、同じ個数、この場合、図4及び5に示された例によると、2つのシリンダ内で変位する。シリンダ内のピストンの直線変位によって、既燃ガスを排出し、バルブユニットを介して、新鮮なガス、又は燃料蒸気及び酸化剤(空気)からなる混合ガスを前記シリンダに再充填することができる。そのようなピストンのそれを収容するシリンダ内での変位サイクルは次のように要約され得る。「膨張」と呼ばれる最初のステップは、ピストンがシリンダ内で高い位置を占める間、点火プラグが、前記混合ガスの燃焼をもたらし、ピストンを駆動することからなる。ピストンは前記ピストンの下のクランクケース内に存在する前記混合ガスを圧縮する。これはサイクルの動力部分であり、前記シリンダ内の前記ピストンの行程の残りの部分は前記膨張によって生じるクランクシャフトの慣性によるものである。シリンダ内でのピストンの下降中、クランクケース内の混合ガスの吸気口は閉じられる。ピストンは、下死点近くに到達すると、排気のためのポートを開き、混合ガスをシリンダ内に移動させる。混合ガスは、シリンダに入ると、燃焼ガスを排出する。これは「吸気/排気」と呼ばれるステップである。ピストンは、上の方に戻る際、シリンダ内への混合ガスのための排気口及び吸気口を閉じながら、シリンダ内の混合ガスを圧縮する。従って、負圧が、クランクケース内に生じ、前記混合ガスが吸気ポートを通って前記クランクケース内に到達することを可能にするだろう。このステップは「圧縮」と呼ばれる。新しいサイクルが開始され得る。エンジン速度を調整するために、スロットルバルブはキャブレターによって混合ガスへの空気吸入の量を調整する。そのようなスロットルバルブを開き又は閉じるために、アクチュエータ12a-3が使用される。前記スロットルバルブがさらに開くほど、エンジン速度は速くなり、前記スロットルバルブがさらに閉じるほど、エンジン速度はアイドリング状態になるまで低下する。本発明の範囲内において、動力命令PCは、スロットルバルブのそのようなアクチュエータ12a-3によって生成及び変換され得る。それはサーボモータ又は電気カムモータからなり得る。その動作によって、前記スロットルバルブは漸進的に開き又は閉じる。
【0037】
図4によれば、回転シャフト内燃機関12a-eは、内燃機関の回転シャフトに連結された機械的ロータ12a-rを回す。図4に示されるように、そのような連結は、減速ギア手段12a-dによって、例えば、モータ12a-eの回転シャフトに固定された第1プーリー、及び前記ロータ12a-rのシャフトに固定された、第1プーリーの直径より大きな直径を有する第2プーリーと協働するベルトによって間接的に作られ得る。そのような連結は、例えば内燃機関12a-eの回転シャフトの回転速度の減速比を動的に調整するためのギアボックスのような、同等の機能を提供する任意の他の構造的に異なる手段によって作られ得る。図4は、さらに、推力システムTSaの推力ユニット12aによって出される推力ベクトルAL12aを補正するための方法を実行するために、推力システムの構造的要素から物理的に遠隔であり得るように、端子によって接続され得る処理手段30aを示す。そのような方法は、特に内燃機関12a-eのスロットルバルブのアクチュエータ12a-3によって解釈され得る動力命令PCを生成する手段として、図6に示された例100を参照して説明されるだろう。その上、図4は、前記内燃機関12a-eによって燃やされたガスを排出するための排気手段12a-hを示す。
【0038】
前記処理手段30aは、有利に、1つ以上のマイクロコントローラ又はマイクロプロセッサの形を取り得る。この又はこれらのマイクロコントローラ又はマイクロプロセッサは、特にデータメモリと共に働いて、前記推力ベクトル補正方法の実行によって生成されたデータ及び動作パラメータ、又はより一般に生成され又は事前に記憶される全てのデータを、それが中間データからなろうとアクチュエータ命令に関する結果からなろうと、記憶し又は読み取る。そのような処理手段30aは、さらに、コンピュータプログラムの命令を記憶するためのプログラムメモリを備え、その実行によって、本発明による推力ベクトル補正方法を含むプロセスが実行される。「データ又はプログラムメモリ」は、任意の揮発性又は有利に不揮発性のコンピュータメモリを意味する。不揮発性メモリは、コンピュータメモリであり、その技術によって、電力供給がない中で、そのデータを保持することができるものである。それは、入力、計算、測定、及び/又はプログラム命令に起因するデータを含み得る。現在利用可能な主な不揮発性メモリは、電気的に書き込まれ及び/又は消去され得る。それは、EPROM(「消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ」)、EEPROM(「電気的に消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ」)、フラッシュ、SSD(「ソリッドステートドライブ」)技術等に頼っている。「不揮発性」メモリは、電力供給がない場合にデータが失われる「揮発性」として知られるメモリと区別される。現在利用可能な主な揮発性メモリは、RAM(「リードライトメモリ」としても知られる「ランダムアクセスメモリ」)、DRAM(定期的なリフレッシュを必要とするダイナミックRAM)、SRAM(十分な電力供給がない場合にそのようなリフレッシュを必要とするスタティックRAM)、DPRAM又はVRAM(特に映像に適している)等である。本文書の残りの部分において、「データメモリ」は揮発性又は不揮発性であり得る。
【0039】
ロータ12a-rの作動によって生成される推力ベクトルAL12aの大きさ又は力を修正する手段として、図4は前記推力ベクトルAL12aの補正手段19aを示す。この補正手段19aは、回転速度が、処理手段30aによって生成される作動命令に依存する回転シャフト電動機19a-eからなる。そのような電動機19a-eは、機械的ロータ19a-rと協働し、それを回すように設けられる。このようにして、機械的ロータ19a-rは、推力ユニット12a、より正確にロータ12a-rによって出される推力ベクトルAL12aと実質的に平行又は同軸でさえある追加の推力ベクトルAL19aを生成する。有利に、2つのロータ12a-r及び19a-rは一緒に回転するように取り付けられる、即ち、それらは、全く同じ方向、時計回り又は反時計回りに回される。図4に示されていない推力システムTSaの支持手段14は、2つのロータ12a-r及び19a-rが、互いから外れた軸を有する、即ち統合されないように設けられ得る。例えば、ロータ19a-rは、有利に、それによって生成される推力ベクトルAL19aが、図1を参照して説明された推進装置10の推力ベクトルAL12aのように、図5を参照して説明された装置10のような航空推進装置の重心CG10を通る台11に垂直な軸AM10から遠ざけられるように中心から外れ得る。逆に、ロータ12a-rによって出される推力ベクトルAL12aは、有利に、図1を参照して説明された装置10の推力ベクトルAL12aのように、そのような軸AM10により近くなり得る。この配置によって、2つのロータ12a-r及び19a-rが実質的に同軸である場合に、2つのロータ12a-r及び19a-rによって互いに生成される流れの全ての相互作用又はかく乱を低減させることができる。本発明は、前記2つのロータ12a-r及び19a-rの互いの配置のこれらの例だけに限定されるとみなされない。
【0040】
図4による推力システムTSaの第1の実施形態によれば、推力システムTSaは、さらに、モータジェネレータ12a-gを備え得る。モータジェネレータ12a-gは、推力ユニット12aの内燃機関12a-eに連結されて、前記内燃機関12a-eによって生成される機械力の全部又は一部を、前記モータジェネレータ12a-gによって出される電力に変換する。
【0041】
図4に示されるように、内燃機関12a-eは、そのようなモータジェネレータ12a-gに機械的に連結される。この目的で、前記モータジェネレータ12a-gのロータは、内燃機関12a-eの回転シャフトに連結され、例えば嵌め込み型の接続によって固定される。変形例において、内燃機関12a-eとモータジェネレータ12a-gとの間のそのような機械的連結は間接的であり得る。従って、前記モータジェネレータ12a-gは、ベルト駆動によって、内燃機関の前記回転シャフトと、又は前記内燃機関12a-eによって動かされる機械的ロータ12a-rのシャフトとさえ協働し得る。そのようなモータジェネレータ12a-gは、概略的に作動命令に応じて可変インピーダンスのように機能する電子速度変換器又は調整器(電子速度制御器又はESC)に電気的に接続され得る。このようにして、作動命令に従って、前記モータジェネレータ12a-gは、内燃機関12a-eのシャフトの回転速度の、漸進的で又は極端及び急でさえある、ブレーキ又はリターダとして働き、従って推力ベクトルAL12aの力を低減させ得る。実際、高インピーダンスで、モータジェネレータ12a-gのステータとロータとの間の電磁界は、消され又は弱くなり、モータジェネレータのロータの回転に対する抵抗を発生させない。逆に、低インピーダンスで、電流は、モータジェネレータ12a-gのステータとロータとの間に強い電磁界を誘導し、それは、モータジェネレータ12a-gの前記ステータとロータとの間の相対的な回転速度、その結果、内燃機関12a-eの回転シャフトの速度を遅くする傾向にある。従って、これは、内燃機関12a-eのシャフトに対してモータジェネレータ12a-gによって達成される「電気的に制御された可変制動」と表現され得、そのような制動は、処理手段30aによって生成される作動命令に依存する。有利な実施形態によれば、変換器又はESCは、双方向であり、前記モータジェネレータ12a-gに入る電流の注入を可能にし得、モータジェネレータ12a-gは、もはや電流発生器又はオルタネータとしてではなく、電動機又はスタータとして動作する。このようにして、処理手段30aは内燃機関12a-eを電子的に容易に始動させ得る。
【0042】
そのような推力システムTSaを作動させるために、本発明は、好適だが非限定的な例として図6に示されたような推力ベクトル補正方法100の有利に分散化された実行(即ち、それぞれの推力システムはこのために設けられた処理手段30aを備える)を提供する。
【0043】
既知の推力システム、例えば図1、2、及び3を参照して既に説明されたものは、主内燃スラスタ12a1を備え、又は任意に幾つかの内燃スラスタ12a1を備える推力ユニット12a、12bさえ備える。これらの内燃スラスタ12a1は、電子航行制御器30によって直接集中的に、一緒に又は個々に制御される。この電子航行制御器30は、一般に、プログラム命令を実行する1つ以上のマイクロプロセッサからなり、航行制御方法の実行をもたらす。その上、そのような推力システムは、制御命令及び/又は慣性ユニットによって出されるデータに応じて自動的に駆動する姿勢補正手段を備えて、一般に内燃スラスタによって出される動力と無関係に、航空推進装置の姿勢を安定させる。幾つかの既知の電子航行制御器30は航空推進装置10を上昇させ、航空推進装置10は、最初に1つ又は複数の推力ユニットの内燃スラスタを作動させることで、変わりやすい又はやや不安定な姿勢を示す。この推力ユニットの精度及び応答性はかなり限られているため、姿勢補正が不十分であると判明した場合、電子航行制御装置30が1つの推力ユニット又は他のものの動力を増加又は低減させるように再び動くとしても、電気的姿勢補正手段は、前記電子航行制御装置30によって駆動されて、前記補正手段の性能の範囲内で、1つの推力ユニット又は他のものの動力の不足又は遅れを補償しようとする。前記推力ユニットの内燃スラスタの上述の低い応答性及び精度を考慮すると、この推力ユニットの動力のそのような新たな調整は、必然的に、新たな姿勢補正が電気的補正手段によってその性能の範囲内で「修正され」又は弱められること等を引き起こす。
【0044】
本発明による推力システムは幾つかの点で従来技術と区別される。
【0045】
まず、図4に示されたシステムTSaのような前記推力システムに固有の電子処理手段30aは、図6に示された方法100のような推力システムの推力ベクトル補正方法を実行するように設けられる。この方法は、電子航行制御器30から生じる推力命令TCを分析して、この推力命令TCを、前記推力システムTSa内に含まれる1つ又は複数の推力ユニットの動力命令PC、PC’に変換することからなる。2ストローク又は4ストローク熱機関によって出される動力は、ターボジェットによって出されるものと同じに制御されないため、「変換」の側面は重要である。それ故、電子航行制御器30によって生成される推力命令TCの処理の実行の分散化があり、この電子航行制御器30は、推力システムの構成又は設計の変わりやすさを考慮して、もはや特定の動力命令PC、PC’を生成することを必要としない。
【0046】
変形例において、本発明は、推力システムに固有の処理手段30aが航行制御プログラムを実行するもの30と統合され得ることを提供する。しかし、電子手段(マイクロプロセッサ、メモリ)が共有され及び/又は単一の物理的実体を構成するとしても、航行制御方法の設計は、図6に示されたような推力ベクトル制御方法100を変換したプログラム命令を符号化した1つの推力システム又は他のものに固有のライブラリに頼り得る。電子航行制御器30の設計、又は電子航行制御器30によって実行される航行制御方法を変換したプログラムの設計は、それによって簡単にされ、相互利用可能に又は推力システムの技術と無関係になる。
【0047】
図6に示された方法100のような本発明による推力ベクトル制御方法は、さらに、推力ユニット12aの1つ又は複数の内燃機関12a-eのシャフトの回転速度制御の実行をもたらす点で、従来技術と区別される。
【0048】
そのような制御の目的は、起こり得る外乱に関係なく、内燃機関12a-eのシャフトの回転速度RSMが可能な限り速やかに設定値RSIに到達してから、これを維持することである。この目的で、本発明による方法100は、航行制御器から生じる推力命令TCを内燃機関のシャフトの回転速度設定値RSIに変換するための最初のステップ101を備える。そのようなステップ101は、例えば推力のキログラムで表される推力命令TCの、毎分回転数で表される回転設定値RSIへのそのような変換を表す、内燃機関の固有の特性に従った既定の関数を実行することからなり得る。
【0049】
そのような方法100は、さらに、前記回転速度設定値RSIと、(図4で明示的に見えないが、前記図4で12a-sを付された)測定センサによる内燃機関12a-eの前記シャフトの測定回転速度RSMとを比較するためのステップ102を備え、測定センサは前記内燃機関12a-e及び前記処理手段30又は30aと協働する。そのようなセンサは、前記シャフトに固定されたインクリメンタルエンコーダ若しくはコードホイール、又はそのような測定値を出すのに適した他の任意のセンサ、例えば、ホール効果センサ、光若しくはフーコー電流を基にしたセンサからなり得る。次に、ステップ102は、前記回転速度設定値RSIと、内燃機関12a-eの前記シャフトの前記測定回転速度RSMとの間の偏差RSEを生成することからなる。
【0050】
方法100は、次に、推力ユニット12aの内燃機関12a-eの動力命令PCを生成するステップ110を備える。そのようなステップ110は、前記回転速度設定値RSIと内燃機関12a-eの前記シャフトの測定回転速度RSMとの間の前記偏差RSEを低減させ、従って内燃機関12a-eの回転速度を補正することを可能にするように設けられる。より具体的に、そのような動力命令PCは、図4に示された推力システムTSaの構成に従って、2ストローク機関12a-eの吸気口スロットルバルブのアクチュエータ12a-3で解釈されるように意図され、それにより、前記機関の速度が変更される。
【0051】
そのような動力命令PCは、ステップ110において、前記回転速度設定値RSIと前記シャフトの測定回転速度RSMとの間の偏差RSEの乗算、積分、及び/又は微分によって生成され得る。それ故、そのようなステップ110によって、「PID補正器」という用語、「比例、積分、微分」の頭字語によって知られるアルゴリズムが実行される。従って、前記命令PCは偏差RSEに比例するものとして算出され得、偏差RSEを、例えば20分の1と50分の1との間に含まれ、又は任意の他の適切な値をとる第1要素又は乗算ゲインと関連付けることができる。変形例において又は加えて、前記偏差RSEは、前記動力命令PCを生成するために、積分され、第2要素又はゲインで除算され得る。最後に、変形例において又は加えて、そのような偏差RSEは、微分され、第3要素又はゲインを乗算され得る。このようにして、前記動力命令PCは、偏差RSEに比例し、及び/又は前記偏差の経時的変化を考慮に入れ得る。
【0052】
そのような方法100は所与の期間SPに亘って反復される。前記反復期間は、特に内燃機関12a-eの回転シャフトの速度の前記センサの測定値を考慮に入れるために、時間の経過と共に可能な限り速く偏差RSEを低減させようとする上で最も重要である。有利に、数ミリ秒と数秒との間に含まれる期間SP、例えば20ミリ秒の期間を選択することができる。
【0053】
本発明による推力ベクトル制御方法100は、さらに、(ステップ110の反復実行による)内燃機関のシャフトの速度補正のプロセスと並行してかつ無関係に、図4に示されたシステムTSaのような推力システムの推力ベクトルの補正手段19aの作動命令ACを生成するステップ120を備える点で、従来技術と区別される。ステップ120は、期間SPに従って、ステップ101で取得された設定値速度RSIと内燃機関12a-eのシャフトの測定速度RSMとの間の偏差RSEに基づいて、作動命令ACを生成するように設けられ、前記偏差RSEはステップ102で算出される。このステップ120の目的は、主に、内燃機関12a-eの低い応答性を、その速度補正中に、内燃機関12a-eのシャフトの回転速度の調整それ自体に作用せずに補償することである。それ故、推力ベクトルの補正手段19aの作動120は内燃機関の制御それ自体と無関係である。図4に示された推力システムTSaの例を参照して、本発明は、内燃機関12a-eによって動かされるロータ12a-rによって生成される推力ベクトルAL12aの電気的補正手段19aを提供する。そのような電気的補正手段19aは、有利に、機械的ロータ19a-rを回転させる回転シャフト電動機19a-eからなる。そのような電動機19a-eは、一般に、段階的な電気的作動設定値をそのシャフトの回転速度RS19に変換する変換器を含む。その設計のために、電動機19a-eは内燃機関12a-eより非常に良い応答性を有する。それは、前記内燃機関12a-eによって動かされるロータ12a-rによって生成されるベクトルAL12aに追加される推力ベクトルAL19aを生成し得る。電動機19a-eの急な適切な作動によって、内燃機関12a-eのエンジン速度の加速段階において、内燃機関がほぼ瞬時の応答を与えられた場合に、推力ベクトルAL12aが実質的に示すだろう大きさ又は力と同一のものを有する、推力ベクトルAL12aとAL19aの結合又は組み合わせから生じる推力ベクトルを非常に速やかに得ることができる。勿論、前記内燃機関の速度制御の実行中(ステップ110)、内燃機関は回転速度設定値RSIに到達する傾向にある。ステップ120の反復実行のおかげで、電動機19a-eによって生成される動力は、偏差RSEに依存する作動命令ACの更新の影響下で、ロータ19a-rが「惰性で回った」ままになり、熱機関12a-eによって動かされるロータ12a-rのみが機能したままになるまで減少する。方法100の期間SPに従う反復実行を通じて、電動機19a-eは、偏差RSEが再び正に(即ち、内燃機関12a-eの回転シャフトの回転速度RS12が設定値速度RSIを下回るとすぐに)かつかなりに(「かなりの偏差」は、補正手段19aの作動をもたらす絶対値を有する偏差を意味する)なるとすぐに、再び負荷をかけられる。従って、本発明は、ステップ120が、回転速度設定値RSIと内燃機関12a-eのシャフトの測定回転速度RSMとの間の偏差RSEの乗算、積分、及び/又は微分によって、推力ベクトルの前記補正手段19a-eの作動命令ACを反復的に生成するように設けられることを提供する。好適な実施形態によれば、全く又は主に、前記偏差RSEに比例して得られる作動命令に、重点が置かれる。作動命令ACの算出120は、さらに、内燃機関12a-rの応答性のパラメトリックモデルを使用し得る。その結果、電動機19a-e及び内燃機関12a-eによってそれぞれ動かされるロータ19a-r及び12a-rの組み合わせられた回転によってそれぞれ生成される推力ベクトルAL19a及びAL12aの組み合わせから生じる推力システムTSaの推力ベクトルは、前記内燃機関の速度制御のプロセス中、可能な限り一定である推力の大きさを示し、推力ベクトルAL12aの過度の補償を防ぐ。
【0054】
従って、方法100の実行によって、追加の推力ベクトルAL19aを加えて、推力ユニット12aの内燃機関12a-eによって生成される推力ベクトルAL12aの大きさの緩やかな増加を補償することができる。
【0055】
2ストローク機関又は4ストローク機関のような内燃機関は、そのエンジン速度が特定の閾値を下回った場合、その応答性をさらに損なう。それ故、エンジン速度をそのような下限閾値以上に維持することが有利である。この目的で、本発明による方法100は、内燃機関12a-e又はより一般に推力ユニット12aの推力下限設定値LTLIを考慮に入れ、前記方法100を実行する処理手段30又は30aのデータメモリに書き込まれる最小動力命令閾値PCMinを生成するステップ113を備え得る。そのような設定値LTLIは電子航行制御器手段30によって生成され得る。変形例において又は加えて、そのような閾値PCMinは、前記方法100の実行の際のパラメータ化を反映し、従って前記データメモリに書き込まれるデフォルト値又は既定値を構成し得る。方法100は、次に、処理手段30、30aのデータメモリ内から、限度動力命令を表すそのような閾値PCMinの値を読み取ることからなるステップ111を備え、それより低い内燃機関12a-eのエンジン速度は、満足のいく応答性を保つには低すぎるだろう。前記ステップ111は、ステップ110で生成された動力命令PCを閾値PCMinと比較し、動力命令PCが前記限度動力命令PCMinより大きい場合、生成された前記動力命令PCに等しい、そうでなければ限度動力命令PCMinに等しい、補正された動力命令PC’を生成することからなる。従って、ステップ111は、任意に補正されたそのような動力命令PC’に応じて、燃焼機関12a-eのエンジン速度が下限閾値より下がらないように設けられる。
【0056】
対応して、本発明は、ステップ113、又は変形例においてこの目的に専用のステップが、推力ユニットの推力上限設定値HTLIを考慮に入れ、前記方法100を実行する処理手段のデータメモリに書き込まれる最大動力命令閾値PCMaxを生成することを提供する。そのような設定値HTLIは、航行制御器手段30によって生成され得る。変形例において又は加えて、そのような閾値PCMaxは、前記方法100の実行の際のパラメータ化を反映し、従ってデータメモリに書き込まれるデフォルト値又は既定値を構成し得る。本発明による方法100は、次に、(手段30又は30aのような)前記方法を実行する処理手段のデータメモリ内から、最大動力命令を表すそのような閾値PCMaxの値を読み取ることからなるステップ112を備え得る。前記ステップ112は、ステップ110で生成された動力命令PCを前記閾値PCMaxの値と比較し、動力命令PCが前記限度動力命令PCMax未満である場合、生成された前記動力命令PCに等しい、そうでなければ限度動力命令PCMaxに等しい、補正された動力命令PC’を生成することからなり得る。従って、ステップ112は、任意に補正されたそのような動力命令PC’に応じて、燃焼機関12a-eのエンジン速度が上限閾値を超えないように設けられる。実際、内燃機関のエンジン速度が高くなるほど、それが発生させる騒音レベルが高くなる。そのような騒音レベルは、図5に示されたような航空推進装置の離陸又は着陸段階において有害に又は不快になり得る。他方、電動機の動作中の騒音レベルは高速でさえより低い。たとえステップ110で生成された前記動力命令PCが前記閾値PCMaxより大きくても、前記動力命令PCを上の閾値PCMaxに制限することは、内燃機関の制御によって補償され得ないが、前記偏差RSEに比例する作動命令ACの影響下で推力ベクトルを補正する電動機19a-eの作動によって補償され得る正の偏差RSEを維持する。そして、電動機19a-eによって動かされるロータ19a-rは、推力システム12aから生じる推力ベクトルの不足を補償し、前記推力システムを備え付けられた推進装置の離陸又は着陸段階を低い騒音レベルで可能にする。出発位置からある高さ又はより一般に妥当な航行距離に到達した場合、設定値HLTIは航行制御手段30によって取り消され得る。それから、動力命令PCを平滑にするように意図されたステップ112はその効果を生じさせなくなり、内燃機関はより広い範囲のエンジン速度に戻る。
【0057】
本発明は、さらに、動力命令PCを生成するステップ110を適合させて、又は変形例において前記ステップ110と異なるステップを備えて、前記内燃機関12a-eのシャフトの回転速度RS12をより低い設定値速度RSIに、単に上述のような反復ステップ110を実行することによって調整するより、速やかに調整するように意図された電気制動手段の作動命令FCを生成することを提供する。この機関のエンジン速度の加速と同様に、その減速もあまり良い応答性を有しない。図4を参照して説明された実施例によれば、推力ユニット12aは、内燃機関12a-eの回転シャフトに連結されたモータジェネレータ12a-gを備えて、前記内燃機関12a-eによって生成される機械力の全部又は一部を電力EPに変換し得、電力EPはバッテリー又はスーパーキャパシタに蓄えられ得る。制御中、モータジェネレータ12a-gの電子変換器又は速度調整器に適合した作動命令FCの反復生成によって、「電気制御可変制動」が前記モータジェネレータ12a-gによって内燃機関12a-eの回転シャフトに適用され、そのような制動はこのように変更されたステップ110で生成される作動命令FCに依存する。生成120が上で説明された作動命令ACと同様に、ステップ110は、さらに、(ステップ101で取得された)設定値速度RSIと内燃機関12a-eのシャフトの測定速度RSMとの間のステップ102で算出された偏差RSEに基づいて、モータジェネレータ12a-gの作動命令FCを生成することからなり得る。この変更されたステップ110の目的は、内燃機関12a-eの低い応答性を減速段階で補償することからなり、従ってその制御プロセスに貢献することである。その設計のために、電気モータジェネレータ12a-gは内燃機関12a-eより非常に良い応答性を有する。それによって、内燃機関12a-eの回転シャフトの回転が速やかに遅くなり得る。勿論、モータジェネレータ12a-gによって提供された制動と組み合わされた前記内燃機関12a-eの速度補正の実行中に、前記内燃機関12a-eは回転速度設定値RSIに到達する傾向にある。電気モータジェネレータ12a-gによって生成される制動力は、内燃機関12a-eによって動かされるロータ12a-rが保持から解放されるまで、偏差RSEに依存する作動命令FCの更新の影響下で減少する。方法100の期間SPに従う反復実行によって、モータジェネレータ12a-gは、偏差RSEが再び負に(即ち、内燃機関12a-eの回転シャフトの回転速度RS12が設定値速度RSIを超えるとすぐに)かつかなりに(即ち、モータジェネレータ12a-gによる制動をもたらすのに十分な絶対値を有するように)なるとすぐに、再び負荷をかけられる。本発明は、ステップ110又はそれと異なるステップが、回転速度設定値RSIと内燃機関12a-eのシャフトの測定回転速度RSMとの間の偏差RSEの乗算、積分、及び/又は微分によって、前記電気制動手段12a-gの作動命令FCを反復的に生成するように設けられることを提供する。好適な実施形態によれば、全く又は主に、前記偏差RSEに比例して得られる作動命令に、重点が置かれる。作動命令FCの算出110は、さらに、内燃機関12a-rの応答性のモデルを使用し得る。その結果、内燃機関12a-eによって動かされるロータ12a-rの回転によって生成される推力ベクトルAL12aと、モータジェネレータ12a-gによってもたらされる制動との組み合わせから生じる推力システムTSaの推力ベクトルは、前記内燃機関のシャフトの速度制御のプロセス中、可能な限り良い応答性の推力の大きさを示す。
【0058】
図6に示された本発明による推力ベクトル補正方法100は、ちょうど今、例えば図5を参照して既に説明されたような航空推進装置10を装備するための図4に示された構成に従う推力システムTSaを考慮して説明された。
【0059】
次に、図7を参照して、図1を参照して既に説明されたような航空推進装置10の推力システムTSaのそのような推力ベクトル補正方法100の説明が与えられるだろう。そのような方法100は、図6を参照して説明されたものと類似し、既定の期間SPに従って反復的に、
-推力命令TCを、内燃機関によって動かされるシャフト又はロータの回転速度設定値RSIに変換するステップ101と、
-回転速度設定値RSIと前記内燃機関の回転シャフトの測定速度RSMとの間の偏差RSEを生成するステップ102と、
-前記偏差RSEを使用して、任意にステップ111又は112の実行によって補正された内燃機関の動力命令PCを生成して、前記機関の速度を制御するステップ110と、
-内燃機関の影響下で生成される推力ベクトルの電気的補正手段の作動命令を生成するステップ120と、備える。
【0060】
思い出してもらうために、図1を参照して既に説明された航空推進装置10は、ターボジェットに基づく推力ユニット12a、12bと、電気二次スラスタ、この場合、電気タービンの形をした電気的姿勢補正手段19a及び19bとをそれぞれ備える2つの推力システム12a及び12bを備え、台11を表し又は象徴する仮想の平面P11と実質的に垂直な推力ベクトルを出す。図7に示された本発明による推力ベクトル補正方法100を実行するために、そのような航空推進装置10を適合させる必要がある。第1の適合は、電子航行制御器処理手段30を変更して、そのプログラムメモリにプログラム命令を置くことを目的とする。それの実行によって、図7に示されるような、推力システムTSa及びTSbのそれぞれの推力ベクトルAL12a及びAL12bを補正するための方法100が実行される。変形例において、図4に示された手段30aのような、それぞれの推力システムTSa、TSbに固有の処理手段は、そのような方法100をそれぞれ実行するために追加され得、推力システムに固有の前記処理手段は、航行制御器電子手段30と協働して、推力命令TCを出す。
【0061】
さらに、ターボジェットのロータの回転速度を測定するために、図4による推力システムのセンサ12a-sのようなセンサを含むターボジェットを選択するように、図1による推進装置10を適合させ得る。ただ1つの回転速度測定センサが推力ユニット12a又は12b毎に使用され得、回転速度測定センサは、推力ユニットが複数のターボジェットを備える場合、ターボジェット12a1のようなターボジェットの1つと連結又は統合される。変形例において、全く同一の推力ユニットのそれぞれのスラスタ若しくはターボジェット又は複数のものにさえそのようなセンサを備え付け得る。そして、図7による方法100のステップ102は、推力ユニットのシャフト又はロータの回転の統合された測定値RSMを利用可能にするために、推力ユニットの異なる熱スラスタに関連したセンサによって出される測定値の平均を事前に生成すること、又は、例えば他の測定値から離れすぎた特定の測定値を無視することからなる、他の任意の妥協を実行することからなり得る。同じことは、ステップ110によって生成され、任意にステップ111及び112によって補正される動力命令PC又はPC’を生成することに当てはまり、それは、図1に示された例のように、推力ユニットが幾つかのターボジェットを有する場合、推力ユニットのターボジェットの全てに送られ得る。
【0062】
次に、図7を参照して、図6を参照して既に説明された推力ベクトル補正方法100の教示を、このように適合した図1による推進装置10の推力システムTSaに移すやり方の説明が与えられるだろう。簡単のため、推力ユニット12aはターボジェット12a1のみを備えると考える。図7によるそのような方法100のステップは、図6による方法100のステップと全体として類似している。
【0063】
従って、図7に示された本発明によるそのような推力ベクトル制御方法は、推力ユニット12aのターボジェット12a1のロータの回転速度制御110の実行をもたらす点で従来技術と区別される。そのような補正は、起こり得る外乱に関係なく、前記ターボジェットのロータを可能な限り速やかに回転速度設定値RSIに到達させ、それを維持することを目的とする。従って、本発明による方法100は、電子航行制御器30から生じる推力命令TCを、推力ユニット12aのターボジェット12a1のロータの回転速度設定値RSIに変換するための最初のステップ101を備える。従って、例として、図7は、kgの単位で表される推力命令TCと毎分千回転の単位で表される回転速度設定値RSIの非線形変換モデルを示す曲線を示すステップ101に関する枠を示す。
【0064】
図7に示された本発明による推力ベクトル制御方法100は、さらに、推力ユニット12aのターボジェット12a1のロータの速度制御のプロセスと並行してかつ無関係に、即ち前記ターボジェット12a1の前記ロータの前記回転速度の調整それ自体に作用することなく、推力システムの推力ベクトル電気的補正手段19a、この場合、図1に示された推進装置10の機首に置かれた電気タービン19aの作動命令ACを生成するステップ120を備える点で、従来技術と区別される。図6に示された方法100と同様に、図7に示された方法100のステップ120は、(ステップ101で取得された)設定値速度RSIと内燃機関12a1のシャフトの測定速度RSMとの間の偏差RSEに基づいて作動命令ACを生成するように設けられ、前記偏差RSEはステップ102で算出される。このステップ120の目的は、主にターボジェット12a1の低い応答性を補償することである。図1に示された推力システムTSaの例を参照して、本発明は、前記ターボジェット12a1のロータの速度制御中、もともと推進装置10の姿勢を補正するために設けられた電気タービン19aを、推力ユニット12aの内燃機関12a1によって生成される推力ベクトルAL12aの補正器又はブースタとして使用することを提供する。前記電気タービン19aは、一般に、段階的な電気的作動設定値をそのシャフトの回転速度RS19に変換する変換器を含み又はそれと関連付けられる。その設計のために、電気タービン19aはターボジェット12a1より非常に良い応答性を有する。それは、ターボジェット12a1を含む推力ユニット12aによって出されるベクトルAL12aに追加される推力ベクトルAL19aを生成し得る。電気タービン19aの急な適切な作動によって、ターボジェット12a1のエンジン速度の加速段階において、ターボジェット12a1がほぼ瞬時の応答を与えられた場合に、推力ベクトルAL12aが実質的に示すだろう大きさ又は力と同一のものを有する、推力ベクトルAL12aとAL19aの結合又は組み合わせから生じる推力ベクトルを非常に速やかに得ることができる。図6に示された方法100を参照して既に説明されたように、ターボジェット12a1の速度制御の実行(ステップ110)によって、ターボジェット12a1は回転速度設定値RSIに到達する傾向にある。電気タービン19aによって生成される動力は、偏差RSEに依存する作動命令ACの反復的な更新の影響下で、ターボジェット12a1又はより一般に推力ユニット12aのみが機能したままになるまで減少する。方法100の期間SPに従う反復実行によって、電気タービン19aは、偏差RSEが再び正に(即ち、ターボジェット12a1の回転シャフトの回転速度RS12が設定値速度RSIを下回るとすぐに)かつタービン19aの作動をもたらすのに十分な絶対値を有するようになるとすぐに、再び負荷をかけられる。本発明は、ステップ120が、回転速度設定値RSIと内燃機関12a1のシャフトの測定回転速度RSMとの間の偏差RSEの乗算、積分、及び/又は微分によって、推力ベクトルの電気的補正手段として作用するタービン19aの作動命令ACを反復的に生成するように設けられることを提供する。好適な実施形態によれば、全く又は主に、前記偏差RSEに比例して得られる作動命令に、重点が置かれる。作動命令ACの算出120は、さらに、ターボジェット12a1のようなターボジェットの応答性のパラメトリックモデルを使用し得る。その結果、電気タービン19a及び推力ユニット12aによってそれぞれ生成される推力ベクトルAL19a及びAL12aの組み合わせから生じる推力システムTSaの推力ベクトルは、推力ユニットの内燃機関の速度制御のプロセス中、可能な限り一定である推力又は大きさを示し、推力ベクトルAL12aの過度の補償を防ぐ。
【0065】
従って、方法100の実行によって、追加の推力ベクトルAL19aを加えて、推力ユニット12aのターボジェット又は機関によって生成される推力ベクトルAL12aの大きさの緩やかな増加を補償することができる。
【0066】
図1に示された推進装置の推力システムTSbの推力ユニット12bの推力ベクトルを補正するために、全く同一の推力ベクトル制御方法100が実行され得る。動力命令PCは、推力ユニット12bのターボジェットのエンジン速度を調整するために生成される。推力ベクトル電気的補正手段の作動命令は、推進装置10の尾部に置かれた電気タービン19bの動力を調整するために生成される。電子航行制御器30は、適合した推力命令TCをそれぞれ2つの推力システムTSa及びTSbに送ることに責任を負う。
【0067】
図6及び7に示された本発明による推力ベクトル補正方法100は、図4に示された構成による第1推力システムTSaを踏まえて説明され、それは、第1機械的ロータ12a-rを回転させる2ストローク熱機関を備える推力ユニット12aを備え、前記推力システムは、さらに、前記推力ユニット12aによって生成される推力ベクトルAL12aを補正するための手段19aを備え、それは、前記推力ベクトルAL12aへの追加のために機械的ロータ19a-rを回転させる電動機19a-eの作動と、前記第1機械的ロータ12a-rの回転を遅くし、従って前記推力ベクトルAL12aを低減させるためのモータジェネレータの作動と、を組み合わせる。本発明によるそのような推力ベクトル補正方法100は、さらに、ちょうど、図1に示された構成による推力システムTSa又はTSbの第2の例を踏まえて説明され、それは、複数のターボジェット12a1をそれぞれ備える2つの推力ユニット12a、12bを備え、前記推力システムは、さらに、例えば図1を参照して既に説明されたような航空推進装置10を装備するための機首電気タービン19a又は尾部電気タービン19bの作動による、前記推力ユニット12a、12bによって生成される推力ベクトルAL12a、AL12bの電気的補正手段を備える。
【0068】
本発明による、推力ユニットによって出される推力ベクトルの補正方法の相互利用性は、推力ユニットが、図2を参照して既に説明された装置10のような航空推進装置を動かすために完全に良好に使用され得るようなものである。それは4つの推力システムTSaからTSdを有し、そのうちの推力システムTSaは図3に詳細に示されている。そのような推力システムTSaは、構造的に、2つの前の例と非常に異なる。それでも、本発明による推力ベクトル補正方法は完全に良好に使用され得る。
【0069】
次に、図8を参照して、図2を参照して既に説明されたような航空推進装置10の推力システムTSaのそのような推力ベクトル補正方法100の説明が与えられるだろう。そのような方法100は、図6を参照して説明されたものと類似し、既定の期間SPに従って反復的に、
-推力命令TCを、内燃機関、この場合、ターボジェットによって動かされるシャフト又はロータの回転速度設定値RSIに変換するステップ101と、
-回転速度設定値RSIと前記内燃機関の回転シャフトの測定速度RSMとの間の偏差RSEを生成するステップ102と、
-前記偏差RSEを使用して、任意にステップ111又は112の実行によって補正された内燃機関の動力命令PCを生成して、前記機関の速度を補正するステップ110と、
-内燃機関によって生成される推力ベクトルの電気的補正手段の作動命令を生成するステップ120と、を備える。
【0070】
思い出してもらうために、図3に示された推力システム12aは、ターボジェット12a-eと、回転可能に取り付けられ、互いに鏡像をなし、ターボジェット12a-eによって前記ターボジェット12a-eの流体排出口12a-oの下流で生成される推力ベクトルAL12aを「挟む」ように互いに並べられた一対のデフレクタガイド19a-1、19a-5の形をした推力ベクトル補正手段と、を備える推力ユニット12aを備える。それぞれのガイド19a-1又は19a-5は、制御ロッド19a-4を介して前記ガイドと協働するカムを有する電動アクチュエータ19-3によって、推力ベクトルAL12aに垂直な軸19a-2又は19a-6に従って回される。
【0071】
図8に示された本発明による推力ベクトル補正方法100を実行するために、図2によるそのような航空推進装置10を適合させる必要がある。第1の適合は、電子航行制御処理手段30を変更して、そのプログラムメモリ内にプログラム命令を置くことを目的とする。それの実行によって、図8に示されるような、4つの推力システムTSaからTSdのそれぞれの推力ベクトルAL12aからAL12dを補正するための方法100が実行される。変形例において、図4に示された手段30aのような、それぞれの推力システムに固有の処理手段は、そのような方法100をそれぞれ実行するために4つの推力システムに特化し得、推力システムTSaからTSdに固有の前記処理手段は、航行制御器電子手段30と協働して、推力命令TCを出す。
【0072】
さらに、ターボジェット12a-eのシャフト又はロータの回転速度を測定するために、図4による推力システムのセンサ12a-sのようなセンサを追加するように、図2によるそのような推進装置10のそれぞれの推力システムを適合させ得、それのシステムTSaは図3に示されている。
【0073】
次に、図8を参照して、図6又は7を参照して既に説明された推力ベクトル補正方法100の教示を、このように適合した図2による推進装置10の推力システムTSaに移すやり方が考察されるだろう。
【0074】
図7を参照して説明された方法100と同様に、本発明による図8に示された推力ベクトル制御方法100は、前記推力ユニット12aのターボジェット12a-eの速度制御110の実行をもたらす点で、従来技術と区別される。そのような制御の目的は、起こり得る外乱に関係なく、ターボジェット12a-eのロータシャフトが可能な限り速やかに回転速度設定値RSIに到達し、これを維持することである。従って、図8による方法100は、電子航行制御器30から生じる推力命令TCを、推力ユニット12aのターボジェット12a-eのロータの回転速度設定値RSIに変換するための最初のステップ101を備える。
【0075】
図8に示されるような本発明による推力ベクトル制御方法100は、さらに、推力ユニット12aのターボジェット12a-eのロータの速度補正のプロセス中、前記補正プロセスと無関係に、推力システムの推力ベクトル電気的補正手段19a、この場合、図3を参照して説明された推力システムTSaのターボジェット12a-eの流体排出口12a-oの下流に置かれたデフレクタガイド19a-1及び/又は19a-5のアクチュエータ19a-3の作動命令ACを生成するステップ120を備える点で、従来技術と区別される。図6に示された方法100と同様に、図8に示された方法のステップ120は、(ステップ101で取得された)設定値速度RSIと内燃機関12a-eのシャフトの測定速度RSMとの間の偏差RSEに基づいて、作動命令ACを生成するように設けられ、前記偏差RSEはステップ102で算出される。この反復ステップ120の目的は、主に、ターボジェット12a-eの低い応答性を、前記制御プロセスと並行して、即ち前記ターボジェット12a-eのロータの前記回転速度の調整それ自体に作用せずに補償することである。図3に示された推力システムTSaの例を参照して、本発明は、デフレクタガイド19a-1及び/又は19a-5を、推力ユニット12aの内燃機関12a-eによって生成される推力ベクトルAL12aの補正器として使用することを提供する。前記デフレクタガイドの電動アクチュエータ19a-3は、一般に、段階的な電気的作動設定値を前記モータ19a-3のカムの変位又は行程CS19に変換する変換器を含み又はそれに関連付けられる。その設計のために、電動アクチュエータ19a-3はターボジェット12a-eより非常に良い応答性を有する。それは、「挟み込み」によって、デフレクタガイド19a-1及び19a-5の下流で推力ベクトルAL12aの大きさを低減させ得、これらのデフレクタガイド19a-1及び19a-5は、全体的又は部分的に、前記デフレクタガイド19a-1及び19a-5の上流で、即ち流体排出口12a-oで前記推力ベクトルAL12aを逸らす。前記デフレクタガイド19a-1及び19a-5が、デフォルト設定で、前記推力ベクトルAL12aを「挟み込む」ように、従って部分的に例えばそれぞれ5から25パーセント程度の推力ベクトルAL12aを流体排出口12a-oで逸らすように置かれた場合、前記デフレクタガイド19a-1及び19a-5を前記推力ベクトルAL12aから遠ざけるように意図されたモータ19a-3の作動は、前記推力ベクトルAL12aをこれらのデフレクタガイド19a-1及び19a-5の下流で増加させることになると考えることができる。従って、電気アクチュエータ19a-3を介したデフレクタガイド19a-1及び/又は19a-5の作動は、ターボジェット12a-eによって生成される推力ベクトルAL12aを前記デフレクタガイド19a-1及び19a-5の下流で増加させ、低減させ、又は反対にさえし得ると考えることが可能である。従って、推力ベクトルAL12から前記デフレクタガイド19a1及び/又は19a-5を遠ざけるように意図された電気カムモータ19a-3の急な適切な作動によって、ターボジェット12a-eのエンジン速度の加速段階において、ターボジェットがほぼ瞬時の応答を与えられた場合に、推力ベクトルAL12aが実質的に示すだろうものと同一の、前記デフレクタガイドの下流で増大した振幅又は力の推力ベクトルを非常に速やかに得ることができる。図6に示された方法100を参照して既に説明されたように、ターボジェット12a-eの速度制御の実行(ステップ110)によって、ターボジェット12a-eは回転速度設定値RSIに到達する傾向にある。電動機19a-3のカムの行程は次第にその基準位置又はデフォルト位置を取り戻し、デフレクタガイド19a-1及び/又は19a-5は再びターボジェット12a-eによって生成される推力ベクトルAL12aの一部を「挟み込む」。方法100の期間SPに従う反復実行によって、デフレクタガイド19a-1及び/又は19a-5は、偏差RSEが再び正になり(即ち、ターボジェット12a-eの回転シャフトの回転速度RS12が設定値速度RSIを下回るとすぐに)、モータ19a-3の新たな作動をもたらすのに十分な値となるとすぐに、電動機19a-3の作用下で再び動かされて、推力ベクトルAL12aへのそれらの「挟み込み効果」を低減させる。
【0076】
対応して、偏差RSEが負になった場合(即ち、ターボジェット12a-eの回転シャフトの回転速度RS12が設定値速度RSIを超えるとすぐに)、カムモータ19a-3の作動命令によって、デフレクタガイド19a-1及び/又は19a-5による推力ベクトルの挟み込みが増す。従って、ターボジェット12a-eのエンジン速度の減速段階において、本発明によって、ターボジェットがほぼ瞬時の応答を与えられた場合、推力ベクトルAL12aが実質的に示すだろうものに同一の、前記デフレクタガイドの下流で低減された振幅の推力ベクトルを非常に速やかに得ることができる。ターボジェット12a-eの速度制御の実行(ステップ110)によって、ターボジェット12a-eが回転速度設定値RSIに到達する傾向にあるため、電動モータ19a-3のカムの行程は次第にその基準位置又はデフォルト位置を取り戻し、デフレクタガイド19a-1及び/又は19a-5は、ターボジェット12a-eによって生成される推力ベクトルAL12aのごく一部、例えばその10%、又は有利に5%と25%との間に含まれる推力ベクトルの他の任意の部分のみを再び「挟み込む」。
【0077】
本発明は、ステップ120が、回転速度設定値RSIと内燃機関12a-eのシャフトの測定回転速度RSMとの間の偏差RSEの乗算、積分、及び/又は微分によって、推力ベクトルAL12aの前記電気的補正手段、この場合、電動機19a-3の作動命令ACを反復的に生成するように設けられることを提供する。好適な実施形態によれば、全く又は主に、前記偏差RSEに比例して得られる作動命令に、重点が置かれる。作動命令ACの算出120は、さらに、ターボジェットの応答性のモデルを使用し得る。その結果、デフレクタガイドの下流の推力システムTSaの推力ベクトルは、推力ユニット12aのターボジェット12a-eの速度補正のプロセス中、可能な限り一定である推力の大きさを示し、過度の補償現象を防ぐ。
【0078】
従って、方法100の実行によって、推力ユニット12aの内燃機関12a-eによって生成される推力ベクトルAL12aの大きさを増大又は低減させることができる。それによって、2つのデフレクタガイド19a-1、19a-5による内燃機関12a-eの流体排出口12a-oの下流での推力ベクトルの完全な挟み込み中、前記推力ベクトルの方向が反対にさえなり得る。そのような逆推力又は推力反転は、前記デフレクタガイドの末端部分のところで、二次推力ベクトルAL12a’及びAL12a’’が、生成され、前記デフレクタガイドの上流の元の推力ベクトルAL12aの方向と反対の方向を有するように、前記デフレクタガイドが流体の流れをガイドするように設けられる場合、可能になり得る。そのような作動は、図2による推進装置10を制御する場合に特に有益である制動又は逆推力の技術的効果をもたらす。そのような逆推力を実施し得るために、さらに、十分な大きさを有する、デフレクタガイド19a-1、19a-5の上流の推力ベクトルAL12aを保持することが必要である。ステップ111を使用して、上述のように、前記動力命令が下限閾値PCMin以上になるように、ステップ110で生成される動力命令PCを補正することは、この点で特に有利である。同様に、図8による方法100は、ステップ110で生成される動力命令PCを、動力命令PCが上限閾値PCMaxを超えないように制限するためのステップ112を備え得る。このようにして、図2による航空推進装置10の離陸の際に推力ユニットの内燃機関によって引き起こされる騒音の害を低減させ、デフレクタガイド19a-1及び19a-5を開いて、このように引き起こされる動力不足を補償することができる。そのようなより低いPCMin閾値及び/又はより高いPCMax閾値を解釈及び初期化するために、図8による方法100は、前記推進装置10の航行制御器電子手段30から生じる推力ユニットの推力の上限設定値HTLI及び/又は下限設定値LTLIを復号し又は考慮に入れるためのステップ113を備え得る。
【0079】
全く同一の推力ベクトル制御方法100を実行して、図2に示された推進装置10の推力システムTSb、TSc、及びTSdの推力ユニット12b、12c、12dの推力ベクトルを補正し得る。電子航行制御器30は、適合した推力命令TCを4つの推力システムTSaからTSdに送る責任を負う。
【0080】
本発明は、2ストローク、4ストローク内燃機関、ターボジェット、及びサーボモータ型の電気制御アクチュエータ、回転シャフトモータ、カムモータ等をそれぞれ備える、推力システム、より具体的に推力ユニット及び推力ベクトル補正手段の異なる構成を通じて説明された。本発明は、スラスタ又はアクチュエータのこれらの例のみに限定されるとみなされるべきではない。それは、より一般に、動力(又はエンジン速度)を変更する命令に応じて応答性を補償する必要がある、1つ以上の主スラスタによって出される推力ベクトルの補正に関する。同様に、本発明は、垂直離着陸航空推進装置の例のみに限定されるとみなされるべきではない。本発明は、空中、水中、又は陸上かどうかにかかわらず、積み荷を運ぶ推進装置を装備する推力システムの推力ベクトルの補正に適用され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-06-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
推力システム(TSa、TSb、TSc、TSd、TSe、TSf、TSg、TSh)の推力ユニット(12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h)によって出される推力ベクトルを補正するための方法(100)であって、前記推力システムは、前記方法(100)を実行するように設けられた処理手段(30、30a)を備え、前記推力ユニット(12a)は、動力命令(PC)に応じて内燃機関(12a-e)の回転シャフトによって回される機械的ロータ(12a-r)を備え、前記方法(100)は、反復的に(SP)、
推力命令(TC)を前記推力ユニット(12a)の前記内燃機関(12a-e)の前記シャフトの回転速度設定値(RSI)に変換するステップ(101)と、
前記回転速度設定値(RSI)と、前記内燃機関(12a-e)及び前記処理手段(30、30a)と協働する測定センサ(12a-s)による前記シャフトの測定回転速度(RSM)との間の偏差(RSE)を生成するステップ(102)と、
前記回転速度設定値(RSI)と前記内燃機関(12a-e)の前記シャフトの前記測定回転速度(RSM)との間の前記偏差(RSE)に基づいて前記動力命令(PC)を生成して、前記偏差(RSE)を低減させ、従って前記内燃機関(12a-e)の前記シャフトの回転速度を制御するステップ(110)と、備え、
前記推力システムは、さらに、前記推力ユニットによって出される前記推力ベクトルの電気的補正手段(19a、19b、19c、19d、19e、19f、19g、19h)を備え、
前記方法は、前記内燃機関(12a-e)の前記シャフトの回転の前記速度制御と無関係に、前記回転速度設定値(RSI)と前記内燃機関(12a-e)の前記シャフトの前記測定回転速度(RSM)との間の前記偏差(RSE)に基づいて、前記推力ベクトルの前記電気的補正手段(19a-e、19a-3)の作動命令(AC)を生成する反復の(SP)ステップ(120)を備えることを特徴とする、方法(100)。
【請求項2】
前記動力命令(PC)を生成するステップ(110)は、前記回転速度設定値(RSI)と前記シャフトの前記測定回転速度(RSM)との間の前記偏差(RSE)の乗算、積分、及び/又は微分によって前記動力命令(PC)を生成することからなる、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
生成された(110)前記動力命令(PC)を、そのような動力命令(PC、PC’)が最小動力命令閾値(PCMin)以上となるように補正する(PC’)ステップ(111)を備える、請求項1又は2に記載の方法(100)。
【請求項4】
生成された(110)前記動力命令(PC)を、そのような動力命令(PC、PC’)が最大動力命令閾値(PCMax)を超えないように補正する(PC’)ステップ(112)を備える、請求項1又は2に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記推力ユニットの推力の下限又は上限設定値(LTLI、HTLI)を考慮に入れ、最小又は最大命令閾値(PCMin、PCMax)を初期化するステップ(113)を備える、請求項3に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記推力ベクトルの前記電気的補正手段(19a-e、19a-3)を作動させるステップ(120)は、前記回転速度設定値(RSI)と前記内燃機関(12a-e)の前記シャフトの前記測定回転速度(RSM)との間の前記偏差(RSE)の乗算、積分、及び/又は微分によって、前記推力ベクトルの前記電気的補正手段(19a-e、19a-3)の前記作動命令(AC)を生成することからなる、請求項1又は2に記載の方法(100)。
【請求項7】
コンピュータの処理手段によって解釈され得る1つ以上のプログラム命令を含み、前記プログラム命令はそれの不揮発性メモリに置かれ得、前記処理手段による前記命令の実行によって、請求項1又は2に記載の方法(100)が実行されることを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のコンピュータプログラムの前記命令を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
推力ユニット(12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h)と、前記推力ユニットによって出される前記推力ベクトルの電気的補正手段(19a、19b、19c、19d、19e、19f、19g.19h)と、請求項1又は2に記載の推力ベクトルを補正するための方法(100)を実行するように設けられた処理手段(30、30a)とを備える、推力システム(TSa、TSb、TSc、TSd、TSe、TSf、TSg、TSh)。
【請求項10】
前記推力ユニット(12a)は、
回転速度(RS12)が、前記処理手段(30、30a)によって生成される前記動力命令(PC、PC’)に依存する回転シャフト内燃機関(12a-e)と、
前記内燃機関(12a-e)によって回される機械的ロータ(12a-r)と、を備え、
前記推力ベクトルの前記電気的補正手段(19a)は、
回転速度(RS19)が、前記処理手段(30、30a)によって生成される前記補正手段(19a-e)の前記作動命令(AC)に依存する回転シャフト電動機(19a-e)と、
前記電動機(19a-e)によって回され、前記推力ユニット(12a)によって出される前記推力ベクトル(AL12a)と実質的に平行な追加の推力ベクトル(AL19a)を出す機械的ロータ(19a-r)と、を備える、請求項9に記載の推力システム(TSa)。
【請求項11】
前記推力ユニット(12a)の前記内燃機関(12a-e)に連結されたモータジェネレータ(12a-g)を備えて、前記処理手段(30、30a)によって生成される作動命令(FC)に従って、前記内燃機関(12a-e)によって生成される機械力の全部又は一部を、前記モータジェネレータ(12a-g)によって出される電力(EP)に変換する、請求項10に記載の推力システム(TSa)。
【請求項12】
前記推力ユニット(12a)は、流体排出口(12a-o)を有するターボジェット(12a)を備え、
前記推力ベクトルの前記電気的補正手段(19a)は、
回転可能に取り付けられ、互いに並べられて、前記流体排出口(12a-o)の下流で、前記推力ユニット(12a)の前記推力ベクトル(AL12a)の全部又は一部(AL12a’、AL12a’’)を、前記ターボジェット(12a)の前記流体排出口(12a-o)での前記推力ベクトル(AL12a)の方向と実質的に垂直な1つ以上の方向に逸らす1対のデフレクタガイド(19a-1、19a-5)と、
前記作動命令(AC)を解釈し、それぞれ前記デフレクタガイド(19a-1、19a-5)の回転(r)をもたらすように設けられた電動アクチュエータ(19a-6)と、備える、請求項9に記載の推力システム(TSa)。
【請求項13】
請求項9に記載の少なくとも1つの推力システム(TSa、TSb、TSc、TSd、TSe、TSf、TSg、TSh)と、前記少なくとも1つの推力システム(TSa、TSb、TSc、TSd、TSe、TSf、TSg、TSh)の前記処理手段(30、30a)によって解釈され得る推力命令(TC)を生成するように設けられた航行制御器手段(30)とを備える、推進装置(10)。
【請求項14】
積み荷(1)を受けるように設けられた台(11、P11)と、前記少なくとも1つの推力システム(TSa、TSb、TSc、TSd、TSe、TSf、TSg、TSh)の前記推力ユニット(12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h)の支持手段(14)とを備え、前記支持手段(14)は、前記推力ユニット(12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h)の前記推力ベクトル(AL12a、AL12b、AL12c、AL12d)を、前記台(11、P11)と実質的に垂直な方向に向けるように設けられる、請求項13に記載の航空推進装置(10)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの推力システム(TSa、TSb、TSc、TSd、TSe、TSf、TSg、TSh)が、請求項5に記載の推力の制御の方法を実行するように設けられる場合、前記航行制御器手段(30)は、前記少なくとも1つの推力システム(TSa、TSb、TSc、TSd、TSe、TSf、TSg、TSh)の前記推力ユニット(12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h)の推力の下限又は上限設定値(LTLI、HTLI)を生成するように設けられる、請求項13に記載の推進装置(10)。
【請求項16】
前記推進装置(10)の環境から積み荷(1)を保護するように設けられた前記台(11)に結合したフェアリング(11c)を備える、請求項13に記載の推進装置(10)。
【国際調査報告】