(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】波長変換フィルム及びそれを含む表示デバイス
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20241128BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20241128BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20241128BHJP
C07F 5/02 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G02B5/20
H01L33/50
C09K11/06
C07F5/02 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525483
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 US2022079751
(87)【国際公開番号】W WO2023158509
(87)【国際公開日】2023-08-24
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003845
【氏名又は名称】弁理士法人籾井特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カイ、ジェ
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シジュン
(72)【発明者】
【氏名】ハンメーカー、ジェフリー、アール.
(72)【発明者】
【氏名】ルー、ヘップ
(72)【発明者】
【氏名】ディン、シンリャン
(72)【発明者】
【氏名】サジョートー、 ティッサ
(72)【発明者】
【氏名】サスカ、ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ポン
【テーマコード(参考)】
2H148
4H048
5F142
【Fターム(参考)】
2H148AA05
2H148AA11
2H148AA19
4H048AA03
4H048AB92
4H048VA11
4H048VA12
4H048VA20
4H048VA22
4H048VA32
5F142AA02
5F142DA14
(57)【要約】
本明細書では、改善された量子効率及び色域を有する複合材料を有する改善された波長変換フィルムについて記載する。このフィルムは、狭いFWHMの緑色及び赤色発光色素を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長変換フィルムであって、
ポリマーマトリックスと、
青色波長光を吸収し、40nm未満の半値全幅を有する発光スペクトルで緑色波長光を放出する第1のフォトルミネッセンス色素と、
青色又は緑色波長光を吸収し、55nm未満の半値全幅を有する発光スペクトルで赤色波長光を放出する第2のフォトルミネッセンス色素と、
光散乱中心と、
を含み、
前記第1のフォトルミネッセンス色素、前記第2のフォトルミネッセンス色素、及び前記光散乱中心が、前記ポリマーマトリックス内に配置されている、波長変換フィルム。
【請求項2】
前記第1のフォトルミネッセンス色素が、任意に置換されたBODIPY基、連結基、及び任意に置換されたイソキノリン基を含む、請求項1に記載の波長変換フィルム。
【請求項3】
前記第1のフォトルミネッセンス色素が、
【化1】
又は
【化2】
である、請求項2に記載の波長変換フィルム。
【請求項4】
前記第1のフォトルミネッセンス色素が、任意に置換されたBODIPY基、連結基、及び任意に置換されたナフタル酸イミド基を含む、請求項1に記載の波長変換フィルム。
【請求項5】
前記第1のフォトルミネッセンス色素が、
【化3】
である、請求項4に記載の波長変換フィルム。
【請求項6】
前記第2のフォトルミネッセンス色素が、任意に置換されたBODIPY基、連結基、及び任意に置換されたイソキノリン基を含む、請求項1に記載の波長変換フィルム。
【請求項7】
前記第2のフォトルミネッセンス色素が、
【化4】
【化5】
又は
【化6】
である、請求項6に記載の波長変換フィルム。
【請求項8】
前記第2のフォトルミネッセンス色素が、任意に置換されたBODIPY基、連結基、及び任意に置換されたナフタルイミド基を含む、請求項1に記載の波長変換フィルム。
【請求項9】
前記第2のフォトルミネッセンス色素が、
【化7】
である、請求項8に記載の波長変換フィルム。
【請求項10】
前記第2のフォトルミネッセンス色素が、任意に置換されたBODIPY基、連結基、及び任意に置換されたペリレン基を含む、請求項1に記載の波長変換フィルム。
【請求項11】
前記第2のフォトルミネッセンス色素が、
【化8】
である、請求項8に記載の波長変換フィルム。
【請求項12】
前記波長変換フィルムが、80%を超える内部量子収率を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の波長変換フィルム。
【請求項13】
前記波長変換フィルムが、50%を超える外部量子収率を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の波長変換フィルム。
【請求項14】
前記波長変換フィルムが、BT.2020規格の90%を超える色域を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の波長変換フィルム。
【請求項15】
前記波長変換フィルムが、10μm~40μmの厚さを有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の波長変換フィルム。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の波長変換フィルムを含む、発光デバイス。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか一項に記載の波長変換フィルムを含む、青色光源を有するバックライト付きデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年11月12日付で出願された米国仮特許出願第63/278,923号の優先権を主張し、その全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、波長変換フィルム及びそれを含む発光表示デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
フォトルミネッセンス物質は、光又は電気の形態でエネルギーを吸収した後に発光する物質である。フォトルミネッセンス物質は、フォトルミネッセンス物質を構成する成分及び発光機構に応じて、無機フォトルミネッセンス物質(又は色素)、有機フォトルミネッセンス色素、ナノ結晶フォトルミネッセンス物質等に分類することができる。
【0004】
近年、そのようなフォトルミネッセンス物質を使用した光源のスペクトルを変更するための様々な試みが説明されてきた。フォトルミネッセンス物質は、光源からの特定の波長の光を吸収し、これを可視領域でより長い波長の光に変換し、発光する。フォトルミネッセンス物質の発光特性に応じて、放出される光の輝度、色純度、色域等が大幅に向上する場合がある。無機フォトルミネッセンス物質は、硫化物、酸化物又は窒化物等の親化合物と、活性化イオンとで形成することができ、優れた物理的及び化学的安定性、並びに色純度の高い再現性を有する高品質の表示装置に使用することができる。しかしながら、これらの無機フォトルミネッセンス物質は、非常に高価であり、低い発光効率を有し、400nm以上の近紫外又は青色領域での発光が制限されるという点で欠点がある。
【0005】
量子ドット技術は、高レベルの量子効率及び色域を実現している。しかしながら、カドミウムベースの量子ドットは非常に有毒である可能性があり、健康安全性の問題のために多くの国で制限されている。さらに、いくつかの量子ドットは、青色LED光を緑色又は赤色光に変換する際に、はるかに低い量子効率を有する。さらに、量子ドットは、湿気及び酸素に曝されたときに低い安定性を有する可能性があり、多くの場合、高価なカプセル化プロセスを必要とする。量子ドットの製造中にサイズの均一性を制御することが困難な場合があるため、量子ドットのコストは高くなる可能性がある。
【0006】
したがって、量子ドット及び他の既存のフォトルミネッセンス色素含有フィルムと比較して、高い量子効率、高い色域出力、及びより低いコストを有する新規フォトルミネッセンスフィルムが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
いくつかの実施の形態は、波長変換フィルムであって、ポリマーマトリックスと、青色波長光を吸収し、40nm未満の半値全幅を有する発光スペクトルで緑色波長光を狭い範囲で放出する第1のフォトルミネッセンス色素と、青色又は緑色波長光を吸収し、55nm未満の半値全幅を有する発光スペクトルで赤色波長光を狭い範囲で放出する第2のフォトルミネッセンス色素と、光散乱中心とを含み、第1のフォトルミネッセンス色素、第2のフォトルミネッセンス色素、及び光散乱中心が、ポリマーマトリックス内に配置されている、波長変換フィルムを含む。
【0008】
いくつかの実施の形態において、第1のフォトルミネッセンス色素は、任意に置換されたBODIPY基、連結基、及び任意に置換されたイソキノリン基を含むことができる。いくつかの実施の形態において、第1のフォトルミネッセンス色素は、
【化1】
及び/又は
【化2】
であり得る。
【0009】
いくつかの実施の形態において、第1のフォトルミネッセンス色素は、任意に置換されたBODIPY基、連結基、及び任意に置換されたナフタル酸イミド基を含むことができる。いくつかの実施の形態において、第1のフォトルミネッセンス色素は、
【化3】
であり得る。
【0010】
いくつかの実施の形態において、第2のフォトルミネッセンス色素は、任意に置換されたBODIPY基、連結基、及び任意に置換されたイソキノリン基を含むことができる。いくつかの実施の形態において、第2のフォトルミネッセンス色素は、
【化4】
【化5】
及び/又は
【化6】
であり得る。
【0011】
いくつかの実施の形態において、第2のフォトルミネッセンス色素は、任意に置換されたBODIPY基、連結基、及び任意に置換されたナフタルイミド基を含むことができる。いくつかの実施の形態において、第2のフォトルミネッセンス色素は、
【化7】
であり得る。
【0012】
いくつかの実施の形態において、第2のフォトルミネッセンス色素は、任意に置換されたBODIPY基、連結基、及び任意に置換されたペリレン基を含むことができる。いくつかの実施の形態において、第2のフォトルミネッセンス色素は、
【化8】
を含み得る。
【0013】
いくつかの実施の形態において、フィルムは、80%を超える内部量子収率を有し得る。いくつかの実施の形態において、フィルムは、50%を超える外部量子収率を有し得る。いくつかの実施の形態において、フィルムは、BT.2020規格又はRec.2020規格の90%を超える色域を有し得る。いくつかの実施の形態において、フィルムは、50ミクロン未満の厚さを有し得る。
【0014】
いくつかの実施の形態は、本明細書に記載のフォトルミネッセンス波長変換フィルムを含む発光デバイスを含む。
【0015】
いくつかの実施の形態は、本明細書に記載のフォトルミネッセンス波長変換フィルムを含む青色光源を有するバックライト付きデバイスを含む。
【0016】
これらの実施形態及び他の実施形態は、以下にて更に詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本明細書に記載の改善されたWLCフィルムが組み込まれた表示デバイスの一実施形態の概略図である。
【
図2】本明細書に記載の改善されたWLCフィルムが組み込まれた表示デバイスの一実施形態の概略図である。
【
図3】本明細書に記載の改善されたWLCフィルムが組み込まれた表示デバイスの一実施形態の概略図である。
【
図4】本明細書に記載のフィルムの実施形態を含む試験構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、高い量子効率、高い色域出力、及び低コストを有するフォトルミネッセンス化合物(又は色素)を含む波長変換フィルムに関する。
【0019】
本明細書で使用される「BODIPY」という用語は、式:
【化9】
(式中、破線によって示される環は任意である)を有する、任意に置換された化学部分を指す。
【0020】
BODIPY部分は、二置換ホウ素原子、典型的にはBF2ユニットと錯体を形成したジピロメテンを含む。BODIPYコアのIUPAC名は、4,4-ジフルオロ-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセンである。
【0021】
本明細書で使用される「ペリレン」又は「ペリレン誘導体」という用語は、式:
【化10】
を有する任意に置換された化学部分を指す。
【0022】
本明細書で使用される「ナフタル酸イミド」又は「ナフタル酸誘導体」という用語は、式:
【化11】
(式中、XはNRであり、Rは連結基又はアリール基であってもよい)を有する、任意に置換された化学部分を指す。
【0023】
本明細書で使用される「イソキノリン」又は「イソキノリン誘導体」又は「キサンテノイソキノリン誘導体」という用語は、式:
【化12】
(式中、XはNRであり、Rは連結基又はアリール基であってもよく、Yは水素基、C
1~C
3アルキル、又はアリール基、例えばベンジル基であってもよい)を有する、任意に置換された化学部分を指す。
【0024】
本明細書で使用される「ナフタルイミド」又は「ナフタルイミド誘導体」という用語は、式:
【化13】
(式中、R
0は水素(H)、置換若しくは非置換のアリール、又はCF
3であってもよく、Xは酸素(O)又は硫黄(S)であってもよく、R
1は水素、置換若しくは非置換のアリール(例えばフェニル、フルオロアルキルフェニル(例えば、4-トリフルオロメチルフェニル)等)、又はC
1~C
5アルキルであり得る)を有する、任意に置換された化学部分を指す。
【0025】
いくつかの実施形態において、BODIPY部分は、連結基を有するペリレン部分に結合している。いくつかの実施形態において、BODIPY部分は、連結基を有するナフタル酸イミド部分に結合している。いくつかの実施形態において、BODIPY部分は、連結基を有するイソキノリン部分に結合している。いくつかの実施形態において、BODIPY部分は、連結基を有するナフタルイミド部分に結合している。
【0026】
「~場合がある/~し得る(may)」又は「あり得る/であってもよい(may be)」という用語の使用は、「~である(is)」又は「~ではない(is not)」、或いは「~する(does)」若しくは「~しない(does not)」又は「~ことになる(will)」若しくは「~ことにはならない(will not)」等の省略形として解釈されるべきである。例えば、「フィルムは、ポリマーマトリックス内に配置された散乱中心を含み得る」という記述は、例えば、「いくつかの実施形態において、フィルムは、ポリマーマトリックス内に配置された散乱中心を含む」又は「いくつかの実施形態において、フィルムは、ポリマーマトリックス内に配置された散乱中心を含まない」と解釈されるべきである。
【0027】
ITU-R勧告BT.2020(より一般的には、略称Rec.2020又はBT.2020で知られる)という用語は、色域の色表示規格を指す。Rec.2020が使用するRGB原色は、CIE1931スペクトル軌跡上の単色光源に相当する。Rec.2020原色の波長は、赤色の原色では630nm、緑色の原色では532nm、及び青色の原色では467nmである。Rec.2020色空間は、CIE1931色空間の75.8%(決定された三角形内の領域)をカバーする。Rec.2020は、白色点としてCIE標準光源D65を使用し、以下の色座標:Xw=0.3127、Yw=0.3290、XR=0.708、YR=0.292、XG=0.17、YG=0.797、XB=0.131、YB=0.046を使用する。
【0028】
いくつかの実施形態は、ポリマーマトリックス、第1の有機フォトルミネッセンス化合物、及び第2の有機フォトルミネッセンス化合物を含む波長変換フィルムを含む。いくつかの実施形態において、フィルムは、緑色発光であり、30nm又は40nm未満の半値全幅を有する発光ピークを有する第1の有機フォトルミネッセンス色素を含み得る。いくつかの実施形態において、フィルムは、赤色発光であり、55nm未満の半値全幅を有する発光ピークを有する第2の有機フォトルミネッセンス色素を含み得る。いくつかの実施形態において、フィルムは、光散乱中心を含み得る。いくつかの例において、第1の有機フォトルミネッセンス色素(緑色光を放出する)、第2の有機フォトルミネッセンス色素(赤色光を放出する)、及び散乱中心は、ポリマーマトリックス内に配置されている。いくつかの実施形態において、フィルムは高い量子収率を提供する。いくつかの実施形態において、フィルムは、90%を超える広い色域を提供する。パーセント色域を決定するための好適な手段は、生成された1931CIE色空間下の領域を測定することである。いくつかの実施形態において、フィルムは、89%~99.9%の色域、例えば、91%~92%、92%~93%、93%~94%、98%~99.9%、89%~93%、93%~96%及び/又は96%~99.9%、又はこれらの値のいずれかによって定められる範囲であってもよい。いくつかの実施形態には、上述のフィルムを含むLCDバックライトが含まれる。
【0029】
いくつかの実施形態において、フィルムは、ポリマーマトリックスを含み得る。いくつかの実施形態において、ポリマーマトリックスは、75%を超える、80%を超える、90%を超える、又は95%を超える透明度を有し得る。いくつかの実施形態において、ポリマーマトリックスは、親水性又は疎水性ポリマーを含み得る。いくつかの実施形態において、ポリマーマトリックスは、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、又はポリアクリレートを含み得る。いくつかの実施形態において、ポリマーマトリックスは、ポリビニルブチラール(PVB)を含み得る。いくつかの実施形態において、ポリアクリレートは、ポリアルキルアクリレートであってもよい。いくつかの実施形態において、ポリアルキルアクリレートは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)であってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、フォトルミネッセンス化合物(及び/又はフォトルミネッセンス化合物を含むフォトルミネッセンス波長変換フィルム)は、狭い吸収又は発光帯を有し、その結果、少量の可視波長光が放出される。吸収又は発光帯は、半値全幅(FWHM)によって特徴付けることができる。本開示において、FWHMは、吸収又は発光のピーク波長の半分における吸収又は発光スペクトルの幅をナノメートルで定義する。いくつかの実施形態において、フォトルミネッセンス化合物は、実質的に透明なポリマーマトリックス中に分散されたときに、50nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、又は25nm以下のFWHM値を有する吸収帯を有する。いくつかの実施形態において、フォトルミネッセンス化合物は、実質的に透明なポリマーマトリックス中に分散されたときに、50nm以下、40nm以下、35nm以下、又は30nm以下のFWHM値を有する発光帯を有する。
【0031】
いくつかの実施形態において、フィルムは、第1の有機フォトルミネッセンス化合物(又は色素)を含み得る。いくつかの実施形態において、第1の有機フォトルミネッセンス色素(及び/又は第1の有機フォトルミネッセンス色素を含むフォトルミネッセンス波長変換フィルム)は、510nm~520nm、若しくは520nm~530nm、又はこれらの値のいずれかによって画定される範囲の発光ピーク(緑色光放出)を有し得る。いくつかの実施形態において、第1の有機フォトルミネッセンス色素及び/又はフォトルミネッセンス波長変換フィルムの発光スペクトルは、35nm未満、30nm未満、又は20nm未満の半値全幅(FWHM)を有し得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、第1の有機フォトルミネッセンス色素は、任意に置換されたBODIPY基、連結基、及び任意に置換されたイソキノリン基を含み得る。いくつかの実施形態において、任意に置換されたイソキノリン基は、任意に置換されたイソキノリン誘導体基であってもよい。いくつかの実施形態において、任意に置換されたイソキノリン基は、任意に置換されたキサンテノイソキノリン誘導体基であってもよい。いくつかの実施形態において、任意に置換されたBODIPY基は、連結基に共有結合している。他の実施形態において、連結基は、任意に置換されたイソキノリン基に共有結合している。他の実施形態において、連結基は、任意に置換されたイソキノリン誘導体基に共有結合している。他の実施形態において、連結基は、任意に置換されたキサンテノイソキノリン誘導体基に共有結合している。
【0033】
いくつかの実施形態において、第1の有機フォトルミネッセンス色素は、任意に置換されたBODIPY基、連結基、及び任意に置換されたナフタル酸イミド基を含み得る。いくつかの実施形態において、任意に置換されたナフタル酸イミド基は、任意に置換されたナフタル酸誘導体基であってもよい。いくつかの実施形態において、任意に置換されたBODIPY基は、連結基に共有結合している。他の実施形態において、連結基は、任意に置換されたナフタル酸イミド基に共有結合している。他の実施形態において、連結基は、任意に置換されたナフタル酸誘導体基に共有結合している。
【0034】
いくつかの実施形態において、第1の有機フォトルミネッセンス色素は、2021年2月22日付けで出願された同時係属中の米国仮出願第63/152,309号(フォトルミネッセンス色素の論考について、引用することにより本明細書の一部をなす)及び2021年11月12日付けで出願された米国仮出願第63/278,904号(代理人整理番号N3253.10133US02、引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されているフォトルミネッセンス色素から選択することができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、第1の有機フォトルミネッセンス色素は、FD-1、FD-2、若しくはFD-3:
【化14】
【化15】
【化16】
又はそれらの任意の組み合わせから選択され得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、波長変換フィルムは、第2の有機フォトルミネッセンス色素を含み得る。いくつかの実施形態において、第2の有機フォトルミネッセンス色素(及び/又は第2の有機フォトルミネッセンス色素を含むフォトルミネッセンス波長変換フィルム)は、400nm~470nmの吸収ピーク(青色光吸収)を有し得る。いくつかの実施形態において、第2の有機フォトルミネッセンス色素(及び/又は第2の有機フォトルミネッセンス色素を含むフォトルミネッセンス波長変換フィルム)は、610nm~620nm、若しくは620nm~630nm、又はこれらの値のいずれかによって画定される範囲の発光ピーク(赤色光放出)を有し得る。いくつかの実施形態において、第2の有機フォトルミネッセンス色素及び/又はフォトルミネッセンス波長変換フィルムの発光スペクトルは、65nm未満、55nm未満、50nm未満、45nm未満、40nm未満、又は35nm未満の半値全幅(FWHM)を有し得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、第2の有機フォトルミネッセンス色素は、BODIPY基、連結基及びペリレン基を含み得る。いくつかの実施形態において、ペリレン基は、ペリレン誘導体基であってもよい。いくつかの実施形態において、BODIPY基は、連結基に共有結合している。他の実施形態において、連結基は、ペリレン基に共有結合している。他の実施形態において、連結基は、ペリレン誘導体基に共有結合している。
【0038】
いくつかの実施形態において、第2の有機フォトルミネッセンス色素は、BODIPY基、連結基及びイソキノリン基を含み得る。いくつかの実施形態において、イソキノリン基は、イソキノリン誘導体基であってもよい。いくつかの実施形態において、BODIPY基は、連結基に共有結合している。他の実施形態において、連結基は、イソキノリン基に共有結合している。他の実施形態において、連結基は、イソキノリン誘導体基に共有結合している。
【0039】
いくつかの実施形態において、第2の有機フォトルミネッセンス色素は、BODIPY基、連結基及びナフタルイミド基を含み得る。いくつかの実施形態において、ナフタルイミド基は、ナフタルイミド誘導体基であってもよい。いくつかの実施形態において、BODIPY基は、連結基に共有結合している。他の実施形態において、連結基は、ナフタルイミド基に共有結合している。他の実施形態において、連結基は、ナフタルイミド誘導体基に共有結合している。
【0040】
いくつかの実施形態において、第1の有機フォトルミネッセンス色素は、2021年9月27日付けで出願された同時係属中の米国仮出願第63/248,863号(フォトルミネッセンス色素の論考について、引用することにより本明細書の一部をなす)、2021年11月19日付けで出願された米国仮出願第63/278,904号(代理人整理番号N3252.10147US02、引用することにより本明細書の一部をなす)、及びPCT特許公報である国際公開第2020/210761号(引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されているフォトルミネッセンス色素から選択することができる。いくつかの実施形態において、第2の有機フォトルミネッセンス色素は、SD-1、SD-2、SD-3、SD-4、若しくはSD-5:
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
又はそれらの任意の組み合わせから選択され得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、第1のフォトルミネッセンス化合物は、UV/青色吸収スペクトル内から光を吸収し、緑色発光スペクトル内で光を放出して、知覚される放出緑色光を増強することができる。他の実施形態において、第2のフォトルミネッセンス化合物は、緑色及び/又は青色吸収スペクトル内から光を吸収し、赤色発光スペクトル内で光を放出して、知覚される放出赤色光を増強することができる。いくつかの実施形態において、第1のフォトルミネッセンス色素及び第2のフォトルミネッセンス色素は、UV/青色吸収スペクトル内から光を吸収し、他の波長の光を放出することができ、組み合わされて得られた光は、白色光として知覚され得る。いくつかの例において、知覚される白色光は、寒色と記載される色温度を有し得る。いくつかの実施形態において、知覚される白色光は、暖色と記載される色温度を有し得る。
【0042】
いくつかの実施形態において、第1のフォトルミネッセンス色素及び第2のフォトルミネッセンス色素は、青色スペクトル内の光源から放出される光の約60%~70%を吸収し得る。いくつかの実施形態において、得られる白色光は、30%~50%の青色光、波長変換フィルムから放出される20%~30%の赤色光、及び波長変換フィルムから放出される20%~30%の緑色光を含む。フィルムの厚さを調節して、波長変換フィルムによって吸収される青色光の割合と、波長変換フィルムを通過し、得られる白色光を構成する青色光の割合とを調整することができる。いくつかの実施形態において、フォトルミネッセンス波長変換フィルムは、任意の好適な厚さ、例えば約500μm未満、約200μm未満、又は約100μm未満、例えば約1μm~20μm、約10μm~40μm、約20μm~30μm、約30μm~40μm、約40μm~50μm、約50μm~80μm、約80μm~120μm、約120μm~200μm、約200μm~300μm、又は約300μm~500μmを有し得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、波長変換フィルムの厚さは、ベール-ランベルトの法則に従って減少又は増加させてもよい。特に、ベール-ランベルトの法則を用いて、光源から放出される青色光の60%~70%を達成するためのフィルムの厚さと第1のフォトルミネッセンス色素及び第2のフォトルミネッセンス色素の濃度との間の関係を導き出すことができる。いくつかの実施形態において、青色光の60%~70%の吸収を可能にするために、色素濃度を減少させてもよく、厚さを増加させてもよい。いくつかの実施形態において、青色光の60%~70%の吸収を可能にするために、色素濃度を増加させてもよく、厚さを減少させてもよい。いくつかの実施形態において、フォトルミネッセンス波長変換フィルムは、以下の実施例のセクションの表1に示すように、ほとんどの色素濃度に対して20μm超かつ30μm未満の好適な厚さを有し得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、連結基の長さを調整して、第1のフォトルミネッセンス色素及び第2のフォトルミネッセンス色素の溶解度を最適化することができる。いくつかの実施形態において、第1のフォトルミネッセンス色素及び第2のフォトルミネッセンス色素の溶解度は、0.15%超であり得る。いくつかの実施形態において、第1のフォトルミネッセンス色素及び第2のフォトルミネッセンス色素の溶解度は、約0.03%~0.8%、約0.8%~2%、若しくは約2%~3%、又は上記の値のいずれかによって画定される範囲内の溶解度であり得る。
【0045】
第1のフォトルミネッセンス色素及び第2のフォトルミネッセンス色素の量の比は、フォトルミネッセンス波長変換フィルムの色特性を調整するために調節することができる。例えば、第1のフォトルミネッセンス色素と第2のフォトルミネッセンス色素との重量比は、約0.01~100(1mgの第1のフォトルミネッセンス色素及び100mgの第2のフォトルミネッセンス色素は0.01の比である)、約0.01~0.2、約0.2~0.4、約0.4~0.6、約0.6~0.8、約0.8~1、約1~2、約2~3、約3~4、約4~5、約5~6、約6~7、約7~8、約8~9、約9~10、約10~20、約20~40、約40~70、約70~100、約0.43、約0.91、約1.8、又は約3.0であってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、フィルムは、ポリマーマトリックス内に配置された散乱中心を含み得る。いくつかの実施形態において、散乱中心は、ポリマーマトリックス材料の屈折率とは異なる屈折率(RI)を有する散乱材料を含む固体粒子であってもよい。散乱材料は、屈折率がポリマーマトリックスのRIとは異なる材料であってもよい。散乱材料は、例えば全内部反射を減少させることによって、外部量子収率を増加させるのに有用であり得る。
【0047】
【0048】
いくつかの実施形態において、ポリマーマトリックス材料と光散乱材料との間のRIの差は、少なくとも0.05、0.1、少なくとも0.2、少なくとも0.3、少なくとも0.4、又は少なくとも0.5、最大で1又は2であってもよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、散乱材料は、シリコーンビーズであってもよい。いくつかの実施形態において、散乱中心は、ポリマーマトリックス内に画定された空気の細孔を含み得る。いくつかの実施形態において、散乱中心は、1ミクロン(μm)~10ミクロン(μm)、約1μm~2μm、約2μm~3μm、約3μm~4μm、約4μm~5μm、約5μm~6μm、約6μm~7μm、約7μm~8μm、約8μm~9μm、約9μm~10μm、又はこれらの値のいずれかによって画定される範囲内のほぼ全ての値の平均直径を有し得る。いくつかの実施形態において、散乱中心は、ポリマーマトリックス内に実質的に均一に分散され得る。いくつかの実施形態において、フィルムの最上位部分、例えば、青色発光源から遠位側は、50%を超える散乱中心を有し得る。いくつかの実施形態において、散乱中心は、ポリマーマトリックス全体に均一に分布させることができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、フォトルミネッセンス波長変換フィルムは、赤色若しくは緑色発光の最大値において、少なくとも約70%、少なくとも約80%、若しくは少なくとも約90%、及び/又は最大で約80%、最大で約90%、最大で約100%である内部量子収率(IQE)を有し得る。いくつかの実施形態において、フォトルミネッセンス波長変換フィルムは、赤色若しくは緑色発光の最大値において、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、若しくは少なくとも約90%、及び/又は最大で約80%、最大で約90%、若しくは最大で約100%である外部量子収率(EQE)を有し得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、表示デバイスは、デバイス10によって表すことができる。
図1に示すように、デバイス10は、光源12を含むことができる。いくつかの実施形態において、表示デバイス10は、波長変換(WLC)フィルム16を含むことができる。いくつかの実施形態において、WLCフィルム16は、光源12と光学的に接続することができ、生成された光を光源12からビューア20に伝達する際の効率を高めることができる。
【0052】
いくつかの実施形態において、表示デバイスは、
図2によって概略的に表すことができる。
図2に示すように、デバイス10等の表示デバイスは、光源12を含むことができる。いくつかの実施形態において、表示デバイス10は、背面リフレクタ14を含むことができる。いくつかの実施形態において、表示デバイス10は、波長変換(WLC)フィルム16を含むことができる。いくつかの実施形態において、表示デバイス10は、マスク18を含むことができる。いくつかの実施形態において、WLCフィルム16は、光源12と光学的に接続することができ、生成された光を光源12からビューア20に伝達する際の効率を高めることができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、表示デバイスは、
図3によって概略的に表すことができる。
図3に示すように、表示デバイスが説明され、デバイス10は、光源12を含むことができる。いくつかの実施形態において、表示デバイス10は、背面リフレクタ14を含むことができる。いくつかの実施形態において、表示デバイス10は、波長変換(WLC)フィルム16を含むことができる。いくつかの実施形態において、表示デバイスは、マスク18を含むことができる。いくつかの実施形態において、WLCフィルム16は、光源12と光学的に接続することができ、及び/又は光源12とビューア20、及び/又はマスク18との間に挟入することができ、生成された光を光源12からビューア20に伝達する際の効率を高めることができる。
【0054】
図3及び
図4に示すように、いくつかの実施形態において、表示デバイス10は、1つ以上の輝度向上フィルム(BEF)22、例えば、VikuitiブランドのBEF(3M(米国ミネソタ州ミネアポリス))を含むことができる。いくつかの実施形態において、表示デバイス10は、1つ以上の偏光子及び/又は輝度向上フィルム、例えば、二重輝度向上フィルム(DBEF)24、例えば、DBEF II(3M(米国ミネソタ州ミネアポリス))を含むことができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の輝度向上フィルムの使用は、光学フィルム積層体と称され得る。
【0055】
いくつかの実施形態は、LED光源の製造方法を含む。いくつかの実施形態において、方法は、有機溶媒及び本明細書に記載のフォトルミネッセンス色素による未乾燥の波長シフトポリマー層の製造を含み得る。いくつかの実施形態において、方法は、ポリマー及び/又はモノマーを有機溶媒と混合することを含み得る。いくつかの実施形態において、ポリマー及び/又はモノマー前駆体は、分散、溶解及び/又は溶媒と混合され得る。いくつかの実施形態において、溶媒は、材料層の製造に使用することができる。いくつかの実施形態において、溶媒は、非極性溶媒であってもよい。いくつかの実施形態において、非極性溶媒としては、キシレン、シクロヘキサノン、アセトン、トルエン、メチルエチルケトン、又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、溶媒は、極性溶媒であってもよい。いくつかの実施形態において、極性溶媒は、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、又はそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、溶媒は、非極性溶媒及び極性溶媒の組み合わせであってもよい。
【0056】
いくつかの実施形態において、方法は、未乾燥のポリマー光触媒WLC層を水溶液中に浸漬することを含み得る。いくつかの実施形態において、水溶液は水を含み得る。いくつかの実施形態において、水溶液は、少なくとも90%の水を含み得る。いくつかの実施形態において、水は脱イオン水であってもよい。いくつかの実施形態において、未乾燥のポリマー光触媒WLC層は、5分~約1時間の間、水溶液中に浸漬することができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、方法は、未乾燥のポリマー光触媒WLC層を水溶液から取り出すことを含み得る。いくつかの実施形態において、方法は、未乾燥のポリマー光触媒WLC層を乾燥させることを含み得る。このようにしてポリマー光触媒WLC層を製造することは、ポリマー光触媒WLC層の発光面又は遠位面に画定された複数の空気の細孔をもたらすと考えられる。いくつかの実施形態において、空気の細孔は、実質的に完全に、ポリマー光触媒WLC層の発光面から約1ミクロン~約5ミクロン内にある。
【0058】
いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、約2重量%~約50重量%のポリマー、約2重量%~5重量%、約5重量%~10重量%、約10重量%~15重量%、約15重量%~20重量%、約20重量%~25重量%、約25重量%~30重量%、約30重量%~35重量%、約35重量%~40重量%、約40重量%~45重量%、約45重量%~50重量%、約2.5重量%~30重量%、約5重量%~15重量%、約15重量%~25重量%、約25重量%~35重量%、若しくは約30重量%、又はこれらの値のいずれかによって画定される範囲内のほぼ全ての値のポリマーの水溶液を含む。
【0059】
実施形態
実施形態1.波長変換フィルムであって、
ポリマーマトリックスと、
青色波長光を吸収し、30nm未満の半値全幅を有する発光スペクトルで緑色波長光を狭い範囲で放出する第1のフォトルミネッセンス色素と、
青色又は緑色波長光を吸収し、55nm未満の半値全幅を有する発光スペクトルで赤色波長光を狭い範囲で放出する第2のフォトルミネッセンス色素と、
光散乱中心と、
を含み、
第1のフォトルミネッセンス色素、第2のフォトルミネッセンス色素及び光散乱中心が、ポリマーマトリックス内に配置されている、波長変換フィルム。
【0060】
実施形態2.第1のフォトルミネッセンス色素が、BODIPY基、連結基及びイソキノリン基を含む、実施形態1の波長変換フィルム。
【0061】
実施形態3.第1のフォトルミネッセンス色素が、
【化22】
又は
【化23】
から選択される、実施形態2の波長変換フィルム。
【0062】
実施形態4.第1のフォトルミネッセンス色素が、BODIPY基、連結基及びナフタル酸イミド基を含む、実施形態1の波長変換フィルム。
【0063】
実施形態5.第1のフォトルミネッセンス色素が、
【化24】
から選択される、実施形態4の波長変換フィルム。
【0064】
実施形態6.第2のフォトルミネッセンス色素が、BODIPY基、連結基及びイソキノリン基を含む、実施形態1の波長変換フィルム。
【0065】
実施形態7.第2のフォトルミネッセンス色素が、
【化25】
【化26】
又は
【化27】
から選択される、実施形態6の波長変換フィルム。
【0066】
実施形態8.第2のフォトルミネッセンス色素が、BODIPY基、連結基及びナフタルイミド基を含む、実施形態1の波長変換フィルム。
【0067】
実施形態9.第2のフォトルミネッセンス色素が、
【化28】
から選択される、実施形態8の波長変換フィルム。
【0068】
実施形態10.第2のフォトルミネッセンス色素が、BODIPY基、連結基及びペリレン基を含む、実施形態1の波長変換フィルム。
【0069】
実施形態11.第2のフォトルミネッセンス色素が、
【化29】
から選択される、実施形態8の波長変換フィルム。
【0070】
実施形態12.波長変換フィルムが、80%を超える内部量子収率を有する、実施形態1~11の波長変換フィルム。
【0071】
実施形態13.波長変換フィルムが、50%を超える外部量子収率を有する、実施形態1~11の波長変換フィルム。
【0072】
実施形態14.波長変換フィルムが、BT.2020規格の90%を超える色域を有する、実施形態1~11の波長変換フィルム。
【0073】
実施形態15.波長変換フィルムが、10μm~40μmの厚さを有する、実施形態1~11の波長変換フィルム。
【0074】
実施形態16.実施形態1~15の波長変換フィルムを含む、発光デバイス。
【0075】
実施形態17.青色光源を有するバックライト付きデバイスであって、実施形態1~15の波長変換フィルムを含む、デバイス。
【実施例】
【0076】
本明細書に記載のフォトルミネッセンス錯体を含むフィルムの実施形態は、色変換フィルムの他の形態と比較して改善された性能を有することが発見された。これらの利点は以下の例によって更に実証され、例は本開示の例示を意図したものに過ぎず、その範囲又は根底にある原理を限定することを意図したものでは決してない。
【0077】
第1のフォトルミネッセンス色素の合成
化合物FD-1の合成手順:
【化30】
【0078】
化合物FD-1.1:
50mLの1,2-ジクロロエタン中のエチル2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキシレート(1.0g、6.0mmol)、4-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンズアルデヒド(0.449g、3.0mmol)及びトシル酸(50mg、0.29mmol)の混合物を脱気し、室温で一晩撹拌した。LCMS分析は、m/e+=467の1つの主ピークを示す。
【0079】
得られた溶液に、DDQ(0.817g、3.6mmol)を添加した後、室温で30分間撹拌した。LCMS分析は、全ての出発物質がm/e+=465の所望の生成物に変換されたことを示す。
【0080】
氷浴冷却しながら、1.7mLのトリエチルアミン及び2.2mLのBF3-ジエチルエーテルを工程2からの混合物に順次添加した。全体を50℃で1時間加熱した。LCMS分析は、約30%の変換を示す。この混合物に、更に1mLのトリエチルアミン及び1mLのBF3-ジエチルエーテルを添加し、全体を50℃で更に1時間加熱した。LCMS分析は、全ての出発物質がm/e+=513、m/e-=512の所望のBODIPY生成物に変換されたことを示す。反応混合物を直接シリカゲルに供し、ヘキサン/酢酸エチル(0%→30%酢酸エチル)の溶離液を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。所望の主ピークを収集し、溶媒を除去すると、橙色の固体(1.0g、65%の収率)が得られた。LCMS(APCI):C27H32BF2N2O5についての計算値(M+H):513.2;実測値:513。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d) δ 7.26(s,3H)、6.68(s,2H)、4.29(q,J=7.1Hz,4H)、2.84(s,6H)、2.05(s,6H)、1.34(t,J=7.1Hz,6H)。
【0081】
化合物FD-1.2:
2-ニトロフェノール(6.6g、48mmol)、KOH粉末(2.4g、43mmol)の混合物を混合し、真空下で30分間撹拌した後、銅粉末(0.4g)を添加し、続いて100mLの無水DMFを添加した。混合物を5分間撹拌した後、4-クロロナフタル酸無水物(5.1g、22mmol)を添加した。全体を脱気した後、還流で1.5時間加熱した。室温まで冷却した後、得られた反応混合物に100mLの20%塩酸を滴加し、これを2時間静置した。沈殿物を濾過によって収集した後、真空下で一晩乾燥させて黄褐色の固体(4.6g)を得た。これを還流酢酸(50mL)中で2時間撹拌して更に精製した後、室温まで冷却した。濾過し、空気中で乾燥させると、黄色の固体(3.0g、41%の収率)が得られた。LCMS(APCI)により確認した:C18H10NO6についての計算値(M+H):336.0;実測値:336。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d) δ 8.80(dd,J=8.5,1.2Hz,1H)、8.72(dd,J=7.3,1.2Hz,1H)、8.50(d,J=8.2Hz,1H)、8.19(dd,J=8.2,1.7Hz,1H)、7.90(dd,J=8.5,7.3Hz,1H)、7.79(td,J=7.9,1.7Hz,1H)、7.54(td,J=8.0,1.3Hz,1H)、7.39(dd,J=8.3,1.2Hz,1H)、6.89(d,J=8.2Hz,1H)。
【0082】
化合物FD-1.3:
酢酸(75mL)中の化合物FD-1.2 4-(2-ニトロフェノキシル)-1,8-ナフタル酸無水物(2.0g、6mmol)及び鉄粉末(10μm未満、0.91g、16mmol)の混合物を30分間加熱還流した。得られた溶液を水(220mL)に注いだ。得られた沈殿物を濾過によって収集し、水で洗浄し、空気中に続いて真空下で完全に乾燥させて、黄色の固体(1.65g、90%の収率)を得た。LCMS(APCI)により確認した:C18H12NO4についての計算値(M+H):306.1;実測値:306。
【0083】
化合物FD-1.4:
化合物FD-1.3 4-(2-アミノフェノキシ)-1,8-ナフタル酸無水物(1.5g、4.9mmol)を酢酸(35mL)中に分散させ、0℃まで冷却した。撹拌しながら、予冷した塩酸(3mL、37mmol)を添加した後、12mLの水中の亜硝酸ナトリウム溶液(3.29g、46mmol)を0℃で滴加した。全体を0℃で1時間撹拌した後、追加の漏斗に移し、還流硫酸銅溶液(5.08g、20mmol、50mLの水中)に1時間かけて滴下した。室温まで冷却した後、沈殿物を濾過によって収集し、水で洗浄した後、空気中に続いて真空で乾燥させて、黄色の固体(0.92g、65%の収率)を得た。LCMS(APCI)により確認した:C18H8O4についての計算値(M-):288.0;実測値:288。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d) δ 8.61(dd,J=17.1,8.1Hz,2H)、8.09(d,J=8.0Hz,1H)、7.97(d,J=7.9Hz,1H)、7.59(t,J=7.7Hz,1H)、7.40(t,J=8.1Hz,2H)、7.33(d,J=8.4Hz,1H)。
【0084】
化合物FD-1.5:
5mLのDMF中の化合物FD-1.4 1H,3H-イソクロメノ[6,5,4-mna]キサンテン-1,3-ジオン(100mg、0.347mmol)、4-(4-アミノフェニル)酪酸(125mg、0.7mmol)の混合物をマイクロ波反応器内にて165℃で2.5時間加熱した。この混合物に15mLのアセトンを添加し、得られた沈殿物を濾過によって収集し、空気中で乾燥させて黄色の固体(120mg、77%の収率)を得た。LCMS(APCI)により確認した:C28H19NO5についての計算値(M-):449.1;実測値:449。1H NMR(400MHz,DMSO-d6) δ 8.38(d,J=41.6Hz,4H)、7.81~6.97(m,8H)、2.69~2.64(m,2H)、2.26(t,J=7.2Hz,2H)、1.87(p,J=7.2Hz,2H)。
【0085】
化合物FD-1:
5mLのDCM中の化合物FD-1.5(45mg、0.1mmol)、化合物FD-1.1(40mg、0.078mmol)、DMAP/TsOH塩(59mg、0.2mmol)及びDIC(0.1mL、0.63mmol)の混合物を室温で一晩撹拌した後、45℃で2時間撹拌した。反応混合物をシリカゲルに供し、DCM/酢酸エチル(0%→10%酢酸エチル)の溶離液を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。所望の生成物ピークを収集し、減圧下で濃縮した。得られた固体をメタノールで更に洗浄し、空気中で乾燥させて橙色の固体(46mg、62%の収率)を得た。LCMS(APCI)により確認した:C55H49BF2N3O9についての計算値(M+H):944.3;実測値:944。1H NMR(400MHz,d2-TCE) δ 8.54(dd,J=18.7,8.1Hz,2H)、7.40~7.25(m,5H)、7.20(d,J=8.3Hz,2H)、6.93(s,2H)、4.19(q,J=7.1Hz,4H)、2.80(t,J=7.6Hz,2H)、2.75(s,6H)、2.62(t,J=7.4Hz,2H)、2.10(t,J=7.6Hz,2H)、2.06(s,6H)、1.65(s,6H)、1.25(t,J=7.1Hz,6H)。
【0086】
【0087】
化合物FD-2.1:
50mLのジクロロエタン(DCE)中のエチル2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキシレート(1.0g、6.0mmol)、4-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンズアルデヒド(0.449g、3.0mmol)及びp-トルエンスルホン酸(p-TsOH)(50mg、0.29mmol)の混合物を脱気し、室温で一晩撹拌した。液体クロマトグラフィー-質量分析(LCMS)は、m/e+=467の主ピークで反応が完了したことを示す。上で得られた混合物に2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)(0.817g、3.6mmol)を添加し、全体を室温で30分間撹拌した。LCMS分析は、m/e+=465の主ピークで反応が完了したことを示す。氷バッチ冷却しながら、上で得られた混合物にトリエチルアミン(1.7mL、12mmol)及びBF3-ジエチルエーテル(2.2mL、18mmol)を添加し、得られた混合物を50℃で1時間撹拌した。更に1mLのトリエチルアミン及び1mLのBF3-ジエチルエーテルを添加し、全体を更に1時間加熱した。LCMS分析は、全てのジピロールメチン出発物質がm/e+=513のBODIPY生成物に変換されたことを示す。室温まで冷却した後、反応混合物をシリカゲルに供し、ヘキサン/酢酸エチル(0%→30%酢酸エチル)の溶離液を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。所望の画分を収集した。溶媒を除去した後、所望の生成物が橙色の固体(1.0g、65%の収率)として得られた。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d) δ 6.68(s,2H)、4.29(q,J=7.1Hz,4H)、2.84(s,6H)、2.05(s,6H)、1.34(t,J=7.1Hz,6H)。LCMS(APCI+):C27H32BF2N2O5についての計算値(M+H)=513.2;実測値:513。
【0088】
化合物FD-2:
ジクロロメタン(DCM)(6mL)中の化合物FD-2.1(100mg、0.195mmol)、FD-2.2(4-(4-(6-(4-(ジフェニルアミノ)フェニル)-1,3-ジオキソ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2(3H)-イル)フェニル)酪酸)(132mg、0.22mmol)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(0.1mL、0.63mmol)及びジメチルアミノピリジン(DMAP)/p-TsOH(118mg、0.4mmol)の混合物を室温で一晩撹拌した後、シリカゲルにロードし、DCM/酢酸エチル(0%→5%酢酸エチル)の溶離液を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。所望の橙色の主画分を収集した。溶媒を除去した後、得られた固体をDCM/MeOH中で再沈殿させた。濾過し、空気中で乾燥させた後に所望の生成物が橙色の固体(145mg、68%の収率)として得られた。1H NMR(400MHz,d2-TCE) δ 8.56(dd,J=7.4,4.7Hz,2H)、8.43(d,J=8.3Hz,1H)、7.79~7.64(m,2H)、7.41~7.18(m,10H)、7.18~7.12(m,6H)、7.03(t,J=7.3Hz,2H)、6.93(s,2H)、4.19(q,J=7.1Hz,4H)、2.81(t,J=7.6Hz,2H)、2.75(s,6H)、2.62(t,J=7.4Hz,2H)、2.11(t,J=7.5Hz,2H)、2.06(s,6H)、1.65(s,6H)、1.25(t,J=7.1Hz,6H)。LCMS(APCI-):C67H59BF2N4O8についての計算値(M-)=1096.4;実測値:1096。
【0089】
【0090】
FD-3.1合成の手順 - 2-(4-(9-ブロモ-1,3-ジオキソ-1H-キサンテノ[2,1,9-def]イソキノリン-2(3H)-イル)フェニル)酢酸:
DMF(8mL)中のSD-2.6(400.0mg、1.1mmol)、4-アミノフェニル酢酸(329.4mg、2.2mmol)及びDMAP(9.3mg、0.080mmol)の混合物を室温で脱気した。次いで、混合物を165℃まで加熱し、この温度で3時間維持した。TLC及びLCMSは、観察可能な副反応なしに約95%の変換を示した。混合物を50℃まで冷却した。次いで、これをアセトン溶液(40mL)に注ぎ、水氷浴によって予冷した。混合物を0℃で2時間維持し、室温で一晩撹拌し続けた。固体を真空濾過によって収集し、アセトン(4mL)で洗浄した。そして、これを真空オーブンによって100℃で3時間乾燥させて、純粋な化合物FD-3.1を黄褐色の固体(395.0mg、73%の収率)として得た。MS(APCI):C26H14BrNO5についての計算値([M+H]+)=500 実測値:500。1H NMR(400MHz,CDCl2CDCl2) δ 8.65(d,J=8.0Hz,1H)、8.62(d,J=8.0Hz,1H)、8.21(dd,J=6.4Hz,2.4Hz,1H)、7.99(bs,1H)、7.95(t,J=7.6Hz,1H)、7.67(dd,J=8.4Hz,2.4Hz,1H)、7.53(d,J=8.0Hz,2H)、7.37(d,J=8.4Hz,1H)、7.32(m,3H)、2.94(s,2H)。
【0091】
化合物SD-5.1合成の手順 - 2-(4-(1,3-ジオキソ-9-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-キサンテノ[2,1,9-def]イソキノリン-2(3H)-イル)フェニル)酢酸:
100mLバイアルに撹拌子を取り付けた。このバイアルに、THF/DMF/H2O(22ml/4.4ml/2.2ml)中の化合物FD-3.1(400.0mg、0.80mmol)、4-(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸(262.2mg、1.6mmol)、Pd(dppf)Cl2(41.0mg、0.056mmol)及びK2CO3(298.0mg、2.2mmol)を室温で脱気した。反応混合物を80℃まで加熱し、この温度で反応を一晩維持した。TLCを用いて反応をモニタリングした。完了後、0.1N HCl(150ml)及びEtOAc(150ml)の添加によって反応を後処理した。水相をTHF(150ml×3)で更に抽出した。合わせた有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、ロータリーエバポレーター(rotavapor)下で濃縮し、溶離液としてEtOAc中のDCM(0%→40%、0.1%TFAを含む)を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、純粋なRL-ナフタルイミド誘導体SD-5.1を黄色/黄褐色の固体(363.0mg、80%の収率)として得た。MS(APCI):C33H18F3NO5についての計算値([M+H]+)=566 実測値:566。1H NMR(400MHz,DMSO-d6) 8.76(m,1H)、8.56(m,2H)、8.52(dd,J=8.0Hz,J=3.2Hz,1H)、8.15(m,2H)、8.06(m,1H)、7.94(d,J=8.0Hz,2H)、7.66(dd,J=8.0Hz,J=4.0Hz,1H)、7.53(m,1H)、7.45(d,J=8.0Hz,2H)、7.33(d,J=8.0Hz,2H)、3.72(s,2H)。
【0092】
化合物FD-3の手順:
5mLのDCM中の化合物SD-5.1(50mg、0.089mmol)、化合物FD-2.1(30mg、0.059mmol)、DMAP/TsOH塩(15mg、0.051mmol)及びEDC・HCl(60mg、0.31mmol)の混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物をシリカゲルに供し、DCM/酢酸エチル(0%→10%酢酸エチル)の溶離液を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。所望の生成物ピークを収集し、減圧下で濃縮した。得られた固体を酢酸エチル/メタノールで再沈殿させ、空気中で乾燥させて橙色の固体(45mg、72%)を得た。LCMS(APCI-):C60H47BF5N3O9についての計算値:1059.33;実測値:1059。1H NMR(400MHz,塩化メチレン-d2) δ 8.73(d,J=7.9Hz,1H)、8.66(d,J=8.3Hz,1H)、8.39(d,J=2.2Hz,1H)、8.17(d,J=8.0Hz,1H)、7.86(dt,J=11.4,8.4Hz,5H)、7.64(d,J=8.3Hz,2H)、7.57(d,J=8.6Hz,1H)、7.43(d,J=8.3Hz,1H)、7.41~7.35(m,2H)、7.09(s,2H)、4.30(q,J=7.1Hz,4H)、4.05(s,2H)、2.84(s,6H)、2.18(s,6H)、1.77(s,6H)、1.36(t,J=7.1Hz,6H)。
【0093】
第2のフォトルミネッセンス色素の合成手順
化合物SD-1の合成手順
【化33】
【0094】
化合物SD-1.1 (2-(4-ブロモフェニル)-4-フェニル-1H-ピロール):文献の手順:Synlett, 2016, 27(11), 1738-1742に従って合成した。
【0095】
化合物SD-1.2:
1,2-ジクロロエタン(80mL)中のSD-1.1(2-(4-ブロモフェニル)-4-フェニル-1H-ピロール)(1.0g、3.36mmol)、2,4,6-トリメチルベンズアルデヒド(0.249g、1.68mmol)及びトシル酸(50mg)の混合物を50℃で24時間加熱した。LCMS分析は、主ピークがm/e+=727の所望の生成物であることを示す。この混合物にDDQ(454mg、2mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。LCMS分析は、m/e-=724の1つの主ピークで反応が完了したことを示す。この混合物にトリエチルアミン(0.85mL、6mmol)、BF3-ジエチルエーテル(1.1mL、9mmol)を0℃で添加した。全体を50℃で1時間加熱した。追加のトリエチルアミン(0.5mL)及びBF3-ジエチルエーテル(0.5mL)を添加し、混合物を50℃で更に1時間加熱した。LCMSは、m/e-=772の主ピークで反応が完了したことを示す。混合物を50mLのDCMで希釈した後、水で2回、ブラインで1回洗浄し、続いて100mLに濃縮し、シリカゲルにロードし、ヘキサン/DCM(40%→100%DCM)の溶離液を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。所望の主ピークを収集し、溶媒を減圧下で除去した後、所望の生成物が紫色の固体(1.06g、81.6%の収率)として得られた。LCMS(APCI)により確認した:C42H31BBr2F2N2についての計算値(M-):770.1;実測値:770。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d) δ 7.81~7.73(m,4H)、7.61~7.53(m,4H)、6.99~6.90(m,2H)、6.85(dd,J=8.3,6.9Hz,4H)、6.78~6.71(m,4H)、6.42(s,2H)、6.00(s,2H)、1.98(s,6H)、1.85(s,3H)。
【0096】
化合物SD-1.3:
THF/水(8mL/1mL)中の化合物SD-1.2(160mg、0.207mmol)、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノール(184mg、0.828mmol)、Pd(dppf)Cl2(16mg、0.022mol)、炭酸カリウム(140mg、1.01mmol)の混合物を脱気した後、80℃で120分間加熱した。得られた混合物を20mLのDCMで希釈し、シリカゲルにロードし、DCM/酢酸エチル(0%→20%酢酸エチル)の溶離液を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。所望の主ピークを収集し、溶媒を減圧下で除去した後、所望の生成物が暗色の固体(130mg、79%の収率)として得られた。1H NMR(400MHz,TCE-d2) δ 7.98~7.91(m,4H)、7.62~7.54(m,4H)、7.54~7.46(m,4H)、6.92~6.85(m,4H)、6.84(d,J=2.1Hz,2H)、6.82~6.74(m,4H)、6.73~6.66(m,4H)、6.46(s,2H)、5.92(s,2H)、4.88(s,2H)、1.92(s,6H)、1.78(s,3H)。
【0097】
化合物SD-1:
6mLのDCM中の化合物SD-1.3(80mg、0.1mmol)、化合物SD-1.4(100mg、0.222mmol)、DMAP/TsOH塩(59mg、0.2mmol)、DIC(0.15mL)の混合物を室温で一晩撹拌した後、45℃で2時間撹拌した。得られた混合物をシリカゲルにロードし、DCM/酢酸エチル(0%→10%酢酸エチル)の溶離液を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。所望のジカップリング生成物を2番目の主ピークとして収集した。溶媒を除去した後、メタノールで洗浄し、空気中で乾燥させ、所望の生成物を暗色の固体(100mg、60%の収率)として得た。1H NMRにより確認した。1H NMR(400MHz,d2-TCE) δ 8.49(dd,J=16.0,8.1Hz,4H)、7.99(d,J=8.2Hz,6H)、7.85(d,J=8.0Hz,2H)、7.63(dd,J=8.5,3.7Hz,8H)、7.50(t,J=7.8Hz,2H)、7.42~7.25(m,8H)、7.25~7.08(m,10H)、6.84(dt,J=36.5,7.3Hz,6H)、6.70(d,J=7.5Hz,4H)、6.48(s,2H)、5.93(s,2H)、2.80(t,J=7.7Hz,4H)、2.63(t,J=7.4Hz,4H)、2.11(t,J=7.7Hz,4H)、1.92(s,6H)、1.78(s,3H)。
【0098】
化合物SD-2の合成手順
化合物SD-2.1、SD-2.2及びSD-2.3の調製の一般手順
【化34】
【0099】
化合物SD-2.1:
室温の3:1のH2O/EtOH(32.5mL)中の1-ベンゾスベロン(10.0mmol、1.46mL)の溶液に、NH2OH・HCl(15.0mmol、1.04g)及び酢酸ナトリウム(25.0mmol、2.05g)を添加し、反応混合物を95℃で1時間撹拌した。次いで、これを室温まで冷却し、濾過し、水(150mL)で洗浄し、16時間凍結乾燥して1.64gの6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[7]アヌレン-5-オンオキシム(94%の収率)を無色の固体として得て、これを更に精製することなく後続の合成工程に使用した。
【0100】
室温のDMSO(9.00mL)中の6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[7]アヌレン-5-オンオキシム(5.71mmol、1.00g)の溶液にKOH(17.1mmol、959mg)を添加し、反応混合物を140℃に加熱した後、DMSO(2.00mL)中の1,2-ジクロロエタン(11.4mmol、897μL)をシリンジポンプによって3時間かけて添加した。次いで、混合物を室温まで冷却し、1M NH4Cl水溶液(30.0mL)でクエンチし、CH2Cl2(3×30.0mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン→9:1のヘキサン/EtOAc)により、262mgのSD-2.1(25%の収率)が黄色の固体として得られた。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d) δ 8.18(br s,1H)、7.34(dd,J=7.8,1.3Hz,1H)、7.25~7.19(m,1H)、7.16(dd,J=7.6,1.6Hz,1H)、7.13~7.07(m,1H)、6.84(t,J=2.8Hz,1H)、6.17(t,J=2.8Hz,1H)、2.91(t,J=6.8Hz,2H)、2.86~2.80(m,2H)、2.07~1.98(m,2H);13C NMR(101MHz,クロロホルム-d) δ 140.4、131.8、129.3、126.8、125.9、125.2、123.2、121.8、118.3、111.1、34.9、27.8、26.7。
【0101】
化合物SD-2.3:
100mLの2つ口丸底フラスコに空気凝縮器及び撹拌子を取り付けた。フラスコに化合物SD-2.1 1,4,5,6-テトラヒドロベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-b]ピロール(813.1mg、4.4mmol)及びSD-2.2 4-ヒドロキシ-2,6-ジクロロベンズアルデヒド(424.3mg、2.2mmol)を添加し、続いて無水ジクロロエタン(55ml)を添加した。反応混合物をArで30分間スパージした後、TFA(4滴)を添加した。反応溶液を室温で一晩撹拌した。反応物を氷水浴内で0℃まで冷却した後、p-クロラニル(731.8mg、2.98mmol)を添加した。反応を0℃で30分間維持した。次いで、BF3・OEt2(3.0mL、24.1mmol)及びEt3N(1.9mL、13.3mmol)を0℃で添加した。反応混合物を50℃まで3時間加熱した。反応混合物をシリカゲルにロードし、溶離液としてヘキサン中のDCM(0%→80%→90%)を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、純粋なBODIPY SD-2.3を褐金色の固体(476.0mg、36%の収率)として得た。MS(APCI):C33H24BCl2F2N2Oについての計算値([M-H]-)=584 実測値:584。1H NMR(400MHz,CDCl3)8.09(dd,J=4.0Hz,2.0Hz,2H)、7.32(dddd,J=13.2Hz,7.2Hz,7.2Hz,2.0Hz,4H)、7.22(dd,J=6.4Hz,2.0Hz,2H)、6.99(s,2H)、6.43(s,2H)、5.77(bs,1H)、2.63(dd,J=6.8Hz,6.8Hz,4H)、2.32(bs,4H)、2.03(ddd,J=14.0Hz,6.8Hz,6.8Hz,4H)。
【0102】
【0103】
化合物SD-2.4:
4-ブロモ-1,8-ナフタル酸無水物(2.77g、10mmol)、4-ブロモ-2-ニトロフェノール(3.27g、15mmol)の混合物を真空下で30分間脱気した後、無水NMP(50mL)を添加し、続いて水酸化ナトリウム(0.2g、5mmol)及び銅粉末(0.318g、5mmol)を添加した。混合物をアルゴンで20分間スパージした後、アルゴン雰囲気下にて180℃で一晩加熱した。室温まで冷却した後、溶液に50mLの20%塩酸水溶液を滴加し、続いて50mLの水を添加した。得られた混合物を3時間静置した後、濾過して沈殿物を収集し、これを真空で乾燥させて4.6gの粗生成物を得た。粗生成物を30mLのアセトン中に分散させ、室温で一晩撹拌して不純物を溶解させた。濾過し、真空で乾燥させると、所望の生成物として褐黄色の固体(3.3g、80%の収率)が得られた。LCMS(APCI+):C18H9BrNO6についての計算値(M+H)=413.95;実測値:414。1H NMR(400MHz,TCE-d2) δ 8.70(dd,J=8.4,1.2Hz,1H)、8.63(dd,J=7.3,1.2Hz,1H)、8.41(d,J=8.3Hz,1H)、8.24(d,J=2.4Hz,1H)、7.89~7.79(m,2H)、7.20(d,J=8.7Hz,1H)、6.82(d,J=8.3Hz,1H)。
【0104】
化合物SD-2.5:
酢酸(50mL)中の化合物SD-2.4(1.5g、3.6mmol)、鉄粉末(0.60g、10.8mmol)の混合物を125℃で30分間加熱した。室温まで冷却した後、この混合物に100mLの水を撹拌しながら添加した。得られた混合物を濾過し、水で洗浄し、空気中及び真空で乾燥させて固体(1.35g、82%の収率)を得た。LCMS(APCI-):C18H10BrNO4についての計算値=382.98;実測値:383。1H NMR(400MHz,DMSO-d6) δ 9.01~8.26(m,3H)、7.96(s,1H)、6.93(dd,J=85.2,36.5Hz,4H)、5.54(s,2H)。
【0105】
化合物SD-2.6:
化合物SD-2.5(2.65g、6.9mmol)を酢酸(50mL)/水(10mL)中に分散させ、0℃まで冷却した。撹拌しながら、予冷した塩酸(2.8mL、34.5mmol)を添加した後、15mLの水中の亜硝酸ナトリウム溶液(3.57g、52mmol)を0℃で滴加した。全体を0℃で1時間撹拌した後、追加の漏斗に移し、硫酸銅溶液(12g、47mmol、140mLの水中)に130℃で1時間かけて滴下した。室温まで冷却した後、沈殿物を濾過によって収集し、水(100mL×3)で洗浄した後、50mLのアセトン中、40℃で30分間撹拌した。濾過し、空気中に続いて真空で乾燥させると、褐黄色の固体(1.76g、70%の収率)が得られた。LCMS(APCI+):C18H8BrO4についての計算値(M+H)=366.95;実測値:367。1H NMR(400MHz,d2-TCE) δ 8.51(dd,J=12.3,8.1Hz,2H)、8.12(d,J=2.3Hz,1H)、7.86(d,J=7.9Hz,1H)、7.60(dd,J=8.8,2.3Hz,1H)、7.28(d,J=8.3Hz,1H)、7.23(d,J=8.8Hz,1H)。
【0106】
化合物SD-2.7:
10mLのDMF中の化合物SD-2.6(550mg、1.5mmol)、4-(4-アミノフェニル)酪酸(537mg、3mmol)及びDMAP(12.2mg、0.1mmol)の混合物をマイクロ波反応器内にて165℃で2.5時間加熱した。得られた溶液を50mLのアセトンに撹拌しながら滴下した。沈殿物が形成され、濾過し、60℃の真空オーブン内で一晩乾燥させて、所望の生成物を褐黄色の固体(0.49g、62%の収率)として得た。LCMS(APCI-):C28H18BrNO5についての計算値=527.04;実測値:527。1H NMR(400MHz,DMSO-d6) δ 8.54(d,J=2.3Hz,1H)、8.41(dd,J=9.9,8.0Hz,2H)、8.33(d,J=7.9Hz,1H)、7.71(dd,J=8.8,2.3Hz,1H)、7.39(dd,J=8.6,4.2Hz,2H)、7.25(d,J=8.0Hz,2H)、7.17(d,J=7.9Hz,2H)、2.63~2.55(m,2H)、2.27~2.15(m,2H)、1.87~1.73(m,2H)。
【0107】
化合物SD-2.8:
THF/DMF/水(20L/4mL/2mL)の共溶媒中の化合物SD-2.7(385mg、0.729mmol)、フェニルボロン酸(178mg、1.45mmol)、Pd(dppf)Cl2(36mg、0.05mmol)、炭酸カリウム(276mg、2mmol)の混合物を脱気した後、80℃で一晩加熱した。混合物を200mLの酢酸エチル及び50mLの0.6N塩酸水溶液で後処理した。水相を酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。有機相を収集し、ブライン(100mL×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、シリカゲルに乾燥ロードし、DCM/EA(0%→40%EA、0.1%TFAを含む)の溶離液を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。所望の主画分を収集し、溶媒を減圧下で除去すると、黄色の固体(250mg、65%の収率)が得られた。LCMS(APCI-):C34H23NO5についての計算値=525.16;実測値:525。1H NMR(400MHz,TCE-d2) δ 8.55(dd,J=19.5,8.1Hz,2H)、8.20(d,J=2.1Hz,1H)、8.01(d,J=8.1Hz,1H)、7.72(dd,J=8.6,2.1Hz,1H)、7.62(d,J=7.3Hz,2H)、7.51~7.28(m,7H)、7.17(d,J=8.2Hz,2H)、2.72(t,J=7.7Hz,2H)、2.39(t,J=7.3Hz,2H)、1.99(q,J=7.2Hz,2H)。
【0108】
化合物SD-2:
DCM(8mL)中の化合物SD-2.3(31mg、0.053mmol)、化合物SD-2.8(43mg、0.082mmol)、EDC・HCl(100mg、0.52mmol)及びDMAP/p-TsOH(16mg、0.054mmol)の混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、得られた混合物を、シリカゲルにロードし、DCM/酢酸エチル(0%→5%酢酸エチル)の溶離液を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。赤色の主画分を収集し、減圧下で約1mLに濃縮した後、10mLのメタノールを添加した。得られた沈殿物を濾過し、空気中で乾燥させて暗赤色の固体(41mg、70.8%の収率)を得た。LCMS(APCI-):C67H46BCl2F2N3O5についての計算値=1091.29;実測値:1091。1H NMR(400MHz,d2-TCE) δ 8.56(dd,J=19.3,8.1Hz,2H)、8.21(d,J=2.2Hz,1H)、8.02(d,J=8.1Hz,1H)、7.97(t,J=4.7Hz,2H)、7.73(dd,J=8.6,2.1Hz,1H)、7.63(dd,J=7.2,1.7Hz,2H)、7.50~7.41(m,3H)、7.38(dd,J=8.0,2.2Hz,3H)、7.34~7.25(m,7H)、7.25~7.18(m,4H)、6.40(s,2H)、2.82(t,J=7.5Hz,2H)、2.67(t,J=7.4Hz,2H)、2.60~2.49(m,4H)、2.24(s,4H)、2.18~2.07(m,2H)、2.03~1.90(m,4H)。
【0109】
化合物SD-3の合成手順
【化36】
SD-3.2の調製の一般手順
【化37】
【0110】
AlCl3(78.0g、585mmol、31.9mL、1.80当量)を無水DCM(1.50L)に0℃~10℃で添加した。混合物を0℃で30分間撹拌した。この混合物に無水DCM(100mL)中の化合物SD-3.1A(88.1g、585mmol、72.2mL、1.80当量)の混合物をN2下にて0℃~10℃で添加した。この混合物に化合物SD-3.1(82g、325mmol、1.00当量)を少量ずつ添加し、混合物を25℃~30℃で30分間撹拌した。混合物を50℃で12時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)は、反応が完了したことを示した。混合物を25℃~30℃まで冷却し、水(1.00L)に注いだ。混合物を分離し、水相をDCM(500mL×2)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。生成物をMPLC(100メッシュ~200メッシュのシリカゲル、DCM)によって精製した。SD-3.2(82.0g、223mmol、68.8%の収率)が橙色の固体として得られた。LCMS(APCI+)、C25H18O3についての計算値=366.1;実測値:366。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d) δ 8.57(dd,J=8.6,1.0Hz,1H)、8.30~8.17(m,4H)、7.97(d,J=8.1Hz,1H)、7.78(d,J=8.1Hz,1H)、7.73(d,J=8.1Hz,1H)、7.64~7.48(m,3H)、3.75(s,3H)、3.41(t,J=6.5Hz,2H)、2.86(t,J=6.5Hz,2H)。
【0111】
化合物SD-3.3の調製の一般手順
【化38】
トリフルオロ酢酸(TFA)(231g、2.03mol、150mL、9.90当量)を無水DCM(600mL)中のSD-3.2(75.0g、204mmol、1.00当量)の混合物に0℃~10℃で添加した。混合物を0℃~10℃で30分間撹拌した。この混合物にトリエチルシラン(Et
3SiH)(71.4g、614mmol、98.1mL、3.00当量)を0℃~10℃で添加し、混合物を25℃で16時間撹拌した。TLC(石油エーテル/酢酸エチル=3/1)は、反応が完了したことを示した。混合物を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を25℃~30℃で30分間、メチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)(400mL)でトリチュレートした(triturated)。混合物を濾過し、濾過ケーキをMTBE(100mL)で洗浄した。濾過ケーキを真空下で乾燥させた。母液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(100メッシュ~200メッシュのシリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=100/1→2/1)によって精製した。化合物SD-3.3(62.0g、176mmol、85.9%の収率)が黄色の固体として得られた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3) δ 8.27~8.08(m,4H)、7.91(d,J=8.3Hz,1H)、7.68(dd,J=5.5,7.9Hz,2H)、7.53(t,J=8.0Hz,1H)、7.48(dt,J=1.5,7.9Hz,2H)、7.34(d,J=7.7Hz,1H)、3.71(s,3H)、3.07(t,J=7.8Hz,2H)、2.47(t,J=7.2Hz,2H)、2.12(quin,J=7.5Hz,2H)。
【0112】
化合物3.4の調製の一般手順
【化39】
n-ブロモスクシンイミド(NBS)(88.4g、496mmol、3.40当量)をCHCl
3(2.00L)中のSD-3.3(51.5g、146mmol、1.00当量)の混合物に25℃で少量ずつ添加した。混合物を25℃で16時間、暗所に保ちながら撹拌した。LCMS(ET39890-22-P1A)は、反応が完了したことを示した。混合物をNa
2SO
3(1N、1.00L)で洗浄した。混合物を分離し、水相をDCM(200mL)で抽出した。合わせた有機層を濃縮して粗生成物を得た。生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(100メッシュ~200メッシュのシリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=1/0→1/1)によって精製した。SD-3.4(69.2g、102mmol、69.9%の収率、87.0%の純度)が赤褐色の油として得られた。LCMS(APCI+)、C
25H
17Br
3O
2についての計算値=585.88;実測値:589。
【0113】
SD-3.5の調製の一般手順
【化40】
SD-3.4A(228g、1.19mol、151mL、10.0当量)をDMA(490mL)中のSD-3.4(70.0g、119mmol、1.00当量)及びCuI(113g、594mmol、5.00当量)の混合物に25℃で添加した。混合物をN
2下にて160℃で3時間撹拌した。LCMS(ET39890-26-P1A)は、反応が完了したことを示した。混合物を25℃~30℃まで冷却し、水(1.50L)及び酢酸エチル(EtOAc)(1.00L)で希釈した。混合物をセライトパッドに通して濾過した。濾過ケーキをEtOAc(500mL×2)で洗浄した。合わせた濾液を分離し、水相をEtOAc(500mL×2)で抽出した。合わせた有機層を濃縮して粗生成物を得た。生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(100メッシュ~200メッシュのシリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=1/0→1/1)によって精製した。SD-3.5(40.0g、71.9mmol、60.5%の収率)が赤褐色の油として得られた。
【0114】
化合物SD-3.6の調製の一般手順
【化41】
水酸化ナトリウム(NaOH)(8.63g、215mmol、3.00当量)をテトラヒドロフラン(THF)(200mL)、メタノール(MeOH)(200mL)及びH
2O(200mL)中のSD-3.5(40.0g、71.9mmol、1.00当量)の混合物に25℃で添加した。混合物を25℃で2時間撹拌した。TLC(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)は、反応が完了したことを示した。混合物を塩化水素(HCl)溶液(1N)でpH=1~2まで酸性化した。混合物を濃縮して溶媒を除去した。残渣を水(150mL)で希釈し、EtOAc(100mL×2)で抽出した。合わせた有機層を濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(100メッシュ~200メッシュのシリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=1/0→0/1)によって精製した。SD-3.6(26.2g、48.1mmol、66.9%の収率、99.6%の純度)が黄色の固体として得られた。
1HNMR(400MHz,CDCl
3) δ 8.37~7.93(m,6H)、7.91~7.50(m,2H)、3.47~3.13(m,2H)、2.68~2.53(m,2H)、2.26~2.13(m,2H)。
【0115】
【0116】
化合物SD-3.7:
CH2Cl2(1.68mL)中の2,6-ジクロロ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド(0.335mmol、64mg)、4-(トリス(トリフルオロメチル)ペリレン-3-イル)酪酸(0.369mmol、200mg)及びDMAP・pTsOH塩(0.034mmol、10mg)の溶液にDIC(1.34mmol、210μL)を添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、これをセライトに通して濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(トルエン)により、187mgのSD-3.7(78%の収率)が黄色の固体として得られた。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d) δ 10.50~10.33(m,1H)、8.48~7.50(m,8H)、7.19~7.14(m,2H)、3.45~3.25(m,2H)、2.83~2.59(m,2H)、2.33~2.03(m,2H)。
【0117】
化合物SD-3:
CH2Cl2(4.50mL)中のSD-2.1(0.461mmol、84mg)及びSD-3.7(0.210mmol、150mg)の溶液にp-TsOH・H2O(0.021mmol、3mg)を添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、DDQ(0.252mmol、57mg)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。トリエチルアミン(TEA)(1.26mmol、175μL)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した後、BF3・OEt2(1.89mmol、233μL)を添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、これをEtOAc(30.0mL)で希釈し、3M HCl(3×30.0mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(4:1のトルエン/ヘキサン→トルエン)により、106mgのSD-3(45%の収率)が紫色の固体として得られた。1H NMR(400MHz,塩化メチレン-d2) δ 8.61~7.60(m,10H)、7.39~7.11(m,8H)、6.54~6.40(m,2H)、3.46~3.30(m,2H)、2.90~2.55(m,6H)、2.39~2.09(m,6H)、2.08~1.94(m,4H)。
【0118】
【0119】
化合物SD-4合成の一般手順
10mLバイアルに撹拌子を取り付けた。このバイアルに化合物SD-2.3(25.0mg、0.043mmol)、FD-1.5(24.0mg、0.053mmol)、EDC・HCl(40.9mg、0.21mmol)及びDMAP・TsOH(25.6mg、0.085mmol)を添加し、続いて無水DCM(1.5ml)を添加した。反応混合物を40℃まで一晩加熱した。反応物を室温まで冷却した後、反応混合物をシリカゲルにロードし、溶離液としてEtOAc中のDCM(0%→5%)を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、純粋なRL-ナフタルイミド-BODIPY 1605-23-3を暗紫色の固体として得た。固体をMeOH(10ml)で更にトリチュレートして、RL-ナフタルイミド-BODIPY SD-4(21.0mg、48%の収率)を得た。MS(APCI):C61H41Cl2F2N3O5についての計算値([M-H]-)=1015 実測値:1015。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ 8.66(dd,J=18.4Hz,7.6Hz,2H)、8.10(m,3H)、7.99(d,J=8.0Hz,1H)、7.56(ddd,J=8.0Hz,8.0Hz,1.6Hz,1H)、7.36(m,13H)、7.22(dd,J=6.8Hz,2.0Hz,2H)、6.45(s,2H)2.88(t,J=7.6Hz,2H)、2.72(t,J=7.2Hz,2H)、2.63(m,4H)、2.20(m,6H)、2.04(ddd,J=6.8Hz,6.8Hz,6.8Hz,4H)。
【0120】
【0121】
化合物SD-5合成の一般手順
25mLバイアルに撹拌子を取り付けた。このバイアルに化合物SD-2.3(40.0mg、0.068mmol)、1605-99 SD-5.1(77.5mg、0.137mmol)、EDC・HCl(65.2mg、0.340mmol)及びDMAP・TsOH(41.1mg、0.137mmol)を添加し、続いて無水DCM(4ml)を添加した。反応混合物を40℃まで一晩加熱した。反応物を室温まで冷却した後、反応混合物をシリカゲルにロードし、溶離液としてEtOAc中のDCM(0%→4%)を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、純粋なRL-ナフタルイミド-BODIPY SD-5を暗青色の固体として得た。固体をMeOH(15ml)で更にトリチュレートして、RL-ナフタルイミド-BODIPY SD-5(46.0mg、60%の収率)を得た。MS(APCI):C66H41BCl2F5N3O5についての計算値([M-H]-)=1132 実測値:1132。1H NMR(400MHz,CDCl2CDCl2) δ 8.69(d,J=8.0Hz,1H)、8.65(d,J=8.0Hz,1H)、8.30(d,J=2.0Hz,1H)、8.11(d,J=8.0Hz,1H)、8.06(m,2H)、7.82(m,5H)、7.65(m,2H)、7.55(d,J=8.0Hz,1H)、7.39(m,9H)、7.30(m,2H)、6.48(s,2H)、4.07(s,2H)、2.63(m,4H)、2.33(bs,3H)、2.06(m,4H)。
【0122】
ポリマー溶液の調製
25%PMMAポリマー溶液の調製
30gのPMMAポリマー(グレード不明)を秤量し、250mLガラス瓶に添加する。メスシリンダーを用いて90mLのシクロペンタノン又はトルエンを測定し、同じガラス瓶に添加する。溶液を撹拌ステーション上にて撹拌子で撹拌し、完全に溶解するまで50℃で加熱する。
【0123】
色素-ポリマー溶液の調製
0.2mgのFD-1、0.16mgの化合物SD-3及び150mgのシリコーン粒子(TSR9000、momentive)。この溶液に4mLの25%PMMA溶液を添加する。溶液をボルテックスによって1分間しっかりと混合し、続いて15分間超音波処理を行った後、撹拌プレート上にて緩やかな速度で撹拌する。
【0124】
フィルムの製作
個々の色素-ポリマーフィルム
色素-ポリマーフィルムに基づいて基本的な光学特性を評価した。散乱中心(20%シリカビーズ、平均サイズ2μm~3μm)及び適当な重量の色素を上記の25%PMMA/トルエン溶液3mLに溶解し、2mmol/Lの色素-ポリマー溶液とした。溶液をボルテックスによって1分間しっかりと混合し、続いて15分間超音波処理を行った。いくつかの1’’×1’’ガラス基板を石鹸水で洗浄し、エアブロー乾燥した。次いで、ガラス基板をスピンコーターホルダーに置き、色素-ポリマー溶液をガラス基板上に注いだ。回転速度を1000RPMに設定して20秒間フィルムをスピンコートする。次いで、湿った塗膜を室温で1時間乾燥させ、130℃で30分間加熱した。
【0125】
緑色及び赤色色素-ポリマーフィルム
青色光をR,G,B色と混合して白色光に変換するために、緑色色素及び赤色色素の両方を1つのフィルムに混合した。2’’×2’’ガラス基板を石鹸水で洗浄し、エアブロー乾燥する。次いで、ガラス基板をスピンコーターホルダーに置き、色素-ポリマー溶液をガラス基板上に注いだ。回転速度を1000RPMに設定してフィルムをスピンコートする。次いで、湿った塗膜を室温で1時間乾燥させ、130℃で30分間加熱した。フィルムが乾燥した後、水に5分間浸漬してフィルムをガラスから分離する。
【0126】
下記表1に示すように第1のフォトルミネッセンス色素、第2のフォトルミネッセンス色素、散乱粒子、及び/又はポリマーマトリックス材料の重量を変化させて、フィルムの更なる例を作製した。
【0127】
【0128】
色素化合物の特性評価
吸収及び発光スペクトル
ポリマーフィルム中の個々の色素の吸光度及び発光スペクトルは、それぞれUV-vis(株式会社島津製作所のuv-vis 3600分光光度計)及びFluorolog 3(株式会社堀場製作所)によって測定した。
【0129】
色素の絶対量子収率
色素フィルムの絶対量子収率は、絶対PL量子収率分光計C11347(浜松ホトニクス)によって波長450nmで測定した。
【0130】
青色光変換WLCフィルムの特性評価
LEDバックライトデバイスにおけるWLCフィルムの外部量子収率
LEDバックライトディスプレイ用途におけるWLCフィルムの外部量子収率及び他の光学特性は、
図4に記載されているように構成された試験装置を用いて試験した。BEFは、輝度向上フィルムVikuiti BEF(3M)を意味する。DBEFは、偏光子/向上フィルム(3M)である。青色LEDエッジライトバックライトは、kindleデバイスの一部であった。MCPDは、マルチチャネル光子検出(MCPD-9800、大塚電子株式会社)を意味する。
【0131】
【0132】
色域-BT.2020比
色域は、色の或る特定の完全なサブセットである。色域は、色度図内の三角形によって表すことができる。三角形の3つの角は、原色である。ディスプレイが示すことが可能な色が多いほど、三角形の面積が大きくなり、したがって色域は広くなる。BT.2020は、ITU(国際電気通信連合)が推奨するUHDプロジェクター及びテレビの色域規格である。
【0133】
図4に示す構成によって測定した光学スペクトルをCIE1931色度図の色域三角形に変換した後、三角形の面積を推定し、BT.2020の三角形の面積で除算して、本明細書で言及するBT.2020比を得た。この比が大きいほど、WLCフィルムの色域は広くなる。広色域を実現するために、各原色の発光スペクトル形状を可能な限り狭くする必要がある。狭いスペクトル形状は、発光スペクトルのFWHMが小さいことと特徴付けることができる。
【0134】
比較例
下記表2は、米国特許出願第63/001,924号に開示されている例である比較例1及び比較例2を示す。赤色色素SD-Xは、米国特許出願第63/001,924号のSD-1に対応する。表2から分かるように、例1は大きな色域を有するが(94%のBT.2020比)、その赤色発光スペクトルのFWHMは68nmであり、あまり狭くない。例2は、色域がより小さいが(88%のBT.2020比)、赤色発光スペクトルのFWHMはより狭くなる。
【0135】
【0136】
実施例
下記表4に挙げる実施例及び上記表2に挙げた比較例の両方のフィルムは、「フィルムの製作」と題する上記セクションに記載した方法によって製作した。表5の実施例3~実施例9は、表2及び表3に示す色素を用いて作製した。表示した全ての緑色発光色素は、25nm未満のFWHMを有し、ほとんどの赤色発光色素は、44nm未満のFWHMを有する。全ての色素が80%を超える内部量子収率を有し、95%を超える量子収率を有するものもある。
【0137】
表5のこれらの実施例3~実施例11の透過度を、「青色光変換WLCフィルムの特性評価」と題する上記セクションに記載した方法によって評価した。実施例の大半が、表2の比較例と比較して平均10%の増加である51%を超えるEQEを示す。これは主に、表3及び表4の色素の内部量子収率によるものである。加えて、全てのフィルムが、33nm未満の緑色発光スペクトルのFWHM、及び63nm未満の赤色発光スペクトルのFWHM、及び90%を超えるBT.2020比を有する。
【0138】
【0139】
【0140】
【国際調査報告】