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特表2024-544852可溶性コア及び金型を用いて眼科レンズコンポーネントを形成する装置、システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】可溶性コア及び金型を用いて眼科レンズコンポーネントを形成する装置、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A61F2/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525516
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 US2022081756
(87)【国際公開番号】W WO2023122490
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/265,735
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー アール.ワルツ
(72)【発明者】
【氏名】シャラド ハジェラ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ビントン マシューズ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA25
4C097BB01
4C097CC01
4C097EE13
4C097MM03
4C097MM07
(57)【要約】
眼科レンズコンポーネントを製造するための方法、システム、及び装置が開示される。1つの実施形態において、方法は、可溶性コアコンポーネントの少なくとも一部を第一の金型コンポーネントの第一の成形表面又は第二の金型コンポーネントの第二の成形表面上に設置するステップと、第二の金型コンポーネントを第一の金型コンポーネントと嵌合させて、金型キャビティを含む組立体金型を形成するステップと、レンズコンポーネント材料を金型キャビティ内に導入するステップと、レンズコンポーネント材料を組立体金型内で硬化させて成形済みレンズコンポーネントを形成するステップと、成形済みレンズコンポーネントを溶媒中に浸漬して可溶性コアコンポーネントを溶解させるステップと、を含む。第一の金型コンポーネントと第二の金型コンポーネントの少なくとも一方もまた、可溶性材料で製作できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズコンポーネントの製造方法であって、
第一のコンポーネントキャビティ部分により画定される第一の成形表面を含む第一の金型コンポーネントを提供するステップと、
第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含む第二の金型コンポーネントを提供するステップと、
可溶性コアコンポーネントの少なくとも一部を前記第一の成形表面又は前記第二の成形表面の何れかの上に設置するステップと、
第二の金型コンポーネントを前記第一の金型コンポーネントと嵌合させて組立体金型を形成するステップであって、前記可溶性コアコンポーネントのあるセグメントは前記第一のコンポーネントキャビティ部分と前記第二のコンポーネントキャビティ部分により形成される金型キャビティ内に配置されるステップと、
レンズコンポーネント材料を前記金型キャビティ内に導入するステップと、
前記レンズコンポーネント材料を前記組立体金型内で硬化させて成形済みレンズコンポーネントを形成するステップと、
前記成形済みレンズコンポーネントを溶媒中に浸漬して前記可溶性コアコンポーネントを溶解させるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記可溶性コアコンポーネントは、一部に、ポリビニルアルコールで製作される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒は水である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒を加熱し、前記溶媒を攪拌して、前記可溶性コアコンポーネントの前記溶解を促進するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記レンズコンポーネント材料を硬化させて前記成形済みレンズコンポーネントを形成した後に、前記第一の金型コンポーネントを前記第二の金型コンポーネントから分離するステップと、
前記成形済みレンズコンポーネントを前記第一の金型コンポーネント又は前記第二の金型コンポーネントから取り外すステップであって、前記可溶性コアコンポーネントの少なくとも1つのセグメントは、前記成形済みレンズコンポーネントが取り外されるときに前記成形済みレンズコンポーネントの中にあるステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記可溶性コアコンポーネントの少なくとも一部を前記第一の成形表面又は前記第二の成形表面上に設置するステップは、前記可溶性コアコンポーネントの少なくとも1つの位置決め部品を前記第一の成形表面又は前記第二の成形表面上に設置するステップを含み、前記少なくとも1つの位置決め部品は前記可溶性コアコンポーネントの一端にあり、前記可溶性コアコンポーネントの、前記少なくとも1つの位置決め部品に連結された部分は、前記第一の成形表面又は前記第二の成形表面と接触しない、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記可溶性コアコンポーネントを前記第一の成形表面又は前記第二の成形表面上に設置するステップは、前記可溶性コアコンポーネントの少なくとも1つの位置決め部品を前記第一の成形表面又は前記第二の成形表面上に設置するステップを含み、前記少なくとも1つの位置決め部品は前記可溶性コアコンポーネンの一端にあり、前記可溶性コアコンポーネントの、前記少なくとも1つの位置決め部品に連結された残りの部分は、前記第一の成形表面又は前記第二の成形表面と接触しない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第一の成形表面はさらに、前記第一のコンポーネントキャビティ部分に接続された第一のプラグキャビティ部分により画定され、前記第二の成形表面は、前記第二のコンポーネントキャビティ部分に接続さたれ第二のプラグキャビティ部分により画定され、
前記組立体金型を形成する前に、可溶性プラグを前記第一のプラグキャビティ部分又は前記第二のプラグキャビティ部分の中に設置するステップであって、前記可溶性プラグは、前記第二の金型コンポーネントが前記第一の金型コンポーネントと嵌合させられたときに前記第一のプラグキャビティ部分及び前記第二のプラグキャビティ部分により形成されるプラグ受容空間を占有するステップと、
前記レンズコンポーネント材料を前記組立体金型内で硬化させるステップであって、前記組立体金型は前記可溶性プラグを含むステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記レンズコンポーネントはレンズのハプティックであり、前記可溶性コアコンポーネントが溶解するとハプティックチャンバが前記ハプティックの中に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記レンズコンポーネントはレンズの光学部分であり、前記可溶性コアコンポーネントが溶解すると光学部分チャンバが前記光学部分の中に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記レンズコンポーネントはレンズの光学部分の一部であり、前記可溶性コアコンポーネントが溶解すると光学部分チャンバの少なくとも一部が形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第二の金型コンポーネントを前記第一の金型コンポーネントと嵌合させた後に、前記第一の金型コンポーネントを前記第二の金型コンポーネントにクランプ部材を使って固定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記クランプ部材は、前記第二の金型コンポーネントが前記第一の金型コンポーネントと嵌合させられたときに、前記第一の金型コンポーネントの上部に取り外し可能に固定されるように構成されるクランプキャップである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第二の金型コンポーネントは、前記レンズコンポーネント材料が前記金型キャビティ内に導入されている間に空気が排出されるように構成されたベントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記レンズコンポーネント材料は、一部に、硬化性アクリルモノマで作られる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
レンズコンポーネントを製造するシステムであって、
第一のコンポーネントキャビティ部分により画定される第一の成形表面を含む第一の金型コンポーネントと、
第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含む第二の金型コンポーネントと、
前記第一の成形表面又は前記第二の成形表面の何れかの上に設置されるように構成された可溶性コアコンポーネントと、
を含み、
前記第一の金型コンポーネントは、前記第二の金型コンポーネントと嵌合させられて組立体金型を形成するように構成され、
前記可溶性コアコンポーネントの1つのセグメントは、前記第一の金型コンポーネントが前記第二の金型コンポーネントと嵌合させられたときに前記第一のコンポーネントキャビティ部分及び前記第二のコンポーネントキャビティ部分により形成される金型キャビティ内に配置されるように構成され、
前記組立体金型内の前記金型キャビティは、成形済みレンズコンポーネントへと硬化させるためのレンズコンポーネント材料を受けるように構成され、前記可溶性コアコンポーネントは、前記成形済みレンズコンポーネントが溶媒中に浸漬されると前記溶媒中に溶解するように構成される、システム。
【請求項17】
レンズコンポーネントの製造方法であって、
第一のコンポーネントキャビティ部分により画定される第一の成形表面を含む第一の金型コンポーネントを提供するステップであって、前記第一の金型コンポーネントは可溶性材料で製作されるステップと、
第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含む第二の金型コンポーネントを提供するステップであって、前記第二の金型コンポーネントは前記可溶性材料で製作されるステップと、
可溶性コアコンポーネントの少なくとも一部を前記第一の成形表面又は前記第二の成形表面上に設置するステップであって、前記可溶性コアコンポーネントは前記可溶性材料で製作されるステップと、
前記第二の金型コンポーネントを前記第一の金型コンポーネントと嵌合させて組立体金型を形成するステップであって、前記可溶性コアコンポーネントのあるセグメントは、前記第一のコンポーネントキャビティ部分及び前記第二のコンポーネントキャビティ部分により形成される金型キャビティ内に配置されるステップと、
レンズコンポーネント材料を前記金型キャビティ内に導入するステップと、
前記レンズコンポーネント材料を前記組立体金型内で硬化させて成形済みレンズコンポーネントを形成するステップと、
前記成形済みレンズコンポーネントを含む前記組立体金型を溶媒中に浸漬して、前記可溶性コアコンポーネント、前記第一の金型コンポーネント、及び前記第二の金型コンポーネントを溶解させるステップと、
を含む方法。
【請求項18】
レンズコンポーネントを製造するシステムであって、
第一のコンポーネントキャビティ部分により画定される第一の成形表面を含む第一の金型コンポーネントであって、可溶性材料で製作される第一の金型コンポーネントと、
第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含む第二の金型コンポーネントであって、前記可溶性材料で製作される第二の金型コンポーネントと、
前記第一の成形表面は前記第二の成形表面の何れかの上に設置されるように構成される可溶性コアコンポーネントと、
を含み、
前記第一の金型コンポーネントは、前記第二の金型コンポーネントと嵌合させられて組立体金型を形成するように構成され、
前記可溶性コアコンポーネントのあるセグメントは、前記第一の金型コンポーネントが前記第二の金型コンポーネントと嵌合させられると前記第一のコンポーネントキャビティ部分及び前記第二のコンポーネントキャビティ部分により形成される金型キャビティ内に配置され、
前記組立体金型内の前記金型キャビティは、成形済みレンズコンポーネントへと硬化させるためのレンズコンポーネント材料を受けるように構成され、
前記可溶性コアコンポーネント、前記第一の金型コンポーネント、及び前記第二の金型コンポーネントは、前記組立体金型が溶媒中に浸漬されると前記溶媒中に溶解するように構成されるシステム。
【請求項19】
レンズコンポーネントの製造方法であって、
第一のコンポーネントキャビティ部分により画定される第一の成形表面を含む第一の金型コンポーネントを提供するステップであって、前記第一の金型コンポーネントは可溶性材料で製作されるステップと、
第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含む第二の金型コンポーネントを提供するステップと、
可溶性コアコンポーネントの少なくとも一部を前記第一の成形表面又は前記第二の成形表面上に設置するステップであって、前記可溶性コアコンポーネントは前記可溶性材料で製作されるステップと、
第二の金型コンポーネントを前記第一の金型コンポーネントと嵌合させて組立体金型を形成するステップであって、前記可溶性コアコンポーネントのあるセグメントは、前記第一のコンポーネントキャビティ部分と前記第二のコンポーネントキャビティ部分により形成される金型キャビティ内に配置されるステップと、
レンズコンポーネント材料を前記金型キャビティ内に導入するステップと、
前記レンズコンポーネント材料を前記組立体金型内で硬化させて、成形済みレンズコンポーネントを形成するステップと、
前記第一の金型コンポーネント及び前記成形済みレンズコンポーネントを溶解中に浸漬して、前記第一の金型コンポーネントと前記可溶性コアコンポーネントを溶解させるステップと、
を含む方法。
【請求項20】
レンズコンポーネントを製造するシステムであって、
第一のコンポーネントキャビティ部分により画定される第一の成形表面を含む第一の金型コンポーネントであって、可溶性材料で製作される第一の金型コンポーネントと、
第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含む第二の金型コンポーネントと、
前記第一の成形表面又は前記第二の成形表面上に設置されるように構成される可溶性コアコンポーネントと、
を含み、
前記第一の金型コンポーネントは、前記第二の金型コンポーネントと嵌合させて組立体金型を形成するように構成され、
前記可溶性コンポーネントのあるセグメントは、前記第一の金型コンポーネントが前記第二の金型コンポーネントと嵌合させられたときに前記第一のコンポーネントキャビティ部分と前記第二のコンポーネントキャビティ部分により形成される金型キャビティ内に配置されるように構成され、
前記組立体金型内の前記金型キャビティは、成形済みレンズコンポーネントへと硬化させるためのレンズコンポーネント材料を受けるように構成され、
前記可溶性コアコンポーネントと前記第一の金型コンポーネントは、前記第一の金型コンポーネントと前記成形済みレンズコンポーネント材料が溶媒中に浸漬されると、前記溶媒中に溶解するように構成される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月20日に出願された米国仮特許出願第63/265,735号の利益を主張するものであり、この出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、眼科用機器の分野に関し、より具体的には、可溶性コア及び金型を用いて眼科レンズコンポーネントを形成する装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
白内障とは、患者の眼の、通常は透明な水晶体の白濁を含む状態である。白内障は加齢、遺伝要因、外傷、炎症、代謝疾患、又は放射への曝露の結果として発症する。加齢性白内障は最も一般的な種類の白内障である。白内障治療において、外科医は患者の水晶体嚢から水晶体マトリクスを取り除き、それを眼内レンズ(IOL)に置換する。従来のIOLは、患者が遠くを見ることができるようにする1つ又は複数の選択された焦点距離を提供する。しかしながら、白内障手術の後、従来のIOLが挿入された患者は、特定の活動を行うために眼鏡やその他の矯正用アイウェアを必要とすることが多く、これは眼が物体の鮮明な像を保持し、又は距離が変化しても物体に焦点を合わせるために調節する(すなわち、その屈折力を変化させる)ことができなくなっているからである。
【0004】
調節IOL等のより新しいIOLにより、眼は少なくともある程度の焦点合わせ能力を回復できる。調節IOL(AIOL)は、眼内で利用可能な力を使って光学系のある部分を変化させることにより、眼の焦点を遠くの、又は近くの標的に合わせなおす。AIOLの例は以下の米国特許公報の中で論じられている:米国特許出願公開第2018/0256315号明細書、米国特許出願公開第2018/0153682号明細書、米国特許出願公開第2017/0049561号明細書及び以下の発行済み米国特許:米国特許第10,299,913号明細書、米国特許第10,195,020号明細書、米国特許第8,968,396号明細書であり、これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0005】
従来の眼科レンズは多くの場合、レンズの形状に形成された金型キャビティを有する研磨金型に依存する成形技術を用いて製作される。一般的な成形技術としては、射出成形、液状シリコーンゴム射出成形、圧縮成形、トランスファ成形が含まれる。しかしながら、従来の眼科レンズとは異なり、AIOLは、流体を保持又は搬送するためのキャビティ又はコンジットを含むコンポーネントから作られることが多い。場合により、AIOLハプティック等のAIOLコンポーネントは、固体のインサートを使って成形されており、これらは硬化プロセスの後に成形済みのハプティックから慎重に引き抜かれる。このようなステップは労力集約的であり、調整が難しい。さらに、固体のインサートは複雑な形状や幾何学配置を有するキャビティやコンジットを持つAIOLコンポーネントには使用できないことが多い。これは特に、相互に接続された複数の区画や部分を持つキャビティを持つAIOLコンポーネントに当てはまる。
【0006】
それに加えて、従来の成形技術では多くの場合、成形プロセス中に金型コンポーネント間に小さいギャップが残る。その結果、金型に導入される材料がこれらの小さいギャップから浸み出し、又はそこから流出して、レンズコンポーネントの表面に沿って目に見える線又は表面欠陥を形成することかよくある(多くの場合、「フラッシュ」と呼ばれる)。これらのフラッシュという線や欠陥はその後、平滑化し、又は磨き落とさなければならず、それによって製造時間が長くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、複雑な形状又は幾何学配置を有するキャビティ又はコンジットを持つ眼科レンズコンポーネントの形成を可能にする解決策が必要とされている。このような解決策は、複雑すぎてはならず、レンズコンポーネントを費用対効果の高い方法で製造できるようにすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願では、可溶性コアと金型を用いて眼科レンズコンポーネント(例えば、ハプティック又は光学部分)を形成する装置、システム、及び方法が開示される。1つの実施形態において、レンズコンポーネントの製造方法は、第一のコンポーネントキャビティ部分により画定される第一の成形表面を含む第一の金型コンポーネントを提供するステップと、第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含む第二の金型コンポーネントを提供するステップと、を含む。方法は、可溶性コアコンポーネントの少なくとも一部を第一の成形表面又は第二の成形表面の何れかの上に設置するステップを含むことができる。
【0009】
幾つかの実施形態において、可溶性コアコンポーネントの少なくとも一部を第一の成形表面又は第二の成形表面の何れかの上に設置するステップは、可溶性コアの少なくとも1つの位置決め部品を第一の成形表面又は第二の成形表面の上に設置するステップを含むことができる。この少なくとも1つの位置決め部品は、可溶性コアコンポーネントの一端にあるようにすることができる。可溶性コアコンポーネントの他の部分又はセグメントは、第一の成形表面又は第二の成形表面の上方に、第一の成形表面又は第二の成形表面と物理的に接触しない状態で位置付けることができる。他の実施形態において、可溶性コアコンポーネントの、位置決め部品に連結された残りの部分は、第一の成形表面又は第二の成形表面の上方に、第一の成形表面又は第二の成形表面と物理的に接触しない状態で位置付けることができる。
【0010】
方法は、第二の金型コンポーネントを第一の金型コンポーネントと嵌合させて組立体金型を形成するステップも含むことができる。第二の金型コンポーネントは、第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含むことができる。可溶性コアコンポーネントのあるセグメントは、第一のコンポーネントキャビティ部分及び第二のコンポーネントキャビティ部分により形成されるコンポーネント金型キャビティ内に配置できる。可溶性コアコンポーネントの他のセグメントは、第二の金型コンポーネントが第一の金型コンポーネントと嵌合させられたときに、コンポーネント金型キャビティの外に配置できる。
【0011】
方法はまた、レンズコンポーネント材料をコンポーネント金型キャビティ内に導入するステップと、組立体金型内のレンズコンポーネント材料を硬化させて成形済みレンズコンポーネントを形成するステップも含むことができる。方法はまた、レンズコンポーネント材料を硬化させて成形済みレンズコンポーネントを形成した後に、第一の金型コンポーネントを第二の金型コンポーネントから分離するステップも含むことができる。方法は、成形済みレンズコンポーネントを第一の金型コンポーネント又は第二の金型コンポーネントから取り外すステップをさらに含むことができる。可溶性コアコンポーネントの少なくとも1つのセグメントは、成形済みレンズコンポーネントが第一の金型コンポーネント及び第二の金型コンポーネントの少なくとも一方から取り外されるときに、成形済みレンズコンポーネント内にあるようにすることができる。
【0012】
方法はまた、成形済みレンズコンポーネントを溶媒中に浸漬して、可溶性コアコンポーネントを溶解させるステップも含むことができる。幾つかの実施形態において、可溶性コアコンポーネントは、一部にポリビニルアルコールで製作できる。これら及びその他の実施形態において、溶媒は水とすることができる。方法はまた、溶媒を加熱し、溶媒を超音波処理によって攪拌して、可溶性コアコンポーネントの溶解を促進するステップも含むことができる。
【0013】
幾つかの実施形態において、第一の成形表面はさらに、第一のコンポーネントキャビティ部分に接続された第一のプラグキャビティ部分により画定できる。これらの実施形態において、第二の成形表面は、第二のコンポーネントキャビティ部分に接続された第二のプラグキャビティ部分により画定できる。さらに、これらの実施形態において、方法は、組立体金型を形成する前に、可溶性プラグを第一のプラグキャビティ部分又は第二のプラグキャビティ部分の中に設置するステップを含むことができる。可溶性プラグは、第二の金型コンポーネントが第一の金型コンポーネントと嵌合させられたときに、第一のプラグキャビティ部分及び第二のプラグキャビティ部分により形成されるプラグ受容空間を占有することができる。方法はさらに、組立体金型が可溶性プラグも含むときに、組立体金型内のレンズコンポーネント材料を硬化させるステップをさらに含むことができる。
【0014】
方法はまた、成形済みレンズコンポーネントと可溶性プラグを第一の金型コンポーネント又は第二の金型コンポーネントから取り外すステップも含むことができる。方法は、成形済みレンズコンポーネント及び可溶性プラグを溶媒中に浸漬して、可溶性コアコンポーネント及び可溶性プラグを溶解させるステップをさらに含むことができる。可溶性プラグは、成形済みレンズコンポーネントの周辺部のフラッシュを防止するように構成できる。
【0015】
幾つかの実施形態において、レンズコンポーネントはレンズのハプティックとすることができ、可溶性コアコンポーネントが溶解するとハプティックチャンバがハブィックの中に形成され得る。他の実施形態において、レンズコンポーネントはレンズの光学部分とすることができ、可溶性コアコンポーネントが溶解すると光学部分チャンバが光学部分の中に形成され得る。追加的な実施形態において、レンズコンポーネントはレンズの光学部分の一部(例えば、前方レンズ要素又は後方レンズ要素)とすることができ、可溶性コアコンポーネントが溶解すると光学部分チャンバの少なくとも一部が形成され得る。
【0016】
レンズコンポーネントを製造するためのシステムも開示される。システムは、第一のコンポーネントキャビティ部分により画定される第一の成形表面を含む第一の金型コンポーネントと、第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含む第二の金型コンポーネントと、を含むことができる。システムはまた、第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置されるように構成される可溶性コアコンポーネンも含むことができる。
【0017】
可溶性コアコンポーネントは、少なくとも1つの位置決め部品を含むことができる。少なくとも1つの位置決め部品は、第一の成形表面又は第二の成形表面の何れかの上に設置されるように構成できる。少なくとも1つの位置決め部品は、可溶性コアコンポーネントの一端にあるようにすることができる。可溶性コアコンポーネントの他の部分又はセグメントは、第一の成形表面又は第二の成形表面の上方に、第一の成形表面又は第二の成形表面と物理的に接触しない状態で位置付けることができる。他の実施形態において、可溶性コアコンポーネントの、位置決め部品に連結される残りの部分は、第一の成形表面又は第二の成形表面の上方に、第一の成形表面又は第二の成形表面と物理的に接触しない状態で位置付けることができる。
【0018】
第一の金型コンポーネントは、第二の金型コンポーネントと嵌合させられて組立体金型を形成するように構成できる。可溶性コアコンポーネントのあるセグメント又は部分は、第一の金型コンポーネントが第二の金型コンポーネントと嵌合させられたときに、第一のコンポーネントキャビティ部分と第二のコンポーネントキャビティ部分により形成されるコンポーネント金型キャビティの中に配置されるように構成できる。
【0019】
組立体金型内のコンポーネント金型キャビティは、成形済みレンズコンポーネントへと硬化させるためのレンズコンポーネント材料を受けることができる。レンズコンポーネント材料は、組立体金型の中で成形済みレンズコンポーネントへと硬化させることができる。硬化後に第一の金型コンポーネントが第二の金型コンポーネントから分離されると、成形済みレンズコンポーネントは第一の金型コンポーネント又は第二の金型コンポーネントから取り外すことができる。成形済みレンズコンポーネントが第一の金型コンポーネント及び第二の金型コンポーネントの少なくとも一方から取り外されるときに、可溶性コアコンポーネントの少なくとも1つのセグメントは成形済みレンズコンポーネントの中にあるようにすることができる。
【0020】
可溶性コアコンポーネントは、成形済みコンポーネントが溶媒中に浸漬されると溶媒中に溶解するように構成できる。幾つかの実施形態において、可溶性コアコンポーネントは、一部に、ポリビニルアルコールから作成できる。これら及びその他の実施形態において、溶媒は水とすることができる。
【0021】
幾つかの実施形態において、システムはまた、成形済みレンズコンポーネントが溶媒中に浸漬されたときに溶媒を加熱するように構成された温水浴も含むことができる。システムはまた、溶媒を攪拌し、可溶性コアコンポーネントの溶解を促進するように構成された超音波処理装置も含むことができる。
【0022】
システムは、組立体金型を形成する前に、第一の成形表面に沿って画定された第一のプラグキャビティ部分の中に設置される、又は第二の成形表面に沿って画定された第二のプラグキャビティ部分の中に設置されるように構成された可溶性プラグをさらに含むことができる。可溶性プラグは、第二の金型コンポーネントが第一の金型コンポーネントと嵌合させられたときに、第一のプラグキャビティ部分及び第二のプラグキャビティ部分により形成されるプラグ受容空間を占有するように構成できる。レンズコンポーネント材料、可溶性コアコンポーネント、及び可溶性プラグを含む組立体金型をまとめて硬化させることができる。
【0023】
硬化ステップの後、可溶性コアコンポーネント及び可溶性プラグを含む成形済みレンズコンポーネントは第一の金型コンポーネント又は第二の金型コンポーネントから、溶媒中に浸漬するために取り外すことができる。
【0024】
可溶性コアコンポーネントと可溶性プラグは、溶媒中に浸漬されると溶解するように構成できる。可溶性プラグは、成形済みレンズコンポーネントの周辺部のフラッシュを防止するように構成できる。
【0025】
幾つかの実施形態において、レンズコンポーネントはレンズ(例えば、IOL又はAIOL)のハプティックとすることができる。これらの実施形態において、可溶性コアコンポーネントが溶媒により溶解するとハプティックチャンバが形成され得る。
【0026】
他の実施形態において、レンズコンポーネントはレンズの光学部分とすることができる。これらの実施形態において、可溶性コアコンポーネントが溶媒により溶解すると光学部分チャンバが光学部分の中に形成され得る。さらに、レンズコンポーネントはまた、レンズの光学部分の一部とすることができる。可溶性コアコンポーネントが溶媒により溶解すると光学部分チャンバの少なくとも一部が形成され得る。
【0027】
レンズコンポーネントの他の製造方法も開示される。この方法は、可溶性材料で製作される第一の金型コンポーネントを提供するステップを含む。第一の金型コンポーネントは、第一のコンポーネントキャビティ部分により画定される第一の成形表面を含むことができる。方法は、可溶性材料で製作された第二の金型コンポーネントを提供するステップをさらに含むことができる。第二の金型コンポーネントは、第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含むことができる。
【0028】
方法はまた、可溶性材料で製作された可溶性コアコンポーネントの少なくとも一部を第一の成形表面又は第二の成形表面の上に設置するステップと、第二の金型コンポーネントを第一の金型コンポーネントと嵌合させて組立体金型を形成するステップも含むことができる。可溶性コアコンポーネントのあるセグメントは、第一の金型コンポーネントが第二の金型コンポーネントと嵌合させられたときに、第一のコンポーネントキャビティ部分及び第二のコンポーネントキャビティ部分により形成されるコンポーネント金型キャビティ内に配置できる。
【0029】
幾つかの実施形態において、可溶性コアコンポーネントの少なくとも一部を第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置するステップは、可溶性コアコンポーネントの少なくとも1つの位置決め部品を第一の成形表面又は第二の成形表面の上に設置するステップを含むことができる。少なくとも1つの位置決め部品は、可溶性コアコンポーネントの一端にあるようにすることができる。可溶性コアコンポーネントの他の部分又はセグメントは、第一の成形表面の上方又は第二の成形表面の上方に、第一の成形表面又は第二の成形表面と物理的に接触しない状態で位置付けることができる。他の実施形態において、可溶性コアコンポーネントの、位置決め部品に連結された残りの部分は、第一の成形表面又は第二の成形表面の上方に、第一の成形表面又は第二の成形表面と物理的に接触しない状態で位置付けることができる。
【0030】
幾つかの実施形態において、方法は、第二の金型コンポーネントを第一の金型コンポーネントと嵌合させる前に、第一の成形表面及び第二の成形表面の少なくとも一方を湿潤剤で湿潤させて、フラッシュが成形済みレンズコンポーネントの周辺部の、第一の金型コンポーネント及び第二の金型コンポーネントにより生成される分割線に生じるのを防止するステップを含むことができる。幾つかの実施形態において、湿潤剤は水とすることができる。
【0031】
方法はまた、レンズコンポーネント材料をコンポーネント金型キャビティの中に導入するステップと、組立体金型内のレンズコンポーネント材料を硬化させて成形済みレンズコンポーネントを形成するステップも含むことができる。方法は、成形済みレンズコンポーネントを含む組立体金型を溶媒中に浸漬して、可溶性コアコンポーネント、第一の金型コンポーネント、及び第二の金型コンポーネントを溶解させるステップをさらに含むことができる。さらに、方法はまた、溶媒を加熱し、溶媒を超音波処理によって攪拌して、可溶性コアコンポーネント、第一の金型コンポーネント、及び第二の金型コンポーネントの溶解を促進するステップも含むことができる。
【0032】
1つの実施形態において、可溶性コアコンポーネント、第一の金型コンポーネント、及び第二の金型コンポーネントは全て、一部に、ポリビニルアルコールで製作できる。他の実施形態において、可溶性コアコンポーネント、第一の金型コンポーネント、及び第二の金型コンポーネントのうちの少なくとも1つは、一部に、ポリビニルアルコールとは異なる可溶性材料で製作できる。幾つかの実施形態において、溶媒は水とすることができる。
【0033】
幾つかの実施形態において、レンズコンポーネントはレンズ(例えば、IOL又はAIOL)のハプティックとすることができる。これらの実施形態において、可溶性コアコンポーネントが溶媒中で溶解するとハプティックチャンバがハプティックの中に形成され得る。
【0034】
他の実施形態において、レンズコンポーネントはレンズの光学部分とすることができる。これらの実施形態において、可溶性コアコンポーネントが溶媒中で溶解すると光学部分チャンバが光学部分の中に形成され得る。さらに、レンズコンポーネントはまた、レンズの光学部分の一部とすることもできる。可溶性コアコンポーネントが溶媒中で溶解すると光学部分チャンバの少なくとも一部が形成され得る。
【0035】
レンズコンポーネントを製造するための他のシステムも開示される。システムは、可溶性材料で製作される第一の金型コンポーネントと、同じく可溶性材料で製作される第二の金型コンポーネントを含むことができる。第一の金型コンポーネントは、第一のコンポーネントキャビティ部分により画定される第一の成形表面を含むことができる。第二の金型コンポーネントは、第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含むことができる。
【0036】
システムはまた、第一の成形表面又は第二の成形表面の何れかの上に設置されるように構成された可溶性コアコンポーネントも含むことができる。可溶性コアコンポーネントは、少なくとも1つの位置決め部品を含むことができる。少なくとも1つの位置決め部品は、第一の成形表面又は第二の成形表面の上に設置されるように構成できる。少なくとも1つの位置決め部品は、可溶性コアコンポーネントの一端にあるようにすることができる。可溶性コアコンポーネントの他の部分又はセグメントは、第一の成形表面又は第二の成形表面の上方に、第一の成形表面又は第二の成形表面と物理的に接触しない状態で位置付けることができる。他の実施形態において、可溶性コアコンポーネントの、位置決め部品に連結された残りの部分は、第一の成形表面又は第二の成形表面の上方に、第一の成形表面と物理的に接触しない状態で位置付けることができる。
【0037】
第一の金型コンポーネントは、第二の金型コンポーネントと嵌合させて組立体金型を形成するように構成できる。可溶性コアコンポーネントのあるセグメントは、第一の金型コンポーネントが第二の金型コンポーネントに嵌合させられたときに第一のコンポーネントキャビティ部分と第二のコンポーネントキャビティ部分により形成されたコンポーネント金型キャビティ内に配置されるように構成できる。コンポーネント金型キャビティはまた、成形済みレンズコンポーネントへと硬化させるためのレンズコンポーネント材料を受けることもできる。
【0038】
組立体金型の全体を硬化後に溶媒中に浸漬することができる。可溶性コアコンポーネントの少なくとも1つのセグメントは、成形済みレンズコンポーネントを含む組立体金型が溶媒中に浸漬されるときに、成形済みレンズコンポーネント内にあるようにすることができる。可溶性コアコンポーネント、第一の金型コンポーネント、及び第二の金型コンポーネントは、溶媒中に浸漬されると溶媒により溶解できる。
【0039】
幾つかの実施形態において、システムはまた、可溶性コアコンポーネント、第一の金型コンポーネント、及び第二の金型コンポーネントが溶媒中に浸漬されると、溶媒を加熱するように構成された温水浴も含むことができる。システムはまた、溶媒を攪拌して可溶性コアコンポーネント、第一の金型コンポーネント、及び第二の金型コンポーネントの溶解を促進するように構成された超音波処理装置も含むことができる。
【0040】
1つの実施形態において、可溶性コアコンポーネント、第一の金型コンポーネント、及び第二の金型コンポーネントは全て、一部に、ポリビニルアルコールで製作できる。他の実施形態において、可溶性コアコンポーネント、第一の金型コンポーネント、及び第二の金型コンポーネントの少なくとも1つは、一部に、ポリビニルアルコールとは異なる可溶性材料で製作できる。幾つかの実施形態において、溶媒は水とすることができる。
【0041】
幾つかの実施形態において、レンズコンポーネントはレンズ(例えば、IOL又はAIOL)のハプティックとすることができる。これらの実施形態において、可溶性コアコンポーネントが溶媒により溶解するとハプティックチャンバがハプティックの中に形成され得る。
【0042】
他の実施形態において、レンズコンポーネントはレンズの光学部分とすることができる。これらの実施形態において、可溶性コアコンポーネントが溶媒により溶解すると光学部分チャンバが光学部分の中に形成され得る。さらに、レンズコンポーネントはまた、レンズの光学部分の一部とすることができる。可溶性コアコンポーネントが溶媒により溶解すると光学部分チャンバの少なくとも一部が形成され得る。
【0043】
レンズコンポーネントの他の製造方法も開示される。この方法は、可溶性材料で製作される第一の金型コンポーネントと不溶性材料材で製作される第二の金型コンポーネントを提供するステップ又は、不溶性材料で製作される第一の金型コンポーネントと可溶性材料で製作される第二の金型コンポーネントを提供するステップを含む。第一の金型コンポーネントは、第一のコンポーネントキャビティ部分により画定される第一の成形表面を含むことができる。第二の金型コンポーネントは、第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含むことができる。
【0044】
方法はまた、可溶性材料で製作される可溶性コアコンポーネントの少なくとも一部を第一の成形表面又は第二の成形表面の何れかの上に設置するステップと、第二の金型コンポーネントを第一の金型コンポーネントと嵌合させて、組立体金型を形成するステップも含むことができる。第一の金型コンポーネントが第二の金型コンポーネントに嵌合させられたときに、可溶性コアコンポーネントの1つのセグメントを、第一のコンポーネントキャビティ部分及び第二のコンポーネントキャビティ部分により形成されるコンポーネント金型キャビティ内に配置できる。
【0045】
幾つかの実施形態において、可溶性コアコンポーネントの少なくとも一部を第一の成形表面又は第二の成形表面の上に設置するステップは、可溶性コアコンポーネントの少なくとも1つの位置決め部品を第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置するステップを含むことができる。少なくとも1つの位置決め部品は、可溶性コンポーネントの一端にあるようにすることができる。可溶性コアコンポーネントの他の部分又はセグメントは、第一の成形表面又は第二の成形表面の上方に、第一の成形表面又は第二の成形表面と物理的に接触しない状態で位置付けることができる。他の実施形態において、可溶性コアコンポーネントの、位置決め部品に連結された残りの部分は、第一の成形表面又は第二の成形表面の上方に、第一の成形表面又は第二の成形表面と物理的に接触しない状態で位置付けることができる。
【0046】
方法はまた、レンズコンポーネント材料をコンポーネント金型キャビティ内に導入するステップと、レンズコンポーネント材料を組立体金型内で硬化させて、成形済みレンズコンポーネントを形成するステップと、を含むことができる。方法は、硬化ステップの後に第二の金型コンポーネントを第一の金型コンポーネントから分離するステップをさらに含むことができる。
【0047】
方法はまた、可溶性材料で製作される第一の金型コンポーネント及び成形済みレンズコンポーネントを溶媒中に浸漬するか、可溶性材料で製作される第二の金型コンポーネントを溶媒中に浸漬して、可溶性コアコンポーネント及び可溶性材料で製作される金型コンポーネントを溶解させるステップも含むことができる。さらに、方法は、溶媒を加熱し、溶媒を超音波処理によって攪拌して、可溶性コアコンポーネント及び可溶性材料で製作される金型コンポーネントの溶解を促進するステップも含むことができる。
【0048】
幾つかの実施形態において、方法は、第二の金型コンポーネントを第一の金型コンポーネントと嵌合させる前に第一の成形表面と第二の成形表面の少なくとも一方を湿潤剤で湿潤させて、成形済みレンズコンポーネントの周辺部に沿って第一の金型コンポーネント及び第二の金型コンポーネントによって作成される分割線にフラッシュが生じるのを防止するステップを含むことができる。幾つかの実施形態において、湿潤剤は水とすることができる。
【0049】
1つの実施形態において、可溶性コアコンポーネントと、第一の金型コンポーネント又は第二の金型コンポーネントの何れかは、一部にポリビニルアルコールで製作できる。他の実施形態において、可溶性コアコンポーネントは、一部に、ポリビニルアルコールとは異なる可溶性材料で製作できる。これら及び他の実施形態において、第一の金型コンポーネント又は第二の金型コンポーネントの何れかは、一部に、ポリビニルアルコールとは異なる可溶性材料で製作できる。幾つかの実施形態において、溶媒は水とすることができる。
【0050】
幾つかの実施形態において、レンズコンポーネントはレンズ(例えば、IOL又はAIOL)のハプティックとすることができる。これらの実施形態において、可溶性コアコンポーネントが溶媒により溶解すると、ハプティックチャンバがハプティックの中に形成され得る。
【0051】
他の実施形態において、レンズコンポーネントはレンズの光学部分とすることができる。これらの実施形態において、可溶性コアコンポーネントが溶媒により溶解すると、光学部分チャンバが光学部分の中に形成され得る。さらに、レンズコンポーネントはレンズの光学部分の一部とすることもできる。可溶性コアコンポーネントが溶媒により溶解すると、光学部分チャンバの少なくとも一部が形成され得る。
【0052】
方法はまた、組立体金型を形成する前に、可溶性プラグを第一の成形表面又は第二の成形表面の何れかに沿って画定されるプラグキャビティ内に設置するステップも含むことができる。可溶性プラグは、第二の金型コンポーネントが第一の金型コンポーネントと嵌合させられたときに、プラグキャビティを占有するように構成できる。レンズコンポーネント材料、可溶性コアコンポーネント、及び可溶性プラグを含む組立体金型は、まとめて硬化させることができる。
【0053】
硬化ステップの後、第二の金型コンポーネントは第一の金型コンポーネントから分離できる。成形済みレンズコンポーネント、可溶性プラグ、及び可溶性材料で製作される金型コンポーネントは、溶媒中に浸漬できる。成形済みレンズコンポーネント、可溶性プラグ、及び可溶性材料で製作される成形済みレンズコンポーネントは、溶媒中に浸漬されると溶解できる。可溶性プラグは、成形済みレンズコンポーネントの周辺部に沿ったフラッシュを防止するように構成できる。
【0054】
レンズコンポーネントを製造するための他のシステムも開示される。このシステムは、可溶性材料で製作される第一の金型コンポーネント及び不溶性材料で製作される第二の金型コンポーネント、又は不溶性材料で製作される第一の金型コンポーネント及び可溶性材料で製作される第二の金型コンポーネントの何れかを含むことができる。第一の金型コンポーネントは、第一のコンポーネントキャビティ部分により画定される第一の成形表面を含むことができる。第二の金型コンポーネントは、第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含むことができる。
【0055】
システムはまた、第一の成形表面又は第二の成形表面の何れかの上に設置されるように構成された可溶性コアコンポーネントも含むことができる。可溶性コアコンポーネントは、少なくとも1つの位置決め部品を含むことができる。少なくとも1つの位置決め部品は、第一の成形表面又は第二の成形表面の何れかの上に設置されるように構成できる。少なくとも1つの位置決め部品は、可溶性コアコンポーネントの一端にあるようにすることができる。可溶性コアコンポーネントの他の部分又はセグメントは、第一の成形表面又は第二の成形表面の上方に、第一の成形表面又は第二の成形表面と物理的に接触しない状態で位置付けることができる。他の実施形態において、可溶性コアコンポーネントは、可溶性コアコンポーネントの一方の端及び可溶性コアコンポーネントの反対の端の自由遠位端にある少なくとも1つの位置決め部品を含むことができる。可溶性コアコンポーネントの自由遠位端は、少なくとも1つの位置決め部品が第一の成形表面上に位置付けられたときに、第一の成形表面又は第二成形表面の上方に、第一の成形表面又は第二の成形表面と物理的に接触しない状態で位置付けられるように構成できる。
【0056】
第一の金型コンポーネントは、第二の金型コンポーネントと嵌合させられて、組立体金型を形成するように構成できる。可溶性コアコンポーネントの1つのセグメントは、第一の金型コンポーネントが第二の金型コンポーネントと嵌合させられたときに、第一のコンポーネントキャビティ部分と第二のコンポーネントキャビティ部分により形成されるコンポーネント金型キャビティ内に配置されるように構成できる。コンポーネント金型キャビティはまた、成形済みレンズコンポーネントへと硬化させるためにレンズコンポーネント材料を受けることもできる。
【0057】
第二の金型コンポーネントは、硬化後に、第一の金型コンポーネント及び成形済みレンズコンポーネントから分離できる。成形済みレンズコンポーネントと可溶性材料で製作される金型コンポーネントは、硬化後に溶媒中に浸漬できる。成形済みレンズコンポーネント及び可溶性材料で製作される金型コンポーネントが溶媒中に浸漬されたときに可溶性コアコンポーネントの少なくとも1つのセグメントは成形済みレンズコンポーネント内にあるようにすることができる。可溶性コアコンポーネント及び可溶性材料で製作される金型コンポーネントは、溶媒中に浸漬されると溶媒により溶解できる。
【0058】
幾つかの実施形態において、システムはまた、可溶性コアコンポーネント及び可溶性材料で製作される金型コンポーネントが溶媒中に浸漬されると、溶媒を加熱するように構成された温水浴も含むことができる。システムはまた、溶媒を攪拌して、可溶性コアコンポーネント及び可溶性材料で製作される金型コンポーネントの溶解を促進するように構成された超音波処理装置も含むことができる。
【0059】
1つの実施形態において、可溶性コアコンポーネントと、第一の金型コンポーネント又は第二の金型コンポーネントの何れかは、一部に、ポリビニルアルコールで製作できる。他の実施形態において、可溶性コアコンポーネントは、一部に、ポリビニルアルコールとは異なる可溶性材料で製作でき、又は第一の金型コンポーネント若しくは第二の金型コンポーネントの何れかは、一部に、ポリビニルアルコールとは異なる可溶性材料で製作できる。幾つかの実施形態において、溶媒は水とすることができる。
【0060】
幾つかの実施形態において、レンズコンポーネントはレンズ(例えば、IOL又はAIOL)のハプティックとすることができる。これらの実施形態において、可溶性コアコンポーネントが溶媒により溶解すると、ハプティックチャンバがハプティックの中に形成され得る。
【0061】
他の実施形態において、レンズコンポーネントはレンズの光学部分とすることができる。これらの実施形態において、可溶性コアコンポーネントが溶媒により溶解すると、光学部分チャンバが光学部分の中に形成され得る。さらに、レンズコンポーネントはまた、レンズの光学部分の一部とすることもできる。可溶性コアコンポーネントが溶媒により溶解すると、光学部分チャンバの少なくとも一部が形成され得る。
【0062】
システムは、組立体金型を形成する前に、第一の成形表面又は第二の成形表面の何れかに沿って画定されるプラグキャビティ内に設置されるように構成された可溶性プラグをさらに含むことができる。可溶性プラグは、第二の金型コンポーネントが第一の金型コンポーネントと嵌合させられると、プラグキャビティを占有するように構成できる。レンズコンポーネント材料、可溶性コアコンポーネント、及び可溶性プラグを含む組立体金型は、まとめて硬化させることができる。
【0063】
硬化ステップの後、第二の金型コンポーネントは第一の金型コンポーネントから分離できる。成形済みレンズコンポーネント、可溶性プラグ、及び可溶性材料で製作された金型コンポーネントは、溶媒中に浸漬できる。可溶性コアコンポーネント、可溶性プラグ、及び可溶性材料で製作される金型コンポーネントは、溶媒中に浸漬されると溶解するように構成できる。可溶性プラグは、成形済みレンズコンポーネントの周辺部に沿ったフラッシュを防止するように構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1A】可溶性コア及び金型を使って製作できるコンポーネントを含む調節眼内レンズのある実施形態の上面図を示す。
図1B-1C】調節眼内レンズの断面図を示す。
図1D】可溶性コア及び金型を使って製作できるコンポーネントを含む調節眼内レンズのある実施形態の分解図を示す。
図2A】第一のコンポーネントキャビティ部分により画定される第一の成形表面を含む第一の金型コンポーネントのある実施形態を示す。
図2B】第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含む第二の金型コンポーネントのある実施形態を示す。
図2C】第一の金型コンポーネントを第二の金型コンポーネントに固定するためのクランプ部材のある実施形態を示す。
図2D】第一の金型コンポーネントの第一の成形表面上に設置された可溶性コアコンポーネントのある実施形態を示す。
図2E】第二の金型コンポーネントと嵌合させられた第一の金型コンポーネントを含む組立体金型を示す。
図3A】可溶性コアコンポーネントのある実施形態の斜視図を示す。
図3B】可溶性コアコンポーネントの他の実施形態の斜視図を示す。
図4A-4D】可溶性コアコンポーネントのある実施形態の断面図を示す。
図5A図4Aの可溶性コアコンポーネントを使って製作されるハプティックのある実施形態の断面図を示す。
図5B図4Bの可溶性コアコンポーネントを使って製作されるハプティックのある実施形態の断面図を示す。
図6】本願で開示される可溶性コア及び金型を使って製作される、内部キャビティパターンを含むハプティックのある実施形態の上面図を示す。
図7】レンズコンポーネントを製造するシステムのある実施形態を示す。
図8】フラッシュを防止するための可溶性プラグを含む組立体金型のある実施形態の断面図を示す。
図9A】調節眼内レンズの光学部分のある実施形態を示す。
図9B図9Aの光学部分を製作するための、金型コンポーネント及び可溶性コアコンポーネントの実施形態の分解断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本願では、可溶性コア及び金型を用いてIOL又はAIOLのコンポーネントを形成する装置、システム、及び方法を開示する。例えば、図1A~1Dは、本明細書に記載の方法により可溶性コア及び金型を使って形成されたレンズコンポーネント(例えば、ハプティック又は光学部分)から製作できるAIOLの実施形態を示す。
【0066】
図1Aは、可溶性コア及び金型を使って製作できるレンズコンポーネントを含む調節眼内レンズ(AIOL)100のある実施形態の上面図を示す。AIOL 100は、デフォーカス収差、角膜乱視、球面収差の又はそれらの組合せを補正するために対象内に移植できる。AIOL 100は、光学部分102と、この実施形態では光学部分102に連結されて周辺に沿って延びる第一のハプティック104A及び第二のハプティック104Bを含む1つ又は複数のハプティック104を含む周辺部分103と、を含むことができる。AIOL 100は、生来の水晶体が取り出された生来の水晶体嚢の中に位置付けられるように構成される。
【0067】
生来の水晶体嚢の中に移植されると、光学部分102は眼の網膜へと入る光を屈折させるようになすことができる。周辺部分103(例えば、1つ又は複数のハプティック104)は、水晶体嚢と係合するように構成でき、水晶体嚢の変形に関連して毛様体筋の運動(例えば、筋弛緩、筋収縮、又はこれらの組合せ)に応答して変形するようになされる。周辺部分103(例えば、1つ又は複数のハプティック104)と水晶体嚢との係合について、以下の項でより詳しく説明する。
【0068】
図1B及び1Cは、図1Aの横断面A-Aに沿って得られたAIOL 100の断面図を示す。図1B及び1Cに示されるように、光学部分102は前方要素106と後方要素108を含むことができる。流体充填光学部分流体チャンバ110は、前方要素106と後方要素108との間に画定できる。
【0069】
前方要素106は、前方光学面112と、前方光学面112と反対の前方内面114を含むことができる。後方要素108は、後方光学面116と、後方光学面116と反対の後方内面118を含むことができる。前方光学面112、後方光学面116、又はこれらの組合せの何れかは、光学外面と考え、そのように呼ぶことができる。前方内面114と後方内面118は、光学部分流体チャンバ110と対向することができる。前方内面114の少なくとも地位部と後方内面118の少なくとも一部は、光学部分流体チャンバ110のチャンバ壁の役割を果たすことができる。
【0070】
1つ又は複数のハプティック104の各々は、ハプティック104内にハプティック流体チャンバ120を含むことができる。例えば、第一のハプティック104Aは、第一のハプティック104A内に第一のハプティック流体チャンバ120Aを含むことができ、第二のハプティック104Bは、第二のハプティック104B内に第二のハプティック流体チャンバ120Bを含むことができる。ハプティック流体チャンバ120(例えば、第一のハプティック流体チャンバ120A、第二のハプティック流体チャンバ120B、又はそれらの組合せの何れか)は、光学部分流体チャンバ110と流体連通可能又はそれに流体接続可能である。
【0071】
光学部分流体チャンバ110は、流体チャネルペア122を通じて1つ又は複数のハプティック流体チャンバ120と流体連通できる(図1A参照)。流体チャネル122は、光学部分流体チャンバ110をハプティック流体チャンバ120に流体接続するコンジット又は通路とする子とができる。流体チャネルペア122は、相互に離間させることができる。例えば、流体チャネルペア122は、約0.1mm~約1.0mmだけ離間させることができる。幾つかの実施形態において、流体チャネルペア122の各々の直径は、約0.4mm~約0.6mmである。
【0072】
幾つかの実施形態において、流体チャネルペア122は、光学部分102の一部を通じて画定され、延びることができる。より具体的には、流体チャネルペア122は、後方要素108を通じて画定され、延びることができる。
【0073】
図1Aは、周辺部分103の1つ又は複数のハプティック104はハプティック-光学部分境界124において光学部分102に連結できることを示している。例えば、1つ又は複数のハプティック104は、光学部分102に沿った補強部分126(図1D参照)で光学部分に連結できる。補強部分126は、ハプティック-光学部分境界124の一部とすることができる。流体チャネルペア122は、補強部分126の一部の中に画定又は形成できる。
【0074】
光学部分流体チャンバ110は、第一の流体チャネルペア122Aを通じて第一のハプティック流体チャンバ120Aと流体連通できる。光学部分流体チャンバ110はまた、第二の流体チャネルペア122Bを通じて第二のハプティック流体チャンバ120Bと流体連通できる。
【0075】
第一の流体チャネルペア122Aの2つの流体チャネルは、相互に離間させることができる。第一の流体チャネルペア122Aの2つの流体チャネルは、約0.1mm~約1.0mmたけ相互に離間させることができる。第二の流体チャネルペア122Bの2つの流体チャネルは、相互に離間させることができる。第二の流体チャネルペア122Bの2つの流体チャネルは、約0.1mm~約1.0mmたけ相互に離間させることができる。
【0076】
幾つかの実施形態において、第一の流体チャネルペア122Aと第二の流体チャネルペア122Bは、光学部分102の実質的に相互に反対側に位置付けることができる。第一の流体チャネルペア122Aは、第二の流体チャネルペア122Bの実質的に正反対に位置付けることができる。
【0077】
第一の流体チャネルペア122A及び第二の流体チャネルペア122Bは、光学部分102の一部を通じて画定され、又は延びることができる。第一の流体チャネルペア122Aと第二の流体チャネルペア122Bは、後方要素108を通じて画定され、又は延びることができる。
【0078】
1つのチャネルではなく2つの流体チャネル122を有する設計は、組立中に寸法安定性を保持するのに役立ち、これは柔軟で薄いコンポーネントを組み立てる際に重要であり得る。追加的に、実験を通じて、2つの流体チャネル122を有する設計によって、特定の1チャネル設計より、調節範囲全体を通じてよりよい光学品質を提供することが観察された。2つの流体チャネル設計はより剛直性が高いため、流体チャネル内の圧力変化によるたわみが減少する。
【0079】
図1Dに示されるように、光学部分102は、光学部分102の実質的に反対側に、又は相互に実質的に正反対にある第一の補強部分126Aと第二の補強部分126Bを含むことができる。第一の流体チャネルペア122Aは、第一の補強部分126A内に画定又は形成できる。第二の流体チャネルペア122Bは、第二の補強部分126B内に画定又は形成できる。
【0080】
流体チャネルペア122(例えば、第一の流体チャネルペア122A又は第二の流体チャネルペア122Bの何れか)は、流体チャネル122の一端に配置された内側開口ペア128及び流体チャネル122のもう一端に配置された他の外側開口ペア130を有することができる。内側開口ペア128は、後方要素108の一部に画定又は形成できる。図1B~1Dに示されるように、内側開口128は、後方要素108の上昇内面132の一部に画定又は形成できる。幾つかの実施形態において、上昇内面132は傾斜又は面取り面とすることができる。
【0081】
外側開口ペア130は、後方要素108の突出外面134の一部に画定又は形成できる。突出外面134は、補強部分126の一部とすることができる。突出外面134はまた、ハプティック-光学部分境界124の一部とすることができる。
【0082】
例えば、図1Dは、第一の流体チャネルペア122Aの一端に配置され、後方要素108の上昇内面132に沿って画定される1つの内側開口ペア128を示している。図1Dはまた、第二のチャネルペア122Bの端として機能し、後方要素108の突出外面134に沿って画定される1つの外側開口ペア130も示している。第一の流体チャネルペア122Bの外側開口ペア130と第二の流体チャネルペア122Bの内側開口ペア128は、図1Dでは不明瞭である。
【0083】
内側開口ペア128の2つの開口は、相互に約0.1mm~約1.0mmだけ離間させることができる。外側開口ペア130の2つの開口は、相互に約0.1mm~約1.0mmだけ離間させることができる。第一の流体チャネルペア122Aの内側開口ペア128は、第二の流体チャネル122Bのペアの内側開口ペア128から上昇内面132の正反対に、又は反対側に位置付けることができる。
【0084】
図1Dはまた、ハプティック104の各々(例えば、第一のハプティック104A又は第二のハプティック104B)が光学部分取付端136及び閉鎖自由端138を有することができることも示している。ハプティック流体ポート140は、ハプティック104の光学部分取付端136に画定できる。ハプティック流体ポート140は、ハプティック流体チャンバ120のチャンバ口の役割を果たすことができる。ハプティック流体チャンバ120内の流体は、ハプティック104が光学部分102に連結されたときに、ハプティック流体チャンバ120から出てハプティック流体ポート140を通り、流体チャネルペア122を介して光学部分流体チャンバ110の中へと流れることができる。同様に、光学部分流体チャンバ110内の流体は、光学部分流体チャンバ110から出て流体チャネルペア122を通り、ハプティック流体ポート140を通じてハプティック流体チャンバ120へと流れることができる。
【0085】
図1A及び1Dに示されるように、ハプティック104は補強部分126において光学部分102に連結できる。例えば、第一のハプティック104Aは、第一の補強部分126Aにおいて光学部分102に連結し、又は取り付けることができ、第二のハプティック104Bは、第二の補強部分126Bにおいて光学部分102に連結し、又は取り付けることができる。
【0086】
より具体的には、ハプティック取付端136は、後方要素108の突出外面134に連結できる。突出外面134はまた、「着床部」又は「ハプティック取付着床部」とも呼ぶことができる。突出外面134は、光学部分102の外周面142から半径方向に外側に延びることができる。例えば、突出外面134は、光学部分102の後方要素108の外周面142から半径方向に外側に延びることができる。突出外面134は、外周面142から半径方向に外側に、約10マイクロメートル~1.0mm又は約10マイクロメートル~500マイクロメートルだけ延びることができる。
【0087】
ハプティック取付端136は実質的の平坦な表面を有して、突出外面134の実質的に平坦な表面に接着又はそれ以外の方法で連結できる。ハプティック取付端136が突出外面134に連結されると、ハプティック流体ポート140は流体チャネル122の外面130を取り囲むことができる。ハプティック104は、生体適合接着剤148によって光学部分102に連結又は接着できる。幾つかの実施形態において、接着剤148は、前方要素106を後方要素108に連結又は接着するために使用されるものと同じ接着剤とすることができる。接着剤148については、以下の項でより詳しく論じる。
【0088】
ハプティック104の各々はまた、AIOL 100が患者の水晶体嚢の中に移植された時に、水晶体嚢の内面と対向し、接触するように構成された半径方向に外側の部分144も含むことができる。ハプティック104の各々はまた、光学部分102の外周面142と対向するように構成された半径方向に内側の部分146も含むことができる。水晶体嚢とハプティック104の半径方向に外側の部分144との係合については、以下の項でより詳しく論じる。
【0089】
光学部分102は、ベースパワー又はベース球面屈折力を有することができる。光学部分102のベースパワーは、流体充填光学部分流体チャンバ110内の内部流体圧力に基づいて変化するように構成できる。光学部分102のベースパワーは、流体が流体充填光学部分流体チャンバ110に入る、又はそこから出る際に増大又は減少するように構成できる。
【0090】
光学部分102のベースパワーは、図1Bに示されるように、流体がハプティック流体チャンバ120から流体充填光学部分流体チャンバ110に入るときに増大するように構成できる。光学部分102のベースパワーは、図1Cに示されるように、流体が流体充填光学部分流体チャンバ110から出るか、引き出されてハプティック流体チャンバ120の中に入るときに減少するように構成できる。
【0091】
図1Bは、ハプティック流体チャンバ120から光学部分流体チャンバ110に入る流体を曲がった破線の矢印を使って示しているが、流体は流体チャネル122を介して(内側開口128及び外側開口130を通じるものを含む)及びハプティック流体ポート140を介して光学部分流体チャンバ110に入ることに留意すべきである。また、図1Cは、光学部分流体チャンバ110を出てハプティック流体チャンバ120に入る流体を曲がった破線の矢印を使って示しているが、流体は流体チャネル122(内側開口128及び外側開口130を通じるものを含む)及びハプティック流体ポート140を介して光学部分流体チャンバ110を出ることにも留意すべきである。
【0092】
光学部分102は、一部に、変形可能又は柔軟材料で製作できる。幾つかの実施形態において、光学部分102は、一部に、変形可能又は柔軟ポリマ材料で製作できる。例えば、前方要素106、後方要素108、又はそれらの組合せは、一部に、変形可能又は柔軟ポリマ材料で製作できる。1つ又は複数のハプティック104(例えば、第一のハプティック104A、第二のハプティック104B、又はそれらの組合せ)は、一部に、光学部分102と同じ変形可能又は柔軟材料で製作できる。他の実施形態において、1つ又は複数のハプティック104は、一部に、光学部分102とは異なる材料で製作できる。
【0093】
幾つかの実施形態において、光学部分102は、一部に、レンズ本体材料を含み、又はそれにより製作できる。レンズ本体部分は、一部に、コポリマブレンドを含む架橋コポリマで製作できる。コポリマブレンドは、アルキルアクリレート又はメタクリレート、フルオロアルキル(メタ)クリレート、及びフェニル-アルキルアクリレートを含むことができる。これらの種類のアクリル架橋コポリマは一般に複数のアクリレート、メタクリレート、又はそれらの組合せのコポリマとすることができることが本開示により想定され、当業者によりそのように理解されるはずであり、「アクリレート」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、特に別段の明記がなされていないかぎり、互換可能なアクリレート、メタクリレート、又はそれらの組合せを意味すると理解できる。レンズ本体材料を作るために使用される架橋コポリマは、アルキルアクリレートを約3%~20%(wt%)の量、フルオロアルキルアクリレートを約10%~35%(wt%)の量、及びフェニル-アルキルアクリレートを約50%~80%(wt%)の量で含むことができる。幾つかの実施形態において、架橋コポリマは、一部に、アルキルアクリレートとしてn-ブチルアクリレート、フルオロ-アルキルアクリレートとしてトリフルオロエチルメタクリレート、及びフェニル-アルキルアクリレートとしてフェニルエチルアクリレートを含む、又はそれから製作できる。より具体的には、レンズ本体材料を作るために使用される架橋コポリマは、n-ブチルアクリレートを約3%~20%(wt%)(例えば、約12%~16%)の量、トリフルオロエチルメタクリレートを約10%~35%(wt%)(例えば、約17%~21%)の量、及びフェニルエチルアクリレートを約50%~80%(wt%)(例えば、約64%~67%)の量で含むことができる。
【0094】
レンズ本体材料を作るために使用される架橋コポリマの最終組成物はまた、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)等のクロスリンカ、すなわち架橋剤も含むことができる。例えば、レンズ本体材料を作るために使用される架橋コポリマの最終組成物はまた、クロスリンカ、すなわち架橋剤(例えば、EGDMA)も約1.0%の量で含むことができる。レンズ本体材料を作るために使用される架橋コポリマの最終組成物はまた、イニシエータ、すなわち開始剤(例えば、パーカドックス16)及びUV吸収剤も含むことができる。
【0095】
ハプティック104は、一部に、ハプティック材料を含む、又はそれで製作できる。ハプティック材料は、一部に、コポリマブレンドを含む架橋コポリマを含む、又はそれで製作できる。コポリマブレンドは、アルキルアクリレート、フルオロアルキルアクリレート、及びフェニル-アルキルアクリレートを含むことができる。例えば、ハプティック材料を作るために使用される架橋コポリマは、アルキルアクリレートを約10%~25%(wt%)の量、フルオロアルキルアクリレートを約10%~35%(wt%)の量、及びフェニル-アルキルアクリレートを約50%~80%(wt%)の量で含むことができる。幾つかの実施形態において、ハプティック材料を作るために使用される架橋コポリマは、n-ブチルアクリレートを約10%~25%(wt%)(例えば、約19%~23%)の量、トリフルオロエチルメタクリレートを約10%~35%(wt%)(例えば、約14%~18%)の量、及びフェニルエチルアクリレートを約50%~80%(wt%)(例えば、約58%~62%)の量で含むことができる。ハプティック材料を作るために使用される架橋コポリマの最終組成物はまた、クロスリンカ、すなわち架橋剤、例えばEGDMAも約1.0%の量で含むことができる。ハプティック材料を作るために使用される架橋コポリマの最終組成物はまた、複数のフォトイニシエータ、すなわち光重合開始剤(例えば、カンファーキノン、1-フェニル-1,2-プロパンジオン、及び2-エチルヘキシル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾ等)も含むことができる。
【0096】
幾つかの実施形態において、レンズ本体材料の屈折率は約1.48~約1.53とすることができる。特定の実施形態において、レンズ本体材料の屈折率は約1.50~約1.53(例えば、約1.5178)とすることができる。
【0097】
光学部分102は、流体が光学部分流体チャンバ110に入り、又はそこから出ることに応答して、変形し、たわみ、又はそれ以外の方法で形状を変化させるように構成できる(図1B及び1C参照)。光学部分102は、前述の光学部分102の材料組成物(例えば、ポリマ組成物)の結果として変形し、たわみ、又はそれ以外の方法で形状を変化させるように構成できる。ハプティック104はまた、AIOL100が患者の眼内に移植されるときに、患者の水晶体嚢との相互作用又は係合に応答して変形し、又はそれ以外の方法で形状変化させるように構成できる。ハプティック104は、ハプティック104の材料組成物の結果として変形し、又はそれ以外の方法で形状を変化させるように構成できる。
【0098】
幾つかの実施形態において、前方要素106は、流体が光学部分流体チャンバ110に入り、又はそこから出ることに応答して、変形し、たわみ、又はそれ以外の形状を変化させるように構成できる。他の実施形態において、後方要素108は、流体が光学部分流体チャンバ110に入り、又はそこから出ることに応答して、変形し、たわみ、又はそれ以外の方法で形状を変化させる(例えば、その曲率を変化させる)ように構成できる。別の実施形態において、前方要素106と後方要素108の両方を、流体が光学部分流体チャンバ110に入り、又はそこから出ることに応答して変形し、たわみ、又はそれ以外の方法でそれらの形状を変化させるように構成できる。
【0099】
幾つかの実施形態において、光学部分流体チャンバ110、ハプティック流体チャンバ120、又はそれらの組合せ内の流体は油とすることができる。より具体的には、特定の実施形態において、光学部分流体チャンバ110、ハプティック流体チャンバ120、又はそれらの組合せ内の流体はシリコーンオイル又は流体とすることができる。流体は、ハプティック104、光学部分102のコンポーネント(例えば、前方要素106、後方要素108、又はそれらの組合せ)、又はこれらの組合せの変形、たわみ、又は形状変化に応答して、光学部分流体チャンバ110とハプティック流体チャンバ120との間を流れることができる。
【0100】
光学部分流体チャンバ110、ハプティック流体チャンバ120、又はそれらの組合せ内の流体は、一部に、ジフェニルシロキサンを含む、又はそれから作られるシリコーンオイル又は流体とすることができる。他の実施形態において、シリコーン又は流体は、一部に、ジメチルシロキサン2単位対ジフェニルシロキサン1単位の比を含む、又はそれから作ることができる。より具体的には、幾つかの実施形態において、シリコーンオイル又は流体はジフェニルテトラメチルシクロトリシロキサンとすることができる。追加的な実施形態において、シリコーンオイル又は流体は、一部に、ジフェニルシロキサンとジメチルシロキサンコポリマを含むか、それから作ることができる。
【0101】
流体(例えば、シリコーンオイル)は、光学部分102を製作するために使用されるレンズ本体材料と一致する屈折率を有することができる。流体がレンズ本体材料と一致する屈折率を有する場合、その流体を含む光学部分102の全体が1枚のレンズとして機能する。例えば、流体は、約1.48~1.53(又は、約1.50~1.53)の屈折率を有するように選択できる。幾つかの実施形態において、流体(例えば、シリコーンオイル)は約1.2~1.3の多分散性指数を有することができる。他の実施形態において、流体(例えば、シリコーンオイル)は約1.3~1.5の多分散性指数を有することができる。他の実施形態において、流体(例えば、シリコーンオイル)は約1.1~1.2の多分散性指数を有することができる。他の流体例は米国特許出願公開第2018/0153682号明細書に記載されており、同出願の全文が参照によって本願に組み込まれる。
【0102】
光学部分102のベースパワーは、光学部分102の形状変化コンポーネント(例えば、前方要素106、後方要素108、又はそれらの組合せ)の形状変化に応答して変化するように構成できる。光学部分102は、AIOL 100が患者の眼の水晶体嚢に移植され、AIOL 100が毛様筋に関係する水晶体嚢の変形に応答して変形又は形状変化したときに患者に生じる生理学的筋肉運動(例えば、毛様筋運動)に応答して形状を変化させるように構成できる。
【0103】
AIOL 100は、患者の生来の水晶体を水晶体嚢から取り出した後にその水晶体嚢に移植又は導入できる。患者の水晶体嚢は、患者の毛様筋につながるチン小帯につながっている。水晶体嚢は弾性を有し、毛様筋運動によりチン小帯を介して水晶体嚢を変形させ得る。例えば、毛様筋が弛緩すると、チン小帯は伸張する。この伸張により、半径方向に外向きの力によって水晶体嚢は概して半径方向に外側に引っ張られる。水晶体嚢がこのように引っ張られることにより、水晶体嚢は長くなり、水晶体嚢内に空間ができる。患者の生来の水晶体が水晶体嚢内にあるときには、生来の水晶体は通常、扁平化し(前-後方向)、それによって水晶体の屈折力が低くなり、遠方視が可能となる。この状態では、患者の生来の水晶体は、無調節状態にある、又は無調節であると言われる。
【0104】
しかしながら、眼が近くにある物体に焦点を合わせようとする時に起こるように毛様筋が収縮すると、筋肉の半径方向に内側の部分は半径方向に内側に移動して、チン小帯は弛緩する。チン小帯の弛緩により、弾性水晶体は収縮し、水晶体内の水晶体に半径方向に内側の力を加える。患者の生来の水晶体が水晶体嚢内にあるとき、生来の水晶体は通常、より湾曲し(例えば、水晶体の前方部分がより湾曲する)、それによって水晶体はより高い屈折力を有し、眼は近くの物体に焦点を合わせることができる。この状態では、患者の生来の水晶体は調節状態にある、又は調整していると言われる。
【0105】
したがって、水晶体嚢内に移植されるAIOLの何れもまた、毛様筋が収縮したときにはAIOLのベースパワーを増大させ、毛様筋が弛緩したときにはAIOLのベースパワーを低下させることができるようにする機構を有するべきである。
【0106】
この場合、AIOL 100が患者の生来の水晶体嚢の中に移植され、又はそれ以外の方法で導入されると、AIOL 100のハプティック104の半径方向に外側の部分144は、水晶体嚢の、毛様小帯すなわちチン小帯につながる部分と直接係合するか、物理的に接触することができる。したがって、ハプティック104の半径方向に外側の部分144は、毛様筋運動の結果としてチン小帯が弛緩し、伸張するときに半径方向に加えられる水晶体嚢変形力に反応するように構成できる。
【0107】
毛様筋が収縮すると、弾性水晶体嚢の周辺領域が変形し、半径方向に内向きの力をハプティック104の半径方向の外側の部分144に加える(例えば、弾性水晶体嚢は半径方向に内向きの力を第一のハプティック104Aの半径方向に外側の部分144及び第二のハプティック104Bの半径方向に外側の部分144に加える)。すると、ハプティック104の半径方向に外側の部分144は変形し、又はそれ以外の方法で形状を変化させ、この変形又は形状変化によってハプティック流体チャンバ120の容積が減少する。ハプティック流体チャンバ120の容積が減少すると、ハプティック流体チャンバ120内の流体が光学部分102内の光学部分流体チャンバ110の中へ移動させられ、又は押し込まれる。前述のように、流体はハプティック流体チャンバ120から光学部分流体チャンバ110へと、光学部分102の中に形成される流体チャネル122(例えば、流体チャネルペア122)を通じて移動する。
【0108】
光学部分102(前方要素106、後方要素108、又はそれらの組合せの何れか)は、流体がハプティック流体チャンバ120から光学部分流体チャンバ110に入ることに応答して形状を変化させる(その曲率を増大させる)ことができる。これはAIOL 100のベースパワー又はベース球面屈折力を増大させ、それによってその眼内にAIOL 100が移植されている患者は近くにある物体に焦点を合わせることができる。AIOL 100はまた、調節状態にある、又は調節を行ったと考えることもできる。
【0109】
毛様筋が弛緩すると、弾性水晶体嚢の周辺領域は半径方向に外向きに伸張し、水晶体嚢は長くなり、水晶体嚢内により大きな空間が作られる。ハプティック104の半径方向に外側の部分144は、この水晶体嚢の変形に対して、その変形していない、又は応力を受けていない状態に戻ることによって反応するように構成できる。これによって、ハプティック流体チャンバ120の容積が増大するか、その変形していない容積に戻る。ハプティック流体チャンバ120の容積のこのような増大により、光学部分流体チャンバ110内の流体は光学部分流体チャンバ110から引き出されるか、それ以外の方法で流出し、ハプティック流体チャンバ120内に戻る。前述のように、流体は光学部分流体チャンバ110から出て、光学部分102の中に形成されるものと同じ流体チャネル122(例えば、流体チャネルペア122)を通じてハプティック流体チャンバ120へと移動する。
【0110】
前述のように、光学部分102(前方要素106、後方要素108、又はそれらの組合せの何れか)は、流体が光学部分流体チャンバ110から出てハプティック流体チャンバ120に入ることに応答して形状を変化させる(その曲率を減少させるか、より平坦になる)ことができる。これによりAIOL 100のベースパワー又はベース球面屈折力が低下し、それによってその眼内にAIOL 100が移植された患者は遠くにある物体に焦点を合わせ、又は遠方視を得ることができる。AIOL 100はまた、無調整状態である、又は無調整であると考えることもできる。
【0111】
図 1B及び1Cに示されるように、ハプティック104の半径方向に内側の部分146は、(半径方向に外側の部分144に関して)より厚く、又はよりかさ高に設計して、ハプティック104に前-後方向における剛体性又は弾力性を提供することができる。このようにして、水晶体嚢の力がハプティック104に前-後方向に加えられたとき、力が半径方向に加えられた場合より小さい変形が起こり、ハプティック流体チャンバ120と光学部分流体チャンバ110との間により少ない流体移動が起こる。生じる流体運動がより小さいため、力がAIOL 100に前-後方向に加えられた場合に発生するAIOL 100のベースパワーの変化は小さい。それゆえ、ハプティック104及び光学部分102の設計及び材料特性により、AIOL 100は毛様筋運動により生じる水晶体嚢変形によってハプティック104に加えられる半径方向の力に対する高い感度を維持できる。
【0112】
前方要素106は、接着剤148又は接着層によって後方要素108に取り付けるか、それ以外の方法で接着することができる。それに加えて、ハプティック104はまた、光学部分102に接着剤148により取り付けることもできる。
【0113】
接着層は実質的に環状の形状とすることができる。接着剤148又は接着層は、前方要素106と後方要素108との間の、光学部分102の周辺縁150(図1D参照)に位置付けることができる。例えば、接着剤148は、後方要素108の上昇内面132の上に位置付けることができる。
【0114】
接着剤148又は接着層は、一部に、生体適合接着剤を含み、又はそれから作ることができる。接着剤148又は接着層は、一部に、生体適合ポリマ接着剤を含み、又はそれから作ることができる。
【0115】
接着剤148又は接着層は、一部に、架橋性ポリマ前駆体製剤を含み、又はそれから作ることができる。架橋性ポリマ前駆体製剤は、一部に、コポリマブレンド、ヒドロキシル官能基アクリルモノマ、及び光重合開始剤を含み、又はそれから作ることができる。
【0116】
コポリマブレンドは、アルキルアクリレート(例えば、n-ブチルアクリレートを約41%~約45%(wt%)の量)、フルオロ-アルキルアクリレート(例えば、トリフルオロエチルメタクリレートを約20%~約24%(wt%)の量)、及びフェニル-アルキルアクリレート(フェニルエチルアクリレートを約28%~約32%(wt%)の量)を含むことができる。ヒドロキシル官能基アクリルモノマは、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)とすることができる。光重合開始剤は、接着剤の硬化を容易にするために使用できる。例えば、光重合開始剤は、Darocur 4265(ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキシドと2-ヒドロキシ2-メチルプロピオフェノンの50/50ブレンド)とすることができる。
【0117】
接着剤製造の第一のステップは、架橋性ポリマ前駆体製剤を光重合して、硬化組成物を得ることによるヒドロキシル官能基ポリマ前駆体の調製である。第二のステップは、前駆体ポリマペンダントヒドロキシル部分、又はヒトロキシルペンダント基を、無水メタクリル酸又は塩化メタクリル酸と反応させることによってペンダントメタクリレート官能基に化学的に変換し、それによってアルキルアクリレート又はメタクリレート(例えば、n-ブチルアクリレート)フルオロ-アルキル(メタ)クリレート(例えば、トリフルオロエチルメタクリレート)、フェニル-アルキルアクリレート(フェニルエチルアクリレート)、及び2-(2-メチル-アクリロイルオキシ)エチルアクリレートを含むメタクリレート官能又はメタクリル官能架橋性ポリマを形成することである。
【0118】
メタクリル官能基架橋性ポリマは、1-アダマンチルメタクリレート(ADMA)等の反応性アクリルモノマ希釈液及び同じ光重合開始剤(例えば、Darocur 4265)とブレンドすることができる。例えば、接着剤148の最終組成物は、架橋性ポリマ前駆体製剤を約50%~約85%(wt%)(例えば、約61%~約65%)の量、反応性アクリルモノマ希釈液を約10%~約40%(wt%)(32%~約36%)の量、及び光重合開始剤(例えば、Darocur 4265)を約2%~約3%(wt%)の量で含むことができる。
【0119】
接着剤148又は接着層は、前方要素106を後方要素108に結合、接着、又はそれ以外の方法で接合することができる。以下の項でより詳しく論じるように、接着層の厚さは移植後に調整して、AIOL 100のベースパワーを調整できる。
【0120】
幾つかの実施形態において、前方要素106を後方要素108に結合するために使用されたものと同じ接着剤148は、周辺部分103(例えば、1つ又は複数のハプティック104)を光学部分102に結合又は固定するためにも使用できる。
【0121】
図2Aは、第一のコンポーネントキャビティ部分204により画定される第一の成形表面202を含む第一の金型コンポーネント200のある実施形態を示す。第一のコンポーネントキャビティ部分204は、第一の成形表面202に沿って画定されるくぼみ又は凹部とすることができる。第一のコンポーネントキャビティ部分204は、可溶性コアコンポーネント236の一部を収容するような形状、大きさ、それ以外の構成とすることができる(図2D及び3A~3B参照)。幾つかの実施形態において、第一の金型コンポーネント200はまた、ウェハモールドと呼ぶこともできる。
【0122】
幾つかの実施形態において、第一のコンポーネントキャビティ部分204は、第一の位置決めキャビティ部分206に接続し、又はそれと連続させることができる。例えば、第一のコンポーネントキャビティ部分204は第一の位置決めキャビティ部分206と流体連通できる。他の実施形態において、第一のコンポーネントキャビティ部分204は、第一の位置決めキャビティ部分206に近接して位置付けることができる。例えば、第一のコンポーネントキャビティ部分204は、第一の位置決めキャビティ部分206の付近にあるが、第一の位置決めキャビティ部分206に直接接続されないようにすることができる。
【0123】
第一のコンポーネントキャビティ部分204は、可溶性コアコンポーネント236のコア本体238(図2D及び3A~3B参照)の少なくとも一部を収容するような形状、大きさ、又はそれ以外の構成とすることができる。例えば、第一のコンポーネントキャビティ部分204は、可溶性コアコンポーネント236のコア本体238の後方半分を収容するような形状、大きさ、又はそれ以外の構成とすることができる。
【0124】
第一の位置決めキャビティ部分206は、可溶性コアコンポーネント236の位置決め部品240(図2D及び3A~3B参照)を収容するような形状、大きさ、又はそれ以外の構成とすることができる。例えば、第一の位置決めキャビティ部分206は、可溶性コアコンポーネント236の位置決め部品240の前方半分を収容するような形状、大きさ、又はそれ以外の構成とすることができる。
【0125】
図2A及び2Dは、1つの第一の位置決めキャビティ206を含む第一の金型コンポーネント200を示しているが、本開示では、第一の金型コンポーネント200は複数の位置決め部品240を収容するための複数の第一の位置決めキャビティ部分206を含むことができると想定される。
【0126】
幾つかの実施形態において、第一のコンポーネントキャビティ部分204は第一のキャビティ遠位端208で終了することができる。第一のキャビティ遠位端208は、第一の位置決めキャビティ部分206から離れて位置付けることができる。第一のキャビティ遠位端208は、第一の位置決めキャビティ部分206より第一の金型コンポーネント壁212に近付けて位置付けることができる。これらの実施形態において、第一のキャビティ遠位端208は、第一の金型コンポーネント壁212と接触しない。
【0127】
特定の実施形態において、第一のキャビティ遠位端208は丸く、又は湾曲させることができる。例えば、第一のキャビティ遠位端208は実質的に、卵型又は楕円体の一部の形状とすることができる。第一のキャビティ遠位端208は、実質的に球の一部の形状とすることができる。
【0128】
図2Aに示されていないが、本開示により想定される他の実施形態では、第一のコンポーネントキャビティ部分204は、閉鎖遠位端で終わるのではなく、他の位置決めキャビティ部分に接続できる。これらの実施形態において、第一のコンポーネントキャビティ部分204は2つの位置決めキャビティ部分間に配置できる。
【0129】
図2Aに示されるように、第一の金型コンポーネント200はまた、第一の成形表面202に沿って画定される複数の脚部キャビティ210も含むことができる。脚部キャビティ210は、相補的金型コンポーネント(例えば、第二の金型コンポーネント218、図2B参照)から延びる脚部又はその他の支持構造を収容するように構成されたディボット又はくぼみとすることができる。
【0130】
脚部キャビティ210は、第一のコンポーネントキャビティ部分204を取り囲むか、その半径方向に外側に位置付けることができる。脚部キャビティ210は、相補的金型コンポーネント(例えば、第二の金型コンポーネント218)を第一の金型コンポーネント200と位置合わせすることができるような特定のパターンで配置し、又は特定の方法で位置付けることができる。例えば、脚部キャビティ210は、第一のコンポーネントキャビティ部分204を、第二の金型コンポーネント上の第二のコンポーネントキャビティ部分222(例えば、図2B参照)とマッチさせ、又はそれ以外の方法で整合させることができるような特定パターンで配置し、又は特定の方法で整列させることができる。第一のコンポーネントキャビティ部分204は、第二の金型コンポーネント218の脚部又はその他の支持構造が第一の金型コンポーネント200の脚部キャビティ210の中に挿入され、又は設置された時に、第二のコンポーネントキャビティ部分222と適正に整合できる。
【0131】
図2Aに示される例示的実施形態において、脚部キャビティ210は実質的に三角形のパターンで配置できる。図示されていないが、本開示で想定される他の実施形態では、脚部キャビティ210は円形パターン、ダイヤモンド、若しくはひし形パターン、正方形パターン、又は他の多角形パターンで配置できる。
【0132】
第一の成形表面202は、第一の金型コンポーネント壁212に関して沈下又は陥没させることができる。沈下又は陥没した第一の成形表面202により、第一の金型コンポーネント200の中に貯蔵スペース214を作ることができる。貯蔵スペース214は、金型全体を組み立てたときに、レンズコンポーネント材料を受けることができる。
【0133】
図2Aに示されるように、1つの実施形態において、第一の金型コンポーネント200は、円形のキャップ又は円形の金型部分として構成できる。この実施形態では、第一の金型コンポーネント壁212は実質的に、円柱の側面の形状とすることができる。さらに、第一の成形表面202はまた、実質的に円形とすることもできる。
【0134】
他の実施形態において、第一の金型コンポーネント200は、長方形のキャップ又は長方形の金型部分として構成できる。これらの実施形態において、第一の金型コンポーネント壁212は、実質的に直方体の側面の形状とすることができる。さらに、第一の成形表面202はまた、実質的に長方形とすることができる。
【0135】
別の実施形態において、第一の成形表面202及び第一の金型コンポーネント壁212を含む第一の金型コンポーネント200は、楕円形又は楕円体形状とすることができる。追加的な実施形態において、第一の成形表面202及び第一の金型コンポーネント壁212を含む第一の金型コンポーネント200は三角形又は他の種類の多角形の形状とすることができる。
【0136】
第一の金型コンポーネント200はまた、第一の金型コンポーネント壁212から半径方向に外側に延びる複数の係合特徴部216も含むことができる。幾つかの実施形態において、係合特徴部216は、第一の金型コンポーネント壁212から半径方向に外側に延びるタブ又はフラップとすることができる。他の実施形態において、係合特徴部216は、第一の金型コンポーネント壁212の外面に画定されるねじ山又はねじ山パターンを含むことができる。係合特徴部216により、第一の金型コンポーネント200は、組立体金型を一体に固定又は保持するためのクランプ部材232(例えば、図2C参照)とより容易に係合し、又は連結できるようにすることが可能である。
【0137】
図2Bは、第二のコンポーネントキャビティ部分222により画定される第二の成形表面220を含む第二の金型コンポーネント218のある実施形態を示す。第二のコンポーネントキャビティ部分222は、第二の成形表面220に沿って画定されるくぼみ又は凹部とすることができる。第二のコンポーネントキャビティ部分222は、可溶性コアコンポーネント236の一部を収容するような形状、大きさ、又はそれ以外の構成とすることができる。幾つかの実施形態において、第二の金型コンポーネント218はまた、ウェハモールドとも呼ぶことができる。
【0138】
第二の成形表面220は、第二の金型コンポーネント218が第一の金型コンポーネント200と嵌合させられて組立体金型250を形成すると、第一の成形表面202と対向するように構成され、又はそれ以外の方法で設計できる(図2E参照)。第二の成形表面220は、第二の金型コンポーネント218の下面上に位置付けることができる(図2Bにおいて下面が上向きである)。
【0139】
幾つかの実施形態において、第二のコンポーネントキャビティ部分222は、第二の位置決めキャビティ部分224に接続し、又はそれと連続とすることができる。例えば、第二のコンポーネントキャビティ部分222は、第二の位置決めキャビティ部分224と流体連通できる。他の実施形態において、第二のコンポーネントキャビティ部分222は第二の位置決めキャビティ部分224に近接して位置付けることができる。例えば、第二のコンポーネントキャビティ部分222は、第二の位置決めキャビティ部分224の付近にあるが、第二の位置決めキャビティ部分224に直接接続されないようにすることができる。
【0140】
第二のコンポーネントキャビティ部分222は、可溶性コアコンポーネント236のコア本体238の少なくとも一部を収容するような形状、大きさ、又はそれ以外の構成とすることができる。例えば、第二のコンポーネントキャビティ部分222は、可溶性コアコンポーネント236のコア本体238の前方半分を収容するような形状、大きさ、又はそれ以外の構成とすることができる。
【0141】
それに加えて、第二の位置決めキャビティ部分224は、可溶性コアコンポーネント236の位置決め部品240の少なくとも一部を収容するような形状、大きさ、又はそれ以外の構成とすることができる。例えば、第二の位置決めキャビティ部分224は、可溶性コアコンポーネント236の位置決め部品240の後方半分を収容するような形状、大きさ、又はそれ以外の構成とすることができる。
【0142】
図2Bは1つの第二の位置決めキャビティ部分224を含む第二の金型コンポーネント218を示しているが、本開示では、第二の金型コンポーネント218が複数の位置決め部品240を収容するための複数の第二の位置決めキャビティ部分224を含むことができると想定される。
【0143】
幾つかの実施形態において、第二のコンポーネントキャビティ部分222は、第二のキャビティ遠位端226で終了できる。第二のキャビティ遠位端226は、第二の位置決めキャビティ部分224から離して位置付けることができる。第二のキャビティ遠位端226は、第二の位置決めキャビティ部分224より、第二の成形表面220の縁部又は周辺により近付けて位置付けることができる。これらの実施形態において、第二のキャビティ遠位端226は第二の成形表面220の縁に到達しない。
【0144】
特定の実施形態において、第二のキャビティ遠位端226は丸く、又は湾曲させることができる。例えば、第二のキャビティ遠位端226は実質的に卵型又は楕円体の一部としての形状とすることができる。第二のキャビティ遠位端226は、実質的に球の一部としての形状とすることができる。
【0145】
図2Bには示されないが、本開示により想定される他の実施形態において、第二のコンポーネントキャビティ部分222は、閉鎖遠位端で終わるのではなく、他の位置決めキャビティ部分に接続できる。これらの実施形態において、第二のコンポーネントキャビティ部分222は、2つの位置決めキャビティ部分間に配置できる。
【0146】
第二の金型コンポーネント218はまた、第二の成形表面220から突出する、又はそれ以外の方法でそこから延びる複数の脚部228又は支持構造も含むことができる。幾つかの実施形態において、脚部228は第二の成形表面220から実質的に直角に、又は垂直に突出し、又は延びることができる。第二の金型コンポーネント218の脚部228は、第二の金型コンポーネント218が第一の金型コンポーネント200と嵌合させられ、又はそれ以外の方法で連結されたときに、第一の金型コンポーネント200の脚部キャビティ210の中にフィットできる。
【0147】
図2Bに示されるように、脚部228は第二のコンポーネントキャビティ部分222を取り囲むか、半径方向に外側に位置付けることができる。脚部228は、第二の金型コンポーネント218が第一の金型コンポーネント200と適正に位置合わせされるように特定のパターンで配置し、又は特定の方法で整合させることができる。例えば、脚部228は、第一のコンポーネントキャビティ部分204が第二のコンポーネントキャビティ部分222とマッチし、又はそれ以外の方法で整合できるような特定パターンで配置し、又は特定の方法で整合させることができる。第一のコンポーネントキャビティ部分204は、第二の金型コンポーネント218の脚部228が第一の金型コンポーネント200の脚部キャビティ210の中に挿入され、又は設置されたときに、第二のコンポーネントキャビティ部分222と適正に整合できる。
【0148】
図2Bに示される例示的実施形態において、脚部228は実質的に三角形のパターンで配置できる。図示されていないが、本開示により想定される他の実施形態において、脚部228は円形パターン、ダイヤモンド若しくはひし形パターン、正方形パターン、又は他の多角形パターンで配置できる。
【0149】
図2Bに示されるように、1つの実施形態において、第二の金型コンポーネント218は円形の金型部として構成できる。この実施形態では、第二の成形表面220もまた、実質的に円形とすることができる。
【0150】
他の実施形態において、第二の金型コンポーネント218は長方形の金型部として構成できる。これらの実施形態において、第二の成形表面220もまた、実質的に長方形とすることができる。
【0151】
別の実施形態において、第二の成形表面220を含む第二の金型コンポーネント218は、長円形又は楕円形とすることができる。追加的な実施形態において、第二の成形表面220を含む第二の金型コンポーネント218は、三角形又は他の種類の多角形とすることができる。
【0152】
幾つかの実施形態において、第二の金型コンポーネント218は、第一の金型コンポーネント200の貯蔵スペース214の中にフィットする大きさとすることができる。第二の金型コンポーネント218の少なくとも一部は、第一の金型コンポーネント200が第二の金型コンポーネント218と嵌合させられ、又はそれ以外の方法で連結された時に、貯蔵スペース214内に入ることができる。
【0153】
第一のコンポーネントキャビティ部分204と第二のコンポーネントキャビティ部分222は、第一の金型コンポーネント200が第二の金型コンポーネント218と嵌合させられ、又はそれ以外の方法で連結されたときに、一体化してコンポーネント金型キャビティを形成できる。例えば、第一の金型コンポーネント200は、第一の金型コンポーネント200が第二の金型コンポーネント218に留め付けられたときに、第二の金型コンポーネント218と嵌合させることができる。追加的に、第一の位置決めキャビティ部分206と第二の位置決めキャビティ部分224は、第一の金型コンポーネント200が第二の金型コンポーネント218と嵌合させられ、又はそれ以外の方法で連結されたときに、一体化して位置決めキャビティを形成できる。
【0154】
コンポーネント金型キャビティは、第一の金型コンポーネント200の貯蔵スペース214と流体連通できる。レンズコンポーネント材料は、貯蔵スペース214からコンポーネント金型キャビティの中に浸み込む可能性がある。低粘度のレンズコンポーネント材料は、第一の金型コンポーネント200と第二の金型コンポーネント218との間の分割線を通じてコンポーネント金型キャビティの中に浸み込む可能性がある。レンズコンポーネント材料は、組立体金型250が真空チャンバ内に設置され、真空が引かれると、貯蔵スペース214からコンポーネント金型キャビティの中に引き込まれる可能性がある。
【0155】
第二の金型コンポーネント218はまた、第二の位置決めキャビティ部分224を第二の金型コンポーネント218の縁又は周辺に接続するベント230又は開口も含むことができる。ベント230により、コンポーネント金型キャビティに低粘度のレンズコンポーネント材料が充填されているときに空気を排出させることができる。
【0156】
幾つかの実施形態において、レンズコンポーネント材料は前述の項で開示されたハプティック材料とすることができる。例えば、レンズコンポーネント材料は硬化性アクリルモノマを含むことができる。レンズコンポーネント材料は、実質的に疎水性の材料とすることができる。
【0157】
図2Cは、第一の金型コンポーネント200を第二の金型コンポーネント218に固定するためのクランプ部材232のある実施形態を示す。図2Cに示される例示的実施形態において、クランプ部材232は、第二の金型コンポーネント218が第一の金型コンポーネント200と嵌合させられたときに、第一の金型コンポーネント200の上部に取り外し可能に固定されるように構成されるクランプキャップとすることができる。
【0158】
前述のように、第一の金型コンポーネント200は、第一の金型コンポーネント壁212から半径方向に外側に延びる複数の係合特徴部216を含むことができる。幾つかの実施形態において、係合特徴部216は、第一の金型コンポーネント壁212から半径方向に外側に延びるタブ又はフラップとすることができる。クランプ部材232は、係合特徴部216と組み合う、又はそれ以外の方法でこれを受けるための複数の溝234又はノッチを含むことができる。
【0159】
他の実施形態において、係合特徴部216は、第一の金型コンポーネント壁212の外面に画定されたねじ山又はねじ山パターンを含むことができる。これらの実施形態において、クランプ部材232は、クランプ部材232が第一の金型コンポーネント200に螺合されるようにするための相補的なねじ山パターンを含むことができる。
【0160】
別の実施形態では、クランプ部材232は、第一の金型コンポーネント200を第二の金型コンポーネント218に堅固に固定するための従来のクランプ又は万力型装置とすることができる。
【0161】
クランプ部材232は、第一の金型コンポーネント200を第二の金型コンポーネント218に堅固に固定して、様々な金型部品が相互に関してずれ、又は移動するのを防止できる。クランプ部材232は、硬化ステップ中に第一の金型コンポーネント200を第二の金型コンポーネント218に堅固に固定して、レンズコンポーネント材料が金型分割線から浸み出すのを防止できる。クランプ部材232は、第一の金型コンポーネント200に連結されて、閉鎖チャンバを形成することができる。図2Cには示されていないが、クランプ部材232がクランプキャップとして実装される場合、クランプキャップはクランプキャップの表面(例えば、上面)に沿って画定されるセプタム又は入口ポートを有することができる。注入ノズル又はその他の送達装置をセプタム又は入口ポートから挿入して、硬化性レンズコンポーネント材料を閉鎖チャンバ内の貯蔵スペース214内に注入又はそれ以外の方法で導入できる。
【0162】
幾つかの実施形態において、クランプ部材232は、一部に、ポリマ材料、金属材料、又はそれらの組合せで製作できる。別の実施形態において、クランプ部材232は、一部に、セラミック材料で製作できる。クランプ部材232は、硬化ステップ後に、第一の金型コンポーネント200から外し、又は切り離すことができる。クランプ部材232は、第一の金型コンポーネント200を第二の金型コンポーネント218から分離する前に、第一の金型コンポーネント200から外し、又は切り離すことができる。
【0163】
図2Dは、可溶性コアコンポーネント236の少なくとも一部を第一の金型コンポーネント200の第一の成形表面202上に設置できることを示している。図2Dは第一の成形表面202上に設置された可溶性コアコンポーネント236を示しているが、本開示では、可溶性コアコンポーネント236を当初、第二の金型コンポーネント218の第二の成形表面220上に設置できることも想定される。以下の項において、可溶性コアコンポーネント236を第一の金型コンポーネント200の第一の成形表面202上に設置する、又は位置付けるとの言及は常に、可溶性コアコンポーネント236を第二の金型コンポーネント218の第二の成形表面220に設置する、又は位置付けることも指すことができる。さらに、図2A、2B、及び2DはAIOLのハプティックを形成するために使用される金型コンポーネントを示しているが、本開示は、同様の種類の金型コンポーネントをレンズの光学部分の形成にも使用できると想定される。
【0164】
形成されるレンズコンポーネントがAIOLのハプティック(例えば、図1A~1Dに示されるハプティック104の何れか)である場合、可溶性コアコンポーネント236は少なくとも1つの位置決め部品240に接続されたコア本体238を含むことができる。これらの実施形態において、コア本体238はコア遠位端242で終了できる。可溶性コアコンポーネント236については、以下の項においてより詳しく論じる。
【0165】
可溶性コアコンポーネント236の位置決め部品240の少なくとも一部は、第一の金型コンポーネント200の第一の位置決めキャビティ部分206の中に押し込み、又は挿入することができる。位置決め部品240は、位置決め部品240が第一の位置決めキャビティ部分206の中に押し込まれ、又は挿入されたときに、第一の位置決めキャビティ部分206の中に堅固にフィットするように構成できる。可溶性コアコンポーネント236は、位置決め部品240が第一の位置決めキャビティ部分206の中に押し込まれ、又は挿入されると、第一の金型コンポーネント200に取り外し可能に連結できる。
【0166】
幾つかの実施形態において、可溶性コアコンポーネント236の位置決め部品240は、可溶性コアコンポーネント236の中で第一の成形表面202と物理的に接触する唯一の部分とすることができる。例えば、可溶性コアコンポーネント236の位置決め部品240は、第一の位置決めキャビティ部分206を画定する第一の成形表面202の沈下又は陥没した部分と物理的に接触できる。これらの実施形態において、可溶性コアコンポーネント236の、位置決め部品240に連結された、又はそこから延びる残りの部分(例えば、湾曲コア本体238及びコア遠位端242)は、可溶性コアコンポーネント236が第一の金型コンポーネント200に取り外し可能に連結されたときに、第一の成形表面202の上方に第一の成形表面200と物理的に接触しない。例えば、コア本体238とコア遠位端242は位置決め部品240によって上昇させ、又は高くすることができ、それによってコア本体238及びコア遠位端242の何れの部分も第一の成形表面202と物理的に接触しない。
【0167】
これらの実施形態において、コア本体238及びコア遠位端242の少なくとも一部は、位置決め部品240が第一の位置決めキャビティ部分206の中に押し込まれ、又は挿入されたときに、第一のコンポーネントキャビティ部分204の中に位置付けることができるが、第一の成形表面202のうちの第一のコンポーネントキャビティ部分204の壁及び底部を画定する、又はその役割を果たす何れの部分にも触れない。それに加えて、位置決め部品240が第一の位置決めキャビティ部分206の中に押し込まれ、又は挿入されたときに、可溶性コアコンポーネント236のコア本体238の何れの部分も第一のコンポーネントキャビティ部分204の輪郭又は境界を超えて延びない。さらに、第一のキャビティ遠位端208は、位置決め部品240が第一の位置決めキャビティ部分206の中に押し込まれ、又は挿入されたときに、可溶性コアコンポーネント236のコア遠位端242を超えて延び、又はその先まで延びることができる。そのうえ、上昇した第一の金型コンポーネント壁212は、位置決め部品240が第一の位置決めキャビティ部分206の中に押し込まれ、又は挿入されたときに、可溶性コアコンポーネント236を取り囲むことができる。
【0168】
図2Dはまた、可溶性コアコンポーネント236のコア本体238が半径方向に内側の本体部分244及び半径方向に外側の本体部分246を含むことができる。半径方向に内側の本体部分244は、位置決め部品240が第一のコンポーネントキャビティ部分204の中に押し込まれ、又は挿入され、コア本体238が第一のコンポーネントキャビティ部分204内に一部が位置付けられているときに、コア本体238の、位置決め部品240に対面する、又はその付近にある面とすることができる。半径方向に外側の本体部分246は、位置決め部品240が第一のコンポーネントキャビティ部分204の中に押し込まれ、又は挿入され、コア本体238が第一のコンポーネントキャビティ部分204内に一部が位置付けられているときに、コア本体238の、位置決め部品240とは反対の面とすることができる。半径方向に内側の本体部分244は、第一のコンポーネントキャビティ部分204の内縁248から半径方向に内側の分離距離だけ分離させることができる。第一のコンポーネントキャビティ部分204の内縁248は、第一のコンポーネントキャビティ部分204の内輪郭又は境界の一部とすることができる。半径方向に外側の本体部分246は、第一のコンポーネントキャビティ部分204の外縁(図2Dでは図示せず)から半径方向に外側の分離距離だけ分離させることができる。第一のコンポーネントキャビティ部分204の外縁は、第一のコンポーネントキャビティ部分204の外輪郭又は境界の一部とすることができる。
【0169】
幾つかの実施形態において、半径方向に内側の分離距離は半径方向に外側の分離距離より大きくすることができる。分離距離をこのように違えることにより、半径方向に内側の本体部分244を内縁248から分離する空間を占めるレンズコンポーネント材料の量を、半径方向に外側の本体部分246を第一のコンポーネントキャビティ部分204の外縁から分離する空間より多くすることができる。このことにより、ハプティック(例えば、図1B及び1Cのハプティック104参照)をハプティックの半径方向に外側の部分(例えば、図1B及び1Cのハプティック104の半径方向に外側の部分144参照)に関して、より厚い半径方向に内側の部分(例えば、図1B及び1Cの半径方向に内側の部分146参照)を有するように形成することが可能となる。
【0170】
金型コンポーネントに関する可溶性コアコンポーネント236のこの固有の位置付けにより、レンズコンポーネント材料(例えば、ハプティック材料)はコンポーネントキャビティ内の可溶性コアコンポーネント236を取り囲む空間に入り、それを満たすことができる。ハプティック材料はすると、硬化させて可溶性コアコンポーネント236を取り囲む成形済みハプティックを形成できる。硬化プロセスの後、成形済みハプティック内の可溶性コアコンポーネント236を含む成形済みハプティックはその後、溶媒中に浸漬して可溶性コンポーネント236を溶解させることができる。可溶性コンポーネント236が溶解すると、成形済みハプティックの中の、以前は可溶性コンポーネント236により占有されていた空間はハプティック流体チャンバ(例えば、ハプティック104のハプティック流体チャンバ120参照)の役割を果たすことができる。
【0171】
図2Eは、組立体金型250が、第二の金型コンポーネント218を第一の金型コンポーネント200と嵌合させることによって形成できることを示している。可溶性コアコンポーネント236は、第二の金型コンポーネント218を第一の金型コンポーネント200と嵌合させる前に、第一の金型コンポーネント200の中に押し込み、又はそれ以外の方法でその中の所定の位置に設置することができる。可溶性コアコンポーネント236は、可溶性コアコンポーネント236の位置決め部品240を第一の位置決めキャビティ部分206の中に押し込み、又は挿入して、可溶性コアコンポーネント236のコア本体238の少なくとも一部を第一のコンポーネントキャビティ部分204の中に位置付けることによって、第一の金型コンポーネント200の中の所定の位置に設置できる。前述のように、可溶性コアコンポーネント236はまた、2つの金型コンポーネントが相互に嵌合する前に、当初、第二の金型コンポーネント218に押し込み、又はそれ以外の方法でその中の所定の位置に設置することもできる。可溶性コアコンポーネント236は、組立体金型250が形成されたときに、第一の成形表面202と第二の成形表面220との間に配置できる。
【0172】
第二の金型コンポーネント218を第一の金型コンポーネント200と嵌合させることは、第二の金型コンポーネント218の脚部228を第一の金型コンポーネント200の脚部キャビティ210の中に挿入し、第二の金型コンポーネント218を第一の金型コンポーネント200に押し付けることを含むことができる。前述のように、第二の金型コンポーネント218の脚部228と第一の金型コンポーネント200の脚部キャビティ210は、第一の金型コンポーネント200の第一のコンポーネントキャビティ部分204が第二の金型コンポーネント218の第二のコンポーネントキャビティ部分222の上方に正確にフィットするように配置できる。例えば、第一のコンポーネントキャビティ部分204の輪郭又は境界は、第二の金型コンポーネント218が第一の金型コンポーネント200と嵌合させられたときに、第二のコンポーネントキャビティ部分222の輪郭又は境界と整合できる。さらに、第一の位置決めキャビティ部分206の輪郭又は境界も、第二の金型コンポーネント218が第一の金型コンポーネント200と嵌合させられたときに、第二の位置決めキャビティ部分224の輪郭又は境界と整合できる。
【0173】
第一のコンポーネントキャビティ部分204及び第二のコンポーネントキャビティ部分222は、組立体金型250が、第二の金型コンポーネント218を第一の金型コンポーネント200と嵌合させることによって形成されたときに、コンポーネント金型キャビティを形成できる。可溶性コアコンポーネント236のコア本体238は、第二の金型コンポーネント218が第一の金型コンポーネント200と嵌合させられたときに、コンポーネント金型キャビティ内に配置できる。可溶性コアコンポーネント236の位置決め部品240は、第二の金型コンポーネント218が第一の金型コンポーネント200と嵌合させられたときに、コンポーネント金型キャビティの外部に配置できる。
【0174】
幾つかの実施形態において、組立体金型250を形成する方法は、第二の金型コンポーネント218を第一の金型コンポーネント200と嵌合させる前に、第一の成形表面202及び第二の成形表面220のうちの少なくとも一方を湿潤剤で湿潤させる追加のステップを含むことができる。第一の成形表面202、第二の成形表面220、又はそれらの組合せを湿潤させるステップは、湿潤剤を表面に、湿潤剤が表面を均一に被覆するまで噴霧、スポンジによる塗布、スワブによる塗布、又はそれ以外の方法よる塗布を含むことができる。特定の実施形態において、湿潤剤は水又は脱イオン水とすることができる。第一の成形表面202、第二の成形表面220、又はこれらの組合せの湿潤化によって、第一の金型コンポーネント200は、金型コンポーネントの少なくとも一方が水溶性材料で作成された場合に、第二の金型コンポーネント218により堅固に結合できる。第一の成形表面202、第二の成形表面220、又はこれらの組合せの湿潤化によって、成形済みレンズコンポーネントの周辺部に沿って、第一の金型コンポーネント200及び第二の金型コンポーネント218により作られる分割線においてフラッシュが生じるのを、第一の金型コンポーネント200と第二の金型コンポーネント218との間の境界の少なくとも一部をシールすることによって防止できる。
【0175】
図2Eは、第二の金型コンポーネント218が第一の金型コンポーネント200と嵌合させられたときに、第二の金型コンポーネント218が第一の金型コンポーネント200の貯蔵スペース214内にフィットできることを示している。硬化性レンズコンポーネント材料(例えば、ハプティック材料又は、光学部分が形成されるときのレンズ本体材料)は、組立体金型250が形成されると、貯蔵スペース214の中に導入(例えば、注型、注入等)できる。幾つかの実施形態において、低粘度レンズコンポーネント材料は、金型コンポーネントが相互に嵌合すると、第一の金型コンポーネント200と第二の金型コンポーネント218との間の分割線を通じてコンポーネント金型キャビティの中に浸み込むことができる。他の実施形態において、レンズコンポーネント材料は、第二の成形表面220、第一の成形表面202、又はそれらの組合せに沿って画定されるその他の開口又はコンジットを通じてコンポーネント金型キャビティの中に入ることができる。
【0176】
前述のように、クランプ部材232(例えば、図2C又は図7参照)は、第一の金型コンポーネント200が第二の金型コンポーネント218と嵌合させられた後、第一の金型コンポーネント200に取り外し可能に連結又は固定できる。例えば、クランプ部材232は、第二の金型コンポーネント218が第一の金型コンポーネント200と嵌合させられたときに、第一の金型コンポーネント200の上部に取り外し可能に固定されるように構成されるクランプキャップとすることができる。クランプキャップは、閉鎖チャンバを作り、第二の金型コンポーネント218を第一の金型コンポーネント200に堅固に押し付けることができる。
【0177】
硬化性レンズコンポーネント材料はすると、この閉鎖チャンバの中に導入できる。例えば、レンズコンポーネント材料は、セプタム710(図7参照)又は、クランプ部材232に沿って画定されるその他の開口を通じて貯蔵スペース214の中に注入又はそれ以外の方法で導入できる。レンズコンポーネント材料が導入されると、組立体金型250は、組立体金型250に連結されたクランプ部材232を含めて、真空チャンバ内に設置できる。組立体金型250が真空チャンバ内に設置された後に、真空を引いてレンズコンポーネント材料をコンポーネント金型キャビティの中に引き込むことができる。低粘度レンズコンポーネント材料は、第一の金型コンポーネント200と第二の金型コンポーネント218との間の分割線又はごく小さいギャップを通じてコンポーネント金型キャビティ内に浸み込むことができる。真空下で、レンズコンポーネント材料は、組立体金型250の、可溶性コアコンポーネント236により占有されていない空間を満たすことができる。例えば、レンズコンポーネント材料は、コンポーネント金型キャビティの中の、可溶性コアコンポーネント236のコア本体238により占有されていない空間を満たすことができる。
【0178】
レンズコンポーネント材料がコンポーネント金型キャビティを満たすと、レンズコンポーネント材料を含む組立体金型250を硬化チャンバ内で硬化させることができる。幾つかの実施形態において、組立体金型250は、紫外(UV)光又はブルーライト等の光を使って硬化させることができる。
【0179】
より具体的には、幾つかの実施形態において、組立体金型250はUV光チャンバの中で硬化させることができる。例えば、組立体金型250は、UV生成キセノンランプ又はキセノン水銀ランプを使って硬化させることができる。例えば、組立体金型250は、UV光の下で30分~60分間にわたり硬化させることができる。他の実施形態において、組立体金型250は、高輝度青色発光ダイオード(LED)光により発せられる光等のブルーライトを使って硬化させることができる。例えば、組立体金型250は、ブルーライトの下で10時間~12時間にわたり硬化させることができる。他の実施形態において、組立体金型250はまた、熱又は光と熱の組合せを使っても硬化させることができる。
【0180】
クランプ部材232は、硬化手順中に、第一の金型コンポーネント200を第二の金型コンポーネント218に留め付けることができる。レンズコンポーネント材料は、ハプティック等の成形済みレンズコンポーネントへと硬化させることができる。以下の項でより詳しく論じるように、レンズコンポーネント材料はまた、他の金型コンポーネントを使って、成形済み光学部分等、他の成形済みレンズコンポーネントへと硬化させることもできる。
【0181】
幾つかの実施形態において、第一の金型コンポーネント200と第二の金型コンポーネント218の両方を不溶性材料で製作することができる。不溶性材料は、溶媒(例えば、水)中に現実的な長さの時間で溶解できない材料とすることができる。例えば、第一の金型コンポーネント200及び第二の金型コンポーネント218は、不溶性ポリマ材料で製作できる。幾つかの実施形態において、第一の金型コンポーネント200及び第二の金型コンポーネント218は、中乃至高密度ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PE)又はそれらのコポリマ、ポリ-4-メチルペンテン、及びポリスチレン等のポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂で製作できる。第一の金型コンポーネント200及び第二の金型コンポーネント218はまた、ポリアセタール樹脂、ポリアクリルエーテル、ポリアリルエーテルスルフォン、ナイロン6、ナイロン66、及びナイロン11を含む各種のナイロンでも製作できる。より具体的な例として、第一の金型コンポーネント200、第二の金型コンポーネント218、又はそれらの組合せは、一部に、三井化学株式会社が販売するTPX(商標)ポリメチルペンテン等の4-メチルペンテン-1-ベースオレフィンコポリマで製作できる。
【0182】
他の実施形態において、第一の金型コンポーネント200と第二の金型コンポーネント218は、ステンレススチール等の耐食性金属材料で製作できる。
【0183】
第一の金型コンポーネント200と第二の金型コンポーネント218の両方が不溶性材料で製作される例で、レンズコンポーネント(例えば、ハプティック)を形成する方法は、硬化ステップの後に第一の金型コンポーネント200を第二の金型コンポーネント218から分離するステップと、成形済みレンズコンポーネントを第一の金型コンポーネント200又は第二の金型コンポーネント218の何れかから取り外すステップと、を含むことができる。可溶性コアコンポーネント236の少なくとも1つのセグメントは、成形済みレンズコンポーネントが第一の金型コンポーネント200又は第二の金型コンポーネント218から取り外された後、成形済みレンズコンポーネントの中にあり、又は成形済みレンズコンポーネントにより一部が包囲されることができる。例えば、可溶性コアコンポーネント236のコア本体238は、成形済みレンズコンポーネントが第一の金型コンポーネント200又は第二の金型コンポーネント218から取り外されたとき、成形済みレンズコンポーネントの中にあり、又は成形済みレンズコンポーネントにより一部が包囲されることができる。さらに、可溶性コアコンポーネント236の位置決め部品240は、成形済みレンズコンポーネントに接続できるが、成形済みレンズコンポーネント内に含まれず、又は取り囲まれない。
【0184】
方法は、成形済みレンズコンポーネントを溶媒中に浸漬して、可溶性コアコンポーネント236を溶解させるステップをさらに含むことができる。方法はまた、溶媒を約35℃~55℃まで加熱し、溶媒を超音波処理又はかき混ぜによって攪拌して、可溶性コアコンポーネント236の溶解を促進するステップも含むことができる。幾つかの実施形態において、可溶性コアコンポーネント236は、約6時間~約24時間、溶媒中に浸漬した後に溶解できる。可溶性コアコンポーネントが溶解した後に残るものは、成形済みレンズコンポーネント(例えば、その中にキャビティが画定されるハプティック又は光学部分)である。
【0185】
以下の項でより詳しく論じるように、可溶性コンポーネント236はポリビニルアルコール等の可溶性材料で製作できる。幾つかの実施形態において、溶媒は水とすることができる。可溶性コンポーネント236及び可溶性材料については、以下の項でより詳しく論じる。
【0186】
幾つかの実施形態において、第一の金型コンポーネント200と第二の金型コンポーネント218はどちらも可溶性材料で製作できる。特定の実施形態において、第一の金型コンポーネント200及び第二の金型コンポーネント218は、可溶性コアコンポーネント236の製作に使用される材料と同じ可溶性材料で製作できる。例えば、第一の金型コンポーネント200、第二の金型コンポーネント218、及び可溶性コンポーネント236は、ポリビニルアルコールで製作できる。代替的に、第一の金型コンポーネント200と第二の金型コンポーネント218の一方又は両方は、可溶性コアコンポーネント236の製作に使用される材料とは異なる可溶性材料で製作できる。
【0187】
第一の金型コンポーネント200と第二の金型コンポーネント218の両方が可溶性材料で製作される例において、レンズコンポーネント(例えば、ハプティック)の形成方法は、硬化ステップの後に組立体金型250の全体を溶媒中に浸漬するステップを含むことができる。組立体金型250の全体を溶媒中に浸漬して、可溶性コアコンポーネント236、第一の金型コンポーネント200、及び第二の金型コンポーネント218を溶解させることができる。方法はまた、溶媒を約35℃~55℃まで加熱し、溶媒を超音波処理又はかきまぜによって攪拌して、可溶性コアコンポーネント236、第一の金型コンポーネント200、及び第二の金型コンポーネント218の溶解を促進するステップも含むことができる。幾つかの実施形態において、可溶性コンポーネント236、第一の金型コンポーネント200、及び第二の金型コンポーネント218は、溶媒中に約6時間~約24時間溶媒中に浸漬した後、溶解できる。可溶性材料の全てが溶解した後に残るものは、成形済みレンズコンポーネント(例えば、その中に画定されたキャビティを有するハプティック又は光学部分)である。
【0188】
幾つかの実施形態において、第一の金型コンポーネント200か第二の金型コンポーネント218の何れか(両方ではない)を可溶性材料で製作できる。これらの実施形態において、他方の金型コンポーネントは不溶性材料で製作できる。不溶性材料は、溶媒(例えば、水)中に現実的な長さの時間で溶解できない材料とすることができる。
【0189】
例えば、第一の金型コンポーネント200か第二の金型コンポーネント218の何れかを、可溶性コアコンポーネント236の製作に使用される材料と同じ可溶性材料で製作できる。より具体的には、幾つかの実施形態において、第一の金型コンポーネント200又は第二の金型コンポーネント218及び可溶性コアコンポーネント236はポリビニルアルコールで製作できる。代替的に、第一の金型コンポーネント200か第二の金型コンポーネント218の何れかを、可溶性コアコンポーネント236の製作に使用される材料とは異なる可溶性材料で製作できる。これらの例における他方の金型コンポーネントは、不溶性材料で製作できる。幾つかの実施形態において、第一の金型コンポーネント200をポリビニルアルコールで製作でき、第二の金型コンポーネント218を、中乃至高密度ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PE)又はそれらのコポリマ、ポリ-4-メチルペンテン、及びポリスチレン等のポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂で製作できる。不溶性金型コンポーネントはまた、ポリアセタール樹脂、ポリアクリルエーテル、ポリアリルエーテルスルフォン、ナイロン6、ナイロン66、及びナイロン11を含む各種のナイロンでも製作できる。さらに、不溶性金型コンポーネントはまた、ステンレススチール等の耐食性金属材料でも製作できる。
【0190】
第一の金型コンポーネント200か第二の金型コンポーネント218の何れかが可溶性材料で製作され、他方の金型コンポーネントが不溶性材料で製作される例において、レンズコンポーネント(例えば、ハプティック)の形成方法は、硬化ステップの後に2つの金型コンポーネントを分離するステップを含むことができる。2つの金型コンポーネントが分離された後、可溶性コアコンポーネント236の少なくとも1つのセグメントは成形済みレンズコンポーネントにあるか、又は成形済みレンズコンポーネントにより一部が包囲されることができる。例えば、可溶性コアコンポーネント236のコア本体238は、成形済みレンズコンポーネントが第一の金型コンポーネント200又は第二の金型コンポーネント218から取り出された後に、成形済みレンズコンポーネントの中にあるか、又は成形済みレンズコンポーネントにより一部が包囲されることができる。さらに、可溶性コアコンポーネント236の位置決め部品240は成形済みレンズコンポーネントに接続できるが、成形済みレンズコンポーネントの中に含まれず、又はその中に包囲されない。
【0191】
方法は、可溶性金型コンポーネント(第一の金型コンポーネント200又は第二の金型コンポーネント218の何れか)を成形済みレンズコンポーネントと共に溶媒中に浸漬して、可溶性コアコンポーネント236及び可溶性金型コンポーネント(第一の金型コンポーネント200又は第二の金型コンポーネント218の何れか)を溶解させるステップをさらに含むことができる。方法はまた、溶媒を約35℃~55℃まで加熱し、溶媒を超音波処理又はかきまぜによって攪拌して、可溶性コアコンポーネント236及び可溶性金型コンポーネントの溶解を促進するステップも含むことができる。幾つかの実施形態において、可溶性コアコンポーネント236及び可溶性金型コンポーネントは、溶媒中に約6時間~約24時間浸漬した後に溶解できる。可溶性材料の全てが溶解した後に残るものは、成形済みレンズコンポーネント(例えば、その中に画定されたキャビティを含むハプティック又は光学部分)である。
【0192】
図3A及び3Bは、可溶性コアコンポーネント236の実施形態の斜視図を示す。可溶性コアコンポーネント236は、位置決め部品240に接続された湾曲又は弓形コア本体238を含むことができる。図示されていない他の実施形態では、コア本体238は実質的にまっすぐか、波型又はジグザグ形状とすることができる。
【0193】
前述のように、位置決め部品240によってコア本体238を高くし、又は上昇させることができ、それによって位置決め部品240が平坦な表面上に置かれたときに、コア本体238の何れの部分もその平坦な表面と直接接触しない。
【0194】
図3A及び3Bに示されるように、可溶性コアコンポーネント236は、自由で、位置決め部品240に取り付けられていないコア遠位端242を有することができる。特定の実施形態において、コア遠位端242は丸く、又は湾曲させることができる。他の実施形態において、コア遠位端242は平坦、テーパ付き、又はつまんだ形状とすることができる。以下の項でより詳しく論じるように、幾つかの実施形態において、
可溶性コアコンポーネント236は2つ以上の位置決め部品240を含むことができ、1つ又は複数のコア本体238がこのような位置決め部品240間に延びることができる(例えば、図9B参照)。幾つかの実施形態において、可溶性コアコンポーネント236は自由コア遠位端242を含まない。
【0195】
前述のように、可溶性コアコンポーネント236のコア本体238は、第一の金型コンポーネント200が第二の金型コンポーネント218と嵌合させられて組立体金型250が形成されたときに、第一のコンポーネントキャビティ部分204及び第二のコンポーネントキャビティ部分222により形成されるコンポーネント金型キャビティ内に配置できる(例えば、図2A、2B、及び2D参照)。このようにして、成形済みレンズコンポーネント(例えば、ハプティック)は、可溶性コアコンポーネント236のコア本体238の周囲に形成できる。
【0196】
位置決め部品240は、第一の金型コンポーネント200が第二の金型コンポーネント218と嵌合させられて組立体金型250が形成されたときに、第一の位置決めキャビティ部分206及び第二の位置決めキャビティ部分224により形成される位置決めキャビティ内に配置できる(例えば、図2A、2B、及び2D参照)。
【0197】
図3A及び3Bに示されるように、位置決め部品240は第一の支持壁300、第二の支持壁302、及び第一の支持壁300を第二の支持壁302に接続するブリッジコンポーネント304を含むことができる。位置決め部品240の固有の形状と設計により、製造者は可溶性コアコンポーネント236を金型コンポーネントから、ツイザ又はその他の小型のプラッキング若しくは把持用具を使ってより容易に取り外すことができる。位置決め部品240の固有の形状と設計により、位置決め部品240が射出成形プロセス中に確実に変形又は歪曲しないようにすることもできる。
【0198】
コア本体238は、第一の支持壁300の外面に接続できる。第一の支持壁300の外面は実質的に平坦で、実質的に平坦な光学部分取付端(例えば、図1Dの光学部分取付端136参照)を形成し、光学部品取付端がレンズ光学部分の実質的に平坦な突出外面(例えば、図1Dの突出外面134参照)とより容易に接続できるようにすることができる。
【0199】
位置決め部品240の第一の支持壁300はまた、組立体金型250の中でコンポーネント金型キャビティを位置決めキャビティから分離するためのバリアとしても機能できる。第一の支持壁300は、コンポーネント金型キャビティ内のレンズコンポーネント材料が位置決めキャビティ内のレンズコンポーネント材料と接触しないようにすることができる。このようにして、第一の支持壁300は成形済みハプティックの開放端の仮の境界として機能できる。
【0200】
位置決め部品240の第二の支持壁302は、第二の支持壁302の外面から横方向に延びる1つ又は複数の変形可能又は圧壊可能な突起306を含むことができる。突起306により、第二の支持壁302の外面と金型コンポーネントの壁との間にギャップを作ることができ、これは位置決めキャビティを画定する。これらのギャップにより、第二の支持壁302(及び、ひいては位置決め部品240)が位置決めキャビティ内でひっついたりその中に詰まったりしないこと確実にできる。突起306により作られるギャップにより、ユーザは、第一の金型コンポーネント200が第二の金型コンポーネント218から分離されるときに、位置決め部品240を第一の位置決めキャビティ部分206又は第二の位置決めキャビティ部分224からより容易に取り出すことができる。
【0201】
図3A及び3Bはまた、第一の支持壁300を第二の支持壁302に接続できるブリッジコンポーネント304も示している。ブリッジコンポーネント304は、第一の支持壁300の内面を第二の支持壁302の内面に接続できる。ブリッジコンポーネント304は、通路308又はクリアランスがブリッジコンポーネント304の上方又は下方に形成されるように上昇させ、又は高めることができる。幾つかの実施形態において、通路308により、低粘度レンズコンポーネント材料を、通路308を通じて組立体金型250の内部に注入し、又はそれ以外の方法で入れることができる。
【0202】
出願人が直面した1つの技術的問題は、複雑な内部形状及び幾何学特徴を有するレンズコンポーネントを形成するために、可溶性コアを金型コンポーネントとどのように使用するか、である。出願人が導き出した1つの技術的解決策が、金型コンポーネントの表面上に可溶性コアコンポーネントを位置決めするための、固有の形状を有する、本願で開示の可溶性コアコンポーネントである。位置決め部品はまた、金型コンポーネントを補い、硬化性レンズ材料がコンポーネント金型キャビティの中に入るための通路を提供できる構造的特徴を有するように設計される。
【0203】
出願人が直面したまた別の技術的問題は、射出成形プロセス中に位置決め部品240の第一の支持壁300及び第二の支持壁302の変形をどのように防止するか、である。出願人が導き出した1つの技術的解決策は、位置決め部品240を中実の正六面体又は直方体の形状の構造として設計するのではなく、出願人は、図示され、本明細書に記載のブリッジコンポーネントで接続された2つの支持壁を有する位置決め部品240を設計した。2つの支持壁は、剛体の、又は変形不能な部分と、支持壁から延びる圧壊可能又は変形可能なコンポーネントを含むことができる。
【0204】
可溶性コアコンポーネント236は、可溶性又は溶解可能材料で製作できる。前述のように、第一の金型コンポーネント200及び第二の金型コンポーネント218の少なくとも一方もまた、同じ可溶性又は溶解可能材料で製作できる。
【0205】
幾つかの実施形態において、可溶性コアコンポーネント236、第一の金型コンポーネント200、第二の金型コンポーネント218、又はそれらの組合せは、全体的に、又は一部に、可溶性ビニルアルコール歩もポリマで製作できる。例えば、可溶性コアコンポーネント236、第一の金型コンポーネント200、第二の金型コンポーネント218、又はそれらの組合せは、全体的に、又は一部に、可溶性ポリビニルアルコール(PVOH)で製作できる。幾つかの実施形態において、可溶性コアコンポーネント236、第一の金型コンポーネント200、第二の金型コンポーネント218、又はそれらの組合せは、全体的に、又は一部に、可塑剤を含む可溶性ポリビニルアルコールで製作できる。特定の実施形態において、可溶性ポリビニルアルコールはグセロール及びその他の添加剤を含むことができる。より具体的には、可溶性コアコンポーネント236、第一の金型コンポーネント200、第二の金型コンポーネント218、又はそれらの組合せは、全体的に、又は一部に、クラレヨーロッパが販売するMowiflex(商標)C-30又はMowiflex(商標)C-600で製作できる。
【0206】
他の実施形態において、可溶性コアコンポーネント236、第一の金型コンポーネント200、第二の金型コンポーネント218、又はそれらの組合せは、全体的に、又は一部に、ブテンジオールビニルアルコール(BVOH)コポリマで製作できる。可溶性コアコンポーネント236、第一の金型コンポーネント200、第二の金型コンポーネント218、又はそれらの組合せは、全体的に、又は一部に、可溶性生体適合材料で製作できる。
【0207】
可溶性コアコンポーネント236は、水等の溶媒中に約6時間~24時間浸漬されると完全に溶解できる。溶媒は約35℃~約55℃まで加熱できる。他の実施形態において、可溶性コアコンポーネント236は、室温に保持された溶媒中で溶解できる。溶媒はまた、可溶性コアコンポーネント236の溶解を促進するために超音波処理によって攪拌できる。他の実施形態において、溶媒は溶媒をかきまぜることによって攪拌できる。例えば、可溶性コアコンポーネント236は、可溶性コアコンポーネント236を溶解させるために、加熱された超音波水浴の中に浸漬できる。これら及びその他の実施形態において、第一の金型コンポーネント200、第二の金型コンポーネント218、又はこれらの組合せはまた、これらの金型コンポーネントが可溶性材料で製作されている場合、同様の条件下で溶解させることもできる。
【0208】
幾つかの実施形態において、位置決め部品240及びコア本体238を含む可溶性コアコンポーネント236の全体は、同じ可溶性材料で製作できる。他の実施形態において、位置決め部品240又は位置決め部品240の一部は、コア本体238と異なる可溶性材料で製作できる。
【0209】
可溶性コアコンポーネント236は可溶性材料で製作されるが。可溶性コアコンポーネント236は、成形プロセスで使用される場合、実質的に硬質又は剛体のコンポーネントへと硬化させることができる。さらに、第一の金型コンポーネント200、第二の金型コンポーネント218、又はそれらの組合せが可溶性材料で製作される場合、金型コンポーネントは、成形プロセスで使用された場合、実質的に硬質又は剛体のコンポーネントへと硬化させることができる。
【0210】
図3Bは、可溶性コアコンポーネント236がコア本体238から外側に突出する、又は延びる第二のコア特徴物310を含むことができることを示している。図3Bに示されるように、第二のコア特徴物310は、コア本体238の半径方向に内側の本体部分244から突出するフィン形状の特徴物とすることができる。
【0211】
第二のコア特徴物310により、レンズ設計者が成形済みレンズコンポーネントの中に追加のキャビティや通路を作ることができるようにすることができる。例えば、図3Bに示されるフィン形状の特徴物は、ハプティックの半径方向に内側の部分へと延びるチャネル500(例えば、図5Bのチャネル500参照)を作るために使用できる。
【0212】
図3Bはまた、可溶性コアコンポーネント236のコア本体238がコア開口312を含むことができることも示している。コア開口312は、コア本体238の少なくとも一部へと延びる、コア本体238に沿った穴又は開口とすることができる。図3Bに示されるように、コア開口312は第二のコア特徴物310上に配置できる。
【0213】
コア開口312は、成形プロセス中にコア本体238を所定の場所に保持するための、安定化ピン708(例えば、図7参照)等の安定化部材を含むことができる。例えば、安定化ピン708はコア開口312に挿入して、コア本体238が成形プロセス中に(例えば、レンズコンポーネント材料が真空下で組立体金型250に注入される時に)ずれたり移動したりするのを防止することができる。
【0214】
図4Aは、図3Aに示される可溶性コアコンポーネントのコア本体238の、横断線A-Aに沿って切った断面図を示す。図4Aに示されるように、コア本体238は湾曲した、又は丸い側面と傾斜した上及び下面を有することができる。別の実施形態において、上又は下面の何れも、実質的にまっすぐ又は水平とすることができる。
【0215】
図4Bは、図3Bに示される可溶性コアコンポーネント236のコア本体238の、横断線B-Bに沿って切った断面図を示す。コア本体238は、コア本体238から突出する、又は延びる第二のコア特徴物310を有することができる。図3Bに示されるように、第二のコア特徴物310はフィン形状の特徴物とすることができる。図4Bは、コア本体238の縦方向に中央の領域から突出する第二のコア特徴物310を示しているが、本開示によれば、第二のコア特徴物310がコア本体238の上側又は下側領域からも突出できることが想定される。
【0216】
図4Cは、可溶性コアコンポーネント236の他の実施形態のコア本体238の断面図を示す。この実施形態において、コア本体238は実質的にD字型(又は反対向きのD字型)の断面形状を有することができる。
【0217】
図4Dは、可溶性コアコンポーネント236のまた別の実施形態のコア本体238の断面図を示す。この実施形態では、コア本体238は実質的に楕円形又は長円形の断面形状を有することができる。
【0218】
図5Aは、図3A及び4Aに示される可溶性コアコンポーネント236を使って製作されるハプティック104のある実施形態の断面図を示す。さらに、図5Bは、図3B及び4Bに示される可溶性コアコンポーネント236を使って製作されたハプティック104の他の実施形態の断面図を示す。図5A及び5Bに示されるように、成形済みレンズコンポーネントが溶媒中に浸漬され、可溶性コアコンポーネント236が溶媒中に溶解すると、中空のハプティックチャンバ120が形成され得る。ハプティックチャンバ120は、可溶性コアコンポーネント236のコア本体238の形状を引き継ぐことができる。
【0219】
図5Bはまた、可溶性コアコンポーネント236がコア本体238から突出する第二のコア特徴物310(例えば、フィン形状の特徴物)を含む場合に、ハプティック104の半径方向に内側の部分146の中へと延びる追加的なチャネル500を形成できることも示している。
【0220】
図5A及び5Bはまた、コア本体238をコンポーネント金型キャビティ内に位置付けることは、ハプティック104の内部若しくは断面形状又は設計にも影響を与え得ることも示している。例えば、コア本体238は、第一のコンポーネントキャビティ部分204を画定するために使用される第一の成形表面202又は第二のコンポーネントキャビティ部分222を画定するために使用される第二の成形表面220の何れかの外縁又は境界に、そのような表面の内縁又は境界より近付けて位置付けることができる。そのようにすることにより、ハプティック104は、半径方向の外側の部分144より厚い半径方向に内側の部分146を有するように形成できる。
【0221】
図6は、1つ又は複数の可溶性コアコンポーネント236を使って製作される内部キャビティパターンを含むハプティック104のある実施形態の上面図を示す。例えば、ハプティック104は、湾曲したハプティックチャンバ120及び、ハプティック104の半径方向に内側の部分146に沿って位置付けられる櫛形キャビティ502を含むように形成できる。これらのキャビティは、複数の可溶性コアコンポーネント236又は、櫛形突出部又は表面特徴物を含む1つの可溶性コアコンポーネント236を使って製作できる。
【0222】
図7は、異なる硬化性材料で製作される部分を含むレンズコンポーネント(例えば、AIOLのハプティック)を製造するためのシステム700のある実施形態の分解図を示す。システム100は、第一の金型コンポーネント200、可溶性コアコンポーネント236、第二の金型コンポーネント218、第三の金型コンポーネント704、安定化ピン708、第四の金型コンポーネント712、及びクランプ部材232を含むことができる。第一の金型コンポーネント200は、前述し、図2A、2D、及び2Eに示した第一の金型コンポーネント200と同様とすることができる。可溶性コアコンポーネント236は、前述し、図3Bに示した可溶性コアコンポーネント236と同様とすることができる。
【0223】
図7の第二の金型コンポーネント218は、第二の成形表面220に沿って画定される長尺状の開口702を有することができる。長尺状の開口702は、第二のコンポーネントキャビティ部分222の少なくとも一部に沿って位置付けることができる。第二のコンポーネントキャビティ部分222の一部は、長尺状の開口702の存在により第二の金型コンポーネント218からなくなる可能性がある。長尺状の開口702は、第三の金型コンポーネント704に沿って画定される金型特徴物と整合させることができる。
【0224】
第二の金型コンポーネント218はまた、第二の金型コンポーネント218の上面に沿って画定される陥凹部分706も有することができる。第三の金型コンポーネント704は、陥凹部分706内に設置し、又はそれ以外の方法で位置付けることができる。幾つかの実施形態において、システム700のコンポーネントを使って組立体金型を形成する初期ステップは、第三の金型コンポーネント704を第二の金型コンポーネント218の陥凹部分706の中に設置又は購入するステップを含むことができる。第三の金型コンポーネント704が陥凹部分706内に設置されると、第三の金型コンポーネント704は、締り嵌めによって第二の金型コンポーネント218に取り外し可能に連結できる。
【0225】
可溶性コアコンポーネント236はすると、第二の成形表面220を含む第二の金型コンポーネント218の下面に設置し、又は押し付けることができる。例えば、可溶性コアコンポーネント236の位置決め部品240は、第二の成形表面220に沿って画定された第二の位置決めキャビティ部分224(図7では図示せず)に押し込むことができ、可溶性コアコンポーネント236のコア本体238は、その一部を第二のコンポーネントキャビティ部分224内に位置付けることができるが、第二の成形表面220と物理的に接触しない。可溶性コアコンポーネント236は、位置決め部品240が第二の位置決めキャビティ部分224の中に押し込まれ、又はそれ以外の方法で挿入されたときに、締まり嵌めによって第二の金型コンポーネント218に取り外し可能に連結できる。
【0226】
可溶性コアコンポーネント236が第二の金型コンポーネント218に取り外し可能に連結された状態で、安定化ピン708を、コア本体238又は、コア本体238から延びる、若しくは突出する第二のコア特徴物310に沿って画定されたコア開口312から挿入できる。安定化ピン708は、コア本体238が成形プロセス中にずれたり移動したりするのを防止するために、コア開口312から挿入できる。例えば、安定化ピン708は、一部に、金属材料で製作できる。安定化ピン708の直径は約0.5mm~約2.0mmとすることができる。安定化ピン708は、第三の金型コンポーネント704の下面に沿って画定される受容コンジット又は空間の中に挿入できる。
【0227】
第三の金型コンポーネント704は、第三の成形表面(図7では図示せず)を含むことができ、第三の成形表面に沿って表面特徴物、キャビティ、又はこれらの組合せが画定される。例えば、第三の金型コンポーネント704は、成形済みレンズコンポーネントの部品の中にネガティブスペースを導入するために使用できる。
【0228】
その後、第三の金型コンポーネント704及び可溶性コアコンポーネント236を含む第二の金型コンポーネント218を第一の金型コンポーネント200と嵌合させて、第一の組立体金型を形成できる。クランプ部材232はすると、第一の金型コンポーネント200に取り外し可能に固定して、閉鎖チャンバを形成できる。図7に示されるように、クランプ部材232(例えば、クランプキャップ)はクランプ部材232の上部に沿って画定されるセプタム710又は開口を有して、インジェクタノズルをセプタム710又は開口に入れて、前述のレンズコンポーネント材料(例えば、ハプティック材料)等の第一の硬化性材料を閉鎖チャンバ内に送達できる。例えば、第一の硬化性材料を第一の金型コンポーネント200の貯蔵スペース214の中に注入又は導入できる。
【0229】
第一の組立体金型に連結されたクランプ部材232を含む閉鎖チャンバは、硬化させて予備成形済みレンズコンポーネントを形成できる。クランプ部材232と第三の金型コンポーネント704はすると、第一の金型コンポーネント200及び第二の金型コンポーネント218から分離できる。この時点で、第四の成形表面を含む第四の金型コンポーネント712は、第二の金型コンポーネント218の陥凹部分706の中に設置し、又はそれ以外の方法で位置付けることができる。第四の金型表面は、成形済みレンズコンポーネントの追加部分の形状又は位置決めを画定するために使用できる表面特徴物及びキャビティを含むことができる。成形済みレンズコンポーネントの追加部分は、第二の硬化性材料で製作できる。第二の硬化性材料は、予備的成形済みレンズコンポーネントの製作に使用される第一の硬化性材料(又はレンズコンポーネント材料)と異なるものとすることができる。幾つかの実施形態において、第二の硬化性材料は、エネルギ吸収成分及び膨張性成分を含む複合ポリマ材料を含むことができる。例えば、第二の硬化性材料は膨張性熱可塑性マイクロスフィアを含むことができる。より具体的な例として、第二の硬化性材料は、2019年10月4日に出願された米国特許出願第62/911,039号明細書に記載された複合材料とすることができ、同出願の内容は参照によって本願に組み込まれる。硬化されると、成形済みレンズコンポーネントのうちの第二の硬化性材料で製作された部分は、そのような部分に向けられた外的エネルギに応答して膨張し得る。
【0230】
幾つかの実施形態において、第四の金型コンポーネント712は、第四の金型コンポーネント712の表面に沿って画定された開口又はポートを含むことができ、それによってインジェクタノズル又は流体送達装置が第二の硬化性材料を、第四の成形表面により作られるキャビティ及び予備成形済みレンズに沿って画定されたネガティブスペースの中に送達できる。その後、同じクランプ部材232又は他のクランプ部材232を第一の金型コンポーネント200に取り外し可能に連結して、第二の組立体金型を形成できる。すると、第二の組立体金型を硬化させて、成形済みレンズコンポーネントを形成できる。可溶性コアコンポーネント236を含むこの成形済みレンズコンポーネント又は、可溶性コアコンポーネント236と、第一の金型コンポーネント200、第二の金型コンポーネント218、及び第四の金型コンポーネント712のうちの何れか又は全部(金型コンポーネントの何れかが可溶性材料で製作されているか否かによる)との組合せを溶媒中に浸漬して、可溶性コアコンポーネント236又は金型コンポーネントのうちの1つ又は複数を溶解させることができる。
【0231】
図7に示されるシステム700は4つの金型コンポーネント(例えば、第一の金型コンポーネント200、第二の金型コンポーネント218、第三の金型コンポーネント704、及び第四の金型コンポーネント712)を含んでいるが、本開示によれば、システム700は5つの金型コンポーネント、6つの金型コンポーネント、7つの金型コンポーネント、8つの金型コンポーネント、又は9つ若しくはそれ以上の金型コンポーネントを含むより多くの金型コンポーネントを含むことができると想定される。これらの追加の金型コンポーネントは、異なる硬化性材料で製作された異なる部分、複数の内部チャンバ、又はそれらの組合せを含む、さらにより複雑な、又は精巧な成形済みレンズコンポーネントを形成するために使用できる。例えば、図7に示されるシステム700の変形型は、図6に示されるハプティック104を形成するために使用できる。
【0232】
出願人が直面する1つの技術的問題は、厚さの異なるチャンバ壁により囲まれる固有の形状の内部チャンバ等、複雑な内部形状及び幾何学配置を含むハプティックをどのように形成するか、である。出願人が導き出した1つの技術的解決策は、本願で開示される可溶性コア及び金型を使ってハプティックを形成することである。さらに、本願で開示される可溶性コア及び金型を使って形成されたハプティックは、対象者の水晶体嚢内に設置するために最適化されたAIOLを形成するための光学部分流体チャンバを含む光学部分に連結できる。本願で開示される可溶性コア及び金型を使って形成されたハプティックは、水晶体嚢の変形に関わる毛様筋運動に応答した固有の形状のチャンバ壁により特定の方法で変形するようになすことができる。ハプティックの変形によって、ハプティック流体チャンバ内の流体は光学部分流体チャンバの中に入り、AIOLの屈折力を変化させることができる。本願で開示される可溶性コア及び金型を使って形成されたハプティックは、このような変形に好適である。
【0233】
図8は、金型コンポーネント間の1つ又は複数の分割線802に沿ったフラッシュを防止するための1つ又は複数の可溶性プラグ800を含む組立体金型250のある実施形態の断面図を示す。例えば、可溶性プラグ800は、第一の金型コンポーネント200と第二の金型コンポーネント218との間に、これら2つの金型コンポーネントを一体に嵌合させる前に、挿入し、又はそれ以外の方法で位置付けることができる。
【0234】
1つ又は複数の可溶性プラグ800は、第一の成形表面202に沿って画定された第一のプラグキャビティ部分内に設置できる。第一のプラグキャビティ部分は、金型コンポーネント間の分割線802(例えば、第一の金型コンポーネント200と第二の金型コンポーネント218との間の分割線802)に沿って配置し、又は位置付けることができる。第一のプラグキャビティ部分は、分割線802と第一のコンポーネントキャビティ部分204の境界又は開始地点との間の界面領域内に配置し、又は位置付けることができる。第一のプラグキャビティ部分は、第一のコンポーネントキャビティ部分204に接続できる。
【0235】
幾つかの実施形態において、1つ又は複数の可溶性プラグ800は、第二の成形表面220に沿って画定された第二のプラグキャビティ部分内に設置できる。第二のプラグキャビティ部分もまた、金型コンポーネント間の分割線802(例えば、第一の金型コンポーネント200と第二の金型コンポーネント218との間の分割線802)に沿って配置し、又は位置付けることができる。第二のプラグキャビティ部分は、分割線802と第一のコンポーネントキャビティ部分204の境界又は開始地点との間の界面領域内に配置し、又は位置付けることができる。第二のプラグキャビティ部分は、第二のコンポーネントキャビティ部分222に接続できる。
【0236】
可溶性プラグ800は、溶媒に浸漬されると溶解するように構成された可溶性材料で製作できる。幾つかの実施形態において、可溶性プラグ800は、可溶性コアコンポーネント236と同じ可溶性材料で製作できる。他の実施形態において、可溶性プラグ800は、可溶性コアコンポーネント236を製作するために使用される可溶性材料とは異なる可溶性材料で製作できる。
【0237】
第一のプラグキャビティ部分及び第二のプラグキャビティ部分は、第一の金型コンポーネント200が第二の金型コンポーネント218と嵌合させられて組立体金型250が形成されたときに、プラグ受容空間を形成できる。可溶性プラグは、プラグ受容空間を占有するように構成できる。
【0238】
可溶性コアコンポーネント236、可溶性プラグ800、及びレンズコンポーネント材料を含む組立体金型250は、まとめて硬化させることができる。硬化ステップの後、可溶性コアコンポーネント236及び可溶性プラグ800を含む成形済みレンズコンポーネントは、第一の金型コンポーネント200又は第二の金型コンポーネント218から取り外し、溶媒(例えば、水)中に浸漬できる。
【0239】
第一の金型コンポーネント200又は第二の金型コンポーネント218の何れかが可溶性材料で製作される実施形態では、可溶性材料で製作された金型コンポーネント(第一の金型コンポーネント200又は第二の金型コンポーネント218)もまた溶媒中に浸漬して溶解させることができる。
【0240】
図8の断面図で可溶性プラグ800はブロック又はノジュールとして表されているが、本開示によれば、可溶性プラグ800が第一のコンポーネントキャビティ部分204、第二のコンポーネントキャビティ部分222、又はそれらの組合せの周辺部に沿って延びる長いコード又はストランドとして実装できることも想定され、当業者であればそのように理解するはずである。
【0241】
可溶性プラグ800は、レンズコンポーネント材料が金型コンポーネント間で分割線802に沿って作られるあらゆるギャップに浸み込み、又は漏れることを防止するためのバリア又はガスケットとして機能できる。可溶性プラグ800は、成形済みレンズコンポーネントの周辺部に沿ったフラッシュ又は表面欠陥を防止するように構成できる。
【0242】
出願人が直面する1つの技術的問題は、分離可能な金型コンポーネントを使って製作される成形済みレンズコンポーネントの周辺部にフラッシュが形成されるのをどのように防止するか、である。出願人により導き出された1つの技術的解決策は、1つ又は複数の可溶性プラグを金型キャビティの周辺部に沿って設置することである。可溶性プラグは、可溶性コアコンポーネントと同じ可溶性材料で製作できる。
【0243】
図9Aは、流体充填AIOLの光学部分102のある実施形態を示す。光学部分102は、前方要素106、後方要素108、及びそれらの間に画定される光学部分流体チャンバ110を含むことができる。
【0244】
本願で開示されるシステム及び方法はまた、このような光学部分102を成形するためにも使用できる。例えば、光学部分流体チャンバ110及び複数の流体チャネル(図9Aでは図示せず、図1Aの流体チャネル122参照)は、可溶性コアコンポーネント900(図9B参照)が溶媒中に溶解したときに形成され得る。追加的実施形態において、本願で開示されるシステム及び方法は、光学部分102の一部、例えば前方要素106又は後方要素108等を形成できる。これらの実施形態において、光学部分流体チャンバ110の少なくとも一部は、可溶性コアコンポーネント900が溶解したときに形成され得る。
【0245】
幾つかの実施形態において、本願で開示される可溶性コア及び金型により形成されるハプティック104は、前述の項の中で開示される接着剤を使って本願で開示される可溶性コア及び金型により形成される光学部分102に接着し、又はそれ以外の方法で連結できる。
【0246】
図9Bは、可溶性コアコンポーネント902、第一の金型コンポーネント904、及び第二の金型コンポーネント906の代替的実施形態を含むシステム900の分解断面図を示す。システム900は、光学部分流体チャンバ110を含む図9Aに示される光学部分102を形成するために使用できる。他の実施形態において、可溶性コアコンポーネント902、第一の金型コンポーネント904、及び第二の金型コンポーネント906の改良型は、光学部分102の少なくとも一部、例えば前方要素106又は後方要素108等を形成するために使用できる。
【0247】
可溶性コアコンポーネント902は、コア本体908、第一の位置決め部品910及び第二の位置決め部品912を含む複数の位置決め部品、第一の位置決め部品910をコア本体908に接続する第一の接続シャフトセット914、並びに第二の位置決め部品912をコア本体908に接続する第二の接続シャフトセット916を含むことができる。
【0248】
コア本体908は、光学流体チャンバ110の形状及び大きさを画定するような形状及び大きさとすることができる(図9A参照)。第一の接続シャフトセット914は、コア本体908を第一の位置決め部品910に接続する複数の接続シャフトを含むことができる。第一の接続シャフトセット914は、ハプティック流体チャンバ120を光学部分流体チャンバ110に接続する第一の流体チャネルセット122A(例えば、図1A参照)の大きさ及び形状を画定するような大きさ及び形状とすることができる。幾つかの実施形態において、第一の接続シャフトセット914は、コア本体908を第一の位置決め部品910に接続する2つの接続シャフト914を含むことができる。
【0249】
第二の接続シャフトセット916は、コア本体908を第二の位置決め部品912に接続する複数の接続シャフトを含むことができる。第二の接続シャフトセット916は、光学部分流体チャンバ110を他のハプティック流体チャンバ120に接続する第二の流体チャネルセット122B(例えば、図1A参照)の大きさ及び形状を画定するような大きさ及び形状とすることができる。幾つかの実施形態において、第二の接続シャフトセット916は、コア本体908を第二の位置決め部品912に接続する2つの接続シャフト916を含むことができる。光学部分流体チャンバ110と流体チャネル122は、可溶性コアコンポーネント902が溶媒中に溶解すると形成され得る。
【0250】
図9Bに示されるように、第一の金型コンポーネント904は、第一の成形表面920に沿って画定された第一のコンポーネントキャビティ部分918を含むことができる。さらに、第二の金型コンポーネント906は、第二の成形表面924に沿って画定される第二のコンポーネントキャビティ部分922を含むことができる。第一のコンポーネントキャビティ部分918と第二のコンポーネントキャビティ部分922は、第一の金型コンポーネント904が第二の金型コンポーネント906と嵌合させられ、又はそれ以外の方法で連結されたときにコンポーネント金型キャビティを形成できる。コンポーネント金型キャビティには、前述の項で開示されたレンズ本体材料等の硬化性レンズコンポーネント材料を充填できる。レンズコンポーネント材料は、金型コンポーネントに沿って画定されるコンジット、ゲート、又はポートを通じてコンポーネント金型キャビティの中に導入できる。
【0251】
第一の成形コンポーネント904はまた、第一の成形表面920に沿って画定される複数の第一の位置決めキャビティ部分926を有することができる。第一の位置決めキャビティ部分926は、第一の位置決め部品910及び第二の位置決め部品912を含む可溶性コアコンポーネント902の複数の位置決め部品を収容し、又は受けるように構成できる。
【0252】
第二の成形コンポーネント906はまた、第二の成形表面924に沿って画定される複数の第二の位置決めキャビティ部分928を有することができる。第二の位置決めキャビティ部分928は、第一の位置決め部品910及び第二の位置決め部品912を含む可溶性コアコンポーネント902の複数の位置決め部品を収容し、又は受けるように構成できる。
【0253】
幾つかの実施形態において、第一の金型コンポーネント904、第二の金型コンポーネント906、又はそれらの組合せは、一部に、可溶性材料で製作できる。これら及びその他の実施形態において、第一の金型コンポーネント904、第二の金型コンポーネント906、又はそれらの組合せは、一部に、可溶性コアコンポーネント908と同じ可溶性材料で製作できる。他の実施形態において、第一の金型コンポーネント904、第二の金型コンポーネント906、又はこれらの組合せは、一部に、可溶性コアコンポーネント908を製作するために使用される可溶性材料とは異なる可溶性材料で製作できる。
【0254】
可溶性コアコンポーネント908を含む成形済みレンズコンポーネント(例えば、成形済み光学部分)は、溶媒(例えば、水)中に浸漬して、可溶性コアコンポーネント908を溶解させることができる。幾つかの実施形態において、組立体金型の全体を溶媒中に浸漬でき、又は金型コンポーネントのうちの1つを成形済みレンズコンポーネントと共に溶媒中に浸漬できる。
【0255】
図示されていないが、本開示により想定される別の実施形態において、可溶性プラグ800もまた金型キャビティの周辺部に設置して、フラッシュが成形済みレンズコンポーネントの周辺部に沿って形成されるのを防止できる。
【0256】
特定の実施形態において、システム900を使って形成される光学部分102は、接着剤を用いずに後方要素108に接続された前方要素106を含むワンピースの光学部分102とすることができる。他の実施形態において、システム900の一部又は、第一の金型コンポーネント904、第二の金型コンポーネント906、及び可溶性コアコンポーネント908の改良版は、前方要素106又は後方要素108を含む光学部分102の一部を形成するために使用できる。これらの実施形態において、成形済み前方要素106及び成形済み後方要素108はすると、前述の項で論じられた接着剤を使って一体に接着又はそれ以外の方法で連結できる。
【0257】
出願人が直面する1つの技術的問題は、光学部分の一部を通って延びる固有の形状の流体チャネルを含むAIOLの光学部分をどのように形成されるか、である。出願人が導き出した1つの技術的解決策は、本願で開示される可溶性コア及び金型を使って光学部分を形成することである。さらに、本願で開示される可溶性コア及び金型を使って形成された光学部分は、ハプティック流体チャンバを含むハプティック(同じく本願で開示される可溶性コア及び金型を使って形成される)に連結できる。本願で開示される可溶性コア及び金型を使って形成された光学部分は、流体が流体チャネルを通じてハプティック流体チャンバから光学部分流体チャンバに入ったこと及び同じ流体チャネルを通じて光学部分流体チャンバから出てハプティック流体チャンバに戻ったことに応答して形状を変化させる(それによってAIOLの屈折力を変化させる)ようになすことができる。
【0258】
本開示はまた、以下の項もカバーする:
【0259】
項目1: レンズコンポーネントの製造方法において、第一のコンポーネントキャビティ部分により画定される第一の成形表面を含む第一の金型コンポーネントを提供するステップと、第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含む第二の金型コンポーネントを提供するステップと、可溶性コアコンポーネントの少なくとも一部を第一の成形表面又は第二の成形表面の何れかに設置するステップと、第二の金型コンポーネントを第一の金型コンポーネントと嵌合させて、組立体金型を形成するステップであって、可溶性コアコンポーネントのあるセグメントは第一のコンポーネントキャビティ部分及び第二のコンポーネントキャビティ部分により形成される金型キャビティ内に配置されるステップと、レンズコンポーネント材料を金型キャビティ内に導入するステップと、レンズコンポーネント材料を組立体金型内で硬化させて、成形済みレンズコンポーネントを形成するステップと、成形済みレンズコンポーネントを溶媒中に浸漬して、可溶性コアコンポーネントを溶解させるステップと、を含む。
【0260】
項目2: 可溶性コンポーネントは、一部に、ポリビニルアルコールで製作される、項目1の方法。
【0261】
項目3: 溶媒は水である、項目1の方法。
【0262】
項目4: 溶媒を加熱し、溶媒を攪拌して、可溶性コアコンポーネントの溶解を促進するステップをさらに含む、項目1の方法。
【0263】
項目5: レンズコンポーネント材料を硬化させて成形済みコンポーネントを形成した後に第一の金型コンポーネントを第二の金型コンポーネントから分離するステップと、成形済みレンズコンポーネントを第一の金型コンポーネント又は第二の金型コンポーネントから取り外すステップと、をさらに含み、成形済みレンズコンポーネントが取り外されるときに可溶性コアコンポーネントの少なくとも1つのセグメントが成形済みレンズコンポーネント内にある、項目1の方法。
【0264】
項目6: 可溶性コアコンポーネントの少なくとも一部を第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置するステップは、可溶性コアコンポーネントの位置決め部品の少なくとも一部を第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置するステップを含み、少なくとも1つの位置決め部品は可溶性コアコンポーネントの一端にあり、可溶性コアコンポーネントの、少なくとも1つの位置決め部品に連結された部分は第一の成形表面又は第二の成形表面と接触しない、項目1の方法。
【0265】
項目7: 可溶性コアコンポーネントを第一の成形表面又は第二の成形表面に設置するステップは、可溶性コアコンポーネントの少なくとも1つの位置決め部品を第一の成形表面又は第二の成形表面に設置するステップを含み、少なくとも1つの位置決め部品は可溶性コアコンポーネントの一端にあり、可溶性コアコンポーネントの、少なくとも1つの位置決め部品に連結された残りの部分は第一の成形表面又は第二の成形表面と接触しない、項目1の方法。
【0266】
項目8: 第一の成形表面はさらに、第一のコンポーネントキャビティ部分に接続された第一のプラグキャビティ部分により画定され、第二の成形表面は、第二のコンポーネントキャビティ部分に接続された第二のプラグキャビティ部分により画定され、方法は、組立体金型を形成する前に可溶性プラグを第一のプラグキャビティ部分又は第二のプラグキャビティ部分の中に設置するステップであって、第二の金型コンポーネントが第一の金型コンポーネントと嵌合させられたときに可溶性プラグは第一のプラグキャビティ部分及び第二のプラグキャビティ部分により形成されるプラグ受容空間を占有するステップと、レンズコンポーネント材料を組立体金型の中で硬化させるステップであって、組立体金型は可溶性プラグを含むステップと、をさらに含む。
【0267】
項目9: レンズコンポーネントはレンズのハプティックであり、可溶性コアコンポーネントが溶解するとハプティックチャンバがハプティックの中に形成される、項目1の方法。
【0268】
項目10: レンズコンポーネントはレンズの光学部分であり、可溶性コアコンポーネントが溶解すると、光学部分チャンバが光学部分の中に形成される、項目1の方法。
【0269】
項目11: レンズコンポーネントはレンズの光学部分の一部であり、可溶性コアコンポーネントが溶解すると、光学チャンバの少なくとも一部が形成される、項目1の方法。
【0270】
項目12: 第二の金型コンポーネントを第一の金型コンポーネントと嵌合させた後に、クランプ部材を使って第一の金型コンポーネントを第二の金型コンポーネントに固定するステップをさらに含む、項目1の方法。
【0271】
項目13: クランプ部材は、第二の金型コンポーネントが第一の金型コンポーネントと嵌合させられた時に、第一の金型コンポーネントの上部に取り外し可能に固定されるように構成されたクランプキャップである、項目12の方法。
【0272】
項目14: 第二の金型コンポーネントは、レンズコンポーネント材料が金型キャビティ内に導入されている間に空気が出ることができるように構成されたベントを含む、項目1の方法。
【0273】
項目15: レンズコンポーネント材料は、一部に、硬化性アクリルモノマで製作される、項目1の方法。
【0274】
項目16: レンズコンポーネントを製造するシステムにおいて、第一のコンポーネントキャビティ部分により画定された第一の成形表面を含む第一の金型コンポーネントと、第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含む第二の金型コンポーネントと、第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置されるように構成された可溶性コアコンポーネントと、を含み、第一の金型コンポーネントは、第二の金型コンポーネントと嵌合させられて組立体金型を形成するように構成され、可溶性コアコンポーネントのあるセグメントは、第一の金型コンポーネントが第二の金型コンポーネントと嵌合させられたときに第一のコンポーネントキャビティ部分と第二のコンポーネントキャビティ部分により形成される金型キャビティ内に配置されるように構成され、組立体金型内の金型キャビティは、成形済みレンズコンポーネントへと硬化させるためのレンズコンポーネント材料を受けるように構成され、可溶性コアコンポーネントは、成形済みレンズコンポーネントが溶媒中に浸漬されたときに、溶媒中で溶解するように構成される。
【0275】
項目17: 可溶性コアコンポーネントは、一部に、ポリビニルアルコールで製作される、項目16のシステム。
【0276】
項目18: 溶媒は水である、項目16のシステム。
【0277】
項目19: 成形済みレンズコンポーネントが溶媒中に浸漬されたときに溶媒を加熱するように構成された温水浴と、溶媒を攪拌して可溶性コアコンポーネントの溶解を促進するように構成された超音波処理装置と、をさらに含む、項目16のシステム。
【0278】
項目20: レンズコンポーネント材料は、組立体金型内で成形済みレンズコンポーネントへと硬化させられるように構成され、成形済みレンズコンポーネントは、硬化の後に第一の金型コンポーネントが第二の金型コンポーネントがから分離される時に第一の金型コンポーネント又は第二の金型コンポーネントの何れかから取り外されるように構成され、可溶性コンポーネントの少なくとも1つのセグメントは、成形済みレンズコンポーネントが第一の金型コンポーネント又は第二の金型コンポーネントの何れかから取り外された時に成形済みレンズコンポーネント内にある、項目16のシステム。
【0279】
項目21: 可溶性コアコンポーネントは、可溶性コアコンポーネントの一端に少なくとも1つの位置決め部品を含み、少なくとも1つの位置決め部品は、第一の成形表面又は第二の成形表面の上に設置されるように構成され、可溶性コアコンポーネントの一部は、少なくとも1つの位置決め部品が第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置されたときに第一の成形表面又は第二の成形表面と接触しない、項目16のシステム。
【0280】
項目22: 可溶性コアコンポーネントは、可溶性コアコンポーネントの一端の少なくとも1つの位置決め部品と、可溶性コアコンポーネントの反対の端の自由遠位端を含み、少なくとも1つの位置決め部品は、第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置されるように構成され、可溶性コアコンポーネントの自由遠位端は、少なくとも1つの位置決め部品が第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置されたときに第一の成形表面又は第二の成形表面と接触しない、項目16のシステム。
【0281】
項目23: 組立体金型を形成する前に、第一の成形表面に沿って画定された第一のプラグキャビティ部分の中又は第二の成形表面に沿って画定された第二のプラグキャビティ部分の中に設置されるように構成された可溶性プラグをさらに含み、可溶性プラグは、第二の金型コンポーネントが第一の金型コンポーネントと嵌合させられたときに第一のプラグキャビティ部分と第二のプラグキャビティ部分により形成されるプラグ受容空間を占有するように構成され、レンズコンポーネント材料、可溶性コアコンポーネント、及び可溶性プラグを含む組立体金型は硬化させられように構成される、項目16のシステム。
【0282】
項目24: レンズコンポーネントはレンズのハプティックであり、可溶性コアコンポーネントが溶解したときにハプティックチャンバがハプティックの中に形成される、項目16のシステム。
【0283】
項目25: レンズコンポーネントはレンズの光学部分であり、可溶性コアコンポーネントが溶解したときに光学部分チャンバが光学部分の中に形成される、項目16のシステム。
【0284】
項目26: レンズコンポーネントはレンズの光学部分の一部であり、可溶性コアコンポーネントが溶解したときに光学チャンバの少なくとも一部が形成される、項目16のシステム。
【0285】
項目27: レンズコンポーネントの製造方法において、第一のコンポーネントキャビティ部分により画定される第一の成形表面を含む第一の金型コンポーネントを提供するステップであって、第一の金型コンポーネントは可溶性材料で製作されるステップと、第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含む第二の金型コンポーネントを提供するステップであって、第二の金型コンポーネントは可溶性材料で製作されるステップと、可溶性コアコンポーネントの少なくとも一部は第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置するステップであって、可溶性コアコンポーネントは可溶性材料で製作されるステップと、第二の金型コンポーネントを第一の金型コンポーネントと嵌合させて、組立体金型を形成するステップであって、可溶性コアコンポーネントの1つのセグメントは第一のコンポーネントキャビティ部分及び第二のコンポーネントキャビティ部分により形成される金型キャビティ内に配置されるステップと、レンズコンポーネント材料を金型キャビティの中に導入するステップと、レンズコンポーネント材料を組立体金型内で硬化させて、成形済みレンズコンポーネントを形成するステップと、成形済みレンズコンポーネントを含む組立体金型を溶媒中に浸漬して、可溶性コアコンポーネント、第一の金型コンポーネント、及び第二の金型コンポーネントを溶解させるステップと、を含む。
【0286】
項目28: 第二の金型コンポーネントを第一の金型コンポーネントと嵌合させる前に第一の成形表面及び第二の成形表面の少なくとも一方を湿潤させて、第一の金型コンポーネントと第二の金型コンポーネントにより作られる分割線において成形済みレンズコンポーネントの周辺に沿ってフラッシュが生成されるのを防止するステップをさらに含む、項目27の方法。
【0287】
項目29: 可溶性コアコンポーネント、第一の金型コンポーネント、及び第二の金型コンポーネントは、一部に、ポリビニルアルコールで製作される、項目27の方法。
【0288】
項目30: 溶媒は水である、項目27の方法。
【0289】
項目31: 溶媒を加熱し、溶媒を攪拌して、可溶性コアコンポーネント、第一の金型コンポーネント、及び第二の金型コンポーネントの溶解を促進するステップをさらに含む、項目27の方法。
【0290】
項目32: 可溶性コアコンポーネントの少なくとも一部を第一の成形表面又は第二成形表面上に設置するステップは、可溶性コアコンポーネントの少なくとも1つの位置決め部品を第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置するステップを含み、少なくとも1つの位置決め部品は、可溶性コアコンポーネントの一端にあり、可溶性コアコンポーネントの、少なくとも1つの位置決め部品に連結された部分は、第一の成形表面又は第二の成形表面と接触しない、項目27の方法。
【0291】
項目33: 可溶性コアコンポーネントを第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置するステップは、可溶性コアコンポーネントの少なくとも1つの位置決め部品を第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置するステップを含み、少なくとも1つの位置決め部品は可溶性コアコンポーネントの一端にあり、可溶性コアコンポーネントの、少なくとも1つの位置決め部品に連結された残りの部分は第一の成形表面又は第二の成形表面と接触しない、項目27の方法。
【0292】
項目34: レンズコンポーネントはレンズのハプティックであり、可溶性コアコンポーネントが溶解するとハプティックチャンバがハプティックの中に形成される、項目27の方法。
【0293】
項目35: レンズコンポーネントはレンズの光学部分であり、可溶性コアコンポーネントが溶解すると光学部分チャンバが光学部分の中に形成される、項目27の方法。
【0294】
項目36: レンズコンポーネントはレンズの光学部分の一部であり、可溶性コアコンポーネントが溶解すると光学部分チャンバの少なくとも一部が形成される、項目27の方法。
【0295】
項目37: レンズコンポーネントを製造するシステムにおいて、第一のコンポーネントキャビティ部分により画定される第一の成形表面を含む第一の金型コンポーネントであって、可溶性材料で製作される第一の金型コンポーネントと、第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含む第二の金型コンポーネントであって、可溶性材料で製作される第二の金型コンポーネントと、第一の成形表面又は第二成形表面の何れかの上に設置されるように構成された可溶性コアコンポーネントと、を含み、第一の金型コンポーネントは第二の金型コンポーネントと嵌合させられて組立体金型を形成するように構成され、可溶性コアコンポーネントの1つのセグメントは、第一の金型コンポーネントが第二の金型コンポーネントと嵌合させられたときに第一のコンポーネントキャビティ部分と第二のコンポーネントキャビティ部分により形成される金型キャビティ内に配置されるように構成され、組立体金型内の金型キャビティは、成形済みレンズコンポーネントへと硬化させられるためのレンズコンポーネント材料を受けるように構成され、可溶性コアコンポーネント、第一の金型コンポーネント、及び第二の金型コンポーネントは、組立体金型が溶媒中に浸漬されると溶媒中で溶解するように構成されるシステム。
【0296】
項目38: 可溶性コアコンポーネント、第一の金型コンポーネント、及び第二の金型コンポーネントは、一部に、ポリビニルアルコールで製作される、項目37のシステム。
【0297】
項目39: 溶媒は水である、項目37のシステム。
【0298】
項目40: 成形済みレンズコンポーネントを含む組立体金型が溶媒中に浸漬されると溶媒を加熱するように構成された温水浴と、溶媒を攪拌して、可溶性コアコンポーネント、第一の金型コンポーネント、及び第二の金型コンポーネントの溶解を促進するように構成される超音波処理装置と、をさらに含む、項目37のシステム。
【0299】
項目41: レンズコンポーネント材料は、組立体金型内で硬化させられて成形済みレンズコンポーネントを形成するように構成され、可溶性コアコンポーネントの少なくとも1つのセグメントは、成形済みレンズコンポーネントを含む組立体金型が溶媒内に浸漬されるとき、金型レンズコンポーネントの中にある、項目37のシステム。
【0300】
項目42: 可溶性コアコンポーネントは、可溶性コアコンポーネントの一端に少なくとも1つの位置決め部品を含み、少なくとも1つの位置決め部品は、第一の成形表面又は第二成形表面上に設置されるように構成され、可溶性コアコンポーネントの一部は、少なくとも1つの位置決め部品が第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置されたときに第一の成形表面又は第二の成形表面と接触しない、項目37のシステム。
【0301】
項目43: 可溶性コアコンポーネントは、可溶性コアコンポーネントの一端の少なくとも1つの位置決め部品と、可溶性コアコンポーネントの反対の端の自由遠位端を含み、少なくとも1つの位置決め部品は、第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置されるように構成され、可溶性コアコンポーネントの自由遠位端は、少なくとも1つの位置決め部品が第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置されたときに第一の成形表面又は第二の成形表面と接触しない、項目37のシステム。
【0302】
項目44: レンズコンポーネントがレンズのハプティックであり、可溶性コアコンポーネントが溶解するとハプティックチャンバがハプティックの中に形成される、項目37のシステム。
【0303】
項目45: レンズコンポーネントはレンズの光学部分であり、可溶性コアコンポーネントが溶解すると光学チャンバが光学部分の中に形成される、項目37のシステム。
【0304】
項目46: レンズコンポーネントがレンズの光学部分の一部であり、可溶性コアコンポーネントが溶解すると光学チャンバの少なくとも一部が形成される、項目37のシステム。
【0305】
項目47: レンズコンポーネントの製造方法において、第一のコンポーネントキャビティ部分により画定される第一の成形表面を含む第一の金型コンポーネントを提供するステップであって、第一の金型コンポーネントは可溶性材料で製作されるステップと、第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含む第二の金型コンポーネントを提供するステップと、可溶性コアコンポーネントの少なくとも一部を第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置するステップであって、可溶性コアコンポーネントは可溶性材料で製作されるステップと、第二の金型コンポーネントを第一の金型コンポーネントと嵌合させて組立体金型を形成するステップであって、可溶性コアコンポーネンのあるセグメントは、第一のコンポーネントキャビティ部分と第二のコンポーネントキャビティ部分により形成される金型キャビティ内に配置されるステップと、レンズコンポーネント材料を金型キャビティ内に導入するステップと、レンズコンポーネント材料を組立体金型内で硬化させて成形済みレンズコンポーネントを形成するステップと、第一の金型コンポーネント及び成形済みレンズコンポーネントを溶媒中に浸漬して、第一の金型コンポーネントと可溶性コアコンポーネントを溶解させるステップと、を含む。
【0306】
項目48: 第二の金型コンポーネントを第一の金型コンポーネントと嵌合させる前に第一の成形表面及び第二の成形表面の少なくとも一方を湿潤させて、成形済みレンズコンポーネントの周辺部に沿って第一の金型コンポーネントと第二の金型コンポーネントにより作られる分割線においてフラッシュが生成されるのを防止するステップをさらに含む、項目47の方法。
【0307】
項目49: 可溶性コアコンポーネント及び第一の金型コンポーネントは、一部に、ポリビニルアルコールで製作される、項目47の方法。
【0308】
項目50: 溶媒は水である、項目47の方法。
【0309】
項目51: 溶媒を加熱し、溶媒を攪拌して、可溶性コアコンポーネント及び第一の金型コンポーネントの溶解を促進するステップをさらに含む、項目47の方法。
【0310】
項目52: 可溶性コアコンポーネントの少なくとも一部を第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置するステップは、可溶性コアコンポーネントの少なくとも1つの位置決め部品を第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置するステップを含み、少なくとも1つの位置決め部品は可溶性コアコンポーネントの一端にあり、可溶性コアコンポーネントの少なくとも1つの位置決め部品に連結された部分は、第一の成形表面又は第二の成形表面と接触しない、項目47の方法。
【0311】
項目53: 可溶性コンポーネントの少なくとも一部を第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置するステップは、可溶性コアコンポーネントの少なくとも1つの位置決め部品を第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置するステップを含み、少なくとも1つの位置決め部品は可溶性コアコンポーネントの一端にあり、可溶性コアコンポーネントの、少なくとも1つの位置決め部品と連結される残りの部分は第一の成形表面又は第二の成形表面と接触しない、項目47の方法。
【0312】
項目54: 第二の成形表面はさらに、プラグキャビティにより画定され、方法は、組立体金型を形成するステップの前に可溶性プラグをプラグキャビティ内に設置するステップであって、可溶性プラグは、第二の金型コンポーネントが第一の金型コンポーネントと嵌合させられた時にプラグキャビティを占有するステップと、レンズコンポーネント材料を組立体金型内で硬化させるステップであって、組立体金型は可溶性プラグを含むステップと、をさらに含む、項目47の方法。
【0313】
項目55: レンズコンポーネントはレンズのハプティックであり、可溶性コアコンポーネントが溶解するとハプティックチャンバがハプティックの中に形成される、項目47の方法。
【0314】
項目56: レンズコンポーネントはレンズの光学部分であり、可溶性コアコンポーネントが溶解すると光学部分チャンバが光学部分の中に形成される、項目47の方法。
【0315】
項目57: レンズコンポーネントはレンズの光学部分であり、可溶性コアコンポーネントが溶解すると光学部分チャンバの少なくとも一部が形成される、項目47の方法。
【0316】
項目58: レンズコンポーネントを製造するシステムにおいて、第一のコンポーネントキャビティ部分により画定される第一の成形表面を含む第一の金型コンポーネントであって、可溶性材料で製作される第一の金型コンポーネントと、第二のコンポーネントキャビティ部分により画定される第二の成形表面を含む第二の金型コンポーネントと、第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置されるように構成された可溶性コアコンポーネントと、を含み、第一の金型コンポーネントは、第二の金型コンポーネントと嵌合させられて組立体金型を形成するように構成され、可溶性コアコンポーネントのあるセグメントは、第一の金型コンポーネントが第二の金型コンポーネントと嵌合させられたときに第一のコンポーネントキャビティ部分と第二のコンポーネントキャビティ部分により形成される金型キャビティ内に配置されるように構成され、組立体金型内の金型キャビティは、成形済みレンズコンポーネントへと硬化させるためのレンズコンポーネント材料を受けるように構成され、可溶性コアコンポーネントと第一の金型コンポーネントは、第一の金型コンポーネントと成形済みレンズコンポーネントが溶媒中に浸漬されると溶解するように構成されるシステム。
【0317】
項目59: 可溶性コアコンポーネントと第一の金型コンポーネントは、一部に、ポリビニルアルコールで製作される、項目58のシステム。
【0318】
項目60: 溶媒は水である、項目58のシステム。
【0319】
項目61: 第一の金型コンポーネントと成形済みレンズコンポーネントが溶媒中に浸漬されると溶媒を加熱するように構成される温水浴と、溶媒を攪拌して可溶性コアコンポーネントと第一の金型コンポーネントの溶解を促進するように構成される超音波処理装置と、をさらに含む、項目58のシステム。
【0320】
項目62: レンズコンポーネント材料は、組立体金型内で成形済みレンズコンポーネント材料へと硬化させられるように構成され、第二の金型コンポーネントは、硬化後に成形済みレンズコンポーネント及び第一の金型コンポーネントから分離されるように構成され、可溶性コアコンポーネントの少なくとも1つのセグメントは、第一の金型コンポーネントと成形済みレンズコンポーネントが溶媒中に浸漬されるときに成形済みレンズコンポーネント内にある、項目58のシステム。
【0321】
項目63: 可溶性コアコンポーネントは可溶性コアコンポーネントの一端の少なくとも1つの位置決め部品を含み、少なくとも1つの位置決め部品は、第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置されるように構成され、可溶性コアコンポーネントの一部は、少なくとも1つの位置決め部品が第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置された時に第一の成形表面又は第二の成形表面と物理的に接触しないように構成される、項目58のシステム。
【0322】
項目64: 可溶性コアコンポーネントは、可溶性コアコンポーネントの一端の少なくとも1つの位置決め部品と、可溶性コアコンポーネントの反対の端の自由遠位端を含み、少なくとも1つの位置決め部品は、第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置されるように構成され、可溶性コアコンポーネントの自由遠位端は、少なくとも1つの位置決め部品が第一の成形表面又は第二の成形表面上に設置されたときに第一の成形表面又は第二の成形表面と物理的に接触しないように構成される、項目58のシステム。
【0323】
項目65: 組立体金型を形成するステップの前に第二の成形表面に沿って画定されるプラグキャビティ内に設置されるように構成された可溶性プラグをさらに含み、可溶性プラグは、第二の金型コンポーネントが第一の金型コンポーネントと嵌合させられたときにプラグキャビティを占有するように構成され、レンズコンポーネント材料、可溶性コアコンポーネント、及び可溶性プラグを含む組立体金型は硬化させられるように構成される、項目58のシステム。
【0324】
項目66: レンズコンポーネントはレンズのハプティックであり、可溶性コアコンポーネントが溶解したときにハプティックチャンバがハプティックの中に形成される、項目58のシステム。
【0325】
項目67: レンズコンポーネントはレンズの光学部分であり、可溶性コアコンポーネントが溶解すると光学部分チャンバが光学部分の中に形成される、項目58のシステム。
【0326】
項目68: レンズコンポーネントはレンズの光学部分の一部であり、可溶性コアコンポーネントが溶解すると光学部分チャンバの少なくとも一部が形成される、項目58のシステム。
【0327】
複数の実施形態について説明してきた。それにもかかわらず、当業者であれば、実施形態の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本開示に対する様々な変更形態及び修正形態がなされ得ることを理解するであろう。任意の実施形態とともに示されるシステム、デバイス、装置及び方法の要素は、特定の実施形態に対して例示的なものであり、本開示内の他の実施形態に組み合わせて又は他の方法で使用することができる。例えば、図に描かれた又は本開示に記載された任意の方法のステップは、所望の結果を達成するために、示された又は記載された特定の順序又は連続的な順序を必要としない。加えて、所望の結果を達成するために、他のステップ動作が提供され得るか、又は記載された方法若しくはプロセスからステップ若しくは動作が排除若しくは省略され得る。更に、所望の結果を達成するために、本開示に記載された又は図に描かれた任意の装置又はシステムの任意の構成要素又は部品が除去、排除又は省略され得る。加えて、本明細書に示された又は記載されたシステム、デバイス又は装置の特定の構成要素又は部分は、簡潔性及び明瞭性のために省略されている。
【0328】
したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内であり、本明細書及び/又は図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味であると見なされ得る。
【0329】
本明細書に記載されて図示された個々の変形形態又は実施形態の各々は、他の変形形態又は実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得るか、又はその特徴と容易に組み合わされ得る個別の構成要素及び特徴を有する。本発明の目的、趣旨又は範囲に適合させるために、特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセス行為又はステップに対する変更形態がなされ得る。
【0330】
更に、値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の全ての介在する値及びその記載された範囲内の任意の他の記載された値又は介在する値は、本発明に包含される。記載された本発明の変形形態の任意選択の特徴は、独立して又は本明細書に記載された特徴のいずれか1つ以上と組み合わせても記載及び特許請求され得る。
【0331】
本明細書で言及される全ての既存の主題(例えば、刊行物、特許、特許出願、及びハードウェア)は、その主題が本発明の主題と矛盾し得る場合(その場合、本明細書に存在するものが優先するものとする)を除き、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。参照された項目は、本出願の出願日前の開示のためにのみ提供される。本細書のいかなる内容も、本発明が従来の発明によりそのような資料に先行する権利を付与されないことを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0332】
単数の項目への言及は、複数の同じ項目が存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、「前記」及び「その」は、文脈上明らかにそうでないことが規定されない限り、複数の参照物を含む。更に、特許請求の範囲は、任意選択の要素を除外するようにドラフトされ得ることに留意されたい。そのため、このステートメントは、請求項要素の言及に関連して「単独で」、「のみ」などの排他的用語の使用又は「否定的」な限定の使用に対する先行する根拠として機能することを意図している。
特に定義されていない限り、本明細書で用いられる全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
【国際調査報告】