(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】5Gスモールセル時間同期ネットワーキング
(51)【国際特許分類】
H04W 56/00 20090101AFI20241128BHJP
H04W 4/70 20180101ALI20241128BHJP
H04L 7/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H04W56/00
H04W4/70
H04L7/00 990
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525563
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-04-28
(86)【国際出願番号】 US2022049534
(87)【国際公開番号】W WO2023086463
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519299315
【氏名又は名称】カーサシステムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CASA SYSTEMS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100119378
【氏名又は名称】栗原 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】カラスコ クイリス,オスカー
(72)【発明者】
【氏名】ボウシュマル,ファイザ
【テーマコード(参考)】
5K047
5K067
【Fターム(参考)】
5K047AA18
5K067AA21
5K067BB28
5K067DD25
5K067EE10
5K067EE12
5K067EE16
5K067FF05
(57)【要約】
本明細書で説明する技術は、セルラーネットワークの無線チャネルを介してタイムセンシティブネットワーキングを提供するコンピュータ化された方法を提供するように構成された方法、装置、及びコンピュータ可読媒体に関する。この方法は、セルラーネットワークノードからタイミング情報をネットワークデバイスによって受信することを含む。タイミング情報が受信されると、ネットワークデバイスにより、タイミング情報に基づいてタイミング調整を決定する。タイミング調整は、ネットワークデバイスを介してセルラーネットワークノードとセルラー通信しているユーザデバイスにネットワークデバイスによって送信されるタイミング信号を調整するために使用され、タイミング信号は、同期プロトコルに従ってユーザデバイスのタイミングを調整するために使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラーネットワークの無線チャネルを介してタイムセンシティブネットワーキング(TSN)同期プロトコルを提供するコンピュータ化された方法であって:
前記方法は、セルラーネットワークノードからタイミング情報をネットワークデバイスによって受信することがセルラーネットワークデバイスによって実行され、ここで:
セルラーネットワークノードはネットワークデバイスと有線通信し;かつ
タイミング情報は有線同期プロトコルに従ってネットワーククロックリファレンスとネットワークデバイスへの送信時間とに関連付けられており;
前記方法はさらに、タイミング情報に基づいてネットワークデバイスによってタイミング調整を決定することがセルラーネットワークデバイスによって実行され;
前記方法はさらに、タイミング調整に基づいてネットワークデバイスを介してセルラーネットワークノードとセルラー通信しているユーザデバイスにネットワークデバイスによって送信されるタイミング信号を調整することがセルラーネットワークデバイスによって実行され、ここで、タイミング信号はTSN同期プロトコルに従ってユーザデバイスのタイミングシステムを調整するために使用される;
前記コンピュータ化された方法。
【請求項2】
TSN同期プロトコルは無線同期プロトコルであり:
前記無線同期プロトコルは、ネットワークデバイスによって無線フレームのダウンリンク情報を送信することを含み、ここで、ダウンリンク情報を送信することは基準同期信号のパターンをタイミング信号としてユーザデバイスに送信することを含み;
前記無線同期プロトコルはさらに、ネットワークデバイスによって無線フレームのアップリンク情報を受信することを含み、ここで、アップリンク情報はユーザデバイスにおけるダウンリンク情報の到着時間に対応する応答情報を含み;
前記無線同期プロトコルはさらに、無線フレームがネットワークデバイスからユーザデバイスまで無線で移動する移動時間に関連する遅延情報をネットワークデバイスによって決定することを含み、ここで、遅延情報を決定することは、ネットワークデバイスがダウンリンク情報を送信することに関連する第1の時間と、ネットワークデバイスがアップリンク情報を受信することに関連する第2の時間とを比較することを含む;
請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項3】
ネットワークデバイスによってアップリンク情報を受信することは更に、ネットワークデバイスとユーザデバイスとの間でランダムアクセス手順を使用することを含み、遅延情報を決定することは更に、タイミングアドバンスを決定することを含む、請求項2に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項4】
無線フレームが複数のサブフレームを含み、複数のサブフレームの各々が複数のスロットを含み、ここで、複数のスロットの各々が複数のシンボルを含み;
基準同期信号のパターンを送信することは更に、基準同期信号のパターンを複数のシンボルのサブセットとして送信することを含む;
請求項2に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項5】
タイミング調整を決定することは更に:
タイミング情報と遅延情報に基づいて同期時間を決定することと;
同期時間に基づいて無線フレームの一部の目標到着時間を決定することと;
目標到着時間とタイミング情報と遅延情報に基づいて、送信時に無線フレームの一部が目標到着時間にユーザデバイスに到着するようにタイミング調整を決定することと;
を含む、請求項4に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項6】
無線フレームの一部は無線フレームの第1のサブフレームの第1のスロットであり、無線フレームがユーザデバイスに到着する目標到着時間は同期クロック間隔の開始時である、請求項5に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項7】
TSN同期プロトコルは、IEEE 802.1AS規格に従ってTSNをサポートし、TSN同期プロトコルは更に、同期時間がユーザデバイスに到着したときに同期時間が基準時間の所定の閾値内に同期化されるように、ネットワークデバイスによって同期時間を送信することを含む、請求項5に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項8】
所定の閾値は、基準時間の1ナノ秒以内、基準時間の1マイクロ秒以内、又はそれらの組み合わせである、請求項7に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項9】
所定の閾値は、時変条件を有する分散チャネルにおいて基準時間から250ナノ秒以内である、請求項7に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項10】
基準同期信号のパターンを送信することは更に、15kHz~240kHzのサブキャリア帯域幅を使用して無線フレームを送信することを含む、請求項2に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項11】
セルラーネットワークからタイミング情報を受信することは、セルラーネットワークの汎用精密時間プロトコル(g-PTP)に基づいて、基準時間、滞留時間、及び基準クロックからネットワークノードへのリンク遅延を受信することを含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項12】
ネットワークデバイスは基地局である、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項13】
基地局はgNodeBであり、セルラーネットワークは5Gネットワークである、請求項12に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項14】
セルラーネットワークの無線チャネルを介してTSN同期プロトコルを提供するように構成された装置であって、前記装置はメモリ及び一組の追加処理リソースと通信するプロセッサを含み、前記プロセッサはメモリに記憶された命令を実行するように構成されていて、前記命令の実行によって:
前記プロセッサは、ネットワークデバイスによってセルラーネットワークノードからタイミング情報を受信し、ここで、セルラーネットワークノードはネットワークデバイスと有線通信しており、タイミング情報は有線同期プロトコルに従ってネットワーククロックリファレンスとネットワークデバイスへの送信時間とに関連付けられ;
前記プロセッサはさらに、タイミング情報に基づいて、ネットワークデバイスによってタイミング調整を決定し;かつ
前記プロセッサはさらに、タイミング調整に基づいてネットワークデバイスを介してセルラーネットワークノードとセルラー通信しているユーザデバイスにネットワークデバイスによって送信されるタイミング信号を調整し、ここで、タイミング信号は、TSN同期プロトコルに従ってユーザデバイスのタイミングシステムを調整するために使用される;
前記装置。
【請求項15】
TSN同期プロトコルは無線同期プロトコルであり、前記命令は更に、TSN同期プロトコルに従って:
前記装置が、ネットワークデバイスによって無線フレームのダウンリンク情報を送信するよう構成され、ここで、ダウンリンク情報を送信することは基準同期信号のパターンをタイミング信号としてユーザデバイスに送信することを含み;
前記装置が、ネットワークデバイスによって無線フレームのアップリンク情報を受信するよう構成され、ここで、アップリンク情報はユーザデバイスにおけるダウンリンク情報の到着時間に対応する応答情報を含み;かつ
前記装置が、無線フレームがネットワークデバイスからユーザデバイスまで無線で移動する移動時間に関連する遅延情報をネットワークデバイスによって決定するよう構成され、ここで、遅延情報を決定することは、ネットワークデバイスがダウンリンク情報を送信することに関連する第1の時間と、ネットワークデバイスがアップリンク情報を受信することに関連する第2の時間とを比較することを含む;
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記命令は、無線フレームが複数のサブフレームを含むように構成されており、ここで、複数のサブフレームの各々が複数のスロットを含み、かつ、複数のスロットの各々が複数のシンボルを含み;
前記命令はさらに、装置が基準同期信号のパターンを送信し、更に基準同期信号のパターンを送信することは基準同期信号のパターンを複数のシンボルのサブセットとして送信することを含むように構成されている;
請求項15に記載の装置。
【請求項17】
装置にタイミング調整を決定させる前記命令は更に、前記装置が、:
タイミング情報と遅延情報に基づいて同期時間を決定し;
同期時間に基づいて無線フレームの一部の目標到着時間を決定し;かつ
目標到着時間とタイミング情報と遅延情報に基づいて、送信時に無線フレームの一部が目標到着時間にユーザデバイスに到着するようにタイミング調整を決定する;
ように構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記命令は更に、実行されるべきアクションタイプとアクションが実行されるべき時間を指定する通信プロトコルを介して、少なくとも1つのユーザデバイスのアクションと時間同期されたセルラーネットワークから送信されたアクションを実行するように構成されている、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
実行時にセルラーネットワークの無線チャネルを介してTSN同期プロトコルを提供する方法を実行する複数のコンピュータ実行可能命令でエンコードされた少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって:
前記方法は、セルラーネットワークノードからタイミング情報をネットワークデバイスによって受信することを含み、ここで:
セルラーネットワークノードはネットワークデバイスと有線通信しており;かつ
タイミング情報は有線同期プロトコルに従ってネットワーククロックリファレンスとネットワークデバイスへの送信時間とに関連付けられており;
前記方法はさらに、タイミング情報に基づいてネットワークデバイスによってタイミング調整を決定することを含み;
前記方法はさらに、タイミング調整に基づいて、ネットワークデバイスを介してセルラーネットワークノードとセルラー通信しているユーザデバイスにネットワークデバイスによって送信されるタイミング信号を調整することを含み、ここで、タイミング信号はTSN同期プロトコルに従ってユーザデバイスのタイミングシステムを調整するために使用される;
前記少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
同期プロトコルは無線同期プロトコルであり:
無線同期プロトコルは、ネットワークデバイスによって無線フレームのダウンリンク情報を送信することを含み、ここで、ダウンリンク情報を送信することは基準同期信号のパターンをタイミング信号としてユーザデバイスに送信することを含んでおり;
無線同期プロトコルはさらに、ネットワークデバイスによって無線フレームのアップリンク情報を受信することを含み、ここで、アップリンク情報はユーザデバイスにおけるダウンリンク情報の到着時間に対応する応答情報を含んでおり;
無線同期プロトコルはさらに、無線フレームがネットワークデバイスからユーザデバイスまで無線で移動する移動時間に関連する遅延情報をネットワークデバイスによって決定することを含み、ここで、遅延情報を決定することは、ネットワークデバイスがダウンリンク情報を送信することに関連する第1の時間と、ネットワークデバイスがアップリンク情報を受信することに関連する第2の時間とを比較することを含んでいる;
請求項19に記載の少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項21】
タイミング調整を決定することは更に:
タイミング情報と遅延情報に基づいて同期時間を決定することと;
同期時間に基づいて無線フレームの一部の目標到着時間を決定することと;
目標到着時間とタイミング情報と遅延情報に基づいて、送信時に無線フレームの一部が目標到着時間にユーザデバイスに到着するようにタイミング調整を決定することと;
を含む、請求項20に記載の少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年11月12日に出願された「5Gスモールセル時間同期ネットワーキング」と題する米国仮出願シリアル番号第63/278,781号の35 U.S.C. § 119(e)に基づく優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本明細書で説明する技術は、一般に、5Gスモールセル時間同期ネットワークなどの時間同期ネットワークに関する。
【背景技術】
【0003】
時間同期ネットワークは、異なるアプリケーション、アプリケーションの異なるインスタンス、及び/又はネットワークに接続された異なるデバイスの間で共通の時間を調整するためのフレームワークを提供することができる。時間同期ネットワークを使用する異なるアプリケーション及び/又はデバイス間で調整される共通の時間は、異なるアプリケーション及びデバイス間でアクション、トラフィックなどのスケジューリングを可能にして調整された動作を提供することができる(例えばアプリケーションが一致して動作できる)。
【発明の概要】
【0004】
開示された主題に従って、セルラーネットワークの無線チャネルを介したタイムセンシティブネットワーキング同期プロトコルのための装置、システム、及び方法が提供される。
【0005】
幾つかの実施形態は、セルラーネットワークの無線チャネルを介してタイムセンシティブネットワーキング(TSN)同期プロトコルを提供するコンピュータ化された方法に関する。この方法は、セルラーネットワークデバイスによって、セルラーネットワークノードからタイミング情報をネットワークデバイスによって受信することと、ここで、セルラーネットワークノードはネットワークデバイスと有線通信しており、タイミング情報はネットワーククロックリファレンスと有線同期プロトコルに従うネットワークデバイスへの送信時間とに関連付けられ、タイミング情報に基づいて、ネットワークデバイスによってタイミング調整を決定することと、タイミング調整に基づいてネットワークデバイスを介してセルラーネットワークノードとセルラー通信しているユーザデバイスにネットワークデバイスによって送信されるタイミング信号を調整することと、を実行することを含み、ここで、タイミング信号はTSN同期プロトコルに従って、ユーザデバイスのタイミングシステムを調整するために使用される。
【0006】
幾つかの例では、TSN同期プロトコルは無線同期プロトコルであり、無線同期プロトコルは、ネットワークデバイスによって無線フレームのダウンリンク情報を送信することと、ここで、ダウンリンク情報を送信することは基準同期信号のパターンをタイミング信号としてユーザデバイスに送信することを含み、ネットワークデバイスによって無線フレームのアップリンク情報を受信することと、ここで、アップリンク情報はユーザデバイスにおけるダウンリンク情報の到着時間に対応する応答情報を含み、無線フレームがネットワークデバイスからユーザデバイスまで無線で移動する移動時間に関連する遅延情報をネットワークデバイスによって決定することと、を含み、ここで、遅延情報を決定することは、ネットワークデバイスがダウンリンク情報を送信することに関連する第1の時間と、ネットワークデバイスがアップリンク情報を受信することに関連する第2の時間とを比較することを含む。
【0007】
幾つかの例では、ネットワークデバイスによってアップリンク情報を受信することは更に、ネットワークデバイスとユーザデバイスとの間でランダムアクセス手順を使用することを含み、遅延情報を決定することは更に、タイミングアドバンスを決定することを含む。
【0008】
幾つかの例では、無線フレームが複数のサブフレームを含み、複数のサブフレームの各々が複数のスロットを含み、ここで、複数のスロットの各々が複数のシンボルを含み、基準同期信号のパターンを送信することは更に、基準同期信号のパターンを複数のシンボルのサブセットとして送信することを含む。
【0009】
幾つかの例では、タイミング調整を決定することは更に、タイミング情報と遅延情報に基づいて同期時間を決定することと、同期時間に基づいて無線フレームの一部の目標到着時間を決定することと、目標到着時間とタイミング情報と遅延情報に基づいて、送信時に無線フレームの一部が目標到着時間にユーザデバイスに到着するようにタイミング調整を決定することと、を含む。
【0010】
幾つかの例では、無線フレームの一部は無線フレームの第1のサブフレームの第1のスロットであり、無線フレームがユーザデバイスに到着する目標到着時間は同期クロック間隔の開始時である。
【0011】
幾つかの例では、TSN同期プロトコルは、IEEE 802.1AS規格に従ってTSNをサポートし、TSN同期プロトコルは更に、同期時間がユーザデバイスに到着したときに同期時間が基準時間の所定の閾値内に同期化されるように、ネットワークデバイスによって同期時間を送信することを含む。
【0012】
幾つかの例では、所定の閾値は、基準時間の1ナノ秒以内、基準時間の1マイクロ秒以内、又はそれらの組み合わせである。
【0013】
幾つかの例では、所定の閾値は、時変条件を有する分散チャネルにおいて基準時間から250ナノ秒以内である。
【0014】
幾つかの例では、基準同期信号のパターンを送信することは更に、15kHz~240kHzのサブキャリア帯域幅を使用して無線フレームを送信することを含む。
【0015】
幾つかの例では、セルラーネットワークからタイミング情報を受信することは、セルラーネットワークの汎用精密時間プロトコル(g-PTP)に基づいて、基準時間、滞留時間、及び基準クロックからネットワークノードへのリンク遅延を受信することを含む。
【0016】
幾つかの例では、ネットワークデバイスは基地局である。
【0017】
幾つかの例では、基地局はgNodeBであり、セルラーネットワークは5Gネットワークである。
【0018】
セルラーネットワークの無線チャネルを介してTSN同期プロトコルを提供するように構成された装置に関する幾つかの実施形態において、この装置はメモリ及び一組の追加処理リソースと通信するプロセッサを含み、プロセッサはメモリに記憶された命令を実行するように構成されていて、それによりプロセッサは、ネットワークデバイスによってセルラーネットワークノードからタイミング情報を受信し、ここで、セルラーネットワークノードはネットワークデバイスと有線通信しており、タイミング情報はネットワーククロックリファレンスと有線同期プロトコルに従うネットワークデバイスへの送信時間とに関連付けられ、タイミング情報に基づいて、ネットワークデバイスによってタイミング調整を決定し、タイミング調整に基づいてネットワークデバイスを介してセルラーネットワークノードとセルラー通信しているユーザデバイスにネットワークデバイスによって送信されるタイミング信号を調整し、ここで、タイミング信号はTSN同期プロトコルに従ってユーザデバイスのタイミングシステムを調整するために使用される。
【0019】
幾つかの例では、TSN同期プロトコルは無線同期プロトコルであり、ここで命令は更に、TSN同期プロトコルに従って装置が、ネットワークデバイスによって無線フレームのダウンリンク情報を送信し、ここで、ダウンリンク情報を送信することは基準同期信号のパターンをタイミング信号としてユーザデバイスに送信することを含み、ネットワークデバイスによって無線フレームのアップリンク情報を受信し、ここで、アップリンク情報はユーザデバイスにおけるダウンリンク情報の到着時間に対応する応答情報を含み、無線フレームがネットワークデバイスからユーザデバイスまで無線で移動する移動時間に関連する遅延情報をネットワークデバイスによって決定し、ここで、遅延情報を決定することは、ネットワークデバイスがダウンリンク情報を送信することに関連する第1の時間と、ネットワークデバイスがアップリンク情報を受信することに関連する第2の時間とを比較することを含むように構成されている。
【0020】
幾つかの例では、命令は、無線フレームが複数のサブフレームを含み、複数のサブフレームの各々が複数のスロットを含み、ここで、複数のスロットの各々が複数のシンボルを含むように構成されており、命令は更に、装置が基準同期信号のパターンを送信し、更に基準同期信号のパターンを送信することは複数のシンボルのサブセットとして基準同期信号のパターンを送信することを含むように構成されている。
【0021】
幾つかの例では、装置にタイミング調整を決定させる命令は更に、装置が、タイミング情報と遅延情報に基づいて同期時間を決定し、同期時間に基づいて無線フレームの一部の目標到着時間を決定し、目標到着時間とタイミング情報と遅延情報に基づいて、送信時に無線フレームの一部が目標到着時間にユーザデバイスに到着するようにタイミング調整を決定するように構成されている。
【0022】
幾つかの例では、命令は更に、実行されるべきアクションタイプとアクションが実行されるべき時間を指定する通信プロトコルを介して、少なくとも1つのユーザデバイスのアクションと時間同期されたセルラーネットワークから送信されたアクションを実行するように構成されている。
【0023】
実行時にセルラーネットワークの無線チャネルを介してTSN同期プロトコルを提供する方法を実行する複数のコンピュータ実行可能命令でエンコードされた少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体に関連する幾つかの実施形態において、この方法は、セルラーネットワークノードからタイミング情報をネットワークデバイスによって受信することと、ここで、セルラーネットワークノードはネットワークデバイスと有線通信しており、タイミング情報はネットワーククロックリファレンスと有線同期プロトコルに従うネットワークデバイスへの送信時間とに関連付けられ、 タイミング情報に基づいてネットワークデバイスによってタイミング調整を決定することと、タイミング調整に基づいてネットワークデバイスを介してセルラーネットワークノードとセルラー通信しているユーザデバイスにネットワークデバイスによって送信されるタイミング信号を調整することと、を含み、ここで、タイミング信号はTSN同期プロトコルに従ってユーザデバイスのタイミングシステムを調整するために使用される。
【0024】
幾つかの例では、同期プロトコルは無線同期プロトコルであり、無線同期プロトコルは、ネットワークデバイスによって無線フレームのダウンリンク情報を送信することと、ここで、ダウンリンク情報を送信することは基準同期信号のパターンをタイミング信号としてユーザデバイスに送信することを含み、 ネットワークデバイスによって無線フレームのアップリンク情報を受信することと、ここで、アップリンク情報はユーザデバイスにおけるダウンリンク情報の到着時間に対応する応答情報を含み、無線フレームがネットワークデバイスからユーザデバイスまで無線で移動する移動時間に関連する遅延情報をネットワークデバイスによって決定することと、を含み、ここで、遅延情報を決定することは、ネットワークデバイスがダウンリンク情報を送信することに関連する第1の時間と、ネットワークデバイスがアップリンク情報を受信することに関連する第2の時間とを比較することを含む。
【0025】
幾つかの例では、タイミング調整を決定することは更に、タイミング情報と遅延情報に基づいて同期時間を決定することと、同期時間に基づいて無線フレームの一部の目標到着時間を決定することと、目標到着時間とタイミング情報と遅延情報に基づいて、送信時に無線フレームの一部が目標到着時間にユーザデバイスに到着するようにタイミング調整を決定することと、を含む。
【0026】
幾つかの実施形態は、セルラーネットワークの無線チャネルを介して同期プロトコルを受信するように構成された装置に関し、この装置は、メモリ及び一組の追加処理リソースと通信するプロセッサを含み、このプロセッサは、メモリに記憶された命令を実行するように構成されていて、それによりプロセッサは、ユーザデバイスによってネットワークデバイスからタイミング情報を受信し、ここで、ユーザデバイスによる受信は無線フレームのダウンリンク情報を受信することを含み、ここで、ダウンリンク情報はユーザデバイスへのタイミング信号として構成された周波数同期信号と位相同期信号を含み、ユーザデバイスは5GNR無線リソース制御システム情報ブロック9からタイミングアドバンスMAC制御要素とネットワークデバイスの時間基準を抽出して、周波数同期信号と位相同期信号の使用を調整及び規律し、ユーザデバイスは無線フレームに関連するスロット指示信号及び/又はシンボル境界信号から物理層信号を抽出して、TSN対応ユーザデバイス、ネットワークデバイス、ネットワークノード、及びTSNコントローラを含む仮想クロックドメイン内の時間精度を満たすようにユーザデバイスの内部クロックを調整及び規律する。
【0027】
幾つかの例では、TSN同期プロトコルは無線同期プロトコルであり、ここで、命令は更に、TSN同期プロトコルに従って装置が、ネットワークデバイスによって無線フレームのダウンリンク情報を送信し、ここで、ダウンリンク情報を送信することは基準同期信号のパターンをタイミング信号としてユーザデバイスに送信することを含み、 ネットワークデバイスによって無線フレームのアップリンク情報を受信し、ここで、アップリンク情報はユーザデバイスにおけるダウンリンク情報の到着時間に対応する応答情報を含み、無線フレームがネットワークデバイスからユーザデバイスまで無線で移動する移動時間に関連する遅延情報をネットワークデバイスによって決定し、ここで、遅延情報を決定することは、ネットワークデバイスがダウンリンク情報を送信することに関連する第1の時間と、ネットワークデバイスがアップリンク情報を受信することに関連する第2の時間とを比較することを含むように構成されている。
【0028】
幾つかの例では、命令は、無線フレームが複数のサブフレームを含み、複数のサブフレームの各々が複数のスロットを含み、ここで、複数のスロットの各々が複数のシンボルを含むように構成されている。命令は更に、装置が基準同期信号のパターンを送信し、更に基準同期信号のパターンを送信することは複数のシンボルのサブセットとして基準同期信号のパターンを送信することを含むように構成されている。
【0029】
幾つかの例では、装置にタイミング調整を決定させる命令は更に、装置がタイミング情報と遅延情報に基づいて同期時間を決定し、同期時間に基づいて無線フレームの一部の目標到着時間を決定し、目標到着時間とタイミング情報と遅延情報に基づいて、送信時に無線フレームの一部が目標到着時間にユーザデバイスに到着するようにタイミング調整を決定するように構成されている。
【0030】
幾つかの例では、命令は更に、タイミング調整を決定する命令を使用して、ネットワークデバイスに同期プロトコルのサポートと達成可能な時間精度について通知することを含む。
【0031】
幾つかの例では、タイミング情報を、タイミング調整を決定する命令に関連するメッセージを含むコンピュータ実行可能命令に変換する内部クロックを規律するために、スロット指示信号及び/又はシンボル境界信号の物理信号を使用するためのクロック規律サブシステムを含む。
【0032】
上記の概要は、限定を意図するものではない。更に、本開示の様々な態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて実施されてもよい。
【0033】
図面では、様々な図に示されている同一又はほぼ同一の各構成要素は、同じ参照符号で表されている。見やすくするために、各図面にすべての構成要素が表示されているわけではない。図面は必ずしも縮尺通りではなく、本明細書に記載された技術及び装置の様々な態様を示すことに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】5Gネットワークと専用TSNネットワークで構成された例示的なタイムセンシティブネットワーキング(TSN)アーキテクチャを示す。
【0035】
【
図2A】参照3GPP(登録商標、以下同じ。)ネットワークアーキテクチャに統合されたTSNシステムを含む例示的なネットワークを示す。
【0036】
【
図2B】幾つかの実施形態による、スモールセル内蔵TSNトランスレータ(SC-TT)を備えたスモールセルを使用するタイムセンシティブ通信(TSC)のために構成された例示的なネットワークを示す。
【0037】
【
図3】幾つかの実施形態による、スモールセルTSNトランスレータを含むスモールセルを備えたプライベート産業用ネットワークを示す。
【0038】
【
図4A】
図3に示したネットワークコンポーネントを含む仮想クロックドメインを示す。
【0039】
【
図4B】幾つかの実施形態による、専用仮想TSNスライスを含むネットワークを示す。
【0040】
【
図5A】本明細書で説明する幾つかの実施形態による、エンドツーエンドの同期プロセスを示す。
【0041】
【
図5B】幾つかの実施形態による、ユーザ機器(UE)の内部クロックを仮想クロックドメインに同期させる例示的なプロセスを示す。
【0042】
【
図5C】幾つかの実施形態による、コンピュータ化されたTSN同期プロトコルを示す。
【0043】
【
図6A】本明細書に記載された実施形態に従って使用できる無線フレームの概略図である。
【0044】
【
図6B】幾つかの実施形態による、スモールセルのクロックフランク信号と無線フレームのサブフレームとの間のタイミングの概略図を示す。
【0045】
【
図7】幾つかの実施形態による、UEによって受信されたタイミング信号に基づいてUEタイミングシステムを調整するプロセスを示す。
【0046】
【
図8】幾つかの実施形態による、タイムロックドループフィードバック回路を示す。
【0047】
【
図9】幾つかの実施形態による、5GスモールセルとUEを含むTSNネットワークの例示的な実装を示す。
【0048】
【
図10】幾つかの実施形態による、例示的なTSN登録及び実行要求を示す。
【0049】
【
図11】幾つかの実施形態による、例示的なピアツーピアTSNプロトコルを示す。
【0050】
【
図12】幾つかの実施形態による、コンピューティングデバイスの1つの例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
I. 導入部
【0052】
本出願は、タイムセンシティブネットワーキング(TSN)を提供することを含め、無線ネットワークのタイミングと性能を改善するための技術を提供する。本明細書で説明する幾つかの実施形態は、モバイルユーザ機器(UE)を仮想クロックドメインと同期させるために、無線ネットワークを介してTSNを提供する。一部の用途では、無線ネットワークを介してTSNを提供することにより、動的で柔軟なUE構成のサポートを提供することができる。追加的又は代替的に、UEにTSNを提供することにより、仮想クロックドメインのタイムスタンプに従って、信号送信/配信のスケジューリング及び/又は命令実行の強制を可能にすることができる。UEと仮想クロックドメイン内の他の機器との間のこのような正確なタイムアライメントは、産業用モノのインターネット(IIOT)などTSNに依存するファシリティの実装を可能にすることができる。幾つかの実施形態では、UEと仮想クロックドメインとの間のタイムアライメントは、無線フレームの物理層信号と、無線フレームにエンコードされたタイムスタンプを使用して、高精度の同期を提供する。幾つかの実施形態では、UEと仮想クロックドメインは、1.5 μs又はそれより速い非常に小さな時間窓内で同期することができる。
【0053】
ロボット工学と自動化における進歩は、器用な機能(例えばロボットによるピッキング用途、製造工程のステップのロボットによる実行など)や自己ナビゲーション(例えば移動ロボット用途の場合)を実行できる機器のような、高度な機能を備えた高度に構成可能な機器を提供してきた。例えばこのようなロボット工学は、複数の移動ロボットコンポーネントが協調して産業プロセスを実行する自動製造の可能性を提供することができる。一部の用途では、高度に構成可能なロボット間の調整には、設定されたタイミング制約の中で、低遅延で大量のデータを交換することが必要になる場合がある。このような低遅延の要求がある場合は、異なるネットワークコンポーネントのローカルクロック間など、デバイス間で高精度の同期を取るために有線接続が使用されてきた。異なるネットワークコンポーネントのローカルクロックを同期させる場合、それらのコンポーネントは仮想クロックドメインを実装することができる。仮想クロックドメインは、各ローカルクロックが同期する共通の基準時間を表す。仮想クロックドメインの精度は、ネットワークコンポーネントのローカルクロックで測定された時間と、仮想クロックドメインの基準時間との間の不確実性に直接関係する。
【0054】
本発明者らは、移動可能な動的及び/又は再構成可能な機器を含むような様々な用途において有線通信が可能でない場合があること、及び/又は機器を構成するための移動性及び/又は柔軟性の程度を制限する(例えばユースケースのシナリオに影響を与える)可能性があることを認識している。本発明者らは、5Gネットワーク以上の無線技術の進歩が、予め定義された時間誤差制約内で異なるロボットネットワークコンポーネント間の命令を同期させるために使用できる大量のデータ転送を扱うための高帯域幅を提供できることを理解している。しかしながら、ネットワークコンポーネント間の無線通信は有線通信プロトコルと比較して、しばしば関連する追加的な遅延を含み、それが異なるロボットネットワークコンポーネント間の正確な同期を一層複雑にして妨げる可能性がある。例えば無線通信は、無線送信/配信における遅延や、受信データの処理における遅延の影響を受けやすい。本発明者らは、このような追加的な遅延が同期のずれを増す可能性があることを理解している。 例えばこのような遅延により、ネットワークコンポーネントのローカルクロックと仮想クロックドメインの基準時間との間にずれが生じ、同期の精度が低下する可能性がある。例えば工業プロセスを実行するために協調して動作する2つのコンポーネントが同期から大きく外れて動作すると、コスト増、損傷、及び/又は危険なエラーが発生する可能性がある。例えば一部の用途では、1.5 μsを超える遅延が生じると、製造中にエラーが発生したり、コンポーネント自体が損傷したりすることがある。このように、IIOTファシリティのコンポーネントの速度と複雑さは、仮想クロックドメイン内の各コンポーネントのクロック間の同期精度に基づいて制限されることがある。 無線動作が望ましい場合もある一方で、無線通信の使用によって加えられる追加的な遅延のために、従来の技術では無線通信を使用するデバイス間で十分な同期を取るには不十分な場合がある。
【0055】
本発明者らは更に、ロボットデバイスの異なるインスタンス間でスケジュールされたイベントを調整するため、及び/又は進行中のプロセスのステータスを監視するためなど、重要なプロセスデータを同期ネットワークで使用することが望ましいか必要である場合があることを認識している。一部の用途では、重要なプロセスデータは、IIOTファシリティ内のセンサやアクチュエータからの信号のような、様々なアプリケーション及び/又は装置からの信号に依存することがある。しかしながら、本発明者らはプロセスの複雑さが増すにつれて、工業プロセスの重要なプロセスデータを監視するために依存することがあるリアルタイムデータの複雑さも増すことを理解している。例えばリアルタイムデータに加えて、エネルギーデータメトリクスやメンテナンスレポートなど、他のタイプのデータもプロセス監視に使用されることがある。
【0056】
それゆえ本発明者らは、重要なプロセスデータを伝送するための無線TSN及びリアルタイム強制通信を提供することが、ダイナミックな産業オートメーションを可能にするための課題であることを認識及び理解している。産業オートメーションプロセスの例としては、協働ロボット用途、高精度製造オートメーション、閉ループ制御アプリケーション、ロボット製造、製品パッケージング、物理システムに展開される連携マルチエージェントシステム、自動化された生産プロセス、オートメーションのために統合される大規模な機械間通信、スマートモニタリング、改善された通信(即ちインダストリー4.0)、及びその他の用途が挙げられる。 重要なプロセスデータをリアルタイムで活用するIIOTファシリティを経由する無線通信を使用して、このような産業オートメーションプロセスを実装することが望ましい場合がある。例えばTSN強制可能通信を使用して、イベントスケジューリングに使用されるデータをリアルタイムで提供することが望ましいことがある。強制可能な通信は、他の信号送信やプロセスが通信のタイムリーな受信に依存するような、信頼できるスケジュールで信号やプロセス命令を提供する。例えばアイソクロナス タスク実行は、TSN を通して実装された強制可能な通信に依存して、複数の IIOT アプリケーションを専用システムコントローラ又は分散システムコントローラと同期させることができる。
【0057】
上記の課題を認識して、本発明者らはネットワーク(例えばセルラーネットワーク)の無線チャネルを部分的に使用する同期プロトコルを提供する技術を開発した。幾つかの実施形態において、同期技術は、標準IEEE 802.1ASに従ったタイムセンシティブネットワーキングをサポートするのに十分な同期を提供することができる。 幾つかの実施形態において、技術はネットワークの1以上の有線部分のための第1の同期プロトコルと、有線ネットワークと無線デバイスとの間(例えばスモールセルとUE及び/又は他のモバイルデバイスとの間)の第2の同期プロトコルを活用することができる。 幾つかの実施形態では、例えば無線ネットワークの無線フレームを使用して無線同期を提供することができる。 このような方策は、5Gネットワークを介するなどセルラーネットワークを介してTSNを実装することを可能にすることができる。 その結果、本明細書に記載された技術を使用して、従来の方策では利用できない、高度に洗練された緊密に連携したアーキテクチャを提供することができる。 したがって本明細書で説明するTSN技術は、無線TSNの実装を可能にすることによって、従来の同期技術に対する改善を提供する。 本明細書に記載されているように、そのような無線実装は、無線コンポーネントによるTSN実装、及び重要なプロセスデータを活用することができる無線TSN実装を提供することを含め、本発明者らが有線TSN方策について理解した問題に対処することができる。
【0058】
例えばセルラーネットワークデバイスは、セルラーネットワークノードからタイミング情報をセルラーネットワークデバイスによって受信することを含む、コンピュータ化された方法を実施することができる。セルラーネットワークノードはネットワーククロック基準と有線通信していてもよく、セルラーネットワークノードはネットワークデバイスと通信していてもよい。ネットワーククロック基準とネットワークデバイスのタイミングに関連するタイミング情報は、同期プロトコルに従う。コンピュータ化された方法は更に、タイミング情報に基づいて、ネットワークデバイスによってタイミング調整を決定することと、タイミング調整に基づいて、ネットワークデバイスを介してセルラーネットワークノードとセルラー通信しているユーザデバイスにネットワークデバイスによって送信されるタイミング信号を調整することとを含み、タイミング信号は、同期プロトコルに従ってユーザデバイスのタイミングを調整するために使用される。
【0059】
II.例示的なネットワーク構成
【0060】
本明細書で説明する技術、例えばセルラーネットワークの無線チャネルを介してユーザ機器を基準クロックと同期させるための無線TSN同期プロトコルを含む技術は、様々なネットワーク構成で種々のネットワークプロトコルを利用して採用することができる。イーサネットネットワークを介したタイムセンシティブな伝送に特化したTSN標準のセットは、異なるアプリケーション間の相互運用性を提供する。本明細書で説明する技術の態様は、無線TSNを提供するための無線ネットワーク上のTSN機能の改善に関する。
【0061】
本発明者らは、無線ネットワークを使用してTSNを提供するために、無線伝送プロトコルに導入される遅延が同期の精度を低下させる可能性があることを理解している。同期の精度を向上させるために、幾つかの従来の方策では、UEは専用TSNネットワークから正確なタイミング信号を受信するために、GPS機器などの別個の専用の高精度タイミング機器を含むことがある。TSNトランスレータは、一次無線ネットワークを通じて受信したモバイル信号と、専用TSNネットワークからの正確なタイミング信号を使用して、重要なプロセスデータに関連するスケジュールされたタイミングを計算することができる。
【0062】
図1は、5Gネットワーク及び専用TSNネットワークを用いて構成された例示的なTSNアーキテクチャ100を示す。TSNアーキテクチャ100は、TSNブリッジ110のデバイス側を介してUE112に通信可能に結合されたTSNシステム102を含む。UE 112は更に、論理TSNブリッジ120を介してネットワーク104に通信可能に結合されている。論理TSNブリッジ120は、ネットワーク104とのTSN互換通信を提供する。論理TSNブリッジ120は、デバイス側TSNブリッジ110、(無線)アクセスネットワーク(RAN)122、ユーザプレーン機能(UPF)124、ネットワーク側TSNトランスレータ(NW-TT)126、アクセス&モビリティ管理機能(AMF)128、セッション管理機能(SMF)130、統合データ管理(UDM)132、ネットワーク露出機能(NEF)134、ポリシー制御機能(PCF)136、及びTSNアプリケーション機能(TSN AF)138を含む。デバイス側TSNブリッジ110は、ユーザ機器112及びデバイス側TSNトランスレータ114を含む。
【0063】
図1に示すように、ネットワークコンポーネントは、ネットワークインターフェースN1、N2、N3、N4、N5、N7、N8、N9、N10、N11、N30、N33、N52を含む複数のネットワークインターフェースによって通信可能に結合されている。図 1 に示す例示的なネットワーク構成では、UE 112 は無線フレームを交換することによって(R)AN 122 と通信する。ネットワークインターフェース N1 は、UE 112 と AMF 128 との間の接続性を提供する。ネットワークインターフェースN2は、(R)AN 122とAMF 128との間の接続性を提供する。ネットワークインターフェースN3は、(R)AN 122とUPF 124との間の接続性を提供する。ネットワークインターフェースN4は、UPF124とSMF130との間の接続性を提供する。ネットワークインターフェースN8は、AMF128とUDM132間の接続性を提供する。ネットワークインターフェースN9は、2つのUPF間の接続性を提供する。ネットワークインターフェース N10 は、SMF 130 と UDM 132 間の接続性を提供する。ネットワークインターフェースN11は、AMF 128とSMF 130間の接続性を提供する。ネットワークインターフェースN7は、SMF130とPCF136との間の接続性を提供する。ネットワークインターフェースN52は、UDM132とNEF134との間の接続性を提供する。ネットワークインターフェースN30は、PCF136とNEF134との間の接続性を提供する。ネットワークインターフェースN5は、PCF136とTSN AF138との間の接続性を提供する。ネットワークインターフェースN33は、TSN AF 138とNEF 134との間の接続性を提供する。ネットワークインターフェースは、5Gネットワークの3GPP標準に従って番号付けされている。5Gネットワークシステムを参照して図示されているが、他のネットワーク構成も可能である。例えば本明細書で説明する技術はこの点で限定されないので、6Gネットワークシステム又はTSNを実装できる他のネットワークシステムなどの他のネットワークシステムにも適用できよう。
【0064】
UE112とDS-TT114は、TSNブリッジ110のデバイス側として構成され、TSNシステム102とUE112をインターフェースして正確なタイミング信号を受信する。UE112はまた、Cプレーン及びUプレーンの機能を提供する主要な5Gネットワークコンポーネントに結合されている。5Gネットワークコンポーネントは、TSNプロセスに関連する信号及び/又は命令をUE 112に送信することができる。例えばTSN AF 138は、制御プレーン及び管理プレーン機能を変換して5Gネットワークリソースと相互作用する。NW-TT(126)はUPFと統合され、5Gシステムとインターネットとの間のインターフェースを提供し、データプレーン機能を変換して5Gネットワークリソースと相互作用する。DS-TTは、TSNシステム102とUE112との間のインターフェースを提供し、TSNシステム102から受信した正確なタイミング信号を使用して、5GネットワークからUE112に受信した5Gメッセージを変換し、TSN機能を実装するように構成されている。TSNトランスレータNW-TT 126、DS-TT 114、及びTSN AF 138は、TSNタイムスタンプが仮想クロックドメインの共有基準クロックを参照して生成/解釈できるように、仮想クロックドメインを形成する。
【0065】
本発明者らは、UEにTSNトランスレータを含めると、一般的に設備コストが増加し、TSN信号を一次無線ネットワークと正確に同期させるために計算コストの高いプロセスを利用する可能性があることを認識及び理解している。これらの課題に対処するために、本発明者らは、UEにネットワーク接続を提供する無線セルにTSNトランスレータを実装することによって、UEのTSNファシリティをUEから分離する技術を開発した。無線セルにTSNトランスレータを実装することにより、UEと仮想クロックドメインとの間の高精度の同期を、無線ネットワークを介して維持することができる。無線セルでTSNトランスレータを実装することにより、単一のTSNトランスレータから複数のUEインスタンスにTSN機能を提供することができ、使用するTSNトランスレータの数を減らし、UEのコストと複雑さを低減することができる。無線セルトランスレータは、TSNの提供に関与する信号/ネットワークの数を減らすことによって同期精度を高めることができる、無線フレームと共に送信される物理層信号を同期に使用することができる。例えば一次同期信号、二次同期信号、及び拡張同期信号を含む、無線フレームと共に送信される物理層信号は、UEクロックを仮想クロックドメインと同期させるためにネットワークセルによって利用されてもよい。物理層信号は、アプリケーション層又はトランスポート層の信号/メッセージよりも正確な同期を提供することができる。
図2A及び
図2Bは、デバイス側TSNトランスレータを備えたネットワークと、無線セルTSNトランスレータを備えたネットワークとの違いの一部を示している。
【0066】
図2Aは、3GPPネットワークアーキテクチャに統合されたTSNシステムを含む例示的なネットワーク200を示す。ネットワーク200は、コントローラ202、UPF210、NW-TT212、gNodeB(gNB)220、UE230、232、234、DS-TT242、244、246、並びにデバイスインスタンス250、252、254を含む。
図2Aに示すように、コントローラ202は、UPF 210とgNB 220を介して提供されるネットワークを使用して、スケジュールされた信号及び/又は命令をUE 230~234に送信することができる。コントローラ202は、自動化された産業プロセスを実行するために、UE230、232、234のためのタイムセンシティブな命令を生成するように構成された産業用コントローラとして実装されてもよい。 コントローラ202は、UPF210に通信可能に結合されている。UPF210は、ネットワーク200をインターネットとインターフェースするためのNW-TT212を含む。NW-TT212は、インターネット及びグランドマスタークロックに通信可能に結合されている。NW-TTは、他のネットワークプロトコルから5Gネットワークへのエントリーゲートウェイを提供する。例えばNW-TT212は、イーサネットプロトコルを介してインターネットからパケットを送信/受信することができ、UPFを介して5Gパケットプロトコルに従ってパケットを送信/受信することができる。TSNシステムを3GPPネットワークアーキテクチャに統合するために、独立したデバイスインスタンス250、252、254はそれぞれ、TSN機能で動作するための5Gメッセージを変換する専用のUEとDS-TTを有する。5Gメッセージは、gPTPプロトコルを使用して送信することができる。
図2Aに示すように、UE230、232、234はそれぞれ、DS-TT242、244、246を含む。DS-TT 242、242、246はそれぞれgNB 220から送信された5Gパケットをデコードし、対応するメッセージをそれぞれのUE 250、252、254のリスナーに提供する。
【0067】
上述したように、本発明者らは、UEのためのTSNクライアントのサポートを開発することは、専用の処理リソースを使用するものであり、それはTSNシステムの全体的な複雑さ、又はデバイスの各インスタンスに関連するコストを増加させる可能性のあることを理解している。再び
図2Aの例を参照すると、デバイスのインスタンスの数が増加する(例えば追加のロボットコンポーネントを加える)と、モバイルUEとDS-TTの数も比例して増加する。したがってコントローラ202は、仮想クロックドメインによって確立された時間の共通理解で、デバイスの異なるインスタンス上のプロセスの実行を調整するために、複数のデバイスインスタンスに命令を提供することができる。
図2Aに示すTSNシステムは、ロボットアセンブラのn個の装置インスタンスを含む。n個の装置インスタンスを調整するために、各インスタンスは対応するDS-TTを持ち、その結果、n個のDS-TTが生じる。したがって追加のデバイスインスタンスをスケーリングするコストは、DS-TTの数を比例的に増加させることを含む。本発明者らは更に、各DS-TTがそれ自身のローカルクロック時間を決定するため、異なるDS-TT間のジッタが各デバイスインスタンスのローカルクロック間の不確実性を複雑にする可能性があることを理解している。そのため、より多くのデバイスインスタンスを調整プロセスに含めると、含まれるデバイスインスタンス間の同期の不確実性が増大する。
【0068】
上述したように、この課題を認識した本発明者らは、ネットワークセルを使用してTSNトランスレータの役割を実装する技術を開発した。幾つかの実施形態では、TSNトランスレータは、UEにgNB機能を提供するスモールセル基地局(SC)を使用して実装される。スモールセルを使用してTSNトランスレータを移植することにより、UEの同期に使用されるTSNトランスレータの数を減らすことができる。本明細書で説明する実施形態はSCを使用した実装を参照するが、本明細書で説明する技術はこの点で限定されるものではない。幾つかの実施形態では、他のネットワークセルも使用することができる。幾つかの用途では、スモールセルが他のネットワークセルと比較して同期精度を向上させる可能性がある。
【0069】
図2Bは、幾つかの実施形態に従って、スモールセル統合TSNトランスレータ(SC-TT)を有するスモールセルを使用するタイムセンシティブ通信(TSC)のために構成された例示的なネットワーク204を示す。ネットワーク204は、コントローラ202、UPF210、NW-TT212、スモールセル(SC)220、スモールセルTSNトランスレータ(SC-TT)240、及びロボットコンポーネント250、252、254を含む。コントローラ202、UPF210、及びNW-TT212は、
図2Aの構成に従って構成されてもよい。しかし、
図2Aのネットワーク200とは異なり、ネットワーク204は、ロボットコンポーネントを同期させるために使用されるTSNトランスレータの数を減らす。SC-TT240で構成された単一のSCは、各デバイスインスタンスのローカル時間を決定し、各デバイスインスタンスのローカル時間を示す信号をそれぞれのインスタンスに送信する。
【0070】
幾つかの実施形態では、コントローラ202は、TSNファシリティに関連するタイムスタンプを調整するように構成されている。幾つかの実施形態では、コントローラ202は、ダウンリンクタイムスタンプをTSNファシリティに送信するように構成されている。ダウンリンクタイムスタンプは、TSNファシリティによって実行されるプロセスに関連付けられ得る。例えばダウンリンクタイムスタンプは、ロボットコンポーネント250~254のうちの1つによって実行されるべきプロセスの一部及び実行のための時間を指定できる。
【0071】
幾つかの実施形態では、コントローラ202は、TSNファシリティからアップリンクタイムスタンプを受信するように構成されている。アップリンクタイムスタンプは、TSNファシリティに関連するセンサ及び/又は製造装置からのデータに関連付けられることができる。例えばプロセスの実行又は実行のスケジューリングのタイムスタンプ付き確認は、コントローラ202が後続の命令を更新又はスケジューリングできるように、コントローラ202に送信されてもよい。別の例として、センサ又はスマートモニタは、アップリンクデータをコントローラ202に送信することができる。センサ又はスマートモニタからのデータは、プロセスの一部がいつ実行されるべきかを決定するために使用される。
【0072】
上述したように、
図2Aに関連して、NW-TT212はネットワーク204とインターネットとのインターフェースである。例えば5G TSC対応ネットワークアーキテクチャでは、NW-TT212は、5Gシステムとインターネットとの間のインターフェースである。別の実施形態では、ネットワークは6G TSC対応ネットワークアーキテクチャであってもよい。そのような実施形態では、NW-TTは、6Gシステムとインターネットとの間のインターフェースである。
【0073】
図2Bでは、TSN同期をSCに組み込むことにより、SCとUEとの間で伝送される無線ネットワークの物理層信号を使用して、UEと仮想クロックドメインとの同期が提供される。また、SCは、データフレーム内にエンコードされたデータを介して、タイムスタンプ及び関連するプロセス情報を提供する。このように、TSN機能を無線フレームに統合することで、UEはTSNの実装に使用される同期時間と基準時間の両方を含む1つの信号を受信できるようになる。この意味で、高精度の時間同期(1.5 μs又はそれ以上)を実現するためのUEインスタンスの実装は、UE及びSCの電子システム内に既に統合されている既存の低コストのローカル発振器を利用することで達成できる。この意味で、同期プロセスはスモールセルによって処理され、デバイスインスタンスは、以下に
図5-8を参照して更に詳細に説明するように、5G無線フレームから時間と同期を抽出する。
【0074】
図2A及び
図2Bを参照すると、
図2BのSC-TTは、正確な同期信号を提供することによって、及び変換エラーの影響を低減することによって、
図2Aの専用TSNネットワークとのgPTP統合と比較して同期精度を向上させることができる。一例として、
図2Aの3GPP構成では、gPTPプロトコルは各UEで終了し、各UEに対して個別の信号を送信する。専用TSNネットワークから見ると、各UEはgPTPプロトコルからTSNプロトコルへの変換が実行される終端局である。対照的に、図 2B では、gPTP プロトコルはスモールセルで終端する。したがってTSN GMの観点からは、スモールセルがgPTPプロトコルの終点であり、単一のTSNトランスレータがgPTPプロトコルを複数のUEのTSNプロトコルに変換する。この方策により、プロトコル間の変換時に発生する可能性のあるエラーの複合を 減らすことができる。プロトコル間の変換でエラーが発生した場合、同じSCから信号を受信する各UEは同じエ ラーを受けることになる。したがって各UE間のローカルクロックは、変換エラーの影響を受けない精度で同期される。
【0075】
幾つかの実施形態では、SC内のモデムは、SCと各デバイスインスタンスとの間のリンク遅延を考慮する動的リソーススケジューラを含む。動的リソーススケジューラは、NW-TTとSC-TTとの間の滞留時間も考慮することができる。この構成では、デバイスインスタンス間の時間差は、滞留時間遅延とは無関係にネットワークのエッジで監視され、より正確なタイミング保持を提供する。
【0076】
幾つかの実施形態では、異なるUEのための個々の信号は、TSN内の異なるUEのために構成された信号が互いに干渉しないように、多重化された構成で一緒に送信される。例えばスモールセルは、異なるUE用に構成された信号が干渉しないように、時分割(TDD)モードで動作することができる。マルチSC TSNを提供するために連携して動作する複数のスモールセルを有するネットワーク構成では、SCはTDD、ビーム形成、ビームステアリング、及び/又はビームスイッチングなどの技術を使用して、異なるスモールセルからの信号が干渉しないように信号を追加的に構成することができる。例えばTDDネットワークにおける異なるセルの送信は、セル間及びサブフレーム間の干渉を回避するために同期化されてもよい。幾つかの実施形態では、ローカル及び/又はプライベート産業用ネットワークは、大規模な産業用ネットワークにわたってUEのTSNを提供するために複数のSCを含むことができる。例えばマルチSCネットワークは、TS 38.104などの3GPP標準に従って信号を送信できる。
【0077】
III.同期技術
【0078】
上述したように、本発明者らは、無線TSNネットワークを提供することが課題を提供することを認識及び理解している。一次無線ネットワークとは別に専用のTSNシステムを使用する実装は、UEの複雑性及びコストを増大させる可能性がある。上述の課題に対処するために、本発明者らは、5GNR無線フレームスロット又はOFDMシンボルから抽出されたタイミング信号を使用してデバイスクロックを規律し、所望の同期精度を達成する物理層手順を開発した。幾つかの実施形態では、スモールセルに組み込まれたSC-TTは、5G産業用ネットワーク全体で同期の実施を維持するために、5G NR無線フレームの同期と精度を保証するgPTPインスタンスである。
【0079】
図3は、幾つかの実施形態による、TSNトランスレータを含むスモールセルを有するプライベート産業用ネットワーク300を示す。プライベート産業用ネットワーク300は、複数のTSC対応スモールセル(TSC-SC)を含み、第1のスモールセル310、第2のスモールセル320、及び第3のスモールセル330は、それぞれインターネット及び産業用コントローラ304にアクセスするためにUPF301と通信する。各TSC-SCは、複数のデバイスインスタンスに無線接続性を提供することができる。NW-TT305は、5Gシステムとインターネットとの間のインターフェースを提供する。UEクロック313、315、317、326、336を有するデバイスインスタンス312、314、316、324、334は、スモールセル310、320、330と無線通信する。
【0080】
ネットワークコンポーネントは、ローカルな時間を保持するためのローカルクロックを持つ。ローカルクロックはすべて基準クロックに同期して、異なるネットワークコンポーネント間で時間の共通認識を提供し、仮想クロックドメインを形成することができる。例えばグランドマスタークロック308は、GPSシステム又は国家時間保持標準システムに所属する原子時計のような原子時計からの時間を提供することができる。コントローラクロック306は、基準クロック302と同期され、イベントのスケジューリング又は受信信号の解釈に使用されるローカル時間をコントローラに提供する。
【0081】
図3に示すように、SC1クロック312及びSC2クロック322は基準クロック302と同期し、UEクロック313及び315はSC1クロック311と同期する。UEクロックとSCクロックとの同期、及びSCクロックと基準クロックとの同期により、UEクロックと基準クロックとの同期が提供される。こ の よ う に 仮想 クロック ド メ イ ン内の各 クロック には共通の基準時間がある。したがってコントローラがロボット1とロボット2に対して組立プロセスを調整する指示をスケジュールする場合、ロボット1とロボット2の両方が、互いに干渉することなく、組立プロセスのそれぞれの部分を所定の時間に実行することができる。幾つかの実施形態では、仮想クロック領域の精度は1μsより優れている。幾つかの実施形態では、仮想クロック領域の精度は0.5μsより優れている。幾つかの実施形態では、仮想クロックドメインの精度は250nsより優れている。
【0082】
UEにコアネットワークへのアクセスを提供するSCは、幾つかの実施形態に従って、有線接続を介して他のネットワークコンポーネントと通信し、無線接続を介してUEと通信することができる。例えばスモールセル310、320、330、並びに業界コントローラ304はそれぞれ、実線で示すように、UPF301に有線接続されている。スモールセル310、320、330は、3つの円弧の無線記号で示されるように、デバイスインスタンス312、314、316、324、334と無線通信する。幾つかの実施形態では、有線接続はイーサネットプロトコルを使用して通信することができる。
【0083】
幾つかの実施形態では、無線接続は、5G 3GPPプロトコルを通じて通信することができる。別の実施形態では、無線接続は、6G 3GPPプロトコルを介して通信することができる。更に別の実施形態では、無線接続は、3GPPプロトコルの世代間で互換性があってもよい。例えば無線接続は、5Gプロトコルを使用して一部のUEと通信し、6Gプロトコルを使用して他のUEと通信することができる。幾つかの実施形態では、UEとの通信に使用される無線接続は、利用可能なリソース、サービス品質、及び/又は予想される帯域幅要件に依存することができる。別の実施形態では、本明細書で説明する技術の態様はこの点で限定されないため、TSNシステムと統合可能な他の無線通信プロトコルを使用することができる。
【0084】
有線接続を介して通信するネットワークコンポーネントは、第1のタイミングプロトコルによって同期される場合があり、無線接続を介して通信するネットワークコンポーネントは、第2のタイミングプロトコルによって同期できる。幾つかの実施形態では、第1のタイミングプロトコルはgPTPプロトコルであってもよい。
図3では、gPTPプロトコルで通信するネットワークコンポーネントは破線で接続され、無線TSNプロトコルで同期するクロックは破線で接続されている。
【0085】
図3に関連して説明した同期化技術の結果として、有線接続を介して通信するネットワークコンポーネントと無線接続を介して通信するネットワークコンポーネントとが仮想クロックドメインを形成する。
図4Aは、幾つかの実施形態により、
図3に示すネットワークコンポーネントを含む仮想クロックドメインを示す。仮想クロックドメインは、定義された精度を持つ分散した共通のタイムスケールを提供するために、ネットワークのノード全体にわたって、通常ならば独立しているクロックの調整を可能にする。仮想クロックドメインの精度は、基準時間に対する各クロックの不確かさに基づく。
図3に示すように、グランドマスタークロック308は、基準クロック302の同期を維持するためにUPFに基準時間を提供する。コントローラクロック306は、基準クロック302と同期し、イベントのスケジューリング又は入力信号の解釈において使用できるローカル時間をコントローラに提供する。SC1クロック312及びSC2クロック322は、基準クロック302と同期している。UEクロック313及び315は、SC1クロック312、ひいては基準クロック302と同期している。このようにして、仮想クロックドメインの各クロックは共通の基準時間を持つ。したがってコントローラがロボット1とロボット2に対して組立工程を調整する指示をスケジュールする場合、ロボット1とロボット2は互いに干渉することなく、組立工程のそれぞれの部分を所定の時間に実行することができる。幾つかの実施形態では、仮想クロック領域の精度は1.5μsより優れている。幾つかの実施形態では、仮想クロック領域は、本明細書で説明するように、他の精度を有していてもよい。
【0086】
幾つかの実施形態では、同期の精度は1.5μsである。1.5μsの同期精度は、ネットワーク内のスモールセル間のタイミングが基準クロックの1.5μs以内であるようにすることができる。
図4Aでは、基準クロック302によって保持される時間と、第1のSC1クロック311によって保持される時間は、互いに1.5μs以内であってもよい。更に、SC1クロック311によって保持される時間と、SC2クロック322によって保持される時間は、互いに1.5μs以内であってもよい。同じスモールセルに通信可能に結合されたUE間のタイミングは、それぞれ1.5 μs以内に同期化されてもよい。例えばSC310に通信可能に結合されたUEクロック313、315、317が保持する時間は、SC1クロック311の1.5 μs以内である可能性がある。更に、異なるスモールセルを介して通信可能に結合されたUE間のタイミングは、1.5 μs以内に同期されてよい。例えばUEクロック326によって保持される時間は、UEクロック313によって保持される時間の1.5 μs以内であることができる。
【0087】
TSN機能の提供に関連して、ネットワークは、時間制約のあるメッセージ及び/又は信号の配信が保証されたメッセージ配信を提供する必要がある。メッセージ配信の保証を提供するために、異なるタイプのトラフィック及び/又は異なるUEから来るトラフィックの性能に優先順位を付けるサービス品質(QoS)ポリシーが実装されてもよい。幾つかの実施形態では、QoSは専用のネットワークスライスの展開を通じて実装できる。ネットワークスライスは、特定のパラメータ及び/又は要件を満たすように構成された、分離された仮想のエンドツーエンドネットワークである。例えばネットワークスライスは、TSNアプリケーションの遅延及び信頼性に関して特定のQoS要件を提供するように構成することができる。
【0088】
図4Bは、幾つかの実施形態による、専用の仮想TSNスライスを含むネットワーク400を示す。
図4Bに示すように、AMF及びUPFからのリソースは仮想TSNスライスの専用とされてよい。幾つかの実施形態では、AMF及びUPFへのアクセスを提供するネットワークリソースは、異なるサービスを提供する別々のネットワークスライスに専用リソースを割り当ててもよい。仮想ネットワークスライスは、ネットワークスライスと通信するデバイスに専用の機能又はサービスを提供するためにコンピューティング容量の一部を専用化することによって実装することができる。幾つかの実施形態では、TSNスライス410は、
図4Bに示すように、標準5Gスマートフォン422及びUE412をサポートするために、標準ネットワークスライス420とともに展開できる。例えばTSNスライス410は、UE412に機能を提供するために、AMF410A及びUPF410Bからの専用リソースを含むことができる。追加のAMF 420A及びUPF 420Bリソースは、仮想eMBBスライス420に割り当てられてもよい。eMBBスライス420は、スマートフォン422に5Gネットワーク通信を提供する。幾つかの実施形態では、ネットワーク400は、異なる機能性及び/又はサービス品質を提供するために追加のスライスを含むことができる。
【0089】
図5Aは、本明細書に記載された幾つかの実施形態による、エンドツーエンド同期プロセス500を示す。
図5Aに示すように、エンドツーエンド同期は、産業用モノのインターネット(IIOT)UE508とグランドマスター(GM)クロック502との同期を提供する。GM502とUE508との間の同期は、基準時間を受信するための第1のタイミングプロトコルと、UE508の同期を強制するための第2のタイミングプロトコルとを使用することができる。例えばUPF504は、5Gネットワークプロトコルに従ってタイミング信号を符号化するためのNW-TTを含むことができる。SC506は、UPF504からのタイミング信号をデコードし、第1のタイミングプロトコルを第2のタイミングプロトコルに同期させるためのSW-TTを含むことができる。SC 506は、第2のタイミングプロトコルを使用して、UE 508をGM 502の基準時間に同期させることができる。
【0090】
幾つかの実施形態では、UPF504はGM502から同期メッセージ510を受信する。同期メッセージ510を使用して、UPF504はUPF504をSC506と同期させるために第1のタイミングプロトコルを実装してもよく、ここで、NW-TT及びSW-TTは、精密時間プロトコルに従って同期プロトコルを実装する。例えばNW-TT及びSW-TTは、IEEE 802.1AS規格を使用して同期を実装してもよい。実装は、3GPP TS 23.501仕様に従ってもよい。5GネットワークはTSNネットワークと透過的に統合されてもよい。幾つかの実施形態では、5GネットワークとTSNネットワークとの統合は、IEEE 802.1規格に従ったブリッジとして実装されてもよい。
【0091】
UPF504は同期メッセージ510を使用してUPFのローカルクロックを更新する。幾つかの実施形態ではNW-TTは、IEEE 802.1ASに従ってUPFタイミング522を更新する。幾つかの実施形態では、GM502はUPF504と直接通信することができる。幾つかの実施形態では、UPF 504は、GM 502から同期メッセージ510を間接的に受信することができる。例えばネットワーク500は複数のUPFファシリティを含み、UPF504は中間UPFから同期メッセージ510を受信してもよく、中間UPFはGM502と直接通信している。幾つかの実施形態では、ネットワーク500は複数の中間UPFを含み、UPF504は複数の同期メッセージを受信して、どの中間UPFが最も短い待ち時間で同期メッセージ510を提供できるかを決定してもよい。
【0092】
図2Bに関連して上述したように、NW-TT及びSW-TTを使用して実装される第1のタイミングプロトコルは、SCをTSNタイミングドメインの終点として扱うことができる。例えば第1のタイミングプロトコルにおけるSCにおける同期時間は、以下の式で表すことができる:
式1において、τ
sc はSCの同期時間であり、τ
0 はグランドマスタークロックから受信した基準時間であり、δ
link
delay はGMからNW-TTまでのケーブルを介した同期メッセージを含むパケットの伝搬時間であり、T
residence はGMタイムベースで表されたUPFとSC間の滞留時間である。リンク遅延は、IEEE 802.1AS規格に従って計算される。滞留時間は、進入タイムスタンプ(t
si)と退出タイムスタンプ(t
se)を使用して測定される。例えばt
si は同期メッセージ 510 が UPF 504 で受信されたときに記録され、t
se は同期メッセージ 512 が SC 506 で受信されたときに記録される。滞留時間は以下の式で表すことができる:
【0093】
式2において、速度比はGMクロックの周波数とSCのローカルクロックとの比である。速度比 は IEEE 802.1AS 規格に従って決定される。
【0094】
再び
図5Aを参照すると、SC506は同期メッセージ512を使用してSCのローカルクロックを更新する。幾つかの実施形態では、SC-TTはIEEE 802.1ASに従ってSCタイミングを更新する。SC-TTによるSCクロックの更新に続いて、GM502、UPF504及びSC506は同期される。幾つかの実施形態では、GM 502、UPF 504、及びSC 506は、ダウンリンク同期については3GPP 23.501リリース16に従って同期され、アップリンク同期については3GPP 23.501リリース17に従って同期される。
【0095】
第2のタイミングプロトコル532は、SC506とUE508とを同期させる。第2のタイミングプロトコルは、SC506とUE508との間の相対同期を強制するために、5G NR無線フレームの物理層信号を使用して実装されてもよい。同期されると、SC506は、5G NR無線フレームに符号化された時間情報を使用して、実際の同期時間を決定することができる。幾つかの実施形態において、無線フレームが受信される時間は、UEが同期時間を決定するために無線フレームの到着及び時間情報を使用することができるように、仮想クロックドメインのタイミング間隔と同期されてもよい。幾つかの実施形態において、5G NR無線フレームに符号化された時間情報は、協定世界時(UTC)データを含むシステム情報ブロック9(SIB9)を含むことができる。幾つかの実施形態では、5GNR無線フレームは、SIB9に符号化されたタイミング情報を有する無線リソース制御(RRC)プロトコルを使用して送信される。
【0096】
幾つかの実施形態では、UEは、データ伝送を開始するためにSCに登録するランダムアクセス手順を実行することができる。SCは、ランダムアクセス手順を使用して、タイミングアドバンス(即ちSCとUEとの間を信号が移動するのに要する時間)を決定してもよい。タイミングアドバンスは、本明細書で説明するように、同期時間の決定に関連して使用できる。
【0097】
UE508の内部クロック周期は、UE508が無線フレームの到着時間に同期するように、無線フレームの到着時間及びデコードされたUTCデータに基づいて調整されてもよい。更に、到着時間は、情報ブロックにエンコードされた時間に対する基準として使用されてもよい。例えばUEの離散時間周期を仮想クロックドメインのタイミング間隔と同期させることにより、UEは、情報ブロックにエンコードされた基準時間がいつカウントされたかを正確に判定することができる。離散時間では、時間はある時間期間から次の時間期間へと増分的にジャンプする。クロックの時間周期が 1 μs の場合、時間は 1 μs 単位でカウントされる。クロックは、所望の時間周期に対応する周期性を持つ矩形波などの周期信号を使用して、増分的にカウントすることができる。矩形信号の立ち下がりエッジごとに、クロックは現在の時間に1増分を加える。仮想クロックドメインとUE 508クロックの時間周期が同期していない場合、UEクロックの立ち下がりエッジと仮想クロックドメインの時間の増分との間のオフセットにより、同期に追加の不確実性が生じる。しかし、UEクロックの立ち下がりエッジが仮想クロックドメイン内の時間の増分と同期している場合、UE508は仮想クロックドメイン内で時間がいつ発生するかを正確に決定することができる。幾つかの実施形態では、仮想クロックドメイン及びUEは、同じ間隔で時間を増分することができる。幾つかの実施形態では、仮想クロックドメインとUEは、異なる間隔で時間を増分してもよく、2つの間隔の共通の倍数で同期してもよい。
【0098】
本明細書で説明する内部クロックの同期では、カウントのために立ち下がりエッジの例を使用しているが、本明細書で説明する技術の態様はこの点で限定されないため、他のカウント方式を使用してもよい。例えば周期信号の立ち上がりエッジを使用してもよい。別の例として、周期信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの両方を使用してもよい。
【0099】
図5Bは、幾つかの実施形態に従って、UEの内部クロックを仮想クロックドメインに同期させるプロセス545を示す。プロセス545の開始前に、UEはサーチ状態にあることがある。サーチ中、UEは待機状態であってもよく、UEは無線ネットワークから送信される同期信号をスキャンする。幾つかの実施形態では、UEは、同期信号について新無線・絶対無線周波数チャネル番号(NR-ARFCN)をスキャンする。
【0100】
プロセス545はブロック546で開始され、UEは、幾つかの実施形態に従って、スモールセルからダウンリンク同期信号を受信するためのNR-ARFCNに関連付けられた同期信号を識別する。UEは、5Gネットワークと通信するように構成された5GNRモデムを含むことができる。幾つかの実施形態において、5GNRモデムは、5Gネットワークに関連する無線同期信号を識別することができる。例えば5GNRモデムは、無線フレームの同期信号ブロック(SSB)内の一次同期信号(PSS)、二次同期信号(SSS)、及び/又は拡張同期信号(ESS)を識別することができる。
【0101】
別の実施形態では、UEは、6G無線ネットワークなどの他のモバイルネットワークの同期信号を識別するように構成されたモデムを含むことができる。幾つかの実施形態では、本明細書で説明する技術の態様はこの点で限定されないため、モデムはTSNの実装と互換性のある任意の無線ネットワークと通信するように構成されてもよい。
【0102】
ブロック547において、5GNRモデムがSSBを識別すると、幾つかの実施形態に従って、モデムはダウンリンク同期プロセスを実行する。ダウンリンク同期プロセスは、UEの無線送受信機の周波数及び位相をSCと同期させる。この手順では、時間ロックループ(TLL)回路を使用して、UEの無線送受信機をSCの無線送受信機に同期させることができる。UEとSCのRF信号コンポーネント間の同期が完了すると、周波数と位相が同期される。
【0103】
ブロック548では、幾つかの実施形態に従って、UEは基準時間を決定する。基準時間を決定するために、UEは、SCクロックで基準時間を決定するために使用できる情報要素を含むシステム情報ブロック9をデコードする。例えばシステム情報ブロック9からデコードされる情報要素には、UTC基準時間、閏秒、及びUTCローカル時間オフセットが含まれることができる。
【0104】
ブロック549において、5GNRモデムは、幾つかの実施形態に従って、SCからタイミングアドバンスを決定する。SCからタイミングアドバンスを決定するために、5GNRモデムは、5Gネットワークへの接続プロセスを開始する。例えば5GNRモデムは、ネットワークのランダムアクセスチャネル(RACH)のランダムアクセス手順を通じて接続を開始することができる。ランダムアクセス手順を使用して、TSN対応SCはタイミングアドバンスを決定する。タイミングアドバンスは、本明細書で説明するように、無線信号がUEからTSN対応SCに送信されるのに要する時間である。TSN 対応 SC は、RACH 応答から タイミングアドバンス を抽出する。タイミングアドバンスは、UEの移動、伝送経路の変更、及び/又は接続の中断に伴って、 SCによって更新されてよい。UE は、タイミングアドバンス を更新する必要があることを示すために、MAC コントロールエレメント を送信することがある。
【0105】
ブロック550において、SCは、幾つかの実施形態に従って、物理レイヤ信号及びサブフレームデータを使用して、UEクロックの同期プロトコルを実行する。SCは、仮想クロックドメインに同期した無線フレームの物理層信号を送信し、無線フレームにエンコードされたタイミングデータを送信することによって同期を実行する。幾つかの実施形態において、無線フレームのサブフレームに関連する物理層信号は、スロット指示信号の送信を仮想クロックドメインの時間に対応するように調整することによって、UEクロックをTSNネットワークの仮想クロックドメインに同期させるために使用できる。例えば無線フレームの最初のサブフレーム(Subframe #0)の最初のスロット(Slot #0)は、仮想時間ドメインのタイミング間隔と一致する。無線パケットからデコードされたUTC時間情報と組み合わされた無線フレームの一致した到着は、TSNをサポートするUEとSCとの間の同期を提供する。幾つかの実施形態では、無線フレームのシンボルに関連付けられた境界信号が、仮想クロックドメインの時間を示すために使用されてもよい。同期プロトコルは、以下に
図5Cに関して更に詳細に説明される。
【0106】
ブロック 551 において、UE クロックの仮想クロックドメインへの同期に続いて、UE クロックは、幾つかの実施形態に従い、後続の物理層信号を使用して、ループ動作でシステムの同期を維持する。UEクロックは物理層信号を使用して、ダウンリンク及びアップリンク伝送中に周波数及び位相の同期を維持する。例えばUEが後続のスロット指示信号を受信すると、UEは、UEクロックと仮想クロックドメインとの同期を確認及び/又は更新することができる。別の例として、UEが無線フレームのシンボルに関連付けられた後続の境界信号を受信すると、UEは、UEクロックの仮想クロックドメインとの同期をチェック及び/又は更新することができる。
【0107】
上述したように、TSNを介してスケジュールされたイベントを強制することは、スケジュールされたイベントを実行するUEを含む仮想クロックドメインの同期によって制限される。無線信号の送受信に使用される内部クロック信号は非常に精密であり、5Gネットワークの信号を送受信するための周波数のサンプリングにピコ秒、あるいはサブピコ秒の精度を利用することがある。周波数サンプリングに使用されるこれらの内部クロックのタイミングは、信号の送信機と受信機の間の経路長の変化、マルチパス伝送、及び伝播する無線フレームの時変条件を考慮して、頻繁に調整される可能性がある。したがって内部クロックのタイミングは、仮想クロックドメインの時間に対して変化する可能性がある。本発明者らは、無線信号の周波数と位相を維持するために使用される正確な内部クロックが、クロック信号をローカル時間に変換するための基準時間が提供される場合に、正確な時間保持を提供するために使用される可能性があることを認識及び理解している。
【0108】
本発明者らは、物理層信号がアプリケーション層信号又はトランスポート層信号よりも高速であることを認識し、UE上のローカルクロックを仮想クロックドメインと同期させるために、無線フレームで送信される符号化された時間を参照する基準時間として物理層信号を使用する同期プロトコルを開発した。幾つかの実施形態では、UEのローカルクロックと仮想クロックドメインの同期は、TSN機能をサポートする。
【0109】
図5Cは、幾つかの実施形態による、コンピュータ化されたTSN同期プロトコルを示す。プロセス550の開始前に、上述のプロセス545のブロック546~549に関連して上述したように、UEはSCと同期することができる。幾つかの実施形態では、プロセス550は、IEEE 802.1AS規格に従ってTSNをサポートするように構成できる。本明細書で説明する技術の態様はこの点で限定されないので、仮想クロックドメイン内のコンポーネントのサブミリ秒同期を伴うTSNをサポートする他の規格も使用することができる。
【0110】
プロセス550はブロック561で開始され、SCは幾つかの実施形態に従ってセルラーネットワークノードからタイミング情報を受信する。セルラーネットワークノードは、ネットワーク基準クロックと有線通信してもよい。セルラーネットワークノードとネットワーク基準クロックとの間の有線接続を通じて、セルラーネットワークノードは基準クロックの基準時間を示すタイミング信号を受信する。セルラーネットワークノードはSCとも有線通信している。SCは、セルラーネットワークノードとの有線通信を通じて、ネットワーク基準クロックから基準時間を示すタイミング信号を受信する。
【0111】
幾つかの実施形態では、SCによって受信されるタイミング情報は、同期プロトコルに従って、ネットワーククロック基準及びSCのタイミングに関連付けられる。例えばタイミング情報は、SCに送信される信号の滞留時間及び送信遅延を含むgPTPメッセージであってもよい。
【0112】
幾つかの実施形態では、SCはTSN対応SCであってもよい。TSN対応SCは、無線プロトコルを介してUEに無線ネットワークアクセスを提供するように構成できる。無線プロトコルは、TSNを提供することができる任意の無線プロトコルを含むことができる。例えば無線プロトコルは、5G無線プロトコルを含むことができる。別の例として、無線プロトコルは、6G無線プロトコルを含んでもよい。
【0113】
幾つかの実施形態では、セルラーネットワークノードはUPFネットワークコンポーネントであってもよい。UPFネットワークコンポーネントは、イーサネットプロトコルを使用して、基準クロック及びUEへの有線接続を介して通信することができる。幾つかの実施形態では、UPFネットワークコンポーネントは、ネットワークトポロジの一部として複数のUPFネットワークコンポーネントを含んでいてもよい。
【0114】
次にブロック562において、SCは、幾つかの実施形態に従って、タイミング情報に基づいてタイミング調整を決定する。タイミング情報は、パケットがグランドマスタークロックからSCに送信されるときのパケットの基準時間及び滞留時間を含む。滞留時間は、
図5Aに関連して上述された。幾つかの実施形態では、タイミング情報は、タイミングアドバンス(即ちRF信号がSCからUEの受信機まで移動する時間)も含む。タイミング情報から、UEがSCから送信される無線フレームを受信する仮想クロック領域時間が決定される。同期時間は、無線フレームがUEに到着する仮想クロック領域の時間を表す。同期時間については、
図7に関連して後述する。
【0115】
幾つかの実施形態では、タイミングアドバンスは、プロセス550の開始前に決定されてもよい。例えばタイミングアドバンスは、UEモデムの周波数及び位相がSCの送受信コンポーネントの周波数及び位相と同期される、5GNRモデムとネットワークとの間の初期同期に関連して決定されてもよい。タイミングアドバンスは、
図5Bに関連して上述したランダムアクセスプロセスを使用して決定することができる。
【0116】
幾つかの実施形態では、タイミングアドバンスは、ビーム経路、ビーム伝搬、及び/又はSCに対するUEの移動のあらゆる変化を考慮するために、同期プロトコル中に決定されてもよい。幾つかの実施形態では、タイミングアドバンスは、UEが移動したり、SCとUEとの間の通信に中断が生じたりするたびに再計算されてもよい。
【0117】
次にブロック563において、SCは、幾つかの実施形態に従って、UEに送信されるタイミング信号を調整する。SCは、UEクロックのタイミングを調整するために、無線フレームのタイミング信号を調整する。幾つかの実施形態では、無線フレームのタイミング信号は物理層信号であってもよい。例えばタイミング信号は、本明細書で説明するように、スロット指示信号であってもよい。別の例として、タイミング信号は、本明細書で説明するように、シンボル境界信号であってもよい。
【0118】
幾つかの実施形態では、UEによって受信されたタイミング信号は、タイミングフィードバック回路と組み合わせて使用され、UEの内部クロックフランクを調整する。フィードバック回路は、内部クロックフランクが後続のタイミング信号と一致するように、内部クロックフランクのタイミングを調整するように構成されている。無線ネットワークの物理層信号を使用した、UEクロックの仮想クロックドメインへの同期については、
図6A~
図8を参照して、以下に詳しく説明する。
【0119】
図6Aは、本明細書で説明する実施形態に従って使用できる無線フレーム600の概略図である。
図6Aは、10のサブフレーム602、604、606、608、610、612、614、616、618、620に細分化される無線フレームを示す。各サブフレームは1以上のスロットを含む。無線フレーム600では、各サブフレーム602~620は2つのスロットを含む。図示された2つのスロット631及び632はサブフレーム602に対応する。各スロットは、
図6Aのスロット631にそれぞれ対応するシンボル642、644、646、648、650、652で示されるように、14個のシンボルを含む。
【0120】
サブフレーム内のスロット数は、サブキャリア間隔(即ちサブキャリア帯域幅)によって決定される。図示された例示的な無線フレーム600では、サブキャリア間隔は30kHzである。しかしながら、無線ネットワークによってサポートされるであろう他の一般的なサブキャリア間隔が使用されてもよい。例えば15kHz、60kHz、120kHz、240kHzのサブキャリア間隔を使用してもよい。15kHzのサブキャリア間隔が使用される場合、各サブフレームは単一のスロットを含む。60 kHz、120 kHz、又は240 kHzのサブキャリア間隔が使用される場合、それぞれのサブフレームは4、8、又は16のスロットを有する。
【0121】
無線フレーム600の継続時間は10msであり、10個のサブフレームを含む。各サブフレームは可変数のスロットを含み、各スロットはサブキャリア間隔に関係なく、14個のシンボルを含む。したがってサブフレームあたりのスロット数が増加すると、サブフレームの持続時間は一定であるため、シンボルの持続時間は減少する。スロット数とスロット持続時間はサブキャリア間隔に依存する。例えばサブキャリア間隔が 15 kHz、30 kHz、60 kHz、120 kHz、及び240 kHz の場合、サブフレームあたり 1 スロット、サブフレームあたり 2 スロット、サブフレームあたり 4 スロット、サブフレームあたり 8 スロット、及びサブフレームあたり 16 スロットに対応し、スロット持続時間はそれぞれ 1 ms、0.5 ms、0.25 ms、0.125 ms、0.0625 ms で、シンボル持続時間はそれぞれ 71.42μs、35.71 μs、17.86 μs、8.93 μs、4.46 μs となる。
【0122】
スロット内のシンボルの構成は、ダウンリンク、アップリンク、又はフレキシブル(即ちアップリンク又はダウンリンクのいずれか)シンボルとして構成することができる。各スロット内のシンボルの割り当てを指定するために、スロットインジケータ信号がUEに送信されてよい。幾つかの実施形態では、スロットインジケータは、DCIプロトコルを使用して送信されてよい。スロットインジケータは、ダウンリンクアップリンクパターンに構成されるシンボルの周期性の表示、各ダウンリンクアップリンクパターンの開始時における連続するフルダウンリンクスロットの数、部分的に充填されたスロットの開始時における連続するダウンリンクシンボルの数、各ダウンリンクアップリンクパターンの終了時における連続するフルアップリンクスロットの数、及び/又は部分的に充填されたスロットの終了時における連続するアップリンクシンボルの数を含んでもよい。幾つかの実施形態では、スロットインジケータは、スロット及び/又はシンボルの使用状況の表示をUEに提供するように構成されている他のフォーマットに従って構成されてよい。
【0123】
幾つかの実施形態では、スロット指示信号は、スロット指示信号の到着がSCクロックのフランク信号に対応するように、SCによって送信できる。
図6Bは、幾つかの実施形態による、SCクロックのフランク信号と無線フレームのサブフレームとの間のタイミングの概略図を示す。
図6Bは、無線フレーム600の最初の5つのスロットであるスロット631、632、633、634、635を図示する。各スロットのペイロードを送信する前に、指示信号661、662、663、664、665がそれぞれUEに送信される。UEクロックフランク信号671、672、673、674、675のタイミングは、垂直破線で図示されている。
図6Bでは、時間はx軸に沿って進行し、左から右に増加する。無線フレームの最初の5つのサブフレームがUEに送信され、スロットの位置は、UEにおけるそれぞれのスロットの到着時間を示す。スロットの垂直方向の位置関係によって示されるように、スロット指示信号とUEクロックのフランク信号は、それぞれ時間的に同期している。したがってスロット指示信号の到着が無線フレームの時間情報ブロックにエンコードされた時間データに対応する場合、スロット指示信号は、クロック信号をローカル時間に変換するための基準時間として機能する可能性がある。基準時間との同期を提供するために、SCは、基準時間の偶数タイミング間隔で到着するようにスロット指示を送信する。
図6A及び
図6Bに図示された実施形態では、SCはスロット指示を基準時間の偶数タイミング間隔で到着するように送信する。6A及び6Bの図示の実施形態では、サブキャリア間隔は30kHzである。したがってスロット持続時間は500μsであり、新しいスロットインジケータが500μsごとに送信される。
図6Bの例では、時間フォーマットは時間:分:秒:ミリ秒マイクロ秒ナノ秒である。スロット指示は、基準時間が 500μs の整数倍のときに UE に到着するように送信される。スロット指示信号661は、基準時間が16:30:23:000 000 000のときにUEに到着する。スロット指示信号662は、基準時間が16:30:23:000 500 000のときにUEに到着する。スロット指示信号663は、基準時間が16:30:23:001 000 000のときにUEに到着する。スロット指示信号664は、基準時間が16:30:23:001 500 000のときにUEに到着する。スロット指示信号665は、基準時間が16:30:23:002 000 000のときにUEに到着する。
【0124】
指示信号の到着時間の強制により、UEは周波数及び位相の同期を維持するために使用される正確な内部クロックを使用して、スロット指示信号間の基準クロックとの正確な同期を維持することができる。幾つかの実施形態では、UEはすべてのスロット指示信号を使用して、UEクロックの同期を確認及び/又は調整することができる。幾つかの実施形態では、UEは無線フレームごとに1以上のスロット指示信号を使用して、UEクロックの同期をチェック及び/又は調整するだけでよい。UEは与えられたプロセスに必要な同期の程度を提供する任意の数のスロット指示信号を使用して、UEクロックの同期をチェック及び/又は調整してもよい。基準時間に対するUEクロックのドリフトの程度、UEからSCまでの距離、UEの速度、及びUEによって実行される特定のプロセスは、1以上の指示信号を使用してUEクロックの同期をチェック及び/又は調整する頻度を決定する要因となり得る。
【0125】
上述したように、スロット指示信号は物理層信号である。幾つかの実施形態では、SCとUE間の同期を示すために他の物理層信号を使用することができる。システムは、同期精度を向上させるために、OFDMシンボルベースの同期を実装することができる。各スロットは14個のOFDMシンボルを含み、同期信号としてシンボル境界を使用することにより、規律信号(即ちシンボル境界)と基準クロックとの間の偏差が低減される。例えばTLL(時間ロックループ)システムは、仮想クロックドメインの基準クロックとの同期を実装することができる。幾つかの実施形態では、同期信号としてシンボル境界を使用する場合に達成可能な同期の最小精度は、使用されるサブキャリア間隔に依存する。幾つかの実施形態では、同期信号のパターンなど、データフレームのシンボルのサブセットで符号化された信号を同期信号として使用できる。例えばPSS及び/又はSSSが同期信号として使用されてもよい。
【0126】
サブキャリア間隔がシンボル持続時間を決定し、信号が乱れたりエラーが発生したりしてシンボル同期が失われた場合、後続のシンボルで同期を再確立する。このような場合、同期手順はシンボル持続時間に匹敵する最小精度を提供することができる。例えば15kHzのサブキャリア間隔を使用する場合、シンボル持続時間は以下の式で与えられる。
【0127】
別の例として、サブキャリア間隔が30kHz又は60kHzを使用する場合、最小精度はそれぞれ約36μsと18μsである。
【0128】
SCとUEの間で無線フレームを送信する場合、送信機と受信機は周波数と位相が同期される。幾つかの実施形態では、無線フレームは3GHzより小さい周波数で送信される。幾つかの実施形態では、無線フレームは、3GHzと6GHzとの間の周波数で送信される。幾つかの実施形態では、無線フレームは、6GHzより大きい周波数で送信される。GHz以上の周波数の周期は、1ns以下の発振周期に対応する。したがって送受信に使用される周波数と位相の同期は、1ns以内であってもよい。幾つかの実施形態では、周波数と位相の同期は、最後の同期信号からUEクロックのローカル時間をカウントするために使用される。幾つかの実施形態では、UEクロックとSCクロックとの間の同期の精度は、100ns以内、10ns以内、又は1ns以内に同期される。
【0129】
幾つかの実施形態では、タイミング信号は、UEとSCとの間の同期を強制するためにUEクロックを連続的に調整するために使用できる。幾つかの実施形態において、UEクロックを調整する周期性は、本明細書に記載されるようなプロセス命令に関連する所望の精度、及び/又は設定されたQoSに基づく。幾つかの実施形態では、受信されたタイミング信号に基づいてUEクロックを調整する周期性は、UEによって実行されるプロセスに関連付けられた一連の命令に従って変化できる。
【0130】
図7は、幾つかの実施形態に従って、UEによって受信されたタイミング信号に基づいてUEタイミングシステムを調整するプロセス700を示す。UEは、タイミング信号とUEタイミングシステムの内部クロックフランク(即ち内部クロック)との間のオフセットΔを決定する。図示の実施形態では、スロット指示661と内部クロックフランク671との間のオフセット702は、UEによって決定される。UEを仮想クロックドメインに同期させるUEの同期時間を決定するために、UEは、以下の式で説明されるように、基準時間、タイミングアドバンス、及びオフセットを使用する。
【0131】
式3において、τ Reference Timeは送信時の仮想クロックドメインの時間であり、τ Timing AdvanceはSCとUEの間を信号が移動する時間であり、Δ Timing SignalはUEにおける物理層信号の到着から次のクロックフランクまでの時間である。オフセットΔTiming Signalはタイミングフィードバック回路によって、後続のタイミング信号と一致するように内部クロックフランクを調整するために使用することもできる。
【0132】
図8は、幾つかの実施形態による、時間ロックループフィードバック回路800を示す。幾つかの実施形態では、時間ロックループ800は、位相を使用する代わりに、時間出力をフィードバックに使用する。時間ロックループは、クロック信号に対する調整を提供しながら、送信信号と受信信号との間の位相整合を維持する。幾つかの実施形態では、タイミングフィードバック回路は、位相領域の代わりに時間領域で動作するPLL(位相ロックループ)のように機能する。例えば時間ロックループは、制御発振器802、リアルタイムクロック(カウンタ)804、タイムコンパレータ806、及びループフィルタ808を含む。 幾つかの実施形態では、制御発振器802は、周期的なタイミング信号を生成する。周期的タイミング信号は、リアルタイムカウンタ804によって使用され、時間をカウントし、タイムアウト信号を生成する。タイムアウト信号は、計算されたタイムアウトと基準タイムイン信号とを比較するタイムコンパレータ806へのフィードバックとして提供される。タイムコンパレータ806の結果は、ループフィルタ808によってフィルタリングされ、制御発振器802への入力として供給される。
【0133】
図9は、幾つかの実施形態による、5GスモールセルとUEを含むTSNネットワーク900の例示的な実施形態を示す。TSNネットワーク900は、UE910に5Gネットワーク接続性を提供するように構成されたTSN対応スモールセル(TESC)902を含む。TESC 902は、無線フレーム912の物理層信号の到着が無線フレーム912のタイミングブロック内にエンコードされた時間に対応するように、タイミングアドバンス904で無線フレーム912をUEモデム914に送信する。モデム914とメインプロセッサ916との間のインターフェースは、ネットワーク同期されたクロック信号と、タイミングアドバンスを含むタイムスタンプの形態のネットワーク時間を含む。メインプロセッサ916は、ネットワーク時間を使用して、アクチュエータ918によって実行されるリアルタイム動作をスケジュールすることができる。
【0134】
幾つかの実施形態では、モデム914は、5GNRフレーム912からPSS及びSSSを抽出して、ローカルクロックをネットワーク時間に同期させるための信号を生成する。この解決策により、UE 910、5G SC基地局902、及びシステムの基準クロック間の仮想クロックドメイン又はTSNネットワークの実装が可能になる。TSNネットワークは、本明細書で説明する幾つかの実施形態に従って、クロック精度が1.5μsより良好であることを保証する。
【0135】
図10は、幾つかの実施形態による、例示的なTSN登録及び実行要求を示す。
図3に示す実施形態では、アプリケーションは、クライアントサーバアーキテクチャを実装する。クライアントサーバアーキテクチャは、産業用コントローラである専用コントローラ1004を含む。
図10に示すように、UE1002は、コントローラとのアプリケーション層通信を確立することができる。UE 1002は、アプリケーション層通信を確立するために、デバイス登録要求1010をコントローラ1004に送信して、コントローラからの指示を受信するシステムにUEを登録する。デバイス登録要求1010は、デバイスのユーザID(UID)、及びデバイスが5g-無線フレームベースの同期(即ち無線TSN対応)をサポートしているかどうか、及び同期精度を通知することができる。上述したように、アプリケーションによっては、同期精度は、ヌメロロジー(即ちサブキャリア間隔)によって影響を受ける。コントローラ1004は、デバイス登録応答1012で応答する。登録後、コントローラ1004は時間整合され、実行タイムスタンプ、アクションID、及び任意のパラメータを含むアクション実行要求を、UE1002に送信できる。例えばコントローラ1004は、UE1002によるアクションの実行時間を指定するアクション実行要求1020をUE1002に送信することができる。これに応答して、UE1002は、スケジュールされたアクションの実行を確認するアクション実行応答1022を送信することによって応答することができる。コントローラ1004は、UE1002による実行のための後続アクションを指定する追加のアクション実行要求を送信することができる。幾つかの実施形態では、コントローラ1004は、
図10に示すように、アクション実行要求を順次送信することができる。コントローラ1004は、アクション実行要求1022がコントローラ1004によって受信された後、後続のアクション実行要求1024をUE1002に送信する。UE1002は、アクション実行応答1026を送信することによって、アクション実行要求1022に応答することができる。アクション実行応答1026は、アクションが実行されたことを指定してもよく、又はアクション実行応答1026は、スケジュールされたアクション要求が受信されたことを確認し、実行のスケジュールされた時間を今後のタイムスタンプで確認してもよい。別の実施形態では、コントローラ1004は、非連続構成で複数のアクション実行要求を送信してもよい。
【0136】
図11は、幾つかの実施形態による、例示的なピアツーピアTSNプロトコル1100を示す。TSNプロトコルは、ピアツーピアのアプリケーションを使用して、集中型コントローラのないネットワークを実装してもよい。ピアツーピアアプリケーションでは、
図3に示すものと同じアーキテクチャが使用できるが、デバイス登録及びアクションスケジューリングは、集中型コントローラを使用せずに実行できる。ピアツーピアアプリケーションでは、複数のUEなどのエッジデバイスが、まとめて実行するアクションについて交渉して合意する。このように、ピアツーピ アアプリケーションは、物理デバイスに配置されたマルチエージェントシステムのコラボレー ティブロボットの配置を実装する。TSNプロトコルに参加するピアは、スケジュールされたアクションを環境のリアルタイムのニーズや特性に適応させることができる。
【0137】
図11は、ピアツーピアネットワーク1100のコンポーネントであるUE1102、UE 1104、UE 1106、UE 1108、UE 1110を図示する。UE1202は、幾つかの実施形態に従って、自動検出プロセス及びアクション実行プロセスを実行することが図示されている。自動検出プロセスは、UE1102をピアツーピアネットワークに登録するために、送信ファシリティにデバイス識別子を送信することによって開始する。新しく配置されたUEのデバイス識別子及び能力、例えばデバイスが5g-無線フレームベースの同期をサポートすることの表示や精度は、デバイス登録メッセージ1120に含めることができる。送信メッセージは、UE 1106、UE 1108、UE 1110にそれぞれ対応する後続のデバイス登録メッセージ1122、1124、1126を介して、ピアツーピアネットワークのUEに転送される。
【0138】
UE登録に続いて、ネットワーク1100のピア間でアクション実行要求が送信されることがある。例えばUE 1102は、タイムスタンプ、アクションID、及びオプションのパラメータを含むアクション実行要求1130をUE 1106に送信することができる。UE 1106は、本明細書で説明するように、アクション実行要求のスケジューリングを確認するアクション実行応答を送信することによって応答することができる。ネットワーク1100の他のUEによって、追加のアクション実行要求が同時に、及び/又はその後に送信されることがある。例えばUE 1108は、アクション実行要求1140をUE 1110に送信してもよく、UE 1110は、本明細書で説明するように、アクション実行応答1142を送信することによって応答してもよい。
【0139】
図12は、本明細書で説明される技術を実施するシステムで使用できるコンピューティングデバイス1200の形態のコンピューティングデバイスの1つの例示的な実施態様を示すが、他の実施態様も可能である。
図12は、本明細書に記載の技術に従って、コンピューティングデバイスがIIOT又はTSNファシリティとして動作するために必要な構成要素の説明も、包括的な描写も意図したものでないことが理解されるべきである。
【0140】
コンピューティングデバイス1200は、少なくとも1つのプロセッサ1202、ネットワークアダプタ1204、及び不揮発性コンピュータ可読記憶媒体1206を含むことができる。コンピューティングデバイス1200は、例えばデスクトップ又はラップトップのパーソナルコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、スマート携帯電話、IIOTデバイス、又は任意の他の適切なコンピューティングデバイスであってよい。ネットワークアダプタ1204は、本明細書で説明されるように、コンピューティングデバイス1200が、任意の適切なコンピューティングネットワークを介して、任意の適切なネットワーキングプロトコルを使用して、任意の他の適切なコンピューティングデバイスと有線接続及び/又は無線接続を介して通信することを可能にする、任意の適切なハードウェア及び/又はソフトウェアであってよい。コンピューティングネットワークは、スイッチ、ルータ、ゲートウェイ、アクセスポイント、及び/又は他のネットワークデバイス、並びにインターネットを含む、2つ以上のコンピュータ間でデータを交換するための任意の適切な有線及び/又は無線通信媒体又は媒体を含むことができる。不揮発性コンピュータ可読記憶媒体1206は、プロセッサ1202によって処理されるべきデータ及び/又は実行されるべき命令を記憶するように適合できる。プロセッサ1202は、データの処理及び命令の実行を可能にする。データ命令は、コンピュータ可読記憶媒体1206に記憶されてもよい。プロセッサ1202は、不揮発性コンピュータ可読記憶媒体1206及びメモリ1210へのデータの書き込み及びメモリ1210からのデータの読み出しを、本明細書で提供される開示の態様はこの点で限定されないので任意の適切な方法で制御できる。
【0141】
コンピュータ可読記憶媒体1206に記憶されたデータ及び命令は、本明細書に記載された技術に従って動作する技術を実施するコンピュータ実行可能命令を含むことができる。
図12の例では、不揮発性コンピュータ可読記憶媒体1206は、上述のように様々なファシリティを実装し、様々な情報を記憶するコンピュータ実行可能命令を保存している。不揮発性コンピュータ可読記憶媒体1206は、本明細書で説明する幾つかの実施形態に従って、IIOT又はTSNファシリティを記憶することができる。
【0142】
図12には図示されていないが、コンピューティングデバイスは、追加的に、入出力デバイスを含む、1以上のコンポーネント及び周辺機器を有することができる。これらのデバイスは、とりわけユーザインターフェースを提示するために使用することができる。ユーザインターフェースを提供するために使用できる出力デバイスの例は、出力を視覚的に提示するためのプリンタ又はディスプレイスクリーン、及び出力を聴覚的に提示するためのスピーカ又は他のサウンド生成デバイスを含む。ユーザインターフェースに使用できる入力デバイスの例は、キーボードや、マウス、タッチパッドなどのポインティングデバイス、及びデジタル化タブレットを含む。別の例として、コンピューティングデバイスは、音声認識又は他の可聴フォーマットで入力情報を受け取ることができる。
【0143】
本明細書に記載された原理に従って動作する技術は、任意の適切な方法で実施することができる。上記のフローチャートの処理ブロック及び決定ブロックは、これらの様々な処理を実行するアルゴリズムに含めることができるステップ及び動作を表す。これらの処理から得られるアルゴリズムは、1以上の専用又は多目的プロセッサと統合され、その動作を指示するソフトウェアとして実装されてもよく、デジタル信号処理(DSP)回路又は特定用途向け集積回路(ASIC)などの機能的に同等の回路として実装されてもよく、他の任意の適切な方法で実装されてもよい。本明細書に含まれるフローチャートは、特定の回路、特定のプログラミング言語、又はプログラミング言語のタイプの構文や動作を示すものではないことが理解されるべきである。むしろ、フローチャートは、当業者が本明細書に記載された種類の技術を実施する特定の装置の処理を実行するための回路を作製し、又はコンピュータソフトウェアアルゴリズムを実装するために使用することができる機能情報を例示するものである。また、本明細書において別段の指示がない限り、各フローチャートに記載されたステップ及び/又は動作の特定のシーケンスは、実施可能なアルゴリズムの単なる例示であり、本明細書に記載された原理の実装及び実施形態において変化できるものであることも理解すべきである。
【0144】
したがって幾つかの実施形態では、本明細書に記載された技術は、アプリケーションソフトウェア、システムソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、埋め込みコード、又は任意の他の適切なタイプのコンピュータコードを含むソフトウェアとして実装されるコンピュータ実行可能命令で具現化できる。このようなコンピュータ実行可能命令は、多数の適切なプログラミング言語及び/又はプログラミングツール若しくはスクリプティングツールのいずれかを使用して記述することができ、また、フレームワーク又は仮想マシン上で実行される実行可能な機械語コード又は中間コードとしてコンパイルすることもできる。
【0145】
本明細書で説明する技術がコンピュータ実行可能命令として具現化される場合、これらのコンピュータ実行可能命令は、これらの技術に従って動作するアルゴリズムの実行を完了するための1以上の操作を各々が提供する多数の機能ファシリティを含め、任意の適切な方法で実装することができる。「機能ファシリティ」は、どのようにインスタンス化されたものでもコンピュータシステムの構造的コンポーネントであり、1以上のコンピュータと統合されて実行されると、1以上のコンピュータに特定の動作上の役割を実行させる。機能ファシリティは、ソフトウェア要素の一部又は全体であることができる。 例えば機能ファシリティはプロセスの関数として、又は離散プロセスとして、又は他の適切な処理単位として実装されてよい。本明細書で説明する技術が複数の機能ファシリティとして実装される場合、各機能ファシリティは独自の方法で実装されてもよく、すべてが同じ方法で実装される必要はない。更に、これらの機能ファシリティは、適宜、並列的及び/又は直列的に実行されてもよく、それらが実行されている1以上のコンピュータの共有メモリを使用して、メッセージパッシングプロトコルを使用するか又は任意の他の適切な方法で互いの間で情報を受け渡してもよい。
【0146】
一般に、機能ファシリティには、特定のタスクを実行したり、特定の抽象データ型を実装したりするルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などが含まれる。通常、機能ファシリティの機能性は、それらが動作するシステムにおいて所望に応じて組み合わせたり分散させたりすることができる。幾つかの実装では、本明細書の技術を実行する1以上の機能ファシリティが、一緒に完全なソフトウェアパッケージを形成することができる。これらの機能ファシリティは、代替実施形態においてソフトウェアプログラムアプリケーションを実装するために、他の関連しない機能ファシリティ及び/又はプロセスと相互作用するように適合されてもよい。
【0147】
本明細書では、1以上のタスクを実施するための幾つかの例示的な機能ファシリティについて説明してきた。しかしながら、説明された機能ファシリティとタスクの分割は、本明細書に記載された例示的技術を使用して実装できる機能ファシリティのタイプの単なる例示であり、実施形態は、何らかの特定の数、分割又はタイプの機能ファシリティで実装されることに限定されないことが理解されるべきである。幾つかの実施形態では、すべての機能性が単一の機能ファシリティで実施できる。また、幾つかの実施態様において、本明細書に記載された機能ファシリティの一部は、他の機能ファシリティと共に、又は他の機能ファシリティとは別個に(即ち単一ユニット又は別個のユニットとして)実施されてもよく、又はこれらの機能ファシリティの一部は実施されなくてもよいことが理解されるべきである。
【0148】
本明細書で説明する技術を実装するコンピュータ実行可能命令は(1以上の機能ファシリティとして実装される場合、又は任意の他の方法で実装される場合)、幾つかの実施形態では、媒体に機能性を提供するために1以上のコンピュータ可読媒体に符号化できる。コンピュータ可読媒体は、ハードディスクドライブなどの磁気媒体、コンパクトディスク(CD)又はデジタル多用途ディスク(DVD)などの光媒体、永続的又は非永続的なソリッドステートメモリ(例えばフラッシュメモリ、磁気RAMなど)、又は任意の他の適切な記憶媒体を含む。このようなコンピュータ可読媒体は、任意の適切な方法で実施することができる。本明細書で用いる「コンピュータ可読媒体」(「コンピュータ可読記憶媒体」とも呼ばれる)は、有形記憶媒体を指す。有形記憶媒体は、非一時的であり、少なくとも1つの物理的構造的コンポーネントを有する。本明細書で用いる「コンピュータ可読媒体」において、少なくとも1つの物理的構造的コンポーネントは、埋め込まれた情報を有する媒体を作成するプロセス、その上に情報を記録するプロセス、又は情報を有する媒体を符号化する他のプロセスの間に何らかの方法で変更できる少なくとも1つの物理的特性を有する。例えば記録プロセス中に、コンピュータ可読な媒体の物理的構造の一部の磁化状態を変更できる。
【0149】
更に、上述した幾つかの技術は、これらの技術による使用のために、何らかの方法で情報(例えばデータ及び/又は命令)を記憶する動作を含んでいる。これらの技術の幾つかの実施(技術がコンピュータ実行可能命令として実現される実施など)において、情報はコンピュータ可読記憶媒体上に符号化できる。情報を記憶するのに有利なフォーマットとして特定の構造が本明細書に記載されている場合、記憶媒体に符号化されるときにこれらの構造を使用して情報の物理的組織を付与するために使用することができる。これらの有利な構造は、情報と相互作用する1以上のプロセッサの動作に影響を与えることにより、記憶媒体に機能性を提供することができる。
【0150】
本技術をコンピュータ実行可能命令として具現化できる幾つかの(全てではないが)実施において、これらの命令は、任意の適切なコンピュータシステムにおいて動作する1以上の適切なコンピューティングデバイス上で実行できるか、又は1以上のコンピューティングデバイス(又は1以上のコンピューティングデバイスの1以上のプロセッサ)は、コンピュータ実行可能命令を実行するようにプログラムできる。コンピューティングデバイス又はプロセッサは、命令が、データストア(例えばオンチップキャッシュ又は命令レジスタ、バスを介してアクセス可能なコンピュータ可読記憶媒体、1以上のネットワークを介してアクセス可能であり、デバイス/プロセッサによってアクセス可能なコンピュータ可読記憶媒体など)のような、コンピューティングデバイス又はプロセッサにとってアクセス可能な方法で記憶されたときに命令を実行するようにプログラムされてもよい。これらのコンピュータ実行可能命令を含む機能ファシリティは、単一の多目的プログラマブルデジタルコンピューティングデバイス、処理能力を共有して本明細書に記載された技術を共同で実行する2つ以上の多目的コンピューティングデバイスの協調システム、本明細書に記載された技術を実行する専用の単一のコンピューティングデバイス又はコンピューティングデバイスの協調システム(同位置又は地理的に分散)、本明細書に記載された技術を実行するための1以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は任意の他の適切なシステムと統合されて、その動作を指示することができる。
【0151】
本技術が回路及び/又はコンピュータ実行可能命令に実装される実施形態について説明した。幾つかの実施形態は、少なくとも1つの例が提供されている方法の形態であってもよいことが理解されるべきである。 方法の一部として実行される動作は、任意の適切な方法で順序付けることができる。したがって、例示的な実施形態では連続的な動作として示されていても、幾つかの動作を同時に実行することを含む、図示とは異なる順序で動作が実行される実施形態が構成されてもよい。
【0152】
前述した実施形態の様々な態様は、単独で、組み合わせて、又は前述した実施形態においては具体的に説明しなかった様々な配置で使用することができ、それゆえその適用において前述の説明に記載された、又は図面に示された構成要素の詳細及び配置に限定されるものではない。 例えば一実施形態に記載された態様は、別の実施形態に記載された態様と任意の方法で組み合わせることができる。
【0153】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される「及び/又は」という語句は、そのように結合された要素の「いずれか一方又は両方」、即ちある場合には結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」で列挙された複数の要素も同様に解釈されるべきであり、即ちそのように結合された要素の「1つ以上」を意味する。「及び/又は」節によって具体的に特定された要素以外の他の要素は、具体的に特定された要素に関連するか否かにかかわらず、任意選択で存在することができる。したがって非限定的な例として、「A及び/又はB」への参照は、「含む」などの無制限の言語と組み合わせて使用される場合、ある実施形態では、Aのみ(任意選択でB以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(任意選択でA以外の要素を含む)、更に別の実施形態ではAとBの両方(任意選択で他の要素を含む)などを参照することができる。
【0154】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される不定冠詞 "a "及び "an "は、反対の意味で明確に示されない限り、「少なくとも1つ 」を意味すると理解されるべきである。
【0155】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される、1以上の要素のリストを参照する場合の「少なくとも1つ」という語句は、要素のリスト内の任意の1以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、要素のリスト内に具体的に列挙される全ての要素の少なくとも1つを必ずしも含む必要はなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外するものではない。この定義はまた、「少なくとも1つ」という語句が指す要素のリスト内で具体的に特定された要素以外の要素が、具体的に特定された要素に関連するか否かにかかわらず、任意に存在できることを許容する。したがって非限定的な例として「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は同等に「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は同等に「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態においてBが存在せず(及び任意選択でB以外の要素を含む)、少なくとも1つの、任意選択で2つ以上のAを指すことができる。別の実施形態では、Aが存在せず(及び任意選択でA以外の要素を含む)、少なくとも1つの、任意選択で1以上のBを指すことができる。更に別の実施形態では、少なくとも1つの、任意選択で1以上のAと、少なくとも1つの、任意選択で1以上のB(及び任意選択で他の要素を含む)などを指すことができる。
【0156】
特許請求の範囲において、クレーム要素を修飾するために「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞を使用することは、それ自体あるクレーム要素の他のクレーム要素に対する優先順位、優先権、順序、又は方法の動作が実行される時間的順序を意味するものではなく、単にある名称を有するクレーム要素を、(序数詞の使用を除いて)同じ名称を有する他のクレーム要素から区別するためのラベルとして使用されている。
【0157】
また、本明細書で使用される語句及び用語は説明のためのものであり、限定的なものとみなされるべきではない。 本明細書における「含む」、「包含する」、「有する」、「収容する」、「伴う」、及びそれらのバリエーションの使用は、その後に列挙される項目及びその同等物、並びに追加の項目を包摂することを意味する。
【0158】
本明細書で定義され使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書における定義、及び/又は定義された用語の通常の意味よりも優先されると理解されるべきである。
【0159】
本明細書において「例示的」という語は、例、実例、又は説明として役立つことを意味するために使用される。 したがって例示的なものとして本明細書に記載された実施形態、実施、プロセス、特徴などは例示的な例であると理解されるべきであり、特に指示されない限り、好ましい例又は有利な例であると理解されるべきではない。
【0160】
このようにして、少なくとも1つの実施形態の幾つかの態様を説明してきたが、当業者には様々な変更、修正、及び改良が容易に想到し得るものであることが理解されるであろう。 このような変更、修正、及び改良は本開示の一部であり、本明細書に記載された原理の精神及び範囲内であることが意図されている。したがって、前述の説明及び図面は例示に過ぎない。
【0161】
本開示には様々な態様が記載されており、それは以下の態様を含むが、これらに限定されるものではない。
【0162】
1. セルラーネットワークの無線チャネルを介してタイムセンシティブネットワーキング(TSN)同期プロトコルを提供するコンピュータ化された方法であって、この方法は、セルラーネットワークデバイスによって、セルラーネットワークノードからタイミング情報をネットワークデバイスによって受信することと、ここで、セルラーネットワークノードはネットワークデバイスと有線通信しており、タイミング情報は有線同期プロトコルに従ってネットワーククロックリファレンス及びネットワークデバイスへの送信時間に関連付けられ、タイミング情報に基づいてネットワークデバイスによってタイミング調整を決定することと、タイミング調整に基づいてネットワークデバイスを介してセルラーネットワークノードとセルラー通信しているユーザデバイスにネットワークデバイスによって送信されるタイミング信号を調整することと、を実行することを含み、ここで、タイミング信号はTSN同期プロトコルに従ってユーザデバイスのタイミングシステムを調整するために使用される。
【0163】
2. 態様1のコンピュータ化された方法であって、TSN同期プロトコルは無線同期プロトコルであり、無線同期プロトコルは、ネットワークデバイスによって無線フレームのダウンリンク情報を送信することと、ここで、ダウンリンク情報を送信することは基準同期信号のパターンをタイミング信号としてユーザデバイスに送信することを含み、 ネットワークデバイスによって無線フレームのアップリンク情報を受信することと、ここで、アップリンク情報はユーザデバイスにおけるダウンリンク情報の到着時間に対応する応答情報を含み、無線フレームがネットワークデバイスからユーザデバイスまで無線で移動する移動時間に関連する遅延情報をネットワークデバイスによって決定することと、を含み、ここで、遅延情報を決定することは、ネットワークデバイスがダウンリンク情報を送信することに関連する第1の時間と、ネットワークデバイスがアップリンク情報を受信することに関連する第2の時間とを比較することを含む。
【0164】
3. 態様2のコンピュータ化された方法であって、ネットワークデバイスによってアップリンク情報を受信することは更に、ネットワークデバイスとユーザデバイスとの間でランダムアクセス手順を使用することを含み、遅延情報を決定することは更に、タイミングアドバンスを決定することを含む。
【0165】
4. 態様2のコンピュータ化された方法であって、無線フレームが複数のサブフレームを含み、複数のサブフレームの各々が複数のスロットを含み、ここで、複数のスロットの各々が複数のシンボルを含み、基準同期信号のパターンを送信することは更に、基準同期信号のパターンを複数のシンボルのサブセットとして送信することを含む。
【0166】
5. 態様4のコンピュータ化された方法であって、タイミング調整を決定することは更に、タイミング情報と遅延情報に基づいて同期時間を決定することと、同期時間に基づいて無線フレームの一部の目標到着時間を決定することと、目標到着時間とタイミング情報と遅延情報に基づいて、送信時に無線フレームの一部が目標到着時間にユーザデバイスに到着するようにタイミング調整を決定することと、を含む。
【0167】
6. 態様5のコンピュータ化された方法であって、無線フレームの一部は無線フレームの第1のサブフレームの第1のスロットであり、無線フレームがユーザデバイスに到着する目標到着時間が同期クロック間隔の開始時である。
【0168】
7. 態様5~6のいずれかのコンピュータ化された方法であって、TSN同期プロトコルは、IEEE 802.1AS規格に従ってTSNをサポートし、TSN同期プロトコルは更に、同期時間がユーザデバイスに到着したときに同期時間が基準時間の所定の閾値内に同期されるように、ネットワークデバイスによって同期時間を送信することを含む。
【0169】
8. 態様7のコンピュータ化された方法であって、所定の閾値は、基準時間の1ナノ秒以内、基準時間の1マイクロ秒以内、又はそれらの組み合わせである。
【0170】
9. 態様7のコンピュータ化された方法であって、所定の閾値は、時変条件を有する分散チャネルにおいて基準時間から250ナノ秒以内である。
【0171】
10. 態様2~9のいずれかのコンピュータ化された方法であって、基準同期信号のパターンを送信することは更に、15kHz~240kHzのサブキャリア帯域幅を使用して無線フレームを送信することを含む。
【0172】
11. 態様1~10のいずれかのコンピュータ化された方法であって、セルラーネットワークからタイミング情報を受信することは、セルラーネットワークの汎用精密時間プロトコル(g-PTP)に基づいて、基準時間、滞留時間、及び基準クロックからネットワークノードへのリンク遅延を受信することを含む。
【0173】
12. 態様1~11のいずれかのコンピュータ化された方法であって、ネットワークデバイスが基地局である。
【0174】
13. 態様12のコンピュータ化された方法であって、基地局はgNodeBであり、セルラーネットワークは5Gネットワークである。
【0175】
14. セルラーネットワークの無線チャネルを介してTSN同期プロトコルを提供するように構成された装置であって、この装置はメモリ及び一組の追加処理リソースと通信するプロセッサを含み、プロセッサはメモリに記憶された命令を実行するように構成されていて、それによりプロセッサは、ネットワークデバイスによってセルラーネットワークノードからタイミング情報を受信し、ここで、セルラーネットワークノードはネットワークデバイスと有線通信しており、タイミング情報は有線同期プロトコルに従ってネットワーククロックリファレンス及びネットワークデバイスへの送信時間に関連付けられ、タイミング情報に基づいて、ネットワークデバイスによってタイミング調整を決定し、タイミング調整に基づいてネットワークデバイスを介してセルラーネットワークノードとセルラー通信しているユーザデバイスにネットワークデバイスによって送信されるタイミング信号を調整し、ここで、タイミング信号はTSN同期プロトコルに従ってユーザデバイスのタイミングシステムを調整するために使用される。
【0176】
15. TSN同期プロトコルは無線同期プロトコルであり、ここで、命令は更に、TSN同期プロトコルに従って装置が、ネットワークデバイスによって無線フレームのダウンリンク情報を送信し、ここで、ダウンリンク情報を送信することは基準同期信号のパターンをタイミング信号としてユーザデバイスに送信することを含み、 ネットワークデバイスによって無線フレームのアップリンク情報を受信し、ここで、アップリンク情報はユーザデバイスにおけるダウンリンク情報の到着時間に対応する応答情報を含み、無線フレームがネットワークデバイスからユーザデバイスまで無線で移動する移動時間に関連する遅延情報をネットワークデバイスによって決定し、ここで、遅延情報を決定することは、ネットワークデバイスがダウンリンク情報を送信することに関連する第1の時間と、ネットワークデバイスがアップリンク情報を受信することに関連する第2の時間とを比較することを含む。
【0177】
16. 態様15の装置であって、命令は、無線フレームが複数のサブフレームを含み、複数のサブフレームの各々が複数のスロットを含み、ここで、複数のスロットの各々が複数のシンボルを含むように構成されており、命令は更に、装置が基準同期信号のパターンを送信し、更に基準同期信号のパターンを送信することは基準同期信号のパターンを複数のシンボルのサブセットとして送信することを含むように構成されている。
【0178】
17. 態様16の装置であって、装置にタイミング調整を決定させる命令は更に、装置が、タイミング情報と遅延情報に基づいて同期時間を決定し、同期時間に基づいて無線フレームの一部の目標到着時間を決定し、目標到着時間とタイミング情報と遅延情報に基づいて、送信時に無線フレームの一部が目標到着時間にユーザデバイスに到着するようにタイミング調整を決定するように構成されている。
【0179】
18. 態様15-17の装置であって、命令は更に、実行されるべきアクションタイプとアクションが実行されるべき時間を指定する通信プロトコルを介して、少なくとも1つのユーザデバイスのアクションと時間同期されたセルラーネットワークから送信されたアクションを実行するように構成されている。
【0180】
19. 実行時にセルラーネットワークの無線チャネルを介してTSN同期プロトコルを提供する方法を実行する複数のコンピュータ実行可能命令でエンコードされた少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、この方法は、セルラーネットワークノードからタイミング情報をネットワークデバイスによって受信することと、ここで、セルラーネットワークノードはネットワークデバイスと有線通信しており、タイミング情報は有線同期プロトコルに従ってネットワーククロックリファレンスとネットワークデバイスへの送信時間とに関連付けられ、タイミング情報を決定することと、を含むセルラーネットワークノードはネットワークデバイスと有線通信しており、タイミング情報は有線同期プロトコルに従ってネットワーククロックリファレンスとネットワークデバイスへの送信時間とに関連付けられ、ネットワークデバイスはタイミング情報に基づいてタイミング調整を決定し、タイミング調整に基づいてネットワークデバイスを介してセルラーネットワークノードとセルラー通信しているユーザデバイスにネットワークデバイスから送信されるタイミング信号を調整し、タイミング信号はTSN同期プロトコルに従ってユーザデバイスのタイミングシステムを調整するために使用される。
【0181】
20. 態様19の少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、同期プロトコルは無線同期プロトコルであり、無線同期プロトコルは、ネットワークデバイスによって無線フレームのダウンリンク情報を送信することと、ここで、ダウンリンク情報を送信することは基準同期信号のパターンをタイミング信号としてユーザデバイスに送信することを含み、 ネットワークデバイスによって無線フレームのアップリンク情報を受信することと、ここで、アップリンク情報はユーザデバイスにおけるダウンリンク情報の到着時間に対応する応答情報を含み、無線フレームがネットワークデバイスからユーザデバイスまで無線で移動する移動時間に関連する遅延情報をネットワークデバイスによって決定することと、ここで、遅延情報を決定することは、ネットワークデバイスがダウンリンク情報を送信することに関連する第1の時間と、ネットワークデバイスがアップリンク情報を受信することに関連する第2の時間とを比較することを含む。
【0182】
21. 態様20の少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、タイミング調整を決定することは更に、タイミング情報と遅延情報に基づいて同期時間を決定することと、同期時間に基づいて無線フレームの一部の目標到着時間を決定することと、目標到着時間とタイミング情報と遅延情報に基づいて、送信時に無線フレームの一部が目標到着時間にユーザデバイスに到着するようにタイミング調整を決定することと、を含む、
【0183】
22. セルラーネットワークの無線チャネルを介して同期プロトコルを受信するように構成された装置であって、この装置はメモリと一組の追加処理リソースと通信するプロセッサを含み、このプロセッサはメモリに記憶された命令を実行するように構成されていて、それによりプロセッサは、ユーザデバイスによってネットワークデバイスからタイミング情報を受信し、ここで、ユーザデバイスによって受信することは、無線フレームのダウンリンク情報を受信することを含み、ここで、ダウンリンク情報はユーザデバイスへのタイミング信号として構成された周波数同期信号と位相同期信号を含み、ユーザデバイスは5GNR無線リソース制御システム情報ブロック9から、タイミングアドバンスMAC制御要素と、周波数同期信号と位相同期信号を使用して調整及び規律するためのネットワークデバイスの時間基準とを抽出し、ユーザデバイスは、無線フレームに関連するスロット指示信号及び/又はシンボル境界信号から物理層信号を抽出して、TSN対応ユーザデバイス、ネットワークデバイス、ネットワークノード及びTSNコントローラを含む仮想クロックドメイン内の時間精度を満たすように、ユーザデバイスの内部クロックを調整及び規律する。
【0184】
23. 態様22の装置であって、命令は更に、態様17に記載された命令を使用して、同期プロトコルのサポート及び達成可能な時間精度についてネットワークデバイスに通知することを含む。
【0185】
24. 態様23の装置であって、タイミング情報を態様17に記載された命令に関連するメッセージを含むコンピュータ実行可能命令に変換する内部クロックを規律するために、スロット指示信号及び/又はシンボル境界信号の物理信号を使用するクロック規律サブシステムを含む。
【国際調査報告】