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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニクス半導体部品
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/46 20100101AFI20241128BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L33/46
H01L33/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527273
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 EP2022081097
(87)【国際公開番号】W WO2023083795
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】102021129107.0
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナスカー スラジ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューブナー トビアス
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA03
5F241CA04
5F241CA40
5F241CA74
5F241CA75
5F241CA87
5F241CA88
5F241CB15
(57)【要約】
少なくとも1つの実施形態において、オプトエレクトロニクス半導体部品(100)は、一次放射を生成するための活性層(10)を有する半導体積層体(1)と、半導体積層体への電荷キャリアの注入のための、半導体積層体の第1の側(11)における少なくとも1つの注入構造(2)と、半導体部品において生成される放射の反射のための、半導体積層体の第1の側で注入構造の隣における少なくとも1つのミラー構造(3)と、を備える。ミラー構造は、半導体部品において生成される放射に対して注入構造よりも高い反射率を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オプトエレクトロニクス半導体部品(100)であって、
-一次放射を生成するための活性層(10)を有する半導体積層体(1)と、
-前記半導体積層体(1)への電荷キャリアの注入のための、前記半導体積層体(1)の第1の側(11)における少なくとも1つの注入構造(2)と、
-前記半導体部品(100)において生成される放射の反射のための、前記半導体積層体(1)の前記第1の側(11)で前記注入構造(2)の隣における少なくとも1つのミラー構造(3)と、を備え、
-前記ミラー構造(3)が、前記半導体部品(100)において生成される放射に対して前記注入構造(2)よりも高い反射率を有する、オプトエレクトロニクス半導体部品(100)。
【請求項2】
-前記半導体積層体(1)が前記注入構造(2)の領域に凹部を有し、前記注入構造(2)が前記凹部内に突出し、
-前記半導体積層体(1)がAlInGaN系であり、
-前記半導体積層体(1)は、前記第1の側(11)においてp型導電性であり、
-前記一次放射が紫外領域にあり、かつ100nm以上280nm以下の強度極大を有する、請求項1に記載の半導体部品(100)。
【請求項3】
-前記半導体積層体(1)への電荷キャリアの注入のための注入層(4)が前記第1の側(11)において前記半導体積層体(1)に直接接触して配置されており、
-前記半導体部品(100)において生成される放射に対して、前記注入層(4)は大部分が透過性である、請求項1または2に記載の半導体部品(100)。
【請求項4】
-前記注入層(4)は、前記注入構造(2)の領域と前記ミラー構造(3)の領域の両方にわたって連続して延在する、請求項3に記載の半導体部品(100)。
【請求項5】
-前記注入層(4)が透明導電性酸化物を有する、請求項3または4に記載の半導体部品(100)。
【請求項6】
-前記ミラー構造(3)がブラッグミラー(30)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体部品(100)。
【請求項7】
-前記ミラー構造(3)が誘電体ミラーを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体部品(100)。
【請求項8】
-前記注入構造(2)が金属を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体部品(100)。
【請求項9】
-前記注入構造(2)が第1の金属(21)、および前記第1の金属(21)と前記半導体積層体(1)の前記第1の側(11)との間に第2の金属(22)を有し、
-前記第1の金属(21)が、前記半導体部品において生成される放射に対して前記第2の金属(22)よりも高い反射率を有し、
-前記第2の金属(22)は、透明導電性酸化物と接触した場合に前記第1の金属(21)よりも金属酸化物を形成しにくい、請求項1~8のいずれか一項に記載の半導体部品(100)。
【請求項10】
-前記第1の側(11)に多数の注入構造(2)および/またはミラー構造(3)を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体部品(100)。
【請求項11】
-前記半導体積層体(1)が前記注入構造(2)の領域に凹部を有し、前記注入構造(2)が前記凹部内に突出する、請求項1~10のいずれか一項に記載の半導体部品(100)。
【請求項12】
-前記凹部が前記活性層(10)を完全に貫通しない、請求項11に記載の半導体部品(100)。
【請求項13】
-前記半導体積層体(1)がAlInGaN系である、請求項1~12のいずれか一項に記載の半導体部品(100)。
【請求項14】
-前記一次放射が紫外領域にある、請求項1~13のいずれか一項に記載の半導体部品(100)。
【請求項15】
-前記半導体積層体(1)が、前記第1の側(11)においてp型導電性である、請求項1~14のいずれか一項に記載の半導体部品(100)。
【請求項16】
-前記半導体積層体(1)の前記第1の側(11)に対向する第2の側(14)が、前記半導体積層体(1)の主放射側を形成する、請求項1~15のいずれか一項に記載の半導体部品(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
オプトエレクトロニクス半導体部品を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
解決されるべき課題は、改善されたオプトエレクトロニクス半導体部品、例えば高効率の半導体部品を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
上記課題は、とりわけ独立請求項1の主題によって解決される。有利な実施形態および発展形態は従属請求項の主題であり、さらに、以下の記載および図面から明らかになる。
【0004】
少なくとも1つの実施形態によれば、オプトエレクトロニクス半導体部品は、活性層を有する半導体積層体を備えている。活性層を、電磁一次放射を生成するように設定することができる。一次放射は、一例として活性層における電子と正孔の再結合によって発生する。
【0005】
半導体積層体は、例えばIII-V族化合物半導体材料をベースとする。半導体材料は、例えばAlInGaNなどの窒化物化合物半導体材料、あるいはAlInGaPなどのリン化物化合物半導体材料、あるいはAlInGaAsまたはAlInGaAsPなどのヒ化物化合物半導体材料であり、それぞれ0≦n≦1,0≦m≦1およびm+n≦1である。その場合、半導体積層体は、ドーパントおよび追加の成分を有することができる。しかし簡略化のために、それらが少量の他の物質により部分的に置換および/または補完できる場合も、半導体積層体の結晶格子の必須成分、すなわちAl、As、Ga、In、NまたはPのみが示される。半導体積層体はAlInGaN系であることが好ましい。
【0006】
半導体積層体の活性層は、特に、少なくとも1つのpn接合および/または単一量子井戸、略してSQWの形態の、または多重量子井戸構造、略してMQWの形態の少なくとも1つの量子井戸構造を含む。好ましくは、半導体部品は、1つの、特に正確に1つの連続した(zusammenhaengend)、特にひと続きの(einfach zusammenhaengend)活性層を備える。代替的に、活性層を細分化することもできる。
【0007】
活性層は、例えば規定通りの動作時に青または緑または赤のスペクトル領域、あるいはUV領域、あるいはIR領域の電磁放射を生成することができる。
【0008】
半導体部品は半導体チップであることができる。ここおよび以下で、半導体チップとは、別個に取り扱い可能および電気的に接触可能な素子と理解される。半導体チップは、例えばウェハ集合体から個片化することによって作製される。半導体チップの側面は、ウェハ集合体の個片化プロセスからの痕跡(Spuren)を有することがある。半導体チップは、例えば、ウェハ集合体上に成長させた半導体積層体の最初は連続している正確に1つの領域を含む。半導体チップの半導体積層体は、好ましくは連続して形成されている。活性層の主延在面に対して平行に測定した半導体チップの横方向の広がり(Ausdehnung)は活性層の横方向の広がりよりも、一例として最大で1%または最大で5%または最大で10%大きい。半導体チップは、一例として半導体積層体全体が成長した成長基板をさらに含む。
【0009】
ここおよび以下で、例えばあらゆる任意の横方向延在または広がりが横方向の広がりと理解される。横方向は、活性層の主延在面に対して平行の方向である。
【0010】
半導体チップは、いわゆるボリュームエミッタ(Volumenemitter)、特にフリップチップであり得る。この場合も、半導体チップは、例えば成長基板をさらに備え、この成長基板は、一例としてサファイアから形成されている。代替的に、半導体チップは表面エミッタ、特にいわゆる薄膜チップであり得る。この場合、成長基板は一例として剥離される。
【0011】
少なくとも1つの実施形態によれば、半導体部品は少なくとも1つの注入構造を有する。注入構造は、一例として半導体積層体の第1の側に配置されている。注入構造は、半導体積層体に電荷キャリアを注入するために設ける、または設定することができる。半導体部品の規定通りの動作時に、一例として、正孔または電子などの電荷キャリアが注入構造を介して半導体積層体に注入される。特に、電荷キャリアは、活性層と第1の側との間に配置された半導体層に注入構造を介して注入される。
【0012】
注入構造は導電構造である。注入のために、第1の側における注入構造を半導体積層体に直接接触させることができる。半導体積層体の第1の側は、例えば半導体積層体の、活性層から遠ざかる方向の境界または末端の側である。第1の側は、半導体積層体のn型導電性またはp型導電性の層によって形成できる。
【0013】
少なくとも1つの実施形態によれば、半導体部品は少なくとも1つのミラー構造(Spiegelstruktur)を有する。ミラー構造は、一例として半導体積層体の第1の側に配置されている。ミラー構造を注入構造の隣に配置することができる。ミラー構造は、一例として半導体部品において生成される放射、例えば一次放射の反射のために設定されている、または設けられている。
【0014】
「隣に」という用語は、例えば横方向における注入構造の隣を意味する。ミラー構造は、横方向において注入構造に隣接することができる。ミラー構造は、第1の側において半導体積層体に直接接触することができる。
【0015】
少なくとも1つの実施形態によれば、ミラー構造は、半導体部品において生成される放射、一例として一次放射に対して注入構造よりも高い反射率を有する。これは特に、第1の側を介して半導体積層体からミラー構造もしくは注入構造に入射する半導体部品の放射に当てはまる。言い換えれば、注入構造および反射構造は、第1の側を介して半導体積層体から出る放射、特に一次放射が次に注入構造に入射する場合よりも、次にミラー構造に入射する場合の反射率のほうが高くなるように設定されている。
【0016】
ミラー構造の反射率は、一例として、注入構造の反射率の少なくとも1.05倍または少なくとも1.1倍または少なくとも1.5倍の大きさである。例えば、ミラー構造の反射率は、少なくとも90%または少なくとも95%または少なくとも99%である。
【0017】
反射率、透過率、吸収率、屈折率などの量(Groessen)は、ここおよび以下で、例えば、半導体部品において生成される放射、特に一次放射が強度極大(Intensitaetsmaximum)を有する波長に関連する。
【0018】
少なくとも1つの実施形態において、オプトエレクトロニクス半導体部品は、一次放射を生成するための活性層を有する半導体積層体と、半導体積層体への電荷キャリアの注入のための、半導体積層体の第1の側における少なくとも1つの注入構造と、半導体部品において生成される放射の反射のための、半導体積層体の第1の側で注入構造の隣における少なくとも1つのミラー構造とを備える。ミラー構造は、半導体部品において生成される放射に対して注入構造よりも高い反射率を有する。
【0019】
本発明は、とりわけ、良好な注入特性を有する構造の反射特性が、多くの場合、それほど良くないという認識にもとづいている。それにもかかわらず半導体部品において十分な反射を達成するために、本発明では、注入のために設定、特に最適化された注入構造の他に、生成される放射の反射のために特別に設定および配置されたミラー構造が使用され、これにより、これらの構造に対向する主放射側の方向における反射を全体として改善することができる。
【0020】
少なくとも1つの実施形態によれば、半導体積層体への電荷キャリアの注入のための注入層が第1の側において半導体積層体に直接接触して配置されている。注入層は、一例として、第1の側に隣接する半導体層と共にオーミックコンタクトを形成するように設定されている。
【0021】
注入層は、注入構造および/またはミラー構造の一部分であり得る。一例として、注入層の一部が注入構造の一部分であり、横方向においてその隣に配置された注入層の一部がミラー構造の一部分である。注入層は、例えば一体に形成されており、すなわち複数の部分層からなっていない。
【0022】
少なくとも1つの実施形態によれば、半導体部品により生成される放射、一例として一次放射に対して、注入層は大部分が透過性(groesstenteils durchlaessig)である。例えば、第1の側を介して半導体積層体から注入層に入り、注入層を通過する放射に対する透過率は、少なくとも50%または少なくとも60%または少なくとも75%または少なくとも85%である。注入層は、半導体積層体の第1の側の全面に配置できる。
【0023】
少なくとも1つの実施形態によれば、注入層は、注入構造の領域とミラー構造の領域の両方にわたって連続して延在する。これは注入構造とミラー構造との間で注入層が途切れないという意味である。一例として、注入層は、その横方向の広がり全体にわたって連続して、またはひと続きに形成されている。
【0024】
少なくとも1つの実施形態によれば、注入層は、透明導電性酸化物、略してTCOを有するか、または透明導電性酸化物からなる。透明導電性酸化物は、インジウムスズ酸化物、略してITO、またはフッ素ドープ酸化スズ、略してFTO、またはアルミニウムドープ酸化スズ、またはSrNbO、またはZnMgBeOであってもよい。
【0025】
注入層は、一例として、最大で10nmまたは最大で5nmならびに/あるいは少なくとも0.5nmまたは少なくとも1nmの厚さ、例えば中間厚さまたは最小厚さまたは最大厚さを有する。
【0026】
少なくとも1つの実施形態によれば、ミラー構造はブラッグミラー(Bragg―Spiegel)を有する。ミラー構造は、例えばより高い屈折率の層とより低い屈折率の層とが交互に配置された、屈折率が異なる多数の層を有することができる。一例として、ミラー構造は、少なくとも4層または少なくとも10層を有する。
【0027】
注入層は、例えばブラッグミラーと半導体積層体の第1の側との間に配置されている。例えば、注入層は、ブラッグミラーに直接接触している。注入層に隣接するブラッグミラーの層は、一例として注入層とは異なる屈折率を有する。例えば、注入層よりも低い屈折率を有するブラッグミラーの層が注入層に隣接する。代替的に、注入層に隣接するブラッグミラーの層は、注入層よりも高い屈折率を有することもできる。これは、ブラッグミラーと注入層との間の良好な接着に関して有利であり得る。
【0028】
より低い屈折率を有するブラッグミラーの層は、SiO、MgF、AlFを含むか、またはSiO、MgF、AlFからなることができる。より高い屈折率を有するブラッグミラーの層は、YDH、HfOを含むか、またはYDH、HfOからなることができる。
【0029】
少なくとも1つの実施形態によれば、ミラー構造は誘電体ミラー(dielektrischen Spiegel)を有する。誘電体ミラーはブラッグミラーであってもよい。誘電体ミラーは、1つまたは複数の誘電体層を含む。注入層は、誘電体ミラーの誘電体層に直接接触することができる。
【0030】
少なくとも1つの実施形態によれば、注入構造は金属を有する。注入層を半導体積層体の第1の側と注入構造の金属との間に配置することができる。一例として、注入層は、注入構造の金属に直接接触している。金属は、Al、Cr、Ag、Au、Ptまたは別の金属であってもよい。
【0031】
Alは、UV放射に対して約90%の高い反射率を有する。しかし、p型AlInGaNなどの半導体材料におけるAlの注入特性は良好でない。Alと半導体材料との間の、例えばITOからなる注入層は、ITOが、特にUV放射に対して比較的高い吸収率を有する一方で、AlとITOとの間の境界面において放射が部分的に表面プラズモンに変換されるため、注入特性を改善するが反射率を低下させる。本発明により、注入構造の隣に特別なミラー構造を使用することによって、反射率を再び高めることができる。
【0032】
少なくとも1つの実施形態によれば、注入構造は第1の金属と第2の金属を有する。第2の金属は、一例として第1の金属と半導体積層体の第1の側との間に配置されている。第2の金属を注入層と第1の金属との間の注入構造の領域に配置することができる。一例として、第2の金属は、注入層および/または第1の金属に直接接触している。
【0033】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の金属は、半導体部品において生成される放射、特に一次放射に対して第2の金属よりも高い反射率を有する。反射率は、例えば少なくとも5%または少なくとも10%または少なくとも50%高い。
【0034】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2の金属は、透明導電性酸化物、特に注入層の透明導電性酸化物と接触した場合に、第1の金属よりも金属酸化物を形成しにくい。特に、第2の金属は、注入層と第1の金属ほど強い化学反応を起こさない。第1の金属は、一例としてアルミニウムまたはインジウムまたはパラジウムである。例えば第1の金属がアルミニウムである場合、第2の金属は、クロムまたはインジウムまたはパラジウムであってもよい。
【0035】
金属酸化物は、さらなる放射吸収源となる可能性があるため、金属酸化物の発生を回避することが有利であり得る。
【0036】
少なくとも1つの実施形態によれば、半導体部品は、第1の側に多数の注入構造および/またはミラー構造を有する。以上および以下に開示される1つの注入構造のすべての特徴は、他のすべての注入構造にも開示されている。同様に、以上および以下に開示される1つのミラー構造のすべての特徴は他のすべてのミラー構造にも開示されている。
【0037】
一例として、半導体積層体の第1の側には、多数の注入構造によって貫通された、連続したミラー構造が形成されている。多数の注入構造は、例えば規則的パターン、一例として矩形パターンまたは多角形パターンでミラー構造を貫通する。一例として半導体積層体に対向するミラー構造の側において、注入構造を、例えば連続した金属層を介して互いに導電接続することができる。
【0038】
代替的に、注入構造が連続すること、および多数のミラー構造によって貫通されることもできる。
【0039】
少なくとも1つの実施形態によれば、半導体積層体は注入構造の領域に凹部を有し、注入構造がこの凹部内に突出する。凹部は、特に活性層の方向に延在する。横方向に測定した凹部の幅は、活性層の方向に減少し得る。断面図において、凹部は一例としてV字形に形成されている。注入構造は、一例として凹部全体に沿って、特に凹部の底領域においても半導体積層体と電気的に接触している。
【0040】
凹部と凹部内に入った注入構造とによって、電荷キャリアが注入される注入面積を拡大することができる。
【0041】
ミラー構造の領域には、例えば凹部が設けられない。ミラー構造の領域では、半導体積層体の厚さ、例えば中間厚さまたは最小厚さを、注入領域の(例えば中間または最小)厚さよりも、例えば少なくとも10%または少なくとも50%大きくすることができる。ミラー構造の領域では、第1の側と活性層との間の中間または最小距離が、例えば少なくとも300nmまたは少なくとも400nmならびに/あるいは最大で1000nmまたは最大で600nmである。注入構造の領域では、中間または最小距離を、最大で100nmまたは最大で50nmならびに/あるいは少なくとも20nmとすることができる。
【0042】
少なくとも1つの実施形態によれば、凹部は、活性層を完全に貫通(durchdringt)しない。活性層を、一例としてひと続きに形成することができる。
【0043】
少なくとも1つの実施形態によれば、半導体積層体はAlInGaN系である。半導体積層体または少なくとも第1の側のAl含有率は、例えば少なくとも40%または少なくとも45%である。これはAlInGaN、但しn≧0.4またはn≧0.45であることを意味する。In含有率は、例えば最大で1%または最大で0.1%である。
【0044】
少なくとも1つの実施形態によれば、一次放射および/またはミラー構造によって反射される放射は紫外領域における放射である。一例として、一次放射の強度極大は紫外領域、例えば100nm以上280nm以下の領域にある。
【0045】
少なくとも1つの実施形態によれば、半導体積層体は、第一の側においてp型導電性である。特に、半導体積層体の第1の側を形成する層はp型導電性である。例えば半導体積層体には、第1の側においてMgがドープされている。半導体部品の規定通りの動作中、例えば正孔が注入構造を介して半導体積層体に注入される。活性層と第1の側との間の半導体積層体の領域全体をp型導電性とすることができる。
【0046】
少なくとも1つの実施形態によれば、半導体積層体の第1の側に対向する第2の側は、半導体積層体の主放射側を形成する。一例として、第2の側は、半導体積層体において生成される放射の少なくとも75%または少なくとも90%が最終的に半導体積層体から取り出される側である。これは、この放射が、半導体積層体を再度通過することなく、次に半導体部品から出ることを意味する。これに対して、第1の側を介して半導体積層体から取り出される放射の、一例として少なくとも75%または少なくとも90%または少なくとも95%は反射されて再び半導体積層体に戻ることができる。
【0047】
取り出し確率(Auskoppelwahrscheinlichkeit)を高めるために第2の側を構造化することができる。一例として、第2の側に構造がエッチングされるか、または構造化された基板、例えばPSS(パターニングされたサファイア基板)の上に半導体積層体が成長させられる。特に、これはナノPSS、すなわち数十ナノメートルまでのナノメートル範囲の構造サイズを有する基板であってもよい。その場合、第2の側は基板に隣接する側であり、基板の構造に合わせた形である(nachformen)。
【0048】
本明細書に記載されるオプトエレクトロニクス半導体部品は、医療機器、清掃サービス、ファシリティマネジメント、水供給業、食料品配達業などによって使用することができる。例えば、半導体部品をUV照射による物品の殺菌のために使用することができる。半導体部品は殺菌機器に使用することができる。半導体部品を用いて、例えばより信頼性の高い殺菌、またはターゲット材の殺菌の時間短縮を達成することができる。
【0049】
以下では、本明細書に記載されるオプトエレクトロニクス半導体部品について、図面を参照しながら例示的実施形態にもとづいて詳しく説明する。その場合、同じ参照符号は、個々の図において同一、同様、または機能が同じである要素を示す。しかしその場合、縮尺通りに示されず、むしろ、個別の要素、特に層厚さは、より良い説明および/またはより良い理解のために誇張して示される場合がある。様々な図における要素は、その機能が一致している限り、以下の図ごとに説明が繰り返されることはない。明瞭性の理由から、すべての図において要素に対応する参照符号が付されるとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】オプトエレクトロニクス半導体部品の例示的実施形態の断面図である。
図2】オプトエレクトロニクス半導体部品の例示的実施形態の断面図である。
図3図2の半導体部品の別の断面図である。
図4】ITO層の透過率の測定値の図である。
図5】オプトエレクトロニクス半導体部品の別の例示的実施形態の断面図である。
図6】オプトエレクトロニクス半導体部品の別の例示的実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、オプトエレクトロニクス半導体部品100、特にオプトエレクトロニクス半導体チップの第1の例示的実施形態を横断面図で示す。半導体部品100は、p型導電性層12、n型導電性層13、およびp型導電性層12とn型導電性層13との間の活性層10を有する半導体積層体1を備える。半導体積層体1は、2つの対向する側11、14によって画定されている。第1の側11はp型導電性層12によって形成され、第2の側14はn型導電性層13によって形成される。一例として、半導体積層体1はAlInGaN系である。規定通りの動作において、活性層10は、一例として強度極大が100nm以上280nm以下の、一例として紫外領域における一次放射を放出する。
【0052】
第2の側14は主放射側であり、この主放射側を介して、半導体部品100の規定通りの動作において半導体積層体1から取り出される放射の大部分、一例として少なくとも75%が、次に反射して再び半導体積層体1に戻ることなく最終的に取り出される。特に、第2の側14を介して取り出される放射は、次に半導体部品100から取り出される。
【0053】
それに対して、第1の側11を介して半導体積層体1から取り出される放射は、大部分、一例として少なくとも75%または少なくとも90%が反射して再び半導体積層体1に戻る。そのために使用される構造については後から説明する。
【0054】
n型導電性層13は、半導体積層体100の第2の側14に対向する側から第2の層(zweiten Schicht)14まで半導体積層体1の全厚さにわたって延在するコンタクト構造6によって電気的に接触している。コンタクト構造6を、半導体積層体1を通る相互接続部(Durchkontaktierung)として形成することができ、相互接続部は、横方向において半導体積層体1によって完全に取り囲まれているか、または半導体積層体1の横隣に配置することができる。コンタクト構造6は、絶縁層5によって活性層10およびp型導電性層12から電気的に絶縁されている。
【0055】
p型導電性層12は、第1の側11に配置された注入構造2を用いて電気的に接触している。注入構造2は、p型導電性層12に導電接続されている。注入構造2の領域において、示される横断面図ではV字形に延びる凹部もしくは凹所が半導体積層体1に作製されている。注入構造2は、一例としてアルミニウムなどの第1の金属21を含む。
【0056】
一例としてITOなどのTCOからなる注入層4が半導体積層体1の第1の側11に設けられ、p型導電性層12に直接接触している。注入層4は、複数の注入構造2にわたって連続して延在し、注入構造2間の領域においても、一例として第1の側11全体にわたって延在する。注入層4は、一例として2nmの厚さを有する。
【0057】
第1の側11において、注入構造2の横もしくは横方向隣にミラー構造3が配置されている。ミラー構造3は、屈折率が異なる複数の誘電体層31、32を有するブラッグミラーの形態の誘電体ミラー30を含む。誘電体ミラー30は、注入層4に直接接触している。その場合、注入層4に接する誘電体ミラー30の層は、例えばMgF層などの、一例として低屈折率の層である。それに続くより高い屈折率の層は、例えばHfO層である。
【0058】
ミラー構造3も注入構造2も注入層4の一部分を含む。一例として、ミラー構造3の領域においてブラッグミラー30を使用することによって、半導体積層体1において生成される放射、特に一次放射に対して少なくとも90%の反射率が達成される。
【0059】
注入構造2の領域では反射率がより低く、その理由で、この領域は効率的に電荷キャリアを注入するように設定されている。しかし、注入層4が連続して形成されていることによって、ミラー構造3の領域においても電荷キャリアの一部分が注入される。
【0060】
図2は、半導体部品100の第2の例示的実施形態を横断面図で示す。第1の例示的実施形態とは異なり、ここでは注入構造2が第1の金属21の他に、第1の金属21と注入層4との間に配置された第2の金属22も含む。第2の金属は、一例として第1の金属21と注入層4の両方に直接接触している。特に、第2の金属22は、半導体積層体1の凹部の領域に配置されている。第2の金属22は、一例としてクロムまたはパラジウムまたはインジウムである。クロムまたはパラジウムまたはインジウムは、注入層4のITOに接触した場合にアルミニウムよりも酸化しにくく、その理由でアルミニウム、すなわち第1の金属21は、一次ビームに対してより高い反射率を有する。酸化は、特にITOからの酸素によって引き起こされる。
【0061】
図3は、図2の半導体部品100を図2の断面AA‘の上面図で示す。図2もまた、図3の断面BB’の上面図である。
【0062】
図3に認識できるように、ミラー構造3は、実際に、連続して形成され、複数の注入構造2によって貫通された単一のミラー構造3である。その場合、注入構造2は、規則的なパターン、ここでは矩形パターンで配置されている。
【0063】
図4は、一例として前述の例示的実施形態で使用されるITOからなる注入層の透過率(単位:パーセント)を示す。透過率は、入射する放射の波長の関数として示されている。様々な曲線は、注入層の様々な厚さの測定値を表す。曲線K1は、層厚さが200nmの層の結果を示す。見て取れるように、紫外放射に対する透過率は非常に低い。これに対して、わずか2nmの厚さのITO層は、紫外放射に対してはるかに高い透過率を有する(曲線K2を参照)。発明者らは、わずか2nmの厚さの薄いITO層でも十分な導電率(Leitfaehigkeit)を有し、それによりこの層を上記の例示的実施形態における電荷キャリアの注入のために使用できることを確認した。そのように薄いITO層の比較的高い透過率は、第1の側を介して半導体積層体1から出る放射を効率的に反射することを可能にする。
【0064】
図5の例示的実施形態は、取り出し確率を高めるために、第2の側14が、例えばエッチングプロセスによって構造化されているという点で図2の例示的実施形態と区別される。エッチングプロセスのために、エッチング液としてKOHを使用することができる。エッチングプロセスは、例えば成長基板を剥離した後に実行される。
【0065】
図6の例示的実施形態において、半導体積層体1は構造化された基板7に配置されている。基板7は、例えばいわゆるPSSまたはナノPSSなどの、半導体積層体1の成長基板であり得る。第2の側14は、基板7の構造に合わせた形であり、それによっても取り出し確率を高めることができる。
【0066】
本特許出願は、独国特許出願第102021129107.0号の優先権を主張し、その開示内容は参照によって本出願に組み込まれている。
【0067】
本発明は、例示的実施形態にもとづく記載によって限定されない。むしろ、本発明は、任意の新規な特徴および特徴の任意の組み合わせを含み、これらの特徴またはこれらの組み合わせは請求項または例示的実施形態に明示的に記載されていないとしても、特に、請求項における特徴の任意の組み合わせを含む。
【符号の説明】
【0068】
1 半導体積層体
2 注入構造
3 ミラー構造
4 注入層
5 絶縁層
6 コンタクト層
7 基板
10 活性層
11 第1の側
12 p型導電性層
13 n型導電性層
14 第2の側
21 第1の金属
22 第2の金属
30 ブラッグミラー/誘電体ミラー
31 ミラー層
32 ミラー層
100 オプトエレクトロニクス部品
K1 曲線
K2 曲線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-07-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オプトエレクトロニクス半導体部品(100)であって、
-一次放射を生成するための活性層(10)を有する半導体積層体(1)と、
-前記半導体積層体(1)への電荷キャリアの注入のための、前記半導体積層体(1)の第1の側(11)における少なくとも1つの注入構造(2)と、
-前記半導体部品(100)において生成される放射の反射のための、前記半導体積層体(1)の前記第1の側(11)で前記注入構造(2)の隣における少なくとも1つのミラー構造(3)と、を備え、
-前記ミラー構造(3)が、前記半導体部品(100)において生成される放射に対して前記注入構造(2)よりも高い反射率を有
-前記半導体積層体(1)への電荷キャリアの注入のための注入層(4)が前記第1の側(11)において前記半導体積層体(1)に直接接触して配置されており、
-前記半導体部品(100)において生成される放射に対して、前記注入層(4)は大部分が透過性であり、
-前記注入層(4)が透明導電性酸化物を有し、
-前記注入構造(2)が第1の金属(21)、および前記第1の金属(21)と前記半導体積層体(1)の前記第1の側(11)との間に第2の金属(22)を有し、
-前記第1の金属(21)が、前記半導体部品において生成される放射に対して前記第2の金属(22)よりも高い反射率を有し、
-前記第2の金属(22)は、透明導電性酸化物と接触した場合に前記第1の金属(21)よりも金属酸化物を形成しにくい、オプトエレクトロニクス半導体部品(100)。
【請求項2】
-前記半導体積層体(1)が前記注入構造(2)の領域に凹部を有し、前記注入構造(2)が前記凹部内に突出し、
-前記半導体積層体(1)がAlInGaN系であり、
-前記半導体積層体(1)は、前記第1の側(11)においてp型導電性であり、
-前記一次放射が紫外領域にあり、かつ100nm以上280nm以下の強度極大を有する、請求項1に記載の半導体部品(100)。
【請求項3】
-前記注入層(4)は、前記注入構造(2)の領域と前記ミラー構造(3)の領域の両方にわたって連続して延在する、請求項1または2に記載の半導体部品(100)。
【請求項4】
-前記ミラー構造(3)がブラッグミラー(30)を有する、請求項1または2に記載の半導体部品(100)。
【請求項5】
-前記ミラー構造(3)が誘電体ミラーを有する、請求項1または2に記載の半導体部品(100)。
【請求項6】
-前記注入構造(2)が金属を有する、請求項1または2に記載の半導体部品(100)。
【請求項7】
-前記第1の側(11)に多数の注入構造(2)および/またはミラー構造(3)を有する、請求項1または2に記載の半導体部品(100)。
【請求項8】
-前記半導体積層体(1)が前記注入構造(2)の領域に凹部を有し、前記注入構造(2)が前記凹部内に突出する、請求項1または2に記載の半導体部品(100)。
【請求項9】
-前記凹部が前記活性層(10)を完全に貫通しない、請求項に記載の半導体部品(100)。
【請求項10】
-前記半導体積層体(1)がAlInGaN系である、請求項1または2に記載の半導体部品(100)。
【請求項11】
-前記一次放射が紫外領域にある、請求項1または2に記載の半導体部品(100)。
【請求項12】
-前記半導体積層体(1)が、前記第1の側(11)においてp型導電性である、請求項1または2に記載の半導体部品(100)。
【請求項13】
-前記半導体積層体(1)の前記第1の側(11)に対向する第2の側(14)が、前記半導体積層体(1)の主放射側を形成する、請求項1または2に記載の半導体部品(100)。
【国際調査報告】