(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】産業用マニピュレータのための電動グリッパ
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
B25J15/08 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024527285
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 IB2022060400
(87)【国際公開番号】W WO2023084350
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】102021000028421
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515189966
【氏名又は名称】ジマティック エセ.エッレ.エレ.
【氏名又は名称原語表記】GIMATIC S.r.l.
【住所又は居所原語表記】Via Enzo Ferrari 2/4 25030 Roncadelle (BS) Italia
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】イノセンツィ,ナザレノ
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS14
3C707BT01
3C707DS01
3C707ES03
3C707ET01
3C707ET08
3C707EU04
3C707EU07
3C707EU08
3C707EU12
3C707EU14
3C707EW14
3C707HS27
3C707KS24
3C707KV01
(57)【要約】
産業用マニピュレータ、特に透明または半透明の容器を検査する光学検査装置のためのグリッパが記載される。グリッパは、長手方向軸線を有する本体と、本体に拘束され、長手方向軸線の周りに回転可能な上側部分と、上側部分に回転を与えるアクチュエータと、上側部分に取り付けられ、対象物を持ち上げたり解放したりするために、互いに接近したり離間したりするように動くことが可能なジョーとを備える。上側部分の回転およびジョーの作動は、グリッパ自体に収容された同じ電動モータ、即ち単一のモータによって制御され、グリッパの外部の手段、例えば、グリッパが取り付けられた機器の駆動ベルトによって制御されるものではない。具体的には、電動モータが、長手方向軸線と同軸状に設けられて上側部分に接続された駆動シャフトに回転を与えることにより、グリッパの長手方向軸線の周りにジョーを回転させることができる。電動モータと駆動シャフトとによって形成される組立体は、互いに接近/離間させる動きをジョーに与えて、グリッパを開閉させるために、長手方向軸線に沿って並進可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用マニピュレータ、特に透明または半透明の容器を検査する光学検査装置のためのグリッパ(1)であって、
長手方向軸線(X-X)を有し、外部装置に取り付け可能な本体(2)と、
前記本体(2)に拘束され、前記本体(2)に対して、前記長手方向軸線(X-X)の周りに回転可能な上側部分(4)と、
前記上側部分(4)に取り付けられ、対象物、特に容器を持ち上げたり解放したりするために、互いに接近したり離間したりするように、前記上側部分(4)に対して動くことが可能なジョー(6,7)と、
前記本体(2)に拘束された単一の電動モータ(15)、ならびに前記長手方向軸線(X-X)と同軸状に設けられて前記電動モータ(15)を前記上側部分(4)および前記ジョー(6,7)に接続する駆動シャフト(14)を備えるアクチュエータ(12)とを備え、
前記駆動シャフト(14)は、前記電動モータ(15)によって前記長手方向軸線(X-X)の周りに回転され、その結果、前記上側部分(4)を回転させ、
前記電動モータ(15)と前記駆動シャフト(14)とによって形成される組立体は、前記ジョー(6,7)を互いに接近させたり離間させたりする動きを与えるために、前記グリッパ(1)の外部の手段によって与えられる力に応じて、前記本体(2)に対し、前記長手方向軸線(X-X)に沿って変位可能である、
グリッパ(1)。
【請求項2】
前記上側部分(4)とは反対側で前記本体(2)に拘束された下側部分(5)を備え、前記電動モータ(15)は、前記下側部分(5)に収容され、前記駆動シャフト(14)は、前記本体(2)を貫通し、前記本体(2)の対応する座部(2''')に摺動可能に収容される、請求項1に記載のグリッパ(1)。
【請求項3】
前記電動モータ(15)の径方向寸法は、前記本体(2)の径方向寸法以下である、請求項1~2のいずれか1項に記載のグリッパ(1)。
【請求項4】
前記電動モータ(15)は、前記駆動シャフト(14)に結合された前記電動モータのシャフト(15')を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のグリッパ(1)。
【請求項5】
前記本体(2)は、少なくとも部分的に中空であり、前記電動モータ(15)は、伸縮可能な結合によって前記本体(2)に拘束され、引っ込んだ駆動シャフト(14)、および第1の位置にあるジョー(6,7)に対応した前記本体(2)内への最大挿入位置と、抜き出された駆動シャフト(14)、および第2の位置にあるジョー(6,7)に対応した前記本体(2)内への最小挿入位置との間で移動可能である、請求項1~4のいずれか1項に記載のグリッパ(1)。
【請求項6】
前記駆動シャフト(14)は、スライダとしても設定される楔状部分(14')を上端に備え、前記ジョー(6,7)は、前記長手方向軸線(X-X)に対して半径方向に動くことが可能であり、各々が傾斜面(6',7')を備え、前記傾斜面(6',7')が、前記楔状部分(14')に当接したままで、前記駆動シャフト(14)の軸線方向変位に応答して前記楔状部分(14')を摺動するように意図されることによって、前記駆動シャフト(14)の軸線方向変位が、前記ジョー(6,7)の半径方向変位を引き起こす、請求項1~5のいずれか1項に記載のグリッパ(1)。
【請求項7】
前記本体(2)に対する前記電動モータ(15)の変位に対抗する弾性要素(10)を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載のグリッパ(1)。
【請求項8】
前記弾性要素(10)は、螺旋ばねであり、前記螺旋ばねが、前記駆動シャフト(14)に嵌合され、前記駆動シャフト(14)を案内する前記本体(2)のブッシュ(2''')の内側に収容され、前記駆動シャフト(14)、前記螺旋ばね(10)、および前記ブッシュ(2''')は、同軸状となっている、請求項7に記載のグリッパ(1)。
【請求項9】
前記弾性要素(10)は、予荷重が加えられ、前記ジョー(6,7)が持ち上げる部品に接するように閉じる動作に対応する方向に、前記電動モータ(15)に力を常に加える、請求項7および8のいずれか1項に記載のグリッパ(1)。
【請求項10】
前記本体(2)に対する前記電動モータ(15)の移動量(H)は、5mm~15mm、好ましくは8mmである、請求項1~9のいずれか1項に記載のグリッパ(1)。
【請求項11】
前記駆動シャフト(14)は、中空であって、前記グリッパ(1)を貫通しており、前記電動モータ(15)の基部(18)から使用可能な第1の下部開口(16)と、前記ジョー(5~7)の間の前記上側部分(4)で使用可能な上部開口(17)とを備える、請求項1~10のいずれか1項に記載のグリッパ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用マニピュレータ、特に製薬産業における容器検査装置のための電動式グリッパに関する。
【背景技術】
【0002】
産業オートメーションの分野では、物体を把持し、移動し、解放するためにマニピュレータと組み合わせたグリッパの使用が知られている。
【0003】
産業用マニピュレータのためのグリッパは、一般に、本体と、当該本体に取り付けられた2つ以上のジョーまたはグリッパフィンガとを備える。ジョーは、操作対象の物品に全く力を加えない開位置、即ち解放位置と、操作対象の物品に十分な力を加えて、つかんでいるときに部品が誤って解放されないようにする閉位置、即ち把持位置との間で、互いに離間したり接近したりするように動かすことができる。
【0004】
ジョーの動きは、グリッパの本体内に収容された電動モータなどの電動アクチュエータや、例えば、グリッパの本体内に収容されて圧縮空気が供給されるシリンダピストンシステムなどの空気圧式アクチュエータのいずれかを利用することによって達成される。
【0005】
製薬産業において容器の品質管理を行う検査装置に使用されるグリッパは、特別なケースである。これらの検査装置は、製造ラインに沿って配置された透明または半透明のバイアル、ボトル、容器を検査する光学検査装置であり、容器およびそれぞれの蓋の整合性の観点、ならびに内容物の量および純度の観点から、製造された容器の100%の品質管理を行う。これらの検査装置では、複数のグリッパが互いに隣接した状態で、一列に、またはカルーセル構成に従って円形状に配置される。各グリッパは、容器を持ち上げ、容器自体の1つ以上の画像を撮影するカメラの前に容器を搬送し、画像が、何らかの異常を検出するためにコンピュータによって処理される。画像を撮影するために、ストロボ光がしばしば使用される。
【0006】
多くの場合、このタイプの検査装置では、グリッパがカルーセル構造上に配置されており、グリッパの従来の開閉動作に加え、グリッパは、検査対象の液体の容器内に一時的に渦を生成するために、グリッパ自体の長手方向軸線を中心とする回転が必要とされ、この長手方向軸線は、ピースが把持される軸線にも相当する。検査装置によって撮影された容器および渦の画像により、内容物中の不純物や、液体の量の過不足などといった異常を検出することが可能となる。
【0007】
グリッパは互いに隣接しており、利用可能な空間は最小限であるので、上述した検査装置では、アクチュエータを備えていないグリッパが好ましく、これはまさに、アクチュエータが、各グリッパの寸法、そして最終的には検査装置全体の寸法に悪影響を及ぼすからである。
【0008】
一般的に、検査装置に取り付けられたグリッパは、グリッパの本体の専用の座に摺動可能に取り付けられたステムを備えており、このステムは、検査装置の別の部材によって制御されるカムが加える力に応じ、遠位位置と近位位置との間で長手方向軸線に沿って移動可能となっている。具体的には、全てのグリッパに対して1つのカムが設けられる。本体に対するステムの位置により、グリッパのジョーの位置が一義的に定められ、即ち、グリッパのジョーの開閉が機械的に制御される。言い換えれば、容器の把持および解放は、各グリッパの摺動ステムに作用するカムによって制御され、適切なばね、またはそれ以外の付勢手段によって、ステムがジョーを閉じる初期位置に戻される。
【0009】
長手方向軸線の周りのグリッパの回転は、グリッパを回転継手で検査装置のカルーセル構造に取り付け、カルーセル構造に電動モータを配置し、駆動ベルトを用い、1つまたは複数のグリッパを同じ電動モータに接続することによって達成される。電動モータのプーリの回転は、ベルトによってそれぞれのグリッパの本体に伝達され、グリッパが、その長手方向軸線の周りに回転する。回転速度は、通常400~800rpmであるが、3000rpmに達する場合もある。
【0010】
最終的に、容器の検査装置に使用されるグリッパは、ジョーを作動させるためにグリッパの本体に挿入された独自のアクチュエータを有していない点で、通常のグリッパとは異なり、検査装置、特にカルーセル構造に配置され、グリッパの一部ではないカムおよび電動モータ(ベルトによって接続される)に動作が依存する。
【0011】
検査装置の一例は、https://youtu.be/xC2ed0Tu2NUのリンクにおいてアクセス可能な映像で見ることができる。
【0012】
本出願人の名義で2019年8月27日に出願されたIT202019000002871には、産業用マニピュレータ、特に透明または半透明の容器を検査する光学検査装置のためのグリッパが記載されており、このグリッパは、
- 長手方向軸線を有し、外部構造体に取り付け可能な本体と、
- 前記本体に拘束され、前記本体に対して、前記長手方向軸線の周りに回転可能な上側部分と、
- 前記長手方向軸線の周りに前記上側部分に回転を与える手段と、
- 前記上側部分に取り付けられ、容器などの対象物を持ち上げたり解放したりするために、互いに接近したり離間したりするように、前記上側部分に対して動くことが可能なジョーと、
- 前記ジョーの開閉動作を制御する手段とを備える。
【0013】
上側部分の回転は、グリッパの外部のベルトや、その他の手段によって与えられるのではなく、グリッパ自体に収容されたアクチュエータ、具体的には電動モータによって与えられる。より詳細には、グリッパが、グリッパの長手方向軸線上に配置された中空の駆動シャフトを備える。中空の駆動シャフトは、上側部材に接続されており、長手方向軸線に関して、電動モータが駆動シャフトに与える回転が、ジョーに伝達される。従って、グリッパの長手方向軸線は、ジョーの回転軸線でもある。ジョーの制御ロッドは、伸縮可能、即ち摺動可能に、駆動シャフトの内部に収容されており、ジョーを開かせる機能を精密に有する。
【0014】
駆動シャフトに対する制御ロッドの変位は、グリッパが取り付けられているバイアル検査装置のカムなど、グリッパの外部のアクチュエータによって与えられる。カムによって制御ロッドに加えられる力がなくなると、弾性部材により、ジョーが自動的に戻って閉じる。
【0015】
2009年5月15日にファーマメック(Pharmamech)名義で出願されたIT102009901732640(IT PR20 090 040)には、品質管理専用の機械において、試験管またはバイアルを操作するために構成されたグリッパの2つの実施形態が記載され、特許請求されている。関連する図面を参照すると、両実施形態は、グリッパの軸線と同軸状に配置された電動モータおよびアクチュエータを備えており、これら電動モータおよびアクチュエータが、同軸状に配置された外側シャフト8および制御ロッド10を制御する。外側シャフト8は中空であり、その中に制御ロッド10が挿入されて入れ子式に摺動するようになっている。第1の実施形態において、外側シャフト8は、グリッパが閉じているときに、アクチュエータによって回転される駆動シャフトであり、試験管またはバイアルを回転させ、光学系を用いた検査を可能にする。グリッパが静止しているときに、制御ロッド10が駆動され、即ち、ジョーを開き、試験管/バイアルを解放するために、駆動シャフト8に対して制御ロッド10が並進される。第2の実施形態において、アクチュエータは、「回転アクチュエータデバイス」14として示され、グリッパを開閉するための駆動シャフト8に対する並進動作と、試験管/バイアルを回転させるための回転運動との両方を受け得る制御ロッド10にのみ作用し、駆動シャフト8はアイドル状態のままとなる。
【0016】
CN1111353には、開閉が軸線方向ステムによって制御される一方、軸線方向ステムがオフセットアクチュエータによって制御され、ベルトおよびプーリシステムによって回転が付与されるグリッパが記載されている。
【0017】
US6544799には、ジョーを開閉するための長手方向ステムを有するグリッパシステムが記載されているが、このグリッパシステムは、グリッパを回転させるものではない。
【0018】
US20080085507には、3つのジョーを有した回転グリッパが記載されており、ジョーの開閉は、グリッパの回転を制御するのと同じ軸線方向モータによって制御されるが、ジョーの運動は、平歯車を用い、グリッパの軸線に並行な軸線の周りにジョーを回転させることによって達成される。
【0019】
US20090179445には、2つのモータを備えたグリッパが記載されており、第1の回転モータは、図中に20で示される中空の駆動軸に回転を与えることによってジョーを回転させ、第2のリニアモータは、図中に22で示され、駆動軸20に収容されてており、ジョーを開閉する伸縮プッシュロッドとして作用する。
【0020】
DE10120939Aには、2つの平行なジョーと電動アクチュエータとを有するグリッパが記載されている。ジョーを収容するグリッパの上側部分は、グリッパ本体に対して回転せず、グリッパの本体に固定される。グリッパの本体内に固定して収容された電動アクチュエータは、ジョーの開閉運動を与えるために、グリッパの長手方向軸線に沿った並進動作を受けることが可能な駆動シャフトを備える。
【0021】
その他の公知の解決策は、WO2015/070839、およびUS4607873に開示されている。
【0022】
本出願人は、これら記載された検査装置を改良し、より簡単な構造にすることができると確信する。
【発明の概要】
【0023】
本発明の目的は、産業用マニピュレータのためのグリッパを提供することにあり、このグリッパは、電動式、即ち、上側部分の回転を与えるための独自の電動モータを備え、公知の解決策よりも単純な構造を有する。
【0024】
従って、本発明は、請求項1に記載のグリッパに関するものである。
【0025】
即ち、本発明は、産業用マニピュレータ、特に、透明または半透明の容器を検査する光学検査装置のためのグリッパに関するものであって、当該グリッパは、
長手方向軸線を有し、外部装置、特に光学検査装置に取り付け可能な本体と、
前記本体に拘束され、前記本体に対して、前記長手方向軸の周りに回転可能な上側部分と、
前記上側部分に取り付けられ、対象物、特に検査対象の容器を持ち上げたり解放したりするために、互いに接近したり離間したりするように、前記上側部分に対して動くことが可能なジョーと、
前記本体に拘束された単一の電動モータ、ならびに前記長手方向軸線と同軸状に設けられて前記電動モータを前記上側部分および前記ジョーに接続する駆動シャフトを備えるアクチュエータとを備える。電動モータと、グリッパの本体とは別個の構成要素であり、これは、機器へのグリッパの固定が、モータにおいてではなく、本体において行われることを意味する。
【0026】
駆動シャフトは、ジョーに回転を与えること、およびジョーを互いに接近/離間させて開閉させることという二重の機能を有する。
【0027】
長手方向軸線の周りのジョーの回転に関して、駆動シャフトは、電動モータによって長手方向軸線の周りに回転され、その結果、上側部分を回転させてジョーの回転を生じさせる。
【0028】
ジョーの互いに接近または離間する動きに関して、電動モータおよび駆動シャフトによって形成される組立体は、グリッパの外部の手段によって与えられる力、具体的には、検査装置、例えばカムによって与えられる力に応じて、本体に対し、長手方向軸線に沿って変位可能である。
【0029】
このような構成により、カルーセル構造には、複数のグリッパに接続するための電動モータおよび駆動ベルトを配置する必要がなくなるので、グリッパ駆動ベルトを用いずに、より簡易な検査装置を、よりコンパクトに構築することが可能である。
【0030】
更に、マニピュレータまたは(容器の)検査装置に、本発明による複数のグリッパを組み付けることにより、各グリッパを選択的に作動させることが可能であり、即ち、1つのグリッパを、その他のグリッパとは独立して回転させることが可能であって、このようなことは、グリッパの外部にある電動モータが、2つ、または3つ以上のグリッパ間で共有されて使用される場合には不可能である。
【0031】
提案する解決策により、グリッパおよびジョーの上側部分を回転させるために従来使用されていたような、ベルト駆動システムに対応する必要がなくなるので、マニピュレータまたは(容器の)検査装置のグリッパの交換が容易になる。
【0032】
更に、ベルトは、時間の経過と共に摩耗していき、それによってマニピュレータまたは検査装置に付着する粒子が放出されるため、駆動ベルトがないことで、より良好なレベルの清浄度を維持することができる。
【0033】
本明細書で提案するグリッパは、極めて単純な構造を有しており、低コストでの組み立ておよび保守を容易に行うことができる。ジョーを回転させる機能は、公知の技術による他の解決策においても提供されるように、電動モータに割り当てられるが、互いに接近/離間するジョーの動作には、第2のアクチュエータ、即ち専用のモータを必要としない。この動きは、実際には、回転を制御する同じ電動モータによって引き起こされる。電動モータは、ジョーの変位を制御する駆動シャフトに対し対応する移動を与えるために、グリッパの本体に対して軸線方向に移動可能である。電動モータの軸線方向の動きは、グリッパが取り付けられる検査装置、例えば専用のカムプッシャ要素などによって与えられる。これにより、グリッパの寸法を最小限に抑えることが可能となり、従って、検査装置のカルーセルに取り付けることができるグリッパの数を最大限にすることができる。
【0034】
いくつかの公知の解決策とは異なり、本明細書で提案するグリッパは、一方がジョーに回転を与え、他方がジョーの開動を制御するような同軸状の2つのシャフトの代わりに、単一の駆動シャフトを有する。本発明によるグリッパでは、単一の駆動シャフトが両方の機能を果たす。
【0035】
グリッパは、上側部分とは反対側で本体に拘束された下側部分を備え、電動モータは、下側部分に収容されるのが好ましい。駆動シャフトは、本体を貫通し、本体の対応する座部に摺動可能に収容される。このような構成により、ジョーとは反対側で、カムプッシャ要素が電動モータの基部に作用するように、グリッパを検査装置に配置することが可能となる。
【0036】
電動モータの径方向寸法は、本体の径方向寸法以下であるのが好ましく、特に、グリッパは、グリッパの全構成要素の中で最大径を有するものからなる本体を有して形成されるのが好ましい。
【0037】
好ましい実施形態において、グリッパの本体は、少なくとも部分的に中空であり、電動モータは、伸縮可能な、またはピストン状の結合によって本体に拘束され、引っ込んだ駆動シャフト、および第1の位置、例えば離間した/開いた位置にあるジョーに対応した本体内への最大挿入位置と、抜き出された駆動シャフト、および第2の位置、例えば接近した/閉じた位置にあるジョーに対応し、一部抜き出し位置とも定義可能な本体内への最小挿入位置との間で並進可能となっている。このような構成では、基本的に、電動モータとグリッパの本体とがシリンダピストン結合を構成する。
【0038】
駆動シャフトは、スライダとも呼称される楔状部分を上端に備えるのが好ましい。ジョーは、長手方向軸線に対して半径方向に動くことが可能であり、各々が傾斜面を備えており、この傾斜面は、駆動シャフトの楔状部分に当接したままで、駆動シャフトの軸線方向変位に応答して楔状部分を摺動するように意図されている。このようにして、即ち、傾斜面結合により、駆動シャフトの軸線方向変位が、ジョーの半径方向変位を引き起こす。
【0039】
上述したジョーの構成は、唯一可能なものではない。実際のところ、グリッパは、産業オートメーション用のグリッパの分野で公知の構成に従い、接近位置と離間位置との間で移動可能なジョー、または2つの位置の間で回転するジョーのいずれかを採用することによって形成することもできる。
【0040】
例えば、ジョーは、電動モータによって動かされる対応した推力要素によって加えられる推力により、開位置と閉位置との間で回動するカムであってもよい。言い換えれば、ジョーの動きは、角度変化があってもよいし、必ずしも直線的でなくてもよい。
【0041】
代替として、グリッパは、ジョーを直線的に移動させるためのラックアンドピニオン機構、または電動モータによって作動される、4バーリンク機構の形態などのレバー機構を用いて形成することができる。
【0042】
グリッパは、本体に対する電動モータの変位に対抗する弾性要素を備え、ジョーが、製造業者による選択位置(離間、接近)の1つに自動的に戻るようにするのが好ましい。通常、予荷重が加えられた弾性要素は、持ち上げる部品に接するように閉じるべくジョーを押す力を常に加えるのが好ましい。例えば、グリッパは、本体から抜き出された位置(または、その逆の位置)が、ジョーを互いに接近させ、部品に接するように閉じさせる位置に相当する場合、この位置に電動モータを常に押し付けるばねを有して形成することができる。
【0043】
寸法を最小限にし、構造を単純にするために、弾性要素を螺旋ばねとして、この螺旋ばねを、駆動シャフトに嵌合し、駆動シャフトのガイドとしても機能する本体ブッシュの内側に収容するのが好ましい。従って、この構成において、駆動シャフト、螺旋ばね、およびガイドのブッシュは同軸状となる。
【0044】
好ましい実施形態において、駆動シャフトは、中空となっていて、付属品に電力を供給するために、光ファイバまたは電線を内部に挿入可能となっている。駆動シャフトは、グリッパを貫通し、その両端が開口しており、電動モータの基部から使用可能な下側の第1の開口部と、ジョーの間の上側部分で使用可能な上側の開口部とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明の更なる特徴および利点は、添付の図面を用い、例示のみを目的として、限定することなく示す、その好ましいが排他的ではない実施形態についての以下の詳細な説明を精査することで、より明白になるはずである。
【0046】
【
図1】
図1は、本発明に係るグリッパの分解立面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すグリッパの長手方向軸線を含む平面で見た垂直断面図である。
【
図4】
図4は、ジョーが互いに接近した、即ち閉じている状態の、
図1に示すグリッパの垂直断面図である。
【
図5】
図5は、ジョーが離間した、即ち開いている状態の、
図1に示すグリッパの垂直断面図である。
【
図6】
図6は、容器の検査装置のカルーセル構造に取り付けられた、本発明に係る2つのグリッパの斜視周方向断面図である。
【
図7】
図7は、容器の検査装置のカルーセル構造に取り付けられた、本発明に係る2つのグリッパの斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の代替の実施形態に係るグリッパの一部を示す立面部分断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の更なる実施形態に係るグリッパの一部を示す立面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1~
図5は、本発明に係る産業用マニピュレータのためのグリッパの第1の実施形態1を示している。
【0048】
グリッパ1は、製薬産業で通常使用される透明または半透明の容器の検査装置におけるカルーセル構造の一部であるプレートなどの外部構造に取り付け可能な本体2を備える。図示する実施形態では、本体2が、2つの構成部材、即ち、ブッシュ2'と、外部構造に取り付け可能な部材2''とを備える。
【0049】
グリッパ1は、実質的に円筒形の2つの部材4',4''によって形成される上側部分4と、本体2に対してこれとは反対側に配置された下側部分5とを備える。
【0050】
一般的に、グリッパは、3つなど、複数のジョーを備えていてもよく、図示する実施形態1では、上側部分4に、参照番号6,7で識別される2つのジョーがあり、部材4'の適合する座部(
図1で見ることができる)の中で動くことが可能となっている。具体的には、ジョー6およびジョー7が、検査対象の容器を把持したり解放したりするために、互いに離間したり接近したりするように動くことが可能となっている。
【0051】
当業者であれば理解するように、グリッパ1の一部分を表す上側および下側という用語は、添付の図におけるグリッパ1の向きに基づいているが、グリッパ1の使用中、実際には上側部分4が下向きであってもよく、即ち、グリッパ1は、添付の図に示す状況とは逆さまに使用してもよい。
【0052】
より詳細には、ジョー6およびジョー7が、部品把持位置に対応した、グリッパ1の長手方向軸線X-Xに対して近位の位置と、部品解放位置に対応した、長手方向軸線X-Xに対して遠位の位置との間で半径方向に動くことが可能となっている。
【0053】
より詳細に説明するように、上側部分4は、本体2に対し、長手方向軸線X-Xの周りに回転可能である。そのため、上側部分4は、ベアリング8で支持されている。
【0054】
グリッパ1は、更に、単一の電動モータ15を備えており、図示する実施形態では、この電動モータ15が、下側部分5に拘束されている。電動モータ15は、長手方向軸線X-X上に配置されたそれ自体のシャフト15'を備える。グリッパは、電動モータ15のシャフト15'に接続された駆動シャフト14を備え、グリッパ1全体を貫通する単一の駆動シャフト14が構成されている。
【0055】
駆動シャフト14は、構成部材14',14'',14'''(
図1)を結合することによって形成され、第1の構成部材14'は楔状となっている。
【0056】
ジョー6およびジョー7の作動は、グリッパ本体2の座部2'内に収容されている駆動シャフト14によってなされ、接近した位置、即ち閉位置にあるジョー6,7に対応した遠位位置または抜き出し位置と、離間した位置、即ち開位置にあるジョー6,7に対応した近位位置または引っ込み位置との間で、長手方向軸線X-X上を摺動するようになっている。
【0057】
より詳細には、駆動シャフト14が、弾性手段10、例えば図に示すばね10によって付勢されており、このばね10が、駆動シャフト14に嵌合されて、駆動シャフト14が摺動可能に収容される座部を画定するブッシュ2'内に挿入されることにより、駆動シャフト14は、グリッパ1の本体2に対して入れ子式に伸縮可能となっている。電動モータ15および駆動シャフト14を、本体2に対してジョー6およびジョー7に向けて移動させる力がなくなると、駆動シャフト14は、弾性部材10によって、その初期位置に自動的に戻される。
【0058】
駆動シャフト14の上端は楔状となっており、これは、参照符号14'によって示されて、ジョー6,7の間に挿入される部材であり、傾斜面によるスライダの機能を有した楔構造を有することを意味する。この部材14'は、ジョー6とジョー7との間に挿入されて、それらを広げ、即ち、例えば、既に持ち上げている部品を解放するために、それらジョー6,7を開き、離間させた開位置にすることを意図するものである。この目的のために、ジョー6およびジョー7には、駆動シャフト14の部材14'に当接し、当該部材14'上を移動するように意図された対応する傾斜面6'および傾斜面7'(
図1)が設けられている(傾斜面結合)。
【0059】
互いに接近したり離間したりする動き、即ち開閉動作に関するジョー6,7の作動は、駆動シャフト14をジョー6,7自体に向けて並進させることによって生じ、駆動シャフト14の楔状端部14'が、ジョー6,7の間に挿入されて、それらを広げ、例えば、それらジョー6,7を部品解放位置とする。
【0060】
駆動シャフト14への推力は、電動モータ15によって加えられ、この電動モータ15は、後述するように、グリッパ1の本体2に対して軸線方向に移動可能となっている。そして、電動モータ15は、外部手段により、長手方向軸線X-Xに沿って軸線方向に変位するように力を受ける。例えば、容器の検査装置において、外部手段は、検査装置のカムプッシャであり、
図5に上向きの矢印および分岐する矢印で示すように、必要なときに電動モータ15に推力を加える。電動モータ15は、部分的にグリッパ本体2の内側に押し込まれ、従って、好ましくは5~15mmの範囲内、例えば8mmの移動量H(
図4および
図5)が生じる。図示する実施形態において、電動モータ15の軸線方向移動量Hは、駆動シャフト14の軸線方向移動に対応しており、これは、これら2つの構成部材が、長手方向軸線X-X上で一緒に移動するからである。
【0061】
図5は、ジョー6,7が開いた状態にあるグリッパ1を垂直断面で示しており、モータ15は、本体2内への最大挿入位置にあって、これは、移動量Hが最大であることを意味し、駆動シャフト14は、広げられたジョー6,7の間に挿入されている楔状部材14'に対応する完全に引っ込んだ位置にある。
【0062】
図4は、ジョー6,7が閉じた状態にあるグリッパ1を垂直断面で示しており、モータ15は、本体2内への最小挿入位置にあって、これは、移動量Hがゼロであることを意味し、駆動シャフト14は、ジョー6,7の間に挿入されていない楔形部分14'に対応する完全に伸長した位置にあり、このときジョー6,7は、近位位置、即ち閉じた状態で共に接近したままとなる。より詳細には、外部のプッシャ部材によって付与される力がなくなると、弾性部材10は、駆動シャフト14をその初期位置に戻し、即ち楔状端部14'が引っ込み、ジョー6,7は、近位位置、図示の例では部品把持位置に戻る。
【0063】
また、グリッパは、ジョー6,7を閉じるための弾性部材(図示されない)を備えていてもよい。ばね、または環状ガスケットなどの弾性部材は、2つのジョー6,7に係合して、ジョー6,7を互いに近づけようとする力、つまり、ジョー6,7を閉じようとする力を、ジョー6,7に常に加える。
【0064】
ジョー6,7は、部品を把持したり解放したりするための上述の半径方向運動だけでなく、長手方向軸線X-Xの周りの回転運動も可能となっている。このような動きは、駆動シャフト14によって直接与えられ、駆動シャフト14は、電動モータ15によって回転され、その結果、グリッパ本体2に対して上側部分14を回転させる。実際には、駆動シャフト14の楔状部分14'は、その形状のため、上側部分4の構成部材4'内で回転可能とはなっていない。
【0065】
図示のグリッパ1において、上側部分4は、ボールベアリング8によって本体2に支持されている。
【0066】
従って、電動モータ15の作動により、グリッパ1の上側部分4は、長手方向軸線X-Xの周りに時計回りまたは反時計回りに回転する。容器の検査装置において、このような状態は、ジョー6,7が部品把持位置にあるとき、即ちジョーが共に接近しているときに生じる。
【0067】
電動モータ15には、エンコーダを設けることが可能であり、この場合、エンコーダにより、シャフト15'の回転速度の監視が可能となることで、この回転速度をフィードバック制御することができるようになり、更に、エンコーダにより、グリッパ1の上側部分4がとる角度位置をいつでも検出可能となることで、必要に応じ、持ち上げたり解放したりしようとする部品、または検査装置のその他の部分に対し、ジョー6,7を位置合わせすることが可能となる。
【0068】
ここで、電動モータ15とグリッパ本体2との間の結合について、更に詳細に考察すると、この結合は、シリンダピストン形式で規定することができる。図を参照すると、実際に、本体2は中空であって、より正確には(倒立した)ソケット形状を有することが分かる。電動モータ15は、当該モータの上部に、本体2に面したスカートを画定する円筒部15'''を有している(これらの2つの構成部材は、互いに螺合する)。スカート部材15'''は、その側面を貫通するスロット19を有し、スロット19は、本体2、特にソケット形状部材2'''と一体となるピン20と係合し、電動モータ15のリミットストップの境界を画定する。
【0069】
図4および
図5に示すように、電動モータ15のスカート部材15'''は、本体2のソケット形状部材2'''内に摺動可能に挿入され、それによってピストン状結合またはシリンダピストン結合を形成する。駆動シャフト14は、ブッシュ2'内に同軸状に挿入されており、ばね10が駆動シャフト14に嵌合されている。ピン20は、電動モータ15の軸線方向変位の2方向におけるリミットストップを画定する。
【0070】
図示するように、一般的には、特にモータ15の径方向寸法が、グリッパ1の残りの部分の径方向寸法を超えない場合に、グリッパ1の内部に電動モータ15を設けるのが有利である。実際、図示の例では、下側部分5が、グリッパ本体2と同じ外径を有しているため、一般に、電動モータ15が収容される下側部分5の直径は、グリッパ本体2の直径以下であるのが好ましい。
【0071】
駆動シャフト14は、中空であり、電動モータ15の基部18にある下部開口16と、ジョー6とジョー7との間の上側部分4にある上部開口17との間に延在するのが好ましい。特定の用途で必要とされる場合、光ファイバ、またはグリッパ1の付属品に電力を供給するため、もしくは、場合によっては、圧縮空気供給や空気吸引のための電線を、駆動シャフトを通して挿入することができる。
【0072】
公知の技術によるいくつかの解決策において設けられるような、駆動シャフト14内の第2の同軸状シャフトが存在しないことに着目するのは有用であり、これにより、構造が大幅に単純化し、上述したような付属品のための空間を残しておくことができる。
【0073】
特に
図6および
図7を参照すると、容器の検査装置(図示せず)の同じ構造体21に2つのグリッパ1を組み付けるための可能な方法が示されている。構造体21は、より大きなカルーセル構造の一部分である。グリッパ1は並んでおり、ジョー6,7が直角に配向されて示され、即ち、構造体21に対し、右側のグリッパ1は、接線方向に配向されたジョー6,7を有し、左側のグリッパ1は、半径方向に配向されたジョー6,7を有する。
【0074】
上述したように、グリッパ1は、本体2の部材2''において構造体21にロックされており、従って、構造体21に対して静止したままである。グリッパ1の上側部分4、および、それと共にジョー6,7は、各グリッパ1の電動モータ15の作動によって、即ち、検査装置に接続される駆動ベルトを使用することなく、長手方向軸線X-Xの周りに回転可能である。
【0075】
上述の構成では、各グリッパ1の電動モータ15を選択的に、かつ互いに独立して作動させることができることは明らかである。従って、グリッパ1のジョー6,7は、隣接するグリッパ1のジョー6,7とは独立して回転することができるが、これは、外部モータが対応する駆動ベルトを介して複数のグリッパを作動させ、共通のモータの作動によって当該モータに接続されている全てのグリッパの同時回転が得られるような既存の解決策には当てはまらない。
【0076】
上述したように、グリッパ1内の電動モータ15の配置は、特に、図示するように、電動モータ15の径方向寸法が、グリッパ1の残りの部分の径方向寸法を超えない場合に有利である。実際、図示する例では、下側部分5がグリッパの本体2と同じ外径を有する。
【0077】
特に、電動モータ15が、グリッパ1の径方向寸法内に収まっているので、長手方向軸線X-Xに対する電動モータ15の最小慣性モーメントが達成され、これにより、電動モータ15の加速および減速の変化を、従来の解決策で可能なものよりも短くすることができる。
【0078】
各グリッパ1の動作サイクルは、以下のように説明することができる。
【0079】
- 構造体21に拘束された図示しないカムプッシャ要素を介し、電動モータ15に上向きの力を加えることにより、電動モータ15の並進運動が駆動シャフト14に伝達される。
- 楔状部分(スライダ)14'と、それぞれの傾斜面とによって加えられる推力に応じて、ジョー6,7が広げられる。
- 電動モータ15に加えられる推力がなくなると、ばね10が、電動モータ15を本体2から抜き出された初期位置に戻し、ジョー6,7が、初期位置の閉位置とされる。
- 上側部分4の回転、およびそれに伴うジョー6,7の回転は、駆動シャフト14を用い、電動モータ15によって与えられ、これにより、楔状部分14'を介して上側部分4が回転駆動される一方、本体2およびブッシュ2'は静止したままとなる。
- 電動モータ15と本体2との間の相対回転を防止するために、本体2の部材2'''に拘束されて、電動モータ15の部材15'''のスロット19内に挿入されたピン20(回転防止)が使用される。
【0080】
図8は、本発明によるグリッパの別の実施形態の部分4の立面部分垂直断面図であり、ジョー6およびジョー7は、全体が参照番号23で示されるラックアンドピニオン機構によって動かされる。
【0081】
駆動シャフト14は、長手方向軸線X-Xとは同一平面にない回転軸線26の周りに回転する歯車25と噛み合う歯付き部分24を有する。そして、歯車25は、ジョー7の下面に形成されたラック27と噛み合う。ジョー6にも同じ機構がある。
【0082】
図9は、本考案の更なる実施形態に係るグリッパの上側部分4の、長手方向軸線X-Xを含む平面で見た立面垂直断面図であり、ジョー6およびジョー7は、長手方向軸線X-Xとは同一平面にない回転軸線上で駆動シャフト14およびジョー6,7のそれぞれに枢支されるレバー28によって、駆動シャフト14に接続されている。図示するように、レバー28は互いに交差している。
【0083】
ジョー6、7の直線運動に代えて、グリッパ1は、長手方向軸線X-Xに直交する平面において、開位置と閉位置との間で回動可能なジョーを有して形成することができる。
【国際調査報告】