(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】抗インターロイキン-33抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/24 20060101AFI20241128BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20241128BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241128BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20241128BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20241128BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20241128BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20241128BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241128BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20241128BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241128BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20241128BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241128BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20241128BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20241128BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20241128BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241128BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241128BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241128BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C07K16/24 ZNA
C12P21/08
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P27/02
A61P29/00
A61P37/02
A61P43/00 105
A61P7/00
A61P31/00
A61P25/04
A61P25/00
A61P35/00
A61K45/00
G01N33/53 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527289
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 US2022079523
(87)【国際公開番号】W WO2023086807
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ロウ, ジョン ホク ニン
(72)【発明者】
【氏名】ロイェット, ケリー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マイ, エレイン
(72)【発明者】
【氏名】マイア, マウリシオ シルヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ナカムラ, ジェラルド アール.
(72)【発明者】
【氏名】ベヴァーズ, ジャック, ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ヒュ ナム
(72)【発明者】
【氏名】コンプス-アグラー, レティシア ディー.
(72)【発明者】
【氏名】コルプス, ラケル
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA20
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
4B064DA13
4B065AA91X
4B065AA91Y
4B065AB01
4B065AB05
4B065AC14
4B065BA02
4B065BD14
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA17
4C084NA20
4C084ZA02
4C084ZA08
4C084ZA33
4C084ZA51
4C084ZB07
4C084ZB11
4C084ZB21
4C084ZB26
4C084ZB32
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、インターロイキン-33(IL-33)抗体、並びに例えば、生物学的試料中のIL-33の検出のための、同抗体の作製方法及び使用方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL-33に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片であって、抗体が、重鎖可変(VH)ドメイン及び軽鎖可変(VL)ドメインを含む結合ドメインを含み、結合ドメインが、以下の6つの相補性決定領域(CDR):
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;
(c)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
(d)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(e)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び
(f)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
(a)配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)のVHドメインと(b)のVLドメインを含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
VHドメインが、配列番号7のアミノ酸配列を含み、VLドメインが、配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載の抗体。
【請求項4】
配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖(HC);(b)配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖(LC);又は(c)(a)のHCと(b)のLCを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項5】
HCが、配列番号9のアミノ酸配列を含み、LCが、配列番号10のアミノ酸配列を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項6】
IL-33に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片であって、抗体が、以下の6つのCDR:
(a)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(b)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H2;
(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
(d)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(e)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び
(f)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む結合ドメインを含む、抗体又はその抗原結合断片。
【請求項7】
(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVHドメイン;(b)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVLドメイン、又は(c)(a)のVHドメインと(b)のVLドメインを含む、請求項6に記載の抗体。
【請求項8】
VHドメインが、配列番号25のアミノ酸配列を含み、VLドメインが、配列番号26のアミノ酸配列を含む、請求項6又は7に記載の抗体。
【請求項9】
配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するHC;(b)配列番号28のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するLC;又は(c)(a)のHCと(b)のLCを含む、請求項6から8のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項10】
HCが、配列番号27のアミノ酸配列を含み、LCが、配列番号28のアミノ酸配列を含む、請求項6から9のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項11】
酸化型又は還元型IL-33に結合する、及び/又は可溶型インターロイキン1受容体様1(sST2)タンパク質とsST2に結合していないIL-33に結合したIL-33とに2倍以内のK
Dで結合する、請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項12】
モノクローナル抗体、キメラ抗体、及び/又はラット抗体である、請求項1から11のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項13】
IgG抗体、任意選択的にIgG1抗体又はIgG2a抗体である、請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項14】
IL-33に特異的に結合する抗体断片である、請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の抗体をコードする単離された核酸、又は前記抗体を一緒にコードする単離された核酸の組。
【請求項16】
請求項15に記載の単離された核酸又は単離された核酸の組を含むベクター又はベクターの組。
【請求項17】
請求項16に記載のベクター又はベクターの組を含む宿主細胞。
【請求項18】
請求項17に記載の宿主細胞を培地中で培養することを含む、IL-33に特異的に結合する抗体を生成する方法。
【請求項19】
請求項1から14のいずれか一項に記載の抗体を含むイムノコンジュゲートであって、抗体が標識に結合していてもよい、イムノコンジュゲート。
【請求項20】
生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルを検出する方法であって:
(i)生物学的試料を、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗体と接触させ、結合した抗体の存在を検出すること;又は
(ii)生物学的試料を、請求項19に記載のイムノコンジュゲートと接触させ、結合したイムノコンジュゲートの存在を検出すること
を含む方法。
【請求項21】
検出することが、IHC、IF、フローサイトメトリー、ELISA、免疫ブロット法、又はiPCRによる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
検出することが、iPCRにより、方法が、生物学的試料を、イムノコンジュゲートと、イムノコンジュゲート中の抗IL-33抗体が特異的に結合するエピトープとは異なるIL-33上のエピトープに特異的に結合する第2の抗IL-33抗体の存在下で接触させることと、結合したイムノコンジュゲートの存在を検出することとを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
生物学的試料が、血液試料、眼の試料、鼻の試料、又は細胞培養物の試料である、請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
生物学的試料が、IL-33媒介性障害を有するか又はIL-33媒介性障害のリスクを有する対象に由来する、請求項20から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
IL-33媒介性障害が、眼の障害、炎症状態、免疫疾患、線維性障害、好酸球性障害、感染症、疼痛、中枢神経系障害、又は固形腫瘍である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
IL-33の存在又はレベルが、総IL-33、還元型IL-33、又はsST2に結合したIL-33の存在又はレベルである、請求項20から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルに基づいて、対象のためのIL-33軸結合アンタゴニストを含む治療を選択することをさらに含む、請求項20から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
治療的有効量のIL-33軸結合アンタゴニストを対象に投与することをさらに含む、請求項20から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療の候補者である、IL-33媒介性障害を有する対象を同定するためのアッセイであって、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗体又は請求項19に記載のイムノコンジュゲートを使用して対象から得られた生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルを決定することを含むアッセイ。
【請求項30】
(a)請求項1から14のいずれか一項に記載の抗体又は請求項19に記載のイムノコンジュゲート;及び
(b)生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルを検出するための抗体の使用についての説明を含む添付文書
を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月10日に出願された米国仮出願第63/277,953号、及び2022年10月4日に出願された米国仮出願第63/413,206号の優先権の利益を主張し、これらの各々の内容はその全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
配列表
本出願は、XML形式で電子的に提出され、その全体が参照により本明細書に援用される配列表を含む。2022年11月1日に作成された前記XMLコピーの名称は、50474-267WO3_Sequence_Listing_11_1_22.xmlであり、サイズは38,330バイトである。
【0003】
発明の分野
本発明は、抗インターロイキン-33(IL-33)抗体、並びにその作製方法及び使用方法に関し、生物学的試料中のIL-33の検出を含む。
【背景技術】
【0004】
インターロイキン-33(IL-33)は、IL33遺伝子によってコードされるインターロイキン-1(IL-1)サイトカインファミリーのメンバーであり、平滑筋、上皮(例えば、網膜色素上皮(RPE)細胞)、内皮細胞(例えば、脈絡膜内皮細胞)、ミュラー細胞、及び星状細胞といった構造細胞に発現される。IL-33は、マクロファージ及び樹状細胞において炎症因子によって誘導されうる。過去数十年の間に、ヒトIL-33(hIL-33)は、多数の炎症性疾患の寄与因子への重要な寄与因子として浮上した。環境要因、例えばアレルゲン、毒素、及び病原体によって引きこされる細胞ストレスが、IL-33放出につながりうる。例えば、IL-33は、光毒性ストレス時にミュラー細胞から放出され、前臨床モデルにおいてCCL2及び単球依存性網膜変質を誘導する。生体利用dなIL-33は、アダプタータンパク質骨髄分化一次応答88(MyD88)及び場合によりMyD88アダプター様(Mal)タンパク質を通してAP-1及びNF-κB経路を活性化するために腫瘍形成能抑制2(ST2)タンパク質及びインターロイキン-1受容体アクセサリータンパク質(IL-1RAcP)から構成されるヘテロ二量体IL-33受容体複合体と結合する。IL-33は、先天性II型(ILC2)細胞、マスト細胞、好塩基球、好酸球、及び樹状細胞を含む多数の細胞型を刺激して、2型免疫を促進する。
【0005】
マルチプラットフォーム技術に及ぶ複数の市販のhIL-33アッセイが存在しているものの、種々のマトリクスにおいて精密なhIL-33の濃度測定を提供し、活性(還元型)hIL-33と非活性(酸化型)hIL-33とを区別する能力は依然として不確かである。このことは、比較的小さな試料容積、低hIL-33濃度のマトリクス、及びインターロイキン1受容体様1(sST2)のレベルが上昇したマトリクス、hIL-33結合について膜結合ST2と競合する不活性型のST2について特に当てはまる。生体マトリクスにおける活性ヒトIL-33(hIL-33)の精密な測定は、少なくとも以下の理由のために依然として困難である:1)非病的状態から中程度の病的状態において、hIL-33は、検出不能レベルから低レベルで存在することが多い(<pg/mL)、2)hIL-33は、異なる構造形態(還元型対酸化型)で存在する、及び3)のhIL-33は、ヒトsST2(hsST2)に未結合であることも結合していることもあり、これはその検出を妨げる。
【0006】
hsST2に未結合であるか結合しているかに関わらずすべての形態のIL-33を検出するための精密で高感度のアッセイが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、特に、抗IL-33抗体並びにその作製方法及び使用方法に関する。本開示は、未結合及び結合両方の、すべての形態のIL-33に対して高い感度(例えば、結合親和性)を有する抗体、並びに前記抗体を含みかつ使用する方法、アッセイ、キットを提供する。
【0008】
一態様において、本発明は、IL-33に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片を特徴とし、この抗体は、重鎖可変(VH)ドメイン及び軽鎖可変(VL)ドメインを含む結合ドメインを含み、結合ドメインは、以下の6つの相補性決定領域(CDR)を含む:(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3。
【0009】
いくつかの態様では、VHドメインは、以下のフレームワーク領域(FR)を含む:(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むFR-H1;(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むFR-H2;(c)配列番号13のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び(d)配列番号14のアミノ酸配列を含むFR-H4。
【0010】
いくつかの態様では、VLドメインは、以下のFRを含む:(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むFR-L1;(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むFR-L2;(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び(d)配列番号18のアミノ酸配列を含むFR-L4。
【0011】
いくつかの態様では、本明細書に開示される抗体は、(a)配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、99%、又は100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、99%、又は100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)のVHドメインと(b)のVLドメインを含む。
【0012】
いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。
【0013】
いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。
【0014】
一態様では、本発明は、IL-33又はその抗原結合断片に特異的に結合する単離された抗体を提供し、この抗体は、(a)配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む結合ドメインを含む。
【0015】
いくつかの態様では、本明細書に開示される抗体は、配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、99%、又は100%)の配列同一性を有する重鎖(HC);(b)配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、99%、又は100%)の配列同一性を有する軽鎖(LC);又は(c)(a)のHCと(b)のLCを含む。
【0016】
いくつかの態様では、HCは、配列番号9のアミノ酸配列を含む。
【0017】
いくつかの態様では、LCは、配列番号10のアミノ酸配列を含む。
【0018】
一態様では、本発明は、IL-33に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片を提供し、この抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含むHCドメイン、及び(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCを含む。
【0019】
一態様では、本発明は、IL-33又はその抗原結合断片に特異的に結合する単離された抗体を提供し、本抗体は、以下の6つのHVRを含む結合ドメインを含む:(a)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L3。
【0020】
いくつかの形態では、VHドメインは以下のFRを含む:(a)配列番号29のアミノ酸配列を含むFR-H1;(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むFR-H2;(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び(d)配列番号32のアミノ酸配列を含むFR-H4。
【0021】
いくつかの態様では、VLドメインは、以下のFRを含む:(a)配列番号33のアミノ酸配列を含むFR-L1;(b)配列番号34のアミノ酸配列を含むFR-L2;(c)配列番号35のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び(d)配列番号36のアミノ酸配列を含むFR-L4。
【0022】
いくつかの態様では、本明細書に開示される抗体は、(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、99%、又は100%)の配列同一性を有するVHドメイン;(b)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、99%、又は100%)の配列同一性を有するVLドメイン;又は(c)(a)のVHドメインと(b)のVLドメインを含む。
【0023】
いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号25のアミノ酸配列を含む。
【0024】
いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号26のアミノ酸配列を含む。
【0025】
一態様では、本発明は、IL-33又はその抗原結合断片に特異的に結合する単離された抗体を提供し、この抗体は、(a)配列番号25のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号26のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む結合ドメインを含む。
【0026】
いくつかの態様では、抗体は、(a)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、99%、又は100%)の配列同一性を有するHC;(b)配列番号28のアミノ酸配列に対して少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、99%、又は100%)の配列同一性を有するLC;又は(c)(a)のVHと(b)のLC。
【0027】
いくつかの態様では、HCは、配列番号27のアミノ酸配列を含む。
【0028】
いくつかの態様では、LCは、配列番号28のアミノ酸配列を含む。
【0029】
一態様では、本発明は、IL-33に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片を提供し、この抗体は、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCドメイン、及び(b)配列番号28のアミノ酸配列を含むLCを含む。
【0030】
いくつかの態様では、抗体は、酸化型又は還元型IL-33に結合する。
【0031】
いくつかの態様では、抗体は、酸化型IL-33及び還元型IL-33に、2倍の(例えば、1.5倍以内又は1倍以内)KDで結合する。いくつかの態様では、抗体は、酸化型IL-33及び還元型IL-33に、実質的に同じKDで結合する。
【0032】
いくつかの態様では、抗体は、還元型IL-33に結合する。いくつかの態様では、抗体は、還元型IL-33に、KD≦1nMで結合する。いくつかの態様では、抗体は、還元型IL-33に、0.01nMと1nMとの間(例えば、0.01と0.9nMとの間、0.01と0.8nMとの間、0.01と0.7nMとの間、0.01と0.6nMとの間、0.01と0.5nMとの間、0.05と0.9nMとの間、0.1と0.9nMとの間、0.2と0.9nMとの間、0.3と0.9nMとの間、0.2と0.6nMとの間、0.3と0.5nMとの間、0.3と0.4nM、又は0.4と0.5nMとの間;例えば、約0.05nM、約0.1nM、約0.2nM、約0.3nM、約0.325nM、約0.34nM、約0.35nM、約0.4nM、約0.45nM、約0.475nM、約0.49nM、約0.5nM、約0.6nM、約0.7nM、約0.8nM、約0.9nM、又は約1nM)のKDで結合する。いくつかの態様では、抗体は、還元型IL-33に、KD≦0.5nMで結合する。いくつかの態様では、抗体は、還元型IL-33に、0.1nMと0.5nMとの間(例えば、0.2と0.5nMとの間、0.3nMと0.5nMとの間、0.3nMと0.4nMとの間、又は0.4nMと0.5nMとの間)のKDで結合する。いくつかの態様では、抗体は、還元型IL-33に、約15pMのKDで結合する。いくつかの態様では、抗体は、還元型IL-33に、約0.338nMのKDで結合する。
【0033】
いくつかの態様では、抗体は、ヒトIL-33に結合する。
【0034】
いくつかの態様では、抗体は、可溶型インターロイキン1受容体様1(sST2)タンパク質に結合したIL-33及びsST2に結合していないIL-33に、2倍以内(例えば、1.5倍以内又は1倍以内)のKDで結合する。いくつかの態様では、抗体は、sST2タンパク質に結合したIL-33に、sST2に結合していないIL-33と実質的に同じKDで結合する。いくつかの態様では、sST2は、ヒトsST2(hsST2)である。
【0035】
いくつかの形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。
【0036】
いくつかの態様では、抗体は、キメラ抗体である。
【0037】
いくつかの態様では、抗体は、ラット抗体である。
【0038】
いくつかの態様では、抗体は、IgG抗体である。
【0039】
いくつかの態様では、抗体は、IgG1抗体であえる。いくつかの態様では、抗体は、ヒトIgG1抗体である。
【0040】
いくつかの態様では、抗体は、IgG2a抗体である。いくつかの態様では、抗体は、ラットIgG2a抗体である。
【0041】
いくつかの態様では、抗体は、IL-33に特異的に結合する抗体断片である。
【0042】
いくつかの態様では、抗体断片は、Fab、単鎖可変断片(scFv)、Fv、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、及びダイアボディからなる群から選択される。
【0043】
一態様では、本発明は、本明細書に開示される抗体のいずれか1つをコードする単離された核酸、又は本明細書に開示される抗体のいずれか1つを一緒にコードする一組の単離された核酸である。
【0044】
一態様では、本発明は、本明細書に開示される単離された核酸又は単離された核酸の組を含むベクター又は一組のベクターである。
【0045】
一態様では、本発明は、本明細書に記載されるベクターのいずれか1つ又はベクターの組のいずれか1つを含む宿主細胞を提供する。いくつかの態様では、宿主細胞は、哺乳動物細胞である。いくつかの態様では、細胞は、ラット細胞である。いくつかの態様では、哺乳動物細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。いくつかの態様では、宿主細胞は、原核細胞である。いくつかの態様では、原核細胞は、大腸菌である。
【0046】
別の態様では、本発明は、IL-33に特異的に結合する抗体を生成する方法を提供し、この方法は、本明細書に開示される宿主細胞のいずれか1つを培地中で培養することを含む。いくつかの態様では、方法は、宿主細胞又は培地から抗体を回収することをさらに含む。
【0047】
一態様では、本発明は、本明細書に記載される抗体のいずれか1つを含むイムノコンジュゲートを提供する。
【0048】
一態様では、本発明は、生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルの検出における使用のための、本明細書に記載される抗体又はイムノコンジュゲートのいずれか1つを提供する。一態様では、本発明は、生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルの検出における使用のための、本明細書に記載される抗体のいずれか1つを提供する。一態様では、本発明は、生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルの検出における使用のための、本明細書に記載されるイムノコンジュゲートのいずれか1つを提供する。
【0049】
いくつかの態様では、検出は、免疫組織化学(IHC)、免疫蛍光(IF)、フローサイトメトリー、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、免疫ブロット法、又は免疫ポリメラーゼ連鎖反応(iPCR)による。いくつかの態様では、検出は、ELISAによる。いくつかの態様では、検出は、iPCRによる。
【0050】
いくつかの態様では、生物学的試料は、血液試料、眼の試料、鼻の試料、又は細胞培養物の試料である。いくつかの態様では、血液試料は、血漿又は血清の試料である。いくつかの態様では、眼の試料は、硝子体液又は眼房水の試料である。いくつかの態様では、眼の試料は、組織試料である。いくつかの態様では、鼻の試料は、鼻腔吸収液の試料である。
【0051】
いくつかの態様では、生物学的試料は、IL-33媒介性障害を有するか、又はそのリスクを有する対象に由来する。いくつかの態様では、IL-33媒介性障害は、眼の障害、炎症状態、免疫疾患、線維性障害、好酸球性障害、感染症、疼痛、中枢神経系障害、又は固形腫瘍である。
【0052】
いくつかの態様では、眼の障害は、加齢黄斑変性(AMD)、眼の網膜症、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)、糖尿病性黄斑浮腫、ドライアイ疾患、ベーチェット病、網膜剥離、緑内障、ブドウ膜炎、網膜色素変性症、レーバー先天性黒内障、シュタルガルト病、外傷性眼損傷、又は結膜炎である。いくつかの態様では、AMDは、地図状萎縮(GA)、滲出型AMD又は乾燥型AMDである。いくつかの態様では、AMDは、GAである。いくつかの態様では、AMDは、中間型AMD又は進行型AMDである。いくつかの態様では、眼の網膜症は、糖尿病性網膜症(DR)又は未熟児網膜症(ROP)である。いくつかの態様では、眼の網膜症は、高地DRである。いくつかの態様では、結膜炎は、感染性結膜炎又は非感染性結膜炎である。いくつかの態様では、結膜炎は、アレルギー性結膜炎である。
【0053】
いくつかの態様では、炎症状態は、喘息、敗血症、敗血症性ショック、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、関節リウマチ、又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。
【0054】
いくつかの態様では、免疫疾患は、喘息、関節リウマチ、アレルギー、アナフィラキシー、アナフィラキシー性ショック、アレルギー性鼻炎、乾癬、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、糖尿病、又は肝臓疾患である。
【0055】
いくつかの態様では、線維性疾患は、特発性肺線維症(IPF)である。
【0056】
いくつかの態様では、好酸球性障害は、好酸球関連胃腸障害(EGID)である。いくつかの態様では、EGIDは、好酸球性食道炎である。
【0057】
いくつかの態様では、対象は、ヒトである。
【0058】
いくつかの態様では、IL-33の存在又はレベルは、総IL-33の存在又はレベルである。いくつかの態様では、IL-33の存在又はレベルは、還元型IL-33の存在又はレベルである。いくつかの態様では、IL-33の存在又はレベルは、ヒトIL-33の存在又はレベルである。いくつかの態様では、IL-33の存在又はレベルは、結合していないIL-33の存在又はレベルである。いくつかの態様では、IL-33の存在又はレベル、sST2に結合したIL-33の存在又はレベルである。いくつかの態様では、sST2は、hsST2である。
【0059】
一態様では、本発明は、生物学的試料を本明細書に記載される抗体又はイムノコンジュゲートのいずれか1つと接触させることと、結合した抗体又はイムノコンジュゲートの存在を検出することとを含む、生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルを検出する方法を提供する。一態様では、本発明は、生物学的試料を、本明細書に記載される抗体のいずれか1つと接触させることと、結合した抗体の存在を検出することとを含む、生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルを検出する方法を提供する。一態様では、本発明は、生物学的試料を、本明細書に記載されるイムノコンジュゲートのいずれか1つと接触させることと、イムノコンジュゲートの存在を検出することとを含む、生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルを検出する方法を提供する。
【0060】
一態様では、本発明は、生物学的試料を、イムノコンジュゲート中の抗IL-33抗体が特異的に結合するエピトープとは異なるIL-33上のエピトープに特異的に結合する第2の抗IL-33抗体の存在下で、本明細書に記載されるイムノコンジュゲートのいずれか1つと接触させることと、結合したイムノコンジュゲートの存在を検出することと、結合したイムノコンジュゲートの存在を検出することとを含む、生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルを検出する方法を提供する。一態様では、第2の抗IL-33抗体は、1E1v8である。一態様では、生物学的試料は、前記接触させることに先立ちトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)で処理される。
【0061】
いくつかの態様では、検出することは、IHC、IF、フローサイトメトリー、ELISA、免疫ブロット法、又はiPCRによる。いくつかの態様では、検出は、ELISAによる。いくつかの態様では、検出は、iPCRによる。
【0062】
いくつかの態様では、生物学的試料は、血液試料、眼の試料、鼻の試料、又は細胞培養物の試料である。いくつかの態様では、血液試料は、血漿又は血清の試料である。いくつかの態様では、眼の試料は、硝子体液又は眼房水の試料である。いくつかの態様では、眼の試料は、組織試料である。いくつかの態様では、鼻の試料は、鼻腔吸収液(NF)の試料である。
【0063】
いくつかの態様では、生物学的試料は、IL-33媒介性障害を有するか、又はそのリスクを有する対象に由来する。いくつかの態様では、IL-33媒介性障害は、眼の障害、炎症状態、免疫疾患、線維性障害、好酸球性障害、感染症、疼痛、中枢神経系障害、又は固形腫瘍である。
【0064】
いくつかの態様では、眼の障害は、AMD、眼の網膜症、PCV、糖尿病性黄斑浮腫、ドライアイ疾患、ベーチェット病、網膜剥離、緑内障、ブドウ膜炎、網膜色素変性症、レーバー先天性黒内障、シュタルガルト病、外傷性眼損傷、又は結膜炎である。いくつかの態様では、AMDは、GA、滲出型AMD又は乾燥型AMDである。いくつかの態様では、AMDは、GAである。いくつかの態様では、AMDは、中間型AMD又は進行型AMDである。いくつかの態様では、眼の網膜症は、DR又はROPである。いくつかの態様では、眼の網膜症は、高地DRである。いくつかの態様では、結膜炎は、感染性結膜炎又は非感染性結膜炎である。いくつかの態様では、結膜炎は、アレルギー性結膜炎である。
【0065】
いくつかの態様では、炎症状態は、喘息、敗血症、敗血症性ショック、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、関節リウマチ、又はCOPDである。
【0066】
いくつかの態様では、免疫疾患は、喘息、関節リウマチ、アレルギー、アナフィラキシー、アナフィラキシー性ショック、アレルギー性鼻炎、乾癬、IBD、クローン病、糖尿病、又は肝臓疾患である。
【0067】
いくつかの態様では、線維性疾患は、IPFである。
【0068】
いくつかの態様では、好酸球性障害は、EGIDである。いくつかの態様では、EGIDは、好酸球性食道炎である。
【0069】
いくつかの態様では、対象はヒトである。
【0070】
いくつかの態様では、IL-33の存在又はレベルは、総IL-33の存在又はレベルである。いくつかの態様では、IL-33の存在又はレベルは、還元型IL-33の存在又はレベルである。いくつかの態様では、IL-33の存在又はレベルは、ヒトIL-33の存在又はレベルである。いくつかの態様では、IL-33の存在又はレベルは、結合していないIL-33の存在又はレベルである。いくつかの態様では、IL-33の存在又はレベル、sST2に結合したIL-33の存在又はレベルである。いくつかの態様では、サイトカインは、hsST2である。
【0071】
いくつかの態様では、方法は、生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルに基づき、対象のためのIL-33軸結合アンタゴニストを含む治療を選択することをさらに含む。
【0072】
いくつかの態様では、方法は、治療的有効量のIL-33軸結合アンタゴニストを対象に投与することをさらに含む。
【0073】
いくつかの態様では、IL-33軸結合アンタゴニストは、IL-33結合アンタゴニストである。いくつかの態様では、IL-33結合アンタゴニストは、抗IL-33抗体である。
【0074】
一態様では、本発明は、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療の候補である、IL-33媒介性の障害を有する対象を同定するためのアッセイを提供し、このアッセイは、本明細書に記載される抗体又はイムノコンジュゲートのいずれか1つを使用して、対象から得られた生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルを決定することを含む。一態様では、本発明は、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療の候補である、IL-33媒介性の障害を有する対象を同定するためのアッセイを提供し、このアッセイは、本明細書に記載される抗体のいずれか1つを使用して、対象から得られた生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルを決定することを含む。一態様では、本発明は、IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療の候補である、IL-33媒介性の障害を有する対象を同定するためのアッセイを提供し、このアッセイは、本明細書に記載されるイムノコンジュゲートのいずれか1つを使用して、対象から得られた生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルを決定することを含む。
【0075】
一態様では、本発明は、(a)本明細書に記載される抗体のいずれか1つ;及び(b)生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルを検出するための抗体の使用についての説明を含む添付文書を含むキットを提供する。
【0076】
一態様では、本発明は、(a)本明細書に記載されるイムノコンジュゲートのいずれか1つ;及び(b)生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルを検出するためのイムノコンジュゲートの使用についての説明を含む添付文書を含むキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】コントロールドナー由来の硝子体液(n=22の試料)及び血清(n=53の試料)中で決定されたhsST2の濃度を示すグラフである。
【
図2A】リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(a)又は60%のイスコブ変法ダルベッコ培地(IMDM)(b)中で希釈され、37℃でインキュベートされたhIL-33のSDS-PAGEゲル分析の画像である。示されているのは、t=0及びt=18時間の時間間隔で採取された試料である。タンパク質試料は、非還元条件及びジチオスレイトール(DTT)での還元条件下で実行された。分子量標準は、レーン3、6及び9に適用された。
【
図2B】(a)t=0のPBS,(b)t=18hのPBS及び(c)t=18時間のIMDM培地において37℃でインキュベートされたhIL-33の質量分析を示す一組のマススペクトログラムである。各スペクトルにおいて検出されたhIL-33の分子量(MW)が示されている。完全に還元されたその4つのシステイン残基のすべてを有するhIL-33の理論的MWは,19857.19ダルトン(Da)である。完全に酸化されたhIL-33の場合、2つのジスルフィド内結合を形成する4つすべてのシステインを有する理論的分子量(MW)は,19853.16 Daである。パネル(a)及び(b)は、完全に還元された状態にあるそのシステイン残基を有するhIL-33を示しており、パネル(c)は、酸化された状態にあるhIL-33のシステイン残基を示している。
【
図3】キット(円形)、社内の還元型hIL-33(三角形)、及び酸化型hIL-33(逆三角形)を有する、eBioscience hIL-33 Platinum ELISAキット及びhIL-33を使用して確立されたhIL-33標準曲線の比較を示すグラフである。データは、3組の平均±SDである。
【
図4】Aは、還元型hIL-33、酸化型hIL-33、還元型hIL-33+20ng/mLのhsST2、還元型hIL-33+40ng/mLのhsST2に得られた標準曲線の比較を示すグラフである。ボトムラインは、酸化型hIL-33に得られた標準曲線に対応する。Bは、20ng/mLのhsST2の存在下での還元型と酸化型hIL-33の標準曲線の比較を示すグラフである。データは、2つ1組で実施された3つの実験を表している。Cは、hIL-33 Abにコンジュゲートしたビーズを使用してヒト硝子体液試料に希釈された還元型及び酸化型hIL-33の免疫除去により決定された総hIL-33ELISAの特異性を示すグラフである。P=0.0019。データは、2組の平均±SDである。
【
図5】Aは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴により決定された、25℃で捕捉されたラット抗hIL-33 15.21C7 MAbに結合するhIL-33のマルチサイクル動力学センサーグラムを示すグラフである。Bは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴により決定された、25℃で捕捉されたラット/ヒトキメラ抗hIL-33 3F10 MAbに結合するhIL-33のマルチサイクル動力学センサーグラムを示すグラフである。
【
図6】Aは、試料バッファー中のiPCRを使用して得られた還元型hIL-33の標準曲線を示すグラフである。データは、各々が4回実施された、6つの独立した標準曲線の平均
+SDである。Bは、ラット抗還元型hIL-33 15.21C7 IgG2aにコンジュゲートしたビーズ、ラット抗gp120 IgG2aにコンジュゲートしたコントロールビーズ及び試料バッファーを使用してヒト硝子体液試料に希釈された還元型hIL-33の免疫除去により決定した、還元型hIL-33に対するiPCRアッセイの特異性を示すグラフである。P=0.0004(1:2の硝子体液)、P=<0.0001(1:4の硝子体液)。データは、3組の平均+SDである。
【
図7】Aは、17のコントロール及び19のAMDドナー由来の死後のヒト硝子体液試料における還元型hIL-33の濃度を示すグラフである。P=0.0155。データは、2組の平均である。LLOQ=定量下限。Bは、10のコントロール及び9のAMDドナー由来の死後のヒトAH試料における還元型hIL-33の濃度を示すグラフである。ns=有意性なし。データは、2組の平均である。LLOQ=定量下限。
【
図8】Aは、9のコントロール及び9の喘息患者由来のヒト鼻腔吸収液(NF)における還元型hIL-33の濃度を示すグラフである。ns=有意性なし。データは、2組又は4組の平均である。LLOQ=定量下限。Bは、9のコントロール及び9の喘息患者由来のヒト血清における還元型hIL-33の濃度を示すグラフである。ns=有意性なし。データは、2組又は4組の平均である。LLOQ=定量下限。Cは、9のコントロール及び9の喘息患者由来のヒト血漿における還元型hIL-33の濃度を示すグラフである。ns=有意性なし。データは、2組又は4組の平均である。LLOQ=定量下限。Dは、喘息ドナー(n=23)由来の血清(円形)及びNF(三角形)試料における総hIL-33対還元型hIL-33の濃度の相関を示すグラフである。R
2=0.95、P<0.0001、NFの場合。データは、2組又は4組の平均である。LLOQ=定量下限。
【
図9】Aは、9のコントロール及び9の喘息患者由来のヒト鼻腔吸収液(NF)における総hIL-33の濃度を示すグラフである。ns=有意性なし。データは、2組又は4組の平均である。LLOQ=定量下限。Bは、9のコントロール及び9の喘息患者由来のヒト血清における総hIL-33の濃度を示すグラフである。ns=有意性なし。データは、2組又は4組の平均である。LLOQ=定量下限。Cは、9のコントロール及び9の喘息患者由来のヒト血漿における総hIL-33の濃度を示すグラフである。ns=有意性なし。データは、2組又は4組の平均である。LLOQ=定量下限。
【
図10】Aは、9のコントロール及び9の喘息患者由来のヒト血清におけるhsST2の濃度を示すグラフである。ns=有意性なし。データは、4組の平均である。Bは、9のコントロール及び9の喘息患者由来のヒト鼻腔吸収液(NF)における総hIL-33の濃度を示すグラフである。ns=有意性なし。データは、2組又は4組の平均である。
【
図11】例示的なIL-33 iPCRアッセイの工程を示す模式図である。MM=マスターミックス;SEC=サイズ排除クロマトグラフィー。
【
図12】還元型IL-33 iPCRアッセイを使用した、正常及び罹患状態の、種々の体液、血清、及び血漿の試料における還元型IL-33の検出可能性を示すグラフである。AMD=加齢黄斑変性;AH=眼房水;HS=ヒト血清;Hu=ヒト;N=試料の総数;NH=正常なヒト;NHP=正常なヒト血漿;NHS=正常なヒト血清;NZ=ニュージーランド;RA=関節リウマチ;%=試料の数>定量下限(LLOQ)/N×100。
【
図13】還元型又は総IL-33 iPCRアッセイを使用した、正常及び罹患状態の種々のヒト体液、血清、及び血漿の試料における還元型及び総IL-33の検出可能性を示すグラフである。AMD=加齢黄斑変性;AH=眼房水;HS=ヒト血清;Hu=ヒト;N=試料の総数;NH=正常なヒト;NHP=正常なヒト血漿;NHS=正常なヒト血清;RA=関節リウマチ;%=試料の数>定量下限(LLOQ)/N×100。
【発明を実施するための形態】
【0078】
I.定義
本明細書で使用される「約」という用語は、この技術分野の当業者であれば容易に理解する、それぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」が付された値又はパラメーターへの言及は、その値又はパラメーター自体に関する実施形態を含む(記載する)。いくつかの実施形態では、用語「約」は、記述される値の±10%を指す。
【0079】
本明細書の目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」とは、下記に定義されるように、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークから得られる軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「から得られる」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含むことができるか、又はアミノ酸配列の変化を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。いくつかの実施形態では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。
【0080】
「親和性」は、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合相互作用の総和の強度を指す。本明細書で使用する場合、別途指示がない限り、「結合親和性」は、結合対(例えば、抗体と抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。通常、分子XのそのパートナーYに対する親和性は、解離定数(KD)によって表される。親和性は、本明細書に記載されるものを含む、当技術分野で既知の一般的な方法により測定することができる。結合親和性を測定するための特定の例示的な実施形態は、以下で説明される。
【0081】
「親和性成熟」抗体は、1つ又は複数のHVR及び/又はフレームワーク領域に1つ又は複数の変更を有する抗体であり、それら1つ以上の変更を保持しない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性に改善をもたらす。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対して、ナノモル単位の、場合によってはピコモル単位の親和性を有するであろう。親和性成熟抗体は、当技術分野において既知の手順により生成される。例えば、Marks et al.Bio/Technology 10:779-783,1992には、VH及びVLドメインのシャフリングによる親和性成熟が記載されている。HVR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、Barbas et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3809-3813,1994;Schier et al.Gene 169:147-155,1995;Yelton et al.J.Immunol.155:1994-2004,1995;Jackson et al.J.Immunol.154(7):3310-3319,1995;及びHawkins et al.J.Mol.Biol.226:889-896,1992に記載されている。
【0082】
本明細書の用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、種々の抗体構造を包含し、限定しないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び所望の抗原結合活性を呈する限りにおいて抗体断片を含む。
【0083】
本明細書で使用される「インターロイキン-33(IL-33)」という用語は、別途指示がない限り、霊長類(例えば、ヒト及びカニクイザル)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然IL-33を指す。IL-33は、当技術分野では高内皮細静脈の核因子(NF-HEV;例えば、Baekkevold et al.Am.J.Pathol.163(1):69-79,2003を参照)、DVS27、C9orf26、及びインターロイキン-1ファミリーメンバー11(IL-1F11)とも呼ばれている。この用語は、「完全長」の、プロセシングされていないIL33だけでなく、細胞内でのプロセシングから生じる任意の形態のIL-33を包含する。ヒトの完全長のプロセシングされていないIL-33は、270のアミノ酸(a.a.)を含み、IL-331-270と呼ばれることもある。ヒトIL-33のプロセシングされた形態には、例えば、IL-3395-270、IL-3399-270、IL-33109-270、IL-33112-270、IL-331-178、及びIL-33179-270が含まれる(Lefrancais et al.Proc.Natl.Acad.Sci.109(5):1673-1678,2012及びMartin,Semin.Immunol.25:449-457,2013)。いくつかの実施形態では、ヒトIL-33のプロセシングされた形態、例えば、IL-3395-270、IL-3399-270、IL-33109-270、又はカルパイン、プロテイナーゼ3、好中球エラスターゼ、及びカテプシンG等のプロテアーゼによってプロセシングされた他の形態は、完全長IL-33と比較して生物活性が増加している可能性がある。本用語は、IL-33の天然に存在するバリアント、例えばスプライスバリアント(例えば、エクソン3を欠く構成的に活性なスプライスバリアントspIL-33、Hong et al.J.Biol.Chem.286(22):20078-20086,2011)又は対立遺伝子バリアントも包含する。IL-33は、細胞内(例えば、核内部)に、又は分泌サイトカイン形態として存在しうる。完全長IL-33タンパク質は、クロマチン結合モチーフ(ヒトIL-33のa.a.40-58)を含む核局在配列(ヒトIL-33のa.a.1-75)を含むヘリックス-ターン-ヘリックスDNA結合モチーフを含有する。プロセシングされ分泌されたIL-33の形態は、これらN末端モチーフを欠いている。例示的なヒトIL-33のアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB寄託番号O95760として見出すことができる。いくつかの実施形態では、in vivoでのIL-33は、酸化型及び/又は還元型形態でありうる。一部の実施形態では、還元型IL-33は、IL-33(例えば、ヒトIL-33(hIL-33))を一定の期間にわたって還元剤と共にインキュベートすることにより調製することができる。いくつかの実施形態では、IL-33(例えば、hIL-33)を還元するため又は還元型IL-33(例えば、hIL-33)を安定させるために使用することのできる還元剤には、限定されないが、ジチオスレイトール(DTT;CAS#:3483-12-3)及びトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP;CAS#:51805-45-9)が含まれる。一部の実施形態では、還元型IL-33は、ST2に結合する。いくつかの実施形態では、還元型IL-33は、酸化型IL-33よりも高い親和性でST2に結合する。いくつかの実施形態では、還元型IL-33は、その二次構造及びジスルフィド結合の非存在において酸化型IL-33とは異なる。一部の実施形態では、還元型IL-33は、示されるシステイン間にC208-C259及びC227-C232ジスルフィド結合を含まない。特定の実施形態では、酸化型IL-33中のジスルフィド結合(例えば、C208-C259及びC227-C232における)は、ST2に対するその結合を妨げる。いくつかの実施形態では、「結合していないIL-33」は、ST2に結合していないIL-33を指す。
【0084】
「IL-33軸」は、核酸(例えば、遺伝子又は遺伝子から転写されたmRNA)、又はIL-33シグナル伝達に関与するポリペプチドを意味する。例えば、IL-33軸は、リガンドIL-33、受容体(例えば、ST2及び/又はIL-1RAcP)、アダプター分子(例えば、MyD88)、又は受容体分子及び/又はアダプター分子と会合するタンパク質(例えば、インターロイキン1受容体関連キナーゼ1(IRAK1)及びインターロイキン1受容体関連キナーゼ4(IRAK4)等のキナーゼ、又はTNF受容体関連因子6(TRAF6)等のE3ユビキチンリガーゼ)を含みうる。
【0085】
本明細書で交換可能に使用される「インターロイキン1受容体様1(IL1RL1)」及び「ST2」という用語は、別途指示がない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然ST2を指す。ST2は、当技術分野では、DER4、T1、及びFIT-1とも呼ばれる。この用語は、「完全長」のプロセシングされていないST2、ならびに細胞内でのプロセシングから生じる任意の形態のST2を包含する。ST2の少なくとも4つのアイソフォームが当技術分野で既知であり、これらには、以下に記載されるように、デュアルプロモーター系からの差次的mRNA発現から生じる可溶性(IL1RL1-aとしても知られるsST2)及び膜貫通(IL1RL1-bとしても知られるST2L)と、選択的スプライシングから生じるST2V及びST2LVが含まれる。いくつかの例では、sST2を含むST2は、それぞれヒトST2又はヒトsST2(hsST2)でありうる。ST2Lのドメイン構造には、3つの細胞外免疫グロブリン様C2ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質Toll/インターロイキン1受容体(TIR)ドメインが含まれる。sST2は、ST2L内部に含まれる膜貫通及び細胞質を欠き、特有の9つのアミノ酸(a.a.)C末端配列を含む(例えば、Kakkar et al.Nat.Rev.Drug Disc.7:827-840,2008参照)。sST2は、可溶性IL-33を阻害するデコイレセプターとして機能することができる。この用語は、ST2の天然に存在するバリアント、例えばスプライスバリアント(例えば、第3の免疫グロブリンモチーフを欠き、特有の疎水性尾部を有するST2V、及びST2Lの膜貫通ドメインを欠くST2LV)又は対立遺伝子バリアント(例えば、喘息リスクに対して保護的であるか又は本明細書に記載されるように喘息リスクを付与するバリアント)も包含する。例示的なヒトST2のアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB寄託番号Q01638として見出すことができる。ST2は、共受容体タンパク質IL-1RAcPと共にIL-33受容体の一部である。IL-33のST2及び共受容体インターロイキン1受容体アクセサリータンパク質(IL-1RAcP)への結合は、
図1Aに示されるように、1:1:1の三元シグナル伝達複合体を形成して下流のシグナル伝達を促進する(例えば、Lingel et al.Structure 17(10):1398-1410,2009、及びLiu et al.Proc.Natl.Acad.Sci.110(37):14918-14924,2013を参照)。いくつかの実施形態では、「IL-1受容体アクセサリータンパク質」又は「IL-1RAcP」は、ST2の共受容体である。
【0086】
「IL-33軸結合アンタゴニスト」は、IL-33軸結合パートナーとその結合パートナーとの相互作用を阻害する分子を指す。本明細書で使用される場合、IL-33軸結合アンタゴニストは、IL-33結合アンタゴニスト、ST2結合アンタゴニスト、及びIL1RAcP結合アンタゴニストを含む。例示的なIL-33軸結合アンタゴニストには、抗IL-33抗体及びその抗原結合断片(例えば、ANB-020(AnaptysBio,Inc.)等の抗IL-33抗体、又は各々が参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許出願公開第2021-0284725号、米国特許第10093730号、EP1725261、米国特許第8187596号、国際公開第2011031600号、国際公開第2014164959号、国際公開第2015099175号、国際公開第2015106080号、国際公開第2016077381号、又は国際公開第2021183849号に記載される抗体のいずれか);IL-33及び/又はその受容体(ST2及び/又はIL-1RACP)に結合し、リガンド-受容体相互作用をブロックするポリペプチド(例えば、参照によりその全体が本明細書に援用される国際公開第2014/152195号に記載されるもの等のST2-Fcタンパク質;イムノアドヘシン、ペプチボディ、及び可溶性ST2、又はそれらの誘導体);抗IL-33受容体抗体(例えば、抗ST2抗体、例えば、アステゴリマブ(MSTT1041Aとしても知られる)、AMG-282(Amgen)若しくはSTLM15(Janssen)、又は各々が参照によりその全体が本明細書に援用される国際公開第2013/173761号及び国際公開第2013/165894号に記載される抗ST2抗体のいずれか;又はST2-Fcタンパク質、例えば各々が参照によりその全体が本明細書に援用される国際公開第2013/173761号;国際公開第2013/165894号;又は国際公開第2014/152195号に記載されるもの);並びにIL-33受容体アンタゴニスト、例えば小分子阻害剤、IL-33に結合するアプタマー、及びIL-33軸核酸配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸(例えば、短干渉RNA(siRNA)又は、Mali et al.(Science.339:823-26,2013)(参照によりその全体が本明細書に援用される)に記載されるcrRNA及びtracrRNA配列を有するシングルガイドRNA(sgRNA)を含む、クラスター化して規則的に配置される短い回文リピートRNA(CRISPR-RNA又はcrRNA)が含まれる。
【0087】
「抗IL-33抗体」、「IL-33に結合する抗体」、及び「IL-33に特異的に結合する抗体」という用語は、抗体がIL-33の標的化において診断剤及び/又は治療剤として有用であるように、十分な親和性でIL-33に結合することのできる抗体を指す。一実施形態では、無関係な非IL-33タンパク質に対する抗IL-33抗体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定した場合に、IL-33に対する抗体の結合の約10%未満である。一部の実施形態では、IL-33に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8Mから10-13M、例えば、10-9Mから10-13M)の解離定数(KD)を有する。いくつかの実施形態では、抗IL-33抗体は、0.01nMと1nMとの間のKDでIL-33に結合する。いくつかの実施形態では、抗IL-33抗体は、0.1nMと0.5nMとの間のKDでIL-33に結合する。いくつかの実施形態では、抗IL-33抗体は、酸化型及び還元型形態のIL-33に結合する。一部の実施形態では、抗IL-33抗体は、還元型IL-33に結合する。一部の実施形態では、抗IL-33抗体は、2倍の KD(例えば、1.5倍以内又は1倍以内のKD)で酸化型IL-33及び還元型IL-33に結合する。一部の実施形態では、抗IL-33抗体は、実質的に同じKDで酸化型IL-33及び還元型IL-33に結合する。一部の実施形態では、抗IL-33抗体は、異なる種由来のIL-33間で保存されているIL-33のエピトープに結合する。一部の実施形態では、抗IL-33抗体は、哺乳動物のIL-33に結合する。特定の実施形態では、抗IL-33抗体は、ヒトIL-33(hIL-33)に結合する。一部の実施形態では、抗IL-33抗体は、可溶型インターロイキン1受容体様1(sST2)タンパク質に結合したIL-33及びsST2に結合していないIL-33(例えば、結合していないIL-33)に、2倍以内のKD(例えば、1.5倍以内又は1倍以内のKD)で結合する。一部の実施形態では、抗IL-33抗体は、sST2タンパク質に結合したIL-33に、sST2に結合していないIL-33と実質的に同じKDで結合する。
【0088】
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいて、参照抗体のその抗原に対する結合を50%以上ブロックする抗体を指し、逆に、参照抗体は、競合アッセイにおいて、抗体のその抗原に対する結合を50%以上ブロックする。例示的な競合アッセイが、本明細書で提供される。
【0089】
「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部分、好ましくはインタクトな抗体の抗原結合領域又は可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFv断片;ダイアボディ;直鎖状抗体(米国特許第No.5,641,870号の実施例2;Zapata et al.Protein Eng.8(10):1057-1062,1995を参照のこと);単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれる。
【0090】
抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、残りの「Fc」断片が生じ、消化は容易に結晶化する能力を反映している。Fab断片は、L鎖全体並びにH鎖の可変領域ドメイン(VH)、及び1つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)からなる。抗体のペプシン処理により単一の大きなF(ab’)2断片が生じ、これは二価の抗原結合活性を有するジスルフィドで連結された2つのFab断片にほぼ対応し、依然として抗原に架橋することができる。Fab’断片は、抗体のヒンジ領域由来の1つ又は複数のシステインを含め、CH1ドメインのカルボキシ末端に追加の数個の残基を有することにより、Fab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインの1つ以上のシステイン残基が遊離チオール基を持つFab’の本明細書での呼称である。F(ab’)2抗体断片は、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として生成された。抗体断片の他の化学的カップリングも既知である。
【0091】
本明細書の用語「Fc領域」は、定常領域の少なくとも一部分を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語は、天然配列Fc領域と変異Fc領域とを含む。一実施形態において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226又はPro230から重鎖のカルボキシル末端に及ぶ。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在してもしなくてもよい。本明細書において別途指定のない限り、Fc領域又は定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載されている、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けに従う。
【0092】
「Fv」は、1つの重鎖及び1つの軽鎖可変領域ドメインの、密に非共有結合した二量体からなる。これら2つのドメインの折り畳みから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗原結合特異性を抗体に付与する6つの超可変ループ(H鎖及びL鎖から各3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのHsのみを含むFvの半分)でさえ、結合部位全体よりも低い親和性であることが多いものの、抗原を認識して結合する能力を有する。
【0093】
「sFv」又は「scFv」とも略される「単鎖Fv」は、単一ポリペプチド鎖中に接続するVH及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドはVHドメインとVLドメインとの間に、sFvが抗原結合のために所望の構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーをさらに含む。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113、Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315,1994を参照のこと。
【0094】
用語「ダイアボディ」は、sFv断片(前段落参照)を、VHドメインとVLドメインの間に短いリンカー(約5~10の残基)を用いて構築することにより調製された小さな抗体断片を指し、Vドメインの鎖内ペアリングではなく鎖間ペアリングが達成されることにより、二価の断片、すなわち2つの抗原結合部位を有する断片が得られる。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVHドメインとVLドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する2つの「クロスオーバー」Fv断片のヘテロ二量体である。ダイアボディは、例えば、EP404,097;国際公開第第93/11161号;及びHollinger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448,1993にさらに詳細に記載されている。
【0095】
「結合ドメイン」は、標的エピトープ、抗原、リガンド、又は受容体に特異的に結合する化合物又は分子の一部を意味する。結合ドメインには、限定されないが、抗体(例えば、モノクローナル、ポリクローナル、組み換え、ヒト化、及びキメラ抗体)、抗体断片又はその部分(例えば、Fab断片、Fab’2、scFv抗体、SMIP、ドメイン抗体、ダイアボディ、ミニボディ、scFv-Fc、アフィボディ、ナノボディ、並びに抗体のVH及び/又はVLドメイン)、受容体、リガンド、アプタマー、及び同定された結合パートナーを有する他の分子が含まれる。
【0096】
「遮断」抗体又は「アンタゴニスト」抗体は、結合する抗原の生物活性を阻害又は低減する抗体である。特定の遮断抗体又はアンタゴニスト抗体は、実質的に又は完全に抗原の生物活性を阻害する。
【0097】
「細胞ベースのブロッキングアッセイ」は、結合する抗原の生物活性を阻害又は低減する抗体の能力を測定することのできるアッセイを指す。例えば、細胞ベースのアッセイは、特定の生物学的又は生化学的機能を阻害するために必要な抗体の濃度を測定するために使用することができる。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、本明細書に開示される抗IL-33抗体)の最大阻害濃度の半分(IC50)及び/又は90%阻害濃度(IC90)は、細胞ベースのブロッキングアッセイを使用して測定される。いくつかの実施形態では、細胞ベースのブロッキングアッセイは、抗体がリガンド(例えば、IL-33)とその受容体(例えば、ST2及び/又は共受容体IL-1RAcP)との間の相互作用をブロックするかどうかを決定するために使用される。IL-33の例示的な細胞ベースのブロッキングアッセイは、例えば、米国特許第10,093,730号の実施例2Bに提供されている。IL-33のさらなる例示的な細胞ベースのブロッキングアッセイは、例えば、米国特許第10,093,730号の実施例8に提供されており、一次ナチュラルキラー(NK)細胞アッセイ及び一次好塩基球アッセイが含まれる。
【0098】
「免疫ポリメラーゼ連鎖反応」又は「iPCR」アッセイは、標的分子(例えば、標的生体分子、例えば、タンパク質)の存在又はレベルが抗体-DNAコンジュゲートによって検出されるアッセイを指す。いくつかの実施形態では、iPCRアッセイは、ビオチンにコンジュゲートした第1の抗体と核酸部分にコンジュゲートした第2の抗体とを使用し、第1及び第2の抗体は、同じ標的抗原に結合する。第1の抗体及び第2の抗体の両方は、標的抗原を含む溶液と混合され、得られた混合物は、例えば、PCRウェル内部で、一緒にインキュベートされる。次いでPCR増幅を使用して核酸部分の存在が検出され、それにより標的抗原の検出が示される。いくつかの実施形態では、iPCRアッセイを使用してIL-33(例えば、ヒトIL-33、例えば、還元型IL-33)を検出する。いくつかの実施形態では、第1の抗体と第2の抗体は抗IL33抗体である。いくつかの実施形態では、第1の抗体と第2の抗体とは、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を共有する。いくつかの実施形態では、第1の抗体と第2の抗体は、同じアミノ酸配列を共有しない(例えば、第1の抗体と第2の抗体のアミノ酸配列は、1%以下、2%以下、3%以下、4%以下、5%以下、10%以下、15%以下、又は20%以下のアミノ酸配列同一性を共有する)。iPCRアッセイの例は、Sano T et.al.,Science 1992,258:120-122及びNiemeyer et al.,Trends Microbiol.2017,8:65に記載されている。
【0099】
抗体の「クラス」は、その重鎖によって保有される定常ドメイン又は定常領域の種類を指す。抗体には5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのいくつかはさらに、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2(例えば、IgG2a又はIgG2b)、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2に分けられる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
【0100】
抗体の「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異Fc領域)に起因しうる生物活性を指し、抗体のアイソタイプにより変化する。抗体のエフェクター機能の例には、C1q結合及び補体依存性細胞傷害;Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御;及びB細胞活性化が含まれる。
【0101】
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」又は「ADCC」は、特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)上に結合した分泌されたIgが、これら細胞傷害性のエフェクター細胞を、抗原を保持する標的細胞に特異的に結合させ、続いて細胞毒により標的細胞を殺すことができる、細胞傷害性の一形態を指す。抗体は、細胞傷害性細胞を「有効化」するもので、そのような死滅に絶対的に必要とされる。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞がFcγRIIIのみを発現するのに対し、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞でのFcRの発現は、Ravetch et al.Annu.Rev.Immunol.9:457-492,1991の464頁の表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号又は同第5,821,337号に記載されているようなin vitro ADCCアッセイを実施することができる。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞を含む。代替的に、又は追加的に、目的の分子のADCC活性は、例えば、Clynes et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:652-656,1998に開示されるような動物モデルにおいて、in vivoで評価することができる。
【0102】
「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を意味する。好ましいFcRは、天然配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)と結合するものであり、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、これら受容体の対立遺伝子バリアント及び代替的にスプライスされた形態が含まれる。FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)を含み、これらは細胞質ドメインが主に異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメイン中に免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含む。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を含む(M.in Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203-234,1997を参照されたい)。FcRは、例えば、Ravetch et al.Annu.Rev.Immunol.9:457-492,1991;Capel et al.Immunomethods 4:25-34,1994;及びde Haas et al.J.Lab.Clin.Med.126:330-41,1995に総説がある。将来に同定されるものを含め、他のFcRは、本明細書では用語「FcR」に包含される。この用語には、胎児への母親のIgGの移行を担う新生児の受容体FcRnも含まれる(例えば、Guyer et al.J.Immunol.117:587,1976;及びKim et al.J.Immunol.24:249,1994を参照のこと)。
【0103】
「ヒトエフェクター細胞」は、1つ又は複数のFcRを発現し、エフェクター機能を実行する白血球である。好ましくは、細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を実行する。ADCCを媒介するヒト白血球の例には、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞、細胞傷害性T細胞及び好中球が含まれ、PBMCとNK細胞が好ましい。エフェクター細胞は、天然の供給源、例えば血液から単離することができる。
【0104】
「補体依存性細胞傷害」又は「CDC」は、補体の存在下での標的細胞の溶解を指す。古典的補体経路の活性化は、補体系の第1の成分(C1q)の、それらの同種抗原に結合した(適切なサブクラスの)抗体への結合により開始される。補体活性化を評価するため、例えばGazzano-Santoro et al.J.Immunol.Methods 202:163,1996に記載されるCDCアッセイを実行することができる。
「エピトープ」は、抗体が選択的に結合する抗原の部分である。ポリペプチド抗原の場合、エピトープは、一般に約4~15アミノ酸残基のペプチド部分である。
【0105】
用語「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」は、本明細書で交換可能に使用され、天然抗体構造と実質的に同様の構造を有するか、又は本明細書で定義されるFc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。
【0106】
「ヒト抗体」は、ヒトによって生成される、及び/又はヒト抗体を作製するための技術のいずれかを使用して作製された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。
【0107】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。通常、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループから行われる。一般的に、配列のサブグループは、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest、Fifth Edition,NIH Publication 91-3242,Bethesda MD,vols.1-3,1991にあるようなサブグループである。一実施形態では、VLの場合、サブグループは上掲のKabat et al.にあるようなサブグループカッパIII又はカッパIVである。一実施形態では、VHの場合、サブグループは上掲のKabat et al.にあるようなサブグループIIIである。
【0108】
非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体から得られる最小配列を含むキメラ抗体である。大抵の場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域由来の残基が、非ヒト種、例えば、所望の抗体特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ、又は非ヒト霊長類の超可変領域(ドナー抗体)由来の残基により置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)の残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体に見られない残基を含むことができる。これら修飾は、抗体性能をさらに洗練させるために行われる。概して、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、超可変ループのすべて又は実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRのすべて又は実質的にすべてがヒト免疫グロブリン配列のものである。また、ヒト化抗体は、任意選択的に、免疫グロブリンの定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含む。さらなる詳細については、Jones et al,Nature 321 :522-525(1986);Riechmann et al,Nature 332:323-329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照のこと。
【0109】
「イムノコンジュゲート」は、細胞傷害剤を含むがこれに限定されない、1つ又は複数の異種分子にコンジュゲートした抗体である。
【0110】
「単離された」という用語は、本明細書に開示される種々の抗体を説明するために使用されるとき、抗体が発現された細胞又は細胞培養物から同定、分離及び/又は回収された抗体を意味する。その自然環境の夾雑物成分は、典型的にはポリペプチドの診断的又は治療的使用を妨害するであろう物質であり、酵素、ホルモン、及びその他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質を含みうる。いくつかの実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)、等電点電気泳動(IEF)、又はキャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)法によって決定した場合、95%又は99%より大きな純度に精製される。抗体純度の評価のための方法の総説については、例えば、Flatman et al.J.Chromatogr.B 848:79-87,2007を参照のこと。好ましい実施形態では、抗体は、(1)スピニングカップシークエネーターの使用により、少なくとも15残基のN末端又は内部アミノ酸配列を得るのに充分な程度まで、又は(2)クーマシーブルー又は好ましくは銀染色を使用した非還元又は還元条件下でのSDS-PAGEにより均一になるまで精製される。単離された抗体には、ポリペプチドの自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、組み換え細胞内部のin situの抗体が含まれる。しかしながら、通常、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製工程により調製される。
【0111】
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団、すなわち、集団を構成する個々の抗体が、例えば、天然に存在する変異を含んでいるか、又はモノクローナル抗体調製物の生成中に発生する存在しうるバリアント抗体、例えば通常少量で存在するバリアントを除いて、同一である及び/又は同じエピトープに結合する集団から得られる抗体を意味する。典型的に異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体製剤とは対照的に、モノクローナル抗体製剤の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を指向している。したがって、修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集合から得られているという抗体の特徴を示し、いずれか特定の方法による抗体の生成が必要であると解釈すべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組み換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法を含むが、これらに限定されない様々な技術によって作製することができ、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法が本明細書に記載されている。
【0112】
用語「多重特異性抗体」は、最も広い意味で使用され、特に、VH-VL単位がポリエピトープ特異性を有する(すなわち、1つの生体分子上の2つの異なるエピトープ又は異なる生体分子上の各エピトープに結合することができる)重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗体を含む。このような多重特異性抗体には、限定されないが、完全長抗体、2つ以上のVL及びVHドメインを有する抗体、Fab、Fv、dsFv、scFv、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ及びトリアボディといった抗体断片、共有結合的に又は非共有結合的に結合した抗体断片が含まれる。「ポリエピトープ特異性」は、1つ以上の同じ又は異なる標的上で2つ以上の異なるエピトープへの特異的結合能を指す。「二重特異性(dual specificity)」又は「二重特異性(bispecificity)」は、1つ以上の同じ又は異なる標的上の2つの異なるエピトープへの特異的結合能を指す。しかしながら、二重特異性(bispecificity)抗体とは対照的に、二重特異性(dual-specific)抗体は、アミノ酸配列が同一である2つの抗原結合アームを有し、各Fabアームは2つの抗原を認識することができる。二重特異性(dual specificity)は、抗体が、単一のFab又はIgG分子として2つの異なる抗原と高い親和性で相互作用することを可能にする。一実施形態によれば、IgG1形態の多特異性抗体は、5μMから0.001pM、3μMから0.001pM、1μMから0.001pM、0.5μMから0.001pM、又は0.1μMから0.001pMの親和性で各エピトープと結合する。「単一特異性」は、唯1つのエピトープに結合する能力を指す。
【0113】
「ネイキッド抗体」は、異種部分(例えば、細胞傷害性部分)又は放射標識にコンジュゲートしていない抗体を指す。ネイキッド抗体は、薬学的組成物中に存在していてもよい。
【0114】
標的分子への抗体と結合に関して、特定のポリペプチド、又は特定のポリペプチド標的上のエピトープについての、「特異的結合」、又は「特異的に結合する」、又は「特異的である」という表現は、非特異的相互作用とは測定可能な程度に異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、コントロール分子の結合と比較した分子の結合を決定することにより測定することができる。例えば、特異的結合は、標的に類似のコントロール分子、例えば過剰な非標識標的との競合により決定することができる。この場合、特異的結合は、プローブへの標識標的の結合が、過剰な非標識標的により競合的に阻害される場合に示される。本明細書で使用される、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド標的上のエピトープについての、「特異的結合」、又は「特異的に結合する」、又は「特異的」という表現は、例えば、10-4M以下、代替的に10-5M以下、代替的に10-6M以下、代替的に10-7M以下、代替的に10-8M以下、代替的に10-9M以下、代替的に10-10M以下、代替的に10-11M以下、代替的に10-12M以下の標的に対するKD、又は10-4Mから10-6M若しくは10-6Mから10-10M若しくは10-7M~10-9Mの範囲のKDを有する分子によって示されうる。当業者には理解されるように、親和性及びKD値は逆相関する。抗原に対する高い親和性は、低いKD値により測定される。一実施形態では、用語「特異的結合」は、分子が特定のポリペプチド若しくは特定のポリペプチド上のエピトープに、実質的に他のいずれのポリペプチド又はポリペプチドエピトープにも結合することなく結合することを指す。
【0115】
用語「可変」は、可変ドメインの特定のセグメントは抗体間で配列が広範囲に異なるという事実を指す。可変又は「V」ドメインは、抗原結合を媒介し、その特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を定義する。しかしながら、可変性は、可変ドメインの110個のアミノ酸範囲にわたって一様に分布してはいない。代わりに、V領域は、各々が9~12アミノ酸長である「超可変領域」と呼ばれる極端な可変性の短い領域によって分離された、15~30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変の伸長部からなる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、各々が4つのFRを含み、大部分がベータシート構成をとり、3つの超可変領域により接続されており、これら3つの超可変領域は、ベータシート構造を接続し、場合によってはベータシート構造の一部を形成するループを形成する。各鎖における超可変領域は、FRにより極めて近接して一緒に保持され、他の鎖由来の超可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(上掲のKabat et al.を参照のこと)。したがって、HVR及びFR配列は、一般に、VH(又はVL)中に以下の配列で現れる:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しているものではないが、例えば抗体依存性細胞傷害性(ADCC)における抗体の参画といった、種々のエフェクター機能を呈する。
【0116】
本明細書で使用される用語「超可変領域」又は「HVR」は、配列が超可変である(「相補性決定領域」又は「CDR」)、及び/又は構造的に定義されたループを形成する(「超可変ループ」)及び/又は抗原接触残基(「抗原接触」)を含む抗体可変ドメインの領域の各々を指す。通常、抗体は、6つのHVR;VHに3つ(H1、H2、H3)、及びVLに3つ(L1、L2、L3)のHVRを含む。本明細書の例示的なHVRには:
(a)アミノ酸残基26-32(L1)、50-52(L2)、91-96(L3)、26-32(H1)、53-55(H2)、及び96-101(H3)に生じる超可変ループ(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901917(1987));
(b)アミノ酸残基24-34(L1)、50-56(L2)、89-97(L3)、31-35b(H1)、50-65(H2)、及び95-102(H3)に生じるCDR(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda、MD(1991));
(c)アミノ酸残基27c-36(L1)、46-55(L2)、89-96(L3)、30-35b(H1)、47-58(H2)、及び93-101(H3)に生じる抗原接触(MacCallum et al.J.Mol.Biol.262:732745(1996));及び
(d)HVRアミノ酸残基46-56(L2)、47-56(L2)、48-56(L2)、49-56(L2)、26-35(H1)、26-35b(H1)、49-65(H2)、93-102(H3)、及び94-102(H3)を含む、(a)、(b)、及び/又は(c)の組み合わせ
が含まれる。
【0117】
別途指示がない限り、可変ドメイン内のHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書では上掲のKabat et al.に従って番号付けされている。
【0118】
「フレームワーク」又は「FR」は、相補性決定領域(CDR)以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に、以下4つのFRドメインからなる:FR1、FR2、FR3、及びFR4。したがって、CDR及びFR配列は、一般に、VH(又はVL)中に以下の配列で現れる:FR1-CDR-H1(CDR-L1)-FR2-CDR-H2(CDR-L2)-FR3-CDR-H3(CDR-L3)-FR4。
【0119】
用語「Kabatの可変ドメイン残基番号付け」又は「Kabatのアミノ酸位の番号付け」及びそれらの変形は、上掲のKabat et al.の抗体の編集の軽鎖可変ドメイン又は重鎖可変ドメインに用いられる番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを使用して、実際の線形アミノ酸配列は、可変ドメインのFR若しくはHVRの短縮又はFR又はHVRへの挿入に相当する、より少ないアミノ酸又は追加のアミノ酸を含みうる。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後の単一のアミノ酸挿入(カバットによれば残基52a)、及び重鎖FR残基82の後の挿入された残基(例えば、カバットによれば残基82a、82b、及び82c等)を含みうる。残基のカバット番号付けは、「標準の」カバット番号付けされた配列と抗体の配列が相同である領域におけるアラインメントにより、所与の抗体について決定されうる。
【0120】
カバット番号付けシステムは一般に、可変ドメイン(概ね軽鎖の残基1~107及び重鎖の残基1~113)内の残基に言及するときに使用される(例えば、上掲のKabat et al.)。「EU番号付けシステム」又は「EUインデックス」は、一般的に、免疫グロブリン重鎖定常領域における残基に言及するときに使用される(例えば、上掲のKabat et al.に報告されるEUインデックス)。「カバットのEUインデックス」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けに言及する。本明細書で特に明記しない限り、抗体の可変ドメイン内の残基番号の参照は、カバット番号付けシステムによる残基の番号付けを意味する。本明細書で特に明記しない限り、抗体の定常ドメイン内の残基番号の参照は、EU番号付けシステムによる残基の番号付けを意味する(例えば、米国仮出願第60/640323号、EU番号付けに関する図面を参照のこと)。
【0121】
本明細書で使用される「投与する」とは、ある投薬量の化合物(例えば、本明細書で提供される抗IL-33軸結合アンタゴニスト(例えば、抗IL-33抗体)又は本明細書で提供される抗IL-33抗体をコードする核酸)又は組成物(例えば、薬学的組成物、例えば、本明細書で提供される抗IL-33抗体を含む薬学的組成物)を対象に与える方法を意味する。本明細書に記載される方法で利用される組成物は、例えば、硝子体内に、筋肉内に、静脈内に、皮内に、経皮的に、動脈内に、腹腔内に、病変内に、頭蓋内に、関節内に、前立腺内に、胸膜内に、気管内に、髄腔内に、鼻腔内に、膣内に、直腸内に、局所的に、腫瘍内に、腹膜に、皮下に、結膜下に、膀胱内に、粘膜に、心膜内に、臍下に、眼内に、眼窩内に、経口的に、局所的に、経皮的に、眼周囲に、結膜に、テノン嚢下に、前房内に、網膜下に、眼球後に、小管内に、吸入によって、注射によって、埋め込みによって、注入によって、持続注入によって、標的細胞を直接浸す局所灌流によって、カテーテルによって、灌流によって、クリーム中で、又は脂質組成物中で投与することができる。本明細書に記載される方法において利用される組成物はまた、全身的に又は局所的に投与することができる。投与の方法は、種々の因子(例えば、投与される化合物又は組成物、及び治療される状態、疾患、又は障害の重症度)に応じて変化しうる。
【0122】
「喘息」という用語は、本明細書では、原因となる炎症と関連しているか又はしていない、不定かつ再発性の症状、可逆性の気道閉塞(例えば、気管支拡張剤によって)、及び気管支過感受性を特徴とする障害を指す。したがって、喘息は、炎症性/炎症を起こした喘息又は非炎症性/炎症を起こしていない喘息でありうる。喘息の例には、アレルギー性喘息、運動誘発性喘息、アスピリン感受性/悪化した喘息、アトピー性喘息、重度喘息、軽度喘息、中等度から重度の喘息、コルチコステロイドナイーブ喘息、慢性喘息、コルチコステロイド抵抗性喘息、コルチコステロイド難治性喘息、新たに診断された未治療の喘息、喫煙に起因する喘息、コルチコステロイドで制御されない喘息、及びBousquet et al.J.Allergy Clin.Immunol.126(5):926-938,2010で言及されている他の喘息が含まれる。
【0123】
「障害」又は「疾患」は、(本明細書で提供されるIL-33軸結合アンタゴニストでの)治療から恩恵を受けるであろういずれかの状態である。例えば、障害は、IL-33媒介性障害でありうる。これには、哺乳動物を問題の障害に罹患しやすくするような病的状態を含む、慢性及び急性の障害又は疾患が含まれる。本明細書で治療される障害の例には、IL-33媒介性障害(例えば、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、及び線維症(例えば、肺線維症、例えば、特発性肺線維症))が含まれる。
【0124】
「IL-33媒介性障害」という用語は、本明細書で使用される場合、IL-33軸によって媒介されるか、又はIL-33軸と関連するいずれかの障害又は状態を指す。いくつかの実施形態では、IL-33媒介性障害は、身体における局所的及び/又は全身的なIL-33のレベル又は活性に起因して非定型症状が現れうる過剰なIL-33レベル又は活性に関連付けられる。例示的なIL-33媒介性障害には、眼の障害、炎症状態、免疫疾患、線維性障害、好酸球性障害、感染症、疼痛、中枢神経系障害、及び固形腫瘍が含まれる。IL-33媒介性障害は、例えば、Liew et al.Nature Reviews Immunology 10:103-110,2010に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0125】
本明細書で使用される「眼の障害」という用語は、病理学的血管新生及び/又は萎縮に関連付けられるいずれかの眼の障害(本明細書では交換可能に「眼の状態」とも呼ばれる)を含む。眼の障害は、変化した若しくは制御されていない増殖及び/又は網膜若しくは角膜といった眼組織の構造内への新規血管の侵入を特徴としうる。眼の障害は、網膜組織(光受容体並びにその下の網膜色素上皮(RPE)及び脈絡毛細管板)の萎縮を特徴付としうる。非限定的な眼の障害には、例えば、AMD(例えば、滲出型AMD、乾燥型AMD、中間型AMD、進行型AMD、及び地図状萎縮(GA))、黄斑変性、黄斑浮腫、糖尿病黄斑浮腫(DME)(例えば、焦点、非中心DME、及びびまん性の中心関与DME)、網膜症、糖尿病性網膜症(DR)(例えば、増殖性DR(PDR)、非増殖性DR(NPDR)、及び高所DR)、他の虚血関連網膜症、ROP、網膜静脈閉塞(RVO)(例えば、中心(CRVO)及び分岐(BRVO)形態)、脈絡膜血管新生(CNV)(例えば、近視性CNV)、角膜血管新生、角膜血管新生に関連する疾患、網膜血管新生、網膜/脈絡膜血管新生に関連する疾患、中心性漿液性網膜症(CSR)、病的近視、フォンヒッペル・リンダウ病、眼のヒストプラズマ症、家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)、コーツ病、ノーリー病、骨粗鬆症性偽神経膠腫症候群(OPPG)に関連する網膜異常、結膜下出血、皮膚潮紅、眼血管新生疾患、血管新生緑内障、網膜色素変性症(RP)、高血圧性網膜症、網膜血管腫状増殖、黄斑血管拡張症、虹彩血管新生、眼内血管新生、網膜変質、類嚢胞黄斑浮腫(CME)、脈管炎、乳頭浮腫、CMV網膜炎を含むがこれに限定されない網膜炎、眼黒色腫、網膜芽細胞腫、結膜炎(例えば、感染性結膜炎及び非感染性(例えば、アレルギー性)結膜炎)、レーバー先天性黒内障(レーバー先天性黒内障又はLCAとしても知られる)、ブドウ膜炎(感染性及び非感染性ブドウ膜炎を含む)、脈絡膜炎(例えば、多巣性脈絡膜炎)、眼ヒストプラズマ症、眼瞼炎、ドライアイ、外傷性眼損傷、シェーグレン病、並びに疾患又は障害が眼血管新生、血管漏出、及び/又は網膜浮腫若しくは網膜萎縮に関連する他の眼疾患が含まれる。さらなる例示的な眼の障害には、網膜分離症(網膜神経感覚層の異常な分裂)、皮膚潮紅(隅角の血管新生)に関連する疾患、及び線維血管組織又は線維組織の異常な増殖によって引き起こされる疾患(増殖性硝子体網膜症のすべての形態を含む)が含まれる。
【0126】
角膜血管新生を伴う例示的疾患には、限定されないが、流行性角結膜炎、ビタミンA欠乏、コンタクトレンズの付け過ぎ、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、乾癬性角膜炎、シェーグレン症候群、酒土性挫創、糸球体炎、梅毒、マイコバクテリア感染、脂肪変性、化学火傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染,帯状疱疹感染、原虫症、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン周辺角膜変性症、辺縁角膜炎、関節リウマチ、全身性狼瘡、多発性動脈炎、トラウマ、ウェゲナーのサルコイドーシス、強膜炎、スティーブンス-ジョンソン症候群、類天疱瘡放射状角膜切開術、及び角膜グラフ(graph)拒絶が含まれる。
【0127】
血管漏出の増加、動脈瘤及び毛細血管脱落を含む、脈絡膜血管新生及び網膜血管系の欠陥に関連する例示的な眼疾患には、限定されないが、糖尿病性網膜症、黄斑変性、鎌状赤血球貧血、サルコイド、梅毒、弾力線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頸動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎/硝子体炎、マイコバクテリア感染症、ライム病、全身性エリテマトーデス、未熟児網膜症、網膜浮腫(黄斑浮腫を含む)、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎又は脈絡膜炎を引き起こす感染症(例えば、多焦点脈絡膜)、推定眼ヒストプラズマ症、ベスト病(硝子体黄斑変性)、近視、視神経乳頭、扁平部炎、網膜剥離(例えば、慢性網膜剥離)、過粘度症候群、トキソプラスマ症、外傷、及びレーザー後合併症が含まれる。
【0128】
網膜組織の萎縮に関連する例示的な疾患(光受容体及びその下のRPE)には、限定されないが、萎縮性又は非滲出性AMD(例えば、地図状萎縮又は進行性乾燥型AMD)、黄斑萎縮(例えば、新生血管形成及び/又は地図状萎縮に関連する萎縮)、糖尿病性網膜症、シュタルガルト病、ソースビー眼底ジストロフィー、網膜分離症及び網膜色素変性症が含まれる。
【0129】
例示的な炎症状態には、喘息(例えば、アレルギー性喘息、運動誘発性喘息、アスピリン感受性/増悪喘息、アトピー性喘息、重度喘息、軽度喘息、中等度から重度喘息、コルチコステロイド未使用喘息、慢性喘息、コルチコステロイド抵抗性喘息、コルチコステロイド難治性喘息、新たに診断された未治療の喘息、喫煙による喘息、コルチコステロイドで制御されない喘息等)、気道炎症、気道反応性亢進、気道過敏性、鼻副鼻腔炎、ポリープを伴う鼻副鼻腔炎、鼻ポリポーシス、関節炎(例えば、変形性関節症、関節リウマチ、コラーゲン誘発性関節炎、外傷による関節炎等)、好酸球性炎症、マスト細胞媒介性炎症性疾患、敗血症、敗血症性ショック、血清反応陰性の腱鞘炎及び関節症(SEA)症候群、骨粗鬆症、好酸球性食道炎、強皮症、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、水疱性類天疱瘡、慢性じん麻疹、軟骨炎、リウマチ性多発筋痛症、結節性多発動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、ベーチェット病、筋炎(myolitis)、多発性筋炎(polymyolitis)、皮膚筋炎(dermatomyolitis)、皮膚筋炎、脈管炎、動脈炎、糖尿病性腎症、間質性膀胱炎、移植片対宿主病(GVHD)、胃腸の炎症状態(例えば、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)、大腸炎(例えば、外界からの刺激によって引き起こされる大腸炎(例えば、化学療法、放射線療法等の治療レジメンに起因又は関連する)、感染性大腸炎、虚血性大腸炎、膠原性又はリンパ球性大腸炎、壊死性腸炎、慢性肉芽腫症やセリアック病等の状態の大腸炎、食物アレルギー、胃炎、感染性胃炎又は腸炎(例えば、ヘリコバクター・ピロリに感染した慢性活動性胃炎)、及び感染因子によって引き起こされるその他の形態の胃腸炎)、及び炎症性肺疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、好酸球性肺炎症、感染誘発性肺疾患(ウイルス(インフルエンザ、パラインフルエンザ、ロタウイルス、ヒトメタニューモウイルス、及び呼吸器合胞体ウイルス等)、細菌、真菌(アスペルギルス等)、寄生虫、又はプリオン感染、アレルゲン誘発性肺疾患、汚染物質誘発性肺疾患(例えば、石綿肺症、珪肺症、又はベリリウム肺症)、胃吸引誘発性肺疾患、免疫調節不全、嚢胞性線維症等の遺伝的素因を伴う炎症状態、物理的外傷による肺疾患(人工呼吸器による損傷等)、肺気腫、気管支炎、サルコイドーシス、組織球症、リンパ管筋腫症、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群、慢性肺疾患、気管支肺異形成、肺炎(例えば、市中肺炎、院内肺炎、人工呼吸器関連肺炎、ウイルス性肺炎、細菌性肺炎、重症肺炎)、気道増悪、及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に関連するものを含む)が含まれる。
【0130】
例示的な免疫疾患には、マスト細胞によって少なくとも部分的に媒介されるもの、例えば、喘息(アレルギー性喘息等)、湿疹、かゆみ、アレルギー、アトピー性アレルギー、アナフィラキシー、アナフィラキシー性ショック、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、並びに関節リウマチ、若年性関節リウマチ、乾癬性関節炎、膵炎、乾癬、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆性乾癬、膿疱性乾癬、紅皮症性乾癬、腫瘍随伴性自己免疫疾患、自己免疫性肝炎、水疱性類天疱瘡、重症筋無力症、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、甲状腺炎(バセドウ病等)、シェーグレン症候群、ギラン・バレー病、レイノー現象、アジソン病、肝疾患(例えば、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、非アルコール性脂肪肝疾患、及び非アルコール性脂肪性肝炎)、及び糖尿病(例えば、I型糖尿病)を含む自己免疫疾患が含まれる。
本明細書で使用される「線維性障害」及び「線維症」という用語は、臓器又は組織における過剰な線維性結合組織の形成を伴う状態を指す。例示的な線維性障害には、肺線維症、肝線維症(例えば、肝硬変(例えば、アルコール誘導性肝硬変、ウイルス誘導性肝硬変、C型肝炎後肝硬変、肝硬変、及び原発性胆汁性肝硬変)と関連する線維症、住血吸虫症、胆管炎(例えば、硬化性胆管炎)、及び自己免疫誘導性肝炎)、腎臓線維症(例えば、尿細管間質線維症、強皮症、糖尿病性腎炎、及び糸球体腎炎)、皮膚線維症(例えば、強皮症、肥厚性及びケロイド瘢痕、腎性線維化性皮膚症、並びに熱傷)、骨髄線維症、神経線維腫症、線維腫、腸管線維症、及び外科処置に起因する線維性癒着)、心臓線維症(例えば、心筋梗塞と関連する線維症)、血管線維症(例えば、血管形成術後動脈再狭窄及びアテローム性動脈硬化症と関連する線維症)、眼線維症(例えば、白内障手術後の増殖性硝子体網膜症と関連する線維症、及び後眼窩線維症)、並びに骨髄線維症(例えば、特発性骨髄線維症及び薬物誘発性骨髄線維症)が含まれる。線維症は、臓器特異性又は全身性(例えば、全身性硬化症、及びGVHDと関連する線維症)でありうる。
【0131】
肺線維症の例には、例えば、特発性肺線維症と関連する肺(lung)又は肺(pulmonary)線維症、膠原血管病を伴う線維症、ヘルマンスキー・パドラック症候群、成人性呼吸窮迫症候群、非特異性間質性肺炎、呼吸器細気管支炎、サルコイドーシス、ヒスチオサイトーシスX、閉塞性細気管支炎、及び原因不明の器質化肺炎が含まれる。一実施形態では、肺線維症は、特発性肺線維症である。
【0132】
本明細書で使用される「好酸球障害」は、身体における局所的又は全身的な好酸球のレベル又は活性に起因して非定型症状が現れうる過剰な好酸球数に関連付けられる障害である。好酸球性障害には、限定されないが、喘息(アスピリン感受性喘息、アトピー性喘息、重度喘息を含む)、好酸球性炎症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎(季節性アレルギー性鼻炎を含む)、非アレルギー性鼻炎、慢性好酸球性肺炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、セリアック病、チャーグ・ストラウス症候群(結節性動脈周囲炎+アトピー)、好酸球性筋肉痛症候群、好酸球増多症候群、エピソード性血管浮腫を含む浮腫反応、好酸球が保護的な役割を果たしている可能性がある蠕虫感染症、オンコセルカ皮膚炎;好酸球性食道炎、好酸球性胃炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性腸炎及び好酸球性大腸炎を含むがこれらに限定されない好酸球関連胃腸障害(EGID)、鼻微小ポリポーシス及びポリポーシス、アスピリン不耐性、及び閉塞性睡眠時無呼吸が含まれる。好酸球由来の分泌物は、腫瘍における血管新生と結合組織形成の促進、及び慢性喘息、クローン病、強皮症、心内膜線維症などの状態で見られる線維化反応にも関連している(Munitz et al.Allergy 59:268-275,2004;Adamko et al.Allergy 60:13-22,2005;Oldhoff et al.Allergy 60:693-696,2005)。他の例には、がん(例えば、膠芽細胞腫(多形神経膠芽腫等)及び非ホジキンリンパ腫(NHL))、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、炎症性腸疾患、線維症(例えば、肺線維症(例えば、特発性肺線維症(IPF)、及び硬化症に二次的な肺線維症)及び肝線維症)、及びCOPDが含まれる。
【0133】
上記リストは包括的なものではなく、当業者であれば、疾患又は障害が種々のカテゴリーに入りうることを理解するであろう。例えば、喘息は、一部の事例では炎症障害及び免疫疾患の両方に分類されることがあり、一部の臨床医によっては自己免疫疾患であると見なされうる。
【0134】
「ST2結合アンタゴニスト」という用語は、ST2と、IL-33、IL1RAcP、及び/又は第2のST2分子との相互作用を阻害する分子を指す。ST2結合アンタゴニストは、リンカー(例えば、セリン-グリセリン(SG)リンカー、グリシン-グリシン(GG)リンカー、又はこれらのバリアント(例えば、SGG、GGS、SGS、又はGSGリンカー))を通して直接的に又は間接的に互いに結合する、IL-33結合ドメイン(例えば、ST2又はIL1RAcPタンパク質の全部又は一部)及び多量化ドメイン(例えば、免疫グロブリンのFc部分、例えば、アイソタイプlgG1、lgG2、lgG3、及びlgG4、並びに各アイソタイプ群内の任意のアロタイプから選択されるIgGのFcドメイン)を含む「ST2-Fcタンパク質」等のタンパク質であってよく、これには、限定されないが、各々が参照によりその全体が本明細書に援用される国際公開第2013/173761号、国際公開第2013/165894号、及び国際公開第2014/152195号に記載されるST2-Fcタンパク質及びこれらのバリアントが含まれる。いくつかの実施形態では、ST2結合アンタゴニストは、抗ST2抗体、例えば、アステゴリマブ、AMG-282(Amgen)若しくはSTLM15(Janssen)、又は国際公開第2013/173761号及び国際公開第2013/165894号に記載される抗ST2抗体のいずれかでありうる。
【0135】
「単離された核酸」は、その自然環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸は、核酸分子を通常含む細胞に含まれる核酸分子を含むが、その核酸分子は、染色体外に、又はその自然の染色体上の位置とは異なる染色体位置に存在している。
【0136】
用語「制御配列」は、特定の宿主生物中において動作可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。原核生物に適した制御配列には、例えば、プロモーター、任意選択的にオペレーター配列、及びリボソーム結合部位が含まれる。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサーを利用することが知られている。
【0137】
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」および「宿主細胞培養物」は交換可能に使用され、外因性の核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞は、「形質転換体」及び「形質転換された細胞」を含み、それには初代形質転換細胞と、継代の数に関係なくそれに由来する子孫とが含まれる。子孫は、親細胞と核酸含量が完全に同一でなくてもよく、突異を含んでいてもよい。元の形質転換細胞においてスクリーニング又は選択されたものと同じ機能又は生物活性を有する変異子孫が、本明細書に含まれる。宿主細胞は、その自然環境の成分から分離された宿主細胞を指す「単離された宿主細胞」でありうる。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、ヒト又はレート(rate)由来でありうる。
【0138】
核酸は、別の核酸配列と機能的関係に置かれるとき、「作用可能に連結され」る。例えば、プレ配列又は分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドのDNAに動作可能に連結されているか;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を与える場合、コード配列に動作可能に連結されているか;又はリボソーム結合部位は、翻訳を容易にするように配置されている場合、コード配列に動作可能に連結されている。通常、「動作可能に連結」とは、連結されるDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には、近接しており且つ読み取りフェーズにあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは必ずしも近接している必要はない。連結は、都合のよい制限部位におけるライゲーションによって達成される。そのような部位が存在しない場合、慣行に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーが使用される。
【0139】
参照ポリペプチド配列に対する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、配列をアライメントし、最大の配列同一性パーセントを達成するために必要であればギャップを導入した後、アライメントのためにいかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮せずに、参照ポリペプチド配列内のアミノ酸残基と同一である候補配列内のアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアライメントは、当分野の技術範囲内にある種々の方法、例えば、BLAST、BLAST-2、Clustal W、Megalign(DNASTAR)ソフトウェア又はFASTAプログラムパッケージ等の公的に入受可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者であれば、比較される配列の完全長に対して最大の整列を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適切なパラメーターを決定することができる。代替的に、同一性パーセント値は、配列比較コンピュータープログラムALIGN-2を使用して生成することができる。ALIGN-2配列比較コンピュータープログラムはジェネンテック社によって作成されたもので、そのソースコードは、ユーザー向け文書と共に米国著作権庁(Washington D.C.,20559)に提出されて、米国著作権登録番号TXU510087の下に登録されており、国際公開第2001/007611号に記載されている。
【0140】
別途指示がない限り、本明細書における目的のために、アミノ酸配列同一性パーセントの値は、FASTAパッケージバージョン36.3.8cのggsearchプログラムを使用して、又はその後BLOSUM50比較行列を用いて生成される。FASTAプログラムパッケージは、W.R.Pearson and D.J.Lipman(1988),“Improved Tools for Biological Sequence Analysis”,PNAS 85:24442448;W.R.Pearson(1996)“Effective protein sequence comparison”Meth.Enzymol.266:227-258;及びPearson et.al.(1997)Genomics 46:2436によって作成され、www.fasta.bioch.virginia.edu/fasta_www2/fasta_down.shtml又はwww.ebi.ac.uk/Tools/sss/fasta.から公的に入手可能である。代替的に、fasta.bioch.virginia.edu/fasta_www2/index.cgiからアクセスできるパブリックサーバーを使用し、ggsearch(globalprotein:protein)プログラム及びデフォルトオプション(BLOSUM50;open:-10;ext:-2;Ktup=2)を使用して、ローカルではなくグローバルのアライメントを確実に実施することで、これら配列を比較することができる。アミノ酸同一性パーセントは、出力アラインメントヘッダ中に与えられる。本明細書に記載されるアミノ酸配列は、別途指定のない限り、近接したアミノ酸配列である。
【0141】
「添付文書」という用語は、診断用又は治療用製品の市販のパッケージに慣例的に含まれている説明書を指すために使用され、そのような製品の使用に関する適応症、使用法、用量、投与、併用療法、禁忌及び/又は警告に関する情報を含む。
用語「薬学的組成物」は、中に含まれる有効成分の生物活性を有効にするような形態であり、その製剤が投与されるであろう対象にとって許容できないほど毒性である追加の成分を何も含有しない調製物を指す。
【0142】
「薬学的に許容される担体」は、有効成分以外の薬学的製剤の成分であって、対象に対して非毒性である成分を指す。薬学的に許容される担体には、限定されないが、バッファー、賦形剤、安定剤又は防腐剤を含む。
【0143】
「低減する又は阻害する」とは、好ましくは20%以上、より好ましくは50%以上、最も好ましくは75%、85%、90%、95%、又はそれ以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。低減する又は阻害するとは、治療されている障害の症状、転移の存在若しくはサイズ、及び/又は原発腫瘍のサイズに言及しうる。
【0144】
「対象」は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。哺乳動物には、限定されないが、家畜(例えばウシ、及びヒツジ)、競技用動物、ペット(例えばネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト及びサル等の非ヒト霊長類)、及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗IL-33抗体は、対象におけるIL-33の存在又はレベル、特に、ヒト対象におけるヒトIL-33の存在又はレベルを決定するために使用される。
【0145】
「治療的有効量」という用語は、対象の疾患又は障害を治療するための、化合物(例えば、本明細書で提供される抗IL-33軸結合アンタゴニスト、例えば、抗IL-33抗体(抗体断片、例えばFab断片を含む)又は本明細書で提供される抗IL-33抗体をコードする核酸)又は組成物(例えば、本明細書で提供される薬学的組成物、例えば、IL-33軸結合アンタゴニスト、例えば抗IL-33抗体を含む薬学的組成物)の量を指す。IL-33媒介性障害の場合、治療的有効量のIL-33軸結合アンタゴニスト、例えば、抗体又は抗体断片(例えば、IL-33と第2の生体分子に結合する二重特異性抗IL-33抗体、例えば、IL-13、例えば、二重特異性抗IL-33抗体/抗IL-13抗体を含む、抗IL-33抗体)は、疾患を改善若しくは治療するか、又は疾患に関連する症状を予防、軽減、改善、若しくは治療する可能性がある。増殖性疾患(例えば、固形腫瘍)の場合、治療的有効量の抗体又は抗体断片は、細胞の数を低減する;原発腫瘍サイズを低減する;末梢臓器へのがん細胞浸潤を阻害する(すなわち、ある程度遅らせ、好ましくは停止する);腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度遅らせ、好ましくは停止する);腫瘍増殖をある程度阻害する;及び/又は障害に関連する症状のうちの1つ又は複数をある程度軽減しうる。抗体又は抗体断片が増殖を防ぐ及び/又は既存のがん細胞を死滅させることのできる範囲で、この量は細胞分裂停止性及び/又は細胞傷害性でありうる。がん治療法の場合、in vivoでの有効性は、例えば、生存期間、無増悪期間(TTP)、無病生存期間(DFS)、無増悪生存期間(PFS)、奏功率(RR)、奏功期間、及び/又は生活の質を評価することにより測定することができる。
【0146】
本明細書で使用される「治療(treatment)」(及び「治療する(treat)」又は「治療すること(treating)といったその文法的変形」)は、治療される個体の自然な経過を変える試みにおける臨床的介入を指し、予防のために、又は臨床病理の経過の間に実施することができる。治療の望ましい効果には、限定されないが、疾患の発症若しくは再発を予防すること、症状の緩和、疾患の直接的又は間接的な病理学的帰結の縮小、転移を予防すること、疾患進行の速度を低下させること、病状の改善若しくは緩和、及び寛解又は予後の改善が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体は、疾患の発症を遅延させるため又は疾患の進行を遅らせるために使用される。例えば、喘息の治療を受けた後、患者が以下の1つ又は複数の観察可能な及び/又は測定可能な低減を示すか、又はそれらの1つ若しくは複数が存在しない場合、患者は喘息の「治療」に成功しているといえる:再発性の喘鳴、咳、呼吸困難、胸の圧迫感、夜間に発生又は悪化する症状、冷たい空気、運動、又はアレルゲンへの曝露によって引き起こされる症状。
【0147】
本明細書において使用される「腫瘍」は、悪性又は良性を問わず、すべての腫瘍性細胞成長及び増殖、並びにすべての前がん性及びがん性の細胞及び組織を指す。
【0148】
本明細書で使用される用語「ベクター」は、結合している別の核酸を運搬することのできる核酸分子を指すことが意図される。ベクターの1つの種類は「プラスミド」であり、これは、さらなるDNAセグメントがライゲーションされうる環状二本鎖DNAループを指す。別の種類のベクターは、ファージベクターである。別のタイプのベクターは、さらなるDNAセグメントがウイルスゲノム中にライゲートされうるウイルスベクターである。一部のベクターは、それらが導入される宿主細胞内で自己複製することができる(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それにより、宿主ゲノムとともに複製される。さらに、一部のベクターは、それらが動作可能に連結されている遺伝子の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書では「組み換え発現ベクター」(又は単に「組み換えベクター」若しくは「発現ベクター」)と呼ばれる。一般に、組み換えDNA技術において有用な発現ベクターは、多くの場合プラスミドの形態である。本明細書において、「プラスミド」及び「ベクター」は、交換可能に使用されうる。
【0149】
用語「検出」は、直接的及び間接的な検出を含む検出する任意の手段を含む。
【0150】
「診断」という用語は、本明細書では、分子的又は病理学的状態、疾患、又は状態(例えば、IL-33媒介性障害)の同定又は分類を指すために使用される。例えば、「診断」は、特定の種類のIL-33媒介性障害の同定を指す場合がある。「診断」は、例えば、病理組織学的基準によるか、又は分子的特徴(例えば、バイオマーカー(例えば、特定の遺伝子又は前記遺伝子によってコードされるタンパク質)の1つ又は組み合わせの発現によって特徴付けられるサブタイプ)による、特定のサブタイプのIL-33媒介性障害の分類を指す場合もある。
【0151】
「発現のレベル」、又は「発現レベル」という用語は、一般に、交換可能に使用され、概して、生物学的試料中のポリヌクレオチド、mRNA、又はアミノ酸生成物又はタンパク質の量を指す。「発現」は、概して、遺伝子コード情報を、細胞内に存在して動作する構造体へと転換するプロセスを指す。したがって、本発明によれば、遺伝子(IL-33遺伝子)の「発現」は、ポリヌクレオチドへの転写、タンパク質への翻訳、又は場合によってはタンパク質の翻訳後修飾を指すことがある。転写されたポリヌクレオチド、翻訳されたタンパク質、又は翻訳後修飾されたタンパク質の断片も、選択的スプライシングにより生成された転写物、又は分解された転写物に由来するか、又は例えばタンパク質分解によるタンパク質の翻訳後プロセシングに由来するかを問わず、発現したとみなされるべきである。いくつかの実施形態では、「発現レベル」は、免疫組織化学(IHC)、免疫ブロット法(例えば、ウエスタンブロット法)、免疫蛍光(IF)、フローサイトメトリー、例えば蛍光活性化セルソーティング(FACSTM)、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、又は免疫ポリメラーゼ連鎖反応(iPCR)を含むがこれらに限定されない当技術で既知の方法又は本明細書に記載される方法を使用して決定した場合の、生物学的試料中のタンパク質(例えば、IL-33)の量を指す。
【0152】
「発現の増加」、「発現レベルの増加」、「レベルの上昇」、「発現の増加」、「発現レベルの上昇」、又は「レベルの上昇」は、疾患若しくは障害(例えば、がん)に罹患していない1つ又は複数の個体又は内部標準(例えば、ハウスキーピングバイオマーカー)等のコントロールに対する、個体におけるバイオマーカーの発現の増加又はレベルの上昇を指す。
【0153】
「発現の減少」、「発現レベルの低下」、「レベルの低下」、「発現の低減」、「発現レベルの低減」、又は「レベルの低下」は、疾患若しくは障害(例えば、がん)に罹患していない1つ又は複数の個体又は内部標準(例えば、ハウスキーピングバイオマーカー)等のコントロールに対する、比較した個体におけるバイオマーカーの発現の減少又はレベルの低下を指す。いくつかの実施形態では、発現の減少は、発現がほとんど又はまったくないことである。
【0154】
本明細書で使用される「標識」という語は、ポリヌクレオチドプローブ等の試薬又は抗体に直接的又は間接的にコンジュゲート又は融合され、コンジュゲート又は融合される試薬の検出を容易にする化合物又は組成物を指す。標識は、それ自体が検出可能(例えば、放射性同位体標識又は蛍光標識)であってよいか、又は酵素的標識の場合、検出可能な基質化合物若しくは組成物の化学変性を触媒しうる。この用語は、検出可能な物質をプローブ又は抗体にカップリングする(すなわち、物理的に連結する)ことによるプローブ又は抗体の直接標識、並びに直接標識される別の試薬との反応性によるプローブ又は抗体の間接標識を包含することを意図している。間接標識化の例には、蛍光標識された二次抗体を使用した一次抗体の検出、及び蛍光標識されたストレプトアビジンで検出できるようにビオチンでDNAプローブを末端標識することが含まれる。
【0155】
本明細書で使用される「基準試料」、「基準細胞」、「基準組織」、「基準レベル」、「コントロール試料」、「コントロール細胞」、又は「コントロール組織」は、比較目的のために使用される試料、細胞、組織、標準物、又はレベルを指す。一実施形態では、基準試料、基準細胞、基準組織、コントロール試料、コントロール細胞、又はコントロール組織は、同じ対象又は個体の身体(例えば、組織又は細胞)の健常な及び/又は非疾患性の部分から得られる。例えば、基準試料、基準細胞、基準組織、コントロール試料、コントロール細胞、又はコントロール組織は、疾患細胞又は組織に隣接する健常な及び/又は非疾患性の細胞若しくは組織(例えば、腫瘍に隣接する細胞又は組織)でありうる。別の実施形態では、基準試料は、同じ対象又は個体の身体の未処理組織及び/又は細胞から得られる。また別の実施形態では、基準試料、基準細胞、基準組織、コントロール試料、コントロール細胞、又はコントロール組織は、対象又は個体ではない個体の身体(例えば、組織又は細胞)の、健常な及び/又は非疾患性の部分から得られる。さらに別の実施形態では、基準試料、基準細胞、基準組織、コントロール試料、コントロール細胞、又はコントロール組織は、対象又は個体ではない個体の身体の未処理組織及び/又は細胞から得られる。
【0156】
II.組成物及び方法
一態様では、本発明は、少なくとも部分的に、IL-33に結合する改良された抗体に基づく。本明細書で提供される抗体は、特に還元された状態のIL-33(例えば、還元型IL-33;例えば、還元型ヒトIL-33(hIL-33))又はインターロイキン1受容体様1に関連付けられるIL-33(ST2;例えば、可溶型ST2(sST2);例えば、ヒトsST2(hsST2))への高い親和性を含め、予想外に有利な特性を有する。例えば、本明細書に開示される抗体は、表面プラズモン共鳴(SPR)、ELISA、又は免疫ポリメラーゼ連鎖反応(iPCR)を使用して評価した場合に、酸化型IL-33(例えば、hIL-33)と実質的に同じ結合親和性(例えば、KD)で、還元型IL-33(例えば、hIL-33)に特異的に結合しうる。さらに、本明細書に開示される抗体は、SPR、ELISA、又はiPCRを使用して評価した場合に、結合していないIL-33(例えば、hIL-33)と実質的に同じ結合親和性で、ST2(例えば、sST2又はhsST2)に結合したIL-33(例えば、hIL-33)に特異的に結合しうる。さらに、本明細書で提供される抗体は、例えば、SPR、ELISA、又はiPCRを使用して評価した場合に、ヒト及びカニクイザル(cyno)のIL-33にも高い親和性で結合する。上述の予想外に好ましい特性(還元型及び酸化型両方のIL-33とST2に結合していないIL-33及び結合したIL-33の両方への結合能を含む)は、生化学的アッセイ(例えば、高感度の生理状態におけるIL-33の存在を検出するための;例えば、ELISA又はiPCRを使用する)において、特に有利である。例えば、いずれの理論にも束縛されることを望まないが、本明細書に開示される抗体は、ナノモル未満のKDで生理学的に関連する形態のhIL-33に結合しうる。
【0157】
A.例示的抗IL-33抗体
いくつかの態様では、本発明は、IL-33に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の抗原結合分子は、表1に示す少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つすべてのCDRを含む。いくつかの事例では、抗体又はその抗原結合断片は、表1のVH及び/又はVLを含む。いくつかの事例では、抗体は、表1に示されるHC及び/又はLCを含む。
【0158】
表1.IL-33に対する抗原結合分子の配列番号のリスト
【0159】
一例において、本明細書で提供されるのは、(a)SQNVH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)RMRFNGDTSYNSTLKS(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)QRDNYGSYYFDD(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)RASESVLTLLN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)LASHLES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QQSWIDPWT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3、又は上記CDRの1つ若しくは複数の組み合わせから選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、若しくは6つのCDR、及び/又は配列番号1~6のいずれか1つに対して少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するそれらの1つ若しくは複数のバリアントを含む抗IL-33抗体又はその抗原結合断片である。例えば、いくつかの事例では、抗IL-33抗体は、(a)SQNVH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)RMRFNGDTSYNSTLKS(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)QRDNYGSYYFDD(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)RASESVLTLLN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)LASHLES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QQSWIDPWT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのCDRを含む。
【0160】
別の例において、本明細書で提供されるのは、(a)QVQLEESGPGLVQPSQTLSLTCTVSGFSLTSQNVHWVRQPPGKGLEWMGRMRFNGDTSYNSTLKSRLSISRDTSKNQVFLRLNSLQTDDTGTYYCARQRDNYGSYYFDDWGQGIMVTVSS(配列番号7)のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列若しくは配列番号7の配列を有するVHドメイン、又は;(b)DTVLTQSPALAVSPGERVTISCRASESVLTLLNWYQQKPGQHPKLLIYLASHLESGVPARFSGRGSGTDFTLTIDPVEADDTASYYCQQSWIDPWTFGGGTTLELK(配列番号8)のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列若しくは配列番号8の配列を有するVLドメイン;又は(c)(a)のVHドメインと(b)のVLドメインを含む抗IL-33抗体若しくはその抗原結合断片である。
【0161】
本明細書で提供される抗IL-33抗体又はその抗原結合断片はいずれも、以下の重鎖フレームワーク領域:QVQLEESGPGLVQPSQTLSLTCTVSGFSLT(配列番号11)のアミノ酸配列を含むFR-H1;WVRQPPGKGLEWMG(配列番号12)アミノ酸配列を含むFR-H2;RLSISRDTSKNQVFLRLNSLQTDDTGTYYCAR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGQGIMVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの1つ、2つ、3つ、若しくは4つ、又は上記FRの1つ若しくは複数の組み合わせ、及び/又は配列番号11~14のいずれか1つに対して少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するそれらの1つ若しくは複数のバリアントを含みうる。いくつかの事例では、抗IL-33抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:QVQLEESGPGLVQPSQTLSLTCTVSGFSLT(配列番号11)のアミノ酸配列を含むFR-H1;WVRQPPGKGLEWMG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RLSISRDTSKNQVFLRLNSLQTDDTGTYYCAR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGQGIMVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの1つ、2つ、3つ、又は4つを含みうる。いくつかの実施形態では、VHドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。
【0162】
本明細書で提供される抗IL-33抗体又はその抗原結合断片はいずれも、以下の軽鎖フレームワーク領域:DTVLTQSPALAVSPGERVTISC(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-L1;WYQQKPGQHPKLLIY(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-L2;GVPARFSGRGSGTDFTLTIDPVEADDTASYYC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及びFGGGTTLELK(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの1つ、2つ、3つ、若しくは4つ、又は上記FRの1つ若しくは複数の組み合わせ、及び/又は配列番号15~18のいずれか1つに対して少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するそれらの1つ若しくは複数のバリアントを含みうる。いくつかの事例では、抗IL-33抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域:DTVLTQSPALAVSPGERVTISC(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-L1;WYQQKPGQHPKLLIY(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-L2;GVPARFSGRGSGTDFTLTIDPVEADDTASYYC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及びFGGGTTLELK(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの1つ、2つ、3つ、又は4つを含みうる。いくつかの事例では、VLドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。
【0163】
別の例において、本明細書で提供されるのは、(a)QVQLEESGPGLVQPSQTLSLTCTVSGFSLTSQNVHWVRQPPGKGLEWMGRMRFNGDTSYNSTLKSRLSISRDTSKNQVFLRLNSLQTDDTGTYYCARQRDNYGSYYFDDWGQGIMVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号9)のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、若しくは配列番号9の配列を含む重鎖(HC);(b)DTVLTQSPALAVSPGERVTISCRASESVLTLLNWYQQKPGQHPKLLIYLASHLESGVPARFSGRGSGTDFTLTIDPVEADDTASYYCQQSWIDPWTFGGGTTLELKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号10)のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、若しくは配列番号10の配列を含む軽鎖(LC);又は(c)(a)のHCと(b)のLCを含む抗IL-33抗体である。
【0164】
例えば、抗IL-33抗体は、(a)SQNVH(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)RMRFNGDTSYNSTLKS(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)QRDNYGSYYFDD(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)RASESVLTLLN(配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)LASHLES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QQSWIDPWT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含みうる。いくつかの事例では、抗IL-33抗体は、(a)配列番号7に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、若しくは配列番号7の配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;(b)配列番号8に対して少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、若しくは配列番号8の配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は(c)(a)のVHドメインと(b)のVLドメインを含む。いくつかの事例では、抗IL-33抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:QVQLEESGPGLVQPSQTLSLTCTVSGFSLT(配列番号11)のアミノ酸配列を含むFR-H1;WVRQPPGKGLEWMG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RLSISRDTSKNQVFLRLNSLQTDDTGTYYCAR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGQGIMVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。いくつかの事例では、抗IL-33抗体は、以下の軽鎖フレームワーク:DTVLTQSPALAVSPGERVTISC(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-L1;WYQQKPGQHPKLLIY(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-L2;GVPARFSGRGSGTDFTLTIDPVEADDTASYYC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及びFGGGTTLELK(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L4領域を含む。いくつかの事例では、抗IL-33抗体は、(a)配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む結合ドメインを含む。いくつかの事例では、例示的な抗IL-33抗体は、3F10である。
【0165】
例えば、本明細書で提供されるのは、IL-33に特異的に結合する単離された抗体、又はその抗原結合断片であり、この抗体は、(a)配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの事例では、例示的な抗IL-33抗体は、3F10である。
【0166】
別の例において、本明細書で提供されるのは、IL-33に特異的に結合する単離された抗体、又はその抗原結合断片であり、この抗体は、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)及び(b)配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)を含む。いくつかの事例では、例示的な抗IL-33抗体は、3F10である。
【0167】
一例において、本明細書で提供されるのは、(a)DFWMS(配列番号19)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)DIKNDGSHTKYAPSLQN(配列番号20)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)VGGTYTAYY(配列番号21)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)RTSQGINTYLN(配列番号22)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)YTSNLES(配列番号23)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QQYASSPWT(配列番号24)のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、若しくは6つのCDR、又は上記CDRの1つ若しくは複数の組み合わせ及び/又は配列番号19~24のいずれか1つに対して少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するそれらの1つ若しくは複数のバリアントを含む抗IL-33抗体又はその抗原結合断片である。例えば、いくつかの事例では、抗IL-33抗体は、(a)DFWMS(配列番号19)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)DIKNDGSHTKYAPSLQN(配列番号20)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)VGGTYTAYY(配列番号21)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)RTSQGINTYLN(配列番号22)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)YTSNLES(配列番号23)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QQYASSPWT(配列番号24)のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのCDRを含む。
【0168】
別の例において、本明細書で提供されるのは、(a)EVQLVESGGGLVQPGTSLKLSCVASGFTFSDFWMSWVRQTPGKTMEWIADIKNDGSHTKYAPSLQNRFTISRDNAKNTLYLEVTDVRSEDTATYYCTRVGGTYTAYYWGHGVMVTVSS(配列番号25)のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列若しくは配列番号25の配列を有するVHドメイン、又は;(b)DIQMTQTPSSMPASLGERVTLSCRTSQGINTYLNWYQQKPDGTITPLIHYTSNLESGVPSRFSGSGFGTDYFLTISSLEPEDFAMYFCQQYASSPWTFGGGTKLELK(配列番号26)のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列若しくは配列番号26の配列を有するVLドメイン;又は(c)(a)のVHドメインと(b)のVLドメインを含む抗IL-33抗体又はその抗原結合断片である。
【0169】
本明細書で提供される抗IL-33抗体又はその抗原結合断片はいずれも、以下の重鎖フレームワーク領域:EVQLVESGGGLVQPGTSLKLSCVASGFTFS(配列番号29)のアミノ酸配列を含むFR-H1;WVRQTPGKTMEWI(配列番号30)アミノ酸配列を含むFR-H2;RFTISRDNAKNTLYLEVTDVRSEDTATYYCTR(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGHGVMVTVSS(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの1つ、2つ、3つ、若しくは4つ、又は上記FRの1つ若しくは複数の組み合わせ、及び/又は配列番号29~32のいずれか1つに対して少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するそれらの1つ若しくは複数のバリアントを含みうる。いくつかの事例では、抗IL-33抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:EVQLVESGGGLVQPGTSLKLSCVASGFTFS(配列番号29)のアミノ酸配列を含むFR-H1;WVRQTPGKTMEWI(配列番号30)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RFTISRDNAKNTLYLEVTDVRSEDTATYYCTR(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGHGVMVTVSS(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの1つ、2つ、3つ、又は4つを含みうる。いくつかの実施形態では、VHドメインは、配列番号25のアミノ酸配列を含む。
【0170】
本明細書で提供される抗IL-33抗体又はその抗原結合断片はいずれも、以下の軽鎖フレームワーク領域:DIQMTQTPSSMPASLGERVTLSC(配列番号33)のアミノ酸配列を含むFR-L1;WYQQKPDGTITPLIH(配列番号34)のアミノ酸配列を含むFR-L2;GVPSRFSGSGFGTDYFLTISSLEPEDFAMYFC(配列番号35)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及びFGGGTKLELK(配列番号36)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの1つ、2つ、3つ、若しくは4つ、又は上記FRの1つ若しくは複数の組み合わせ、及び/又は配列番号33~36のいずれか1つに対して少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性)を有するそれらの1つ若しくは複数のバリアントを含みうる。いくつかの事例では、抗IL-33抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域:DIQMTQTPSSMPASLGERVTLSC(配列番号33)のアミノ酸配列を含むFR-L1;WYQQKPDGTITPLIH(配列番号34)のアミノ酸配列を含むFR-L2;GVPSRFSGSGFGTDYFLTISSLEPEDFAMYFC(配列番号35)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及びFGGGTKLELK(配列番号36)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの1つ、2つ、3つ、又は4つを含みうる。いくつかの事例では、VLドメインは、配列番号26のアミノ酸配列を含む。
【0171】
別の例において、本明細書で提供されるのは、(a)EVQLVESGGGLVQPGTSLKLSCVASGFTFSDFWMSWVRQTPGKTMEWIADIKNDGSHTKYAPSLQNRFTISRDNAKNTLYLEVTDVRSEDTATYYCTRVGGTYTAYYWGHGVMVTVSSAETTAPSVYPLAPGTALKSNSMVTLGCLVKGYFPEPVTVTWNSGALSSGVHTFPAVLQSGLYTLTSSVTVPSSTWSSQAVTCNVAHPASSTKVDKKIVPRECNPCGCTGSEVSSVFIFPPKTKDVLTITLTPKVTCVVVDISQNDPEVRFSWFIDDVEVHTAQTHAPEKQSNSTLRSVSELPIVHRDWLNGKTFKCKVNSGAFPAPIEKSISKPEGTPRGPQVYTMAPPKEEMTQSQVSITCMVKGFYPPDIYTEWKMNGQPQENYKNTPPTMDTDGSYFLYSKLNVKKETWQQGNTFTCSVLHEGLHNHHTEKSLSHSPGK(配列番号27)のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、若しくは配列番号27の配列を含む重鎖(HC);(b)DIQMTQTPSSMPASLGERVTLSCRTSQGINTYLNWYQQKPDGTITPLIHYTSNLESGVPSRFSGSGFGTDYFLTISSLEPEDFAMYFCQQYASSPWTFGGGTKLELKKRADAAPTVSIFPPSMEQLTSGGATVVCFVNNFYPRDISVKWKIDGSEQRDGVLDSVTDQDSKDSTYSMSSTLSLTKVEYERHNLYTCEVVHKTSSSPVVKSFNRNEC(配列番号28)のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、若しくは配列番号28の配列を含む軽鎖(LC);又は(c)(a)のHCと(b)のLCを含む抗IL-33抗体である。
【0172】
例えば、抗IL-33抗体は、(a)DFWMS(配列番号19)のアミノ酸配列を含むCDR-H1;(b)DIKNDGSHTKYAPSLQN(配列番号20)のアミノ酸配列を含むCDR-H2;(c)VGGTYTAYY(配列番号21)のアミノ酸配列を含むCDR-H3;(d)RTSQGINTYLN(配列番号22)のアミノ酸配列を含むCDR-L1;(e)YTSNLES(配列番号23)のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び(f)QQYASSPWT(配列番号24)のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含みうる。いくつかの事例では、抗IL-33抗体は、(a)配列番号25に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、若しくは配列番号25の配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;(b)配列番号26に対して少なくとも90%の配列(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列、若しくは配列番号26の配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は(c)(a)のVHドメインと(b)のVLドメインを含む。いくつかの事例では、抗IL-33抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域:EVQLVESGGGLVQPGTSLKLSCVASGFTFS(配列番号29)のアミノ酸配列を含むFR-H1;WVRQTPGKTMEWI(配列番号30)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RFTISRDNAKNTLYLEVTDVRSEDTATYYCTR(配列番号31)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGHGVMVTVSS(配列番号32)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。いくつかの事例では、抗IL-33抗体は、以下の軽鎖フレームワーク領域:DIQMTQTPSSMPASLGERVTLSC(配列番号33)のアミノ酸配列を含むFR-L1;WYQQKPDGTITPLIH(配列番号34)のアミノ酸配列を含むFR-L2;GVPSRFSGSGFGTDYFLTISSLEPEDFAMYFC(配列番号35)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及びFGGGTKLELK(配列番号36)のアミノ酸配列を含むFR-L4を含む。いくつかの事例では、抗IL-33抗体は、(a)配列番号25のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号26のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む結合ドメインを含む。いくつかの事例では、例示的な抗IL-33抗体は、15.21C7である。
【0173】
例えば、本明細書で提供されるのは、IL-33に特異的に結合する単離された抗体、又はその抗原結合断片であり、この抗体は、(a)配列番号25のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号26のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの事例では、例示的な抗IL-33抗体は、15.21C7である。
【0174】
別の例において、本明細書で提供されるのは、IL-33に特異的に結合する単離された抗体、又はその抗原結合断片であり、この抗体は、(a)配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)及び(b)配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)を含む。いくつかの事例では、例示的な抗IL-33抗体は、15.21C7である。
【0175】
本明細書で提供される抗体はいずれも、酸化された状態にあるIL-33(例えば、酸化型IL-33)又は還元された状態にあるIL-33(例えば、還元型IL-33)に特異的に結合しうる。いくつかの事例では、抗体は、還元型L-33に特異的に結合する。一部の事例では、本明細書で提供される抗IL-33抗体は、酸化型IL-33及び還元型IL-33に、2倍以内(例えば、1.5倍以内又は1倍以内)のKDで結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、酸化型IL-33及び還元型IL-33に、実質的に同じKDで結合する。いくつかの事例では、抗体は、還元型IL-33に結合する。いくつかの事例では、抗体は、還元型IL-33に、≦1nMのKDで結合する。いくつかの事例では、抗体は、還元型IL-33に、0.01nMと1nMとの間(例えば、0.01と0.9nMとの間、0.01と0.8nMとの間、0.01と0.7nMとの間、0.01と0.6nMとの間、0.01と0.5nMとの間、0.05と0.9nMとの間、0.1と0.9nMとの間、0.2と0.9nMとの間、0.3と0.9nMとの間、0.2と0.6nMとの間、0.3と0.5nMとの間、0.3と0.4nM、又は0.4と0.5nMとの間;例えば、約0.05nM、約0.1nM、約0.2nM、約0.3nM、約0.325nM、約0.34nM、約0.35nM、約0.4nM、約0.45nM、約0.475nM、約0.49nM、約0.5nM、約0.6nM、約0.7nM、約0.8nM、約0.9nM、又は約1nM)のKDで結合する。いくつかの事例では、抗体は、還元型IL-33に、KD≦0.5nMで結合する。一部の事例では、抗体は、還元型IL-33に、0.1nMと0.5nMとの間(例えば、0.2と0.5nMとの間、0.3nMと0.5nMとの間、0.3nMと0.4nMとの間、又は0.4nMと0.5nMとの間)のKDで結合する。一部の事例では、抗体は、還元型IL-33に、約0.487nMのKDで結合する。一部の事例では、抗体は、還元型IL-33に、約0.338nMのKDで結合する。前述のKD値はいずれも、表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定されうる(例えば、実施例1及び2を参照)。
【0176】
本明細書で提供される抗体はいずれも、ヒト又はカニクイザル(cyno)IL-33に特異的に結合しうる。いくつかの事例では、抗体は、ヒトIL-33に特異的に結合する。いくつかの事例では、抗体は、ヒトIL-33に、KD≦1nMで結合する。いくつかの事例では、抗体は、ヒトIL-33に、0.01nMと1nMとの間(例えば、0.01と0.9nMとの間、0.01と0.8nMとの間、0.01と0.7nMとの間、0.01と0.6nMとの間、0.01と0.5nMとの間、0.05と0.9nMとの間、0.1と0.9nMとの間、0.2と0.9nMとの間、0.3と0.9nMとの間、0.2と0.6nMとの間、0.3と0.5nMとの間、0.3と0.4nM、又は0.4と0.5nMとの間;例えば、約0.05nM、約0.1nM、約0.2nM、約0.3nM、約0.325nM、約0.34nM、約0.35nM、約0.4nM、約0.45nM、約0.475nM、約0.49nM、約0.5nM、約0.6nM、約0.7nM、約0.8nM、約0.9nM、又は約1nM)のKDで結合する。いくつかの事例では、抗体は、ヒトIL-33に、KD≦0.5nMで結合する。一部の事例では、抗体は、ヒトIL-33に、0.1nMと0.5nMとの間(例えば、0.2と0.5nMとの間、0.3nMと0.5nMとの間、0.3nMと0.4nMとの間、又は0.4nMと0.5nMとの間)のKDで結合する。一部の事例では、抗体は、ヒトIL-33に、約0.487nMのKDで結合する。一部の事例では、抗体は、ヒトIL-33に、約0.338nMのKDで結合する。前述のKD値はいずれも、表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定されうる(例えば、実施例1及び2を参照)。
【0177】
いくつかの実施形態では、抗体は、可溶型インターロイキン1受容体様1(sST2)タンパク質に結合したIL-33及びsST2に結合していないIL-33に、2倍以内(例えば、1.5倍以内又は1倍以内)のKDで結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、sST2タンパク質に結合したIL-33に、sST2に結合していないIL-33と実質的に同じKDで結合する。いくつかの実施形態では、sST2は、ヒトsST2(hsST2)である。いくつかの事例では、抗体は、sST2タンパク質(例えば、hsST2)に結合したIL-33に、KD≦1nMで結合する。いくつかの事例では、抗体は、sST2(例えば、hsST2)タンパク質に結合したIL-33に、0.01nMと1nMとの間(例えば、0.01と0.9nMとの間、0.01と0.8nMとの間、0.01と0.7nMとの間、0.01と0.6nMとの間、0.01と0.5nMとの間、0.05と0.9nMとの間、0.1と0.9nMとの間、0.2と0.9nMとの間、0.3と0.9nMとの間、0.2と0.6nMとの間、0.3と0.5nMとの間、0.3と0.4nM、又は0.4と0.5nMとの間;例えば、約0.05nM、約0.1nM、約0.2nM、約0.3nM、約0.325nM、約0.34nM、約0.35nM、約0.4nM、約0.45nM、約0.475nM、約0.49nM、約0.5nM、約0.6nM、約0.7nM、約0.8nM、約0.9nM、又は約1nM)のKDで結合する。いくつかの事例では、抗体は、sST2タンパク質(例えば、hsST2)に結合したIL-33に、KD≦0.5nMで結合する。一部の事例では、抗体は、sST2(例えば、hsST2)タンパク質に結合したIL-33に、0.1nMと0.5nMとの間(例えば、0.2と0.5nMとの間、0.3nMと0.5nMとの間、0.3nMと0.4nM、又は0.4nMと0.5nMとの間)のKDで結合する。一部の事例では、抗体は、sST2(例えば、hsST2)タンパク質に結合したIL-33に、約0.487nMのKDで結合する。一部の事例では、抗体は、sST2(例えば、hsST2)タンパク質に結合したIL-33に、約0.338nMのKDで結合する。
【0178】
いくつかの事例では、本明細書に記載される(例えば、上述又は後述の)抗IL-33抗体はいずれも、以下の特徴の1つ又は複数(例えば、1つ、2つ、又は3つ)を有しうる:(i)抗体は、ヒトIL-33に、約0.1nMと0.5nMとの間のKDで特異的に結合する;(ii)抗体は、還元型IL-33に、約0.1nMと約0.5nMとの間のKDで特異的に結合する;及び/又は(iii)抗体は、sST2(例えば、hsST2)タンパク質に結合したIL-33に、約0.1nMと0.5nMとの間のKDで特異的に結合する。いくつかの事例では、本明細書に記載される抗IL-33抗体はいずれも、前述の特徴のうちの1つを有しうる。いくつかの事例では、本明細書に記載される抗IL-33抗体はいずれも、前述の特徴のうちの2つを有しうる。いくつかの事例では、本明細書に記載される抗IL-33抗体はいずれも、前述の特徴のうちの3つすべてを有しうる。
【0179】
本明細書で提供される抗IL-33抗体はいずれも、キメラ、ヒト化、又はヒト抗体を含むモノクローナル抗体でありうる。いくつかの事例では、抗IL-33抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実例では、抗IL-33抗体は、キメラ抗体である。いくつかの事例では、抗IL-33抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの実例では、抗IL-33抗体は、ラット抗体である。いくつかの実施形態では、抗IL-33抗体は、IgG抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG1抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトIgG1である。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG2a抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ラットIgG2a抗体である。
【0180】
本明細書で提供される抗IL-33抗体はいずれも、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)2断片でありうる。特定の事例では、抗体断片は、Fab断片である。いくつかの事例では、抗体断片は、IL-33(例えば、hIL-33;例えば、還元型IL-33;例えば、ST2に結合したIL-33)に特異的に結合する。
【0181】
他の事例では、本明細書で提供される抗IL-33抗体はいずれも、完全長抗体、例えば、インタクトなIgG1抗体、インタクトなIgG4抗体、又は本明細書で定義される他の抗体クラス若しくはアイソタイプでありうる。いくつかの事例では、抗体は、ヒンジ領域に変異を含むIgG4抗体である。いくつかの事例では、変異は、置換変異である。いくつかの事例では、置換変異は、アミノ酸残基S228(EU番号付け)におけるものである。いくつかの事例では、置換変異は、S228P変異である。
【0182】
本明細書で提供される抗IL-33抗体はいずれも、単一特異性抗体でありうる。他の事例では、本明細書で提供される抗IL-33抗体はいずれも、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)でありうる。
【0183】
別の形態では、本発明は、前述の抗体のうちのいずれか1つと同じIL-33のエピトープに結合する抗体である。
【0184】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、IL-33(例えば、ヒトIL-33)への結合について前述の抗体のうちのいずれか1つと競合するか、又は前述の抗体のうちのいずれか1つをクロスブロックするか、又は前述の抗体のうちのいずれか1つによってクロスブロックされる抗体である。
【0185】
さらなる態様では、本明細書に開示される抗IL-33抗体はいずれも、以下のセクション1~7に記載の特徴のいずれかを、単独で又は組み合わせて組み込むことができる:
【0186】
1.抗体親和性
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、≦1pM、又は≦0.1pM(例えば、10-6M以下、例えば、10-6Mから10-9M以下、例えば、10-9Mから10-13M以下)の解離定数(KD)を有する。いくつかの事例では、抗体は、IL-33に、1nMのKDで特異的に結合する。いくつかの事例では、抗体は、IL-33に、0.01nMと1nMとの間(例えば、0.01と0.9nMとの間、0.01と0.9nMとの間、0.01と0.8nMとの間、0.01と0.7nMとの間、0.01と0.6nMとの間、0.01と0.5nMとの間、0.05と0.9nMとの間、0.1と0.9nMとの間、0.2と0.9nMとの間、0.3と0.9nMとの間、0.2と0.6nMとの間、0.3と0.5nMとの間、0.3と0.4nM、又は0.4と0.5nMとの間;例えば、約0.05nM、約0.1nM、約0.2nM、約0.3nM、約0.325nM、約0.34nM、約0.35nM、約0.4nM、約0.45nM、約0.475nM、約0.49nM、約0.5nM、約0.6nM、約0.7nM、約0.8nM、約0.9nM、又は約1nM)のKDで結合する。いくつかの事例では、抗体は、IL-33に、≦0.5nMのKDで特異的に結合する。一部の事例では、抗体は、IL-33に、0.1nMと0.5nMとの間(例えば、0.2と0.5nMとの間、0.3nMと0.5nMとの間、0.3nMと0.4nMとの間、又は0.4nMと0.5nMとの間)のKDで結合する。一部の事例では、抗体は、IL-33に、約0.487nMのKDで結合する。一部の事例では、抗体は、IL-33に、約0.338nMのKDで結合する。
【0187】
一実施形態では、KDは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。一実施形態では、RIAは、目的の抗体のFabバージョン及びその抗原を用いて実施される。例えば、抗原に対するFabの溶液結合親和性は、非標識抗原の滴定系列の存在下で、最小濃度の(125I)標識抗原によりFabを平衡化し、次いで、結合した抗原を抗Fab抗体でコーティングしたプレートで捕捉することにより測定される(例えば、Chen et al.J.Mol.Biol.293:865-881,1999を参照されたい)。アッセイのための条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中5μg/mLの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、その後室温(およそ23℃)で2から5時間PBS中2%(w/v)のウシ血清アルブミンでブロックする。非吸着性プレート(NUNCTM#269620)中で、100pM又は26pMの[125I]-抗原を、目的のFabの段階希釈物と混合する(例えば、Presta et al.Cancer Res.57:4593-4599,1997における抗VEGF抗体Fab-12の評価と一致する)。次いで目的のFabを一晩インキュベートするが、平衡に達することを確実にするために、インキュベーションはより長い期間(例えば、約65時間)継続してもよい。その後、混合物を捕捉プレートに移し、室温で(例えば1時間)インキュベートする。次いで、溶液を除去し、プレートを、PBS中0.1%のポリソルベート20(TWEEN(登録商標)-20)で8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μL/ウェルの閃光物質(MICROSCINT-20TM、Packard)を加え、TOPCOUNTTMガンマ計数器(Packard)でプレートを10分間計数する。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度を、競合結合アッセイにおける使用のために選択する。
【0188】
別の実施形態によれば、KDは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。特定の実施形態では、BIACORE(登録商標)8K装置(Cytiva,Marlborough,MA,USA)を使用して抗hIL-33 Absの組み換えキメラヒトIgGバージョンを捕捉するために、Series SプロテインAセンサーチップ(Cytiva、Marlborough,MA,USA)を使用した。ヒトヒスチジンタグhIL-33(Genentech,South San Francisco,CA,USA)に結合する抗体は、マルチサイクルカイネティクスを使用して測定した。センサーグラムは、25℃又は37℃において30μL/分の流量で2分間の注入時間を使用し、10mMのN-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-エタンスルホン酸(HEPES)(pH7.4)、150mMの塩化ナトリウム(NaCl)、3mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、及び0.005%のTWEEN(登録商標)20のランニングバッファーを用いて記録した。注入後、抗体からのIL-33の解離を、ランニングバッファー中で10分間モニタリングした。表面は、結合サイクルの間に、10mMのグリシン塩酸(HCl)pH1.5を30μ注入して再生した。ランニングバッファーのみを含むブランクの減算後、会合センサーグラムと解離センサーグラムを同時にフィッティングすることによる単純一対一ラングミュア結合モデル(BIAcore(登録商標)Evaluation Softwareバージョン3.2)を使用して、会合速度(kon)及び解離速度(koff)を計算する。平衡解離定数(KD)は、koff/kon比として計算される。例えば、Chen et al.(J.Mol.Biol.293:865-881,1999)を参照のこと。
【0189】
2.抗体断片
本明細書で提供される抗体はいずれも、抗体断片(例えば、抗原結合(例えば、IL-33結合)抗体断片)でありうる。抗体断片には、限定されないが、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、及びscFv断片、並びに後述の他の断片が含まれる。一部の事例では、抗体断片は、Fabである。一部の抗体断片の総説については、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)を参照のこと。scFv断片の総説については、例えば、Pluckthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113、Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)を参照されたい。国際公開第93/16185号、及び米国特許第5571894号及び同第5587458号も参照のこと。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、延長されたin vivo半減期を有するFab及びF(ab’)2断片の説明については、米国特許第5,869,046号を参照のこと。
【0190】
ダイアボディは、二価又は二重特異性でありうる2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404097;国際公開第1993/01161号;Hudson et al.Nat.Med.9:129-134,2003;及びHollinger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448,1993を参照のこと。トリアボディ及びテトラボディは、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134,2003にも記載されている。
【0191】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部若しくは一部又は抗体の軽鎖可変ドメインの全部若しくは一部を含む抗体断片である。一部の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(例えば、米国特許第6,248,516号を参照のこと)。
【0192】
抗体断片は、本明細書に記載の組み換え宿主細胞(例えば、大腸菌又はファージ)による生成だけでなく、インタクトな抗体のタンパク質消化を含むがこれらに限定されない種々の技術により作製することができる。
【0193】
3.キメラ及びヒト化抗体
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、キメラ抗体である。一部のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号、及びMorrison et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855,1984)に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又はサル等の非ヒト霊長類から得られる可変領域)と、ヒト定常領域とを含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のそれらから変更されている「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体には、その抗原結合断片が含まれる。
【0194】
一部の実施形態では、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、ヒトに対する免疫原性を低減するために、親の非ヒト抗体の特異性と親和性を保持したままヒト化される。一般的に、ヒト化抗体は、HVR(又はその一部分)が非ヒト抗体から得られ、FR(又はその一部分)がヒト抗体配列から得られた1つ又は複数の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、場合によってはヒト定常領域の少なくとも一部分も含むであろう。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体中のFR残基は、例えば、抗体特異性又は親和性を回復又は向上させるために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基を得た抗体)に由来する対応する残基で置換される。
【0195】
ヒト化抗体及びその作製方法については、例えば、Almagro et al.Front.Biosci.13:1619-1633,2008に総説があり、さらに例えば、Riechmann et al.Nature 332:323-329,1988;Queen et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:10029-10033,1989;米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号;Kashmiri et al.Methods 36:25-34,2005(特異性決定領域(SDR)移植について記載);Padlan,Mol.Immunol.28:489-498,1991(リサーフェシングについて記載);Dall’Acqua et al.Methods 36:43-60,2005(「FRシャッフリング」について記載);並びにOsbourn et al.Methods 36:61-68,2005及びKlimka et al.Br.J.Cancer,83:252-260,2000(FRシャッフリングの「ガイド付き選択」アプローチについて記載)に記載されている。
【0196】
ヒト化のために使用されうるヒトフレームワーク領域には、限定されないが:「ベストフィット」法を使用して選択されたフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296,1993参照);軽鎖又は重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列から得られたフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285,1992;及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623,1993)参照);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域又はヒト生殖細胞フレームワーク領域(例えば、Almagro et al.Front.Biosci.13:1619-1633,2008参照);並びにFRライブラリーのスクリーニングから得られたフレームワーク領域(例えば、Baca et al.J.Biol.Chem.272:10678-10684,1997及びRosok et al.J.Biol.Chem.271:22611-22618,1996参照)が含まれる。
【0197】
4.ヒト抗体
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野において既知の様々な技術を用いて生産することができる。ヒト抗体は、一般的に、van Dijk et al.Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74,2001 and Lonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450-459,2008に記載されている。
【0198】
ヒト抗体は、抗原曝露に応答してヒト可変領域を有するインタクトな抗体又はインタクトなヒト抗体を生成するように修飾されたトランスジェニック動物に、免疫原を投与することによって調製されうる。このような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置き換えるか、又は染色体外に存在するか若しくは動物の染色体にランダムに統合されるヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含む。このようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、通常不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の総説については、Lonberg、Nat.Biotech.23:1117-1125,2005を参照のこと。例えば、XENOMOUSETM技術を記載する米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号;HUMAB(登録商標)技術を記載する米国特許第5,770,429号;K-M MOUSE(登録商標)技術を記載する米国特許第7,041,870号;及び、VELOCIMOUSETM技術を記載する米国特許出願公開第2007/0061900号も参照のこと。このような動物によって生成されたインタクトな抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって、さらに修飾されてもよい。
【0199】
ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づく方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体の生成のためのヒト骨髄腫細胞株及びマウス-ヒト異種骨髄腫細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J.Immunol.133:3001,1984;Brodeur et al.Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987);及びBoerner et al.J.Immunol.147:86,1991を参照のこと)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体も、Li et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562,2006に記載されている。さらなる方法には、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株由来のモノクローナルヒトIgM抗体の生産について記載)及びNi、Xiandai Mianyixue、26(4):265-268,2006(ヒト-ヒトハイブリドーマについて記載)に記載されるものが含まれる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)はまた、Vollmers et al.Histology and Histopathology 20(3):927-937,2005及びVollmers et al.Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology 27(3):185-91,2005にも記載されている。
【0200】
ヒト抗体は、ヒトから得られたファージディスプレイライブラリーから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによっても作製されうる。そのような可変ドメイン配列は次いで、所望のヒト定常ドメインと組み合わせられうる。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技術は以下に記載される。
【0201】
5.ライブラリー由来の抗体
本明細書中に開示される抗体は、所望の1つ以上の活性を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって単離されうる。例えば、ファージディスプレイライブラリーを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてこのようなライブラリーをスクリーニングするための様々な方法が当技術分野で知られている。そのような方法については、例えば、Hoogenboom et al.Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)に概説があり、例えばMcCafferty et al.Nature 348:552-554,1990;Clackson et al.Nature 352:624-628,1991;Marks et al.J.Mol.Biol.222:581-597,1992;Marks et al.in Methods in Molecular Biology 248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003);Sidhu et al.J.Mol.Biol.338(2):299-310,2004;Lee et al.J.Mol.Biol.340(5):1073-1093,2004;Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472,2004;及びLee et al.J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132,2004にさらに記載されている。
【0202】
一部のファージディスプレイ法では、VH及びVL遺伝子のレパートリーが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングされ、ファージライブラリー中でランダムに組み合わせ直され、それらは次いでWinter et al.Ann.Rev.Immunol.,12:433-455,1994に記載されているように抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは、典型的には、抗体断片を、単鎖Fv(scFv)断片又はFab断片として表示する。免疫化された供給源からのライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対して高親和性の抗体を提供する。代替的に、ナイーブレパートリーを、Griffiths et al.EMBO J.12:725-734,1993によって記載されているように、免疫化を行わずに、広範囲の非自己抗原及びさらには自己抗原に対する抗体の単一の供給源を提供するために、(例えば、ヒトから)クローン化することができる。最後に、ナイーブライブラリーは、幹細胞から再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングすることにより、ランダムな配列を含むPCRプライマーを使用して、高度に可変性のHVR3領域をコードし、Hoogenboom et al.J.Mol.Biol.,227:381-388,1992に記載されているように、インビトロで再配列を達成することによって、合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリーについて記載する特許公報には、例えば:米国特許第5,750,373号、並びに米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が含まれる。
【0203】
ヒト抗体ライブラリーから単離された抗体又は抗体断片は、本明細書ではヒト抗体又はヒト抗体断片とみなされる。
【0204】
6.多重特異性抗体
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体である。一部の実施形態では、二重特異性抗体は、IL-33の2つの異なるエピトープに結合することができる。一部の実施形態では、結合特異性の1つはIL-33に対してであり、他は他のいずれかの抗原に対してである。二重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片として調製することができる。
【0205】
多重特異性抗体を作製するための技術には、限定されないが、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組み換え共発現(Milstein et al.Nature 305:537,1983;国際公開第93/08829号、及びTraunecker et al.EMBO J.10:3655,1991を参照されたい)、及び「ノブ・イン・ホール」操作(例えば、米国特許第5,731,168号を参照されたい)が含まれる。多重特異性抗体は、抗体Fcヘテロ二量体分子を作製するための静電ステアリング効果の操作(国際公開第2009/089004号);2つ以上の抗体又は断片の架橋(例えば、米国特許第4,676,980号、及びBrennan et al.Science,229:81,1985を参照);二重特異性抗体を生成するためのロイシンジッパーの使用(例えば、Kostelny et al.J.Immunol.,148(5):1547-1553,1992を参照);二重特異性抗体断片を作製するための「ダイアボディ」技術の使用(例えば、Hollinger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448,1993を参照);及び一本鎖Fv(sFv)二量体の使用(例えば、Gruber et al.J.Immunol.152:5368,1994を参照);及び例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60,1991に記載される三重特異性抗体の調製によっても作製されうる。
【0206】
「オクトパス抗体」を含む、3つ以上の機能性抗原結合部位を持つ操作された抗体も、本明細書に含まれる(例えば、米国特許出願公開第2006/0025576号を参照)。
【0207】
本明細書の抗体又は断片はまた、IL-33並びに別の異なる抗原(例えば、米国特許出願公開第2008/0069820号参照)に結合する抗原結合部位を含む、「二重作用性 FAb」又は「DAF」を含む。
【0208】
多重特異性抗体を生成する方法としてのノブ・イントゥー・ホールの使用は、例えば、米国特許第5,731,168号、国際公開第2009/089004号、米国特許出願公開第2009/0182127号、米国特許出願公開第2011/0287009号、Marvin and Zhu,Acta Pharmacol.Sin.(2005)26(6):649-658、及びKontermann(2005)Acta Pharmacol.Sin.,26:1-9に記載されている。
【0209】
7.抗体バリアント
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体のアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望まれる。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することにより、又はペプチド合成により、調製することができる。このような修飾には、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、並びに/又は同残基への挿入及び/若しくは同残基の置換が含まれる。最終コンストラクトが所望の特性、例えば、抗原結合を有していることを条件として、欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせを、最終構築物に到達させるために作製することができる。
【0210】
a)置換、挿入、及び欠失バリアント
一部の実施形態では、1つ又は複数のアミノ酸置換を有する抗体バリアントが提供される。置換変異誘発の対象部位には、HVR及びFRが含まれる。保存的置換は、「好ましい置換」と題して表2に示す。より実質的な変更は、「例示的置換」と題して表2に示し、アミノ酸側鎖のクラスを参照して下記にさらに説明される。アミノ酸置換は、目的の抗体に導入することができ、所望の活性、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の低下、又はADCC若しくはCDCの改善についてスクリーニングされうる。
【0211】
【0212】
アミノ酸は、以下の共通の側鎖特性に従ってグループ化することができる。
(1)疎水性:Norleucine、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスに交換することを必要とするであろう。
【0213】
ある種類の置換バリアントは、親抗体(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)の1つ又は複数のHVR(例えば、CDR)残基を置換することを伴う。一般的に、結果として得られ、さらなる研究のために選択された1つ以上のバリアントは、親抗体と比較して、特定の生物学的特性の改変(例えば改善)(例えば、親和性の向上、免疫原性の低下)を有する、及び/又は親抗体の特定の生物学的特性を実質的に保持するであろう。例示的な置換型変異体は、親和性成熟抗体であり、例えば、本明細書に記載されるようなファージディスプレイに基づく親和性成熟技術を用いて、簡便に生成される。簡潔に言えば、1つ又は複数のHVR残基が変異し、変異体抗体は、ファージ上に表示され、特定の生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
【0214】
抗体親和性を向上させるために、HVR(例えば、CDR)において変更(例えば、置換)が行われてもよい。そのような変更は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196,2008を参照)、及び/又は抗原と接触する残基内で行うことができ、結果として得られるバリアントVH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリーから構築して選択し直すことによる親和性成熟が、例えばHoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)に記載されている。親和性成熟のいくつかの実施形態では、多様性が、様々な方法(例えばエラープローンPCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド指定突然変異誘発)のいずれかにより、成熟のために選択された可変遺伝子に導入される。次いで、二次ライブラリーが生成される。次いで、このライブラリーは、所望の親和性を持つ任意の抗体バリアントを同定するためにスクリーニングされる。多様性を導入する別の方法は、複数のHVR残基(例えば、一度に4~6個の残基)がランダム化されるHVR指向性の手法(HVR-directed approach)を伴う。抗原結合に関与するHVR残基は、例えばアラニンスキャニング変異誘発又はモデリングを使用して、特異的に同定することができる。特に、HVR-H3及びHVR-L3が多くの場合標的とされる。
【0215】
一部の実施形態では、置換、挿入、又は欠失は、そのような変更が抗原への抗体の結合能力を実質的に低下させない限り、1つ又は複数のHVR(例えば、CDR)内で生じうる。例えば、実質的に結合親和性を低下させない保存的変更(例えば、本明細書で提供される保存的置換)をHVR内で行うことができる。このような変更は、例えば、HVR内の残基に接触する抗原の外側で生じうる。上記に提供される変異VH及びVL配列の一部の実施形態では、各HVRは変化しないか、又は1つ、2つ若しくは3つ以下のアミノ酸置換を含む。
【0216】
突然変異誘発の標的となりうる抗体の残基又は領域を同定するための有用な方法は、Cunningham et al.Science 244:1081-1085,1989に記載されるように、「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれる。この方法では、抗体と抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定するために、残基又は標的残基群(例えば、Arg、Asp、His、Lys及びGlu等の荷電残基)が同定され、中性の又は負に荷電したアミノ酸(例えば、Ala又はポリアラニン)によって置き換えられる。さらなる置換が、最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸の位置に導入されてもよい。代替的に又は追加的には、抗体と抗原との接点を特定するための抗原-抗体複合体の結晶構造。そのような接触残基及び隣接残基は、置換の候補として標的とされうるか又は排除されうる。バリアントは、所望の特性を含むかどうかを判定するためにスクリーニングされうる。
【0217】
アミノ酸配列挿入には、1個の残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端融合、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入物の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入バリアントは、抗体の血清半減期を延ばす酵素(例えば、ADEPTのための)又はポリペプチドに対する抗体のN末端又はC末端への融合物を含む。
【0218】
b)グリコシル化バリアント
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増加又は減少させるように変更される。抗体へのグリコシル化部位の付加又は削除は、1又は複数のグリコシル化部位が生成又は除去されるようにアミノ酸配列を変更することにより、簡便に達成することができる。
【0219】
抗体がFc領域を含む場合、それに付着する糖質を変更することができる。哺乳動物細胞によって生成される天然抗体は、通常Fc領域のCH2ドメインのAsn297へのN結合により付着した分岐状の二分岐オリゴ糖を典型的に含む。例えば、Wright et al.TIBTECH 15:26-32,1997を参照のこと。オリゴ糖には、種々の糖質、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、並びに二分岐オリゴ糖構造の「幹」のGlcNAcに付着したフコースが含まれうる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体におけるオリゴ糖の修飾は、特定の改善された特性を有する抗体バリアントを生成するために行われうる。
【0220】
一実施形態では、抗体バリアントは、Fc領域に(直接的に又は間接的に)付着するフコースを欠く糖鎖構造を有して提供される。例えば、このような抗体中のフコースの量は、1%から80%、1%から65%、5%から65%、又は20%から40%であってもよい。フコースの量は、例えば国際公開第2008/077546号に記載されているように、MALDI-TOF質量分析によって測定されるAsn297に付着するすべての糖構造体(例えば複合体、ハイブリッド、及び高マンノース構造)の合計に対するAsn297の糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297は、Fc領域内のおよそ297位(Fc領域残基のEu番号付け)に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297は、抗体のわずかな配列差異に起因して、297位から約±3アミノ酸上流又は下流に、すなわち294位から300位に位置する場合もある。このようなフコシル化バリアントは、改善されたADCC機能を有しうる。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号及び同第2004/0093621号を参照されたい。「脱フコシル化」又は「フコース欠損」抗体バリアントに関する刊行物の例には:米国特許出願公開第2003/0157108号;国際公開第2000/61739号;同第2001/29246号;米国特許出願公開第2003/0115614号;同第2002/0164328号;同第2004/0093621号;同第2004/0132140号;同第2004/0110704号;同第2004/0110282号;同第2004/0109865号;国際公開第2003/085119号;同第2003/084570号;同第2005/035586号;同第2005/035778号;同第2005/053742号;同第2002/031140号;Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239-1249,2004;Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614,2004が含まれる。脱フコシル化抗体を生成することのできる細胞株の例には、タンパク質フコシル化が欠損しているLec13 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545,1986;米国特許出願公開第2003/0157108号;及び国際公開第2004/056312号、特に実施例11)及びノックアウト細胞株、例えばアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子FUT8ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614,2004;Kanda et al.Biotechnol.Bioeng.94(4):680-688,2006;及び国際公開第2003/085107号を参照)が含まれる。
【0221】
例えば、抗体のFc領域に付着した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている、二分されたオリゴ糖を有する抗体バリアントがさらに提供さ与される。そのような抗体バリアントは、低下したフコシル化及び/又は改善されたADCC機能を有しうる。そのような抗体バリアントの例は、例えば、国際公開第2003/011878号;米国特許第6,602,684号;及び米国特許出願公開第2005/0123546号に記載されている。Fc領域に付着したオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を持つ抗体バリアントも提供される。このような抗体バリアントは、改善されたCDCの機能を有しうる。このような抗体バリアントは、例えば、国際公開第1997/30087号;同第1998/58964号;及び同第1999/22764号に記載されている。
【0222】
c)Fc領域バリアント
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体のFc領域に1つ又は複数のアミノ酸修飾を導入し、それによりFc領域バリアントを生成することができる。Fc領域バリアントは、1つ又は複数のアミノ酸位置におけるアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4 Fc領域)を含みうる。
【0223】
一部の実施形態では、本発明は、in vivoにおける抗体の半減期が重要であるが、ある種のエフェクター機能(例えば補体及びADCC)が不要又は有害である用途のための望ましい候補とならしめるエフェクター機能を、全部ではないがいくつかの有する抗体バリアントを意図している。in vitro及び/又はin vivo細胞傷害性アッセイを実施して、CDC及び/又はADCCの活性の低下/枯渇を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実施して、抗体がFcγR結合を欠く(したがって恐らくはADCC活性を欠く)が、FcRn結合能を保持していることを確認することができる。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞がFcγRIIIのみを発現するのに対し、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcRの発現は、Ravetch et al.Annu.Rev.Immunol.9:457-492,1991の464頁の表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:7059-7063,1986及びHellstrom et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:1499-1502,1985を参照);米国特許第5,821,337号(Bruggemann et al.J.Exp.Med.166:1351-1361、1987を参照)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法が用いられてもよい(例えば、フローサイトメトリーのためのACTITM非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA);及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega、Madison、WI))。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞を含む。代替的に又は追加的に、目的の分子のADCC活性は、例えば、Clynes et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:652-656,1998に開示されているように、動物モデルにおいて in vivoで評価することができる。C1q結合アッセイは、抗体がC1qに結合できないこと、したがってCDC活性を欠くことを確認するために行うこともできる。例えば、国際公開第2006/029879号及び同第2005/100402号のC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを実施することができる(例えば、Gazzano-Santoro et al.J.Immunol.Methods 202:163,1996;Cragg et al.Blood 101:1045-1052,2003;及びCragg et al.Blood 103:2738-2743,2004を参照のこと)。FcRn結合及びin vivoでのクリアランス/半減期の決定はまた、当技術分野で知られている方法を使用して実施することができる(例えば、Petkova et al.Intl.Immunol.18(12):1759-1769,2006を参照のこと)。
【0224】
エフェクター機能が低下した抗体には、Fc領域残基238、265、269、270、297、327及び329の1つ又は複数の置換を伴うものが含まれる(米国特許第6737056号)。そのようなFc変異体は、残基265及び297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体を含め、アミノ酸位置265、269、270、297及び327のうちの2つ以上に置換を有するFc変異体を含む(米国特許第7,332,581号)。
【0225】
FcRへの結合が改善又は減少した特定の抗体バリアントが記載されている。(例えば、米国特許第6,737,056号;国際公開第2004/056312号,及びShields et al.J.Biol.Chem.9(2):6591-6604,2001を参照のこと)。
【0226】
一部の実施形態では、抗体バリアントは、ADCCを改善する1つ又は複数のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298位、333位,及び/又は334位(残基のEU番号付け)における置換を有するFc領域を含む。
【0227】
いくつかの実施形態では、例えば、米国特許第6,194,551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184,2000に記載されるように、変更された(すなわち、改善されたか又は減少した)C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)をもたらす変更が、Fc領域において行われる。
【0228】
半減期が増加し、母体IgGの胎児への移行を担う新生児Fc受容体(FcRn)への結合が改善された抗体(Guyer et al.J.Immunol.117:587,1976及びKim et al.J.Immunol.24:249,1994)は、米国特許出願公開第2005/0014934号に記載されている。これら抗体は、FcRnへのFc領域の結合を改善する1つ又は複数の置換を有するFc領域を含む。このようなFcバリアントには、238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434の1つ又は複数における置換、例えば、Fc領域残基434の置換が含まれる(米国特許第7,371,826号)。
【0229】
Fc領域バリアントの他の例に関しては、Duncan et al.Nature 322:738-40,1988;米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、及び国際公開第94/29351号も参照のこと。
【0230】
d)システイン操作抗体バリアント
一部の実施形態では、抗体の1つ又は複数の残基がシステイン残基で置換されているシステイン操作抗体、例えば、「thioMAb」を生成することが望ましい場合がある。特定の実施形態では、置換される残基が抗体のアクセス可能な部位で生じる。これら残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基は、それによって抗体のアクセス可能な部位に配置され、本明細書でさらに記載するように、薬物部分又はリンカー-薬物部分等の他の部分に抗体をコンジュゲートして、イムノコンジュゲートを生成するために使用されうる。一部の実施形態では、以下の残基の1つ又は複数がシステインで置換されうる:軽鎖のV205(Kabat番号付け);重鎖のA118(EU番号付け);及び重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)。システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7521541号に記載されるように生成されうる。
【0231】
e)抗体誘導体
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、当技術分野で知られ、容易に入手可能な追加の非タンパク質部分を含むようにさらに修飾されうる。抗体の誘導体化に適した部分には、限定されないが、水溶性ポリマーが含まれる。水溶性ポリマーの非限定的な例には、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマー)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、及びこれらの混合物が含まれる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中のその安定性に起因して、製造時に有利でありうる。ポリマーは、任意の分子量であってよく、分岐でも、非分岐でもよい。抗体に結合するポリマーの数は変化してもよく、複数のポリマーが結合する場合、それらは同じ分子でも異なる分子でもよい。一般に、誘導体化のために使用されるポリマーの数及び/又は種類は、改善されるべき抗体の特定の特性又は機能、その抗体誘導体が限定条件下での治療に使用されるかどうかを含むがそれらに限定されない考慮事項に基づいて決定することができる。
【0232】
別の実施形態では、放射線への曝露によって選択的に加熱されうる非タンパク質部分と抗体とのコンジュゲートが提供される。一実施形態では、非タンパク質部分はカーボンナノチューブである(Kam et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600-11605,2005)。放射線は、任意の波長であってよく、通常の細胞に害を与えないが抗体-非タンパク質部分の近位細胞が死滅する温度に非タンパク質部分を加熱する波長を含むがこれに限定されない。
【0233】
B.組み換え方法及び組成物
本明細書に記載される抗体のうちのいずれか(例えば、抗IL-33抗体)は、例えば、米国特許第4,816,567号に記載されている組み換え方法及び組成物を使用して生成されうる。一実施形態では、本明細書に記載される抗IL-33抗体をコードする単離された核酸、又は一緒に同抗体をコードする一組の核酸が提供される。このような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列、及び/又は抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/又は重鎖)をコードしうる。さらなる実施形態では、このような核酸を含む1つ又は複数のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。さらなる実施形態では、1つ以上のこのような核酸を含む宿主細胞が提供される。一実施形態では、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、又は(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクターと抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、同ベクターで形質転換されている)。一実施形態では、宿主細胞は、真核細胞、例えば、ラット細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、293細胞、又はリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一実施形態では、抗IL-33抗体を作製する方法が提供され、この方法は、上述のように、抗体の発現に適した条件下で、抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養することと、任意選択的に、宿主細胞(又は宿主細胞培地)から抗体を回収することとを含む。
【0234】
抗IL-33抗体の組み換え生成のために、抗体をコードする核酸、又は一緒に抗体をコードする一組の核酸が、例えば上述のように単離され、宿主細胞内でのさらなるクローニング及び/又は発現のために、1つ又は複数のベクターに挿入される。このような核酸は、容易に単離することができ、一般的な手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することのできるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)配列決定することができる。
【0235】
抗体コード化ベクターのクローニング又は発現のために適した宿主細胞には、本明細書に記載される原核細胞又は真核細胞が含まれる。例えば、抗体は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要でない場合、細菌内で生成されうる。細菌中の抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照のこと。(また、大腸菌中の抗体断片の発現について記載するCharlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254も参照されたい)。発現の後、抗体を、可溶性画分中の細菌細胞ペーストから単離し、さらに精製することができる。
【0236】
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母等の真核微生物は、抗体をコードするベクターの適切なクローニング又は発現宿主であり、それには、グリコシル化経路が「ヒト化」された真菌及び酵母株が含まれ、その結果、部分的又は完全にヒトのグリコシル化パターンを有する抗体が生成される。Gerngross Nat.Biotech.22:1409-1414,2004及びLi et al.Nat.Biotech.24:210-215,2006を参照のこと。
【0237】
グリコシル化抗体の発現に適した宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)からも得られる。無脊椎動物細胞の例には、植物細胞及び昆虫細胞が含まれる。昆虫細胞と組み合わせて、特にスポドプテラ・フルギペルダヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションに使用されうる多数のバキュロウイルス株が同定された。
【0238】
植物細胞培養物も、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5959177号、第6040498号、第6420548号、第7125978号、及び第6417429号(トランスジェニック植物において抗体を生成するためのPLANTIBODIESTM技術について記載)を参照のこと。
【0239】
脊椎動物細胞も、宿主として使用されうる。例えば、懸濁液中で成長するように適合された哺乳動物細胞株は有用でありうる。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS-7)により形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胚腎臓株(例えば、Graham et al.J.Gen Virol.36:59,1977)に記載された293細胞又は293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスのセルトリ細胞(例えば、Mather Biol.Reprod.23:243-251,1980に記載されるTM4細胞);サル腎細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頚癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(HepG2);マウス乳房腫瘍(MMT060562);例えばMather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68,1982に記載されるTRI細胞;MRC5細胞;及びFS4細胞である。エラー! ブックマークが定義されていません。エラー! ブックマークが定義されていません。 他の有用な哺乳動物宿主細胞株には、DHFR-CHO細胞を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216,1980);及びY0、NS0及びSp2/0などの骨髄腫細胞株が含まれる。抗体生成に適した特定の哺乳動物宿主細胞株の総説については、例えば、Yazaki et al.Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268,2003を参照のこと。
【0240】
C.アッセイ
本明細書で提供される抗IL-33抗体は、当技術分野で既知の種々のアッセイによってその物理的/化学的性質及び/又は生物活性について同定、スクリーニング又は特徴付けされうる。
【0241】
1.結合アッセイ及びその他のアッセイ
一態様では、本明細書に開示される抗IL-33抗体は、例えば、ELISA、及びウェスタンブロット等の既知の方法によって、その抗原結合活性について試験される。
【0242】
例示的なELISAアッセイでは、第1の固定化された抗IL-33抗体又はイムノコンジュゲートが、IL-33(例えば、還元型IL-33又はST2に結合したIL-33)を含む溶液中でインキュベートされる。第1の抗体又はイムノコンジュゲートのIL-33(例えば、還元型IL-33又はST2に結合したIL-33)に対する結合を可能にする条件下でのインキュベーション後、余分な結合していないIL-33が除去される。第2の、ビオチン化された抗hIL-33抗体又はイムノコンジュゲートを含有する溶液が加えられ、第1の固定化された抗IL-33抗体又はイムノコンジュゲート及び結合したIL-33(例えば、還元型IL-33又はST2に結合したIL-33)と共にインキュベートされる。次いで結合した還元型hIL-33が、読み出しを使用して検出される(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼにコンジュゲートしたストレプトアビジン(GE Healthcare Life Sciences,Pittsburgh,PA,USA)及びその基質3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(Moss Inc.,Pasadena,MD,USA)で)。
【0243】
別の態様では、結合アッセイは、標的分子(例えば、標的生体分子、例えば、タンパク質)の存在又はレベルが抗体-DNAコンジュゲートによって検出されるアッセイであるiPCRを含む。いくつかの実施形態では、iPCRアッセイは、ビオチンにコンジュゲートした第1の抗体及び核酸部分にコンジュゲートした第2の抗体を使用し、第1及び第2の抗体は、同じ標的抗原に結合する。第1の抗体及び第2の抗体の両方は、標的抗原を含む溶液と混合され、得られた混合物は、例えば、PCRウェル内部で、一緒にインキュベートされる。次いでPCR増幅を使用して核酸部分の存在が検出され、それにより標的抗原の検出が示される。いくつかの実施形態では、iPCRアッセイは、IL-33(例えば、ヒトIL-33;例えば、還元型IL-33)を検出するために使用される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の抗体、抗IL-33抗体である。いくつかの実施形態では、第1の抗体と第2の抗体とは、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を共有する。いくつかの実施形態では、第1の抗体と第2の抗体は、同じアミノ酸配列を共有しない(例えば、第1の抗体と第2の抗体のアミノ酸配列は、1%以下、2%以下、3%以下、4%以下、5%以下、10%以下、15%以下、又は20%以下のアミノ酸配列同一性を共有する)。iPCRアッセイの例は、Sano T et.al.,Science 1992,258:120-122及びNiemeyer et al.,Trends Microbiol.2017,8:65に記載されている。
【0244】
別の態様では、例えば、免疫組織化学(IHC)、免疫蛍光(IF)、免疫ブロット法(例えば、ウエスタンブロット法)、フローサイトメトリー(例えば、FACSTM)、又は酵素結合免疫吸着法(ELISA)アッセイにおいて、生物学的試料中のIL-33(例えば、ヒトIL-33、還元型IL-33、酸化型IL-33、総IL-33、結合していないIL-33、及びST2に結合したIL-33)の存在又はレベルを検出するために、抗IL-33抗体又はイムノコンジュゲート、例えば、本明細書に開示される抗IL-33抗体又はイムノコンジュゲートを使用するためのアッセイが提供される。一部の実施形態では、本発明の抗体は、そのような活性について試験される。
【0245】
別の態様では、競合アッセイは、IL-33に対する結合について、本明細書に開示される抗IL-33抗体と競合する抗体を同定するために使用されうる。一部の実施形態では、そのような競合抗体は、本明細書に開示される抗IL-33抗体によって結合される同じエピトープ(例えば、線状又は立体構造エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的方法が、Morris “Epitope Mapping Protocols,” in Methods in Molecular Biology Vol.66(Humana Press,Totowa,NJ),1996に提供されている。
【0246】
例示的な競合アッセイでは、固定化されたIL-33は、IL-33に結合する第1の標識抗体と、IL-33に対する結合について第1の抗体と競合する能力について試験されている第2の非標識抗体とを含む溶液中でインキュベートされる。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在しうる。コントロールとして、固定化されたIL-33が、第1の標識化抗体を含むが第2の非標識化抗体は含まない溶液中でインキュベートされる。IL-33に対する第1の抗体の結合を可能にする条件下でのインキュベーション後、余分な未結合抗体を除去し、固定化されたIL-33に関連付けられる標識の量を測定する。固定化されたIL-33に関連付けられる標識の量がコントロール試料と比べて試験試料中で実質的に低減している場合、それは、第2の抗体がIL-33への結合について第1の抗体と競合していることを示す。Harlow et al.Antibodies:A Laboratory Manual Ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY),1988を参照のこと。
【0247】
別の実施形態では、同じエピトープに対する結合についての2つの抗体の競合は、エピトープビニングによって決定される。例えば、標識化抗原を、固体表面上に固定化し、飽和量の第1の抗体と反応させる。次いで、第2の競合抗体を加える。例えば、OCTET(登録商標)(ForteBio)又はその他のバイオレイヤー干渉法(BLI)技術により検出された第2の抗体による追加の結合が少しでもある場合、2つの抗体が遠隔の重複していないエピトープに結合することを示す。追加の結合がないことは、2つの抗体が同じ又は重複するエピトープに結合することを示す。ELISA、サイズ排除クロマトグラフィー、結晶学、HDX-MS、突然変異誘発、及びその他のSPR法を含む複数の他の方法も、2つの抗体が同じ又は重複するエピトープにー結合することを実証するために利用することができる。同様の技術を、抗体が本発明の抗体をクロスブロックするか、又は本発明の抗体によってクロスブロックされるかどうかを決定するために使用することができる。
【0248】
2.活性アッセイ
一態様では、本発明は、生物活性を検出又は測定するための抗IL-33抗体又はイムノコンジュゲートを提供する。生物活性には、例えば、IL-33(例えば、血流中のIL-33)又はそのペプチド断片に対するin vivo、in vitro、又はex vivoでの結合が含まれうる。他の実施形態では、生物活性は、IL-33をブロック若しくは中和すること、又はIL-33がリガンド、例えば受容体(例えば、IL-33受容体ST2及び/又はIL-1RAcP)に結合することを防止することを含みうる。いくつかの実施形態では、生物活性は、IL-33上の部位1に対する結合、及びIL-33受容体(すなわち、ST2及び/又はIL-1RAcP)に対する結合の遮断を含みうる。in vivo及び/又はin vitroでそのような生体活性を検出又は測定するための抗体も提供される。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、そのような生物活性について試験するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗IL-33抗体は、細胞ベースのIL-33ブロッキングアッセイにおいて阻害の試験に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗IL-33抗体は、細胞ベースのブロッキングアッセイにおいて、IL-33誘発性レポーター活性の阻害を試験するために使用される。
【0249】
D.イムノコンジュゲート
本発明はまた、1つ又は複数の標識にコンジュゲートした本明細書で提供される抗IL-33抗体を含むイムノコンジュゲートを提供する。標識には、限定されないが、直接検出される標識又は部分(例えば、蛍光標識、発色性標識、電子密度標識、化学発光標識、及び放射性標識)、並びに例えば酵素反応又は分子間相互作用を介して間接的に検出される部分、例えば、酵素又はリガンドが含まれる。例示的な標識には、限定されないが、放射性同位体32P、14C、125I、13H、及び131I、希土類キレート又はフルオレセイン及びその誘導体などのフルオロフォア、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4737456号)等のルセリフェラーゼ類(luceriferases)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン類、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼなどの糖オキシダーゼ、例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ、又はマイクロペルオキシダーゼなどの色素前駆体を酸化するために過酸化水素を利用する酵素と結合した、例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼなどの複素環式オキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、及び安定フリーラジカルなどが含まれる。別の実施形態では、標識は、陽電子放射体である。陽電子放射体には、限定されないが、68Ga、18F、64Cu、86Y、76Br、89Zr、及び124Iが含まれる。特定の実施形態では、陽電子放射体は、Zrである。いくつかの実施形態では、標識は、核酸、例えば一本鎖DNAである。
【0250】
いくつかの実施形態では、イムノコンジュゲートは、核酸、例えばDNAにコンジュゲートした本明細書で提供される抗IL-33抗体を含む。いくつかの実施形態では、イムノコンジュゲートは、55-mer DNAにコンジュゲートした抗IL-33抗体を含む。いくつかの実施形態では、イムノコンジュゲートは、配列番号38の配列を有するDNAにコンジュゲートした15.21C7抗体を含む。いくつかの実施形態では、イムノコンジュゲートは、サイズ排除カラムにより精製される。
【0251】
いくつかの実施形態では、イムノコンジュゲートは、化学療法剤若しくは薬物、増殖阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物、若しくは動物起源の酵素的に活性な毒素、又はそれらの断片)又は放射性同位体等の1つ又は複数の細胞傷害性剤にコンジュゲートした、本明細書で提供される抗IL-33抗体を含む。
【0252】
E.診断及び検出のための方法及び組成物
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗IL-33抗体(例えば、3F10又は15.21C7)又はイムノコンジュゲート(例えば、抗IL-33抗体を含む;例えば、3F10又は15.21C7を含む)のいずれか1つは、生物学的試料中のIL-33(例えば、ヒトIL-33、還元型IL-33、酸化型IL-33、総IL-33、結合していないIL-33、及び/又はST2に結合したIL-33)の存在を検出するために有用である。本明細書で使用される「検出」という用語は、定量的又は定性的な検出を包含する。
【0253】
一実施形態では、診断又は検出の方法における使用のための抗IL-33抗体(例えば、3F10又は15.21C7)又はイムノコンジュゲートが提供される。別の事例では、本発明は、診断又は検出の方法における使用のための試薬の製造における抗IL-33抗体(例えば、3F10又は15.21C7)又はイムノコンジュゲートの使用を提供する。
【0254】
一事例では、例えば、後述する、生物学的試料中のIL-33(例えば、ヒトIL-33、還元型IL-33、酸化型IL-33、総IL-33、結合していないIL-33、及び/又はST2に結合したIL-33)の存在又はレベルの検出方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、生物学的試料を、本明細書に記載される抗IL-33抗体(例えば、3F10又は15.21C7)又はイムノコンジュゲートと、IL-33(例えば、ヒトIL-33、還元型IL-33、酸化型IL-33、総IL-33、結合していないIL-33、及び/又はST2に結合したIL-33)に対する抗IL-33抗体の結合を可能にする条件下で接触させることと、抗IL-33抗体とIL-33(例えば、ヒトIL-33、還元型IL-33、酸化型IL-33、総IL-33、結合していないIL-33、及び/又はST2に結合したIL-33)との間に複合体が形成されるかどうかを検出することとを含む。このような方法は、in vitro法又はin vivo法とすることができる。本発明の抗IL-33抗体(例えば、3F10及び15.21C7)又は本発明のイムノコンジュゲートは例えば、例えば免疫組織化学(IHC)、免疫蛍光(IF)、免疫ブロット法(例えば、ウエスタンブロット法)、フローサイトメトリー(例えば、FACSTM)、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、及びiPCRを含むイムノアッセイに使用することができる。
【0255】
一部の実施形態では、方法は、生物学的試料を、本明細書に記載されるイムノコンジュゲートと、イムノコンジュゲート中の抗IL-33抗体が特異的に結合するエピトープとは異なるIL-33上のエピトープに特異的に結合する第2の抗IL-33抗体(例えば、1E1v8)の存在下で接触させることと、結合したイムノコンジュゲートの存在を、IL-33(例えば、ヒトIL-33、還元型IL-33、酸化型IL-33、総IL-33、結合していないIL-33、及び/又はST2に結合したIL-33)に対する抗IL-33抗体の結合を可能にする条件下で、検出することと、抗IL-33抗体とIL-33(例えば、ヒトIL-33、還元型IL-33、酸化型IL-33、総IL-33、結合していないIL-33、及び/又はST2に結合したIL-33)との間に複合体が形成されるかどうかを検出することとを含む。一部の実施形態では、生物学的試料は、前記接触させることに先立ちTCEPで処理される。いくつかの実施形態では、イムノコンジュゲートは、核酸(例えば、一本鎖DNA)にコンジュゲートした本明細書に記載される抗IL-33抗体のいずれか1つ(例えば、15.21C7)である。いくつかの実施形態では、イムノコンジュゲートは、前記接触させることに先立ちサイズ排除クロマトグラフィーにより精製される。いくつかの実施形態では、前記検出することは、iPCRによる。
【0256】
本発明は、障害(例えば、IL-33媒介性障害)に罹患した対象を診断する方法における抗IL-33抗体の使用をさらに提供し、この方法は、対象から得られた試料中のIL-33(例えば、ヒトIL-33、還元型IL-33、酸化型IL-33、総IL-33、結合していないIL-33、及び/又はST2に結合したIL-33)の存在又はレベルを、試料を本明細書に開示される抗IL-33抗体(例えば、3F10又は15.21C7)と接触させて、結合した抗体の存在を検出することにより決定することを含む。本発明は、障害(例えば、IL-33媒介性障害)に罹患した対象を診断する方法におけるイムノコンジュゲートの使用をさらに提供し、この方法は、対象から得られた試料中のIL-33(例えば、ヒトIL-33、還元型IL-33、酸化型IL-33、総IL-33、結合していないIL-33、及び/又はST2に結合したIL-33)の存在又はレベルを、試料を本明細書に開示されるイムノコンジュゲート(例えば、抗IL-33抗体を含む;例えば、3F10又は15.21C7を含む)と接触させて、結合した抗体の存在を検出することにより、決定することを含む。
【0257】
本発明はまた、障害(例えば、IL-33媒介性障害)に罹患した対象を診断する方法における使用のための試薬の製造における抗IL-33抗体の使用をさらに提供し、この方法は、対象から得られた試料中のIL-33の存在又はレベルを、試料を本明細書に開示される抗IL-33抗体(例えば、3F10又は15.21C7)と接触させて、結合した抗体の存在を検出することにより決定することを含む。本発明はまた、障害(例えば、IL-33媒介性障害)に罹患した対象を診断する方法における使用のための試薬の製造におけるイムノコンジュゲートの使用をさらに提供し、この方法は、対象から得られた試料中のIL-33の存在又はレベルを、試料を本明細書に記載されるイムノコンジュゲート(例えば、抗IL-33抗体を含む;例えば、3F10又は15.21C7を含む)と接触させて、結合した抗体の存在を検出することにより決定することを含む。
【0258】
任意の適切な試料を使用することができる。いくつかの実施形態では、試料は、生物学的試料である。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、血液試料、眼の試料、鼻の試料、又は細胞培養物の試料である。いくつかの実施形態では、血液試料は、血漿又は血清の試料である。いくつかの実施形態では、眼の試料は、硝子体液又は眼房水の試料である。いくつかの実施形態では、試料は、組織試料である。いくつかの実施形態では、試料は、鼻腔吸収液試料である。
【0259】
一態様では、本明細書に開示される抗IL-33抗体又はイムノコンジュゲートは、例えば、IL-33が患者の選択のためのバイオマーカーである場合に、IL-33軸結合アンタゴニスト(例えば、抗IL-33抗体又は抗ST2抗体)を用いた治療法に適格な対象を選択するために使用されうる。
【0260】
例えば、本発明は、障害(例えば、IL-33媒介性障害)に罹患した対象のための治療法を選択するための方法を提供し、この方法は、対象から得られた試料中のIL-33(例えば、ヒトIL-33、還元型IL-33、酸化型IL-33、総IL-33、結合していないIL-33、及び/又はST2に結合したIL-33)の存在又はレベルを、試料を本明細書に開示される抗IL-33抗体(例えば、3F10又は15.21C7)と接触させて、結合した抗体の存在を検出することにより決定することと;試料中のIL-33(例えば、ヒトIL-33、還元型IL-33、酸化型IL-33、総IL-33、結合していないIL-33、及び/又はST2に結合したIL-33)の存在又はレベルに基づいて、対象のためのIL-33軸結合アンタゴニスト(例えば、抗IL-33抗体又は抗ST2抗体)を選択することとを含む。別の実施例では、本発明は、障害(例えば、IL-33媒介性障害)に罹患した対象のための治療法を選択するための方法を提供し、この方法は、対象から得られた試料中のIL-33(例えば、ヒトIL-33、還元型IL-33、酸化型IL-33、総IL-33、結合していないIL-33、及び/又はST2に結合したIL-33)の存在又はレベルを、試料を本明細書に開示されるイムノコンジュゲート(例えば、抗IL-33抗体を含む;例えば、3F10又は15.21C7を含む)と接触させて、結合した抗体の存在を検出することにより決定することと;試料中のIL-33(例えば、ヒトIL-33、還元型IL-33、酸化型IL-33、総IL-33、結合していないIL-33、及び/又はST2に結合したIL-33)の存在又はレベルに基づいて、対象のためのIL-33軸結合アンタゴニスト(例えば、抗IL-33抗体又は抗ST2抗体)を選択することとを含む。
【0261】
本明細書に記載される態様のいずれにおいても、IL-33軸結合アンタゴニストは、IL-33結合アンタゴニスト、ST2結合アンタゴニスト、及びIL1RAcP結合アンタゴニストを含む。例示的なIL-33軸結合アンタゴニストには、抗IL-33抗体及びその抗原結合断片(例えば、ANB-020(AnaptysBio,Inc.)等の抗IL-33抗体、又は各々が参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許出願公開第2021-0284725号、米国特許第10093730号、EP1725261、米国特許第8187596号、国際公開第2011031600号、国際公開第2014164959号、国際公開第2015099175号、国際公開第2015106080号、国際公開第2016077381号、又は国際公開第2021183849号に記載される抗体のいずれか);IL-33及び/又はその受容体(ST2及び/又はIL-1RACP)に結合し、リガンド-受容体相互作用をブロックするポリペプチド(例えば、参照によりその全体が本明細書に援用される国際公開第2014/152195号に記載されるもの等のST2-Fcタンパク質;イムノアドヘシン、ペプチボディ、及び可溶性ST2、又はそれらの誘導体);抗IL-33受容体抗体(例えば、抗ST2抗体、例えば、アステゴリマブ(MSTT1041Aとしても知られる)、AMG-282(Amgen)若しくはSTLM15(Janssen)、又は各々が参照によりその全体が本明細書に援用される国際公開第2013/173761号及び国際公開第2013/165894号に記載される抗ST2抗体のいずれか;又はST2-Fcタンパク質、例えば各々が参照によりその全体が本明細書に援用される国際公開第2013/173761号;国際公開第2013/165894号;又は国際公開第2014/152195号に記載されるもの;及びIL-33受容体アンタゴニスト、例えば小分子阻害剤、IL-33に結合するアプタマー、IL-33軸核酸配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸(例えば、短干渉RNA(siRNA)又はクラスター化して規則的に配置される短い回文リピートRNA(CRISPR-RNA又はcrRNA)が含まれ、これにはMali et al.(Science.339:823-26,2013)(参照によりその全体が本明細書に援用される)に記載されるcrRNA及びtracrRNA配列を有するシングルガイドRNA(sgRNA)が含まれる。
【0262】
いくつかの実施形態では、試料は、生物学的試料である。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、血液試料、眼の試料、鼻の試料、又は細胞培養物の試料である。いくつかの実施形態では、血液試料は、血漿又は血清の試料である。いくつかの実施形態では、眼の試料は、硝子体液又は眼房水の試料である。いくつかの実施形態では、試料は組織試料である。いくつかの実施形態では、試料は、脳脊髄液試料である。
【0263】
前述の方法のいずれにおいても、生物学的試料は、IL-33(例えば、ヒトIL-33、還元型IL-33、酸化型IL-33、総IL-33、結合していないIL-33、及び/又はST2に結合したIL-33)の検出可能なレベルを有しうる。
【0264】
いくつかの実施形態では、IL-33の存在又はレベルは、総IL-33の存在又はレベルである。いくつかの実施形態では、IL-33の存在又はレベルは、還元型IL-33の存在又はレベルである。いくつかの実施形態では、IL-33の存在又はレベルは、酸化型IL-33の存在又はレベルである。いくつかの実施形態では、IL-33の存在又はレベルは、ヒトIL-33の存在又はレベルである。いくつかの実施形態では、IL-33の存在又はレベルは、結合していないIL-33の存在又はレベルである。いくつかの実施形態では、IL-33の存在又はレベルは、sST2に結合したIL-33の存在又はレベルである。いくつかの実施形態では、sST2は、hsST2である。
【0265】
上述の方法のいずれもが、抗IL-33抗体(例えば、本明細書に開示されるいずれかの抗IL-33抗体)の代わりに又はそれに加えて、本明細書に開示されるイムノコンジュゲートを含みうることが理解される。
【0266】
F.生物学的試料
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗IL-33抗体のいずれもが、当技術分野で既知の又は本明細書に記載される方法を使用して、生物学的試料中のIL-33の存在を検出するために有用である。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、組織又は細胞の試料を含む。例えば、生物学的試料は、正常な対象又はIL-33媒介性の障害を有するか、IL-33媒介性の障害にかかりやすいか、又はIL-33媒介性の障害について試験されている対象由来の細胞又は組織を含みうる。
【0267】
一部の事例では、組織又は細胞試料の供給源は、新鮮な、凍結された、及び/又は保存された臓器若しくは組織試料、又は生検若しくは吸引物;血液又は任意の血液成分(例えば、全血、血漿、又は血清);鼻腔吸収液(NF)、羊膜液、腹腔液、又は間質液;対象の妊娠期間又は発育における任意の時期の細胞由来の固形組織でありうる。本明細書における組織試料の例には、限定されないが、硝子体液及び眼房水試料を含むがこれらに限定されない眼の試料が含まれる。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、in vitro組織又は細胞培養物からから得られる。本明細書における生物学的試料の例には、限定されないが、腫瘍生検、循環性腫瘍細胞、血清又は血漿、循環性血漿タンパク質、腹水、腫瘍から得られた又は腫瘍様な特性を呈する初代細胞培養物又は細胞株、並びに保存された腫瘍試料、例えばホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍試料又は凍結腫瘍試料が含まれる。
【0268】
いくつかの実施形態では、生物学的試料は、防腐剤、抗凝固剤、バッファー、栄養剤、又は抗生物質等の、天然の組織と天然では混合しない化合物を含有する。一部の実施形態では、生物学的試料は、1つ又は複数の固定液に曝露されている及び/又は1つ又は複数の定液を含有する。本発明の方法及び組成物に使用することのできる固定液には、ホルマリン、グルタルアルデヒド、四酸化オスミウム、酢酸、エタノール、アセトン、ピクリン酸、クロロホルム、重クロム酸カリウム及び塩化第二水銀が含まれる、並びに/又はマイクロ波加熱若しくは凍結による安定化が含まれる。
【0269】
いくつかの実施形態では、生物学的試料は、IL-33媒介性の障害を有するか、IL-33媒介性の障害にかかりやすいか、又はIL-33媒介性の障害について試験されている対象に由来する。前述の実施形態のいずれにおいても、IL-33媒介性障害は、眼の障害、炎症状態、免疫疾患、線維性障害、又は好酸球性障害でありうる。例えば、いくつかの事例では、炎症状態は、喘息、気道過敏性、気道炎症、敗血症、敗血症性ショック、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、関節リウマチ、又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)でありうる。いくつかの事例では、免疫疾患は、喘息、関節リウマチ、アレルギー、アトピー性アレルギー、アナフィラキシー、アナフィラキシー性ショック、アレルギー性鼻炎、乾癬、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、糖尿病、又は肝臓疾患でありうる。いくつかの事例では、線維性疾患は、特発性肺線維症(IPF)でありうる。いくつかの事例では、好酸球性障害は、好酸球関連胃腸障害(EGID)でありうる。いくつかの事例では、EGIDは、好酸球性食道炎でありうる。特定の事例では、IL-33媒介性障害は、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、COPD、好酸球性食道炎、又は肺線維症(例えば、IPF)でありうる。例えば、いくつかの事例では、IL-33媒介性障害は、喘息である。他の事例では、IL-33媒介性障害は、肺線維症(例えば、IPF)である。
【0270】
前述の実施形態のいずれかのいくつかの事例では、IL-33媒介性障害は、眼の障害(例えば、本明細書に開示されるいずれかの眼の障害)でありうる。非限定的な眼の障害には、例えば、AMD(例えば、滲出型AMD、乾燥型AMD、中間型AMD、進行型AMD、及び地図状萎縮(GA))、黄斑変性、黄斑浮腫、DME(例えば、焦点、非中心DME、及びびまん性、中心関与DME)、網膜症、糖尿病性網膜症(DR)(例えば、増殖性DR(PDR)、非増殖性DR(NPDR)、及び高所DR)、他の虚血関連網膜症、ROP、網膜静脈閉塞(RVO)(例えば、中心(CRVO)及び分岐(BRVO)形態)、CNV(例えば、近視性CNV)、角膜血管新生、角膜血管新生に関連する疾患、網膜血管新生、網膜/脈絡膜血管新生に関連する疾患、中心性漿液性網膜症(CSR)、病的近視、フォンヒッペル・リンダウ病、眼のヒストプラズマ症、FEVR、コーツ病、ノーリー病、骨粗鬆症性偽神経膠腫症候群(OPPG)に関連する網膜異常、結膜下出血、皮膚潮紅、眼血管新生疾患、血管新生緑内障、網膜色素変性症(RP)、高血圧性網膜症、網膜血管腫状増殖、黄斑血管拡張症、虹彩血管新生、眼内血管新生、網膜変質、類嚢胞黄斑浮腫(CME)、脈管炎、乳頭浮腫、CMV網膜炎を含むがこれに限定されない網膜炎、眼黒色腫、網膜芽細胞腫、結膜炎(例えば、感染性結膜炎及び非感染性(例えば、アレルギー性)結膜炎)、レーバー先天性黒内障(レーバー先天性黒内障又はLCAとしても知られる)、ブドウ膜炎(感染性及び非感染性ブドウ膜炎を含む)、脈絡膜炎(例えば、多巣性脈絡膜炎)、眼ヒストプラズマ症、眼瞼炎、ドライアイ、外傷性眼損傷、シェーグレン病、並びに、疾患又は障害が眼血管新生、血管漏出、及び/又は網膜浮腫若しくは網膜萎縮に関連する他の眼疾患が含まれる。さらなる例示的な眼の障害には、網膜分離症(網膜神経感覚層の異常な分裂)、皮膚潮紅(隅角の血管新生)に関連する疾患、及び線維血管組織又は線維組織の異常な増殖によって引き起こされる疾患(増殖性硝子体網膜症のすべての形態を含む)が含まれる。
【0271】
角膜血管新生に関連する例示的疾患には、限定されないが、流行性角結膜炎、ビタミンA欠乏、コンタクトレンズの付け過ぎ、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、乾癬性角膜炎、シェーグレン症候群、酒土性挫創、糸球体炎、梅毒、マイコバクテリア感染、脂肪変性、化学火傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染,帯状疱疹感染、原虫症、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン周辺角膜変性症、辺縁角膜炎、関節リウマチ、全身性狼瘡、多発性動脈炎、トラウマ、ウェゲナーのサルコイドーシス、強膜炎、スティーブンス-ジョンソン症候群、類天疱瘡放射状角膜切開術、及び角膜グラフ(graph)拒絶が含まれる。
【0272】
血管漏出の増加、動脈瘤及び毛細血管脱落を含む、脈絡膜新生血管形成及び網膜血管系の欠陥に関連する例示的な疾患には、限定されないが、糖尿病性網膜症、黄斑変性、鎌状赤血球貧血、サルコイド、梅毒、弾力線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頸動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎/硝子体炎、マイコバクテリア感染症、ライム病、全身性エリテマトーデス、未熟児網膜症、網膜浮腫(黄斑浮腫を含む)、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎又は脈絡膜炎を引き起こす感染症(例えば、多焦点脈絡膜)、推定眼ヒストプラズマ症、ベスト病(硝子体黄斑変性)、近視、視神経乳頭、扁平部炎、網膜剥離(例えば、慢性網膜剥離)、過粘度症候群、トキソプラスマ症、外傷及びレーザー後合併症が含まれる。
【0273】
網膜組織の萎縮に関連する例示的な疾患(光受容体及びその下のRPE)には、限定されないが、萎縮性又は非滲出性AMD(例えば、地図状萎縮又は進行性乾燥型AMD)、黄斑萎縮(例えば、新生血管形成及び/又は地図状萎縮に関連する萎縮)、糖尿病性網膜症、シュタルガルト病、ソースビー眼底ジストロフィー、網膜分離症及び網膜色素変性症が含まれる。
【0274】
いくつかの実施形態では、眼の障害には、AMD(滲出型AMD、乾燥型AMD、及びGAを含む)、網膜症(例えば、DR及びROP)、PCV、糖尿病黄斑浮腫、ドライアイ疾患、ベーチェット病、アレルギー性結膜炎、及び網膜剥離が含まれる。
【0275】
他の実施形態では、眼の障害には、中間型AMD、進行型AMD、緑内障、ブドウ膜炎(例えば、感染性及び非感染性ブドウ膜炎)、網膜色素変性症、レーバー先天性黒内障、シュタルガルト病、高地糖尿病性網膜症、外傷性眼損傷、及び結膜炎(例えば、感染性結膜炎及び非感染性結膜炎)が含まれる。
【0276】
例えば、本明細書で提供されるのは、眼の障害を有するか、眼の障害にかかりやすいか、又は眼の障害について試験されている対象におけるIL-33の存在又はレベルを検出する方法である。一例では、本発明は、眼の障害を有するか、眼の障害にかかりやすいか、又は眼の障害について試験されている対象におけるIL-33の存在又はレベルを検出する方法を提供し、この検出は、IL-33軸結合アンタゴニスト(例えば、本明細書に開示される抗IL-33抗体又は抗ST2抗体)の対象への投与に先立ち行われる。別の例では、本発明は、眼の障害を有するか、眼の障害にかかりやすいか、又は眼の障害について試験されている、IL-33の検出を必要とする対象においてIL-33を検出する方法を提供し、この対象は、治療的有効量の、本明細書に開示されるIL-33軸結合アンタゴニスト、例えば、抗IL-33抗体又は抗ST2抗体を投与されている。いくつかの事例では、眼の障害は、滲出型AMD、乾燥型AMD、中間型AMD、進行型AMD、及び地図状萎縮(GA)を含む加齢黄斑変性症(AMD)、網膜症(例えば、糖尿病性網膜症(DR)、未熟児網膜症(ROP)、及び高地DR)、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)、糖尿病性黄斑浮腫、ドライアイ疾患、ベーチェット病、網膜剥離、緑内障、ブドウ膜炎(例えば、感染性及び非感染性ブドウ膜炎)、網膜色素変性症、レーバー先天性黒内障(レーバー先天性黒内障としても知られる)、シュタルガルト病、外傷性眼損傷、及び結膜炎(例えば、感染性結膜炎、非感染性結膜炎、及びアレルギー性結膜炎)からなる群から選択されうる。いくつかの事例では、眼科的障害には、AMD(滲出型AMD、乾燥型AMD、及びGAを含む)、網膜症(例えば、DR及びROP)、PCV、糖尿病黄斑浮腫、ドライアイ疾患、ベーチェット病、アレルギー性結膜炎、及び網膜剥離が含まれる。他の事例では、眼の障害には、中間型AMD、進行型AMD、緑内障、ブドウ膜炎(例えば、感染性及び非感染性ブドウ膜炎)、網膜色素変性症、レーバー先天性黒内障、シュタルガルト病、高地糖尿病性網膜症、外傷性眼損傷、及び結膜炎(例えば、感染性結膜炎及び非感染性結膜炎)が含まれる。
【0277】
G.薬学的製剤
本明細書に開示される抗IL-33軸結合アンタゴニスト(例えば、IL-33結合アンタゴニスト又はST2結合アンタゴニスト、例えば、抗IL-33抗体又は抗ST2抗体)の薬学的製剤は、所望の程度の純度を有するそのようなIL-33結合アンタゴニストを1つ又は複数の任意選択的な薬学的に許容される担体と混合することによって(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.,1980を参照)、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態に調製される。薬学的に許容される担体は、通常、用いられる投薬量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、限定されないが、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えばオクタデシルジメチオルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド;ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノース又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及びその他の糖質;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);及び/又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が含まれる。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体は、可溶性中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)等の間質性薬物分散剤、例えばrhuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)等のヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質をさらに含む。rHuPH20を含む、一部の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許出願公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載されている。一態様では、sHASEGPは、1つ又は複数の追加のグリコサミノグリカナーゼ、例えば、コンドロイチナーゼと組み合わせられる。
【0278】
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6267958号に記載されている。水性抗体製剤には、米国特許第6,171,586号及び国際公開第2006/044908号に記載されるものが含まれ、後者の製剤は、酢酸ヒスチジンバッファーを含む。
【0279】
本明細書における製剤は、治療される特定の適応症に必要な2つ以上の有効成分、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものも含有してよい。
【0280】
有効成分は、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルジョンの、例えば、コアセルベーション技術によって、又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース、又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に封入されうる。そのような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.,1980に開示されている。
【0281】
徐放性調製物が調製されてもよい。徐放性調製物の適切な例には、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、このマトリックスは成形品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。
【0282】
眼への送達(眼部送達)のために、本明細書に開示される抗体は、例えば、眼科学的に許容される防腐剤、共溶媒、界面活性剤、粘度エンハンサー、浸透エンハンサー、バッファー、塩化ナトリウム、及び/又は水と組み合わせることができる。防腐剤は、例えば、使用中の微生物汚染を抑制するために含まれていてもよい。適切な防腐剤には、エデト酸二ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビン酸、フェニルエチルアルコール、クロロブタノール、ポリクオタニウム-1、又は当技術分野で知られている他の薬剤が含まれる。これらの防腐剤は、典型的には、0.001から1.0%w/vのレベルで用いられる。いくつかの事例では、本明細書に開示される薬学的製剤は、防腐剤を含まない。いくつかの事例では、眼に局所投与されることを意図した組成物が、点眼薬又は眼軟膏として調製されうる。いくつかの事例では、抗体の総量は、そのような製剤の約0.001から1.0%(w/w)、例えば約0.01から約1.0%(w/w)である。
【0283】
in vivo投与に使用される製剤は、通常滅菌である。滅菌性は、例えば、滅菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成されうる。
【0284】
IL-33軸結合アンタゴニストは、ポリマー製剤に製剤化することができる。
【0285】
H.キット及び製造品
別の態様では、上述の抗体(例えば、抗IL-33抗体)又はイムノコンジュゲートのいずれかを使用したIL-33の検出に有用な物質を含有するキット又は製造品が提供される。キット又は製造品は、抗IL-33抗体(例えば、本明細書に開示されるいずれかの抗IL-33抗体)を含みうる。キット又は製造品は、本明細書に記載されるイムノコンジュゲート(例えば、抗IL-33抗体を含む;例えば、3F10又は15.21C7を含む)を含みうる。キット又は製造品は、容器と、容器上の又は容器に関連付けられたラベル又は添付文書を含みうる。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV輸液バッグ等を含む。容器は、ガラス又はプラスチック等の様々な材料から形成されうる。容器は、それ自体で又は別の組成物との組み合わせで、試料(例えば、生物学的試料)中のIL-33の存在又はレベル(例えば、発現レベル)のアッセイ、検出、及び/又は測定に有効な組成物を保持しうる。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本明細書に開示される抗体である。ラベル又は添付文書は、組成物が、選択された状態(例えば、IL-33媒介性障害)の診断又は検出のために使用されることを示すことができる。さらに、キット又は製造品は、(a)本明細書に開示される抗体又はイムノコンジュゲートを含む組成物を中に収容する第1の容器、及び(b)1つ又は複数の試薬を含む組成物を中に収容する第2の容器を含みうる。本明細書に開示されるこの実施形態のキット又は製造品は、IL-33を検出するために組成物を使用することができることを示す添付文書をさらに含む。代替的に、又は追加的に、キット又は製造品は、許容されるバッファー、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、及びデキストロース溶液を含む第2の(又は第3の)容器をさらに含みうる。キット又は製造品は、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的観点及びユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに含みうる。
【0286】
例えば、本明細書に提供されるのは、(a)本明細書に開示される抗体のいずれか;及び(b)生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルを検出するための抗体の使用についての説明を含む添付文書を含むキットである。別の例では、本明細書で提供されるのは、(a)本明細書に開示されるイムノコンジュゲートのいずれか;及び(b)生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルを検出するためのイムノコンジュゲートの使用についての説明を含む添付文書を含むキットである。
【0287】
上記製造品のいずれもが、抗IL-33抗体(例えば、本明細書に開示されるいずれかの抗IL-33抗体)の代わりに、又は同抗体に加えて、本明細書に開示されるイムノコンジュゲートを含みうることが理解される。
【0288】
III.例示的な実施形態
以下の例示的実施形態は、純粋に本出願の例示であることを意図しており、したがって、いかなる意味でも本発明を限定するものと考慮されるべきではない。
【0289】
本明細書で提供される実施形態は以下の通りである。
【0290】
実施形態1.IL-33に特異的に結合する単離された抗体、又はその抗原結合断片であって、抗体が、重鎖可変(VH)ドメイン及び軽鎖可変(VL)ドメインを含む結合ドメインを含み、結合ドメインが、以下の6つの相補性決定領域(CDR):
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;
(c)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
(d)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(e)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び
(f)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、抗体又はその抗原結合断片。
【0291】
実施形態2.VHドメインが、以下のフレームワーク領域(FR):
(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むFR-H1;
(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むFR-H2;
(c)配列番号13のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び
(d)配列番号14のアミノ酸配列を含むFR-H4
を含む、実施形態1に記載の抗体。
【0292】
実施形態3.VLドメインが、以下のFR:
(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むFR-L1;
(b)配列番号16のアミノ酸配列を含むFR-L2;
(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び
(d)配列番号18のアミノ酸配列を含むFR-L4
を含む、実施形態1又は2の抗体。
【0293】
実施形態4.(a)配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン;(b)配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン;又は(c)(a)のVHドメインと(b)のVLドメインを含む、実施形態1から3のいずれか1つの抗体。
【0294】
実施形態5.VHドメインが、配列番号7のアミノ酸配列を含む、実施形態1から4のいずれか1つの抗体。
【0295】
実施形態6.VLドメインが、配列番号8のアミノ酸配列を含む、実施形態1から5のいずれか1つの抗体。
【0296】
実施形態7.IL-33に特異的に結合する単離された抗体、又はその抗原結合断片であって、抗体が、(a)配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む結合ドメインを含む、抗体又はその抗原結合断片。
【0297】
実施形態8.配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖(HC);(b)配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖(LC);又は(c)(a)のHCと(b)のLCを含む、実施形態1から7のいずれか1つの抗体。
【0298】
実施形態9.HCが、配列番号9のアミノ酸配列を含む、実施形態1から8のいずれか1つの抗体。
【0299】
実施形態10.LCが、配列番号10のアミノ酸配列を含む、実施形態1から9のいずれか1つの抗体。
【0300】
実施形態11.IL-33に特異的に結合する単離された抗体、又はその抗原結合断片であって、抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を含むHC及び(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCを含む、抗体、又はその抗原結合断片。
【0301】
実施形態12.IL-33に特異的に結合する単離された抗体、又はその抗原結合断片であって、抗体が、以下の6つのCDR:
(a)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(b)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H2;
(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
(d)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(e)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び
(f)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、抗体、又はその抗原結合断片。
【0302】
実施形態13.VHドメインが、以下のFR:
(a)配列番号29のアミノ酸配列を含むFR-H1;
(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むFR-H2;
(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び
(d)配列番号32のアミノ酸配列を含むFR-H4
を含む、実施形態12の抗体。
【0303】
実施形態14.VHドメインが、以下のFR:
(a)配列番号33のアミノ酸配列を含むFR-L1;
(b)配列番号34のアミノ酸配列を含むFR-L2;
(c)配列番号35のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び
(d)配列番号36のアミノ酸配列を含むFR-L4
を含む、請求項12又は13の抗体。
【0304】
実施形態15.(a)配列番号25のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVHドメイン;(b)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するVLドメイン、又は(c)(a)のVHドメインと(b)のVLドメインを含む、実施形態12から14のいずれか1つの抗体。
【0305】
実施形態16.VHドメインが、配列番号25のアミノ酸配列を含む、実施形態12から15のいずれか1つの抗体。
【0306】
実施形態17.VLドメインが、配列番号26のアミノ酸配列を含む、実施形態12から16のいずれか1つの抗体。
【0307】
実施形態18.IL-33に特異的に結合する単離された抗体、又はその抗原結合断片であって、抗体が、(a)配列番号25のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び(b)配列番号26のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む結合ドメインを含む、抗体又はその抗原結合断片。
【0308】
実施形態19.配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するHC;(b)配列番号28のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するLC;又は(c)(a)のHCと(b)のLCを含む、実施形態12から18のいずれか1つの抗体。
【0309】
実施形態20.HCが、配列番号27のアミノ酸配列を含む、実施形態12から19のいずれか1つの抗体。
【0310】
実施形態21.LCが、配列番号28のアミノ酸配列を含む、実施形態12から20のいずれか1つの抗体。
【0311】
実施形態22.IL-33に特異的に結合する単離された抗体、又はその抗原結合断片であって、抗体が、配列番号27のアミノ酸配列を含むHC及び(b)配列番号28のアミノ酸配列を含むLCを含む、抗体、又はその抗原結合断片。
【0312】
実施形態23.酸化型又は還元型IL-33に結合する、実施形態1から22のいずれか1つの抗体。
【0313】
実施形態24.酸化型IL-33及び還元型IL-33に、2倍以内のKDで結合する、実施形態23の抗体。
【0314】
実施形態25.酸化型IL-33及び還元型IL-33に、実質的に同じKDで結合する、実施形態24の抗体。
【0315】
実施形態26.還元型IL-33に結合する、実施形態1から25のいずれか1つの抗体。
【0316】
実施形態27.還元型IL-33に、≦1nMのKDで結合する、実施形態26の抗体。
【0317】
実施形態28.還元型IL-33に、0.01nMと1nMとの間のKDで結合する、実施形態27に記載の抗体。
【0318】
実施形態29.還元型IL-33に、≦0.5nMのKDで結合する、実施形態27の抗体。
【0319】
実施形態30.還元型IL-33に、0.1nMと0.5nMとの間のKDで結合する、実施形態29に記載の抗体。
【0320】
実施形態31.還元型IL-33に、約0.487nMのKDで結合する、実施形態29又は30の抗体。
【0321】
実施形態32.還元型IL-33に、約0.338nMのKDで結合する、実施形態29又は30の抗体。
【0322】
実施形態33.ヒトIL-33に結合する、実施形態1から32のいずれか1つの抗体。
【0323】
実施形態34.可溶型インターロイキン1受容体様1(sST2)タンパク質及びsST2に結合していないIL-33に、2倍以内のKDで結合する、実施形態1から33のいずれか1つの抗体。
【0324】
実施形態35.sST2タンパク質に結合したIL-33に、sST2に結合していないIL-33と実質的に同じKDで結合する、実施形態1から34のいずれか1つの抗体。
【0325】
実施形態36.sST2が、がヒトsST2(hsST2)である、実施形態34又は35の抗体。
【0326】
実施形態37.モノクローナル抗体である、実施形態1から36のいずれか1つの抗体。
【0327】
実施形態38.キメラ抗体である、実施形態1から18及び23から37のいずれか1つの抗体。
【0328】
実施形態39.ラット抗体である、実施形態12から38のいずれか1つの抗体。
【0329】
実施形態40.IgG抗体である、実施形態1から36のいずれか1つの抗体。
【0330】
実施形態41.IgG1抗体である、実施形態1から18、21及び23から37のいずれか1つの抗体。
【0331】
実施形態42.IgG2a抗体である、実施形態1から7、10及び12から20のいずれか1つの抗体。
【0332】
実施形態43.IL-33に特異的に結合する抗体断片である、実施形態1から36のいずれか1つの抗体。
【0333】
実施形態44.抗体断片が、Fab、単鎖可変断片(scFv)、Fv、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、及びダイアボディからなる群から選択される、実施形態43の抗体。
【0334】
実施形態45.実施形態1から44のいずれか1つの抗体をコードする単離された核酸、又は前記抗体を一緒にコードする単離された核酸の組。
【0335】
実施形態46.実施形態45の単離された核酸又は単離された核酸の組を含むベクター又はベクターの組。
【0336】
実施形態47.実施形態46のベクター又はベクターの組を含む宿主細胞。
【0337】
実施形態48.哺乳動物細胞である、実施形態47の宿主細胞。
【0338】
実施形態49.哺乳動物細胞が、ラット細胞である、実施形態48の宿主細胞。
【0339】
実施形態50.哺乳動物細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、実施形態48の宿主細胞。
【0340】
実施形態51.原核細胞である、実施形態47の宿主細胞。
【0341】
実施形態52.原核細胞が、大腸菌である、実施形態51の宿主細胞。
【0342】
実施形態53.実施形態47から52のいずれか1つの宿主細胞を培地中で培養することを含む、IL-33に特異的に結合する抗体を生成する方法。
【0343】
実施形態54.宿主細胞又は培地から抗体を回収することをさらに含む、実施形態53の方法。
【0344】
実施形態55.実施形態1から44のいずれか1つの抗体を含むイムノコンジュゲート。
【0345】
実施形態56.標識に連結される、実施形態55のイムノコンジュゲート。
【0346】
実施形態57.生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルの検出における使用のための、実施形態1から44のいずれか1つの抗体又は実施形態55若しくは56のイムノコンジュゲート。
【0347】
実施形態58.検出が、免疫組織化学(IHC)、免疫蛍光(IF)、フローサイトメトリー、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、免疫ブロット法、又は免疫ポリメラーゼ連鎖反応(iPCR)による、実施形態57の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0348】
実施形態59.検出が、ELISAによる、実施形態58の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0349】
実施形態60.検出が、iPCRによる、実施形態58の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0350】
実施形態61.生物学的試料が、血液試料、眼の試料、鼻の試料、又は細胞培養物の試料である、実施形態57から60のいずれか1つの使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0351】
実施形態62.血液試料が、血漿又は血清の試料である、実施形態61の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0352】
実施形態63.眼の試料が、硝子体液又は眼房水の試料である、実施形態61の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0353】
実施形態64.眼の試料が、組織試料である、実施形態61の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0354】
実施形態65.鼻の試料が、鼻腔吸収液試料である、実施形態61の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0355】
実施形態66.生物学的試料が、IL-33媒介性障害を有するか又はIL-33媒介性障害のリスクを有する対象に由来する、実施形態57から65のいずれか1つの使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0356】
実施形態67.IL-33媒介性障害が、眼の障害、炎症状態、免疫疾患、線維性障害、好酸球性障害、感染症、疼痛、中枢神経系障害、又は固形腫瘍である、実施形態66の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0357】
実施形態68.眼の障害が、加齢黄斑変性(AMD)、眼の網膜症、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)、糖尿病性黄斑浮腫、ドライアイ疾患、ベーチェット病、網膜剥離、緑内障、ブドウ膜炎、網膜色素変性症、レーバー先天性黒内障、シュタルガルト病、外傷性眼損傷、又は結膜炎である、実施形態67の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0358】
実施形態69.AMDが、地図状萎縮(GA)、滲出型AMD、又は乾燥型AMDである、実施形態68の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0359】
実施形態70.AMDが、GAである、実施形態68の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0360】
実施形態71.AMDが、中間型AMD又は進行型AMDである、実施形態68の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0361】
実施形態72.眼の網膜症が、糖尿病性網膜症(DR)又は未熟児網膜症(ROP)である、実施形態68の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0362】
実施形態73.眼の網膜症が、高地DRである、実施形態68の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0363】
実施形態74.結膜炎が、感染性結膜炎又は非感染性結膜炎である、実施形態68の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0364】
実施形態75.結膜炎が、アレルギー性結膜炎である、実施形態68の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0365】
実施形態76.炎症状態が、喘息、敗血症、敗血症性ショック、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、関節リウマチ、又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)である、実施形態67の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0366】
実施形態77.免疫疾患が、喘息、関節リウマチ、アレルギー、アナフィラキシー、アナフィラキシー性ショック、アレルギー性鼻炎、乾癬、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、糖尿病、又は肝臓疾患である、実施形態67の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0367】
実施形態78.線維性疾患が、特発性肺線維症(IPF)である、実施形態67の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0368】
実施形態79.好酸球性障害が、好酸球関連胃腸障害(EGID)である、実施形態67の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0369】
実施形態80.EGIDが、好酸球性食道炎である、実施形態79の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0370】
実施形態81.対象が、ヒトである、実施形態66から80のいずれか1つの使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0371】
実施形態82.IL-33の存在又はレベルが、総IL-33の存在又はレベルである、実施形態57から81のいずれか1つの使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0372】
実施形態83.IL-33の存在又はレベルが、還元型IL-33の存在又はレベルである、実施形態57から81のいずれか1つの使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0373】
実施形態84.IL-33の存在又はレベルが、ヒトIL-33の存在又はレベルである、実施形態57から83のいずれか1つの使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0374】
実施形態85.IL-33の存在又はレベルが、結合していないIL-33の存在又はレベルである、実施形態57から84のいずれか1つの使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0375】
実施形態86.IL-33の存在又はレベルが、sST2に結合したIL-33の存在又はレベルである、実施形態57から84のいずれか1つの使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0376】
実施形態87.sST2が、hsST2である、実施形態86の使用のための抗体又は使用のためのイムノコンジュゲート。
【0377】
実施形態88.生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルを検出する方法であって:
(i)生物学的試料を、実施形態1から44のいずれか1つの抗体と接触させ、結合した抗体の存在を検出すること;又は
(ii)生物学的試料を、実施形態55又は56のイムノコンジュゲートと接触させ、結合したイムノコンジュゲートの存在を検出すること
を含む方法。
【0378】
実施形態89.検出することが、IHC、IF、フローサイトメトリー、ELISA、免疫ブロット法、又はiPCRによる、実施形態88の方法。
【0379】
実施形態90.検出することが、ELISAによる、実施形態89の方法。
【0380】
実施形態91.検出することが、iPCRによる、実施形態89の方法。
【0381】
実施形態92.生物学的試料を、実施形態55又は56のイムノコンジュゲートと、イムノコンジュゲート中の抗IL-33抗体が特異的に結合するエピトープとは異なるIL-33上のエピトープに特異的に結合する第2の抗IL-33抗体の存在下で接触させることと、結合したイムノコンジュゲートの存在を検出することとを含む、実施形態91の方法。
【0382】
実施形態93.抗IL-33抗体が、1E1v8である、実施形態92の方法。
【0383】
実施形態94.生物学的試料が、前記接触させることに先立ちトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)で処理される、実施形態92又は93の方法。
【0384】
実施形態95.生物学的試料が、血液試料、眼の試料、鼻の試料、又は細胞培養物の試料である、実施形態88から94のいずれか1つの方法。
【0385】
実施形態96.血液試料が、血漿又は血清の試料である、実施形態95の方法。
【0386】
実施形態97.眼の試料が、硝子体液又は眼房水の試料である、実施形態95の方法。
【0387】
実施形態98.眼の試料が、組織試料である、実施形態95の方法。
【0388】
実施形態99.鼻の試料が、鼻腔吸収液試料である、実施形態95の方法。
【0389】
実施形態100.生物学的試料が、IL-33媒介性障害を有するか又はIL-33媒介性障害のリスクを有する対象に由来する、実施形態88から99のいずれか1つの方法。
【0390】
実施形態101.IL-33媒介性障害が、眼の障害、炎症状態、免疫疾患、線維性障害、好酸球性障害、感染症、疼痛、中枢神経系障害、又は固形腫瘍である、実施形態100の方法。
【0391】
実施形態102.眼の障害が、AMD、眼の網膜症、PCV、糖尿病性黄斑浮腫、ドライアイ疾患、ベーチェット病、網膜剥離、緑内障、ブドウ膜炎、網膜色素変性症、レーバー先天性黒内障、シュタルガルト病、外傷性眼損傷、又は結膜炎である、実施形態101の方法。
【0392】
実施形態103.AMDが、GA、滲出型AMD、又は乾燥型AMDである、実施形態102の方法。
【0393】
実施形態104.AMDが、GAである、実施形態102の方法。
【0394】
実施形態105.AMDが、中間型AMD又は進行型AMDである、実施形態102の方法。
【0395】
実施形態106.眼の網膜症が、DR又はROPである、実施形態102の方法。
【0396】
実施形態107.眼の網膜症が、高地DRである、実施形態102の方法。
【0397】
実施形態108.結膜炎が、感染性結膜炎又は非感染性結膜炎である、実施形態102の方法。
【0398】
実施形態109.結膜炎が、アレルギー性結膜炎である、実施形態102の方法。
【0399】
実施形態110.炎症状態が、喘息、敗血症、敗血症性ショック、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、関節リウマチ、又はCOPDである、実施形態101の方法。
【0400】
実施形態111.免疫疾患が、喘息、関節リウマチ、アレルギー、アナフィラキシー、アナフィラキシー性ショック、アレルギー性鼻炎、乾癬、IBD、クローン病、糖尿病、又は肝臓疾患である、実施形態101の方法。
【0401】
実施形態112.線維性疾患が、IPFである、実施形態101の方法。
【0402】
実施形態113.好酸球性障害が、EGIDである、実施形態101の方法。
【0403】
実施形態114.EGIDが、好酸球性食道炎である、実施形態113の方法。
【0404】
実施形態115.対象が、ヒトである、実施形態100から114のいずれか1つの方法。
【0405】
実施形態116.IL-33の存在又はレベルが、総IL-33の存在又はレベルである、実施形態88から115のいずれか1つの方法。
【0406】
実施形態117.IL-33の存在又はレベルが、還元型IL-33の存在又はレベルである、実施形態88から115のいずれか1つの方法。
【0407】
実施形態118.IL-33の存在又はレベルが、ヒトIL-33の存在又はレベルである、実施形態88から117のいずれか1つの方法。
【0408】
実施形態119.IL-33の存在又はレベルが、結合していないIL-33の存在又はレベルである、実施形態88から118のいずれか1つの方法。
【0409】
実施形態120.IL-33の存在又はレベルが、sST2に結合したIL-33の存在又はレベルである、実施形態88から118のいずれか1つの方法。
【0410】
実施形態121.sST2が、hsST2である、実施形態120の方法。
【0411】
実施形態122.生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルに基づいて、対象のためのIL-33軸結合アンタゴニストを含む治療を選択することをさらに含む、実施形態88から121のいずれか1つの方法。
【0412】
実施形態123.治療的有効量のIL-33軸結合アンタゴニストを対象に投与することをさらに含む、実施形態88から121のいずれか1つの方法。
【0413】
実施形態124.IL-33軸結合アンタゴニストが、IL-33結合アンタゴニストである、実施形態122又は123の方法。
【0414】
実施形態125.IL-33結合アンタゴニストが、抗IL-33抗体である、実施形態124の方法。
【0415】
実施形態126.IL-33軸結合アンタゴニストを含む治療の候補者である、IL-33媒介性の障害を有する対象を同定するためのアッセイであって、実施形態1から44のいずれか1つの抗体又は実施形態55若しくは56のイムノコンジュゲートを使用して対象から得られた生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルを決定することを含むアッセイ。
【0416】
実施形態127.
(a)実施形態1から44のいずれか1つの抗体;及び
(b)生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルを検出するための抗体の使用についての説明を含む添付文書
を含むキット。
【0417】
実施形態128.
(a)実施形態55又は56のイムノコンジュゲート;及び
(b)生物学的試料中のIL-33の存在又はレベルを検出するためのイムノコンジュゲートの使用についての説明を含む添付文書
を含むキット。
【実施例】
【0418】
IV.実施例
以下は、本発明の方法及び組成物の実施例である。上記に提供された一般的な記載を前提として、他の種々の実施形態が実施されうることを理解されたい。
【0419】
実施例1:材料及び方法
ヒトsST2レベルの測定
hsST2のレベルを、製造業者の説明書(#DST200、R&D Systems,Minneapolis,MN,USA)に従ってヒトST2/hIL-33R QUANTIKINE(登録商標)キットELISAを使用して決定した。hsST2の標準レンジは7.81pg/mLから1000pg/mLであり、感度はバッファー中15.6pg/mLであり、検出可能な濃度の下限は、眼房水中1563pg/mL(最低希釈倍率(MRD)は1:100)、硝子体液中625pg/mL(MRDは1:40)、血清中2500pg/mL(MRDは1:160)、及びNF中1250pg/mL(MRDは1:80)である。
【0420】
市販のキットを使用した硝子体液中のhIL-33レベルの測定
以下のキットを、製造業者の説明書に従って使用した:ヒトIL-33 QUANTIKINE(登録商標)キットELISA(#D3300B、R&D Systems,Minneapolis,MN,USA)、LEGEND MAXTM hIL-33キットELISA(#435907、Biolegend,San Diego,CA,USA)、Invitrogen IL-33 ヒトELISAキット(#BMS2048、ThermoFisher Scientific,Carlsbad,CA,USA)、U-PLEX(登録商標)hIL-33アッセイ(#K151WFK、MSD,Rockville,MD,USA)、Bio-Plex ProTMヒトTh17サイトカイン15-Plex LUMINEX(登録商標)アッセイ(#171AA001M、Bio-Rad,Hercules,CA,USA)。
【0421】
加えて、2つのELISAが、市販の抗体(Ab)を使用して開発された。1つ目のアッセイのために、0.05Mの炭酸ナトリウムバッファー(pH9.6)(#ALX-804-840PF-C100、Enzo,Farmingdale,NY,USA)に希釈した2μg/mLのマウス抗hIL-33を使用して、MaxiSorp(登録商標)プレート(384ウェル、Nunc,Thermo Fisher Scientific,Rochester,NY,USA)を4℃で一晩コーティングした。PBS(pH7.4)中0.05%のTWEEN(登録商標)20で3回洗浄した後、プレートを、PBS(pH7.4)中0.5%のウシ血清アルブミン(BSA)、15ppmのPROCLIN(登録商標)300を使用して1時間(h)室温(RT)でブロックした。3回の洗浄後、滴定したhIL-33をプレートに加え、2時間RTでインキュベートした。プレートを、6回洗浄し、1:1000に希釈したビオチン化ヤギ抗hIL-33(#BAF3625、R&D Systems,Minneapolis,MN,USA)を1時間RTでインキュベートした。結合したAbを、ストレプトアビジンポリ-ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)80(ポリ-HRP80)(#65R-5119、Fitzgerald,Acton,MA,USA)及びその基質3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(Moss Inc.,Pasadena,MD,USA)を使用して検出した。反応を1Mのリン酸で停止させ、吸収度を450nmで読み取った。
【0422】
2つ目のELISAのために、同様のプロトコールを続けたが、ただし、プレートのコーティングには2μg/mLのウサギ抗hIL-33(#500-P261、Peprotech、Minneapolis,MN,USA)を使用し、検出のために50ng/mLのビオチン化マウス抗hIL-33クローン6H617(#NBP2-273338、Novus,Centennial,CO,USA)をストレプトアビジンHRP(#RPN1231、GE Healthcare Life Sciences,Chicago,IL,USA)と組み合わせて使用した。
【0423】
感度
定量下限及び上限(LLOQ及びULOQ)は、正確に定量化することのできる最も低い及び最も高いhIL-33濃度と定義づけられた。これら値は、6つの独立したアッセイにおいて4回実行した標準曲線から決定された。CV及び相対誤差(RE)を、標準曲線の各点について計算し、20%を下回るRE及びCVを有するものを、報告範囲に含めた。
【0424】
正確性(添加回収)
還元型hIL-33を、異なる個体由来の血清、血漿、及びNF試料中と、2個体由来のプールされた硝子体液及び眼房水試料中とに添加し(3から4の複製物)、高(4.5pg/mL)、中(1.5pg/mL)、及び低(0.5pg/mL)濃度を標的化した。同じ高、中、及び低濃度を、コントロールとしてのアッセイバッファー中に添加した(添加濃度)。還元型hIL-33の内因性レベルを、非添加のマトリックスから決定した。添加回収は、以下の式を使用して算した:%回収率=[測定濃度/期待濃度(内因性+添加]×100。
【0425】
希釈直線性
添加回収実験からの血清、血漿及びNF試料を、アッセイバッファー中で1:2、1:4、1:10、及び1:20の濃度に希釈し、硝子体液及び眼房水は、利用可能な試料容積が限定されていたために、1:2、1:4及び1:8(硝子体液のみ)に希釈した。測定された濃度対期待される補正濃度からのパーセント回収率を計算した。
【0426】
MRDは、還元型hIL-33の濃度が期待される試料回収率の80~120%となるのに必要な最低希釈倍率と定義された。マトリックスの定量下限(LLOQ)を、バッファー中に得られたLLOQにMRDを乗じることにより計算した。
【0427】
hsST2耐性の決定
hsST2耐性を、種々の濃度のhsST2(0.016ng/mL~40ng/mL)をhIL-33標準曲線に添加することにより決定した。報告された値は、hIL-33濃度の許容可能な回収率が得られたhsST2の最高濃度である。許容可能な回収は、hsST2の非存在下で測定された対応するhIL-33濃度の100%±20%と定義された。
【0428】
hIL-33の免疫除去
免疫除去を、バッファー、ビオチン化抗hIL-33にコンジュゲートしたビーズ、又は抗gp120にコンジュゲートしたビーズ(アイソタイプ コントロール)をヒト硝子体液試料に1時間室温(RT)で加えることにより、実施した。インキュベーションの後、コンジュゲートしたビーズを、マトリックスから除去した。これら2つの工程を繰り返し、マトリックスから免疫除去されたhIL-33の量を計算した。免疫除去は、試料中のhIL-33の量が、コントロール(免疫除去されていない)マトリックス試料の値と比較して100%±20% SDだけ減少する場合に許容可能と考慮された。
【0429】
還元型及び酸化型hIL-33の生成及びクオリティコントロール(QC)
N末端配列MHHHHHHGENLYFQG(Hisタグ及びTEV切断部位;配列番号37)と、それに続くアミノ酸112~270のコード配列(UniProtKB/Swiss-Prot寄託番号095760)からなる組み換えhIL-33が、大腸菌中に発現された。タンパク質を、Ni-Excelクロマトグラフィーで精製し、続いてPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で事前に平衡化したSUPERDEX(登録商標)S75サイズ排除カラムで精製した。質量分析は、精製されたhIL-33が、期待される分子量及びアミノ酸配列を有することを示した。ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミド(SDS-PAGE)ゲルの試験から、物質の純度は95%を上回ると予想された。精製されたhIL-33のアリコートをPBSバッファー中でさらに希釈し、0.3mg/mLの最終濃度を得た。同様に、精製されたIL-33の別のアリコートを60%イスコブ変法ダルベッコ培地(IMDM)(Thermo Fischer Scientific,Waltham,MA)中に希釈し、同じタンパク質最終濃度を得た。次いで希釈されたタンパク質を37℃でおよそ18時間インキュベートした。両方の希釈タンパク質を、次いでSDS-PAGEゲルで質量分析を使用して分析し、ジスルフィド結合形成の程度を決定した。IMDM培地中に希釈した酸化型hIL-33を、その後最終的なPBSバッファーへとバッファー交換し、培地成分を除去した。PBS中の還元型hIL-33に、0.1mMのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)還元剤を補充した。
【0430】
抗体生成
9匹のSprague Dawleyラット(Charles River,Hollister,CA,USA)を、第1の用量については100μg/動物の、残りのブーストについては50μg/動物のhIL-33(Genentech)で免疫化し、各々を部位間で分けた:尾の根本での腹腔内、s.c.(皮下)、首筋でのs.c.,及び両後肢関節のs.c.。モノホスホリルリピドA(MPL)(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,USA)、Poly(I:C)、R848、及びシトシンホスホジエステル結合グアニン(CpG)(InvivoGen,San Diego,CA,USA)を含むToll様受容体カクテルを、第1の用量のアジュバントとして使用した。抗原特異的ハイブリドーマを、記載されているように(Goldstein et al.,Commun Biol,2019,2:304)、生成し、ソートし、スクリーニングした。簡潔に言えば、免疫グロブリンG(IgG)+hIL-33+ハイブリドーマは、フィコエリトリン(PE)(Novus Biological、Littleton、CO,USA)にコンジュゲートしたhIL-33を使用して、96ウェルプレート中にソートし、7日間培養した単一細胞であった。上清を、ロボティクスプラットフォームを使用するハイスループット(HTP)ELISAによりスクリーニングし、ELISAによりhIL-33に対する結合を示すハイブリドーマを、1mLの培養物中でスケールアップした。上清を、収穫し、プロテインGアフィニティークロマトグラフィー樹脂(GammaBind Plus,GE Healthcare,Pittsburgh,PA,USA)を使用して精製した。抗hIL-33Abが、配列決定のために提出され、組み換え生成のためにクローン化された。
【0431】
アレイベースのSPRイメージングシステムによる抗hIL-33Abの特徴づけ
アレイベースのSPRイメージングシステム(CFM/IBIS,CARTERRA(登録商標)USA)を使用して、結合反応速度を分析し、抗IL-33MAbのパネルをエピトープビンした。精製したハイブリドーマAbを、10mM酢酸ナトリウムバッファー(pH4.5)で10μg/mlに希釈した。アミンカップリングを使用して、Absを、Continuous Flow MicrospotterTM(Carterra、Dublin,CA,USA)を使用してSPRセンサープリズムCMD 200Mチップ(XanTec Bioanalytics,Germany)上に直接固定化し、Abのアレイを生成した。動力学及びビニング実験を、10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、3mMのEDTA及び0.005%のTWEEN(登録商標)20(HBS-TE)から構成されるランニングバッファー中25℃で行った。IBIS MX96 SPRi(Carterra,Dublin,CA,USA)を使用して、固定化されたAbに対するhIL-33の結合を評価した。動力学分析については、300nMから開始する段階濃度の還元型及び酸化型hIL-33を、3分(min)間注入し、10分間解離させた。表面を、サイクル間に10mMのグリシン(pH1.7)を用いて再生した。結合データは、Scrubber(BioLogic Software)を使用して処理された。Abビニングについては、まず還元型及び酸化型hIL-33を4分間100nMで注入し、続いて2回目の4分間注入を、精製されたAbを用いてHBS-TEランニングバッファー中10mg/mLで行った。表面を、サイクル間に10mMのグリシン(pH1.7)を用いて再生した。結合データは、エピトープビニングソフトウェアツール(Carterra,Dublin,CA,USA)を使用して処理された。
【0432】
表面プラズモン共鳴(SPR)による抗hIL-33Abの特徴づけ
BIACORE(登録商標)8K装置(Cytiva,Marlborough,MA,USA)を使用して抗hIL-33 Abの組み換えキメラヒトIgGバージョンを捕捉するために、Series SプロテインAセンサーチップ(Cytiva、Marlborough,MA,USA)を使用した。ヒトヒスチジンタグhIL-33(Genentech,South San Francisco,CA,USA)に結合する抗体は、マルチサイクルカイネティクスを使用して測定した。センサーグラムは、30μL/分の流量で、25℃又は37℃、及び10mMのN-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-エタンスルホン酸(HEPES)、pH7.4、150mMの塩化ナトリウム(NaCl)、3mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、及び0.005% TWEEN(登録商標)20のランニングバッファーで、2分の注入時間を使用して記録した。注入後、抗体からのIL-33の解離を、ランニングバッファー中で10分間モニタリングした。表面は、結合サイクルの間に、10mMグリシンHCl(pH1.5)を30μ注入して再生された。ランニングバッファーのみを含むブランクを差し引いた後、センサーグラムを、製造業者によって提供されたソフトウェアを備えた1:1ラングミュア結合モデルを使用して分析し、速度定数及び結合定数を計算した。
【0433】
還元型hIL-33ELISA
MAXISORP(登録商標)プレート(384ウェル、Nunc,Thermo Fisher Scientific,Rochester,NY,USA)を、PBS(pH7.4)中1μg/mLのラットIgG2a抗ヒトhIL-33 15.21C7 Ab(Genentech,South San Francisco,CA,USA)で一晩4℃でコーティングした。次いでプレートを、PBS(pH7.4)中0.05%のTWEEN(登録商標)20で洗浄し、PBS(pH7.4)中0.5%のウシ血清アルブミン(BSA)、15ppmのProClinTM300で1時間(h)RTでブロックした。還元型hIL-33標準物質を、1mMのTCEP中に保存して、タンパク質をその還元された形態に維持し、試料を、氷冷アッセイバッファー(PBS(pH7.4)中0.5%のBSA、0.05%のTWEEN(登録商標)20、15ppmのProClinTM、0.25%のCHAPS、5mMのEDTA、及び0.35NのNaCl)中2段階半希釈を使用して希釈し、プレート内で2時間RTでインキュベートした。6回の洗浄後、PBS(pH7.4)中0.5%のBSA、0.05%のTWEEN(登録商標)20、15ppmのProClinTMに希釈した200ng/mLのビオチン化されたラット/ヒトキメラ抗hIL-33 3F10 MAb(Genentech,South San Francisco,CA,USA)を、1時間RTでインキュベートした。結合した還元型hIL-33を、ホースラディッシュペルオキシダーゼにコンジュゲートしたストレプトアビジン(GE Healthcare Life Sciences,Pittsburgh,PA,USA)及びその基質3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(Moss Inc.,Pasadena,MD,USA)の1:10,000希釈を使用して検出した。反応を1Mのリン酸で停止させ、吸収度を450nmで読み取った。滴定曲線を、社内の4パラメーター回帰プログラムを使用してフィッティングした。
【0434】
総hIL-33 ELISA
総hIL-33 ELISAは、コーティングについては、0.5μg/mLのラットIgG2a抗hIL-33 15.21C7(Genentech,South San Francisco,CA,USA)と、2μg/mLのヤギ抗hIL-33 Abs(R&D Systems,Minneapolis,MN,USA)との1:1の容積対容積比(vol/vol)の混合物を、及び検出については、100ng/mLのビオチン化ヤギ抗huST2(R&D Systems,Minneapolis,MN,USA)と、50ng/mLのビオチン化ヤギ抗hIL-33(R&D Systems,Minneapolis,MN,USA)Abとの1:1(vol/vol)の混合物を使用して、同様に実行した。標準物質は、20ng/mLのhsST2を含有する氷冷アッセイバッファー中で調製された酸化型hIL-33と還元型hIL-33との1:1(vol/vol)混合物からなっていた。
【0435】
抗体-DNAコンジュゲーション
55-mer DNA(配列番号38)5’-NH2-/5AmMC6/TGAAGGTCCTTGGCGATCATTTCGGCGGTGATCGGATGCATTTGGCTACGTCCCT-3’(Integrated DNA Technologies,Coralville,IA)を、N-スクシンイミジル-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(Pierce,Rockford,IL,USA)で活性化した。ラットIgG2a抗ヒトIL-33クローン15.21C7(Genentech,South San Francisco,CA,USA)を、N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセテート(Pierce,Rockford,IL,USA)で活性化し、製造業者の説明書に従って、活性化したデオキシリボ核酸(DNA)にコンジュゲートさせた。遊離した(例えば、結合していない)DNAを、Superose(登録商標)12ゲル濾過カラムを使用して除去した。遊離した(例えば、結合していない)抗体を、Vivapure(登録商標)Qミニカラム(Sartorius Stedim Biotech GmbH,Goettingen,Germany)を使用して除去した。
【0436】
還元型hIL-33を検出するための384ウェルiPCR法
0.2μg/mLのビオチン化ラット/ヒトキメラ抗hIL-33 3F10捕捉抗体、標準物質又は試料、及び25ng/mLのDNA標識したラットIgG2a抗hIL-33 15.21C7検出抗体を、試料バッファー(PBS(pH7.4)中、0.5%のBSA、0.05%のTWEEN(登録商標)20、15ppmのProClinTM、0.25%の3-((3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ)-1-プロパンスルホネート(CHAPS)、5mMのEDTA、0.35NのNaCl及び250μg/mLの子牛胸腺DNA)中で2時間室温でプレインキュベートした。250μg/mLの子牛胸腺DNA(Sigma,St.Louis,MO,USA)を、95℃に10分間加熱し、次いでアッセイバッファーへの付加に先立ち氷上に少なくとも5分間保った。1mMのTCEP中の還元型hIL-33(Genentech,South San Francisco,CA,USA)を標準物質として使用し、酸化を減少させるためにて氷上で調製した。ヒト硝子体液、眼房水、血清、及びNFの試料中での還元型hIL-33の濃度を、試料バッファーを使用して氷上で調製した。ストレプトアビジン被覆384ウェルリアルタイムPCRプレート(Roche Applied Science-Custom Biotech,Penzberg,Germany)を、SuperBlockTMバッファー(ThermoFisher scientific,Waltham,MA,USA)で2時間ブロックし、384ウェルプレートウォッシャー(BioTek,Winooski,VT,USA)を使用して、iPCR洗浄バッファー(PBS(pH7.4)中、0.5%のBSA,0.05%のTWEEN(登録商標)20、15ppmのProclinTM)で3回洗浄した。次いで抗体-抗原混合物を、プレートに加え、iPCR洗浄バッファーで13回洗浄することに先立って20分間インキュベートした。フルオレセイン色素及びクエンチャーで標識した、プライマー(5’‐TGAAGGTCCTTGGCGATCA(配列番号39)及び5’‐AGGGACGTAGCCAAATGCAT(配列番号40))と、プローブ(5’-TTCGGCGGTGATCGp-3’(配列番号41))とを含有する60X PCR混合物を、プレートに加える前に、Universal TaqMan(登録商標)Master Mix II(Applied Biosystems,Foster City,CA,USA)及びPCRグレード水中で1Xに希釈した。リアルタイムPCRを、ViiATM7リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems,Foster City,CA,USA)を使用して実行した。熱循環条件は、95℃で10分間、続いて95℃で15秒を40サイクル、及び60℃で1分間であった。標準曲線を、4パラメーター回帰カーブフィッティングプログラム(Genentech,South San Francisco,CA,USA)を使用して生成した。
【0437】
ヒト生物学的試料
コントロール及び急性AMD死後ドナー由来の硝子体液及び眼房水試料は、Lions Eye Institute for Transplant and Research(Tampa,FL,USA)又はBioIVT(Westbury,NY,USA)から購入した。疾患のステージ(早期、中期、進行)又は種類(滲出型対乾燥型AMD)は、ベンダーにより提供された試料シートに開示されていなかった。コントロール及び「自己申告による」喘息患者由来の血清、NF、及び血漿の試料は、Genentech Healthy Services(South San Francisco,CA,USA)から取得した。
【0438】
統計分析
統計学的試験を、独立両側Studentのt検定又はマン・ホイットニー試験を使用して実行した。エラーバーは、標準偏差を示す。<0.05のP値は、統計的に有意であると見なした。
【0439】
実施例2:加齢黄斑変性及び喘息の薬物開発用超高感度ヒトIL-33バイオマーカーアッセイの開発
過去数十年間に、ヒトインターロイキン33(hIL-33)は、多数の炎症性疾患の病因に対する重要な寄与因子として浮上した。マルチプラットフォーム技術に及ぶ複数の市販のhIL-33アッセイが存在しているものの、種々のマトリクスにおいて精密なhIL-33の濃度測定を提供し、活性(還元型)hIL-33と非活性(酸化型)hIL-33とを区別するそれらの能力は依然として不明確である。このことは、比較的小さな試料容積、低hIL-33濃度のマトリクス、及びインターロイキン1受容体様1(sST2)のレベルが上昇したマトリクス、hIL-33結合について膜結合ST2と競合する不活性型のST2について特に当てはまる。
【0440】
複数の市販のhIL-33検出アッセイの性能を、種々のヒトマトリックスにおいて試験した。試験済みの市販のアッセイのほとんどは、特にヒトsST2(hsST2)(例えば、hsST2に結合したhIL-33)の存在下において、生物学的に関連するレベルで還元型hIL-33を正確に検出する感度を欠く(それを下回るpg/mLから低pg/mL)、及び/又は十分な標的特異性を欠くことが判明した。これに対処するために、たとえ高濃度のsST2(例えば、hsST2に結合したhIL-33)の存在下においても、還元型及び総hIL-33のレベルを検出することのできる高感度で特異的な酵素結合免疫吸着法(ELISA)を開発し、検証した。免疫-ポリメラーゼ連鎖反応(iPCR)プラットフォームを組み込むことにより、このアッセイの感度は、hIL-33還元形態について約52倍まで上昇した。このhIL-33 iPCRアッセイを使用して、hIL-33が、加齢黄斑変性(AMD)を有するドナー由来の死後のヒト硝子体液試料中で検出され、hIL-33レベルは、コントロール個体と比較したとき有意に上昇していることが認められた。AMDドナー由来の眼房水と喘息患者由来の血漿及び鼻腔吸収液(NF)には、コントロール個体と比較して統計的に有意な差異は観察されなかった。
【0441】
既存の市販のhIL-33アッセイとは異なり、現在開示されているhIL-33バイオアッセイは、極めて高感度かつ特異性であり、高レベルのhsST2を有するものを含め、種々のヒト臨床マトリックス中でhIL-33を正確に定量化することができる。本発明の結果は、hIL-33/hST2経路を標的とする臨床治験においてこれらアッセイの有用性を実証するものである。
【0442】
結果
市販のアッセイは高い感度で還元型hIL-33を検出することができなかった
生物学的マトリックス中で10pg/mL未満の濃度の還元型hIL-33を検出することのできる高感度のアッセイを同定するために、hIL-33 濃度(表3)を報告するために文献中で使用された種々の市販のアッセイ試薬及びプラットフォームを比較した。一連の抗hIL-33抗体をプレスクリーニングし、バッファー中で感度が最も高いものだけを、ELISAフォーマットにおける試験のために選択した。ヒトマトリックスのための適切なバイオマーカーアッセイとして認定するために、4つの選択基準が確立された:1)非病理学条件下から中程度の病理学条件下でhIL-33は存在しないか又は低レベルで存在すると予想されるため、VHにおけるアッセイの定量限界は<4pg/mLでなければならない;2)VH及び血清試料中のhsST2の平均濃度がそれぞれ2.05及び19.8ng/mLであるため、アッセイは少なくとも10ng/mLのhsST2を許容しなければならない(
図1);3)抗hIL-33 Abと共にインキュベートしたとき、hIL-33含有ヒト硝子体液試料からhIL-33の100%±20%を免疫除去する能力を特徴としていたアッセイは、特異性でなければならない;及び4)一部のヒトの眼のマトリックスは取得困難であり、高い希釈はアッセイの感度を損なうであろうから、最大試料容量は50μLでなければならない。
【0443】
試験された市販のキット/試薬アッセイのうち、4つすべての基準を満たすものはなかった(表3)。InvitrogenのヒトIL-33 ELISAキット、ウサギ(Rb)xhIL-33(Pepro)/ビオチンヤギxhIL-33(R&D)、U-PLEX ヒトIL-33 MSDキット及びBio-Plex ProヒトTヘルパー(Th17)サイトカイン15-Plexキットは、硝子体液中で検出下限を有していた(表3)。しかしながら、それらのいずれもが、ヒトマトリックス中に予想される平均hsST2濃度を許容することはできなかった(
図1)。Quanterix Simoa(登録商標)プラットフォームは、バッファー中のミュー抗hIL-33(Enzo)/ビオチン-ミュー抗hIL-33(Novus)対の定量限界を向上させることはできず、必要とされる試料容積は、眼の試料のアッセイと適合しなかった(表3)。
【0444】
hsST2耐性が許容されないことを別にすれば、InvitrogenのヒトIL-33 ELISAキットは、高感度かつ特異性であり(表3)、4つの基準のうちの3つを満たした。いずれの形態のhIL-33がこのキットで特に認められたかを調査するために、キット内に提供されるhIL-33と社内で生成された又は酸化型及び還元型hIL-33とを使用して生成された標準曲線(
図2)を比較した。これら結果は、このELISAキットが大部分の酸化型hIL-33を検出しており、還元型hIL-33に対しては低い感度を有することを示すものであった(
図3)。まとめると、この比較試験は、試験済みの市販の試薬/キットが、高感度の還元型hIL-33検出アッセイとして認定されるために必要な基準を満たすことを示唆するものであった。
【0445】
表3:hIL-33を検出するための市販の試薬及びプラットフォームの性能
アッセイ基準選択を満たさなかったパラメーターは太字で強調されている;n/aは、パラメーターが試験されなかったことを表す。LLOQ=定量下限。
【0446】
還元型及び総hIL-33 ELISAの開発
硝子体液中の1)還元型hIL-33及び2)総hIL-33(還元型及び酸化型)を定量化することのできる2つのELISAの開発の成功が、大規模な抗体生成及びスクリーニングキャンペーンと、それに続く特徴づけ及び検証実験を通して達成された。ラット免疫化キャンペーンの結果、3026の抗体が生成された。アレイベースの表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、還元型hIL-33に高い親和性で特異的に結合し、Abビニングを通してhsST2と競合しない異なるエピトープ群を表示した精製ハイブリドーマAbが同定された。選択された社内のモノクローナルAbと市販のポリクローナルAb(MAb又はPAb)との対の88の組み合わせを、ELISAにより、総hIL-33、酸化型hIL-33、又は還元型hIL-33に対するそれらの結合能についてスクリーニングした。88の抗体対のうち、2つの対のみが、バッファー中で10pg/mL未満の感度で還元型hIL-33を検出し、1対のみ(抗体クローン3F10と15.21C7)が、hsST2耐性であった(最大40ng/mL)(
図4A)。クローン3F10及び15.21C7は、それぞれ一定の解離(K
D)値0.487及び0.338nMで還元型hIL-33に結合した(
図5及び表4)。還元型hIL-33 ELISAの定量下限(LLOQ)及び定量上限(ULOQ)は、それぞれ4.1pg/mL及び1000pg/mLであり、アッセイ間変動係数(CV)は9.1%及び1.6%であった(表4)。アッセイは、25μLのアッセイ容積を有する384ウェルプレートフォーマットにおいて実施された。
【0447】
表4:25℃で還元型hIL-33に結合する抗hIL-33 Ab 15.21C7及び3F10の速度定数
【0448】
還元型(15.21C7)hIL-33特異性抗体と総hIL-33特異性抗体との組み合わせがコーティングとして使用される総hIL-33 ELISAが実装された。飽和濃度のhsST2の付加時に、抗hIL-33モノクローナル抗体及び抗ST2モノクローナル抗体からなる抗体カクテルを使用して、混合物中に存在する還元型及び酸化型hIL-33の総量を検出した。各抗体の比率は、還元型及び酸化型hIL-33を確実に均等に検出するために徹底的に最適化された(
図4B)。ELISA全体のLLOQ及びULOQは、それぞれ4.1pg/mL及び1000pg/mLであり、アッセイ間CVは10.5%及び0.7%であった(表5)。
【0449】
表5:還元型及び総hIL-33 ELISAの標準曲線の性能
n=6回の独立したアッセイの実行 LLOQ=4.1pg/mL、ULOQ=1000pg/mL
【0450】
免疫除去実験により、アッセイがコントロール硝子体液試料中で総hIL-33に特異性であり、抗hIL-33抗体にコンジュゲートしたビーズの存在下で89.1%±0.31%のシグナルが除去されることが確認された(
図4C)。また、血清、血漿、及びNFの最低希釈倍率は、総hIL-33の直線性希釈を試験することにより、1:2であることが確立された(表6)。アッセイのLLOQが4.1pg/mLである場合、血清、血漿、及びNFの検出下限は8.2pg/mLである。
【0451】
要約すると、hsST2(例えば、hsST2に結合したhIL-33)の存在下で10pg/mL未満のhIL-33を検出することのできる還元型及び総hIL-33 ELISAが、成功裏に実装及び開発された。
【0452】
表6:ヒトマトリックス中に内因的に発現される総hIL-33の希釈直線性
【0453】
還元型hIL-33 iPCRアッセイの開発及び特徴づけ
上述のhIL-33 ELISAの感度は上昇したとはいえ、ヒトの眼の試料及び血清試料の大部分において、依然としてhIL-33の検出可能なレベルを測定することはできなかった。したがって、検出アッセイの感度を上昇させるうえで以前大きな期待を抱かせたiPCRプラットフォームを調査した。還元型hIL-33 ELISAと同様に、クローン3F10及び15.21C7が利用されたが、iPCR反応の間に増幅された55-mer DNAにコンジュゲートし、シグナルの強化を可能にしたのは後者であった。iPCRプラットフォームは、0.078pg/mL(±1.1%)のLLOQで感度を劇的に上昇させ、このことはELISAからの52.6倍の向上を表していた(表7)(
図6A)。免疫除去実験により、アッセイがコントロール硝子体液試料中で還元型hIL-33に特異性であり、クローン15.21C7 Abにコンジュゲートしたビーズの存在下で99.6%±0.07%のシグナルが除去されることが確認された(
図6B)。
【0454】
表7:還元型hIL-33 iPCRの標準曲線の性能
【0455】
n=6回の独立したアッセイの実行LLOQ=0.078pg/mL、ULOQ=20pg/mL
アッセイの精度は、独立して実行された合計12回について、4つの複製物における、アッセイバッファーに希釈した還元型hIL-33の3種類の濃度(0.6、1.8及び6.5pg/mL)を測定することにより評価された。3つのコントロールはすべて、20%を下回るアッセイ内及びアッセイ間CV(表8)を有し、このことは、生じた結果が再現可能かつ精密であることを示していた。
【0456】
表8:還元型hIL-33 iPCRアッセイの精度
an=12回の実行;
bn=4つの複製物
【0457】
次いで最低希釈倍率を決定するために、アッセイの直線性を、一組のプールされた個体コントロール及び死後のマトリックス試料を使用して評価した。複数の適応症に使用することのできるバイオマーカーアッセイを実装するために、2つの眼のマトリックス、血清、血漿、及びNFを試験した。内因性の還元型hIL-33の濃度が低いこと(低pg/mL)及びヒトマトリックスの利用可能性が限定されていることに起因して、試験した希釈の範囲は狭まった。これら結果は、希釈により調整した濃度の眼、血清、血漿及びNFマトリックスにおける回収率が、1:2の血清を除き、試験したすべての希釈物で直線性の受容基準の±20%以内であることを示していた(%回収率=66.3%)(表9)。したがって、硝子体液、眼房水、血漿及びNFの最低希釈倍率(MRD)は1:2であり、血清については1:4であった。アッセイのLLOQが0.078pg/mLである場合、定量化することのできる最低濃度は、硝子体液、眼房水、血漿及びNFについては0.156pg/mLであり、血清については0.312pg/mLであった。
【0458】
表9:ヒトマトリックス中に内因的に発現される還元型hIL-33の希釈直線性
【0459】
追加的に、添加回収実験を実施して正確性を評価した。低、中、及び高濃度の還元型hIL-33を、それらそれぞれのMRDに従って希釈したこれらマトリックスに加え、パーセント回収率を、予想濃度を上回る測定濃度の比率として決定した(内因性+添加還元型hIL-33)。すべての試料回収率は、予想された80~120%の範囲内であり、このことは、iPCRアッセイが眼、血清、血漿及びNFマトリックス中の還元型hIL-33を正確に測定できることを実証した(表10)。
【0460】
表10:マトリックス中の還元型hIL-33の添加回収により測定した正確性試験
【0461】
還元型hIL-33のレベルは、コントロールと比較して、ヒト乾燥型AMD由来の硝子体液試料中で有意により高かった。
【0462】
iPCRアッセイを使用して、還元型hIL-33のレベルを、死後の正常なドナー及びAMDドナー由来のヒト硝子体液及び眼房水試料において測定した。これらドナー由来のAMDの重症度(早期か進行しているか)又は種類(滲出型か乾燥型か)に関する情報が入手できなかったことに注意されたい。合計で硝子体液の88.7%と眼房水試料の57.7%がLLOQを上回っていた。還元型hIL-33の有意な増加が、コントロール試料と比べてAMDに観察され、これは、GAに関連付けられるhIL-33陽性細胞の存在の増加と一致していた(Xi et al.,J Exp Med,2016,213:189-207)(
図7A)。また、コントロール眼房水試料と比較して平均3.3倍の量の還元型hIL-33が死後のAMD眼房水試料に検出されたが、その差は有意でなかった(P=0.2773)(
図7B)。まとめると、これら結果は、還元型iPCRアッセイが、予測的かつ薬力学的バイオマーカーアッセイとして使用できることを示唆するものである。
【0463】
還元型hIL-33は、自己申告による喘息患者由来の血漿及びNFにおいて有意に上方制御されない
複数の文献中レポートにおいて、hIL-33タンパク質レベルが喘息患者において上方制御されることが示されている(Momen et al.,Int J Prev Med,2017,8:65;Bahrami Mahneh et al.,Int Arch Allergy Immunol,2015,168:193-196;Voloshyna et al.,Clin Exp Allergy,2015,45:1554-1565;Raeiszadeh Jahromi et al.,J Asthma,2014,51:1004-1013)。しかしながら、hIL-33の濃度を測定するために利用可能な市販のアッセイの包括的な評価は、それらのすべてではなくともほとんどが、情報に基づいた解釈を得るために必要な感度で活性の還元型hIL-33を測定することができないことを明らかにした。本明細書では、還元型hIL-33 iPCRアッセイを使用して、年齢及び性別が一致する9名のコントロール及び喘息患者由来のNF及び血清中の還元型hIL-33のレベルを決定し、比較した。両方のマトリックスが同じドナーから抽出されたことに注意されたい。これら結果は、NFと血清との間で還元型hIL-33濃度に有意な差がないことを示した(
図8A及び8B)。加えて、血清中の還元型hIL-33の平均レベルは、6.4pg/mLであった(
図8B)。このような比較的高いレベルは、血清調製中に血小板から細胞内hIL-33が放出されたことによるものである可能性がある。この仮説を排除するために、一致する血漿試料において同様の測定を実施した。平均の還元型hIL-33濃度は血清と同様であり(6.9pg/mL)、このことは、還元型hIL-33の濃度が試料調製のアーチファクトではないことを確認するものであった(
図8C)。また、同じ試料中の総hIL-33の濃度(還元型及び酸化型)が試験され、正常試料と喘息試料との間に有意な差は観察されなかった(
図9)。
【0464】
喘息患者(n=23の試料)由来のヒト血清中の平均の還元型hIL-33濃度は6.7pg/mLであり、それに対して総hIL-33は1.06ng/mLであり、ほとんどのhIL-33が酸化型で不活性であることが実証された(
図8D)。NF試料において還元型hIL-33と総hIL-33との間には有意な相関が存在しており、このマトリックスにおいてはhIL-33の大部分が還元型で活性であることが実証された(
図8D)。
【0465】
まとめると、これら結果は、喘息患者の血清及びNFにおいて活性hIL-33の上方制御をサポートしない。
【0466】
考察
この試験では、生物学的マトリックス中のhIL-33を測定するための市販のアッセイの徹底的な評価が提供された。Cohen et al.and Ketelaar et al.によって行われた観察と同様に、市販のアッセイのすべてではなくともほとんどが、分泌される活性hIL-33の高感度で特異性の測定の基準を満たさなかった(Cohen et al.,Nat Commun,2015,6:8327;Ketelaar et al.,Clin Exp Allergy,2016,46:884-887)。このような発見は、文献に報告されている細胞外マトリックス中の生理活性hIL-33レベルが、慎重に解釈されなければならないことを示唆し、健常者及び罹患したヒト患者の還元型hIL-33の利用可能性を測定するためのアッセイを実装する必要性をサポートするものであった。
【0467】
本明細書に報告されるのは、それぞれ検出限界0.156、0.312、0.156及び0.156pg/mLで、眼のマトリックス、血清、血漿、及びNFにおける還元型hIL-33を正確に測定する、384ウェルプレートフォーマットと適合性の超高感度iPCRアッセイの開発である。iPCRプラットフォームは、抗原の検出感度を、標準ELISAと比較して最大2 logまで高めるために成功裏に利用できたために選ばれた。.384ウェルプレートフォーマットは、ヒトの眼の試料が極端に取得困難で、典型的にはドナー1人当たり100μLの眼房水試料しか取得できないため、特に魅力的であった。完全に特徴づけされたアッセイは、予測的又は薬力学的バイオマーカーアッセイとして利用される可能性を有している。
【0468】
まず、健常者及びAMD患者由来のヒト硝子体液及び眼房水試料中のhIL-33のレベルを測定した。ng/mLのhIL-33を含有するげっ歯類の眼の試料とは対照的に(データは示さない)、Takeuchi et al.(Takeuchi et al.,PLoS One,2015,10:e0137358)によって出版された研究に基づき、ヒトの眼の試料中のhIL-33は約1,000分の1と予想された。この試験において、著者は、増殖性糖尿病性網膜症患者由来の硝子体液試料中のhIL-33が平均で17.1pg/mLであり、検出限界を上回る試料が25%のみであったことを報告した。これら結果は、試験に使用されたアッセイが最適以下であり、ng/mL濃度のhsST2を許容できないことを示すものであった(
図3)。iPCRアッセイを使用したとき、試験した硝子体液試料(コントロール及びAMD試料)の88.7%においてhIL-33を検出することはできなかった。コントロール硝子体液試料と比較して死後のAMD中のhIL-33濃度に有意な上昇が観察され、このことはhIL-33がAMD中で上方制御されることを示唆し、過去の所見と一致していた。AMDを有するドナー由来の死後の眼房水試料中のhIL-33にも、コントロールドナーと比較して上昇したレベルが測定されたが、差は有意でなかった(P=0.2773)。統計的有意性に到達できるかどうかを確認するためには、より多くの眼房水試料が必要と思われる。全体として、硝子体液試料に得られるhIL-33の濃度は、眼房水試料におけるものよりも高かった。これは、水性区画より硝子体区画に近い眼の後区画内の細胞によるhIL-33の生成が優勢であることと一致している(Xi et al.,J Exp Med,2016,213:189-207)。
【0469】
また、健常者と喘息患者由来の血清、血漿、及びNFを分析した。還元型hIL-33と総hIL-33との間の強い相関が喘息患者のNFに観察され、総hIL-33のほとんどが還元されることを示した。このことは、高レベルのhIL-33を発現する組織の近接性により説明されうる。
【0470】
対照的に、血清及び血漿中のhIL-33のほとんどは酸化され、したがってhsST2に結合することができないと思われる。このような観察により、血漿に到達するすべての遊離(例えば、結合していない)hIL-33は数時間以内に酸化される可能性が高いという仮説を立てたCohen et al.による予測が確認された(Cohen et al.,Nat Commun,2015,6:8327)。血清中のIL-33の持続的な上昇が、IL-33核局在化シグナルが削除されたマウスモデルに致死的な炎症をトリガーすることが示されたため、このような制御機構は必須である(Bessa et al.,J Autoimmun,2014,55:33-41)。
【0471】
重要なのは、還元型hIL-33 iPCRアッセイが高度にhsST2耐性であることであり、このことは、遊離した(例えば、、結合していない)還元型hIL-33とhsST2に結合したhIL-33とが区別できないことを意味している。このことは、血漿中で測定された6.9pg/mL(0.38pM)のhIL-33は、一部分がそのデコイレセプターhsST2に結合されうるため、完全に活性でない可能性を暗示している。コントロール及び喘息患者の試料群両方におけるhsST2の平均濃度は、14.7ng/mL(0.4nM)であると決定された(
図10A)。したがって、還元型hIL-33の大部分又は全体がhsST2と複合体を形成しており、その受容体を通してシグナル伝達できなかった可能性が高い。hsST2レベルは試料の約60%においてLLOQを下回ったため、同様の仮定をおNF試料について行うことはできなかった(
図10B)。
【0472】
これは、ヒト血清及び血漿中の還元型及び総hIL-33を正確に報告する初の試験である。他の群では、疾患の重症度が様々である喘息患者の血清hIL-33のレベルが報告された(Momen et al.,Int J Prev Med,2017,8:65;Bahrami Mahneh et al.,Int Arch Allergy Immunol,2015,168:193-196;Voloshyna et al.,Clin Exp Allergy,2015,45:1554-1565;Raeiszadeh Jahromi et al.,J Asthma,2014,51:1004-1013)。hIL-33レベルを生成するために使用されたすべての市販のキットは、徹底的な特徴づけによれば、以下の理由で還元型hIL-33を正確に検出するには適していなかった:1)これらアッセイは、血清(~20ng/mL)中に存在するhsST2のレベルを許容することがでなかった、2)それらの検出限界は十分に低くなかった、及び/又は3)それらはhIL-33の酸化形態のみを特異的に検出した。したがって、これらアッセイを用いて生成したデータを比較するときには注意が必要である。
【0473】
これら結果は、健常者由来の還元型hIL-33レベルと喘息患者由来の還元型hIL-33レベルとの間に有意な差を示さない。考慮すべき1つの重要な点は、分析された試料が、一定の範囲の重度にわたる異種集団を表している可能性が高い「自己申告した」喘息患者から収集されたことである。これらドナーが試料収集の時点で喘息を悪化させていたかどうかに関する情報は存在せず、したがって還元型hIL-33が実際にこのような事例において有意により高いという可能性を排除することはできない。また、ヒト肺試料は高レベルのhIL-33を含有していたため、Cohen et alと同様に、中程度から重度の喘息患者に由来する痰の試料を試験することも興味深いと思われた(Cohen et al.,Nat Commun,2015,6:8327)。
【0474】
結論
結論として、複数のヒトマトリックス中の還元型hIL-33の濃度を測定するための市販の方法は、感度及び特異性の許容可能な基準を満たさなかった。これに対処するために、広範囲のマトリックスにわたって特異的にかつ正確に還元型hIL-33を検出することのできる改善された抗体及び高感度のiPCRアッセイが開発された。この新規のバイオマーカーアッセイは、複数の適応症に関するhIL-33/hST2 シグナル伝達経路を標的とする進行中の及び未来の臨床治験のために広範な影響を有する可能性がある。臨床的状況において、このアッセイは、基礎となるhIL-33濃度に基づいて候補となるレスポンダーを同定し、抗hIL-33抗体治療を受けている患者に対する標的の関与を決定することを助けると思われる。
【0475】
実施例3:還元型IL-33 iPCRアッセイ
DNAにコンジュゲートした抗IL-33抗体を使用するiPCRアッセイを、加齢黄斑変性(AMD)(乾燥型AMD)に二次的な地図状萎縮(GA)を有する患者由来の眼房水試料中の還元型hIL-33を定量化するために最適化した。
【0476】
図11は、例示的なIL-33 iPCRアッセイの工程を示している。簡潔に言えば、ストレプトアビジンでコーティングした384ウェルPCRプレート(MicroCoat、Cat.840003)を、ブロッキングバッファー(Thermo Scientific SuperBlock
TM Blocking Buffer Cat.37515)を加えることによりブロックし、2~3時間室温でシェーカーでインキュベートした。ブロックしたPCRプレートを25μL/ウェルの洗浄バッファー(1xリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、0.5%のウシ血清アルブミン(BSA)、15ppmのProClin
TM)で洗浄した。抗体混合物を、50ng/mLのビオチン化抗hIL-33(3F10)ラット/ヒトキメラ抗体及び50ng/mLの55mer-DNAにコンジュゲートしたラット抗hIL-33抗体(21C7)を加えることにより調製した。Sample Diluent(1xPBS、0.5%のBSA、0.05%のポリソルベート20、15ppmのProClin
TM300、pH7.4±0.1、100μg/mLの抗IL-33抗体(1E1v8、参照によりその全体が本明細書に援用される国際公開第2021/183849号及び米国特許出願公開第2021/0284725号参照)及び250μg/mLの加熱した子牛胸腺のDNA)に1:4で希釈した標準物質、試料、及びQCコントロールの各々(40μL)を、96ウェルミニチューブ内で40μlの抗体混合物と混合したものを4つ作製し、400rpmに設定したシェーカーで室温で2時間インキュベートした。抗IL-33抗体1E1v8の付加は、試料中のIL-33の酸化を低減する。hIL-33-抗体混合物を、ブロックしたPCRプレートのウェル中に加え、400rpmに設定したシェーカーで室温でインキュベートした。インキュベーションの後、プレートを洗浄し、フォワードプライマー(5’-TGAAGGTCCTTGGCGATCA、配列番号39)、リバースプライマー(5’-AGGGACGTAGCCAAATGCAT、配列番号40)、及びカルボキシフルオレセイン(FAM)/分又は溝バインダー(MGB)-非蛍光クエンチャー(NFQ)タグプローブ(5’-TTCGGCGGTGATCG、配列番号41))を含有する10μL/ウェルのPCRマスターミックス(1xABI Universal TaqMan
TMマスターミックスII、1xのカスタムTaqMan
TM遺伝子発現アッセイミックス(Life Technologies、アッセイID AIT96PT)を加えた。リアルタイム定量的PCR(qPCR)増幅を、以下のサイクル条件を使用してViiA
TM7機器で行った:95℃で10分間、40回繰り返す(95℃で15秒間及び60℃で1分間)。データを、SoftMax Pro、バージョン6.5.1.を使用して分析した。
【0477】
試料希釈物中の最小希釈率における標準曲線及びコントロール正確性,精度、LLOQ、及びULOQ
【0478】
標準曲線報告範囲を決定し、確立された報告範囲内でのアッセイの正確性及び精度を評価した。
【0479】
正確性とは、分析方法が、hIL-33の真の値に近い試験結果を得る能力である。精度とは、試料の複数回の分析のために分析方法が繰り返されるときの、個々の試験結果間の一致度である。正確性及び精度は、アッセイの定量限界を決定するためにも用いられる。定量下限(LLOQ)とは、示される実験条件下において適用可能な精度及び正確性で定量化することのできる最も低いhIL-33の濃度である。定量上限(ULOQ)とは、適用可能な精度及び正確性で試料について定量化することのできる最も高いhIL-33の濃度である。アッセイの報告範囲は、補間結果が許容可能なレベルの正確性及び精度を有するLLOQからULOQまでの濃度の範囲である。
【0480】
アッセイの正確性、精度、LLOQ、及びULOQを決定するために、試料をまず、種々の濃度の試料希釈物に外部性の被分析物を加えることにより調製した。LLOQを決定するために使用される試料は、61、244及び977fg/mLのウェル内濃度で調製された。ULOQを決定するために使用される試料は、15,625、62,500及び250,000fg/mLのウェル内濃度で調製された。加えて、標準曲線の範囲にまたがる低、中、及び高コントロールが、それぞれ1,000fg/mL、8,000fg/mL、及び800,000fg/mLの濃度で調製された。内因性のコントロールは、検出可能なレベルのhIL-33を有する血清試料をプールすることにより取得され、4,000fg/mLに定量化された。次いで、LLOQ及びULOQを除くすべての試料が、6日間にわたる連続する7回のアッセイにおいて最小希釈率でアッセイされた。
【0481】
試料希釈物中の最小希釈率での正確性,精度、LLOQ、及びULOQの結果を表11に示す。
【0482】
【0483】
プールされた試料中に存在する内因性hIL-33の存在の結果を表12に示す。
【0484】
【0485】
高、中、低、及び内因性コントロールの正確性,精度の結果を表13に示す。
【0486】
【0487】
この結果に基づくと、正確性、アッセイ内精度、及び全誤差は、内因性、低、中、及び高コントロール、並びに選択されたLLOQ及びULOQについて許容可能なものであった。LLOQ及びULOQは、それぞれ244及び250,000fg/mLに選択された(希釈により補正された濃度:977及び1,000,000fg/mL)。このアッセイの最小希釈率(MRD)は1/4であり、これは、試料希釈物を用いた最小希釈率で個体の血清試料をアッセイすることによる正確性試験の間に確認された。
【0488】
最小定量可能濃度は、試料マトリックス中のhIL-33の正確な定量化に必要な最小希釈率を乗じたLLOQに等しい。したがって、このアッセイの最小定量可能濃度は977fg/mLである。
【0489】
最大定量可能濃度は、正確に測定することのできる最大試料希釈率を乗じたULOQに等しい。このアッセイの最大定量可能濃度は1,000,000fg/mLであった。
【0490】
平行性(内因性の希釈直線性)
平行性は、マトリックス中の内因性hIL-33の用量応答が代理マトリックス中の組み換え標準物質の用量応答に十分に類似しているかどうかを実証する重要な実験である。これは、組み換え材料、並びに代理マトリックスの使用と、選択されたMRDの安定性を検証する。
【0491】
測定可能な量のhIL-33を含む10名の個別の患者(AMD患者1名、喘息患者4名、及び関節リウマチ患者5名)の血清試料を、MRD(1/4)で試験し、続いて試料希釈物中の1/2段階希釈を1回行った。平行性は、MRD<30%という許容基準に対して、各希釈物について、%CV≦30%の基準をパスする9/10(90%)の試料、及び%REをパスする9/10(90%)の試料に基づき、許容可能であった。結果を表14に示す。
【0492】
表14:還元型hIL-33の平行性(内因性の希釈直線性)
【0493】
ヒト血清及び血漿における内因性レベルの検出可能性
正常及び罹患状態の種々の眼房水、血清、及び血漿の試料を、試料希釈物中で最小希釈率1/4に希釈し、内因性レベルについて試験した。IL-33の検出可能性は、許容可能であり、ヒト血清及び血漿試料の濃度の97%~100%がLLOQを上回った;しかしながら、LLOQを上回っていたヒト眼房水試料1/20(5%)はのみであった。検出可能性の結果を
図12に示す。
【0494】
特異性
特異性とは、標的とされるhIL-33に選択的に結合する捕捉抗体の能力である。
【0495】
罹患状態の個体の試料を、10μg/mLの捕捉抗体と共に1時間室温で振盪しながらインキュベートした。捕捉抗体の特異性は許容可能であり、10個の血清試料のすべてで被分析物濃度が100%阻害された。結果を表15に示す。
【0496】
【0497】
再現性
再現性とは、試料の複数回の分析のために同一の様式で経時的に分析方法が繰り返されるときの、個々の試験結果間の一致度である。
【0498】
検出可能なレベルのhIL-33を有する20の血清及び血漿を、最低2日かけて2回にわたり評価した。この実験では、8/20(40%)の血清及び血漿の試料が、許容可能な再現性を示した。低い再現性は、おそらくは、血清及び血漿試料中のIL-33の予想された酸化によるものであった。
【0499】
結果を表16に示す。
【0500】
【0501】
干渉/交差反応性
干渉は、試料収集の時点で体循環中にあることが既知である化合物の存在下で、被分析物を正確に定量化するアッセイの能力を実証する。干渉は、分子に干渉する可能性のある既知の濃度の存在下で被分析物の回収率が被分析物の名目濃度の<70%又は>130%である場合に観察される。
【0502】
交差反応性は、被分析物のみを定量化し、試料収集の時点で体循環中にありうる無関係の化合物は定量化しないアッセイの特異性を示す。
【0503】
高、中、低、内因性、及び陰性の(試料希釈物)コントロールの各々を、0、10、20、40、及び80ng/mLのrhST2(rhST2/IL-33R Fc Chimera)(R&D Systems Cat.#523-ST-100)あり又はなしでアッセイした。内因性コントロールに対する干渉は、80ng/mL以下のrhST2には観察されなかった;しかしながら、高、中、及び低コントロールに対する干渉は、10ng/mLのrhST2では中コントロールについて、20ng/mLのrhST2では高、中、及び低コントロールについて、40ng/mL rhST2では高及び中コントロールについて、及び80ng/mLのrhST2では中コントロールについて回収率に偏りが混在しており;10ng/mLのrhST2では高及び低コントロールについて、40ng/mLのrhST2では低コントロールについて、及び80ng/mLのrhST2では高コントロールについては干渉は観察されなかった。いくつかの高、中、及び低コントロールに観察される干渉は、おそらくはアッセイのばらつきによって引き起こされたものであった。80ng/mL以下のrhST2に交差反応性は観察されなかった。結果を表17に示す。
【0504】
【0505】
まとめ
以下の表18は、還元型IL-33 iPCRアッセイのまとめである。
【0506】
表18:還元型IL-33 iPCRアッセイのまとめ
【0507】
実施例4:総IL-33 iPCRアッセイ
DNAにコンジュゲートした抗IL-33抗体を使用するiPCRアッセイを、加齢黄斑変性(AMD)(乾燥型AMD)に二次的な地図状萎縮(GA)を有する患者由来の眼房水試料中の総hIL-33を定量化するために最適化した。総IL-33 iPCRアッセイは、試料を抗体混合物と混合することに先立って試料を1mMのTCEPで2から4日間4℃で処理する以外、実施例3に記載した還元型IL-33 iPCRアッセイと同じ工程及び条件を有していた。総IL-33 iPCRアッセイに使用したポジティブコントロールは、イスコブ変法ダルベッコ培地(IMDM)中で50mMのトリス、300mMのNaCl(pH8.0)にIL-33を希釈し、1日間37℃でインキュベートすることにより調製した酸化型IL-33であった。
【0508】
総IL-33 iPCRアッセイの標準曲線及びコントロールの性能を、以下の表19に示す。最小希釈率は1:4であり、LLOQは977 fg/mLであり、ULOQは250,000fg/mLであった。
【0509】
【0510】
図13は、還元型又は総IL-33 iPCRアッセイを使用した、正常及び罹患状態のヒト体液、血清、及び血漿試料中の還元型IL-33の検出可能性を示している。還元型IL-33は、AMD、喘息、及びRA患者の血清試料、並びに正常なヒト血清及び正常なヒト血漿のプールにおいてのみ検出可能であった。
【0511】
以下の表20は、総IL-33 iPCRアッセイの再現性を示す。試験した11のうち8(73%)のヒト血清及び血漿の試料が、許容可能な再現性(すなわち、30%以内の差)を示した。
【0512】
【0513】
その他の実施形態
前述の発明は、理解を明確にするために例示及び実施例によってある程度詳細に記載されたが、記載及び実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書に引用されるすべての特許及び科学文献の開示内容は、参照によりその全体が本明細書に明示的に援用される。
【0514】
【配列表】
【国際調査報告】