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特表2024-544891物体位置測定のための分散センサシステムのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】物体位置測定のための分散センサシステムのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 64/00 20090101AFI20241128BHJP
   G01S 5/02 20100101ALI20241128BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20241128BHJP
   H04W 76/10 20180101ALI20241128BHJP
【FI】
H04W64/00
G01S5/02 Z
H04W84/12
H04W76/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527324
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 IB2022060847
(87)【国際公開番号】W WO2023084451
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】17/523,554
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519095016
【氏名又は名称】ディーヨーク ロケイション テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(74)【代理人】
【識別番号】100231038
【弁理士】
【氏名又は名称】正村 智彦
(72)【発明者】
【氏名】シュッパック エラン
【テーマコード(参考)】
5J062
5K067
【Fターム(参考)】
5J062BB05
5J062CC11
5K067DD17
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】
ワイヤレス通信システムのモザイクを生成する装置。本装置はメモリとサーバを含む。サーバは、第1の受信機タイムスタンプと第2の受信機タイムスタンプを示す第1の情報を関連するアクセスポイントから受信するようにプログラムされている。サーバはさらに、第1の受信機タイムスタンプと第2の受信機タイムスタンプとの間の第1の差分を決定して第1の差分値を生成し、第3の受信機タイムスタンプと第4の受信機タイムスタンプとを示す第2の情報を受信するようにプログラムされている。サーバはさらに、第2の差分を決定し、第2の差分値を生成するようにプログラムされている。サーバはさらに、第1の差分値と第2の差分値が所定の受信時間誤差範囲内であることに基づいて、携帯機器によって送信されたパケットが同一であると判定するようにプログラムされている。
【選択図】図2


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス通信システムのモザイクを生成する装置であって、
メモリと、
前記メモリを有するサーバとを備え、
前記サーバは、
(i)関連するアクセスポイントが携帯機器から第1のパケットを受信したことを示す第1の受信機タイムスタンプ、および(ii)前記関連するアクセスポイントが第1のアクセスポイントから第2のパケットを受信したことを示す第2の受信機タイムスタンプを示す第1の情報を前記関連するアクセスポイントから受信し、
前記第1の受信機タイムスタンプと前記第2の受信機タイムスタンプとの間の第1の差分を決定し、第1の差分値を生成し、
(i)第1のロケーション受信機が前記携帯機器から第3のパケットを受信したことを示す第3の受信機タイムスタンプ、および(ii)前記第1のロケーション受信機が前記第1のアクセスポイントから前記第2のパケットを受信したことを示す第4の受信機タイムスタンプを示す第2の情報を前記第1のロケーション受信機から受信し、
前記第3の受信機タイムスタンプと、前記第4の受信機タイムスタンプとの間の第2の差分を決定し、第2の差分値を生成し、
前記第1の差分値と前記第2の差分値をそれぞれ、所定の受信時間誤差範囲と比較し、
前記第1の差分値と前記第2の差分値のそれぞれが前記所定の受信時間誤差範囲内にあることに応答して、前記携帯機器によって送信された前記第1のパケットと前記第3のパケットが同一であると判定するようにプログラムされている装置。
【請求項2】
前記サーバはさらに、(i)第2のロケーション受信機が前記携帯機器から第4のパケットを受信した第5の受信機タイムスタンプ、および(ii)前記第2のロケーション受信機が前記第1のアクセスポイントから前記第2のパケットを受信した第6の受信機タイムスタンプを示す第3の情報を前記第2のロケーション受信機から受信するようにプログラムされている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記サーバはさらに、前記第5の受信機タイムスタンプと前記第6の受信機タイムスタンプとの第3の差分を決定し、第3の差分値を生成するようにプログラムされている請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記サーバは、
前記第1の差分値と前記第3の差分値をそれぞれ前記所定の受信時間誤差範囲と比較し、
前記第1の差分値と前記第3の差分値が前記所定の受信時間誤差範囲内であることに応答して、前記携帯機器によって送信された前記第1のパケットと前記第4のパケットとが同一であると判定するように、さらにプログラムされている請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記サーバは、前記第1のロケーション受信機及び前記第2のロケーション受信機から、前記第1のロケーション受信機及び前記第2のロケーション受信機の方位に対する前記携帯機器の方向を示す到来角度(AoA)情報を取得するようにさらにプログラムされている請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記サーバは、少なくとも前記第1のロケーション受信機および前記第2のロケーション受信機から受信した前記AoA情報に基づいて、前記携帯機器の位置を決定するようにさらにプログラムされている請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のパケット及び前記第3のパケットは、WIFI規格に従って伝送されるデータパケットである、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第2のパケットは、WIFI規格に従って送信されるビーコンである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
ワイヤレス通信システムのモザイクを生成する装置であって、
メモリと
前記メモリを有するサーバを備え、
前記サーバは、
携帯機器から受信した確認応答パケットに対応する第1の情報を関連するアクセスポイントから受信し、前記確認応答パケットは、前記関連するアクセスポイントによって送信されるデータパケットに応答して前記携帯機器によって送信され、前記第1の情報は、前記関連するアクセスポイントが前記データパケットをそこへ送信するための前記携帯機器の識別情報を提供するデータパケット内の受信機アドレスフィールドにさらに対応し、
前記関連するアクセスポイントで前記携帯機器から前記確認応答パケットが受信された後に、前記受信機アドレスフィールドにアクセスして前記携帯機器のアイデンティティを特定するようにプログラムされている装置。
【請求項10】
前記受信機アドレスフィールドは前記データパケット内に配置される請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記関連するアクセスポイントは、前記携帯機器によって選択されるエンティティであり、配信システムとの全トラフィックをブリッジする請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記配信システムは、前記携帯機器が関連する無線ローカル無線ネットワークと外部ブリッジ接続されたネットワークである請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記サーバは、(i)関連するアクセスポイントが携帯機器から第1のパケットを受信したことを示す第1の受信機タイムスタンプ、および(ii)関連するアクセスポイントが第1のアクセスポイントから第2のパケットを受信したことを示す第2の受信機タイムスタンプを示す第1の情報を、関連するアクセスポイントから受信するように、さらにプログラムされている請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記サーバは、前記第1の受信機タイムスタンプと前記第2の受信機タイムスタンプとの間の第1の差分を決定し、第1の差分値を生成するように、さらにプログラムされている請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記サーバは、
(i)第1のロケーション受信機が前記携帯機器から第3のパケットを受信した第3の受信機タイムスタンプ、および(ii)前記第1のロケーション受信機が前記第1のアクセスポイントから前記第2のパケットを受信した第4の受信機タイムスタンプを示す第2の情報を前記第1のロケーション受信機から受信し、
前記第3の受信機タイムスタンプと前記第4の受信機タイムスタンプとの間の第2の差分を決定し、第2の差分値を生成するようにプログラムされている請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記サーバは、
前記第1の差分値と前記第2の差分値のそれぞれを所定の受信時間誤差範囲と比較し、
前記第1の差分値及び前記第2の差分値のそれぞれが前記所定の受信時間誤差範囲内にあることに応答して、前記携帯機器によって送信された前記第1のパケット及び前記第3のパケットが同一であると判定するように、さらにプログラムされている請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記サーバは、前記第1のロケーション受信機から、前記第1のロケーション受信機の方位に対する前記携帯機器の方向を示す到来角度(AoA)情報を取得するようにさらにプログラムされている請求項9に記載の装置。
【請求項18】
前記サーバは、少なくとも前記第1のロケーション受信機から受信した前記AoA情報に基づいて、前記携帯機器の位置を決定するようにさらにプログラムされている請求項17に記載の装置。
【請求項19】
ワイヤレス通信システムのモザイクを生成する方法であって、
サーバにおいて、(i)関連するアクセスポイントが携帯機器から第1のパケットを受信したことを示す第1の受信機タイムスタンプ、および(ii)前記関連するアクセスポイントが第1のアクセスポイントから第2のパケットを受信したことを示す第2の受信機タイムスタンプを示す第1の情報を前記関連するアクセスポイントから受信し、
前記第1の受信機タイムスタンプと前記第2の受信機タイムスタンプとの間の第1の差分を決定し、第1の差分値を生成し、
(i)第1のロケーション受信機が前記携帯機器から第3のパケットを受信したことを示す第3の受信機タイムスタンプ、および(ii)前記第1のロケーション受信機が前記第1のアクセスポイントから前記第2のパケットを受信したことを示す第4の受信機タイムスタンプを示す第2の情報を前記第1のロケーション受信機から受信し、
前記第3の受信機タイムスタンプと、前記第4の受信機タイムスタンプとの間の第2の差分を決定し、第2の差分値を生成し、
前記第1の差分値と前記第2の差分値をそれぞれを所定の受信時間誤差範囲と比較し、
前記第1の差分値と前記第2の差分値のそれぞれが前記所定の受信時間誤差範囲内にあることに応答して、前記携帯機器によって送信された前記第1のパケットと前記第3のパケットが同一であると判定する方法。
【請求項20】
ワイヤレス通信システムのモザイクを生成する方法であって、
第1のサーバにおいて、携帯機器から受信した確認応答パケットに対応する第1の情報を関連するアクセスポイントから受信し、前記確認応答パケットは、前記関連するアクセスポイントによって送信されるデータパケットに応答して前記携帯機器によって送信され、前記第1の情報は、前記関連するアクセスポイントが前記データパケットをそこへ送信するための前記携帯機器の識別情報を提供するデータパケット内の受信機アドレスフィールドにさらに対応し、
前記関連するアクセスポイントで前記携帯機器から前記確認応答パケットが受信された後に、前記受信機アドレスフィールドにアクセスして前記携帯機器のアイデンティティを決定する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2021年11月10日に出願された米国出願シリアルNo.17/523,554の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、本明細書に開示される態様は、一般に、物体位置測定のための分散型センサシステムを提供するシステム、装置、および/または方法に関する。
【背景技術】
【0003】
Shpakの米国特許第10,182,315号(以下、315特許)は、ワイヤレス送信機の少なくとも第1および第2のアンテナからそれぞれ送信される少なくとも第1および第2の信号を所定の場所で受信することを含む信号処理方法を開示している。少なくとも第1および第2の信号は、送信された信号間に予め定義された周期遅延を有するマルチキャリアエンコーディング方式を使用して同一のデータを符号化する。受信された第1および第2の信号は、第1および第2の信号間の位相遅延の測定値を導出するために、巡回遅延を使用して処理される。位相遅延の測定値に基づいて、ワイヤレスアクセスポイントから所定の位置への第1および第2の信号の出発角度が推定される。
【0004】
Shpakの米国特許第9,814,051号(以下、051特許)は、信号処理のための方法を開示している。この方法は、特に、ワイヤレス送信機の少なくとも第1および第2のアンテナからそれぞれ送信される少なくとも第1および第2の信号を所定の場所で受信し、少なくとも第1および第2の信号は、送信信号間に予め定義された巡回遅延を有するマルチキャリアエンコーディング方式を使用して同一のデータを符号化し、第1および第2の信号間の位相遅延の測定値を導出するために、巡回遅延を使用して受信された第1および第2の信号を処理する。位相遅延の測定値に基づいて、この方法は、ワイヤレス送信機から所定の位置への第1および第2の信号の出発角を推定する。
【発明の概要】
【0005】
少なくとも1つの実施形態では、ワイヤレス通信システムのモザイク(mosaic又は寄せ集め)を生成する装置が提供される。本装置は、メモリ及びサーバを含む。サーバは、メモリを含み、関連するアクセスポイントから、(i)関連するアクセスポイントが携帯機器から第1のパケットを受信した第1の受信機タイムスタンプと、(ii)関連するアクセスポイントが第1のアクセスポイントから第2のパケットを受信した第2の受信機タイムスタンプとを示す第1の情報を受信するようにプログラムされている。サーバはさらに、第1の差分値を生成するために第1の受信機タイムスタンプと第2の受信機タイムスタンプとの間の第1の差分を決定し、(i)第1のロケーション受信機が携帯機器から第3のパケットを受信したことを示す第3の受信機タイムスタンプと、(ii)第1のロケーション受信機が第1のアクセスポイントから第2のパケットを受信したことを示す第4の受信機タイムスタンプとを示す第2の情報を第1のロケーション受信機から受信するようにプログラムされる。サーバはさらに、第3の受信機タイムスタンプと第4の受信機タイムスタンプとの間の第2の差分を決定(determine、特定又は判定)して第2の差分値を生成し、第1の差分値および第2の差分値のそれぞれを所定の受信時間誤差範囲と比較するようにプログラムされている。サーバはさらに、第1の差分値と第2の差分値のそれぞれが所定の受信時間誤差範囲内にあることに応答して、携帯機器によって送信された第1のパケットと第3のパケットが同一であると判定するようにプログラムされている。
【0006】
少なくとも別の実施形態では、ワイヤレス通信システムのモザイクを生成する装置が提供される。この装置は、メモリとサーバとを含む。サーバはメモリを含み、関連するアクセスポイントから、携帯機器から受信した確認応答パケットに対応する第1の情報を受信するようにプログラムされている。確認応答パケットは、関連するアクセスポイントによって送信されるデータパケットに応答して携帯機器によって送信され、第1の情報は、関連するアクセスポイントがデータパケットを送信するための携帯機器の識別情報(identification)を提供するデータパケット内の受信機アドレスフィールドにさらに対応する。サーバはさらに、確認応答パケットが関連アクセスポイントで携帯機器から受信された後、受信者アドレスフィールドにアクセスして携帯機器のアイデンティティ(identity)を決定するようにプログラムされている。
【0007】
少なくとも別の実施形態では、ワイヤレス通信システムのモザイクを生成する方法が提供される。本方法は、サーバにおいて、関連するアクセスポイントから、(i)関連するアクセスポイントが携帯機器から第1のパケットを受信した第1の受信機タイムスタンプと、(ii)関連するアクセスポイントが第1のアクセスポイントから第2のパケットを受信した第2の受信機タイムスタンプとを示す第1の情報を受信することを含む。本方法は、第1の差分値を生成するために、第1の受信機タイムスタンプと第2の受信機タイムスタンプとの間の第1の差分を決定することを含む。本方法はさらに、(i)第1のロケーション受信機が携帯機器から第3のパケットを受信したことを示す第3の受信機タイムスタンプ、および(ii)第1のロケーション受信機が第1のアクセスポイントから第2のパケットを受信したことを示す第4の受信機タイムスタンプを示す第2の情報を第1のロケーション受信機から受信することを含む。本方法は、第2の差分値を生成するために、第3の受信機タイムスタンプと第4の受信機タイムスタンプとの間の第2の差分を決定することをさらに含む。本方法はさらに、第1の差分値および第2の差分値の各々を所定の受信時間誤差範囲と比較し、第1の差分値および第2の差分値の各々が所定の受信時間誤差範囲内にあることに応答して、携帯機器によって送信された第1のパケットおよび第3のパケットが同一であると判定することを含む。
【0008】
少なくとも別の実施形態では、ワイヤレス通信システムのモザイクを生成する方法が提供される。この方法は、第1のサーバにおいて、携帯機器から受信された確認応答パケットに対応する第1の情報を関連アクセスポイントから受信することを含む。確認応答パケットは、関連するアクセスポイントによって送信されるデータパケットに応答して携帯機器によって送信され、第1の情報は、関連するアクセスポイントがデータパケットを送信するための携帯機器の識別情報を提供するデータパケット内の受信機アドレスフィールドにさらに対応する。本方法はさらに、確認応答パケットが関連アクセスポイントにおいて携帯機器から受信された後に、携帯機器のアイデンティティを決定するために受信機アドレスフィールドにアクセスすることを含む。
【0009】
本開示の実施形態は、添付の特許請求の範囲において具体的に指摘されている。しかしながら、様々な実施形態の他の特徴は、添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって、より明らかになり、最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態にかかる、無線位置検出のためのシステムを概略的に示す図である。
図2】送信機からさまざまな受信機に送信される情報のパケットを示す図である。
図3図2の受信機における受信信号の到来角度を示す図である。
図4】一実施形態にかかる送信機の位置を特定する方法を示す図である。
図5】一実施形態において図1のシステムによって実行される、送信機の位置を特定するための、より詳細な方法250に対応する図である。
図6】一実施形態にかかる、図1のシステムによって実行される、合体した即時イベントに基づいて送信機を識別することを表すスキームを示す図である。
図7】一実施形態にかかる、図5の方式に基づいて受信機の位置を決定する方法を示す図である。
図8】一実施形態にかかる、図5の方式に基づいて受信機の位置を決定するための別の方法を示す図である。
図9】一実施形態にかかる、図6の方式および図1のシステムに対する携帯機器の位置を決定するための、より詳細な方法を示す図である。
図10】一実施形態において、どの受信機が識別された送信機からの信号送信を受信したかを判断するために、アクセスポイントからの送信機タイムスタンプ、携帯機器の送信機タイムスタンプ、および受信機からの受信機タイムスタンプの少なくとも1つに基づいて、サーバが携帯機器のアイデンティティを合体させる際に使用することができるテーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態が本明細書に開示されているが、開示された実施形態は、様々な代替形態で具体化され得る本発明の単なる例示であることを理解されたい。図は必ずしも縮尺通りではなく、一部の特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張または最小化されている場合がある。したがって、本明細書に開示された特定の構造的および機能的な詳細は、限定的なものとして解釈されるものではなく、単に、本発明を様々に採用することを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるものである。
【0012】
本明細書に開示される少なくとも1つのコントローラ(または少なくとも1つのプロセッサ)は、本明細書に開示される動作を実行するために互いに協働する様々なマイクロプロセッサ、集積回路、メモリデバイス(例えば、FLASH、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的にプログラム可能なリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、またはそれらの他の適切な変形)、およびソフトウェアを含み得ることが認識される。さらに、本明細書に開示される少なくとも1つのコントローラは、1つまたは複数のマイクロプロセッサを利用して、開示されるような任意の数の機能を実行するようにプログラムされた非一時的のコンピュータ可読媒体に具現化されるコンピュータプログラムを実行する。さらに、本明細書で提供されるコントローラは、ハウジングと、ハウジング内に配置された様々な数のマイクロプロセッサ、集積回路、およびメモリデバイス(例えば、FLASH、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的にプログラム可能なリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能なリードオンリーメモリ(EEPROM))とを含む。開示されるコントローラはまた、本明細書で説明するように、他のハードウェアベースのデバイスから、および他のハードウェアベースのデバイスへ、それぞれデータを受信および送信するためのハードウェアベースの入力および出力を含む。
【0013】
パケットワイヤレス通信の収集システムは、携帯無線機(「機器」)の位置を受動的に確認するために必要である。機器は、関連するアクセスポイント(「AP」)と通信し、インターネットとのトラフィックを橋渡しする。ワイヤレス通信方式の進歩により、送信は瞬時のリンク状態に適応され、調整されるため、任意の場所からの収集は困難であり、受信機の不都合な位置のためにコンテンツが不足する。例えば、1024-直交振幅変調(QAM)の変調方式は、機器が受信APに対する現在のリンク条件が良好であると判断した場合にのみ選択される。このため、あまり好都合でない位置からの受信は読み取りできなくなる可能性が高い。このため、モデム技術の進歩に伴い、パッシブ・ワイヤレス・スニッファはあまり使われなくなりつつある。パッシブ・スニッファは、スニッファがアクティブ・アダプテーション・プロセスから除外されるため、信頼性が低くなる。受信機の位置の多様性は、三角測量の目的など、位置機密データの収集にとって重要な要素である。従って、パッシブ・ワイヤレス・ロケーシングが本質的な課題である。
【0014】
以下に述べる解決策には、複数の受信機と関連するアクセスポイントから得られた情報の小片のモザイクを、まとまった位置推定に再構築することが含まれるが、これに限定されるものではない。物体は、単一の慣性座標系上の時空間において、複数のセンサによって観測されることがある。経時的な個々のセンサの測定値(reading、読み取り値又は示度)のモザイク(mosaic又は寄せ集め)は、所望の時空間座標系における物体の位置を明らかにすることがある。個々のセンサはキーホールのようなもので、それぞれが空間の一部分しか見ることができない。異なるキーホール観測が現実の全体像に融合されれば、効果的な観測が達成されるかもしれない。観測者は時空間に分散しているため、観測はうまく同期しない。さらに、異なるセンサは異なる能力を持っている。例えば、ロケーション受信機は到来角度を読み、ローカルクロックを使ってタイムスタンプイベントを登録できるが、PHYヘッダ以外のパケットの内容はデコードできない。関連するアクセスポイントは、PHYやMACレイヤを含むパケットのコンテンツをデコードし、タイムスタンプイベントを登録できるが、必ずしも到来角度を読み取る必要はない。現実の再構築は、何らかの方法で観測をつなぎ合わせることで可能かもしれない。時間的視点と空間的視点の両方が必要である。
【0015】
開示された実施形態は、例えば、単一の「キーホール」観察者では不可能な事象のグローバルな理解を構築するために、空間と時間の異なる場所で記録された個々の事象を時間的に一意的かつグローバルにラベル付けする能力を提供することができる。各イベントのログは時系列的である。つまり、ローカルな視点からは、1番目は1番目、2番目は2番目というように、同じ順序で記録される。例えば、世界中に散らばるガンマ線センサを使ったローカルな超新星イベント。センサは自律時計を使っているかもしれない。例えば、2015年2月2日のNGC2770のように、様々なセンサ位置で個々の爆発イベントが特定されると、大きな写真から、個々の測定値を使用しては解読できない秘密が明らかになる。例えば、同じイベントの測定値が異なる角度から取得され、センサの位置を広げ、複数の分散イベントログでイベント(NGC2770など)を特定した場合にのみ、三角測量(例えば、視差効果を使用する)によって、空における超新星の位置を抽出することができる。
【0016】
別の例えによれば、時間的に緩やかに同期している異なる目撃者の複数のイベントログを使って犯罪を解決する場合、ある目撃者は自分のアパートから3秒間隔で2つの発砲音を聞き、別の目撃者は通りを歩く閃光を見た。観察者は同じ慣性座標系上にあるため、2人の観察者が目撃した2つの異なる事象の時間差はほぼ同じになる(ニュートン力学の世界では同じ、アインシュタイン力学の世界では時間のずれが生じる)。したがって、以下の実施形態は、受信機から収集した情報に基づいてモザイクを再構築し、一貫性のある位置推定を行うシステムを提供する。
【0017】
別の例では、一組の無線受信機が異なる場所で個々のパケット送信を解析する。送信機の位置とアイデンティティは、この個々のパケット送信に一意的かつグローバルにタグ付けされている場合にのみ分析できる(例えば、前の例のNGC2770のように)。実際には、あるセンサは受信した到来角度を抽出できるがアイデンティティは抽出できず、他のセンサは送信機のアイデンティティを抽出でき、別のセンサ(例えば、単一アンテナのロケーション受信機)は匿名送信の到来時間を抽出できるが、アイデンティティは抽出できず、到来角度も抽出できないため、単一アンテナ以上を必要とする。
【0018】
モバイルWiFiデバイスはアクセスポイントと通信し、そのようなWiFiデバイスはインターネットへのゲートウェイであるアクセスポイントと関連付けられる。携帯機器は、一度に1つのアクセスポイントにしか関連付けられない場合がある。データパケットを送信する際、携帯機器は、特に関連するアクセスポイントが携帯機器のメディアアクセス制御(MAC)アドレス(アイデンティティを含む)を含むこれらのパケットを確実に受信できるように、直交位相シフトキーイング(QPSK)、16直交振幅変調(QAM)(または「16QAM」)などの異なる変調方式およびビーム形式を利用してパケット送信をレート適応させる。アクセスポイントがパケットの受信に失敗した場合、アクセスポイントはパケットの受信確認を回避し、携帯機器がパケットを再送信するようにする。このメカニズムは自動再送要求(ARQ)と呼ばれ、このような再送はメッセージの信頼性と完全な伝送を保証する。しかし、このメカニズムは、設計上、携帯機器と関連するアクセスポイント間のポイント・ツー・ポイントである。関連するアクセスポイント以外の受信機は、ARQメカニズムによって保護されていないか、またはビームから外れている可能性がある。さらに、他の受信機は、MIMO(Multiple Input Multiple Output)メッセージをデコードするにはアンテナが少なすぎる可能性があり、そのため、特定のリンク条件を考慮すると、エラー(例えば、送信なし)または受信機が受信するにはレートが高すぎるために、モバイルMACアドレスを受信できない可能性がある。MIMOの導入により、ARQとレート適応によりリンクの状態はよりポイント・ツー・ポイントの性質を持つようになる。同様に、データは非常に特殊なマルチパス状態で受信される可能性があり、これは送信機、受信機、および送信機または受信機によって照らされた反射物の位置に対して非常に敏感である。従って、多くのロケーション受信機は、設計上ロバストなPHYヘッダのみを受信し、送信機アドレスは受信しない可能性がある。
【0019】
図1は、本発明の実施形態による、ワイヤレス通信および位置検出のためのシステム100の概略的な図である。一例として、図1は、複数のアクセスポイント122、124、126(または送信機122、124、126)が、多くの場合、互いに独立して異なるWLAN所有者によって配備されている、ショッピングモールまたは通りなどの典型的な環境を示している。アクセスポイント122、124、126の数は変化してもよく、固定されていることが認識される。アクセスポイント122は、関連アクセスポイントとして定義されてもよい。関連アクセスポイントは、分散(または分配)システム(「DS」)(すなわち、システム100)とのすべてのトラフィックをブリッジする、携帯機器128によって選択されるエンティティである。関連アクセスポイント122は、携帯機器128に送信されるすべての情報を観察するように構成される。関連アクセスポイント122は、一般に、少なくとも1つのサーバ140(「サーバ140」)に情報を提供するように構成され、他のパケットの中でもビーコンパケットを通過させる。この点については後述する。アクセスポイント124および126はそれぞれ、一般に非関連アクセスポイントとして定義され、ビーコンを送信またはブロードキャストする。アクセスポイント124および126はサーバ160に接続されていない(すなわち、非関連アクセスポイント124および126はサーバ140に報告できない)。
【0020】
アクセスポイント122、124、126によって送信された信号は、ユーザ132によって操作される携帯機器128、130の形をした受信機によって受信される。ユーザ132は、システム100がカバーするエリア内を自由に動き回ユーザできる。図示の実施形態では、携帯機器128、130は携帯電話として示されているが、ラップトップ、タブレット・コンピュータ、ウェアラブル電子デバイス(例えば、スマート・ウォッチ)、モノのインターネット(IoT)デバイスなどの他のタイプのモバイル・トランシーバを同様の方法で使用してもよい。携帯機器128、130の数も変化し得ることが認識される。また、携帯機器128は、物体129に取り付けるために配置される無線トランシーバおよび他の電子回路を含むロケーションタグ137に対応してもよいことが認識される。例えば、物体129は女性用ハンドバッグ(または財布)に対応し、位置タグ131はハンドバッグ129の位置を示す情報を提供することができる。各携帯機器128、130は、一般に、環境内の様々なアクセスポイント122、124、126とのワイヤレス通信を可能にするためのMODEMまたは他の装置を含む。
【0021】
アクセスポイント122、124、126および携帯機器128、130はまた、任意の数のセンサ(「受信機」または「受動受信機」または「ロケーション受信機」でもある)131a、131bなどとワイヤレス通信してもよいことが認識される。任意の数のセンサ(または受信機)131a、131bが提供されてもよいことが認識される。一例では、センサ131a、131bは、ユーザ132の存在を検出するために建物の1つまたは複数のフロア全体に配置される、例えば、近接センサ、ジオフェンシングセンサなどの固定位置センサであってもよい。一般的に言えば、センサ131a、131bは、固定されていてもよく、アクセスポイント122、124、126からのビーコンおよび他の情報、ならびに携帯機器128、130からのデータパケットを受信するようにプログラムされている。この態様については、以下でさらに詳細に説明する。センサ131a、131bは、少なくとも1つのサーバ140に情報を送信することもできる。一例では、センサ131a、131bは、少なくとも携帯機器128、130の位置を決定する目的で、到来角度測定値をサーバ140に送信してもよい。この態様については、以下でさらに詳細に説明する。
【0022】
ロケーション受信機131a、131b等は、携帯機器128、130から送信される信号の到来角度を求めることができる。システム100内のロケーション受信機131a、131b等の各々は、例えば、図1に示すように、2つまたは3つのアンテナ135を有すると仮定される。アンテナ135の数は、システム100において異なってもよい。携帯機器128、130はそれぞれ、単一の無指向性アンテナ136を有すると仮定されるが、角度を検出するために本明細書で説明される技術は、マルチアンテナ局によって同様に実施され得る。
【0023】
サーバ140は、プログラム可能なプロセッサ142およびメモリ144を含む。本明細書で説明するサーバ140の機能は、典型的には、プロセッサ142上で実行されるソフトウェアで実装され、このソフトウェアは、光学、磁気、または電子メモリ媒体などの有形で非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されることがある。本明細書で述べたように、ネットワーク内の関連するアクセスポイント122および様々な受信機131に情報を送信している携帯機器128、130のアイデンティティをつなぎ合わせることには固有の問題がある。図2は、このような課題を図で表したものである。
【0024】
例えば、図2は、関連するアクセスポイント122およびセンサ131a、131b(以下、「受信機131a、131b」)にパケット(例えば、WiFiベースのパケット)を送信する送信機128a、128b、128c(または携帯機器128a、128b、128c)を一般的に示している。例えば、送信機128aはパケット1および5を送信し、送信機128bはパケット3および7を送信し、送信機128cはパケット4を送信することができる。アクセスポイント126(例えば、時間差のために使用されるビーコンは、関連するアクセスポイント122に関連付けられていても、関連付けられていなくてもよいが、例えば、アクセスポイント126)は、802.11n(例えば、WIFIベースの規格)に準拠する所定のレート(例えば、約102.4ms毎)で周期的にビーコン150a、150b(パケット2、6として)を送信することが認識される。同様に、受信機131a、131bは、ビーコン150a、150b(またはパケット2、6)を受信するように意図されている。しかし、示されているように、受信機131bは、ビーコン150a(例えば、図2においてパケット2(ただし、データパケットではない)としても示されているように)を検出していないが、ビーコン150b(またはパケット6(ただし、データパケットではない))を検出している。
【0025】
図2に一般的に示されるように、アクセスポイント126は、時間的に受信機131aの後方にあり、時間的に受信機131bの前方にある。また、例に示されるように、受信機131aはパケット3及び7を検出しておらず、受信機131bはパケット2を検出していない。上述したように、送信機128aはパケット1と5を送信する。したがって、パケット1および5の受信機131aによって検出された到来角度(AoA)測定値は、ほぼ同じ(例えば、100度)である。到来角度度は、一般に、送信機128aの位置を示し、128aは、平面上の既知の線に限定される。
【0026】
受信機131bもまた、送信機128aからパケット1および5を受信し、受信機131bによって検出されるAoA測定値は、ほぼ、例えば、220度である。受信機131aおよび131bが送信機128aに対して異なる角度で配置されているため、パケット1および5に関連する受信機131bのAoA測定値は、受信機131aのAoA測定値とは異なる(図3参照)。受信機131a、131bと送信機128aが直交しており、送信機128aが中央になかったと仮定すると、受信機131a、131bのそれぞれのAoA測定値はほぼ同じであったであろう。
【0027】
一般に、データパケットまたは(WiFiパケット)(例えば、パケット1、3、4、5、および7)は、上記で説明した理由のために、そのようなパケットを送信する送信機128a、128b、128cのロケーション受信機131a、131bにアイデンティティを提供しないことが認識される。WiFiパケットは、一般に、物理ヘッダ(例えば、PHY)と、それに続く媒体アクセス制御(MAC)ヘッダと、それに続くペイロードとから構成される。送信機128a、128b、128cのアイデンティティはすべてのデータパケットに符号化されるかもしれないが、すべての受信機131a、131bがデータパケット内のメッセージのその部分をデコードできるわけではない。一般に、データパケットやメッセージは、単純/強固な変調方式で符号化された物理的な「PHY」ヘッダ部分を含む。この部分は、極端なリンク状態でも認識できるように設計されている。PHYヘッダは、送信機128a、128b、128cのアイデンティティを含まない。送信機128a、128b、128cのアイデンティティは、PHYヘッダの後に送信されるMACヘッダの一部であってもよい。携帯機器128a、128bが関連付けられる固有のアクセスポイント122は、そのような携帯機器128a、128bがBasic Service Set (BSS)のような無線ネットワークと有線ネットワークの配信システム(「DS」)との間でブリッジするすべてのパケットをデコードすることを保証することができる。アクセスポイント122が積極的な役割を果たす802.11MACプロトコルに規定されるARQリトライメカニズムは、フレームチェックシーケンス(「FCS」)によって保護されるアクセスポイント122へのメッセージ全体の信頼性のある伝送を保証することができる。
【0028】
また、データパケット1、3、4、5、7は、一意の明示的なシーケンスを持っていないことも言及しておく。データパケット(例えば、パケット1、3、4、5、7)のPHYヘッダは、多くのパケットが同じPHYヘッダを持つため、一意ではない。対照的に、完全なデータパケットは、特に暗号化されていれば、一意である可能性が非常に高い。パケットの完全な内容は、関連するアクセスポイント122には利用可能かもしれないが、受信機131a、131bには利用できないかもしれない。
【0029】
図2は、一般に、送信機128a、128b、128cのアイデンティティが、個々のロケーション受信機131a、131bによって判別できないことを伝えている。このような必須判別の欠如は、送信機128a、128b、128cの位置推定に悪影響をもたらす可能性がある。例えば、受信機131aは、送信機128aからのAoA測定値を読み取り、受信機131bは、送信機128bからのAoA測定値を読み取る可能性があり、結果として得られるモザイクは、送信機がある同じ位置から発信されたと誤って仮定された場合、まったくの外れ値となる。
【0030】
IEEE802.11(例えば、WIFI標準)などの典型的な無線プロトコルでは、変調方式は適応的に設定され、リンク条件を考慮してデータレートを最適化する。しかし、他の受信機131a、131bは、異なる悪化したリンク条件を経験する可能性があり、それによりデータの信頼できる受信が妨げられる。上述したように、アクセスポイント122、124、126および携帯機器128a、128b、128cなどによって送信されるWiFiパケットは、一般に、PHYヘッダの後に(MAC)ヘッダが続き、その後にペイロードが続く。パケットPHYヘッダは、例えばプロトコルの精巧な「衝突回避」メカニズムの一部として、媒体パケットの衝突を回避するために堅牢に設計されることがある。そして、パケットPHYヘッダは、最も極端なリンク状況にも耐えられるように設計されており、送信機128a、128b、128cが受信機131a、131bにとって無用であるにもかかわらず、より近い送信機128a、128b、128cからのパケットの受信を妨げているというよく知られた「隠れたノード症候群」を回避している。一般に、各受信機131a,131bが到来方向(「DoA」)を抽出するためには、例えば、PHYヘッダのみが必要であり、従って、そのようなセンサ(又は受信機131a,131b)はAoA測定値を提供するが、送信機128a,128b,128cのアイデンティティは提供しない。物理ヘッダPHYは、受信機131a、131bのローカルクロックでサンプリングされた受信エポック(例えば、パケットが到着した時刻)を正確に推定する。しかしながら、異なるセンサ(または受信機131a、131b)の位置のローカルクロックは、オフセットされ、また、水晶発振器の許容誤差に起因するわずかなドリフトを生じる、典型的には、最大100ppm(partspermillion)、最大2.78時間ごとに1秒である。さらに、例えばIEEE802.11「無線LAN」において、また上述のように、ビーコン150a、150bは、典型的には静止しているアクセスポイント124によって、およそ102.4ミリ秒ごとに送信される。アクセスポイント122、124、126はビーコン150a、150bを任意の潜在的な受信機(例えば、携帯機器128a、128b、128cまたは受信機131a、131b)に送信し、したがってビーコン150はレート適応できず、ビーム形成されず、MIMOエンコーディングされない。むしろ、ビーコン150は、AoA技術を容易にするCDDエンコードされている。ほぼすべての受信機131a、131bおよび携帯機器128、130は、MAC層の内容を含むビーコン150を確実に受信できる。一般に、ビーコンパケットのMAC層は、識別可能な送信機タイムスタンプからなる。ビーコン150a、150bのMAC層は、アクセスポイント122の送信元MACアドレスに加えて、前述のNGC2270の例のように時空間的にグローバルに一意である送信機タイムスタンプを含む。一般に、ビーコン送信は、互いに区別可能な世界中で見られる超新星のイベントのようなものである。
【0031】
携帯機器128、130(または送信機128a、128b、128c)は、必ずしも一意ではないタイプのDATAパケットを送信し、ビームフォーミングやMIMOエンコーディングが可能な高速変調方式を使用しているため、宇宙空間にあるほとんどの場所にある受信機131a、131bでは通常読み取れない可能性がある。しかしながら、受信機131a、131bは、受信したパケットにタイムスタンプを押すために、静止した受信機の位置とその寿命にわたる単調なローカルクロックとを使用して、時間空間的に一意であるアクセスポイント122、124、126からのビーコン150を受信することが可能である。(i)MACアドレスおよび送信機タイムスタンプに加えてビーコン150イベントと、(ii)AoAおよびローカル受信機タイムスタンプからなるデータパケットイベントとの間の時間差を測定することによって、受信機131a、131bは、報告ネットワーク上の多数の受信機131a、131bからデータを収集することによって、個々の送信機128a、128b、128cごとのロケーションを中央ロケーション(例えば、サーバ140)で推定できるように、それらの測定値を不変の形式で報告することができる。一般に、受信機131a、131bは、アクセスポイント122、124、126によって送信されたビーコン150を、ビーコン150a、150bの送信の直前または送信機128a、128b、128cによって送信されたデータパケットに対する時間同期メカニズムとして利用する。この差分報告は、ロケーション受信機とサーバの間で経験されるネットワーク遅延やジッターの影響を受けにくい。
【0032】
各受信機131a、131bは、ビーコン150のパケット識別情報、アクセスポイント122、124、126によって送信されたパケットの受信エポック、さらに送信機128a、128b、128cからのデータパケットの物理的ヘッダ(例えば、到来角度、到来時間など)から得られた位置情報からなる個別報告を提供してもよい。次いで、サーバ140は、グローバルにユニークなビーコンイベントに対してほぼ同一の時間差を有するデータパケットのすべての測定値を合体(coalesce)させて、任意の単一の時点で観測を行うことができるように、送信機128a、128b、128cおよび受信機131a、131bの位置に関して時間的に特定のモバイル・パケット送信イベントのリストを提供することができる。より高い精度を得るために、異なる既知の位置の受信機からのアクセスポイント122または124または126からのビーコンパケット間の時間差を報告することによって、受信機131a、131b間のクロックドリフトを緩和することができる。
【0033】
図4は、一実施形態に従ってシステム100によって実行される、送信機122、124、126(または携帯機器128、130)の位置を特定するための方法200を示す。一般に、図2図4を参照した開示は、一般に、アクセスポイント122、124、126がビーコンを携帯機器(または送信機128a、128b、128c)に送信し、それによって、そのようなビーコンに応答して確認応答がアクセスポイント122、124、126に返送されない場合がある場合に対応する。同様に、図2図4は、アクセスポイント122、124、126が、アクセスポイント124、126、128から携帯機器128a、128b、128cに以前に送信されたデータパケットに応答して、携帯機器128a、128b、128cから確認応答を受信する場合にも対応している。しかし、この場合、携帯機器128a、128b、128cからアクセスポイント122、124、126に返送される確認応答を考慮するために、図6に関連して開示されたような方式を実行しなければならない場合がある。
【0034】
動作202において、対応する送信機(またはアクセスポイント)122、124、または126は、物理的(「PHY」)ヘッダに続いてソースMACヘッダ、そしてデータを含むビーコン150をネットワーク内の対応する受信機131a、131bにブロードキャストする。PHYヘッダ、MACヘッダ、およびデータはすべてWiFiベースのパケットで提供されることが認識される。送信機122、124、または126は、送信機タイムスタンプを受信機131a、131bに送信する。
【0035】
動作204において、受信機131a、131bは、対応する送信機122、124、126から送信機タイムスタンプと共にビーコン150を受信する。受信機131は、一般に、ビーコン150のパケットが到着する時刻を、そのローカルクロックによってサンプリングされたものとして決定し、受信機タイムスタンプを提供する。一般に、ビーコン(複数可)150は、時間エンコーダとして使用され得る。送信機(または携帯機器)128a、128b、128cからのデータ・イベント(またはデータパケット)は、一意のビーコン150を参照して報告される。例えば、データパケットは、ビーコン150がアクセスポイント122、124、126によって送信される直前、または直後のいずれかに、携帯機器128a、128b、128cによって送信されることがある。したがって、この点で、データパケットと個々のビーコン150との間の時間差を把握することができる。
【0036】
動作208において、受信機131は、対応するアクセスポイント122、124、126のビーコン150の送信機タイムスタンプを抽出する。さらに、受信機131は、対応するアクセスポイント122、124、126の識別情報を示す送信元MACアドレスも決定する。一般に、送信元MACアドレスは、対応するアクセスポイント122、124、126によって送信されるビーコン150のMAC層に含まれる。対応するアクセスポイント122、124、126の送信機タイムスタンプおよびMACアドレスは、時空間においてグローバルに一意である。ビーコン送信はサービス・エリア内の受信機によって見られる可能性があり、各ビーコン送信は互いに区別可能である。
【0037】
動作209において、受信機131は送信機128a、128b、128cからデータパケットを受信する。
【0038】
動作210において、受信機131a、131bおよび関連するアクセスポイント122は、参照ビーコンパケット情報(例えば、送信機タイムスタンプおよびMACアドレス)、ビーコン150の受信エポックと携帯データパケット(例えば、送信機128a、128b、128c(または携帯機器)によって送信されたパケット)の受信エポックとの間の時間差(例えば、ビーコン150が受信機131で受信された時点とデータパケットが受信機131で受信された時点との間の相対時間測定)、およびロケーション受信機131a、131bによって受信されたデータパケットのPHY層(または物理ヘッダ)の情報を介してAoAから取得されたロケーション情報を含む個別のレポートを作成する。関連するアクセスポイントが生成するレポートは、データパケットMAC層の送信アドレス(一意のアイデンティティ)からなるが、必ずしもAoA情報から構成されるわけではない。サーバ140は、ロケーション受信機レポートおよび関連するアクセスポイントレポートにおいて、受信機131a、131bのためにパックされた同じ受信ビーコン150と受信データとの間の同じ(予め定義された誤差範囲内の)時間差を突き止めることによって、送信機128a、128b、128cのアイデンティティを決定することができる。
【0039】
ビーコン150の受信エポックと、送信機128a、128b、128c(または携帯機器)からのパケットの受信エポックとの時間差は、以下のように記述することができる。例えば、アクセスポイント122、124、126が送信するビーコン150(またはビーコンパケット)と、送信機(または携帯機器)128a、128b、128cが送信するデータパケットは、送信機128a、128b、128cによって重なることなく次々と送信され、前者は後者の開始前に終了する。いずれかのパケットが受信機131側で「開始」する正確な時間は、WiFi規格によって、1マイクロ秒よりも高い精度で、十分に定義されている。例えば、ビーコン開始(エポック)は、受信機131a、131bにおいてローカル時間1.111111秒に到着しており、データパケットは、受信機131a、131bにおいて1.111999秒に到着しているので、計算された差は、0.000888秒または888マイクロ秒である。
【0040】
動作212において、各受信機131はサーバ140にレポートを配信(または送信)する。関連するアクセスポイントも、そのレポートをサーバ140に配信する。次に、サーバ140は、異なる既知の位置からの時間的に単一のイベントの観測が観測され得るグローバルに一意なビーコンイベントに対して、ほぼ同一の時間差を有するデータパケットのすべての測定値を合体させる。これは、以下の方法で実行することができる。例えば、サーバ140は、111,222,333マイクロ秒の送信機タイムスタンプ(アクセスポイントが最近ブートしたので従来測定され、この例では111秒を少し超える)を有するビーコン150が受信機131a、131b、131cによって受信されたことを対応する受信機131a、131b、131cによって報告されている。また、3つの受信機131a、131b、または131cはすべて、それぞれ344、346、347マイクロ秒後に、対応する送信機128からデータパケットを受信した。各受信機131a、131b、または131cは、ローカルクロックを使用して時間差を測定する。サーバ140は、タイミング誤差が所定の誤差以下であるため、全ての3パケットイベントが、単一の特定の携帯送信機128a、128b、又は128cから発信された同一のデータパケット送信イベントに由来すると判定する。言い換えれば、サーバ140は、各受信機131a、131b、131cが、111222333の送信機タイムスタンプを有するビーコン150を受信し、3つの受信機131a、131b、131cの全てが、送信機タイムスタンプに対して概ね同じ時間に送信機128からデータパケットを受信したので、送信機128のアイデンティティを決定し、例えば、受信機131cは、関連するアクセスポイントであり、そのレポートは、送信されたデータパケットのMACレイヤから関連するアクセスポイントによってデコードされた携帯送信機のアイデンティティからなる。
【0041】
操作214において、サーバ140は、三角測量を利用することによって、(操作212において一旦識別された)送信機128の位置を決定する。サーバ140は、例えば100度である受信機131aのAoA測定値(reading)に基づいて、および例えば220度である受信機131bのAoA測定値に基づいて、識別された送信機128に対して三角測量を実行する(図3を参照)。三角測量は、推定誤差を評価するために、ロケーション受信機ごとに1つずつ、3つ以上のAoA測定値を必要とする。送信機128の位置を決定するためにAoA測定値に基づいて三角測量が採用され得る態様の一例は、「Providing Localization using Triangulation Method in Wireless Sensor Network」、International Journal of Innovative Technology and Exploring Engineering(IJITEE)ISSN:2278-3075、Volume-4 Issue 6、2014年11月、Leelavathy S.R.およびSophia S.に開示され得る。
【0042】
三角測量を実行する別の例を、図2に関連して以下に示す。受信機131bは、ビーコン150b(例えば、6)、データパケット1、3、4、5、及び7の受信を報告し、受信機131aは、ビーコン150a及び150b(例えば、2及び6)の受信と、データパケット1、4、及び5の受信とを、ビーコン内の送信機タイムスタンプ等と共に報告する。データパケット1、4、および5は、ロケーション受信機131によってデコードすることはできず、関連するアクセスポイント122のみがデコードできるが、ロケーション受信機131aは、それらのAoA測定値を、それぞれ、100度、140度、および100度と推定することができる。サーバ140は、受信機131aによって(4)報告された(4)を表すパケットおよび受信機131bによって報告された(4)を表すパケットが、図2のパケット4として関連するアクセスポイント122によっても報告されるという推測を提供する。パケット4とビーコン6(またはビーコン150b)との間の時間差は、所定の受信時間誤差範囲内で、ビーコン150bに対して、受信機131a、受信機131bおよび関連アクセスポイント122によって報告されたイベント間でほぼ同一である(例えば、10μsであり、図10の表500のイベント#12~24を参照)。この時点で、パケット5は、受信機131aによって見られる100度のAoA測定値と、関連するアクセスポイント122によって復号される送信機128aのアイデンティティとを有することが知られている(以下も参照)。上記の例における1つの特定のパケット(例えば、パケット5)に対する受信機からの少なくとも3つのAoA測定値が識別されると、送信機128aの位置は、受信機131aの推定AoA方向100度(例えば、図3参照99.9)で受信機131aの既知の位置を横切る、受信機131aごとに1つの3つの線を引くことによって推定され得る。この3本の線は、この推定手順によって、送信機128aが閉じ込められる三角形(図3は、簡単のために2本の線のみを描いている)を構成する。図2に戻ると、2つの受信機131a、131bのみが示されているが、実際の三角測量には第3の受信機が必要な場合がある。図3には示されていないが、三角測量には少なくとも3つの受信機が必要である。
【0043】
図5は、概して、一実施形態に従ってシステム100によって実行される、送信機122、124、126(または携帯機器128、130)の位置を特定するための、より詳細な方法250に対応する。
【0044】
動作252において、サーバ140は、(i)関連アクセスポイント122が携帯機器128から第1のデータパケットを受信したことを示す第1の受信機タイムスタンプ、および(ii)関連アクセスポイント122がアクセスポイント124(すなわち、非関連アクセスポイント124)から第2の(ビーコン)パケットを受信したことを示す第2の受信機タイムスタンプ、を示す第1の情報を関連アクセスポイント122から受信する。
【0045】
動作254において、サーバ140は、第1の差分値を生成するために、第1の受信機タイムスタンプと第2の受信機タイムスタンプとの間の第1の差分を決定する。
【0046】
動作256において、サーバ140は、(i)第1のロケーション受信機131bが携帯機器128から第3のデータパケットを受信した第3の受信機タイムスタンプ131b、および(ii)第1のロケーション受信機131aがアクセスポイント124から第2の(ビーコン)パケットを受信した第4の受信機タイムスタンプを示す第2の情報を第1のロケーション受信機131aから受信する。
【0047】
動作258において、サーバ140は、第3の受信機タイムスタンプと第4の受信機タイムスタンプとの間の第2の差分を決定し、第2の差分値を生成する。
【0048】
動作260において、サーバ140は、第1の差分値と第2の差分値のそれぞれを所定の受信時間誤差範囲と比較する。
【0049】
動作262において、サーバ140は、第1の差分値および第2の差分値のそれぞれが所定の受信時間誤差範囲内にあることに応答して、携帯機器128によって送信された第1のパケットおよび第3のパケットが同一であると判定する。
【0050】
操作264において、サーバ140は、操作252、254、256、258、260、および262を再度実行するが、しかし、第1のロケーション受信機131の代わりに第2のロケーション受信機131bを利用する。例えば、サーバ140は、第2のロケーション受信機131bに関連して以下のことを実行する。サーバ140は、(i)第2のロケーション受信機131bが携帯機器128から第4のパケットを受信した第5の受信機タイムスタンプ、及び(ii)第2のロケーション受信機128がアクセスポイント124から第2のパケットを受信した第6の受信機タイムスタンプを示す第3の情報を第2のロケーション受信機131bから受信する。サーバ140は、第3の差分値を生成するために、第5の受信機タイムスタンプと第6の受信機タイムスタンプとの間の第3の差分を決定する。
【0051】
そして、サーバ140は、第1の差分値及び第3の差分値のそれぞれと所定の受信時間誤差範囲とを比較し、第1の差分値及び第3の差分値が所定の受信時間誤差範囲内にあることに応じて、携帯機器128が送信した第1のパケットと第4のパケットとが同一であると判定する。次いで、サーバ140は、第1のロケーション受信機131aおよび第2のロケーション受信機131bから、第1のロケーション受信機131aおよび第2のロケーション受信機131bの向きに対する携帯機器128の方向を示すAoA情報を取得する。動作266において、サーバ140は、少なくとも第1のロケーション受信機131aおよび第2のロケーション受信機131bから受信したAoA情報に基づいて携帯機器128の位置を決定する。
【0052】
図6は、一実施形態に従ってシステム100によって実行される、合体した即時確認応答パケットイベントに基づいてアクセスポイント122を識別することを表すスキーム300である。スキーム300は、アクセスポイント122からのデータパケット128cの受信に応答して、携帯機器(または送信機128)が確認応答パケット(または確認応答)をアクセスポイント122に送り返すときに採用され得る。場合によっては、送信機128a、128b、128cは、例えば、関連するアクセスポイント126に確認応答を送り返すことができる。他のケースでは、送信機128a、128b、128cは、例えば、確認応答を関連するアクセスポイント126に返送しないことがある。ケースが後者である場合、以下に規定されるような動作が行われる。方法200は、関連するアクセスポイント122、124、126におけるアイデンティティ読み取りが、(たとえば、同じイベントの2つの受信機読み取りを合体させることによって)受信機131a、131bで送信機128a、128b、128cの位置を識別するために使用され得る態様を提供することが認識される。しかしながら、システム100によっても採用されるスキーム300は、サーバ140を介して、アクセスポイント122、124、126で2つのイベントを1つに合体させることによって、送信機128a、128b、128cを識別してもよい。例えば、WiFiプロトコル(例えば、IEEE802.11)は、アクセスポイント122aが携帯機器128bにパケットを送信する即時確認と呼ばれるメカニズムに依存する。この場合、携帯機器128bは、アクセスポイント122からのデータパケットの受信を確認するために、確認応答パケット(またはACKパケット)302を直ちにアクセスポイント122に返送する。ただし、IEEE802.11に従って、アクセスポイント128bに送り返されるACKパケットには送信機128bのアイデンティティはなく、アクセスポイント128のアイデンティティのみが埋め込まれている。ACKパケットが受信される直前に送信されるデータパケット内のMACヘッダ304を観察することによって、送信機128bのアイデンティティを暗黙的に明らかにすることが可能である。例えば、MACヘッダ304は受信者アドレス(RA)フィールド306を含む。したがって、サーバ140は、送信機128bからのACKパケット302の受信に応答して、MACヘッダ304内のRAフィールド306の内容を確認して、どの送信機128がACKパケット302を送信したかを判断することができる。図6に示される方式300では、RAフィールド306は送信機128b(またはT2)に設定され、この場合、サーバ140は、送信機128bがACKパケット302を送信したと判定する。
【0053】
図6はまた、受信機131a、131bがアクセスポイント122からデータパケット(例えば、DATA)を受信し、送信機128bからACKパケットを受信することを示している。受信機131a、131bは、送信機(または携帯機器128b)からACKを受信している。また、受信機131a、131bは、送信機128bからのAoA測定値(例えば、受信機131aのAoA測定値は100度、受信機131bのAoA測定値は220度)を測定する。図6は、受信機131a、131bがデータパケットおよび確認応答パケットを受信する一方で、MAC層におけるデータパケットの内容が、上述のように知られていないか、または提供されていないことを図示する。また、受信機131a、131bは、アクセスポイント122、124の送信機タイムスタンプを含むアクセスポイント122からのビーコン150も受信することが認識される。上述のように、送信機タイムスタンプは、アクセスポイント122がビーコン150を受信機131a、131bに送信した時間を示す。同様に、受信機131a、131bは、送信機128a(すなわち、携帯機器128a)によって送信されたタイムスタンプ付き送信機確認応答を受信する。したがって、この点で、受信機131aは、アクセスポイント122a、122bおよび携帯機器128a、128bの両方のタイムスタンプを生成する。タイムスタンプには2つのタイプがあり得る。例えば、第1のタイプのタイムスタンプ(または送信機タイムスタンプ)は、アクセスポイント122、124によってビーコンパケットに埋め込まれてもよく、第2のタイプのタイムスタンプ(または受信機タイムスタンプ)は、ビーコン150またはデータまたは確認応答が受信されたときに受信機131によって取られるタイムスタンプである。したがって、ビーコンパケットは、送信機タイムスタンプ(例えば、アクセスポイント122からのタイムスタンプ)と受信機タイムスタンプ(例えば、受信機131でのタイムスタンプ)の両方を含んでいる。したがって、受信機131は、受信機131で受信されたビーコン150のタイムスタンプと、サーバ140に報告するためのデータパケット(または確認応答)のタイムスタンプとの間の時間差を決定する。送信機タイムスタンプ(例えば、アクセスポイント122によって送信されるビーコン150に埋め込まれたタイムスタンプ)は、複数の受信機131a、131bの間で個々のビーコン150を識別可能にするために使用される(例えば、同じビーコン送信イベントに関連して行われる、受信機131a、131bによる送信機タイムスタンプが埋め込まれたビーコンに対する時間差報告)。
【0054】
上述のように、サーバ140は、送信機128から確認応答を受信した後にRAフィールド306の内容を確認することに基づいて、送信機128のアイデンティティを決定することができる。サーバ140はまた、ビーコン150の複数の受信に基づいて、識別された送信機128がいつ情報を送信したかを決定するために、アクセスポイント122から(例えば、ビーコン150を介して)および携帯機器128から(例えば、確認応答を介して)送信機タイムスタンプを受信機131a、131bから受信する。送信機128のアイデンティティおよび送信機タイムスタンプに基づいて、サーバ140は、個々の送信について異なる受信を決定または識別することができる。次に、受信機131a、131bは、それらが測定したAoA測定値をサーバ140に報告することができる。サーバ140は、送信機128のアイデンティティおよび2つ以上のAoA測定値に基づいて、単一の送信機128(例えば、携帯機器)の位置を決定することができる。
【0055】
図7は、一実施形態による、図6の方式300に基づいて受信機の位置を決定するための方法400である。
【0056】
動作402において、サーバ140は、図5の方式200に関連して説明したように、確認応答の受信に基づいて送信機(すなわち、携帯機器)128のアイデンティティを決定する。上述のように、アクセスポイント122、124、126は、アクセスポイント122、124、126からのデータパケットの受信を確認するために、送信機128aまたは128bまたは128cから確認応答パケット(または確認応答)302を受信する。アクセスポイント122、124、126は、RAフィールド306を含むMACヘッダ304に対応する情報をサーバ140に送信する。サーバ140は、MACヘッダ304の内容(例えば、RAフィールド306の内容)を観察して、どの送信機128が確認応答パケット302を送信したかを判断することができる。アクセスポイント122、124、126は、RAフィールド306および確認応答パケット302を含むMACヘッダ304に対応する情報をサーバ140に送信して、サーバ140が送信機128のアイデンティティを決定できるようにしてもよいことが認識される。
【0057】
動作404において、受信機131はアクセスポイント122、124、126からビーコン150を送信機タイムスタンプと共に受信する。
【0058】
動作406において、受信機131はまた、送信機128からAoA測定値および確認応答パケット302を受信する。受信機131は、受信機タイムスタンプを提供するために、そのローカルクロックによってサンプリングされるように、ビーコン150上のパケットが到着する時間を決定する。
【0059】
動作408において、サーバ140は、アクセスポイント122によって(例えば、ビーコン150を介して)送信された送信機タイムスタンプおよびMACアドレスのロケーション受信機からの報告と、受信機131a、131bからのパケット受信機タイムスタンプ+AoA測定値とを集約して、相対的に受信されたタイムスタンプおよびAoA測定値の組を報告する。タイムスタンプはビーコン150に対する相対的なものである。以下の例では、識別された携帯機器(または送信機)が確認応答を送信し、受信機131a、131bがほぼ単一の時点(ほぼとは、例えば、許容可能な誤差の範囲内でわずかに異なる伝搬遅延に起因する)で確認応答を受信する態様を説明する。図2を参照すると(TABLE500のイベント番号21(502参照)も参照)、データパケット4は、送信機128cと送信機128aの受信機アドレスとを詳述している。関連するアクセスポイント122によって受信される時間的に次のパケットは、IEEE802.11に従って、受信機としての送信機128cから始まる受信機アドレスのみからなる。サーバ140は、このデータパケットをパケット#5として任意にアノテーションすることができる。サーバ140は、携帯機器から発信されたモバイル・アイデンティティ・パケット#5を明らかにする必要があるかもしれない。パケット#5は、送信機128cに向けられていることを示す。サーバ140は、送信機128cによって送信されたことを確認する#4とアノテーションされたパケットを1つ過去にさかのぼることができる。パケット#4は、送信機128aに向けられていることを宣言しており、したがって、推論によれば、パケット#5は、携帯送信機128aから発信されたものである。サーバ140は、1パケット分だけ、ここではパケット#4とアノテーションされたパケットまで時間を遡る必要がある可能性が高い。そのような推論シナリオでは、確認応答パケット#5は、パケット#4に応答して、パケット#4の直後に送信される。確認応答パケットは、送信元(または送信機128a、128b、128c)のアイデンティティを報告するのではなく、確認応答の意図された受信者のアイデンティティを報告することが認識される。送信元のアイデンティティは、前のパケット(例えば、送信機128aに送信されたアノテーションされたデータパケット#4)からの推論によって明らかにされる。
【0060】
動作410において、サーバ140は、特定のビーコン・レポートと同じ相対的なタイムスタンプ、特に送信機タイムスタンプおよび送信機MACアドレスの測定値を合体させる。ロケーション受信機はAoA測定値を提供し、関連するアクセスポイントは送信機128(例えば、携帯機器)のアイデンティティを提供する。以下に説明する図7は、動作410(および図4に関連して記載した動作212)に関連してより詳細を提供する。
【0061】
操作412において、サーバ140は三角測量を行って送信機128の位置を決定する。上述のように、三角測量は以下のように実行されてもよい。受信機131bはパケット5の受信を報告する。受信機131aは、パケット5の受信を報告する。同じパケット送信イベントの3つの既知の位置の受信機からのAoA測定値と、一意のMACアドレスによって特徴付けられる送信機のアイデンティティが与えられると、サーバ140は、受信機が個々に読み取っていた測定されたAoAで、図3に描かれた受信機の既知の位置を横切る線を、送信機128が位置すると推定される三角形内に三角測量する。
【0062】
図8は、一実施形態による、図5の方式に基づいて受信機の位置を決定するための別の方法420である。動作422、424、426、428、430、および438は、図4に規定される動作202、204、208、209、210、212、および214とそれぞれ類似している。そのため、これらの操作については、以下では説明しない。操作434および436は、方法420に固有である。
【0063】
動作434において、関連アクセスポイント122は、ACKパケットの直前のデータパケットの宛先(「DST」)アドレスを報告する。
【0064】
動作436において、サーバ140は、関連するアクセスポイント122によって報告されたACKパケットの前のDSTアドレスから携帯機器128のアドレスアイデンティティを推測する。
【0065】
図9は、一実施形態による、図6の方式300および図1のシステム100の携帯機器128の位置を決定するための、より詳細な方法450を示す。
【0066】
動作452において、サーバ140は、携帯機器128から受信された確認応答パケット302に対応する第1の情報を関連アクセスポイント122から受信する。確認応答パケット302は、関連するアクセスポイント122によって送信されるデータパケットに応答して携帯機器128によって送信され、第1の情報はさらに、関連するアクセスポイント122がデータパケットをそこに送信するための携帯機器128の識別情報を提供するデータパケット内の受信機アドレスフィールド306に対応する。
【0067】
動作454において、サーバ140は、確認応答パケット302が関連するアクセスポイント122で携帯機器128から受信されると、携帯機器128のアイデンティティを決定するために受信機アドレスフィールド306にアクセスする。
【0068】
動作456において、サーバ140は、(i)関連アクセスポイント122が携帯機器128から第1のパケットを受信した第1の受信機タイムスタンプ、および(ii)関連アクセスポイント122がアクセスポイント124(すなわち、非関連アクセスポイント124)から第2のビーコンパケットを受信した第2の受信機タイムスタンプ、を示す第1の情報を関連アクセスポイント122から受信する。
【0069】
動作458において、サーバ140は、第1の差分値を生成するために、第1の受信機タイムスタンプと第2の受信機タイムスタンプとの間の第1の差分を決定する。
【0070】
動作460において、サーバ140は、(i)第1のロケーション受信機131bが携帯機器128から第3のパケットを受信したことを示す第3の受信機タイムスタンプ131b、および(ii)第1のロケーション受信機131aがアクセスポイント124から第2のパケットを受信したことを示す第4の受信機タイムスタンプを示す第2の情報を第1のロケーション受信機131aから受信する。
【0071】
動作462において、サーバ140は、第3の受信機タイムスタンプと第4の受信機タイムスタンプとの間の第2の差分を決定し、第2の差分値を生成する。
【0072】
動作464において、サーバ140は、第1の差分値と第2の差分値との間で、所定の受信時間誤差範囲を満たすように比較する。
【0073】
動作466において、サーバ140は、第1の差分値及び第2の差分値の各々が所定の受信時間誤差範囲内にあることに応答して、携帯機器128によって送信された第1のパケット及び第3のパケットが同一であると判定する。関連するアクセスポイントによって受信されたパケットは、128のMACアドレスアイデンティティを明らかにする。ロケーションサーバによって受信されたパケットは、128の三角測量に必要な情報を提供する。
【0074】
操作468において、サーバ140は、操作456、458、460、462、464、および468を再度実行するが、しかし、第1のロケーション受信機131の代わりに第2のロケーション受信機131bを利用する。例えば、サーバ140は、第2のロケーション受信機131bに関連して以下のことを実行する。サーバ140は、(i)第2のロケーション受信機131bが携帯機器128から第4のパケットを受信した第5の受信機タイムスタンプ、及び(ii)第2のロケーション受信機128がアクセスポイント124から第2のパケットを受信した第6の受信機タイムスタンプを示す第3の情報を第2のロケーション受信機131bから受信する。サーバ140は、第3の差分値を生成するために、第5の受信機タイムスタンプと第6の受信機タイムスタンプとの間の第3の差分を決定する。
【0075】
そして、サーバ140は、第1の差分値及び第3の差分値のそれぞれと所定の受信時間誤差範囲とを比較し、第1の差分値及び第3の差分値が所定の受信時間誤差範囲内にあることに応じて、携帯機器128が送信した第1のパケットと第4のパケットとが同一であると判定する。次いで、サーバ140は、第1のロケーション受信機131a及び第2のロケーション受信機131bから、第1のロケーション受信機131a及び第2のロケーション受信機131bの方位に対する携帯機器128の方向を示すAoA情報を取得する。動作470において、サーバ140は、少なくとも第1のロケーション受信機131aおよび第2のロケーション受信機131bから受信したAoA情報に基づいて携帯機器128のロケーションを決定する。
【0076】
図10は、サーバ140によって使用され得るテーブル500の一例を示している。このテーブル500は、一実施形態に従って、モバイル・データパケットAoA測定値のアイデンティティを決定するために、少なくともアクセスポイント122、124ビーコンからの送信機タイムスタンプ、携帯機器128a、128bデータパケットの受信機タイムスタンプ、およびアクセスポイント122、124からのビーコンを受信する受信機131a、131bからの受信機タイムスタンプに基づいて、携帯機器128のアイデンティティと128によって送信されたAoA測定値とを合体させる。列502には、様々な送信イベントに対応する様々なイベント番号が描かれている。列504は、受信機の列挙、または一般に、ビーコン150、データパケット、または確認応答を受信している機器を示す。列504は、関連するアクセスポイント122がデータパケットまたは確認応答を受信する可能性があることを示し、この条件は、本明細書で規定する実施形態のいずれにも適用される。本開示全体を通して指摘されるように、受信機131a、131b、131cおよび関連するアクセスポイント122のうちの任意の1つは、ビーコン150、データパケット、および/または確認応答を受信してもよい。例えば、表500に示されるように、イベントには12~24の番号が付され、イベント12~24の前のイベントも行われ、イベント番号24の後のイベントも行われることが認識されるべきである。
【0077】
列506は一般に、送信機器(例えば、列514で識別される送信機)がビーコン150に埋め込んだタイムスタンプを表す。列508は一般に、ビーコン150、データパケット、または確認応答のいずれかを受信したことに応答して、受信機器(例えば、受信機131a、131b、131c、および関連するアクセスポイント122)によって生成されたタイムスタンプを表す。上述したように、受信機タイムスタンプは、ビーコン150、データパケット、または確認応答の受信に応答して、受信機131a、131b、131c、および関連するアクセスポイント122に存在する内部クロックに基づいて生成される。
【0078】
列510は、一般に、ロケーション受信機131によって受信および推定された、送信機(例えば、携帯機器128)のパケットのAoA測定値に対応する。列512は、一般に、受信機131a、131bおよび関連するアクセスポイントによって、報告された受信パケットイベントの中心的な注釈(center annotation)に対応する。個々のパケットは、410で説明したように一意に注釈付けされる。個々のイベントの報告はすべて同じ注釈が付けられる。例えば、図2に関連して、関連するアクセスポイント122の5番目のパケット、受信機131aからのレポートの4番目のパケット、および受信機131bからのレポートの4番目のパケットは、すべて同じイベントに関連しており、サーバ140はパケット#5として注釈を付ける。この注釈付きイベントは、送信機128aから発信され、受信機131aから100度のAoA測定値を読み取り、受信機131bから220度のAoA測定値を読み取る。1、3、4、5および7の数字表記は、データまたは確認応答パケットに対応し、2および6の数字表記は、ビーコン150a、150bに対応する。列514は一般に、ビーコン150、データパケット、または確認応答を送信する送信機器の一意のアイデンティティに対応する。この場合、送信機器は、関連アクセスポイント122および非関連アクセスポイント124または携帯機器128である可能性がある。
【0079】
図2および図10を参照すると、アクセスポイント122(イベント#23)は、3,980.03μ秒のローカル時間(または受信機タイムスタンプ)で送信機128aからデータパケット(例えば、データパケット#5)を受信したことを報告し、その後、4000.04μ秒のローカル時間(または受信機タイムスタンプ)で1,000,000マイクロ秒の埋め込み送信機タイムスタンプを持つ別のアクセスポイント124からビーコン150b(例えば、ビーコン#6)を受信する(イベント#17参照)。
【0080】
同様に、受信機131aは、送信機128aからのデータパケット(例えば、データパケット#5)をAoA測定値99.9度で14,000.01μsecのローカルタイムで受信したことを報告し(イベント#24を参照)、その後、14,020.10μsecのローカルタイム(または受信機タイムスタンプ)で送信機タイムスタンプ1,000,000μsecが埋め込まれたビーコンパケット150bを受信したことを報告する(イベント#18を参照)。この例では、ビーコン150が到着したときの受信機131aの受信機タイムスタンプ(例えば、14,020.01μsec)と、データパケットが到着したときの受信機131aの受信機タイムスタンプ(例えば、14,000.10μsec)との間の時間差は、19.91μsecに等しい。
【0081】
さらに、受信機131bは、送信機128aからのデータパケット(例えば、データパケット#5)を、219.9度のAoA測定値で11,000.05μsecのローカル時間(又は受信機タイムスタンプ)で受信したことを報告し(事象#22を参照)、その後、ビーコンパケット150b(例えば、ビーコン#6)は、11,019.85μ秒のローカル時間(または受信機タイムスタンプ)に1,000,000μ秒の送信機タイムスタンプが埋め込まれる(イベント#19参照)。この例では、ビーコン150が到着したときの受信機131bの受信機タイムスタンプ(例えば、11,019.85μsec)と、データパケットが到着したときの受信機131aの受信機タイムスタンプ(例えば、11,000.05μsec)との間の時間差は、19.8μsecに等しい。
【0082】
時間差によるパケット識別では、MODEMとも呼ばれる受信機131は、20MHzで16サンプル(またはそれ以上)の分解能を提供する(すなわち、16*50nsec = 0.8 μs、差分の誤差は2倍(すなわち、1.6 μs)以下である)。送信機128と複数の受信機131の間の伝搬路の差は333m/μsに達する。一般的な環境では、1辺が100mに制限されるため、誤差は0.5μsに制限される。媒体アクセス層では、パケットは、あるパケットの最後尾から次のパケットの先頭まで、少なくとも10μs離れている。一般的に、パケットの最後尾から次のパケットの先頭までは、最短パケットの長さにパケット間のギャップを加えた長さ、少なくとも26μs、非常に一般的には100~400μsの間隔が空く。したがって、2.1~26μsの誤差は、隣接するパケット間の識別を正確に保証しつつ、固有の不確実性を安全に考慮したものである。以上のことから、例えば100μsのマージンは、時間差が互いに等しいとみなされるための所定の受信時間間隔として機能することがある。
【0083】
見られるように、受信機131aの時間差(例えば、19.91μsec)は、受信機131bの時間差(例えば、19.8μsec)と概ね同様である。したがって、この点において、受信機131aおよび131bは、送信機128から同じデータパケットを受信したと結論付けることができる。また、開示された方法200に基づいて、送信機からネットワーク内の2つ以上の受信機へのデータパケットの送信イベントを結論付けることもできる。
【0084】
上述の例では、サーバ140は、少なくとも、アクセスポイント122から送信されたビーコン150b上の送信機タイムスタンプと、受信機131a、131bの受信機タイムスタンプとを収集することによって、送信機128aのアイデンティティを決定する。例えば、サーバ140は、ビーコン上で報告されるような同様の送信機タイムスタンプを有するシステム100内の受信機のすべてを識別し、次に、識別された受信機131a、131bのすべてについて受信機タイムスタンプ間の差を得ることができる。様々な受信機タイムスタンプ間の時間差が互いに類似している場合、サーバ140は、次に、どの送信機128が、ある時点において、対応する受信機131a、131bへの単一の送信イベント(例えば、データパケットを送信した)を発信したかを決定する(または推論する)ことができる。明確化の目的で、サーバ140は、関連するアクセスポイント122によって送信されたレポートからアイデンティティを抽出し、既知のビーコンイベントと同じ相対時間差のイベントを見つけることによって、ロケーション受信機131a、131bが報告したイベントのアイデンティティを決定してもよい。
【0085】
システム100は、受信機131a、131b、131cによって受信されたビーコン150からのすべての報告された送信機タイムスタンプを収集することを含む上述の方法を採用してもよいことが認識される、次いで、受信機で受信されたデータパケットの受信機タイムスタンプと受信機で受信されたビーコンの受信機タイムスタンプとの間の差をとり、報告された受信されたデータパケットのセットのうちのどれが既知のビーコンイベントに対して同じ差を有するかを決定することは、ロケーション受信機131a、131bおよび関連するアクセスポイント122によって受信されたすべてのパケットが、上述のように許容される時間差誤差よりも小さい微小な伝搬遅延差を除いて、同時に受信されるという事実に基づく。さらに表500および図2を参照すると、ビーコン150aは受信機131bによって受信されていない。しかし、ビーコン150aは受信機131aによって受信されているので、イベント#12では、イベント#16で報告されたように、ビーコン150bを使用して推測することができる。
【0086】
例示的な実施形態が上述されているが、これらの実施形態が本発明の全ての可能な形態を説明することを意図するものではない。むしろ、本明細書で使用される言葉は、限定ではなく説明の言葉であり、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更がなされ得ることが理解される。さらに、様々な実施形態の特徴を組み合わせて、本発明のさらなる実施形態を形成することもできる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-07-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス通信システムのモザイクを生成する装置であって、
メモリと、
前記メモリを有するサーバとを備え、
前記サーバは、
(i)関連するアクセスポイントが携帯機器から第1のパケットを受信したことを示す第1の受信機タイムスタンプ、および(ii)前記関連するアクセスポイントが第1のアクセスポイントから第2のパケットを受信したことを示す第2の受信機タイムスタンプを示す第1の情報を前記関連するアクセスポイントから受信し、
前記第1の受信機タイムスタンプと前記第2の受信機タイムスタンプとの間の第1の差分を決定し、第1の差分値を生成し、
(i)第1のロケーション受信機が前記携帯機器から第3のパケットを受信したことを示す第3の受信機タイムスタンプ、および(ii)前記第1のロケーション受信機が前記第1のアクセスポイントから前記第2のパケットを受信したことを示す第4の受信機タイムスタンプを示す第2の情報を前記第1のロケーション受信機から受信し、
前記第3の受信機タイムスタンプと、前記第4の受信機タイムスタンプとの間の第2の差分を決定し、第2の差分値を生成し、
前記第1の差分値と前記第2の差分値をそれぞれ、所定の受信時間誤差範囲と比較し、
前記第1の差分値と前記第2の差分値のそれぞれが前記所定の受信時間誤差範囲内にあることに応答して、前記携帯機器によって送信された前記第1のパケットと前記第3のパケットが同一であると判定するようにプログラムされている装置。
【請求項2】
前記サーバはさらに、(i)第2のロケーション受信機が前記携帯機器から第4のパケットを受信した第5の受信機タイムスタンプ、および(ii)前記第2のロケーション受信機が前記第1のアクセスポイントから前記第2のパケットを受信した第6の受信機タイムスタンプを示す第3の情報を前記第2のロケーション受信機から受信するようにプログラムされている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記サーバはさらに、前記第5の受信機タイムスタンプと前記第6の受信機タイムスタンプとの第3の差分を決定し、第3の差分値を生成するようにプログラムされている請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記サーバは、
前記第1の差分値と前記第3の差分値をそれぞれ前記所定の受信時間誤差範囲と比較し、
前記第1の差分値と前記第3の差分値が前記所定の受信時間誤差範囲内であることに応答して、前記携帯機器によって送信された前記第1のパケットと前記第4のパケットとが同一であると判定するように、さらにプログラムされている請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記サーバは、前記第1のロケーション受信機及び前記第2のロケーション受信機から、前記第1のロケーション受信機及び前記第2のロケーション受信機の方位に対する前記携帯機器の方向を示す到来角度(AoA)情報を取得するようにさらにプログラムされている請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記サーバは、少なくとも前記第1のロケーション受信機および前記第2のロケーション受信機から受信した前記AoA情報に基づいて、前記携帯機器の位置を決定するようにさらにプログラムされている請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のパケット及び前記第3のパケットは、WIFI規格に従って伝送されるデータパケットである、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第2のパケットは、WIFI規格に従って送信されるビーコンである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
ワイヤレス通信システムのモザイクを生成する装置であって、
メモリと
前記メモリを有するサーバを備え、
前記サーバは、
携帯機器から受信した確認応答パケットに対応する第1の情報を関連するアクセスポイントから受信し、前記確認応答パケットは、前記関連するアクセスポイントによって送信されるデータパケットに応答して前記携帯機器によって送信され、前記第1の情報は、前記関連するアクセスポイントが前記データパケットをそこへ送信するための前記携帯機器の識別情報を提供するデータパケット内の受信機アドレスフィールドにさらに対応し、
前記関連するアクセスポイントで前記携帯機器から前記確認応答パケットが受信された後に、前記受信機アドレスフィールドにアクセスして前記携帯機器のアイデンティティを特定するようにプログラムされている装置。
【請求項10】
前記受信機アドレスフィールドは前記データパケット内に配置される請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記関連するアクセスポイントは、前記携帯機器によって選択されるエンティティであり、配信システムとの全トラフィックをブリッジする請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記配信システムは、前記携帯機器が関連する無線ローカル無線ネットワークと外部ブリッジ接続されたネットワークである請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記サーバは、(i)関連するアクセスポイントが携帯機器から第1のパケットを受信したことを示す第1の受信機タイムスタンプ、および(ii)関連するアクセスポイントが第1のアクセスポイントから第2のパケットを受信したことを示す第2の受信機タイムスタンプを示す第1の情報を、関連するアクセスポイントから受信するように、さらにプログラムされている請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記サーバは、前記第1の受信機タイムスタンプと前記第2の受信機タイムスタンプとの間の第1の差分を決定し、第1の差分値を生成するように、さらにプログラムされている請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記サーバは、
(i)第1のロケーション受信機が前記携帯機器から第3のパケットを受信した第3の受信機タイムスタンプ、および(ii)前記第1のロケーション受信機が前記第1のアクセスポイントから前記第2のパケットを受信した第4の受信機タイムスタンプを示す第2の情報を前記第1のロケーション受信機から受信し、
前記第3の受信機タイムスタンプと前記第4の受信機タイムスタンプとの間の第2の差分を決定し、第2の差分値を生成するようにプログラムされている請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記サーバは、
前記第1の差分値と前記第2の差分値のそれぞれを所定の受信時間誤差範囲と比較し、
前記第1の差分値及び前記第2の差分値のそれぞれが前記所定の受信時間誤差範囲内にあることに応答して、前記携帯機器によって送信された前記第1のパケット及び前記第3のパケットが同一であると判定するように、さらにプログラムされている請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記サーバは、前記第1のロケーション受信機から、前記第1のロケーション受信機の方位に対する前記携帯機器の方向を示す到来角度(AoA)情報を取得するようにさらにプログラムされている請求項9に記載の装置。
【請求項18】
前記サーバは、少なくとも前記第1のロケーション受信機から受信した前記AoA情報に基づいて、前記携帯機器の位置を決定するようにさらにプログラムされている請求項17に記載の装置。
【請求項19】
ワイヤレス通信システムのモザイクを生成する方法であって、
サーバにおいて、(i)関連するアクセスポイントが携帯機器から第1のパケットを受信したことを示す第1の受信機タイムスタンプ、および(ii)前記関連するアクセスポイントが第1のアクセスポイントから第2のパケットを受信したことを示す第2の受信機タイムスタンプを示す第1の情報を前記関連するアクセスポイントから受信し、
前記第1の受信機タイムスタンプと前記第2の受信機タイムスタンプとの間の第1の差分を決定し、第1の差分値を生成し、
(i)第1のロケーション受信機が前記携帯機器から第3のパケットを受信したことを示す第3の受信機タイムスタンプ、および(ii)前記第1のロケーション受信機が前記第1のアクセスポイントから前記第2のパケットを受信したことを示す第4の受信機タイムスタンプを示す第2の情報を前記第1のロケーション受信機から受信し、
前記第3の受信機タイムスタンプと、前記第4の受信機タイムスタンプとの間の第2の差分を決定し、第2の差分値を生成し、
前記第1の差分値と前記第2の差分値をそれぞれを所定の受信時間誤差範囲と比較し、
前記第1の差分値と前記第2の差分値のそれぞれが前記所定の受信時間誤差範囲内にあることに応答して、前記携帯機器によって送信された前記第1のパケットと前記第3のパケットが同一であると判定する方法。
【請求項20】
ワイヤレス通信システムのモザイクを生成する方法であって、
第1のサーバにおいて、携帯機器から受信した確認応答パケットに対応する第1の情報を関連するアクセスポイントから受信し、前記確認応答パケットは、前記関連するアクセスポイントによって送信されるデータパケットに応答して前記携帯機器によって送信され、前記第1の情報は、前記関連するアクセスポイントが前記データパケットをそこへ送信するための前記携帯機器の識別情報を提供するデータパケット内の受信機アドレスフィールドにさらに対応し、
前記関連するアクセスポイントで前記携帯機器から前記確認応答パケットが受信された後に、前記受信機アドレスフィールドにアクセスして前記携帯機器のアイデンティティを決定する方法。
【請求項21】
前記サーバは、前記携帯機器の位置を決定するために、少なくとも前記携帯機器から到来時間情報を取得するようにさらにプログラムされている請求項4に記載の装置。
【請求項22】
前記サーバは、前記携帯機器の位置を決定するために、少なくとも前記携帯機器から到来時間情報を取得するようにさらにプログラムされている請求項16に記載の装置。
【国際調査報告】