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特表2024-544924トランスサイレチン(TTR)単量体結合抗体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】トランスサイレチン(TTR)単量体結合抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20241128BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241128BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241128BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241128BHJP
   G01N 33/577 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C07K16/18 ZNA
C12N15/13
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61P43/00 111
A61P9/00
A61P25/00
A61P27/02
A61P25/28
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K9/08
G01N33/53 D
G01N33/577 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527547
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 US2022079810
(87)【国際公開番号】W WO2023086989
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】63/278,925
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519436585
【氏名又は名称】エーディーアールエックス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】レイブリー, デビット ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】レイ, アンナ ローズ
(72)【発明者】
【氏名】アポストル, マーシン イジドール
(72)【発明者】
【氏名】カロウ, マーガレット リー
(72)【発明者】
【氏名】マレン, トレイシー エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ソーダーズ, コルビー アムスデン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CA20
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA13
4B065AA92X
4B065AB01
4B065AB05
4B065AC14
4B065BA01
4B065BA08
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA11
4C076BB13
4C076BB16
4C076CC01
4C076CC10
4C076CC11
4C076CC29
4C076FF11
4C085AA13
4C085AA14
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG04
4H045AA11
4H045AA30
4H045DA76
4H045EA21
4H045EA24
4H045EA28
4H045EA50
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、ヒトトランスサイレチン(TTR)の形態に結合する抗体、単量体TTR特異的抗体、及びそれらを使用する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトトランスサイレチン(TTR)に結合する単離された抗体であって、前記抗体が、
(a)サンドイッチELISAにおいて決定された場合、約200nM未満のEC50でヒトTTRに結合し、かつ/又は
(b)バイオレイヤー干渉法アッセイにおいて決定された場合、約20nM未満のKでヒトTTRに結合する、抗体。
【請求項2】
前記ヒトTTRが、単量体形態にある、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体が、間接ELISAにおいて決定された場合、約20nM未満のEC50で単量体TTRに結合する、請求項2に記載の抗体。
【請求項4】
前記抗体が、TTRの凝集を防止する、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体が、TTRの折り畳み中間体に結合する、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項6】
(a)配列番号2~8のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号9~15のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号16~22のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号23~29のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(e)配列番号30~36のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号37~43のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項7】
ヒトトランスサイレチン(TTR)に結合する抗体であって、前記抗体が、
(a)配列番号2~8のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号9~15のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号16~22のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号23~29のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(e)配列番号30~36のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号37~43のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む、抗体。
【請求項8】
(a)配列番号2の前記アミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号9の前記アミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号16の前記アミノ酸配列を含むCDR-H3と、
(d)配列番号23の前記アミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号30の前記アミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号37の前記アミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(V)と、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項9】
(a)配列番号3の前記アミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号10の前記アミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号17の前記アミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号24の前記アミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号31の前記アミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号38の前記アミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項10】
(a)配列番号4の前記アミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号11の前記アミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号18の前記アミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号25の前記アミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号32の前記アミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号39の前記アミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項11】
(a)配列番号5の前記アミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号12の前記アミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号19の前記アミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号26の前記アミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号33の前記アミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号40の前記アミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項12】
(a)配列番号6の前記アミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号13の前記アミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号20の前記アミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号27の前記アミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号34の前記アミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号41の前記アミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項13】
(a)配列番号7の前記アミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号14の前記アミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号21の前記アミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号28の前記アミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号35の前記アミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号42の前記アミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項14】
(a)配列番号8の前記アミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号15の前記アミノ酸配列を含むCDR-H2、
(c)配列番号22の前記アミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号29の前記アミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号36の前記アミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号43の前記アミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項15】
モノクローナル抗体である、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項16】
ヒト化抗体又はキメラ抗体である、請求項1~15のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項17】
前記VHドメインが、配列番号46~49のうちのいずれか1つの配列と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項16に記載の抗体。
【請求項18】
前記VHドメインが、配列番号46~49のうちのいずれか1つの配列を含む、請求項16に記載の抗体。
【請求項19】
前記VHドメインが、配列番号55~60のうちのいずれか1つの配列と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項16に記載の抗体。
【請求項20】
前記VHドメインが、配列番号55~60のうちのいずれか1つの配列を含む、請求項16に記載の抗体。
【請求項21】
前記VLドメインが、配列番号51~53のうちのいずれか1つの配列と少なくとも85%の配列同一性を含む、請求項16に記載の抗体。
【請求項22】
前記VLドメインが、配列番号51~53のうちのいずれか1つの配列を含む、請求項16に記載の抗体。
【請求項23】
前記VLドメインが、配列番号62~64のうちのいずれか1つの配列と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、請求項16に記載の抗体。
【請求項24】
前記VLドメインが、配列番号62~64のうちのいずれか1つの配列を含む、請求項16に記載の抗体。
【請求項25】
ヒトTTRの単量体形態又は折り畳み中間体形態に結合する抗体断片である、請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項26】
GPTGTGESKCPL(配列番号65)、MVKVLDAVRGSPA(配列番号66)、PFHEHAEVVFTA(配列番号67)、EHAEVVFTA(配列番号68)、YTIAALLS(配列番号69)、LSPYSY(配列番号70)、SYSTTAVV(配列番号71)、YTIAALLSPYSYSTTAVV(配列番号72)、LGISPMHEHAE(配列番号73)、及びRRYTIAAMLSPYS(配列番号74)のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するペプチドに結合しない、請求項1~25のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項27】
立体構造エピトープに結合する、請求項26に記載の抗体。
【請求項28】
IgG4抗体である、請求項1~27のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項29】
前記抗体が、サンドイッチELISAにおいて決定された場合、約150nM未満、又は約100nM未満、又は約50nM未満、又は約20nM未満のEC50でヒトTTRに結合する、請求項1~28のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項30】
前記抗体が、間接ELISAを使用して決定された場合、約20nM未満、又は約5nM未満、又は約2nM未満、又は約1nM未満のEC50でヒトTTRに結合する、請求項1~29のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項31】
ヒトTTRに特異的に結合し、かつヒトTTRへの結合について、請求項1~30のいずれか一項に記載の抗体と競合する、抗体。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか一項に記載の抗体をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
【請求項33】
請求項32に記載の核酸を含む、単離された宿主細胞。
【請求項34】
請求項1~31のいずれか一項に記載の抗体を発現する、単離された宿主細胞。
【請求項35】
ヒトTTRに結合する抗体を産生する方法であって、前記抗体の発現に好適な条件下で、請求項33又は34に記載の宿主細胞を培養することを含む、方法。
【請求項36】
前記宿主細胞又は宿主細胞培養物から前記抗体を回収することを更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
請求項35又は36に記載の方法によって産生された、抗体。
【請求項38】
請求項1~31及び37のいずれか一項に記載の抗体を含む、組成物。
【請求項39】
TTR凝集に関連する関連する疾患を治療するか、予防するか、又は診断する際における使用のための、請求項1~31及び37のいずれか一項に記載の抗体、又は請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
TTRアミロイドーシスを治療する際における使用のための、請求項1~31及び37のいずれか一項に記載の抗体、又は請求項38に記載の組成物。
【請求項41】
前記TTRアミロイドーシスが、トランスサイレチンアミロイドーシス(ATTR)心筋症(ATTR-CM)又はトランスサイレチンアミロイドーシス(ATTR)多発ニューロパチー(ATTR-PN)である、請求項40に記載の抗体。
【請求項42】
末梢TTRアミロイドーシス、眼アミロイド血管症、又は脳アミロイド血管症を治療する際における使用のための、請求項1~31及び37のいずれか一項に記載の抗体、又は請求項38に記載の組成物。
【請求項43】
家族性アミロイド多発ニューロパチー(AP)、家族性アミロイド心筋症(FAC)、ATTR-PN及びATTR-CM、hATTR又は野生型ATTR(wtATTR)、老人性全身性アミロイドーシス(SSA)、全身性家族性アミロイドーシス、アルツハイマー病を含む軟髄膜/中枢神経系(CNS)アミロイドーシス、TTR関連眼アミロイドーシス、TTR関連腎アミロイドーシス、TTR関連高チロキシン血症、手根管症候群を含むTTR関連靱帯アミロイドーシス、肩腱板断裂及び腰部脊椎管狭窄症、並びに子癇前症から選択される疾患を治療する際における使用のための、請求項1~31及び37のいずれか一項に記載の抗体、又は請求項38に記載の組成物。
【請求項44】
TTRアミロイドーシスに関連する疾患を有する対象を治療する方法であって、前記方法が、前記対象に、有効量の、請求項1~31及び37のいずれか一項に記載の抗体、又は請求項38に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項45】
前記疾患が、TTRアミロイドーシスである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
家族性アミロイド多発ニューロパチー(AP)、家族性アミロイド心筋症(FAC)、ATTR-PN及びATTR-CM、hATTR又は野生型ATTR(wtATTR)、老人性全身性アミロイドーシス(SSA)、全身性家族性アミロイドーシス、アルツハイマー病を含む軟髄膜/中枢神経系(CNS)アミロイドーシス、TTR関連眼アミロイドーシス、TTR関連腎アミロイドーシス、TTR関連高チロキシン血症、手根管症候群を含むTTR関連靱帯アミロイドーシス、肩腱板断裂及び腰部脊椎管狭窄症、並びに子癇前症から選択される疾患を有する対象を治療する方法であって、前記方法が、前記対象に、有効量の、請求項1~31及び37のいずれか一項に記載の抗体、又は請求項38に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項47】
検出可能な標識を更に含む、請求項1~31及び37のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項48】
試料中の単量体トランスサイレチン(TTR)を測定する方法であって、前記方法が、前記試料を、請求項1~31、37、及び47のいずれか一項に記載の抗体と接触させることと、前記試料中のTTRに結合した抗体の量を測定することと、を含む、方法。
【請求項49】
前記測定することが、前記試料を二次抗体と接触させ、それによって形成された複合体を測定することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
TTR単量体抗体Ab3及びAb5を使用することを含み、前記抗体のうちの1つを捕捉抗体として使用し、前記抗体のうちの1つを検出抗体として使用する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
トランスサイレチン(TTR)アミロイドーシスに関連する疾患を診断するか、又は抗TTR療法による前記疾患の治療を監視する方法であって、対象からの体液の試料中の単量体TTRのレベルをアッセイすることを含み、対照と比較した前記対象の前記試料中の単量体TTRの存在又は上昇したレベルが、TTRアミロイドーシスに関連する疾患の存在を示す、方法。
【請求項52】
前記単量体TTRが、請求項1~31及び37のいずれか一項に記載の抗体に結合する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
対象からの試料を、トランスサイレチン(TTR)アミロイドーシスを有するか、又は有すると疑われる対象からの体液の試料と接触させることと、
前記試料中の単量体TTRを検出又は測定することと、を含む、方法。
【請求項54】
接触させるステップが、TTR単量体抗体Ab3及びAb5から選択される接触抗体を使用する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
検出又は測定するステップが、前記接触抗体及び前記TTRによって形成された複合体を、TTR単量体抗体Ab3及びAb5から選択される検出抗体と接触させることを含み、前記接触抗体が、前記検出抗体とは異なる、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記試料中の前記単量体TTRを検出又は測定することに基づいて、抗TTR療法を開始することを更に含む、請求項53~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記試料中の前記単量体TTRの前記測定に基づいて、抗TTR療法の用量を調整することを更に含む、請求項53~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記抗TTR療法が、前記対象に、請求項1~31及び37のいずれか一項に記載の抗体、又は請求項38に記載の組成物を投与することを含む、請求項56又は57に記載の方法。
【請求項59】
前記組成物が、(i)薬学的組成物であり、薬学的に許容される担体、又は(ii)診断用組成物を更に含む、請求項1~31及び37のいずれか一項に記載の抗体を含む、組成物。
【請求項60】
前記診断用組成物が、免疫ベース又は抗体ベースの診断方法において従来使用される試薬を更に含む、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
診断方法が、TTR単量体形態を測定する、請求項59に記載の組成物。
【請求項62】
診断方法が、Quanterixプラットフォームを使用する、請求項59に記載の組成物。
【請求項63】
診断方法が、ウェスタンゲルである、請求項59に記載の組成物。
【請求項64】
四量体TTR及び生理学的、細胞完全長TTR上に存在しない、F87M L110M TTRから調製された単量体TTR上の立体構造エピトープを認識する、単離された抗体。
【請求項65】
V30M、D38A、及びV122Iのうちのいずれかから選択されるTTR変異を認識する、単離された抗体であって、前記抗体が、配列番号145~147のうちのいずれかに記載のアミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する、抗体。
【請求項66】
前記TTR変異が、D38A及び/又はV122Iであり、前記抗体が、配列番号146及び/又は147に記載の前記アミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する、請求項65に記載の抗体。
【請求項67】
前記VHドメインが、図6A~6B、7、14、及び18~21(配列番号81~142)に記載の配列のうちのいずれかと少なくとも85%の配列同一性を含む、請求項16に記載の抗体。
【請求項68】
前記VLドメインが、図6A~6B、7、14、及び18~21(配列番号81~142)に記載の前記配列のうちのいずれかと少なくとも85%の配列同一性を含む、請求項16に記載の抗体。
【請求項69】
前記抗体が、配列番号80及び143~147及び149~152のうちのいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する、請求項1~31及び37のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項70】
前記抗体が、配列番号80に記載の前記アミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する、請求項69に記載の抗体。
【請求項71】
ヒトトランスサイレチン(TTR)の単量体形態に特異的に結合する抗体を産生する細胞を産生する方法であって、前記方法が、
(a)TTRの単量体形態で非ヒト動物を免疫化することと、
(b)ヒトTTRの前記単量体形態に特異的に結合するが、野生型四量体TTR又はTTRの二量体若しくは四量体形態には結合しない抗体について、前記動物からの血液又は組織をスクリーニングすることと、
(c)ヒトTTRの前記単量体形態に特異的に結合するが、野生型四量体TTR又はTTRの二量体若しくは四量体形態には結合しない前記抗体を産生する前記動物からの細胞を特定し、単離することと、を含む、方法。
【請求項72】
抗体を産生する細胞が、前記動物の脾臓組織、リンパ節又は骨髄の除去によって回収される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記抗体を産生する細胞が、B細胞、T細胞、又は幹細胞である、請求項71又は72に記載の方法。
【請求項74】
前記動物が、マウス、ラット、モルモット、又はウサギである、請求項71~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
単離された細胞を不死化することを更に含む、請求項71~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
骨髄腫細胞への前記細胞の体細胞融合によって、ハイブリドーマ細胞を産生することを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記抗体を産生する細胞を培養することを更に含む、請求項71~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記抗体が、配列番号80、143、及び144のうちのいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する、請求項71~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記抗体が、GPTGTGESKCPL(配列番号65)、MVKVLDAVRGSPA(配列番号66)、PFHEHAEVVFTA(配列番号67)、EHAEVVFTA(配列番号68)、YTIAALLS(配列番号69)、LSPYSY(配列番号70)、SYSTTAVV(配列番号71)、YTIAALLSPYSYSTTAVV(配列番号72)、LGISPMHEHAE(配列番号73)、及びRRYTIAAMLSPYS(配列番号74)のうちのいずれか1つから選択される配列からなるアミノ酸配列を有するペプチドに結合しない、請求項71~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記動物を免疫化するために使用されるヒトTTRの前記単量体形態が、
配列番号80に記載の前記アミノ酸配列を含むTTR F87M L110M、
配列番号143に記載の前記アミノ酸配列を含むTTR F87M、及び
配列番号144に記載の前記アミノ酸配列を含むTTR L110Mのうちのいずれか1つである、請求項71~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
請求項71~80のいずれか一項に記載の方法によって産生された、抗体。
【請求項82】
ヒトトランスサイレチン(TTR)の単量体形態に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するための方法であって、前記方法が、
(a)非ヒト動物内に、
配列番号80に記載のアミノ酸配列を含むTTR F87M L110M、
配列番号143に記載のアミノ酸配列を含むTTR F87M、及び
配列番号144に記載のアミノ酸配列を含むTTR L110Mのうちのいずれか1つのうちの少なくとも1つを導入することと、
(b)前記動物から抗体を産生する細胞を回収し、これらの細胞を単一細胞懸濁液にすることと、
(c)前記単一細胞懸濁液から不死化細胞株を生成することと、
(d)ヒトTTRの単量体形態に特異的に結合することを有する抗体の存在について、前記不死化細胞株の上清をスクリーニングすることと、
(e)前記モノクローナル抗体として、ヒトTTRの前記単量体形態に特異的に結合する抗体を選択することと、を含む、方法。
【請求項83】
前記動物が、マウス、ラット、モルモット、又はウサギである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記抗体を産生する細胞が、B細胞、T細胞、又は幹細胞である、請求項82又は83に記載の方法。
【請求項85】
前記抗体を産生する細胞が、前記動物の脾臓組織、リンパ節又は骨髄の除去によって回収される、請求項82~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記不死化細胞株が、骨髄腫細胞への前記単一細胞懸濁液中の前記細胞の体細胞融合によって産生されたハイブリドーマ細胞株である、請求項82~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
請求項82~86のいずれか一項に記載の方法によって産生された、抗体。
【請求項88】
(a)
(i)配列番号80及び143~147及び149~152から選択されるアミノ酸アミノ酸配列を有する1つ以上の単量体TTRペプチドに結合し、
(ii)配列番号153のアミノ酸配列を有する四量体ヒトTTRタンパク質に対する結合親和性を実質的に示さない、分子ペプチド又はポリペプチドについての分子のライブラリーをアッセイすることと、
(b)(i)及び(ii)の結合特性を示す分子を特定することと、
(c)(b)で特定された前記分子を単離するか、又は前記分子を発現する細胞を単離することと、を含む、方法。
【請求項89】
(i)及び(ii)の前記結合特性を示し、かつ(iii)配列番号65、66、67、68、69、70、71、72、73、又は74からなるアミノ酸配列を有するペプチドに結合しない、分子を特定するためにアッセイすることを更に含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
分子が、抗体又は抗体の抗原結合断片を含む、請求項88又は89に記載の方法。
【請求項91】
単離するステップが、(i)及び(ii)並びに任意選択で(iii)の前記結合特性を示す抗体を産生する細胞を単離することを含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
アッセイするステップの前に、前記1つ以上の単量体TTRペプチドで非ヒト哺乳動物を免疫化するステップを含み、前記アッセイすることが、前記哺乳動物によって産生された抗体分子をスクリーニングすることを含む、請求項88~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記抗体の少なくとも相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を決定することと、
前記CDRの前記アミノ酸配列を含むヒト化抗体配列を生成することと、
前記ヒト化抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を合成することと、を更に含む、請求項88~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記ヒト化抗体配列をコードする核酸、又は前記ヒト化抗体配列の抗原結合断片をコードする核酸を細胞にトランスフェクトすることを更に含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記抗体又は前記抗原結合断片を発現する条件下で前記細胞を培養することを更に含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
(i)及び(ii)並びに任意選択で(iii)の前記結合特性を有すると特定された前記分子のコピーを合成することを更に含む、請求項88又は89に記載の方法。
【請求項97】
請求項95又は96に記載のプロセスによって産生された、単離された分子。
【請求項98】
請求項97に記載の単離された分子と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表の参照による組み込み
本明細書と同時に提出され、以下:57198A_Seqlisting.txt;サイズ:170,871バイト:作成:2022年11月7日として特定されるコンピュータで読み取り可能なヌクレオチド/アミノ酸配列表は、その全体が参照により組み込まれる。コンピュータで読み取り可能な配列と明細書若しくは図面中の配列との間に相違がある限り、明細書及び/又は図面が優先される。
【0002】
本開示は、ヒトトランスサイレチン(TTR)単量体に結合する抗体、及びこれらの抗体を使用する方法を提供する。本開示はまた、ヒトトランスサイレチン(TTR)単量体を隔離する抗体を提供する。本開示は、ヒトトランスサイレチン(TTR)又はTTR折り畳み中間体の凝集を阻害する抗体を提供する。
【背景技術】
【0003】
トランスサイレチン(TTR)は、127個のアミノ酸、14kDaの単量体サブユニットから構成される可溶性ホモ四量体血漿タンパク質である。TTRは、CTS、HsT2651、PALB、プレアルブミン、及びTBPAとしても知られている。TTRは、原線維及び他の凝集体を形成することができるアミロイド形成タンパク質である。
【0004】
その天然の状態では、TTR(又は「野生型」TTR)は四量体として存在する。しかしながら、TTRは、酸媒介性解離において単量体形態に変換され得る。そのような単量体は、TTR凝集/アミロイド形成の鍵であると考えられる。具体的には、TTR単量体は、続いて、アミロイド形成として知られているプロセスにおいて、誤って折り畳まれた立体構造を採用し、TTRオリゴマー及びアミロイド原線維に凝集し得る。増大する証拠は、誤って折り畳まれた単量体TTRの活性凝集がTTRアミロイド疾患の根本原因であることを示す。本開示は、TTRアミロイド疾患を治療する際に有用なTTR抗体を提供する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、ヒトトランスサイレチン(TTR)の形態に結合する抗体、抗単量体TTR特異的抗体、及びそれらを使用する方法を提供する。
【0006】
本開示の一実施形態は、ヒトTTRに結合する単離された抗体を提供し、この抗体は、サンドイッチELISAにおいて決定された場合、約200nM未満のEC50でヒトTTRに結合し、かつ/又はバイオレイヤー干渉法アッセイにおいて決定された場合、約20nM未満のKDでヒトTTRに結合する。
【0007】
本開示は、TTR凝集に関連する疾患を、本開示の抗体及び本開示の抗体を含む医薬で治療する方法を提供する。本開示は、本開示の抗体を使用してTTRの単量体形態を検出する方法を提供する。本開示は、トランスサイレチン(TTR)アミロイドーシスに関連する疾患を診断するか、又は抗TTR療法による疾患の治療を監視する方法を提供する。
【0008】
より具体的には、本開示は、ヒトトランスサイレチン(TTR)に結合する単離された抗体を提供し、その抗体は、サンドイッチELISAにおいて決定された場合、約200nM未満のEC50でヒトTTRに結合し、かつ/又はバイオレイヤー干渉法アッセイにおいて決定された場合、約20nM未満のKDでヒトTTRに結合する。いくつかの態様では、ヒトTTRは、単量体形態にある。いくつかの態様では、抗体は、間接ELISAにおいて決定された場合、20nM未満のEC50で単量体TTRに結合する。いくつかの態様では、抗体は、TTRの凝集を防止する。いくつかの態様では、抗体は、TTRの折り畳み中間体に結合する。
【0009】
いくつかの態様では、抗体は、
(a)配列番号2~8のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号9~15のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号16~22のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号23~29のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(e)配列番号30~36のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号37~43のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む。
【0010】
本開示は、ヒトトランスサイレチン(TTR)に結合する抗体を提供し、その抗体は、
(a)配列番号2~8のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号9~15のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号16~22のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号23~29のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(e)配列番号30~36のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号37~43のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む。
【0011】
いくつかの態様では、抗体は、
(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む。
【0012】
いくつかの態様では、抗体は、
(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む。
【0013】
いくつかの態様では、抗体は、
(a)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む。
【0014】
いくつかの態様では、抗体は、
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む。
【0015】
いくつかの態様では、抗体は、
(a)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む。
【0016】
いくつかの態様では、抗体は、
(a)配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む。
【0017】
いくつかの態様では、抗体は、
(a)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-H2、
(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む。
【0018】
いくつかの態様では、抗体は、モノクローナル抗体である。
【0019】
いくつかの態様では、抗体は、ヒト化抗体又はキメラ抗体である。
【0020】
いくつかの態様では、抗体は、VHドメインを含み、VHドメインは、配列番号46~49のうちのいずれか1つの配列と少なくとも85%又は少なくとも95%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号46~49のうちのいずれか1つの配列を含む。いくつかの態様では、抗体は、VHドメインを含み、VHドメインは、配列番号55~60のうちのいずれか1つの配列と少なくとも85%又は少なくとも95%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの態様では、VHドメインは、配列番号55~60のうちのいずれか1つの配列を含む。
【0021】
いくつかの態様では、抗体は、VLドメインを含み、VLドメインは、配列番号51~53のうちのいずれか1つの配列と少なくとも85%又は少なくとも95%の配列同一性を含む。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号51~53のうちのいずれか1つの配列を含む。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号62~64のうちのいずれか1つの配列と少なくとも85%又は少なくとも95%の配列同一性を含む配列を含む。いくつかの態様では、VLドメインは、配列番号62~64のうちのいずれか1つの配列を含む。
【0022】
いくつかの態様では、本開示は、ヒトTTRの単量体形態又は折り畳み中間体形態に結合する抗体断片を提供する。
【0023】
いくつかの態様では、本開示は、GPTGTGESKCPL(配列番号65)、MVKVLDAVRGSPA(配列番号66)、PFHEHAEVVFTA(配列番号67)、EHAEVVFTA(配列番号68)、YTIAALLS(配列番号69)、LSPYSY(配列番号70)、SYSTTAVV(配列番号71)、YTIAALLSPYSYSTTAVV(配列番号72)、LGISPMHEHAE(配列番号73)、及びRRYTIAAMLSPYS(配列番号74)のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するペプチドに結合しないTTR抗体を提供する。
【0024】
いくつかの態様では、本開示は、立体構造エピトープに結合する抗体を提供する。
【0025】
いくつかの態様では、本開示の抗体は、IgG4抗体である。
【0026】
いくつかの態様では、本開示は、サンドイッチELISAにおいて決定された場合、約150nM未満、又は約100nM未満、又は約50nM未満、又は約20nM未満のEC50でヒトTTRに結合する抗体を提供する。いくつかの態様では、抗体は、間接ELISAを使用して決定された場合、約20nM未満、又は約5nM未満、又は約2nM未満、又は約1nM未満のEC50でヒトTTRに結合する。
【0027】
いくつかの態様では、本開示は、ヒトTTRに特異的に結合し、かつヒトTTRへの結合について本開示の抗体と競合する抗体を提供する。いくつかの実施形態では、結合について競合する抗体は、単量体TTRの凝集を阻害する抗体である。
【0028】
本開示は、本明細書に記載の抗体の各々をコードする単離された核酸を提供する。本開示は、このような単離された核酸を含む単離された宿主細胞を提供する。本開示はまた、このような単離された核酸からタンパク質を発現する単離された宿主細胞を提供する。
【0029】
本開示は、抗体の発現に好適な条件下で、本明細書に記載の宿主細胞を培養することを含む、ヒトTTRに結合する抗体を産生する方法を提供する。いくつかの態様では、そのような方法は、宿主細胞又は宿主細胞培養物から抗体を回収することを更に含む。更に、本開示は、そのような方法によって産生された抗体を提供する。
【0030】
本開示は、本開示の抗体を含む組成物を提供する。本開示はまた、本開示の抗体と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物も提供する。いくつかの態様では、組成物は、薬学的組成物である。いくつかの態様では、抗体又は組成物は、TTR凝集に関連する関連する疾患を治療するか、予防するか、又は診断する際に使用される。
【0031】
本開示は、TTRアミロイドーシスを治療する際における使用のための抗体及び組成物を提供する。いくつかの態様では、TTRアミロイドーシスは、トランスサイレチンアミロイドーシス(ATTR)心筋症(ATTR-CM)又はトランスサイレチンアミロイドーシス(ATTR)多発ニューロパチー(ATTR-PN)である。いくつかの態様では、本開示の抗体又は組成物は、末梢TTRアミロイドーシス、眼アミロイド血管症、又は脳アミロイド血管症を治療する際に使用される。いくつかの態様では、抗体又は組成物は、家族性アミロイド多発ニューロパチー(AP)、家族性アミロイド心筋症(FAC)、ATTR-PN及びATTR-CM、hATTR又は野生型ATTR(wtATTR)、老人性全身性アミロイドーシス(SSA)、全身性家族性アミロイドーシス、アルツハイマー病を含む軟髄膜/中枢神経系(CNS)アミロイドーシス、TTR関連眼アミロイドーシス、TTR関連腎アミロイドーシス、TTR関連高チロキシン血症、手根管症候群を含むTTR関連靱帯アミロイドーシス、肩腱板断裂及び腰部脊椎管狭窄症、並びに子癇前症から選択される疾患を治療する際に使用される。
【0032】
本開示は、TTRアミロイドーシスに関連する疾患を有する対象を、有効量の本開示の抗体又は組成物で治療する方法を提供する。いくつかの態様では、疾患は、TTRアミロイドーシスである。いくつかの態様では、疾患は、家族性アミロイド多発ニューロパチー(AP)、家族性アミロイド心筋症(FAC)、ATTR-PN及びATTR-CM、hATTR又は野生型ATTR(wtATTR)、老人性全身性アミロイドーシス(SSA)、全身性家族性アミロイドーシス、アルツハイマー病を含む軟髄膜/中枢神経系(CNS)アミロイドーシス、TTR関連眼アミロイドーシス、TTR関連腎アミロイドーシス、TTR関連高チロキシン血症、手根管症候群を含むTTR関連靱帯アミロイドーシス、肩腱板断裂及び腰部脊椎管狭窄症、又は子癇前症である。
【0033】
本開示は、検出可能な標識を更に含む、本明細書で開示されるTTR抗体を提供する。
【0034】
本開示は、試料中の単量体トランスサイレチン(TTR)を測定する方法を提供する。いくつかの態様では、方法は、試料を、本明細書に開示されるTTR抗体のうちのいずれかと接触させることと、試料中のTTRに結合した抗体の量を測定することと、を含む。いくつかの態様では、測定することは、試料を二次抗体と接触させ、それによって形成された複合体を測定することを含む。いくつかの態様では、方法は、TTR単量体抗体Ab3及びAb5を使用することを含み、当該抗体のうちの1つを捕捉抗体として使用し、当該抗体のうちの1つを検出抗体として使用する。
【0035】
本開示は、トランスサイレチン(TTR)アミロイドーシスに関連する疾患を診断するか、又は抗TTR療法による疾患の治療をモニタリングする方法を更に提供し、対象からの体液の試料中の単量体TTRのレベルをアッセイすることを含み、対照と比較した対象の試料中の単量体TTRの存在又は上昇したレベルが、TTRアミロイドーシスに関連する疾患の存在を示す。いくつかの態様では、単量体TTRは、本開示の抗体に結合する。
【0036】
本開示は、対象からの試料を、トランスサイレチン(TTR)アミロイドーシスを有するか、又は有すると疑われる対象からの体液の試料と接触させることと、試料中の単量体TTRを検出又は測定することと、を含む、方法を更に提供する。いくつかの態様では、接触させるステップは、TTR単量体抗体Ab3及びAb5から選択される接触抗体を使用する。いくつかの態様では、検出又は測定するステップは、接触抗体及びTTRによって形成された複合体を、TTR単量体抗体Ab3及びAb5から選択される検出抗体と接触させることを含み、接触抗体は、検出抗体とは異なる。いくつかの態様では、方法は、試料中の単量体TTRを検出又は測定することに基づいて、抗TTR療法を開始することを更に含む。いくつかの態様では、方法は、試料中の単量体TTRの測定に基づいて、抗TTR療法の用量を調整することを更に含む。いくつかの態様では、抗TTR療法は、対象に、本開示の抗体又は本開示の組成物を投与することを含む。いくつかの態様では、体液は血液である。
【0037】
本開示はまた、本明細書に記載される抗体を含む組成物を提供し、組成物は、(i)薬学的組成物であり、薬学的に許容される担体、又は(ii)診断用組成物を更に含む。いくつかの態様では、診断用組成物は、免疫ベース又は抗体ベースの診断方法において従来使用される試薬を更に含む。いくつかの態様では、診断方法は、TTR単量体形態を測定する。いくつかの態様では、診断方法は、Quanterixプラットフォームを使用する。いくつかの態様では、診断方法は、ウェスタンゲルである。
【0038】
いくつかの態様では、本開示の抗体は、四量体TTR及び生理学的、細胞完全長TTR上に存在しない、F87M L110M TTRから調製された単量体TTR上の立体構造エピトープを認識する。いくつかの態様では、本開示の抗体は、TTR変異体の単量体形態に結合する。したがって、いくつかの態様では、抗体は、TTR変異を認識し、変異は、V30M、D38A、及び/又はV122Iである。いくつかの態様では、抗体は、TTR変異を認識し、変異は、D38A又はV122Iである。したがって、いくつかの態様では、抗体は、配列番号145(V30M)、146(D38A)、及び147(V122I)のうちのいずれかに記載のアミノ酸配列を含むTTRを認識する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号146及び/又は147に記載のアミノ酸配列を含むTTRを認識する。いくつかの態様では、抗体は、TTR変異を認識し、変異は、F87M又はL110Mである。したがって、いくつかの態様では、抗体は、配列番号143(F87M)又は144(L110M)に記載のアミノ酸配列を含むTTRを認識する。いくつかの態様では、本開示の抗体は、S112I TTR変異体が二量体の形態で存在するため、配列番号148(S112I)には結合しない。しかしながら、それは、三重変異体が安定化された単量体形態で存在するため、S112I変異を含む、TTR F87M L110M S112I(配列番号152)に結合する。いくつかの態様では、抗体は、TTRにおける三重変異(又は三変異(tri-mutation))を認識し、その変異は、TTR V30M F87M L110M(配列番号149)、TTR D38A、F87M、L110M(配列番号150)、TTR F87M L110M V122I(配列番号151)、又はTTR F87M L110M S112I(配列番号152)である。
【0039】
本開示は、抗体を提供し、VHドメインは、図6A~6B、7、14、及び18~21(配列番号81~142)に記載の配列のうちのいずれかと少なくとも85%又は少なくとも95%の配列同一性を含む。
【0040】
本開示は、抗体を提供し、VLドメインは、図6A~6B、7、14、及び18~21(配列番号81~142)に記載の配列のうちのいずれかと少なくとも85%又は少なくとも95%の配列同一性を含む。
【0041】
本開示は、抗体を提供し、抗体は、配列番号80及び143~147及び149~152のうちのいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号80に記載のアミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号80に記載のアミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号143に記載のアミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号144に記載のアミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号145又は配列番号149に記載のアミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号146又は配列番号150に記載のアミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号147又は配列番号151に記載のアミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する。いくつかの態様では、抗体は、配列番号152に記載のアミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する。
【0042】
本開示は、TTRの単量体形態に特異的に結合する抗体を産生する細胞を産生する方法を含み、その方法は、TTRの単量体形態で非ヒト動物を免疫化することと、ヒトTTRの単量体形態に特異的に結合するが、野生型四量体TTR又はTTRの二量体若しくは四量体形態には結合しない抗体について、動物からの血液又は組織をスクリーニングすることと、ヒトTTRの単量体形態に特異的に結合するが、野生型四量体TTR又はTTRの二量体若しくは四量体形態には結合しない抗体を産生する動物からの細胞を特定し、単離することと、を含む。いくつかの態様では、抗体を産生する細胞は、動物の脾臓組織、リンパ節又は骨髄の除去によって回収される。いくつかの態様では、抗体を産生する細胞は、B細胞、T細胞、又は幹細胞である。いくつかの態様では、動物は、マウス、ラット、モルモット、又はウサギである。いくつかの態様では、方法は、単離された細胞を不死化することを更に含む。いくつかの態様では、方法は、骨髄腫細胞への細胞の体細胞融合によって、ハイブリドーマ細胞を産生することを含む。いくつかの態様では、方法は、抗体を産生する細胞を培養することを含む。いくつかの態様では、抗体は、配列番号80、143、及び144のうちのいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する。本開示の方法のいくつかの態様では、抗体は、GPTGTGESKCPL(配列番号65)、MVKVLDAVRGSPA(配列番号66)、PFHEHAEVVFTA(配列番号67)、EHAEVVFTA(配列番号68)、YTIAALLS(配列番号69)、LSPYSY(配列番号70)、SYSTTAVV(配列番号71)、YTIAALLSPYSYSTTAVV(配列番号72)、LGISPMHEHAE(配列番号73)、及びRRYTIAAMLSPYS(配列番号74)のうちのいずれか1つから選択される配列からなるアミノ酸配列を有するペプチドに結合しない。いくつかの態様では、動物を免疫化するために使用されるヒトTTRの単量体形態は、配列番号80に記載のアミノ酸配列を含むTTR F87M L110M、配列番号143に記載のアミノ酸配列を含むTTR F87M、配列番号144に記載のアミノ酸配列を含むTTR L110Mのうちのいずれか1つである。本開示はまた、そのような方法によって産生された抗体を提供する。
【0043】
本開示は、ヒトTTRの単量体形態に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するための方法を提供し、当該方法は、非ヒト動物内に、配列番号80に記載のアミノ酸配列を含むTTR F87M L110M、配列番号143に記載のアミノ酸配列を含むTTR F87M、及び配列番号144に記載のアミノ酸配列を含むTTR L110Mのうちのいずれか1つのうちの少なくとも1つを導入することと、動物から抗体を産生する細胞を回収し、これらの細胞を単一細胞懸濁液にすることと、単一細胞懸濁液から不死化細胞株を生成することと、ヒトTTRの単量体形態に特異的に結合することを有する抗体の存在について、不死化細胞株の上清をスクリーニングすることと、モノクローナル抗体として、ヒトTTRの単量体形態に特異的に結合する抗体を選択することと、を含む。いくつかの態様では、当該動物は、マウス、ラット、モルモット、又はウサギである。いくつかの態様では、抗体を産生する細胞は、B細胞、T細胞、又は幹細胞である。いくつかの態様では、抗体を産生する細胞は、動物の脾臓組織、リンパ節又は骨髄の除去によって回収される。いくつかの態様では、不死化細胞株は、骨髄腫細胞への単一細胞懸濁液中の細胞の体細胞融合によって産生されたハイブリドーマ細胞株である。本開示はまた、そのような方法によって産生された抗体を提供する。
【0044】
本開示はまた、(i)配列番号80及び143~147及び149~152から選択されるアミノ酸アミノ酸配列を有する1つ以上の単量体TTRペプチドに結合し、(ii)配列番号153のアミノ酸配列を有する四量体ヒトTTRタンパク質に対する結合親和性を実質的に示さない、分子ペプチド又はポリペプチドについての分子のライブラリーをアッセイすることと、(i)及び(ii)の結合特性を示す分子を特定することと、(b)で特定された分子を単離するか、又は当該分子を発現する細胞を単離することと、を含む、方法を提供する。いくつかの態様では、方法は、(i)及び(ii)の結合特性を示し、かつ(iii)配列番号65、66、67、68、69、70、71、72、73、又は74からなるアミノ酸配列を有するペプチドに結合しない、分子を特定するためにアッセイすることを更に含む。いくつかの態様では、分子は、抗体又は抗体の抗原結合断片を含む。いくつかの態様では、単離するステップは、(i)及び(ii)並びに任意選択で(iii)の結合特性を示す抗体を産生する細胞を単離することを含む。いくつかの態様では、方法は、アッセイするステップの前に、1つ以上の単量体TTRペプチドで非ヒト哺乳動物を免疫化するステップを含み、アッセイすることが、哺乳動物によって産生された抗体分子をスクリーニングすることを含む。いくつかの態様では、そのような方法は、抗体の少なくとも相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を決定することと、当該CDRの当該アミノ酸配列を含むヒト化抗体配列を生成することと、ヒト化抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を合成することと、を更に含む。いくつかの態様では、そのような方法は、ヒト化抗体配列をコードする核酸、又はヒト化抗体配列の抗原結合断片をコードする核酸を細胞にトランスフェクトすることを更に含む。いくつかの態様では、方法は、抗体又は抗原結合断片を発現する条件下で細胞を培養することを更に含む。いくつかの態様では、方法は、(i)及び(ii)並びに任意選択で(iii)の結合特性を有すると特定された分子のコピーを合成することをなお更に含む。本開示はまた、そのようなプロセスによって産生された、単離された分子、及び単離された分子と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0045】
本開示の他の特徴及び利点は、以下の図面の説明及び詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、図面、詳細な説明、及び実施例は、開示された主題の実施形態を示しているが、本開示の趣旨及び範囲内の様々な変更及び修正が、図面、詳細な説明、及び実施例から明らかになるため、単に例示として与えられることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本開示の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。本開示の特徴及び利点のより良い理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を記載している以下の詳細な説明、及び添付の図面を参照して得られるであろう。
【0047】
図1】実施例5に記載されるように、抗体(Ab1)との単量体TTR[「単量体」]の凝集の阻害についての用量反応曲線を示す。
図2】実施例3に概説されるプロセスを介して調製された7つのマウス抗ヒト単量体TTR抗体のCDRの配列を示す。
図3A】実施例4に記載されるスクリーニングELISAアッセイにおいて分析した場合の、それぞれ、マウス抗ヒト単量体TTR抗体Ab3、Ab5、及びAb7の選択性を示す。これらの3つの抗体は、実施例11に示されるように、EC50でヒトTTRの単量体形態に特異的に結合する。
図3B】同上。
図3C】同上。
図4A】実施例4に記載されるスクリーニングELISAアッセイにおいて分析した場合の、それぞれ、マウス抗ヒト単量体TTR抗体Ab1、Ab2、及びAb6の選択性を示す。これらの3つの抗体は、実施例11に示されるように、EC50でヒトTTRの単量体及び野生型(WT)形態の両方に特異的に結合する。
図4B】同上。
図4C】同上。
図5】実施例10に記載される間接ELISAアッセイにおけるマウス抗ヒト単量体TTR抗体Ab1の結合を示す。抗体は、非線形立体構造エピトープへの結合を示す。この抗体は、以前に抗ヒトTTR抗体のエピトープとして特定された10個のペプチド(R0010-R0017、R0021、及びR0023)のいずれにも結合せず、単量体の安定化を可能にする単量体界面又は変異に沿った線形領域のいずれにも結合しなかった。したがって、抗体は、単量体界面内の立体構造エピトープに結合するように見える。
図6-1】実施例6に概説されるプロセスを介して調製されたキメラマウス抗体の配列を示す。
図6-2】同上。
図7】実施例6に記載されるプロセスを介して調製されたヒト化マウス抗体Ab1のVH及びVL配列を示す。
図8】実施例6に記載される間接ELISAアッセイにおいて測定された場合のヒト化Ab1の特異性を示す。ヒト化抗体Ab1は、安定化T119M TTR四量体よりもmTTRに対する特異性を保持する。
図9】実施例6に記載される間接ELISAアッセイにおいて測定された場合のヒト化Ab2の特異性を示す。ヒト化抗体Ab2は、安定化T119M TTR四量体よりもmTTRに対する特異性を保持する。
図10】ヒトTTRの単量体形態の検出が、実施例15に記載されるように本開示の抗体の対を使用することによって達成されることを示す。具体的には、Ab3は、捕捉用に使用され、Ab5は、検出用に使用される。
図11】ヒトTTRの単量体形態の検出が、実施例15に記載されるように本開示の抗体の対を使用することによって達成されることを示す。具体的には、Ab5は、捕捉用に使用され、Ab3は、検出用に使用される。
図12】ヒトTTRの単量体形態の検出が、実施例13に記載されるTTR凝集ドットブロットアッセイに記載されるように本開示の抗体で達成されることを示す。具体的には、Ab1は、ヒトTTR単量体に結合するが、凝集TTRには結合しない。トリプシン凝集体のいくつかの結合は、存在する非凝集単量体形態の過剰に起因する可能性が高いことが見られる。
図13】ヒトTTRの単量体形態の検出が、実施例13に記載されるTTR凝集ドットブロットアッセイに記載されるように本開示の抗体で達成されることを示す。具体的には、ヒト化Ab1は、ヒトTTR単量体に結合する。
図14】実施例6に記載されるプロセスを介して調製されたヒト化マウス抗体Ab2のVH及びVL配列を示す。
図15】ATTR疾患と診断され、治療中であるか、又は現在治療中でないかのいずれかの自己申告した患者からの血漿試料を使用する、実施例14及び15に記載されるTTR診断アッセイにおける捕捉又は検出抗体としての本開示の抗体の使用を示す。右側の群は、現在治療中でないか、又は安定剤治療(タファミジス又はジフルニサル)のいずれかの患者における単量体レベルの測定を含む。中間の群は、サイレンサー(例えば、オンパットロ)として知られる治療中である。右側の群は、健康なボランティアである。ATTR患者は、健康な対照よりも、総TTRに対する単量体TTRのレベルの上昇を示した。
図16】実施例12に記載される間接ELISAアッセイにおける疾患関連変異に対するAb1の結合を示す。
図17】実施例12に記載されるサンドイッチELISAアッセイにおける疾患関連変異に対するAb1の結合を示す。
図18】実施例6に記載されるプロセスを介して調製されたマウス抗体Ab3並びにマウス抗体Ab3のキメラ及びヒト化型のVH及びVL配列を示す。
図19】実施例6に記載されるプロセスを介して調製されたマウス抗体Ab5並びにマウス抗体Ab5のキメラ及びヒト化型のVH及びVL配列を示す。
図20】実施例6に記載されるプロセスを介して調製されたマウス抗体Ab6並びにマウス抗体Ab6のキメラ及びヒト化型のVH及びVL配列を示す。
図21】実施例6に記載されるプロセスを介して調製されたヒト化マウス抗体マウス抗体Ab7並びにマウス抗体Ab7のキメラ及びヒト化型のVH及びVL配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
定義
本明細書の目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」は、以下に定義されるように、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来する、軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、それと同じアミノ酸配列を含んでもよいか、又はそれは、アミノ酸配列変化を含有してもよい。いくつかの態様では、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。いくつかの態様では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と同一の配列である。
【0049】
本明細書で使用される場合、「親和性」という用語は、単一の抗原部位における抗体と抗原との間の相互作用の強度を指す。各抗原部位内で、抗体の可変領域は、多くの部位で抗原と弱い非共有結合力を介して相互作用し、相互作用が多いほど、親和性が強い。抗体の、その抗原に対する親和性は、一般に、解離定数(KD)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載される方法を含む、当該技術分野において既知である一般的な方法によって測定され得る。結合親和性を測定するための具体的な説明的及び例示的な方法が、以下に記載される。本明細書で使用される場合、抗体(IgGなど)又はその断片(例えば、Fab断片)に対する「高親和性」という用語は、標的抗原に対する約10-7M以下、約10-8M以下、約10-9M以下、又は約10-10M以下の親和性を有する抗体を指す。しかしながら、高親和性結合は、他の抗体アイソタイプについて異なり得る。例えば、IgMアイソタイプに対する高親和性結合は、約10-7M以下、又は約10-8M以下の親和性を有する抗体を指す。
【0050】
「親和性成熟」抗体とは、改変を有しない親抗体と比較して、1つ以上の相補性決定領域(CDR)内で1つ以上の改変を有し、そのような改変によって抗体の抗原に対する親和性が改善される、抗体を指す。
【0051】
「抗mTTR抗体」及び「TTR単量体に結合する抗体」という用語は、抗体が単量体TTRを標的とする際に(タンパク質の凝集形態に対する中間体として)、診断剤及び/又は治療剤として有用になるように十分な親和性でTTRの単量体形態、例えば、ヒトTTRに結合することができる抗体を指す。一態様では、抗mTTR抗体の非関連非TTRタンパク質への結合の程度は、例えば、ELISAアッセイによって測定された場合、抗体のmTTRへの結合の約10%未満である。特定の態様では、mTTRに結合する抗体は、バイオレイヤー干渉法又は間接ELISAによって測定された場合、約1μM、約100nM未満、約10nM未満、約1nM未満、約0.1nM未満、約0.01nM未満、又は約0.001nM未満(例えば、約10-8M以下、例えば、約10-8M~約10-11M、例えば、約10-9M~約10-10M)の解離定数(KD)を有する。抗体が約1μM以下のKDを有する場合、抗体はTTRに「特異的に結合する」と言われる。特定の態様では、抗TTR抗体は、異なる種由来のTTR間で保存されるTTRのエピトープに結合する。特定の態様では、抗TTR抗体は、TTRの非線形エピトープに結合する。特定の態様では、TTRの天然又は四量体形態に結合する抗体は、バイオレイヤー干渉法又は間接ELISAによって測定された場合、約10μM未満、約10μM未満、約100nM未満、約10nM未満、又は約1nM未満(例えば、約10M以下)の解離定数(KD)を有する。
【0052】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広義に使用され、それらが所望の抗原結合活性を示す限り、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、及び抗体断片、又は抗原結合断片を含む、様々な抗体構造を包含する。
【0053】
「抗体断片」又は「抗原結合断片」とは、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含むインタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、ダイアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子(例えば、scFv、及びscFab)、単一ドメイン抗体(dAb)、及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。特定の抗体断片の概説については、Holliger and Hudson,Nature Biotechnology 23:1126-1136(2005)を参照されたい。
【0054】
本明細書で使用される場合、抗体の「結合ドメイン」とは、抗原に結合するのに十分な可変ドメインの一部を指す。いくつかの実施形態では、結合ドメインは、重鎖(HC)CDR1、CDR2、及びCDR3並びに軽鎖(LC)CDR1、CDR2、及びCDR3を含む。いくつかの実施形態では、結合ドメインは、重鎖(HC)CDR1、FR2、CDR2、FR3、及びCDR3、並びに軽鎖(LC)CDR1、FR2、CDR2、FR3、及びCDR3を含む。
【0055】
「エピトープ」という用語は、抗体が結合するタンパク質性又は非タンパク質性のいずれかの抗原上の部位を示す。エピトープは、連続的なアミノ酸ストレッチ(線形エピトープ)から形成され得るか、又は非連続的なアミノ酸(立体構造エピトープ)を含むことができ、例えば、抗原のフォールディング、すなわち、タンパク質性抗原の三次フォールディングに起因して空間的に近接して生じる。線形エピトープは、典型的には、変性タンパク質中にインタクトのままであるのに対して、立体構造エピトープは、典型的には、変性剤による処理時に破壊される。エピトープは、固有の空間的立体構造中に、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、又は少なくとも8~10個のアミノ酸を含む。「と同じエピトープに結合する」とは、抗体を比較するために同じエピトープマッピング技術を使用するときに、抗体、抗体断片又は他の抗原結合部分が特定の抗原に結合し、例示された抗体と同じエピトープに結合する能力を意味する。例示された抗体及び他の抗体のエピトープは、エピトープマッピング技術を使用して決定することができる。エピトープマッピング技術は、当該技術分野において周知である。例えば、線形エピトープは、ドットブロット、ペプチドマイクロアレイ、又はELISAによる形態で膜上に沈着した抗原に由来する合成ペプチド断片の結合を示すことによって特定することができる。立体構造エピトープは、例えば、水素/重水素交換質量分析又は核磁気共鳴、X線結晶構造解析、及び二次元核磁気共鳴などによって、アミノ酸の空間的立体構造を決定することによって容易に特定することができる。特定の実施形態では、「エピトープ」という用語は、mTTR上の部位を示す。
【0056】
特定のエピトープに結合する抗体(すなわち、同じエピトープに結合する抗体)のスクリーニングは、例えば、限定されないが、アラニンスキャニング、ペプチドブロット(Meth.Mol.Biol.248(2004)443-463を参照されたい)、ペプチド切断分析、エピトープ切除、エピトープ抽出、抗原の化学修飾(Prot.Sci.9(2000)487-496を参照されたい)、及び交差遮断(“Antibodies”,Harlow and Lane(Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NYを参照されたい)などの当該技術分野における日常的な方法を使用して行うことができる。加えて、エピトープを認識する抗体は、ELISAを介して特定することができる。
【0057】
抗体が、抗TTR抗体と同じTTRのエピトープに結合するか、又は結合について抗TTR抗体と競合するかどうかを容易に決定するために、競合結合を使用することができる。例えば、参照抗TTR抗体と「同じエピトープに結合する抗体」とは、競合アッセイにおいて、参照抗TTR抗体がその抗原にそれぞれ50%以上結合するのを遮断する抗体を指し、逆に、参照抗体は、競合アッセイにおいて、抗体がその抗原に結合するのを50%以上遮断する。また、抗体が参照抗TTR抗体と同じエピトープに結合するかどうかを決定するために、参照抗体は飽和条件下でTTRに結合することが可能である。過剰の参照抗TTR抗体を除去した後、問題の抗TTR抗体がTTRに結合する能力を評価する。抗TTR抗体が参照抗TTR抗体の飽和結合後にTTRに結合することができる場合、問題の抗TTR抗体は参照抗TTR抗体とは異なるエピトープに結合すると結論付けることができる。しかし、問題の抗TTR抗体が、参照抗TTR抗体の飽和結合後にTTRに結合することができない場合、問題の抗TTR抗体は、参照抗TTR抗体によって結合したエピトープと同じエピトープに結合し得る。問題の抗体が同じエピトープに結合するかどうかを確認するために、又は立体的な理由によって結合を妨げるだけであるかどうかを確認するために、日常的な実験を使用することができる(例えば、ELISA、RIA、表面プラズモン共鳴、フローサイトメトリー、又は当該技術分野で利用可能な任意の他の定量的若しくは定性的な抗体結合アッセイを使用するペプチド変異及び結合分析)。このアッセイは、2つの設定、すなわち、抗体の両方が飽和抗体である状態で実行されるべきである。両方の設定で、第1の(飽和)抗体のみがTTRに結合することができる場合、問題の抗TTR抗体及び参照抗TTR抗体は、TTRへの結合について競合すると結論付けることができる。いくつかの態様では、1倍、5倍、10倍、20倍、又は100倍過剰量の一方の抗体が、競合結合アッセイにおいて測定された場合、他方の抗体の結合を少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、又は更に99%、又はそれ以上阻害する場合、2つの抗体は、同一又は重複エピトープに結合するとみなされる(例えば、Junghans et al.,Cancer Res.50(1990)1495-1502を参照されたい)。いくつかの態様では、一方の抗体の結合を低減又は排除する抗原における本質的に全てのアミノ酸変異が、他方の結合も低減又は排除する場合、2つの抗体は同じエピトープに結合するとみなされる。一方の抗体の結合を低減又は排除するアミノ酸変異のサブセットのみが、他方の抗体の結合を低減又は排除する場合、2つの抗体は「重複エピトープ」を有するとみなされる。
【0058】
「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が特定の供給源又は種に由来する一方で、重鎖及び/又は軽鎖の残りの部分が異なる供給源又は種に由来する抗体を指す。
【0059】
抗体の「クラス」とは、その重鎖が有する定常ドメイン又は定常領域の種類を指す。抗体の5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2に更に分けられ得る。特定の態様では、抗体は、IgG2又はIgG4アイソタイプのものである。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、a、d、e、g、及びmと呼ばれる。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(K)及びラムダ(l)と呼ばれる2つの種類のうちの1つに割り当てられ得る。
【0060】
本明細書で使用される場合、「相補性決定領域」又は「CDR」という用語は、抗原特異性及び結合親和性を付与する抗体可変領域内のアミノ酸の配列を指す。例えば、一般に、各重鎖可変領域(例えば、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)に3つのCDRがあり、各軽鎖可変領域(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)に3つのCDRがある。所与のCDRの正確なアミノ酸配列境界は、Rabat et al.(1991),“Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(「Rabat」番号付けスキーム)、Al-Lazikani et al.,(1997)JMB 273,927-948(「Chothia」番号付けスキーム)、又はそれらの組み合わせ、及びImMunoGenTics(IMGT)番号付け(Lefranc,The Immunologist,7,132-136(1999)、Lefranc et al.,Dev.Comp.Immunol.,27,55-77(2003)、Lefranc et al.,(2015)Nucleic Acids Res.43,D413-422)(「IMGT」番号付けスキーム)に記載されているスキームを含む、多数の周知のスキームのうちのいずれかを使用して決定することができる。所与のCDR領域(例えば、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2又はLCDR3)の組み合わされたRabat及びChothiaの番号付けスキームにおいて、いくつかの実施形態では、CDRは、Chothia CDRの一部として定義されるアミノ酸残基とともに、Rabat CDRの一部として定義されるアミノ酸残基に対応する。本明細書で使用される場合、「Chothia」番号スキームに従って定義されるCDRは、時々、「超可変ループ」とも称される。IMGT下では、抗体のCDR領域は、プログラムIMGT/ドメインギャップアラインを使用して決定され得る。一般に、具体的に示されない限り、抗体分子は、1つ以上のAho CDR、Rabat CDR、及び/又はChothia CDRの任意の組み合わせを含み得る。
【0061】
「保存的配列修飾」という用語は、アミノ酸配列を含有する抗体又は抗体断片の結合特徴に著しく影響しないか、又はその結合特徴を著しく変化させないアミノ酸修飾を指す。このような保存的修飾は、アミノ酸置換、付加、及び欠失を含む。修飾は、部位特異的変異誘発及びPCRによって媒介される変異誘発などの当該技術分野で既知の標準的な技術によって、本開示の抗体又は抗体断片に導入することができる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されているものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分枝状側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。したがって、本開示の抗体又はその抗原結合断片内の1つ以上のアミノ酸残基を、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基と置き換えることができ、変化した抗体又は抗原結合断片を、本明細書に記載の機能的アッセイを使用して試験することができる。
【0062】
薬剤、例えば、抗体、組成物、又は薬学的組成物の「有効量」とは、所望される治療的又は予防的結果を達成するために必要な投薬量及び期間で有効な量を指す。
【0063】
「エフェクター機能」とは、抗体のアイソタイプにより異なる抗体のFc領域に起因する生物学的活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御、並びにB細胞活性化が挙げられる。
【0064】
本明細書で使用される場合、「Fc領域」という用語は、CH3、CH2、及び抗体の定常ドメインのヒンジ領域の少なくとも一部を含むポリペプチドを指す。任意選択で、Fc領域は、いくつかの抗体クラスに存在するCH4ドメインを含み得る。Fc領域は、抗体の定常ドメインのヒンジ領域全体を含み得る。一実施形態では、本開示は、抗体のFc領域及びCH1領域を含む。一実施形態では、本開示は、抗体のFc領域CH3領域を含む。別の実施形態では、本開示は、抗体の定常ドメインからのFc領域、CH1領域、及びCカッパ/ラムダ領域を含む。一実施形態では、本開示の結合分子は、定常領域、例えば、重鎖定常領域を含む。一実施形態では、そのような定常領域は、野生型定常領域と比較して修飾される。すなわち、本明細書に開示される本開示のポリペプチドは、3つの重鎖定常ドメイン(CH1、CH2、又はCH3)のうちの1つ以上、及び/又は軽鎖定常領域ドメイン(CL)に対する改変又は修飾を含み得る。例示的な修飾としては、1つ以上のドメインにおける1つ以上のアミノ酸の付加、欠失、又は置換が挙げられる。このような変化は、エフェクター機能、半減期などを最適化するために含まれ得る。この用語は、天然配列Fc領域及びバリアントFc領域を含む。一態様では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226又はPro230から、重鎖のカルボキシル末端に及ぶ。しかしながら、宿主細胞によって産生された抗体は、重鎖のC末端からの1つ以上、特に1つ又は2つのアミノ酸の翻訳後切断を受け得る。したがって、完全長重鎖をコードする特定の核酸分子の発現によって宿主細胞によって産生された抗体は、完全長重鎖を含み得るか、又は完全長重鎖の切断バリアントを含み得る。これは、重鎖の最後の2つのC末端アミノ酸が、グリシン(G446)及びリシン(K447、EUインデックスによる番号付け)である場合であり得る。したがって、Fc領域のC末端リシン(Lys447)、又はC末端グリシン(Gly446)及びリシン(Lys447)は、存在してもよいか、又は存在しなくてもよい。したがって、「完全長IgG1」は、例えば、Gly446及びLys447を有するか、又はLys447を有しないか、又はGly446及びLys447の両方を有しないIgG1を含む。別段の指示がない場合、Fc領域を含む重鎖のアミノ酸配列は、C末端グリシン-リシンジペプチドなしで本明細書に記載される。一態様では、本開示による抗体に含まれる、本明細書に指定されるFc領域を含む重鎖は、Gly446及びLys447(EUインデックスによる番号付け)を含み得る。一態様では、本開示による抗体に含まれる、本明細書に指定されるFc領域を含む重鎖は、Gly446(EUインデックスによる番号付け)を含み得る。別段本明細書で指定されない限り、Fc領域又は定常領域中のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載されるように、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。
【0065】
「フレームワーク」又は「FR」とは、相補性決定領域(CDR)以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に、4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。したがって、CDR及びFR配列は、一般に、VH(又はVL)において以下の配列で出現する:FR1-CDR-H1(CDR-L1)-FR2- CDR-H2(CDR-L2)-FR3 - CDR-H3(CDR-L3)-FR4。
【0066】
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書において、天然抗体構造と実質的に同様の構造を有するか、又は本明細書で定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指すように互換的に使用される。
【0067】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養物」という用語は、互換的に使用され、外因性核酸が中に導入されている細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞は、「形質転換体」及び「形質転換細胞」を含み、これらは、初代形質転換細胞及び継代の数に関わらずそれに由来する子孫を含む。子孫は、親細胞と核酸含有量の点で完全に同一ではなくてもよいが、変異を含み得る。元来形質転換された細胞についてスクリーニング又は選択されたものと同一の機能又は生物学的活性を有する変異子孫が、本明細書に含まれる。
【0068】
「ヒト抗体」は、ヒト若しくはヒト細胞によって産生されたか、又はヒト抗体レパートリーを利用する非ヒト源に由来する抗体のアミノ酸配列、あるいは他のヒト抗体コード配列に対応するアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を具体的に除外する。
【0069】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般に、配列のサブグループは、Rabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91-3242,Bethesda MD(1991),vols.1-3のようなサブグループである。一態様では、VLについて、サブグループは、Rabatら(上記)のようなサブグループカッパIである。一態様では、VHについて、サブグループは、Rabatら(上記)のようなサブグループIIIである。
【0070】
「ヒト化」抗体とは、非ヒトCDR由来のアミノ酸残基及びヒトFR由来のアミノ酸残基を含む、キメラ抗体を指す。特定の態様では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、及び典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、CDRの全て又は実質的に全てが非ヒト抗体のものに対応し、FRの全て又は実質的に全てがヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は任意選択で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含み得る。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化形態」とは、ヒト化を受けた抗体を指す。
【0071】
「個体」又は「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物としては、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト、及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の態様では、個体又は対象はヒトである。
【0072】
「単離された」抗体は、その天然環境の成分から分離されているものである。いくつかの態様では、抗体は、例えば、電気泳動法(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフ(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)法によって決定された場合、95%又は99%を超える純度まで精製される。抗体純度の評価のための方法の概説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照されたい。
【0073】
2つのポリペプチドの文脈で使用される場合、「連結された」という用語は、ポリペプチドがアミノ酸の同じ配列の一部であることを意味する。連結されている2つのポリペプチドは、追加のアミノ酸配列によって分離されてもよい。すなわち、それらは、互いに連続しているか、又は直接的に連結されている必要はない。
【0074】
「単離された」核酸とは、その天然環境の成分から分離されている核酸分子を指す。単離された核酸は、通常はその核酸分子を含有する細胞内に含有される核酸分子を含むが、その核酸分子が染色体外に、又はその天然染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0075】
「抗TTR抗体をコードする単離された核酸」とは、抗TTR抗体の重鎖及び軽鎖(又はそれらの断片)をコードする1つ以上の核酸分子を指し、単一のベクター又は別個のベクター内のそのような核酸分子を含み、そのような核酸分子は、宿主細胞内の1つ以上の位置に存在する。
【0076】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、同一である、かつ/又は同じエピトープに結合するが、例えば、天然に存在する変異を含有するか、又はモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる、想定されるバリアント抗体を除き、そのようなバリアントは一般に少量で存在する。異なる決定基(エピトープ)に対して指向される異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向される。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体の特徴を示しており、いかなる特定の方法による抗体の産生も必要とするものとして解釈されるものではない。例えば、本開示によるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全て又は一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法を含むが、これらに限定されない、様々な技術によって作製することができ、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法が、本明細書に記載されている。
【0077】
「裸の抗体」とは、異種性部分(例えば、細胞傷害性部分)又は放射標識にコンジュゲートされていない抗体を指す。裸の抗体は、薬学的組成物中に存在してもよい。
【0078】
「天然抗体」とは、様々な構造を有する、天然に存在する免役グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合されている2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端まで、各重鎖は、可変重ドメイン又は重鎖可変領域とも呼ばれる可変ドメイン(VH)と、その後に3つの定常重ドメイン(CH1、CH2、及びCH3)とを有する。同様に、N末端からC末端まで、各軽鎖は、可変軽ドメイン又は軽鎖可変領域とも呼ばれる可変ドメイン(VL)と、その後に定常軽(CL)ドメインとを有する。
【0079】
「核酸」又は「核酸分子」又は「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物及び/又は物質を含む。各ヌクレオチドは、塩基、具体的には、プリン又はピリミジン塩基(すなわち、シトシン(C)、グアニン(G)、アデニン(A)、チミン(T)又はウラシル(U))、糖(すなわち、デオキシリボース又はリボース)、及びリン酸基から構成される。多くの場合、核酸分子は、塩基の配列によって記載され、それによって、当該塩基は、核酸分子の一次構造(線形構造)を表す。塩基の配列は、典型的には5’から3’まで表される。本明細書において、核酸分子という用語は、例えば、相補的DNA(cDNA)及びゲノムDNA、リボ核酸(RNA)、特に、メッセンジャーRNA(mRNA)、DNA又はRNAの合成形態、並びにこれらの分子のうちの2つ以上を含む混合ポリマーを含む、デオキシリボ核酸(DNA)を包含する。核酸分子は、線状又は環状であり得る。加えて、核酸分子という用語には、センス鎖及びアンチセンス鎖の両方、並びに一本鎖及び二本鎖形態が含まれる。更に、本明細書に記載の核酸分子は、天然に存在するか、又は天然に存在しないヌクレオチドを含有し得る。天然に存在しないヌクレオチドの例としては、誘導体化糖、又はリン酸骨格結合、又は化学的に修飾された残基を有する修飾ヌクレオチド塩基が挙げられる。核酸分子はまた、インビトロ及び/又はインビボ、例えば、宿主又は患者において、本開示の抗体を直接発現するためのベクターとして好適であるDNA及びRNA分子を包含する。このようなDNA(例えば、cDNA)又はRNA(例えば、mRNA)ベクターは、非修飾又は修飾であり得る。例えば、mRNAを、インビボで抗体を生成するために対象に注入することができるように、RNAベクターの安定性及び/又はコードされた分子の発現を増強するように、mRNAを化学的に修飾することができる(例えば、2017年6月12日にオンラインで公開された、Stadler et al,Nature Medicine 2017、doi:10.1038/nm.4356又はEP2101823B1を参照されたい)。
【0080】
「添付文書」という用語は、そのような治療製品の適応症、使用法、投薬量、投与、併用療法、禁忌症についての情報、及び/又はその使用に関する警告を含む、治療製品の商用パッケージに通例含まれる指示書を指すように使用される。
【0081】
「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、互換的に使用され、ペプチド結合によって共有結合したアミノ酸残基から構成される化合物を指す。タンパク質又はペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含有しなければならず、タンパク質又はペプチドの配列を含むことができるアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドは、ペプチド結合によって互いに結合された2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチド又はタンパク質を含む。本明細書で使用される場合、この用語は、当該技術分野では一般的に、例えば、ペプチド、オリゴペプチド、及びオリゴマーとも称される短鎖、並びに当該技術分野では一般的にタンパク質と称される、より長い鎖の両方を指し、それらの多くの種類が存在する。「ポリペプチド」としては、とりわけ、例えば、生物学的に活性な断片、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドのバリアント、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質が挙げられる。ポリペプチドは、天然ペプチド、組換えペプチド、又はそれらの組み合わせを含む。
【0082】
参照ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入して、最大の配列同一性パーセントを達成した後の、かつ整列の目的のための配列同一性の一部としていかなる保存的置換も考慮しない、参照ポリペプチド配列内のアミノ酸残基と同一の候補配列内のアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のための整列は、当該技術分野の技術範囲内の様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、Clustal W、Megalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェア、又はFASTAプログラムパッケージを使用して達成することができる。別段の指示がない限り、本明細書における目的のために、アミノ酸配列同一性パーセント値は、BLOSUM50比較マトリックスを使用して、FASTAパッケージバージョン36.3.8c又はそれ以降のggsearchプログラムを使用して生成される。FASTAプログラムパッケージには、W.R.Pearson and D.J.Lipman(1988),“Improved Tools for Biological Sequence Analysis”,PNAS 85:2444-2448、W.R.Pearson(1996)“Effective protein sequence comparison” Meth.Enzymol. 266: 227-258、及びPearson et al.(1997)Genomics 46:24-36の著作物があり、www.fasta.bioch.virginia.edu/fasta_www2/fasta_down.shtml又はwww.ebi.ac.uk/Tools/sss/fastaから公的に入手可能である。あるいは、fasta.bioch.virginia.edu/fasta_www2/index.cgiでアクセス可能な公開サーバーを使用し、ggsearch(全体的なタンパク質:タンパク質)プログラム及びデフォルトオプション(BLOSUM50;オープン:-10;ext:-2;Ktup=2)を使用して配列を比較して、局所的ではなく、全体的なアライメントを実行することを確実にする。アミノ酸同一性パーセントが、出力アラインメントヘッダーに与えられる。
【0083】
「薬学的組成物」又は「薬学的製剤」という用語は、調製物中に含まれる活性成分の生物学的活性が有効になるような形態であり、組成物又は薬学的組成物が投与される対象にとって許容できないほど有毒である追加の成分を何ら含有しない調製物を指す。
【0084】
「薬学的に許容される担体」とは、対象にとって無毒である、活性成分以外の組成物又は薬学的組成物若しくは製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、緩衝液、賦形剤、安定剤、又は保存剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する」又は「結合特異性」という用語は、個々の抗体の組み合わせ部位が、異なる抗原決定基ではなく、1つの抗原決定基と反応する能力を指す。抗体の組み合わせ部位は、分子のFab部分に位置し、重鎖及び軽鎖の超可変領域から構築される。抗体の結合親和性は、単一の抗原決定基と抗体上の単一の組み合わせ部位との間の反応の強度である。これは、抗原決定基と抗体の組み合わせ部位との間で作用する引力及び反発力の合計である。
【0086】
本明細書で使用される場合、「TTR」という用語は、別段示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来の任意の天然トランスサイレチン(例えば、配列番号1)を指す。この用語は、「完全長」非プロセシングTTR、及び細胞内のプロセシングから生じる任意の翻訳後形態を包含する。このような切断TTR形態は、プロテアーゼ切断からもたらされ得る。この用語はまた、TTRの天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒト成熟TTRタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号1に示される。本明細書に記載の変異は、配列番号1に記載の成熟ヒトTTR配列に従って番号付けされる。
【0087】
本明細書で使用される場合、「TTR形態」又は「TTRの形態」という用語は、TTRの単量体形態(「mTTR」)と呼ばれる異なる四次構造などのタンパク質の構造形態、並びにTTRの四量体形態を指す。AW Yee,et al.,Nature Communications,volume 10,Article number:925(2019)、及びQuintas et al.,J.BIOLOGICAL CHEMISTRY,Vol.274,No.46,pp.32943-32949,1999を参照されたい。これはまた、折り畳み中間体も含む。
【0088】
「mTTR」という用語は、TTRの単量体形態を指す。単量体形態は、「安定化単量体」形態にあり得る。この安定化単量体形態は、原線維又は凝集体への変換を防止することができる。安定化mTTRは、Phe87Met変異(配列番号143)又はLeu110Met TTR変異(配列番号144)又はPhe87Met Leu110Met(F87M L110M)TTR二重変異(配列番号80)を含む。
【0089】
「dTTR」という用語は、TTRの二量体形態を指し、これは、「安定化された二量体」形態の形態にあり得る。この安定化二量体は、四量体を容易に形成することができず、Ser112Ile(S112I)TTR変異を含む。
【0090】
本明細書で使用される場合、TTRの「TTR折り畳み中間体」、「折り畳み中間体」、又は「中間体」という用語は、TTR四量体解離又は単量体の再折り畳みなどの部分的に折り畳まれたTTR形態を指す。Feige et al.,PNAS,September 9,2008,105(36),13373-13378、又はJesus et al.,Int J Mol Sci.,2016 Sep;17(9):1428を参照されたい。
【0091】
「TTR凝集」という用語は、凝集体構造のスペクトルへの細胞外ミスフォールディング及び/又はミスアセンブリを指す。これらのうちの1つは、凝集又はアミロイド形成のプロセスから形成される構造の1つであるアミロイド原線維と呼ばれる特徴的なクロスβシートアセンブリによって定義される順序付けられた凝集体であり得る。この凝集は、アミロイド疾患と呼ばれる変性疾患を引き起こすと考えられている。Schmidt,M.,Wiese,S.,Adak,V.et al.Cryo-EM structure of a transthyretin-derived amyloid fibril from a patient with hereditary ATTR amyloidosis.Nat Commun 10,5008(2019)を参照されたい。このような凝集体は、順序付けられた凝集体又はアミロイドであり得る。アミロイドはまた、非晶質であってもよい。
【0092】
本明細書で使用される場合、「治療」(及び「治療する」又は「治療すること」などのその文法上の変化形)とは、治療されている個体における疾患の自然経過を変化させることを目的とした臨床介入を指し、予防のために、又は臨床病理学の経過中(「疾患の治療又は改善」)に実行され得る。治療の望ましい効果としては、疾患の発生又は再発の予防、症状の緩和、疾患の任意の直接的又は間接的病理学的帰結の縮小、転移の予防、疾患進行速度の減少、疾患状態の回復又は寛解、及び緩解又は予後の改善が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、本開示の抗体は、疾患の発症を遅らせるために、又は疾患の進行を遅延させるために使用される。
【0093】
したがって、いくつかの態様では、本開示は、TTR凝集に関連する疾患を治療するための、又はTTR凝集に関連する疾患を治療するための医薬の開発のための抗体を提供する。いくつかの態様では、TTR凝集に関連する疾患は、TTRアミロイドーシスである。いくつかの態様では、TTRアミロイドーシスは、トランスサイレチンアミロイドーシス(ATTR)心筋症(ATTR-CM)又はトランスサイレチンアミロイドーシス(ATTR)多発ニューロパチー(ATTR-PN)である。いくつかの態様では、TTR凝集に関連する疾患は、末梢TTRアミロイドーシス、眼アミロイド血管症、又は脳アミロイド血管症である。いくつかの態様では、TTR凝集に関連する疾患は、家族性アミロイド多発ニューロパチー(AP)、家族性アミロイド心筋症(FAC)、ATTR-PN及びATTR-CM、hATTR又は野生型ATTR(wtATTR)、老人性全身性アミロイドーシス(SSA)、全身性家族性アミロイドーシス、アルツハイマー病を含む軟髄膜/中枢神経系(CNS)アミロイドーシス、TTR関連眼アミロイドーシス、TTR関連腎アミロイドーシス、TTR関連高チロキシン血症、手根管症候群を含むTTR関連靱帯アミロイドーシス、肩腱板断裂及び腰部脊椎管狭窄症、又は子癇前症である。
【0094】
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖(それぞれ、VH及びVL)の可変ドメインは一般に、各ドメインが4つの保存フレームワーク領域(FR)及び3つの相補性決定領域(CDR)を含む同様の構造を有する。例えば、Kindt et al.Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照されたい。可変ドメインは、FR1及び/又はFR4の全て又は一部を含むか、又は含まない、重鎖(HC)CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3、並びにFR1及び/又はFR4の全て又は一部を含むか、又は含まない、軽鎖(LC)CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3を含み得る。すなわち、可変ドメインは、抗原結合活性を保持する限り、FR1及び/又はFR4の一部を欠いていてもよい。単一のVHドメイン又はVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。更に、抗原に結合する抗体からのVHドメイン又はVLドメインを使用して、特定の抗原に結合する抗体を単離して、それぞれ、相補的VLドメイン又はVHドメインのライブラリーをスクリーニングすることができる。例えば、Portolano et al.,Immunol.150:880-887(1993)、Clarkson et al.,Nature 352:624-628(1991)を参照されたい。
【0095】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、それが結合している別の核酸を増殖させることができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、及びそれが導入されている宿主細胞のゲノム内に組み込まれたベクターを含む。特定のベクターは、それらが作動可能に連結している核酸の発現を指向することができる。そのようなベクターは、本明細書で「発現ベクター」と称される。
【0096】
組成物及び方法
一態様では、本開示は、部分的に、抗体がTTRの単量体形態に結合することができるという発見に基づいている。特定の態様では、TTRの単量体形態に特異的に結合する抗体が提供される。本開示の抗体は、TTR関連疾患の治療及び診断試験などに有用である。
【0097】
一態様では、抗体は、TTR中間体又は折り畳み中間体に結合し得る。
【0098】
特定の態様では、抗mTTR抗体は、インビトロ又はインビボでのTTR凝集を阻害する。いくつかの実施形態では、TTR凝集は、約200nM未満の抗体濃度で阻害される。
【0099】
いくつかの実施形態では、抗TTR抗体は、バイオレイヤー干渉法によって測定された場合、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、又は約2nM未満、又は約1nM未満のKDでヒトTTRに結合する。
【0100】
いくつかの実施形態では、抗TTR抗体は、間接ELISAによって測定された場合、約20nM以下、又は約10nM以下、又は約5nM以下、又は約1nM以下のEC50で四量体ヒトTTRに結合する。
【0101】
一態様では、本開示は、(a)配列番号2~8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号9~15のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号16~22のアミノ酸配列を含むCDR-H3、並びに(d)配列番号23~29のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号30~36のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号37~43のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つ全てのCDRを含む、抗TTR抗体を提供する。
【0102】
一態様では、本開示は、(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つ全てのCDRを含む、抗TTR抗体を提供する。
【0103】
一態様では、本開示は、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つ全てのCDRを含む、抗TTR抗体を提供する。
【0104】
一態様では、本開示は、(a)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つ全てのCDRを含む、抗TTR抗体を提供する。
【0105】
一態様では、本開示は、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つ全てのCDRを含む、抗TTR抗体を提供する。
【0106】
一態様では、本開示は、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つ全てのCDRを含む、抗TTR抗体を提供する。
【0107】
一態様では、本開示は、(a)配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つ全てのCDRを含む、抗TTR抗体を提供する。
【0108】
一態様では、本開示は、(a)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つ全てのCDRを含む、抗TTR抗体を提供する。
【0109】
一態様では、本開示は、(a)配列番号2~8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号9~15のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号16~22のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含む、抗体を提供する。
【0110】
一態様では、抗体は、配列番号16~22のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。別の態様では、抗体は、配列番号16~22のアミノ酸配列を含むCDR-H3、及び配列番号37~43のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。更なる態様では、抗体は、配列番号16~22のアミノ酸配列を含むCDR-H3、配列番号37~43のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び配列番号9~15のアミノ酸配列を含むCDR-H2を含む。
【0111】
一態様では、抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。別の態様では、抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-H3、及び配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。更なる態様では、抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-H3、配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H2を含む。
【0112】
一態様では、抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。別の態様では、抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H3、及び配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。更なる態様では、抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H3、配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-H2を含む。
【0113】
一態様では、抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。別の態様では、抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-H3、及び配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。更なる態様では、抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-H3、配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H2を含む。
【0114】
一態様では、抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。別の態様では、抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H3、及び配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。更なる態様では、抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H3、配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-H2を含む。
【0115】
一態様では、抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。別の態様では、抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H3、及び配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。更なる態様では、抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H3、配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2を含む。
【0116】
一態様では、抗体は、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。別の態様では、抗体は、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3、及び配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。更なる態様では、抗体は、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3、配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H2を含む。
【0117】
一態様では、抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。別の態様では、抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-H3、及び配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。更なる態様では、抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-H3、配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3、及び配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-H2を含む。
【0118】
更なる態様では、抗体は、(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0119】
更なる態様では、抗体は、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0120】
更なる態様では、抗体は、(a)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0121】
更なる態様では、抗体は、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0122】
更なる態様では、抗体は、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0123】
更なる態様では、抗体は、(a)配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0124】
更なる態様では、抗体は、(a)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む。
【0125】
別の態様では、本開示は、(a)配列番号23~29のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号30~36のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号37~43のアミノ酸配列を含むCDR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含む、抗体を提供する。
【0126】
一態様では、抗体は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
【0127】
一態様では、抗体は、(a)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
【0128】
一態様では、抗体は、(a)配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
【0129】
一態様では、抗体は、(a)配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
【0130】
一態様では、抗体は、(a)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
【0131】
一態様では、抗体は、(a)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
【0132】
一態様では、抗体は、(a)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(c)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
【0133】
別の態様では、本開示の抗体は、(a)(i)配列番号2~8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号9~15のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号16~22のアミノ酸配列を含むCDR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH CDR配列を含む、VHドメイン、並びに(b)(i)配列番号23~29のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)配列番号30~36のアミノ酸配列を含むCDR-L2から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL CDR配列を含む、VLドメイン、並びに(c)配列番号37~43のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む。
【0134】
別の態様では、本開示は、(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、抗体を提供する。
【0135】
別の態様では、本開示は、(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、抗体を提供する。
【0136】
別の態様では、本開示は、(a)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、抗体を提供する。
【0137】
別の態様では、本開示は、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、抗体を提供する。
【0138】
別の態様では、本開示は、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、抗体を提供する。
【0139】
別の態様では、本開示は、(a)配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、抗体を提供する。
【0140】
別の態様では、本開示は、(a)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、抗体を提供する。
【0141】
別の態様では、本開示は、表1に見られるCDR-H1を含む抗体を提供する。
【表1】
【0142】
別の態様では、本開示は、表2に見られるCDR-H2を含む抗体を提供する。
【表2】
【0143】
別の態様では、本開示は、表3に見られるCDR-H3を含む抗体を提供する。
【表3】
【0144】
別の態様では、本開示は、表4に見られるCDR-L1を含む抗体を提供する。
【表4】
【0145】
別の態様では、本開示は、表5に見られるCDR-L2を含む抗体を提供する。
【表5】
【0146】
別の態様では、本開示は、表6に見られるCDR-H3を含む抗体を提供する。
【表6】
【0147】
別の態様では、本開示は、式Iのアミノ酸配列を含むCDR-H1を含む抗体:
Gly-X-X-X-X-X-Tyr-X(配列番号44)を提供し、
式中、Xは、Tyr又はPheであり、
は、Thr又はAsnであり、
は、Phe又はIleであり、
は、Thr、Ser、又はLysであり、
は、Asp、Asn、Thr、Ser、及びGlyから選択され、
は、Trp Tyr又はGlyである。
【0148】
別の態様では、本開示は、以下の配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗mTTR抗体Ab1を提供する。
QVQLQQPGAELVRPGSSVKLSCKASGYTFTSYWMHWVKQRPIQGLEWIGNIDPSDSETHYNQKFKDKATLTVDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARGRNYWYFDVWGTGTTVTVSS(配列番号45)。
【0149】
別の態様では、本開示は、以下から選択される配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗mTTR抗体を提供する。
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYWMHWVRQAPGQGLEWMGNIDPSDSETHYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARGRNYWYFDVWGTGTMVTVSS(配列番号46)、
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYWMHWVRQAPGQGLEWMGNIDPSDSETHYAQKFQGRVTMTVDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARGRNYWYFDVWGTGTMVTVSS(配列番号47)、
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYWMHWVRQAPGQGLEWMGNIDPSDSETHYAQKFQGRVTMTVDKSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARGRNYWYFDVWGTGTMVTVSS(配列番号48)、及び
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYWMHWVRQAPGQGLEWIGNIDPSDSETHYAQKFQGRATLTVDKSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARGRNYWYFDVWGTGTMVTVSS(配列番号49)。
【0150】
別の態様では、本開示は、以下の配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗mTTR抗体Ab1を提供する。
DIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASESVDNYGISFMNWFQQKPGQPPKLLIYAASNQGSGVPARFSGSGSGTDFSLNIHPMEEDDTAMYFCQQSKEVPWTFGGGTKLEIK(配列番号50)。
【0151】
別の態様では、本開示は、以下から選択される配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含むヒト化抗mTTR抗体を提供する。
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASESVDNYGISFMNWYQQKPGKAPKLLIYAASNQGSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSKEVPWTFGGGTKLEIK(配列番号51)、
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASESVDNYGISFMNWFQQKPGKAPKLLIYAASNQGSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYFCQQSKEVPWTFGGGTKLEIK(配列番号52)、及び
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASESVDNYGISFMNWFQQKPGKPPKLLIYAASNQGSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSKEVPWTFGGGTKLEIK(配列番号53)。
【0152】
別の態様では、本開示は、以下の配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗mTTR抗体Ab2を提供する。
【0153】
EVKLEQSGGGLVQPGGSMKLSCVASGFTFSNYWMNWVRQSPEKGLEWVAQIRLKSDNYATHYAESVKGRFTISRDDSKSSVYLQMNNLRAEDTGIYYCTGVFTYWGQGTLVTVSA(配列番号54)。
【0154】
別の態様では、本開示は、以下から選択される配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含む抗mTTR抗体を提供する。
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSNYWMNWVRQAPGKGLEWVGQIRLKSDNYATHYAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTTVFTYWGQGTLVTVSS(配列番号55)、
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSNYWMNWVRQAPGKGLEWVGQIRLKSDNYATHYAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTGVFTYWGQGTLVTVSS(配列番号56)、
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSNYWMNWVRQAPGKGLEWVAQIRLKSDNYATHYAAPVKGRFTISRDDSKNTVYLQMNSLKTEDTAVYYCTGVFTYWGQGTLVTVSS(配列番号57)、
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYWMNWVRQAPGKGLEWVSQIRLKSDNYATHYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKVFTYWGQGTLVTVSS(配列番号58)、
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYWMNWVRQAPGKGLEWVSQIRLKSDNYATHYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCTGVFTYWGQGTLVTVSS(配列番号59)、及び
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYWMNWVRQAPGKGLEWVAQIRLKSDNYATHYADSVKGRFTISRDDSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCTGVFTYWGQGTLVTVSS(配列番号60)。
【0155】
別の態様では、本開示は、以下の配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗mTTR抗体Ab2を提供する。
NIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRTSESVDSYGNSFMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSRTDFTLTIDPVEADDAATYYCQQNNEDPMYTFGGGTKLEIK(配列番号61)。
【0156】
別の態様では、本開示は、以下から選択される配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含むヒト化抗mTTR抗体を提供する。
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCRTSESVDSYGNSFMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQNNEDPMYTFGGGTKVEIK(配列番号62)、
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCRTSESVDSYGNSFMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPDRFSGSGSRTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQNNEDPMYTFGGGTKVEIK(配列番号63)、及び
DIVLTQSPDSLAVSLGERATINCRTSESVDSYGNSFMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPDRFSGSGSRTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQNNEDPMYTFGGGTKVEIK(配列番号64)。
【0157】
別の態様では、本開示は、図18~21に開示される配列から選択される配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、ヒト化抗mTTR抗体を提供する。別の態様では、本開示は、図18~21に開示される配列から選択される配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含む、ヒト化抗mTTR抗体を提供する。
【0158】
本明細書に提供される態様のいずれかでは、抗TTR抗体は、ヒト化されている。本明細書に提供される態様のいずれかでは、抗TTR抗体は、キメラである。一態様では、抗TTR抗体は、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークを更に含む。
【0159】
別の態様では、抗TTR抗体は、配列番号51~53のうちのいずれか1つに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を含むVLドメインを含む。一態様では、VLドメインは、配列番号51~53と少なくとも85%の配列同一性を含む。一態様では、VLドメインは、配列番号51~53と少なくとも95%の配列同一性を含む。別の態様では、VLドメインは、配列番号51~53のうちのいずれか1つと少なくとも98%の配列同一性を含む。
【0160】
別の態様では、抗TTR抗体は、配列番号62~64のうちのいずれか1つに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を含むVLドメインを含む。一態様では、VLドメインは、配列番号62~64と少なくとも85%の配列同一性を含む。一態様では、VLドメインは、配列番号62~64と少なくとも95%の配列同一性を含む。別の態様では、VLドメインは、配列番号62~64のうちのいずれか1つと少なくとも98%の配列同一性を含む。
【0161】
別の態様では、抗TTR抗体は、配列番号46~49のうちのいずれか1つに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を含むVHドメインを含む。一態様では、VHドメインは、配列番号46~49と少なくとも85%の配列同一性を含む。一態様では、VHドメインは、配列番号46~49と少なくとも95%の配列同一性を含む。別の態様では、VHドメインは、配列番号46~49のうちのいずれか1つと少なくとも98%の配列同一性を含む。
【0162】
別の態様では、抗TTR抗体は、配列番号55~60のうちのいずれか1つに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を含むVHドメインを含む。一態様では、VHドメインは、配列番号55~60と少なくとも85%の配列同一性を含む。一態様では、VHドメインは、配列番号55~60と少なくとも95%の配列同一性を含む。別の態様では、VHドメインは、配列番号55~60のうちのいずれか1つと少なくとも98%の配列同一性を含む。
【0163】
別の態様では、抗TTR抗体は、配列番号46~49から選択されるVHのCDR配列のうちの1つ以上を含む。別の実施形態では、抗TTR抗体は、配列番号51~53から選択されるVLのCDR配列のうちの1つ以上を含む。別の実施形態では、抗TTR抗体は、配列番号46~49から選択されるVHのCDR配列、及び配列番号51~53から選択されるVLのCDR配列を含む。
【0164】
一態様では、抗TTR抗体は、配列番号46~49から選択されるVHの重鎖CDRアミノ酸配列のうちの1つ以上、及び配列番号46~49から選択されるVHのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークを含む。一態様では、抗TTR抗体は、配列番号46~49から選択されるVHの3つの重鎖CDRアミノ酸配列、及び配列番号46~49から選択されるVHのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークを含む。一態様では、抗TTR抗体は、配列番号46~49から選択されるVH配列の3つの重鎖CDRアミノ酸配列、及び配列番号46~49から選択されるVHのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性のフレームワークを含む。一態様では、抗TTR抗体は、配列番号46~49から選択されるVHの3つの重鎖CDRアミノ酸配列、及び配列番号46~49から選択されるVHのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%又は少なくとも95%の配列同一性のフレームワークを含む。別の態様では、抗TTR抗体は、配列番号46~49から選択されるVHの3つの重鎖CDRアミノ酸配列、及び配列番号46~49から選択されるVHのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性のうちの少なくとものフレームワークを含む。
【0165】
一態様では、抗TTR抗体は、配列番号51~53から選択されるVLの軽鎖CDRアミノ酸配列のうちの1つ以上、及び配列番号51~53から選択されるVLのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークを含む。一態様では、抗TTR抗体は、配列番号51~53から選択されるVLの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列、及び配列番号51~53から選択されるVLのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークを含む。一態様では、抗TTR抗体は、配列番号51~53から選択されるVL配列の3つの軽鎖CDRアミノ酸配列、及び配列番号51~53から選択されるVLのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性のフレームワークを含む。一態様では、抗TTR抗体は、配列番号51~53から選択されるVLの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列、及び配列番号51~53から選択されるVLのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%又は少なくとも95%の配列同一性のフレームワークを含む。別の態様では、抗TTR抗体は、配列番号51~53から選択されるVLの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列、及び配列番号51~53から選択されるVLのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性のうちの少なくとも特にフレームワークを含む。
【0166】
一態様では、抗TTR抗体は、(a)配列番号2~8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号9~15のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号16~22のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)配列番号23~29のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号30~36のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号37~43のアミノ酸配列を含むCDR-L3、並びに配列番号46~49から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVHドメイン、並びに配列番号51~53から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVLドメインを含む。一態様では、VHドメインは、配列番号46~49から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。一態様では、VHドメインは、配列番号46~49から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。一態様では、VLドメインは、配列番号51~53から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。一態様では、VLドメインは、配列番号51~53から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0167】
一態様では、抗TTR抗体は、(a)配列番号2~8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号9~15のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号16~22のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)配列番号23~29のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号30~36のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号37~43のアミノ酸配列を含むCDR-L3、並びに配列番号46~49から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVHドメイン、並びに配列番号51~53から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVLドメインを含み、抗体は、TTR単量体に特異的に結合する。一態様では、VHドメインは、配列番号46~49から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。一態様では、VHドメインは、配列番号46~49から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。一態様では、VLドメインは、配列番号51~53から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。一態様では、VLドメインは、配列番号51~53から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0168】
別の態様では、抗TTR抗体が提供され、抗体は、上記に提供される態様のいずれかにあるようなVH配列、及び上記に提供される態様のいずれかにあるようなVL配列を含む。一態様では、抗体は、それぞれ、配列番号46及び配列番号51内のVH及びVL配列を、それらの配列の翻訳後修飾を含めて含む。一態様では、抗体は、それぞれ、配列番号49及び配列番号53内のVH及びVL配列を、それらの配列の翻訳後修飾を含めて含む。
【0169】
別の態様では、抗TTR抗体は、配列番号55~60から選択されるVHのCDR配列のうちの1つ以上を含む。別の実施形態では、抗TTR抗体は、配列番号62~64から選択されるVLのCDR配列のうちの1つ以上を含む。別の実施形態では、抗TTR抗体は、配列番号55~60から選択されるVHのCDR配列、及び配列番号62~64から選択されるVLのCDR配列を含む。
【0170】
一態様では、抗TTR抗体は、配列番号55~60から選択されるVHの重鎖CDRアミノ酸配列のうちの1つ以上、及び配列番号55~60から選択されるVHのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークを含む。一態様では、抗TTR抗体は、配列番号55~60から選択されるVHの3つの重鎖CDRアミノ酸配列、及び配列番号55~60から選択されるVHのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークを含む。一態様では、抗TTR抗体は、配列番号55~60から選択されるVHの3つの重鎖CDRアミノ酸配列、及び配列番号55~60から選択されるVHのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%又は少なくとも95%の配列同一性のフレームワークを含む。別の態様では、抗TTR抗体は、配列番号55~60から選択されるVHの3つの重鎖CDRアミノ酸配列、及び配列番号55~60から選択されるVHのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性のうちの少なくとものフレームワークを含む。
【0171】
一態様では、抗TTR抗体は、配列番号62~64から選択されるVLの軽鎖CDRアミノ酸配列のうちの1つ以上、及び配列番号62~64から選択されるVLのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークを含む。一態様では、抗TTR抗体は、配列番号62~64から選択されるVLの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列、及び配列番号62~64から選択されるVLのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性のフレームワークを含む。一態様では、抗TTR抗体は、配列番号62~64から選択されるVLの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列、及び配列番号62~64から選択されるVLのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも85%又は少なくとも95%の配列同一性のフレームワークを含む。別の態様では、抗TTR抗体は、配列番号62~64から選択されるVLの3つの軽鎖CDRアミノ酸配列、及び配列番号62~64から選択されるVLのフレームワークアミノ酸配列に対して少なくとも98%の配列同一性のうちの少なくとも特にフレームワークを含む。
【0172】
一態様では、抗TTR抗体は、(a)配列番号2~8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号9~15のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号16~22のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)配列番号23~29のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号30~36のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号37~43のアミノ酸配列を含むCDR-L3、並びに配列番号46~49から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVHドメイン、並びに配列番号62~64から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVLドメインを含む。一態様では、VHドメインは、配列番号55~60から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%又は少なくとも95%の配列同一性を有する。一態様では、VLドメインは、配列番号62~64から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%又は少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0173】
一態様では、抗TTR抗体は、(a)配列番号2~8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)配列番号9~15のアミノ酸配列を含むCDR-H2、(c)配列番号16~22のアミノ酸配列を含むCDR-H3、(d)配列番号23~29のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(e)配列番号30~36のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(f)配列番号37~43のアミノ酸配列を含むCDR-L3、並びに配列番号55~60から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVHドメイン、並びに配列番号62~64から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するVLドメインを含み、抗体は、TTR単量体に特異的に結合する。一態様では、VHドメインは、配列番号55~60から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%又は少なくとも95%の配列同一性を有する。一態様では、VLドメインは、配列番号62~64から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%又は少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0174】
別の態様では、抗TTR抗体が提供され、抗体は、上記に提供される態様のいずれかにあるようなVH配列、及び上記に提供される態様のいずれかにあるようなVL配列を含む。一態様では、抗体は、それぞれ、配列番号60及び配列番号64内のVH及びVL配列を、それらの配列の翻訳後修飾を含めて含む。一態様では、抗体は、それぞれ、配列番号55及び配列番号62内のVH及びVL配列を、それらの配列の翻訳後修飾を含めて含む。
【0175】
更なる態様では、本開示は、本明細書に提供される抗TTR抗体と同じエピトープに結合する抗体を提供する。例えば、特定の態様では、配列番号45~49のうちのいずれかのVH配列及び配列番号50~53のうちのいずれかのVL配列を含む抗TTR抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。
【0176】
いくつかの実施形態では、抗TTR抗体は、GPTGTGESKCPL(配列番号65)、MVKVLDAVRGSPA(配列番号66)、PFHEHAEVVFTA(配列番号67)、EHAEVVFTA(配列番号68)、YTIAALLS(配列番号69)、LSPYSY(配列番号70)、SYSTTAVV(配列番号71)、YTIAALLSPYSYSTTAVV(配列番号72)、LGISPMHEHAE(配列番号73)、及びRRYTIAAMLSPYS(配列番号74)から選択されるペプチドに結合しない。いくつかの実施形態では、抗TTR抗体は、GPTGTGESKCPL(配列番号65)に結合しない。いくつかの実施形態では、抗TTR抗体は、MVKVLDAVRGSPA(配列番号66)に結合しない。いくつかの実施形態では、抗TTR抗体は、PFHEHAEVVFTA(配列番号67)に結合しない。いくつかの実施形態では、抗TTR抗体は、EHAEVVFTA(配列番号68)に結合しない。いくつかの実施形態では、抗TTR抗体は、YTIAALLS(配列番号69)に結合しない。いくつかの実施形態では、抗TTR抗体は、LSPYSY(配列番号70)に結合しない。いくつかの実施形態では、抗TTR抗体は、SYSTTAVV(配列番号71)に結合しない。いくつかの実施形態では、抗TTR抗体は、YTIAALLSPYSYSTTAVV(配列番号72)に結合しない。いくつかの実施形態では、抗TTR抗体は、LGISPMHEHAE(配列番号73)に結合しない。いくつかの実施形態では、抗TTR抗体は、RRYTIAAMLSPYS(配列番号74)に結合しない。
【0177】
更なる態様では、本開示は、立体構造エピトープに結合する抗体を提供する。
【0178】
更なる態様では、本開示は、本明細書に提供される抗TTR抗体とTTR単量体への結合について競合する抗体を提供する。
【0179】
更なる態様では、本開示は、間接ELISAにおいて、本明細書に提供される抗TTR抗体とTTR単量体への結合について競合する抗体を提供する。
【0180】
本開示の更なる態様では、上記の態様のいずれかに従う抗TTR抗体は、キメラ、ヒト化又はヒト抗体を含む、モノクローナル抗体である。一態様では、抗TTR抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)2断片である。別の態様では、抗体は、完全長抗体、例えば、インタクトなIgG4抗体、又は本明細書において定義される他の抗体クラス若しくはアイソタイプである。
【0181】
更なる態様では、上記の態様のいずれかに従う抗TTR抗体は、以下に記載される特徴のいずれかを、単独又は組み合わせで組み込むことができる。
【0182】
本開示はまた、特定のヒト化抗体可変ドメイン、及び以下の配列と相同性を有する単離されたポリペプチドを包含する。
i)Ab1のヒト化バージョンの軽鎖可変ドメインである、配列番号53、
ii)Ab1のヒト化バージョンの重鎖可変ドメインである、配列番号49、
iii)Ab2のヒト化バージョンの軽鎖可変ドメインである、配列番号64、及び
iv)Ab2のヒト化バージョンの重鎖可変ドメインである、配列番号60。
【0183】
代替方法では、KDは、バイオレイヤー干渉法によって測定される。
【0184】
別の態様では、抗TTR抗体が提供され、抗体は、バイオレイヤー干渉法(BLI)又は表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイによって決定された場合、約10nM(KD)未満のTTR単量体に対する親和性を有する。
【0185】
別の態様では、抗TTR抗体が提供され、抗体は、バイオレイヤー干渉法(BLI)又は表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイによって測定された、TTR四量体(WT又は安定化バージョン)よりもTTR単量体に対する少なくとも5:1の特異性(KD比による)を有する。
【0186】
別の態様では、抗TTR抗体が提供され、抗体は、マウスIgG2aである。
【0187】
別の態様では、抗TTR抗体が提供され、抗体は、20%のヒト血清中のTTR単量体結合を伴うマウスIgG2a mAbである。
【0188】
別の態様では、抗TTR抗体が提供され、抗体は、IgG4である。
【0189】
別の態様では、抗TTR単量体抗体が提供され、抗体は、TTRアミロイド原線維形成又はアミロイド形成を治療するために使用される、抗体が提供される。TTRアミロイド原線維形成又はアミロイド形成は、ヒトの健康に大きな負担をかける多くの疾患に関連している。例えば、野生型TTRアミロイド形成は、80歳超の人口の最大25%に影響を与える心筋症である老人性全身性アミロイドーシス(SSA)に関連している。TTR関連アミロイド疾患の別の例は、常染色体優性遺伝性障害家族性アミロイド多発ニューロパチー(FAP)である。
【0190】
別の態様では、抗TTR単量体抗体が提供され、抗体は、家族性アミロイド心筋症を治療するために使用される。別の遺伝性TTR凝集関連疾患である家族性アミロイド心筋症(FAC)は、うっ血性心不全及び死亡を引き起こす可能性がある。別の態様では、抗TTR単量体抗体が提供され、抗体は、TTR点変異に関連する遺伝性アミロイド疾患を治療するために使用される。
【0191】
別の態様では、抗TTR単量体抗体は、hATTR又はwtATTRを含む、ATTR-PN及びATTR-CMを治療するために使用される。
【0192】
別の実施形態では、本開示は、図3に記載の抗体と交差競合する抗体又は抗体断片を指す。
【0193】
一実施形態では、本開示は、抗体又は抗体断片を指し、当該抗体又は抗体断片は、図3の抗体の1つ以上のKabat、Chothia、IMGT、又はKabat/Chothiaを組み合わせた方法のうちのいずれかによって定義される6つのCDRを含む抗体又は抗体断片と交差競合する。
【0194】
別の実施形態では、本開示は、図3の抗体のうちの1つと同じエピトープに結合する(例えば、結合及び/又は安定化することによって)抗体又は抗体断片を指す。
【0195】
更なる実施形態では、当該抗体又はその抗原結合断片は、図3の抗体のうちのいずれか1つのKabat、Chothia、IMGT、又はKabat/Chothiaを組み合わせた方法のうちのいずれか1つによって定義される6つのCDRを含む抗体又は抗体断片のエピトープと重複する(例えば、結合及び/又は安定化することによって)エピトープに結合する。
【0196】
抗体断片
特定の態様では、本明細書に提供される抗体は、抗体断片である。
【0197】
一態様では、抗体断片は、Fab、Fab’、Fab’-SH、又はF(ab’)2断片、特にFab断片である。インタクトな抗体のパパイン消化は、重鎖及び軽鎖可変ドメインの各々(それぞれ、VH及びVL)、並びにまた、軽鎖の定常ドメイン(CL)及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片を産生する。したがって、「Fab断片」という用語は、VLドメイン及びCLドメインを含む軽鎖と、VHドメイン及びCH1ドメインを含む重鎖断片と、を含む、抗体断片を指す。「Fab’断片」は、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端における残基の付加により、Fab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有するFab’断片である。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位(2つのFab断片)及びFc領域の一部を有するF(ab’)2断片をもたらす。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、かつ増加したインビボ半減期を有するFab及びF(ab’)2断片の考察については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
【0198】
別の態様では、抗体断片は、ダイアボディ、トリアボディ、又はテトラボディである。「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404,097、WO1993/01161、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディはまた、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)に記載されている。
【0199】
更なる態様では、抗体断片は、一本鎖Fab断片である。
【0200】
「一本鎖Fab断片」又は「scFab」は、抗体重鎖可変ドメイン(VH)、抗体重鎖定常ドメイン1(CHI)、抗体軽鎖可変ドメイン(VL)、抗体軽鎖定常ドメイン(CL)及びリンカーからなるポリペプチドであり、当該抗体ドメイン及び当該リンカーは、N末端からC末端方向に以下の順で、a)VH-CHl-リンカー-VL-CL、b)VL-CL-リンカー-VH-CHl、c)VH-CL-リンカー-VL-CH1、又はd)VL-CHl-リンカー-VH-CLのうちの1つを有する。特に、当該リンカーは、少なくとも30個のアミノ酸、好ましくは32~50個のアミノ酸のポリペプチドである。当該一本鎖Fab断片は、CLドメインとCHIドメインとの間の天然のジスルフィド結合を介して安定化される。加えて、これらの一本鎖Fab断片は、システイン残基の挿入(例えば、Kabat番号付けに従う可変重鎖の44位及び可変軽鎖の100位)を介した鎖間ジスルフィド結合の生成によって更に安定化され得る。
【0201】
別の態様では、抗体断片は、一本鎖可変断片(scFv)である。「一本鎖可変断片」又は「scFv」は、リンカーによって接続された、抗体の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変ドメインの融合タンパク質である。特に、リンカーは、10~25個のアミノ酸の短いポリペプチドであり、通常、柔軟性のためにグリシンが豊富であり、また、溶解性のためにセリン又はスレオニンが豊富であり、VHのN末端とVLのC末端とを連結させることができ、その逆も可能である。このタンパク質は、定常領域の除去及びリンカーの導入にもかかわらず、元の抗体の特異性を保持している。ScFv断片の概説については、例えば、Pliickthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)を参照されたく、また、WO93/16185、並びに米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。
【0202】
別の態様では、抗体断片は、単一ドメイン抗体である。「単一ドメイン抗体」は、抗体の重鎖可変ドメインの全て若しくは一部分、又は軽鎖可変ドメインの全て若しくは一部分を含む抗体断片である。特定の態様では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.,Waltham,MA、例えば、米国特許第6,248,516B1を参照されたい)。
【0203】
抗体断片は、本明細書に記載されるように、インタクトな抗体のタンパク質消化及び組換え宿主細胞(例えば、E.coli)による組換え産生を含むが、これらに限定されない、様々な技術によって作製することができる。
【0204】
キメラ及びヒト化抗体
特定の態様では、本明細書に提供される抗体は、キメラ抗体である。特定のキメラ抗体が、例えば、米国特許第4,816,567号、及びMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855 (1984))に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又は非ヒト霊長類、例えば、サルに由来する可変領域)、及びヒト定常領域を含む。更なる例では、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のクラス又はサブクラスから変化した「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
【0205】
特定の態様では、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。
【0206】
典型的には、非ヒト抗体は、ヒトに対する免疫原性を低減させながら、親非ヒト抗体の特異性及び親和性を保持するようにヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、1つ以上の可変ドメインを含み、CDR(又はその部分)は非ヒト抗体に由来し、FR(又はその部分)はヒト抗体配列に由来する。任意選択で、ヒト化抗体はまた、ヒト定常領域の少なくとも一部分も含むであろう。いくつかの態様では、ヒト化抗体内のいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性又は親和性を復元又は改善するように、非ヒト抗体(例えば、CDR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。
【0207】
ヒト化抗体及びそれらを作製する方法は、例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)に概説されており、例えば、Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988)、Queen et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029-10033(1989)、米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号、Kashmiri et al.,Methods 36:25-34(2005)(特異性決定領域(SDR)グラフトを記載している)、Padlan,Mol.Immunol.28:489-498(1991)(「再表面化」を記載している)、DalFAcqua et al.,Methods 36:43-60(2005)(「FRシャフリング」を記載している)、並びにOsbourn et al.,Methods 36:61-68(2005)及びKlimka et al.,Br.J.Cancer, 83:252-260(2000)(FRシャフリングに対する「誘導選択」アプローチを記載している)に更に記載されている。
【0208】
ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域としては、「ベストフィット」法を使用して選択されたフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照されたい)、軽鎖又は重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992)、及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623(1993)を参照されたい)、ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域又はヒト生殖細胞系フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照されたい)、並びにFRライブラリーのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611-22618(1996)を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0209】
ヒト抗体
特定の態様では、本明細書に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野において既知である様々な技術を使用して産生することができる。ヒト抗体は一般に、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74(2001)及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450-459(2008)に記載されている。
【0210】
ヒト抗体は、抗原投与に応答して、インタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように修飾されているトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって調製することができる。そのような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置換するか、又は染色体外に存在するか、又は動物の染色体にランダムに統合されるヒト免疫グロブリン遺伝子座の全て又は一部分を含有する。そのようなトランスジェニックマウスにおいて、内因性免疫グロブリン遺伝子座は一般に、不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の概説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117-1125(2005)を参照されたい。また、例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載している米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号、HUMAB(登録商標)技術を記載しているEi.S.特許第5,770,429号、K-M MOUSE(登録商標)技術を記載しているEI.S.特許第7,041,870号、及びVELOCIMOUSE(登録商標)技術を記載している米国特許出願公開第US2007/0061900号も参照されたい)。そのような動物によって生成されたインタクトな抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって更に修飾され得る。
【0211】
ヒト抗体はまた、ハイブリドーマに基づく方法によって作製することもできる。
【0212】
ヒトモノクローナル抗体を産生するためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が、記載されている。(例えば、Kozbor J.Immunol.,133:3001(1984)、Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987)、及びBoerner et al.,J.Immunol.,147:86(1991)を参照されたい。)ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により生成されたヒト抗体はまた、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)に記載されている。追加の方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載している)、及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265-268(2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマを記載している)に記載されているものが挙げられる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)はまた、Vollmers and Brandlein,Histology and Histopathology,20(3):927-937(2005)及びVollmers and Brandlein,Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology,27(3):185-91(2005)に記載されている。
【0213】
ヒト抗体はまた、ヒト由来のファージディスプレイライブラリーから選択される可変ドメイン配列を単離することによって生成することもできる。次いで、そのような可変ドメイン配列は、所望されるヒト定常ドメインと組み合わされ得る。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技術は、以下に記載される。
【0214】
B細胞選別
ヒト抗体は、Berkeley Lights又はAbCelleraによって提供された独自のBeaconプラットフォームのような技術を使用して、マウスなどの動物からの脾臓細胞の単一細胞解離によって生成され得る。
【0215】
ライブラリー由来抗体
特定の態様では、本明細書に提供される抗体は、ライブラリーに由来する。様々な態様では、本開示の抗体は、所望される活性を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって単離される。コンビナトリアルライブラリーをスクリーニングするための方法は、例えば、Lemer et al.Nature Reviews 16:498-508(2016)に概説されている。例えば、ファージディスプレイライブラリーを生成し、所望される結合特性を有する抗体についてそのようなライブラリーをスクリーニングするための様々な方法が、当該技術分野において既知である。そのような方法は、例えば、Frenzel et al.mAbs 8:1177-1194(2016)、Bazan et al.Human Vaccines and Immunotherapeutics 8:1817-1828(2012)及びZhao et al.Critical Reviews in Biotechnology 36:276-289(2016)、並びにHoogenboom et al.Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)、及びMarks and Bradbury Methods in Molecular Biology 248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)に概説されている。
【0216】
特定のファージディスプレイ法において、VH及びVL遺伝子のレパートリーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別個にクローニングされ、ファージライブラリー内でランダムに組換えられ、これは次いで、Winter et al.Annual Review of Immunology 12:433-455(1994)に記載されているように、抗原結合ファージについてスクリーニングされ得る。ファージは、典型的には、抗体断片を一本鎖Fv(scFv)断片又はFab断片のいずれかとして提示する。免疫化源由来のライブラリーは、ハイブリドーマの構築を必要とすることなく、免疫原に高親和性抗体を提供する。あるいは、Griffiths et al.EMBO Journal 12:725-734(1993)に記載されるように、ナイーブレパートリーは、(例えば、ヒトから)クローニングされて、いかなる免疫化もなく、広範囲の非自己抗原及びまた自己抗原に対する抗体の単一源を提供することができる。更に、ナイーブライブラリーはまた、Hoogenboom and Winter Journal of Molecular Biology 227:381-388(1992)に記載されているように、幹細胞から再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含有するPCRプライマーを使用して高度に可変のCDR3領域をコードし、インビトロで再配列を達成することによって、合成的に作製することができる。ヒト抗体ファージライブラリーを記載している特許公報としては、例えば、米国特許第5,750,373号、同第7,985,840号、同第7,785,903号、及び同第8,679,490号、並びに米国特許公開第2005/0079574号、同第2007/0117126号、同第2007/0237764号、及び同第2007/0292936号が挙げられる。
【0217】
所望される活性(複数可)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングするための当該技術分野において既知の方法の更なる例としては、リボソーム及びmRNAディスプレイ、並びに細菌、哺乳動物細胞、昆虫細胞又は酵母細胞に対する抗体ディスプレイ及び選択のための方法が挙げられる。酵母表面ディスプレイのための方法は、例えば、Scholler et al.Methods in Molecular Biology 503:135-56(2012)、及びCherf et al.Methods in Molecular biology 1319:155-175(2015)、並びにZhao et al.Methods in Molecular Biology 889:73-84(2012)に概説されている。リボソームディスプレイのための方法は、例えば、He et al.Nucleic Acids Research 25:5132-5134(1997)、及びHanes et al.PNAS 94:4937-4942(1997)に記載されている。
【0218】
ヒト抗体ライブラリーから単離された抗体又は抗体断片は、本明細書においてヒト抗体又はヒト抗体断片とみなされる。
【0219】
抗体バリアント
特定の態様では、本明細書に提供される抗体のアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、いくつかの態様では、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を変更することが望ましい。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適切な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって調製することができる。そのような修飾としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又はそこへの挿入、及び/又はその置換が挙げられる。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせを行って、最終構築物に到達することができるが、但し、最終構築物が所望される特性、例えば、抗原結合を有することを条件とする。a)置換。挿入、及び欠失バリアント
【0220】
特定の態様では、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体バリアントが提供される。置換型変異誘発のための目的の部位としては、CDR及びFRが挙げられる。保存的置換は、表7において、「好ましい置換」の見出しの下に示される。より実質的な変化は、表7において、「例示的な置換」の見出しの下に提供され、アミノ酸側鎖クラスに関連して以下に更に記載される通りである。アミノ酸置換が目的の抗体に導入され、産生物が、所望される活性、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の減少についてスクリーニングされ得る。
【表7】
【0221】
アミノ酸は、様々な態様では、一般的な側鎖特性に従って分類される。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、lie、
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gin、
(3)酸性:Asp、Glu、
(4)塩基性:His、Lys、Arg、
(5)鎖配向に影響を与える残基:Gly、Pro、及び
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0222】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーと別のクラスのメンバーとの交換を伴う。
【0223】
ある種類の置換型バリアントは、親抗体(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することを伴う。一般に、更なる研究のために選択される結果として生じるバリアントは、親抗体と比較して特定の生物学的特性(例えば、親和性の増加、免疫原性の低減)の修飾(例えば、改善)を有し、かつ/又は実質的に保持された親抗体の特定の生物学的特性を有する。例示的な置換型バリアントは、例えば、本明細書に記載されるものなどのファージディスプレイに基づく親和性成熟技術を使用して好都合に生成され得る、親和性成熟抗体である。簡潔には、1つ以上である。CDR残基が変異され、バリアント抗体がファージ上に提示され、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。改変(例えば、置換)がCDR内で行われて、例えば、抗体親和性を改善することができる。そのような改変は、CDR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照されたい)、及び/又は抗原と接触する残基に対して行われ得、得られたバリアントVH又はVLは、結合親和性について試験される。二次ライブラリーを構築し、それから再選択することによる親和性成熟が、例えば、Hoogenboom et al.Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの態様では、多様な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャフリング、又はオリゴヌクレオチド指向性変異誘発)のいずれかによって、成熟のために選択される可変遺伝子に多様性が導入される。次いで、二次ライブラリーが作製される。次いで、このライブラリーをスクリーニングして、所望の親和性を有する任意の抗体バリアントを特定する。多様性を導入するための別の方法は、いくつかのCDR残基(例えば、一度に4~6残基)をランダム化する、CDR指向性アプローチを含む。抗原結合に関与するCDR残基は、例えば、アラニンスキャニング変異誘発又はモデリングを使用して、特異的に特定され得る。特にCDR-H3及びCDR-L3が標的とされることが多い。
【0224】
特定の態様では、置換、挿入、又は欠失は、そのような改変が抗体の抗原に結合する能力を実質的に低減させない限り、1つ以上のCDR内で生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に低減させない保存的改変(例えば、本明細書で提供されるような保存的置換)は、CDRで行われ得る。そのような改変は、例えば、CDR内の抗原接触残基の外側であってもよい。上記に提供される特定のバリアントVH及びVL配列において、各CDRは、改変されていないか、又は1つ、2つ若しくは3つ以下のアミノ酸置換を含むかのいずれかである。
【0225】
変異誘発のために標的とすることができる抗体の残基又は領域を特定するための有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081-1085に記載されているように「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、残基又は標的残基(例えば、arg、asp、his、lys、及びgluなどの荷電残基)のグループを特定し、中性又は負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)で置換して、抗体と抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定する。更なる置換が、初期置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置に導入されてもよい。代替的に、又は追加的に、抗原-抗体複合体の結晶構造を使用して、抗体と抗原との間の接触点を特定することができる。そのような接触残基及び隣接残基は、置換の候補として標的とされ得るか、又は除去され得る。バリアントは、所望の特性を有するか否かを判定するためにスクリーニングされ得る。アミノ酸配列挿入物には、1個の残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端融合体、並びに単一又は多数のアミノ酸残基の配列内挿入物が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入バリアントとしては、酵素(例えば、ADEPT(抗体指向性酵素プロドラッグ療法)のための)又は抗体の血清半減期を増大させるポリペプチドに対する抗体のN末端又はC末端への融合が挙げられる。
【0226】
特定の態様では、本明細書に提供される抗体を改変して、抗体のグリコシル化の程度を増加又は減少させる。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が作製されるか、又は除去されるようにアミノ酸配列を改変させることにより好都合に達成され得る。
【0227】
抗体がFc領域を含む場合、Fc領域に結合したオリゴ糖を改変することができる。哺乳動物細胞によって産生される天然抗体は、典型的には、N結合によってFc領域のCH2ドメインのAsn297に一般に結合される分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH 15:26-32 (1997)を参照されたい。オリゴ糖は、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、並びに二分岐オリゴ糖構造の「ステム」のGlcNAcに結合したフコースを含み得る。いくつかの態様では、特定の改善された特性を有する抗体バリアントを作製するために、本開示の抗体中のオリゴ糖に修飾を加える。
【0228】
一態様では、非フコシル化オリゴ糖、すなわち、Fc領域に付着した(直接又は間接的に)フコースを欠くオリゴ糖構造を有する抗体バリアントが提供される。このような非フコシル化オリゴ糖(「アフコシル化」オリゴ糖とも呼ばれる)は特に、二分岐オリゴ糖構造のステムの第1のGlcNAcに結合したフコース残基を欠く、N結合オリゴ糖である。一態様では、天然抗体又は親抗体と比較して、Fc領域における非フコシル化オリゴ糖の割合が増加した抗体バリアントが提供される。例えば、非フコシル化オリゴ糖の割合は、少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、少なくとも約80%、又は更に約100%(すなわち、フコシル化オリゴ糖が存在しない)であってもよい。非フコシル化オリゴ糖の割合は、例えば、WO2006/082515に記載されているように、MALDI-TOF質量分析法により測定された、Asn297に結合した全てのオリゴ糖の合計(例えば、複合体、ハイブリッド、及びハイマンノース構造)に対する、フコース残基を欠くオリゴ糖の(平均)量である。Asn297とは、Fc領域の約297位に位置するアスパラギン残基を指す(Fc領域残基のEU番号付け)が、Asn297は、抗体のマイナーな配列変化のために、297位の上流又は下流、すなわち、294位と300位との間の約±3個のアミノ酸にも位置し得る。Fc領域における非フコシル化オリゴ糖の割合が増加した、このような抗体は、改善されたFcγRIIIa受容体結合、及び/又は改善されたエフェクター機能を有することができる。例えば、US2003/0157108、US2004/0093621を参照されたい。
【0229】
フコシル化が低減した抗体を産生することができる細胞株の例としては、タンパク質フコシル化が欠損したLecl3 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986)、US2003/0157108、及びWO2004/056312、特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、例えば、アルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614-622(2004)、Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680-688(2006)、及びWO2003/085107を参照されたい)、又はGDP-フコース合成若しくは輸送体タンパク質の活性が低減若しくは消失した細胞(例えば、US2004259150、US2005031613、US2004132140、US2004110282を参照されたい)が挙げられる。
【0230】
更なる態様では、抗体バリアントには、例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcにより二分されているバイセクト型(bisected)オリゴ糖が提供される。そのような抗体バリアントは、上記の通り、低減したフコシル化及び/又は改善されたADCC機能を有することができる。そのような抗体バリアントの例は、例えば、Umana et al.,Nat Biotechnol 17,176-180(1999)、Ferrara et al.,Biotechn Bioeng 93,851-861(2006)、WO99/54342、WO2004/065540、WO2003/011878に記載されている。
【0231】
Fc領域に結合したオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体バリアントも提供される。そのような抗体バリアントは、改善されたCDC機能を有することができる。そのような抗体バリアントは、例えば、WO1997/30087、WO1998/58964、及びWO1999/22764に記載されている。
【0232】
特定の態様では、1つ以上のアミノ酸修飾は、本明細書に提供される抗体のFc領域に導入され、それにより、Fc領域バリアントを生成する。Fc領域バリアントは、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgGi、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0233】
特定の態様では、本開示は、全てではないがいくつかのエフェクター機能を有し、これにより、インビボでの抗体の半減期が重要でありながら、特定のエフェクター機能(補体依存性細胞傷害(CDC)及び抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)など)が不必要又は有害である用途に対して望ましい候補となる抗体バリアントを企図する。インビトロ及び/又はインビボ細胞傷害性アッセイを行って、CDC及び/又はADCC活性の低減/欠乏を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを行って、抗体がFcγR結合を欠く(そのため、ADCC活性を欠く可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持することを確認することができる。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現するのに対して、単球は、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIFを発現し、造血細胞上のFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)の464頁の表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.et al.Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 83:7059-7063(1986)を参照されたい)、及びHellstrom,I et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82:1499-1502(1985);5,821,337(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照されたい)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法が用いられ得る(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Cell Technology,Inc.Mountain View,CA、及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega、Madison,WI)を参照されたい。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞を含む。代替的又は追加的に、目的の分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652-656(1998)に開示されているような動物モデルにおいて評価され得る。また、Clq結合アッセイを実行して、抗体がClqに結合することができず、したがってCDC活性を欠くことを確認することができる。例えば、WO2006/029879及びWO2005/100402における、Clq及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行うことができる(例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)、Cragg,M.S.et al.,Blood 101:1045-1052(2003)、及びCragg,M.S.and M.J.Glennie,Blood 103:2738-2743(2004)を参照されたい)。FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期の決定は、様々な態様では、当該技術分野で既知の方法を使用して行うことができる(例えば、Petkova,S.B.et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006)、WO2013/120929 A1を参照されたい)。
【0234】
エフェクター機能が低減した抗体としては、Fc領域の残基238、265、269、270、297、327及び329のうちの1つ以上の置換を含むものが挙げられる(米国特許第6,737,056号)。このようなFc変異体としては、残基265及び297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体(米国特許第7,332,581号)を含む、アミノ酸265位、269位、270位、297位及び327位のうちの2つ以上に置換を有するFc変異体が挙げられる。
【0235】
FcRに対する結合が改善又は減少した特定の抗体バリアントが記載されている。(例えば、米国特許第6,737,056号、WO2004/056312、及びShields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照されたい。)特定の態様では、抗体バリアントは、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298位、333位、及び/又は334位(残基のEU番号付け)での置換を有するFc領域を含む。
【0236】
特定の態様では、抗体バリアントは、FcγR結合を減少させる1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の234位及び235位(残基のEU番号付け)での置換を有するFc領域を含む。一態様では、置換は、L234A及びL235A(LALA)である。特定の態様では、抗体バリアントは、ヒトIgGi Fc領域に由来するFc領域に、D265A及び/又はP329Gを更に含む。一態様では、置換は、ヒトIgGi Fc領域に由来するFc領域における、L234A、L235A、及びP329G(LALA-PG)である。(例えば、WO2012/130831を参照されたい)。別の態様では、置換は、ヒトIgGi Fc領域に由来するFc領域における、L234A、L235A、及びD265A(LALA-DA)である。
【0237】
いくつかの態様では、例えば、米国特許第6,194,551号、WO99/51642、及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)に記載されているように、Clq結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)の変化(すなわち、改善又は減少のいずれか)をもたらす改変がFc領域において行われる。
【0238】
半減期が増加し、胎児への母体IgGの移行を担う新生児型Fc受容体(FcRn)への結合が改善された抗体(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994))は、US2005/0014934(Hinton et al.)に記載されている。それらの抗体は、Fc領域とFcRnとの結合を改善する1つ以上の置換をその中に有するFc領域を含む。そのようなFcバリアントには、Fc領域残基:238、252、254、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、428又は434のうちの1つ以上に置換、例えば、Fc領域残基434の置換を有するものが含まれる(例えば、米国特許第7,371,826号、DalfAcqua,W.F.,et al.J.Biol.Chem.281(2006)23514-23524を参照されたい)。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される抗体は、M428L及びN434S(「LS」)などの置換M428L及び/又はN434Sを含む。
【0239】
マウスFc-マウスFcRn相互作用にとって重要なFc領域残基は、部位特異的変異誘発によって特定されている(例えば、DalFAcqua,W.F.,et al.J.Immunol 169(2002)5171-5180を参照されたい)。残基1253、H310、H433、N434、及びH435(EUインデックス番号付け)が相互作用に関与する(Medesan,C.,et al.,Eur.J.Immunol.26(1996)2533、Firan,M.,et al.,Int.Immunol.13(2001)993、Kim,J.K.,et al.,Eur.J.Immunol.24(1994)542)。残基1253、H310、及びH435が、ヒトFcとマウスFcRnとの相互作用に重要であることが見出された(Kim,J.K.,et al.,Eur.J.Immunol.29(1999)2819)。ヒトFc-ヒトFcRn複合体の研究では、残基1253、S254、H435、及びY436が相互作用に重要であることが示されている(Firan,M.,et al.,Int.Immunol.13(2001)993、Shields,R.L.,et al.,J.Biol.Chem.276(2001)6591-6604)。Yeung,Y.A.,et al.(J.Immunol.182(2009)7667-7671)では、残基248~259、及び301~317、及び376~382、及び424~437の様々な変異型が報告され、調査されている。
【0240】
特定の態様では、抗体バリアントは、FcRn結合を低減させる1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の253位及び/若しくは310位、並びに/又は435位(残基のEU番号付け)に置換を有するFc領域を含む。特定の態様では、抗体バリアントは、253位、310位及び435位にアミノ酸置換を有するFc領域を含む。一態様では、置換は、ヒトIgGl Fc領域に由来するFc領域内の1253A、H310A及びH435Aである。例えば、Grevys,A.,et al.,J.Immunol.194(2015)5497-5508を参照されたい。
【0241】
特定の態様では、抗体バリアントは、FcRn結合を低減させる1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の310位及び/若しくは433位、並びに/又は436位(残基のEU番号付け)に置換を有するFc領域を含む。特定の態様では、抗体バリアントは、310位、433位及び436位にアミノ酸置換を有するFc領域を含む。一態様では、置換は、ヒトIgGl Fc領域に由来するFc領域における、H310A、H433A及びY436Aである。(例えば、WO2014/177460A1を参照されたい)。
【0242】
特定の態様では、抗体バリアントは、FcRn結合を増加させる1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の252位及び/若しくは254位、並びに/又は256位(残基のEU番号付け)に置換を有するFc領域を含む。特定の態様では、抗体バリアントは、252位、254位及び256位にアミノ酸置換を有するFc領域を含む。一態様では、置換は、ヒトIgGi Fc領域に由来するFc領域内のM252Y、S254T及びT256Eである。Fc領域バリアントの他の例に関しては、Duncan & Winter,Nature 322:738-40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、及びWO94/29351も参照されたい。
【0243】
本明細書で報告されるような抗体の重鎖のC末端は、アミノ酸残基PGKで終わる完全なC末端であり得る。重鎖のC末端は、C末端アミノ酸残基のうちの1つ又は2つが除去された、短縮されたC末端であり得る。1つの好ましい態様では、重鎖のC末端は、短縮されたC末端で終わるPGである。本明細書に報告されるような全ての態様のうちの一態様では、本明細書に明記されるようなC末端のCH3ドメインを含む重鎖を含む抗体は、C末端グリシン-リシンジペプチドを含む(G446及びK447、アミノ酸位置のEUインデックス番号付け)。本明細書に報告されるような全ての態様のうちの一態様では、本明細書に明記されるようなC末端のCH3ドメインを含む重鎖を含む抗体は、C末端グリシン残基(G446、アミノ酸位置のEUインデックス番号付け)を含む。d)システイン操作抗体バリアント
【0244】
特定の態様では、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基によって置換されている、システイン操作抗体、例えば、THIOMAB(商標)抗体を作製することが望ましい。特定の態様では、置換された残基は、抗体の接近可能部位で生じる。これらの残基をシステインで置換することによって、反応性チオール基が抗体の接近可能部位に配置され、本明細書で更に説明されるように、薬物部分又はリンカー-薬物部分などの他の部分に抗体をコンジュゲートさせて免疫コンジュゲートを作製するために使用することができる。様々な態様では、システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号、同第8,309,300号、同第7,855,275号、若しくは同第9,000,130号、又はWO2016040856に記載されているように生成される。
【0245】
抗体誘導体
特定の態様では、本明細書に提供される抗体は、当該技術分野で既知であり、容易に入手可能な追加の非タンパク質性部分を含有するように更に修飾することができる。
【0246】
抗体の誘導体化に好適な部分としては、水溶性ポリマーが挙げられるが、これに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレン(proly propylene)オキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造時に有利であり得る。ポリマーは、様々な態様では、任意の分子量のものであり、様々な態様では、分岐状又は非分岐状である。抗体に結合したポリマーの数は異なり得、2つ以上のポリマーが結合している場合、それらは、同じ分子又は異なる分子であり得る。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又は種類は、改善される抗体の特定の特性又は機能、抗体誘導体が定義される条件下で療法において使用されるかどうかなどを含むが、これらに限定されない考慮事項に基づいて決定することができる。
【0247】
組換え方法及び組成物
抗体は、例えば、US4,816,567に記載される組換え方法及び組成物を使用して産生され得る。これらの方法では、抗体をコードする1つ以上の単離された核酸が提供される。
【0248】
天然抗体又は天然抗体断片の場合、2つの核酸が必要であり、1つは軽鎖又はその断片のためのものであり、1つは重鎖又はその断片のためのものである。そのような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/又は抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/又は重鎖)をコードする。これらの核酸は、同じ発現ベクター上又は異なる発現ベクター上にあることができる。
【0249】
そのような核酸は、抗体の第1のヘテロ単量体Fc領域を含む、第1のVLを含むアミノ酸配列及び/若しくは第1のVHを含むアミノ酸配列、並びに/又は第2のヘテロ単量体Fc領域を含む、第2のVLを含むアミノ酸配列及び/若しくは第2のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の第1の軽鎖及び/若しくは第2の軽鎖、並びに/又は第1の重鎖及び/若しくは第2の重鎖)をコードする。これらの核酸は、同じ発現ベクター上又は異なる発現ベクター上にあることができ、通常、これらの核酸は、2つ又は3つの発現ベクター上に位置し、すなわち、1つのベクターは、これらの核酸のうちの1つより多くを含むことができる。例えば、ヘテロ単量体重鎖の1つは、EUインデックス番号付けに従って、いわゆる「ノブ変異」(T366W、及び任意選択で、S354C又はY349Cのうち1つ)を含み、他方は、いわゆる「ホール変異」(T366S、L368A及びY407V、並びに任意選択で、Y349C又はS354C)を含む(例えば、Carter,P.et al.,Immunotechnol.2(1996)73を参照されたい)。
【0250】
一態様では、本明細書に報告されるような方法で使用される抗体をコードする単離された核酸が提供される。
【0251】
一態様では、抗体を作製する方法が提供され、その方法は、上記に提供されるように、抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体の発現に好適な条件下で培養することと、任意選択で、抗体を宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から回収することと、を含む。
【0252】
抗体の組換え産生の場合、例えば、上記のように、抗体をコードする核酸が単離され、更なるクローニング及び/又は宿主細胞内での発現のために1つ以上のベクターに挿入される。様々な態様では、このような核酸は、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離及び配列決定されるか、又は組換え法によって産生されるか、又は化学合成によって得られる。
【0253】
抗体をコードするベクターのクローニング又は発現のための好適な宿主細胞には、本明細書に記載される原核細胞又は真核細胞が含まれる。例えば、様々な態様では、抗体は、特に、グリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされていない場合には、細菌中で産生される。細菌中の抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、US5,648,237、US5,789,199、及びUS5,840,523を参照されたい。(また、E.coliにおける抗体断片の発現を記載している、Charlton,K.A.,Methods in Molecular Biology,Vol.248,Lo,B.K.C..(ed.),Humana Press,Totowa,NJ(2003),pp.245-254も参照されたい。)発現後、抗体は、様々な態様では、可溶性画分中の細菌細胞ペーストから単離され、更に精製され得る。
【0254】
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母などの真核微生物は、抗体をコードするベクターに好適なクローニング又は発現宿主であり、グリコシル化経路が「ヒト化」された真菌及び酵母株を含み、部分的又は完全にヒトのグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす。Gerngross,T.U.,Nat.Biotech.22(2004)1409-1414、及びLi,H.et al.,Nat.Biotech.24(2006)210-215を参照されたい。
【0255】
(グリコシル化)抗体の発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物及び昆虫細胞が挙げられる。様々な態様では、多くのバキュロウイルス株が特定されており、特に、Spodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために、昆虫細胞と組み合わせて使用される。
【0256】
植物細胞培養物も、宿主として利用することができる。例えば、US5,959,177、US6,040,498、US6,420,548、US7,125,978、及びUS6,417,429(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIESTM技術を記載している)を参照されたい。
【0257】
脊椎動物細胞もまた、宿主として使用することができる。例えば、懸濁液中で増殖するように適合されている哺乳動物細胞株は、有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7)、ヒト胚腎臓株(例えば、Graham,F.L.et al.,J.Gen Virol.36(1977)59-74に記載されているような293又は293T細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,J.P.,Biol.Reprod.23(1980)243-252に記載されているようなTM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト子宮頸がん細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK、バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝臓細胞(Hep G2)、マウス乳腺腫瘍(MMT 060562)、TRI細胞(例えば、Mather,J.P.et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383(1982)44-68に記載されている)、MRC5細胞、及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、DHFR-CHO細胞を含む、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub,G.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77(1980)4216-4220)、並びに骨髄腫細胞株、例えば、Y0、NS0及びSp2/0が挙げられる。抗体産生に好適な特定の哺乳動物宿主細胞の概説については、例えば、Yazaki,P.and Wu,A.M.,Methods in Molecular Biology,Vol.248,Lo,B.K.C.(ed.),Humana Press,Totowa,NJ(2004),pp.255-268を参照されたい。
【0258】
一態様では、宿主細胞は、真核生物、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はリンパ球細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。
【0259】
アッセイ
様々な態様では、本明細書に提供される抗TTR抗体は、それらの物理的/化学的特性及び/又は生物活性について、当該技術分野で既知の様々なアッセイによって、特定されるか、スクリーニングされるか、又は特徴付けられる。
【0260】
1. 結合アッセイ及び他のアッセイ
一態様では、本発明の抗体は、例えば、ELISA、ウェスタンブロットなどの既知の方法によって、その抗原結合活性について試験される。
【0261】
別の態様では、競合アッセイを使用して、TTRへの結合に関して、Ab1などの本明細書に提供される抗体と競合する抗体を特定する。特定の態様では、このような競合抗体は、Ab1により結合されるのと同じエピトープ(例えば、線形又は立体構造エピトープ)に結合する。特定の態様では、このような競合抗体は、Ab1により結合されるのと同じエピトープ(例えば、線形又は立体構造エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示の方法が、Morris(1996)“Epitope Mapping Protocols”,Methods in Molecular Biology vol.66(Humana Press,Totowa,NJ)に提供されている。
【0262】
例示的な競合アッセイにおいて、固定化抗原(例えば、TTR単量体)は、抗原に結合する第1の標識抗体(例えば、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6又はAb7)と、抗原への結合について第1の抗体と競合する能力について試験される第2の非標識抗体と、を含む、溶液中でインキュベートされる。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在し得る。対照として、固定化抗原が、第1の標識抗体を含むが、第2の非標識抗体は含まない溶液中でインキュベートされる。第1の抗体の抗原への結合を許容する条件下でのインキュベーション後、過剰な非結合抗体を除去し、固定化された抗原に関連する標識の量を測定する。固定化された抗原に関連する標識の量が、対照試料と比較して試験試料中で実質的に低減している場合、それは、第2の抗体が抗原への結合について第1の抗体と競合していることを示す。Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)を参照されたい。
【0263】
2. 活性アッセイ
TTRは、凝集体、並びに単量体、四量体、及び中間折り畳み状態を形成する。TTRの生物学的活性としては、例えば、ビタミンA(レチノール)及び全身のチロキシン輸送が挙げられ得る。TTRの有害な活性は、体内の組織内のその凝集及び沈着の形成であり、したがって、結合抗体の活性は、TTR凝集阻害である。インビボ及び/又はインビトロでそのような生物学的活性を有する抗体もまた、提供される。
【0264】
特定の態様では、本開示の抗体は、そのような生物学的活性について試験される。TTR凝集活性を決定するためのアッセイは、当該技術分野で既知であり、典型的には、蛍光インジケータ及び抗TTR抗体の存在下でTTRをインキュベートすることを含む。抗TTR抗体がTTR凝集活性を阻害するかどうかを試験するための非限定的なアッセイは、以下の通りである。TTR凝集アッセイは、染料チオフラビンThTの蛍光のシフトを監視する蛍光計において、室温で実行され得る。溶液のpHを4未満に低下させること、又はトリプシン処理を使用することを含む、TTRの凝集を開始するいくつかの方法が知られている。実施例5では、10μMの濃度のmTTRを、96ウェル蛍光プレートリーダー中のトリプシンで処理し、その凝集を経時的にThTで監視した。
【0265】
診断及び検出のための方法及び組成物
特定の態様では、本明細書に提供される抗体のうちのいずれかの1つ以上は、生体試料中の抗原の存在の検出に有用である。本明細書で使用される場合、「検出すること」という用語は、定量的又は定性的検出を包含する。特定の態様では、生体試料は、血液試料などの細胞又は組織を含む。
【0266】
一態様では、診断又は検出方法に使用するための抗体が提供される。更なる態様では、生体試料中のTTR単量体の存在を検出する方法が提供される。特定の態様では、方法は、抗体のその抗原への結合を許容する条件下で、生体試料を本明細書に記載される抗TTR抗体と接触させることと、複合体が抗体と抗原との間で形成されるかどうかを検出することと、を含む。そのような方法は、インビトロであり得るか、又はインビボで血液若しくは組織試料を使用することであり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される抗体での治療のための患者を選択する方法は、患者からの試料中のTTR種(単量体、四量体、又は凝集体など)のレベルを決定することを含む。
【0267】
特定の態様では、標識された抗TTR抗体は、任意の形態のイムノアッセイで提供される。標識としては、直接検出される標識又は部分(蛍光標識、発色団標識、電子密度の高い標識、化学発光標識、及び放射性標識など)、並びに間接的に、例えば、酵素反応又は分子相互作用により検出される酵素又はリガンドなどの部分が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な標識としては、放射性同位体32P、14C、1251、3H、及び131I、希土類キレート又はフルオレセイン及びその誘導体などのフルオロフォア、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルセリフェラーゼ、例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、b-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖オキシダーゼ、例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼなどの複素環式オキシダーゼを、HRP、ラクトペルオキシダーゼ、又はミクロペルオキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定したフリーラジカルなどの色素前駆体を酸化するために過酸化水素を利用する酵素と結合したものなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0268】
捕捉のためのもの、及び検出のための別のものなどの、抗TTR単量体抗体の組み合わせでの使用は、効果的な診断であり得る。Quanterixは、結合の超高感度検出のために、何千もの単一タンパク質分子を同時に検出するためのアプローチを開発した。従来のELISAと同じ試薬を利用して、この方法を使用して、様々な異なるマトリックス(血清、血清/血漿、脳脊髄液、尿、細胞抽出物など)中のタンパク質をフェムトモル(fg/ml)濃度で測定し、感度を約1000倍向上させた。このアプローチは、単一酵素分子を単離及び検出することができる単一分子アレイ(Simoa(商標))と呼ばれるフェムトリットルサイズの反応チャンバのアレイを利用する。アレイの体積は、従来のELISAよりも約20億倍小さいため、標識されたタンパク質が存在する場合、蛍光生成物の急速な蓄積が生成される。拡散が阻害されると、この高い局所濃度の生成物を容易に観察することができる。検出限界に達するために必要なものは単一の分子だけである。
【0269】
この単一分子イムノアッセイの第1のステップでは、抗体捕捉剤を、分子の希釈溶液を濃縮するために使用される常磁性ビーズ(直径2.7□m)の表面に結合させる。ビーズは、典型的には、約250,000個の結合部位を含有するため、各ビーズは、捕捉分子の「ローン(lawn)」を有すると考えることができる。ビーズは、標的分子よりも多くのビーズが存在するように、試料溶液に添加される。典型的には、500,000個のビーズを100μLの試料に添加する。非常に多くのビーズを添加するには、2つの利点がある。第1に、およそ10:1のビーズ対分子比で、標識された免疫複合体を含むビーズのパーセンテージは、ポアソン分布に従う。低濃度のタンパク質では、ポアソン分布は、各ビーズが単一の免疫複合体又はなしのいずれかを捕捉することを示す。例えば、0.1ml(60,000個の分子)中の1fMのタンパク質を捕捉し、500,000個のビーズ上で標識すると、ビーズの12%が1つのタンパク質分子を担持し、88%がタンパク質分子を1つも担持しない。第2に、非常に多くのビーズが溶液中にある場合、ビーズからビーズまでの距離は小さいので、全ての分子が1分未満でビーズに遭遇する。標的分析物分子、更には大きなタンパク質の拡散は、理論上全ての分子が複数のビーズとすぐに複数の衝突を有するべきであるような、時間スケールで発生する。このように、固定された捕捉表面への遅い結合が回避され、結合の効率が劇的に増加する。次いで、ビーズを洗浄して非特異的に結合したタンパク質を除去し、ビオチン化検出抗体とインキュベートし、次いで、β-ガラクトシダーゼ標識ストレプトアビジンとインキュベートする。このように、単一のタンパク質分子を捕捉した各ビーズを酵素で標識する。分子を捕捉しないビーズは、標識がないままである。
【0270】
アンサンブル読み出しの代わりに、ビーズは、ウェル当たり1つ以下のビーズ(4.25μmの幅、3.25□mの深さ)を保持するようにサイズ設定された216,000フェムトリットルサイズのウェルのアレイに負荷される。ビーズは、基質の存在下で添加され、その後、ウェルは、油で密封され、画像化される。Simoaは、個々の酵素によって生成されるフルオロフォアを非常に小さい体積(約40fL)に制限することによって、非常に低い濃度の酵素標識の検出を可能にし、蛍光生成物分子の高い局所濃度を確実にする。標的分析物が捕捉された場合(免疫複合体が形成された場合)、基質は捕捉された酵素標識によって蛍光生成物に変換される。ビーズを含むウェルの総数に対する、酵素標識を有するビーズを含むウェルの数の比は、試料中の分析物濃度に対応する。アレイの2つの蛍光画像を取得することによって、シグナルの増加を実証し、それによって真の免疫複合体の存在を確認することが可能であり、単一の酵素分子に関連するビーズ(「オン」ウェル)は、酵素に関連しないビーズ(「オフ」ウェル)と区別することができる。試験試料中のタンパク質濃度は、ビーズ及び蛍光生成物の両方を含有するウェルの数を、ビーズを含有するウェルの総数と比較してカウントすることによって決定される。Simoaは、全アナログシグナルを使用するのではなく、濃度をデジタルで決定することを可能にするため、単一の免疫複合体を検出するこのアプローチは、デジタルELISAと呼ばれている。従来のELISAよりもはるかに低い濃度のタンパク質を測定するデジタルELISAの能力は、2つの効果に由来する:(i)Simoaの酵素標識に対する高感度、及び(ii)タンパク質の検出をデジタル化することによって達成することができる低バックグラウンドシグナル。所与の親和性の抗体については、イムノアッセイの感度は、アッセイのバックグラウンドによって決定される。高い標識感度及び低下した標識濃度は、捕捉表面への非特異的結合を低減するのに役立ち、はるかに低いバックグラウンドシグナルをもたらす。
【0271】
薬学的組成物
更なる態様では、本開示は、例えば、本明細書に記載の治療方法に使用するため、又は医薬に使用するための、本明細書に提供される抗体のいずれかを含む、組成物を提供する。一態様では、組成物は、本明細書に提供される抗体のいずれかと、薬学的に許容される担体と、を含む。したがって、いくつかの態様では、本開示の組成物は、薬学的組成物である。別の態様では、薬学的組成物は、本明細書に提供される抗体のいずれかと、例えば、本明細書以下に記載される少なくとも1つの追加の治療剤と、を含む。
【0272】
本明細書に記載される抗TTR抗体を含む組成物又は薬学的組成物は、所望の程度の純度を有するそのような抗体(複数可)を1つ以上の任意選択の薬学的に許容される担体{Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と混合することによって、凍結乾燥組成物又は水溶液の形態で調製される。薬学的に許容される担体は、一般的に、用いられる投薬量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、ヒスチジン、ホスファート、シトラート、アセタート及び他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル若しくはベンジルアルコール;メチル若しくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン若しくはリシンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース若しくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース若しくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)、並びに/又はポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含むが、これらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体には、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Halozyme,Inc.)などのヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質などの間質性薬物分散剤が更に含まれる。rHuPH20を含む、特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載されている。一態様では、sHASEGPは、1つ以上の更なるグリコサミノグリカナーゼ、例えば、コンドロイチナーゼと組み合わされる。
【0273】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される抗体(複数可)は、皮下投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される抗体(複数可)は、静脈内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される抗体(複数可)は、局所投与のために製剤化される。
【0274】
例示的な凍結乾燥抗体組成物は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体組成物としては、米国特許第6,171,586号及びWO2006/044908に記載のものが挙げられ、後者の組成物はヒスチジン-酢酸緩衝液を含む。
【0275】
本明細書の薬学的組成物は、治療されている特定の適応症に必要な2つ以上の有効成分、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有する有効成分も含み得る。そのような有効成分は、好適には、意図される目的に有効な量で、組み合わせで存在する。
【0276】
有効成分は、例えば、コアセルベーション技術によって、又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルにより、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロ乳濁液、ナノ粒子、及びナノカプセル)内、又はマクロ乳濁液中に取り込まれ得る。このような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0277】
徐放性の薬学的組成物を調製することができる。徐放性製剤の好適な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、これらのマトリックスは、成形物品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態にある。
【0278】
インビボ投与に使用される薬学的組成物は、一般に無菌である。無菌は、例えば、無菌濾過膜による濾過によって容易に達成され得る。
【0279】
治療方法及び投与経路
本明細書で提供される抗体のいずれも、単独又は組み合わせて治療方法に使用することができる。
【0280】
一態様では、医薬として使用するための抗TTR抗体が提供される。更なる態様では、ニューロパチー又は心筋症を引き起こすTTRアミロイドーシスの治療に使用するためのこのような抗体が提供される。特定の態様では、治療方法に使用するための抗TTR抗体が提供される。特定の態様では、本開示は、有効量の抗体(複数可)を個体に投与することを含む、心筋症又はニューロパチーを有する個体を治療する方法に使用するためのこのような抗体を提供する。1つのこのような態様では、方法は、例えば、以下に記載されるような、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つの追加の治療剤)を個体に投与することを更に含む。
【0281】
更なる態様では、本開示は、血液又は組織内のTTR折り畳み中間体のレベルの低減に使用するための抗TTR抗体を提供する。特定の態様では、本開示は、有効量の抗体(複数可)を個体に投与して、組織内のTTRの凝集を低減させることを含む、個体におけるTTR折り畳み中間体を低減させる方法に使用するための抗TTR抗体を提供する。上記の態様のいずれかに従う「個体」は、好ましくはヒトである。
【0282】
更なる態様では、本開示は、医薬の製造又は調製における抗TTR抗体の使用を提供する。一態様では、医薬は、TTRアミロイドーシスの状態を有する個体に有効量の医薬を投与することを含む、治療用である。1つのこのような態様では、方法は、例えば、以下に記載されるような、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を個体に投与することを更に含む。更なる態様では、医薬は、組織内の凝集TTRを低減させるためのものである。更なる態様では、医薬は、有効量の医薬を個体に投与して、TTR折り畳み中間体を低減させることを含む、個体の組織内の凝集TTRを低減させる方法に使用するためのものである。上記の態様のいずれかに従う「個体」は、ヒトであり得る。
【0283】
更なる態様では、本開示は、TTRアミロイドーシスを治療するための方法を提供する。一態様では、方法は、有効量の抗TTR抗体を、心臓又は末梢神経にTTRの凝集体を有する個体に投与することを含む。1つのこのような態様では、方法は、以下に記載されるような、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を個体に投与することを更に含む。
【0284】
更なる態様では、本開示は、例えば、上記の治療方法のいずれかに使用するための、本明細書に提供される抗体のいずれかを含む、薬学的組成物を提供する。一態様では、薬学的組成物は、本明細書に提供される抗体のいずれかと、薬学的に許容される担体と、を含む。別の態様では、薬学的組成物は、本明細書に提供される抗体のいずれかと、例えば、以下に記載される少なくとも1つの追加の治療剤と、を含む。
【0285】
本開示の抗体は、単独で投与され得るか、又は併用療法で使用され得る。例えば、併用療法は、本開示の抗体を投与することと、少なくとも1つの追加の治療剤(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つの追加の治療剤)を投与することと、を含む。特定の態様では、併用療法は、本開示の抗体を投与することと、少なくとも1つの追加の治療剤、例えば、TTR治療空間で知られている薬剤、「サイレンサー」又は「安定剤」を投与することと、を含む。いくつかの実施形態では、薬剤は、経口投与される。そのような薬剤としては、安定剤であるタファマディス(VYNDAMAX(商標)、Pfizer Inc.)若しくはタファミディスメグルミン(VYNDAQEL(登録商標)、Pfizer Inc.)、又はサイレンサーであるパティシラン(Onpattro(登録商標)、Alnylam)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0286】
上記に述べられるこのような併用療法は、併用投与(2つ以上の治療剤が同じ又は別個の薬学的組成物中に含まれる)、及び別個の投与を包含し、別個の投与の場合、本開示の抗体の投与は、追加の治療剤(複数可)の投与の前、それと同時、及び/又はその後に行われ得る。一態様では、本開示の抗体(複数可)の投与及び追加の治療剤の投与は、互いの約1ヶ月以内、又は約1週間、2週間、若しくは3週間以内、又は約1、2、3、4、5、若しくは6日以内に行われる。一態様では、抗体及び追加の治療剤は、治療の1日目に患者に投与される。
【0287】
本開示の抗体(及び任意の追加の治療剤)は、非経口投与、肺内投与、及び鼻腔内投与、並びに局所治療で所望される場合、病変内投与を含む、任意の好適な手段によって投与することができる。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与を含む。投薬は、任意の好適な経路によるもの、例えば、一部には、投与が短時間であるか、又は慢性的であるかに応じて、静脈内注射又は皮下注射などの注射によるものであり得る。単回投与又は様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含むが、これらに限定されない、様々な投薬スケジュールが本明細書で企図される。
【0288】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗体は、4週間毎又は毎月投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗体は、4週間毎又は毎月投与される。いくつかの実施形態では、例えば、抗体が、M428L(EU番号付け)及びN434S(EU番号付け)などの半減期延長置換を含む場合、抗体は、8週間毎に投与される。
【0289】
本開示の抗体は、良好な医療行為と一致する様式で製剤化され、投薬され、投与されるだろう。この文脈において考慮する要因としては、治療されている特定の障害、治療されている特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与のスケジューリング、及び医師に既知である他の要因が挙げられる。抗体は必然的にではなく任意選択で、問題の障害を予防又は治療するために現在使用される1つ以上の薬剤とともに製剤化される。そのような他の薬剤の有効量は、薬学的組成物中に存在する抗体の量、障害又は治療の種類、及び上記で考察される他の要因に依存する。これらは一般に、本明細書に記載されるものと同じ投薬量及び投与経路で、又は本明細書に記載される投薬量の約1~99%で、又は適切であると経験的/臨床的に決定される任意の投薬量及び任意の経路で使用される。
【0290】
疾患の予防又は治療について、本開示の抗体の適切な投薬量は(単独で、又は1つ以上の他の追加の治療剤と組み合わせて使用される場合)、治療される疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、抗体が予防目的又は治療目的で投与されるか、以前の療法、患者の病歴及び抗体への応答、並びに主治医の裁量に依存するだろう。抗体は、1回で、又は一連の治療にわたって患者に好適に投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、例えば、1回以上の別個の投与によるものであれ、連続注入によるものであれ、約1pg/kg~15mg/kg(例えば、0.1mg/kg~10mg/kg)の抗体が、患者への投与のための初回候補投薬量であり得る。1つの典型的な1日用量は、上記に言及される要因に応じて、約1pg/kg~100mg/kg以上の範囲であり得る。状態に応じて、数日間以上にわたる反復投与について、治療は一般に、疾患症状の所望される抑制が生じるまで持続されるだろう。抗体の1つの例示的な投薬量は、約0.05mg/kg~約10mg/kgの範囲内であるだろう。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、又は10mg/kg(又はこれらの任意の組み合わせ)の1回以上の用量が、患者に投与され得る。そのような用量は、断続的に、例えば、毎週又は3週間毎(例えば、患者が約2~約20回、又は例えば、約6回の用量の抗体を受容するように)投与されてもよい。より高い初回負荷用量、続いて1回以上のより低い用量が、投与されてもよい。しかしながら、他の投薬量レジメンも有用であり得る。この療法の進行は、従来の技術及びアッセイによって容易に監視される。
【0291】
製造品
本開示の別の態様では、上記の障害の治療、予防、及び/又は診断に有用な材料を含有する製造品が提供される。製造品は、容器、及び容器上の又は容器に関連するラベル又は添付文書を含む。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグなどが挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器は、それ自体によって、又は別の組成物と組み合わせて、状態の治療、予防及び/又は診断に有効である組成物を保持し、無菌アクセス口を有してもよい(例えば、容器は、静脈注射溶液バッグ又は皮下注射針によって貫通可能な栓を有するバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、本開示の抗体である。ラベル又は添付文書は、組成物が、選択した状態を治療するために使用されることを示す。更に、製造品は、(a)本開示の抗体を含む組成物を中に収容した第1の容器、及び(b)更なる細胞傷害性薬剤、又は別の治療剤を含む組成物を中に収容した第2の容器を含み得る。本開示のこの態様の製造品は、組成物を使用して、特定の状態を治療することができることを示す添付文書を更に含み得る。代替的に、又は追加的に、製造品は、薬学的に許容される緩衝液、例えば、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液を含む第2(又は第3)の容器を更に含み得る。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針及びシリンジを含む、商業的観点及び使用者の観点から望ましい他の材料を更に含み得る。
【実施例
【0292】
本開示は以下の実施例に更に記載され、これは特許請求の範囲に記載された主題の範囲を限定するものではない。
【0293】
実施例1:Hisタグ付きヒトTTR形態の調製
以下に記載される配列に示され、Jiang et al.,Biochemistry,2001,40,11442-52に記載される、2つの点変異、Phe87Met及びLeu110Metを含有するヒトトランスサイレチンの単量体形態を、抗体発見及びその後のインビトロ特性評価に使用した。E.coliでの最適な発現のために、天然ヒト遺伝子に対してコドン最適化を行った。2つの構築物を作製した。第1は、N末端プロテアーゼ切断可能な6つのヒスチジン親和性タグMGSSHHHHHHSSGLVPAGSHMGPTGTGESKCPLMVKVLDAVRGSPAINVAVHVFRKAADDTWEPFASGKTSESGELHGLTTEEEFVEGIYKVEIDTKSYWKALGISPMHEHAEVVFTANDSGPRRYTIAAMLSPYSYSTTAVVTNPKE((配列番号76);His_F87M L110M TTR)を付加した変異配列からなった。第2の構築物は、ヒスチジンタグとプロテアーゼ切断部位との間に挿入されたアミノ酸配列-GLNDIFEAQKIEWHE-(配列番号77)を付加した同じ遺伝子配列からなった。この配列、すなわち、(MHHHHHHSGMSGLNDIFEAQKIEWHEGENLYFQGMGPTGTGESKCPLMVKVLDAVRGSPAINVAVHVFRKAADDTWEPFASGKTSESGELHGLTTEEEFVEGIYKVEIDTKSYWKALGISPMHEHAEVVFTANDSGPRRYTIAAMLSPYSYSTTAVVTNPKE(配列番号78);Avi_mTTR-インビボビオチン化構築物)は、ビオチンリガーゼBirAの過剰発現によるインビボビオチン化を可能にした。これらの構築物を、pET-28a発現プラスミドにライゲーションし、次いで、BL21(DE3)発現細胞に形質転換した。BirA発現のための第2のプラスミドを、細胞内ビオチン化に適切な場合に、細胞に共形質転換した。形質転換した細胞を、OD600が0.8~1.0に達する密度まで、37℃でフラスコで増殖させた。組換えタンパク質の発現は、イソプロピルチオ-β-ガラクトシドで誘導した。培養物を約16時間インキュベートした。次に、細胞をペレット化し、精製のために保存した。
【0294】
ビオチン化は、Fairfield and Howarth[Methods Mol Biol.2015;1266:171-184.]の方法と同様に達成した。インビボビオチン化のために、ビオチンを誘導時に培養物に添加し、培養物を30℃で約16時間インキュベートした。収集した細胞を、トリス(pH8.0)、100mMのNaCl及びプロテアーゼ阻害剤からなる緩衝液中で溶解した。細胞を超音波処理によって溶解し、遠心分離して、全ての不溶性物質を除去した。細胞溶解物の可溶性画分を、固定化金属親和性クロマトグラフィーによって最初に精製した。結合したタンパク質を、30~500mMのイミダゾールの勾配で溶出した。組換えタンパク質を含有する溶出画分を濃縮し、最終精製のためにサイズ排除クロマトグラフィーカラムに適用し、25mMのトリス及び100mMのNaClの緩衝液に緩衝液交換した。組換えタンパク質を含む画分をプールし、濃縮し、液体窒素中で凍結させ、後で使用するために-80℃で保管した。
【0295】
加えて、以下の形態を、この方法によって発現させた:
TTR F87M L110M(単量体TTR、mTTR)(配列番号80)、
TTR S112I(二量体TTR、dTTR)(配列番号148)、
TTR T119M(安定化四量体TTR)(配列番号153)、
野生型TTR(wtTTR)、
TTR D38A、F87M、L110M(配列番号150)、
TTR F87M L110M V122I(配列番号151)、
TTR F87M L110M S112I(配列番号152)、
TTR V30M F87M L110M(配列番号149)、
及び上記のビオチン化形態。
【0296】
実施例2:タグ付けされていない抗ヒトTTR単量体の調製
TTR単量体を、His-AcTEVプロテアーゼを使用して、実施例1で調製したHis-ビオチン-TTR単量体からHis-ビオチンタグを切断することによって調製した。切断された単量体をフロースルーから収集し、クマシーで染色したSDS-PAGEゲル、並びにNAVIndirect及びサンドイッチELISAの両方で純度を試験した。
【0297】
15mLの円錐フラスコに、実施例1(383μMでのストック)からのHis-ビオチン-TTR単量体の3×625μLアリコートを合計12.88mg添加した。AcTEVプロテアーゼ(Invitrogen12575-015)(100μL、1,000単位)を添加し、フラスコを34℃で一晩300RPMで振盪した。約1mL/分(1滴/2秒)の流量で、HisTrap(ニッケルカラム)を使用して、切断されたHis-ビオチンタグ、あらゆる未切断のビオチン化単量体TTR、及びHis-AcTEVプロテアーゼを除去した。5CV(5mL)の結合緩衝液(25mMのトリス(pH8.0)、50μMのNaCl)でカラムを平衡化した後、切断された単量体TTR(約2mL)を添加した。カラムを5CV(5mL)溶出緩衝液(20mMのMES(pH6.8)、100mMのNaCl、0.5Mのイミダゾール)で溶出した。画分をSDS-PAGEゲル上で分析し、クマシーで染色した。切断された単量体TTRの画分を、4℃で保管した。画分を組み合わせ、濾過し(0.22mm)、UV[Nanodrop]を介して分析した。最終単量体(7.54mg)を液体窒素中で急速凍結し、-80℃で保管した。
【0298】
加えて、以下の形態のTTRを、この方法によって精製した:
TTR F87M L110M(単量体TTR、mTTR)(配列番号80)、
TTR S112I(二量体TTR、dTTR)(配列番号148)、
TTR T119M(安定化四量体TTR)(配列番号153)、
野生型TTR(wtTTR)、
TTR D38A, F87M, L110M(配列番号150)、
TTR F87M L110M V122I(配列番号151)、
TTR F87M L110M S112I(配列番号152)、
TTR V30M F87M L110M(配列番号149)、
及び上記のビオチン化形態。
【0299】
実施例3:ヒトTTRの単量体形態に結合するための抗体の生成
Abverisでの単一B細胞スクリーニングプロセスからのトランスサイレチン(TTR)の単量体形態に対する特異性を有するマウスモノクローナル抗体が発見された。ヒトTTRの単量体形態に対する抗体を、Berkeley Lights Beacon(登録商標)プラットフォームを使用して、高い結合親和性を有するクローンの選択によって生成した。抗TTR単量体抗体の単離のために、標準的な成熟パンニング戦略を、固相パンニングアプローチを使用して実行した。特に、8匹のAbveris DiversimAb(商標)マウスを、200μLの最終体積で、アジュバントで腹腔内に希釈された、実施例2からの10μgのTTR単量体を注射することによって、ヒトTTRの単量体形態で免疫化した。2~3日後に毎回、200μLの最終体積で、アジュバントで希釈された10μgの抗原を注入する新しい免疫増強を行った。2週間後、ELISAアッセイにおいて反応性のレベルを検出した。
【0300】
形質B細胞を、TTR単量体結合抗体を産生した2匹のマウスから単離した。動物を屠殺し、血液を採取し、脾臓を除去して融合を行った。B細胞をBeacon(登録商標)プラットフォーム上でスクリーニングした。B細胞を、Berkeley Lights Beacon(登録商標)プラットフォームを介して4個の14K OPTOSelectチップ上に負荷した。単一細胞配列決定により、対合したVH/VLを得た。力価陽性マウスを選択し、リンパ節及び/又は脾臓を採取した。更に、末端出血により、ポリクローナル血清を得た。41個の固有の抗体を配列決定したが、これらは、単量体結合剤であり、四量体TTRには結合しなかった。小規模抗体組換え産生により、特異性及び親和性の確認のためのクローンを得た。粗抗体上清に対するバイオレイヤー干渉法(単量体又は四量体固定化)及びELISA(単量体、ヒト血清バックグラウンドにおける単量体、四量体、ヒト血清バックグラウンドにおける四量体、単量体変異に対するペプチド)による分析により、単量体TTRに特異的な抗体を特定した。7つの抗体を精製し、バイオレイヤー干渉法及びELISAによって分析した。モノクローナルAb抗体のCDR配列を図2に提供する。
【0301】
実施例4:間接ELISAスクリーニングアッセイによる単量体TTR mAb分析
透明な384ウェルの高結合ELISAプレートをニュートラアビジンでコーティングし、一晩遮断した。ELISAの日に、プレートをロボット液体ハンドラを使用してPBS-T[PBS+0.05%Tween(登録商標)20]で洗浄した。実施例1からのビオチン化TTR形態(単量体、二量体、安定化四量体、又は野生型TTR)を添加し、インキュベートした。プレートを再びPBS-Tで洗浄し、抗体を添加し、インキュベートした。プレートを再びPBS-Tで洗浄し、HRPコンジュゲート抗種抗体(抗マウス-HRP)を添加し、インキュベートした。プレートを最後に洗浄し、TMB基質(Biolegend)を添加した。反応を停止するために、リン酸溶液(1M)を添加した。プレートを、2つの吸光度波長(450nm及び570nm)で読み取った。EC50を計算し、表8に提供する。全てのmAbは、抗原のNAVでコーティングされたプレート捕捉を使用する間接ELISAにおいて単量体特異的に出現した。図3A~C及び4A~Cを参照されたい。
【表8】
【0302】
実施例5:mAb用量反応を伴う単量体TTR凝集アッセイ
実験の前に、抗単量体TTR mAb(Ab1)をPBS中に透析した。次いで、抗mTTR mAbを96ウェルプレート中のPBS中で連続的に希釈した。チオフラビンT(ThT)を50μMの最終濃度まで添加し、アジ化ナトリウムを0.01%の最終濃度まで添加した。組換えmTTRタンパク質を、PBS中の非常に短いトリプシン消化によって調製した。フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)の添加によってトリプシン消化を停止させた。トリプシン処理したmTTRを、10μMの最終濃度で200μLの最終体積まで96ウェルプレートに添加した。96ウェルプレートを密封し、ThT蛍光シグナル(442nm ex.、485nm em.)をTecan GENios蛍光リーダーにおいて37℃で5日間監視し、測定間に連続的に振盪した。図1を参照されたい。mTTR凝集の阻害を、0.19μMを超える濃度で観察した。
【0303】
実施例6:mAB TTR抗体のヒト化
様々なヒト化技術により、mAb 1及び2を最適化した。例えば、マウス可変/hIgG4キメラ配列を最初に調製した。その後、ヒト化CDR+LV(HC)、CDRX+LV、S(LC)を調製した。ヒト化mAb抗体の配列を図6~9、14、及び18~21に提供する。ヒト化抗体は自己凝集せず、細胞系によって大量に産生される。
【0304】
実施例7:ヒト化mAb TTR抗体は、結合効力を保持する
実施例6からの様々な抗体キメラ及び構築物を、実施例4に記載されるように、間接ELISAアッセイによって分析し、ビオチニル-mTTRをアビジンプレートに結合させた。EC50を計算し、表9に提供する。Ab1についてのヒト化構築物は、Ab1のキメラ形態と同様の親和性を示したが、IgG2形態よりも約10倍弱かった。Ab2のヒト化バージョンは、IgG2形態と同様の親和性を示した。
【表9】
【0305】
実施例8:ヒト化mAb TTR抗体は、結合特異性を保持する
実施例6に記載の様々な抗体キメラ及び構築物を、実施例4に記載の間接ELISAアッセイによって分析した。ヒト化抗体は、安定化四量体TTRよりもmTTRに対して特異性を保持した。ヒト化Ab1及びAb2の特異性は、それぞれ、図9及び10に提供される。
【0306】
実施例9:バイオレイヤー干渉法による解離定数(K)の測定
実施例2からのmAbを、独自のバイオレイヤー干渉法アッセイ[Octet RED、Forte Bio]によって、Abverisで分析した。簡潔に述べると、個々の抗マウス抗体バイオセンサーに、上清からのmIgGを負荷した。各バイオセンサーについてベースラインを測定した。次いで、抗体を負荷したバイオセンサーを、実施例2からのビオチン化単量体に結合させて、会合速度を測定した。バイオセンサーを緩衝液ウェルに移動させて、単量体解離速度を測定し、会合速度とともに解離定数(Kd)を決定した。EC50などの追加の測定のためにバイオセンサーを再生した。各バイオセンサーについてベースラインを測定した。次いで、抗体を負荷したバイオセンサーをビオチン化された安定化四量体TTR(実施例1に記載される方法と同様に作製された)に結合させて、四量体会合速度を測定した。バイオセンサーを緩衝液ウェルに移動させて、四量体解離速度を測定し、会合速度とともに解離定数(Kd)を決定した。
【0307】
バイオレイヤー干渉法により計算されたKdを表10に提供する。
【表10】
【0308】
実施例10:線形ペプチドを使用する間接ELISAによる単量体TTR mAb分析によるエピトープ結合
間接フォーマットELISAを、本開示のAbによるビオチン化ペプチドの検出に使用した。透明な384ウェルの高結合ELISAプレートをニュートラアビジンでコーティングし、一晩遮断した。プレートをロボット液体ハンドラを使用してPBS-T[PBS+0.05%Tween(登録商標)20]で洗浄した。ビオチン化線形ペプチド[GPTGTGESKCPL(R0017)(配列番号65)、MVKVLDAVRGSPA(R0010、配列番号66)、PFHEHAEVVFTA(R0011、配列番号67)、EHAEVVFTA(R0016、配列番号68)、YTIAALLS(R0012、配列番号69)、LSPYSY(R0014、配列番号70)、SYSTTAVV(R0013、配列番号71)、YTIAALLSPYSYSTTAVV(R0015、配列番号72) LGISPMHEHAE(R0023、配列番号73)、及びRRYTIAAMLSPYS(R0021、配列番号74)]を添加し、インキュベートした。プレートを、[PBS+0.05%Tween(登録商標)20]で洗浄し、抗体[Ab1]を添加し、インキュベートした。プレートを洗浄し[PBS+0.05%Tween(登録商標)20]、抗マウス-HRP抗体[Jackson ImmunoResearch]を添加し、インキュベートした。プレートを最後に洗浄し[PBS+0.05%Tween(登録商標)20]、TMB基質(Biolegend)を添加した。リン酸[1M]を上部に添加して、反応を停止させた。プレートを、2つの吸光度波長(450nm及び570nm)で読み取った。いずれのペプチドへの結合も、mTTR安定化変異[Phe87Met及びLeu110Met]を含む線形ペプチドへのいずれの結合も観察されなかった。図5を参照されたい。
【0309】
実施例11:TTRサンドイッチELISA
透明な384ウェル高結合ELISAプレートを、実施例3からの7つのマウス抗体でコーティングし、一晩インキュベートした。プレートを、ロボット液体ハンドラを使用してPBS-T[PBS+0.05%Tween(登録商標)20]で洗浄し、次いで遮断した。タグ付けされていないTTR(単量体、二量体、安定化四量体、又は野生型TTR)を添加し、インキュベートした。プレートをPBS-Tで洗浄し、HRPコンジュゲート汎TTRポリクローナル抗体(ImmunoReagents-HRP)を添加し、インキュベートした。プレートをPBS-Tで最後に洗浄し、TMB基質(Biolegend)を添加した。リン酸[1M]を上部に添加して、反応を停止させた。プレートを、2つの吸光度波長(450nm及び570nm)で読み取った。EC50を決定し、表11に含まれる。全てのmAbは、それらが単量体特異的であることを示した。図3A~C及び4A~Cを参照されたい。
【表11】
【0310】
実施例12:抗TTR単量体抗体を使用するTTR変異体の検出
本開示の抗体Ab1の様々な疾患関連変異体への結合は、実施例11及び4にそれぞれ記載されるように、サンドイッチELISA又は間接ELISAのいずれかを使用して決定した。EC50を決定し、表12~13に含まれる。図16及び17を参照されたい。
【表12】
【表13】
【0311】
実施例13:ドットブロットアッセイは、マウス及びヒト化抗TTR単量体抗体がTTR単量体に結合するが、TTR凝集体には結合しないことを示す
異なる形態のTTR(単量体及び野生型四量体TTR)及びTTR凝集体(単量体酸、WT-酸、及び単量体-トリプシン)をニトロセルロース膜に結合させた。膜を洗浄して、あらゆる非結合TTRを除去し、次いで膜を遮断した。その後、抗TTR単量体抗体を添加し、一晩インキュベートした。翌日、膜を洗浄し、抗マウス-HRPコンジュゲート抗体又は抗ヒト-HRPコンジュゲート抗体を添加し、[4℃で]インキュベートした。膜を再度洗浄し、検出のために化学発光基質[SuperSignal West Pico PLUS Chemiluminescent Substrate]を添加した。総TTRの負荷対照について、同じ膜を洗浄し、抗体を剥離し、洗浄し、遮断し、汎TTR抗体(DAKO A0002)でインキュベートした(一晩)。膜を再度洗浄し、抗ウサギ-HRPコンジュゲート抗体[Jackson ImmunoResearch]を添加し、室温でインキュベートした。膜を再度洗浄し、検出のために化学発光基質[SuperSignal West Pico PLUS Chemiluminescent Substrate]を添加した。Ab1及びヒト化Ab1をドットブロットアッセイにより分析して、WT-TTRを上回る単量体に対する特異性を測定した。結果は、Ab1が凝集TTRに結合しないことを示す。しかしながら、ヒト化Ab1は、弱酸性条件下でWT-TTRをインキュベートすることによって生成された凝集体への最小限の結合を有する。図12~13を参照されたい。
【0312】
実施例14:抗TTR単量体抗体を使用するATTR患者血漿中のTTR単量体の検出
Simoa(商標)アッセイプラットフォーム(Quanterix)を、本開示のAbによるTTRの検出に使用した。Simoa(商標)プラットフォームは、HD-X用Helper Plex/50uL RGP(HD-1用25uL RGP)を備えた3ステッププロトコルを使用する。タグ付けされていない単量体Phe78Met Leu110Met TTR形態(実施例2を参照されたい)を較正剤として使用し、Ab1を捕捉試薬として使用した。Ab1(0.2mg/mL)を、EDC(0.3mg/mL、4℃)を使用して標準的なプロトコルを使用してビーズにコンジュゲートした。Abビーズを、Homebrew Bead Diluent中で5×10ビーズ/mLに希釈した。ヘルパービーズ(15×10ビーズ/mL)を試薬に添加した。ウサギ汎TTR pAb抗体(DAKO、A0002)を検出器試薬として使用した。検出器試薬を、最終希釈前にSimoa希釈剤1中で10倍希釈した40倍のビオチン化比でビーズにコンジュゲートした。使用した検出器試薬の最終濃度は、Surmodics SM01希釈剤中で0.4ug/mLであった。ストレプトアビジンベータ-ガラクトシダーゼ(SBG)を、Simoa(商標)SBG希釈液中で300pMに希釈した。較正剤を使用した較正後、試料を、Surmodics SM01希釈液中のMRDを使用して分析した。希釈した試料の最終体積を2連で実行し、1つのウェルで250μLである。緩衝液中のTTR単量体の推定検出限界は、163pg/mL(11.7nM)であった。
【0313】
血液試料は、ATTRを有する及び有しない患者の2つのコホートから採取した。単量体TTR試料を、上記のプロトコルを使用して定量化した。試料中の単量体の量を測定し、図15に示す。
【0314】
実施例15:抗TTR単量体抗体の対を使用するTTR単量体の検出
様々な態様では、捕捉のためのもの、及び検出のための別のものなどの、抗TTR単量体抗体の組み合わせでの使用は、診断として有効である。そのような使用は、実施例14に記載されるものと同様のプロトコルを使用して行われるが、捕捉抗体及び検出抗体として抗TTR単量体抗体Ab3及びAb5の組み合わせを使用する。mAb5で捕捉し、mAb3で検出すると、緩衝液単独試料中にスパイクされた単量体と、高濃度の四量体(20μMの組換えT119M TTR又は100%ヒト血清)を含有するそれらの試料との間でほぼ完全な重複が示された。図10~11を参照されたい。
【0315】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料が本発明を実施するために使用され得るが、好適な方法及び材料が以下に記載される。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先する。加えて、材料、方法、及び実施例は、例示のみであり、限定することを意図しない。
【0316】
本開示の1つ以上の実施形態の詳細はまた、添付の図面に記載される。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかであろう。
【0317】
当業者は、本開示の実施に使用され得る、本明細書に記載されるものと類似又は同等の多くの方法及び材料を認識するであろう。実際、本開示は、記載された方法及び材料に決して限定されない。
【0318】
本開示を、特定の実施形態の観点から説明したが、当業者であればその変形及び修飾をし得ることが理解される。したがって、特許請求の範囲内に見られるようなこのような制限のみが本開示に課せられるべきである。
【0319】
本出願で参照される全ての文書は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で企図される例示的な実施形態は、以下を含む。
1. ヒトトランスサイレチン(TTR)に結合する単離された抗体であって、抗体が、
(a)サンドイッチELISAにおいて決定された場合、約200nM未満のEC50でヒトTTRに結合し、かつ/又は
(b)バイオレイヤー干渉法アッセイにおいて決定された場合、約20nM未満のKでヒトTTRに結合する、抗体。
2. ヒトTTRが、単量体形態にある、実施形態1に記載の抗体。
3. 抗体が、間接ELISAにおいて決定された場合、約20nM未満のEC50で単量体TTRに結合する、実施形態2に記載の抗体。
4. 抗体が、TTRの凝集を防止する、実施形態1~3のいずれか1つに記載の抗体。
5. 抗体が、TTRの折り畳み中間体に結合する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の抗体。
6.
(a)配列番号2~8のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号9~15のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号16~22のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号23~29のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(e)配列番号30~36のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号37~43のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む、実施形態1に記載の抗体。
7. ヒトトランスサイレチン(TTR)に結合する抗体であって、抗体が、
(a)配列番号2~8のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号9~15のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号16~22のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号23~29のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(e)配列番号30~36のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号37~43のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む、抗体。
8.
(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-H3と、
(d)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(V)と、を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の抗体。
9.
(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の抗体。
10.
(a)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の抗体。
11.
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の抗体。
12.
(a)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の抗体。
13.
(a)配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び
(c)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号42のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の抗体。
14.
(a)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(b)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-H2、
(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)と、
(d)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-L2、
(e)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び
(f)配列番号43のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の抗体。
15. モノクローナル抗体である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の抗体。
16. ヒト化抗体又はキメラ抗体である、実施形態1~15のいずれか1つに記載の抗体。
17. VHドメインが、配列番号46~49のうちのいずれか1つの配列と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、実施形態16に記載の抗体。
18. VHドメインが、配列番号46~49のうちのいずれか1つの配列を含む、実施形態16に記載の抗体。
19. VHドメインが、配列番号55~60のうちのいずれか1つの配列と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、実施形態16に記載の抗体。
20. VHドメインが、配列番号55~60のうちのいずれか1つの配列を含む、実施形態16に記載の抗体。
21. VLドメインが、配列番号51~53のうちのいずれか1つの配列と少なくとも85%の配列同一性を含む、実施形態16に記載の抗体。
22. VLドメインが、配列番号51~53のうちのいずれか1つの配列を含む、実施形態16に記載の抗体。
23. VLドメインが、配列番号62~64のうちのいずれか1つの配列と少なくとも85%の配列同一性を含む配列を含む、実施形態16に記載の抗体。
24. VLドメインが、配列番号62~64のうちのいずれか1つの配列を含む、実施形態16に記載の抗体。
25. ヒトTTRの単量体形態又は折り畳み中間体形態に結合する抗体断片である、実施形態1~24のいずれか1つに記載の抗体。
26. GPTGTGESKCPL(配列番号65)、MVKVLDAVRGSPA(配列番号66)、PFHEHAEVVFTA(配列番号67)、EHAEVVFTA(配列番号68)、YTIAALLS(配列番号69)、LSPYSY(配列番号70)、SYSTTAVV(配列番号71)、YTIAALLSPYSYSTTAVV(配列番号72)、LGISPMHEHAE(配列番号73)、及びRRYTIAAMLSPYS(配列番号74)のうちのいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するペプチドに結合しない、実施形態1~25のいずれか1つに記載の抗体。
27. 立体構造エピトープに結合する、実施形態26に記載の抗体。
28. IgG4抗体である、実施形態1~27のいずれかに記載の抗体。
29. 抗体が、サンドイッチELISAにおいて決定された場合、約150nM未満、又は約100nM未満、又は約50nM未満、又は約20nM未満のEC50でヒトTTRに結合する、実施形態1~28のいずれか1つに記載の抗体。
30. 抗体が、間接ELISAを使用して決定された場合、約20nM未満、又は約5nM未満、又は約2nM未満、又は約1nM未満のEC50でヒトTTRに結合する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の抗体。
31. ヒトTTRに特異的に結合し、かつヒトTTRへの結合について、実施形態1~30のいずれか1つに記載の抗体と競合する、抗体。
32. 実施形態1~31のいずれかに記載の抗体をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
33. 実施形態32に記載の核酸を含む、単離された宿主細胞。
34. 実施形態1~31のいずれか1つに記載の抗体を発現する、単離された宿主細胞。
35. ヒトTTRに結合する抗体を産生する方法であって、抗体の発現に好適な条件下で、実施形態33又は実施形態34に記載の宿主細胞を培養することを含む、方法。
36. 宿主細胞又は宿主細胞培養物から抗体を回収することを更に含む、実施形態35に記載の方法。
37. 実施形態35又は36に記載の方法によって産生された、抗体。
38. 実施形態1~31及び37のいずれかに記載の抗体を含む、組成物。
39. TTR凝集に関連する関連する疾患を治療するか、予防するか、又は診断する際における使用のための、実施形態1~31及び37のいずれか1つに記載の抗体、又は実施形態38に記載の組成物。
40. TTRアミロイドーシスを治療する際における使用のための、実施形態1~31及び37のいずれか1つに記載の抗体、又は実施形態38に記載の組成物。
41. TTRアミロイドーシスが、トランスサイレチンアミロイドーシス(ATTR)心筋症(ATTR-CM)又はトランスサイレチンアミロイドーシス(ATTR)多発ニューロパチー(ATTR-PN)である、実施形態40に記載の抗体。
42. 末梢TTRアミロイドーシス、眼アミロイド血管症、又は脳アミロイド血管症を治療する際における使用のための、実施形態1~31及び37のいずれか1つに記載の抗体、又は実施形態38に記載の組成物。
43. 家族性アミロイド多発ニューロパチー(AP)、家族性アミロイド心筋症(FAC)、ATTR-PN及びATTR-CM、hATTR又は野生型ATTR(wtATTR)、老人性全身性アミロイドーシス(SSA)、全身性家族性アミロイドーシス、アルツハイマー病を含む軟髄膜/中枢神経系(CNS)アミロイドーシス、TTR関連眼アミロイドーシス、TTR関連腎アミロイドーシス、TTR関連高チロキシン血症、手根管症候群を含むTTR関連靱帯アミロイドーシス、肩腱板断裂及び腰部脊椎管狭窄症、並びに子癇前症から選択される疾患を治療する際における使用のための、実施形態1~31及び37のいずれか1つに記載の抗体、又は実施形態38に記載の組成物。
44. TTRアミロイドーシスに関連する疾患を有する対象を治療する方法であって、方法が、対象に、有効量の、実施形態1~31及び37のいずれか1つに記載の抗体、又は実施形態38に記載の組成物を投与することを含む、方法。
45. 疾患が、TTRアミロイドーシスである、実施形態44に記載の方法。
46. 家族性アミロイド多発ニューロパチー(AP)、家族性アミロイド心筋症(FAC)、ATTR-PN及びATTR-CM、hATTR又は野生型ATTR(wtATTR)、老人性全身性アミロイドーシス(SSA)、全身性家族性アミロイドーシス、アルツハイマー病を含む軟髄膜/中枢神経系(CNS)アミロイドーシス、TTR関連眼アミロイドーシス、TTR関連腎アミロイドーシス、TTR関連高チロキシン血症、手根管症候群を含むTTR関連靱帯アミロイドーシス、肩腱板断裂及び腰部脊椎管狭窄症、並びに子癇前症から選択される疾患を有する対象を治療する方法であって、方法が、対象に、有効量の、実施形態1~31及び37のいずれか1つに記載の抗体、又は実施形態38に記載の組成物を投与することを含む、方法。
47. 検出可能な標識を更に含む、実施形態1~31及び37のいずれか1つに記載の抗体。
48. 試料中の単量体トランスサイレチン(TTR)を測定する方法であって、方法が、試料を、実施形態1~31、37、及び47のいずれか1つに記載の抗体と接触させることと、試料中のTTRに結合した抗体の量を測定することと、を含む、方法。
49. 測定することが、試料を二次抗体と接触させ、それによって形成された複合体を測定することを含む、実施形態48に記載の方法。
50. TTR単量体抗体Ab3及びAb5を使用することを含み、当該抗体のうちの1つを捕捉抗体として使用し、当該抗体のうちの1つを検出抗体として使用する、実施形態49に記載の方法。
51. トランスサイレチン(TTR)アミロイドーシスに関連する疾患を診断するか、又は抗TTR療法による疾患の治療を監視する方法であって、対象からの体液の試料中の単量体TTRのレベルをアッセイすることを含み、対照と比較した対象の試料中の単量体TTRの存在又は上昇したレベルが、TTRアミロイドーシスに関連する疾患の存在を示す、方法。
52. 単量体TTRが、実施形態1~31及び37のいずれか1つに記載の抗体に結合する、実施形態51に記載の方法。
53.
対象からの試料を、トランスサイレチン(TTR)アミロイドーシスを有するか、又は有すると疑われる対象からの体液の試料と接触させることと、
試料中の単量体TTRを検出又は測定することと、を含む、方法。
54. 接触させるステップが、TTR単量体抗体Ab3及びAb5から選択される接触抗体を使用する、実施形態53に記載の方法。
55. 検出又は測定するステップが、接触抗体及びTTRによって形成された複合体を、TTR単量体抗体Ab3及びAb5から選択される検出抗体と接触させることを含み、接触抗体が、検出抗体とは異なる、実施形態54に記載の方法。
56. 試料中の単量体TTRを検出又は測定することに基づいて、抗TTR療法を開始することを更に含む、実施形態53~55のいずれか1つに記載の方法。
57. 試料中の単量体TTRの測定に基づいて、抗TTR療法の用量を調整することを更に含む、実施形態53~55のいずれか1つに記載の方法。
58. 抗TTR療法が、対象に、実施形態1~31及び37のいずれか1つに記載の抗体、又は実施形態38に記載の組成物を投与することを含む、実施形態56又は57に記載の方法。
59. 組成物が、(i)薬学的組成物であり、薬学的に許容される担体、又は(ii)診断用組成物を更に含む、実施形態1~31及び37のいずれか1つに記載の抗体を含む、組成物。
60. 診断用組成物が、免疫ベース又は抗体ベースの診断方法において従来使用される試薬を更に含む、実施形態59に記載の組成物。
61. 診断方法が、TTR単量体形態を測定する、実施形態59に記載の組成物。
62. 診断方法が、Quanterixプラットフォームを使用する、実施形態59に記載の組成物。
63. 診断方法が、ウェスタンゲルである、実施形態59に記載の組成物。
64. 四量体TTR及び生理学的、細胞完全長TTR上に存在しない、F87M L110M TTRから調製された単量体TTR上の立体構造エピトープを認識する、単離された抗体。
65. V30M、D38A、及びV122Iのうちのいずれかから選択されるTTR変異を認識する、単離された抗体であって、抗体が、配列番号145~147のうちのいずれかに記載のアミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する、抗体。
66. TTR変異が、D38A及び/又はV122Iであり、抗体が、配列番号146及び/又は147に記載のアミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する、実施形態65に記載の抗体。
67. VHドメインが、図6A~6B、7、14、及び18~21(配列番号81~142)に記載の配列のうちのいずれかと少なくとも85%の配列同一性を含む、実施形態16に記載の抗体。
68. VLドメインが、図6A~6B、7、14、及び18~21(配列番号81~142)に記載の配列のうちのいずれかと少なくとも85%の配列同一性を含む、実施形態16に記載の抗体。
69. 抗体が、配列番号80及び143~147及び149~152のうちのいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する、実施形態1~31及び37のいずれか1つに記載の抗体。
70. 抗体が、配列番号80に記載のアミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する、実施形態69に記載の抗体。
71. ヒトトランスサイレチン(TTR)の単量体形態に特異的に結合する抗体を産生する細胞を産生する方法であって、方法が、
(a)TTRの単量体形態で非ヒト動物を免疫化することと、
(b)ヒトTTRの単量体形態に特異的に結合するが、野生型四量体TTR又はTTRの二量体若しくは四量体形態には結合しない抗体について、動物からの血液又は組織をスクリーニングすることと、
(c)ヒトTTRの単量体形態に特異的に結合するが、野生型四量体TTR又はTTRの二量体若しくは四量体形態には結合しない抗体を産生する動物からの細胞を特定し、単離することと、を含む、方法。
72. 抗体を産生する細胞が、動物の脾臓組織、リンパ節又は骨髄の除去によって回収される、実施形態71に記載の方法。
73. 抗体を産生する細胞が、B細胞、T細胞、又は幹細胞である、実施形態71又は72に記載の方法。
74. 動物が、マウス、ラット、モルモット、又はウサギである、実施形態71~73のいずれか1つに記載の方法。
75. 単離された細胞を不死化することを更に含む、実施形態71~74のいずれか1つに記載の方法。
76. 骨髄腫細胞への細胞の体細胞融合によって、ハイブリドーマ細胞を産生することを含む、実施形態75に記載の方法。
77. 抗体を産生する細胞を培養することを更に含む、実施形態71~76のいずれか1つに記載の方法。
78. 抗体が、配列番号80、143、及び144のうちのいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むTTRに特異的に結合する、実施形態71~77のいずれか1つに記載の方法。
79. 抗体が、GPTGTGESKCPL(配列番号65)、MVKVLDAVRGSPA(配列番号66)、PFHEHAEVVFTA(配列番号67)、EHAEVVFTA(配列番号68)、YTIAALLS(配列番号69)、LSPYSY(配列番号70)、SYSTTAVV(配列番号71)、YTIAALLSPYSYSTTAVV(配列番号72)、LGISPMHEHAE(配列番号73)、及びRRYTIAAMLSPYS(配列番号74)のうちのいずれか1つから選択される配列からなるアミノ酸配列を有するペプチドに結合しない、実施形態71~78のいずれか1つに記載の方法。
80. 動物を免疫化するために使用されるヒトTTRの単量体形態が、
配列番号80に記載のアミノ酸配列を含むTTR F87M L110M、
配列番号143に記載のアミノ酸配列を含むTTR F87M、及び
配列番号144に記載のアミノ酸配列を含むTTR L110Mのうちのいずれか1つである、実施形態71~79のいずれか1つに記載の方法。
81. 実施形態71~80のいずれか1つに記載の方法によって産生された、抗体。
82. ヒトトランスサイレチン(TTR)の単量体形態に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するための方法であって、当該方法が、
(a)非ヒト動物内に、
配列番号80に記載のアミノ酸配列を含むTTR F87M L110M、
配列番号143に記載のアミノ酸配列を含むTTR F87M、及び
配列番号144に記載のアミノ酸配列を含むTTR L110Mのうちのいずれか1つのうちの少なくとも1つを導入することと、
(b)動物から抗体を産生する細胞を回収し、これらの細胞を単一細胞懸濁液にすることと、
(c)単一細胞懸濁液から不死化細胞株を生成することと、
(d)ヒトTTRの単量体形態に特異的に結合することを有する抗体の存在について、不死化細胞株の上清をスクリーニングすることと、
(e)モノクローナル抗体として、ヒトTTRの単量体形態に特異的に結合する抗体を選択することと、を含む、方法。
83. 当該動物が、マウス、ラット、モルモット、又はウサギである、実施形態82に記載の方法。
84. 抗体を産生する細胞が、B細胞、T細胞、又は幹細胞である、実施形態82又は83に記載の方法。
85. 抗体を産生する細胞が、動物の脾臓組織、リンパ節又は骨髄の除去によって回収される、実施形態82~84のいずれか1つに記載の方法。
86. 不死化細胞株が、骨髄腫細胞への単一細胞懸濁液中の細胞の体細胞融合によって産生されたハイブリドーマ細胞株である、実施形態82~85のいずれか1つに記載の方法。
87. 実施形態82~86のいずれか1つに記載の方法によって産生された、抗体。
88.
(a)
(i)配列番号80及び143~147及び149~152から選択されるアミノ酸アミノ酸配列を有する1つ以上の単量体TTRペプチドに結合し、
(ii)配列番号153のアミノ酸配列を有する四量体ヒトTTRタンパク質に対する結合親和性を実質的に示さない、分子ペプチド又はポリペプチドについての分子のライブラリーをアッセイすることと、
(b)(i)及び(ii)の結合特性を示す分子を特定することと、
(c)(b)で特定された分子を単離するか、又は当該分子を発現する細胞を単離することと、を含む、方法。
89. (i)及び(ii)の結合特性を示し、かつ(iii)配列番号65、66、67、68、69、70、71、72、73、又は74からなるアミノ酸配列を有するペプチドに結合しない、分子を特定するためにアッセイすることを更に含む、実施形態88に記載の方法。
90. 分子が、抗体又は抗体の抗原結合断片を含む、実施形態88又は89に記載の方法。
91. 単離するステップが、(i)及び(ii)並びに任意選択で(iii)の結合特性を示す抗体を産生する細胞を単離することを含む、実施形態90に記載の方法。
92. アッセイするステップの前に、1つ以上の単量体TTRペプチドで非ヒト哺乳動物を免疫化するステップを含み、アッセイすることが、哺乳動物によって産生された抗体分子をスクリーニングすることを含む、実施形態88~91のいずれか1つに記載の方法。
93.
抗体の少なくとも相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列を決定することと、
当該CDRの当該アミノ酸配列を含むヒト化抗体配列を生成することと、
ヒト化抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を合成することと、を更に含む、実施形態88~92のいずれか1つに記載の方法。
94. ヒト化抗体配列をコードする核酸、又はヒト化抗体配列の抗原結合断片をコードする核酸を細胞にトランスフェクトすることを更に含む、実施形態93に記載の方法。
95. 抗体又は抗原結合断片を発現する条件下で細胞を培養することを更に含む、実施形態94に記載の方法。
96. (i)及び(ii)並びに任意選択で(iii)の結合特性を有すると特定された分子のコピーを合成することを更に含む、実施形態88又は89に記載の方法。
97. 実施形態95又は96に記載のプロセスによって産生された、単離された分子。
98. 実施形態97に記載の単離された分子と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【0320】
【表14-1】
【表14-2】
【表14-3】
【表14-4】
【表14-5】
【表14-6】
【表14-7】
【表14-8】
【表14-9】
【表14-10】
【表14-11】
【表14-12】
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6-1】
図6-2】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【配列表】
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【国際調査報告】