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特表2024-544926自動車用ウインドウ積層構造体、自動車用ウインドウ積層構造体における使用のための熱可塑性積層シート構造体、及びその自動車用ウインドウ積層構造体を熱圧積層プロセスによって製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】自動車用ウインドウ積層構造体、自動車用ウインドウ積層構造体における使用のための熱可塑性積層シート構造体、及びその自動車用ウインドウ積層構造体を熱圧積層プロセスによって製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20241128BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20241128BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C03C27/12 N
B32B17/10
B60J1/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527559
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 NL2022050651
(87)【国際公開番号】W WO2023085940
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】2029752
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522320453
【氏名又は名称】オートグラス ディーアンドケー ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】バルトロメウス レオナルダス マリヌス ボルチャード ドリーハイス
【テーマコード(参考)】
4F100
4G061
【Fターム(参考)】
4F100AG00A
4F100AG00E
4F100AK25B
4F100AK25D
4F100AK28B
4F100AK28D
4F100AK51C
4F100AK64B
4F100AK64D
4F100AK68B
4F100AK68D
4F100BA05
4F100BA06
4F100BA10A
4F100BA10E
4F100CA02B
4F100CA02D
4F100EJ19
4F100GB32
4F100JA05B
4F100JA05D
4F100JB16B
4F100JB16C
4F100JB16D
4F100YY00B
4F100YY00C
4F100YY00D
4G061AA31
4G061AA33
4G061BA02
4G061CB03
4G061CB16
4G061CB20
4G061CD02
4G061CD03
4G061CD18
4G061DA10
4G061DA14
4G061DA29
4G061DA30
(57)【要約】
本発明は自動車用ウインドウ積層構造体に関し、それは、平行でかつ相互に離隔された第1のガラスシート及び第2のガラスシートと、第1及び第2のガラスシート間に実質的に全体的に配置された熱可塑性積層シート構造体であって、積層シート構造体は、上面及び下面を有する少なくとも1層の機能層並びに少なくとも2層の結合層であって該少なくとも2層の結合層は少なくとも1層の機能層の上面及び下面を実質的に全体的に覆う少なくとも2層の結合層を備える積層シート構造体と、熱可塑性積層シート構造体、特に機能層の周囲を囲んで熱可塑性積層シート構造体を周囲から封止するために構成された封止部と、を備える。本発明は、さらに、上記自動車用ウインドウ積層構造体における使用のための熱可塑性積層シート構造体、及び熱圧積層プロセスによって自動車用ウインドウ積層構造体を製造する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用ウインドウ積層構造体を熱圧積層プロセスによって製造する方法であって、
a)第1及び第2のガラスシートを提供するステップと、
b)前記第1及び第2のガラスシート間に熱可塑性積層シート構造体を設けるステップであって、前記熱可塑性積層シート構造体は少なくとも1層の機能層及び少なくとも2層の結合層を備え、前記機能層は前記少なくとも2層の結合層間に位置する、ステップと、
c)ステップa)及びb)中に形成されたウインドウ積層体に対して、特に該ウインドウ積層体の、少なくとも一方の結合層に対して、好ましくは各結合層に対して、外圧を付与しかつその温度を前記結合層のガラス転移温度以上に所定量の時間にわたって上昇させることによって前記少なくとも2層の結合層を前記第1及び第2のガラスシートに接着するステップと、
d)ステップc)の温度上昇の期間中に前記少なくとも2層の結合層によって前記機能層を封止するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
ステップd)中に、前記機能層は前記結合層によって実質的に気密封止される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
好ましくはステップc)の前に、ステップb)において設けられた前記熱可塑性積層シート構造体を、該熱可塑性積層シート構造体が事前結合熱可塑性積層シート構造体となるように、事前結合するステップをさらに備える請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱可塑性積層シート構造体を事前結合するステップは、
i)2つの対向するローラーの間において前記結合層を前記機能層に押圧するステップを備え、
ステップi)中に、前記結合層と前記機能層の間の空気が除去され、ステップd)の封止の少なくとも一部がステップi)と同時に又は実質的に直後に実現される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記熱可塑性積層シート構造体を事前結合するステップは、
i)前記熱可塑性積層シート構造体の上面及び下面に、好ましくはポリメチルメタクリレート(PMMA)又はエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)から構成された、2枚の実質的に平坦な硬質プレートを提供するステップと、
ii)ステップi)中に提供された積層パッケージに対して外圧を付与し、前記結合層と前記機能層の間の結合が実現されるまで前記積層パッケージの少なくとも一部の温度を上昇させるステップと、
を備える、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記積層パッケージの前記少なくとも一部の温度が、ステップii)中に、60~140℃に温度上昇される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記事前結合するステップが、
iii)ステップii)の前に、前記熱可塑性積層シート構造体の前記上面及び前記下面と、前記2枚の実質的に平坦な硬質プレートそれぞれとの間に、少なくとも1層の接着熱可塑性シート材料と、好ましくは接着熱可塑性ポリウレタンを、設けるステップと、
iv)ステップii)中に前記結合層と前記機能層の間の結合が実現された後、ステップiii)中に付与された接着熱可塑性の前記層及び前記実質的に平坦な硬質プレートを除去するステップと、
をさらに備える、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
好ましくはステップc)の前に、水分抽出ステップであって、前記熱可塑性積層シート構造体を真空状態、好ましくは95%以上の真空の深い真空条件とし、又は前記熱可塑性積層シート構造体を所定条件、好ましくは、水分を蒸発可能な水の沸点曲線以下の温度及び圧力、とするステップを備える水分抽出ステップをさらに備える請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記真空条件は、10分間以上、好ましくは30分間以上、より好ましくは60分間以上維持される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップb)の前に、予熱ステップであって、前記熱可塑性積層シート構造体又はその少なくとも結合層が35~55℃、好ましくは40~50℃の温度に予熱される、予熱ステップをさらに備える請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップc)中に、前記温度が毎分3℃の、好ましくは毎分5℃の、より好ましくは毎分10℃の最小速度で上昇される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
事前結合された前記熱可塑性積層シート構造体に二重曲率が与えられる、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法によって取得可能な自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項14】
平行でかつ相互に離隔された第1のガラスシート及び第2のガラスシートと、
前記第1及び第2のガラスシート間に実質的に全体的に配置された熱可塑性積層シート構造体であって、該熱可塑性積層シート構造体は、
上面及び下面を有する少なくとも1層の機能層と
前記少なくとも1層の機能層の前記上面及び下面を実質的に全体的に覆う、少なくとも2層の結合層と、
を備える熱可塑性積層シート構造体と、
前記熱可塑性積層シート構造体の、特に前記機能層の、周囲を囲んで前記熱可塑性積層シート構造体を周囲から封止するために構成された封止部と、
を備え、
前記熱可塑性積層シート構造体は前記第1及び第2のガラスシートの周囲にまで実質的に全体的に広がり、前記封止部は前記熱可塑性積層シート構造体の周囲の少なくとも一部分に沿って前記少なくとも2層の結合層によって少なくとも部分的に形成されている、自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項15】
前記自動車用ウインドウ積層構造体は、特に湾曲積層構造体である、請求項14に記載の自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項16】
前記自動車用ウインドウ積層構造体の前記機能層は、1000cm以上、好ましくは1500cm以上、より好ましくは2000cm以上の表面を有する、請求項14又は15に記載の自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項17】
前記機能層の厚さは、0.30mm未満、好ましくは0.20mm未満である、請求項14から16のいずれか一項に記載の自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項18】
前記少なくとも1層の機能層は、少なくとも2層の熱可塑性層、及び該少なくとも2層の熱可塑性層の間の少なくとも1層のフィルム層を備え、該フィルム層は最大厚さ0.05mmを有し、前記熱可塑性層の少なくとも1層、好ましくは各々が最大厚さ0.15mm、好ましくは0.10mm、より好ましくは0.05mmを有する、請求項14から17のいずれか一項に記載の自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項19】
前記機能層の前記上面及び下面を覆う前記少なくとも2層の結合層が、エチレン-ビニルアセテート(EVA)又は熱可塑性ポリウレタン(TPU)から構成される、請求項14から18のいずれか一項に記載の自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項20】
前記熱可塑性積層シート構造体の層は事前結合層であり、特に前記少なくとも2層の結合層は前記機能層に事前結合され、前記2層の結合層は、前記機能層が気密封止されるように、前記機能層を実質的に全体的にカプセル化する一体的カプセル部を形成している、請求項14から19のいずれか一項に記載の自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項21】
事前結合された前記熱可塑性積層シート構造体の前記結合層は、前記熱可塑性積層シート構造体の結合層が架橋状態となるように少なくとも1つの架橋剤を備える、請求項20に記載の自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項22】
少なくとも1層、好ましくは少なくとも2層の前記結合層が、前記少なくとも1層の機能層の周囲の少なくとも一部に沿って、該機能層を越えて1mm以上、好ましくは3mm以上広がる、請求項14から21のいずれか一項に記載の自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項23】
少なくとも1層、好ましくは全ての結合層の水分含量は、0.3重量%以下である、請求項14から22のいずれか一項に記載の自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項24】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法によって取得可能な自動車用ウインドウ積層構造体における使用のための熱可塑性積層シート構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ウインドウ積層構造体、自動車用ウインドウ積層構造体における使用のための熱可塑性積層シート構造体、及び自動車用ウインドウ積層構造体を熱圧積層プロセスによって製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、ポリマー分散型液晶(PDLC)、エレクトロクロム及び浮遊粒子デバイス(SPD)などの他の機能性フィルムなどの少なくとも1層の活性フィルム層を備える機能層が、建築用ガラスにおいて広く使用されているが、より例外的に、自動車産業でも使用される。これにはいくつかの理由があり、それは、一般論であるが、自動車産業では、安全規制及び品質問題の双方において高い要求があるためである。例示として、自動車産業での承認は、所定の高さから鋼球をウインドウ積層構造体上に落下させるなどの破壊試験だけでなく光学性能及び煮沸試験などの少ない破壊での試験も合格することを要する。
【0003】
SPD、PDLC又はエレクトロクロムなどの活性層又は機能層の全ては、相互に向く面において導電性コーティングが設けられた2層の対向する熱可塑性層、多くの場合、ITOコーティングPET、PEN、PC又はPMMA層から構築され、その2層間に活性フィルム層が設けられる点で共通する。全ては、電流が第1の導電層から液晶を通じて第2の導電層に流れる場合に結晶が電流に合わせて配向されて色、光透過率及び/又は曇価レベルの変化をもたらす点で共通する。そのような層が積層ガラス構造体に組み込まれる場合、それは機能層、特に、活性機能層といわれる。組込みは、一般的には結合層及びフレーム層を用いる積層プロセスによって行われる。この点において、用語「活性」は、異なる状態間で、例えば、層が実質的に透明である状態と、層が実質的に不透明又は透明と不透明の間のいずれかの状態との間で切替可能であるなど、活性機能性を有する層として理解され得る。
【0004】
一般に、機能層及び結合層を備える熱可塑性積層シート構造体は、自動車用ウインドウ積層構造体のガラスシートの縁部にまでは広がらない。実際に、熱可塑性積層シート構造体の周囲のカプセル化は、ガラスシートが破損することを防止するために存在する。特に、ガラスシートの間に割り当てられた機能層がない領域、及び結合層が機能層を越えて延在する領域では、これらの領域の開口部/隙間は、厚さの観点で補償される必要がある。機能層がガラスシートの縁にまでは延在しないことの理由は、主に、気象条件、水分、酸素、(沿岸の環境による又は道路の凍結防止による)塩分、ウインドウ拭取り液などが機能層と接触し又はそのいずれかの層の導電性コーティングと接触するのを防止するためである。そのような環境と熱可塑性積層構造体との間の接触によって、積層構造体に不具合が生じる場合があり、又は積層構造体が全く機能しなくなる場合さえある。特に、水分及び可塑剤は、機能層の活性フィルムの分子構造に影響を与え得る。一般的に、上記機能層は、結合層の厚さに匹敵する厚さを有する。別個のPVBフレーム層は、機能層の存在しない2層の結合層間の隙間を充填するのに使用される。これは、ガラスが破損するのを防止するが、機能層を適切には封止しない。その結果として、水分又は他の望ましくない要素がフレーム層の周囲から浸透してしまい、これは、記載したように機能層の寿命に影響を与え得る。
【0005】
自動車における現在のトレンドは、構成要素の軽量化である。このトレンドは、ウインドウ構造体内にも存在する。これは、安全性に関するそれらの構造体に対して設定された要件を考慮すると、特に困難なものである。一般に、自動車用ウインドウ積層構造体の機能層は、比較的厚い。しかし、これは、3つの不利益をもたらす。第1に、厚い機能層は、ガラスが破損するのを防止するのにフレーム層を必要とする。そのようなフレーム層を配置することは、自動化が難しいプロセスであり、非常に注意深く行われなければならず、そのために製造が遅くなる。第2に、これらの厚めの機能層は非常に重く、これは自動車産業には不利である。第3に、一般的な機能層は、それらを環境から封止するのが難しいという不利益を有し、それは、フレーム層内に封止されなければならないということによって引き起こされるものであり、そのため、フレーム層が正しく付与されることを阻害する可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の第1の目的は、より簡素な組成の自動車用ウインドウ積層構造体を提供することである。
【0007】
本発明の第2の目的は、機能層の封止性を向上した自動車用ウインドウ積層構造体を提供することである。
【0008】
それに対して、本発明は、自動車用ウインドウ積層構造体を提案し、その自動車用ウインドウ積層構造体は、平行でかつ相互に離隔された第1のガラスシート及び第2のガラスシートと、第1及び第2のガラスシート間に実質的に全体的に配置された熱可塑性積層シート構造体であって、上面及び下面を有する少なくとも1層の機能層、特に活性機能層、少なくとも2層の結合層であって、当該少なくとも2層の結合層は少なくとも1層の機能層の上面及び下面を実質的に全体的に覆う、少なくとも2層の結合層を備える熱可塑性積層シート構造体と、熱可塑性積層シート構造体、特に機能層の周囲を囲んで熱可塑性積層シート構造体を周囲から封止するために構成された封止部と、を備える。当該熱可塑性積層シート構造体は第1及び第2のガラスシートの周囲まで実質的に全体的に広がり、当該封止部は、熱可塑性積層シート構造体の周囲の少なくとも一部分に沿って、少なくとも2層の結合層の少なくとも一方、好ましくは両方によって少なくとも部分的に形成される。
【0009】
本発明は、それにより、自動車用ウインドウ積層体のより容易な構築を可能とする。熱可塑性積層シート構造体が第1及び第2のガラスシートの周囲まで実質的に全体的に広がるため、フレーム層を設ける必要はない。すなわち、本発明は、フレームレスの自動車用ウインドウ積層構造体に関する。従来技術によると、機能層の適切な配置及び封止を確保するためにフレーム層が存在するが、本発明は、この結果を当該フレーム層なしで実現することを可能とする。これを可能とするために、熱可塑性積層シート構造体、特に機能層の周囲を囲む封止部が、少なくとも一方、好ましくは両方の結合層によって少なくとも部分的に形成される。このように、熱可塑性積層シート構造体は、ガラスシートの周囲に合わせて配置され得るものであり、結合層は機能層の上記封止を実現する。好ましくは、封止部は熱可塑性積層シート構造体の周囲全体に沿って広がり、実質的に封止部全体が少なくとも1層、好ましくは2層の結合層によって形成される。結合層が機能層の全辺を実質的に気密に包囲してもよく、当該結合層は、特に、単一の均一な結合層エンクロージャを形成するように機能層の全辺に直接接着されることが考えられる。
【0010】
上記封止部の一部分が1層の結合層によって形成される場合、幾つかの更なる選好がある。例えば、この点において、少なくとも1層の結合層が機能層の周囲を越えて少なくとも部分的に延在していると好適である。このように、結合層は、それが越えて存在する機能層の一部分を封止し得る。特に、本実施形態は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)が上記当該結合層として使用されると有利である。これにより、封止部のより容易な形成が可能となり、確立されるウインドウ積層体のコストが低減する。
【0011】
少なくとも1層の機能層が活性層であることが考えられかつ好適である。特に、当該活性機能層は、部分的に透明な状態と部分的に不透明な状態との間で切替可能である。代替的に、活性機能層が異なる色の間で切り替わるように構成されることが考えられる。好ましくは、上記少なくとも1層の活性機能層は、機能層のアノード及びカソードに印加される電流及び/又は電圧に基づいて切替可能である。機能層が画素を形成するセグメント又が交差セグメントを備え、当該セグメント及び/又は画素が相互に独立して切替可能であることもさらに考えられる。
【0012】
好ましくは、自動車用ウインドウ積層構造体は、湾曲した自動車用ウインドウ積層構造体である。本発明は、ガラスシートが少なくとも単一の曲率を備えるとより有利であり、任意選択的に、ウインドウ積層構造体は二重湾曲ウインドウ積層構造体であってもよい。本発明の有利な効果は、この場合、より一層発揮される。曲率が大きいほど、熱可塑性積層シート構造体の周りにフレーム層を付与するのが難しくなる。また、ウインドウ積層構造体が湾曲していると封止部を付与するのがより困難となり、これは、一般的には一片のカプトンテープである単一の封止部が使用されることが好適であるということに関係する。しかし、湾曲した熱可塑性積層シート構造体の周囲に皺をもたらすことなく単一片のテープを反らせるのは困難である。一方で、複数片のテープを用いると、封止部が熱可塑性積層シート構造体内への水分の浸透を起こしやすい領域が生じる。一方、本発明は、結合層が封止部を実現し、それは皺をもたらしにくいので、この問題を解決する。特に、結合層は、温度及び/又は圧力の増加など、それらが形状を変化可能とする条件において結合層がもたらされる場合に機能層の封止部を相互に実現し得るためである。
【0013】
これらの厚めの機能層は多数の不利益を被るが、同じ自動車用要件を充足しつつこれらを薄めの機能層に代替しても手間がかかる。薄い機能層は、加圧積層プロセス下でうねり又は皺となりやすい。特に、ウインドウが曲率又は二重曲率を有する場合、うねり又は皺は容易に積層体にもたらされる場合がある。これらのうねり又は皺は、機能層が適切に作用することを阻害し得る。特に、そのようなより薄い機能層が大型の自動車用ウインドウ積層体に、設けられる場合、過剰な皺が圧熱積層プロセスによってもたらされることがあり、これにより、機能層の活性フィルムの平行性が影響を受ける。皺は、一般に機能層の最大方向に配向される。皺に加えて、より薄い機能層では、現行技術の特徴を用いて周囲から封止することがより困難である。したがって、本発明の更なる目的は、機能層を軽量化することである。
【0014】
本発明の異なる実施形態では、機能層の厚さは、0.30mm未満、好ましくは0.20mm未満である。より詳細には、機能層は、0.15mm未満の厚さを有する。そのような種類の機能層を用いることで、大幅な軽量化が実現され得る。好ましくは、自動車用ウインドウ積層構造体の機能層は、1000cm以上、好ましくは1500cm以上、より好ましくは2000cm以上の表面を有する。特に、機能層は、1000cm以上、好ましくは1500cm以上、より好ましくは2000cm以上の表面を有する。特に、0.30mm未満、好ましくは0.20mm未満の厚さの大型機能層及び/又は熱可塑性シートの組合せは、積層するのが困難であることが分かっている。この目的のため、好ましくは、機能層の上面及び下面を覆う少なくとも2層の結合層が、エチレン-ビニルアセテート(EVA)又は熱可塑性ポリウレタン(TPU)から構成される。異なる材料の熱可塑性特性が、双方とも比較的低い軟化点を有するTPU及びEVAのものと同様である限り、異なる材料から構成される結合層が使用されることが考えられる。
【0015】
この目的のため、比較的大型でかつ薄い機能層が使用される場合に、ポリビニルブチラール(PVB)を結合層の材料として使用すると所望の結果が満たされないことが分かった。PVBを結合層として使用することは、機能層の実質的に気密な封止部を実現するのには適さない。また、PVBの軟化温度はTPU及びEVAのものと比較して高いため、本発明に係る自動車用ウインドウ積層構造体における使用には適さないことが現在のところ分かっている。一方で、より低い軟化温度及び好ましくはさらには架橋を有するPVB結合層が利用可能となれば、上記の将来的なPVBは適合可能と考えられ得る。特に、薄い機能層の皺は、PVBを用いて充分には抑制されない場合がある。TPU及び/又はEVAの使用は、機能層の皺の量が最少となるという信頼性のある結果をもたらすことが分かっている。PVBは、本発明によると、結合層の第1の組として、すなわち、機能層に直接貼り付けられる結合層の対としては使用されない場合があるが、更なる結合層の対が設けられることが考えらえる。最初の対の結合層の外面に貼り付けられ得るこの更なる結合層の対は、PVBを含む任意の結合層材料から構成され得る。PVBが更なる結合層として使用される場合、すなわち、少なくとも1層の主結合層に直接又は間接的に貼り付けられる場合、第1の結合層はTPUであるべきである。EVAと更なるPVB層の組合せは相互に適合可能でないことが分かった。驚くべきことに、機能層の少なくとも一方の熱可塑性層が他の層よりも厚い場合、結合層を双方ともTPU又はEVAとするのではなく、PVBのうちの少なくとも一方の結合層が使用され得る。特に、一方のPET層は、例えば、180ミクロン又は150ミクロンであり得る一方で、他方のPET層は、例えば、100ミクロン、好ましくは50ミクロンである。PVB層は、この場合、厚い方のPET層の側となり得る。好ましくは、TPU結合層は、PVB結合層の逆を向く機能層の側に設けられる。TPU及びPVB結合層の組合せは、PVBが構造的性能の増強に供し得る一方でTPUが封止部の増強を可能とし得るので、特に有利であり、これは、特に機能層が、PVB側のPET層がTPU側のPET層の縁部を越えて延在するカスケード状縁部を有する場合である。当該カスケード構成によって、薄い熱可塑性PET層の側におけるTPUの使用に起因して皺が形成されるのを防止しつつ、薄い機能層を使用することが可能となる。それでもなお、安価でありかつより容易に着色され得るPVBの使用は、それが厚い方の熱可塑性PET層に設けられるため、皺に影響を与えない。したがって、封止部はTPUによって実現される。さらに、厚い方のPET層は、平坦な印刷回路として機能し、かつPVBの可塑剤に対してバリアとして機能し得る。
【0016】
結合層の両方がTPUから構成される場合、厚さ50ミクロンの熱可塑性PET層を備える機能層の適切な封止を達成することができる。そのため、TPUに起因してガラスシート間に皺を形成することを防止しつつ、非常に薄い機能層の形成が可能となる。この構成によって、さらに、通常は黒色セラミックエナメルから作製される隠蔽バンドの使用が不要となり得る。したがって、自動車用ウインドウのより審美性の高い仕上りが、2層のTPU結合層を用いることによって達成され得る。すなわち、封止部はTPU結合層によって形成され得るので、フレーム層は不要である。
【0017】
好ましくは、自動車用ウインドウ積層構造体の機能層の表面積は、1000cm~16000cmである。この特定のサイズのウインドウでは、皺が熱可塑性積層シート構造体、特に、その機能層において形成されやすいことが分かった。この問題は、薄い熱可塑性積層シート構造体を用いる場合に顕著であった。特に、結合層なしでの熱可塑性積層シート構造体の全体厚は、0.1mmまで、0.40mmまで、好ましくは0.25mmまでの範囲内である。特にウインドウの積層時に上記の皺が形成され、最終製品において確認され得る。これは、製品の外観に影響を与えるので望ましくない。驚くべきことに、TPU及び/又はEVAなどの特定の少なくとも1層の結合層の使用によって、皺が熱可塑性積層シート構造体に形成される要因を解消することが可能となり、これによりウインドウの上記寸法における皺の要因を解消することが可能となり得ることが分かった。この点において、TPU又はEVA結合層は、皺が形成されることを防止するために、機能層に直接付着されるべきである。TPU又はEVA結合層は、少なくとも1層の厚いPET層が上記のように使用される場合に、厚いPET層の逆を向く機能層の側に設けられる。薄いPET層を有する機能層は、積層プロセスの熱の下で、特に薄いPET層に隣接するPVB結合層と併用して、50ミクロン~150ミクロンの厚さなど、より薄いPET層を用いる場合、皺をより形成しやすくなる。薄いPET層及び隣接するPVB結合層は、積層プロセス中に、相互に適合可能でない粘度パラメータを有し、積層プロセス中に当該層間に摩擦を生じ得る。したがって、TPU又はEVA結合層と薄いPET層との併用は、驚くべき結果をもたらし、機能層の薄いPET層と、隣接するTPU又はEVA結合層、特にTPU結合層との間の特定の適合性を示した。任意選択的に、結合層及び機能層を事前結合することによって、さらに良好な結果が得られる。TPU結合層の具体例は、NovoGenio製の型番SF1959高モジュラス又はSF1964低モジュラスである。具体例に対する後者は、当該結合層の製造時に物理的に架橋されている。
【0018】
好ましくは、機能層は、0.30mm未満、好ましくは0.20mm未満である。比較的薄い機能層を用いることによって、フレーム層の存在なしで、結合層を用いて機能層を気密封止することが達成され得る。すなわち、機能層は、ガラスの周囲のほぼ全体に広がる。これは、機能層が薄いために可能となることであり、これにより、結合層が軟化する際の制限された厚さを克服するので、結合層間の隙間を充填する必要がなくなる。好ましくは、機能層は、厚さ10~100ミクロンのSPD又は電気泳動層である。より好ましくは、機能層は、厚さ2~40ミクロンのエレクトロクロム又はPDLC層である。機能層は、例えば、2層の熱可塑性層及び1層のフィルム層又は活性層を備え得る。好ましくは、少なくとも1層の機能層は、少なくとも2層の熱可塑性層、及びその少なくとも2層の熱可塑性層の間の少なくとも1層のフィルム層を備え、当該フィルム層は最大厚さ0.05mmを有し、当該熱可塑性層の少なくとも1層、好ましくは各々が最大厚さ0.15mmを有する。熱可塑性層の各々には、それらの相互に向く面上に導電性コーティング、好ましくはインジウム・スズ酸化物(ITO)コーティングが設けられてもよい。熱可塑性層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)及び/又はポリエチレンナフタレート(PEN)から構成され得る。少なくとも1層のフィルム層は、特に、ポリマー分散型液晶デバイス、浮遊粒子デバイス、エレクトロクロミックデバイス及び/又はマイクロブラインドであり得る。好ましくは、熱可塑性層の少なくとも1層は、最大厚さ0.15mm、好ましくは0.1mm、より好ましくは0.05mmを有する。
【0019】
好ましくは、少なくとも1層、好ましくは少なくとも2層の結合層は、少なくとも1層の機能層の周囲の少なくとも一部に沿って、当該機能層を越えて1mm以上、好ましくは3mm以上広がる。好ましくは、少なくとも1層の機能層の周囲の一部は、ガラスシートの周囲に対して1mm以上、好ましくは3~10mmのずれを有する。これにより、結合層が機能層を完全に包囲し、そのように機能層の封止部を形成することが可能となる。好ましくは、封止部は、機能層の周囲全体に沿って広がる。好ましくは、封止部の広がり全体に沿って、当該封止部が結合層によって形成される。熱可塑性積層シート構造体の周囲の一部に沿って、機能層は結合層によって直接は封止されず、この部分は機能層に給電するためのコネクタによって形成され得ることが考えられる。当該コネクタは、機能層のアノード及びカソードに取り付けられてもよく、コネクタが機能層に接続される周囲の一部において、結合層による機能層の直接の封止が局所的に存在しないように、熱可塑性積層シート構造体を突出させてもよい。一方で、結合層はコネクタが存在する周囲の一部を封止してもよく、それにより、結合層はコネクタが存在する部分を封止してコネクタ及び/又は機能層を封止し得ることが考えられる。
【0020】
熱可塑性積層シート構造体の層が事前結合層であることが考えられ、特に少なくとも2層の結合層は機能層に事前結合され、当該2層の結合層は、機能層が気密封止されるように、機能層を実質的に全体的にカプセル化する一体的カプセル部を形成する。熱可塑性積層シート構造体の層を事前結合することによって、より正確なプロセスが可能となり得る。これは、機能層の封止が、第1及び第2のガラスシート間の当該事前結合積層シート構造体を積層する前に検査され得るためである。これは、コネクタが熱可塑性積層シート構造体に設けられる場合に特に有益となり得る。当該コネクタは、熱可塑性積層シート構造体のアノード及びカソードを接触させることを可能とし、それはシート構造体に給電し得る。当該コネクタは、積層シート構造体から少なくとも部分的に突出し、コネクタが当該シート構造体から突出する部分も結合層によって封止されることが考えられる。すなわち、実質的に水分又は他の望ましくない要素が、コネクタを介してシート構造体に、特に機能層に浸透することはない。好ましくは、事前結合熱可塑性積層シート構造体の結合層は、架橋状態にある。これは、熱可塑性積層シート構造体の強靭性にさらに寄与するものである。これは、特に、結合層によって実現される封止に寄与し得る。これは、架橋状態によって、結合層が相互に一体化結合層を機能層の周囲の一部であって結合層が当該機能層を越えて延在する部分に沿って形成することが可能となるためである。結合層は、架橋後も依然として積層され得る。架橋は、通常は層の軟化点を上昇させる。したがって、積層が成功するための条件が変わり得る(すなわち、温度は、架橋前状態に対して高くなる必要があり得る)。硬質及び軟質な架橋(後)は、粘度を変え、場合によっては最終的な機械的強度を変えることがある。ただし、熱可塑性積層シート構造体とガラスシートの間の隙間が充填された後には、より高粘度(架橋後)結合層が依然としてガラスに接着しているので、低い粘度は要求されなくなる。架橋後結合層のガラスの接着力は非架橋変性体と比較して若干低いが、衝撃時の層間剥離が発生するため、この若干低い接着力は衝撃耐性に寄与する。接着量は、積層ガラスを試験するための当分野で周知の方法であるパンメル試験法によって測定され得る。この目的のため、少なくとも1種の結合層が、少なくとも1つの架橋剤を備える。
【0021】
好ましくは、少なくとも1層、好ましくは全ての結合層の水分含量は、特に積層後は0.3重量%以下である。水分は、好ましくは積層プロセス前及び/又は積層プロセス中に結合層から抽出される。この程度の水分含量は、機能層の適切な封止部を形成するのに有益である。結合層内の水分は、問題を起こすことがあり、それは多くの場合、より高温で、すなわち、例えば、積層プロセス中に起こる。結合層内部の水分は、液晶などの活性フィルムとの反応を引き起こす場合があり、それは活性フィルムにとって修復不可能な損傷となり得る。水分含量は、周知の方法によって測定され得る。例えば、積層前の水分含量を測定する方法は、1930cm-1のH-OHバンドを測定することによって行われ得る。これにより、積層前の結合層を測定することが可能となる。一方で、積層構造体における水分含量の水を測定するためには、それは分光分析器によって行われる。特に、それは1650nmから1925nmまでの波長において行われる。ここで、吸収率(AR)が、基準サンプルと比較される。当該方法は、積層ガラス構造体中、したがって積層後の水分及び含水量を測定するために、自動車用積層ウインドウの分野では広く受け入れられている。積層プロセスは水分含量に影響を与え得るため、積層後の水分含量を測定することは重要である。すなわち、結合層の乾燥が超乾燥状態まで行われる場合、積層プロセス中に水分レベルが上昇して戻る可能性がより高いことが分かった。水が沸騰するレベルまで減圧することによる初期積層プロセス中の水分抽出によって、水だけでなく移行容易な可塑剤が抽出されるので、この問題は解消及び改善される。この全てに加えて、乾燥は数日を要するため、プロセスはより速くなる。この抽出ステップは、PDLCが使用される場合に特に有利となる。それは、移行要素は、縁部のクリア化をもたらし得るためであり、これは、フィルムの周囲から内側に向けて局所的に確認される液晶の不具合の現象であり、機能フィルムの縁部は永続的にクリア状態とされることになる。これは、水分の影響がフィルム全体の経年数に依存するSPDとは大きく異なる。
【0022】
本発明は、さらに、本発明に係る自動車用ウインドウ積層構造体における使用のための熱可塑性積層シート構造体に関する。自動車用ウインドウに関して開示した利点は、熱可塑性積層シート構造体にも適用可能であり、それに関して、参照によりここに取り込まれる。
【0023】
本発明は、さらに、自動車用ウインドウ積層構造体を熱圧積層プロセスによって製造する方法に関連し、その方法は、a)第1及び第2のガラスシートを提供するステップと、b)第1及び第2のガラスシート間に熱可塑性積層シート構造体を設けるステップであって、当該積層シート構造体は少なくとも1層の機能層及び少なくとも1層、好ましくは2層の結合層を備え、当該機能層は少なくとも2層の結合層間に又は少なくとも1層の結合層に隣接して位置する、ステップと、c)ステップa)及びb)中に形成されたウインドウ積層体、特にウインドウ積層体の、少なくとも一方の結合層、好ましくは各結合層に対して、外圧を付与しかつその温度を当該結合層のガラス転移温度以上に所定量の時間にわたって上昇させることによって少なくとも2層の結合層を第1及び第2のガラスシートに接着するステップと、d)ステップc)の昇温の期間中に少なくとも2層の結合層によって機能層を封止するステップと、を備える。
【0024】
本発明に係る方法によって、自動車用ウインドウ積層体の、より制御された容易な製造が可能となる。熱可塑性積層シート構造体の周りにはフィルム層がないため、熱可塑性積層シート構造体はガラスシートの周囲又は縁部に容易に合わせて配置され得る。これにより、熱可塑性積層シート構造体をガラスシート上の所定箇所に注意深く位置決めした後にその周りにフレーム層を配置するステップをなくすことができる。このように、熱可塑性積層シート構造体は、より容易に適切な箇所に配置される。さらに、フレーム層が存在しないため、機能層のより良好かつより容易な封止を適用するのがより容易となる。機能層を封止しない場合、水分が機能層に浸透することに起因して経時的に機能層が劣化することになる。封止部は、機能層を周囲から実質的に気密に封止し得る。温度を上昇させることによって、封止部は2層の結合層によって達成されることになり、それはそのようにして単層の結合層を形成し得る。なお、熱可塑性積層シート構造体及び/又は全体的な自動車用ウインドウ積層体は、反対側のパラメータの説明図上で測定される水の沸点曲線以下の状態とされてもよく、それは通常は真空状態に近い。そのため、水の沸点は、例えば、40mbarで29℃であるため、水分、特に水は極めて速く蒸発することになる。すなわち、ステップc)中での温度及び圧力は、この点が水の沸点曲線以下となることで水が蒸発するような状態となる。これは、適切な封止部を形成することに寄与することになる。
【0025】
異なる実施形態において、機能層は、ステップd)中で結合層によって実質的に気密封止される。機能層を実質的に気密に封止することで、水分が機能層内に浸透することが防止される。特に、機能層はガラスシートの周囲から5mmまで広がり得るため、これは非常に重要なものである。したがって、機能層は従来技術と比較してガラスの周囲に向かってさらに広がるため、従来技術に係るウインドウ積層体ではフレーム層によって実施される当該結合層の適切な封止部は非常に重要なものである。
【0026】
ステップb)において設けられた熱可塑性積層シート構造体が、事前結合熱可塑性積層シート構造体であることが考えられる。そのため、方法は、好ましくはステップc)の前に、ステップb)において設けられた熱可塑性積層シート構造体を、熱可塑性積層シート構造体が事前結合熱可塑性積層シート構造体となるように、事前結合するステップをさらに備え得る。これにより、製造が順番に実行可能となり、すなわち、熱可塑性積層シート構造体は事前に製造されてもよい。これは、物流の観点からだけでなく、品質の観点からも有益となり得る。機能層の封止が非常に重要であるため、熱可塑性積層シート構造体を事前に積層することは、封止部が適切に形成されたかを検査する可能性を与えるので有益となり得る。
【0027】
好ましくは、熱可塑性積層シート構造体を事前結合するステップは、i)2つの対向するローラーの間において結合層を機能層に押圧するステップを備え、ステップi)中に、結合層と機能層の間の空気が除去され、ステップd)の封止の少なくとも一部がステップi)と同時に又は実質的に直後に実現される。好ましくは、ステップi)中に、ローラーを囲む領域の温度を上昇させることによって、又はローラーを加熱することによって温度上昇される。結合層と、機能層、特にその熱可塑性層との間の空気を除去することによって、ウインドウ積層体の透明度が向上し得る。さらに、機能層及び結合層を事前結合することによって、結合層がより強固に機能層に付着されることになり、これはウインドウ積層体を積層する際に重大なこととなり得る。結合層を機能層に事前結合することによって、結合層と機能層との間の滑りが、ガラスシート間におけるその積層時に起こりにくくなり得る。これは、皺がウインドウ積層体にもたらされる機会をさらに減少させ得る。特に、機能層を結合層間に事前結合することによってより強固なプレアセンブリが形成されるため、機能層の皺が減少し得る。
【0028】
熱可塑性積層シート構造体を事前結合するステップは、i)熱可塑性積層シート構造体の上面及び下面に、好ましくはポリメチルメタクリレート(PMMA)又は広げられたエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)から構成された2枚の実質的に平坦な、好ましくは硬質なプレート、特にガラスよりも高い熱膨張率の硬質プレートを提供するステップと、ii)ステップi)中に提供された積層パッケージに対して外圧を付与し、結合層と機能層の間の結合が実現されるまで積層パッケージの少なくとも一部の温度を上昇させるステップと、を備えることも考えられる。熱可塑性積層シート構造体を事前結合するこの方法の更なる利点は、本方法は真空化で実行され得ることである。より詳細には、平坦なプレートは、熱可塑性積層シート構造体の周囲を越えて延在し得る。このように、熱可塑性積層シート構造体は、平坦なプレートによって全体的に包囲されてもよく、プレートはフレーム又は接着剤によって相互に付着され得る。好ましくは、2枚のプレートの間の空気が、空気を吸引することによって除去されて真空を形成し得る。これは、熱可塑性積層シート構造体に対して発揮される追加圧力をさらに与え、熱の付与の下で、事前結合熱可塑性積層体が実現され得る。好ましくは、積層パッケージの上記少なくとも一部の温度が、ステップii)中に、60~140℃に温度上昇される。好ましくは、2枚の硬質な広げられたEPDMプレートはともに柔軟なクランプを形成し、それにより、温度がステップii)のガラス転移温度以上に上昇した後に、積層物全体を、それを押圧して所定の3次元形状、好ましくは二重湾曲3次元形状とすることによってスタック全体を事前形成し、冷却後にプレートはそれらの実質的に平坦な初期形状に戻り得るが、熱可塑性積層構造体の所謂メモリは3次元形状にリセットされ、結果としてこの3次元形状に依然として維持される。
【0029】
好ましくは、熱可塑性積層シート構造体を事前結合するステップは、iii)ステップii)の前に、熱可塑性積層シート構造体の上面及び下面と、2枚の実質的に平坦な、好ましくは硬質なプレートそれぞれとの間に、少なくとも1層の接着熱可塑性シート材料、好ましくは接着熱可塑性ポリウレタンを設けるステップと、iv)ステップii)中に結合層と機能層の間の結合が実現された後、ステップiii)中に付与された当該接着熱可塑性層及び当該実質的に平坦な、硬質プレートを除去するステップと、をさらに備える。結合層は昇温されると比較的軟質となり得るため、結合層はプレートに粘着しないことが好適である。この目的のため、インターリーブ分離層又はインターリーブシートなどの熱可塑性シート材料の層が、結合層の外面に接着されてもよい。このように、昇温下で、熱可塑性シートは、プレートに粘着せず、熱可塑性積層シート構造体を事前結合後に除去可能とする。インターリーブシートが事前結合後に除去されるとさらに好適であり、それは、インターリーブの面が結合層に接着しないことを保証することによって、例えば、粘着防止剤若しくはコーティングによって、又は粘着しないようにインターリーブの材料を選択することによって、実現され得る。一般に、事前結合に使用されるローラー又はプレートは、それらのローラー又はプレートが熱可塑性積層シート構造体に粘着することを防止する粘着防止面を有することが考えられる。当該インターリーブ層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から構成されることが考えられる。
【0030】
好ましくは、方法は、好ましくはステップc)の前に、水分抽出ステップをさらに備え、水分抽出ステップは、熱可塑性積層シート構造体を真空状態、好ましくは95%以上の真空の深い真空状態とし、又は熱可塑性構造体を所定の状態、好ましくは、水分を蒸発可能な水の沸点曲線以下の温度及び圧力とするステップを備える。熱可塑性積層シート構造体を真空状態とすることによって、より多くの水分が熱可塑性積層シート構造体から抽出され得ることが分かった。水分抽出ステップは、ステップc)の前であってもよいが、熱可塑性積層体を事前結合する前であってもよいと考えられる。水分抽出ステップは、温度及び圧力の組合せが水の沸点曲線以下となる条件下で実行され、このようにして、蒸発する水が結合層及び/又はシート構造体から抽出され得る。実際の積層又は事前結合プロセスの前に水分含量をさらに低減することによって、結合層内部の水分が積層及び/又は事前結合時に、特に昇温された場合に機能層を損傷することが防止され得る。これは、主に、水分と機能層の間に発生する化学反応に起因して昇温される場合に、熱可塑性積層シート構造体に存在する水分が液晶、すなわち、機能層に影響を与え得るためである。
【0031】
好ましくは、上記真空条件は、10分間以上、好ましくは30分間以上、より好ましくは60分間以上維持される。このように、熱可塑性積層シート構造体は0.3%未満の水分含量を有して実現され得ると思われた。すなわち、水分含量は0.3%以下、好ましくは0.2%以下に低減される。特に、上述の水分含量は、積層プロセスの後に測定可能となる。このレベルの水分含量を有することで、積層及び/又は事前結合プロセス中に、より高品質の機能層が維持されることが分かった。水分含量は、周知の方法によって測定され得る。例えば、積層前の水分含量を測定する方法は、1930cm-1のH-OHバンドを測定することによって行われ得る。これにより、積層前に熱可塑性積層シート構造体を測定することが可能となる。一方で、積層構造体における水分含量の水を測定するためには、それは分光分析器によって行われる。特に、それは1650nmから1925nmまでの波長において行われる。ここで、吸収率(AR)が、基準サンプルと比較される。当該方法は、積層ガラス構造体中、したがって積層後の水分及び含水量を測定するために、自動車用積層ウインドウの分野では広く受け入れられている。積層プロセスは水分含量に影響を与え得るため、積層後の水分含量を測定することは重要である。すなわち、結合層の乾燥が超乾燥状態まで行われる場合、積層プロセス中に水分レベルが上昇して戻る可能性がより高いことが分かった。水が沸騰するレベルまで減圧することによる初期積層プロセス中の水分抽出によって、水だけでなく移行容易な可塑剤が抽出されるので、この問題は解消及び改善される。この全てに加えて、乾燥は数日を要するため、プロセスはより速くなる。
【0032】
好ましくは、方法は、ステップb)の前に、予熱ステップをさらに備え、熱可塑性積層シート構造体又はその少なくとも結合層が35~55℃、好ましくは40~50℃の温度に予熱される。ステップb)の前に積層物を予熱することによって、ガラスと熱可塑性積層シート構造体の熱膨張率の差が低減され得る。これは、事前結合熱可塑性積層シート構造体の使用が行われる場合に特に有利となり得る。好ましくは、予熱は、熱可塑性積層シート構造体の所望の温度に達するまでに適用され得る。
【0033】
好ましくは、ステップc)中に、温度が毎分3℃、好ましくは毎分5℃、より好ましくは毎分10℃の最小速度で上昇される。速い昇温を可能とすることによって、機能層の皺が減少することが分かった。これは、事前結合熱可塑性積層シート構造体の使用が行われる場合に特に有利となり得る。迅速な昇温によって、熱可塑性積層シート構造体の結合層などの外側部分は、軟化開始温度に既に達していることになり、それらがガラスシートに付着可能となり、一方では内部的には温度は依然として低い場合もあり、それにより内部部品がより強固にまとまり、熱可塑性積層シート構造体のシートが相互に滑る可能性を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、自動車用ウインドウ積層体の実施形態の断面図を示す。
図2図2は、自動車用ウインドウ積層体における使用のための熱可塑性積層シート構造体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明を下記図面に基づいてさらに詳述する。
【0036】
図1は、本発明に係る自動車用ウインドウ積層体1の非限定的な実施形態を示す。この簡素化された実施形態の模式的表現は、第1及び第2のガラスシート2、3を示す。当該第1及び第2のガラスシート2、3は、離隔され、略平行である。当該第1及び第2のガラスシート2、3の間には、熱可塑性積層シート構造体4が設けられる。熱可塑性積層シート構造体4は少なくとも2層の結合層5を備え、機能層6が2層の結合層5の間に設けられる。好ましくは、結合層5は、機能層をガラスシート2、3に結合させている。一方で、機能層6をガラスシート2、3に結合させることに加えて、結合層5は更なる機能を果たすことが考えられる。すなわち、好ましくは、結合層5は、機能層6を、機能層6の周囲の少なくとも一部に沿って周囲から少なくとも部分的に封止する。このように、結合層5は、水分が機能層6内に浸透するのを防止し得るものであり、それにより、機能層6の寿命が増加し得る。自動車用ウインドウ積層体1の円で囲んだ端部Aを、より詳細に拡大して下部に示す。端部A(拡大部)は、結合層5が、封止部を形成するなど、機能層6を包囲していることを示す。好ましくは、結合層5は、第1及び第2のガラスシート2、3の周囲まで延在する。機能層6は、好ましくは結合層5の周囲から距離Dまで広がる。これにより、結合層5が機能層6を周囲から実質的に気密に封止するなど、実質的に全体的に機能層6を包囲することが可能となり得る。図示するように、自動車用ウインドウ積層体1は、従来技術によって通常設けられるフレーム構造体又はフレーム層は実質的にない。すなわち、機能層6は、ガラスシート2、3の周囲から、例えば、5~10mmとなり得る距離Dまで広がる。これにより、自動車用ウインドウ積層体1がより大型の機能面を有することが可能となり、それにより、フレーム層又はフレーム構造体が通常は存在するウインドウの一部に設けられる黒色マスキングの面を減少させることができる。
【0037】
図2は、有利な実施形態に係る熱可塑性積層シート構造体4を示す。熱可塑性積層シート構造体4は少なくとも2層の結合層5を備え、機能層6が2層の結合層5の間に設けられる。好ましくは、本図では説明の便宜上図示されていないガラスシートに機能層を結合している。一方で、機能層6をガラスシート2、3に結合させることに加えて、結合層5の少なくとも1層は更なる機能を果たすことが考えられる。すなわち、好ましくは、結合層5は、機能層6を、機能層6の周囲の少なくとも一部に沿って周囲から少なくとも部分的に封止する。このように、結合層5は、水分が機能層6内に浸透するのを防止し得るものであり、それにより、機能層6の寿命が増加し得る。本図に示す熱可塑性積層シート構造体4の特定の実施形態は、カスケード構造を備える。特に、下側結合層5は、図に示すように、PVBなど、より厚いものであってもよい。これは、機能層6が非対称組成を有する場合であり得る。すなわち、機能層6の一方の熱可塑性PET層7は、他方と比較して厚い。特に、下側熱可塑性PET層7は本図では100~150ミクロンの厚さを有する一方で、上側熱可塑性PET層7は約50ミクロンの厚さを有する。厚い方の熱可塑性PET層7の側では、厚い方のPVB結合層5が配置され得る。これは、厚い方のPET層7が可塑剤の浸透を防止し得るので可能となる。機能層の薄いPET層7の側では、TPUから構成された結合層5が設けられる。当該TPU結合層は、機能層6の薄い方のPET層7に対して、より適合性が高く、その低い軟化温度に起因して、特に積層時に機能層6に皺が形成されるのを防止することができる。さらに、当該TPU結合層5は、機能層6の縁部9の周りに封止部10を形成することを可能とする。本図は、具体的な例示であり、本発明の進歩的な概念を限定するものではない。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用ウインドウ積層構造体を熱圧積層プロセスによって製造する方法であって、
a)第1及び第2のガラスシートを提供するステップと、
b)前記第1及び第2のガラスシート間に熱可塑性積層シート構造体を設けるステップであって、前記熱可塑性積層シート構造体は少なくとも1層の機能層及び少なくとも2層の結合層を備え、前記機能層は前記少なくとも2層の結合層間に位置する、ステップと、
c)ステップa)及びb)中に形成されたウインドウ積層体に対して、特に該ウインドウ積層体の、少なくとも一方の結合層に対して、好ましくは各結合層に対して、外圧を付与しかつその温度を前記結合層のガラス転移温度以上に所定量の時間にわたって上昇させることによって前記少なくとも2層の結合層を前記第1及び第2のガラスシートに接着するステップと、
d)ステップc)の温度上昇の期間中に前記少なくとも2層の結合層によって前記機能層を封止するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
ステップd)中に、前記機能層は前記結合層によって実質的に気密封止される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
好ましくはステップc)の前に、ステップb)において設けられた前記熱可塑性積層シート構造体を、該熱可塑性積層シート構造体が事前結合熱可塑性積層シート構造体となるように、事前結合するステップをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記熱可塑性積層シート構造体を事前結合するステップは、
i)2つの対向するローラーの間において前記結合層を前記機能層に押圧するステップを備え、
ステップi)中に、前記結合層と前記機能層の間の空気が除去され、ステップd)の封止の少なくとも一部がステップi)と同時に又は実質的に直後に実現される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記熱可塑性積層シート構造体を事前結合するステップは、
i)前記熱可塑性積層シート構造体の上面及び下面に、好ましくはポリメチルメタクリレート(PMMA)又はエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)から構成された、2枚の実質的に平坦な硬質プレートを提供するステップと、
ii)ステップi)中に提供された積層パッケージに対して外圧を付与し、前記結合層と前記機能層の間の結合が実現されるまで前記積層パッケージの少なくとも一部の温度を上昇させるステップと、
を備える、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記積層パッケージの前記少なくとも一部の温度が、ステップii)中に、60~140℃に温度上昇される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記事前結合するステップが、
iii)ステップii)の前に、前記熱可塑性積層シート構造体の前記上面及び前記下面と、前記2枚の実質的に平坦な硬質プレートそれぞれとの間に、少なくとも1層の接着熱可塑性シート材料と、好ましくは接着熱可塑性ポリウレタンを、設けるステップと、
iv)ステップii)中に前記結合層と前記機能層の間の結合が実現された後、ステップiii)中に付与された接着熱可塑性の前記層及び前記実質的に平坦な硬質プレートを除去するステップと、
をさらに備える、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
好ましくはステップc)の前に、水分抽出ステップであって、前記熱可塑性積層シート構造体を真空状態、好ましくは95%以上の真空の深い真空条件とし、又は前記熱可塑性積層シート構造体を所定条件、好ましくは、水分を蒸発可能な水の沸点曲線以下の温度及び圧力、とするステップを備える水分抽出ステップをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記真空条件は、10分間以上、好ましくは30分間以上、より好ましくは60分間以上維持される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップb)の前に、予熱ステップであって、前記熱可塑性積層シート構造体又はその少なくとも結合層が35~55℃、好ましくは40~50℃の温度に予熱される、予熱ステップをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ステップc)中に、前記温度が毎分3℃の、好ましくは毎分5℃の、より好ましくは毎分10℃の最小速度で上昇される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
事前結合された前記熱可塑性積層シート構造体に二重曲率が与えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法によって取得可能な自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項14】
平行でかつ相互に離隔された第1のガラスシート及び第2のガラスシートと、
前記第1及び第2のガラスシート間に実質的に全体的に配置された熱可塑性積層シート構造体であって、該熱可塑性積層シート構造体は、
上面及び下面を有する少なくとも1層の機能層と
前記少なくとも1層の機能層の前記上面及び下面を実質的に全体的に覆う、少なくとも2層の結合層と、
を備える熱可塑性積層シート構造体と、
前記熱可塑性積層シート構造体の、特に前記機能層の、周囲を囲んで前記熱可塑性積層シート構造体を周囲から封止するために構成された封止部と、
を備え、
前記熱可塑性積層シート構造体は前記第1及び第2のガラスシートの周囲にまで実質的に全体的に広がり、前記封止部は前記熱可塑性積層シート構造体の周囲の少なくとも一部分に沿って前記少なくとも2層の結合層によって少なくとも部分的に形成されている、自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項15】
前記自動車用ウインドウ積層構造体は、湾曲積層構造体である、請求項14に記載の自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項16】
前記自動車用ウインドウ積層構造体の前記機能層は、1000cm以上、好ましくは1500cm以上、より好ましくは2000cm以上の表面を有する、請求項14に記載の自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項17】
前記機能層の厚さは、0.30mm未満、好ましくは0.20mm未満である、請求項14に記載の自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項18】
前記少なくとも1層の機能層は、少なくとも2層の熱可塑性層、及び該少なくとも2層の熱可塑性層の間の少なくとも1層のフィルム層を備え、該フィルム層は最大厚さ0.05mmを有し、前記熱可塑性層の少なくとも1層、好ましくは各々が最大厚さ0.15mm、好ましくは0.10mm、より好ましくは0.05mmを有する、請求項14に記載の自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項19】
前記機能層の前記上面及び下面を覆う前記少なくとも2層の結合層が、エチレン-ビニルアセテート(EVA)又は熱可塑性ポリウレタン(TPU)から構成される、請求項14に記載の自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項20】
前記熱可塑性積層シート構造体の層は事前結合層であり、特に前記少なくとも2層の結合層は前記機能層に事前結合され、前記2層の結合層は、前記機能層が気密封止されるように、前記機能層を実質的に全体的にカプセル化する一体的カプセル部を形成している、請求項14に記載の自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項21】
事前結合された前記熱可塑性積層シート構造体の前記結合層は、前記熱可塑性積層シート構造体の結合層が架橋状態となるように少なくとも1つの架橋剤を備える、請求項20に記載の自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項22】
少なくとも1層、好ましくは少なくとも2層の前記結合層が、前記少なくとも1層の機能層の周囲の少なくとも一部に沿って、該機能層を越えて1mm以上、好ましくは3mm以上広がる、請求項14に記載の自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項23】
少なくとも1層、好ましくは全ての結合層の水分含量は、0.3重量%以下である、請求項14から22のいずれか一項に記載の自動車用ウインドウ積層構造体。
【請求項24】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法によって取得可能な自動車用ウインドウ積層構造体における使用のための熱可塑性積層シート構造体。
【国際調査報告】