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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】電源供給装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527652
(86)(22)【出願日】2023-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 KR2023010596
(87)【国際公開番号】W WO2024043545
(87)【国際公開日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】10-2022-0106846
(32)【優先日】2022-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ソルニプ・イ
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036AA28
2G036BA37
2G036BB08
2G036CA12
(57)【要約】
本発明は、電源供給装置に関するものであって、二次電池を用いて電源を供給する装置において、二次電池の状態をリアルタイムでモニタリングして安定して電源を供給することができる電源供給装置を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次電池が備えられるバッテリモジュールと、
前記バッテリモジュールを制御するBMSユニットと、を含み、
前記複数の二次電池のうち少なくとも1つ以上は、基準電極が備えられた3電極電池からなり、
前記3電極電池の前記基準電極は、複数の穿孔ホールが形成されたフィルム状からなる、電源供給装置。
【請求項2】
前記3電極電池は、
メイン分離膜と、
前記メイン分離膜の一側面に積層されるフィルム状の前記基準電極と、
前記基準電極を挟んで前記メイン分離膜の前記一側面に積層される補助分離膜と、
前記メイン分離膜、前記基準電極及び前記補助分離膜を挟んで積層される第1電極及び第2電極と、
内部空間に前記メイン分離膜、前記基準電極、前記補助分離膜、前記第1電極及び前記第2電極が収容される電池ケースと、を含み、
前記基準電極は、45~120μmの厚さからなる、請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項3】
前記基準電極は、
前記第1電極または前記第2電極と対面する第1領域と、
前記第1電極または前記第2電極の一側から突出する第2領域と、を含み、
前記複数の穿孔ホールは、前記第1領域に形成され、
前記第1領域で前記複数の穿孔ホールからなる孔隙率は、30~70%である、請求項2に記載の電源供給装置。
【請求項4】
前記3電極電池は、一端部が前記基準電極の前記第2領域に融着され、他端部が前記電池ケースの外部に突出する基準電極リードをさらに含む、請求項3に記載の電源供給装置。
【請求項5】
前記第1領域の面積は、前記第1電極または前記第2電極の面積の1~10%からなる、請求項3に記載の電源供給装置。
【請求項6】
前記基準電極は、
本体を形成するホイル部材と、
前記ホイル部材にコーティングされる基準電極活物質と、を含む、請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項7】
前記ホイル部材の素材は、Cu-foil及びAl-foilのうちから1つ以上を含む、請求項6に記載の電源供給装置。
【請求項8】
前記基準電極活物質は、LTO(LiTi12)、LFP(LiFePO)、Li金属、及びこれらの組み合わせからなる群の中から選択される、請求項6に記載の電源供給装置。
【請求項9】
前記基準電極と前記第1電極または前記第2電極との間の電圧を測定する第1電圧測定ユニットと、
前記第1電極と前記第2電極との間の電圧を測定する第2電圧測定ユニットと、をさらに含み、
前記第1電圧測定ユニット及び前記第2電圧測定ユニットの測定値は、前記BMSユニットに伝達される、請求項2から5のいずれか一項に記載の電源供給装置。
【請求項10】
前記基準電極と前記第1電極または前記第2電極との間の電圧を測定する第1電圧測定ユニットと、
前記バッテリモジュールの電圧を測定する第2電圧測定ユニットと、をさらに含み、
前記第1電圧測定ユニット及び前記第2電圧測定ユニットの測定値は、前記BMSユニットに伝達される、請求項2に記載の電源供給装置。
【請求項11】
前記バッテリモジュールは、複数設けられ、
複数の前記バッテリモジュールのそれぞれには、少なくとも1つ以上の3電極電池が備えられ、
前記第1電圧測定ユニットは、複数設けられ、
前記第2電圧測定ユニットは、複数設けられ、
複数の前記バッテリモジュールのそれぞれに少なくとも1つ以上の第1電圧測定ユニット及び少なくとも1つ以上の第2電圧測定ユニットが備えられる、請求項10に記載の電源供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年8月25日付の韓国特許出願第10-2022-0106846号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願に開示されたあらゆる内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電源供給装置に係り、二次電池を用いて電源を供給する装置において、二次電池の状態をリアルタイムでモニタリングして安定して電源を供給することができる電源供給装置に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、二次電池は、化学エネルギーを電気エネルギーに変換する放電と、逆方向である充電過程と、を通じて繰り返し使用が可能な電池であり、その種類としては、ニッケルカドミウム(Ni-Cd)電池、ニッケル水素(Ni-MH)電池、リチウム金属電池、リチウムイオン(Li-ion)電池及びリチウムイオンポリマー電池(Li-ion Polymer Battery)などがある。このような二次電池のうち、高いエネルギー密度と電圧とを有し、サイクル寿命が長く、自己放電率が低いリチウム二次電池が商用化されて広く使われている。
【0004】
前述したように、二次電池は、電気エネルギーを化学エネルギーとして貯蔵し、化学エネルギーを電気エネルギーとして放出する切り替えが容易であるために、電気自動車のようなモバイル装置やスマートグリッドのようなシステムに活用される電源供給及び貯蔵装置に使われる。
【0005】
この際、二次電池の状態は、二次電池が適用される装置またはシステムの効率及び機能に影響を与え、特に、電気自動車に適用される場合には、使用者の安全とも直結する。
【0006】
したがって、二次電池で電力を供給する装置で二次電池の状態をリアルタイムで把握することは非常に重要である。
【0007】
二次電池の状態をリアルタイムでモニタリングするための方法の1つとしては、3電極システムがある。
【0008】
具体的に、二次電池の正極/負極のモニタリングのために、基準電極を使用した3電極分析システムが活用されうる。従来の3電極システムには、LTO(LiTi12)活物質がコーティングされた薄い銅ワイヤが基準電極として使われる。
【0009】
具体的に、図1に示したように、3電極電池は、正極11と負極12との間に積層される分離膜13にLTO活物質がコーティングされたCuワイヤが基準電極14として挿入される。さらに具体的に、正極11と負極12との間の分離膜13は、二重からなり、基準電極14は、二重の分離膜13の間に位置しうる。
【0010】
この際、ワイヤタイプの基準電極を使えば、図2に示したように、基準電極14の形状によって遮断領域(blocking area)が発生し、これにより、未反応領域が形成されて二次電池の性能低下の原因になりうる。
【0011】
電極自体の剛性や厚さによって、遮断領域のサイズは拡大されて問題になり、特に、電池が駆動しながら発生する電極の厚さの増加及びガス発生による電池内圧の増加によって、基準電極の位置する領域に圧力が増加すれば、電極の損傷及び分離膜の損傷を誘発し、二次電池を用いた電源供給装置が適用される装置またはシステムの性能低下及び安全に問題を発生させうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、電源供給装置に関するものであって、二次電池を用いて電源を供給する装置において、二次電池の状態をリアルタイムでモニタリングして安定して電源を供給することができる電源供給装置を提供することである。
【0013】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前述した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の電源供給装置は、前記複数の二次電池が備えられるバッテリモジュール;及び前記バッテリモジュールを制御するBMS(battery management system)ユニット;を含み、前記複数の二次電池のうち少なくとも1つ以上は、基準電極が備えられる3電極電池からなり、前記3電極電池の前記基準電極は、複数の穿孔ホールが形成されたフィルム状からなるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電源供給装置は、長時間または多サイクルの使用にも安定して駆動が可能な3電極電池を備えることにより、リアルタイムで二次電池の状態がモニタリング可能なものである。
【0016】
本発明の電源供給装置での3電極電池は、基準電極による遮断領域の広さを最小化し、電池内部の圧力変化による電極凹みのような電極損傷や内部段落のような回路問題の発生を抑制することができる。
【0017】
本発明の電源供給装置での3電極電池は、電極の自体物性及び駆動有無に関係なく高信頼性の正極/負極のモニタリングが可能なものである。
【0018】
本発明の電源供給装置での3電極電池は、厚さの変化が激しいSi/SiO電池や、長期的な退化に対するモニタリングが有利なものである。
【0019】
本発明の電源供給装置での3電極電池は、遮断領域の減少で3電極偏差の減少効果を期待することができる。
【0020】
本発明の電源供給装置での3電極電池は、中型・大型電池の設計に容易な構造であり、電極のスタックまたは面積に関係なく適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】従来の3電極電池を示す概念図である。
図2】従来の3電極電池を示す断面図である。
図3】本発明の電源供給装置を示すブロック図である。
図4】3電極電池を示す断面図である。
図5】3電極電池の積層構造を示す分解斜視図である。
図6】第1電極と基準電極との配置関係を示す平面図である。
図7】第1領域の孔隙率による電池特性を示すグラフである。
図8A】基準電極による電池電極の状態を示す写真である。
図8B】基準電極による電池電極の状態を示す写真である。
図8C】基準電極による電池電極の状態を示す写真である。
図9】1C chargeと2C chargeとで充電深度を示すグラフである。
図10】本発明の電源供給装置の他の実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の電源供給装置は、複数の二次電池が備えられるバッテリモジュール;及び前記バッテリモジュールを制御するBMSユニット;を含み、前記複数の二次電池のうち少なくとも1つ以上は、基準電極が備えられる3電極電池からなり、前記3電極電池の前記基準電極は、複数の穿孔ホールが形成されたフィルム状からなるものである。
【0023】
本発明の電源供給装置で、前記3電極電池は、メイン分離膜;前記メイン分離膜の一側面に積層されるフィルム状の前記基準電極;前記基準電極を挟んで前記メイン分離膜の前記一側面に積層される補助分離膜;前記メイン分離膜、前記基準電極及び前記補助分離膜を挟んで積層される第1電極及び第2電極;内部空間に前記メイン分離膜、前記基準電極、前記補助分離膜、前記第1電極及び前記第2電極が収容される電池ケース;を含み、前記基準電極は、45~120μmの厚さからなるものである。
【0024】
本発明の電源供給装置で、前記基準電極は、前記第1電極または前記第2電極と対面する第1領域と、前記第1電極または前記第2電極の一側から突出する第2領域と、を含み、前記複数の穿孔ホールは、前記第1領域に形成され、前記第1領域で前記複数の穿孔ホールからなる孔隙率は、30~70%でもある。
【0025】
本発明の電源供給装置の前記3電極電池は、一端部が前記基準電極の前記第2領域に融着され、他端部が前記電池ケースの外部に突出する基準電極リードをさらに含むものである。
【0026】
本発明の電源供給装置で、前記第1領域の面積は、前記第1電極または前記第2電極の面積の1~1~10%からなるものである。
【0027】
本発明の電源供給装置で、前記基準電極は、本体を形成するホイル(foil)部材と、前記ホイル部材にコーティングされる基準電極活物質と、を含むものである。
【0028】
本発明の電源供給装置で、前記ホイル部材の素材は、Cu-foil及びAl-foilのうちから1つ以上を含むものである。
【0029】
本発明の電源供給装置で、前記基準電極活物質は、LTO(Li4Ti5O12)、LFP(LiFePO4)、Li金属、及びこれらの組み合わせからなる群の中から選択されるものである。
【0030】
本発明の電源供給装置は、前記基準電極と前記第1電極または前記第2電極との間の電圧を測定する第1電圧測定ユニット;及び前記第1電極と前記第2電極との間の電圧を測定する第2電圧測定ユニット;をさらに含み、前記第1電圧測定ユニット及び前記第2電圧測定ユニットの測定値は、前記BMSユニットに伝達されるものである。
【0031】
本発明の電源供給装置は、前記基準電極と前記第1電極または前記第2電極との間の電圧を測定する第1電圧測定ユニット;及び前記バッテリモジュールの電圧を測定する第2電圧測定ユニット;をさらに含み、前記第1電圧測定ユニット及び前記第2電圧測定ユニットの測定値は、前記BMSユニットに伝達されるものである。
【0032】
本発明の電源供給装置で、前記バッテリモジュールは、複数設けられ、前記複数のバッテリモジュールのそれぞれには、少なくとも1つ以上の3電極電池が備えられ、前記第1電圧測定ユニットは、複数設けられ、前記第2電圧測定ユニットは、複数設けられ、前記複数のバッテリモジュールのそれぞれに少なくとも1つ以上の第1電圧測定ユニット及び少なくとも1つ以上の第2電圧測定ユニットが備えられるものである。
【0033】
以下、添付図面を参照して、本発明による実施例を詳しく説明する。この過程で図面に示された構成要素の大きさや形状などは、説明の明瞭性と便宜上、誇張して示されうる。また、本発明の構成及び作用を考慮して特別に定義された用語は、ユーザ、運用者の意図または慣例によって変わりうる。このような用語に対する定義は、本明細書の全般に亘った内容に基づいて下されなければならない。
【0034】
本発明の説明において、留意しなければならない点は、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内側」、「外側」、「一面」、「他面」などが指示する方位または位置関係は、図面で示す方位または位置関係、あるいは、通常、本発明の製品使用時に配置する方位または位置関係に基づいたものであり、単に本発明の説明と簡略な説明のためのものであり、表示された装置または素子が、必ずしも特定の方位をもって、特定の方位で構成されるか、操作されなければならないということを提示または暗示するものではないので、本発明を制限すると理解してはならない。
【0035】
図3は、本発明の電源供給装置を示すブロック図である。図4は、3電極電池を示す断面図である。図5は、3電極電池の積層構造を示す分解斜視図である。図6は、第1電極と基準電極との配置関係を示す平面図である。図7は、第1領域の孔隙率による電池特性を示すグラフである。図8Aないし図8Cは、基準電極による電池電極の状態を示す写真である。図9は、1C charge及び2C chargeに対する充電深度を示すグラフである。図10は、本発明の電源供給装置の他の実施形態を示すブロック図である。
【0036】
以下、図3ないし図10を参照して、本発明の電源供給装置について詳しく説明する。図4ないし図6に表記されたxyz座標系で、x軸方向は、第1方向であり、y軸方向は、第2方向であり、z軸方向は、上下方向である。
【0037】
図3及び図4に示したように、本発明の電源供給装置は、複数の二次電池200が備えられるバッテリモジュール300;及び前記バッテリモジュール300を制御するBMSユニット400;を含み、前記複数の二次電池200のうち少なくとも1つ以上は、基準電極110が備えられる3電極電池100からなり、前記3電極電池100の前記基準電極は、複数の穿孔ホール113が形成されたフィルム状からなるものである。
【0038】
バッテリモジュール300は、複数の二次電池200の集合からなるものであって、複数の二次電池200が互いに電気的に連結された状態で、ハウジングに収容されて複数の二次電池200が衝撃や振動で揺れないように互いに固定されるものである。バッテリモジュール300内で複数の二次電池200は、互いに直列連結される。3電極電池100は、バッテリモジュール300に設けられる複数の二次電池200のうち、1つまたは一部である。必要に応じて、バッテリモジュール300に設けられる複数の二次電池200がいずれも3電極電池100からなることもある。本発明の電源供給装置で、二次電池200は、多様なタイプの電池である。例えば、二次電池200及び3電極電池100は、パウチ型電池である。
【0039】
本発明の電源供給装置は、BMSユニット400によって制御され、バッテリモジュールの温度を制御する冷却回路(図示せず)がさらに備えられうる。
【0040】
BMSユニット400は、電圧(二次電池または3電極電池の個別電圧、バッテリモジュールの総電圧、二次電池の最低または最高電圧など)値、電流(充電または放電電流など)値、温度(二次電池の個別温度、バッテリモジュールの平均温度、さらに設けられる冷却回路の入口または出口の温度、冷却回路を流れる冷却液の温度など)値、SoC値、SoH値、放電深度(depth of discharge)値などの特定値を監視することができる。さらに、BMSユニット400は、電圧制御(充電電圧、過充電電圧など)、電流制御(過電流、充電電流、放電電流など)、出力制限(電流制御と電圧制御とを通じた出力制御など)、温度制御(冷却回路制御など)、セルバランシング(balancing)(周波数変換器-PWMインバータ(PWM-inverter))、SoC制御及びセル保護(過充電状態に至らず、回生制動エネルギーを吸収できるような蓄電池作動点制御)及びリレー制御のうち少なくとも1つ以上の機能を行うものである。
【0041】
図4に示したように、本発明の電源供給装置の3電極電池100は、メイン分離膜120;前記メイン分離膜120の一側面に積層されるフィルム状の基準電極110;前記基準電極110を挟んで前記メイン分離膜120の前記一側面に積層される補助分離膜130;前記メイン分離膜120、前記基準電極110及び前記補助分離膜130を挟んで積層される第1電極140及び第2電極150;内部空間に前記メイン分離膜120、前記基準電極110、前記補助分離膜130、前記第1電極140及び前記第2電極150が収容される電池ケース160;を含むものである。
【0042】
前記基準電極110は、45~120μmの厚さからなるものである。基準電極110の厚さは、第1電極140と第2電極150との間の浮き上がり現象、3電極電池100に加えられる衝撃または振動による打痕現象などを考慮して決定される。
【0043】
第1電極140及び第2電極150のうち1つは、正極からなり、他の1つは、負極からなりうる。
【0044】
図4及び図5に示したように、第1電極140は、第1電極集電体141、前記第1電極集電体141の表面に塗布される第1電極活物質142、前記第1電極集電体141のうち、前記第1電極活物質142が塗布されていない無地部に溶接される第1電極タブ144、及び一端部が前記電池ケース160の内部で前記第1電極タブ144と溶接され、他端部が前記電池ケース160の外部に突出する第1電極リード145を含みうる。第2電極150も、第2電極集電体151、前記第2電極集電体151の表面に塗布される第2電極活物質152、前記第2電極集電体151のうち、前記第2電極活物質152が塗布されていない無地部に溶接される第2電極タブ154、及び一端部が前記電池ケース160の内部で前記第2電極タブ154と溶接され、他端部が前記電池ケース160の外部に突出する第2電極リード155を含みうる。
【0045】
メイン分離膜120及び補助分離膜130の素材は、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリレート共重合体のうち少なくとも1つ以上を含むものである。
【0046】
メイン分離膜120は、第1電極140及び第2電極150の間に位置するものである。
【0047】
メイン分離膜120、第1電極140及び第2電極150は、それぞれ複数設けられ、この際、補助分離膜130と基準電極110は、複数のメイン分離膜120のうち1つに設けられうる。
【0048】
メイン分離膜120、第1電極140及び第2電極150のそれぞれは、シート状からなって互いに重畳するように積層される。
【0049】
補助分離膜130は、基準電極110が第1電極140または第2電極150に直接接触しないように基準電極110を覆うことができるサイズからなりうる。
【0050】
図4及び図5に示したように、本発明の電源供給装置の3電極電池は、第1電極140、メイン分離膜120、基準電極110、補助分離膜130、第2電極150の順に、または第1電極140、補助分離膜130、基準電極110、メイン分離膜120、第2電極150の順に積層されて形成された電極組立体と共に電解液が電池ケース160の内部に注液された後、電池ケース160を密封して完成される。
【0051】
この際、第1電極140及び第2電極150が、それぞれ複数設けられる場合、複数の第1電極140のそれぞれに溶接された第1電極タブ144が1つの第1電極リード145に溶接され、複数の第2電極150のそれぞれに溶接された第2電極タブ154が1つの第2電極リード155に溶接され、第1電極リード145の一端部及び第2電極リード155の一端部が、電池ケース160の外部に突出する。
【0052】
図5及び図6に示したように、前記基準電極110は、前記第1電極140または前記第2電極150と対面する第1領域(A1)と、前記第1電極140または前記第2電極150の一側から突出する第2領域(A2)と、を含み、前記複数の穿孔ホール113は、前記第1領域(A1)に形成されるものである。すなわち、第1領域(A1)は、第1電極140または第2電極150にかかる電位の基準を定めるものであり、第2領域(A2)は、電気的連結のためのものである。
【0053】
本発明の電源供給装置の3電極電池100で、前記基準電極110は、複数の穿孔ホール113が形成されるものである。基準電極110に複数の穿孔ホール113が形成されることにより、第1電極140と第2電極150との間でのイオンの移動を基準電極110が妨害することを防止することができ、遮断領域の形成を抑制することができる。前記第1領域(A1)で、前記複数の穿孔ホール113からなる孔隙率は、30~70%でもある。すなわち、複数の穿孔ホール113の全面積は、第1領域(A1)の面積の30~70%からなりうる。第1領域(A1)で、孔隙率が30%以下である場合、イオン拡散が円滑に行われず、70%以上である場合、基準電極が切断され得る。したがって、前記第1領域(A1)で、前記複数の穿孔ホール113からなる孔隙率は、30~70%であることが望ましい。
【0054】
図7は、第1領域の孔隙率による電池特性を示すグラフである。具体的に、正極、分離膜、負極順に積層された電極組立体を含む電池に対して、分離膜と負極との間に穿孔ホールが形成されたテストホイルを挿入し、テストホイルの孔隙率(open ratio)による電池特性を示すグラフである。4個の電池が提供され、3個の電池には、孔隙率が17%、32%及び50%であるテストホイルをそれぞれ挿入し、残りの1つの電池には、テストホイルを挿入しなかった。図7に示されたように、30%未満の孔隙率(17%の孔隙率)のテストホイルが備えられた電池は、イオン移動に障害があることがわかるが、30%以上の孔隙率(32%及び50%の孔隙率)のテストホイルが備えられた電池は、テストホイル自体のない二次電池と類似した挙動を示すということが分かる。
【0055】
本発明の電源供給装置の3電極電池100は、一端部が前記基準電極110の前記第2領域(A2)に融着され、他端部が前記電池ケース160の外部に突出する基準電極リード115をさらに含むものである。基準電極110は、薄膜金属フィルムまたはホイルからなるために、電池ケース160の密封のための融着または外部電気端子との連結のための最小限の剛性が確保されない。したがって、基準電極110には、電気的連結のための導電体である基準電極リード115が連結され、基準電極リード115は、第2領域(A2)において溶接される。
【0056】
本発明の電源供給装置で、前記第1領域(A1)の面積は、前記第1電極140または前記第2電極150の面積の1~10%からなるものである。10%の面積を超過するサイズに基準電極110の第1領域(A1)が形成される場合、リチウムイオン拡散抵抗が大きくなる。
【0057】
具体的に、図6に示したように、前記第1電極140または前記第2電極150は、互いに直交する第1方向及び第2方向をエッジとする長方形からなりうる。さらに具体的に、前記第1電極140または前記第2電極150の前記第1方向の長さが、前記第2方向の長さよりも長く形成されうる。
【0058】
この際、前記第1領域(A1)の前記第1方向への長さWrは、前記第1電極140または前記第2電極150の前記第1方向への長さFLの1~3%に形成され、前記第1領域(A1)の前記第2方向への長さLrは、前記第1電極140または前記第2電極150の前記第2方向への長さFwの5~95%に形成されるものである。前記第1領域(A1)の前記第2方向への長さLrは、第1電極または第2電極の規格、素材、積層数及び積層形態などを考慮して決定される。
【0059】
すなわち、基準電極110は、第1電極140または第2電極150の長手方向に垂直な方向に延びる形状からなりうる。
【0060】
図4に示したように、前記基準電極110は、本体を形成するホイル部材111と、前記ホイル部材111にコーティングされる基準電極活物質112と、を含むものである。基準電極活物質112は、第1領域(A1)に塗布され、第2領域(A2)は、基準電極活物質112が塗布されていない無地部からなりうる。例えば、第1領域(A1)及び第2領域(A2)の第1方向への幅は、2mmに形成され、第2方向への長さは、第1領域(A1)が15mm、第2領域(A2)が3mmに形成されうる。
【0061】
前記ホイル部材111の素材は、Cu-foil及びAl-foilのうちから1つ以上を含むものであり、前記基準電極活物質112は、LTO(LiTi12)、LFP(LiFePO)、Li金属、及びこれらの組み合わせからなる群の中から選択されるものである。
【0062】
図8A図8Cは、本発明の電源供給装置に適用される3電極電池の基準電極110を適用した時と、従来のワイヤ型基準電極を適用した時との、電池での電極表面を撮影した写真である。図8A図8Cにおいて、左側は、従来のワイヤ型基準電極が適用されたものであり、右側は、本発明の基準電極110が適用されたものである。
【0063】
図8Aは、SoC(State of Charge)100%の電池から抽出された電極である。従来のタイプは、未反応領域が観察されているが、本発明の電源供給装置に適用される3電極電池の電極は、未反応領域が確認されないことが見られる。
【0064】
図8Bは、1C/1C、20サイクルの充電・放電が適用された電池から抽出された電極である。従来のタイプは、ワイヤ型基準電極の近隣位置でLi析出が不均一であるということが見られる。
【0065】
図8Cは、急速充電(fast charge)が適用された電池から抽出された写真である。従来のタイプは、ワイヤ型基準電極隣接領域で析出深化現象が発生するが、本発明の電源供給装置に適用される3電極電池の電極は、基準電極110隣接領域での析出が緩和されるということが見られる。
【0066】
図9は、1C charge及び2C chargeに対する充電深度を示すグラフである。本発明の電源供給装置に適用される3電極電池が、従来の電池よりも充電深度の偏差が減少することが見られる。
【0067】
本発明の電源供給装置は、基準電極と第1電極または第2電極との間の電圧を測定する第1電圧測定ユニット;及び前記第1電極と前記第2電極との間の電圧を測定する第2電圧測定ユニット;をさらに含み、前記第1電圧測定ユニット及び前記第2電圧測定ユニットの測定値は、前記BMSユニットに伝達されるものである。
【0068】
他の実施形態として、図10に示したように、本発明の電源供給装置は、基準電極110と第1電極140または第2電極140との間の電圧を測定する第1電圧測定ユニット510及びバッテリモジュール300の電圧を測定する第2電圧測定ユニット520をさらに含み、前記第1電圧測定ユニット510及び前記第2電圧測定ユニット520の測定値は、前記BMSユニット300に伝達されるものである。
【0069】
バッテリモジュール300は複数設けられ、複数のバッテリモジュール300のそれぞれには、少なくとも1つ以上の3電極電池100が備えられ、第1電圧測定ユニット510は複数設けられ、第2電圧測定ユニット520は複数設けられ、前記複数のバッテリモジュール300のそれぞれに少なくとも1つ以上の第1電圧測定ユニット510及び少なくとも1つ以上の第2電圧測定ユニット520が備えられるものである。
【0070】
以上、本発明による実施例が説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これにより多様な変形及び均等な範囲の実施例が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の電源供給装置は、長時間または多サイクルでの使用にも安定して駆動が可能な3電極電池を備えることにより、リアルタイムで二次電池の状態がモニタリング可能なものである。
【0072】
本発明の電源供給装置での3電極電池は、基準電極による遮断領域の広さを最小化し、電池内部の圧力変化による電極凹みのような電極損傷や内部短絡のような回路問題の発生を抑制することができる。
【0073】
本発明の電源供給装置での3電極電池は、電極自体の物性及び駆動の有無に関係なく高信頼性の正極/負極のモニタリングが可能なものである。
【0074】
本発明の電源供給装置での3電極電池は、厚さの変化が激しいSi/SiO電池や、長期的な退化に対するモニタリングに対して有利なものである。
【0075】
本発明の電源供給装置での3電極電池は、遮断領域の減少による3電極偏差の減少効果を期待することができる。
【0076】
本発明の電源供給装置での3電極電池は、中型・大型電池の設計に容易な構造であり、電極のスタックまたは面積に関係なく適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
100:3電極電池
110:基準電極
111:ホイル部材
112:基準電極活物質
113:穿孔ホール
115:基準電極リード
120:メイン分離膜
130:補助分離膜
140:第1電極
141:第1電極集電体
142:第1電極活物質
144:第1電極タブ
145:第1電極リード
150:第2電極
151:第2電極集電体
152:第2電極活物質
154:第2電極タブ
155:第2電極リード
160:電池ケース
200:二次電池
300:バッテリモジュール
400:BMSユニット
510:第1電圧測定ユニット
520:第2電圧測定ユニット
A1:第1領域
A2:第2領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
【国際調査報告】