(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】湿式又は乾式接着のための接着剤
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20241128BHJP
C09J 133/04 20060101ALI20241128BHJP
A61L 24/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/04
A61L24/00 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527688
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 IB2022060650
(87)【国際公開番号】W WO2023084372
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524062087
【氏名又は名称】ソルベンタム インテレクチュアル プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】アダム アール.ウォール
(72)【発明者】
【氏名】木下 康宏
(72)【発明者】
【氏名】ドン エー.リッツァーディ
(72)【発明者】
【氏名】メアリー エル.ウエスト
(72)【発明者】
【氏名】ミリアム イー.パケット
(72)【発明者】
【氏名】コーチエン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ビノド メノン
(72)【発明者】
【氏名】イン チャン
【テーマコード(参考)】
4C081
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4C081AC04
4C081BB04
4C081CA082
4C081CC06
4C081DA02
4J004AA10
4J004AB01
4J004AB03
4J004CA01
4J004CB03
4J004CC02
4J004FA06
4J004FA09
4J040DF021
4J040JB09
4J040MA10
4J040NA02
4J040NA06
(57)【要約】
接着剤物品は、基材と、基材上に配置されたホットメルト加工可能な感圧接着剤層とを含む。感圧接着剤層は、合計10~17個の炭素原子を有する分岐(メタ)アクリレート又は合計8~18個の炭素原子を有する第2のアルキル(メタ)アクリレート異性体の混合物のいずれかである(メタ)アリーレートモノマー、非酸官能性極性モノマー、任意選択の酸官能性モノマー、架橋結合部分、及び開始剤を含む混合物の硬化反応生成物である(メタ)アクリレート系ポリマーである。感圧接着剤組成物は、包装材料中に含有され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤物品であって、
第1の主表面及び第2の主表面を有する基材と、
前記基材の前記第1の主表面の少なくとも一部分上に配置されたホットメルト加工可能な感圧接着剤層と、を含み、前記感圧接着剤層が(メタ)アクリレート系ポリマーを含み、前記(メタ)アクリレート系ポリマーは、
89.0~99.49重量%の少なくとも1つの第1の(メタ)アクリレートモノマーと、
0.5~5.0重量%の非酸官能性エチレン性不飽和極性モノマーと、
0~1重量%の酸官能性エチレン性不飽和モノマーと、
0.01~5重量%の少なくとも1つの架橋結合部分と、
硬化性成分の総重量に基づいて、0.01~1.0重量部の少なくとも1つの開始剤と、を含む混合物の硬化反応生成物を含み、
前記第1の(メタ)アクリレートモノマーが、合計10~17個の炭素原子を有する分岐(メタ)アクリレート、又は合計8~18個の炭素原子を有する第2のアルキル(メタ)アクリレート異性体の混合物を含み、湿潤プロテインレザー表面への前記接着剤物品の接着力が、同じ乾燥プロテインレザー表面へのその接着力の少なくとも50%である、接着剤物品。
【請求項2】
前記第1の(メタ)アクリレートが、式(I)の第2のアルキル(メタ)アクリレート異性体の混合物を含み、
【化1】
式中、
R
1及びR
2が、それぞれ独立して、C
1~C
10の飽和直鎖アルキル基であり、
R
1とR
2の炭素数の和が8~18であり、
R
3は、H又はCH
3である、請求項1に記載の接着剤物品。
【請求項3】
前記第2のアルキル(メタ)アクリレート異性体の混合物が、少なくとも5つの異性体の混合物を含む、請求項2に記載の接着剤物品。
【請求項4】
R
1及びR
2が、それぞれ独立して、C
1~C
10飽和直鎖アルキルであり、R
1及びR
2の炭素数の和が9~17である、請求項2に記載の接着剤物品。
【請求項5】
R
1及びR
2が、それぞれ独立して、C
1~C
10飽和直鎖アルキルであり、R
1及びR
2の炭素数の和が9~13である、請求項2に記載の接着剤物品。
【請求項6】
前記架橋結合部分が、光架橋剤、多官能性(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の接着剤物品。
【請求項7】
前記非酸官能性エチレン性不飽和極性モノマーが、NVP(N-ビニルピロリドン)、NVC(N-ビニルカプロラクタム)、アクリルアミドモノ-若しくはジ-N-アルキル置換アクリルアミド、t-ブチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、又はN-オクチルアクリルアミドを含む、請求項1に記載の接着剤物品。
【請求項8】
前記基材が、ポリマーフィルム、テープ裏材、又は医療機器を含む、請求項1に記載の接着剤物品。
【請求項9】
前記感圧接着剤層が、100部の前記(メタ)アクリレート系ポリマーに対して、少なくとも2~25部の少なくとも1つの粘着付与剤を更に含む、請求項1に記載の接着剤物品。
【請求項10】
前記接着剤物品が、湿潤プロテインレザー表面に対して少なくとも1ニュートン/25ミリメートルの接着力を有する、請求項1に記載の接着剤物品。
【請求項11】
前記感圧接着剤が、DMAによって測定した場合に25℃で10,000パスカルを超える弾性率を有する、請求項1に記載の接着剤物品。
【請求項12】
前記感圧接着剤物品が、収縮試験によって測定した場合に10%未満の収縮を有する、請求項1に記載の接着剤物品。
【請求項13】
接着剤組成物であって、
包装材料と、
感圧接着剤と、を含み、前記感圧接着剤が、(メタ)アクリレートポリマーを含み、前記(メタ)アクリレートポリマーが、
89~99.49重量%の少なくとも1つの第1の(メタ)アクリレートモノマーと、
0.5~5.0重量%の非酸官能性エチレン性不飽和極性モノマーと、
0~1重量%の酸官能性エチレン性不飽和モノマーと、
0.01~5重量%の架橋結合部分と、
硬化性成分の総重量に基づいて、0.01~1.0重量部の少なくとも1つの開始剤と、を含む混合物の硬化反応生成物を含み、
前記第1の(メタ)アクリレートモノマーが、合計10~17個の炭素原子を有する分岐(メタ)アクリレート、又は合計8~18個の炭素原子を有する第2のアルキル(メタ)アクリレート異性体の混合物を含み、湿潤プロテインレザー表面に対する接着剤物品の接着力が、同じ乾燥プロテインレザー表面に対するその接着力の少なくとも50%であり、
前記感圧接着剤が前記包装材料内に含有され、前記パッケージ化された感圧接着剤がホットメルト加工可能である、接着剤組成物。
【請求項14】
前記第1の(メタ)アクリレートが、式(I)の第2のアルキル(メタ)アクリレート異性体の混合物を含み、
【化2】
式中、
R
1及びR
2が、それぞれ独立して、C
1~C
10の飽和直鎖アルキル基であり、
R
1とR
2の炭素数の和が8~18であり、
R
3は、H又はCH
3である、請求項13に記載の接着剤組成物。
【請求項15】
前記第2のアルキル(メタ)アクリレート異性体の混合物が、少なくとも5つの異性体の混合物を含む、請求項14に記載の接着剤組成物。
【請求項16】
R
1及びR
2が、それぞれ独立して、C
1~C
9飽和直鎖アルキルであり、R
1及びR
2の炭素数の和が9~17である、請求項14に記載の接着剤組成物。
【請求項17】
接着剤物品を形成する方法であって、
第1の主表面及び第2の主表面を有する基材を提供することと、
パッケージ化された接着剤組成物を提供することと、
前記パッケージ化された接着剤組成物をホットメルト混合装置内に配置することと、
前記パッケージ化された接着剤組成物をホットメルト混合することと、
前記ホットメルト混合された接着剤組成物を前記基材表面の前記第2の主表面の少なくとも一部分上に分配して、感圧接着剤層を形成することと、を含み、
前記パッケージ化された接着剤組成物が、(メタ)アクリレート系ポリマーを含み、前記(メタ)アクリレート系ポリマーが
89~99.49重量%の少なくとも1つの第1の(メタ)アクリレートモノマーと、
0.5~5.0重量%の非酸官能性エチレン性不飽和極性モノマーと、
0~1重量%の酸官能性エチレン性不飽和モノマーと、
0.01~2重量%の架橋結合部分と、
硬化性成分の総重量に基づいて、0.01~1.0重量部の少なくとも1つの開始剤と、を含む混合物の硬化反応生成物を含み、
前記第1の(メタ)アクリレートモノマーが、合計で10~17個の炭素原子を有する分岐(メタ)アクリレート、又は合計で8~18個の炭素原子を有する第2のアルキル(メタ)アクリレート異性体の混合物を含み、
湿潤プロテインレザー表面への前記接着剤物品の接着力が、同じ乾燥プロテインレザー表面へのその接着力の少なくとも50%である、方法。
【請求項18】
前記パッケージ化された接着剤組成物をホットメルト混合装置内に配置することが、粘着付与剤を前記ホットメルト混合装置に添加することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記基材が、ポリマーフィルム、テープ裏材、又は医療機器を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
医療用構造物であって、
哺乳動物の皮膚を含む表面と、
前記表面に接着接合された医療用物品と、を含み、前記医療用物品が、
第1の主表面及び第2の主表面を有する医療機器、及び
前記医療機器の前記第2の主表面の少なくとも一部分上に配置された感圧接着剤層を含み、前記感圧接着剤層が(メタ)アクリレート系ポリマーを含み、前記(メタ)アクリレート系ポリマーは、
89~99.49重量%の少なくとも1つの第1の(メタ)アクリレートモノマーと、
0.5~5.0重量%の非酸官能性エチレン性不飽和極性モノマーと、
0~1重量%の酸官能性エチレン性不飽和モノマーと、
0.01~5重量%の架橋結合部分と、
硬化性成分の総重量に基づいて、0.01~1.0重量部の少なくとも1つの開始剤と、を含む混合物の硬化反応生成物を含み、
前記第1の(メタ)アクリレートモノマーが、合計10~17個の炭素原子を有する分岐(メタ)アクリレート、又は合計8~18個の炭素原子を有する第2のアルキル(メタ)アクリレート異性体の混合物を含み、
湿潤プロテインレザー表面への前記感圧接着剤層の接着力が、乾燥プロテインレザー表面へのその接着力の少なくとも50%である、医療用構造物。
【請求項21】
前記医療機器が、モニタ、ポンプ、電極、センサ、又は通信モジュールを含む、請求項20に記載の医療用構造物。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
湿潤及び乾燥表面に対して良好な接着性を有する接着剤物品が、本明細書に開示される。本明細書に開示されるのはまた、接着剤組成物、接着剤組成物を調製する方法、及び医療機器を哺乳動物の皮膚に接合する接着剤を含む医療用構造物である。
【0002】
第1の主表面及び第2の主表面を有する基材と、基材の第1の主表面の少なくとも一部分上に配置されたホットメルト加工可能な感圧接着剤層と、を含む接着剤物品が、本明細書に開示される。感圧接着剤層は、(メタ)アクリレート系ポリマーを含み、(メタ)アクリレート系ポリマーは、89.0~99.49重量%の少なくとも1つの第1の(メタ)アクリレートモノマーと、0.5~5.0重量%の非酸官能性エチレン性不飽和極性モノマーと、0~1重量%の酸官能性エチレン性不飽和モノマーと、0.01~5重量%の少なくとも1つの架橋結合部分と、硬化性成分の総重量に基づいて、0.01~1.0重量部の少なくとも1つの開始剤と、を含む混合物の硬化性反応生成物を含む。第1の(メタ)アクリレートモノマーは、合計10~17個の炭素原子を有する分岐(メタ)アクリレート、又は合計8~18個の炭素原子を有する第2のアルキル(メタ)アクリレート異性体の混合物を含む。湿潤プロテインレザー表面への接着剤物品の接着力は、同じ乾燥プロテインレザー表面へのその接着力の少なくとも50%である。
【0003】
また、開示されるのは、包装材料と感圧接着剤とを含む接着剤組成物であり、感圧接着剤は上に記載されており、包装材料内に含有されている。パッケージ化された感圧接着剤はホットメルト加工可能である。
【0004】
接着剤物品を形成する方法は、第1の主表面及び第2の主表面を有する基材を提供することと、パッケージ化された接着剤組成物を提供することと、パッケージ化された接着剤組成物をホットメルト混合装置内に配置することと、パッケージ化された接着剤組成物をホットメルト混合することと、ホットメルト混合された接着剤組成物を基材表面の第2の主表面の少なくとも一部分上に分配して感圧接着剤層を形成することと、を含む。パッケージ化された接着剤組成物は上に記載されている。
【0005】
また、本明細書に開示されるのは、哺乳動物の皮膚を含む表面と、表面に接着接合された医療用物品とを含む医療用構造体であり、医療用物品は、医療機器と、感圧接着剤層とを含む。感圧接着剤層は上に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0006】
医療産業における接着剤製品の使用は、長く普及しており、増加している。しかしながら、接着剤及び接着剤物品は、それら自体が医療用途に非常に有用であることが示されているが、接着剤及び接着剤物品の使用にも問題がある。多くの医療用接着物品は創傷領域に直接付着させるが、テープ及びドレープなどの広範囲の医療用物品は、創傷領域自体に付着させるのではなく、むしろ吸収性材料又は医療機器を皮膚上の適所に保持するなど、治療を支援する役割を果たす。テープで適所に保持される医療機器の例としては、チューブ、カテーテル、オストミー器具、センサなどが挙げられる。
【0007】
医療用接着剤は、多様な望ましい特性を有する。これらの特性の中には、十分な剥離接着力及びせん断保持力、並びに身体と共に曲がるような可撓性、及び皮膚損傷を引き起こすことなく除去可能であるような典型的な接着剤要件がある。ヒトの皮膚は生きている組織であるので、皮膚表面は時には比較的乾燥している可能性があり、発汗によって湿っている可能性もあり、皮膚表面は体液及び洗浄流体などの広範囲の外部流体にさらされるため、皮膚は変わりやすい。したがって、湿潤及び乾燥表面の両方を含む広範囲の皮膚表面に接着することができる医療用接着剤が必要とされている。
【0008】
第1の主表面及び第2の主表面を有する基材と、基材の第1の主表面の少なくとも一部分上に配置されたホットメルト加工可能な(メタ)アクリレート系感圧接着剤層と、を含む接着剤物品が、本明細書に開示される。基材は、ポリマーフィルム、テープ裏材、又は医療機器であり得る。感圧接着剤は、(メタ)アクリレート系ポリマーを含み、粘着付与樹脂などの任意選択の添加剤を含んでもよい。(メタ)アクリレート系ポリマーは、反応混合物を重合することによって調製される。いくつかの実施形態において、ホットメルト加工可能な接着剤は、包装材料内に存在する。
【0009】
本明細書で使用するとき、用語「接着剤」は、2つの被着体を一緒に接着するのに有用なポリマー組成物を指す。接着剤の例は、感圧接着剤である。
【0010】
感圧接着剤組成物は、以下を含む特性を有することが当業者に周知である。(1)強力かつ永久的な粘着性、(2)指圧以下の圧力による接着、(3)被着体上に保持する十分な能力、及び(4)被着体からきれいに除去するのに十分な凝集力。感圧接着剤として良好に機能することが見出されている材料は、必要な粘弾性特性を示すように設計及び配合されたポリマーであり、粘着性、剥離接着力、及びせん断保持力の望ましいバランスをもたらす。特性の適切なバランスを得ることは容易なプロセスではない。
【0011】
用語「(メタ)アクリレート」は、アルコールのモノマーアクリル酸又はメタクリル酸エステルを指す。アクリレート及びメタクリレートモノマー又はオリゴマーは、本明細書では集合的に「(メタ)アクリレート」と称される。「(メタ)アクリレート系」と称される材料は、1つ以上の(メタ)アクリレートを含有し、追加の共重合されたフリーラジカル重合性材料を含有し得る材料である。
【0012】
用語「フリーラジカル重合性」及び「エチレン性不飽和」は、互換的に使用され、フリーラジカル重合機構を介して重合することができる炭素-炭素二重結合を含有する反応性基を指す。
【0013】
用語「分岐」は、アルキル(メタ)アクリレートを説明するために使用される場合、エステル基に直接隣接する炭素に分岐が存在しないアルキル基、すなわち、H2C=CR1-C(O)-O-CH2-Raを指し、式中、C(O)はカルボニル基C=Oを指し、分岐はRa基中に生じる。これは、エステル基に直接隣接する炭素に結合した2つのアルキル基が存在する第2のアルキル(メタ)アクリレート、すなわち、H2C=CR1-C(O)-O-CRbRcとは対照的であり、式中、C(O)はカルボニル基C=Oを指し、Rb及びRcはそれぞれアルキル基である。
【0014】
用語「室温」及び「周囲温度」は、20℃~25℃の範囲の温度を意味するために互換的に使用される。
【0015】
2つの層に言及するときに本明細書で使用される用語「隣接する」は、2つの層が、それらの間に介在する開放空間なしに互いに近接していることを意味する。それらは互いに直接接触していてもよく(例えば、一緒に積層されていてもよく)、又は介在層があってもよい。
【0016】
用語「ポリマー」及び「高分子」は、化学におけるそれらの一般的な用法と一致して本明細書で使用される。ポリマー及び高分子は、多くの反復サブユニットから構成される。用語「高分子」は、本明細書で使用するとき、複数の繰り返し単位を有するモノマーに結合した基を説明するために使用される。用語「ポリマー」は、重合反応から形成される結果として得られる材料を説明するために使用される。
【0017】
用語「プロテインレザー」は、本明細書では、その一般的に理解されている意味に従って使用される。プロテインレザーは、人工皮革(Pleather)としても知られており、柔軟なシートを形成するために樹脂と共にタンパク質粉末から構成される。これらのシートは、外観及び耐久性が皮革に似ている。
【0018】
用語「アルキル」は、飽和炭化水素であるアルカンのラジカルである一価の基を指す。アルキルは、直鎖、分枝鎖、環状、又はこれらの組み合わせであってよく、典型的には1~20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~18個、1~12個、1~10個、1~8個、1~6個、又は1~4個の炭素原子を含有する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、エチルヘキシル、n-ドデシル、2-ドデシル、3-ドデシル、4-ドデシル、及び5-ドデシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
接着剤物品が、本明細書に開示される。接着剤物品は、第1の主表面及び第2の主表面を有する基材と、基材の第1の主表面の少なくとも一部分上に配置されたホットメルト加工可能な(メタ)アクリレート系感圧接着剤層と、を含む。
【0020】
広範囲の基材が、本開示の接着剤物品に好適である。一般に、基材は、医療用途において有用な基材である。好適な基材の例としては、ポリマーフィルム、テープ裏材、又は医療機器が挙げられる。基材は、モノリシック構造又は多層構造であってもよい。多層構造において、基材は、基材の第1又は第2の表面に隣接して、又は基材の第1又は第2の表面として存在する様々なコーティング又は層を有してもよい。
【0021】
剥離ライナーを含む広範囲のポリマーフィルム基材が好適である。剥離ライナーは、少なくとも1つの表面上に低接着性コーティングを有するシート材料である。本開示のホットメルト加工可能な感圧接着剤は、剥離ライナー上に配置されて、剥離ライナー上に感圧接着剤の層を含む物品を生成することができる。この接着剤/剥離ライナー物品は、接着剤層を異なる基材に積層し、次いで剥離ライナーを除去することによって、他の接着剤/基材物品を調製するために使用することができる。これにより、ホットメルト加工可能な感圧接着剤を直接配置することが困難な基材、例えば感熱性の基材上に接着剤を配置することが可能になる。接着剤/剥離ライナー物品はまた、例えば、電極、オストミー器具などの物品に感圧接着剤層を付着させるために使用されてもよい。典型的には、フィルム材料は、接着剤物品にサポートを提供するのに十分に剛性である。剥離ライナーに加えて、他の好適なフィルム層としては、解剖学的表面に付着させた場合に、表面が動いた場合であっても表面に適合することができ、伸縮することができるものが挙げられる。いくつかの実施形態において、フィルム材料は、エラストマーポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、又はポリエーテルブロックアミド製のフィルムである。
【0022】
いくつかの実施形態では、基材はテープ裏材である。好適なテープ裏材の例としては、通気性適合裏材が挙げられる。広範囲の通気性適合裏材が、本開示の物品における使用に好適である。典型的には、通気性の適合性裏材は、織布若しくは編布、不織布、発泡体、又はプラスチックを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、通気性適合裏材は、高水蒸気透過性フィルム裏材を含む。そのような裏材の例、そのようなフィルムを作製する方法、及びそれらの透過性を試験する方法は、例えば、米国特許第3,645,835号及び同第4,595,001号に記載されている。典型的には、そのような裏材は多孔質材料である。
【0024】
一般に、裏材は、解剖学的表面に適合する。したがって、裏材が解剖学的表面に適用される場合、表面が移動した場合であっても、裏材は表面に適合する。一般に、裏材は、動物の解剖学的関節にも適合する。関節が屈曲され、次いで、その非屈曲位置に戻されるとき、裏材は、関節の屈曲に適応するように伸長するが、関節がその非屈曲状態に戻されるとき、関節に適合し続けるように十分に弾性である。
【0025】
特に好適な裏材の例は、米国特許第5,088,483号及び同第5,160,315号に見出すことができ、エラストマーポリウレタン、ポリエステル、又はポリエーテルブロックアミド製フィルムが挙げられる。これらのフィルムは、弾力性、高水蒸気透過性、及び透明性を含む望ましい特性の組み合わせを有する。
【0026】
物品は、追加の任意選択の層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、基材表面と感圧接着剤層との間にプライマー層が存在することが望ましい場合がある。一般に、プライマー層は、一般に「プライマー」又は「接着促進剤」と称される材料を含む。プライマー及び接着促進剤は、表面上に薄いコーティングとして適用され、表面に強力に接着し、表面に改質された表面化学を提供する材料である。好適なコーティング材料の例としては、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、塩素化ポリオレフィン、ゴム、塩素化ゴム、ポリウレタン、シロキサン、シラン、ポリエステル、エポキシ、ポリカルボジイミド、フェノール樹脂、及びこれらの組み合わせが挙げられる。典型的には、本開示の物品はプライマー層を必要としない。これは、ホットメルト加工可能な感圧接着剤が基材表面上に配置される場合、それは、広範囲の基材表面と強い相互作用を形成する傾向があり、プライマーを不要にするからである。
【0027】
いくつかの実施形態では、基材の第2の主表面、すなわち接着剤構造体がコーティングされていない表面は、低接着性コーティングを有することが望ましい場合がある。これは、接着剤物品がテープの形態で供給される場合に特に当てはまる。多くのテープはロールとして供給され、接着剤層は、巻き上げられると裏材の非接着剤「裏」側に接触する。多くの場合、裏材のこの非接着性表面は、ロールを巻き出すことを可能にするために、その上に低接着性コーティング又は剥離コーティングを有する。これらの低接着性コーティングは、しばしば「低接着性バックサイズ」又はLAB(low adhesion backsize)と呼ばれる。接着剤の性質、裏材の組成及びトポグラフィー、並びにテープ物品の望ましい用途を含む多くの要因が、LABコーティングが必要であるか又は望ましいかを制御する。
【0028】
基材層は、広範囲の厚さを有する。発泡体基材などのいくつかの基材は比較的厚く、フィルム基材などの他の基材は比較的薄くすることができる。いくつかの実施形態において、厚さは少なくとも10マイクロメートル、最大2ミリメートルであり、いくつかの実施形態において、少なくとも10マイクロメートル、最大152マイクロメートル(6ミル)であり、更に他の実施形態において、厚さは、25マイクロメートル(1ミル)から最大102マイクロメートル(4ミル)である。広範囲の中間の厚さも好適である。
【0029】
いくつかの実施形態では、基材は医療機器を含む。短期間又は長期間にわたって装着されることが意図される機器を含む、広範囲の医療機器が好適である。例としては、患者に取り付けられる多様なモニタ、ポンプ、電極、センサ、及び通信モジュールが挙げられる。そのような機器の例としては、RFID、インスリンポンプ、BME(バイオメディカル電極)、連続グルコースモニタ、フラッシュグルコースモニタなどが挙げられる。
【0030】
接着剤物品はまた、基材の第1の主表面の少なくとも一部分上に配置されたホットメルト加工可能な感圧接着剤層を含み、感圧接着剤層は、(メタ)アクリレート系ポリマー及び任意選択の添加剤を含む。
【0031】
本明細書では、ホットメルト加工可能な接着剤組成物が開示される。用語「ホットメルト加工可能」は、プロセスの説明又は限定ではなく、むしろ材料の説明であり、接着剤組成物がホットメルト加工され得ることを意味し、組成物が必ずしもホットメルト加工されていることを意味するものではない。
【0032】
いくつかの実施形態では、(メタ)アクリレート系ポリマーは、
89.0~99.49重量%の少なくとも1つの第1の(メタ)アクリレートモノマーと、
0.5~5.0重量%の非酸官能性エチレン性不飽和極性モノマーと、
0~1重量%の酸官能性エチレン性不飽和モノマーと、
0.01~5重量%の少なくとも1つの架橋結合部分と、
硬化性成分の総重量に基づいて、0.01~1.0重量部の少なくとも1つの開始剤と、を含む混合物の硬化反応生成物を含む。
【0033】
反応混合物は、望ましい組成物反応性成分を用いて調製され、次いで重合されて、(メタ)アクリレート系ポリマーを形成する。上記の反応混合物は、少なくとも第1の(メタ)アクリレートモノマー、非酸官能性エチレン性不飽和極性モノマーを含み、任意選択で酸官能性エチレン性不飽和モノマー、架橋結合部分、及び少なくとも1つの開始剤を含有してもよい。加えて、反応混合物は、以下に記載されるような1つ以上の任意選択の成分を含んでもよい。
【0034】
第1の(メタ)アクリレートモノマーは、合計10~17個の炭素原子を有する分岐(メタ)アクリレート、又は合計8~18個の炭素原子を有する第2のアルキル(メタ)アクリレート異性体の混合物を含む。
【0035】
第1の(メタ)アクリレートモノマーが、10~17個の炭素原子を有する分岐アルキル(メタ)アクリレートを含む実施形態において。分岐アルキル(メタ)アクリレートは、一般式H2C=CR1-C(O)-O-CH2-Raのものであり、式中、C(O)はカルボニル基C=Oを指し、分岐はRa基において生じる。特に好適なのはイソデシルアクリレートである。
【0036】
第1の(メタ)アクリレートモノマーが、合計8~18個の炭素原子を有する第2のアルキル(メタ)アクリレート異性体の混合物を含む実施形態において。いくつかの実施形態では、第2のアルキル(メタ)アクリレート異性体の混合物は、少なくとも5つの異性体の混合物を含む。いくつかの実施形態では、第1の(メタ)アクリレートは、式(I)の第2のアルキル(メタ)アクリレート異性体の混合物を含む。
【0037】
【化1】
式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、C
1~C
10飽和直鎖アルキル基であり、R
1及びR
2の炭素数の和は8~18であり、R
3は、H又はCH
3である。いくつかの実施形態では、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、C
1~C
10飽和直鎖アルキルであり、R
1及びR
2の炭素数の和は、9~17である。他の実施形態では、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、C
1~C
10飽和直鎖アルキルであり、R
1及びR
2の炭素数の和は、9~13である。モノマーの混合物は、例えば、米国特許第9,102,774号に記載されている。
【0038】
第1の(メタ)アクリレートモノマー又はモノマーの混合物は、全反応性モノマーの重量に基づいて少なくとも89重量%、最大99.49重量%を含む反応混合物の主成分である。いくつかの実施形態では、第1の(メタ)アクリレートは、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の量で存在する。
【0039】
感圧接着剤ポリマーを形成するために使用される組成物は、極性モノマーを更に含んでもよい。本明細書で使用するとき、用語「極性モノマー」は、酸官能性を除外し、「非酸官能性エチレン性不飽和極性モノマー」と称される。
【0040】
好適なそのような極性モノマーの代表例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート;N-ビニルピロリドン(NVP);N-ビニルカプロラクタム(NVC);アクリルアミド;モノ-又はジ-N-アルキル置換アクリルアミド;t-ブチルアクリルアミド;ジメチルアミノエチルアクリルアミド;N-オクチルアクリルアミド;2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、及びポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含むポリ(アルコキシアルキル)(メタ)アクリレート;ビニルメチルエーテルを含むアルキルビニルエーテル;並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。特に好適な極性モノマーとしては、NVP(N-ビニルピロリドン)、NVC(N-ビニルカプロラクタム)、アクリルアミドモノ-又はジ-N-アルキル置換アクリルアミド、t-ブチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド又はN-オクチルアクリルアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0041】
非酸官能性エチレン性不飽和極性モノマーは、モノマーの総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%から5重量%までの量で存在する。いくつかの実施形態では、非酸官能性エチレン性不飽和極性モノマーは、少なくとも1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、又は4.5重量%の量で存在する。
【0042】
反応混合物は、任意選択で酸官能性モノマーを含んでもよく、酸官能基は、カルボン酸などの酸それ自体であってもよく、又は一部がアルカリ金属カルボン酸塩などのその塩であってもよい。有用な酸官能性モノマーとしては、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和スルホン酸、エチレン性不飽和ホスホン酸、及びこれらの混合物から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。そのような化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、オレイン酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸、及びこれらの混合物から選択されるものが挙げられる。
【0043】
酸モノマーは、存在する場合、モノマーの総重量に基づいて最大1重量%である。いくつかの実施形態では、酸官能性モノマーは、最大0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9重量%の量で存在する。
【0044】
反応混合物はまた、少なくとも1つの架橋結合部分を含む。多種多様な架橋結合部分が好適である。いくつかの実施形態では、架橋結合部分は光架橋剤である。他の実施形態では、架橋結合部分は多官能性(メタ)アクリレートである。更に他の実施形態では、架橋結合部分は、光架橋剤と多官能性(メタ)アクリレートとの組み合わせである。
【0045】
光架橋剤は共重合性であり、上述のモノマーと共重合するフリーラジカル重合性基を有する。共重合性光架橋剤はまた、適正な波長の光、典型的には高強度紫外線(ultra-violet、UV)放射に曝露されると、ポリマー中に架橋結合を形成することができるフリーラジカルを形成する感光性基を含有する。(メタ)アクリレート系ポリマーが光開始剤の使用によって形成される場合、光架橋剤は、光開始剤と同じ波長の光によって活性化されない。このようにして、共重合性光架橋剤はポリマー中に組み込まれ、架橋剤が熱的に安定であり、適切な波長の光によって活性化されるまでもとのままであるので、熱処理することができる。これは、ポリマーがホットメルトコーティングされるまで、共重合性光架橋剤が活性化されることを可能にする。いくつかの実施形態において、これらの架橋剤は、中圧水銀ランプ又はUVブラックライトなどの人工光源から生成されるUV光によって活性化される。
【0046】
米国特許第4,737,559号(Kellenら)に記載されているものなどの、オルト芳香族ヒドロキシル基を含まないモノエチレン性不飽和芳香族ケトンコモノマー(co0monomers)中の好適な光架橋剤。具体例としては、パラ-アクリルオキシベンゾフェノン(ABP)、パラ-アクリロキシエトキシベンゾフェノン、パラ-N-(メチルアクリルオキシエチル)-カルバモイルエトキシベンゾフェノン、パラ-アクリルオキシアセトフェノン、オルト-アクリルアミドアセトフェノン、アクリル化アントラキノンなどが挙げられる。特に好適なのは、4-アクリルオキシベンゾフェノンとも呼ばれるABPパラ-アクリルオキシベンゾフェノンである。
【0047】
他の好適な種類の架橋結合部分は、多官能性(メタ)アクリレートである。有用な多官能性(メタ)アクリレートの例としては、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、プロポキシル化グリセリントリ(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物などのジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、及びテトラ(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。多官能性(メタ)アクリレートは、重合プロセス中に(メタ)アクリレートポリマーを架橋する。
【0048】
架橋結合部分は、光架橋剤、多官能性(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせのいずれであっても、全モノマーの総重量に基づいて少なくとも0.01重量%~最大5重量%の量で存在する。いくつかの実施形態において、架橋結合部分は、少なくとも0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、又は4.5重量%の量で存在する。
【0049】
反応混合物はまた、少なくとも1つの開始剤を含む。典型的には、開始剤は光開始剤であり、これは開始剤が光、典型的には紫外線(UV)光によって活性化されることを意味する。光開始剤は、(メタ)アクリレート重合の当業者によって十分に理解されている。好適なフリーラジカル光開始剤の例としては、BASF(ノースカロライナ州シャーロット)から市販されているDAROCURE 1173、DAROCURE 4265、IRGACURE 184、IRGACURE 651、IRGACURE 1173、IRGACURE 819、LUCIRIN TPO、LUCIRIN TPO-Lが挙げられる。光開始剤DAROCURE 1173が特に好適である。
【0050】
一般に、光開始剤は、100重量部の全反応性成分に対して0.01~1重量部、より典型的には0.1~0.5重量部の量で使用される。
【0051】
反応混合物はまた、添加剤が重合反応に悪影響を及ぼさない限り、種々の任意選択の添加剤を含んでもよい。1つの特に好適な添加剤は、連鎖移動剤である。有用な連鎖移動剤の例としては、四臭化炭素、メルカプタン、アルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。特に好適な連鎖移動剤は、IOTG(イソオクチルチオグリコレート)である。連鎖移動剤及び連鎖移動剤の使用は、接着剤技術分野においてよく理解されている。
【0052】
上記の反応混合物を重合して、(メタ)アクリレート系ポリマーを形成する。接着剤物品の感圧接着剤層は、この(メタ)アクリレート系ポリマーを含み、以下に記載されるような追加の添加剤も含んでもよい。反応混合物の重合は、溶媒系及び無溶媒プロセスを含む様々な従来のフリーラジカル重合法を使用して行うことができる。
【0053】
典型的な溶液重合法は、モノマー、好適な溶媒、及び任意選択の連鎖移動剤を反応容器に添加することによって、フリーラジカル開始剤を添加することによって、窒素でパージすることによって、及び反応容器を高温、典型的には40~100℃の範囲に維持することによって、典型的には1~20時間、バッチサイズ及び温度に応じて、反応が完了するまで、行われる。溶媒の例としては、メタノール、テトラヒドロフラン、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、キシレン、及びエチレングリコールアルキルエーテルがある。これらの溶媒は、単独で又はそれらの混合物として使用することができる。
【0054】
ポリマーを調製するために、米国特許第4,619,979号(Kotnourら)及び同第4,843,134号(Kotnourら)に記載されている連続フリーラジカル重合法、米国特許第5,637,646号(Ellis)に記載されているバッチリアクターを使用する本質的に断熱的な重合法、並びに米国特許第5,804,610号(Hamerら)に記載されているパッケージ化された接着剤前駆組成物を重合するための記載されている方法などの無溶媒重合法を利用することもできる。
【0055】
感圧接着剤層は、(メタ)アクリレート系ポリマーを含み、1つ以上の従来の添加剤も含有することができる。好適な添加剤としては、添加剤が接着剤層の接着特性に悪影響を及ぼさない限り、粘着付与剤、可塑剤、染料、酸化防止剤、及びUV安定剤が挙げられる。
【0056】
粘着付与樹脂は、接着剤物品の感圧接着剤層に使用するのに特に適している。好適な粘着付与樹脂としては、ロジン及びその誘導体(例えば、ロジンエステル);ポリテルペン及び芳香族変性ポリテルペン樹脂;クマロン-インデン樹脂;及びアルファピネン系樹脂、ベータピネン系樹脂、リモネン系樹脂、脂肪族炭化水素系樹脂、芳香族変性炭化水素系樹脂、芳香族炭化水素樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂などの炭化水素樹脂、が挙げられる。特定の実施形態において、粘着付与剤は、テルペン樹脂、炭化水素樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、又はこれらの組み合わせである。所望であれば、様々な粘着付与剤の組み合わせを使用することができる。所望であれば、これらの粘着付与樹脂を水素化して、感圧接着剤層へのそれらの色の寄与を低下させることができる。
【0057】
粘着付与樹脂は、使用される場合、典型的には、100部の(メタ)アクリレート系ポリマー当たり2~25部の粘着付与剤の量で感圧接着剤層中に存在する。
【0058】
本開示の接着剤物品は、広範囲の望ましい特性を有する。望ましい特性の中には、湿潤表面及び乾燥表面の両方の接着性がある。この特性は、接着剤物品を湿った又は乾いた皮膚上での使用に適したものにする。湿った又は乾いた皮膚への接着剤物品の接着は、様々な方法でモデル化することができる。本開示では、プロテインレザーが特に好適な試験表面として使用される。プロテインレザーは、柔軟なシートを形成するために樹脂と共にタンパク質粉末から構成される人工皮革(人工皮革(plether)と呼ばれることもある)を指す。これらのシートは、外観及び耐久性が皮革に似ている。サンプルの試験におけるプロテインレザーの使用は、実施例の節で詳細に説明される。1つの特に好適なプロテインレザーは、IDEATEX Japan Co.からのプロテインレザーPBZ13001 KAKIである。
【0059】
現在の接着剤物品は、湿潤プロテインレザー表面に対する接着力が、同じ乾燥プロテインレザー表面に対するその接着力の少なくとも50%である。いくつかの実施形態では、湿潤プロテインレザー表面への接着力は、同じ乾燥プロテインレザー表面へのその接着の少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、又は更に少なくとも70%である。
【0060】
いくつかの実施形態では、接着性物品は、少なくとも1ニュートン/25ミリメートルの湿潤プロテインレザー表面に対する接着力を有する。いくつかの実施形態では、接着剤物品は、湿潤プロテインレザー表面に対して、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、又は更に少なくとも3.0ニュートン/25ミリメートルの接着力を有する。
【0061】
感圧接着剤層は、望ましい弾性率を有する。多くの実施形態では、接着剤層はホットメルト加工され、多くの場合、ホットメルト加工された感圧接着剤は、多くの望ましくない特性をもたらし得る低弾性率を有する。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、DMA(Dynamic Mechanical Analysis、動的機械分析)によって測定した場合、25℃で10,000パスカルを超える弾性率を有する。
【0062】
現在の感圧接着剤層の別の望ましい特性は、ホットメルト加工された接着剤層に対して予想されるものと比較して相対的な配向の欠如である。ホットメルト加工は、例えば、コーティングされ乾燥される溶媒系接着剤を用いて製造される接着剤層と比較した場合、配向された接着剤層を製造する傾向があることが接着剤技術分野において周知である。例えば、光学接着剤では、ホットメルト加工によって接着剤層に複屈折が生じることが観察されている。現在の医療用物品では、感圧接着剤層の配向は望ましくなく、特に、上述のように10,000パスカルを超える弾性率を有する感圧接着剤では望ましくない。配向は、表面、特に平滑でない表面への感圧接着剤層の浸潤を妨げる可能性があるため、配向は望ましくない。加えて、配向された接着剤層に存在する応力は、経時的に、接着剤層のカール(接着剤層の端が接着面に対して持ち上がり、接着面から離れるように曲がる)又は他の接着剤破損モードを引き起こす可能性がある。
【0063】
接着剤層に存在する配向の量は、様々な異なる方法で測定することができる。実施例の節では、配向を特徴付ける方法を提供する収縮試験について記載される。配向された接着剤層には応力が組み込まれているので、配向された接着剤層は物品の収縮を引き起こす。
【0064】
接着剤組成物も開示される。これらの組成物を使用して、上記の接着剤物品の感圧接着剤層を形成することができる。接着剤組成物は、包装材料及び感圧接着剤を含み、感圧接着剤は包装材料内に含有され、パッケージ化された感圧接着剤はホットメルト加工可能である。感圧接着剤は、(メタ)アクリレートポリマーを含み、(メタ)アクリレートポリマーは、
89~99.49重量%の少なくとも1つの第1の(メタ)アクリレートモノマーと、
0.5~5.0重量%の非酸官能性エチレン性不飽和極性モノマーと、
0~1重量%の酸官能性エチレン性不飽和モノマーと、
0.01~5重量%の少なくとも1つの架橋結合部分と、
硬化性成分の総重量に基づいて、0.01~1.0重量部の少なくとも1つの開始剤と、を含む混合物の硬化反応生成物を含む。感圧接着剤の反応性成分及び特性は、上に詳細に記載されている。
【0065】
接着剤物品を形成する方法も開示される。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の主表面及び第2の主表面を有する基材を提供することと、パッケージ化された接着剤組成物を提供することと、パッケージ化された接着剤組成物をホットメルト混合装置内に配置することと、パッケージ化された接着剤組成物をホットメルト混合することと、ホットメルト混合された接着剤組成物を基材表面の第1の主表面の少なくとも一部分上に分配して感圧接着剤層を形成することと、を含む。
【0066】
好適な基材も上に詳細に記載されている。パッケージ化された接着剤組成物も上に詳細に記載されている。いくつかの実施形態では、パッケージ化された接着剤組成物をホットメルト混合装置に配置することが、粘着付与剤をホットメルト混合装置に添加することを更に含む。典型的には、粘着付与剤は、使用される場合、100部の(メタ)アクリレート系ポリマーに基づいて2~25重量部のレベルで添加される。
【0067】
医療用構造物も開示され、医療用構造物は、哺乳動物の皮膚を含む表面と、表面に接着接合された医療用物品とを含む。医療用物品は、第1の主表面及び第2の主表面を有する医療機器を含み、医療機器は、医療機器の第2の主表面の少なくとも一部分上に配置された感圧接着剤層を有する。感圧接着剤は、上述したホットメルト加工可能な(メタ)アクリレート系接着剤である。
【0068】
広範囲の医療機器が好適である。いくつかの実施形態では、上述のように、モニタ、ポンプ、電極、センサ、及び通信モジュールを含む幅広い医療機器を含む。
【実施例】
【0069】
これらの実施例は、単に例示の目的のためだけであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意味しない。実施例及び明細書の残りの部分における全ての部、百分率、比などは、特に断りのない限り、重量によるものである。以下の略語を使用する:cm=センチメートル、mm=ミリメートル、nm=ナノメートル、dm=デシメートル、in=インチ、RPM=毎分回転数、Hz=ヘルツ、g=グラム、kg=キログラム、lb=ポンド、oz=オンス、ml=ミリリットル、Pa=パスカル、μ-Nm=マイクロメートル-ニュートンメートル、mW=ミリワット、mJ=ミリジュール、min=分。
【0070】
【0071】
実施例で使用される「100%固体」又は「バルク」ポリマーの調製
モノマー混合物を、反応性アクリルモノマー、光開始剤及び酸化防止剤をジャー中でブレンドすることによって調製した。この混合物に磁気撹拌棒を加え、混合物を撹拌プレート上に置き、硬化性組成物を形成した。EVAフィルムをヒートシールして、それぞれ18cm×5cmの開放端容器を形成した。各容器に約24グラムの硬化性組成物を充填した。空気を開口端から押し出し、次にヒートシーラー(J.J.Elemer Corp.(ミズーリ州セントルイス)から商標名「MIDWEST PACIFIC IMPULSE SEALER」で入手)を用いて密封した。容器内に硬化性組成物が封入された密封されたEVAフィルム容器を16℃の恒温水槽に浸漬し、両面に紫外光(365nm、4.5mW/cm2)を9分間照射して硬化性組成物を重合させた。重合したサンプルを、以下に記載するように、試験のためにEVAフィルム容器から取り出した。
【0072】
試験方法
試験方法1:ゲル含量の測定
約24gの矩形ポリマーサンプルを、予め秤量した矩形メッシュの中心に置いた。メッシュは、0.0026インチ(66マイクロメートル)のワイヤ、及び0.0041インチ(104マイクロメートル)の開口部を使用した、150メッシュの織られた構造の、ステンレス鋼タイプ304の正方形のウィーブワイヤクロス(McMaster-Carr Co.(イリノイ州エルムハースト)から商標名「MCMASTER-CARR」で入手)であった。メッシュの張り出し部分を内側に折り畳んで、メッシュの内側にサンプルを覆い、固定した。封入されたポリマーを有する折り畳まれたメッシュを秤量し、次いで、機械的ローラー上に置かれたガラスジャー内の約8oz.(約240ml)の酢酸エチルに24時間浸漬した。次いで、ポリマーを有するメッシュをジャーから取り出し、120℃で30分間オーブン中で乾燥させ、再び秤量してサンプル質量を計算した。ポリマーのゲル化不溶性部分を、次の式を用いてゲル重量パーセント(「ゲル重量%」)として計算した。
【0073】
【0074】
試験方法2:レオロジープロファイルの決定
DMAを使用して、接着剤前駆組成物の貯蔵弾性率、粘度、及びガラス転移温度を測定した。接着剤前駆組成物の少量のサンプルを、レオメーター(TA Instruments(デラウェア州ニューキャッスル)から商標名「ARES G2 RHEOMETER」で入手)の底部プレート上に移した。レオメーターは、平行な直径8mmの上部プレート及び25mmの底部プレートを有した。レオメーターの上部プレートを、接着剤前駆組成物のサンプル上に、平行プレートが1mm離れるまで下ろした。過剰な材料は、8mmの上部プレートの縁から切り取った。サンプルを振動せん断(周波数=1Hz)に供し、同時にサンプル温度を3℃/分の速度で-75℃から150℃まで連続的に上昇させながら、せん断弾性率、粘度、及びtan(δ)を推定する温度ランプ試験方法を使用した。ひずみ振幅は、-75℃で0.05%であり、10μ-Nmの最小トルクを達成するために必要に応じて反復的に3.6%まで温度と共に増加した。貯蔵弾性率(G’)はPa単位で報告した。接着剤前駆組成物の粘度(i)をパスカル-秒(Pa-s)で報告した。Tan(δ)は、G”/G’(損失弾性率/貯蔵弾性率)の比として計算した。Tan(δ)曲線が局所ピークを有する温度を、ガラス転移温度(「Tg」)として報告した。
【0075】
試験方法3:収縮試験
剥離ライナー上の10cm×10cmの大きさの正方形の接着剤を切断し、無溶媒接着剤のコーティング方向に平行に折り畳んだ。穏やかな圧力を加え、剥離ライナーを上部から除去した。ここで10cm×5cmの大きさの接着剤サンプルに対して、接着剤を、圧力を穏やかに加えながらコーティング方向に平行に再び折り畳み、10cm×2.5cmのサンプルを得た。折り畳んで圧力を加えるプロセスを更に1回繰り返し、10cm(長さ)×1.25cm(幅)の最終サンプル寸法を得て、これを非弛緩長さと定義した。次いで、この接着剤サンプルをタルク床に置き、タルク中の接着剤を65℃まで3分間加温した。次いで、サンプルの長さを測定して、「弛緩」サンプル長さを得た。サンプルの収縮は、(「非弛緩長さ」-「弛緩長さ」)/「弛緩長さ」として定義された。
【0076】
試験方法4:乾燥したVITRO-SKIN(ストリップ)に対する剥離接着
人工皮膚基材は、IMS Inc.(メイン州ポートランド)から商標名VITRO-SKINで入手した(この材料は、供給時に、ヒト皮膚のトポグラフィー、pH、臨界表面張力などを模倣するように配合される)。VITRO-SKINへの乾燥接着力を、発泡体テープのストリップを用いて評価した。およそ幅2インチ×長さ6インチ(5×15cm)のVITRO-SKIN片を切断し、両面テープを用いてステンレス鋼プレート上に置いた。乾燥皮膚接着試験用のサンプルは、接着剤コーティングされた発泡体テープの形態で製造した。およそ幅2インチ×長さ6インチ(5×15cm)のマスキングテープ片を、発泡体を補強し、発泡体が伸びるのを防ぐために、発泡体テープの裏材に適用した。次いで、マスキングテープによって補強された発泡体テープから、およそ幅1インチ×長さ6インチ(2.5×15cm)のサンプルを切断した。発泡体テープ試験サンプルを、4.5lb(2kg)のローラーを用いて2回(下に及び後ろに)通過させて、ステンレス鋼プレート上のVITRO-SKINに付着させた。次いで、180度でVITRO-SKINから発泡体テープを除去するための平均力を、Zwick機器を使用して12インチ/分(30cm/分)の試験速度で決定した。
【0077】
試験方法5:湿ったVITRO-皮膚(ストリップ)への剥離接着
人工皮膚基材は、IMS Inc.(メイン州ポートランド)から商標名VITRO-SKINで入手した(この材料は、供給時に、ヒト皮膚のトポグラフィー、pH、臨界表面張力などを模倣するように配合される)。人工汗液は、人間の汗の特性を模倣するように作られた。第1の成分(人工皮脂)は、オリーブ油5.5g、オレイン酸2.5g、スクアレン2.0gの混合物であった。第2の成分は、3.75gの塩化ナトリウム、0.75gの尿素及び0.75gの乳酸の混合物であった。第2の成分を水で750mLに希釈し、NH4OHを用いてpHを6.5に調整した。次に、0.375gの第1の成分を750mlの第2の成分としっかりと混合して人工汗を作った。
【0078】
VITRO-SKINへの湿潤接着力を、発泡体テープのストリップを用いて評価した。およそ幅2インチ×長さ6インチの人工皮膚片を切断し、両面粘着テープを用いてステンレス鋼プレート上に置いた。人工汗溶液を小型スプレーボトルから人工皮膚基材上に5回噴霧した。
【0079】
湿潤皮膚接着試験のためのサンプルを、接着剤コーティングされた発泡体テープの形態で製造した。発泡体を補強し、発泡体が伸びるのを防ぐために、およそ幅2インチ×長さ6インチのマスキングテープ片を発泡体テープの裏材に適用した。次いで、マスキングテープによって補強された発泡体テープから、およそ幅1インチ×長さ6インチ(2.5×15cm)のサンプルを切断した。発泡体テープ試験サンプルを、4.5lb(2kg)のローラーで2回(下に及び後ろに)通過させて、ステンレス鋼プレート上の人工汗溶液で湿らせたVITRO-SKINに付着させた。試験サンプルを湿った人工皮膚上に2分間滞留させた。
【0080】
次いで、180度で湿ったVITRO-SKINから発泡体テープを除去するための平均力を、Zwick機器を用いて12インチ/分(30cm/分)の試験速度で決定した。
【0081】
試験方法6:湿潤プロテインレザー(電極)に対する引張力
市販の電極を調製するために使用される標準的な製造慣行に従って、接着剤のロールを3M 2560電極形状因子に変換した。プロテインレザーPBZ13001 KAKI(IDEATEX Japan Co.Ltd.から入手)の65mm×120mmの切片を切断し、それらを0.5%w/vの合成皮脂を含有する合成汗の浴中に約30分間浸漬することによって、湿潤基材サンプルを調製した。サンプルを浴から取り出し、4ozスプレーボトル(Uline Model#S-20078)を使用して0.5%w/v合成皮脂を含有する汗溶液を5回噴霧した。電極サンプルをプロテインレザー基材に手で付着させ、その直後に275gの重りを電極の上に5秒間置いた。スタッドを電極リード線に接続し、IMASS上で破損するまで90インチ/分で引っ張る前に、1分のサンプル滞留時間を使用した。5つのサンプルのピーク運動力を測定し、平均し、記録した。
【0082】
試験方法7:乾燥プロテインレザー(ストリップ)への剥離接着
25mm×125mmサイズのテープサンプルを、30mm×125mmサイズのプロテインレザーPBZ13001 KAKI(IDEATEX Japan Co.Ltd.から入手)上に、2kgのローラーを用いて積層した。TENSILON(A&D company Ltd.)(ホットメルト用)又はSP-2100(IMASS)(溶媒用)を用いることによって、150mm/分(ホットメルト用)又は300mm/分(溶媒用)の試験速度でT-剥離で、付着されたテープを除去し、次いで、除去時の平均剥離力を測定した。
【0083】
試験方法8:湿潤プロテインレザー(ストリップ)への剥離接着
プロテインレザーPBZ13001 KAKI(IDEATEX Japan Co.Ltd.から入手)に合成汗分散液を噴霧し、20~40分間滞留させた。そのプロテインレザーを拭いた後、合成汗分散液を再び噴霧した(5回噴霧)。次いで、試験方法7に記載した手順を繰り返すことによって、T-剥離接着力を測定した。
【0084】
*合成汗分散液:合成汗分散液を湿潤粘着試験に使用し、次の材料を混合することによって調製した。
【0085】
合成汗分散液:750mlの合成汗+0.75gの合成皮脂
【0086】
【0087】
実施例1~3及び比較例1:アクリル酸アルキル接着剤組成物の調製及び分析
各実施例について、「「100%固形分」又は「バルク」ポリマーの調製」のための一般的手順に従って、表1に列挙される量(IOA、異性体混合物A、異性体混合物B、及びAAの総重量に基づく重量部)を使用して、3つの実施例(実施例1~3)を提供した。
【0088】
【0089】
実施例1~3のそれぞれについてゲル含量測定を行った。結果を表2にまとめた。
【0090】
【0091】
表1の各実施例からの材料のサンプルを、160℃で3分間、二軸スクリュー押出機内で調合した。得られたホットメルトを、ドロップダイを使用してシリコーン剥離ライナー上にコーティングした。ダイ及び押出機の押出温度は160℃に維持した。押し出されたサンプルを3ミル(76マイクロメートル)の厚さでコーティングした。次いで、UV溶融ランプ及びHバルブを使用して、50mJ/cm2のUV-C放射線でサンプルを硬化させた。その後、5lb(2.2kg)のハンドローラーを使用して、Sekesui Voltekから商標名EO Volaroで入手した厚さ0.0625インチのEVA発泡体上にサンプルを手作業で積層した。
【0092】
比較例1を標準手順によって3M社内で商業的に製造し、3M RED DOT接着剤上で使用した。
【0093】
比較例1及び実施例1~3を、試験方法4及び5に従って乾燥及び湿潤両方の条件下でVITRO-SKINへの接着を測定することによって試験した。結果を表3にまとめた。
【0094】
【0095】
実施例4~10:極性コモノマー接着剤組成物の調製及び分析
各実施例について、「「100%固形分」又は「バルク」ポリマーの調製」のための一般的手順に従い、表4に列挙される量(異性体混合物B、AA、及びNVPの総重量に基づく重量部)を使用して、7つの実施例(実施例4~10)を提供した。
【0096】
【0097】
表1の各実施例からの材料のサンプルを、160℃で3分間、二軸スクリュー押出機内で調合した。得られたホットメルトを、ドロップダイを使用してシリコーン剥離ライナー上にコーティングした。ダイ及び押出機の押出温度は160℃に維持した。押出されたサンプルを3ミル(76マイクロメートル)の厚さでコーティングした。次いで、サンプルの一部を、UV溶融ランプ及びHバルブを使用して、50mJ/cm2のUV-C放射線で硬化させた。その後、5lb(2.2kg)のハンドローラーを使用して、Sekesui Voltekから商標名EO Volaroで入手した厚さ0.0625インチのEVA発泡体上にサンプルを手作業で積層した。
【0098】
比較例1を標準手順によって3M社内で商業的に製造し、3M RED DOT接着剤上で使用した。
【0099】
比較例1及び実施例1~3を、試験方法4及び5に従って乾燥及び湿潤両方の条件下でVITRO-SKINへの接着を測定することによって試験し、表5にまとめた。
【0100】
【0101】
実施例11~12:酸性及び塩基性コモノマーを含有する接着剤組成物の調製及び分析
各実施例について、「「100%固形分」又は「バルク」ポリマーの調製」のための一般的手順に従い、表6に列挙される量(異性体混合物B、AA、及びNVPの総重量に基づく重量部)を使用して、2つの実施例(実施例11~12)を提供した。
【0102】
【0103】
表3の各実施例からの材料のサンプルを、Bonnot CompanyからのBonnot押出機において、275°F(135℃)及び30rpmのスクリュー速度で調合した。加熱したサンプルを、320°F(160℃)の温度及び200rpmのスクリュー速度で二軸スクリュー押出機にポンプで送った。得られたホットメルトを、ロッドコーターダイを使用してシリコーン剥離ライナー上にコーティングした。ダイ及び押出機の押出温度を320°F(160℃)に維持した。押し出されたサンプルを3ミル(76マイクロメートル)の厚さでコーティングした。次いで、サンプルを、UV溶融ランプ及びHバルブを使用して60mJ/cm2のUV-C放射線で直ちに硬化させた。次いで、サンプルをEVA発泡体で覆い、ロールに巻いた。
【0104】
市販の電極を調製するために使用される標準的な製造慣行を使用して、接着剤のロールを電極形状因子に変換した。
【0105】
試験方法8に従って湿潤条件下でプロテインレザーへの接着力を測定することによって実施例11~12を試験し、表7にまとめた。これらのサンプルを、試験方法1に従ってゲル含量についても評価した。
【0106】
【0107】
実施例13~15:酸性及び塩基性コモノマーを含有する接着剤組成物の調製及び分析
各実施例について、「「100%固形分」又は「バルク」ポリマーの調製」のための一般的手順に従い、表8に列挙される量(異性体混合物B、AA、及びNVPの総重量に基づく重量部)を使用して、3つの追加の実施例(実施例13~15)を提供した。
【0108】
【0109】
各実施例からの実施例12、13、又は14のサンプルを、一軸スクリュー押出機において150℃で3分間、300rpmで調合した。得られたホットメルトを、ドロップダイを使用してシリコーン剥離ライナー上にコーティングした。ダイ及び押出機の押出温度は150℃に維持した。押し出されたサンプルを3ミル(76マイクロメートル)の厚さでコーティングした。次いで、サンプルの一部を、UV溶融ランプ及びHバルブを使用して、60mJ/cm2のUV-C放射線で硬化させた。その後、5lb(2.2kg)のハンドローラーを使用して、Sekesui Voltekから商標名EO Volaroで入手した厚さ0.0625インチのEVA発泡体上にサンプルを手作業で積層した。
【0110】
試験方法7及び8に従って乾燥及び湿潤条件下でプロテインレザーへの接着力を測定することによって実施例12~14を試験し、表9にまとめた。
【0111】
【0112】
実施例15~17:粘着付与剤を含有する接着剤組成物の調製
各実施例について、「「100%固形分」又は「バルク」ポリマーの調製」のための一般的手順に従って、表8に列挙される量(異性体混合物B、AA、及びNVPの総重量に基づく重量部)を使用して、3つの追加の実施例(実施例15~17)を提供した。
【0113】
接着剤のサンプルを10重量部のP125粘着付与剤と化合させて、Dynamelt Cフィーダーにおいて320°F(160℃)で二軸スクリュー押出機中で調合した。得られたホットメルトを248°F(120℃)で加工し、ドロップダイを使用してシリコーン剥離ライナー上にコーティングした。ダイ及び押出機の押出温度は320°Fに維持した。押し出されたサンプルを表10に示される厚さでコーティングした。次いで、UV溶融ランプ及びHバルブを使用して、55mJ/cm2のUV-C放射線でサンプルを硬化させた。次に、Sekesui Voltekから商標名EO Volaroで入手した厚さ0.0625インチのEVA発泡体でサンプルを覆い、ロールに巻いた。
【0114】
【0115】
実施例15~17を、試験方法7及び8に従って、乾燥及び湿潤条件下でプロテインレザーへの接着力を測定することによって試験し、表11にまとめた。
【0116】
【0117】
実施例18~19:粘着付与剤を含有する接着剤組成物の調製
各実施例について、「「100%固形分」又は「バルク」ポリマーの調製」のための一般的手順に従って、表8に列挙される量(異性体混合物B、AA、及びNVPの総重量に基づく重量部)を使用して、3つの追加の実施例(実施例18~19)を提供した。
【0118】
【0119】
表3の各実施例からの材料のサンプルを、Bonnot CompanyからのBonnot押出機において、275°F(135℃)及び30rpmのスクリュー速度で調合した。加熱したサンプルを、320°F(160℃)の温度及び200rpmのスクリュー速度で二軸スクリュー押出機にポンプで送った。得られたホットメルトを、ロッドコーターダイを使用してシリコーン剥離ライナー上にコーティングした。ダイ及び押出機の押出温度を320°F(160℃)に維持した。押し出されたサンプルを3ミル(76マイクロメートル)の厚さでコーティングした。次いで、サンプルを、UV溶融ランプ及びHバルブを使用して、50mJ/cm2のUV-C放射線で直ちに硬化させた。次いで、サンプルをEVA発泡体で覆い、ロールに巻いた。
【0120】
市販の電極を調製するために使用される標準的な製造慣行を使用して、接着剤のロールを電極形状因子に変換した。
【0121】
【0122】
実施例12、実施例15、及び比較例1:レオロジーによる物理的特性試験
実施例12及び実施例15を、Bonnot CompanyのBonnot押出機において、275°F(135℃)及び30rpmのスクリュー速度で調合した。加熱したサンプルを、320°F(160℃)の温度及び200rpmのスクリュー速度で二軸スクリュー押出機にポンプで送った。得られたホットメルトを、ロッドコーターダイを使用してシリコーン剥離ライナー上にコーティングした。ダイ及び押出機の押出温度を320°F(160℃)に維持した。押し出されたサンプルを3ミル(76マイクロメートル)の厚さでコーティングした。次いで、サンプルを、任意選択で、UV溶融ランプ及びHバルブを使用して50mJ/cm2のUV-C放射線で硬化させた。次いで、試験方法2に従ってサンプルを評価した。比較例1は、典型的な製造条件から採用され、試験方法2に従って評価された。
【0123】
【国際調査報告】