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特表2024-544950電気バッテリシステムを監視するための補助デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】電気バッテリシステムを監視するための補助デバイス
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H02J7/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527692
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2022081563
(87)【国際公開番号】W WO2023084003
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】21207824.0
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520054770
【氏名又は名称】デューコシ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル シルベスター
(72)【発明者】
【氏名】ティム クリンブル
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュ リワージー
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503BA03
5G503BA04
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503FA14
(57)【要約】
本開示は、電気バッテリシステムのモジュール及び/又はパックを監視するための補助デバイスに関する。補助デバイスは、モジュールレベル及び/又はパックレベルの測定値を提供し、電気バッテリ監視システム内の任意の場所に柔軟に配置され得る。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補助デバイスにおいて、電気バッテリシステムのモジュール及び/又はパックを監視するための方法であって、前記電気バッテリシステムが、少なくとも1つのパックを備え、各パックが、少なくとも1つのモジュールを備え、各モジュールが、複数のバッテリセルを備え、各バッテリセルが、セルレベルの測定値を提供するセル監視デバイス、CMDを介して監視され、前記方法が、
前記補助デバイスに含まれる少なくとも1つのセンサを用いて、前記少なくとも1つのモジュール及び/又は前記少なくとも1つのパックにそれぞれ関連付けられたモジュールレベル及び/又はパックレベルの測定値を取得することであって、前記セルレベルの測定値が、前記モジュールレベル及びパックレベルの測定値とは別個である、取得することと、
前記補助デバイスの近距離無線アンテナを介して、前記モジュールレベル及び/又はパックレベルの測定値を、近距離無線通信バスを介して集中型制御ユニットに送信することであって、前記集中型制御ユニットが、前記電気バッテリシステムの動作を制御するように構成されており、前記近距離無線通信バスが、前記CMDのそれぞれの近距離無線アンテナを介して、セルレベルの測定値を前記集中型制御ユニットに送信する際に、それぞれのCMDによって利用される、送信することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記電気バッテリシステムが、筐体内に含まれ、前記方法が、
前記少なくとも1つのセンサを用いて、前記電気バッテリシステムの前記筐体の外部の環境、又はバッテリ電気自動車若しくはバッテリエネルギー貯蔵システム内の少なくとも1つの補助システムに関連付けられた追加の測定値を取得することであって、前記補助システムが、前記電気バッテリシステムとは個別かつ別個である、取得することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気バッテリシステムが、既存のシステムであり、前記補助デバイスが、前記電気バッテリシステム内に配置されるように構成されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
過去の測定値の記憶された履歴を蓄積すること、並びに/又は、
前記取得されたモジュールレベル及び/若しくはパックレベルの測定値に基づいて、制御プロセスを決定すること、を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
制御プロセスを決定することが、
前記少なくとも1つのモジュールに接続された故障インジケータ若しくは信号伝達線を制御すること、並びに/又は、
前記電気バッテリシステムのファン若しくは他の熱管理システムの動作を制御すること、並びに/又は、
安全切断及びインターロック動作を制御すること、並びに/又は、
整流スイッチを制御すること、を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記電気バッテリシステムが、筐体内に含まれ、前記補助デバイスが、前記少なくとも1つのモジュールの前記筐体の境界に位置し、前記方法が、
前記近距離無線通信バスを終端すること、及び/又は、
前記少なくとも1つのモジュールの前記筐体に入ること若しくは出ることからの電磁、EM、干渉をフィルタリングすること、を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
バイアスティ機構の使用によって、前記近距離無線通信バスから前記補助デバイスに電力供給すること、又は、
前記少なくとも1つのバッテリモジュールから直接前記補助デバイスに電力供給すること、又は、
前記電気バッテリシステム内の外部ソースから前記補助デバイスに電力供給すること、を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記集中型制御ユニットから、測定及び/若しくは動作命令を受信すること、並びに/又は、
測定及び/若しくは動作タスクを自律的に実行すること、を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記送信された測定値が、前記補助デバイスに関連付けられた一意の識別子を用いて前記モジュールレベル及び/又はパックレベルの測定値を送信することを更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
電気バッテリシステムのモジュール及び/又はパックを監視するための補助デバイスであって、前記電気バッテリシステムが、少なくとも1つのパックを備え、各パックが、少なくとも1つのモジュールを備え、各モジュールが、複数のバッテリセルを備え、各バッテリセルが、セルレベルの測定値を提供するセル監視デバイス、CMDを介して監視され、前記補助デバイスが、
前記少なくとも1つのモジュール及び/又は前記少なくとも1つのパックにそれぞれ関連付けられたモジュールレベル及び/又はパックレベルの測定値を取得するように構成された少なくとも1つのセンサであって、前記セルレベルの測定値が、前記モジュールレベル及びパックレベルの測定値とは別個である、少なくとも1つのセンサと、
近距離無線通信バスを介して、前記モジュールレベル及び/又はパックレベルの測定値を集中型制御ユニットに送信するように構成された少なくとも1つの無線周波数、RF、アンテナであって、前記集中型制御ユニットが、前記電気バッテリシステムの動作を制御するように構成されており、前記近距離無線通信バスが、前記CMDのそれぞれの近距離無線アンテナを介して、セルレベルの測定値を前記集中型制御ユニットに送信する際に、それぞれのCMDによって利用される、少なくとも1つの無線周波数、RF、アンテナと、を備える、補助デバイス。
【請求項11】
前記補助デバイスが、請求項2及び4~9のいずれか一項に記載の方法ステップを実行するように更に構成されている、請求項10に記載の補助デバイス。
【請求項12】
前記電気バッテリシステムが、既存のシステムであり、前記補助デバイスが、前記電気バッテリシステム内に配置されるように構成されている、請求項10又は11に記載の補助デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つのセンサが、温度、電流、及び/又は圧力センサである、請求項10~12のいずれか一項に記載の補助デバイス。
【請求項14】
電気バッテリシステムのモジュール及び/又はパックを監視するための補助デバイスの1つ以上のプロセッサによって実行可能である命令のセットを記憶する機械可読記憶媒体であって、前記電気バッテリシステムが、少なくとも1つのパックを備え、各パックが、少なくとも1つのモジュールを備え、各モジュールが、複数のバッテリセルを備え、各バッテリセルが、セルレベルの測定値を提供するセル監視デバイス、CMDを介して監視され、前記命令のセットが、請求項1、2、及び4~9のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されている、機械可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
複数のバッテリセルを備えるバッテリシステムは、幅広い現代の電力用途で使用されている。例えば、それらは、電気自動車に電力を供給するために使用され、それらは、産業用電力用途、輸送、及び現代の電子デバイスの電力供給などの商用用途で使用される。そのような用途の比較的高い電力要求を考えると、バッテリシステムは、必要な電力出力を達成するために一緒に結合された複数のバッテリセルを備える場合が多い。バッテリセルは、バッテリパックを形成するために一緒に結合され得、バッテリシステムは、1つ以上のバッテリパックを備え得る。
【0002】
バッテリシステムがその安全な動作領域内で動作することを確実にするように構成されたバッテリ管理システム(BMS)にバッテリシステムを接続することが一般的である。安全な動作領域は、バッテリシステムが自己損傷を伴わずに動作することが期待される電圧及び電流条件並びに環境条件として定義される。興味のある読者は、更なる詳細については次のウィキペディアウェブサイト、https://en.wikipedia.org/wiki/Battery_management_systemを参照されたい。
【0003】
ある特定の既知の用途では、壊滅的な故障が発生する前に、バッテリシステム内のバッテリセルの潜在的な故障動作を識別するために、バッテリシステム内のバッテリセルの性能特性が監視され得る。そのような測定は、セル監視デバイス(CMD)と呼ばれるデバイスを使用して行われる。CMDは、個々のセルに対して個別の測定が行われ、取得される情報が個々のセルに関するものであるように、セルレベルの測定値を提供する。
【発明の概要】
【0004】
場合によっては、個々のセルのレベルではなく、モジュール又はパックレベルに関する情報を受信することが有益であり得る。現在、そのような情報を取得するために、様々なCMDからのセルレベルの測定値が評価されている。パック及びモジュールレベルの測定値は、監視システムにより多くの情報を提供するのに役立ち、例えば、熱暴走などの異常がより容易に検出され得る。したがって、本明細書に補助デバイスが提示される。補助デバイスは、CMDとは独立した様式でパックレベル及び/又はモジュールレベル及び/又はバッテリシステムレベルの測定値を提供するために使用され得る。
【0005】
本明細書に提示される例示的な実施形態は、補助デバイスにおいて、電子バッテリシステムのモジュール及び/又はパックを監視するための方法を含む。電子バッテリシステムは、少なくとも1つのパックを備え、各パックは、少なくとも1つのモジュールを備え、各モジュールは、複数のバッテリセルを備える。各バッテリセルは、セルレベルの測定値を提供するセル監視デバイス(CMD)を介して監視される。
【0006】
方法は、補助デバイスに含まれる少なくとも1つのセンサを用いて、それぞれ、少なくとも1つのモジュール及び/又は少なくとも1つのパックに関連付けられたモジュールレベル及び/又はパックレベルの測定値を取得することを含む。セルレベルの測定値は、モジュールレベル及びパックレベルの測定値とは別個である。
【0007】
方法は、補助デバイスの近距離無線アンテナを介して、モジュールレベル及び/又はパックレベルの測定値を、近距離無線通信バスを介して集中型制御ユニットに送信することを更に含む。集中型制御ユニットは、電気バッテリシステムの動作を制御するように構成される。近距離無線通信バスは、CMDのそれぞれの近距離無線アンテナを介してセルレベルの測定値を集中型制御ユニットに送信する際に、それぞれのCMDによって利用される。
【0008】
本明細書に提示される例示的な実施形態はまた、電気バッテリシステムのモジュール及び/又はパックを監視するための補助デバイスを含む。例示的な実施形態は、モジュール及び/又はパックを監視するために補助デバイスの1つ以上のプロセッサによって実行可能である命令のセットを記憶する機械可読記憶媒体を更に備える。補助デバイス及び命令のセットは、上で及び本明細書において説明される方法を実行するように構成される。
【0009】
前述は、参照文字が異なる図面を通して同じ部分を参照する添付の図面に例解されるように、例示的な実施形態の以下のより具体的な説明でより詳細に説明される。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、例示の実施形態を例解することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】バッテリ監視システムの例解図である。
図2】マスター/スレーブ通信構成を特徴とするバッテリ監視システムの例解図である。
図3】本明細書に提示される例示的な実施形態のうちのいくつかによる、補助デバイスを特徴とするバッテリ監視システムの例解的な例である。
図4】本明細書に提示される例示的な実施形態のうちのいくつかによる、RFベースの電力供給補助デバイスの例解的な例である。
図5】本明細書に提示される例示的な実施形態のうちのいくつかによる、バッテリモジュールによって駆動される補助デバイスの例解的な例である。
図6A】本明細書に提示される例示的な実施形態のうちのいくつかによる、外部ソース及びファン動作制御プロセスによって電力供給される補助デバイスの例解的な例である。
図6B】熱管理システム内の複数の補助デバイスの例解的な例である。
図7A】本明細書に提示される例示的な実施形態のうちのいくつかによる、故障指示制御プロセスの概略図である。
図7B】本明細書に提示される例示的な実施形態のうちのいくつかによる、整流スイッチ制御プロセスの概略図である。
図7C】本明細書に提示される例示的な実施形態のうちのいくつかによる、終端制御プロセスの概略図である。
図8】本明細書に提示される例示的な実施形態のうちのいくつかによる、EMフィルタリングの例解的な例である。
図9図2のバッテリ監視システムを特徴とするエネルギーバッテリ貯蔵システムの概略図である。
図10】本明細書に提示される例示的な実施形態のうちのいくつかによる、図3のバッテリ監視システムを特徴とするエネルギーバッテリ貯蔵システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例は、添付の図面において例解される。以下の説明は、別段の表記がない限り、異なる図面中の同じ番号が同じ又は類似の要素を表す添付の図面を参照する。例示的な実施形態の以下の説明に記載される実装形態は、本発明と一致する全ての実装形態を表すものではない。代わりに、それらは、添付の特許請求の範囲に記載される本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例である。
【0012】
バッテリシステムは、典型的には、所望のバッテリシステムの電圧及び容量を提供する構成で配線された複数のセルと、セルの安全な動作及びセルへの/セルからのエネルギー伝達に必要な追加部品を備える。セルは、あらゆるバッテリシステムの基本ユニットである。セルの決定的な特性は、その電気化学的特性である。特定のセルの化学的性質の場合、システムの構成ではなく、システムの電気化学的性質によって決定される最小電圧、標準電圧、及び最大電圧がある。電圧は、セルの電気化学的状態を変化させること以外に変化させることはできない。セルは、全体的な容量を増加させるために並列に配線され得るが、これらの並列セルは、電気化学的性質によって決定されるのと同じ電圧特性を依然として有するため、単にセル監視の観点からより大きい単一のセルとみなすことができる。
【0013】
セルはまた、直列に配線することができる。セルの直列スタックは、主にスタック構成によって決定される電圧を有する。電圧は、セル電圧の合計になる。スタック電圧は、それらの電気化学的状態を変更することなく、セルを追加又は除去することによって変化し得る。典型的には、セルのスタックは、充電及び放電され、それらの電気化学的状態が連動して変化する。各セルは、安全な動作領域内にあることを確認するために監視されなければならない。これは、セル監視デバイス(CMD)の仕事である。CMDは、個々のセルに対して個別の測定が行われ、取得される情報が個々のセルに関するものであるように、セルレベルの測定値を提供する。
【0014】
バッテリパックは、直列に複数のセルからなる。バッテリパックは、バッテリシステムの全電圧を提供する。複数のバッテリパックは、バッテリシステムの容量を増加させるために、並列に配線され得るが、直列に配線することはできない。セルは、モジュールにグループ化され得る。モジュールの定義特性は、その物理的構成、例えば、いくつかのセル間の数及び接続性である。モジュールは、任意の数のセルからなり得る。モジュールは、2つ以上のセル、又はパック全体からなる。バッテリシステム内に単一のパックのみが存在する場合、モジュールは、バッテリシステム全体を包含し得る。
【0015】
しかし、より多くの場合、パックは、複数のモジュールとして構成され、各モジュールは、複数のセルから直列に構成される。次いで、複数のモジュールは、直列に、又は並列かつ直列に配線される。バッテリシステムの電圧であり、並列に配線されるモジュールは、パックとみなされ得る。モジュールは、定義されたサイズ、形状を有し、典型的には、何らかの種類の筐体に包装される。
【0016】
モジュール構成は、バッテリパックの物理的要件によって決められる。多くの場合、モジュールは、感電の危険の存在を伴わずに取り扱うことができる十分に低い電圧を有するように構成される。多くの場合、モジュールは、セル監視デバイス上の電圧検知入力の数に一致するセルの数のために構成される。非常に一般的な例は、12セル監視デバイスである。モジュールは、次いで、12個のセルと、セル監視デバイスへの接続部と、からなる。多くのバッテリパックでは、CMDの特質はモジュールの構成を定義し、次いで、バッテリパックは、複数のそのようなモジュールから構築される。
【0017】
図1は、既知の先行技術システムを例解する。図1のバッテリシステムは、3つのバッテリモジュール170を備え、各バッテリモジュールは、8つのバッテリセル(C1~C8)160を備える。各バッテリモジュール170内の各バッテリセルC1~C8は、それぞれのCMD180にハード配線される。バッテリモジュール170内の各セルC1~C8の位置は、バッテリモジュール170の組み立て中にマッピングされ得る。使用中、CMD180は、セルC1~C8の各々から測定データを受信し、事前定義されたセルマッピング情報に基づいて、受信された測定データのソースを決定することができる。図1に例解されるCMD180は、スタートポロジで接続される。代替的に、各CMD180は、直列のデイジーチェーン接続を介してBMSに接続され得る。スタートポロジは、BMS150に課される通信階層がなく、代わりに、各CMD180との通信は、いかなるプロキシも使用することなく直接有線接続によって行われるため、有利である。
【0018】
図1に例解されるシステムの欠点は、特定の測定をパック又はモジュール内の1つの位置でのみ行うことができ、又は行う必要があるのみであることである。例として、電流は全てのセルで同一であるはずであるため、セルの一連のストリングを通る電流は、全てのセルで測定される必要はない。したがって、電流は、一連のストリングごとに一度だけ測定する必要がある。CMDは、それが測定する1つ以上のセル内の電流を測定するように適合され得るが、これはそのCMDに電流測定の位置を定めるため、制限をもたらす。例えば、電力がバッテリシステム又はパックに入る点で、パック内の別の位置で電流を測定することが望ましい場合がある。長いセンサワイヤをCMDから遠隔に位置するセンサに配線することができるが、これもノイズピックアップのために望ましくない。これらのパックレベルの測定を行うためにCMDを適合させることはまた、CMDのうちのいずれか一方が残りのものとは異なること、又は全てのCMDが適合される場合、多くのCMDはセンサ入力が接続されていないため、他方のCMDに無駄が生じることを意味する。
【0019】
図2は、バッテリシステム207の別の既知の例を例解する。図2のシステムは、8個のバッテリモジュール201を備える単一のバッテリパック208を特徴とする。各バッテリモジュールは、12個のセルを備え、各セルは、それぞれのCMD206によって監視され、各CMDは、セルごとに1つずつ、12個の電圧測定値(V)、及び1つ以上の温度測定値(T)を含む。CMDの各々は、分離されたSPI又はCAN通信バス203を介して、中央制御ユニット209又はバッテリ管理システム(BMS)と通信する。BMSは、各CMDの通信を制御する。図2に例解されるように、各CMDは、CMDを介して通信する追加のハード配線センサ205を備え得る。
【0020】
図2は、追加のセンサ205又は210の使用を例解するが、そのようなセンサは、CMD201又はコントローラ209にハード配線され、したがって、バッテリシステム内又はバッテリシステム上の配置に関して多くの柔軟性を可能にしない。更に、コントローラ/CMD構成の使用は、例えば、監視システムの初期実装後に、更なるセンサ又は監視デバイスを既存のシステムに追加するための可用性を制限する。図2のシステムの更なる欠点は、追加のセンサが、重要なシステムの再設計を伴わずに同じ通信手段を使用することができないことである。
【0021】
したがって、開示された実施形態は、モジュール、パック、及び/又は電気バッテリシステムを監視するための補助デバイスに関する。補助デバイスは、モジュールレベル、パックレベル及び/又はシステム測定値を提供し、電気バッテリシステム内の任意の場所に柔軟に配置され得る。図3は、本明細書に提示される例示的な実施形態のうちのいくつかによる、補助デバイス315を特徴とする電気バッテリシステムを例解する。図3の電気バッテリシステム316は、8個のバッテリモジュール301を特徴とする単一のバッテリパック317を備える。各バッテリモジュール301は、12個のバッテリセル305を特徴とする。各バッテリセル305は、セルレベルの測定値を提供するそれぞれのCMD307によって監視される。各CMD307は、近距離無線通信バス309を介して中央コントローラ又はBMSと通信するように構成される。そのような通信を可能にするために、各CMDは、それぞれの近距離無線アンテナ311を備える。
【0022】
例示的な実施形態のうちのいくつかによれば、補助デバイスは、モジュールレベル又はパックレベルの測定値を取得するために、電気バッテリシステム上又は電気バッテリシステム内に配置され得る。図3に提供される例では、補助デバイスAは、各バッテリモジュール301の筐体内に位置する。そのような配置は、補助デバイスがバッテリシステムのモジュールレベルの測定値を取得することを可能にする。補助デバイスは、単一の補助デバイスが複数のモジュール上でモジュールレベルの測定値を取得し得るように、複数のモジュールの近くに配置され得ることを理解されたい。そのような例示的な実施形態では、補助デバイスは、例えば、2つの隣接するモジュールの間に位置し得る。
【0023】
図3によって提供される例では、補助デバイスAはまた、パックレベルの測定値が取得されることを可能にする位置に提供される。具体的には、補助デバイスA320、321、及び322は、それぞれ、パック電圧測定センサ、バッテリシステム分離抵抗測定センサ、及びパック電流測定センサを特徴とする補助デバイスの一例を提供する。パックレベルの測定値を取得するための補助デバイスの配置の更なる例は、補助デバイスが、一般に接触器と呼ばれるパックスイッチ、並びに関連する駆動部及び検知回路に近接して配置される323に提供される。補助デバイスA324は、バッテリパックの出力電圧を測定するように構成され得る。更なる例として、補助デバイスAは、バッテリシステム(トラクションコネクタ)325への主電源接続部に近接して配置され得る。電源接続部は、嵌合コネクタの有無を示す安全インターロックスイッチを含む。325上の補助デバイスAは、この安全インターロックスイッチの状態を報告することができる。
【0024】
補助デバイスに提供され得るこれらのセンサのいずれか又は全てからのデータは、バッテリシステムコントローラにとって貴重である。そのため、補助デバイスに電流センサを提供し、補助デバイスを分離された近距離無線バスアンテナ通信ネットワーク309上に配置することが有益であり得る。これは、デバイスの各々間のフラットな階層関係を提供する。これは、車両システムの周りのデータの流れを簡素化し、性能の改善を容易にし得る。例えば、バッテリセルの充電状態アルゴリズムは、多くの場合、システムが充電されているかどうかを知る必要がある。バッテリシステム通信ネットワーク上に充電器の電流データを有することで、これが容易になる。
【0025】
更に、補助デバイスの形態の電流センサを有することはまた、電流測定値をシステム内の他の測定値と同期させることを可能にする。例えば、内部抵抗などのセル特性を計算するには、電圧及び電流の測定をほぼ同時に行う必要がある。補助デバイスは、電圧測定(典型的にはCMDで行われるが、場合によっては更に別の補助デバイスで行われる)と同じ通信ネットワーク上にあるため、サンプルを同期させることができる。
【0026】
補助デバイスAの拡大図315は、デバイスに含まれ得る特徴の一例を提供する。図3に提供される例では、補助デバイスAは、温度センサ及び電圧センサを備え得る。補助デバイスは、電気バッテリシステムを監視する際に使用される任意の数又は種類のセンサを備え得ることを理解されたい。そのようなセンサの例は、温度、電圧、電流、圧力、衝撃、ガス、漏電、セキュリティ/タンパ検出、インターロック状態、流体流量、ガス流量、アクチュエータ位置、ファン/モータ速度検出器、及び/又は他の環境センサであり得る。
【0027】
補助デバイスAはまた、任意の取得された測定値に前処理を提供するために、及び任意の取得された測定値に基づいて制御プロセスを決定するために使用され得る、コントローラ又は処理ユニットを備え得る。例示的な実施形態のうちのいくつかによれば、補助デバイスは、パックの制御機能が中央コントローラとモジュールとの間で分配されることを可能にするプログラム可能な処理能力を有し得る。これは、中央コントローラが非アクティブであってもモジュールが動作し続けることができることを意味する。例示的な実施形態のうちのいくつかによれば、補助デバイスは、アクティブ及びスリープという2つの動作モードを実装することができる。アクティブモードでは、補助デバイスは、その測定値を定期的に(例えば、1秒につき1回)システムコントローラに報告する。スリープモードでは、補助デバイスは、最小限の電力しか消費せず、時折のみ測定を行う。これらの測定値は、ローカルに処理及び/又は記憶され、この後、補助デバイスは、再びスリープモードに入る。
【0028】
例示的な実施形態のうちのいくつかによれば、補助デバイスは、手動サービス切断、外部高電圧コネクタ、又はバッテリシステムの外部の安全インターロックの存在を監視し、その状態を中央コントローラに送信している。
【0029】
補助デバイス315は、個々のCMDと同じ様式で、それと同じプロトコルを使用して、近距離無線通信バス309を介して、中央コントローラ318、すなわちBMSと通信するために使用される無線周波数アンテナ313を更に備え得る。無線周波数アンテナ313は、取得されたモジュールレベル、パックレベル、及び/又はシステムレベルの測定値を集中型制御ユニットに送信する際に使用され得る。送信された測定値は、通信する補助デバイスを識別する際に集中型コントローラによって使用される補助デバイスに関連付けられた一意の識別子を更に含み得る。補助デバイスはまた、補助デバイスがCMD測定値のサブセットに基づいて制御決定を行い得るように、同じモジュール内にあるCMD又は他の補助デバイスの一意の識別子を含み得る。無線周波数アンテナ313はまた、集中型制御ユニットから測定及び/又は動作命令を受信するように構成され得る。
【0030】
例示的な実施形態のうちのいくつかによれば、補助デバイスはまた、補助デバイスによって行われた過去の測定の履歴を蓄積し得るメモリユニットを含み得る。記憶された履歴は、バッテリシステム内の制御プロセスを決定する際に補助デバイスによって使用され得る。補助デバイスはまた、測定及び/又は動作タスクを自律的に実行するように構成され得ることを理解されたい。
【0031】
図3における補助デバイスの配置は、例として提供されるだけであることを理解されたい。追加の配線を使用せずに、近距離無線通信バスに沿った/近距離無線通信バスに隣接する任意の位置で、任意の数の補助デバイスが用いられ得る。近距離無線通信バスの使用は、予め存在し得る補助デバイスを電気バッテリシステムに追加することを可能にし、したがって、バッテリ監視システムは、発生し得る必要性に応じて適合され得る。そのような適応は、大規模な改造又は新しい通信プロトコルの使用を必要とせずに提供され得る。補助デバイスの使用は、デバイス及びCMDが同じ通信バス上に配置されることを可能にし、したがって通信によって同期され得ることを理解されたい。更に、近距離無線バスは、インフォテインメント、モータ駆動などのような追加のシステムを含むように、バッテリシステムを超えて拡張され得る。
【0032】
例示的な実施形態のうちのいくつかによれば、補助デバイスは、既存のバッテリシステムへの再設計を必要とすることなく、電気バッテリシステムからその電力を引き出すことができる。図4は、パック筐体401内に含まれる補助デバイス402が、例えば、バイアスティ機構403を使用して、近距離無線通信バス407からその電力を引き出す例である。バイアスティは、3つのポートと、RFポートと、DCポートと、RF及びDCポートと、を備えた標準的なRFデバイスである。バイアスティは、RF及びDCポート上のRF及びDCエネルギーを分離し、RFエネルギーをRFポート上に供給し、ひいてはバスアンテナに供給し、DCエネルギーをDCポートに供給し、DCポートでは、電源調節回路404を介して補助デバイスに電力供給するために使用される。
【0033】
図4はまた、バラン405の使用を示す。これにより、過剰に課されたDC電力を有するRF信号が、例えば同軸ケーブル上の不平衡接続上で中央コントローラ408から分配されることが可能になる。次いで、不平衡接続は、平衡近距離無線バスアンテナ信号に変換される。一般に、近距離無線バスは、平衡又は不平衡であり得、バランは、必要とされない場合がある。しかしながら、バランが存在する場合、これは、補助デバイスに電力供給するためのバイアスティの使用を容易にするため、補助デバイスのための適切な位置である。
【0034】
図4では、DC電力は、追加の接続を伴わずに補助デバイスに提供され得る。CMD406は、(近距離無線接続とは対照的に)全てのCMDが電気的接続を行うことを必要とし、したがって、分離要件を破るか、又は分離されたDC:DCコンバータの追加の複雑さを強制するため、バイアスティを使用して電力供給することができないことに留意されたい。補助デバイスは、いかなるセルにも接続する必要がないため、バスアンテナの電位を含む任意の電位であり得る。
【0035】
例示的な実施形態のうちのいくつかによれば、補助デバイスは、図5に例解されるように、補助デバイスが監視しているバッテリパック又はモジュールからその電力を引き出し得る。図5に示される例では、補助デバイス501は、バッテリパック502の供給ラインに直接接続される。
【0036】
例示的な実施形態のうちのいくつかによれば、補助デバイスは、電気バッテリシステム内の外部ソースからその電力を引き出し得る。図6Aによって提供される例では、補助デバイス601は、バッテリシステム内のファン604に電力を供給するためにも使用される12Vの外部電源によって電力供給される。具体的には、12V外部電源は、補助デバイス601内のファン電源603及びコントローラ602に電力を供給するように構成され得る。
【0037】
例示的な実施形態のうちのいくつかによれば、補助デバイスは、中央コントローラからの取得されたモジュールレベル、パックレベル、及び/又はシステムレベルの測定値又は命令に基づいてプロセスを制御するように構成され得る。
【0038】
例示的な実施形態のうちのいくつかによれば、制御プロセスは、ファン若しくは冷却流体バルブ、又は電気バッテリシステムの他の任意の熱管理システムの動作を制御することであり得る。例えば、補助デバイスは、温度センサを備え得る。取得されたモジュールレベル及び/又はパックレベルの測定値及び/又はシステムレベルの測定値を分析し、高温、又は中央コントローラからの命令を検出すると、補助デバイスは、流体バルブを開くように、又は図6Aに示されるように、温度を下げるためにファン604の速度を増加させるように構成され得る。
【0039】
図6Aは、バッテリパックの温度を制御するために使用され得る単一のファンを示す。ファンは、代わりに、パックの温度を制御するためのいくつかの他の機構であり得る。例えば、それは、バッテリパックの周りの気体冷却液の流れを制御するバルブであり得る。それは、バッテリパックの周りの液体冷却液の流れを制御するバルブであり得る。図6Aの例は、これらのデバイスがネットワークを介して通信することができ、本書に記載される補助デバイスであり得ることを強調する。
【0040】
制御されたデバイスは、バッテリ熱管理システム内の様々な形態を採り、追加の機能を実行することができる。バッテリパック内の全てのバッテリセルをできるだけ同じ温度に近い温度であるように維持することが既知の要件である。高温のセルは寿命が短く、異なる温度のセルは異なる自己放電特性を有し、バッテリパックの平衡が崩れることをもたらす(セルが異なる充電状態にある)。
【0041】
図6Bは、熱管理システム内の異なる目的のために補助デバイスを利用する更なる例を例解する。図6Bのバッテリパックは、48個の個々のバッテリセルを含み、各バッテリセルは、それぞれのCMDを介して監視される。熱管理システムは、バルブを介して冷却液がループに入ると、その経路内の温度バッテリセルを低下させるように構成された6つの冷却液ループ(図6Bには2つだけが示されており、他の4つは同一であり、それらの位置は、冷却目的のために冷却液ループがバッテリセル間に等しく広がるようなものである)からなる。バルブ312は、バルブ312が開かれると、冷却液がバッテリパック内の様々なセルを囲むチューブ314内に伝達されるように、補助デバイス「B」を介して制御される。それぞれの補助デバイス(補助デバイス「B」)は、中央コントローラによって提供された情報及び/又は補助デバイス自体若しくはシステム内の他の補助デバイスによって取得された測定値に基づいて、バルブ312の動作を制御するように構成される。図6Bに提供される例では、補助デバイス(補助デバイス「A」)は、各バッタモジュール310A~310Dを監視するために提供される。したがって、補助デバイス「A」によって集取された情報は、値312を制御する際に補助デバイス「B」によって使用され得る。
【0042】
熱管理システムが分割される方式は、バッテリモジュールが分割される方式と一致しない場合がある。補助デバイスを使用することは、セルの任意のグループ化を、セル監視目的のためのセルのグループ化又は分割とは独立して制御することを可能にする。補助デバイスは、セル監視デバイス(複数可)と同じ通信ネットワーク上にあるため、各セルから温度に関するデータを受信することができる。
【0043】
制御プロセスの更なる例を図7Aに例解する。図7Aは、並列セルストリングの形態で構成される4つのバッテリパック701の構成を例解する。補助デバイスAは、各セルストリング内に配置され、パイロヒューズなどの電気的に動作する切断部又はヒューズ702を制御している。取得されたパックレベルの測定値に基づいて、補助デバイスは、バッテリパック内の故障を検出し得る。そのような検出、又は中央コントローラからの命令に応じて、補助デバイスは、パイロヒューズ703を起動し、それによって影響を受けたセルストリングを動作から除去し得る。セルストリングを除去すると、電気バッテリシステムは引き続き機能するが、バッテリシステムは、低減された容量を有する。
【0044】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御プロセスは、接触器又は固体リレーなどの安全切断部を制御し得る。例えば、取得されたモジュールレベル、パックレベル及び/若しくはシステムレベルの測定値、又は中央コントローラからの命令の異常を検出すると、補助デバイスは、安全切断部を起動し、それによって、危険なイベントを防止するためにバッテリシステムの動作を停止し得る。
【0045】
例示的な実施形態のうちのいくつかによれば、制御プロセスは、図7Bに例解されるように、例えば、Hブリッジなどの整流スイッチを制御している場合がある。整流スイッチは、切り替えられたセルがバッテリシステム内に接続される方式を制御するために使用される。セルは、典型的には、スタックから切断することができる(開放回路)か、又はバイパスすることができる(短絡)か、又はいずれかの極性で接続することができる。これは、モータ制御における適用を有し、極性を逆にすると、接続されたモータの方向が逆になり得る。これはまた、パルス幅変調システム、又はモジュラーマルチレベルコンバータシステムにも適用され、どちらの場合も、セルの出入りを迅速に切り替えることによって、任意の波形を生成することができる。補助デバイスは、この切り替えをバッテリシステムに統合する手段を提供する。図7Bは、Hブリッジ703bがプロセス702bによって制御される、バスアンテナ704bを特徴とする、そのような補助デバイス701bを示す。
【0046】
例示的な実施形態のうちのいくつかによれば、モジュールは、筐体内に含まれ、補助デバイスは、筐体の境界に位置する。図7Cは、各バッテリセルがそれぞれのCMDを備え、複数のバッテリセル702cを特徴とするバッテリモジュール筐体700cの内容を例解する。補助デバイス703cは、任意の数のセンサ706cと、内部コントローラ705cと、無線受信機704cと、を備える。補助デバイス703cは、中央コントローラ701cから近距離無線通信バス708cの他の端部に配置され得、バスを電気的に終端するために使用され得る。近距離無線バスは、バスアンテナの特性インピーダンスに依存する値を有する終端抵抗を有することが要求される。この場合、補助デバイスは、近距離無線結合を使用して近距離無線バスに結合するのではなく、代わりに、バスに直接接続する。補助デバイス703c内に含まれる無線受信機704cは、典型的には50Ωの終端インピーダンスを提供する。使用される近距離無線プロトコルは同じままであり、補助デバイスは、CMDと同じ近距離無線バスを使用し続ける。
【0047】
補助デバイスがモジュールの筐体の境界に位置し、補助デバイスがバイアスティ機構を介してその電力を取る例示的な実施形態のうちのいくつかによれば、補助デバイスは、図8に例解されるように、電磁(EM)干渉が筐体に出入りすることをフィルタリングするように更に構成され得る。図8に例解されるように、EMフィルタリングは、バッテリパック802内に「きれいな箱」を作成し得る。筐体803の外側で拾われた電磁干渉は、近距離無線通信バス804上のきれいな箱に伝導される。補助デバイス805は、接続が筐体を通して行われる場所に有利に位置決めされる、近距離無線アンテナと並んで置かれたバイアスティデバイスの一部として電気フィルタを使用することによって、バスアンテナからのEMノイズをフィルタリングすることができる。次いで、ノイズエネルギーは、筐体に入ることを可能にされるのではなく、筐体上に誘導され、それによって、バッテリパック内に位置するCMDによって取得され得るセルレベルの測定値を改善する。
【0048】
例示的な実施形態のうちのいくつかによれば、補助デバイスは、バッテリシステムの筐体の外部の環境に関連付けられた追加の測定値を取得する際に利用され得る。例えば、補助デバイスを使用して、バッテリパック内のバッテリセルの動作から生じる温度ではなく、バッテリパック筐体の周囲の環境の温度を測定し得る。
【0049】
例示的な実施形態のうちのいくつかによれば、補助デバイスは、少なくとも1つの補助システムに関連付けられた測定値を提供するように更に構成され得、補助システムは、電気バッテリシステムとは個別かつ別個である。例示的な実施形態のうちのいくつかによれば、補助システムは、バッテリ電気自動車内にある。例えば、補助デバイスは、バッテリパックに近接する車両構成要素の測定を行うように構成され得る。例えば、冷却液ポンプは、電気バッテリシステムの外側に設置され、空調などの他の車両システムに冷却液を供給し得る。バッテリシステムの最適化された動作のために、冷却液ポンプ上で測定を行うことがバッテリシステムにとって重要であり得る。補助デバイスは、その後、そのような測定値を集中型コントローラに送り得る。
【0050】
別の例として、バッテリシステムは、車両搭載充電器の状態を知り、制御することができる必要があり得る。オンボード充電器は、典型的には、バッテリシステムの一部ではないが、その動作は、バッテリシステムの動作に密接に関連しているため、搭載充電器の検知及び制御を、同じ近距離無線通信バスを介してバッテリシステムコントローラに接続することが望ましい。したがって、補助デバイスは、車両搭載充電器の測定値を取得し、そのような測定値を集中型コントローラに送信するように構成され得る。
【0051】
追加の例として、バッテリシステムは、DCバッテリ電圧を、トラクションモータを駆動するのに好適なAC電圧に変換する車両電気インバータの状態を知り、制御することが可能である必要があり得る。この場合も、インバータは典型的にはバッテリシステムの一部ではないが、その動作はバッテリシステムの動作に密接に関連している。したがって、補助デバイスは、インバータが近距離無線通信バス上又はその近傍に設置される限り、インバータの測定値を取得するようにも構成され得る。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、補助システムは、バッテリエネルギー貯蔵システムであり得る。図9は、図2のバッテリ監視システムを特徴とする既知のバッテリ貯蔵システムを例解する。図9に例解されるように、貯蔵システムは、HVACシステム、セキュリティシステム、アンシラリーサービス、及びBMSなどの複数の独立したシステムからなる。これらの個別のシステムの多くは、別個の通信プロトコル又はチャネル901、902、903、904、905を使用し得る。したがって、そのようなシステムは、様々な別個のシステムを監視するために使用される新しいセンサの容易な提供を容易にしないであろう。
【0053】
図10は、図3のバッテリ監視システムを特徴とする図9の貯蔵システムを例解する。図3によって提供される例では、貯蔵キャビネット及び独立した監視システムは全て、近距離無線通信バス1001上で通信するように構成される。更に、各システムは、近距離無線通信バス上で通信するためのそれぞれの近距離無線アンテナを有するように構成される。そのような構成は、図9のシステムに関連する厳密な階層制約を排除する。補助デバイスの使用は、単一の通信バス上の様々なシステムの監視を可能にする。
【0054】
図10の補助デバイス(複数可)Aはまた、データ収集を支援し得る。全てのセンサを共通のバスに接続することによって、データは、複数のシステム全体に分散されるのではなく、1つの場所に収集される。更に、近距離無線通信バスの使用は、補助デバイスをプラグアンドプレイ方式で実装することを可能にする。具体的には、補助デバイスは、デバイスが近距離無線通信バスへのアクセスを有する限り、図10のシステム内の任意の場所に追加され得る。したがって、補助デバイスは、製造段階に含まれる必要はなく、代わりに既存のシステムに含まれ得る。バッテリ監視システム及び補助システムが近距離無線通信バスへのアクセスを有する限り、補助デバイスは、バッテリ監視システム及び/又は補助システムの任意の態様を監視するために、通信バスに沿った任意の場所に配置され得ることを理解されたい。
【0055】
本明細書に提供される例示的な実施形態の説明は、例解の目的のために提示されている。説明は、包括的であること、又は例示的な実施形態を開示された正確な形態に限定することを意図したものではなく、修正及び変更は、上記の教示に照らして可能であるか、又は提供された実施形態への様々な代替案の実践から取得され得る。本明細書で考察される例は、様々な例示的な実施形態の原理及び性質並びにその実際の用途を説明するために選択及び説明され、当業者が、企図される特定の使用に好適である例示的な実施形態を様々な様式で、及び様々な修正を加えて利用することを可能にする。本明細書に記載される実施形態の特徴は、方法、装置、モジュール、システム、及びコンピュータプログラム製品の全ての可能な組み合わせで組み合わせられ得る。本明細書に提示される例示的な実施形態は、互いに任意の組み合わせで実施できることを理解されたい。
【0056】
「含む」という単語は、必ずしも列挙されたもの以外の他の要素又はステップの存在を排除するものではなく、要素の前にある「a」又は「an」という単語は、複数のそのような要素の存在を排除するものではないことに留意されたい。任意の参照符号は、特許請求の範囲を限定するものではなく、例示的な実施形態は、ハードウェア及びソフトウェアの両方によって少なくとも部分的に実装され得、いくつかの「手段」、「ユニット」、又は「デバイス」は、同じハードウェアアイテムによって表され得ることに更に留意されたい。
【0057】
本明細書に記載される様々な例示的な実施形態は、ネットワーク化環境においてコンピュータによって実行されるプログラムコードなどのコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータ可読媒体において具体化されたコンピュータプログラム製品によって一態様において実装され得る、方法ステップ又はプロセスの一般的な文脈において説明される。コンピュータ可読媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)などを含むがこれらに限定されないリムーバブル及び非リムーバブル記憶デバイスを含み得る。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか、又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造などを含み得る。コンピュータ実行可能命令、関連するデータ構造、及びプログラムモジュールは、本明細書に開示される方法のステップを実行するためのプログラムコードの例を表す。そのような実行可能命令又は関連するデータ構造の特定のシーケンスは、そのようなステップ又はプロセスで説明される機能を実装するための対応する動作の例を表す。
【0058】
図面及び明細書では、例示的な実施形態が開示されている。しかしながら、これらの実施形態に多くの変形及び修正を行うことができる。したがって、特定の用語が用いられるが、それらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定の目的ではなく、実施形態の範囲は以下の特許請求の範囲によって定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
【国際調査報告】