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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】二液型ポリウレタン接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20241128BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20241128BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20241128BHJP
   C09J 163/02 20060101ALI20241128BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20241128BHJP
   C08G 18/80 20060101ALI20241128BHJP
   C08G 18/58 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J163/00
C09J11/06
C09J163/02
C09J11/04
C08G18/80 067
C08G18/58
C08G18/58 080
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527730
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 US2022079590
(87)【国際公開番号】W WO2023086852
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】63/278,117
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520030844
【氏名又は名称】ディーディーピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ グルンダー
(72)【発明者】
【氏名】マリア ウズンスカ
【テーマコード(参考)】
4J034
4J040
【Fターム(参考)】
4J034CA34
4J034CB01
4J034CB02
4J034CC38
4J034CD15
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HD03
4J034RA08
4J040EC001
4J040EC061
4J040EE012
4J040EF051
4J040EF131
4J040EF301
4J040EH012
4J040HA021
4J040HA036
4J040HA116
4J040HA296
4J040HA326
4J040HC01
4J040HC02
4J040HC22
4J040HC24
4J040HD35
4J040JA13
4J040KA14
4J040KA16
4J040KA30
4J040KA42
4J040LA07
4J040LA08
4J040NA19
(57)【要約】
本明細書では、二液型ポリウレタン接着剤が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二液型熱伝導性接着剤配合物であって、
(A)
(a1)A液の総重量を基準として9~25重量%の、ポリイソシアネートとフェノールとの反応生成物であるブロックドポリウレタンプレポリマーと、
(a2)A液の総重量を基準として3.5~15重量%の少なくとも1種の芳香族エポキシ樹脂と、
(a3)少なくとも1種のエポキシシランと、
を含む第1液;
(B)
(b1)B液の総重量を基準として8~18重量%の、ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)と反応することができる求核性架橋剤と、
(b2)求核剤(b1)と、前記ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び前記芳香族エポキシ樹脂(a2)との反応を促進することができる触媒と、
を含む第2液;
を含み、
(A)液及び/又は(B)液が熱伝導性フィラーをさらに含み、(A)液と(B)液とが使用前に一緒にブレンドされて接着剤を形成するように設計されており、前記接着剤中の前記熱伝導性フィラーの濃度が前記接着剤の総重量を基準として60~80重量%である、
二液型熱伝導性接着剤配合物。
【請求項2】
二液型熱伝導性接着剤配合物のためのキットであって、
(A)
(a1)A液の総重量を基準として9~25重量%の、ポリイソシアネートとフェノールとの反応生成物であるブロックドポリウレタンプレポリマーと、
(a2)A液の総重量を基準として3.5~15重量%の少なくとも1種の芳香族エポキシ樹脂と、
(a3)少なくとも1種のエポキシシランと、
を含む第1液;
(B)
(b1)B液の総重量を基準として8~18重量%の、前記ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び前記芳香族エポキシ樹脂(a2)と反応することができる求核性架橋剤と、
(b2)求核剤(b1)と前記ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び前記芳香族エポキシ樹脂(a2)との反応を促進することができる触媒と、
を含む第2液;
を含み、
(A)液及び/又は(B)液が熱伝導性フィラーをさらに含み、(A)液と(B)液とが使用前に一緒にブレンドされて接着剤を形成するように設計されており、前記接着剤中の前記熱伝導性フィラーの濃度が前記接着剤の総重量を基準として60~80重量%である、
キット。
【請求項3】
電池セルを基材に接合する方法であって、
(1)二液型熱伝導性接着剤配合物を準備する工程であって、前記二液型熱伝導性接着剤配合物が、
(A)
(a1)A液の総重量を基準として9~25重量%の、ポリイソシアネートとフェノールとの反応生成物であるブロックドポリウレタンプレポリマーと、
(a2)A液の総重量を基準として3.5~15重量%の少なくとも1種の芳香族エポキシ樹脂と、
(a3)少なくとも1種のエポキシシランと、
を含む第1液;
(B)
(b1)B液の総重量を基準として8~18重量%の、前記ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び前記芳香族エポキシ樹脂(a2)と反応することができる求核性架橋剤と、
(b2)求核剤(b1)と前記ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び前記芳香族エポキシ樹脂(a2)との反応を促進することができる触媒と、
を含む第2液;
を含み、(A)液及び/又は(B)液が熱伝導性フィラーをさらに含む、工程;
(2)(A)液と(B)液とを混合して未硬化接着剤を得る工程であって、前記接着剤中の前記熱伝導性フィラーの濃度が前記接着剤の総重量を基準として60~80重量%である工程;
(3)未硬化接着剤を前記電池セル、前記基材、又はその両方に塗布する工程;
(4)前記電池セルと前記基材とを接着接触させる工程;並びに
(5)前記接着剤を硬化させる工程;
を含む方法。
【請求項4】
接合されたアセンブリであって、
(A)
(a1)A液の総重量を基準として9~25重量%の、ポリイソシアネートとフェノールとの反応生成物であるブロックドポリウレタンプレポリマーと、
(a2)A液の総重量を基準として3.5~15重量%の少なくとも1種の芳香族エポキシ樹脂と、
(a3)少なくとも1種のエポキシシランと、
を含む第1液;
(B)
(b1)B液の総重量を基準として8~18重量%の、前記ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び前記芳香族エポキシ樹脂(a2)と反応することができる求核性架橋剤と、
(b2)求核剤(b1)と前記ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び前記芳香族エポキシ樹脂(a2)との反応を促進することができる触媒と、
を含む第2液;
を混合することによって形成される接着剤により基材に接合された電池セルを含み、
(A)液及び/又は(B)液が熱伝導性フィラーをさらに含み、(A)液と(B)液とが使用前に一緒にブレンドされて接着剤を形成するように設計されており、前記接着剤中の前記熱伝導性フィラーの濃度が前記接着剤の総重量を基準として60~80重量%である、接合されたアセンブリ。
【請求項5】
前記ブロックドポリウレタンプレポリマーが、フェノールでキャッピングされた、ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項6】
前記ブロックドポリウレタンプレポリマーが、70~85重量%の芳香族ポリイソシアネート(すなわちポリオールと反応したジイソシアネート)と15~25重量%のフェノールとを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項7】
前記ポリイソシアネートが脂肪族、芳香族、又は混合物である、請求項5又は6に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項8】
前記ポリイソシアネートが芳香族ポリイソシアネートである、請求項5又は6に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項9】
前記ブロックドポリウレタンプレポリマーが、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、及びナフタレンジイソシアネート(NDI)から選択されるポリイソシアネートを使用して製造される、請求項1~8のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項10】
前記ブロックドポリウレタンプレポリマーが、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)又はトルエンジイソシアネート(TDI)を使用して製造される、請求項1~9のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項11】
前記ブロックドポリウレタンプレポリマーが、ポリエーテルポリオールを使用して製造される、請求項1~10のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項12】
前記ブロックドポリウレタンプレポリマーが、アルキレン基がC~Cであり、特に好ましくは前記アルキレン基がC~Cであるポリ(アルキレンオキシド)ジオールを使用して製造される、請求項1~11のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項13】
前記ブロックドポリウレタンプレポリマーが、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、特にポリ(プロピレングリコール)を使用して製造される、請求項1~12のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項14】
前記ブロックドポリウレタンプレポリマーが、芳香族ジイソシアネートをポリエーテルポリオール、特に上で列挙したものと反応させてからフェノールでキャッピングすることによって製造される、請求項1~13のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項15】
前記ブロックドポリウレタンプレポリマーが、以下の式のフェノールでキャッピングされている、請求項1~14のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ:
【化1】
(式中、Rは飽和又は不飽和のC15鎖であり、特に好ましくはRは飽和のC15鎖である)。
【請求項16】
前記ブロックドポリウレタンプレポリマーがカルダノールでキャッピングされている、請求項1~15のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項17】
前記ブロックドポリウレタンプレポリマーが、特に、得られるポリイソシアネートが約950の当量を有する場合に、TDIをポリ(プロピレンオキシド)ジオールと反応させることによって製造される、請求項1~16のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項18】
前記ブロックドポリウレタンプレポリマーが、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)をポリエーテルポリオール、特にポリ(プロピレンオキシド)ジオールと反応させることによって製造される、請求項1~17のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項19】
前記ブロックドポリウレタンプレポリマーが、トルエンジイソシアネートをポリエーテルポリオールと反応させることによって製造され、約4~5%のNCO含有量及び約500~1500g/eqの当量を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項20】
前記ブロックドポリウレタンプレポリマーが、トルエンジイソシアネートに基づく芳香族ポリイソシアネートをカルダノールと反応させることによって、好ましくは70~85重量%のTDIに基づくポリイソシアネートを15~25重量%のカルダノールと反応させることによって製造される、請求項1~19のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項21】
前記ブロックドポリウレタンプレポリマーが、A液の総重量を基準として12~18重量%、より好ましくは13~15重量%で存在する、請求項1~20のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項22】
前記芳香族エポキシ樹脂が、ビスフェノールとエピクロロヒドリンとに基づくエポキシ樹脂である、請求項1~21のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項23】
前記芳香族エポキシ樹脂が、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、ビスフェノールAF、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールMに基づくエポキシ樹脂である、請求項1~22のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項24】
前記芳香族エポキシ樹脂がビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂である、請求項1~23のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項25】
前記芳香族エポキシ樹脂が、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとの反応生成物であり、以下の特徴:
【表1】
を有する、請求項1~24のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項26】
前記芳香族エポキシ樹脂が、A液の総重量を基準として3.5~15重量%、より好ましくは6~10重量%で使用される、請求項1~25のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項27】
前記エポキシシランが、以下の一般式:
【化2】
(式中、R、R、及びRは、独立してC~Cアルキルから選択され、Rは二価の有機ラジカルである)
の分子である、請求項1~26のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項28】
、R、及びRが、エチル及びメチルから独立して選択される、請求項27に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項29】
、R、及びRがメチルである、請求項27又は28に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項30】
がアルキレン、好ましくはC~C12アルキレン、より好ましくはC~Cアルキレンから選択され、特に好ましくはプロピレンである、請求項27、28、又は29に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項31】
前記エポキシシランが(γ-グリシドキシプロピル)トリメトキシシランである、請求項1~29のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項32】
前記エポキシシランが、A液の総重量を基準としてA液中に0.1~2重量%、より好ましくは0.25~1.5重量%、特に好ましくは0.3~0.6重量%で存在する、請求項1~31のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項33】
前記エポキシシランが、(A)液の総重量を基準として0.2~0.75重量%、より好ましくは0.25~0.6重量%、特に好ましくは約0.5重量%のγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランである、請求項1~32のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項34】
前記熱伝導性フィラーが、5W/mKより大きい、10W/mKより大きい、又は15W/mKより大きい熱伝導率係数を有するものから選択される、請求項1~33のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項35】
前記熱伝導性フィラーが、アルミナ、アルミナ三水和物、三水酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ダイヤモンド、及び黒鉛、又はそれらの混合物から選択される、請求項1~34のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項36】
前記熱伝導性フィラーが三水酸化アルミニウム(ATH)である、請求項1~35のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項37】
前記熱伝導性フィラーが、約3以上のD90/D50比によって特徴付けられる広い粒度分布を有するATHである、請求項1~36のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項38】
前記熱伝導性フィラーが二峰性の粒度分布を有する、請求項1~37のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項39】
前記熱伝導性フィラーが、3以上、より好ましくは5以上、特に好ましくは9以上のD90/D50比を有する、請求項1~38のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項40】
前記熱伝導性フィラーが、3以上、より好ましくは5以上、より特に好ましくは9以上のD90/D50比を有するATHである、請求項1~39のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項41】
前記熱伝導性フィラーが、約1.5W/mK以上の熱伝導率を与える濃度で最終接着剤中に存在する、請求項1~40のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項42】
前記熱伝導性フィラーが、最終接着剤中に50重量%超、より好ましくは60重量%超、より特に好ましくは70重量%超で存在する、請求項1~41のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項43】
前記熱伝導性フィラーが最終接着剤中に80重量%超で存在する、請求項1~42のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項44】
前記熱伝導性フィラーが最終接着剤中に85~90重量%で存在する、請求項1~43のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項45】
前記熱伝導性フィラーが、D90/D50比が約8以上のATHであり、(A)液又は(B)液の総重量を基準として85~89重量%の濃度で(A)液と(B)液の両方で使用される、請求項1~44のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項46】
前記求核性架橋剤がジアミン又はトリアミンである、請求項1~45のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項47】
前記求核性架橋剤がトリアミンである、請求項1~46のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項48】
前記求核性架橋剤が、ジアミン又はトリアミンであり、アミン基が独立して第二級又は第一級であり、第一級が好ましい、請求項1~47のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項49】
前記求核性架橋剤が、1,500~4,000Da、より好ましくは2,000~3,500Daの分子量を有し、約3,000Daが特に好ましい、請求項1~48のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項50】
前記求核性架橋剤が、ポリ(アルキレンオキシド)ジオール、特にC~Cアルキレン、より具体的にはC~Cアルキレンに基づく骨格を有し、Cアルキレンが最も好ましい、請求項1~49のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項51】
前記求核性架橋剤がプロピレングリコールのポリエーテルに基づく、請求項1~50のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項52】
前記求核性架橋剤が、アミン基の90%を超える一級アミンと、約3,000Daの分子量と、プロピレングリコールのポリエーテルに基づく骨格とを有するトリアミンである、請求項1~51のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項53】
前記求核性架橋剤が、約3000の分子量の三官能性ポリエーテルアミン:
【化3】
であり、以下の特徴:
【表2】
を有する、請求項1~52のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項54】
前記求核性架橋剤が、(B)液の総重量を基準として8~18重量%、より好ましくは12~14重量%の濃度で(B)液中に存在する、請求項1~53のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項55】
前記触媒がルイス塩基及びルイス酸から選択される、請求項1~54のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項56】
前記触媒が、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリス-2,4,6-((ジメチルアミノ)メチル)フェノール、DMDEE(2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル)、4-メチルイミダゾールなどのイミダゾール、トリエタノールアミン、ポリエチレンイミンから選択される、請求項1~55のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項57】
前記触媒が、トリス-2,4,6-((ジメチルアミノ)メチル)フェノールと組み合わされたジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである、請求項1~56のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項58】
前記触媒が、(B)液の総重量を基準として0.05~0.6重量%、より好ましくは0.075~0.5重量%、より特に好ましくは約0.5重量%で使用される、請求項1~57のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項59】
前記触媒が、0.2~0.6重量%のトリス-2,4,6-((ジメチルアミノ)メチル)フェノールと0.05~0.2重量%のジアザビシクロ[2.2.2]オクタンとの組み合わせであり、より特に好ましくは0.4重量%のトリス-2,4,6-((ジメチルアミノ)メチル)フェノールと0.1重量%のジアザビシクロ[2.2.2]オクタンとの組み合わせである、請求項1~58のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項60】
硬化した接着剤組成物が、ASTM5470-12(実施例に記載)に従って測定した熱伝導率が1.5W/mK以上であることを特徴とする、請求項1~59のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項61】
硬化した接着剤組成物が、実施例で測定される通りにDIN EN1465:2009に従って、硬化し、23℃、相対湿度50%で7日間放置した後、好ましくは2.5MPa以上、より好ましくは2.6MPa超の重ねせん断強さを有する、請求項1~60のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項62】
硬化した接着剤組成物が、実施例に従って測定した場合に、硬化し、23℃、相対湿度50%で7日間放置した後、80%を超える凝集破壊、より好ましくは90%を超える凝集破壊の破壊モードを有する、請求項1~61のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項63】
A液が、室温で2週間保存した後に80%未満の粘度増加を示す、請求項1~62のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【請求項64】
前記二液型組成物が室温で硬化する(好ましくは、混合後24時間以内のペーストから固体への変化を特徴とする)、請求項1~63のいずれか一項に記載の接着剤配合物、キット、方法又はアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤、特に二液型ポリウレタン接着剤の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車産業では、過去10年間に車両を軽量化する傾向がみられた。この傾向は、主に、車両のCO排出を削減するための規制により推進されてきた。近年、軽量構造の戦略は、電動式車両数の増加によって更に加速している。成長する自動車市場と成長する電動式車両の市場シェアとの組み合わせにより、電動式車両の数が大きく伸びている。長い走行距離を得るためには、高いエネルギー密度を持つ電池が必要とされる。いくつかの電池戦略は、現在、細部が異なる構想に基づいているが、全ての長距離耐久電池の構想の中で、運転中に発生する熱に対処するための熱管理が必要である点は共通している。電池セル又はモジュールを冷却ユニットに熱的に接続するためには、熱界面材料が必要とされる。
【0003】
電池セルは、充電及び放電の動作中に熱を発生する。効率を最適化するために、及び/又は危険な熱暴走反応を避けるために、セルは適切な動作温度(好ましくは25~40℃)に保たれる必要がある。これらの理由のため、一般に何らかの形式の能動冷却が使用される。効率的な方法は、電池セル/モジュールが上に配置されている金属底板を冷却する流路を通して、冷却された水/グリコール混合物をポンプで送ることである。セルと冷却プレートとの間に断熱空気膜を持たせないようにするために、熱界面材料が採用される。
【0004】
大型電池を組み立てる一般的な方法は、電池セルをモジュールに配置し、その後モジュールを電池パック内に配置することである。熱界面材料(TIM)は、モジュールと冷却プレートとの間に配置される。TIMは典型的には構造的な支持をあまり提供しないため、モジュールは、典型的にはネジ又はその他の機械的方法で固定される。電池の駆動範囲を広げるためには、エネルギー密度の向上が望まれる。エネルギー密度を高めるための1つの方法は、モジュールレベルをなくし、冷却プレート上にセルを直接接合することである。これは「セル・トゥ・パック」(CTP)と呼ばれる。単一セルを手作業で所定の場所に固定することができないため、この配置では、TIMがセルを冷却プレートに接合するための構造的支持を提供する必要がある。この種のTIMは、構造TIM又は熱伝導性接着剤と呼ばれる。
【0005】
熱伝導性接着剤は、セルをモジュールに接合したり、熱交換器を冷却プレート若しくはその他の部品に接合したりするためにも使用される。
【0006】
熱伝導性接着剤の重要な要件は、1.5W/mK以上の熱伝導率である。さらに、2MPaを超える重ねせん断強さが必要とされる。冷却プレートは、そして多くの場合セルも、アルミニウム製である。そのため、アルミニウムへの良好な接着性が必要である。
【0007】
ポリウレタンに基づく二液(2K)型の熱伝導性接着剤は、機械的特性、破断伸び、及び硬化速度の点で熱伝導性接着剤の用途に適しているものの、いくつかの課題も残っている。特に、未処理のアルミニウム基材への接着性は不十分である。高い熱伝導率を達成するためには、多量の熱伝導性フィラーが必要とされる。水酸化アルミニウムは、密度が低く、熱伝導率が優れており、且つ低コストであるため、熱伝導性接着剤の配合のためにいくつかの利点を示す。ポリウレタン接着剤中に高レベルの水酸化アルミニウムが存在することの問題は、NCO基と、表面水と又はフィラーの他のヒドロキシ基との望ましくない反応のため保存寿命が損なわれることである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様では、本発明は、
(A)
(a1)A液の総重量を基準として7.5~25重量%の、ポリイソシアネートとフェノールとの反応生成物であるブロックドポリウレタンプレポリマーと、
(a2)A液の総重量を基準として3.5~15重量%の少なくとも1種の芳香族エポキシ樹脂と、
(a3)少なくとも1種のエポキシシランと、
を含む第1液;
(B)
(b1)B液の総重量を基準として8~18重量%の、ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)と反応することができる求核性架橋剤と、
(b2)求核剤(b1)と、ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)との反応を促進することができる触媒と、
を含む第2液;
を含む二液型熱伝導性接着剤配合物であって、
(A)液及び/又は(B)液が熱伝導性フィラーを更に含み、(A)液と(B)液が使用前に一緒にブレンドされて接着剤を形成するように設計されており、接着剤中の熱伝導性フィラーの濃度が接着剤の総重量を基準として60~80重量%である、
二液型熱伝導性接着剤配合物を提供する。
【0009】
第2の態様では、本発明は、
(A)
(a1)A液の総重量を基準として9~25重量%の、ポリイソシアネートとフェノールとの反応生成物であるブロックドポリウレタンプレポリマーと、
(a2)A液の総重量を基準として3.5~15重量%の少なくとも1種の芳香族エポキシ樹脂と、
(a3)少なくとも1種のエポキシシランと、
を含む第1液;
(B)
(b1)B液の総重量を基準として8~18重量%の、ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)と反応することができる求核性架橋剤と、
(b2)求核剤(b1)とブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)との反応を促進することができる触媒と、
を含む第2液;
を含む二液型熱伝導性接着剤配合物のためのキットであって、
(A)液及び/又は(B)液が熱伝導性フィラーを更に含み、(A)液と(B)液が使用前に一緒にブレンドされて接着剤を形成するように設計されており、接着剤中の熱伝導性フィラーの濃度が接着剤の総重量を基準として60~80重量%である、
キットを提供する。
【0010】
第3の態様では、本発明は、電池セルを基材に接合する方法であって、
(1)
(A)
(a1)A液の総重量を基準として9~25重量%の、ポリイソシアネートとフェノールとの反応生成物であるブロックドポリウレタンプレポリマーと、
(a2)A液の総重量を基準として3.5~15重量%の少なくとも1種の芳香族エポキシ樹脂と、
(a3)少なくとも1種のエポキシシランと、
を含む第1液;
(B)
(b1)B液の総重量を基準として8~18重量%の、ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)と反応することができる求核性架橋剤と、
(b2)求核剤(b1)とブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)との反応を促進することができる触媒と、
を含む第2液;
を含む二液型熱伝導性接着剤配合物であって、(A)液及び/又は(B)液が熱伝導性フィラーを更に含む二液型熱伝導性接着剤配合物を準備する工程;
(2)(A)液と(B)液とを混合して未硬化接着剤を得る工程であって、接着剤中の熱伝導性フィラーの濃度が接着剤の総重量を基準として60~80重量%である工程;
(3)未硬化接着剤を電池セル、基材、又はその両方に塗布する工程;
(4)電池セルと基材とを接着接触させる工程;並びに
(5)接着剤を硬化させる工程;
を含む方法を提供する。
【0011】
第4の態様では、本発明は、
(A)
(a1)A液の総重量を基準として9~25重量%の、ポリイソシアネートとフェノールとの反応生成物であるブロックドポリウレタンプレポリマーと、
(a2)A液の総重量を基準として3.5~15重量%の少なくとも1種の芳香族エポキシ樹脂と、
(a3)少なくとも1種のエポキシシランと、
を含む第1液;
(B)
(b1)B液の総重量を基準として8~18重量%の、ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)と反応することができる求核性架橋剤と、
(b2)求核剤(b1)とブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)との反応を促進することができる触媒と、
を含む第2液;
を混合することによって形成される接着剤により基材に接合された電池セルを含む接合されたアセンブリであって、
(A)液及び/又は(B)液が熱伝導性フィラーを更に含み、(A)液と(B)液が使用前に一緒にブレンドされて接着剤を形成するように設計されており、接着剤中の熱伝導性フィラーの濃度が接着剤の総重量を基準として60~80重量%である、
接合されたアセンブリを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者らは、ブロックドポリウレタン樹脂とエポキシ樹脂及びシランとの組み合わせを用いて熱伝導性接着剤を配合することで、i)高い熱伝導率、ii)
2MPaを超える重ねせん断強さ、iii)アルミニウム基材への優れた接着性、及びiv)優れた保存寿命(貯蔵安定性)が得られることを見出した。
【0013】
定義及び略語
DSC 示差走査熱量測定
MDI 4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)
HDI ヘキサメチレンジイソシアネート
IPDI イソホロンジイソシアネート
PU ポリウレタン
SEC サイズ排除クロマトグラフィー
RH 相対湿度。
【0014】
当量及び分子量は、Malvern Viscothek GPC max装置を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を使用し、カラムとしてPL GEL MIXED D(Agilent、300*7.5mm、5μm)を使用し、検出器としてMALVERN Viscotek TDA(統合された屈折率粘度計及び光散乱)を使用した。
【0015】
本発明の接着剤は、A液とB液とを含む二液型ポリウレタン接着剤である。A液とB液はキットとして一緒に包装することができる。A液とB液は、使用前に適切な比率、好ましくは1:1の体積比で一緒に混合され、その後可能な限り速やかに基材に塗布される。
以降でA液及びB液について更に詳しく開示する。
【0016】
A液
A液は、
(a1)A液の総重量を基準として9~25重量%の、ポリイソシアネートとフェノールとの反応生成物であるブロックドポリウレタンプレポリマー;
(a2)A液の総重量を基準として3.5~15重量%の少なくとも1種の芳香族エポキシ樹脂;及び
(a3)少なくとも1種のエポキシシラン;
を含む。
【0017】
ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)
接着剤組成物の(A)液は、フェノールでキャッピングされた、ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物であり、好ましくは70~85重量%の芳香族ポリイソシアネートと15~25重量%のフェノールとの反応生成物であるブロックドポリウレタンプレポリマーを、A液の総重量を基準として9~25重量%、より好ましくは10~25重量%含む。好ましくは、反応はスズ触媒を用いて行われる。
【0018】
ポリイソシアネートは、脂肪族、芳香族、又は混合であってよく、芳香族ポリイソシアネートが好ましい。芳香族ポリイソシアネートの例としては、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、及びナフタレンジイソシアネート(NDI)が挙げられ、これらは全てポリオールと反応することができる。特に好ましいものは、ポリオールと反応したメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)又はトルエンジイソシアネート(TDI)である。
【0019】
ポリオールは、好ましくはポリエーテルポリオールである。ポリオールは2つ以上のOH基を有してもよい。ポリエーテルポリオールの例としては、ポリ(アルキレンオキシド)ジオールが挙げられ、その中のアルキレン基はC~Cであり、特に好ましくはアルキレン基はC~Cである。適切なポリオールの例としては、ポリ(エチレンオキシド)ジオール、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキシド)ジオールが挙げられる。ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、特にポリ(プロピレングリコール)が特に好ましい。
【0020】
特に好ましいものは、芳香族ジイソシアネートとポリエーテルポリオール、特に上に挙げたものとの反応生成物であり、その後フェノールでキャッピングされる。
【0021】
キャッピングに使用されるフェノールは、好ましくは以下の式のフェノールである:
【0022】
【化1】
【0023】
(式中、Rは飽和又は不飽和のC15鎖であり、特に好ましくはRは飽和のC15鎖である)。
【0024】
特に好ましいものは、TDIをポリ(プロピレンオキシド)ジオールと反応させることによって製造されるポリイソシアネートであり、特に得られるポリイソシアネートが約950の当量を有する場合である。
【0025】
フェノール含有化合物は、典型的には、フェノール基に結合した直鎖炭化水素を有して、化合物に何らかの脂肪族的特性を提供する。直鎖炭化水素は、好ましくは、約3個以上の炭素原子、より好ましくは約5個以上の炭素原子、更に好ましくは約8個以上の炭素原子、最も好ましくは約10個以上の炭素原子を含む。直鎖炭化水素は、好ましくは、約50個以下の炭素原子、約30個以下の炭素原子、約24個以下の炭素原子、又は約18個以下の炭素原子を含む。特に好ましいフェノールはカルダノールである。
【0026】
好ましい実施形態では、ブロックドポリウレタンプレポリマーは、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)を、ポリエーテルポリオール、特にポリ(プロピレンオキシド)ジオールとを反応させることによって製造される。
【0027】
好ましい実施形態では、ブロックドポリウレタンプレポリマーは、メチレントルエンジイソシアネート(TDI)を、ポリエーテルポリオール、特にポリ(プロピレンオキシド)ジオールと反応させることによって製造される。
【0028】
特に好ましい実施形態では、ブロックドポリウレタンプレポリマーは、トルエンジイソシアネートをポリエーテルポリオールと反応させることによって製造され、これは約4~5%のNCO含有量及び約500~1500g/eqの当量を有する。
【0029】
別の好ましい実施形態では、ブロックドポリウレタンプレポリマーは、トルエンジイソシアネートに基づく芳香族ポリイソシアネートをカルダノールと、好ましくは70~85重量%のTDIに基づくポリイソシアネートを15~25重量%のカルダノールと、反応させることによって製造される。好ましくは、反応はスズ触媒を用いて行われる。
【0030】
ポリウレタンプレポリマーの分子量データは、Malvern Viscothek GPC max装置を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。EMSURE-THF(ACS,Reag.Ph EUR、分析用)を溶離液として用い、PL GEL MIXED D(Ailent、300×7.5mm、5μm)をカラムとして用い、MALVERN Viscotek TDAを検出器として用いた。
【0031】
ブロックドポリウレタンプレポリマーは、A液の総重量を基準として9~25重量%、より好ましくは10~25重量%、12~18重量%、特に好ましくは13~15重量%で存在する。
【0032】
芳香族エポキシ樹脂(a2)
A液は、A液の総重量を基準として3.5~15重量%、好ましくは5~15重量%の芳香族エポキシ樹脂を含む。芳香族エポキシ樹脂は、ビスフェノールとエピクロロヒドリンとに基づく任意のエポキシ樹脂である。適切なビスフェノール類の例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、ビスフェノールAF、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールMが挙げられる。好ましい実施形態では、ビスフェノールはビスフェノールAである。
【0033】
(A)液は、芳香族エポキシ樹脂を含む。芳香族エポキシ樹脂は、好ましくは、ジフェノールとエピクロロヒドリンとの反応生成物である。適切なジフェノールの例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールFが挙げられ、ビスフェノールAが特に好ましい。
【0034】
特に好ましい実施形態では、芳香族エポキシ樹脂は、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとの反応生成物であり、以下の特徴を有する。
【0035】
【表1】
【0036】
好ましい実施形態では、芳香族エポキシ樹脂は、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとの反応生成物であり、以下の特徴を有し、(A)液の総重量を基準として6~10重量%である。
【0037】
【表2】
【0038】
芳香族エポキシ樹脂は、25℃において、好ましくは12,000mPa.s以下、より好ましくは11,000mPa.s以下、特に好ましくは10,000mPa.s以下の、ASTM D-445による粘度を有する。
【0039】
芳香族エポキシ樹脂は、好ましくは150~250、より好ましくは170~190の、ASTM D-1652によるエポキシド当量を有する[これが重要かは不明]。
【0040】
特に好ましい実施形態では、芳香族エポキシ樹脂はビスフェノールAに基づいており、176~185のエポキシド当量(ASTM D-1652による)と、25℃において7,000~10,000mPa.sのASTM D-445による粘度とを有する。 このような適切なエポキシは、商品名DER330として販売されている。
【0041】
芳香族エポキシ樹脂は、A液の総重量を基準として3.5~15重量%、5~15重量%、より好ましくは6~10重量%でA液中に存在する。
【0042】
特に好ましい実施形態では、芳香族エポキシ樹脂はビスフェノールAに基づいており、176~185のエポキシド当量(ASTM D-1652による)を有し、A液の総重量を基準として6~10重量%で存在する。
【0043】
使用の際には、(A)液と(B)液は、基材への塗布前又は塗布と同時に混合される。最終的な混合された接着剤中の芳香族エポキシ樹脂の濃度は、最終的な混合された接着剤を製造するために使用される(A)液及び(B)の割合から計算することができる。好ましい実施形態では、(A)液と(B)液は、1:1の体積比で混合され、この場合、最終接着剤中の芳香族エポキシ樹脂の濃度は、(A)液の値の半分になる。
【0044】
エポキシシラン(a3)
A液はエポキシシランを含む。エポキシシランは以下の一般式の分子である:
【0045】
【化2】
【0046】
(式中、R、R、及びRは、独立してC~Cアルキルから選択され、Rは二価の有機ラジカルである)。
【0047】
好ましい実施形態では、R、R、及びRは、独立して、エチル及びメチルから選択され、メチルが好ましく、特にはR、R、及びRがメチルである場合である。
【0048】
は、好ましくは、アルキレン、好ましくはC~C12アルキレン、より好ましくはC~Cアルキレンから選択され、特に好ましくはプロピレンである。
【0049】
特に好ましい実施形態では、R、R、及びRはメチルであり、波線の結合はn-プロピレンラジカル[(γ-グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン]である。
【0050】
エポキシシランは、好ましくは、A液の総重量を基準として0.1~2重量%、より好ましくは0.25~1.5重量%、特に好ましくは0.3~0.6重量%でA液中に存在する。
【0051】
特に好ましい実施形態では、エポキシシランは、(A)液の総重量を基準として0.2~0.75重量%、より好ましくは0.25~0.6重量%、特に好ましくは0.5重量%のγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。
【0052】
熱伝導性フィラー
熱伝導性フィラーは、特に限定されない。
【0053】
適切な熱伝導性フィラーは、5W/m°Kより大きい、10W/m°Kより大きい、又は15W/m°Kより大きい熱伝導率係数を有するものである。熱伝導性フィラーの例としては、アルミナ、アルミナ三水和物若しくは三水酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ダイヤモンド、及び黒鉛、又はそれらの混合物が挙げられる。特に好ましい実施形態は、三水酸化アルミニウム(ATH)及び酸化アルミニウムであり、ATHが最も好ましい。
【0054】
好ましい実施形態では、熱伝導性フィラーは、約3以上のD90/D50比によって特徴付けられる広い粒度分布を有する。特に好ましくは、熱伝導性フィラーは、約3以上のD90/D50比によって特徴付けられる広い粒度分布を有するATH又は酸化アルミニウムであり、最も好ましくはATHである。
【0055】
同様に、二峰性粒度分布を有する熱伝導性フィラーも好ましい。二峰性分布は、例えば、D90/D50比が約3以上、より好ましくは約5以上、より特に好ましくは約9以上である場合である。例えば、5~20ミクロンのD50及び70~90ミクロンのD90、特に7~9ミクロンのD50及び78~82ミクロンのD90を有する粒子である。粒度は、レーザー回折を使用して決定することができる。ATHについては、適切な溶媒は、Nax10HОなどの分散助剤を好ましくは1g/lで含む脱イオン水である。好ましいものは、酸化アルミニウム及び二峰性分布を有するATH、特にATHである。
【0056】
熱伝導性フィラーは、好ましくは、約1.5W/mK以上の熱伝導率を与える濃度で最終接着剤中に存在する。例えば、これは、通常、接着剤の総重量を基準として50重量%を超える、より好ましくは60重量%を超える、より特に好ましくは70重量%を超える熱伝導性フィラーの濃度を必要とする。特に好ましい実施形態では、熱伝導性フィラーは、接着剤の総重量を基準として80重量%超で存在する。好ましくは、最終接着剤中の熱伝導性フィラーの含有量は、高いレベルでは接着強度及び耐衝撃性に悪影響がある可能性があるため、93重量%未満である。特に好ましい実施形態では、熱伝導性フィラーは、接着剤の総重量を基準として85~90重量%で存在する。
【0057】
熱伝導性フィラーは、(A)液、(B)液、又はその両方に存在し得る。好ましい実施形態では、熱伝導性フィラーは、両方に存在すると(A)液と(B)液が混合されるときに熱伝導性フィラーを適切に分布させるのに必要な混合の量が減ることから、(A)液と(B)液の両方に存在する。好ましくは、これは、(A)液と(B)液の両方の中に同様の又は同じ濃度で存在する。特に好ましい実施形態では、これは混合物の総重量を基準として85~90重量%で(A)液と(B)液の最終混合物中に存在する。好ましくは、これは、関連する液の重量を基準として85重量%で(A)液と(B)液の両方に存在する。
【0058】
特に好ましい実施形態では、熱伝導性フィラーは、D90/D50比が約8以上のATHであり、(A)液又は(B)液の総重量を基準として85~89重量%の濃度で(A)液と(B)液の両方の中で使用される。
【0059】
B液:
B液は、
(b1)B液の総重量を基準として8~18重量%、好ましくは11~18重量%の、ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)と反応することができる求核性架橋剤と、
(b2)求核剤(b1)と、ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)との反応を促進することができる触媒と、
を含む。
【0060】
求核性架橋剤(b1)
B液は、B液の総重量を基準として8~18重量%、好ましくは11~18重量%の求核性架橋剤を含む。
【0061】
求核性架橋剤は、好ましくはジアミン又はトリアミンであり、トリアミンが好ましい。アミン基は、独立して、二級又は一級であってよく、一級が好ましい。
【0062】
求核性架橋剤は、好ましくは1,500~4,000Da、より好ましくは2,000~3,500Daの分子量を有し、約3,000Daが特に好ましい。
【0063】
求核性架橋剤は、好ましくは、ポリ(アルキレンオキシド)ジオール、特にC~Cアルキレン、より具体的にはC~Cアルキレンに基づく骨格を有し、Cアルキレンが最も好ましい。特に好ましくは、骨格はプロピレングリコールのポリエーテルに基づく。好ましくは、これは前述した骨格を有するジアミン又はトリアミンである。
【0064】
特に好ましい実施形態では、求核性架橋剤は、アミン基の90%を超える一級アミンと、約3,000Daの分子量と、プロピレングリコールのポリエーテルに基づく骨格とを有するトリアミンである。
【0065】
より特に好ましくは、求核性架橋剤は、約3000の分子量の三官能性ポリエーテルアミン:
【0066】
【化3】
【0067】
であり、以下の特徴を有する。
【0068】
【表3】
【0069】
求核性架橋剤は、(B)液の総重量を基準として8~18重量%、11~18重量%、より好ましくは12~14重量%の濃度で(B)液の中に存在する。
【0070】
特に好ましい実施形態では、求核性架橋剤は、約3000の分子量の三官能性ポリエーテルアミン:
【0071】
【化4】
【0072】
であり、以下の特徴を有し、(B)液の総重量を基準として11~14重量%である。
【0073】
【表4】
【0074】
使用の際には、(A)液と(B)液は、基材への塗布前又は塗布と同時に混合される。最終的な混合された接着剤中の求核性架橋剤の濃度は、最終的な混合された接着剤を製造するために使用される(A)液及び(B)の割合から計算することができる。好ましい実施形態では、(A)液と(B)液は、1:1の体積比で混合され、この場合、最終接着剤中の求核性架橋剤の濃度は、(A)液の値の半分になる。
【0075】
触媒(b2)
(B)液は、求核剤(b1)とブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)との反応を促進することができる触媒を含む。
【0076】
触媒は、好ましくはルイス塩基及びルイス酸から選択される。好ましいものは、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリス-2,4,6-((ジメチルアミノ)メチル)フェノール、DMDEE(2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル)、4-メチルイミダゾールなどのイミダゾール、トリエタノールアミン、ポリエチレンイミンを含む三級アミンである。
【0077】
ジオクチルスズジネオデカノエートなどの有機スズ化合物、並びにテトラブチルチタネート、ジルコニウムアセチルアセトネート、及びビスマスネオデカノエートなどの他の金属触媒も同様に適している。
【0078】
特に好ましいものは、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンとトリス-2,4,6-((ジメチルアミノ)メチル)フェノールとの組み合わせである。
【0079】
触媒は、(B)液の総重量を基準として好ましくは0.05~0.6重量%、より好ましくは0.075~0.5重量%、より特に好ましくは約0.5重量%で使用される。
【0080】
好ましい実施形態では、触媒は、0.2~0.6重量%のトリス-2,4,6-((ジメチルアミノ)メチル)フェノールと0.05~0.2重量%のジアザビシクロ[2.2.2]オクタンとの組み合わせであり、より特に好ましくは0.4重量%のトリス-2,4,6-((ジメチルアミノ)メチル)フェノールと0.1重量%のジアザビシクロ[2.2.2]オクタンとの組み合わせである。
【0081】
A液及び/又はB液の任意選択的な成分
(A)液及び(B)は、
・不飽和脂肪酸のエステル、特にC16~C18脂肪酸のエステル、特にメチルエステル、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、及びリン酸エステル、例えばトリス(2-エチルヘキシル)ホスフェートなどの可塑剤;
・ポリカプララクトンなどの安定剤;
・染料及び着色剤;
・カーボンブラック、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ウォラストナイトなどのフィラー(熱伝導性フィラー以外);
・ヘキサデシルトリメトキシシランなどの粘度低下剤;
などの他の成分を更に含み得る。
【0082】
硬化した熱伝導性接着剤
本発明は、(A)液と(B)液とを混合し、硬化させることから得られる硬化した熱伝導性接着剤も提供する。
【0083】
(A)液と(B)液は任意の比率で混合することができる。好ましくは、成分の最終濃度は、(A)と(B)とを混合した後、接着剤の総重量を基準として次の範囲内に収まる。
【0084】
【表5】
【0085】
基材への塗布
(A)液と(B)液は混合され、手動塗布システム、又は20lのペール若しくは200lのドラム若しくは任意の他の好ましい容器を使用するポンプシステムを用いる自動化された方法などの公知の方法を使用して、基材に塗布することができる。
【0086】
特徴
硬化した接着剤組成物は、ASTM 5470-12(実施例に記載)に従って測定される熱伝導率が1.5W/mK以上であることを特徴とする。
【0087】
硬化した接着剤組成物は、実施例で測定される通りにDIN EN1465:2009に従って硬化してから23℃、相対湿度50%で7日間放置した後、好ましくは1.8MPa以上、より好ましくは2.2MPa超、より特に好ましくは2.5MPa超の重ねせん断強さを有する。
【0088】
硬化した接着剤組成物は、実施例に従って測定した場合に、硬化してから23℃、相対湿度50%で7日間放置した後、80%を超える凝集破壊、より好ましくは90%を超える凝集破壊の破壊モードを有する。
【0089】
この接着剤は、室温で2週間保存した後、A液の粘度増加が80%未満であるという優れた貯蔵安定性も特徴とする。
【0090】
二液型組成物は、室温で硬化する(好ましくは、混合後24時間以内にペーストから固体へと変化することを特徴とする)。
【0091】
電池アセンブリ及び組み立て方法
本発明は、混合物が硬化したときにセルと基材との間に熱伝導性を付与するように、(A)液と(B)液とを混合することで得られる硬化した接着剤組成物及び/又は機械的締結手段によってアセンブリ内の所定の位置に固定された電池モジュールを含む電池アセンブリも提供する。
【0092】
(A)液と(B)液は、望まれる比率で混合され、電池セルを物理的及び電気的に分離するような形式で、並びにセルを冷却するように設計された基材上の所定の位置に固定するような形式で、混合物が塗布され、その後硬化され、その結果、混合物が硬化したときにセルと基材との間に熱伝導性が付与される。
【0093】
アセンブリ内の接着剤の熱伝導率は、ASTM5470-12(実施例に記載の通り)に従って測定した場合、好ましくは1.5W/mK以上である。
【0094】
特に好ましい実施形態
以下は、本発明の特に好ましい実施形態である。
1.以下を含む、二液型熱伝導性接着剤配合物のためのキット:
(A)
(a1)A液の総重量を基準として9~25重量%の、ポリイソシアネートとフェノールとの反応生成物であるブロックドポリウレタンプレポリマーと、
(a2)A液の総重量を基準として3.5~15重量%の少なくとも1種の芳香族エポキシ樹脂と、
(a3)少なくとも1種のエポキシシランと、
を含む第1液;
(B)
(b1)B液の総重量を基準として8~18重量%の、ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)と反応することができる求核性架橋剤と、
(b2)求核剤(b1)と、ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)との反応を促進することができる触媒と、
を含む第2液;
を含む二液型熱伝導性接着剤配合物であって、
(A)液及び/又は(B)液が熱伝導性フィラーを更に含み、(A)液と(B)液が使用前に一緒にブレンドされて接着剤を形成するように設計されており、接着剤中の熱伝導性フィラーの濃度が接着剤の総重量を基準として60~80重量%である、
二液型熱伝導性接着剤配合物。
【0095】
2.以下を含む、二液型熱伝導性接着剤配合物のためのキット:
(A)
(a1)A液の総重量を基準として9~25重量%の、ポリイソシアネートとフェノールとの反応生成物であるブロックドポリウレタンプレポリマーと、
(a2)A液の総重量を基準として3.5~15重量%の少なくとも1種の芳香族エポキシ樹脂と、
(a3)少なくとも1種のエポキシシランと、
を含む第1液;
(B)
(b1)B液の総重量を基準として8~18重量%の、ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)と反応することができる求核性架橋剤と、
(b2)求核剤(b1)とブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)との反応を促進することができる触媒と、
を含む第2液;
を含む二液型熱伝導性接着剤配合物のためのキットであって、
(A)液及び/又は(B)液が熱伝導性フィラーを更に含み、(A)液と(B)液が使用前に一緒にブレンドされて接着剤を形成するように設計されており、接着剤中の熱伝導性フィラーの濃度が接着剤の総重量を基準として60~80重量%である、
キット。
【0096】
3.電池セルを基材に接合する方法であって、
以下の工程:
(1)
(A)
(a1)A液の総重量を基準として9~25重量%の、ポリイソシアネートとフェノールとの反応生成物であるブロックドポリウレタンプレポリマーと、
(a2)A液の総重量を基準として3.5~15重量%の少なくとも1種の芳香族エポキシ樹脂と、
(a3)少なくとも1種のエポキシシランと、
を含む第1液;
(B)
(b1)B液の総重量を基準として8~18重量%の、ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)と反応することができる求核性架橋剤と、
(b2)求核剤(b1)とブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)との反応を促進することができる触媒と、
を含む第2液;
を含む二液型熱伝導性接着剤配合物であって、(A)液及び/又は(B)液が熱伝導性フィラーを更に含む二液型熱伝導性接着剤配合物を準備する工程;
(2)(A)液と(B)液とを混合して未硬化接着剤を得る工程であって、接着剤中の熱伝導性フィラーの濃度が接着剤の総重量を基準として60~80重量%である工程;
(3)未硬化接着剤を電池セル、基材、又はその両方に塗布する工程;
(4)電池セルと基材とを接着接触させる工程;並びに
(5)接着剤を硬化させる工程;
を含む方法。
【0097】
4.
(A)
(a1)A液の総重量を基準として9~25重量%の、ポリイソシアネートとフェノールとの反応生成物であるブロックドポリウレタンプレポリマーと、
(a2)A液の総重量を基準として3.5~15重量%の少なくとも1種の芳香族エポキシ樹脂と、
(a3)少なくとも1種のエポキシシランと、
を含む第1液;
(B)
(b1)B液の総重量を基準として8~18重量%の、ブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)と反応することができる求核性架橋剤と、
(b2)求核剤(b1)とブロックドポリウレタンプレポリマー(a1)及び芳香族エポキシ樹脂(a2)との反応を促進することができる触媒と、
を含む第2液;
を混合することによって形成される接着剤により基材に接合された電池セルを含む接合されたアセンブリであって、
(A)液及び/又は(B)液が熱伝導性フィラーを更に含み、(A)液と(B)液が使用前に一緒にブレンドされて接着剤を形成するように設計されており、接着剤中の熱伝導性フィラーの濃度が接着剤の総重量を基準として60~80重量%である、
接合されたアセンブリ。
【0098】
5.ブロックドポリウレタンプレポリマーが、フェノールでキャッピングされた、ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物である、先行するいずれか1つの実施形態。
【0099】
6.ブロックドポリウレタンプレポリマーが、70~85重量%の芳香族ポリイソシアネート(すなわちポリオールと反応したジイソシアネート)と15~25重量%のフェノールとを含む、先行するいずれか1つの実施形態。
【0100】
7.ポリイソシアネートが脂肪族、芳香族、又は混合物である、実施形態5又は6。
【0101】
8.ポリイソシアネートが芳香族ポリイソシアネートである、実施形態5又は6。
【0102】
9.ブロックドポリウレタンプレポリマーが、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、及びナフタレンジイソシアネート(NDI)から選択されるポリイソシアネートを使用して製造される、先行するいずれか1つの実施形態。
【0103】
10.ブロックドポリウレタンプレポリマーが、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)又はトルエンジイソシアネート(TDI)を使用して製造される、先行するいずれか1つの実施形態。
【0104】
11.ブロックドポリウレタンプレポリマーが、ポリエーテルポリオールを使用して製造される、先行するいずれか1つの実施形態。
【0105】
12.アルキレン基がC~Cであり、特に好ましくはアルキレン基がC~Cであるポリ(アルキレンオキシド)ジオールを使用してブロックドポリウレタンプレポリマーが製造される、先行するいずれか1つの実施形態。
【0106】
13.ブロックドポリウレタンプレポリマーが、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、特にポリ(プロピレングリコール)を使用して製造される、先行するいずれか1つの実施形態。
【0107】
14.ブロックドポリウレタンプレポリマーが、芳香族ジイソシアネートをポリエーテルポリオール、特に上で列挙したものと反応させてからフェノールでキャッピングすることによって製造される、先行するいずれか1つの実施形態。
【0108】
15.ブロックドポリウレタンプレポリマーが、以下の式のフェノールでキャッピングされている、先行するいずれか1つの実施形態:
【0109】
【化5】
【0110】
(式中、Rは飽和又は不飽和のC15鎖であり、特に好ましくはRは飽和のC15鎖である)。
【0111】
16.ブロックドポリウレタンプレポリマーがカルダノールでキャッピングされている、先行するいずれか1つの実施形態。
【0112】
17.ブロックドポリウレタンプレポリマーが、特に得られるポリイソシアネートが約950の当量を有する場合に、TDIをポリ(プロピレンオキシド)ジオールと反応させることによって製造される、先行するいずれか1つの実施形態。
【0113】
18.ブロックドポリウレタンプレポリマーが、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)をポリエーテルポリオール、特にポリ(プロピレンオキシド)ジオールと反応させることによって製造される、先行するいずれか1つの実施形態。
【0114】
19.ブロックドポリウレタンプレポリマーが、トルエンジイソシアネートをポリエーテルポリオールと反応させることによって製造され、約4~5%のNCO含有量及び約500~1500g/eqの当量を有する、先行するいずれか1つの実施形態。
【0115】
20.トルエンジイソシアネートに基づく芳香族ポリイソシアネートをカルダノールと反応させることによって、好ましくは70~85重量%のTDIに基づくポリイソシアネートを15~25重量%のカルダノールとを反応させることによってブロックドポリウレタンプレポリマーが製造される、先行するいずれか1つの実施形態。
【0116】
21.ブロックドポリウレタンプレポリマーが、A液の総重量を基準として12~18重量%、より好ましくは13~15重量%で存在する、先行するいずれか1つの実施形態。
【0117】
22.芳香族エポキシ樹脂が、ビスフェノールとエピクロロヒドリンとに基づくエポキシ樹脂である、先行するいずれか1つの実施形態。
【0118】
23.芳香族エポキシ樹脂が、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、ビスフェノールAF、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールMに基づくエポキシ樹脂である、先行するいずれか1つの実施形態。
【0119】
24.芳香族エポキシ樹脂がビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂である、先行するいずれか1つの実施形態。
【0120】
25.芳香族エポキシ樹脂が、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとの反応生成物であり、以下の特徴を有する、先行するいずれか1つの実施形態。
【0121】
【表6】
【0122】
26.芳香族エポキシ樹脂が、A液の総重量を基準として3.5~15重量%、より好ましくは6~10重量%で使用される、先行するいずれか1つの実施形態。
【0123】
27.エポキシシランが、以下の一般式:
【0124】
【化6】
【0125】
(式中、R、R、及びRは、独立してC~Cアルキルから選択され、Rは二価の有機ラジカルである)
の分子である、先行するいずれか1つの実施形態。
【0126】
28.R、R、及びRが、エチル及びメチルから独立して選択される、実施形態27。
【0127】
29.R、R、及びRがメチルである、実施形態27又は28。
【0128】
30.Rがアルキレン、好ましくはC~C12アルキレン、より好ましくはC~Cアルキレンから選択され、特に好ましくはプロピレンである、実施形態27、28、又は29。
【0129】
31.エポキシシランが(γ-グリシドキシプロピル)トリメトキシシランである、先行するいずれか1つの実施形態。
【0130】
32.エポキシシランが、A液の総重量を基準としてA液中に0.1~2質量%、より好ましくは0.25~1.5質量%、特に好ましくは0.3~0.6質量%で存在する、先行するいずれか1つの実施形態。
【0131】
33.エポキシシランが、(A)液の総重量を基準として0.2~0.75重量%、より好ましくは0.25~0.6重量%、特に好ましくは約0.5重量%のγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランである、先行するいずれか1つの実施形態。
【0132】
34.熱伝導性フィラーが、5W/m°Kより大きい、10W/m°Kより大きい、又は15W/m°Kより大きい熱伝導率係数を有するものから選択される、先行するいずれか1つの実施形態。
【0133】
35.熱伝導性フィラーが、アルミナ、アルミナ三水和物、三水酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ダイヤモンド、及び黒鉛、又はそれらの混合物から選択される、先行するいずれか1つの実施形態。
【0134】
36.熱伝導性フィラーが三水酸化アルミニウム(ATH)である、先行するいずれか1つの実施形態。
【0135】
37.熱伝導性フィラーが、約3以上のD90/D50比によって特徴付けられる広い粒度分布を有するATHである、先行するいずれか1つの実施形態。
【0136】
38.熱伝導性フィラーが二峰性の粒度分布を有する、先行するいずれか1つの実施形態。
【0137】
39.熱伝導性フィラーが、3以上、より好ましくは5以上、より特に好ましくは9以上の比D90/D50を有する、先行するいずれか1つの実施形態。
【0138】
40.熱伝導性フィラーが、3以上、より好ましくは5以上、より特に好ましくは9以上の比D90/D50を有するATHである、先行するいずれか1つの実施形態。
【0139】
41.熱伝導性フィラーが、約1.5W/mK以上の熱伝導率を与える濃度で最終接着剤中に存在する、先行するいずれか1つの実施形態。
【0140】
42.熱伝導性フィラーが、最終接着剤中に50重量%超、より好ましくは60重量%超、より特に好ましくは70重量超で存在する、先行するいずれか1つの実施形態。
【0141】
43.熱伝導性フィラーが最終接着剤中に80重量%超で存在する、先行するいずれか1つの実施形態。
【0142】
44.熱伝導性フィラーが最終接着剤中に85~90重量%で存在する、先行するいずれか1つの実施形態。
【0143】
45.熱伝導性フィラーが、D90/D50比が約8以上のATHであり、(A)液又は(B)液の総重量を基準として85~89重量%の濃度で(A)液と(B)液の両方の中で使用される、先行するいずれか1つの実施形態。
【0144】
46.求核性架橋剤がジアミン又はトリアミンである、先行するいずれか1つの実施形態。
【0145】
47.求核性架橋剤がトリアミンである、先行するいずれか1つの実施形態。
【0146】
48.求核性架橋剤が、ジアミン又はトリアミンであり、アミン基が独立して第二級又は第一級であり、第一級が好ましい、先行するいずれか1つの実施形態。
【0147】
49.求核性架橋剤が、1,500~4,000Da、より好ましくは2,000~3,500Daの分子量を有し、約3,000Daが特に好ましい、先行するいずれか1つの実施形態。
【0148】
50.求核性架橋剤が、ポリ(アルキレンオキシド)ジオール、特にC~Cアルキレン、より具体的にはC~Cアルキレンに基づく骨格を有し、Cアルキレンが最も好ましい、先行するいずれか1つの実施形態。
【0149】
51.求核性架橋剤がプロピレングリコールのポリエーテルに基づく、先行するいずれか1つの実施形態。
【0150】
52.求核性架橋剤が、アミン基の90%を超える一級アミンと、約3,000Daの分子量と、プロピレングリコールのポリエーテルに基づく骨格とを有するトリアミンである、先行するいずれか1つの実施形態。
【0151】
53.求核性架橋剤が、約3000の分子量の三官能性ポリエーテルアミン:
【0152】
【化7】
【0153】
であり、以下の特徴を有する、先行するいずれか1つの実施形態。
【0154】
【表7】
【0155】
54.求核性架橋剤が、(B)液の総重量を基準として8~18重量%、より好ましくは12~14重量%の濃度で(B)液中に存在する、先行するいずれか1つの実施形態。
【0156】
55.触媒がルイス塩基及びルイス酸から選択される、先行するいずれか1つの実施形態。
【0157】
56.触媒が、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリス-2,4,6-((ジメチルアミノ)メチル)フェノール、DMDEE(2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル)、4-メチルイミダゾールなどのイミダゾール、トリエタノールアミン、ポリエチレンイミンから選択される、先行するいずれか1つの実施形態。
【0158】
57.触媒が、トリス-2,4,6-((ジメチルアミノ)メチル)フェノールと組み合わされたジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである、先行するいずれか1つの実施形態。
【0159】
58.触媒が、
(B)液の総重量を基準として0.05~0.6重量%、より好ましくは0.075~0.5重量%、より特に好ましくは約0.5重量%で使用される、先行するいずれか1つの実施形態。
【0160】
59.触媒が、0.2~0.6重量%のトリス-2,4,6-((ジメチルアミノ)メチル)フェノールと0.05~0.2重量%のジアザビシクロ[2.2.2]オクタンとの組み合わせであり、より特に好ましくは0.4重量%のトリス-2,4,6-((ジメチルアミノ)メチル)フェノールと0.1重量%のジアザビシクロ[2.2.2]オクタンとの組み合わせである、先行するいずれか1つの実施形態。
【0161】
60.硬化した接着剤組成物が、ASTM 5470-12(実施例に記載)に従って測定した熱伝導率が1.5W/mK以上であることを特徴とする、先行するいずれか1つの実施形態。
【0162】
61.硬化した接着剤組成物が、実施例で測定される通りにDIN EN1465:2009に従って硬化してから23℃、相対湿度50%で7日間放置した後、好ましくは2.5MPa以上、より好ましくは
2.6MPa超の重ねせん断強さを有する、先行するいずれか1つの実施形態。
【0163】
62.硬化した接着剤組成物が、実施例に従って測定した場合に、硬化してから23℃、相対湿度50%で7日間放置した後、80%を超える凝集破壊、より好ましくは90%を超える凝集破壊の破壊モードを有する、先行するいずれか1つの実施形態。
【0164】
63.A液が、室温で3ヶ月後に80%未満の粘度増加を示す、先行するいずれか1つの実施形態。
【0165】
64.二液型組成物が室温で硬化する(好ましくは、混合後24時間エージングした後のペーストから固体への変化を特徴とする)、先行するいずれか1つの実施形態。
【実施例
【0166】
【表8】
【0167】
【表9】
【0168】
方法
圧入力:圧入力は、張力計(Zwick)で測定した。金属面に未硬化の接着剤を置いた。直径40mmのアルミニウムピストンをその上に置き、その材料を5mmまで圧縮した(初期位置)。次いで、その材料を1mm/秒の速度で圧縮して0.3mmとし、力-変位曲線を記録した。その後、厚さ0.5mmにおける力(N)を報告し、これを圧入力とみなした。
【0169】
熱伝導率:熱伝導率は、ASTM 5470-17に従い、ZFW Stuttgart製熱界面材料テスター上で測定した。A成分とB成分は、並列カートリッジと空気圧式塗布ガンを用いて1:1の体積比で混合される。材料は、直径10mmであり24個の混合エレメントを備えたヘリカルスタティックミキサーで混合される。厚さ2mmのプレートを作製し、23℃、相対湿度50%で7日間硬化させた。硬化したプレートから直径30mmのディスクを切り出し、熱伝導率試験に使用した。熱伝導率試験は、1、2、3、5、及び10barの圧力を加える加圧モードで行われる。上部接点を約40℃に加熱し、下部接点を約10℃に加熱したところ、サンプル温度は約25℃になった。
【0170】
GPC:ポリウレタンプレポリマーの分子量データを、Malvern Viscotek GPC max装置を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。EMSURE-THF(ACS、Reag.Ph EUR、分析用)を溶離液として用い、PL GEL MIXED D(Ailent、300×7.5mm、5μm)をカラムとして用い、MALVERN Viscotek TDAを検出器として用いた。
【0171】
配合物の調製:配合物は、プラネタリーミキサー又はデュアル非対称遠心分離機で混合した。第1段階では、液相を混合してから固体材料を配合物に添加した。配合物を真空下で約30分混合してから、カートリッジ、ペール缶、又はドラム缶に充填した。
【0172】
重ねせん断試験:アルミニウム基材(Novelisより、AA6061 T6 1.92mm MF noPT no lub、140×25mm、厚さ1.9mm)を使用した。基材は使用前にイソプロパノールで洗浄した。熱界面材料を1つの基材に塗布した後、2番目の基材を5分以内に接合した。厚さを1.0mmに調整し、重なり領域は25mm×25mmであった。材料を硬化させ、23℃、相対湿度50%で7日間おいた後、重ねせん断試験を行った。その後、重ねせん断試料を張力計に取り付け、10mm/分の引張速度を使用して重ねせん断試験を行った。力のたわみ曲線を観察した。破断時の強度を重ねせん断強さとして報告した。
【0173】
粘度:レオロジー測定は、平行板形状のAnton Paar MC302レオメーターで行った。直径25mmのプレートを使用し、ギャップは0.5mmに固定した。熱界面材料を2枚のプレートの間に入れ、せん断速度試験を0.001~201/sで行った。10l/sにおける粘度を報告した。
【0174】
配合物は、表2に列挙されている成分を使用して製造した。
【0175】
【表10】
【0176】
【表11】
【国際調査報告】