(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】水素生成のための統合された酸化的改質及び電解システム及び方法
(51)【国際特許分類】
C01B 3/32 20060101AFI20241128BHJP
C07C 29/76 20060101ALI20241128BHJP
C01B 3/56 20060101ALI20241128BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20241128BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20241128BHJP
C25B 15/02 20210101ALI20241128BHJP
C25B 9/23 20210101ALI20241128BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20241128BHJP
C12P 7/10 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C01B3/32 A
C07C29/76
C01B3/56 Z
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B15/02
C25B9/23
C12M1/00 D
C12P7/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527737
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 US2022079772
(87)【国際公開番号】W WO2023086972
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2022-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524176513
【氏名又は名称】ピーシーシー ハイドロゲン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン,ジェフリー,ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】フォーガティ,ティモシー,グリフィス
(72)【発明者】
【氏名】パカレ,デヴェンドラ
(72)【発明者】
【氏名】アップルベリー,ティモシー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ギュービッツ,ジョシュア,アーロン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B064
4G140
4H006
4K021
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB16
4B029DG10
4B064AC03
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4H006AA04
4H006AB84
4H006AD11
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4H006FE11
4K021AA01
4K021BA02
4K021DB53
4K021DC01
(57)【要約】
水が電解されて水素及び酸素が生成され、含酸素添加剤及び/又は炭化水素を含む原料が酸素により非自己熱接触酸化的に改質されて、水素が生成される、水素ガスを生成するための方法及びシステムが記載される。特定の実装例における水素生成システムは、水を受け入れ、水から水素及び酸素を生成するように構成された電解槽と、水素を生成するための非自己熱接触酸化的改質反応のために、原料、水、及び電解槽で生成された酸素を受け入れるように構成された、非自己熱酸化的改質触媒を含む非自己熱セグメント化断熱反応器とを含む。水素生成方法及びシステムは、グリーン水素を生成するためにバイオエタノールを使用するのに特に有利である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱的に統合された水素生成システムであって、
水を受け入れ、前記水から水素ガス及び酸素ガスを生成するように構成された電解槽と、
前記電解槽からの前記酸素ガスを受け入れるように構成された酸素貯蔵槽と、
前記酸素貯蔵槽からの酸素ガス、原料燃料を含有する原料燃料供給源からの原料燃料、及び水供給源からの水を受け入れるように構成された単一の断熱反応器を含む非自己熱酸化的改質システムであって、前記単一の断熱反応器は、前記単一の断熱反応器を通る流れ中で順次接触される連続した触媒床を含み、前記触媒床は(i)部分酸化触媒を含む第1の触媒床、(ii)水蒸気改質触媒を含む第2の触媒床、及び(iii)高温水性ガスシフト触媒を含む第3の触媒床を含み、それにより、前記酸素貯蔵槽からの前記酸素及び前記水供給源からの前記水とともに前記原料燃料供給源からの前記原料燃料が、前記単一の断熱反応器中で接触酸化的に改質されて、主に水素である酸化的に改質されたガスを生成し、前記単一の断熱反応器は、前記生成された酸化的に改質されたガスを排出するように構成されている、非自己熱酸化的改質システムと、
前記単一の断熱反応器からの前記生成された酸化的に改質されたガスを受け入れ、前記ガスから熱を除去して、低下された温度の酸化的に改質されたガスを生成するように構成された第1の熱交換器と、
前記第1の熱交換器からの前記低下された温度の酸化的に改質されたガスを受け入れ、前記低下された温度の酸化的に改質されたガス中の一酸化炭素の少なくとも一部を二酸化炭素に転化して、減少された一酸化炭素含量の低温水性ガスシフト反応ガスを生成するように構成された低温水性ガスシフト反応器であって、低温水性ガスシフト触媒を含む第4の触媒床を含む、低温水性ガスシフト反応器と、
前記低温水性ガスシフト反応器から減少された一酸化炭素含量の前記低温水性ガスシフト反応ガスを受け入れ、分離された水素ガス及び二酸化炭素含有排ガスを生成するように構成された水素ガス清浄器と、
前記電解槽からの前記水素ガス及び前記水素ガス清浄器からの前記分離された水素ガスを受け入れるように構成された水素ガス貯蔵器と、
前記水素ガス清浄器によって生成される前記二酸化炭素含有排ガスを燃焼させて、煙道ガスを得るように構成されたバーナーと、
前記単一の断熱反応器への導入前の、前記酸素貯蔵槽からの前記酸素ガス、前記原料燃料供給源からの前記原料燃料、及び前記水供給源からの前記水の加熱のための前記バーナーからの前記煙道ガスを受け入れるように構成された第2の熱交換器と、
前記熱的に統合された水素生成システムにおける前記電解槽及び前記非自己熱酸化的改質システムの操作を調整し、前記単一の断熱反応器における温度を制御するために前記電解槽及び前記非自己熱酸化的改質システムのそれぞれのスループットを調整するように構成及び配置されたプロセス制御器と
を含み、
前記原料燃料供給源に含まれる前記原料燃料が、含酸素添加剤、炭化水素、及びそれらの混合物からなる群から選択される燃料を含み、前記原料燃料が、前記原料燃料の総体積を基準にして5体積%~100体積%の範囲のバイオ由来含量を有する、熱的に統合された水素生成システム。
【請求項2】
前記原料燃料供給源が、供給槽、流れ回路、又は前記原料燃料を含む貯蔵器を含む、請求項1に記載の水素生成システム。
【請求項3】
前記電解槽及び前記非自己熱酸化的改質システムが、2.5km、2.4km、2.3km、2.2km、2.1km、2.0km、1.9km、1.8km、1.7km、1.6km、1.5km、1.4km、1.3km、1.2km、1.1km、1.0km、0.9km、0.8km、0.7km、0.6km、0.5km、0.4km、0.3km、0.2km、0.1km、0.05km、及び0.025kmのうちの少なくとも1つ未満のそれらの間の分離距離で、据置型の地理上の場所の設備において共同で設置される、請求項1に記載の水素生成システム。
【請求項4】
前記システムが、100~2000kgの水素/日の範囲の速度で水素を生成するように構成される、水素生成サイトへの輸送及び水素生成サイトにおける設置のためにスキッドに又は工業用コンテナ中に取り付けられるモジュール形式の、請求項1に記載の水素生成システム。
【請求項5】
前記原料燃料供給源に含まれる前記原料燃料は、下限端点値が、8%、10%、12%、15%、18%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は100%であり、上限端点値が、前記下限端点値を超える上記の数値の1つである範囲内のバイオ由来含量を有する、請求項1に記載の水素生成システム。
【請求項6】
前記プロセス制御器が、前記原料燃料の変動及び電力コストの変動に応じて、前記電解槽及び前記非自己熱酸化的改質システムのそれぞれのスループットを調整するように構成及び配置される、請求項1に記載の水素生成システム。
【請求項7】
前記原料燃料供給源に含まれる前記原料燃料が、生物学的に生成された炭化水素又は生物学的に生成された含酸素添加剤を含む、請求項1に記載の水素生成システム。
【請求項8】
前記原料燃料供給源に含まれる前記原料燃料がエタノールを含む、請求項1に記載の水素生成システム。
【請求項9】
前記電解槽が、ポリマー電解質膜電解槽、アルカリ電解槽、及び固体酸化物電解槽からなる群から選択される電解槽を含む、請求項1に記載の水素生成システム。
【請求項10】
前記第1の触媒床における前記部分酸化触媒が、ロジウム触媒を含み、前記第2の触媒床における前記水蒸気改質触媒が、助触媒が担持されたニッケル触媒を含み、前記第3の触媒床における前記高温水性ガスシフト触媒が、銅を助触媒とした鉄触媒を含み、前記第4の触媒床における前記低温水性シフトガス触媒が、銅/亜鉛で被覆されたモノリス触媒を含む、請求項1に記載の水素生成システム。
【請求項11】
前記プロセス制御器が、前記単一の断熱反応器における温度を制御するように構成及び配置され、それにより、部分酸化反応が約700℃~約900℃の範囲の温度で、前記第1の触媒床中で行われ、水蒸気改質反応が約450℃~約850℃の範囲の温度で、前記第2の触媒床中で行われ、高温水性ガスシフト反応が約300℃~約450℃の範囲の温度で、前記第3の触媒床中で行われ、低温水性ガスシフト反応が約150℃~約350℃の範囲の温度で、前記第4の触媒床中で行われる、請求項1に記載の水素生成システム。
【請求項12】
前記単一の断熱反応器が、それを通るガスの下降流のために構成された、垂直に細長い形態のものであり、前記連続した触媒床における最上部位置における前記第1の触媒床が、前記第2の触媒床の上を覆い、前記第2の触媒床が今度は前記第3の触媒床の上を覆い、前記第3の触媒床が、前記連続した触媒床における最下部位置にある、請求項1に記載の水素生成システム。
【請求項13】
前記単一の断熱反応器における前記連続した触媒床が、物理的な分離要素又は構造によって互いに隔てられる、請求項1に記載の水素生成システム。
【請求項14】
前記原料燃料供給源に含まれる前記原料燃料がエタノールを含み、前記プロセス制御器が、前記電解槽及び非自己熱酸化的改質システムの操作を調整するように構成及び配置され、それにより、前記非自己熱酸化的改質システムが、反応
C
2H
5OH+(3-2x)H
2O+xO
2→(6-2x)H
2+2CO
2
を実施し、ここで、0<x<1.5である、請求項1に記載の水素生成システム。
【請求項15】
前記プロセス制御器が、前記電解槽及び非自己熱酸化的改質システムの操作を調整するように構成及び配置され、それにより、前記非自己熱酸化的改質システムが、前記反応を実施し、ここで、0.30<x<0.50である、請求項14に記載の水素生成システム。
【請求項16】
前記電解槽が固体酸化物電解槽であり、前記プロセス制御器が、前記電解槽及び非自己熱酸化的改質システムの操作を調整するように構成及び配置され、それにより、前記非自己熱酸化的改質システムは、前記固体酸化物電解槽が50%を超える熱効率で動作するように、前記固体酸化物電解槽への伝達のための過剰な熱を生成する、請求項1に記載の水素生成システム。
【請求項17】
発酵性原料からの発酵産物としてエタノールを生成するエタノール精製機を含み、前記エタノール精製機が、前記非自己熱酸化的改質システムのための前記原料燃料の少なくとも一部を供給するように構成される、請求項1に記載の水素生成システム。
【請求項18】
前記電解槽及び前記非自己熱酸化的改質システムが、前記エタノール精製機の発酵及び蒸留装置に廃熱を輸送するように構成される、請求項17に記載の水素生成システム。
【請求項19】
前記エタノール精製機及び前記非自己熱酸化的改質システムのそれぞれからのCO
2ガスを受け入れるように構成されたCO
2処理又は炭素捕捉システムをさらに含む、請求項17に記載の水素生成システム。
【請求項20】
前記エタノール精製機及び前記非自己熱酸化的改質システムのそれぞれからのCO
2ガスを受け入れるように構成されたCO
2処理又は炭素捕捉システムをさらに含む、請求項18に記載の水素生成システム。
【請求項21】
請求項1に記載の熱的に統合された水素生成システムを操作して、水素生成方法を実施することを含む水素生成方法であって、
水を電解して、それから水素ガス及び酸素ガスを生成することと、
前記酸素ガス及び前記水供給源からの水とともに原料燃料を非自己熱接触酸化的に改質して、水素を生成することと
を含む水素生成方法。
【請求項22】
前記原料燃料の前記バイオ由来含量は、下限端点値が、8%、10%、12%、15%、18%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は100%であり、上限端点値が、前記下限端点値を超える上記の数値の1つである範囲内である、請求項21に記載の水素生成方法。
【請求項23】
前記原料燃料が、生物学的に生成された炭化水素を含む、請求項21に記載の水素生成方法。
【請求項24】
前記原料燃料が、生物学的に生成された含酸素添加剤を含む、請求項21に記載の水素生成方法。
【請求項25】
前記原料燃料がエタノールを含む、請求項21に記載の水素生成方法。
【請求項26】
前記電解が、ポリマー電解質膜電解槽、アルカリ電解槽、及び固体酸化物電解槽からなる群から選択される電解槽中で行われる、請求項21に記載の水素生成方法。
【請求項27】
前記第1の触媒床における前記部分酸化触媒がロジウム触媒を含み、前記第2の触媒床における前記水蒸気改質触媒が、助触媒が担持されたニッケル触媒を含み、前記第3の触媒床における前記高温水性ガスシフト触媒が、銅を助触媒とした鉄触媒を含み、前記第4の触媒床における前記低温水性ガスシフト触媒が、銅/亜鉛で被覆されたモノリス触媒を含む、請求項21に記載の水素生成方法。
【請求項28】
部分酸化反応が約700℃~約900℃の範囲の温度で、前記第1の触媒床中で行われ、水蒸気改質反応が約400℃~約850℃の範囲の温度で、前記第2の触媒床中で行われ、高温水性ガスシフト反応が約300℃~約450℃の範囲の温度で、前記第3の触媒床中で行われ、低温水性ガスシフト反応が約150℃~約350℃の範囲の温度で、前記低温水性ガスシフト反応器における前記第4の触媒床中で行われる、請求項21に記載の水素生成方法。
【請求項29】
前記非自己熱接触酸化的改質が、反応(1):
C
2H
5OH+(3-2x)H
2O+xO
2→(6-2x)H
2+2CO
2(1)
の実行を含み、ここで、0<x<1.5である、請求項21に記載の水素生成方法。
【請求項30】
0.30<x<0.50である、請求項29に記載の水素生成方法。
【請求項31】
前記非自己熱接触酸化的改質において生成される前記水素が、少なくとも60mol%の濃度で、排出ガス流中で前記単一の断熱反応器から排出される、請求項21に記載の水素生成方法。
【請求項32】
前記非自己熱接触酸化的改質が熱的に中立であり、前記電解が、前記非自己熱接触酸化的改質によって必要とされる全ての酸素を提供する、請求項21に記載の水素生成方法。
【請求項33】
前記電解が、固体酸化物電解槽中で行われ、ここで、前記非自己熱接触酸化的改質が、過剰な熱を生成するために行われ、前記非自己熱接触酸化的改質によって生成される前記過剰な熱が、前記固体酸化物電解槽が50%を超える熱効率で動作するように前記固体酸化物電解槽に移される、請求項21に記載の水素生成方法。
【請求項34】
前記電解槽及び前記非自己熱酸化的改質システムのそれぞれのスループットが、前記原料燃料の変動及び電力コストの変動に応じて、前記プロセス制御器によって調整される、請求項21に記載の水素生成方法。
【請求項35】
エタノール精製機において発酵性原料からの発酵産物としてエタノールを生成すること、及び前記非自己熱酸化的改質システムのための前記原料燃料の少なくとも一部として、前記エタノール精製機からの前記エタノールを供給することを含む、請求項21に記載の水素生成方法。
【請求項36】
前記電解槽及び前記非自己熱酸化的改質システムが、前記エタノール精製機の発酵及び蒸留装置に廃熱を輸送するように構成される、請求項35に記載の水素生成方法。
【請求項37】
前記エタノール精製機及び前記非自己熱酸化的改質システムのそれぞれからのCO
2ガスを受け入れるように構成されたCO
2処理又は炭素捕捉システムにおいてCO
2ガスを処理することをさらに含む、請求項35に記載の水素生成方法。
【請求項38】
前記エタノール精製機及び前記非自己熱酸化的改質システムのそれぞれからのCO
2ガスを受け入れるように構成されたCO
2処理又は炭素捕捉システムにおいてCO
2ガスを処理することをさらに含む、請求項36に記載の水素生成方法。
【請求項39】
水素生成方法であって、
水を電解して、水素及び酸素を生成することと、
前記酸素を用いて炭化水素原料を接触酸化的に改質して、水素を生成することと
を含む水素生成方法。
【請求項40】
前記炭化水素原料が、メタンからディーゼルの範囲のガス状及び/又は液体炭化水素を含む、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項41】
前記炭化水素原料が、生物学的に生成された炭化水素原料を含む、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項42】
前記炭化水素原料が、メタン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセロール、エチレングリコール、ディーゼル、又は上記のものの2つ以上のブレンドを含む、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項43】
前記炭化水素原料が、生物学的に生成された炭化水素原料を含む、請求項42に記載の水素生成方法。
【請求項44】
前記炭化水素原料がアルコールを含む、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項45】
前記アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノールである、請求項44に記載の水素生成方法。
【請求項46】
前記炭化水素原料がエタノールを含む、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項47】
前記炭化水素原料が、バイオメタン、バイオメタノール、又はバイオエタノールを含む、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項48】
前記炭化水素原料がバイオエタノールを含む、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項49】
前記バイオエタノールがバイオマス由来のエタノールである、請求項48に記載の水素生成方法。
【請求項50】
前記電解がポリマー電解質膜電解槽中で行われる、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項51】
前記電解がアルカリ電解槽中で行われる、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項52】
前記電解が固体酸化物電解槽中で行われる、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項53】
前記接触酸化的改質が貴金属触媒の使用を含む、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項54】
前記接触酸化的改質が混合金属酸化物触媒の使用を含む、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項55】
前記接触酸化的改質がペロブスカイト触媒の使用を含む、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項56】
前記接触酸化的改質がヘキサアルミネート触媒の使用を含む、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項57】
前記接触酸化的改質がパイロクロア触媒の使用を含む、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項58】
水性ガスシフト反応を含む、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項59】
第1のより高温の水性ガスシフト反応及び第2のより低温の水性ガスシフト反応を含む、連続する水性ガスシフト反応を含む、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項60】
前記接触酸化的改質が、反応(1):
C
2H
5OH+(3-2x)H
2O+xO
2→(6-2x)H
2+2CO
2(1)
の実行を含み、ここで、0<x<1.5である、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項61】
0.30≦x≦0.50、0.10≦x≦1.1、0.3≦x≦0.9、0.3≦x≦0.5、若しくは0.75≦x≦0.85であり、又はxが、約0.4、0.5、0.65、0.80、若しくは1.0である、請求項60に記載の水素生成方法。
【請求項62】
0.10<x<1.1である、請求項60に記載の水素生成方法。
【請求項63】
0.15<x<0.80である、請求項60に記載の水素生成方法。
【請求項64】
0.20<x<0.65である、請求項60に記載の水素生成方法。
【請求項65】
0.30<x<0.50である、請求項60に記載の水素生成方法。
【請求項66】
xが約0.40であり、又はxが約1.0である、請求項60に記載の水素生成方法。
【請求項67】
前記接触酸化的改質が改質反応において行われ、ここで、酸素が、前記酸化的改質反応における酸素及び水蒸気の総体積を基準にして5体積%~95体積%の範囲で存在する、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項68】
熱的に中立の性質である、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項69】
前記接触酸化的改質が、少なくとも1つのその後の水性ガスシフト反応により行われる、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項70】
前記接触酸化的改質及び前記少なくとも1つのその後の水性ガスシフト反応によって生成される水素のCO含量が、生成される水素の体積を基準にして1体積%未満である、請求項69に記載の水素生成方法。
【請求項71】
前記接触酸化的改質及び前記少なくとも1つのその後の水性ガスシフト反応が全て、単一の反応器槽内で行われる、請求項69に記載の水素生成方法。
【請求項72】
前記単一の反応器槽が、酸化的改質触媒、及び前記少なくとも1つのその後の水性ガスシフト反応のための触媒を含有する、請求項69に記載の水素生成方法。
【請求項73】
前記接触酸化的改質が過剰な熱を生成し、前記過剰な熱が、前記電解槽の熱的要件を満たすのに使用される、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項74】
前記電解槽が固体酸化物電解槽を含む、請求項73に記載の水素生成方法。
【請求項75】
前記固体酸化物電解槽が、50%を超える熱効率で操作される、請求項74に記載の水素生成方法。
【請求項76】
前記炭化水素原料の少なくとも一部が、発酵性原料からの発酵産物としてエタノールを生成するエタノール精製機によって供給される、請求項39に記載の水素生成方法。
【請求項77】
前記エタノール精製機によって生成されるCO
2及び前記改質によって生成されるCO
2が、前記エタノール精製機及び前記改質のそれぞれからのCO
2ガスを受け入れるように構成されたCO
2処理又は炭素捕捉システムにおいて処理される、請求項76に記載の水素生成方法。
【請求項78】
水素生成システムであって、
水を受け入れ、それから水素及び酸素を生成するように構成された電解槽と、
水素を生成するための、炭化水素原料、水、及び酸素の接触酸化的改質反応のための、炭化水素原料、水、及び電解槽で生成された酸素を受け入れるように構成された、酸化的改質触媒を含む反応器と
を含む水素生成システム。
【請求項79】
前記反応器に炭化水素原料を供給する関係で接続される炭化水素原料供給源を含む、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項80】
前記炭化水素原料供給源が、メタンからディーゼルの範囲のガス状及び/又は液体炭化水素を含む原料を含有する、請求項79に記載の水素生成システム。
【請求項81】
前記炭化水素原料供給源が、生物学的に生成された炭化水素原料を含有する、請求項79に記載の水素生成システム。
【請求項82】
前記炭化水素原料供給源が、メタン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセロール、エチレングリコール、ディーゼル、又は上記のものの2つ以上のブレンドを含む炭化水素原料を含有する、請求項79に記載の水素生成システム。
【請求項83】
前記炭化水素原料が、生物学的に生成された炭化水素原料を含む、請求項82に記載の水素生成システム。
【請求項84】
前記炭化水素原料供給源がアルコールを含有する、請求項79に記載の水素生成システム。
【請求項85】
前記アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノールである、請求項84に記載の水素生成システム。
【請求項86】
前記炭化水素原料供給源がエタノールを含有する、請求項79に記載の水素生成システム。
【請求項87】
前記炭化水素原料供給源が、バイオメタン、バイオメタノール、又はバイオエタノールを含有する、請求項79に記載の水素生成システム。
【請求項88】
前記炭化水素原料供給源がバイオエタノールを含有する、請求項79に記載の水素生成システム。
【請求項89】
前記バイオエタノールがバイオマス由来のエタノールである、請求項88に記載の水素生成システム。
【請求項90】
前記電解槽がポリマー電解質膜電解槽を含む、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項91】
前記電解槽がアルカリ電解槽を含む、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項92】
前記電解槽が固体酸化物電解槽を含む、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項93】
前記酸化的改質触媒が貴金属触媒を含む、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項94】
前記酸化的改質触媒が混合金属酸化物触媒を含む、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項95】
前記酸化的改質触媒がペロブスカイト触媒を含む、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項96】
前記酸化的改質触媒がヘキサアルミネート触媒を含む、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項97】
前記酸化的改質触媒がパイロクロア触媒を含む、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項98】
前記反応器が、水性ガスシフト反応を実施するように構成される、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項99】
前記反応器が、第1のより高温の水性ガスシフト反応及び第2のより低温の水性ガスシフト反応を含む、連続する水性ガスシフト反応を実施するように構成される、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項100】
前記反応器が、反応(1):
C
2H
5OH+(3-2x)H
2O+xO
2→(6-2x)H
2+2CO
2(1)
を実施するように構成され、ここで、0<x<1.5である、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項101】
前記反応器が、反応(1):
C
2H
5OH+(3-2x)H
2O+xO
2→(6-2x)H
2+2CO
2(1)
を実施するように構成され、ここで、0.10<x<1.1である、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項102】
前記反応器が、反応(1):
C
2H
5OH+(3-2x)H
2O+xO
2→(6-2x)H
2+2CO
2(1)
を実施するように構成され、ここで、0.15<x<0.80である、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項103】
前記反応器が、反応(1):
C
2H
5OH+(3-2x)H
2O+xO
2→(6-2x)H
2+2CO
2(1)
を実施するように構成され、ここで、0.20<x<0.65である、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項104】
前記反応器が、反応(1):
C
2H
5OH+(3-2x)H
2O+xO
2→(6-2x)H
2+2CO
2(1)
を実施するように構成され、ここで、0.30<x<0.50である、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項105】
前記反応器が、反応(1):
C
2H
5OH+(3-2x)H
2O+xO
2→(6-2x)H
2+2CO
2(1)
を実施するように構成され、ここで、xが約0.40であり、又はxが約1.0である、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項106】
前記電解槽が、前記反応器によって受け入れられる酸素及び水の総体積を基準にして5体積%~95体積%の範囲の量で、前記反応器に酸素を供給するように構成される、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項107】
熱的に中立な操作のために構成及び配置される、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項108】
前記反応器が、前記接触酸化的改質反応の後で少なくとも1つの水性ガスシフト反応を実施するように構成及び配置される、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項109】
前記生成される水素が、生成される水素の体積を基準にして1体積%未満のCO含量を有するように、前記反応器が、前記接触酸化的改質反応及び少なくとも1つのその後の水性ガスシフト反応を実施するように構成及び配置される、請求項108に記載の水素生成システム。
【請求項110】
前記反応器が、前記酸化的改質触媒、及び前記少なくとも1つのその後の水性ガスシフト反応のための触媒を含有する、請求項108に記載の水素生成システム。
【請求項111】
前記接触酸化的改質反応が、前記電解槽の熱的要件を供給するために過剰な熱を生成するように構成及び配置される、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項112】
前記電解槽が、固体酸化物電解槽を含む、請求項111に記載の水素生成システム。
【請求項113】
前記固体酸化物電解槽が、50%を超える熱効率で動作するように構成及び配置される、請求項112に記載の水素生成システム。
【請求項114】
発酵性原料からの発酵産物としてエタノールを生成するエタノール精製機を含み、ここで、前記エタノール精製機が、前記炭化水素原料の少なくとも一部を前記反応器に供給するように構成される、請求項78に記載の水素生成システム。
【請求項115】
廃熱が、前記エタノール精製機の発酵及び蒸留装置に輸送される、請求項114に記載の水素生成システム。
【請求項116】
結合された水素生成システムであって、水電解槽、及び前記水電解槽からの酸素を受け入れるように構成された接触酸化的改質反応器を含む、結合された水素生成システム。
【請求項117】
水素生成方法であって、(i)水を電解して、水素及び酸素を生成すること、及び(ii)前記電解からの前記酸素を用いて、酸化的改質反応を行うことを含む水素生成方法。
【請求項118】
水素生成方法であって、
水を電解して、水素及び酸素を生成することと、
前記酸素及び水を用いて、原料燃料を非自己熱接触酸化的に改質して、水素を生成することと
を含み、
前記原料燃料が、含酸素添加剤、炭化水素、及びそれらの混合物からなる群から選択される燃料を含み、
前記原料燃料が、前記原料燃料の総体積を基準にして5体積%~100体積%の範囲のバイオ由来含量を有し、
前記改質は、前記炭化水素原料燃料、酸素、及び水が導入され、前記生成された水素が排出される、単一の断熱反応器中で行われ、前記単一の断熱反応器は、前記反応器を通る流れ中で順次接触される連続した触媒床を含み、前記触媒床は、(i)部分酸化触媒を含む第1の触媒床、(ii)水蒸気改質触媒を含む第2の触媒床、(iii)高温水性ガスシフト触媒を含む第3の触媒床、及び任意に(iv)低温水性ガスシフト触媒を含む第4の触媒床を含む、水素生成方法。
【請求項119】
前記原料燃料の前記バイオ由来含量は、下限端点値が、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は100%であり、上限端点値が、前記下限端点値を超える上記の数値の1つである範囲内である、請求項118に記載の水素生成方法。
【請求項120】
前記原料燃料が、生物学的に生成された炭化水素を含む、請求項118に記載の水素生成方法。
【請求項121】
前記原料燃料が、生物学的に生成された含酸素添加剤を含む、請求項118に記載の水素生成方法。
【請求項122】
前記原料燃料がエタノールを含む、請求項118に記載の水素生成方法。
【請求項123】
前記電解が、ポリマー電解質膜電解槽、アルカリ電解槽、及び固体酸化物電解槽からなる群から選択される電解槽中で行われる、請求項118に記載の水素生成方法。
【請求項124】
前記第1の触媒床における前記部分酸化触媒が、レニウム触媒を含み、前記第2の触媒床における前記水蒸気改質触媒が、助触媒が担持されたニッケル触媒を含み、前記第3の触媒床における前記高温水性ガスシフト触媒が、銅を助触媒とした鉄触媒を含み、前記任意の第4の触媒床における前記低温水性シフトガス触媒が、前記単一の断熱反応器中に存在する場合、銅/亜鉛で被覆されたモノリス触媒を含み、前記任意の第4の触媒床が、前記単一の断熱反応器中に存在しない場合、それは、前記単一の断熱反応器の外部の低温水性ガスシフト反応器中に存在し、前記銅/亜鉛で被覆されたモノリス触媒を含む、請求項118に記載の水素生成方法。
【請求項125】
部分酸化反応が約700℃~約900℃の範囲の温度で、前記第1の触媒床中で行われ、水蒸気改質反応が約400℃~約850℃の範囲の温度で、前記第2の触媒床中で行われ、高温水性ガスシフト反応が約300℃~約450℃の範囲の温度で、前記第3の触媒床中で行われ、低温水性ガスシフト反応は、前記単一の断熱反応器中に存在する場合、前記任意の第4の触媒床中で行われ、或いは、前記任意の第4の触媒床が、前記単一の断熱反応器中に存在せず、前記単一の断熱反応器の外部の低温水性ガスシフト反応器中に存在する場合、約150℃~約350℃の範囲の温度で行われる、請求項118に記載の水素生成方法。
【請求項126】
前記改質が、反応(1):
C
2H
5OH+(3-2x)H
2O+xO
2→(6-2x)H
2+2CO
2(1)
の実行を含み、ここで、0<x<1.5である、請求項118に記載の水素生成方法。
【請求項127】
0.30<x<0.50である、請求項126に記載の水素生成方法。
【請求項128】
前記反応器から排出される前記生成された水素が、少なくとも60mol%の濃度で排出ガス流中にある、請求項118に記載の水素生成方法。
【請求項129】
前記改質が、熱的に中立であり、前記電解が、前記改質によって必要とされる全ての酸素を提供する、請求項118に記載の水素生成方法。
【請求項130】
前記電解が、固体酸化物電解槽中で行われ、ここで、前記改質が、過剰な熱を生成するように行われ、前記改質によって生成される前記過剰な熱が、前記固体酸化物電解槽が50%を超える熱効率で動作するように前記固体酸化物電解槽に移される、請求項118に記載の水素生成方法。
【請求項131】
前記任意の第4の触媒床が、前記単一の断熱反応器中に存在せず、前記単一の断熱反応器の外部の低温水性ガスシフト反応器中に存在する、請求項118に記載の水素生成方法。
【請求項132】
前記原料燃料の少なくとも一部が、発酵性原料からの発酵産物としてエタノールを生成するエタノール精製機によって供給される、請求項118に記載の水素生成方法。
【請求項133】
前記エタノール精製機によって生成されるCO
2及び前記改質によって生成されるCO
2が、前記エタノール精製機及び前記改質のそれぞれからのCO
2ガスを受け入れるように構成されたCO
2処理又は炭素捕捉システムにおいて処理される、請求項132に記載の水素生成方法。
【請求項134】
廃熱が、前記エタノール精製機の発酵及び蒸留装置に輸送される、請求項118に記載の水素生成方法。
【請求項135】
前記エタノール精製機及び前記改質のそれぞれからのCO
2ガスを受け入れるように構成されたCO
2処理又は炭素捕捉システムにおいてCO
2ガスを処理することをさらに含む、請求項118に記載の水素生成方法。
【請求項136】
水素生成システムであって、
水を受け入れ、前記水から水素及び酸素を生成するように構成された電解槽と、
前記電解槽からの酸素、原料燃料供給源からの原料燃料、及び水供給源からの水を受け入れるように構成された単一の断熱反応器を含む非自己熱酸化的改質システムと
を含み、前記反応器は、前記反応器を通る流れ中で順次接触される連続した触媒床を含み、前記触媒床は、(i)部分酸化触媒を含む第1の触媒床、(ii)水蒸気改質触媒を含む第2の触媒床、(iii)高温水性ガスシフト触媒を含む第3の触媒床、及び任意に(iv)低温水性ガスシフト触媒を含む第4の触媒床を含み、それにより、前記電解槽からの前記酸素及び水とともに前記原料燃料供給源からの原料燃料が、前記反応器中で接触酸化的に改質されて水素を生成し、前記反応器は、前記生成された水素を排出するように構成され、
前記原料燃料供給源が、含酸素添加剤、炭化水素、及びそれらの混合物からなる群から選択される燃料を含む原料燃料を供給するように構成され、前記原料燃料が、前記原料燃料の総体積を基準にして5体積%~100体積%の範囲のバイオ由来含量を有する、水素生成システム。
【請求項137】
前記原料燃料供給源が、供給槽、流れ回路、又は前記原料燃料を含む貯蔵器を含む、請求項136に記載の水素生成システム。
【請求項138】
前記電解槽及び前記非自己熱酸化的改質システムが、2.5km、2.4km、2.3km、2.2km、2.1km、2.0km、1.9km、1.8km、1.7km、1.6km、1.5km、1.4km、1.3km、1.2km、1.1km、1.0km、0.9km、0.8km、0.7km、0.6km、0.5km、0.4km、0.3km、0.2km、0.1km、0.05km、及び0.025kmのうちの少なくとも1つ未満のそれらの間の分離距離で、据置型の地理上の場所の設備において共同で設置される、請求項136に記載の水素生成システム。
【請求項139】
前記システムが、100~2000kgの水素/日の範囲の速度で水素を生成するように構成される、水素生成サイトへの輸送及び水素生成サイトにおける設置のために、スキッドに又は工業用のコンテナ中に取り付けられるモジュール形式の、請求項136に記載の水素生成システム。
【請求項140】
前記原料燃料供給源における前記原料燃料が、下限端点値が、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は100%であり、上限端点値が、前記下限端点値を超える上記の数値の1つである範囲内のバイオ由来含量を有する、請求項136に記載の水素生成システム。
【請求項141】
前記任意の第4の触媒床が、前記単一の断熱反応器中に存在せず、前記システムにおける前記単一の断熱反応器の外部の低温水性ガスシフト反応器中に存在する、請求項136に記載の水素生成システム。
【請求項142】
前記原料燃料供給源における前記原料燃料が、生物学的に生成された炭化水素又は生物学的に生成された含酸素添加剤を含む、請求項136に記載の水素生成システム。
【請求項143】
前記原料燃料供給源における前記原料燃料が、エタノールを含む、請求項136に記載の水素生成システム。
【請求項144】
前記電解槽が、ポリマー電解質膜電解槽、アルカリ電解槽、及び固体酸化物電解槽からなる群から選択される電解槽を含む、請求項136に記載の水素生成システム。
【請求項145】
前記第1の触媒床における前記部分酸化触媒が、レニウム触媒を含み、前記第2の触媒床における前記水蒸気改質触媒が、助触媒が担持されたニッケル触媒を含み、前記第3の触媒床における前記高温水性ガスシフト触媒が、銅を助触媒とした鉄触媒を含み、存在する場合、前記任意の第4の触媒床における前記低温水性シフトガス触媒が、銅/亜鉛で被覆されたモノリス触媒を含み、前記任意の第4の触媒床が、前記単一の断熱反応器中に存在しない場合、それは、前記単一の断熱反応器の外部の低温水性ガスシフト反応器中に存在し、前記銅/亜鉛で被覆されたモノリス触媒を含む、請求項136に記載の水素生成システム。
【請求項146】
前記反応器における温度を制御するように構成されたプロセス制御器をさらに含み、それにより、部分酸化反応が約700℃~約900℃の範囲の温度で、前記第1の触媒床中で行われ、水蒸気改質反応が約450℃~約850℃の範囲の温度で、前記第2の触媒床中で行われ、高温水性ガスシフト反応が約300℃~約450℃の範囲の温度で、前記第3の触媒床中で行われ、低温水性ガスシフト反応は、前記単一の断熱反応器中に存在する場合、前記任意の第4の触媒床中で行われ、或いは、前記任意の第4の触媒床が、前記単一の断熱反応器中に存在せず、前記単一の断熱反応器の外部の低温水性ガスシフト反応器中に存在する場合、約150℃~約350℃の範囲の温度で行われる、請求項136に記載の水素生成システム。
【請求項147】
前記反応器が、それを通るガスの下降流のために構成された、垂直に細長い形態のものであり、前記連続した触媒床における最上部位置における前記第1の触媒床が、前記第2の触媒床の上を覆い、前記第2の触媒床が今度は前記第3の触媒床の上を覆い、前記第3の触媒床が今度は、存在する場合、前記任意の第4の触媒床の上を覆い、前記任意の第4の触媒床は、存在する場合、前記連続した触媒床における最下部位置にある、請求項136に記載の水素生成システム。
【請求項148】
前記反応器における前記連続した触媒床が、物理的な分離要素又は構造によって互いに隔てられる、請求項136に記載の水素生成システム。
【請求項149】
前記原料燃料供給源における前記原料燃料が、エタノールを含み、前記水素生成システムが、前記電解槽及び非自己熱酸化的改質システムの操作を調整するように構成されたプロセス制御器をさらに含み、それにより、前記非自己熱酸化的改質システムが、反応
C
2H
5OH+(3-2x)H
2O+xO
2→(6-2x)H
2+2CO
2
を実施し、ここで、0<x<1.5である、請求項136に記載の水素生成システム。
【請求項150】
前記プロセス制御器が、前記電解槽及び非自己熱酸化的改質システムの操作を調整するように構成され、それにより、前記非自己熱酸化的改質システムが、前記反応を実施し、ここで、0.30<x<0.50である、請求項149に記載の水素生成システム。
【請求項151】
前記電解槽が、固体酸化物電解槽であり、前記水素生成システムが、前記電解槽及び非自己熱酸化的改質システムの操作を調整するように構成されたプロセス制御器をさらに含み、それにより、前記非自己熱酸化的改質システムは、前記固体酸化物電解槽が50%を超える熱効率で動作するように、前記固体酸化物電解槽への伝達のための過剰な熱を生成する、請求項136に記載の水素生成システム。
【請求項152】
発酵性原料からの発酵産物としてエタノールを生成するエタノール精製機を含み、前記エタノール精製機が、前記非自己熱酸化的改質システムのための前記原料燃料の少なくとも一部を供給するように構成される、請求項136に記載の水素生成システム。
【請求項153】
前記電解槽及び前記非自己熱酸化的改質システムが、前記エタノール精製機の発酵及び蒸留装置に廃熱を輸送するように構成される、請求項152に記載の水素生成システム。
【請求項154】
前記エタノール精製機及び前記非自己熱酸化的改質システムのそれぞれからのCO
2ガスを受け入れるように構成されたCO
2処理又は炭素捕捉システムをさらに含む、請求項152に記載の水素生成システム。
【請求項155】
前記エタノール精製機及び前記非自己熱酸化的改質システムのそれぞれからのCO
2ガスを受け入れるように構成されたCO
2処理又は炭素捕捉システムをさらに含む、請求項153に記載の水素生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、米国特許法第120条の下で、OXIDATIVE REFORMING AND ELECTROLYSIS SYSTEM AND PROCESS FOR HYDROGEN GENERATIONについてJeffrey Baker Harrison、Timothy Griffith Fogarty、Devendra Pakhare、Timothy David Appleberry、及びJoshua Aaron Gubitzの名義で2022年4月23日に出願された米国特許出願第17/727,720号の優先権を主張し、本出願及び米国特許出願第17/727,720号はそれぞれ、米国特許法第119条の下で、OXIDATIVE REFORMING AND ELECTROLYSIS SYSTEM AND PROCESS FOR HYDROGEN GENERATIONについてJeffrey Baker Harrison、Timothy Griffith Fogarty、Devendra Pakhare、Timothy David Appleberry、及びJoshua Aaron Gubitzの名義で2021年11月11日に出願された米国仮特許出願第63/278,164号の利益を主張するものである。米国仮特許出願第63/278,164号及び米国特許出願第17/727,720号のそれぞれは、あらゆる目的のために、全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示の分野
[0002] 本開示は、水素の生成、より具体的には、効率的でコスト効果の高い方法で水素を生成する統合された酸化的改質及び電解システム及び方法に関する。本開示のシステム及び方法は、様々な原料を用いることができ、再生可能エネルギー及び再生可能な原料材料を用いる用途において特に有利である。統合された酸化的改質及び電解システム及び方法はまた、様々な特定の実装例及び実施形態において、(i)エタノール精製機及び/又は(ii)CO2処理又は炭素捕捉プラントとさらに統合され得る。
【背景技術】
【0003】
背景及び関連技術の説明
[0003] 約7500万メートルトン/年の純粋な水素が、世界的に生産されている。この水素は、アンモニア、メタノール、及び他の化学製品の石油精製、鉄鋼生産、食品加工、及び工業生産において利用される。
【0004】
[0004] 近年、ますます多くの労力及び資源が、効率的で、コスト効果が高く、再生可能な、水素の生成の実現に向けられており、それによって、エネルギー供給源としての水素の受け入れ及び使用が加速している。水素は、唯一の副生成物が水である、非常に効率的で環境的に有利な方法で電力を生成するために燃料電池において使用するのに魅力的である。水素が、燃料電池を用いる移動型及び小規模ないし中規模の据置型用途のための電力を生成するためのエネルギー担体としてますます使用されるようになると予想される。この開発は、相応して、車両及び輸送電力システムのためのクリーン燃料として水素を用いるための技術の開発を促す。
【0005】
[0005] 現行の水素生成に関連する根本的問題は、水素の大部分が、現在、水蒸気メタン改質(「SMR」)によって生成されることに関連する。SMRは、改質反応の相応に高い吸熱性のため、高度にエネルギー集約的なプロセスであり、かなりの量の温室効果ガスを環境中に放出するため、SMRの水素生成物は、グレー水素と呼ばれる。このような欠点の結果として、ますます多くの注目及び投資が、グリーン水素、すなわち、再生可能エネルギー供給源を用いて生成される水素の開発に向けられている。米国において、かなりの労力が、2030年までにH2のキログラム当たり1米ドルのコストでグリーン水素生成を実現することにつぎ込まれている。
【0006】
[0006] メタン以外の炭化水素の水蒸気改質が行われ得るが、関連する反応化学は、特殊な設備、冶金、及び触媒、並びにかなりの加熱を必要とする。結果として、高い資本及び運転コストにより、このような水蒸気改質プロセスは、小規模の水素生成では不経済である。
【0007】
[0007] 水の電解は、水素生成のためのプロセスであるが、水の加水分解が、水を分解して水素及び酸素を得るためにかなりの電力を必要とするため、その高いコスト及び高いエネルギー必要量の結果として、世界の専用の水素生成の0.1%未満が、水電解から得られる。工業用の電解槽の熱効率は、60%~70%の範囲であるが、送電線損失及び他の電力変換損失を考慮した場合、水電解の総合エネルギー効率は、わずか約25~40%の範囲である。現行の電解システムのエネルギー必要量は、生成される水素のキログラム当たり53.4~70.1kWhの範囲であり、したがって、エネルギー集約的な水電解プロセスの電力のコストは、このようなシステムによって生成される水素の高い生産コストの大きな要因である。これは、再生不能電力又は再生可能電力のいずれが用いられるかにかかわらず当てはまる。
【0008】
[0008] 上記の課題に直面して、当該技術分野では、経済的で、効率的で、環境に優しい方法で水素を生成するための新たな手法が求められ続けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
概要
[0009] 本開示は、水素生成のためのシステム及び方法に関する。
【0010】
[0010] 一態様において、本開示は、水を電解して、水素及び酸素を生成することと、このような酸素を用いて炭化水素原料を接触酸化的に改質して、さらなる水素を生成することとを含む水素生成方法に関する。
【0011】
[0011] 別の態様において、本開示は、水素生成システムであって、水を受け入れ、それから水素及び酸素を生成するように構成された電解槽と、水素を生成するための、炭化水素原料、水、及び酸素の接触酸化的改質反応のための、炭化水素原料、水、及び電解槽で生成された酸素を受け入れるように構成された、酸化的改質触媒を含む反応器とを含む水素生成システムに関する。
【0012】
[0012] 本開示は、さらなる態様において、水電解槽と、水電解槽からの酸素を受け入れるように構成された接触酸化的改質反応器とを含む結合された水素生成システムに関する。
【0013】
[0013] 本開示の別の態様は、水素生成方法であって、(i)水を電解して、水素及び酸素を生成することと、(ii)電解からの酸素を用いて、酸化的改質反応を行うこととを含む水素生成方法に関する。
【0014】
[0014] 別の態様において、本開示は、水素生成方法であって、水を電解して水素及び酸素を生成することと、前記酸素及び水を用いて、原料燃料を非自己熱接触酸化的に改質して、水素を生成することとを含み、原料燃料が、含酸素添加剤、炭化水素、及びそれらの混合物からなる群から選択される燃料を含み、原料燃料が、原料燃料の総体積を基準にして5体積%~100体積%の範囲のバイオ由来含量を有し、改質は、炭化水素原料燃料、酸素、及び水が導入され、生成された水素が排出される、単一の断熱反応器中で行われ、単一の断熱反応器は、反応器を通る流れ中で順次接触される連続した触媒床を含み、触媒床は、(i)部分酸化触媒を含む第1の触媒床、(ii)水蒸気改質触媒を含む第2の触媒床、(iii)高温水性ガスシフト触媒を含む第3の触媒床、及び任意に(iv)低温水性ガスシフト触媒を含む第4の触媒床を含む、水素生成方法に関する。
【0015】
[0015] このような水素生成方法は、任意の第4の触媒床が、単一の断熱反応器中に存在せず、単一の断熱反応器の外部の低温水性ガスシフト反応器中に存在する、別の態様において行われ得る。
【0016】
[0016] 本開示のさらなる態様は、水素生成システムであって、水を受け入れ、水から水素及び酸素を生成するように配置された電解槽と、電解槽からの酸素、原料燃料供給源からの原料燃料、及び水供給源からの水を受け入れるように構成された単一の断熱反応器を含む非自己熱酸化的改質システムとを含み、反応器は、反応器を通る流れ中で順次接触される連続した触媒床を含み、触媒床は、(i)部分酸化触媒を含む第1の触媒床、(ii)水蒸気改質触媒を含む第2の触媒床、(iii)高温水性ガスシフト触媒を含む第3の触媒床、及び(iv)低温水性ガスシフト触媒を含む第4の触媒床を含み、それにより、電解槽からの酸素及び水とともに原料燃料供給源からの原料燃料が、反応器中で接触酸化的に改質されて水素を生成し、反応器が、生成された水素を排出するように構成され、原料燃料供給源が、含酸素添加剤、炭化水素、及びそれらの混合物からなる群から選択される燃料を含む原料燃料を供給するように構成され、原料燃料が、原料燃料の総体積を基準にして5体積%~100体積%の範囲のバイオ由来含量を有する、水素生成システムに関する。
【0017】
[0017] 別の態様におけるこのような水素生成システムは、任意の第4の触媒床が、単一の断熱反応器中に存在せず、水素生成システムにおける単一の断熱反応器の外部の低温水性ガスシフト反応器中に存在する配置で構成され得る。
【0018】
[0018] 別の態様における本開示は、熱的に統合された水素生成システムであって、(A)水を受け入れ、それから水素ガス及び酸素ガスを生成するように構成された電解槽と、(B)電解槽からの酸素ガスを受け入れるように構成された酸素貯蔵槽と、(C)酸素貯蔵槽からの酸素ガス、原料燃料を含有する原料燃料供給源からの原料燃料、及び水供給源からの水を受け入れるように構成された単一の断熱反応器を含む非自己熱酸化的改質システムであって、単一の断熱反応器は、単一の断熱反応器を通る流れ中で順次接触される連続した触媒床を含み、触媒床は、(i)部分酸化触媒を含む第1の触媒床、(ii)水蒸気改質触媒を含む第2の触媒床、及び(iii)高温水性ガスシフト触媒を含む第3の触媒床を含み、それにより、酸素貯蔵槽からの酸素及び水供給源からの水とともに原料燃料供給源からの原料燃料が、単一の断熱反応器中で接触酸化的に改質されて、主に水素である酸化的に改質されたガスを生成し、単一の断熱反応器が、生成された酸化的に改質されたガスを排出するように構成されている、非自己熱酸化的改質システムと、(D)単一の断熱反応器からの生成された酸化的に改質されたガスを受け入れ、それから熱を除去して、低下された温度の酸化的に改質されたガスを生成するように構成された第1の熱交換器と、(E)第1の熱交換器からの低下された温度の酸化的に改質されたガスを受け入れ、低下された温度の酸化的に改質されたガス中の一酸化炭素の少なくとも一部を二酸化炭素に転化して、減少された一酸化炭素含量の低温水性ガスシフト反応ガスを生成するように構成された低温水性ガスシフト反応器であって、低温水性ガスシフト触媒を含む第4の触媒床を含む、低温水性ガスシフト反応器と、(F)低温水性ガスシフト反応器から減少された一酸化炭素含量の低温水性ガスシフト反応ガスを受け入れ、分離された水素ガス、及び二酸化炭素含有排ガスを生成するように構成された水素ガス清浄器と、(G)電解槽からの水素ガス及び水素ガス清浄器からの分離された水素ガスを受け入れるように構成された水素ガス貯蔵器と、(H)水素ガス清浄器によって生成される二酸化炭素含有排ガスを燃焼させて、煙道ガスを得るように構成されたバーナーと、(I)単一の断熱反応器への導入の前の、酸素貯蔵槽からの酸素ガス、原料燃料供給源からの原料燃料、及び水供給源からの水の加熱のためのバーナーからの煙道ガスを受け入れるように構成された第2の熱交換器と、(J)熱的に統合された水素生成システムにおける電解槽及び非自己熱酸化的改質システムの操作を調整し、単一の断熱反応器における温度を制御するために電解槽及び非自己熱酸化的改質システムのそれぞれのスループットを調整するように構成及び配置されたプロセス制御器とを含み、原料燃料供給源に含まれる原料燃料が、含酸素添加剤、炭化水素、及びそれらの混合物からなる群から選択される燃料を含み、原料燃料が、原料燃料の総体積を基準にして5体積%~100体積%の範囲のバイオ由来含量を有する、熱的に統合された水素生成システムに関する。
【0019】
[0019] 本開示のさらなる態様は、直前に記載される熱的に統合された水素生成システムを操作して、水素生成方法を実施することを含む水素生成方法であって、水を電解して、それから水素ガス及び酸素ガスを生成すること;及び前記酸素ガス及び水供給源からの水とともに原料燃料を非自己熱接触酸化的に改質して、水素を生成することを含む水素生成方法に関する。
【0020】
[0020] 本開示の他の態様、特徴及び実施形態は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより十分に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面の簡単な説明
【
図1】[0021]酸化的改質方法システムを低温電解システムと統合する、本開示の一実施形態に係る水素生成システムの概略流れ図である。
【
図2】[0022]酸化的改質方法システムを高温電解システムと統合する、本開示の別の実施形態に係る水素生成システムの概略流れ図である。
【
図3】[0023]本開示の一実施形態における、本開示の水素生成システム及び方法のために有用なタイプのセグメント化断熱反応器の概略図である。
【
図4】[0024]圧力低下を最小限に抑え、及び/又は本開示の別の実施形態に係るセグメント化断熱反応器における1つの触媒床から次の触媒床への伝熱を促進するための例示的な配置を示す反応器内部の概略図である。
【
図5】[0025]本開示の別の実施形態に係る、エタノール精製機及びCO
2処理又は炭素捕捉システムとさらに統合される、統合された酸化的改質及び電解プラントを含む水素生成システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
[0026] 本開示は、コスト効果が高く、効率的で、環境的に有利な方法で水素を生成するためのシステム及び方法に関する。
【0023】
[0027] 本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される際、単数形「a」、「and」、及び「the」は、文脈上特に明記されない限り、複数の指示対象を含む。
【0024】
[0028] 本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される際、数値に関連する「約」という用語は、数値に関連して±10%変動し得る対応する値の範囲を意味する。
【0025】
[0029] 本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される際、原料燃料に関連する「生物学的に生成された」及び「バイオ由来」という用語は、化石燃料炭化水素原料及び化石燃料炭化水素原料成分を除外する。
【0026】
[0030] 本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される際、「高純度酸素」という用語は、少なくとも98mol%の酸素(O2)を含有するガスを指し、「高純度水素」という用語は、少なくとも98mol%の水素を含有するガスを指す。
【0027】
[0031] 本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される際、ガスの成分に関連する「主に」という用語は、このような成分が、ガスの50mol%超を占めることを意味する。
【0028】
[0032] 本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される際、「含酸素添加剤」という用語は、化学構造の一部として酸素を含有する化学化合物を意味し、これは、非自己熱酸化的に改質されて、水素を生成し得る。含酸素添加剤の非限定的な例としては、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、及びtert-ブタノール、及びエーテル、例えば、メチルtert-ブチルエーテル、tert-アミルメチルエーテル、tert-ヘキシルメチルエーテル、エチルtert-ブチルエーテル、tert-アミルエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、グリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、アルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、並びに酸、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸、及びクエン酸が挙げられる。
【0029】
[0033] 本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される際、「自己熱改質」という用語は、酸化触媒と接触する前に、バーナーを用いて、酸化剤の存在下で原料燃料の部分燃焼とともに行われる転化プロセスを意味し、「非自己熱酸化的改質」という用語は、このような燃焼なしで行われる酸化的改質を意味し、転化プロセスは、完全触媒性である。
【0030】
[0034] 本開示は、その特徴、態様及び実施形態に関して本明細書に様々に記載されるように、特定の実装例において、このような特徴、態様及び実施形態、並びに統合されて、本開示の様々なさらなる実装例を構成し得るその要素及び構成要素のいくつか又は全てを含む、それからなる、又はそれから本質的になるように構成され得る。本開示は、本明細書における様々な実施形態において、本開示の様々な特徴及び態様に関連して記載される。本開示は、様々な置き換え及び組合せにおけるこのような特徴、態様及び実施形態を、本発明の範囲内であるものとして想定している。したがって、本開示は、これらの特定の特徴、態様及び実施形態、又はその選択された1つ以上のこのような組合せ及び置き換えのいずれかを含む、それからなる又はそれから本質的になるものと規定され得る。
【0031】
[0035] 本開示は、水素生成の先行する従来の手法に存在するような、本明細書における背景及び関連技術の説明の節に記載される様々な問題を回避し、及び/又は克服する水素生成システム及び方法を提供する。本開示の水素生成システム及び方法は、水電解を非自己熱酸化的改質と統合し、水電解反応の副生成物として生成される酸素が、非自己熱酸化的改質(「OR」)反応において有利に使用される。
【0032】
[0036] 本開示の統合された電解及び酸化的改質システムにおいて行われる酸化的改質は、非自己熱酸化的改質であり、このような非自己熱酸化的改質は、反応剤の予熱以外の外部熱が転化プロセスを持続させるのに必要とされないように、断熱反応器システムにおいて有利に行われる。
【0033】
[0037] 本開示の基本的目的は、含酸素添加剤及び/又は含酸素添加剤及び炭化水素の混合物を転化して、主に水素を生成するための、電解システムと非自己熱酸化的改質システムとの統合された組合せである。この統合されたシステムにおいて、主要な酸素供給源は、電解システムであるが、統合されたシステムの酸素必要量は、限定はされないが、極低温空気分離プラント、吸着剤ベースの空気分離システム、例えば、圧力スイング吸着(PSA)プラント、温度スイング吸着(TSA)プラント、圧力スイング吸着/温度スイング吸着(PSA/TSA)プラント、高純度酸素パイプライン、タンク、チューブトレーラー、及び他のシステム、設備、並びに統合された電解及び非自己熱酸化的改質システムにおいて使用するために高純度酸素を送達するのに有効な貯蔵器を含む、さらなる高純度酸素供給源及び供給元によって補充され得る。
【0034】
[0038] 本開示の水素生成システム及び方法における非自己熱酸化的改質は、任意の好適な1つ又は複数のタイプの原料燃料を用いて行われ得、ここで、原料燃料のバイオ由来含量が、原料燃料の総体積を基準にして5体積%~100体積%の範囲である。
【0035】
[0039] 本開示の統合された電解及び酸化的改質システムにおいて用いられる原料燃料は、バイオ由来、含酸素添加剤、埋め立て地ガス、炭化水素、及び上記のものの組合せであり得る。化石燃料炭化水素は、バイオ由来燃料と組み合わせて使用され得るが、原料燃料のバイオ由来含量が、原料燃料の総体積を基準にして5体積%~100体積%の範囲であることは、本開示の水素生成技術の顕著な特徴である。
【0036】
[0040] 様々な実施形態において、原料燃料のバイオ由来含量は、下限端点値が、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は100%であり、上限端点値が、下限端点値を超える上記の数値の1つである範囲内であり得る。
【0037】
[0041] 原料燃料は、例えば、メタンからディーゼルの範囲のガス状及び/又は液体炭化水素、特に、生物学的に生成され得るものを含み得るが、本開示は、それに限定されず、上記のバイオ由来含量制限を受けない。この文脈で使用される際、ディーゼルは、主に、パラフィン、芳香族化合物及びナフテンから構成される炭化水素組成物を指し、約12~20個の炭素原子を有する炭化水素を含有し、この組成物は、約170℃~約360℃の沸点範囲を有する。ディーゼル組成物が用いられる場合、ディーゼル組成物は、バイオディーゼルを含んでいてもよく、又はその代わりに若しくはそれに加えて、石油由来ディーゼルを含み得る。多種多様なタイプの、単一成分炭化水素組成物並びに多成分炭化水素組成物を含む他の炭化水素組成物が、用いられ得る。
【0038】
[0042] 本開示の統合された水素生成システム及び方法の酸化的改質操作の様々な実施形態において、非自己熱OR原料燃料は、生物由来及び化石燃料由来原料、例えば、メタン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセロール、エチレングリコール、ディーゼル、又は上記のものの2つ以上のブレンドを含み得るが、本開示は、それに限定されない。無機化合物及び材料が、非自己熱OR操作の様々な実装例において、例えばホスフェート及び硫黄化合物などの原料中に存在し得ることが認識されるであろう。非自己熱OR原料は、好ましくは、主に、生物由来原料、例えば、バイオメタン、バイオメタノールなどによって構成される。任意の好適なバイオ燃料が、非自己熱OR原料において用いられ得る。
【0039】
[0043] 本開示の統合された水素生成システム及び方法における非自己熱酸化的改質操作の様々な好ましい実施形態において、非自己熱OR原料は、アルコールによって構成されるか、又はアルコールを含む。アルコールの中でも、エタノールが特に有利であり、温室効果ガス排出に寄与せずに、トウモロコシ、サトウダイコン、又は他のバイオマスから生成される再生可能なエタノールであり得る。エタノールは、広く生成され、ガソリンへの添加剤として供給されるため、豊富に入手可能である。路上のガソリン車の予想される将来の減少により、エタノール生成が他の用途にますます割り当てられるようになり、これは、本開示の水素生成システム及び方法の実装例及び使用に有利な状況である。
【0040】
[0044] 本開示のシステム及び方法において行われる統合された非自己熱酸化的改質及び水電解操作は、例えば、副生成物として水のみを伴う、非常に効率的に及び清浄に電力を生成する燃料電池において用いられ得る低コストのグリーン水素の生成を可能にする。
【0041】
[0045] 本開示の統合された非自己熱酸化的改質及び水電解操作が、本明細書において以後、非自己熱OR原料としてエタノール(C2H5OH)に関連して例示的に記載される一方、本開示が、それに限定されないこと、及び本開示の統合された非自己熱酸素改質及び水電解システム及び方法の対応する実装例が、上記に例として開示されるもの、並びに本開示の特定の実施形態、実装例、及び用途における多種多様な他の炭化水素及びヒドロカルビル原料を含むその他を含む、任意の他の好適な非自己熱OR原料を用いて行われ得ることが理解されるであろう。
【0042】
[0046] 本開示の統合された非自己熱酸化的改質及び水電解操作において、非自己熱酸化的改質は、例えば、約600℃~約1000℃の範囲、又は他の好適な温度範囲内であり得る温度で、好適な触媒の存在下で行われ得る。この操作において、C2H5OHが、非自己熱改質装置又は反応器中に導入され、ここで、液体が、より短い鎖の炭素質種へと熱化学的に還元される。これらの炭素質化合物は、触媒の存在下で水蒸気と反応して、H2と他の化合物、例えば一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、アセトアルデヒド(C2H4O)、エタン(C2H5)、エチレン(C2H4)、及びアセトン(CH3COCH3)との混合物を生成する。
【0043】
[0047] 非自己熱ORプロセスにおいて使用される触媒は、任意の好適なタイプのものであってもよく、例えば、貴金属触媒、混合金属酸化物触媒、ペロブスカイト触媒、ヘキサアルミネート触媒、パイロクロア触媒、又は任意の他の有用な酸化的改質触媒を含み得る。本開示のシステム及び方法の特定の用途において有用な非自己熱OR触媒としては、様々な実施形態において、アルミニウム、ジルコニウム、ニッケル、マグネシウム、ガドリニウム、イットリウム、コバルト、セリウム、ルテニウム、貴金属などの金属を含む触媒が挙げられる。様々な実施形態において、米国特許第10,688,472号に記載される混合金属酸化物触媒などの触媒が、用いられ得る。様々な他の特定の実施形態において、触媒は、アルミナなどの担体に担持された、ルテニウム触媒又はニッケル触媒であり得る。さらに他の特定の実施形態において、触媒は、白金触媒又はパラジウム触媒であり得る。他の特定の実施形態は、Pt、Ni、W、Ru、Au、Pd、Mo、Cu、Sn、Rh、及びVから選択される1つ以上の金属を含む非自己熱酸化的改質触媒を用い得る。様々なさらなる特定の実施形態における非自己熱酸化的改質触媒は、Pd、Pt、Cu、Mn、及びRhから選択される1つ以上の金属を含み得る。非自己熱酸化的改質を行うためのさらなる実施形態は、周期表の第VIII族から選択される金属を含む酸化的改質触媒を用い得る。
【0044】
[0048] 改質プロセスは、常に、一酸化炭素(CO)を生成し、水性ガスシフト(「WGS」)反応は、改質プロセスにおける重要な工程である。WGS反応中、COは、水蒸気との反応によって、CO2及びH2に転化される。
【0045】
[0049] 本開示の非自己熱酸化的改質操作において、水蒸気及び酸素が、酸化剤として一緒に供給されて、炭化水素原料をH2リッチな生成物流へと改質し、これは、例えば燃料電池又は他のH2動力装置において使用され得る。非自己熱酸化水蒸気改質(OSR)は、部分酸化及び水蒸気改質の組合せであり、酸素及び水蒸気は、非自己熱改質装置槽に供給されて、炭化水素(例えば、エタノール)の発熱性部分酸化から生成された熱を用いて、吸熱性水蒸気改質反応を促進する。OSR反応における水電解反応から生成された酸素を用いることによって、OSRのための酸素を生成するために空気分離プラントが必要となるのを避けることができ、これは、空気分離プラントが、極低温か又は吸着によるかにかかわらず、性質が高度に資本集約的であるため、多くの実装例において有利である。それにもかかわらず、本開示の統合された非自己熱酸化的改質及び電解システムの様々な実施形態において、空気分離プラント、又は酸素の他の供給源若しくは供給元が、非自己熱酸化的改質プロセスの酸素の必要性を補完し、及び/又は緩和するために用いられ得る。
【0046】
[0050] エタノール又は他の好適な原料の直接の非自己熱酸化的改質は、水蒸気及び酸素を、酸化的改質触媒を含む改質装置槽に同時供給し(co-feeding)、エタノールを非自己熱改質装置槽に同時に導入することによって行われ得る。非自己熱改質装置槽中で、反応(1)は、以下のように行われる:
C2H5OH+(3-2x)H2O+xO2→(6-2x)H2+2CO2 ΔH25℃≒0kcal/モル、x≒0.40である場合(1)。
本開示の様々な実施形態において、原料がエタノールであり、非自己熱酸化的改質操作が行われ、ここで、0<x<1.5である。様々な実施形態において、0.10≦x≦1.1;0.3≦x≦0.9;0.3≦x≦0.5;0.75≦x≦0.85であり;又はxが、付随する水素ガス生成システムにおける非自己熱改質装置槽操作に適切な他の範囲内であり得る。様々な特定の実施形態において、xが、例えば、約0.4、0.5、0.65、0.80、1.0、又は非自己熱酸化的改質操作を行うのに適切な他の好適な値であり得る。
【0047】
[0051] これに関して、非自己熱酸化的改質反応の化学量論が、特定の原料及び原料ブレンドによって変化することになることが認識されるであろう。原料が、存在するエタノール又はエタノール以外の炭化水素によって、又はエタノールが炭化水素多成分原料中に存在する場合に変化され得る一般的な状況において、炭化水素原料と酸素及び水蒸気との非自己熱酸化的改質反応を行うことが好ましく、ここで、酸素が、非自己熱酸化的改質反応における酸素及び水蒸気の総体積を基準にして5体積%~95体積%の範囲で存在する。
【0048】
[0052] 本開示に係る水素生成操作は、水電解反応器が非自己熱酸化的改質反応器と結合された、結合された反応器システム中で行われてもよく、電解反応器からの副生成物酸素が、最適な水素生成を達成するために非自己熱酸化的改質反応器中で用いられる。結合された反応器は、原料及び電力コストの変動性を利用して、可能な最も低コストの水素を得て、それによって、低い再生可能な電気料金への依存を緩和するために、電解反応器及び非自己熱酸化的改質反応器のスループットの調整を可能にするために、柔軟な操作のために有利に設計され得る。
【0049】
[0053] 本開示の利点及び特徴は、以下の例を参照してさらに例示され、これは、本開示の範囲を限定するものと決して解釈されるべきではなく、特定の用途におけるその一実施形態の例示として解釈されるべきである。
【0050】
[0054] 上記の反応(1)を再度考慮すると、x=0.40である結合された反応器システムの操作において、外部の熱源が反応を促すのに必要とされず、それは、相応して熱的に中立である。したがって、除去され、雰囲気中又は他の熱除去システム若しくはサブシステム中に排出されなければならない外部熱が生成されない。その結果、エタノールが、加熱のために消費されず、それによって、より多くのエタノール原料が水素への転化に利用可能になる。
【0051】
[0055] x>0.40の値で、非自己熱酸化的改質は、発熱性になり、さらなる熱の生成が、他のプロセス又は最終用途施設への輸送のために潜在的に利用可能である。0.40を超えるxの値が、水素生成を減少させる一方、非自己熱酸化反応器が、熱を必要とする他のプロセスと統合される場合、組合せは、より高い総合熱効率及びより低い資本及び運転コストが実現されるのを可能にする。
【0052】
[0056] 本開示の水素生成システム及び方法における非自己熱酸化的改質操作との水電解槽の統合は、電気が、水を、水素及び酸素の別個のそれぞれの流れに分割するのに有効に用いられるのを可能にする。電解反応は、吸熱性であり、水分子を分割するために電力の入力を必要とし、これは、以下の反応(2)によって起こる:
2H2O→2H2+O2 ΔH25℃≒67kcal/mol(2)
【0053】
[0057] 本開示の水素生成システム及び方法において用いられる電解槽は、水分子を、水素及び酸素の別個の流れに分割するのに適切な任意の好適なタイプのものであり得る。このような電解槽は、小型の分散型の水素生成によく適した小さい器具サイズの機器から、再生可能又は他の形態の低コスト電力生産に直接連結され得る大型の集中型生産設備に及び得る。低温アルカリ電解槽又はポリマー電解質膜(PEM)電解槽が、水素生成システムの様々な実施形態において用いられ得る。水素生成システムの他の実施形態において、電力消費に関して高い効率を示す高温固体酸化物電解槽が用いられ得る。
【0054】
[0058] ここで、本開示の実施において有用な電解槽は、様々なタイプのものであってもよく、例えば、Plug Power Inc.(Latham,New York)から市販されているものなどのポリマー電解質膜(PEM)電解槽;Nel ASA(Oslo,Norway)から市販されているものなどのアルカリ電解槽;及びElcogen AS(Tallinn,Estonia)から市販されているものなどの固体酸化物電解槽が挙げられ得る。
【0055】
[0059] 本開示の統合された電解及び酸化的改質システムは、据置型の地理上の場所の設備として、すなわち、非移動型のシステムとして構成され得、それによって、対応する移動型の、例えば、車両の実装例に関連する欠点及び不都合を回避する。このような据置型の設備において、統合における電解システム及び酸化的改質システムは、有利には、同じ地理上の場所において互いに共同で設置されるため、資本設備支出が最小限に抑えられ、規模の経済性が達成されるのを可能にする。電解システム及び酸化的改質システムの共同設置された統合が、大部分の実装例において好ましいが、電解システム及び酸化的改質システムは、様々な実施形態において、2.5km、2.4km、2.3km、2.2km、2.1km、2.0km、1.9km、1.8km、1.7km、1.6km、1.5km、1.4km、1.3km、1.2km、1.1km、1.0km、0.9km、0.8km、0.7km、0.6km、0.5km、0.4km、0.3km、0.2km、0.1km、0.05km、及び0.025kmのうちの少なくとも1つ未満である、互いの間の分離距離内にあり、電解システム及び酸化的改質システムは、他の実施形態において、統合における電解システム及び酸化的改質システムの間の大幅に大きい分離距離で、流れ回路、パイプライン、及び他の統合インフラストラクチャーによって、互いに統合され得る。
【0056】
[0060] 本開示は、20,000~100,00kgの水素/日を生成するものなどの、固定場所の大型の統合された電解及び酸化的改質システムに加えて、他のより少ない生産レベルで水素を生成するように構成及び配置された多種多様な他の統合された電解及び酸化的改質システムも想定している。
【0057】
[0061] 様々な実施形態において、本開示は、例えば、およそ100~2000kgの水素/日のレベルで水素を生成し得るモジュール式の統合された電解及び酸化的改質システムを想定している。このようなモジュール式の統合されたシステムは、このシステムの工場生産、並びに水素の分散発電のための水素生成サイト、例えば、水素燃料電池及び/又は水素を燃料とする内燃機関で動作する自動車のための水素燃料補給所への容易な輸送及び設置のための、スキッド又は工業用のコンテナにおけるこのシステムの取り付けを可能にするのに十分に小型である。
【0058】
[0062] 様々な実施形態において、統合された酸化的改質システムにおける非自己熱反応器システムは、触媒床の段階的なアセンブリが配置された単一の非自己熱断熱反応器槽を含み、このアセンブリは、部分酸化の発熱反応が、第1段階で起こり、第2段階で水蒸気改質の吸熱反応を促して、このような吸熱性第2段階反応からガス温度の低下をもたらし、水性ガスシフト(WGS)触媒が、一酸化炭素を水素に転化する、高温のわずかに発熱性の第3段階に配備され、それによって、槽から排出されるガスの組成が主に水素であるように構成される。様々な実施形態において、排出ガスにおける水素の濃度は、50mol%、55mol%、60mol%、65mol%、70mol%、75mol%、80mol%、85mol%、90mol%、95mol%、98mol%、及び99mol%のうちの少なくとも1つを超えていてもよく、様々な実施形態において、排出ガスにおける水素の濃度は、下限端点値が、上記の数値の1つであり、上限端点値が、下限端点値を超える上記の数値の1つである範囲内、例えば、50mol%~95mol%、若しくは55mol%~85mol%、若しくは60mol%~80mol%の範囲、又は他の好適な範囲内である。
【0059】
[0063] 本開示の統合された電解及び非自己熱酸化的改質システムにおける酸化的改質操作の生成物は、主に、水素及び二酸化炭素である(集合的に、排出ガスの60mol%以上である)。様々な実施形態において、酸化的改質排出ガスにおける水素及び二酸化炭素の総合濃度は、60mol%、65mol%、70mol%、75mol%、80mol%、85mol%、90mol%、95mol%、98mol%、及び99mol%のうちの少なくとも1つを超えていてもよく、様々な実施形態において、酸化的改質排出ガスにおける水素及び二酸化炭素の濃度は、下限端点値が、上記の数値の1つであり、上限端点値が、下限端点値を超える上記の数値の1つである範囲内である。統合された電解及び非自己熱酸化的改質システムは、98mol%、98.5mol%、98.9mol%、99mol%、99.5mol%、99.9mol%、99.95mol%、98.99mol%、及び99.999mol%のうちの少なくとも1つを超える、又は下限端点値が、上記の数値の1つであり、上限端点値が、下限端点値を超える上記の数値の1つである範囲内の水素純度を好ましくは有する、高純度水素の流れを生成するように望ましくは操作される。
【0060】
[0064] 酸化的改質システムから高純度水素の流れを生成することは、酸化的改質操作によって生成される水素含有流れから二酸化炭素、未反応炭化水素、及び一酸化炭素を除去するための分離システムの提供を必要とする。水素の分離の後、水素分離によって生成される二次生産物/廃棄物が、転化プロセスの前に酸化的改質反応剤を予熱するのに使用され得る。水素分離からの廃棄物流が、十分なカロリー値を有する場合、電解システムからの酸素が、廃棄物流の燃焼に使用されて、二酸化炭素及び水蒸気の煙道ガスが得られる。煙道ガスは、水蒸気を凝縮するように処理されてもよく、二酸化炭素は、従来の方法及び設備を用いて捕捉され、任意に当該技術分野において公知の適用可能な隔離(sequestration)技術によって隔離され得る。統合されたシステムのこのような操作により、温室効果ガス排出が陰性である統合されたシステムからの全体的な水素生成が得られる。
【0061】
[0065] ここで、図面を参照すると、
図1は、非自己熱酸化的改質方法システム12を低温電解システム14と統合する、本開示の一実施形態に係る水素生成システム100の概略流れ図である。
【0062】
[0066] 非自己熱酸化的改質システム12は、水-エタノール供給源(「炭化水素/H2Oブレンド」)を含み、それからエタノールの水溶液が、水-エタノール供給ライン16中で送達され、水-エタノール供給ライン16は、熱交換器20を通って、酸素供給ライン44中で酸素貯蔵槽73から供給された酸素と混合するための原料混合機18への通路を有する。得られたエタノール/水/酸素原料流が、原料送達ライン22中で、熱交換器24を通って、非自己熱酸化的改質反応器28へと流される。
【0063】
[0067] 概略的に示される非自己熱酸化的改質反応器28は、上側部分酸化セグメントを含み、原料送達ライン22中で、好適な温度(TOR)及び圧力(POR)で導入される原料の部分酸化を行うための好適な触媒を含むセグメント化断熱反応器である。このような最初の部分酸化セグメント(TS1)における温度は、原料の部分酸化を行うのに適切であるように、約700℃~約900℃の範囲であり得る。断熱反応器を通るガス流の流れ方向に進みながら、最初の部分酸化セグメントから流れるガスは、次に、水蒸気改質反応が、約450℃~約850℃の範囲の温度(TS2)で行われるように、好適な水蒸気改質触媒を含む中間の改質セグメントを通って流れ、次に、ガスは、中間の(第2の)水蒸気改質セグメントから、高温水性ガスシフト触媒を含む断熱反応器の第3のセグメントを通って流れ、高温水性シフト反応が、約300℃~約420℃の範囲であり得る温度(TS3)で行われて、非自己熱酸化的改質反応器排出ライン30中で断熱反応器から排出される水素を含有する改質物(reformate)が生成される。
【0064】
[0068] 断熱反応器において、それぞれの部分酸化、水蒸気改質、及び水性ガスシフト反応が、それぞれの部分酸化(TS1)、水蒸気改質(TS2)、及び水性ガスシフト反応(TS3)セグメントがTS1>TS2>TS3であるように維持される温度で触媒的に行われる。
【0065】
[0069] 低温電解システム14によって生成され、非自己熱酸化的改質システム12に酸素を供給するのに使用される酸素を貯蔵する酸素貯蔵タンク73は、低温電解システム14の酸素生成能力を有効に緩衝するのに適切なサイズ及び容量のものであり得、酸素が、低温電解システムからこのような緩衝貯蔵タンクに送られ、その後、緩衝貯蔵タンクから酸素供給ライン44へと、非自己熱酸化的改質システム12を供給するのに必要とされる量及び速度で排出される。このように、低温電解システム及び非自己熱酸化的改質システムは、統合された全体的なシステムの電解及び非自己熱酸化的改質システムの両方の運転条件及びスループットに関して、操作において互いに選択的に「合致」され得る。
【0066】
[0070] ここで、エタノールが原料炭化水素として用いられる、例示的な
図1のシステムの操作において、エタノールは、非自己熱酸化的改質反応器28中で、酸素及び水と触媒的に反応されて、水素、一酸化炭素、水、及び二酸化炭素を含む混合物を形成し、これが、次に、高温水性ガスシフト反応を起こし、それによって、COが、水-エタノール供給源から非自己熱酸化的改質システムに元々供給された水から得られる水蒸気との反応によって、CO
2及びH
2に転化される。得られたガスは、排出ライン30において非自己熱酸化的改質反応器28から排出され、熱交換器20を通って流れて、水-エタノール供給ライン16においてシステムに導入されるエタノールの水溶液を加熱し、次に、低温水性ガスシフト反応器34に入り、流れ中に残っているCOの少なくとも一部が、CO
2及びH
2に転化される。水素及びCO
2を含有する得られたガス流は、低温水性ガスシフト反応器排出ライン36において低温水性ガスシフト反応器34から排出され、水素ガス清浄器38に流入する。
【0067】
[0071] 水素ガス清浄器38において、水性ガスシフト反応器流出物流が、水素(水素ガス排出ライン40において清浄器から排出される)、及びCO2含有排ガス(これは、排ガス排出ライン42において水素ガス清浄器38から排出される)へと分離される。水素は、水素ガス排出ライン40において、低温電解システム14における水素ガス貯蔵器90に流れて、ポリマー電解質膜(PEM)電解槽66における水の低温電解によって生成される水素ガスを補完する。
【0068】
[0072]
図1に概略的に示される低温電解システム14は、給水源50を含み、それから供給水が、給水ポンプ52の作用によって、浄水器/清浄器54を通って酸素-水相分離及び供給槽56に流される。酸素-水相分離供給槽56は、給水ライン58における水を供給し、それが、循環ポンプ60によって、熱交換器62及びイオン交換器64を通って電解槽66に流され、そのカソードが、適切な回路によって、変圧器及び整流器に接続される。
【0069】
[0073] 電解槽66において、水は、水素と酸素に電離され、酸素は、ライン68において電解槽66から酸素-水相分離及び供給槽に流される。酸素-水相分離及び供給槽に入る酸素は、その中の供給水を通過し、酸素デミスター槽70及び流量制御弁74を含む酸素排出ライン72において塔頂物流(オーバーヘッドストリーム)として排出される。
【0070】
[0074] 酸素排出ライン72から、低温電解システム14からの生成酸素流が、酸素貯蔵槽73に移動し、それから酸素が、酸素供給ライン44において非自己熱酸化的改質システム12に供給されて、非自己熱酸化的改質反応器28において実施される非自己熱酸化的改質のための酸素が得られる。
【0071】
[0075] 電解槽66における水の電離反応によって生成される水素は、水素出力ライン76において電解槽から排出され、気液分離槽78に流れ、ここで、水素ガスが、水から離脱され、水は、電解槽へと再循環される。電解槽へと再循環される水の一部が、流量制御弁130を含む電解槽再利用ライン128において、循環ポンプ60の吸入口に流されてもよい。水素は、塔頂物ガス流(オーバーヘッドガスストリーム)として気液分離槽78から排出され、それが、水素送達ライン80において、水素デミスター槽82、熱交換器84、凝縮物トラップ86、及び流量制御弁88を通って、水素ガス貯蔵器90に流れ、それが、上述されるように、同様に、水素ガス排出ライン40において非自己熱酸化的改質システムからの水素を受け入れる。
【0072】
[0076] 水素ガス貯蔵器90からの水素ガスが、水素排出ライン94において貯蔵器から選択的に抜き取られ、水素圧縮機92に流され得る。圧縮機は、抜き取られた水素を適切な圧力に圧縮する。次に、圧縮された水素は、圧縮機から、流量制御弁98を含む水素供給ライン96において、下流の使用又は輸送目的地、例えば、水素燃料電池、水素を利用する化学プロセス施設、水素輸送パイプライン、又は他の使用若しくは処理目的地に流れる。
【0073】
[0077] ここで、
図1に概略的に示される水素生成システム10は、非自己熱酸化的改質システムが熱的に中立な方式(例えば、反応(1)においてx≒0.40に対応する)で動作するのを可能にするように構成され得、電解槽は、このような熱的に中立な操作のためのエタノールの非自己熱酸化的改質に必要な量の酸素を提供するようなサイズであり、そのように構成され、外部の熱源が必要とされず、過剰な熱が生成されない。
【0074】
[0078]
図1の水素生成システム10は、双方向信号伝達ライン134及び136が結合されたプロセス制御器132をさらに含んでいてもよく、双方向信号伝達ラインは、プロセスシステムを監視及び制御するための、プロセス機器構成要素、例えば、ポンプ、圧縮機、流量制御弁、熱交換器、及びプロセス条件(例えば、温度、圧力、流量、及び組成物、感知された条件が、センサーに連結される信号伝達ラインによってプロセス制御器に伝達される)を感知するためのセンサーへのそれらの結合を表すように概略的に示される。このような目的のために、プロセス制御器は、プロセス制御器によって実施されるべき操作を監視及び制御するのに適切であるような、コンピュータ、プログラマブルロジック制御デバイスなどの好適な信号処理構成要素及び制御器を含み得る。
【0075】
[0079] 例えば、プロセス制御器は、以後、本明細書の
図3に関連してより詳細に記載される単一の断熱反応器における温度を制御するように構成され得、それにより、部分酸化反応が、第1の触媒床において、約700℃~約900℃の範囲の温度で行われ、水蒸気改質反応が、第2の触媒床において、約450℃~約850℃の範囲の温度で行われ、高温水性ガスシフト反応が、第3の触媒床において、約300℃~約420℃の範囲の温度で行われる。
【0076】
[0080] 様々な実施形態において、プロセス制御器は、水素生成システムにおける電解槽及び非自己熱酸化的改質システムの操作を調整するように構成され得、それにより、非自己熱酸化的改質システムが、反応C2H5OH+(3-2x)H2O+xO2→(6-2x)H2+2CO2を実施し、ここで、0<x<1.5であり、又はさらなる特定の実施形態において、0.30≦x≦0.50であり、又は他の実施形態において、xが、他の値若しくは範囲を有し、例えば、0.10≦x≦1.1;0.3≦x≦0.9;0.3≦x≦0.5;若しくは0.75≦x≦0.85であり;又はxが、例えば、約0.4、0.5、0.65、0.80、1.0、若しくは他の好適な値であり得る。
【0077】
[0081] 様々な実施形態において、水素生成システムにおいて使用される電解槽は、固体酸化物電解槽を含んでいてもよく、プロセス制御器は、電解槽及び非自己熱酸化的改質システムの操作を調整するように構成され得、それにより、非自己熱酸化的改質システムは、固体酸化物電解槽が50%を超える熱効率で動作するように、固体酸化物電解槽への伝達のための過剰な熱を生成する。
【0078】
[0082] 具体例として、
図1の水素生成システム10は、例えば、自動車、トラック、バン、フォークリフト、バス、ロボット搬送キャディー、並びに他の動力搬送及び輸送システムなどの燃料電池車のための現地での充填操作のために、1500kgのH
2/日水素ステーションとして構成及び配置され得る。以下の表1は、このような例示的な1500kgのH
2/日の水素ステーションにおける、0.5メガワット(MW)の低温電解槽の入力及び出力、並びにx=0.40(反応(1))で動作する非自己熱エタノール酸化的改質装置の入力及び出力を要約している。
【0079】
【0080】
[0084]
図1の水素生成システムにおける非自己熱酸化的改質装置から生成されたCO
2が、バイオエタノールから誘導され、電解装置が、環境に優しい動力供給源を用いる場合、全体的なシステムの正味の二酸化炭素収支は、ゼロに近づき得る。様々な実施形態において、本開示の水素生成システムは、CO
2捕捉又はCO
2隔離システムを組み込むか又は用いて、正味のマイナスのCO
2収支又は排出を得ることができる。様々な実施形態において、それぞれの非自己熱酸化的改質システム及び低温電解システムは、例えば水処理システム、制御システム、圧縮機器、及び水素貯蔵槽などの様々なインフラストラクチャー構成要素を共有するように構成及び配置され得る。水素生成システムの構成、配置、構成要素、及び操作が、本開示の幅広い実施において広く変化し得ることが認識されるであろう。
【0081】
[0085]
図2は、非自己熱酸化的改質方法システム11を、高温電解システム126と統合する、本開示の別の実施形態に係る水素生成システム100の概略流れ図である。
【0082】
[0086]
図2における非自己熱酸化的改質システムは、
図1の水素生成システムに関連して上述されるように、酸素貯蔵槽73からの酸素供給ライン44において酸素を供給される非自己熱酸化的改質反応器28を有する、
図1における非自己熱酸化的改質システムと同じ一般化された配置のものである。非自己熱酸化的改質システム11の、対応して番号付けされた構成要素は、
図1の水素生成システムに関連して上述されるのと同じ又は同様の番号付けされた構成要素に対応するものと理解されるべきである。
図2のシステムにおける酸素貯蔵タンク73は、上述される
図1のシステムにおける酸素貯蔵タンク73の機能及び操作と同様に、非自己熱酸化的改質システム及び高温電解システムの全体的な操作を選択的に「緩衝する」のに使用され得る。
【0083】
[0087]
図2の水素生成システム100における高温電解システム126は、例えば、水を水素と酸素に電離するための高温固体酸化物電解槽102などの任意の好適な高温電解槽を用い得る。概略的に示されるように、高温固体酸化物電解槽102は、変圧器及び整流器と適切な回路によって連結される。
【0084】
[0088] 補給水は、補給水供給ライン110において高温電解システムに供給され、熱交換器108及び熱交換器116を通って、高温固体酸化物電解槽102に流れる。高温固体酸化物電解槽のカソードにおいて、水素/水蒸気生成物流が、水素/水蒸気排出ライン104に排出され、熱交換器108を通過し、次に、ノックアウトポット122に移動し、それが、例えば、32℃の温度若しくは他の好適な温度で又は他の好適な操作温度範囲内で操作され得る。ノックアウトポット122は、凝縮された再利用水流、及び生成水素流を排出し、これは、水素排出ライン124から排出され、水素ガス貯蔵器90に流される。
【0085】
[0089] 高温固体酸化物電解槽102は、そのアノードにおいて、例えば、酸素及び水の50/50モル分率で酸素/水蒸気混合物を生成する。O2/水蒸気混合物は、酸素/水蒸気排出ライン106において、熱交換器112を通って酸素/水分離器114に流される。酸素/水分離器114は、分離された水を排出し、対応して分離された酸素は、酸素貯蔵槽73への流れのための酸素供給ライン44中に排出され、それから酸素が、非自己熱酸化的改質システム11に供給される。
【0086】
[0090] 高温電解システム126において、スイープ水が、熱交換器112及び次に熱交換器118に流され得、スイープ水蒸気が、熱交換器118から高温固体酸化物電解槽102に供給され得る。
【0087】
[0091] 高温電解システム126及び非自己熱酸化的改質システム11の熱的統合が、熱回収アセンブリ120を用いて実装され得、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、及び水の流れが、熱回収アセンブリ120において非自己熱酸化的改質反応器28から熱交換器を通って流れ、熱交換器116、熱交換器118、及び熱回収アセンブリ120における熱交換器を含む流れ回路における煙道ガスの再循環が伴う。熱回収アセンブリ120は、熱回収のための熱回収装置(「回収(Recuperation)」)も含み得る。このような熱回収装置は、任意の好適なタイプのものであってもよく、例えば、垂直な平面パネル構造、又は水平な平面パネル構造、又はセルラー構造のものであってもよく、又はより一般に、様々な特定の実施形態において、高温電解システムの横流、並流、又は環流タイプのものであり得る。ヒートパイプ、サーマルホイール、ヒートシンクなどを含む、任意の適切な熱回収要素及び/又はデバイスが、このような熱回収アセンブリにおいて用いられ得る。
【0088】
[0092]
図2に示される一般化されたタイプの水素生成システムにおいて、高温電解槽は、非自己熱酸化的改質システムに必要な酸素を提供するようなサイズであり、それにより、非自己熱酸化的改質反応からの過剰な熱が、高温電解槽(
図2に示される実施形態における固体酸化物電解槽)の熱的要件を満たすように効率的に移され、使用され得る。過剰な熱を生成するように非自己熱酸化的改質システムを操作することによって、高温電解槽は、向上した熱効率、例えば、50%超、様々な実施形態において、およそ75%以上で動作することが可能である。PEM又はアルカリ電解槽と異なり、固体酸化物電解槽は、非自己熱酸化的改質システムが操作される圧力レベルと同じ圧力レベルで動作し得る。
【0089】
[0093]
図2に例示的に示される水素生成システムにおいて、非自己熱酸化的改質反応器28からの生成物流は、熱回収アセンブリ120において温度T
OR及び圧力P
ORで高温電解槽熱交換器に流され、水を高温/高圧水蒸気に転化するのに必要な熱を提供する。この熱交換器を通過しながら、非自己熱酸化的改質からの生成ガスが、一酸化炭素を二酸化炭素に転化するのに必要とされる低温水性ガスシフト反応に適切な温度T
WGSに低下され、低温水性ガスシフト反応器34に流れる。低温水性ガスシフト反応器34において、生成物流は、触媒シフト反応を起こして、生成ガスにおけるCO含量を好適に低いレベル、例えば、生成ガスの体積に基づいて1体積%未満に減少させる。
【0090】
[0094] 低温水性ガスシフト反応器34からの生成ガスは、水素ガス清浄器38に流れ、生成ガスは、水素(水素ガス排出ライン40において清浄器から排出される)、及びCO2含有排ガス(これは、排ガス排出ライン42において水素ガス清浄器38から排出される)へと分離される。水素は、水素ガス排出ライン40において、水素ガス貯蔵器90に流され、ここで、このような水素ガスは、高温固体酸化物電解槽102における水の高温電解によって生成される水素ガスとともに貯蔵される。
【0091】
[0095] 排ガス排出ライン42における水素ガス清浄器38から排出される排ガスは、酸素/空気バーナー32(「O2/空気バーナー」)に流れる。酸素/空気バーナー32は、バーナー酸素/空気供給ライン33を介して、酸素供給ライン44において流れる酸素貯蔵槽73からの酸素を供給される。酸素/空気バーナー32は、煙道ガスを生成し、それが、煙道ガスライン26において排出され、非自己熱酸化的改質反応器28に流されるエタノール/水/酸素流の加熱のための熱交換器24を通って流れ、二酸化炭素及び水(CO2/H2O)を含有する煙道ガスが、排ガスとして二酸化炭素回収槽46に流され、ここで、それが、CO2流(二酸化炭素排出ライン48において二酸化炭素回収槽46から排出される)、及び再利用水流(再利用水排出ライン49において二酸化炭素回収槽46から排出される)へと分離される。
【0092】
[0096] 二酸化炭素排出ライン48においてから排出されるCO2は、CO2利用施設、又はCO2捕捉若しくは隔離施設、又は他の処理若しくは使用に流され得る。
【0093】
[0097] 再利用水排出ライン49において二酸化炭素回収槽46から排出される再利用水流は、水素ガス生成システム100において電解槽に再循環され得、及び/又はエタノール及び/又は他の炭化水素の水溶液(「炭化水素/H2Oブレンド」)を形成するのに用いられ得、それが、酸素と組み合わされ、原料として断熱非自己熱酸化的改質反応器28に流れる。
【0094】
[0098]
図2に例示的に示される一般的なタイプの、熱的に統合された非自己熱酸化的改質システム及び高温電解システムにおいて、熱的統合からの効率向上と組み合わされた、共有された機器により、小型の水素生成システムが達成されるのが可能になり、いずれかの単独のシステムの使用によって生じるより資本コストがかなり低くなる。
【0095】
[0099] 上述される
図1のシステムと同様の、
図2の水素生成システム100は、双方向信号伝達ライン142及び144が結合されたプロセス制御器140をさらに含んでいてもよく、双方向信号伝達ラインは、プロセスシステムを監視及び制御するための、プロセス機器構成要素、例えば、ポンプ、圧縮機、流量制御弁、熱交換器、及びプロセス条件(例えば、温度、圧力、流量、組成物、感知された条件が、センサーに連結される信号伝達ラインによってプロセス制御器に伝達される)を感知するためのセンサーへのそれらの結合を表すように概略的に示される。プロセス制御器は、例えば、単一の断熱非自己熱酸化的改質反応器における温度を制御するための、
図1におけるプロセス制御器について上述されるように、構成され、動作し得、それにより、部分酸化、水蒸気改質、及び水性ガスシフト反応が、所定の温度条件で、及び/又は流量、圧力、組成物などの他のプロセス条件を制御するために行われて、水素生成システムにおける統合された酸化的改質及び電解システムからの水素の所望の出力を達成する。
【0096】
[00100] 例えば、様々な実施形態において、
図2の水素生成システムにおけるプロセス制御器は、水素生成システムにおける電解槽及び非自己熱酸化的改質システムの操作を調整するように構成され得、それにより、非自己熱酸化的改質システムが、反応C
2H
5OH+(3-2x)H
2O+xO
2→(6-2x)H
2+2CO
2を実施し、ここで、0<x<1.5であり、又はさらなる特定の実施形態において、0.30≦x≦0.50であり、又はxが、値の別の好適な範囲内であり、例えば、0.10≦x≦1.1;0.3≦x≦0.9;0.3≦x≦0.5;若しくは0.75≦x≦0.85であり;又はxが、例えば、約0.4、0.5、0.65、0.80、1.0、若しくは他の好適な値であり得る。
【0097】
[00101] プロセス制御器は、それに加えて、又はその代わりに、高温電解槽及び非自己熱酸化的改質システムの操作を調整するように構成され得、それにより、非自己熱酸化的改質システムは、高温電解槽が50%を超える熱効率で動作するように、高温電解槽、例えば、固体酸化物電解槽への伝達のための過剰な熱を生成する。
【0098】
[00102] 以下の表2は、このような例示的な1500kgのH2/日の水素ステーションにおける、1.2メガワット(MW)の高温電解槽の入力及び出力、並びにx=0.40(反応(1))で動作する非自己熱エタノール酸化的改質装置の入力及び出力を要約している。
【0099】
【0100】
[00104] 本開示の水素生成システムは、様々な水素精製装置、材料、及び技術を組み込み、それを用いて、このようなシステムからの生成水素の所望の純度及び組成を達成し得る。例えば、汚染物質及び不純物が、物理的吸着剤、化学吸着剤、凝縮若しくは固化技術、湿式スクラビング、錯体形成及び沈殿、又は関与する特定の汚染物質又は不純物種のための任意の他の適切な技術の使用によって、水素生成物から除去され得る。
【0101】
[00105]
図1及び2の水素生成システムが、物理的に構成され、配置され、操作されるそれぞれのシステムにおいて実装され得るバルブ、ポンプ、圧縮機などを参照せずに概略図に示されることが認識されるであろう。
【0102】
[00106] 本開示の統合された水素生成システムは、適切な設計又は酸化的改質装置設備及び非自己熱酸化的改質触媒の選択によって、一連の様々なバイオ由来炭素ベースの原料に対応する原料に柔軟な方式で非自己熱酸化的改質を実施するように、構成され、操作され得る。このような設計及び選択によって、例えばバイオメタノール、バイオディーゼル、及びバイオメタンなどの様々な代わりに利用可能な原料が用いられ得るが、本開示はそれらに限定されない。
【0103】
[00107] 本開示の統合された水素生成システムは、
図1及び2に関連して例示的に示されるように、高温水性ガスシフト(HTWGS)反応が、単一の断熱非自己熱酸化的改質反応器において実施され、低温水性ガスシフト(LTWGS)反応が、別個の低温水性ガスシフト反応器において実施されるように実装され得る。本開示の統合された水素生成システムの他の実装例において、低温水性ガスシフト反応は、高温水性ガスシフト反応セグメントの下流の反応器の個別のセグメントとしての酸化的改質反応器中で実施され得、高温水性ガスシフト反応セグメントは、今度は水蒸気改質セグメントの下流にあり、水蒸気改質セグメントは、今度は部分酸化セグメントの下流にある。酸化的改質反応器は、本開示の広い範囲内で、その構成要素及び構造が変化し得ることが、相応して理解されるであろう。したがって、酸化的改質反応器は、単一の反応器槽内のセグメントとして、任意の低温水性ガスシフトセグメントとともに、部分酸化、水蒸気改質、及び高温水性ガスシフトセグメントを含むセグメント化反応器であり得る。このような単一の酸化的改質反応器において、それぞれの部分酸化、水蒸気改質、及び水性ガスシフト反応は、各反応用の触媒が、例えば、多孔質セラミック又は金属製の仕切り又は他の分離構造若しくは配置によって分離された単一の槽内で行われ得る。
【0104】
[00108]
図3は、本開示の一実施形態における、本開示の水素生成システム及び方法のために有用なタイプの非自己熱セグメント化断熱反応器の概略図である。
【0105】
[00109] 示されるように、セグメント化断熱反応器は、エタノール(及び/又は他の炭化水素若しくは原料成分)、水、及び酸素を反応器槽中に送達する供給導管と連結された上側入口端部とともに垂直に直立する向きで示される。反応器槽は、反応器槽を通って流されるガスの流れ方向に垂直な横断面に円形断面を有する円筒形状のものである。上側入口端部キャップ又はフランジが、反応器槽の円筒状ハウジングの上端に固定され、供給導管に結合され、反応器を通ってその下側排出端部へのその後の下降流のために、エタノール、水、及び酸素反応剤を受け入れるための内部入口ヘッドスペースを画定する。
【0106】
[00110] 排出端部において、下側出口端部キャップ又はフランジが、反応器槽の円筒状ハウジングの下側端部に固定され、下側出口端部キャップ又はフランジに結合された排出導管を通した排出のために、連続する部分酸化、水蒸気改質、及び水性ガスシフト反応からの主に水素及び二酸化炭素反応生成物及び未反応反応剤種を受け入れる内部出口プレナムを画定する。
【0107】
[00111] セグメント化断熱反応器は、非導電性材料で形成され得、及び/又は断熱材料で覆われるか若しくは被覆され得、又は他の形で、反応器の断熱性を確立し、維持するように構成及び配置され得る。
【0108】
[00112] セグメント化断熱反応器の内部体積において、異なる触媒が、物理的な分離要素又は構造、例えば、スクリーン要素、小孔付きディスク、多孔質フリット、又は過剰な圧力低下又は流体力学的流れの異常、例えばチャネリング又はデッドスペースを伴わずに、連続した床を通る連続的な流体流れを可能にする他の分離構造若しくは配置によって、物理的に互いに隔てられ得る垂直方向に連続した床に配置される。
【0109】
[00113] 最上部触媒床は、例えば700~900℃の範囲であり得る温度で反応剤の主に部分酸化発熱反応を媒介する部分酸化触媒(例えば、ロジウム、パラジウム、白金、レニウム、ルテニウム、ニッケル、コバルト、又は混合金属酸化物、又は金属若しくは金属酸化物の組合せ若しくは混合物を含む触媒)を含む。
【0110】
[00114] 次の下層の触媒床は、第1の(最上部)触媒床からの部分酸化反応生成物の吸熱性水蒸気改質反応を媒介する水蒸気改質触媒(例えば、助触媒が担持された(promoted)ニッケル、ルテニウム、レニウム、ロジウム、銅亜鉛、コバルト、混合金属酸化物、又は金属若しくは金属酸化物の組合せ若しくは混合物を含む触媒)を含み、助触媒が担持されたニッケル触媒床の上側部分は、例えば700~850℃の範囲であり得る温度であり、水蒸気改質触媒床の下側部分は、例えば400~550℃の範囲であり得る温度である。
【0111】
[00115] 水蒸気改質触媒床下で、次の下層の触媒床は、吸熱性水蒸気改質反応生成物の高温水性ガスシフト反応を媒介する高温水性ガスシフト触媒(例えば、銅を助触媒とした鉄、鉄-クロム、銅、亜鉛、銅-亜鉛、ニッケル、酸化鉄、酸化クロム、又は他の混合金属酸化物、又は金属若しくは金属酸化物の組合せ若しくは混合物を含む触媒)を含む。高温水性ガスシフト触媒床は、例えば300~450~300℃の範囲であり得る温度である。
【0112】
[00116]
図3において例示される反応器形状で示されていないが、様々な実施形態における反応器は、断熱反応器の内部に位置する低温水性ガスシフト触媒を含む任意の第4の触媒床をさらに含んでいてもよく、又は低温水性ガスシフト触媒を含む別個の低温水性ガスシフト反応器槽が、設けられていてもよく、断熱反応器からの生成ガスが、別個の低温水性ガスシフト反応器に流れる。低温水性ガスシフト触媒は、任意の好適なタイプのものであってもよく、例えば、銅系触媒、例えば、銅、銅-酸化亜鉛、酸化銅、酸化銅-酸化亜鉛、酸化銅-酸化亜鉛-アルミナ、酸化銅-酸化亜鉛-酸化クロム又は他の混合金属酸化物又は金属若しくは金属酸化物の混合物を含み得る。
【0113】
[00117] 第1の触媒床における部分酸化、第2の触媒床における水蒸気改質、及び第3の触媒床における高温水性ガスシフト反応、及び任意に、第4の触媒床における二次低温水性ガスシフト反応の連続する反応によって、反応
C2H5OH+(3-2x)H2O+xO2→(6-2x)H2+2CO2、ΔH298℃=0kcal/モル、x=0.36
が行われ、セグメント化断熱反応器におけるそれぞれの反応からの未反応反応剤をさらに含有する水素及び二酸化炭素生成物流が、出口端部における生成物排出導管において反応器から排出される。
【0114】
[00118] 非自己熱セグメント化断熱反応器の説明において上述される特定の触媒材料が、例示的に特定されること、及び他の特定の触媒材料が、本開示の水素生成システム及び方法の様々な実施形態において用いられ得ることが認識されるであろう。
【0115】
[00119] 反応器が、下降流ガス流操作のための、円形の断面を有する垂直に配向された円筒状の構造を有するものとして、
図3を参照して例示的に示され、記載されているが、本開示はそのように限定されず、反応器は、水素生成システム及び方法における電解槽との反応器の統合に適切な任意の他の好適な構造、向き、及び流れ構造のものであり得ることも認識されるべきである。反応器は、任意の好適なサイズ、形状、向き、及び構造的性質(configurational character)(固定床、流動床、回転床、動力ベルト床などを含む)を有してもよく、反応器は、幾何学的に規則的な又は不規則な流れ方向にほぼ垂直な断面などとともに、任意のアスペクト比(例えば、長さ/直径比)又は他の寸法特性を有し得る。
【0116】
[00120]
図4は、圧力低下を最小限に抑え、及び/又は本開示の別の実施形態に係るセグメント化断熱反応器における1つの触媒床から次の触媒床への伝熱を促進するための例示的な配置を示す反応器内部の概略図である。
【0117】
[00121]
図4に示されるセグメント化反応器構成要素は、部分酸化セグメントを含み、これは、モノリスに担持された及び/又はモノリスにおけるロジウム系触媒、又は他の好適な部分酸化触媒を有する、コーディエライト又は他の好適なモノリス構成材料で形成されるモノリスを含み得る。触媒は、例えばモノリスの細孔中に堆積され、又は他の形で、蒸着、溶液含浸、又は他の適切な技術などによる任意の好適な方法でモノリス担体に組み込まれ得る。ここで、部分酸化セグメントが、「ライトオフ」温度に予熱されたガスとともに、燃料(例えば、エタノール又は他の炭化水素又は原料)、水蒸気、及び酸素原料を受け入れるように構成される。
【0118】
[00122] 部分酸化セグメントの後、次のセグメントとしての水蒸気改質セグメントは、水蒸気改質触媒用の担体としての被覆された金属合金モノリス又は金属発泡体を含み得る。水蒸気改質セグメントは、例えば、担体における及び/又は担体に担持された、ニッケル系触媒、又は他の好適な水蒸気改質触媒を有するFeCr合金モノリス又は発泡体を含み得る。水蒸気改質触媒は、任意の好適な堆積、コーティング、又は含浸技術によって、モノリス又は発泡体担体に組み込まれ得る。
【0119】
[00123] 水蒸気改質セグメントから下流に、次のセグメントとしての水性ガスシフトセグメントがある。水性ガスシフトセグメントは、例えば、担体に担持された及び/又は担体におけるFe-Cr触媒などの触媒を含有する好適な担体材料のペレット又は押し出し物の床を含み得る。触媒は、原料のペレット化若しくは押し出し加工の前に内部でブレンド若しくは混合することによって、又は蒸着、溶液含浸、若しくは他の組み込み技術などの他の好適な方法で、担体材料原料に組み込まれ得る。
【0120】
[00124] 上記の説明におけるそれぞれのセグメント化反応器構成要素は、例示的な性質のものであり、他の構成要素、担体、基板、触媒、及び配置が、本開示の他の実施形態において様々に用いられ得ることが理解されるべきである。セグメント化構成要素は、反応器を通した伝熱を促進し、部分酸化セグメントの上流の反応器入口から水性ガスシフトセグメントの下流の反応器出口まで反応器を通って流れるガスの許容される圧力低下を提供するのに適切であるように、断熱反応器中に配置され、結合され得る。
【0121】
[00125] 本明細書において前述されるように、本開示の水素生成システムの原料に柔軟な性質に加えて、本開示の水素生成システムは、原料(バイオエタノール、バイオメタノール、バイオディーゼル、バイオメタンなど)の現在の価格及び現在の電気料金に基づいて各ユニットからの水素生成を最適化するように、非自己熱酸化的改質システム及び電解システムを有効に「アップする(turn up)」又は「ダウンする(turn down)」ように構成され、操作され得る。これに関して、再生可能エネルギーからのグリーン水素の生成は、可変の電気料金に関連する。例えば、水素生成システムは、高グレードのエタノール原料が低グレードのエタノール又は他のバイオ燃料で置き換えられる場合、容易に再設定されるように構成され得る。さらなる例として、水素生成システムは、全体的なシステムの操作において生成される熱の別の使用に対応するように柔軟に構成され得る。
【0122】
[00126] したがって、本開示の水素生成システムが、様々な異なる潜在的に利用可能な原料に対応するように柔軟に構成及び配置され得ること、水蒸気改質のための原料の燃焼が必要とされないため、高い熱効率が達成され得ること、並びにかなり簡易化された設計及び操作が、容器、パイプ、バルブ、熱交換器などの減少によって達成され得ることが理解されるであろう。
【0123】
[00127] したがって、本開示は、グリーン水素の低コストの生成が達成されるのを可能にするように、非自己熱酸化的改質システムと水電解システムを有利に統合する水素生成システムを提供する。水素生成システムは、水電解反応の副生成物として生成される酸素が、エタノール又は他のバイオ由の原料を処理する非自己熱酸化的改質システムにおいて用いられるのを可能にし、それにより、結合された非自己熱酸化的改質及び電解システムが、非常にコスト効果の高い方法でグリーン水素を生成することが可能になる。このような結合された非自己熱酸化的改質及び電解システムは、原料及び電力のコストに応じて非自己熱酸化的改質又は電解システムのいずれかを選択的に最大にする様々なモードで柔軟に操作され得る。本開示の結合された非自己熱酸化的改質及び電解システムは、唯一の副生成物として水を伴う、クリーンで効率の高い方法で電気を生み出す燃料電池において使用され得る低コストのグリーン水素を生成する。
【0124】
[00128] 本開示は、相応して、様々な柔軟に構成される実装例において、水電解槽、及び水電解槽からの酸素を受け入れるように構成された非自己熱接触酸化的改質反応器を含む結合された水素生成システムを提供する。本開示は、様々な柔軟に実装される形態において、(i)水を電解して、水素及び酸素を生成すること、及び(ii)電解からの酸素を用いて、非自己熱酸化的改質反応を実施することを含む水素生成方法をさらに提供する。
【0125】
[00129] このようなシステム及び方法におけるそれぞれの電解及び非自己熱酸化的改質は、大気圧、大気圧以上(superatmospheric)、及び大気圧以下(subatmospheric)条件を含む任意の好適な圧力条件で動作するように構成され得、可変のエネルギー供給条件、可変の温度条件、及び可変の原料条件に対応するように、電解及び非自己熱酸化的改質操作を合致させるように構成され得る。電解操作において生成される酸素は、非自己熱酸化的改質操作に供給することに加えて、プロセスシステムから別のプロセスシステム、又は他の酸素使用プロセス若しくはシステムに輸送され得る。非自己熱酸化的改質操作は、炭素捕捉又は炭素隔離システム及び方法と組み合わされて、環境対策クレジット、例えば、炭素排出クレジット又は他の操作上の利点を提供し得る。
【0126】
[00130] 様々な実施形態において、電解は、連続的に、断続的に、又は電力コストの変動に対応するように他の調節される方式で実施され得、電気が最も安価である場合に最適に動作する。電解において生成された水素は、電力の生成に用いられ得、それが、次に、電解操作のその後の電力の必要性の緩衝のための大型電池設備などの電力貯蔵器に伝達され得る。
【0127】
[00131]
図5は、本開示の別の実施形態に係る、エタノール精製機及びCO
2処理又は炭素捕捉システムとさらに統合される、統合された酸化的改質及び電解プラントを含む水素生成システムの概略図である。
【0128】
[00132] エタノール精製機は、発酵性原料からの発酵産物としてエタノールを生成する。発酵性原料は、発酵により、エタノール、又は他のデンプンベース及び糖ベースの原料、又はセルロース、ヘミセルロース、及びリグニンを含むセルロース原料を生成するのを可能にする糖を含有する植物材料であり得る。様々な穀物材料が、トウモロコシ、ライムギ、及びコムギなどの、エタノール精製機のための原料として用いられ得る。トウモロコシは、エタノール生成のための非常に一般的に使用される原料であり、発酵性原料としてトウモロコシを用いるエタノール精製機は、ガソリン添加剤として使用するため、及び広範囲にわたる消費者製品において使用するための大量のエタノールを現在供給している。
【0129】
[00133] エタノール精製機の概略図における
図5は、エタノール精製機において従来存在し得るが、本開示の統合された酸化的改質及び電解システムとのエタノール精製機の統合において除去される、エタノール精製機の構成要素を示す。
【0130】
[00134] 具体的には、このような除去される構成要素は、上流の初期蒸留から得られる希エタノール-水混合物蒸留留分の酸化還元系における直接使用によって不必要になった下流の蒸留塔を含む。このような方法で、簡易化された、頂部が切断された(truncated)蒸留ユニットが、用いられ得る。
【0131】
[00135] エタノール精製機との酸化的改質及び電解水素生成システムのさらなる統合において除去される、従来のエタノール精製機のさらなる構成要素としては、(i)例えば、従来の蒸留機器によって生成されるエタノール中におよそ5体積%のレベルで存在し得る、水を除去するのに用いられるモレキュラーシーブ処理ユニット、(ii)ガソリン添加剤としてのエタノール使用のための規制要件の順守のために用いられるガソリン変性処理、又は手の消毒剤、キャンプ用コンロの燃料、香料などの他の用途におけるエタノール使用のための他の変性剤によるエタノールの処理、及び(iii)エタノール精製機における生成エタノールの大量の保持のために従来用いられるエタノール貯蔵施設が挙げられる。
【0132】
[00136] したがって、大幅に小さい、簡易化されたエタノール精製機との本開示の酸化的改質及び電解水素生成システムのさらなる統合は、エタノール精製フットプリントの大幅な減少、並びにエタノール精製機の資本設備及び運転コストの対応する減少を達成する。
【0133】
[00137] このように簡易化されたエタノール精製機は、初期の穀物受け入れ及び貯蔵施設の、
図5の実施形態に示される例示される構成要素を含んでいてもよく、ここで、エタノール精製プラントに送達されるトウモロコシ又は他の原料が、貯蔵サイロ又は他の容器に入れられ、そこから、それが、粉砕ユニットに移される。次に、粉砕された原料は、加熱ユニットに通され、次に、加熱生成物は、液化ユニットに導入され、ここで、加熱された材料は、発酵ユニットにおけるその後の発酵のためにその粘度を低下させるために、部分加水分解に供される。発酵ユニットに通された液化ユニットからの原料スラリーは、次に、制御された温度及び圧力条件下で発酵を行い、発酵ユニットからの発酵物は、次に、例えば、動物飼料又は他の製品に使用される油及び固体の分離のため、並びに次に蒸留ユニットに通されるエタノール-水溶液の回収のために、遠心分離ユニットに移動する。
【0134】
[00138] 蒸留ユニットにおいて、エタノール-水溶液が、その含水量を減少させるために蒸留され、次に、例えば、40~50体積%の水を含有し得る得られる水が減少したエタノール-水溶液が、酸化的改質システムの単一の断熱反応器における部分酸化、水蒸気改質、及び水性ガスシフト反応を含む酸化的改質操作のための原料として、統合された酸化的改質及び電解プラントに流される。
【0135】
[00139] 発酵操作におけるエタノール精製機は、CO2テールガスを生成し、このようなCO2テールガスは、統合された酸化的改質及び電解システムのCO2テールガスと一緒に、CO2処理又は炭素捕捉プラントに流され得る。CO2処理又は炭素捕捉プラントは、炭酸化ガス又は化学合成反応剤としてのCO2のパッケージングのため、又はパイプライン若しくはタンクローリー施設へのCO2の送達のため、又は炭素隔離若しくは改善を行うためのCO2の炭素捕捉処理のために構成され得る。
【0136】
[00140] このようなさらなる統合された酸化的改質及び電解システム及びエタノール精製機において、酸化的改質及び電解プラントは、酸化的改質又は電解操作において生成される廃熱が、発酵ユニット及び/又は蒸留ユニットに輸送されるように操作され得、それにより、統合された施設全体が、効率の高い方法で熱的に管理される。
【0137】
[00141] エタノール精製機との統合された酸化的改質及び電解システムの上記のさらなる統合は、特に、統合された酸化的改質及び電解システムが、例えば、エタノール精製機と統合された酸化的改質及び電解システムとの間の分離距離が、共同設置された電解槽及び非自己熱酸化的改質システム施設の間の上述された分離距離と同じか又は同様である据置型の地理上の場所の設備において、エタノール精製機と共同で設置される場合、既存のエタノール精製機インフラストラクチャーを活用し、新たなエタノール精製機建設及び操作を簡易化する、水素ガスの非常に有利な生成を達成する。
【0138】
[00142] 40,000ガロン/日のエタノール精製機と統合された、x=0.40(反応(1))で動作する10.5MWの低温電解槽及び非自己熱エタノール酸化的改質装置を含む31,250kgのH2/日の水素生成システムにおいてエタノール精製機とさらに統合され、エタノール精製機のエタノール生成の全てが、さらなる統合されたシステムにおける水素の生成に向けられている、統合された酸化的改質及び電解システムの具体例として、以下の表3は、このようなさらなる統合された水素生成システムのための操作入力及び出力の一覧を記載する。
【0139】
【0140】
[00144] したがって、エタノール精製機との統合された酸化的改質及び電解システムのさらなる統合は、エタノール精製機の建設及び操作における様々な潜在的利益、並びにエタノール精製機と統合された酸化的改質及び電解システムとの間の相乗効果を与える。具体的には、このようなさらなる統合は、(i)酸化的改質及び電解システムが、エタノール精製機によって生成される希エタノール原料を用いて運転されるため、完全な従来の蒸留アセンブリの必要性をなくし、(ii)酸化的改質及び電解システムからのCO2テールガスが、エタノール精製機におけるCO2貯蔵及び輸送施設、又は代わりにエタノール精製機におけるCO2捕捉施設(これらは、エタノール精製機からのCO2テールガスの処理のために設けられている)によって処理されるのを可能にするか、又はエタノール精製機からのこのようなテールガスの炭素捕捉を行うのを可能にし、(iii)エタノール精製機において本来必要とされる、モレキュラーシーブ、変性剤添加、及びエタノール貯蔵をなくし、(iv)統合された酸化的改質及び電解システムからの副生成熱が、エタノール精製機において行われる発酵及び蒸留操作において有益に用いられるのを可能にする。
【0141】
[00145] したがって、本開示は、エタノール精製機が、本開示の水素生成システムと統合される、さらなる統合されたシステムを想定しており、ここで、エタノール精製機は、発酵性原料、例えば、トウモロコシ若しくは他の植物又は原料材料からの発酵産物としてエタノールを生成し、エタノール精製機によって生成されるエタノールは、非自己熱酸化的改質システムのための原料燃料の少なくとも一部を含む。
【0142】
[00146] 本開示は、エタノール精製機及び水素生成システムが、CO2処理又は炭素捕捉システムとさらに統合される、さらなる統合されたシステムをさらに想定しており、ここで、CO2処理又は炭素捕捉システムは、エタノール精製機及び水素生成システムのそれぞれからのCO2ガスを受け入れるように構成されている。
【0143】
[00147] したがって、電解及び非自己熱酸化的改質が、本開示の広い範囲内で、グリーン水素生成のための様々な方法で及び様々な配置で統合され得ること、並びに電解及び非自己熱酸化的改質が、互いに並びに他のプロセス及び装置と共同で設置されて、水素生成、酸素生成、非自己熱酸化的改質、発電、バイオマス変換、CO2生成、及び様々な他の操作を、効率的で、コスト効果が高く、環境に優しい方法で達成し得ることが理解されるであろう。
【0144】
[00148] 本開示の実施において、本開示の方法の好ましい実装例は、様々な実施形態において、水素生成方法として構成され得、この水素生成方法は、水を電解して、水素及び酸素を生成すること;並びに前記酸素及び水を用いて、原料燃料を非自己熱接触酸化的に改質して、水素を生成することを含み、原料燃料が、含酸素添加剤、炭化水素、及びそれらの混合物からなる群から選択される燃料を含み、原料燃料が、原料燃料の総体積を基準にして5体積%~100体積%の範囲のバイオ由来含量を有し、改質は、炭化水素原料燃料、酸素、及び水が導入され、生成された水素が排出される、単一の断熱反応器中で行われ、単一の断熱反応器は、反応器を通る流れ中で順次接触される連続した触媒床を含み、これは、(i)部分酸化触媒を含む第1の触媒床、(ii)水蒸気改質触媒を含む第2の触媒床、(iii)高温水性ガスシフト触媒を含む第3の触媒床、及び任意に(iv)低温水性ガスシフト触媒を含む第4の触媒床を含む。このような好ましい方法実装例は、以下のもののいずれか1つ以上の適合する特徴(1)~(12)をさらに実施するか又は組み込むことができる:
[00149] (1)原料燃料のバイオ由来含量は、下限端点値が、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は100%であり、上限端点値が、下限端点値を超える上記の数値の1つである範囲内であり;
[00150] (2)原料燃料が、生物学的に生成された炭化水素を含み;
[00151] (3)原料燃料が、生物学的に生成された含酸素添加剤を含み;
[00152] (4)原料燃料が、エタノールを含み;
[00153] (5)電解が、ポリマー電解質膜電解槽、アルカリ電解槽、及び固体酸化物電解槽からなる群から選択される電解槽中で行われ;
[00154] (6)第1の触媒床における部分酸化触媒が、レニウム触媒を含み、第2の触媒床における水蒸気改質触媒が、助触媒が担持されたニッケル触媒を含み、第3の触媒床における高温水性ガスシフト触媒が、銅を助触媒とした鉄触媒を含み、任意の第4の触媒床における低温水性シフトガス触媒が、単一の断熱反応器中に存在する場合、銅/亜鉛で被覆されたモノリス触媒を含み、任意の第4の触媒床が、単一の断熱反応器中に存在しない場合、それは、単一の断熱反応器の外部の低温水性ガスシフト反応器中に存在し、銅/亜鉛で被覆されたモノリス触媒を含み;
[00155] (7)部分酸化反応が、約700℃~約900℃の範囲の温度で、第1の触媒床中で行われ、水蒸気改質反応が、約400℃~約850℃の範囲の温度で、第2の触媒床中で行われ、高温水性ガスシフト反応が、約300℃~約450℃の範囲の温度で、第3の触媒床中で行われ、低温水性ガスシフト反応は、単一の断熱反応器中に存在する場合、任意の第4の触媒床中で行われ、或いは、任意の第4の触媒床が、単一の断熱反応器中に存在せず、単一の断熱反応器の外部の低温水性ガスシフト反応器中に存在する場合、約150℃~約350℃の範囲の温度で行われ;
[00156] (8)改質が、反応C2H5OH+(3-2x)H2O+xO2→(6-2x)H2+2CO2の実行を含み、ここで、0<x<1.5であり、又はさらなる特定の実施形態において、0.30≦x≦0.50であり、又はxが、値の別の好適な範囲内、例えば、0.10≦x≦1.1;0.3≦x≦0.9;0.3≦x≦0.5;若しくは0.75≦x≦0.85であり;又はxが、例えば、約0.4、0.5、0.65、0.80、1.0、又は他の好適な値であり得;
[00157] (9)反応器から排出される生成された水素が、少なくとも60mol%の濃度で排出ガス流中にあり;
[00158] (10)改質が、熱的に中立であり、電解が、改質によって必要とされる全ての酸素を提供し;
[00159] (11)電解が、固体酸化物電解槽中で行われ、ここで、改質が、過剰な熱を生成するように行われ、改質によって生成される過剰な熱が、固体酸化物電解槽が50%を超える熱効率で動作するように固体酸化物電解槽に移され;及び
[00160] (12)任意の第4の触媒床が、単一の断熱反応器中に存在せず、単一の断熱反応器の外部の低温水性ガスシフト反応器中に存在する。
【0145】
[00161] 本開示の実施において、本開示のシステムの好ましい実装例は、様々な実施形態において、水素生成システムとして構成され得、この水素生成システムは、水を受け入れ、それから水素及び酸素を生成するように構成された電解槽;並びに電解槽からの酸素、原料燃料供給源からの原料燃料、及び水供給源からの水を受け入れるように構成された単一の断熱反応器を含む非自己熱酸化的改質システムを含み、反応器は、反応器を通る流れ中で順次接触される連続した触媒床を含み、これは、(i)部分酸化触媒を含む第1の触媒床、(ii)水蒸気改質触媒を含む第2の触媒床、(iii)高温水性ガスシフト触媒を含む第3の触媒床、及び任意に(iv)より低温の水性ガスシフト触媒を含む第4の触媒床を含み、それにより、電解槽からの酸素及び水とともに原料燃料供給源からの原料燃料が、反応器中で接触酸化的に改質されて、水素を生成し、反応器が、生成された水素を排出するように構成され、原料燃料供給源が、含酸素添加剤、炭化水素、及びそれらの混合物からなる群から選択される燃料を含む原料燃料を供給するように構成され、原料燃料が、原料燃料の総体積を基準にして5体積%~100体積%の範囲のバイオ由来含量を有する。このような好ましいシステム実装例は、以下のもののいずれか1つ以上の適合する特徴(1)~(13)をさらに実施するか又は組み込むことができる:
[00162] (1)原料燃料供給源が、供給槽、流れ回路、又は原料燃料を含む貯蔵器を含み;
[00163] (2)電解槽及び非自己熱酸化的改質システムが、2.5km、2.4km、2.3km、2.2km、2.1km、2.0km、1.9km、1.8km、1.7km、1.6km、1.5km、1.4km、1.3km、1.2km、1.1km、1.0km、0.9km、0.8km、0.7km、0.6km、0.5km、0.4km、0.3km、0.2km、0.1km、0.05km、及び0.025kmのうちの少なくとも1つ未満のそれらの間の分離距離で、据置型の地理上の場所の設備において共同で設置され;
[00164] (3)水素生成システムが、水素生成サイトへの輸送及び水素生成サイトにおける設置のためにスキッド又は工業用のコンテナにおいて取り付けられるモジュール形式のものであり、システムが、100~2000kgの水素/日の範囲の速度で水素を生成するように構成され;
[00165] (4)原料燃料供給源における原料燃料が、下限端点値が、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は100%であり、上限端点値が、下限端点値を超える上記の数値の1つである範囲内のバイオ由来含量を有し;
[00166] (5)任意の第4の触媒床が、単一の断熱反応器中に存在せず、水素生成システムにおける単一の断熱反応器の外部の低温水性ガスシフト反応器中に存在し;
[00167] (6)原料燃料供給源における原料燃料が、生物学的に生成された炭化水素又は生物学的に生成された含酸素添加剤を含み;
[00168] (7)原料燃料供給源における原料燃料が、エタノールを含み;
[00169] (8)電解槽が、ポリマー電解質膜電解槽、アルカリ電解槽、及び固体酸化物電解槽からなる群から選択される電解槽を含み;
[00170] (9)第1の触媒床における部分酸化触媒が、レニウム触媒を含み、第2の触媒床における水蒸気改質触媒が、助触媒が担持されたニッケル触媒を含み、第3の触媒床における高温水性ガスシフト触媒が、銅を助触媒とした鉄触媒を含み、存在する場合、任意の第4の触媒床における低温水性シフトガス触媒が、銅/亜鉛で被覆されたモノリス触媒を含み、任意の第4の触媒床が、単一の断熱反応器中に存在しない場合、それは、単一の断熱反応器の外部の低温水性ガスシフト反応器中に存在し、銅/亜鉛で被覆されたモノリス触媒を含み;
[00171] (10)水素生成システムが、反応器における温度を制御するように構成されたプロセス制御器を含み、それにより、部分酸化反応が、約700℃~約900℃の範囲の温度で、第1の触媒床中で行われ、水蒸気改質反応が、約400℃~約850℃の範囲の温度で、第2の触媒床中で行われ、高温水性ガスシフト反応が、約300℃~約450℃の範囲の温度で、第3の触媒床中で行われ、低温水性ガスシフト反応は、単一の断熱反応器中に存在する場合、任意の第4の触媒床中で行われ、或いは、任意の第4の触媒床が、単一の断熱反応器中に存在せず、単一の断熱反応器の外部の低温水性ガスシフト反応器中に存在する場合、約150℃~約350℃の範囲の温度で行われるようになっており;
[00172] (11)反応器が、それを通るガスの下降流のために構成された、垂直に細長い形態のものであり、連続した触媒床における最上部位置における第1の触媒床が、第2の触媒床の上を覆い、第2の触媒床が今度は第3の触媒床の上を覆い、第3の触媒床が今度は、存在する場合、任意の第4の触媒床の上を覆い、任意の第4の触媒床は、存在する場合、連続した触媒床における最下部位置にあり、好ましくは、反応器における連続した触媒床が、物理的な分離要素又は構造によって互いに隔てられ;
[00173] (12)原料燃料供給源における原料燃料が、エタノールを含み、水素生成システムが、電解槽及び非自己熱酸化的改質システムの操作を調整するように構成されたプロセス制御器をさらに含み、それにより、非自己熱酸化的改質システムが、反応C2H5OH+(3-2x)H2O+xO2→(6-2x)H2+2CO2を実施し、ここで、0<x<1.5であり、又はさらなる特定の実施形態において、0.30≦x≦0.50であり、又はxが、値の別の好適な範囲内、例えば、0.10≦x≦1.1;0.3≦x≦0.9;0.3≦x≦0.5;若しくは0.75≦x≦0.85であり;又はxが、例えば、約0.4、0.5、0.65、0.80、1.0、又は他の好適な値であり得;
[00174] (13)電解槽が、固体酸化物電解槽であり、水素生成システムが、電解槽及び非自己熱酸化的改質システムの操作を調整するように構成されたプロセス制御器をさらに含み、それにより、非自己熱酸化的改質システムは、固体酸化物電解槽が50%を超える熱効率で動作するように、固体酸化物電解槽への伝達のための過剰な熱を生成する。
【0146】
[00175] 特定の一実施形態(以後、「実施形態1」と呼ばれる)において、本開示は、熱的に統合された水素生成システムであって、(A)水を受け入れ、それから水素ガス及び酸素ガスを生成するように構成された電解槽;(B)電解槽からの酸素ガスを受け入れるように構成された酸素貯蔵槽;(C)酸素貯蔵槽からの酸素ガス、原料燃料を含有する原料燃料供給源からの原料燃料、及び水供給源からの水を受け入れるように構成された単一の断熱反応器を含む非自己熱酸化的改質システムであって、単一の断熱反応器は、単一の断熱反応器を通る流れ中で順次接触される連続した触媒床を含み、これは、(i)部分酸化触媒を含む第1の触媒床、(ii)水蒸気改質触媒を含む第2の触媒床、及び(iii)高温水性ガスシフト触媒を含む第3の触媒床を含み、それにより、酸素貯蔵槽からの酸素及び水供給源からの水とともに原料燃料供給源からの原料燃料が、単一の断熱反応器中で接触酸化的に改質されて、主に水素である酸化的に改質されたガスを生成し、単一の断熱反応器が、生成された酸化的に改質されたガスを排出するように構成されている、非自己熱酸化的改質システム、(D)単一の断熱反応器からの生成された酸化的に改質されたガスを受け入れ、それから熱を除去して、低下された温度の酸化的に改質されたガスを生成するように構成された第1の熱交換器;(E)第1の熱交換器からの低下された温度の酸化的に改質されたガスを受け入れ、低下された温度の酸化的に改質されたガス中の一酸化炭素の少なくとも一部を二酸化炭素に転化して、減少された一酸化炭素含量の低温水性ガスシフト反応ガスを生成するように構成された低温水性ガスシフト反応器であって、低温水性ガスシフト触媒を含む第4の触媒床を含む、低温水性ガスシフト反応器;(F)低温水性ガスシフト反応器から減少された一酸化炭素含量の低温水性ガスシフト反応ガスを受け入れ、分離された水素ガス、及び二酸化炭素含有排ガスを生成するように構成された水素ガス清浄器;(G)電解槽からの水素ガス及び水素ガス清浄器からの分離された水素ガスを受け入れるように構成された水素ガス貯蔵器;(H)水素ガス清浄器によって生成される二酸化炭素含有排ガスを燃焼させて、煙道ガスを得るように構成されたバーナー;(I)単一の断熱反応器への導入の前の、酸素貯蔵槽からの酸素ガス、原料燃料供給源からの原料燃料、及び水供給源からの水の加熱のためのバーナーからの煙道ガスを受け入れるように構成された第2の熱交換器;並びに(J)熱的に統合された水素生成システムにおける電解槽及び非自己熱酸化的改質システムの操作を調整し、単一の断熱反応器における温度を制御するために電解槽及び非自己熱酸化的改質システムのそれぞれのスループットを調整するように構成及び配置されたプロセス制御器を含み、原料燃料供給源に含まれる原料燃料が、含酸素添加剤、炭化水素、及びそれらの混合物からなる群から選択される燃料を含み、原料燃料が、原料燃料の総体積を基準にして5体積%~100体積%の範囲のバイオ由来含量を有する、熱的に統合された水素生成システムに関する。
【0147】
[00176] 実施形態1は、以下の特徴のいずれか1つ以上により実装され得る:(1)原料燃料供給源が、供給槽、流れ回路、又は原料燃料を含む貯蔵器を含み;(2)電解槽及び非自己熱酸化的改質システムが、2.5km、2.4km、2.3km、2.2km、2.1km、2.0km、1.9km、1.8km、1.7km、1.6km、1.5km、1.4km、1.3km、1.2km、1.1km、1.0km、0.9km、0.8km、0.7km、0.6km、0.5km、0.4km、0.3km、0.2km、0.1km、0.05km、及び0.025kmのうちの少なくとも1つ未満のそれらの間の分離距離で、据置型の地理上の場所の設備において共同で設置され;(3)水素生成システムが、水素生成サイトへの輸送及び水素生成サイトにおける取り付けのためのスキッド又は工業用のコンテナにおいて取り付けられるモジュール形式のものであり、システムが、100~2000kgの水素/日の範囲の速度で水素を生成するように構成され;(4)原料燃料供給源に含まれる原料燃料が、下限端点値が、8%、10%、12%、15%、18%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は100%であり、上限端点値が、下限端点値を超える上記の数値の1つである範囲内のバイオ由来含量を有し;(5)プロセス制御器が、原料燃料の変動及び電力コストの変動に応じて、電解槽及び非自己熱酸化的改質システムのそれぞれのスループットを調整するように構成及び配置され;(6)原料燃料供給源に含まれる原料燃料が、生物学的に生成された炭化水素又は生物学的に生成された含酸素添加剤を含み;(7)原料燃料供給源に含まれる原料燃料が、エタノールを含み;(8)電解槽が、ポリマー電解質膜電解槽、アルカリ電解槽、及び固体酸化物電解槽からなる群から選択される電解槽を含み;(9)第1の触媒床における部分酸化触媒が、ロジウム触媒を含み、第2の触媒床における水蒸気改質触媒が、助触媒が担持されたニッケル触媒を含み、第3の触媒床における高温水性ガスシフト触媒が、銅を助触媒とした鉄触媒を含み、第4の触媒床における低温水性シフトガス触媒が、銅/亜鉛で被覆されたモノリス触媒を含み;(10)プロセス制御器が、単一の断熱反応器における温度を制御するように構成及び配置され、それにより、部分酸化反応が、約700℃~約900℃の範囲の温度で、第1の触媒床中で行われ、水蒸気改質反応が、約450℃~約850℃の範囲の温度で、第2の触媒床中で行われ、高温水性ガスシフト反応が、約300℃~約450℃の範囲の温度で、第3の触媒床中で行われ、低温水性ガスシフト反応が、約150℃~約350℃の範囲の温度で、第4の触媒床中で行われるようになっており;(11)単一の断熱反応器が、それを通るガスの下降流のために構成された、垂直に細長い形態のものであり、連続した触媒床における最上部位置における第1の触媒床が、第2の触媒床の上を覆い、第2の触媒床が今度は第3の触媒床の上を覆い、第3の触媒床が、連続した触媒床における最下部位置にあり;(12)単一の断熱反応器における連続した触媒床が、物理的な分離要素又は構造によって互いに隔てられ;(13)原料燃料供給源に含まれる原料燃料が、エタノールを含み、プロセス制御器が、電解槽及び非自己熱酸化的改質システムの操作を調整するように構成及び配置され、それにより、非自己熱酸化的改質システムが、反応C2H5OH+(3-2x)H2O+xO2→(6-2x)H2+2CO2を実施し、ここで、xが、0<x<1.5;0.10≦x≦1.1;0.3≦x≦0.9;0.3≦x≦0.5;0.75≦x≦0.85のいずれかによって規定され、又はxが、約0.4、0.5、0.65、0.80、又は1.0であり;(14)電解槽が、固体酸化物電解槽であり、プロセス制御器が、電解槽及び非自己熱酸化的改質システムの操作を調整するように構成及び配置され、それにより、非自己熱酸化的改質システムは、固体酸化物電解槽が50%を超える熱効率で動作するように、固体酸化物電解槽への伝達のための過剰な熱を生成し;(15)発酵性原料からの発酵産物としてエタノールを生成するエタノール精製機を含み、ここで、エタノール精製機が、非自己熱酸化的改質システムのための原料燃料の少なくとも一部を供給するように構成され;(16)電解槽及び非自己熱酸化的改質システムが、エタノール精製機の発酵及び蒸留装置に廃熱を輸送するように構成され;(17)CO2処理又は炭素捕捉システムが、エタノール精製機及び非自己熱酸化的改質システムのそれぞれからのCO2ガスを受け入れるように構成される。
【0148】
[00177] 別の特定の実施形態(以後、「実施形態2」と呼ばれる)において、本開示は、直前に記載される熱的に統合された水素生成システムを操作して、水素生成方法を実施することを含む水素生成方法であって、水を電解して、それから水素ガス及び酸素ガスを生成すること;及び前記酸素ガス及び水供給源からの水とともに原料燃料を非自己熱接触酸化的に改質して、水素を生成することを含む水素生成方法に関する。
【0149】
[00178] 実施形態2は、以下の特徴のいずれか1つ以上により実装され得る:(1)原料燃料のバイオ由来含量は、下限端点値が、8%、10%、12%、15%、18%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は100%であり、上限端点値が、下限端点値を超える上記の数値の1つである範囲内であり;(2)原料燃料が、生物学的に生成された炭化水素を含み;(3)原料燃料が、生物学的に生成された含酸素添加剤を含み;(4)原料燃料が、エタノールを含み;(5)電解が、ポリマー電解質膜電解槽、アルカリ電解槽、及び固体酸化物電解槽からなる群から選択される電解槽中で行われ;(6)第1の触媒床における部分酸化触媒が、ロジウム触媒を含み、第2の触媒床における水蒸気改質触媒が、助触媒が担持されたニッケル触媒を含み、第3の触媒床における高温水性ガスシフト触媒が、銅を助触媒とした鉄触媒を含み、第4の触媒床における低温水性ガスシフト触媒が、銅/亜鉛で被覆されたモノリス触媒を含み;(7)部分酸化反応が、約700℃~約900℃の範囲の温度で、第1の触媒床中で行われ、水蒸気改質反応が、約400℃~約850℃の範囲の温度で、第2の触媒床中で行われ、高温水性ガスシフト反応が、約300℃~約450℃の範囲の温度で、第3の触媒床中で行われ、低温水性ガスシフト反応が、約150℃~約350℃の範囲の温度で、低温水性ガスシフト反応器における第4の触媒床中で行われ;(8)ここで、xが、0<x<1.5;0.10≦x≦1.1;0.3≦x≦0.9;0.3≦x≦0.5;0.75≦x≦0.85のいずれかによって規定され、又はxが、約0.4、0.5、0.65、0.80、又は1.0であり;(9)非自己熱接触酸化的改質において生成される水素が、少なくとも60mol%の濃度で、排出ガス流中で単一の断熱反応器から排出され;(10)非自己熱接触酸化的改質が、熱的に中立であり、電解が、非自己熱接触酸化的改質によって必要とされる全ての酸素を提供し;(11)電解が、固体酸化物電解槽中で行われ、ここで、非自己熱接触酸化的改質が、過剰な熱を生成するために行われ、非自己熱接触酸化的改質によって生成される過剰な熱が、固体酸化物電解槽が50%を超える熱効率で動作するように固体酸化物電解槽に移され;(12)電解槽及び非自己熱酸化的改質システムのそれぞれのスループットが、原料燃料の変動及び電力コストの変動に応じて、プロセス制御器によって調整され;(13)エタノール精製機において発酵性原料からの発酵産物としてエタノールを生成し、非自己熱酸化的改質システムのための原料燃料の少なくとも一部として、エタノール精製機からのエタノールを供給し;(14)電解槽及び非自己熱酸化的改質システムが、エタノール精製機の発酵及び蒸留装置に廃熱を輸送するように構成され;及び(15)エタノール精製機及び非自己熱酸化的改質システムのそれぞれからのCO2ガスを受け入れるように構成されたCO2処理又は炭素捕捉システムにおいてCO2ガスを処理する。
【0150】
[00179] 本開示の様々な他の実施形態において、実施形態1について上に規定される特徴(1)~(17)のいずれか1つ以上及び実施形態2について上に規定される特徴(1)~(15)のいずれか1つ以上が、本開示のさらなる実施形態として、本明細書の段落[0010]~[0017]に記載される本開示のシステム及び方法において独立して実装され得る。
【符号の説明】
【0151】
[00180] 本開示の図面の図面参照符号のリストが、以下に示される。
10 水素ガス生成システム
11 非自己熱酸化的改質システム
12 非自己熱酸化的改質システム
14 低温電解システム
16 水-エタノール供給ライン
18 原料混合機
20 熱交換器
22 原料送達ライン
24 熱交換器
26 煙道ガスライン
28 非自己熱酸化的改質反応器
30 非自己熱酸化的改質反応器排出ライン
32 バーナー
33 バーナー酸素/空気供給ライン
34 低温水性ガスシフト反応器
36 低温水性ガスシフト反応器排出ライン
38 水素ガス清浄器
40 水素ガス排出ライン
42 排ガス排出ライン
44 酸素供給ライン
46 二酸化炭素回収槽
48 二酸化炭素排出ライン
49 再利用水排出ライン
50 給水源
52 給水ポンプ
54 浄水器/清浄器
56 酸素-水相分離及び供給槽
58 給水ライン
60 水循環ポンプ
62 熱交換器
64 イオン交換器
66 PEM電解槽
68 酸素排出ライン
70 酸素デミスター槽
72 酸素排出ライン
73 酸素貯蔵槽
74 流量制御弁
76 水素出力ライン
78 気液分離槽
80 水素送達ライン
82 水素デミスター槽
84 熱交換器
86 凝縮物トラップ
88 流量制御弁
90 水素ガス貯蔵器
92 水素圧縮機
94 水素排出ライン
96 水素供給ライン
98 流量制御弁
100 水素ガス生成システム
102 高温固体酸化物電解槽
104 水素/水蒸気排出ライン
106 酸素/水蒸気排出ライン
108 熱交換器
110 補給水供給ライン
112 熱交換器
114 酸素/水分離器
116 熱交換器
118 熱交換器
120 熱回収アセンブリ
122 ノックアウトポット
124 水素排出ライン
126 高温電解システム
128 電解槽再利用ライン
130 流量制御弁
132 プロセス制御器
134 双方向信号伝達ライン
136 双方向信号伝達ライン
140 プロセス制御器
142 双方向信号伝達ライン
144 双方向信号伝達ライン
【0152】
[0069] 本開示は、特定の態様、特徴及び例示的な実施形態に関連して本明細書に記載されているが、本開示の有用性は、このように限定されず、本明細書における説明に基づいて、本開示の技術分野の当業者に示唆されるように、多くの他の変形、変更及び代替的な実施形態に及び、それらを包含することが理解されるであろう。それに対応して、以後、権利請求される本開示は、その趣旨及び範囲内の全てのこのような変形、変更及び代替的な実施形態を含むものとして、広く理解及び解釈されることが意図される。
【国際調査報告】