(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】深部皮膚薬物送達のためのスピロノラクトンの医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/585 20060101AFI20241128BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20241128BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20241128BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20241128BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20241128BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20241128BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20241128BHJP
A61M 35/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61K31/585
A61P17/14
A61K9/10
A61K47/14
A61K47/38
A61P17/10
A61K9/70
A61M35/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527793
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 US2022049545
(87)【国際公開番号】W WO2023086471
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518194257
【氏名又は名称】アーキュティス・バイオセラピューティクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【氏名又は名称】寺地 拓己
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】オズボーン,デビッド・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】トフィク,ババク・エヌ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C267
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA25
4C076AA27
4C076AA71
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD61
4C076EE32
4C076FF34
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA13
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA23
4C086MA63
4C086NA05
4C086ZA89
4C086ZA92
4C267AA62
4C267AA72
4C267CC02
4C267EE08
4C267GG16
(57)【要約】
毛包脂腺単位へのスピロノラクトンの局所投与のための医薬組成物およびそれを投与するための方法。医薬組成物は、水中のスピロノラクトンのサブミクロン粒子の水性懸濁液を含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピロノラクトンの一次粒度分布が、約6μm未満のD90値を特徴とする、治療上有効な量のスピロノラクトンまたは薬学的に許容されるその塩;および
水
を含む医薬組成物。
【請求項2】
水性懸濁液である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
約0.10%w/w~約7.5%w/wのスピロノラクトンまたはその塩を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
スルホコハク酸ジオクチルナトリウムをさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
ヒドロキシルプロピルセルロースをさらに含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
スピロノラクトンの一次粒度分布が、約1μm未満のD90値を特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
スピロノラクトンの一次粒度分布が、約0.25μm未満のD90値を特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
スピロノラクトンの一次粒度分布が、約2.7μm未満のD50値を特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
スピロノラクトンの一次粒度分布が、約1.2μm未満のD10値を特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
局所製剤である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
懸濁液を含むウエットティッシュもしくはワイプを含む小袋、噴霧剤もしくは泡状物質を含むポンプ、スポンジを備えた流量制御塗布器、または滴下器もしくは滴下ボトルからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物を含む包装。
【請求項12】
スピロノラクトンの一次粒度分布が、約6μm未満のD90値を特徴とする、治療上有効な量のスピロノラクトンまたは薬学的に許容されるその塩;
スルホコハク酸ジオクチルナトリウム;
ヒドロキシルプロピルセルロース;および
水
から本質的になる医薬組成物。
【請求項13】
水性懸濁液である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
約0.10%w/w~約7.5%w/wのスピロノラクトンまたはその塩、約0.01%w/w~約1%w/wのスルホコハク酸ジオクチルナトリウム、および約0.01%~約1.5%w/wのヒドロキシルプロピルセルロースを含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
スピロノラクトンの一次粒度分布が、約1μm未満のD90値を特徴とする、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項16】
スピロノラクトンの一次粒度分布が、約0.25μm未満のD90値を特徴とする、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項17】
スピロノラクトンの一次粒度分布が、約2.7μm未満のD50値を特徴とする、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項18】
スピロノラクトンの一次粒度分布が、約1.2μm未満のD10値を特徴とする、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項19】
懸濁液を含むウエットティッシュもしくはワイプを含む小袋、噴霧剤もしくは泡状物質を含むポンプ、スポンジを備えた流量制御塗布器、または滴下器もしくは滴下ボトルからなる群から選択される、請求項12に記載の医薬組成物を含む包装。
【請求項20】
局所製剤である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項21】
毛髪または皮膚の状態を治療することを必要とする対象における毛髪または皮膚の状態を治療する方法であって、
前記対象に、(a)スピロノラクトンの一次粒度分布が、約6μm未満のD90値を特徴とする、治療上有効な量のスピロノラクトンまたは薬学的に許容されるその塩;および(b)水を含む医薬組成物を局所的に投与することを含み、
前記毛髪または皮膚の状態が、ざ瘡、円形脱毛症、または男性型脱毛症からなる群から選択される、
方法。
【請求項22】
スピロノラクトンが、毛包脂腺単位に送達される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
スピロノラクトンが、前記対象において少なくとも1mmの皮膚浸透を達成する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記医薬組成物が水性懸濁液である、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物が、約0.10%w/w~約7.5%w/wのスピロノラクトンまたはその塩を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物が、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物が、ヒドロキシルプロピルセルロースをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2021年11月11日に出願され、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許仮出願第63/278,377号の優先権を主張するものである。
【0002】
[0002]本明細書で開示される主題は、概して、毛包脂腺単位への薬物の局所投与のためのスピロノラクトンの医薬組成物およびそれを投与するための方法に関する。本明細書中に開示される通り、本発明の発明者らは、水に懸濁されたスピロノラクトンの小粒子を含む医薬組成物が、局所投与後に、毛包脂腺単位を標的とし得るという驚くべき発見をした。
【背景技術】
【0003】
[0003]薬物の経皮送達および局所送達は、他の投与経路と比較して、種々の利点を有する。経皮送達および局所送達は、体循環へと継続的に薬物を送達し、初回通過代謝を回避するために使用され得る。それとは対照的に、経口薬物送達では、薬物を早期に代謝することができる肝臓の顕著な初回通過効果がある。滅菌製品でなければならず、痛みを伴うことがあるために対象によるノンコンプライアンスの割合が増加する静脈内投与を上回る利点も、経皮送達および局所送達は有する。一方で、経皮送達は、非滅菌であってよく、非侵襲的であり得、自己投与され得る。
【0004】
[0004]従来の薬物送達システムは、経表皮送達経路を介した投与に重点を置かれていた。Andrea C.Lauerら、Transfollicular Drug Delivery、Pharmaceutical Research12:2(1995)。皮膚は、主に4つの層から構成される:(a)角質層(生育不能な表皮)、(b)生育可能な表皮、(c)真皮、および(d)皮下組織。皮膚は、皮膚表面下の皮下脂肪組織へと3mmを超えて伸長することもある硬毛および真皮へと1mm未満で伸長する、細くて、しばしば認識されない体毛である軟毛の形態で付属器も含有している。毛包、毛幹、および毛包に潤滑油状物質を分泌する脂線が、毛包脂腺単位として知られるものを構成している。角質層は、薬物の浸透における主な経路として従来みなされてきたが、これは、経皮吸収の主な障壁でもある。過去には、研究者らが、薬物送達における毛包脂腺単位の重要性を疑問視してきた。
【0005】
[0005]しかし、より最近では、毛包脂腺単位の潜在的役割および薬物の経皮送達のための代替機構が検討されている。Amit Vermaら、Transfollicular drug delivery:current perspectives、Research and Reports in Transdermal Drug Delivery(2016年4月20日)。哺乳動物の毛包は、複雑な動的構造であり、そこでは特有の生化学的反応および免疫反応が生じている。毛包脂腺単位は、薬物送達のための許容範囲内の標的であり得るが、毛包脂腺単位への薬物送達にはいくつかの課題が存在する。毛包脂腺単位への薬物送達に関連する課題の1つは、深さ約10~20μmに広がる角質層および深さ約80μmに広がる上部毛細管網を回避する必要性である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]現時点では、毛包脂腺単位へと約1,000μm~2,000μm、真皮により深く浸透する能力がある医薬組成物の必要性が存在する。毛包脂腺単位を介して薬物を投与する新規の医薬組成物および方法の必要性は、いまだに満たされていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本発明は、毛包脂腺単位への薬物の局所投与のためのスピロノラクトンの医薬組成物およびそれを投与するための方法に関する。医薬組成物は、水に懸濁されたスピロノラクトンの小粒子を含む。本発明の発明者らは、スピロノラクトンの水性懸濁液が、局所投与後に、毛包脂腺単位を標的とし得ることを驚くべきことに特定した。
【0008】
[0008]本発明の特定の実施形態において、治療上有効な量のスピロノラクトンまたは薬学的に許容されるその塩および水を含む医薬組成物が提供される。スピロノラクトンは、D90値が約6μm未満、約1μm未満、またはより好ましくは、約0.25μm未満であることを特徴とする一次粒度分布を有し得る。スピロノラクトンは、D50値が約2.7μm未満、約0.75μm未満、またはより好ましくは、約0.15μm未満であることを特徴とする一次粒度分布をさらに有し得る。スピロノラクトンは、D10値が約1.2μm未満、約0.50μm未満、またはより好ましくは、約0.10μm未満であることを特徴とする一次粒度分布をさらに有し得る。
【0009】
[0009]特定の実施形態において、医薬組成物は、約0.10%w/w~約7.5%w/wのスピロノラクトンまたはその塩を含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、約0.5%w/w~約5%w/wのスピロノラクトンまたはその塩を含み得る。特定の実施形態において、医薬組成物は、水性懸濁液である。特定の実施形態において、医薬組成物は、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムおよび/またはヒドロキシルプロピルセルロースをさらに含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、約0.01%w/w~約1%w/wのスルホコハク酸ジオクチルナトリウムおよび/または約0.01%~約1.5%w/wのヒドロキシルプロピルセルロースを含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、局所製剤である。
【0010】
[00010]特定の実施形態において、医薬組成物は、対象の毛包脂腺単位にスピロノラクトンを送達する能力がある。特定の実施形態において、医薬組成物は、対象において少なくとも1mm、好ましくは、対象において約2または3mmの皮膚浸透を達成する能力がある。
【0011】
[00011]本発明の特定の実施形態において、治療上有効な量のスピロノラクトンまたは薬学的に許容されるその塩、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ヒドロキシルプロピルセルロース、および水から本質的になるか、またはそれらからなる医薬組成物が提供される。スピロノラクトンは、D90値が約6μm未満、約1μm未満、またはより好ましくは、約0.25μm未満であることを特徴とする一次粒度分布を有し得る。スピロノラクトンは、D50値が約2.7μm未満、約0.75μm未満、またはより好ましくは、約0.15μm未満であることを特徴とする一次粒度分布をさらに有し得る。スピロノラクトンは、D10値が約1.2μm未満、約0.50μm未満、またはより好ましくは、約0.10μm未満であることを特徴とする一次粒度分布をさらに有し得る。
【0012】
[00012]特定の実施形態において、医薬組成物は、約0.10%w/w~約7.5%w/wのスピロノラクトンまたはその塩を含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、約0.5%w/w~約5%w/wのスピロノラクトンまたはその塩を含み得る。特定の実施形態において、医薬組成物は、水性懸濁液である。特定の実施形態において、医薬組成物は、約0.01%w/w~約1%w/wのスルホコハク酸ジオクチルナトリウムおよび約0.01%~約1.5%w/wのヒドロキシルプロピルセルロースを含む。
【0013】
[00013]特定の実施形態において、医薬組成物は、対象の毛包脂腺単位にスピロノラクトンを送達する能力がある。特定の実施形態において、医薬組成物は、対象において少なくとも1mm、好ましくは、対象において約2または3mmの皮膚浸透を達成する能力がある。
【0014】
[00014]特定の実施形態において、医薬組成物は、懸濁液を含むウエットティッシュもしくはワイプ(wipe)を含む小袋、噴霧剤もしくは泡状物質を含むポンプ、スポンジを備えた流量制御塗布器(control flow applicator)、または滴下器もしくは滴下ボトルからなる群から選択される包装で提供される。
【0015】
[00015]本発明の特定の実施形態において、皮膚または毛髪の障害を治療することを必要とする対象における皮膚または毛髪の障害を治療する方法が提供される。特定の実施形態において、皮膚または毛髪の障害は、ざ瘡、円形脱毛症、または男性型脱毛症である。特定の実施形態において、対象は、男性または女性である。ざ瘡を治療するための特定の実施形態において、対象は、女性である。方法は、対象に、本明細書に記載されるスピロノラクトンの医薬組成物を局所的に投与することを含む。本発明の方法において、スピロノラクトンまたはその塩は、毛包脂腺単位に送達され得る。本明細書に開示される方法において、医薬組成物の投与は、対象において少なくとも1mm、好ましくは、対象において約2または3mmのスピロノラクトンの皮膚浸透をもたらすことができる。
【0016】
[00016]本明細書に組み入れられ、本開示の一部を形成する添付の図面は、本発明の種々の実施形態を例証することに役立ち、その記載と共に、当業者が本明細書に開示される実施形態を作成し、使用することを可能にするために、本発明を説明する役割をさらに果たしている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】[00017]0.05%スルホコハク酸ジオクチル(DOSS)および1.0%ヒドロキシルプロピルセルロースを含む水中でナノ粉砕された5.0%スピロノラクトンの懸濁液中のスピロノラクトンの粒度分布を示す図である。
【
図2】[00018]シクロメチコン中5%スピロノラクトン懸濁液の粉砕であって、ローラー粉砕され、D90が約5μm未満である懸濁液を形成した粉砕の完了後の保存2週間後に撮影された顕微鏡写真である。
【
図3】[00019]シクロメチコンおよびスルホコハク酸ジオクチルナトリウムの94.5:0.5wt:wt混合液中5%スピロノラクトン懸濁液の粉砕であって、ローラー粉砕され、D90が約5μm未満である懸濁液を形成した粉砕の完了後の保存2週間後に撮影された顕微鏡写真である。
【
図4】[00020]例示的な水性懸濁製剤(製剤1)、エマルジョン1、エマルジョン2、および比較用ゲル製剤(実施例2でさらに詳細に記載される通り)に関して、セルあたり5.0μL(皮膚組織1cm
2あたり10mg)の単回投与後24時間にわたりレセプター溶液中に現われたスピロノラクトンの累積量を示す図である。
【
図5】[00021]例示的な水性懸濁製剤(製剤1)、エマルジョン1、エマルジョン2、および比較用ゲル製剤(実施例2に記載される通り)に関して、24時間後における表皮および真皮中のスピロノラクトンの量(ng)を示す図である。
【
図6】[00022]8つの例示的な製剤(実施例3に記載のS1~S7および実施例2に記載の製剤1)に関して、セルあたり5.0μL(皮膚組織1cm
2あたり10mg)の単回投与後24時間にわたりレセプター溶液中に現われたスピロノラクトンの平均量を示す図である。
【
図7】[00023]8つの例示的な製剤(実施例3に記載のS1~S7および実施例2に記載の製剤1)に関して、24時間後における表皮および真皮中のスピロノラクトンの量(ng)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[00024]本発明が以下で詳細に説明される前に、本明細書に記載される特定の方法論、プロトコール、および試薬は、変更される場合があるため、本発明が、それらに限定されるものではないことは理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみに対するものであり、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるであろう本発明の範囲を制限することを意図していないことも理解されるべきである。別段の定めがない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0019】
[00025]本明細書に引用されるすべての公報、特許、および特許出願は、特に明記しない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。同じ用語が、公報、特許、または特許出願および参照によって本明細書に組み込まれる本開示で定義されている場合、本開示における定義は、支配的な定義を表す。特定の種類の化合物、化学的性質などを説明するために参照される公報、特許、および特許出願に関して、このような化合物、化学的性質などに関連する部分は、参照によって本明細書に組み込まれる文献の部分である。
【0020】
[00026]本明細書で使用する場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。このため、例えば、「有効成分」は、1種の成分および2種以上の異なる成分を含み、「硫酸塩」は、1種の硫酸塩に加えて2種以上の異なる硫酸塩を含む。
【0021】
[00027]数値に関連して使用される場合、「約」という用語は、示唆された数値を5%下回る下限と、示唆された数値を5%上回る上限を有する範囲内の数値を包含することが意図されている。
【0022】
[00028]「有効な」という用語は、疾患症状の重症度の低下、疾患の無症状期間の頻度の増加および持続期間の延長、または疾患の苦痛による機能障害もしくは能力低下の予防をもたらすために十分な量である化合物、薬剤、物質、製剤、または組成物の量を指す。量は、単独か、または他の化合物、薬剤、もしくは物質と組み合わせた単回用量としての量である場合や、または複数回の用量レジメンに従った量である場合がある。当業者は、対象の大きさ、対象の症状の重症度、および選択された特定の組成物または投与経路のような要因に基づくこのような量を決定することができるであろう。
【0023】
[00029]「薬学的に許容される」とは、ヒトまたは動物への投与が一般的に安全であることを意味する。好ましくは、薬学的に許容される成分は、動物、より具体的にはヒトへの使用に関して、連邦もしくは州政府の規制当局によって承認されているか、またはUnited States Pharmacopeial Convention, Inc.、Rockville Md.によって公布されている米国薬局方もしくは他の一般的に認知されている薬局方に掲載されているものである。
【0024】
[00030]本発明による「医薬組成物」は、異なる有効成分ならびに希釈剤および/もしくは担体が、互いに混合されている組成物の形態で存在してもよいか、または有効成分が部分的に別れているか、もしくは完全に別れている形態で存在する組み合わされた調製の形態をとってもよい。このような組合せまたは組み合わされた調製に関する例は、複数の成分から成るキットである。
【0025】
[00031]本明細書で使用する場合、「対象」または「患者」という用語は、最も好ましくは、ヒトを指す。「対象」または「患者」という用語は、本明細書に記載される化合物から利益を得る可能性のある任意の哺乳動物を含んでもよい。
【0026】
[00032]「治療量」または「治療上有効な量」は、意図された目的を達成するために十分な治療剤の量である。所定の治療剤の有効量は、薬剤の性質、投与経路、治療剤を投与される対象の大きさ、および投与の目的のような要因によって変動するであろう。それぞれ個々の事例における有効量は、当該分野で確立された方法に従い、当業者によって経験的に決定される場合がある。
【0027】
[00033]薬物または組成物の投与に対する「局所の」という用語は、皮膚または角膜を含む身体の外側である上皮表面への、このような薬物または組成物の適用を指す。この適用に関して、口、膣、または直腸のような、その粘膜表面が毛包脂腺単位を含有しない身体の開口部の内側への適用は、局所適用とみなされない。
【0028】
[00034]本明細書で使用する場合、疾患または障害について「治療する」、「治療すること」、または「治療」は、以下のうちの1つまたは複数を達成することを意味する:(a)障害の重症度の低下および/または持続期間の短縮;(b)治療中の障害の特徴的な症状の発生の制限または予防;(c)治療中の障害の特徴的な症状の悪化の阻止;(d)過去に障害を有していた対象における障害の再発の制限または予防;(e)過去に障害に関わる症状を示していた対象における症状の再発の制限または予防;および(f)対象における障害の特徴的な症状または障害に関連する症状の改善。
【0029】
[00035]略記「w/w」は、体積または他の量に基づくものではなく、「重量に対する重量」(すなわち、百分率は総重量の百分率を指す)として、組成物中の成分の相対濃度を表す。
【0030】
[00036]本発明は、毛包脂腺単位への薬物の局所投与のためのスピロノラクトンの医薬組成物およびそれを投与するための方法に関する。医薬組成物は、スピロノラクトンの小粒子および水を含む。特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、毛包脂腺単位にその医薬品有効成分を送達する能力がある。特定の実施形態において、医薬品有効成分は、対象において少なくとも1mmの皮膚浸透を達成する能力がある。
【0031】
[00037]本発明の特定の実施形態において、医薬組成物は、アルドステロン(aldosternone)アゴニストであり、スピロノラクトンとしても知られている17-ヒドロキシ-7α-メルカプト-3-オキソ-17α-プレグナ-4-エン-21-カルボン酸γ-ラクトンアセテートを含む。スピロノラクトンの構造は:
【0032】
【0033】
である。
【0034】
[00038]スピロノラクトンは、鉱質コルチコイド受容体レベルにおいて、アルドステロンの結合を、競合的に阻害することによって作用する薬物である。このステロイド系化合物は、浮腫を軽減し、本態性高血圧症および原発性高アルドステロン症を治療するために、腎臓の遠位尿細管におけるアルドステロン依存性ナトリウム輸送を遮断するために使用されてきた。経口投与されたスピロノラクトンは、ざ瘡を有する女性の治療においても有効である。E.M.Attwaら、Efficacy and safety of topical spironolactone 5% gel versus placebo in the treatment of acne vulgaris、J.Dermatol.Venerol.39:89~94(2019);J.W.Charnyら、Spironolactone for the treatment of acne in women,a retrospective study of 110 patients、Int.J.Womens Dermatol.3(2):111~115(2017)。スピロノラクトンは、商品名ALDACTONE(登録商標)およびCAROSPIR(登録商標)で市販されている。スピロノラクトンは、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第3,013,012号で開示されている。
【0035】
[00039]本発明において、医薬組成物は、局所的に投与される。医薬組成物は、遊離塩基または薬学的に許容される塩としてのスピロノラクトンであり得る。適当な薬学的に許容される塩は、参照によって本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、Mack Publishing Company(1985)に見出すことができる。
【0036】
[00040]医薬は、小粒子またはサブミクロン粒子として、有効成分(すなわち、スピロノラクトン)を含むことができる。薬物の粒径は、レーザー回折法を使用して評価され得る。レーザー回折は、ISOおよびASTMを含む規格および指導機関によって承認され、粒度分布を求めるために広く使用される。評価の実施において、サンプルをレーザー光線に通し、これによって、レーザー光が様々な角度に散乱する。固定された角度に設置された複数の検出器が、その位置で散乱された光の強度を測定する。次に、数学モデルが適用され、粒度分布を作成する。本明細書に報告される粒径値は、液体分散法または湿式分散法を使用することによって求められる。
【0037】
[00041]粒径測定において、中央値は、母集団の半分がこの点より上にあり、半分がこの点より下にある値として定義される。粒度分布において、その中央値は、D50と称されている。D50は、この直径の上半分と下半分に分布を分けるサイズである。この分布幅は、x軸上の1つ、2つ、または3つの値、典型的には、D10、D50、およびD90のいくつかの組合せを引用することによっても特徴付けられ得る。D50、すなわち中央値は、母集団の半分がこの値より下にある直径として上記で定義されている。同様に、分布の90パーセントは、D90より下にあり、母集団の10パーセントは、D10より下にある。
【0038】
[00042]特定の実施形態において、医薬組成物は、D90値が約6μm未満、約5μm未満、約2μm未満、約1μm未満、約0.5μm未満、約0.25μm未満、またはより好ましくは、約0.2μm未満であることを特徴とする一次粒度分布を有するスピロノラクトンを含む。特定の実施形態において、スピロノラクトンは、D90値が約0.001μm、0.01μm、または0.1μmから約0.2μm、0.25μm、0.5μm、1μm、2μm、5μm、または6μmの間にあることを特徴とする一次粒度分布を有する。
【0039】
[00043]スピロノラクトンは、D50値が約2.7μm未満、約2.0μm未満、約1.0μm未満、約0.75μm未満、0.5μm、約0.25μm未満、約0.2μm未満、またはより好ましくは、約0.15μm未満であることを特徴とする一次粒度分布をさらに有し得る。特定の実施形態において、スピロノラクトンは、D50値が約0.001μm、0.01μm、または0.1μmから約0.15μm、0.2μm、0.25μm、0.5μm、0.75μm、1.0μm、2.0μm、または2.7μmの間にあることを特徴とする一次粒度分布を有する。
【0040】
[00044]スピロノラクトンは、D10値が約1.2μm未満、約1.0μm未満、約0.5μm未満、約0.25μm未満、約0.15μm未満、約0.10μm未満、またはより好ましくは、約0.08μm未満であることを特徴とする一次粒度分布をさらに有し得る。特定の実施形態において、スピロノラクトンは、D10値が約0.0001μm、0.001μm、または0.01μmから約0.10μm、0.15μm、0.25μm、0.5μm、1.0μm、または1.2μmの間にあることを特徴とする一次粒度分布を有する。
【0041】
[00045]特定の実施形態において、医薬組成物は、有効成分(すなわち、スピロノラクトン)が水に懸濁されている懸濁液である。特定の実施形態において、医薬組成物は、約90%~99%w/wの間の水を含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、スピロノラクトン、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ヒドロキシルプロピルセルロース、および水から本質的になるか、またはそれらからなる。特定の実施形態において、医薬組成物は、追加の増粘剤または保存剤を含まない。
【0042】
[00046]特定の実施形態において、医薬組成物は、美容用および医薬用局所製品で従来みられる成分を含む追加の成分と共に製剤化されてもよい。特定の実施形態において、追加の成分は、医薬組成物の3%、2%、1%、または0.5%w/w以下で含まれる。
【0043】
[00047]特定の実施形態において、医薬組成物は、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムをさらに含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、ヒドロキシルプロピルセルロースをさらに含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、約0.01%w/w~約1%w/wのスルホコハク酸ジオクチルナトリウムおよび/または約0.01%~約1.5%w/wのヒドロキシルプロピルセルロースを含む。
【0044】
[00048]特定の実施形態において、医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP K30)、ポロキサマー407のようなポロキサマー、およびポリソルベート80のようなポリソルベートのうちの1種または複数をさらに含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、約0.1%~約1.5%のHPMCを含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、約0.1%~約1.5%のPVP K30を含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、約0.1%~約1.5%のポロキサマー407を含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、約0.1%~約1.5%のポリソルベート80を含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシルメチルセルロースナトリウム(NaCMC)、および微結晶セルロースのような薬学的に許容されるセルロースポリマーを含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、約0.1%~約1.5%のセルロースポリマーを含む。
【0045】
[00049]界面活性剤
[00050]特定の実施形態において、医薬組成物は、1種もしくは複数の界面活性剤または共界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤には、以下に限定されないが、短鎖アルコール、アルカンジオールおよびアルカントリオール、アルキルリン酸エステル、ポリエチレングリコールおよびポリエチレングリコールエーテル、商品名Brij S2、Brij S20、Brij 721、Brij 38、Brij 52、Brij 56、およびBrij W1で販売されているものを含むポリエチレンステアリルエーテル、ピロリジン誘導体、胆汁酸塩、ソルビタン脂肪酸エステル、ならびにポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが含まれる。好ましい実施形態において、界面活性剤は、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムである。
【0046】
[00051]ポリマーおよび増粘剤
[00052]特定の実施形態において、医薬組成物は、天然および合成ポリマーのような不溶性有機ポリマー増粘剤またはアクリル酸コポリマー、カルボマー1382、カルボマーコポリマータイプB、カルボマーホモポリマータイプA、カルボマーホモポリマータイプB、カルボマーホモポリマータイプC、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、カルボキシビニルコポリマー、カルボキシメチルセルロース、カルボキシポリメチレン、カラギーナン、グアーガム、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶ワックス、およびメチルセルロースのような無機増粘剤を含んでもよい。
【0047】
[00053]追加の成分
[00054]特定の実施形態において、医薬組成物は、美容用および医薬用局所製品で従来みられる担体および賦形剤のような追加の成分を含んでもよい。以下に限定されないが、抗酸化剤(例えば、BHT、BHA、アスコルビン酸、トコフェロール、クエン酸、没食子酸プロピル、メタ重亜硫酸ナトリウム)、金属イオン封鎖剤、安定剤、緩衝剤、pH調整剤(好ましくは、酸性pHとなる薬剤であって、以下に限定されないが、グルコノラクトン(gluconolatone)、クエン酸、乳酸、およびアルファヒドロキシ酸が含まれる)、皮膚浸透促進剤、皮膚保護剤(以下に限定されないが、ワセリン、パラフィンワックス、ジメチコーン、モノイソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、セチルアルコール、セチルリン酸カリウム、ベヘン酸セチル、およびベヘン酸を含む)、キレート剤、懸濁化剤(例えば、キサンタンガム)、着色料、顔料、希釈剤、香料、および安定性または美感を改善するための他の賦形剤を含む追加の成分が、組成物に加えられてもよい。
【0048】
[00055]投与および投与量
[00056]本発明は、本明細書に記載される医薬組成物のうちの1つの投与に関わる治療の方法をさらに提供する。この治療の方法は、スピロノラクトンで治療されることが知られている障害を患っている対象を治療するために使用され得る。特定の実施形態において、方法は、ざ瘡、脱毛症(円形脱毛症およびアンドロゲン性脱毛症を含む)、男性型脱毛症、多毛症、酒さ、およびそれらの組合せからなる群から選択される皮膚または毛髪の障害を患っている対象を治療するためのものである。方法は、対象に、治療上有効な量の本明細書に記載されるスピロノラクトンの医薬組成物を局所的に投与することを伴う。
【0049】
[00057]特定の実施形態において、本発明は、ざ瘡を治療することを必要とする対象におけるざ瘡を治療する方法を提供する。方法は、ざ瘡を治療することを必要とする対象におけるざ瘡を、本明細書に記載されるスピロノラクトン(sprinolactone)の組成物を対象に投与することによって、治療することを含み得る。ざ瘡は、顔、胸部、および背中に位置する毛包脂腺単位の障害である。ざ瘡は、ざ瘡、尋常性ざ瘡、炎症性ざ瘡、非炎症性ざ瘡、電撃性ざ瘡、結節性丘疹膿疱ざ瘡、集簇性ざ瘡、酒さ性ざ瘡、酒さ、自傷性ざ瘡、成人発症性ざ瘡、10代を過ぎた後の持続的-再発性ざ瘡、他の障害と関連するざ瘡からなる群から選択される1種であり得る。特定の実施形態において、対象は、男性または女性対象である。好ましい実施形態において、対象は、女性である。さらに、対象は、(a)月経と周期をなすざ瘡の再燃を経験している場合があるか、(b)高アンドロゲン症の臨床的もしくは検査的な徴候がなくても、成人発症性ざ瘡もしくは10代を過ぎた後の持続的-再発性ざ瘡に苦しんでいる場合があるか、(c)経口避妊薬を服用中であり、特にホルモンパターンを臨床的に有する中等度から重度のざ瘡を呈している場合があるか、または(d)従来の治療法に反応せず、経口イソトレチノイン療法の候補ではない場合がある。
【0050】
[00058]特定の実施形態において、本発明は、脱毛症を治療することを必要とする対象における脱毛症を治療する方法を提供する。方法は、脱毛症を治療することを必要とする対象における脱毛症を、本明細書に記載されるスピロノラクトンの組成物を対象に投与することによって、治療することを含み得る。脱毛症は、円形脱毛症またはアンドロゲン性脱毛症を含む脱毛症の任意の形態であり得る。円形脱毛症という点から、この障害を治療することは、抜け毛を回復させることか、または予防することを含む。
【0051】
[00059]特定の実施形態において、本発明は、男性型脱毛症を治療することを必要とする対象における男性型脱毛症を治療する方法を提供する。方法は、男性型脱毛症を治療することを必要とする対象における男性型脱毛症を、本明細書に記載されるスピロノラクトンの組成物を対象に投与することによって、治療することを含み得る。
【0052】
[00060]上記の実施形態において、治療することを必要とする対象を治療するための方法は、治療上有効な量の本明細書に記載されるスピロノラクトン医薬組成物を、対象に局所的に適用することを含む。特定の実施形態において、有効成分であるスピロノラクトンは、治療上有効な量で投与され得る。特定の実施形態において、スピロノラクトンの量は、約0.01%w/w~約10%w/w、または約0.01%w/w~約7.5%w/w、または約0.01%w/w~約5%w/w、または約0.1%w/w~約3%w/wの範囲であり得る。例示的な範囲は、約0.1%w/w~約10%w/w、または約0.1%w/w~約7.5%w/w、または約0.1%w/w~約5%w/w、または約0.1%w/w~約3%w/w、または約1.0%w/w~約5.0%w/w、または約0.3%w/w~約5.0%w/wである。例えば、局所製剤は、以下のw/wパーセントのいずれかのスピロノラクトンを含む:0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、7%、1.8%、1.9%、1.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、5.0%、5.1%、5.2%、5.3%、5.4%、5.5%、5.6%、5.7%、5.8%、5.9%、6.0%、6.1%、6.2%、6.3%、6.4%、6.5%、6.6%、6.7%、6.8%、6.9%、7.0%、7.1%、7.2%、7.3%、7.4%、7.5%など。
【0053】
[00061]特定の実施形態において、医薬組成物は、一定の間隔でのようなレジメン通りに、局所的に投与される。例えば、局所医薬組成物は、1日1回、1日2回、1日3回、週1回、週2回、週3回、または週4回投与され得る。医薬組成物は、処方された期間投与され得る。例えば、局所医薬組成物は、約2週間~少なくとも約6カ月間の期間か、または皮膚状態または疾患の改善が視認されるまで投与され得る。治療レジメンの例示的な期間として、2週間、1カ月間、6週間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、または1年間が挙げられる。好ましい実施形態において、局所医薬組成物は、少なくとも3カ月間、4カ月間、5カ月間、もしくは6カ月間の期間、1日2回または3回投与される。
【0054】
[00062]医薬組成物を含む包装
[00063]本明細書に記載されるスピロノラクトン医薬組成物は、例えば、アエロゾル、滴下器、ゲル、パッチ、ポンプスプレー、塗布器、ウエットティッシュ、またはワイプを含み、皮膚への局所適用に適した形態に製剤化され得る。本発明は、本明細書に記載される医薬組成物のうちの1種を含む包装をさらに提供する。包装は、目的の適用に最も適していると当業者に理解されるであろう種々の色、素材、およびサイズで調達されてもよい。
【0055】
[00064]特定の実施形態において、包装は、本明細書に記載されるスピロノラクトン医薬組成物のうちの1種を含むウエットティッシュまたはワイプを含む小袋である。特定の実施形態において、ワイプまたはウエットティッシュは、約129.0~258.1cm2(20~40平方インチ)、約161.2~225.8cm2(25~35平方インチ)、または約193.5cm2(30平方インチ)である。特定の実施形態において、ウエットティッシュまたはワイプは、約12.7cm(5インチ)×15.24cm(6インチ)である。特定の実施形態において、ウエットティッシュまたはワイプは、約6~8mLのスピロノラクトン組成物、約6~7.5mL、約6.5~7.5mLのスピロノラクトン組成物、または約7mLのスピロノラクトン組成物を含む。特定の実施形態において、ウエットティッシュまたはワイプは、ウエットティッシュ(towellete)またはワイプの6.45cm2(1平方インチ)あたり約0.2~0.4mL、約0.2~約0.3mL、または約0.25mLのスピロノラクトン組成物を含む。
【0056】
[00065]特定の実施形態において、包装は、本明細書に記載されるスピロノラクトン組成物のうちの1種を含む泡状物質または噴霧剤を含む機械式ポンプである。特定の実施形態において、ポンプは、スピロノラクトン泡状物質を含むポリエチレンテレフタレート製機械式ポンプである。特定の実施形態において、ポンプは、スピロノラクトン懸濁液を含むミスト噴霧器を用いた澄明なガラスまたはプラスチックのボトルを備えた噴霧器ポンプである。
【0057】
[00066]特定の実施形態において、包装は、本明細書に記載されるスピロノラクトン組成物のうちの1種を含む滴下器またはスポイト瓶である。特定の実施形態において、ボトルは、滴下チップ有する低密度ポリエチレン(「LDPE」)ボトルである。
【0058】
[00067]特定の実施形態において、包装は、本明細書に記載されるスピロノラクトン組成物のうちの1種を含み、スポンジを備えた流量制御塗布器を含む。流量制御塗布器は、当該分野で知られている任意の流量制御塗布器であってよく、例えば、Dab-O-Matic(登録商標)によって製造されているものを含む。流量制御塗布器は、白色のナイロンまたはポリエチレンで作られたものを含む種々のカバーまたはキャップであって、ネオプレンスポンジの上を覆う種々のカバーまたはキャップを含み得る。特定の実施形態において、ポリエチレンカバーは、中等度の流量を可能にし、塗布器のヘッドを詰まらせることなくより大きな粒子を分注することを可能にする。スプリングは、分注される製品の量を変えるために、高密度または低密度ポリエチレン素材のいずれかで作製され得る。
【0059】
[00068]以下の実施例は、これらに限定されないが、本発明の特定の実施形態を例示する。
【実施例】
【0060】
[00069]種々の実施形態が、上記で説明されてきたが、それらは例としてのみ示されており、限定するものではないことは、理解されるべきである。このため、本開示の幅および範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれかによって制限されるべきではない。加えて、上記の要素の考えられるすべての変形の任意の組合せは、本明細書で別段の指示がない限り、または明らかに文脈に矛盾しない限り、本開示に包含される。
【0061】
[00070]実施例1
[00071]0.5%スルホコハク酸ジオクチルナトリウムおよび1%ヒドロキシルプロピルセルロースを含有する5%スピロノラクトンの50mg/mL水性懸濁液を、首尾よくナノ粉砕し、5℃および周辺光にて2週間保存後に、安定したサブミクロン粒子である薬物粒子の懸濁液を形成した。このスピロノラクトンは、
図1に明記されている粒度分布を有していた。Horiba Laser Scattering Particle Size Distribution Analyzer Model LA-950を使用して、スピロノラクトンの体積基準の分布プロファイルを求めた。循環、撹拌、および超音波をすべて止め、この機器を取扱説明書の反復モードに設定した。
【0062】
[00072]実施例2
[00073]0.05%~0.055%スルホコハク酸ジオクチルナトリウムおよび1.0~1.1%ヒドロキシルプロピルセルロースを含有する水中5.0%~5.5%スピロノラクトン懸濁液を、ナノ粉砕し、
図1に示される粒度分布を得た。最終製品の懸濁液の組成は、製剤1として表1に記載されている。エマルジョン1として表1に開示されている賦形剤を混合することによって、エマルジョンを形成した。SEPINEO(商標)P600は、Seppic Inc.、Fairfield NJによって流通されている増粘し、乳化し、安定化させるポリマー、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン&ポリソルベート80である。表1は、シクロメチコン油相が、シクロメチコン中5%スピロノラクトン懸濁液であるエマルジョン1であって、ローラー粉砕されて、
図2(粉砕完了後2週間の保存後に撮影された顕微鏡写真)に示される通り、D90が約5μm未満である懸濁液を形成したエマルジョン1の最終組成を列挙している。表1は、シクロメチコン油相が、シクロメチコンとスルホコハク酸ジオクチルナトリウムの94.5:0.5wt:wt混合液中5%スピロノラクトン懸濁液であるエマルジョン2であって、ローラー粉砕されて、
図3(粉砕完了後2週間の保存後に撮影された顕微鏡写真)に示される通り、D90が約5μm未満である懸濁液を形成したエマルジョン2の最終組成も列挙している。文献に記載されている比較用ゲル製剤が調製され、比較用ゲルとして表1に記載されている。(Attwa EM、Ibrahim AM、Abd El-Halim MF、Mahmoud HM、Efficacy and safety of topical spironolactone 5%gel versus placebo in the treatment of acne vulgaris、Egypt J Dermatol Venerol(2019);39:89~94。)
【0063】
【0064】
[00075]in vitro皮膚浸透試験(IVPT)を使用して、異なる製剤が、摘出されたヒト皮膚を、いかに速やかに通るかを測定した。ヒトの死体皮膚は、2名のドナーから入手された(白人女性年齢=48平均厚さ580μmにダーマトームで採取された腹部皮膚およびヒスパニック男性年齢=50平均厚さ910μmにダーマトームで採取された腹部皮膚)。ダーマトームで採取された皮膚は、米国組織銀行から凍結されたまま入手され、使用されるまで-20℃で保存された。皮膚を、0.503cm2(直径8mm)の拡散面積および0.01%硫酸ゲンタマイシンを含有する3.0mLの水中4%BSAで満たされ、32℃に温度調節されたレセプターチャンバーを有する垂直型Franzセルに載せた。容積式ピペットを使用して、5マイクロリットルの各製剤を、それぞれのFranzセルに投与した(1平方センチメートルの皮膚あたり10mg)。有効なLC-MS/MS(Kinetex C18、5μm、2.1×50mmカラム、Shimadzu LC20ADXRポンプおよびAB Sciex API4000 Turbo Spray検出器)を使用して、レセプター溶液を分析した。レセプター溶液中の測定されたスピロノラクトンの累積量は、4回の反復IVPT測定の平均値である。
【0065】
[00076]皮膚への投与24時間後、その表皮および真皮に保持されたスピロノラクトンのレベルを求めるために、吸収されず、浸透されなかったすべてのスピロノラクトンを皮膚表面から取り除いた。これは、1×PBSで湿らせたQ-tipを用いた組織表面の3回の拭き取り、続く2回のテープ剥離によって達成された。表皮(角質層を含む)を、真皮から切り離し、orbit振盪器を使用して、4.0mLのDMSO/アセトニトリル(ACN)(50/50v/v)混合液に、室温で一晩浸した。残りの真皮層を、小片に切って、orbit振盪器を使用して、4.0mLのDMSO/ACN混合液を用い、室温で一晩抽出した。有効なLC-MS/MS(Kinetex C18、5μm、2.1×50mmカラム、Shimadzu LC20ADXRポンプおよびAB Sciex API4000 Turbo Spray検出器)を使用して、真皮および表皮の抽出物を分析した。
【0066】
[00077]
図4は、製剤1、エマルジョン1、エマルジョン2、および比較用ゲルに関して、セルあたり5.0μL(皮膚組織1cm
2あたり10mg)の単回投与後24時間にわたりレセプター溶液中に現われたスピロノラクトンの累積量を示す。
図4において、プロットされた各値は、摘出されたヒト皮膚の個別の4つの小片の平均値である。
図5は、製剤1、エマルジョン1、エマルジョン2、および比較用ゲルに関して、24時間後における表皮および真皮中のスピロノラクトンの量(ng)を示す。
図5にみられるように、5%溶解スピロノラクトンを含む比較用ゲルは、5%スピロノラクトン水懸濁液または2種のエマルジョン製剤のうちのいずれかよりも、より多くのスピロノラクトンを、摘出されたヒト皮膚を通して送達した。しかし、溶解されたスピロノラクトンを有する比較用ゲルまたは懸濁されたスピロノラクトンのサブミクロン粒子を有するシリコン油エマルジョンと比較して、水性懸濁液では、表皮(毛包脂腺単位の漏斗部の位置)へのスピロノラクトンの著しく多い蓄積が
図5でみられる。表皮および真皮における高レベルのAPIは、スピロノラクトンが、毛包脂腺単位を標的としており、水性懸濁液からの著しく大きな濾胞状蓄積を有する(製剤1ではD90<0.5μm)ことを示唆する。
【0067】
[00078]実施例3
[00079]0.05%~0.055%スルホコハク酸ジオクチルナトリウムおよび1.0~1.1%ヒドロキシルプロピルセルロースを含有する水中5.0%~5.5%スピロノラクトン懸濁液を、ナノ粉砕して、
図1に示される粒度分布を得た。この水性懸濁液に、表2に示される通り、異なる保存剤、増粘剤、およびエタノールを加えた。表2に明記される通り、7種の異なる製剤(S1~S7)を調製した。
【0068】
【0069】
[00081]in vitro皮膚浸透試験(IVPT)を使用して、異なる製剤が、摘出されたヒト皮膚を、いかに速やかに通るかを測定した。ヒトの死体皮膚は、2名のドナーから入手された(白人女性年齢=44平均厚さ710μmにダーマトームで採取された腹部皮膚および白人女性年齢=48平均厚さ578μmにダーマトームで採取された腹部皮膚)。ダーマトームで採取された皮膚は、米国組織銀行から凍結されたまま入手され、使用されるまで-20℃で保存された。皮膚を、0.503cm2(直径8mm)の拡散面積および0.01%硫酸ゲンタマイシンを含有する3.0mLの水中4%BSAで満たされ、32℃に温度調節されたレセプターチャンバーを有する垂直型Franzセルに載せた。容積式ピペットを使用して、5マイクロリットルの各製剤を、それぞれのFranzセルに投与した(1平方センチメートルの皮膚あたり10mg)。有効なLC-MS/MS(Kinetex C18、5μm、2.1×50mmカラム、Shimadzu LC20ADXRポンプおよびAB Sciex API4000 Turbo Spray検出器)を使用して、レセプター溶液を分析した。レセプター溶液中の測定されたスピロノラクトンの累積量は、4回の反復IVPT測定の平均値である。
【0070】
[00082]皮膚への投与24時間後、その表皮および真皮に保持されたスピロノラクトンのレベルを求めるために、吸収されず、浸透されなかったすべてのスピロノラクトンを皮膚表面から取り除いた。これは、1×PBSで湿らせたQ-tipを用いた組織表面の3回の拭き取り、続く2回のテープ剥離によって達成された。表皮(角質層を含む)を、真皮から切り離し、orbit振盪器を使用して、4.0mLのDMSO/アセトニトリル(ACN)(50/50v/v)混合液に、室温で一晩浸した。残りの真皮層を、小片に切って、orbit振盪器を使用して、4.0mLのDMSO/ACN混合液を用い、室温で一晩抽出した。有効なLC-MS/MS(Kinetex C18、5μm、2.1×50mmカラム、Shimadzu LC20ADXRポンプおよびAB Sciex API4000 Turbo Spray検出器)を使用して、真皮および表皮の抽出物を分析した。
【0071】
[00083]
図6は、S1~S7および製剤1(実施例2に記載される通り)に関して、セルあたり5.0μL(皮膚組織1cm
2あたり10mg)の単回投与後24時間にわたりレセプター溶液中に現われたスピロノラクトンの平均量を示す。
図6において、プロットされた各値は、摘出されたヒト皮膚の個別の4つの小片の平均値である。
図6は、S1~S7および製剤1(実施例4に記載される通り)に関して、24時間後における表皮および真皮中のスピロノラクトンの量(ng)を示す。
図7は、水性懸濁液(製剤1)の局所投与後に、
図1に明記されるのと同じ粒度分布を有する7種の他の製剤(S1~S7)と比較して、表皮および真皮にスピロノラクトンの著しく多い蓄積が存在することを示す。このデータは、保存剤またはゲル化剤を加えるといったわずかな変更でさえも、懸濁されたスピロノラクトンが毛包脂腺単位を標的とする能力を不活化することを示唆する。
【0072】
[00084]実施例4
[00085]スピロノラクトン懸濁液のワイプを含む小袋を準備した。個々のワイプおよび小袋を、製品包装の2種の異なる銘柄のバルクロールから切り取った(包装タイプ「A」および「B」)。小袋を、紙(外側)/箔(内側)ラミネートロール材の3つの縁を熱溶着することによって形成した。包装タイプAは、5.08cm(2インチ)×9.525cm(3.75インチ)の小袋の形態であり、包装タイプBは、6.35cm(2.5インチ)×7.62cm(3インチ)の小袋の形態であった。寸法が12.7cm(5インチ)×15.24(6インチ)であるワイプを、アコーディオン形状に5.5回折り、次に半分に折り、対応する小袋に入れ、包装の最後の縁を熱溶着した。
【0073】
[00086]0.055%スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、1.1%ヒドロキシルプロピルセルロース、0.10%メチルパラベン、および0.01%プロピルパラベンを含有する水中5.49%スピロノラクトンナノサイズ懸濁液の1バッチを調合した。12.7cm(5インチ)×15.24(6インチ)のワイプに、3.9mLまたは7.8mLのいずれかのスピロノラクトン懸濁液を投入し、その小袋の封をし、完成したユニットを、制御された室温(「CRT」)で、試験前の2日間以上(「NLT」)保存した。ウエットティッシュに投入された5.49%懸濁液の測定値と比較して、ワイプから直接絞り出した液体を試験することによって、ワイプから首尾よく回収できたスピロノラクトンの量を求めるため、ワイプを測定に供した。スピロノラクトン懸濁液3.9mLを投入された包装タイプAおよびBからの2枚のワイプならびにスピロノラクトン懸濁液7.8mLを投入された包装タイプAからの2枚のワイプを、手で絞り、得られた液体を、スピロノラクトン含有量に関して測定した。
【0074】
[00087]表3にみられるように、いくらかの水が、不織布ウエットティッシュ素材の繊維に浸透し、ウエットティッシュの表面上にスピロノラクトンを沈着させる。投入されたウエットティッシュを絞ることで、不織布素材が完全には「乾燥」しないため、ウエットティッシュを絞る間に、繊維内からの水のすべてが回収されるわけではない。繊維内に過剰な水が吸着されないため、不織布素材の表面に付着したすべての薬物粒子を完全に剥離するには不十分な水が繊維から絞り出される。これによって、3.9mLの5.49%スピロノラクトンを、単回使用の小袋包装内のウエットティッシュに投入した場合、絞ったウエットティッシュから、懸濁されたスピロノラクトンの約80%が回収された。しかし、7.8mLのスピロノラクトンナノサイズ懸濁液を、ウエットティッシュに投入した場合、十分な水が、不織布繊維内に吸着され、表面に付着された薬物粒子を、ウエットティッシュから、対象の皮膚に塗布された薬物製品に類似する絞り出された製品に押し出す。3.9mLと7.8mLの投入体積のいずれも、局所用スピロノラクトンウエットティッシュ製品にとって最適ではないが(回収されるスピロノラクトンの理想的な%は、95%~105%の範囲内であろう)、実施例4は、最適投与体積は、約7mLである可能性があり、12.7cm(5インチ)×15.24(6インチ)に対する3.9mLの投入体積は、100%のスピロノラクトンを回収するためには不十分であることを実証した。
【0075】
【0076】
[00089]実施例5
[00090]スピロノラクトン懸濁液を含む澄明なポリエチレンテレフタレート(PET)泡状化ポンプを準備した。0.055%スルホコハク酸ジオクチル(diocytl)ナトリウム、1.1%ヒドロキシルプロピルセルロース、1.00%ポロキサマー407、0.10%メチルパラベン、および0.01%プロピルパラベンを含有する水中4.94%(w/w)スピロノラクトンナノサイズ懸濁液の1バッチを調合した。このバッチを、澄明で機械的なポリエチレンテレフタレート(PET)泡状化ポンプに充填した。APIを再懸濁するために振盪する前および後に、分注前の製品のサンプルを採取した。振盪を行った後、いくつかのポンプの製品を、小数点第4位の天秤で風袋計量した計量ポートに分注し、メスフラスコに直接入れた。フラスコに入れた製品の量を、重量の差異によって求めた。3つすべてのサンプルを測定して、そのAPI濃度を求めた。この結果は、表4に明記される。これらの結果に基づき、機械的な泡状化ポンプから分注される場合、分注された製品のAPI濃度は、有害な影響を受けないが、APIが均一に分散されていることを確実にするため、ユニットは、分注前に振盪されていなければならない。
【0077】
【0078】
[00092]実施例6
[00093]ネオプレンスポンジの上に白色のナイロンカバーが付いており、Dab-O-Matic(登録商標)によって製造された低用量スプリングを備え、スピロノラクトン懸濁液を含む流量制御塗布器を準備した。0.055%スルホコハク酸ジオクチル(diocytl)ナトリウム、1.1%ヒドロキシルプロピルセルロース、0.10%メチルパラベン、および0.01%プロピルパラベンを含有する水中4.99%(w/w)スピロノラクトンナノサイズ懸濁液の1バッチを調合した。このバッチを、40mLの高密度ポリエチレン(「HDPE」)ボトルに充填し、器具からスプリングを取り外した塗布器のヘッドで蓋をした。このボトルを、分注前に振盪し、三又の調整可能なクランプを備えたリングスタンドに固定した。ガラスビーカーを、塗布器のヘッドの下に置き、分注された製品を回収した。調整可能なクランプを締めて、ボトルに対して万力として働かせ、分注された製品を回収した。
【0079】
[00094]最初のバッチおよび分注された製品の両方からのサンプルを、塗布器のヘッド上のスポンジおよびカバーが、分注された製品のスピロノラクトン濃度に対して悪影響を有するかどうかを判断するための測定試験に供した。この結果は、表5に明記される。これらの結果に基づき、分注された製品のAPI濃度は、流量制御塗布器のヘッドを介して分注された場合に、有害な影響を受けなかった。
【0080】
【0081】
[00096]実施例7
[00097]低密度ポリエチレン(「LDPE」)の29.57mL(1オンス)丸型ボトルの滴下器であって、LDPE製の制御された滴下チップを備え、スピロノラクトン懸濁液を含む滴下器を準備した。0.055%スルホコハク酸ジオクチルナトリウムおよび1.1%ヒドロキシルプロピルセルロースを含む水中5.5%(w/w)スピロノラクトンナノサイズ懸濁液の1バッチを、滴下ボトルに充填した。滴下チップを、ボトルの首部にしっかりと固定した。分注前に、APIが十分に懸濁されていることを確実にするため、ボトルを10秒間以上振盪した。3.5gのサンプルを、ガラスバイアルに直接分注した。最初のバッチからの個別のサンプルを、別のガラスバイアルに同時に充填し、分注前のバッチのAPI濃度とした。
【0082】
[00098]分注前および分注後に採取されたサンプルを、制御された滴下チップが、分注された製品のスピロノラクトン濃度に対して悪影響を有するかどうかを判断するための測定試験に供した。この結果は、表6に明記される。これらの結果に基づき、本タイプの滴下ボトルの封を介して分注された場合、分注された製品のAPI濃度は、有害な影響を受けなかった。
【0083】
【0084】
[000100]実施例8
[000101]噴霧量が0.14ccであるプラスチック製の細かい霧の噴霧器を備え、スピロノラクトン懸濁液を含む澄明なガラスの29.57mL(1オンス)丸型ボトルを準備した。0.055%スルホコハク酸ジオクチルナトリウムおよび1.1%ヒドロキシルプロピルセルロースを含む水中5.5%(w/w)スピロノラクトンナノサイズ懸濁液の1バッチを、ガラスボトルに充填した。プラスチック製ポンプ噴霧器を、ボトルにねじ込んで取り付けた。分注前に、APIが十分に懸濁されていることを確実にするため、ボトルを10秒間以上振盪した。3.5gのサンプルを、ガラスバイアルに直接分注した。最初のバッチからの個別のサンプルを、別のガラスバイアルに同時に充填し、分注前のバッチのAPI濃度とした。
【0085】
[000102]分注前および分注後に採取されたサンプルを、ポンプ噴霧器が、分注された製品のスピロノラクトン濃度に対して悪影響を有するかどうかを判断するための測定試験に供した。この結果は、表7に明記される。これらの結果に基づき、本タイプのポンプ噴霧器を介して分注された場合、分注された製品のAPI濃度は、有害な影響を受けなかった。
【0086】
【0087】
[000104]前述の説明は、例示および説明の目的で提示されている。この説明は、本発明を、開示されている詳細な形態に限定することを意図されない。当業者は、この発明の基礎的な説明の変更および代替が行われる可能性があることを理解するであろう。
【国際調査報告】