(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】SIRP1A及びCD40Lベースのキメラタンパク質
(51)【国際特許分類】
A61K 38/17 20060101AFI20241128BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241128BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20241128BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20241128BHJP
G01N 33/536 20060101ALI20241128BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20241128BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20241128BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20241128BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20241128BHJP
【FI】
A61K38/17
A61P35/00
G01N33/53 D
G01N33/53 M
G01N33/543 545A
G01N33/536 D
C07K19/00 ZNA
C12N15/09 Z
C12N15/62 Z
C07K16/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527845
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 US2022079702
(87)【国際公開番号】W WO2023086929
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2022-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519302132
【氏名又は名称】シャタック ラボ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パンディット、アランダシー
(72)【発明者】
【氏名】ランワーラ、ファティマ
(72)【発明者】
【氏名】ランプキン、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュライバー、テイラー
(72)【発明者】
【氏名】フロム、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】デ シルヴァ、サレシュ
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA41
4C084CA53
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA75
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、部分的には、がんの免疫療法などの疾患の治療に利用可能なキメラタンパク質を含む組成物及び方法に関する。
【選択図】
図10A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象におけるがんの治療方法であって、前記方法が、
(i)N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造であって、
式中、
(a)が、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、
(b)が、前記第1のドメイン及び第2のドメインに隣接するリンカーであり、前記リンカーが、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、
(c)が、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである、前記一般構造を有するキメラタンパク質の第1の用量を前記ヒト対象に投与することと、
ここで、前記第1の用量の投与前に前記対象から採取した投与前生体試料中の細胞のバックグラウンドレベルが測定されており、前記細胞が、CD80+細胞、CD8+細胞、グランザイムB+細胞、CD68+細胞、Ki67+細胞、及びPD-L1+免疫細胞のうちの1つ以上から選択されるものであり、
(ii)投与後の前記細胞のレベルが前記細胞の前記バックグラウンドレベルよりも高い場合に、前記ヒト対象に前記キメラタンパク質の第2の用量を投与することと、を含み、
前記第1の用量の投与から少なくとも約48時間後に前記第2の用量を投与する、前記方法。
【請求項2】
前記生体試料が、血液、血漿、血清、血球、涙液、涙、骨髄、腹水、組織または細針生検試料、細胞含有体液、浮遊核酸、痰、唾液、尿、脳脊髄液、腹水、胸水、糞便、リンパ液、婦人科液、皮膚スワブ、膣スワブ、口腔スワブ、鼻腔スワブ、洗浄または洗浄液、吸引物、掻爬物、骨髄標本、生検標本、及び外科標本から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生体試料が、生検試料または外科標本であり、任意選択で、前記生体試料が、腫瘍生検試料または腫瘍外科標本である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記腫瘍生検試料または腫瘍外科標本が、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、皮膚扁平上皮癌(CSCC)、及び頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)から選択される腫瘍に由来する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞のレベルを、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記試料を、CD80、CD8、グランザイムB、CD68、Ki67、及びPD-L1のうちの1つ以上に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、前記細胞のレベルを測定する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の分子に特異的に結合する前記薬剤が、抗体またはその断片である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗体が、組換え抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはそれらの断片である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記試料を、CD80、CD8、グランザイムB、CD68、Ki67、及びPD-L1の1つ以上をコードする1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、前記細胞のレベルを測定する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
1つ以上の前記核酸に特異的に結合する前記薬剤が、核酸プライマーまたはプローブである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ヒト対象におけるがんの治療方法であって、前記方法が、
(i)N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造であって、
式中、
(a)が、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、
(b)が、前記第1のドメイン及び第2のドメインに隣接するリンカーであり、前記リンカーが、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、
(c)が、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである、前記一般構造を有するキメラタンパク質の第1の用量を前記ヒト対象に投与することと、
ここで、前記第1の用量の投与前に前記対象から採取した第1の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性が測定されており、
前記第1の用量の投与後に前記対象から採取した第2の生体試料中の、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が測定されており、Nが、1~24の数値であり、前記投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、前記B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも低く、
前記第1の用量の投与後に前記対象から採取した第3の生体試料中の、投与からM日後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が測定されており、Mが、1~28の数値であり、
(ii)前記投与からM日後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、前記投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性に比べて少なくとも約50%高い場合に、前記ヒト対象に前記キメラタンパク質の第2の用量を投与することと、を含み、
前記第1の用量の投与から少なくとも約48時間後に前記第2の用量を投与する、前記方法。
【請求項12】
Nが、12未満、もしくは8未満、もしくは6未満、もしくは4未満、もしくは3未満、もしくは2未満、もしくは1未満であり、及び/または
Mが、21未満、もしくは14未満、もしくは12未満、もしくは10未満、もしくは8未満、もしくは6未満、もしくは4未満、もしくは2未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
Nが、12未満、もしくは8未満、もしくは6未満、もしくは4未満、もしくは3未満、もしくは2未満、もしくは1未満であり、及び
Mが、21未満、もしくは14未満、もしくは12未満、もしくは10未満、もしくは8未満、もしくは6未満、もしくは4未満、もしくは2未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、前記B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも高い、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、前記B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも低い、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、前記B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性の約10%、約20%、約30%、または約40%以内である、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の生体試料、前記第2の生体試料、及び前記第3の生体試料が、独立して、血液、血漿、血清、血球、涙液、涙、骨髄、腹水、組織または細針生検試料、細胞含有体液、浮遊核酸、痰、唾液、尿、脳脊髄液、腹水、胸水、糞便、リンパ液、婦人科液、皮膚スワブ、膣スワブ、口腔スワブ、鼻腔スワブ、洗浄または洗浄液、吸引物、掻爬物、骨髄標本、生検標本、及び外科標本から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の生体試料、前記第2の生体試料、及び前記第3の生体試料が血液である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する、請求項11~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記試料を、CD40及び/またはB細胞マーカーに特異的に結合する薬剤と接触させることによって、前記B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を測定する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記B細胞マーカーが、CD19、CD20、CD24、CD27、CD34、CD38、CD45R、CD86、CD95、IgM、IgD、及びCD40から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記1つ以上の分子に特異的に結合する前記薬剤が、抗体またはその断片である、請求項20または請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記抗体が、組換え抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはそれらの断片である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記試料を、CD40及び/またはB細胞マーカーをコードする1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、前記B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を測定する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記B細胞マーカーが、CD19、CD20、CD24、CD27、CD34、CD38、CD45R、CD86、CD95、IgM、IgD、及びCD40から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
1つ以上の前記核酸に特異的に結合する前記薬剤が、核酸プライマーまたはプローブである、請求項24または請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ヒト対象におけるがんの治療方法であって、前記方法が、
(i)N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造であって、
式中、
(a)が、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、
(b)が、前記第1のドメイン及び第2のドメインに隣接するリンカーであり、前記リンカーが、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、
(c)が、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである、前記一般構造を有するキメラタンパク質の第1の用量を前記ヒト対象に投与することと、
ここで、前記第1の用量の投与前に前記対象から採取した第1の生体試料中の、CCL2、CXCL9、CXCL10、IFNα、IL15、IL23、IL-12、MCP-1、MIP-1β、MIP-1α、及びMDCから選択されるサイトカインのバックグラウンド量及び/または活性が測定されており、
前記第1の用量の投与後に前記対象から採取した第2の生体試料中の、投与からN時間後の前記サイトカインの量及び/または活性が測定されており、Nが、1~24の数値であり、前記投与からN時間後の前記サイトカインの量及び/または活性が、前記サイトカインのバックグラウンド量及び/または活性よりも高く、
前記第1の用量の投与後に前記対象から採取した第3の生体試料中の、投与からM日後の前記サイトカインの量及び/または活性が測定されており、Mが、1~28の数値であり、
(ii)前記投与からM日後の前記サイトカインの量及び/または活性が、前記投与からN時間後の前記サイトカインの量及び/または活性に比べて少なくとも約30%低い場合に、前記ヒト対象に前記キメラタンパク質の第2の用量を投与することと、を含み、
前記第1の用量の投与から少なくとも約48時間後に前記第2の用量を投与する、前記方法。
【請求項28】
Nが、12未満、もしくは8未満、もしくは6未満、もしくは4未満、もしくは3未満、もしくは2未満、もしくは1未満であり、及び/または
Mが、21未満、もしくは14未満、もしくは12未満、もしくは10未満、もしくは8未満、もしくは6未満、もしくは4未満、もしくは2未満である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
Nが、12未満、もしくは8未満、もしくは6未満、もしくは4未満、もしくは3未満、もしくは2未満、もしくは1未満であり、及び
Mが、21未満、もしくは14未満、もしくは12未満、もしくは10未満、もしくは8未満、もしくは6未満、もしくは4未満、もしくは2未満である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記投与からN時間後の前記サイトカインの量及び/または活性が、前記サイトカインの前記バックグラウンド量及び/または活性よりも高い、請求項27~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記投与からN時間後の前記サイトカインの量及び/または活性が、前記サイトカインの前記バックグラウンド量及び/または活性よりも低い、請求項27~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記投与からN時間後の前記サイトカインの量及び/または活性が、前記サイトカインの前記バックグラウンド量及び/または活性の約10%、約20%、約30%、または約40%以内である、請求項27~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の生体試料、前記第2の生体試料、及び前記第3の生体試料が、独立して、血液、血漿、血清、血球、涙液、涙、骨髄、腹水、組織または細針生検試料、細胞含有体液、浮遊核酸、痰、唾液、尿、脳脊髄液、腹水、胸水、糞便、リンパ液、婦人科液、皮膚スワブ、膣スワブ、口腔スワブ、鼻腔スワブ、洗浄または洗浄液、吸引物、掻爬物、骨髄標本、生検標本、及び外科標本から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の生体試料、前記第2の生体試料、及び前記第3の生体試料が血液である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記サイトカインの量及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する、請求項27~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記試料を、前記サイトカインに特異的に結合する薬剤と接触させることによって、前記サイトカインの量及び/または活性を測定する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記1つ以上の分子に特異的に結合する前記薬剤が、抗体またはその断片であり、任意選択で、前記抗体が、組換え抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはその断片である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記試料を、前記サイトカインをコードする1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、前記サイトカインの量及び/または活性を測定する、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
1つ以上の前記核酸に特異的に結合する前記薬剤が、核酸プライマーまたはプローブである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第2の用量を、前記第1の用量の投与から少なくとも約3日、または少なくとも約4日、または少なくとも約5日、または少なくとも約6日、または少なくとも約7日、または少なくとも約8日、または少なくとも約9日、または少なくとも約10日、または少なくとも約14日、または少なくとも約21日、または少なくとも約28日後に投与する、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
治療を必要とする対象におけるがん治療の有効性の評価方法であって、前記対象が、がんに罹患しており、前記評価方法が、
(i)キメラタンパク質の第1の用量を受けている前記対象から生体試料を採取することと、
ここで、前記キメラタンパク質が、
N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、
式中、
(a)が、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、
(b)が、前記第1のドメイン及び第2のドメインに隣接するリンカーであり、前記リンカーが、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、
(c)が、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインであり、
前記第1の用量の投与前に前記対象から採取した生体試料中の細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性が測定されており、前記細胞が、CD80+細胞、CD8+細胞、グランザイムB+細胞、CD68+細胞、Ki67+細胞、及びPD-L1+免疫細胞のうちの1つ以上から選択されるものであり、
(ii)前記生体試料中の、投与後の前記細胞のレベル及び/または活性を測定することと、
(iii)前記投与後の前記細胞のレベル及び/または活性が、前記細胞の前記バックグラウンドレベル及び/または活性よりも高い場合に、前記キメラタンパク質が有効であると判定することと、を含む、前記評価方法。
【請求項42】
がん治療法による治療のための対象の選択方法であって、
(i)キメラタンパク質の第1の用量を受けている前記対象から生体試料を採取することと、
ここで、前記キメラタンパク質が、
N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、
式中、
(a)が、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、
(b)が、前記第1のドメイン及び第2のドメインに隣接するリンカーであり、前記リンカーが、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、
(c)が、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインであり、
前記第1の用量の投与前に前記対象から採取した生体試料中の細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性が測定されており、前記細胞が、CD80+細胞、CD8+細胞、グランザイムB+細胞、CD68+細胞、Ki67+細胞、及びPD-L1+免疫細胞のうちの1つ以上から選択されるものであり、
(ii)前記生体試料中の、投与後の前記細胞のレベル及び/または活性を測定することと、
(iii)前記投与後の前記細胞のレベル及び/または活性が、前記細胞の前記バックグラウンドレベル及び/または活性よりも高い場合に、前記キメラタンパク質による治療のために前記対象を選択することと、を含む、前記選択方法。
【請求項43】
前記生体試料が、血液、血漿、血清、血球、涙液、涙、骨髄、腹水、組織または細針生検試料、細胞含有体液、浮遊核酸、痰、唾液、尿、脳脊髄液、腹水、胸水、糞便、リンパ液、婦人科液、皮膚スワブ、膣スワブ、口腔スワブ、鼻腔スワブ、洗浄または洗浄液、吸引物、掻爬物、骨髄標本、生検標本、及び外科標本から選択される、請求項41または請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記生体試料が、生検試料または外科標本である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記生体試料が、腫瘍生検試料または腫瘍外科標本である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記腫瘍生検試料または腫瘍外科標本が、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、皮膚扁平上皮癌(CSCC)、及び頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)から選択される腫瘍に由来する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記細胞のレベルを、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する、請求項41~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記試料を、CD80、CD8、グランザイムB、CD68、Ki67、及びPD-L1から選択される1つ以上の分子に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、前記細胞のレベルを測定する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記1つ以上の分子に特異的に結合する前記薬剤が、抗体またはその断片である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記抗体が、組換え抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはそれらの断片である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記試料を、CD80、CD8、グランザイムB、CD68、Ki67、及びPD-L1の1つ以上をコードする1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、前記細胞のレベルを測定する、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
1つ以上の前記核酸に特異的に結合する前記薬剤が、核酸プライマーまたはプローブである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
治療を必要とする対象におけるがん治療の有効性の評価方法であって、前記対象が、がんに罹患しており、前記評価方法が、
(i)キメラタンパク質の第1の用量を受けている前記対象から採取される第1の生体試料を取得することと、
ここで、前記キメラタンパク質が、
N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、
式中、
(a)が、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、
(b)が、前記第1のドメイン及び第2のドメインに隣接するリンカーであり、前記リンカーが、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、
(c)が、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインであり、
(ii)前記第1の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性を測定することと、
(iii)投与からN時間後に前記対象から採取される第2の生体試料を取得し、ここでNが、1~24の数値であり、かつ前記第2の生体試料中の、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を測定することと、
(iv)投与からM日後に前記対象から採取される第3の生体試料を取得し、ここでMが、1~28の数値であり、かつ前記第3の生体試料中の、投与からM日後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を測定することと、
(v)前記投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、前記B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも低い場合、及び/または前記投与からM日後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、前記投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性に比べて少なくとも約50%高い場合に、前記キメラタンパク質が有効であると判定することと、を含む、前記評価方法。
【請求項54】
がん治療法による治療のための対象の選択方法であって、
(i)キメラタンパク質の第1の用量を受けている前記対象から採取される生体試料を取得することと、
ここで、前記キメラタンパク質が、
N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、
式中、
(a)が、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、
(b)が、前記第1のドメイン及び第2のドメインに隣接するリンカーであり、前記リンカーが、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、
(c)が、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインであり、
(ii)前記第1の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性を測定することと、
(iii)投与からN時間後に前記対象から採取される第2の生体試料を取得し、ここでNが、1~24の数値であり、かつ前記第2の生体試料中の、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を測定することと、
(iv)投与からM日後に前記対象から採取される第3の生体試料を取得し、ここでMが、1~28の数値であり、かつ前記第3の生体試料中の、投与からM日後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を測定することと、
(v)前記投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、前記B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも低い場合、及び/または前記投与からM日後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、前記投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性に比べて少なくとも約50%高い場合に、前記キメラタンパク質による治療のために前記対象を選択することと、を含む、前記選択方法。
【請求項55】
Nが、12未満、もしくは8未満、もしくは6未満、もしくは4未満、もしくは3未満、もしくは2未満、もしくは1未満であり、及び/または
Mが、21未満、もしくは14未満、もしくは12未満、もしくは10未満、もしくは8未満、もしくは6未満、もしくは4未満、もしくは2未満である、請求項53または請求項54に記載の方法。
【請求項56】
Nが、12未満、もしくは8未満、もしくは6未満、もしくは4未満、もしくは3未満、もしくは2未満、もしくは1未満であり、及び
Mが、21未満、もしくは14未満、もしくは12未満、もしくは10未満、もしくは8未満、もしくは6未満、もしくは4未満、もしくは2未満である、請求項53または請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、前記B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも高い、請求項53~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、前記B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも低い、請求項53~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、前記B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性の約10%、約20%、約30%、または約40%以内である、請求項53~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記第1の生体試料、前記第2の生体試料、及び前記第3の生体試料が、独立して、血液、血漿、血清、血球、涙液、涙、骨髄、腹水、組織または細針生検試料、細胞含有体液、浮遊核酸、痰、唾液、尿、脳脊髄液、腹水、胸水、糞便、リンパ液、婦人科液、皮膚スワブ、膣スワブ、口腔スワブ、鼻腔スワブ、洗浄または洗浄液、吸引物、掻爬物、骨髄標本、生検標本、及び外科標本から選択される、請求項53または請求項54に記載の方法。
【請求項61】
前記第1の生体試料、前記第2の生体試料、及び前記第3の生体試料が血液である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する、請求項53~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記試料を、CD40及び/またはB細胞マーカーに特異的に結合する薬剤と接触させることによって、前記B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を測定する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記B細胞マーカーが、CD19、CD20、CD24、CD27、CD34、CD38、CD45R、CD86、CD95、IgM、IgD、及びCD40から選択される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記1つ以上の分子に特異的に結合する前記薬剤が、抗体またはその断片である、請求項63または請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記抗体が、組換え抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはそれらの断片である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記試料を、CD40及び/またはB細胞マーカーをコードする1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、前記B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を測定する、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記B細胞マーカーが、CD19、CD20、CD24、CD27、CD34、CD38、CD45R、CD86、CD95、IgM、IgD、及びCD40から選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
1つ以上の前記核酸に特異的に結合する前記薬剤が、核酸プライマーまたはプローブである、請求項67または請求項68に記載の方法。
【請求項70】
治療を必要とする対象におけるがん治療の有効性の評価方法であって、前記対象が、がんに罹患しており、前記評価方法が、
(i)キメラタンパク質の第1の用量を受けている前記対象から採取される第1の生体試料を取得することと、
ここで、前記キメラタンパク質が、
N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、
式中、
(a)が、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、
(b)が、前記第1のドメイン及び第2のドメインに隣接するリンカーであり、前記リンカーが、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、
(c)が、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインであり、
(ii)前記第1の生体試料中の、CCL2、CXCL9、CXCL10、IFNα、IL15、IL23、IL-12、MCP-1、MIP-1β、MIP-1α、及びMDCから選択されるサイトカインのバックグラウンド量及び/または活性を測定することと、
(iii)投与からN時間後に前記対象から採取される第2の生体試料を取得し、ここでNが、1~24の数値であり、かつ前記第2の生体試料中の、投与からN時間後の前記サイトカインの量及び/または活性を測定することと、
(iv)投与からM日後に前記対象から採取される第3の生体試料を取得し、ここでMが、1~28の数値であり、かつ前記第3の生体試料中の、投与からM日後の前記サイトカインの量及び/または活性を測定することと、
(v)前記投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性が、前記サイトカインのバックグラウンド量及び/または活性よりも高い場合、及び/または前記投与からM日後のサイトカインの量及び/または活性が、前記投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性に比べて少なくとも約50%低い場合に、前記キメラタンパク質が有効であると判定することと、を含む、前記評価方法。
【請求項71】
がん治療法による治療のための対象の選択方法であって、
(i)キメラタンパク質の第1の用量を受けている前記対象から採取される生体試料を取得することと、
ここで、前記キメラタンパク質が、
N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、
式中、
(a)が、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、
(b)が、前記第1のドメイン及び第2のドメインに隣接するリンカーであり、前記リンカーが、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、
(c)が、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインであり、
(ii)前記第1の生体試料中の、CCL2、CXCL9、CXCL10、IFNα、IL15、IL23、IL-12、MCP-1、MIP-1β、MIP-1α、及びMDCから選択されるサイトカインのバックグラウンド量及び/または活性を測定することと、
(iii)投与からN時間後に前記対象から採取される第2の生体試料を取得し、ここでNが、1~24の数値であり、かつ前記第2の生体試料中の、投与からN時間後の前記サイトカインの量及び/または活性を測定することと、
(iv)投与からM日後に前記対象から採取される第3の生体試料を取得し、ここでMが、1~28の数値であり、かつ前記第3の生体試料中の、投与からM日後の前記サイトカインの量及び/または活性を測定することと、
(v)前記投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性が、前記サイトカインのバックグラウンド量及び/または活性よりも高い場合、及び/または前記投与からM日後のサイトカインの量及び/または活性が、前記投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性に比べて少なくとも約50%低い場合に、前記キメラタンパク質による治療のために前記対象を選択することと、を含む、前記選択方法。
【請求項72】
Nが、12未満、もしくは8未満、もしくは6未満、もしくは4未満、もしくは3未満、もしくは2未満、もしくは1未満であり、及び/または
Mが、21未満、もしくは14未満、もしくは12未満、もしくは10未満、もしくは8未満、もしくは6未満、もしくは4未満、もしくは2未満である、請求項70または請求項71に記載の方法。
【請求項73】
Nが、12未満、もしくは8未満、もしくは6未満、もしくは4未満、もしくは3未満、もしくは2未満、もしくは1未満であり、及び
Mが、21未満、もしくは14未満、もしくは12未満、もしくは10未満、もしくは8未満、もしくは6未満、もしくは4未満、もしくは2未満である、請求項70または請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記投与からN時間後の前記サイトカインの量及び/または活性が、前記サイトカインのバックグラウンド量及び/または活性よりも高い、請求項70~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記投与からN時間後の前記サイトカインの量及び/または活性が、前記サイトカインのバックグラウンド量及び/または活性よりも低い、請求項70~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記投与からN時間後の前記サイトカインの量及び/または活性が、前記サイトカインのバックグラウンド量及び/または活性の約10%、約20%、約30%、または約40%以内である、請求項70~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記第1の生体試料、前記第2の生体試料、及び前記第3の生体試料が、独立して、血液、血漿、血清、血球、涙液、涙、骨髄、腹水、組織または細針生検試料、細胞含有体液、浮遊核酸、痰、唾液、尿、脳脊髄液、腹水、胸水、糞便、リンパ液、婦人科液、皮膚スワブ、膣スワブ、口腔スワブ、鼻腔スワブ、洗浄または洗浄液、吸引物、掻爬物、骨髄標本、生検標本、及び外科標本から選択される、請求項70または請求項71に記載の方法。
【請求項78】
前記第1の生体試料、前記第2の生体試料、及び前記第3の生体試料が血液である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記サイトカインの量及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する、請求項70~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記試料を、前記サイトカインに特異的に結合する薬剤と接触させることによって、前記サイトカインの量及び/または活性を測定する、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記1つ以上の分子に特異的に結合する前記薬剤が、抗体またはその断片である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記抗体が、組換え抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはそれらの断片である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記試料を、前記サイトカインをコードする1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、前記サイトカインの量及び/または活性を測定する、請求項79に記載の方法。
【請求項84】
1つ以上の前記核酸に特異的に結合する前記薬剤が、核酸プライマーまたはプローブである、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記キメラタンパク質の前記第1の用量が、約0.03mg/kg~10mg/kgの範囲である、請求項1~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記第1の用量が、約0.003、または約0.01、または約0.03、または約0.1、または約0.3、または約1、または約2、または約3、または約4、または約6、または約8、または約10mg/kgである、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記キメラタンパク質の第2の用量を投与することをさらに含む、請求項41~86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記第2の用量を、前記第1の用量の投与から少なくとも約3日、または少なくとも約4日、または少なくとも約5日、または少なくとも約6日、または少なくとも約7日、または少なくとも約8日、または少なくとも約9日、または少なくとも約10日、または少なくとも約14日、または少なくとも約21日、または少なくとも約28日後に投与する、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記キメラタンパク質の前記第2の用量が、約0.03mg/kg~10mg/kgの範囲である、請求項87または請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記第2の用量が、約0.003、または約0.01、または約0.03、または約0.1、または約0.3、または約1、または約2、または約3、または約4、または約6、または約8、または約10mg/kgである、請求項87~89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記第1のドメインが、CD172a(SIRPα)リガンドに結合することができる、請求項1~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記第1のドメインが、CD172a(SIRPα)の細胞外ドメインの実質的にすべてを含む、請求項1~91のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
前記第2のドメインが、CD40受容体に結合することができる、請求項1~92のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
前記第2のドメインが、CD40Lの細胞外ドメインの実質的にすべてを含む、請求項1~93のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
前記リンカーが、IgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、請求項1~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記リンカーが、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記リンカーが、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1~96のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記第1のドメインが、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1~97のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
前記第2のドメインが、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1~98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
(a)前記第1のドメインが、配列番号57のアミノ酸配列を含み、
(b)前記第2のドメインが、配列番号58のアミノ酸配列を含み、
(c)前記リンカーが、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1~99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
前記キメラタンパク質が、配列番号5または配列番号7のアミノ酸配列をさらに含む、請求項1~100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記キメラタンパク質が、配列番号5及び配列番号7のアミノ酸配列をさらに含む、請求項1~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記キメラタンパク質が、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1~102のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
前記キメラタンパク質が、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記キメラタンパク質が、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列に関して、1つ、または2つ、または3つ、または4つ、または5つ、または6つ、または7つ、または8つのアミノ酸変異を含む、請求項103または請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記ヒト対象が、進行した固形腫瘍またはリンパ腫に罹患しているか、または罹患していると疑われる、請求項1~105のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
前記ヒト対象が、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、皮膚扁平上皮癌(CSCC)、及び頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)から選択されるがんに罹患しているか、または罹患していると疑われる、請求項1~106のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
前記ヒト対象が、1つ以上のプラチナベースの治療に失敗している、請求項1~107のいずれか1項に記載の方法。
【請求項109】
前記ヒト対象が、さらなるプラチナ療法について不適格である、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記ヒト対象が、プラチナ療法について不適格である、請求項1~108のいずれか1項に記載の方法。
【請求項111】
前記ヒト対象が、同時化学療法、免疫療法、生物学的療法またはホルモン療法を受けておらず、及び/または前記ヒト対象が、標準療法を受けているか、耐性があるか、または不適格であり、及び/または前記がんに標準治療と見なされる承認済みの治療法がない、請求項1~100のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、特に、用量、二相性投与を含む投与計画、または3サイクルを含む投与計画を含む、がんの免疫療法などの疾患の治療に用いられるキメラタンパク質を含む組成物及び方法に関する。
【0002】
優先権
本出願は、2021年11月12日に出願された米国仮出願第63/278,567号、及び2022年8月11日に出願された米国仮出願第63/371,083号の利益及び優先権を主張し、それぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0003】
配列表
本出願は、EFS-Web経由でXML形式にて提出された配列表を含む。2022年11月9日に作成された「SHK-055PC_116981-5055_Sequence_Listing」という名称のXMLコピーの内容は、サイズが82,547バイトであり、その内容の全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0004】
がん免疫療法の分野は、ここ数年で飛躍的に成長している。これは主に、多くの腫瘍型におけるチェックポイント分子ファミリー(例えば、CTLA-4及びPD-1/L1)を標的とする抗体の臨床的有効性によって推進されてきた。しかしながら、この成功にもかかわらず、これらの薬剤を単独療法として臨床的に反応を示す患者は少数(様々な固形腫瘍で10~45%)であり、これらの治療は副作用によって妨げられている。
【0005】
合理的な用量の選択と投与計画の最適化は臨床的に重要であり、患者の服薬コンプライアンスを高め、最大限の臨床的有用性を得るための前提条件である。投与計画の開発は、通常、動物モデルで実施される薬物動態/薬力学試験に依存する。しかしながら、免疫療法はがん細胞に対して直接的な抗増殖作用を発揮するのではなく、腫瘍免疫を利用することが期待されるため、一部の動物研究では一般的にマウスの代替物が使用され、薬物動態/薬力学試験は利用できない。さらに、医師は、患者の腫瘍の免疫原性、病期、及び身体状態に基づいて免疫療法の投与計画を変更する場合がある。したがって、投与及びレジメンを開発するための新たな戦略が必要である。
【発明の概要】
【0006】
したがって、様々な態様において、本開示は、がん免疫療法の用量及び投与計画を開発するための戦略の開発に有用な組成物及び方法を提供する。本開示は、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質の投与後に腫瘍微小環境(TME)においてCD80+細胞、CD8+細胞、グランザイムB+細胞、CD68+細胞、Ki67+細胞、及びPD-L1+免疫細胞が増加するという発見、B細胞及び/またはCD40+細胞が投与後数時間以内に末梢血から辺縁趨向し、数日以内に末梢血に戻るという発見、ならびにSIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質の投与後、特定の血清サイトカインのレベルが投与後数時間以内に増加し、数日以内に減少するという発見に部分的に基づいている。
【0007】
本開示の一態様は、ヒト対象におけるがんの治療方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)ヒト対象に、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有するキメラタンパク質の第1の用量を投与することを含み、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、第1の用量の投与前に対象から採取した投与前生体試料中の細胞のバックグラウンドレベルが測定されており、マーカーは、CD80+細胞、CD8+細胞、グランザイムB+細胞、CD68+細胞、Ki67+細胞、及びPD-L1+免疫細胞のうちの1つ以上から選択される。ある実施形態では、本方法はさらに、投与後の細胞のレベルが細胞のバックグラウンドレベルよりも高い場合に、ヒト対象にキメラタンパク質の第2の用量を投与することを含む。ある実施形態では、第1の用量の投与から少なくとも約48時間後に第2の用量を投与する。ある実施形態では、生体試料は、生検試料または外科標本である。ある実施形態では、生体試料は、腫瘍生検試料または腫瘍外科標本である。ある実施形態では、細胞のレベルを、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。
【0008】
本開示の一態様は、ヒト対象におけるがんの治療方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)ヒト対象に、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有するキメラタンパク質の第1の用量を投与することを含み、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、第1の用量の投与前に対象から採取した第1の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、第1の用量の投与後に対象から採取した第2の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞の、投与からN時間後のレベル及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、Nは、1~24の数値である。ある実施形態では、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性は、B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも低い。ある実施形態では、第1の用量の投与後に対象から採取した第3の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞の、投与からM日後のレベル及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、Mは、1~28の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、(ii)投与からM日後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性に比べて少なくとも約50%高い場合に、ヒト対象にキメラタンパク質の第2の用量を投与することを含む。ある実施形態では、第1の用量の投与から少なくとも約48時間後に第2の用量を投与する。ある実施形態では、第1の生体試料、第2の生体試料、及び第3の生体試料は血液である。ある実施形態では、B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。
【0009】
本開示の一態様は、ヒト対象におけるがんの治療方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)ヒト対象に、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有するキメラタンパク質の第1の用量を投与することを含み、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、第1の用量の投与前に対象から採取した第1の生体試料中の、CCL2、CXCL9、CXCL10、IFNα、IL15、IL23、IL-12、MCP-1、MIP-1β、MIP-1α、及びMDCから選択されるサイトカインのバックグラウンド量及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、第1の用量の投与後に対象から採取した第2の生体試料中の、サイトカインのN時間後の量及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、Nは、1~24の数値である。ある実施形態では、サイトカインの投与からN時間後の量及び/または活性は、サイトカインのバックグラウンド量及び/または活性よりも高い。ある実施形態では、第1の用量の投与後に対象から採取した第3の生体試料中の、サイトカインのM日後の量及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、Mは、1~28の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、(ii)投与からM日後のサイトカインの量及び/または活性が、投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性に比べて少なくとも約30%低い場合に、ヒト対象にキメラタンパク質の第2の用量を投与することを含む。ある実施形態では、第1の用量の投与から少なくとも約48時間後に第2の用量を投与する。ある実施形態では、第1の生体試料、第2の生体試料、及び第3の生体試料は血液である。ある実施形態では、サイトカインの量及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。
【0010】
本開示の一態様は、がんに罹患しており、がん治療を必要とする対象におけるがん治療の有効性の評価方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)キメラタンパク質の第1の用量を受けている対象から採取される生体試料を取得することを含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、第1の用量の投与前に対象から採取した生体試料中の細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、細胞は、CD80+細胞、CD8+細胞、グランザイムB+細胞、CD68+細胞、Ki67+細胞、及びPD-L1+免疫細胞のうちの1つ以上から選択される。ある実施形態では、本方法はさらに、(ii)生体試料中の細胞の投与後レベル及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(iii)投与後の細胞レベル及び/または活性が細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも高い場合に、キメラタンパク質が有効であると判定することを含む。ある実施形態では、生体試料は、腫瘍生検試料または腫瘍外科標本である。ある実施形態では、細胞のレベル及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。
【0011】
本開示の一態様は、がんの治療法による治療対象の選択方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)キメラタンパク質の第1の用量を受けている対象から採取される生体試料を取得することを含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、第1の用量の投与前に対象から採取した生体試料中の細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、細胞は、CD80+細胞、CD8+細胞、グランザイムB+細胞、CD68+細胞、Ki67+細胞、及びPD-L1+免疫細胞のうちの1つ以上から選択される。ある実施形態では、本方法はさらに、(ii)生体試料中の細胞の投与後レベル及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(iii)投与後の細胞レベル及び/または活性が細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも高い場合に、キメラタンパク質による治療のために対象を選択することを含む。ある実施形態では、生体試料は、腫瘍生検試料または腫瘍外科標本である。ある実施形態では、細胞のレベル及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。
【0012】
本開示の一態様は、がんに罹患しており、がん治療を必要とする対象におけるがん治療の有効性の評価方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)キメラタンパク質の第1の用量を受けている対象から採取される第1の生体試料を取得することを含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、本方法はさらに、第1の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(iii)投与からN時間後に対象から採取した第2の生体試料を取得することを含み、Nは、1~24の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、第2の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞の、投与からN時間後のレベル及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(iv)投与からM日後に対象から採取した第3の生体試料を取得することを含み、Mは、1~28の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、第3の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞の、投与からM日後のレベル及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(v)投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも低い場合、及び/または投与からM日後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性に比べて少なくとも約50%高い場合に、キメラタンパク質が有効であると判定することを含む。ある実施形態では、第1の生体試料、第2の生体試料、及び第3の生体試料は血液である。ある実施形態では、B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。
【0013】
本開示の一態様は、がんの治療法による治療対象の選択方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)キメラタンパク質の第1の用量を受けている対象から採取される第1の生体試料を取得することを含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、本方法はさらに、第1の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(iii)投与からN時間後に対象から採取した第2の生体試料を取得することを含み、Nは、1~24の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、第2の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞の、投与からN時間後のレベル及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(iv)投与からM日後に対象から採取した第3の生体試料を取得することを含み、Mは、1~28の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、第3の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞の、投与からM日後のレベル及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(v)投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも低い場合、及び/または投与からM日後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性に比べて少なくとも約50%高い場合に、キメラタンパク質による治療のために対象を選択することを含む。ある実施形態では、第1の生体試料、第2の生体試料、及び第3の生体試料は血液である。ある実施形態では、B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。
【0014】
本開示の一態様は、がんに罹患しており、がん治療を必要とする対象におけるがん治療の有効性の評価方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)キメラタンパク質の第1の用量を受けている対象から採取される第1の生体試料を取得することを含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、本方法はさらに、(ii)第1の生体試料中のサイトカインのバックグラウンド量及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、サイトカインは、CCL2、CXCL9、CXCL10、IFNα、IL15、IL23、IL-12、MCP-1、MIP-1β、MIP-1α、及びMDCから選択される。ある実施形態では、方法はさらに、(iii)投与からN時間後に対象から採取した第2の生体試料を取得することを含み、Nは、1~24の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、第2の生体試料中の、投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(iv)投与からM日後に対象から採取した第3の生体試料を取得することを含み、Mは、1~28の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、第3の生体試料中の、投与からM日後のサイトカインの量及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(v)投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性がサイトカインのバックグラウンド量及び/または活性よりも高い場合、及び/または投与からM日後のサイトカインの量及び/または活性が、投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性に比べて少なくとも約50%低い場合に、キメラタンパク質が有効であると判定することを含む。ある実施形態では、第1の生体試料、第2の生体試料、及び第3の生体試料は血液である。ある実施形態では、サイトカインの量及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。
【0015】
本開示の一態様は、がんの治療法による治療対象の選択方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)キメラタンパク質の第1の用量を受けている対象から採取される第1の生体試料を取得することを含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、本方法はさらに、(ii)第1の生体試料中のサイトカインのバックグラウンド量及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、サイトカインは、CCL2、CXCL9、CXCL10、IFNα、IL15、IL23、IL-12、MCP-1、MIP-1β、MIP-1α、及びMDCから選択される。ある実施形態では、方法はさらに、(iii)投与からN時間後に対象から採取した第2の生体試料を取得することを含み、Nは、1~24の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、第2の生体試料中の、投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(iv)投与からM日後に対象から採取した第3の生体試料を取得することを含み、Mは、1~28の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、第3の生体試料中の、投与からM日後のサイトカインの量及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(v)投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性がサイトカインのバックグラウンド量及び/または活性よりも高い場合、及び/または投与からM日後のサイトカインの量及び/または活性が、投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性に比べて少なくとも約50%低い場合に、キメラタンパク質による治療のために対象を選択することを含む。ある実施形態では、第1の生体試料、第2の生体試料、及び第3の生体試料は血液である。ある実施形態では、サイトカインの量及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。
【0016】
ある実施形態では、第1のドメインは、CD172a(SIRPα)リガンドに結合することができる。ある実施形態では、第1のドメインは、CD172a(SIRPα)の細胞外ドメインの実質的にすべてを含む。ある実施形態では、第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む。
【0017】
ある実施形態では、第2のドメインは、CD40受容体に結合することができる。ある実施形態では、第2のドメインは、実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む。ある実施形態では、第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む。
【0018】
ある実施形態では、リンカーは、IgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。ある実施形態では、リンカーは、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。ある実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む。
【0019】
ある実施形態では、(a)第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列を含み、(b)第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列を含み、(c)リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号5または配列番号7のアミノ酸配列をさらに含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号5及び配列番号7のアミノ酸配列をさらに含む。
【0020】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む。
【0021】
ある実施形態では、キメラタンパク質の第1の用量は、約0.03mg/kg~10mg/kgの範囲である。ある実施形態では、第1の用量は、約0.003、または約0.01、または約0.03、または約0.1、または約0.3、または約1、または約2、または約3、または約4、または約6、または約8、または約10mg/kgである。
【0022】
ある実施形態では、本明細書に開示されるいずれかの態様の方法は、キメラタンパク質の第2の用量をさらに含む。ある実施形態では、第2の用量を、第1の用量の投与から少なくとも約3日、または少なくとも約4日、または少なくとも約5日、または少なくとも約6日、または少なくとも約7日、または少なくとも約8日、または少なくとも約9日、または少なくとも約10日、または少なくとも約14日、または少なくとも約21日、または少なくとも約28日後に投与する。ある実施形態では、キメラタンパク質の第2の用量は、約0.03mg/kg~10mg/kgの範囲である。ある実施形態では、第2の用量は、約0.003、または約0.01、または約0.03、または約0.1、または約0.3、または約1、または約2、または約3、または約4、または約6、または約8、または約10mg/kgである。
【0023】
本特許または出願書類は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を含む本特許または特許出願公開の複写は、要請かつ必要な料金の支払により特許庁より提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質(SL-172154)の模式図を示す。SL-172154(SIRPα-Fc-CD40L)は、CD40L(CD40への結合親和性は4.74nMである)にFcリンカータンパク質を介して連結したSIRPα(CD47への結合親和性は0.628nMである)からなる六量体の二機能性融合タンパク質である。
【
図2】修正毒性発現確率区間(mTPI-2)デザイン(N=15)による用量漸増を示す。計画される用量漸増は半対数増加である。少なくとも3人の対象を連続用量レベル(DL)に登録し、治療の第1のサイクルで用量制限毒性(DLT)を評価した。疾患の進行、許容不可能な毒性、または同意の撤回が生じるまで、スケジュール1またはスケジュール2に従ってSL-172154を対象に静脈内(IV)投与する。
【
図3】腫瘍応答及び治療期間を示す。iUPD=未確認進行性疾患(iRECIST)NE=評価不能、PD=進行性疾患、SD=不変
【
図4】SL-172154の反復投与後の血清サイトカインの再現可能な増加を示す。CCL2(MCP-1)(A)、CCL4(MIP-1β)(B)、CCL3(MIP-1α)(C)、及びCCL22(MDC)(D)のレベルの変化を示す。
【
図5A】血清IL-12の用量依存的かつ再現可能な増加を示す。経時的なTH1炎症誘発反応のメディエーターであるインターロイキン12(IL-12)の対象レベルを示し、これは、試験対象で観察される周期的なエフェクターサイトカイン応答を典型的に表している。
【
図5B】血清IL-12の用量依存的かつ再現可能な増加を示す。第1の注入時の応答中央値(水平バー)を示しており、予備的には用量依存的であると考えられる。
【
図6】SL-172154が白血球上のCD47に優先的に結合するが、RBCには結合しないことを示す。Aは、全血を使用した蛍光標識細胞分取(FACS)分析によって評価した、赤血球(RBC)と白血球(WBC,白血球)の両方のCD47受容体占有率(RO)を示している。サイクル1の1日目(C1D1)の注入後1時間で、白血球上のCD47 ROの中央値(水平バー)は約80%である。Bは、赤血球上のCD47 ROがすべての用量レベルで5%未満であることを示している。
【
図7A】SL-172154が用量依存的にB細胞の辺縁趨向及び活性化を刺激することを示す。辺縁趨向細胞の出現頻度の中央値が用量依存的に増加することを示している(水平バー)。受容体の関与は、すべての用量レベルで約100%である(データ未掲載)。
【
図7B】SL-172154が用量依存的にB細胞の辺縁趨向及び活性化を刺激することを示す。B細胞出現頻度の中央値が次の注入までに注入前のレベルに戻り、各注入サイクルで放出と戻りの周期的なパターンを維持することを示している。
【
図7C】SL-172154が用量依存的にB細胞の辺縁趨向及び活性化を刺激することを示す。戻ってきたB細胞が共刺激マーカーCD86と成熟マーカーCD95の増加を示すことを示しており、SL-172154が表現型の変化を誘発できることを示唆している。
【
図8A】CD40 mAbと比較したTNFα及びインターロイキン-6(IL-6)の明確な特性を示す。CP-870,893(左パネル)またはSL-172154(右パネル)の様々な用量でのTNFαの誘導を示す。CP-870,893のデータは、Vonderheide et al.,J Clin Oncol 25:876-883(2007)から引用したものである。
【
図8B】CD40 mAbと比較したTNFα及びインターロイキン-6(IL-6)の明確な特性を示す。CP-870,893(左パネル)またはSL-172154(右パネル)の様々な用量でのIL-6の誘導を示す。CP-870,893のデータは、Vonderheide et al.,J Clin Oncol 25:876-883(2007)から引用したものである。
【
図9】SL-172154が腫瘍微小環境(TME)において自然免疫応答を誘導することを示す。Aは、SL-172154の投与前と投与後の患者Aの生検試料の免疫組織化学分析を示す。CD68(単球系細胞で高度に発現するタンパク質)の染色によって単球を検出した。Bは、SL-172154による治療後の腫瘍生検試料中のTMEにおける活性化マーカーCD40及びMHCクラスIIの上方制御を、治療前の生検試料と比較して示す。
【
図10】SL-172154が腫瘍微小環境(TME)において適応免疫応答を誘導することを示す。Aは、SL-172154の投与前と投与後の患者Aの生検試料中のCD8+細胞、グランザイムB+細胞、CD68+細胞、及びKi67+細胞を示す。治療前の生検試料と比較して、治療後の生検試料ではCD8+細胞、グランザイムB+細胞、CD68+細胞、及びKi67+細胞が増加している。Bは、腫瘍比率スコア(TPS)と複合陽性スコア(CPS)を比較したグラフである。
【
図11】SL-172154についての計画された臨床開発戦略を示す。この戦略には、卵巣癌におけるSL-172154単独療法、卵巣癌におけるSL-172154+リポソームドキソルビシンの併用療法、AMLにおけるSL-172154+アザシチジン+ベネトクラクスの併用療法、HR-MDSにおけるSL-172154+アザシチジンの併用療法、及びTP53変異型AMLにおけるSL-172154+アザシチジンの併用療法の試験が含まれる。
【
図12】SL-172154の投与後の腫瘍におけるCD80+細胞の存在量及び/またはCD80発現の増加を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質の投与後に腫瘍微小環境(TME)内でCD80+細胞、CD8+細胞、グランザイムB+細胞、CD68+細胞、Ki67+細胞、及びPD-L1+免疫細胞が増加するという発見に部分的に基づいており、このタンパク質は、DLT、または貧血、血小板減少症、肝機能障害、サイトカイン放出症候群、もしくは肺炎のエビデンスがなく、忍容性が良好である。本開示はまた、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク 質の投与後数時間以内にB細胞及び/またはCD40+細胞が末梢血から辺縁趨向し、CCL2、CXCL9、CXCL10、IFNα、IL15、IL23、IL-12、MCP-1、MIP-1β、MIP-1α、及びMDCなどの自然及び適応性血清サイトカインのレベルが上昇し、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質の投与後約1日以内にB細胞及び/またはCD40+細胞が末梢血に戻り、CCL2、CXCL9、CXCL10、IFNα、IL15、IL23、IL-12、MCP-1、MIP-1β、MIP-1α、及びMDCなどの自然及び適応性血清サイトカインのレベルが減少するという発見に部分的に基づいている。いくつかの実施形態では、B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル、ならびにCCL2、CXCL9、CXCL10、IFNα、IL15、IL23、IL-12、MCP-1、MIP-1β、MIP-1α、及びMDCなどの自然及び適応性血清サイトカインのレベルは、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質の投与後1日または2日以内にバックグラウンドレベルに近づく。
【0026】
重要なことに、本開示のキメラタンパク質は(CD172aの細胞外ドメイン(SIRPα)が、がん細胞上のその受容体/リガンドに結合することにより)、例えば、貪食及び/または破壊を回避しようとしているがん細胞に由来する免疫抑制シグナルの伝達を妨害、遮断、低減、阻害、及び/または隔離し、(CD40Lが受容体に結合することにより)抗がん免疫細胞への免疫刺激シグナルの伝達を増強、増加、及び/または刺激するため、2つの異なる経路によって抗腫瘍効果をもたらすことができ、この二重の作用により、患者に任意の抗腫瘍効果をもたらし、及び/または患者に増強された抗腫瘍効果をもたらす可能性が高くなる。さらに、そのようなキメラタンパク質は、2つの異なる経路を介して作用することができるため、2つの経路のうちの1つを標的とする治療への応答が不十分な患者には少なくとも有効であり得る。したがって、2つの経路のうちの1つを介して作用する治療に対して不十分なレスポンダーである患者は、複数の経路を標的とすることによって治療効果を達成することができる。
【0027】
キメラタンパク質
本発明のキメラタンパク質は、CD172a(SIRPα)の細胞外ドメインとCD40Lの細胞外ドメインを含み、これらを組み合わせることで、免疫抑制シグナルを同時に遮断し、免疫活性化シグナルを刺激することができる。
【0028】
本開示の態様は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を含むキメラタンパク質を提供し、式中、(a)は、CD172a(SIRPα)の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメイン及び第2のドメインに隣接するリンカー、例えば、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含む、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含むリンカーであり、(c)は、CD40Lの細胞外ドメインを含む第2のドメインであり、リンカーは、第1のドメイン及び第2のドメインを接続する。
【0029】
ある実施形態では、第1のドメインは、CD172a(SIRPα)の細胞外ドメインの実質的にすべてを含む。ある実施形態では、第1のドメインは、CD172a(SIRPα)リガンドに結合することができる。ある実施形態では、第1のドメインは、がん細胞表面に発現するCD172a(SIRPα)リガンド(例えば、CD47)に結合することができる。ある実施形態では、第1のドメインは、CD172a(SIRPα)リガンド(例えば、CD47)の、骨髄及び造血幹細胞及びニューロンに位置するCD172a(SIRPα)タンパク質への結合を阻害することができる。ある実施形態では、第1のドメインは、免疫抑制シグナルを阻害することができる。ある実施形態では、第1のドメインは、免疫抑制シグナルを阻害することができる。ある実施形態では、第1のドメインは、マクロファージチェックポイントまたは「do not eat me」シグナルを阻害することができる。ある実施形態では、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質(例えば、配列番号59または配列番号61)による治療法は、マクロファージを刺激して腫瘍細胞を貪食し、貪食された腫瘍細胞の腫瘍抗原をT細胞に効果的に提示する。
【0030】
ある実施形態では、第2のドメインは、CD40受容体に結合することができる。ある実施形態では、第2のドメインは、CD40Lの細胞外ドメインの実質的にすべてを含む。ある実施形態では、第2のドメインは、免疫刺激シグナルを活性化することができる。
【0031】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、組換え融合タンパク質、例えば、本明細書に開示される細胞外ドメインを有する単一のポリペプチドである。例えば、ある実施形態では、キメラタンパク質は、原核細胞、真核細胞、または無細胞発現系において単一の単位として翻訳される。
【0032】
ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、分泌可能かつ完全に機能する単一のポリペプチド鎖として哺乳動物宿主細胞内で産生可能である。
【0033】
ある実施形態では、キメラタンパク質とは、複数のポリペプチド、例えば、本明細書に開示される複数の細胞外ドメインの組換えタンパク質を指し、それらは組み合わされて(共有または非共有結合を介して)、例えば、in vitroで単一の単位(例えば、本明細書に開示される1つ以上の合成リンカーと共に)を生成する。
【0034】
ある実施形態では、キメラタンパク質を、1つのポリペプチドとして化学的に合成するか、または各ドメインを別々に化学的に合成し、次いで組み合わせる。ある実施形態では、キメラタンパク質の一部を翻訳し、一部を化学的に合成する。
【0035】
ある実施形態では、細胞外ドメインとは、細胞外環境と相互作用することができる膜貫通タンパク質の一部を指す。ある実施形態では、細胞外ドメインは、リガンドまたは受容体と結合するのに十分であり、細胞にシグナルを伝達するのに有効である膜貫通タンパク質の一部を指す。ある実施形態では、細胞外ドメインは通常、細胞または細胞膜の外部に存在する膜貫通タンパク質のアミノ酸配列全体である。ある実施形態では、細胞外ドメインは、細胞または細胞膜の外部にあり、当技術分野で公知の方法を使用してアッセイされ得るような(例えば、in vitroでのリガンド結合及び/または細胞活性化アッセイ)、シグナル伝達及び/またはリガンド結合に必要とされる膜貫通タンパク質のアミノ酸配列の一部である。
【0036】
膜貫通タンパク質は通常、細胞外ドメイン、1つまたは一連の膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインからなる。理論に拘束されることを望まないが、膜貫通タンパク質の細胞外ドメインは、可溶性受容体またはリガンドまたは膜結合受容体またはリガンド(すなわち、隣接する細胞の膜)との相互作用に関与する。理論に拘束されることを望まないが、膜貫通ドメイン(複数可)は、膜貫通タンパク質を原形質膜に局在化させる役割を果たす。理論に拘束されることを望まないが、膜貫通タンパク質の細胞内ドメインは、細胞内シグナル伝達分子との相互作用を調整して、細胞内応答を細胞外環境と調整する(またはその逆の)役割を果たす。
【0037】
シングルパス膜貫通タンパク質には、一般的に2つの種類があり、細胞外アミノ末端及び細胞内カルボキシ末端を有するI型膜貫通タンパク質、及び細胞外カルボキシ末端及び細胞内アミノ末端を有するII型膜貫通タンパク質である。I型及びII型膜貫通タンパク質は、受容体またはリガンドのいずれかであり得る。I型膜貫通タンパク質(例えば、CD172a(SIRPα))について、タンパク質のアミノ末端は、細胞の外側を向いており、したがって、細胞外環境において他の結合パートナー(リガンドまたは受容体のいずれか)との相互作用に関与する機能ドメインを含む。II型膜貫通タンパク質(例えば、CD40L)について、タンパク質のカルボキシ末端は、細胞の外側を向いており、したがって、細胞外環境において他の結合パートナー(リガンドまたは受容体のいずれか)との相互作用に関与する機能ドメインを含む。したがって、これらの2つの種類の膜貫通タンパク質は、細胞膜に対して互いに反対の配向を有する。
【0038】
CD47が広範囲のがんにおける「do not eat me」シグナルとして説明されたことから、CD47を遮断した状況において、いかなる組み合わせの「eat me」シグナルが抗腫瘍免疫を増強し得るかについての探究が促された。Willingham et al.,The CD47-signal regulatory protein alpha(SIRPa)interaction is a therapeutic target for human solid tumors.Proc Natl Acad Sci USA 109:6662-6667(2012);Jaiswal et al.,CD47 is upregulated on circulating hematopoietic stem cells and leukemia cells to avoid phagocytosis. Cell 138:271-285(2009);Weiskopf et al.,Engineered SIRPalpha variants as immunotherapeutic adjuvants to anticancer antibodies. Science 341:88-91(2013)。CD47遮断薬ならびにリツキシマブ及びトラスツズマブなどのADCP応答性抗体の前臨床的併用により、腫瘍の貪食作用が増強される。Kauder et al.,ALX148 blocks CD47 and enhances innate and adaptive antitumor immunity with a favorable safety profile. PLoS One 13:e0201832(2018);Chao et al.,Anti-CD47 antibody synergizes with rituximab to promote phagocytosis and eradicate non-Hodgkin lymphoma. Cell 142:699-713(2010);Chao et al.,Calreticulin is the dominant pro-phagocytic signal on multiple human cancers and is counterbalanced by CD47. Sci Transl Med 2:63ra94(2010);Advani et al.,CD47 Blockade by Hu5F9-G4 and rituximab in non-Hodgkin’s lymphoma. N Engl J Med 379:1711-1721(2018);Zhao et al.,CD47-signal regulatory protein-alpha(SIRPalpha)interactions form a barrier for antibody-mediated tumor cell destruction. Proc Natl Acad Sci U S A 108:18342-18347(2011)。ヒト化IgG4アイソタイプCD47遮断mAbであるHu5F9-G4をリツキシマブと併用投与した再発性または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫または濾胞性リンパ腫の患者の少なくとも50%は、客観的奏効を示す。Advani et al.,CD47 Blockade by Hu5F9-G4 and rituximab in non-Hodgkin’s lymphoma. N Engl J Med 379:1711-1721(2018)。CD47遮断により、免疫ネグレクト腫瘍における抗原提示が増強されるが(Tseng et al.,Anti-CD47 antibody-mediated phagocytosis of cancer by macrophages primes an effective antitumor T-cell response. Proc Natl Acad Sci USA 110:11103-11108(2013))、しかし、CD47/SIRPα遮断薬を単剤療法として、またはPD-1/L1遮断抗体と併用して使用した場合には、散発的な臨床応答しか観察されていない。
【0039】
SIRPαへのCD47結合の遮断は、標的抗体の抗体依存性細胞貪食作用(ADCP)を増強することにより、進行がんに対する有望な免疫治療戦略として注目されている。前臨床的には、CD47/SIRPα遮断により、マクロファージによる腫瘍細胞の貪食が増加し、樹状細胞によるCD8+T細胞への腫瘍抗原の交差提示が増強されることによって抗腫瘍活性が誘導されるが、これらのプロセスは両方とも、CD40シグナル伝達によって増強される。本明細書では、中央Fcドメインに隣接したSIRPα及びCD40Lの細胞外ドメインを組み込んだ、SIRPα-Fc-CD40Lと呼ばれる新規両側融合タンパク質を生成した。本明細書に示すように、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、CD47及びCD40に高い親和性で結合し、Fc受容体架橋が存在しない状態でCD40シグナル伝達を活性化した。in vitroまたはカニクイザルにおいて、溶血、赤血球凝集、または血小板減少のエビデンスは観察されなかった。さらに、本明細書で示されているように、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、マウスCT26腫瘍モデルにおいてCD47遮断抗体及びCD40アゴニスト抗体よりも優れており、PD-1及びCTLA4の免疫チェックポイント遮断と相乗効果を示した。SIRPα-Fc-CD40Lは、マクロファージ内のI型インターフェロン応答を活性化し、in vitro及びin vivoの両方でADCP応答性標的抗体の活性を増強した。これらのデータは、CD47/SIRPα阻害が腫瘍細胞の貪食作用を増強し得る一方で、CD40を介したI型インターフェロン応答の活性化がマクロファージ媒介免疫とT細胞媒介免疫の間に橋渡しを行い、これにより、持続的な腫瘍制御及び拒絶が有意に増強されたことを示している。
【0040】
本発明のキメラタンパク質は、CD172a(SIRPα)の細胞外ドメインとCD40Lの細胞外ドメインを含む。したがって、本開示のキメラタンパク質は、少なくとも、CD172a(SIRPα)の細胞外ドメインを含む第1のドメインを含み、これは、直接またはリンカーを介して、CD40Lの細胞外ドメインを含む第2のドメインに接続される。ドメインがアミノ末端からカルボキシ末端の配向に連結される場合、第1のドメインは、キメラタンパク質の「左」に位置し、かつ「外向き」となり、第2のドメインは、キメラタンパク質の「右」に位置し、かつ「外向き」となる。
【0041】
第1及び第2のドメインの他の構成、例えば、第1のドメインが外向きであり、かつ第2のドメインが内向きであること、第1のドメインが内向きであり、かつ第2のドメインが外向きであること、第1及び第2のドメインが両方とも内向きであることが想定される。両方のドメインが「内向き」である場合、キメラタンパク質は、CD40Lの細胞外ドメイン、リンカー、及びCD172a(SIRPα)の細胞外ドメインを含む、アミノ末端からカルボキシ末端への構成を有するであろう。そのような構成では、それは、キメラタンパク質の結合ドメインがその受容体/リガンドの一方または両方と結合することを可能にするために、本明細書の他の場所に記載されるように、キメラタンパク質が余分な「緩み」を含むことが必要であり得る。
【0042】
構築物は、3つの断片(CD172a(SIRPα)の細胞外ドメイン、それに続くリンカー配列、それに続くCD40Lの細胞外ドメイン)をコードする核酸をベクター(プラスミド、ウイルス、またはその他)にクローニングすることによって生成でき、完全な配列のアミノ末端は、CD172a(SIRPα)の細胞外ドメインを含む分子の「左側」に対応しており、完全な配列のカルボキシ末端は、CD40Lの細胞外ドメインを含む分子の「右側」に対応する。いくつかの実施形態では、上記のように、他の構成の1つを有するキメラタンパク質の構築物は、生成される翻訳されたキメラタンパク質が所望の構成、例えば、二重の内向きのキメラタンパク質を有するように、3つの核酸を含むであろう。したがって、ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質を、そのように改変する。
【0043】
CD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質
ある実施形態では、キメラタンパク質は、ヒトCD172a(SIRPα)リガンドとヒトCD40受容体に同時に結合することができ、CD172a(SIRPα)リガンドはCD47であり、CD40L受容体はCD40である。
【0044】
キメラタンパク質は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、リンカーは、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含む。
【0045】
本開示のキメラタンパク質は、そのリガンド/受容体と立体的に結合することが可能である第1のドメイン、及び/またはそのリガンド/受容体と立体的に結合することが可能である第2のドメインを有する。これは、細胞外ドメインのリガンド/受容体結合ドメインがそのリガンド/受容体の結合を立体的に妨げられないように、キメラタンパク質及び/または細胞外ドメイン(またはその一部)と残りのキメラタンパク質との間の物理的距離に十分な全体的な柔軟性があることを意味する。この柔軟性及び/または物理的距離(本明細書では「緩み」と称される)は通常、細胞外ドメイン(複数可)に存在し、通常はリンカーに存在し、及び/または通常はキメラタンパク質に(全体として)存在し得る。代替的にまたは追加的に、キメラタンパク質は、立体障害を回避するために必要な追加の緩みを提供する1つ以上の追加のアミノ酸配列(例えば、以下に記載される結合リンカー)または合成リンカー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)リンカー)を含むことによって修飾され得る。
【0046】
ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、CD172a(SIRPα)の細胞外ドメインのバリアントを含む。例として、このバリアントは、CD172a(SIRPα)、例えばヒトCD172a(SIRPα)の既知のアミノ酸配列に対して、少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0047】
ある実施形態では、CD172a(SIRPα)の細胞外ドメインは、以下のアミノ酸配列を有する:
EEELQVIQPDKSVLVAAGETATLRCTATSLIPVGPIQWFRGAGPGRELIYNQKEGHFPRVTTVSDLTKRNNMDFSIRIGNITPADAGTYYCVKFRKGSPDDVEFKSGAGTELSVRAKPSAPVVSGPAARATPQHTVSFTCESHGFSPRDITLKWFKNGNELSDFQTNVDPVGESVSYSIHSTAKVVLTREDVHSQVICEVAHVTLQGDPLRGTANLSETIRVPPTLEVTQQPVRAENQVNVTCQVRKFYPQRLQLTWLENGNVSRTETASTVTENKDGTYNWMSWLLVNVSAHRDDVKLTCQVEHDGQPAVSKSHDLKVSAHPKEQGSNTAAENTGSNERNIY (配列番号57)。
【0048】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、CD172a(SIRPα)の細胞外ドメインのバリアントを含む。例として、このバリアントは、配列番号57に対して、少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0049】
ある実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。
【0050】
当業者は、例えば、以下の文献を参照してCD172a(SIRPα)の既知のアミノ酸配列のバリアントを選択してもよい。Hatherley et al.,“Paired receptor specificity explained by structures of signal regulatory proteins alone and complexed with CD47.”Mol Cell 31:266-277(2008);Hatherley et al.,“The Structure of the Macrophage Signal Regulatory Protein Alpha(Sirpalpha)Inhibitory Receptor Reveals a Binding Face Reminiscent of that Used by T Cell Receptors.” J Biol Chem 282:14567(2007);Hatherley et al.,“Structure of Signal-Regulatory Protein Alpha:A Link to Antigen Receptor Evolution.” J Biol Chem 284:26613(2009);Hatherley et al.,“Polymorphisms in the Human Inhibitory Signal-Regulatory Protein Alpha Do not Affect Binding to its Ligand Cd47.” J Biol Chem 289:10024(2014);Ring et al.,“Anti-SIRP alpha antibody immunotherapy enhances neutrophil and macrophage antitumor activity.” Proc Natl Acad Sci U S A 114:E10578-E10585(2017)(各文献はその全体が参照により援用される)。
【0051】
ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、CD40Lの細胞外ドメインのバリアントを含む。例として、このバリアントは、CD40L、例えばヒトCD40Lの既知のアミノ酸配列に対して、少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0052】
ある実施形態では、CD40Lの細胞外ドメインは、以下のアミノ酸配列を有する:
HRRLDKIEDERNLHEDFVFMKTIQRCNTGERSLSLLNCEEIKSQFEGFVKDIMLNKEETKKENSFEMQKGDQNPQIAAHVISEASSKTTSVLQWAEKGYYTMSNNLVTLENGKQLTVKRQGLYYIYAQVTFCSNREASSQAPFIASLCLKSPGRFERILLRAANTHSSAKPCGQQSIHLGGVFELQPGASVFVNVTDPSQVSHGTGFTSFGLLKL (配列番号58)。
【0053】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、CD40Lの細胞外ドメインのバリアントを含む。例として、このバリアントは、配列番号58に対して、少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0054】
ある実施形態では、キメラタンパク質の第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。
【0055】
当業者は、例えば、以下の文献を参照してCD40Lの既知のアミノ酸配列のバリアントを選択してもよい。Karpusas et al.,“2 A crystal structure of an extracellular fragment of human CD40 ligand.” Structure 3:1031-1039(1995);Karpusas et al.,“Structure of CD40 ligand in complex with the Fab fragment of a neutralizing humanized antibody.” Structure 9:321-329(2001);Silvian et al.,“Small Molecule Inhibition of the TNF Family Cytokine CD40 Ligand through a Subunit Fracture Mechanism.” ACS Chem Biol 6:636-647(2011);An et al.,“Crystallographic and mutational analysis of the CD40-CD154 complex and its implications for receptor activation.” J Biol Chem 286:11226-11235(2011);Karnell et al.,“A CD40L-targeting protein reduces autoantibodies and improves disease activity in patients with autoimmunity.” Sci Transl Med 11(2019)(各文献はその全体が参照により援用される)。
【0056】
ある実施形態では、キメラタンパク質のリンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質のリンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質のリンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質のリンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質のリンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質のリンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。
【0057】
ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、(1)配列番号57と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む第1のドメイン、(b)配列番号58と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む第2のドメイン、及び(c)配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列を含むリンカーを含む。
【0058】
ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、(1)配列番号57と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む第1のドメイン、(b)配列番号58と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む第2のドメイン、及び(c)配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むリンカーを含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、(1)配列番号57と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む第1のドメイン、(b)配列番号58と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む第2のドメイン、及び(c)配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含むリンカーを含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、(1)配列番号57と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む第1のドメイン、(b)配列番号58と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む第2のドメイン、及び(c)配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含むリンカーを含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、(1)配列番号57と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む第1のドメイン、(b)配列番号58と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む第2のドメイン、及び(c)配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むリンカーを含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、(1)配列番号57のアミノ酸配列を含む第1のドメイン、(b)配列番号58のアミノ酸配列を含む第2のドメイン、及び(c)配列番号1、配列番号2、または配列番号3と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むリンカーを含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、(1)配列番号57と同一のアミノ酸配列を含む第1のドメイン、(b)配列番号58と同一のアミノ酸配列を含む第2のドメイン、及び(c)配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含むリンカーを含む。
【0059】
ある実施形態では、本開示のCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、以下のアミノ酸配列を有する(CD172a(SIRPα)の細胞外ドメインを太字で示し、CD40Lの細胞外ドメインを下線で示し、Fcドメインを斜体で示す:
【化1】
【0060】
CD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質(SL-172154)の792アミノ酸配列(リーダー配列は含まない)を上に示す。CD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、オリゴマー形態の特性として存在する。アミノ酸配列には17個のシステインがあり、そのうち8個はおそらくジスルフィド対である。N結合型及びO結合型グリコシル化の両方が同定されている。
【0061】
ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の潜在的なNグリコシル化部位を含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、少なくとも2つの潜在的なNグリコシル化部位を含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、少なくとも4つの潜在的なNグリコシル化部位を含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、少なくとも6つの潜在的なNグリコシル化部位を含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、少なくとも8つの潜在的なNグリコシル化部位を含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、少なくとも10個の潜在的なNグリコシル化部位を含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、または8つの潜在的なOグリコシル化部位を含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、少なくとも2つの潜在的なOグリコシル化部位を含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、少なくとも4つの潜在的なOグリコシル化部位を含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、少なくとも6つの潜在的なOグリコシル化部位を含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、少なくとも8つの潜在的なOグリコシル化部位を含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、少なくとも2つの潜在的なNグリコシル化部位、及び少なくとも2つの潜在的なOグリコシル化部位を含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、少なくとも4つの潜在的なNグリコシル化部位、及び少なくとも4つの潜在的なOグリコシル化部位を含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、少なくとも6つの潜在的なNグリコシル化部位、及び少なくとも6つの潜在的なOグリコシル化部位を含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、少なくとも8つの潜在的なNグリコシル化部位、及び少なくとも8つの潜在的なOグリコシル化部位を含む。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、少なくとも10個の潜在的なNグリコシル化部位、及び少なくとも8つの潜在的なOグリコシル化部位を含む。ある実施形態では、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において発現するキメラタンパク質はグリコシル化されている。
【0062】
SL-172154キメラタンパク質には17個のシステインが存在する。いくつかの実施形態では、SL-172154キメラタンパク質はジスルフィド結合を有さない。いくつかの実施形態では、SL-172154キメラタンパク質は、少なくとも1つ、または少なくとも2つ、または少なくとも3つ、または少なくとも4つ、または少なくとも5つ、または少なくとも6つ、または少なくとも7つ、または少なくとも8つ、または少なくとも9つ、または少なくとも10個のジスルフィド結合を有する。いくつかの実施形態では、SL-172154キメラタンパク質は、少なくとも1つ、または少なくとも2つの鎖間ジスルフィド結合を有する。いくつかの実施形態では、SL-172154キメラタンパク質は、少なくとも1つ、または少なくとも2つ、または少なくとも3つ、または少なくとも4つ、または少なくとも5つ、または少なくとも6つ、または少なくとも7つ、または8つの鎖間ジスルフィド結合を有する。いくつかの実施形態では、SL-172154キメラタンパク質は、C350=C350鎖間ジスルフィド結合を有する。いくつかの実施形態では、SL-172154キメラタンパク質は、C353=C353鎖間ジスルフィド結合を有する。いくつかの実施形態では、SL-172154キメラタンパク質は、C153=C153鎖間ジスルフィド結合を有する。いくつかの実施形態では、SL-172154キメラタンパク質は、C25=C91ジスルフィド結合を有する。いくつかの実施形態では、SL-172154キメラタンパク質は、C140=C198ジスルフィド結合を有する。いくつかの実施形態では、SL-172154キメラタンパク質は、C243=C301ジスルフィド結合を有する。いくつかの実施形態では、SL-172154キメラタンパク質は、C385=C445ジスルフィド結合を有する。いくつかの実施形態では、SL-172154キメラタンパク質は、C491=C549ジスルフィド結合を有する。いくつかの実施形態では、SL-172154キメラタンパク質は、C603=C615ジスルフィド結合を有する。いくつかの実施形態では、SL-172154キメラタンパク質は、C709=C725ジスルフィド結合を有する。いくつかの実施形態では、SL-172154キメラタンパク質は、C140=C243=C709/C725スクランブルジスルフィド結合を有する。いくつかの実施形態では、SL-172154キメラタンパク質は、C615(鎖1)=C615(鎖2)のスクランブルジスルフィド結合を有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、本開示のCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、以下のヌクレオチド配列によってコードされる(リーダー配列を太字の下線付きフォントで示す):
【化2-1】
【化2-2】
いくつかの実施形態では、配列番号60は、以下のアミノ酸配列を有する本開示のCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質の前駆体をコードする(リーダー配列を斜体フォントで示す):
【化3】
配列番号59のキメラタンパク質(本明細書ではSL-172154とも呼ばれる)は、ヒトCD172a(SIRPα)(PDCD1,CD272a)の細胞外ドメイン、ヒト免疫グロブリン定常γ4(阻害性受容体SHPS-1,IgG4)のヒンジ-CH2-CH3領域を含む中央ドメイン、及びヒトCD40L(TNFSF5,TRAP,CD154)の細胞外ドメインを含む組換え融合糖タンパク質である。SL-172154の線形構成はCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lである。
【0064】
配列番号59の単量体キメラタンパク質の予測分子量は88.1kDaである。配列番号59のグリコシル化単量体キメラタンパク質の予測分子量は約115kDaである。
【0065】
本明細書に開示されるキメラタンパク質、例えばCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質(例えば、配列番号59または配列番号61)の二面性は、腫瘍微小環境(TME)内の重要な免疫抑制経路の1つであるCD172a(SIRPα)-CD47マクロファージチェックポイントを遮断するように設計されている。
【0066】
腫瘍細胞は、細胞表面にCD47を発現している場合があり、これはマクロファージが発現するCD172a(SIRPα)に結合して腫瘍細胞の貪食を抑制することができる。したがって、CD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質(例えば、配列番号59または配列番号61)は、腫瘍の表面に発現するCD47に結合することができ、本明細書に開示されるCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質のCD172a(SIRPα)ドメインは、CD47の競合的阻害を提供し、CD47阻害シグナルを、機能的に三量体化/六量体化されたCD40Lに置き換えるように意図されており、その結果、入ってくるT細胞はCD172a(SIRPα)相互作用による抑制ではなく、そのCD40受容体を介した結合によって共刺激を受ける。言い換えれば、CD172a(SIRPα)とCD40Lの細胞外ドメイン(ECD)は物理的に相互に連結し、TMEに局在するため、腫瘍浸潤T細胞は、T細胞受容体(TCR)を介して腫瘍抗原を認識すると同時に共刺激を受ける。重要な点は、CD172a(SIRPα)とCD40LのECDが物理的に相互に連結し、TMEに局在するため、腫瘍浸潤T細胞は、T細胞受容体を介して腫瘍抗原を認識すると同時に共刺激を受けるということである。これらを組み合わせることにより、阻害性CD47シグナルが共刺激性CD40Lシグナルに置き換えられ、T細胞の抗腫瘍活性が増強されるだろう。
【0067】
CD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質(例えば、配列番号59または配列番号61)を含む、本明細書に開示されるキメラタンパク質の3つの構成成分は、二量体化またはオリゴマー化を促進するユニークな特性を有する。CD172a(SIRPα)の細胞外ドメインは通常は単量体として存在し、高次のホモマー複合体を形成することは知られていない。中央のFcドメインは、ジスルフィド結合して二量体構造を形成することができるシステイン残基を含む。ある実施形態では、CD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質(例えば、配列番号59または配列番号61)などの本明細書に開示されるキメラタンパク質は、Fabアームの交換を防ぐために、Fcドメインのヒンジ領域にS228P変異を含む。CD40Lドメインは、ホモ三量体複合体を形成することが知られており、これは非共有結合の静電相互作用によって安定化される。CD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質(例えば、配列番号59または配列番号61)などの本明細書に開示されるキメラタンパク質は、産生細胞株によって連続した単量体タンパク質として発現されるが、結果として生じる単量体タンパク質は、CD40Lのジスルフィド及び電荷に基づく相互作用(三量体を形成する)及びこれらの引力の複合影響に基づいて高次種に自己組織化し、六量体(三量体の二量体)となる。CD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質(例えば、配列番号59または配列番号61)の大部分(>80%)は、同様の活性を有する六量体及び三量体形態で構成される。重要な点は、CD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質(例えば、配列番号59または配列番号61)は、六量体と三量体からなり、Fc受容体または任意の他の架橋剤による架橋がなくてもCD40シグナル伝達を刺激することである。ジスルフィド(Fc)及び電荷ベース(CD40L)の相互作用に基づく、単量体及び様々なオリゴマー状態のCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質(例えば、配列番号59または配列番号61)の予測される三次構造は、CD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質(例えば、配列番号59または配列番号61)六量体(上の2つの画像)及びCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質(例えば、配列番号59または配列番号61)三量体(下の2つの画像)の電子顕微鏡による可視化を示す。したがって、CD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質(例えば、配列番号59または配列番号61)は、三量体/六量体を形成し、架橋を必要とせずにCD40を活性化する。モノクローナル抗体とは異なり、CD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質(例えば、配列番号59または配列番号61)の機能活性にはFc受容体の架橋が必要ないことは注目に値する。
【0068】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、CD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質のバリアント(例えば、配列番号59または配列番号61)を含む。例として、このバリアントは、配列番号59または配列番号61に対して、少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または少なくとも約99.2%、または少なくとも約99.4%、または少なくとも約99.6%、または少なくとも約99.8%の配列同一性を有し得る。
【0069】
ある実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。
【0070】
ある実施形態では、第1のドメインは、CD172a(SIRPα)リガンドに結合することができる。
【0071】
ある実施形態では、第1のドメインは、CD172a(SIRPα)の細胞外ドメインの実質的にすべてを含む。
【0072】
ある実施形態では、第2のドメインは、CD40受容体に結合することができる。
【0073】
ある実施形態では、第2のドメインは、実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む。
【0074】
ある実施形態では、リンカーは、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。
【0075】
ある実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。
【0076】
ある実施形態では、第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。
【0077】
ある実施形態では、第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質の第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。
【0078】
ある実施形態では、(a)第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列を含み、(b)第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列を含み、(c)リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。
【0079】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号5及び/または配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列をさらに含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号5及び/または配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列をさらに含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号5及び/または配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも98%同一のアミノ酸配列をさらに含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号5及び/または配列番号7のアミノ酸配列をさらに含む。
【0080】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61と少なくとも約95%同一のアミノ酸配列、例えば、配列番号59または配列番号61と少なくとも約98%同一のアミノ酸配列、配列番号59または配列番号61と少なくとも約99%同一のアミノ酸配列、配列番号59または配列番号61と少なくとも約99.2%同一のアミノ酸配列、配列番号59または配列番号61と少なくとも約99.4%同一のアミノ酸配列、配列番号59または配列番号61と少なくとも約99.6%同一のアミノ酸配列、または配列番号59または配列番号61と少なくとも約99.8%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列を含む。
【0081】
任意の本明細書に開示される態様及び実施形態では、キメラタンパク質は、本明細書に開示されるタンパク質配列のうちのいずれかと比較して1つ以上のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列を含み得る。ある実施形態では、1つ以上のアミノ酸変異は独立して、置換、挿入、欠失、及び短縮から選択され得る。
【0082】
ある実施形態では、アミノ酸変異は、アミノ酸置換であり、保存的及び/または非保存的置換を含み得る。「保存的置換」は、例えば、関与するアミノ酸残基の極性、電荷、サイズ、溶解度、疎水性、親水性、及び/または両親媒性の性質における類似性に基づいて行われ得る。20個の天然に存在するアミノ酸は、(1)疎水性:Met、Ala、Val、Leu、Ile;(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr;Asn、Gln;(3)酸性:Asp、Glu;(4)塩基性:His、Lys、Arg;(5)鎖配向に影響を与える残基:Gly、Pro;及び(6)芳香族:Trp、Tyr、Pheの6つの標準的なアミノ酸グループに分類できる。本明細書で使用される場合、「保存的置換」とは、上記の6つの標準的なアミノ酸グループの同じグループ内に列挙される別のアミノ酸によるアミノ酸の交換として定義される。例えば、GluによるAspの交換は、そのように改変されたポリペプチドに1つの負電荷を保持する。さらに、グリシンとプロリンは、α-ヘリックスを破壊するそれらの能力に基づいて互いに置換し得る。本明細書で使用される場合、「非保存的置換」は、上記の6つの標準的なアミノ酸グループ(1)~(6)の異なるグループに列挙される別のアミノ酸によるアミノ酸の交換として定義される。
【0083】
ある実施形態では、置換はまた、非古典的なアミノ酸も含み得る(例えば、セレノシステイン、ピロリシン、N-ホルミルメチオニンβ-アラニン、GABA及びδ-アミノレブリン酸、4-アミノ安息香酸(PABA)、一般的なアミノ酸のD-異性体、2,4-ジアミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコスメ、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸、例えば、βメチルアミノ酸、C α-メチルアミノ酸、N α-メチルアミノ酸、及び一般的なアミノ酸類似体)。
【0084】
コドン縮重を考慮に入れることを含めて、遺伝暗号を参照することによって、キメラタンパク質のヌクレオチド配列に変異を作製することもできる。
【0085】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、ヒトリガンド(複数可)/受容体(複数可)と結合することが可能である。
【0086】
ある実施形態では、キメラタンパク質の各細胞外ドメイン(またはそのバリアント)は、約1nM~約5nM、例えば、約1nM、約1.5nM、約2nM、約2.5nM、約3nM、約3.5nM、約4nM、約4.5nM、または約5nMのKDでその同族の受容体またはリガンドと結合する。ある実施形態では、キメラタンパク質は、約5nM~約15nM、例えば、約5nM、約5.5nM、約6nM、約6.5nM、約7nM、約7.5nM、約8nM、約8.5nM、約9nM、約9.5nM、約10nM、約10.5nM、約11nM、約11.5nM、約12nM、約12.5nM、約13nM、約13.5nM、約14nM、約14.5nM、または約15nMのKDで同族の受容体またはリガンドと結合する。
【0087】
ある実施形態では、キメラタンパク質の各細胞外ドメイン(またはそのバリアント)は、約1μM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約150nM、約130nM、約100nM、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約55nM、約50nM、約45nM、約40nM、約35nM、約30nM、約25nM、約20nM、約15nM、約10nM、または約5nM、または約1nM未満(例えば、表面プラズモン共鳴または生体層干渉法によって測定される)のKDでその同族の受容体またはリガンドと結合する。
【0088】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、約1nM~約5nM、例えば、約1nM、約1.5nM、約2nM、約2.5nM、約3nM、約3.5nM、約4nM、約4.5nM、または約5nMのKDでヒトCD47と結合する。ある実施形態では、キメラタンパク質は、約3nM、約2nM、約1nM、約900pM、約800pM、約700pM、約600pM、約500pM、約400pM、約300pM、約200pM、約100pM、約90pM、約80pM、約70pM、約60pM、約55pM、約50pM、約45pM、約40pM、約35pM、約30pM、約25pM、約20pM、約15pM、または約10pM、または約1pM未満(例えば、表面プラズモン共鳴または生体層干渉法によって測定される)のKDでヒトCD47と結合する。
【0089】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、約1nM、約900pM、約800pM、約700pM、約600pM、約500pM、約400pM、約300pM、約200pM、約100pM、約90pM、約80pM、約70pM、約60pM、約55pM、約50pM、約45pM、約40pM、約35pM、約30pM、約25pM、約20pM、約15pM、または約10pM、または約1pM未満(例えば、表面プラズモン共鳴または生体層干渉法によって測定される)のKDでヒトCD40と結合する。
【0090】
本明細書で使用される場合、細胞外ドメインのバリアントは、天然の細胞外ドメインの受容体/リガンドと結合することが可能である。例えば、バリアントは、その受容体/リガンドとのその結合親和性に影響を及ぼさない細胞外ドメインの1つ以上の変異を含み得、代替的に、細胞外ドメインにおける1つ以上の変異は、受容体/リガンドに対する結合親和性を改善し得るか、または細胞外ドメインにおける1つ以上の変異は、受容体/リガンドに対する結合親和性を低下させ得るが、結合を完全に排除しない。ある実施形態では、1つ以上の変異は、細胞外ドメインがその受容体/リガンドと相互作用する結合ポケットの外側に位置する。ある実施形態では、1つ以上の変異は、変異が結合を完全に排除しない限り、細胞外ドメインがその受容体/リガンドと相互作用する結合ポケットの内側に位置する。受容体-リガンド結合に関する当業者の知識及び当技術分野の知識に基づいて、どの変異が結合を可能にし、どれが結合を排除するかを理解するであろう。
【0091】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、増強された安定性及びタンパク質半減期を有する。
【0092】
本開示のキメラタンパク質は、2つを超える細胞外ドメインを含み得る。例えば、キメラタンパク質は、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、またはそれ以上の細胞外ドメインを含み得る。本明細書に開示されるように、第2の細胞外ドメインは、リンカーを介して第3の細胞外ドメインから分離され得る。代替的に、第2の細胞外ドメインは、第3の細胞外ドメインと直接的に連結され得る(例えば、ペプチド結合を介して)。ある実施形態では、本明細書に開示されるように、キメラタンパク質は、直接的に連結される細胞外ドメイン及びリンカーを介して間接的に連結される細胞外ドメインを含む。
【0093】
リンカー
ある実施形態では、キメラタンパク質は、リンカーを含む。
【0094】
ある実施形態では、リンカーは、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含む。少なくとも1つのシステイン残基は、1対(またはそれ以上)のキメラタンパク質の間にジスルフィド結合を形成することができる。理論に拘束されることを望まないが、そのようなジスルフィド結合形成は、キメラタンパク質の有用な多量体状態が維持される要因となる。これにより、キメラタンパク質の効率的な産生が可能となり、それにより、in vitro及びin vivoで所望される活性が得られる。
【0095】
本開示のキメラタンパク質では、リンカーは、柔軟なアミノ酸配列、IgGヒンジ領域、または抗体配列から選択されるポリペプチドである。
【0096】
ある実施形態では、リンカーは、天然のマルチドメインタンパク質に由来するか、または、例えば、Chichili et al.,Protein Sci.22(2):153-167(2013);Chen et al.,Adv Drug Deliv Rev.65(10):1357-1369(2013)(その全内容は、参照により本明細書に援用される)に記載されるような経験的なリンカーである。ある実施形態では、Chen et al.,Adv Drug Deliv Rev. 65(10):1357-1369(2013);及びCrasto et al.,Protein Eng.13(5):309-312(2000)(その全内容は、参照により本明細書に援用される)に記載されているようなリンカー設計データベース及びコンピュータプログラムを使用してリンカーを設計してよい。
【0097】
ある実施形態では、リンカーは、ポリペプチドを含む。ある実施形態では、ポリペプチドは、約500アミノ酸長、約450アミノ酸長、約400アミノ酸長、約350アミノ酸長、約300アミノ酸長、約250アミノ酸長、約200アミノ酸長、約150アミノ酸長、または約100アミノ酸長未満である。例えば、リンカーは、約100、約95、約90、約85、約80、約75、約70、約65、約60、約55、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2アミノ酸長未満であり得る。
【0098】
ある実施形態では、リンカーは、柔軟性である。
【0099】
ある実施形態では、リンカーは、剛性である。
【0100】
ある実施形態では、リンカーは、実質的にグリシン及びセリン残基からなる(例えば、約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、または約97%、または約98%、または約99%、または約100%のグリシン及びセリン)。
【0101】
ある実施形態では、リンカーは、抗体(例えば、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、ならびにIgA1、及びIgA2)を含むIgG、IgA、IgD、及びIgE)のヒンジ領域を含む。IgG、IgA、IgD、及びIgEクラス抗体に見られるヒンジ領域は、柔軟なスペーサーとして機能し、Fab部分が空間内を自由に移動することを可能とする。定常領域とは対照的に、ヒンジドメインは、構造的に多様であり、免疫グロブリンクラス及びサブクラス間で配列及び長さの両方が異なる。例えば、ヒンジ領域の長さ及び可塑性は、IgGサブクラス間で異なる。IgG1のヒンジ領域はアミノ酸216~231を包括し、自由に可塑性であるため、Fabフラグメントはその対称軸を中心に回転し、2つの重鎖間ジスルフィド架橋の第1の中心にある球内を移動し得る。IgG2は、IgG1よりも短いヒンジを有し、12個のアミノ酸残基及び4個のジスルフィド架橋を有する。IgG2のヒンジ領域は、グリシン残基を欠いており、比較的短く、追加の重鎖間ジスルフィド架橋によって安定化された剛性のポリプロリン二重らせんを含む。これらの特性は、IgG2分子の可塑性を制限する。IgG3は、62個のアミノ酸(21個のプロリン及び11個のシステインを含む)を含み、可塑性がないポリプロリン二重らせんを形成する、その固有の拡張ヒンジ領域(IgG1ヒンジの約4倍の長さ)が他のサブクラスと異なる。IgG3では、Fabフラグメントは、Fcフラグメントから比較的離れており、分子の可塑性が高まる。IgG3における細長いヒンジは、他のサブクラスと比較してその高分子量の原因でもある。IgG4のヒンジ領域は、IgG1のヒンジ領域よりも短く、その可塑性は、IgG1及びIgG2の中間である。ヒンジ領域の柔軟性は、IgG3>IgG1>IgG4>IgG2の順に減少すると報告されている。ある実施形態では、リンカーは、ヒトIgG4に由来し、二量体形成(S228Pを含む)またはFcRn結合を増強するための1つ以上の変異を含み得る。
【0102】
結晶学的研究によれば、免疫グロブリンヒンジ領域は、機能的に、上部ヒンジ領域、コア領域、及び下部ヒンジ領域の3つの領域にさらに細分化され得る。Shin et al.,Immunological Reviews 130:87(1992)を参照されたい。上部ヒンジ領域には、CH1のカルボキシル末端から、動きを制限するヒンジにおける第1の残基、通常は2つの重鎖間に鎖間ジスルフィド結合を形成する第1のシステイン残基までのアミノ酸が含まれる。上部ヒンジ領域の長さは、抗体のセグメントの可塑性と相関する。コアヒンジ領域には、重鎖間ジスルフィド架橋が含まれ、下部ヒンジ領域は、CH2ドメインのアミノ末端と結合し、CH2の残基が含まれる。同上。野生型ヒトIgG1のコアヒンジ領域は、配列CPPC(配列番号24)を含み、これは、ジスルフィド結合形成によって二量体化されると、回転軸として作用すると考えられる環状オクタペプチドをもたらし、したがって柔軟性が与えられる。ある実施形態では、本発明のリンカーは、任意の抗体(例えば、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、ならびにIgA1、及びIgA2)を含むIgG、IgA、IgD、及びIgE)の上部ヒンジ領域、コア領域、及び下部ヒンジ領域のうちの1つ、2つ、または3つを含む。ヒンジ領域はまた、1つ以上のグリコシル化部位を含み得、これは、炭水化物付着のためのいくつかの構造的に異なる種類の部位を含む。例えば、IgA1は、ヒンジ領域の17個のアミノ酸セグメント内に5つのグリコシル化部位を含み、分泌型免疫グロブリンにとって有利な特性と考えられる、腸のプロテアーゼに対するヒンジ領域ポリペプチドの抵抗性を付与する。ある実施形態では、本開示のリンカーは、1つ以上のグリコシル化部位を含む。
【0103】
ある実施形態では、リンカーは、抗体(例えば、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、ならびにIgA1、及びIgA2)を含むIgG、IgA、IgD、及びIgE)のFcドメインを含む。
【0104】
本開示のキメラタンパク質では、リンカーは、IgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。ある実施形態では、リンカーは、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。ある実施形態では、リンカーは、配列番号1~配列番号3のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、リンカーは、配列番号1~配列番号3のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列(例えば、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも95%同一の)を含む。ある実施形態では、リンカーは、1つ以上の結合リンカーを含み、そのような結合リンカーは、独立して配列番号4~50(またはそのバリアント)から選択される。ある実施形態では、リンカーは、2つ以上の結合リンカーを含み、各結合リンカーは独立して、配列番号4~50(またはそのバリアント)から選択され、一方の結合リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインに対してN末端であり、他方の結合リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインに対してC末端である。
【0105】
ある実施形態では、リンカーは、ヒトIgG1抗体に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。ある実施形態では、Fcドメインは、新生児Fc受容体(FcRn)に対して増加した親和性及び増強した結合を示す。ある実施形態では、Fcドメインは、FcRnに対する親和性を増加させ、FcRnとの結合を増強する1つ以上の変異を含む。理論に拘束されることを望まないが、FcRnに対する親和性の増大及び結合の増強は、本発明のキメラタンパク質のin vivoでの半減期を増大させると考えられる。
【0106】
ある実施形態では、リンカーにおけるFcドメインは、アミノ酸残基250、252、254、256、308、309、311、416、428、433、もしくは434(参照により本明細書に明示的に援用される、Kabat,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)の場合と同様に、Kabatの番号付けに従って)、またはそれらの同等物での1つ以上のアミノ酸置換を含む。ある実施形態では、アミノ酸残基250でのアミノ酸置換は、グルタミンによる置換である。ある実施形態では、アミノ酸残基252でのアミノ酸置換は、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、またはスレオニンによる置換である。ある実施形態では、アミノ酸残基254でのアミノ酸置換は、スレオニンによる置換である。ある実施形態では、アミノ酸残基256でのアミノ酸置換は、セリン、アルギニン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸、またはスレオニンによる置換である。ある実施形態では、アミノ酸残基308でのアミノ酸置換は、スレオニンによる置換である。ある実施形態では、アミノ酸残基309でのアミノ酸置換は、プロリンによる置換である。ある実施形態では、アミノ酸残基311でのアミノ酸置換は、セリンによる置換である。ある実施形態では、アミノ酸残基385でのアミノ酸置換は、アルギニン、アスパラギン酸、セリン、スレオニン、ヒスチジン、リジン、アラニン、またはグリシンによる置換である。ある実施形態では、アミノ酸残基386でのアミノ酸置換は、スレオニン、プロリン、アスパラギン酸、セリン、リジン、アルギニン、イソロイシン、またはメチオニンによる置換である。ある実施形態では、アミノ酸残基387でのアミノ酸置換は、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、セリン、スレオニン、またはアラニンによる置換である。ある実施形態では、アミノ酸残基389でのアミノ酸置換は、プロリン、セリン、またはアスパラギンによる置換である。ある実施形態では、アミノ酸残基416でのアミノ酸置換は、セリンによる置換である。ある実施形態では、アミノ酸残基428でのアミノ酸置換は、ロイシンによる置換である。ある実施形態では、アミノ酸残基433でのアミノ酸置換は、アルギニン、セリン、イソロイシン、プロリン、またはグルタミンによる置換である。ある実施形態では、アミノ酸残基434でのアミノ酸置換は、ヒスチジン、フェニルアラニン、またはチロシンによる置換である。
【0107】
ある実施形態では、Fcドメインリンカー(例えば、IgG定常領域を含む)は、アミノ酸残基252、254、256、433、434、または436(参照により本明細書に明示的に組み込まれる、Kabat,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)の場合と同様に、Kabatの番号付けに従って)での置換などの1つ以上の変異を含む。ある実施形態では、IgG定常領域は、トリプルM252Y/S254T/T256E変異またはYTE変異を含む。ある実施形態では、IgG定常領域は、トリプルH433K/N434F/Y436H変異またはKFH変異を含む。ある実施形態では、IgG定常領域は、YTE及びKFH変異の組み合わせを含む。
【0108】
ある実施形態では、リンカーは、アミノ酸残基250、253、307、310、380、428、433、434、及び435(参照により本明細書に明示的に組み込まれる、Kabat,et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)の場合と同様に、Kabatの番号付けに従って)での1つ以上の変異を含むIgG定常領域を含む。例示的な変異には、T250Q、M428L、T307A、E380A、I253A、H310A、M428L、H433K、N434A、N434F、N434S、及びH435Aが含まれる。ある実施形態では、IgG定常領域は、M428L/N434S変異またはLS変異を含む。ある実施形態では、IgG定常領域は、T250Q/M428L変異またはQL変異を含む。ある実施形態では、IgG定常領域は、N434A変異を含む。ある実施形態では、IgG定常領域は、T307A/E380A/N434A変異またはAAA変異を含む。ある実施形態では、IgG定常領域は、I253A/H310A/H435A変異またはIHH変異を含む。ある実施形態では、IgG定常領域は、H433K/N434F変異を含む。ある実施形態では、IgG定常領域は、M252Y/S254T/T256E及びH433K/N434F変異の組み合わせを含む。
【0109】
IgG定常領域における追加の例示的な変異は、例えば、Robbie,et al.,Antimicrobial Agents and Chemotherapy 57(12):6147-6153(2013);Dall’Acqua et al.,Journal Biol Chem 281(33):23514-24(2006);Dall’Acqua et al.,Journal of Immunology 169:5171-80(2002);Ko et al. Nature 514:642-645(2014);Grevys et al. Journal of Immunology 194(11):5497-508(2015)、及び米国特許第7,083,784号に記載されており、その全内容は参照により本明細書に援用される。
【0110】
例示的なFc安定化変異体は、S228Pである。例示的なFc半減期延長変異体は、T250Q、M428L、V308T、L309P、及びQ311Sであり、本発明のリンカーは、これらの変異体の1つ、2つ、3つ、4つ、または5つを含み得る。
【0111】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、高い親和性でFcRnと結合する。ある実施形態では、キメラタンパク質は、約1nM~約80nMのKDでFcRnと結合し得る。例えば、キメラタンパク質は、約1nM、約2nM、約3nM、約4nM、約5nM、約6nM、約7nM、約8nM、約9nM、約10nM、約15nM、約20nM、約25nM、約30nM、約35nM、約40nM、約45nM、約50nM、約55nM、約60nM、約65nM、約70nM、約71nM、約72nM、約73nM、約74nM、約75nM、約76nM、約77nM、約78nM、約79nM、または約80nMのKDでFcRnと結合し得る。ある実施形態では、キメラタンパク質は、約9nMのKDでFcRnと結合し得る。ある実施形態では、キメラタンパク質は、エフェクター機能を有する他のFc受容体(すなわち、FcRn以外)と実質的に結合しない。
【0112】
ある実施形態では、リンカーにおけるFcドメインは、配列番号1(以下の表1を参照されたい)、またはそれと少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一性のアミノ酸配列を有する。ある実施形態では、変異は、安定性及び/または半減期を増加させるために、配列番号1に対して行われる。例えば、ある実施形態では、リンカーにおけるFcドメインは、配列番号2(以下の表1を参照されたい)、またはそれと少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一性のアミノ酸配列を含む。例えば、ある実施形態では、リンカーにおけるFcドメインは、配列番号3(以下の表1を参照されたい)、またはそれと少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一性のアミノ酸配列を含む。
【0113】
さらに、1つ以上の結合リンカーは、リンカーにおけるFcドメイン(例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、またはそれと少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一性であるもののうちの1つ)及び細胞外ドメインを接続するために使用され得る。例えば、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、またはそのバリアントのうちのいずれか1つが、本明細書に開示される細胞外ドメイン、及び本明細書に開示されるリンカーにおけるFcドメインを接続し得る。任意で、配列番号4~50、またはそのバリアントのうちのいずれか1つは、本明細書に開示される細胞外ドメインと本明細書に開示されるFcドメインとの間に位置する。
【0114】
ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、以下の表1に開示される結合リンカーのバリアントを含み得る。例えば、リンカーは、配列番号4~50のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0115】
ある実施形態では、第1及び第2の結合リンカーは異なっていてもよく、またはそれらは同じであってもよい。
【0116】
理論に拘束されることを望まないが、キメラタンパク質においてFcドメインの少なくとも一部を含むリンカーを含めることは、不溶性であり、非機能性の可能性のあるタンパク質コンカテマー及び/または凝集体の形成を回避する助けとなる。これは、キメラタンパク質間にジスルフィド結合を形成することが可能であるFcドメイン内にシステインが存在するためである。
【0117】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、本明細書に開示されるように、1つ以上の結合リンカーを含んでいてもよく、本明細書に開示されるように、Fcドメインリンカーを欠損していてもよい。
【0118】
ある実施形態では、第1及び/または第2の結合リンカーは独立して、配列番号4~50のアミノ酸配列から選択され、以下の表1に提供される:
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0119】
ある実施形態では、結合リンカーは、実質的にグリシン及びセリン残基を含む(例えば、約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、または約97%、または約98%、または約99%、または約100%のグリシン及びセリン)。例えば、ある実施形態では、結合リンカーは、(Gly4Ser)nであり、配列中、nは、約1~約8、例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8(それぞれ、配列番号25~配列番号9)である。ある実施形態では、結合リンカー配列は、GGSGGSGGGGSGGGGS(配列番号33)である。追加の例示的な結合リンカーとしては、LE、(EAAAK)n(n=1~3)(配列番号36~配列番号38)、A(EAAAK)nA(n=2~5)(配列番号39~配列番号42)、A(EAAAK)4ALEA(EAAAK)4A(配列番号43)、PAPAP(配列番号44)、KESGSVSSEQLAQFRSLD(配列番号45)、GSAGSAAGSGEF(配列番号46)、及び(XP)n(Xは、例えば、Ala、Lys、またはGluなどの任意のアミノ酸を示す)の配列を有するリンカーが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、結合リンカーは、GGSである。ある実施形態では、結合リンカーは、配列(Gly)nを有し、配列中、nは、1~100の任意の数値、例えば、(Gly)8(配列番号34)及び(Gly)6(配列番号35)である。
【0120】
ある実施形態では、結合リンカーは、GGGSE(配列番号47)、GSESG(配列番号48)、GSEGS(配列番号49)、GEGGSGEGSSGEGSSSEGGGSEGGGSEGGGSEGGS(配列番号50)、ならびに4アミノ酸間隔ごとにG、S、及びEがランダムに配置された結合リンカーのうちの1つ以上である。
【0121】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号5及び/または配列番号7のアミノ酸配列を含む結合リンカーを含む。
【0122】
ある実施形態では、キメラタンパク質が、CD172a(SIRPα)の細胞外ドメイン(ECD)、Fcドメインに先行する1つの結合リンカー、Fcドメインに続く第2の結合リンカー、及びCD40LのECDを含む場合、キメラタンパク質は、以下の構造を含み得る:
ヒトCD172a(SIRPα)のECD - 結合リンカー1 - Fcドメイン - 結合リンカー2 - ヒトCD40LのECD
第1の結合リンカー、Fcドメインリンカー、及び第2の結合リンカーの組み合わせは、本明細書において「モジュラーリンカー」と称される。ある実施形態では、キメラタンパク質は、表2に示されるようなモジュラーリンカーを含む。
【表2-1】
【表2-2】
【0123】
ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、上記の表2に開示されるモジュラーリンカーのバリアントを含み得る。例えば、リンカーは、配列番号51~56のうちのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
【0124】
ある実施形態では、リンカーは、高い柔軟性であることを含むがこれに限定されない柔軟性であり得る。ある実施形態では、リンカーは、剛性αヘリックスを含むがこれに限定されない剛性であり得る。例示的な結合リンカーの特徴を以下の表3に示す:
【表3】
【0125】
ある実施形態では、リンカーは、機能性であり得る。例えば、限定されないが、リンカーは、本発明のキメラタンパク質の折り畳み及び/または安定性を改善し、発現を改善し、薬物動態を改善し、及び/または生物活性を改善するように機能し得る。別の例では、リンカーは、キメラタンパク質を特定の細胞型または位置に標的化するように機能し得る。
【0126】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、1つの結合リンカーのみを含む。
【0127】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、結合リンカーを欠く。
【0128】
ある実施形態では、リンカーは、ポリエチレングリコール(PEG)などの合成リンカーである。
【0129】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、そのリガンド/受容体と立体的に結合することが可能である第1のドメイン、及び/またはそのリガンド/受容体と立体的に結合することが可能である第2のドメインを有する。したがって、細胞外ドメインのリガンド/受容体結合ドメインがそのリガンド/受容体の結合を立体的に妨げられないように、キメラタンパク質及び/または細胞外ドメイン(またはその一部)と残りのキメラタンパク質との間の物理的距離に十分な全体的な柔軟性がある。この柔軟性及び/または物理的距離(「緩み」と称される)は通常、細胞外ドメイン(複数可)に存在し、通常はリンカーに存在し、及び/または通常はキメラタンパク質に(全体として)存在し得る。代替的にまたは追加的に、アミノ酸配列(例えば)は、立体障害を回避するために必要な緩みを提供するために、1つ以上の細胞外ドメイン及び/またはリンカーに追加され得る。緩みを提供する任意のアミノ酸配列を追加してもよい。ある実施形態では、追加されるアミノ酸配列は、配列(Gly)nを含み、配列中、nは、1~100の任意の数値である。追加可能なアミノ酸配列の追加の例には、表1及び表3に記載される結合リンカーが含まれる。ある実施形態では、立体障害を回避するために必要な緩みを提供するために、細胞外ドメインとリンカーとの間にポリエチレングリコール(PEG)リンカーを追加してもよい。そのようなPEGリンカーは、当技術分野において周知である。
【0130】
ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、ヒトCD172a(SIRPα)(またはそのバリアント)の細胞外ドメイン、リンカー、及びヒトCD40L(またはそのバリアント)の細胞外ドメインを含む。ある実施形態では、リンカーは、例えば、ヒトIgG1またはIgG4などのIgG1由来またはIgG4由来のヒンジCH2-CH3 Fcドメインを含む。したがって、ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、ヒトCD172a(SIRPα)(またはそのバリアント)の細胞外ドメイン、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含むリンカー、及びヒトCD40L(またはそのバリアント)の細胞外ドメインを含む。そのようなキメラタンパク質は、本明細書では「hCD172a(SIRPα)-Fc-CD40L」または「SL-172154」と称され得る。
【0131】
疾患、治療法、及び作用機序
本開示の一態様は、ヒト対象におけるがんの治療方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)ヒト対象に、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有するキメラタンパク質の第1の用量を投与することを含み、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、第1の用量の投与前に対象から採取した生体試料中の細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性が測定されており、マーカーは、CD80+細胞、CD8+細胞、グランザイムB+細胞、CD68+細胞、Ki67+細胞、及びPD-L1+免疫細胞のうちの1つ以上から選択される。ある実施形態では、本方法はさらに、(ii)投与後の細胞のレベル及び/または活性が細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも高い場合に、ヒト対象にキメラタンパク質の第2の用量を投与することを含む。ある実施形態では、第1の用量の投与から少なくとも約48時間後に第2の用量を投与する。
【0132】
ある実施形態では、生体試料は、血液、血漿、血清、血球、涙液、涙、骨髄、腹水、組織または細針生検試料、細胞含有体液、浮遊核酸、痰、唾液、尿、脳脊髄液、腹水、胸水、糞便、リンパ液、婦人科液、皮膚スワブ、膣スワブ、口腔スワブ、鼻腔スワブ、洗浄または洗浄液、吸引物、掻爬物、骨髄標本、生検標本、及び外科標本から選択される。ある実施形態では、生体試料は、生検試料または外科標本である。ある実施形態では、生体試料は、腫瘍生検試料または腫瘍外科標本である。ある実施形態では、腫瘍生検試料は、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、皮膚扁平上皮癌(CSCC)、及び頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)から選択される腫瘍に由来する。
【0133】
ある実施形態では、細胞のレベル及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。ある実施形態では、試料を、CD80、CD8、グランザイムB、CD68、Ki67、及びPD-L1から選択される1つ以上の分子に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、細胞のレベル及び/または活性を測定する。ある実施形態では、1つ以上の分子に特異的に結合する薬剤は、抗体またはその断片である。ある実施形態では、抗体は、組換え抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはその断片である。
【0134】
ある実施形態では、試料を、CD80、CD8、グランザイムB、CD68、Ki67、及びPD-L1の1つ以上をコードする1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、細胞のレベル及び/または活性を測定する。ある実施形態では、1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤は、核酸プライマーまたはプローブである。
【0135】
本開示の一態様は、ヒト対象におけるがんの治療方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)ヒト対象に、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有するキメラタンパク質の第1の用量を投与することを含み、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、第1の用量の投与前に対象から採取した第1の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、第1の用量の投与後に対象から採取した第2の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞の、投与からN時間後のレベル及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、Nは、1~24の数値である。ある実施形態では、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性は、B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも低い。ある実施形態では、第1の用量の投与後に対象から採取した第3の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞の、投与からM日後のレベル及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、Mは、1~28の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、(ii)投与からM日後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性に比べて少なくとも約50%高い場合に、ヒト対象にキメラタンパク質の第2の用量を投与することを含む。ある実施形態では、第1の用量の投与から少なくとも約48時間後に第2の用量を投与する。
【0136】
ある実施形態では、Nは、12未満、または8未満、または6未満、または4未満、または3未満、または2未満、または1未満である。ある実施形態では、Mは、21未満、または14未満、または12未満、または10未満、または8未満、または6未満、または4未満、または2未満である。ある実施形態では、Nは、12未満、または8未満、または6未満、または4未満、または3未満、または2未満、または1未満であり、Mは、21未満、または14未満、または12未満、または10未満、または8未満、または6未満、または4未満、または2未満である。
【0137】
ある実施形態では、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性は、B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも高い。ある実施形態では、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性は、B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも低い。ある実施形態では、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性は、B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性の約10%、約20%、約30%、または約40%以内である。
【0138】
ある実施形態では、第1の生体試料、第2の生体試料、及び第3の生体試料は、独立して、血液、血漿、血清、血球、涙液、涙、骨髄、腹水、組織または細針生検試料、細胞含有体液、浮遊核酸、痰、唾液、尿、脳脊髄液、腹水、胸水、糞便、リンパ液、婦人科液、皮膚スワブ、膣スワブ、口腔スワブ、鼻腔スワブ、洗浄または洗浄液、吸引物、掻爬物、骨髄標本、生検標本、及び外科標本から選択される。ある実施形態では、第1の生体試料、第2の生体試料、及び第3の生体試料は血液である。
【0139】
ある実施形態では、B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。ある実施形態では、試料を、CD40及び/またはB細胞マーカーに特異的に結合する薬剤と接触させることによって、B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を測定する。ある実施形態では、B細胞マーカーは、CD19、CD20、CD24、CD27、CD34、CD38、CD45R、CD86、CD95、IgM、IgD、及びCD40から選択される。ある実施形態では、1つ以上の分子に特異的に結合する薬剤は、抗体またはその断片である。ある実施形態では、抗体は、組換え抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはその断片である。ある実施形態では、試料を、CD40及び/またはB細胞マーカーをコードする1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を測定する。ある実施形態では、B細胞マーカーは、CD19、CD20、CD24、CD27、CD34、CD38、CD45R、CD86、CD95、IgM、IgD、及びCD40から選択される。ある実施形態では、1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤は、核酸プライマーまたはプローブである。
【0140】
本開示の一態様は、ヒト対象におけるがんの治療方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)ヒト対象に、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有するキメラタンパク質の第1の用量を投与することを含み、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、第1の用量の投与前に対象から採取した第1の生体試料中の、CCL2、CXCL9、CXCL10、IFNα、IL15、IL23、IL-12、MCP-1、MIP-1β、MIP-1α、及びMDCから選択されるサイトカインのバックグラウンド量及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、第1の用量の投与後に対象から採取した第2の生体試料中の、投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、Nは、1~24の数値である。ある実施形態では、サイトカインの投与からN時間後の量及び/または活性は、サイトカインのバックグラウンド量及び/または活性よりも高い。ある実施形態では、第1の用量の投与後に対象から採取した第3の生体試料中の、サイトカインのM日後の量及び/または活性が測定されており、Mは、1~28の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、(ii)投与からM日後のサイトカインの量及び/または活性が、投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性に比べて少なくとも約30%低い場合に、ヒト対象にキメラタンパク質の第2の用量を投与することを含む。ある実施形態では、第1の用量の投与から少なくとも約48時間後に第2の用量を投与する。
【0141】
本開示の一態様は、ヒト対象におけるがんの治療方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)ヒト対象に、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有するキメラタンパク質の第1の用量を投与することを含み、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、第1の用量の投与前に対象から採取した投与前生体試料中の細胞のバックグラウンドレベルが測定されており、マーカーは、CD80+細胞、CD8+細胞、グランザイムB+細胞、CD68+細胞、Ki67+細胞、及びPD-L1+免疫細胞のうちの1つ以上から選択される。ある実施形態では、本方法はさらに、投与後の細胞のレベルが細胞のバックグラウンドレベルよりも高い場合に、ヒト対象にキメラタンパク質の第2の用量を投与することを含む。ある実施形態では、第1の用量の投与から少なくとも約48時間後に第2の用量を投与する。
【0142】
ある実施形態では、生体試料は、血液、血漿、血清、血球、涙液、涙、骨髄、腹水、組織または細針生検試料、細胞含有体液、浮遊核酸、痰、唾液、尿、脳脊髄液、腹水、胸水、糞便、リンパ液、婦人科液、皮膚スワブ、膣スワブ、口腔スワブ、鼻腔スワブ、洗浄または洗浄液、吸引物、掻爬物、骨髄標本、生検標本、及び外科標本から選択される。ある実施形態では、生体試料は、生検試料または外科標本である。ある実施形態では、生体試料は、腫瘍生検試料または腫瘍外科標本である。ある実施形態では、腫瘍生検試料または腫瘍外科標本は、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、皮膚扁平上皮癌(CSCC)、及び頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)から選択される腫瘍に由来する。
【0143】
ある実施形態では、細胞のレベル及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。ある実施形態では、試料を、CD80、CD8、グランザイムB、CD68、Ki67、及びPD-L1から選択される1つ以上の分子に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、細胞のレベル及び/または活性を測定する。ある実施形態では、1つ以上の分子に特異的に結合する薬剤は、抗体またはその断片である。ある実施形態では、抗体は、組換え抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはその断片である。ある実施形態では、試料を、CD80、CD8、グランザイムB、CD68、Ki67、及びPD-L1の1つ以上をコードする1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、細胞のレベル及び/または活性を測定する。ある実施形態では、1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤は、核酸プライマーまたはプローブである。
【0144】
本開示の一態様は、ヒト対象におけるがんの治療方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)ヒト対象に、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有するキメラタンパク質の第1の用量を投与することを含み、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、第1の用量の投与前に対象から採取した第1の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、第1の用量の投与後に対象から採取した第2の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞の、投与からN時間後のレベル及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、Nは、1~24の数値である。ある実施形態では、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性は、B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも低い。ある実施形態では、第1の用量の投与後に対象から採取した第3の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞の、投与からM日後のレベル及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、Mは、1~28の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、(ii)投与からM日後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性に比べて少なくとも約50%高い場合に、ヒト対象にキメラタンパク質の第2の用量を投与することを含む。ある実施形態では、第1の用量の投与から少なくとも約48時間後に第2の用量を投与する。
【0145】
ある実施形態では、Nは、12未満、または8未満、または6未満、または4未満、または3未満、または2未満、または1未満である。ある実施形態では、Mは、21未満、または14未満、または12未満、または10未満、または8未満、または6未満、または4未満、または2未満である。ある実施形態では、Nは、12未満、または8未満、または6未満、または4未満、または3未満、または2未満、または1未満であり、Mは、21未満、または14未満、または12未満、または10未満、または8未満、または6未満、または4未満、または2未満である。
【0146】
ある実施形態では、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性は、B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも高い。ある実施形態では、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性は、B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも低い。ある実施形態では、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性は、B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性の約10%、約20%、約30%、または約40%以内である。
【0147】
ある実施形態では、第1の生体試料、第2の生体試料、及び第3の生体試料は、独立して、血液、血漿、血清、血球、涙液、涙、骨髄、腹水、組織または細針生検試料、細胞含有体液、浮遊核酸、痰、唾液、尿、脳脊髄液、腹水、胸水、糞便、リンパ液、婦人科液、皮膚スワブ、膣スワブ、口腔スワブ、鼻腔スワブ、洗浄または洗浄液、吸引物、掻爬物、骨髄標本、生検標本、及び外科標本から選択される。ある実施形態では、第1の生体試料、第2の生体試料、及び第3の生体試料は血液である。
【0148】
ある実施形態では、B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。ある実施形態では、試料を、CD40及び/またはB細胞マーカーに特異的に結合する薬剤と接触させることによって、B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を測定する。ある実施形態では、B細胞マーカーは、CD19、CD20、CD24、CD27、CD34、CD38、CD45R、CD86、CD95、IgM、IgD、及びCD40から選択される。ある実施形態では、1つ以上の分子に特異的に結合する薬剤は、抗体またはその断片である。ある実施形態では、抗体は、組換え抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはその断片である。ある実施形態では、試料を、CD40及び/またはB細胞マーカーをコードする1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を測定する。ある実施形態では、B細胞マーカーは、CD19、CD20、CD24、CD27、CD34、CD38、CD45R、CD86、CD95、IgM、IgD、及びCD40から選択される。ある実施形態では、1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤は、核酸プライマーまたはプローブである。
【0149】
本開示の一態様は、ヒト対象におけるがんの治療方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)ヒト対象に、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有するキメラタンパク質の第1の用量を投与することを含み、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、第1の用量の投与前に対象から採取した第1の生体試料中の、CCL2、CXCL9、CXCL10、IFNα、IL15、IL23、IL-12、MCP-1、MIP-1β、MIP-1α、及びMDCから選択されるサイトカインのバックグラウンド量及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、第1の用量の投与後に対象から採取した第2の生体試料中の、サイトカインのN時間後の量及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、Nは、1~24の数値である。ある実施形態では、サイトカインの投与からN時間後の量及び/または活性は、サイトカインのバックグラウンド量及び/または活性よりも高い。ある実施形態では、第1の用量の投与後に対象から採取した第3の生体試料中の、サイトカインのM日後の量及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、Mは、1~28の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、(ii)投与からM日後のサイトカインの量及び/または活性が、投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性に比べて少なくとも約30%低い場合に、ヒト対象にキメラタンパク質の第2の用量を投与することを含む。ある実施形態では、第1の用量の投与から少なくとも約48時間後に第2の用量を投与する。
【0150】
ある実施形態では、Nは、12未満、または8未満、または6未満、または4未満、または3未満、または2未満、または1未満である。ある実施形態では、Mは、21未満、または14未満、または12未満、または10未満、または8未満、または6未満、または4未満、または2未満である。ある実施形態では、Nは、12未満、または8未満、または6未満、または4未満、または3未満、または2未満、または1未満であり、Mは、21未満、または14未満、または12未満、または10未満、または8未満、または6未満、または4未満、または2未満である。
【0151】
ある実施形態では、サイトカインの投与からN時間後の量及び/または活性は、サイトカインのバックグラウンド量及び/または活性よりも高い。ある実施形態では、サイトカインの投与からN時間後の量及び/または活性は、サイトカインのバックグラウンド量及び/または活性よりも低い。ある実施形態では、サイトカインの投与からN時間後の量及び/または活性は、サイトカインのバックグラウンド量及び/または活性の約10%、約20%、約30%、または約40%以内である。
【0152】
ある実施形態では、第1の生体試料、第2の生体試料、及び第3の生体試料は、独立して、血液、血漿、血清、血球、涙液、涙、骨髄、腹水、組織または細針生検試料、細胞含有体液、浮遊核酸、痰、唾液、尿、脳脊髄液、腹水、胸水、糞便、リンパ液、婦人科液、皮膚スワブ、膣スワブ、口腔スワブ、鼻腔スワブ、洗浄または洗浄液、吸引物、掻爬物、骨髄標本、生検標本、及び外科標本から選択される。ある実施形態では、第1の生体試料、第2の生体試料、及び第3の生体試料は血液である。
【0153】
ある実施形態では、サイトカインの量及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。ある実施形態では、試料を、サイトカインに特異的に結合する薬剤と接触させることによって、サイトカインの量及び/または活性を測定する。ある実施形態では、1つ以上の分子に特異的に結合する薬剤は、抗体またはその断片である。ある実施形態では、抗体は、組換え抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはその断片である。ある実施形態では、試料を、サイトカインをコードする1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、サイトカインの量及び/または活性を測定する。ある実施形態では、1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤は、核酸プライマーまたはプローブである。
【0154】
CD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質(例えば、配列番号59または配列番号61)を含む、本明細書に開示されるキメラタンパク質は、進行性固形腫瘍及び進行性リンパ腫の両方を治療する方法に使用される。これらの腫瘍型には、黒色腫、非小細胞肺癌(扁平上皮癌、腺癌、腺扁平上皮癌)、尿路上皮癌、腎細胞癌、扁平上皮子宮頸癌、胃癌または胃食道接合部腺癌、肛門扁平上皮癌、頭頸部扁平上皮癌、皮膚扁平上皮癌、及び中枢神経系(CNS)腫瘍以外の高頻度マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復欠損固形腫瘍が含まれる。関心対象の他の腫瘍としては、ホジキンリンパ腫(HL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、及び高リスク骨髄異形成症候群(HR-MDS)が挙げられる。
【0155】
ある実施形態では、がんは、進行した固形腫瘍(局所性及び/または転移性)を含む。ある実施形態では、ヒト対象はがんに罹患しており、治療対象のがんは、腫瘍微小環境内にマクロファージが存在すること、及び/または腫瘍内にCD47+細胞である腫瘍細胞が存在することを特徴とする。ある実施形態では、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質の投与により、腫瘍細胞の「don’t eat me」シグナルが遮断され、及び/または「eat me」シグナルが刺激される。ある実施形態では、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質(例えば、配列番号59または配列番号61)による治療法は、マクロファージを刺激して腫瘍細胞を貪食させ、貪食された腫瘍細胞の腫瘍抗原をT細胞に効果的に提示する。
【0156】
ある実施形態では、がんは固形癌である。ある実施形態では、がんは固形腫瘍である。ある実施形態では、がんは転移性癌である。ある実施形態では、がんは血液癌である。ある実施形態では、がんは、CD47を発現する。
【0157】
ある実施形態では、がんは、進行したリンパ腫を含む。ある実施形態では、がんは、急性骨髄性白血病(AML)を含む。ある実施形態では、がんは、p53変異型AMLを含む。ある実施形態では、がんは、高リスク骨髄異形成症候群(HR-MDS)を含む。
【0158】
本開示の態様は、がんの治療方法を提供する。その方法は、本明細書に開示されるように、例えば医薬組成物中の、有効量のキメラタンパク質を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。
【0159】
多くの場合、免疫刺激シグナル伝達を増強して免疫応答をブーストし、例えば患者の抗腫瘍免疫応答を増強することが望ましい。
【0160】
ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、例えば、検出され、及び/または破壊されることを回避しようとしているがん細胞に由来する免疫抑制シグナルの伝達を妨害、遮断、低減、阻害、及び/または隠退させるヒトCD172aの細胞外ドメイン(SIRPα)、ならびに抗がん免疫細胞への免疫刺激シグナルの伝達を増強、増加、及び/または刺激するヒトCD40Lの細胞外ドメインを含む。したがって、CD172a(SIRPα)の細胞外ドメインがそのリガンド/受容体に同時に結合し、CD40Lの細胞外ドメインがその受容体に結合すると、がん細胞からの免疫抑制シグナルの伝達が妨げられ、免疫系細胞の免疫活性が刺激される。言い換えれば、本開示のキメラタンパク質は、2つの異なるメカニズムを介してがんを治療することができる。
【0161】
ある実施形態では、本開示は、がん及び/または腫瘍、例えば、がん及び/または腫瘍の治療または予防に関する。本明細書の他の箇所で開示されているように、ある実施形態では、がんの治療は、本発明のキメラタンパク質を用いて免疫系を調節し、免疫刺激シグナルの増加または活性化を促進することを含む。ある実施形態では、本方法は、未治療の対象、またはCD172a(SIRPα)、CD40L、及び/またはそれらのそれぞれのリガンドもしくは受容体に対する抗体で治療した対象と比較して、制御性T細胞(Treg)の量または活性を減少させる。ある実施形態では、本方法は、未治療の対象、またはCD172a(SIRPα)、CD40L、及び/またはそれらのそれぞれのリガンドもしくは受容体に対する抗体で治療した対象と比較して、対象の流入領域リンパ節におけるエフェクターT細胞のプライミングを増加させる。ある実施形態では、本方法は、未治療の対象、またはCD172a(SIRPα)、CD40L、及び/またはそれらのそれぞれのリガンドもしくは受容体に対する抗体で治療した対象と比較して、免疫抑制細胞の全体的な減少、及びより炎症性の腫瘍環境への移行を引き起こす。
【0162】
ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、免疫応答の大きさを調節、例えば、エフェクター出力のレベルを調節することができるか、またはそれを含む方法で使用することができる。ある実施形態では、例えば、がんの治療に使用される場合、本発明のキメラタンパク質は、免疫阻害と比較して免疫刺激の程度を改変し、サイトカイン産生、増殖、または標的を殺傷する潜在性のレベルの増加を刺激することを含むが、これらに限定されないT細胞応答の振幅を増加させる。ある実施形態では、患者のT細胞は、キメラタンパク質によって、活性化及び/または刺激され、活性化T細胞がサイトカインを分離及び/または分泌することを可能とする。
【0163】
がんまたは腫瘍とは、細胞の無秩序な増殖、及び/または細胞生存率の異常な増大、及び/または身体の器官及び系の正常な機能を妨げるアポトーシス阻害を指す。良性及び悪性のがん、ポリープ、過形成、ならびに休止状態の腫瘍または微小転移巣が含まれる。また、免疫系によって妨げられない異常な増殖を有する細胞(例えば、ウイルス感染細胞)も含まれる。がんは、原発性癌であっても、または転移性癌であってもよい。原発性癌は、臨床的に検出可能になる起点部位のがん細胞の領域であってもよく、原発性腫瘍であってもよい。対照的に、転移性癌とは、ある器官または部分から別の隣接していない器官または部分への疾患の広がりであり得る。転移性癌は、局所領域の周囲の正常組織に浸透及び浸潤する能力を獲得したがん細胞によって引き起こされ、局所転移であり得る新しい腫瘍を形成する。がんはまた、リンパ管及び/または血管の壁を貫通する能力を獲得したがん細胞によって引き起こされる場合もあり、その後、がん細胞は血流を介して、身体の他の部位及び組織に循環し得る(したがって、循環腫瘍細胞になる)。がんは、リンパ系または血行性拡散などのプロセスに起因する場合がある。がんはまた、腫瘍細胞が別の部位で静止し、血管または壁を再浸透して増殖し続け、最終的に別の臨床的に検出可能な腫瘍を形成することによって引き起こされ得る。がんは、この新しい腫瘍である場合もあり、転移性(または続発性)腫瘍である場合もある。
【0164】
がんは、転移した腫瘍細胞によって引き起こされる可能性があり、二次的な腫瘍であってもまたは転移性腫瘍であってもよい。腫瘍の細胞は、元の腫瘍の細胞と似ている場合がある。例として、乳癌または結腸癌が肝臓に転移した場合、二次腫瘍は肝臓に存在するが、異常な肝臓細胞ではなく、異常な乳房細胞または結腸細胞で構成される。したがって、肝臓における腫瘍は、肝臓癌ではなく、転移性乳癌または転移性結腸癌であり得る。
【0165】
がんは、任意の組織が起源であり得る。がんは、黒色腫、結腸、乳房、または前立腺起源であり得、したがって、元々それぞれが皮膚、結腸、乳房、または前立腺組織であった細胞からなる場合がある。がんはまた、白血病またはリンパ腫であり得る、血液学的悪性腫瘍であり得る。がんは、肝臓、肺、膀胱、または腸などの組織に浸潤し得る。
【0166】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、治療不応性癌を有する対象を治療するために使用される。ある実施形態では、キメラタンパク質は、1つ以上の免疫調整剤に対して不応性である対象を治療するために使用される。例えば、ある実施形態では、キメラタンパク質を、約12週間の治療後、治療に応答を示さないか、またはその疾患が進行する対象を治療するために使用する。例えば、ある実施形態では、対象は、1つ以上のCD172a(SIRPα)及び/またはCD47薬剤に対して不応性であり、これには、例えば、マグロリマブ(5F9)、Hu5F9-G4、CC-90002、Ti-061、SRF231、TTI-621、TTI-622、またはALX148不応性患者が含まれる。例えば、ある実施形態では、対象は、抗CTLA-4剤に不応性であり、例えば、イピリムマブ(YERVOY)不応性患者(例えば、黒色腫患者)である。したがって、ある実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫調節剤の単剤療法を含む、様々な治療法に非応答性である患者を救済するがん治療法を提供する。
【0167】
ある実施形態では、本開示は、腫瘍微小環境内の細胞または組織を標的とするキメラタンパク質を提供する。ある実施形態では、腫瘍微小環境内の細胞または組織は、キメラタンパク質の1つ以上の標的または結合パートナーを発現する。腫瘍微小環境とは、腫瘍が存在する、細胞、分泌タンパク質、生理学的小分子、及び血管を含む細胞環境を指す。ある実施形態では、腫瘍微小環境内の細胞または組織は、腫瘍血管系、腫瘍浸潤リンパ球、線維芽細網細胞、内皮前駆細胞(EPC)、がん関連線維芽細胞、周皮細胞、他の間質細胞、細胞外マトリックス(ECM)の成分、樹状細胞、抗原提示細胞、T細胞、制御性T細胞、マクロファージ、好中球、及び腫瘍の近位に位置する他の免疫細胞のうちの1つ以上である。ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、がん細胞を標的とする。ある実施形態では、がん細胞は、キメラタンパク質の1つ以上の標的または結合パートナーを発現する。
【0168】
制御性T細胞の活性化は、共刺激及び共抑制性シグナルによって決定的に影響を受ける。共刺激分子の2つの主要なファミリーには、B7及び腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーが含まれる。これらの分子は、それぞれCD28またはTNF受容体ファミリーに属するT細胞上の受容体と結合する。多くの明確に定義された共阻害剤及びその受容体は、B7及びCD28ファミリーに属する。
【0169】
ある実施形態では、免疫刺激シグナルは、免疫応答を増強するシグナルを指す。例えば、腫瘍学的には、そのようなシグナルは、抗腫瘍免疫を増強し得る。例えば、限定されないが、免疫刺激シグナルは、白血球の増殖、サイトカイン産生、殺傷活性、または食作用活性を直接的に刺激することによって特定され得る。例えば、キメラタンパク質は、個々のT細胞サブセットの増殖とサイトカイン産生を直接刺激し得る。別の例としては、そのような免疫抑制細胞の活性を阻害する受容体を介した免疫抑制細胞の直接的な刺激が挙げられる。これには、例えば、CD4+FoxP3+制御性T細胞の刺激が含まれ、これは、制御性T細胞が従来のCD4+またはCD8+T細胞の増殖を抑制する能力を減少させる。別の例では、これには、抗原提示細胞の表面上でのCD40の刺激が含まれ、B7またはTNFスーパーファミリーにおけるものを含む適切な天然共刺激分子との関連で抗原を提示するそれらの細胞の増強された能力を含む抗原提示細胞の活性化を引き起こす。別の例では、キメラタンパク質は、リンパ系細胞の活性化及び/または炎症誘発性サイトカインもしくはケモカインの産生を引き起こし、場合により、腫瘍内で免疫応答をさらに刺激する。
【0170】
ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、免疫調節を増強、回復、促進、及び/または刺激することができるか、またはそれを要する方法に使用することができる。ある実施形態では、本明細書に記載される本発明のキメラタンパク質は、限定するものではないが、T細胞、細胞傷害性Tリンパ球、Tヘルパー細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、抗腫瘍マクロファージ(例えば、M1マクロファージ)、B細胞及び樹状細胞を含む、腫瘍細胞に対する1つ以上の免疫細胞の活性または活性化を修復、促進及び/または刺激する。ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、非限定的な例として、生存促進シグナル、オートクリンもしくはパラクリン成長シグナル;p38 MAPK-、ERK-、STAT-、JAK-、AKT-、もしくはPI3K-媒介のシグナル;抗アポトーシスシグナル、及び/または炎症誘発性サイトカイン産生もしくはT細胞遊走もしくはT細胞腫瘍浸潤のうちの1つ以上を促進するか及び/またはそれに必要とするシグナルを含む、1つ以上のT細胞固有シグナルを活性化及び/または刺激することを含めて、T細胞の活性及び/または活性化を増強、回復、促進、及び/または刺激する。
【0171】
ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、腫瘍または腫瘍微小環境へのT細胞(限定されないが、細胞傷害性Tリンパ球、Tヘルパー細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞を含む)、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、樹状細胞、単球、及びマクロファージ(例えば、M1及びM2のうちの1つ以上)のうちの1つ以上の増大を引き起こすことができるか、またはそれを要する方法に使用することができる。ある実施形態では、キメラタンパク質は、CD8+T細胞、特に腫瘍微小環境に浸潤しているT細胞による腫瘍抗原の認識を増強する。ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、CD19発現を誘導する、及び/またはCD19陽性細胞(例えば、CD19陽性B細胞)の数を増加させる。ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、IL-15Rα発現を誘導する、及び/またはIL-15Rα陽性細胞(例えば、IL-15Rα陽性樹状細胞)の数を増加させる。
【0172】
ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、特に腫瘍及び/または腫瘍微小環境(TME)内で、免疫抑制細胞(例えば、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)、制御性T細胞(Treg)、腫瘍関連好中球(TAN)、M2マクロファージ、及び腫瘍関連マクロファージ(TAM))の低減を阻害及び/または引き起こすことができるか、またはそれを要する方法に使用することができる。ある実施形態では、本治療法は、腫瘍部位及び/またはTMEにおけるM1対M2マクロファージの比率を改変し、M1マクロファージを支持することができる。ある実施形態では、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、Sipr1a/CD47を介して「don’t eat me」シグナルが腫瘍細胞に伝達されることを抑制/低減/排除する。ある実施形態では、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、腫瘍が対象の免疫系によって攻撃される可能性を高める。ある実施形態では、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、腫瘍が対象の自然免疫系によって攻撃される可能性を高める。ある実施形態では、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、腫瘍が対象の適応免疫系によって攻撃される可能性を高める。ある実施形態では、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、腫瘍で過剰発現したCD47と貪食細胞で発現したSIRPαとの結合を抑制/低減/排除して、がん細胞の貪食除去及び/またはマクロファージ及び/または樹状細胞による腫瘍抗原の免疫原性プロセシングを可能にすることができる。ある実施形態では、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質の投与により、腫瘍細胞の「don’t eat me」シグナルが遮断され、及び/または「eat me」シグナルが刺激される。ある実施形態では、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質(例えば、配列番号59または配列番号61)による治療法は、マクロファージを刺激して腫瘍細胞を貪食させ、貪食された腫瘍細胞の腫瘍抗原をT細胞に効果的に提示する。
【0173】
ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、IFNγ、TNFα、IL-2、IL-4、IL-5、IL-9、IL-10、IL-13、IL-17A、IL-17F、及びIL-22のうちの1つ以上を含むがこれらに限定されない、様々なサイトカインの血清レベルを増大し得る。ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、治療対象の血清中のIL-2、IL-4、IL-5、IL-10、IL-13、IL-17A、IL-22、またはIFNγを増強し得る。ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、特定のサイトカインの血清レベルを増加させない。ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、血清中のIL-6及び/またはTNFαのレベルを増加させない。ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、治療対象の血清中のf IL-6及び/またはTNFαの血清レベルを増加させない。ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、治療対象の血清中のf IL-6及び/またはTNFαの血清レベルを増加させないが、治療対象の血清中のCCL2、IL-8、及びCXCL9を含むがこれらに限定されない他のサイトカインのレベルを増加させる。そのようなサイトカイン応答の検出により、指定されたキメラタンパク質の最適な投与計画を決定する方法が提供され得る。
【0174】
本開示のキメラタンパク質では、キメラタンパク質は、CD4+及び/またはCD8+T細胞の部分集団を増加させるか、または減少することを予防することができる。
【0175】
本開示のキメラタンパク質では、キメラタンパク質は、T細胞による腫瘍殺傷活性を増強することができる。
【0176】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、ヒト対象のT細胞を、キメラタンパク質のCD40Lドメインと結合した場合に活性化し、(a)キメラタンパク質の第1のドメインと結合した場合に、1つ以上の腫瘍細胞が免疫抑制シグナルを伝達することが防止され、(b)対象の末梢血において定量化可能なサイトカイン応答が達成され、及び/または(c)CD40アゴニスト抗体及び/またはCD47遮断抗体で治療した対象と比較して、それを必要とする対象の腫瘍増殖が減少する。
【0177】
ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、抗腫瘍CD8+及び/もしくはCD4+T細胞の細胞死を阻害、遮断、及び/または減少させるか、または腫瘍誘導性T細胞の細胞死を刺激、誘導、及び/または増大させる。T細胞枯渇は、増殖及びエフェクター機能の進行性の喪失を特徴とするT細胞機能不全の状態であり、クローン欠失に至る。したがって、腫瘍誘導性T細胞は、多くの慢性感染症、炎症性疾患、及びがんの間に生じるT細胞機能不全の状態を指す。この機能不全は、機能的エフェクターまたはメモリーT細胞とは異なる不十分な増殖、及び/またはエフェクター機能、阻害性受容体の持続的発現、及び転写状態によって定義される。消耗は、感染及び腫瘍の最適な制御を妨げる。例示的な腫瘍誘導性T細胞には、これらに限定されないが、Treg、1つ以上のチェックポイント阻害性受容体を発現するCD4+及び/またはCD8+T細胞、Th2細胞、ならびにTh17細胞が含まれる。チェックポイント阻害性受容体は、非制御な免疫応答を防止または阻害する免疫細胞に発現する受容体を指す。対照的に、抗腫瘍CD8+及び/またはCD4+T細胞は、腫瘍に対する免疫応答を開始できるT細胞を指す。
【0178】
ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、制御性T細胞に対するエフェクターT細胞の比率を増大させることができ、そしてそれを含む方法において使用することができる。例示的なエフェクターT細胞としては、ICOS+エフェクターT細胞、細胞傷害性T細胞(例えば、αβ TCR、CD3+、CD8+、CD45RO+)、CD4+エフェクターT細胞(例えば、αβ TCR、CD3+、CD4+、CCR7+、CD62L高、IL-7R/CD127+)、CD8+エフェクターT細胞(例えば、αβ TCR、CD3+、CD8+、CCR7+、CD62L高、IL-7R/CD127+);エフェクターメモリーT細胞(例えば、CD62L低、CD44+、TCR、CD3+、IL-7R/CD127+、IL-15R+、CCR7低)、セントラルメモリーT細胞(例えば、CCR7+、CD62L+、CD27+、またはCCR7高、CD44+、CD62L高、TCR、CD3+、IL-7R/CD127+、IL-15R+);CD62L+エフェクターT細胞、初期エフェクターメモリーT細胞(CD27+CD62L-)及び後期エフェクターメモリーT細胞(CD27-CD62L-)(それぞれTemE及びTemL)を含むCD8+エフェクターメモリーT細胞(TEM);CD127(+)CD25(低/-)エフェクターT細胞;CD127(-)CD25(-)エフェクターT細胞;CD8+幹細胞メモリーエフェクター細胞(TSCM)(例えば、CD44(低)CD62L(高)CD122(高)sca(+));TH1エフェクターT細胞(例えば、CXCR3+、CXCR6+、及びCCR5+、またはαβ TCR、CD3+、CD4+、IL-12R+、IFNγR+、CXCR3+)、TH2エフェクターT細胞(例えば、CCR3+、CCR4+、及びCCR8+;またはαβ TCR、CD3+、CD4+、IL-4R+、IL-33R+、CCR4+、IL-17RB+、CRTH2+);TH9エフェクターT細胞(例えば、αβ TCR、CD3+、CD4+);TH17エフェクターT細胞(例えば、αβ TCR、CD3+、CD4+、IL-23R+、CCR6+、IL-1R+);CD4+CD45RO+CCR7+エフェクターT細胞、CD4+CD45RO+CCR7(-)エフェクターT細胞;ならびにIL-2、IL-4、及び/またはIFN-γを分泌するエフェクターT細胞が挙げられる。例示的な制御性T細胞としては、ICOS+制御性T細胞、CD4+CD25+FOXP3+制御性T細胞、CD4+CD25+制御性T細胞、CD4+CD25-制御性T細胞、CD4+CD25高制御性T細胞、TIM-3+CD172a(SIRPα)+制御性T細胞、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)+制御性T細胞、CTLA-4/CD152+制御性T細胞、ニューロピリン-1(Nrp-1)+制御性T細胞、CCR4+CCR8+制御性T細胞、CD62L(L-セレクチン)+制御性T細胞、CD45RB低制御性T細胞、CD127低制御性T細胞、LRRC32/GARP+制御性T細胞、CD39+制御性T細胞、GITR+制御性T細胞、LAP+制御性T細胞、1B11+制御性T細胞、BTLA+制御性T細胞、1型制御性T細胞(Tr1細胞)、Tヘルパー3型(Th3)細胞、ナチュラルキラーT細胞表現型(NKTreg)の制御性細胞、CD8+制御性T細胞、CD8+CD28-制御性T細胞、及び/またはIL-10、IL-35、TGF-β、TNF-α、ガレクチン-1、IFN-γ、及び/またはMCP1を分泌する制御性T細胞が挙げられる。
【0179】
ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、エフェクターT細胞(例えば、CD4+CD25-T細胞)の増加を引き起こす。
【0180】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、制御性T細胞(例えば、CD4+CD25+T細胞)の減少を引き起こす。
【0181】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、例えば、再発を予防するか、もしくは動物を再発から保護し、及び/または転移を予防するか、もしくは転移の可能性を減少させることができる記憶応答を生成する。したがって、キメラタンパク質で治療される動物は、キメラタンパク質による初期の治療後に再チャレンジされた場合に、腫瘍細胞を攻撃し、及び/または腫瘍の発達を予防することができる。したがって、本開示のキメラタンパク質は、活性な腫瘍破壊、及びさらに腫瘍抗原の免疫認識の両方を刺激し、これらは、再発を防ぐことが可能である記憶応答をプログラミングするのに不可欠である。
【0182】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、抗原提示細胞の活性化を引き起こすことができる。ある実施形態では、キメラタンパク質は、抗原提示細胞の抗原提示能力を増強することができる。
【0183】
ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、エフェクターT細胞を約12時間、約24時間、約48時間、約72時間、または約96時間、または約1週間、または約2週間よりも長く、一過性に刺激することができ、それを含む方法で使用することができる。ある実施形態では、エフェクターT細胞の一過性の刺激は実質的に、患者の血流、または例えば、骨髄、リンパ節、脾臓、胸腺、粘膜関連リンパ組織(MALT)などのリンパ組織、非リンパ組織、もしくは腫瘍微小環境を含む特定の組織/位置で生じる。
【0184】
本開示のキメラタンパク質では、本発明のキメラタンパク質は、予想外に、細胞外ドメイン成分とそれぞれの結合パートナーとの結合を遅い解離速度(KdまたはKoff)でもたらす。ある実施形態では、これは、受容体とリガンド、及びその逆の予想外に長い相互作用をもたらす。そのような効果は、より長い正のシグナル効果、例えば、免疫刺激シグナルの増加または活性化を可能にする。例えば、本発明のキメラタンパク質は、例えば、長い解離速度の結合を介して、免疫細胞増殖をもたらすのに十分なシグナル伝達を可能とし、抗腫瘍攻撃を可能とし、刺激シグナル、例えばサイトカインの放出をもたらすのに十分なシグナル伝達を可能とする。
【0185】
本発明のキメラタンパク質は、細胞間に安定したシナプスを形成することができる。キメラタンパク質によって促進される細胞の安定性シナプス(例えば、負のシグナルを保有する細胞間)は、腫瘍細胞を攻撃するようにT細胞を配置し、及び/または本発明のキメラタンパク質によって遮蔽されたものを超える負のシグナルを含む負のシグナルを腫瘍細胞が送達するのを立体的に防ぐなど、腫瘍の縮小に有利な空間的配向をもたらす。ある実施形態では、これは、キメラタンパク質の血清半減期(t1/2)と比較して、より長い標的上の(例えば、腫瘍内)t1/2をもたらす。そのような特性は、キメラタンパク質の全身的な分布に関連する標的外毒性を減少させるという複合的な利点を有する可能性がある。
【0186】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、持続的な免疫調節効果をもたらすことができる。
【0187】
2つの免疫療法剤の部位特異的相互作用を向上させることができるため、本発明のキメラタンパク質は、相乗的な治療効果(例えば、抗腫瘍効果)をもたらす。ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、オフサイト及び/または全身毒性を低減する可能性を提供する。
【0188】
ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、安全特性の増強を示す。ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、毒性の低下を示す。例えば、本発明のキメラタンパク質の投与により、副作用、例えば、下痢、炎症(例えば、腸の)、体重低下のうちの1つ以上が減少し得るが、これらは、本発明のキメラタンパク質の細胞外ドメインによって標的化されるリガンド(複数可)/受容体(複数可)に指向する抗体を投与した後に生じる。ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、本発明のキメラタンパク質の細胞外ドメインによって標的化されるリガンド(複数可)/受容体(複数可)に指向する抗体と比較して、有効性を犠牲にすることなく、安全性を向上させる。
【0189】
ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、現在の免疫療法、例えば、本発明のキメラタンパク質の細胞外ドメインによって標的化されるリガンド(複数可)/受容体(複数可)に指向する抗体と比較して、副作用、例えば、GI合併症を軽減させる。例示的なGI合併症としては、腹痛、食欲不振、自己免疫効果、便秘、痙攣、脱水症、下痢、摂食問題、倦怠感、鼓腸、腹部における流体すなわち腹水、胃腸(GI)内毒素症、GI粘膜炎、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群(IBS-D及びIBS-C)、悪心、疼痛、便もしくは尿の変化、潰瘍性大腸炎、嘔吐、流体保持による体重増加、及び/または脱力感が挙げられる。
【0190】
医薬組成物
本開示の態様は、本明細書に開示される治療有効量のキメラタンパク質を含む医薬組成物を含む。
【0191】
本明細書に開示される任意のキメラタンパク質を、医薬組成物に使用してよい。
【0192】
ある実施形態では、本明細書に開示されるキメラタンパク質は、バイアル内の滅菌凍結溶液として、またはバイアル内の滅菌液体溶液として提供される。本明細書に開示されるキメラタンパク質を含む医薬品は、滅菌濾過され、製剤化された本明細書に開示されるキメラタンパク質溶液を含み、Flurotec(登録商標)ゴム栓で栓をされ、アルミニウムフリップオフシールで密封された10mLの使い捨てガラスバイアルに充填される。ある実施形態では、本明細書に開示されるキメラタンパク質は、注射用水中の約30mM~約70mMのL-ヒスチジン、例えば約50mMのL-ヒスチジン、及び約125mM~約400mMのスクロース、例えば約250mMのスクロース中に、約10mg/mL~約30mg/mL、例えば約20mg/mLで製剤化される。ある実施形態では、各バイアルは、約1mLの医薬品または約20mgの本明細書に開示されるキメラタンパク質を含有する。
【0193】
CD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質(例えば、配列番号59または配列番号61)を含む本明細書に開示されるキメラタンパク質は、薬学的に許容される塩を形成するために、無機酸または有機酸と反応することができる十分に塩基性の官能基、または無機塩基または有機塩基と反応することができるカルボキシル基を有し得る。当技術分野で周知のように、薬学的に許容される酸付加塩は、薬学的に許容される酸から形成される。そのような塩としては、例えば、Journal of Pharmaceutical Science,66,2-19(1977)、及びThe Handbook of Pharmaceutical Salts;Properties,Selection,and Use. P.H.Stahl and C.G.Wermuth(eds.),Verlag,Zurich(Switzerland)2002に列挙されている薬学的に許容される塩が挙げられ、これらは、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0194】
ある実施形態では、本明細書に開示される組成物は、薬学的に許容される塩の形態である。
【0195】
さらに、本明細書に開示される任意のキメラタンパク質を、薬学的に許容される担体または媒体を含む組成物、例えば医薬組成物の成分として対象に投与することができる。そのような医薬組成物は、適切な投与のための形態を提供するために、任意選択で、好適な量の薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。薬学的賦形剤は、水、及び例えばピーナッツ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油といった石油、動物、植物、もしくは合成起源のものを含む油などの液体であり得る。薬学的賦形剤は、例えば、生理食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプンのり、タルク、ケラチン、コロイダルシリカ、尿素、及び類似物であり得る。加えて、助剤、安定剤、増粘剤、滑沢剤、及び着色剤を使用することができる。ある実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、対象に投与される場合に無菌である。水は、本明細書に開示される任意の薬剤が静脈内投与される場合に有用な賦形剤である。食塩水溶液ならびにデキストロース及びグリセロールの水溶液はまた、特に注入溶液のために液体賦形剤として用いられ得る。好適な薬学的賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなども含まれる。本明細書に開示される任意の薬剤は、必要に応じて、少量の湿潤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含むこともできる。
【0196】
ある実施形態では、本明細書に開示される組成物、例えば、医薬組成物を、生理食塩水緩衝液(TBS、PBSなどを含むがこれらに限定されない)に再懸濁する。
【0197】
ある実施形態では、キメラタンパク質を別の薬剤とコンジュゲート及び/または融合させて、半減期を延長するか、さもなければ薬力学的及び薬物動態学的特性を向上させてもよい。ある実施形態では、キメラタンパク質を、PEG、XTEN(例えば、rPEGとして)、ポリシアル酸(POLYXEN)、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミンまたはHAS)、エラスチン様タンパク質(ELP)、PAS、HAP、GLK、CTP、トランスフェリンなどのうちの1つ以上と融合させるか、またはコンジュゲートしてもよい。ある実施形態では、個々のキメラタンパク質の各々を、Strohl,BioDrugs 29(4):215-239(2015)(その全内容は、参照により本明細書に援用される)に記載される薬剤のうちの1つ以上と融合させる。
【0198】
本開示は、医薬組成物の様々な製剤中の開示されるキメラタンパク質を含む。本明細書に開示される任意のキメラタンパク質は、液剤、懸濁剤、乳剤、点滴、錠剤、丸剤、ペレット、カプセル剤、液体含有カプセル剤、粉末剤、徐放性製剤、坐剤、乳濁液、エアロゾル、噴霧、懸濁剤、または使用に適した他の形態をとり得る。タンパク質配列をコードするDNAまたはRNA構築物も使用してもよい。ある実施形態では、組成物は、カプセルの形態である(例えば、米国特許第5,698,155号を参照されたい)。好適な医薬賦形剤の他の例は、参照により本明細書に援用されるRemington’s Pharmaceutical Sciences 1447-1676(Alfonso R.Gennaro eds.,19th ed.1995)に記載されている。
【0199】
必要に応じて、キメラタンパク質を含む医薬組成物は、可溶化剤も含み得る。また、当技術分野で公知のように、薬剤は、好適な媒体または送達装置で送達することができる。投与用組成物は、注射部位の痛みを軽減するために、例えばリグノカインなどの局所麻酔剤を任意選択で含み得る。
【0200】
本開示のキメラタンパク質を含む医薬組成物は、単位投与形態で好都合に提供してもよく、薬学分野で周知の方法のいずれかによって調製され得る。そのような方法は一般に、治療剤を1つ以上の副成分を構成する担体と会合させるステップを含む。一般的には、医薬組成物は、治療剤を液体担体、細かく分割した固体担体、またはその両方と会合させることによって均一かつ密接に調製され、次に必要に応じて、生成物を所望の製剤の剤形に成形する(例えば、湿式または乾式造粒、粉末ブレンドなど、その後、当技術分野で公知の従来の方法を使用して錠剤化する)。
【0201】
ある実施形態では、本明細書に開示される任意のキメラタンパク質を、本明細書に開示される投与方法に適合した医薬組成物として通常の手順に従って製剤化する。
【0202】
投与、用量、及び治療計画
本開示の一態様は、がんに罹患しており、がん治療を必要とする対象におけるがん治療の有効性の評価方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)キメラタンパク質の第1の用量を受けている対象から採取される生体試料を取得することを含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、第1の用量の投与前に対象から採取した生体試料中の細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、細胞は、CD80+細胞、CD8+細胞、グランザイムB+細胞、CD68+細胞、Ki67+細胞、及びPD-L1+免疫細胞のうちの1つ以上から選択される。ある実施形態では、本方法はさらに、(ii)生体試料中の細胞の投与後レベル及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(iii)投与後の細胞レベル及び/または活性が細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも高い場合に、キメラタンパク質が有効であると判定することを含む。ある実施形態では、生体試料は、腫瘍生検試料または腫瘍外科標本である。ある実施形態では、細胞のレベル及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。
【0203】
本開示の一態様は、がんの治療法による治療対象の選択方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)キメラタンパク質の第1の用量を受けている対象から採取される生体試料を取得することを含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、第1の用量の投与前に対象から採取した生体試料中の細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性が測定されている。ある実施形態では、細胞は、CD80+細胞、CD8+細胞、グランザイムB+細胞、CD68+細胞、Ki67+細胞、及びPD-L1+免疫細胞のうちの1つ以上から選択される。ある実施形態では、本方法はさらに、(ii)生体試料中の細胞の投与後レベル及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(iii)投与後の細胞レベル及び/または活性が細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも高い場合に、キメラタンパク質による治療のために対象を選択することを含む。ある実施形態では、生体試料は、腫瘍生検試料または腫瘍外科標本である。ある実施形態では、細胞のレベル及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。
【0204】
ある実施形態では、生体試料は、血液、血漿、血清、血球、涙液、涙、骨髄、腹水、組織または細針生検試料、細胞含有体液、浮遊核酸、痰、唾液、尿、脳脊髄液、腹水、胸水、糞便、リンパ液、婦人科液、皮膚スワブ、膣スワブ、口腔スワブ、鼻腔スワブ、洗浄または洗浄液、吸引物、掻爬物、骨髄標本、生検標本、及び外科標本から選択される。ある実施形態では、生体試料は、生検試料または外科標本である。ある実施形態では、生体試料は、腫瘍生検試料または腫瘍外科標本である。ある実施形態では、腫瘍生検試料または腫瘍外科標本は、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、皮膚扁平上皮癌(CSCC)、及び頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)から選択される腫瘍に由来する。
【0205】
ある実施形態では、細胞のレベル及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。ある実施形態では、試料を、CD80、CD8、グランザイムB、CD68、Ki67、及びPD-L1から選択される1つ以上の分子に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、細胞のレベル及び/または活性を測定する。ある実施形態では、1つ以上の分子に特異的に結合する薬剤は、抗体またはその断片である。ある実施形態では、抗体は、組換え抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはその断片である。ある実施形態では、試料を、CD80、CD8、グランザイムB、CD68、Ki67、及びPD-L1の1つ以上をコードする1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、細胞のレベル及び/または活性を測定する。ある実施形態では、1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤は、核酸プライマーまたはプローブである。
【0206】
本開示の一態様は、がんに罹患しており、がん治療を必要とする対象におけるがん治療の有効性の評価方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)キメラタンパク質の第1の用量を受けている対象から採取される第1の生体試料を取得することを含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、本方法はさらに、第1の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(iii)投与からN時間後に対象から採取した第2の生体試料を取得することを含み、Nは、1~24の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、第2の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞の、投与からN時間後のレベル及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(iv)投与からM日後に対象から採取した第3の生体試料を取得することを含み、Mは、1~28の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、第3の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞の、投与からM日後のレベル及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(v)投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも低い場合、及び/または投与からM日後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性に比べて少なくとも約50%高い場合に、キメラタンパク質が有効であると判定することを含む。
【0207】
本開示の一態様は、がんの治療法による治療対象の選択方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)キメラタンパク質の第1の用量を受けている対象から採取される第1の生体試料を取得することを含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、本方法はさらに、第1の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(iii)投与からN時間後に対象から採取した第2の生体試料を取得することを含み、Nは、1~24の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、第2の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞の、投与からN時間後のレベル及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(iv)投与からM日後に対象から採取した第3の生体試料を取得することを含み、Mは、1~28の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、第3の生体試料中のB細胞及び/またはCD40+細胞の、投与からM日後のレベル及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(v)投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも低い場合、及び/または投与からM日後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性が、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性に比べて少なくとも約50%高い場合に、キメラタンパク質による治療のために対象を選択することを含む。
【0208】
ある実施形態では、Nは、12未満、または8未満、または6未満、または4未満、または3未満、または2未満、または1未満である。ある実施形態では、Mは、21未満、または14未満、または12未満、または10未満、または8未満、または6未満、または4未満、または2未満である。ある実施形態では、Nは、12未満、または8未満、または6未満、または4未満、または3未満、または2未満、または1未満であり、Mは、21未満、または14未満、または12未満、または10未満、または8未満、または6未満、または4未満、または2未満である。
【0209】
ある実施形態では、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性は、B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも高い。ある実施形態では、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性は、B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性よりも低い。ある実施形態では、投与からN時間後のB細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性は、B細胞及び/またはCD40+細胞のバックグラウンドレベル及び/または活性の約10%、約20%、約30%、または約40%以内である。
【0210】
ある実施形態では、第1の生体試料、第2の生体試料、及び第3の生体試料は、独立して、血液、血漿、血清、血球、涙液、涙、骨髄、腹水、組織または細針生検試料、細胞含有体液、浮遊核酸、痰、唾液、尿、脳脊髄液、腹水、胸水、糞便、リンパ液、婦人科液、皮膚スワブ、膣スワブ、口腔スワブ、鼻腔スワブ、洗浄または洗浄液、吸引物、掻爬物、骨髄標本、生検標本、及び外科標本から選択される。ある実施形態では、第1の生体試料、第2の生体試料、及び第3の生体試料は血液である。
【0211】
ある実施形態では、B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。ある実施形態では、試料を、CD40及び/またはB細胞マーカーに特異的に結合する薬剤と接触させることによって、B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を測定する。ある実施形態では、B細胞マーカーは、CD19、CD20、CD24、CD27、CD34、CD38、CD45R、CD86、CD95、IgM、IgD、及びCD40から選択される。ある実施形態では、1つ以上の分子に特異的に結合する薬剤は、抗体またはその断片である。ある実施形態では、抗体は、組換え抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはその断片である。ある実施形態では、試料を、CD40及び/またはB細胞マーカーをコードする1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、B細胞及び/またはCD40+細胞のレベル及び/または活性を測定する。ある実施形態では、B細胞マーカーは、CD19、CD20、CD24、CD27、CD34、CD38、CD45R、CD86、CD95、IgM、IgD、及びCD40から選択される。ある実施形態では、1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤は、核酸プライマーまたはプローブである。
【0212】
本開示の一態様は、がんに罹患しており、がん治療を必要とする対象におけるがん治療の有効性の評価方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)キメラタンパク質の第1の用量を受けている対象から採取される第1の生体試料を取得することを含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、本方法はさらに、(ii)第1の生体試料中のサイトカインのバックグラウンド量及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、サイトカインは、CCL2、CXCL9、CXCL10、IFNα、IL15、IL23、IL-12、MCP-1、MIP-1β、MIP-1α、及びMDCから選択される。ある実施形態では、方法はさらに、(iii)投与からN時間後に対象から採取した第2の生体試料を取得することを含み、Nは、1~24の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、第2の生体試料中の、投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(iv)投与からM日後に対象から採取した第3の生体試料を取得することを含み、Mは、1~28の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、第3の生体試料中の、投与からM日後のサイトカインの量及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(v)投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性がサイトカインのバックグラウンド量及び/または活性よりも高い場合、及び/または投与からM日後のサイトカインの量及び/または活性が、投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性に比べて少なくとも約50%低い場合に、キメラタンパク質が有効であると判定することを含む。
【0213】
本開示の一態様は、がんの治療法による治療対象の選択方法である。ある実施形態では、本方法は、(i)キメラタンパク質の第1の用量を受けている対象から採取される第1の生体試料を取得することを含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有し、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1のドメインと第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、本方法はさらに、(ii)第1の生体試料中のサイトカインのバックグラウンド量及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、サイトカインは、CCL2、CXCL9、CXCL10、IFNα、IL15、IL23、IL-12、MCP-1、MIP-1β、MIP-1α、及びMDCから選択される。ある実施形態では、方法はさらに、(iii)投与からN時間後に対象から採取した第2の生体試料を取得することを含み、Nは、1~24の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、第2の生体試料中の、投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(iv)投与からM日後に対象から採取した第3の生体試料を取得することを含み、Mは、1~28の数値である。ある実施形態では、本方法はさらに、第3の生体試料中の、投与からM日後のサイトカインの量及び/または活性を測定することを含む。ある実施形態では、本方法はさらに、(v)投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性がサイトカインのバックグラウンド量及び/または活性よりも高い場合、及び/または投与からM日後のサイトカインの量及び/または活性が、投与からN時間後のサイトカインの量及び/または活性に比べて少なくとも約50%低い場合に、キメラタンパク質による治療のために対象を選択することを含む。
【0214】
ある実施形態では、Nは、12未満、または8未満、または6未満、または4未満、または3未満、または2未満、または1未満である。ある実施形態では、Mは、21未満、または14未満、または12未満、または10未満、または8未満、または6未満、または4未満、または2未満である。ある実施形態では、Nは、12未満、または8未満、または6未満、または4未満、または3未満、または2未満、または1未満であり、Mは、21未満、または14未満、または12未満、または10未満、または8未満、または6未満、または4未満、または2未満である。
【0215】
ある実施形態では、サイトカインの投与からN時間後の量及び/または活性は、サイトカインのバックグラウンド量及び/または活性よりも高い。ある実施形態では、サイトカインの投与からN時間後の量及び/または活性は、サイトカインのバックグラウンド量及び/または活性よりも低い。ある実施形態では、サイトカインの投与からN時間後の量及び/または活性は、サイトカインのバックグラウンド量及び/または活性の約10%、約20%、約30%、または約40%以内である。ある実施形態では、第1の生体試料、第2の生体試料、及び第3の生体試料は、独立して、血液、血漿、血清、血球、涙液、涙、骨髄、腹水、組織または細針生検試料、細胞含有体液、浮遊核酸、痰、唾液、尿、脳脊髄液、腹水、胸水、糞便、リンパ液、婦人科液、皮膚スワブ、膣スワブ、口腔スワブ、鼻腔スワブ、洗浄または洗浄液、吸引物、掻爬物、骨髄標本、生検標本、及び外科標本から選択される。ある実施形態では、第1の生体試料、第2の生体試料、及び第3の生体試料は血液である。
【0216】
ある実施形態では、サイトカインの量及び/または活性を、RNA配列決定、免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティング、細胞内ウエスタン、免疫蛍光染色、ELISA、及び蛍光標識細胞分取(FACS)、またはそれらの組み合わせによって測定する。ある実施形態では、試料を、サイトカインに特異的に結合する薬剤と接触させることによって、サイトカインの量及び/または活性を測定する。ある実施形態では、1つ以上の分子に特異的に結合する薬剤は、抗体またはその断片である。ある実施形態では、抗体は、組換え抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはその断片である。ある実施形態では、試料を、サイトカインをコードする1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤と接触させることによって、サイトカインの量及び/または活性を測定する。ある実施形態では、1つ以上の核酸に特異的に結合する薬剤は、核酸プライマーまたはプローブである。
【0217】
ある実施形態では、キメラタンパク質の第1の用量は、約0.03mg/kg~10mg/kgの範囲である。ある実施形態では、第1の用量は、約0.003、または約0.01、または約0.03、または約0.1、または約0.3、または約1、または約2、または約3、または約4、または約6、または約8、または約10mg/kgである。
【0218】
ある実施形態では、本明細書に開示されるいずれかの態様の方法は、キメラタンパク質の第2の用量をさらに含む。ある実施形態では、第2の用量を、第1の用量の投与から少なくとも約3日、または少なくとも約4日、または少なくとも約5日、または少なくとも約6日、または少なくとも約7日、または少なくとも約8日、または少なくとも約9日、または少なくとも約10日、または少なくとも約14日、または少なくとも約21日、または少なくとも約28日後に投与する。ある実施形態では、キメラタンパク質の第2の用量は、約0.03mg/kg~10mg/kgの範囲である。ある実施形態では、第2の用量は、約0.003、または約0.01、または約0.03、または約0.1、または約0.3、または約1、または約2、または約3、または約4、または約6、または約8、または約10mg/kgである。
【0219】
ある実施形態では、本明細書に開示されるいずれかの態様の方法は、キメラタンパク質の第2の用量をさらに含む。ある実施形態では、第2の用量を、第1の用量の投与から少なくとも約3日、または少なくとも約4日、または少なくとも約5日、または少なくとも約6日、または少なくとも約7日、または少なくとも約8日、または少なくとも約9日、または少なくとも約10日、または少なくとも約14日、または少なくとも約21日、または少なくとも約28日後に投与する。ある実施形態では、キメラタンパク質の第2の用量は、約0.03mg/kg~10mg/kgの範囲である。ある実施形態では、第2の用量は、約0.003、または約0.01、または約0.03、または約0.1、または約0.3、または約1、または約2、または約3、または約4、または約6、または約8、または約10mg/kgである。
【0220】
ある実施形態では、第1のドメインは、CD172a(SIRPα)リガンドに結合することができる。ある実施形態では、第1のドメインは、CD172a(SIRPα)の細胞外ドメインの実質的にすべてを含む。ある実施形態では、第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む。
【0221】
ある実施形態では、第2のドメインは、CD40受容体に結合することができる。ある実施形態では、第2のドメインは、実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む。ある実施形態では、第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む。
【0222】
ある実施形態では、リンカーは、IgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。ある実施形態では、リンカーは、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。ある実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む。
【0223】
ある実施形態では、(a)第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列を含み、(b)第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列を含み、(c)リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号5または配列番号7のアミノ酸配列をさらに含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号5及び配列番号7のアミノ酸配列をさらに含む。
【0224】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも約99.2%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも約99.4%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも約99.6%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも約99.8%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列を含む。
【0225】
ある実施形態では、ヒト対象は、進行した固形腫瘍またはリンパ腫に罹患しているか、または罹患していると疑われる。ある実施形態では、ヒト対象は、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、皮膚扁平上皮癌(CSCC)、及び頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)から選択されるがんに罹患しているか、または罹患していると疑われる。ある実施形態では、対象は、1つ以上のプラチナベースの治療に失敗している。ある実施形態では、ヒト対象は、プラチナ療法を受けることができない。ある実施形態では、ヒト対象は、同時化学療法、免疫療法、生物学的療法またはホルモン療法を受けておらず、及び/またはヒト対象は、標準療法を受けているか、耐性があるか、または不適格であり、及び/またはそのがんに標準治療と見なされる承認済みの治療法がない。
【0226】
ある実施形態では、本明細書に開示されるキメラタンパク質は、約20mg/mLの濃度及び 約1mLの総容量の滅菌凍結溶液として、任意選択で10mLのガラスバイアル中に提供される。ある実施形態では、本明細書に開示されるキメラタンパク質を、通常の生理食塩水で希釈した後、点滴静注(IV)によって投与する。特定の実施形態の開始用量、用量漸増スキーム、及び用量スケジュールを以下に示す。
【0227】
ある実施形態では、投与するキメラタンパク質の用量は、少なくとも0.0001mg/kg、例えば、約0.0001mg/kg~約10mg/kgである。ある実施形態では、投与するキメラタンパク質の用量は、少なくとも約0.3mg/kg、例えば、少なくとも約0.3mg/kg、または約1.0mg/kg、または約2mg/kg、または約3、約4mg/kg、または約6mg/kg、または約8mg/kg、または約10mg/kgである。ある実施形態では、投与するキメラタンパク質の用量は、少なくとも約1mg/kg、例えば、少なくとも約1.0mg/kg、または約2mg/kg、または約3、約4mg/kg、または約6mg/kg、または約8mg/kg、または約10mg/kgである。ある実施形態では、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質の用量は、貧血または他の血球減少症の影響によって制限されないため、特定の他の治療薬(例えば、抗CD47抗体またはSIRPαFc融合タンパク質)と比較して、その許容される用量よりも高くなる。さらに、ある実施形態では、低用量プライミングは必要ない。
【0228】
ある実施形態では、投与は静脈内である。ある実施形態では、投与は腫瘍内である。ある実施形態では、投与は注射による。ある実施形態では、投与は輸液による。ある実施形態では、投与は、点滴静注によって行われる。ある実施形態では、投与は、腫瘍内注射によって行われる。
【0229】
ある実施形態では、キメラタンパク質を、初期用量(例えば、約0.0001、約0.001、約0.003、約0.01、約0.03、約0.1、約0.3、約1、約2、約3、約4、約6、約8、または約10mg/kgのいずれか1つ)で投与し、キメラタンパク質を、1回以上の後続投与で投与する。ある実施形態では、約1回以上の後続投与は、約0.0001、約0.001、約0.003、約0.01、約0.03、約0.1、約0.3、約1、約2、約3、約4、約6、約8、及び約10mg/kgのうちの1つ以上の用量を有する。
【0230】
ある実施形態では、開始用量及び/または後続用量は、最大耐用量であるか、または最大耐用量未満である。
【0231】
ある実施形態では、1回以上の後続用量の間で、例えば、0.0001mg/kg~0.001mg/kg、0.001mg/kg~0.01mg/kg、及び0.01mg/kg~0.1mg/kgのように、対数増分で用量を漸増させる。
【0232】
ある実施形態では、1回以上の後続用量の間で、例えば、0.001mg/kg~0.003mg/kg、及び0.003mg/kg~0.01mg/kgのように、約半対数増分で用量を漸増させる。
【0233】
ある実施形態では、ヒト対象は、1つ以上のプラチナベースの療法に失敗しており、場合によりプラチナ療法を受ける資格がない。ある実施形態では、ヒト対象は、同時化学療法、免疫療法、生物学的療法またはホルモン療法を受けておらず、及び/またはヒト対象は、標準療法を受けているか、耐性があるか、または不適格であり、及び/またはそのがんに標準治療と見なされる承認済みの治療法がない。
【0234】
ある実施形態では、初期用量は、後続投与の少なくとも1つ、例えば、後続投与のそれぞれについての用量よりも低い。
【0235】
ある実施形態では、初期用量は、後続投与の少なくとも1つ、例えば、後続投与のそれぞれについての用量と同量である。
【0236】
ある実施形態では、キメラタンパク質を、少なくとも月に約1回投与する。
【0237】
ある実施形態では、キメラタンパク質を、少なくとも月に約2回投与する。
【0238】
ある実施形態では、キメラタンパク質を、少なくとも月に約3回投与する。
【0239】
ある実施形態では、キメラタンパク質を、最初に3週間にわたって週1回投与し、次いでキメラタンパク質を3週間に1回または4週間に1回投与する。
【0240】
ある実施形態では、キメラタンパク質を、最初に3週間にわたって週1回投与し、次いでキメラタンパク質を月に約2回投与する。例えば、キメラタンパク質を、最初に3週間にわたって週1回投与し、次いでキメラタンパク質を2週間に約1回投与する。
【0241】
ある実施形態では、キメラタンパク質を、少なくとも月に約4回投与する。例えば、キメラタンパク質を、週に約1回投与する。ある実施形態では、キメラタンパク質を毎週1回(7日間に1回)投与する。ある実施形態では、キメラタンパク質を2週間に1回投与する。
【0242】
ある実施形態では、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質の投与は、患者に貧血または他の血球減少症を引き起こさない。ある実施形態では、投与は、RBCの溶解を引き起こさない。ある実施形態では、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質の投与は、例えば抗CD47抗体よりも貧血または別の血球減少症を引き起こす可能性が低い。ある実施形態では、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質の用量は、貧血または他の血球減少症の影響によって制限されないため、特定の他の治療薬(例えば、抗CD47抗体またはSIRPαFc融合タンパク質)と比較して、その許容される用量よりも高くなる。さらに、ある実施形態では、低用量プライミングは必要ない。
【0243】
SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質(例えば、配列番号59または配列番号61)が与えるもう一つの利点は、標的化にもかかわらず、患者に貧血または他の血球減少症を引き起こさないことである。これは、本明細書に示されているように、CD47/SIRPα相互作用が赤血球の溶解に重要な役割を果たしているにもかかわらず、SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質がRBCの溶解を引き起こさないためである。したがって、本発明の方法は、例えば抗CD47抗体よりも貧血または他の血球減少症を引き起こす可能性が低い。
【0244】
キメラタンパク質を、点滴静注または血流へのボーラス注射によって静脈内に投与してもよい。キメラタンパク質を、進行した卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌に罹患している患者に点滴静注によって静脈内に投与してもよい。
【0245】
キメラタンパク質を、腫瘍内注射によって投与してもよい。ある実施形態では、腫瘍内投与の治療用量は、点滴静注の治療用量と同等かそれ未満である。ある実施形態では、腫瘍内投与の治療用量は、点滴静注の治療用量と同等である。ある実施形態では、腫瘍内投与の治療用量は、点滴静注の治療用量未満である。ある実施形態では、進行性または転移性のCSCC及びHNSCCに罹患している患者に対する腫瘍内投与の治療用量。
【0246】
ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、従来の免疫療法(例えば、OPDIVO、KEYTRUDA、YERVOY、及びTECENTRIQのうちの1つ以上による治療)で見られるよりも副作用が少ない二重効果を可能とする。例えば、本発明のキメラタンパク質は、皮膚、胃腸管、腎臓、末梢及び中枢神経系、肝臓、リンパ節、目、膵臓、ならびに内分泌系を含む様々な組織及び器官に影響を与える一般的に観察される免疫関連の有害事象、例えば、下垂体炎、大腸炎、肝炎、間質性肺炎、発疹、及びリウマチ性疾患などを軽減または予防する。
【0247】
静脈内投与に好適な剤形としては、例えば、溶液、懸濁液、分散液、乳濁液などが挙げられる。それらはまた、使用直前に無菌注射用媒体に溶解または懸濁し得る、無菌の固体組成物(例えば、凍結乾燥組成物)の形態で製造され得る。それらは、例えば、当技術分野で公知の懸濁剤または分散剤を含んでもよい。
【0248】
本明細書に開示される任意のキメラタンパク質の用量及び投与スケジュールは、治療する疾患、対象の一般的な健康状態、及び投与する医師の裁量を含むがこれらに限定されない様々なパラメータに依存し得る。
【0249】
一態様では、本開示は、治療を必要とするヒト対象におけるがんの治療方法に関し、方法は、一般構造:N末端-(a)-(b)-(c)-C末端を有するキメラタンパク質の有効量をヒト対象に投与するステップを含み、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1及び第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインであり、投与のステップは、二相性投与を含む。ある実施形態では、第1段階及び第2段階は、それぞれ独立して、週に約2回~2か月に約1回の投与頻度を含む。ある実施形態では、リンカーは、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、例えば、約0.3mg/kg~約3mg/kg、または約0.5mg/kg~約3mg/kg、または約0.7mg/kg~約3mg/kg、または約1mg/kg~約3mg/kg、または約1.5mg/kg~約3mg/kg、または約2mg/kg~約3mg/kg、または約2.5mg/kg~約3mg/kg、または約0.3mg/kg~約2.5mg/kg、または約0.3mg/kg~約2mg/kg、または約0.3mg/kg~約1.5mg/kg、または約0.3mg/kg~約1.0mg/kg、または約0.3mg/kg~約0.5mg/kgの用量範囲で線形用量反応を示す。ある実施形態では、キメラタンパク質は、ベル型の用量反応を示さない。
【0250】
ある実施形態では、第1段階の投与頻度と第2段階の投与頻度は同じである。他の実施形態では、第1段階の投与頻度と第2段階の投与頻度は異なる。
【0251】
ある実施形態では、第1段階の投与頻度は、約3日毎、週に約2回、約毎週、約10日毎、3週間に約2回、約2週間毎、約3週間毎、約4週間毎、約1か月毎、約5週間毎、約6週間毎、約7週間毎、約8週間毎、及び約2か月毎から選択される。ある実施形態では、第1段階の投与頻度は、約3日毎~約10日毎、約1週間毎~約2週間毎、約10日毎~約3週間毎、約2週間毎~約4週間毎、約3週間毎~約5週間毎、約4週間毎~約6週間毎、約5週間毎~約7週間毎、約6週間毎~約8週間毎、及び約6週間毎~約2か月毎から選択される。
【0252】
ある実施形態では、第2段階の投与頻度は、約3日毎、週に約2回、約毎週、約10日毎、3週間に約2回、約2週間毎、約3週間毎、約4週間毎、約1か月毎、約5週間毎、約6週間毎、約7週間毎、約8週間毎、及び約2か月毎から選択される。ある実施形態では、第2段階の投与頻度は、約3日毎~約10日毎、約1週間毎~約2週間毎、約10日毎~約3週間毎、約2週間毎~約4週間毎、約3週間毎~約5週間毎、約4週間毎~約6週間毎、約5週間毎~約7週間毎、約6週間毎~約8週間毎、及び約6週間毎~約2か月毎から選択される。
【0253】
ある実施形態では、第1段階の投与頻度は、約3日毎~約10日毎、約1週間毎~約2週間毎、約10日毎~約3週間毎から選択され、第2段階の投与頻度は、約1週間毎~約2週間毎、約10日毎~約3週間毎、約2週間毎~約4週間毎、約3週間毎~約5週間毎、約4週間毎~約6週間毎から選択される。
【0254】
さらに、または代替的に、ある実施形態では、第1段階及び第2段階は、それぞれ独立して、約2日間~約12か月間続く。ある実施形態では、第1段階は約2週間~約2か月間続き、第2段階は約2週間~約12か月間続く。ある実施形態では、第1段階は約2週間~約1か月間続き、第2段階は約2週間~約12か月間続く。ある実施形態では、第1段階は約2週間~約1か月間続き、第2段階は約4週間~約12か月間続く。
【0255】
さらに、または代替的に、ある実施形態では、第1段階、第2段階、及び第3段階の有効量は、それぞれ独立して、約0.01mg/kg~約10mg/mlを含む。ある実施形態では、第1段階、第2段階、及び第3段階の有効量は、それぞれ独立して、約0.03mg/kg、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1mg/kg、約3mg/kg、約10mg/kg、及び前述の値の任意の2つを含む及び/またはその間の任意の範囲から選択される。ある実施形態では、第1段階、第2段階、及び第3段階の有効量は、それぞれ独立して、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.03mg/kg~約0.3mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、約0.3mg/kg~約3mg/kg、及び約1mg/kg~約10mg/kgから選択される。ある実施形態では、第1段階、第2段階、及び第3段階の有効量は同じである。ある実施形態では、第1段階、第2段階、及び第3段階の有効量は異なる。ある実施形態では、第1段階の有効量は、第2段階の有効量より高い。ある実施形態では、第1段階の有効量は、約0.03mg/kg~約0.3mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、約0.3mg/kg~約3mg/kg、または約1mg/kg~約10mg/kgであり、第2段階の有効量は、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.03mg/kg~約0.3mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、約0.3mg/kg~約3mg/kg、または約1mg/kg~約10mg/kgである。
【0256】
ある実施形態では、本明細書に開示されるキメラタンパク質は、ヒトCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質である。
【0257】
一態様では、本開示は、治療を必要とするヒト対象におけるがんの治療方法に関し、方法は、一般構造:N末端-(a)-(b)-(c)-C末端を有するキメラタンパク質の有効量をヒト対象に投与するステップを含み、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1及び第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインであり、投与のステップは、第1サイクル、第2サイクル、及び第3サイクルを含む。ある実施形態では、リンカーは、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含む。ある実施形態では、第1サイクル、第2サイクル、及び第3サイクルは、それぞれ独立して、週に約2回~2か月に約1回の投与頻度を含む。ある実施形態では、第1サイクルの投与頻度、第2サイクルの投与頻度、及び第3サイクルの投与頻度は同じである。ある実施形態では、第1サイクルの投与頻度、第2サイクルの投与頻度、及び第3サイクルの投与頻度は異なる。ある実施形態では、第1サイクルの投与頻度は、約3日毎、週に約2回、約毎週、約10日毎、3週間に約2回、約2週間毎、約3週間毎、約4週間毎、約1か月毎、約5週間毎、約6週間毎、約7週間毎、約8週間毎、及び約2か月毎から選択される。ある実施形態では、キメラタンパク質は、例えば、約0.3mg/kg~約3mg/kg、または約0.5mg/kg~約3mg/kg、または約0.7mg/kg~約3mg/kg、または約1mg/kg~約3mg/kg、または約1.5mg/kg~約3mg/kg、または約2mg/kg~約3mg/kg、または約2.5mg/kg~約3mg/kg、または約0.3mg/kg~約2.5mg/kg、または約0.3mg/kg~約2mg/kg、または約0.3mg/kg~約1.5mg/kg、または約0.3mg/kg~約1.0mg/kg、または約0.3mg/kg~約0.5mg/kgの用量範囲で線形用量反応を示す。ある実施形態では、キメラタンパク質は、ベル型の用量反応を示さない。
【0258】
ある実施形態では、第1サイクルの投与頻度は、約3日毎~約10日毎、約1週間毎~約2週間毎、約10日毎~約3週間毎、約2週間毎~約4週間毎、約3週間毎~約5週間毎、約4週間毎~約6週間毎、約5週間毎~約7週間毎、約6週間毎~約8週間毎、及び約6週間毎~約2か月毎から選択される。ある実施形態では、第2サイクルの投与頻度は、約3日毎、週に約2回、約毎週、約10日毎、3週間に約2回、約2週間毎、約3週間毎、約4週間毎、約1か月毎、約5週間毎、約6週間毎、約7週間毎、約8週間毎、及び約2か月毎から選択される。ある実施形態では、第2サイクルの投与頻度は、約3日毎~約10日毎、約1週間毎~約2週間毎、約10日毎~約3週間毎、約2週間毎~約4週間毎、約3週間毎~約5週間毎、約4週間毎~約6週間毎、約5週間毎~約7週間毎、約6週間毎~約8週間毎、及び約6週間毎~約2か月毎から選択される。ある実施形態では、第3サイクルの投与頻度は、約3日毎、週に約2回、約毎週、約10日毎、3週間に約2回、約2週間毎、約3週間毎、約4週間毎、約1か月毎、約5週間毎、約6週間毎、約7週間毎、約8週間毎、及び約2か月毎から選択される。ある実施形態では、第3サイクルの投与頻度は、約3日毎~約10日毎、約1週間毎~約2週間毎、約10日毎~約3週間毎、約2週間毎~約4週間毎、約3週間毎~約5週間毎、約4週間毎~約6週間毎、約5週間毎~約7週間毎、約6週間毎~約8週間毎、及び約6週間毎~約2か月毎から選択される。ある実施形態では、第1サイクルの投与頻度は、約3日毎~約10日毎、約1週間毎~約2週間毎、約10日毎~約3週間毎から選択され、第2サイクルの投与頻度は、約1週間毎~約2週間毎、約10日毎~約3週間毎、約2週間毎~約4週間毎、約3週間毎~約5週間毎、約4週間毎~約6週間毎から選択される。
【0259】
さらに、または代替的に、ある実施形態では、第1サイクル、第2サイクル、及び第3サイクルは、それぞれ独立して、約2日間~約12か月間続く。ある実施形態では、第1サイクルは約2週間~約2か月間続き、第2サイクルは約2週間~約12か月間続く。ある実施形態では、第1サイクルは約2週間~約2か月間続き、第2サイクルは約2週間~約12か月間続き、第3サイクルは約2週間~約6か月間続く。
【0260】
さらに、または代替的に、ある実施形態では、第1サイクル、第2サイクル、及び第3サイクルの有効量は、それぞれ独立して、約0.01mg/kg~約10mg/mlを含む。ある実施形態では、第1サイクル、第2サイクル、及び第3サイクルの有効量は、それぞれ独立して、約0.03mg/kg、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1mg/kg、約3mg/kg、約10mg/kg、及び前述の値の任意の2つを含む及び/またはその間の任意の範囲から選択される。ある実施形態では、第1サイクル、第2サイクル、及び第3サイクルの有効量は、それぞれ独立して、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.03mg/kg~約0.3mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、約0.3mg/kg~約3mg/kg、及び約1mg/kg~約10mg/kgから選択される。
【0261】
ある実施形態では、第1サイクル、第2サイクル、及び第3サイクルの有効量は同じである。他の実施形態では、第1サイクル、第2サイクル、及び第3サイクルの有効量は異なる。ある実施形態では、第1サイクルの有効量は、第2サイクルの有効量より高い。他の実施形態では、第1サイクルの有効量は、第2サイクルの有効量より低い。さらに他の実施形態では、第1サイクルの有効量と第2サイクルの有効量は同じである。
【0262】
ある実施形態では、第1サイクルの有効量は、約0.03mg/kg~約0.3mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、約0.3mg/kg~約3mg/kg、または約1mg/kg~約10mg/kgであり、第2サイクルの有効量は、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.03mg/kg~約0.3mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、約0.3mg/kg~約3mg/kg、または約1mg/kg~約10mg/kgである。
【0263】
ある実施形態では、本明細書に開示されるキメラタンパク質は、ヒトCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質である。
【0264】
一態様では、本開示は、治療を必要とするヒト対象におけるがんの治療方法に関し、方法は、一般構造:N末端-(a)-(b)-(c)-C末端を有するキメラタンパク質の有効量を投与計画によってヒト対象に投与するステップを含み、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1及び第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインであり、投与計画は、約3日毎~約2か月毎の範囲の頻度で投与することを含む。ある実施形態では、リンカーは、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含む。ある実施形態では、投与計画は、約3日毎、週に約2回、約毎週、約10日毎、3週間に約2回、約2週間毎、約3週間毎、約4週間毎、約1か月毎、約5週間毎、約6週間毎、約7週間毎、約8週間毎、及び約2か月毎から選択される。ある実施形態では、投与計画は、約毎週、約10日毎、約2週間毎、約3週間毎、約4週間毎、約1か月毎、約5週間毎、約6週間毎、約7週間毎、約8週間毎、及び約2か月毎から選択される。ある実施形態では、投与計画は、約2週間毎、約3週間毎、または約4週間毎である。
【0265】
一態様では、本開示は、治療を必要とするヒト対象におけるがんの治療方法に関し、方法は、一般構造:N末端-(a)-(b)-(c)-C末端を有するキメラタンパク質の有効量を、約3日毎~約10日毎、約1週間毎~約2週間毎、約10日毎~約3週間毎、約2週間毎~約4週間毎、約3週間毎~約5週間毎、約4週間毎~約6週間毎、約5週間毎~約7週間毎、約6週間毎~約8週間毎、及び約6週間毎~約2か月毎から選択される投与計画によってヒト対象に投与するステップを含み、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1及び第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、リンカーは、ジスルフィド結合を形成することが可能である少なくとも1つのシステイン残基を含む。ある実施形態では、投与計画は、約1週間毎~約2週間毎、約10日毎~約3週間毎、または約2週間毎~約4週間毎である。ある実施形態では、キメラタンパク質は、例えば、約0.3mg/kg~約3mg/kg、または約0.5mg/kg~約3mg/kg、または約0.7mg/kg~約3mg/kg、または約1mg/kg~約3mg/kg、または約1.5mg/kg~約3mg/kg、または約2mg/kg~約3mg/kg、または約2.5mg/kg~約3mg/kg、または約0.3mg/kg~約2.5mg/kg、または約0.3mg/kg~約2mg/kg、または約0.3mg/kg~約1.5mg/kg、または約0.3mg/kg~約1.0mg/kg、または約0.3mg/kg~約0.5mg/kgの用量範囲で線形用量反応を示す。ある実施形態では、キメラタンパク質は、ベル型の用量反応を示さない。
【0266】
本明細書に開示される態様のいずれかのいくつかの実施形態では、第1のドメインは、CD172a(SIRPα)リガンドに結合することができる。ある実施形態では、第1のドメインは、CD172a(SIRPα)の細胞外ドメインの実質的にすべてを含む。ある実施形態では、第2のドメインは、CD40受容体に結合することができる。ある実施形態では、第2のドメインは、実質的にCD40Lの細胞外ドメイン全体を含む。ある実施形態では、リンカーは、IgG4、例えば、ヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。ある実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも96%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。
【0267】
本明細書に開示される態様のいずれかのいくつかの実施形態では、第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む。本明細書に開示される態様のいずれかのいくつかの実施形態では、第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。本明細書に開示される態様のいずれかのいくつかの実施形態では、第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも96%同一のアミノ酸配列を含む。本明細書に開示される態様のいずれかのいくつかの実施形態では、第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む。本明細書に開示される態様のいずれかのいくつかの実施形態では、第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。本明細書に開示される態様のいずれかのいくつかの実施形態では、第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。本明細書に開示される態様のいずれかのいくつかの実施形態では、第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、(a)第1のドメインは、配列番号57のアミノ酸配列を含み、(b)第2のドメインは、配列番号58のアミノ酸配列を含み、(c)リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。
【0268】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号5または配列番号7のアミノ酸配列をさらに含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号5及び配列番号7のアミノ酸配列をさらに含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも96%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも約98%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61と少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む。
【0269】
さらに、または代替的に、ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも約99.2%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61と少なくとも約99.4%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61と少なくとも約99.6%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61と少なくとも約99.8%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、ヒト対象は標準治療を受けたことがあるか、耐性があるか、または不適格であり、及び/またはがんに標準治療とみなされる承認済みの治療法がない。
【0270】
一態様では、本開示は、治療を必要とするヒト対象における末梢血から二次リンパ器官(例えば、リンパ節及び脾臓)へのリンパ球の遊走を促進する方法に関し、方法は、一般構造:N末端-(a)-(b)-(c)-C末端を有するキメラタンパク質の有効量をヒト対象に投与するステップを含み、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1及び第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。
【0271】
本明細書に開示される態様のいずれかのいくつかの実施形態では、ヒト対象は、同時化学療法、免疫療法、生物学的療法、またはホルモン療法を受けていない。
【0272】
一態様では、本開示は、本明細書に開示される実施形態のいずれかの方法で使用するためのキメラタンパク質に関する。
【0273】
一態様では、本開示は、配列番号59または配列番号61と少なくとも約98%同一のアミノ酸配列を含むキメラタンパク質に関する。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61と少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。
【0274】
第1段階の投与頻度と第2段階の投与頻度は、同じであっても異なっていてもよい。ある実施形態では、第1段階の投与頻度と第2段階の投与頻度は、それぞれ独立して、約3日毎、週に約2回、約毎週、約10日毎、3週間に約2回、約2週間毎、約3週間毎、約4週間毎、約1か月毎、約5週間毎、約6週間毎、約7週間毎、約8週間毎、及び約2か月毎から選択される。ある実施形態では、第1段階の投与頻度は、約3日毎~約10日毎、約1週間毎~約2週間毎、約10日毎~約3週間毎、約2週間毎~約4週間毎、約3週間毎~約5週間毎、約4週間毎~約6週間毎、約5週間毎~約7週間毎、約6週間毎~約8週間毎、及び約6週間毎~約2か月毎から選択される。
【0275】
ある実施形態では、第1段階及び第2段階は、それぞれ独立して、約2日間~約12か月間続く。例えば、ある実施形態では、第1段階は約2週間~約2か月間続き、第2段階は約2週間~約12か月間続く。ある実施形態では、第1段階は約2週間~約1か月間続き、第2段階は約2週間~約12か月間続く。ある実施形態では、第1段階は約2週間~約1か月間続き、第2段階は約4週間~約12か月間続く。
【0276】
第1段階、第2段階、及び第3段階の有効量は、同じであっても異なっていてもよい。ある実施形態では、第1段階、第2段階、及び第3段階の有効量は、それぞれ独立して、約0.01mg/kg~約10mg/mlを含む。ある実施形態では、第1段階の有効量は、約0.03mg/kg~約0.3mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、約0.3mg/kg~約3mg/kg、または約1mg/kg~約10mg/kgであり、第2段階の有効量は、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、約0.03mg/kg~約0.3mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、約0.3mg/kg~約3mg/kg、または約1mg/kg~約10mg/kgである。ある実施形態では、本明細書に開示されるキメラタンパク質は、ヒトCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質である。
【0277】
ある実施形態では、ヒトCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、持続的な免疫調節効果を提供することができる。
【0278】
ある実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも96%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。
【0279】
ある実施形態では、リンカーは、IgG由来のヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。ある実施形態では、リンカーは、IgG1及びIgG4から選択されるIgG由来のヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。ある実施形態では、リンカーは、ヒトIgG1またはヒトIgG4に由来するヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。ある実施形態では、リンカーは、IgG4由来のヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含む。ある実施形態では、ヒンジ-CH2-CH3 FcドメインはヒトIgG4由来である。
【0280】
さらに、または代替的に、ある実施形態では、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも96%同一のアミノ酸配列を含む。実施 形態では、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインは、配列番号57のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。
【0281】
さらに、または代替的に、ある実施形態では、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも96%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインは、配列番号58のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。
【0282】
さらに、または代替的に、ある実施形態では、ヒトCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61と少なくとも90%、または93%、または95%、または97%、または98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、ヒトCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、ヒトCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも96%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、ヒトCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも97%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、ヒトCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、ヒトCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、ヒトCD172a(SIRPα)-Fc-CD40Lキメラタンパク質は、配列番号59または配列番号61のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。
【0283】
一態様では、本開示は、(i)ヒト対象に、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造を有するキメラタンパク質を投与し((a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1及び第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ジスルフィド結合を形成することができる少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである)、(ii)第2の治療剤を投与することを含む、ヒト対象におけるがんの治療方法に関する。ある実施形態では、キメラタンパク質を、約0.0001mg/kg~約10mg/kgの用量で投与する。ある実施形態では、投与するキメラタンパク質の用量は、少なくとも約0.3mg/kg、例えば、少なくとも約0.3mg/kg、または約1.0mg/kg、または約2mg/kg、または約3、約4mg/kg、または約6mg/kg、または約8mg/kg、または約10mg/kgである。ある実施形態では、投与するキメラタンパク質の用量は、少なくとも約1mg/kg、例えば、少なくとも約1.0mg/kg、または約2mg/kg、または約3、約4mg/kg、または約6mg/kg、または約8mg/kg、または約10mg/kgである。ある実施形態では、キメラタンパク質は、例えば、約0.3mg/kg~約3mg/kg、または約0.5mg/kg~約3mg/kg、または約0.7mg/kg~約3mg/kg、または約1mg/kg~約3mg/kg、または約1.5mg/kg~約3mg/kg、または約2mg/kg~約3mg/kg、または約2.5mg/kg~約3mg/kg、または約0.3mg/kg~約2.5mg/kg、または約0.3mg/kg~約2mg/kg、または約0.3mg/kg~約1.5mg/kg、または約0.3mg/kg~約1.0mg/kg、または約0.3mg/kg~約0.5mg/kgの用量範囲で線形用量反応を示す。ある実施形態では、キメラタンパク質は、ベル型の用量反応を示さない。
【0284】
ある実施形態では、キメラタンパク質の投与により、キメラタンパク質の投与前、キメラタンパク質を投与しない第2の対象、及び/または外部対照の受容体占有率(RO)と比較して、少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約65%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%となるCD47のROが白血球上に生じる。ある実施形態では、キメラタンパク質の投与により、キメラタンパク質の投与前、キメラタンパク質を投与しない第2の対象、及び/または外部対照の受容体占有率(RO)と比較して、少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約65%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%となるCD47のROがB細胞上に生じる。ある実施形態では、キメラタンパク質の投与により、キメラタンパク質の投与前、キメラタンパク質を投与しない第2の対象、及び/または外部対照のROと比較して、IL-12、MCP-1、MIP-1β、MIP-1α、及びMDC%のうちの1つ以上の量または活性が増加する。
【0285】
一態様では、本開示は、治療を必要とする対象に、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造のキメラタンパク質を投与することを含む、ヒト対象におけるがんの治療方法に関し、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1及び第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ジスルフィド結合を形成することができる少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインであり、対象は、第2の治療剤による治療を受けているか、または受けたことがある。ある実施形態では、キメラタンパク質を、約0.0001mg/kg~約10mg/kgの用量で投与する。ある実施形態では、投与するキメラタンパク質の用量は、少なくとも約0.3mg/kg、例えば、少なくとも約0.3mg/kg、または約1.0mg/kg、または約2mg/kg、または約3、約4mg/kg、または約6mg/kg、または約8mg/kg、または約10mg/kgである。ある実施形態では、投与するキメラタンパク質の用量は、少なくとも約1mg/kg、例えば、少なくとも約1.0mg/kg、または約2mg/kg、または約3、約4mg/kg、または約6mg/kg、または約8mg/kg、または約10mg/kgである。ある実施形態では、キメラタンパク質は、例えば、約0.3mg/kg~約3mg/kg、または約0.5mg/kg~約3mg/kg、または約0.7mg/kg~約3mg/kg、または約1mg/kg~約3mg/kg、または約1.5mg/kg~約3mg/kg、または約2mg/kg~約3mg/kg、または約2.5mg/kg~約3mg/kg、または約0.3mg/kg~約2.5mg/kg、または約0.3mg/kg~約2mg/kg、または約0.3mg/kg~約1.5mg/kg、または約0.3mg/kg~約1.0mg/kg、または約0.3mg/kg~約0.5mg/kgの用量範囲で線形用量反応を示す。ある実施形態では、キメラタンパク質は、ベル型の用量反応を示さない。
【0286】
一態様では、本開示は、治療を必要とする対象に第2の抗がん治療剤を投与することを含む、ヒト対象におけるがんの治療方法に関し、対象は、N末端-(a)-(b)-(c)-C末端の一般構造のキメラタンパク質による治療を受けているか、または受けたことがあり、(a)は、ヒトシグナル調節タンパク質α(CD172a(SIRPα))の細胞外ドメインを含む第1のドメインであり、(b)は、第1及び第2のドメインに隣接するリンカーであり、リンカーは、ジスルフィド結合を形成することができる少なくとも1つのシステイン残基を含み、及び/またはヒンジ-CH2-CH3 Fcドメインを含み、(c)は、ヒトCD40リガンド(CD40L)の細胞外ドメインを含む第2のドメインである。ある実施形態では、キメラタンパク質を、約0.0001mg/kg~約10mg/kgの用量で投与する。ある実施形態では、キメラタンパク質は、例えば、約0.3mg/kg~約3mg/kg、または約0.5mg/kg~約3mg/kg、または約0.7mg/kg~約3mg/kg、または約1mg/kg~約3mg/kg、または約1.5mg/kg~約3mg/kg、または約2mg/kg~約3mg/kg、または約2.5mg/kg~約3mg/kg、または約0.3mg/kg~約2.5mg/kg、または約0.3mg/kg~約2mg/kg、または約0.3mg/kg~約1.5mg/kg、または約0.3mg/kg~約1.0mg/kg、または約0.3mg/kg~約0.5mg/kgの用量範囲で線形用量反応を示す。ある実施形態では、キメラタンパク質は、ベル型の用量反応を示さない。
【0287】
ある実施形態では、キメラタンパク質を、第2の治療剤の前に投与する。ある実施形態では、第2の治療剤を、キメラタンパク質の前に投与する。ある実施形態では、第2の治療剤とキメラタンパク質を、実質的に一緒に投与する。
【0288】
ある実施形態では、第2の治療剤は、抗体、及び化学療法剤から選択される。ある実施形態では、抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)が可能である。ある実施形態では、抗体は、セツキシマブ、リツキシマブ、オビヌツズマブ、Hul4.18K322A、Hu3F8、ジニツキシマブ、及びトラスツズマブから選択される。ある実施形態では、抗体は、抗体依存性細胞貪食(ADCP)が可能である。ある実施形態では、抗体は、セツキシマブ、ダラツムマブ、リツキシマブ、及びトラスツズマブから選択される。ある実施形態では、抗体は、がん胎児性抗原(CEA)、EGFR、HER-2、上皮細胞接着分子(EpCAM)、ヒト上皮ムチン-1、CD20、CD30、CD38、CD40、及びCD52から選択される分子に結合することができる。ある実施形態では、抗体は、EGFRと結合することができる。ある実施形態では、抗体は、Mab A13、AMG595、セツキシマブ(Erbitux,C225)、パニツムマブ(ABX-EGF,Vectibix)、デパツキシズマブ(ABT806)、デパツキシズマブ、マフォドチン、デュリゴツズマブ(MEHD7945A,RG7597)、フツキシマブ(Sym004)、GC1118、イムガツズマブ(GA201)、マツズマブ(EMD72000)、ネシツムマブ(Portrazza)、ニモツズマブ(h-R3)、アニツムマブ(Vectibix,ABX-EGF)、ザルツムマブ、humMR1、及びトムゾツキシマブから選択される。ある実施形態では、抗体はセツキシマブである。
【0289】
ある実施形態では、化学療法剤はアントラサイクリンである。ある実施形態では、アンタサイクリンは、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン及びイダルビシン、ならびにそれらの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体から選択される。ある実施形態では、化学療法剤はドキソルビシンである。
【0290】
ある実施形態では、投与するキメラタンパク質の用量は、少なくとも約0.0001mg/kg、例えば、約0.0001mg/kg~約10.0mg/kgである。キメラタンパク質を、初期用量で(例えば、約0.0001、約0.001、約0.003、約0.01、約0.03、約0.1、約0.3、約1、約2、約3、約4、約6、または約10.0mg/kgのうちの1つで)投与してもよく、キメラタンパク質を、1回以上の後続投与において(例えば、約0.0001、約0.001、約0.003、約0.01、約0.03、約0.1、約0.3、約1、約2、約3、約4、約6、約8、及び約10mg/kgの1つ以上で)投与する。ある実施形態では、投与するキメラタンパク質の用量は、少なくとも約0.3mg/kg、例えば、少なくとも約0.3mg/kg、または約1.0mg/kg、または約2mg/kg、または約3、約4mg/kg、または約6mg/kg、または約8mg/kg、または約10mg/kgである。ある実施形態では、投与するキメラタンパク質の用量は、少なくとも約1mg/kg、例えば、少なくとも約1.0mg/kg、または約2mg/kg、または約3、約4mg/kg、または約6mg/kg、または約8mg/kg、または約10mg/kgである。ある実施形態では、初期用量は、後続投与の少なくとも1つ(例えば、後続投与のそれぞれ)の用量よりも少ないか、または初期用量は、後続投与の少なくとも1つ(例えば、後続投与のそれぞれ)の用量と同じである。ある実施形態では、開始用量及び/または後続用量は、最大耐用量であるか、または最大耐用量未満である。ある実施形態では、キメラタンパク質を、少なくとも月に約1回、例えば、少なくとも月に約2回、少なくとも月に約3回、及び少なくとも月に約4回投与する。ある実施形態では、キメラタンパク質を、最初に3週間にわたって週1回投与し、次いでキメラタンパク質を、約3週間に1回または4週間に1回投与するか、あるいは、キメラタンパク質を、最初に3週間にわたって週1回投与し、次いでキメラタンパク質を、月に約2回、例えば、3週間にわたって週1回投与し、次いでキメラタンパク質を、2週間に約1回投与する。
【0291】
ある実施形態では、がんは、進行した固形腫瘍(局所性及び/または転移性)またはリンパ腫を含む。ある実施形態では、がんは、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、皮膚扁平上皮癌(CSCC)、及び頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)から選択される。ある実施形態では、がんは、進行した固形腫瘍(局所性及び/または転移性)または進行したリンパ腫を含む。
【実施例】
【0292】
本明細書の実施例は、本技術の利点及び有用性を説明するため、ならびに本技術のキメラタンパク質の調製または使用に関して当業者をさらに支援するために示される。本明細書の実施例は、本技術の好ましい態様をより完全に説明するためにも提示される。実施例は、添付の特許請求の範囲によって定義される本技術の範囲を限定するものとしては決して解釈されるべきではない。これらの実施例は、上述した本技術の変形例、態様、または実施形態のいずれかを含んでも、または組み込んでもよい。上述の変形例、態様または実施形態は、それぞれ、本技術のいずれかまたはすべての他の変形例、態様または実施形態の変形例をさらに含んでも、または組み込んでもよい。
【0293】
実施例1:SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質(SL-172154)の第1相臨床試験
このヒト初の第1相用量漸増試験では現在、プラチナ耐性卵巣癌を有する対象において、単剤療法としてのSL-172154を評価している。この試験の主要目的は、安全性を評価し、SL-172154の最大耐用量または最大投与用量を同定することである。この試験の副次的目的は、用量とスケジュール(すなわち、推奨される第2相用量[RP2D])を同定し、PKと免疫原性を特徴決定し、固形腫瘍についてRECISTv1.1に従って抗腫瘍活性を評価することである。探索的目的は、PBMC上のSIRPα及びCD40の受容体占有率を評価し、血液及び腫瘍における薬力学的(PD)効果を調査することである。
【0294】
計画される用量漸増は半対数増加である(
図1)。少なくとも3人の対象が連続用量レベル(DL)に登録され、治療の第1サイクルで用量制限毒性(DLT)を評価した。疾患の進行、許容不可能な毒性、または同意の撤回が生じるまで、スケジュール1またはスケジュール2に従ってSL-172154を対象に静脈内(IV)投与する。現在10mg/kgを登録中である。
【0295】
主要な包含基準は以下のとおりである:
・局所進行性または転移性卵巣癌、原発性腹膜癌、または卵管癌。
・既存の治療法(複数可)に対して不応性であり、プラチナ療法が不適格である。相同組換え欠損陽性疾患の対象は、ベバシズマブの有無にかかわらず、以前にPARPiの投与を受けている必要がある。
・18歳以上
・ECOGパフォーマンスステータス0または1
・RECIST v1.1に基づく測定可能な疾患
主要な除外基準は以下のとおりである:
・upfrontプラチナ療法の期間中または1か月以内での進行と定義される、一次プラチナ療法への不応性
・抗CD47または抗SIRPα標的化剤またはCD40アゴニストによる前治療。
・自己免疫疾患または活動性肺炎の既往歴
・全身性コルチコステロイドまたは他の免疫抑制薬の併用
【0296】
【0297】
年齢中央値67歳(範囲33~79歳)で、以前に全身療法を中央値で5回(範囲2~7回)受けている15人の対象を、2つのスケジュールで4つの用量レベルにわたってIV SL-172154で治療した。15人の対象のうち13人が、ベースラインにおいてECOG PSが1であった。6人の対象を、スケジュール1(1、8、15、29日目、2週間毎)で、0.1mg/kg(n=3)及び0.3mg/kg(n=3)の用量で治療した。9人の対象を、スケジュール2(週1回)で、0.3mg/kg(n=3)、1.0mg/kg(n=3)、及び3.0mg/kg(n=3)の用量で治療した。表1に示すように、対象のほとんどが、原発性卵巣癌(n=9;60%)、FIGOステージIV(n=9;60%)、高悪性度疾患(n=11;73%)、及び漿液性癌の組織学的所見(n=11;73%)を有していた。有害事象を表5に列挙する。
【表5】
【0298】
SL-172154では、いずれのスケジュールでも0.1mg/kg~3.0mg/kgの範囲の用量でDLTは観察されなかった。15人の対象(100%)が治療中に有害事象(AE)を経験した。3名以上の対象に発生した最も一般的なAE(すべての因果関係)は、疲労、輸注反応(IRR)、吐き気、下痢、食欲減退、脱水、及び掻痒であった(表2)。14人(93%)の対象に治療関連AE(TRAE)が認められた。2人以上の対象に発生した最も一般的なTRAEは、IRR(n=8;53%)、疲労(n=7;47%)、吐き気(n=4;27%)、食欲減退(n=3;20%)、悪寒(n=2;13%)、下痢(n=2;13%)、及び呼吸困難(n=2,13%)であった。G3以上のTRAEは報告されていない。8人(53%)の対象が、0.3mg/kg(n=3)、1.0mg/kg(n=2)、3.0mg/kg(n=3)の用量で輸注反応(IRR)を有し、1件のIRR事象はG3であり、鉄注入に起因するものと考えられ、14件のIRRは重症度がG2であり、2件のIRRは重症度がG1であった。IRRは前投薬で管理可能であり、IV投与の完了を妨げたり、SL-172154の投与中止につながったりすることはなかった。13人(87%)の対象がSL-172154の投与を中止したが、12人が放射線学的または臨床的進行により投与を中止し、1人が治療を中止することを選択した。
【0299】
図3は、腫瘍の応答と治療期間を示している。ベースライン後のスキャンで有効性を評価した14人の対象の中で最良の応答は以下のとおりであった:
‐SD,n=4
‐PD,n=9
‐NE,n=1(対象は、SDを有していたが、SDについてプロトコルで指定された最小間隔を満たさなかった)
‐1人の対象(3mg/kg)は、8週目に最初の治療中の疾患評価に到達しなかった。
【0300】
薬物動態:
・最大濃度(Cmax)及び時間0から無限大に外挿した曲線下面積(AUCinf)は、用量の増加に伴って不釣り合いに増加した。
・クリアランスは、用量の増加とともに減少した。
・PKは、1.0及び3.0mg/kgで二相性であるように見えた。
・試験した用量では、曲線の消失段階は完全には特徴付けられなかった。
【0301】
図4A~
図4Dは、SL-172154の反復投与後の血清サイトカインの再現可能な増加を示している。示された時間に対象の血液採取から血漿を調製した。マルチプレックスECL ELISA法を使用してサイトカインレベルを測定し、選択された用量レベルのサイトカインを示している。炎症誘発性ケモカインであるCCL2(MCP-1)(
図4A)、CCL4(MIP-1β)(
図4B)、CCL3(MIP-1α)(
図4C)、及びCCL22(MDC)(
図4D)は、注入後のすべての測定において、血漿レベルの用量依存的な増加を示した。これらの増加は、すべての注入間隔にわたって等しい期間及び大きさであった。
【0302】
図5A及び
図5Bは、血清IL-12の用量依存的かつ再現可能な増加を示す。
図5Aは、経時的なTH1炎症誘発反応のメディエーターであるインターロイキン12(IL-12)の対象レベルを示し、これは、試験対象で観察される周期的なエフェクターサイトカイン応答を典型的に表している。
図5Bは、第1の注入時の応答中央値(水平バー)を示しており、予備的には用量依存的であると考えられる。
【0303】
図6A及び
図6Bは、SL-172154が白血球上のCD47に優先的に結合するが、RBCには結合しないことを示す。
図6Aは、全血を使用した蛍光標識細胞分取(FACS)分析によって評価した、赤血球(RBC)と白血球(WBC,白血球)の両方のCD47受容体占有率(RO)を示している。サイクル1の1日目(C1D1)の注入後1時間で、白血球上のCD47 ROの中央値(水平バー)は約80%である。
図6Bは、赤血球上のCD47 ROがすべての用量レベルで5%未満であることを示している。
【0304】
図7A~
図7Cは、SL-172154が用量依存的にB細胞の辺縁趨向及び活性化を刺激することを示している。B細胞は、高レベルのCD40を発現する循環免疫細胞の大きなプールを表す。蛍光標識細胞分取(FACS)パネルを設計して、CD40受容体の占有率ならびに活性化及び成熟の状態を調べた。C1D1では、注入後1時間以内にほぼすべて(約80%)のCD40+B細胞が辺縁趨向し、すなわち循環から排出される。
図7Aは、辺縁趨向細胞の出現頻度中央値が用量依存的に増加することを示している(水平バー)。受容体の関与は、すべての用量レベルで約100%である(データ未掲載)。
図7Bは、B細胞出現頻度の中央値が次の注入までに注入前のレベルに戻り、各注入サイクルで放出と戻りの周期的なパターンを維持することを示している。
図7Cは、戻ってきたB細胞が共刺激マーカーCD86と成熟マーカーCD95の増加を示すことを示しており、SL-172154が表現型の変化を誘発できることを示唆している。同様に、CD14+単球は、注入後1時間以内に辺縁趨向、すなわち循環から排出され、次の注入までに注入前のレベルに戻り、各注入サイクルで循環の出入りの周期的なパターンを維持する。観察される辺縁趨向パターンは、主にCD86+古典的及び非古典的単球によって駆動される(データ未掲載)。
【0305】
図8A及び
図8Bは、CD40 mAbと比較したTNFα及びインターロイキン-6(IL-6)の明確な特性を示す。
図8Aは、CP-870,893(左パネル)またはSL-172154(右パネル)の様々な用量でのTNFαの誘導を示す。
図8Bは、CP-870,893(左パネル)またはSL-172154(右パネル)の様々な用量でのIL-6の誘導を示す。CP-870,893のデータは、Vonderheide et al.,J Clin Oncol 25:876-883(2007)から引用したものである。これらの結果は、特に、SL-172154がCD40 mAbと比較して、TNFα及びインターロイキン-6(IL-6)を誘導しないことを示している。用量制限毒性(DLT)は、サイトカイン放出症候群(CRS)に起因すると考えられており、これにより、CD40アゴニストmAbの用量漸増が制限されている。興味深いことに、SL-172154では、TNFαとIL-6の顕著な増加は観察されていない。その結果、現在、SL-172154をCP-870,893の10倍の用量で投与している。
【0306】
図9A及び
図9Bは、SL-172154が腫瘍微小環境(TME)において自然免疫応答を誘導することを示す。
図9Aは、SL-172154の投与前と投与後の患者Aの生検試料の免疫組織化学分析を示す。CD68(単球系細胞で高度に発現するタンパク質)の染色によって単球を検出した。
図9Bは、SL-172154による治療後の腫瘍生検試料中のTMEにおける活性化マーカーCD40及びMHCクラスIIの上方制御を、治療前の生検試料と比較して示す。
【0307】
図10A及び
図10Bは、SL-172154が腫瘍微小環境(TME)において適応免疫応答を誘導することを示す。
図9Aは、SL-172154の投与前と投与後の患者Aの生検試料中のCD8+細胞、グランザイムB+細胞、CD68+細胞、及びKi67+細胞を示す。治療前の生検試料と比較して、治療後の生検試料ではCD8+細胞、グランザイムB+細胞、CD68+細胞、及びKi67+細胞が増加していた。
図9Bは、腫瘍比率スコア(TPS)と複合陽性スコア(CPS)を比較したグラフである。免疫細胞におけるPD-L1の誘導は、CD8+T細胞の活性化の結果である。
【0308】
これらの結果は、SL-172154が、DLT、または貧血、血小板減少症、肝機能障害、サイトカイン放出症候群、もしくは肺炎のエビデンスがなく、忍容性が良好であったことを示唆している。10mg/kgで用量の漸増を継続する。SL-172154についての予備的なPKパラメータは、受容体結合を介した標的媒介薬物動態を示唆している。試験した用量では、CD47+白血球上のSL-172154の受容体占有率が高く、RBCへの結合は最小限であったことが観察された。SL-172154がCD40+B細胞及び単球に結合すると、注入後に急速な活性化及び辺縁趨向が生じた。先天性及び適応性血清サイトカインの周期的な増加は、CD40受容体の結合及び活性化と一致していた。IL-6またはTNFαの増加はなく、ベル型の用量反応のエビデンスもなかった。SL-172154は、CD40とCD47の両方を飽和させる用量で忍容性が良好であり、まだプラトーに達していないオンターゲットのPD活性のエビデンスがあり、さらなる用量漸増が正当化される。理論に拘束されることを望まないが、これらの結果は、SL-172154が、腫瘍微小環境(TME)において自然免疫応答と適応免疫応答の両方を誘導することをさらに示している。
【0309】
図11は、SL-172154についての計画された臨床開発戦略を示す。この戦略には、卵巣癌におけるSL-172154単独療法、卵巣癌におけるSL-172154+リポソームドキソルビシンの併用療法、AMLにおけるSL-172154+アザシチジン+ベネトクラクスの併用療法、HR-MDSにおけるSL-172154+アザシチジンの併用療法、及びTP53変異型AMLにおけるSL-172154+アザシチジンの併用療法の試験が含まれる。
【0310】
実施例2:SIRPα-Fc-CD40Lキメラタンパク質(SL-172154)の投与後の腫瘍におけるCD80の発現の増加
SL-172154を卵巣癌患者の腫瘍内に投与した。SL-172154の投与前及び投与後に患者から腫瘍生検試料を採取した。腫瘍内のCD80の発現を調べるために、生検試料を分析した。
図12に示すように、SL-172154の投与前に採取した生検試料と比較して、SL-172154の投与後に採取した試料では、SL-172154の投与後の腫瘍におけるCD80+細胞の存在量及び/またはCD80発現の増加が示された。
【0311】
参照による援用
本明細書で参照されるすべての特許及び刊行物は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0312】
本明細書で論じられる刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示に対してのみ提供される。本明細書におけるいずれの内容も、本開示が先行発明によりそのような刊行物に先行する資格がないことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0313】
本明細書で使用される、すべての見出しは単に構成のためのものであり、いかなる様式においても本開示を制限することを意図したものではない。あらゆる個々のセクションの内容は、すべてのセクションに等しく適用可能であり得る。
【0314】
均等物
本発明は、その特定の実施形態に関連して開示したが、さらなる修正が可能であり、本出願は、一般に、本発明の原理に従って、本発明の任意の変型、使用、または適応を網羅するものであり、本発明が属する技術分野において知られているか、または慣行に含まれるような本開示からの逸脱、及び前述される本質的な特徴に適用され得るもの、ならびに添付の請求項の範囲に含まれるような本開示からの逸脱を含むことを理解されたい。
【0315】
当業者であれば、単なる日常的な実験を使用して、本明細書に詳細に記載される特定の実施形態の多数の均等物を認識するか、または確認することができるであろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲内に包含されることが企図される。
【配列表】
【国際調査報告】